2 :
名無しさん@初回限定:2007/04/13(金) 06:01:45 ID:jpvKYYWR0
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ヽ ´ ∀ ` ゙':
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※取り消しや無効化、振り替え文字の改竄はできません。
3なら木村あやかとセックスできる
4なら華琳と麗羽との3P
5ならこの外史スレは豊作
>>1 依稚御都
【いちおつ】
三国時代、呉には依稚(いち)と言う大工がいた。ある時、大将軍・陸遜の命令で依稚が作った
州麗(すれ)という町を見た呉皇帝・孫権は感嘆のあまり
「御都(おつ。長安のこと)のようだ」と漏らしたという
そのことから、素晴らしい物を作り上げた者に対して依稚御都と声をかけるようになった
一時は絶滅しかけた風習であったが、現代日本のネット上で「
>>1乙」という形になって
蘇ってきている
民明書房「ねぎらいの言葉百選」より抜粋
7なので春蘭、秋蘭と結婚する
8なら蓮華とずっといっしょ。
9なら蜀は俺のもの
…俺が食うことになりそうだ。
山ごもり決定
後の麻婆メンマ開発秘話である。
>>10 孔明が北伐にこだわったのは、蜀での辛い四川料理に馴染めなかった上に
好物の甘いものが益州の山奥では無かった為になんとしても中原の料理が
食べたかったから、という爆笑三国志ネタを思い出した(w
>>14 一説によれば、大英帝国も自国の食事にまったく期待ができず、
飽くなき食への欲求が広大な植民地を獲得させた、という話もあるそうな。
はわわ「はわわ、桃の在庫が切れちゃったのです〜」
>>16 それは一大事!
餌付けの餌がなくなってどうしてはわわを…(ry
IDがレベル0……orz
最悪な結果になってしまったな
前スレ埋まる前に落ちちゃったじゃないか・・・
兵「申し上げますッ!前スレが陥落致しました!」
ち「なんだってー!…くっ、すまない公孫賛」
「袁紹が攻めてきた?」
「はっ、先ほど我が領内の城が落とされたとの報が……」
「袁紹のやつ、こないだ連合軍が勝ったからって調子に乗ってるな〜
他人の軍を戦わせて自分は後ろで見てただけのクセに」
軍を率いて自ら出陣する公孫賛
ついに袁紹の軍と平原を挟んで対峙する。
「おーっほっほっほ、そーんな貧相な兵でわたくしの軍に対抗できると
思っているなんて、貧相な伯珪さんらしいですわね」
「やい袁紹ー!俺の領地に攻めこんで来るなんていったいなんのつもりだー!」
「袁紹さま〜、あんなこと言ってますよ〜、これで良かったんですか〜?」
「そうですよ、伯珪さんとは仲良くやってたじゃないですか〜」
「なにをおっしゃってるのお二人とも!それでも袁紹軍の将ですの?
わたくしが世界を制覇する為には伯珪さんだろうと誰だろうと
立ち塞がる敵は攻め滅ぼすのは当然のこと、こんなのは序の口ですのよ?
これからあのいけ好かないクルクル小娘も南の孫権さんも
世界中の女の子はみーんなわたくしのモノにして差し上げるんですのよ
おーっほっほっほ」
「はあ〜、こんな理由でいいのかなあ……
どっちにしろ私たちは命令されれば戦うしかないけど〜」
「あたいは別に戦えればなんでもいいけどね〜」
向かい合って聞いていた公孫賛は緊張感の無い敵に呆れて天を仰ぐ
「あー、なんか頭痛くなってきた、あの袁紹のことだから
どうせろくな理由なんてないだろうとは思ってたけど」
両軍は戦いの火蓋が切って落とされるのを今かと待ちながらも
互いに一定の距離を置いて睨み合っている。
一度戦いが始まれば両軍が真正面からぶつかって大きな戦になるのは間違いない
決戦を前に互いの軍に緊張感が高まり……高まり?
「まーだ仕掛けて来ませんの?伯珪さんは」
「そうみたいですね〜、ちゃんと全軍に指揮が行き届いてる証拠ですよ
結構やるじゃん公孫賛」
「あ〜らそうなの?でもわたくしの軍の指揮には及ばないでしょうけど」
「ま〜、ウチの軍はもともとあんまりやる気ないですからね〜
それに麗羽さまが指揮したら勝てる戦も負けちゃいますし」
「なんですって?」
「あはは、麗羽さまは小細工なんかせずいつも通り後ろで笑ってればいんですよ
それだけで皆頑張ろうって気になって何度でも戦えますから!」
「そうですわね、それが王者の戦い方ですわ、文醜さんよくわかってますわね」
「あれ、でも動き出しましたよ?」
公孫賛の軍が中央から割れるように動き奥に控えていた騎馬部隊が
押し出されるように最前列に姿を現す
「こんなこともあろうかと精鋭で揃えたこの白馬部隊を見よ!
これで袁紹の出端を挫いて傲慢な鼻っ面をへし折ってやるぞー!」
白馬ばかりに白銀の鎧装に身を包んだ騎馬兵が数千騎並ぶ様は流石に壮麗
しかしそれは戦いに必要なハッタリというものでもある。
ハムさんの号令とともに平原を駆ける白馬部隊が袁紹軍に襲いかかる
その勢いに押されて前線は大きく袁紹軍の中へと食いこんでいく
「ぜーっ、ぜーっ、まったくいきなり攻めてくるなんて
なんて空気の読めない人ですの?」
最前線から自陣内深くに逃げてきた袁紹がぼやく
「でもすごいですね伯珪さん、あんなに白馬を集めるなんて」
「斗詩〜、それあたいが言おうと思ってたのに〜」
「それに乗ってる人達も強いです、北の部族の人たちですね」
「はは〜ん、それってあたいらには顔見知りみたいなもんじゃ〜ん」
「顔は知らないよう、でも文ちゃんの言うことも遠からずですね」
「それで?」
「ですから〜、私たちにはよく知ってる相手ってことです」
「まあ見ててくださいよ、麗羽さま。あたいが行ってちょちょいと
やっつけて来ますから」
文醜が槍を持たせた歩兵ばかりを率いて前線に向かうと戦況は一変
足を失った白馬部隊は哀れなほどあっけなく全滅した
「ああああ……俺の、俺の精鋭白馬部隊が……」
「やりましたわ文醜さん!それでこそわたくしの将ですわ」
「でもちょっと可哀相でしたね、伯珪さんの白馬を全部殺しちゃうのは」
「顔良さん、まだそんなことおっしゃってるんですの?」
「やりましたよー!袁紹さま〜斗詩〜、ついでに公孫賛も逃げ出しました〜」
「よくやりましたわ、でも文醜さん、どうしてあなたがここに居るんですの?」
「どうしてって勝ったから、その報告ですけど?」
「そうではなくて、どうして追撃しないんですのって聞いてるんですのよ!」
「えーっ、でもあたいそろそろお腹が……」
泣きながら敗走した公孫賛は堅固な城砦に篭り、あとを追った袁紹軍は
それを包囲するも攻めあぐねていた。
「なにか良い案はありませんの?斗詩」
「う〜ん、そうですね〜」
「袁紹さま〜あたいに良い考えがありますってば〜」
「はあ〜、こんな高い壁に何重にも覆われた城だなんてお馬鹿な……立派な城を
造るなんてなかなかどうして侮れませんわね〜」
「ですねえ〜ああ見えて伯珪さんって面白い方だったんですね〜」
「麗羽さま麗羽さま〜、あたいの作戦聞いてくださいってば〜」
「このあいだの白馬隊といい、見直して上げてもよろしいかもしれませんわね」
「でもその白馬、麗羽さまが全滅させちゃったんですけど」
「斗〜詩〜、麗羽さまがあたいのこと無視する〜あたいなんか悪いことした?」
「さあ〜?どうして聞かないんですか?麗羽さま」
「そんなこと、聞くまでもありませんわ!文醜さんの考える作戦なんてどうせ
地面に穴を掘って中まで進めばいい、とかなんとか言うに決まってますもの」
「!、袁紹さま〜、どうしてわかったんですか〜?」
「あってるんだ……」
「そんなみっともない作戦をするぐらいなら帰った方がマシですわよ」
「うーん、ダメかあ〜良い考えだと思ったのになあ〜
となるともうあとは直接説得するとか〜それぐらいしか〜」
「それですわ!文醜さん、わたくしが伯珪さんに会って懐柔してみせますわ」
「え、袁紹さまが会いにいくんですか?」
「使者を出すんじゃなくて姫が?危ないですよ?」
「そんなのあなたたちが居れば問題になりませんわ、お二人とも準備なさい!」
こうして袁紹は二人だけを連れて交渉として自ら敵の城門を叩き、
公孫賛はそれを疑いつつも一つ目の城壁だけを開いて招き入れたのだった。
「それで、どうするつもりなんだ?袁紹」
訝しげに城壁の上から公孫賛が問う。
「どうもこうもありませんわ、最早この城もわたくしの軍が完全に包囲しました
あなたには投降するか、このまま抵抗し城ごと滅ぶしか道は残っていませんのよ」
袁紹たちは一番外側の城壁の上から内側の城壁の上に居る公孫賛に向かって答える。
「そんなことが出来るのか?あれから何日になるか……この城が落とせないと思って
こうして会いに来たんじゃないのか?」
「(ありゃりゃ、完全に見抜かれてますよ〜袁紹さま)」
小声で耳打ちする文醜
「伯珪さん、わたくしあなたを勘違いしていましたわ、田舎者のお山の大将かと
ばかり思っていましたけれど、なかなかどうして見所がありますわ」
「お世辞はいらないよ、袁紹に褒められても全然嬉しくないし、っていうか
褒めてんのか貶してんのかわかんないぞそれ」
「……、ですからわたくしのモノになってくだされば、優し〜く可愛がって
差し上げますわよ?どうですの?そうすればあなたの兵も死なずに済みますし」
「(あ〜、またこんなこと言いだしちゃった麗羽さま……)」
「は!?、袁紹……まさか……いやいや、でもわたくしのモノって……」
途端に驚いたような声を上げ、呟きながらうろたえだす公孫賛
「どうしましたの?悩んでますの?大丈夫ですわ、あなたが初めてでも
わたくしが優しく……」
「わああああああああやめやめダメダメーー!聞こえない聞こえない
あっちいけお前ら気持ち悪いーーー!!」
袁紹の言葉にビクッと震えると叫びながら走って逃げ出す公孫賛
「あーあ、もうダメですね袁紹さま、交渉決裂です」
「まったく失礼ですわね、なんですの?いったい、こちらが下手に出ているのに」
「麗羽さま、本気で言って……ますよねぇ、はあ(溜息)」
「あ〜、ほらもうあんなトコまで逃げてますよ、まあ無理もないかなあ〜」
伯珪は走っていた、走りながら混乱していた
「あいつら!あいつら!絶対おかしい!頭がおかしいんだ」
さっきまで戦っていた相手、自国領を侵し部下を殺した憎い敵
そんな奴に、そんな奴に……そんな奴のモノになるだなんて冗談じゃない
戦いは戦い、自分だってそんなこと理解しているはずだった
今でこそ小さな勢力だがいずれ力をつけて他国を攻めて、吸収して
ゆくゆくは天下に覇を……夢見ていないとは言えない。
戦いの中で相手に敗れ、その軍門に降ることもあるだろう
先だっての連合軍での戦でも北郷や曹操なんかは敵の将を捕らえて
部下に加えたと聞いたし、自分がそうなることも想像したことはある。
しかしその相手は……
「嫌だ、嫌だ、嫌だーーっ!袁紹なんかのモノになるのは嫌だ!」
あんなやつじゃない、あんなやつに負けるなんて想像もしなかった
だって……どう考えても自分より劣る相手に負けるなんて思わないだろう?
もし負けるとしたら……それは一番近くに居て一番強くなりそうで
自分より強くて優れている、あるいはそんな強者や優れた為政者が
配下に揃って居るような人物。
そんな相手にだったら、負けても納得がいく。自分の部下や領民を任せられる。
夢を託すことができる……。
自分の全てを、委ねられる……
「北郷……」
「あ゛!」「え?」「うそ!?」
袁紹たち三人は声を揃えて驚く、視線の先は逃げる公孫賛
高い高い城壁の上から足を滑らせて落下する公孫賛……
「こ、これでわたくしの勝ちですわね……お、おーっほっほっほ……」
思いつきで書いた、例の如くハムさんがメインなのに出番が少ないという……
まあきっとこんな感じだったんじゃないかなあ?というイメージでw
結局三馬鹿が暴走してしまいました、今は反省している……一応。
>>27 ハムうっかり死か、テラナムスwwwww
うん、まあなんだ・・・それがある種の真理かもしれん>三馬鹿暴走&ハムメインなのに出番少ない
>>27 GJ!
いままでハムがどうやられたのか想像できなかったが
違和感なくこんな感じだったんじゃないかと思えるw
やっぱりハムは詠とは別な感じの不幸属性なんだな
ちんこの姿を思い浮かべつつ我が身を儚んで身投げ、ではなく、
ちんこを妄想してたら足元見ないでズリ落ちかw
それでこそハム。
以外と受け入れられて一安心しました。正直これは怒られるかと思った
でも過疎だしダメもとで場繋ぎにでも、と投下したんですが。
不安だったのでフォローというか誤魔化しの為に真エンドに繋がった後の話を
書いてみたんで投下しておきます。
もうちょっとだけ続くんじゃよ(お約束)
「――はっ!?、……はあーーーっ、はぁっ、はぁっ」
寝台の上で、汗びっしょりになって目を覚ました少女は搾り出すように
深く息を吐いて、悪夢から逃れたことに安堵する。
視界に写る天井、首を動かし部屋の中を確認して気を取り戻し
「あ〜、夢か……」
ほっと一息ついて、身体に触れる温もりに隣を見る
「北郷……」
安らかそうな寝顔で、寝息を立てている男の顔を眺めていると
昨夜のことを思い出してきて、気恥ずかしさまで甦って赤面する少女
「あっ、俺は昨日……あんなこと、あんなことを、か、一刀と……」
「うああ〜、私はついに、やってしまった……だってしょうがないじゃないかっ
北郷の奴どれだけ手馴れてるんだよ、まったく人が死んでる間に……」
掛け布に包まって悶絶しながら誰に向かってでもなく言い訳をはじめる。
「いやはや、伯珪殿は今宵が初めてでしたか、私はてっきり主のことだ
とっくに致しているものと思っておりましたぞ?」
突然間近で予期もしない声を掛けられて転がりながら寝台から落ちる伯珪
「な?ちょ、趙雲!?なんでここにゃわあああ!?」
「どうしました?私は今日が主を起こす持ち回りの日でしてな
しかし主も主だ、毎度こうして誰かに見つかっては騒ぎになっているのに
未だなんの対策も講じようとなさらないとは……もしや楽しんでおられる?
……ともあれ、私の当番の日でよかったですな伯珪殿?」
一人呟いてから、床で恥ずかしそうに縮こまっている伯珪に楽しそうな
笑みを投げかける。
「ああ、そうだよ、こうなることは予想出来たはずだったのに……
少なくとも事前に考えてあった45通りの計画ではそれも想定してあった筈なのに
あ〜、俺は一刀に誘われて舞い上がっちゃってたのか……」
あらぬ方角を見つめて地面にのの字を量産しながら自分の世界に逃避する伯珪。
「伯珪殿?わたしのことならお気になさいますな、主のコレは今に始まった
話でもない、今では一々突っかかるのは愛紗くらいのものです。
そういえば先ほども酷い剣幕でしたな?どんな悪夢にうなされていたのか
よろしければお聞かせ願えるか?」
何故か浮かれ調子で訪ねられて、思い出そうとする伯珪だったが
「う〜ん……なんだったっけ?、なんか袁紹が笑っていた記憶はあるんだけど」
気持ち悪そうにする伯珪に、星はふと過去の記憶に思い当たる節を見つけて
それ以上聞くのを止め、話題を素早く切り替える。
「おっともうこんな時間、さあ、お早く身支度を整えて戻った方がよいですぞ
なにせ一応日取りを決めてあるとはいえ、律儀に守る者は居りませぬぞ?
それに気の多い主の部屋のこと、誰が来るとも限らないですからな」
彼女なりに気を遣って呉れているのか、いつもよりも丁寧な口調で
しかし楽しくてたまらないといった風に急かされて伯珪は衣服を身に着けると
一刀を名残惜しそうに見つめながらも部屋からそそくさと退散する。
「あれ?……でも、俺が出てった後であいつが北郷を起こすのか?」
何故だか釈然としないモノを感じたが部屋に戻るだけの勇気もなく
仕方なく自室に帰ることにする伯珪だった。
おしまい。
前スレ落ちとハムさん落下を引っ掛けたネタだけで膨らませたお話でしたw
34 :
Gガンさん:2007/04/20(金) 09:38:31 ID:cd7xDlMV0
GJ!
ハムさんへの愛を感じたw
>>34 GJとか感想だけのレスだけの時までコテだと、SS投下の頻度が低い人程
いらんレスばかりしてないでSS書けとかいつか言われることもあるから
あまりSS以外ではコテ付けない方がいいんじゃないかな
36 :
いけいけ僕らの:2007/04/20(金) 21:50:12 ID:77chzxfFO
恋姫無双読んだら、謝謝無双に投稿したのと似てるネタがあったのだが……まさか
>>36 まさか僕姫無双の作者がフライング投稿……ッ!?
ま、ネタかぶりはよくあることさ、同じようなこと皆考えてるものだから
ここでSSが投稿されればされるほど謝謝無双の期待のハードルが上がる?
けっこうSSのクオリティ高いから期待のハードルは上がっている
いけ僕のクオリティは明らかにここより下だと思う。
まあ本スレでも評価悪いからな、いけ僕は
43 :
名無しさん@初回限定:2007/04/23(月) 11:05:50 ID:lsGnkJPd0
SS載せたいんだけどどうすればいいかな?かな?50KBぐらいある
50KBもあるのならスレに投下していけば必ず連投規制に引っ掛かるだろうし
どこか適当なロダにうpするのが最良かと
まあ時間に余裕があるなら、時間を掛けてゆったりとスレに投下するのもありだけどね
平日の昼間は特に人居ないから余計な茶々入れられることもないだろうしね
>>43 50kとはかなりの量だな、お疲れ様です。
レスにするといくつになるんだろう?
最近は過疎気味だし大歓迎だけど、投下作業だけでも大変そうだな〜
43ってageてるし2回言ってるし聞くだけ聞いて無反応だし釣りな気がしてきた
疑心暗鬼の計ですな。
「ねだるな勝ち取れ、さすれば十勝つくちて」って死んだパパンが言ってた
つくちて
璃々 曰く
「お母さん、私大きくなったらお母さんみたいになるの」
紫苑 曰く
「まあこの子ったら」
璃々 曰く
「お母さんみたいにいい女になれば幸せになれるし」
紫苑 曰く
「うふふ、嬉しい事いってくれるわね」
璃々 曰く
「お母さんみたいに弓が使えれば、おばさんっていわれてもすぐ討てるから」
|\
∧_∧| .》
. . ( ゚ Д ゚|)《 ,,, .∵
. ⊂ | O ≡≡≡》》》───(゚Д゚)─>
. . ノ| .《 (. ,,,,ノ ・∴
. | .》 / /
>>50 |/
ここまで反応ないってことは>43釣り決定か
53 :
白:2007/04/26(木) 20:18:16 ID:W8UIXDqt0
妄想伝に送ったSSだけど、今見直したら粗すぎるやら短いやら(;´Д`)
ちょっと手を入れてこっちに投下してみまふ
54 :
1/3:2007/04/26(木) 20:18:57 ID:W8UIXDqt0
退屈だ。
校舎を抜け出し、舗装された道を横目に細い坂道を登って行く。
お世辞にも通行に向いているとは言えない道であるが、抜けた先には小さな池と
それを囲むようにして古めかしいベンチが並んでいた。
最近見つけた、お気に入りの場所。
静かで誰にも邪魔されない。華雄はそこが気に入っていた。
時に出くわす呂布も今のところは見当たらない。華雄はいつものベンチに横になる。
緩やかな木漏れ日と青い空、白い雲。
ゆっくりと目を閉じ、波立った心を落ち着かせようとする。
外史。
貂蝉、そして北郷から聞かされたこの世界の話。
そして関羽に斬られたはずの自分がこうしてここにいる理由。
不満はない。
一度は死んだ身、それどころか己があの関羽や曹操と同じく
この物語の演者として「選ばれた」という事はむしろ誇るべきとさえ思う。
ふと目を開き体を起こす。そうじゃない、と呟く。
今華雄の心にあるのはすでに起きてしまった事ではない。
風が木々の間をすり抜けていく。
どうやらこんな穏やかな世界でも染着いた癖は抜けないらしい。
無意識に、敵を探している。
かつての世界では生き延びる為に必要な……敵を、殺気を捉える感覚。
己の最期が戦場だったことも影響しているのかもしれない。
今はあの時以上に研ぎ澄まされているような奇妙な感覚を覚える。
そしてその感覚が告げる――敵は、いない。
55 :
2/3:2007/04/26(木) 20:19:35 ID:W8UIXDqt0
ただ華雄の胸にあるのは戦の日々。
一瞬のうちに散る命、閃く刃の輝き、雄叫びと、悲鳴。
確かに己がいた世界。
私はそこに、敵を殺し、矢傷に死ぬだけの覚悟を以って身を置いたのではなかったか。
武人としての華雄はただ、己が存在する確かな実感を求めていた。
ふらりと街に出る。賑わうそこは、かつての洛陽を思い起こさせる。
こうした暮しはいつの時代も変わらない。そんな喧騒を横目に華雄はあてもなく街を彷徨った。
赤信号で足止めに合う……こんな些細な事でやり場のない苛立ちが強まる。
ウィンドゥに映る華雄の目は、まるで飢えた狼。
気がつけば雑居ビルの並ぶ寂れた街外れまで来ていた。
敵を求める感覚が足を向けさせたのかもしれない。
ふと目をやると、まるで道を阻むように転がるゴミバケツ。
華雄は苛立ちにまかせてそれを蹴り飛ばす。
空のバケツは軽々と跳ね、派手な音を立てて裏路地に吸い込まれる。
そしてそのまま通り過ぎようとする華雄に後ろから掛かる声。
56 :
3/3:2007/04/26(木) 20:25:16 ID:W8UIXDqt0
敵か。華雄は振り返り瞬時に相手を見定める。男が三人、いずれも丸腰。
男達は制服のままの華雄を見て、家出をした不良少女か何かのように思ったのだろう。
ろくに警戒もせずべらべらと何かを話している。
その様子に、すぐに華雄は相手にもならないと判断する。
所詮丸腰では黄巾くずれの賊程にも恐れるものではない。溜息をつき、背を向け立ち去ろうとする。
すると男達は怒声を響かせながら華雄の進路を阻む。
三人のリーダー格であろう男がまくしたて、唾が華雄の顔に飛ぶ。
何かが、切れる。
華雄が二人を地面に寝かせる頃には、相手の仲間が駆けてきた。
騒ぎを聞きつけたのだろうか? なかにはバットを持っている者もいる。
だが、構う事はない――そのまま三人目を叩き伏せる。四人目は、華雄の左後ろ。
華雄の感覚は敵の動きを正確に捉え、少女とは思えぬ力で打ちのめす。
この時華雄はかすかに、だが確かに己の存在を実感していた。
立っている者が居なくなった頃には、華雄は幾分か落ち着きを取り戻していた。
地面に転がる、十数名。立ち去ろうとする華雄に、再び声が掛かる。
どうやら先程のリーダー格の男らしい。
さぞ黄色の巾が似合うだろうその男からは意外な言葉が発せられた。
「姐御と呼ばせてくだせぇ」
これは、華雄が地域一円を統一するまでの物語の突端である。
57 :
白:2007/04/26(木) 20:27:26 ID:W8UIXDqt0
かゆカッコイイよ格好良いよ華雄、でもきっと統一してもヤラレキャラは
払拭できないんだろうなあ……って原付かよw
華雄格好いいよ、って暴走族になるのかwだがその絵が可愛くてまたよし!
ハムと同じでいつのまにかあっさりやられそうだよなぁ・・・
夜中バイクで走り回っていたら煩いと愛紗に言われて伸されたりとか・・・
ブログ見る限り、WEB公開されてる妄想伝は謝謝に載らなかった分みたいだね
華雄の人ご愁傷様と言うべきか良かったねと言うべきか
華雄の人多すぎ自重
これは相当のSSが闇に葬られたんじゃない?
3作品くらいしか選ばれてなさそ
それに華雄の人のSS、連作で出したら全部お返しに入るわけないから
一つ抜き出すよりは全部HPに載せる方が配慮があるというか
とゆーわけでSS読んできますだ
IDがAYA
というわけでハムと霞はもらっていきますね
ここまで落とされてるって事は、
華雄の人の華雄と製作者の華雄でキャラが違ったのかもわからんね
というかいくらなんでも同じ人のを8作も一気に掲載しなくてもいいのにね
日を空けて徐々に載せていくのが筋だと思うんだが
しかし、なんだかんだでこのスレ、本スレともにかつての賑わいを
少しずつ取り戻してきたような希ガス
謝謝無双効果は伊達じゃないのさ
前スレだったかな、以前にも書いてあったと思うが
妄想伝とかOHP掲載とかって正直このスレへの嫌がらせ対抗行為にしか思えないな
社員がこのスレ見てる可能性は非常に高いし
70 :
名無しさん@初回限定:2007/04/28(土) 01:47:50 ID:3SEIHI7cO
璃々のは流石にどうかと思う
OHP掲載は微妙だけど、そもそも妄想伝はイラストつけてくれるっていう点に
投稿する理由があるんだと思う
普段は沼に伏せている龍達が雷鳴を聞いて天に昇ろうとするわけで
妄想伝がなかったら外史スレなんてのももっと小規模になった希ガス
天に昇る途中で撃墜された龍がこっちに落ちてきてくれればなおよし
わざわざOHPに掲載するんだからその作品は評価されたってことでしょ
Hあるいはそれを予感させる部分がないとか作者が登場するとか連作だとか
ベースソンが(本心はどうあれ)社会的にマズいと判断した璃々に手を(ry
社員が見てる可能性は非常に高いのでちょっと擁護の意見
でも妄想伝の影響でこのスレが一気に過疎ったのは事実だからなぁ
公式ページの妄想伝コーナーはじょじょに更新されていくタイプのもんなのかね?
だとしたらある意味、死神の大鎌だな。
あそこに掲載された瞬間、ディスク収録の可能性は断たれるという…
逆に考えるんだ
全く日の目を見ないよりはいいと考えるんだ
あー…たしかにそれは言えるかも。何の音沙汰もなく闇に葬られるとか、嫌すぎる…w
スレに投下すれば日の目を見るじゃないか
応募総数がどれぐらいなのかは知らんが、選考漏れした作品全てがOHPに公開されるなんて超展開が起こる可能性もあるな
そしたら、ますますこのスレの存在意義が…
そしたら新しい作品が出てくるんじゃない?
気楽に行こうぜ、まだ恋姫は忘却の彼方に飛んだわけじゃない
d姉の活躍が読みたいです
>>77 むしろOHPの作品に触発されて書く人もいるんじゃない?
ここがその披露の場の一端を担うのなら、それは素敵なサムシング!
かくいう自分も、皆の作品見たら本スレで構想だけ書いて挫折した
法正タンネタをまた考えてみたくなったぜよ。
そして
>>71を見て「乱をもって乱を制す」のくだりを思い出した
俺マジ蒼天厨。
しかし、自分の作品が選考に引っ掛かったか、闇に葬られたのか分からんこの状況では
迂闊にSSをスレに投下出来んな
>>80 > むしろOHPの作品に触発されて書く人も
2ch含めこのスレの存在を知らない人なら自サイトなどで公開しようと思う人も居るかもしれないが
SSを投下するための外史スレの存在を知っていながら書かずにいてOHPの妄想伝には触発される
なんて感覚のおかしい人は滅多に居ないだろう。
×感覚のおかしい人
○感覚の鈍ってる人
無双OROCHI"蜀"エンディング 恋姫ver
遠呂智「我が…何故…!?」
朱里「あなたが一人だったからです。確かにあなたの力は強大でした…でも」
愛紗「貴様は他人を信じようとしなかった。それが敗因だ」
鈴々「お兄ちゃんは鈴々達と一緒に苦しみながら、戦ってきたのだ」
星「そして、それが我らに力を与えて下さる」
翠「支え合って生きてる奴らは弱くねえ!」
紫苑「仲間を信じ、そして守る…それが私達のご主人様の力なのです」
遠呂智「人とはどこまでも…(ドシャ)」
一刀「みんな…無事で良かった」
愛紗「ご主人様!」
そして全員ちんこに突撃!→アッー!
…ッショイ!おーっほっほっほ!お祭りワッショイ!お祭りワッショイ!おーっほっ……
要するに過疎が問題なだけなんだけどね
一人でも触発されて来てくれれば全然違うし
うちも書いてはいるんだけどなかなか筆が進まない〜
88 :
名無しさん@初回限定:2007/04/30(月) 02:49:56 ID:1MX5U2l80
84に刺激されて
無双OROCHIに恋姫の世界も巻き込まれたと妄想してみる。
趙(光栄)「ここに囚われてもうどれくらいの月日がたったのだろう、仁は廃れ 劉備殿は死んでしまった」
「だ、誰だお前ら、ギャーー」
バタ、バタ。
左「大徳は死なぬ」
島「わしの名は島津義弘、名はあかせぬがある御仁の指示で参った」
趙(恋)「私の名は・・・ふむ、そうだな星と名乗っておこう。しかしこれまた常山の昇り龍ともあろう者が
このような情けない姿を晒そうとはな」
ザク(縄を切る音)
星彩「劉備様は生きています」
趙(光栄)「それは本当か!?」
島「行方は知れぬがな」
左「しかし、そなたの魂は輝きを取り戻したようだ」
趙(恋)「ふふふ、それでこそもう一人の私だな」
趙(光栄)「えっ、今なんと」
「侵入者だー、侵入者だー」
趙(恋)「今はその前に」
島「追っ手をまかなければな」
趙(恋)「三国一の槍の使い手の力、早速見させてもらおうか」
ヒュッ、パシ(槍を投げ渡す)
>>87 1スレや2スレで投稿してくれてた作者が誰一人来なくなったのも問題かと
>>89 いや、来てくれてはいると思う
何となくだが
91 :
名無しさん@初回限定:2007/04/30(月) 12:14:10 ID:gPcY+srp0
ageちまったぜ……吊ってくる
> 誰一人来なくなった
投稿しに来なくなったってことね
特にコテ職人
いやー正直、投稿したいんだが、書きたい話が全部、妄想伝に送ったSSのアフターストーリー的なもんでな…
どうしたもんか…
>>94 妄想伝のあらすじを書いてみては?……ってこれも難しいか
やっぱり色んな意味で妄想伝が足を引っ張ってるのだね・・・
謝謝早くこないかなぁ
>>96 公式企画が足を引っ張ってる、て何様だよw
さんざん妄想伝は余計だったと言われてるけど。
とりあえず、作ったんで貼ってみる、
「北郷一刀悪いけど、今日の夜ボクたちの部屋に来てくれないかな?」
唐突な、詠の要求に一瞬ポカンとする一刀だが詠はそんな彼には構わずに彼女は、
「こっちの世界に来てから、まだ常識とか決まり事とかでわからい部分があるんだ…」
バツの悪そうな顔をして、少しうつむき加減で理由で言った。
「夜?別に構わないけど、なんでまた夜なんだい?」
「なんでって夜までに聞きたい事をまとめるからよ、元々あんたとなんて喋りたくもないんだから一回でまとめてしたいのよ」
相変わらずだなと大きくため息をつく。
「わかったよ、夜にいけばいいんだね」
「でも、月に変なことした承知しないんだかね」
詠はこっちの世界に来ても月を一番に心配してるようだ。
「一刀、ちょっといい?この本のこの文言なんだけど」
「げ、華琳は六法全書なんて読んでるか、悪い詠、夜にそっちにいくよ」
一刀は一度も読んだことも無い本を突きつけられて四苦八苦してるのを余所に、詠はにやりと笑った。
(・・・まぁ、月には何もできないと思うけどね)
〜夜
一刀は寮の詠達の部屋の前にやっとこれた、3時間以上華琳に法律について質問攻めにあった後、最後は
「何よ、ここの人間だからって全然何も知らないじゃない」の一言で叩き下ろされた。
「詠、入るよ」
「いいよ、入って」
部屋は三段ベット、机が三つ、テレビなどといったここの寮の元々置かれてた家具があるのみだ。
まだ私物などはなく少し生活観に乏しい、こちらの世界について知らなさすぎる部分があるため外出は控えているようだ。
月は寝てるようだ。
「えっと、まず地図の記号についてなんだけど…」
「あー、この記号はー(よかった、まだ分かる内容だ…)」
〜数時間後〜
「ちょっと休憩とろうか」
「そうだね、ボクと違って一刀は集中力にかけるからね」
と言って、席を立った。
「どこに行くの?」
「そんなの聞かないでよ」
と言われて一刀は聞くだけ野暮だったと少し後悔する。
つまりトイレである、詠は部屋をそそくさと出てトイレに向かった。
静寂が部屋を包む。
「なんか暇だな…」
一刀はベットで寝ている月を覗き込んだ。
ベットに比べて、小柄な月はものすごく大きく感じる。
(…キスの一回や二回ぐらいは許されるよな…)
一刀は目を閉じそっと顔を近づける。
スー…スー…
寝息がすぐ近くで聞こえる。
スー…スー……ガシッ!
(え?ガシっ?)
ギリギリギリッ!
「…!…?…!」
突然襲い掛かるこめかみへの痛み。
一刀はたまらず目を開け痛みの正体を確認しようとする。
自分を掴んでいる指の間からそれが、月の頭の後ろから伸びているのが分かる。
(このままだと、死ぬ死ぬ!)
たまらずヤケクソでもがき、やっとのことで振りほどいた。
「…月に何をしようとした?」
月のベットから起き上がったのは、かの董軍の猛将華雄であった。
「あ゛あ゛あ゛」
こめかみを抑えてうずくまる一刀を胸倉を掴み
「落ち着け!」
往復びんた、この一撃で一刀はKOされた。
「ええい、寝たふりをせんで早く私の問い答えんか!」
とうとう攻撃する手が拳になった。
「ん…雄ちゃん…どうしたの…?…キャー!一刀さん!?」
〜数分後
「…起きたら俺の顔が変形していたことよりも、他に聞きたいことがあるんだが」
「顔の件は、明らかに色欲魔が明らかに原因があんだからね」
フーっと詠はジト目で一刀を見る。
「…寝てるところを接吻とは…殺されてしかるべきだ」
華雄は、ジト目ではなかったが隙があったらまた殴ると言った雰囲気を醸し出してる。
証拠に手元にフライパンが置かれてる。
「なんで月の布団の中に華雄がいたんだ?」
それもそうである、華雄も一緒にいることは知ってたが、まさか同じ布団の中にいるなんて聞いてはない。
「何故って、それは幼少の頃より月と一緒に夜を明かしているが…」
「月と華雄は月の腹心であるボクより付き合いが長いからね」
一刀は顔面の殴られた箇所に氷を当てつつ
「ぃぁ…だから…なんで…えっと…もうそんな歳じゃないと思うのですよ…はい…」
(特に華雄が…)
下手な言葉を使うと殺されると本能で察知して、慎重に言葉を選んでで核心を付けそうな意見をだした。
「つまり、もういい歳だから、そのようなことは止めたほうがいい…と?」
「まぁ…あまり聞きませんね…はい…」
かなり慎重(チキンとも言う)に言葉を選ぶ一刀。
う〜むと、少し眉をしかめながら華雄は、
「急に止めろって、言われても…今までやってきたことだしな…何より…」
華雄はひょいと月を持ち上げ膝に乗っけて、
「寂しいじゃないか、なんか…」
あの勇猛で名を馳せた大柄な華雄将軍の膝の上にちょこんと乗っかる小柄な月の姿がけっこうはまって俺もやってみたいと思う一刀をよそに、詠が、
「ちなみに、月と華雄は幼馴染で同い年だよ、つまりボクと華雄は同い年ってことなんだけどね」
一刀はこの言葉を理解するのに一瞬時間がかかったが…
「えーと…華雄って上級生じゃなくて…俺より下級生…?そんなに図体大きいのに?周喩とかと歩いても見た目年齢の違和感無いのに…?…あ、まず…」
これがいけなかった。
「詠…この男との用事は終わったんだな…もう私が借りてもいいんだな…?」
「…一刀、アンタ口は災いの…て言葉を思い出すべきよ」
「一刀さん、あまりに言いすぎだと思います」
華雄は一刀を片手で持ち上げて、
「ちょ…スイマセンスイマセン…もう殴らないで殴らないで…」
「安心しろこの鍋じゃ殴らない、外には色々別のものがあるからなっ!」
〜朝
素っ裸にひん剥かれて、痣だらけで放置されてる一刀を発見された。
とりあえず、勢いで書いてみました。大分、私の妄想入ってますが…
>>105 GJ!女性に年齢関係は禁句だぜ一刀・・・
>誰ひとり来なくなった
正直ネタが尽きたってので2番煎じになりがちな設定から抜け出せなくてなぁ、当分書けそうにないんだわ
華雄、実は子供だった説急浮上。
身体は大人、心は子供ってやつだなw
たしかにそうだとするとあのおつむの軽さもまな板も説明はつくが
……あれ?俺の身体がなんであんなとこに
108 :
Gガンさん:2007/05/01(火) 20:17:19 ID:j5wF7XYj0
>>105 GJ。幼馴染の添寝か。猛将と名高き華雄将軍が月の傍で寝てるトコ思い浮かべると何となくほのぼのするな
…折角なんで華琳拠点イベント使って即興でやってみる。即興なんで雑なのは勘弁して
星「主に会うより先にこの酒を出されていたら、曹操。貴公を主と呼んでいたやもしれん」
一刀「な……!」
華琳「あら、それは残念だったわね」
一刀「星、まさか……」
星「ははは。いくらわたしが酒好きとはいえ、一度仕えた忠義を曲げるほどではござらんよ。ご安心くだされ」
一刀「はぁ……びっくりさせるなよ、もう」
華琳「…ところで、趙子龍。貴方、好きな物は他に何かあるかしら」
星「私の?無論メンマだが」
華琳「そう……趙子龍、私の元にくれば、いつでも最高級のメンマを作ってあげるわよ」
星「承知した(即答)」
一刀「星〜〜〜!!(泣)」
その後、三日三晩星の夜の相手をすると確約して許してもらったのは言うまでもない
つくづく自分が情けない・・・
>>105 GJ!華雄がだんだん好きになってきたぜ・・・
どうも、エロ本の人です。小ネタを投下します。
今回はちょっと特殊なため名前を付けさせていただきます。
なお、終わりには〜了〜を付けますので。
それを手に入れたのは、単なる偶然だったのだろう。
「カメラか……」
友人からもらった少し古いポラロイドカメラ。型が一昔前の物のようで、随分と汚れていたりする。
「とは言っても、俺にはそんな趣味はないんだけどな〜」
及川にでも渡せば、きっと面白い反応が返ってくるだろう。だが、彼はそんな気にもなれない。
「……そういえば」
そこで、彼は一つある事を思いついていた。
一刀がその話を彼女たちに持ちかけたのは、授業も終わり、皆が外で集まっている時だった。
「集合写真?」
ここ、フランチェスカ校内で愛紗が疑問の声を上げた。隣の鈴々と朱里、翠も意味が分からないらしく目を丸くしていたりする。
「ああっ、まだ撮ったことが無いなって思って……」
彼らがこの外史に来てから、まだそんなに日が経っていない。だからこそ、そんな機会がなかったのかもしれない。
「というか、『しゃしん』とは何ですか?」
「あっ……」
この世界の常識をまだよく知らない愛紗達にはまずそこから話さなければいけないらしい。
「えっと……」
どうすれば話せるのか?
構造や仕組み云々を言っても、おそらく、主に翠が理解できないだろう。それ以前に一刀自身もそんなに仕組みについては詳しくなどない。
「ん〜」
だからと言って、いい加減な事を言えば、矛盾点に朱里や星が食いついてくるだろう。少なくても一刀にそれを対処するほどの頭脳は備わってなどいない。
だから、彼はぼやかすことにした。
「思い出を形にする機械かな?」
歯が浮くような、恥ずかしい台詞で。
その後、小1時間ほど一刀が頭を壁に打ちつけた後、彼女らは木を背景に並び始めた。彼女たちの服は、あの外史で着ていたものと同じだ。朱里以外に至っては、武器まで持ち出している。
「……何で、武器を持っていやがりますのですか?皆さん?」
「朱里が『しゃしん』なるものは魂を抜かれる危険性があると……」
「いや、それは江戸時代の逸話だし……」
その話を朱里がどこで聞いたのかは定かではない。
「いざとなったら、あたし達が守ってやるよ、ご主人さま。そして、思い出をつかみ取ろうぜ」
「人の話を聞けよ……」
翠はカメラと合戦でもして、思い出を勝ち取るものだと勘違いしているのだろう。準備体操がわりに槍を振り回して、いつでも準備万端という感じだ。
「言っとくが、写真に危険性はない。だから、安心してくれ」
「本当なのだ?」
「大丈
夫なんですか?ご主人さま」
鈴々、朱里も完璧に勘違いをしている模様だ。
「本当だって!論より証拠!」
とりあえず、このままだと話が進みそうにないため、実践しようとするも、結局その説明に30分ほど掛けたのはまた別の話である。
「お〜い、星。もう少し右に寄ってくれ〜」
「ふむ……わかった」
「紫苑、もう少し寄ってくれ」
「わかりましたわ」
説得に疲れ果てた体を引きずりながら、一刀は彼女たちに指示を送る。まだ、未だに愛紗や鈴々、翠は武器を構えているが、それでも写真を撮るのには影響はないだろう。
「じゃあ撮るぞ!」
そして、準備ができた処で、一刀はシャッターをセットして、急いで自分の配置につく。
「……いくぞ」
「いつでも来いよ!」
「我が主の魂、とれるものなら」
「とってみるのだー!」
そして、未だに朱里に話を信じ意気込んだ瞬間、
カチャ
「「「うわぁぁぁぁぁぁ!」」」
フラッシュに腰を抜かす3人であった。
「お、お兄ちゃ〜ん」
「ご、ご主人さま〜」
「ほら、鈴々、翠。大丈夫だって言ったろ」
未だに腰を抜かしつつ半泣きになって、膝に縋りついている鈴々と翠を宥めつつ、出来上がった写真を急いで取りに行く骨董品とはいえ、撮った写真がすぐに現像されるのは、このカメラの特徴だ。
「おっ、撮れてる撮れてる」
そこにあるのは、間違いなく今とった光景だ。
鈴々と翠、愛紗は腰を抜かして、その傍目で紫苑が慣れているのか、口に手を当てながら笑っていたりする。星は相変わらずの不敵な笑みを浮かべて、朱里はフラッシュの眩しさに目を瞑っている。
「おお〜、これは凄いものですな」
「はわわ……私、目を瞑っちゃってます」
「こ、これはまた面妖なる機械ですね」
「翠は腰を抜かしているのだ」
「なろー!鈴々だって同じじゃねえかよ!」
「あらあら……」
各々の感想に盛り上がる愛紗達。だが、そこにあるのは紛れもなく、あの時から変わらない皆。
「……」
「どうしました?ご主人さま」
「いや、変わってないなと思って……」
この外史に来てからも、彼女たちの居るこの光景は変わっていない。確かに慣れないこともあるが、それでも一緒に居られる光景。
それが、この写真なのかもしれない。
「ご主人さま!もう一回やり直させてくれよ!」
「鈴々もやり直したいのだー!」
後ろでは、相変わらずの声。
そして、一刀はもう一つだけ思いついたことがあった。
「分かった。でもさ、やり直しに少し提案があるんだけど……」
後日。
北郷 一刀の部屋にあるアルバムには二つの写真が入っていた。
一つは、初めて撮った写真。みんなそれぞれがあの頃と変わらない写真。
そして、もう一つは対照的に皆が制服に着替えて並んで撮っている写真であった。
そこにあるのは、ただ、二つ。
このフランチェスカの世界で変わりゆく物、そして、決して変わらぬもの。
〜了〜
『写真』をテーマにした蜀サイドの話でした。
少し、ちんこが違うような気がしますが多めに見てください。
最後に……同じテーマでほかの軍を描くかもしれないからごめんね……orz
>>115 情景が浮かんできてちょっと和んだ、GJ
ただ、制服の中に一人だけ制服じゃない紫苑が居るカワイソスな情景が
なんて揚げ足取りスマソ
>>115 写真ネタか、お約束っぽい展開だがそれもまた良いね
ちょっとしんみりきたぜ、写真ぐらいすぐにあたりまえになったけど
あの時の写真を見ると思い出すんだ……みたいな
まあ待てよ、ここはひとつ皆がどんな話が読みたいか要望を聞こうじゃないか
そういうのダメ?
>>119 キミが職人であるのなら問題ないが
ただの読者なら出た要望を職人に押しつけようとする余計な行為にもなったりする
>>119 俺はやっぱり三国志ならではの話が読みたいな。
いけ僕みたいなエピソード引用の劣化改変物じゃなくて、時代背景重視で。
モヒカンの山賊とか普通に引いた。
(´・ω・)つ旦~コトッ
GWの間、1件も投稿なしか
本スレでも短編や小ネタ貼りがなくなかったからなあ
華琳と麗羽さまの同級だったという話をもとに
中学生ぐらいをイメージして日記形式で書いてみた。
仲悪い理由を考えてたら華琳ばかり悪く見えるようになってしまった
気もするが、麗羽さまは存在そのものが迷惑だから華琳に非はないはずw
麗羽さまの日記
○月▽日、青天
今日はまたお友達が出来ました。
曹操さんと言う方で、天子様に仕える宦官のお孫さんだそうです
なかなか優秀で、容姿もどこか他人とは思えない感じを受けましたわ。
洛陽には沢山のお友達が出来ましたけど
私はどなたも分け隔てなく平等にお付き合いして差し上げますの
袁家から見ればどなたも同じようなものですから当然ですわね
もっとも皆さんの前では多少の示しというものは見せなければなりませんから
宦官のお孫さんと他のお友達とでは同じ扱いは出来ませんのが
辛いところですわね。
華琳の日記
○月▽日、晴れのち曇り
朝からうるっさいわねー、家の前でガンガン石を削ってる音が止まないわ
またお父様の趣味かしら?
仕方ないので出掛ける。
まだ夏には全然早いのだけど日差しが暑かったので
日よけが欲しいわね。
あとは特に何も無し。
麗羽さまの日記
○月☆日 青天
今日も大勢のお友達の皆さんと一緒にお散歩してきました
私のような人気者となると、誰も放してくれなくて参ってしまいますわ
でもこれも高貴な者の責任というものですから仕方ありませんわね
そういえば、途中で曹操さんともお会いしました。
私の周りには、名門の方ばかりでしたから恥ずかしかったのかしら
声をかけたのに気付かない振りをして行ってしまいましたわ
もうちょっと気を遣うべきでしたわね
今度は一人の時に会いにいくことにしましょう。
華琳の日記
○月☆日 晴れ
いきなり叩き起こされて春蘭見なかったか?探してくれって……
昨日は夜遅かったからまだ眠いって言うのにもう、
なんにも用が無いのになんで街まで出てこなきゃなんないのよ
私の時間は金より貴重だって言ってるのに
秋蘭もちゃんと手綱を握っててくれないと困るわ
で、まあ見つかったんだけど怪我人で大変だったわ
なにせ人数が二桁じゃ効かないんだから、少しは手加減して喧嘩なさいよ
本人は無傷でピンピンしてるくせに何の役にも立たないし
後始末させられる方の身にもなって欲しいものね……。
麗羽さまの日記
▽月●日 青天
今日は曹操さんと一緒に鷹狩りに行きましたわ
私は曹操さんに気を遣って一人で会いに行ったのですけれど
曹操さんはお友達の方を連れて来ていました。
それはいいのですけど、荀ケさんや郭嘉さん最近見かけないと思ったら
曹操さんと一緒でしたのね……
獲物を競って狩をすることになったのですけど、気付いたら
誰も居なくなってしまいました。きっと急用でも出来たのでしょう
私そんなこと全然気にしてませんわ。
華琳の日記
▽月●日 大いによく晴れた
天気も良かったし鷹狩りに出掛けようと思ったんだけど
なんかお邪魔虫がくっついてきたわ
田舎者たちにちやほやされてるお猿の大将さんがお一人で
あっちこっちで名前だけは聞くけど私は別に興味ないし
知ってそうな子呼んで相手させようかと思ったけど
聞きしに勝るおばかさんぶりが面白かったから、ちょっとからかってみた
飽きたので一人で狩りに向かわせておいて、皆と帰ってお食事会に変更
丁度新しく習った調理法を披露しようと思ってたのよ
屋外で作るのも悪くないわね、良い機会だったわ。
大好評、大絶賛、まあ私がやってるんだし当然なんだけど
麗羽さまの日記
☆月×日 曇天
ちょっと遠出して北の方へ行って参りました。
小さい頃から乗馬を習いに来たりしていましたので
このあたりにもお友達が多いんですの
都と比べると少し野蛮な感じかと思っていましたけど、皆さん
私によく懐いてくれて大変可愛らしいですわ
あまり難しいことを言われないのもよろしいですわね
別に都が嫌というわけではございませんのですけど
華琳の日記
☆月×日 曇りのち晴れ
最近やたらつきまとって来てウザイ袁紹が今日は居なかった
っていうかホントあっちこっちで絡んでこないで欲しい。
無意味に張り合ってくるわ、馴れ馴れしいわ、そのうえしつこいで
ホント勘弁して欲しいわ
なんであんなののことで頭使わないとなんないのよ
適当にからかって嫌がらせしてあげればどっか行ってくれるでしょ
今日は気分が乗らないんで家で一日中読書
それから従姉妹の家に御呼ばれして晩御飯、っても私が作るんだけど
夜はよく晴れて星が綺麗だったわ。
麗羽さまの日記
☆月◎日 雨天
最近私の履物が無くなっていたり、背中に貼り紙をされることが増えました
それと何故かわかりませんのですけど、お友達の皆さんが
余所余所しくなってきたような気がしますわ、どうしてかしら?
今日も曹操さんのところにお邪魔して来ました。
なんだか見知った顔の方が増えた気もしますけど……
お友達が多いのは良いことですわ。
華琳の日記
☆月◎日 一日雨
今日は一日中雨降ってたわ、こんな日に外出するもんじゃないわね。
帰ってきたら袁紹が来てて二重にウンザリ。
せっかく私の知的水準に合った会話の出来る面子呼んできたのに
あんたがいたら全部台無しじゃない。
だいたいあれから散々嫌がらせしてあげてるのに、気付かないってどうなの?
はあ、これだけ脳味噌がお天気じゃしょうがないわよね。
話題に混ざれないならさっさと帰ればいいのに……
誰もあんたの支離滅裂な法螺話なんて聞きたくないっての
×月▲日 青天
井戸の底って暗いんですの……怖いんですの……
華琳の日記
×月▲日 晴れ
表に新しく井戸が完成したので、使えなくなった古い方の井戸は
蓋をして封印。
良く晴れた休日、家族皆でおじいさまの桃園でお花見に出掛けたわ
絶景とはこのことね、親しい知人友人も呼んであげる
これほどの景色を私達しか見れないなんて可哀相だもの
久しぶりにゆったりとした時間、こういうのも悪くないわね
ま、これからはもっともっと忙しくなってそんなことも言っては
いられなくなるでしょうし、この桃園もいつまであるかわからないもの
今日ぐらいは全部忘れてゆっくりしても問題ないはずよね……
夜遅く帰ってきたら田豊とかいう老人が来ていて、話を聞くと
袁紹の使用人だか教育係だかで、居なくなった袁紹を探してるんだとか
……思い出した。
今日は朝っぱらからうるさいのが来たので
頭に来て一緒に封印したんだった、忘れてたわ。
麗羽さまの日記
×月○日 曇天
最近はお友達の皆さんがあまり会ってくださらないので
遠出したり、曹操さんのところばかりですわ……
曹操さんに褒めて頂くと気持ち良くって、ついつい長居してしまいます。
この間は井戸で不幸なこともありましたけど、アレは事故ですもの
曹操さんを攻めるのは筋違いというものですわよね。
華琳の日記
×月○日 曇り、のち激しい夕立と雷
天気が悪いと運も悪くなる気がしてくるわね
案の定お馬鹿さんが用も無いのに訪ねてきたわ
「そこまで褒めて下さるのは曹操さんだけですわ」
……ってこっちは嫌味しか言ってるつもりないのだけれど
井戸のことをほのめかしたら流石にちょっと顔色悪くなってたわね
まあ、アレはちょっとやりすぎだったかしら?
でもこんだけ付きまとわれてる私からすれば、おあいこでしょう?
もうなんだか疲れてくるわ。疫病神にとりつかれてるみたい。
ヤマ無しオチ無し意味もなし。つづく……のか?
長々と書いたけどまだ麗羽さまが華琳を嫌いになってねえええ
たぶん件の花嫁泥棒事件で恋敵になったのが切欠であとは
可愛さ余って憎さ百倍になったんだと予想。
本当はその辺も書くつもりだったんだけど上手く書けなかったんだよごめん。
つづくとか書いておいてなんだがあまり期待しないでw
>>119の話題なんですが
要望とかは参考にもなるし、リクエスト全てに応えることはできないけれども
過疎ってたら保守替わりにでもそういう話題を書いておいてくれれば
それをもとになんか書いてみようかなとは思っていたりします。
119は聞くだけ聞いて以後放置だから本当に要望出していこうって訳じゃなくてネタで聞いただけな気がするな
そもそも本人が何の要望も出してないし・・・
>>131 乙
無理に反応しろと言うわけではないけど、SSに対して誰もレスしてないっていうのは
スレ見てる人すらも確実に減っているのだと実感させられてしまうね
乙乙
井戸のそこに置き去り
ヒドス
華琳様が相当悪いキャラに(´Д`)
でも麗羽様は決してへこたれないってか気づかないw
花嫁泥棒ってのは何か元ネタあるのかな?横山しか知らないからダメなのか(´・ω・`)
>花嫁泥棒
曹操と袁紹が若い頃にやった悪さの一つらしい、
二人で結婚式やってるところに乗り込んで花嫁をさらって逃げたとか言う話
詳しくはウィキペの袁紹の頁とかGoogleで調べるよろし
でも恋姫だと二人が同じ女の子に惚れて取り合った話として語られてるんだよね
>>131 いやいや、面白いよ。GJ!
特に麗羽さまのある意味大物ぶりが(w
おじいさまの桃園とか微妙に蒼天ネタもツボにきた。
ちなみに、お父様が家の前でガンガン石を削って〜ってのも
元ネタあるのかしら?
やや復活してきて嬉しいぜ
3日:0件、4日:3件、5日:1件、6日:SS+3件、7日:3件、8日21時現在:3件
復活というにはほど遠いと思うよorz
140 :
名無しさん@初回限定:2007/05/08(火) 23:00:14 ID:bvCa55vo0
ま、ゆるゆるやればいいと思うよ
ageてまで言うことではないけどね
>139
そんなどーでもいい統計取ってないでSSの一つも書けばいいのに
>142
そんなどーでもいい指摘で煽ってないでSSの一つも書けばいいのに
とか言われる前にムダに場を荒らすのは控えよう。
>>142の後に
このばかちんこ
とつけて詠ボイスで脳内再生出来るのはオレだけでいい
本スレでも書かれてたけど今月で"今春"終わっちゃうんだよな
一体いつになったら謝謝の発送があるのだろうか……
>>145 多分オレがハガキ出すのを待ってくれているに違いない。
書けたので貼ります
だらだら書いていたら59kになってしまいました。
あれから1ヶ月の時が流れた。
俺は今、俺の作り上げた新しい外史の中で異なる外史から来た28人の女の子たちと学園生活を送っている。
思えばこの1ヶ月は大変極まりない1月だった。
現代機械とか法律とかこの世界の常識を簡潔に彼女らに教えたが、
やはり何事も口で教えても慣れないといけない。
愛紗は電化製品使い方がいまいち分かっていなかったのだろう。
自慢の炒飯を作る際に火加減などいろいろ間違え、
あの世界で俺に初めて作ってくれたあの炒飯よりも
凄い炒飯を持ってきてくれたり(もちろん完食したが)、
鈴々と翠なんかは勝手に公園で真剣をつかっての打ち合いを始めちゃって、
巡回していた警察官に見つかり、銃刀法違反で厳重注意されていたり。
でも皆今となってはこの世界に見事に順応してくれた。
こういうことが無いことはいいことだけど、
教える方として教えることが無くなったというのはちょっぴり寂しい気もした。
愛紗達の入学・住居手配等に関しては、貂蝉が取り仕切ってくれた。
その点で感謝したいものだが、住居に関して、皆は女子寮、俺はあのプレハブみたいな男子寮に隔離されて住んでいる。
ちなみに俺の隣人はあの及川だ。
貂蝉はそればっかりはどうしようもなかったと言っていたが実際はどうなのだろう?
そんなことを考えてながら朝食を食べていると、
「一刀様、まだ寝ていらっしゃるのですか?」
と玄関のドアのノック音と共に凛とした声が聞こえた。
考え事してたらもうそんな時間になってしまったのか。
「ちょっと待ってくれ、もう1分ぐらいで行くから」
「まったく、1分じゃ遅すぎるでしょ。あと10秒で出て来なさい」
「愛紗、華琳、もうちょっとゆっくりさせてもいいんじゃないか・・」
「蓮華、この男は甘やかしたらつけあがるからこれぐらいが一番いいのよ」
・・今日は愛紗と華琳と蓮華が来てくれているらしい。
そうそう、言い忘れていた。
愛紗達が一緒に通学してくれるのはうれしいことだが
28人+俺っていう大所帯で行く訳にはいかず、毎日本郷軍、魏、呉の各1人ずつ当番制で俺と通学することになった。
2分後
「はいよ、お待たせ」
「遅い!10秒で出て来いって言ったでしょう?あなたは昔から呑気なのだから少しは性格を直しなさい」
「華琳のように10秒とまでは言いませんが、確かに一刀様は呑気が過ぎます。もうあと20分で鐘(チャイム)が鳴りますよ?」
「まぁ、いいじゃないか。急げば間に合うのだし。この性格でこそ一刀なのだから」
「あら、呉の守成の名君と呼ばれた孫仲謀が朝っぱらからお惚気かしら?」
「そ、そう言う訳ではない。恥ずかしいことを言うな!」
「ごほん、2人ともそれくらいにしてさっさと行くぞ。さ、一刀様も行きましょう」
こうして、俺の多忙な1日は始まる。
通学路では少し急ぎながらも、昨日魏の皆で札遊び(トランプ)をしていたところ春蘭が負けまくった上に桂花にからかわれたため暴れそうになったとか、
恋が行方不明になったかと思えば、人気の無い所であらゆる動物に囲まれて寝ていたとか、
皆の近況を踏まえた世間話をしながら登校することが出来た。
そんな他愛も無い話をしていると
「一刀、おはよ〜」
と、声が聞こえると同時に背中に何かが飛びついてきた。
「小蓮、お前が一刀と登校していいのは明後日のはずだろう。なぜこんなところにいるのだ」
「だってシャオは将来一刀のお嫁さんになるんだも〜ん。妻が夫と一時も離れたくないと思うのって普通だと思うんだけどな〜。あと、お姉ちゃんが一刀に何かしてないか監視しなくちゃいけないもの」
「まったく、別になにもしないというのに・・」
「はは、まぁもうすぐ学校だし、中等部も高等部のお隣だし。小蓮もこの際だから一緒に行こうか。」
「一刀!そんな規則を破ることなど」
「さすが一刀ね。お姉ちゃんなんかよりシャオの気持ちが分かってるわ」
「小蓮!!」
そうこうと蓮華と小蓮が言い争っていると、見るに見かねたのか華琳と愛紗が
「いいじゃないかしら、蓮華。あなたは姉なのだから、妹の行動にも寛容でありなさい」
「私も一刀様がよいとおっしゃるなら、今回は特別に認めても良いでしょう。ただし、規則は規則ゆえ、今回だけ、ですよ?」
と、言い放ったお陰か、蓮華もしぶしぶ了承してくれた。
「では、私たちは自分の教室に向かいますゆえ、失礼いたします」
小蓮と出会って10分ぐらいだろうか。俺たちは校舎に到着し、各々の教室に向かうことになった。
「おや、一刀殿。愛紗と一緒だったとはいえ、今日も授業にギリギリでしたな。」
「ま〜一刀様は向こうにいたときからよく寝坊してたからな。しょうがないっしょ」
「そういえばそやったな。まぁ間に合ったから良かったやん。もうあと3分で遅刻やったとこやで」
俺が自分の教室のドアを開き教室に入るや否や、3人の女の子達が駆け寄ってきた。
星と翠と霞である。この3人は俺と同じクラスになった子たちだ。
クラス分けされたとき、霞なんかは「愛紗と同じ教室がええ〜」と最初の頃はさんざん駄々をこねていたが、
休み時間になると会いにいけるし、体育などでは愛紗のクラスと合同で行っていることから妥協したらしい。
「うん、なんとか間に合ってよかったよ。で、今日の時間割は・・うわ〜強烈だな」
「世界史、数学、英語、漢文、化学、体育、ですな。確かに主要五教科が入っているとなると、気を引き締めていかねばなりませぬ。」
「うわ〜数学と英語が連続してあるのかぁ。やばいなぁ、あたし今日3限目ですでに死んでるかも」
「いや、俺が強烈と言ってるのはそこじゃなくて・・・」
「ま、なにはともあれ体育入ってるからええやん〜今日は愛紗と柔道でもしたいな〜」
こういった会話が弾んできた頃だろうか、チャイムが鳴り、先生が入ってきて1時間目の世界史が始まった。
1限の世界史、2限の数学が終わり、3限の英語が終わった時点で、翠は宣言どおりに燃え尽きており、
一方で霞は6限目の体育の時間が近づくにつれてテンションを上げていたが、俺としてはここからが大変なのだ。
キーンコーンカーンコーンと3限目と4限目間の休憩を終わらせるチャイムが鳴り、漢文の先生が入ってくる。
「はーい、皆静かにしましょうね。」
母性に富んだやわらかい声が教室を包む。
この先生こそ最近赴任してきた先生の1人であり、数少ない聖フランチェスカ男子生徒の憧れの的となっている人である。
「じゃあ早速授業の方を始めますね。27頁を開いてください。ここの問1を星ちゃん、問2を・・お疲れの翠ちゃんにやってもらおうかしら?」
「承知した」
「紫苑〜お願いだからカンベンしてくれよ〜」
「紫苑先生、でしょ。翠ちゃん、授業中は寝てないでちゃんとしなさい。さ、問い2の方をお願いね」
「だってこれ、漢詩じゃんか〜。韻とか絶句とか意味わかんないよ」
「詩を解さないとは無粋だぞ、翠よ。なんならこの私が問2もやってやろうか?」
「う〜、わかったよ。やってやろうじゃないかよ」
「うふっ、いい子ね。」
そういうと、星としぶしぶ問題を解くことを了承した翠は黒板に向かい、思い思いの解答を書いていく。
「じゃあ、2人が解答を書いてくれている間に次の長文の和訳を読んでくれる人を指名しておこうかしら。一刀君、お願いできるかしら」
「えっと、この文章はちょっと・・・」
「お・ね・が・い・できるかしら?」
「・・・わかりました」
このやりとりの間に、星と翠は解答を書き終えていた。解答の結果は星が正解、翠が不正解だった。
翠なんかはいかにも「くぅ〜」と言い出しそうな顔をしていたが、
紫苑が俺に出した長文和訳の問題のお陰で、今の俺には翠をなぐさめるほど余裕はなかった。
文章自体、和訳しにくい性質のものだったし、なにより、文章中に「共に床」とか「陰門」ってあるのだが。
確か蒼天○路では女の人のあそこのことを「陰門」って書いてあったし・・この部分はどう訳したらいいものですか?紫苑さん?
「それじゃあ、一刀君、次の文章を訳してもらえるかしら?」
「え〜と、『帝は戦場での(中略)ご帰還なされたあと、後宮の后の処に行き・・え〜・・共に床について、后の陰門で抜くことなどを行い、一夜を過ごした・・?』」
「ふふ、最後の部分が曖昧ですよ?陰門って何かしら?」
「・・降参です」
「うふふ、しょうがないわね。ここは『后の処へいくための陰門を通り抜け、共に床について一夜を過ごした』でいいのよ。つまり、陰門っていうのは名称で、ただの門だったということね」
あぁ、俺の考え過ぎだったのか。てっきり「陰門」があれのことだと思った。
どれにしても、暗にとはいえそう訳した俺って。ずいぶんとこれは恥ずかしいぞ。
「ずいぶんと大胆に訳してくれましたね。ふふ、ご苦労様、一刀君」
こういった出来事もあったが、4限目の紫苑による漢文はなんとか終了した。
「では、授業を始めます。教科書43頁を開いて。今日は火の熱量について授業します。」
この先生は冷たく言い放ったこの教師は最近赴任してきた教師の1人であり、美人だが氷のような冷たい印象を受ける人である。
この教師こそかつての呉の軍師、周瑜公謹である。
彼女は、というか彼女にかかわらず朱里、華琳、穏、詠などはこちらの学問にいたく感心し、勉強している。
ただ、周瑜と彼女らと違うところは周瑜がすでに教職員になれる年齢だった、ということで勉強がてら教師をしている。
ちなみに紫苑はほとんど無勉強で漢文の職員になれたらしい。考えてみれば漢文って彼女たちの母国語だし。
で、周瑜の話に戻るが、正直俺は彼女が少し苦手だ。というのは周瑜が俺を目の敵の如くあたってくるから。
その理由は簡単だ。俺が周瑜に認められていないからだ。
この世界に来て周瑜と蓮華の確執は解消されただけでなく、逆に周瑜はいろいろと蓮華の世話をすることとなった。
ただその「世話をする」程度で済めばよかったのだが、周瑜は蓮華の恋愛事情までおせっかいを焼いてしまうこととなった。
蓮華に告白する男子の中で周瑜が認めない奴は----蓮華が振った男子だとしても----全て彼女の陰謀術数によって酷い目にあわされているらしい。
証拠が掴めないからさらに性質が悪い。
俺も周瑜から認められていない男の1人だが、俺は例外であった。
蓮華が周瑜を止めてけれているからだ。それは俺にとって有難いことであるが、周瑜にとって面白くないことだろう。
その証拠に廊下とかすれ違った時とかすげー怖い形相で睨んできたり、
・・ほら、授業中で俺の方をみたらやっぱり親の仇を見ているような顔をする。
教師と生徒という立場上あからさまな嫌がらせを受けないがこれはこれで怖いんですよ、周瑜さん。
ちなみに周瑜が認める男子というのは周瑜より賢いことが最低条件らしい。
・・・赤壁の英雄相手に無理だろ。常識的に考えて。
そういったことを考え、時々周瑜から「ちゃんと授業を聞きなさい」と辛辣な叱りを受けながら、
なんとか周喩からのプレッシャーから解放してくれるチャイムが鳴った。
・・なんで化学の授業時間はこんな長く感じられるのだろう?と思わずにはいられない5限目だった。
ある意味一番楽しみな、ある意味一番逃げたい時間がやってきた。
その教科は体育。
俺は体育という授業自体は数ある教科の中で一番好きな授業だった。しかし----
「か〜ずと〜さま〜」
・・・この化け物のせいだ。
言ったかもしれないが、聖フランチェスカは男子がクラスに1人いるかいないかという人数である。
にもかかわらず体育は男女別、しかも男子の教師はこいつときた日には首を吊りたくなる。
「あら〜今日、早川君はお休み?もうしょうがないわね」
「そうやで、今日はかずピーと俺しかおれへん」
「あら、じゃあ私と一刀様と及川君の3人になってしまうわね。今はなにしようかしら」
「じゃあ卓球でええんちゃう?かずピーもそれでかまへんやろ?」
「・・ああ」
「それじゃ、早速体育館にいきましょ」
こうして、俺と及川と筋肉お化けは3人で体育館で卓球をすることとなった。
・・及川お化けのせいで卓球する光景は燦燦たるものだった。なぜなら----
「行くぜ、スペシャルローリングサーブ!!」
「ふふ、こんなもの傾国之美女リターンでお返しよ!」
及川と貂蝉がこんな終始こんなテンションなので正直ついていけないし、なにより周りの視線が痛い。
誰か助けてくれ・・そう切に願う6限目だった。
放課後、俺は部室に向かった。目的はもちろん部活をするため。
剣道部には愛紗、鈴々。マネージャーとして朱里が入ってくれた。
他の皆が何の部活をしているのかは、また別の機会に話すとしよう。
男子部員が少ないゆえ、無駄に広々とした部室の中で、今日の打ち合い予定表一覧が貼ってあったので見てみる。
そこには「第1試合 本郷一刀対張鈴々」という試合が組まれていた。
・・・明日は筋肉痛とお付き合いかな。そう思いながら準備を終え、道場の方へ向かうと威勢のいい声がする。
「てやぁ〜、たぁ〜」
あぁ、この子供じみた掛け声を発するのは鈴々だ。
そんな掛け声とは異なり、見た感じ竹刀のキレは鋭かったし、重さも十分ありそうだ。
「ふぅ、準備運動はこれでだいたい終わりなのだ。」
「よう鈴々、精が出るな」
「あ、お兄ちゃん。今日は愛紗と一緒じゃなかったの?」
「あぁ、愛紗は風紀委員会でちょっと遅れるらしいぞ。」
「ふーん。そうそう、今日鈴々とお兄ちゃんとで打ち合いだね。鈴々負けないのだ」
「はは、くれぐれもお手柔らかにな。くれぐれも。じゃないと、また愛紗が・・」
「う〜ん、お気の毒だけど練習に手加減したら意味が無いのだ。だから全力で戦うのだ」
「はは・・」
こりゃあ本格的に覚悟を決めないといけないな。
そうこうしているうちに、主将や愛紗が来て全体練習が始まり、打ち合いが始まった。
俺と鈴々の試合は一瞬で着いた。
鈴々が始めの合図と共に仕掛けてきて見事に不意を突かれた俺は胴を一突きされてしまっていた。
あ〜あ、これで・・
そう思いながら恐る恐る愛紗の方を見ると、やっぱりすごい睨んでる。
試合を終え、場外に出ると、
「いかに相手が鈴々といえど、一瞬で胴を取られるなど言語道断。やはり今日も部活の後特訓をすることとしましょう」
と俺に愛紗が冷たく言い放つ。
「・・やっぱり?」
「当然です。しかも今日は試合内容がひどすぎます。その分厳しく致しますからお覚悟をなさってください」
そう、俺が打ち合いでだらしない試合をしたら部活後に特別特訓をすることとなってしまっているのだ。それも愛紗直々の指導で。
はぁ、欝だ。
----結局、部活終了後に俺は結局愛紗と打ち合いを丸々1時間みっちりとやらされたとさ。
「まったく、一刀様はだらしがなさすぎます。もしそんな腕でゴロツキにでも絡まれてしまったらどうなさるおつもりですか」
「まあまあ愛紗さん。一刀様もがんばっていらしたし・・ね」
「でもまだまだお兄ちゃんは弱っちいのだ。今日の試合も一瞬だったのだ。」
俺は剣道部のメンバー、愛紗、鈴々、朱里と帰路についている。
下校は部活の都合とかあるため、誰が俺と一緒に帰るとか特に決めていない。
ゆえに同じ部活の子達と帰ることが多い。
「まぁ確かに鈴々が即断即決で来るって予測できなかったのは俺のミスだな」
「そうです。一刀様も鈴々の猪突猛進の性格をよくご存知のはず。あの敗北はそれを分析しきれなかった一刀様の落ち度です」
「にゃ、2人とも今鈴々のことすごく馬鹿みたいに言ってない?」
「い、いや別に」
「いいも〜ん、どうせ鈴々は馬鹿なんだも〜ん」
「はわわ、鈴々ちゃんがいじけてしまいました」
「う〜ん、どうしよ愛紗?」
「大丈夫です。鈴々、駄菓子屋に寄って行くか?」
そう愛紗がいうと、急に鈴々の顔がぱっと明るくなる。
「行く!絶対行く!」
扱いやすい奴だ。
愛紗と朱里もたぶんそう思いながら俺たちは駄菓子屋に行った。
駄菓子屋では10円ガムやらプチヨーグルトやら懐かしいものが売っていた。
これには鈴々だけでなく俺も心が弾んだ。
ここまで来ると、なにか買いたくなってくるのが心情というものだろう。
「おばちゃん、俺はこの練りアメとうまい棒ください」
「あいよ、30円」
「愛紗と朱里もなんか買うか?」
「私は遠慮しておきます。甘いものは少々苦手なもので」
「え〜と、私はこの桃味の飴を頂きたいのですが・・・」
「うん、じゃあおばちゃん、この飴も一緒にお願い」
「はわわ、それぐらい自分で払いますよぅ」
「いいよ、こっちの方が楽だろ。鈴々の分も一緒に払うつもりだったし」
「・・いいのでしょうか?」
「気にするなって。」
顔を紅くし、うつむきながら「・・お願いします」とつぶやく朱里。
飴1つで喜んでくれるなんて僭越至極だ。うんうん。
「で、鈴々は選び終わったか?」
「うん、こんだけ」
そういって俺に差し出した駄菓子の量は・・・かご一杯分。
「鈴々、まず問いたいのだが。こんなに食えるのか?」
「1人で食べるわけじゃないのだ。星とか翠とか紫苑にも分けてあげるのだ。じゃ、お兄ちゃん、お会計お願いしますなのだ」
ゆうに2000円は超えそうだ。
でも鈴々は居残り訓練のときも俺を待っててくれただけでなくいろいろとアドバイスをくれたりしてくれし、
なにより鈴々が皆のことを思ってくれたことは評価できる。
だからここは涙をのむこととしよう。
「・・おばちゃん、このお菓子もお願い」
駄菓子屋で2000円以上の出費を重ね、俺は帰途に着いた。
はぁ、今日もなんだか疲れたな。
駄菓子屋に言った後、俺たちは今日の近況報告などしばらく話をして、各々の寮へ帰ることとなった。
男子寮の部屋に帰ってしまえば基本的にだれもいない、俺だけの時間になる。
こんなとき、俺は向こうの外史にいたときのことを考える。
今この世界にいると向こうの世界の時間が幻の時間だったように思われる。
でも、そのなかでたくさん人と出会い、たくさん戦をし、たくさんのことを学んだ。
それはまぎれもなく俺が経験した出来事であるし、なにより------
「皆がこの世界に来てくれて、本当によかった」
皆がいてくれたから、俺は向こうで生きることができた。
それ以上に、皆は俺に愛すること、愛されることを教えてくれた。
その皆がもしこの世界にいなかったら・・あの世界の出来事もだんだんと儚く色あせていっただろう。
愛するべき人たち。その人達の存在が今でもあの世界のことを形づけてくれている。
この世界では俺が皆の支えとなろう。
あの世界で皆が俺を支えてくれたように。
----それがこの世界で俺ができる『恩返し』なのだから。
完
159 :
羊 叔子:2007/05/09(水) 20:48:15 ID:8ukfea6y0
思った以上に見にくい文章になってしまいました・・
しかもやたら長い。
そこらへんを気にせず読んでくれたら幸いかと。
超乙
>>159 おお良いなあ
導入編みたいな感じだし
いっそこのまま続けちゃっても良いんじゃね?
乙。
ちょっと地の文が説明的すぎるかもしれんが楽しめたよ。
おおこれは、学園生活がかなり丁寧に描かれてて素晴らしい
めーりん怖いよたすけてめーりん
>>137 お父様の趣味うんぬんは単なる思いつきで元ネタとかはなくって
石削ってガンガンうるさいっていうのも
リアルで近所で工事しててうるさかったのでついネタにしただけだったりw
>>159 乙ー
だがちんこならこんな冥琳も……凡人には想像もつかない手段で毒牙にかけてしまうであろう
二日後の担当
本:張飛
魏:許緒
呉:孫尚香
ちんこ「収集つかねえorz
>>165 ちょw
それは本気で収集が……
いや、待て!
小蓮が鈴々と季衣を言葉巧みに焚きつけて、喧嘩始めたところで漁夫の利を取るんだな!!
冥琳
桂華
華雄
空気がすごい悪いと思う
めーりん(あ〜もうすっごい酷い目に合わせてやりたいなあ……ゾクゾク)
けーふぁ(華琳さまの命令だから来てるんだから、決してこんな男を
スキになんてなるわけないんだから、しっかりするのよ桂花!)
かゆ(うーん、なんか声をかけたいけどこいつらの前じゃ
何を言っても馬鹿にされてしまいそうだ。ええ〜い自分がこれほど
臆病だったとは恥ずかしくて逃げ出したいぞっ)
一刀「……たのむから三人とも黙ってこっち睨まないでくれ」
>>163 思いつきかい(w
てっきり曹操父に彫刻の趣味があったのかとか
正史を調べてしまったジャマイカン。
謝罪と賠償を(ry
>>169 あれ、まだ書き込んでないはずなのにおかしいな。俺がいる。
さあまたソース至上主義のハン板へ帰るぞ俺。
蓮華「めーりん! めーりん!」
小蓮「たすけてめーりん!」
冥琳「孫呉ナースただいま参上♪」
……投稿SSでこのネタ使った人どんぐらいいるかな
172 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:14:19 ID:L3M5pU4U0
比較的過疎なので仕上がったSS投下したいと思います。
また長文ですがよろしくお願いします。
どうやらどの世界でも性根の腐った奴はいるものだな。
弱気を助け、悪者を挫くのが強き者の使命だというものを、
奴は逆に弱者に対して何か金子でも恐喝しているようだ。
都合がいいことにここは路地裏。
変身中に誰かに見つけられることはまず無いだろう。
それでは今日も行くとするか。
この世の弱きを守るため、
正義の使者として華々しく舞う美々しき蝶
華蝶仮面となって----
173 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:15:19 ID:L3M5pU4U0
「一刀様、大変です!!」
そう大声で呼ぶ愛紗の声はただ事ではないことを予感させた。
「一体何がおこったんだ?」
「先程、近くの路地裏で我が校の生徒が隣の男子校の生徒に」
「恐喝でもされたのか?あの学校ガラ悪いからな〜」
「言いたいことはそこではありません!確かに恐喝はあるまじき行為ですが」
「じゃあ何?」
「簡単に申し上げると、この世界でもあやつが現れました」
「・・誰?」
「華蝶仮面です」
「何だって?」
そういえば星は部活にも入らなかったし、
授業が終わるとそそくさとどこかに行ってしまう。
何やってるのかと思えば、こっちでも華蝶仮面をやっていたのか。
「まぁ別に放っておけば良いんじゃないか?俺たちはもう施政者じゃないんだし」
「それはそうですが、あちらでもそうだったようにこちらの秩序を乱されてはいても経ってもいられません。しかも、聞くところによれば奴は我が校の生徒だという噂も立っております。私が所属している風紀委員の委員長も奴の存在に遺憾の意を表しておりました。それに」
「それに?」
「奴とは、1度決着を着けておかなければいけないと思っていたところです。早速現場に行きましょう」
風紀委員の使命+武将としての血が愛紗を駆り立てているようだ。
こうなった愛紗は止められない。
結局俺は愛紗に引きずられ華蝶仮面捜索を手伝わされることとなった。
174 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:16:11 ID:L3M5pU4U0
「一刀様、あれを」
現場に着くとそこに隣校の制服を着た茶髪のニイちゃんがのびていた。
たぶんこいつが俺の高校の子を恐喝していた奴だろう。
とりあえず、こいつを起こさなければ情報も入らない。
水をぶっかけて起こすとするか。
175 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:24:10 ID:L3M5pU4U0
「もしもし、大丈夫か〜」
俺はニイちゃんに水をぶっかけて、むりやり意識を起こさせた。
「う〜ん、一体何が起こったんだ?」
「それはこちらが聞きたいことだな。こちらに変な仮面をかぶった奴を見なかったか」
「変な仮面・・ひぃぃ」
記憶がフラッシュバックしたんだろう。
みるみるうちにニイちゃんは怯え丸くなっていく。
果ては「もうしません、もうしませんから」とまでつぶやいている。
176 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:24:57 ID:L3M5pU4U0
「状況を詳しく話してくれるか?」
一応落ち着いたニイちゃんに問いかけてみる。
「い、今起こったことをありのままに話すぜ。俺は確かにお前の学校の奴を脅していた。
そしたらいきなり仮面をかぶった女が生意気にも口を出してきた。
だから俺様は力の差を思い知らせて黙らせてやろうと思ったら
逆にボコボコにやられてしまった。信じられない強さだったぜ。
空手とか剣道とかちゃっちじゃものじゃねえ、恐ろしいモノの片鱗を味わったぜ・・・」
「で、そいつはどこ行ったかわかるかい?」
「たしかあっちだと思うが。忠告する。奴に挑むのはやめておいたほうがいいぜ」
「あ、ありがとう。」
とりあえず、華蝶仮面の行った方角はわかった。
177 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:25:56 ID:L3M5pU4U0
「いませんね、一体どこに行ったのでしょうか?」
捜索を続けて1時間。未だ華蝶仮面には会えないでいた。
周辺の表街を細かく捜索し、人にも尋ねてみたが、
華蝶仮面を見つけるどころか見かけた人もいないようだ。
・・切羽詰ってしまった。
「う〜ん、もし愛紗が華蝶仮面をやっているとしたら今頃どこにいると思う?」
「私はそんなことしません!しかし、そういう輩は得てして隠れるもの。ですから、あ!」
「そうか!」
そうだ、なんで気づかなかったんだろう。
ヒーローってのは退場した後は身を隠すものだ。
としたら、裏道にいる可能性が高い。
よくよく考えたらいくら星とはいえ仮面をつけたまま不必要に人前に出ないもんな。
表街を捜してもみつからないわけだ。
「愛紗、裏道をしらみつぶしに探そう」
「ええ、行きましょう」
178 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:34:09 ID:L3M5pU4U0
「ほう、この私を見つけるとはなかなかなものだ」
とうとう俺たちは華蝶仮面を見つけた。
そんな俺たちに華蝶仮面が感心したようにそう言った。
「そんなことはどうでもよい。
なぜお前までこの世界にいるのか問いたいものだな」
「ふ、いるのだからいるのであろう。それ以上も以下も無い。
それより、貴公らがなにゆえ私を探しているのかが腑に落ちないがな」
「お前が動くことによって我が風紀委員会は迷惑している。それに加えてあちらでは私は貴様に苦渋を舐めさせられた。あの落とし前をつけようと思ってな。その仮面、今日という今日こそ剥ぎ取らせてもらうぞ!!」
「取れるものなら、取ってみな!」
と、両者はそう言い合うと早々に勝負を始めてしまった。
179 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:34:57 ID:L3M5pU4U0
彼女たちの打ち合いは凄惨極まるものだった。
愛紗の重い一撃を華蝶仮面が華麗にかわし、華蝶仮面の鋭い突きを愛紗が受け止める。
一閃、鍔迫り合いが起きたと思えば、次の瞬間では互いに素早く後ろに飛んで間合いを取る。
打ち出される木刀の速さはおろか、彼女たちのフットワーク、技術、体力はやはり常識を超えている
真剣じゃないにせよ、ものすごい迫力だ。
金取れるぞ。この試合。
と、そんなことを思っていると
「あっ・・」
華蝶仮面の足元にある拳大の石が華蝶仮面を躓かせた。
同時に
「覚悟〜!!」
と、愛紗が猛々しく木刀を振り下げる。
----その時、俺は何を考えていたんだろうな。
自分でも分からない。
俺は愛紗と華蝶仮面の間に割って入っていた。
ごん、と頭に鈍い音がする。
・・ああ、目の前にお花畑が見えるぞ。
逝ってしまう前にこれだけは言っておかなければ。
「華・・面、逃げ・・・」
ばたっ。
180 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:35:41 ID:L3M5pU4U0
「一刀様、大丈夫ですか?」
「まったく、一刀殿も無茶なさる」
ぼんやりと意識が起きた俺にだれかが心配そうに問いかける。
ええと、ここはお花畑。
じゃなくていつのまにか俺の部屋になっていた。
「う〜ん、愛紗と・・・星か?」
「はい、大丈夫ですか?」
「ああ、愛紗たちが運んでくれたのか?」
「はい。道中星に会いましたゆえ二人で交互におぶりながらお運びしました」
むう、女の子におぶされる俺、ちょっと恥ずかしいぞ。
「それにしても一刀様」
「なにかな?」
「なぜあの時華蝶仮面を庇われたのか、ご説明いただきたい。もう一歩というところで、奴を討ち取れたというものでしたのに」
「あ〜、あれね。え〜と、向こうにいた時もそうだったけど華蝶仮面も一応悪い奴じゃなさそうだし、そもそも、ああいう不慮の事故なんかで決着を着けたいとは、愛紗自身も思ってないだろ?あたた・・頭が」
「それは・・そうですね。まだ痛みますか?お薬を買ってきますゆえ少々お待ちください。星、一刀様の看病を頼む」
「承知した」
そう言うと、愛紗は近くの薬局まで薬を買いに行った。
181 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:46:00 ID:L3M5pU4U0
愛紗が薬を買ってきてくれる間、しばらく俺と星の間に沈黙の空気が流れていた。
そんな空気の下、ふと星が口を開いた。
「一刀殿、申し訳ない。私の不覚ゆえにこんなことになってしまって」
「いや、いいんだよ。星が無事なら」
「一刀殿・・・ありがとうございます。ところで一つ問うてもよろしいか?」
「ん?」
「私を庇われた本当の理由をお聞かせ願いたい」
そう問いかける星の顔は真剣そのものだった。
「あぁ、愛紗にはああ言ったけど本当は自分でもなんであんなことしたのかはっきりとわからないんだ。それこそさっき愛紗に言ったようなことが理由になっていたかもしれない。でも、今思えばもう一つ無意識に考えた事があるように思うんだ」
「ほう、それは?」
「華蝶仮面ってのは星が向こうの世界からやってきたことなんだろ。だから華蝶仮面はこの世界ではない、向こうの世界としての星自身だと思うんだ。ゆえに星から華蝶仮面という一面がなくなってしまったら、向こうにいたときの星がいなくなっていくような気がしてね」
「一刀殿・・」
「もちろん、華蝶仮面がなくなっても星は星だっただろうし、なにも変わらないだろう。でも、なぜか俺はそう思ってしまって。おかしいよな」
自嘲した俺に、今度は優しい笑みを返してくれた。
「・・いいえ、一刀殿のお心、重々嬉しゅうございます。一刀殿にはまたしても借りができてしまいましたな」
「またしても?ああ、星が向こうで華蝶仮面やってて、俺が人質になったときに貸したんだっけ。あのときの返しは・・」
「左様、だからあの時と同様に・・」
「わわっ星!?」
意地悪に笑う星は俺と唇を重ねようとする
その時、
「遅くなって申し訳ございません。お薬を買ってまいりました」
と、愛紗の声が聞こえると同時にノックを数回し、彼女は入って来た。
ぎりぎりで俺たちは顔を離した。
「お、おかえり愛紗。早かったね」
「一刀様のお怪我ですから、全速力で行って参りました。ところで星よ、一刀様の容態に何か変わりは無かったか?」
「ああ、変わりは無かったぞ。逆にいつもどおりの一刀殿になされたようだ。ふふ」
「・・なにか含みのある言い方だな。まぁいい、一刀様、お薬です」
「う、うん。ありがとう」
この後、愛紗と星は暗くなるまで看病してくれた。
182 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:47:23 ID:L3M5pU4U0
「では、今日は十分静養なさるように。」
愛紗と星は俺が十分回復したのを見て、お暇することになった。
「愛紗も星もこんな時間まで看病してくれてありがとな」
「いえ、もともとは私が無理矢理一刀様を引きずって華蝶仮面を追おうとしたしたばかりにこういうことになってしまったのですから」
「はは、そんなに気負わなくていいよ。じゃ、愛紗、星、また明日ね。」
「はい。また明日」
2人はそう言って俺の部屋から出て行こうとする。
それにしても惜しいことをしたな。
もしあの時愛紗がタイミングよく帰って来てなかったら・・
と、そんなことを思っていると星はこちらを振り返って
「借りはまたいずれ返しますゆえ」
と俺に聞こえるかどうかの小声で言い、颯爽と自宅へ戻って行った。
完
183 :
羊 叔子:2007/05/13(日) 12:55:07 ID:L3M5pU4U0
今回は星中心で書いてみました。
他のキャラも今後書いてみようかなと思います。
どのキャラを書こうかな?
それとも、三国時代を舞台としたSSを書こうかな?
・・愚痴でした。すみません。
>>183 どうでもいい事なんだけど>174-178辺りとかは1レス分をかなり無駄に使ってるようなんだが
もう少し上手くまとめられたら構成面で良くなるんじゃないか
乙乙
ニイちゃんは
JOJOスレの住人かよw
>>184 オレにはある程度繋がりやすいところで敢えて切ってるようにみえるな。
実際なおしたほうがいいのかどうかはオレにはわからないが。
ともあれ作者GJ!
個人的には学園で続けて欲しい。
次回作も期待してる!
という事でエロ本でございます。写真ネタ第2弾を投下します。
なお、終わりには=了=を付けますので。
彼女達にとって、それは唐突な提案であった。
「蓮華様〜。皆で写真を撮りましょうよ〜」
この間抜けた声は、元呉の副軍師を務めていた穏のものだ。
彼女の声の先にいたのは、元孫呉の若き君主‐蓮華を始めとして、思春、冥琳、大喬、小喬とお馴染みの呉の面々。そして、もう一人……
「うん、それは名案ね」
このフランチェスカという外史に再び存在を与えられた先代の呉王‐孫策 伯符こと雪蓮であった。
「ねぇ、冥琳達もいいでしょ?」
「雪蓮がそう言うのなら……」
「はい、良いよね? 小喬ちゃん」
「う、うん……」
相変わらず、雪蓮には逆らえない冥琳達。三国時代には蓮華にきつく当たっていた冥琳や、一刀にちょっかいを出しまくっていた小喬がここまで従順になっているのを見ると、微笑ましさまで浮かんでくる。
「なら、決まりですよね〜♪じゃあ、皆で撮っちゃいましょう」
雪蓮の許可が下りた時点で全員が賛同すると思ったのか、穏は相変わらず暢気な声でデジカメを取り出した。どうやら、まだ新品らしくほとんど汚れていない。
「じゃあ、並んでくださ……あれ?」
だが、ノリノリの穏や雪蓮とは違って、一人‐蓮華だけは何故か浮かない顔をしていた。
「蓮華さま〜。どうしたんですか〜?」
「その……」
蓮華は何やら言いにくそうに、その事実を告げていた。
「しゃしんとは何だ?」
「蓮華様……写真をご存じないのですか?」
「し、思春!」
隣では、思春が不思議そうな顔をして、蓮華を見ている。
「お姉ちゃん、おっくれってるー」
「しゃ……小蓮!」
どうやら、知らないのは蓮華だけらしい。
「はぁ……蓮華様……この世界に来てはや二ヶ月以上も経ちます。それなのに、この世界の常識を知らないとは……」
隣では、呆れている冥琳が蓮華に向かい文句を知っていたりする。普通ならば、ここで反論するところだが
「……すまぬ」
どうやら、今回は冥琳の完全勝利らしい。
「こら! 冥琳もそんなに蓮華をいじめないの」
隣の雪蓮は蓮華の頭をいい子いい子しながら撫でていたりする。その撫でられている当人は子ども扱いが恥ずかしいのか顔を真っ赤にしているが。
「む……でも、雪蓮」
「『でも』も何もないの。いつも冥琳と蓮華って仲が悪いんだから……」
それに小蓮も続くように口を開く。
「二人とも素直じゃないんだから……」
そして、小蓮と雪蓮は意気投合したように、
「「ねー?」」
と声を合わせている。
「む……」
「ん……」
どうやら、その言葉が図星だったのか、二人は完全に黙ってお互いを見ていたりする。
元々、三国時代からも仲が良くない2人だが、雪蓮がこの世界に蘇ってからは、彼女を取り合うように対立が、主に馬鹿馬鹿しい方向だが、深くなっている。
「ん〜、私としては2人にも仲良くしてほしいんだけど……」
だからと言って、彼女に術があるわけでは……
「あっ! そうだ」
ないわけではなかった。
そして、数分後。
「もっと、お二方とも近寄ってください」
「なぜ私が……」
「それはこっちの台詞です」
蓮華と冥琳は一緒に写真を撮る事になっていた。雪蓮曰く、
「なら、一緒に写真を撮って仲良くなっちゃいましょう」
らしい。かなり突飛な発想で、しかも意図がよくわからないが。
そして、雪蓮や小蓮、穏、思春、大喬、小喬も一緒に桜の木の下に並んでいて準備が整い始めていた。しかし、蓮華と冥琳はやはり間に距離を置こうとしているのか、どうしても近づこうとはしなかった。
「あの……周瑜さま……」
カメラ係の女性‐これも元呉の将であるのだが、あわあわと冥琳と蓮華の状況にうろたえていたりする。
「いいから撮れ!」
「あわわわ……は、はい……では」
そして、カメラ係の女性はファインダーを覗き、シャッターに指を掛ける。
そして、皆が固まった瞬間にそれは起こった。
「えい♪」
非常に楽しそうな声と共に冥琳と蓮華の首に腕がかかった。
「ひぁ!」
二人が上げる間抜けな声も無視し、その腕は引っ張られて、彼女たちの頬は柔らかい何かに押し付けられるように止まった。
「雪……」
その2人の頬に当たったのが雪蓮の胸である事に気づいたのは何秒後であったろうか?
「ね、姉様!」
「大丈夫♪」
2人を抱きかかえるようにして笑う雪蓮。その笑顔に逆らえない冥琳と蓮華。そして、それを見ると、
「あー!雪蓮姉様だけずるいー。シャオも!」
「じゃあ、私も! 冥琳さまー!」
「雪蓮さまもー!」
途端に抱きつくように小蓮、小喬、大喬も飛びついて行った。
「あわわわわ……」
カメラ係の女性はこの状況に戸惑っていたりする。押すべきか押さぬべきか。だが、彼女たちが飛びついた瞬間に……
カチャ
カメラのシャッターは落ちていた。
それから数日後。
蓮華は一枚の写真を見ていた。
桜の木の下で皆が抱きつきながら笑っている写真。
小蓮は相変わらず元気そうに雪蓮に飛びついて笑っている。
大喬はおどおどしながらも満面の笑みで雪蓮の方にしがみついている。
小喬はちゃっかりと冥琳の腕に抱きついていたりする。
思春はその光景を見て溜息をつきながらも、苦笑いを浮かべている。
穏はそれを見ながら、相変わらずの顔で笑っている。
そして、冥琳と蓮華は……やっぱり、戸惑いながらも笑っていた。ほんのよく見なければ分らないほどの、無意識の微笑。
そして中心には……
「……」
無言で蓮華はその写真を抱きしめる。
この幸せな日々を、新たなる皆での生活を。
……いつまでも……あの時のように離れぬよう……ぎゅっと……力一杯に……
=了=
という訳で、写真ネタの呉サイドの話でした。
……最後に了を入れ忘れましたが。
蜀よりもこっちの方が先だったんですが……書いたのは蜀が最初……
あと、雪蓮の足りない部分は自分の想像で補ったので、何か違和感を感じたらごめんなさい。
……最後に……まだ1勢書くかもしれないからごめんね……orz
GJ!
ではあるが最後に、はいらない。
なにに謝ってるのかがわからん。作品が悪いわけじゃないから尚更。
最後まで気持ちよく読ませてくれ。
不覚にもこの深夜に一人でニヤニヤしてしまった。
雪蓮がいると本当に人間関係上手く回るなぁ…
何故かほぼ見てるだけな嫁の大喬に感情移入してほんわかした俺。
次も期待してるぜ。
今日は豊作じゃ〜
>>172も
>>187も両方楽しませてもらったGJです。
そういえば真エンドの後は描かれてないから
恋姫世界に居た人々が実は皆(死んだ人も)居たと言う可能性もありですなw
いやむしろそうであって欲しい気がしてきたぞ〜
まとめサイトのSS最新作?二つが「一刀の一日」になってるので
修正お願いします。
ううむ、作品はまあまあ投下されてるけど間がもたない。
もうちょっとこう、なんかないのか?
>>197 他人に聞くだけでなく、まず自分で何か提示しないと他力本願と叩かれるだけだよ
まあ、そうだよな。とは言え何も思いつかないんだけどもさw
う〜ん妄想伝の感想とかなんてどうかな?
今回の更新分はなんか全部同じような時期だったり
似たような系統だったりで統一感があって読みやすかったと思う
個人的には短い話の方が好きなので「トランプ」が良かったな。
こういうSS投稿スレなんてのは、本来の主眼たるSS投稿が少なくなれば静かになるのは当たり前。
正直、OHP掲載の妄想伝はつまらないというか駄作ばかりだ。叩かれてたのもあったしな。
謝謝無双収録妄想伝の選考に落ちている作品なのだから、質が悪いのはある意味当たり前なんだが。
駄作は言いすぎかも子廉が、まぁ凡作以下だわな
妙才暗躍とかはちょっと好きだが
璃々のやつはどうしてもダメだった・・・
そうかなー 大体は恋姫の雰囲気掴んでると思うんだが…
SSといったって物書きさんが書いてるわけでもないし(多分
あれだけ書ければ十分じゃないか?
あまりに高質の作品ばかり求めてたらここだって窮屈になってしまうぞ
ようは好みの問題だとおもふ
> ここだって窮屈になってしまうぞ
ここに投下される作品よりは確実に劣ってる
205 :
放たれた虎:2007/05/17(木) 22:44:08 ID:ieE18EYR0
※横山三国志アニメ版23話を恋姫キャラに置き換えています。反董卓連合軍の戦後という設定です。
ちなみに華雄は死なせるに捨て難いので、彼女を生存させた設定にしてます。
董卓討伐戦にて、北郷一刀らは董卓の配下の将・呂布と華雄を新たな仲間として迎え、両名から董卓の暴政が偽りである事を知り、その逆賊の汚名を着せられていた少女・董卓とその軍師・賈駆を内密に保護。
戦の後、曹操は功績のあった北郷軍を伴い、都・許劭へと凱旋した。
これが、漢帝国の運命を変える決断となろうとは、曹操は知る由もなかった。
206 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:31:56 ID:Tn/WWJ5+0
一刀と曹操は、玉座の間で、献帝に謁見していた。
「曹操よ、此度の戦い、ご苦労に思う」
「有難きお言葉にございます」
曹操が跪いた状態で、深々と頭を下げる。
そして、一刀の方を向く。
「ここに控えますのが、”天の御使い”と名高い北郷一刀殿です」
曹操に紹介され、一刀も頭を下げる。
献帝が一刀の姿を見て、歓喜の声を上げる。
「おぉ、そちが北郷一刀か!立派な働きぶりと聞いておるぞ。ご苦労であった」
「立派なんて、そんな大した事じゃないですよ…」
一刀がポリポリと頭をかき、照れ臭そうに答える。
献帝は玉座を立ち、一刀の手を取る。
「北郷、どうかこの乱世を太平の世に変えてくれ。朕は心強う思う」
そして、曹操に振り向く。
「丞相・曹操よ。左将軍宜城亭侯の官位を授けたいと思うが、どの様なものかのう?」
「宜しかろうと存じます」
曹操が答える。
「北郷よ、これからも朕の力になってくれ」
「は、はい。精一杯頑張ります」
ここまで期待されると、たじろいでしまう。
一刀はしどろもどろに答えた。
曹操は、その様子を苦々しく見ていた。
献帝は隣にいた伏皇后に声をかけた。
「皇后よ、何か祝いたいのう」
「天の御使い・北郷殿を迎えて、酒宴をなされては?」
「うむ、それが良い!皆の者、宴のしたくを致せ!」
207 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:33:22 ID:Tn/WWJ5+0
盛大なる酒宴の後、曹操は丞相府に戻った。
部屋には、荀ケ・夏候惇・夏候淵が曹操と話をしている。
「華琳様、このままで宜しいのですか?」
「何が?」
曹操が夏候惇に聞き返し、それに荀ケと夏候淵が答える。
「北郷一刀の立場は、華琳様よりも有利になるのでは?」
「宴会でも帝は、北郷殿の事を持て囃してばかりおられました」
「別に大丈夫じゃないかしら」
曹操があっさりと答えた。
「あの男が許劭にいる間は、私の手の内にあるのよ。何も恐れる事はないわ」
「とは申しましても…」
夏候惇は曹操の答えに納得が行かない様だ。
「この際、華琳様は帝に代わって天下を…」
「春蘭!」
「むぐ…!?」
曹操が彼女の口を手で塞ぎ、言葉をさえぎる。
「滅多な事を口にしないで。朝廷にはまだまだ忠義を誓う家来も多いのよ?」
「ぷはっ…。確かに油断は出来ませんが…」
「……そうだわ。久々に帝を誘って巻狩でもやろうかしら」
「巻狩…ですか?」
不敵な笑みを浮かべる曹操に、荀ケが聞き返す。
「そうよ。それに託けて、重臣達の心を探ってみるの」
「なるほど…それは名案ですね」
「そうと決まれば…桂花、手はずを整えて」
208 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:36:11 ID:Tn/WWJ5+0
翌朝、その巻狩は開催された。
曹操は、自ら帝と轡を並べ、腹心らに身辺を固めさせた。
鈴々が帝の持つ矢を覗き見ると、その矢は黄金色に輝いていた。
「ねぇねぇ愛紗、見て見て。帝の矢がキラキラなのだ〜」
「鈴々、少しは口を慎め。ご主人様が恥をかいてしまわれるだろう」
その時、一匹の大きな鹿が草原を駆け抜けた。
「おぉ、良き獲物!」
帝は自らの弓矢を構える。
だが、鹿のあし速さに追いつけず、鹿に矢は命中しない。
「丞相、射て見られよ」
「御意」
そう言うや否や、曹操は帝から弓矢を奪い取った。
「っ!?」
突然の曹操の行動に帝はもちろん、一刀や愛紗、鈴々、朱里達も呆気に取られた。
曹操はそんな様子を気にもせず、弓矢を構えて鹿に狙いを定めて、それを放った。
矢は見事鹿に命中した。
遠くから様子を伺っていた兵らが声を上げる。
「おぉ、金の矢だ!」
「帝が射止められたのだ!帝が鹿を射られましたぞ!」
兵が声を上げるが、それを曹操が遮った。
「お待ちなさい!その鹿を射止めたのは、この曹孟徳よ!」
それを聞くと、周りの空気が重くなった。
帝も曇った表情となってしまう。
だが、曹操に怒りを持っていた者が一人だけいた。
愛紗である。
愛紗が刀の鞘を抜こうとするが、一刀はそれに気が付いてそれを止めた。
一刀は曹操に近寄り、わざとらしく褒めた。
「へぇ〜、やるもんだな。曹操って、弓矢の才能があるんだ?」
「ふふ…これも帝の御意向というものよ。さて、次の獲物はどこかしら?」
そう言うと、曹操はそのまま馬を別の方向へと走らせた。
「あーっ!帝の弓を返さないのだ!」
鈴々が曹操を指差して、声を上げるのだった。
209 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:37:42 ID:Tn/WWJ5+0
「私は許せません!」
愛紗がバンと机を叩き、声を上げる。
「曹操の帝に対するあの仕打ちは、臣下としてあるまじき行為です!討ち果たして国の害を除こうとしましたのに…!ご主人様、何故止めたのですか!?」
「落ち着いて、愛紗」
一刀が怒り心頭の愛紗を宥める。
「もし愛紗が曹操に手を出してたら、曹操の部下達が黙ってなかったかも知れないだろ?」
「その時は、我らも負けてはおりませぬ!臣下の前で帝よりも己の力を誇示しようとする曹操の傲慢を、黙って見過ごす事は出来ません!」
「そりゃ愛紗の気持ちも分かるけどさ…。あの時争ったりして、帝にも危害が及んだりでもしたら大変じゃないか」
「あっ…」
「そんな事になったら、その罪は俺達が被る事になる。愛紗なら、それは分かるだろ?」
「…そうでした」
愛紗が俯き、謝罪する。
「申し訳ありません、私の考えが浅はかでした」
「そんな事ないよ。それだけ愛紗が国の事を思ってくれてるって事は、きっと帝も喜んでくれるんじゃないかな」
一刀が窓の外を見上げる。
「それにしても…帝も気の毒だよな。その辺は、正直なところ俺も同意見だよ」
曹操の横暴に耐え兼ねた帝は、忠臣として功績ある車騎将軍・董承に密命を出し、曹操を討つ決意をした。
だが、それが大きな天下を呼び起こす事になる。
210 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:40:12 ID:Tn/WWJ5+0
修正 大きな天下を呼び起こす事になる⇒大きな波紋を天下に呼び起こす事になる
211 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:47:52 ID:Tn/WWJ5+0
帝は広間にて、董承を呼び出した。
「お召しによりこの董承、参上致しました」
「おぉ、よくぞ参ったな、董承」
帝が董承を優しく出迎える。
「皇后とも話しておったのじゃ、”董承は真の忠臣じゃ”と…。そちには、反董卓連合の戦の後、董卓の配下であった李確と郭に長安へ連れ込まれ、
そこの脱出の際に助けられた恩がある」
「恐れ入ります…。臣下として当然の事でございます」
董承が答え、帝は壁に書かれた人物画を眺める。
「ここには、朕の先祖…漢の高祖から24代に渡る皇帝が纏られておる。高祖皇帝・劉邦、天の史上に身を起こし給い、三尺の剣を携え、数多くの戦を経て、
大漢400年の歴史を創られた…。それほどの偉大な先祖を持ちながら、朕はあまりにも情けない。今は曹操の操り人形に過ぎぬ…」
「お察し申し上げます…」
語りながら涙を流す帝に、董承の心が痛む。
彼にとって、帝が悩み苦しむ姿ほど心苦しいものはなかった。
「この董承、お力になれれば、幸せに存じます」
「おぉ…よくぞ申した。これからも朕の為に頼むぞ」
帝はそう言うと、机においてある、豪華な衣服と帯を董承に手渡した。
「これは、朕の衣と帯じゃ。受けてくれ」
「身に余る光栄に存じます」
「董承、それを良く改めよ…。頼んだぞ」
「は…?は、はい」
董承はその言葉にどこか引っかかるものを感じながら返事をした。
そしてその様子を…物陰から荀ケが窺っていたのだった。
212 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:53:31 ID:Tn/WWJ5+0
董承は帝の部屋を出て、自宅に戻る帰路を歩いていた。
(帝のご様子…ただ事ではない。この玉帯に何か謎があるのか…?)
「ごきげんよう、董承殿」
「!?」
突然、後ろから少女の声がした。
恐る恐る振り向くと…そこには、曹操が立っていた。
後ろには夏候惇と夏候淵が控えている。
「こ、これは丞相殿…」
「帝に拝謁されてのお帰りかしら?珍しいわね」
「…」
「あら、何かしら?その手のものは」
曹操が董承の手に持っている衣服と帯を見て、尋ねる。
「いや、これは…いつぞや長安から都を移られた時、賊と戦った功労として、御衣と玉帯を頂いたのでございます」
「ふぅん、今頃になってあの時の恩賞をねぇ…」
「はい、身に余る光栄と喜んでおります」
「そうでしょうね。私にも見せて下さらない?」
「そ、それは…」
「どうしたの?嫌だとおっしゃるのかしら?」
「い、いえいえ!決して…」
董承はあらぬ疑いを掛けられるのは嫌なので、渋々それを手渡した。
213 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 00:54:56 ID:Tn/WWJ5+0
曹操は衣服や帯をマジマジと眺める。
そして、図々しくも、それを自らの身体に着込んでしまう。
だが、身体の小さい曹操では大きい様だ。
「どう?寸法を合わせれば私に似合うでしょう。譲って下さらない?」
「と、とんでもない!我が家の家宝でございます!」
思わず、董承が声を上げる。
「そんなに嫌?何か隠してあるのかしら…?」
「…それほど申されるなら、差し上げましょう」
「ふふ…クスクス…。あはははははは!」
あまりに向きになる董承に、曹操は声を出して笑う。
「冗談に決まってるじゃない。人の恩賞を横取りしたとあっては、人聞きが悪くなってしまうわ」
そう言うと、曹操は着ていた衣服と帯を脱いで、董承に返した。
「名誉な事じゃない。大切になさいな」
「ありがとうございます…では」
連投規制で書き込めなくなったのかな?
もしそうでないなら終了宣言はしてほしかったけど
愛紗や鈴々は真名なのに曹操だけ始終「曹操」というのはさすがに違和感が
そもそも置換えは違和感出まくるからあまり好まれない傾向だったはず
これで終わりなのかな?元ネタ知らないから
へえ、こんなエピソードあったんだ。と思って読んだんだけど
華雄出てこないじゃあないかw
217 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:10:10 ID:Tn/WWJ5+0
>>26 すみません、チラっと今回出てきます。
『栄えるは曹操の一門のみにある。
朕は反対する術も知らず、先祖の偉業を思うに、夜ごとただただ悔し涙に暮れ、天下の正に危うい事を憂う。
董承は国の重臣にて、朕の忠義なる士。
ここに忠義の志士を糾合し、奸賊曹操を討ち、朝廷の権勢を再興させるべし』
これが、帝から授かった帯に隠されていた密書の内容である。
曹操暗殺の同士は、次々と集結し始めた。
工部侍郎・王子服、長水校尉・仲輯、帝の配下の将・呉磧、同じく呉子蘭、馬超の父親にして西涼の太守・馬騰と言った漢帝国に忠誠を誓う重臣が集まった。
彼らは血判状に署名し、死すとも背かぬ事を誓い合った。
夜中…。
一刀は自分の城に戻り、一通りの政務を終え、疲れ果てていた。
「んん〜〜〜〜、やっと終わった」
一刀が大きく背伸びする。
さっさと寝ようと床に入ろうとすると…。
コンコン…
ドアをノックする音が聞こえた。
「主殿…もうお休みですか?」
「…華雄?」
一刀がドアを開ける。
「どうしたの?」
「来客がありまして、主殿に大事な話があるとか…」
「俺にお客さん…?誰が来てるの?」
「車騎将軍の董承殿です」
董承って、確か帝の重臣で一番信頼されているっていう人じゃないか。
そんな人が、俺に何の用だろう…?
しかもこんな夜更けに…。
「大事な話って何だろう…?とりあえず、客室にお通しして。俺もすぐに行くから」
「かしこまりました」
218 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:13:32 ID:Tn/WWJ5+0
「ん…?」
愛紗が部屋に戻る途中、鈴々と朱里が客室の扉越しに、耳を寄せているのを見た。
「お前達、何をしている?」
「わぁっ!」
突然の愛紗の声にビックリして、鈴々が声を上げる。
「鈴々ちゃん、しー!聞こえちゃいます!」
朱里が小声で鈴々を宥める。
「二人とも、何をしているのだ?」
「今、ご主人様に何かのお話があるとかで、董承様がお見えになってるんです」
「何?董承殿が?」
愛紗も気になり、扉越しに耳を寄せた。
219 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:15:04 ID:Tn/WWJ5+0
「北郷殿、是非お尋ねしたいのじゃが…。先日の巻狩の時、関羽殿が刀の柄に手を掛けられましたな?」
「ギクッ!?」
突然の図星な董承の言葉に、一刀が返答に困る。
「曹操殿をお斬りになるつもりであったのかな?返答、しかとお聞き致したい」
「あー…いや、その…」
一刀はしどろもどろとするが、渋々と答えた。
「あれは…ですね。ほら、曹操が帝の弓矢を引っ手繰っちゃったでしょう?なんか愛紗は、それが許せなかったみたいで…」
「おぉ、やはりそうでしたか」
董承が声を上げる。
「寵臣が全て、関羽殿の様な忠誠心があったなら、天下も乱れぬものを。では、これを…」
そう言うと、董承知は懐から一枚の紙を取り出した。
沢山の人の名前と、その下には、指紋の印が押されている。
「何ですか、これ?」
「血判状にございます。帝より密書を頂き、曹操暗殺の同士を募りました。北郷殿、帝にお力をお貸し下さいませ!同士一同の願いでございます!」
董承が席を立ち、土下座する。
「…分かりました。それが帝の力に慣れるなら、俺も署名します」
「北郷殿!ありがとうございます!」
そう言うと、一刀は筆を取り、自らの名前を血判状にしたためた。
そして、木を削るためのナイフで自分の指に線を入れる。
「…いて」
指に己の血を塗り、それを紙に強く押した。
「でも、あまり軽々しく動かないほうが良いですよ。くれぐれも焦らないで下さい」
「分かり申した…。同士の者にも、身を慎む様に、言い聞かせます」
220 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:18:26 ID:Tn/WWJ5+0
翌日、一刀は曹操に呼ばれていた。
場所は宮殿の庭で、そこに豪華な料理と酒が並べられている。
「久しぶりね、北郷一刀」
「やぁ、久しぶり」
一刀も曹操に挨拶を軽く返す。
「聞くところによると、畑仕事に精を出してるそうね?」
「まぁね。一度そういうのやって見たかったんだ。その方がお金も掛からないし、健康にも良いかなと思ってさ」
「無欲だと思ったけど、意外と細かい所があるのね…。実はね、あなたと一献酌み交わしたいと思っていたの」
「それで呼んでくれたの?何だか悪いなぁ」
「遠慮はいらないわ。どうぞ席に座って頂戴」
そんなこんなで酒を酌み交わして数分。
空が曇り始めた。
曹操が空を見上げる。
「一雨着そうね…。雨の中で飲むのもまた風流かしら…」
221 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:24:34 ID:Tn/WWJ5+0
曹操が呟き、一刀に尋ねた。
「所で…あなたは龍という生き物の存在を信じる?」
「龍?龍って、あの空を飛ぶ?」
「えぇ。龍が変化するというのは知っているかしら?」
「いや、全然」
一刀が首を振る。
「龍は小さくもなれば大きくもなるわ。小さくなれば沼に隠れもするけれど、一度大きくなれば、雲を呼び、霧を吐き、天空を駆け巡る…。龍は天下の英雄にも例えられるわ」
「なるほどねぇ…」
「あなたは今のこの時世で、英雄といえる人間は誰がいると思うの?」
一刀がこれまで出会った人物を思い浮かべる。
「そうだなぁ…袁紹はどうかな?名門の出らしいし」
「あんな女、墓の中の白骨よ。いずれ私が叩き潰してやるわ」
「じゃあ公孫賛は?」
「彼女も論外ね。小利口な部下に頼ってばかりですもの」
「う〜ん…それじゃ孫権はどう?」
「そうね…機略はあるけど、まだまだ小さいわ」
「それじゃあ曹操の言う英雄ってどんな?」
「真の英雄と言うのは、大志を抱き、謀を持ち、天下を持つ器量を持たなくてはいけないわ」
「そんな人間いるかなぁ…」
「いるわ」
曹操の目が細くなる。
まるで何かを見通しているかの様に…。
「今の天下に、英雄は二人いるわ…。それはあなたと、この曹孟徳よ!」
「なっ!?」
曹操が一刀をビシッと指を差す。
その時…。
222 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:26:47 ID:Tn/WWJ5+0
ピシャッ!!ゴロゴロゴロゴロ…
「どわあっ!?」
一刀が突然机の中に隠れてしまう。
雷が鳴る度に、一刀が震える。
しばらくして雷は止み、一刀も隠れている机から出て来た。
「フフフ…天地の声である雷が怖いの?」
「はは…カッコ悪い所見られちゃったな。俺、どうしても小さい頃から雷だけは苦手でさ」
「天の御使いともあろう方が雷をねぇ…。クスクス」
愛紗と鈴々、そして朱里は一刀のいる場へと急いでいた。
一刀が曹操の使者と共に出かけたと聞き、いやな予感がしたので、駆けつけたのだ。
辺りを見回すと、庭のほうで一刀と曹操が酒を酌み交わしていたのを発見した。
「ご主人様!」
愛紗の声に一刀が気付く。
「三人とも…。どうしたんだよ」
「あ…ありゃ?」
鈴々が間の抜けた声を上げる。
昨日の血判状の事が曹操にばれたのではないかと思ったが、違う様だ。
「関羽に張飛…それに孔明まで…。あなた達を呼んだ覚えはないけれど?」
曹操が愛紗達に言う。
「あ…いえ、その…。ご酒宴と承り、余興に剣の舞でもいかがかと思いまして…」
「そ、そうなのだ。鈴々の得意な踊りを見せたかったのだ。…にゃはははははは」
「は…はい、そうなんです」
三人がその場で思いついた言い訳で誤魔化す。
とりあえず一刀は、曹操に謝罪した。
「ごめんな、曹操。きっと俺がいなくて心細かったんじゃないかと思うんだ。俺に免じて、許してあげてくれないかな?」
「ふふ…まぁ良いわ。今日は楽しく飲めた事でもあるし、許してあげる」
つ 4円
数日に渡って投稿するなら、その日の最後にその旨を記すと
いいわよ、いいわよ……
って水鏡センセが言ってた
>>222 上で投下終了と分かるような書き込みをした方がいいと指摘されてるのに
完全無視の上にまた中途半端に止めるのか…
過疎ってるが故に目立つからあまりGoingMyWayが過ぎると叩かれるぞ
225 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 21:59:58 ID:Tn/WWJ5+0
一刀達は城へと戻る帰路を歩いていた。
「にゃははは。雷様を怖がるお兄ちゃんのお芝居、鈴々見たかったのだ」
鈴々が笑いながら言う。
「恐れ入りました…。畑仕事も曹操を欺くための作戦だったのですね」
「まぁ…今は大事な時だからね。疑いを掛けられる様な事は避けたいと思ったんだ」
しばらくして、一刀の元に悲報が訪れた。
北平の太守・公孫賛が、河北の袁紹に討たれたという報せだった。
共に戦場を駆け抜けた同志の滅亡の報せは一刀を驚かせ、悲しませた。
栄えるも滅ぶも武将の常とは言え、乱世は無情であった。
そして、北郷軍は曹操に「袁紹と、その弟である南陽の袁術の同盟を阻止する為」と称し、袁術の討伐を願い出たのであった。
曹操の承諾を得た一刀は五万の軍を与えられ、帝にも別れを告げ、軍と共に許劭を去った。
226 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 22:00:41 ID:Tn/WWJ5+0
一方、夏候惇が血相を変えて曹操に抗議していた。
「華琳様、何故北郷に五万の兵を与えたのです!?これは虎を野に放ったも同然です!」
「虎を野に放った…?春蘭、どういう事?」
「もはやあの男を従える事は出来ません。華琳様は奴に一杯喰わされたのです」
「…ふふふ…あっはははははは!」
夏候惇のその言葉に、曹操が高らかに笑った。
「畑仕事をやったり、雷を怖がったりする様な男よ?あいつに何が出来ると言うの?」
「それは謀です。北郷の本心ではありません。華琳様…それほど甘く見ておられたのですか?」
「え…?」
夏候惇の言葉に違和感を覚える曹操。
「私は、北郷ほど油断できない男はおらぬと見ておりました…」
「それじゃあ、袁紹や袁術を倒すと言うのは嘘だと言うの?」
「いえ、それはやるでしょう。しかし、それは華琳様の為ではありません。北郷自身の為です」
「…!」
その言葉でようやく曹操は全てを理解できた。
あの男にしてやられた!
その上、兵まで与えてしまうとは…。
「北郷…!このままにはしておかないわよ」
かくして虎は、乱世の野に放たれた。
平和を望む虎は、大きな企みを胸に秘め、明日に向かって牙を向く事となった…。
227 :
放たれた虎:2007/05/18(金) 23:27:43 ID:Tn/WWJ5+0
これにて「放たれた虎」は終了です。
すまん、ダメだ。俺には合わんかった
こうしてみるとゲーム本編で故事をそのままなぞったようなイベントが無かったのは正解だったかも・・・
SS掲載部分のチェックとしていたら、細かいミスが幾つかあってちょっと凹んだ夏の夜。
>>227 お疲れさまです
たしかに違和感はかなりあるけど、これはこれでちょっと面白かったよ
>>227 乙々。賛否はあろうが楽しめた俺は勝ち組
俺はダメだな。名前と真名の書き分けがめちゃくちゃにしか見えない。
それにこういう事はあまり言いたくないけど一連の姿勢に好感が持てない。
一応言われた通り最後の最後で終了とは書いてるけどさ。
作品を批評するとき、悪い点挙げるんだったらいい点も挙げようぜ。
批判批難のオンパレードじゃ健康的とは思えんね。
正しい批評とは、作品の魅力をより引き出すものであるべき。
って、うちの文学部の教授が言ってた。
作品以前というか、これは創作じゃなくて横山三国志のセリフ改変ネタでしょ。
話自体は丸パクリだし、古い解釈の古典漫画そのままだから違和感強い。
漫画のコマをキャラだけ変えて文章に起こしたいならもっと簡潔にできるし、
描写をしっかりやるならもっと目新しい切り口でやらないと冗長なだけ。
正史を改変した演義を漫画にする都合で横山が更に改変した嘘まで忠実に
再現せんでもいいと思うよ。
もっと恋姫のキャラらしく大胆に創作したほうが面白いと思う。
>>224-225 2006/8/20から、「バイバイさるさん」と呼ばれる新しい規制が導入されました
これは連投荒らし撃退のための規制で、
(1)一つのスレに
(2)ある時間(H)内に
(3)最近の投稿(N)のうち沢山投稿(M回)したら
(4)「バイバイさるさん」になる
というものです(凄く簡単に言えば「新しいバーボン」みたいなものです)
こういうもんがあるらしい。
俺の経験則だと、5〜6回連投すると喰らう気がする。
VIPの小説系スレだと支援書き込みが期待できるが、この過疎状況ではなあw
書き手の側で、5レスを目処に一区切り付ける工夫が必要かも。
>>233 上の方でも234も言ってるが改変ネタはこのスレでは嫌わる傾向がある。
嫌われてるというのは過去スレ見れば十分にわかること。
それを敢えて投下しているのだから批判される覚悟はあると捉えられて批評されるのは仕方ない。
そもそもいい点を挙げろも何も批評ってのは強要するものではない。
>>233 > 作品を批評するとき、悪い点挙げるんだったらいい点も挙げようぜ。
これって良い点を挙げるなら悪い点も挙げろと言っているのと同義なのだが
良い点挙げる時だけは悪い点挙げなくてもいいなんて都合の良い考え方の
上で指摘しているわけではないよね
それに良い部分も悪い部分も両方見つけるなんてかなり難しい事だよ
両方挙げろなんて言っていたらそれこそ批評そのものを誰もしなくなるよ
だよな。某ほめられてのびるラジオなんか
最初っから誉めてないし
239 :
名無しさん@初回限定:2007/05/20(日) 23:47:45 ID:+6YrY7Qj0
批判ばかりで書き込みする気でないけどなw
ここをこうすればいいとかじゃなくて、ここうぜえ、見にくい、つまらんって意見おおすw
批判多すぎて書き込みあんまりなくて過疎ってんじゃね?
下げ忘れ・・・すまねえ
なにこのバカ
>>239 同意。
批評と称して批判言ってる奴が多いな。
それで俺も投下するの辞めた。
久しぶりにこのスレ来ても、やっぱこの話題なのなwww
あえてこの流れで批判すると
元ネタ知ってるだけに、元より面白くなってるとは思えない。
むしろ大幅に劣化している。
2chで批判が嫌って奴は初心者なのかな。
普通に書き込みしても批判喰らう時なんて多々あるのにそれが嫌で投下辞めるって。
まあ作者なんかじゃなくて騙りの可能性も高いだろうけど、そんな人はそもそも2chに向いてないよ。
つかSS投下専用・雑談一切禁止スレでもまとめサイト辺りに作ってもらったらどうだ。
向いてないと思うからSSの書き込みしてないw
その結果がこの過疎で、楽しめない雰囲気、楽しみにしてる人が皆無に見受ける
別に新しいサイトいらないし、書き込みやめておくだけで
イヤな気持ちになるの避けれるなら俺はやめるほう選ぶw
この当たりが、こうなので見にくい>こういう感じでどう?とか
この部分が話し的におかしいので、次はガンバレとかないしな
( ´∀`)つ ミSS
基本的にゲームの設定を流用しているつもりですが、ムジュンがあるかもしれません。
その辺は脳内設定ということでお許しを。
以下、月が洛陽入りするまでを描いてみました。
漢の都、洛陽。
帝の威光もすでになく、宮中では民の嘆きを聞くことなく日夜繰り返される宴。
そしてその裏で行われている、泥沼のような権力争いの構図。
闇夜の中、城の屋根上からそれらを見下ろす一人の男がいた。
「ふむ……まずはこれを利用させてもらいましょう」
男はそうつぶやくと、おもむろに白い導士服の裾から数枚の人型をした紙切れと筆を取り出した。
そして紙切れに何かを書き記し宙に放った途端、それらは人間の姿へと変わった。
男が彼らに何事かを言いつけると、彼らは宮中に散っていった。
「北郷一刀……ですか。直接手を下すわけにはいかないというのは、左慈にとっては歯がゆいでしょうが」
男はひとりごちる。
「私としては腕のなるところ。ふ、さあ傀儡達よ。終わりなき悪夢に踊りなさい」
そう言うと男は一言の呪を口にし、宙に溶けて消えた。
>>245 応援、讃辞目的で投下するという、自分の作品が受け入れられるという事を
前提としている考え方自体がそもそもおかしいよ。
確かにそういうものが欲しいという気持ちは判るが、それは強要するものでは
ないし、いちいちそんなのを欲していたら何も出来なくなる。
指摘、批評がある=確実に見て・読んでもらっているという事。
クリエイターの端くれでそれを仕事にしている俺からすれば、何も言われず
スルーされるよりはよっぽどありがたいよ。
というか、SS書かないのならそういうグチも書き込まない方がいいよ。
余計に雰囲気悪くなるだけだから。
昼下がりの渡り廊下にコツコツと靴の音が響く。
竹簡の束を小脇に抱え、詠が結った髪を揺らしながら足早に歩いていた。
幾つかの門をくぐり、向かう先には小さな庭園が見えてくる。
その庭園は質素ではあるが、その地の風土、景色を巧く取り入れた見事な造り。
庭園の奥には周囲の風景を映し込む池が広がっていて、そのほとりに小さな庵が建っている。
そこに一人、儚げな印象の少女の姿があった。
「月、殿が呼んでいらっしゃるわ。すぐに来るようにって」
庵に月を見つけた詠が、そう叫ぶ。
「御父様が……?うん、今行くね」
月はそう返すと、机の端に置いた数冊の書を取り庵を出た。
月の父は、漢に仕える将軍の一人であった。
各地を暴れ回っていた黄巾党討伐のため、一軍の将を任され官軍を率いて戦った。
黄巾の乱終息後にその働きを認められ、併州の州牧という地位を与えられた。
そして相次ぐ騒乱を鎮圧すべく、併州中の各所を奔走していた。
そんな中、大将軍何進からの密書が届く。
密書には、朝廷の乱れの元凶である宦官を討ち帝の威光を取り戻すべし、といった内容が書かれていた。
「そういうわけだ。他ならぬ大将軍の命、我等も行かねばなるまい」
董州牧――月の父は嘆息する。
併州に関して言えば目立った乱も鎮まり、多少の軍を残せばしばらくは離れても問題はない。
だが、何よりもこの何進の判断そのものに頭を痛めていた。
朝廷がここまで乱れていると知らせてしまえば、諸侯の中に天下を狙う者も出てくるに違いない。
董州牧はここに危惧を抱いたのだが、おそらく何進の事、そこまで考えが回らなかったのであろう。
こうなってしまった以上、諸侯の野望を抑えるためにも出向く必要がでてきた。
「そうですね。我等こそ行くべきと考えます」
状況を知った詠がそう進言する。今の話を聞いて、おそらく董州牧と同じ事を考えるに至ったのであろう。
それに董州牧はうなづいてみせる。
まだ若い彼女だが、その才知はいまや軍の者全てが認めるところであった。
そしてなにより娘の月と姉妹のように育った彼女に寄せる董州牧の期待は大きかった。
「うむ……そこでだ。今回の出征には月、お前も連れて行こうと思う」
思いもよらぬ父の言葉に、月は驚いた。
「私も……ですか?一体どうして……」
「わしの体もまだまだ動かぬわけではないが、そろそろお前も将として立つ時期と思う。
すでに詠も軍師団の一人として幾つも功を立てている事だし、おかしくもなかろう。
何、戦になると決まったわけでもない。これを機にお前を披露目ておくのも良かろうと思ってな」
「へぅ……でも私に将なんて、向いてないと思います……」
「確かにお前は性根の優しい子だ。わしとて出来る事ならお前には普通の娘として生きてもらいたい。
だが世情がそうは許すまい。わしには跡取りはお前しかおらぬのだ」
250 :
4/23:2007/05/21(月) 15:47:55 ID:CFgVpdDh0
跡継ぎは長兄あるいは長姉が取るものというならわしがあった。
もっともそれが確かであれば、帝の後継問題も起こらないはずではあるのだが。
月以外の子どころか血縁の者にも恵まれていなかった董州牧にとって、唯一と言っていい悩みの種であった。
「家臣達も領民達も、皆が納得する方法を取るべきだ。そうして初めて領地も安定しよう。
お前以外の誰を跡継ぎとしても、後の禍根となりうる。
……幸いにして詠という心強い者もいる。必ず、お前の力になるであろうぞ」
董州牧はそう言って詠を見た。詠はそれにうなづいて返し、胸を張って言う。
「月、ボクもそう思うよ。月ならできる。大丈夫、ボクがついてるから」
董家の跡継ぎに関する話題は以前からあり、詠はそのつど董州牧が頭を悩ませているのを見てきた。
そして今回の出征は、月を一人の将として立たせるにはまたとない機会となる。
この機会を逸してしまえば、今後も月は将として立つ事に躊躇してしまうだろう。
そう思った詠はいつもより強い態度で月を説得した。
251 :
5/23:2007/05/21(月) 15:51:55 ID:CFgVpdDh0
夕刻まで説得した末、結局今回は董州牧の後にくっついて動くという形で落ち着いた。
一人の将として軍を率いるわけではないため、跡継ぎとして十分、とはまだまだ言えないが
なにしろ今までは戦場に出たことすらなかった月である。これでも大幅な進歩と言えた。
「ねえ、詠ちゃん。皆の前で何か話さなきゃいけないとかある……?」
「併州軍で主だった将なら月の事は知ってるから、いまさら自己紹介なんてしないと思うよ」
ここは詠の自室。
従軍に同意こそしたものの、未だ不安が残る月の様々な質問に詠は答え続けていた。
「軍全体の指揮は殿がやるし、月も実際に兵を率いるわけじゃないからね。号令ってのもないかな」
もっとも機会があれば月にも経験して欲しいけどね……と心の中で付け加える。
「じゃあ、ホントに御父様と一緒にいるだけでいいの……?」
「そうだね。でも殿や皆がやってることをちゃんと見ておくんだよ。今回はそれが月の仕事」
「怖くない……?」
「大丈夫よ。私も月とずっと一緒にいるし、他の皆だっていつもと変わらないよ」
「そっか……ありがとう詠ちゃん。少し、安心したよ」
胸をなでおろす月を見て、詠もほっと息をつく。
「よかった。明日から準備で忙しくなるから、今日はそろそろ休んだほうがいいよ」
「うん、そうするね。遅くまでありがとう。それじゃ詠ちゃん、おやすみ」
「うん、おやすみ」
そういって部屋を出て行く月を見送った後、詠は自室の机に戻る。
月の件も重要な事だが、それより今回の出征は不安要素が幾つもある。
月を不安がらせることのないよう、何が起こっても対処できるだけの準備をしなくてはならない。
詠は洛陽周辺の地図をひっぱり出し、机に広げて思案を始めた。
252 :
6/23:2007/05/21(月) 15:57:32 ID:CFgVpdDh0
そして併州軍出征の日。
董州牧の号令のもと、十万を数える兵が一斉に洛陽へ移動を始めた。
陣容は董州牧以下、呂布、張遼、華雄などを筆頭にほとんどの将が顔をそろえている。
「へぅ〜。いっぱいいるね」
延々と続く行軍の様子を馬車から眺め、そう漏らす月。
「そうだな。これだけの兵を動員したのは黄巾の乱以来かもしれん」
董州牧が答える。
今回で実際に戦闘があるとすれば、おそらく洛陽の中……それも朝廷の宮中で、と考えられる。
それだけならそう多くの兵は必要ない。宮中は広いといっても入れる人数に限りがあるからだ。
今回はむしろ威圧が目的であり、そのための人数としてこれだけの兵が動員された。
そしてその威圧は宦官達だけでなく、他の諸侯に対しても有効なだけの人数が必要であった。
「それなりの物資、食糧は準備しましたが、いたずらに長引くと心配ではありますね」
そこに詠が大軍出兵の泣き所を指摘する。
「そうだな、すぐに治まってくれるとよいのだが」
「そっか……。兵隊さんのご飯もたくさん必要だね」
月が感心したようにうなづき、それを見て続ける詠。
「食糧だけじゃないよ。今はいいけど、季節も大事。種まきに収穫の季節や雪の振る冬は戦いたくないね」
月には出来る限りの多くの経験をさせてやりたいと、詠は董州牧に言われている。
詠は機会があれば、多くの事を学んでもらうつもりだった。
253 :
支援:2007/05/21(月) 16:11:32 ID:qAymprVD0
254 :
7/23:2007/05/21(月) 16:16:42 ID:CFgVpdDh0
「戦ってなんだかすごく大変なのに、どうして戦なんてするんだろう……」
「皆が皆、月のように優しい者なら戦などなかろう。だが、そうではない者もいるということだな。
戦をけしかける人物がいる……そして、戦のたびに兵達は命を落としてしまうのだと忘れてはならん」
月の疑問に、董州牧が答える。
「戦の理由にも様々だが……大抵は心無き逆賊が世にいることに端を発する。今回もそうだ。
彼らの悪行から罪なき民を守るために、我等は軍を率いて戦うのだ」
こうした疑問も月が語ることは珍しい。それだけ関心を示しているということか、と董州牧は考えた。
「そう思える月ならきっと領民に優しい、慕われる領主になれるよ」
詠は言った。
教える事はまだまだ幾つもある。けれど洛陽につくまでまだまだ時間がある。
まだ時間はあるんだ。
詠はそう思っていた。
蒼天已死、黄夫当立。
その旗を掲げ、十常侍をはじめ腐敗した政治を行う朝廷に反旗を翻した黄巾党。
その勢力は瞬く間に増大し、その力の前に多くの官軍が敗走を余儀なくされた。
だが指導者張角の病死により求心力を失った黄巾党はやがて瓦解し
各地を治める諸侯達により残党は討ち果たされ、乱は一応の終息を見る。
しかし国内に広まっていた朝廷への不信は収まるどころかより根強いものとなっていた。
そしてそこへ起きた、さらなる争乱。
漢王朝の皇帝、霊帝の死に始まる後継者争いである。
霊帝には二人の子があった。
一人は何大后を母に持つ弁皇子といい、もう一人は王美人を母に持つ協皇子といった。
何大后は嫉妬から王美人を毒殺し、協皇子を疎み霊帝の母である董大后に預けた。
後継者を決めていなかった霊帝の死後、十常侍は野心の強い何大后やその兄何進のからむ弁皇子より
協皇子のほうが利用しやすいと考え、協皇子を後継に立てるよう画策を始める。
こうして弁皇子を後継とする何大后と何進派、そして協皇子を後継とする董大后と十常侍派の対立が激化してゆく。
その中で、十常侍による何進暗殺計画が漏れたのがきっかけとなり宦官粛清事件が起こった。
これにより協皇子派は勢力を弱め、また董大后も何進の命により謀殺される。
こうして弁皇子が廃帝として即位することとなった。
しかし協皇子派はこれを覆さんと再び何進の暗殺を目論む。
その動きを感じとった何進は、徹底的に協皇子派を排除すべく各地の有力な諸侯を都に召集したのだった。
256 :
9/23:2007/05/21(月) 16:27:21 ID:CFgVpdDh0
そうして併州軍が洛陽に近づいた頃、すでに宮中では騒動が起こっていた。
諸侯の召集命令を察知した宦官は危機感を抱き、ついに謀略により何進を暗殺したのだった。
何進の側近達はこれに怒り狂い、宦官を粛清せんと宮中へ兵を差し向けた。
十常侍達は宮中で繰り広げられる殺戮から身を守るため、廃帝と協皇子を引き連れ宮外へ逃亡を図った。
だが十常侍は何進派の放った追手に捕まり、全員が処刑されることとなったが
いまだ帝の姿を見たというものはおらず、依然捜索の手は続いていた。
そうした情報を携え、斥候が併州軍の中軍へと戻ってきた。
併州軍は洛陽から数十里離れた所に陣を張っていた。
「……都の様子は、この様でございます」
斥候の報告を聞き終えた軍師団筆頭の李儒が、表情を曇らせる。
李儒は董州牧との若い頃からの友人で、若い頃は恋仲を噂されたこともあるほどの美しい女性だった。
もっとも月と詠の関係と似たようなもので、実際は友人止まりという事だったが。
「なるほど……一足遅かった、ということか。となると宮中は何大后が権力を握った形か」
「乱のあと、宮中の様子はどうだ?」
「ここは帝の捜索に加わるべきだろう」
李儒に続き、軍師団の面々が次々と意見を述べる。
「宮中はその後、ひとまず落ち着いたようでございます。帝については十常侍が捕らえられた周辺を中心に
捜索の手が伸びております。それと、洛陽に他の諸侯は見られませんでした。報告は以上です」
「ご苦労、下がって休みなさい。……そうなると、一番乗りは取ることができたか」
257 :
10/23:2007/05/21(月) 16:39:15 ID:CFgVpdDh0
下がる斥候を見送り、詠が進言する。
「帝捜索には手を回すとして……残りはこのまま洛陽へ進軍ね。城外に待機して様子見ってところかしら」
「そうだな。乱は収まったようだが、これで朝廷の権力の構図がかなり変わった。もう一荒れ来るだろう。
何進も大将軍の器ではなかったが、かといって代わりが務まる人物も今の都にはいない」
李儒がそう続けた。
「だが、妙な話だ。ここまで来て他の諸侯がやってくる噂すらないというのはどういうことだ」
「そうだな。曹操などは、すでに到着していてもおかしくはなかったが」
詠の発言を口火に、今後の動向についての検討が始まった。
そして長い議論の様子を見ていた董州牧が、機を見て口を開く。
「結局のところ、今は帝を保護するのが第一だな。その後については色々と意見があるようだが……。
引き続き洛陽内外の情報を集めるように。軍は城外まで進め、わしはその足で朝廷に向かう」
「はっ」
そうして、董州牧は会議から席を外す。同席していた月もそれに続く。
ぐったりした様子の月を見て、笑いながら董州牧は語りかける。
「はは、さすがに疲れたようだな。今日はこれまでだ。陣屋でゆっくり休むといい」
「へぅ……御父様、おやすみなさい」
月はそう言うとふらふらになって陣屋へ向かった。
その夜、二人の少年が山中に眠っていた。
二人は高貴なみなりをしていたが、その袖は擦り切れ、顔にも疲労が濃く滲んでいた。
彼等こそ、他ならぬ廃帝と協皇子であった。
十常侍の逃亡途中に二人の乗った馬車は暴走し、深い山奥まで来てしまった。
山道を見つけたまではいいが、帝が足を挫いてしまったために動けずにいた。
そこへ、一人の男が通りかかる。
「ふ、やっと見つけましたよ」
男は白い導士服を纏っていた。
数日後、帝発見さるとの報が宮中に届いた。
協皇子ともども無事な様子であり、その報に宮中全ての臣が喜んだ。
だが帝と協皇子の瞳は虚ろに曇り、そしてその異変に気づいた者はいなかったのである。
月達は洛陽の街を散策していた。
帝は保護され朝廷もひとまず落ち着き、危惧していた諸侯も未だ姿もみせずにいた。
そのため月が暇を持て余すこととなり、董州牧のはからいで街に出かけることになったのだった。
「へぅ〜、すごい賑やかです。やっぱり都は違うね、詠ちゃん」
「ホントね。併州もいつかは司隷のように豊かにしてみせるわ……って恋、まだ食べるの?」
「………………………………………………モグモグ」
ふたりの護衛役として恋がつけられたのだったが、いつのまにか食べ物の匂いにつられて
フラフラと歩き回る恋に月と詠がついて行く形になっていた。
「でも詠ちゃん、食べ物もすごくおいしいよ。恋さんが夢中になるのもわかるなぁ」
「う……それはそうだけど。でもこれじゃどっちがお目付け役だかわかんないわよ」
と、溜息をつく詠。その裾をくぃくぃと引っ張る恋。
「また?こんどは何食べるの……って、アレは何かしらね」
恋が指差す先には、人だかりができていた。なにやら激しい音も聞こえてくる。
「喧嘩かな……?でも、みんな楽しそうに見てるけど」
月が言うように、喧嘩にしては取り巻く人々はずいぶんと楽しそうに見ている。
恋に引きずられるように人だかりに入り、三人が目にしたものは。
260 :
12/23:2007/05/21(月) 16:48:07 ID:CFgVpdDh0
大きな化け物のような物体が、逆光のなか全身を躍動させていた。
巨体に似合わず身軽に動くその物体は、腰に薄布を巻いただけの犯罪的な格好であった。
満面の笑みを浮かべ、動きに合わせほとばしる汗が陽光にキラキラと輝く。
不覚にもその一滴が顔にかかった詠は、状況を理解するやいなや昏倒した。
「え、何?……って、詠ちゃん、詠ちゃん!?へぅ〜、しっかりして〜」
周囲の人たちはそれも笑いながら見ている。どうやら随分と慣れているようだ。
ふと見れば誰もよせつけない強さを持っている恋ですら、表情に怯えが見て取れる。
月はこの異常事態の中、懸命に詠に呼びかけた。
「んぬっふぅ〜。今日もいい汗かいたわん。やっぱり美容には運動が一番ね」
そういって体を拭く貂蝉が向かった先には、いまだ意識の戻らない詠を介抱する月と恋がいた。
「それにしても、私の踊りをみて倒れちゃうなんて。ずいぶんとウブなのね」
体をくねらせる貂蝉に、恋は反射的に方天画戟を探す。
「あら、そんな怖い顔することないじゃなぁい。私の繊細な心が、傷ついちゃうわ。ぐすん。
ところで見ない顔ね。最近越してきたのかしらん?」
「いえ、ここへは……ちょっとおでかけにきたんです……」
貂蝉の問いに、月は怯えながらも精一杯の勇気を振り絞ってそう答える。
「あーらそう。ここ洛陽は楽しい都よ。おもいーっきり、楽しんでちょうだい。
ところでその眼鏡の子、まだ起きないのね。なんだかちょっぴり心配。
これも私の魅力のせいだものね。控え室に運んであげるから、そこで少し休むといいわ」
そういって詠を軽々と抱え上げ、連れて行く。
もし今詠が目覚めたら、その光景を見るや二度と目覚めることはないだろう。
月は祈りながら、恋とともに貂蝉についていくしかなかった。
261 :
13/23:2007/05/21(月) 16:51:47 ID:CFgVpdDh0
巨体に似合わずかいがいしく詠の介抱を手伝う貂蝉が口を開く。
「そういえば名乗ってなかったわね。私は貂蝉っていう、しがない踊り子よん」
そう言ってバチン、と片目を閉じる。
その風圧が額の髪を揺らすのを感じ、怯えながら月は名を名乗る。
「へ、へぅ……わ、わたしは董卓で、倒れてるのが賈駆ちゃんです」
「…………………………………………恋は、呂布」
その名を聞いた貂蝉が、少し驚いたように見えた。
「あらあら、こんなお人形さんみたいな可愛い子達になっちゃったのね」
ポツリと漏らすが、それは二人には聞こえない。
「ま何にしても、賈駆ちゃんなかなか起きないわねん。そうだわ。私すこし易もかじってるの。
ようは乙女の感ってやつだけど、どぅふふ。暇だし占ってあげる」
そういうと貂蝉は凄みのある眼差しで月を射すくめる。その威圧にかたかたと震える月。
「……これから、董卓ちゃんには転機が訪れるわね。それも今後の人生を変えてしまうほどの。
それはあまりにも大きな事だから、受け止めるまで時間がかかるかもしれない。
でも例え辛い事があったとしても、その先にきっと輝かしい未来があるわ。
何があってもくじけず、心を強くね。私が言えるのは、このくらいかしら」
そういうと、貂蝉はお守りを取り出した。どこから取り出したかは何故かよくわからなかった。
「これを月ちゃんにあげるわ。古い物だけど、きっと月ちゃんを禍から守ってくれるわん」
そういってお守りを手渡すと、貂蝉は仕事があるからと席を外した。
貂蝉が見えなくなった途端、詠がうっすらと目を開ける。
「詠ちゃん〜、よかった。心配したんだよ」
張り詰めていた心が緩んだのか、泣き出してしまう月。よほど怖かったのだろう。
「なんだか長い悪夢を見ていたようだわ……」
そう言いながら何故か泣いている月をあやす詠。
それを横目に、恋は貂蝉が立ち去った方向を見て、首を傾げながらつぶやいた。
「アイツ、なんで…………………月の真名、知ってた」
支援
長杉('A`)
陣に戻り、恋と分かれた二人は留守中に董州牧が宮中に呼ばれたと李儒から聞いた。
「帝も戻り、宮中は安泰のようなのだが、この期に及んで他の諸侯が一切見られない。
さすがにおかしいのでな、諸侯に向けて密偵を出してみた……するとどうだ。
諸侯は動かなかったどころか、密書についてどうするかといった議論すらなかったと言う。
考えるに、実は密書は我等にむけてのみ送られたのではないだろうか。
すでに何進もおらず、そうであっても今となってはその意図も計り知れないが……」
そこで月を一瞥するとそこで話を切り、李儒は続ける。
「まあ、この先はまた董州牧とも話し合った方がいいだろう。姫も疲れていらっしゃるようだしな」
「そうだね。月、陣に戻って休んでいなよ。何かあったら知らせるからさ」
そういう詠にうなづくと、疲れ果てた様子の月はふらふらと陣に戻っていった。
それを見送ると、詠は李儒の方に振り返る。
「……それってどういうことよ?ボク達は騙されたっていうの?」
「あるいは、な。その思惑が今も生きているのかはわからないが……不可解なことだ。
念のため殿には霞と屈強な護衛をつけている。もっとも騙し討ちならば軍ごと動かさせる必要はないが。
かといって朝廷には併州を空けさせる理由もない。併州を狙う勢力の仕業とも思えぬ」
こうした話題は月に聞かせるにはまだ早いだろう。詠と李儒はそう判断したのだった。
「確かに……妙ではあるけれど、読めないわね。単純にボク達を確実に呼び寄せるのが目的だったという事は?
他の諸侯にも宮中の乱れが知られたと思ったからこそ、今回動いたわけだし」
「それならそれで、正直にそう記せばよいはず。……待てよ、そうできない理由があったか。
あの命を下せるのは何進をおいていない。となれば、これは何進すら騙した上での手口ということになる。
この線は大げさすぎるとは思うが、消せないな。目的も見えんが、ここは注意しておくべきだろう」
「そうね……あるいは、すでに起きた何進の暗殺に利用されたのかもしれない。
何進を油断させて……っと、これはないわね。その必要はないし、返って敵を呼び寄せる悪手だわ」
「失策や悪手の類ならば、こうも心配することはないのだがな……」
ふと見れば、いつのまにか空は重く雲に覆われていた。
265 :
15/23:2007/05/21(月) 17:03:07 ID:CFgVpdDh0
結局、これからどうなるんだろう。
月は天幕をみつめながらぼんやりと考えていた。
疲れてはいるのだが、どうも眠れない。
貂蝉にいわれた易の話や、詠達の話が気になっているのかもしれない。
だがこれももうすぐ終わるだろう。父が帰ってくれば、住み慣れた併州に帰れる。
併州で留守を待つ母の姿を思い出し、急に故郷が懐かしくなってきた。
まだ併州を出発してから、そう日も経ってないのにな……。
そう考えていた時、本陣の方がなにやら騒いでいるのが聞こえた。
なんだろう……?行ってみたほうがいいかな。
月は身支度を整え、陣屋を出た。
すると思いのほか、陣中が慌ただしいのがわかった。
いままではのんびりとしていた兵達が、あわてた様子で武器や馬を用意している。
途端に胸騒ぎがおきた月は、詠達のいた本陣へ走っていった。
266 :
16/23:2007/05/21(月) 17:04:15 ID:CFgVpdDh0
「……!」
「そうだ!指揮系統は将に通達している!慌てるな……」
先ほどとは打って変わって殺気だっている陣の様子に、月は不安を隠せなかった。
こんな時、どうしたらいいんだろう……そうだ、詠ちゃんを探そう。
本陣の奥で軍議が取られるのを知っている月は、そこに詠を探す。
はたして詠は、そこにいた。
だが詠も忙しそうに、やってくる兵達の報告を聞いては次々と指示を飛ばしていた。
詠の邪魔はできない。
そう思い、言葉をかけられずにいると詠が気づいたようだった。
「月!これから忙しくなるから、月はここにいて!」
「詠ちゃん……これ、何がおこってるの?」
その言葉に、詠は少し戸惑った様子を見せたが、続ける。
「ボクもよくわからないけど、いきなり妙な集団が宮中に現れて占拠してしまったらしいの。
殿もまだそこにいるみたい。今軍を動かして、城を包囲してから突入するつもりよ」
話を聞いて、月は愕然とする。
たった今まで、楽しく洛陽の街を見ていたのに。
戦いなんてせずに、これから併州に帰れると思っていたのに。
そこへ、一人の兵が伝令にやってくる。
「李儒様!城の包囲が終了しました!」
どうやら不在の董州牧に代わり、李儒が指揮を取っているようだった。
だが、そんなことも気が動転してしまっている月にはわからなかった。
267 :
支援支援:2007/05/21(月) 17:14:31 ID:s64Wt4H90
268 :
17/23:2007/05/21(月) 17:28:35 ID:CFgVpdDh0
「よし!そのまま包囲を続けろ。手はずどおり、全ての門から同時に突入する。突入部隊の準備を急がせろ!」
敵の正体はわからないが、突然の事に対しても併州軍の動きは見事なものであった。
李儒をはじめ軍師団にも、徐々に余裕がでてきたようだ。
李儒は月の様子に気づき、椅子を用意させるなどの配慮を見せる。
「姫、申し訳御座いませぬ。殿が敵方に捕まってしまったようです。聞いての通り、城は包囲しております。
これより精鋭をもって宮中に突入し、帝と殿をお救いする所存に御座います」
「月はここにいてね。相手はまだ攻撃してきているわけじゃないけど、何かあってはいけないから」
詠がそう続ける。月はただ、うなずくしかなかった。
そこへふたたび伝令が駆けて来る。
「突入部隊、準備終了しました!号令あればいつでも突入できます!」
「よし、これより突撃を開始する!伝令を……」
そこまで言った時、別の伝令がやってくる。
「お待ちください!敵側が正面城壁に人質を……!帝と殿の姿も確認できます!」
その報に、本陣にいた者全てが凍りついた。
「なんだと……!すぐに向かう!突入部隊に支持を待つよう伝えろ!」
そう言い残し、李儒らは城の正面に向かう。
たまらず月もそれについて本陣を飛び出し、それを詠が慌てて追いかける。
「待って、月!危ないから!」
「そんなこと言われたって……おとなしく待ってなんて、いられないよ!」
いつのまにか、雨が降り始めていた。
月達が城の正面につくと、それを待っていたように言葉を投げかけられた。
「もしも逆らうならば彼らの命は保障できませんよ。おとなしく我等に従っていただきたい」
白い導士服を着た男が月達を見下ろしている。
縄に括られ、城壁からぶら下げられている人質達はまるで眠ってでもいるように動かない。
「そちらの要求はなんだ……!」
李儒がたまらず、声を荒げる。
徐々に雨が強まっていく。
「まずは抵抗せず、すみやかに全軍投降してもらいたい。その後、そちらの姫をこちらへ遣していただきます。
その条件を飲んでいただければ、帝や董州牧の命は保障いたしましょう」
「馬鹿な……!そのような条件を飲めというのか!」
一方的な条件である。その上、見返りとしての約束もどうなるかわかったものではない。
だが、それでも帝に領主までも人質にされては、他に術も無かった。
「行きます……私が望みなら、そうします!」
突然月がそう叫んだ。詠も李儒も、その声量に驚いた。
依然強まる雨に負けないよう、精一杯の声を張る。
「わたしが行けば済むのなら……!そちらへ向かいます!だから……人質を引き上げてください!」
それを聞いた男が答える。
「いいでしょう。それでは正門を開きましょう。そこからお入りください」
その言葉どおり正門は開き、人質達も城壁に引き上げられた。
支援
271 :
19/23:2007/05/21(月) 17:45:47 ID:CFgVpdDh0
雨に濡れた月が、城門をくぐる。
それに続いて詠と数人の兵が宮中に入ると、城門は閉ざされた。
詠が月に同伴することを願い出ると、男はあっさりとそれを承諾したのだった。
宮中に入ると、男と似た白装束を纏った者達が乱れることなく整列しているのが見えた。
そして月達が入ってくるやいなや、本宮へ続く道を空ける。
その統率に、人数。これだけの者をどうやって宮中に呼び込んだのか。
詠は恐ろしさを感じていた。
そうして月達が本宮に入ると、そこに先ほどの男と人質達がいた。
「……約束どおり、ここへきました。人質を解放してください。」
月がそう言うのを、詠は驚きながら見つめていた。
月が恐怖を必死に押し殺しているのはわかる。だがそれでも、月がこうして自ら矢面に立つ姿は
紛れもなく董州牧や詠が月に求めていた、あるべき領主の姿だった。
「ふ……、あなたが董卓ですね。あなたをここへ引きずり出すのに、随分と手間をかけてしまいました」
そして何気なく男が放った言葉に、詠は驚愕する。
帝でも、併州でも、董州牧でもない。月が目的だったとは、誰が気づけようか。
「アンタ!月をどうするつもりよ!」
たまらず詠が叫び、男はそれに薄笑いを浮かべて答えた。
「そうですね……私の駒になっていただきたい。そしてこの洛陽の領主として君臨して下さればそれで結構」
返って来た言葉は、詠には到底不可解な返事であった。
その反応をよそに男はおもむろに月に近づいていく。
「すでに帝も、だれもかも私の術中にあります。あなたもそれを受け入れなさい、董卓」
そういうと月に手を伸ばし、一言の呪を発した。
「操」
272 :
20/23:2007/05/21(月) 17:46:41 ID:CFgVpdDh0
途端、男の掌が怪しく輝いたが……それだけだった。
月もなにが起こったのかわからずにいる。男は舌打ちすると
「私の術が通じないとは……どうやら誰かの入れ知恵でもあったようですね。厄介なことです。
腐っても魔王董卓……ということですか。まあ、それならそれで使い古した手段をとるだけですが」
そういうと、指を鳴らす。
それに応じた白装束が、2人の人物を引きずり出す。
それは董州牧と、併州に残されたはずの月の母であった。
「御母様……!どうしてここに!」
しかし月のその問いにも答えることなく、ただその虚ろな眼差しを向けるばかりであった。
董州牧や帝も同様で、まるで人形のようであった。
「一体何をしたの……!」
「それをあなたが知る必要はありません。あなたがすべきは、その才知をもって董卓を守る事」
男は詠に言い放つ。
「そして董卓……あなたは併州軍を率い、この洛陽に留まればそれでいい。董卓の名と、少々の噂。
それだけあれば、本郷一刀を洛陽に呼び寄せることができるでしょう」
そうまで言った時、詠の後ろから人影が飛び出した。
「逆賊め!その首もらった!」
273 :
21/23:2007/05/21(月) 17:52:09 ID:CFgVpdDh0
それは詠とともに月に従っていた者達だった。彼らは男の首を刎ねる機会を窺っていたのだった。
彼らは懐に忍ばせていた短刀で、男に次々と刃を立てた。
しかしそこに手ごたえはなく、男は崩れ落ちたかと思うと導士服だけがそこに残された。
そして見れば帝のそばに、男の姿があった。
「馬鹿な……物の怪の類か!」
「てこずらせますね。まあいいでしょう。少しは見せしめでもないとわかっていただけない様子」
男の言葉の意味を悟った月が叫ぼうとする。
だが、その叫びが声となる前に男が腕を振るい――途端、その場にいた多くの者の首が同時に床に転がった。
男を襲った兵達だけではなく、廃帝そして他の多くの人質達が倒れ伏す。
残っていたのは男と協皇子、月と詠、そして月の両親だけであった。
その惨事に月と詠は身を震わせ、崩れ落ちる。
「わかっていただけましたか。貴方がお望みなら、幾らでも首を差し出してご覧にいれましょう。
帝とて例外ではありません。あなたの行動はすべて、あなたの知る者達の首に繋がっていると思いなさい」
男の言葉をそこまで聞いて、月と詠は意識を失った。
「ふ……仕掛けはこれで良いでしょう。あとは餌を撒き、魚が食いつくのを待つだけ」
瞳に暗い光を宿した男は、そう言うと次なる罠を張り巡らせる為に動き始めた。
その男の名は、干吉といった。
274 :
22/23:2007/05/21(月) 17:56:09 ID:CFgVpdDh0
朝廷が乱れる中、何進は劉協派を排除すべく各地の有力な将を都に召集した。
しかしその動きを見て取った宦官の企てにより何進が暗殺される。
そうした情勢の中、召集された将の一人に、併州牧である董卓があった。
董卓の有する強力な軍事力に目をつけた劉協派の宦官達は、董卓を味方につけることに成功した。
その軍事力を背景に宦官達は狙い通り廃帝から皇帝の位を奪い、劉協を献帝として即位させるも
逆にそれを董卓に利用され、やがて董卓は相国という位に就き朝廷を牛耳ることとなった。
いまや帝の威光も地に落ち、洛陽は董卓の暴政の下まさに地獄となっているという――。
その噂は広く流れ、もはや国にそれを知らぬ者は居ないほどであった。
そしてその暴挙を止めるべく、打倒董卓を旗に掲げ多くの諸侯が立ち上がる。
やがて彼らによる反董卓連合軍が結成され、董卓軍との血で血を洗う戦いが始まることとなる。
洛陽の本宮には、一人の少女が玉座に座っている。
「月は、悪いコだから……仕方ないんです……」
275 :
23/23:2007/05/21(月) 17:57:12 ID:CFgVpdDh0
お終いです。
本スレで月の両親の生存云々を伺っておきながら結局組み込めなかった次第です。
ゲーム内で併州牧という地位でありながら、月がなぜ、どういう経緯で洛陽入りしたのか
全く描かれてなかった期間の一部を妄想してみました。
流れの関係で十分描ききれなかった死伏線や死設定もいくつもありますが
そのへんは紫苑の谷間のように深い優しさでご了承ください。
それとたびたびの支援に感謝。
長いことお付き合いくださり、ありが惇でした。
>>275 長丁場ご苦労様。コンマ差だったけど初っぱなに割り込んでしまって申し訳ない。
いや堪能。イイヨイイヨー。
やっぱりこういうのは妄想が触発されるにゃー。
だが、思わず吹いたムジュンの指摘だけは外せねー。
べ、べつに数少ない俺らの勝利が
逆転して董軍に負けた事になってても
ぜんぜん悔しくなんかないんだからね!!!
≡=−
゚ 。 ,∧黄巾∧ ゚。
゚ ・(゚`Д´゚;)。 チクショオオオオオ!!!
(つ ⊃
ヾ(⌒ノ
` J ≡=−
初っ端の( ´∀`)つ ミSSで読む気五割減させられたことだけが残念。
こういう読み応えたっぷりのも良いな
描ききれなかった死設定もあるって事だが
やっぱり李儒姐さんは死んじゃった設定なのか?
>>275 乙おつー
こういうキャラの背景が書けるのは羨ましいぜ
>>275 本スレで月の両親についてレス返した身としてはちょっと寂しいけどねw
璃々 曰く
「お母さん、私大きくなったらお母さんみたいになるの」
紫苑 曰く
「まあこの子ったら」
璃々 曰く
「お母さんみたいにいい女になれば幸せになれるし」
紫苑 曰く
「うふふ、嬉しい事いってくれるわね」
璃々 曰く
「お母さんみたいに弓が使えれば、おばさんっていわれてもすぐ討てるから」
|\
∧_∧| .》
. . ( ゚ Д ゚|)《 ,,, .∵
. ⊂ | O ≡≡≡》》》───(゚Д゚)─>
. . ノ| .《 (. ,,,,ノ ・∴
. | .》 / />>璃々
>>275 読み応えあったよ、乙乙。
序盤で割り込みあってから名前欄に話数入れてくれるあたり
親切な人だ(w
董州牧がいい味出してるし、李儒をこういう形で生かすとは
まったく思いつかなかったよ。センスあるなぁ。
敢えて言えば、読みやすくなるよう段落を空けてくれればってのと
いっぺんに投下しないで何日かに分けた方が良かったんじゃないか
という事ぐらいかな。
この設定で月両親の結末とか帝や洛陽の人達がどうなったかとかも
補完して頂きたいと言ってみるテスト。
>>275 これはまさにGJ!
かなり長いけどそう感じさせないぐらい一気に読めたよ
何進の乱には袁紹も一枚噛んでたと思ったけど
シリアスなお話だし麗羽さまの出る幕じゃないなこりゃw
長いの投稿したものです
読んでいただけているようでなによりです
改めて読み返すとシメがテキトーですね(ノ∀`)
一応続きも描いて見てはいますが、ダークな流れがずっと続きそうで
↑ほどもメリハリが出せそうにないので完成を見るかどうかはわかりません
投稿した感じでは、かなり支援いただいたとしても長編の場合は制約が厳しそうですね
やはり数日にわけるか、どこかのうpろだを使うかすべきかもですね
自分の場合は一気に投下したかったので勢いでやってしまいました
Basesonからの燃料投下が待ち遠しいですねー
>>285 あんたのおかげで再プレイしたら見方変わったよ。
で、気付いちゃった事があるんだけどさ…
「連合軍に対してウチらで時間は稼ぐ。
人質を【どうにか】してもらわんとアカンけど」
って言って出撃の準備を始める大阪人を見送る詠の決意の台詞が
「月は……月【だけ】はボクが守ってみせるんだから」
だったんだぜ。
何があっても人質のパパンを助けるつもりなら【だけ】とは絶対に
言わんだろうし、どんな方向性で【どうにか】しちゃう決意なんだ
このツン子!
…という血まみれブラッディな縞パン眼鏡娘が想像できて大興奮。
素敵な妄想燃料をありがとうジェントル。
その後の拠点フェイズを全否定しそうな黒ツン子を書いたら怒られるかなw
怒られたっていいじゃないか、どんとこいw
つまんなかったら「つまんない」と言うだけだし、まずはやってみるのが一番かと。
今さらながら ID:CFgVpdDh0 GJ!
ただ気になったのは、「少帝」劉弁をこの時点で「廃帝」としてるところ。
そこだけ気になった。
長いの(ryです
併州ってどういうとこなんですかね?(恋姫的に
司隷の上あたりでしょうか
てっきり董卓は西涼とかの雍州とか涼州が領土だと思い込んでいたので……
馬騰パパや他武将と領土的に絡みがなければ楽なんですが
>>289 >少帝
言われてみれば……失念してました
ネタはなるべく多く積み込みたいとこですが、すると凡ミスが増えるという(;´ω`)
どうもエロ本です。写真ネタ第2.5弾を投下。
終わりには、−終われーをつけるので……
時は彼女等がこの外史に来てから、早3ヶ月。
そこにいたのは、太古の三国世界より、江戸の宝を夢見て追い求めし、三人の黄金に包まれし乙女。そして……
「はぁ……はぁ……何でオレが?」
それに付き合わされる苦労人1人であった。
「姫〜、もう少しで頂上ですよ〜」
「おーっほっほっほ、これで『とくがわのまいぞうきん』とやらは、三国一の名家である、私、袁本初の元という、本来あるべき場所に戻るのですわ!」
「あの〜、伯珪さん……大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃねぇ!」
要点だけ搔い摘んで話そう。彼女たちは、ご存じのとおりの麗羽と猪々子、斗詩の三人組、そして雑用として無理やり付き添わされ、4人分のスコップを始めとする巨大な荷物を公孫賛 伯珪である。
そして、彼女たちはとある山の山頂に向かっていた。その原因はテレビで宝を扱った番組を猪々子が見たことから始まる。
その事を猪々子が麗羽に話せばすぐに宝探しにいくと言い出し、斗詩も付き合わされることになる。しかし、雑用的な人材が欲しかった麗羽はさらに一人の同行を求めたのであった。
そして、その貧乏くじを引いたのが、最近、株取り引きにハマった元魏王に借金を背負わされ、金を借りた先の江東の小覇王とその軍師に東京湾に沈められそうになっていた伯珪であった。
偶々、伯珪に出会った斗詩は今までの不運ぶりを聞いて、追手からの逃亡と同時に一緒に宝を捜し、見つけ次第借金を返す、という提案をしたのだ。そして、伯珪の了承により今現在に至る。
「で、もっと速く出来ませんの?ブサイクな伯珪さん」
「だから……一言……余計だって!」
麗羽達に比べ、伯珪の持っている荷物の量は圧倒的に多い。当然、彼女の歩みも遅いのは道理である。
「やっぱり、少し持ってあげようよ、文ちゃん」
「な〜に言ってんだよ、斗詩。あん位運べなきゃ、わざわざついてきた意味ないだろ?」
「はぁ……はぁ……お前らみたいな馬鹿力と一緒にするなよ」
だが、彼女には他の選択肢はない。
彼女はゆっくりと黄金の3人の後ろで汗をたらしていたのであった。
そして、十分後。某山頂。
「さぁ、着きましたわ!」
「お〜、とーちゃーく」
麗羽と猪々子は高らかに自分たちが登りきったことを宣言する。そんな傍らで、
「あの〜、本当に大丈夫ですか?伯珪さん」
「はぁ……はぁ……死ぬ」
息を切らしている伯珪とそれを心配そうに見ている斗詩がいた。
だが、麗羽そのような事はお構いなしに、
「なら、早速写真を撮りますわよ。不細工な伯珪さん。準備を……」
と、指示をしていたりする。
ちなみに、何故写真を撮るかというと、それもテレビの影響であるらしい。
「はぁ……はぁ……」
そうすると、ツッコミを入れる余裕もないのか、そのまま使い捨てカメラを取り出して
「……じゃあ、撮るぞ」
そのまま無言でシャッターを押した。
数ヶ月後。
「なぁ、公孫賛……ずいぶんやつれてないか?」
「気のせいだ。北郷」
彼女は北郷 一刀の部屋にいた。
「しかし、いつの間にか転校したって聞いてたけど、冥琳達から逃げ回っていて、さらに袁紹達に付き合わされるとはなぁ」
「まぁ、借金が返せたからいいけどさ」
無駄ではなかった。少なくても彼女はそう思いたかったのだ。そうでなければ、あの苦労が報われないのだから。
その苦労を想像して苦笑しながらも、一刀は一つの疑問を覚えていた。
「でも、どこに行ったんだ?」
少なくても、今の話からすると、どうやら行ったのは一か所ではないようなのだ。しかし、その疑問の答えは彼の目の前にあるものが語ってくれていた。
「これを見ればわかるだろ?オレより北郷の方が詳しいと思うしな」
そこにあったのは、400円で買える使い捨てカメラと、それに写った写真が50枚以上並んでいた。
「そうだな、じゃ……」
そう言って、一刀は一枚の写真を取り上げ、絶句した。
「なぁ、公孫賛……」
「なんだ?」
「これ……」
そこは確かに山の上だ。だが、そこにあった看板に彼は絶句したのだ。
写っている麗羽達の後ろには、一面の雪景色。そして、それと不似合いなフランス語、ドイツ語、イタリア語等で『越境禁止』と書かれた看板が立っていた。
「ああ、それな……最初に登った山よりも高くてさ、しかも変な鉄の塊を持った連中が「ふりーず」って言ってくるしさ……まぁ、文醜と顔良がぶっ叩いたら伸びたけど……」
それは、もしかしてどこぞやの国境警備隊なのでは?
その言葉を出すのが怖かったのか、次の写真に目を移す。そこに写っていたのは、日本のものとは思えない森林地帯。
「そこには、面白い魚がいたんだよな。肉片を投げ込んだら数十匹で食らいついてくる魚がいてさ、結局、それから3日ぐらいその魚を焼いて食べたんだよな……」
食ったのかよ!と言えない一刀は、また別の写真に目を移す。
今度は最初と同じ雪景色、だが、後ろには動物園でしか見られないようなクマと飛べない鳥。
また別の写真に目を移せば、鳥取砂丘が地平線まで続いているような光景。
そして、他の写真にも、一言で言えば、日本では決して取れないような写真が大半を占めていた。
「なぁ、公孫賛……」
「何だ?北郷」
「とりあえず……よくやり遂げたな」
彼には、彼女に贈る言葉はそれしかなかったのである。
さて、次回のこの時間は、新番組『いけいけぼくらの袁紹』第一話・ぶらり温泉湯けむりの旅、人類の秘境で幻のカユーマが愛を叫ぶをお送りします。
新たにお宝を探しに行く袁紹一行。しかし、目の前に現れた謎の温泉旅館。こんな人の来ない所で営業が成り立つのか?という疑問を覚えた斗詩はそのまま中に入ると、そこには……
−終われー
今回だけは言い訳をさせてください。本当は写真ネタは3つの軍勢をシリアス仕立てで書くつもりだったんです。
現に、今第3弾(最後)を書いてます。ただ、その最中に袁家でシリアスを書けないか?と思い立って、勢いだけで筆をすすめたら……
結論……少なくても、私は袁家でのシリアスは無理
最近、詠=不幸、ハム=不運、粥=不憫が定着している今日この頃……マジで後悔している……orz
麗羽さまハムに不細工言い過ぎw
思えばあっちでも初っ端から探検隊ネタで始まってたんだったな
そして今度は世界を舞台に……
戻ってこれて良かったねハム。
麗羽様の不細工発言はきっと愛情の裏返し
という訳で、写真ネタ第3弾を投下。トリを飾るのはこの軍勢でございます。
なお、終わりにはー了ーをつけるはず……
彼女にとってはそれが普通の出来事になったのかもしれない。
あの日を境に変わってしまった運命。いつまでの続くと信じていた日常。
その変化は彼女にとってはどうだった?
「で、写真を撮りたいと?」
いつものごとく、騒がしい聖フランチェスカの教室。その日の放課後での詠の一言がそれであった。
「また、唐突やな〜」
隣では、上級生である霞も呆れた顔をして立っていたりする。
彼女たちがこの外史に来てから、早2ヶ月が経ったものの、彼女たちがこの世界の常識になれるのには少しだけ時間がかかっていた。
当然、写真というものの存在も彼女たちにとっては、まだ未知の存在であり、使ったことすらなかったのである。
そして、いちばん驚くべき事は、それを提案した人物が、
「……(コク)」
一番常識知らずの恋であったことだった。
「つーか、呂布ちん。何でそないな事する気になったん?」
恋の事を比較的よく知っている霞みでさえも、思わず聞いてしまいそうな出来事。しかし、その答えは意外にあっけないものである。
「……ご主人さまに聞いた」
「ああ、なるほど……」
要約すれば、一刀が恋に何かを知らず知らずの内に吹き込んでいて、それに恋が興味を持ったというところなのだろう。
「えっと……どういう風に聞いたんです?」
今まで黙っていた月もそれには興味を持ったようで、思わず口を開いている。
「思い出……形……残る」
「へぅ?」
「はっ?」
だが、その回答に月と詠は理解できなかったようで、目を丸くしていたりするが。唯一理解できた人物は霞だけのようだ。
「つまり、思い出を形にして残す、ってことやな?」
「……(コク)」
その霞の代弁ようやく理解できた月と詠。なお、この時に北郷 一刀は額から血を流しているのを発見されたとか、されていないとか。
「で、それでボク達も同じことをしろって言う訳?」
「……(コク)」
恋の無言の頷きは、肯定を何よりも率直に表したものだ。しかし、詠と霞はこの後の色々な用事がある。当然ながら賛成できないと思っていた。そう、彼女の一言があるまでは。
「あの……撮りましょう。皆さん、一緒に……」
月の一言は正に彼女たちにとって勅のようなものだった。
最初に詠が態度をひっくり返したようになり、そして、霞も元董卓軍の軍師である賈文和の説得には勝てずに、結局彼女たちは近くの公園に集まっていた。
「お〜い、賈駆っちはもう少し右や」
「分かってるって!うう、狭い」
「へぅ……詠ちゃん……」
そんな事を言いながら、月、詠、恋は木陰の下に並んでいる。
しかし、そんな少ない人数でも混雑したようになっているのには理由があった。
「て言うか、恋! 何で動物達も連れてくんのよ!」
「……セキト達も一緒」
簡単にいえば、人間以外のセキトは始めとする動物達も一緒に入っていたのである。そのせいで、スペースがかなり狭くなっているのだ。
「だからって、こんなに連れてきて……て痛たっ! つつくな! 焼き鳥にして食べるわよ!」
何故か、詠に至っては小鳥におでこを突かれていたりもする。
「でも、詠ちゃん。恋さんの言うとおり、皆で撮った方がいいと思う……」
隣では、詠と違って動物に懐かれている月がゆっくりと諭している。
「ううう〜、月〜。分かってるから、そんな顔で見ないで〜」
こうかはばつぐんだ。
そんなテロップが出そうな雰囲気を醸し出しながら、詠は涙目に成りながら、鳥におでこをまだ突かれていたりする。
「ほな、撮るで〜」
そんな状況になりながらも、霞はシャッターのスイッチをセットする。
「世に謳われし張文遠の神速、とくと見てみい!」
そう言って自分の位置に走り出す霞。
「……」
いつものように無口でセキト達と一緒にいる恋。
「痛たたたたたた!」
小鳥の恨みでも買ったのか、それともいつもの不幸なのか、でこが赤くなるまで突かれている詠。そして、
「……」
そんな光景を幸せそうに笑っている月。
その4人が揃うと、シャッターは自らの役目を知ったかのように下りた。
それから幾日が経つ。
霞の持っていた一眼レフのカメラは確かに彼女達を鮮明に捉え、彼女‐月の手元の写真に焼き付けていた。
その光景を見ながら、月は微笑を浮かべていた。
「どうしたの?月」
「あっ……詠ちゃん」
隣から、おでこに絆創膏を貼った詠が写真を覗いてくる。
「ううん……ただ、これを見ていて、幸せになったの」
「幸せ?」
「うん」
彼女の言う、幸せ。それは詠がよく知っていることだ。
「皆が笑顔になってる世界……か」
外史云々の話を詠も一通りは聞いていた。だが、結局のところ、ここは一刀の願いが反映さえされた外史だという事しか彼女には分らなかったのだ。
だが、
「ボクは、月が笑っていられれば、それでいい」
それが、詠の結論だった。
月はこの世界で笑っていた。あの洛陽に閉じ込められていた時とは違い、そして、北郷 一刀と暮らしていた時と同じように。
何もなければ、月は田舎で過ごしているはずの時間。それが消えてしまっても、一刀と共にいた彼女は笑っていたように。
霞や恋なども、洛陽の城にいた頃のように、いや、さらに優しく月や詠に接してくれていた。この写真にはそれが如実に表れている。
「これも、あのちんこのおかげか……」
そして、彼女もこっそりと笑みを浮かべていた。それは、詠にとっても喜ばしいことだから。
彼がこの外史に何を願ったのかは分からない。だが、彼の願ったことの一部はこの写真に月が書き込んでいた。
『皆、笑顔の世界で……』
−了ー
こんなFD希望……という事で、写真ネタ3作でした。
ちなみに、カメラも3作+αで全部変えてあります。
最後に……今まで読んでくれてありがとう……orz(←違うけど土下座)
「恵まれない(出番無い)魏の人達に愛の手を」
と言う事で妄想SS(プラン)を
題して「郭嘉参戦」 時系列は一刀軍の魏初侵攻あたりから一次的撤退完了までの中篇で
一刀軍追撃を(張遼が負けた前後から)郭嘉が行うって感じで
オリジナルキャラ(半主役)として題にも出てる『郭嘉』
それに『徐晃』『于禁』『典韋』を(もちろん女性化して)登場
キャラ案はそれぞれ
郭嘉:『おっさんなお姉様』、曹操と対等に話せるほぼ唯一の人
何時も不精で酔っていて、しかもセクハラの常習犯の為、荀ケなどには嫌われている
しかしその実、物事の真理を掴む事に長けた名軍師でもある
イメージキャラは『マリ見ての聖サマ』
徐晃:『委員長な武人』 自分にも部下にも厳しいが本当は優しい為良く慕われている
『負けなければ勝ち』が口癖で博打嫌い
イメージキャラは…丁度良いのがいない為検討中
于禁:『戦闘マシーン』 清廉にして勇猛だが冷酷非情、魏軍勝利の為には手段を選ばない
だがその本質は心優しい少女であり、戦う自分に何時も苦悩している
イメージは『女版ヒイロ・ユイ』
典韋:『ヤクザ』 掟破りの大女 エセ広島弁キャラ 戦を『喧嘩』と勘違いしている
だが義侠心に溢れ涙腺が弱い為「良い話」を聞くとすぐ泣く
その武は許緒以上?
>>303 華雄がいない件
ホントに人類の秘境で叫ぶ幻になったかw
>>303 カメラ連作乙。短いのもさくっと読めていいな。粥不憫過ぎだがw
霞は環境変わっても適応力高そうではあるね
ところで一刀はなんで額から血を流してたんだろう?
>>303 お前の話に俺が泣いた。GJ!
しかし華雄がスルーされてる件については問い詰めざるをえない(w
そしてちんこが額から流血云々のところ、自分も分からないので解説ヨロ。
konozamaでプレリュードブックが5000円で出てたんだが、買った奴いたんだな
そんなに価値あるなら買っときゃよかった
309 :
エロ本:2007/05/30(水) 23:41:27 ID:CNFsLbN40
えー、一応言い訳&解説
1・ちんこの流血云々
人は同じ過ちを繰り返す。
>>112がさらに酷かったのでしょうね……こっぱづかしい台詞を聞かれて……
ちなみに、作者の脳内では、聞かれたのは恋だけじゃなく……あとはご自由にご想像ください。
2・華雄について
詠とは絡ませづらいんですよ……というのは、口実で
>>305が正しいのです。いや、やっぱり華雄だしw
それに、華雄が出てくると、私はギャグに突っ走るしww
大丈夫!その内活躍させるから……多分…おそらく…と、信じたい
今更だが書き込む場所間違ってる俺
>>309 貴様よくも華雄を!・・・まあギャグ化は分かる
ちんこの流血は
>>282みたいな出来事があったんだろうと普通に流してたw
3日以上も書き込みなしというのはさすがにキツイな
皆長文書くのに忙しいんだよ
かく言う私も三国志読み直し中…戦の描写盛り込もうなんて考えるんじゃなかった
それに…まだ『恋姫途中』だし…まずクリアしなきゃいかんな
皆って、スレ覗いてる人が皆長文書いてるわけじゃないでしょw
忙しくて全然書く時間がないとか、もう出し切って電波ネタしか思い浮かばないとかいう人ならここに1人。
というか、謝謝はまだだろうか?新キャラカモン!
いや住人が皆書き手じゃないだろって言いたかったんだけどね。
まぁ……SS職人さんなんて、住人割合だとわずかだからね。
というか、このスレの職人さんって何人残ってるんだろ?
構想ばかりが肥大化して行く…。
>>318 そしてそれを具現化する力は無いと…orz
妄想を自動的に文章化して出してくれる道具を出してよ、ドラえ(ry
職人さんまた外史を投下して下さい
楽しみに待ってま〜す
雑談でもいいから何か書き込まないと終いには落ちそうだな
322 :
名無しさん@初回限定:2007/06/08(金) 17:43:32 ID:t4EPcEuQ0
謝謝無双がはやく着ますよ〜に期待age
7月だってさ>謝謝†無双
このスレは、私達の外史スレはこれでもよく生きながらえたと
思うべきなんだろうか(;_;)
戦闘がしょぼい、ENDがあるキャラが少ない、地雷だお通夜だ
あの頃はそれがあたりまえだったんだよな
今じゃ信じられないあの無秩序さ、まだ半年も経ってないのに
思えば前スレが落ちた時、すでに終わってたんだ
スレはあの時もう死んでいたんだ
(;_; )( ;_;)ぶるぶるっ…
偽れっこないじゃないか
外史スレはまだ厳として存在する!煌々たる光をよみがえらせ生きている!
過去に投下した者です。
なぜ投下しなくなったのか…。
ネタがなくなったってわけじゃないんです。
まだ書くことはできそう。
でも、どうしてですかね。ここに投下するのは躊躇われるようになったんです。
同じく・・・まあ理由は人それぞれでしょうね
自分は見たいといってくれて楽しみにしてくれてた人のみに見せるようにしてます。
たぶんこのスレに投下することはもうないと思います。すみません、、
関羽「去っていく兵は、追っても仕方あるまい」
どうしようもないけど寂しいものよのぅ(ノд`)・゚・。
全く書き上がる気配もないけど、妄……構想くらいはしてる人より
7月の謝謝という援軍がくるまではこの麦城スレを守るのだー
死亡フラグ立ってませんように
同じく過去に・・・
謝謝でネタ補充とモチベが上がれば叩かれ覚悟で投下してやんよ(AAry
326がどうやって「見たいといってくれて楽しみにしてくれてた人のみ」に見せるようにしているのか凄い気になるんだが
ていうか、叩く訳じゃないんだが揃って「このスレに投下することはないけど書ける」と書いてるが一体どうしたいんだ?
もう投下する気も書く気もないと言われれば素直に諦めもつくが、あまり期待を招く発言はしないほうがいいぞ
それとも以前に誰かが言っていた雑談無しのSS投稿専用スレでも立てれればまた投稿してくれるの?
ミクシィかホムペにパスワードでもつけてるんじゃね?
SS投稿するとことかに投下してそこから叩いた奴とか除いたのにだけパスワード教えたとか?
スレだけでなくmixiや自サイトにもうpしてたってことか
でもmixiとか自サイトの掲示板とかって下手に不用意な事書くと消されたり省られたりするし本当に本音なのか疑問なんだけどな
>>329 > 雑談無しのSS投稿専用スレでも立てれれば
それで戻ってきてくれるのなら事は容易いのだがな
言っちゃ悪いが批評と批判をごちゃ混ぜにしてる奴がいる限り
こうなる事は目に見えてた話だよな。
職人さんにしても書く気が無くなった人を追いかけても仕方が無い。
その外史が一つ消えただけだよ・・・。
>>333 良いこと言った。
なるほど、こうして外史は消えていくんだな。
どうせ消えていくのが必然ならば、いっそ壊してしまいたいという左慈の想いもわからんではないな。
…そう考えると、ただ運命に従うだけってのは悔しい気がしてくるな。
でも言っちゃなんだが2chはそういう人がいるのは当たり前で、なくそうと思っていなくなるわけないんだよ。
自分が気を付けても、全員が同じ意思を持ってくれる事なんてありえないんだから。
そういう状況をちゃんと把握できている人、批評であろうが批判であろうが耐性のある人しか2chを続けていくのは難しいよ。
職人であろうとただの住人であろうとね、普通の書き込みでさえ批判されるのが日常茶飯事なんだし。
まあ批判されたくないって気持ちはよくわかるが
万人受けするSS書ける人なんて居ないからな
星占いみたいなもんか。
自分に都合のいい言葉だけ頭に残して、良くない言葉はスルーってのが吉、と。
都合良くなくてもちゃんとした批評ならスルーしちゃ駄目だろ
まあそんなことは職人さんが決めることなんだけど
とりあえず戻ってくることを祈ってよう
ちょっと聞いてくださいよお前さん方。
さっきすごいもの見つけたんだ。
いやね、俺は妄想伝に応募した人間のひとりなんだが、さっきなんとなく送信ボックス開いてみたんだ。
そしたらすごい文があってさ……。
『このメールはまだ配信されていません。』
さて、ちょっとお茶でも飲んでくるよ。
外史で定期的に投稿があるのって専用UP板の絵描きさんくらいだよね
継続するというのはいかに苦労が伴うもので、それを続けていることは称賛に値するな。
SSスレからUP板の絵師達にGJを送りたい。
>>339 アンケなら間に合うけどさすがに作品はもう手遅れだろうw
せっかくだしここでお披露目すればいいじゃないか
342の言やよし!
344 :
339:2007/06/13(水) 14:32:55 ID:4YdQxQmt0
>>342 確かに、せっかく書いたんだしこのままってのも悔しい気がするなぁ。
それじゃ、ちょっと手直しした後お披露目しますか〜。
な、内容はあまり期待しちゃだめなんだからねっ!
外史は消えず
ただ人の数だけ存在し続けるのみ
我々の愛した恋姫達も生き続けるだろう
え〜、流れも読まず小ネタ投下。終わりには〜了〜をつけます。なお、グロ注意(嘘ですよw)
あの魏の降伏から何日が経っただろう?
彼女‐桂花にとって、その日からは正に地獄のような毎日であった。とは、言ったものの、別に拷問を受けている訳でも、捕虜の待遇が某南極条約に批准しないものだとか、そういう理由からではない。
「はぁ……華琳さま……」
その理由とは、ただ彼女の主である、華琳に構ってもらえないからである。そして、その元凶はこの国の主である北郷 一刀である事は自明の理だ。
さらには、春蘭や秋蘭までもが自分の邪魔をしているのである。
「私は……」
正直に言えば、寂しかったのだ。
そんなある日の出来事であった。
「荀ケ様」
唐突に扉をたたく音。そして、そのすぐ後に一人の兵士が入ってくる。元魏の兵らしく、彼女に対しても敬語であった。
「何?」
「曹操様よりお届けものです」
そうすると、彼は一つの箱を彼女の目の前に置く。大体40a程の漆塗りの箱だ。
「これが?」
「はい、曹操様より『きっと、楽しめると思うから』との事です」
そうすると、一礼し兵士は部屋から出ていく。残った桂花はその箱をじっと見ていた。
(華琳様から……)
最近、全然構ってくれなかった華琳が何故この様な物を遣したのだろうか?そう疑問に思いながらも彼女はゆっくりと箱を開ける。
その中身は……空だった。
桂花は驚愕する。
「な……何故?」
何故、華琳は空箱などを遣したのか?その理由が分からないからだ。
「ま……まさか……」
まっ先に考えられるのは、もはや自分に与えるものが無い、すなわち、用済みという事だ。
「か……華琳さま……」
一瞬だけ目の前が真っ暗になるが、先ほどの兵士に言葉を思い出し、再び我に返る。
「そうよ。華琳様は私に楽しい事を下さると言ったのよ?そんなはずが無いじゃない」
そう、これは何かを示しているのだ。
「そう、……クールよ、クールになるのよ、荀文若」
自分に言い聞かせ、思考を最大まで巡らす。
「まさか! これは……」
そして、その結論はすぐに出ていた。
「放 置 プ レ イ!」
そんなあからさまに変な結論だった。
「そうよ! これは私に対する新たなお仕置きなんだわ! だから、最近構って頂けなかったのね。そして、この箱はそれを勘違いさせないために……」
もはや、思考回路がおかしいのではないかと思われるほどの変態ぶりである。
「そういえば……この箱の角って……触っても傷かつかないように少し丸まっているし……それも考えると……ああっ」、華琳様ぁ……」
そうして、彼女はゆっくりとズボンを下ろし……。
以下の光景はR−18であるため削除させていただく。そして、時は流れ……。
「まさか、華琳様が書簡を入れ忘れるとは……」
「入れるように命令されたのは姉上では?」
廊下を歩く春蘭秋蘭の2人組。手には先ほど箱に入れるはずだった書簡がある。どうやら、華琳は春蘭に対して書簡を入れるように指示したのを、彼女がそれを忘れてしまい、今になって届けていく途中らしい。
「まぁ……これで桂花が勘違いをしていなければ良いが……」
そう言って、秋蘭は桂花の部屋の扉を開く。
「なっ!」
しかし、そこにあったのは……血の水たまりと、そこに顔を沈めている桂花の姿だった。
「け、桂花!」
一目散に駆け出し彼女を抱き抱える春蘭。
「はぁ……はぁ……」
「どうした! 桂花!」
だが、彼女の息は途切れ途切れになっており、そして……たった一言だけそれを口にした。
「幸せ……」
「桂花!」
それが彼女‐鼻血により大量出血を起こした桂花のその日最後の言葉であった。
なお、余談ではあるが、この後桂花が心配を掛けたお仕置きで再び笑みを取り戻したらしい。
〜了〜
ちなみに桂花はこんな変態じゃないです。ただ、根っからのMっ子で猫耳でロリっ子なだけなんです!
というか、この題名がかなり久しぶりに感じるのは私だけ?
最後に……馬鹿でごめんね……orz
悪いこともしてないのに謝っちゃダメ
「空の器」や「KOOLになれ」といったネタに事欠かない中、コンパクトにまとめてきたな。
短編を纏め上げる構想力が羨ましいぜ。
俺が書こうとすると必ずだらだらと長くなるから困る。
353 :
339:2007/06/14(木) 05:55:57 ID:4XJJUYrP0
手直し終わったので投下。
一気に全部投稿すると長め?になるかもしれないので、1〜2場面ごとに区切って小出しにします。
上の方に習って最後には〜了〜をつけます。
354 :
339:2007/06/14(木) 05:57:28 ID:4XJJUYrP0
「う〜ん、今日もいい天気だ」
のんびりと街中を歩いているのは散歩というわけじゃないぞ。
警邏の仕事だ……一応な。
まぁ、同伴したのが鈴々だと、こうなるのはわかっていたんだが。
はるか前方ではちびっこ達を追い回している鈴々。
うむ、平和なのはいいことだ。
「おや、太守様。お散歩ですか?」
ふと声の方を見ると、屋台のおじさんがにこにこしながらお辞儀をしていた。
そういえばここの店はいろいろ変なものを売ってたっけ。
「散歩じゃないぞ。警邏の仕事だ」
「ははは、そうでしたか」
「ところで、今日は何か珍しいものある?」
街に出たらここの珍品を見る事にしている。
もっとも、実際に買うことはほぼないのだが。
「そうですなぁ……ああ、これなんてどうでしょう?」
「ん? これは?」
おじさんが手に取ったのは、小さな瓶に入った青色の液体だった。
「はい、これは珍しい入浴剤でして……」
「……ひょっとして催淫作用があるとか?」
「催淫……ですか。そういった効果はございませんが、噂ではこの湯につかった者は体が小さくなるとか。効果時間は一日くらいらしいのですが」
「へぇ……それは珍しいな」
「でしょう? 太守様にはちょうどいいのでは?」
「俺にちょうどいい? どうして?」
355 :
339:2007/06/14(木) 05:58:44 ID:4XJJUYrP0
珍しいのは分ったが、どうして俺にちょうどいいということになるんだ?
「どうしてって……」
そう言うとおじさんは視線を鈴々に向けたまま耳元でとんでもないことを言ってくれた。
「だって太守様。張飛将軍みたいな小さな子が好きなんでしょ? 以前もあのくらいの子を連れてらしたと聞きましたが」
待って。
確かに鈴々のことは嫌いじゃない。
朱里や月、詠のことだってもちろんかわいいと思うが、だからって俺は幼女趣味じゃないぞ?
……本人の前で言ったら拗ねられそうだな。
いや、それはともかくだ。
「ち、違うぞ。それは誤解だ。あれはただ当番の関係で……」
「おや、そうでしたか。じゃあこれは必要ありませんな」
「……いや、まって」
瓶を箱の中に戻そうとするおじさんを止める。
いやね。
使ってみたいじゃないか。
こんな面白そうなものは。
決して幼女趣味ではないぞ?
「お兄ちゃ〜ん!置いてくのだ〜!」
前方を見れば、いつの間にかちびっこ達とのじゃれあいを終わらせた鈴々が退屈そうにしている。
「今行くよ〜! ……それじゃ貰っていくよ、おじさん」
「まいど〜」
片手を軽くあげ挨拶すると、鈴々の方へ走っていった。
「買ったのはいいけど……よく考えるとウソくさい話だよなぁ」
外はすっかり真っ暗。
元の世界にいた頃ならテレビでも見ながらゆっくりしている頃だろう。
政務の合間にそっと引き出しを開けると、あの青い液体の入った瓶が。
「催淫作用がある入浴剤の前例はあるけどさ」
誰もいない静かな自室で呟く。
体が小さくなるなんて、そんなことあるか?
手の中で小瓶を転がすと透き通るような青がわずかに揺れた。
「ご主人様」
入り口からの声と扉をノックする音に意識が引き戻される。
この声は……紫苑かな?
仕事の追加だったら勘弁してほしいところだが。
「いるよ。どうしたの?」
「あ……いえ、お風呂が空きましたのでお知らせに。あとはご主人様と愛紗ちゃんだけですよ?」
願いが通じたのか、紫苑が持ってきたのは仕事関係ではなく、お風呂が空いたという報告だった。
この世界のお風呂に保温機能なんて当然ないから、なるべく短い間に全員が入浴を済ませた方がいい。
あまりバラバラに入ると沸かしなおしの手間や燃料が無駄にかかってしまうというもの。
「分った。すぐ行くよ」
ひとまず手を止めると着替えの準備をする。
もちろん、例の入浴剤も忘れずに持っていく。
愛紗だったら俺の入浴中に入ってくるなんて事はないだろう。
だったら、上がる時に湯船にこの入浴剤を入れておけば……。
さて、俺がこうして風呂場の前を半袖でうろうろしている訳は言うまでもない。
入浴を終えた愛紗が出てくるのを待っているわけだ。
こんな場所で待ち構えてても不自然にならないように、風呂場を出るとき脱衣所に上着だけ置いてきた。
それにしても小さくなる……か。
やっぱり、朱里や鈴々くらいになるのかね。
いや……もしかすると璃々ちゃんくらいだとか?
「おや、ご主人様?」
すっかり別世界へ旅立っていた俺の意識は、背後から呼びかけられることでようやく戻ってきてくれた。
「こんなところで何をしているんです? 先ほどからだいぶ長い間いらっしゃったようですが……」
不思議そうに首をかしげる愛紗はいつもと同じ目の高さ。
まったく縮んでいるようには見えないぞ?
「あー……いや、脱衣所に上着を忘れてね」
「え? ああ、これですね」
白い学生服を受け取り、雑談をしているうちに興奮していた先ほどまでの気持ちが冷めていくのがわかる。
……まぁ、それはそうだよな。
いくらなんでも体が縮むなんてあるわけないじゃないか。
魔法でもあるまいし。
ま、今回はこれでいい勉強だったと言うことにしておこうかな。
「じゃあ愛紗、俺はもう寝るよ」
「はい。おやすみなさい、ご主人様」
「うん、おやすみ」
騙されたはずなのに不思議と悪い気はせず、そのまま部屋に戻ると布団にもぐりこみ目を閉じた。
支援
この状況は・・・
俺達は一体どうすれば・・・・・・
期待
支援
まってるぜ
「……様……ご主人様っ!」
ん〜?
もう少し眠らせてくれ……。
「ご主人様、起きてください!」
「……っ!」
この声は愛紗!?
跳ねるように上体を起こす。
まずい!
このひどく急かされている様子……もしかして、かなり寝過ごしたんじゃないか!?
まだ開ききってない目で入り口を見ると……あれ、誰もいない?
よく見れば窓の外は薄暗く、『暁月夜』なんて言葉で表現するとちょうどいい頃。
「……夢か」
じゃあ、もう一度夢の世界へお邪魔するとしますかね。
頭まで布団の中に潜り込む。
「夢ではありません!起きてください!」
しかし、愛紗の声は聞こえる。
ついでにゆさゆさと体を揺すられるこの感触も実にリアルだ。
仕方なく布団から頭だけ出して横を見ると。
「……おはようございます、ご主人様」
璃々ちゃんを思わせるような小さな子が立っていた。
どこか困ったような表情で俺の顔を覗き込んでいるそのちびっこは、なぜか布団に包まっている。
布団をずるずると引きずりながらここまで歩いてきたのであろうその様子を思い浮かべるとなかなか微笑ましいが……この子だれ?
「えっと……?」
この世界でこんな子に会った記憶があるか?
黒い髪と瞳。
それからポニーテール。
うーん、まるで小型版愛紗みたいだぞ……。
……小型版?
こめかみを嫌な汗がつたう。
「まさか……愛紗?」
「……はい」
小型版という言葉に思い当たる節があった俺はやっとこのちびっこの正体を理解した。
「……つまり、朝起きたら体が小さくなっていたと」
「はい」
一通り愛紗から事情を聞いた限り、俺が使った入浴剤以外怪しいものは何もない。
「……あの薬本物だったんだな」
「薬? 何のことです?」
ベッドにちょこんと腰掛けた愛紗が不思議そうに首をかしげる。
ぬぅ……普段厳しい愛紗とのギャップのせいか、こういった動作がとても可愛らしく見えてしまう。
「いや、なんでもない。……ところで、その布団はなんなんだ?」
「それは……その」
とても話しにくそうに視線を泳がせる愛紗。
「まさか、その布団に隠れて来たとか?」
「いえ、その……服が……服の大きさが合わないものですから」
ああ、なるほど。
確かに、今の体格じゃこれまで来ていた服は着れないな。
「ところで!」
キッと俺を見上げた愛紗が口を開く。
この強烈な威圧感や雰囲気は普段の愛紗と何ら変わりない。
「さりげなく話をすりかえましたね? 薬とは何のことでしょうか?」
「う……」
わかってる。
わかってるさ。
この状態の愛紗に抵抗するのは危険だということくらい。
今の愛紗に抵抗する事は、紫苑をおばさんと呼ぶ事や貂蝉と一夜を共にする事に等しい。
……命に関わる。
「えっと……実は……」
お小言を頂戴するのは覚悟の上。
ゆっくりと口を開いた。
あれからどのくらい経っただろうか。
朝一番から延々と続いたお説教は、なかなか起きてこない俺の様子を見に来た紫苑の仲裁もあってようやく終了し、今日は愛紗と行動を共にする事、一部愛紗の仕事を受け持つ事などを条件になんとか許してもらった。
……で、すっかり机とお友達になっているわけだ。
横の椅子には璃々ちゃんの服に身を包み、指示を飛ばす愛紗。
自分の政務だけでも少なくは無いというのに、愛紗の分まで追加というのはなかなか堪える。
横で愛紗が指示を飛ばし、俺が書簡に書き起こす……と。
とは言え、この形は普段とそれ程変わらないか。
「ではご主人様、警邏に同行願います」
俺が代筆した書簡を確認した愛紗は椅子から飛び降り、てくてくと入り口へ。
まぁ、一日中机に齧りついているよりいいか。
それに口答えでもしようものなら……ね。
「お、きたきた」
部屋の外で出迎えてくれたのは翠だった。
「あれ、翠も警邏か? 確か、今日は当番じゃなかったはずじゃ?」
「そうだけどさ、愛紗に頼まれてね」
「愛紗が?」
視線を落とすと、機嫌の悪そうな顔と目が合う。
「当然です。この体では青龍刀など扱えるはずがないではありませんか」
「なるほど、それで護衛役に翠ね」
それでもついて来ようとするあたりは真面目な愛紗らしい。
「じゃあ、出発しようか」
そうして出発したのはいいが。
いつも通りのペースで歩いていると愛紗が少しずつ離されてゆく。
少し離されると小走りで駆け寄ってくるが、歩き始めるとまた離され……。
このままちび愛紗を眺めているのも悪くは無いがさすがにちょっとかわいそうか。
ゆっくり歩いてもいいけど、自分のせいで全体が遅くなってしまう事を愛紗は良しとしないだろうし……『私に合わせてくれる必要はありません!』なんて言われそうだよなぁ。
足を止めて愛紗にひとつ提案をする。
「愛紗、おんぶしようか?」
>>364 書き込むの早すぎ。
最低でも余裕を持って1分以上空けて書き込まないとすぐに連投規制になるぞ。
あとどういう状況(単なる規制なのか他に理由があるのか)なのか一言くらいコメント頂戴。
支援が意味を成さないのなら俺達は黙って投下されるのを静観するし。
>>350 大変GJ!むしろこんな個別シナリオがけいふぁには欲しかったんだよ
非常に感心しつつワロタ、こういう話大好きだw
>>339もまだ途中だがいい感じだなあwktkしつつ続きを待つ!
ってよく見たら小出しにするって書いてあるな。
じゃあ支援はいらなかったのか。
それならそれで小出しの終了時には終わりって書いとくれい。
368 :
339 :2007/06/15(金) 11:48:30 ID:5vQzlJjM0
昼休みにこっそり参上。
>>365 まずは支援ありがとうございます。
1〜2と書いていましたが、日に3つくらいにすることにしました。(その辺りで規制に引っかかるので)
とりあえず、終了時にはその旨を書き込むことにします。
>>368 おつおつ 続きを待ちますよ
<チラシ裏>
連投規制ってどうなってるのかー?
最速で投下しようとすると2つまでで、3つ目は規制でだめになり
数分ずつはさめば5連投くらいはいけそうだ
5分以内で3連投は規制…みたいな感じかな
ばいばいさるさんは3連投規制を3回くらいくらうとひっかかるっぽい
</チラシ裏>
確か3連投で規制だったかな
建前上、レスの間に2分開ければ大丈夫らしいがそれでも俺は他のSSスレで引っかかりまくった覚えがある
投下中、リアルタイムで見ている人がいたら支援書き込みをしてあげれば連投規制に関してはおkの筈
リアルタイムで見ている人が確実に減っているから問題なのよね。
俺が358=359=365=367だから余計にそう思うw
「な、ななななななな何を!」
「だってさ、ついて来るの大変そうだし」
「だ、だからと言って!」
あ〜あ、始まっちゃったか。
それにしても、二人とも仲いいよなぁ……。
ぼーっと眺める視線の先には楽しそうなご主人様と赤くなっている愛紗。
はぁ〜……いいなぁ。
あれだけはっきりご主人様と話せるのはちょっと羨ましい。
……ちょっとだけだからな。
「翠! お前もご主人様に何か言ってくれ!」
「あたしに振るなよ〜。どっちにしても早く行かないと帰りが遅くなるぞ〜?」
「らしいよ? さ、愛紗」
相変わらずだなぁ、ご主人様は。
「う……ご主人様がそこまでおっしゃるなら、家臣の私は聞かないわけにもいきませんが……」
ご主人様におぶわれ、どこか落ちつかなそうな愛紗を複雑な気持ちで見ながら門を出た。
うらやましくなんか……ないんだからな。
ああもう! なんだよ、この感じ……。
外れてしまいそうなほど頭を振って気持ちを切り替える。
……そう言えば、どうして愛紗は小さくなったんだっけ?
確か、ご主人様が何かしたってのは聞いたんだけど。
「な、なぁご主人様」
「ん?」
「あのさ、どうして愛紗は小さくなったんだ?」
「えっと、それは〜」
「ご主人様のいたずらだ! 変な入浴剤を街で買ってきたとか。まったくもう……」
気まずそうに視線をそらすご主人様の代わりに、背中の愛紗が早口で答える。
入浴剤で……いたずら?
まさか……ご主人様……。
じりじりと距離を取る。
「……翠?」
不思議そうな顔をしているご主人様に早口でまくしたてる。
「入浴剤でいたずらって……ご主人様、愛紗と一緒に風呂に入ったんだな!」
「いっ!? ち、ちがっ……」
この慌て方……やっぱりそうなんだ!
「それから、ま……また、変な事したんだろ!? エロエロ魔人エロエロ魔人エロエロ魔人!!」
「なっ、なななな何を言っているんだ、翠! 私がご主人様と一緒に風呂に入るなど……そんなことがあるはずが無いだろう!」
「えっ……違うのか?」
思わず愛紗の顔を見てしまう。
あれだけ手が早いと言うか節操が無いと言うか……あのご主人様が手を出さないなんて事が?
「そ、そっか。何もなかったんだな。よかっ……じゃなくて、め、珍しいこともあるんだな」
モヤモヤが消えてほっとしたのも束の間、ご主人様の背中でそわそわしている愛紗を見ていると、また胸がチクチクと痛み出す。
いいよなぁ……ご主人様はいっつも愛紗ばっかり構うんだからさ。
しかも、小さくなった愛紗にもべったりなんだもんな。
……まてよ?
あたしだって小さくなればいいんじゃないか?
「あー……それでさ、ご主人様。その入浴剤買ったお店ってどこにあるんだ?」
「ん? ほらちょうどあそこの……」
ご主人様が指差した先には、なるほど小さな露店がある。
う〜ん、ぱっと見た感じそれっぽい物はなさそうだけどなぁ。
ちょっと聞いてみようかな。
あたしだって小さくなれば……。
違うからな。
別に構ってほしいわけじゃないんだからな!
あたしは……そ、そう、小さくなれば仕事休めるからなんだ。
まるで自分に言い聞かせるように心の中で繰り返す。
「翠? いくぞ?」
愛紗の声に顔を上げてみるとご主人様たちはずいぶん前を歩いていた。
あっちゃ〜。
愛紗が目を光らせてるんじゃ露店に寄るなんてできないじゃないか。
その後も抜け出せる機会は無く、そのまま城門へと戻ってきてしまった。
う〜……。
小さくなっても愛紗は変わんないなぁ……。
正直、今日は楽できると思ったのにさ。
ん? あそこにいるのは……。
特徴的な服装の人影に目が留まる。
おおっぴらに上着の前を開け広げたまま、中庭をうろうろ。
いかにも『暇してます』という感じだ。
ご主人様から聞いたところ三食昼寝付き〜なんて言ってたらしいけど、捕虜の自覚あるのかね。
曹操達と言い、この張遼と言い、ここを旅館か何かと勘違いしてるんじゃないか?
まぁ、ご主人様がいいって言うんだから構わないけどさ。
「お、ご主人様に馬超やん。巡回の帰り?」
こちらに気がついたのか足早に近づいてくる。
「お? その背中におんのは……」
同時に、さっとご主人様の背中に顔を隠す愛紗。
「ん? 愛紗なにやって……」
「あ〜い〜しゃ〜!!」
あ〜……言い終わる前に目の前をすごい速さで張遼が飛んでった。
そういえば、張遼は愛紗が好きだとか言う噂がみんなの間で流れてたっけ。
曹操たちじゃあるまいし、まさかとは思ってたんだけど……。
振り向けば、良くわからない声で叫んでいるちびっこが一名。
ひどく興奮した様子でちび愛紗をもみくちゃにしてる人が一名。
どうすればいいのかわからず、立ち尽くしている人が一名。
もう解散していいのかなぁ。
……あ。
今なら抜け出せるんじゃないか?
相変わらず愛紗は張遼のおもちゃになっている。
張遼……いい仕事してるっ!
ご主人様の目を盗みあたしは城門を飛び出た。
〜今日はここまで〜
一応支援
「この辺りのはずだけど……」
さっきご主人様に教えてもらった露店は確かこの辺りだったはず。
露店だから、もうほかの場所に行ってしまったのかもしれないけど。
弱ったなぁ……。
キョロキョロと周囲を見回していると、警邏中に見かけたおじさんの露店が目に付いた。
あった!!
よ〜し、入浴剤っと。
「いらっしゃいませ。……おや、これは馬超将軍ではありませんか」
こちらが声をかけるよりも早く、おじさんはこちらに気がついたようだ。
軽く挨拶を交わしつつ並んでいる商品を見渡す。
やっぱり薬っぽい物なんて見当たらないけど……。
おじさんの露店には小物が半分、あとは……何に使うかよくわからない物が半分。
これは聞いてみるしかないか〜。
「あ、あのさ、おじさん。何か珍しい物ないかな?」
「はぁ、珍しい物……ですか?」
「うん……例えば、入浴剤とか」
「入浴剤ですか。でしたら……」
おじさんは手元に置いてあった箱を開けると中から小瓶に入った緑色の液体を取り出した。
「そういえば、先日太守様も入浴剤をお買い上げになっておられましたが……」
「……っ!! じゃあ、それなんだな!? その……身長が変わるって言う……」
「身長が……? え、ええ、そうですね。ですがこれは……」
「買った!!」
「あ、あの馬超将軍。この入浴剤はですね……」
分かってるさ。
身長が小さくなるんだろ?
「分かってる。頼むから、何も聞かないでくれよ」
小さくなりたい理由なんて言えるはずないじゃないか。
「はぁ、分かってらっしゃるのでしたら」
「悪いな。助かったよ」
おじさんにお金を渡すと小瓶を大事にしまいこむ。
鈴々あたりに見つかっちまったら、面倒だからな。
少し日が陰ってきた空の下、小走りに城へと急いだ。
「……様、ご主人様」
「……んあ?」
ぼんやりとした頭で半分開いた目。
この時の俺の顔がとても愉快なものであったろう事は、容易に想像できる。
「あ、起きていただけましたね。おはようございます」
「あ……おはよう」
俺を起こしに来た女性の顔を眺めること数秒。
「あの……」
「なんでしょう、ご主人様」
「えっと……君は誰だったっけ?」
まだ頭が完全に目覚めてないからだろうか。
侍女にこんな人いたっけ?
もちろん、城中の侍女を覚えているわけじゃないが、身の回りの世話をしてくれる人の顔と名前くらいは覚えているつもりだ。
身長は愛紗と同じくらいだろうか。
綺麗なショートの金髪に赤紫の瞳。
スタイルもなかなかバランスが取れていて……って、それはいいとして。
こんな綺麗な人なら忘れるはずないんだけど……でも、この人の雰囲気は絶対知っている。
どこかで会った事はあるはずだ。
「ふふふ。お分かりになりませんか?」
必死に頭の中の引き出しを捜索している俺に、女性は楽しそうに微笑みかける。
「う〜ん、降参。誰だったっけ?」
分からないなんて言ったら怒られそうなものだと思っていたが、目の前の女性はこの状況を楽しんでいるように見える。
「仕方がないですね〜。私は……」
「ご主人様!」
女性が答えを口にする前に部屋に飛び込んできたのは、昨日までちびっこだった愛紗。
なるほど、一日で効果が切れるらしく元の大きさに戻ってる。
「知らない声が聞こえるからおかしいと思って来てみれば……誰ですか、その娘は!」
『誰ですか!』なんて言われても……こっちが聞きたかったくらいなのに……。
「えっと……わからない」
「わからない? 素性も知れぬ娘を連れ込んでこんな朝っぱらから何をしているのです!?」
「何って……」
「どうせまた変なことをしていたんでしょう!」
文字通り顔を真っ赤にして怒っている愛紗。
顔が赤いのは怒っている事だけが原因のようには思えないが、それはいいとしてだ。
……今回は何もしてないよな?
よくわからない娘を連れ込んだ覚えはないし、変なことをした記憶もない。
「ご主人様……?」
背筋が冷たくなるような声に顔を上げてみると、じっとりとねめつける顔がひとつ。
その後ろで問題の女性が見るからに慌てている。
「は、はわわ、愛紗さん私は……」
え、その口癖は……。
って、それより!
次の行動がなんとなく予想できてしまい、必死に愛紗を押さえ込む。
「貴公、どういうつもりで私の真名を……っ、ご、ご主人様!? いきなり抱きつくなど、ふざけてらっしゃるのですか!」
予想通りというかなんというか。
いつぞやの華琳達との出来事が頭をよぎったよ……。
「落ち着けって愛紗、あれは朱里だよ。……だよな?」
『はわわ』なんて口癖を持つ人物なんて記憶の中に1人しかいない。
「……はい。お騒がせしちゃったみたいで……」
ごめんなさい、と俯く朱里。
やっぱりか。
しかし、これだけ外見が違うと普通わからないよなぁ。
かわいい女の子から綺麗な女性になった感じだ。
声も少し大人っぽくなっている気がする。
でも、どうしていきなりこんな変化が?
「あ、いや、朱里だったのか。悪かった。それにしても、その姿は……?」
「わかりません。朝起きたらこの姿に……」
女性の正体が朱里だと分かり、すまなそうにしていた愛紗の動きがぴたっと止まる。
「朝……起きたら?」
「はい。あの……愛紗さん、何か心当たりがありますか?」
「……ある。ですよね? ご主人様?」
うわ、目が笑ってない。
ゆ〜っくりとした動きで振り返える愛紗。
「ご主人様。あまり反省してらっしゃらないようですね?」
「ちょ、ちょっと待て。今回の事は本当に知らないぞ!? あ、愛紗さん? 部屋の中で青龍刀なんて振り回すと危ないかなぁ……なんて」
じりじりとにじり寄ってくる愛紗。
こんなのと向き合わなければならない敵兵に同情してしまう。
「問答無用です!」
〜今日はここまで〜
一刀とばっちりか……カワイソス(つД`)
とはいえ、日頃の行いだから仕方ねーな
「ちょ、ちょっと待った!」
さすがに黙っておけなくなり、あたしは部屋に飛び込んだ。
「翠? どうかしたのか?」
「翠さん?」
振り上げたままの青龍刀をぴたりと止めたまま振り向く愛紗と、おろおろしている感じの朱里、それと言葉も出せずに小さくなっているご主人様。
とりあえずご主人様は無事みたいだな。
「あ……のさ、今回の事はあたしが……その、やったんだ」
「今回のこと? ひょっとして朱里のことか?」
ゆっくりと青龍刀を下ろしこちらに向き直る愛紗。
「その……悪い」
がばっと頭を下げる。
言葉が見つからないのか、愛紗も朱里もご主人様も黙ったまま。
「翠が自分から頭を下げに来るとは珍しいな。しかし、どうしてこのような事を?」
しばらくの沈黙の後、愛紗が口を開いた。
「それは……」
小さくなれば構ってもらえると思った……なんて言えないよなぁ。
しかも、薬の効果が予想外のものだったなんて。
今思えば、店のおじさんの説明を全然聞いてなかったしな。
「ふぅ……では、罰として翠には今日の警邏に加わってもらう。……よろしいでしょうかご主人様」
あれ?
いつものようにお説教が始まるかと思ったけど、意外とあっさり終わったぞ?
ご主人様が了承するのを確認すると、部屋を出て行こうとする愛紗。
そして、あたしとすれ違う前に一言。
「ご主人様の警護頼んだぞ」
そう呟いた愛紗の顔はとても優しく見えた。
「それにしても、結局どうして翠はあんな入浴剤使ったんだ?」
あれからご主人様とあたしの二人で警護のため街にやってきていた。
「身長がもっと欲しかったのか? 今のままで十分だと思うけどな」
「ち、ちがうって」
そんな理由じゃないんだよ。
あれ? でも、あたしの背が大きくならなかったのはどうしてだ?
「あっ」
目に留まったのは例のおじさんの露店。
そういえば、昨日もここで露店を開いてたっけ。
「おや、これは太守様に馬超将軍ではありませんか」
あたし達に気がついたおじさんはぺこりと頭を下げる。
「見たところ入浴剤は効かなかったようですね」
「どういうことだ?」
おじさんの近くへ駆け寄ったあたしに、一番聞きたかった事を小声で口にしてくれる。
「あの入浴剤は背が低い者にしか効かぬのです。逆に、太守様がお買い上げになった入浴剤は背が低い者には効果がないのですが」
「うぅ〜……そういうことだったのかぁ〜」
「はぁ、ですからお止めしようと思ったのですが」
「ま、わかったよ。ありがとな」
それだけ答えるとご主人様と警邏を再開する。
やっぱりあれかな。
薬の効果なんかに頼っちゃいけないんだ。
入浴剤の効果はなくても、こうしてご主人様と二人きりになれたんだ。
ちょっとだけ頑張ればあたしだって愛紗達みたいにご主人様と普通に付き合う事だってできるはずさ。
まぁ、今日二人きりになれたのは、出発前に警邏担当だった鈴々が愛紗に呼び出されたって言うのもあるけど。
「さ、ご主人様いくぞ」
急ぐふりをして手を引っ張る。
今はまだこんな形じゃないと手も握れないけど……さ。
あたしだって愛紗たちには負けないからな。
よく晴れた昼下がり。
街の喧騒が抜けるような青空へどこまでも響いていた。
383 :
339 :2007/06/17(日) 05:44:25 ID:BYKdR0Nk0
これで一応終了です。
長いことお付き合いいただきありがとうございました。
それにしてもアレですね。
改めて読み直すと、いろいろ付け加えてみたくなったり、訂正してみたくなったり、イマイチ盛り上がりに欠けるなぁとか思ってみたり・・・。
まだまだ修行不足ですね@@;
とりあえず、謝謝に採用された作品を楽しみに待ちつつ、気が向いたらまた投稿してみようかななんて思っています。
最後に、支援・感想ありがとうございました。
>>339 おつおつ
愛紗ルートかと思いきや翠ルートだったw
>>339 GJ 楽しく読ませてもらった
こうして投下してくれる人がいるとモチベが上がる
>>339 なんというGJ
翠好きとしてはたまらん外史だったよ
>>339 お疲れ様です
大人な華琳は見てみたいな
夢で愛紗と華琳が中身が入れ替わったのは見たんで
俺自身は一刀になってて
政務中に扉が開いて
愛紗「一刀」
華琳「ご主人様」
ここで「?」ってなって
話を聴くと華琳が階段で落ちそうになったのを愛紗が助けようとして巻きぞいに
そいで入れ替わったと
愛紗の極S、華琳のドMがとっても良かったゾ
>339
GGGJ!
翠は可愛いですなぁ・・・
更なる怪しげな入浴剤は出ないものか(w
392 :
339:2007/06/18(月) 22:42:23 ID:Ab68sseL0
再び参上。
また感想が増えてる!
ありがたやありがたや…。
>>391 さらに怪しげな入浴剤〜ですか。
実は、当初この外史には3つ目の入浴剤が出るはずだったんです。
春蘭か華琳あたりを対象にして。
結局、締め切りの関係で削除になったんですけどね…(−−;
と言うことで、書きかけで放置している没案を見直して最後まで書けそうなのを探しています。
ネタの神様が降臨してこないものか…。
393 :
名無しさん@初回限定:2007/06/19(火) 15:17:49 ID:xkFtviKu0
以前SS投下した時は
こんなに沢山の行数を書き込めなかった
なにか特別な操作があるの?
>>393 行数が少なくても文字数制限で引っ掛かってる場合もあるぞ
特別な操作なんてないし仕様もずっと同じだ
395 :
名無しさん@初回限定:2007/06/19(火) 15:54:19 ID:uA1T2UEv0
396 :
1-1/4:2007/06/19(火) 18:40:27 ID:KVcrGjUH0
「ん、あそこにいるのは……」
政務の息抜きという名目で訪れた中庭に茶色のポニーテールを見つけた。
考え事でもしているのか、階段に腰掛けたままで、こちらに気がついた様子も無い。
うん、息抜きの相手にはちょうどいいか。
本当はこっそり近づいて脅かしてやりたいところだが、うちの優秀な家臣の皆さんは勘がいいのか、誰にやっても気づかれてしまう。
まぁ、うちの家臣に限らず、春蘭や秋蘭、思春達だって同じなんだけどね。
と言うわけで、この楽しみは朱里や璃々ちゃん限定となっているわけだ。
「お〜い、翠〜」
「はぁ〜……」
ありゃ?
「お〜い??」
「はぁ……」
うーむ、おかしい。
いや、返事が溜息であるということよりも、溜息が聞こえる距離になっても翠がこちらに気づいてなさそうということがだ。
紫苑あたりなら気がつかない振りをしてくれていると考えられるけど、翠がそんなことするかな?
ゆ〜っくりと翠の正面に回り込んで……。
「お〜い?」
「ん……って、うわぁ! ご、ご主人様!?」
突然目の前に現れた顔に驚いたのか、ひっくり返りそうなほど仰け反る翠。
うむ、いい反応をする。
と言うか、本当に気付いてなかったのか。
397 :
1-2/4:2007/06/19(火) 18:41:13 ID:KVcrGjUH0
「で、どうかしたの? 何か考え事?」
「ん……別に何も考えてないよ」
ふいっと顔をそらす翠。
「本当に? 俺が近づいてた事にも気がついてなかったみたいだけど?」
「なんでもないって言ってるだろ……」
うーん、なんだか今日の翠は元気が無い。
会話中なのにぼーっとした感じで……。
……ああ、もしかして。
おもむろに翠の額に手を当てる。
「やっぱり。熱あるじゃないか」
「このくらい……何でもないよ」
そういえば朱里は以前、風邪をひいた俺の顔を『愛紗さんにイタズラを見つかったときの鈴々ちゃんと翠ちゃんみたい』と例えたが、なるほど言い得て妙だ。
今の翠は、星にメンマの盗み食いがバレたあの時を再現しているかのようだ。
「よっと」
階段に腰掛けたままの翠の首元と膝に両腕を差し込み持ち上げる。
いわゆるお姫様だっこなわけなんだけど。
「わっ! なにするんだよ! 放せったら!!」
びっくりしたのか、お姫様は腕の中でジタバタと暴れておられる。
しかし、やはり力が入っておらず抵抗はすぐお終いとなった。
とりあえず俺の部屋が近いから連れて行く事にした。
398 :
2/4:2007/06/19(火) 18:43:38 ID:KVcrGjUH0
「まったく……具合が悪いならそう言えばいいのに。倒れたりしたら大変だぞ?」
「だって……」
誰もいない廊下では俺の足音と翠の小さな声以外は何も聞こえない。
「だって、私はこのくらいしか役に立たないから」
「はい?」
「愛紗も星も紫苑も……みんな戦いでも政務でも役に立ってるだろ? 朱里だってそうさ。政務はもちろん戦いの時は軍師の仕事をしっかりこなせる。でも、私は政務じゃ役に立てない。見回りくらいしか……」
鈴々は出てこないのな……なんて、冗談が言える雰囲気じゃないか。
「だから無理して見回りをしようとしてた訳か」
「いいじゃないか。あたしだってご主人様の……」
だんだんと小さくなっていく翠の言葉は扉を開く音に遮られよく聞き取れなかった。
半開きだった扉を足で器用に開けると、そのまま布団へと向かう。
「それじゃ、朱里に薬をお願いしてくるから休んでて」
「あ……」
「ん? どうかした?」
そっと布団の上に翠をおろし部屋を出ようとしたが、なにやら用がある様子。
「しばらく……側にいてくれないかな……」
ああ、なるほど。
確かに、風邪ひいたときに一人ぼっちっていうのはちょっとさびしい気がするかも。
「分かったよ」
布団の横に椅子を移動させ腰掛ける。
辛そうな、しかし、嬉しそうな翠の顔を眺めていたからだろうか。
一刀は全く気がついていなかった。
扉の向こうに人がいたことを。
支援
400 :
3-1/4:2007/06/19(火) 19:52:55 ID:KVcrGjUH0
「お兄ちゃ〜〜ん!!」
それは翠が寝てしまった後、朱里に風邪薬の調合をお願いした帰りの廊下でのこと。
土煙が見えそうな勢いで廊下の向こうから走ってきたチビっ子が目の前でぴたりと止まる。
あれだけ走ってきたにもかかわらず息が乱れた様子もなく、下から見上げるその目は何かを期待しているかのようにも見える。
「どうかした? 鈴々」
「頭が痛いのだ!」
にっこりと笑顔を振りまきながら口にしたその言葉は、笑顔で話すようなものじゃない気がするんだが。
「う〜ん……頭の薬が欲しいのだ……」
頭の……薬?
一瞬、『鈴々は勉強が苦手なことを密かに、かつ真剣に悩んでいるんじゃ?』などと考えてしまった。
「あ……ああ、頭痛薬ね。じゃあ、朱里にお願いしてみようか。薬のことは俺じゃよくわからないし」
「え〜っ……お兄ちゃんに診て欲しいのだ〜。きっと風邪なのだ」
診て欲しい、なんて言われてもなぁ。
俺は医者じゃないし、何よりも目の前のチビっ子はすこぶる元気そうに見えるんだけど。
「えっと……」
「こら!鈴々!」
どうしたものかと考えていた俺の元へやってきたのは、愛紗だった。
訓練帰りだったのか、手には青龍刀が握られている。
「まったく……お前はまたご主人様を困らせて……。それだけ元気なのに風邪であるはずが無いだろう!」
「う〜……」
遠慮なく言い切ると、そのままお説教モードへと移行する。
「仮病を使って仕事を休もうとでも思ったのか? いいか鈴々。私たちはだな……」
「う〜!愛紗のばか!」
しばらく唸っていた鈴々だったが、突然頬を膨らませ走り去っていった。
なんだ、元気じゃないか。
よかったよかった。
401 :
3-2/4:2007/06/19(火) 19:53:51 ID:KVcrGjUH0
「あ、こら鈴々! ……まったく、後でキツく言っておく必要がありますね」
「あ……ああ、程ほどにね」
考えてみれば、自分も政務を放置しているわけで。
「ところで、ご主人様」
「は、はい?」
どうやって違う話に持っていこうかと考えていると、こちらに向き直った愛紗がコホンと咳払いをひとつ。
……ひょっとして政務のことがバレた?
「じ、実は朝から咳が出るんですが」
「へ?」
まったく予想外の告白に間抜けな声が漏れてしまった。
「え……っと、ね、熱もあるような……無いような……そんな気がします」
なるほど、愛紗の顔は少し赤い気がする。
というか、そんな状態で訓練やってたのか?
「あー……風邪かもしれないね。流行ってるのかなぁ? じゃあ朱里に……」
「い、いえ! 朱里にお願いするほどの事では! え、えっと……朱里はきっと忙しいでしょうし」
その言い方だと、まるで俺が暇人のように聞こえるじゃないか。
……否定はしないけど。
「でも、俺は医者じゃないからちゃんとした人に診てもらった方がいいと思うよ?」
「で、ですが、ご主人様は天界の方ですから……あっ!」
ひどく慌てた様子の愛紗。
振り返ってみると、後ろからやってきているのは我らがお医者様こと朱里だった。
「あ、ちょうどよかった。実は愛紗が……」
「用事を思い出しました。失礼しますっ!」
言い終わる前にすごい速さで走り去る愛紗。
「元気じゃないか」
小首をかしげる朱里の横でそんな言葉が漏れた。
〜支援感謝です〜
402 :
4/4 終了:2007/06/19(火) 19:59:56 ID:KVcrGjUH0
「そんなことがあったんだよ」
「あらあら……」
次の日、よく晴れた中庭で紫苑と雑談に花を咲かせていた。
昨日はあの後、何があったのか知らないが、やけに機嫌の悪い愛紗との訓練につき合わされひどい目にあった。
何があったんだろう。
……ああ、そう言えば鈴々に説教するって言ってたっけ。
じゃあ、そのせいだな。
「それは……病気ですね」
先日の鈴々や愛紗の話を聞いた紫苑は少し考えた後、そう答えた。
「えっ、紫苑にはわかるんだ?」
「ええ、わたくしも女ですから」
「へぇ……」
なるほど、女性特有の病気だったって訳ね。
それじゃ俺にはわからないよなぁ。
「鈴々も愛紗も大丈夫かな? 一応仕事はこなせているみたいだけど」
「今は大丈夫ではないでしょうか。ですが、油断はできませんよ? ひどくなると仕事も手につきませんから」
そういえば、昨日の翠はだいぶ辛そうだったなぁ。
確かにあれじゃ仕事はできないよな。
「うん。確かにそうだね。気をつけないと」
「……あら?」
納得して頷いた俺を見る紫苑の顔は『意外』とでも言いたそうな顔だった。
「あ、そろそろ政務にもどるよ。あまり長く休んでると、また愛紗に怒られるからね」
「はい、頑張ってくださいね」
「あ、そうだ。その病気の名前って分かるかな? 薬とかあればいいんだけど……」
仕事もできなくなるような病気が城内で流行るのはさすがにまずい。
仮にもここの主としては対策を立てておきたいところだ。
「えっと……調べておきますね」
そう答えた紫苑の表情は、どこか困ったような、呆れたような複雑な表情だった。
遠くに離れてゆく主の背中をしばらく見つめる紫苑。
もう、言葉は届かないだろう距離で小さく病名と薬の名を告げる。
「恋の病の特効薬は『ご主人様』なんですけどね……」
朝起きたらこんなネタが浮かんだので書きかけの物にくっつけて投稿。
前回と比べ短めだったので一気に投稿してみたものの、思ったより長かったかも。
やっぱり小出しにすればよかったかもしれない・・・反省。
勢いで書いたので、チェックはしたけどいろいろおかしいところあるかも。
支援ありがとうございました〜。
なかなかいいね、しかし愛紗……舌の根も乾かぬうちにw
おそらく盗み聞きして噂を広めたのは星だな
まず人にやらせて上手くいきそうだったら自分も
とか考えて影から覗いていたに違いないw
乙です
愛紗の性格が良く出てるGJ
はわわってそんなに人気あるのか
抱き枕になったりセンスやら
次はきっとはわわの四輪車が
人気はともかくとして、恋姫キャラの中での知名度はダントツだと思う
俺の友人も恋姫は知らなかったが、はわわは知ってた
「はわわ!ご主人様、敵が来ちゃいました!」
はもはや孔明の代名詞。
「はわわ」って元々は春恋のソーニャのじゃなかったけか言ってたのは
人, ジャーン
__f´  ̄、`ヽ て
{`ァr===ヾ__,ノ
く'/l!i从从リリ! / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ}メ(l "(フノ'リ < は、はわわ、ご主人様、過疎っちゃいました!
(´(.´r‐iソつつ \___________________
. `) し'/Wヽ
.ル'じ'フ~´ ジャーン
過疎など知らん、突貫するのみだ止めてくれるな!
本編終了後の真END後想定で外史を始める。
愛紗シナリオのような気もしたが、後半はそんなことはなかったぜ……!
うおオオオオオ投下するぞオオオオオオオ
三国志を舞台にした一つの外史が崩壊し、また新しい外史が作り出されてから一ヶ月。
リアル浦島太郎を引き連れてきてしまった時はどうなるか心配したものだったけど、とりあえず大きな問題も起こっていない。
貂蝉の話の通り、かなりご都合主義がまかり通った世界らしい。戸籍とか。
「……一刀?」
「何だろう、愛紗」
「さっきから何を一人でブツブツと言っておられるのです。周りから不審に思われてしまいますよ?」
隣の愛紗からジト目で見られて周りを見渡すと、思い思いに時間を過ごす学生達が見えた。
そうだよな、誰も気にしてないよな。よし。
でも、次からは気をつけることにしよう。
「それとも、私が何かお気に障るようなことを致しましたか。…それならば、どうか遠慮せずに――」
「ちょっ……違う、違うってば愛紗! 愛紗はよくやってくれてるよ。ちょっと考え事をしてたんだ」
僅かに顔を伏せる愛紗に慌ててフォローすると、それならばいいのですが、といつもの表情に戻る。
この世界に来たころ(本人にとっては)失敗続きだったせいか、時々こういう事に敏感に反応することがある。
もともとこんなところはあったんだけど。
一刀と呼び方を変えるだけでも、かなり苦労してたからなぁ……。
できれば俺に対する敬語も直るといいんだけど、完全に染み付いているようなので、とりあえず強制しない事にした。
習慣というのは恐ろしい。
「ここにきてから、そろそろ一ヶ月だろ? なんだかんだ、みんな馴染んだよなぁって思ってさ」
「…はい。最初のうちこそ戸惑いましたが、私達もこの世界の一員ですから」
結局、みんなどこにいても性根たくましいという事なんだろう。
「鈴々なんか、もう覚えきれないくらい友達を作ってるしなぁ」
「あやつにとっては、環境の違いなど壁にはならないのでしょう。…確か、華琳も何か…始めると言っていた気がしますが」
「ああ、株か。この前言ってたな、そういえば」
…身近な幸福のためにも、華琳が投資した会社の重役が逮捕されないことを祈る。
「あの調子で少しは勉学の方も励んでくれると、姉としては言う事もないのですが」
「はは…まあ、朱里も強制されて身につくものじゃないって言ってただろ?……っと」
「む」
そんな事を話しているうちに、予鈴が響いてきた。
話してると早いなぁ。
「…なんて暢気にしてる場合でもないか。愛紗、急ごう」
「はい!……ひゃっ?!」
スタートダッシュを切って、慌ててフライングでスタート地点に戻る。
そこでは、愛紗がその場で地面にへたり込んでいた。
「す、すみません! 少し、気が抜けていまして……」
「いやいやいやいや、謝るのはいいから。それより大丈夫か? 怪我はないか?」
「は、はい……もちろん、…大丈夫です」
見たところ、目立った傷もないし……とりあえず大丈夫か。
でも、どうしてこんなところで転んだりなんかしたんだ?
愛紗は確かにどこかうっかりなところはあるが、それはこういう時に発揮されるうっかりじゃない。
どちらかといえば、こういう時に発揮してくれるのは朱里か詠だ。
「それよりも、早く行きましょう一刀。このままでは遅れてしまいます」
「…いや、ちょっと待ってくれ。愛紗」
何ですか――と聞こえるが早いか、俺は愛紗の額に手を伸ばした。しかしあたらなかった
「…い、いきなり……な、なんですか一刀!」
「ちょっと額を出してもらえないかな、愛紗。調べたい事があるんだけど」
「……! だ、駄目です!」
駄目ときた。これはやはり怪しい。
愛紗が怒らずに、うろたえているのが何よりの証拠だ。
「…愛紗」
「う……。そ、その…違うのです一刀。今のは、近寄らないでとか、そういうのではなく! ただ、その――」
その時、視線が一瞬おぼつかなくなったと同時に――愛紗の体が傾いだ。
「…! 愛紗っ!」
「ご主人…様……」
周りの生徒の目も気にせず、俺は弱弱しい愛紗の体を抱きかかえた。
「…五月病だね」
保健室の外で、俺はその言葉を聞いた。
目の前には、噂通り大人とは信じられないくらい幼児体型の教員。
驚くところだろうが、外史で鍛えられたのだ。さすが俺、この程度ならなんともないぜ。
「五月病って、あのやる気が出ないっていう……?」
「正しくは、環境に適応できないことによって起こる抑鬱、無気力なんかだね。適応できなくても症状が出るかは、人によって違うんだけど……ざっと診てみた限りでも、応対してみた結果でもそうだと思うよ」
「でも、それであんな酷い状態になるものなんですか?」
「無気力や焦りが眠りを妨げたり、疲労感を誘ったりして体調を崩すことは十分にある。…彼女の場合は、特に症状がひどいみたいだけどね」
愛紗は運ばれてきてすぐにベッドに寝かされた。
俺が覚えているのは、目が覚めた愛紗が始終申し訳なさそうな顔をしていた事だけだ。
「彼女は転入生だからね。……まあ、その辺りの事はきっと君の方が詳しいと思うけど」
「…はい」
詮索はしない、と暗に込められた言葉がありがたい。
…正直、かなりショックだった。
愛紗は確かに苦労してはいたけど、凛とした瞳といつも通りの笑顔を見せてくれていたから。
……一ヶ月。馴染んだと思っていた生活。倒れる寸前の、ご主人様という言葉がまだ響いている。
他のみんなもそうだけど、愛紗は特にあの世界では使命を信じて精力的に尽くしてきた。
ひょっとしたら俺は、愛紗に大変な無理をさせてきたんじゃないだろうか?
愛紗が人一倍誰かに、俺に、弱みを見せたがらないって事はよく知っていたはずなのに。
……俺は愛紗をどれだけ頑張らせてしまったんだろう?
「とにかく、他の可能性も調べてはみるけど。体調の様子を見ながら、気分転換させてあげるといい」
「…わかりました。……あれ?」
先生が?マークを浮かべると同時に、突然遠くから何かの音がし始めた。
一体何だ?
「うぉおい! 愛紗がぶっ倒れて寝込んだって、ホント……うわっ?!」
「どわっ?!」
突然廊下の角から現れた翠が見えたと思ったら、俺は吹っ飛ばされた。
「あたたたた……っておい、一刀? あ、あちゃー……」
「翠。急ぐのは分からんでもないが、床に伏す人間をもう一人増やしてどうするつもりだ?」
「い、いやぁー…悪い悪い、なにせ急いでたもんだからさ。な?」
「にゃははー。廊下を全速力で走ったせいなのだ」
「なんだと鈴々、お前だって全速力で走ってたじゃんか! あたしより遅かったから、あたしの方がぶつかっただけだろ!」
「鈴々は走ってたんじゃなくて、早歩きだったもんねー!」
「あんな早歩きがあるか!」
「ええい、いいから二人とも今は静かにしろ。何のために授業を抜け出したのだ?」
星に戒められると、二人は大人しくなる。
…相変わらず元気だなぁ。
「して、一刀? 愛紗が倒れたと聞きましたが、一体どういう事なのです?」
「それは……」
俺はここまで聞いたことと、愛紗がきっと無理をしてたんだろうという事を話した。
「あんなに傍にいたのに、俺は気付いてやることができなかったんだな……」
「…それは違うよ、お兄ちゃん。鈴々だって気付かなかったのだ。きっとお姉ちゃんは、そうさせないようにしていたんだと思うのだ」
「鈴々の言う事が正しいでしょう。一刀や鈴々がこれまで気付かなかったのは、それだけ愛紗の隠し方が巧妙だったという事です」
「愛紗って、そこらへん融通がきかないところがあるからなぁ」
他人に事情を話すと、頭の中をぐるぐると巡っていた厭な霧が、それだけで少しは晴れた気がした。
…そうだな。とにかく、俺が今落ち込んでいる場合じゃないか。
苦しんでいるのは俺じゃなくて、愛紗なんだから。
「しかし、事情がそれでは…気を晴らしてやるとはいっても難しいでしょうな」
「お姉ちゃんのことだから、きっと他人に心配をかけるだけで嫌がると思うのだ」
「だよなぁ……」
精神的な要員が大きいというのが、事態をもっとややこしくしている。
愛紗は心配されているのに身体が思うように動かないというだけで、自分で自分を潰しかねない。
「…とにかく今は授業に戻ろう。愛紗に余計な心配をさせるのも、まずいだろうから」
「そーだなー……じゃ、せめて愛紗の分のノートでも取ってやるとすっか」
「翠、不慣れなことはやめておけ。ノートを見た愛紗が卒倒しかねん」
「なんだと星、そりゃどういう意味だ!」
「翠の汚い字じゃ、無理もないのだ」
「だからお前が言うな鈴々っ!」
…とりあえず、ノートは朱里にでも取ってもらうことにしようか。
417 :
呉の支援射撃:2007/06/24(日) 01:06:32 ID:gX6Q7Jod0
誰かの調子が悪くなると、きっと俺の調子もどこかおかしくなるんだろう。
これほど集中できないのも久しぶりだ。
とはいえ俺もそれなりに太守をやったせいか、そこまで周りに気付かれることもなかった。
目敏い周喩に気付かれてそれとなくグサリと言われたりはしたけど。
…もうあっという間に放課後だ。
様子見の大役を仰せつかった俺は、保健室の扉を開ける。
と、それに気付いた先生が軽く人差し指を唇に当てて、軽く微笑んだ。
なるほど。
できる限りの忍び足で備え付けのカーテンを開けると、滅多にお目にかかれない愛紗の寝顔があった。
というか、初めての気もする。愛紗は昼寝しないし、部屋に入る機会も滅多にないからな。
ほとんど布団や服が乱れてないあたり、愛紗は寝相もいいんだな。
少しだけこちら側に傾いた顔は、普段見せてくれる表情とはまた違うものだった。
安らかで、同時に…なんだか、とても――
「……? …かず……と?」
「…あ、……悪い、起こしたかな?」
「…はい……いえ、お気になさらず」
反射的に飛び起きようとする愛紗の手を握ると、意図を察したのか枕に頭をつけてくれた。
「授業はもう終わったよ。愛紗のノートは朱里に取ってもらってるから心配しなくていい」
「ありがとうございます」
「…俺が心配しなくてもいいっていうのも、どうかと思うけどな」
「ふふ、そうですね」
二人でしばらくの間、笑う。そういう元気はまだあるみたいだな。
笑いが止まると、愛紗はふと視線を移していた。
「…あれは? 先ほど起きた時は、なかった気がしますが」
台の上、花瓶に差してある花。
「あれか。…恋が取ってきたんだよ。最初は食べれば治る?って聞いてたんだけどな。それは治った後にしようって言ったら、昼の間にどこからかさ」
誰からそんな事を教わったんだろう。
とにかく、恋が愛紗のためにお気に入りの花を取ってきたんだろうというのは間違いない。
「そうですか……恋が」
「ちなみに花瓶は蓮華と小蓮と、思春が持ってきてくれたんだぞ」
本人は語らなかったが、蓮華の様子からして思春も入れて間違いはないだろう。…多分。
「…ありがとうございます」
「いや、俺は何もやってないぞ?」
「いえ、一刀はこうして側にいてくれましたから。…もちろん、同じくらい朱里や恋や…皆にも、感謝しています」
普段のはっきりした声とは違うけど…きっと、本心だっただろう。
こんなにか細くて、崩れ落ちてしまいそうな愛紗は初めて見たかもしれない。
離れていく足音を遠くに聞きながら、ふう、と息を吐いて力が抜ける愛紗の手を優しく握る。
「…無理をおしている自覚はなかったのですが…こうなって分かる事も、あるものですね」
普通の人にとって無理をするという事を、ずっと愛紗は繰り返してきたんだろうけど。
その度に押し退けてきたのが愛紗の強さでもあるんだろう。
「不思議ですね。今、私はとても楽になった気分です。…たった今、倒れた直後だというのに」
「それが悩みを共有するってことだよ。それを聞いたら、みんなも喜ぶんじゃないかな」
「…そうですね。どうやら、私の考えすぎだったようです」
もっとも、多少の悩みなら愛紗は自分で切り開いてしまうだけの能力は持っているし、事実そうしてきた。
ただ、今回は――
「…少し、弱音を吐いても宜しいでしょうか」
「ああ…聞かせてくれ」
それが弱った愛紗にとって、少しでも捌け口になるならそれは嬉しいことだ。
俺が答えると、愛紗はふっと笑ってくれた。
「私の使命と呼べるべきものは、たった一つの大きなものでした」
「…戦乱で苦しむ誰かを助けること。その為にも俺を、広大な地を治める主にすること」
「その通りです」
……そうか。
「ご主人様や貂蝉の言葉を疑ったわけではありません。…私達が望む限り、あの世界は続くのでしょう。ですが」
顔が僅かに曇るのを俺は見逃すことができなかった。
「この世界に来てから、違和感を時々感じたのです。…まるで半身を失ってしまったかのような。加えて、この世界に上手く馴染めなかった私は――」
ごくりと何かを飲み込む音は近くから。自分だったのか、愛紗だったのか。
「――何のために、この世界に来たのだろうかと」
元気に暮らす民達こそが、向こうの世界で愛紗を支えていたものの大きな一つだった。
もちろん俺や、鈴々や、他のみんなも勿論そういう部分はあっただろうけど、こと愛紗は割合が大きいんだろう。
時に、彼女自身の大きな暴走や変調を引き起こすほどの。
…お世辞にも良い方法でなく別れをする事になった結果が、愛紗を環境に耐えられなくしたのか。
「それは、愛紗自身が見つけないと」
でも、俺は代わりを作ることはできない。
「愛紗が苦しむ人々を救おうと決めたようにね。愛紗は天の御使いに会ってからも、いや会ってからなおさら自分の意思で護ろうとしてたはずだ」
「…はい」
「やらなきゃならない事はなくても、愛紗にやれる事はきっとあるし、必要とされていると思う。それを探す手伝いを、俺にもさせて欲しい」
きっと変われるはずだ。
単純に目的をすり替えなかった愛紗は、それだけ自分の中のことを真剣に考えていたってことだから。
「とりあえず、俺は愛紗がいなくちゃ困る。しっかり者がいないとな。…もう俺は太守じゃないけど、いてくれるかな?」
「は、はい! もちろんですとも。…勿体ないお言葉です」
「…もう太守じゃないってば」
勿体ないなんて、そんなものはいらないのにと、苦笑がこぼれる。
でも、そんな言葉を聞くのもひどく久しぶりな気がして安心した。
「いえ。私自身が嬉しかったからこそ、そう言ったのです。…この身に持て余します」
そう言って、本当に屈託なく明るく笑ってくれた。
……ああ、なんだか愛紗がひどく可愛いと思える。
「…まあ、愛紗のことだから無理はするなとは言わないけど、少しでも話し掛けてくれよ」
「そうします。…どうも少し、内向的になっていたようです。頼りにさせていただきます」
「うん。それに、個人的には嬉しいんだよ。愛紗の役に立てることがあるって分かるだけでも、俺は嬉しいんだから」
いつも世話になりっぱなしだものな。
貸し借りでつけるとしたら、俺は一体どれぐらいの不良債権を抱えてるかわかったもんじゃない。
「それは私としても光栄ですが、…一刀、それは私だけですか?」
…ジト目で見られても、はっはっはと乾いた笑いをするしかない。
「……いえ、できればみんなの役に立てればいいなあ、とか思ってます」
「…ふふ、ご心配なく。今はそんなことで拗ねたりはしませんよ」
どうやら俺は力になれるみたいだ。
今はっていうのが気になるけど、とりあえず忘れておこう。
「一刀」
ん? と改めて愛紗を見ると、少しだけ瞳がとろんとしてきているのが分かった。
「その……今日は、お忙しいですか」
「いや、特には片付けなきゃならない事はないよ。おかげさまで」
課題や宿題は、常に注意されていたり、一緒にやろうとみんなが持ち込んでくるので自然と早く片付く。
でもみんな熱心だからなあ。
昔の経験で今は教えることの方が多いけど、いつ逆になり始めることやら。
実際に一部の科目は朱里や詠に助けられることが多くなってきた。
「では、その……」
もごもごと動かす口は見ていてほのぼのするのだけど、肝心の言葉が出てこない。
まあ、きっとそういう事だろう。
「大丈夫。愛紗がまだ落ち着くまでは、ちゃんとここにいるから」
もう一度強く、できるだけ優しく手を握る。
「…はい。ありがとうございます」
愛紗の顔が綻ぶのが、俺も嬉しかった。
暫くしているうちに愛紗はうとうとと眠り込んでしまって、結局寮に帰るのは遅くになった。
…みんなを待たせていたのをすっかり忘れていて、後日俺が一人ずつ色々と奢ることになったのは愛紗には内緒の話。
これぐらい、みんなの笑顔のためなら安いもんだ。
めぐみTake
著しく体調を崩した愛紗は、熱やら何やらを出して結局倒れた翌日から学校を休んでいる。
まあ、働き者なんだしこの際しっかり療養するのはいいことだ。
交代で愛紗を看てくれるみんなの配慮もあって、愛紗はそれなりに休みを受け入れてくれているようだし。
…ちなみに俺も、ほとんど毎日様子をうかがってたりする。
さすがにダメかと思ったが、事情を話すと女子寮の管理人がかなりアバウトに通してくれた。
助かるけど、それでいいのか?
そんなこんなで、愛紗が倒れてから六日。愛紗が倒れたのが火曜日だから、今日は日曜。
まあ、もともと何処か問題がなければ愛紗の体力は凄いものだから。
日に日に順調に回復して、今もかなり元気だ。
この際だからと全快するまで休みを取ることになっているが、明日にも全快するような勢いである。
…もっとも、まだ愛紗の問題が全部解決したわけではないけれど。
それはともかくとして、俺が今どこにいるかと言えば――
「おーい一刀、早くこっちに来いよ!」
周りの目も気にせずに、ぶんぶん振られる手は全部で四つ。
ああ、もう慣れたよ好奇の視線とか、他にも色々な意味で注目される視線とか。
「お兄ちゃんが遅いせいで、バスが一本行っちゃったのだ!」
「翠も鈴々も早すぎるんだって。逃げやしないんだから、そんなに慌てなくても」
まだ日も昇ったばかりなのに。
「そんなこと言ってると、あっという間に夜になっちゃうのだ」
「それに、遠出っつったらこう、気分がばばーんって感じになるだろ? 本当は始発でも良かったんだぞ」
一番乗りをこんなところでも適用しないでくれ、お願いだから。
「…まあ、時間が過ぎるのが早く感じるっていうのは分かるけどな」
「そうなのだ。鈴々もこのまえ街に行った時は、あっという間に日が沈んでたんだのだ」
まだまだみんなにとっては新鮮だからなぁ。
「愛紗の全快祝いの準備もしなくちゃならないからな。時間はいくらあっても足りないよ」
そう、それが今日、街でやることの一つの大きな目的でもあった。
確かに土日を挟めたのは幸運だったな。
「大丈夫だよ、ちゃんと余裕を持ってあるんだから。…っと、バスが来たぞ」
「お、思ったより早かったなぁ」
しかしまあ、初めて乗用車を見た時のみんなの反応といったらなかった。
それぞれ違う反応ではあったけど。
「さて、乗る……って、おいどうした翠?」
違和感を感じて後ろを振り向くと、いざ乗ろうという時に何故かためらう翠。
「翠?」
「……財布、忘れちまった」
……マジかよ。
「お兄ちゃん……」
「鈴々、お前もか!」
ううう、と揃って申し訳なさそうな顔をする二人。
「悪い、一刀! 走って取ってくるから、さき行っててくれ、すぐ追いつく!」
そう言うが早いか、鈴々と一緒に人智を超えた速さで走っていってしまった。
まあ実際追いついてきてしまうだろう。
「…先に乗ってるか」
時間が足りないって言ってたし、きっと俺だけでも先に行った方がいいだろう。
…そう思ってる時期が私にもありました。
「何でこんなことになるかな……」
かろうじて隣の客に聞こえるかなあ、程度の声で思わずつぶやいてしまう。
いいじゃないか、俺だってこんな芸風を覚えたつもりはない。
「そのまま真っ直ぐいけ! 止まるんじゃねぇぞ! 妙なこと考えたら分かってんだろうなコラ!」
…俺だって覆面被った人間が銃で運転手を脅していなければ、こんな風にはなりません。
翠や鈴々は、このバスを見つけてくれているのだろうか。
そういえば、あの二人がバスのルートを正確に追ってこれるかということは考えてなかった。
いや、ある意味見つけてくれないほうがいい気もするんだけど。
……何か、色々と平和的に。
見た感じ典型的な悪党だが、持ってるものがものだから迂闊に手は出せない。
出さなくても、きっと成り行きで悪いことにはならないだろう。
もちろん、俺にやれることはするつもりだけど。
ほとんどカカシだったとはいえ、多少は場慣れしてるもんな。
そう思って、とりあえず俺は隣のおばあちゃんを励ますことにした。
はためくカーテン、跳ね上げられた毛布、そしてスイッチの入ったままのテレビ。
「はいはい、起きてるー? …って、ちょっと居ないじゃないのよ! 窓が開いてるし! まさか…」
「…待って、詠ちゃん……。このニュース、見て……」
「…なるほどね。あのち○こ魔人、つくづく人に迷惑をかけてくれるんだから」
昼前の平和な空気は、突如として街を巻き込んだ大事件に飲み込まれた。
街に突入し、交通規制を無視して走り続けたバスはしかし、結局じりじりと追い詰められる。
今は街の一角で完全に停止し、周りをものものしい数の人間に取り囲まれることになった。
「あっちゃー……まずいなぁ。よりによって、一刀が乗ってるとは……」
その野次馬に混ざった、誰がどう見ても不自然な一団。
「…っていうか、お前らまでこんなところにいたのかよ」
「それはこちらの台詞だ。久しく街に出たというのに、この騒ぎ……まったく」
「落ち着け、姉者。……季衣もいがむな。今はそれどころではあるまい」
子供二人に、女性が三人。大別すればそうなるだろう。
しかし、明らかに普通でない雰囲気を纏っていた。いい意味でも悪い意味でも。
「あーもう、じれったいな、くそっ!」
「突撃してお兄ちゃんを助けちゃダメなのか?」
「どういう行動に出るか分からない以上、得策ではないな。勢い余って指を引くだけで取り返しのつかない事になる」
「中の人がどうなってるか分かれば、やりようもあるのになぁ」
うずうずと、今にもはずみで動き出してしまいそうな四人と、何とかなだめる一人。
「そもそも北郷がだらしないのが悪い! 私が中にいるなら、一瞬で片はついているものを…!」
「…おい夏侯惇、どうでもいいから足揺するなよ。落ち着きがないぞお前」
「なんだと!」
「……姉者、落ち着け」
「私は別に心配などしていない!」
「そんなことまで言ってねぇっての……」
そして、さらに春蘭がいきり立ち、以下省略。
いかんせん、この面子で静かにしていろという方に無理がある。
「とにかく、ここは成り行きを見守るしかあるまい。迂闊に動いてくれるなよ」
「うぅ……秋蘭さま、ボクこういうの苦手ですよぉ」
「鈴々だって嫌いなのだ。人質を取るなんて、ヒキョー者にもほどがあるのだ!」
「しかも、よりによって一刀がなぁ……」
話題ループ。
しかし、そこにひょっこりと――また彼女達とは別の尋常でない雰囲気が現れた。
「……ご主人様?」
「お前は……呂布!」
「あれ?……恋じゃないか」
「何だよ、珍しいな恋がこんなところにいるなんて。いつもは街の中なんて来ないじゃないか」
「…騒がしいから、来た」
ある程度やり取りができる翠や鈴々に対して、魏組の三人は脇で様子を見ているだけである。
彼女と(本当になっているかどうかは定かではないが)親密になるには、もう少しきっかけが必要なのだろう。
「セキトは?」
「……セキトは、あっちで……おるすばん」
そういって彼女は指で方向だけを指し示した。
「……ご主人様」
「そうそう、お兄ちゃんがあの中で悪いやつに捕まってしまったのだ! だから、みんなで相談してるんだよ」
「……ご主人様が?」
あまりにも低音で、緊張感を伴わない声を出しながら、恋はほんの暫くの間動かなかった。
…だから、鈴々以外の全員がその事態に気付くのが遅れた。
「……ってバカ、鈴々! 正直に言ってどうす――うわっ?!」
「ひゃあ!」
一瞬で翠の横を抜け、足元の季衣を弾き飛ばして、秋蘭の掴みかかろうとする手を避けて、恋がはじけた。
カモシカという比喩が生ぬるい強靭な足と、見た目にそぐわない肉体が人垣を突進し、飛び越える。
「くっ……待て呂布、貴様ッ!」
「あ、待ってくださいよ春蘭さまぁ〜!」
「あーくそ、やっぱりこうなったっ! 鈴々、あたしらも行くぞ!」
「…仕方あるまいな」
「ちくしょう……何でこうなった……ちくしょう……」
早くも試合は負けムード。7回で10点差以上がついてるとか、そんな感じだろう。
このまま行けば間違いなく捕まるだろうが、心配なのは追い詰めてしまうことだ。
監視しやすいように二箇所にまとめてあるおかげで、撃たれれば多くの人が巻き添えになりかねない。
刺激はできればあまり与えないで欲しいなと思うのだが……。
…それにしても外がちょっと騒がしい……って、あれ? 何か近づいて来……
がしゃどがああああああんっ!すたっ!
「ご主人様!」
「って、うおををををををををををををいっ?!」
気付いてから飛び込んでくるまで、まさに一瞬。
恋がいかなる手段を用いてか、窓枠ごと跳び蹴りで叩き壊して中に入ってきた!
いや、いかなる手段っていうか蹴りだけど、っていうか蹴り? 本当に蹴り?
「……」
「な、なんだてめぇはあああっ!」
こちらを見たのも一瞬のこと、恋はすぐに正面の犯人に向かって臨戦態勢。
どうやら画戟は持ってきてないみたいだけど、徒手空拳で構える姿だけで分かる。
勝てないだろこんなの。
「……ぐへえっ!」
「……弱い」
うん。『絶対に勝てない』んだ。すまない。
三度のメシよりっていうし、謝って許してもらおうとも思っていない。
……でもきっと、更正するのにその経験は役に立つ思うよ?
「……ご主人様」
しっぽがあったらきっとぱたぱたと振っていることだろう。
うん。良かった。良かったけど、俺達が固まってなかったら窓枠で誰か怪我してたかもな。
「……って、うおっ?!」
「「「「「「わああああああああああっ!」」」」」」
目の前の脅威がなくなったからか、誰か一人が席を立った瞬間に全員が弾けたように走り出した。
唯一の出口である扉へ。
……ひょっとしたら、犯人より恋の方が怖いと思ったせいかもしれないけれど。
「…ご主人様、こっち」
「……っとと」
俺の体を引っ張るのは、座席と座席の前後の間に入った恋だろう。
すとんというよりは、ふにゃんといった擬音が正しい感じで抱きかかえられ、そのまま――
「おわっ?!」
跳んだ恋は、俺の体を抱えたままなんなく着地する。
俺の足がちゃんと地面をとらえたのを確認してから恋は俺を放して、あらためて俺の方を見た。
「……恋は、ご主人様を助けた?」
「ん……ああ、そうだな。助かったよ。ありがとう、恋」
満足そうに笑っていた。
ほどなくして全員の乗客と運転手が逃げ出したんだろうか、反対側で歓声が聞こえた。
それと同時に、バスの窓からなんだかほとんどへろへろの男が顔を出す。
……ぞっとするほど黒光りする銃を握り締めて。
しまった、すっかり忘れてた……! しかも恋に対して後ろ側!
「危ない!」
「……ぐあっ!」
思わず恋を庇ったが、思わず声を出したつもりはない。
改めて目を開けてバスの方を見ると、手元をおさえて呻く犯人と、バスの外に落ちた拳銃が見えた。
「…これでいいんだろう? 北郷殿」
「秋蘭か! …助かったよ。ありがとう」
拳銃だけ弾き落とすという神業だが、きっと狙ってやってくれたんだろう。
「なに、当然のことだ。…だが、そろそろ離したほうが良さそうだぞ」
「……ご主人様、ちょっと苦しい」
「あ、ああ……ごめんごめん、恋」
ちょっとだけ嬉しそうに見えたのは目の錯覚じゃないと思いたい。
「むー、結局おいしいとこを恋が全部持っていっちゃったのだ」
「あたしたちは骨折り損のくたびれもうけだもんなぁ」
「はは……まあ、何事もなかったから良いだろ? みんなにはあらためて、後で何かおごるよ」
「うわ、奢りですって春蘭さま! 兄ちゃん、さすが太っ腹!」
「…まあ、そういう事なら今回のことは水に流してやらんでもない」
「……(じゅる)」
しまった……! 今ここにいる大食い比率を忘れて思わずいつも通りの対応をしてしまった。
やばい、せめてどうにか限定をつけて言い包めなければ。
この前も奢ったばかりだというのに、これじゃカップ麺生活になってしまう。
「……あれ、なあ一刀? …あれ、ひょっとしてまずくないか……?」
「何だ翠、言っておくが食べ放題ってわけじゃないぞ……って、『あれ』……?」
……言われて、翠の指をたどる。
そこでは、今まで微動だにしなかったバスが動き始めていた。
「……まさか」
あの犯人、バスの運転なんて出来たのか? あるいはヤケクソかもしれないが、そうだとすれば余計まずい。
集まっていた群れが悲鳴をあげて散り散りになっていく。
「兄ちゃん、あれ何かぶつけたら止まるかな?!」
「いや、分からない!」
でも一体何をぶつけるんだ?――と聞く前に、真後ろから俺の頭上を飛び越えて飛んでいった。
自転車が。
綺麗に放物線を描いて飛んでいった自転車は、バスの窓の一つにクリーンヒットして犯人がうろたえる。
「おおっ、効いてるぞ!」
「いや、それはマズ……って、ちょっと?!」
いや確かにスピードは落ちましたけど、それは違う。違うけど、それを上手く伝えられない俺が憎い!
「でやぁぁぁぁぁっ!」
季衣が手近な自転車を放り投げ、
「らっしゃおらぁぁぁぁっ!」「喰らえーーーっ!」
翠と鈴々がバイクを放り投げ、
「……ふっ……くっ……!」
恋が軽自動車を――
「って、おい待て恋んんんんんんんんんんっ?!」
待たなかった。
まるで特撮映画でも見ているかのように、少女が軽自動車を頭の上に持ち上げて放り投げた。
「俺の新車がぁぁあああああああっ?!」
泣いてるよ。泣いてるよ、犠牲者が。俺も泣きたいよ。
「ふんっ……ぐっ……! はぁ、はぁ……」
「…何をやっているのだ、姉者」
「い、いや……私も何か投げたほうが、いいかと思って……」
一方、夏侯惇は電柱を持ち上げようとした。
「……それはさすがに無理だ、姉者」
「わ、分かっている! ちょっと試したみただけだ。……そんな目で見るなぁ!」
「泣くな、姉者」
「泣かんっ!」
「ひいいいいいいいっ?!」
しかし、それでも止まらない。ボロボロの体を引きずって加速し始める。
…立場さえ違ったら感動的なんだろうになあ。
「まずい、突っ込んじまうぞ!」
しかも今度は、全速力の自爆覚悟だ。
もう、どうしようもないのか?
「……待ていっ!」
しかしその時、声が聞こえた。
その声はこの混乱のさなかであっても、誰もが思わず立ち止まってしまうほどの力がある。
「あれは……」
たなびく黒髪。青龍刀を握り締め、道路の中央に堂々と立つその姿は見間違えようもない。
「……愛紗!」
「聞け! 罪なき民を恐怖に陥れ、今まさに世に混乱を生み出そうとする者よ!
我が名は関雲長! 聖フランチェスカの守護者にして、北郷一刀の護人也!」
そう言っている間にも、バスはどんどん加速していく。
「貴様の罪、この青龍刀が介錯つかまつるッ!」
半狂乱で声を上げながら、ヤケクソで道路のど真ん中に立つ愛紗に突っ込んでいく。
「うああああああああああああああっ!」
「……来い!」
…思わず目を瞑った俺が初めて見たものは。
すり抜けたように向こう側へ走っていくバスと、目を瞑ったまま片膝をついて青龍刀を地面につける愛紗。
俺は愛紗の幻でも見ていたのだろうか? …と思ったのも束の間。
バスが、真っ二つに割れた。
「う、うわぁっ?!」
間もなく勢いを失って、分かれたバスは両側に音を立てて倒れる。
愛紗は目を開くと、ゆっくりと立ち上がる。
「愛紗!」
「一刀。それに皆も、怪我らしい怪我がなくて何よりです」
「愛紗のほうこそ、体は大丈夫なのか?」
「はい、ご安心ください。私も完全に全快したと思ったからこそ、こうして馳せ参じたのですから」
満面の笑顔で言ってくれる。
「ふん、そうでなくては張り合いがない」
「姉者は素直ではないな」
「うるさいぞ秋蘭!」
春蘭もなんだかんだ、心配してくれてるんだな。
笑うのはみんなで。
「…よし、じゃあ愛紗も来たことだし。今日はこのまま街を巡って、帰ったら全快祝いだな!」
「もちろん、それは一刀の奢りなんだよな?」
……え。
「……ご主人様、さっき言った。……なんでも奢り」
「いや、何でもじゃなくて何かと……ええい、まぁいい! 今日は全部俺の奢りだ!」
「やったーーっ!」
ハハハ、さようなら今月の俺の生活費。
早くも歩き始める大食い軍団の後ろで、軽く愛紗に袖を引かれた。
「一刀……今回で私も、この世界でやれることが、やりたいことが、ほんの少しだけ見つかった気がします」
「…それは良かった」
本当にそう思う。
「さぁ、行きましょう! 今日は奢りだそうですので、私も遠慮なくいただきます!」
「ああ、存分にやってくれ」
今度は手を。
きっとまだまだ問題はあるだろうけど、必ず乗り越えていけるはずだ。
だってここは、俺達のための外史なんだから。
〜もうちょっと〜
和気藹々と街に消えていく彼らを見つめる影が、三人。
先ほどの現場からほど近い建物の屋上に、彼女達はいた。
一人は筋肉達磨、一人はちび、そして……
「……うう……出るタイミングを、逃してしまった……」
一人は、しょんぼり。
三人はいずれも蝶をあしらったマスクを被っている。ぶっちゃけ変態だ。
「まあまあ。せっかく愛紗ちゃんが復活したことなんだし、今日はいいんじゃないの」
「そ、そうですよ。水を差すような雰囲気でもないですし……」
そう言ってはいるが、三号の気持ちに別の思惑があることは確定的に明らか。
(うう、こんな格好なんてやっぱり恥ずかしいですよぅ……)
「……そうですな。折角ですから、今日は愛紗に華を持たせてやることにしましょう」
眼下をにやり、と見つめながら華蝶仮面一号は気を取り直す。
「私達はこれからどうするのよ?」
「我々は我々で、先に帰って祝い事の準備をすることにしよう。今日はアレも出さねばならないな」
「じゃ、私もとっておきのものを出すときねん。夜が楽しみだわぁ」
「…さあ、では行くとするか」
次こそは必ず華麗にデビューを果たすと心に堅く決めて、華蝶仮面一号はその場を去った。
〜おわり〜
本当に終わり。素直に二つに分ければよかったと反省している。
いきなりだけど、/20だったのが急に/19になってるけど仕様?
>>432 いやすげえよかったよ、GJGJもひとつついでにGJ!
すまん、/20だったのが/19になってるのは仕様だ。仕様だと思ってくれ、すまない。
今度があれば、そんなことはないように気をつける。
で、お詫びってわけじゃないんだが、もう一つ花火を打ち上げていく。
投下するから、踏み潰されないようにしてくれ。
(おおむね)平和な午後のはずだった。
(だいたい)平穏な夜を過ごして、朝に目が覚めるはずだった。
だっていうのに、聞いてくれ。
今、俺の決して広いとはいえない部屋に25人。
ハーレムだなんだとか、そんな事を言っている場合じゃない。
「お兄ちゃん、お菓子は?」
「はいはい、部屋の隅の冷蔵庫の裏にあるよ」
「はわわわわ……な、なんでこんなに……」
…何でこんな事になったかっていうと。
「王様ゲーム?」
「そういう遊びだよ。番号のついたくじを引いて、王様になった人が番号を指定して何かをやらせる事ができるんだ」
「なるほど、個人は指定できないのですな」
「面白そうなのだ!」
「じゃ、早速やろうぜ。あたしは朱里も呼んでくるよ」
…という話だったのだが、どうやらイモヅル式に引っ張ってきてしまったらしい。
今や璃々ちゃんを含めた全員が俺の部屋に集結して、輪になってわいわいがやがや。
どうでもいいけど、女子寮は男性不可侵のくせに男子寮はフリーなのな。
「それにしても暑いわね。ちょっと一刀、もう少し風当たりをよくしなさいよ!」
「無茶言うなよ華琳……。もう窓も一杯一杯だって」
「この邪魔な壁を取り壊せばいいじゃない」
ぱんぱんと、窓側の壁を手のひらで叩く華琳。無茶言うな。
「我慢してくれよ、そのうち気にならなくなると思うから。…じゃ、みんな始めるぞー!」
即席のくじは割り箸を割って印をつけ、不透明なコップの中に入れたものだ。
中央に差し出すと争うようにして取り合い、あっという間に一本を残してなくなってしまった。
最後の一本は、俺が引く。
「それじゃ、いくぞみんな。せーのでよろしくな」
『王様だ〜れだっ!!』
次々と自分の割り箸を覗き込んでいくみんな。さて、俺も……あ。
「…俺が王様だ」
途端に、えーーっ! といった感じの声があちこちであがる。
「なによそれ、あんたがなってどうするのよこのち○こ!」
「お兄ちゃんはそもそも王様やってたんだから、また王様なんてずるいのだ!」
「それで何をするつもりよ、この外道! 鬼畜! 変態!」
なんでここまで言われなくちゃならないんだろう?
涙が出てきちゃう。だってまだ男の子だもん。
「詠ちゃん……ゲームなんだから……」
「そうだぞ鈴々、見苦しい。一刀、どうかお気になさらず続けてください」
「あ、ああ……。それじゃ、そうだな……」
…気を取り直して、考える。
うーん、命令……命令なあ……強制力を持ってて、なおかつ俺が得するようなもの。
…そうだ。
「じゃあ、15番はこのゲームが終わるまで体操着でいること」
……。
「……」
「……」
……。
あれ、何この沈黙?
というか視線が痛い。冷ややかなとか蔑んだとか、哀れむようなとか矢のような。
ダメだった?
「……ああもう、いいじゃないかとにかく! 今は!」
「ごしゅじんさま、へんたいー」
うぐ。
俺は悪くない、……悪くないよな?
「とにかく、15番は誰だ?」
「あら、それは私ですわ」
…割り箸を左右に揺らして、くすくすと笑っているのは紫苑だった。
…よりによってそう来るか。
というか、しまった。つい学生が多いせいで、教師に当たる可能性を忘れてたぞ?
「あら、大丈夫ですよ。持っていますから」
「何で持ってるの……?」
「こんなこともあろうかと、ですわ」
どんなことだよ、とはっきり突っ込めない俺は悪くないよな?
そりゃ、考えなかったなんて事はない。男のロマンってやつだろ?
「では、少しお待ちくださいね」
早くも五分後、紫苑は体操服に着替えて戻ってきた。
「……って、ブルマ?!」
「あら、お嫌いですか?」
いや、いい。
それにしても、紫苑の体に対して体操服があまりにも小さめだ。
性質もあって全身のラインがくっきりと見えてしまう。上の方とか下の方とか、もう張り裂けそうな……
「どう思います?」
「すごく……大きいです……」
何が、とは言えない。
なぜなら、そろそろ周りからの視線が耐えがたいレベルまで発展してるからだ。
「……一刀、もう十分でしょう。そろそろ先に進めても構いませんか?」
殺人的な視線だな、愛紗。今度は愛紗も体操服を着せて可愛がってあげることにしよう。
「じゃ、次行くぞ。みんな、取った割り箸をコップに戻してくれ」
みんなが戻した後に、俺は後ろ手にして適当にかき混ぜる。
「よし、いいぞ」
また全員が引いて最後に俺が引き、みんな一斉に割り箸をみる。
『王様だ〜れだっ!!』
「よっしゃあたしだーーーっ! いやっほー、今日はついてるぜ!」
高々と拳をあげて喜ぶ翠と、あちこちでため息が漏れるみんな。
この人数だと、自分が王様になれずに終わってしまう可能性は十分あるからなぁ。
「さーて、どうしよっかなー。あれにしようか、これにしようか、それとも……」
指折り数えて考えをまとめようとする翠。
「よーっし、決めたっ! 3番と12番は、さんべん回ってワンと鳴け! 王様の命令だぞ!」
えっへん、と胸を反らして命令する翠。俺は19番だから違うな。
それにしても、人によって恥ずかしさが違うような命令だ。
「こ……この私が、武人であるこの私が負け犬の真似事をしなくてはならないだと?!」
「……さんべん、回って……?」
驚愕の声をあげて悔しそうに唇を噛むのは……華雄か。
もう一人は、恋が不思議そうにしながら手を挙げた。
「何故私がこのような真似を……! 犬の真似事などと、私には似合わない…!」
いえ、この上なくある意味で合ってます……とは、表情を見る限りほとんど全員が思っているんだろう。
だがあえて口には出すまい。
「……ご主人様。…何をすれば、いい?」
「そうだな……恋。犬みたいに手足をついて歩いてさ、その場で三回回るんだ」
「……セキトの真似?」
「…そうだな、そういうことだ」
説明してやると、分かってくれたのか顔が僅かに綻んだ。
「わかった」
ぬぎっ。
「れ、れれれれれ恋ッ! 一体何をしているのだ?!」
「うわ〜……呂布っち、いい体してるなぁ」
何故脱ぐ?! 何で脱ぐ?!
「…ご主人様が、セキトの真似って言った。…セキトは、服を着ない」
「北郷一刀、貴様!」
俺のせいじゃねぇ! 俺のせいじゃヌェ!
「思春、いいから刀を納めて!」
「は、早く服を着ろ恋ーーッ!」
支援
恋には、セキトの真似ではなく華雄の真似をするんだよ、ということで納得してもらった。
そういうわけだから、先に華雄にやってもらうことになる。
「くっ……いいだろう、これも武人としての敗者の務めだ……。たとえ我が名が地に落ちるとしても、やらねばならないな……」
「…いや、そんな悲壮な覚悟を決めなくても」
ゲームなんだから、こんな時ぐらいそういうのは考えなくてもいいのに。
しかし全員の視線が集まる中で、華雄は痛々しいほどの悲壮さを持って四つ足をつき、その場で回り――。
「……わん!」
鳴いてみせた。
それを笑えるものは誰もいなかった。
いなかったけど、みるみる華雄の顔が赤くなっていくのが分かる。
恥ずかしいのか怒っているのか、最終的にトマトのように真っ赤になって――
「う……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
耐え切れずに叫んだ後、部屋の隅にいってぐすぐすとのの字を描いてしまった。
…なんていうか、可哀想に。
後で一応、慰めてあげることにしよう。
華雄の犬で悲壮さを持った雰囲気を、恋がいつものように和ませ、笑わせる。
そろそろ盛り上がってきたな。
華雄はどうやら戦線離脱してしまったようだけど、慰めたら笑ってくれたし、後には引かないだろう。
ちょっと捻くれてるみたいだけど、悪い人間じゃないみたいだからな。
お礼も言ってくれたし。
「さあ、次にいくぞー」
全員から回収して、華雄分の一本である26番を抜いて混ぜなおし、もう一度引いていく。
来いっ! と叫ぶものや祈るものなど、その姿は真剣そのものだ。
うんうん、楽しめてるな。
『王様だ〜れだっ!』
「あら、ようやく私に当たりが回ってきたようね」
満面の笑みで見せつける華琳の割り箸には、水性マジックで書かれた王冠マーク。
「やはり天運は私を選んだようね。まあ、遅すぎるくらいだけれど」
「さすがは華琳様です! さあ、どうぞご命令を!」
嬉しそうな顔をするけど、命令ったってお前にするんじゃないからな桂花。
周りが割り箸と華琳を交互に見て一体何が起こるのかと気にしている中、華琳はそうね、としばらく考えて……
「じゃ、9番と24番は両側から私の肩を揉みなさい。時間をかけて丁寧にね」
「……意外と普通なのだ」
「あら、私は揉みなさいといっただけで、それだけで済むかは分からないわよ?」
隣の愛紗がぷるぷると震えながら割り箸の番号を見て、ほっと息をついていた。助かったか。
さて、9番と24番……ん? 9番……?
「あ、9番は俺だ」
「なっ!」
「なんだってぇ?!」
あちこちで騒ぎが生まれる。
「あら、どうしたのかしら孫仲謀ともあろうものが。突然立ち上がったりして」
「う、うぐっ……い、いやその……何でもない……」
華琳がにやにやと意地悪いことを言うと、蓮華は声を詰まらせて座り込んだ。
なんか、全方向から華琳にうらやましそうな視線が降り注いでいる気がする。
「…なんでよりによって……くっ、私は8番……一番違いなら、ああ華琳様ぁ…」
桂花はやっぱり口惜しそうにしていた。
「さあ、早くしなさい。まさか断るとは言わないわよね?」
「はいはい、分かったよ女王様。精一杯やらせてもらうさ」
満足そうな顔で笑う華琳の後ろ側に回り込む。
ううむ、ここからだといっそう視線を感じるな……俺を睨まれてもどうしようもないぞ?
……あれ? そういえば……
「24番もいるはずだよな。誰なんだ?」
「はぁい。それは わ・た・し♪」
ぴしぃっ!
…まるで蛇に睨まれた蛙のように、一瞬で華琳の体が凍りついたのがわかった。
「確か、時間をかけて丁寧にだったかしら? いいわ、久しぶりに本気出しちゃうんだから」
「……あ……あ、あ、わわ、ぁ……」
「…貂蝉だったのか」
あまりのことに華琳は言語中枢が傷ついてしまったようだ。
無理もないが…しかし命令がこんな形で裏目に出るとはなあ。
「まさか曹孟徳ともあろうものが、一度言ったことを取り下げるなどということはないでしょうな」
「ぐっ、趙子龍……!」
にやり、と笑って星が華琳の逃げ道を塞いでしまった……容赦ないな。
「王様がそんなことでは、私達としても命令を聞くわけにはいきませんね」
「曹孟徳。仮にも一国の主だった身として、護らなければならないものはあると思うぞ」
ここぞとばかりに愛紗と蓮華が一致して畳み掛ける。
気づいてないだろうけど蓮華、今すごく底意地の悪い笑い方してるぞ?
「わ……わかったわよ! さあ、来なさい! この曹孟徳の辞書に不可能という言葉はないのよ…!」
うむ、どう見ても強がりで可愛いな。
まあこういうことも経験だろう。
「じゃ、行くわよん」
「ひ……!」
「いやーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
かくして華雄に続いて華琳が戦線を離脱し、桂花も介抱役として離脱。
三人減ってしまったけど、まだゲームは続く。
「お前達はいいのか? 春蘭」
「我々は華琳様の仇を取る!」
仇って、そんな大げさな。
まあともかく、もう一度回収して今度はしっかり二人分を抜き、混ぜて差し出す。
『王様だ〜れだっ!!』
「……どうやら、私のようだな」
「冥琳?」
「冥琳様!」
いつも通りの落ち着いた声で割り箸を掲げたのは周喩だ。
俺としては、いずれ真名で呼べるくらい仲良くなりたいと思っている。
眼鏡に叶うのは予想以上に難しい。
「さて、どうしたものか……」
予想外の幸運を手に持て余すのか、目を閉じて思考をはじめる。
困るなら欲しいとか言っちゃダメだぞ鈴々。
何が出てくるだろうか……。
「…では、11番にここにいる全員に土下座してもらおうか。誰にでも一つ二つくらい、謝る事はあるだろう?」
「うわ、キッツ……」
思わず翠の声が漏れる。ううむ、周喩ならではの命令だな。
俺じゃなくて良かった。
俺だったら一体どれだけ掛かるのか予想もつかないからな。
さて、11番は……
「あ……私、です……」
「ゆ、月っ?!」
ようやく当たったことが嬉しいのか、こんな事にも関わらずほのぼのと笑っている。
「月……大丈夫?」
「大丈夫だよ、詠ちゃん……私、がんばるね」
詠が心配する中(俺も結構心配だ)、月はわずかに後ろに下がってぺたんと額を床につけた。
…その姿だけでもう、全部まとめて水に流したくなるくらいか弱く、まるで白いウサギのようだ。
「みなさん……ごめんなさい、月は悪いコなんです……いつも、いつも…」
…それを皮切りにして、月の謝罪は始まった。
ようやく月の謝罪が終わったとき、言い表せない沈黙の空気が場を支配した。
月が頭をつけた土下座の体勢のまま、いつも通りの儚い声で語ったのはなんかもう色々。
俺に拾われたことから、それなのにみんなに迷惑をかけてるとか、学校の金魚に多く餌をあげすぎたとかもあったっけ?
「ゆ、月ぇ……月は、ボクがこれからも絶対に守ってみせるからね!」
「ありがとう、詠ちゃん…」
謝られるたびに罪悪感が募って、単純な拷問とかよりよっぽど効くんじゃないのかこれ?
みんな意気消沈してしまっている。
「ちょ、ちょっと冥琳?!」
蓮華の声に引き寄せられてみてみれば、周喩が苦痛に顔を歪ませたまま、蓮華に支えられていた。
「……まるで胸を抉られるようだ……軽々しく言うものでは、なかったな……」
…どうやら、命令してしまった本人はダメージがかなり大きくなったらしい。
無理もないけどな……。
「すみません、蓮華様……私は……ぐっ」
「冥琳様、しっかりしてください〜!」
ついに冥琳が耐え切れずにダウンし、小喬と大喬が大騒ぎしだす。
それを月は、またもや申し訳なさそうな目で見ていた。
「……ごめんなさい、月が悪いコだから……」
冥琳が気を失い、小喬と大喬が介抱についたので今度は一気に人数が三人減ってしまった。
気にせず楽しんでくれという最後の言葉により、他の呉組は変わらず参加している。
「冥琳の分も私達は楽しまなくてはならないわ、思春」
「は」
気を取り直してみんなで暫くわいわいとやっている間に俺はくじを回収して、もう一度新しくいじる。
「じゃ、そろそろ行くぞー」
「待ってました!」
「今度こそ……来いっ!」
『王様だ〜れだっ!!』
「や、やった、やりました! 私のが当たりくじです!」
小さな体で力いっぱい喜びを表現したのは、朱里だった。
うーん、本当に嬉しそうだな。
「それで、朱里は何を命令するんだ?」
「えっ! …あ、そうでした…当たったのが嬉しくて、頭が真っ白になってましたよぅ…」
えへへ、と笑う朱里もつかの間。
「……」
何故か、一瞬で朱里は――例えば、戦場で相手に対して献策を頼む、と言われた時のような顔をし始めた。
な、なんだ? 一体何をそんなに考えているんだ?
そして何をするつもりなんだ……?
(…今までのゲームの中で、もうおおよその割り箸の特徴と番号は把握しました。
愛紗さんが今持っている裏側にちょっとだけ筋が入ってるのは6番。
月ちゃんが今持っている微妙に割った後のささくれが残っているのは18番。
そして、ご主人様…一刀さんが持っているのは、14番!
間違いありません!)
「でっ、でっ、ではですね! 14番の人が……14番の人は、王様の、王様のですね……!」
14番が何なんだろう。
俺としてはとりあえず、今にも自分の舌を噛んでしまいそうな朱里が心配なんだけど。
「14番の人は、王様の……! 王様のほっぺに、口付けをおねがいしましゅるっ!」
すげえ、最後何がなんだか分からなくなったぞ。
それにしても、朱里がそんな命令をするとはなあ。
「ほうほう、朱里にそのような趣味があったとは驚きだな」
「まぁまぁ、星。遊びなんだし、朱里だって何か考えがあってやってるんだよ」
「い、いえ、そんな趣味があるわけじゃなくてですね……! え、え……っ?!」
…なのに何でか急に朱里がうろたえだしたんだけど、突然どうしたんだろう?
驚いた顔でこっちをそんなに見られても困るな。
「…その、14番とは……私のことなんだが……」
おずおずと手をあげたのは、なんとも反応に困るとでもいいたげな蓮華だった。
「え、ええええええええええええええええええっ?! そ、そんなっ?!」
「しゅ、朱里?」
「待っていただきましょう、一刀。朱里、いったいその言い方はどういう事だ?」
「は、はわわわわわ……! う、うぅ……その、ですね……」
星が問いただすと、朱里は信じられないとばかりの顔であえぐ。
……その顔で、ピンときた。
「ひょっとして朱里、割り箸と番号を記憶してたんじゃないのか?」
「…は、はうぅ……そ、そうです……」
やっぱりそうか。
朱里がやけに何か真剣に悩んでいると思ったら、その記憶をたどっていたんだ。
「まあ、普通に考えたらありえないことだけど、この面子だから何があってもおかしくないしな。
…というわけだから、俺も一応準備はしておいたんだよ。…ほら」
そう言うと、俺は机の中から今あるくじと全く同じセットを二つ取り出してみせる。
策士、策に溺れる……ってところだな。
「そ、そうだったんですか……」
「さっき時間が余ったから、こっそり交換しておいたんだよ」
(う、うぅ……一刀さん、こんな時に限って気が利きすぎですよぅ!)
まあ、こんなハプニングもゲームには必要なことだろう。
「…なるほど。つまり当然、朱里が期待した本来の14番は一刀なのでしょうな」
「まあ、その辺りはともかくとして。そろそろ命令の執行に移ろうじゃないか」
別段そっちの趣味があるわけではないけど、興味がないわけじゃない。
この中でも屈指の内気タイプである二人による、頬へのキスだ。
「その……なんだ、すまない」
「い、いえ……こちらこそ申し訳ありません、蓮華さん。私の身勝手な謀略で傷つけてしまって……」
「…そう気にしなくてもいい。私も、出来ることなら同じことを考えただろうからな」
ふっと笑う蓮華に、ありがとうございますと改めて朱里が謝った。
そして、ついに命令の執行が始まる。
始まる、のだが……
「……む……」
「……は、はうぅ……」
どうも決心がつかないのか、恥ずかしいのか、蓮華は近づいて離れてを繰り返す。
蓮華自身も相当顔が赤くなっているが、いつ来るか来るかと繰り返す朱里も相当見た目ヤバイ。
悪循環じゃないか、これ?
時間が経つごとに恥ずかしくなり、恥ずかしくなればますます出来なくなる。
大抵の人は経験があるんじゃないだろうか。
もう二人とも顔が真っ赤な上に、朱里はなんだか息が荒くなってきた。
……と、そこで痺れを切らした誰かが動いた。
「あーーっ、もうじれったい! さっさと済ませてよお姉ちゃん、時間がなくなるでしょっ!」
「小蓮様、待って――」
慌ててとめようとする思春もほんの少し遅く、どちらかというと突き飛ばす勢いで小蓮が蓮華の肩を押した。
「ひゃっ?!」「はわっ?!」
結果として成功した。
成功したけど、二人は押された衝撃でくんずほぐれつ床に倒れる羽目になった。
「はわわわわ……」
「……う、うぅ……っ」
…二人とも緊張が限界に達したのか、あるいは限界に達した緊張が解けたのか知らないが仲良く気絶してしまったようだ。
というわけで、さらに人数が減った。
蓮華を看るために抜けた思春が、朱里の面倒も見てくれるというので減ったのは三人。
初めから数えると、抜けたのは合計で九人ってことになる。
…いつぞやのように叩いて防いでをやってるわけでもないのに、何故か人数がどんどん減っていくな。
「あ、蓮華様と朱里ちゃんに関しては問題ないですよ〜。すぐに目を覚ますと思います〜」
それなら良かった。
じゃ、そろそろ始めるとするか。
「おかしい……そろそろ私に来てもおかしくなさそうなものではないか……?」
「ううう、鈴々も早く王様をやりたいのだ!」
…この二人もそうだが、みんな待っているようだし。
「じゃ、引いてくれ」
『王様だ〜れだっ!!』
「やった、当たり! 小蓮が女王様だもんね〜!」
「同じちっこいのに、なんで鈴々には来ないのだ!」
「風格ってものが足りないのよ、風格がね〜。小蓮は元とはいえ、お姫様だもん!」
「にゃにをーーっ!」
どうやら、朱里に続いて小蓮が引いたことに気が食わないらしい鈴々が食って掛かる。
愛紗になだめられてようやく止まってくれた。
「さーて、じゃあどうしよっかなぁ……」
余裕たっぷりの小蓮が、じっくりと周りを見渡した。
こういう時の、余裕がある人を食うような見定めるような感じは星あたりに似てるところがある気がするな。
「き〜めたっ! 1番と6番の人が、12番の人の胸を揉む!」
「な、なんだそれはっ?!」
怒号にも思えるような、驚愕の声をあげたのは春蘭だった。
まあ、なんていうか……発想がどこかのオヤジみたいだぞ、小蓮。
「そ、それはいくらなんでもおかしいと思うのだが……」
「え〜っ、何で?! さっきのキスが許されるなら、胸を揉むのもアリでしょ! 減るもんじゃあるまいし!
決めたの! もう決定! 反論は許さないからね! ね〜一刀ぉ〜?」
いや、そこで俺に振られても?!
あちこちから突き刺さる視線に、針のむしろだ。
だから俺は答えた。
「いや、ルールだから。一応、危なくはないし」
ごめん、実は見たいんだ。
まあ、本気で嫌がっていたら止めるつもりではあるし、限度があれば大丈夫だろう。
「仕方ないですね……1番は私です」
「あ、9番はわたしですよぉ〜」
愛紗と穏が、それぞれ対照的に返事をする。
「…なんか、どちらかといえばするよりされる方が映えるっちゅう感じのする二人やな」
確かに。
ところで、そのされる方は……?
と視線を見渡していくと、ある一箇所で止まった。
「……」
縮こまって、控えめにぷるぷると手をあげる姿は普段からは想像できない姿だ。
……おずおずと手をあげているのは――季衣だった。
…いかん、空気が。空気が言葉にならないくらい、何か凄い悪いぞ。
涙目にすら見えなくもない季衣の両隣で、春蘭と秋蘭すらしばらく絶句していた。
「しゃ、小蓮様〜? や、やっぱりこの命令は無効ということで……」
「そ、そうだな。小蓮、こういう事は良くないぞやっぱり」
いち早く動き出した穏に合わせて俺も同調すると、さすがに小蓮も微妙な顔をし始める。
よし、もう一押しだ。
「そうだなー、シューマイチビはぺたんこおっぱいだから仕方ないのだ」
鈴々、押す方向が! 押す方向が違うよ?!
「うわあああああんっ!!!」
「ああっ、季衣ーーーーーーっ!」
一瞬で堰を切って泣き出した季衣が、扉を突き破って外に出て行ってしまった。
「…鈴々にはしっかり言いつけておきました。本人も反省していましたし、そう悪いことにはならないでしょう」
そうか。
あのあと季衣を春蘭と秋蘭が追いかけていってしまい、すぐ後に愛紗の怒号に叱られた鈴々が出て行った。
こうしてまたもや、今度は4人が消えてしまったことになる。
これで残っているのは……13人か。
「これで魏組は全滅ということですな」
「いや、戦争やってるわけじゃないんだからさ……」
「いえ…ようやく今分かりました。これもれっきとした戦いなのです!」
息が荒いぞ、愛紗。
「そうそう、人数が減れば最終的に一刀を狙いやすくなるんだしね〜」
火をつけないでよ小蓮……。
張り詰めるぴりぴりとした空気にしかし俺は、思わず笑いがこぼれているのだった。
…結局、俺も楽しんでるんだな。
「じゃ、始めるぞ。用意はいいな?!」
『王様、だ〜れだっ!!』
〜おわり〜(支援ありがとう)
巨乳二人に揉まれそうになる貧乳季衣ww
GJ
これは季衣が悲しいwww
GJ!
GJGJGJGJGJ!!!!
季衣に爆笑したwwwGJ!
おつかれさまです。
自分もこのくらいの外史が書ければいいんだけどもなかなか。
練習せねば…。
これ読んでると蓮華を書きたく…。
久しぶりに来てみたら復活しててワラタ
いい意味で
弐作乙です
王様のラストで穏は9番なのか?
過疎を物ともしないこの勢い
英雄の名に相応しい
GJ!
目標!1日1レス!
目標は1327レスだろ
またネタ思いついて書きはじめたのはいいんだけど
なかなか筆進まないわ、書く時間つくれないわで
もう少しかかりそうだすまねえ……
ガンバレ
SSを書いてると、いかに自分が設定厨か思い知るわさ
オリ設定でないのなら設定厨は大歓迎だと思われ
久しぶりにトゥルー見てきたが やっぱりいいものだった
妄想が膨らんできたんだぜ
鈴々にとって愛紗はたった一人の姉者なのだ。
お兄ちゃんが天から落ちてくるまではずっとそう呼んでたのだ。
だけど、愛紗がお兄ちゃんの事を好きになったみたいに
鈴々もお兄ちゃんが好きになったのだ。
愛紗は姉者だけど……お兄ちゃんの事は、譲れないのだ。
だからこれから愛紗の事を愛紗、って呼ぶことにしたのだ。
鈴々は絶対に負けないのだ。
〜燕人張飛・鈴々伝より抜粋〜
ふむ。
なんか説得力があるな。
一刀と出会ってすぐの序盤ですでに愛紗って呼んでるし
俺は説得力なんて感じられんな
>>470 ちゃんと鈴々の拠点イベント全部見たか?
序盤ではまだ一刀に恋愛感情は抱いてないぞ。
ネタとして楽しむ分には何も言わんが間違った解釈は正されても仕方なかろう。
外史なんてネタの集合体みたいなモンすよ
どさくさに紛れてヒドイりろんなのだ!
ていうか論点ズレてるぞ。外史がネタでないなんて一言も言ってないだろう。
まぁそりゃーそうだが
でもでもっ
>>467以外に言い説明が見つかりませんよぅ
自分がそれ以外に考えられないからと、他の人にまで>470のような
間違った解釈を押しつけて無理に説得力持たす必要はないだろ?
俺はそれに対してツッコンだだけ。
(´・ω・`)ごめんよ
480 :
468:2007/07/06(金) 07:16:32 ID:bRMg96dY0
感想書いただけで、ここまで雰囲気が変わっちゃうんだね。
すまんかった(´・ω・`)
小腹がすいたので厨房にやってきた一刀。なにやら騒がしい。
「腹減ったなー。ん?」
見れば愛紗がエプロン姿で厨房に立ち、それをまわりで春蘭などがはやし立てている。
春蘭の他にも三国の英雄達が結構集まっているようだ。皆愛紗の料理している様を見物しているらしい。
鉄鍋と格闘する愛紗の横には「チャーハン作るよ!」という題の本があった。
最近愛紗の料理が上達しているのは知っていたが、影でこんなことになっていたとは。
これ幸いと、一刀は愛紗に話しかけた。「愛紗、炒飯作ってるのかー」
出来上がったら食べさせてくれよ――そう続けるつもりだった。
「ひゃっ!?」
だが愛紗はそれに驚いたらしく、その拍子に炒飯はゆっくりと宙を舞い……愛紗に降りかかった。
それを見てギャラリーから笑いが起こる。顔を真っ赤にして震える愛紗。
愛紗に謝ろうと近づいた一刀は、愛紗の目にうっすらと涙がたまっているのが見えた。
一刀は、かわいいエプロンを着た涙目の愛紗の姿に耐えられなかった。
いきなり愛紗を抱き寄せその肩口に顔を寄せると、そこにあった炒飯の粒をついばんだ。
「ご、ご主人様!」急のことに驚く愛紗にかまわず、顔や手、胸などあちこちに口を寄せる。
その様子にギャラリー達は何故か敗北したような面持ちで厨房を去ってゆく。
「おいしいよ、愛紗。すっかり上達したんだな」
もはや炒飯はついていないが、愛紗の頬にくちづけながら言う。
「な、何をいうのです!それにもう炒飯はついてませんよ!」
「えー。ついてるって」「つ、ついてませんったら!」「ついてる」「ついて……んッ」
ごちそうさまでしたとさ。
>>480 べつに感想書いたのが原因じゃないだろ、469だって同じくただの感想なんだし
472が訂正されたのを気に食わずに子供じみた反応したり、いちいち突っかかっていったのが悪い
つかべつに467自体が問題視されてるわけじゃないんだから、キミもあまり過剰に反応するべきでない
ちんこちんこ
まあこんな日もあるさ、それよりお返しディスクはまだディスカ
正直すまんかった(´・ω・`)
>>481 ほのぼのした。
>「チャーハン作るよ!」という題の本
('・ω・`)テラホシス
ttp://smallup.dip.jp/uploader/src/smallup2296.zip.html 色々試行錯誤していたら異色なイロモノに仕上がってしまった物をうpしてみました。
・zip圧縮していますが、本文はtxtではなくhtml形式です。
・ゲーム本編からトリミングした画像ファイル64枚同梱。
・一枚15KBくらいの60×60サイズのjpgファイルのみ。
・外部リンクなど含まないオフライン仕様なので多い日も安心。
・文字の色変えと画像を多用した目に優しくないアイコンチャット形式。
・内容は北郷軍以外がほぼ総出演の史実寄り設定厨仕様。
・でも主役は星。
・反董卓連合の皆様と星が歴史書首っぴきで罵りあうお話です。
・ここまで真面目なように見せかけていますが全編ギャグです。
1.麗羽様いぢめ
2.董卓、いわゆるジャスティス
3.魏武の強、いまだ始まらず
4.暴政バンザイ
5.世界人材発見
6.ちんこもがれた使いの逆襲
以上厨臭いタイトル6篇+ネタの詰め合わせとなっております。
対象は主に三国志をよく知らない人。
主人公が星なので文献を元にしたエキセントリックな解釈で話が進みます。
ギャグだから話半分にネタとしてお楽しみ頂ければ幸い。
488 :
名無しさん@初回限定:2007/07/09(月) 11:12:06 ID:HbzCf3wT0
GJ!
いやこれは労作。
面白かったし、続編希望してもよろしいか?
>>487 いやあ面白かった!しかもかなり凝ってるというかクオリティ高いなあ。
勝者が残す歴史の穴をこじあけて敗者に別視点のスポットを当てるという
定番パターンも美味しすぎてニクイ!董卓はもとより
麗羽さまの若い頃の話なんかも、どの三国志モノでも割愛しまくりだもの
惚れ直してしまったよ麗羽さま〜
いや、これは続投してもらわねば暴動ものでしょう。
続きに大いに期待。
これはGJ
>>487 改めて読み返したが、やっぱ面白いな
斗詩の「滅ぼしたのは事実だし」で大笑いしたよ
対象は対象は主に三国志をよく知らない人、とあるけど、
コーエー、横山、吉川、柴田あたりで演義よりの三国志に親しんだ人もかなり楽しめそう(俺もその一人)
くり返すが、続編はぜひ、お願いしたい
493 :
487:2007/07/09(月) 19:18:53 ID:k6M8hi9t0
うお、想像以上に好評で嬉しいけど逆に怖い。
最初は小説形式だったんですが、元ネタ付きの部分と創作部分の境界を書く実力が無かったス…。
現状でも桂花関連や詠関連は本題から逸れるんで引用なしで元ネタ付きの会話をしてますし。
書いてる中の人は恋姫発売まで正史なんて読んだことない人なので、致命的なボケをやらかすかも。
その時は墓を暴いてツバかけてやってください。
ネタはあるのでできれば華雄にまで手を伸ばしたいんですがどうなるやら。
改めて思うけど星っていいキャラだね!!(`・ω・´)
悪気のある挑発と無自覚のブッ飛んだ発言がうまく区別できてればいいんですが。
あとハムのアイコンは素で忘れてました。
月末だから謝謝まであと2週間くらいか
また延期しないことを祈ろう
>>487 グッジョブ!! ∩ ∩
_ _∩ (⌒ ) ( ⌒) ∩_ _ グッジョブ!!
(ヨ,,. i | | / .ノ i .,,E)
グッジョブ!! \ \ | | / / / /
_n \ \ _、 _ .| | / / _、_ / ノ
( l _、 _ \ \( <_,` )| | / / ,_ノ` )/ / _、_ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` ) \ ノ( /____( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ | / ヽ | __ \ l .,E)
/ / / / \ ヽ / /\ ヽ_/ /
MCに星を起用したのがヒットだね。
麗羽とか華琳さまとか濃いメンツ相手に丁々発止やりとりして違和感無いのは大きい。
司会進行朱里で始終はわわはわわ言ってるのも面白そうではあるけど。
恋姫では朱里よりも星の方が知識としては上なんだろうな
そんな描写ってあったっけ?思い出せないんだが見逃したかな
学問知識の深さだけなら朱里のがありそうだけど
雑学や実際の経験によって得られる知識含むと星のが上っぽいな
まああっちの知識ではその限りじゃないけどw
ありそうも何も星が朱里より学問に精通していたら
朱里よりも星の方が軍師になってるでしょ
ゲームのやりすぎかもしれぬが、軍師というと直接最前線にはいかないイメージがある。
星は軍師よりも最前線で先陣切るタイプなんじゃないかな。
503 :
487:2007/07/12(木) 19:41:19 ID:u/ukrkM20
ttp://smallup.dip.jp/uploader/src/smallup2380.zip.html ・前回使ったロダがパス必須になっていたのでpassはkoihimeです。
・htmlファイルは2つありますが、1つは前回とほぼ同じ物です。
・画像ファイルは増やしていないので前回同様64枚同梱。
・yue_01.htmlにはリンクが含まれていますが、ローカルなので安心。
7.第1回チキチキ、クイズ華蝶でポン
8.差し出すその手に画鋲を仕込め
9.金を積んでは俺のため。積んだ者から死んでいく
10.スーパーちゅうえい君は3階級特進
11.最高のタイミングで横合いから殴りつける
以上、厨臭さ7割増しの本文容量は2割増しでの5篇です。
相変わらず独自解釈なので鵜呑みにすると恥をかく仕様です。
めーりんだいすき。
休憩。
読むのにやたら体力使うな。
GJ!
長いは長いが読み出せば時間を忘れる、相変わらずお見事です。
星は素晴らしいエンターテイナーだなw
そして真面目に?歴史考証やっても意外と違和感無いというか
なんのかんのと理屈を立てて勢力拡大を目指す群雄達の姿が
恋姫キャラと重なって妙な説得力が発生してるなあ
反董連合の開き直りっぷりがあまりにマッチしてて吹いたw
>>458 逆に考えるんだ、穏がわざわざ上下さかさまに読んだんだと……。
すまん、間違いだから各自補完して読んでくれ。
そして、
>>481も
>>487もGJ!
素晴らしい。
そして
>>462に期待しつつ、投下いってみるぞ。
何かもう色々とアレだが、書いた以上は退路はない!
投下するぞオオオオオオオオオオオオオ!
暑いなあと汗をぬぐうと、ほんのり塩のにおいがする。
まるで引越しのように次々と世界を変えた俺であるが、だからこそ思う。
生きることって戦いだ。
そりゃあ向こうのように殺伐とした事はないけど、だから楽かってそういう事でもない。
生きるのに一生懸命って、こういう事なんだなあ。
「…暑いな」
「一刀、あまり暑い暑いと言いなさるな。余計に暑くなってくるではありませんか」
「そうは言ってもなあ……」
まだ六月、梅雨の時期だっていうのにこの暑さは異常だ。
この世界はどうやらご丁寧に、地球環境の問題まで継承してしまったらしい。
「…けど、星。なんだか星は、全然暑くなさそうに見えるぞ」
「これは異なことを…私とて暑いに決まっているではありませぬか。私はかまどか何かか?」
「いや、そりゃ違うだろうけどさ……」
制服であるという事は変わらないのに、星の方は大して汗をかいてないように見えるし。
何か秘訣でもあるんじゃないかと思ってしまう。
「例え暑いとしても、暑さに屈しさえしなければそれほど暑いとは感じないものです」
「…むう」
「……まぁ、愛紗や夏侯惇は少々極端ですが」
「ああ、あの二人はなぁ……」
見てるだけでこっちが暑そうなぐらい汗をかいているというのに、進んで精力的に振舞おうとするのだ。
星が心頭滅却というなら、あれは炎上の域に達していると言えよう……俺には無理だな。
それにしても、あれで熱中症か何かにならないか心配だ。
「…私の名前を呼びましたか」
噂をすればなんとやら。
のんびり歩く俺達の後ろから、せっつくように愛紗が顔を出してきた。
「愛紗、暑そうだな……」
「…別に、この程度の暑さはどうというものではありません。そうです、暑さ程度でなど」
そんなことは言うものじゃないんだけどな。
言ってる傍から汗がどんどん出てるんだけど……。
「まぁ、それも一つの方法ですな」
「確かにらしいって言えばらしいんだけどさ……」
「…二人とも、私の事はいい加減どうでもいいでしょう。それより、一刀は少しだれ過ぎています。
私の事より、その方が問題でしょう」
むう、話題がよくない雲行きだ。
そこまでではないと思うんだが、星や愛紗を見ていると確かに不安になってくるな。
「そんなに俺って気だるそうにしてるかな?」
「無論です」
「時おり、見苦しいほどですな」
ううむ。
確かに最近そんな感じはあるかもしれないけど、それは暑さのせいであって……。
って、こういう考え方がすでに駄目なんだろうな。
「悪い、気をつける」
「…気の緩みは事故に繋がりますから。そういった意味でも、くれぐれもご注意下さい」
「そうですな。一刀が倒れたりなどしたら、それこそ一騒ぎでは済みますまい」
「さも面白そうな顔をして言われてもなあ、星さんや」
「気のせいでしょう。私は誠実に一刀の体調を心配していますぞ?」
…多分心配はしてるんだろうけど、他にも興味はあるんだろうな。
でも、これ以上ややこしい問題をあんまり起こしたくないぞ。
ただでさえ、やまたのおろちとか何だとか聞こえがよくないあだ名が幾つかついてるのに。
そのためにも対策は考えておかないとな。
「…今年は早めにあれを出すべきかな」
「あれ……ですか?」
「夏対策の秘密兵器さ」
その名を扇風機という、変声機としても役に立つ一石二鳥アイテムだ。
女子寮には冷房完備だが、男子寮にはそれがないから早めに出した方がいいかもしれないな。
「一刀、その秘密兵器とは机の壁側の裏にテープで固定してあるモノのことですか?」
いや、それは違う。それは思春期男子の必須アイテム……
「……って星、何故それを! というか、いつ?!」
「この前、一刀の部屋に招かれましたな。あの時、明らかに一刀の視線が変でしたので何であろうと」
「…見たの?」
「熟読し、記憶してあります」
「熟読しないでよ?!」
道理で久しぶりに見たとき、覚えのない付箋がしてあると思ったら、あれは星か!
そんなに気にした覚えはないのに……他の誰かが読まないうちに場所を変えないと。
「それにあれなら、今は朱里や月の愛読書になっていますが」
「又貸しは良くないだろっていうか、もう読んでるのか……」
そりゃ俺だって滅多に使わなくなったが、それでも大事な青春の1ページなんだ。多分。
って考えてる間に、さっきから不可解だという顔をしている愛紗に星が耳打ちしてしまった。
「…ということだ、愛紗」
「むむ、そんなものがあったとは……。私も、是非読んでみなくては」
「いや、いいから! 十分だから!」
月と朱里はともかく、愛紗にまで回ったら一体誰まで見られていくのか検討がつかない。
「しかし! …星や朱里まで見ているというのに、それでは不公平です」
「そんなこと言われてもなあ……」
しかし、ちょっとむくれた愛紗を見ていると心がぐらつく。
「別に構わないではありませぬか。愛紗が読んだ分は一刀に還元されるのでしょうから」
「そうです。資料は幾らあっても足りないのですから」
確かにそうなんだろうけどさ。
「…まあ、いいや。もう好きにしてくれ」
使うこともほとんどないだろうし、どうせもう見られてしまってるんだ。
必死になって今さら隠しても仕方ないだろう。
「でも、星も愛紗も往来では読まないでくれよ?……頼むから」
「もちろんです。…それでは、私は先に用事があるので失礼します。また後ほど」
微笑むと、愛紗は早歩きになってさっさと行ってしまった。
…さっきに比べて、より溌剌としているように見えるな。
「気持ちの持ちよう、か」
ごく自然に力を漲らせた愛紗を見ていると、星の言うことも一層説得力を増してきた。
そういえば暑くても寒くても、楽しい時は気になったりはしないからな。
…しかし。
「…ダメだ、考えていたらまた暑くなってきた。とりあえず早く建物の中に入ろう、星」
せめて万民の憩いの場である日陰にさえ行けば、こんな気分もマシになるはずだ。
足を急がせると、承知しましたと星もついてくる。
「ふむ……そうまで暑さを苦手とするのであれば、今夜はまた一段と辛くなるでしょうな」
「なんだ? 今日は何かあるのか?」
「いえ、最近ではとりたてて大した事でもありませんが……。今夜もまた、雨だそうですよ?」
「…そりゃ、蒸し暑そうだな」
夜は日光が無いからといって侮ってはいけない。
肌に纏わりつくような蒸し暑さは、寝つきをとても悪くしてくれる。
「憂鬱だ。せめて除湿機があれば……」
雨の時期が近づいていると知ってて用意してなかったのは俺なんだけどな。
「しかし、そんな夜は夜でやれる事もあるというものでしょう?」
「…いや、そう言われても簡単に思いつかないぞ。星は蒸し暑かったり寝苦しかったりしないのか?」
「いいえ。無論、私とて不便なものは不便なのです。…ですから、一刀。今夜はお邪魔してもよろしいか?」
……は?
「…何ですか、その呆けた顔は」
「あ…いやいや、別になんでもない。ついな」
いつもの会話の調子で突然言うから、頭の中で理解するのにちょっと時間がかかったぞ。
そんなに「何だこの人は」って顔で見るな、星。
「でも、それって解決になってるのか……?」
「何を言います。良き伴と、良き酒を飲む。これ以上に気を晴らす方法がありますか?」
「……まあ、ないな」
「そうでしょう、そうでしょう」
疑問はあるんだが、星の妙な迫力の前で無理に質問を投げかけることもない。
断る理由なんて最初からないし。
「気持ち良く酔えれば、それだけで寝苦しさなど気にならなくなるというものです」
そう言って星は気持ちよく笑っていた。
こういった事があるなら暑さや雨にも感謝していいかもなあ、と思う俺はいい加減だな。
まあ、何にせよ今夜はすんなりと寝ることができそうだ。
「…ところで、やっぱりメンマは買ってくるのか?」
「無論です」
ざあざあと雨が降る外の音を聞きながら、俺はノートとにらめっこ。
ついさっきズドンと一発雷が落ちた時から、さらに雨が強くなってる気がするな。
「……落ち着かないな」
みんなが時間にアバウトなのは、時計という文明の利器がある現代においても同じことらしい。
星によれば、細々しく時間を決めるなど駆け引きも情緒もないでしょう、とのこと。
「まあ、分からなくもないんだよな」
不便なこともあるんだけど、結局向こうの生活も気に入ってたってことなのか。
…まだ手書きの手紙を書いたことはないが、そのくらいは思う。
しかし、手持ち無沙汰なこの気分……時計を見るとまだ八時だ。
この雨で窓から星が入ってくるかは疑問だが、そうじゃなくても迂闊に寝るわけにも。
「……」
というわけで余裕のある宿題を見てはいるのだけど、集中できないのか答えが芳しくない。
いや……訂正しよう、この場合はどう見ても俺の能力が足りないんだな。
明日にでも誰かにヒントか何かを聞くことにしよう。
「それだけじゃなくて、そっちも間違ってるわよ」
「…あ、ほんとだ」
なかなか気付かないもんだな。
……ん?
「って、うわ?! ……っと、痛っ!」
反射的に横に逃げた俺は、足を滑らせて何かに頭をぶつけたらしい……何かがちょっと見える気がするぞ。
「…何やってるの」
そのまま上を見上げると、蔑んだ目線の華琳が見えた。
ついでに後ろの方に視線をずらすと、春蘭と秋蘭もいるな。
「いや、そんな事言われても…そもそも華琳が何で――」
「曹操、そこで一刀に何をしている!」
思わず言葉を切られる怒号。
扉の方を見ると、息を切らせた愛紗がいた。
「愛紗! 貴様、突然入ってきてその言い草はなんだ!」
「いや、まず突然入ってきてるのはお前らなんだけど……」
…と言うものの聞こえるはずもなく、今日もまた騒動が始まってしまった。
ごめん隣の住人。
「停電したのよ」
「停電って……ひょっとして、さっきの雷でか?」
「どうやら断線してしまったようで、寮のほとんどの区画で今は電気が使えないのです」
補足した愛紗の説明に、はあと華琳はため息をつき、春蘭に秋蘭、季衣が頷いた。
「でも、寝ることは出来るだろ?」
「あんな部屋、空調が掛かってなければただの風通しの悪い小部屋でしょう」
…文明利器の落とし穴ってやつだな。
「だからって何で俺の部屋に来るんだ?」
「寝れないなら、せめて暇つぶしをしようとね」
「おいおい……」
俺の意思とか都合とか体調は無視か……まあ、今さらなんだけど。
「愛紗もそうなのか?」
「わ、私は! …停電したかと思えば曹操が突然飛び出したので、何かと思いそれを追ってきたのです」
なるほど、まあそうだろうな。
「…で、その騒ぎを追いかけてきたと」
「いや、だって暑いのは確かだしさぁ」
「はう〜……す、すみません」
「そうは言っても、華琳だけお兄ちゃんと遊ぶのはずるいのだ」
飛び込んできた愛紗の後にぞろぞろついてきたのは、鈴々に翠に朱里。
それにしたって、俺の部屋に来ても大して暑いことには変わらないんだけどな。
「……ふむ。やけに騒がしいと思えば、これだけ集まって一体何が起きているのです?」
「あ、星」
声に顔を向けてみれば、きょとんとした顔の星が立っていた。
そういえばすっかり頭の外に追いやられてけど、星と飲む約束をしてたんだっけ。
「…って、星は寮にいなかったのか?」
「ええ、私は少々外に出ていましたので。何か問題でもあったのですか?」
外に出ていたわりには濡れてる様子がないぞ……何を使った、何を。
「落雷で断線したようで、寮は今電気が使えない状態だ。それで、
居心地の悪くなった全員がこちらに移ってきたという訳だ」
「なるほど」
秋蘭の説明を聞くと、星は納得したように笑う。
「では、ちょうど良いではありませんか」
「ちょうど良いとは、どういうことだ?」
「なに、一刀と酒でも飲み交わそうと思っていてな。折角だから大人数で、と思ったのだが」
「おお! いいじゃんか、明日は都合よく休みだしさぁ」
…どうやらお隣さんとの関係が悪化するのは避けられなさそうだが、仕方ない。
「…けど星、俺の部屋に置いてあるものだけじゃ流石に足りないぞ……?」
「ご心配なく。そんな事もあろうかと、今さっき調達してきましたので。それとメンマを」
それはメンマのついでに買ってきたっていう間違いじゃないのか?
しかし、高揚するみんなにちょっと置いてかれ気味な朱里、そしてもう一人は浮かない顔。
「…酒、ですか。しかし、あれは…そう頻繁に飲むものでは」
まあ、愛紗はあまり飲みたくないのも分かる。
「何だ、軟弱な奴だな。酒の一つ飲むのに怯えるとは」
「…なんだと?」
愛紗の目つきが変わってしまった。
こういうところで簡単に乗せられるのは変わらないんだな……。
「良いだろう、この私の力を見せてやる!」
「……愛紗は単純なのだ」
「では、決まりだな」
朱里も何だかんだで丸め込まれて、結局宴会に決まってしまった。
「それはいいけど、他に誰かまた来るんじゃないのか? どうなんだ?」
「…確かに、私達が愛紗さんを追ってきたように、他の人達が追ってくる可能性も十分ありますよね」
特に貂蝉の姿が今のところ見えていないのは、逆に恐怖だ。
「月と詠は残ってたし、紫苑も様子を見るからって残ってたのだ」
「呂布が暑いからってどっか行って、それを華雄と霞が追ってたよ、兄ちゃん」
「…じゃあ、来れそうもないな。蓮華達は?」
「孫仲謀なら、もたもたやってるうちに周喩に捕まってたわよ。煽りを食って妹の方もね」
華琳達と違ってブレーキ役ってものがいるからな……ん?
「そういえば、桂花はどうした?」
てっきりいつものように華琳についてきてるかと思ったが、いないみたいだ。
「確かに、どこへ行っているのだろうな」
「…起きているのなら来るでしょうし、もう寝てるんじゃないかしら。構わないから、さっさと始めましょう?」
まあ、華琳がそう言うならいいか…桂花の場合、俺が心配しても仕方ないし。
30レスもあるのかよ支援。
超ガンガレ
そんなわけで、避暑には程遠い宴会が始まった。
騒ぐのはともかく、頼むから壁を破壊するようなことは起きないで欲しい。
近所付き合いって大切だ。
「……ぷはぁっ! どうしたどうした愛紗、ペースが遅れているぞ?」
「あーー……っく、うぃー…そんなことが、あるものかっ…! 言いがかりというものらっ!」
いや、そのりくつはおかしい。
どう見てもろれつが回ってないぞ。
「その辺にしとこうな、愛紗……?」
しかし、完全に出来上がっている愛紗に比べて春蘭は涼しげもいいところだ。
…酒豪ってやつだろうか。
「ご主人様までぇ、そのようなことを……いっく……おっしゃいますかっ!」
「これでも心配してるんだぞ?」
というか、ご主人様に呼び方が戻ってるぞ。
「ならばぁっく、心配はぁ、無用というものでりゅふ! …そもそも、何故ご主人様の膝の上に、朱里がいるのですかぁ!」
「……って言ってもな……」
さっきから完全に目を回したまま止まらない朱里は、俺の膝の上で体重を預けている。
時々漏れるはわわはわわという呟きが実に朱里。
「はわわ、はわわわわわわ〜……WAWAWA」
「でもこんなんだから、どかすとそのまま倒れちゃいそうだし」
「……むー」
くるくると目を回す朱里の髪を梳くと、愛紗が不機嫌な顔になりだした。
うー、うーと唸りながら口を尖らせる姿はまるで駄々っ子みたいだ。
…恋に見せたらどんな反応をするだろう?
「………です」
「ん?」
「……私もれすっ!」
ぐがぁー、と吼えたかと思うと愛紗は突然べったりと膝に頬を寄せてきた。
それだけでは物足りないとばかりに、体を丸めて密着させてくる。
愛紗も朱里も、普段が普段だけにこの状況はちょっとくるものがあるぞ?!
「……はふぅー……」
「いや、リラックスしましたっていう感じのため息をつかれてもな……」
俺は苦笑するしかないのだった。
「……ふんっ、他愛ない。付き合っていた私がバカらしくなるじゃないか」
「羨ましいのか、姉者」
「誰がだッ!」
憤慨しながら一気に酒を飲みたてる春蘭……うーん、呑み慣れてるな。
屋台巡りをするみたいだし、普段から口にする機会があるんだろうか。
季衣はといえば、向こう側で鈴々とデッドヒートを繰り広げている。
お前ら胃に穴開くぞ。
「…なんだ、もう空じゃないか。まだあるんだろう? 何処だ?」
空になった一升瓶を転がして、きょろきょろと視線を動かす。
視線の先には、まだ満杯の一升瓶。
「……む。待て春蘭。その酒はな」
「何だ、趙子龍。今さら飲むななどとは言わないだろうな。ここにある以上は、誰が飲んでも良いもののはずだぞ!」
「いや、無論それはそうなのだが」
「ならば、何も言うな」
まあお主がいいならば良いのだが、と呟く星を気にも留めずに春蘭は栓を開けた。
「…しかし、それで何本目だよ」
「いちいち酒の本数を数えるなどと……北郷、貴様は女々しい奴だな。そういうお前は飲んでいるのか?」
「……俺はのんびりやるよ」
というか、この集団のペースに付き合うと二日酔いどころの話じゃない。
…と言ってる間に、もう瓶が半分くらいなくなってるし。
「…そもそも、貴様はなぁっ!」
「うおっ」
どがん、と一升瓶の底を床に叩きつけて、間近から顔を覗き込まれる。
慣れたとかそういう問題じゃなく怖いから、その声はやめてくれ。
「貴様は、いつもいつも甘い事を言う癖に、やる事がえぐすぎる!」
「そ、そうか?」
確かに夢想的なことを言ってる割に、ままならない部分があったのは確かなんだけど。
でも、それをえぐいって言うか?
「この前など、後ろから執拗に擦り付けてご主人様と呼ばせ、恥ずかしいことをあれだけ言わせた挙句、結局挿れてくれなかったろうが!」
「ぶぅっ?!」
思わず口にしていた酒を噴き出してしまったのは、俺のせいじゃないと思いたい。
いきなり何を! 春蘭は絶対そういうことは口に出せないと思ってたのに?!
足元の朱里や愛紗まで一瞬完全に開眼してた気がするが、それは気のせいだろう。
気のせいということにしておこう。
「それはまた随分と凝ったやり方ですな。一刀にそういった手合いがあるとは迂闊でしたが」
「そうね、人の純朴さにつけこんだのかしら。許せないわね」
そんな笑顔で言われるのが逆に怖いぞ、華琳。
しかし春蘭が堂々と暴露してくれるとは……本人は全く気にしないという具合に、酒を煽っていた。
全く気にしない……ん?
「…姉者?」
さすがに秋蘭も不審に思ったのか、声をかける。
そうだ、さっきまで全くの素面だったはずなのに急に酔っ払いになってるぞ?!
「星、さっきの酒は何だ?!」
「…ああ、それなら『与那国』という銘柄でした」
「何か、凄く嫌な予感がする名前なんだけど……。それ、何か特徴はあるのか?」
「アルコール度数が高い以外は、それほど問題ありません。…ただし、60度以上とありますが」
「60度って何だよ?!」
余裕で火がつく度数じゃないか!
むしろそれをがぶがぶと飲んで、酔うだけで済んでいる春蘭が凄いというべきなのか。
「……うぐ」
言ってるうちにみるみる顔色が悪くなってきたぞ。
近づいて春蘭の両肩を持ち、少しゆさゆさとしてみると余計気持ち悪いのかうなり始めた。
「おい、しっかりしろ春蘭…! 大丈夫か、俺の言ってることは聞こえるか?」
「あー、うー……ぃっく…… うううー…」
さっきまでの覇気はどこへやら、本当に気持ち悪そうだ。
…と、急に顔を上げてこちらを見つめて、硬直する。
「おい、春蘭……。……春蘭?」
何かおかしい。何か――
そう思った時は遅かった。
「ぐ……うえ。○×△□■#Ωл――!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああっ?!」
(表現の限界を超えた状況が発生しました。しばらくお待ちください)
「……ひどいめに遭った」
「ちゃんと洗ってきたでしょうね。冴えない上に臭い物が近くにいるのはお断りよ」
そう言うだろうと思って、洗い場で念入りに洗ってきた…完璧だ。さすがに華琳でも恋並の嗅覚は持ち合わせていまい。
「……ふむ。さすがにあれだけの酒では普通でいられませんでしたか」
「星…何だってあんなものを買ってたんだよ?」
「なに、景気づけというやつです。とはいえ本来ならば、飲まないか、皆で回し飲みでもしようかと思ったのですが」
好奇心旺盛なのはいいんだけど、洒落にならないぞ……。
月あたりが飲んだら粘膜がおかしくなりそうだ。
「そんなもの、貂蝉にでも飲ましておけよ」
多少ひどい扱いでも貂蝉なら大丈夫だろう、と思ってしまう俺ガイル。
「そうすると酔った貂蝉が一刀を押し倒すことになりそうですが、よろしいか?」
一瞬目の前に薔薇が満開になって、飛び散った。
「…そうだな、やめておこう」
「貂蝉も無碍にされたものだ」
からからと笑う星……やめてくれ、洒落にならないぞ。
俺の貞操は墓まで持ち帰るんだと固く決めることにした。
「…あなたたち、気持ち悪い話をしていないで私に酌でもしなさい。忌々しい」
「悪い悪い、控えるから」
俺だって別に好き好んで話しているわけじゃないんだが、華琳の貂蝉嫌いは異常だからなぁ。
というか、不細工嫌いか? …貂蝉の場合、不細工というレベルを超越してる気がするけど。
「一刀、私にもどうか一献」
「はいはい」
華琳や星は、比較的落ち着いて酒を飲んでるみたいだ。
…それでも飲む量自体は俺がついていけるような半端な量じゃないみたいだけど。
「そういえば華琳、聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「華琳が入ってきた時、俺はちゃんと鍵をしておいたはずなんだけど。どうしたんだ? 窓から入ったのか?」
「…あのね、猿じゃあるまいし、そんなところから入る筈がないでしょう」
すまん、しかしお前の隣にはそんな奴がいるんだよ。
「これを使ったのよ」
しゃらんと鳴って懐から出てきたのは、鍵だった。
「……あれ? 俺、鍵なんて落としたっけ?」
よくわからないが、俺の部屋の鍵ということなんだろう。
華琳が拾っておいて助かったな。
「落としてないわよ。だってこれ、合鍵だもの」
おい!
「一体いつ俺の鍵を使って合鍵作ったんだよ……」
「さあ、いつだったかしらね?」
にやにやしながら鍵を見せびらかす華琳。
プライバシーも何もあったもんじゃないな。
「…それ以前に、そんなもの作るなよ。さすがに人の部屋に勝手に入れるのはマズイだろ?」
「あら、呼ばれてもいないのに情事の最中に乱入してきて、私達三人を後ろからよがらせていたのは誰だったかしら?」
ちょっと聞いてくれ……冷静に諭したはずが、いつの間にか逆転されていた。
なんというブーメラン!
今になってそんな事を持ち出されるとは思いつかなかった。
「ほう、そんな事があったとは。…一刀、曹操にそこまでしておいて、何故私の寝床には奇襲をかけてくれぬのです?」
「いや、そうじゃなくてあれはな……そのなあ…」
やむなき事情が……と言いたいんだけど、大体合ってるから反論しづらい。
実際に三人がくんずほぐれつやってるところを覗いちゃったのは確かだしな……。
「まさか太守だから、捕虜だからで済ますつもりじゃないでしょうね? 善良で監視もつけない北郷一刀は」
「それは公私混同ですな、一刀」
「しないってば!」
しないけど……ああもう、駄目だ。
とにかく過去のことはともかくとして、なんとしても鍵だけは阻止しなくては。
一人許したら、それこそ伝染的に増えていきかねない。
防犯的にも俺の健康的にもそれは色々と遠慮したいところだ。
なんとか有耶無耶にして手放させる方法は……
「…けど、さっき入って相子になったって考えなら鍵まで持ってるのはおかしいだろ。対等な関係なら、俺だって華琳の合鍵を持ってないとおかしいぞ」
これでよし。
さすがに自分のプライバシーまで侵されるのは許し難いだろう。
後はなんとか舌戦に持ち込ませずに押し切って鍵を回収すれば……!
「ああ、構わないわよ」
「……え」
多分、予想以上に自分の声は間抜けだったと思う。
「私の部屋の合鍵でいいんでしょう? ならいいでしょう。入ってきても構わないし」
「え……いや、その」
まだ頭に整理がつかない俺の目の前で、華琳は次の瞬間すっと目を細めた。
「その覚悟があるなら、だけど?」
……。
しまった、墓穴を掘った?!
「いや、その、華琳」
「二言はないでしょうね、北郷一刀。ここには見届け人もいるのだし」
先手を打たれて潰された……。
いいアイデアだと思ったのに、俺の頭は所詮平民の頭だということか?
「曹操。その合鍵、私が作るためにも貸してもらおうか」
「ちょっ、星! 何で?!」
「おや、一刀が言ったのではありませんか。対等な関係なら、合鍵を持ってもよいと」
「そう解釈しても、問題ないでしょうね」
やばい最悪の事態だ。
どうやら俺は、ハッタリをかける相手を根本的に間違えてしまったらしい。
「じゃあ貸しておいてあげるわ、星」
「ありがたい。…では一刀、私の合鍵は出来次第渡しますので。無論、朝駆け夜這いは望むところですので」
「…ああ、やっぱりこうなるのか……」
対処を間違えてから……いや、ひょっとしたらこの世界に来てからこうなる事は決まっていたのかもしれない。
というか、よく考えたら華琳や星と違って俺は部屋にたどり着くの自体、至難の業な気がするぞ?
お隣さんの有名なシスコンは鍵縄つきロープで潜入したとかしてないとか聞いたことあるが……。
忍者じゃないんだから。
「ああ、それと曹操。一刀が愛読していた艶本があるのだが、お主はいるか?」
「広めないでよ、これ以上?!」
「あら、そんなものがあるの。それは是非とも見てみたいところね」
華琳の笑みが邪悪だ。邪悪すぎる。俺に見せつけてるだろ間違いなく。
自棄になる自分を感じながら、俺は手元の酒を思いっきりあおるしかなかった。
…酔ってやらい。
…雨はまだ降っていた。
ひさしの中に入り込んだ雨で濡れた地面の上を歩く。
「…ふう…っと」
階段を上って俺の部屋まで一直線。
目を覚ました時はだるかったけど、一度身を起こすと今度はやけに目が冴えた。
交感神経がどうのとか聞いた覚えがあるけど、よく覚えてないな。
…まあ、もう一度横になれば簡単に寝れるだろうけど。
「おや、一刀。お帰りなさいませ」
扉を開けると、ベッドに腰掛けた星がいた。
「…なんだ、星も起きたのか?」
「は、唐突に。…あるいは、一刀が動いたので私も目覚めたのかもしれませんな」
扉をゆっくり閉めてから辺りを見回すと、星以外は相変わらずの状態というか惨状だった。
散らかしっぱなしの部屋に、大の字で寝たり壁に座り掛けていたり、誰かの上にいたり逆に下敷きにされていたりと様々。
…毛布ぐらい用意しておけば良かったかな…?
「そうか、それは悪かったな」
「いえ、お構いなく。うとうととしていた程度ですし、どの道起きていたでしょう」
「そっか」
足元を出来るだけ見ないように、そして踏まないようにしながら(結構難しい)縫って歩く。
しかし、今一体何時だろう?
…最後に時計を見た記憶が宴会の始まる時で、それが8時だから……まあ、分からないな。
「よいしょ……っと。お邪魔するよ、星」
「どうぞどうぞ」
断りを入れてから、俺は星の隣に腰掛ける。
ベッドが僅かに軋んでいた。
「星、眠くないのか?」
「はて……どうでしょうな。眠ろうとすれば眠れてしまうでしょうが、かといって眠るのも名残惜しい」
「…じゃ、良ければ付き合ってくれるかな」
杯を揺らすと、星は満足そうに笑っていた。
「勿論です。…ふふ、ですが主こそ大丈夫ですか? 後半は飛ばしていたようですが」
「心配しなくても、前半の貯金がまだ余ってるさ。……ほら」
気を回しているのが見透かされるようじゃ、本末転倒だな。
…まあ、俺自身も星と少し飲んでいたいんだから問題ないだろう。そういう事にしておこう。
ざあざあと屋根をうつ雨の音と、あちこちで聞こえる寝息を聞きながらちびちびと酒を飲む。
やっぱり俺は豪快にあおるよりこっちの方が合ってるな……酒に大して強くないってことも含めて。
ふと星の横顔を見る目をずらして窓に向けると、雨の中に浮かぶようにして月が在った。
「……なあ、星」
「何でしょう?」
「いや、ふと思い出したことなんだけどさ。…この世界の月は、どうかなって」
以前、俺は星に言った。『こちら』の月は、あっちみたいに綺麗じゃないって。
…雨の中、木立を眺めるようにして浮かぶ月はいつの時代も同じなのに。
「…そうですな、何度か見てきましたが」
ゆっくりと星が窓の方を向いた。
「そう悪くはありません。あの世界の月に比べれば見栄えがしないのは確かですが、綺麗に輝くだけが月ではありませんよ。あれには、我々が今までやってきた事が集約されているのでしょう?」
「…だから、悪くないのか?」
「その通りです」
「なるほど。なるほどな」
確かに月の見栄えが綺麗だっていうのはことだけでは、語れないこともあるっていうのは分かる。
…でも、何となく。
「それは嘘だろ、星?」
「ほう、なぜそう思います?」
「星はそういう月を見て美しいとそれだけ感じられるほど、無責任じゃないと思うからな」
「……ふむ」
…いつものにやにや顔だ。
まあ、当たらずとも遠からずって感じだろうか……この様子なら。
「確かにその通りですが……しかし、そう悪くないと思ったのは確かですよ?」
「…あれ、そうなのか? じゃあ、何で?」
星の性格からして、妥協した言葉じゃないだろう。
「それでは、一刀はあの月をどう思います?」
「俺? 俺は……」
そう言われて咄嗟に思い浮かばなかった俺は、もう一度だけちらりと窓の外を見た。
こういう時は直感でいいだろう。
「こう言っちゃなんだけど……やっぱり寂しいし、煙が巻いてて鮮やかじゃないなって思うぞ」
単純に視覚的にも良くないし、あの世界の凍えるほど鮮やかで冷厳な月はここにはないのだ。
「そうですか。では、一刀がこの月を見るのは二度目だと存じていますが……それと比べてなら、どうです?」
「? 俺が愛紗達と出会う前にいた世界と比べて……ってことか?」
「左様」
……なるほど。
「悪くないな」
「そうでありましょう?」
以前、俺はあんなに美しい月があることを知らなかったから――その時に見た月は今より綺麗に見えていたと思う。
それでも、今見る月の方が気持ちがいい。
「…みんながいるからか」
「そう一刀が思ってくれているのなら、私もこちらの月を見に来た甲斐もあったというものです」
向こうの世界でも言ってたっけ。
例え俺のように月が酷くても、みんながいれば多少は……って。
「そうでなくては、どれほどの名酒と月があろうと心を動かされることはありませぬ。
…ましてや、最悪今生の別れすらあるやもしれなかったのですから」
「……そっか。…そういえば、その節は心配をかけたな」
「お構いなく。それにあの時賜りました勅は、今でも私の誇りでありますからな」
また一世一代の弱音を誇りにされたもんだ。
…しかし苦笑する気にもなれない俺は、手元の酒をゆっくりと嚥下した。
「しかし、一刀が大して変わらないと言おうものならどうしようかと思いましたが」
「おいおい、俺はそんなに薄情者か?」
今度こそ苦笑した。
星は星で笑いながら、中身が無くなった俺の杯に酌をしてくれる。
「……と、打ち止め…かな」
「そのようですな」
とぽとぽと注がれていた酒の勢いが唐突に弱くなって、切れる。
これで一本空か…とはいっても、あんまり自分が飲んでる量は把握してないんだけど。
完全に空になったことを確認すると、星は足元の床に空になった容器を置いた。
相変わらず、周りからは規則正しい寝息と雨の音しか聞こえない。
星は置いた後に体を起こすと、ちょっとだけ赤みを帯びた顔で俺の瞳を覗いてきた。
「…ふむ、一刀」
「何かな?」
「抱いてみますか? この私を」
「また、唐突だな…」
「その割には、大して驚いているようには見えませんが?」
窓から入ってくると見せかけて外を覗いた俺を後ろから押したりとかしない分だけ、まだ自然と言える。
「まあ、先程は一刀から持ち掛けていただきましたので」
「変なところでまた律儀だなぁ」
「気になさるな。…それに、実を言えば昼間に声を掛けた時から、私はその気だったのですよ?」
ねだるような表情と、あえて抑え付けるような声に、むずがゆくどこかをくすぐられるような感じがする。
どうやら本気のようだ。
…杯をそっち除けてゆっくりと唇を近づけると、星は抵抗せずに僅かに目をとろんとさせた。
「ん……ちゅ、ふ」
「んくっ……じゅるっ……ふァ、ん、ん……」
奪うのではなく、重ねる。
触れた瞬間にむわっと広がる酒の残り香と、汗ばんだ星の匂いに感覚を蝕まれる。
それだけで頭の奥が溶けていくような。
さりげなく星が両足をベッドに乗せて体勢を変えたので、俺も完全にベッドの上に乗る。
「れろ…じゅ、んく、…じゅ、ずっ」
唇を突き合わせていただけのキスはすぐに終わって、俺が動くと同時に星の舌も動いた。
押して引いて、お互いの口内を行き来して、お互いを舐って溶かしつくす。
否応なしに唾液が交換されると、体に火がついてくる。
「ちゅ……ん、ふぅ…」
やがて一呼吸置くためか、頃合を見て星が唇をゆっくりと離そうとする――が。
なんとなく。
「んっ……?! あ、かず、んっ…ふぁ…!」
いつも奇襲されてるんだし、今日の思いつきぐらい許されるよな。
俺は離れようとする星に対して、間に掛かった透明な唾液を辿るようにして追撃をかけた。
ゆるりと優しく抱きかかえるように、星の後ろに腕を回して逃げ道を塞ぐ。
不意打ちで薄くなった防御を突破して、今度は一方的に星の口内をかき回して空気を奪うようにむさぼる。
溢れてきた誰のものかわからない唾液が、口元をてらてらと濡らしていた。
「ん……じゅるるっ……ちゅ、ぷはっ……っと」
ようやく俺が唇を離すと、切なげに突き出した舌を引っ込めて混ざった唾液を嚥下する星が在った。
…しかし、これだけ立て続けで、息が切れないのは流石だな。
俺が限界だったぞ、肺活量的に……。
「んくっ……んくっ……ふぅ。これは、なんと…」
「良かったかな?」
光悦と心底驚いたような表情が混じった星を見ると、実に誇らしくなる。
俺はやったぜじいちゃん。よく分からないけど。
「接吻だけでここまで昂ぶることが出来るものなのですな……。…奥が深い」
本当はもっと続けるつもりだったけど、俺の肺活量的に保たなかったとは言えない。
まあ、俺としては星の目を白黒させただけで十分なんだけど。
ともかく次の段階に進もうと、逸る気持ちもそこそこに、窺うように体重をかける。
星は抵抗せずに、そのままぽすんと布団に体を横にした。
「…ふふ、酔いに任せているかの確認はしないのですか?」
「水と同じようなものなんだろ? …まさか、今さら酔ってるとか言わないよな」
あんまりくどいのもと思うし、もう聞かないことにはしているのだ。
「勿論、酔っていますとも」
「えぇ?」
……まさかここまで来て、またおあずけとかあるのか?
それは厳しいと思っていると、下から伸びてきた星の指が胸の辺りを柔らかになぞる。
「ただし、この空気と……一刀の唇に、ですが」
「…また上手いことを言ってくれるなあ」
朱が差した顔で、星がふふっと息を吐いた。
「しかし、酔いより大きな問題がまだあったかもなあ……」
「おや、一体他に何がありますか?」
「……周りがな」
一瞬すっかり忘れていたが、ここは宴会の跡地だったんだ。
当然、部屋の中では今でもたくさんの数の寝息が聞こえていた。
…起きれば一騒動あるのは間違いないな。
「それならば、問題ないでしょう」
「何で? …まさか、睡眠薬を入れたとかそういうのじゃないだろうし」
「酒の席でそんな無粋な真似はしませぬ。…そうではなく、その方がいわゆる『燃える』というものでは?」
今度は何処から覚えてきたんだ、そんな言葉? というか、見つかった時の事は考えないのか。
あまりにも後先考えないその思考に、俺はさすがに自信を持って言った。
「その通り」
…結局は俺も、人の事は言えないくらいおかしい。
「ちゅ、じゅ、んふ…っ」
「ん、くふっ、ちゅ、じゅる……」
もう一度キスをしたまま、お互いの服に手を差し入れる。
手馴れた手つきは嬉しいやら悲しいやら、星をあっという間に半脱がし。
「んくっ……ふぁん、そこは、一刀ぉ……」
「いや、悪い。星のがあまりに美味しそうだから、つい手がでてさ」
「あふっ、こねる……っ。愛紗や紫苑の方が、立派なものを持っているでしょうに……はンっ」
「そう かんけいないね。俺は今、星のおっぱいが揉みたいんだから」
「ふあ、は……一刀、この体勢では、私が奉仕できぬではないですか…はぁん、ふ」
「いいんだよ。徹底的に星に気持ちよくなってもらうことにしたから。今決めた」
というか、未だに星が大人しいのには不気味さすら感じてる俺は情けない。
どうせだから、この機会に味わっておきたいと思うのは正しい反応のはずだ。
「はぁぁんっ……、ずるいですぞ、あ……ふぅ、そんなに、強く揉んでは…ぁっ!」
「だーめ。そんな切なそうな声をしても聞かないぞ?」
上から見下ろす体勢のまま、張りがある胸を強く弄ぶ。
と、ふと逃げるように上に向ける顔のおかげで、露になった首筋が気になった。
「あぁん、あぁぁっ! そんな、強く吸われ……ぁん、んんんっ!」
「ちゅ、じゅ……ん、じゅううっ……! いや星、可愛いよ……?」
追いかけてあちこちに唇を這わせながら、手はなおも動く。
伸びてきていた手の動きが鈍くなったのを見計らって、俺は左手を星の大切な場所に潜らせた。
「…うわ。星のここ、もう凄く溢れてるぞ?」
「それは、一刀が、さんざ私の体を弄るからでしょうに……ふあっ、くぁァん」
「そうだな。それで星がえっちな気分になってくれてるんなら、俺は嬉しいぞ。あそこの様子を見せられないのが残念だけど」
「あく、ぁあ…っ、そんなことを、言いますなら…!」
反撃したいのか腕が伸びるが、いつもとは比べ物にならないほど弱々しく、俺は割とあっさり弾く。
逆に胸を揉み潰していた手で、硬くなった乳首を手のひらで押し潰すように動かすと、また一段と高い嬌声をあげて、
伸びてきていた手は俺の腕をやわらかく握るだけになっていた。
しかし、まだ意固地になっているのか声を出すことを躊躇ってるな。
往生際の悪い星め。
「星、どうした? 手元がお留守になってるみたいだけど」
「ううっ、か、一刀はぁっ……! うー、うー」
「悪いな、星。でも気持ちよくなってもらいたくてやってるってのは本当だぞ? 本当に駄目なら、やめるけどさ」
「…私にいまさらそれを聞くのですか? ……嫌であろうはずが、ないではありませんか」
「それなら良かった」
ちょっぴり拗ねるような、それでいてはっきりした声。
何度確かめても気持ちのいいものがあるな。
だから――
「じゃ……どうか気持ちよくなってくれ。星」
「はぁ、んっ……! そんな、突然あぁふっ、激しく……っ!」
手でもう一度胸を揉み潰すようにして、もう片方の先っぽを口で咥える。
そんなものは何処にもないのに、確かに甘い匂いを感じながら舌で舐めて、
突っついて、口でしゃぶる。
同時に秘所をかき混ぜる指に、緩急をつけてゆっくりと引き抜いては差し込んだ。
執拗で激しい三点責めを加える。
「はぁん、ああっ……あぁくうぅっ! あっ、一刀ぉっ……!」
僅かに震える星の体を感じ取って、俺はラストスパートをかけた。
じゅぷじゅぷと埋没する人差し指に中指を添えて、思い切って責め立てる。
星……おもいっきり、感じてくれよ…!
「はくぅっ……! あ、はあぁぁあぁぁぁんっ!!!」
その身体を弓なりに反らして、一際高く嬌声をあげた。
溢れる愛液に押し戻されるようにして、俺は指を引っこ抜く。
「はぁ、う……はぁ、はぁ……」
胸に添えてある手はぴくぴくと、星の余韻を感じ取っていた。
ほんの少し夢うつつな表情の星を見ていると、随分な達成感があるな。
「……とと」
さすがにちょっと俺も疲れたかな? 力が妙に抜けている。
結構骨だったからなぁ……。
と、力が抜けた俺の胸板に星が掌を押し当てる。
ああ、妙に熱っぽくて気持ち良い――って、
「わ……っ?!」
そう思ったのは一瞬のことだった。
何でって、視界がほとんど一回転する形でほとんど変わってしまったから。
「せ、星……!」
「ふふ……隙有りですぞ、一刀?」
あっという間に俺の上半身は押し返されて、さっきとは全く逆の位置関係になってしまった。
しまった、達したと思って油断した。
「あの程度の痙攣はすぐに収まります故。…まぁ、多少名残惜しくはありますが」
「すぐに収まるって、おいおい……」
…星相手に油断してしまったのが運の尽きってやつか。
「というか、別にいまさら……」
「そういうわけにはいきませぬ。一刀に尽くして頂いたまま、
私が何もせぬのは沽券に関わります故。それに……」
そう言って、俺の体が抑えられたまま星の視線が、唇が下側に移行していく。
…やばい、眼がやばい。本能的に何か色々とやばい予感が走る。
あれはいつもの、肉食獣と悪魔を掛け合わせて2で割らないような目だ!
「…先程の接吻に対する返礼も、まだですからな」
「いや、そんな事まで張り合わなくても……! って、うおうっ」
「……んっ……」
ちょ、直接かっ……!
移動した星が、手を添えたまま側面に唇を這わせてくる。
くすぐったいと思ったのは最初だけで、確実に俺を昂ぶらせていく。
「うあ、くっ……それ、やばっ……」
「ちゅ、ちゅ……ふふ、いかがですか? 存外に側面というのも、良いものでしょう?」
「わ、わかったから……あぁうっ、」
啄ばむように繰り返されるキスが俺の性感帯を確実に見極めて当てているのは確定的に明らか。
艶かしい舌の動きがたまらなくて、ぎちぎちと張り詰めていくのが分かる。
「…また一段と、ご立派になっておられますよ? …んっ……ふふ」
「うぅ……」
駄目だ抵抗できねぇ。
一部がやたら元気になってるのに比べて、体全体が脱力していく。
しかし気持ちいいものの決定打がなく、拷問にも似た快感が続いていた。
「せ、せひっ……ちょ、限界だって……あうっ」
「情けない事を言いなさるな。…時間をかけてみた方が、味も濃くなるというものです」
だあっ、さっきの事をよっぽど根に持っているな。
「もう十分すぎるだろ……頼むから、は、くっ」
「…ふむ、もう少し見ていたかったのですが。まあ、あまり待たせるのも悪いでしょうから…」
手が持ち替えられ、つつ、と側面をなぞる舌が頭頂部に移動していく。
期待と興奮と、さっきから続く快感で頭の奥が熱い。
やがて頂点にたどり着くと、星は片手で髪を梳いた後に軽くかぶりついてきた。
先っぽを軽く咥えられて、揺さぶりながら舌で責められると圧倒的な気持ちよさが押し寄せてくる。
「はぁう、くああっ…!」
「じゅる、んちゅく……ふふ、では…こんなのは如何です?」
「う、うおおうっ?! は、入ってくる…! こん、な……っ!」
舐っていた星の舌が突然にゅるにゅると尿道に侵入してくる。
そのままぎちぎちと押し広げて、まるで舌に犯されているみたいな感じがする。
って冷静に解説してる場合じゃないだろ痛い!
痛いのと気持ちいいのがないまぜになった感じで体が痺れる。
「…あだっ、ちょ、ちょおおおっ! 星ぃいいいぃっ!」
「おや、申し訳ありませぬ。それでは、これで……」
怪しく笑った星によってずずと引き抜かれる舌が、今度は開放感に直結して気持ちいい。
そのうえ急に深く喉で咥えてくると、今度は抱え込むように手と口と舌で愛撫してくる。
こ、この直後にこれは……っ!
「ああ、ぐっ……駄目だ、耐えられない……っ!」
「はむっ……じゅる、じゅぱっ……はふ、じゅるううっ…!」
こちらの意図を察したのか、星の喉が一気にしごき立ててくる…!
「あ、うっ……星、出るッ……! あああああっ!」
俺はそのまま、暖かすぎる口内に包まれたまま射精――した。
頭の中が一瞬フラッシュして戻ってくると、僅かな倦怠感が体を覆う。
「んむっ……ん、くっ…こくっ……」
下半身に目を向けると、星が大量に吹きつけられた白濁を嚥下している最中だった。
さすがに受け止めきれずに、下に僅かに零れている。
…しかし、冷静に考えてあの状態で出されてよく咳き込んだりしなかったな。
「…直接出しちゃったからなぁ。悪いな星、大丈夫か?」
「んく……ぷはっ。なに、問題ありませぬ。この程度ならば……鍛えてますので」
そういう問題じゃないだろ…多分。
それにしても嫌な顔一つせずに飲み込むのは、何回見ても凄いものだ。
「少々零してしまいましたな……申し訳、ありませ…じゅる、ちゅふ」
「う、おお、ちょっ……! いいってば、そこまで…」
「いえ、私の気が済みませんので……それに、勿体のうございますよ?」
出したばっかりで敏感なのに、舌を這わせて白濁を舐め取っていく。
「…おや、出したばかりなのにまた大きく、硬くなってしまわれましたな」
「仕方ないだろ。誰のせいだよ……」
「はは、問題はありませぬ。責任を取る準備は、出来ておりますからな」
「…まあ、俺のせいもあるけどな」
「では、相子ということで」
お互いに笑って、俺と星は上半身を起こしていた。
そのままゆっくりと、星を抱き寄せて――
「……ああ、すみません。少しお待ちくだされ、一刀」
すかした。
「一体なんだ?」
「そんなに切なそうな顔をしなさるな。…少し試してみたい事があるだけですよ」
星はそう言うと、ころんと体を横向きにした。
そのまま上になっている左足の膝を持ち上げて、間を作る。
しなやかな足が、まるで誘うように不自然な空間を作り出していた。
「一刀、ここに片足を通してくれませぬか」
「…まあ、見た感じ言うと思ったよ。……っと」
ごそごそと布団の上を移動して、慎重に右足をその間に通していく。
…しかし、何だってこんな体勢にこだわるんだろう?
星がこのテの事に好奇心旺盛なのは今に始まったことじゃないんだけど……。
気になる。
「……ん……?」
その時、ふと目を上げて見えたまんまるい飾りが目に入った。
……なるほど。
支援
「……星」
「何でしょう?」
「これを何処で習ったんだ?」
「無論、一刀の愛読書からです」
「なるほどね。…名前を教えてくれるかな?」
「おや、一刀はもうご存知なのでは?」
今度は含みのない笑いで応えてくれる。
…目に入ったものを見た時、あの付箋が閉じてあった場所を思い出した。
四十八手と呼ばれる、四十八に分類された体位の内の一つ。
それが……
「「窓の月」」
お互いに同時に声を響かせて、笑った。
「じゃ……いくぞ、星」
「ふふ……ええ、どうぞ」
星の右足を下にしたまま、徐々に腰を押し進めていく。
――窓の月。
四十八手の一つで、女性の足の間に男性が片足を入れて挿入することをそう呼ぶ。
名前の由来は、二人で同時に窓の外の月を見ながら行為することから…という事らしい。
もっとも実際には月ばかり見てるわけじゃないんだろうけど。
今も星は俺の方を見てるし。
「くぅ、とっ……」
「は、ぁああう……一刀、のがぁ……」
少しずつ押し入れていく度に、無数の襞が絡み付いてくる。
酒を汲んでいたせいか、いつもよりなお一層熱く、中はじりじりとしていた。
「くっ、熱い……なっ……」
「一刀の、もぉ……あふ、深いぃぃっ……!」
ところでそれは俺のも熱いって言ってるのか深いって言ってるのか、それとも両方なのか?
…そんな事を問う暇も俺にはなかった。
足を入れているせいか、いつもよりかなり深く押し入って、その分だけ圧迫してくる。
「星……っ、星の中、暑くて溶けそうだ……」
「一刀の逸物もぉ……っ、また一段と熱いですぞ…?」
少し熱が引いたのか、甘く声をあげると身を僅かに捩ってくる。
「月、か……」
「無論です。せっかくこのような形になったのですから」
ちらとこちらの様子を窺うのもそこそこに、星は窓の外に視線を向けていた。
どうやら相変わらず、外は雨が降りしきっているようだった。
…なるほど、こういう風に見る月もまた変わった感じがするな。
「って、くぁっ……!」
「ふ、はぁ……ふふ、あまりそちらの方ばかり見られても困りますな。妬けてしまいますぞ?」
「くっ、それなら……っ」
「はぁ、あぁぁっ……」
明後日の方を見ながらじりじりと腰を振る星に応えて、俺も動く。
ゆっくりと昂ぶらせるように、引いては押して。
二人で月を見ながら、息を合わせてそうしているだけでも、油断すれば暴発してしまいそうだった。
「はぁ、くっ……眺める余裕って、あるのかよこれ…!」
煙に巻いたようにはっきりしない月は、まるで俺を冷笑しているかのように見えた。
これも一つの見方ってやつなのか?
「んふぁっ……頼りない事を、言いなさるな。もう少し気を入れて頂かねば……」
ベッドに手を当てた星が、結合したところを支点にぐちゅぐちゅと音を立てて揺さぶってくる。
ややべっとりとしたお互いの体も絡んで、快感が抑えきれない。
まだまだ余裕と言わんばかりの表情が気になって、俺も責めることにした。
「ふううっ……くっ!」
「はふ、……あぁっ?! ふぁっ……!」
よし、効いてるぞ頑張れ俺。
「ひくぅあっ?! ぁん、ひぃあふっ、くぅ、かっ、一刀…!」
……あれ? さすがに効きすぎている気がする。
「し、びれますっ……! 膝、いや、腿がぁ…っ!」
「ん、んんっ……く、ああ、なるほど……」
下に目を向けると、ちょうど俺の腿が星のクリトリスを刺激する形になっていた。
…そうか、この体勢だとそういう利点もあるんだな。
ともかく俺もそう長くなさそうだし、利点を見つけたところで一気に責め立てることにしよう。
「はぁ、くふぅっ……! そんなに、擦り付けなさるなっ……!」
「どうした、星? 自分で弱点を暴露するなんて、らしくないじゃないか」
まあ、調子に乗って責めるから構わないんだけど。
「ふ、ふふっ……はぁ、んっ…! そこまで言われては、黙っているわけにはいきませぬな」
そう言うと、俺の腰をがっちりと両脚で固めてくる。
「……では、いざ! いざっ……!」
「う、うおおうっ?! くぁっ……!」
ほとんど諸刃の剣を振るような勢いで、脚で固めたまま腰を振り回してくる。
俺と星の動きが相俟って、結合部からとめどなく混ざった液が溢れ出す。
音は一層激しくなって聴覚を何処かおかしくしてしまいそうだった。
「はぁぁんんんっ! 一刀っ、一刀ぉ……!」
「星……星っ! 俺もそろそろ、限界だっ……!」
切なげでいて激しい呼びかけが、頭の遠くで響いていた。
ラストスパートのように二人で腰を動かすと、星の中がひくひくと蠢き始める。
それが俺の最後のとどめになった。
「はぁ、ああああああっ! くぅああああんんっ!!」
「くああぁぁあっ! 星、出るっ……射精る……ッ!!」
盛大に噴き出したカタマリが、星の中を満たしていく。
余韻のようにざわめく中の襞が、まだ残っていた白濁を強制的に呼び起こしていった。
「ふ、ううっ……!」
余韻から危うく倒れそうになるところを、なんとか両腕で抑える。
危ない危ない。
「は、あ……ふふ、一刀のもので私の中が満たされておりますぞ…?」
「ふう……っ、星、大丈夫か…?」
「無論、大丈夫ですとも。…気だるげなのがまた、心地よい。
…それとも、二回戦でもやりましょうか?」
「……いや、やめておこう。とりあえず今日は」
「ふふ、承知しました」
さすがにそれだけ立て続けにやるのは体力的に厳しいところが……。
それに、なんとなくこうしておいた方がいい気がする。
「…では、せめてこのままでも構いませぬか?」
「このまま?」
「左様。…今日はこのまま繋がっていたいと思ったのですが…」
「ああ、別に構わないけど…でも、さすがにちょっと体勢変えるな?」
「無論です」
足を組み入れたままだと、さすがに色々と問題がある。
「はンっ……」
「大丈夫か?」
「ふふ、お構いなく。あぁ、一刀の温もりを感じますよ……?」
「それなら良かった。……ふぅ」
「……それでは――」
「…ああ。お休み、星」
そのまま二人でころんと横になって、お互いの顔を見ながら眠りに就く。
…僅かだけど、綺麗と呼ぶには語弊があるけど。
それでも大切な光が差し込む中で、俺は瞼を閉じた。
……。
「――、―――」
……むぅ。
「―――――、――」
「もう、ちょっと」
寝ぼけ眼でついと視線をずらすと、人影が見える。
よくわからないけど。
「もう、ちょっと――」
「起・き・て・く・だ・さいッ!!」
「はっ?!」
「…お目覚めのようですね、一刀」
突然痛みと何かデジャブを感じて思わず瞼を開けると、目の前には愛紗がいた。
――何だろう、何故か視線が冷たい気がするな。
「あら、関羽。もう少し大人しく起こしてあげたらどう? 昨夜はさぞ激しかったのでしょうし?」
「……あ、あれ…?」
「…間抜け面をする前に、自分の目の前のものぐらい見たらどうなの」
にこにこ笑いが不機嫌顔に。ただしその間に感じられるのはずっと絶対零度の空気だ。
「はぁ、んっ」
「せ、星っ?!」
視線を移すとそこには、まだ俺と繋がったままの星がたった今の動きで目が覚めるところだった。
…し、しまった。
そういえばついみんなが周りにいたって事を忘れてしまっていた……!
「…ああ、お早うございます。一刀」
「あ、ああ……お早う」
まるで何事もないかのような星の態度に、さらにどこかが寒くなった気がする。
「あ、愛紗。昨日酒を随分飲んでたみたいだけど、大丈夫なのか?」
「ええ、ご心配なく。一刀を見たら、何故か頭が随分明瞭になりましたから」
「そ、そうか」
……怖すぎる。
まさに取り囲まれる俺は孤軍、なんだか周囲からすごい気が漂ってきてるし。
その一部はどうやら星にも注がれているようだった。
「なんだ。まさか抜け駆けはなし、などと女々しい事を言うつもりではあるまいな?」
「だが!」
「それに、そもそも私は一刀と先約をきちんと取っていたのだぞ?
本人に確認してみれば良い」
俺に振るな星、頼むから俺に振るな?!
「…その話は真ですか、一刀」
「ま、まあ……そうだな。昨日の昼からだと思うから」
「この通りだ。まぁ、酒にあっさり酔い潰れてしまう者には結局無理だったろうがな」
火に油注ぐな?!
「これはどうやら、ご主人様に朝から一働きしてもらう必要があるようね」
「同感です!」
「同感だな」
やめて華琳微笑まないでお願いころさないで。
秋蘭もくつくつと笑っているようで、何かいつもには無い威圧感が大変危険だ。
「…こればかりに関しては、同感だ」
「どーかんなのだ」
「…同感です」
「同感同感。こういう事は平等にしてもらわないと不公平だろ」
朱里まで言うか……?
どうやら、俺の味方は何処にもいないようだ。
当然俺と未だに繋がったまま笑っている星は味方に数えられない。
「……というか、お前こうなるの分かってただろ星?!」
「おや、何のことでしょうな?」
抜け目ない星が気付いていなかったはずがない。
「見苦しいのはそこまでにしてもらいましょうか。春蘭」
「御意!」
「せ、星っ! 謀ったな、星――ッ!!」
「一刀は良い男でしたが、それ故にその人徳が悪かったのですよ。…今回の場合は、ですが」
満面の笑みの星が、最高に憎たらしくて最高に綺麗だった。
ちくしょう。
「あうっ、あおおおっおっうおうああおおうっ?!
も、もう駄目! もう駄目だってば!
もう出ないのらめえぇぇええええええええええーーーーーっ!!」
〜まだちょっとだけ続く〜
……同刻、某所。
温度が高まり続けている気がする室内の中で、色んな意味でもがき苦しむ一人がいた。
「か、りん様ぁ……はぁ、はぁ……」
昨日、華琳が騒ぎ出した声にいち早く反応して起き上がったのが遥か前。
視界が真っ暗で、それが停電であることに気付いたのがそのすぐ後。
そして、華琳に命じられるまま自分を戒めていることに気付いたのがさらにそのすぐ後。
「はぁ、んくはぁっ……あぁ、華琳様ぁ……」
何がなんだかよくわからなかったが、当人――荀ケは、一つの答えを導き出した。
『これもいわゆる虐めだ。』
誰にもついていけないほどぶっ飛んだ思考なのだが、本人は極めて大真面目である。
何せ華琳様は、きちんと耐えられればとっておきのご褒美をくれると言ってくれた。
私を忘れるはずがない、きっとそのうち現れて……
「はぁぁん、ふっ……!」
それだけで、彼女は思わず達しそうになってしまいのだった。
……ところで、今は何時だろう?
そんな事も気に留めず、彼女はただ自分を慰め続ける。
ある意味、誰よりも幸せであった。
〜今度こそおわり〜
窓の月は月にやらせるか星にやらせるか、それとも3Pにするかいっそ詠も加えて…とか最後まで悩んだ。
最終的に月だと見ていてあまりにも紛らわしいので星に譲った。
エロは初めての試みなので、ねーよwwwwwwwな部分があればどうか教えてほしい。
あと、支援してくれた人たちありがとう。多謝。
大作お疲れさまでした、学園編良いねえ……
リアル季節と被せた話は臨場感が上がる感じがしてグッドだ。
エロシーンもオチも上手いなあ
しいて言うなら、普通に酒盛りしてるけど大丈夫なのかw
>>507 GJ!大作だけど一気に読んでしまったよ
恋姫はキャラも立ってるけど、お互い人間関係もあるのがいいんだな
>>540 イインダヨー
ギシアンに比べたらモンダイナインダヨー
542 :
名無しさん@初回限定:2007/07/16(月) 17:53:57 ID:JeCI1Gh60
これは大作
GJなのですよ
GJ
やはり一刀にはさいごにあ〜れ〜、って言ってもらう展開がよく似合う(w
ちなみに、酒は20歳から、ってのは・・・・
星「そこには触れないのがお約束と言うものですよ。だから全員20歳以上なのです。」
544 :
名無しさん@初回限定:2007/07/17(火) 09:58:04 ID:SJobReiO0
っと言う事は紫苑の歳は相当だn(ry
ageてまで言う事ではn(ry
>>503 遅ればせながら乙。
でも夏候さんじゃなくて夏「侯」さんなんだぜ?
謝謝も発送開始されたことだし、2週間後くらいには投稿した人の多くには届くかなぁ
そしたらここも少しは活気が戻ってくれるといいんだけど
月出さん乙です
大変楽しかったです
アッキーねたが出るなら愛紗には「に゛っごり」してほしかったな〜と
思いま〜す
ああ、早くベースソンのスタッフに選ばれたというSSが読みたいぜぇ
でも選考漏れとはいえWEB掲載版の妄想伝も賛否両論なんだしあまり過度な期待はしない方がいいかも
スタッフが選んだとは言っても企画者やライターだけが選んだとは限らないし
他のスタッフや恋姫とは関係ないスタッフまでもが選んでるなら、ただの好みやウケ狙いってだけだしなぁ
イラストにして見栄えのしそうな作品を選んだかも痴れ犬
552 :
エロ本:2007/07/25(水) 23:30:24 ID:pthKO3vS0
という訳で、妄想伝にはわざわざ新作を書き下ろして、しかも、本当のPNで投稿したっけ……と回想しながら短編投下。
終わりには、:了:を付けますので。
なお、今回も馬鹿ネタです。あと、朱里が黒いです。
皆様は「2度ある事は3度ある」という言葉はご存じだろうか?私的意見を述べれば、この行為は人の愚かさを示していると考えられる。
だが、同時に愚かになってまで為し得ようとする人の心意気の存在を裏付けているのだろう。
そして……。
「今度こそ……」
そのような意志を持つ黒き衣装を纏った二人の少女が、しっかりと白く彩られた石造りの歩道を踏みしめている。
轟音とともにその剣幕に飲み込まれてしまいそうなビル風。だが、そのような風でさえも、彼女達の髪を少し揺らす程度の妨害でしかない。
そう、何事も成し遂げたいことがある。何事にも変えられない意思がそこに存在する。
だからこそ、彼女達はそこに立っているのだろう。
彼女達‐朱里と月は向かうのだ。もはや、彼女たちを止める者は存在しない。何故ならば、最大の障害であった者は、東京湾の底や学校の屋上へと消えたはずなのだから。
だから、彼女達は迷わず足を向ける。
553 :
エロ本:2007/07/25(水) 23:38:26 ID:pthKO3vS0
その、『books明宝』のエロ本コーナーへと。
『朱里と月の艶本ゲット作戦』
『THE F I N A L』
今回のことの始まりはまたある噂であった。
『公孫賛 伯珪が冥琳達に借金を作り、返済できずに東京湾に沈(チン)されたらしい』
この噂を聞いた華琳達は、
「まぁ、公孫賛だから……」
と、日常茶飯事のことという事で流していたが、朱里だけは違っていた。
今までの失敗の原因はいずれも伯珪や恋、霞などの友人の介入が第一の障害となっていた。だが今回の事で、バイトを転々としているイレギュラー‐伯珪の可能性が消えたのだ。
その後の朱里の計算は速かった。
どうすれば、最も邪魔な友人が消えるか、その策を練りに練って、彼女はそれを恐ろしくも実行していたのだ。
まず、翠を始めとするバカレンジャーに接触しないように、テスト後の補修時期を開始日に選んだ。
また、愛紗、華琳、蓮華の3人には偽の呼び出し状を用いて一刀の部屋まで呼び出している。
ここから彼の部屋まではかなり距離があるし、同時にあの三人が会えば口論になるのは必至だろう。それを見た小蓮や穏、星なども同時に興味本位でそこに釘付けになるのは間違いない。
さらには、屋上にメロンパンや点心を餌にした罠を仕掛けたり、桂花の元に空箱を送ったりもした。つまり、武将全員に対して何らかの手段を打ったのだ。
時には、強敵の詠が路上で放送禁止用語を連発し、警察送りになるなどの幸運もあり、彼女達はここに立っている。
もはや、彼女達を遮る物は何もないはずなのだ。
「3回目になると……緊張します」
相変わらずの某エージェントスミス風の衣装に身を包月が緊張しながら口を開く。
「大丈夫です、月ちゃん。今度こそ私達で勝利を手にします」
自信たっぷりに言う諸葛亮こと朱里。それを見ると、月にも自信がわいてくる。
「私……頑張ります……頑張って、ご主人さまの為に」
何をがんばるのかはあえて聞かないとしよう。
そして、目的の地点に到達する2人。
目の前には、彼女達が勉強に使えそうな本が大量に積まれている。
「これで……ご主人さまと……」
月はこの後にどのような事が起こるかを想像しながら少しだけ赤くなった。
「はい、月ちゃん。一緒にご主人さまと……」
「うん……」
朱里の方もノリノリである。そう、このまま2人は目的を達成するはずであった。
「ん?そこにいるのは……董卓?」
目の前にその人物が現れなければ。
「か、華雄さん!」
そこにいたのは、元董卓軍の勇将である華雄であった。
「ど、どうして?」
「はわわ、すっかり忘れてました」
どうやら朱里も、唯でさえ三国志時代には接点がなく伯珪のように親しくもなかったため、存在をすっかり忘れており、対策を施していなかったらしい。
(でも……)
ここまで来て計画の失敗は許されない。そう思い立った朱里は、
「あっ!向こうでタイ焼きが海に飛び込みました!」
「何!」
「今です!えいっ!」
「(ドスッ)がはっ!」
六法全書を投げつけて華雄を沈めていた。命中した華雄はというと、打ち所が悪かったらしく、床に倒れ伏し、泡を吹きながら血を流していたりする。
「へぅ!か、華雄さん……」
「大丈夫ですよ、月ちゃん。死なないと思いますから……多分」
もはや、止める者はいない。もし、この後にだれかきたとしても逃れてみせる。例え店員だろうと言いくるめてみせる。そう決意していた。
「『口先の魔術師』の力、とくと見てください」
「えっと……朱里ちゃん、それ別のゲーム」
もうだれにも止められない。そう思った時である。
「あれ?何やってるんだ?2人とも」
現れたのは、彼女達にとって最大のイレギュラー
「ご、ご主人さま……」
「は……」
そう、彼女たちの主人である北郷 一刀であった
「は…は…はわわわわわわわわわわわわわわわわわ!」
その瞬間、かの諸葛孔明の策は一気に無に化したのである。
「で、要するにエロ本を買おうとしてたと……」
「へぅ……」
すべての事情を一刀に話した月は、そのまま下を俯いてしまう。
朱里も同様に下にうつむいたまま何もしゃべっていない。
「で、その為に皆を嵌めたと……」
「はい……」
もう消え入りそうな声で月が答える。
「でも……私たちは……その……ご主人さまのために」
「でもさ、人を騙すのは良くないだろ?」
理由がどうであれ、皆をだましたことには変わりはない。その事は月達も分かっており、何も言い返せなくなっていた。
「だから、今度からは止めろよ?」
「「はい」」
2人は素直だった。もう、こんな馬鹿な真似は止めるのだろう。少なくても、愛紗達を騙すことはもう無いはずだ。
「んじゃ、問題も解決したところで……少しさ、話したい事があるんだけど」
「「ふぇ?」」
そうすると、彼は二人の手を引いて本屋を出ると、そのまま寮へと向かっていく。
「へ、へぅ?ご主人さま?」
「な、何ですか?」
そう言うと、彼はゆっくりと言い放った。
「別に買う必要ないしな……ちょうど、当てと借りもあるし」
翌日、及川の部屋から悲鳴が上がった。原因は窃盗事件が起きたからである。
なお、その前の日に及川が一刀にちょっかいを出して、一刀の忍耐力が限界に達していた事が関係あるかは定かではない。
:了:
557 :
エロ本:2007/07/26(木) 00:02:55 ID:tIaYckU80
おまけ
彼らが出て行った後には、ただ一人の将が残されていた。
「……誰か……救急車……」
華雄は血を流しながら懇願する。しかし、店員の対応は次の通りであった。
「お客さん、こんな所で寝ないでください。警察呼びますよ」
「NOOOOOOOO!!」
華雄の扱いが酷いのは仕様ですw。
しかし、本当に朱里が黒くなっています。……4コマの影響か?
とりあえず、一言。
本スレで話題に上がっている時にこんな黒朱里の外史が書き終わったのは運命なのだろうか?……orz
本スレ見てるのなら判ると思うが安易に黒なんて言わない方がいいぞ
根本的に黒化の意味理解してないみたいだし
559 :
エロ本:2007/07/26(木) 00:23:28 ID:tIaYckU80
ああ、言い忘れてたけど作品自体はGJ、そしてシリーズ完走乙
ただこれを黒と言ってしまうのはちょっとと思っただけね
GJ
まぁそうね。黒というよりいつもどおりのはわわ軍師に過ぎない
あるいは郭図属性というか
ほんとに黒かったら
恋敵として邪魔ということでライバルを仲違いさせたり陰湿にイジメちゃったり殺しちゃったりするからな
だがはわわ軍師の場合個人対個人の場合圧倒的戦力差が
>>557華雄……あんまりだwともあれおつです。
そして
>>503の人続きはまだかのう、期待して待ってますぞ〜
565 :
名無しさん@初回限定:2007/07/27(金) 04:36:53 ID:6S9c/t5yO
ハーレム鬼畜ENDとか期待したい
>>553 公孫賛 伯珪が〜東京湾に沈(チン)されたらしい
血の涙
だがしかしGJ
一抹の不安から 保守
本当かどうか怪しいが発送されたにもかかわらずお返しディスクが一向に来ないから余計に過疎ってるな
確かに来ないな
570 :
エロ本:2007/08/02(木) 01:22:19 ID:+ghjRTbg0
今、恋姫やり直して気づいたんだが、ハムが一人称で「オレ」って言ってる所がない……orz
もう一度やり直せ。
前スレでも「オレ」って言ってないんじゃないか?と恋姫ユーザーにあるまじき
見落としをしている輩が居てつっこまれていたのが嘆かわしかったが。
まとめサイトの呼称表にもちゃんと載っているだろ。
いや……多分、見落としてるんだとは思うんだが……見つからない訳で。
もう3回やり直してみるわ。
マジでどこだっけ?
「俺」は見つかるが「オレ」は見つからないと言ってるのか
そもそも「俺」にしろ「オレ」にしろ見つからないのかはわからないけど
どちらにしても一度しか使われてない一人称だから言ってようが言って
いまいが誰も気にしないような些細な事だと思うが
ちなみに「俺」であって「オレ」ではないよ
久しぶりに呼称表見たけど「俺」となってるし
結局エロ本は見つけられたのかな
575 :
名無しさん@初回限定:2007/08/03(金) 04:22:00 ID:tuNCtfEAO
鬼畜王一刀
搾られ王一刀
577 :
エロ本:2007/08/04(土) 23:38:47 ID:IvG593Bz0
>>574 見つけられたよ。その後の台詞が蓮華だからそっちに気を取られてた。
という事で、謝謝が届き始めたようだが、自分のSSはどうだろ?多分、落ちたとは思うが。
落ちてたらここに投下するんで。
……蓮華と穏と海の家で焼きそばを焼いているハムを書きたかっただけ、という本音はとても言えない。
見つけられたってことは結局「おれ」自体が見つけられなかったのか
>573の1行目だと予想してたんだが
ようやく届いたな
いやいや届き始めたばかりだからw
届いたなって言われてもまだ届いてない人の方が圧倒的に多いでしょ
まだこっちは届く気配すらないな
本スレはネタバレ議論が展開されそうだな。
自分のとこに届けば他の人のことはどうでもいいと思ってる人多そうでなんか嫌だな。
謝謝無双来たは良いけど
前触れもなく来たから家族に発見された/(^o^)\
>>582 2chの良心に何を期待しているんだい?
本スレでネタバレしたがってるのって大半が単発なんだよな
少し控えようっていう人はID交錯してるけど
「ネタバレしたがってる」ってところで既に良心的だと思う俺はひねくれ過ぎだなw
本当に悪意を持った奴がいるなら、とっくにネタバレ書き込みだぜ。
そういう連中は「したがっている」というレベルじゃ止まらないからな。
結局、その「したがってる」人が案の定やらかしてるけどね
とりあえず新武将一覧とかあったので見たくない人は行かないが吉。
そして漏れの期待も空しく追加されなかった武将使ってオリジナルキャラ作ったSSを
腹いせに(?)投下するかもしれなうわなにをするちょうせんlp;@
届いたが…何この少なさ
SS優秀作品だけ?
絵付きは優秀だけとしても
普通ーテキストデータだけでも応募者全員載せるだろ?
投稿者一覧もないってどゆこと?
324MBなら余裕あるだろうに…がっかり
まぁお返しディスクだしなぁ
俺はイラストと新武将でおなかいっぱいだから良いけど
一応(仮)ってついてるけど、真名はせめて音読み、中国語読みを徹底して欲しかった
顔良、文醜にしてもそうだが、武将の字くらいは詳しく調べたら簡単にわかるんジャマイカ?
>>589の腹いせマダー(AAry
>>594 さては三国志初心者だな、お主
外史まとめに字が載っていない事を指摘しているのだろうが、載っていない武将の字は悉く不詳だ
>>590 全部入れる気なら公式HPに落ちた奴載せないだろ
SS送った人がどれだけいたのか知らないけど、このスレの職人さんのほとんどが落ちてるんじゃないか?
謝謝確認。
たしかにこの内容はひどいな。
むこうにも都合はあろうが、このペラさはどうにもならん。
SSの本数も少ないし、新キャラも出しただけっぽいし。
せめてカユとか伯珪や季ィの話は欲しかったなぁ・・・。
待たせた割に外伝AVGどころかSS8本だけ、
新キャラは紹介のみってのは如何なものか
無料のものに何を期待してんの
俺はあれで十分だと思うが
本スレで同じ事言ってる人達にも言える事だけど、あれだけ制作に時間掛かってた割にはって思いがあるのだろうて
無料とかは関係ないよ
602 :
名無しさん@初回限定:2007/08/08(水) 00:23:29 ID:eiZrL/pQO
まだ届いてないけど、投稿されたSSやイラストは良い感じ?
個人的にはSSはいただけない出来のものが多かったと思う。好みの問題かも知れんけど
OHPで晒されているのと大差ないし、ものによってはなんでこれが当選なのってのもある
面白いのもあるにはあるけど、妄想伝に関しては残念な出来だった
イラストは見てないな、そういえば
これで控えられていたSSがこっちにくるかな。
>>594 亀ですまんが、
既に麗羽様が音読みじゃなかったりする。
(「羽」の音読みは「う」で、「は」は訓読み)
前もこの手の話があって、
ちんこの外史だからということで事なきを得た感じだった。
スマソ、
>>594じゃなくて
>>593だった…
ちなみに
>>594 単純に、字を記してある歴史書が見つかってないから分かってない。
当時の歴史家が誰も書き残さなかったか、もしくは災害で失われたとか、そんなもんだと思う。
調べたらわかるんじゃないか?と言う人を見ると、まず自分が調べてから言えよと言いたくなる
というか製作期間も何も、無料で配る奴を作るのに、
連日会社に寝泊りして、必死になって本編作る時並に努力して作れとでも?
正直、これをフルプライスで買ったんだったら今頃大暴れしてるだろうが、
タダでくれた物に激怒してもしょうがない。
というか一人か二人が暇つぶしで適当に作ってこんだけ時間がかかった、
と言われても激怒する理由がない。
タダ仕事ならそんなもんだろ。
激怒までしてる人なんて居ないのに
話を誇大化したり大げさにするのは良くないよ
でも怒ってる奴はいるけどね
本編出たあとから作ったって事は、他の仕事しながら作ったってことだろ?
んで、葉書の切手代+CDの生産費+お返しの送料と、かなりの金かかってるだろ
それをタダで送ってきてくれてるんだから、「なんだ、この程度かよ」って思うのは
勝手だけど、こんなとこでどうこう言うのはいきすぎなんじゃないかな
つまりなにが言いたいかっていうと
「続編出た時にお返し作ってくれなくなっちゃうじゃないか!ヽ(`Д´)ノ」
という事だけだ
アフター壁紙の関羽を見るだけでホクホクしてる俺が言っても説得力ないですかそうですか
だから無料なのは実際にタダで送られてきているのだから当然の如く皆判っている。
ヤフオクなどで入手した一部例外な人は除くが。
中にはそうでない人も居るだろうが大半の人は有料並のクオリティなんて最初から求めてはいない。
延期もして結構な長い制作期間を確保した分程度は、延期しなかった場合よりは内容が増しているのでは
ないかと期待する人が居てもおかしくはないだろう。>599の待たせた割にはや、>601の時間掛かってた割には
っていうのは恐らくそういう意味。
詳しい制作状況やなぜ延期したのか制作に携わった人数なんてものは当事者でない限り判らないのだから。
文句言うより今の内容を楽しもうぜ
本スレ見れば判るが皆、内容自体には文句もなくちゃんと楽しんでるだろ。
ただ予想していたものとは違った、内容が薄かったと期待とは裏腹の不満が出る人も中にはいるだけの話。
そうかな?
みな不満なのは、妄想伝募集の時点であたかも全部載るかのような誤解と期待を持たせて
SSや絵を集めといて一部でしか載せない、断らないボブソンの姿勢にカチンときたからでしょ
タダの仕事だからって、ファンの創作意欲煽って放置したのはマズイよね
ちなみに載せなかった作品の著作権は誰のものなんだろ?
うわぁ…
ひさしぶりに外史スレに来てみたんだけど、なんかイヤーンな雰囲気だね。
華麗にスルー出来ない人大杉。
最初から優秀作品は収録されるって書いてあっただろ
自分がちゃんと読まずに勝手に思い込んでただけなのに
みんなの不満とかに置き換えるなよ
別に不満なんてないでござるう〜
壁紙も良かったし座談会が面白かったので新キャラも含めて
いろんな意味で予想の斜めちょっと上ぐらいかな
というかそもそも期待してもいないし、まあこんなもんか程度です。
そんなことよりSS書こうぜw落ちた人のも見てみたいねえ
結局下手糞だから落選しただけなのに、それを変に勘ぐって逆恨みしてるだけなのな。
自分がSS書くの下手糞だって早く認めたほうが良いよ。ゲラゲラ
>>611って過剰に反応し過ぎてるし
良い点だけ言って悪い点は言うなよと言ってるようなものだよな
この程度でお返しディスクがなくなるわけないだろうに
恋姫そのものへのシステムが糞とか拠点イベントは良いが本編
は駄目とかいう指摘に比べれば全然マシなのに
本編はお返しディスクを含めての値段だった。
そう考えれば何の不思議もない。
>>611 お返しディスクを作ることだって立派な仕事だろ。
他の仕事と平行してたって手抜きは許されない。
しかも販促のために前面に押し出してたんだろ?
もっとまともな物を作って然るべきなのではないのかねw
あまり喜んじゃいけないんだろうけどかなりの人が落選してるから
職人の手に謝謝が届いたら続々と来そうな予感
採用されたのがAクラスで、不採用がそれ以下のものとなると
そう期待できない
採用されたSS不評だから問題ないと思うよ
クリエイターのセンスと我々のセンスは違う件
センス以前に選考基準も選定人数もわからないからな
単純な好みや妄想伝故に設定は二の次でより妄想であるものを選んでいたり
スタッフ1人につき1作品を選んでいるだけかもしれないしな
それにスタッフが選んだからといって、それが万人受けする面白い作品であったり
恋姫準拠と決まっているわけでもないしね
まあ要するに選ばれなかったからといって面白くない期待出来ないと決めつけられない
ということ
うーむ…。
落選が決定したようなので、投下してもいいかな?
ハムの話なんだけど。
誰もヤメロとは言わないでしょう
>>628 だよな。じゃあいっちょ投下しますか。
時系列的には董卓の乱平定後〜袁紹が攻めてくるまでの間のお話ということで。
チンコに会えず、毎夜寂しがっているハムさんのエピソードです。
あと、今後コテハンで「かぜあめ」と名乗りますので、よろしくお願いします。
『夢』―――…それは人が見る、形があって形のないもの。
私たちを別世界へといざない、そしてその世界に縛りつける物。『夢』は現実を映す鏡――――それは現実を隠す場所…。
真っ白な景色の中、ワタシはまどろむ。
〜【夢現(ゆめうつつ)】〜
序:
…夢を見た。
目の前で見知った少年が、膝を抱えて泣いていた。
夜、暗い影の差す深い森で…
―――――空に浮かぶはずの満月は、灰色の雲に隠れ、朧(おぼろ)に霞む。
「…お、おい…」
深呼吸する。声をかけて、すぐに後悔した。
顔を上げた先にあるのは、今にも消え失せてしまいそうな、儚い微笑。
それが、いつもの彼の姿であることに安堵して、同時に自分が嫌になる。
こんな時ぐらい、どうして彼に、もっと気の利いた言葉をかけられないのだろう。慰めようとするこの瞬間でさえ、ワタシは彼の優しさに甘えている…
「――――――…いんだ」
胸が苦しい…。彼の悲しげな言葉一つ一つが、その表情一つ一つが、ワタシの胸へと突き刺さる。
昔、母君はワタシに言った。『貴方はとても優しい娘だ』と。『貴方のような将ならば、立派に兵を、民草を導いていける』と。
でもそれは嘘。ワタシを励ますために吐いた、虚しい嘘だ
だってそうでしょう?母君…
もしもワタシが『優しい』のなら…
もしもワタシにそんな力があるというなら…
ワタシはきっと、目の前の彼を―――――――…
「…―――――り…がとう…」
彼が笑う。ワタシの名前を呼んでくれる。
トクン、と――――――静寂の中、鼓動が高鳴る。
それは、ワタシが自らの恋を自覚した瞬間。多分、生まれて初めて……。ワタシは、目の前のこの人に恋をしている…。
毎夜のように繰り返される夢の舞台で…
過去に縛りつけられたワタシの心は、蝶のように頼りなくあたりを彷徨(さまよ)う。
やがて暗黒の世界に光が満ちて……名も無い蝶は、フラフラと真っ白な景色に飲まれていく。
眩惑の空をたゆたいながら、ワタシはいつも思うのだ。
扉が開き、目覚めを迎えるわずかな一時……この一瞬を、現実のワタシは喜んでいるのか、それとも泣き濡れるほどに悲しんでいるのか…
自分の本心が分からない、と―――――
◇
一幕:
「――――――…?」
意識の覚醒は突然だった。
見慣れた天蓋。視界の端で、蛍火のように揺らめく幾つもの明かり。
目をこらせば、そこはいつも通り、何の変哲もない自らの寝所で……
(…また……あの夢か……)
軽い落胆と安堵を覚え、少女は静かに息を吐く。
剣のように研ぎ澄まされた鋭い美貌…。薄紅の長髪に琥珀色の瞳…。
淡く白い肌を持つその少女の名は公孫賛、字を伯珪という……幽州の北方、ここ遼西群に本拠を置く群雄の一人だった。
少し眠たげに目をこすり、乱れた寝巻きを正しながら、伯珪は寝台から身を起こす。
全く、妙な時分に目覚めてしまったものだ…。周囲の暗さに辟易し、かといって再び寝直す気にはどうしてもなれず、彼女は台座を後にする。
…久しぶりに、夜風に当たりたかった。
冷たい外気にこの身をさらせば、鬱屈とした気分も少しは晴れてくれるかもしれない。そう考え、一つ頷くと、彼女は傍らに置かれたお気に入りの髪留めへと手を伸ばす。
『動き回るのに邪魔だから……』
ぼんやりといつもの調子で髪を束ねようとしたその瞬間、伯珪は、夢の中の自分も『彼』にそんなことを答えていた、と思い出す。
その言葉に付随する「ある記憶」――――思い出した瞬間、凛とした美貌にほのかな朱が指し、逡巡とかすかな恥じらいが浮かび上がった。
(…っ…なんでアイツ突然あんなこと……ホントこっぱずかしいヤツ…)
チラチラと姿見を覗きこみ……手元に残った髪留めと見比べ……何度も同じことを繰り返して…
「……。」
長い長い黙考の末、
…結局、少女はその髪留めを、再び寝台に置きなおすことを決めたのだった。
(…ほんと、重症だな。我ながら…)
廊下を出歩き、独り思う。
シン、と静まりかえった離れには人の気配など感じられない。単調に連なる足音だけが、漆黒の通路を反響してゆく。
なんだか寂しい光景だ…。
そんな感覚がふと自分の内で鎌首をもたげ、伯珪は一度、自嘲するような笑みを作った。
――――嘘ばかり。本当に寂しいのは廊下なんかじゃない…。それを寂しいと感じてしまう私の心…。
そう一人ごち、たどり着いた階段を駆け上がる。目の前に現れた、無骨な鉄扉を押し開ける。
城の最上部の一角に位置する、そこは城壁への正規の入り口…。
伯珪は昔から、この先に待つ空と大地が好きだった。戦の前、あるいは凱旋時…
自分の守るべきものが、守り抜いたものが何なのか…、ソレらはいつだって彼女に教えてくれた。
(だけど……)
いつからだろう?
果てしなく遠い蒼天を見上げることに、自分が恐れを抱くようになったのは。
どこまでも続く緑の大地に、どこか言いようの無い不安を見出すようになったのは。
多分…空と大地は、もう二度と私に奮起する力を与えてはくれない。これからは私自らが立たなければ……。
――――…そうでなければ、きっと私は飲み込まれてしまう。この先、留まることを知らず激しさを増すであろう、時代の流れに…。
ゆっくりと扉が開いていく。
半ば諦めにも似た決意を胸に、伯珪は弱々しく顔を上げ……
(…え?)
瞬間、視界に広がる景色を前に、小さく両目を見開いた。
夜空に輝く満天の星と、雲一つ無いというのに舞い散る雪……予想外の光彩が全身を包む。
…それはぞっとするほどに美しく、目を疑うほどに幻想的な、大自然の織り成す静かな共演だった。
「………凄いなこれは…。なにかの吉兆か…・・・ふふっ、それとも凶兆かな…」
もしかしたらアイツも見ているだろうか?
子供のような笑顔を浮かべ、伯珪は遠く―――――ここではないとある場所へと思いを馳せる。
近いようで遠い…同じ幽州に位置する啄県の地。天の御遣いと云われる『アイツ』が家臣とともに暮らす場所…。
だけど伯珪は知っているのだ。
アイツは確かに天の御遣いなのかもしれないけれど………普段その事実を自分で忘れてしまっているような変り種で…
それ以上に、一緒に話していると安らげる、彼女にとってとても大切な仲間の一人で…
そして……見ているこちらが不安になってしまうぐらい、本当にどうしようもなく優しい男なのだということを。
知っている…。
アイツが嬉しいときどんな風に笑って、哀しいときどれだけの想いをその身に押し込め、涙を堪えていたのかを…
料理を頬張る時の満足げな顔。寝起きで少し機嫌の悪いしかめっ面。
…全部知っている。最後にそれを目にしたのは、もう随分と昔のことだけれど……
支援
「……。」
最早、自分に力を与えてはくれない無情の蒼天。
かつて都を跋扈(ばっこ)していた董卓の軍が討ち果たされ、今や大陸は群雄割拠の時代となった。
黄巾が消え、董卓が消え、一時とはいえもたらされた争いのない時間…
…そんな仮初めの平穏もじきに終わる。
世界の変遷……止められない流れ…。
伯珪は時たま、その残酷な流れが恐ろしくなる。不安に心が押し潰され、恐怖にその身を食われそうになる。
ここから先に待ち受けるのは、死と隣り合わせの混沌とした未来。
強者が弱者を容赦なく喰らい、力持たぬ者は滅びるしかない、闘争の時代…。
こんな絶望しか見い出せない時代の中…自分は……彼は…この先一体どうなっていくのだろう?どうなってしまうのだろう?
再び二人で笑い合える日々は来るのだろうか。そんなわずかな希望を、自分は最後まで信じることができるだろうか。
もしも……
(…もしも今後巻き起こる戦乱が………アイツに死の牙を突き立てようとする、その時は……)
――――――…。
サワサワと…。
冷たい風が頬を撫でる。髪留めから開放された少女の長髪が、赤い絹糸となって夜闇になびく。
顔をうつむけ、伯珪はその先の言葉を飲み込んだ。
…大丈夫。そんなことには絶対ならない。
否、この身に代えてもさせはしない。何が、誰が相手であろうと絶対に…
絶対に自分が守ってみせる。
(私は公孫賛……幽州にその名を轟かす白馬長史…。もっと自分に自信を持つんだ、私…!)
胸元を押さえ、自身の心に言い聞かせる。
彼の姿を思い浮かべるたび、暖かな何かが自分に力を与えてくれる……そんな気がした。
―――そうだ……私にはまだ、アイツに言わなきゃいけないことがたくさんある…。せめてそれを伝えきるまでは……
私自身も、生き抜いてみせよう…。この暗闇に沈む戦乱の大地で…――――
しんしんと降り積もる雪の中……そのまま力強く宙を見上げ…
そうして少女は半刻の間、いつまでも星空のもとに立ち尽くしていた。
◇
「……?」
夜風にかすかな寒さを感じ、そろそろ部屋に戻ろうかと考えていたその時のこと。
伯珪は遠目に、城へと近づく鬼火を見た。幾万にも揺れる、不気味に煌く荒々しい炎…。
山を越え、河を越え、じょじょに…しかし確実に、夜の平原を侵していく。
(…なん…だ?あれは…)
瞳を見開く伯珪のもとへ、見張りをしていた一人の兵が、青ざめた様子で駆け寄ってくる。
「公孫賛さま!お下がりください、敵襲です!」
「……て…き…?」
「旗印は袁!その数およそ三万の大部隊です!」
「袁?…ちょっと……なにを言って…」
…お前は一体、何を言っているんだ…?そう問いかけようとする衝動を、伯珪はすんでのところで押さえ込んだ。
眩暈がする。足元が揺らぐ。何より信じられなかった。こんな馬鹿なこと…。
誰かに嘘だと言ってほしかった。
「…こうまで接近されて……何故、誰もあの大部隊の存在に気付くことができなかったんだ…。伝令の兵は…」
「………それが……県境に配備された兵士たちは一様に、『敵兵が忽然とその場に姿を現した』、と…」
「―――――――…。」
伯珪の疑問を言下に察し、見張り兵が言いにくそうに付け加える。
ゾクリと―――背筋が浮き立つような感覚。得体の知れない悪寒を覚え、彼女は迫り来る大軍を振り仰ぐ。
(…どういうことだ…?)
―――…何かが起こっている。袁紹ではない。もっと強大で遥かに恐ろしい『ナニカ』が、舞台の裏……群雄割拠のこの大陸で、静かに胎動を始めている。
かろうじてそれだけを理解して、伯珪は拳を握り締めた。
奴らが何者であろうと関係ない。止めてみせる、この場で必ず……。幽州の地を焼き払うことなどさせはしない。
守るんだ…アイツは絶対に、この私が――――!
ユラユラ、ユラユラと…。幾千幾万の鬼火が揺れる。
膨れ上がる違和感。凍てつく大気…。
紅の炎とともに浮かび上がったのは、『袁』の旗のもとに集う、奇妙な装束を着込んだ白い集団だった―――――。
◆
断章:『少女の見る夢』
これは夢。
ただし未だにワタシを縛る…過去を映し出す現実の鏡だ。
悪夢、迷夢、幻夢……そのどれとも違う、ワタシだけの…
時折思う。もしもあの時、おまえと言葉を交わさなければ、ワタシの未来には、今とはもっと別の何かが描き出されていたのではないだろうか、と。
こんなに胸が苦しくなることもなければ、寂しい思いをすることもない…
孤独に怯え震えることも、自らの弱さを自覚することも……隔たれた距離に、永遠とも思える空白を感じることも…
―――――…この、泣きたくなるくらい暖かな想いを知ることも……きっと無かった。
人と人とが愛し合うこと…。同じ時間を歩みたいと願う気持ち、祈望。
すべてを知ったのはあの時。夜闇にかすんだ深い森で…。
戸惑うワタシにおまえの笑顔が教えてくれた。
そう、あの時――――――…
◆
――――…月が煌々と、蒼褪めた光を放っていた。
月光に濡れる石の群れ……その中心で少女が一人、夜風に吹かれ佇んでいる…。
あたりを漂う霧からは、冷たさではなく、包むような優しさが感じられ……
…伯珪はかすかに息を吐くと、胸元に抱えた野草の束を見下ろした。
その場所は虎牢関の側面に位置する、陣地から少し離れた小高い丘…。一面に広がる若草の絨毯(じゅうたん)には、無数の墓標が穿たれている。
「…すまないな…。必死にかき集めては見たんだが、こんな花しか見つからなかった…」
そう言って…少女はひどく弱りきった笑みを浮かべる。
墓石を見つめ、祈りをささげ、その名も無き花を添えていく。数時間前の激戦が嘘のように、あたりには静寂と闇が満ち満ちていた。
「…私たちは明日、ここを発つよ…。少し慌ただしくなってしまうけれど……大丈夫、この馬鹿げた戦も、次で終わりにしてみせる。」
未だ都で暴政を振るい続けているという、董卓との戦い――――伯珪は今、彼女らと敵対する諸侯連合に所属している。
先の水関に続き、この虎牢関、さらには要害となる支城の陥落。猛将・呂布は捕らえられ、敵方の兵はその戦力の大半を失ったと聞く…。
そう…最早、この戦の大勢は決しつつあるのだ…。
「……。」
何かが終わり、崩れてゆくという実感…。
戦いの終焉が近づき、ようやく未来への『道』が拓け始めた。
多大な犠牲を払いながらも、時が前へと進むと言うなら、自分はそれを見据えねばならない。
土の中で眠る仲間の命に報いるため、正面から……例え苦しくても目を逸らさずに…
(―――…そして願わくば、もう2度とお前たちがこんなふうに死ななくてもいいような世界を…)
わずかに目を伏せ、少女は純白の花を握りしめた。
ザァァァァァ…ッ―――――と。
かすかに強い風が吹く。見上げれば、天には霧にかすんだ丸い月。
少し先で、樹に繋いだ白馬のいななく声がする。
前髪を押さえ、伯珪は眼下に広がる無人の荒野を見下ろした。
不思議と涙は出てこない…。悲しくないわけではなかったが、開かれた双眸は渇いたまま…かすかな湿り気さえ帯びようとしない。
我ながら薄情なものだと思う。初陣の頃、築かれた屍の山の前で、ただ打ち震えることしか出来なかった無垢な少女は、もう随分と昔に消えてしまったのだ。
戦場で渦巻く憎悪を知り、残された者の悲しみを知り、それでも自分は戦い続けて…
あの頃から少しでも強くなることができたのか…
そもそも自分が歩んできた道のりは、本当に正しいと言えるものなのか…――――それさえも、今の彼女には分からなったが…。
ふと…
穏やかな声がした。泉のように静かで優しい……しかしそれは、振り向かざるを得ない声だった。
自分以外に先客がいたのか、そう遠くない場所から誰かの歌声が聞こえてくる。
まるで赤児を寝かしつけるように、聞く者の心を安らげる旋律………おそらくは子守り歌だと、伯珪は思った。
「―――――――…北郷…?」
ポツリ、と口の中だけでつぶやく。
向けた視線の先に腰掛ける人物。片膝を抱え、こちらへと背を向けるその少年を、伯珪はよく見知っていた。
―――――北郷一刀
伯珪と同じく反・董卓の義勇軍に身を置く彼の名は、良い意味でも悪い意味でも有名なのだ。
天の遣い、あるいは英雄と噂される少年…。啄県で善政を敷き、黄巾の残党を次々と屠(ほふ)り去る…。
一度、県境で共闘して以来、伯珪の耳にも彼の評判は事あるごとに届いてきた。
そういえば二人きりで話すなんて、一体いつ以来のことだろう?供を連れず、一人で墓参りに来るというのが、またいかにも彼らしい。
(…。まぁ…私も人のことは言えないか…)
微苦笑を浮かべ、伯珪は少年の背中へと近づいていく。だんだんと大きくなる声量。やはり、歌声の主は彼のようだ。
深呼吸した後、伯珪は少年に向かって手を差し伸べた。いつも通りの気安い調子で、そのまま友人の肩に触れようとする。
(……?)
だが…次の瞬間その動作は、他ならぬ伯珪自身の意思によって押し留められていた。
一瞬。ほんの一瞬…。目の前の見慣れた後ろ姿に、彼女は奇妙な違和感を覚える。
「お、おい……北郷?」
逡巡と…わずかな後悔。少年が慌ててこちらを振り向いてくる。同時に伯珪の心臓が跳ね上がった。
…彼の横顔が、自分の見知ったそれとはドコか違うように思えて……何故だか、ひどく恐かった。
「――――?公孫賛…」
視線が触れ合う。口をモゴモゴと動かす少女を見つめ、少年は怪訝そうに首をかしげた。
「どうしてここに…?」
「どうしてって……墓参りに決まってるじゃないか。な、なんだよ水臭い…。陣地を出るんなら私にも一声かけてくれればいいのに……」
反射的に唇を尖らせながらも、彼が笑顔を浮かべたことに、伯珪は内心で深く安堵する。
やはり自分の思い違いだ。さっき感じた違和感は、きっと単純な気のせいなのだろう…。
ゆっくりと一度かぶりを振ると、彼女は少年の隣に膝をついた。そのままその表情を覗き込むように、かすかに視線を上へと向ける。
「…ここが、北郷の部下たちの……?」
「……あぁ」
「私も花を添えて、構わないか…?」
「あぁ…。きっとみんな、喜ぶよ…」
夜風に揺れる、純白の花。その名も無き花の、雪のような輝きに目を奪われ…二人はしばしの間、無言になった。
前髪に隠れ、見えない彼の表情に、胸の内で再び不安が鎌首をもたげる。
「えっと……あの…」
「――――公孫賛はさ…」
「へっ!?あ、ああ……なんだ?」
ビクリ、と怯えるように肩を震わせ、伯珪は少年の横顔を窺った。彼に先刻の違和感について尋ねようとした矢先のことだ。
二の句が告げず、押し黙る少女を見つめ、少年は躊躇(ためら)いがちに口を開いた。
数秒の沈黙を保った後、どうしてか、ひどく寂しげに…
「…公孫賛は…その、もう慣れてるのか?こういうこと…」
「?」
「こういう戦いとか…人が、たくさん死ぬことに…」
「――――――…」
…靄(もや)がかった月明かりが二人を照らし、淡い影を落としていた。その問いの意味する痛み、そして重さ…。
言葉を失う伯珪から目を逸らして、少年は自らの掌を見つめ続ける。
違う、本当はこんなことを言いたいわけじゃない…。
なのに、溢れ出す感情が止まらない。
人が死んだ…。それも自分の放った言葉によって…。
まるで花びらが散っていくように、一瞬のうちに…。何度戦いを繰り返しても、この感覚だけは慣れることなんて出来そうにない…。
――――恐い…。
「…北…郷…?」
「恐いんだ、俺は…。このまま戦い続けていくことが…。俺なんかに、本当にそんな資格があるのか…
いつか、どこかで選択を誤って、取り返しのつかないことをしてしまうんじゃないか、って…」
空を見上げ、ポツリとつぶやく。辺りは暗い闇だった。
「…弱いよな…俺…。泣き言なんか言って…我ながらホント情けないよ」
変なこと言って、ごめんな…。
―――――そう口にした彼の瞳が、声が…
微かに震え、揺らいだように彼女の瞳に映ったのは…果たして錯覚なのだろうか。ほんの少しだけ躊躇して…少年の手と、自身の手とを重ね合わせる。
目を逸らしたまま、距離を縮める。
触れ合った肩越しに、彼のぬくもりが伝わってきた。
「…公孫賛?」
「……おまえの存在に、救われている人はちゃんと居る…。おまえ無しでは、生きていけない人たちだって大勢居る…。
だから……おまえは胸を張っていいと、私は思う」
「………」
「……北郷?」
「………」
「…泣いて、いるのか?」
流れる涙も嗚咽も無い。ただ、凍えるように震える肩だけが其処にある。
哀しみか…あるいは後悔か…。少年の浮かべた表情を見ることが、伯珪にはワケもなくつらかった。
…冷え切った指を絡ませて、縋(すが)るように抱く。その背中を、抱きしめる。
大丈夫、大丈夫と…
彼の耳元へと、そう…祈るように囁きながら…。
◆
「―――――少しは……落ち着いたか?」
サワサワと…。
透明な旋律が耳に響く。
水面を揺らす小川のせせらぎ…。白馬の手綱を引きながら、伯珪は遠慮がちに背後を振り向いた。
今、2人は墓標から一里ほど離れた森の中に居る。
あれから半刻後……丘陵を後にした伯珪たちは、帰り道をあてもなくブラついていた。
外に出てから、すでに結構な時間が経過している。仲間たちを不安にさせるのでは、と…そんなことも一寸考えたが、どの道、陣地からはそう離れていない場所だ。
迷うことも、置いていかれることもないだろう…。だから焦る必要も、きっと無い…。
言い聞かせるように、自分の胸へとつぶやいて、そのままゆっくりと歩き続ける。
そう、焦る必要なんて無い…だって、夜はまだまだ長いのだから。
「ん……あ、あぁ。…なんか本当に悪いな。恥ずかしいところ見せちゃって…。それに、その…」
「…ふふっ、別に恥ずかしくなんてないと思うぞ?北郷は、十分強いよ…。
初陣の頃の私は、さっきの北郷なんて問題にならないくらいひどい有様だったからな…」
先刻、勢いで抱き締めあってしまった気恥ずかしさから、二人の会話はどこかぎこちない。
居心地の悪さををごまかすように、伯珪は小川のほとりに屈みこんだ。手を伸ばし、流れる水を掬(すく)い上げる。
「敵とか、味方とか…そんなことは関係なく、ただ眼前に有る『死』が恐かった。戦の後は、ずっと自分の部屋に引き篭もってばかりで…
姉代わりだった侍女を、あの頃は随分と困らせていたような気がする…」
澄んだ水面(みなも)が、淡い月の光にきらめいていた。
純粋に、ただ真っ直ぐに、こちらを見つめてくる琥珀色の瞳…。その無垢とも言える美しさに、一刀の意識は吸い込まれそうになる。
「さっき墓前で北郷が歌っていたの……あれ、子守り歌だろう?」
「……え?あぁ……ガキの頃、眠れない時によく婆ちゃんが俺に歌ってくれてさ…。それで、もしかしたら何かの手向けになるんじゃないかって…」
「そうか――――――…いい曲だな…」
そう言って…
花が咲いたように少女は微笑む。
ただ柔らかく、ただ穏やかに…。
夜の森にたたずむ彼女の姿は美しかった。その凛とした声音は、今この瞬間、世界の誰よりも、何よりも輝いてみえた。
その笑顔に……自分は―――――――…
「――――…どうした?北郷?」
不意の呼びかけ。どうやら、少しの間ぼぅっとしていたらしい。
見れば、小川の中心で、伯珪がこちらに向かって手招きしている。足元に脱ぎ置かれた白い靴。傍らに立つ少女の愛馬が、一心不乱に野原の雑草を貪っていた。
「……。どうした…って、お前こそ一体、何やってんだ?」
「水遊びに決まってるだろう?冷たくて気持ちいいぞ、北郷も来ないか?」
「……。」
わずかに思案顔になって、一刀はチラリと真横の白馬に目を向けた。別に、川で涼むこと自体はやぶさかではないが…
この管理の杜撰(ずさん)さは……どうにかならないものだろうか?
「…。あのさ…コイツ…どっかに繋いでおいた方が良くないか?轡(くつわ)まで外れてるんだけど…」
「心配しなくても逃げたりしないよ。これでも結構、付き合い長いんだから…。それよりホラ!早くこっちに」
「…って、おい。あーもう…引っ張るなってば!」
伯珪に手を引かれ、一刀も慌てて靴を脱ぎ始めた。水飛沫が上がる。互いに笑って、裸足になって……
幼い子供のように水の淵ではしゃぐ。
少し汗をかいたのか…
頭上の髪留めに手をかけると、伯珪は静かにそれを緩めていった。
「――――――…へぇ…」
闇の中、薄紅の長髪が幾重にも散る。
「…ん?どうかしたか?」
「いや、公孫賛のそういう髪型って初めて見たから…。普段は絶対、髪留め外したりしないもんな…」
「べ、別にいいだろ…。動き回るのに邪魔なんだから…。…それに…どうせ似合わないし……」
まじまじと向けられる一刀の視線に、伯珪の頬が赤く染まった。小声でぼそぼそと何かを言って、そのまま顔を背けてしまう。
らしい、といえば余りにらしいその反応に、一刀は思わず苦笑を浮かべた。
「そんなことないよ。そうしてるとまるで、どこかの国のお姫様みたいだ…」
「…っ!?な…なな…わたし相手に、何言ってるんだよ…!本っ当に恥ずかしい奴だな、おまえは」
「…うーん…まぁ、自分でも言ってて恥ずかしい台詞だっていう自覚はあるんだけどさ…」
「あ…!ちょっと…こら!」
制止の声に構うことなく、少年は水の流れに膝をつく。
昔どこか読んだことのある、物語の騎士がそうしたように……想い姫の手の甲にゆっくりと唇を落としてゆく…。
静寂の中、見開かれた伯珪の瞳だけが、潤むように美しく輝いていた。
「…だけど、公孫賛が綺麗だって思ったことだけは…本当だよ…」
「――――――…。」
その言葉…。その声に…。
一瞬だけ、伯珪の顔が泣きそうなほど歪んだ…。わずかに視線をうつむけたまま、少女は穏やかに目を細め…
「…私とおまえが初めて会ったときのこと…覚えているか…?」
柔らかな口調で、そう尋ねる。
「…?」
「あの時も…そしてさっきも…形こそ違えど、おまえはいつも他人のことばかり気にかけているな…。
自分が傷つくことを恐がっているのに…いざ、他人が危機に直面すれば、平気で身体を張って守ろうとする…。
――――おまえは、馬鹿者だ…。どうしようもなく優しくて、なのにどこか抜けていて…私をこんなに温かい気持ちで包んでくれる大馬鹿者…」
「公孫賛…」
「私は思うんだ…。やはりおまえは胸を張っていいと…。他人の『死』を前に、本気で泣くことの出来るお前だからこそ…
その歩む道のりは、他の何より強く、そして気高いと…」
目元を和ませたまま、言葉を紡ぐ。チャプン、と脚に川の流れが跳ねる音…。
水に浸かったままの少年に向かって、伯珪は今度こそ手を差し伸べる。もう二度見失うことのないように、しっかりと…前を見据えて…
「だから――――――…一緒に前を向こう、北郷…」
この先、まだまだ戦いは続いてゆく…。残酷な時の流れに比べて、ソレは儚く、小さな力でしかないのかもしれないけれど…
それでも、せめて…未来への希望だけは捨てたくないから…
「…信じよう…。私たちの行く先に、皆が笑って、幸せに暮らせる…そんな結末が待っているって…」
おずおずと差し出される、華奢な腕。不器用で、だけど優しい少女の声に、少年は静かに目を閉じて…
そうしてその手を取りながら、彼はゆっくり言葉を告げる。
ありったけの想いと、最大限の感謝を込めて……
―――――――ありがとう、と…。
◆
『朦朧としていく意識の中…一瞬だけ、あの時の夢を垣間見た気がした……』
二幕:
赤…。
視界を包む全てのモノが赤一色に彩られていく…。
おびただしく広がる血溜まりと、硝煙を生み出す巨大な炎…。
焼け落ちていく城の中…壊れかけた手足を引きずって、伯珪は必死に歩きつづけていた。
突き出す瓦礫(がれき)に、幾度も体をもつれさせ……それでも……前へ、前へと進んでいく。
舞い上がる火の手に焦燥が募り、失血から生じる鋭い寒気が、何度目か分からない眩暈(めまい)を生んだ。
一歩進むたびに激痛が走り、意識が確実に削り取られていく…。
「…あきらめるなよ。絶対、死なせないから…私が必ず助けてやるから…」
背に負った幼い少女に呼びかけると、伯珪は通路の向こうの、石造りの扉をきつく見据えた。
炎に炙(あぶ)られ、熱を帯びた風が頬を撫でる。長年、本拠地として使用してきた城の構造(つくり)だ…。
こんな時どうすれば良いか、何処に向かえば良いのか、城主である自分には手に取るように把握できる。だから…大丈夫…。まだ可能性はあるはずだ。
「心配しなくていいぞ…?あの扉を抜ければ、すぐに外だ…。この城を出たら…一緒に、アイツのところに行こう…」
眠るように押し黙る少女に向かって微笑みかけ、伯珪は踏み出す足に力を込めた。
生き残ってみせると…そう誓った。それに、北郷に知らせなければ…。この世界で暗躍を続ける『敵』の存在を…。
得体の知れない力を振るう、仙道によって構成された白装束の集団…。
伯珪の率いる兵たちを、息も吐かぬ間に押しつぶし、そして城壁に火を放った途端、忽然とその姿を消失させた――――…。
「…一体…ヤツらは何をしようって言うんだよ…」
歯噛みして、伯珪は崩れた柱に寄りかかる。大丈夫、目的の場所は、ここからだってよく見える。あと少しで辿り着ける。
もう、すぐそこだ。ほら……。
「―――――――っ!?うぁ…!」
次の瞬間。
『何か』に脚を取られた伯珪は、バランスを崩し、鈍色の石床に叩きつけられていた。壁にしがみつこうとしたが、とても無理だ。
衝撃と苦痛。しばらくは呼吸がままならず、喘ぐような声音が部屋に響く…。
(…いけない…)
弱音をこぼしては、いけない。立ち上がらなければ…生きている限りは…誓いにかけて…
「…っ……ぅぅ…」
歯を食いしばって……伯珪は危うげに身を起こした。
思い出す。そういえば背に負った少女まで、勢い余って転ばせてしまった…。
「すまない…ケガはないか―――――――…?」
言いながら…慌てて少女のもとに駆け寄ろうとした…そのときのこと。
コマ送りのように流れる映像の中、伯珪の視界に、不意に「あるもの」が飛び込んでくる。
彼女をつまずかせた――――寸前まで瓦礫の破片の類であろうと思い込んでいた、『何か』。
部屋の中を無数に転がるその『何か』が、炎の煌きによって浮かび上がる。
「――――――――…。」
パチパチと音を立て、火の粉が舞った…。
その先に広がる光景に、伯珪は思わず絶句する。
足元を滴る血の海と、ぼろ屑のように倒れる兵士たちの姿…。
その変わり果てた亡骸を呆然と眺め、やがて伯珪は、静かに、その場に崩れ落ちる…。
(……。)
すぐ傍に横たわる少女を見た。
彼女は半年前、自分付きの侍女になったばかりの、まだ十五にも満たない少女だった。
『…はくけい様』
嬉しそうに、舌足らずな声で自分を呼んで…自分を本物の姉のように慕ってくれた…。
私が最後に守ろうとして――――しかし守ることの出来なかった可憐な少女…。
本当は分かっていた…。背負いながら、どんどんと失われていくその体温に、彼女がすでに事切れていると…。
それでも呼びかけをやめなかったのは、私自身が心のどこかで、縋れるなにかを求めていたから…
「―――――…っ…ぅぅ…っ…ぅぅ…」
私は泣いた。
血に染まった少女の体の、その胸元に顔をうずめて。
強く抱きしめると、腕が零れた。鈍い音を立てて転がったそれは、兵士の足に当たって動きを止める。
瓦礫の山の上、泣き崩れる少女の周りに散らばる、無数の物言わぬ屍たち。伯珪は厭というほど思い知る。
もう、彼女たちが動く事はない。無邪気な笑顔も、泣き顔も、決してその表情には映らない。
まるで、暗い淵で黒塗りの棺桶(かんおけ)に閉じ込められてしまったかのように…
視界を闇が覆い尽くしていった…。
火の手が回る…。ぐるぐる、ぐるぐる…
…それからどれ程の時が流れたのか…炎の内から忽然と、奇妙な声が響き渡る。
「おや…?もう粗方、掃除は済んだと思っていたのですが…まだ生き残りがいましたか…」
慇懃無礼を画に描いたかのような、その口調。
ぼんやりと虚空を見つめていた伯珪は、その一言に、弾かれたように我に返る。
「…誰だ!?」
刀に手をかけるその様を認め、影の奥から、白い人型が現れた。
スラリとした細身の体躯。端正な顔立ちに、銀縁の眼鏡。城を襲った『敵』と、同様の装束を着込んだ一人の男が伯珪の前に降り立って…。
「挨拶が遅れてしまいましたね、公孫賛殿。私の名は于吉…。正史と外史の狭間にたゆたう哀れな人形…」
「…わけの分からぬことを…!貴様が、あの白装束たちの総大将か!」
よろよろと…重たげに剣(つるぎ)を構えながら、しかしその殺気だけは衰えることを知らない。
少女の気迫に射抜かれながら…しかし、于吉は大業な仕草で肩をすくめた。薄笑みとともにため息を吐く。
「これはこれは…。私も随分と嫌われてしまったものですね。その剣幕…可愛らしい顔が台無しですよ…?」
「御託(ごたく)はいい!!お前たちは……いったい何者だ!袁紹軍とは名ばかり…。諸侯の目を欺き、何を目的として我が家臣と配下を皆殺しにした…!」
「これはまた異なことを聞く…。私と貴方たちは言ってみれば、同一の存在…。このくだらない外史の内で生み出された、滑稽なヒトガタの一つにすぎません。
目的は…そうですね、冥土の土産ということで、教えて差し上げても構いませんが…」
男がパチン、と指を打ち鳴らしたその直後…暗闇に不可思議なヴィジョンが浮かび上がる。
夜の平原…。山岳と河…。先刻、白い集団が出現した地帯の遥か後方に、幾つもの明かりと旗が揺らめいている。
旗印は『袁』。その映像には、本物の袁紹軍が、今ようやく幽州に向かって進軍を開始する様が映し出されていた。
「―――これは…」
「もともと袁本初は…幽州を侵略する計略を練り、その機会を窺っていた…。そして、それを私たちが利用したと…そういうことです。
幽州北部最大の勢力である公孫賛が『自壊した』今、彼女は全盛を持って、北郷一刀を潰しにかかるでしょうからね…」
もっとも…袁紹ごときに外史の起点を叩く力があるとは…私自身思っていませんが…
つまらなそうにつぶやいた後、于吉は冷ややかな瞳で伯珪を見つめる。
「公孫賛…貴方は今ここで死ななければならない…。それが貴方に与えられた、この物語における唯一のファクター。
貴方の死によって、北郷一刀は猛り、怒り……そしてその怒りは新たなる戦いの狼煙となる」
「いいのか…。お前たちが強大であると知れ渡れば、諸侯はこぞってお前たちの力を削ぎにかかるぞ。
袁紹とて…こうまで踊らされて黙ってはいまい」
「心配なさらなくても結構ですよ。私は確かに世界に縛られた存在ですが、それでも貴方たちと比べれば全能に近い。
『公孫賛は文醜・顔良によって攻め立てられ、袁紹の手でその命を絶たれた』
これがこの物語内で定められた筋書きであり、この世界の住人に刻まれる記憶。
袁紹の中にはいつの間にか、『公孫賛を倒した』という偽りの事実が刷り込まれ、かくして我々の存在は、再び闇に葬られていく…」
「――――――…」
「『そういう』存在なのですよ…我々は…」
何の感慨もなく紡がれる言葉に、伯珪は薄く目を伏せる。
きっと自分は、この男の言わんとするところの真の意味を、半分だって理解してはいない。
本音を言えば今だって、自分たちの身に何が起こったのか…把握しきれているとは言いがたい。
それでも…
目の前に立つこの道士が、自分をその手にかけようとしていること…
薄笑みを浮かべる男の存在を、自分が決して許容できないと感じていること…この2つだけは理解できる。
―――――…。
「……覚悟を決めるか…。なんだか、短い人生だったな…。別にもう……やりたいことなんて何もないけど…」
ポツリとつぶやく。
取り残された子供のように、寂しげな表情をその顔に浮かべ…しかし伯珪の手には、しっかりと刀の柄が握られていた。
「ふむ…まだ闘うつもりですか…。勝てないと、分かっているのでしょう?」
「分かってるさ…。だけど…それでも許せないと思うものが目の前に居る。それでも守りたい思えるものが、私には有る―――…」
抜き身の刀を振りかざす。一息に、敵との間合いを零に縮める。
どの道わたしは助からない…。それならば、仲間たちの仇を、地獄へ道連れにするというのも悪くない…。
それで北郷の助けになるというなら…なおさら無駄骨ではないはずだ…。
「…愚かですね…」
「うるさい!!私は――――――…!!」
刹那、白銀の光が一閃する。
放たれる剣撃…。しかしその刀身は空を切り、虚空に全てが飲み込まれていく。同時に背中に感じたのは熱い血潮、鋭い痛み…。
肩口を袈裟懸けに切り裂かれ、あたり一帯に鮮血が舞う。
濁りを持たないその紅(あか)は、炎に映えて綺麗だった…。
(――――…ぁ……)
意識が闇に吸い込まれる。
薄れていく世界の中で、不意に、パサリ、という音を聞いた気がした。
見れば其処には、花模様が描かれた白い髪留め。自分のお気に入りだった髪留めが、静かに石床を転がってゆく…。
――――これを外せば、まるでお姫様みたいだと言ってくれた…。綺麗だ、と私を見つめて笑ってくれた…。
どうしてだろう?浮かんでくるのは、何故かアイツの顔ばかりだ…。
…もう死んでもいいと、先刻、あれほど強く想ったのに…
どうしてか…私の瞳からは涙がこぼれる。
(北郷…)
闇と光の、その境界。もう二度と這い上がることの出来ない深い喪失…。
命の果てで、ようやく私は理解した。
なんだ、結局のところ私の願いは―――――…
(おまえの傍で、同じ時間を歩みたい…。出来るだけ近くで、おまえの笑顔を見ていたい。…ただ、それだけだったんだな…)
哀しく開かれた唇が、声にならない想いを紡ぐ…。
最期の瞬間、視界に映る白い道士が、少しだけ寂しそうな眼をしたような気がした―――。
彼の表情の意味を考える前に、私の思考は乱れて溶けて。
視界が、真っ白な光で満たされた。
――――――…。
「……。」
荒れ狂う炎の中、男は笑う。腕に抱きかかえた少女を見つめ、ただ笑う。
その少女は、実にちっぽけな存在だった。
道筋の決められたこの物語で…己(おの)が外史を作り出す術すら持たなかった、矮小な歯車―――――そうで『あった』筈の些細なファクター。
しかし彼女を中心として、どうやら運命は…わずかなうねりを見せ始めたようだ…。
「…ここで私の起こす気まぐれも、定めに囚われた筋書きの一つ…。
いえ、もう少し風情のある言い方をするならば、貴方と彼の絆が勝ち取った、一つの結末と言えるのかもしれませんね…」
どの道、終わりが約束されたプロットの中……それでも今は、こう言っておきましょう。
どうか……末永く、お幸せに――――――…。
◇
終章:『ユメウツツ』
…柔らかな朝の日差し。
果てしない蒼天には、舞い踊る雲が暖かくゆっくりと流れていた。
いつから開いていたのか…窓が、揺れる天蓋を飛ばさない程度に放たれて、外気から優しい風を運んでくる。
白い光に満たされた建物の一室。見上げればそこは見知らぬ天井。
ぼんやりと歪んだ視界の中、暈惑とともに、伯珪はうっすらと瞼を開く。
覚醒して、はじめに気付いたのは、硝煙の匂い。体に巻かれた、幾本もの包帯…。
ここは、一体どこだったろう?私は一体、何をしていたのだろう?
全てが忘却の海に沈む中、少女の脳裏に、一つだけ鮮やかな記憶が浮かび上がった。
「……。」
炎。赤い焔…。自分はそれに取り囲まれて…
ずっと……嫌な夢を見ていた―――そんな気がする。
ふと、掌に温かな何かを感じ、思わず視線をそちらへと向ける。
寝台のすぐそば……自分が倒れるその傍らには、一人の少年の、今にも泣き出しそうな横顔があった。
強く指先を握りしめ、ただただこちらを見つめてくる…そんな真摯な眼差しが、其処にはあった…。
「北…郷…?」
夢じゃない…。かき乱される意識の中、あれほど求め続けた彼の笑顔が、今、こうして触れられるほど近くにある…。
その事実に、少女の双眸が大きく歪む。
溢れ出す感情。止まらない嗚咽。
ポロポロとこぼれ落ちる涙の雫が、真っ白な寝台に、幾つも染みを作っていく。
「良かった……気がついたんだな、公孫賛…。」
「北…郷……私は一体……」
「3日前、幽州に侵攻してきた袁紹軍に、君は、負けたんだよ…。城に火がつけられて…生き残ったのは君だけだって、俺は聞いてる…」
「…袁紹が…?」
その瞬間、頭の奥にかすかな痛みが走った気がした。
何か、忘れてはならない重要なことを忘れているような…。あと少しで思い出せるはずなのに、伯珪にはその霞の正体が掴めない。
記憶をたどれば、確かに言われた通りの覚えがある。
袁紹によって攻め滅ばされた遼西群。その軍勢に斬りつけられた、幾人もの家臣。
たくさんの罪もない人々が犠牲になり…
――――そして…自分を慕ってくれたあの侍女も、おそらくは炎の中に消えてしまった…。
『…はくけい様』
舌足らずな口調で、自分を呼んだ無邪気な声。不意にその声が、風に流れて聞こえた気がして…。伯珪は拳を握り締める。
もう二度と聞くことの出来ない彼女の声…。幻聴だとしてもその事実を認めたくなかった。
…空が青い。
眩しすぎる光に、視界がどんどんと濁っていく。
「なんで……どうして……私だけが助かったんだろう…」
弱々しく…まるで抜け殻のような声で、少女が小さくつぶやいた。
「白い格好をした妙な道士が…君を手当てして、ここまで運んでくれたんだって、愛紗はそう言ってたけど…」
「そうじゃ…ない…。私なんかが選ばれるぐらいなら…もっと生き残るべき人はちゃんと居た…!臣下も守れず、民も守れず、
こうして破滅の引き金を引いた私だけが、のうのうと生きてるなんて、そんなの…ぜったい許されるはずない…!」
「公孫賛…?」
荒げられる声に、一刀はかすかに戸惑った表情を浮かべる。
自分の居ない間、一体、彼女の身に何があったのか――――それを問い質そうとした瞬間、伯珪は大きくかぶりを振った。
「あの子も…あの子だって、もっと生きたかったはずなんだ…!私なんかよりずっと可憐で、女らしくて…
きっと彼女の未来には…輝くような出来事や想いが、たくさん詰まっていたはずなんだ…!」
「ちょっ…公孫賛…少し落ち着けよ…!」
「もう…無理なんだ…!皆の命を犠牲にして私だけ生きるなんて…そんなの耐えられない…!私には、そんな資格なんて―――――…」
「―――――伯珪!!」
「!!」
なおも言い募ろうとする少女の体を、気がつけば、少年は両手で抱き締めていた。
肌から伝わる、その温もり。
こんな時でも彼の腕の中は暖かくて…。暖かいと感じてしまう自分が居て…。少年の胸に顔をうずめながら、伯珪はひたすら嗚咽を押し殺した。
「死なせてしまった…守れなかった……二度と取り返せない過ちを、犯してしまった…」
「…そんなことない…」
「私は、ひどい人間なんだ…。
自分には生きる価値がないと言っておきながら…こうしておまえと一緒に居られることを、心のどこかで喜んでる…。
…もっと同じ時を過ごしたいって、そう心の内で思い始めてしまっている…」
「ひどくなんてない…俺だってそうだよ…。遼西の人たちを助けられなかったのは悲しいけど…
それでも伯珪が生きていてくれて良かったって、心の底からそう思ってる」
「だけど私には……もう、何をどうすればいいのか――――――――…んっ!?」
瞬間。少年の唇が、少女の言葉をさえぎった。
交わされる口付け。一瞬何が起こったのか分からずに、伯珪は両目を瞬(しばた)かせる。
少しだけ微笑むと、一刀は静かに口を開いた。いつか彼女が自分を励ましてくれたように…あの時と同じ言葉を彼女に送る。
「何をどうすればいいかなんて…俺にだって分からない。
だけど今この時間を、俺と伯珪がこうして生きている…それだけは…確かなことだから…」
「……」
「君が生きてさえいれば、きっと取り返せると思うんだ…。
例え失われた命が戻ってこなくても、代わりにもっと多くの人たちの幸せを照らしだすことで…。
それに、君を守るために命を賭けた人たちが…君の幸せを願わないはずないよ…。
伯珪の言う『あの子』も多分、伯珪の笑顔を望んでるんじゃないか…?」
「……」
―――…はくけい様、私は勇敢で優しい貴方が好きです。迷いをみせず、いつも気高い貴方の笑みが…
刹那、追憶の向こうで、少女の、そんな言葉が蘇る。
始めて自分と彼女が出会ったとき…彼女は、はにかみながらこう言った。
―――…いつまでも、私の大好きなはくけい様のままで、居てほしいです…。そうすれば、私はいつだって貴方の傍で笑っていられる…。
「……っ…私……私は…っ!」
今、初めてこの世に生まれ落ちた赤児のように…
大粒の涙を流して、伯珪は少年の服にしがみつく。その頬を優しくぬぐいながら、彼は少しだけ微笑んで…
「これからだって、まだまだ辛いことはあるかもしれない…。
悲しいことは続くかもしれない…。それでもまだ諦めたくないって、そう思えるから…俺たちは戦うんじゃないのか?」
――――…。
「だから…――――――前を向こう、伯珪…」
光が、差し込む。
「そして、信じよう…俺たちの行く先には、皆が笑って、幸せに暮らせる…そんな結末が待っているんだって…」
一つ一つ確かめるように…
大切に紡ぎ出されるその言葉を聞き、少女はかすかに顔を上げた。
これからさき待ち受けるであろう、死と隣り合わせの混沌とした未来。
強者が弱者を容赦なく喰らい、力持たぬ者は滅びるしかない、闘争の時代…。
それでも、この少年とともに歩むことが出来るなら―――――…
「―――…北郷…」
「…ん?」
「…知ってるか?実は私…ずっと前からおまえに伝えたいと思っていたことがあるんだ…」
「奇遇だな…。俺も森で一回言いそびれてから…ずっと伯珪に話そうと思ってたことがある」
互いの瞳を見つめあい、その距離をゆっくりと縮めていく。
怯えるような戸惑いを見せて、少女の唇が少年の唇へと、そっと触れる――――。
その想いの熱さを感じながら、伯珪は最後に、もう一度だけ涙をこぼした。
窓に映る空。どこまでも広がる蒼天。
――――ずっと、貴方が好きだった…。
ようやく通じ合ったその絆を、二度手放すことがないように…
少女はただ、澄みきった青空に誓いを立てる。
この先の未来に何があろうと、私はこの少年とともに生きていく。願わくば、私たちの行く末に…多くの人たちの幸多き未来があらんことを…。
もうきっと、少女や自分の仲間たちが、あんな風に死ぬことがない世界を…。
それは決して、平坦な道ではないかもしれないけれど…
それでも…
全てが終わった時、私はもう一度、自分の信じたこの青が見たい―――――。
【FIN】
と、いうわけでここまで読んで頂きありがとうございました。
自分の予想より大分、長くなってしまいスンマセン…。
妄想伝応募当時、ハムを生かすか殺すかで、最後まで悩んだんですが、
結局、このお話のラストのような結末に落ち着きました。
やっぱり物語の締めくくりはハッピーエンドが一番かなあと…。
最後に、支援してくださった方、どうもありがとうございましたー。
まだ読んでないけど乙、それにしても長いね
1/30な感じの補足をしない場合で長編な時は最初に注意書きしておくといいかもね
>>666 うう…申し訳ない…。まさかここまで長くなるとは思いもせず…。
次回投稿では気をつけます。
リアルタイムでのお付き合いだったが乙カレー。
っていうか、この高水準で落選なのかよ…。
重すぎたんじゃない
凄ぇなコレは。超GJ。
選考には漏れたかもしれんが
代わりにMy Best of ハムepisodeの栄誉を授けよう。
最後、本気で泣きそうになったよ。
>>666 重いというと、容量がか、内容がか?
どっちも有りそうな話だけど。50Kに収まらなかったか…
すまんが、マジでGJ。
描写が丁寧だし、内容も良いし……真面目にBest of ハムepisodeだよ。
正直、自分の作品と比べると……orz脱帽でございます。
でも、製作側には受けそうにない内容だとは思ったな。うん、ただそれだけだと思う。
漏れたからと言って、気にすることはないと思うよ。
だから、改めてGj!
これはいいハム話
いままでハムっていうとギャグがいじめしかなかったからな それがいけないワケじゃないけど
新鮮かつ感動した
たぶん選考の基準は絵師が挿絵をいかにやっつけで描ける内容であるか、だと思う
せっかくなので数えたが、40K前後だし余裕で圏内だな。
技量的にはハイレベルだし、内容がシリアスすぎたのかも。
あとは
>>674の言うように絵にしにくかったとか。
個人的に川で微笑むハムが可愛いと思いました。
髪止めを外したハムか。
その発想はなかったわw
外史の設定も上手く活かされてるし、神作だとおもうんだがなあ…
最後のキスシーンのイラストが見たかったぜ。
冷静に考えれば原画家違うから無理だったんだろうねぇ……
それはともかくGJだ!シリアスなハムも良い。
ウキッちゃんが黒幕っていうのは面白い解釈だと思ったけど
なんで気まぐれ起こしたのかの理由がちょっと弱い感じがした
でもまあそれは瑣末なことで、綺麗にまとまってて良い話ですな。
この話の内容自体が絵にしにくいかっていうとそうでもなさそうだからな。
キャラクターの原画のことまで視野に入れないとまずかったのか…
ぬかった。俺も駄目かもしれんorz
于吉がハムを倒す設定の方が真実みたい
麗羽様だと突撃だけで勝利しても被害は凄そう
公孫賛を打ち滅ぼしたのが于吉ら白装束の一団だったとは…。
考えられる話ですね。
あいつら一刀を殺す為なら手段を選ばない奴らですし。
682 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:01:12 ID:7sNrwW/G0
それはある夏の夜のこと。小喬は北郷軍の城壁の上でぼんやりしていた。
基本的に姉の大喬といっしょにいる小喬がひとりでいることはめずらしいのだが
考えたいことがあったので、姉が寝静まってから部屋を抜け出してきたのだ。
「はぁ……」
ため息にも力はなく、表情も決して明るくない。
小喬はこのところある悩みをかかえており、夜もぐっすり眠ることが出来なかった。
ことの起こりは数日前。どうも自分達の使命である、北郷一刀陥落に積極的ではない大喬を部屋に残し
彼の様子を見に行ったときの事だ。部屋の前までくると何やら中で話し声と物音がする。
(これは……なにかあいつの弱みをにぎれるかもっ)
そう思った小喬は扉を少し開け、中の様子を窺った。
そして小喬が見たのは
一刀と彼のメイド、月と詠が愛し合う姿だった。
冥琳の伽をしている小喬にとってその行為事態は別段珍しいものではない。小喬自身も不本意ながら
一度彼に抱かれたことがある。
小喬がショックを受けたのは月と詠の表情だった。
(なんて……幸せそうな顔)
普段から一刀に依存している所がある月はともかく、詠は自分と同じように一刀に対して好意的ではないと思っていた。
しかし今の詠はとても満ち足りた顔をしていた。心から相手を愛し、相手に愛されている顔。
小喬が知らない、浮かべたことのない表情。
(………!!)
小喬はその光景を見ていられなくなり駆け出した。
物音で気づかれたかもしれないが、そんなことに気がまわらない。
部屋に戻る気にもなれず、そのまま城壁まで駆け上がった。
乱れた呼吸を何とか落ち着けると、先ほどの三人の姿が思い浮かぶ。
(知らない……あんなの…知らない…)
683 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:02:17 ID:7sNrwW/G0
姉や冥琳と幾度となく交わってきた。経験だけなら一刀よりも上だろう。
だが、あの三人の間には自分の知らない何かがあると感じた。
それが悲しくて、悔しくて小喬は何がなんだかわからなくなってしまった。
こうしてこの日から小喬は不眠に悩まされることになる。
それから一週間。小喬は悩みをかかえながら一刀を観察してみた。
彼女の悩みの根幹には一刀がいる。だから一刀のことを知れば解決のきっかけがつかめるのではないかと思ったのだ。
大喬には使命のための情報収集だと言っておき、朝から晩まで一刀のことを見続けた。
誰か相談できる相手でもいれば他の方法もあったかもしれないが、他国では知り合いもいないし
大喬にあまり心労をかけるのも気が引けた。そのため小喬は一心に一刀を観察し続けた。
一人で政務に励んでいる時も、雑談をしている時も、警邏をしている時も。
情事も何度か目撃した。そして彼に抱かれる者はみな、幸せそうな笑顔だった。
それを見るたび小喬はなんだかたまらない気持ちになった。
小喬には愛する相手が二人いる。主である冥琳と、姉である大喬だ。
二人を心から思う気持ちに偽りはない。…だからこそ、小喬はずっと前から気づいていた。
二人は自分のことを「愛して」くれてはいないと。
確かに自分を大切に思ってくれてはいるだろう。
しかし彼女達の愛は小喬ではない、今はいないたった一人に向けられるものなのだ。
二人の目に自分は映っていない。二人の心に自分の居場所はほとんどない。
小喬はそれでもかまわなかった。たとえ誰を愛していようとも自分の気持ちは変わらない。
そう思っていた。思っていたはずだった。
だが、一刀と彼に愛される者の姿を見て小喬の中には、自分でも気づかないうちにある願いが生まれてしまっていた。
祭りの後の静けさと思いたいが、いつもの過疎なんだろうな
盛り上がったかと思えば丸1日以上書き込みないとは・・・
685 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:03:29 ID:7sNrwW/G0
一刀を観察し、しかし胸に巣くった悩みを解決する糸口さえつかめぬまま、小喬は中庭をふらふらと歩いていた。
不眠、精神的疲労、そして食欲不振まで重なり小喬はいい具合に追い詰められていた。
そんな状態なので先ほど一刀を見失ってしまった。それでも小喬は一刀を探してさまよっていた。
何をしたいのか、何を求めているのかも定かではなかったが、小喬はただ北郷一刀を求めていた。
そうしてしばらく歩いていると注意力が散漫になっていたせいで、何かにつまずき倒れてしまった。
しかし、小喬には再び立ち上がるだけの力が残されていない。そのまま意識が遠のいてゆく。
完全に闇にのまれる瞬間に
「……小喬!!」
誰か大切な人の声を聞いたような気がした。
「……ん…む…」
額に感じた冷たい感触に小喬は目を覚ました。
ぼやけた視界で現状を把握する。
(北郷軍の部屋みたいだけど…あたし達の部屋じゃない…)
そこまで朦朧とした頭で考えて、小喬は誰かが座っていることに気づいた。
「目が覚めたか?」
そこにはこの国の太守、北郷一刀が座っていた。
「びっくりしたぞ。ふらふらしてると思ったらいきなり倒れるんだから」
そう言われて小喬は気を失う前のことを思い出した。
(夢じゃなかったんだ…)
一応礼を言っておこうかと小喬が起き上がろうとすると一刀は、そっと肩をおさえた。
「まだ、起き上がらないほうがいい。熱もあるし、衰弱してるってさ」
そう言って一刀は微笑んだ。何度も見た、本当はずっと自分にも向けて欲しかった笑顔。
しかし小喬はそれを享受できなかった。
「な……んで……?」
かすれて声で問いかけながら小喬は体を起こした。
「あ…、おい…」
686 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:07:42 ID:7sNrwW/G0
「わかってるんでしょ?あたし達のこと……」
再び寝かせようとする一刀を遮るように小喬は言葉を続ける。
主に小喬の失言のせいで一刀には自分達の思惑がほとんどばれてしまっている。
うかつに動くことはできなくても、対処法はいくつかある。
なのに一刀はなにもしなかった。それだけでもわからないのに今はわざわざ自分で看病までしてくれている。
小喬にはどうしてもわからなかった。すると一刀はなんでもないことのように言った。
「病人は万国共通で病人だろ?それで充分だ。それに…」
そして小喬の頬にそっと手を当てて、顔を覗き込むようにして続ける。
「言っただろ?俺の弱点はかわいい女の子だって。小喬みたいに
かわいい女の子が苦しんでいるのに、ほおってなんかおけないさ」
「あ……」
トクンッ……と何かが脈打った。小喬は初めて一刀の目を真正面から見つめた。
そこには自分が映っていた。少なくとも今この瞬間には自分はこの人の中にいる。自分を見てくれている。
「ぁ……ぅあ…あ…」
そう感じ取ってしまったとき限界だった小喬の心は決壊した。
「うあああああああああん!!」
小喬は一刀の胸で思いっきり泣いた。心に溜まった様々なものを吐き出すように。
そんな小喬を一刀はぎゅっと抱きしめ、優しく頭を撫でていた。
しばらくして小喬が泣き止んでも二人は離れなかった。
小喬に触れている部分から一刀の優しさが伝わってくる。
それは、心の壁を取り払ってしまった小喬の心の一番大切な場所に抵抗なく染み込んでゆく。
(そっか……あたしはこいつに、この人に愛されたいんだ…)
687 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:08:29 ID:7sNrwW/G0
そうして小喬は、ずっと誰かの特別になりたかった、愛して欲しかった自分を自覚した。
顔をあげる。すると自分をみていた一刀と目が合った。
そしてどちらからともなく笑いあう。
「ねぇ……、あんたの真名、教えてくれない?」
「真名?」
「そう。ダメ、かな」
そう問いかける小喬に一刀は困ったように返した。
「いや、実は天の国には真名って概念はないんだ。だから俺にも真名はないんだ」
「そうなんだ…」
小喬は少しがっかりした。呼び方でもなんでもいい。この人の特別なんだと実感できる証が欲しかった。
「じゃあさ、なにか特別な呼び方ってない?天の国の言葉とかでさ」
「特別か。うーん……」
一刀はしばらく考えると、少しいたずらっぽく笑っていった。
「マスターっていうのはどうだ?」
「ますたー?」
「そう。天にある国の言葉で「ご主人様」っていう意味なんだけど」
「ますたー……マすたー…マスター…」
何度か発音を練習する。
「なんてな。さすがにこれは冗だ……」
「いいわね。これ」
「え?」
小喬の肯定の言葉に冗談だと言おうとした一刀は驚いた。
「いや、でも君は周喩の……」
「いいじゃないの。天の国の言葉なんでしょ?誰も意味なんてわからないわよ」
688 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:09:01 ID:7sNrwW/G0
そう言ってうれしそうに笑う小喬を見ていると一刀もこれはこれでいいかと思った。
そして甘えるように胸に顔を摺り寄せて小喬は呟いた。
「特別な呼び名を許されたってことは、あたしはマスターの特別ってことだよね」
「うん?」
「抱いて欲しいって言ったら……怒る?」
そう尋ねる小喬に一刀は笑顔で答えた。
「……いいよ。ただ一つはっきりさせておこう」
一刀は小喬から少し体を離すと目を見て言った。
「好きだ、小喬」
その言葉に小喬は満面の笑顔で答えた。
「あたしも大好きだよ。マスター」
その夜、小喬は一刀と同じ床で横になりながらながら考えていた。
一刀と結ばれたことに悔いはない。そして姉や冥琳のことにも小喬は答えを出していた。
それは
(お姉ちゃんも冥琳さまもみんな、マスターのものになっちゃえばいい)
ということだった。不思議と小喬の心に不安はなかった。
嫉妬しないとは言わないが、たとえなにがあろうと
一刀の自分への思いと、一刀の中の自分の居場所は揺るがないという確信があった。
689 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:11:26 ID:7sNrwW/G0
そして、一刀ならば姉や冥琳さえも虜にできるということにも。そうすれば自分のことも、気にかけてくれるかもしれない。
いや、二人だけではない。華琳も、蓮華もその他の人も。みんな一刀のものになってしまえばいい。
誰もが一刀を愛し、誰もが一刀に愛されれば争いなど起こらない。ずっと笑顔でマスターの傍にいられる。
それこそがマスターの目指している世界だ。
ここに第三者がいればツッコミをいれたかもしれないが、あいにくここには二人しかおらず一人は夢の中だ。
ずっとほおっておかれていた乾きが癒された小喬の暴走は止まらない。
(誰を抱いてもいい。誰を愛してもいい。でも、この場所と呼び名はあたしだけのもの。
誰にも渡さない、絶対に。マスターはずっとあたしのマスターで、あたしはずっとマスターの特別)
小喬はとなりで眠っている相手の顔を見る。今では誰よりも大切な人。
「おやすみ、マスター。あたしはずっとマスターの味方だよ」
最後に頬にキスをして小喬も目を閉じた。
愛する人達の笑顔と共にある未来を夢見ながら。
終わり
690 :
小喬陥落:2007/08/14(火) 02:14:27 ID:7sNrwW/G0
以上です。かぜあめさんのようなお方の後ではお目汚しかもしれませんが
あまり二喬が不遇なようなきがしたので書いてみました。
過疎ってたから書き込んだのに打ってる間に投下が始まってか
タイミング悪かったけど考えようによっては支援にはなったかw
>>691 こちらこそタイミングが悪くてすいません。
大小には全然興味なかったけどwなかなか可愛いアレンジですな
せっかくだから月詠ともっと絡ませればさらに良かったんでは
ないかと思ったりもした。
694 :
名無しさん@初回限定:2007/08/15(水) 18:21:45 ID:1WuSqIot0
GJ!
でもマスターよりは主様のほうが
いいかな
まあ呼称なんてものは所詮好みだから、一概にこれが良いなんてのは人それぞれだよ
かなりの人が謝謝を受け取っているはずなのに投下されたのは2作品で
しかも以前と変わらず過疎り気味とは悲しいかな
なんでこう書き込みが少ないのか
690 一刀の真名を尋ねるアイデアは凄く感心しました。変に難しげな作品を書くよりこういう事を思いつけることはとても素敵だと思います。
700 :
エロ本:2007/08/21(火) 23:32:39 ID:D4z34jfN0
毎度どうも、エロ本です。手元に謝謝が来て、落ちたのが明らかになったのですが、その前に欲望と妄想をぶつけたので……
なお、今回は終わりには了を付けませんので……あとがきを書きますのでそれを終わりの合図としてください。
なお、題名は『恋姫†無双〜サイド呉〜』です。
ただ、彼の見上げた先にあるのは空だった。
果てしなくどこまでも澄んだ青い空。おそらく彼の世界でもめったに見る事は出来ないだろう空がそこにある。
「……朝か」
ぼんやりとした頭で、彼はその空をおぼろげに見ていたりする。
何があったかを今一度整理してみようとするも、頭が働かない。いや、働かす必要が無いのかもしれない。これから、やる事は起き上がり、学校の支度をする事だからだ。
「さて……」
そして、彼はゆっくりと立ち上がり、近くにあるはずのクローゼットへと手を伸ばす。だが、実際に触れたのは……竹であった。
「へっ?」
一気に頭が覚醒する。それは同時に周りの風景を一気に脳に送り込んでいた。
見渡すばかりの竹林。正直に言えば、こんな見事な竹林は少なくても彼の住んでいた聖フランチェスカの傍にはないものだ。
「て、何じゃこりゃーーーーーーーー!」
某刑事風に叫んだところでこの謎が解ける訳でもないのだが、それでも叫ばずには居られなかったようである。
「な、何だよ、ここ……まて、ここで慌てるな。クールだ、クールになるんだ」
どうにかして、頭を落ち着かせようとする。
「すーはー、すーはー」
とりあえず、落ち着くために深呼吸までする一刀。だが、その効果は意外とあった模様で、何とか考える余裕ができた模様である。
「……よし」
何とか、頭を冷静に戻した後に再び周りを見渡す。
周りにあるのは、確かな感触の竹。それは決して幻でないことがわかる。当然、聖フランチェスカの周りに無い事は先ほども述べた通りである。
「……どうなってんだ?一体……」
そういって、彼は状況を整理しようと昨夜までの記憶の糸を慎重に手繰り寄せていく。
「確か、昨日は……」
しばらく考えていた。
不思議な少年のこと。鏡のこと。そして、その鏡から発せられた光のこと。そして、彼の結論は、
「全然、分からん」
とりあえず、この現状に白旗を上げることであった。
まったくもって、理解不能な事態に思考を放棄し、地面に座り込む一刀。
本来ならば、ここかどこかを突き止め、自らの寮へと向かう方法を考えるところなのだが、奈何せん、彼の腹の虫がそれを見事に邪魔していたりする。
「おい!」
「どうすりゃいいんだろ?」
「おい!」
唯でさえ、追い詰められて余裕がない時に、その声が一刀の耳へと届いた。
「ん?」
振り向いていると、そこには男が三人いた。大きいのと小さいの、そしてその二人のリーダー風な男である。3人とも同じような服装をしていて、頭には黄色い布をバンダナのように巻いている。
「ん?じゃねぇぞ、このくそ野郎!ぶち殺されてえか?」
「いや……えーっと……」
正直に言えば、理解ができず話すことさえままならなかった。手に持っている剣とかは、彼が見た限りでは本物と大差ないように思える。
「兄ちゃん、いい服着てんな」
ある意味、一刀にとっては不思議な問いであった。着ているのは学校の制服だ。特に珍しいものでもなければ、別にかっこいいものでもない。
だからであろうか。彼は次の言葉の意味を理解できていなかった。
「だから、着ぐるみ置いてけや」
それが、本当の追剥であるという事に。
首に峰を打ちつけられる感触。それは確実の敗北の感触であった。
「ぐはっ」
衝撃と共に木刀を柔らかい地面に落とす。彼だって、剣道をしているので剣を落とす意味は分かっている。それはすなわち、敗北。
「ったく、手こずらせやがって」
「て、……抵抗しない方がいいんだな」
地面の湿った感触を振り払おうとしても無駄であった。アニキと呼ばれた山賊の足がそれを許すことはしていない。
3対1、しかも相手は武器持ちという圧倒的な差を埋める事は達人であったとしても無理なのだろう。しかも、3人の追剥は戦いなれをしており、万に一つの勝ち目もなかった。
「とっととやっちまえ」
「……わかった」
そして、完全に一刀の意識を奪う為に、デクと呼ばれている男が剣を持ち上げる。もう、終わり。これ以上の未来は闇に包まれていると思ったその時だった。
「ちょっと、待った!」
闇を切り裂くような、それでいて幼い声が響く。
「あっ?」
その声に、その場にいた誰もが唐突の乱入者に目を向ける。そこにいたのは、声に相違ない一人の少女であった。肌は浅黒く焼けており、何故かパンダに乗っていたりする。
「何だテメェは!」
アニキは、一刀に向けていた剣の切っ先を、その少女に向けなおす。だが、少女はおびえる事を知らないのか、パンダから降りるとゆっくりと追剥達の方へと近寄っている。
「それ以上近づいてみろ! ぶっ殺すぞ!」
「そんな脅し怖くなんかないもんね♪」
「なっ!」
その言葉は確かなのだろう。でなければ、おそらくこのように歩くことさえままならないだろう。いや、普通ならば切っ先を向けられただけで、威圧されてしまうのが普通なのだが。
「こ、この野郎!」
「大の大人が、そんな物を振り回して楽しいの?」
「あ、遊んでるだと? ゆるさねぇ!」
どうやら、その言葉は彼の堪忍袋の緒を切る刃だったのか、彼は大声を張り上げた。
「デク! やっちまえ!」
「……で、でも……」
「そいつだって、奴隷市場に売れば金になんだろうが!」
最低の思考である。
「……うん、捕まえる」
だが、デクはそれに従うように、剣を構え、飛びかかった。
「危ない!」
一刀が枯れそうなほど声を張り上げた。それが、全く無駄な行為であったとも知らずに。
ガキッ!
注意すること自体が無意味だった。少女の手にあるのは、装飾の施された大きめのチャクラムである。
「なっ!」
その場にいた全員が声を上げていた。それもそうだろう。体格差の違うデクの一撃をか細い少女が受け止めたのだ。
「弓腰姫の名は伊達じゃないのよ!」
力など必要がないように、チャクラムでその受け止めた刃を地面へと流すと、少女はデクの懐へと入り込み、
ドスッ!
「げぼっ!」
彼の鳩尾に正確な一撃を食い込ませていた。
圧倒的
ではないとはいえ、どう見ても腕は少女の方が上だ。だが、悲しい事に追剥は引くことを知らないのか、アニキはさらに声を上げる。
「この野郎が! デク! チビ! 一気にやるぞ!」
「へい!」
「……う、うん」
同時に向く三つの刃。それを一斉に少女に向かって振りおろせば、いくら相手が強くても差を埋める事が出来るのだと、彼らは思ったのだろう。
だが、それは大きな間違いであった。
「ふ〜ん、でもいいの?」
「何がだ!」
「別に……ただ、わたしだけじゃなくて、周りも見た方がいいのかな〜って」
「はっ?」
その自信はどこから来るのか。その答えはいつの間にか彼らを囲んでいる人影なのであろう。
一刀が視認できる範囲だけで、20人以上はいる。陰に隠れているのも合わせれば、その3倍近くになるだろう。
さらには、その先頭に白虎おり、いつでも彼らに飛びかかれるような姿勢をとっていた。
「な……なな……」
「皆、わたしの仲間だよ? どうする?」s
その言葉は事実上の勝利なのだろう。唯でさえ敵わないのに、その上数でも彼女達の方が圧倒的に上回っているのだ。もう、追剥たちに勝ち目など残ってはいなかった。
「くそっ! ずらかるぞ!」
「「へい!」」
アニキもそこまで馬鹿ではないらしく、手下に命令すると、そのまま踵を返して走り去って行った。どうやら、北郷 一刀の命運はまだ尽きていないようであった。
追剥との遭遇から約数十分後、一刀は……
「あの……何で、俺は縛られてるんでしょうか?」
何故か囚われの身になっていたりする。
「安心してくだせぇ。取って食やしませんよ」
近くにいるガラの悪い、というか、少女の話によると、完全に山賊らしい男が一刀に話しかけている。そして目の前には先ほどの少女が虎の上に跨って、一刀を品定めするように見ていた。
ちなみに、今まで聞いた話では、この少女は家を飛び出した後の放浪中に、彼らのような山賊を次々と仲間にして、今では2000人ほどの仲間を持っているという凄い少女らしい。
「珍しい服を着てるよね〜」
「何か、光ってやすしね」
どうやら向こうは勝手に話が進んでいるらしく、しかも妙な方向に伸びているのが言葉の端々からわかる。
そして、なにやら相談が終わって、少女は一刀に近づいてくる。そして、念を押すかのようにもう一度一刀を見ると、あっさりと言った。
「うん、合格♪」
「はっ?」
唐突の合格発言。
「よく見れば良い男だし……」
「あの〜、意味が分からないんですが……」
唐突の発言についていけないのか、混乱する一刀。だが、そんなことも気に掛ける暇もないように少女は頭の上にオタマジャクシを浮かばせるかの如く、喜んでいたりする。
「えっと……とりあえず、聞きたいことがあるんだけど……」
本来ならば、逆の立場だとは思うのだが、一刀はそんな事は気にする暇もないらしい。
「うん♪何?」
だが、少女も特に気にかけていない。だから、一刀はそのまま言葉を続けた。
「ここは何所?」
「へっ?ここは、楊州会稽だよ?」
(揚州って、日本じゃないよな?)
揚州会稽。すなわち、中国の地方名だ。特に、揚州は揚子江の河口付近に位置しており、またその中の会稽は揚州の東部に位置している。
ただ、一刀がその事を理解しているとは到底思えないが。
「つまり……日本じゃないんだよな?」
「?……【にほん】って……何?」
どうやら、少女は知らないらしい。つまり、それは彼女の中で日本が存在していないことも示していた。
「あ〜、次……」
「ダメ♪わたしが質問に答えたんだから、わたしも質問していいよね?」
「えっ……ああ……」
確かに一方的な質問では失礼であろうと思ったのか、簡単にうなずく一刀。それを見ると、少女は楽しそうに言う。
「あなたの名前は?」
「俺の名前?……ああ、俺は北郷 一刀」
「ふ〜ん、一刀ね」
いきなり苗字ではなく、名前で呼ばれているのも、一刀は気にしていない。
「じゃあ、今度は俺から、君は誰?」
「シャオはね、孫尚香っていうの」
「はぁ……そんしょうこう……ってえええええええ!」
「な、何?」
一刀が驚くのも無理はないのだろう。孫尚香といえば、彼らの世界では、三国志に出てくる昔のお姫様の名前だ。
「えっと……冗談?」
「む〜、冗談じゃないもん! シャオは正真正銘の孫呉のお姫様なの!」
一瞬、一刀の中の時が止まった。
「……孫呉」
それは、三国志に出てくる中国の国の一つだ。
「……タイムスリップ?」
そんな言葉も出てくるが、それも彼は否定する。当時のお姫様は基本的にお城に閉じこもるのが定石のはずだ。如何に孫尚香が『弓腰姫』と呼ばれるほどの女性だったとしても、こんな竹林でパンダや白虎、山賊達と一緒にいたりはしないだろう。
「どうしたの?」
「いや……実は……」
全てとは言わないまでも、少しだけ事情を話してみようと、思ったその時であった。
「孫尚香様! 大変です! 黄巾党の連中が!」
彼らの間に割りいったのは、武装した山賊の息切れと声であった。
「どうしたの?」
いったん話を中断し、報告しに来た山賊へと向き直る孫尚香。そして、それを確認すると、山賊はさらに話を続ける。
「向こうの山に陣を張ってやす。数はおよそ6000」
6000。その数は少なくても、今、孫尚香が仲間にして一緒にいる山賊達のほぼ3倍だ。
「ふ〜ん、シャオ達にやられた腹いせにやっちゃおうってわけね」
「いや……実は、問題はその後なんです」
「ん?」
どうやら、山賊の言いたい事が分からないらしく、首をかしげる孫尚香。だが、その態度は次の一言で途端に変化していた。
「実は、その後に呉の兵士が来たんですが、数が少なくしかも食糧とかも持っていたんで、そいつらに襲われてるんです! 多分、黄巾の連中を狩るのが目的じゃなかったんで油断してたんだと……」
「何ですって!旗印は?」
「たしか『丁』」
瞬間に孫尚香は白虎に再び飛び乗ると、
「皆を集めて! 丁ちゃん達を助けに行くよ!」
と、急いでその報告の場所へと向かおうとする。だが、それは無謀な事だ。
「けど……相手は6000.こっちは呉の連中と合わせても3000がいいとこじゃ……」
「でも、丁ちゃんは友達なの! それに、呉の皆が襲われてるのに、指を咥えてみてる、何てことは出来ないんだから!」
彼女の瞳に映る強い意志。それはおそらく誰も止められないのだとわかったのだろう。
「野郎ども! 孫尚香の為に死ぬ気で行くぞ!」
それは、一斉の雄たけび。山賊達が命を懸ける声。それが竹林の中に響き渡った。
「でも、統率には軍師みたいなのが必要なんじゃ……」
「む〜、こういう時に穏がいれば……」
だが、やはり問題は残っているらしく、イマイチ締まっていない。だが、そこで声を上げたのは意外な人物であった
「……あのさ」
「ん?何?」
「俺も手伝おうか?兵法とか知ってるし……」
声を上げたのは、一刀だ。
「ふ〜ん。でも、戦いには慣れてないんでしょ?」
「でも、君みたいな女の子が戦場に出ているのに、俺だけ逃げるって言うのは出来ないよ」
それは、正真正銘の本音だった。
「だから、直接戦う事は出来なくても……何か手伝いたい」
瞳には決意の文字。それを見ると、孫尚香は笑顔を浮かべていた。
「うん。ますます気にいっちゃった♪」
「へっ?」
「いいよ。シャオに付いてきても……」
それは共に戦う事を許された証拠なのかもしれない。これから始まる、戦という現実の中で。
「ああっ……あと一つ」
「ん?」
「縄を解いてくれない?」
しかし、最後まで締まらないのが彼‐北郷 一刀のだらしない所であったりもするが。
こうして、もう一つの外史が幕を上げる。
新たに始まる外史。それは、一刀と孫呉の皆が織りなす、もう一つの世界……
710 :
エロ本:2007/08/22(水) 00:24:59 ID:bT5ybiXa0
という訳で、これで終了です。
本来なら、この後も作りたいんですが……丁奉とか程普と呂蒙とか黄蓋とかも出す羽目になりそうなので……。
時間かかるし、私が作るキャラは『萌え』からほど遠い。オリキャラは敬遠されるしね……orz
要望があれば……という事で。
最後に……
かぜあめさん……作品が素晴らし過ぎです……勝てない……orz
乙
でも着ぐるみはないよ着ぐるみは
オリキャラは別に出す必要性はない気がするけどなぁ
蜀にしたって名前しか出てきてないキャラ居るんだし
713 :
エロ本:2007/08/22(水) 02:27:47 ID:jsXAX4XV0
>>712 呂蒙→荊州編で使いたい
黄蓋→赤壁の戦いで使いたい
程普→とりあえず、思春、周泰以外で味方で動かせる武人系キャラが欲しい。
丁奉→某ハム的ポジション?要するに、初期に味方になってくれるキャラが欲しい。
こんな感じ……呉に武人系のキャラ少ないんだもん。
まぁ、程普は代わりに華雄を捕獲してポジションに入れるとか出来るんだが……。
使わざるを得ないわけじゃなくて
要するにただ使いたかったのかw
初っぱなに注意書きさえがあれば、オリジナルキャラがいても問題ない気もするけど
それでも不安ならロダにテキストうpすれば見たい人にしか読まれないし
文句が出る事はないだろうが、そこまでして投下するのかを決めるのは作者次第。
ただどちらにしてもオリキャラに真名を付けるのは控えた方が良いと思う。
呉の連中って公式の場や他人がいるとこだと字で呼び合ってたし、そっちで問題無いんじゃね?
ただ書き手が端からスレ住人に(ボクのやり方許容して…)と言わんばかりの態度とるときって、あんま碌なことにならんので応援しないw
基本的に過疎ってるわけだし、個人的にはやりたいようにやってくれていい
と思うんだが、続きも読んでみたいし。
>>713 ハム的なポジションというなら魯粛のが向いてるんでない?
演技だと孔明と周喩にいびられるお人好しな苦労人ってイメージだしw
718 :
名無しさん@初回限定:2007/08/23(木) 19:49:53 ID:i/Ey+l5GO
恋姫無双の同人誌や同人ソフトでないかなぁと言ってみる
やりたいようにやってほしいが、それで荒れるのも嫌だし個人的にはうpろだ対応で投下してほしいかな
とりあえず、過剰なオリキャラ擁護さえなければ問題ない気はする
ただ、うpろだは使った方がいいかもね
まあそれ以前にエロ本氏に書く意志があるかどうかが問題だけどね
722 :
エロ本:2007/08/25(土) 00:40:19 ID:7BCCOaLn0
>>721 悪い。もう、別の作品と同時進行で執筆してたりする。
でも、碌な事にならず、執筆を打ち切ることもあるかもしれんから、完成するする事は期待はしない方がいい。
もし、奇跡で完成したら、皆さんの忠告どおりロダでうpするんで。
では期待は控えめに、でも応援させて貰おう。
同じく控えめに期待しつつ恋と戯れながら待機
イロモノhtmlうpしてた人の新作は来ないのかなぁ
期待とか応援とか待つとか言うわりにはみんな書き込みはおろか保守すらしないよな……
書いてたらPCがイカれた…最近酷使してたからなあorz
ところで別に一刀×誰かじゃなきゃならないってルールはないよな?
オリキャラ×誰か、左慈や干吉×誰か
とかのNTRだったら叩かれるんじゃないか
女同士ならある程度は問題ないだろうけど
>>728 ふむ、それはよかった。
霞×愛沙の電波がどこか西の方から飛んできたもんで。
731 :
728:2007/09/02(日) 06:07:55 ID:tnpNbbTR0
>>730 うむ、俺の予想したとおりの回答だ
ある程度と書いたのは、本スレで拠点イベントの霞×愛紗が不評だったから
もし霞×愛紗を書こうとしているのなら拠点イベントの二の舞にならないように
と思っての事だったのだが、やり過ぎないように頑張ってくれ
カキ氷を一気食いして頭抱えてる恋タンを思いついた。
だ れ か 絵 を 描 い て く れ
それアートブック見て思いついただろ
734 :
名無しさん@初回限定:2007/09/06(木) 11:19:47 ID:iX7yIlGdO
華琳に首輪を付けて、口で奉仕させながら保守
残念それはドクダミの君だ
華琳はビシビシ躾けたいが
蓮華はトロントロンに甘やかしたいです
俺は寧ろ逆
躾けられたい
甘えたい
魏に下った関羽…
甘やかされてる蓮華を苛々しながら見つめてる冥琳がツボです。
恋姫無双のSSがあるサイト何処か無いか?
妄想伝以外で知ってるのはNTと理想郷、後はちゅうとはんぱというサイトだけだが…エロが無いんだよなぁ…
SS書いてたら朝になっちまった
いや恋姫のじゃないんだけどな
いい加減書かなきゃとは思うんだが
>>740 そのちゅうとはんぱとやらいうサイトを見にいってきたが、大長編連作になってる目次見た時点で閉じた。
あれをやりたがるweb作家は漏れなく地雷と見ていいからなw
初心者でないなら二次創作データベース辺りで自分で検索して調べろ
そしてあまりその話題を持ち込むな、自サイトでやってる人はこのスレとはほぼ無縁なんだし
スレ住人からしてみれば受け付けがたい内容のものも多いしな
あとエロが少ないのは仕方ない、無料鯖を借りてる場合は文章であろうと規約でエロ禁止されてるとこ多いからな
も〜い〜くつ寝〜る〜と〜
投下されるんだろうorz
書き途中だけど、まだ完成には程遠い状況です…
じゃあ、エロいの投下
ピチャピチャと隠微な音が響き渡る。
今、一刀は璃々と二人きり。
この状況が一刀をご主人様と敬愛してやまない愛紗の目にとまれば
「ご主人様を殺して私も死ぬ」と血の雨を見ることは必須であろう。
その未来を想像して一刀は軽く身震いする。
しかし、それすらも背徳感を増大させるスパイススにしかなりえず
熱に浮かされたかのように、さらに舌をのばし、激しくする。
何もなく、ツルリとしたそこは多少しょっぱいものの
一刀にとっては甘露であり、極上であった。
そうすると、耐え切れなくなったのか璃々が声を上げる。
「お兄ちゃんやめて! そんなとこ舐めちゃだめ!
そこはおしっこするところよ、きたない!」
璃々は泣きながら言ったが、一刀は便器を舐め続けた。
これまたベースに懐かしい奴持ってきたなw
だがこの時代に便器なんてな(ry
外史で何でもかんでも片付けられるわけないしな
てかスパイススは明らかに誤字だし、「お兄ちゃん」の部分は璃々なら「ごしゅじんさま」
「お兄ちゃん」のままなら璃々を鈴々にするとかしないと駄目だろ
なにネタに目くじら立ててんの
ネタであろうとミス指摘なんて当たり前に行われるだろ
ていうか些細な事で突っかかってくるなよ
投下した本人が気にしているのなら話しはわかるけど、
どうして毎回、無関係な赤の他人がいちいち茶々入れるのかなぁ。
正直、たったこれくらいの改変ネタでこれほどの失態とは絶句せざるをえない。
こんな完成度の低いものを「些細な」で済ます
>>750は安倍政権並みに寛大すぎ。
まあ璃々なのにお兄ちゃんってのはフォローのしようがないしなぁ。
754 :
名無しさん@初回限定:2007/09/10(月) 22:41:43 ID:4KTcAVECO
便器って…トイレの便器を舐める一刀を思い浮かべちゃったよ
745です。
上で100-105を書かせていただきました。
一応書き終わったんで、投下します。
〜宮殿にて〜
華雄は基本的に悩みを自分の内に溜め込んでしまう人物である。
古参である華雄は、最近董軍に参画した張遼と呂布によって軍の中で自分の立場が無くなると考えたからである。
個人の武勇では呂布に遠く及ばす、軍略では張遼に遠く及ばず、軍部に置いて何も秀でてない私に誰がついて来てくれるのだろうかと…。
ある日の夕暮れ時も部隊の訓練、町の警邏等の軍人としての職務が終わり、やっと一人の時間になれるので一人宮殿の裏の林の入り口にいた。
(…あの二人の力は認めるが…いや認める訳にはいかない、やつらは新参だ…信用できない…裏切るかもしれない)
華雄は獲物の戦斧を強く握り、下段から上段へ斧を斜めに振り抜き大木を斬りつけた。
(呂布など、飼ってる動物の餌程度でホイホイ仕官するような奴だ、もっといい条件を敵に提示された時に裏切るに違いない…)
振り上げた斧をそのまま真一文字に振りぬき更に切りつけた。
(張遼も、あの軽い調子で人に馴れ馴れしく話しかける…、あんな軽い気持ちで戦争されたら不測の事態の時に兵士が浮き足だつ可能性が大きくなる…)
二度の斬撃に大きく大木が傾き華雄の方向に崩れてゆく、それをまた振り上げの一撃にて迎撃をする。
「…ぐっ!……負けるかぁ!」
一瞬だけ大木の重量が戦斧を通して華雄に伝わり全身が軋む痛みを感じたが、一気に気を吐き腕を振り抜き大木を跳ね返した。
「はぁ…はぁ…まだ…まだ力が足りない…」
呼吸の乱れが収まらぬ内に、別の大木を探そうとする。
「…雄」
「っ!」
突然声を掛けられ、気を張り詰めていた彼女は戦斧を構えて慌てて振り向いた。
「なんだ詠か…」
振り向いた先には、董軍の政治周りを統括している賈駆文和こと詠が立っていた。
その小脇には巻物が数本抱えていた。
「今日も打ち込み?」
華雄はそのまま答えようとしたが、一瞬周囲を見渡した。
「今はボク一人だけよ」
「…そう…一通り今日の職務は終わったしね、兵だけじゃなく私の鍛錬もしないとね」
いつもの厳しい表情から、少し柔和な表情と口調に変わった。
「でも、雄も徹底してるね…、公の顔と私の顔を混合させないっていうか」
「まあね、公の場で私の顔や口調を使うわけにもいかないし、しまりのないやり取りで兵や文官の緊張感を損ないたくないし」
少し困った様な表情で華雄は、はにかむように笑った。
「そっちは?その様子だと仕事終わってないようだけど…」
「まだ終わってないよ、これから自室に篭ってお金の計算だよ、深夜までかかると思うから政務室でやる訳にもいかないでしょ…」
やれやれという表情で詠はため息をついた、それを見て華雄もクスっと笑った。
「お互い大変ね…あーそーだった、お金の計算してるって言うんなら…」
同い年といえども身長差がある二人、華雄は少しかがんで、詠の顔の高さまで自分の顔を下げて、両手で詠のほっぺたを引っ張りった。
「むー!?」
「もっと馬の数増やして」
「むご?むごむがふごむがががん」(また?この前も増やしたばかりじゃない)
詠は巻物を落として両手でその手を振り払い、仕返しに同じことをやり返した。
「雄だってまた何かで悩んでいるでしょ?」
「むが?」(うん?)
「月だって心配してたよ、また何か溜め込んでるって、私もさっきの打ち込み見ててそう思ったし」
「ふがが、むがーむ」(平気、大丈夫)
「どうせ、張遼と呂布のことだろうけど、そんなに気負っちゃだめよ」
「うー」
華雄は頬を引っ張られながら、こくこくと頷いた、それと一緒に詠は引っ張るのを止めた。
「私は別に気負いしてるようなことは無いよ」
「ならいいんだけど…」
「…ほら、まだ仕事残ってるんでしょ、行った行った」
「…無理しちゃだめだからね」
地面に落とした巻物を拾い集め宮殿に戻っていった。
(…でも、私は…月や詠を守る為に誰よりも強く、誰よりも軍略が上手くならくてはいけないのよ…)
〜水関にて〜
華雄は軍儀の前に予め水関の迎撃隊を自分にと詠に申し出ていた。
しかし、詠は敵の戦力との考慮して守備を主張し、華雄は策がある言って攻めを主張した、そして守りに回って時間を掛けてしまったら人質である月の両親が危ないと主張したのである。
華雄は攻めの方針の全ては国を守り月と詠の脅威を取り除くために、人質に捕られた月の両親を救い出す為に、そして華雄こそが董軍の将と知らしめる為である。
結局、軍儀でも華雄と詠の意見は食い違ってしまったが。
(…反董卓連合か…あの大群をここで防ぐしかない…この大群から白装束共が言う天の御使い北郷を見つけ出し討ち取らないといけないのか…そして討ち取って更にあの策も成功してないといけない…)
華雄は周りを見渡し、大量の敵軍を見て浮き足立っただった兵士達を見るなり叫んだ。
「貴様ら!この敵軍の数を見て恐怖するのはわかる!だが相手は連合を組んで数で押すことしかできないだけだ!こちらには結束がある!守るものがある!我等の国への忠義をここで見せる時ぞ!」
『おー!』
華雄が城砦の一番高い場所に立ち、戦斧を掲げ全軍を鼓舞した。
「私直属の部隊は騎馬にて崖で兵を伏せ敵部隊の背中を突く!、城壁防衛兵の弓兵隊は敵の弓兵が集まって区画へ各部隊長の合図で一斉射撃!各部隊長は敵弓兵隊見誤るなよ!歩兵は梯子で昇ってきた敵を突き落とせ!」
『おー!!』
一段と董軍の兵士の声のボルテージが高くなる。
「李粛、私の留守中は頼む!」
〜奇襲失敗後〜
「くそっ!あの奇襲が成功すれば、北郷を討ち取れたものを!関羽に阻まれるなんて…」
水関にまで帰還した華雄は壁を叩いた、彼女が一番避けたかった長期戦になることがほぼ確定したからである。
「ふふ…必殺の奇襲策は破られましたか…」
叩いた壁から急に声が聞こえた。
幽霊が壁をすり抜けるように壁からあの白装束達を束ねる干吉が現れた。
その片手には小脇に抱えるには少し大きい箱を持っていた。
「貴様…戦場に現れないのではなかったのか?」
「本来はそうするつもりだったのですけどね…どうしても猛将華雄将軍にお会いする必要がありましてね…」
「ふん…どうした?大切な切り札でも失ったのか?」
華雄は少し不敵に笑って見せた、しかし内心は穏やかではなかった。
「まあ結論は急がずに…、今は何も言わずこの箱を開けてください」
怪訝そうに華雄はその箱を開け、その中の『モノ』を見て絶句した。
「実は先日、先代の王の幽閉場所に先代を逃がそうとしたネズミが忍び込みましてね、捕らえて術をかけたところ貴方の名前が出てきたのですよ…」
「く…!」
「それでね…やはり罪には罰を与えないといけない…と私は思うのですよ…」
華雄が干吉を睨み付ける。
しかし彼に襲い掛かることができない、ここで決裂してしまったらそれこそ最期だ。
「そうですね…例えば、山賊に幽閉場所を襲わせ先代夫婦を殺させるとか…」
干吉がにやりと笑う。
「いえ…こちらの方が面白そうですね。突然洛陽で反乱が起き、孤立してしまった哀れな王女とその腹心が反乱分子の…」
「もういい!止めろ!」
耐え切れなくなった華雄が声を荒げた。
「…これは私の独断で行った事だ…罰は私が受ける!何をすればいいのだ!?自害か!?敵の捕虜になるのか!?」
干吉が嘲笑する、そしてため息をつく。
「そんな誰の得にもならない事をお願いすることなんてことはありません」
華雄が怪訝そうな顔する。
「私達としても無駄に長引く長期戦は望んでいません…。そして私達の望みは戦の勝利よりも北郷の首」
干吉は机の上にあった地図とその中央にある一番小さな駒を手に取り地図の門の絵の前に置いた。
「先ほど掴んだ情報と私の予測だと、袁紹の命令により半刻もしない内に北郷殿の隊は進軍…連合軍の前曲は後退、結果彼らは本隊から突出します…」
「…貴様…まさか、餌の可能性が大きい部隊に突撃を敢行しろと…どちらにしても自殺行為…いや…私には拒否権がないのか…」
「貴方が北郷殿を討ち取る結果を引き出せれば理想、貴方が敗死して水関を抜けられても戦況が動き北郷殿を殺す機を増やすのも一興…」
華雄は唇を振るわせた。
「…去れ…もう覚悟はできた…」
「ふふ…流石は猛将華雄将軍、話が早い…では私は去りましょう…くれぐれも小細工は成さぬよう私は常に見ていますよ…」
干吉は気味の悪い笑い声を残して霞になって消えた。
部屋で一人になった華雄は策がないかと考えた、だがもう何も考え付くことができなかった。
(もう手詰め…月と詠の安全を考えると何もできないか…)
少しして趙岑がやってきた。
「将軍!敵に動きがあり!前曲の部隊が後退、少数の部隊が中央より進軍しております!」
「…私の騎馬隊で叩く!私の武を敵に見せ付けてくれる!」
趙岑が止めに入る。
「将軍!これは餌の可能性が高いです!もし殲滅できても両端から挟撃されます!弓で射掛けるが被害が少なく…」
趙岑の反論を華雄は遮った。
「黙れ!貴様も私の武を疑うのか!?あの程度数なぞ一蹴してくれる!」
「…わかりました、至急騎馬の準備を急がせます…」
しぶしぶ趙岑は部屋を退室しようとした。
「待て、あと二つ命令がある…まず、この者を日のあたる場所に手厚く葬ってくれ…」
干吉の持ってきた箱を趙岑に渡す、趙岑が怪訝そうに中を除き顔面が蒼白になった。
「そしてもう一つ、この戦で私が死ぬことがあれば、残されたものはここを死地と選んだ者以外は迷わず逃げろ」
「将軍…まさか…」
華雄は少し困った顔をして、ため息をついた…。
「時間が無いぞ、素早く命令を実行せよ」
華雄は趙岑を追い出しまた一人になった。
「…月…詠…ごめんね、私もう帰れそうに無いよ…。月…子供の時ように守れない、詠…軍儀の助言受け入れなくってごめんね、そして月をお願い…」
華雄は少し泣きそうなったが、大きく気を吐いて湧き上がってくる感情を吹き飛ばした。
「私は…武に生き武に死す!」
以上です。
誤字脱字が多いかもです。
誤字脱字程度は問題なし
763 :
名無しさん@初回限定:2007/09/11(火) 06:29:29 ID:Lfxi7x+6O
華雄イイヨーにしても仕事熱心だな于吉VV
粥とハムはSSに欠かせないキャラになってるな
ハム&粥がこのスレでかかせない理由
1・本編が途中退場の為、生きていたら……のIFが作りやすい。
2・ハムは顔を赤らめている立ち絵まであるため、ちんこへの想いが創造しやすい。
3・まとめサイトのを見ると、一番投下数が多いのが華雄の人……で中心がハム&粥
華雄の人や昔のコテ職人さんは元気かなぁ……
>>761 死ぬ前に急にお馬鹿になってた華雄の裏話ですな、
んでも恋のことだけは評価してた気がするのでそこだけちょっと違和感
しかしこのかゆは可愛すぎてたまらんぜよ
pink板調子悪いな
エロゲー板とエロゲ作品別板まだ復旧しないけど
住人のみんなはどうしてるんだろ
どうもしてないよ
ただひたすら復旧待ち
あとはいつも行ってるホラー映画系のスレとかコミックあたりでまったり待ってる
賑わってた頃じゃなくて良かったな
1日1スレ消費している時だったら大変だった
復旧してるみたいだけど
◆◆◆◆◆スレ建ては控えて下さい◆◆◆◆◆
ってなってるからもう少し我慢してくれ
どかっ、と公孫賛はソファーに身を預ける。
今は視界の隅にちらちらと映るテレビだけが騒がしい。
もっともてれび、なんてものを見て理解できるほどには時間はたっていないので
とりあえずつけているだけである。
冷えたビールを冷蔵庫から取り出して栓を開け、ゆっくり傾ける。
やっぱり酒っていうのは変わらないもんだな、としみじみ思う。
何もかもが変わって見えるこの世界で、酒というものだけは唯一変わっていないように思える。
公孫賛の前、部屋に備え付けられている机の上には大量の酒瓶が並んでいる。
当然一人で飲んだわけではなく、今の所一緒の部屋に住んでいる翠が
同居人に断りもなくいきなり一刀や他の連中を連れてきては飲み明かしたなごりである。
散々どんちゃん騒ぎをしたあげく、周囲から苦情が何件も舞い込んだために
一刀の家や他のあちこち、詳しくは覚えていないがまあ色々とハシゴして帰ってきたのが
今から1時間ほど前だっただろうか。
酔いつぶれた翠を家まで運び、そのままベッドに投げ捨てて部屋の片付けとシャワーを浴びたら
もう夜中の3時を回っているというわけだ。
明日が休日でよかった、と思う。
見ているわけでもないテレビを消すと、寝室から翠の幸せそうな寝息がグァグァと聞こえてくる。
そしてなんとなく部屋のカレンダーを見つめている自分を発見し、目を閉じる。
カレンダーにはこちらの世界の日付と、どこかの風景の写真が映っている。
とにかく、全てが以前と違う。
生活も、物も、人も、色々な概念すらすっかり様変わりしてしまっている。
笑ってしまうほど、この世界はあの世界から時が進んでいるというわけだ。
理解の限界などとっくに通り越してしまっているこの世界はむしろ公孫賛にはありがたかった。
理解しようなどという気すら起きなかった。
一刀や翠達と一緒にさえいれば、しばらくはなんとでもなるこの平和な天国を解明しようと試みた
名だたる軍師達が雁首揃えてダウンしてしまったのを見ると本当にそう思う。
彼女らに今隣で寝ている翠の姿を見せてやろうか、と思うと笑いがこみ上げてくる。
とはいえ先のことを考えれば、不安がないと言えばウソになる。
一刀ですら、今はただの一人の学生であり将来を考えねばならない時期である。
いつまでもアイツにおんぶにだっこ、なんてできないしなぁ……。
いつの間にか忍び寄ってきた睡魔に身をゆだね、ソファーに横になって思いをめぐらせる。
ああ、でも一人くらいはずっとアイツの傍にいられるんだろうなぁ。
誰だろう。
やっぱり関羽かな。いっつも一緒にいるしな。
でも孫権も曹操もがんばってるし、ああ、そういったらほとんど全員が狙ってるか。
俺は……まあ、ないだろうけどさ。
そういやアイツ、とんでもないスケベだったんだな……驚いた。
こっちにきた連中のほとんどがアイツに抱かれたっていうから心底ね。
人が死んでる間に何をやってたのかと。二刻(約1時間)ほど問い詰めたい。
あ、そういえば俺なんで死んだんだっけ?……あれ……思い……出せな……
眠りに落ちた公孫賛の手から、ほとんど空になったビール缶が滑り落ちる。
カレンダーには、赤ペンで丸のついている日がある。
今から一月と経っていないそこには、「この世界ができた日」と大きな文字で書いてあった。
おしまいじゃ
ハムをちょろっと書いてみた。保守代わりってことで。
乙、でも保守代わりというなら3レスのうち1つくらいはageた方が良かったんじゃないか
最終書き込み時間で判定するんじゃないの?この板
最終書き込み時間にしてもすぐ上のレスと1時間しか変わらないから言ったんだけどね
779 :
名無しさん@初回限定:2007/09/18(火) 07:05:56 ID:1fzIyJ4sO
恋に朝起ちをフェラされながら
「ご主人さま………はむはむされるの……好き?」
というシチュを想像した
orz
むしろ誇れ
そして、外史を創造……
そして、投下を想像……
雑談すら無くなってきたらもう終わりだな
じゃあ終わる前に俺が翠だけは引き取って行きますね
んじゃ今のうちに愛紗は貰っていきますね
ここで俺が星をもらっていく
見てるだけってのもいいんだ
観姦的な意味じゃないぞ
>>790 そうだな
なんか悔しいから貂蝉襲ってくる
792 :
名無しさん@初回限定:2007/09/26(水) 00:06:29 ID:zBTqul30O
じゃあ恋と月と詠は、こちらで可愛がっておきますね
紫苑と秋蘭に弓を教えてもらうんだ…
今ふと思ったが、
>>786は毎日愛紗の手料理を食べるんだよな?
>>794 料理は自分で作るわw
いやでも最期のほうでは上手くなってたから大丈夫じゃね?
愛紗頑張り屋さんだし
きっと美味しい料理作ってくれると思うんだ
テレカではかなり上達してるみたいね
じゃあ俺も麗羽様に頼んで毎日手料理作って貰うことにするわ……
798 :
792:2007/09/30(日) 06:15:36 ID:NU7mJ0vNO
じゃあ今から恋と月と詠と華琳の女体盛りを、食べてきますね
まぁその後は上の口や下の口で俺のを食べさせてあげるけどね
欲張りな奴はどこにいっても嫌われるぞ
>>800 コレはゲーム内で言う、所謂正史なのかな
801ゲットしたので芋吉と左慈はもらっていきますね
> 所謂正史なのかな
意味がわからんのだが
これは現実なのか?という意味の隠喩なんじゃね
>>801はエロだらけの恋姫は外史と言いたかったのかッ
魏、呉、他キャラENDは追加されんか…
妄想投下、苦情は受け付けない
なんとか学園の通学路〜下校中〜
「はぁー、今日も一日疲れたな」
とある思考回路下半身直結男が一人、夕焼けに紅く染まる並木道を歩いている。
「朝から愛紗と華琳の争いに巻き込まれて、そのせいで遅刻して冥琳に睨まれるし・・・。他にも体育で貂蝉に抱きつかれるわ、
こけて星を押し倒したのは役得だったけどそれを見てた愛紗と蓮華、朱里に翠おまけに華琳と春蘭に精神+肉体に押し置き食らうわ
そのせいで月に無言涙目で見つめられて、それを詠が見てて後頭部にドロップキック、気絶して目が覚めたら保健室で紫苑にイイ笑顔でごにょごにょされてそこに見舞いに来た
愛紗と朱里が(以下略〜〜〜でやっとこ帰れる・・・。
ってか、何で登校時愛紗と華琳も一緒だったのに俺だけ遅刻扱いなんだ?」
そんな独り言を呟きながら歩いていると前方に見知った人影が見えた。
「お、あれは・・・おーい!」
人影が振り返る
「ん?・・・お前か。今帰りか?」
「おう、そっちはどうしたんだ?」
「ん、仕事帰りだ」
手に持ったコンビニ袋を見せながら言う。
「というか北郷、お前その傷はどうしたんだ?まぁ、大方また関羽達にやられたんだろう・・・」
「む、なんでそう思うんだ。今回は違うかもしれないだろ」
「なんだ違うのか?」
「・・・・・いや違くないが・・・」
「だったら最初からそう言え。そもそも何故誤魔化す」
「ノリだ」
「ノリ?」
「ああ」
「・・・・・」
呆れた顔で北郷を見やる
「そういったことは理解できんな」
「それはいけないぞ、心には常に余裕と遊び心を持つべきだ。俺は持っている」
「お前は欲望と下心だろうが・・・」
「なんだとっ!おm「反論できるか?」・・・うぐっ」
下半身(以下略 図星をつかれ黙り込む
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・なぁ」
「なんだ?」
「もうこっちの生活には慣れたか?」
少し遠い目になり
「どうだろうな・・・」
「慣れたといえばそうかも知れんし、違うかもしれん。何せ死んだと思ったら何時の間にか林の中に倒れていていたのだし」
「林を抜けて見渡せばお前達がいたしな。正直混乱した」
「まあ普通はそうだろ」
「・・・・・それから色々あってお前たちとも和解して、仕事にも就いて平穏な生活を送りながら今に至るといったところか」
溜息をつく
「まぁそれでも以前に比べて・・・というのもおかしいが」
微笑を浮かべながら
「自分でも満足・・・しているのだろうな」
「そっか、良かった良かった」
「なにがだ?」
「やっぱお前も”呼んで”よかったってことだ!」
二人笑いながら
「お前は本当にわけが分らん奴だな」
「よく言われる。主に春蘭とか詠とか華琳とかに」
「でも」
「ん?」
「皆、そんなお前に救われたのだろうな」
「・・・まぁな」
「クク、顔が赤いぞ?」
「う、うるせい(///)」
暫く行くと遠くに男子寮が見えた
「お、もう着いたか。やっぱ話しながらだと早いな」
「そうだな」
「お前も遊びに来るか?皆も来るぞ。星主催の宴会をやるんだけど」
「いや今日は用事があってな。残念だが行けそうにない」
「そうか」
「まぁまた機会があれば誘ってくれ」
「分かった」
寮の門に着く
「んじゃあ、またな」
「ああ」
寮に向かって歩き出す・・・・・と
「北郷!!」
「ん?なんd「チュッ」!!!???」
「んなっ!おまっ!なにするんだ!?」
「ククク(///)真っ赤だぞ?」
「なっ。お、お前もだろっ」
「自覚している。慣れない事はするものじゃないな。ああちなみにさっきのは感謝の印だ」
「用事があるからもう行く。では、な」
足早に立ち去る
「あ、ちょまてって。おーい!」
「きいてねぇ。ったく不意打ちは卑怯だっての・・・」
頬に残る温もりを感じ微笑みながら、愛しく想う相手に言葉を投げる
「またなっ!”左慈”!!!」
オチ最悪www
ポテチ吹いたwww
謝罪と賠(ry
ああ…粥はかわい
アッー
>>809 お前、このウーロン茶塗れのモニターどうしてくれるwww
814 :
左慈ss3:2007/10/02(火) 13:48:23 ID:q9UVRjSa0
随分前の左慈ss2の続き。見たい人はいないかもだが投下
「・・・・・ん・・・ここ・・は?」
(背中が冷たい・・・俺は寝かされているのか?)
ズキッ
(クッなんだ頭が痛い?どうして・・・・・)
(・・・っ!?そうだ俺はあの侵入者にやられて気を失った)
(くそっ!この俺が一方的にやられるとは!!)
己の不甲斐なさに憤り腕を床に叩きつけようとすると「ジャララ」と音がした
「ちっ、手枷か。暗くて分らんが体中を拘束されてるようだな」
暫くすると暗闇にも目が慣れてくる
「ただの鎖なら引き千切れるんだが、なっ!」
ガギッ!
「無理か。上手く力が入らん。おぼろげにしか見えんが、おそらく呪法の類で強化されてるだろうな」
(だがこの状況をどうする。拘束され自力では脱出不可能、助けを待つにしても干吉は俺と同じかもしくは
既に殺されている可能性がある・・)
(万事休すか、せめて相手の正体と目的が分れば・・・)
・・・・・コツコツ、コツコツ
(っ誰か来る、奴か?足音からすると一人、いや二人か?)
・・・・・コツコツ
(来たか。)
815 :
左慈ss4:2007/10/02(火) 13:49:35 ID:q9UVRjSa0
・・・ギィィイィー
扉が開き灯り共に人影が一つ入ってくる
(逆行でよく見えんが・・・あの巨漢か。だがもう一人は何処だ?)
(こっちに来る?、気絶してる振りをしておくか)
目を瞑る、と瞼越しに灯りが灯ったのが分った
コツコツコツ
「んふふ〜、よく眠ってるわねぇ〜」
聞こえてきたのは不本意ながら聞きなれた濁声
「んなっ!?」
つい声を出し、目を見開き声の主を見やる
「あらん、起きてたの左・慈・ちゃん?」
「貴様、貂蝉!!??」
呆然としていると貂蝉が扉の方へ声をかける
「目が覚めたならもう良いわよね。」
もう一人が部屋に入ってくる
「ええ、もう結構ですよ貂蝉、有難うございました」
そこにいる人物にさらに驚愕する
「なっ!、何故お前がそこにいる・・・・・干吉!?」
〜とりあえず此処まで〜
あげちまった、すまないorz
817 :
左慈ss5:2007/10/02(火) 22:47:51 ID:q9UVRjSa0
続き
「今説明してあげますよ。とその前に、貂蝉・・・「ゴソゴソ」ああこれです」
服の下から小瓶を取り出し貂蝉に差し出す
「あらん、これがそうなの?」
「ええそれが報酬の特性媚薬です。ただし使用の際には気を付けて下さい。これは非常に気化しやすいので
蓋を開けたら数分で全て空気中に消えてなくなってしまいます。使うときは厳重に施錠した密閉された部屋で
お願いします。あ、ちなみに超即効性ですので媚薬を吸い込んだら2〜3秒で効果が現れますよ」
「んふふふ〜、わかったわぁ。そうと決まればもう帰るわね、まっててね〜ぃご・主・人・様ぁ〜ん!!(じゅるり)」
叫び声をあげながら神速で去ってゆく貂蝉
「ふふふ、御武運を」
「(よく分らんがあいつの狙いは北郷だろう。奴の事は憎いが同情はする・・・ってそうじゃない!」
「おい干吉!貴様これはどういうつもりだ!!」
「どう・・・とは?」
「ふざけるな!!俺を貂蝉に襲わせてここに拘束している事だ!!!」
「ああ、そのことですか」
いつもの笑みを浮かべ
「いい加減我慢の限界でして・・・」
「我慢・・・だと?」
「ええそうです。もう限界なんですよ」
「もう・・・耐えられないんです」
「何度も気持ちを抑えようとしましたっ」
「でも、駄目なんですっ!」
「抑えれば抑えるほど膨れ上がって!胸が苦しくなって!!でもそんな事には貴方は全く気づいてくれないっ!!!」
818 :
左慈ss6:2007/10/02(火) 22:48:35 ID:q9UVRjSa0
急に激昂する干吉に左慈は混乱する
「ちょ、ちょっと待て。お前はいったい何を言って「でももう良いんです」は?」
「気づいたんです、我慢する必要ないんだって事に」
「左慈、貴方が悪いんですよ?私の想いを無視して何時も何時も北郷一刀の事ばかり考えて」
壊れた笑みを浮かべる干吉
「どうしたら私の事を見てくれるか・・・考えて考えて答えが出たんです」
”そうだ、自分しか見られないようにシテシマエバイインダ”
「それからは迷いは消えました。貴方を手に入れるためにどうしたら良いか。監禁調教なんていいんじゃないか?
でも私では身体能力では敵わないと思い、貂蝉に協力を求めました」
「はじめは渋っていましたけど報酬の話をしたらすぐに乗り気になりました。ふふ、さすが私と同じ趣向を持つものですね」
「そうして秘密裏に準備を進め、今こうしているという事です」
左慈は得体の知れない恐怖に襲われながらも気丈に振舞う
「お、俺をどうするつもりだ!」
「ふふ、さっきも言ったじゃないですか。私の物にすると」
「戯言を言うな!さっさとこれを外せ!」
ジャラリと手枷を鳴らす
「いいですけどその前に聞きますよ?」
「私の物になると誓ってください」
819 :
左慈ss7:2007/10/02(火) 22:50:15 ID:q9UVRjSa0
「〜っ! ふ・ざ・け・る・なーーー!!!早く外せ!!もう我慢ならん!!すぐに殺してやる!!!」
「おやおやいいんですか?上の方々に怒られますよ?」
「上の事なんぞ知った事か!!!」
唇の端を噛み切り、血を流しながら干吉を睨み付ける
「・・・・・もう一度聞きます。私のm「黙れ!!!」・・・・・そうですか・・・」
「手荒な真似はしたくなかったのですが」
「なんだtむぐっ「少し静かにしましょう」むー!」
口内に布を詰められる
「私も心が痛みますが仕方ありません。これも貴方のためです」
「傀儡子兵達よ、来なさい」
扉より入ってくる十数人の傀儡子兵達
「むーむむーっ!」
「何をするですか?それはですね、これからこの傀儡子兵を使って貴方の後ろを犯し、開発調教します」
表情が凍る左慈
「ちなみに部屋の外に100人ほど、全体で1万人ほどですかね。その人数を相手にして貰おうかと思ってます」
「むがー!!」
「初めは10人ほど、慣れてきたら徐々に人数を増やして堕としていきます」
「まあ早く堕ちてくれたほうが私としては嬉しいのですが」
「むー!むー!!」
「それでは始めましょうか。時間はたっぷりありますから楽しんでくださいね、左慈?」
「傀儡子兵よ、行きなさい」
「ーー!!むむがー!むむー!!!」
(何故こんな事にっ あ、や、やめろ!来るな!!・・・やめろぉぉぉぉぉーーーー!!!)
820 :
左慈ss8:2007/10/02(火) 23:29:33 ID:q9UVRjSa0
〜とあるち○この屋敷〜
「よしっこれで最後だよな?」
「はい、本日の分は全て終了です」
「んぁぁ〜!疲れたー」
「お疲れ様ですご主人様。あ、今お茶を入れますね」
「ああお願いするよ、朱里」
業務を終え休息する二人
「はいどうぞ」
「っとありがとう」
ズズズ
「うんうまい」
「有難うございますv」
はにかむ朱里。
「あ、そうだご主人様」
「ん?」
「ご主人様はこの後どうしますか?」
聞かれ考え込む一刀
「んー、もう外も暗いしな。後は寝る・・・もしくは(ニヤリ)」
「朱里と”運動”するとか?」
あわてるはわわ
「は、はわわ〜(///)ご、ご主人様〜」
821 :
左慈ss9:2007/10/02(火) 23:30:48 ID:q9UVRjSa0
「それともなにか用事があるのか?」
「い、いえ!何もありませんです!!」
「なら・・・」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
一刀を押し留める
「今日は趣向を変えてみませんか?」
「実はですね、今日面白いものが手に入ったんです」
「面白いもの?」
「ええ愛紗さんと星さん恋さん達が貂蝉さんから譲ってもらったんです」
「貂蝉から?そういえばあいつ昼ごろに庭でボロ切れになって転がってたけど」
「それは知りません(キッパリ)また何かしたんじゃないですか?」
「ん・・・まあ貂蝉だからいいか。で、その面白いものってなんだ?服とかか?」
朱里は妖艶な笑みを浮かべながら言う
「それはですねぇー「コンコン」あ、皆さん来たみたいです。どうぞー」
扉が開かれるとそこには蜀魏呉董の皆が勢ぞろいしていた
「えーと、皆どうしたんだ?」
問いには答えず笑みを浮かべるもの、俯いているもの、顔を上気させているものそれぞれが無言で部屋に入ってくる
ガチャッと鍵がかけられる
「さぁ始めましょうか。ご主人様?」
そう言う朱里の手の中には液体が入った”小瓶”が握られていた・・・・・
|д゜)・・・
終わり?
824 :
左慈ss:2007/10/04(木) 00:54:30 ID:Mz3b7hZ80
いやこの後〜堕ちた左慈〜endで終了なんだが没案として貂蝉に襲われる一刀
てなもんがあるんだがうpした方が良いだろうか・・・
まあネタとして楽しんでいる人もいるだろうから途中で辞めるよりうpする方がいいんじゃないか?
没案の方は反対意見があるようなら、ろだにうpするのが最良だろうけど
826 :
名無しさん@初回限定:2007/10/04(木) 13:43:58 ID:6z/DOI/t0
ホモテラウザス('・ω・`)
827 :
左慈ss:2007/10/04(木) 19:13:28 ID:Mz3b7hZ80
いるかもわからん極少数のために近じかうpしてみる
しかし俺は蓮華愛紗萌えなのに、初めて書いたのがホモssでその後もホモ系しか書いてない
、というか書けない。どうすれば・・・orz
ネタで書くのは大丈夫だが、自分の趣味を曝け出すのは恥ずかしいとか?
書くのはともかく、投下して人の目に晒すのは結構勇気が居るよなw
829 :
左慈ss:2007/10/04(木) 22:24:48 ID:Mz3b7hZ80
9割がた書けた、後少しだぜ
・・・それと書いてる途中考えてた、何故ホモssしか書けないのかと
あれ?もしかして俺ホモなんじゃね??
俺女やってる腐女子とかいう線はないのか。
あいつらこういう「自分ではさりげないつもり」で強引にツラねじ込んでくるマネぐらい平気でやるぞ。
まあ、過疎だしな……それも歓迎…しちゃだめか?
ダメだろ。
もしホントだったら簡単にスレ潰されるぞw
杞憂だとは思うけどさ。
SS板なのに、他人がまったく関係ない自分のHPで書いてるSS
の批判までするような板じゃん・・・
SSを書いて、ちょっとした雑談のはずが他人のHPまで批判とかね
> 他人がまったく関係ない自分のHPで書いてるSSの批判までするような板じゃん
834よ、自分のHPのSSが批判された事があるのが丸わかりな書き込みは辞めた方がいいぞ
そりゃただのグチだ
っつーか、急に何を言い出すの
740 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/09/08(土) 06:43:50 ID:ayrz43z/O
恋姫無双のSSがあるサイト何処か無いか?
妄想伝以外で知ってるのはNTと理想郷、後はちゅうとはんぱというサイトだけだが…エロが無いんだよなぁ…
741 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/09/08(土) 08:58:25 ID:ovVgD0gL0
SS書いてたら朝になっちまった
いや恋姫のじゃないんだけどな
いい加減書かなきゃとは思うんだが
742 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2007/09/08(土) 10:23:50 ID:Y5Hg1wAO0
>>740 そのちゅうとはんぱとやらいうサイトを見にいってきたが、大長編連作になってる目次見た時点で閉じた。
あれをやりたがるweb作家は漏れなく地雷と見ていいからなw
このへんだな、俺はSSなんて書けるような頭してないんで、書いてないが
SS板で批判板でもないのに叩くのはどうかと思うぞ。しかも名指しだしな
マンセー意見しか認めない、批判板じゃないと批判しちゃいけないと思ってそうなキミもどうかと思うよ
ん〜、そうかも知れないけど、ここに投下されたわけじゃないのまで批評じゃなく批判
てるような板だから投下してくれる人が減りまくったんじゃない?
批評ならわかるが、批判はな〜・・・しかも板に関係ない他人のHPまで批判はどうかと
思うぞ。
まあ読んだならともかく、長編連作だから地雷確定っていうのは言いすぎだろな。
過去の経験からそういう決め付けしちゃう気持ちはわからんでもないがw
>>840 何の前触れもなくいきなり批判が行われたり、SSではなく作者に対する叩きだったりするのならば問題はあるだろう。
だが話題の流れでサイト名が出ただけ、該当サイトのSSに対しての批判・中傷ではなく742がSS全般に対する持論を書いてるだけ。
しかも幾度も行われている行為でも、最近起こった出来事でもない。
それに名指しも何もSSサイトを聞く人はどこのスレでもたまに居るし、その際オススメ・非推奨のサイト名を住人が幾つも書く状況は
割とあるものだ。
明らかに貴方が過剰反応しているだけだ。
>>838 凄えほじくり返しっぷりw
もしそこのサイト管理人氏がここ見てたら、そんな羞恥プレイ勘弁してくれって思うぞw
スレ違い
だよな?
まあ人が減っている原因は、こういう議論をいきなりやり始めるor蒸し返す人の影響もあるという事を知って欲しいな。
以下、このスレに投下された(または、メーカー公式サイトで公開されたSS)以外のSSに関する話題は禁止&スルーで
そういうのは勝手に仕切らないほうがいいと思うけど
どうせ
>>846=ID:qJc8TnJo0なんでしょ
この流れはなんだwww荒れてる
誰が何をどう主張した所で何の結論もでないし、強制力も生まないんだから
議論したって無駄無駄。スレが荒れるだけ
まあわかってて主張をぶつけ合ってるんだろうね
作品について
腐女子物はある程度ネタとして読めるけど、徹底的に嫌う人もいる
俺もグロや病んでるのはカンベン
単発ならともかく何度も続くようだとアンチが沸くかも
で、流れを豚切るが、次スレはどうする?
気が早すぎ
↓494KB……残り、6KB
6KBで後何文字書けると思ってるんだ
長編SSが投下されない限り問題ないだろう
いい加減こういうやりとりでスレを無駄に埋めるの辞めようよ
どうするも何も埋まったら立てればいいだけなんだし
たった4行のマジレスからイライラが滲み出ててワロタ
うp板は盛り上がってきたのにここは盛り上がらないな
蒸し返す人の影響で盛り下がる一方だけどな。
スレが終わってる雰囲気が出てるな・・・哀愁が漂ってる感じだ
保守
859 :
名無しさん@初回限定:2007/10/10(水) 22:54:02 ID:LSpvVI8sO
此処で何となくキャラサロン板に恋姫無双のスレが建ったら、どのキャラが一番来るかな〜
と言ってみる
だがageてまで言う事ではなかった
今どき「〜と言ってみる」も無いもんだと思う。
〜な件とか言う人もまだたまにいるね
>>862 俺が常駐してるスレではそれは日常茶飯事だったりするが>〜な件
過疎ってる件
久々に来たら殺伐としてる件
妄想が溢れて止まらないのに文章に出来ない俺
その妄想がアッーだったら笑えるのに
●<マッガーレッ
とりあえず、マジカルばっちょん☆を書きたいと思ったのは、私だけでいい。
描いてほしいとは思ったがな
872 :
名無しさん@初回限定:2007/10/17(水) 20:49:02 ID:zv6hBkMOO
「べ、別にあんたとしたいわけじゃないんだからね!!」とか
「あんたみたいなピーが、溜めすぎて月を襲わないようにする為なんだから、か、勘違いしないでよね!」
云いながら、朝昼晩夜とナニの処理をしてくれる詠を希望
それありきたりというかあからさま過ぎて逆に萎えるよ
874 :
名無しさん@初回限定:2007/10/22(月) 20:09:52 ID:LfymOONcO
ハロウィンにエッチな悪戯を女性陣にしたい
一部いたずらするだけしてお菓子強奪していきそうなやつらがいるな
率先していたずらする星
まんまと引っ掛かる孔明
引っ掛かってることに気付かない恋
そしてお菓子の代わりに精を強奪されるちんこ
ちんこ(or誰か)の頬についた菓子屑を舐める役割は恋が適任でござろう
じゃあ、ハロウィンに欠かせないカボチャ役は穏(のおっぱい)で。
季節行事がないのにいきなりハロウィンってw
来月は七五三の配役を決めるんだぜ?
七五三がなごみって女の子の名前に見えた俺は間違いなくエロゲ脳
某「音音音」よりは真名に見える件
いつのまにかうp板が賑やかになってるな
それに引き替えこのスレは衰退の一途を・・・
そろそろ謝謝に落選したSSが投下されてもいいような気がする
まあその前に次スレだけど
されるとしたらもうされてると思うが・・・
一本来たら何本かは来そうな予感はする
本スレにちょう〜ん投下してた人どこ行ったんだろうな
結構楽しみにしてたのに
この状況で新スレっているのかな
6日前から俺と888の2人しか書き込んでいない状態なんだけど・・・
891 :
888:2007/11/01(木) 18:27:37 ID:JVIn1/zm0
>>890 俺とお前だけなのかよw
謝々出ても落選組みが投下しなかったり、そもそも謝々の盛り上がりがイマイチだったりだったからな
少しは持ち直すかと思ったが、なかなか期待通りにはいかんなあ
というか、本スレでも半ば忘れられてるんじゃないだろうか?w
上でも書いたが絵の方は最近になって職人が増えたりしているのにここは寂しくなる一方だな
PS2版が発売してもあまり盛り上がらないのだろうね
エロゲ原作ギャルゲスレって早めに消える事多いしなぁ
イベやEDが追加だので一瞬ワッと来てそれでおしまいってか
新規さん&復帰組がどんくらい出るかなんかな
エロゲ→CSで本格的に勢い取り戻したのってなんかあったけ?
プレイした移植作品の中には勢い取り戻したのなんてなかったな