処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第12話

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5175/8 ◆KEl2kizUBk :2007/04/12(木) 01:59:57 ID:S+jfGjgkO
幼稚舎からずっと恵泉にいる生徒が大半というこの学院は、いい意味でも悪い意味でも変化というものに乏しい。
それは内部にいる者には判らない類の感覚だが、外部入学組の圭には一種異様な空間だった。
無論、演劇部部長としての活動は充実しているが、それとて学院生活の半分程度。
概ね退屈な日々は如何ともし難い。
『何かイベント(面白いこと)が起こらないか』
そんな期待に応えてくれる逸材が宮小路瑞穂だった。
圭が宮小路瑞穂に対して興味・関心を持っているのは事実。
しかし、それはアイドル(崇拝される対象)としての「エルダー宮小路瑞穂」に対してのもの。
好感持ってはいるが、好意を持っているわけではない。
もちろん美智子だってそれは承知しているはず。
しかし、頭で理解することと、感情で認めることは別ということか。
こうして話題にすることさえ、避けている節がある。
まあ、それは他の女性全般に関しても言える事だったが。
まったく…圭が瑞穂に告白することも、瑞穂が圭に告白することもあり得ないというのに。
とはいえいずれにせよ、その所為で圭は瑞穂との立ち位置、取り扱いには注意を払ってきたのだが。
5186/8 ◆KEl2kizUBk :2007/04/12(木) 02:01:05 ID:s8oxegGD0
「……」
「……」
しばし無言で歩く二人。
これは気まずい。それ以上に、このままではまずい。
ここで何とか美智子の機嫌を取っておかないと自分の身が持たない。
そう判断して口を開こうとした時
「そうだ。いいことを思いつきました♪」
ぽん!と手を打ち合わせて美智子が言う。
その微笑は先ほどから一部の変化もない。
…背後の陰は濃密さを増しているようだったが。
「…何かしら」
しぶしぶ合いの手を入れる圭。
『いいこと』なんて全く聞きたくはないのだが、聞かないと話が進まない。
それに、放置なんかしようものなら、後で何が待っているのやら…
「圭さん。今年の降誕祭は男性役で出てください」
「え…?」
突拍子もない提案に一瞬圭は呆気に取られた。
そんな圭をひたすらにこやかに見つめる美智子。
「ちょっと美智子。それ話がちが…」
『う』と言おうとして、口ごもる。美智子の混沌がより一層力を増したように感じられたからだ。
5197/8 ◆KEl2kizUBk :2007/04/12(木) 02:03:17 ID:s8oxegGD0
恵泉入学以来、降誕祭のダンスパーティーに参加する機会は2度あったわけだが、
圭はその2回とも女役で参加していた。
それは主に美智子の意向によるもので、
表向きは『美智子が男性役をやって見たいので、圭がそれに付き合っている』ことになっている。
やってみたいもなにも、普段から男性役じゃないか─などとは口が裂けても言えないが。
しかし、圭もその真意は大体承知している。
それは『圭が男性役をして、他の女性パートナーを相手にするのが気に入らない』だ。
ダンスパーティーは圧倒的に女性役の比率が高い関係で、ダンスは女性役から申し込むのが常だ。
そして、男性役は申し込みは断らないのが不文律。
もっとも、単なる数合わせで踊るのならば美智子もそこまで固執することはない。
圭に男性役をさせないのは一重に圭の人気の所為だった。
一年生にして演劇部部長となった圭。
それは圭が部長に求められる役割─監督・演出・脚本─に対して十分な能力を持っていたことによる。
しかし、その名声の七割方はその役職に対してのものではなく、主演男優としてのものだった。
圭は演劇部において殆ど男役を演じている。
それは別に圭に変身願望があるとか、そういう訳ではない。
単に他の部員より演技が巧いためだ。
女学院である恵泉では、部員は当然女性。男の役も女性が演じざるを得ない。
しかし、異性を演じるというのは存外難しい.
脇役ならともかく主演を張らせられるような演技者は圭のほかにいなかった。
それだけのことだ。
とはいえ、この恵泉で演劇部の看板俳優となれば、生徒は皆期待してしまう。
つまり、仮想の恋人として。
5208/8 ◆KEl2kizUBk :2007/04/12(木) 02:03:44 ID:S+jfGjgkO
そんなわけで、圭にはファンクラブまで存在し、皆がそれぞれ─つつましいものから過激なものまで─さまざまなアプローチをしてくるのだ。
そんな中でダンスの男性役をするなど、狼の群れに羊を放すようなもの─と美智子が思ったかどうかはさておき、
圭は美智子にエスコートされる女性役を演じてきたのだった。
それをここで覆すということは…
(そこまでして瑞穂っちと踊らせたくないのかしらね)
美智子が圭や瑞穂を信用していない訳ではないだろうが、それさえ狂わせるのがエルダーパワーというところか。
「…わかったわ。今年は男性役。でも今からステップを覚えるのは大変ね…」
ため息ひとつ。圭は美智子に対する抵抗をあきらめた。
どうせ勝ち目のない戦いだ。
「あら、私、圭さんになら足を踏まれたって構いませんわ」
「冗談。やる以上はそんな無様は晒さないわ」
「そうですわね。それでこそ圭さんですわ」
「……まあね」
上手く乗せられた気がしないでもないが、美智子の機嫌が直ったのなら重畳。
演劇部部長の名に賭けて、ステップを身につけて見せよう。
とりあえず、生徒会の講習会か。
いや、まて。男性のステップを教わるという名目で瑞穂っちと踊るという手が…
「そういえば瑞穂さんは最近はもの思いに耽る事が多いですわね」
一体何を言い出すのか。
「受験に向けて勉強も大変でしょうし、ご迷惑をかけるわけにはいきませんわね」
畳み掛けるような発言に私は美智子の顔をまじまじと見つめる。
まさかとは思うが…
「もっとも、私が人の─瑞穂さんの心を読んだわけではありませんけど?」
最上の笑顔が添えられた一言に私は天を仰ぐ。
「……Ia! Ia! Hastur cv'ayak…」
ああ、もう私を何処か星の彼方に連れ去って欲しい…
521 ◆KEl2kizUBk :2007/04/12(木) 02:17:07 ID:s8oxegGD0
>>513-520です。
連投規制回避に小細工してたらトリップ間違えました orz

なんとなく「読みにくい」という自覚はあるのですが、どこが悪いかわかりません。
文法、設定等について問題があればご指摘ください。
次を作る気力が出るか判りませんが、謙虚に受け止めさせて頂きます。
522名無しさん@初回限定:2007/04/12(木) 08:49:16 ID:RyFIpvIL0
>>521
GJ!
読みやすい短編でした。

>なんとなく「読みにくい」
段落ごとに一行あけるとかどうかな?
523名無しさん@初回限定:2007/04/13(金) 12:20:26 ID:jXxLdCc/0
>>521
段落なしに詰め込まれると、それだけで読む気を無くす人もいるくらいだから
>>522のいうように段落は入れた方が良いと思う。
連投規制でかかる時間が気になるなら、前編後編みたいにして続きはまた後日とするのも手かと。
あと、素の文は1文字空けて始めるとか。

「○○○○○○」
 **************
********。
 □□□□□□□□□□□□□。

「△△△△△△」
 *****。

みたいな感じで。
524名無しさん@初回限定:2007/04/13(金) 12:33:24 ID:jXxLdCc/0
あと、細かいことを言うと漢字の比率が多いですね。
漢字とひらがなのバランスをとることで印象を変えることも出来ます。

比率は内容や読んでもらいたい対象に寄りますので一概には言えないのですが
あえてひらがなで書いてしまうことも結構効果的です。
これは読んでもらいたい対象が近いプロの方の作品を読んで紙面の白さを感じてください。

内容以前のこういった受ける印象で損をされては大変にもったいないと思いますので
この辺りに気をつけられると良いかと。
525名無しさん@初回限定:2007/04/13(金) 17:10:10 ID:bEOHRmW/0
>>395
遅レスですが、GJです。

>ね? ちゃんと“まいった”って言ってるでしょ

この部分を見て幽遊白書の”暑い"と言ってはいけない状況下での
桑原の「あーついでに」を思い出してしまいました。
526東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 02:40:47 ID:Fd3hNfvS0
東の扉です。

>>525
>この部分を見て幽遊白書の”暑い"と言ってはいけない状況下での
>桑原の「あーついでに」を思い出してしまいました。

実はこのネタはそれから思いつきました。

エルダー1日所有券が原因で入院してしまった瑞穂くんの様子が書き終わりましたので、投下させていただきます。
よろしければ、見てやってください。
527東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 02:44:41 ID:Fd3hNfvS0
 僕はあのエルダー1日所有券を使われたときの様子をビデオで見せられて以来、精神的ショックで入院生活を余儀なくされた。
今回は、そんな僕の入院生活を語ってみたいと思う。

〜お姉さま(ボク)を見舞う処女(おとめ)たち〜

 今日も僕のいる305号室には、学院からたくさんの生徒が見舞いに来てくれる。
「お姉さま、お調子はどうですか?」
「ええ、おかげさまで今日はだいぶいいわ」
 僕はお見舞いに来てくれる生徒に安心してほしくて、そう告げる。
「お姉さま、あのビデオ、拝見させていただきました!」
 ……あのビデオって、当然まりやが売りさばいてる、エルダー1日所有券を使われた日の恥ずかしいビデオだよね。
「……そう」
「お姉さま、紫苑さまにおっしゃったあのセリフ、ぜひここで聴かせてください!」
「お願いします!」
 ……ううっ、悪夢がよみがえる。僕はもう2度とやりたくないのに。
「ごめんなさい。今は療養中だから、あなたたちの期待するふうにはできないと思うのよ」
「そんなーっ! それでもいいから拝見したいんです!」
「そうです! お姉さまのかわいらしいお姿、是非生で拝見したいです!」
 ううっ……よりによってこんなときに頼まなくても……。

 と、その時……。
「おやめなさい!」
 扉の向こうから、凛とした声が響いて、声の主が入ってくる。
「紫苑さん!」
「し、紫苑さま!」
 紫苑さんは、2人の僕の見舞い客に向かって言う。
「あなたたちは、瑞穂さんをお見舞いにいらしたの? それとも、芸のお願いにいらしたの?」
「も、もちろんお見舞いにです!」
「でしたら、瑞穂さんのことを第一に考えてさしあげるべきでしょう。聖央の生徒ならなおのこと、ね」
「は、はい……」
528東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 02:49:23 ID:Fd3hNfvS0
「あなたがたのお気持ちはよくわかりますが、それをお願いするのは、瑞穂さんがお元気になられて
退院されてからでも遅くはないはずでしょう。違いまして?」
「はい! お、お姉さま、申し訳ありませんでした!」
 2人は、そそくさと帰ってしまう。

「紫苑さん、ありがとうございます。おかげで助かりました」
「いいえ。お友達なんですから」
 そう言ってくれる紫苑さん。だけど、おおもとの原因が誰にあるか、わかってらっしゃいますか?
「それにしても、あのことで入院しなければならないほどショックを受けるなんて……」
「ビデオで見せられれば、普通そうなりますよ。僕は男なんですから」
「え? ああ……」
 紫苑さんは一瞬固まると、すぐに納得いったように表情を緩める。
「申し訳ありません。そのことは完全に忘れていましたわ」
 ガーン!!
 そ、そんなにこやかに言わなくても……。
「あら、いけない、落ち込ませてしまいました?」
 そりゃあ落ち込みますよ……。
「でも、それだけ女性らしくなっている、ということだと思いますわよ? 
実際まりやさんのビデオを何回も拝見させていただいてますけど、普通の女性よりはるかにかわいらしいですし……」
 し、紫苑さん……励ましているつもりかもしれませんけど、それは逆効果です……。
529東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 02:52:33 ID:Fd3hNfvS0
「こんにちは、瑞穂さん」
「圭さん……」
 次にお見舞いに来てくれたのは、圭さんだった。
「はい、これ」
「これは……」
 圭さんが渡してくれたのは、今日の授業のレポートだった。
「授業のレポート。外部受験する瑞穂さんなら必要かと思って」
「ええ。助かります」
「お礼を言われるほどではないわ。それと、これ、お見舞い」
 圭さんはそう言って、僕への見舞い品の果物を渡してくれた。
「では、失礼」
「ありがとうございます」
「ふ……お大事に」
 そう言って圭さんは帰っていった。
530東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 02:56:24 ID:Fd3hNfvS0
「瑞穂さん、ごきげんよう」
 次に美智子さんが入ってきた。
「美智子さん……」
「圭さんも、お見舞いの品をお渡しになったそうですね。この果物ですね」
 美智子さんは心配そうに僕の様子を見ながらそうたずねる。でも、なんかすごい殺気を感じるんだけど……。
「ええ……」
「いただいてもよろしいかしら?」
「どうぞ」
 僕がそう言うと、美智子さんが圭さんの見舞い品である果物をとる……ってちょっと……。

 ガラガラガラ……ドカッ!
「ぐえっ!」
 美智子さんが果物をとった拍子に近くの見舞い品が崩れだし、僕のおなかに命中した。
「あら、ごめんなさい」
「……美智子さん、まさかわざとじゃないでしょうね?」
「よくわかりましたね」
 ……美智子さん、病人相手に……ひどいです。
「ごめんなさい。でも、圭さんがいけないんですよ。いくら病人とはいえ、私以外の人に断りもなく贈り物をするなんて……」
「……お見舞い品ぐらい、好きかどうかにかかわらず、普通に渡すと思いますけど」
「そうですね。私も瑞穂さんのことは大切に思ってますし、自分のやってることが理不尽な逆恨みだってこともわかってます。
でも、どうしても抑えることができませんの」
「美智子さん……」
 ……なんかお互い、結構大変なんだな。

「本当にごめんなさい。でも、このあとも周防院さんや上岡さんをはじめ、親しい方たちがお見舞いに来てくださいますから、
メインディッシュをよりおいしくするための少々苦いオードブルということで、こらえてくださいね」
「は、はい……」
「では、お大事に」
 そう言って美智子さんは帰っていった。

「お見舞いでまでいじめられるなんて……僕って一体……」
531東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:01:17 ID:Fd3hNfvS0
「お姉さま、お見舞いに参りましたのですよ」
「奏ちゃん……いらっしゃい」
 奏ちゃんがお見舞いに来た。それだけで心が軽くなる。

 やっぱり近くにいる僕を慕ってくれている人のお見舞いってのは、なぜか気持ちが落ち着くからいいな。
美智子さんにいじめられた後だから、なおさら……かな。
「お姉さま、お加減はいかがなのですか?」
「そうね。ちょっと色々あって気が滅入ってたところ」
 僕が言うと、奏ちゃんが慌てる。
「はやや、お姉さま、大丈夫なのですか?」
「ええ、もう大丈夫よ」
 僕がそう言って奏ちゃんに椅子を勧めると、奏ちゃんは座ってお見舞いの品を出してくれた。
「ありがとう、奏ちゃん」
「どういたしましてなのですよ」

「そういえば奏ちゃん、寮とかでの様子はどう?」
「寮……ですか?」
「うん、寮では、みんな、何してるの?」
「そうですね。お姉さまのビデオをよく拝見させていただいているのですよ」
「あ、あら……そんなに見てるの?」
「はいなのです。あの時のお姉さま、とってもかわいくて、奏、もう失神寸前だったのですよ」
「そ、そう……ありがとう」
 心の中で苦笑いを浮かべながらも、僕は笑顔で奏ちゃんに言う。
532東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:05:52 ID:Fd3hNfvS0
「あのビデオが、4桁も売れたというのもうなずけるのですよ」
「よ、4桁も!?」
 さすがの僕も驚きを隠せない。
「はいなのです」
「で、でも、聖央の生徒は、七百数十人でしょ?」
「なんか、保存用と観賞用と布教貸し出し用に数本買った方も、大勢いらっしゃるようなのですよ」
「そ、そう……」
「紫苑お姉さまも、毎日夢中になって見ていらっしゃるようなのですよ」
「紫苑さん……」
「他にも、会長さんがいつも見始めてから30分も経たないうちに鼻血を噴いて倒れてしまうとも聞きましたのです」
「貴子さんも見てるの……」
「あと、由佳里ちゃんがなぜかランジェリーショップのシーンの後で、お手洗いが近くなるようなのですよ」
「……それはただの偶然でしょ?」
「奏もそう思うのですが、そのことを指摘したまりやお姉さまによると、そうではないそうなのですよ」
 ……トイレに行くのとビデオの場面とは、どう考えても何の関係もないでしょ?

「そういえば、奏と由佳里ちゃん、あの後まりやお姉さまにあのランジェリーショップでお姉さまのはいてらしたのと
同じデザインの下着を買ってもらいましたのですよ」
「そう。よかったわね」
「では、お姉さま、お大事になのですよ」
「ええ、ありがとう」
 奏ちゃんはそう言って帰っていった。

「それにしても……」
 あの恥ずかしいビデオ、全校生徒に見られてるんだ……ううう……。
533東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:10:11 ID:Fd3hNfvS0
「へーい、瑞穂ちゃん、お見舞いに来てあげたよーん」
 次にまりやが入ってきた。
「まーりーやー」
 僕は怒りをこめて名前を呼ぶ。
「うわ、いきなりその表情ですかい」
「よくもあんな恥ずかしいビデオ、全校にばらまいてくれたね」
「いいじゃないの。評判もすんごいいいし、売り上げだって、瑞穂ちゃんにも分けたげてるんだし」
「あのね、分け前をくれればいいってもんじゃないでしょ! あんなみっともないとこ、これ以上誰にも見られたくないのに……」
「瑞穂ちゃん、言っとくけど、そんなふうに思ってるのなんて、瑞穂ちゃんだけよ?」
 まりやは、真剣な表情になって言う。
「そう……なのかな?」
「そうよ。みんなますます瑞穂ちゃんのこと魅力的だって思うようになってるからさ」
「………」
「それにあたしたちも責任感じてるから、ここの入院費だって、あたしと紫苑さまで全額出してるんだしさ」
「……わかったよ。ところで、奏ちゃんと由佳里ちゃんにあの時僕がはいてたのと同じ下着、買ってあげたんだって?」
「聞いたの……そうよ。2人ともあのシーンにも興味津々だったみたいだし、もっとも由佳里には付録もつけといてあげたけどね」
「付録?」
 またろくでもないものじゃないだろうな……。

「まあそれはいいけど、あんまり奏ちゃんに変なこと吹き込まないでくれない?」
「変なことって?」
「由佳里ちゃんがランジェリーショップのシーンを見ると必ずトイレが近くなるって。あんなの偶然に決まってるじゃない」
「偶然じゃないよ?」
「あのね、ビデオの流れとトイレに行きたくなるのは、どう考えても関係ないじゃない」
「関係大ありだよ。由佳里はね、瑞穂ちゃんがエロい下着つけてるとこ見て、我慢できなくなってんのよ」
「何を?」
「で、トイレでソリティアしてるわけ」
534東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:13:17 ID:Fd3hNfvS0
 ……なんでソリティアしたくなるの? それとトイレとどういう関係があるの? ていうか……。
「……どうやってチェス盤をトイレに持ち込むわけ?」
「あのねえ瑞穂ちゃん、あたしの言ってんのはそれじゃないわよ」
「じゃあトランプの方? どっちにしてもトイレとは関係ないと思うけど?」
「違うわよ! 瑞穂ちゃん、ソリティアって、もともとどういう意味か知ってる?」
「確か一人遊び、でしょ? それぐらい知って……」
 そこまで言われて、僕ははっとした。

「ま、まさか、まりやの言いたいことって……!」
「やっと気づいたかね。そのまさかよ」
 でも、まりやも奏ちゃんと一緒に最後まで見てるだろうから、じかに確かめてるとは思えないし……。
「あのねまりや、妄想するのは勝手だけど、それを事実と決めつけて人を陥れるようなことを言うのは、どうかと思うけど?」
「あたしは確信して言ってんの。瑞穂ちゃんだって、武道会で由佳里の本性見たでしょ?」
 ……僕の下着の話か。
「でも、だからって、そんなこと人に話していいってことにはならないよ」
「にゃはは。もう瑞穂ちゃんにもばれたんだから、今さら言っても言わなくても大して変わんないでしょ?」
 ……何を言ってもムダか。

「じゃ、瑞穂ちゃん、あたしはこれで帰るね」
「あ、まりや、まさか僕が退院したら紫苑さんのプレゼントで寮のみんなに下着ファッションショーとかするつもりじゃないでしょうね?」
「あはは、もちろんするに決まってるじゃない。あたしは一子ちゃんに瑞穂ちゃんのこと話さなきゃいけないからこれで」
「そっか……一子ちゃん、学院から出られないんだったな」
「そ。で、毎日毎日、お姉さまの様子はどうだって、心配しすぎでうるさいんだわ、これが」
 そう言いながらも、まりやは笑っていた。
「そういうわけで、お大事にね!」
 まりやはそう言って帰っていった。

「ううう……退院したら恥ずかしい下着姿を披露しなくちゃならないなんて……」
535東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:17:15 ID:Fd3hNfvS0
「お姉さま、具合はどうですか?」
「由佳里ちゃん……今、ちょっとまりやにいじられてたとこ。そのせいでちょっと沈みがち……かな」
 僕がそう言うと、お見舞いに来てくれた由佳里ちゃんは急に泣きそうな顔になった。
「おおおお姉さま、お気を、お気を確かにお持ちください! 今がどんなに辛くても、どんなに苦しくても、
生きてさえいれば、生きてさえいれば、きっといつかいいことにもめぐりあえるんですから!!」
 泣きながらものすごい気迫で、必死になってそう説得する。由佳里ちゃん、普段まりやにどんなことをされてるの?
「……そんなに心配しなくても、別に自殺するつもりはないから大丈夫よ」
「はあ……よかったです」
 由佳里ちゃんはその場にへなへなと崩れ落ちる。

「そういえば、今、まりやから由佳里ちゃんの話を聞いてたわ」
「えっ!? まりやお姉さま、私のこと、なんて?」
「うーん……非常に言いにくいんだけど……聞きたい?」
「……まりやお姉さま、いったい何を言ったんですか!?」
 由佳里ちゃんは顔を蒼白にしながら聞き返してきた。
「えっと……由佳里ちゃんが私のビデオを見ると、下着のシーンの後でいつも1人でしてるって……」
「えっ!? わ……わああああっ!!」
 由佳里ちゃんの顔が真っ赤になったかと思うと、必死に後ずさって壁に背を預けた。
「あら、私はあんまり信じてなかったけど、本当だった?」

「ううう……まりやお姉さま、ひどいです……」
「まりやは武道会の時にエッチなのは私にばれたんだから、今さら言っても変わらないって言ってたけど……
そうよね。そんなことばらされて平気なわけないわよね」
「そうですよ! お姉さまだって、そんな話聞かされたら……」
「そうよね。安静にしてなきゃいけないのに、そんな話聞かされて興奮しちゃったら、どうやって収めろっていうのかしら。
ねえ、由佳里ちゃん?」
「え? お、お姉さま、それって……」
 それを聞いて、絶望的な表情をしていた由佳里ちゃんが、途端に呆然とする。
536東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:21:00 ID:Fd3hNfvS0
「あら、どうしたの? ひょっとして由佳里ちゃんが、私の興奮を鎮めてくれるのかしら?」
「え? あの、お姉さま……ええっ!?」
 再び由佳里ちゃんの表情が真っ赤になる。
「あ、ああああの、お、お姉さま、そんな、私がお姉さまのなんて、そんな、恐れ多い……」
 慌てふためきながら、必死で言葉を紡ぐ由佳里ちゃん。それを見て、僕はちょっと愉快になる。
「そうよね。そんなこと言われて『はい』って言う人なんかいないわよね。ごめんなさい、変なこと言ってしまって」
「そ、そんなことないです」
「いいのよ、ムリしなくて。そんなこと言われたら、由佳里ちゃんにしてみても、気持ち悪いし、迷惑だものね」
「あ、あの、本当に迷惑じゃないです、よ? それどころか、お姉さまの欲望の処理なら、是非こっちからお願いしたいくらいですし、
お姉さまが私で欲情してくれるなんて、すっごく嬉しいです……から……ってお姉さま、何言わせるんですか!!」
 僕が途中で笑っていることに気づいた由佳里ちゃんは、顔を真っ赤にしながら抗議してくる。

「ふふふ、ごめんごめん。由佳里ちゃんの反応がかわいいから、つい……まあ、私はまりやと違って誰にも言わないから、安心して」
「当たり前です! そんなことばらされたら、恥ずかしくて表歩けませんよ!」
「だから言わないって。でも、私のほうが由佳里ちゃんを興奮させちゃったかしら?」
「え? あ、あの、お姉さま?」
「もしかして、武道会の時に手に入れた私のパンティー、今はいてる? それとも下着のお店で買ってもらった、
私の着てたのと同じデザインの下着をはいて、私のをはいた気になってる? あるいは大事なとこがほとんど隠れてない下着の方?
そのどれかをはいて、私の前に出て、欲情してるのかしら?」
「あ、あわわっ、お、お姉さま、失礼します!」
 由佳里ちゃんはさらに顔を真っ赤にして、ダッシュで病室を出た。

「ふふっ、由佳里ちゃんったら……って、僕、由佳里ちゃんに何言ってた!?」
 ガーン!!
 せ、せっかくお見舞いに来てくれた由佳里ちゃんに、あんな卑猥な言葉の数々を浴びせて……
あれじゃ、“妹を言葉で辱めて楽しむセクハラお姉さま”じゃないか!!
「な、なんてことしちゃったんだ……うう……僕は……僕は……」
537東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 03:28:04 ID:Fd3hNfvS0
「お姉さま、調子はいかがですか?」
「貴子さん……まあまあです」
 貴子さんはお見舞いの花束を活けてくれる。
「それにしても、お姉さまが精神的ショックで入院とは……エルダーとして、ストレスがたまってらしたのかしら?」
「ええ……まあ、多分そんなところだと思います」
 僕が男だと知らない貴子さんには、さすがに本当の理由は言えないよな。
「まあ、これを機にゆっくり骨休めをすればよろしいですわ。ただでさえお姉さまは、
人のお願いを断れない性格でいらっしゃるようですから、ムリせずここで療養しておいた方が、あとに引っ張らずにすむでしょうから」
「お気遣いありがとうございます、貴子さん」
「い、いえ、私は生徒会長として、お姉さまがエルダーのお役目を果たすのに最良の手段を考えているだけですわ」
 そう言いながらも、貴子さんはあせった表情で顔を赤らめている。

「それでもいいです。ところで貴子さん」
「はい、なんでしょう?」
「貴子さん、その、私と紫苑さんのビデオ、ご覧になったんですよね?」
「え、ええ、あ、あくまで生徒会長として、おおおお姉さまがエルダー1日所有券に従っていらっしゃるかのチェックを……」
「紫苑さんに言われて、私が甘えん坊の妹を演じるシーンでいつも鼻血を噴いて倒れるとうかがっておりますが……」
「おおおお姉さまの……甘えん坊のシーン……」
 貴子さんがうわごとのようにつぶやき始めた。そのシーンを思い出しているのか、顔が見る見る紅潮していく。
「ふぁぶーっ!!」
 と、貴子さんが潮吹きのように鼻血を出す。
「きゅうううう……」
「ああっ、貴子さん!!」

 ミイラ取りがミイラになっちゃったみたい……っていうか。
「せっかくお見舞いに来てくれた人をこんな目に遭わせるなんて……僕は……僕は……」
 貴子さんの手当てにナースを呼んだ後で、僕は自分のしたことに落ち込んでいた。
538東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 04:46:46 ID:Fd3hNfvS0
「おう、瑞穂、どうだ、元気にしてるか?」
「父さま……」
 それから、面会時間終了近くに、父さまがお見舞いに来てくれた。
「どうだ? エルダーとしての生活に、ストレスがたまり過ぎたのか?」
「ええ。見てのとおり」
「まあ、精一杯休んでおけ」
「うん」

「ところでな、瑞穂、ものは相談だが……」
「なんですか?」
「エルダー1日所有券とやらが使われた時のビデオ、一度『瑞穂』を『幸穂』に言い換えて演じてくれんか?」
 ちょ、ちょっと父さま……大事な息子をそんなことに使う気ですか!?
「……そういう趣味あったんですか?」
「いや、気づいたら幸穂との想い出が少ないことに気づいてな。それでおまえを代役に立てて想い出を増やそうと……」
「丁重にお断りします!」
「つれないな……そんな親不孝な息子に育てた覚えはないぞ?」
「僕こそ、息子を身代わりに使うような親を持ってたとは知りませんでしたよ」
 僕は続ける。
「だいたい、僕が本当は女の子のマネをするのが大嫌いなのはご存知でしょう?」
「わかったわかった。あーあ……どこをどう間違って育てれば、父のささやかな願いを踏みにじるような親不孝に育つのか……」
 そんなこと言っても、絶対にやるもんか。
「じゃあな瑞穂。ゆっくり養生しろよ」
「はい……」

 そして、父さまが帰った後……。
「ううう……家族にまであんなこと言われるなんて……」
 それから、落ち込んだ分だけ、見る悪夢の数が増えるのであった。

Fin
539東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/14(土) 04:54:22 ID:Fd3hNfvS0
以上です。

1人タイトルと違う方が来ていますが、気にしないでください。
今回連投規制で、見たことないのまで出てきて、まだまだわからないこともあるんだな、と思い知らされました。

あと24KBでこのスレも終わりですか……もうそろそろ13話立てる準備した方がいいのかも……。
と思いはしても、立て方がわからないので、お願いするしかない私です(涙)

それでは、これで失礼いたします。
540名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 10:05:16 ID:mS8Cfyq10
>>539
GJです〜次スレ立ててみます。
541540:2007/04/14(土) 10:43:44 ID:mS8Cfyq10
スレたて失敗orz
542名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:26:54 ID:BAFVRlCO0
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第13話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1176527097/

どうぞ。
関連スレ入れ忘れて、連投規制にもひっかかって焦りまくり…orz

前スレリンクはひょっとして改行しても良いものだったのでしょうか?
心残りばかりのスレ立てでございました。

それでは皆様の良きSSが今後とも読めますようお祈りして…

543名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:29:20 ID:inJIfgeJ0
24KBなら次を用意しても良いか…
ちょっと逝ってくる
544名無しさん@初回限定:2007/04/14(土) 14:32:17 ID:inJIfgeJ0
うぉリロードして良かった
>>542
545名無しさん@初回限定:2007/04/15(日) 07:57:18 ID:zSt+Vkts0
546名無しさん@初回限定:2007/04/15(日) 07:58:22 ID:zSt+Vkts0
>>545
誤爆スマソ
547名無しさん@初回限定:2007/04/15(日) 08:08:07 ID:f/5o8p2nQ
オマエラ、テンパり杉wwww
548 ◆KEl2kizUBk :2007/04/15(日) 11:20:57 ID:NxoJCAZc0
>>522-524
ご指摘ありがとうございます。
文章で手一杯で、なかなか見栄えまで気にしていられなかったもので…

確かに改行がされてると印象が違いますね
しかし、そうすると1レス当たりの改行規制が悩ましいところです

もう少し精進してきます

549名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 15:49:16 ID:3tR6MhDe0
|`ヽミ   l:.:./|! _l:/|.. :.\/1 /l.  | lイ±リl| iトlム仕ミ|   ト_j||. / 、 .', . ! !',  ',. ',、ヽヽ ' ,
|ィト,/`  lノ  ´/ レ.. :.\..| |  ゝ1!())Vレ:.(()}|   |トーソ/, ', !',、 ',  !! rナ ̄!`T', ヽヽ
|ソ,/         ___  ''' :\:!.  ',: ̄ ..::,:.   ̄ / | |ヽ./! 「! ̄ト',ヽ N ,i! !! !_」_」弋ヽ、
|`............      /,、 ̄`_ヽ|:./\  ヽ:::::::t_ァ  .:/ i | /  ! ル」从、ヽヽ ソl/ フ rソ;;;; !ヾl `
|    :::::::....  ,ト!(:.:rテ'/ ´ /:.:.:.\  | 丶、::_:// /.,! .! .! ',《ヽソ;ヽ        L彡ン "! !ヽ うめなのですよ
|    '   ::::..ヾニ_ /  /'ノl:.:.  \∧∧∧∧/ ! . ! ト .! ',. ゞ┘         !. ! ,l
ヽ ヽ 、_          /_' -‐':: < の .う > .! .! .!  ', ヽ .,,.   '    "" /!  ,! リ
` \  ̄        ィ‐':.:.|:.:.:.:.  <    め >  リ !  リ,  ヽ、   ー‐    イ ..!  ソ
─────────────< 予 .な >────────────────
     .      う         <    の > .:.:! i ィiナ/ 7⌒`   ヾ⌒ヽマ ヾx.:.:.:.:.:.i
   , -‐―‐‐-、  め      .< 感 で >.:.:i.:.i.:.オ' /       リ  ヽ.:iハ、.:.:.:.:.|
  /   ,    ヽ  る      <   .す > .:i.:.i':.:.v,.ォ=ァ丶     r==ァミV}}.:.:.:.:.:.|
  l */_ノ/ヽ)ノ..   \ .  / ∨∨∨∨ \ ::i.:.i;ゞ i :::::: i      i :::::: i ヌ;:':.:.:.:.:.i うめなのです
  | (| | ┰ ┰|l |       /    !::: :::リイ"  V\:.  ヾ_;;;ソ      ヾ_;;ソ/イj:.:.:.:.:.,'
  l ∩、''' - ''ノ∩     /:ハ:! (   )ヾノ (   ) / \   .,,,   '    .,,,. /.://.:./:/
  | ヽ}| {介} |{/..   / :::. k_ヽ││"   "| │ハ::.::: \      ー‐     /〃ソ/
(_ノ_,ノ く_/_|_j_ゞ!し /ノ!:!ヽ:: .:ト::ゝ! rー-‐‐、| !イ7: :/ヽ!:!.\ 、     イフ"/'
     (__八__)         うめなのですよ〜
550名無しさん@初回限定:2007/04/19(木) 19:59:21 ID:72GVcCv70
            , ' ´ ⌒V/'' 一_-、
          /  /        `ヽ,` 、
         / / / /  i     ヽヽ ヽ. \
        /  i i ./ / .ハ   i i i .i ヽ`、 ゙ 、
.        l / i  iイハi i i i iリi i  i i ヽヽ i
        l/ i  i斗ェ士Iト;/ //__iリ  i i ハ ',
        l バ|  〈.{゚:::::i}゙ レノ/,ィメミト  i  i i.l.l i
       l i ハ  i.辷ソ  " .{:::ソ〉i / .レ .| i
       l i  ハ  ヽ:::::  _ ' :::゙"/ / レノノi.l
      l i  i ト ヽ \  _ , イ イ ハノノ 埋めますよ
.      l i  i  i  「`゙''ー゙r"T// i/ i i
      l__i_, 斗‐へ ___ ィL/`ー- i_i iヽ
     /  } }  <´  ∧+.ト、`ヽ  } }  ヽi ヽ
   /     } }  _〉 :: :∧゙ヽ 〈  } i   ヽ ヽ
  /       V´ | , イ ハヽ、 ハ`' く     '、ヽ
. /       /  ノイ/ .H ヽ ヽ,〉  ヽ    ヽ \
〈        i   ムr-i^'|ウレ イへi  i     .〉  \
. \      ト、:::::::::::::::::::i「o]i|::::::::::::::...ノ     .人   ヽ
  / に_ >'i. `' -----┴┴-----イ  < イ ヽ \
  /< ̄7" i ハ             |ハ こ イ i\\ \
. /    V  i iハ            ,iハ   .i i ヽヽ  ヽ
/ ⌒ヽ〈  i i i .ト、          ii  { ー イ  iヽ ヽヽ  ヽ
|     V i i 〉ヽ、         | i  i   .i  iヽ ヽ ヽ 
.\    「>、i/ \ ー  ―  イハ i i    }  i ヽ ヽヽ
/ /へ  レ'   〉、_,, --、_ー    /  i i .i    i  i ヽ ヽヽ
.//  i |゙Y   /    ̄、`゙;、       i i i   i  i  ヽ ヽ
./  i i ト、_ ∧_  、ヽ ヽ |        i i i   }  i  ヽ ヽ
i   i i i | レ゙  `''ァヽ.〉ノ'゙   i     i i _i__,,斗ヘ  i


551名無しさん@初回限定:2007/04/20(金) 22:48:59 ID:0zci8jrz0
うめね・・・


梅の花は、誰が似合うかな〜
552東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:12:35 ID:4Fs9qxGw0
東の扉です。

あるコミックから思いついたネタを投下させていただきます。
何があっても驚かないでください。
それでは、よろしくです。
553東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:17:15 ID:4Fs9qxGw0
〜闇に惑いしゆかりん〜

「由佳里ちゃん……あなただったのですね……今まで奏にいやがらせをしていたのは……」
 聖央女学院の女子寮の廊下、奏は怯えた表情で、由佳里に言う。
「ふん……今頃気づいたんだ……もう手遅れだけどね」
 そんな奏を、由佳里はあざけるように見ながら答えた。
「そ……そんな……どうしてなのですか? 奏は由佳里ちゃんのこと、大切な親友だと思っていましたのに……」
 由佳里の言葉に、奏は泣きそうな表情で抗議するが……。
「大切な親友? ふざけないでよね! 私も瑞穂お姉さまのこと好きなの知ってて、いっつも自分ばっかり瑞穂お姉さまにベタベタして! 
私は陰険で意地悪なまりやお姉さまのいやがらせに必死で耐えてるっていうのに!」
 由佳里は、そんな奏にそう激情をあらわにして言い放った。
「ホントはあんたを孤立させて、私だけしか味方がいないって思ったところで裏切って、
ぬけがらにしてやるつもりだったんだけど、気づかれたからにはしょうがないよね」
 由佳里は、ポケットから銀色の鋭くとがったものを取り出す。
「ま、まさか……そのナイフで、奏を……」
「奏……私の幸せのために、消えてもらうわよ!」
 由佳里はそう言って奏につっこんでいく……と、奏が、後ろの何かに気づいたのか、表情を変化させた。
「………?」
 由佳里が振り返ると、そこにいたのは……。
「な、な、何やってんのよ、由佳里……」
「由佳里ちゃん……あなた、そんな娘だったの……?」
 顔を蒼白にさせたまりやと瑞穂だった。
「お、お姉さま方……その……これは……違っ……」
「言い訳は無用よ! 由佳里、あんたがそんな根性の腐った娘だとは思わなかった! 
今からたっぷり性根を叩きなおしてやるから、覚悟しなさい!」
まりやはそう言って由佳里をつまみあげた。と……。
554東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:22:27 ID:4Fs9qxGw0
「ぷっ……あはははははは……」
 それを見ていた奏が、何を思ったか突然笑い出した。
「奏ちゃん……?」
 まりやと瑞穂の声がハモる。
「い、今のお姉さま方のお顔……とてもおかしかったのですよ……」
「奏ちゃん……どうしたの? 由佳里ちゃんに裏切られたショックで、おかしくなっちゃったの?」
「ち、違うのですよ……奏たちは、漫画ごっこをして遊んでいただけなのです……ですから、心配はご無用なのですよ」
 奏が、笑いながらそう言う。
「漫画ごっこ……?」
「お姉さま方、食堂においてある漫画をご覧になってください」
 由佳里が、まりやにつまみあげられたまま言うと、みんなでそれを見に食堂に向かった。

「この漫画でいいの?」
 瑞穂がそのコミックを手に取る。
「はい! その一番最後の話を見てください」
「わかったわ。ええと、このあたりね」
 瑞穂がページをめくると、まりやも横からのぞきこんできた。
「ん? 瑞穂ちゃん、この2人の名前……」
「沢崎可南(さわざき かな)と平方優花璃(ひらかた ゆかり)? この2人、親友なのね」
「漢字は違うみたいだけど、なんかすっごい偶然ね」
 瑞穂とまりやは、そうやってその話を読み進めていった。
「ウソ!? 沢崎可南を陥れてた黒幕は、平方優花璃だったの?」
「恋敵を蹴落とすために、親友だと思わせて裏切ってたんだ……あんまりじゃない……」
「待って! ねえまりや、このセリフ……」
「あ……由佳里たちが言ってたセリフそっくり……」
 そこで、瑞穂とまりやは気づく。
「じゃあ、奏ちゃんと由佳里ちゃんがさっきやってたのは……」
「はいなのです。すごい偶然で面白かったから、2人でこのまねごとをして遊んでいましたのですよ」
「……それで、自分たちのケースに当てはめてアレンジしてたんです」
 奏に続いて、由佳里が持ってたとがった刃物をつんつんと押しながら答える。
刃物は柄の中にひっこんだ。どうやらおもちゃのようだ。
555東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:27:32 ID:4Fs9qxGw0
「もう、2人とも、おどかさないでよ」
「ご、ごめんなさい」
「まさかお姉さま方が帰ってこられるとは思わなかったのですよ」
 瑞穂が安堵の顔でへなへなとなると、奏と由佳里はそう謝る。
「それにしても由佳里、あんたあたしが陰険で意地悪だって言ってたわよねえ?」
 まりやが思いっきり意地悪そうな顔で由佳里に言うと、由佳里の顔が蒼ざめた。
「ま、まりやお姉さま……?」
「あんたがあたしのことそんな目で見ていたとはにゃー?」
「あ、あの、まりやお姉さま、あれは、話を合わせるための言葉の綾ってヤツで……」
 後ずさる由佳里を、まりやは徐々に追い込んでいく。
「シャラーップ! いい度胸だよねえ由佳里ー? 『いっぺん死んでみる?』」
「ひいいいいい……!!」
 由佳里は逃げようとするが、タッチの差でまりやにつかまってしまい、頭ぐりぐり攻撃を容赦なく喰らってしまう。
「ほれほれほれほれ」
「い、痛い! 痛いですまりやお姉さ……あだだだだだ!」
「……お姉さま、ひょっとして、奏たちはやらなければよかったのでしょうか?」
「別にやることには反対しないけど……まりや、もうその辺にしておいたら?」
 結局、まりやが由佳里を解放したのは、それから3分後のことだった。
556東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:32:15 ID:4Fs9qxGw0
「いだだだだ、ひどいですよまりやお姉さま!」
 由佳里は頭を両手で押さえて涙を浮かべていた。
「うるさい! だいたい、人の悪口を平気で言う方が悪いの!」
「なんでそうなるんですか!? だから、あれは言葉の綾だって言ってるじゃないですか!」
「まりやお姉さま、あんまり由佳里ちゃんをいじめないでほしいのですよ。由佳里ちゃんがかわいそうなのですよ」
「いじめなんてしてないわよ、可愛いいたずらならいっぱいしてるけど?」
「あたた……そう思ってるのは、まりやお姉さまだけですよ」
 由佳里は、まだ頭を押さえている。
「そうよ。だいたいそんなことばっかりしてるから、意地悪で陰険なんて言われるのよ」
「うぐっ……」
 瑞穂の反撃に、まりやは言葉を失う。
「あんまり調子に乗って由佳里ちゃんをおもちゃにしてると、そのうちその漫画みたいに、日付が変わるときに、
地獄への切符を由佳里ちゃんに渡されるはめになるわよ?」
「なはは……そんなオーバーな……そんなことあるわきゃないって」
「……そういう考え方が一番危ないと思うけど?」
557東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:37:33 ID:4Fs9qxGw0
 そして、その翌日、演劇部でそれを見せてほしいと言ってきた部員がいっぱいいたので、奏は由佳里を呼んで演じることにした。
「……奏ちゃん、それで私を呼んだの?」
「は、はいなのです……どうしてもご覧になりたいという方が多いのですよ」
 決まり悪そうに言う奏。
「参加」
「ぶ、部長さん?」
 突然の圭の発言に、奏は驚く。
「それに参加」
「な、何の役で参加するのですか?」
「もち、主人公」
「E魔Iですか……」
「なんかものすごくハマる気がするのですよ」
 奏と由佳里は、主人公役になった圭を想像してつぶやく。

「では早速開始!」
「は、はい!」
「はいなのです!」
「『今日も由佳里ちゃんのおかげで、瑞穂お姉さまと楽しく過ごせたのですよ。
由佳里ちゃんも、瑞穂お姉さまと一緒にいたいはずなのですのに……』」
「『ううん、気にしないで奏ちゃん。私も2人の幸せそうな顔見るの、嬉しいから』」
 漫画ごっこが始まると、奏と由佳里もなりきって役に入っていく。
話が進むにつれ、観客である演劇部のみんなはそれにのめりこんでいった。
558東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:42:40 ID:4Fs9qxGw0
 そして、終盤、主人公が裁きを加える場面……。
「『どう? 少しは謝る気になった?』」
「『誰が! 私の邪魔をするヤツは、みんな消えちゃえばいいんだよ!』」
 自分の悪行を自分の身に浴びせられた“由佳里”が、主人公に向かってそう言い返すと……。
「『闇に惑いし哀れな……』」
 主人公が悪にとどめを刺す場面に移り、圭がその決めゼリフを言いに入る。
「『いっぺん死んでみる?』」
「いっぺん死んで……奏、死んじゃうですか!?」
 ふと、そのセリフを聞いた奏が、涙を流し、震えながらそうつぶやいた。
「上岡さん! 何ボーッとしてるの! 断末魔の悲鳴をあげる!」
「いや……ていうか圭お姉さま……なんか、奏ちゃんが壊れちゃったんですけど……」
 役に合わないのも考え物だけど、ハマりすぎるのも考え物だ、と由佳里と部員たちは思うのであった。

Fin
559東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2007/04/21(土) 07:51:37 ID:4Fs9qxGw0
以上です。

某コミックに(どのコミックなのかはわかる人にはわかると思います)
「かな」と「ゆかり」の2人がこういう設定だったのがあったので、(漢字は違いますし、苗字は不明ですが)
もしそれを2人が見たら、こういうふうに遊ぶだろうな、と思ってスレ埋めがてら、書いてみました。
それにしても、圭さんのE魔I、私が想像したらものすごくハマってました。

それでは、これで失礼いたします。
560L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:31:47 ID:Z8VIUcI20
>>東の扉さん、エルダー所有権の話おもしろかったですよ!

さて、では私も埋めさせていただきます。
561L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:32:55 ID:Z8VIUcI20
『最初の頃のはなし』
〜瑞穂と貴子6〜

設定は貴子エンド後

恵泉女学院を卒業して1年後。
大学生となり、一人暮らしを始めた瑞穂のマンション。
ここに先日、厳島家を飛び出してきた貴子が転がり込んで今は一緒に住んでいる。
ある日の昼過ぎ、午後からの科目が休講になった貴子は一人部屋に戻ってきていた。
突然の空き時間で、特に予定も無かったので部屋で来週提出のレポートを作成しようと思ったからだ。
ダイニングのテーブルに資料を広げ、いざ取り掛かろうとするが、どうしても気が散って集中できない。
理由はわかっている。

貴子は帰宅の途中、電柱につながれた一匹の犬を見かけた。
安っぽいビニールロープで首輪をくくりつけられて、電柱につながれている、大きな白い犬。
恐らく紀州犬ではないか。薄汚れて灰色がかった毛並みはところどころ毛が抜けて地肌が見えている。
覇気が無く疲れたように電信柱の下に蹲っていて、もしかすると老犬なのかもしれない。
目ヤニの付いた瞼は閉じられていて、人がちかづくと面倒くさそうにたまに開く。
住宅地の道路にはまったく似合わないその犬は、飼い主に捨てられた犬だった。
電柱にぶら下がった紙切れに書かれた文字…
<貰ってください。名前はクマ>
その一行のみ。当然、この犬が住んでいた住所や電話番号などは書かれていない。
この犬を見つけた貴子は、一度は通り過ぎたが少し離れた場所で振り返って、しばらく様子を見ていた。
じっと蹲るこの犬に、たまに近寄る人はいた。しかし、薄汚れた姿はたちまち、興味から嫌悪へと人の感情を変化させた。
老犬であったことも要因だろうし、この犬が愛想が無さ過ぎるのも一因だろう。
眉をしかめて離れていく人間の姿を、ちらりと見る犬。遠くに立っている貴子の方にも視線を向けるが、すぐに目を閉じてしまった。
15分ほどもその場にいた貴子は、マンションに帰ってきてからもその犬のことが頭から離れない。
厳島の家にいたころ、貴子は犬を飼っていたことがあった。
その犬は、貴子が赤ん坊のときから飼われていた犬で、高校に入る前に老衰で死んでしまった。
冷え切った家庭で心許せる存在だったその犬は、貴子のもっとも大切な家族だった。
562L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:35:52 ID:Z8VIUcI20

しばらく考え込んでいた貴子は、冷蔵庫から取り出した牛乳とスープ皿を持って、電信柱の犬のところにやって来た。
犬はさっき見たときとまったく変わらない姿勢のまま、寝そべっている。
貴子は犬の顔の前に皿を置くと、そこに牛乳を注いだ。
「ほら、お飲みなさい」
犬は顔を上げると嬉しそうに尻尾を振りながら牛乳を飲み始めた。
「貴方も愛嬌があるではありませんか」
貴子は、なぜ、この犬はここにいるのだろうと思った。
近くで観察していて気が付いた。
この犬、左の耳に大きな傷がある。血は出ていないが、そんなに古い傷ではない。
「なんですの?この傷」
手を伸ばして耳に触ってみる。ビクッとして犬の動きが止まった。
しかし、貴子は気にせずに耳を撫で、傷を撫でる。
やがて、犬もなれてきたのか、貴子に耳を触らせたまま再び牛乳を飲み始めた。
汚れて傷がある不細工な老犬。
「…きっと誰も貴方を拾ってはくれないでしょうね」
その場合、遠からずきっとこの犬は……。
牛乳を飲ませている貴子の後ろを、何人もの人が通り過ぎて言った。
その内の数人は、露骨に顔をしかめて行った。
捨てられた犬は野犬と一緒。餌を与えることは罪悪だとでも考えているのかもしれない。
犬の頭を撫でながら貴子は犬に語りかける。
「すいませんが、私も家の無い身の上です。貴方と同じ。私を拾ってくださった方に許していただかないと
貴方を引き取ることはできないのですよ」
どちらにしても、その望みは薄そうな気がする。いま、瑞穂と貴子が住んでいるマンションはペット禁止となっている。
マンション内に無断で飼っている人はいるが、それを押して頼み込むことは、貴子にはできない。
犬は牛乳を全て飲み終わると、礼を云うように低く鳴きながら貴子の手を嘗めた。
「とりあえず、話をしてはみます。明日、またお会いしましょう」
皿に牛乳を継ぎ足すと、貴子はマンションへと引き返した。
途中、犬のほうを振り返ると、こちらをじっと見送っている犬と目が合った。
563L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:40:15 ID:Z8VIUcI20

貴子はマンションに戻ってくると、今度こそレポートの作成に取り掛かった。
気が散漫になりかけるが、無理やりに集中させてPCのキーボードを叩き続ける。
二時間ほど経って、貴子は作業を中断した。
「瑞穂さん、遅いですわね」
いつもなら帰ってきている時間。立ち上がって窓に近寄り、薄暗くなった外の風景を眺めた。
……雨!
いつの間にか降り出していた雨の音に貴子は気がつかなかった。
あの犬はどうしているだろう。電信柱に縛られたままでは物陰に隠れることも出来ない。
傘を掴んで貴子は小走りにマンションを飛び出した。
何が出来るわけでもない。行ったところでどうしようもないことは判っている。しかし、気になって仕方が無い。
電信柱に犬はいなかった。
つないであったロープも無かった。
慌てて、周りを見回してみる。電信柱の近くに設置してあったゴミ箱。そこに貰ってくださいのカードと割れた皿が
突っ込まれているのを見つけた。
「………!」
誰かに拾われたか…それならば良い。しかしこの短時間でそんな幸運は…。
顔をしかめて通り過ぎていった通行人たちを思い出す。保健所に連絡したのだろうか。
保健所に確認しよう…急ぎ足でマンションに取って返す。
確認して、それからどうすればいいのか…、数少ない友人の顔が頭に浮かぶ。
老犬を押し付けられたら、きっと迷惑に違いない。嫌な顔をされるかも知れない。それでも頭を下げてみよう。

マンションのドアの鍵が開いていた。
「瑞穂さん…お戻りになっているのですか?」
玄関から廊下にかけて大量の水が滴っている。どうやら濡れて帰ってきたらしい。
貴子の胸に罪悪感が沸いてきた。犬に気を取られて、瑞穂を迎えに行くことに気が付かなかったなんて…。
バスルームから水音が聞こえてくる。
「…瑞穂さん」
「ああ、貴子さん。お帰りなさい」
564L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:44:16 ID:Z8VIUcI20
バスルームの扉を開けて、Tシャツを着た瑞穂が顔を出した。
バスルームの中には白くて大きな犬がいた。驚きで目を見開く貴子。
犬は貴子を見ると嬉しげに尻尾を振りながら、貴子の足元に擦り寄ってきた。
「こら、まだダメだよ」
瑞穂が犬をバスルームの中へ引っ張り戻す。
「…その犬は…どうして…」
そう問いかける貴子の声が微かに震える。
「帰り道で見つけたんです。捨て犬みたいでね。何だか凄く気に入っちゃって、連れてきてしまいました」
楽しげに犬をブラシでゴシゴシこすりながら答える瑞穂。
その光景がじわりと滲んで見える。
「…でも、このマンションはペット禁止では」
「うん。だから明日、実家に連れて行こうと思って…」
そう云って振り返った瑞穂は、貴子の顔を見てぎょっとする。
「なぜ泣いてるんですか、貴子さん。犬、嫌いでしたか?」
ぶるぶる…
おたおたと慌てる瑞穂に首を振って見せる貴子。
何故だか判らないが、貴子は自分が救われたような気分を感じていた。
「ああの、気になるんでしたらすぐに実家に連れて行きますから…」
ぶるぶる…
もう一度首を振って、貴子は瑞穂に抱きつく。
貴子の心の奥底に、いつの頃からかあった『何か』。それが氷解していく。
「た貴子さん。どどうしたんですか、濡れちゃいますよ!」
そんな貴子の心中が判るはずも無く、どう対処してよいのか判らず戸惑う瑞穂。
……瑞穂さんはいつでも私を救ってくれる、拾い上げてくれる…
貴子は胸のうちに湧き出たこの感情をどう云えば良いのか判らない。
「…瑞穂さん、有難うございます」
泣きながら…そう口にするのが精一杯。
そして、ただ力一杯瑞穂に抱きつく貴子だった。

  Fin
565L鍋 ◆DYAKFqD80g :2007/04/21(土) 09:47:47 ID:Z8VIUcI20
以上です。
お粗末さまでした。
566名無しさん@初回限定
東の扉さん、L鍋さん、
お二人とも「埋めネタ」とは思えない面白さ。GJでした!

次スレへのご案内(作品投下も始まっています!)

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第13話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1176527097/

そして最後はやっぱり
−−−−−−−−−− 再開 −−−−−−−−−−
         -、                 \ ヽ
    ーー-、   }                  ヽ }
       ヽ /                 ___,!ノ            _
     __∨_   _ -‐   ̄`ー 、 /     ̄ ̄` ヽ,    -ー'  ̄   ` 、
    /  ∠ニニニヽ./ /  ノ\ ,.  / /人/i /}/iノ|) \ ∨ //{ __,ノ 人l  ヽー- 、
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そして
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