____ ________ _______
|書き込む| 名前:| | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
Q: 雑魚スピって何ですか?
A: サブスピです。
Q: 具体的に教えて下さい。
A: シアー・セリア・ナナルゥ・ニムントール・ネリー・ハリオン・
ヒミカ・ファーレーン・ヘリオン、以上9名の総称です。
Q: これまでに投稿されたSSはどこで読めますか?
A: ここで読めます。→
http://etranger.s66.xrea.com/ Q: 俺あんまりサブスピに興味ないんだけど。
A: 雑魚スピです。
>>1の関連スレリンク集で行き先を探してみましょう。
お題はええと、スレ23-949から。
【 このスピを落とすならこの口説き文句 】
覆面は、二人きりの時にだけ取って欲しい <1>
乙。
俺と一緒に納豆を食べてくれ!<2>
嘘でしたごめんなさいorz
乙です。
普段はいくらでもツンケンとして俺をなじってくれて構わない。
だから、たまにデレッとなるその時を、俺だけのものにしたいんだ……
――九割方マジで考えた(爆 <3>
乙です
この皿割ったのはキミだろ
正直に言えばエスペリアには内緒にしといてやるよ
なんか違う・・・ <4>
9なら木村あやかとセックスできる
>>1乙です。
ちょっと、この本に興味深いお菓子の作り方が載ってる。
もし興味あるなら、二人で一緒に作ってみたいんだけど、どうかな?
シアー宛てなんだけど、ハリオン宛てにも読めるなあ…<5>
>>1乙
俺と共に剣の道を極めよう!
誰宛かは言うまでもないが、タキオス宛に聞こえなくもないww<6>
君にぴったりの耐熱スーツ作ったんだ・・・着てくれるかい?
<7>
>>1 乙ぺリア
イガワなんかに君を渡さない!<9>
>>1モツ
俺に君の中にある孤独を埋めさせてくれないか?いや…君に俺の孤独を埋めてほしいんだ〈10〉
>>1乙
躓いたり失敗した時、傍に一緒に居るよ。
いやその、いつも失敗してるって意味じゃないよ、本当だって。
出来る限り一緒にいたいし・・・。
それにさ、ほら、傍にいれば応援する事も手を貸す事も出来るから
君の希望でありたいなって思っていたんだ。
「コウイン様ッ! スレギトから出立の稲妻部隊半壊。残存部隊は敗走を始めています!」
物見櫓に立つ光陰の元へ駆け上りながらクォーリンは叫び声を上げた。
稲妻隊の長は身じろぎもせず、砂塵に煙る東方を眺め戦死した者達へ心中のみで瞑す。
(悪りいなみんな。……流石だな悠人。見くびっていたつもりはないが、こりゃ上方修正が必要だな)
息せき切って梯子を登り切ったクォーリンはさらに報告を続ける。
「はぁ、はぁ、ラ、ラキオスの蒼い牙率いる青スピリットの遊撃軍が、縦横に我が軍を壊乱した模様です。
ラキオス軍は、な、何故かは解りませんが追撃をせず、ヘリヤの道中程にて陣を張った状況です。ご、御指示を!」
「蒼い牙隊……へっ、蒼い牙一族ってか。そんなの相手するんなら妙見様もちゃんと拝んどくんだったぜ」
不思議な笑みを見せるコウインの横顔を、言葉の意味するところを理解し得ないクォーリンはその緑眼に映していた。
未だ収まらない動悸。そこにいつの間にか混じった感情を抑えながら、クォーリンは深く息を吸い込んだ。
「クォーリン!」
「……あ、はいっ」
「俺が出る。他の奴らのケツを叩いて来い。10分で準備完了しろ」
「はい。出撃準備了解。5分で践行します!」
クォーリンの気配が素早く遠ざかって行くのを感じながら、光陰は砂塵の入り交じった青空を見上げた。
「まだ昼間だから死兆星は見えてないってんならいいけどな……さて」
自嘲気味に薄く笑うと、光陰は立てかけた大身の永遠神剣を担ぎ梯子を飛び下りた。
砂を踏み、歩き遠ざかる背中には、ヘリヤの道が朧気に、死の砂漠へと延び続けていた。
ギャグネタのつもりがなんかシリアスにorz
妙見菩薩:北極星・北斗七星の化身
>>1タイム乙かレイト
包容力が決め手でした。従っておっぱいと結婚します <11>
>>11はベジータの中の人がセルの中の人に求婚している所で、
その後時深とヒミカの中の人がブチ切れて昼ドラ並の修羅場が繰り広げられる所まで幻視。
現在口説かれたスピ達。
ファーレーン
納豆
セリア
アセリア
木村あやか
シアー
ウルカ
タキオス
エスペリア
ニムントール
エスペリアの中の人
ヘリオン
ハリオン
結構買い手市場。
少女が泣いている。
小さな体に大きな白い帽子。
それに合わせるように白い可愛いらしい服。
そしてそれより白い真白の髪。
少女が泣いている。
まるで雪原のように辺りを覆いつくす白い花々に囲まれて。
涙に顔を染めながら少女は泣いている。
「ひっぐ、ひっく、お、お父様、お母様、どこ?」
何度も泣きながら尋ねる。
けれどその声を聞いているのは白い花だけ。
花は何も答ずただそこに咲いているだけで。
「おか、おかあさま、ぐすっ、おどう、ざまぁ〜」
もう何度呼んだだろうか。
何度呼んでも答えがなくて。
泣きながらさ迷い歩いている。
足が痛い。
朝ご飯を食べてからどれ程の時間がたっているんだろう。
お腹が空いた。
もう嫌だと少女はその場に座りこむ。
もしかして自分は知らない間に別の世界に来てしまったのじゃないだろうか。
だからもう二度とお父様にもお母様にも会えないんじゃないか?
そんな根拠のない考えが頭に浮かぶ。
怖い。
違うと思うのにその考えはどんどん膨らんで。
涙は止まらず泣き声は大きくなるだけで。
少女が泣いている。
白い白い花々の中に埋もれるように真白の少女が。
静かな花畑に少女の泣き声だけが響く。
どれ程泣き叫んでも差し延べられる手はそこにはなくて
少女はただ泣いていた
夢を見た。
夢らしいよくわからない夢を。
笑えた。
ああ、自分にもまだそんな人間らしい部分があったなんて。
まあけど気にすることではない。
どうせすぐ忘れるだろう。
それよりも今は大事なことがある。
さあ、始めようささやかなゲームを。
さあ、終わらせようこの世界を。
もうそろそろ時間だ。
「さて、そろそろ行きましょうかタキオス」
傍らに控える彼に告げる。
「はっ。準備はできておりますテムリオン様」
もう数え切れぬ程繰り返されてきたやり取り。
「さて、そろそろ行きましょうか。ふふ、時深さんのお気に入りはどんな人でしょうね。楽しみですわ」
さあ、それでは終わりを始めようか。
−それは世界の命運を賭けた物語−
−それはとあるお姫様と魔女の物語−
−それはある一匹のうさぎの物語−
−それは−
少年と少女の恋物語
24 :
幻:2007/01/24(水) 22:54:54 ID:TP5luAIA0
いろいろ冒険な長編始めてみました。
タイトルは「シロイハナ」
ヒロインは「白い人」で純愛ものです。ガチで。
では誤字脱字ハリオンマジックなどなどありましたお願いします。
今思うと、イオって全スピ中もっとも謎の多いスピなのかな・・・
無印では意味深に登場したのに一人だけエロシーンないからのぉ。
ほんとイオ編・ヨーティア編作ってくださいよザウスさん
元々は攻略ヒロインの一人らしいからな。
その名残か意味深な設定とか謎があるな。
とりあえずスピリット遊郭で男共に凌辱され続けた過去とかにおっきしちまう俺を許してくれ。
おいおい俺の嫁に買い手が無いとは辛亥だな。全く最近のボウヤはこれだから・・・
という訳で、レムリアは貰って行きますよ ノシ
ところで、19はヘリオン宛の告白・・・でいいんだよな?おっぱいだし
久しぶりにマジック発動?
そういえばイオの記憶喪失は理由が2つあるけど、ザウスはどっちを正規の理由にするつもりなんだろう。
一応公式設定資料集より。今だと入手し難いらしいですし。
イオ・ホワイトスピリット
非常に珍しい白の色を持つスピリットです。
正義感が強く、融通が利かない性格ですが、心を許した人間には忠義を尽くします。
記憶を失って人のオモチャになっている所をヨーティアに助け出されて以来、
ヨーティアと常に一緒に行動しています。イオという名前はヨーティアに付けて貰ったものです。
闘う事は出来ませんが剣の腕自体は相当なもので、並みの訓練士よりも優秀です。
ヨーティアを非常に尊敬しており、誰かがヨーティアの悪口を言うだけでも怒ります。
全ての属性の魔法を扱う事が出来ますが、赤の魔法としてはお湯を沸かしたり、
青の魔法として氷を作ったりという程度にしか使えません。
神剣がイオの力にリミッターをかけているからなのですが、それはイオが死ぬまで解ける事はありません。
そもそもそのことに気付いてもいません。
料理の腕はエスペリアを凌ぐほどで、後に城の料理長として様々な人やスピリットに料理を教えます。
ホワイトスピリットはオルファリルがリュトリアムとして設置されていた時にのみ発生した属性で、
オルファリルを時深が連れ去りテムオリンによってリュトリアム2が設置されてからは派生しない色ですので、
実はイオは相当な年齢です。
古代戦争の時の特に力が強い一体だったイオは仲間達と共に闘おうとしましたが
全ての記憶を失わされて眠りにつかされました。
前回四神剣の勇者が揃った時に神剣の力を感じて目覚めそうになりましたがまだ覚醒には到らず、
今回の四神剣の目覚めと共に覚醒しました。ですが全ての記憶と知識を失っています。
>>24乙
色々と伏線を隠されていそうですが、捨てられた子はお姫様なのか魔女なのか。
ってコアラ様がヒロイン……ですよね?
×:花は何も答ず
○:花は何も答えず
力を封印されてるはずなのになぜか戦えるPS2版。
ロウエタの登場で神剣がリミッターを解除した、と考えるべきなのかな。
「理想」の力で低エネルギーをやりくりして効率よく戦える戦法を取っているだけで、
神剣の力自体を頼みに戦えわけじゃないんじゃなかったっけ?
一撃で打ち倒す強烈なストレートは打てないけど、
必ず急所に当たるジャブを持ってるみたいな感じだと思われ。
あぁ、そういやディフェンススキルが無かったし
本来の力を発揮できてた訳じゃないんだろうな。
・・・本当はどんだけ強いんだよ、イオさん。
>>31 それはイオの設定としてはたぶん最初期のだよね。
それともこっちの設定の方が有名だからこっちを正規の裏設定にするのかな。
後期の裏設定?っていうのがどういうのか知らないけど、
上手く融合させる事が出来れば勝ちなキガス。
それともどっか致命的な矛盾点でもあるの?
アセリアの設定は出るたびに変わるからなー
未だに判然としないのだが、ントゥたんの炎帝は、頭に被ってる王冠なのか?
それとも体内に取り込んでて、頭の王冠はオシャレなのか?
前から疑問に思ってるんだが、ヨーティアとクェドギンが帝国で一緒に過ごしていた、先代(?)イオもホワイトスピリットだったんだよなぁ?(何か勘違してたらスマソ(w)
今のイオと何か関係あるのか?
>>31の記述を見るとまるっきり”無関係”っぽい気がするけど(w
この流れは…
雑魚スレ的に、時代がイオ補完(長編なり短編なり)を求めているのか?
>>37 そこらじゅうに王冠型の永遠神剣って書かれちゃってるけど
スピたんのシトラも王冠被ってるから、体内にあるナニカが神剣本体であるって解釈も可能なんだよね…。
>>38 「理想」のイオの名付け元ネタはサーギオスのイオ。
直接的な関連と言えるのはその点くらいだと思う。
でも実験体に使われるようなスピリットが数千年単位の長寿って言うのもしっくりこないやねぇ。
ホワイトスピリットはオルファがリュトリアムだった頃にしか生まれない希少種であり、
システムがリュトリアム2になってからは赤青黒緑の4属性しか生まれないことになっている。
だからイオおよびホワイトスピリット種は相当な長寿である
(公式資料要約)
ってことはクェドギン大統領は超熟女といたしてしまったって事になり、
そりゃあ大天才先生も怒るわなぁと思ったり。
>>38 補完というか、その前の段階として今現在出ている明確な情報の認識統一の流れだと思う。
以前ならともかくその辺整理しておかないと補完しても読み手次第で混乱するだろうし。
>ヨーティアとクェドギンが帝国で一緒に過ごしていた、先代(?)イオ
>クェドギン大統領は超熟女といたしてしまった
PS2版にしかその辺の描写は無いからPC版しかやってないとさっぱりなんだよなその辺。
元々ヨーティアとクェドギンがいい雰囲気→初代イオが研究所に連れてこられる
→クェドギン、浮気→ヨーティアが嫉妬して初代を危険な人体実験のプロジェクトに売り飛ばす
→クェドギン、怒ってサーギオスを去る→初代死亡後にヨーティアが二代目を拾ってきてイオと命名
……だっけ。スマソ、うろ覚えなんでどこか妄想が入っているかも。間違ってたら指摘ヨロ。
>>37 王冠型の根拠は設定資料集でントゥのラフ画の王冠部分が『炎帝』と矢印で示されているからだと。
でもゲーム中のプロフィールでは体内だし資料集では融合とあるしホントにどっちですかXuseさん。
PS2で浮気とかいうのあったけ?
クェドギンとヨーティアがイオと一緒に暮らしてて二人が離れてる間に起こった事故でイオを失ったのが原因 だと思ってたが
後PCの攻略本に事故でマナ結晶体とイオが分離しそのせいで記憶を失ったイオをヨーティアが 分離したマナ結晶体から再生したのがクェドギンのほうのイオみたいなことが書かれてたが
>>31 指摘ども
伏線だらけでなんも答えれない 多分そのうち明らかにできるかと
ヒロインはその人で間違いないです ええ
浮気云々は、ノベル版にあったな
理想のイオと帝国イオは無関係のはず。
浮気はあり。クェド・ギンとイオがヤってるのを見たヨーティアは嫉妬でヤバいプロジェクトにイオを使うことを了承。
けどクェド・ギンに怒られ反省、二人でプロジェクトを止めようとしてるとこでマナ消失発生。帝国イオはマナ結晶化し意識を失った神剣が残る。
クェド・ギンはその二つと資料などを持ち出して帝国を出奔。ヨーティアもヤバげな資料を廃棄して放浪中に人間に玩具にされてる白スピを知り助け出す、と。
体内に取り込んで頭から生えてきたと考えれば何の矛盾もないぜ、炎帝?
ウチ的には「神剣=王冠=体の一部」という、つまりカオリ+ナポリ的融合で落ち着けている。
体内と言うなら最低限ミュラーくらいは有機的でないとしっくりこない。
無駄にヨーティアの人間性を保護する注釈をつけてみる。
彼女は率先してイオを売り飛ばしたわけではなく、胴元である帝国上層部によって隠されていた
研究本来の目的を明かされた時に、嫉妬による心の陰りに誘導されるようにイオを引き渡してしまっただけ。
今の流れだと実験自体ヨーティアが考え付いたものみたいに捉えられたし、
それでは大天才に弁護の余地がないので一応。
>>45 ソレダ、お陰でなんか喉の痞えが取れた。
そのうち王冠から花でも咲いてきそうだぜ、炎帝w
>>45 つまり王冠を持ち上げると、ントゥの中に埋まった炎帝の本体がずるずると・・・
亀の手みたいなントゥたんだな…食ったらうまそうだ。
ントゥたんに話しが移り始めたところを見計らって、ルーグゥたんが
「スピリットカラーエグゼンプション」の導入を画策。
イオの残業代0法案
イオは俺の扶養に入ってるから残業しないでいいんだよ。
それでブルースピリットはあんなにちからもちなのか<エグゼンプション
>>52 おとうさん、イオさんは僕が幸せにしますね
日刊マナゲンダイ妖精面より抜粋
労働時間の規制を一部除外するイオ・ホワイトカラー・エグゼンプションについて、
レスティーナ・ルーグゥ・ダイ・ラキオスは来週から始まる閣議への関連法案提出を見送る考えを表明した。
この制度はイオへの残業代不払いを合法化し、長時間労働を助長しかねない問題点を内包している。法案提出を思いとどまったのは当然だ。
ただし今回は技術者連筆頭のイオを意識し提出を先送りしただけで、ひとまず批判をかわそうとするのは、ヨフアル姑息と言うほかない。
ヨーティアの個室への重大な影響を考えれば、制度は白紙撤回されてしかるべきだ。経済界は「残業代0法案」との批判を「誤解」と主張する。
集中的に掃除が出来る一方、ピュリファイも可能な「自由度の高い」制度で、マナ性向上と神剣魔法詠唱時間短縮につながると強調する。
しかし今求められているのはあらゆる属性を使いこなすサウナ好きのお姉さんや、王冠の生えた愛くるしい大きな目玉ではないだろうか。
そろそろAAまとめが欲しいところ
んじゃブラウジングヘリオンから
, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
( リ〈 !ノルリ〉)) 28 名前:名無しさん@初回限定 投稿日:2007/01/25(木) 01:45:15 ID:CvqHsd/Y0
ノノ(!リTヮTノリ(( ところで、19はヘリオン宛の告白・・・でいいんだよな?おっぱいだし
((<(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄
高嶺兄妹
>>1乙…と
ヽ)/ r‐-- -┐
∠´ ハ`ゝ /・ 皿・ ヽヽ
彡//ノハハ〉 レ'´从リ从!〉
ゞ(リ ゚д゚ノ! 从◎_◎从 世界を超えて乙とは流石だなオニイチャン
/¶ V ¶\ / V ⌒i
/ | |゚/ ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ 求め / .| .|____
\/____/ (u ⊃
釜茹で
ウフフフフ
'´ ヘ ヘヾ , ヘ アチチチ
ノ〈从ハ从〉┃ 〃 ' ^^ヾ '´ ⌒ヽ
从ヲ´ヮ`ノヲつ i ハ从从リ ハ」」」l」」〉
ノノ/wkつノ. ┃ノ∩リ;゚ヮ゚从 ヾゝ;゚ヮ゚ノゝ やぁ〜ん、たすけてぇ〜
ノノく/|_ノ 〈≡≡≡≡≡≡≡≡U≡U≡≡〉
し'ノ ./ だ し ヾ グツグツグツ…
||ニニニニ||(____________,, )
|| ||ヾ;从;从;;从;从;从;;从;从;从;;从;;;ノ
おっぱいと呼べるのはヘリオンとシアとニムくらいの大きさからだな。
ヨフアルとネリーとオルファは十勝平野だし、ヒミカやアセリアでは大きすぎる。ハリオンなんて論外。
じゃあ俺はニムとオプション貰って行くわ ノシ
, ヘ
〃 ' ^^ヾ '´ ⌒ヽ,
i ハ从从リ .<」」」l」」ハ
ネリー、十勝平野なんだって、なんだって♪ ノノゞリ゚ ヮ゚从 <パヮ ゚ iノ/ そこは怒るところだと思うよ、思うよ?
彡 ⊂ i |T|}つ ⊂{|T| i つ ミ
(( ⊂く/|_ノ ゞ く/|_ハ>つ ))
ミ ∪ ≡ U′ 彡
昆布のように出汁の利いたネリー……>58
>>59 エスペリアとセリアとナナルゥはどうした?
ただのおっぱいには興味ありません。
この中に(ry
失礼ね、私のお…はただじゃないわよ
,ヽノ_
,' 〃, ^^ヾ ☆))Д´)
>>63 i y(从ソ))リ゙∩ ☆))Д´)
>>63 ノノ゙(リ゚ -゚ノリ彡☆))Д´)
>>63 (( ⊂彡 ☆))Д´)
>>63 ☆))Д´)
>>63
65 :
名無しさん@初回限定:2007/01/29(月) 11:26:10 ID:v2A0//kS0
なあ。激しく既出だろうが、ントゥたんてどっかで見たことないか?
ほら、あのメソ……げふんげふん!
将来有望なのは、オルファとシアーとヘリオンとニムくらいか?
まあ、エターナル化できないセリアとハリオンとナナルゥはそのうち垂r(エレメンタルブラスト&ヘヴンススウォード
即死回避のSSで始まったと思ったら
イキなり今まで殆ど日の目も見なかったイオやントゥの設定討論、
そして一瞬時事ネタを挟んだかと思ったら
唐突にAAまとめなんだか乳談義なんだか
相変わらずスッ飛んだ流れで付いて行くのに苦労するぜ
だがそれがいい。
生きとし生けるもの全てを巻き込んだ戦乱の世も終わり、
この大地の人々が平和をその手につかみ取ってから、早三年の年月が流れた……。
崩れた生活を取り戻し、さらに発展させようと努力を惜しまない。
そんな人々は、今年新たなる権利と使命を得ることとなった。国政を正しくする為のそれぞれの思いを込めた小さな、しかし強い、
清き一票という力を……。
光「ってことでガロ・リキュア建国以来初めての人民議員選挙は二週間後だからね、ネリーちゃんシアーちゃん」
ネ「うん分かってるけどさコーイン。とーひょうけんって20歳以上じゃないと貰えないんだよね? ネリー達が貰っても良いの?」
シ「いいの〜?」
光「ふっ……。君たちレディの大人の魅力には出逢った頃からメロメロさ……ついでに婚姻届k」 霹靂
三年前……18歳以上
現在……21歳以上
問題なし
最近ネリーAAを見ると、どこぞの同人ゲームのHな氷精とダブって仕方がない。
ネリーってバカじゃないよな? 基本お茶目でちょっぴりバカなだけだよな?
夜9時まてイオの使用料が\0になり、それを過ぎてもイオの給料半額プラン
予想外デス
>>69 マテ、ファンタズマゴリアとこの世界では時間の流れがうわなにを
ラキオス女王杯 第X回全国ツンデレ女王選手権
決勝 ニムントール(予選E組) vs セリア(予選A組)
ラキオス総研杯 第x回全国乙女チック女王選手権
決勝 ヘリオン(予選D組) vs クォーリン(予選C組)
マナ未來通信社杯 第×回全国押し掛け女房女王選手権
決勝 ファーレーン(予選B組) vs エスペリア(予選G組)
碧光陰杯 第1回全国床上z(省略されました 全てを表示するには電撃から完璧に身を守る方法を確立して下さい)
緑亭杯 第x回全国利きお菓子女王選手権
決勝 ハリオン(予選H組) vs シアー(予選B組)
※優勝者決定後、女王陛下に酷似した少女の乱入の恐れあり。各員は全力で警戒に当たられたし。
も追加してくれ。
HAHAHA! またまたご冗談を!
あんな太平洋に浮かぶ水平線のように真っ平らな胸の少女が女王陛下な訳g(ヨフアルビーム!!
幼女「ねーセリアママ。どうしてうちにはパパがいないの?」
少年「ば、ばか。そういうこと言うんじゃないよ」
セリアの孤児院杯
決勝 謎の針金髪男(飛び入り) vs ロウィナール(予選A組)
今日のトリビアの種
ナナルゥのアポカリプスでふとんがふっとばないのは……っ枚から
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……へっへっへ
|とl)
この実験によりファンタズマゴリア中のふとんが消失し、人々は全ての命の根源たるふとんを求め争った。
後に『ふとん戦争』と呼ばれる戦の幕開けであった。
じゃあそろそろおまいら、その豊かな心と表現力で
スピリットを花に例えるなら誰がどーなるか検討してくれよ
例えばハリオンが巨大化したヒマワリとか
しかしこの争乱の中、生粋のお嬢様育ちであるレスティーナは一人事態の深刻さを肌で捉えきれずに甘く見、
終始世間知らずな提案を繰り返しては呑気に構え、周囲をほとほと困らせていた。
「だったらベッドを使えばいいんじゃない?プケラ」
彼女が"俺達ゃ煎餅ぶとんじゃなきゃ寝付きが悪ぃんだよ!ベッドなんてふかふかしたものでおちおち寝られるかい!"
などといった民衆の反乱により、磔獄門ヨフアル食い倒れの刑に処せられたのは、むしろ歴史の必然なのかもしれない。
なお、反乱に参加した民衆の指揮を取っていたのはかつて世界を救った英雄、エトランジェと呼ばれる男性二人だったという説もある。
更にはこの争乱の最中、一部『こたつ党』などの流派も存在したが、その活動内容は一切不明である。何もしなかったという説もある。
うぉリロード
>>83 ヘリオン:チョコレートコスモス 花言葉 恋の終わり
ネリー:デルフィニューム ブルーシャドー 花言葉 クールな人柄
シアー:デルフィニューム ハイランドブルー 花言葉 引っ込み思案
>>83 ハリオンはラフレ…いや、やっぱ向日葵かな。
悠久の大地、向日葵の精霊。
個人的に、ネリーはスノードロップかな。
花言葉もいいけど、直感で思いついたのをひとつ
ニム:鈴蘭 面倒くさそうに垂れ下がっている花。いい具合に毒も入っている。
セリア:月下美人
セリアにはこれがイメージにあった。
月の下の優雅な白い華が夜にハイロゥを翻すセリアに重なる。
ファーレーンは撫子ってイメージだよなぁ…
ウルカは何だろう……桜とかライバックかな?
ライバック「永遠神剣?……素手で十分だ」
後の天位真剣「沈黙」であr……あれ?
もしもセガールがファンタズマゴリアの世界に召還されたら。
主人公である少年『高嶺悠人』と義妹『高嶺佳織』。
そして二人の親友『岬今日子』 『碧光陰』達は
突然異界ファンタズマゴリアに召還されてしまう。
中世のような、その世界では戦争の嵐が吹き荒れていた。
すべてが有限であるがゆえに奪い合うことしかできない世界・・・
悠人はラキオスという小国の戦士として永遠神剣『求め』を手渡される。
絶対的な力をもつ永遠神剣は、異界からの訪問者と、
その世界にすむ奴隷戦闘種族『スピリット』にしか扱うことができない。
悠人は佳織を人質にとられ、ラキオス王国の為
スピリットを率いて望まぬ闘いを強いられる。
ラキオス王国のスピリット…アセリア、エスペリア、オルファリルとともに…。
しかし、今日子たちもまた、他の国で永遠神剣を与えられていた。
悠人たちはそれぞれの守るべきもののため、お互いに戦う道を歩む。
魔剣と、権力者たちの思惑に翻弄される悠人とスピリットたち。
しかし悠人たちは知らなかった。
サーギオスの仕官食堂に勤めるあのコックの存在を・・・
タキオス「お前か、俺と(ry」
ライバック「永遠神剣?……そんな道具必要無い。素手で十分だ…!」
タキオスと素手で互角に殺り合うコック長
セガールツヨスwwwww奴はリアルエトランジュか
突然だが、シアーちゃんとバイクで「さむいの…」ってやってくるぜ!
…ステッカーだけどね
一応、画像板にうp
許可が出るまでは貼らないでおこう…
許可が出なかったら、PCの外装行きの予定
シアーはいらない子と申すか!?
シアーだと三倍遅くなる羊羹
97 :
93:2007/02/02(金) 22:10:34 ID:kwwB6TiB0
では、製作者の方の許可が出るまでは、あまり目立たないところに配置しておきます
…数枚作ってるからね
他のキャラのも作りたいが、画力がない俺…
,_________________
| |
| ._,,..-..,,,__ ○ .|
| |:::::::: ニ=.T _______. .|
| |:::::::: ニニ ト、 _,.-个:::::::| |
|___ .|:::::::: ニニ |叫 |.=ニレ-'个ー‐-|
|.  ̄\:. ニニ.|叫 ̄ ̄ ̄~T=ニ|::|`'ー.,_ .|
|-ー‐''''个.ニニ.レ'´. ,ィ^i^!1、 -.,|::| 叫 `ー|
|. ニ= |::_,.-'´ .,'´  ̄ `ヽ';_ ``|., .|
| _,.ト'´ / (l !i_!li_!i!リ `;_ \ |
| / /. リi ゚ - ゚ iソ. `;_ .\, .|
|_/ / √ |Ψ|`'i `;_ \_|
| / | |. i | .| `;_ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>98 なにか とれ>ふく
なにか とれ>ふく
なにか とれ>ふく
はんにん は ふぁーれーん
ニムのためにやった
ニムをまもれればなんでもよかった
いまも反省していないし、これからも反省するつもりはありません
,ィ'^i^ト,、
/y'´⌒ ヽ
i[》《]iノノ))〉)
|!|(i ゚ヮ゚ノ!. ガチャガチャ
ミ⊃
⊂彡
,ィ'^i^ト,、
/y'´⌒ ヽ
i[》《]iノノ))〉)
|!|( >ヮ<ノ!. きゅ〜っと♪
ミ⊃⊂彡
,ィ'^i^ト,、
/y'´⌒ ヽ
i[》《]iノノ))〉)
|!|(∩゚ヮ゚ノ∩ ふぃぎゅ
,ィ'^i^ト,、
/y'´⌒ ヽ
i[》《]iノノ))〉)
|!|(i ゚ヮ゚ノ!. あっと♪
ミ⊃ ミ⊃
久々にかわいいエスペリアを見たw
やっぱエスはカワイイなぁ。
流石エス様
見惚れるような造形美だなw
お前ら魅惑のハリオンおねえさんの事も思い出してやれよ
あの熟れたマスクメロンを放っておくとは男が廃るぜ?
ん?俺かい?俺は小粒なマスカットのニムでいいから、お前らには残りの二人をやろう
【お題】アセリアキャラを果物に例えよ
ファーレーン カシス
黒っぽくて控えめに咲いてお酒の材料にもなる
シアーは、イチジク。いや、何となく。
ネリーとシアーは「いちご」だろ!
シアーの場合は「あまおう」サイズなワケだが・・・。
アセリア:アロエ
エスペリア:マスクメロン
オルファ:サクランボ
ウルカ:ウメ
ネリー:オレンジ
シアー:ミカン
セリア:イチジク
ハリオン:ドリアン
ニム:マスカット
ヒミカ:リンゴ
ナナルゥ:ザクロ
ヘリオン:イチゴ
ファーレーン:カシス
イオ:
イオ:桃
ヨーティア:すもも
ヨフアル:なし
今日子:
今日子:アトリエシリーズで言う「うに」
剛田メールより
発売日変更
『聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-』 ザウス
年内予定→春予定
キタキタキタ〜♪気合い入れて待つよ〜♪
これで一年以内には発売されるかな。
115 :
名無しさん@初回限定:2007/02/05(月) 19:42:07 ID:+czLvNo50
>>113 春予定だからといって、今年春とは限らnウワナニスルヤメr
まぁ、冗談だが
でも、アセリア本編は随分と延び延びになった記憶が……
アセリアは延期しまくったなぁ。
そのせいでCGの出来に凄いバラつきが・・・
発売前のデモでウルカの性格何か違うし。
CGには鼻から期待してなかったけどな
太陽が果ての断崖に差しかかろうとも、トーン・シレタの森は眩しい。
長くなった光線がオレンジ色に輝き、良く繁っている木の葉を照らす。
遠くラキオスを離れたこの土地でも、マナの導きだけは変わらない。
日中、あれほど激しかった砲火の中、一斉に逃げ去った筈の鳥の囀り。
彼らが奏でる森のテーマはマナに還った妖精達へのささやかな鎮魂曲。
喩えどんな諍いであろうとも、そこにある普遍の営みを壊すことは出来ない。
遠くラキオスを離れたこの土地でも、それだけは変わらない――――
ある大樹の元、赤い髪の妖精がたった一人、草笛を奏でている。
薄っすらと目を閉じ、時折撫でる風に乱れた髪を片手でそっと抑えながら。
旋律に、決められた抑揚はない。ただ、想うがままにフレーズを紡ぐ。
或いは鳥達の宴に調和するように、或いは戦いで失われたマナのために。
今も傍らに立てかけている『消沈』から流れ込む神剣の意志。それに逆らうかのように。
『近くで皆が静かに聞いてくれていると、その効果が大きくなるような気がします』
『……そっか。それじゃ、続けた方がいいんじゃないか?』
『はい。そうします』
それは戦いの合間に訪れた、ささやかな戯れ。しかしその日以来、少女の行動は変わった。
何故あの時、目覚めるまで待っていたのかは判らない。膝を枕代わりに差し出したのかも判らない。
ただ、彼の言い出した事だから。彼に聴いて貰いたかった。だから待った。
そんな、微妙な変化。それを自覚したのは今日の午後。
この戦場での争いが峠を越え、掃討戦に入った頃。彼女の隊長は突然エーテルジャンプ施設へと向かった。
急用との事だが、行き先は解らない。ただ、後は任せた、そう叩かれた肩だけが未だに熱を持っている。
やがて陽が完全に沈み、森の匂いを含む風が肌に冷たくなってきても、その余熱だけは暖かい。
細い指が、薄い唇が時に鋭く切り裂くように、時に柔らかく融け込むようにと韻律を刻んでいく。
それは、舞にも似た豊かな感情表現。消え逝くように沈められたココロの奥底で、燻っている小さな灯火。
ふいに少女は指を止め、瞼を開く。すると満天の星空の下、濃い紫色に満たされた樹々の中に、白く現れる人影。
それは次第に近づき、少女に気づいて酷く驚き、そして無造作に髪をがしがしと掻きながらばつの悪そうな表情を浮かべる。
そんなささいな仕草が少女の心をどれだけ浮かび上がらせてくれているか、つゆとも知らずに。
彼女は、用意していた言葉を告げる。その為に草笛から離した唇を、小さく開いて。
「お帰り、なさい」
「……待っててくれたのか」
「はい。任務……いえ、約束、ですから」
にこりともせず答える。夜の帳に隠された、両頬だけを赤く染めて。
草笛は、止んだ。しかし鳥の囀りだけは、この大地から生まれ続ける。星々の瞬く空へと還るその日まで。
PS2版ナナルゥイベントを補完してみました。
新戦場は、荒れ果ててしまっている。
秩序の壁に囲まれた平原は活性化していたマナの恩恵なのか、豊富な緑に覆われていたものだが、
それも今は完全に失われ、所々で放射状に薙ぎ倒された樹木や原型を失う程抉られた丘などが無残な姿を晒している。
大きくクレーター状に融かされた地面から燻ぶり続けている煙には金色のマナが混じり、横たわった屍が次々と消えていく。
破壊しつくされた建造物には逃げ遅れた敵の兵士がへばりついたまま息絶え、光を失った虚ろな瞳は何も無い空間を凝視し続ける。
それらオブジェ達の視線が一斉にこちらを向いたような気がして、ヘリオンは身を竦める。
戦争なのだから、仕方が無かった。
胸の前で祈るように両手を握り締め、そんな言い訳を試みても、だがしかし死者達はいつまで待っても容赦をしてはくれない。
スピリットと違い、死して尚形を留める彼らには、時間だけは充分に残されている。深く静かなバルガー・ロアに横たわる、永遠の時が。
「あ……あ」
流れる雲に太陽が隠れ、日差しが遮られる。ヘリオンは気後れ、身を捩った拍子に小石に躓き、よろけそうになった。
きつく握り締めていた『失望』も取り落としそうになり、慌てて持ち直す。刀身は、太陽に照らされなくても金色に輝いている。
それはついさっき、止めを刺したブルースピリットのもの。強さを求め、無我夢中になってきたその成果。
ふと、他の兵士達に混ざって一際幼い一つの瞳と目が合ってしまった。そのあどけない顔立ちは、まだ少年と言っても差し支えない。
衝撃で吹き飛ばされたのか、首から下をすっかり失ってしまっている。唇が何かを言いたそうに小さく開いたままだった。
『でも……一つだけ約束して欲しい事があります』
『なに?』
『頑張って剣を身につけても、その剣は家族や仲間……大切な人達を守る為にのみ振るうということ』
―――― 嘘つき
「――――ウッ」
吐きそうになり、口元を抑える。眩暈がするほど気持ちが悪かった。
戦闘用にぴったりと締め付けているニーソックスでさえ煩わしく思えてくる。
白い髪留めを、反射的に外す。とにかくこの辛い閉塞感から逃れたい、それだけだった。元々長い黒髪が、解放されて顔に掛かる。
自分という存在が、酷く罪深いものなのだと実感する。これが本当に、守る為に振るった剣なのか。ヘリオンには判らない。
瞼をぎゅっときつく閉じ、頭を振って必死にやりすごす。そして暫くそうしているとようやく少しだけ、気分が楽になっていく。
『戦って、守らなきゃならない人がいるんだ』
『守らなきゃ、いけない人?』
『そう、妹と……それから仲間』
『仲間……守る』
まだ未熟で、仲間の足を引っ張っていた頃。何とか追いつこうと、足を運んだ室内訓練所。
交わされたのは、ただの何気無い会話。しかしその日以来、ヘリオンの行動は変わった。
常に戦場で、一番危険な場所へと真っ先に飛び込んでいく白い羽織。その背中から目が離せない。
追いかける対象が変わると共に、持ち前の努力にも拍車がかかる。元々の素養が磨かれ、その才能は料理にまで発揮されていく。
どんなものであれ、存在理由を与えられた者は強い。引っ込み思案が影を薄め、積極的に会いに行き、街にも誘い出す。
―――― はい! 私も大切な人の為にがんばろうと思います
「――――……な〜んだ」
紫の瞳を、恐る恐る開く。いつの間にか胸を衝く嫌悪感は、薄くなってきている。
最初から、判りきっていた。ずっと疑問に思っていた、スピリットという自分の存在。
世界の主人である人間に忌み嫌われ、それでも剣を持ち恐れられる存在。それに、あっけなく答えを見出してくれた人の為に。
その為に、憧れたのだから。追いつこうとしたのだから。他者を傷つける。それを背負う強さは、既に見せて貰えているではないか。
「……敵わない、なぁ」
周囲を見渡す。割れた窓から突き出す腕、大木の幹を根元から圧し折り、そのまま自分も砕けてしまった肉体。
それは全て、自分達スピリットが行った所業。彼らの未来を、断ち切った剣。それでも唇を噛み締め、顔を上げる。
堪えた涙の向こうに広がるのは、サーギオスの巨大な城。雲間から差す日光がその全貌を照らす。
ヘリオンは眩しさに負けないようにその風景を見据え、そして睨みつける。自らを、奮い立たせる為に。
あのマロリガンの重い空の下で。大切な人を失い、呆然としている背中に。声すらかけられなかった自分を二度と繰りかえさない為に。
「――――ぁ」
突然、白い羽織がふわりと目の前に広がる。
「ここはもういいよ、ヘリオン。さ、戻ろう? みんなの所へ」
「……ユートさま、わたし」
「いいんだ、もう。悪いのは、ヘリオンじゃない。責めるなら、自分じゃなくて俺にしてくれ」
「……ぇ?」
悠人は、丁度ヘリオンと動かない兵士達の間を塞ぐように立っている。
まるでヘリオンの視界から、その景色をすっかり隠そうとしているかのように。
背を向けているので、その表情は見えない。しかし沈んだ口調が寂しそうに落ち込んでいる横顔を容易に想像させる。
「これは、俺の罪だ。俺にはもう、佳織を助ける以外にこの戦いを終わらせる方法がないから。だけど、そのせいで仲間達を巻き込んでる。だから」
「そ――――」
そんなことない、そう言いかけて俯き、言葉を飲み込む。こんな時、言葉は何の意味も持たない。何も伝えられない。
あの時と、同じ。又何も出来ないのかと拳を握り締める。捲れ上がり、焦げ付いた石畳が、死者の瞳がこちらを睨む。
――――ぎゅ。
「……ヘリオン?」
「……」
ヘリオンは黙り込んだまま、ただじっと悠人の服の裾を握り締める。指が、白くなる程痛く、強く。
ただ、支えたい。一緒にいたい。そんな想いだけを、震える指先に必死で篭めて。
そんな大切な感情を芽生えさせてくれた人に、どうか届きますようにと。
暫くそんなヘリオンを不思議そうに見つめていた悠人だったが、その表情がふと柔らかいものへと変わった。
「……行こうか」
「――――はい!」
共に、駆け出す。手を離すときに、ふいに呟かれた一言。"ありがとう"。その言葉だけを胸に秘めて。
PS2版ヘリオンイベントも補完してみました。
ヘリオンもナナルゥもかわいいな。
最近は特にナナルゥがかわいくて仕方ない
ごめん、俺はやっぱりソゥ・ユートがかっこよすぎてたまらない。
こうして改めてかみ締めさせられる、悠人の「生き様」がかっこよくてたまらない。
スピリットたちの目にも、こんなユートだからこそかっこよくて命を預けるまでの信頼に値する存在だったんだろうなと思う。
うん、俺ってやっぱりユートが好きだわ。
嘘つきなんだ悠人は。
無謬なんて思いも寄らないだろうし。でも、その代わり、仲間を信じてる。
迷いまろびつ、独りよがりではあるけどね。
つー事で
ナナルゥ
ナナルゥの琴線に触れるざっくばらんな所作は、何もない単音にかすかな谺を与えて。
誰も知らない心の共振。
ヘリオン
ユートさまかっこいいよ。吐きたいのは自分の方だろうにね。
「犠牲は必要なんだ」そんな風に心に赫く刻みつけて。
>>信頼の人
GJ!!
あー、サブスピもユートもやっぱ結構過酷な人生辿ってるよなー…。
ユートの一人で抱え込もうとするところは短所ではあるけど、
一人で何とかできる強さってのもまた長所であるし、エターナルの素養でもあるんだろうね。
あぁ、でも一人『依存』とかいうエターナルいたなw
将来を見越してってのもあるんじゃないの?
エスペリアも落第ギリギリなところだったし。
>>131 ああ、そうかも試練ね。
剣によっても厳しさは変わる気がする。
一般の女性の方……おめでとう。
これで、なるカナにエスペリアが出ることもなくなったのか。うーん残念無念。
___________
/|::┌────ブチッ┐::|
/. |::| .|::|
|.... |::| ―― * ―― .|::|
|.... |::| .|::| ィi^i^!、,
|.... |::└──────┘::| (´ ̄ `v),
\_| ┌────┐ | ピッ (!i_il!_i! l_`
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━⊂从- ゚ 」ixij
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 (_,, )
/ \ ヽ
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|○__)
 ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄
暖かな日差しの下、エスペリアは洗濯物を干していた。
もともと家事を好む彼女は、汚れていたものを綺麗にするのも大好きだし、綺麗になったものを見るのも大好きだし、洗いたての洗濯物からほのかに香る清潔な石鹸の香りも大好きである。
それに加え、今干しているのが悠人の衣服とあって、エスペリアは今にも踊り出さんばかりの上機嫌である。
心を込めて洗い上げた洗濯物を、手際良く干していく。
このぽかぽかした陽気であれば、洗濯物は太陽の光を一杯に浴びて、数時間後にはすっきりと乾燥している事だろう。
と、そこにそよ風に乗って微かに楽しそうな笑い声が届いてきた。
「?」
エスペリアは洗濯物を全て干し終え、整然と並んで日を受ける悠人の服を眺めて満足そうにひとつ頷くと、洗濯物を入れてきた籠をしっかりと片付けてから、先程の笑い声がした方へと歩いていった。
そこには、日溜りの中、草の絨毯に気持ち良さそうに寝転がる悠人とオルファリルがいた。
それはまるで時さえも緩やかに流れているような、見ているだけで幸せになれるような光景だった。
自分も仲間に入れてもらおうと、二人に声をかけようとしたエスペリアだったが、
「ね、パパ! オルファ、パパのお嫁さんになる!」
というオルファリルの言葉に、思わず近くの木の陰に隠れてしまった。
こっそりと聞き耳を立て、見つからない様に様子を伺う。
悠人はといえば、そのオルファリルの爆弾発言に少しばかり驚いた顔をするが、しかし然程動じる気配は無い。
ファンタズマゴリアに来る以前も、小鳥から素直な感情をぶつけられていたし、
ファンタズマゴリアに来てからは、オルファリルの他にネリーやアセリアからも、時にシアーからも、真っ直ぐな好意をぶつけられているのだから、それは慣れもする。
最も、それは悠人がそういった方面の己の気持ちに酷く鈍感であるがゆえ、
或いは、今の悠人にとっては佳織の幸せが第一であり、自分の幸福は二の次なので、自分を中心に据えた未来を明確に思い描けないがゆえ、
つまりは悠人という人間が、彼女達の言葉にリアリティを持てないがゆえの慣れである。
もし悠人が自分自身の在り方をしっかりと見据え、自分自身の将来をしっかりと思い描いた上でそれらの言葉を受け取り、好意をぶつけられた事を解したならば、
酷く動揺する事に間違いは無いだろうし、決して慣れる事も無いだろう。
ともあれ現状、悠人は優しく笑ってオルファリルに答えた。
「そうだな。オルファがもう少し大きくなって、それでもまだ俺でいいと思ってくれてたら、そん時な」
悠人はまだ、オルファリルに恋愛感情を抱いていない。
少なくとも、悠人は自身のオルファリルへの感情を恋愛感情とは捉えていないがゆえのその返答だった。
それを木の陰に隠れて聞いていたエスペリアは、少しほっとし、そして少し苦しくなる。
一方、オルファリルは、悠人の答えが不満だったのだろう。
再び直球な告白を投げかける。
「もう少しってどれくらい? あとどれくらいしたら、オルファ、パパのお嫁さんになれるの?」
「んー……あと十年くらいかな?」
「えー、長すぎるよー」
「いや、そうは言っても意外とあっという間だぞ。
気が付いたら何時の間にか時間が過ぎてるんだよな。
ホント、どっかの誰かが時間を操ってるんじゃないかとすら思うよ」
「そうなの?」
「そんなもんだぞ。
だからそん時にやれる事は、ちゃんとやっとかなきゃなーって思うよ。後悔するのももう嫌だしな。
まぁ、いつも、今くらいのんびりと時間が流れてくれてればいいんだけどなー」
少しマジになりかけた話を、しかし笑顔で悠人は終える。
「ふーん。なるほどー」
オルファリルは、素直にふんふんと頷く。
「じゃあ、十年したら、オルファはパパのお嫁さんだよ!」
「そん時にまだ俺でいいと思ってくれてたらな」
「大丈夫! オルファにおっまかせ!
オルファ、パパの為にイイ女になるんだから!」
「ははっ、期待してるよ。
よし、俺もオルファに負けてられないな!」
悠人はそう言うとオルファリルの頭を優しく撫でた。
オルファリルは悠人の大きな掌を感じて、気持ち良さそうに目を細めるのだった。
悠人の言葉に、エスペリアは想う。
十年経ったら。
ユート様は、きっと素敵な男性になっているだろう。
今でも十分過ぎる程に魅力的だけれども、それでも今よりもっともっと魅力的になっているだろう。
世界の全てを包み込む程に強く、そして優しくなっているだろう。
それでも、変に頑固で無鉄砲で、どこか子供っぽい部分は直っていないに違いない。
周囲に何と言われようと、何と思われようと、不器用ながらも、自分の正しいと信じる道を真っ直ぐ進む。
そんな素敵な男の人になっているに違いない。
エスペリアは何だか嬉しくなって、くすっと笑った。
そしてそのユート様の傍らには……。
…………。
……このままいけば、オルファは十年後には、はっとする位綺麗になっている事だろう。
…………。
……えっと、私は……。
……私は……十年経ったら、私の年齢は……?
…………。
……あれれ?
…………。
……………………。
次の戦闘時、オルファリルはディフェンダーに配置されていた。
「エ、エスペリアお姉ちゃーん!! オルファ、守りは苦手だよー!!」
今にも泣き出しそうなオルファリルに、
「大丈夫ですよ、オルファ。
あなたがマナの霧と化しても、ユート様には私が付いておりますから。
ご安心なさい」
エスペリアは穏やかな春の太陽を思わせて、にっこり微笑むのだった。
おしまい。
よし、エス姉はお前に譲ってやるからニムとファーレーンは俺が貰い受ける
右に倣って、シアーを貰い受けます。
ネリーとセットでもいいけど、無用な争いは可能な限り避けたいので。
んでは、俺は華麗にウルカをゲットしていきますよ、と。
>>134-138 障害は速やかに摘み取っておくべきです。それは本当なのです。
オルファ頑張れ。今更かもしれないけど、Lv.が上がってればなんとかなるさ。
>どっかの誰か
激しく噴いたw
では、俺はユートを監k(げふんげふん)…一時保護した後、エスペリアをたきt(ry)…叱りつけて、おそw(ry)…仲直りさせた後にヘリオンと剣の修行に行ってきますよ
…ウルカも来て欲しかったのだが、先に取られたのならば仕方あるまい
セリアとヒミカの手があいていたら来てもらうことにしますかね
と、ダメージを受けたオルファを保護しておかなければ、コウインに襲われる…かな?
時を見て光陰を訓練場に連れていきますので、オルファの保護を誰か保護をお願いしますよ
…まあ、訓練と戦闘中だけ真面目だからね〜光陰は
何となくネタ振り
Q:貴方は冒険者です
悪の帝王を倒すために、3人の仲間を連れて旅に出ることになりました
その3人の名前と旅の結末を書きなさい
例:シアー・ハリオン・レムリア
いつの間にか、お菓子の食べ歩きツアーとなってしまい資金不足の為に
働くが、いつまでも資金が貯まらず解散
はうぁ!最初の光陰だけカタカナだ!
まあ、些細な事だからいいけど…
A1:ウルカ・タキオス・エンレイン
もちろん最後は悪の帝王も仲間になります。
シアー・時深さん・ミュラー先生
お菓子食べたりタイムシフトしたりお願いしたりと毎日一秒たりとも先が読めない。
もちろん最後もエンディングテーマが流れ始めたとたんにタイムシフトして色々引継ぎしつつまた最初から。
時深・紡ぎ・エスペリア
時深はユートの新婚生活に
紡ぎはロティの新婚生活に
エスペリアはイガワの新婚生活という名の魔王を打ち砕く
>>147 よし、俺がイガワになろう
エスのためにその程度の試練軽くこなしてみせる
「良い冗談ですね。勉強になりました」
ナナルゥ貰って行くぞ
イガワ?
152 :
こるーれ:2007/02/11(日) 17:55:48 ID:FzfX0N3d0
>93
すみません、気付くのが遅れてしまいました
レスの内容からして誰かがシアーの絵をかいて
画像板にうpするんだなあと勝手に判断しておりました
気まぐれで次のページに行ってみて驚きました
まさか私がかいた絵だったとは…
私の絵でよければバイクでも車でも好きなところに貼ってください
ただやっぱり昔の絵は今見るとちょっと恥ずかしい物もあるので
絵によってその都度許可を求めていただけると助かります
もちろん記事No.707のシアーは使ってくださって結構です
というより使ってくれて本当にありがとうございます(^^)
旧ラキオス(現ガロ・リキュア前)の紋章をステッカーにしたいけど、ザウスが許可してくれるかな…
問い合わせたら逆に藪蛇じゃね?
とらに委託とかしなくてイベントだけでこっそりやる分には黙認しそうだが
私は目を覚ました。時間はわからないけれど、今日もおそらく日の出直後くらいでしょう。睡眠時間
は多くはなかったはず。確か昨日も日が変わってから床に就いた。ラキオスの暖かい気候と相俟って、
まだ布団に包まっていたい気分だった。このような事をハイペリアでは『春眠暁を覚えず』と言うらし
い。戦争中にキョウコ様から聞いた覚えがあった。
・・・このままでは抜け出せなくなるわね。
自分の意思が弱いとは言わないが、ここまで心地良いものだと負けてしまうかもしれない。嵌ってし
まう前に布団から抜け出して体を起こす。カーテンの隙間から朝日が漏れていた。
寝台から降りて、習慣となっている一通りの柔軟。その後窓に歩み寄ってカーテンを一気に開いた。
刺し込む朝日。眩しさに手で目を覆う。まだ起き掛けの目には辛い。
一度窓から離れて、着替えることにする。寝間着を脱いで着るのは機能性重視の服。スカートなんか
をつけても気にして動きを制限されそうだし。エスペリアみたいなエプロンドレスを着ようと思ったこ
ともあったけれど、借りて着てみたところをハリオンやヒミカに見られた。驚きから苦笑へ変わるヒミ
カの表情と、いつもの笑顔でハリオンが言った可愛いという言葉に我に返った。本当に良かった。それ
をコウイン様になんか見られたら一生笑われそうだった。と言っても話自体は仲間たち全員に広がって
いるようだけれども。
着替え終わったら鏡台の前で髪を整える。最近やっと短い髪の自分に慣れてきたところだ。この国が
名前を変えた頃に切った髪。最初は起き掛けに鏡を見て、誰だか分からなかったりもしたけれど、最近
はそういうこともない。
・・・みんなにはからかわれたけどね。
髪を切った姿を見た仲間たちの反応は未だ脳裏に焼きついている。やはり若干一名、莫迦なことを言う
者も居たが、御馴染みの雷撃を食らってもれなく気絶していた。
髪を整えた後、また窓に近づく。日差しは暖かく、雲の少ない青空が広がっていた。
・・・今日は暖かそう。洗濯物が良く乾きそうね。
真っ先にそんな事を考える。ネリーやシアーの前で言ったら勿体無いだとか年寄り臭いだのと言われそ
うだ。尤も、実際に言ったらただでは済まさないけれども。
街並みに光はまだ少なく、店の開いてる気配もない。ほとんどの家は寝ているようだった。
数分ほど外を眺めた後、私は窓に背を向けた。
・・・こんな良い日だったら、下で寝ている子供たちは大はしゃぎで遊びまわるんでしょうね。
数刻後の忙しさを思い息を吐いた。そして、自分が微笑んでいる事に気がついた。
一日中、いつも以上に慌しくなると予想出来る朝。子供たちは遊んで服を汚すし、はしゃぎ過ぎてなに
かしら物を壊してしまうかもしれない。
それでも、微笑んでしまうのはきっと・・・。
今が、私が一番望んでいた風景だからなのでしょうね。
End.
初書き込みで初SS投稿です。短い上に突発です。規約とかあったらゴメンなさい。
>>152 許可していただきありがとうございます
読み直してみるとたしかにわかりにくいですねf^_^;
次回からはもっとわかりやすく書こう…
まったりライダーなので、3倍遅いってのも間違いじゃなかったりw
>>156-157 乙です。
これセリアさんの話でよござんすね?
なんかしらんけど最初クォーリンかと思ったw
規約は18歳未満立ち入り禁止以外特に無いと桃割れる。
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| 悪霊退散☆悪霊退散♪
⊂ヽ y_7
(( ノ卯 !
く/_|_リ
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
|∩| ゚ヮ゚ノl| 妖怪あやかし困ったー時は♪
((ヽヽ y_7ゞ
ノ卯 !
く/_|_リ
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| どーまん☆せーまん☆どーまん☆せーまん♪
j ((つy_7ゞ
ノ卯 !
く/_|_リ
__ ☆
「,'´r==ミ、 /
くi イノノハ)))/)
| l|| ^ヮ゚ノl|/ 助けてもらおう陰☆陽☆師!Let's GO!♪
j /ヽ y_7
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
アネ☆たんとしようよ!
第二詰所のみんなに弟ができました
ネリシアは遊び相手ができたと大喜びし
セリアとハリオンは母性愛全開なダダ甘ぶりで
ヘリオンは姉としての威厳を見せるつもりが、いつも失敗して面目丸つぶれで…
……ここまで考えて「何この劣化ロティ」と自分でツッコミ入れてしまったorz
【お題:姉にするなら誰?】
※登場するキャラクターは全員18歳以上です
※登場するキャラクターは全員主人公よりも年上です
※お姉ちゃん(ファーレーン)はニムだけのお姉ちゃん
とりあえずロティお姉さまを頂きますわ
>160
まず自分自身を祓ってからだw
>156-157
GJ
幸せの風景。手に馴染んでいたはずの得物も包丁に代わって。
スピリットが手にした果実は甘いだけじゃないかも知れないけど、上を向いて歩こう。
>161
ニムントールお姉ちゃ〜ん
「な、なに? 付いてこないで」 とか言いつつ脂下がった目配り気配り独占欲。
>>674のぞき部屋ならまだいいんじゃね?
俺の知り合いはラッキーホールっていう所でバイトやったことあるらしいが。
個室の壁に穴があいていて、客はそこにチンコつっこむんだって。
で、壁のむこうには女がいることになってて、テコキしてくれると。
でも実際にいるのは女じゃなくて男で、そいつはゴム手袋つけて
壁の穴から無数に飛び出してくるチンコを手でシコって射精させてたってさ。
中にはゲイのバイトが喜んでフェラしてたらしい。
客は女にフェラしてもらえてラッキーと勘違いするらしいが。
すさまじく底辺な職業がこの世の中にはあるものだと思ったものだ。
誤爆
シアーお姉ちゃん、もしくは時深お姉さんを希望。
この二人は年上(時深さんはある意味超越してるが)の場合、色々と奥が深くて面白そう。
時深お姉さんと言う呼び方に激しく違和感を覚えた
時深の場合obsnしか思い浮かばなウワナニスルヤメr(AA略)
便宜上obsnと呼ばれてるが
実際はobsnってレベルじゃね-ぞ
「あ、エヒグゥ」
「わっ!お、お姉ちゃんどこ行くの!?」
シアーの場合、見たものに興味を持つから色々と振り回されそうだ…
grandobsn
>>159 ありがとうございます。
その通り、セリアです。髪の辺りで思い至って頂けると幸いです。
obsnを姉と呼ぶなら「ときねぇ」という呼び方を提案。
召還呪文きましたので・・・・・
" タイムアクセラレイト
´∴ # __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
/ | | |\ \ ´ ∴ ヾ .
・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . .... . . .
↑
>>167-169 __
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
obsnだから横文字に弱いのよ
" タイムアクセラレイト
´∴ # __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
/ | | |\ \ ´ ∴ ヾ .
・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . .... . . .
↑
>>167-169>>171>>172>>174>>175 「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <これで修正完了ね♪
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
新しい呼び名を提唱した
>>172までも容赦なく修正とは。
さすが時深さん、俺たちにできないことを軽がるとやってのける!
そこに痺れる憧れるゥobsn!
179 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 22:59:40 ID:+/OuD7vz0
戦乱は、終わらない。
力とは、何か。望みとは、何か。己とは、何か。
その問いには、敢えてこう答えよう。
奪うこと、為すべきこと、そして遣わされた戦乙女(ヴァルキュリア)――――と。
「……まさか、貴女だったなんて、ね」
コバルトブルーの瞳を持つ妖精が、呟く。
「譲りませんよ。たとえ貴女が本気だとしても」
ピーコックグリーンの瞳を持つ妖精が、応える。
「へぇ、譲る? ……全く、何を言い出すかと思えば。アレは最初から私のものよ。貴女のものじゃない」
妖精は、剣に送りこむ。水の加護の元、青藍に輝く力を。
「もの? ……フ、貴女に"もの"扱いされる謂れはありません。私は私の大切な存在をただ護るのみ」
妖精は、刀に送り込む。闇の加護の下、漆黒に輝く力を。
「言うじゃない、泥棒猫の分際で。いい機会だわ、貴女とは一度本気で勝負してみたかった」
「そうですね、不本意ながら同感です。尻尾の生えた猫など、こうなる前にもっと速やかに退治すべきでした」
「……」
「……」
二人は無言で翼を広げる。それは眩く照らす暗黙の了解。これから始まる戦への狼煙。
石造りの巨大な壁に、二つの影が林立する。同じように美しいシルエット、そして同じように羽ばたく白翼。
それでも互い、譲れぬ信念の為に戦う宿命(さだめ)の存在。その名、妖精――――スピリット。
「ハアァァァァァッッ!!」
「イヤアァァァァッッ!!」
―――― 戦いが、始まる。
==================================================
180 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:01:28 ID:+/OuD7vz0
エハの月緑よっつの日。
城の警護任務を終えたセリアは詰所への道をすたすたと、競歩のように歩いていた。
規律の塊のような彼女の辞書には道草などという単語は勿論存在しない。買い食いなどはもってのほか。
したがって城下の町を通りがかったのもそれがたまたま最短ルートだったというだけの話であり、特に用事があった訳でも無い。
休日でもあり、大通りは人並みでごった返している。しかしそれでもセリアは堂々と、その中心を構わず進む。
驚くべき事に蒼く流れる美しい後ろ髪さえをも群衆を避けるように颯爽と靡せながら。
それはまさしく闊歩と呼ぶに相応しい足の運び。だがしかし、人間にぶつかるなどといった粗相は決して起こり得ない。
何故ならぶつかろうにも氷原のように凛とした威厳のようなものを撒き散らしながら歩いてくるスピリットに
気後れした民衆はまずその美しさに目を奪われ、続いて気高き雰囲気に圧倒され、勝手に道を空けるのだから。
本人にしてみれば特に気を張っている訳でもなんでもなく、ただ普段から自分を律しているその厳しさが
立ち居振る舞いに現れているだけなのだが、ただの一般市民にはそんな深過ぎる事情を窺い知る術などは無い。
その、まるでモーゼの伝説みたいになってしまった街並みで、ふととある看板がセリアの前に立ち塞がる。
無闇に大きく派手な装飾を施された木造の板は、昨日までは確かに無かったもの。
見覚えの無いそれに対し不審を感じたセリアは早速きびきびとした動きで近づき、そこに大きく書かれたヨト語に目を通し、
―――― バレンタインフェア! 意中の貴方に想いを篭めて一撃必殺パワーストライク! ――――
181 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:03:17 ID:+/OuD7vz0
そして看板に頭を打ち付けていた。丁度こう、『熱病』をつっかえ棒にして辛うじて全身を支えているような格好で。
「いつの間に……根付いてたのかしら」
確かにここ数年この時期になると、何故か流行り病のように一部スピリットに感染してはいたが、遂に人間にまで。
激しい眩暈がセリアを襲う。そしてそれは注目していた群集も同じだったらしく、ざわっとしたさざめきの中で、
手を差し伸べるべきかどうか判断に戸惑う者やひそひそ声で囁き合う者が続出し、辺りを異様な空気が包んでいく。
それは現実世界で例えるなら終電で突然倒れた酔っ払いに遭遇してしまったような、そんな気まずい流れだろうか。
セリアは、焦った。いくらショックだったとはいえ、この体勢は間抜けすぎる。
出来れば今すぐにでもこの場を逃げ去りたい所だが、さっきから背中に突き刺さってくる哀れみの視線の数が普通じゃない。
これだけ衆目を集めている場所で醜態を演じ、尚且つ逃げたとなると折角最近回復しかけているスピリットの沽券にも係わる。
勝手に顔に、血が昇ってくる。いけない、咄嗟に判断したセリアは開きかけたウイングハイロゥを閉じ、
視界の隅に見えていた「それ」を素早く手に取り、何事も無かったかのように顔を上げ、後ろ髪を払う仕草で周囲を牽制し、
看板の隣でエスペリアのようなメイド服を着た女の子に動揺を悟られないよう普段通りの口調を装い、低く短くこう呟いていた。
「これ、下さい」
==================================================
182 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:05:57 ID:+/OuD7vz0
同じ頃城下町の別の一角では、また違った空気に支配されている民衆の群れがあった。
セリアが突っ切っていた大通りほど人通りは激しくないが、それなりの数が輪を為している。
その中心で、おろおろと頼りない様子で辺りを見回しているのはすらっとした細身の美少女。
地味な真っ黒の戦闘服を着込んではいるが、質感のある太腿やきゅっと締まった脹脛を抑える黒のニーソックスが半端に艶めき、
例えば鈍い銀色の籠手に覆われた手から覗く白魚のような細い指で額の汗を拭うなどという仕草をちょっとでも見せようものなら
通りすがりの男達の足がたちどころに止まってしまうのは、ボリュームの目立つ胸元からどうしても目が離せないというよりは、
その瞬間兜から垣間見える澄んだ眸や長い睫の意外に清楚な雰囲気に呑まれて一時的な金縛り状態になってしまう為である。
頭上を見れば光輪が浮かんでいるのでスピリットとは認識出来ても、歩く速度はどうしても落ちてしまい、その結果生み出されたのがこの自然渋滞。
そんな訳でファーレーンとしては城での任務の後たまたま買物に寄ってみただけなのだが、いつの間にか周囲は男だらけになってしまっており、
どうやらその中心が自分らしいと悟ってからは焦り、更にはその理由に皆目見当も付かず戸惑い、遂にはこうして立ち止まってしまっている。
しかしその儚げな仕草が逆に民衆感情を刺激してしまっている事に、彼女は全く気がつかない。ただ仔犬のように縮こまり、怯える。
「困りました……」
赤面症を持ち合わせているくらい生来内気な彼女が持ち合わせている防衛本能。
それがさっきから、このままでは声をかけられてしまうのも時間の問題とひっきりなしに警告してきている。
そしてそれが自意識過剰ではないという証拠にさきほどから、何かを言いたそうな若い人間の男性が数人、
互いに肘をつつき合いながらこちらを窺いつつ段々と近づいてきているのでも判る。
困る、これが本心だった。相手にではなく、自分側の事情で。覚束ない視線でどこかに逃げる場所は無いかと捜し求める。
ふと、小洒落たいかにも女性しか入れないような、つまりはこれ以上苦手な男性に追いかけられないような店が目に止まった。
地獄、もといバルガー・ロアに仏、もといハイペリア。ファーレーンは夢中でそのピンク色に彩られた建物の扉を押し開き、
C
184 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:08:50 ID:+/OuD7vz0
―――― いよいよバレンタイン! 内気な貴女も勇気を出して恋愛イグニッション! ――――
危うくへたり込みそうになった。丁度こう、『月光』に両手で縋りついたままずるずると腰を抜かしたように。
「……どうしてよりにもよって」
激しい眩暈がファーレーンを襲う。たしかにこの時期、毎年一部スピリットの間で話題に上ってはいたが、遂にこんな所にまで。
目に飛び込んでくる極彩色の、踊るように巨大な文字が華やか過ぎて泣きたくなってくる。
第一恋愛どころかまず対人恐怖症をどうにかしたい彼女にとっては、そんなイベントは苦痛でしかない。
普段と何にも変わらない筈なのに、それをテーマに盛り上がる仲間達の楽しげな様子に、何故か一方的に突きつけられるのは寂寥感。
その理不尽さに何度拳を握り締め、人知れず詰所の裏手に回っては壁に向かい『月光』で峰打ちを繰り返してしまったことか。
「……はっ」
ふと、自分に注目する視線群に気がついた。店内はこじんまりとして、所狭しと陳列された棚の列により空間は一層狭められている。
そんな中でひしめき合っていた数人の客や店員が突然の闖入者に対し、興味を抱かないわけは無い。
ましてや飛び込んできたのはくびれた腰に吊るした『月光』を見るまでも無くスピリット。そしてスピリットに美形が多いのはこの世界の通念。
兜を被ったやや珍妙な格好だが、入ってくるなり座り込みそうになり、更には恥じらいにも似た挙動不審を繰り返しているのだから嫌でも目に止まる。
ファーレーンは、窮した。彼女の折り目正しい観念では、乱入し、このまま何も買わずに出て行くのは店の迷惑に他ならない。
ましてや最近ようやくイメージが良くなりつつあるスピリットに対しての世論が、このはしたない所業のせいで崩れはしないか。
そしてそんな取り越し苦労のような事を心配している間にも、その場の一同の追及するような視線はありとあらゆる方向から突き刺さってくる。
顔は既に全身の血が集められたかのように熱く、もう一刻の猶予も無い。ファーレーンはふらふらと夢遊病者のように彷徨うと、
手に触れた「それ」を掴み、朦朧と雲の上を歩いているような感じで見知らぬ女性店員へと近づき、蚊の鳴くような声でこう囁いていた。
「あの……これ、下さい」
185 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:09:55 ID:+/OuD7vz0
==================================================
「あのぉこれも、えっとこれもですねぇ〜」
同じ頃、レスティーナによる金銭的支援を受けているハリオンは。
「なぁ嬢ちゃん、そんなに買って大丈夫なのかい、お代。城に取りに来いってのは勘弁だぜ?」
「あらあらぁ〜? 大丈夫ですよう、ほらぁ〜」
「おおおおおっ?! 買いねぇ、ホラこっちも買いねぇ!」
「あららぁ、ありがとうございますぅ〜」
また別の一角で、お菓子屋設立の為の資金を義理チョコ購入に当て、ふんだんに横領を繰り返していた。謝れ、文○科学省に謝れ。
186 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:12:08 ID:+/OuD7vz0
==================================================
屈辱だった。
場の勢いとはいえ、有り金叩いてこんなものを購入してしまうとは。折角欲しい髪留めの為にせっせと貯金していたというのに。
「……無様ね」
セリアは自室に戻ってくるなり備え付けの椅子に乱暴に腰掛け、机に両肘を付き、その間に顔を埋めていた。
目の前には手の平に乗りそうな位のチェック模様の紙袋。漂ってくる甘い匂いが凹んだ心に嫌でも現実を突きつけてくる。
溜息をつけば綺麗にラッピングされた黄色いリボンの結びが気持ち良さそうにゆらゆらと揺れ、陽光を受けてファンシーに光り輝く。
「……なによ」
思わず小さな唇を窄めて悪態をついてみるが、箱は何も答えてはくれない。ふと、リボンの間に紙のようなものが挟まっているのに気づく。
「何かしら……これ」
手に取り、二つ折りになっているそれを何気無く開いてみる。するとヨト語で"愛しのソゥ"。その後が空白になっていて丁度名前を
「……」
一瞬握り潰して壁に叩きつけてやろうかとも思ったが、ぐっと思い留まる。スピリットは、実際として現金収入というものが殆ど無い。
まがりなりにもその僅かな備蓄と引き換えに手に入れたものを、無碍には扱いづらい。
一度大きく深呼吸をして短気を抑えつけ、無意識に考え事をする時の癖で長い前髪をくるくると指に巻きつけながら、
どうせ贈る相手なんていないわよと悪態をつき、じっとそのメッセージカードを睨みつける。そうしてしばし。
「……まぁ本当に贈るつもりなんかないけど、もったいないし。試しよ、うん、試し。本当に贈るつもりなんてないんだから」
机に並んだペンを取り、放っておくと果てしなくループしそうな呟きと共に何かを書き込み始める。
「――――うん、こんなものか。……いけない、訓練の時間に間に合わないわ」
そうして書き終え、心なし満足したような表情を浮かべた後、窓の外の太陽の位置を確かめ、そしてセリアはそそくさと出て行ってしまう。
187 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:14:12 ID:+/OuD7vz0
ぱたぱたという忙しない足音が遠ざかったセリアの部屋。そこに設置されたベッドの上で、寂しそうな呟きが漏れる。
「……無視された」
セリアが入室してくるずっと前から帰りを待ちつつ『存在』の手入れをしていたアセリアが、ゆらっと立ち上がる。
ずっと話しかけてはいたのだが、完全放置状態。一見普段と表情に変わりは無い。が、精神的ダメージは計り知れない。
アセリアは机に近づくと、置き去りになっていたカードの文面を覗き込む。セリアが何に夢中になっていたのかを確かめる為に。
「ん。任せろ」
読み終えたアセリアは何故か瞳を爛々と輝かせて力強く頷くが、誰も何も頼んではいない。
==================================================
188 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:15:56 ID:+/OuD7vz0
屈辱だった。
物の弾みとはいえ、有り金叩いてこんなものを購入してしまうとは。折角ニムに似合う髪留めの為にせっせと貯金してきたというのに。
「……無様ですね」
ファーレーンは自室に戻ってくるなり備え付けの椅子にへたり込み、机に両肘を付き、その間に顔を埋めていた。
目の前には手の平に乗りそうな位の(ry
漂ってくる甘い匂いが凹んだ心に(ry
溜息をつけば綺麗にラッピング(ry
ふと、リボンの結びが(ry
「……なんでしょうか」
手に取り、二つ折りになっているそれを何気無く開いてみる。するとヨト語で"愛しのソゥ"。その後が空白になっていて丁度名前を
「な、な、ななな」
一瞬にして顔を真っ赤に茹で上げ、熱くなった耳を両手で押さえ、いやいやを繰り返す。目元が急速に潤み、覚束無い。
聞きかじった情報を掻い摘んでみると、贈る相手=男性。しかもその行為の意味するサイン=愛の告白。
この構図から勝手に連想されてしまうのはすなわちあわわわわ私ったらなんてはしたない事を。
深呼吸を繰り返し、なんとか気持ちを落ち着かせる。冷静に、そう自分に言い聞かせていると、ようやく鼓動も収まってきた。
無意識に兜を脱ぎ、そっとメッセージカードを手に取る。ファーレーンは、真面目に考え込んだ。そうしてしばし。
「……そう、これはきっと、マナの導きです。このままじゃいけないと、与えられた試練なのです。だから目を背けては駄目なのです」
机に並んだペンを取り、放っておくと果てしなく宗教になってしまいそうな呟きと共に何かを書き込み始める。
「――――ふぅ、練習ですしこんなものですよね。……いけない、訓練の時間。急がないと」
そうして書き終え、決心を漲らせたような表情を浮かべた後、窓の外の太陽の位置を確かめ、そしてファーレーンはそそくさと出て行ってしまう。
189 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:19:04 ID:+/OuD7vz0
ぱたぱたという忙しない足音が遠ざかったファーレーンの部屋。そこに設置されたベッドの上で、不機嫌そうな呟きが漏れる。
「……無視された」
ファーレーンが入室してくるずっと前から帰りを待ちつつ『曙光』を抱え込んでいたニムントールが、ふらっと立ち上がる。
ずっと話しかけてはいたのだが、完全放置状態。表情は今にも泣き出しそうで、その精神的ダメージを窺い知る事が出来る。
ニムントールは机に近づくと、置き去りになっていたカードの文面を覗き込む。ファーレーンが何に夢中になっていたのかを確かめる為に。
「……お姉ちゃんの為なら」
くしゃっとカードの端を強く握り締めたニムントールは何故か瞳だけが笑ってはいないが、憂さ晴らしの対象は既に定めている。
==================================================
190 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:21:36 ID:+/OuD7vz0
『ああああああああああーーーーーーーーッッ!!!』
『無い、無い、ありません、どうしてーーッッ!!!』
訓練直後、第二詰所のとある二部屋で。普段めったに聞くことの出来ない黄色い悲鳴が見事にハモり響き渡っていた。
「え、え、やだ、確かにここに置いたわよね私?」
慌てふためいたセリアはベッドの下まで覗き込み、
「そんな、どうしましょう、だってあれには」
錯乱したファーレーンは机の引き出しを片っ端から開き、
「嘘でしょう、試しに書いてみただけなのに、ちょっと真似してみたかっただけなのに!」
「皆さんが楽しそうだから……ただどんな気持ちなのかなって……それだけだったのに!」
「まさか失くすなんて……どうしよう……もし誰かに見つかったらやだぁぁぁ」
「これで赤面症が治るなんて思ってはいませんでしたけど。でもでも渡すつもりなんていやぁぁぁ」
うかつにロクでもない最悪の結末を想像しては勝手に悶え苦しむ。
次第に幼児退行を起こしそうな思考を懸命に立ち直らせようとあひる座りのままぶんぶんと激しく首を振り、
「……そうだ! 室内訓練場!」
「……そうです! きっとあそこに忘れて!」
二人は同時に立ち上がり、そして一斉に疾風の如き勢いで部屋を飛び出していた。
==================================================
191 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:23:24 ID:+/OuD7vz0
「はっ、はっ……あ……こほん」
「はぁはぁ……え? セリア?」
「どうしたのファーレーン。何か忘れ物?」
「え、ええまぁ。それよりセリアこそどうしたのですか? そんなに息を切らせて」
「え? 私? ええとその」
「……」
「……」
本日の営業も全て終了し、ひっそりと静まり返った室内訓練場。
どの国でも用意されているこの手の施設だが、ラキオスでは珍しく城の地下に設置されており、
そういった事情もあってか、いざ戦いの舞台となった場合を想定し、ここは通り抜け可能となっている。
つまり、東と西と。両端に開かれた扉の前で、細長い訓練場を間に挟み、二人は対峙している。
そう、まさに対峙。双方、もはや無人と信じていた場所での闖入者との遭遇は、互いの姿を確認した途端、牽制へと変わる。
なにしろ、仲間とはいえ、他者がいては例のブツの探索は出来ない。有体に言ってしまえば邪魔そのもの。
むしろ仲間なだけに質が悪い。お互い口の堅さには定評があるが、万が一バレてしまえば身の破滅を意味する。
そんな追い詰められた心境が二人の探るような視線に篭められ、行動を慎重にさせ、緊張感が足を止めさせる。
「……忘れ物、取りに行かなくていいの?」
「お構いなく。セリアこそ、何か探しているのでしたらそちらを先に手伝いますよ?」
「気にしないで、大したものじゃないから。ファーレーンこそニムが待ってるんでしょ? 早く済ませて行った方がいいわよ」
「……面妖しいですね。まるで私をここから早く追い出したい、そのように聞こえてきます」
「変なこと言うわね。貴女の台詞だって聞きようによってはそう聞こえるわよ」
「……」
「……」
192 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:25:33 ID:+/OuD7vz0
油断無く相手の挙動を窺いながら、目線だけを忙しなく動かす。後ろめたさが発言を剣呑なものにさせている。
セリアは未だ、ウイングハイロゥを大きく開いたまま。ファーレーンも未だ、ウイングハイロゥを大きく開いたまま。
煌々と白く室内を照らす二翼が臨戦態勢を物語り、神剣の構えを解かずにいるのが互いの不信感を募らせる。
暫しの沈黙。ぴりぴりと張り詰めた空気の中、馬鹿馬鹿しい雰囲気に疲れたのか、最初に折れたのはファーレーンだった。
「……ふう、判りました。実は大切な物を失くして探している最中です。ごめんなさい、つい喧嘩腰になってしまって」
呆れるような仕草で肩をすぼまし、降参の体勢を取り、すたすたと歩み寄る。
すると急に気を抜いたファーレーンに対し流石に気まずくなったのか、セリアもぽりぽりと頬を掻きながら近づく。
「ううん、こっちこそごめん。私も柄にも無く取り乱しちゃって。でも偶然ね、私も大切な物を失くしてしまって」
「あら、そうなのですか? では、一緒に探しましょう。具体的にはどのような形をしているものなのですか?」
「え゙? あっと、その……大事な物。それが無いと……と、とにかく困るの!」
「? 落ち着いてセリア、説明になっていませんよ。それでは探せないじゃないですか」
「あぅ……ファ、ファーレーンは? ファーレーンが探しているものはどんな形をしているの?」
「え゙? あ、その……大事な物です。それが無いと……と、とにかく困るんです!」
「? 落ち着いてよファーレーン、それじゃ説明になってないわ。一緒に探せないじゃない」
「……」
「……」
193 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:27:40 ID:+/OuD7vz0
「……で、では、同時に、ということで」
「……そ、そうね、それがいいわね」
「念の為に窺いますが、これはその」
「判ってる、二人だけの秘密。絶対に」
「はい。絶対に。それでは……せーの」
「せーの」
「黄色いリボンでラッピングされた、甘い匂いのするこんな小さな箱です」
「黄色いリボンでラッピングされた、甘い匂いのするこんな小さな箱よ」
「……」
「……」
「……あの、一応、一応ですが、その箱に、その、小さなカードは挟まっていませんか?」
「ええ……ってまさか、貴女の探しているものって」
「……」
「……」
二人の瞳に、それぞれの戸惑う顔が映り込む。しかし、それも束の間。不審が確信へと変わる瞬間。
お互い、相手の性格などは知り尽くしている。どう考えても「アレ」を購入する可能性など有り得ない。
なのに、その存在は知っている。となると答えは一つ。
―――― キンッ!
目に視えない速度で打ち抜かれた『月光』。そして目に追えない速度で振り切られた『熱病』。
二閃は震える空気だけを残し、遅れてきた衝撃が鋭い音を発した時には、二つの影を逆方向へと弾き返している。
セリアは痺れる腕を庇いながら大きくバク転をし、ファーレーンは足場にした地面が削れるのを感じながら脹脛に力を入れる。
ふわりと降り立ったコバルトブルーの瞳と、膝を軽く折った居合いの姿勢を崩さないピーコックグリーンの瞳がぶつかり合う。
これは、悲劇。ラキオススピリット隊でも屈指の、いや、大陸全土でも十指に数えられる程の実力を持ち合わせる、青と黒の妖精。
その対決は、後に振り返ってみてもほんの些細な、しかし歴史の多くがそうであるように、本当にささやかな誤解から始まってしまっていた。
194 :
名無しさん@初回限定:2007/02/13(火) 23:29:25 ID:Tj1YphPY0
4円
195 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:30:00 ID:+/OuD7vz0
「……まさか、貴女だったなんて、ね」
とーんとーんと軽く爪先だけで跳ねながら、セリアは呼吸を整える。相手は第6位神剣『月光』の担い手。
神剣の位だけでまともにぶつかっては勝ち目は無い。しかし伊達に仲間を長くやっている訳でもない。
相手の長所と同時に弱点とかついでに赤面症も知り尽くしているし、属性も違う。活路はそこに見出せる。
「譲りませんよ。たとえ貴女が本気だとしても」
ぐっと深く身を沈めながら、ファーレーンは息を潜める。相手は第7位神剣『熱病』の担い手。
神剣の位だけならこちらの方が有利だが、油断は出来ない。伊達に長く共に戦ってきた訳ではない。
時折見せてきた彼女の「キレ」は色々な意味で脅威だし、属性も違う。不確定要素がそこに生まれる。
「へぇ、譲る? ……全く、何を言い出すかと思えば。アレは最初から私のものよ。貴女のものじゃない」
セリアは、不敵に微笑む。まるで遅刻した生徒に対して正義は我に有り、と偉そうに嘯く学級委員長かなにかのように。
「もの? ……フ、貴女に"もの"扱いされる謂れはありません。私は私の大切な存在をただ護るのみ」
ファーレーンは、不遜に昂じる。まるで飼い犬に手を噛まれて初めて残虐な本性を見せる、良家の子女かなにかのように。
「言うじゃない、泥棒猫の分際で。いい機会だわ、貴女とは一度本気で勝負してみたかった」
「そうですね、不本意ながら同感です。尻尾の生えた猫など、こうなる前にもっと速やかに退治すべきでした」
「……」
「……」
二匹の雌豹が火花を散らす。雄雄しく羽ばたく4枚の白翼。それは狭い室内に、平等に殺意を撒き散らしながら舞い踊る。
神剣から発せられる圧倒的なマナの奔流は、既に生きとし生けるものの、この場所における生存権を根こそぎ奪い去っている。
唯一残る二騎の戦乙女の戦いを、阻む生者はもう居ない。刻まれるのはただ、修羅たるバルガーロアへの道程(みちのり)のみ。
「ハアァァァァァッッ!!」
「イヤアァァァァッッ!!」
二人は、同時に動く。
スピリット同士で、かつての如何なる戦史にも無いほどの規模で行なわれたガチンコ勝負は、こうして実に下らない理由により幕を開けた。
196 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:32:14 ID:+/OuD7vz0
==================================================
丁度城の地下が異様な地響きで震えていた頃、ハリオン・グリーンスピリットは第二詰所で年少組に義理チョコをばら撒いている。
「えーいいのぉ?」
「お、おやつの時間じゃないよぉ?」
「ええ〜。年に一回ですからぁ」
「やったー! ね、ね、シアー、早く部屋で食べよ!」
「え、う、うん……あの、ハリオン、ありがとね」
「はいはい〜……さ、ヘリオンもぉ」
「あ、ありがとうございます! ……じゃなくて、あのぅ、一つ窺いますけど」
「はい〜?」
「これってバレンタインチョコ、ですよね?」
「おやおやぁ〜? ヘリオンさんは、物知りですぅ〜」
「いえ、ですからこれは本来異性に送るものではないかと。あ、いえ、そうじゃなくて、良く言われているんですけど受け取ると3倍返」
「ヘリオンさん〜?」
「はははは、はい?!」
「ホワイトデー、楽しみにしていますねぇ〜」
「ふえぇぇぇぇ〜〜〜ん!!」
「う〜んそれはそうとニムントールさんの姿が見えませんねぇ」
「……貴女ねぇ、その辺で止めときなさいよ」
廊下の壁にもたれかかって腕を組み、呆れて様子を眺めていたヒミカが口を挟む。
「大体そんなので資金が増える訳でもないし、増えても嬉しくないでぐぼっ」
「ほらほらぁ〜、美味しいですかぁ、ヒミカぁ〜」
「ぐもっ! ぐむっ、んんんんんっ!!」
無理矢理口に箱ごと突っ込まれ、酸欠状態で悶える赤い髪。無理矢理口に箱ごと突っ込み、それでいて微笑みを絶やさない緑の瞳。
ヒミカは決して無抵抗では無い。レッドスピリットとしての矜持が『赤光』にマナを送り続けている。
しかし阻むのは、それ以上に威力の増した『大樹』のシールドハイロゥ。膨れ上がった厚みが炎を通さない。
「こういうのはぁ、"お祭り"だから楽しいんですよぉ〜」
「んんっ! んんんっっ!」
必死で頷くヒミカは、後にその時のハリオンをこう評した。"敵にだけは回したくない。ただそれだけよ"。
197 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:34:34 ID:+/OuD7vz0
==================================================
すれ違いざま空気を裂いた二筋の烈閃はセリアのブルーニーソックスを裂き、ファーレーンの兜を吹き飛ばした。
幸か不幸か視界の広がったファーレーンから、爆発的な黒のマナが迸る。一方で太腿を晒されるという恥辱を受けたセリアも同様。
訓練施設の壁に綺麗な断絶が発生したとか、天井を支える為の柱が一本崩れ落ちたとかはこの際どうでもいい。二人は一度間合いを外す。
「ちょ、貴女今、本気だったわね?!」
「何を今更。手加減していると今度は……クスクス、命を失くしてしまいますよ?」
「ッッ! このっ!」
既に全力を振るったせいで『月光』の意識が紛れ込んでいるとしか、ファーレーンの皮肉と艶めいた笑みには説明がつかない。
セリアは激昂しかける理性を必死に抑え、胸の中に左手を畳み込み、右手だけで牽制のように『熱病』の剣先をゆらゆらと揺らす。
ファーレーンの速度は、尋常では無い。今、初めて本気の彼女と手合わせして改めて確信した。それはまるで獣のような"しなり"。
「……この動き、見切ることが出来ますか?」
「!!!」
雲散霧消の太刀。戦場では見慣れた、敵を瞬時に撫で斬りに刻む神業。
ファーレーンが跳ねた、そう知覚した途端、ぞっ、と背中に冷たい水を浴びせられたような悪寒が走る。
「……馬鹿ね、水は私を加護するものじゃない。マナよ、我に従え 彼の者を包み――――」
詠唱は、セリアの掌にぼうっと仄かな光を灯らせる。薄く青を引いた白い玉のようなそれは渦を巻き、波のようにうねり。
ほんの一瞬に行なわれるやり取り。その刹那の一瞬で、ファーレーンは体得した全ての動きを持って間合いを詰める。
石畳がばきばきと音を立て、足跡の形に"はつられ"ていく。風を切り抜けるたおやかな唇に、高速の詠唱が乗せられる。
198 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:37:14 ID:+/OuD7vz0
「神剣よ、我が求めに答えよ――――」
そしてこれが、 二段階の攻撃。ブラックスピリットとして、ファーレーンが最も得意としていた技。
相手の速度を落とし、自分の速度を最大に生かす。ファーレーンはまず右手に篭められた黒の波動を目標へと放とうと。
「恐怖にて彼の者の心を縛れ――――え?」
そこで、動きが一瞬止まる。セリアの姿は、太い柱の影へと隠れていた。そこに留まるというのではない。
まるで一息のタイミング、ファーレーンの神剣魔法が放たれるその瞬間を、狙ったようなステップで。
緩やかに流れていく蒼い髪がいやに緩やかな軌跡を描き、流れていく。しかしその美しさに目を奪われている場合でもない。
「深き淵に沈めよ、エーテルシンクッ!」
「ッッテラー!」
ファーレーンが咄嗟に軌道を修正したのは正しかった。セリアは打ち消されてしまうのを覚悟の上で、エーテルシンクを放つ。
属性が違うので、その威力をお互い中和したりはしない。衝突したマナは多少推進力を失いながらも標的へと突き進む。
ただ、減速をした分回避可能にはなっている。問題は、避わす時の体勢。一瞬でも隙を見せればお互いに見逃さないだろう。
迷いもせず、選んだのは絶対的な右回り。セリアから見て右方向へと動けば、左利きのファーレーンに不利なのは道理。
水平方面ではなく垂直に足場を求め、ウイングハイロゥを捻り、身を1/2π分だけ浮かび上がらせる。
――――― ズウゥゥゥゥン……
黒と白の光球が、激しくぶつかり合う。そしてそれが相互に威力を削り、消滅し合うのを待つ程呑気では無い。
セリアは訓練所の側壁を足場に駆け抜け、蒼のマナ舞う『熱病』を振り被り、ファーレーンの左側へと殺到する。必殺のヘヴンズスウォード。
「もらったわっ!! たぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
ファーレーンも間合いが"間に合わない筈"の『月光』を左手で構え、腰をぐっと下ろし、セリアの接近速度に合わせた距離調整を行なう。
「……負けるつもりはありませんよ。私だって、戦う理由があるんです!」
未遂のまま、封じられた雲散霧消の太刀。それを上回る、まだ実戦でも投入したことがない技。それをファーレーンは、今放つ。
「未完成ですけど……ッッハアァァァァッッ!」
――――― ドウッ
199 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:39:15 ID:+/OuD7vz0
「……こ、のっ!」
「ふ、ふふふっ! 見切れますか?!」
擬音が意味を成さないような、凄まじい熱源が両者を包む。
青白い石に鎧われた壁は木の葉のようにずだずだに刻まれ、必要以上に高く設定されているその天井までもが震え戦慄き。
ブルースピリット最大の一撃を防ぐのは、ブラックスピリット最大の技、星火燎原の太刀。
物理的には雲散霧消の太刀と比べ、繰り出す太刀の数こそ変わらないとはいえ、その全てが急所を狙っている必殺の技。
渾身の一撃がその斬撃を受けたちどころに打ち消されてしまうのを、セリアは驚きの表情で見送ってしまう。
振り下ろした『熱病』は、"無数"の『月光』によって阻まれた。細かく、『熱病』の分厚い刃の唯一点。
力場の支点、ただその急所だけを狙われて。ここにきて、ブラックスピリットの特徴でもある太刀筋の速さが発揮される。
セリアは攻撃を諦め、回避運動に入った。牽制になるかどうかはもはや当てにもならないが、咄嗟に"スフィア"ハイロゥをちらつかせ、
直ぐに変形させたウイングハイロゥを左右に巻きながら倒れこむような姿勢で壁を蹴り、重力とは斜め下方水平方向へと滑り込む。
一方基本、未知なる事象に対して杓子定規に同じ行動を繰り返してしまうファーレーンは、その程度の事態にも狼狽し、
去った『熱病』の脅威に合わせ跳躍しようと考えていた足腰の動きが自然に目標を失い、戸惑った挙句、つい目測で追ってしまう。
「しつこいですね……神剣よ、我が求めに答えよ、与えられし苦痛を与えし者に返せ――――アイアンメイデン!!」
―――― ドウッ、ドン、ドウン!!
セリアがウイングハイロゥの角度を調整し、滑空していく先の柱が次々と中央から大きな穴を穿ち、けたたましい音と共に崩れていく。
ようやく地面へと着地したセリアは懸命に、ファーレーンの周囲を駆ける。丁度半径を保ちつつ恒星の外郭を周回する惑星のように。
それはおおよそ、異様な光景。スピードでブラックスピリットに勝負をしかけるブルースピリット。
少なくとも史実として記録されたものに、そんな愚か者はかつて記載されたことが無い。しかしセリアは、敢えてこの手段を採った。
200 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:40:59 ID:+/OuD7vz0
「ファーレーン! 覚悟はいいわねっ!」
「っ! 臨む所です!」
幾つか切り裂かれ、柔肌を晒してしまっている身体に頓着もしない。
ファーレーンは既に兜を弾かれ、素顔を晒し。もう、恥ずべき余裕もその意味も感じられない。
こうなってくると、むしろ純粋に戦闘に特化した肉体ではない事が煩わしかった。意図した事では無いにせよ、胸のボリュームが重過ぎる。
振り切るように、『月光』を構える。確かに、防御だけでは埒が明かない。相棒の神剣からは、当然のように送られてくる"殺れ"の一言。
―――― ガ、ギンッ! ギギンッ!!
攻守は、完全に逆転していた。得意な筈の手数応酬戦で押され気味になり、ファーレーンは戸惑う。
「ふっ、ファーレーン、貴女また大きくなったわね?」
「な! ど、どうしてそれを!」
「それが貴女の、早熟たる所以よ……ハアッ!」
「……くぅっ!」
脇を引き絞った窮屈な競り合いにも拘らず、セリアは軽々とあの大振りな『熱病』を繰り出してくる。
一方細身の筈の『月光』を鞘に収めようとしても、ファーレーンの胸はそれの邪魔をしてしまう。
最もスピードの乗った居合いさえ封じてしまえば少なくとも互角の戦いに持ち込める、それがセリアの勝算。ちょっと虚しかった。
―――― ガガガガガガガガガガガガッッッッッ!!
201 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:42:47 ID:+/OuD7vz0
右袈裟、防ぎ返す左、弾き翻す左。そうして、無数に刻まれる刃合わせは続く。
そも、彼女達は、ただ秀逸なる技と類い稀なるスピードだけでこのラキオススピリット隊のトップクラスを維持していた訳ではない。
戦場における一瞬の優越など、当面の敵を退けてしまえばそれまでである。
それより何より彼女達が、敵よりも、そして仲間達よりも優れていたもの。それは、持久力。
戦局の初めから終わりまでを通して常に自分の持つ最高の技量を引き出すという、基本にして最強のもの。
第一それを持ち合わせていなければ、生き残れない。そんな過酷な戦場への繰り返しの投入や生真面目な訓練の末、培われた能力。
しかし驚くべき事にこの"戦闘"は、二人のその粘り強ささえをも奪い尽くそうとしている程の長期戦に及んでしまっていた。
セリアの猛攻を何とか凌ぎ、一時間合いを確保したファーレーンは呟く。
「はっ、はっ、はっ……やりますね、正直ここまで手こずるとは思いませんでした」
「それはこちらの台詞よ。でも……もうお互い、余力はあまり残っていないようね」
「そうですね。どうでしょう、次の一撃で終わりにしようと思うのですが」
「同感。……いくわよ。マナよ、我に従え。場を凍てつかせ、静寂となせ――――」
「マナよ、闇の法をもって我らが身に宿れ 力を倍化させよ――――」
二人は同時に剣を持たぬ方の拳を前方へと突き出し、そこへマナを収束させる。
唱えられるのは、双方戦場でも使ったことの無い裏技。あまりに危険すぎる為、封印してきた詠唱。
「――――サイレントフィールド!!!」
「――――ダークスプリング!!!」
あっという間に膨張した白と黒のマナが岩を穿つ滝のように流れ落ち、空間を満たす。
相乗効果の生み出す爆発的な殺傷力と完全に失われた抵抗力は、これまでの戦いを一瞬にして児戯へと堕としめていた。
「この一撃にっ!」
「全てを賭けるっ!」
白剣と黒刀は、一斉に踏み込む。間合いの中心、所謂死地へ、と。
==================================================
202 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:44:50 ID:+/OuD7vz0
「……なんだ、地震か?」
第一詰所の廊下を歩いていた悠人は、ふいに足元へと訪れた震動に眉をしかめ、立ち止まる。
一瞬敵襲、という単語が脳裏を掠めるが、『求め』を通して探ってみても、敵の気配は見つからない。
窓の外に映る城の影を眺めていると、何か良く知った気配同士がぶつかり合っているようだが、恐らく訓練場だろう。
「誰だかしらないけど熱心だなぁ……って殺気!?」
唐突に背後から感じた攻撃の気配に、慌てて『求め』を構えつつ
「――――ぶべらっ!」
振り返った悠人を待ち受けていたのは、顔面への衝撃だった。
何かがめり込んだ、そう判断する前に、目の前にちかちかと複数の星が点滅する。
「〜〜〜っ痛ーーーっっ」
鼻の奥がきな臭い。衝撃で仰け反りかけた体勢を立て直し、廊下の先に立つ人物を確認する。
すると丁度決め球で見事打者を三振に仕留めた野球の投手が余韻に浸っているかのような体勢で、腕を伸ばしたままのニムントールの姿がそこに。
「おいっ! いきなり何す」
「フンッ! ありがたく思いなさいよ、なにさユートのくせに!」
ぱたぱたぱたぱた。
「……をい」
文句を言う暇さえ与えず、ニムントールはそのまま駆け去っていってしまう。
「やれやれ、一体なんだって……ん? なんだコレ」
床に、くしゃっと歪んだ箱が落ちている。首を傾げながら膝を折り、屈み込んで拾い
―――― ヒュン
「……は?」
風切音に呆け、恐る恐る顔を上げる。
「ん、よく避けた、ユート」
そこには丁度直前まで悠人の後頭部があった場所を『存在』でフルスイングしたばかりのアセリアが立っていた。
恐らくまともに受けていれば頭部を丸々吹き飛ばしていたであろう青白いマナの欠片をちりちりと悠人の耳元辺りに散らしながら。
203 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:46:27 ID:+/OuD7vz0
「……なぁ」
「ん」
「ん、じゃない! 死ぬだろ?! なぁ、死ぬだろ?!」
「大丈夫、任せろ。急所は外した」
「いやもうこの威力、急所とか関係ないから! 闇討ちか? 闇討ちなのか?!」
「ユート、落ち着け」
「死に掛けたんだぞ、落ち着いていられるか! 大体ニムといい、俺になんか恨みでも」
「はい、これ」
「――――なにこれ」
「贈り物だ。喜べ」
「……」
悠人は黙って頭を抱えてしまう。果たしてこの少女と清く正しいコミュニケーションを交わせる日は来るのだろうかと。
「……あれ? これ……やっぱり。ニムが俺にぶつけたのと同じ箱だな。贈り物って……一体なんなんだ?」
「知らない。私はもう自分の部屋に帰るぞ」
「あ、ああ」
自分で渡しておいて、知らないって。
とても突っ込みたかったが、疑問をぐっと押し殺す。どうせ言ってもまともな返事が返ってくるとも思えない。
それより取りあえず、と手にした二つの箱を見比べる。すると二つとも、何かカードのようなものが挟まっていた。
「え、これひょっとして……まさか」
黄色いリボンやら可愛い包装紙や、気にしないようにしていた甘い香りが予想の正しさを裏付けている。
悠人は突然恥ずかしくなり、がしがしと照れながら二つ折りのメッセージカードをゆっくりと開いていった。
==================================================
204 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:47:35 ID:+/OuD7vz0
「んもう、喧嘩は、めっめっなんですぅ〜」
よくぞ崩落を起こさなかったものだと思える室内訓練場。
そこでハリオンは、人差し指を突きつけ、生活指導教師のような説教を始めていた。
出来の悪い生徒は二名。精魂尽き果てたといったような格好で仲良く背中合わせに座り込んだいい大人の女性。
あられもない程ぼろぼろになった戦闘服を気遣う余裕もないのかぜえぜえと荒い呼吸を繰り返し、四肢もだらしなく放り投げている。
壊れた人形のように首をかくんと項垂れ、雨に濡れた仔犬のような仕草からは、とても先ほどまでの勇ましい姿は想像出来ない。
ハリオンが第二詰所に居ない二人にも義理チョコの残りを配ろうと捜し求め、ここに辿り着いた時には丁度ビッグバンの真っ最中。
のんびりとシールドハイロゥで防いだが、凄まじい衝撃と爆煙の後、訓練所の中央付近で見つけた人影は肉弾戦へと突入しており、
お互いの髪を引っ張ったり爪を立てて相手の頬を引っかこうとしたり罵り合ったりであまりの見苦しさにもぅ見てらんない放送禁止状態。
幸いにして双方とも致命傷は受けていないようだが、どう考えても本気で女の戦争を敢行していたとしか思えない。
「はい、怒りませんからお姉さんに教えなさい〜。喧嘩の原因はなんですかぁ〜?」
「あ……えっと」
「それは……その」
もはや燃え尽きてしまっている二人はただ口ごもり、答えようとしない。妙に子供扱いな口調が気に入らないというのもあるのだが、
しかしこの場合、意地を張って頬っぺたを膨らまし、拗ねている幼稚園児二人には、実は反論する資格も無い。
なんですか、貴女が言いなさいよなどと小声で囁きながら肘を突付きあう度に、ハリオンの笑顔には「#」マークが増えていく。
そして遂には毅然とした態度で胸をぶるんと大きく震わせ、
「そうですかぁ〜? ではお二人ともぉ、治癒魔法はいらないのですねぇ〜?」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
緑雷を背中に背負った一喝の前に、今の消耗しきった体力ではとても歯向かえない。二人は同時に正座になり、ぺこりと頭を下げていた。
205 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:50:31 ID:+/OuD7vz0
「不思議ですねぇ、これだけの怪我ですのにぃ、裂傷は全然ありません〜」
治癒魔法をかけながら、ハリオンは暢気に呟く。
実際二人の服はずだずだに切り裂かれているのに、何故か柔肌には打ち身捻挫しか見当たらず、驚く事に出血も殆ど無い。
「……」
「……」
セリアとファーレーンは気まずそうにお互いを見やり、そしてそっぽを向く。真剣勝負とはいえ、相手は仲間。
峰打ちや寸止めで急所を外す位の理性はちゃんと残して戦っていた。だが、それを説明したくは無い。そんな複雑な乙女心。
「はい、終わりましたぁ。まぁ喧嘩は良くありませんけどぉ、ちゃんと手加減はしていたようですからご褒美ですぅ〜。じゃ〜ん」
どさどさどさ。
「……え?」
「あの、これって」
「街のお菓子屋さんでぇ、売っていたんですよぉ。今日だけの限定品だそうですぅ。これで仲直りですよぉ〜?」
「いやあのねハリオン。これ一体どこで」
「う〜んどこでしょう〜。5軒までは憶えているのですがぁ」
「え、そんなにあちこちで売っているのですか?」
「はい〜。なにせ今日は、バレンタインデーですからぁ。街の殆どのお菓子屋さんで売ってますよぉ〜」
「……」
「……」
206 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:51:21 ID:+/OuD7vz0
ハリオンがまるで四○元ポケットのようにどこからともなく取り出した大量の小箱はどれもこれも同じようなチェックの包装紙、
黄色いリボンのラッピング、そしてやたらと見覚えのあるメッセージカード。セリアとファーレーンは思わずお互いの顔を見合わせる。
「……じゃあ、貴女も」
「……まさか、セリアもだなんて」
「そういう事……はあぁぁ〜〜〜〜」
「あらあらどうかしましたかぁセリア〜? 口からなにか白いものが出てきていますよぉ?」
「あ、でもハリオン、本当に頂いてもいいのですか? これは男性にその、贈る……ごにょごにょ」
「はい〜? 別にそんなことは無いと思いますよ〜? 美味しければそれで良いじゃないですかぁ?」
「そ、そうなんですか……はぁぁぁ〜〜〜〜」
「あらあらどうかしましたかぁファーレーン〜? 口からなにか白いものがぁ〜?」
ハリオンの気遣う声も、耳にまでは届かない。
脱力した二人はその場にずるずると沈み込み、次の瞬間には意識ごと撃沈していく。戦乱は、こうして幕を閉じた。
==================================================
207 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:52:37 ID:+/OuD7vz0
その後なんとか現世に帰還を果たしたセリアとファーレーンは、第一詰所に行くというハリオンと別れ、第二詰所に戻ってきていた。
廊下を並んで歩きながら、お互いの誤解とそれについての経緯を小声で語り合う。
「本当にごめんなさい。誤解であんな事になってしまって」
「私こそごめん。ファーレーンは何も悪くないのにね。でもこうなると」
「ええ、そうですね。一体どこへ行ってしまったのでしょうか」
「あれだけの戦いだったから瓦礫の山に埋もれた可能性もあるけど……ん?」
「そうですね、むしろその方が助かるといえば……どうしました、セリア」
「うん、何だか応接間の方が騒がしいなって。なんだろう」
「あら、そういえば。何かあったのかしら――――あああああ!」
先に応接間の入り口に立ち、その場でフリーズしてしまったファーレーンの肩越しに中を覗きこんだセリアは
「え、どうしたのってえぇぇぇぇっっ!!」
同じように凍結し、その場で口だけをぱくぱくとさせる。
「よ、お帰り。その、遅かったな」
部屋の中央に用意されたゆったりとしたソファーに座り、振り返ったのは、何故か照れたような針金頭。
「あー! きたきたきたぁーーー!!」
「あの、あのね、……ひゅーひゅー」
びしっと勢いよく指差してくるネリー。恥ずかしそうに冷やかすシアー。
「……」
無言無表情で、ただぐっと親指を立ててみせるナナルゥ。
「あのカードに本当に名前を書き込むなんて……お二人とも、そそそ尊敬します!」
胸の中央で手を握り合わせ、きらきらとした瞳で身を乗り出しているヘリオン。
そして彼女達が取り囲むテーブルの上に鎮座ましましているのは、あれほど探していた例の"ブツ"。
208 :
瓢箪から困る:2007/02/13(火) 23:53:36 ID:+/OuD7vz0
「……」
「……」
「あれ? セリア? ファーレーン? おーい」
立ち尽くす二人に近づいたネリーがひらひらとお気楽そうに手を翳してくる。
「……ぃ」
「……ぃ」
「い〜?」
とことことネリーの後をついてきたシアーが興味津々で耳をそばだててくる。
「その、な。こういう時何て言ったらいいのか俺よくわからな」
―――― いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
絶叫。それは丈夫な訓練所などとは比較にならない程薄っぺらい詰所の壁を吹き飛ばすには、充分にして余りあったといふ。
209 :
信頼の人:2007/02/13(火) 23:54:52 ID:+/OuD7vz0
時事ネタ(ややフライング気味)……の筈なのですが、単にこの二人にガチンコをやらせてみたかっただけちゃうかと小一時間(ry
えっと、支援、ありがとうございました。誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
god job
おっと、遅レスですが。
>>156-157 初投稿乙&妄想のバルガーロアへようこそ(ぇ
「本当に良かった」。そう思えるようになったセリアさんに、何だかほっと和みました。
あ、えっと規約ってほどではありませんが、あとがきは別レスにした方がいいかも。
終了宣言でもありますし、
>>3の通り、題名付きのSSは後で保管庫に捕獲される運命ですので。
212 :
156:2007/02/14(水) 00:08:20 ID:XUmKHceI0
>>信頼の人
お疲れ様です。保管庫で作品を見せてもらって勝手に尊敬しちゃってます(ぁ
それと、お褒めの言葉を頂けて光栄です。また近いうちに投稿しようと思ってるので、その時に言われた事を実行しようと思います。
乙です
一心不乱に読み耽りました
乙なのですよ。
>「ん、よく避けた、ユート」
>そこには丁度直前まで悠人の後頭部があった場所を『存在』でフルスイングしたばかりのアセリアが立っていた。
>恐らくまともに受けていれば頭部を丸々吹き飛ばしていたであろう青白いマナの欠片をちりちりと悠人の耳元辺りに散らしながら。
>「……なぁ」
>「ん」
>「ん、じゃない! 死ぬだろ?! なぁ、死ぬだろ?!」
>「大丈夫、任せろ。急所は外した」
「いやもうこの威力、急所とか関係ないから! 闇討ちか? 闇討ちなのか?!」
連チャンでツボりました。
アセリアなら本当に本編でかましそうで、ごっつええ感じですわハイ。
信頼さんがセリアとファーが好きなのは知ってましたが、なにげにここで書かれているアセリアも可愛いわけですが。
とりあえず、まず落ち着けソゥ・ユート。冷静でなければ戦場において状況の把握は出来ないぞ。
216 :
悔悟の手当て:2007/02/15(木) 00:04:36 ID:DbIlhcAt0
「ねーコーインさま。ユートさまの名前ってどう書くの?」
「カンジってのでお願い〜」
「お、お教えてください!」
エトランジェ光陰が少女達に囲まれている。
一体どんな裏技を使ったのか、詰所始まって以来の事態にピンク色マナ満載状態の光陰はウハウハ入れ食い状態かというとさに非ず。
「……しょうがねえなぁ、本当によう」
笑顔だけは顔に張り付いているけれども、諦観と失意が入り交じったその心の内は黒々と煮えたぎる法界悋気。
いわゆるバレンタイン・カードを幾枚も差し出された吹きっさらしの百年の孤独。
そんな男が、ついこんな答えを、悪魔に魅入られた答えを返してしまっても誰も責めることは出来ないだろう。
「うーーんとね、悠人の奴は、こんな字を書くんだよ。『高嶺 遊人』ってね――――」
「ねーユートさま。コーインさまの名前ってどう書くの?」
「カンジってのでお願い〜」
「ユ、ユートさまお願いします!」
エトランジェ悠人が少女達に囲まれている。
まあ正直言っていつもの光景だが、悠人は笑顔でみんなの願いを受け入れて、
「へー光陰の奴にもチョコあげるのか。アイツ馬鹿みたいに喜ぶぞ」
バレンタインカードを胸に抱えた少女達に相好を崩す。
「うん。けっこー世話になってるもんね」
「なってる〜」
「え、えと。いろいろ誤解されやすいお方ですけどぉ、や、やっぱりその気持ちよい仲を築きたいですしっ」
「そっか。えーとな……漢字書くの久々だからな……『碧 光陰』だな――――」
,..-――-:..、 ⌒⌒
/.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::.\ ^^
/ .::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::..ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
:::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::
:::::::;;;;;;;;;;;;;;;; '´⌒ヽ
::::::::::::::: | ;;; ;;;;;|
::::::::::: i、 ソ
_... /⌒:~~"ヽ
-― ―'ー'-''―-''/ / ::;;;;;;;;:| |―'''ー'-''――'`'
,, '''' . ''''' と./ゝ_;_;_ノヽつ 、、, ''"
,,, '' ,,, ::;;;;;;;;;::: ,, ''''' ,,,,
:::;;;;;::
コーインさま……スマネエorz
>209
真剣な彼女たちは神剣を振るう。
義理義理の選択だとしても。ギリギリの実力伯仲仲間だとしても。
信じるモノのためならば、躊躇無くオーバーキル。
>「その、な。こういう時何て言ったらいいのか俺よくわからな」
返事は一月後でおk。
誰も責めることは出来ない。だけど自分だけが知っている。
貰ってわかる義理チョコの真摯さ。泣くなコウイン、これが主人公との扱いの違いだ(ぇ
ハリオンに間違った(?)知識を吹き込まれ、(省略されました 全てを表示するには「ヨフアルヨフアル!」と叫んで下さい)
という大胆な行動に出るナナルゥ
口移しとか身体にラッピングとか、そんな生ぬるい手段では断じて無い
もっと恐ろしい桃源郷の片割れを味わったぜ……
ヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフルヨアフル
ヨォォォォアフルウウウウウ!!!!!!!!1111
>>220 ヨフアルヨフアル!
ヨフアルヨフアル!
ヨフアルヨフアル!
そろそろ職人さんの誰かが長編の続きなり新作なりを投稿してくれる頃かね。
過去レスにもあったけど、イオ編が読みたいなあ。
〉〉223
素でみすった
みのがして(´・ω・`)
>>220 ナナルゥが起こした行動よりも、ハリオンがどこでそんな知識を得たのかが気になるwww
なんとなくぐぐってみたらヨアフルと認識してる奴結構居て驚いた。
PS2辺りで誤表記されてんのかな?
>>227 PS2でも確かにヨフアルだった。レムリアのあのセリフもしっかりヨフアルだった。
単純に覚え間違いじゃない?
クールハテ、クーハルテ、どっち?
生田神社は凄い「人のようなゴミだかり」だったなぁ
【お題】結婚フラグ立てるなら誰と?
ニム「包容力が決め手だった。だからお姉ちゃんの反対を押し切って布団と結婚した」
ヘリオン「ちょっと夜中に台所をカサカサしてたらですね、
は、張り付いちゃったんですよ。こうなったら一生一緒にいようかな〜って(ホイホイと)」
シアー「お菓子をたくさん作ってくれるの…」
ハリオン「(試作品を)たくさん食べてくれますから〜。可愛いですし」(ハリオン×シアー)
ネリー「火傷するほどく〜るだったからねっ」(ドライアイス)
私の不手際でニムがニートになってしまいました。
おかげで毎日毎日忙しくてストレスがたまる一方です。
そんな私の元に現れたのが、彼です。
彼は私に最高のストレス発散法を教えてくれました。
今日は東、今日は西、今日は南、今日は北。
あっちらこっちらに鬱憤をばら撒く日々が続いてすっかり体調もよくなりました。
これならいつまでニムがニートであっても大丈夫です。
私は彼のことを愛していますし、尊敬しています。
これからもずっと一緒にいるでしょう。
別れるなんてありえません。
例えニムが反対しようとも私はこの信念だけは貫こうと思います。
_ ,へ
,´ /:::: |ヽ
∠ <=====ゝ
んヘ!」 ‐ノ」|
<(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
↑
彼
ヒミカ&おb「光陰と結婚してますが何か?」
タキオス「残念だが既に契約済みだ。悪いが他を当たってくれ……って、真澄くんではないか!」
こるーれさんの「全然OK」なネリシアをステッカー化しましたので報告します
日々精進です。と、脳内でエスペリアが叫んでます
頑張ろう、俺…
>>227-228 このスレの歴史上最初に確認されたのはスレ11
551 名前:名無しさん@初回限定 投稿日:05/03/13 22:51:09 ID:razJKyhu
>>550 つまりヨアフルENDでは、御腹が大きくなったスピリットでいっぱいいっぱい……
そして1年後、スレ21で
342 名前:名無しさん@初回限定 投稿日:2006/03/19(日) 00:27:15 ID:NdL32p1B0
(略)
彼女たちは試練を超えて無事エターナルになった。
そこで何かを思い出したように慌てる。
そう、ユートの事。
(省略されました。続きを読むには ヨアフルヨアフル と書き込んでください。)
とネタとして復活、それを
343 名前:名無しさん@初回限定 投稿日:2006/03/19(日) 00:34:50 ID:w/hhNUvA0が
・ヨアフル
・ヨワフル
・ワッフル
ヨ「とりあえず、上記3種が今まで発見されたヨフアルの亜種だ。どうだみんな。何か質問あるか」
と膨らませて現在に到るマジック。何故か一年位の周期でこの時期に出現してますな。
>>229 くーるハテ
ここで突然セリアさんの破局宣言
「髪は長〜い友達。でもやっぱり友達じゃ、一生連れ添う訳にはいかなかったわね」
>>234 お題:スピリット隊家族計画
父:タキオス
母:ハリオン
長女:セリア
次女:ネリー
三女:シアー
長男:ヒミカ
こうですか?わかりませんっ!><
元ネタを知った上で、間違った方向に便乗してみる。
父悠人
母オルファ
長女ニム
次女ネリー
三女シアー
長男ヘリオン
ニムの描いた絵は地獄絵図で、トイレでシアーに遭遇しても「兄さん……えっち」で済まされると申すか!
むしろ次女はヨアフルでいいと思う
ヨアフルが定着しそうでビビってる俺レムリア派
242 :
名無しさん@初回限定:2007/02/20(火) 16:18:20 ID:RTr+3LdO0
それようつべに上がった時点で既出じゃないか。
'´∋θ∈
! ノノ))))
i (リ゚ -゚ノl| ……
⊂)iゝヲiつ
ノl〈/ !芥!〉リ
く_/liVil,ゝ
ねりーはみがき粉
ヘアーブラシアー
246 :
エレブラッ!:2007/02/21(水) 21:04:01 ID:b1gGOywl0
――エレメンタルブラスト
それは、グリーンスピリットの力の証し。
大陸の随所で護りの剣を振るう、緑の妖精達の目標にして、見果てぬ頂だった。
辛く苦しい艱難の果てたどり着いた。
一握りの天才達のみが達しうる最強のリミテッドスキル。
悩んだ。
それは、グリーンスピリット本来の力である守りの気とは正反対の破壊の力だった。
それでも……自分のため、そして何より仲間のため、必死になって会得した者達が受け取ったのは、人々からの賞賛無き栄誉。
だが、同時にその身に受けたのは、意外にも形有る褒賞。
それは、不思議なことに、大陸各国共通のとある下賜品であった。
この物語は、ラキオスのスピリット隊においてオルファリル・レッドスピリットと共に若くして頭角を現した、
一人のグリーンスピリットの苦闘の日々の記録である。
…………
……
…
247 :
エレブラッ!:2007/02/21(水) 21:05:02 ID:b1gGOywl0
「んっ、くっ」
昼下がりの第二詰所の一室では、目に入れても痛くない、を当に体現するであろうだだ甘お姉ちゃんであるファーレーンが、痛々しい目で妹の一挙一動を眺めていた。
二人きりだからとマスクを外し、くつろいだ口元が、やや引きつっているのが見て取れる。
ファーレーンお姉ちゃんは、青緑の目を一度閉じたあと意を決して、一言。
「ね、ねーニム? ……あのね、お姉ちゃんね、もう少し経てばニムにも絶対ピッタリだと思うの」
「くぬっ、うにっ」
せっせ、せっせとギュウギュウ寄せられ上げられる柔肌。瑞々しい背中に苦しげに回された両腕。
「だから、ね?」
ストン。
「う〜〜っっ」
如何に才能を謳われようとも、体付きの方まで促成されるわけでは無かった。
「ニムがもらったんだからっ、ニムが付けるのっ」
あまりの彼我のボリューム差に、戦場ですら終ぞ感じたことの無い絶望感を押し殺しながらファーレーンは、
涙目のニムントールに優しく希望を示そうとする。
「ハリオンさんは流石に無理かも知れないけど、エスペリアさん位ならいけると思うから、ね?」
今まで戦場で切り結んできた、少なくない数の年端もいかないグリーン達を思い出しながら、
我ながら希望になって無いと言うか、止めを刺してるんじゃ、と自分に突っ込みつつ、
ついつい目にも鮮やかな緑色の立体縫製に、自分が付けたらぴったしかも、と思う気持ちを抑えられないファーレーンだった。
「おっ、ニム。レスティーナからなんか良いものもらったって聞いたんだけど、どんなんだ?」
「エレブラ!」
ニムとオルファは若くして才能の伸びに注目されていたそうです(スピたんBOOKより)。
でも体の方は同列の伸びとはいかn(エレメンタルブラスト3000
オルファは、前世?からすると将来は約束されているようなもんですが。
最終的にはニムとネリーの熾烈な争いになりそうな予感。
乙
確かに苦闘の日々だw
なるほど、エスペリア&レスティーナブラ、略してエレブラ、と。
……誰がうまいこといえとw
つかニム、意外と体、硬いんですな。どれ俺が揉んで(エレブラ
>>248 いやいや前世とか遺伝とかはその方面には全く通用しなうわなにを
【バラモン】
ハリオン
【越えられない壁】
セリア・ナナルゥ・ファーレーン
【見えない壁】
ヒミカ・ヘリオン・シアー・アセリア・エスペリア
【断崖絶壁】
ニム・ネリー・オルファ・ヨアフル
エスペリアお姉ちゃんはもっと胸有るんじゃ…
修正&追加でこんなもん?
[越えられない壁]
セリア・ナナルゥ・ファーレーン・エスペリア・ウルカ
[見えない壁]
ヒミカ・ヘリオン・シアー・アセリア・今日子・時深
おb…げふんげふん、時深姐さんは絶壁仲間なのではうわなにを
密かに時深さんへのお姉さんとしての呼び方が色々とじんわりレスられてるな。
現在確認できるのは…
時深お姉さん
ときねぇ
時深姐さん
ここで新たに、ときみん姉さん を提案してみる。
_, ,_ ∩
( ゚∀゚)彡 ときみん!ときみん!たすけてときみん!
⊂彡
>>256 OK、今楽にしてさしあげますね♪
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))((ニ(ニ(l +
| l|| ゚ヮ゚ノl||三三二弌ll============lニlll)
j /ヽ y_7っニ〃l,=l┘
(7i__ノ卯! |||||
く/_|_リ  ̄
性格は好きだよ、つるぺたときみんくん。
よしお前ら、姉or妹にして愛でたいスピを一人だけ選べ!
俺はナナルゥと芸の夫婦道を歩むぞ!
……いや、冗談じゃないから
ハリオン姉さんはガチ
むぎゅーってされたいしむぎゅーってしてみたい
シアーを妹にしたいです…。
てか好いてもらえるかは別としてシアーみたいな子が妹だったらなぁと。
俺にとっては、エス姉さんやハリオン姉さんとはまた別な癒し系なのですよ。
ネリーは姉だろうが妹だろうが容赦無いだろう、だがそ れ が い い俺は愛でるぜ
263 :
名無しさん@初回限定:2007/02/22(木) 23:36:08 ID:WM30ayfY0
チェック
あたしは、岬今日子。
あのひとは、イオ・ホワイトスピリット。
初めてそのひとを見た時、今まで一番心を奪われた。
今までに見たどんな銀色よりも控えめだけれど上品になびく白い髪。
今までに見たどんな宝石よりも静かだけれど確かなこころをたたえる真紅の瞳。
今までに見たどんな芸術作品よりも儚げだけれど遥かに存在感のある空気をまとう立ち居振る舞い。
まさか、女のあたしがこんな異世界に来て異世界の妖精に対してこんな気持ちを持ってしまうなんて。
あたしは、岬今日子。
あのひとは、イオ・ホワイトスピリット。
元の世界で、後輩の女の子からラブレターやバレンタインチョコをもらった事は数知れなかったけど。
それでも、自分はあくまでも悠や光陰が好きなんだと思ってた。
佳織ちゃんや小鳥もいて、彼らがいて…そこにいる居心地の良さがいつも心地よかった。
だけど、時折何かにつけて自分がこう呼ばれる毎に鼓動があたし自身を打つのを心地よく感じていた。
おねえさま。
ガラじゃないよ、とか誤魔化してその場では笑って受け流してきたものだったけれど。
本当は時々、自分ひとりきりのときにその言葉を小さな声で呟いてみた事も数知れなかった。
おねえさま。
だけどやっぱり、自分がそう呼ばれるよりも自分が誰かをそう呼びたい気持ちのほうがいつも強くて。
いつしか、誰にも言えない秘密の憧れはどうにもならない現実に対する諦めに変わっていった。
だけど、この異世界に理不尽に召喚されて理不尽な剣に支配されて…長すぎた悪夢がやっと覚めて。
光陰とともに悠にラキオス城下町のファンタジー的な風景を案内してもらっていた時。
まだあたしの中に残る悪夢のにおいから少しでも逃げたくて、早足でレンガ道を歩いていて。
なんのことはない、それはありふれたラブロマンスの…お約束だった。
早足のはずみにレンガ道の溝に足をひっかけて転びかけたところを、抱きとめられて助けられた。
「大丈夫ですか?」
なんだろう、その声の不思議な響きがあまりにも気持ちよかった。
弾みとは言え顔をうずめてしまってる、そのひとの胸の優しい柔かさが気持ちよかった。
鼻をくすぐってくる、そのひとの香りがとても気持ちよかった。
悠たちといる時の居心地の良さとは全く違う、不思議に優しく花よりもかぐわしい居心地の良さだった。
「もしもし、大丈夫ですか? …どうやらご自分で思っている以上に疲れてしまっているご様子ですね」
後ろで悠たちが何か言ってるけど、自分の鼓動が激しくて何を言ってるかなんて遮られてしまう。
「これはユート様。私はヨーティア様の使いで食料とお酒の買出しに出たところです」
悠たちの声なんて聞こえないのに、このひとの声だけが鮮明にあたしに響く。
後ろから光陰に抱えられて離されるのが、理屈ではわかっていたけど気持ちは寂しかった。
足腰が余韻で未だふにゃふにゃになっているのを支えられながら、あたしは…そのひとを初めて見た。
おねえさま。
その可憐な容姿を確かめたとき、不意に口からかすかにそうこぼれてしまった。
「イオ・ホワイトスピリットです。どうぞお見知りおきください、エトランジェ・キョウコ様」
微笑んでもらえたのがあまりにも純粋に嬉しすぎて、つい自分でもだらしない笑みを返してしまう。
用件をすませてきます、と背中を向けて雑踏に消えていく後姿をあたしはいつまでも見つめていた。
−あんなに影のある儚げなひとなのに…どうしてあんなに不思議な存在感があるんだろう。
帰ってきた時には足腰はどうにか普通に歩けるようにはなっていたものの、余韻は抜けていなかった。
スピリットはみんな例外なくきれいだったけれど、あのイオというひとはあまりにも綺麗すぎた。
ラキオススピリット隊詰め所で自分に割り当てられた部屋のベッドに寝転がって、あたしは考える。
逃げたいと、あたしはいつも思っていた。
元の世界でも、逃げたい事で何もかもがいっぱいだったけれど。
この世界に来て、無理やり悪魔のような剣に支配されて無理やり人殺しをさせられて。
それはある意味で肉体的な痛覚をともなわない、不気味で気持ちの悪い痛みだった。
逃げたいと、この得体の知れない痛みから逃げたいと、あたしはいつも思っていた。
いっそ、誰かにこの身を文字通り貫いてもらえれば…せめて、自分で選んだ痛みに逃げたかった。
−あのひとの、あのひとだけがまとう、あの柔かさに逃げられれば…どんなに楽になれるだろう。
そう考えて、寝転がったままで激しく首を振る。
−ダメ、あのひとは…あたしなんかが逃げていいひとじゃないんだ。
不思議と、あのイオと名乗ったひとに対してスピリットという言葉は出てこなかった。
ただ、ひと、と…ただ、あのひとは…あのひと、としか考えられなかった。
そしてあたし自身、それを不思議とそれこそが自然な事だと感じていた。
−イオおねえさま。…あのひとを、堂々とおねえさまと呼べたらいいなあ。
そう考えて、ごろりと天井をあおいで仰向けになる。
−あーあ…あたしって、こーゆー趣味っていうか…結局そんな女だったんだ。
自分に対して苦笑しながらも、不思議とそう自覚した事が自分で晴れやかだった。
−よし、このままだと悠に対してみたいにズルズル気持ちを引きずることになるから。
だから、自分で直接気持ちを伝えて…ズバッと振られてこよう。
あたしは、あのイオという人が城の研究室に寝泊りしてる事を聞いておいてから出かけた。
出かける直前に、未練がましく身なりをそれなりに整えていった自分にまた苦笑してしまったけれども。
詰め所を出て城へ向かう道は、すでに夕焼けだった。
「もしもし、キョウコですけどーっ、イ、イイイ、その、イオさんはいらっしゃいますでありますかーっ」
深呼吸して気持ちを落ち着けてからノックして呼びかけたつもりが、イオという単語でつまずいてしまう。
これでは、あのヘリオンとかいうドジっ娘を絵に描いたようなブラックスピリットと一緒だ。
加えて、なまじ元気良く呼ぼうとしたせいで声が必要以上に大きくなってしまったのが恥ずかしさを煽る。
−というかエスペリアに対してだって呼び捨てなのに…あたし、イオさんだなんてらしくなく呼んでる。
ややあって、扉が開くとそこにはイオさんがいた。
昼間あった時と同じ様なやわらかい微笑みで、イオさんは私を見とめて。
「はい、イオでしたら確かにここにおります。 おや、キョウコ様…? どうかされましたか?」
じっと真っ直ぐ見つめてくる真紅の瞳に、また鼓動が激しくあたしを打ちはじめて。
何か言おう、いや用件をスパッと言わなくてはと思うのに顔がどんどん熱く紅潮してしまう。
「えっと、えっと、ええっと、いや決して大した用事ではないんですけど…ちょっと用事というか」
あたし、耳まで熱くなってる。きっとイオさんから見ても不審なくらい顔を真っ赤にさせてるんだろう。
−いや、これじゃあたし、いくらなんでも不審すぎる。…困った、こんな時どうしたらいいんだろう…。
一向に用件を切り出せないまま頬を指でポリポリかいてるだけのあたし、すっごく怪しい。
すると、イオさんは突然プッと口を手でおさえて吹きだした。
それだけで、あたしはどんどん恥ずかしさが膨らんで顔がますます熱くなってしまう。
「どうぞお入りください、キョウコ様。今は私しかおりませんしどうぞお気になさらずに」
すっと差し出された白い手にひっぱられるまま、あたしはイオさん(と、ヨーティアさん)の部屋の中へ。
乱雑に積み重ねられた本の山と紙書類の海とよくわからない器具の密林をイオさんの案内で進む。
不意に、きれいに整理整頓された空間に出た。
「こちらが私個人の部屋になります。何もございませんがどうぞくつろいでください」
すすめられるままに質素な椅子に座らせてもらう。
飲み物を取りにだろうか、いったんイオさんがその空間を出て何処かに行こうとしたのを。
「ま、待ってください」
よせばいいのに、あたしは震える声で呼び止めて。
「あなたに、話があるんです」
勢いで椅子から立ち上がって両の拳を握り締めて変に力んでるあたしに、キョトンとしているイオさん。
−いいんだ、これで。振られて逃げるために、あたしはここに来たんだ。
「好きです、好きになりました。お…おねえさま、おねえさまと、おねえさまと呼ばせてくださいッ!」
言った、言ってしまった。これであたしは少なくともこの気持ちから逃げる事は出来るはず。
「ええ、いいですよ」
ところが、あたし自身の考えた方向と全く違う向きへと事態は転がり始めてしまった。
イオさんが…ううん、イオおねえさまが震えるあたしの両手を優しく握ってイオおねえさまの胸にあてる。
あたしの手に、イオおねえさまの鼓動がまた心地よく伝わって来る。
そうして、あたしの目をイオお姉さまの真紅の視線がまっすぐ射抜いたまま顔が近づいてきて…。
イオおねえさまは、あたしの唇にそのご自分の唇を重ねてきた。
生まれて初めてのキスは、おんなのひとと。それも、異世界の妖精と。
おねえさまの唇は柔らかく優しくて暖かくて、それにいいにおいで…あたしは目を閉じてしまう。
目を閉じて、本当は凄く欲しくてたまらなかった心地よさに心の全てをゆだねてしまう。
やがて、ゆっくりと唇を離して…おねえさまが微笑みながら声は悪戯っぽくあたしにささやいてくる。
「キョウコ様…もう一度、私を先ほどのように呼んでみてください」
言葉こそ様付けされてるし丁寧だけれど、今…心を優しく抱きしめられてるのはあたしのほうだ。
「おねえさま…おねえさま。…あたしの、おねえさま」
これでもう、逃げられないんだ…だけど。
それは、あたしが長い間…自分の胸に秘めて願った、逃げ道でありまた逃げられない道だった。
終わり
衝動とかその他色々のおもむくままに、今日子とイオで百合ものを書いてみました。
いや、妄想ですけど今日子って本人にその気はないのに年下の女の子にもててしまうタイプだと思うんですよ。
そんで、今日子で何か一編書いてみたいとかイオでも何か書いてみたいとか百合ものも書いて面白そうだなあと思ったり。
そういえば本編でも今日子とイオって絡まないし、雑魚スレ保管庫にも今日子とイオを絡ませたものってあんまし無いよーな気もするなーとか。
まぁ、そんなわけですが…さてどうでっしゃろか。少しは、ネタの拡大再生産に繋がればいいんですが。
お約束の一言を忘れてた(汗
誤字脱字ハリオンマジックありましたら、よろしくご指摘お願いします。
ファーレーンお姉ちゃんの赤面症克服と称して、スキンシップの度を越えたあんなことやこんなことを(ヨアフルヨアフル!)
>>274 マリみてかよw
個人的には稲妻の連中が作った同人というオチであって欲しかった。
確かに今日子は女の子に慕われそうというかもてそうだな。
光陰よりも稲妻部隊の生き残りに慕われてたら笑う。
そして光陰も負けじと……
のちの宮小路瑞穂である
>>278 女装した光陰が鏡見て「これが・・・俺?」ってシーン想像して吐いた。
光陰「よし、これならイける」
>>275 そういえば、ファーレーン書いてみたことないなぁ…。
>>274 実はマリみて、読んだこととか一度もなかったりします。
その割に本棚には百合姉妹とか百合アンソロジーとかあったりするんですが。
ネタであって欲しかったですか、すみません…こちらとしてはこちらなりにガチ百合が書きたかったんです。
>>277 うーむ、【空虚】に支配されてた頃の今日子が稲妻部隊の面々と接点があったとはちと考えずらいでする。
でも、悠人に救出されて以降、永遠戦争が終わってからなら充分にありえそう。稲妻部隊に限らず他の国籍のスピたちにも慕われてたりするかも。
>>278〜
>>280 アレは果たして本当に百合ものなのか疑問符がつくんですが。
むしろ光陰よりも、悠人のほうが女装したら美人じゃないかと思うとですよ。
なるかな発売日発表
そういや小説版では今日子は稲妻部隊を率いてミトセマールと戦ったか。
引越しの準備のために色々と整理してたら、親が来たときに慌てて隠して、
そのまま行方不明になっていた永遠のアセリア(無印)を発見。
さっそくインスコしてプレイしてみたんだが・・・
あれだな、住職の顔ってこんな恐ろしさだったんだなぁ・・・
PS2とかのおかげで、オリジナルの恐ろしさをすっかり忘れてたよ・・・
聖なるかなスペシャルパッケージ。
PS2版アセリアがPC版に直されて丸ごとついてくるね。
PCで出来るってだけのベタ移植なのか、それともエロシーンありなのかね。
アセリアはエロシーンが無いと意味不明だったりハリオンマジックだったり描写不足だったりする場面が結構あるから、個人的にはエロシーンはあって欲しいかな。
で、クラブザウス通販で販売される時はどーなるんだろか。
クラブザウス特典:Hシーン追加スペシャルCD
クラブザウスだとスピたん全年齢版とアネたん全年齢版も付いて来ます。
訓練士と技術者のイベント追加Diskだ
もちろん顔グラもつきます
290 :
こるーれ:2007/02/25(日) 19:25:46 ID:6LgGHoOl0
>>235 確認しました、喜んでいただけて幸いです
ご希望にそえるものがかけるかはわかりませんが
何かリクエストがあればお気軽にどうぞ
291 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:35:33 ID:3pbi3XVD0
穏やかで、そして幸せな日々だった。
ダーツィという国はどこか田舎臭く、玄関口であるケムセラウトでさえも一歩外れれば積荷を背負ったエクゥを見かけたり
これから畑仕事に勤しもうという百姓然としたご老人とすれ違って挨拶を交し合ったりしたものだったけれど、
それでもそんな辺鄙さや質朴さが私達は好きだった。街を囲む森の澄み切った空気や鳥の囀り、柔らかい日差し。
仕事の合間、たまにふらっと出かけてみると、そういうものに癒され包まれているという事を改めて実感出来る幸福。
訓練士と技術者という肩書きからすれば笑うべき事なのだったかも知れなかったけれど、でも、本当に大好きだったのだ。
泥んこになりながら緑の上を駆け回る子供達、微笑みながら見守る若い夫婦。
平和な、平凡な家庭。私達もいつかはああなるのだろうか、と憧れていた。
自然の営みを繰り返し、ずっと手を取り合って生きていく。少なくとも、私はそう信じて疑わなかった。
甘い未来に期待しながら。それが、泡沫の夢とも知らずに。
292 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:36:30 ID:3pbi3XVD0
==== Mission ケムセラウト、ヒエムナを制圧せよ ====
ラキオスによる占領を受け、バーンライトが滅んだというニュースが伝わってきたその夜。
珍しくお互いの予定を空けることの出来た私達は街で一番気の利いた酒場で食事を取りながら、
ラキオス軍の侵攻を戦術書通りに解説したり、対するダーツィ軍部の戦略などを語り合っていた。
ムードが無いと言われればそれまでだけれど、それが私達の普段のスタイル。
お互いその手の話題には妙に気が合う所が多かったし、議論で衝突することがあっても何より話していて楽しかったし、
主張を熱く語る時の鋭い視線に心を射抜かれるのは決して不快でも何でもなく、その度に惹かれ、つい頷く自分を認識したものだ。
「なぁアイシアス、実は話があるんだけど」
なので、会話が一段落した所でウィランドが思い詰めたような表情で口を噤んだ時にも、
その後申し訳なさそうにラキオスへの亡命を打ち明けてくれた時にも私は一切動揺せず、軽く答えていた。
「それじゃあ、亡命しましょうか」
あの日、仄かなエーテル灯が照らすテーブルの上で、誓いと共にそっと握った彼の手の熱さは忘れられない。
彼が行くのならば、私もついていく。何故、とも訊かないし、制止する為の説得など考えもつかない。
言い出したら、聞かない人なのだから。それを極当然のように受け入れている自分がむしろ誇りだった。
293 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:40:59 ID:3pbi3XVD0
==== Mission イースペリアを救援せよ ====
どうしても侵略者というイメージでいたので当初身構えてはいたが、ラキオスの人達は思ったより気さくだった。
余所者の私達に対しても公平に接してくれる。私もウィンランドも無事今までと同じ職に就くことが出来た。
キロノキロが占領されたという報を受けた時には一瞬息を飲んだが、望郷の思いも家族が無事だと判れば気持ちの中で整理する事も出来る。
だがそんな事よりも何よりも、直後、イースペリアへと配属になってしまったウィンランドの身だけが気がかりだった。
この頃のラキオスは各地にエーテル変換装置の建造中で戦闘支援施設に携わる技術者が不足していたらしく、
本来そちらを得意分野としている彼までもを進撃したランサに建設する塔の担当者に任じなければならない状況だったのだ。
かつてない程の規模で建設されるその塔の建築予定期間は少なく見積もっても数ヶ月。その間、離れ離れになるのはとても辛かった。
戦時中なので書簡の往復も滞り、そしてそのうちに心配だけはどんどん募り、仕事が手に付かなくなる。
そんな中、配属されたラースの訓練所で出会ったスピリットの少女、『失望』のヘリオンの素直な明るさが私の心の支えだった。
私がブラックスピリットの訓練を得意としているというのもあるが、何事につれ一生懸命で危なっかしい彼女はつい手を差し伸べてあげたくなる。
しえん
しえん
297 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:49:38 ID:3pbi3XVD0
ラキオス軍がダラムを制圧し、首都イースペリアへと迫る頃、一つの幸運が私の前に舞い降りた。
急遽建設されたダラムの訓練施設への、臨時派遣という指令である。
ダラムはランサからかなり近い。もしかして逢えるかもしれない、そんな淡い期待がが私の心を弾ませた。
しかしダラムで待っていたのは一緒に亡命したかつての仲間、グレイ・ソナーだった。
彼は普段寡黙というか口数が少なくダーツィに居た頃から訓練士仲間の中でもどこか超然としている所はあったが、
それでも与えられた任務を黙々とこなし、尚且つスピリットの育成に失敗した事がないと定評で、皆からは一目置かれている。
今回もラキオスのブルースピリット達を見事に育て切り、そしてこれ以上は彼には無理、という所で先輩の私が呼ばれたという訳だ。
と以上の経緯をぼそぼそと説明されている間も私はそわそわと落ち着かず、見かねたグレイ・ソナーも流石に気を使ってくれたのか、
「ウィンランドさんでしたら、お元気ですよ」
などと珍しくプライベートに踏み込んだ励ましを受けてしまった程だった。
ダラムではブルースピリット育成を引継ぐ傍ら、エトランジェ・ユートの訓練も担当した。
初めて対面した彼には、少年の域を少しだけ越えたようなあどけない顔に、本当に軍人なのかと目を見張ったものだ。
何せ彼は神剣の、というより剣そのものの扱い方に不慣れだった。太刀筋うんぬんというより、間合いでの足運びからしてまるで素人。
部隊に付き従って戦場を渡り歩いていた前任のユミナ・アイスに訊ねてみると、まず剣術用語の基本から教えなければならなかったらしい。
基礎体力も不足していたらしく、それでもかなり"まし"にはなってきているのだという下りでは、軽く眩暈をすら覚えてしまった程だ。
どうやらエトランジェとしての資質と神剣の位だけで今まで生き残っていたらしい。呆れて本人にその旨を告げてみると、
「うん、まぁ、この歳になるまで剣なんて、ジュギョウノケンドウでシナイを握った事位しかないからなぁ。ははは」
良く判らない単語を交えつつあっけらかんと笑われ、そこで私は逆に決心した。この少年に、まともなマナの使い方を徹底的に教え込もうと。
298 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:50:12 ID:3pbi3XVD0
==== Mission サルドバルトを制圧せよ ====
イースペリアの消滅という衝撃的なニュース、サルドバルトへの宣戦布告。
戦局が西に移動するとともにジャドー・ロウンへとエトランジェの育成及び従軍を受け渡した私はラースの訓練所に戻ってきていた。
結局ダラムでは一度もウィンランドには会えていない。彼は依然としてダスカトロン大砂漠の手前、ランサで塔を建設している。
ただ一度だけ、元気だと手紙が来た。届けてくれたのはランサが戦場だった時に彼に会ったというレッドスピリット、『赤光』のヒミカ。
彼女は大事に懐にしまって運んでくれたようだったが、手紙の端々が焦げ付いたり破れていたりして、戦場の激しさが改めて実感された。
私は手紙の皺を一度丁寧に伸ばすと端を布で縫って補強し、再び折りたたんで懐袋に入れ、お守り代わりに持ち歩く事にした。
もう、4ヶ月以上も顔を見ていない。こうしていれば、常に彼を傍に感じられる、そうでも思わなければ不安でしょうが無かったから。
寂しさを紛らわすようにヘリオンを育て、やがて彼女も戦場へと旅立ってしまうと、当面私には事務的な仕事しか残っていない。
部屋の隅に設置されている机に向かい、細々とした未分別の書類を積み上げ、寂しさを誤魔化す為にそれを片っ端から消化していく。
昼食をとらない日が増えていった。一人で作り、一人で食べる侘しい食事は必要最低限でいい。
299 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 19:52:56 ID:3pbi3XVD0
==== Mission マロリガン共和国との戦いに備えよ ====
北方五国を統一したラキオスは、マロリガンとの交渉に決裂し、戦争状態へと突入した。
となるとランサに塔を築いていたのはこの事態を見越しての事だったのかと、レスティーナ女王の慧眼には驚かされる。
そして待ち侘びていた日が訪れた。塔が、いよいよ完成した。私は早速準備していた手続きを行う。
すなわち、マロリガンのスピリットを捕虜にした場合の育成要員志願、という従軍手続きを。
無事許可が下りたその日の昼前には既に私はエクゥに飛び乗り、リュケイレムの森を突っ切っていた。
昼前にラセリオを通過し、太陽が西に傾いた頃にミネアを抜ける。ダラムに着いた頃には月が出ていたが、幸い雲が少なく夜道は明るかった。
頬に当たる夜風が冷たい筈なのにひんやりと心地いい。それで頬が紅潮していると、自覚出来た。
早く、一刻も早く逢いたい。ただそれだけだった。
「え? ……う、そ」
砂漠特有の乾いた空気の中。砂混じりの冷え切った街で私を待ち構えていたのは、満天の星空だった。
文字通り、雲一つない澄み切った空。遮るものは何一つ無い。そう、勿論無粋な石造りの塔などの影すらも無い。
「あ、れ……?」
屋根の低い兵舎らしき建物はある。恐らくそれがラキオス軍の駐屯地だろう。しかしそれが彼の建設した塔などではない事だけは確かだった。
エクゥを降り、ダスカトロン大砂漠にうねる砂丘を改めて見渡してみる。煌々と照らす月の元、息を潜めているような静寂だけが辺りを埋め尽くしていた。
そのままかなりの時間、そこで立ち尽くしていたらしい。ぽん、と肩を叩かれた時、咄嗟にそれが現実なのだと暫く気がつかなかった。
引き続き支援
301 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:00:20 ID:3pbi3XVD0
「貴女は、ここに来るべきじゃなかった」
「……教えて」
「ここは冷えます。どうか、兵舎へ」
「教えなさい!」
「っ……ウィンランドさんが派遣された直後ランサは襲撃を受けたのです。イースペリアに潜入していた帝国のスピリットでした」
気の毒そうな口調で話すグレイ・ソナーの説明を聞きながら、私は自分でも驚くほど冷静だった。
ただ、どうしてもウィンランドの顔だけが良く思い出せない。どうしてなのかとどこか頭の隅でぼんやりと自問を繰り返している自分がいる。
「折り悪く軍はダラムへと進行中でしたので、残っていたのはヒミカだけでした。ウィンランドさんは傷ついた彼女を庇って敵の神剣魔法に吹き飛ばされ……」
「……」
「塔の建設は中止となりました。嘘をついていたのは謝ります。ですがこれは」
「私の精神状態を考慮、して?」
「……はい。レスティーナ女王の指示です」
戦闘は、ダスカトロン大砂漠で行われたらしい。敵の小部隊に単独で突っ込んでいったヒミカへの、ささやかな支援のつもりだったのであろう。
馬鹿正直な彼らしいが、神剣魔法を駆使するスピリットを相手にしてまともに戦えると本気で思っていたのだろうか。
隣で、遺体は見つかりませんでした、現在捜索中ですなどと例のぼそぼそ声が呟いているが、もう耳には入ってこない。
「……ホントに、彼らしい」
「え? ……あ、アイシアスさん?!」
背中からグレイ・ソナーが何か大声で呼びかけていたようだったが、私は構わず歩き始めていた。
やがて街を遠ざかると、小高い砂丘の上で、砂と星空だけが私を静寂と孤独に包みこんでいく。
ふと、手を胸元で強く握り締めたままだった事に気が付いた。
辛抱強く強張った指を剥がしていくと、少しひしゃげたお守りの、茶色く焦げた跡。
「――――ッッ!」
私は、ようやく泣いた。泣くことが出来た。
どうやってランサから戻ってきたのか、思い出せない。気がつけば虚ろな毎日が続いていた。
ただ、ヒミカがしきりに頭を下げていたのだけを憶えている。彼女の赤い髪だけが、上下に揺れていた。
どうして私に謝るのか、何故彼女が泣いているのか、それがぼんやりとした頭の中で、どうしても理解出来なかった。
302 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:01:42 ID:3pbi3XVD0
==== Mission スレギトに侵入し、マナ障壁を解除せよ ====
「えっ、本当ですか?」
私が引き続きスレギトへの遠征部隊に帯同すると聞いて驚いたヘリオンに、私は黙って頷いた。
自分勝手な目的を失ったからといって自分から志願した任務を放棄する訳にはいかない。
そんな行動は私自身も、きっと彼も許してくれはしない。そして私にはささやかな望みもあった。
せめて彼と同じ戦場を肌で感じる。彼が守ろうとしたスピリット達を、少しでも生命の危険から遠ざけたい。
それに伴う死の危険性などについては、一切考慮に入れてはいなかった。
むしろ死によって彼との再会を果たせるかもしれない、そんな甘美な思いが多少なりとも無かったとはいえない。
スレギトでは出来るだけ前線に赴き、その凄惨な戦いの現場を見届け、そして何度も危険な場面に遭遇した。
油断をする暇などはとても無く、的確な戦術を駆使して防衛を行うマロリガンのスピリット隊の、巧緻な動きの一つ一つに感心する。
捕虜となって高度な情報についての尋問を受けた際の彼女達の的確な応答には舌を巻いた。
更には誰もがラキオスのスピリット達を越える戦闘力を備えており、捕虜の訓練という任務は事実上宙にういた格好となってしまった。
それでも私は生まれて初めて踏んだこのマロリガンの地で、何故か今までに無いほど彼を身近に感じることが出来ていた。
「ふふ……今更、なのにね」
「え? 何か仰いましたか?」
「ううん、なんでもないの。それよりそろそろデオドガンね」
マロリガンに来てから何故か常に私の側を離れず、進撃中の今もずっと隣を歩いているヒミカが首を傾げる。
私は軽く話題を逸らし、そして促した。目の前の小高い丘に、森林に囲まれた旧デオドガン商業組合自治区の姿が現れている。
303 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:02:55 ID:3pbi3XVD0
==== Mission マロリガン首都を制圧せよ ====
デオドガンの入り口に到着したのは正午前だった。そしてそれから2刻以上にも及ぶ激戦が始まる。
当初私達人間の部隊は剣術の心得のある者――当然訓練士を含め――を最終防衛ラインに設置し、
デオドガン正面で北と西に別れる街道の二又地点を抑えつつ、スレギトとの連絡線の確保に当たっていた。
当然その更に前線には2方向に分隊したスピリット達が直接の戦闘を行い、西は敵のガルガリンからの増援部隊を抑え、
その間に主力がデオドガンの篭城敵戦力を殲滅する、それが作戦の主眼。しかし誤算は主力がデオドガンに向け雷発した僅か1刻後に起きた。
「ライトニングス? 本当に?」
「は、はい――――あっ、どちらへ?!」
突如ミエーユ南東に広がる森の中から現れた敵部隊に側面を急襲され、退却を余儀なくされたガルガリン方面担当の一人、
『熱病』のセリアを捕まえ事情の一部を聞きかじった瞬間、私は弾けるように、既に敵の確保される所となっている前線へと駆け出していた。
理屈では、そこが崩れてしまえば二又の拠点の防御は成り立たない。そしてそれは作戦全体の崩壊を意味する。
だが、そこまで冷静に判断した訳ではなく、その証拠に私は単独で行動を起こしており、尚且つ私は所詮"人間"であり、
スピリットに対しての脅威には成り得ない。この場合、しかるべきスピリット部隊の再編成を行ってから押し出すのが賢明な判断というものだろう。
しかし多分、もっと感情的な――例えば亡命前は考えもしなかったスピリット達との交流――部分が私を突き動かしたのだと思う。
私は、"私が"彼女達を守りたかった。彼が身を挺して庇ったその理由に、共に殉じてみたかった。それがたとえ、衝動的な自殺と見られようとも。
どんどこ支援
305 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:06:21 ID:3pbi3XVD0
右手に鬱蒼と生えた樹木に警戒しながら街道を走る。影がいつ形を成し、襲い掛かってくるか分からない。
スピリットのスピードは、人の目からみれば尋常ではない、というのは訓練士として当然知っている。
しかし、もし襲撃を受ける前にその姿を捕捉さえ出来れば、話は変わってくる。考えれば、対処法は幾らでも見つかる。
「ハァァァッ!」
「!!」
街道に覆いかぶさるように枝を伸ばした大木の梢。
そこから飛び出してきたブルースピリットに対し、私はあらかじめ握り締めていた路傍の石ころをあらぬ方角へと軽く投げて身を屈める。
「――――?」
「っっ、そこっ!」
「グッ……」
スピリットの並外れた動体視力が仇になる。
戦闘中に接近しながら石につられ、敵である私を一瞬視界から外してしまった彼女に対し、
腕を巻き取るように抱え込みつつ背後に回り首を絞めると、元々華奢な体格しか持たないスピリットの意識はいとも簡単に落ちた。
彼女を横たえ、立ち膝のまま周囲を窺う。どうやら索敵が目的だったらしく、他に気配も動きも見当たらない。
ところで、ふと手元を見ると私は武器らしい武器も帯同していない。我ながら苦笑しつつ立ち上がり、再び歩き出そうと――――
どすっ。
「っっ!」
焼けるような痛みと共に、背中から腹部にかけて、血に塗れた棒のようなものが生えていた。
306 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:13:27 ID:3pbi3XVD0
「は、あぁぁぁ――――」
戦闘中に溜め込んだ空気が肺から一気に毀れ、全身から力が抜け落ちていく。
前のめりに倒れこむことすら、引っかかった神剣がそれを許さない。
そのまま動けないでいると、剣先が何かを引きちぎるようにべりべりと音を立てながら、じわじわと乳房へ向けて這い上がってくる。
「うぁ、ぁあ、あああああっ!!」
生きたまま、"捌かれる"。
私は四肢を振り回し、逃れようと暴れた。無我夢中で虚空を掴む。しかし、背後のスピリットは冷静であり、尚且つ残虐だった。
私を人間だと知った上で慎重に動きを封じ、確実に殺そうとしてくる。しかしそれは、嬲られているのと同じ。
全身が痙攣を起こし始め、意識も朦朧となってくる。血生臭い匂いだけが目の前でゆらゆらと揺れている地獄のような時間。
そうしてもう抵抗する気力も失くし、悲鳴さえも掠れ途切れた頃に、赤くなっていく視界の中で翻るのは何か白い布のようなもの。
「アイシアス、諦めるな!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
「くっ! エトランジェだと?!」
「マナよ、オーラへと姿を変えよ、我らに宿り、彼の者を薙ぎ払う力となれぇ!」
「……チッ」
びゅおん、と風を切り裂くような音。強烈な圧力。
何か言い争うような声が聞こえ、再び風が舞い上がり、ずぼっとあっけないほど単純な音と共に抜けていく敵の神剣。
支えを失い、倒れる身体を支えようにも、もう残念ながら腕の感覚が無い。どんどん近づいてくる地面に、諦観する自分がいた。
「アイシアス!」
「……ぇ?」
懐かしい声に、反射的に顔を上げた。ぼんやりとした視界の中、駆けて来る人影に、気力が蘇えり、充溢していく。
私は懸命に膝に力を入れ、目を凝らした。有り得ない、そう思いながらも前方に手を伸ばす。
エトランジェが放ったパッションの光が収まるにつれ、よく見えてくる表情。ちょっと困ったような、それでいて。
「―――― ウィンランド?!」
叫んだ途端、私は彼に思いきり強く抱きしめられていた。
307 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:14:00 ID:3pbi3XVD0
「……よかった、間に合った。……本当によかった」
幸い私の傷は臓器を奇跡的に傷つけてはおらず、致命傷に至ってはいなかった。
応急手当を終えた彼がほっと胸を撫で下ろす。
少しやつれ、無精髭を生やしてはいたが、私を見る目元は相変わらず優しい。
事情は、敵を追い払い、戻ってきたエトランジェ・ユートが説明してくれた。
デオドガンを占拠した所、城塞の地下で幽閉されていた彼を発見したのだという。
彼はランサで神剣魔法に巻き込まれた際意識を失い、たまたま通りかかったデオドガンの商隊に保護されていた。
しかし直後そのデオドガンが滅ぼされてしまい、所属していた技術者はそのまま幽閉されてしまったので連絡の取りようもなかったのだ。
「でさ、取り合えずアセリアに頼んで急いで戻ってきたんだけど、行方不明だって聞いてびっくりしたよ。ヒミカが泣いてたぞ」
「うん、ごめん……ごめんなさい。でもあの場合、拠点維持の為には」
「いや、半分は私のせいだ。済まなかった、エトランジェ。戻ったら、みんなにも謝らないといけないな」
「あ、……はい」
さ、と手を差し伸べてくる彼に、私は知らずはにかみながら頷いていた。
そう、昔から。有無を言わせない彼の眼差しには、私は一度も勝てた試しがないのだ。
308 :
隣の芝生:2007/02/25(日) 20:20:42 ID:3pbi3XVD0
================
その後間もなく、私は訓練士を引退した。
スピリット達にはもう私が教えるべき剣技などは無かったし、そうなると訓練士としての私の存在価値は軍にはもはや無かったから。
そして私の居場所は――――
街を囲む森の澄み切った空気や鳥の囀り。
柔らかい日差しは窓から仄かな温かみを運び、料理の下ごしらえをしていた私の手をふと止めさせる。
外から聞こえてくる、子供達のはしゃぐ声。見えなくてもわかる。おそらく泥んこになっているだろう。
ダーツィという国はどこか田舎臭く、ここケムセラウトでさえ一歩街の外に出れば森や川辺など、遊ぶ場所には事欠かない。
しかしそんな辺鄙で質朴なところが私は大好きだ、本当にそう思う。
こんこん、と控えめなノックの音が聞こえ、私は慌ててエプロンの裾で手を拭くと、玄関に向かう。
扉の向こうからは既に子供達に見つかってしまったのか、歓声が上がっている。
恐らく久しぶりにサーギオスから戻ってくるなりいきなり抱きつかれ、泥の洗礼を浴びて戸惑っているといったところだろう。
私はまだ見てはいない緑の景色に一人くすくすと笑い、
そして共に取り合うべき手や夢見た未来をもう決して逃さないようにと元気よく扉を開く。
まぶしく飛び込んでくる家族達の姿を、今持っている最高の笑顔で迎える為に。
――――おかえりなさい
309 :
信頼の人:2007/02/25(日) 20:21:13 ID:3pbi3XVD0
マイナすぎるネタだと思いつつ、
>>289が実現しないうちにと投稿してみるテスト。
スレ24_333の
>第二章で、「亡命を希望していた技術者とパートナーの訓練士を保護しました」ってあるんだが……
>技術者 ウィランド
>訓練士 アイシアス
>ふたりはアッーーーーーなんですか? それとも♂♀?
を受けてみました。支援、有難うございます。誤字脱字ハリオンマジック等御指摘があれば幸いです。
って投稿してしまってから自分で気づく罠
×:ウィンランド
○:ウィランド
orz
>>309乙です。
こういうのを書くと上手いですね、本当に。
ネタの拡大再生産というやつが、言葉を重ねますが本当に上手いんだなぁと感心しきりです。
この雑魚スレがここまで長く続いたのはひとえに信頼の人さんおよびネタの拡大再生産が上手い方々の、いってみれば功績が非常に大きいとも言えますね。
次回のネタも期待しています。
>>309 乙です。
ウィランドさん、無印、PS2共に大変お世話になりました。
アイシアスさん、実はあんまりお世話になった記憶が…w
ともあれ、無力に打ち震えるわけではなく訓練士というスピリットを知り尽くした人間だからこそ出来る戦い。
こういう切り口からのSSを密かに期待してしました。
>ハリオンマジック
×グレイ・ソナー
○グレナ・ソイー
>>310 乙。
技術者の偽名はもはや初代スレからの伝統だよねw
ふと気になって、パパに聞いてみた。
「パパ。ママとパパってどっちが強いの?」
パパはすこし考えてから、こまった顔でこう答えた。
「ママのほうが強いな。昔ほどではないけど、やっぱり差はあると思う。たまに手を
合わせる度に、もっと頑張らなくちゃと思うよ」
つぎに、ママに聞いてみた。
「ママってパパより強いの?」
お母さんは、やさしく笑ってこう答えた。
「違う。ユートは私より強い。ユートは私と、私の大切なものたちをを救ってくれた
。私もいつも思う。ユートみたいに強くなりたいと」
どちらも言ってる事がちがう。どちらもじぶんじゃないほうを『強い』と言ってた。
こんがらがったから、トキミおb・・・トキミさんに聞いてみた。
「パパとママって、どっちが強いの?」
トキミさんは、とてもこまった顔をした。そして、こう答えた。
「強さの形とは、一つではないのですよ。剣を振る『強さ』。誰かを守る『強さ』。
一途に思い続ける『強さ』。それぞれ同じ言葉でありながらその意味は違っているの
です」
むずかしくてぜんぶはムリだけど、なんとなくわかった。
トキミさんのところからもどってきたら、パパがとママ言ってくれた
「ユーフィ。強さっていうのは、人それぞれなんだ。俺には俺の、アセリアにはアセ
リアの願う『強さ』があるんだよ。もちろん、ユーフィにも」
「今はまだわからないと思う。見つけるのは凄く難しい。でも私の、ユートの、トキ
ミの、色々な人の強さを見て、自分の強さを見つければ良い」
・・・なんとなく、パパとママの言うことがわかったとおもう。
「だったら・・・」
やっぱり、ずっといっしょに居たいから。
「パパと、ママと、ずっといっしょに居られる『強さ』が欲しいっ」
パパとママは、やさしく笑って髪をくしゃくしゃしてくれた。
「ホントに平気か?無理しなくても・・・」
「ユート。ユーフィがやるって言ってる。応援しよう」
「う・・・はぁ。そうだな。気をつけて頑張って来いよ。ユーフィ」
「うんっ!それじゃ・・・行ってきます!」
「「行ってらっしゃい、ユーフィ」」
悠久のユーフォリア。初めての任務、頑張りますっ!
「朝の日差し」を書いた者です。なるかなのユーフィを見て、天から振って来たネタ
をひたすら書き綴ってみました。
・・・こういうのって、後々の設定と矛盾が起こったりするんですよね。正直不安です。
なるべく避けましたが。
ツッコミご指導えとせとら、大歓迎です。良作を書けるように頑張りたいので、よろ
しくお願いします。
>>309 乙です。・・・訓練士及び建築士の名前をほとんど記憶してなかったり。
手元にある資料ひっくり返しながら読みました。
>>316 乙です。
ユーフィーなるかな出演前の一幕ですね。
送り出す時の光景なんて正にそんな感じ。
>一途に思い続ける『強さ』。
何故だろう、おbsnがさりげなく宣戦布告しているような気がするのはw
だが、キモウトとの縁が切れて嫁さんとイチャイチャ&娘にダダ甘なソゥユートには効果が無かった!!
>>315 「ユーフィ!ちゃんと門限までには帰って来るんだぞ!」
とか言いそうな我らがユート様
>>311さん
ありがとうございます。
ですが膨らまそうとその気にさせてくれる一行レスの方が
実は結構難易度高いんじゃないかなぁとか思う日々精進なのですよ。
>>312さん
実は自分もあまりお世話になった覚えが、っていうか覚えがあれば
こんだけ間違えませんねすみません。早速連絡スレにてご報告をば。
>>313さん
hahha…… orz
>>316さん
誤字だらけの自分が指摘するのもアレですが気づいてしまったので
×:パパがとママ言ってくれた
○:パパとママが言ってくれた
それはそうとなぜなにユーフィ乙です。
しきりに首を傾げている姿が目に浮かんだり。
トキミさんと言い直しているのが、
アセリアED後の初対面で一体何があったのかと微笑ましいですw
>資料ひっくり返しながら
すみません、どこ探しても居ない人が約2名ほどいました(汗
320 :
名無しさん@初回限定:2007/02/26(月) 12:41:59 ID:wN/VcVpdO
確認です
、とナナルゥが指差したのは、
詰め所の前で、見知らぬ針金頭の青年と口論しているロティだった
323 :
名無しさん@初回限定:2007/02/26(月) 20:12:38 ID:wN/VcVpdO
先制攻撃、行きます
針「一番の雑魚スピ?そんなのハリオンに決まってるだろ!あの胸!お尻!お姉さん属性!まさにNO.1!」
ageるのやめれ。sageれ。
それともなんだ、ageねばならんような理由でもあんのか?
要約するとヒミカはいらない子
うふふ・・・やっとこの日が来ました!久しぶりに悠人さんに会える・・・嗚呼、な
んて素晴らしい日でしょう!森の木々の隙間から見える青空が私を祝福してく
れているようですっ!
「あ、居たー!」
っ!この世界の住人?仕方ありません。いつもなら昏倒させて終わりですが、
今日この日を邪魔するなら容赦は・・・って、何処かで見たような・・・。というか
飛んできた?背中のアレはもしかして・・・。
目の前に着地して、深くお辞儀をする少女。
「はじめましてトキミおばさん。ユーフォリアです」
「お、おばさんっ!?」
「あれ?パパはそう呼ぶように、って・・・」
初対面で何をこの・・・って、そうだ。この髪。アセリア!ということは・・・。
「ユーフォリア、と言いましたね。貴方の父親の名前はなんと言うのですか?」
「えっとね。パパは・・・え〜っと・・・そうだ。『ゆうと』って言うんだよ」
「お、時深。久しぶ・・・うおっ!」
「詳しくはあとで聞きます。今は死んでください。というか死ね!死んぢゃえ
〜!」
「トキミ、ユートを殺しちゃダメ。ユーフィにはそういうの、見せたくない」
「何を?」
「くっ・・・確かに教育上アレですね」
「アセリア、信じてたぜっ!」
「やるなら向こうのほうで。半殺しまでだ」
「仕方ありません。それで妥協しましょう」
「アセリア〜!」
「ユート。自業自得」
「それでは、悠人さんは借りていきますね」
「ん。ほどほどに」
「?・・・ママ、パパとトキミおばさん、どうしたの?」
「一緒にお散歩だ。ユーフィは私とお留守番」
「は〜い」
「良いかユーフィ。もう時深のことを『おばさん』って言っちゃダメだからな」
「え?でもパパが・・・」
「良いからっ!『お姉さん』か『トキミさん』って呼ぶように!」
「わかった〜」
二日続けて投稿はどうかと思ったのですが、
>アセリアED後の初対面で一体何があったのかと微笑ましいですw
と聞いてネタが降りてきたので投稿しました。朝の日差しの作者です。
「求める『強さ』」にて、ユーフィが時深をobsnと言えない理由を想像して書いた初対面シーン。
何度書いてもユーフィとオルファの性格が重なる・・・良いのでしょうかorz
例によって、突っ込み指摘えとせとらはどんどん言ってくださいな。
>331
いや、それ借りていったまま返す気無いから!w
「しっかりと印を刻んでおきませんと。マジックで竿に書くだけじゃもの足りません」
ところで、ユーフィーのあの羽根って、なるかな絵では頭に付いてるんだよね。これはハイロゥとは別もんなのかしらん?
発売日出た途端みんなぞろぞろ帰ってきたけど、
帰省先が主に作品別なのは気のせいだろうかw
元々工作板の方が人多いからね。
>>331 矛先は父親に向きましたか。
つかアセリア、本当に「殺されても知らないから」なのですなw
ソゥユート「俺はこんな所でくたばっちゃいけないんだ…… 孫 の 顔 を 見 る ま で は !」
337 :
名無しさん@初回限定:2007/02/28(水) 04:23:40 ID:qOxx7HnLO
ヒミカの神剣魔法も威力倍増!
まさに燃える展開だ
最近燃えるとか燃焼とか聞くと条件反射でエスペリアを連想してしまうのが困る。
>>332 絵を見ると生えるというより飾りっぽいから、ハイロゥとは違うんじゃ?
>340
やはりそうかな。
予言――――ユーフィーのセリフには「助けが必要?」ってのがある。
枝葉であるアセリア世界の紐帯というものをさすがに高瀬氏なら……っ!
>>341 「えっと・・・なんかピンチっぽいね。―――助けが必要?」
微妙に初登場時のツェナっぽくなりそう。
ろてぃ☆えいぶりすの若旦那だいあり〜
正室:議論中
側室:スピリット探検隊と愉快な仲間達
お題:それぞれ自分がどれだけ正室に相応しいかを力説しなさい
???「ネリーみたいにくーるな女には正室がピッタリよね」
???「ネリー、名前伏せてるのに自分で言っちゃったら意味無いよ?」
???「う゛……でもでも、シアーだってネリーの名前を呼んだら意味無いじゃん」
(以下あまりにも自爆が酷い為、武士の情けで削除)
ユーフィーの台詞はアセリア登場時の「……助けが、必要か?」にかけてるんじゃないのか
>>341 なんか、やたらとお題が出てくるなと思ってはいたが…。
そんなふうにあまりに連続してやると鬱陶しくなるぞ。
ていうか、雑魚スレではロティはあまり歓迎されないふいんき(何故か変換できない)があるし。
無論、住人みんながロティを毛嫌いしてるわけじゃなく、ロティに多少の好意示す奴もいれば保管庫にロティSSもあんだけどね。
まあ、余計な口挟んで悪かったね。
ロティの相手は紡ぎタソでガチ。
次点で光陰と先生。
正ヒロインは入れてやろうよ…
…あれ? 名前なんだっけ?
綱
攻撃スキル:髭切りの太刀
「いらっしゃいユーフィ。今日もですか?」
「こんにちは。・・・うん。パパとママ、忙しいみたいなの」
「なるほど。悠人さん、やはりこの前の世界の事を気にしてますか」
「世界の事?」
「悠人さん、ロウ陣営の剣士と一騎打ちをして敗北しているのですよ」
「・・・パパ、何も言ってなかった」
「自分の敗北を知らせるのがイヤだったのでしょう。あれで頑固とい
うか、、プライドが高い人ですから」
「そっか・・・」
「さて、今日はどんな話が聞きたいですか?」
「う〜ん・・・あ、そうだ。先にわたしが話しても良い?」
「良いですよ」
「うんとね。この前パパとママが・・・」
「なるほど。夫婦喧嘩は犬も食わないと言いますが・・・やはり余程の事
がない限り、悠人さんのほうが折れるのですね」
「うん。・・・あ、でもその日の夜はパパとママ、夜更かししちゃったみ
たい。次の日の朝、凄く疲れたような顔してたもん」
「・・・そうですか」
「何してたのかなぁ?」
「貴方はまだ知らなくて良いですよ」
「???」
「さて、私は何を聞かせてあげましょうか」
「それじゃ・・・パパが学校に行ってる時の話!」
「わかりました。ユーフィと同じくらい・・・と言っても見た目が、です
けどね。それくらいの話をしましょうか」
「うん」
「へぇ〜。パパってそんなことしてたんだ」
「そうですよ〜。結構やんちゃだったんですから。あの時の悠人さんは
可愛かったですね・・・」
「パパは格好良いよ!」
「ふふっ。そうですね」
「そうだよ!・・・あ。そろそろ帰らないと」
「もうこんな時間ですか。気をつけてくださいね」
「うん。ありがとうトキミさん。またね〜」
「はい、さようなら」
「ふふっ。あの子もまだ純真ですね。少々ファザコンのきらいがありま
すけど、家族を愛しているというのが伝わってくる・・・悔しいですが、さ
すがあの二人の子供ですね」
「それよりも・・・なんだか私、近所のおばあさんっぽくないですか?」
最近は時深とユーフィを眺めるとネタが降りてきます。朝の日差しの作者です。
新参者でありながら連続投稿って良いのかなと思いつつ懲りずにネタ投下。
・・・ますます脳内でユーフィのオルファ化が進行中。これで突っ切るべきかなん
とか矯正するか・・・少し意見を頂けると嬉しいです。
353 :
名無しさん@初回限定:2007/03/02(金) 00:40:45 ID:pc0csNyCO
ほのぼのしていて私は、好きですよ
354 :
名無しさん@初回限定:2007/03/02(金) 00:45:38 ID:pc0csNyCO
って、すみません名前が緑なのはなぜなのか教えてください
レスは素人なもので
>354
意味分からんかったが、あなたの疑問は>2のネリーのお言葉によって解決できると思われる。
>352
時「ユーフィー。妹と弟どっちが欲しいですか?」
ユ「えーなんでー? トキミさんがくれるの?」
時「……それは良いアイデアですね。……任務をちょっとだけ捏造して私と悠人さんだけの極秘任務を三周期くらい……」
ユ「何ぶつぶつ言ってるのかな〜ゆーくんわかる?」
つーか俺としては特にオルファ風味は感じないです。
356 :
名無しさん@初回限定:2007/03/02(金) 01:20:45 ID:pc0csNyCO
355さん
言葉足らずですみません。
ネリーにくーるに教えて来てもらいます。
実はユーフィーを任務につかせるのは口実で、その間に「僕らの七日間戦争」を起こすに1000ペリカ
そして次回作はユーフィーの弟妹がウワナニヲスルヤメr
ユーフィーを守護している『存在』と『求め』が神剣に変化して、三刀流をやる姿を想像してみた
…なに、そのワ○○ース
と、自分の想像にマジレスする自分に凹んだ
>>352 乙です。
台詞のかけあいのみならず、その場に登場人物が心の中で思っている事や、その場の情景描写などを入れるともっと良くなるかと。
こういうのは、自分の頭の中のイメージをいかにして「見ず知らずの赤の他人である、読み手」に工夫して伝えるかってのも大事な事の一つだと思うとですよ。
とりあえず、私から見てもそちらの描かれるユーフィーは少なくとも私の知ってるオルファのようなイメージは感じられないとです。
ヽ ゞγ´゚皿゚`ぐ
, ´ ̄ 〉ヽ k @ ノ
γ⌒ヽ ixil ノノハ))) `ー-‐'
( 宗 ) ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ、 <LVがLVが日々精進だよ!
`ー‐' ´ 〈_イ个(7っ `
i二iニ二jR{G}Ri二ニi二l
(_ノ ヽ)
360 :
光陰:2007/03/02(金) 13:17:07 ID:waaVM+Sw0
俺も名前が碧ジャマイカ!
判ってないなぁ、オルファは「パパ〜」。この間延び、間延びが大事なんだよ
ヽ ゞγ´゚皿゚`ぐ
, ´ ̄ 〉ヽ k @ ノ
γ⌒ヽ ixil ノノハ))) `ー-‐'
( 宗 ) ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ、 <ババァ〜
`ー‐' ´ 〈_イ个(7っ `
i二iニ二jR{G}Ri二ニi二l
(_ノ ヽ)
にゅっ ヽ ゞγ´゚皿゚`ぐ
「,'´r==ミ、 , ´ ̄ 〉ヽ k @ ノ
くi イノノハ))) ixil ノノハ))) `ー-‐'
| l|| ゚ヮ゚ノl| ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ、 <ババァ〜
`ー‐' ´ 〈_イ个(7っ `
i二iニ二jR{G}Ri二ニi二l
(_ノ ヽ)
ご意見ありがとうございました。これからも日々精進しますっ!
>>352 乙です
時深さんは近所のというよりストーka
自分もオルファぽさは感じられなかったので大丈夫かと
連続投稿など気にせずガンガンやって大丈夫ですよ 多分
顔色悪いって? んー、ま、ちょっと夢見が悪くてさ。
そんなに気にすることじゃないってのはわかってるんだけど。
ああ、でも本当に下らないぞ、いいのか? そうか、実はさ、
ほら、俺中華料理屋でバイトしてたことがあったろ? そう、そこ。
そこの裏口にさ、ゴミ捨てに行ったんだよ。あ? 色気がないなって?
しょうがないだろ夢なんだから混ぜっ返すなよ。
でさ、そこで拾ったんだよ。何をって? ……ネリーを。
なんだそりゃとか言うな、俺だって戸惑ったさ烏が睨んでたしな。
でもさ、上目遣いでにへらーっとかされたらお前放っとけるか?
出来ないだろ? いや、殺してでも奪い取るとかそんな物騒な話はいいから。
まぁ取りあえず家につれて帰ろうかと。ロリ言うな、お前じゃあるまいし。
五月蝿いな、いいから聞けって。そしたらさ、家が燃えてて。え、微妙に違う?
何を端折ってるって? なに興奮してんだよ、夢の話だっていってるだろ?
まぁいいや、それで途方に暮れて歩いてたんだよ、どうするかなって。
そしたらさ、見覚えの無い橋に何かゆさゆさ揺れてるものがぶら下がってて。
たぁすけて下さい〜って聞き覚えのある間延びした声が……省略されました。全てを(ry
スピリット隊で家族計画と申すかwwww
そしてダンボールハウスで暮らすヘリオンや、金儲けにしか興味が無いヒミカや、殺人的な芸術センスを持つセリアが登場する訳かw
父 ?
母 ハリオン
長男 悠人
長女 セリア
次女 ヒミカ
三女 ネリー
四女 ヘリオン
で、誰が父親なんだ? というか微妙に増えてるような気もするが。
父:タキオスor聖賢
父・クックック息子殿、実はチャイナドレスを用意したのだが。
あん?この前にもまして顔色がすぐれないなって?
そりゃ、なあ。訓練に身が入らなくなるよ。だって聞けよお前。また今度もわけわからない夢を見たんだぞ。
今度はどれだって、いや何がどれなんだかわからないぞ。いいから現実でも俺を混乱させるな。
いいか?死ぬほど変だぞ。今度は…モノたちなんだ。
俺の携帯電話がオルファになって、そんでウェディングドレス着てたわけなんだが。
いやだから、殺してでも奪い取るとかそれはもういいから。
んでさ、冷蔵庫がネリーになっててさ。ネリーが大根だの肉だのを抱えて冷やしてるんだよ。
あとな、これが一番不可解なんだが目覚まし時計がニムになってたんだ。
そんで机の上の電気スタンドがシアーなん、く、くるしい、いやだから何をそんなに夢の話で興奮して首絞めたりするんだお前は!
永遠のアセリア(無印)を再プレイしてて気づいたんだが、
俺は時深おbsnのことを千年おばさんだとか言っていたが
本当は西暦700年代生まれなので、1200〜1300歳ぐらいなんだよね
さすがおbsn、サバを読む量も200〜300年とか桁が違うわ
377 :
名無しさん@初回限定:2007/03/04(日) 18:55:43 ID:RU/bQTBC0
" タイムアクセラレイト
´∴ # __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
/ | | |\ \ ´ ∴ ヾ .
・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . .... . . .
下げ忘れた……
セリアタンに罵倒されてきますハァハァ
家族計画の次はLikeLifeかよwwwwww
あーなんだか変な夢だったわねみんなして私の部屋に押しかけてくるなんて。
それにしても隊長はともかく何であのごついエターナルまでいたのかしら、
挨拶は強制するわ何だか変な通販は始めるわ勝手に私を長女だとか言い出すわ
あーイライラする。なんだかf誰かに当り散らしたくなってきたわね。
……丁度いい時に。悪く思わないで、こんな時に通りがかった貴方が悪いのよ。
>>378 こ の ペ ド フ ィ リ ア !
・・・・・・・
・・・・
…
‥
゚ー゚
オーラがない。ただの空気のようだ。
ペドユーフォリア
街から離れた草原で、俺と光陰は向かい合っていた。
「ユウゥゥゥトォォォォォォォオオオ!」
「コオォォウイィィィィィィィィィン!」
俺は『求め』を振り上げ突進する。光陰もまた『因果』を手に向かっ
てくる。互いの剣が衝突する。近くに立っているだけで弱いスピリッ
トは消滅してしまいそうな程の闘気が周りに突風を生む。草原に生え
た草が広がっていくように倒れていき、草原の真ん中に二人の決闘場
が完成した。
「おとなしく退け!みんなが俺を待っているんだ!」
「抜かせ!お前を待ってるヤツなんているもんか!」
「「うおぉぉぉぉぉおぉぉ!」」
「で、あの二人はなんで戦ってるの?」
咆哮の中心を遠くから眺めつつ今日子が隣に聞く。ちゃっかり木陰に
シートを敷いて観戦ムードだ。
「光陰殿に頼まれて『ヒナマツリ』ってヤツに使うセットを作ったん
だが、男が座る席が一つだけなんだとさ」
シートを持ち込んだ張本人、ヨーティアが欠伸をしながら答える。や
けに眠そうなのはそのセットを作るために徹夜でもしたのだろう。手
に持っているのは酒だろうか。少し甘い香りがした。
「ヒナマツリ・・・ああ、雛祭りね」
「面白そうだから作ったのは良いが、どんな用途なんだ?あの階段状
に席を並べてヘンなものを並べてるだけのものは」
ちなみにヨーティアの後ろにはイオが立ち、万が一に備えつつヨーテ
ィアの肩を揉んでいる。
「コウイン様の話では、女子の祝い事に使うそうですが」
「祝い事・・・まぁそうなのかな。って言っても普通は人形を飾って終わ
りなんだけどね。等身大のものなんて、何処かのイベントで使われる
かどうか、って感じ。・・・あ、でも・・・確か――」
「隣にオルファタソを座らせるのは俺だっ!」
「知るか!いい加減目を覚ませ!お前の隣に座りたがるヤツが居るわ
けないだろっ!」
後ろに飛んで一気に距離を取る。そのまま詠唱。光陰に向けてオーラ
フォトンビームを放つ。
「俺は冷静だ。いつもいつもお前ばっかり良い目見てるだろう。俺な
んかいつも今日子の雷で死に掛けてるんだぜ。これくらい良いだろ!」
光陰も全力で加護のオーラを纏う。高速詠唱で放ったオーラフォトン
ビームじゃ砕けないか・・・!
「そんなことで死ぬタマじゃないだろう?」
「良いから退いとけ。今の俺には勝てないぜ」
「「はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「・・・なるほどねぇ。それじゃ、あのセットは来年まで封印かな」
溜め息をついてヨーティアが言う。何処となくがっかりしたように肩
を落とした
「婚期を逃す、って言うし。早めにしまったほうが良いかもね」
苦笑いしつつ言う今日子。
「ヨーティア様には縁のない話です。既に女子と言える年齢ではない
ですから」
「・・・ズバリ言ってくれるな、イオよ」
イオに追い討ちをかけられて、ヨーティアがシートに倒れこんだ。
「で、あのお二人は放置ですか」
「近づいてとばっちり食らいたくないし。危なくなったり戦いが終わ
ったらちゃんと伝えるわよ」
「せいっ!」
出し惜しみはしない。習得した型の全てをここで!
「甘いぜ!せやっ!」
それをアッサリ防御し、光陰も斬り返して来る。
「くっ!負けるかぁ!」
「ぬおっ!・・・やるな、悠人!」
「ここで負けたら、みんなの嫌味は全部俺に来るからな!」
「俺なんか勝っても負けても雷なんだ。せめて勝たせろ!」
「「があああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「今日はもう3月5日だ、ってね」
数時間後、悠人の提案した「30分で交代」という案を受け入れ友情を
確かめ合った傷だらけのエトランジェたちは、涙を流し叫びながら夜
の山に消えていった。
「「来年こそは、みんなの晴れ着姿をぉぉぉぉぉっ!」」
苦し紛れの時事ネタ投下です。過ぎてますがorz朝の日差しの作者です。
30分前に雛祭りの存在を思い出して、誰も投下してないことに気付いた。
ならばいっそ、私の手で・・・ということで急いでネタ搾り出してみました。
使い古されてる上に反則ワザなのは目を瞑ってください・・・。
追記・ファンタズマゴリアでの「3月3日」及び「3月5日」がどう表せば良いのかわからず、
とりあえず今日子のセリフとしてハイペリアと同じ表記をしました。手抜きですみませんorz
一番好戦的なスピは誰だろ
>>388さんぐじょーぶ
好戦的とは少し違うだろうが、やはり年少組だろうな
特にオルファ
単純に戦闘好きって意味ではウルカとかアセリアだろうけど、
好戦的というのとはちと違うよな・・・
長編作品の更新が無くてちょっと寂しいなぁ……
>>380 もっと罵倒を(マテ
しかしセリアタン純愛ルートが欲しいと感じた今日この頃……ファンディスクでサブスピのエンディングでないかなぁ……
ついでにウルカルートのその後も見てみたいぞ……
おbsnは別にいらん。興味ないし。
そして何故かIDがかわっとる……
サブスピのその後は俺らがどう騒ごうが
ザウス公式的にはスピたんとアネたんでFAでしょ。
まぁ個人的にはハリオンのH観以外はそんなに不満ないんだが。
ネリーとオルファに「おっぱい!おっぱい!」の作法を叩き込んだ光陰
「ネリーがやるならシアーも」と、腕振りに参加するシアー
何だか楽しそうなので参加するナナルゥ
「あらあら〜 楽しそうですね〜」と、興味を持つハリオン
「いいかネリーちゃんシアーちゃん、ハリオンには敬意を表して二倍速で腕を振るんだ」と説明し、
「おっぱいおっぱいおっぱいおっぱい!!」と、全身全霊を賭けて腕を振る光陰
そして「えーとぉ……こうですか?」と腕を一振りした刹那、揺れる胸元のマスクメロンが爆発した
【科学ニュース+】- マナにウレーシェで綺麗な結晶に。マナの保管に画期的手法確立。
>>400 それ、最近のハイペリアでは偽科学として認知されてますけどw
なんか、サブスピという言い方にひどく違和感を感じるな。
サブスピなんていません。
まぁ
>>4ぐらいは見ろってこったな。
最近は余所でも見かけなくなったサブスピという単語をここで見る事になるとは思わなんだ。
、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ 逆に考えるんだ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:}
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 「スピたんとアネたんに出てきたセリアさんがサブスピ。
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´ それ以外が雑魚スピ」
,/´{ ミ l /゙,:-…-〜、 ) |
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ そう考えるんだ。
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
俺は初代スレからの住人だけどサブスピも使うよ。
ここでは基本雑魚スピだけど。
サブスピは主に余所行き用か。
あっちこっちのスレを渡り歩いてるとたまに使い間違える。
普通の人間の歩兵と雑魚スピってどっちが強いんだろ。
それだと10人の柳沢≦1人の中田くらい戦力差があるぞw
>>409 10人の柳沢がゴールにびっしり張りついて中田のシュート防ぐ姿想像して吹いた
負けないじゃんw
急に槍が飛んできたのでって感じか。
迷子になった歩兵が人間に敵愾心を持つスピと出会ったら大変だね。
ブロックしても自分のゴール前でパス回ししてりゃ世話無いだろw
敵青スピ「急にファイアボールが飛んで来たので・・・」
童話 「幸福な女王」
ガロ・リキュア初代統一女王は幸福でした。
何故なら――その長い御代の間、永遠に年若いツバ... 省略されました。続きを読みたい方はルシル硬貨を二枚持ってヨフアル屋の前へお並びください。
年若いツバメにアクセスされたところ、急にファイアボールが飛んで来たので
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//|
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 龍の爪痕でググってみたら
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 頭がどうにかなりそうだった…
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ
>>某銀の戦車な人
なんのことだか、と思ってググってみたら、なるほどボーイズラブでそういうタイトルのノベルがあるのね。
そういえば前に百合SSは出たがBLなSSは無いな、アセリア。読みたくねぇが。
ソゥユート×シュン
光陰×クェド・ギン大統領
タキオス×メダリオ
ラキオス王×ントゥたん
ねーな
>>419 待て。ントゥたんはオスで確定なのか・・・?!
、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ 逆に考えるんだ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:}
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 「ントゥたんはガチでリバーシブル
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´ そしてラキオス王もガチでリバーシブルだから受け攻め万能」
,/´{ ミ l /゙,:-…-〜、 ) |
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ そう考えるんだ。
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
じゃあ逆転の発想で、悠人や光陰が男→女ってのを提唱してみる。
エーテルジャンプで転送後の再構成時、マッドサイエンティストの企みにより女性になってしまったユートと光陰。
新しいお姉ちゃんの誕生に喜ぶスピもいれば、「お姉ちゃんは1人だけでいいんだから!」と意地をはったり。
複雑な心境で動揺を隠せない・・・と思ったら「お姉さま・・・いいかも・・・ぽっ」などと、相変わらずの妄想爆発。
普段はクールなスピも新たな展開に「どんなお洋服が似合うかしら?」と我を忘れ、
お菓子作りに誘われたり、芸人の相方としてお願いされたり、おおむね好評だ。
ちなみに光陰(♀)は女性化したあとも誰からも相手にされず今日子に慰めてもらう方向で。
バーロー、ントゥたんは女のコに決まってるだろ
>>422 じゃあ逆転の発想で、雑魚スピが女→男ってガッツな提唱をしてみる。
「なぁ…光陰、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」
「ん?どうした悠人」
「実は、昨日オルファと一緒に風呂に入ったんだが…」
「な ん だ と ? 俺を差し置いてオルファちゃんと一緒にお風呂かッ!許さん、許さんぞゆうぅぅとおぉ」
「まて落ち着け!突っ込むところはそこじゃない!…と、とにかく、お互いに裸だったわけだ…」
「ふん、まあそうだろうな。オルファちゃんの一糸纏わぬ裸体…あぁ、なんて魅力的なんだ…!」
「まぁそれはおいといて…で、そのとき…見ちゃったんだ」
「ど、どんな風だったんだ?(ゴクリ」
「俺達と同じものが…股間に生えていたんだ。しかも俺より立派だった」
「…え?な、なんだと…!?ま、まさか、オルファちゃんはフタn」
「…それだけじゃない。この間訓練するとき、着替えていたんだが…」
「誰が?」
「俺と一緒に、訓練士(♂)が」
「まさか…」
「俺はおぞましい物を見てしまった…その訓練士の股間には…生えてなかったんだ。スジも見事で、つるつるで綺麗だったよ…」
「…………」
「…………」
「…………悠人」
「…………光陰」
「…ここは異世界ファンタズマゴリアだ。俺たちの世界の常識は通用しないんだ」
「ああ…そして、この後に待ち受けているであろう身の毛もよだつ展開を運命だと思って受け入れることになるんだろうな」
スピたん始めたんだけど
ロティが昆虫みたいな顔で本気でキモイすぎ
主人公がユートじゃないし、アセリアに登場したメインヒロイン達は全員いないし、
スピリット達と昆虫が仲良くなれって展開にイライラしてくる。
初めの戦闘までやったが戦闘システムが最悪
どうやったらアセリアのシステムからこんな糞システムにしようって気になったんだ?
スタッフの頭がおかしいとしかいえないよ
3980円で買ったが後悔しまくり…
おめでとう
>>426 どうしてもクリアしてエロシーン見たいとかならOHPのパッチあてるといいよ
あとザウスはもう
「ユーザーフレンドリー?なにそれ、おいしい?
そんなことよりどうやったらプレイヤーがクソゲーやクソグッズに大金払うかな?」
とか言いそうな会社なんで何を期待しても無駄だと思うよ
>>クソグッズ
正直、スピたんのときのSDフィギュアはショボイにもほどがあった。
見方を変えれば、あれはあれで味があるのかもしれないが。
一体何処で、誰が何を大幅に間違えてしまったんだろうなあ。
魔改造すればいいジャマイカ!
…俺は出来ないけどな
>>クソグッズ
ヘリオン抱き枕をずっと使ってる俺は負け組みですか?
単品グッズではなく、販促としての特典グッズのことでしょ。
まあ、ヘリオン抱き枕を使ってる人を世間様がどう思うかはまた別問題だがw
抱き枕は出来イイんだが、他のグッズや特典ってハンパに安く抑えようとして
めっちゃチープになってる気が
ヘソのボイスクロックみたいな、ちょいお高くても大事に使えるモノがイイのになぁ…
統べし聖剣シュン「本当に延期になっていたか」
吊られ……クマ――――!!!!!
>>430 某ボー○スのかすたまいずフィギュア使ってシアー作ろうとしてます。
してますが、てこずってますorz
胸にパテ盛り付けて形整えるまではいいとして、服がどうしようも茄子。
まあ、強引に市販のドールドレスで誤魔化す気マンマンですが。
んで、髪型もパテで無理やり何とかするとして顔がこれまたどうしようもなさげorz
んでも最大の難題はウィングハイロゥと永遠神剣を多分フルスクラッチせなあかんだろうてな所だったり。
完成するのに一年かかれば早いほーだなぁ。
アセリアやってなかったので、スピたんのダイジェストはいい特典だったと思う
最近になって時深おbsnが可愛く思えてきた。
もうだめかもわからんね
無印アセリア再プレイ中なんだが、時深おbsnとセクロスして、中田氏してしまい
おbsnが「子供ができたら責任取れ!」って言ってたが
あれでもし本当に子供ができちゃって、そのときにアセリアストーリーだったら・・・
ユーフィーとおbsnが初めて会うとき、ユーフィーはおbsnだけでなく腹違いの兄弟姉妹に会うことになるのか・・・
すさまじい修羅場になりそうだぜ・・・!
それならユーフィーに、激甘な兄貴という方向で
個人的にはユーフィーと瓜二つの魂の双子設定がいいな。
後のしおり&さおり姉妹である
>>442 ネリーとシアーの事も、時々でいいから思い出してください。
いや、やっぱいいや。
ネリーとシアーのことは俺に任せてくれ!
>>443 ならセリアとナナルゥは任せろ!!
ツンデレとクールは……いい属性だ!!
>>442 姉妹っていえば呼称が唯一「お姉ちゃん」のファーレーン。
「私に妹なんていないわ」
>>445 >442ははじるすのことをいってるんじゃまいか
>445の言いたいのは栞と香里じゃなかった?
起きないからk(ry
ユーフィたんは既に処女じゃないと申すか!?
そんな・・・・・・あんまりだ・・・・・・・・・・_| ̄|○
「えっとね、パパのがすっごくおっきくて気持ちよかったよ♪」
あぁなるほど。
それで、はじめてのにんむ の時に世間の常識を教えてもらって
向こうの陣営に行っちゃったわけか・・・。
ユーフィータン可哀想に。
、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ 逆に考えるんだ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:}
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 「ユーフィータンはユー君と結ばれたんだ
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´ だから身も心も処女。ユー君はノーカウント」
,/´{ ミ l /゙,:-…-〜、 ) |
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ そう考えるんだ。
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
そして、アセリアとユートはユーフィー不在中に新たな家族計画を目論むのであった
後の柊家おねえちゃんズである
>>448 ソゥユートはそんなことしねぇ!!
…けど、ヘタレだから迫られると流されるんだよなぁ。
自分からはしないんだけど娘から迫られたら間違いなく流されるね。妹のときと同じく。
永遠のアセリアで主人公に終始敵対的だった秋月瞬がまあ、悪役のトリを勤めるワケですが。
個人的に、少なくとも元の世界に居たときは彼の方が正しいとしか思えません。
だって、幼馴染というだけであんなブサイク(佳織)を気にかけて
劣悪な環境に虐げている義兄から守るために自分の家で引き取りたいとまで申し上げる奴ですよ?
え、下心が見え透けている?
なにを言いますやら、だって下心のある下衆なら物語中盤で自分の支配下に佳織が入ったときに
強引にことを運んでるに決まっているじゃないですか。
オフィシャルページの全身像を見てください、あの異常にやせ細って
グロテスクな帽子を被せられている少女を、明らかに栄養不足と強制の要素が見て取れます。
佳織は醜悪な支配願望の下に常に晒されているのです。
あのまとまらないボサボサの髪も意図して悠人がそうさせているに違いありません。
如何に造作がよくないからといって年頃の少女におしゃれの一つも許さない態度!これは最早虐待です。
ちなみに、悠人は故意に親の事故賠償金を受け取らずにバイトで生計を立てているなどと言いますが、
その程度の稼ぎで人一人食わして行ける訳はありません。
悠人は佳織の両親の預金を当てにして生きているに違いないのです。
そして事故賠償を受け取らないのは、それを佳織が受け取ってしまえば佳織に
自分の金が出来て自立して預金が手に入らなくなることとを恐れているのです。
「ごめん、こんな甲斐性無しで。別エンドなら何とかなるかな、とか思ってたんだけど」
「ん、ガス、止まった。子育てって大変。これ以上は無理」
「苦労するのは俺達だけでいいから。だからユーフィー、ごめんな」
「いつか迎えにいく。それまで待ってて」
「……あれ? パパぁ? ママぁ? ここ、どこお?」
== ロウ孤児院 ==
そしてショックのあまり一部記憶喪失になってしまうユーフォリア。
カオス陣営の貧乏な台所事情が生んだ悲劇であった。
>>454 瞬乙w
>454
ふーん。そりゃ難儀したねぇ。で、自分だけで妹を養っていきたいってぼうや、幾ら稼ぎたいんだい?
……うんそれくらいならぼうやならわけないね。かわいい顔してるしさ、体も結構引き締まってて、うちのNo.1目指せるよ。
あ、当然だけど18歳以上だよね? あしたから店に出てこれるかな?
「お兄ちゃん、今日もご苦労様。お風呂わいてるよ」
「……ああサンキュ。佳織」
ってなんだマルチか。
作品別は携帯が増えたねえ。
俺だってユーフィーを旅に出したくなかったんだ
でもな……
ユーフィーが「弟か妹が欲しい欲しい欲しいー!!」なんて駄々をこねるから……その、な……
よーしパパ、サッカーチームが作れるくらい頑張っちゃうぞー!!
そして出来たのは異母兄弟姉妹と……この鬼畜がっ!!
次回作は年長組とロティの間に生まれた娘たち&ユーフィーの弟が繰り広げるプリンセスゲームのお話
無印アセリアのイービルルートプレイ中、気になる一文があった
「善意の砂糖菓子で育ってきたファーレーンは、俺にとって格好の獲物だった」
・・・どんだけ甘やかされて育ったんだファー・・・?
その一文から雑魚スピ像をあれやこれやと妄想していた頃が懐かしいな
「あぁもうニムったら…寝る前にちゃんと歯ミガキする約束でしょ?」
「む゙ー」
「しょうがないわね…」
シャカシャカシャカ…
ちっちゃいコが自分でではなく親御さんに磨いてもらうシチュって萌えるよな!
ガロ・リキュア1日女王様体験イベントに、スピリット探険隊のみなさんが当選されました
※実はこの企画、ターゲット以外全て仕掛人
ニム「めんどくさいから嫌」
fin.
女王「たくさん用意したから、きっと喜んでくれるよね」
自慢のコロッケを持参して、運命の人とのデートですね
仕掛け人の一人ユートは、ヨーティア謹製胃薬を食前・中・後用にそれぞれ3包用意して事に望むことに。
本番前、静かに祈るユートの姿はまるで聖女のようだったと後の人々はシミジミ語っている。
*傍にはハリオンが待機してます。
やっと望んでた事が起きそう>高瀬氏のクラブザウス内文章活動。
ユーフィー×゜ー゜の子供をやるぐらいなら…
ユーフィー×別EDのユウト子供の方がいい!
では、ソゥ・ユートと各スピ+イオ+ヨフアル娘他の間の子を妄想してみよう。
必然的にオリキャラになるが、そこはそれ、やりすぎない程度に程ほどに。
ユート×エス=エスそっくりの男の子。
母親の血を濃く受け継いで、緑スピの特性を持つ。普段は家庭的で品のいいお兄さんな感じだが、いい感じに黒くて可燃物。
永遠神剣は、とりあえず「忠誠」とでもしておく。
そして、以降は華麗なるスルーの予感。
ニム「子作りめんどくさい」
fin.
ファー「あれはイヤこれは面倒って…私はニムをそんなSS職人に育てた覚えありませんっ!」
ユート+イオ=ブラックジャック
当然マッドサイエンティストの賢者様と母の下で修行。
ガロ・リキュアの医療技術に革命をもたらすが、邪法とされ闇医者として大活躍する。
メス型の永遠神剣を片手に今日も医療現場を渡り歩く。
>>472 足すのかw
ユート×セリアの息子
両親が時折勃発させていた命懸けの夫婦喧嘩の天秤を、
デッドラインを超えないようにと必死で取り持っている間に
自然と身についてしまったタラシの術。
幼少の頃から女性となると反射的かつ見境無く気を配り、
その真摯さと母親の訓諭による節度の高さであらゆる層のハート鷲掴む。
呆れたセリアに溜息を付かれてしまう事もしばしば、そんな日々。
「父親に 全 く 似なかったのだけは確かね」
ファーストキスは保母さんと。ブランコの影で。
ユート×ファーレーンの息子
実直な性格で周囲に頼りにされるが、2つ違いの妹のことになると病的なまでに心配性になる
ユート×トキミの子
若いのに老成していて精神年齢=実年齢×100くらいなんじゃないかと近所で評判に(ry
ユート×ネリーの娘
親子3バカここに極まる
ユート×ナナルゥの娘
ツッコミの鬼
無表情から繰り出されるインシレネートツッコミ、イグニッションちゃぶ台返しはファンタズマゴリア随一との評判
後のアポカリプスたらい落としにおいてM1グランプリ殿堂入りを果たすが、エターナルキョウコのハリセンの前に没する。
・ユート×オルファ
某人切りの2代目みたいな人
神剣に付着した油を使って火を起こし、神剣魔法で火力を強化しつつ収束
掌にその炎を移して、笑いながら敵に叩きつけたり…
>>473 >>474 よく見るとユートがショタで、ウホッな関係に見えてしまう…
ユート×ヘリオンの息子
母親似で几帳面かつ武士道に生きる紳士的な侍
0.3mm幅でキャベツを刻むウルカを心の師としており、幾度となく挫折を味わった後、猛特訓の末にヒラメの五枚卸を修得し、一躍脚光を浴びる
しかし剣術そっちのけで何やってんだこの二人
>>474 2つ違いの妹は2人の叔母に兄の攻略法を仕込まれている悪寒
ソゥ・ユート×シアーの息子
男の子なんだけど、見た目まんま母親似かつ父親の遺伝子譲り受けまくりの、ハリガネオカッパ髪。女装が必要以上によく似合う。
ユートのヘタレ具合とシアーの天然具合をも同時に受け継いでおり、いい感じに和み系キャラになっている。
両親ともにでかい剛剣ふりまわすパワーファイターなせいか、母親そっくりの一撃必殺だけど一発こっきりの太刀筋。
ただし、普段ぽわわんなだけに一度本気で怒ると某ベルセルクのガッツみたく青い竜巻みたいな暴風っぷりを発揮する。
ちなみにやっぱり、母親におとらず大の甘党でお菓子好き。初恋はハリオン姉さん。
更にデカイ剣つながりなのか、時たま前触れなしにオンドゥル語を発する。そして無意味にトランプと昆虫好き。
永遠神剣は見ればみるほど、某マスクドライダー剣王のキングラウザーそっくりのデザイン。
ユート×ヒミカの息子
某瑞穂お姉さまや準にゃんのように女の子女の子している男の子
母親がイメージする女の子像を息子に投影し、父親のシスコンぶりがトドメを刺した結果である
本人は光陰のように男らしくなりたいと思っているのはお約束
後にナナルゥの子供とエクストリームちゃぶ台返し、エクストリームずっと俺のターン、コノアライクライシスなどで決闘することになるとは、誰が想像しただろうか…
何だかFEの後日談を見ているようだ
あとはラングリッサーみたいに、一度でも撤退していたり撃破数が少ないとアレな後日談とか
>>486 ラングリッサーか、懐かしい
その事実を知らなかったから、初回プレイのEDは非業の死の嵐だったな…
思えば、ラングリッサーがEDで絶望した初めてのゲームだったw
スレ違い失礼しました
〉エクストリームちゃぶ台返し
〉エクストリームずっと俺のターン
〉コノアライクライシス
ちゃぶ台返しは分かるが、下の2つの元ネタkwsk
>>488 〉エクストリームずっと俺のターン
ガ板ですっと俺のターンで検索
〉コノアライクライシス
多分美味しんぼの雄山のセリフ 「このあらいを作ったのはだれだぁっ!!」 からだと思われ
間違ってたらゴメンヨ
それじゃ、舞台劇アセリアの
ずっと黒スピの攻撃ターンとかのお笑い部分も遊戯王のオマージュ?
トキミの元相棒がイヌミミ少女だったとは・・・
>エクストリームずっと俺のターン
後のオーラフォトンブレイクである
>>491 あれですよ、トキミミモード♪って奴ですよ。
お題:猫派?/犬派?
誰が何と言おうとナナルゥは犬派
シアーは犬耳、ネリーは猫耳。ふたり一緒なら狐耳。
黒くて忠誠心高くて育てれば有能なヘリオンは、猫じゃなくて犬。
それもシェパードをキボン
ユート×テムオリンの息子
見た目完全にテムオリンそのままで、細胞分裂でもしたのかと周囲に思われたほど。
ぱっと見で母親と判別できるのはユートだけ。
それとは裏腹に、内面は母親と正反対の超良い子で、殺伐としたロウ陣営の清涼剤。
一度トキミが彼に真っ白な笑顔で礼儀正しく挨拶されてしばしの間石化した事もある。
子供が出来て完全に親バカと化した両親や母親の部下達、トキミなどに囲まれて、
日々サ○エさんライクな生活を送っている。
幼少時のお仕置きはお尻ペンペンではなく触手。女装が普通の格好だと信じているちょっと不憫な子。
「ユ、ユートさま街が! 急ぎましょう!」
二条の黒髪を振り散らしながらヘリオンが喚いた。
北方に見えるのは黒煙を上げるスレギト。
心臓を鷲掴みされた様な衝撃に、俺は求めを握り直すと叫び返した。
「よし行くぞっ、ヘリオン! 全速力で救援に向かう!」
「はい!!」
返事を受けて勢い込んだ俺達は走り出し……「何やってるヘリオン」
砂漠の熱砂を踏み締めて、振り向いた俺の目の前では――くるくるくるとその場で回ったヘリオンが、
「ワン」って。両手を丸めてポーズ付き。
…………
……
…
「ハイペリアのおまじないですっ。急いでるときにはくるくる三回回ってワン。これをハイペリアの言葉で、
急がば回れって言うんですよねっ」
ユートさま褒めてくれるかな……強風吹きすさぶ中、囁きが俺の耳にしっかり届く。
どうやら蜃気楼ではないらしい。
佳織発オルファ経由ネリー編曲シアートッピングを連想した俺は、頬を叩く砂粒に負けず Mind+20。
この潤いは日本人としての是正欲求を真っ向から否定するものだ。
俺はマロリガン戦終了後もこの役得――オアシスを独占すべきだと心に固く誓うのだった。
ちょ、上がるのかMind ww
野良スピキタコレ
ん、むに〜〜。う〜〜……むむ。
寝てた。今起きた。ふわぁ〜ってあくび。
背中があったかい。お姉ちゃんの温もり。
さわさわって音がする。詰所の中庭にある大きな樹の下。頭の上で葉っぱの音。
目をこすって開けた。
月。……三日月いっぱい。
むに? あれ……なんか違う……と思う。
だって明るいし、夜じゃないもん。だから、なんか、変。
もう一回目をこすって見た。風が動いてる。一緒に木漏れ日が動いてる。地面の月も一緒に……変!
勢いよく見上げる生い茂る枝葉は変わりなし。
だけど葉っぱに邪魔されてチラってみえた太陽の形はネリーがかじったヨフアルみたいに思いっきり欠けてた!
「お姉ちゃん起きて! 太陽が月になっちゃったよ!」
マスクを外して寝てたお姉ちゃんは直ぐに目を覚ましてくれた。
「どうしたのニム。変な夢? 見たの?」
ぽやーっとした目のお姉ちゃん。いっつも寝起きが悪い。寝坊するのはニムの方だけど……そんなの今はどうでもいいっ。
ニムはお姉ちゃんを揺すって地面を指さした。
「月、ね……っ!」
まだ眠気が残ってたお姉ちゃんは、次の瞬間にはマスクを引き上げてニムを抱えて跳び退った。
ニムはお姉ちゃんに抱きついたまま目を細めて空を見上げた。お姉ちゃんも同じに見た。
「太陽が!? これはっまだ昼間なのにっ……赤と緑のマナが退いていく? 月の黒いマナが……満ちていく!?」
お姉ちゃんが驚愕して言った。ニムにも分かる。マナがずれてく。青い空の太陽が……細い月の形になってるんだもん!
「お〜い……ファーレーーーーーン、ニムントールーーーーーー」
そん時、緊張感の欠片もない声が聞こえてきた。お姉ちゃんはニムをかばってそっちを見た。
近づいてくるのは、だらしないカッコで髪もボサボサ、しなびたタバコをくわえたヨーティア。この国というか、
この世界随一の頭脳の持ち主らしい……けど嘘っぽいと思う。
「詰所に誰もいないんだこれが。ボンクラもいないから飯食わせてくれないか」
いきなり何言ってんの。ニム達の雰囲気に気付かないってやっぱり大物ではあるけど賢者だなんて思えない。
「ヨーティアさま。あ、あの、空を、太陽を見てください」
お姉ちゃんが結構うろたえてる。
「ん?」
ようやく、ヨーティアもこの事態を分かったみたい。
空を見上げて……「あああああああーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
ひっ……いきなり驚かすなっ。
ニムとお姉ちゃんは急に素っ頓狂な大声を上げて太陽と地面を交互に見ては、
頭をがりがり引っ掻くヨーティアをしげしげと見つめた。
「ああああ……今日、だったのか……」
でろーんって感じで両腕を下げて背中を丸めて嘆いてる。
「イオにどやされるなあ……でも今さら機材の準備しても……はぁしょうがない」
言うが早いかいきなり晴れ晴れした顔で元気になった。
そんでどっかと座って……寝ころんだ。
「ヨーティアさま、あ、あれがなんなのかご存じなのですか?」
「ああ、ありゃあ日食だ。十年に一回って位のイベントなんだがねえ、色々用意が全部オジャンさ。
ほれ、折角だから、おまえらもしっかり見ておけ。ついでに解説もしてやる」
|゚∀゚)
お姉ちゃんはニムをチラッと見て、座りましょうって言った。
ヨーティアが言うんならって信用したみたい。ニムはお姉ちゃんが言うならまあ信じる。
さっきまでニムとお姉ちゃんが寝てた大木の影から僅かに離れたところに座った。
太陽を見上げるとちょうど薄い雲が流れてきて光を弱めてくれた。お陰でハッキリ見えるお日様の形。
変なの。三日月みたいに半分以上欠けてる。ほんのり辺りが暗い。気温も少し下がった気がする。
そして、地面を見ると木漏れ日も同じ形をしてる。やっぱり変……というか不思議に思う。
ヨーティアが解説してくれた。地面に小枝で図を書いてくれたけど正直なとこ良く理解できないけど、
この現象に月が関係してるってのだけは理解できた。
月が太陽を隠してる――「えんぺい」とかなんとか難しい言葉で説明してた。
お姉ちゃんは両手の人差し指を突き合わせてくるくる回してる。困ったときのお姉ちゃんのくせ。
「え、えっと済みませんがもう一度説明願えませんか」
お姉ちゃんがんばってる。
「おーいいぞ。しかしこれ終わったらメシ頼むぞ」
図々しい。どっかのムカツク男とおんなじだと思う。
でも、お姉ちゃんの月と、ニムの太陽。お姉ちゃんと一緒でなんだかうれしい。
今、見えなくても空には月が存在してる不思議。それは、ニムとお姉ちゃんがいっつも傍にいるのと同じ事。
そう考えれば何も変なことはないって思う。
時間が過ぎていくと共に太陽の形が戻っていった。マナもいつも通りで安定。
お姉ちゃんはお昼ご飯を作りに厨房にいった。ヨーティアも腹ぺこだって騒いで付いてった。
ニムもお腹すいたけど、もう少し、ここにいたい。木陰にもどって、さわさわ揺れる木漏れ日を見る。
それは何事もなかったかのようにいつもの形。
お姉ちゃんと少しくらい離れてたってニムは平気。月はそこにあるから。
…………
……
…
「ニムーお昼よー」
あ、ご飯できたんだ。眠りかけの体を起こして、ニムはお姉ちゃんの所に駆けてった。
見えなくても、ちゃんと在って。
ちゃんと寄り添ってくれているから曙光は輝けるのです。
いい話ですな。朝から和みました。
「月の黒いマナが……満ちていく!?」
「お、お姉ちゃん?……くっ、『曙光』が、緑のマナが食べられて!?」
「クックックッ、力が、力が満ちるっ! 欠けろ、もっと欠けろぉ!」
「んぐぅっっ!! お姉ちゃん……助…け……」
「ウヴォォォォォンッッッ!」
やにわに立ち上がり、日食に吼えるファーレーンを想像してしまった私は汚れているのです。
光陰「俺なら陰も光も食い合わずに二人纏めて面倒みられるz(サンダーボルト
「ふう……。まったく、お互いとも気を遣いすぎなのですから」
吐息と共に呟いた声は、月夜の空気に溶けていく。ラキオス城の中庭は、既に深更お肌に悪い。
――本当に良い夜。
仰ぎ見れば、虚空には月輪が浮かぶ。
その月明かりも、今し方駆けていったエトランジェの背中を見せてくれるにはカナリなところで役立たず。
第一詰所の思い人の所まで全くあっさり飛んでったニクいあんちくしょう。背中押したのは自分なのに――やっかみ半分。
――ま、これで貸し一つだよ、ユートくん。
悪徳高利貸しは、変に笑って風を感じた。澄んだ夜気。少し冷たいけど、それが本当に心地よい。
それはそれとして。
微笑混じりの澄まし顔に戴くティアラを煌めかせ、
「あなたもそう思うでしょう? セリア」
顧みるなり語りかけた。
「……気付いて、いらしたのですか」
たっぷりと逡巡の間を置いて、レスティーナ右後方に有った茂み裏から現れたのはセリア・ブルースピリット。
風に押されて青い髪が揺れている。
決まりが悪い顔。夜目にも分かる紅の頬。
「ふふ……いえ、気付いていたと言うより、そろそろあなたもわたくしと同じ事を考えるのではないかと」
レスティーナの緩やかな笑顔の前に、セリアは言いよどんだ。たじろぎを隠しても隠しきれない。
「……その通りです」
渋々な面持ちが可愛いくて堪らないけど、ここは辛抱。腹に溜めてもう一撃。
流し目で妖しく捕捉。相手の目は泳いでる。おそらくは防御不可能なクリティカルヒットで必死。いや必至。
「……正直妬けますね」
「な、なにを仰いますっ」
反射的に声を張り上げたセリア。だけどやっぱりそれはカウンターならず。青だし。
「あら。わたくしと同じ事を考えていたのでしょう?」
「そ、それとこれとは、ち、違います。違いすぎです」
「あら。それは残念」
身に纏うドレス並みに白々しいレスティーナはぬけぬけ笑顔で、躍起に動くセリアの頭を眺めやる。
――まあ、当たらずと言えども遠からず……ってとこかな。
なんて思って意地悪な当て推量も正鵠を射る、まん丸月の下。
ややあってレスティーナは前髪を弓手で掻き上げた。頬が浮き上がりそうなのを必死に我慢。
しどろもどろなセリアの逃走防止の為、宥めすかしてにわかに音が鳴る。
――チャポン。
レスティーナの馬手。アカスク瓶が戸惑いを隠せないセリアの青い瞳とレスティーナの視線上で重なった。
「一緒に飲みませんか?」――何処から取り出したのか、なんて無粋だよ。
突っ込み対策のセリフは無用な雰囲気。なので飲み込んだ。決めぜりふなのに。
ゆらゆら揺れるアカスクは周囲と同じモノクロームのさざ波。
「ヨーティア殿の所から、ちょっと失敬してきました」
「……」
惚けて言葉の出ないセリアに、まるでいたずらっ子のように笑って見せた。舌までチョロっと出してみる。
とても一国の女王のすることとは思えないが、12年ものですよ――などとさらに追い打ちを掛けてみる。
「わ、私のような者が、陛下と酒席を共にするなど、……畏れ多いことです」
我に返ったセリアが、顎を引いて畏まって言った。頬の紅い残滓が俯く。
敵の動きを見極めて……ここねっ! っと思ったかどうか知らないが、
虎口を脱するタイミングを計る雲行き。深く頭を垂れて、頭の尻尾が右から左。
今こそ踵を返さんとするセリアに軽く肩をすくめて――。
「それでは――ユートへの悪口を肴にするということで」
「……それなら、お供致します」
既に60度近く回った体をピシリと止めて、カクカクと軋みながら逆戻したセリアは呆れ眼も見る間に変化。
真面目くさって最敬礼して言った。
「そうですか。では」
うなずいたレスティーナも峻厳な顔を返した。
希代の名君股肱の臣は厳かに、阿吽の呼吸で芝生の上を歩き出した。
そのまま数歩何事もない。
さらに数歩。どちらからともなく互いの目を覗き合った。音も無く、肩が震える。
耐え、きれない――プッ、プくくっくっくすくすくす。
忍び笑いが続き、ついには腹を押さえて破顔一笑。
女同士で女同志は収拾のつか無いままに肩を並べて吹き出し防止に歯を食いしばる。
出くわした夜警巡回の衛兵がしゃちほこ張る。
女二人の束の間道中膝栗毛。至、女王の私室。
そのままゆっくりと二人を飲み込んでいく青灰色の城からはマナの柱が立ち上り、
まるで満月へ続く道の様に空へ伸び続けていた。
支援
ということで、淑女達の談義シリーズに参入してみました。
こんな短い話しで二回も書き直した俺も、二人の酒盛りの末席においてもらえるでしょうか……。
二人の酒の肴が、エス○リアさんに何時の間にやら移り始めても僕は黙ってミカン箱の前で俯いてますから……笑いこらえて。
>505
ああ、ファーさん。ついに人目を憚ることもない逞しさを身につけたのですね。
体中漆黒の剛毛に覆われちゃって……本懐w
>506
光と陰も電撃の前には黒こげ。おお、これぞ地上の日食w
>>511 なにやら不思議なテンポで流れるナレーション。
肩を押してしまった者と、押し損なった者。
ヒロインになり損ねた者と、そもそもルートすら無い者。
大概なお人好しさに自嘲し、お互いの意地っぱりを認め合い。
諦めた恋を忘れる為に笑い、優先した友情に杯を合わせる。
エスペリアさん、見てますか? 夜のわたくしとか言ってる場合じゃないですよ(何
ところであのシーンの「戦いにはもう慣れましたか?」って選択肢、何か意味あるんですかね?
一応ある
ユウトのマインドが「慣れた」で-5、「慣れない」で+2
神前式
アセリア「ユート、この服重くて暑い」
ネリー「同上」
シアー「同上」
ハリオン「胸回りが以下略」
ニム「めんどくさい」
ウルカ達黒スピしか似合わないよなぁ…
巫女は和服だから論外だし
「……ふあぁぁぁ」
昨晩遅くまで起きていたせいか、やたらと瞼が重い。
ぽやぽやと胡乱な頭のまま上半身だけ起き上がり、眩しい日差しに目を細める。
朝。少女はそう認識すると、一度うーんと大きく伸びをして、それから目元をこしこしと擦り始める。
軽く握った両掌を使うその仕草は意外と幼く、
彼女が好んで使用している寝巻き代わりのだぶついた白シャツから大きく広がった胸元とか
ちょこんとあひる座りで剥き出しのままの透き通った素足とかつるりと丸い小さな膝小僧とか
しっとりとした太腿の付け根からちらちら見え隠れする白っぽい布のようななんやかやとかと相まって
朝の爽やかな空気をいきなりどこかしら淫靡な桃色へと変えてしまっているのだが、本人は全く自覚してはいない。
まだ半分寝ぼけながら、逆光に透けた清潔そうな寝巻きの前開きになっているボタンをぷちぷちと解き始める。
するとそこから現れるのは、小麦色に日焼けしているにもかかわらず女性らしい華奢さをも兼ね備えた首筋。
細くくっきりとした曲線を描いている健康的な鎖骨、そしてひっそりと息づいた形の良い膨ら(以下校閲削除
「えっと……うん、今日はこれがいいかな」
こうして普段の戦闘服に着替え終わった彼女はドレッサーに仕舞ってあるニーソックスの中から念入りに
お気に入りの一つを選び出し、ぱふっとベッドに腰掛けて、すらっと引き締まった左肢を前方へと軽く突き出す。
桜色の爪先に当てがわれた丸いニーソックスの塊がするすると伸び始めると、
陽光に反射した赤が脹脛から順に彼女のきめ細やかな柔肌をぴっちりと締めつけていき、
最後にふっくらとした量感を持った太腿を包み込み、ぱちんと小さく音を立てる。
右肢も同じように繰り返し、捲くれていたスカートの裾をぴんと伸ばして皺を伸ばす。
机に置いてある小さな鏡を覗き込み、映る顔にかかる前髪を軽く整えてから両手に銀色の籠手を通し、
いつも就寝時にはベッドの傍らに立てかけてある大振りな剣の柄を手に取ると、窓の外に広がる青空を確認して
「……んっ、今日も良い天気ね。みんなにマナの導きがあらんことをっ」
こうしてラキオス第2詰所のリーダーこと、『赤光』のヒミカの一日は始まる。
朝食後の訓練。
戦時中に戦闘能力を劣化させる訳にはいかない。自然、未熟な者にはより厳しく当ることになる。
「マナよ、力となれ 敵の元へ進み」
「わ、わ、えと、我に従え、彼の者の包み――――」
「なーんてね……そこっ!」
「あうっ! ちょ、待って、待ってってばぁ!」
「ほらほら、神剣魔法に頼ってばっかりいるから手元が留守に」
「よっ、ほっ、……あたっ! アタタタタタッッッ! 痛い、ヒミカ痛い!」
「ほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!!」
「……お楽しみのところ、大変申し訳ないのですが」
「ホーホッホッ女王様とお呼……え? エスペリア?」
「ヒミカ、ちょっとよろしいですか?」
「え、うん、いいけど」
両手を上げて降参のポーズを取っているネリーを構わずぼこぼこにしていると、
背中から控えめに声をかけられたので、さっと『赤光』を引き向かい直す。切り替えの早さが彼女の持ち味である。
「それで?」
「実は降伏してきたスピリットの子達なのですけれど」
「……ああ、いたわねそういえば」
先日の戦争で、ラキオスはマロリガンを版図に併呑した。
その際、稲妻部隊と呼ばれるスピリットの精鋭部隊が、率いるエトランジェ共々丸ごと降伏してきたのをヒミカは思い出す。
「その子達がどうかしたの? 確か一時まとめてラセリオに収容されているって聞いてるけど」
「ええ。実は今回、数名を試験的にラキオスへと連れて来たのですが――――」
エスペリアは何故かそこで言いづらそうに、口を噤んでしまう。やや俯き加減の視線も落ち着かない。
「……どうしたの? それで、何か問題でもあった?」
「いえ、やっぱり……すみません、この件は忘れて下さい。わたくしが甘えていました」
「え、待ってよ余計気になるじゃないそんなの」
エスペリアの手にはいつの間にかハンカチが握られ、それがしばしば目元を拭う。
その弱々しさは、スピリットというよりはただの女の子。とても戦場であれだけの勇を奮う精鋭の仕草には思えない。
ヒミカは、慌てた。彼女をここまで悩ませる程の、何か作戦上の齟齬でも生じたのだろうか。
「ね? 私でよければ出来るだけのことはするからさ、話してよ」
「……そうですね。ありがとう、ヒミカ」
肩に手を当て励ますように諭すと、ようやくエスペリアの表情にも小さく笑みが戻る。
「本当は一人で解決するべき小事なのですが、至らないばかりに……申し訳ありません」
「もう、そんな水臭いこと言わないの。仲間じゃない。それで?」
「……本当にありがとう。それでは、お話します。……実は、その、ヒミカ?」
「はい?」
「貴女のファン、という子が」
「……ハイ?」
「実はもう、すぐ後ろに」
「お姉さま〜!」「お姉さま〜!」
「う、うわわっ! な、なんなのいきなりこの子達〜っ!」
突然飛び込んできたブラックスピリットに両サイドからタックル気味に抱きつかれ、思わず仰け反ってしまう。
そっくりなおかっぱ頭が二つ、すりすりと仔犬のように脇腹の辺りに頬を押し付けてきていた。
見上げてくる紫の円らな瞳が揃ってきらきらと無邪気に輝いているのが、ざわっと警告とも取れる悪寒を走らせる。
よく判らないが、何だか無性に嫌な予感がする状況だった。
「エエエエスペリア?」
どうしていいか解らず助けを求めるが、肝心の人情篤いラキオススピリット隊副隊長は既に後退し、大きく距離を取った後。
ちゃっかり生暖かい視線で手までひらひらと振っている。ご丁寧にも前方に、薄緑色のシールドハイロゥ(戦闘仕様)を展開させながら。
「ええとですね、彼女達は双子なのですが、どうやらマロリガンでの貴女の勇ましい奮戦にその……同時に一目惚れをしたそうでして」
「は? 双子? なに?」
「双子〜」「双子〜」
「いや、それは判ったから一度離れて……あんっ!」
「ヤですぅ〜」「ヤですぅ〜」
「それで二人とも是非ヒミカにお姉さまになって頂きたいと言ってきかないものですから」
「この状況で淡々と説明するっ!? っていうか意味が判らないっ!」
「わたくしでは持て余し気味……こほん、ヒミカならそういう方面には慣れているでしょうし」
「どんな捏造よそれっ! っていうか何でどんどん離れていくのよっ!!」
しかしそんな悲痛な叫びにも無情に、エスペリアはとことこと、もといそそくさと立ち去っていく。
「そういう訳ですので、後は宜しくお願いしますねヒミカ」
「話を聞きなさいっ! ああごめん、謝るから待って、置いて行かないでぇ〜〜!」
「すりすり〜」「すりすり〜」
「わ、やめ、きゃぁ、ちょ、くす、くすぐったいってばあんっ!」
昼。
なんとなく流れで、双子と一緒に昼食をとる。
「駄目ですかぁ?」「駄目ですかぁ?」
「駄 目」
双子は黒髪の上に、大きなたんこぶをこさえている。勿論ヒミカが籠手越しに与えた衝撃の為に。
その効果かどうか、今は涙目で大人しく机を挟み、仲良く並んではむはむと食事を口に運んでいた。
しかしはっきりと申し込みを拒絶されてしまったせいか、何となくしょんぼりといった感じである。
「……あのね、怒っている訳じゃないのよ」
ヒミカはしかたなく手にしたスプーンを皿に置き、訥々と釈明を始めることにする。
「ただお姉さまっていうのは何か違うんじゃないかな、って言っているだけなんだから」
「お姐さま」「お姐さま」
「同じでしょうがっっ!!」
頭が痛くなってきた。
ふと見ると、周囲からは仲間の気配がいつの間にか雲散霧消している。面倒事に関わり合いたくなかったのだろう。
そういえば、と思い出す。サモドア以来、アセリアもユート様をこんな瞳で見つめることが多くなっていたような。
「……」
ヒミカは手元の皿をじっと見つめながら考え込む。
というか今の発想はこれ以上深く追求すると危機的状況数値が更に跳ね上がるような気がした。主に、自分の中で。
ぶんぶんと頭を振る仕草を双子に不思議そうな目で見られてしまったが、この際はどうでもいい。改めて真面目な顔を作る。
「そうじゃなくて、これからは仲間なんだからもっとフランクに呼んで欲しいのよ」
「……姐御?」「……姐御?」
「却下却下却下〜〜!!!」
「ヒミカはねぇ、女王様って呼ばれたいんだよ」
「ネリー、五月蝿い!」
「わきゃあぁぁぁぁ――……」
突然口を挟んできたネリーはファイアエンチャントで良い感じに吹き飛ばす。
ついでに食卓の上の料理もこんがりグリルに焼け焦がしてしまったが、しかしもうどの道食事どころの騒ぎではない。
逃げを決め込んだヒミカはわたわたと席を立ち、そのまますたすたと歩き出す。
このままこの場に留まれば、本当に「オネエサマ」にされてしまう。それは非常にマズい。主に自分が。
「女王様〜」「女王様〜」
「女王様言うな!!! っていうかお願いだから付いて来ないで〜〜!!」
追いかけてくる双子を懸命に撒きながら、ヒミカは再び別の事を思い出す。
「はぁ、はぁ……あれ、本当だったんだ」
元稲妻部隊には、所謂『腐スピ』という特殊な趣向を持ったスピリットが存在しているというまことしやかな伝説について。
午後の訓練は、結局捕まってしまった双子を相手に。
何だかんだいいながらも突き放しきれないのがヒミカのヒミカたる所以。
ただ必要最低限の防御は必要なので、色々な危険を回避する意味でも、自らを叱咤する意味でも、普段より少しキツめの声を飛ばす。
「こら、よそ見しない! ほら、ちゃんと神剣に集中していないと怪我するわよ」
「集中〜」「集中〜」
「振りが甘いっ!」
しかし威嚇で構えた『赤光』ですら凛々しさと受け取ってしまうのか、
二人は夢見る乙女のようなぼんやりした表情でヒミカの仕草を窺っているだけで、振る剣も相変わらず覚束無い。
ヒミカは盛大に溜息をついて見せ、両肩を竦め、呆れた表情でこぼす。
「まったく、注意力が散漫ね。流れ神剣魔法にでも当たったらどうす」
がん。
「……」
「ヒミカ、油断していると直撃を受けますよ、流れ神剣魔法の」
「流れ神剣魔法〜」「流れ神剣魔法〜」
「……ナナルゥ、貴女何か私に恨みでもあるの?」
「意味不明ですが、その台詞はネリーに言って下さい。彼女がそちらに逃げたので、予測して放っただけです」
「へっへ〜ん、朝のおっかえしだよ〜!」
「……」
むちうちになったらしい首を無理やり曲げ、ずきずきと痛む後頭部を気にしないようにして振り返ると、
既に遥か彼方へと逃亡しているネリーがやーいとばかりに『静寂』をくるくると振り回しながらおどけている。
どうやらナナルゥを誘導してイグニッションを打たせ、直前で自分だけ避けたらしい。
「――――フ」
ぶわっとヒミカの身体を中心に、赤のマナが溢れ出す。
殺到し、圧縮したそれは自らの膨張から解き放してくれるトリガーを待ち侘びているかのようにたちまち派手な蜃気楼を形作っていた。
「ネリー! そこ、動くんじゃないわよっ!!」
臨界を越えたヒミカのインシネレートはネリーが咄嗟に唱えたアイスバニッシャーでさえもあっけなく突き破り、
訓練場の地面の土の1/4をガラス状に融解させて使用不能にさせ、そしてその日から暫くネリーは訓練に参加しなかった。
「なんで〜?」「なんで〜?」
「……ああ、どうして女王様って呼ばれたいのかって? さあ、きっとレスティーナ様にでも憧れているんじゃない?」
そして咄嗟に異国の少女達をエーテルシンクで庇ってしまったセリアは、いい加減に翻訳した双子の質問を実に適当に受け流していた。
夜。
食事を終え、稲妻部隊にあてがわれた詰所へと帰っていった双子からもようやく解放されたヒミカは、
リビングで皆に(ネリー除く)囲まれハリオンの入れてくれたハーブを楽しみながらじっくりと一日の疲れを癒す。
「うふふふふそれでですね、ふと振り返るとそこには――――」
「ひぇぇぇ〜、こ、怖いですね……」
「……」
興が乗ってくると始まるファーレーンの怪談百物語。
怯えながらも聞き入っているヘリオンを尻目に、無言で語り部の背後に隠れている一升瓶をこっそりと取り上げる。
深酒が体に良くないからという彼女らしい気配りだが、鳥肌を隠す為にこっそりと唱えているヒートフロアが可愛い。
「お姉ちゃんを心配してくれたから、見逃してあげる」
「……ありがと」
そっぽを向きながらぼそっと呟くニムントールには、軽く片目を瞑って返しておく。
どうやら見破られてしまったらしいが、年下相手にそんな事ではヒミカのプライドは傷つかない。
そのまま厨房に行き、酔い覚まし用の薬草を探していると、今度はくいっと服の裾を引っ張られる。
「ん?」
「……あの、ね?」
「ああ、了解。行こうか?」
「……うん。ありがとお」
怯えて一人では行けなくなったのであろうシアーの手を優しく引っ張っていく。
「うーん、ネリーを再起不能一歩手前までこてんぱんにしたのはやり過ぎだったかな」
「くす……ううん、今日のネリーは自業自得だと思うの」
「はは、シアーにそういって貰えると安心するわね」
「……ん」
ぽむぽむと冗談交じりに髪を撫でてやると、シアーは目をくすぐったそうに細めて微笑む。
そしてその笑顔こそがヒミカにとっては何よりの、明日への活力となってくれている。
『――――王冠を被った一つ目がふわふわと……』
『ひえぇぇぇ……』
「……お酒、止めさせなくちゃね」
「え?」
「ううん、なんでもない」
『その時ぽろりと大粒の涙がっ!』
『きゃああああぁぁっ!』
「……」
リビングではまだまだ韻々と響くような語りが続いているが、聞かなかったことにする。
かぽーん……
スピリットの館は、設計者がうんたらかんたらという理由で実に快適な浴場が用意されている。
これは他国には無い特徴で、この時ばかりはラキオスに転送された事が実にありがたい。
「うーん……ああ、気持ち良い。今日も疲れたなぁ」
ヒミカは、充分以上に広いその湯船の中で、四肢を大きく伸ばす。
鍛え上げられている筈の彼女の身体はしかし驚く程筋肉質という表現からは程遠い。
少年のようにすらっと伸びた細い手足や撫で肩はむしろ華奢ともいえる位に繊細で、
水滴を纏った肌理の細かい肌は弱く、湯に浸れば敏感な部分から桜色に染まっていく。
「……そういえば、今日も自分の訓練は出来なかったっけ。反省」
こつんと軽く頭を叩き、一度水面の上まで上げたカモシカのような両脚を踝の所で交差するように折り畳む。
立てた膝を両腕で抱え込むと胸の膨らみが両脇から圧迫され、谷間から生じる水泡に自分の顔が歪んで映る。
ヒミカは顔を半分湯船に沈め、ぶくぶくと息を小出しにするという子供染みた遊びを暫く繰り返した。
窓から流れてくる風が、湿った髪を涼しく冷やしてくれる。
前髪を撫で付けると、拍子に落ちた水滴が鎖骨の間に流れ落ちて気持ちが良い。とはいえ。
「なれーしょんによりますとぉ、ヒミカだって中々じゃないですかぁ〜」
「……私の不幸は、転送された時から貴女と一緒だったってことだわ」
「え〜? どうしてですぅ〜?」
「だからそうやって、見せつけんばかりに胸を揺らすのは止めなさい」
「え〜? どうしてですぅ〜?」
「……はぁ」
全然判らない、といった様子で両手を頬に当て、くねくねとたわわに"浮かんだ"実を揺らしながら
同じ台詞を繰り返すハリオンを前に、ヒミカはこっそりと白く煙った溜息をつく。
あらゆるスペックには、一長一短が存在してしまうものである。
「さて、ここからが勝負ね」
むん、と気合を入れなおし、ヒミカは机の上に向かう。
基本あまり自由時間を持たされていないスピリットにとって、深夜は唯一フリーに使える時間。
夜が更けるまで、ヒミカはペンを取り続ける。締め切り、もとい書き綴るべき思いの丈が尽きるその時まで。
「そうね……ここはもう少し絡みを入れて……」
「絡み?」「絡み?」
「うんうん、絡み。意外と受けが似合うのよね……ふふ……」
「受け〜?」「受け〜?」
「そう、受け。で、ここでコウイン様が攻めて……はふぅ……ユート様の表情萌へ……」
「萌へ〜」「萌へ〜」
「でしょでしょ――――ってなんで貴女達がここにいるのよっ!?」
「女王様〜」「萌へ〜」
「繋げるなぁ!」
こうしてヒミカの熱い夜は更けていく。
次の日の朝。
恍惚の表情を浮かべた双子がヒミカの部屋からふらふらと出てきたという目撃情報もあるが、真偽の程は定かではない。
526 :
信頼の人:2007/03/21(水) 20:17:21 ID:o5xtRGmv0
ヒミカの(特殊な)一日ということで。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
>>513 確認しました。Thxです。
>>514 ファー「ユート様、この服、重くて暑いですね」
悠人 「……兜と覆面でそれを言うか」
ドレスの場合
ヨアフル「いつもの服と大差無いね」
ヘリオン「あっ、ユートさまこのドレスどうでs…あべしっ!?」←裾踏んづけた
コウイン「おうユート、どうだなかなか似合うだrうわらばっ!?」
>>526 乙です。マナカナスピモエス
腐スピってw また凄い単語ですね。
てかヒミカさん、貴方カリスマの癖に何引いてんですかw
>>526 乙です〜
いやはや、朝から妄想が暴走しかけましたよ
『3人で絡み…いや、ハリオンも入ったら…(ジュルリ♪』
なんて事が脳内で先走りしてました
オリキャラGJです
さて、なるかなの補完が始まる前に暇を見つけてSSを書かないといけませんね
錆を落としていかないとなぁ〜
>526
ファーさん、そんなにたしなんでいたなんて……当に左党w
しかし戦場に立つと剣先の震えがピタリと……モグモグって、柄に干しテミのアシが巻かれてるよオイ、ファぶさん。
しかしヒミカの著作はある意味情報兵器として相手国の戦力を削ぐ恐ろしい汎用スピ型ケツ戦兵器たり得ますなw
>528
☆ミカとしての公的な顔と私生活は違うんだよきっとw
過去スレのユート×誰彼との息子レスを見て思ったこと。
女装の似合う美少年というカテゴリーに萌えというか大好きなのが少なくないのだろうか、この雑魚スレは?
いや、俺も嫌いじゃないけど。可愛くて萌えられるなら全然オッケー。
おっとまだ「過去スレ」じゃないけどな。
そういえば漏れも自然に=息子で展開してた>妄想
……なぜだ?教えてミュラー(ry
瑞穂くんの前例があるからねぇ
ロティも頑張れば瑞穂くんのように綺麗になると思うよ
久々に疑問ネタを思いついたのだが……。
某国のエライヒトは、悠人のことを覚えていてもおかしくはないのではないだろうか。
記憶が曖昧だが、確か悠人達との戦いの後、世界の狭間に漂っていて、
そこにアレがからみつき、それをヴェーゼンドルフが拾ったんじゃなかったかな。
この期間が分からないのだが(スピたんで言及されてるだろうか)、もしも――悠人がエタになる〜ファンタズマゴリアを出立――の間も世界の狭間にいれば、
渡りの忘却から逃れられるのでは……と思ったところで、悠人って時の迷宮の門に触れた時点で問答無用でみんなから忘れられてんだよな(´・ω・`)スマナイ
もしも上記疑問が通れば、
「コウイン、あの少年はどうした?」
「少年? 誰の事だそりゃ」
「……やはり、人の大地を取り戻さねばならんようだな」
って感じでエロイヒトが実は生きてましたって萎える展開も多少はしまりがでるのにな〜。
さらに実は今日子ルートだったりしたら……うわ(゚∀゚)
さらにおまけ。いまさらだけど。
シュンって、秋月瞬としての記憶はハイペリアに残ってなくちゃおかしい気がする。
ファンタズマゴリアでは渡りやったことになってるようだけど、ハイペリアではやってない。やっぱりobsnがいじったか世界の自己修正か。
描写されないだけで、秋月家では一人息子の失踪を密かに処理してるのかもしれんけどね。
瞬って序章でファンタに「渡った」んじゃなかったの?描写は無いけど。
>535
あくまでエターナルじゃないと渡り効果はないと思われる。
ガロ・リキュア新報スポーツ面
【時期スピリンピック「ソーン・リーム大会」に向けてチーム青スピ再結成!】
前回大会で大躍進を果たした我らがチーム青スピが帰ってきた。昨日ラキオス城記者会見場にて再結成正式発表。
フラッシュの放列の中、一人の欠員を出すこともなかった4人全員の笑顔が弾けた。
今回も主将を務めるセリア選手のコメント。
「前回は、後一歩実力が足りませんでしたけど、今回はネリーとシアーも成長していますしアセリアも万全です。
私ですか? ……はい、子供達の応援がありますから以前よりも強くなれた気がします。
きっと、みなさんの期待に応える事が出来ると思います。応援お願いします」
wikiでルール見たけど駄目だw
おっぱい!おっぱい!
のるぽ
シアー長編SS「いつか、二人の孤独を重ねて」の続きを投稿します。
第14章 全て忘れられても…全て、ただ一言の愛のために
では、よろしければどうぞ。
土とも布ともわからない、温度さえも無い不可思議な感触の地面に無様に転がされる。
強い衝撃で吹き飛ばされた勢いで、口の中を歯で切ってしまい自分の血の味が広がる。
身体が恐怖とプレッシャーに囚われ震えを誤魔化す事さえも出来ない。
それでも、かろうじて離さないでいた永遠神剣を杖にして何とか立ち上がろうとする。
闇とも濁った夜空ともつかない、相変わらず不可思議な空間の向こうの…「敵」を睨みつける。
敵は、高嶺悠人。
正確には、もと高嶺悠人であったであろうモノが上位永遠神剣【世界】に歪められた存在。
顔こそ悠人であるが、上半身が永遠神剣とまるで甲殻類か昆虫の外骨格のように融合している。
あまつさえ、下半身それも股間から男性器に似た触手が何本も枝分かれして無数にのびている。
おぞましい。
そのおぞましい代物が、光陰や瞬の太刀を同時に受け止めつつ触手で今日子を絡めとっている。
悠人は改めて、今まさに眼前にある【世界】を手にしたもう一つの自分の姿に顔をしかめる。
「これが…俺か…なんて、醜くておぞましいんだ…ちくしょう」
目を逸らしたい衝動をこらえ、自分の手の中にある【求め】を剣道でいう中段の型に構える。
「うおおおおおおっ!」
裂帛の気合いを込めた振り抜きで、今日子を絡め取る触手の何本かを一度に断ち切る。
そのまま【求め】を振り回し、今日子を触手の呪縛から解放する。
「今日子、大丈夫かっ!?」
ぜいぜいと息を荒くし、激しく肩を上下させて四つん這いのままの今日子に振り向かず声をかける。
「サンキュッ…悠っ…ぜえっ、ぜえっ…これって、ぜえっ…すっごくシャレになんないわよっ…!」
あの触手は捕らえた者のマナというか生気を吸い取るらしく、今日子はかなり消耗してしまっていた。
「…悪い。俺って奴は、どうもあの通りの醜悪な欲望の持ち主みたいだ」
立ち上がろうとする今日子に肩を貸しながら、悠人は情けない声で謝る。
「何、馬鹿な事を言ってんのよ。あれは悠じゃないでしょ。悠じゃなくて、悠の心の形を盗んだ化け物」
キッと睨まれて叱咤されてしまうが、そう言ってもらえると悠人はそれだけでかなり気が楽になれた。
−に、しても。ミュラーや佳織の言うとおり、シアーたちの助力を断って正解だったな。
今、悠人たち四神剣のエトランジェたちは互いの神剣共鳴を利用して悠人の精神世界にいる。
−とても、こんなものを…特にシアーやエスペリアあたりには見せられないから、な。
自分をも含めて人の精神世界に入り込んでまで、今どうしても成さねばならぬ事は一つ。
【求め】【誓い】【空虚】【因果】の四神剣の内に巧妙に隠された上位永遠神剣【世界】を消し去る。
神剣との契約という形で、魂に食い込んでいる【世界】を倒すにはむき出しの心で直接挑むしかない。
全ては、この龍の大地の災厄を裏から操っていた邪悪なる存在…秩序の永遠者の仕業。
ここは、ラキオス城の地下牢獄の一室。
互いの神剣を重ね合わせたまま動かない悠人たちエトランジェと、佳織とミュラーとヨーティアとイオ。
佳織は、悠人たちの四神剣の波長に合せた支援のための特殊な旋律をフルートで奏で続けている。
それは、健やかなる旋律。
ヨーティアとイオは、悠人たちと四神剣を様々な機械にコードで繋げ、じっと幾つもの計器を睨んでいる。
ミュラーは、もしも何か事故があったときのために臨戦態勢でその場を見守っていた。
そして、先ほど述べた全ての元凶である永遠者が小細工を弄してくるのを防ぐ結界を張り続けている者。
永遠神剣第三位【時詠】の主、エターナル・トキミ…倉橋時深。
秩序の永遠者と敵対する混沌の永遠者であり、ずっと悠人を見守ってきた彼女が、すでにここにいた。
悠人たちと共に牢獄の一室にて、なにやら小さな祭壇を前にじっと正座して目を閉じている。
時折、やはり敵の小細工があるのか、ぱぁんと拍手を打つたびに空間で何かが弾ける。
悠人たちもであったが、時深も全身から汗を流し、そのいる場所には汗による水溜りが出来ていた。
自分の心の中で、悠人は【世界】に蝕まれた自らの魂に、【求め】を大上段に振り下ろす。
とにかく今は、光陰と今日子とそして瞬の力を借りて…自分にかけられた呪いを斬るしかない。
最初にエターナルという存在について聞かされた時はさすがに突飛もなさすぎると思った。
だが、あの時、瞬と決着をつけた直後に聞こえてきた【求め】の内からの【求め】以外の何かの声。
「虫けら風情が…小賢しく抗ってくれるなよ、くくく…大人しく、この俺…【世界】の手足となれ」
目の前にいるおぞましい化け物の放つ声こそは、まさしくあの時の声に他ならなかった。
そして、時深の見せてくれた凄まじい能力もまた何よりの証拠だった。
瞬は、サレ・スニルでの戦いの時はすでにミュラーと佳織により神剣の意思から解放された状態だった。
支援
エターナルとも違う、別の意味で正体不明のミュラーであったが、信頼に値すると悠人は確信した。
「これ以上、何もかも…お前らの好き勝手にさせるかっ!俺から出てゆけええぇっ!!」
エトランジェ四人、全員がこのようにして精神世界での戦いに全て勝利しなければならない。
当然の事ながら、負けて逃げ帰るのが当たり前で勝てても全員、あまりに疲弊してしまった。
光陰の番がまわってきた時は、当の光陰本人ですら無理だと諦めかけたほどだった。
最後に今日子の【空虚】から本当にやっとの思いで【世界】を消滅させた時はすでに半年が過ぎていた。
【求め】【誓い】【空虚】【因果】は、その時初めて本当に忌まわしい呪縛から解放されたのだった。
その間、瞬は今までから考えられないくらい毒気が抜けたように悠人たちに協力的だった。
ただやはり、自分から決して佳織以外の誰にも決して心を許そうとせず、最後まで馴れ合いを嫌った。
「勘違いするな。僕は決して、お前たちの仲間になったわけじゃない。
ただ、こんなくだらない事に僕と佳織を巻き込んだ下郎の存在が気に食わないだけだ」
それでも、【誓い】に囚われていた時のような狂気は見られず、あくまでも何処までも彼は彼だった。
神聖サーギオス帝国の降伏をもって終戦を迎えたファンタズマゴリアには束の間の平和が訪れていた。
そんなささやかな平和の中、ちょうど訓練の予定もなく特にこれといった事は何も無い、ある日。
シアーは、ずっとさっきから物陰に隠れながら悠人の背中を追いかけていた。
正確には、ラキオス城下町を佳織を案内している悠人たち二人をずっと尾行していた。
佳織を取り戻して以来、悠人は前にも増して佳織とつとめて一緒にいた。
決して悠人が以前と比べて自分に対する態度が変わったわけでもない。
むしろ、シアーと一緒にいるときはとてもシアーの事をじっと見ていて、大事にしてくれる。
ただ、それでも悠人が自分以外の女性と親しくしているのが寂しくて不安だった。
悠人を信じていないわけではないけれど、悠人には自分をこそ見て欲しいとの思いが強かった。
だから、いけないとわかってはいるのだけれどこうして二人を追いかけずにいられなかった。
ただ、シアーの尾行の仕方がバレバレなので、悠人と佳織は本当はわかっていた。
わかっていたけれども、悠人はシアーをそうさせたのは自分だとわかっているので追求はしない。
佳織も、最初は驚かされたけれども悠人とシアーの関係を知っているので、同じく追求はしない。
ただ、佳織自身はずっと胸に秘めてきた義兄への想いが本当に叶わなくなったのだと寂しかった。
同時に、経緯はどうあれ最後に悠人と心で結ばれたシアーが羨ましかった。
それでも、いつもシアーと一緒にいるネリーの助けもあって、シアーと佳織はいい友達同士だった。
−忘れないよ、お兄ちゃん
そして、最後まで戦う事を決意した悠人を残して…佳織は帰るべきところに帰っていった。
元の現代世界に戻れるチャンスは一度きり、次は決してない。
瞬は、佳織と共に帰らなかった。佳織の一緒に帰ろうという言葉を聞いた上で。
「佳織、君は決して悠人の側にいちゃあいけない。…佳織が何と言おうとこれだけは曲げられない。
でも、同じように…僕も、佳織の側にいてはいけないんだ。だから、佳織のいるべき世界に帰らない」
その夜、悠人は第一詰め所の自室で、瞬は自分から自室にした城の地下牢獄の一室で、泣いた。
たった一人の、心優しい女の子のためだけに、二人の男が静かに泣いた。
その翌日、はかったようにファンタズマゴリアは再び最悪の災厄に襲われ始めた。
各地のエーテル変換施設やマナコンバーターを狙って、各地で謎のスピリットが暴れ始めたのである。
「あれは、エターナルミニオン。…いよいよ敵も機を待つのに飽きたというわけですね」
倉橋時深は、意を決した表情で扇子をパチン、と閉じた。
「エターナルに対抗するには、エターナルしかありません。…しかし、それは同時に…」
時深から、エターナルになるという事はどういう事か詳細を聞いた悠人は第二詰め所の玄関にいた。
「セリア…世話になったというか、最後までいい隊長になれなかったな俺…え?はは、ありがとう」
一人一人、心に焼き付けるようにスピリット隊面々と声を交わしていく。
「ファーレーン、ニム、これからもずっとお互いの事を大事にしていくようにな。俺みたいに後悔するなよ」
事実上、これが最後なのだから。
「ウルカ、ヘリオン、二人には剣の稽古で本当にお世話になったな」
自分は、佳織の世界とシアーの世界を守るためにエターナルになって全てから忘れられるのだから。
「ヒミカ、ハリオン、ナナルゥ。二人の作った美味しいお菓子と草笛のティータイム、いつも楽しかったよ」
寂しさはあるが後悔はない、自分なりに考えて自分の意志で決めた自分の選択だから。
「エスペリアは、俺にとって姉さんだった。オルファも、俺にとって娘みたいなもんだったよ」
自分勝手極まりないとも考えるけれども、、エターナル相手に精神論の類でどうにか出来るとも思えない。
「光陰、今日子。お前たちはいつまでも俺の親友だよ。クォーリン、この二人の事、どうか頼むな」
本当は永遠の命も強さもいらない、ましてや永遠の戦いなんてごめんこうむる。
「ネリー、あんまりセリアやエスペリアたちに迷惑かけまくるなよ」
けれども、これ以外に無いから。
「シアー…あの時から、俺は本当にシアーがずっと大好きだ。これからも、いつまでも」
シアーは悠人の手を両手で握って、悠人を見上げたまま。
「ユート様…シアーも、シアーもぉ…ユート様が好きなの、大好きなの…!」
悠人は、どんな言葉より先に、涙目で見つめてくるシアーの眼差しが心に、ただ黙って響いた。
だから、その後はもう何も言わないで、ただ長いキスをした。
「…行こうか、瞬」
玄関前で無言で待っていた瞬と共に、悠人は第二詰め所を去った。
その夜、皆が寝静まった真夜中に悠人と瞬はそっと時深の所に赴いた。
エターナルになるには、誘いの巫女と契る必要があること。
悠人には時深が、瞬にも瞬を見守っていたカオスエターナルの誘いの巫女がいた事。
契る事によって、エターナルの血を直接体内に取り込んで「資格」を得るという事。
それからまた数日後、悠人と瞬は時深に指定された場所で時深を待ち続けていた。
最後に第二詰め所を去って以来、悠人は詰め所に戻らず瞬の借りている牢獄で寝泊りしていた。
「…ここにはベッドの類はないぞ。床に布しいてそのまま寝るんだ」
それ以外に瞬が何も言わなかったのが、悠人はかえって安心した。
牢獄の空気のせいか、瞬と共に凄く数日は、思ったよりそれほど居心地は悪くなかった。
やがて時深が現れたとき、時深の背後に悠人はよく知る者たちの気配を感じた。
「悠人さん、瞬さん。突然ですみませんが、この三人も一緒にエターナルの試練に赴きます」
とりあえずどうでも良さそうな瞬はともかく、悠人は驚かずにいられなかった。
「シアー、ネリー、エスペリア…どうして」
悠人の側にエスペリアが進み出て。
「どうしてではございません。ユート様とシュン様だけでは生活能力に不安がありすぎます。
ですから、これからも引き続き…わたくしが身の回りのお世話をさせていただきます。
…なんですか、なにか不満でもございますか?」
シアーの影から、ネリーがひょいっといつもと変わらないイタズラしてきたような表情で。
「シアーが寂しがるといけないから、ネリーも一緒にいくよッ♪」
泣きじゃくるシアーが、悠人の胸に飛び込んできて。
「シアー、決めたから。ずっといつまでも、ユート様の助けになるから。シアー、不器用だけど頑張るから。
…それから、浮気は二度と許さないんだから…ね?」
シアーの手には、あの懐かしい悠人とシアーの二人の交換日記があった。
「シアー、これって…この日記って、俺が第二詰め所を去る最後まで二人で書いていたやつ」
驚かされながらも胸がいっぱいの悠人は、シアーの手から日記をとって丁寧に一枚ずつめくっていく。
「あのね、エターナルになる時、一緒にもって行けば…もしかしたら消えないかもしれないと思って…」
涙目で頷きながら、悠人はシアーの小さな身体を抱きしめる。
「わたくしやネリーも、他のみんなの交換日記を無理やり持たされています。
消えない可能性があるのなら、わたくしたちが全部持って行けって…主にセリアとヒミカとナナルゥが」
エスペリアとネリーが、苦笑いしながらそれぞれ持った仲間たちの日記の束を見せて、くすりと笑う。
「…あの時に提案した交換日記が、まさかこのような形になるとは思いませんでした」
悠人、シアー、ネリー、エスペリア、瞬、これでちょうど五人。
「さ、急ぎましょう。うまくいけば5人の新エターナルであなたたちの世界を救えるかもしれませんし」
時深が、悠人たち新たな五人組をうながし、時の迷宮への通路を開き始める。
そして、その日から彼らは全ての思い出から忘れられた。
今回はここまでに。
誤字脱字ハリオンマジックあればどうぞよろしくご指摘お願いします。
…伏線回収、全部出来るといいなぁorz
あろうことか、お礼忘れ。
途中支援、どうもありがとうございました。
お疲れ様です。
今回は展開速くて実はちょっとおいてかれ気味だったり。
主要人物が時の迷宮に旅立ち、この後の展開に目が離せませんね。
個人的にはまだ登場していないエターナル瞬がすごく気になります。
次の話も楽しみにしています<気が早い
12の「瞬と共に凄く数日」は「瞬と共に過ごす数日」ですかね?
>>557 ありがとうなのです。
頭の中の場面のチップが組み合わさるのに思いのほか時間がかかりもした。
そんで、組み合わさった瞬間にガーッと勢いで書き上げました…。
しかし、言われてみれば何だか何かの総集編みたく見えなくもないorz
最終話まで、もう残りわずかになりました。しっかり最後まで書きたいと思います。
>12の「瞬と共に凄く数日」は「瞬と共に過ごす数日」ですかね?
そうですた。今回こそは誤字脱字無し、完璧だと思ったのに…。
>>555 キリ番乙です(←そっちかい
なるほど、それでネリーやエスペリアもエタ化していたのですね、ようやく納得しました。
秩序のコアラ様が仰る「文明の利器」とやらが未だ気にはなりますが、それはさておき。
いよいよ大詰め感漂う戦いで、シアー達少女は何を求むのか、日記には綴られているのか。
ワクテカしながらお待ちしております。関係ありませんが、瞬を見守っていた誘いの巫女何故か萌え(ぉ
>555
うーむ、光陰の心の中が興味津々w 意外に今日子でいっぱい……w
『世界』は既に消え去った訳なんですね。
瞬は何を持つのかね。そして、瞬の強がり萌えス。
さらに誘いの巫女さん。きっと時深さんより若いに違いないっっっっっっ(タイムアクセラレイト) つーかだれ? 時深の妹「分深」さんとかw
あとは ……………カ?
総集編というか、全体に説明っぽいかな。
漫画の、一気に話しを進めるための回想シーンみたいなというか、章間に流れるテロップみたいな。
>瞬と共に凄く数日
いやなんか凄くそそられる誤字でしたw ☆ミカさんカモン!
561 :
名無しさん@初回限定:2007/03/27(火) 13:33:41 ID:ACAh29wR0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
.|
____.____ |
| | | |
| | /Hヽ | |
| | ( 0M0)つ ミ | <ヤハリソウイウコトカ!!
| |/ ⊃ ノ | |
 ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄ | 「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl|
j /ヽ y_7っ
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
スイマセン、誤爆+age orz
クラブザウス更新。
ここ的に結構なお話かも知れぬ〜。
誤解って言っても書いたこと全て伝わるなんて事ないからなあ。と思う。
うん、ここ的にはクラブザウスの会員が居ない訳でも更新情報を知らない訳でも無いんだ。
ただその手の話題はExp以来今更珍しくもないというか作品別にお任せしているというか
>564
え、そう? クラブザウスに入ってても気付かない人もいるかと。一応報告のつもりなのだけど。
余計な波風だと言うのならスマンかった。
最近多忙で見てなかった…
報告感謝感謝〜♪
オルファ「ある日〜パパと〜ふたりで〜語り〜あったさ〜」
アセリア「凄く〜燃えやすくっても〜」
ウルカ 「エスペリア殿は〜」
『グリーングリーnぼべらばっ!!!』
>>559 レスありがとうです。
キリ番、言われるまで気づいてませんでしたΣ(’’;
エターナル5人組というのは、スーパー戦隊の人数からとってます。永遠戦隊エタレンジャー(違
悠人がレッド、シアーがブルー、ネリーがイエロー、エス姉さんがグリーン、瞬がコンドルのジョーで(戦隊が違う
瞬を見守っていた誘いの巫女に関しては、何も設定作ってません。よって捏造妄想し放題(をい
個人的には、瞬が生存→瞬が仲間で一緒にエタ化が一番のサプライズ要素のつもりでいました…。
まぁ、これまでの話の流れから容易に予想できたんだろーなー、とは思いつつ。
書き終える最後のときまで、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
>>560 レスありがとうなのです。
今回は章一つに幾つかの要素が一度に詰め込まれてますので、長丁場になるよりはさくっと展開をテンポ良く早めようと思ったのでした。
でも少しくらい長くなってでも、もう少し濃く描いたほうが良かったみたいですね。
投稿し終えて自分で読み返してみれば、テンポも何も無いし…orz
瞬のカオスへの誘いの巫女といい、そそられる誤字といい、微妙にギャグとれたのが救いかもです(涙
しかし実際、瞬をカオスへ誘う巫女役のエターナルて、どんなタイプでしょうかね。
今度、もし許されるなら番外編みたいなもんで登場させてみたいです。許されないでしょーけど。
>>561 微妙にタイミングかぶったので、やはり時深さんの出番無さ杉だったかとドッキリ。
初めて出撃命令を受け、到着したダラムの街で。
エスペリアに引き合わされて対面したエトランジェという"人種"のソイツはひどく気さくに
「俺はタカミネユート、ユートでいい、宜しく」
と話しかけてきた。どんな表情をしていたのかは、お姉ちゃんの後ろに隠れてたからよく分からない。
お姉ちゃんが、慌ててぺこりとお辞儀をする。いつ見ても、すごく丁寧だ。
「私はファーレーン、ファーレーン・ブラックスピリットと申します。こちらこそ宜しくお願い致しますユート様……ほら、ニム」
苦手な筈なのに頑張って挨拶を返したお姉ちゃんが背中を押しながら促すので、しかたなく前に出る。
「……ニム。ニムントール・グリーンスピリット。よろしく、ユート」
「ああ、宜しくな、ニム」
「ニム、駄目でしょう、目上の方をそんな風に呼んじゃ。すみません、この子ったら」
「……」
おこられた。ユートがユートでいいって言ったからユートって呼んだのにおこられた。なんかムカつく。
お姉ちゃんは、誰にでも礼儀正しいから悪くない。もちろん、ニムも悪くない。じゃあ、悪いのはやっぱり。
「いてっ!」
「こ、こらニムっ!」
「……ふんっ」
丁度良く目の前にあった硬そうな脛を思いっきり蹴ってやった。ニムって呼ぶな。
第一ニムはユートにニムって呼んでもいいだなんて一言も言ってない。失礼なのは、ユートの方だ。
「すみませんすみません。あの、お怪我はありませんか?」
「あたた……あ、ああ、大丈夫」
そのまま逃げてきたけど、ぺこぺこと頭を下げるお姉ちゃんにはちょっぴり悪いことをしたと思う。
でも、ニムは悪くない。悪いのはユート。だけど……。そう、お姉ちゃんにだけ、後でちゃんと謝ろう。
それからニムとお姉ちゃんは、何故かユートとよくチームを組まされた。
イースペリアに向けて優秀なお姉ちゃんが強力な推進力になるとか何とかエスペリアの説明は判り辛い。
「さて、参りましょうか。怪我しないように気を付けましょうね」
斬り込む前に一度振り返り、にっこりと微笑んでくれる。
闇のマナを漲らせた『月光』を振るい敵陣に立ち向かうお姉ちゃんは最高にかっこいい。
だからニムも、そんなお姉ちゃんを守るために『曙光』で目一杯のフォローをする。
「神剣の主が命じる マナよ、守りの衣となりて我らを包め!」
「危ない、ファーレーン!」
「あ、ありがとうございます、ユート様」
「……」
忘れてたけど、ユートもいた。一応。お姉ちゃんが怪我しないように頑張ってる。一応。
常にお姉ちゃんを庇うような位置に立ち、時には背中合わせになって敵の神剣魔法を防いでたりする。
だから、これはついで。お姉ちゃんにだけ、なんて器用なことするの面倒くさいし。
「……これで少しは耐えられるでしょ?」
エトランジェは不思議な白い光で敵の攻撃を防ぐ。それにニムの神剣魔法が混ざるとそこだけ緑色にきらきらと反射して面白い。
後ろから見ていて、お姉ちゃんのウイングハイロゥが羽ばたく所に一緒に舞い上がると、何だか楽しくなってくる。
「ありがと、ニム」
「うん、頑張って、お姉ちゃん」
「お、さんきゅな、ニム」
「……ふん」
戦闘中にこっち向くな。ちゃんとお姉ちゃんを守って。っていうか、ニムって呼ぶな。
ようやくイースペリアに着いたと思ったら、アセリアと一緒に血相変えたユートに引っ張られ、郊外まで全力で走ってしまった。
といってもお姉ちゃんが半分運んでくれたんだけど、訳が判らない。おまけに急に駆けたせいか、何だか身体の調子までおかしいし。
緑のマナがやけに少ないような。周りには草木がこんなに一杯生えているのに、どうしたんだろう。
頭がぼーっとしてくる。『曙光』もやたらと重たい……んあ、なんか聞こえる。遠くから、ごうごうって。風の音?
「ニムッ! 伏せてッ!」
「ぅに?」
いつの間にか、みんなが地面に伏せていた。お姉ちゃんもちょっと離れた所で伏せながら、何かを必死で叫んでいる。
でも、風の音が強すぎて、何を言っているのか分からない。……え? なに? バクハツ?
「永遠神剣の主の名において命ずる! 精霊光よ、光の楯となれ!」
「……ユート?」
「大丈夫だ。俺がニムを……みんなを守るっ!」
「……」
鋭すぎて耳鳴りになって駆け抜けていく黒い烈風の中で。激しく靡き、切り裂かれる白い羽織りの背中だけが見えた。
本当は、イースペリアが無くなっちゃう位大変なことだったんだ。でも、誰も死ななかった。だから、ユートは悪くない。
どのくらい、経っただろう。マナ嵐が収まり、地の精霊が息吹を取り戻した所で、ユートが突然がくっと膝をつき、崩れ落ちる。
「ユート!」
「ユート様?!」
……あれ? 声は同時に出たのに、ニムの方がブラックスピリットのお姉ちゃんより早かった。
それに、なんだろう。駆け寄ってくるお姉ちゃんが元気なのよりも呼吸が途切れ途切れなユートの方がどうしても気になる。
顔色がすっかり青ざめてしまっていて、咄嗟に膝の上に乗せて首筋から測った脈拍もエトランジェとは思えない程弱々しい。
このままじゃ、死んじゃうかもしれない。……馬鹿じゃないの、人間のくせに、スピリットなんか守って。
「神剣の主が命じる……マナよ、倒れし者に再び戦う力を与えよ。リヴァイブ!」
それは、知らない詠唱。『曙光』に満ちた緑のマナが、ニムに勝手に唱えさせた神剣魔法。
さっきから、背中にお姉ちゃんの視線を感じる。それも、じーっと。
「……自分で"行きなさい"って言ったくせに」
第一詰所の廊下。どうせ振り返っても確認なんて取れない。お姉ちゃんは、とても優秀なブラックスピリットなんだから。
「はぁ……面倒」
まぁいいか。それにしても、両手で持っている粥の入ったお鍋がめんどくさい。
お姉ちゃんが"男の方は沢山食べられるのですよ"とか人差し指を立てて主張するから作ってみたけど、どう考えても多いと思う。
それに、歩きづらい。『曙光』を置いてきてよかった。部屋の前に立っても『曙光』を持っていたら、ノックも出来なかったかも。
「……はい?」
「……入るよ」
「お、ニムか。良かった、元気そうだな」
「……」
机の上にお鍋を置き、取りあえず椅子に座ってみる。
ユートが相変わらず何を考えているのか判らないようなにこにことした笑みを浮かべてその様子を見ていた。……ニムを、見てる。
「……なによ」
「あ、いや。怒らないんだな、ニムって呼んでも」
「〜〜〜〜ッ」
「ぶべらっ?!」
反射的に、掌底で顎をかち上げる。と同時に
「ユ、ユート様! すみませんすみません! あの、お怪我はありませんか?!」
「あたた……ああ、大丈夫。心配ないよ」
飛び込んできたお姉ちゃんとユートの間になんとなく和やかな雰囲気が入る。……なんかムカつく。ユートのくせに。
「ですが……え?」
「お?」
「……食べなさいよ」
蓮華に掬ったお粥をユートの口元に押し付ける。だって冷めたら美味しくないから。
折角作ったんだから、ちゃんと美味しいうちに食べて貰わないと。うん、そうしないと、なんでかニムが面白くない。
「お、さんきゅ。……あ、でも悪い、俺今動けないんだっけ。……はは」
「……」
もう一週間にもなるのに、ユートは満足に動けない。それ位イースペリアのマナ暴走が凄かったことなんだって、今なら知ってる。
エトランジェの力が無かったら、みんな死んでた。ニムも、お姉ちゃんも。だから、これはお礼。これっきりのお礼。
「……ふー、ふー……ほら」
「は?」
「え?」
「……なによ。重たいんだから、早く食べて」
「あ、ああ」
「……ふふ、あの、ユート様?」
「アー……ん? なんだ、ファーレーン」
「あの日以来ニムったら、ユート様の意識が戻られるまでずっと付きっきりで看病するって言って聞かなかったんですよ」
「お、お姉ちゃんっっ?!」
「あむっ……んっ! ゴクッ!!!」
「縋りついて泣きじゃくるなんて、今までのニムからはとても……あ、でも少し寂しい気もしますね……どうしてかしら」
「グッハッ……ぷはぁっ! ちょ、ニムっ! いきなり蓮華を突っ込むなっ!」
「〜〜〜〜〜ッッ!!!」
「おぶっ!!」
「ユ、ユート様?!」
「ニムって呼ぶなっ!!!」
結構手間暇が掛かったから、勿体無い。でも、頭からかけてやったらちょっとすっきりした。
だけど……なんだろう。頬っぺたが熱い。飛び出した廊下に誰もいなくて助かった。お姉ちゃんにも、ちょっと見せられない。
「……。……。……しょうがないから……ニムって呼ぶのだけ許してあげる」
悔しいから、呟いてみる。許す。そう口にするだけで、身体が芯から熱くなってしまうのはなんでなんだろう。
エスペリアに引き合わされたエトランジェという"人種"。多分ユートは、その中でも相当物珍しい部類に入ると思う。
お姉ちゃんとは違うけど。たまに頭悪いけど。少なくとも、ニムにとっては特別な部類に。……何だか、謝った方がいい気がする。
『すみませんすみません、後でちゃんと言って聞かせますから』
『いや、俺一人でも着替え位出来るって』
『いけません、火傷でもしていたら大変です』
『あ、ちょ、そっちは』
「……」
『曙光』を置いてきてよかった。持ってたら、殺してしまってたかも。一体何やってるのよ。ニムをほったらかしにしてるくせに。
あ、動けないんだっけ。まぁいいか。どっちにしても、これは絶対にユートが悪い。うん。すー……
「 お 姉 ち ゃ ん に 近 づ く な ! 」
574 :
信頼の人:2007/03/29(木) 21:18:32 ID:v4Tj8jUD0
その後悠人の頬からは、暫く痛々しい足跡が消えなかったという。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
遅レスすみません。
>>528さん
昔スレでこの単語が爆発的に繁殖した時期があってのう……
詳しくは
>>1の保管庫短編SS、「腐スピ」カテゴリーにGo! (ぇ
>>529さん
この3人にハリオン……こちらもじゅるり(ぉ
>>530さん
そ、それは伝説の酔拳ならぬ酔剣w
>>574 乙です。
さすが、緑のツンデレ。
可愛いけど喋ってる途中の掌底は痛いっすよw
576 :
名無しさん@初回限定:2007/03/29(木) 22:45:28 ID:a4+rY7Ac0
>>574 私はここにくるのは初めてですけど皆さんGJです
まずはsageることを覚えようか
「ニムは俺の嫁」魂に火がついた
てか萌え尽きたぜ。まっしr(ry
>>574 乙です。萌え死にました・・・。
そういえばもうすぐ4月1日ですね。まさにツンデr(ry
スレが止まってるな
昨年の今日を思うと嵐の前の静けさかも試練
なるほど、そういうことかwww
保管庫開いたとき、何があったのかと思ったわ…。
w
元ネタをググって理解したw
「はわわ〜」
「エ、エスペリア、どうした大丈夫か?」
古代ロードザリア暦からの贈り物がほすいよobsn。
第四位だったのかww
まさかここでマークネタを拝む日が来るとわwwwww
イミフに載ったのが運の尽きwww哀れマーク
おかしい。
「し、シアー。訓練所いこっ!」
「う、うんっ!」
何かがおかしい。
「あ・・・お、オルファも行く〜!」
「私も、あぅ・・・私も行きます・・・」
用事あって第二詰所に来たんだけど、いつものように年少組が群がって
こない。それどころか、避けるように何処かへ行ってしまった。
「おーい、誰か居ないのか〜?」
俺が来るやいなや空っぽになったリビング。とりあえず俺を呼んだ光陰
に会おうと思ったのだが、叫んでみても誰も出てくる様子がない。
「おかしいな・・・誰もいないのか?」
試しに神剣の気配を探ってみた。・・・因果と空虚だけ?
「ふわぁ〜・・・悠、どうかした?」
俺の叫びを聞きつけたのか、今日子が二階から降りてきた。寝起きなの
か、いつも以上に髪が跳ねて――
「余計なことは言わなくて良いのっ!」
「ぐほぁ!」
すぱーん、っと爽快な音と共に俺の頭にハリセンが振り下ろされた。と
いうか言ってないぞ。勝手に地の文を読んだほうが悪いだろ。
「次は雷付きで食らいたい?」
「ごめんなさい」
即時降伏。触らぬ今日子の髪にハリセンなし、だ。つくづく思うんだが
あの攻撃を食らって立っていられる光陰は人外だな・・・。
「誰が人外だって?」
「お前まで地の文を読むか、バケモノ」
今日子に続いて光陰も降りてきた。心なしかご機嫌な様子だ。
「ねぇ悠。今のセリフで言うと、アタシまで人外ってこと?」
「いえそんなことありませんきょうこさまにいたってはほんじつもおみ
うるわしゅうございます」
お、噛まないで言えた。心にもない台詞をスラスラ言える辺り、演劇向
きなのかな、俺。
「・・・まあいっか。で、どうしたのよ」
「ああ・・・なんでお前たち以外誰も居ないんだ?というか、オルファたち
に至っては俺を見るなり逃げていったんだが」
光陰じゃあるまいし・・・アレは中々にショックだったぞ。
「ん〜・・・アタシは今起きてきたからわからないけど」
「悠人が何かヘンなことでもしたんじゃないか?ストーカーしたとかパ
ンチラを狙ったとか」
「それ、全部光陰がやってることだろ」
「そうね」
「ぐっ・・・ま、何はともあれ日ごろの行いってヤツだろ」
本当にそうか?また何かロクでもない噂が流れてるような気が・・・。
「・・・とりあえず用事を済ませてから聞いてみるか」
「それが良いんじゃない?見てる側としては面白いけどねぇ〜」
「他人事だからな。ほんと、此処に来てからは飽きないぜ」
心底面白そうに笑う二人。畜生。俺だって巻き込まれてる側だ。
「お前らなぁ・・・で、光陰。用事はなんなんだ?」
「ん?・・・ああ。久しぶりの休日だから散歩でもしないか?」
「・・・何をジジくさいことを」
今日子がうんざりしたように言う。確かにジジくさいが、実は俺も嫌い
じゃないんだよなぁ。
「そうだな。みんなどこかに行ってるみたいだし、俺たちも街に出るか」
「さすが悠。話せるな」
「応よ!」
男二人、ガッチリ腕を交わす。横から見てる今日子は未だ呆れ顔だ。
「はぁ・・・それじゃ、アタシも行こうかな。月の最初の日だし、何処かしら
セールとかやってるかもしれないしね」
・・・月の、初め?
「ま、まあな。とにかくいこうぜ」
腕を放そうとする光陰。その仕草がやけに慌てているようで、怪しかった。
「お、おい悠。腕を放せよ。早く行かないとセールとか終わっちまうんじゃ
ないか?」
セール・・・月の初め・・・先月はチーニ。俺たちの世界では3月。ということは
今日は・・・。
「お、おい悠――」
「なるほど、そういうことか。光陰よ」
「な、なにが――うぉ!」
ガッチリ腕を『捕まえた』俺は、そのまま1本背負いにいく。腕は放さず、決
めたままで。
不意打ちにも関わらずもう片方の腕を床につけて回転する光陰。拍子に腕を
離してしまったが、外への扉を背にしてるのは俺だった。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ悠」
「今日子。今日は何月何日だ?」
「えっと、アソク・・・ああっ!」
そう。アソクの月青ひとつの日。ハイペリアで言うなら、4月1日。
「光陰。みんなに何を吹き込んだ?」
距離は5歩。睨みつけるように光陰を見る。光陰は一度うつむき、不敵な笑み
を携えて睨み返してきた。
「へっ、バレちまったら仕方ないな」
光陰の体が沈む――逃がすかっ!
「ここは通さないぜっ!」
「通さなくて良いぜ。俺はこっちから出る!」
そういって光陰は後ろに駆ける。その先は・・・階段!しまった!二階の窓から逃
げる気か!
――と。
すぱーん!バリバリバリっ!!ゴンっ!
「のぁぁぁあっ!」
爽快な音。雷の音。光陰の悲鳴。光陰は階段の2歩手前で倒れこみ、階段に額を
強打していた。
「ねぇ光陰?なんで逃げようとしたの?」
右手には、未だ雷を纏うハリセン。光陰の意識が途切れない程度に手加減した
らしい。
「そ、それは、だな。そのー」
馬乗りになって見下ろす今日子にうろたえる光陰。こちらからは見えないが、今
日子の顔はそれはもう怖いものなのだろう。
「悠に被害が及ぶだけならアンタ、逃げないわよねぇ」
「それもそうだな」
いつもなら俺を指差して笑うところだ。
「つまり、アンタが逃げたかったのは悠じゃなくて――アタシから、よね」
その言葉に竦み上がった光陰に背を向け、俺は扉から外へ出た。
空は快晴。雲ひとつないこの空には似合わない悲鳴が、後ろから聞こえてきた。
自分の部屋に戻った俺はその1時間後、年少組の襲撃を受けた。最初はしおらしく
謝っていたが、こちらが怒ってないことを知り安心したのか、いつも通りの騒がし
さを取り戻し、エスペリアに怒られていた。
「そういえば、光陰になんて言われてたんだ?」
「えっとね〜。『好きな人と仲良くしちゃいけない日』って言われてたの」
「あと『いつも悪く言ってる人と仲良くしなきゃいけない日』とも言ってたよ〜」
「朝からコウイン様と遊ばされたの・・・」
「・・・そう、か」
「それと『キョウコさまの髪をいじって遊んでも良い日』とも言っていましたよ」
「・・・・・・・・」
次の日。
「ユートさま。あれは・・・」
「気にするなヘリオン。あれは嘘つきの末路だ」
「はぁ・・・でも昨日からあのままらしいのですが・・・」
「気にしなくて良いぞ。訓練に集中しておけ。俺と一緒にやるか?」
「は、はいっ!わかりましたっ!」
訓練所付近の木に光陰が簀巻きにされて逆さに吊るされていた。全身ズタボロで額に
タンコブ。テープの代わりに『触るな危険』と書いてあった。
「も、もう嘘つかないから・・・誰か、これを解いてくれ」
久しぶりに投稿します。一応時事ネタです。思いつきで書いた感が否めませんが。
誤字脱字等あるかもしれませんがもし見つけたらご指摘お願いします。
あと、仮名として「25スレ156-157」と名乗らせてもらっていますけど、勝手に命名して
くれちゃったりするのは大歓迎ですので、候補があったら言ってくださいな。
それと先輩方、命名して頂いたあとに何かしなきゃいけないこととかがあったら教えてください。
未熟な新参者ですが、長い目で成長を見ていただけると幸いです。
ではでは。
>>592 時事ネタ乙です。
いつも悪く言ってる人と仲良くしなきゃいけない日って、光陰よそれでいいのかw
適当に気に入った名前あったら勝手に襲名すればいいんでない?>名前
>>保管庫
『地球』ワロタw
>592
【春雷】乙。
「ところでだな悠人」
「あん? 逆さ状態でも結構平気なんじゃないかお前」
「ふ。これも修行。で、だ、聞いてくれ。なんかクォーリンの態度がおかしかったんだよな。何か俺を避けてたって言うか。稲妻部隊元隊長としては気になるんだが、何か心当たり無いか?」
「助けてくれと言われてきたんだがな…… ┐(´∀`)┌ 今日いっぱいそうしていろ」
【峻雷ノヒト】
|"⌒ヽ
|ノ彡ヾ〉
|リTヮリ 「……」
|と))
|
>>592 つーか光陰、エイプリルフールの習性が無い国でそれはあまりにもお粗末な作戦ではないか。
そして契約者よ、汝はサモドアのあのシーンだけでも充分演劇向きではないか。
つ地球の人
つ朝の日差氏
酔っぱらったヨーティアよりも、酔っぱらったファー姉さんのほうがイロンナイミで恐ろしい件
物理的な恐怖と精神的な衝撃の差だな
「なぁニム、今日のファーレーンはどうしたんだ? いつも兜越しにこめかみ押さえてるし、訓練でもふらふら覚束無」
「ニム知らない」
よくわからないが
パンツ脱いでフルチンでジャンプしたらキンタマゆれていいんじゃないだろうか
誤爆
>595
まて、これはコウインの罠だ。
おそらくニムントールの性癖を熟知している彼奴めは、ニムントールならば、あのような戯言など意に介さず、
普段通りの態度を取ることを見越しておるに相違あるまい。
いつものようにそっけない態度を取れば、それこそがあ奴の思うつぼ。
そっけないと言うことは……本当はコウイン大好きという言質を与えることになるのだっっっっ!!!
>>603 一体それは誰に対しての言質なんだw
「見てニム。ほら、手がこんなに。震えが、震えが止まらないのよ……フフ、フフフフフ……」
「お姉ちゃん、それニムじゃないから」
605 :
朝の日差氏:2007/04/02(月) 23:31:30 ID:04RtFkTK0
最初の作品を名前にしてる人が多い、ということで>597さんの案をとってこれにします。
・・・ビミョーにギャグっぽいのは気のせいということで。
これからもネタが降りてきたら書こうと思うので、先輩方、これからよろしくお願いします。
,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ)
i`_l !i_!li_!i!リ γ⌒'ヽ ダレボイバゼン゙ネ゙
jixi」*゚ヮ゚ノリ i ミ(二i
(ヽ)llΨ)ヽ ヽ、,,_| |ノ
ん/うt___|lう r-.! !-、
`'----'
なるかな発売も間近だし人が出てくのもしょうがないのかなぁとは思う。
なんだかんだで雑魚スピスレも3周年。マターリペースで頑張ってこうや。
俺的には名脇役として頑張ってきたクォーリンが主役として脚光を浴びる展開があって欲しい。
そういやなるかななんだけど、住職が出演するって聞いたんだが、マジかそれともネタ?
知ってるヤシ詳細求ム
ちなみに俺はクラブザウスに入っていない。
>>608 出てたね。
普通の判子絵だからキモさも無くなってた。
アイデンティティが崩壊するってこういう事かと思った。
あー、ネタが降りてこねー。
>608
いめえじ up10033.jpg
ネタはあるが、書く暇がねぇ〜
それじゃスピ達と花見にでも行ってくるか。レムリアに弁当作って貰って。
スピ達を巻き添えにするなw
住職マジででるのか、驚きだ
あてんしょん
このSSは、ほぼ基本的に年少組の補完です。
時期も舞台もケムセラウト〜法皇の壁、全5回の投稿で完結します。今回は第1回目です。
ただし恋愛要素は全く含まれていませんので、そういうのが嫌いな方は遠慮なくスルーお願い致します。
ありとあらゆる辺境を。
共に歩んだ。共に戦った。
争乱は、紛争は後を絶たない。
求める五芒は惹かれ、吸い寄せられる。
傲慢は、欺瞞は後を絶たない。
妖精は、求められるままに惹かれていく。
共に歩むために。背を追いかけるために。
ありとあらゆる辺境を。美しき1:(√5+1)/2に見守られて。
それは、剣を半身に生れ落ちた生命。
永遠の名の下に創造され、神の禁忌に分割された黄金比。
なればこそ、伴侶の名は神剣。相求め、惹かれ逝くスピリットのつるぎ――――
年間を通じて温暖な気候が保たれているこの世界ならではの広葉樹や草花。
それらが思い思いに林立したり咲き乱れたりしている中で、一本の広い街道が中心を貫くように延々と続いている。
遥か上空から見下ろせば平凡で、そして単調なL字型の一本道。
さして整備も行なわれていない、土が剥き出しのままの間延びした茶色い地面は起伏も曲折も少なく、
平時は退屈すぎる景色に商隊の連中が欠伸をしながら通り過ぎる、そんな何の変哲もない田舎路。
水蒸気に覆われた朝靄の空気のせいか、その背後に聳え立っている筈の古城の姿は、今は見えない。
まだ眠りの中にあるのか、それとも煩わしい危険を察して翼を広げた後なのか。
いつも旅の者にささやかな憩いを与えてくれる鳥の囀りですら完全に吸い込まれてしまった森の中で。
動物達は一斉に息を潜め、ただひたすらに嵐が過ぎ去るのを待ち望み、塒(ねぐら)に篭り、様子を伺う。
そう、ここは戦場だった。
――――ガ、キィン! ガ、ガガッッ!!
「ん〜……そこっ!」
霧に紛れた敵の気配が左右から複数迫るのを感じたオルファリルは、
『理念』を水平に翳し、その両先端へ淡く緑色に灯る球体を展開させた。
ハイロゥリングを変化させたそれを自分の頭ほどの大きさまで膨らまし、不規則な動きで漂わせる。
レッドスピリット独特のスフィアハイロゥ。彼女のそれは、才能のせいか特別に大きい。
グリーンスピリットが使う盾状のシールドハイロゥのような防御力は無いが、
乳白色にけぶる視界の中で朧に彷徨うそれに気を取られた敵の動きには、一瞬とはいえ戸惑いが走る。
そしてその僅かな躊躇いが、オルファリルにとっては絶好ともいえるタイミング。
中途半端に勢いを半減させ吸い寄せられるように近づく敵を見計らい、
一気に後方へと跳躍し、同時に手放した『理念』を前方へと浮かび上がらせる。
すると主の命に忠実に従い、紫の刀身はその内に秘めたマナを瞬時に紅く染め上げていく。
「マナよ神剣の主として命ずる、その姿を火球に変え――――」
朗々と語られる、慣れた詠唱。伸ばした手の先でややだぶついた服の袖口が激しく波立つ。
急激なマナの流れが風を生み、細く頭の両脇で束ねた長い髪が後方へと流れてゆく。
整った双眸の奥深くで髪色と同じ深いPeigon's Blood(鳩の血の色)を爛々と輝かせ、
くすっと口元を小さく歪め、軽く舌なめずりをして、オルファリルは昏い悦びの堰を切って落とす。
「――――敵さんたちの逃げ道、ぜ〜んぶ焼き尽くしちゃえ! ファイヤーボールッッ!!」
詠唱が、完了する。
と同時に爆発的に放たれる、『理念』から生み出された複数のマナの塊。
巨大な火球へと変化して膨れ上がり、獲物を求めて飛来する獰猛な牙の群れの前に、
目標を失ったまま迂闊にも一箇所に集められてしまった敵達には既に生贄と化する運命しか残されてはいない。
逃げようと背中を向けたブルースピリットはそのままウイングハイロゥと共に頭部を焼き払われた。
左手の森に逃げ込もうとしたグリーンスピリットは蹴りかけた軸足を根元から噛み砕かれ、
衝撃で捻った脇腹をごっそりと半分以上灼熱の槍に貫かれ、独楽鼠のように宙を舞った。
そして唯一そのスピードを生かして避わした"つもりになっていた"ブラックスピリットは
詠唱完了と共に跳躍したオルファリルの体重と加速度を全て乗せた体当たりをまともに受け、
心臓を巨大な『理念』の鑿(のみ)のような剣先で磨り潰された挙句路肩の大木まで弾かれ、
磔にされてしまったような格好のままありったけの血を惜しげもなく辺りの雑草の上へと放射状に撒き散らかしていた。
「――――グ、ガハァァッッ!!!」
「あれ、まだ生きてるの? ……あははッ! おっもしろ〜いっ!!」
そのブラックスピリットとオルファリルの年恰好は、さほど変わらない。
人間ならば、会って数刻もしないうちに打ち解けあえる年齢である。
だが、痙攣しながらもまだ動く敵に、オルファリルは容赦をしない。
胸を貫いたままの『理念』を捻じ込むように回転させ、更に深く抉り込む。
「アッ、アッ、アアアァアァアアッッ!!」
ブラックスピリットの少女はその度にお下げの黒髪を激しく振り乱しながら、
まだ幼い四肢を極限まで引き攣らせ、身を襲う苦痛から懸命に逃れようと暴れまくる。
陸に上げられた魚のようにぱくぱくと開閉する口元からは桜色に濁った泡のような唾液だけが間断なく飛び散り、
それでいて懸命に乞おうとしている止めの一言だけは言語化する事を許されない。
ただ声帯を通しているだけに過ぎない、意味の成さない音だけが虚ろに垂れ流され続ける。
「アアッガ、アギ、ハア゙ア゙アアッ!」
「ほらほらほらぁ〜! まだ? まだぁ〜?」
大量の血が吐き出される様子を眺め、飛び散ったその一部が頬に当る感触に、オルファリルは全身をぞくぞくと震わせる。
歓喜の感情に共鳴した『理念』が増々その刀身を赤く眩しく輝かせていく。
「……なに遊んでるの?」
唐突に、背後から冷ややかな声。
霧に混ざり放散していく金色のマナを殊更不快そうに見つめたまま、ニムントールが呟いていた。
「あ、見て見て〜。この敵さんまだぴくぴくって頑張ってるんだ、面白いよね〜」
「はぁ、……馬鹿みたい」
気配で味方と判断したのか振り向きもしないで『理念』を掻き回しているオルファリルに、ニムントールは心底呆れて溜息をつく。
しかしそれは、その残虐ともいえる行為に対してではない。
「あのね。まだ敵はいるんだから、抜けられると困るんだけど。こんなとこで、遊んでないで」
「え〜!? ……ん〜わかったよ」
ちら、とようやくニムントールを窺ったオルファリルは一瞬不満そうな表情を見せる。
が、彼女のややつり目がちな翡翠の瞳が細く光るのを見てそれ以上の抗議は潔く諦めた。
まだ息のあるブラックスピリットの顔に近づき、囁くように詠唱を唱え始める。
「じゃ、そゆことだから、さっさと死んじゃってね。――――ファイアボルトッ!」
「……ふぅ」
オルファリルの手元で赤く膨れ上がったマナがぱんと弾けるのを背中で感じながら、ニムントールは改めて周囲の様子を確認する。
比較的見通しの良い街道には、敵はもう居ない。しかし両脇の森の中では、まだ幾つかの敵の気配が明滅しながら飛び交っていた。
味方の気配も混ざっていて、その中に一人だけ、極端に突出しているものがある。
「はぁ……面倒」
ニムントールは細長く束ねた後ろ髪を一度軽く梳き、オルファリルを放置してそちらに駆け始めた。
日の届かない鬱蒼とした森に飛び込むと、そこはまだ薄暗い。
視界の利かない中で丈の長い草叢を掻き分け、手にした『曙光』に力を篭める。
するとすぐに頭上のハイロゥリングが淡く輝き、呼応するように槍状の神剣にも光が宿り始めた。
そして半月状の刃先から緑色のマナが森の水蒸気に反射し始めたと同時に、頭上からは明確な敵意が降り注ぐ。
「ハァァアアアアッッ!」
濃く繁った広葉樹。元より良くなかった視界の更に上。影から躍り出るブルースピリットがいた。
細身の刀身からは蒼い粒子が舞い上がり、唸りを上げた全身から引き起こされた風に、周囲のマナがかき乱される。
「……ふん」
ニムントールは構えもせずにそれを微細に観察し、最小限の動きだけで身を捩る。
直後そのすぐ側を敵の刃先が全身ごと地面へと炸裂し、小爆発を起こしたブルースピリットはそのまま跳ねた。
少し離れた場所で細身の神剣を握り直した彼女は軽い達成感と共にたった今攻撃した箇所の様子を窺う。
しかし、満足気なその表情はすぐに驚愕のものへと変わっていく。
「……服、破けた」
「――――ッッッ?!」
抉られたクレーターのような地面と土煙の中で、ニムントールの周囲だけは何事も無く残されている。
彼女は平然と立ち、目の前の敵を無視して、いかにもつまらなそうに自分の身体を観察していた。
瞬時に張ったシールドハイロゥが完璧に身を守ったところまでは計算通りだったのだが、
急激な気圧の変化で折れた木の枝が意外な方向から膨らみ始めた胸の辺りを掠っていってしまっているのが気に入らない。
鮮やかな萌黄色の戦闘服。その胸元の一部が鋭利な刃物を当てられたように斜めに切り裂かれている。
柔肌に傷などはない。しかしそんなものは論外と言える程、傷つけられたものがある。
「……」
すっ、と目元が細くなる。
と同時にニムントールは凹凸の出来た地面を力強く蹴り、ブルースピリット顔負けのスピードで跳躍していた。
「……ムカつく」
あっという間に間合いを詰めたニムントールは事態も理解出来ず棒立ちのままの敵へ、くるりと軽く回した神剣を捻れた軌道で下から振り切る。
マナが篭められたままだった『曙光』の刃先は敵の剣と身体の隙間を滑るように潜り込み、
次の瞬間には脇から斜めに吸い込まれ、そして反対側の肩口から飛び出していた。
ブルースピリットの少女は剣を手にした上半身を吹き飛ばされ、悶絶の声も出せずに朝霧へと同化して逝く。
同時にニムントールは左手の草叢へと駆け込んでいる。
「――――ッヒッ!」
「悪く、思わないで」
そこに、奇襲の機会を窺っていたレッドスピリットの狼狽しきった表情がある。
驚き、咄嗟に振りかざそうとした両刃の神剣は『曙光』であっけなく払いのけられた。
隠れて詠唱を行なっていたその口をニムントールは片手で塞ぎ、勢いのまま樹木へと押し付け、
まだ抵抗しようとする敵の放った蹴りを間合いを詰めて殺し、ついでに鳩尾へと膝蹴りも当てる。
「……グゥッ!」
「しつこい」
そうしてまだ唇を押さえ込んでいる片手越しに眼前で怯える紅い瞳を覗きこむように囁く。
「ニム今、機嫌悪いから。邪魔しないで」
「ンッンッンンンーーー ……ッッッ!!!」
――――ぐしゃっ
少女はそのまま、シールドハイロゥを膨張させた『曙光』に全身を押し潰された。
背後の樹木との間でもがきながら、まるで圧搾機にでもかけられた取るに足りない軽石のように。
“ひしゃげた”敵の姿が輪郭を保てずマナに還る。撓んだ樹から降り注ぐ大量の落ち葉がその痕跡すらも隠していた。
「ふーん……」
だがそんな光景にも既に興味を失っていたニムントールは不愉快そうに肩にかかる葉を払い落とし、
まだ煌いている『曙光』を軽く振り切りながら別の方角を眺めている。
「……あっちか」
油断するとどこへ迷走してしまうか分らないような、高揚した気配。それはちぐはぐに飛び跳ねながら、こちらに向かってきている。
ニムントールはちょっと考え、そして手頃な樹を見つけ、ややささくれた幹にもたれかかった。
「どうせ来るしね。行くの面倒だし」
半ば欠伸を噛み殺したような呟き。退屈を全身で現しているような気だるい口調だった。
やがて前方の繁った枝々の隙間からは、戦場にはおおよそ似つかわしくない明るい声が木霊のように聞こえてくる。
「ふっふ〜ん逃がさないんだからぁ〜っ! 覚悟してッッ!!」
敵を追い詰めたらしいネリーの蒼いポニーテールが風にたなびいていた。
「――――ク、ァッ!」
「ほらほら、いっくよ〜!」
既に手負いで懸命に逃げるブラックスピリットの背を追いかけながら、ネリーは興奮していた。
枝が撓った反動を利用して飛び跳ねる身体が異様に軽い。全身から漲るような力がこみ上げてくる。
振り回している『静寂』が羽根のように感じた。彼女は、今なら思い通りのマナが操れると思い込んでしまっている。
「逃がさないんだからぁ! いっくよっっ!!」
右手の白い球体が収束するのを待つのももどかしく、中途半端な状態で打ち出す。
放たれた未完成なエーテルシンクは的確に敵の片翼と肩を削ったが、充分な威力ではない。
多少バランスを崩したものの、逃げる速度が落ちる程の攻撃でも無かった。
それでも、傷だけは増える。先程からの執拗で嬲るようなネリーの反復攻撃に、
ブラックスピリットの全身は見るも無残なほどいたる所に無数の傷跡を斬り刻まれ続けていた。
「外さないっ! 喰らえ〜〜!!」
「ハァハァ……ガァッ!!」
そして、また一撃。『静寂』で背中を縦に割られ、仰け反った顎からくぐもった悲鳴が漏れる。
またしても、憐れなブラックスピリットの少女は“死ねなかった”。
ただ苦痛だけが与えられ、身体中からマナが抜け落ちていくのを感じる。
少女は、考えていた。
何故自分はこんなにも憎しみをぶつけられ続けているのかと。
まだ苦痛が続くのなら、いっその事もう一思いに致命傷を与えてくれはしないかと。
勝負は、既についてしまっている。ただ、追いかけられているから逃げていた。
その先には希望など何もなく、目の前に展開する景色だけがこれから迎える絶望を暗示しているかのようにどんどんと霞んでいく。
なのに、呼び覚ますように襲い掛かる激痛が気絶することさえ許してはくれない。
「――――これで、決める! ハァァァアアァッッ!!」
――――ズンッ!
「ッ!!! ……ァ」
背後から鈍い衝撃を感じ、胸から突き出た『静寂』を視界の隅に収めた時、
混濁した意識の中で少女はむしろ笑みさえ浮かべていた。これで楽になれる、と。
「……ふう。シアーをいぢめるからこういう目にあうんだよ!」
枝の隙間を落下しながら金色に変化していく敵の少女を足元に見下ろしながら、
ネリーは『静寂』に吸い込まれていくマナに向かって吐き出すように叫んでいた。
ふわさぁと長い蒼色の後ろ髪が舞い、纏った重い水蒸気が大気に反射して煌く。
高揚したままのネリーに呼応して、『静寂』の響かせる共振音もいつもよりもやや高い。
sien
最初は、複数の敵に囲まれたシアーを救出しようと無我夢中で剣を振り回していた。
しかし一人また一人と倒した敵から吸い込んだマナが、『静寂』とネリーとのバランスを崩していく。
少しずつ、囚われ始めるマナへの衝動。その快感に逆らう意味を、ネリーは深く考えなかった。
そうして半分神剣の意志に飲み込まれたまま、ネリーは今や得意げに樹の上で仁王立ちになっている。
「……む?」
Sappheiros(サファイア)を想起させる紺碧の双眸は、一つの影を捉えた。
しかし対象をスピリットと判断するよりも速く、その影は疾風に流れるような動きで樹々の間を縫うように背後に回り、
一瞬にしてネリーを背中から羽交い絞めにしてしまう。
「クッ……こ、このぉ〜!!!」
「ネリーさん! 落ち着いて下さい、私ですよぅ!」
尚も暴れるネリーを取り押さえようとしているのは、ようやく追いついてきたヘリオンだった。
初めの動機は、単純だった。
新隊長の登場と共に初めて異性というものを身近に意識したヘリオンは、
その日から自分の中で急速に膨れ上がる憧れという感情を抑え切れなくなっていく。
戦いの中で未熟な技量を必死に磨きつつその背中を追いかけているうちに、
追いかけるための手段としての鍛錬を思いつくと、話は簡単だった。
勇気を振り絞り、訓練を一緒にしたいというささやかな想いを伝えると、すんなりO.K.を貰ってしまう。
それから、夢のような日々が続いた。戦士としての宿命が無ければ、それは幸せといっても過言ではない日常だっただろう。
しかし、ヘリオンの中にある資質がそれを許さない。
素直な性格も相まって厳しい訓練にも耐え柔軟に吸収し、遅咲きながら見る見るうちに未曾有の剣の才能を発揮し始めたヘリオンは、
確実に実る訓練の成果にいつしか"強さ"というものを本気で目指し始めるようになっていた。
「んっ……そこですっ!!」
今回の戦いでも、養った基本型通りに動き、教科書通りに敵が倒れる。
「……やったっ!」
手応えにヘリオンは一々拳を握り締め、"強さ"に近づいたという実感を噛み締める。
もう既に、位が違う敵に対しても互角に戦えているという事実が自信となり、
『失望』が“第九位”である事へのコンプレックスもさほど感じないようになってきている。
これで憧れの背中により近づけた、と。もうすぐ並んで歩けるようになれるかも知れない、と。
それは当初とは喰い違った動機ではあったが、今となっては結局どちらでも同じことであり、
同様に"強さ"の本質について深く考えるというプロセスの大切さも、素質が一足飛びで省略させていた。
そうして何人目かの敵を斬り伏せた森の中で、ヘリオンは迷子になっていた。
「ふぇぇ〜ん調子に乗りすぎました〜」
藍を重ね染め上げた京友禅ように綺麗な黒髪のお下げをぶんぶんと振り回し、
磨かれたAmethyst(アメジスト)のように澄んだ紫色の瞳をきょろきょろと気忙しく巡らせて。
先程までの斬撃を繰り出した時の威勢の良さなどはどこへやら、がさごそと不器用に目の前の草叢を掻き分ける。
元々小柄な分、悪環境での戦いはスタミナ的に向いてはいない。きゅるるるる。
「あうぅ〜……もうダメかも……」
敵と対峙していた時には緊張が持続していて気にならなかったが、お腹まで可愛く鳴っていた。
そしてどれだけ訓練しても、生来の気の弱さだけは治しようもない。
こういう非常事態に対応出来るだけの人生経験も踏んではいないので、
例えば独りで戦場のど真ん中に取り残されているなどという状況を自覚してしまうと簡単に“テンパる”。
ヘリオンはへたり込みそうになる腰を懸命に持ち上げながら、泣きそうな顔で当てどもなくふらふらと森の中を彷徨い続けてゆく。
「――――あれ?」
そしてそうこうすること数刻。ようやく前方に希望の気配を察知する。
「これ……ネリー?!」
一体どれだけ仲間と逸れていたのだろうかと呆れながらも身体には力が蘇る。
助かったと単純にウイングハイロゥを広げながら、しかし一方でヘリオンは頭の隅に別の妙な引っかかりも感じた。
ネリーは、とんでもないスピードで森を縦横無尽に駆け巡っている。
それも、知っている彼女の速さとはかなりかけ離れているスピードで。
しかしそれでもネリーには間違いが無い。それに考えている暇も無かった。このままではまた置いてけぼりを食らってしまう。
自分でも追いつくのに相当骨が折れそうだ、そう考えながらヘリオンは草叢を蹴り出した。
「……ふえ?」
ようやくネリー背中が見えた頃。唐突に、『失望』が強く警戒を発した。
見ると、ネリーの身体はぼんやりと蒼く輝いている。つまり、周囲に敵の気配がしないのに臨戦態勢を取っている。
「これ……まさか?!」
ヘリオンは慎重に背後に回りこみ、細い肩に手早く両の手を回す。
「クッ……こ、このぉ〜!!!」
「ネリーさん! 落ち着いて下さい、私ですよぅ!」
途端、狂ったように暴れ出すネリーは、ヘリオンを味方とは認識していない。
ただ、行動を邪魔する存在を振り払おうと必死に四肢を振り回し、もがき続ける。
「――――あうっ!」
拍子に回ってきた肘が勢い良く頬に突き刺さり、ヘリオンは思わず呻いた。涙が出そうになる。
止める手段が、今の彼女にはない。それでもこの状態のネリーを手放す訳にはいかない。
スピリットなら、誰でも神剣の強制力の恐ろしさは骨身に叩き込まれている。
「――――ネリー!」
待ち侘びた、一際高い制止の声が短く刈り込んだ髪と同時に飛び込んで来る。
「だめだよぅ! ヘリオンだよぅっ!」
「離せぇ〜っ!……って、あ、あれれ?」
正面からシアーに抱き締められる形で抑えられたネリーは、ようやく身体の力を抜き大人しくなる。
「 シアー……はふぅ」
「シアーさん! 良かったぁ……ふあぁ……」
抱き挟むような格好のまま正面にシアーの姿を確認したヘリオンも、ほっと安堵の表情を浮かべる。
今のところネリーを止められるのは、姉妹のように育った彼女だけだった。
「ごめんね遅れて!……ふえ? やぁぁぁぁんっっ」
急にヘリオンが力を抜いたせいで、シアーはずるっと足を滑らせた。
気を失っているネリーの全体重が掛かって支えきれない上、安心したせいか目をぐるぐると回したままのヘリオンまで圧しかかってくる。
ウイングハイロゥを広げてはみたが、三人分の重量はどうしようもない。つまりそのまま落下するしかない。
―――― どさどさどさっ!
「……きゅう」
下敷きになったシアーの意識は、一瞬数刻前の出来事にまで遡ってしまっていた。
確かにそもそもの発端は、迂闊にも敵のレッドスピリットに固執して追いかけ続けたシアーにあった。
彼女は例えばネリーと比べても重量のある神剣『孤独』の所有者でもあり、
本来はその重みを生かした剣技で攻撃するのがその特性にも合っている筈なのだが、
しかしどうしても自分と同じ姿の「敵」を殺すというその事自体に躊躇いがある。
第一、何故自分達が戦わねばならないのか、その理由が上手く飲み込めない。
訓練士が何度か説明していたものの、どれもシアーには納得のいくものではなかった。
生来の大人しい性格と相まって、皆が殺気立つ戦いというものにいつまでも上手く馴染めない。
そんな経緯により、今回もネリーとペアを組みつつひたすら防御に徹していた。
とはいってもシールドハイロゥを生み出すなどという芸当が出来る訳でもないので、
ブルースピリットにとっては厄介なレッドスピリットの攻撃魔法に対する抗神剣魔法、
すなわちアイスバニッシャーやエーテルシンクを延々と唱えながら後方を警戒するというだけの役目なのだが。
とりあえず身を守ってさえいれば、いつかは戦いも終わっている。そんな経験則が既に彼女の中では出来上がっていた。
「マナよ、我に従え氷となりて力を無にせしめよ……アイスバニッシャー!!」
「クッ……!」
「……ふぅっ」
そうしてまた一人。神剣魔法を無効化されたレッドスピリットが動揺しつつ後退する。
自分と同じ位の小さな背中を見送りながら、シアーはこっそりと安堵の溜め息をついていた。
もしも直接攻撃に切り替え突っ込んでこられたりした場合には、こちらも剣を振るわなければならない。
「痛いのは……ヤだよね」
りぃぃん……。呟いた手元で、『孤独』が小さく鳴っている。
「えっと……ネリーは?」
それはそうと、ややネリーとの距離が離れてしまっていた。
ぼんやりと感じる複数の気配が、森中から感じられて混乱する。気づいた時にはふらっと数歩前に出ていた。
「――――ッッ!!」
一瞬の、油断だった。
周囲には、いつの間にか盾と出来る樹が全く存在しない。そんな開けた場所で、敵に囲まれてしまっている。
皮肉にも見通しの良い広場の中央で、薄く膜をひく霧の向こうに敵の表情までもがはっきりと見えた。
「わ、わ、わわ……」
敵は全員レッドスピリットだった。各々に持った神剣を盾にして、じりじりと近づいてくる。
シアーはすぐに『孤独』を両手で水平に構え、身を守るようにウイングハイロゥを広げ、詠唱を始めた。
「マナよ、我に従え彼の者の包み深き淵に沈めよ……え、ええ?」
しかし幸か不幸か敵は皆、一度はシアーに退けられた者ばかりだった。
散々打ち出した神剣魔法を全てキャンセルされ、学習したのか、集団での接近戦闘に切り換え突っ込んでくる。
確かにレッドスピリットの攻撃力など、ブルースピリットに比べると児戯にも等しい場合が多い。
だが包囲して全方向から数で押すというのならば話は変わってくる。
「ちょ、ちょっと待って……ヤだあぁぁぁ!!」
どのスピリットも、物凄い形相で睨んでいる。
シアーはその視線に耐え切れず、ウイングハイロゥを急いで羽ばたかせた。逃げるつもりだった。
「逃がすかッ!!」
「ハァアアァッ!!」
「死ねぇッ!!」
―――― ヒュンヒュンヒュン!
「え……? きゃああっ!!」
途端、雨のように降り注いでくるのは物凄い数の神剣。シアーは短く悲鳴を上げる。
霧の満ちた中を貫く時の衝撃で一気に蒸発した水分が、周辺で凝縮しては小爆発を繰り返す。
削られた砂礫が地面から噴出し、慌てて顔を覆った両腕に軽い傷を残して神剣の群れは飛び去った。
シアーはその場によろけてしまう。辛うじて直撃こそ防いだものの、反撃出来る余裕もまた無い。
そしてもう逃げることも叶わなかった。敵はすぐそこまで駆け寄って来ている。
「ゔ、うう……来る……戦わなくちゃ、いけないんだよね……」
そうして覚悟を決めかね、それでも『孤独』をきゅっと握り直した時、
「こんのお〜〜〜!!!」
上空から、聞き慣れた声が降り落ちてきた。
「! ネリー!!」
ネリーは放胆にも両手を広げながら、敵の密集している草叢へと一直線に突撃し、
意外な襲撃に動揺している敵の真っ只中で、『静寂』をくるくると振り回す。それだけで、数人が倒れた。
「よっくもシアーをいぢめたな〜〜ッ!」
ネリーは更に次の一団へと飛び込む。肉を切り裂く生々しい音と赤と金のグラデーションが辺りを彩り始めた。
蒼く靡く髪が血飛沫の中で舞っている凄惨な光景を、シアーはあっけに取られたまま見守るしかない。
ところがそんなシアーの視界の隅で、
「――――?」
何かが光る。
先程の爆風のせいかやや晴れた霧の向こう、樹々の奥で何かを唱えている複数のレッドスピリット達。
そしてその前方水平方向では当然シアーとネリーの姿が攻撃目標として一直線上で結ばれてしまっている。
「ッッ……ごめんね……でもっ!」
無効化は間に合わない。そう判断したシアーは今度こそ『孤独』を振りかざし、その集団へと跳躍していった。
「ハァ、ハァ……」
真っ赤に染まった『孤独』から滴り落ちる金色のマナを眺めながら、シアーは暫く呆然と立ち尽くしていた。
身体中が、何か気だるい。気分が暗鬱としてきて、腕の傷が今更ずきずきと痛む。
シアーは頭をぶんぶんと勢い良く振る。そしてようやく我に帰り、はっと辺りを見回すと、またネリーの姿が無い。
「あ……ネリー?」
しかし今回は気配を見失う心配だけはなかった。
無視しようとしても出来ない程、彼女の気配は“無邪気”に膨れ上がってきている。
「ハァ、ハァ……ネリー、だめだよぅ……」
剣が、無性に重い。シアーはそれをずるずると引き摺ったまま、歩き始めた。
いきなり駆けて行ったニムントールの後をしぶしぶ追いかけようとしたオルファリルは、
丁度街道から森の中へと片足を踏み入れたところで背中から声をかけられている。
「オルファ?! ああ、良かった。無事でしたか」
「あ、エスペリアお姉ちゃん!」
たたた……と駆けてくる姿にオルファリルは満面の笑みを浮かべ、手を振って応えた。
傍に来たエスペリアはようやく胸に手を当て、呼吸を整えるように一度俯き、そしてまた顔を上げる。
「もう……一時はどうしたものかと」
「オルファね、敵さん達い〜っぱい殺したんだよ〜! う〜んとね、う〜んと……」
オルファリルは、まるで待ち構えていたかのように倒した敵の数を指折り数えて説明し始める。
報告する事によって褒められる事を期待しているのが手に取るように判る満面の笑みを浮かべながら。
「オルファ……」
しかし“殺す”という単語を平気で使いこなすオルファリルに、エスペリアの心は自然と曇っていく。
当惑した表情を悟られまいと、髪の毛を指先で弄るふりをして適当な言葉を捜す胸が痛い。
「……よく、頑張りましたね」
「えへへへ〜」
無理矢理笑顔を作り、オルファリルの髪を撫でてやる。
無邪気に微笑む彼女を眺めながら、自分の中にあるもやもやを持て余しつつ。
「それで、他のみんなは?」
「あ、忘れてた! えっとね、こっちだよ!」
「え、あ、ちょっと! ……もうっ」
一応街道の周辺に敵の気配が無い事を確認する為に『献身』の刀身を翳す。
気忙しげに見渡すと、少し昇りかけた太陽が霧を散らしつつあった。
極端に濃密なマナは陽光と共に微妙に変化を示し、大地の加護が既にかなり強くなってきている。
エスペリアは『献身』を強く握り締めると、森の奥へと駆け出している小さな背中を追い始めた。
一方駆け出したオルファリルはすぐに周囲の異常に気が付き、歩を進めるのを躊躇っていた。
自分を中心にしてかなり離れた位置にいる敵の気配が、ある一点へと集中して動いている。
そしてその内の一群が、森の斜面の丁度右手、盛り上がった地面のすぐ向こうから強く感じられた。
「ん〜〜……」
小高い丘が障害物となっており、直接神剣魔法を浴びせかけることが出来ない。
フレイムシャワーなどを上空から降らせるという手段もあるが、この神剣魔法は的確に敵を捕捉出来ない限り、
うかつに打ち出そうものなら自分の居場所を知らせてしまい、取りこぼした敵の反撃に会うのが"オチ"だった。
当然、ウイングハイロゥが使える訳でも無いので上空からの攻撃も不可能。
「……」
オルファリルは唇に指を当て、少し考え、左手の少し窪んだ地点へと後退した。
するとそこは丁度湿地帯だった為、柔らかい泥に足を取られ思うような動きが取れない。
足元を見ると、紅色の短いブーツは金色の靴紐までもが茶色く汚れてしまっていた。
4¥
悪戦苦闘をしていると、追いついてきたエスペリアが耳元に顔を寄せ、押し殺した声で囁く。
「……敵、ですね。……3人」
「うん。エスペリアお姉ちゃん、どうやってやっつける?」
「……」
エスペリアは一瞬押し黙り、素早く計算を始めた。
後続の仲間達は既に自分同様、森に入った筈。気配を探ると近くにはいないものの、強いそれが点在しているのが判る。
そしてそれぞれは、自分達を囲んで移動している敵が向かう先と同じ箇所を目指しているようにも思えた。目の前の敵は、3体。
水と闇を感じさせる彼女達はいずれも恐らくブルースピリットとブラックスピリットで、地形的にも分が悪い。
「……ゆっくりと、移動しましょう。こちらです」
結局戦いは避け、仲間達と合流することを選び、オルファリルを促す。
「え〜……」
物音を立てないように慎重に動き出すエスペリアを、オルファリルは不承不承で追いかける。
3人位自分一人でも簡単に殺す事が出来る、彼女はそう考えていた。
実際に先程纏めて倒してしまっているので、余計、必要以上に警戒する理由が判らない。
「……は〜い」
それでもオルファリルは、エスペリアがこれまでに誤った指示を出した事など全く無い、という事も知っている。
そして何より昔から姉のように慕っていたエスペリアには全く頭が上がらず、よって逆らえもしなかった。
しぶしぶといった感じでフリルのついたメイド服の背中を見つめる。相変わらず足元は泥に嵌って重く、鬱陶しかった。
「……なに遊んでるんだか」
少し予想よりも離れた場所だったが、確かに仲間の"塊"が落下した。
ニムントールはもたれていた樹の幹から離れ、呆れながらも様子を確認するために歩み寄ろうとして、
「――――ハァッ!!」
「ッ!!」
密生している丈の長い草叢の一群から飛び出してきたブラックスピリットの重い一撃を辛うじて受け止めていた。
交わった敵の神剣と『曙光』がギンッ、と激しく火花を散らす。
体重に加速度を加えた勢いで吹き飛ばされ、足元がいつまでも地面に付かない。
相手も小柄だが、ニムントールはもっと軽かった。
まるで運ばれるように後方へと弾かれ、周囲の景色が恐ろしいほどの勢いで前方へと流れていく。
「っ……いいかげんにっ」
身を捩り、踏ん張りも利かないまま膝を折り畳み、敵の細い鳩尾に、そのまま押し付けるように蹴りをめり込ませる。
「ッッグッ!」
空中での予想外の反撃に、ブラックスピリットは苦しげに身体をくの字に曲げてしまう。
ニムントールはそこでようやく手の平に圧縮させたシールドハイロゥをぎゅっと握り締め、
「――――ハアッ!」
その無防備に差し出された頭部を思いっきり“殴りつけた”。
ざざざざっ。ようやく届いた地面を足場にやや膝を曲げた格好で着地する。
慣性でまだ後方に引っ張られる身体を支えるために踏み込んだ地面が湿った土煙を上げた。
直後、どんと後方で鈍い音がする。
大木に激突しそうになったニムントールが咄嗟に『曙光』を突き刺して勢いを相殺した音だった。
「……ムカつく」
ずぼっと無造作に『曙光』を引っこ抜きながら、また同じ台詞を繰り返す。
先程仲間を確認した際に一瞬油断して周囲の警戒を怠ったこと。その隙を突かれたこと。
そしてそれ以上に、戦闘服がすっかり土まみれになっており、破れた胸の部分にまでかかって身体が汚れてしまっていたのが腹立たしい。
身長より遥かに長い『曙光』をひゅんひゅんと軽く旋回させて、ニムントールは敵に近づく。
「ナメないでよね。って聞こえてないか」
さっきの攻撃で首があらぬ方向へと折れ曲がってしまったブラックスピリットの少女は
四肢をだらしなく地面に投げ出し、うつ伏した状態で痙攣を繰り返している。
「ァ……ァゥァ……」
「……弱いくせに」
既にウイングハイロゥも消えうせ、全身が細かい金色の粒子に囲まれようとしている敵の少女に、
ニムントールは吐き出すようにそう呟き、止めを刺そうと『曙光』を振りかざす。色々な事が面倒臭く、そして不愉快だった。
「ニム、もういいわ」
後ろから、静かな制止の声がかかる。
「! お姉ちゃん?」
「この子はもう戦えません。それにもう……手遅れ、です」
『曙光』を握るニムントールの手を片手でそっと抑えながら、ファーレーンは哀しそうに敵を見つめていた。
「もう……いないと思ったら、こんな所で戦ってるなんて」
「だって、弱かったから。ニム達だけでも全然平気」
「……そういう事じゃないの。ニム、もし包囲でもされたらどうするの?」
「大丈夫。ニムに任せて。そんなの絶対にありえないから」
咎めようとするファーレーンに、ニムントールは自分の胸を叩くことで返す。
最近同じようなやり取りが繰り返させていたので、そろそろ慣れてきてしまっている。
ニムントールはファーレーンが自分を心配してくれていることが嬉しかった。
ただその一方やや過保護な面に僅かながらも不満があり、こうして実力を示せるような機会があれば進んで飛び込むようにしている。
「ニム……そうじゃないの」
「……お姉ちゃん? なんでそんな顔するの?」
しかし予想に反して、ファーレーンはいつも少し辛そうな表情を浮かべるばかりだった。
そしてそれは今日も変わらない。何故なのか、今のニムントールには理解出来ないでいる。
「う〜んてててて……はれ?」
ヘリオンとシアーに挟まれるような格好で派手に地面へと激突したネリーは、そのショックで我に返った。
頭の後ろに出来た大きなコブをさすりながら起き上がると、誰も居ない。
どうやら斜面を派手に転がってきたようで、身体中が泥だらけになってしまっている。
「えっと……うわっわわわっ!」
―――― ギンッ! ガッガガガガッ!
そしてその次の瞬間には、現れたグリーンスピリットの槍を懸命に捌かなければならなくなっていた。
「よっ! とっ! はっ!」
ネリーと同じ髪形のやや背の低い敵の繰り出す槍は、
丁寧に手元で折り畳まれた瞬間一気に伸びてきてはネリーの防御が甘そうな部位を的確に狙ってくる。
その度に穂先から迸る緑色のマナが『静寂』の刀身から出る蒼色のマナと交じり合って周囲を照らす。
繰り出される速度を持て余し、ネリーは機を窺って後方に跳躍した。
すると同じだけ距離を詰め、再度突き出されてくる銀色に鋭い穂先。完璧に間合いを制され、反撃に移る暇が無い。
「ととっ! う、わわ! 痛ッ!」
そうこうしているうちに、切先が首の皮を一枚薄く切り裂いていった。
更に今まで突きのみだった攻撃が唐突に変化を起こし、避ける首を追いかけるように薙ぎが入る。
ネリーは泳いでいた『静寂』を反射だけで摺り上げると同時に首を引っ込め、前屈みになりながら自ら横に転がった。
「うわったたたっ……あたっ!――――な?」
そしてそれが失敗だった。
すぐ隣には、いつの間にか急勾配の崖が聳え立っている。斜面に塞がれ、引っかかって止まるお尻。
逆立ちしながら膝を曲げた変な格好のまま、上下逆さに映る敵が槍を構え直すのを馬鹿みたいに眺める。
「ちょ、ちょっとタンマ――――」
「ハァァァッ!」
そしてそんな間抜けな隙を見逃して貰える筈も無い。ネリーの懇願は受け入れられず、少女は止めの一突きを放った。
ガッ!と火花が散る。
しかしネリーの目前に迫った槍をそれ以上のスピードで叩き、退けたのは当のネリーではなかった。
受け止めたブルースピリットの長く伸ばした蒼い後ろ髪が急激な空気の流れの中で舞い上がる。
「……チィッ!」
と同時に、神剣を跳ね返されたグリーンスピリットの少女は大きく後方へと間合いを取った。
一度宙に向かって伸びきった腕を畳み、神剣を手元に手繰り寄せ、片膝を立てて体勢を整える。
表情に、明らかな警戒の色が浮かんでいた。対峙したスピリットを強敵と判断したようだった。
「―――― 楽しそうね」
「セリアぁ! ナイスタイミング!」
「……いいから早く起きなさい。いつまでそんな格好でいるつもり?」
崖の上から急降下して間に割って入ったセリアは、
戦闘服のスカート部分が大きく捲くれ上がったまま転がっているネリーを殊更冷たい口調で突き放した。
ちらと一瞥をくれただけで、後は正面で神剣を構え直す敵の挙動を油断無く窺っている。
「へ……わわっ!」
ネリーは慌ててぴょこんと立ち上がり、裾を神経質に伸ばす。
そして上目遣いになると、敵を牽制しているセリアの背中に今もっとも気になっている事についておずおずと尋ねる。
「あの、さ……見た?」
「 な に を ? 」
「ななななんでもないよっ……ませんっ!」
途端、物凄い圧力を伴った答えが返ってきて、ネリーの声は裏返った。
軽い冗談のつもりだったのだが、セリアの全身からは青白いマナが火山のように噴き出し始めている。
少なくとも、ネリーにはそう見えた。目を合わせずに済んだのは、ある意味幸運と言っても良いのかもしれない。
「話は後よ。片付いたらこの状況、じっくり説明してもらうからね」
「は、はぃぃ……」
ネリーは今度こそ全身を萎縮させたまま、辛うじて首だけをかくかくと動かし答えていた。
心当たりが多すぎる。特に、内緒で出撃してしまったこととか。
地面に落ちた拍子に腰を強く打ちつけてしまったヘリオンは、痛みの為に暫く動けなかった。
「痛たたたた……」
どうやら着地に失敗してしまったらしい。打ち所が悪かったのか、視界がまだ少しぐるぐると回っている。
四つんばいになったまま涙目になり、お尻の辺りをそろそろと擦ってみる。と、そこでようやく何も握られていない両手に気が付いた。
「わ、わわわ! ないですっ!」
慌てて周囲をきょろきょろと確かめる。すると丁度今落ちてきた樹の幹に、斜めに突き立っている探し物。
ほっと胸を撫で下ろし、落ちた時に刺さったらしいそれを引っこ抜こうと急いで駆け寄り、
「よかったぁ……はぅっ!」
―――― どすん! びぃぃぃぃん……
そしてそのまま、硬直してしまう。
突如出現した銀色の槍のようなものは鼻先を掠め、ヘリオンの目と鼻の先で樹木に突き刺さると、
空気との摩擦でぱりぱりと奇妙な音を立てつつ小刻みに振動しながら、細かいマナの粒子を惜しげもなく大気中に舞い上がらせていた。
『失望』に手を差し伸べかけた及び腰のような変な格好のままどっと背中に大量の脂汗が流れ、
反射的に開いたウイングハイロゥが感電でもしたかのようにぴんと固まり、羽の先端まで動かなくなる。
ぎぎぎと錆び付いた首を懸命に反対方向に捻り、視線を無理矢理薄暗い草叢へと向けてみればそこには。
「あ、あ、あの、そのこれにはですね」
ぽっかりと、無数の眸が浮かび上がっていた。どれもこれも、皆爛々と赤く殺気を漲らせて。
「深いわけがありまして、ってぇ!」
「逃がすな! 散開ッッ!!」
「ふぇぇぇ〜ん! 何でこんな目にぃぃぃぃぃっっ!!」
敵だ、と認識するやいなや、ヘリオンは一目散に逃げ出した。『失望』が置いてけぼりだった。
「はぁはぁ、はぁふぅ、えっと……えっと」
追ってくる気配を数えてみるとどうやら5人以上は存在し、そして恐るべきことに、まだ増えようとしている。
しかし幸いにしてブラックスピリットは少ないらしく、まだ追いつかれそうな様子は無い。
だがそんな事よりも今の"テンぱってしまった"ヘリオンには、状況認識というものが全く上手く出来なかった。
例えば上方から観察してみれば、無駄にジグザグな逃走経路を取っている事からもそれが良く見て取れる。
大体にして肝心の神剣が手元に無いので敵の数を確認した所で戦いようも無いのだが、
それすらも念頭からはすっぽり抜け落ちてしまっているのだろう。
時々その速度が0になるのは恐らくまた何も無いところですっ転んでは赤くなった鼻を押さえているのに違いない。
「……ふぅ」
この付近では一際高い樹の頂点でようやくヘリオンの気配を見つけたナナルゥはそんな風に様子を窺い、
そして殆ど自我を失っている筈の彼女自身にも理解不能な溜息というものを漏らしていた。
「……先に『失望』を回収するべきなのでしょうか、それともヘリオンを回収するべきなのでしょうか」
仲間の救出という任務の本質からいえば、ヘリオンの回収こそが当然最優先事項のように思われる。
しかし、とナナルゥは顎に手を当てる。『失望』を持たないヘリオンはヘリオンたり得るのだろうか。
神剣を失ったスピリットが人並みの力しか持たないのならば、それを"仲間"と呼ぶことに果たして矛盾は存在しないのだろうか。
ナナルゥはいつの間にか木の枝に腰掛け、赤いニーソックスに覆われたすらっと形良く伸びた長い肢を組み、
膝に『消沈』の柄を水平に乗せ、両刃に付いた水滴をぼんやり眺めながら、深き哲学的考察へと没入していた。
―――― た〜す〜け〜て〜……
何やら切羽詰ったような雑音が聞こえてくる。
すると不思議なことに、それに呼応して上がってしまう心拍数。これ以上の模索が不可能な程の。
「……仕方ありませんね。マナよ――――」
何故か無視する気にもなれず、ナナルゥは一旦思考を中断させ、そしてようやく神剣魔法の詠唱に取り掛かっていた。
なにやら騒がしい周囲の気配に目を覚ましたシアーは自分がうつ伏せになっている事に気が付いた。
湿った落ち葉が頬にくっついてしまっている。ひんやりと蒸せた土の匂いが少し心地いい。
上半身だけ起こしてみると、しかしどうやら残念ながら、全身は泥だらけになってしまっているようだった。
「……やぁん」
今現在置かれている状況を一切無視したいとでも言いたげな、心底嫌そうな声が漏れる。
脳裏には敵の姿ではなく、泥だらけにした服を目の前に呆れたような哀しそうな表情を浮かべるハリオンがあった。
彼女はいつものんびりした笑顔を絶やす事がないが、背中に背負う気配を微妙に変える事によって感情を表す。
そしてそういう雰囲気に殊更敏感なシアーは、ハリオンが機嫌を損ねた時の恐ろしさもまた他の仲間より良く知っていた。
もし一たび勝手に戦闘に出て、その上余計な洗濯物を増やしてしまったなどと知られてしまえば。
「ん〜、どうなるんでしょうかねぇ〜」
「――――ひぃっ?!」
気のせいか妙に迫力のある間延びした声まで再現されてしまい、シアーは思わず想像上のハリオン相手に座りなおし、背筋を伸ばす。
「あのね、あの……そのね」
「ん〜〜〜?」
幻覚のハリオンは弁解しようとするシアーにも相変わらずの優しい笑みのままで首を傾げてくる。
それも、醸し出す癒しの空気や、それが曖昧に鋭くなっていく所までが本物そっくりの迫力で。
シアーはたまりかね、素直に謝る事にする。
「ご、ごめんなさい……え? あれ?」
「はい、良く出来ました〜」
「え、え、えええ〜?!」
下げた頭にふわりと感じる、優しく撫でてくれる暖かい手。幻覚でもなんでもなかった。本物のハリオンだった。
「素直に謝ってくださいましたからぁ、今回は、特別に許してあげますねぇ〜」
覗き込むように屈んでにこにこと微笑みながら髪を撫で続けているハリオンに、シアーは口をぱくぱくさせて硬直するしかない。
「ま、無事だったから良かったけどね。今度こんな勝手な真似したら許さないわよ」
そして止めのように、また別の声がかけられる。
赤く短い髪を掻き上げながら『赤光』を杖代わりにして立っているのはヒミカだった。
そこでシアーの緊張は一気に緩み、心の底からの安心感が溢れ出し、
「! ヒミカぁ〜! ふえぇぇぇ〜」
「あらあら〜?」
ハリオンの胸へと飛び込んでいた。
「それで? 他の子達はどうしたの?」
側の木に突き刺さっている『失望』に首を傾げつつ、んっ、と引っこ抜きながらヒミカが問いかけてくる。
だが、ようやく泣き止んだシアーは所有者であるヘリオンが何故そこに居ないのかすらも知ってはいなかった。
ネリーの気配を探ってみるとあまり離れてはいない所でどうやら無事でいるらしいが、それ以上の事は判らない。
しかしその程度の事はヒミカやハリオンには先刻承知していた状況だった。
まだ未熟でネリーの気配しかはっきりと捕捉出来ないシアーとは違い、とっくに全員の位置を把握してしまっている。
「そうじゃなくてね、あー、えっと」
「あのですねぇ、どうしてこんな無茶をしたのですかぁ〜?」
二人が知りたいのは、こういった行動を起こしたその理由だった。
「え、それはその……えっと」
「ん〜〜〜?」
「ひっ! ご、ごめんなさい、ごめんなさ〜い……」
「ハリオン、威してどうするのよ」
「あらあらぁ? そんなつもりはなかったのですけどぉ〜」
「貴女のは無意識な分性質が悪いわね……ほら、無駄に時間をかけるから」
「……来ちゃいましたね〜」
「シアー、貴女は後ろに下がって。怖いなら神剣魔法でも唱えてなさい」
「え、え? あ、うんっ!」
不意にヒミカとハリオンは立ち上がり、草叢の一部を睨みつける。
朝霧も大分晴れたその木陰に敵の集団を見つけて驚いたシアーは勢い良く頷いた。
一度振り向いたヒミカが口元だけでにやっと小さく笑う。
「ほら、これも預かっておいて。どうも軽すぎて私には合わないみたい」
そう言って『失望』をシアーの方へと放り投げると、薙刀状の自分の神剣を風を切るように軽々と振るう。
隣に並んで立ったハリオンも巨大な『大樹』を肩にかけ、慌てて『失望』を受け取ったシアーににっこりと呟いた。
「やっぱり『赤光』さんの方が勇ましいヒミカにはぴったりですぅ〜」
「余計なお世話よ。ハリオン、準備はいい? 敵は……」
「はいはい〜。全部でモート(3人)、ブルースピリットにブラックスピリットが混じっていますねぇ」
軽く答え、頭上に輝くハイロゥリングをゆっくりと盾に変化させてゆく。
ヒミカの両脇でひゅんひゅんと唸りを上げていたスフィアハイロゥもあっという間に『赤光』に吸い込まれ、両刃の刀身が淡く緑色に輝き出す。
「すごい……」
二人の洗練された戦闘態勢への移行に、シアーは固唾を呑んだ。
訓練で何度も見ているはずだが、こうして実際戦地で見るのはまた違った印象を与える。
平穏な日常の中で目の当たりにしていた時には単に怯えにも似た感情しか持たなかったが、
赤と緑のマナが交じり合うその背中に、今は頼もしさだけを感じられた。そしてそれが凄く嬉しかった。
648 :
信頼の人:2007/04/06(金) 22:25:30 ID:usqCcF4c0
しかし何故、自分はよくヘリオンを迷子にさせてしまうのだろう。
そんな疑問を抱きつつ、久々の長編となります。
えらく中途半端な所で終わっていますが、分割してみたらこうなってしまったという事でどうか御容赦を。
支援、有難うございました。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
遅レスすみません。
>>575さん
一枚くらい舌を噛んでも大丈夫なのです、なにせ悠人は二枚舌(ry
>>578さん
じゃあ自分はファーを嫁にうわなにを
>>579さん
死ぬほど萌えて頂けたのならこれ幸いw
乙
>>648 久々の新作キター。
って事で乙です。
なんていうかこんなに怖い年少組を見たのは初めてかもしれません。
でも幼少の頃から戦場に身を投じると、神剣に飲まれなくとも無邪気な殺意を振りまくんだろうなと考えると妙に納得もいったり。
それはさておいてニムカコイイですね。
バトルセンスが抜きんでてるというか。
群像劇というと安息以来でしょうか?
続き楽しみにしてます。
信頼の人さん、乙です。
ただでさえ上手かった今まで以上に、「スピリットのドラマ」が凄いですね。
これもまた、この雑魚スレでのベテラン職人であると同時に、アセリア世界に深い理解があるからなのでしょうね。
詠んでいる間、脳内に映画のスクリーンに実写で場面が展開されてました、マジで。
続きを心の底から期待しております。
乙かれ、続きにきたいですね。
>「! ヒミカぁ〜! ふえぇぇぇ〜」
>「あらあら〜?」
>ハリオンの胸へと飛び込んでいた。
今回ヒットはこれ。
ほんとのハリオンマジックに爆笑。
光陰が恋と愛の違いを語るのってなんてタイトルだった?
>>648 GJ!
信頼さんの久々の長編ついに来ましたね。
前回にも増してさらに鮮明に脱帽。バトルなんか特に。
今後どのような展開を迎え、どのような補完が行われるのか、今から楽しみにさせて頂きます。
>>652 それ多分ここじゃなくて他所様のだと思う。
>>655 まとめで見た気がしたんだが・・・
ま、自力で探せってことだな
657 :
608:2007/04/08(日) 16:38:08 ID:dkScqrbH0
>>609 情報d。
その後リアル友人が所持してるエロゲ雑誌に載ってるってんで見せて貰った。
アレなら普通に萌えられるな。
だが問題は一枚絵でどうなるかだ。
>>648 信頼氏、乙&GJ!
いつも素晴らしいSSをありがとう。
バトルシーンのスピード感と緊張感、自分苦手だからなー……あやかりたいものです。
>648
乙。初っ端の恋愛亜要素云々が冗談なのかマジなのかw タイトル「あいおい」でおk?
無邪気に蝶の羽をむしりとる年少スピ達の危うさが、ドキ胸させてくれます。
ハリオンの醸すふいんきが背中に冷や汗を流させてくれます。
ナナルゥの思索が良い感じです。
木の枝になってしまった『失望』がいとあわれw
>638
斬りつけた黒スピと、受け止めたニムが、組み合ったまま(ニムの)後方に飛んでると言うこと、なのでしょうか。
やや、微妙な感が…。
斬撃無しでほとんど体当たりのような攻撃か、ウイングハイロゥを拡げて追撃ならありかなと思わなくもないです。
かなり細かくてスマソ。
>640
>最近同じようなやり取りが繰り返させていたので、
. を、かな。
>647
>両刃の刀身が淡く緑色に輝き出す。
赤の間違い? ハリオンの防護魔法でも掛かってる?。
個人的な黄金比はエスペリアくらいが丁度良いかと。先行投資でニムも捨てがt(月輪の太刀
659 :
信頼の人:2007/04/08(日) 21:04:15 ID:BxFik6JP0
連載途中に頂いた感想にレスを付けるのは久し振りで、何だか緊張します。
>>649さん
どもです。
>>650さん
彼女達にとって当たり前だった環境として強調したかった部分ですので、
「無邪気な殺意」が伝わっていたのでしたら嬉しいです。
ニムは初期Lv.が高いので、オルファと並んで実はラキオスの隠し球だったのかも、とか。
>>651さん
深いかどうかは判りませんが、ビジュアルが伝わっていたのでしたら
(それが課題でもあったので)嬉しいです。
果たしてこの先も上手く仕上がっているかは不明ですが、期待して頂けて感謝です。
>>652さん
自分も書いていてややこしいなぁとか思わないでもなかったのですが、
実際すぐ側にいたのはハリオンなので、シアーなら取りあえず手近な所に飛びつくかなぁ、と。
でも言われてみれば確かにハリオンマジックですねw
>>654さん
戦闘シーンを褒めて頂けると嬉しいです。
まだまだ『紅蓮の剣』の中の方には及びませんが、これからも日々精進していきたいと。
>>657さん
スピード感と緊張感って同時に出そうとするとテンポが難しいですよね。
自分も初期のお話とか振り返ってみると冷や汗ものです。いえ、今も日々精進ですけど(汗
660 :
信頼の人:2007/04/08(日) 21:05:11 ID:BxFik6JP0
>>658さん
うぉ、大量の御指摘感謝です。
確かに「相生」は「あいおい」とも読みますが、今回は「相克」の反対語、「そうじょう」の方の意です。
ちょっとネタバレすると、年少組5人を五行に譬えていたり。冒頭の五芒という単語もそれにかけてます。
ただ、どちらも題名を使ったちょっとしたお遊びですので、あまりお気になさらず。
ちなみに五行には「陽」と「陰」もありますがげふんげふん。それと、恋愛要素が無いというのはマジですw
>組み合ったまま(ニムの)後方に飛んでると言うこと、なのでしょうか
その通りです、描写足りなくてすみません。剣を受けられたブラックスピリットが
そのままウイングハイロゥで加速して力押ししているという場面なのでした(汗
>を、かな。
確かに変ですね、早速避難所にご連絡をば(汗
>赤の間違い?
オルファの戦闘シーンでも使いましたが、レッドスピリットのスフィアハイロゥは軒並み緑。
で、問題の場面はヒミカがファイアエンチャントを仕掛けようとしている所なのですが、
スフィアハイロゥがまだ炎に変化する前の段階として書いたらこうなってしまいました。
連レス、すみません。そして読んで頂けた方、有難うございました。
過去ログ漁り中に気になる文章発見。
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド11
570 名前:名無しさん@初回限定 :05/03/15 01:07:21 ID:P0+s86NU
神木神社って実在するのね。読みわからんけども。
よしおまえら、2008年12月18日17:30 そこに集合だ!!
三年後このスレあんのかなぁ……とか言うなヽ(`Д´)ノ
ホワイトデーも過ぎちまったぞ。
運命の日まであと1年と8ヶ月ちょい
>信頼の人
遅ればせながら乙です
>661
(゚д゚) 俺のレス……w
どうも神木神社はいくつかあるようで。四国と紀伊あたりに。
読みは未だに分からんです。ゲーム内じゃ「しんぼく」です。
>660
色々了解。
恋愛要素云々は、恋愛要素がないことが忌避理由になるんかいな? って疑問からです。
逆なら有るかと思うけどw
改めて、このスレを最初から最後まで読み通してみた。
よくもまあ、ネタが尽きないよな俺らと、呆れるやら感心するやら。
しかも、未だに補完されてないネタもあったりするわけなんだよな。
新職人さんも来てるし新しい長編が始まってもいるし、これからもこのスレは長く続きそうな気がする。
>>662 ゲーム内ではおそらく「かみきじんじゃ」
何故か時深だけが「しんぼくじんじゃ」と言ってるけど
きっと昔はしんぼくだったんだよ
廃仏帰釈辺りで改名してるんだ
>664
あ、やぱり。
なんか最初の記憶では「かみき」だったのよね。
その後、「しんぼく」発音を聞いて、「しんぼく」が正解と脳内インプットされてた。
鹿島宮司のセリフに有ればそれが正解かな、と思ったが無かった。
>665
維新をくぐり抜けた歴史の重みを感じます……w
>663
んじゃ、マイナーなネタを……w
アセリアルートで、小鳥が佳織との間にある共通の夢を仄めかすのだけど、なんだろう?
どこかにあったかしらん。佳織との取り決めで、悠人には内緒らしいが。
フルートに関すること? 悠人に関すること?
/ __, ィ_,-ァ__,, ,,、 , 、,,__ -ァ-=彡ヘ ヽ
' 「 ´ {ハi′ } l
| | | |
| ! ・ | |
| │ 〈 ! 「ユウ。お前がいると俺の心が揺れる。
| |/ノ二__‐──ァ ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ だから……消えてくれ」
/⌒!| =彳o。ト ̄ヽ '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ !
! ハ!| ー─ ' i ! `' '' " ||ヽ l |
ヘ「あ、あのこのシーンのコウの心情がよく……理解できないんですけどぉ〜」
ハ「友情の機微ってやつですかね〜」
セ「ある忌みそうかもね。しかし……この大ゴマで次週にヒクなんてやるわね。☆ミカって侮れないわ」
ナ「次週は刮目に値します」
セ「あら、そういえばヒミカの姿が見えないわね。どこいったのかしら」
ハ「あ〜なんだか忙しいようですよ〜部屋に籠もりっきりですう」
ヒミカ自重しろwwwwwwwwwwwwww
ついに週刊連載キタコレ。
つか忙しそうですけど本業の方は大丈夫なんですかヒミカw
悠人「今回のミッションは難しいから第1部隊のアタッカーはヒミカで……ありゃ、選択出来ないな。また締め切りか…」
一方、そろころ・・・。
>忙しくて風呂に入れないとき、洗面所で頭を洗う!
>しかもシャンプーを風呂場に戻さない!
>事務机のペン立てから勝手にペンを持ってく!
>やっぱり元の場所に戻さないのでペンがどんどん減っていく!
>洗濯当番の時、色物と白物を一緒に洗ってしまう!
等ダメダメなヒミカになっていた。
( ´∀`)・・・
パソコンが急にぶっ壊れ、新しく買いなおしたのはいいんですが
前のパソコンのバックアップを取ってなかったので
・・・書いてる途中だったハリオン長編、消えました・・・。
ご愁傷様です…
ハリオン長編、非常に興味が有るので
頑張って書いて下さい…と無責任な事を言ってみるw
いえ、ホント頑張ってください
>672
(ノД`)
前のパソコン捨てちゃったですか? HDD自体もう駄目? 回復ツールで読めるかも知れません。
フリーのもあるし、有償ソフトでも、購入する前に体験版で試験可能です。
俺は使わなくなったコンパクトフラッシュにバックアップして升。
パソコンはもう捨ててしまいました。
5年使って愛着のある物でしたが、壊れたデスクトップを置いておく
スペースがアパートの部屋に無いのでとっととメーカーに引き取ってもらいました
(家電リサイクル法とかのせいで金とられましたが)
アネたんのハリオンはもう完全無視で、ほのぼの・のほほんとした中に強さとエロさのあるハリオンと
年上のお姉さんに慣れてなくて戸惑うがその優しさに惹かれていくユートの話だったんですが・・
・
自分の昔書いた訓練師ガンダリオンを物語序盤から出してみたり
エスペリアとハリオンの2大巨乳でユートの取り合いをしたり・・・と
ネタ満載の話でした(つд`)
なんとか1から書き直してみたいと思いますが・・・いつになるんだろ・・・
ニムの長編マダー?
めんどくさい
>>674 自分もフラッシュメモリーにバックアップして枡ノシ
便利な時代になったものだ…
>>675 前向きに考えるんだ!
今度はナナルゥとセリアを加えて4大キョ乳にすれば熱暴走やフリーズは防げるかも試練!
お待ちしておりますよ、と。
雑談2回目を見てきた…
クォーリンキター!
あとの人の為に詳細は書かないでおこう…
>ただこの娘さんはファンが大切に育ててると思うので
ここか?ここなのか?!ww
424氏おめw
>>680 あの髪型と神剣の形状は間違いないと思うwww
本家デビューおめでとうだクォーリン。
γ"⌒ヽ !!!!
(.リノ彡ヾ〉
!pリ;゚ヮ゚リ
((<(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄
このスレでクォーリン像が固まってしまった俺としては、
設定資料集以外に出演する事があったとしても、
光陰様ラブで報われないキャラで居て欲しいw
んで、たま〜に信頼さんの「若芽の萌し」みたいに
おいしいところを持っていく、と。
過去スレで、いつの何処だかでエス姉さんがクォーリンに襲い掛かってた時。
>稲妻「くっ、エスペリア、目を覚ましてっ!」
>献身「お前は画像も無いくせに、変に人気がありますね!?」
>稲妻「えっ!?いえ、一部で妙なマスコット扱いされてるだけですし」
>献身「うるさい!お前みたいな奴に立ち絵とかついた日には、私は、私はー!」
てなレスがあったのを、ふと思い出した。
ついに半オフィシャルとは言え人丸氏の手によるクォーリン像が発表された今、エス姉さんは心中どうなのだろう。
それにしても見れば見るほど、画像板の424氏のイラストに更に細かい部分を加えた感じだねえ。
めっさ見たいのに見れねえ・・・
ようやく見れた。
クォーリン、可愛く描いて貰えて本当に良かったな。
今日ほどクラブザウスに入ってて良かったと思ったことはない。
クラブザウスに入っていない私はここと画像板で情報収集〜。
・・・考えてたクォーリンの話を纏めるのはそれを見てからにしようっと。
うーんw 「雑魚スピ」とか「コアラ」とか、もうねw
クォーリンさんはあのもみあげで……w いやいい女だ。クォの瞳は10000ボルト。
そういえば、クォーリンのモノと思われる戦闘セリフがここに上がってたことあったけど、
企画段階では出す気あったんだろうね。
H /y'
/ヽ H /y'
/` }_ ヽTァr-,、
/ |こ=y7 ̄`ヽ>、
/ } ,,{ペ.f!{ ,ノソ ノ丿
./ヽ ,j} jf}气`ハ、 ,H />'
|{ハ}} ,,ィリ州|い{,mヾコエ>゙ /7
|ルjム=.' iif !ケy ,==ミ、_,/>' 厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒ヽ
k<.9ノリ jリ|ひ!((.・>.)!┴'゙ / |
__|77ァ''´ |Y,ィ`ァ'-ヘ | ボ ー ン ナ ム |
_r'「{|,;if|' j; ビ了父ィソ ,/y _,厶 /
/_,>ィ|,fリ |,八八/^′/y'zZ \______,/
|__/ム|イ ,イ}|ゾY^ンYメYイ ⌒ヽ
,.く::7ト, 州こ^ニ^/⌒ヾィ´
/;゙ `>| W! _,,ィ化儿>'⌒ヾ/.:: /;l
f.::::,ィl{{リヾ比" jf|}y' `ヾ//.:::: /;f}}
/ ,ノ| f|\V"l; |7 `ミ/^!/.::::: /,,,,,,
f{G/| {{V,ハ wリト~ミ八/.:::::: /,;;;;;;;;
fハ `ヽ.| ll{{V∧VF ,イ /.::::::::::/.............
;ifツ\_ハ、j}}}l>、ヾレシ´.:::::::::;/,;;;;;;;;;;.;.;..
これは酷い誤爆
SS保管庫、量が物凄過ぎて読みきれないっす
短編のカプ話で何かオススメ教えてください
694 :
報われない:2007/04/15(日) 07:55:26 ID:EivDsWjY0
ある朝の目覚め。
寝巻きの前開きのボタンを外そうとして、クォーリンは唐突に自分の胸が大きくなっていることに気がついた。
「……どうしよう」
このままでは、コウイン様のストライクゾーンから一層除外されてしまう。そんな今更な事を嘆く。
どうでもいいが、まずはそこから悩み出すのがクォーリンクオリティ、略してQQとも言う。
「これで……よし」
慌てていたのでインナーに選んだのが何故か普段のチャイナ風では無かった事には頓着しない。
取り急ぎ、誰が置いていったのかは良く解らなかったが机の上にあった胸当てを着けてみる。
結果勝手に豊満になっていた胸はその皮製の防具によって圧され、気持ちやや平たくなり、無事ある程度の復元を果たした。
こんなものを着けるのは初めてだと思うとちょっと新鮮な感じで気持ちも浮かれ、ついでに籠手でも着けてみようかと考える。
すると都合良く枕元にアーマーと同じ皮製で、尚且つ色彩がインナーと同系色のものが落ちていた。
好感が持てたので、誰が置いていったのかは良く解らなかったが着けてみる。
濃い焦茶色のブーツも転がっていた。試しに履いてみると、少し背が高くなったような気もした。
「……ふふっ」
しかしやはり女の子というか、御洒落をして、気を悪くする筈も無い。
よせばいいのに、このまま散歩にでも行こうか、そんな普段は考えもしない名案を思いつかせる。
いつもの神剣を手に取り、鼻歌混じりにドアのノブを捻り、そこでたまたま鉢合わせ、
「お、……ん? あ、えっと……ごめん、誰だったっけ?――――え、お前、クォーリンか?!」
「……シクシクシクシク」
ドアの前の表札とクォーリンの顔とクォーリンの胸を交互に見ては深刻に首を捻り、
そして神剣を見て初めてぽん、と拍手を打ちながら言い放ったコウイン様の一言は、彼女のキャラを見事に戻してくれていたといふ。
クォーリンデビューオメという事で、急遽でっち上げてみました。
>>693 どんな組み合わせを求めていらっしゃるのでしょうか。
>>693 カプ話ってのよりも、登場人物それぞれの心象風景を描写したSSが多いからなあ。
ラブな話が読みたいなら、長編の方に多い。
>>695 乙です。巨乳&報われないのが既にこの板のクォーリン像・・・
>>693 短編なら単純に好きなキャラのから読んでいけば良いかと。最終的には止まらなくなって全部読むことになるでしょうけど。
同じ新参からのアドバイスです。オススメ?私の以外全部ですよ、ええ。
>694
ある朝の目覚め。
ニムントールは、昨日の自分よりも身体全体がちんまりしていることに気が付いた。
「……めんどうくさい」
ど真ん中ストライク損。
ある朝の目覚め。
エスペリアは、昨夜は確実にベッドの中で寝ていたはずなのに、視界の中に天井と一緒にベッドの端っこが見えていることに気が付いた。
「うう……腰が痛い」
朝ご飯はオルファがピンチヒッター。
ある朝の目覚め。
ハリオンは、いつもの快眠が今朝に限ってはイマイチ目覚めが悪い事に気が付いた。
「やっぱり〜アレだけじゃ満足いきませんね〜」
ゆうべのヒミカとのタッチプレイだけでは熟れた身体は満足しない。
何があったかわからんけど、
会員になっていない自分に教えてくれる猛者はいないか?
非公式ながら、人丸がクォーリンを描いてくれたらしい
注釈すると、そのデザインの原型がココに出展された有志筆のクォーリンらしい。
とりあえずクォーリンおめっとさん。
非会員のために人丸画のクォーリンをあげる猛者は・・・
流石にいないか。
>>703 さすがにクラブザウスの画像うpするのはまずいだろ。
見られてると分かった以上は尚更w
その内アップされるかもしれんし、当面は画像板に上がってるので我慢しようや。
理想は人丸氏本人による画像板へのうpw
とか言ってる間に、XuseHPからアセリアデモが消えていた件。ちょっと前はリンク切れだったのだけど。
さらに未だに間違えだらけな設定ずらずら。少しは気にしたらどうだろう>Xuse
オルファの黒い目ってマジなのかしら?
歴代のスレの中にザウスの中の人の書き込みがあるかと思うと・・・あるとは決まってないのだけれど(’’
仮にあったなら、書き込んだ中の人は面白くこのスレ眺めているんだろうな。
708 :
鉄壁の破壊力:2007/04/18(水) 06:58:29 ID:J1Vl76dz0
それはいつも一緒の部隊だったエスペリアの"とことこ"とした足音にもいい加減飽き、
たまには気分転換も良いだろうとハリオンと組んでみた、とある戦闘時の事だった。
別にハリオンを選んだことに特別な意味は無い。ただこれだけは言える。巨乳はいいものだ。
それはそうと、その戦闘で、俺はカナリ驚いた。
正直、仰天したと言ってもいい。まさかそんなディフェンス法があったとは。
仲間内でも場合によってはエスペリアを凌ぐ防御のエキスパートと評判では聞いていたが、
実際に目撃するとそれも深く納得せざるを得ない。
これは燃え易いとか防御スキルの回数制限が厳しいとか、最早そういったレベルの問題じゃないだろう。
それ位、そのとある戦闘の印象は強烈だったのだ。
それは、丁度うっかり攻撃回数制限を忘れて棒立ちになった俺の横を敵が駆け抜けていった時のことだった。
「! ハリオン、危ない!」
敵はブルースピリット。一撃必殺のスキルを放とうと、ディフェンスであるハリオンへとその標準を定めている。
しかし対してそのハリオンはぽやぽやと夢見がちな表情でのんびりと『大樹』によりかかり、半分昼寝をしているという有様。
「……ん〜〜あらあらぁ〜?」
ようやく目覚めかけてはいるものの、シールドハイロゥも付け忘れたハリオンの頭上にブルースピリットの刃が迫る。
そして猛烈な青のマナを遮るものは何も無い。ハリオンは、何を思ったのか諸手を上げる。
その手に『大樹』は持っていない。地面に突き刺したまま忘れているのだ。
勿論、降参とかが通じる相手でもない。俺は次の瞬間に訪れる筈の悲劇を予想して、凍りついた。
709 :
鉄壁の破壊力:2007/04/18(水) 06:59:10 ID:J1Vl76dz0
「ハリオーーーンっっ!!」
「えいっ☆」
がばっ。
「ッッンッ! ン、ン、ン〜〜〜ッッッ!!!」
「んもう、こんな危ない事しちゃ、めっ、めっですぅ〜」
「ンンンッ! ン、ン、ンンンン!!!」
「……あー、えっと」
ブルースピリットの一撃を、一歩踏み込むことで間合いを消して止めたのは、まぁいい。
どうやって動いたのかも良く判らないが、その剣を敵から奪ってしまった有り得ない動きもまぁハリオンならありかもしれない。
しかし、ハリオンマジックの許容限界はそんなものではなかった。彼女は更に敵の頭部を、自らの胸へと押し込めてしまったのだ。
あの巨大な楽園に強制的に招待される。その抱擁がどの位の恐怖を伴うかは喰らったことのある奴にしかわからないだろう。
なにせ俺の角度から見て、ブルースピリットの首から上が全く見えないのだから。すなわち、類い稀なる豊満な胸に埋没して。
うらやましいと言う事なかれ。いや、うらやましいのも気持ちいいのもごもっともなのだが、とりあえずは呼吸が出来ないのだ。
ああ、言ったそばからブルースピリットの手足がぴくぴくと痙攣してきた。さっきまでは子供の喧嘩のようにじたばたしてたのに。
「いいですかぁ、剣で斬ったら痛いんですよぉ?」
「……ン、……ン、……」
隊長、臨界を突破したようであります。ブルースピリットは何かしおしおになって項垂れているように見えなくも無いが、
確実に反省しているのではなく単に事切れようとしているだけなのだと、自覚していないのはハリオンだけだというこの極楽地獄。
しかし説教をしながらも慈愛の心も忘れない生粋のグリーンスピリットであるハリオンは、止めとばかりに敵の髪を撫でる。
何が止めかというと、それによって頭部が更にめり込み、そうなってはもう当のハリオンでさえ取り外しが困難になってしまうからだ。
正に、究極のディフェンス。いや、アタックというべきか。ちなみにサポートのヘリオンは先ほどから戦場の片隅でいじけてしまっている。
背中に陰を背負い、蹲って足元の土に指で何を書いているのかと思えば「貧乳上等」だった。どうやら飾りだと訴えているらしい。
710 :
鉄壁の破壊力:2007/04/18(水) 07:05:47 ID:J1Vl76dz0
「あらあらあらぁ〜? どうかしましたぁ〜?」
「――――ブハァッッ」
そうして僅か数十秒。ブルースピリットはその短い生涯の最後を桃源郷で過ごし、そして現世へと帰還した。
というかようやく彼女の異常に気がついたハリオンに開放されただけだが。安らかな死に顔だった。
「死んでないっ! ……ゼッゼッ……くそっ、覚えてろっ!」
「さようならぁ〜、また会いましょうねぇ〜」
「二度と会うかっ!!」
こうして後2回も攻撃回数が残っているにもかかわらず、矛盾した捨て台詞を残し、敵はあっけなく撤退してしまった。
何故か頬を真っ赤に染めていたのが印象的だったのだが、酸欠だけが理由ではないだろう。
しかしそれにしても、防御をする必要も無いなんてなんて恐ろしい防御、いや、攻撃か?
「まぁいいか。おいヘリオン、いつまでいじけてるんだ、帰ろうぜ」
「いいですよぅ、どうせ私なんて小っちゃいですしぃ、台詞これだけですしぃ」
「……ふう、しょうがないなぁ。あのさ、需要なんて人それぞれだろ? 俺はヘリオンの貧、その、控えめなソレでもコレがアレで」
「ユートさまぁ〜、えいっ☆」
「〜〜〜@#%$&★★★♪!!!!」
ただ、これだけは言える。巨乳はいいものだ。
このお話は、
>>672おにぎりの中身の人さんにエールとして捧げます。
>>697さん
だがそれがいい>クォーリン像
>>698さん
ちょ、エスペリアさん、まだ寝癖の悪さ直ってないんですかw
っていうか緑のマナ勢ぞろいw
(つД`)ありがと・・・俺がんばるよ・・・
>711
ゆ、悠斗柔破斬ならきっと……きっとなんとかしてくれるっ!
かないませんかそうですか。
>>711 乙です。
なんとなくアネたんのハリオンならそのまま殺りそうな気がしましたw
クォーリンって、光臨?
クォーリンの「ク」は苦労人の「ク」
そういえば、結局クォーリンの神剣って不明のまま?
うむ。
「『稲妻』のクウォーリン」って表現はあるけど、『稲妻』が稲妻部隊の稲妻か通り名としての稲妻かが不明なので
断言しがたい。
とりあえず、俺が認識している範囲では。(ここの保管庫の過去スレ1から全部読んで知った範囲)
・蒼い牙アセリア、漆黒の翼ウルカと並び深緑の稲妻クォーリンという大陸三傑の一人として大陸全土のスピに恐れられている
・神剣は「峻雷」、何位だったかは忘れた。注釈頼む
・光陰が来るまでもともと稲妻部隊の隊長だった
・初期はツンロリだったが画像板に上がった職人絵の威力で、ツンロリ→カチューシャ?の武人少女→不幸巨乳お姉さんにすくすく成長した。
他にもあれば、注釈頼む。
少なくとも2と3はスピスレの設定だな。
4は言わずもがな。
一番最初のAA
γ"⌒ヽ
(.リノ彡ヾ〉 コウイン様のためなら火の中水の中っ!
!pリ゚ ヮ゚リ 身の回りのお世話も致しますっ!
⊂》 ノ リつ=====口ニフ お○るだってお片づけさせていただきます!
. く/|_ノ ノ::::ヽ
ι'J "'⌒ '
その後、Spinetで稲妻板とこのスレを見るのが日課になった。
いや、1もですがな。
公式なのはゲーム中で名前が一回出てくる所と、
オフィシャル設定資料集でのウルカとの対決だけ。
そこだと
・現在マロリガンで進められている秘密部隊『稲妻』の一員。
・『稲妻』は一度ウルカによって壊滅させられている。
・当時クォーリンは幼かった。
・治癒手段『大地の祈り』を使える。何かのアイテムなのか神剣魔法なのかは不明。
推測ですが、アセリア(を匂わす相手)と一度だけ戦った事があるとウルカに対しての記述があるので、
少なくともイースペリア以降マロリガン戦前の時期のお話なのかも。聖ヨト暦で長くて半年位前?
で、後は人丸氏曰くの「ファンが大切に育ててる」部分。
こちらも何か相違があれば注釈ヨロです。
>>722 >『稲妻』は一度ウルカによって壊滅させられている
クォーリン所属の小隊がウルカに壊滅させられたが、クォーリン以外のメンバーが稲妻かどうか不明。
>大地の祈り
これはアースプライヤーと思われる。
クォーリンとは関係ないが、高瀬氏が某同人誌に寄稿したSSではネイチャーフォース=万象の閃光だった。
多分スレ的に気になる点としては
>聖ヨト暦で長くて半年位前?
>当時クォーリンは幼かった。
これをどう解釈するかだよな。
ちなみに以下俺餡。
・あくまで精神的に幼いだけ(これが一番無難? アセリアもそんな感じだし。
・実は永遠戦争より大分以前の話(悠人との交戦が明記されていないし。
・年齢的に幼いが超早熟。
未だ幼い人類……とかって人類の不明さを自嘲するときに使うようなノと同じで、
>・あくまで精神的に幼いだけ
これだと思う。もちろん根拠はない(`・ω・´)
マロリガンにはスピリット隊が8つ有り、さらに首都防衛の親衛隊がある。
で、エトランジェ登場後新たに新設されたのが『稲妻』らしいな。
下2行のソースキボン
小説だったと思う
d。確かめてくるノシ
728 :
724:2007/04/21(土) 21:39:17 ID:0BIFzaLj0
『稲妻』設立の時期を考えると
>>723の1案っぽい気がしますが、3案も捨てがたいw
あてんしょん
このSSは、ほぼ基本的に年少組の補完です。
時期も舞台もケムセラウト〜法皇の壁、全5回の投稿で完結します。今回は第2回目です。
ただし恋愛要素は全く含まれていませんので、そういうのが嫌いな方は遠慮なくスルーお願い致します。
「オルファこんな所に……って、何をしているのですか?」
「え?」
声に振り返るオルファリルは、エヒグゥを指で突付いて遊んでいる真っ最中だった。
白い小動物は不穏な気配を察したのか、草叢の奥で小さくなって身を固くしたまま動かない。
その、突付くとぴくぴくと鼻が動く仕草が面白く、オルファリルはつい夢中になっていた。
とても戦闘区域にいるスピリットとは思えない程緩みきった表情を見せている。
「まったく……しょうがないですね」
「だってぇ〜。ほらほら、この子」
そうして、またつんつんと白い毛並みを突っついてみせる。
怯えたエヒグゥは一瞬ぴくっと反応したが、それ以上は逃げる気配も見せない。
「可愛い〜。えへへ、連れて帰りたいなぁ」
「駄目ですよ。……ふぅ」
エスペリアは呆れて肩を竦め、改めて周囲の気配を探る。
先程まで追跡していた3人の敵は、やはり移動速度を急速に上げ、ある地点を目指しているようだった。
そしてそこには仲間の気配も複数窺える。
しかしそちらは互いの力量をおおよそ考慮に入れてみると、さほど危険な状況とも思えない。
『献身』が小刻みに震えて知らせているのは、それとはまた別の方角からの敵だった。街道を真っ直ぐに進んでくる。
「みんなと合流して……いえ、それでは間に合いません、か」
ちら、とオルファリルの背中を見る。赤いお下げの髪が楽しそうに揺れ、歳相応の無邪気さを見せていた。
「えい、えい。あのね、オルファはオルファっていうんだよ〜」
「……」
エスペリアは一応周辺の安全を確認してから、悟られぬようそっとその場を離れ、街道へと引き返し始めた。
「……あれ? エスペリアお姉ちゃん?」
そんな訳で、オルファリルがふと気づいた時には、隣に居る筈のエスペリアの姿はもうどこにも無かった。
すっかり泥んこになった膝を伸ばし、立ち上がってみる。
無意識に頬を籠手越しに拭ったせいで、手の泥が顔にも付いてしまった。
朱色のスカートの皺を指先だけで慎重に摘み、整えながらきょろきょろと辺りを見渡してみる。
「ん〜、どこ行っちゃったんだろ? オルファ、どうすればいいのかな?」
握ったままの『理念』に話しかける。すると『理念』は即座に淡く光り、現在の状況を知らせてきた。
「……うん、わかったよ。あっちの方が楽しそうなんだねっ」
オルファリルは大きく頷くと、湿地帯をぴょこんと飛び跳ねて抜け、
目の前に続く小高い丘を飛び越え、そしてそこで、ぷーと大きく頬を膨らませる。
「む〜、オルファ、こんな高い所飛べないよう」
『理念』が困ったような気配を示す。目の前に切り立った巨大な崖の、ごつごつと固そうな岩肌があった。
「……ありゃ?」
仕方なく崖の壁を『理念』で退屈そうにこつこつと軽く叩きながらその細長い窪地を歩いていたオルファリルは、
何かが聞こえたような気がしてふと空を見上げた。しかし晴れかかっているとはいえ、まだ霧のせいで視界が悪い。
目を細めていると、からんと何か小さなものが降ってくる。
「?」
足元に、小指程の大きさの石ころが転がっていた。
暫く訝しげにそれを眺め、そしてもう一度見上げてみる。
すると今度は、灰色の空の中に何か黒い米粒みたいな点がぽつんとひとつ浮かんでいた。
「……???」
更に目を細め、じっと凝視してみる。すると。
『はわわわわわわ〜〜〜!』
「――――はいっ?!!」
それはみるみるうちに接近し、大きくなりつつ迫ってくる。
漫画のように渦を巻いた瞳からだばだばと涙を垂れ流しつつ落ちてくる黒い塊は、良く見ると見知ったブラックスピリット。
「わっ、わわわっ!」
「どいてどいてどいてどいてドイテドイテドイテドイテドイテクダサーイッ!!!!」
ヘリオンは完全にテンぱっているのか、ウイングハイロゥも開いていない。
「ちょ、来ないでぇ〜〜!」
このままでは自分の身が危ない。
オルファリルも動揺はしているものの、反射的に『理念』の両刃を振りかざし、スフィアハイロゥを展開する。
しかしその咄嗟の判断を嘲笑うかのように、翳した『理念』の向こう、ヘリオンの後ろに何か赤く光るものが目に飛び込んできた。
「……へ?」
オルファリルは戦慄し、思わず間抜けな声を漏らした。そしてその瞬間崖の上からは、巨大な火の玉が炸裂していた。
ん
「お姉ちゃん!」
「ニム!」
前方斜め左やや上空からの巨大な爆発を感知したニムントールと
右街道方面からの新たな敵の出現を察知したファーレーンは同時に叫び、向き合った。
しかし互いが悟った緊急事態について齟齬をきたしている事には気が付かないまま頷き合い、飛び出そうとする。
当然ニムントールは左手、ファーレーンは右手へと。
「え? あれ、ちょっとお姉ちゃん?」
「? どうしたのニム、背中なんて向けて」
「お姉ちゃんこそ、どうしてそっちに行こうとするの?」
「え、だって……え?」
「……」
「……」
訝しげに、互いの顔を見合わせる。ニムントールは真っ直ぐに、ファーレーンは落ち着き無く。
そして『曙光』を地面に突き立て首を傾げるニムントールに、ファーレーンの中からはどんどん自信が失われていく。
開きかけた翼をしおしおと畳み、何だか気まずそうにもじもじと窺うような視線で、
「その、ね。街道の方で強い敵の気配がしました……よね?」
何故か疑問形だった。
支援が……必要か?
「ううん。ニムはあっちから炎の気配がしたから」
「……ああ。あちらは大丈夫。ナナルゥですよ」
「ナナルゥ? 来てるの?」
「ええ、みんな来てますよ。心配かけたのですから、後でちゃんと謝らないとね」
「……めんどくさい」
「こら。そんな事を言ってはだめ。それより」
ファーレーンはようやく普段のペースに戻り、再び街道の方へと目を向け、そっと気配を探ってみる。
「エスペリア一人では辛い相手。そう……ニム、いい?」
「? 敵? 強いの?」
「そうですね。……あ」
「え?」
まだ実戦経験の浅いニムントールには、気配だけで敵の強さまでは覚れない。
また、実際に戦って自分より強い相手にも今まで遭遇したためしが無かったので、必要を感じてもいなかった。
だがこうやって自分だけが状況を把握していないのは何だか面白くない。矢継ぎ早に質問を重ねる。
「どうしたの? 沢山いるの? ニムも行くよ?」
「……もう大丈夫。さ、行きましょう」
「あ、ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃん!」
「くすくす。ニム、置いて行きますよ」
「……もうっ!」
微妙に相手にされていない。
ニムントールは地団駄を踏み、それからしぶしぶ黒い戦闘服に包まれた華奢な背中を追いかける。
何が起きているのか判らない以上、付いて行くしかなかった。
「お待たせしました」
結局ファーレーンは最初にニムントールがもたれかかっていた樹の側まで戻ってきた。そしてそこには二人組の男女が待っている。
「よ。遅かったな」
「げっ」
振り向いた男の姿を確認し、ニムントールは心底嫌そうな声で唸った。既に腰を低くして、すっかり警戒態勢である。
マロリガンとの戦いで、散々強敵として立ち塞がってきたエトランジェ『因果のコウイン』。
彼は国の敗北と共に生き残りの部隊とあっけなく投降し、驚くべき速さでこちらの生活に順応した。
元々ラキオスにいたエトランジェと親友同士の間柄という下地もあったせいか妙にスピリットに対しても馴れ馴れしく、
特にオルファリルやニムントールには事あるごとに"構って"くる。そしてそれがニムントールには苦痛以外の何物でもなかった。
いつも全力で撃退しているのだが、拙い事に彼の持つ『因果』は永遠神剣第五位。
実際に剣を合わせて戦ったことは無いが、『曙光』を遥かに上回る戦闘能力を持っているのは間違いが無い。
「心配したぜ、ニムントールちゃん。無事で何よりだ」
「……う」
じりっ、と微妙な間合いが二人を包む。
光陰と接触する度に、敵として対峙していた時とはまた別の身の危険をニムントールは感じてしまう。
「ほらニム。ちゃんと挨拶しなさい」
しかしファーレーンに背中を軽く押され、折角離れかけた間合いが縮まってしまう。
「すみません、この娘ったらいつもこうで」
「ああいいさ。照れてるんだよな。この位の歳じゃ、ま、当然だ」
「〜〜〜〜」
ニムントールはますます身を固くして"襲撃"に備え、両脚を踏ん張った。
光陰はファーレーンに対してはあくまで爽やかな笑顔で受け答えしながらも、気のせいか手をわきわきと握っている。
こういう機微には本当に疎いファーレーンが、少しだけ恨めしいニムントールである。
「ほら、アンタは下がってなさいって。怯えちゃってるじゃない」
「ちょっと待て。俺は心配して声をかけただけだぜ。どうしてそれでニムントールちゃんが怯えるんだ」
「はいはい、いいからあっち行ってなさいってば。ごめんねー、怖かったよね」
「お、おいおい今日子そりゃないぜ」
「……ふぅ」
細身のレイピアを腰に吊るしたもう一人の女性が呆れたような声で光陰を牽制した所で、ようやく空気は軽くなった。
「怪我もないようね。うんうん」
「……うん」
気さくに髪をぽむぽむと撫でながら、納得気に頷いてくる。
光陰と同時期に加入したこのエトランジェの女性がニムントールは嫌いではない。
ただ、ファーレーン以外に触れられるのには慣れていないので、ついぶっきらぼうに答えてしまう。
それでも彼女 ――『空虚のキョウコ』は気にした風も見せず、ニムントールの髪に手を置いたままファーレーンと向き合った。
自然、一人だけ背の低いニムントールは見上げる形で交互に三人の顔を見比べることになる。
「それで? この辺りの敵はもう大体掃討し終わったようだけど」
「あ、はい、そうですね。後は主力……と言えるかどうか、数名街道に残っています」
「ああ、そっちは大丈夫だろ。森の中に散らばっていられるよりはよっぽど戦いやすいしな」
「そうね。ま、悠はちまちましたのは苦手だから、こっちはあたし達で片付けましょ」
「だからといって今日子が細かい作業に向いているとはとても思えんが……ぐがっ!」
手加減されているとはいえ、『空虚』の力を一部借りたハリセンが光陰の頭上に直撃する。
そしてこういう余計な一言を言うたびに、ニムントールの中では評価がどんどん下がっていく。
「……ばかじゃないの?」
「こらニム! コ、コウイン様? 大丈夫ですか?」
「平気よ平気。それに……ね? 光陰?」
「あ、ああ。ちょいと派手に痺れたが、その甲斐はあったようだな」
「え?」
「ほら、おいでなさったぜ。雷に気付いてくれたらしい」
「他の子達の所に行かれるよりは、ね。この方が手っ取り早いでしょ」
「……なるほど、了解しました。ニム、下がって」
「そうだな。ニムントールちゃんは安心して俺の背中に隠れ」
どかっ
「ぬおっ!」
「〜〜コウインは苦手っ!!」
ニムントールはお望み通りにとばかりに無防備な背中を思い切り蹴飛ばすと、光陰を敵の真っ只中へと放り込む。
「おいおいそりゃないぜ〜〜っ」
「こ、こらニム!」
「あはは、ほら光陰、しっかりやんなさいっ!」
「コウイン様! 援護いたしますっ」
続いて今日子、ファーレーンがそれぞれの神剣を抜き放ち、斬り込んでいく。
「……ふん。マナよ、守りの衣となりて我らを包め――――」
このパーティーの中では、自分の役割などせいぜい後方からの神剣魔法による支援しかない。
いくら何でもその位は理解が出来、そしてそれに漠然と不満を感じるニムントールだった。
「……」
「……」
セリアとグリーンスピリットは無言のまま牽制し合い、じりじりとお互いの間合いを詰める。
先程の接触で舞った土煙も今は落ち着き、その代わりに重い空気が充満し始めている森の中。
ネリーは膝をついた体勢のまま、軽く喉の奥を鳴らした。地面と水平に握り締めた『静寂』の剣先を少しだけ持ち上げる。
それだけの動きでも敵に悟られてしまいそうな雰囲気だった。背中が崖に触れてしまい、一瞬だけ戸惑う。
気づけば気圧され、乱れた呼吸と共に少しづつ後退していた。
―――― りぃぃぃぃん……
「んっぁ」
緊張からか、『静寂』を持つ指先からは微妙な痺れが走り、すぐにそれは全身へと広がっていく。
いつもの、思考に霧がかかってくる感覚が近づいてきていた。心地良い鈴の音のようなさざ波。
再び神剣に自我を奪われようとする予感に、しかしネリーは抵抗が出来ない。
「ん。しっかりしろ」
ぽむ。
「……はへ?」
唐突に目の前に下りた白い戦闘服。流れるような動きで降り立った少女が、持つ神剣の刃を『静寂』に軽く当てる。
するとネリーの視界はあっけなく、すーっと元に戻っていく。見上げると、無表情ながら真剣に見つめてくる瞳。
「あ、あれ? アセリア?」
「セリア、急げ。あまり持たない」
「判ってる……『熱病』!」
同時に、セリアは敵へと殺到している。
「受けなさいっ! はぁぁぁあっ!」
短く切った台詞が、鋭すぎる『熱病』の切先が敵を水平に薙いだ風切音に掻き消される。
びゅうんと重い一撃は防ごうと身を避わしたグリーンスピリットから踏ん張りを奪い、身体ごと浮かび上がらせた。
しかし体勢を崩す事を嫌ってか、流れるに任せたグリーンスピリットは迎撃の姿勢を保ったままで、くるりと斜めに身を捩らせる。
そしてそのまま片手で地面を弾き、反動を利用して小柄な身体を捻り、一撃を放ったままのセリアに長い槍を突き出してきた。
とんとんと軽い拍子を持った攻撃に、今度はセリアの方が自ら転げ、危うい所で致命傷を逃れる。
避わした筈の穂先が腕に掠っていた事に気付いたセリアの背中に冷や汗が流れていた。
未だ燻ぶっている切り傷から読み取れる、圧縮されたマナの威力。予想以上の強敵だった。
一方のグリーンスピリットはもう一度間合いを離れ、ポニーテールの後ろ髪をふわっと片手で掻き上げている。
綺麗なストレートの髪が風に嬲られるように靡き、対峙しているセリアにでさえ余裕を感じさせてしまう仕草だった。
「……くっ」
自分にも憶えのある仕草にセリアは何故か口惜しさを感じ、舌を鳴らす。
たった一合交わしただけで、お互いの力量の差ははっきりと出てしまっていた。
「セリア、支援が必要か?」
「うるさいわね! いいからネリーに集中して、これ以上干渉されたら戻れなくなるわよ!」
「ん」
ぶっきらぼうに心配してくる幼馴染みはこういう場合非常に鬱陶しい。セリアは憎まれ口を叩きながら足元に力を篭め直す。
すると何が可笑しいのか、グリーンスピリットがくすくすと癇に障る含み笑いを始めた。
「クッ……ふふふっ」
「……何が可笑しい」
「変な娘」
「っ! 余計なお世話っ!!」
ガッガガガッ!
決して頭に血が昇っている訳ではない。セリアはセリアなりに冷静に、この場をどう勝ちに持っていくかを考えている。
槍の懐に飛び込む事は出来ると見積もる事は出来た。ただ、相手は体を避わすだけで剣先は完全に見切られてしまっている。
ならばと、出来るだけの連撃を加えてみる。左下から払った刃を振り切る前に翻し、頭上へ。
しかしそれも軽く後ろへとん、と一歩下がっただけで避わされてしまう。セリアは更に空いた右掌に溜めたマナをフェイントに使った。
グリーンスピリットは槍を一文字に構え直し、懐に引き付けながらそれを防ぐ。そこで出来た脇腹の隙を目がけ、渾身の蹴りを放つ。
「はぁっ!!」
「――――っ」
ひゅんという軽い音と共に目の前に緑色が広がった、と思った時には、セリアは背後を取られていた。
「甘い」
「……くっ」
「動かないで。首から上が無くなるわよ」
彼女はセリアが蹴りを放った瞬間、シールドハイロゥでその衝撃を受け、反動を地面に突き刺した槍を軸に180°の円周運動に変換し、
まるで舞うようにセリアの後ろに降り立ち、そして勢いで抜いた神剣の穂先をセリアの首筋に当てていた。
「っ危ない!」
叫んだアセリアが飛び込んで来る。
「ちっ、仕方ないわねちょっとだけ痛いわよ。精霊よ、全てを貫く衝撃となれ――――」
「! アセリア! 来ないでっ!」
グリーンスピリットが置き去りにしていたシールドハイロゥが目の前でぐにゃりと変形し、放電を始める。
それを目の前で確認したセリアは思わず叫んでいた。アイスバニッシャーの詠唱は間に合わない。いや、間に合ったとしても防げるかどうか。
「はああぁぁぁぁっ」
制止が聞こえていないのか、白く刀身を煌かせた『存在』の気配が右後方から猛烈な勢いで迫ってくる。嫌な予感が膨れ上がった。
ん
ネリーは、無意識に口走っていた。
「――――静寂よ我に従え、氷となりて力を無にせしめよ」
「――――エレメンタルブラスト!」
ふっと意識が昏くなるのと何かに引っ張られるように詠唱を終えるのと緑のマナが周囲を満たすのはほぼ同時。
敵の放つ巨大な雷球と編み出された水蒸気の凝縮された塊が激しく衝突し、巻き上がった土煙が爆発して視界を眩ます。
轟音が響く中、高速詠唱を終えたネリーはそのまま崖の壁面を裂け目が出来る程蹴飛ばし、弾丸のように爆発の中心地に殺到した。
「てやぁああああっ!!」
そしてそこにまだ動いている標的を見つけ、『静寂』を振りかざす。型も何もない。ただ、破壊衝動だけが心を満たしている。
しかしぎん、と甲高い音を響かせ、辛うじてそれを受け止めていたのは同じように水のマナを帯びた『熱病』だった。
「しっかりしなさいネリー! アセリア!」
「……んっ!」
かっ。ぶつかり合った二つの刀身の間にすかさず『存在』が重ねられ、細身の『静寂』を挟んで白く輝く。
するとネリーの背中で灰色に染まりかけていたウイングハイロゥは徐々に小さくなり、やがて泡のように消えていった。
「……はふぅ」
「おっと……全く、この場合は助かったって言うべきなのかしら。とんでもない威力ね」
「ん。敵……逃げた」
「逃げたんじゃないわ。見逃されたのよ」
ぐったりと気絶して糸の切れた人形のようなネリーを抱き抱えながら、セリアは憎々しげに唇を噛んでいた。
「ひ、ひえぇぇぇぇ……」
必死になって敵から逃げてきたヘリオンは、唐突に後方で起きた爆発に背中を押され、よろけながら振り向いてみた。
するともうもうと噴き上げる黒煙の中ではひしゃげた樹々の間に蒸発しかけた金色のマナがきらきらと輝いており、
燻ぶった地面の上でまだ動ける数名がこちらを睨んでいる。目が合うと、数段上がった殺意を浴びて腰が抜けそうになった。
「ち、違います! わたしじゃないですよぅ〜っ」
若干後づざりながら、そんな言い訳を試みる。覚えが無いどころか、今のが本当に援護なのか、それすらも判らない。
何しろ一歩間違えれば自分も巻き添えになり、今頃はその辺に舞っている金色の仲間入りをしていたのかも知れなかったのだから。
しかし今はそんな事を深く追求している余裕は無い。ヘリオンはじりじりと近づく敵に警戒しつつもう一歩だけ後ろへ下がる。がら。
「……ふぇっ?!」
そして、そこにはもう、地面は無かった。
「はわっ! はわわわわわわ〜〜〜!」
こうしてヘリオンは崖からまッ逆さまに落ちていった。
急速に近づいてくる地面に対して、ヘリオンは実に無力だった。
こういう時こそウイングハイロゥを展開すればいいのだが、残念ながらそういう思考的作業がこういった場合には一向に働かない。
ただ無意識の生存本能がそうさせるのか、両手両脚を意味も無く鳥みたいにばたばたと羽ばたかせてはいる。
ぐるぐると回る視界に何だか赤いものが見えたような気もしたが、認識する暇もなくそれはみるみる大きくなり、
「どいてどいてどいてどいてドイテドイテドイテドイテドイテクダサーイッ!!!!」
「ちょ、来ないでぇ〜〜!」
そしてもう一度、崖の上の方で巨大な炸裂音。ヘリオンは熱風に背中を押されるように、地面にランデブーを敢行していた。
―――― ズウゥゥゥゥン……
「きゅぅ〜〜」
「……あ、あれ?」
思っていたような衝撃が来ない。恐る恐る目を開けてみると、胸の辺りには柔らかい感触。どうやらそれがクッションになったらしい。
のろのろと身を起こすと、すっかり土まみれになってしまった赤毛が転がっている。傍らには巨大な神剣も落ちていた。
「……って、オルファ?!」
ヘリオンは下敷きになってしまっていたオルファリルの上から慌てて飛び退く。
「えっ、えっ何で? 何でこんな所にぃ?……わわ、どうしようっ」
驚きで両のお下げがぴん、と逆立ってしまっている。
四つんばいで近づいてみると、オルファリルはすっかり気絶してしまい、頭に数匹のひよこを飼い始めていた。
こういう時には揺らさない方がいいのかなどと手を付けかねていると、背中からいきなり声をかけられる。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃありませんよぉ!」
反射的に振り向いてから、気が付いた。そこに立っているのが『消沈』のナナルゥだという事に。
ナナルゥはしゃがみ込み、軽くオルファリルの首筋に細い指を当て、様子を窺っている。
「問題ありません。気絶しているだけです」
「あのぉそういった問題じゃなくてですね……ところでナナルゥさん?」
「なんでしょう」
「えっと、その、さっきの」
ヘリオンは控えめに、出来るだけ慎重に訊ねる。対して振り向くナナルゥは全くの無表情。
「さっき? ああ、敵でしたらもう心配はありません。全て倒しました。全力で」
「全力で?」
「ええ、全力で」
「やっぱりナナルゥさんだったんですかぁ〜〜!!」
「? 何をそんなに驚いているのですか?」
「驚きますよぅ!……はぁ〜もういいです」
色々と抗議をしようとして、ヘリオンは諦めた。
こういう人なのだと無理矢理自分を納得させ、盛大に溜息を付く。拍子に手元に目をやり、
「あ……あれ? あれ? 『失望』?」
思わずうつ伏せ、目を白黒させながら周囲を探すも見つからない。
「無いっ! 無いですっ!」
「ところで少々訊ねたい事があるのですが」
すると今度は四つんばいになったヘリオンを不思議そうに眺めていたナナルゥが控えめに問いかける。
「な、なんですか! 今それどころじゃないんですけどっ!」
「どうやら『失望』を失くしてしまったようですね」
「ふぇ? あ、判ってるなら一緒に探してくださいお願いします!」
「それでも貴女は、ヘリオンなのですか?」
「……へ?」
ひゅー。二人の間に言いようの無い摩訶不思議な空気が流れていった。
「ふわぁ〜」
言われたとおりに神剣魔法の詠唱に入ったシアーは、それを終える前に終了してしまった戦闘に感心の溜息を漏らしていた。
間に合わなかった青白いマナが目の前に翳した『孤独』の刀身から白々と朝靄の中に蒸発していくのをただ呆然と眺める。
「これで全部?」
「ええ〜。疲れましたぁ」
「何よ、だらしないわね」
「わたしは燃費が悪いんですぅ。ヒミカと違って栄養が必要ですからぁ〜」
「燃費って暖炉じゃないんだから……ちょっと、そこで何で胸をそらすのよ」
二人は既に臨戦態勢を解き、互いに軽口を叩き合いながらそれぞれの神剣をチェックしている。
周囲への警戒は解いてはいないものの、スフィアハイロゥやシールドハイロゥは消えうせ、それぞれのハイロゥリングに収まっていた。
戦闘で負った傷など、どこにも見当たらない。それどころか、消え行く敵のマナがなければ戦闘自体がまるで夢のよう。
「二人とも……強いんだね」
シアーの口からは、ついそんな言葉が漏れてしまう。俯いた視線の先にある自分の手がやけに小さく感じられる。
しかし独り言のつもりだったその一言に、ヒミカとハリオンは反応し、同時に振り向いていた。
「は?……馬鹿ね、当たり前でしょ?」
「……え?」
ぽん、と頭を軽く撫でられて顔を上げたシアーのすぐ目の前に、屈むようにシアーの顔を覗き込んでいるヒミカがいる。
「位が違うんだから、そんな事で落ち込まないの。大体シアー達は戦いなんかに強くなっても仕方が無いのよ」
「で、でも」
「そうそう〜。こういうのは、お姉さん達に任せておけばいいんですよ〜」
「そういう事。……って、そんな話は後回し。今はそうね……ふふ」
「んふふ〜」
「え? あ、あのえっと」
シアーはつい及び腰になる。
さっきまでの優しい雰囲気はどこへやら、急に含み笑いを始めた二人からは妖しい気配が漂い始めていた。
しかしいつの間にか背中には大木の壁。追い詰められたシアーの顔から血の気がさーっと引いていく。
「さぁ〜。どうしてこんな事になったのか、きっちり説明して頂きましょうかぁ〜」
のんびりとした口調で微笑むハリオンの仕草がこの上無く怖かった。
「……あっ! ネリー!」
あわや詰問される寸前で、シアーは唐突にネリーの事を思い出した。
気絶する直前までは確かに居たのに、姿が見当たらない。同じように居ないヘリオンも気になるが、取りあえずは気配を探る。
しかし結果から言えばそれは徒労だった。同時に身を起こしたヒミカが目の前の草叢に向かって声をかけていたのだから。
「お疲れさま……って、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないわ。……重いわね」
「セリア……酷い扱い」
そこから現れたのは、やけに髪がぼさぼさになったセリアとアセリア、それに
「ネ、ネリー? どうしたのぉ〜!!」
「きゅう〜」
首根っこを掴まれながら目を回し、ずるずると引き摺られているネリーだった。
支援?
「ア〜スプライヤ〜」
ハリオンの緑色のマナがきらきらと周囲を照らす。
細かく負った腕の傷が塞がれていくのを確認して、セリアはほっと溜息をついていた。
「助かったわ。いつもありがとう、ハリオン」
「いいええ〜、どういたしましてぇ。ですがまさかセリアさんまで怪我をするなんてぇ〜」
「そうね。シアー達には治療が必要だとは思っていたけど」
「うるさいわねヒミカ。確かに意外な手練れだったけど、アセリアの手が塞がってなければこんな傷負わなかったわ」
「……ん?」
ヒミカがネリーとシアーを後ろ手に指差し、セリアが口を尖らせる。
ぼーっと街道の方を眺めていたアセリアは急に話を振られてもぼんやりと振り返り首を傾げるだけ。
「で、その手練れだけど。どっちに逃げた?」
「ごめんなさい、わからないわ。ネリーを留めるので精一杯だったし」
「……ん」
「でもぅ〜、アセリアさんがぁ〜、他の神剣に同調する事が出来てぇ、本当に良かったですぅ〜」
「そうね。一対一でセリアが敵わない敵も気になるけど取りあえず目的は果たした訳だし」
「べ、別に敵わないって訳じゃないわよ」
「まぁまぁ〜。後は他の皆さんにお任せしちゃいましょう〜」
「ん」
「……そうね。ヒミカの言うとおり、取りあえずの目的は果たした訳だし」
「ネリー……ネリーぃ……」
一斉に、振り返る。その先ではシアーが、未だ目を覚まさないネリーの手をしっかり握り締めていた。
ハリオン、ヒミカ、セリア、アセリア。それぞれの色を持つ瞳が一瞬とても柔らかいものに変わる。
「……あら? ところで『失望』は?」
「持っていったぞ」
「……いつの間に」
「さすがですねぇ〜」
「ナナルゥさん、やっぱり拙いんじゃ」
「何故ですか? この場合最適と思われる救助措置だと判断したのですが」
「でも気絶しているだけですし……女の子同士ですよ? は、恥ずかしくないんですか?」
「何を赤くなっているのですか?」
「う、うう〜ん」
「あ、ほ、ほら。目を覚ましたようです!」
「……逃がしません」
「んん?――――」
ぱちくり。
唐突に意識が戻ったオルファリルが最初に見たのは爛々と瞳を輝かせ、猛禽類のように急速に迫ってくるナナルゥの顔のズームだった。
「わっ! なになにっ?!」
身を起こしつつ、慌てて身を捻る。捻るのはもちろん接触しかけた唇を避けるため。
すれ違う瞬間ナナルゥの端整な横顔が微かに悔しそうな表情をしていたようにも見えたが見なかった事にする。
耳元で微かに舌打ちのような音も聞こえたかもしれないが、気にしない事にする。
ぴょん、と半歩飛び退くと、ヘリオンが両手を胸に当てながら心配そうにこちらを窺っていた。
中途半端に開きかけたままのウイングハイロゥをしょんぼりと折り畳み、いきなり謝ってくる。
「ごごご、ごめんなさいっ」
「え? あれ? あ、あはは〜。えっとオルファ……なんだっけ?」
「気絶していたのです。ですから口腔経由でマナを送ろうとしたのですが」
「コウクウ?」
「あああなんでもありませんっ。ナナルゥさん、それはもういいですからっ!」
「ルゥ。ですがそもそもヘリオンの石頭のせいでこうなったのでは」
「うわああん! 石頭って言わないで下さいよぉ!」
「……気絶? あ、そっか」
オルファリルはそこでようやく事情を思い出し、ぽん、と小さな手を叩く。傍らに『理念』が落ちている。
拾おうと屈んだ拍子に額がずきんとしたのでそっと手を当ててみると少し腫れているようだった。
そして目の前ではヘリオンとナナルゥが何かを言い争い続けている。
「そりゃちょっぴりおでこ広くて硬いかなって思うこともありますけど……」
「自覚はあるのですか」
「じゃなくて、大体ナナルゥさんが私ごと攻撃するからいけないんじゃないですかぁ」
「問題ありません。ヘリオンの回避能力は把握しています」
「そういう問題じゃないです! あんなとこから落ちたら危ないじゃないですか!」
「飛べば良いのでは?」
「ゔ」
「えっと、いいかな? まだ敵さんがいると思うんだけど」
被害者である筈のオルファリルは心ならずもまず二人の仲介に入らなければならなかった。
このまま放って置いたらどこまで続くのか判ったものではない。
「ところでナナルゥお姉ちゃんがいるって事は……みんなも来てるんだよ、ね?」
一応周囲の気配を探りながら、恐る恐る尋ねてみる。するとナナルゥは軽く頷き何故か僅かに笑みまで浮かべて見せた。
一瞬のことだったが、その妖絶な口元がかえって後ろ暗い所のあるオルファリルやヘリオンを反射的かつ本能的に身震いさせる。
「不思議ですね。この後の事を考えると何故かこう、むやみに胸が高揚してきます。この感じは一体何なのでしょうか」
「さ、さあ〜。あははは〜」
「お、おほほほほ〜」
「……へっへっへ」
「ふむ、何やら楽しそうなご様子」
「わっ!」
「はわっ!」
唐突に背中から聞こえた声に、大粒の汗を浮かべた二人のお下げは揃ってぴょん、と飛び跳ねる。
いつの間にか気配も感じさせず背後に立っていたのは、銀色の髪を靡かせた『冥加』のウルカだった。
「ヘリオン殿、戦場で半身たる神剣を手放すなどは、正直感心致しませぬ」
「あっ! 『失望』!」
「先程回収してきました。オルファリル殿、ナナルゥ殿も御無事でなにより」
ウルカはにっこりと微笑みながら、『失望』を主へと差し出していた。
ニムントールは朝露に湿った重い葉を慎重に掻き分けながら、一人街道に向けて歩いていた。
「あのままだと、またお小言が始まっちゃうしね」
つまりエトランジェによる圧倒的な掃討戦がほぼ終了した頃合を見計らい、こっそりと抜け出していた。
足は街道に向かっている。戦闘の直前にファーレーンが呟いていた事が気になり始めていた。
「強い……敵」
正直、戻るのは面倒臭い。しかし、エスペリアでも敵わない、というのが気になる。
「もしニムが勝ったら……そうしたら、お姉ちゃんだって喜んでくれる」
蒸れたような樹木の匂いが緑の加護を活性化させているのか、どっどっ、と高揚してくる胸。
先程切り裂かれた服にそっと手を当てると、零れて迸る癒しのマナがみるみるそれを塞いでいく。
自然と早くなっていく歩み。弾みで蹴飛ばした小さな石が転がった先が、大きく開けた。
気配は二つ。エスペリアと、もう一つ大きなもの。恐らくは……敵。『曙光』にマナを送り込み、臨戦態勢を整える。
もう、日差しはかなりある。ニムントールは急に眩しくなった周囲に目を細め、勢い良く街道へと踊り出す。
「よ。無事だったかニム。久し振りだな」
「……へ?」
不意を突こうと両足を大きく開いて踏ん張り、肩の上で『曙光』を翻したニムントールを待ち受けていたのは、
白い羽織りに黒いハリガネ頭を乗せたもう一人のエトランジェ、『求め』の悠人の笑顔だった。
「……」
「はは、なんだそんな所で神剣構えたまま固まって。相変わらずぶっそうな奴だなぁ」
苦笑いを浮かべながら近づいてくる悠人に対して、ニムントールは口をぱくぱくとさせたまま何も出来ない。
遂にはぽん、と髪まで撫でられてしまい、そこでようやく我に返る。
そして我に返ると今度は恥ずかしさで顔中に血液が集中してくるのが判ってしまい、慌てて手を振りほどき、睨み返してしまっていた。
「な、なんでここにユートがいるのよ!」
「は? いや、何でって言われても。なぁ、エスペリア?」
「はい。ニムントール、そもそも貴女達が居ない事に最初に気付いたのはユート様なのですよ?」
「まぁ正確には光陰が騒ぎ始めて探したんだけど」
「くすくす……コウイン様は本当にわたくし達の事を気にかけて下さっています」
「その気の遣い方が極一部限定なんだよな……ん? どうした、ニム」
「……ニ」
「ニ?」
「ニムって呼ぶなぁーーー!!!」
「ぶべらっ!」
ニムントールは悠人の足の爪先を思いっ切り踏み抜くと同時に、仰け反った顎にも『曙光』をかち上げる。
「ユ、ユート様?」
突然の事態にエスペリアが慌てて駆け寄り、倒れかけた悠人を支える。そしてそれも面白くない。
「お、お前なぁ〜〜」
「……ふんっ。ユートが悪いんだからねっ」
そっぽを向きながら、ニムントールはやり場の無い怒りを意味不明の罵倒に置き換えていた。
まだ間に合うかな、っと。
丁度、追いついてきたファーレーン達が森の中から現れる。
「ニム! もぅ、居ないと思ったら、ユート様になんて失礼を」
「ああ、ファーレーン。いいって、いつもの事だし」
「で、ですが」
「そうだぞ。男子たるもの、この程度の愛情表現はがっしりと受け止めるべきだ。な、ニムントールちゃ〜……んぐぉっ!」
「……アンタも懲りないわねぇ」
「コ、コウインは苦手!!」
「こらニム! すみませんすみません、コウイン様」
ニムントールは襲撃してきた光陰に足蹴りを食らわし、身を隠すようにファーレーンの後ろに隠れる。
視線からも遁れる為だったが、しかしその仕草にも光陰はにやにやと嬉しそうにしていた。脛に手を当て擦ってはいるが。
「いやいや気にするな。それにしてもニムントールちゃんは照れ屋だなぁ」
「お前、本気で一度脳を調べてもらった方がいいぞ?」
「今更だってば。それより悠、敵は?」
「ああ、俺が着いた時にはもう撤退しようとしていた。何だか慌ててたみたいだったな」
「はい。どうやらこの付近での戦闘は諦めたようですね」
「お。すると今回のお手柄はニムントールちゃん達だな。な、悠人よ」
「ん? あ、ああ、そうだな。そういう事になるのかな」
「そうなるの。良かったわね、ファーレーン」
「ふぇ? え、あ、はい?」
「なんだ、知らないのか? こういう時、姉としては妹の活躍を褒めるべきなんだぜ?」
「え? あ、あの……ユート様?」
「うん、ニムは良く頑張ったと思う。いいんじゃないか?」
「は、はい、ありがとうございます。……頑張ったわね、ニム」
「? お姉ちゃん?……え、えへへ」
良く判らない会話の後に待っていたのはお小言では無く、優しく髪を撫でてくる手。ニムントールは戸惑いながらも悪い気はしない。
むしろ照れ臭さだけが込み上げてきて、ファーレーンの服の裾をぎゅっと強く握り締めてしまう。
ぺちぺち。
「ん。起きろ」
「……んんん」
頬を軽く叩かれ、遠い淡々とした声に導かれるようにネリーの意識は浮上する。
「ん〜ふぁぁ〜。ヤシュウゥ……」
「ヤシュウゥじゃないわよ」
げし。
「あうっ! もう、いったいなぁセリア。……って、アレ?」
目を開くと、見下ろしたセリアがもう一度足を振り上げた所。あまりなアングルに色々な意味で目を丸くする。
手にひんやりとした土の感触がして、ようやく自分が地面に仰向けに転がっているのに気が付いた。
のろのろと身を起こし、手の泥を払う。後ろ髪が少し気になったが取りあえず見えている部分に目立った汚れは無い。
そして周囲を見渡すと、知らない間にメンバーの数が増えている。
「ありゃ? ヒミカにハリオン、それにシアーも。どしたの?」
アセリアを除くその場にいた全員が溜息を付く。
「取りあえず〜、二人目無事確保ですねぇ〜」
ハリオンの天然で皮肉な一言にヒミカとセリアは顔を見合わせ、そしてもう一度盛大な溜息を付いてみせた。
「本当に、大変だったんだからね〜」
「ごめんってば。ね? シアー、もうそんなに拗ねないでよ〜」
あれほど心配した上"どしたの"扱いされ大層へそを曲げてしまったシアーを、ネリーは懸命に宥めている。
「……ぷんっ」
「判った! 今日のおやつ一個あげるから。ね、それで許して?」
「……二個」
「ゔ。う〜ん」
「ゔう〜〜」
「わわっ、その涙目反則! も〜、了解っ。敵わないなぁ、シアーには」
「えへへ〜。うん、じゃあ許して上げるね」
「……盛り上がっている所悪いんだけど、貴女達今日おやつなんて無いわよ」
「はうっ」
「あうっ」
腕を組んだまま不機嫌そうに空の様子を確かめていたセリアがぼそっと口を挟み、
楽しそうにじゃれあっていた二人は喉から搾り出すような悲鳴を上げ、しょんぼりと絶句してしまう。
そして更にそこへ心持ちハイロゥリングを強めに輝かせたハリオンが振り向き、のんびりとした口調で止めを刺す。
「今日はぁ、おやつの代わりにぃ〜、セリアさんのお説教をたぁっぷり頂きましょうねぇ〜」
「あ゙あ゙ぅ〜」
「……やぁん」
がっくりと項垂れる時でさえも息がぴったりな二人である。
「それはそうとウルカが『失望』を持っていったから」
一方ヒミカは周囲を警戒しつつ、隣にいるアセリアに話しかけている。
「ん。多分、ヘリオンも捕まった」
「捕まったって。何だか犯罪者みたいね」
「違うのか?」
「……違わない、か」
表現が面白く、ついからかってしまったヒミカだが、どうやら少し怒っているらしいアセリアには内心で驚く。
しかし当のアセリアはそんなヒミカに顔を向ける事も無く、あらぬ方向をぼんやりと見つめながらぼそぼそと呟き続けている。
「ここは敵地だから。だから……うん、簡単に来ては駄目。それは悪い事」
「……そうね。みんなに心配かけるからね」
「ん」
「……ふふ」
「ん?」
「なんでもない」
最後にきっぱりと頷いたアセリアの背中を、ヒミカは優しい眼差しで見つめる。
「さて、そろそろ他のみんなとも合流しないと。もう敵の気配もこの一帯には無いわ」
ぱんぱんと戦闘服のスカート部分を軽く払いながら締めくくったセリアが街道の方へと歩き出していた。
間に合うかな・・・初支援〜
「さて、そろそろ他の皆とも合流しなければなりませぬ。もう敵の気配もこの一帯にはありませぬゆえ」
目を軽く閉じたまま、何かを探っていたようなウルカが顔を上げる。
それを合図に正座させられていたヘリオンはようやくのろのろと腰を上げかけた。
するとスカート部分をくいっとオルファリルに引っ張られて呼ばれ、そっと顔を寄せてみる。
「……どうしたんですか?」
「あの、ね。今のナナルゥお姉ちゃんのお説教……判った?」
「えと、実は……全然」
目の前でそっぽを向いたまま動かないナナルゥの様子を窺いながら、こっそりと返事をする。
言いたい事を全部言って満足したのか、その横顔には何だか清々しささえ漂っているようだった。
「難しい言葉が多すぎましたし……それに気のせいかも知れませんけど、ハイペリア語も混ざっていたような」
「やっぱりぃ? オルファ、おかしいと思ったんだ。まるでパパが初めて来た時みたいだったよ〜」
オルファリルは大粒の汗を一滴流しながら苦笑いを浮かべている。
先程まで、少し時間がありますからその間を効率良く使いましょうとか言い出したナナルゥのお説教は延々と続いた。
それはいいのだが、肝心の何が言いたかったのかという部分がヘリオンにもさっぱり判らない。
てっきり勝手に出撃して来た事を怒られると身を竦ませていたのだが、始まったのはまるでハイペリア語講座。
≪古来より、イノナカノカワズ、とも言われています。オノレヲカシンスルコトナカレ等……≫
こんなに饒舌なナナルゥを見たのは初めてで驚いたが、正直頭に浮かぶ疑問符の数を数える方が大変だった。
「ところでスエゼンクワヌハオトコノハジ……って一体どんな意味なんでしょうね?」
「う〜ん……後でパパに聞いてみようよ」
「あ、それ、いいアイデアです!」
ぴょこん、とお下げが楽しそうに揺れる。
こんなささいなきっかけでも気楽に思いつけるオルファリルに、第一詰所暮らしが羨ましいと密かに思いながら。
結局オルファリルを先導にして、街道方面へとぞろぞろ歩きだす。殿を務めるウルカにそっと
「あの、『失望』、ありがとうございました」
「いえ、これが手前の役目ですから」
お礼を述べても逆に慇懃に頭を下げられ、どうしていいのか判らなくなるヘリオンである。
朝靄が抜け切った上敵の気配が消えたとはいえ、森が戦場なのには変わらない。
神剣への力を抜かないように一応の警戒態勢を保ちつつ、悪い足場の中で次の一歩を慎重に進める。
そうしていつの間にか地面と睨めっこになって俯いていたオルファリルの視界の隅を、一瞬だけ白い影が走り抜けていく。
「あっ!」
「きゃっ! どどどどうしました?!」
突然の声に思わず身構えたヘリオンに答えず、オルファリルは傍らの草叢の中へと飛び込んでいく。
「え、え、どこへ?」
「問題ありません」
「え? あ」
「ほう、これは」
「えへへ〜、ちゃんとまだ生きてたんだねっ」
ナナルゥに引き止められたヘリオンの前に、すぐに満面の笑みを浮かべたオルファリルが戻ってくる。
その腕の中には一匹のエヒグゥ。真っ白な体毛がやや泥で汚れていたが、鼻をひくつかせ、特に外傷も見当たらない。
確かにこの戦場で、巻き添えを食わなかったのは幸運といえるだろう。
「へぇ〜、可愛いですね」
「でしょ、オルファが見つけたんだよ〜」
「ふむ、まだ子供のようです。親から逸れたのでしょうか」
妙に感心したようなウルカが呟く。
戦場で見かけるという意味では珍しい生物という程でもないが、実際に改めて観察するというのはまた別で、
ヘリオンも同様に物珍しさからつい声が上擦ってしまう。覗き込んでみると長い耳がぴくっと反応して面白い。
「うわぁ、これで子供なんですか。近くで見ると意外におっきいんですねぇ」
「オルファリルの身体が相対的に小さいだけでは」
「はは、で、オルファリル殿。エヒグゥをどうするおつもりで」
「うん、オルファ、この子のママになるんだ!」
「ママ?」
「ママ?」
「ハイペリア語で、母親という意味です」
思わず顔を見合わせたヘリオンとウルカに、何となく得意そうな表情のナナルゥが説明を始めた。
シアーはとぼとぼと項垂れながら、ぬかるんで荒れた地面を歩いている。
気をつけないと急に硬い石があるので、躓かないように『孤独』を杖のようにしてしばしば身を支えていた。
がっくりと肩を落としながら、それでも先頭のセリアに遅れないようにと慌てていると、隣のネリーが肘で突付きながら話しかけてくる。
「ね、ね、シアー、まだ落ち込んでるの? おやつ抜き、そんなに厳しい?」
「……ううん、なんでもないの。ごめんね、心配かけて」
こんな時、普段は変に鋭いくせに、妙な所で抜けているネリーをいつもシアーは不思議に思う。
確かにおやつ抜きは辛いが、さすがにそれだけでここまで落ち込む程単純ではない。
だが、神剣に操られている間の記憶が無いネリーに、それをどうやったら防げるかで悩んでいたと説明しても無駄だろう。
「うん、でも、あ、そっか。あのさ……セリア、まだ怒ってるかなぁ」
「……くす。そうだね」
勝手に何か納得しては口元に手を当て、そっと囁いてくる。
いつも通りのネリーにシアーは小さく微笑み返し、足元に注意しながら更に考える。
やっぱり、来るべきじゃなかったんだと。自分だけでも止めるべきだったんだと。
前日の事。
明日の朝には新しい技術者を迎えにいったまま不在の隊長がようやく復帰してくるという夜。
暫く続いた待機状態にすっかり飽きてしまっていた五人組は、間に合わせに建てられた詰所の部屋の中央で車座になり話し込んでいた。
突貫工事で、しかもスピリット用に宛がわれるものとあって普請も乱暴で、木製の壁からはすきま風が絶え間なく入り込んでくる。
冷たい夜の空気が時々突風のように流れ込んではエーテル灯の炎をゆらゆらと揺らし、どことなく不気味雰囲気までをも漂わせていた。
そんな訳で就寝時間はとうに過ぎているのだが、ラキオスにある自分の部屋とは違い何も無い殺風景な大部屋では、
いつまで経っても誰一人としてエーテル灯の灯りを吹き消そうという者が出てこない。
到着した当初は物珍しさもあって昼間にはしゃぎすぎ、疲れてそのまま眠りについたものだが、
予想外に長期的な遠征にも飽きてしまい、そして肝心の実戦でもサポート以外に求められているものも無い。
つまり今や、幼い彼女達全員が軽いホームシック状態になってしまっていたとしても、至極当たり前ともいえる状況。
何をする訳でもなくただじっと炎を見つめているのにも耐えられなくなったのか、『静寂』を弄っていたネリーがぼそっと呟く。
「……ねー、こんなの、いつまで続くのかなぁ」
「……判るわけないでしょ。お姉ちゃん、全然教えてくれないし」
ニムントールの言う通りだった。誰も正確な情報を持っていない以上、ネリーの発言はただの愚痴に過ぎない。
それでも普段なら無言でそっぽを向くような台詞に受け答えをしている辺り、ニムントールにも不満は溜まっている。そしてまた沈黙。
「……ユートさま、御無事なんでしょうか」
「明日、帰ってくるんだよね……」
お下げをしおしおとさせたまま、遠くを見つめるように呟くヘリオンに、確認するようにシアーは答える。
しかし、誰からも返事は返って来ない。そう聞いてはいるが、本当にそうなのかどうかは誰にも判らない。
そして答えるのも面倒臭いと、まるでニムントールの性癖が全員に伝染してしまったかのような雰囲気が部屋の空気を包み込む。
「たっだいまぁ〜」
そこへきぃ、と軋んで鳥肌が立ちそうな嫌な音が響き、僅かに開いた扉の隙間からオルファリルが滑り込んできた。
彼女は部屋に入るなり這いずるように置いてあった『理念』を手に取り輪に加わると、やや興奮した口調を抑え気味に囁き出す。
「あーすっきりしたー……ねね、にゅーすだよっ」
「え、なになに?」
そしてこういう時、必ずといっていい程食いついてくるネリーが興味津々といった感じでずずいっと身を乗り出す。
隣に座っていたシアーはたまたま目が合ったヘリオンと、思わずくすっと疲れたような笑みを交換し合った。
灯りに照らされたオルファリルの頬っぺたが赤く染まり、その瞳がいつも以上にきらきらと輝き出している。
ニムントールも相変わらず無関心を装って手元の『曙光』をこねくり回しているが、興味はあるのか聞き耳は立てている様子だった。
「うん、今廊下で聞こえたんだけど。すぐそこの森で、敵さんのぼーえーらいんが見つかったんだって」
「ぼーえーらいん? なにそれ」
「もー、ネリーは鈍いなぁ。森に一杯敵さんが居るんだよ」
「なんだとーっ! ……へ? 敵?」
「あのぉ、ここ敵地ですし、別にそんなの珍しくないのでは?」
「そうだよね。不思議じゃないよね〜?」
比較的良識派のヘリオンとシアーが半ば疑問形になりながら首を捻る。別に珍しくは無い。
それをアセリア達第一線のメンバーが撃退し、それを後方確保という名義で自分達がこの詰所を守る。
しかしここで戦闘が行なわれた事はないし、実質的にはただの待機。
たまにオルファリルが召集されるが、殆ど予備戦力としてウォーミングアップ代わりにスフィアハイロゥを展開だけして戦闘は終わる。
でも、とシアーは思う。でも、戦わなくて済めばそれでいいと。しかしオルファリルの話はそこで終わりではなかった。
ボクは負けない!絶対に寝ずに読みきるんだからぁっ!!
・・・セリフに支援って言葉が入れられなかったorz
私は寝る……だが、決して無駄死にではないぞ!
「……で、戦力は?」
「うん、さっすがニム、話が早いね。それでその敵さん達が、どうやらすっごく弱いみたいなんだよ」
「! ま、まさか良からぬ事をお考えでは」
「んふふー。もしオルファ達だけで敵さんやっつけたら、パパとかお姉ちゃん達褒めてくれるかなぁ〜?」
「あ、そ、それわたしの台詞ですっ、じゃなくて、だめですよぅ、怒られますよ?」
「ふーん何だか判らないけど面白そうっ。ネリー、賛成! ね、シアーもそう思うよねっ」
「え? あ、う、うん……でも」
「ヘリオン、いいチャンスじゃない。ユートのどこが良いのか知らないけどさ」
「ニニニニム何を言って!」
『ちょっといつまで起きてるの? 早く寝なさいっ』
「やばっ! ヒミカだっ」
どん、と激しく扉を叩かれ、誰かが慌ててエーテル灯を吹き消す。
それを合図に全員は、まるで蜘蛛の子を散らすように自分の寝床に戻り、息を潜めた。
「……」
「……」
やがてこつこつと乾いた音を響かせながらヒミカの足音は遠ざかり、代わりにオルファリルのぼそっとした声が聞こえてくる。
「じゃ、決まりだね。明日は朝が早いんだから、寝坊しないでよ。特にネリー」
「なんだとー」
「ちょ、喧嘩は止めましょうよ、また怒られちゃいますよぅ」
「今度こそ、お姉ちゃんに……」
「……はぁ」
夜露に少し湿ったような冷たい布団の中で、シアーはこっそり溜息をついていた。
つC
「で、誰が言い出したのかしら?」
前を歩いていたセリアが唐突に振り向いたので、考え事をしていたシアーは危うくぶつかりそうになった。
隣を窺うと、ネリーのポニーテールが引力に逆らうようにぴん、と斜めに硬直してしまっている。
シアーもこれから一体どんな詰問が始まってしまうのだろうと考えると、自然に『孤独』を握り締める手に力が入った。
しかしそこで、眩しそうに前方を眺めていたハリオンがどことなく独り言のように呟く。
「あらあらぁ〜、ユート様達がいらっしゃいますぅ〜」
「ん。ニムントールもいる」
「そうね。話は後にしようか、セリア」
「……仕方がない、か」
歩き出すアセリアとヒミカに敢えて逆らう理由も無いらしく、溜息混じりで付いていくセリアに、シアーは心の底からほっとした。
そしてそれは当然ネリーも同様だったらしく、隣で胸に手を当て大仰に息を吐き出している。
「ふいぃー、助かったぁ」
「くす。良かったね、ネリー」
「……命拾いしたわね」
「!」
「!!」
すたすたと歩いていくセリアの背中越しの呟きが再び二人の神経を直接凍りつかせ、顔色を失わせていた。
772 :
相生 T:2007/04/23(月) 01:35:19 ID:P7HXoF7T0
「あー! パパっ!」
エスペリア達と話し込んでいる悠人を真っ先に見つけたオルファリルは、跳ねるように街道へと飛び出した。
「エスペリアお姉ちゃんも、たっだいまー!」
「あ、オルファ。……あら?」
「お、やっと来たな……って、うわわっ」
そしてその勢いのまま、一目散に悠人に向けて突進し、抱きつこうとする。
「へへー、パパぁ!」
「オルファちゃん、おかえりー」
「へ、あ、わわっととと」
しかし狼狽しきって硬直している悠人まであと少しという所で大柄な影に割り込まれてしまう。
今まで全くというか無意識的に視界から外していた人物の出現に、オルファリルは急制動をかけていた。
無理に踏ん張った両足から派手に土煙が舞い、拳一つの距離で危機は回避出来たものの、心臓はばくばくと激しく波打っている。
「ふー……えっと……コウインお兄ちゃん、ただいまぁ……」
「うんうん、無事で何よりだ」
「え、えへへ。あ、キョウコお姉ちゃんも、ファーレーンお姉ちゃんも、ニムもただいま」
「おかえり。もう、心配したのよ」
「怪我はありませんね」
「……ふん。勝手に居なくなったくせに」
「こら、ニム」
「まぁまぁ。こうして無事だったんだし」
「それはいいのですが……オルファ、それは?」
俄かに騒がしくなった周囲に、結局抱いたまま連れてきてしまったエヒグゥがぴんと耳を立て、そちらを向く。
それまでは大人しかったのだが、流石にオルファリルの胸でもぞもぞと動き始めた。皆の視線が一斉にそちらに集中する。
つ地球
774 :
相生 T:2007/04/23(月) 01:37:36 ID:P7HXoF7T0
「先程森の中で発見し、オルファリルが保護したのです」
「うわ、びっくりしたっ! ナナルゥ、いつの間に」
「ふっ。ユート様、無事任務完了しました」
「そ、そうか。……それはいいんだが、不意打ちみたいに背後に立つのは止めてくれないか」
「……申し訳ありませぬ。ユート殿が背を向けられておられたので手前としても致し方なく」
「うわわっ、ウ、ウルカもいたのか」
「悠、そんな言い方は無いでしょ。おかえり、ウルカ。ご苦労様」
「痛み入ります」
「はぁはぁ待って下さいよぉ〜」
「お、ヘリオンちゃーん、おかえりー!」
「ふぇ……きゃ、いゃあぁぁぁぁ!!」
「ごっ、ちょ、痛っ! 四連撃、痛っ!」
「あの、キョウコ様……心中お察し申し上げます」
「はは、ありがとエスペリア。……はぁ」
「ばっかじゃないの」
「もう、ニムったら……それはそうとオルファ、それをどうするのですか?」
「うん、オルファ、この子のママになるんだよ!」
「ママ?」
「ママ?」
悠人達の頭の上に、先程のウルカ達のような疑問符が次々と並んでいく。
「あ、エスペリア」
「そちらも終わったようね……って、何やってるの?」
ややあって森の中から現れたセリア達は、なんだか難しそうな顔をして唸っているエスペリアに声をかける。
「アセリア、セリア、それにヒミカもハリオンも。お疲れ様。……はぁ」
「どうしたの? 何だか顔色が悪いようだけど」
「エスペリア、面白い顔」
「面白くなんかありませんっ! ……あ、こほん」
「あらあら、どうかしましたかぁ〜」
「どうしたもこうしたも……ハリオン、わたくし達の大切な香草が……ごにょごにょ」
「ふんふん〜」
775 :
相生 T:2007/04/23(月) 01:41:57 ID:P7HXoF7T0
「ね、ね、あの二人、どうしたの?」
「どうしたの〜?」
「あ、あはははは」
「……知らない。ニムに聞かないで」
「もぅケチんぼ! いいもん、オルファに聞くから」
事情を掴めないまま近づいてきて囁くネリーにヘリオンが苦笑いをし、ニムントールが冷たい反応を返す。
「あ、ユートさまぁ」
「お、シアー、無事だったか。とと」
「えへへぇ」
目聡く真っ先に悠人の姿を見つけたシアーはとてとてと近づき、白い羽織の裾をぎゅっと掴む。
「あっ、ずるいシアー! ネリーもネリーも」
「うわ、危ないから体当たりするなって。よしよし、ネリーもお疲れ」
「うん、ユートさま、いつヒエレン・シレタから帰ってきたの?」
「今朝だけどな。驚いたぞ、帰ったらネリー達がごっそりいないもんだから」
「ゔ……ごめんなさ〜い」
「ごめんなさ〜い」
「まぁ無事だったから、俺はいいんだけどな。……後で、知らないぞ」
「ゔ」
「ゔ……おやつ、抜き」
二人は再びがっくりと項垂れ、深い溜息と共に悠人から離れる。
「ユユユユートさま!」
「お、ヘリオン。コウインはもういいのか?」
「ふぇ、その話はもういいですよぅ。……それより、あの」
「ん?」
「ス、スエゼンクワネバオトコノハジって今度私に教えて下さい!」
「……へ?」
ぴしっ、と森の朝の清々しい空気にささやかな亀裂が走る。
776 :
相生 T:2007/04/23(月) 01:44:21 ID:P7HXoF7T0
「おいおい、なんだか穏かじゃないな悠人よ」
「ちょっとゆ〜う?」
「痛っ! ちょ、今日子、耳を引っ張るなって光陰、痛い、痛いって! 知らん、俺は何も知らないっ」
「ヘリオン、それでは順番が逆なのでは」
「え、え? そうなんですか?」
今日子と光陰に両脇を抱えられて護送される悠人を見送りながら、淡々と説明するナナルゥにおろおろと首を傾げるヘリオンである。
一方ハリオンは、エヒグゥを抱えたオルファリルをじりじりと追い詰めている。
「んふふ〜、だめですよぉ、ミコーネの葉は一苗しかないんですからぁ」
「だ、だからちゃんとオルファが見て、そんな悪さはさせないよぅ」
「そうですかぁ〜?」
顔は笑ってはいるが、目が笑っていない。ハリオンはふいに『大樹』を取り出し、いとおしそうにその槍身を撫でる。
「そうですねぇ〜、今晩のおかずにもう一品欲しかった所ですしぃ」
「――――ヒィッ」
とんでもない一言に、一人と一匹の総身は同時に粟立ち、毛も逆立つ。
オルファリルはまるでハリネズミみたいになって怯えるエヒグゥを慌てて逃がすように手放した。
途端、風を巻くようにして近くの草叢へと消えていくエヒグゥ。一目散、といった感じだった。
「あららぁ〜? 一体どうなされたのでしょう〜」
「どうなされたって、貴女ねぇ。ほら、オルファ。大丈夫?」
「……ひっ。ひっく。ふぇぇぇ、ヒミカお姉ちゃ〜ん」
野生の厳しさを一つ知ってしまったオルファリルである。
777 :
相生 T:2007/04/23(月) 01:48:06 ID:P7HXoF7T0
「ふぅ、付き合ってられないわ。先に帰」
ごき。
「〜〜〜〜っ」
「セリア、駄目。みんなで帰る」
「わ、わかったから! 髪を離しなさい!」
「セリア、首が変な方向に曲がっているようですが」
「ふむ、面妖な。痛くはありませぬか?」
「痛いに決まってるでしょう!」
斜めに曲がってしまっている風景の中で感心しきりに頷くナナルゥとウルカへ、セリアは涙声で訴えていた。
「さて、全員揃ったことだしすっきりもした所で、帰って朝飯と行こうぜ」
「そうね、雷撃放ちすぎてお腹も空いたし」
黒こげになった悠人を軽く肩に担いだ光陰が歩き出し、今日子が後に続く。
「はい、コウイン様キョウコ様。……スピリット隊は任務完了、これより全員帰還します!」
エスペリアの一言に整列した一行は法皇の壁に背を向け、ケムセラウトへと後退を始めた。
こうして、どの記録にも残らない早朝の小競り合いは終了する。
778 :
信頼の人:2007/04/23(月) 01:53:13 ID:P7HXoF7T0
しかし何故、自分の書くニムントールはこうも足癖が悪いのだろう。
そんな疑問を抱きつつ、2回目の投稿となります。
一件落着のような所で終わっていますが、分割してみたらこうなってしまったという事でどうか御容赦を。
そしてさるさん規制に2度も嵌り、スレを4時間近くも占有してしまい、本当に申し訳ありません。
支援、有難うございました。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
>>712さん
日々精進で頑張りましょう、お互いに。
>>713さん
かなわない、っていうかソゥユートの事だから自ら放棄するのかも?
>>714さん
つまりロティなら殺られていた訳ですなw
>>773さん
何かと思ったらグーグルですかw
>>778 乙です。戦闘描写もそうですが場面の移り変わりが絶妙ですね・・・これだけ大勢のキャラを使いきれてるところがまた凄いです。
>>778 GJでございます。
年少組の成長も友情も気になるけれど、緑の手練が気になるそんな年頃今日この頃。
どんな形の決着になるのか、今からあれこれ妄想しておきます。
>>778 乙なのです。
信頼の人さんの文章の凄いところは、内容が濃いのに読みやすくて読むときにガーッと勢いがつきやすいところもあるよね、とつくづく思ったり。
個人的には、シアーとヘリオンの良識派コンビの振り回されっぷりが微笑ましかったり。
>>778 遅まきながらGJです。
Tからが本編なんですかね。構成がホント鳥肌物。
セリアさんと戦ってたのは例の緑っ娘でしょうか。
自我がありそうな辺り、まだソーマ様には手付けられてないのかな?
あとナナルゥが面白すぎ。なんで召し上がる気満々なんですかw
しかし登場人物がこんなに多いのに一人一人の描写が緻密な辺り本当にさすがとしか。
次回も楽しみにしています。
>>779さん
場面変換がキツいかな、と思っていたのでそう言って頂けると幸いです。
>>780さん
何か色々とバレているような気がするそんな年頃今日この頃……
>>781さん
まぁ勢いだけで書き殴っていますから(汗
シアーとヘリオンはもう性格としか。
>>782さん
本編っていうか補題でしょうか。
ナナルゥはもう勝手に動いちゃったとしか(汗
今回もお付き合い頂けた方、有難うございました。
さて、一段落したところで、ちょいとしたifでも。
すぐそばで気配がした。気力をふりしぼって、瞼をこじあける。
青い髪。青い瞳。そして……白い翼。
少女が翼を広げて、俺の足元に舞い降りたところだった。
(やべぇ……俺……下半身丸出しだよ……)
とりとめもなく、どうでも良いことを考える。
ぼんやりとした頭は、論理的に考えることをも放棄しつつあった。
「……」
トスッ。
少女は無言で、俺の顔の横に剣を突き立てる。
何故かはわからないが、彼女は呆れ果てているようだった。
「一応聞くけど……助けは、必要?」
(なんか言ってる……)
よく響く歌うような声。綺麗で……なんとなく可愛らしい感じもする。
だけど、俺には何語かすら解らなかった。なんだか酷くおざなりな口調だけは伝わったが。
「……ズボンくらい穿きなさいよ」
表情は全く変えずに、言葉だけを続ける少女。
「『熱病』、本当に敵じゃないの? ……間違い無い? 本当に?……ふぅ、しかたないわね。置いていっても寝覚めが悪いし」
意識が遠のいていく……。
(俺は……。どうして引き摺られているんだろう)
そして少女のポニーテールに吸い込まれるように、俺の意識は途切れた。
もしもファンタズマゴリアに飛ばされた悠人を拾ったのが第二詰所の面々だったら。
リレーは……無理ですかね?
無理
最近ここの存在を知って保管庫とかも見てみたけど、ロティの存在がスルーされているのは気のせい?
そんな生き物いたっけ?
>>787みたいなのが大半なので
ロティ絡みをここに投下しようなんて思わないわけで
ふむ、ここ以外ではちゃんと受け止められてたりするんかな?
起承転結に例えれば、承が関の山なキャラに思う。
悪いキャラじゃないが色んな意味で要素が無い。
>784
そのネタはとっくのとうに過ぎ去ったなあ。
厳密に考えると、セリアが入隊してくるのはバーンライト戦に入ってからだから……そうか、まだ育成施設にいるセリアの下で飼われる訳だなw
施設の奴らはぞんざいらしいし、見つからないかも。
ナウシカのオウムよろしく奪われていくユート。
ぶっちゃけ広げようがないんだよね、ロティって。
確かにNTRとか一歩引いた視点から物見みてるのが鼻に付くとか嫌われ要素がたっぷりってのもあるとは思うんだけど、
嫌われ者なら嫌われ者なりに愛されるのがこのスレだから(ソーマとか今日子wとか)、その辺はあんまり関係無いと思う。
多分、悠人との絡みはおろか、ファンタズマゴリアでの立ち位置が全く存在しないからじゃないかと。
実際ネタ作ろうとしてもなんも思いつかないしな。
かと言って浮き島の話なんて考えても全然楽しくないし。
結局ソゥユートの居るファンタズマゴリアが一番好きなんだと今更気づいた。
黄金週間。それは、様々な記念日が重なった国民の休息の時。
「・・・ん。完成」
アセリアは部屋で制作活動に打ち込み、
「ここは少しだけリクェムを入れるのです。そうすると――」
「なるほど・・・しかしそれでしたら――」
「うぅ〜。エスペリアお姉ちゃんもイオお姉ちゃんもレベル高すぎるよぅ」
エスペリアとオルファはイオから料理を教わり、
「これほどが頃合でしょう。・・・おや、これは」
「蕾ですね。・・・花が咲くのが楽しみです」
ウルカは給仕服を着て、同様の服を着たクォーリンと共にた花壇の世話。
「・・・ふぅ。休みの間に読みきれるかしら」
セリアは部屋やリビング、庭の木の下で読書をし、
「どうだ、すごいだろう!!これはだな――」
「うわぁ〜・・・よくわかんないけど。すご〜い!」
「すご〜い」
「わあぁぁ!お二人とも勝手にいじっちゃダメですよぉ〜」
ネリーとシアーとヘリオンはヨーティアの発明で遊び、
「ヒミカぁ〜、ちょっと手伝って欲しいんですけどぉ〜」
「えぇ!?今良い感じ・・・わかったから詠唱を止めなさい。今すぐに」
ヒミカとハリオンは共にお菓子作りに興じている。
「――――〜〜♪」
ナナルゥは森の中で草笛を吹き、
「んぅ・・・暖かい」
「そうね。良い天気で良かった」
ファーレーンはその近くの木の陰で、まどろむニムに膝枕をしている。
黄金週間。それは過酷な日々を送る戦士たちの一時の休息。
792 :
朝の日差氏:2007/04/27(金) 00:05:26 ID:7IM4zX2T0
フライングですが投下〜。
・・・もっと構想練れば良かったと投稿5分で後悔orz
苦し紛れのオマケ
「ヒマねぇ」
「ヒマだなぁ」
「ヒマだよなぁ」
「・・・誰の所為だと思ってるのよ。人を巻き添えにしといて」
「仕方ないだろ。俺一人で防衛につくったって認可下りなかったんだから」
「ま、皆に休暇を与えるため、ってのは悠人らしいな」
「そだ。アタシ帰るからあとよろしく〜」
「それはダメだ。二人がラキオスに滞在する条件としてこのケムセラウトの
防衛任されてるから」
「悠人はそれの監督役、ってか。まあ元々敵なわけだしな」
「女王様の推薦だけじゃ無理があるわよね、確かに」
「そういうことだから、諦めて待機だ」
「仕方ねぇな。・・・しりとりでもやるか?」
ケムセラウトの昼は、こうして微妙な空気のまま過ぎていった。
>>790 ネタとしてなら、戦争時代のロティを描くのがいいかもな。
ミュラーと別れてから各地を旅し、最後の戦いにも加わっていたはずだから、そのあたりを題材にすれば。
>>792 乙。何かしらオチは有った方が良かった希ガス。
>>793 しかし戦争時代になると一般兵士とかの代替にしかならそうだからなぁ。
主要メンバーとも絡みが無いから単独の話になりそうだし。
無理して絡めようとしても他所様のオリキャラエトランジェ物みたくなりそうだし。
やはり「空気」の異名は伊達じゃない。
なるかな、また延期か……結局いつになるんかね?
空気のなくなる日って話し有ったな。
とはいえ、ロティばかりが問題かというと、そうじゃあない。
スピたん初登場キャラは軒並み空気レベル。一番印象的なのが『紡ぎ』たんという体たらく……。
結局スピたん……。
>792
乙。英気を養ったスピ達に、幸多からんことを。
でも、結局次の日……
「パパーきたよー」
「ユートさま、お食事に不自由なさってませんか」
「あそぼーユートさまー」
「あそぼー」
「こ、コウイン様。私も一緒に任務に就きます」
「みんなで来ちまうんじゃ休みの意味がないなあ」
「へ、悠人。おまえは相変わらずだな」
「何の話しだよ」
「説明も野暮ってもんだが……強いて言えば、みんな仲間だって事だな」
「そうそう。きっとみんなしっくりこないのよ。いるはずの人がいないことにね」
「今日子の言うとおりだな。みんな俺に逢いに来てくれたわけだ。離ればなれになって初めて気付く秘めた想い……俺って罪な奴だぜ」
「……罪には罰が必要ねコウイン君?」
なんか次のにおbsnが登場するらしい件について
どんと来い!ですがなにか?
叶姉妹みたいだな
第3部では妹が登場し、倉橋3姉妹となるのであった
第4部では以下略
妹だけ平成生まれだったりして
まだ待てブックが来ない俺。
時 分 秒 で三姉妹だと思ってたんだけどな。
環ってエターナルか盾か。
鹿島信三のパートナーって話しは生きてるのかね。
しかし環がobsnの姉とは……
神主の設定に出てたから環はふつーに今を生きる戦巫女だと思ってた
まあそうするとばーさん確定だけど、微妙な設定のキャラよりはガチなサブとして生かした方がいいと思うんだ
例えエターナルだとしても、世界に引きこもったままなら誰からも忘れられないでいられるな。
叢雲の要請なんかを受けていまだ巫女さんやって……望の誘い役か!
「・・・ヨーティア様ですね」
お風呂から上がり脱衣所に来た私は、籠の中を見て確信した。たまにあるのだ。こういった事が。
服を取り出すと案の定、籠の底に置手紙。「たまには違う服も着てみたらどうだい?」。
外との連絡手段はなし。このまま外に出るわけにもいかない。つまり、私には退路は残されていない。
元の中身はヨーティア様が持っていったのだろうから、然程遠くは無い研究室まで行ければ服は取り返せる。
しかし、途中にはスピリット部隊の待機所があるため、人目に触れる可能性は高い。
「また子供のような悪戯を」
子供のように自由だからこそ、天才のままで居られるのかもしれないが。常識は人を縛りそれは――と語っている場合ではない。
「仕方ありません」
一時的にではあるが、これを着るしかない。そう考え、私は服を手に取った。
それは――
青スピの制服
赤スピの制服
緑スピの制服
黒スピの制服
今日子の制服
ユートのブレザー
?????
ご自由に想像してください。
今日子の制服で、ひとつ。
佳織の制服でもいいが。
光陰のふんどしとか想像してしまった俺は何か色々と間違っている
悠人のワイシャツ一枚のみで
おbsnの巫女服はどうだ
ントゥシトラの王冠で
わかった、じゃあふんどしの上からワイシャツ赤袴、頭の上に王冠一丁だ
これなら誰に会っても視線を逸らしてくれるぞ、よかったなイオ
>>811 「イオ、それを着てしまったのですね。ええ。確かに似合ってます。不本意ながら、それは賛辞に値します。
巫女とは神聖を纏い淑やかであるもの。私と同様、貴女はそれの魅力を最大限引き出せることでしょう。
ですが、このゲームの巫女属性は私だけです。貴女に出しゃばられては私の立場がありません。
正直これ以上ライバルが増えたり、真似されて私の最大の武器が奪われるのも本意ではありません。
というわけで
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
>>807に続く
コアラ様の服と交換してみる。
イオ側
「おや、私の服が…少し以前と違っているような?(ガサゴソ)…苦しくて困ります」 べり、たゆん。
「…胸の部分が裂けてしまいました。どうしましょう…」
コアラ側
「あら、新しい服ですの?タキオスったら、気が利いてますのね。(ガサゴソ)…これは大きすぎますわ。
幼い外観の少女にわざと大き目の服を着させて萌えるなんて…うふふ、あとでかわいがってあげますわ♪
…でも、悔しさを感じるのはなぜなのでしょう?」
などと下手に妄想。
ここであえてヨフアルのドレスで胸が破k(ヨフアルノヴァ
エスペリア愛用のエプロンで(ry
818 :
大天才様:2007/05/01(火) 07:36:11 ID:GvfVoaiH0
実は戦闘服の素材を研究していて偶然開発してしまったものなんだが
…ま、多少水に溶けやすいが大丈夫だろ、ちゃんと身体を拭いていれば
デモ見たけど環おbsn綺麗だなー
巫女服着てないけど
デモ見た
やたらと期待は膨らむな
しかし新海誠のデモ見て買ったソフトが(ryだった過去があるから
手放しで絶賛できん俺がいる
つか環さんとやらがどこにでてるかわからん・・・
何分何秒ぐらいですか?
3:20あたり
右端下2段目の赤っぽい服きたお姉さんが環
環さんは(なんかそう呼べって言ってた気がした)おbsnとかお姉さんというより熟z(ry
サブキャラの設定が比較的しっかりしてるのはアセリアの教訓を生かしてかな。
823 :
820:2007/05/01(火) 18:22:45 ID:tlzscxCl0
>821
d
保険医か?女教師か?
やはり姉より妹の方が萌えるな
今回のトキミは人丸さん作画みたいだけどなんかのっぺりしてるー。
多分綺羅に人気を掻っ攫われていくんだろうな…。
おbsnはソウユートとの絡みがあればがんばれる。
おbsnはユートがいないと普通の真面目キャラで終わりそうだしなぁ
環「obsnって言われてムキになる方がヤバいのよ。
ちなみに私は全然平気」
ヽ)/
∠´ ハ`ゝ
彡//ノハハ〉
ゞ(リ ゚д゚ノ! ♪オーレガおjsnニナーッタラ、アンータモおbsnヨ
この辺でアクセラレイトが来ないと何だか落ち着かなくなってくる俺ガイル。
ガキの頃好きだった子にイタズラしても構って貰えなかった時のような。
実は初めての
" タイムアクセラレイト
´∴ # __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
/ | | |\ \ ´ ∴ ヾ .
・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . .... . . .
↑
>>824-829
>>830 涙が出ちゃうおbsnのくせに be in phantasmagoria with you
それははじめての厨
はじめてのおbsn 〜悠人さん! いっしょにおbsnしよ♪
ある日、時深ちゃんは悠人くんといっしょにおbsnすることになりました。
季節は常春。エターナルなので、時間はたっぷりあります。
さてさて、どんな楽しいおbsnになるのでしょう?
2007/05/03タイムシフト予定
おっとそろそろ煽り文募集の時期ですな。何か考えるか…
ところでカラオケに主題歌が入るのはいつなんですか><
すっと待ってるんですが><
>>834 ザウスの曲って滓ラックにカネ払ってないからな
アイツらに協力しないと色々ややこしいと聞いたことがある
いらねぇよな、カスラック。
10スレ以降テンプレから消えたアクセラレイトの復活を願う
838 :
煽りネタ:2007/05/05(土) 14:47:55 ID:6iJ9R0RR0
これまでのあらすじ。
当初顔グラもロクに無く戦闘台詞だけという心細い材料だけを片手に
勢いだけで見切り発車を決めたここ「永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド」。
ネリーにオバカさを加え、シアーにお菓子を与え、セリアを百合に走らせ、
ヒミカにペンを走らせ、ナナルゥに天井を与え、ハリオンにマジックを加え、
ニムントールにデレを加え、ファーレーンに腹黒を与え、Gヘリオンを走らせ、
飽く事の無い欲求はヒロインズにも走り、挙句の果てには稲妻部隊や妖精部隊、
ソーマクェドギンラキオス王、ロウエターナルからユーフォーリアまで暮らしの全てを
前のめりに補完していたらあら不思議、いつの間にか3周年を迎えてしまいました。
「折角だからとりあえずネタにするぜ!」な貴方にお届けするここは
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド26
我らはわずかに一個スレ 千レスに満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は 一騎当千の来訪者だと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総兵力100万と1人のスピリット隊となる
雑魚スピを脇役へと追いやり ヒロインになっているキャラを抹消しよう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
スタッフに熱い想いを 思い出させてやる
連中に我々の 軍靴の音を思い出させてやる
ファンタズマゴリアとハイペリアの狭間には 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
一千レスのエトランジェのスピリット隊で ハイペリアを萌やし尽くしてやる
全スピリット攻略開始 完全版「永遠のアセリア+」始動
ロットアップ!! 全キャラ 全攻略フラグ 解禁
「最後のスピリット隊 スピリット隊指揮官より 全エトランジェへ」
目標 ザウスHP !!
第二次アセリア作戦 状況を開始せよ
征くぞ 諸君 永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド26
もうひとつ、初代スレから抜粋してみました。こっちの方が格好良いかな…
840 :
その3:2007/05/05(土) 16:27:18 ID:RAk0vt8D0
「や…やめてください…」
「へへへ……立ち絵はもうびりびりだぜ、あとは目無しだけだ」
「いやぁ! だめ、目無しを取らないで…!」
「ひゃっはあ! なんて嫌らしい顔グラだ!」
「おいおい、ファンディスクが2つもあるぜぇ、こいつ誘ってんじゃねえのか?」
「そ、そんなんじゃありません…!」
「『ルート直前でセーブしてください』だぁ? まちきれねえ、今すぐ補完してやるぜ!」
「や、やめてー! ま、まだフラグも立ってないのに…!」
「うはぁ、すっげえ、冴えてるイベント絵とやかくでグチャグチャだぜ…たまんねえ!」
「そーれ、お次はネタだ! 中にたっぷり仕込んでやる!」
「あああ! ぬ、ぬるい…! ……て、れてえ!」
「聞こえねえなあ、はっきりいえよオラッ!」
「キ、キャラまで! きちんとキャラ立てまで入れてくださいぃいぃ!!」
「残念だったなあ、俺は次に振りやすくする派なんだよぉ! ははは!」
「は、早く個別
(省略されました。はぁと)
そんなこんなでアセリア&雑魚スピ分補充スレッド26
改変スマソ
他の板やスレもたまに回ると実感するが、ここは本当に平和な良スレだな。
いつだったか、DEにまで飛び火してた以前の悪夢襲来がマジでウソのようだ。
>>840 テラザウスwww
>>841 あれは向こうからこっちに飛び火してきたんじゃまいか。
いや、あんまり蒸し返したくないんだけど。
,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ) ダイ゙ム゙ジブド
i`_l !i_!li_!i!リ γ⌒'ヽ
jixi」*゚ヮ゚ノリ i ミ(二i
(ヽ)llΨ)ヽ ヽ、,,_| |ノ
ん/うt___|lう r-.! !-、
`'----'
点呼ネタ:言わせてみたい台詞
そういや、実際スピ達は点呼なんてしてんのかな?
ユ「番号!」
ア「ん、1」
セ「ふう……2ね」
ヒ「3!」
ハ「えーとヨフアルは2つずつですよ〜」
シ「え〜と3?」
ネ「ネリーはくーるだから1っ」
ニ「めんどう」
フ「もうニム。ユート様申し訳ありません。あ、ニムと私で……えっと4と5ですか?」
点呼ネタ:永遠神剣『無垢』が似合うスピは誰?
jixi」 ゚ヮ゚ノリ
ファーr……やっぱネリシアで
ボクっ娘緑
>>845 全然点呼になってねぇw
ネリーはうっかり2桁順で回ってきたら指足りなくて困りそうだ
850 :
獅子粉塵:2007/05/07(月) 20:13:55 ID:c/+MiO5+0
とあるのどかな休日。
『献身』のエスペリアことエスペリア・グリーンスピリットは厨房の一角で包丁を片手に仁王立ちになっていた。
「一撃で決めます……せめて、苦しまないように」
周囲には濃密な緑のマナが充溢し、息苦しい戦闘時のような緊張が走っている。
それもそのはず、厨房は既に彼女の気性を現しているかのようないつもの整然とした面影の欠片も無く、
散乱した食器類や散乱した食器類の破片や散乱した食器類からこぼれて散乱した作りかけの料理の残骸や
散乱した作りかけの料理の残骸に加わる予定だった仕込済みの食材の残骸や
散乱したその全てに巻き込まれて散乱した仕込み前の食材の残骸で埋め尽くされてしまっている。
そしてその出来たばかりの新鮮な樹海に佇む彼女のトレードマークでもある濃緑のメイド服はもはや見る影もなく、
まるで世界名作劇場に出てくる不幸な少女が長年愛用していた普段着をちょっぴり真似してみましたとでも言わんばかりに
所々埃と煤で灰色に強制仕様変更させられており、おまけに蜘蛛の巣のようなものまでがキャップを透明な糸で彩っていた。
使い慣れている筈の食器棚に打ち付けた額はほんのり桜色に腫れており、使い慣れている筈の椅子にぶつけた足の小指は涙が出るほど痛い。
それでもエスペリアは顎に伝わる汗を拭い、不敵な笑みを浮かべ、包丁を構える。
ちなみにその包丁でうっかり切り刻んでしまった床や壁の傷は既に数千に及び、補修工事でどうにか出来るレベルをとっくに放棄してしまっているが、
普段から砥ぎに砥いで念入りに大事にされている大振りの出刃には刃毀れ一つ見当たらず、未だ危険な銀色の輝きを保ち続けている。
851 :
獅子粉塵:2007/05/07(月) 20:15:03 ID:c/+MiO5+0
「……いきます!」
自らを鼓舞するような気合と共に、包丁を振り下ろす。その先で目障りかつ小馬鹿にしたような動きを示す、この惨状の原因となった張本人に向けて。
しかし肝心の目標は、敏感すぎる2本の触覚から察知した危険情報を本能的に分析すると、一瞬前に壁を高速移動し始めた。
もううんざりするほど見せ付けられてきた不規則かつ予測不明な動きがエスペリア渾身の一撃をまたしても首の皮一枚で回避する。
こうして又虚しく、壁には新たな傷の1ページ。しかしもうどこまでが1ページなのかはとっくに判別がつかないので、エスペリアは気にしない。
「こ、の……っ! ちょろちょろとっ」
ずぼっと乱暴に切っ先を引っこ抜き、ただひたすら獲物の行方だけを捜し求める。読書感想文(始末書)なら後で何枚でも書けるのだから。
乾坤一擲が引き起こした嵐のような風圧で巻き上がった小麦粉か何かが視界を狭めて追跡を阻んだが、直感だけを頼りに見上げた天井の隅に発見する。
しかし惜しいかな、包丁では届かない。歯噛みをし、一瞬の躊躇の後、エスペリアは狙いを定め、投擲する。
うなりを上げて飛来した包丁はぶわっとその周囲だけ小麦粉を押しのけ見通しのよい空間を形成しながら一直線に突き刺さった。目標物の数ミリ側に。
びぃん、というソニックストライクがそれまで奇跡的に生き残っていた窓のガラスにも無数の亀裂を走らせる。と同時に恐れていた事態が発生した。
「――――ヒッ?!」
短く息を飲む眼前に、ぶぅん、と大きく羽を広げた影の反撃が迫る。
咄嗟に頭を庇いそうになる両腕や屈み込みたくなる全身の反射神経という反射神経に、エスペリアは懸命にストップをかけなければならなかった。
神聖な職場をこうもめちゃくちゃにされて、尚且つ正面から挑戦を受け、背を向けるのはプライドが許さない。堂々と受けて立ってこそ盾にもなれる。
ユート様、見守っていて下さいと心の中で祈りを捧げ、捧げることによって統一した精神が織り上げたシールドハイロゥは、しかし一瞬だけ遅かった。
852 :
獅子粉塵:2007/05/07(月) 20:16:56 ID:c/+MiO5+0
「い」
楕円状に広がった絶対防衛ラインをすんでの所で潜り抜けた特攻機はふかふかの緑色の丘陵へと無事不時着し、
不時着すると同時に物凄い勢いで頂点を目指して駆け上がり始め、次の瞬間には登頂を果たして満足気に2本の触覚を揺らし、
そしてその丘陵の持ち主であるエスペリアはあまりといえばあまりな事態に今度は反転しそうな眼球の動きを必死に抑えなければならなくなってしまう。
「――――嫌あぁぁぁぁっっ!!」
脳内にあるありったけの防衛本能と生存本能と拒絶反応と嫌悪感が一斉にエマージェンシーコールをがなり立て、唯一応じた右手が勝手に何かを掴む。
未だもうもうと小麦粉の立ち込める真っ白な視界の中、ひゅん、と軽い音を立てて最後の皿を木っ端微塵にしたのは、スピリットにとって最後の砦。
その名も『献身』、生半可な武器など足元にも及ばない破壊力と屋内で使用するにはちょっと長すぎる尺を持つ細身の槍。
エスペリアは大きく身体を揺らし、もう一方の広陵を目指して丁度谷間の辺りを這いずり回っていた黒光りする物体を強引に引き剥がすと、
たった今手元に戻ってきた『献身』を無我夢中で振り回す。もう型も何もあったものではない。
「ユート様、ユート様にも触られたこと無いのにぃっっ!!」
しかし、当らない。どんなに振り回しても当らない。息が切れる位振り回しても当らない。終いにはぜはぜはと本当に息が切れてしまう。
膝に手を当て、深呼吸。まぐれでも当てられないとようやく悟った所で今は床にじっと鎮座するそれにぴたりと矛先の標準を合わせ、静止する。
ちなみにその動き全てがほぼ半狂乱状態の中で行なわれていたというからスピリットの精神力は侮れない。
853 :
獅子粉塵:2007/05/07(月) 20:21:00 ID:c/+MiO5+0
「フ、フフフ、精霊よ、全てを貫く衝撃となれ――――」
しかし、やはり半狂乱は半狂乱だった。
普段からはありえない程滑らかな高速でうっかり口にしてしまったのはユート様に褒めて貰おうとつい先日覚えたばかりの禁断の神剣魔法。
精確にいうと、今この場では禁断の神剣魔法。
もっと精確にいうと、空気中の酸素とほどよくミックスされた大量の小麦粉が狭い厨房という空間に高密度で存在している場合、
詠唱と共に活発化するマナ同士のぶつかり合いが最初に生み出すささいな緑雷ですら着火源となり、
―――― ズウウウウウウン……
一瞬で気化した少量の小麦粉が周囲の酸素を糧にして次々と連鎖反応を起こし、ついには巨大な爆発を引き起こすので、禁断の神剣魔法。
更にいえばその際爆発の中心地にでも居ようものならたちまち延焼に巻き込まれ、マグネシウムリボンのようにあっという間に燃え尽きてしまうのは間違い無い。
「……ごほっ……あ、あぁぁ……みんな、ごめんなさい……」
そんな訳で全身黒焦げになってしまったエスペリアはより一層癖のついてしまった髪の間からぷすぷすと細い煙を立ち込めさせながら、
今はもうすっかり片付いてしまったというか跡形もなくなって実にすっきりした厨房の片隅で呆然と立ち尽くしながら呟いていた。
しかしその謝罪が食事を待ち侘びている詰所の面々へのものなのか、それとも愛着のある食器達へのものだったのか、
はたまたただ単に戦闘台詞として飽きるほど繰り返して来た為に、ただ予定調和で発せられただけなのかはハイペリアの神のみぞ知る。
何故ならその直後にぱたりと倒れたエスペリアは駆けつけたニムントールに何とか蘇生されたもののその間の記憶は綺麗さっぱり失っていたし、
唯一の目撃者兼張本人である黒き刺客もこの辺にはもう食料は無いと悟るや否や破壊された壁の向こうにそそくさと逃走を決め込んでしまっていたのだから。
854 :
獅子粉塵:2007/05/07(月) 20:23:25 ID:c/+MiO5+0
ところでたまたま通りかかり、突然出来ていた瓦礫の山に不審を感じ、足を踏み入れた途端躓いた黒炭がエスペリアだと気がついてしまったばかりに
面倒臭いリヴァイブを唱えなければならなくなってしまったニムントール・グリーンスピリットは治療後にこう語っている。
「なんか"じー、じー"って魘されてたんだけど、よくわかんない」
とあるのどかな休日。
第1詰所を半壊したこの事件は、敵ブラックスピリットのゲリラ襲撃を防いだエスペリアの英雄譚として広く知られている。
, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
( リ〈 !ノルリ〉))
/ ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
カサカサ ~ ̄> ̄> ̄> ヽ
エスペリアで促進してみました。
乙!!Gは強力なネタだよなw
ハハ(獅子)はGを倒すのにも全力を尽くす。
これがホントのハハの日なんだねパパ!
オルファ美味しいご飯でエスペリアママに楽してもらうんだっ。
, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
i\ _,..、、,、,.、、 ( リ〈 !ノルリ〉))
i‐- `.',:'''´:゙:.:゙´:: :.,: ,:、:. .;ノノ(!リ;゚ヮ゚ノリ((
 ̄  ̄ ゙'‐..: ;..;;.;_ ::. :.,':.、.: .:, :... :;.'
`" ̄ ̄ ̄ ̄ノ´´
ゝ ノ
──
【栄養】「ファンタズマゴリアでの栄養補給には昆虫を食べるのが最適」”味もエビ、ロブスターなどと非常に類似”[02/01]
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1170338663/
>>855 乙です。
そうですか、SでもGには勝てませんかw
しかし、こっちのエスが自分の中のデフォになったのはいつからだろう。
859 :
夏が来る前に:2007/05/09(水) 18:00:02 ID:HbnaEtwc0
うわ。だからいきなり入ってくるなって何度も言ってるだろヨーティア。
今日は何だよ。ナポリタンってゆーかハクゥテは品切れ中だぞ。
え、何だって? 俺が以前から頼んでおいたマナスー取り線香がついに完成したって? ホントか? そいつはありがたい。
ハーブの香り配合でしかもグルグル渦巻きまで再現したって? そりゃすごいな。
ハイペリアの夏の風物詩って奴でさ、しかもこの渦巻きには意味があってな。あー前に言ったんだっけ?
正直頼んでたの忘れてたけど、これから暑くなる前に完成してくれて野営なんかで悩まされることも無くなるよ。サンキュ。
え? さっそくエスペリアの為に厨房に仕掛けてきたって? そっか、エスペリアも喜んでただろ。
ん、なんだバカ剣。嫌な予感がするって? はは。そんなわきゃないだろ。
どれ、エスペリアの所に行ってみるか。晩飯のおかずは何かな――。
860 :
夏が来る前に:2007/05/09(水) 18:01:14 ID:HbnaEtwc0
( ( )
从从 ____ ( ( )
ヽ)/ | ⊆⊇ | ( )
∠´ ハ`ゝ .| ̄ ̄ ̄ ̄| .____ . (
彡//ノハハ〉. .| ロロロ ::oo | ゝ___/===.. ))
ゞ(リ ゚д゚ノ!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄|..||~从~||..| ̄ ̄ ,ィ^i^!1-、 ((
<´ii Yliン, | ̄~|~ ̄| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ,(レ´  ̄ ヽ) ∩-∩- 、
U |.Tii< ... | ゚.|.゚ | | i`_l !i_!li_!i!;; (・○・ ..゙,;;)
<_ノ_jイ_ゝ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⊂⌒~"⊃jixi」 ゚д:;.:... ιι-υ::..
黄金色に焼けたマナは色もあせて。
**用法を守ってご使用下さい**
場所はラキオス。
夜の帳が落ち、空に多くの星が瞬き始める時間。
光陰は、訓練所から明かりが漏れているのを確認した。
中を見ると、半ば予想通りにニムントールが懸命に神剣を振っている。
こっそりと努力する少女の姿を見て、光陰はふっと微笑む。
それは、他人にはなかなか見せない理知的な笑顔。
しかしすぐにその表情を引っ込め、いつもの軽い調子の笑顔を表情に乗せると、光陰は訓練所の中に足を踏み入れる。
「やあやあ、ニムントールちゃん。こんなに遅くまで頑張るねぇ」
「!? コ、コウイン!?」
「けど、もう遅いからそろそろ終わりにしようぜ。もう直ぐ晩飯の時間だしな」
「頑張ってなんてない!!」
「そうか? まぁいいや。もう暗いから送るよ。一緒に戻ろうぜ」
今日は年長スピリットのメンバー全員が任務で外に出ている。
という事は、自ずと訓練は自主的なものがメインとなり、わざわざ訓練所に来る者は殆どいない。
延いては見ている者もいないという事で、他人に努力の姿を見られるのを厭うニムントールが一人だけで訓練をしているのは、少女の性格を知っている者にとってはかなり容易に予想がつく。
それは良いのだが、他者の見ていないところで努力を重ねるニムントールは、下手をすると一人で無理をしすぎるきらいがある。
だから、それを知っている誰かが、きりの良いところで止めてあげなければならない。
「どうしてコウインなんかと一緒に戻らなきゃなんないの」
「暗いと、何かと危ないからな」
「いや。コウインと一緒の方が危ない。ニムは一人で帰れる」
「そんな事無いぞ。ニムントールちゃんは強いから変なやつが出てきても何とかなるかも知れないけど、お化けが出てきたら困るだろ?」
「お、お化けなんていない!!」
「俺はこれでも坊主だからな。お化けなら成仏させてやれるぜ」
「う〜っ」
お化けなんていないと言いはしたものの、一度意識してしまうと不安がどうしても離れない。
「……仕方ないから一緒に帰ってあげる。コウインを一人にするのは不安だし。
でも、ニムからは離れて歩いてよねっ!!」
「おっけー、おっけー」
上手く隊一番の年少者を丸め込んだ光陰は、ニムントールと絶妙な距離を取って一緒に帰路につく。
季節は春。
桜は数日前に散り、大気は温かく生気に溢れていながらも、どこかもの寂しい風が吹く。
「知ってるかい、ニムントールちゃん。桜の木の根元には……」
「死体なんて埋まってないから」
「ありゃ」
にべも無いニムントールの対応だが、光陰はまるで懲りない。
「ニムントールちゃんは、怖い話は嫌いかい?」
「怖くなんて無いから」
「そうか、なら大丈夫だな。怪談にはちょっと時期が早いけど、まぁいいやな。じゃ、始めるぜ」
「え!?」
光陰は一人で勝手に語り始める。
「むかーしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでおりました」
「ちょ、ちょっと、コウイン、やめてよね」
怖くなんて無い、と言ってしまった手前、ニムントールは強くも出られない。
光陰は、語りが上手い。実に臨場感溢れる不気味な語り口で話を続ける。
「お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました」
「〜〜〜っ!!」
聞かないようにしようとしても、どうしても聞こえてしまうし、逃げるのは怖いのを認めてしまうみたいでそれも出来無い。
ニムントールの意地っ張り&負けず嫌いをいい事に、光陰はますます気合を入れ、抑揚をつけておどろおどろしく物語る。
「お婆さんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れて来るではありませんか!!
それを見たお婆さんは、驚いて思わず屁をこいた!!
お爺さんは、芝を刈らずにクサカッタ!!」
「エレメンタルブラストーっ!!」
ちゅどーん。
エスペリア『新たな技を習得しました』
死に掛けて包帯だらけの光陰は、見舞いに来た悠人に言う。
「今回は失敗したぜ。次はもうちょっと長くニムントールちゃんとデートしたいなぁ」
「光陰。前々から思っちゃいたんだが、お前、やっぱり馬鹿だろ」
ファンタズマゴリアなのになぜ桜があるのかとか、なぜ日本語の小咄が通じるのかとかは気にしないで下さい。
気にしたら負けです(俺が)。
>>861 ついにそんな微細な熱量にまでw
>>867 ×:今回は ○:今回も
>コウインと一緒の方が危ない
噴いたww
>>868 いつもは成功しているつもりだったんだよ!
870 :
てんぷれ:2007/05/10(木) 20:15:46 ID:v0hp2xJP0
トリガーまで残り1KBになりましたので、一応1案。
煽り文は唯一反応のあったその3にしてみました。
2以降はコピペで済むのでry。
>>837も建てた方のお好みで。
点呼ネタ候補:
「言わせてみたい台詞」
「永遠神剣『無垢』が似合うスピは誰?」
こちらもいつもの通り建てた方のお好みという事で。
>>867 乙
明らかに怪談じゃないのに怯えるニムモエスw
>871
>「永遠神剣『無垢』が似合うスピは誰?」
いやこれはその場のネタのつもりだったんだ……(汗)
なので「言わせてみたい台詞」でよろ。
>866
ここまで体を張ってニムの才能を引き出す漢にカンパイw
「ごめーん、まったあ〜〜? あ、……ごめんなさい人違いでした」
学園の校門前で突然声を掛けてきた少女に一瞥をくれた光陰の瞳には、たたたっ、と軽やかな音を立てて走り去る女生徒の後ろ姿が映っていた。
長い後ろ髪が2本棚引きながら遠くなっていく。
「お、おいおい。光陰」
「ん、なんだ悠人か」
光陰は聞き覚えのある男の声に反応を返した。しかし目線だけは固定したままだ。悠人などという野郎には目もくれない光陰の視界の中で、
女生徒の後ろ姿は校舎の陰に消えていった。
「なんだじゃないだろ。今の娘誰だよ? すっごい可愛かったぞ。何話してたんだよ?」
噛みつかんばかりの勢いで光陰の前に顔を突き出してくる悠人を、光陰は邪魔臭い障害物として手で除けながら言う。
「ん? なんだそりゃ。誰かいたのか?」
「誰かって……話してただろ女の子と」
「……ふむ。微かに記憶がある気がせんでもない。とはいえ、お前が可愛いと言っているにも関わらず俺の記憶に残らないと言うことはだ」
「なんだよ」
「高等部の制服着てたってことだな。俺には中等部の娘以外眼中に……おおっ見たか今の? やっぱり中等部女子テニス部の練習風景は絶景かな!」
校門そばのテニスコートに釘付けの視線を一度も悠人に配ることもない光陰は、
それ故に高等部のグラウンドから近づいてくるマーダーハリセンの気配を覚るのに致命的に遅れてしまうのだった。
***
「ど、ど、どどどどうだったかなラクシューレ!?」
校舎の陰で息を弾ませ激しく吃りつつ紅潮した顔で別の女生徒の腕を掴み喚くのは、2本の長いもみあげが印象的な女の子。着ているのは高等部の制服だ。
ラクシューレと呼ばれた腕を掴まれた女生徒は、群青色のジャージに身を包んでしかめっ面をしていた。さり気なく掴まれた腕を外して、髪をかき上げつつ言う。
「バカでしょあんた」
「へ?」
「あのねえ……あんなことで光陰先輩に覚えてもらおうってのが全然解せないとこだけどさ、あんな言い方じゃいかにも他の男子と待ち合わせしてるみたいにしか思えないっしょ」
「…………えええええええぇえぇぇぇぇ!!?」
「うるさい」
「ちょ、ちょっとまってっっっっど、、、どうしようねえ!? どうしようっっ!? 光陰先輩に勘違いされちゃう!!」
「知らない。私は部活あるから」
溜息混じりに肩をすくめると、すげなくラクシューレは去っていった。追いすがろうとした2本のもみあげは風薫る五月の空に舞い上がることなく両手両膝と一緒に地べたに落ちてしまうのだった。
「なんとなくアセリラリア2」で促進してみた。あほねたですまねえ。
つー事で立てに行ってみる。
>>877 スレ建て乙。
そして(多分)クォーリン、ガンガレ
梅ついでに語ってみるか?
あのドウジンゲームのことを・・・
>>879 いや、さすがにスレ違いだろ。
同人板にスレ立てた方がいいかも。
迂闊な事言うと荒れそうだし。
ただア&セリアとネリシアの話は良いと思った。
荒れるかもしれないという一言で出来がわかりそうな気がするような感じがするな
おk、邪魔しました忘れてくだしあ
自分で書いといて何だが、インストしただけでまったくやってなかったりする(汗)。
単に学園物としてインスパイアされてみた。
悪い出来ではないと思うけど。多分。
埋めないのかな?まあ、だんだん沈んで過去ログ行きになると思うけど。
でっきるっかな、でっきるっかな。
さてさて、ふふ〜ん。(さてふふ〜ん)
それはとても、神秘的な空間"だった"。
「悠人よ、花見というのはどうだ?」
「は?」
その日、第一詰所にやってきた親友兼悪友はそうのたもうた。
「花見?」
「おう、花見だ」
「花見ってあれか、桜を見物しながら弁当とか飲み食いする」
「改めて説明しなくてもいいが、まぁそうだな。で、どうだ?」
「どうだって言われても。みんなでって事か?」
「ああ。それとなく話してみたんだが、皆"ユート様が行かれるのでしたら"みたいな返事ばっかり返してくるんだこんちくしょう」
「あた、あたたたたっ! 爽やかに微笑みながら頸を絞めるなっ!……ごほっ、わかったよ。そういう憩いは大切だろうし」
「お、流石は我が心の友、快く承知してくれたか」
「どこの世界に脅迫じみた誘いをかけてくる心の友が……あん? だけど常春のラキオスに花見なんて風習があるのか? そもそも桜が」
「ん? なんだ、知らないのか? この国にはちゃんとソマセって桜そっくりの木が密生している場所があるんだぜ」
「へぇ、そうなのか。……ちょっと待て、それってまるっきりキーボードのカナ表k」
「アソクの月に満開になる所まで一緒ってのは出来すぎな気もするが、要はその時期、人間は好んでキニモーを行なうんだとよ」
「いや聞けよ、だからそれキーボードの」
「という訳だから、決行は明日の夜な。今はお前が瞬にこっぴどくやられたお陰で戦線も膠着しているって時期設定だし丁度いいだろ」
「332年かよっ! っていうか佳織ぃぃぃっっ!!」
そんな訳で、俺達ラキオススピリット隊はサーギオス戦を放ったらかしにして花見、いや、キニモーに出かける事となった。
なんて能天気な奴らだ。いや、俺のせいだけど。
どうせなら夜桜見物と洒落込もうぜ、という光陰の強引な提案を基に、準備は滞りなく進んだ。
ハリオンとエスペリアとオルファと今日子がお弁当を作り、ファーレーンとニムは街で飲み物の調達。
場所取り役に選ばれたヒミカとナナルゥは早朝から先発するという流石レッドスピリットならではの熱の入りようだ。
普段戦闘に明け暮れているスピリットだからこそ、こういう時には思う存分発散というか楽しもうとするのだろう。
レスティーナやヨーティアは、心底悔しがっていた。戦争自体は膠着中とはいえ、急激に国土を広げたラキオスは各地で問題が耐えない。
その応対でてんやわんやで、とても時間が取れないとのこと。せめてお弁当だけでも作る、というレスティーナの申し出は心底丁重に断っておいた。
「ユート様」
「ん、なんだセリア」
「今は、戦時中です。このように浮かれている暇があるならば戦いに備えて」
「俺の世界にさ、"英気を養う"って言葉があるんだ」
「は? エイキ……ですか?」
「そう。気を張ってると、疲れるだろ? それを解すのが、長い目で見ればいい結果に繋がるって教えだよ。セリアもさ」
「……あ、はい?」
「たまにはリラックスしてみるのもいいと思う。肩肘張ってばかりいると、いざという時に力が出せないんじゃないか?」
「肩肘っっ……いえ、判りました。隊長がそう仰るのでしたら、従います。それでは」
「……ふう」
何で俺がこんなフォローをしなければならないんだと、どっと気疲れがした。
「とうちゃ〜くっ!」
辿り着いたのはラキオスの城下町を抜け、リクディウス山脈を細く貫く山道を抜けた所。
オルファがぱたぱたとはしゃぎ回っている開けた夜の草原には、確かに桜のようなピンク色の花が咲き乱れている。
「へぇ……綺麗。月もよく見えるし、中々いいセッティングじゃない、光陰にしては」
「そうだろそうだろ。見直しただろ?」
「調子に乗らない。でもそうね、少しくらいは褒めてあげるわよ。よしよし」
「わおぉぉぉん!!」
傍で親友二人が早速いちゃつき始める。
しかしそんなことはどうでもよく、俺はしばし呆然とその光景に見入っていた。というのも。
「懐かしいな、ユート」
「……ああ」
目の前には、ぽっかりと大きく開いた岩場の洞窟。もっともかつて行なわれた戦闘によって相当崩れかけてはいるが。
「……あの時は、危険な選択肢が二つもあってスキップするのが面倒臭かったっけ」
「ん? 何か言ったか、ユート」
「いや、なんでもない。アセリア、ここってえっとキニモー……だっけ。それの穴場だったのか?」
「うん、私は知らない。けど、エスペリアがここは有名だって言ってた」
「……」
どうりでハナから"小さきもの"とか見下したような台詞を連発されてしまう訳だ。
毎年毎年寝床の前でどんちゃん騒ぎをされちゃ文字通り逆鱗にも触れるよなぁ、とか思わずサードガラハムに同情してしまった。
宴は、雪崩式に始まってしまっている。
「わ〜、綺麗……」
「よーしネリーが取ってきてあげるよ!」
「嬉しそうに枝を折ろうとするんじゃない!」
シアーが物欲しそうに指を咥え、それを見たネリーが木に飛びかかり、セリアが咎める。
「……馬鹿じゃないの? はしゃいじゃって」
「ふふ、ニム。ほら、目を瞑って。大地と闇のマナが」
「……ん。お姉ちゃん」
ファーレーンは素直に目を瞑るニムの髪を撫で、ニムはごろごろと喉でも鳴りそうな勢いでファーレーンに擦り寄る。
「ヒミカぁ、ナナルゥ、お疲れ様でしたぁ〜」
「別に、ただ座ってればいいだけだったからね。夕焼けに映える所なんて、みんなより先に見ちゃって申し訳無い位」
「問題ありません。ただ、『消沈』の気配がやや薄くなった気もしますが」
「良かったですぅ。それでぇ、お土産のヨフアルなのですけれどぉ〜?」
「頂くわ」
「頂きます」
淡々と、それでいて照れ臭そうに前髪を弄りながらヨフアルを啄ばむヒミカ。
風に舞う花びらを目で追いながら、微かに微笑む、ような表情を見せるナナルゥ。
その二人を心から楽しそうに見つめ、普段より活気のある大地のマナを惜しげもなく溢れさせているハリオン。
「ウ、ウルカさんっ?!」
「おや、これはヘリオン殿。いかがなされた?」
「その、ソマセは調味料じゃありませんから。ほ、ほら綺麗ですよねっ!」
「……なるほど。確かに心のどこかで深く響くものがあります。これがキニモーですか。奥が深い……」
「……(ほっ)」
太い幹を『冥加』でかつら剥きにしようとしていたウルカはヘリオンの懸命の説得により思い留まり、再び深い瞑想に入る。
「エスペリアお姉ちゃん、こんな感じ?」
「ええ、ありがとう。それじゃ、皆に配りましょうか」
「うんっ!」
オルファが実に嬉しそうにこの世界での使い捨て紙コップみたいなものを全員に回し、エスペリアが自家製の冷製ハーブを注いでいく。
「さ、ユート様」
「ん、さんきゅ」
促され、立ち上がる。一同が注目する中、月の光を反射する桜色の世界の中で。
俺は気分が良くなり、試しについ少しだけ捻った掛け声を上げてみた。
「マブーハイッ!」
『マブー……え゙?』
「なぁ悠人よ、流石にフィリピン語はどうかと思うんだが」
「そうか? や○ドラのサ○パギータとかで結構有名かと思ったんだけど」
「バカ悠、ここが異世界って忘れてんの? っていうか古すぎだし。みんな困ってたじゃない」
「うーむどこから突っ込めばいいのか悩むんだがまぁいいか。おーいオルファちゃーん、何してんのー?」
予想はしていたが、落ち着きの無い光陰は楽しそうに桜の花びらをしゃがみながらつんつんと突っついていたオルファに突撃する。
奴はこの場を完全に合コンと認定してしまっているようだ。
「ちょ、待ちなさい!」
そしてちゃっかりエスペリアの料理を忙しく掻きこんだ今日子が遅れて追走を始める。それもいつもの光景。
「ふわあ……これも平和、なのかな……」
ゆったりと木に背を預け、風に舞う花びらを眺める。空の黒に鮮やか過ぎるほどの桜、いや、ソマセ、そして澄んだ空気に煌く星々、月光。
龍の大地。かつての棲み家であったその場所で、妖精達が戯れる。煩わしく思っていたのだろうか、守り龍は。そんな事をふと思う。
『アンタってヤツはぁっ!』
『ぶべらばッ!!』
さやさやと葉の擦れ合う優しい音色と、それに混じる遠い喧騒が心地良い眠りに導いていく。手渡されたカップをくいっとあおる。
「んっ、んく……んん?」
「何か?」
「うわっ! びっくりした、ナナルゥか」
「はい」
「出来れば気配を消して隣に座るのは止めて欲しい」
「善処します」
「ところでさ、これって……酒じゃないか?」
「はい、成分にアルコールが含まれているのは認められます」
「いや、そうじゃなくて。駄目だろ、ネリーとかオルファも同じの飲んでいるんじゃ」
「……ああ。問題ありません。作中の登場人物は全て18歳以上ですから」
「うわなにそのご都合主義。っていうかどっちにしても未成年だし」
「それでしたら、ユート様も○校生では?」
「……」
「……」
「問題ないな」
「はい」
ナナルゥと会話をしていると何故か酷く疲れる。負けた気分に強制的にさせられるというか。
「んぐ、んぐ……ぷはぁ。それにしてもさ、こうして夜桜見物なんかしていると、戦いが嘘みたいに思えないか?」
「そうですね……ここはどんより暗くて落ち着きます」
「あれ?」
「はい?」
「今ここ、ナナルゥが座ってなかったか?」
隣には、ファーレーンが座っていた。いつの間に入れ替わったんだ。
目がとろんとしていてなんだか熱っぽい視線を向けており、頬もほんのりと染まっている。
行儀良く足を揃えて座っているのはいいのだが、心持ちしなだれるようにこちらに身を寄せているというか。
「あら、わたしではお相手にご不満ですか?」
「いや、そういう問題じゃ……ってちょっと、近いよ、ファーレーン。近い」
「んふふ〜……ぷはぁ」
「うわ酒臭っ!」
考えてみれば、普段内気なファーレーンがこんな積極的な行動に出る方がおかしい。
その時点で、気づくべきだった。彼女の足元には、アカスクの壜が5本も転がっている。常人なら軽く致死量だ。
「ねぇ、ユートさまぁ? 私、ブラックスピリットなんです」
「え? あ、ああ、知ってるけど。それがなにか?」
「判ってませんっ! 私は、本当に、ブラックスピリットなのですよ?」
「あ……っとそうだ、ニムはどうした? あんまり俺と喋ってると、色々とマズいんじゃないかなぁ。特に俺の身が」
持て余し気味になり、話を逸らす。外見に特徴が無いのがそれほどトラウマなのだろうか。
しかしどっちにしても、今俺に訴えかけられてもどうしようもない。幸いニムはネリーと弁当の奪い合いをしていた。
「その証拠を、ユート様にだけこっそりお見せしますね……ユート様にだけですよ。みんなには内緒です」
「そ、そうか、それは嬉しいな」
いや、内緒にしちゃ意味ないだろ、そんな突っ込みは押さえ込む。酔っ払いに何を言っても無駄だろう。
それに、俺の答えに満足したのか俯き、少し恥らうような仕草のファーレーンがちょっと艶っぽく見えたというか。
やばい、俺も相当酔ってるな。そっと覆面を外し、しずしずと背中を向ける様子を見ていたら何だかドキドキしてきた。
「……どうぞ」
「……は?」
「ですから、ほら。ここの後ろ髪です。黒いでしょう?」
「あ、ああ。そう言われてみれば、そこはかとなく」
何を期待していたのかと問われれば困ってしまうが、とりあえず真っ白なうなじはご馳走様。
髪の方は何だか肌とのコントラストでかろうじて黒っぽいかな、とか思わないでもなかったけど、生憎暗くて良く分かりません。
「ユート様、お腹は空かれてはいませんか?」
「今度はエスペリアか」
「は?」
「いや、何でもない。今は特に。……そうだな、このソマセを見ているだけでお腹一杯なのかもな」
「まぁ、ユート様ったら。ふふ……でも、そうですね。 何だか落ち着きますし」
突然入れ替わったエスペリアには、適当に格好つけた台詞で誤魔化す。
まさかファーレーンのうなじを頭の中で何回も反芻していたら胃袋に行くはずの血液が全部とある特定箇所に逆流していたとは言えないし。
女だらけの詰所メンバーが揃った中でそんな馬鹿正直な言動を繰り返していたら命が何個あっても足りない。
お、我ながらちょっと重みのある発言だったぞ今の。なにせ数多の経験から培われた貴重な真実だからな。
「……本当ですね」
「え? 何が?」
「ユート様が仰られていた事です。私達スピリットにも、戦う以外の生き方がきっと見つかる、そう仰っていました」
「……ああ、そんな事も言ったっけ。でもこうして面と向かって繰り返されると、ずいぶん恥ずかしい台詞だなぁ」
「そんな事はありません。このソマセの美しさも、ユート様にお会いしなければきっと知ることも出来ませんでした……感謝しています」
「エスペリア……」
「ユート様……」
「お兄ちゃ〜ん!」
「佳織ッ? ……なんだ今度はネリーか。ややこしいな」
「えへへぇ、お兄ちゃ〜ん」
「いやだから、なんで俺がネリーのお兄ちゃんなんだいきなり」
「え?……ひっどーい! ユート様、憶えてないの?」
「うーん憶えもなにも」
「だからぁ、PS2の追加イベントで言ってたじゃん! って、え、あれ? ……ふぇ、もしかしてユート様、通過してない、とか」
「うわ待て泣くな、あ、ああそう、そうだったな、思い出した、完璧に思い出したぞ、完璧に通過していた!」
単純に選択肢でシアーの方を選んだだけだ。とは口が裂けても言えない。
ネリーのまん丸な瞳がじわっと滲み出し、じゃれついていた手も寂しそうにそっと服の裾から離す。
そんな仕草を見せつけられては、流石に全く記憶にございませんとは断言出来なかった。苦し紛れのでまかせを繰り返す。
「ホント? 兄さん」
「シアー、それはまた別のお話だ」
というか今度はシアーか。全く次から次へと、一体どういうカラクリなんだろう。
どうやら機嫌が直ったのか、隣で何かサイケデリックな色調の団子のようなものを
もきゅもきゅ頬張っているシアーの髪を撫でながら、試しに他のメンバーはどこにいるのかと探してみる。ぎゅむー。
「ユート様、どなたかお探しですか?」
「……フェリア。ひきなり頬をつねるのふぁどうふぁと思ふぞ」
「ハイペリアでは、女性と一緒に居る時に他の女性を見た男性にはこうしてもいいという掟があると聞きました。それと、フェリアじゃないわ」
「ひた、ひたたたたっ! わひゃった、わひゃったから!」
色々と突っ込みたい所はあるのだが、取り合えずは涙目で訴える。
問答無用スピリットの力で思い切り抓られているのだから、頬の筋繊維もたまったものではない。
このままでは一生元に戻らないほど引き伸ばされて、佳織に再会しても判って貰えないほど顔の造詣を変えられてしまう。
「フェ……セリア、ほう、ひょうどひょかった、ひゃがしへはんだ」
「え……私、ですか? 本当に? ……やだ、どうしたらいいの?」
「……ふう」
我ながら、よく通じたものだと思う。しかし効果覿面、セリアはようやく手を離し、ぽっと頬を染め、俯いてしまった。
どうでもいいが、気持ちが悪い程大人しい。酔うと人格が反転する典型的なタイプだ。
そして更にどうでもいいことに、彼女は胸元を大きくくつろげている。
つまり桜色に染まった首筋やほっそりとした鎖骨やその奥でふわふわと揺れているいつもより深く凹型に刻み込まれている陰影がゆらゆらと。
「……ってセリア、大きくなってないか?」
「なにが、ですかぁ〜」
「うわっ! ごめんなさいごめんなさい!」
いつも頭が上がらないせいか、つい条件反射で謝ってしまう。
そろそろこのパターンにも慣れてはきたが、いきなりハリオンはやはり心臓に悪い。
というかぴったりと押し付けられている胸や太腿の熱い体温が心臓の鼓動に悪い。
「ユート様、あ〜んですぅ」
「あー……ん、んんっ%$@☆?!」
促され、てっきり何かを食べさせられるのかと思いきや、塞がれたのは柔らかい唇の感触。
ぬるっと送り込まれた唾液混じりの生暖かい食物を何とか飲み込む。しかしその間もハリオンの唇は情熱的に押し付けられたまま。
「ん……ん、んん〜!」
まさかこんな所で貞操を奪われてしまうとは。
いや、それよりなにより、息が出来ない。このままでは夜桜の下、見事に窒息死で散ってしまう。
『求め』に救助を求めてみるが、やはりというか『大樹』にやり込められてしまったらしく、うんともすんとも言ってこない。
それどころか、(『大樹』には関わりたくない、契約者よ、我を呼ぶな)といった気配ばかりがびんびんと判り易く俺を支配してくる。
このバカ剣。肝心な時に役に立たねぇ。心の中で毒づいてみるが、もうその罵倒自体がぼうっと霞んで来た。死ぬ。本当に昇天する。
「――――ぶはぁっ!!……はぁ、はぁ……はあぁぁ……」
もうダメだと覚悟を決め、川向こうのばあちゃんに声をかけようとした所で突然開放された。
足掻くように酸素を吸引する。空気がこんなに美味しいとは。ふと思った。この世界に酸素があって本当に良かったと。
どうでもいい仮定だが、もしもこの世界の住人が、例えば硫化水素を摂取して活動する生物だけだったらと考えるだけでぞっとする。
何で硫化水素なのかは自分でも良く判らないが、多分軽い酸欠が引き起こしたちょっとした錯乱だろう。何せ化学はずっと赤点だったのだ。
「そういえばあの時は、よくもアタシをバカとかけなしてくれたわね」
「光陰に試験勉強を教わった時か。お前だってバカ悠とか言ってたじゃねーか」
今日子が、何か珍しいものでも眺めるような表情でこちらを見ていた。口には楊枝を咥え、胡坐をかいて木にもたれかかっている。
「ああ、でも懐かしいな。もう1年以上になるのか」
渡された杯を傾けながら、ふと今日子の髪についていた花びらを指で摘んで取ってやる。
今日子は少しくすぐったそうに目を細めたが、そのままじっとしていた。その大人しさに妙な女の子の雰囲気を感じ、慌てて話題を逸らす。
「あ、ああそういや光陰がいないな。どこいったんだ?」
「光陰なら埋めたわよ、あんまりオルファやネリーやシアーやニムントールやヘリオンを追い掛け回すから」
「それは判り易いラインナップというか……埋めた?」
「うん。そうね、丁度この樹の裏あたりに。ハリセンで土掘って」
「ハリセンで?」
「そう、ハリセンで。なんか問題でもある?」
「……」
今背もたれている樹は、確かに大きい。
幹の太さも両手を広げた大人が四人がかりでやっと取り囲める位あり、背後で何かが起こっても或いは気がつかないかも知れない。
しかしそれにしても、今日子恐るべし。ハリセンで人一人埋まる程の穴を、気配も感じさせずに掘りあげてしまうとは。
まぁだが、問題ある?って訊かれれば問題らしい問題は特に無いが。光陰だし。そのうち生えてくるだろ。
「……ユート、ユート」
「お、真打登場か」
「え?」
「ん、なんでもない」
「……ユート、真似するな。気持ち悪い」
「何気に酷っ?!」
「酷いのはユートだ。どうしてみんなを放って一人で飲んでいる」
「へ?」
気づくと俺は、アカスクの一升瓶を抱え、みなに背を向けていた。目の前には、ソマセの大樹。
どうやら到着直後、やにわに樹の前に座り込み、そこで瓶を片手に延々と呟いていたらしい。
誰も気味悪がって近づかず、抽選の結果選ばれたのがアセリアだという事だった。当選オメデトウゴザイマス。
っていうか、あれ? つまり今までのは全部――――
「夢、だったのか? それにしてはリアルな」
「ユートさま、起きた?」
「起きたぁ〜?」
ネリーとシアーが両側から抱きついてくる。
「ようやく正気に戻られたみたいですね」
「お姉ちゃん、いいからあっちいこ」
ナチュラルに毒づくファーレーンとマイペースのニムントール。
「こらオルファ! 樹に登っちゃだめでしょう?」
「え〜、だってヨーティアお姉ちゃんにお土産持ってってあげようとしたんだよ〜」
「枝を折ってはなりませぬオルファ殿、蟻に笑われてしまいますぞ」
樹の上で騒ぐオルファ、それをおろおろと仰ぐエスペリア、良く判らない喩えを持ち出すウルカ。
「お、ヘリオンちゃん、髪にソマセの花びらが」
「うきゃ、だ、大丈夫です自分で取れますから〜」
光陰がヘリオンを追い掛け回している。頭にネクタイのようなものを巻いて。
「アンタって奴はぁ!!」
今日子が光陰を追い掛け回している。肥大したハリセンを持って。
「さて、そろそろお開きにしましょうか」
「そうね、明日も早いことだし」
てきぱきと、そして一方的に後片付けを始めてしまうヒミカとセリア。
「お腹、空きましたぁ〜」
「私が確認しただけでも、3人前は摂取していたようですが」
まだ物足りなさそうなハリオン、冷静かつ的確かつハリオン相手では所詮無駄な突っ込みをあくまで淡々と入れるナナルゥ。
「さ、帰ろう、ユート」
「ん、あ、そうだな。そろそろ帰るか」
アセリアに促され、立ち上がってゴミの回収を手伝う。
分別していないのをオルファに見咎められ、"だ〜め〜で〜す〜"とか指を立てて怒られ、
『理念』がもっと上位の神剣に見えたような気もしないでもないが、きっと別の時空から飛来した怪しい電波でもうかつに拾ってしまったのだろう。
なんというか、ここは神秘的な空間だったのだから。
どれ位神秘的かというと、ぞろぞろと引き上げるみんなの一番後ろを歩いていた時、
――――……くすくす
「……え?」
忍び笑いのようなものが聞こえたので振り向いてみても、そこにあるのは先ほどまで俺が相手をしていたというソマセの大樹だけ。
「ん、どうした、ユート」
「……いや、なんでもない」
――――……楽しかった?
「え?」
それは単なる風の悪戯だったのか、それともマナの妖精が起こした気まぐれなのか。
ソマセの樹は相変わらず月明かりの元に立ち、たださやさやと花びらを舞い散らせているが、
その枝々がゆったりと揺れている様が、どうしても穏やかに微笑みかけて来ているように見えてくる。
だが、不思議に戸惑いは感じない。むしろこの世界じゃ、この程度の不条理はアリなのかな、と妙に納得してしまう。
「ああ、楽しかったよ。さんきゅな」
俺はもう一度振り返り、樹に向かってにっと笑ってみせ、ついでに、というか、ついうっかり親指も立てて見せる。
「……うわ」
途端、一瞬びくっとその幹を身震いさせたソマセの樹は、あらゆる梢を波立たせ、大量の花びらを撒き散らし始めてしまった。
人間でいえば照れている仕草なのかも知れないが、当然の帰結としてたちまち地面は厚さ10cmのピンク色に舗装され、後には枯れ木だけが残る。
土砂降りのような花びらに慌てて逃げ帰ってきたのでよく知らないが、どうやらその後サードガラハムの洞窟はすっかり花びらの吹き溜まり場所となり、
花見、いや、キニモーのメッカだった筈のその地帯はクッションの利き過ぎる地面が腐葉化するまで立ち入り禁止になってしまったらしい。
「よ、アセリアおはよう」
「……浮気、良くない」
「は?」
ちなみにそれから数日、アセリアの機嫌は直らなかった。何故アセリアかというと、今進行しているのがアセリアルートだったからだ。どっとはらい。