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 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
Q: 雑魚スピって何ですか?
A: サブスピです。
Q: 具体的に教えて下さい。
A: シアー・セリア・ナナルゥ・ニムントール・ネリー・ハリオン・
ヒミカ・ファーレーン・ヘリオン、以上9名の総称です。
Q: これまでに投稿されたSSはどこで読めますか?
A: ここで読めます。→
http://etranger.s66.xrea.com/ Q: 俺あんまりサブスピに興味ないんだけど。
A: 雑魚スピです。
>>1の関連スレリンク集で行き先を探してみましょう。
点呼は……
21_795から
> ・敵雑魚スピでのお気にキャラ
ってことで↓
では早速
>>1乙。
敵雑魚のお気に?…ファーチックな青スピ。<1>
って分からんかw
>>1乙ァーレーン
敵雑魚スピ……
「できるだけ戦わない方がいいんだけどね」
妙に愛を感じる淡々とした一言。 〈2〉
>>1 乙ペリア
「大丈夫、だいじょうぶ、ダイジョウブ…」
とか言いながら、剛剣振るってエス姉さんを一撃で沈めるマロリガンの青スピ。
「ククク、切り裂いてやるよ」
「ここが、死に場所か、、、」
大概切り裂かれる側のツインテールの黒スピ。
>>1乙セリア
「ボク」が一人称の緑スピ。
快活さと健気さを感じる動的な癒し系。〈4〉
>>1シアー
オカッパの青スピ。
もはや誰もが忘れてる【血涙】のイナリの外見イメージはあんな感じ。
でも最近は424@保管庫管理人のクォーリンの影響で戦闘服はチャイナ系。
もう二度と少なくともここでは作品の登場人物として陽の目を見ることは無いだろうけどね。
>>1乙ファリル
「楽勝だ 我々にかなうはずがない」
たった一人残ったATカワイソス(´・ω・`)
稲妻部隊を倒すと、「……ごめんなさい、コウ、イ……さま」
とか言ったら対マロリガンへの心持ちもそがれるかも。
<6>
>>ヘリ乙っ
>>9さんと同じく、後ろ髪跳ねボクっ娘緑スピ。
投擲等の仕草がなんとなく猫っぽく感じる事倍率ドン。<7>
>>1 乙ントール
おかっぱの黒スピですかね。
「こうしなきゃ私もひどい目に…」
「うぅ、ヤなのにぃ…」
無理矢理戦わされ、悲壮感漂うこの娘に一票。<8>
14 :
12:2006/04/26(水) 23:25:28 ID:u0ZTahiy0
訂正するなら容赦しないよ ボクだって>>1乙なんだ!!
>>1乙オリン
敵雑魚スピは実は印象に残ってなくて…。
あえて言うならユートの道程奪ったある意味メインヒロインを超えた赤スピ。怒りのアセリアにぶった切られたけど。〈10〉
>>1ルーグゥ・ダイ・ラキ乙
ムードメーカーっぽい緑のボクっ娘。
ぶっちゃけこの娘に人気集中するかと思いきや、
結構みんな愛されてて感動w<11>
ロティSSきぼんぬ
>>1乙ウルカ
最初の赤スピには随分お世話になりました。<13>
カビが生えてむしろ発酵する位に使い古されたネタを。
Gヘリオン「ユート様!ついに念願の上位永遠神剣を手に入れましたよ!」
コマンド?
ころしてでもうばいとっちゃうよ〜
なかまにならないか
ゆずってくれ、たのむ!
ちちおやのひょうじょうであたまをなでてあげる
のりかえる
へりおんたん、はぁはぁ
たいむしふと
ひかぬ!こびぬ!かえりみぬ!
そのとき、いでがはつどうした
しっているのか、げっこう!
うほっ、いいしんけん!
や ら な い か
てぢかなしげみにつれこむ
うえうえしたしたみぎひだりみぎひだりすたーとぼたん
あせりあのてりょうりをたべさせる
もんすたあ さぷらいずど ゆう
うるかのてりょうりをたべさせる
くぉーりんのてりょうりをたべさせる
ザンギュラのレバー入れ大ピンチスーパーダブルウリアッ上
父嫁END
あの世で俺に詫び続けろ、オルステッドー!
→ ゴルゴムの仕業だ!
むしろ、スルー推奨
確かみてみろ!
むしろナナルゥ人をくれ
そこでインド人を右に
ジャンプ大ピンチ食パン味噌ラーメン
即死防止の足しにカビ生え路線に便乗してみる。
ハリ「おい、おまいら!!夕食ができますた。食堂に集合しる!」
ヒミ「詳細キボンヌ」
ハリ「今日はハトゥラですが、何か?」
ネリ「ハトゥラキタ――――――――――」
シア「キタ―――――――――――」
ニム「ハトゥラごときで騒ぐ奴は逝ってヨシ」
ハリ「オマエモナー」
セリ --------終了-------
ネリ --------再開-------
ニム「再開すなDQNが!それより肉うpキボンヌ」
シア「ラナハナうp」
ファ「↑誤爆?」
ヘリ「リクェムage」
ヒミ「ほらよ肉>家族」
ネリ「神降臨!!」
ヘリ「リクェムage」
セリ「糞リクェムageんな!sageろ」
ヘリ「リクェムage」
ニム「リクェムage厨uzeeeeeeeeeeee!!」
ファ「ageって言ってればあがると思ってるヤシはDQN」
エス「イタイ スピリットが集められたのはこの詰所ですか?」
ハリ「氏ね」
ヒミ「むしろゐ`」
ヘリ「リクェムage」
ニム「ヘ リ オ ン 、 必 死 だ な ( 藁 」
エス「そんな事よりきいてくれよ。ハトゥラとは関係ないけどさ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)」
〜台所の片隅にて〜
ナナ「ふふっ漏れはsage進行でマターリと肉を食うわけだが(藁」
「俺達はとんでもない思い違いをしていたんだ。いいかみんな、この暗号【小五ロリ】を組み替えてノイズを取ると、出てくるのは340年なんだ」
「……なんだって。340年といったら、まさか」
「……そう。聖ヨト歴340年と言えば、あの年だ。かの大賢者ヨーティア・リカリオンがマナ・エーテル機関に代わる、
新たなエネルギー理論の構築に成功した年。このことは人類の歴史に燦然と輝く偉業と言っていいだろう」
「だけど……それがナンダッテ言うんだ? 確かにすごいことだけど、普通の事じゃないか。何も引っかかるところは感じないぞ」
「ああ、そうだな。だけどこのエネルギー理論の根幹に、誰にも分からないように有る言葉が隠されているとしたらどうだ?
一般人には意味がない。けれど特定の人々にとっては途方もない力を秘めた言霊が!!」
「言霊だって!? 隠されているってどういう事だよカレキバヤシ!!」
「この言葉は……あまりにも危険なんだ。推測だが、きっといつか高潔な人々がこの秘密に気付いてくれるように、とヨーティアが埋め込んだのだろうと思う」
「一体それは何なんだよ! もったい付けないで教えてくれ!!」
「ああ……その言霊とは、すなわち――――
E(エスペリア)=m(メイドさん)cc(シーシー)
だったんだよっっっっっっ!!!!!!
「円月を模したこの動き、見切れますか!」
「ふむ、回転運動を行う場合、自身の質量と共に剣先にかかる遠心力が非常に大きな要素になります。
具体的には速度^2/半径、すなわち磨きぬかれた速さと類稀なる貧乳g」
「そ、それって私のことですかぁ〜っっ!!」
高嶺悠人の呼ばれ方リスト
・ユート
・ユート様
・ソゥユート
・エトランジェユート
・ユート君
・ユート殿
・悠人
・悠
・ボンクラ
・ヘタレ
・パパ
・お兄ちゃん
・お父さん
・先輩
・契約者
・勇者殿
思い出せる範囲で数えてみたらすごい数になったな・・・
なんか忘れているものもあわせたらもっと多くなりそうだ。
>>21 ゴルゴムの仕業だ!か。懐かしい。前スレの一発BLACKネタあったけど、
やっぱクロスオーバーって面白そうだなぁって思う。……地雷になりやすいけど。
>>26 まだ
悠人さん
坊や
ユウト
高嶺
ってのもあるな
>>28 (;´∀`)すっかりおbsnのこと忘れてたよ
あとは……
悠人先輩(小鳥)
聖賢者ユウト(テムオリン・タキオス)
ユートさん(聖緑のエスペリア)
とか?
オルファはやはりファーレーンのことをファーレーンお姉ちゃんと呼ぶのだろうか。
ニムがふくれそうw
ところで、ロティ君なのだが、かれはハイペリアで生存可能なのだろうか?
『紡ぎ』が有れば大丈夫かな?
32 :
ちゅういがき:2006/04/29(土) 03:07:01 ID:UqSPYq6C0
寛容な人だけ、読んで下さい。
優しい人だけ、読んで下さい。
怒らない人だけ、読んで下さい。
なお、この作品に出てくるキャラクターは、全員18歳以上です。
それを忘れないで下さい。疑ってはいけません。
悠人の朝のまどろみは、幼い悲鳴に破られた。
感情の炸裂。この世の終わりの様な叫び声。
「痛ーーーーっ!! 痛だだだだだだ!! 痛い痛い!! ユート様、痛いーーーーーーーっ!!」
何事だ!? と起きかけ、下半身を襲う猛烈な快感に気付く。
「な……ななな……!?」
開けた目に飛び込んできたのはネリーの裸体。
つるでぺたなその光景は、ソ○倫に喧嘩でも売っているのかと思える程の犯罪的絶景である。
慌てて下に目を向ければ、快楽の源である自分の♂は視界に入らない。
それもそのはず、ネリーの♀にみっちりと飲み込まれてしまっている。
悠人、瞬時に覚醒。
「痛だだだだだだ!! おっきくなった!! おっきくなってるーーーーーーーー!!」
耳の奥には、
「わ……すごい……ユート様のこんななんだ……。
これを……本で見たのだと……こう、すると……うわぁっ!? ほ、ホントにおっきくなるんだ……。
おっきいし、あったかいし……うわぁ、なんかすごい脈うってる……。
こんなにおっきなの、ホントにネリーの中に入るのかな……。
でも、シアーのマンガだと、これ入れてたし……。
(※シアーの名誉の為に付け加えますが、一般向けの少女漫画です。
ですが、成人向けでも無いのに18禁もびっくりな程えっちい漫画って、けっこうあると思いませんか?)
ネ、ネリーは、くーるな女だから平気だもん!!
だいじょうぶ、だいじょうぶ……。
よ……よーし、これを、こう……うわぁ!? 今、びくって動いた!?
う、うわぁ、ぴくぴくしてるよぉ……。
……うぅ……やっぱりちょっと怖いかも……。
で、でもでも、ネリーはくーるな女なんだから……!
一気に入れちゃえば、きっと平気だよね……。
いち、にの…………えいっ!!」
というネリーの声が残っているような気もするが、既に状況は夢と現実の境を探っている段階では無い。
思い切りの良さはさすがネリーというべきか、本当に一気に腰を落とし込んでしまった様で、悠人の♂はネリーの♀に、ぶっすりと突き刺さっており、押し込んでいる感触すらある。
ネリーはあまりの痛さに腰が抜けたか身体が強張ったか、泣き喚きながらも腰を持ち上げる事も出来無いで悠人の上に乗っかったままだ。
要するに、ネリーの全体重をかけて、ぶっすり差し込まれたままというワケだ。
「もうダメ、死んじゃう!! ユート様、何とかしてー!!」
もうダメになりそうなのは俺の方だ、などと言ってる余裕も無い。
悠人も健康な若い男子。
しかも暫くご無沙汰で、夢精してもおかしく無い状態、つまりは装填完了な状態だった。
ネリーの♀はきゅうきゅうときつく悠人の♂を締め付け続けている。
加え、ネリーが痛みに体を強張らせると♀もそれに合わせて、きゅっと締まり、悠人の♂に刺激を与える。
更には、それがネリーに新たな痛みを与え、また体を強張らせ、♀は○○○で×××。
悠人の♂は、ぎゅっぎゅ、ぎゅっぎゅと間断無く刺激を与えられ、もう△△△が□□□で◎◎◎。
この問答無用のキモチヨサは、悠人の趣味がどうこうとか、ロリがどうこうという以前の問題だ。
「ユート様、ちっちゃくして!! もうダメ、裂けちゃう!!
そんなに押し込まれたらお腹がつぶれて、中身がでちゃうーーーー!!」
中身が出ちゃうのは俺の方だ、などと言ってる余裕も全然無い。
悠人の♂が大き過ぎるという事は無い。その筈だ。
単純にネリーの身体が小さすぎるのだ。
18歳以上とはいえ、ファンタズマゴリアと地球とでは一年にかかる日数が……いや、考えまい。
自らの首を絞める必要は無い。
とはいえ、自らの首は絞めずとも、悠人の♂はネリーの♀に締め付けられたままだ。
ネリーの♀はきつく、優しく、ゆるゆると、きゅうきゅうと、温かくうねり、包み込み、悠人の♂を締め付ける。
(´Д`)
限界ギリギリの思考の中で、悠人は自らに問いかける。
どうする!? どうなる!?
ここは一度、快感から気を逸らすべく、別の事を考えねば!!
そうだ、こういう時は光陰の事を考えるんだ!!
そうすれば、気も収まる筈だ!!
我ながら名案と、悠人は脳内に光陰を思い描く。
瞬間、待ってましたとばかりに脳内に光陰登場。
脳内光陰は、滂沱の涙を流しながら、悠人の肩に手を回してきた。
『そうかそうか、やっぱり悠人もそういう趣味だったんだな。心の友よ。
ネリーちゃんを奪われたのは悔しいが、悔しいがッ!!』
脳内光陰、マジ泣きだ!!
つーか、一緒にするな!! 心の友じゃねーっ!!
『自分に嘘つかなくていいんだぜ、悠人よ。安心しろ。俺はそれくらいで友人やめたりしないからよ』
友人やめてくれ、寧ろ生きる事自体やめてしまえ!!
『見ろ、ネリーちゃんの慎ましい胸を!! これぞ少女の背伸びする初々しさ、無垢さの具現!!
それにその……はっきり口にするのもなんだが……見てみろよ、ネリーちゃんの♀をさ。
卑猥でいやらしい、だがその一方で純情且つ可憐。
女と少女の同居! 二律背反の共存!! 危ういバランスの上に成り立つ神々しさ!!
これを奇跡と言わずに何と言う!!!!』
黙れーーーーーーーー!!!!
悠人は頭を振って否定するが、一度現れた脳内光陰は消えやしない。
それどころか、頭を振った余波でネリーが更に痛がるばかり。
「いたーーーっ!! ユート様、動かないで!! いたいいたいいたいいたいーーー!!」
「ああああ、ごめんネリー!!」
もうどうしようも無い。
「ネ、ネリー。ひとまず抜こう。
じゃないと、なんて言うか、色々と……ヤバイ」
『ヌク?』
脳内光陰の戯言は、無視する。
「えっ?」
悠人の切羽詰った声音に、はっとした様に、ネリーの表情が苦痛以外の色にゆがんだ。
「ご、ごめんなさい、ユート様。私、ユート様に気持ち良くなってもらいたかったのに……ぐすっ。
ネリー、やっぱりダメだったね……ぐすっ」
目を潤ませたネリーを見て(泣いてたのはさっきからなのだが)、悠人に倒錯的な感情が湧き上がる。
健康的でみずみずしいネリーの裸体が、目の前に惜しげも無くさらけ出されている。
成熟しきっていないとはいえ、ネリーがまぎれも無い女である事は、合体してしまっている下半身がこの上無くはっきりと物語っている。
なんだかんだでネリーは可愛い。これは事実として動かしようが無い。否定し得ない事実なのだ。
「ネリーは可愛いよ。凄く魅力的だって」
「ほ、ホント? ユート様、ホントに?」
「本当だって」
「ユート様、ネリーの事、嫌いにならない?
子供だからダメだって、思わない?」
「嫌いになんかならないって。ネリーはとっても可愛いよ」
『これだ!! この背徳感が俺を獣にするんだ!!』
脳内光陰が叫ぶ。
もしやこの男が仏道に帰依しているのは、背徳という名の快楽を得る為ではあるまいな?
……否定しきれない。
『悠人、もう第六隔壁から第四隔壁までは突破されたぞ!!
いい傾向だ!! このまま堕ちてしまえ!! 俺もすぐにイク!!』
脳内光陰の言ってる事は良く解らないが、言わんとしている事は解る。
要するに、悠人の下半身の状況が非常にヤバイという事だ。
ありったけの理性と倫理観を動員し、噴出しそうなあれこれを押し止める。
「き、今日のところは、ひとまず、抜こう。
ネリーを嫌いになんかならないからさ。な?」
「ゆ……ゆっくり、ね。痛くしないでね」
うるうると涙目で懇願してくるネリーに、またも倒錯的な感情が呼び起こされかけるが、
「わ、解った。なるべくゆっくりするから」
『求め』の干渉を幾度も幾度もはねのけ続けてきた鋼の意志で、その感情を無理矢理に押さえ込む。
ゆっくりゆっくり、慎重に慎重に♂を引き抜いていく。
ずりっ。
「いだだだだだ!!」
ほんの少し、悠人の♂が引き抜かれる。
それに伴い、内側に巻き込まれていたネリーの♀が引っ張り出され、余計に淫猥な光景になった。
真っ赤に充血し、実際に鮮血も染み出し、絡んでいる。
「いだだ、痛い痛い!! ユート様、これ以上おっきくしないで!! びくびく動かさないでーーーーーーーー!!」
ネリーの♀は悠人の♂に密着し、きつくきつく締め付け続けている。
故に、悠人の♂が動けば、ネリーの♀も引っ張られ、引きつれ、傷口は広がってしまう。
引きつれるのも限界の♀内部を擦られるのは、今のネリーにとって痛み以外の何物でも無い。
一方、悠人。
♂の裏側の敏感なところを、きつく、柔らかく、激しく、思い切り刺激され、今までよりももう一段ヤバイ階段を上った。
『第三隔壁、第二隔壁、崩壊!! 最終隔壁も限界間近!! いいぞ、この調子だ!!』
脳内光陰が叫ぶ。
これはもう一気に引き抜いてしまった方が良いかも知れない。
と言うよりも、これ以上は何もかもがもう持たない。
「ネ、ネリー、一気に抜くから、ちょっとだけ我慢な」
不安げな表情でネリーが言う。「一気に抜くの?」
不安げな表情で脳内光陰も言う。『一気にヌクの?』
「違う!!」
「ひうっ!?」
「ああ、ネリーごめん!! ネリーに言ったんじゃ無いんだ。
俺も混乱してて……ああいやまずはそれよりも、ちょっとだけ我慢してくれるか?
やっぱりずっとこのまんまじゃやばいから、一気に引き抜いちゃおうと思うんだ」
「う、うう〜〜〜〜〜。わかったよ、ユート様。でもなるべく優しくね」
「うん、解ってる」
『優しくしてね?』
オマエは黙ってろ、って言うか、頼むから静かにしていて下さいお願いします。と、自ら生み出してしまった脳内光陰に、頭の中で頭を下げる。
やはりこの男が出てくると、変な方向に収拾が付かなくなる。
光陰をこの場面で考え出してしまったのは、正に不覚だった。悠人は今更ながらにそう後悔する。
悠人、ネリーの体を支えるべく、腋の下に手を添える。
「うひゃイダダダ!! ユート様、くすぐったイダダダ!! 痛い痛い!!」
本当にもう、どうしようもない。
不可抗力とはいえ、ネリーが動くせいでネリーは痛いし、悠人はいよいよヤバイ。
『最終防衛ライン、突破!!』
最早、脳内光陰の相手をしている余裕など微塵も無い。
最後の気力と根性で、ネリーの体を持ち上げたその時、
「ユート様!! どうしました!?」
ばたん!! とエスペリアが戸を開けて部屋に飛び込んで来た。
絶妙のタイミング。そうとしか言い様が無い。
「え?!」
ネリーの体は元からすべすべな上、汗だくで滑りやすくなっていた。
で、ネリーの体を支え、持ち上げていた悠人の手が、動揺に滑った。
と言う事はつまり、ネリーの体を支えるものは何も無くなるワケで。
重力というものは、万物に働くワケで。
ずんっ!!
根元までぶっすり。
「ひぐっ!?」
ネリー、意表を突かれ、最奥も突かれ、あまりの痛さにしゃくりあげるように息を呑む。
同時に♀もぎゅうっと収縮。
悠人、限界突破。
『エネルギー充填120%!!』
『発射!!』
あ〜〜〜〜〜〜ーーーーーー…………。
もう一回(´Д`)
ネリーが第二詰め所にいない事に気付いて探しに来たハリオンが、泣き喚くネリーの♀にアースプライヤーをかける。
ハリオンのにっこりとした笑みはいつもと同じく悠人にも向けられ、悠人は居た堪れない気分になった。
ハリオンは濡れタオルでネリーの♀を優しく拭いてやる。
「ユート様、たくさん出しましたね〜」
「……」
「ユート様、すごく気持ち良かったんでしょうね〜。よかったですね〜」
ハリオンの言葉に、ネリーは顔を上げた。
「そ、そうなの?」
「はい〜。ね、ユート様〜」
「そうなの? ユート様。気持ち良かった? ネリー、ユート様を気持ち良くできた?」
上目遣いで、潤んだ不安げな瞳で、ネリーは悠人を見る。
「あ、う、うん。凄く、良かった」
悠人の言葉に、ネリーは向日葵の様ににぱっと笑う。もういつも通りの笑顔。
しかし、その無垢さは、時に残酷だ。
ハリオンの隣では、ハリオンと一緒にネリーを探しに来たセリアが、侮蔑の眼差しを悠人に投げかけている。
悠人の隣では、エスペリアが、表情の読めない笑みをたたえている。
セリアは、無邪気にバイバーイと手を振るネリーの首根っこをひっ掴んで引き摺って行く。
口を利くのも汚らわしいといった感じで悠人を一瞥してから。悠人は死にたくなった。
汗と涙。悠人の精液と、ネリーの破瓜の血。
それに加え、とどめの一突きによりなされてしまったネリーのお漏らし。
それらで汚れたシーツを纏めながら、エスペリアはにっこりと微笑んだ。
「こんな間違いを二度となされませんよう、私が身を挺してでも悠人様を正しき道へと戻して差し上げますね」
「ひいっ!?」
悠人は何らの反論も出来なかったが、そのエスペリアの笑みを前にしていたという事を鑑みれば、彼をヘタレと呼ぶ事など出来はすまい。
悠人は一日かけて、しっかりとしぼられ、というか搾り取られた。
それはもう。赤玉が出なかったのが奇跡と思える程に。
さて、ネリーはと言えば、今回ばかりは多少なりとも反省しただろうという周囲の予想をあっさりと裏切り、
「今朝はネリーが、ユート様をくーるな女のミリョクで満足させちゃったんだから、今度はユート様がネリーを気持ち良くする番ーーー!!」
と、干からびかけた悠人に夜這いをかけたという。
「ユート様には、ネリーを大人の女にしたセキニンがあるんだからねーーー」
だそうだ。
おまけに「シアーもー」と言う声も付いてきたとか。
死を前に、生殖本能は活性化するとはいうが……。
……天国は地獄に近いのかも知れない。
45 :
あとがき:2006/04/29(土) 03:50:18 ID:UqSPYq6C0
新人さんも入って来ている様子なので、洗礼を。
……ごめん。
むしろ、僕の方がとっとと逃げ出すよ。
恥ずかしいったら無いさ。
じゃあ。(脱兎)
>>45 いえいえ、朝っぱらから笑わせて頂きました。
アレなシーンの連続で笑ってしまうというのもどうかとは思うんですがw
なんというか、支援氏の(´Д`) みたいな感じで。
>一気に入れちゃえば、きっと平気
そ ん な わ け な い だ ろ w
ネリー、くーる杉。もう少し落ち着いて行動しましょう。
久々に雑魚スピスレなもんを堪能さしていただきました。
笑えたっつうかなんつうか、ネリーが色々な意味でくーる杉。
ていうか、ふつーに本当にやりそうなのがなんとも。
…で、シアー何を描いてるんだ何を。
ヒミカもといファイヤー☆ミカ先生のアシの延長つうかデビュー作か?
しかし、少女マンガも昔と今とでは随分と変わったよなあマジで。
>>45 ネ申
なんかわからんが俺は感動の余り泣いている
49 :
名無しさん@初回限定:2006/04/29(土) 13:44:18 ID:8A4CraoV0
>>45 GJ!!!!1wwwwwww
エロイはずがなんなの?このこみ上げてくる可笑しさはwwwwww
>>45 ネ リ ー ち ょ ぅ く 〜 る ♪(´Д`) ハァハァ
あれ、GJして滾る煩悩をごまかすつもりが……
セリアさんに視殺される者が一人追加のようです。
うろたえる悠人と痛がるネリーだけでは
恐らくこんな気持ちには成れないかもしれません、
脳内光陰の威力にもやられました。
>>45 なんだかとってもネリーですね。
ここはひとつ、「GJ!」ではなく「くーる!」と言わせて頂きましょうw
つか、光陰艦長、地球に帰って来て下さいw
ところで、アースプライヤーでアレが再生されてそうな気がするのだが。
術者がハリオンだけに。
つまりスピ達は戦いに臨む度に再生されて帰ってくると
>>52 「あの驚羅大四凶殺から早数ヶ月…」
「死闘の日々がまるで嘘のようじゃのう」
アセリアとセリアは幼馴染です。
二人は物心ついた頃、一緒にエルスサーオに転送されてきました。
以来、遊ぶのもご飯を食べるのも訓練を受けるのも寝るのもいつもいつも一緒。
同じ青スピリットだったこともあり、二人は絵に描いたような仲良しさん……とはいきませんでした。
生まれた時から何を考えているかよく判らないアセリアはともかく、
セリアは何をやっても敵わないアセリアを密かに敵対視していました。いけませんね。
そんなある日のこと。
へとへとになって訓練から帰って来たセリアは、いつものようにまっすぐに食堂へと向かいました。
調理場にある、ちょっと背の高い戸棚。そこに、エスペリアお姉ちゃんがおやつを用意してくれているからです。
セリアは形成し始めたポーカーフェイスの影でいつもそれを密かにかつ絶大な楽しみにしていました。
こんなところにも素直になれないツンデレの気配が芽生えつつあるようです。
「……ん〜〜〜〜」
背伸びをして、やっと扉に触れる手がぷるぷると震えています。何だか必死もとい、一生懸命で微笑ましいですね。
後ろから見るとくびれた腰の真っ白な肌や太腿からお尻の端辺りが見え隠れしてしまっているのですが、全然平気。
成長期なので服の裾が短くなってしまっているのはしかたがありませんが、そろそろ恥じらいも覚えて貰いたいものです。
身を捩じらす度に擦り寄せられる太腿や揺れるポニーテールなどはその手の趣味の方には堪らないものですから。
そんなことはどうでもいいのですが、おやつ。それは子供にとって一日を乗り越えるための、魅惑に満ちた甘い宝石。
きゅぅ、と可愛く鳴ったお腹を癒してくれる、魔法のような宝箱。戸棚を開くとそこにはふんわり良い匂いが――――
「……あれ?」
しませんね、匂い。不思議そうに手をぱたぱたさせていますが、虚しく空を切っています。
ああ、神剣を突き刺してみるのはやめなさい。意味がない上、『熱病』が心底嫌そうな気配を放ってますから。
「む〜〜〜」
ようやく諦めたのでしょうか、華奢な両腕を組み始めるセリア。
少し考え、きょろきょろと辺りを探し始めます。すぐに部屋の隅にあった椅子を見つけました。
「……ふふん♪」
そして得意げにそれを戸棚の前まで引き摺り、その上にジャンプ。
おお、するとどうでしょう。戸棚の扉がこんなに近くになったではありませんか。
これなら簡単に中の様子を窺えます。そうです、それが知恵というものです。
自分の頭の良さに満足したのか、あどけなく微笑み小さくガッツポーズ。大変よく出来ました。
……というか、最初からそうしなさい。バナナじゃないんだから。
ようやくサル並みの思考に追いついたようですね。セリアのLv.が上がりました。
「ん〜……」
上手く安定しない椅子の上で、ニーソックスがふらふらとバランスを取っています。
きゅっと締まった脹脛が健康的な色気や訓練直後の芳香を醸し出したりしてるのは最早誘っているとしか思えません。
飛び跳ねた拍子に戸棚に軽く引っかけたままのスカートのせいで、水玉パンツが丸出しです。
まだノーブラなので、背中に貼り付いた戦闘服から紐とか透けて見えないのは不幸中の幸いでしょうか。
それでもじっとりと汗ばんだうなじとか、んっ、んっ、となにやら悩ましげな吐息を漏らしているのがどうしようもなくハァハァ
==検閲により削除されました==
「えいっ」
両手で元気に扉を開き直した後、戸棚をそろそろと覗き込みます。
中には大きな白い皿が、一枚だけ、ぽつん。後には全然何も完璧にありません。
「………………あれ?」
セリアは呆然としました。
匂いは残っているので、エスペリアお姉ちゃんが用意し損ねた、というのはありえません。
というかそれはなるべく考えたくもありません。
どちらに転んでも自分にとってロクなことにならないのは充分に経験済みですから。
となると考えられるのは、さっき訓練途中でぱたぱたと空中滑空して行った何を考えているやら判らない幼馴染。
「…………アチェリア!」
興奮して、つい少し噛んじゃいました。
これもお姉ちゃんの教育の賜物でしょうか。まぁしかし、落ち着けと言っても無駄でしょう。
あまりにも短絡かつ直情的といえなくもないですが、子供の情報認識なんてこんなものです。セリアですし。
「……敵ね……どこっ!」
最早敵扱いですか。
そんな訳で、とりあえず確信犯を決め付けたセリアはその瞬間ハイロゥを広げ、食堂を飛び出していきました。
屋内で迂闊に広げたせいでエスペリアお姉ちゃんの大事な食器が乾いた嫌な音を響かせましたが、聞こえていません。
伸び始めたポニーが逆巻くほど逆上したまま『熱病』を使ってアセリアの気配を探り始めています。
なにせ、良くも悪くも腐れ縁。アセリアの気配くらいはすぐに掴める自信を密かに持っているのです。
実は、常にどうでも良さそうな気配を探ればいいのですから誰にでも追えるのですが、それはいいとして。
それより、そんなことに神剣の力を使わないように。
ああほら、簡単に『熱病』の意志に飲まれそうになって。舌舐めずりまでして、言わん事じゃない。
「ガルルルルル……」
どうみても獣です。本当にありがとうございました。
その頃。
訓練を抜け出したアセリアは、詰所と森に挟まれた狭い空間に、ひとりぽつん、としゃがみ込んでいました。
屈みこんでいるので正面から見ると水玉パンツ丸見えなのですが、当然この娘も気にしてません。
誰も見ていないとかそんな事ではなくて、なにせアセリアですから。
ああ、今気づきましたが、御揃いなのですね、パンツ。大変よく出来ました。
「……ん。美味しいか?」
おや? どうやらひとりではないようです。誰かに話しかけてますね。
よく見ると、小さい真っ白な生き物がうずくまっています。……エヒグゥ、のようです。
怪我をしているのでしょうか、逃げようともしません。
どころか、すんすんと鼻を鳴らしながらアセリアの股間に擦り寄ってます。
なんとうらやましもとい美しい光景でしょう。アセリアは、餌を与えていたのです。傷ついたエヒグゥに。
「そうか。これも食べるか?」
そうしてもう一個、焼きたてのヨフアルを差し出します。
その手をくぅ、と小さく鳴きながら舐めてくるエヒグゥに、くすぐったそうな表情で微笑む蒼い瞳。
そんなアセリアの仕草は、意外とかを通り越して最早驚愕と言っても過言ではありません。
こんな時期もあったのですか。いけませんね。
「…………ふんっ」
をや。建物の影に、いつの間にかセリアが立っています。
遠目にアセリアを見守って複雑そうな表情をしているあたり、どうやら神剣の強制からは逃れたようです。
一時はどうなることかとワクテカ……げふんげふん、無事自分を取り戻したようでなによりです。
出来れば口元の涎は拭って欲しいところですが、垂らしっぱなしもそれはそれで。
ん? 腰の小さなポケットを、何だかごそごそとやり始めましたね。
なんでしょう。そのままアセリアの方へと歩いていきます。
最初にエヒグゥがぴん、と耳を立て、それからアセリアが気づいて顔を上げました。
「セリア?」
「……ほら、これもあげて」
「…………ん。さんきゅ」
そうしてぶっきらぼうにセリアが差し出したものは、一個のヨフアル。
一瞬きょとん、としたアセリアでしたが、それを素直に受け取ってエヒグゥに与えます。
嬉しそうに啄ばむエヒグゥを挟み、穏かな蒼い瞳でそれを眺めている二人の少女。
森が優しく見守っています。柔らかく照らし出す木漏れ日。大変良く出来まし――――おっと。
危うく綺麗にまとまってしまいそうになりましたが、なんだか変ですね。
そうです、セリアです。一体そのヨフアルはどこから出したのでしょうか。
少し時間を巻き戻してみましょう。タイムシ(ry
「育ち盛りなんだから、しょうがないじゃない。うん」
なんということでしょう。
実は訓練前にこっそりアセリアの分を横取りしていたのです。ずるです。大ずるです。
どっかのおbsnもびっくりの反則設定ですね。澄ました顔して独り占め。
逆ギレし易い性格もここまでくれば筋金入りです。しかも恐らく決して確実に口を割らないでしょう。
今では自分を棚に上げて他人の突っ走る行動に難癖をつけてくる位ですが、むしろ大人しくなったのかも知れません。
しかしそんな恐ろしい裏事情をものともせず、見つめあう二人の背中には友情の二文字が。
女の娘はこうして胸に秘密を詰め込んで、ちょっぴり大人への階段を昇っていくのですね。うんうん。
「……今度はラナハナを持ってくる」
「……セリア、苦手だから」
「違うわよ……ばか」
そして二人は帰りました。いつの間にか仲良く手を繋いだりなんかして。
引きちぎられたままのスカートの裾から、お揃いの水玉パンツを風になびかせつつ。
ところでセリア、散乱した調理場は、どうエスペリアお姉ちゃんに言い訳するのかな?
今日「エスペリア、怒らなかったの?」
エス「え? え、ええ……」
ウル「む? いささか歯切れが悪いようですが」
エス「そ、そうですか?」
ナナ「怒らなかったのですか? それはある意味驚愕に値します」
今日「ナナルゥ、なにもそこまで」
ハリ「エスペリアさんにもぉ〜、お話したくないことわぁ〜、あるんですよ〜」
今日「そうね。あんまり主題と関係ないし。ごめん、エスペリア」
エス「いいのです……どうせわたくしは汚れてますから」
今日「?」
ファ「なるほど、アセリアさんは優しいのですね」
ニム「……うん」
ネリ「へへ、セリアも優しい」
シア「お菓子……シアーもあげたかったなぁ」
悠人「へぇ……普段そっぽ向いてばっかりのくせに、意外だな」
光陰「ああ。一寸の虫にも五分の魂。アセリアに仏の御心を見た」
今日「微妙に言ってることが判んないわよ。褒めてるの?」
クォ「くす。コウイン様、照れていらっしゃるのですよね」
ウル「それはそれとして、美しいお話です」
オル「うん! アセリアお姉ちゃん、優し〜」
アセ「…………ん」
ハリ「あらあら〜。アセリアさんもぉ、照れてらっしゃいますぅ〜」
ネリ「それでそれで、結局そのエヒグゥはどうなったの〜?」
シア「の〜?」
悠人「ああ、それは俺も興味あるな」
エス「あ、ちょっと」
アセ「ん。美味しかった」
ヘリ「ふぇっ?!」
悠人「…………」
ネリ「…………」
シア「…………」
光陰「…………誰が調理したんだ?」
セリ「……確かハーブを食い散らかされた事があって」
エス「あ、あれはその、そう、若気、若気の至りなのです!」
今日「至りって……」
ナナ「確かに食用ではありますが……私でもそれはどうかと思います」
セリ「あの頃は胃袋に入ってるなんて判らなくて……泣きながら探したっけ……」
ヘリ「セリアさん……なんでそんなに遠い目なんですかぁ」
アセ「ん。大切な思い出」
悠人「違うだろ」
アセ「違うのか?」
ウル「いえ、そこで手前に訊かれても……オルファ殿?」
オル「ぐずっ……うぇ、うぇぇぇ〜」
ニム「あ〜あ、泣かせちゃった」
ナナ「トラウマを著しく刺激されたようです」
ファ「あ、あはは、ニ、ニムほら、向こうへ行きましょう」
今日「……感心したあたしが馬鹿だったわ」
クォ「……甚だ不本意ですが、キョウコ様に同意です」
今日「どういう意味よ」
クォ「深い意味はありません」
ヒミ「ほら泣かないでオルファ。まったく、だから最後まで書かなかったのに」
アセ「ん? なんでだ?」
ヘリ「アセリアさん……ホントに判ってないんですね……」
ハリ「あのぉ〜非常に言いにくいのですけどぉ〜。今日のお夕食わぁ〜」
悠人「うわああああ! 待て、言うな! それ以上は言わないでくれぇっ!」
61 :
信頼の人:2006/04/30(日) 10:46:04 ID:lGIqfQxI0
当時ラキオスは台所事情が厳しかったのです。それは本当なのです。(大嘘
誤字脱字ハリオンマジック等御指摘があれば幸いです。
この時期に再演ってもしかして・・・
まあ、GJ。
祝・子供劇場復活!
て事でGJであります。
セリアのレベルアップにワロタです。
結末はさすがエス様ですねw
ここでさらりとさらに致命傷を与えてくるハリオンに痺れるぜ!
アチェリアww
なんか青い小馬の系譜が脈々と続いているここはラキオススピリット隊。
二人のナウシカ……カワイソス
若気……オソロシスw
そしてオルファの部屋の勉強椅子に真新しい毛皮の敷物が。
色々と大切な(美味な)思い出がまた一つ。GJでした。
でもアセリアは……もう一回読むと、
餌をやってるのは太らせるためとしか思えません。いk(ry
検閲前(1レス目)
>戸棚を開くとそこにはふんわり良い匂いが――――
>しませんね、匂い。
検閲後(2、3レス目)
>両手で元気に扉を開き直した後、戸棚をそろそろと覗き込みます。
>匂いは残っているので
おbsnもびっくりなタイムシフト?
……ん、この時点でセリアは獣の嗅覚を身に着けていたようです。
戸棚に顔を突っ込んでくんかくんか。
ところでセリア、アセリアの分を横取った時に戸棚はどうやって開けたのかな?
訓練前も椅子を使ったんなら、訓練後もすぐ使えば……『熱病』にマインド減らされたかっ。
>>62さん
んーと時期って程のものはないのですが、
この間保管庫で絵を描いて頂けたのが嬉しかったあまり、
せめてものささやかなお礼のつもりで書きました。
>>63さん
復活というか、番外編みたいなもので(汗
エス様には今回も汚れ役を買って頂きました。素晴らしい女性です、ええ。
>>64さん
ハリオンにオチるのは決めていたのでそう言って頂けると嬉しいですw
>>65さん
毛皮って……そこまで黒くは流石に書けません。報復がオソロシス(エレメンタルブラスト
アチェリアはどうかと思いましたが、良かった……のかな?
>>66さん
うは。ものの見事な御指摘にぐうの音も出ませんorz
最初のヤツは「○:皿×:匂い」の誤字です。
いえ、ここまで訳ワカラン勘違いで言い訳にもなりませんが(汗
で、二つ目……あはははは(←笑って誤魔化すな
こっちは保管後の修正依頼も出しようがないので、このまま晒しておくことにしますorz
>>61 遅ればせながらアチェリアにワラタです。
まぁ噛み噛みお姉さんの影響受けてたらしょうがないんでしょうけどw
>>69 いつの間にか本スレの勢いを上回ってるなw
, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
( リ〈 !ノルリ〉))
((((( / ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( リクェムageが通ります。気にしないで下さい
~ ̄> ̄> ̄> ヽ
…いや、なんとなく貼ってみた
>>70 まぁ、その勢いの数%ぐらいはここの蓄積が直接か間接か支えられてる
という見方もあるし、向こうの勢いがここに還元されたり(
>>67)もする。
win-winの関係と言ってしまうと胡散臭くなる気もするけどw、
循環というかスパイラルというか築いていけるといいよね。
しかしその一方、ネタが出なくなってきているのは問題だな。
もちろん絵になんらかの触発されるというのもアリだけど、
昨今このスレ本来のネタの応酬が少ないのは寂しいところ。
スレも長いし、出尽くしたという見方もあるけども。
指摘するだけなのもなんだから、一つネタ振ってみるか。滑ったらスマソ。
戦争の合間、スピ達のお茶会。
世間の狭い彼女達の話題は当然ソゥ・ユート最新情報へと移る。
今日のテーマはユート様が嗜好される体型について。
なんでそんな話題になったかは不明だが、ヘリオン辺りが言い出したのだろう。
とにかくこうしてスピ達は、普段のシェイプアップ手段について披露する事になった。
== misson Wild Wild Waist ==
腰回りを争い始めた各々のダイエット法を予測せよ
「普通に訓練していればそんなもの必要ないわよ」
…セリアさん、まぁそう言わずに。
確かにネタが出てこなくなりつつあるけど、新しいネタがでないことよりも長編SSの続きがいつ出るのかの方が気になる
え〜と〜お菓子を美味しく頂いていれば、自然と女性らしい体つきになるかと〜
草笛を吹いていると、腹筋が鍛えられる気がします。
覆面呼吸法が身体全体を引き締めてくれます。
おいおい、ちょっと待ってくれよ。そんなんじゃ駄目だ。ハイペリアではもっとこう小さくてだな、
こぢんまりというかスレンダーなのが受けるんだ。
なあ悠人。そうだよな?(今度の街の巡回俺、セリアとアセリア組みなんだよな。代わってやっても良いんだぜ?)
>74
そういえば某所では催促は悪扱いされていたな。不思議ではある。
ウルカはエキスパンダーで日々精進。
エスペリアは怪しい通販とかで買ったゴムボールの上で仰け反ってるとみた。
>>74 基本、ネタスレだから。
あんまり間隔詰めてスレを占有し過ぎないよう、書き手さんの間で暗黙の了解みたいになってるような。
>>75 そんなん初めて聞いたw>覆面呼吸法
光陰、何気に二人との巡回嫌がってないか?w
>>76 捉え方の問題だと思うけど、催促を激励ととるかプレッシャーととるか書き手さんによって分かれるしね。
「このツインテールが地面と平行にたなびく速度で走り続けるの、いいわね?」
「は、はいっ。がんばりますっ」
「速度が落ちれば、後ろから迫るファイアボールがお尻に当たっちゃうからね?」
「……え」
「返事は!?」
「は、はいっ、がんばりますっ!」
「よろしい。それじゃ私はファイアボールを撃つから。
炎を出すのって、結構汗かくのよね」
「そ、それって労力に大変な差がっ、あ、あ、せめてTのほうでっ」
「それじゃあ私が汗をかけません。よーい、ドン!」
「ひ、ひぃやぁぁああっ!」
……ダイエットじゃねぇ。
エターナルリーグボール1号を習得するためにはウルカのエキスパンダーを体中に巻き付けながら走るんだ。ヘリオン。
ユートさまが褒めてくれるぞ。うん。
え、ダイエット?
おいおい、賢者様特製のサウナを忘れちゃいまいか
「…ってわけで、サウナに入りたいんですけど…」
「あ〜別にいいけど、今はちょっと暑すぎるかもよ?」
「ど、どれくらい暑いんですか?」
「ん〜とね、お〜い、イオ〜!」
「なんでしょう、ヨーティア様」
「ちょっとこん中入って」
「…はい」
バタン。がちゃり(外から鍵閉めた)
…ちゃかちゃかちゃか、ちーん。
「…1分。イオが1分でのぼせるくらい強力だね。う〜ん、前は5分くらいなら耐えられたけど」
「さ、さようならっ!」
レッドスピリットは神剣魔法を唱えるのがダイエットなのか
「じゃあナナルゥ、行くわよ」
「Sir、Yes、Sir。了解であります、ヒミカ」
「また妙な風俗を覚えたわね…まあいいわ、せーのっ」
「ふーーーー」
「ふーーーー」
「ふー…はぁはぁ、ところでヒミカ」
「なによふーーーー、はぁ、はぁ」
「ふーー…ふいこよりヒートフロアの方が早いのでは?」
「うるさいわねヨーティア様の命令なんだからしょうがないでしょ…あ、ヘリオン入ってきた。ふーー」
「Sir……ふーーー」
サウナ風呂の舞台裏。……神剣魔法じゃねぇ_| ̄|○
風呂焚き乙w
さらには薪割りもありますぜw
サウナに入る数刻前のヘリオン。とウルカ。
「切り株に薪を…薪を乗せるのです」
「ちょ、ちょっと待って下さい、私まだギプス嵌めたままで上手く立てられ…わきゃあっ!」
「む、よく避けました」
「避けましたじゃないです!薪です!私を斬ってどうするんですかぁ!!」
「ヘリオン…立派な樵になるのですよすーはーすーはー」
「…お姉ちゃん、鼻息荒い」
と木陰で見守るファーレーン。とニム。
ヨ「
>>82 ワラタ……!
ふむ、笑い声をあげる時に腹筋が使用されるため引き締め効果あり、か」
イ「また何かよからぬことを思いつかれた顔をなさっていますが……」
…………
ヨ「というわけでまたしても来てもらったわけだが」
ヘ「はぅぅ、このメンバーで呼び出された時点で、やな予感がひしひしとしてきますよぅ」
ニ「今度は一体何を作ったっていうの?」
ネ「ぐるぐる回すの? それとも何か飲んだりするの?」
シ「どっちでもないみたいだけど、見た感じは回すほうが近いみたいだよ?」
ヨ「ああ。ちょっとヘリオンここに立ってみてくれ」
ヘ「ま、またわたしなんですかぁっ? うぅ〜、もう目が回るのはこりごりですからね……」
がちゃり。
ヘ「ひっ!?」
ニ「あ、拘束された」
うぃ〜ん、うぃ〜ん
ヘ「きゃあぁぁっっ!?」
ネ「うわー、何か出てきたーっ。すごいすごいっ」
シ「……手がいっぱい?」
ヨ「うむ。笑うと腹筋の良い運動になるというからな。
さて、宣伝の時間だよ。名目は笑式健康腹筋機器だからね」
ヘ「あのあのあのっ。ふゎ、これって、んぅっ、冗談になりま……あ、うくっ、くっ
きゃ、ぁははっ、あははははっ、わきっわきはぁっはははははははっ。
あしぃ、あし、だめぇっあはっ、ははははははっ、とめてっ、ははは、くださいっ……」
ニ「うわぁー……」ネ「すごいね……」シ「どきどき……?」
ヨ「まさか、これほどとは……停止、と」
ヘ「はぁ〜っ、はぁ〜っはぁ〜っ……ふぇぇん、おなか、痛いです〜」
いつの間にかいぢられたヘリオン疲労困憊な流れですなw
「はふぅ、はふぅ……はぁ、もうなんだか当初の目的を忘れちゃいそうですぅ……ん?」
「ここで肘を畳んで腰を捻るのをもうワンセットか、中々面倒なのね……『熱病』で支えて……んっ」
「……セリアさん? そんな隅っこで何やってるんですか?」
「!! ヘリオン?! な、ななな何でもないわ!」
ばさ。
「なんですかコレ……『ハイペリア式シェイプアップ法……byコウイン』?」
「あ、わ、私はただシアーをそそのかそうとしてたから没収しただけよ?!」
「はぁ……」
「普通に訓練してればそんなの必要ないんだから!! さ、さてもう行かなきゃ!」
「あ、セリアさん? って行っちゃいました……どうしよう、コレ」
とかいいつつ興味津々。読み耽る事小一時間。
発汗です。
……具体的に詳細を話すように、ですか。
了解しました、決して饒舌ではありませんが試してみます。
以前にある赤スピリットが発言していました。
「これくらい熱い方がいいのよね 汗かいたら痩せるらしいし」……と。
結果として私のイグニッションの威力向上をもたらしただけでしたので損害は軽微。
逆に相手のロールを考えるとほぼそのサポートに意味はなく……先に進め、了解。
少し、内容を整理します。
………………
…………
……
その出来事を手掛りに赤スピリット三人で一つの部屋に入り、揃ってヒートフロアを発動させました。
暖かい外の空気よりも更に暑い熱気が室内に篭りはじめます。
椅子に座り動きを止めて、熱のある空気を呼吸していると、
じわり、と自分の額や首筋に汗が浮かび始めたのが確認されました。
同じくヒミカ、オルファリル共に顔の血行が促進され頬が薄紅に染まっていました。
その内に目的どおり発汗が盛んになり、三人共に呼吸も少しずつ荒っぽいものになりました。
しばらくは、頬や額の汗を衣服の袖、タオルなどを用いて拭っていましたが、
身体が小さい分水分の減少がより早く堪えるのでしょう。
オルファリルのあご先からぽたりぽたりと水滴が落ちる頃、
普段の戦闘服では耐え切れずに声を上げながら勢いよく立ち上がり、胸元のリボンを解き上着を脱ぎ去りました。
服の中でも熱気が篭りきっており、鎖骨から薄い胸や滑らかな腹部、そして背中にもじっとりと汗が珠になっています。
それだけではなく、靴と、白のストッキングを右足側から順に取り去って、
下着を足から抜き取って、オルファリル特有の最後の一枚を彼女の細い指先で少しずつめくり上げ、
その幼い肢体を全て外気に晒して一度深く息を吸い、濡れた全身を一通り手で扇いだのち、
ヒミカに窘められ、風呂場から持ち込んだ大きいタオルに身を包みました。
もう一度大きく息をついた後、オルファリルが椅子に戻ります。
床に散らばったオルファリルの衣服を手に取ったヒミカですが、
それを畳もうとして手を止めました。思った以上にぐっしょりと湿っていると呟いた後、
彼女自身の服の胸元を掴み、その後に私の衣服の背中や首元に手を這わせます。
その時に、ヒミカの頬から流れ落ちる汗が彼女の襟に吸い込まれるのが目に留まりました。
また、私の首筋を滑った水滴がヒミカの指で拭い取られました。
洗濯のことを考えていなかったと気まずげに発言したヒミカが、
おもむろに靴とニーソックスを脱ぎ始めました。
汗を吸っているためか肌に張り付くようになっていたようで困難な様子でした。
椅子に座って片脚を自分の身体に寄せ、太ももの部分から捲り剥がすようにします。
窓も扉も閉め切っていたために戦闘服のスカート部分が捲れあがっている事にも無頓着でした。
ニーソックスを脱ぐ脚を入れ替えるとき等も、スカートの奥、
脚の付け根、内ももなどが汗に濡れているのが確認できます。
赤色のニーソックスを脱いだ後にも、太ももの肌は血行がよくなって紅潮していました。
その折に私もヒミカに促されて立ち上っていました。
確かに、肌に吸い付いたようになっていた湿った衣服には不快を感じます。
彼女と同じように、まずは身をかがめてニーソックスに手を掛けました。
右ももの内側と外側、その肌とニーソックスの隙間にそれぞれ両手の親指を差込み、
脚を引き上げながら指を下げていきます。
くしゃくしゃと折りたたまれて丸まったようになったニーソックスを床に落とし、
左脚に対しても同様の処置を終えました。
空気が熱いためにすっとすることはあまりありませんでしたが、
押さえつけられていた感触がなくなるのは快いものでした。
次いで、ヒミカが衣服の胸元を緩め始めます。私もそれに倣いました。
上下一体となっている私たちの衣服ですが、水分を含むと随分と重くなります。
ヒミカは開いた襟元を掴み、背中や胸で湿った布地の抵抗を受けながらぐい、と腕を引き上げました。
衣服が上へ脱げていくに従い、徐々にすらりとした脚が露わになっていきます。
脱衣の勢いは緩むことなく白の下着が見え、引き締まった腹筋と臍の周りを珠の汗が転がり
胸に押し上げられた短めの肌着が上着に引っかかって際どく捲りあげられているのが察知できました。
そのまま首から衣服を抜くと、頭部を衣服に包まれていたときの息苦しさから解放されたヒミカは
細く長く息を吐き出し、更に捲れ上がったままの上の肌着に手を掛けはじめます。
その様子を見て私は臍辺りまで上着の留め具を下ろし、胸部が湿気から解放されるのを感じながら、
襟を大きく左右に広げ、袖口から腕を抜きました。衣服が胸部で抵抗を受け止まっていましたので
指で軽く外します。先ほどの言葉通り重くなっていた衣服は自重でばさりと床に落ちました。
勢いよく落ちたためにそれまで抑えられていた胸部に反動を受けましたが、息苦しくなる事はありませんでした。
ヒミカは脱衣方法の選択を誤ったことに反省を見せ、オルファリルは呆と口を開けてこちらを見ています。
引き続きヒミカが身体を前方に倒しながら肌着を身体から引き抜いていきます。
重力に引かれたままになる乳房が紡錘型に柔らかく形を変え、
体勢を戻すに連れて元の位置に形よく収まっていきました。
私も肌に吸い付く肌着は不快です。乳房の形を明確にするようになっている布地を指で摘んで剥がし、
そのまま頭部へ向かい引き上げました。途中で幾度か乳房に抵抗を受けましたが問題はありません。
背中にかかる髪をかきあげ、背の素肌を転がる汗の粒を感じながら床に肌着を落としました。
オルファリルに倣い下着に手を掛け、再び上体を屈めます。汗に濡れた腕が脚に触れるなどして、
僅かに滑るような感触を覚えました。その折、ヒミカと同じように胸部から乳房の下部が離れ、
肌肉に沿って隙間に溜まっていた水滴が肌を伝っていきます。
支援
脚から下着を抜き取り床に放置したままで、一度自分のタオルを手に取り流れ出る汗を拭い取りました。
訓練の後などでも胸部に乳房が乗る部位に残る汗は皮膚に悪影響を与えます。
オルファリルがこちらをまじまじと見つめる中、片手で乳房を支えながら念入りに拭きます。
その作業の傍ら、ヒミカはタオルを身体に巻きつけた後に下着を脱ぎ終えました。
衣服のスカート丈よりも格段に短い裾から覗く内ももを隠すように手を置きながら席に着きます。
いくら拭こうと次々と身体から湧き出る汗を拭いきることは不可能ですので、
私も身体を拭く動きを中断し、椅子に座り直しました。
タオルを巻くことが作法と判断したため、胸元を締め付けながらも巻きつけを完了します。
背に直に髪が触れないようになることは便利だと思われました。
脱衣を終えてからも肩から腕を伝う汗や、ももから膝や脛に流れ落ちる汗は止まりません。
肌が見える面積が増加したことにより、紅潮している部分は顔だけではないとそれぞれの姿を見るだけで理解できます。
脱衣作業で身体を動かしたためか、全身が熱を持つように火照っていました。
その熱に渇きを覚えたように呼気にも音や熱が混じっています。
また、衣服に吸収されることなく体表面を転がる汗粒が感度を上げたらしき肌を刺激します。
オルファリルは背を伝う粒にくすぐったさを感じているようで、時折口元を笑みに震わせます。
私には、首元から滑り落ちていく水滴が肌の曲線に沿って、
両乳房の隙間に流れ込んでいく感触が微妙な刺激になっていたようです。
その度にタオルを解き乳房周辺を拭うのですが、回数を追うごとに身体の火照りが増すように感じていました。
ヒミカについては、音を立てた吐息を繰り返しながら脚の組み換えの回数を増やしています。
その内に、タオルの上から腹部や胸部を押さえ、太ももを擦り、と浮いてくる汗をタオルに吸収させ始めます。
時に私の拭う動きを目に留めながら短く首を左右に振っていました。
しかしながら、徐々にヒミカの手の動きが変わってきます。
上気していた頬をさらに染め、身体に巻きつくタオルを強く掴んで汗を擦るように拭います。
そして僅かに椅子から尻をあげ、太ももを拭いていた手を使い裾を軽く解くと、
タオルの端を内ももに当て水分を取っていきます。
見たところ心拍数が上昇しているようにも感じられ、さらに息が激しくなっています。
オルファリルが何事かと立ち上がり駆け寄ると、ヒミカはそのまま椅子から転げ落ちて目を回していました。
美容のためとは言え、発汗のし過ぎは危険だと把握する事ができました。
……
…………
………………こうですね。
整理が完了しました。始めます。
赤スピリットで暑い部屋に集まり、大きなタオル一枚に身を包み、乳房や股に手指を当て――痛。
――――ヒミカ? はい、発汗の方法と効用について具体的に説明を、という命令でしたから。
了解しました。ヒミカにお任せします。
……
……終わりましたか。ですが色々と抜け落ちていると、はい、沈黙します。
ええ。あの方法では途中で水分の補給をしなければなりませんでした。
次回からは水筒などを持ち込みましょう。
ところで、私が話し始めたときにお二人の体勢が変化したのは何故……
はい、別に意味は無いと。……それではお二人とも。失礼します。
『ダイエット』に『シェイプアップ』……えーっと、聖ヨト語だとどういう意味になるんでしょうか?
……わかりましたっ、つまり痩せるために何かするってことですよね?
それだけじゃないけど今の話じゃそんなもの、ですか。
うーん、わたしとしては痩せるより、もうちょっとふっくらしたところが欲しいん……いえいえいえっ、
何でもありませんから、気にしないで下さいよぅ。
えと、どうしてコウインさまはあからさまに『もったいない』ってお顔をなさってるんでしょうか……
あ、はい気にしないことにします。
そうですねぇ、ちょっとだけ実際に体験したことなんですけど、
小さいときには、『お昼寝』すると何だか身が軽くなるというか、すっきりするような気がしたんです。
それはその、今もちっちゃいですし、あのころからそれほど変わってないなぁって思っちゃうんですけれどね……
あ、あのっ今度はどうしてそんな小躍りを……はい、続けますね。
ええ、お昼ご飯を食べてから訓練とかで運動して、それから『お昼寝』するんです。
普通はそういうことをしても痩せることはあんまり無いんですよね?
でもあの頃はどういうわけかお昼寝から覚めると妙にお腹が空くような、
お昼ごはんがどこかに行ってしまったような感じがして、身体もあんまり大きくならなくって、はぁ。
どうしてなんでしょうねぇ、同じように『お昼寝』してどんどん大きくなってる人もいるのに……
はい? ああ、えっと。ほら、わたしとハリオンさんって同じところで育ったじゃないですか。
昔からハリオンさんはわたしの面倒をよく見てくれてて、本当にお姉さんみたいでした。
『お昼寝』のときもよく一緒に、ぽかぽかしたお日様の下で並んで……
はぅ、仰向けになって寝転んでもすごかったなぁ、あの頃から……っとと、それで、寝てたんですよ。
それでですね。ハリオンさんが言うには――
「『お昼寝』のときには水分をたっぷり摂って、
お日様をしっかり浴びれば、とおっても元気になるんですよ〜」
――らしいんですけど、それってハリオンさんだけみたいなんですよね。
わたしの方は、ひょっとしたら痩せられるんじゃないかなって思うくらいなんですけど、
やっぱり日焼けとか、肌が乾いちゃったりして痩せちゃうんでしょうか……?
……え、庭のハーブやお花が大きくなるには、ですか?
えと、お水をやったり、お日様を浴びたり、あ、それにしっかり栄養をあげなきゃいけませんねっ。
でもどうしていきなり『ダイエット』からそんなお話に?
はあ、わたしたちやユートさまたちスピリットやエトランジェの栄養……
んー、一番のはマナとかエーテルじゃないんですか? 強くなったりするのには絶対に必要ですし。
……………………あれ? ハリオンさんのお昼寝に足りないのは栄養…………
栄養になるのはエーテルやマナ…………? ま、まさか………………ね、ない、ですよねそんなことっ。
ど、どうしてお二人ともそんな『ひょっとしたらありうるかもしれない』なんて
具体的な表情をしちゃうんですかぁ〜っ!?
もしかして、もしかして……吸われちゃ……っ……!
は、ハリオンさ〜んっ、返してぇ、返してくださいよ〜ぅっ!!
C
支援ありがとうございました。
天才印サウナが頭から抜けてたらこうなりました。
また、ヘリオンいぢりは楽しいですね。
誤字、脱字等ございましたらご指摘いただけると嬉しいです。
流れを戻して
>>86 「えっと、仰向けになって脚を垂直に上げ『ジテンシャ』をこぐように?
『ジテンシャ』? あ、イラスト付きで分かりやすくなってるんですね。よいしょっと。
……あぁ、これは、けっこう……」
がちゃ。
「この部屋に置きっぱなしか。全くなんで俺が光陰の後始末を……!?」
「……ぇ?」
ばたんっ。
ばたばたっ、ぽてん。
「〜〜〜〜っ!」
>>96 意味無しサポートワロタ。
レッドスピリットのダイエットは非常に過酷な我慢大会ですね。
シェイプというよりどっちかというと美肌効果のような気が。
吸われたヘリオンカワイソスw
で、先が気になるので勝手に続けてみる(ぉ
ばたばたっ、ぽてん。
「〜〜〜〜っ!」
「なにやってるんだヘリオン、頭なんか抱えて。お、あったあった」
「はう?」
「何だかよくわからないけど邪魔したな、ヘリオン。それじゃ俺はこれで」
「あ、あの、ユート様?」
「ん?」
「あ、あのその、な、なにもなしですか? 私の……その、変な格好とか、見られましたよ、ね……?」
「え? あ、ああ、気にするな。……俺、何も見なかったから」
「ふぇ? 何でそこで優しく肩をっ?! っていうか、目線合わせて下さいよぉ!」
「はは、まぁアイツには内緒にしておいてやるよ。それじゃ」
ぱたん。
「…ふぅ。しっかし驚いたなぁ、ヘリオンがこの本見て悶えてるなんて。光陰が知ったら発狂するな、こりゃ」
>>96 ナナルゥさん、どこに状況説明をエロくする必要性があるんですかw
といいつつGJ!
いいなぁ、赤スピは自家製ダイエットが出来るんだ…(遠い目
ヘリオンを経由した栄養をハリオンが受信。
つまり、ヘリオンはハリオンのモデム(雲散霧消
ネリーです!
シアーです!
二人合わせて!
ネリシアです!
まんまやなー
まんまやねー
あんなあんなシアーちゃん?
なになにネリーちゃん?
姉さん達の腰回りってな?
ふんふん?
みーんなうちらより大きいんやて!
ふーんそうなん?
なんやつれないなー、そんでなそんでな?
ふんふん?
>>75>>78>>81>>87-92な感じで頑張ってるんやてー
へーそら必死やねー
必死やなー、うちら問題ないもんなー
もんなー
きゃははははー
きゃははははー
きゃはは……はぐっ!
ネ、ネリーちゃ……きゅう!
……しっつれいしましたー
ずるずるずる。
>>96 さすがナナルゥ、素晴らしく精緻な観察眼。
是非とも情感を手に入れ、エロ小説家 フレイム♪ルゥ としてデビューして(シャワー
ふむふむ、緑の側での昼寝は危険っと。
ん? ということは遠からずファー→ニムの大移動が!?
そ、そんな……するとわたくしの側にいるだけでユート様の精は搾り取られてしまうのですね……
「いや、今更だろそれ」
ああユート様お許し下さい、わたくしはやっぱり汚れています、あなたの側にいる資格なんてないのです
「んーそう思わないでもない時もある。でももうなっちゃったしな、エターナル」
いいんです、慰めて頂かなくとも……でも半ズボンのユート様……ああん、『聖緑』が、『献身』が……
「聞けよ人の話。ほら、とっとと次の世界に行くぞ」
「うーん……謎だ」
エトランジェ・ユートは唸っていた。
「ユート様? どうかしましたか?」
「あ、セリア。いやちょっと気になったことがあって」
「はぁ」
セリアはユートの視線の先に目を向ける。訓練後の休憩時間、そこにはハリオン謹製のヨフアルをぱくつく同僚たちがいた。
「あーっ、シアーそれ七個めーっ。食べすぎだよ!!」
「だって、おいしいんだもん」
「あらあら〜、ありがとうございます〜」
そろそろ敵の攻撃魔法が厳しくなってきたこともあり、燃えやすい人の有無を言わせぬ鶴の一声でネリシアコンビにはバニッシャーの特別指導が言い渡されていた。
特別講師はバニッシャーのみならずエーテルシンクでも無類の強さを発揮するラキオスの誇るクールビューティ、魅惑のセリア先生だ。ちなみにくーるではなくクールなのは当たり前。
魔法訓練ということで広く場所を使うために第二詰所の庭で行われた、セリア先生の厳しい訓練にひーこらいう二人。
ネリシアが半泣きになりながら何とか訓練を終える頃、ユートが様子を見にやってきた。
目を回して倒れこむ二人に苦笑しながらも二人の訓練の進みをセリアに聞いていると、甘い香りが漂ってくる。とたんに起き上がる双子。間延びした声が、第二詰所の台所から聞こえてきた。
そして、おやつの時間――つまり今――になる。
ユートとセリアはヨフアルは一つ食べたところでメインをお茶に切り替えている。そのため二人は激しいヨフアル争奪戦を繰り広げる連中とは物理的にも精神的にもやや遠い場所にいる。
そんななか、ユートは神妙な面持ちでセリアに問いかけた。
「なあセリア、うちでヨフアル……ってかお菓子食べまくるのってシアーとハリオンだよな?」
「え? ええ、そうですね。……シアーはお菓子ばっかり食べてご飯は小食なくらいです」
第二詰所の家事全般を担当しているセリアとしては頭の痛い問題だ。何度言っても直す気配すらない。
「普通お菓子ばっか食べてると太るよな?」
「それは……、そうでしょう」
「ネリーと比べるとシアーは肉付きいいし、ハリオンは……アレだし」
なにがアレなのか、と判っていながらもセリアは少し目を吊り上げて問おうとする。が、続くユートの言葉にその問い詰めは吹っ飛んでしまう。
「あの二人よりヨフアル食いまくっててあの細さのレスティーナってどうなってんだ?」
「ハリオン、ヨフアル追加です」
「はい〜、わかりました〜」
「うっわー、レスティーナ様まだ食べるんだー」
「すごいね〜、もう十個は食べてるよー」
ヨフアルあるところにその人あり。ヨフアルの匂いを嗅ぎつけていつの間にかやって来たレスティーナは大食い王もかくやといったペースで食って食って食いまくっていた。
「それは……、陛下とスピリットは別ですし」
「いや、むしろ人間のレスティーナが太らないことのほうが変だ」
きっぱりすっぱり言い切る。セリアも困ったように肩を竦めるしかない。確かにあれは甘いものをバカ食いする人間の体型ではない。
「ふふふ……」
ヨフアル待ちで暇なのか、やや離れている二人の会話に当の本人が首を突っ込んできた。
「ユート、私のこの身体の秘密が気になりますか? そうですか。では教えてあげましょう」
いや別に、との声を無視してレスティーナはすっと胸元に手を滑らせ、
「これぞ聖ヨト王時代からラキオス王家に伝わる秘薬、ヨーフアールゥ・ダイジョーV(註:読みはヴィ。ブイではない)!!!!」
支援が…必要か?
ズバーン! と効果音付きで小さな薬包紙を掲げる。ネリシアはおおーっ、と我等が女王陛下の決めポーズに心奪われ、しきりに拍手をする。
『説明しよう!』
「うわっ」「きゃっ」
半ば呆れ顔で妙にテンションの高い面子を見ていたユートとセリアは、急に震えた神剣から聞こえた声に驚く。
「おいヨーティア、いきなり神剣通信するなよ。てーか何でこのタイミングがわかるんだ?」
『うっさいよボンクラ。説明がわたしを呼んでるんだ』
「……お前はどこぞの機動戦艦の説明obsnかよ」
『このヨーフアールゥ・ダイジョーVは体内の脂肪を大量に分解、水とエネルギーにしてしまう!
その効果は強く、一粒飲めば体脂肪が一割は減って二、三日なら絶食しても元気溌剌ぅ? オフコース!!だ。
ああ、薬の名前はレスティーナ殿が勝手に改名したもんだよ。昔のは可愛くないってな』
ユートの突っ込みは無視して説明を続ける説明obsnもとい賢者様。
『ちなみにスピリットには効果はないよ。純粋な脂肪を分解するものだからね。
身体をマナを基に構成されてるスピリットやエトランジェには効かないのさ。人間に回復魔法が効かないのと逆だね。
難点は水も発生するからトイレにこもりがちになることと……まあレスティーナ殿を見ればわかるだろ?』
そこまで言って唐突に通信は途切れる。一つのことに説明が延々と続かずに言いたいことをスパッと言ってさっさと次の獲物を探しにいっているようだ。そこらはまだアッチよりはマシかな、と思いつついまだに薬を天に掲げるレスティーナを見る。
正確にはそのポーズをとっている以上一番目立つ箇所。
ユートは深い深い溜息を一つ吐き、
「その犠牲が断崖絶壁か」
「はぅあっ!!?」
思わぬ攻撃によろめくレスティーナ。反射的に心臓を両手で庇う様な形になるが……そこには柔らかい感触は、少ない。
あまりにも遣る瀬無く、つーと頬を雫が流れる。自分で自分に追撃をしてしまい、女王陛下はそのまま崩れ落ちる。
「あのな、レスティーナ。薬に頼ったダイエットは最悪だぞ。特に成長期では発育悪くなるんだ。……もう手遅れだろうけど」
うつ伏せに倒れこんだレスティーナを指差して、
「シアー、いいか? お菓子ばっかり食べてると太っちゃうし、それを気にして無理なダイエットをするとああなっちゃうんだ。お菓子を食べるな、なんて言わないけどほどほどにしてきちんとご飯も食べるようにしないとダメだ」
「……うん」
「ネリーは単純に食べ過ぎないこと」
「はーい」
「ハリオンはお菓子を作り過ぎないように」
「はぁい〜」
一人一人に確認を取るように注意を促す。珍しく隊長っぽいことをするユートに、セリアは頭を下げた。
「あの……ありがとうございました。多分これならシアーの食事も改善できると思います」
「はは、いいよ。反面教師がいて助かったなぁ」
やたら爽やかな笑顔が眩しい。
見本とされた断崖絶壁の周りにはしょっぱい池ができつつあった。
「あの〜、新しく焼いたヨフアル、どうしましょう〜?」
皿の上にヨフアルが四つ。ほかほかと出来立ての湯気とともにこおばしい匂いと甘い香りが風に乗って届く。
「んーと、ネリーはもうちょっと食べれるけど……やっぱやめとくー」
「えっと、シアーも……」
「ハリオンは?」
「実は〜、さっきから作り立てをいっぱい食べちゃったので〜、もう食べれません〜」
「レ「しくしくしくしく」……」
少し考える。お土産にするのが一番簡単なのだろうけれど……焼き立てが〜一番おいしいんですよ〜、とハリオンが目で言っている。
隣を見る。セリアもまた同時にこちらを見る。そのシンクロぶりにこれまた同時に微笑しながら、
「セリア、二つ食べれるか?」
「ええ。ただ、後で剣の訓練に付き合っていただけます?」
「もちろん」
ユートはハリオンから皿を受け取り、セリアはお茶のおかわりの準備を始めた。
はい、アセリア世界で一番ダイエットが必要ない体型であるところの陛下の不思議を書かせていただきました。
まあアレですね。いいダイエットはよく食べよく動くことである、と。
ヨフアルはほどほどに、と。
ちなみにセリアがソゥユートの隣にいるのはセリアスキーのデフォです。
しかしほんとに陛下の体型はありえねぇ。(154cm 42kg 66/54/66)
なんか普通に食べた分だけしっかり運動するという当たり前の行動をとるセリアさんが
非常な常識人に思えてしまうここは第二ファンタズマゴリア。
つかハリオン、作りすぎないようにはしてもつまみ食いは止めないのね(汗
恐るべき副作用に侵されていたヨフアル王女の別腹の明日はどっちだ?
>>110 陛下、しょっぱい池なんか作ってはますます断崖が絶壁に(インパクト
『説明しよう!』が富山敬さんの声で聞こえた俺オサーン
さすがハリオン、影でレスティーナ以上に食べてる気配がぷんぷんしてるぜっ。
それはさておき、コルセットやら何やら苦労してそうだなぁと思っていたら、
なんとも尊い犠牲の元に成り立っておりましたか陛下……
……燃えやすい人に渡せばちょっとはマシになるのk(ネイチャーフォース jixi」 ・ω・ノ
ギシッギシッ。
やや音が軋む廊下を、俺はあくびをかみ殺しながら歩いていた。
時刻はちょうどお昼。今日の午前中は戦略会議だけだったため肉体的には大して疲れてないけど、
やっぱり腹は減る。
昼餉のおさんどんはオルファと佳織なので俺は用無し。いつもの通りだけど、なんとなく佳織と小鳥にも
同じ扱いを受けてたのを思い出して少し苦笑する。
第一詰所一階の廊下を奥へと向かっていく。奥にあるのはエスペリアの部屋。
エスペリアを呼びに使わされたのが暇な俺というわけだ。
ドアの前に着いた。
先ほどオルファに「もしかしたらエスペリアお姉ちゃんお昼寝中かも〜」と言われていたので、
なんとなく息を潜めてしまう。呼びに来たのだから寝ていたとしても起こさなくては……。
(ギシ)
うん?
(んっ ふ あふっ)
な、なんか、吐息というか……。
(ギシ も う ああ んっ はっ ギシ )
これエ、エスペリアの部屋からだよな……。まさか……な。
(もう だめっ もう ギシ すこし でいく ユ ユートさま! )
な、なななななななエ、エ、エス……ま、待て俺。落ち着け俺。
スゥ――ハァ
これはそのなんだそ、そういうこと……だよな。いや、まさかエスペリアがこんな昼間から……
違う! というかそのエスペリアだってお、女の子なんだよ……う、ん。俺にあんなことしてくれたりしたけど、
そのさえーとエスペリア俺のことを、その…………だよな。俺がへたれだからハッキリしないから苦労掛けちゃうんだよな。
今度は……俺の方がイニシアチブを取らなくては……!
…………とはいえ、どうすりゃいいんだ? 助言を誰か……アセリア? 駄目だ。今日子? うーん口が軽いような……。
セリア? ……うん、ここはセリアに聞こう。エスペリアとは古いはずだし。最近少しは俺ともくだけてきてくれたし。
適切な助言をくれるだろう多分。なら膳は急げ。
セリアは確か非番のはずだ。俺はドアの前からゆっくり後ずさると第二詰所へ向かって軽く駆けだした。
「ふぅ……腹筋50回3セット終わりです。ベッドに脚をかけると楽に出来ますね、。ギシギシうるさいですけど」
あなたも楽々エクササイズ、と書かれた今日子持ち込みのハイペリア雑誌を眺めつつ汗を拭き取るエスペリア。
字は読めずとも、写真を見ればやり方は理解できる。次はおしりを引き締める運動だ。
「待っていてくださいませユートさま。本当のわたくしが完成される日も間近です」
仰向けになり、おしりを持ち上げる運動をしながらお昼を忘れて運動を続けるエスペリアであった。
結局佳織が呼びに来た。
>96
S式って言うからっ S式って言うからっ wktkしてたのに! Spiritですかぁーー
だから自分で書いた。今は反省している。
>110
レスティーナ様。今後ファンタズマゴリアは未曾有の食糧危機が訪れたりするのかもしれませぬ。
そんな薬はいけません。
服用中止数年後……変わってねえ!w
ネリーです!
シアーです!
二人合わせて!
ネリシアです!
まんまやなー
まんまやねー
あんなあんなシアーちゃん?
なになにネリーちゃん?
セリアに相談しに行ったユート様な?
ふんふん?
真っ赤な顔でしばかれたんやってー!
やってー!
ありそうやなー
ありそうやねー
相談相手を♪
間違える♪
あるある探kぶぎゃっ!
ネ、ネリーちゃ……きゃん!……きゅう
……まったくこの娘たちはくだらない事しか考えないんだから
ずるずるずる。
そいえば、ウルカを除くすべてのスピリットの参照元はオルファだったはずだけど、スピリットたちの体型の参照にもなってるのかなあ。その場合、減りオン(誤字にあらず)とは張りオン(誤字ではない)の差はなんなんだろうなあ
そいえば、エターナルってその気になれば外見年齢を自由に変えられたような気がする。もしもオルファが育った場合、ハリオン型になるのならユートはその日の好みで選べることになるのか〜。ある意味最強だなぁ
>>110さん
つまり代々のラキオス王家の女性は断崖絶壁……
ルーグゥ王もお腹を気にして下さいませんか。
改名前の呼称が気になるのは元を知らないからでしょうか。
>>116さん
「イニシアチブを取るつもりならさっさと乗り込んでくださいませユートさま。
呼吸を弾ませ鼓動を高鳴らせた私がお待ちしておりますから」
例え未完成でもそんな風に入ってきたら……嬉しさのあまりに将来
>>101へ続く光景が目に浮かびました。
初めに名前が長すぎ規制に引っかかった。
しかし「S」って読むと……とは思っていた。
今では「スピリット式D法」にしなくて本当に良かったと思っている。
>>97さん
我慢に我慢を重ねた先の、めくるめく光の世界に旅立ったヒミカ……
脱水症状治療のためのがぶ飲みの結果やいかに。
>>98さん
まさにこの世は弱肉強食。食物連鎖の上位に緑がやってきております。
>>100さん
初期ステータス観察+快or不快。ここにプラスアルファの判断と興味。
あなたはどのように交流を持ち、どのように情感を獲得させるのか……
「ナナルゥメーカー」ED14「エロ小説家 フレイム♪ルゥ」
などと湧いてきてしまいました……
いつ見ても雑魚スピスレ画像板の進みが速すぎる件について
>>118 リュトリアムは「おっぱいおっきくてすごい」らしいから、
そのあたりのが混じったり、オルファリルに近いのが出てきたりという妄想をしてます。
どこでもない時の狭間…
奇怪な光景が繰り広げられていた。
「ふんふん…それで私にどうしろと?」
「シュブ、クルァァァ」
「しかし、トキミさんも気付いているようですし、あまり伸ばせませんわよ?」
「クルッ、クラァァァシュ」
「まぁ、それでは仕方ありませんわね……」
「テムオリン様、何をおっしゃっているのか分からないのですが…」
目玉の化け物と、幼女がなにやら相談し、屈強な黒い男がなんだかアレな目で見ている。
「タキオス、分からなかったのですか?
今は『エトランジェの活躍が順調すぎるため帝国派の解体と市場開放のスピードが速くなりすぎて
市場の崩壊の恐れとその解決法』を話していたのですわよ?」
「………(今のにそんな多くの意味がこもっていたのか?)」
「シュブ!クルクル!」
ントゥシトラもなにやら同意するかのようにうなずいて(?)いる。
「なるほど、さすがテムオリン様です。して、その解決方法とは?」
若干納得できていないタキオスだが、まぁ疑念はほっておくことにした。
「エトランジェを2週間前後活動を止めさせる事にしました。というわけでタキオス、行ってきな……」
そこで急に黙るテムオリン。しばらく彼女は黙った後……
「あなたを向かわせてもつまらないですわね。せっかく直接干渉するんですもの。もっとよい余興にしましょう」
ニヤリ、と邪悪に笑ってタキオスに言った。
「……どうなさるつもりですか?」
「あなたの代理に、ちょっとしたものを送るだけです。サイズは25分の1にして…力を5000分の1にして…フフフ…」
しばらく彼女の笑みが止まることはなかった。
「ァアア!!」
アセリアの一撃を受け、最後のスピリットが断末魔の叫びを残して霧散する。
「やったな」
「・・・ユートのおかげ」
アセリアの言葉に、悠人は小さく照れた。
俺とアセリアのコンビネーションも、なかなか様になってきたような気がする。
スピリットを殺さねばならないことは嫌だが、それでも二人で成し遂げたことには達成感があった。
「パパ〜そっちは終わった〜?」
ふと声のするほうを向くと、オルファ達がいた。
「ああ、もう今日はこれで終わりだな。みんなに戻るよう伝えるとするか。」
「はい、ユート様。今日は遅くなっていることですし。」
「よし、それじゃ……ってアセリアどうした?」
アセリアが暗い森の奥をじっと見つめている。
「ユート、変な音が聞こえる。」
「変な音?」
アセリアだけでなく、俺たち3人も耳を澄ませた。すると……
トゥルルルルルルル………
よく分からない、だがなぜか聞き覚えのある音が流れてきた。
「パパ〜何の音〜?」
「分からないな…でも、聞いたことがある気がする。もしかしたら何かあるのかもしれないな。
エスペリア、オルファ。悪いけどみんなにもう一頑張りしてくれるよう言ってきてくれ。」
「ユート様は?」
「俺とアセリアで奥を調べてくる。」
「…ん」
「分かりました。急いでみんなを呼んできます。無理はなさらないで。」
俺たち2人は森の中に入っていく。
最初は耳をすませねば聞こえなかった音も少しずつはっきりと聞こえてきた。
(やっぱり、聞いたことがある…!けど、いったいどこで?)
トゥルルルルル……トゥルルルルルル……
「ユート、近い」
「……ああ」
気配を感じる。一番暗い影の中…何かオレンジに光るものがある。
トゥルルルルルルルルルル……
はっきりと、ではないがシルエットが見えてきた。かなり、大きい。2mは軽くあるだろう。
(やっぱりだ…見たことがある気がする)
大まかな影にもかかわらず、はっきりと確信した。
「……敵?」
「いや、分からないな…皆が来るまで様子を見よ」
いい終わるよりも早く、突然影が消えた。そして、
「ユート、横!」
アセリアの声で咄嗟に後ろに飛ぶ。さっきまで自分がいた場所の地面がなぎ払いで削られていた。
ヒュン!
もう次の瞬間にはアセリアはハイロウを展開し、影に攻撃を仕掛けていた。俺も「求め」を握り、アセリアを援護する。
「マナよ、オーラへと姿を変えよ。我らに宿り、彼の者を薙ぎ払う力となれ!」
ハイロウの輝きに加え、パッションを発動したことに昼間のように明るくなった。
「!そんな嘘だろ…!?」
思わず、我が目を疑った。光に照らされたその姿は……
一際映える真っ黒な体。悪魔の触覚を思わせる二本の角。全身の基本フォルムは人型だが、
まるで機械のように無機質な体型。表情というものが全く存在しない顔。そして、あの奇妙な声……
「―――――ゼットン!?」
ここは支援しておくか
彼、高嶺悠人も両親が死ぬまでは人並みと同じ家庭だった。アニメや絵本を読み、友達と走り回って…
そのなかでも彼はウルトラマンが好きだった。銀色の40mの巨人。その闘いが。しかし、それも終わりが来る。
最後、ウルトラマンはゼットンに負けてしまうのだ。人間が、人間の力で地球を守ることを教えるメッセージだったらしいが、
当時の幼い子供にわかるはずもない。ただ、単にウルトラマンが負けたという事実が悲しくて泣いた。
彼のヒーロー、ウルトラマンを倒した全宇宙最強の怪獣、ゼットン。それが今、テレビから離れ現実に――!
アセリアの斬撃が無防備な頭に当たった。さらにリープアタック、インパルスブロウ、フューリーと
上位スキルにつなげていき、全てが防御一つしないゼットンに叩き込まれる。
「ZET……ON」
が、ダメージは一切ない。妙な鳴き声を1つあげるだけ。
「マナよ、我が求めに応じよ。一条の光となりて、彼の者どもを貫け!……アセリア!離れてくれ!」
詠唱が終わる頃合を見て、アセリアに離れるよう促す。
「オーラフォトンビームッ!!」
白色の光線がゼットンに向かって飛ぶ。エトランジェのオーラの秘めたその一撃は、全てを砕く勢いだったが……
ゼットンは無言で、まるで倉庫の荷物を運ぶかのように、両手でぐいぐいとオーラフォトンビームを押していく。
煙も火花も立たず、歩くスピードも姿勢も変わらず、ゆっくりと平然と。
ゼットンが両手に光を灯して、その両手をゆっくりと上にあげた。
見たことがある。はっきりとしたデジャヴ。その一撃はウルトラマンを倒したあの!
「アセリア!避けろ!」
ゼットンの両手が太陽のような閃光を放った。瞬間、空間が白く染まった。後ろからの圧倒的な光のため、
体の前方に大きな影ができる。
恐る恐る後ろを振り向く。
「ッ!」
絶句。直径5mはあろうかというクレーターができ、表面は溶岩となり泡立っていた。
赤スピリットの神剣魔法とは比べ物にならない、圧倒的な熱量。
「一時の静穏。マナよ、眠りの淵へと沈め。エーテルシンクッ!」
「ZET…ON…」
空中で宙返りし、氷塊をぶつけようとするが角柱のような輝くバリアが展開されて、まるで八つ裂き光輪のように砕け散る。
「俺たち2人じゃ無理だ!引こう!」
目の前の怪物…いや怪獣は間違いなくゼットンだと思い知った。
何一つ通用しないなんて…!どうやって倒せばんだよ!
しかし、その希望も打ち砕かれる。引こうとしていた俺たちの前に、突然ゼットンが現れた。
瞬間移動――!
思い出すころにはもう遅い。ゼットンの腕は俺の首へと伸びていた。大きな手はすっぽりと首を覆い、万力のように締め上げる。
「が、あぁぁ!!」
めきめきと嫌な音が首から聞こえてきた。アセリアが手首に向け攻撃しているが、何一つ効果がない。
ブンッ!
腕を動かさず、手首の力だけでゼットンが投げた。それにもかかわらず、ぶつかった木が折れ、背骨が悲鳴をあげる。
もし、あのまま締められていたら……考えるだけでぞっとする。
「ZET……OoooooN!!」
ゼットンの顔の前に巨大な火球が形成される。間違いない、あれは一兆度の火炎弾!
しかし、打ち出されることはなく、火球は顔の前ではじけた。収束されていた衝撃波が熱を孕んで生み出される。
「バカ剣!耐えて見せろ!」
限界の力でオーラフォトンバリアを作る。それでも吹き飛ばされそうな熱波が体を襲った。
ものの2,3秒でしかない熱波。しかし、それは周囲を地獄に変えるにふさわしい威力をもっていた。
木々が全て吹き飛び、大地は燃え、全ての生物をなぎ払った。
「やっぱり…強すぎる!」
倒れているアセリアへ駆け寄る。
「…ゆ、ユート…私…じゃ…もう…!!」
至近距離でアレをうけたせいか、アセリアは限界に近いと分かる。
声を震わせながら、かざしている剣を必死に支えている。表情はあまりに辛そうだった。
キィン…キィン…キィン…
「!!」
アセリアの永遠神剣から閃光が四方に放たれる。 同時に悠人の神剣からも光が漏れ始めた。
戸惑ったようにしながら、【存在】を必死に押さえようとしているアセリア。
『これは…まさかっ!?』
「アセリア!共鳴だっ!!」
俺は【求め】からも力が溢れていくのを感じた。それは【存在】の力と重なり、急激に増幅されていった。
『剣を通じて、アセリアの鼓動が解る。永遠神剣の力…鼓動…死にたくないという思い…』
キィイイイン…
二人の全てが重なって、一つになる。
『…これならっ!!』
悠人はこれまでに感じたことのない力に、僅かな勝機を見いだす。
『いや、相手はあのウルトラマンを倒した相手なんだ…!勝てなくてもいい・・・生き残れれば!!』
「もっと共鳴させてみる!剣の振動に、俺の鼓動に合わせてくれ!!」
アセリアに向かって叫ぶ。
『一か八かだ…上手くいく保証も、どうにかなるという確信もない。だけど、生き残るにはこれに賭けるしかない!!』
「…合わせる?…うん、やってみる」
「頼むアセリア!ありったけの力をぶつけてやるんだ。二人の剣を完全に共鳴させれば!!」
しかし、ゼットンもまた火球を作り始めた。
「頼む!間に合え!」
『ユート…私の力、全てを…ユートにっ!!』
アセリアの声が悠人の心の中に直接響く。二人は精神を完全にリンクさせたのだ。その瞬間、途方もない力が満ちてゆく!
「行くぞ!俺たちのマナを、全てをオーラフォトンに!」
「「いっけぇぇぇええええ!!!」」
そのまま飛び上がり、ゼットンの頭の上へ。そのまま一気に剣を振り下ろした!
一兆度の火球ごと、ゼットンが真っ二つになる。しかし……
「なんだ!?」
ゼットンが金色の粉に変わり、俺たちは金色の光に包まれていく。
何がどうなったのかすらよく解らないままに、俺達は同時に意識を失った。
支援を行う、みんな遅れるな!
>>129 支援ありがとうございます。でも、実はここまでなんですorz
かなり妄想きついし、訳わかんない人も多いだろうし、なにより文が下手すぎますね…
ここにいる人でゼットン分かる人がどれだけいるだろうか?
>>130 うい、乙でした。
はいはーい、私は知ってまーす。
天地開闢の炎に匹敵する一兆度の火の玉を吐く宇宙恐竜ですっ!
>>130 乙。
そうか、アセリア&ユートの共鳴はペンシル爆弾と同じ破壊力なのかw
>>130 そして悠人とアセリアは合体してエースに(違
やたら詳しい悠人に笑いました。 っていうかコアラ様、一体何がしたかったんだw
よかった、同じ趣味の人がいて本当によかった(ノД`)
もしよかったら続きを書いてくれ、是非とも読みたい。
ごめんっ
まず闘士宇宙恐竜思い出しt(マグマ火球
俺も続きキボンヌwwww
一兆度ってワイルドアームズのラギュが元かと思ったら
ゼットンだったのね・・・・
てか、ウルトラマンが負けたくだり、凄いユートに同調できるのは俺だけですか?ww
ユートwwウルトラマン詳しいw
そういえばゼットン、ウルトラマン世代って今20代半ばくらい?
20代半ば……ふ(遠い目)
俺でも再放送しか見たこと無いってのにw
ところでゼットンて鳴き声あったの?
子供心にヒッポリト星人が恐かった。
>>130 並大抵のネタなら誰かしらわかってしまうここは一応、雑魚スピスレ(w
13代目の625-628とか思い出した。
>>137 初回放映だと初代ゼットンで1967年、二代目で1972年だからなぁ。
再放送とか考えると必ずしもだけど。
>>130さん
乙でした。
ヒーローだけでは敵わない相手。即ち仲間との結束戦術が有効。
一瞬、ゼットン巨大化→アセリア、ユートも例の巨大オーラ体出現→怪獣大決戦
というシーンが浮かんできてしまいましたw
最近じゃそんなゼットンさんにも娘さんができたらしいですねぇ、
……最終話以外で出てくるし。
ヒミカのメガネはウルトラ愛
>>139 そゆこと言うとつい過去ログ読み耽って半日過ごしてしまう俺みたいなのが出てくる罠
>>142 じゃ、20代目32-35とか追加してみる(w
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <100人の偉人に選ばれませんでした
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
obsnはひのえうま生まれって聞いたんだけど本当なんですか?
そもそもおbsnは人ではないし。
ふと思った。おbsnの1000歳って、ウルトラマンの35分の1でしかないんだよな。
ウルトラマンとかのほうがよっぽどエターナルっぽいぞ。
ウルトラマンはホラ…色々と年齢設定に矛盾があるから…
あてんしょん
このSSは、基本的にセリア only の補完です。全八回で完結します。今回は第六回です。
無駄に長いので、そういうのが嫌いな方は遠慮無くスルー願います。
152 :
胡蝶 Y-1:2006/05/08(月) 21:05:40 ID:9BJew/9d0
隊長が復帰して間もなく、部隊は本格的に動き出した。
まず、少しづつ続けられていた各占領地域の統合化。急速に版図を広げた国家にありがちな反乱の鎮圧。
経済支援。人材派遣。技術提供。物資による救済措置。私達スピリット隊に、するべき事はいくらでもあった。
「セリア、緊急の要請です。至急エーテルジャンプ施設に行ってください」
「ふぅ、また? 今度は何? どこなの?」
ソーン・リームへの対応は、レスティーナ王女から賓師の待遇を受けているトキミ様とヨーティア様が当っている。
とは言っても現状、未だ台地の入り口を固めたまま動かない敵との睨み合い、膠着状態が続いているが。
そんな訳で、ラキオススピリット隊は定期的にニーハスに飛んで警戒しつつ、
ラキオスに残って指揮するエスペリアとユート様の指示の元、各地に分散して各々の対応に追われている。
「ごめんなさい。疲れているのは判るけど、もう少し頑張って」
大仰に溜息を付いてしまった私に、エスペリアは申し訳無さそうに両手を胸の前で握りながら話す。
なんだか責めるような発言をしてしまった気がしたので素直に謝った。
「ううん、私の方こそごめんなさい。疲れているわけじゃないの」
「そうなのですか? でも何だか溜息をついていたようですが」
「え? 私、溜息なんてついていた?」
先日は、旧ダーツィ領イソヤソキマに救援物資を送り届ける護衛に就いた。
その手の任務は、戦い、それも同種族で血を流し合う戦争よりは遥かに大切な仕事なので、気合も入るのだが。
「ええ、それはもう盛大に。…………ああなるほど。ふふ」
「な、なに? 変な含み笑いなんかして」
妙な納得顔のエスペリア。
そんな態度をされては、なんとなくラキオスを離れるのが落ち着かない――寂しい、とはとても言えなかった。
それに、忙しいのは皆同じなのだから。自分だけ、こんな下らない我が侭などとの思いもある。
153 :
胡蝶 Y-2:2006/05/08(月) 21:06:10 ID:9BJew/9d0
「いえ、別に。……それより、セリア・ブルースピリットに命じます。至急、ロンドへ向かって下さい」
姿勢を正したエスペリアが、表情をきっと引き締める。訓令の合図だ。私も起立して応じようとして、
「了解。え……ロンド?」
……意外な派遣先に驚いた。瞬時に、手紙の少女を思い出す。
任務のついでとはいえ、あの娘に再会出来る。正直に胸が躍った。
――――だからもし、そんな予兆をどこかでふと感じていたとしても。
目まぐるしく変わる環境の中では、そんな気まぐれな感覚はすぐに忘れ去られていってしまう。
警戒下とはいえ、実際に戦闘もなく、心穏かな日々。そんな中で、危険を察知する嗅覚まで衰えさせてしまっていたのか。
凶報というのは、常に予測不可能な曲がり角で私達を驚かそうと待ち構えているのに。
そんな事は、これまで嫌というほど経験済みなのに。
……次のエスペリアの台詞に、実際私の心は再び凍りついた――――
「ええ。エターナルミニオンによる襲撃を受けているようです。ニーハスのトキミ様にも確認しましたが――あ、セリア?!」
真っ白になった頭で、返事もせずに駆け出していた。
「こ、こんな……」
ロンドは、地獄だった。
石造りのスタンダードな街並みは殆どが崩れ落ちた廃墟と化している。
捲れ上がった道路一杯に散らかされた瓦礫。大穴の開いた建物の一部。不自然に凍りついたまま割れている窓。
道の両脇に植えられていたのであろう、黒く燻ぶったままの街路樹が、
倒されたまま家屋にめり込み未だ燃え盛って激しく火の粉を舞い上がらせ、逃げ惑う人々の頭上に降り注ぐ。
「ウッ…………酷い……」
車を曳いていたエクゥは荷物ごと消炭になり、原型を保ったまま横たわっていた。
そこから空を掴むように突き出している、ひしゃげた「腕だったらしきもの」。
あちらこちらから聞こえてくる悲鳴がだんだん掠れ、小さくなってきている。
生きている者が、確実に減ってきている証拠だった。周囲を見渡し、敵の気配を求める。
154 :
胡蝶 Y-3:2006/05/08(月) 21:10:13 ID:9BJew/9d0
「……あそこね。『熱病』っ!」
意外に近い場所で、赤に近いマナの波動を感知した。
『熱病』をぶん、と振り下ろすように構え、ウイングハイロゥを展開する。
そして目の前の、まだ何とか崩壊せずに済んでいる、何かの大きな施設を飛び越えた。
焦げ付いた赤い屋根の向こうに視界が開けてくる。
すぐに、道の真ん中に立つレッドスピリットを視認した。彼女もこちらを見上げてくる。
目が合い、ぞっとした。黒く、何も映さない瞳。りぃ、と短く『熱病』が警告を発してくる。
「あれがトキミ様の言っていた――――ッッ?!」
エターナルミニオン。私達の姿を模し、戦闘能力を高めた意志の無い生命体。
しかしそんな事よりも、私は更に開けた光景の方に、目を奪われていた。
「無茶です! 後ろに下がっていて下さい!!」
壁際に蹲り、怪我をしているらしい小柄なグリーンスピリットが叫んでいる。
纏めた後ろ髪が見違えるほど長くなっていたが、間違いない。あのイースペリア以来の再会だった。
「この娘は絶対に……殺させないわっ!!」
そしてその前に、一人の女性が両手を広げ、エターナルミニオンの前に立ち塞がっていた。
ラキオスの紋章を胸に綴った軍服が、ところどころ切り裂かれている。
だが、彼女は神剣らしきものを持ってはいない。そして殆ど感じ取れない微弱な気配。
「――――“人”、なの?」
まさか、と思った。スピリットを、“人”が庇う。そんな事は「通常」あり得る筈が無い。
エスペリアから聞いて知っている、たった一人の優しい例外を除いては。
しかしそれは、紛れも無く目の前で起きている事実だった。
支援はする。あとは勝手にやってくれ。
156 :
胡蝶 Y-4:2006/05/08(月) 21:12:00 ID:9BJew/9d0
ゆらり、と動いたエターナルミニオンが、細身の槍を構え直す。
頭上から飛来した私を迎撃する為か、やや腰を下ろし、何かを呟き始めた。
「……クッ、一時の静穏、マナよ眠りの淵へと――――」
外見がレッドスピリットだったので、咄嗟にエーテルシンクを唱えた。右手に収束していく青白いマナ。
どちらにせよ、倒さなければならない相手。強敵なのは間違い無いが、負けるわけにはいかない。
「――――沈めっ! エーテルシンクッ!
少女の黒いハイロゥリングがぼう、と滲んだ瞬間、手元に創り上げた光球を思い切り解き放つ。
手を離れた神剣魔法は確実にエターナルミニオンを捕らえ――――
バシュウゥゥゥ――――!!
「……なっ?!」
異様な音と共に、視界が掻き消された。
真っ白な水蒸気が辺りを埋め尽くし、着地する地点を見失う。
ハイロゥを真横に目一杯広げ、空気抵抗を活かして落下速度を緩めた。殆ど勘だけで地面に降り立つ。
『熱病』は、遂に振るえなかった。気配を察知していても、漠然とした対象ではリスクの方が大きい。
凌がれた後の隙を狙われたら、今度はこちらが避わしようがないからだ。
膝を折り、跳躍しようとしたタイミングでぶわっと弾かれる霧。赤いマナが迫ってくる。
「――――ハッ!」
発信源を中心に、円を描く軌跡で飛び跳ねた。更に追ってくる気配。
駆けながら、考える。この敵の神剣魔法は、完全に相殺する事が出来ない。ならば。
「敵の動きを見極めて…… ここねっ!」
急制動をかけ、思い切りサイドステップを切りつつ見えない空間に向かって横殴りに『熱病』を振るう。
ガッガガガッッ!!
「――チィッ!」
その先で、痺れるような手ごたえ。突き出された穂先で刃を受け止めている。
思ったとおり、敵はすぐ側にまで来ていた。神剣魔法をおとりに、直接剣で止めを刺すつもりだったのだろう。
しかし予測して尚且つ受け止められてしまった以上、先を読むのはお互い様かと唇を舐める。
157 :
胡蝶 Y-5:2006/05/08(月) 21:14:05 ID:9BJew/9d0
――――だけどね。
捻った軸足をそのまま踏み込み、大振りにならないよう鋭く斬り返した。
ようやく晴れる水蒸気の霧。体勢を崩した敵の姿がはっきりと認識出来る。
――――私達と同じ“形状”で。
小柄な体型に不釣合いな神剣の重心。振り回された格好の腕が、脇を大きく広げてしまっている。
明らかに経験の少ない者が見せる隙。
横目で見つつ、蹴りを放った流れをそのまま、一度背を向け、フェイントで足を払う仕草をみせる。
それにも過敏に反応し、大きく仰け反る赤い髪。隙は大きな“的”に変わった。
腰が引け、不恰好な姿勢の敵に大きく踏み込み、至近距離で遠心力をたっぷりと乗せた『熱病』を突き出す。
――――肉弾戦で、勝てると思わないで。
「ッッ!!」
「反応が鈍いっ! ハァァァァッ!!」
先が四角く突きに向いていないとはいえ、手入れを怠ったことなどはない。
『熱病』の切先は敵の脇腹を深く貫き、同時に爆発させたマナの衝撃でくの字に折れた身体を真横に吹き飛ばしていた。
「はぁっ、はぁっ……」
腹部に大穴を空けたまま大の字に倒れている敵を確認して、長い息を吐いた。
戦いの間、殆ど呼吸を忘れていた事に気がつき、膝を支えて背中を屈む。
顔を上げるとたった今助けたばかりの二人がぼんやりと見えた。
呼吸を整え、声をかけようと――――
――――どすん
何か、鈍い音がした。
158 :
胡蝶 Y-5:2006/05/08(月) 21:17:18 ID:9BJew/9d0
「きゃああああっっ! 姉様っっ!!」
聞き覚えのある少女の悲鳴に、反射的に動く。
金色に輝き出しながら、もう神剣を手にしてはいない敵に向かって。
「このぉぉっっ!!!」
「クックッ……グハァッ!」
残った力と体重を全て乗せ、横殴りに『熱病』を振り切った。
びしゃあ、と放射状に広がる赤い血。頭部を潰されたエターナルミニオンは、
一度びくっと跳ねた後、こんどこそ本当に動かなくなり金色の霧の中に消えていった。
「姉様、姉様しっかりっ!!! 神剣の主が命じる! マナよ、倒れし者に再び戦う力を与えよ……うわぁあああっ!」
泣き叫ぶ声を聞きながら、よろよろと近づく。
そこでは、見覚えのあるグリーンスピリットがあの日のように泣きじゃくっていた。
手紙で書いてきていたように、長く流れる美しい緑の後ろ髪を乱して。
“人”を抱き締めながら――――胸を消えゆく神剣に貫かれたまま横たわっている“人”を、抱き締めながら。
「庇った、というの……嘘……そんな訳が……」
「あ……セリア姉様! 姉様が、ユミナ姉様が……っっ!!」
「………………」
完全に、致命傷だ。
あの瞬間最後の力を振り絞り、苦し紛れに放ったのだろう、敵の槍は鋭く確実に身体の中心を打ち抜いている。
大きく開いた胸には心臓が無い。つまりそれが確認出来るほど、損傷が激しい。
“人”はそれに耐えられない。そして“人”には、神剣魔法が利かない――――
「ぅ……セリ……」
立ち尽くしていると、まだ意識があったのか、うわ言のような掠れた声が聴こえてきた。
159 :
胡蝶 Y-7:2006/05/08(月) 21:18:52 ID:9BJew/9d0
「セリ、ア、さん…………?」
「ッ!!?」
それが自分の名前だと気づき、慌てて膝を折って覗き込む。薄っすらと開いた瞳がこちらを窺っていた。
よくみると、まだ幼い顔立ち。その面影に、どこか引っかかるものを感じて戸惑う。
「良かった……やっと、また会え、た…………」
「……え? 会え……た? ま、た……っ!?」
――――ぱしっと何か、景色が明滅した。
古い記憶が薄茶色の光景を映し出している。
淡く、ぼやかされた場面。果てしなく懐かしい、楔のような風景。
背中に戦慄が走った。何かを、忘れている。何か、とても大事な事を。決して忘れてはいけない事を。
「どういう、こと……? 貴女は一体……」
「わたし、ずっと言いたくて……助けて貰ったお礼、言いたくて……あの時のこと、謝りたくて…………」
「―――――ッッッ!!!」
泡のような血が溢れ出す唇から、懸命に絞り出されているか細い声。
震える腕が宙を彷徨い、私の服の裾を弱々しく掴む。
力の無い手の平からべっとりと引き伸ばされる鮮血。――――思い出していた。
古い、エルスサーオの記憶。母親に連れて行かれた幼い“人”の少女――――
「まさか……あの時の……?!」
思わず、その腕を震える両手で掴んでいた。
氷のように冷たくなってしまっていた小さな手の平が、弱々しく握り返してくる。
消え逝く鼓動と体温。彼女はにっこりと微笑み、そして最後にこう言った。
――――ごめんなさい……ありがとう。私を、生かしてくれて……――――
160 :
胡蝶 Y-8:2006/05/08(月) 21:20:25 ID:9BJew/9d0
「ユミナ姉様ーーーっっ! ああっ、わあぁぁぁぁぁっ!!!」
「………………」
少女が、既に亡骸になってしまった身体に縋りついている。それを呆然と眺めながら、そっと目を閉じた。
ゆっくりと、今更のように噴き出してきた額の汗を拭う。前髪が酷く鬱陶しい。
一連の動作が自分の身体じゃないくらい重く、緩慢だった。粘りつくような空気が邪魔をする。
不思議なほど、冷静になって“しまっていた”。余りに混乱が大きすぎて、上手く悲しめない。
……ユミナ・アイス。
情報としては、聞いていた。ただし、ラキオスに新しく配属された訓練士として。
元々グリーンスピリットの育成に長けている、新参の“人”として。
それに、技術的に教わる事など自分にはもう無かったので、興味は殆ど無かった。
それがあの、エルスサーオの少女だったなんて。
最後のごめんなさいが、母親の代わりに言った言葉だと、今更気づいた。
あれからもう何年経つのだろう。判らない筈だ――――髪が、私とそっくりに伸びていたのだから。
まだ燃え盛る街から少し離れた小高い丘の上に、私達は二人で彼女の遺体を埋めた。
局地的に散らばっていた敵の気配が段々と小さくなっていく。どうやら戦闘は終了したようだ。
味方は、どの程度の被害を受けたのだろう。少なくともここで、一人の貴重な訓練士を失ったのは確かだが。
161 :
胡蝶 Y-9:2006/05/08(月) 21:24:52 ID:9BJew/9d0
「……ユミナ様は、セリア姉様にお会いするのを、とても楽しみにしておられました」
ぼんやり街の様子を窺っていると、背後からぽつり、と声が聞こえた。
黙って振り返る。少女は即席の墓の前で、未だ背中を丸めたままだった。
「昔助けられたんだ、って言ってました。だから自分はこの仕事を選んだって……」
「………………」
「人とスピリットの架け橋になりたいって。そういう時、とても哀しそうで、でもとても嬉しそうで……」
「………………ッ」
「本当は、もっと早くセリア姉様に会いに行かれるおつもりだったんです。なのに私が来たから……」
「………………」
「それで、ここへ……私がもっと強くなってれば……う、うう……」
そして震えだす、小さな肩。こんな時、どう慰めてあげればいいのだろう。判らない。
きっと非力な自分を責めているのだろう。だから、辛いのだ。
「……あ、あれ……?」
突然ぐにゃり、と滲み出す世界。おかしい、と思っても、止まらない。
そっと頬に手を当てると、涙の熱さがすぐに伝わる。小刻みに震えている指にも気づいた。
「そんな……こんな、事って……――――酷いじゃない、返事もさせてくれない、なんて――――」
力が入らなくなり、勝手に崩れ折れる膝。硬い地面に打ちつけ、鈍い痛みが走る。
がしゃり、と『熱病』が乾いた音を立てる。それでも、動けなかった。後から後から込み上げて来る想い。
零れ出す嗚咽を隠すように、いつの間にか両手で口を覆っていた。
ぽん、と突然肩を叩かれる。
「……セリア殿」
そこに、半ば呆然としたまま先を見詰めるウルカの姿があった。恐らく増援に来て、見つけてくれたのだろう。
「〜〜っっ」
涙を誤魔化すように、俯いてしまう。しかしウルカはそんな私の様子に、感心を示してはいなかった。
じっと、少女の背中を凝視している。肩に乗せられたままの手の平が、軽く震えているのが伝わってきた。
「……ウルカ?」
不審に思い、顔を上げる。褐色の横顔が、何かを堪えるような表情を見せていた。
「……ごめんなさい。わたし、姉様に一つだけ、嘘をついていました」
ウルカの気配に気づかないのか、少女が呟き続けている。姉、というのはどちらに対しての物だったのだろう。
「わたし、イースペリアのスピリットじゃありません。潜入してたんです。本当は、サーギオスの妖精部隊――――」
「━━━━━」
ウルカの震える唇が、少女の名を呼ぶ。
くぐもった口調の途中で振り向き、そこで少女は驚いた表情のまま、暫く動かなかった。
遠くで、悲鳴のような雷の音が響いた。
どこをどう走ったのか、覚えていない。
気がつくと、私達は学校の前にまで戻って来ていた。
両手を膝に当て、呼吸を整える。校門の影や冷たい空気に、先程までの非現実感はもう無くなっていた。
隣で高嶺くんが汗を拭いながら、深く息を吸い込んでいる。横顔を見ていると、少し安心出来た。
何を焦っていたのだろうと自分に可笑しくなり、同時に申し訳ない気分で一杯になる。
謝ろうと口を開きかけた所で急に振り向いた高嶺くんと目が合ってしまい、慌てて俯いてしまった。
「はぁはぁ……結構……走ったな……」
「う、うん……」
「……なにしてるのよ、あなた達」
「わっ!」
本当に、心臓が飛び出るかと思った。
顔を上げると丁度校門から出てきたらしい我が親友が、相変わらずの厚ぼったい格好のままで立っている。
眼鏡の奥の呆れるような視線が痛かった。
「こんな季節にマラソン? 面白い?」
「そんな訳ないでしょ!」
心底不思議そうな彼女の口調に、思わず本気で突っ込んでしまう。
そしてそれが拙かった。
走り回って疲れていたのとさっきまでの不安感が重なってしまってたとはいえ、口にしてからはっと気づく。
顔色を窺うと、案の定すっと一瞬細めた目が何かろくでもないことを企んでいると、これでもかという位流暢に物語っている。
くるりと高嶺くんの方に向きなおした彼女は、これ以上ないほど優雅な表情を浮かべ、
「ふーん……ね、高嶺くん。どうせまたこの娘が振り回してたんでしょ? 嫌ならハッキリそう言った方がいいよ?」
などととんでもない事を口走っていた。
「な……っ」
悔しい事に、否定出来ない。
そんな私の様子を完全に楽しんでいるのが判っていても。
隣で高嶺くんが、私と彼女を困ったように見比べている。何だか、身体が一回り小さくなったような気がした。
「あー……いや、ま、いいんじゃないか?」
「いいの? 本当に? こんなので?」
文字通りそんな身も縮む思いをよそに、彼女の言いたい放題な問い詰めは続く。
……こんなので悪かったわね。嫌というくらい自覚してるわよ。
「高嶺くんも物好きね……っていたたたた」
「いいかげんにして! もう……え?」
「うん? 何?」
「あ、あ……」
いい加減に止めようと、マフラーの裾を引っ張った所で、それはまた起こった。
薄っすらと、霧がかかったようにぼやけ出す視界。不思議そうに窺う友達の表情の、輪郭が上手く見えない。
そして背後から、ぞくっとするような視線。高嶺くんの肩越し、見えない空間のどこかに潜む気配。
それが、くすくすと忍び笑いのようなものを漏らしているのがはっきりと感じられる。
「ん? 委員長、どうかしたのかって……うわわわわっ! またかっ!」
「またかって……ちょっ? ……なによ、変な娘ね……」
もう、どんな風に見られたかなどと気にしている余裕は無かった。
説明することも上手く出来ず、わたしは無言で高嶺くんの手を取り、その場から駆け出していた。
分厚い雲が空を覆い、今にも崩れそうな天候。遠くから聞こえてくる雷鳴の轟き。
月が完全に隠れた闇の中ようやくラキオスへと帰って来た私は、重い体を引き摺りながら第二詰所の扉を開けた。
廊下はひっそりと静まり返っている。人気の無い、湿った冷たい空気が迎えていた。
「…………ふぅ」
後をウルカに任せた所までは確か。ただ、一体どうやって帰ってきたのか、覚えていない。
酷く、疲れていた。油のように重く粘つく身体。がらんどうになった心が何も考えようとしない。
ぎぃ、と軋んだ音を立てた廊下を注意深く歩く。寝静まったみんなを起こすつもりはない。
まっすぐに、自分の部屋へ向かうつもりだった。一人で、混乱した頭を冷やしたかった。
「あれ……? 確か、トキミ様の部屋……?」
ところが、こんな深夜にもかかわらず、エーテルランプの灯が零れる部屋がある。
扉が薄く開かれているのか、ぼそぼそと人の話す声まで聞こえてきた。片方は、男性のようだった。
「…………ユート、様?」
ゆっくりと、近づく。盗み聞きをしようとしている、という意識は無かった。
ただ、その中に混じる、とても今聴きたかった声に引き寄せられたのだ。
疲れていた。でも彼になら、ううん、彼の顔を、一目でも見たかった。
トキミ様の静かな口調がよりはっきりと聞こえてくる。
≪生まれ育った世界。人、思い出、過去、すべてを捨てる事≫
≪想い出を、捨てる?≫
扉の前まで来て、足が勝手に止まった。一体、何の話をしているのだろう。
≪つまり、『居なかったこと』になるのです……エターナルになる事は、人であった頃の事を全て捨てる事なのです≫
≪俺が……忘れるってことか?≫
「――――っ!」
ノックをしようとした手が、動かなくなった。
驚き、息を飲む。生々しい体温が煩わしかった。
耳の奥で流れる血流まで大きく聴こえる。呼吸が乱れるのを抑えるのが辛い。
ざわざわと騒ぎ出す心。突き上げてくるどす黒い塊のような不安。燻ぶっていた何かがガラスのように私の中で爆ぜる。
エターナル。『俺が』、そう言っていた。つまり、ユート様は、記憶が戻っていて、そして。
目まぐるしく回る頭。理解した途端、立っていた床がぐにゃり、と歪む。
よろけ、半歩後ろに下がった。忘れる、とは一体。駄目だと判っていても、疲れきった心が思考を許さない。
≪いいえ。アセリア達、レスティーナ殿達、そして佳織ちゃんや小鳥ちゃん、皆の全ての記憶から――≫
背中が窓枠に触れたとき、トキミ様がはっきりとその意味を告げていた。
――――悠人さんの記憶が、消えます
ぽつ、と背中で窓を叩く雨の音が聞こえた。微かな、小さな雨の気配。
それはすぐに大きくなり、押し殺した叫びを掻き消すほどの本降りになる。
二人の声ももう上手く聴こえない。遥か遠くで交わされているような会話。
窓越しに散り散りなリズムが伝わってくる。まるで今の私の心境の様だった。
「…………私が、忘れる? ユート様の事を? ……馬鹿馬鹿しい」
じわり、と滲んでくる背中を細かく震わせる雨の冷たい雫。
違う。震えているのは自分だ。怯えが心をひび割れさせていく。
「……そんなの、選ぶわけ、ないわ」
胸に当てた手をぎゅっと握り締めながら、言い聞かせる。
なのにこんな土砂降りの騒音の中で、一番聞きたくない一言だけが、嫌というほど鮮明に耳に響いた。
……少し、考えさせてくれ
判ってしまった。それは彼が、エターナルになる事を選んだという意味なのだ、と。
足早に駆け込んだ自分の部屋で、どさり、と重い体をベッドに投げ出す。
拍子に長い後ろ髪がちらばり、顔に覆いかぶさった。素早く手を回し、結い紐を外す。
そのまま力いっぱい壁に叩きつけ、枕に顔を押しつけた。
……“どうして”、それしか考えられない。どうして、どうして、どうして――――
「どうして、私が貴方を忘れなければならないのよ――――」
ぶつけたい本人も誰も居ない、ひっそりと静まり返った部屋で。
押し潰されそうな孤独の中、淡く輝く腰の『熱病』が一層“独り”を実感させていた。
雨は、いつまでも降り続ける。
私はその日、一歩も外に出なかった。
時折アセリアやエスペリアが心配そうに扉をノックしていたが、返事も返さず。
窓の外の暗い景色を、ベッドの上で膝を抱えたまま、ただぼんやりと見つめる。
細い線のような雨の軌跡。窓を流れる無数の雫。歪む光景。そんなものを、いつまでもいつまでも眺める。
訪れる筈の、あの人を待って。ただずっと、膝に乗せた『熱病』を握り締めて。
独りに、しないで―――――――
再び夜が更ける。
暗闇の中、私は窓の下を通り過ぎる人影を確かめ、そうしてゆら、と立ち上がった。
降りしきる雨は雷鳴を伴って地面に跳ね、泥の飛沫を飛び散らせている。
ブーツの先でくしゃりと潰される草。踏み込むたびに汚れる爪先。
ずぶ濡れになった髪から滝のように伝わってくる雨水が目に入る。
傘など、さしてはいない。そんなもの、もう意味が無い。
いくら濡らしても、乾いてしまった心にまでは届かない。
「――――どこへ、行かれるのですか」
いつもとは違う、ラキオスの北に広がるリクディウスの森。
すこし開けた場所で立ち止まった背中に、私は最後の望みを賭けて、静かに声をかけた。
「…………セリア。戻ってたのか」
振り向いた彼の表情は、雨に燻ぶる灰色の光景の中で、影になってよく見えない。
「もう一度訊きます。どこへ、行かれるのですか?」
歩み寄りながら、ゆっくりと問いかける。
ばしゃ、とやや深い水溜りに踏み入り泥が跳ねた。
「どこへって……セリアこそ、どうしてこんな所へ? 酷い雨だぞ、ずぶ濡れじゃないか」
「答えて下さい」
「え? あ、ああ……ちょっとそこまで、その、散歩に」
「……散歩? ふふ、散歩にしては、天候を選んでいないようですが」
「ん? はは、そうだな、ちょっと無茶だったか。こんな雨だもんな、セリアも早く帰らないと風邪引いちまうぞ」
それは、もう慣れてしまった、誤魔化すような、作り笑い。ぎり、と奥歯が嫌な音を立てる。
――――嘘を、ついている。
この人も、他の“人”と同じ。耳に優しい言葉を投げかけ、信じさせ、そのくせ肝心の所で欺くのか。
手の中からすり抜けていくような喪失。期待なんて、するんじゃなかった。また、失ってしまう。失うくらいなら――
何かが、壊れた――――――
「なっ?! セリ……っ」
「ッッッ!!!」
考えるよりも先に、身体が動いていた。
油断した背中に一歩踏み出し、『熱病』を構える。
ひゅん、と軽い風切り音が雨粒を切り裂くと同時に、弾かれた神剣がくるくると虚空を飛び、直後遠くでがさりと草叢が揺れた。
『求め』を取り落とし、慌てて振り返る濡れた顔。黒く大きく見開かれた瞳が何かを告げる前に足を払う。
神剣の加護を失い、ただの“人”になってしまった彼に、スピリットの攻撃は受ける事も流す事も出来ない。
ぐう、とくぐもった声を漏らし、仰向けに倒れ込むだけ。すかさず組み伏せ、その喉元に素早く『熱病』を突きつける。
肉厚の白刃に、一瞬だけ彼の瞳が泳いだ。押さえつけているがっしりとした肩が僅かに震える。
前にもこんなことがあったな、と一瞬だけ懐かしい光景が頭の中をよぎった。
ざぁざぁと激しく降り注ぐ雨音。耳に五月蝿すぎる鼓動は、一体どちらのものだったのだろうか。
掻き消されないように、振り払うように。低く、はっきりと伝えた。
「――――殺すわ」
「な……っ」
短く切った一言に、ごくりと息を飲む気配。黒い双眸が大きく見開かれ、揺れている。
戸惑いか、恐怖か。今感じているのはどちらの感情なのだろう。
軽く開かれた口が僅かに動き、命乞いでもするのかと思ったが、意外にも彼はすとん、と体中の力を抜いていた。
ただじっと、見つめてくる。
冗談だと思っているのか。それともまだ、信用されているのだろうか。カラカラに乾いていく口の中。
――――俺を、か?
「そう、貴方を」
彼は、一言も漏らしてはいない。だだ、瞳がそう訴えてくる。
だから、短く答えた。最後にそれ位はいいだろうと思ったから。
なのに答えてしまってから、急に悪寒が押し寄せる。気持ちが悪い。“人”に剣を向けているせいか。
戸惑いながら、睨み続ける。彼の唇は、何も発していない。なのに、聴こえてくる声。
ざあざあと耳障りな雨の中で。
黒い瞳の奥に反射して揺れる光彩がさざ波のように私の心を揺らす。
――――本気、なのか?
「本気です」
判らないのだろうか。何故、剣を向けられているのか。何故、私がそうするのか。
……いらいらする。一々説明しないといけないのか。
細かく砕けたガラスの破片の様なものが、無数の突起を保ったまま、薄い皮膜となって心を覆っていく。
ねっとりと湿ったピンク色の粘膜が汚れた油のように広がり、押し広げるようにして心の隙間に潜り込んでくる。
綯交ぜの感情に呼応したのか、熱の篭ったマナが立ち込める『熱病』。その刀身に落ちては蒸発していく雨粒。
――――どうしてだ?
「判りません」
彼は、酷く落ち着いている。生死を握られているこの状況で。
無防備に力を抜き、ただ、黙って見つめて。瞳だけで、想いを伝えてくる。
針のように突き刺さる、焦がれるような感情。上手く回らなくなってくる舌。
……呼吸が、苦しい。
身体中のマナが全て重油にでもすり替えられたみたいに重い。麻袋になったかのような感覚が全身を襲う。
――――俺が……憎いからか?
「……判りません」
砕けてしまった透明な欠片の一つ一つが、まるで万華鏡のように様々な色彩を帯びながらぐるぐると明滅を繰り返す。
私は何も出来ない。ただ黙って、どろどろと欠片達が油と混ざり、全身の縫い目から零れ落ちていくのを感じるだけ。
傀儡のように、虚しく空っぽになっていく私自身を無機質に眺めるだけ。
……残るのは、彼の、吸い込まれるような瞳の色。
判ってる。だけど、頷くわけにはいかない。認めちゃいけない……絶対に、いけない。
――――でも、殺したいんだな?
「……ええ」
殺したい。すごく、殺したい。喉から手が出るほど、今すぐ貴方の命が欲しい。
そうしないと、失ってしまうから。そうしないと、堪えられないから。
……時々キーンと響く耳鳴りが、神剣の強制そっくりだ。
だけど勿論、これは『熱病』の意志なんかじゃない。
語りかけてくる瞳に、懸命に抵抗する。指先が、痺れてきた。
あと少し、あと少しだけ力を籠めれば、この苦しみは。
――――どうして?
「……知らない」
どうして? どうしてだろう。本当は、判ってる。突然、声が聞きたくなった。
苦しくなる呼吸。昏くなる視界。自分の声が、深く皺枯れた老人のそれのように聴こえる。
なのに妙に、研ぎ澄まされていく五感。内側から好き勝手に暴れまくる神経が喉の奥をひりひりと焦がす。
…………駄目だ。これ以上は、駄目。なのに何故、答える事を止められないのか。考える事を熄められないのか。
呼びかけないで。それ以上、勝手に私の感情で遊ばないで。心を――裸にしないで。
――――どうして……
「知らない……判らない! 判らないのよ!!」
制御出来ない程の激情が弾けそうに膨らむ。昂ぶる口調をどうしても止められない。
どうしてそんな穏かな瞳で語りかけることが出来るの? もう、訊かないで。これ以上訊かれたら、私は。
「……泣いてるんだ」
―――――――――――― え
足元を、掬われた気がした。
急速に喪失していく殺意。
呆然としたままの私に、大きな手がゆっくりと伸びてきて頬に触れる。
雨に濡れ、少しひんやりとした感覚。
優しく撫でてくれるその手を、もう払いのける事が出来ない。
腕の感覚も、もう無い。かしゃ、と軽い音を立てて、彼の首筋から離れていく『熱病』。
刀身に帯びていたマナが細かく消えていくのを、どこか遠くの世界の光景みたいに見送る。
ぐちゃぐちゃに爛れて潰れた心が凍りついたまま、声が全く出せなくなった。
「……そうか、知ってたんだな――――ごめん」
思わず耳を塞ぎたくなる。その先は、絶対に聞いてはいけない事。早鐘のように波打つ鼓動。
ばらばらになったガラスの欠片が紡ぎ合い、新たな形を成して一つの“私”を浮かび上がらせてしまう。
信じたくなかった事に、気づいてしまった。信じたかった事に、気づいてしまった。
“人”を許そうとしている自分に。“人”に期待している自分に。
――――そう、期待している。「その先」に、期待している。
だから。こんなにもあっけなく心に入り込んできてしまった“人”に、私はぼろぼろと、剥がされていく。
「……でもさ、そんな哀しそうな顔、しないでくれよ」
違う――――
その一言一言が柔らかい剥き身の部分に突き刺さって、強引に言葉を奪う。
「ごめんな。でも……約束だろ? 俺はもう、家族を絶対失いたくないんだ。それに」
やめて――――
決して抜けない楔が深く、深く、私の中に入り込んで。
「このままじゃ、何も守れない。みんなも……セリアも」
やめて、お願い――――
無防備な心の奥底を侵していくのを、抑え切れない。本当にやめて欲しいのかも、もう判らない。
「俺は、約束を守りたい。家族を守りたい。家族を守ろうと頑張る、そんなセリアを守りたい」
お願いだから、もう、踏み込んで来ないで――――
それ以上言われたら、私はもう、貴方を。
「だから、行くんだ。守るために。……俺」
――――殺せなく、なってしまう……――――――――
「セリアが、好きだから――――」 「好き、だから――――」
突然耳を叩く、激しい雨音。
掻き消されていた風景が鮮やかに蘇ってくる。
地面に弾かれる飛沫がやけに現実を感じさせて。
「……好き、だから!」
殺しても、引き止めたかった。殺しても、失いたくなかった。
許されない感情。スピリットとして決して持ってはいけない想い。だが口にしてしまうと、止まらなかった。
経験した事のない感情の津波が体中を駆け抜け、翻弄され、揺さぶられた心が悲鳴を上げる。もう、限界だった。
「好きだから、許せないんじゃない! 絶対に許せない! 許せない許せない許せない――ッッ!!」
ただ、叫んでいた。
自分じゃないような声が噴き出す。まるで我が侭な子供のような訴え。それでも歯止めが利かない。
突きつけたままの『熱病』が、濡らした刃を雨水で白く煌かせる。不意にそれが酷く邪魔に思えた。
私は無造作にそれを放り投げ、縋りつくように両手で彼のシャツを掴み、そして拳を叩き付けていた。
「勝手よっ! 勝手すぎるじゃないっ! どうして勝手に決めるのよっ! どうしていつも、勝手に一人で抱えるのよッ!」
憎い。ずるい。すぐに誤魔化す引き攣った笑みが。煮え切らない優柔不断な態度が。頼りない背中が。……だけど。
「それがどんなに私を苦しめて――――わあぁぁぁっっっ!!」
全身で触れる体温が心地良い。欲しかった温もりが、ここにだけある。それなのに、それなのに。
甘えだと判っていても、上手く回らない舌から迸る想いが溢れては、勝手に零れていく。
「行って欲しくない……忘れたくなんて、ないよぉ…………」
「……ごめんな」
「う、うう……ばかぁ…………」
そっと髪を撫でられる感覚。穏かな仕草に、少しづつ鎮まっていく心。……気づかなかった。
私はいつの間にかこんなにも、この“人”を必要としていた。求めていた。
彼が居なければ、自分を保てなくなるくらいに。
殺してしまいたいくらい、失うことを恐れるほどに。
保てない自分なんかもう必要ないのに。
本当に欲しいものだから、失いたくないのに。
……自分には、関係の無い話だと思っていた。
スピリットとして生まれ、戦いの中で日々を過ごし、剣と共に再生に帰る。それが自分達だから。
でも、変わってしまった。そして私は、変えてしまった“人”を――――愛してしまっていた。
しゃくり上げながら、絞り出すように紡ぐ想い。
「ヒッ、ウッ……ナイハムート、セィン、ヨテト……ユート、さまぁ…………」
生まれて初めての告白は、自分でも驚くくらいに舌足らずで。そしてアセリアみたいに素直なものになっていた。
――――意地っ張り
ふと、忘れていたはずのリアの声が耳に届く。
思い出された懐かしいその声には、どこかからかうような、それでいて慈しむような不思議な響きが含まれていた。
――――相談して、欲しかったんでしょ?
悔しさと嬉しさでくしゃくしゃなままの心が舌を出す。それでも彼女は、可笑しそうに“微笑んで”くれて。
『熱病』が、小さく鳴っている。蒼く、そして赤く。まるで相反する、揺れる振り子のように。
……雨は、いつの間にか熄んでいた。
木々が振り落とす霧のような雨粒が、風邪に流れて蒸れるような草の匂いを運んでくる。
雲間から、一筋の月光が差し込んだ。それはまるで、ひとしきり泣いて吹っ切れた私の心に似ていた。
――――そう……どうしても、行くのね
――――ああ、もう決めたんだ
――――止めても……無駄、よね
――――……ごめん
――――……許さない
――――え?
――――絶対に、許さない。忘れてなんかやらない。だから……
握り締めていたシャツを、そっと離す。両肩に添えられていた手に、自分の手を重ね、見上げた。
決心は、もうついていた。
「――――私も、行くわ」
きっぱりと、言い切る。そうして驚いた彼の表情に、不思議に安心して収まっていく胸の鼓動。
「いや……でも、セリアはまだ戦えるじゃないか。無理して新しい剣を探すこと、ないだろ?」
「…………ユート様、怒るわよ」
上目遣いのまま、睨みつける。
本気で願った。出来るなら、もう洗いざらい吐き出した剥き出しの心を突きつけてやりたいと。
「行って、欲しくない。でも、行くのでしょう? なら私も行く……それだけ」
「……エスペリアやアセリア達に、忘れられるんだ。家族にも、もうなれない」
「ん……わかってる」
「元には戻れないんだぞ。それどころか、もし神剣に認められなかったら」
「わかってる。でも、一緒にいたいから。忘れるなんて、絶対に嫌」
「…………セリア、口調がアセリアみたいだぞ」
「……そうよ。ずっと、一緒だったんだから…………」
雨上がりの湿った空気が、静寂を運んでいく。
緩く流れていく時間。私達はそれから暫く、黙ってお互いの瞳の色を覗きあった。
月の加護が、一面に散らばった水の欠片を反射して辺りを浮かび上がらせるまで。
「だから……ずっと一緒に居させて。お願い――――」
そっと大きな胸に、顔を埋める。すると躊躇うように、抱き締められる感触。くしゃりと濡れた髪を撫でられる。
「判ったよ……ありがとな、セリア……一緒に、行こう……」
くぐもった、泣いている声。それだけで、満足だった。自分の選択が、決して間違ってはいなかったと。
178 :
信頼の人:2006/05/08(月) 21:57:15 ID:9BJew/9d0
今回は、ここまでです。
支援、ありがとうございました。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。
(脳内)設定がほぼ出たところのものの補足を少々:
作中の緑っ娘は一応ウルカイベントのあの娘のifのつもりなのですが、
それ以外のソーマズフェアリーなのかもしれません。
悲しいだけの結末じゃなく、こんな姿もあってもいいのじゃないかと補完してみました。
とか言いながら、結局あまり明るい経緯にはなっていませんが(汗
どれだけ過去に遡らせなきゃ幸せになれないんだ、等の突っ込みを自分にしつつ。
リア→セリア、セリア→緑っ娘の対比なども含めてますが、効果の程は判りませんorz
ユミナ・アイスは言わずと知れた序盤リーザリオ辺りを攻略中にラースに現れる訓練士のあの方なのですが、
戦争という行為の中、別種族同士で伝わっていく何か、大切な繋がりや相互理解もあるのじゃないかと。
そんな本編の大きな歴史とは関わりのあまりないところでの一場面を補完してみたくて登場して頂きました。
セリア⇔ユミナ⇔緑っ娘の対比なども含めてますが、効果の程は(ry 何せ尺が(ry 長くするとオリk(ry
リアルタイム遭遇〜
セリアが、セリアが〜(意味不明
一気に読み終えてもうテンションが上がりまくりです。
なんか自分でも何言ってるかよく分かりませんが(オイ、投稿お疲れ様でした
このあと委員長さん(含友達)とに、どんな展開を用意されているのか……
ワクテカしながら反芻させてもらいます〜
もう少し早く来ていたら、リアルタイムで読めたのに…
信頼の人乙です。
セリアエタ化ルート…になるのでしょうか?
個人的には、サブスピルート創作にあたって一番の悩みどころは
エタ化か、ヒロイン残留か、ではないかと思っていたり。
残留の方が物語として綺麗だし、読後の余韻も残ると思います(残り灯とか大好きです)が、
エタ化は上位神剣とか通り名とかを考えるのが非常に面白いですしね。
ともあれ、残りも後二回。
悶々と妄想しながら続きを待たせて頂きますw
>>178 信頼の人さん
前スレ776なのですが、ロンド、という単語を見た瞬間――
「いいぃぃぃやああぁぁぁぁっ(某青スピ」
となってしまいました。
少女スピの正体と共に完全に予想外でした、ユミナさん……。・。(⊃Д`)。・。
揺れに揺れるセリアへの更なる揺さぶりによって、
置いていかれることへの恐れや不安が重なっていく内面が、
それによってもたらされる行動が、涙腺刺激しまくってきました。
お疲れさまでした、また次回も楽しみにしております。
>>178 超GJです。
うわー、もう展開全然読めない。
セリアさん、E化しちゃうのか。
それとも残り灯EDになるのか。
緑っ娘はどうなっちゃったのか。
しかし、徹底した感情の描写からセリアさんの追い詰められっぷりがひしひしと伝わってきて胸が痛かったです。
これで某obsnから「神剣ねーよwwwwww」とか最後通牒突きつけられたらどうなっちゃうんでしょうか…。
次の展開楽しみにさせて頂きます。
>>178 乙彼様です。
素直でないようでいて素直過ぎるセリアさん、何とも激しいアタックですね(笑
ソゥユートだろうが誰だろうが、仰向けで服従する以外道は無し。
むしろ、喜んで罵声を浴び打たれる方向で!!
……………冗談ですよ?(半分くらい)
まあ、ユミナさんとソゥユート、二人のおかげでセリアさんも、
“人”へのしがらみから大分開放されたぽいので、このまま一気にハッピーエンドへ!
……とはいかないんでしょうねぇ、やっぱり(^^;
さてさて、どうなることやら??大変楽しみです。
「ふぅ、何とか間に合いましたか」
「…何が?」
また、突然訳のわからないことを言うエスペリアお姉ちゃん。
ぶっちゃけ、常日頃から多分に問題発言ばかりなので気に留めないのがベストではある。
が、それを分かっていながら常にツッコミを入れてしまうセリアさんは、大変姉想いな出来た妹と言えるだろう。
言われてもまったく嬉しくなさそうだが。
「わたくしの出番が、です。
このまま無い様でしたら、実家に帰って引き篭もろうかとも思いましたが――
必要とされている以上そうもいきませんね♪
次回もその次も…わたくしの獅子奮迅の活躍をしっかりと見ていなさい、セリア!!」
「あ、うん。そうね。ちゃんと見てるわ……」
次回はともかく、最終回の出番の無さはどうフォローしたものだろうか……
今から、将来のことに頭を悩ませざるをえない苦労性のセリアさんであった―――。
話の進行度に従い加速するエスの出番の無さも、きっと伏線の一つ――そう思っていた時期が私にもありま(ry
>>178 うぉーつかーレイ!
いやぁ、そうきましたか、幼緑ちゃん、そしてユミナキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!
熱病っぷりを遺憾なく発揮し、女の魂充電完了、覚悟完了。セリアが征く。
ってことで、次回も楽しみに待っておきます。
>>178 乙彼です。
ここしばらく忘れていた、胸が打ち震えるような読後感を久々に味合わせて頂きました。
オリキャラ無しでここまでストーリーを拡大出来るとは、脱帽の一言です。
正直、某所で連載している自分の香ばしいSSをまとめて撤去したい気分…w
とは言え、こういう作品に出会いたくて2次創作始めたんだと、初心に帰ることが出来ました。
ありがとうございます(何
物語も残すところ後2つ。ラストまで存分に堪能させて頂く次第です。
今回もお付き合い頂いた皆様、本当に有難うございました。
>>179さん
一番力が入った&悩んだ&書き直した場面でしたので、そう言って頂けると幸いです。
委員長さんの部分は次でほぼ収束します。
が、怒涛の急展開みたいには多分……なってないと思いますのでご安心を(汗
>>180さん
なんだかもう色々な方にも見破られてしまっているようなのでネタばれしますと、
仰る通り、実は『残り灯』がこの作品の出発点になっています(←今更?
ただ、前のは悲しいifになってしまったので、今回は同じ台詞を前向きに言わせたいな、と。
言い切ってしまうならば、
「綺麗な物語よりも、俺は折角だからセリアを幸せにしてやるぜっ!!」って感じでしょうかw
……いえ、単に長いので痛いのは個人的に書けないって過去に思い知っているだけなんですがorz
>>181さん
あれは実に本気で焦りましたw>前スレ
どうやら予想を裏切る事が出来ていたらしい?ので、ほっとしてます(←なんか変な言い方
ロンドって戦略的にゲーム中何の意味も無いんですよね。
そこで地理的な面で意味を考えていたら、こんな舞台になってたという訳でした(汗
>>182さん
>神剣ねーよwwwwww
ちょwおばww
ここまで引っ張っといてそんなの投稿したらスレ永久追放されそう(汗
でもその展開、誰かネタ化してくれないかなぁ。面白杉w
あ、えっと、緑っ娘はこの後もちょこちょこと見え隠れです。
本格的にセリアさんonlyに突入するので脇役扱いは否めませんが(ぇ
>>183さん
罵声を浴び打たれるってトコへいくまでさえも相当苦労する娘ですが(汗
“人”へのしがらみからの解放っていうのは、
自分が最初にこの作品を書こうと思った時決めたテーマにかなり近いです。
ですので、そこを汲んで頂けるのは嬉しいですw
それはそうと、エスペリアさん。
……なるほど、何だか出てこないと思ったら実家に帰っていたとは(←をい
>>184さん
キタとたん、逝っちゃった訳ですが(汗 >ユミナ
スピリットに守られて生き、そしてスピリットを守って死ぬ“人”。
それがセリア(及びスピリット達)にとってどれだけ衝撃的なのか。
同じ境遇に無い私達には到底理解し得ない感情のように思われて、
それでも書きたくて書いてしまいました。
>>185さん
こちらこそ感想ありがとうございます。
未だ手探りのようなものの連続ですが、伝えられた何がしかがあったのだとしたら幸いです。
オリキャラは……個人的に書けないとも言えます(汗 なにせ創造力不足でしてorz
赤光エレジー
>>189 愛は愛とて 何になる
おんなヒミカ まこととて
仲間の幸(さち)は どこにある
おんなヒミカ ままよとて
聖ヨト余年は 春も宵
桜(さくら)吹雪(ふぶ)けば マナも舞う
さみしかったわ どうしたの
ああ 再生の 夢見たね
神剣 もひとつ ほしいよね
いえいえこうして いられたら
……ガロなんてどんだけの人が知ってるんだorz
>>190 良し、ついでにナナルゥで「ロックロックまっかっか」を頼むw
…オサーン杉だ漏れら orz
192 :
189:2006/05/11(木) 01:39:20 ID:rmOPakAK0
僕はオサーンぢゃないよ
タブン orz
「おはようございますコウイン様、さ、起きて下さい」
「コウイン様、食後のお茶はいかがですか?」
「あ、コウイン様、ジュズがほつれかけてます。縫いますね」
「コウイン様、お背中お流しいたします」
「おやすみなさいませ。あ、私の部屋はそこですので」
「…………最近クォーリンのヤツが、やけに俺に構ってくるんだ」
法皇の壁を目前にしたある日。
憔悴しきった顔で第一詰所を訪れた光陰は、俺の部屋にどっかと腰を下ろすなり、いきなりそう切り出した。
遠征から帰ってきたばかりの親友は頬がこけ、眼も少し充血している。
確かにあまりに公然とべたべたしていると噂くらいは聞いていたが、
俺は俺でヒエレン・シレタに技術者を迎えに行ったりして忙しかったので、実際に目撃したことはない。
しかしこうしてしょぼくれた光陰の姿を見てみると、結構重大な事態なのだろうかと思い、心配になった。
「お前やつれたな……いや、でも良い事だろ、部下に懐かれるなんて。どうしたんだ?」
「あれは懐くなんてもんじゃないぞ。毎朝起こしに来て毎晩風呂に乱入してくるなんて、正気の沙汰とは思えん」
「…………」
俺は、不覚にも一瞬黙った。心当たりが多すぎる。
うかつに口を開くと危険な香りがぷんぷんしてきた。
しかし俺の沈黙を肯定と取ったのか、それとも何か同族の匂いでも嗅ぎ取ったのか、
どちらにしても全力で否定したいところだが、光陰はうんうんと勝手に頷き話の先を進めた。
「で、だ。どうしたものかと思ってな。第一俺は部下と必要以上に馴れ合うつもりなんかないからな」
「あ、ああ、それもお前らしいけど。でも、そもそもなんでそうなったんだ? 思い当たる事とかないのか?」
「うむ。それなんだが、こないだの戦いでクォーリンを庇って怪我をしたんだ」
「ふんふん」
「いや、正確に言うとその側にいたネリーちゃんを庇ったついでとでも言うかな。たまたま雑談してた俺の責任でもあるし」
「ちょっと待て。お前、部下とは必要以上に馴れ合うつもりはないんじゃなかったのか?」
「あん? 何をいう、ネリーちゃんは俺の部下じゃないぞ。ラキオスは悠人の管轄だろ?」
「……まぁいいや。で?」
「あと、シアーちゃんとニムントールちゃん、それにオルファちゃんもいたがな。楽しい追いかけっこだった」
「やけに限定されたメンバーだなおい! …ってそっちじゃない! お前、クォーリンについて相談しに来たんじゃないのか?」
「まぁ落ち着けよ、こっからだ。追いかけていた俺は、彼女達がいつの間にか敵の集団に囲まれていると気がついた訳だな」
「お前が追い込んだんだろが」
「結果だけを見て行動を判断するのは実に寂しいと思わんか悠人」
「………………(こいつわ……)」
「ネリーちゃん達は驚いて咄嗟に動けない。そこで俺は、華麗に叫んだ。
http://etranger.s66.xrea.com/gallery/archives/001026.htm 俺のプロテクションはそれはもう豪快に決まった。たちまち竜巻のようなオーラを呼び敵の攻撃を完璧に凌ぎきった」
「……お前、この経緯でその絵は詐欺だろ」
「褒めても何も出ないぜ。で、張り切りすぎて防御範囲がデカくなったのか、ついでにクォーリンも加護してたって訳だ」
「いや、褒めちゃいないが……ふぅん、でもそれだけか、懐かれた理由って。別に戦闘中なら当たり前の事だろ?」
「ああ、それだけならな。だけどな、さっきも言ったろ、竜巻って」
「? ああ。それがどうかしたのか?」
「ラキオスの戦闘服はスカートの裾が短すぎると思うぜ。俺とした事が、思わず煩悩に惑わされてしまったじゃないか」
「ハ?」
「修行不足だな。巻き上がったそれの中、女体の神秘についふらふらと飛びついちまった」
「…………」
「それはいいんだが」
「いいのかよ。よくないだろ。っていうか、反省しろ生臭坊主」
「まぁ聞けって。するとネリーちゃん達が照れて俺の攻撃を避わした所に偶然クォーリンがいてな」
「照れてない。絶対に照れてない」
「押し倒すような格好になったところに、こう、背中に敵の剣と『静寂』と『孤独』と『曙光』と『理念』がざっくりと」
「うわ痛そう。っていうか、よく生きてたな」
「まあな、修行の賜物だ。で、血だらけの俺を見て、クォーリンのやつ真っ赤になって押し黙っちまった」
「……ああ、そういう事か」
「ん? 判ってるさ、俺だって誤解されたままなのはごめんだからな。ちゃんと弁解はしたとも」
『いやこれは(ネリーちゃん達を守った)だだのついでだ、決して(おパンツにハァハァして)抱きつきたかった訳じゃないぞ』
「もちろん()部分は省略したがな。でもなぁ、こくこく頷くだけで返事もしないんだ」
「…………」
「何だかきらきらした瞳で睨みつけてくるし、次の日からアレだ。やれやれだぜ…………ん? どうした?」
「……お前ってやつぁ…………」
本気で判ってないような光陰を前に、俺は頭痛を堪えつつ長い長い溜息をついた。
いっその事、クォーリンに洗いざらい真実をぶちまけてやろうかとか、そんな投げやりなことを考えつつ。
||・ω・`)
Cするとしようか
 ̄|_|○
すみません、終了してますコレ……(大汗
今までにない展開だな・・・
話も面白いけどその後の展開もワロタ。
>194
さっそくリンク先を開いてみたのですが
開いたページにあったのが
「完全オリジナル盗撮がノーカット!
いつも一人でヌイてるんでしょ…、いいわよ」
あれ…?( ゚д゚)
なんで?(゚д゚)
もちろん後で下の方のリンクに気付きました(笑
光陰のSSに私の絵を使ってくれてありがとうございます
さっき画像板に新しいのを貼ってきたので
よかったらこれも使ってやってください
なるほど、これからの流行は半日後の支援かw
>>195 乙です。
クォーリンさん誤解にしても先走りすぎw
これが誤解だと知って刺しちゃわないか心配ですw
>>201 さらに乙です。
こっちのクォーリンさんも先走りすぎw
画板結構見てますけど、キャラクターの特徴捉えるのが上手いですよね。
漏れも、絵描く技術身に付ければ良かったと後悔。
早暁。
ラキオススピリット隊稲妻分隊筆頭のクォーリンの一日は鏡の前で始まる。
櫛を持つこともない彼女の口からぶつぶつと念仏のような文言が漏れる。
まさか生臭坊主に帰依したとでも言うのだろうか。
「…………インさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコウインさまに
押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコ
ウインさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された。私はコウインさまに押し倒された私はコウインさまに押し倒され
た私はコウインさまに押し倒された」
いつしか彼女の翡翠色の瞳は爛々と輝き始める。
(((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
ところで、ちょっとPC版の序章をやり直してみたんだが、結構新鮮だな。
意外な発見がチラホラ。
まず高嶺家は、やはりマンション住まいだ。悠人自身がそのように独白している。悠人の祖母が亡くなってから、
元々の佳織の両親の家に戻ってきたらしい。尤も、それらしい表現は皆無と言っていいけど。
あの写真も、いかにも一戸建ての玄関前で撮ったと言う風に感じるし。築20年以上あたりの古いマンションなのかしらん。
あとは、志倉付属は関西の学校だとか、浅見ヶ丘学園の比較的下の学年(意訳:中等部)は女子校だとか、
佳織と小鳥は別クラスっぽいとか、久々に見る旧顔の時深はタマゴみたいな顔に感じるとか、
旧顔の佳織・今日子は対して気にもとまらないとか(ぉ
PS2版だと悠人の誕生日と佳織の発表会が削られたんだったかな?
旧顔てw
使用前→使用後みたいなもんか。
使用前 使用後
r‐-- -┐ r‐-- -┐
/ /゙・ 皿・ヽ / /゙ ・ _・ヽ
レ'´从リ从!〉 ⇒ レ'´从リ从!〉
l从◎_◎从 l从◎皿◎从
r‐-- -┐
/ /゙・ 皿・ヽ
レ'´从リ从!〉
l从 ・ω・从
なんで口がωになるとエスペリアに見えてしまうのだろうw
>>206 ナポリたんが愛らしくwwwwこれならホシス
スピたんの後PC版やり直すとみんな顔色悪いように見える
俺はスピたんの塗りキモスなんだが
スピたんの武器を持っての構えが一枚絵なみによかったよ
なぜかカットインでヘリオンが左利きになってんのね
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(._悠 人..-ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『暖房と冷房は十分まかなえるけど、これからの季節、
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 除湿機能も必要だよなと言ってみたらエスペリアが俺と同衾していた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ 俺はしおしおのぱ〜でカラカラのカサカサ状態なのに
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉 エスペリアの奴はしっとりすべすべ潤い満腹状態で寝てやがるんだ
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ しかも起きたと思ったら朝飯前にもう一発とか言いやがる
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ 献身だとか汚れているとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ } もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ
気になったので調べてみた。
まずは仮想、理論の構築、実証を経て論拠足るモデルを得る。
○仮想:現在ある資料のみで利き腕を判断出来るかも知れない。
○構築:スピたん、PC版等で神剣を持っている手で判断してみる。
スピたん立ち絵(クラブ配布カレンダー参照)
ファーレーン ……左
その他 ……右
※シアーは神剣を手放しているので不明
無印立ち絵(Status画面参照)
黒(ウルカ含)……鞘ごと右手
その他 ……右
※ヒロインズ以外は色別
○実証:これに実際の戦闘で行なわれているモーションと公式設定等による補正追加。
戦闘グラ
アセリア 両手持ち。一枚絵では右手なので右利き
オルファ ぶん回していて良く判らないがモーションラストが右
エスペリア……とことこと両手。ただ構えているときは右手持ち
ウルカ……速すぎて良く見えないが、右で斬っている
青……左
赤……ぶん回していて(ry
緑……右手にもっているのに、何故か投擲する時は左
黒……速すぎて良く見えないが、左で斬っている
公式設定資料集
あまり役に立たない。
一応ヒロインズ(ヨフアル除く)全員右。
○結論
青雑魚とヘリオンの立ち絵と戦闘グラは矛盾だが、普段は利き腕を休めているとも考えられる。∴左利きと判断。
赤はオルファも含め右利き。
緑は両手持ちの武器や意味不明の戦闘モーションから両利きだろうか。
ファーレーンだけが左で統一されている。
アセリアとエスペリアは右として、判らないのがウルカ。
PS2版壁紙で鞘から抜いて左腕とか、如雨露で水をやる時の絵も左手とか、左利きっぽいのに攻撃は右。手加減スキル?
※番外
レスティーナ……真剣な話をする時左手で前髪を触る癖があるので、左利き?
時深 ……PC版戦闘グラでは右。ただし両手に神剣
今日子 ……完全に右で攻撃
ぶっちゃけて言えば戦闘グラの敵味方使い回しw
敵のグラから先に作ったのかな?
敵青は右に神剣。今日子も敵の時は右手に持ってる。ウルカは敵の時左で斬る。
それでもやはり基本は右だと思われ。
※番外
佳織……序章では右手にお箸を持つ。
レスティーナのそれは嘘をつくときでなかったっけ。
スピたんは検証してないです。
その理論でいくとなぁ。
黒なんて一往復して攻撃するスキル(月輪、星火燎原)の時
行きと帰りで剣を持ち替えているってことになるぞw
まあ結論から言って、神剣使いは両手で対応できるように訓練されていると。
あんまり関係ないけど、天壌無窮の太刀のエフェクト好きだ。
一番超必殺って感じがする。
前から思ってたけど、スレ住人に意外と隠れファン多い希ガス>ウルカ
隠れもなきウルカファンの漏れ。
メインではウルカが一番好きだ。
「月光の煌きを、我が太刀に映して…」
とか、もう最高ですな
でも、一番好きなのはセリアだったりw
このスレは罪深いスレですw
純粋に一人一票で人気投票をやるとどうなるかな。
零票キャラ続出かw
>>226 セリアは不動の上位と確信。
ハリオンも上がってきそう。
下がるのは、ヘリオン、エスペリアあたりか。
あと多分ニム。
セリア以外だと、ナナルゥ、ファーレーン、ネリー辺りが上位に来そう。
>>228 いや、エスは色んな属性サポートしてるから侮れんぞw
>>228 いや、漏れは絶対にニムニムに投票するぜ!
\ ズサー! ,べV /
\ ─=/〃 ̄ヾ 。・゚・ 彡 /
チャーハン \ ─=jミ(ノハソ ミ。・゚・。・゚・)/
作るよ!! \三c(,_⊃jiノ゚ ヮ゚ノ⊃━ヽニニ/ よしバレてない
,べV \ / V'ヘ
/ 〃  ̄ ヾ \ / / ̄`ヾ\
! i ミ(ノハソ \∧∧∧∧ / クルッ ((ノハ\しii
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) < > ミパヮ゚ |i)k|つ サッサ
/ o━ヽニニフ)) < 予 ネ > c( U・ ゚U。彡・ 。・゚・
しー-J < リ > ━ヽニニフ
────────────< 感 | >─────────────
< の > 野菜だけでもおいしいね
ヽ < !!!! > ,, V'ヘ
。・゚.|| /∨∨∨∨\ /  ̄`ヾ \
。・゚・。||ミ /時は動き出す \ ((ノハ\しii !
,べV 。゚・〆 くーる!!/  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ \ パヮ゚ |i)ki!i|
/ 〃  ̄ ヾ┃ / ,, V'ヘ \ ̄ ̄ヽ・゚・ 。・゚/(_, )
! i ミ(ノハソ┃ / 。・゚・ /  ̄`ヾ \ \  ̄ ̄ ̄ \、_)
!ik(i|゚ ヮ゚ハ∩ / 。・゚・。・゚・ ((ノハ\しii ! \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
/ ノノ / パヮ゚ |i)ki!i|っ \ ̄| ̄| ̄
しー-J / ヽニニフ━oイ | \
下半身が適当なのにワロタ
>>231 なんでチャーハンしか作ってないんだよw
頭から被るのは全然くーるじゃないぞ、ネリーw ちゃんとリクェム入れたか?
,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ)
i`_l !i_!li_!i!リ
jixi」 ・ω・リ 。・゚・⌒) チャーハン作るよ!!
/ o━ヽニニフ))
しー-J
,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ) アッ! 。・゚・
i`_l !i_!li_!i!リて 。・゚・。・゚・
jixi」;´゚ω゚リ て //
/ o━ヽニニフ
しー-J 彡
,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ)
i`_l !i_!li_!i!リ ショボーン
jixi」´・ω・リ
c(,_U_U ・゚・。・ ゚・。・゚・ 。・゚・
━ヽニニフ
|'´ ⌒ヽ
|l」」ルl」」
|!ゝ゚ -゚ノゝ
|⊂|)
|
| ,ィ^i^!1-、
,(レ´  ̄ ヽ) よしバレてない
クルッi i_l!_li_!i!リ
ミxji・ω・´リつ サッサ
c( U・ ゚U。彡・ 。・゚・
━ヽニニフ
(エス)-(料理の腕)=ω
237 :
革命の人:2006/05/15(月) 23:28:46 ID:YY07sdyR0
約六ヶ月ぶりの御無沙汰です。
お待たせした…あるいは忘れかけられた、セリア長編SS
革新の一歩 第二章 強さ、弱さ…それぞれ (U)
行きます。
神聖サーギオス帝国。大陸の中央から南東部を擁する広大な国土と、豊富なマナに支えられた大陸最強の軍事国家である。
彼の国は大陸西方の大国、マロリガン共和国と同じく北方に立ち込める戦雲を沈黙と共に静観しているかに見えた。
――しかし
「ああ、それでいい。ダーツィへの支援は行わない」
謁見の間に設えられている皇帝が座すべき豪奢な玉座。そこに今腰掛けているのは、一人の少年だった。
彼は言動に尊大さを匂わせながら、眼下に居並ぶ帝国の重鎮たちを見下ろしていた。
名を、秋月瞬。
彼は何処となく空っぽで、それを埋めようと常に何かを渇望している…そんな雰囲気を持っていた。
色素の薄い髪と瞳、見なれない装束が人の目を引く。その上から帝国の黒衣を纏い、腰には赤黒い剣を佩いていた。
大振りなナイフにも見える剣の根元は湾曲し、内側に刺のような突起がある。それは口を開けた猛獣の顎を見る者に想起させた。
――永遠神剣第五位「誓い」
この大地に伝わりし伝説の「四神剣」のうち一本。異世界より来訪し、それを振るう資格を持つ故に彼はこう呼ばれている。
エトランジェ、「誓い」のシュン。
彼の決定に重鎮たちは驚きと戸惑いを露わにざわめく。
「…し、しかしシュン様。建前といえどダーツィとは同盟を結んでいる間柄。やはり何の支援も行わないのは……」
「黙れ。僕に指図するな」
瞬は及び腰ながらも意見してきた重鎮の一人を、ただ一言で沈黙させた。
彼は戦争や殺人に対して、何ら躊躇や忌避はなかった。自分が、あるいは神剣が望むままに奪い、壊す。
そんな彼にも懸念がたったひとつあった。
――佳織
瞬はこの世界に降り立ち、「誓い」を手に瞬く間に自分の地位を確固たるものにしていった。
その途中で瞬は知る。佳織もこの世界に来ており、なんとあの悠人と一緒に北方のラキオスにいたのだ。
さらに情報を集めさせたところ、悠人を従わせる為の人質になっているらしい。
(ああ、またアイツの所為で佳織が不幸な目にあっている)
瞬はますます悠人に対する自分の確信を深めた。
(アイツはやっぱり疫病神だ。「自分は一生懸命やってる」って顔をして周囲の人間をみんな不幸にしていく)
奴に同情して近づいていく人間はみんな不幸になる。そして今現在、最もその矢面に立たされているのは、佳織。
(他の奴らが何百人何千人と死のうが不幸になろうが、そんなの僕が知った事じゃない。でも、佳織だけは…!)
そう、よりによって奴は佳織を不幸にさせている。許せない事だ。
(佳織は優しいし、疑う事を知らないから簡単に騙されてる)
奴は口では佳織の幸せだ何だって言ってるがそんなのは嘘っぱちだ。
奴は気づいてる。自分が疫病神だって事に。
(本当に佳織の幸せを考えてるなら…なんで佳織の前から消え失せないんだ、アイツは?)
幼かったあの日。
たった一つを望み、それ以外の全てしか与えられなかった少年は鉛色の虚ろな世界にいた。
色を失い、ひび割れ、乾ききった瞬の心に差し伸べられた小さな手のひらと微笑み。
小さくも確かな温もりに、彼は生まれて初めて心の安息を得た。
その安息を守るために、瞬は誓った。彼女の幸福のためならば何だってしようと。
この安息を奪われないために、奪う者になると。
……しかし
(それをアイツが奪っていった!)
気が付くとそれはひとりの男に奪われていた。
高峰悠人。
自分と比較して全てに劣り、なんにも持たない無力で愚かな男。
瞬は彼と顔を合わせる度に底無しの憎しみに駆られた。
そしてこんな場所に来てまでも、悠人は自分の前に障害となって立ち塞がる。
だから瞬はラキオスを自分の手で滅ぼそうとしていた。
彼女の目の前で悠人を倒し、自分が掲げる主張の正統を証明する。失敗は許されない。入念な準備が必要だった。
しかし、それは徒労に終わった。ラキオスとバーンライトの緊張は臨界を超え、かくして戦端は開かれた。
その裏に、ラキオスには王の野心が、バーンライトにはダーツィからの示唆があった。
瞬は自分の『誓い』の邪魔者を許すつもりはなかった。
だが、手を下すまでもなくバーンライトは滅んだ。残るはダーツィ。
ダーツィは帝国の傀儡…つまりは瞬の傀儡。
傀儡が自分の意思を持つ事などあってはならない。意思を持たず、糸の引かれるまま操られる事こそ傀儡の本分。
思い通りに動かない傀儡ならば――
(滅ぼされてしまえ、ラキオスに。僕の邪魔をした報いを受けろ)
だからこれは当然の結果なのだ、と瞬は考えていた。その一方で冷静な計算が現状を分析する。
ダーツィの国土は広いが土地が痩せており、マナの保有量はさして多くない。戦力は弱くは無いが、精強と言うには程遠い。
一方のラキオスはバーンライトを獲得し、マナの保有量はダーツィを上回った。
戦力面でもエトランジェである悠人(戦力としては疑問が残るが)や「ラキオスの青い牙」がいる。
時間が経てば経つほどダーツィが不利になるのは明らかだ。
リアルタイムキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
支援
よって、ダーツィが構想している勝利のシナリオとは。
まず、バーンライトを焚き付け、噛ませ犬にしてラキオスを疲弊させる。
次に、帝国の支援を得て戦力の回復、強化を行われる前にラキオスを叩く。
これでダーツィはラキオス、旧バーンライトを手中に収める…と言うところだろうか。
しかし、当の帝国は支援を行わない。ダーツィのシナリオはどれが欠けても成功しない綱渡りのそれだ。
これでダーツィの件は間違い無く片が付くだろう。
目の前の状況に振り回されっぱなしの悠人と違い、瞬の手札は多い。
――例えば、つい数日前にやってきたサルドバルトからの密書。例えば、ラキオス王の野心が行く先。
腰に佩いた「誓い」から赤い妖光が漏れ、瞬の口元がつり上がる。
「その代わりに…サルドバルトを支援してイースペリアを攻める。サルドバルトの動向はラキオスに漏れても構わない」
赤い光は刀身を覆い、静かにそして不気味に輝き続ける。
(これで良いだろう。とりあえずはラキオス王が思い描く通りに事を進めてやろう)
瞬はこれから起こる事を知っていた。
――ラキオス王の陰謀によってイースペリアに集まった各国の戦力が消される。
ラキオスもスピリット隊が捨て駒になるが、イースペリアを獲得しサルドバルトを丸裸にできる目算だろう。
捨て駒のスピリット隊には悠人もいる。
悠人を直に倒す事ができないのが不満だが、これはこれで後腐れないと瞬は考える。
――しかし
(アイツは生き残るだろう)
瞬には確信があった。
奴は周囲に不幸を擦り付ける疫病神だから、この程度ではくたばったりなどしないだろう、と。
そうなると、北方はいずれラキオスに統一されるだろう。
しかし、そう簡単にさせはしない。
奴には、もっと、もっと、もっと苦しんでもらわなければ。
舞台も整えないといけない。佳織を奴の手から救い出して、目を覚まさせるためにも。
重鎮たちのざわめきも瞬の耳には届かない。それに瞬にとって、そんなものは聞こえようが聞こえまいがどうでもいい事だった。
ただ、「誓い」の声が聞こえさえすれば。
(「誓い」が僕に教えてくれる。全ての運命を知ることができるのは、僕だけだ)
赤い妖光は今や刀身のみならず、蛇のように瞬の身体を絡めとっていく。
「誓い」が語りかけてくる。
――【契約を履行せよ。己の立てた『誓い』の為に…】
キイィィィン――
「よし!ヒエムナは制圧したな。次はケムセラウトに向かうぞ」
「しかしユート様、休息もせず行かれるのですか?それにキロノキロ方面への警戒も必要です」
先を急ぐ悠人に指摘を入れたのはエスペリア。そこで悠人は部隊の面々を見まわした。
エスペリア、ヘリオン、アセリア、ヒミカ、オルファリル。そして悠人がヒエムナ制圧部隊のメンバーだった。
幸い重傷者は出なかったが――
「わ、私はまだ大丈夫ですっ!」
「……ん、大丈夫。やれる」
「はあ、はあ…これくらいでは、まだまだ」
「もうくったくた〜。ゴメンね、パパ〜」
悠人と一緒に先陣で切りこんでいったアセリアとヒミカ、そしてそのサポートをしていたオルファリルはかなり疲労していた。
特にアセリアは部隊唯一の青スピリットとして、剣を振るいながらも敵の神剣魔法を打ち消していた。
肩は激しく上下し、身体のそこここに傷がある。涼しいのは口調だけだ。
かく言う悠人も疲労してはいたが、別働隊の方が気になっていた。
むこうはまだ街道の確保のために戦いが続いている。速やかに援護に行く必要があった。――だが
(余裕がありそうなのはヘリオンとエスペリアか…)
二人とも連れて行くわけにはいかない。それではもしもの時に応戦できる者がいなくなってしまう。
しかし最低でも部隊の体面をなさない事には援護に行っても意味がない。
戦いは早く終わらせたい。そして、誰一人欠ける事なく生き残る。そのために今何ができて何をすべきか。
(…そうだな)
悠人はよどみなく思考を展開してまとめる。
「それじゃ、エスペリアはみんなとヒエムナに留まって警戒を頼む。しばらく一人で大変だけど、そのうちみんなも回復すると思う。
俺はヘリオンをつれて別働隊と合流する。で、そっちの部隊を再編成してケムセラウトを攻める。
もし、まとまった戦力にならなければヒエムナに引き返してくる。攻めるにしてもヒエムナに連絡は回す…これでどうだ?」
「は、…はぁ」
まくし立てるように話す悠人にエスペリアはついていけない。
「何か抜けているとこは無いよな?……ならここは任せた。ヘリオン、話は聞いていたな。今から二人で別働隊に合流するぞ」
悠人は半ば一方的にエスペリアと話を打ち切ると、ヘリオンへと向き直って言葉を続けた。
「はいっ!わかりましたユートさま」
「じゃ、行くよ。みんなはエスペリアの指示に従ってくれ」
悠人の行動は速かった。エスペリアにしゅたっと手を上げ、踵を返してダッシュ。
「わわっ!、ユートさまー、待ってくださいー」
ツインテールを揺らしながらヘリオンが後に続く。エスペリアの視界の中の二人はみるみる小さくなっていく。
「ユ、ユート様……もう」
エスペリアが呼び止めようとした時には、二人の姿は既にヒエムナの郊外に消えていた。彼女が延ばした手は所在なさげに虚空を掻く。
「わぁ〜。パパ、もう見えなくなっちゃった」
「ユート、速い」
「…何か、最近いきなり頼れる感じになってきたわよね」
エスペリアが軽くため息をついて振りかえった先では、三人がそれぞれ思うままの感想を言っていた。
ラキオスは先のバーンライトとの戦いで疲弊していたかに思われていたが、その影は進軍、士気に微塵も見られなかった。
破竹の勢いで南下を続け、ヒエムナ、ケムセラウトを瞬く間に陥落させ、ダーツィの首筋に刃を突きつける。
そこに凶報がもたらされる。龍の盟約を破ったサルドバルトが、イースペリアを急襲。
スピリット隊に下された新たな命令は、「キロノキロ完全制圧の後、イースペリアの救援せよ」だった。
一方、存亡に王手をかけられたダーツィは首都キロノキロを死守せんと抗戦を続けるも、ラキオスの度重なる攻勢についに滅亡の時を迎えた。
聖ヨト暦三三〇年スリハの月緑いつつの日。
大地はまたもや塗り替えられる。
闇から伸びる指し手の思うがままに、戦火は北方を覆っていく。
その戦場の直中、ラキオスの陣頭には常に神剣を振るうエトランジェの姿があった。
ぶんっ! ぶんっ!
夜も深け始めたヒエムナのラキオス軍駐屯地。その外れで明かりを避けるように、悠人は暗がりで独り「求め」を振るっていた。
明日から始まる作戦の会議が終わり、スピリット隊のみんなと別れてから彼はずっとそうしている。
彼を照らすのは、寒々しい月光だけ。「求め」はそれを反射してなお蒼く輝いていた。
ぶんっ! ぶんっ!
見えない何かを断ち切るように悠人は「求め」を振り下ろす。
(まだ、戦いは続く…)
立ち塞がる敵も、心に燻る迷いも、その燻りを受容する心すらも。その全てを斬り捨てようと黙々と素振りを続けている。
ぶんっ! ぶんっ!
(まだ、続く……迷っていちゃ生き残れない)
まだ、心のどこかで迷っている。諦めろ、斬り捨てろ、押し殺せ――そう思えど、迷いは残る。
ぶんっ! ぶんっ!
(……殺さなきゃ、守れない)
スピリット隊のみんな。そして、佳織。それだけは、守りたい。
(だから、それ以外は斬り捨てろ!)
ぶんっ!
悠人は「求め」を振りきったままの体勢でしばらく固まる。
両腕が重い。筋肉の代わりに鉛が詰まっているような錯覚。気にせず再び構えを取ろうとする。
――が
…するり
力の抜けた悠人の手から「求め」が滑り、地に浅く突き刺さった。
「…はあ、はあ」
全身から吹き出る汗。感覚のない腕。重い疲労。
酷使された肉体は休息を求めて悲鳴を上げているが、気ばかりが昂ぶって睡魔は一向にやって来なかった。
敵を斬る。スピリットを、殺す。やる事は変わらない。
戦う事を強いられ、スピリットを斬り、王の野心の尖兵となって他国を侵略してきた。
(でも、今回は少し違う…よな)
サルドバルトの裏切りには苦いものを感じたが、「救援」という言葉が少しばかり悠人の心を軽くしていた。
そうやって言い訳を見つけて、縋りたいだけなのかもしれない。
それでも、次の任務は友好国の救援。
――自分の手が、自分の持つ力が、誰かの助けになれるなら…
その事に悠人はささやかな嬉しさを感じていた。
悠人は地面にどかりと腰を下ろすと「求め」を見やった。岩塊から削り出されたような刀身は、いかにも無骨で刃は鈍い。
「鋭さ」ではなく「重さ」で斬る。剣と言うより刃の付いた棍棒、鉈と言った方が近いかもしれない。
だが、佇むその姿には圧倒的な存在感がある。事実、内に在る力はスピリット達が持つそれなど比較にならないほど。
強大な力を秘めた代物だが、彼が扱えるのはその力のほんの一部にすぎない。
悠人を有用な戦力として数えるには、まだ心許ないだろう。
(みんなを守りたいと思うのに、みんなに守れてる、な)
その事が悠人には歯痒くて仕方がなかった。
じゃり――
その時、土を踏みしめる足音が聞こえた。
「ん?」
悠人はそのまま上半身を捻り、足音の方向――背後に首を向けた。
「…ユ、ユート様?」
振り返った悠人の前には、長く青い髪を尻尾のように結った妖精が月光に照らされていた。
(何でいるのよ?)
セリアは動揺を押し留めるので必死だった。
作戦会議は予想より早く終わり解散となったのだが、暇を余したスピリット隊の面々はそのまま談笑へと移っていった。
最初は輪に加わるわけでもなく、また去るでもなくただ黙って聞いていたのだが、いつぞやのように悠人の話題が出てきた。
盛り上がる場の雰囲気に、また苛立ちを感じ結局、一人そそくさと退散した。
必要以上の馴れ合いは好まない。人と接するのが苦手という事も少なからずある。
しかし、談笑の輪から退散させたのは間違い無くあの正体不明の苛立ちだった。
分析を試みようにも、そういう時は限って何も手につかない。全くもって不可解だった。
そのまま寝てしまおうとも思ったが寝つけもせず、落ち着ける場所を探して敷地の中をうろうろとしていたのだった。
しかし、ヒエムナの駐屯地はたいした広さではない。
人間の兵士達が明日の準備に追われ右往左往する中、一人になれるような人気の無い場所は自然と限られてくる。
この遭遇はある意味、一人きり者同士の必然かもしれない。
もちろん当の二人は、そんな事は露とも思っていなかったが。
「…こんな所で何を?もう休まれたのかと思いました」
セリアは怪訝そうな眼差しで悠人を射た。
彼女がそう考えるのも無理は無かった。ダーツィとの戦いの最中、悠人は前線に出ずっぱりで戦っていた。
彼はヒエムナを陥落させた後、とんぼ返りでセリアたちの部隊と合流し、続いてケムセラウトを陥落させる。
さらに、イースペリアの窮状を知らされた後は、休む間を惜しんで首都制圧戦の先陣で剣を振るっていた。
セリアの見ていた限りでは、悠人は休息らしい休息を取っていなかった。
悠人は苦笑しながら立ち上がり、
「明日から、イースペリアだろ。なんか眠れないから訓練してた」
「求め」を引き抜いて一度軽く振って腰に佩き、そう言って所在なさげに頬を掻いた。
(またこの人は…)
呆れとも諦観ともとれる感情が動揺を退かせていく。
やる気があるのはおおいに結構だが、無理する事を奨励するつもりはなかった。
「ユート様?先の戦いではずっと前線にいて、ろくに休んでいませんでしたよね?」
いつもの調子を取り戻したセリアはぴっと指を立てて、ずいと悠人に詰め寄る。
セリアの言わんとしている事を察したのか悠人は歯切れ悪く答えた。
「ああ、そうだけど…もう終わりにしようかなって…」
悠人はセリアに詰め寄られた分だけ後ずさる。
「だけど、じゃありません。今は休むべき時です。そんな事では戦うべきときに戦えませんよ?」
そのままじりじりと建物の壁際まで追い詰められ…
ドン、と乾いた音を立てて背中が石の壁にぶつかる。しばらくしてひんやりとした壁の温度が伝わってきた。
「ちゃんと解っているんですか?ユート様は明らかに無理をしています」
以前と比較すれば最近の悠人は、見違えるほどの奮戦ぶりを見せている。
しかし、彼は極端に不器用だ。その裏で、割り切りも折り合いもつけられないくせに、無理矢理に心を圧し殺しているのだろう。
人は一朝一夕で簡単に変われるものではない。肉体面においても、精神面においても。
「いいですか?無理を重ねても事はなりません」
セリアは悠人が無理を重ねる理由も彼自身の事も多少は理解しているつもりだった。
だからこそ、言わなければならない。
そうしないと彼は、強くなる以前につぶれてしまう。
――お兄ちゃんは優しい人です。戦いに向かない人なんです。
セリアは佳織の言っていた事を思い出す。全くその通りだろう。よく悠人の事を知っている。
彼女のために彼はどこまでその心を削っていくのだろうか?
ちりっ
そこまで考えたセリアの胸の奥底で何かか、疼いた。
心がささくれて、またあの苛立ちが頭を擡げてくる。
(……気に入らない)
心が思考に訴える。
一体何を気に入らないと言うのだろうか?
その原因を探るべく、今度こそ思考は加速しようとするが心が邪魔をする。
――知ってはいけない、踏み込むな。
そう、警鐘を鳴らす。
「それがまわりをどれだけ心配させると思って―――」
停滞する思考とは裏腹に舌鋒は加速する。
セリアは悠人の都合などお構いなしにさらに詰め寄った。
(ちょっ、ちょっと近過ぎだろ)
悠人を見据える一対の青く澄んだ瞳。それがおさまる涼やかな美貌。
彼は説教の真っ最中でありながら、詰め寄るセリアに不謹慎にも動悸が速まる。
セリアの言葉に隙は無く、異論を差し挟む余地は無い。
しかし、言わなければと思い、どうにか声を出す。
「セ、セリア。悪いけど少し離れて……」
「えっ…あっ……!?」
気が付けば、二人は互いの吐く息がかかるほどに近い。
セリアもどやっと必要以上に縮まった距離に気付いたようだ。
視線が絡み合う。とたんに胸が早鐘を打ったように高鳴り始める。
二人は離れるタイミングを失ってピクリともせず見詰め合う。
途切れた言葉の代わりに場を支配したのは微妙な緊張。
お互いに硬直して動けない。
「「……………」」
ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…
沈黙の中、聞こえるのはふたつの激しい鼓動。
月明かりの下、見えるのは明らかに朱がさした互いの顔。
(何と言うか、これはまずい)
悠人は沈黙に耐えきれず、恐慌に片足を突っ込みながらも何か言おうとして口を開く。
「………っ」
――その瞬間
ギギィィィィィィィィ!!!
「う、ぐあぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁっ!!!」
絶叫が全てを引き裂いた。
脳髄に杭でも打ち込まれたのかと錯覚するほどの頭痛が悠人を襲う。
「ユ、ユート様!」
悠人はセリアを押しのけ頭を抱えると、ゴロゴロと地面を転がり、のたうち回る。
【足りぬ…マナを、もっとマナをよこせ!】
――キイィィィィィン!!!
耳障りな高い音と共に、悠人の頭の中へ黒くうねる意識が入り込んでくる。
「ぐぐ…はぁ、はぁ。っ!…くそッ!」
黒い意識が蝕むほどに、万力で締められているような痛みが悠人の全身を駆け巡る。
激しくぶれる悠人の視界にセリアの姿が映った。
【汝も抱いたであろう?この妖精に対して、卑しい劣情を】
「うるっ、さい!…だま、れぇぇっ!」
悠人は激しく頭を振りながら「求め」の意識に抗う。
苦痛の次に襲いかかってきたのは猛烈な飢餓感。
溶岩の如き熱さが身体の芯に宿り、のどが焼け付くように干上がって渇きを訴える。
「……これが、神剣の干渉?」
セリアも話には聞いていたが、見るのはこれが初めてだった。
基本的にスピリットの持つ下位の神剣も、マナを欲しはするがここまで強制する事は無い。というよりも、それだけの力を持たない。
せいぜいが剣の声が聞こえる、言いたい事が何となく伝わる程度。
それすらも――アセリアのように――ある程度高い階位の剣と心が強く結びついている事が条件だ。
【欲望を抑える事は無い。解き放ち、我の求めに応えよ!】
――キイィィィィィン!!!
「っ!がッ、ぁぁぁぁっ!う、くぅ……ま、負け、る、かよっ」
悠人は血走った目を見開き、痛みと忌まわしい衝動に耐える。
「ユート様!」
セリアは驚愕に囚われていたがそれも一瞬。すぐさま悠人を助け起こそうと手を伸ばした。
ぱしぃっ!
「……っ!?」
「俺に近づくなッ!」
悠人は伸ばされた手を振り払い、セリアを突き飛ばした。
「きゃっ!」
【奪え!マナをもっと啜らせろ!その妖精を、犯せ!】
――キイィィィィィン!!!
「ふ、ふざけ、る、なぁっ!」
またもやあの高い音。苦痛にもがき苦しみながら「求め」の声に抗う。
「守るんだ!」
混濁する意識の中、悠人は必死に声を絞り出す。
「みんなを、傷つけさせは、しないッ!みんな、絶対に守って、みせる。戦いの中でも……お前からもだ、バカ剣ッ!」
悠人の言葉を聞いたセリアの表情が微かに驚きに揺れた。悠人はもちろんそれには気が付かない。
悠人はぶるぶると震える腕で「求め」を掴み、壁に向かって叩きつけた。
がぎぃぃっ!
「求め」は壁にぶつかり跳ね返って地に落ちる。たちまち、悠人の全身を苛んでいた諸々の苦痛が潮が引くように鎮まった。
無様に地に横たわる「求め」は、干渉に力を使った名残か淡く発光している。
【……契約者よ。マナが無ければ、我も汝の求めに足る力を振るえんぞ】
「それでも何とかしてやるさ。みんなを守る。それだけは絶対に譲れない」
悠人は「求め」の抗弁に決然と対峙する。
【…今宵は退こう。しかし、我が言葉、ゆめゆめ忘れぬ事だ】
「それが俺の…高峰悠人の『求め』だからな」
【……ふん】
それっきり「求め」は押し黙った。発光も止み、青白い月光だけがその場を照らす。
悠人は黙々と「求め」を拾い上げると、先ほどと同じように腰に佩く。
張り詰めていた緊張の糸が切れて、どっと疲れが押し寄せてきた。
「求め」の干渉のせいで昂ぶってた気力も持って行かれ、心身共に疲れきっていた。
「ユート、様…」
セリアはおずおずと悠人に話しかけた。凛然とした雰囲気はすっかり影を潜めている。
「…さっきは悪かった。ケガ、しなかったか?」
悠人の態度はぎこちなかった。
こんなところを見られたくなかった。見せたくなかった。心配させたくなかった。
…そして何より、この後ろめたい衝動を知られたくなかった。
えもいえぬ苦い感情が悠人の胸を満たしていた。
「それは…大丈夫です。…それよりも」
セリアは一度言葉を切った。次の言葉が出てくるまで若干の躊躇いがあった。
「…その、ユート様の方こそ、大丈夫ですか?神剣の干渉だったのでしょう?」
「……ああ、今日は退くって言ってたからな。もう、大丈夫だ」
悠人は苦笑しながら誤魔化すように服についた土を払う。大分残っていたが気に留めず、セリアに背を向けた。
「…何か疲れた、もう寝るよ。明日も速いんだったよな?寝坊しないようにしなくちゃな……あと」
飲み込んだはずの苦いものがまた上ってきたような気がして言葉を切った。
「……今の事は、できれば誰にも言わないでいてくれると、助かる」
お互いに切れ切れの言葉を交し合って、たっぷりと間が空く。
悠人は少しでも速くここから逃げ出したかった。
セリアの返事を待たず、悠人は早足で去って行った。走り出してしまうのを必死で押しとどめながら。
悠人の背中を見送るセリアの胸中はさまざまな思いが渦巻いていた。
いつからだろうか?
どうでもいいと思っていたのに、いつのまにか彼をいつも気にかけている自分がいる。
仲間のためにと思っていたのに、いつのまにか彼のために何かをしてあげたい自分がいる。
はからずも交わしてしまった約束。時折感じる苛立ち。惹かれる思い。
感情の警告。考えるな、踏み込むな、知ってはいけない。
――わからない。
…でも
千々に乱れる心の中、はっきりしている事がひとつだけ。
さっきの彼の言葉。
――みんな、絶対に守って、みせる。
私と…いや、「彼女」と同じ言葉。
――みんな、絶対に守ってみせます。
かつて、私に向けられた言葉。
「…リア……」
それは、多分もう記憶の中にしか存在していない者の名前。
記憶の中のリアと悠人は似ても似つかない。
しかし、彼女と同じ事を言う彼はやはり…危うい。
…だから
「…守って、あげたい」
そして…
セリアの瞳がひどく昏い青に沈む。
――繰り返させは、しない。
257 :
終了です。:2006/05/15(月) 23:51:04 ID:YY07sdyR0
,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;;
{;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; 誤字、脱字、ハリオンマジックなんてある訳が無い
ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゙
`Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;> そんなふうに考えていた時期が
,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙: Y;;f 俺にもありました
~''戈ヽ `二´ r'´:::. `!
連絡スレみたら、もう修正してるじゃん。と思ったが誤字直ってないよ誤字。
悠人の名字が……
>>257 おつかれー
まだ先は長そうだけど、ゆっくりでも着実に進んで下さいまし。
それ支援になってねーっw
>>242 じゃ、お約束ってことで↓
>>249 ×:みんなに守れてる、な
○:みんなに守られてる、な
>>250 ×:そういう時は限って
○:そういう時に限って
×:露とも
○:つゆ
○:露ほども
>>255 ×:明日も速い
○:明日も早い
△:速くここから
○:早くここから
>>257半年振り乙です。
リアキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
って事で、最初から読み直してみました(ぇ
未だ自分の感情が判らないセリア、いいですね。
単なる人間に湧いた興味なのか、それ以上の感情なのか。
どちらにせよ、もうそう簡単に張り倒す事など出来ないでしょうw
次回、困ったセリアさんの破れかぶれ発動?!(大嘘
ダーツィ、完全に悪役w 『求め』、もっと悪役w
微妙に動き出した瞬も面白そうだし、広がる広がる革新ワールド(ぉ
次はイースペリア……リアも含め、どう展開するのかワクテカですw
瞬くん色々画策してたんだね。でも……どこまでが彼の考えで、どこからが『誓い』の操り糸なのか。
なんだかんだで一番のピエロなのかも知れず。
躁ユート、倒れるときは前のめり……では結局周りが困ります。
戦いは徒競走にあらず。今現在13人14脚なのを肝にお命じ下さいませ。
ユートさまと肩を組む権利を巡って動乱勃発……わたし、ちっちゃいですけど……か、肩くらい組めるんですからっ……!
求めてばかりではなく、『求め』さんに些少の利子くらいは支払いましょう。
えーと尻をなでるとか、鎖骨に溜まった汗を十分くらい凝視するとか…ヘヴンズ
遭遇接近セリア。未知の感情秤に掛けりゃ、決意が糊塗するこの渡世。
リアを重ねる目線の振れ具合に注目。
>>257 お疲れさまでした。
「放っておけない」オーラを全開にして今日も己の道を爆走するソゥユート。
しかしながらその「放っておけない」の中身が、
セリアたち、スピリットたちに直接迷惑を与えてしまう事が
多々あったからフォローが必要だった。という今までのものから、
悠人自身に降りかかっている(あるいは降りかかっていく)困難に触れ、
彼そのものへの想いに変化していることが感じられて、にやけてきてしまいました。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
>>259さん
はい…「高嶺」ですよね>苗字
本当に申し訳ない。
>>260さん
書き込んでから気が付きました>支援
何やってんだか…私。
ご指摘ありがとうございます>誤字
……多いorz
>>261さん
わざわざ読み返しまでして下さるとは…感無量です。
ですが、一章のグダグダっぷりは個人的に黒歴史(爆
瞬はエトランジェの中では二番目の登場なのに影が薄いので
実はいろいろしてたのかなー、って妄想です。
次ではありませんが、破れかぶれ発動は二章の内に
きっと持ってきますので、何卒、何卒今はお待ちを。
改行で引っかかりました。続きです。
>>262さん
彼も犠牲者なのですよ>瞬
悠人君の周りが見えないのは今に始まった事じゃないんで。
温かく見守ってあげて下さい。
しかし、学習していかないと某型月の彼になってしまいそうです。
そして「求め」。大丈夫です、あれくらいでへこたれる神剣じゃないんで。
「リア」…スレで生存の報告があったので、真偽を確かめるために
「スピたん」をやり始めたのはここだけの話w
>>263 不安があっても自分で道は選ぶ、それがソゥユート道。
しかし、彼の行く先はこれからも多くの受難に満ちてます。
もちろん悠人に惹かれていくセリアもその受難に巻き込まれていくわけで…
この先にも読む人をにやけさせられるような所があれば良いのですが…
さてどうなる事やら、見当が付きません(ぇ
ラキオス書店
新書売り上げ一位
「ニム」って言うな! 出版社 月光文社
書店員イチ押し。☆ミカ賞最有力作
容疑者Sの献身 出版社 北方五国春秋
267 :
エロ大王:2006/05/18(木) 13:26:54 ID:4rmA2DP/0
エトランジェが語る人生の書
『ソウユー道(ドウ)』 出版社 別世界新報
マロリガン書店で八週連続No.1のベストセラー、いよいよラキオス上陸
光陰日向に咲く 講陰社
話題の「光陰日向に咲く」そのルーツがここに
なぜ訓練士は信用されるのか? 創ま文社
妹の瞳に恋してる 別世界新報 (絶版のため在庫限り)
ソーン・リームで門外不出の本が写本され、ついに一般発売!
遥か古に白い法衣の幼女が書き起こしたとされる、神剣マニア垂涎の一冊!!
原書著者のコレクションより始まり、古今東西、果ては異界の神剣すら完全網羅!!
『神剣伝説』 神剣紀元社
|'´ ⌒ヽ
|l」」ルl」」
|!ゝ゚ -゚ノゝ ←この表情に隠された暗号を解け!
|⊂|)
全世界で大絶賛中の本格殺人ミステリー!
その話題性や今や世界一ッ!
これを知らぬものは時代遅れかも!?
『ショウチン・コード』 草笛出版
激しく今更だけど。
今日子の戦い続けないと呼吸できなくなる呪いだか魔法かけられたって設定どうなったんだろ。
本編で語られてない=没?
正直この設定での話も見てみたかったかも。
光陰作「オレのハガキを読め!職人への道」
ガロ・リキュア放送局にて驚異の採用率をほこったコウイン氏。
氏の語る7つの術で他人に差をつけよう。
>272
神剣・エターナルの設定が形になって行く過程で消えていったのではないかな。
それに、聖ヨトの血がマロリガンには存在しないから、空虚以外が今日子に制約を科すのは難しいかも。
どっちにしろ今日子の状態が正常ではないのは変わらんけどね。
>>272 絶え間なく『空虚』はマナを欲し、戦っていない間は今日子の身体から
少しずつマナを補給する事がありそのせいで強い頭痛、呼吸困難などが
定期的に引き起こされてしまいます。
精神が壊れそうな中、光陰の力でマナを回復してもらう事によって
辛うじて自我の欠片が残せました。
以上、オフィシャル設定資料集より一部抜粋。
と言うわけで、『呪い』と言うより『空虚』の所為で
引き起こされるみたいですね>呼吸できなくなる
私もどっかの雑誌の紹介文で「呼吸できなくなる呪い」の
記述を見た覚えがありますが、
おそらく話を固めていくうちにそうなったと思われ。
ていうか、細かい所は結構いい加減なままになってるのが多いです。
アセリア公式ページ自体その表記のままだからねえ
↓てっきりこういうことだと思ってた。
☆ チン
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・)< マナまだー?
\_/⊂ ⊂_)_ \_______
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
|  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:| :|
| .|/
久し振りにベルサイユの薔薇なんか見てたら何故かオスカルはセリアだとオモタ。
アンドレ=ヒミカ、アントワネット=ヨフアルで。このスレのせいだ。
>>277 剣2本持ってるな、それなんておbs(ry
280 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:00:08 ID:r6a3wN7u0
「よし、入っていいぞ」
「ありがとうございます……ユート様、手続きが終わりました」
前方に聳え立つ巨大な門。もう、半刻は待たされている。
その前で憲兵と話し込んでいたエスペリアが大きく手を振るのを見て、我達はようやく歩き出した。
「……はぁ、面倒」
動き出した途端、隣で、頭一つ低いニムのぶーたれた溜息が聞こえる。
「まぁそう言うなよ。こうしないと流入……流乳……あれ? なんだっけ?」
「くす。流入者を防げないのです、ユート様。無理もありません、ずっと戦乱が続いていましたから」
するとすかさずさり気なく、ファーレーンの助け舟が入る。
うむ、相変わらず出来た娘だ。そうだった、確かに前、ヨフアル狂いの王女がそんな話をしていた。
「そうそう、それだ。そのせいで、恵まれたラキオスに人が押し寄せて来てるんだよな。判ったか、ニム」
「むか。偉そう。なによお姉ちゃんに教えて貰ったくせに……あと、ニムって言うな!」
「いてっ!」
「こ、こらニム、ユート様になんてことを!」
「……ふん!」
「くっ……なんでこんなに手が早いんだ……」
したたかに蹴り上げられた向こう脛を押さえながら、慌ててファーレーンの背後に回る。
主人公としては情けないことこの上ないが、今の所これが最も効率的な防御法だ。
なに? 余計な口を滑らせなければいい? 甘いな。
そんな事をしたら、ファーレーンのうなじに唯一生えた黒い一房をこっそり覗き見る楽しみが無くなるじゃないか。
なにせ立ち絵じゃ全然判らんからな。これこそ正に一石二鳥。フェチだとか言わない。これは漢のロマンなんだ。
「む、今何か、邪な気配が」
――背後でちゃきり、と剣を構えるウルカさんの強烈な殺気が痛いので、今日はこれくらいにしておいてやろう。
281 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:00:44 ID:r6a3wN7u0
「……ん?」
「あらあら〜。どうしましたか、ヘリオンさん〜?」
「あうぅ〜なんでもありません……」
すぐ隣でリクェムage……ヘリオンが背中を向けたまま、背伸びをするような格好で一生懸命両お下げを持ち上げていた。
あまり色気も無いうなじがこちらからも丸見えなのだが、肝心の、それの意味するところがさっぱり掴めない。
ハリオンが不思議そうな、もとい、相変わらずのにこにこ顔のまま、面白そうに眺めている。一体何の遊びだろう。
「おい悠人、見えたか?(ボソ」
「ああ、ばっちり。黒だった(ボソ」
そんな騒ぎを尻目に見つつ、忍び寄ってきた光陰とこっそりがっちり腕を交わす。
まるで小学生が女子のスカート捲りを敢行した時なんぞの報告会みたいだが、この楽しみだけは女子共には理解できまい。
異性の秘密を知る。それも普段から良く知っていて、悪しからず思っている相手ならば尚更趣が――――
「あ、ん、た、ら、は〜〜〜!!!」
「ぐぼっ!!!」
突然光陰が地面にめり込んだ。
「お、おい光陰?!」
「コウインさま!!」
「うわっ! びっくりした!」
そしていきなりどこにいたのか物凄い勢いで駆けつけたクォーリンに押し退けられる。
彼女は白目を剥いた光陰の頭を慌てて膝の上に乗せたかと思うと、すぐに回復魔法によるサルベージを試み始めた。
両手で抱え込む陥没した頭部がふっくらと豊満な胸に押し付けられて(二人共)幸せそうだな……ってそうじゃなくて。
「ちょ、今日、いつの間に背後をっ?!」
「問答、無用〜〜〜!!!」
「うぎゃくぁw背drftgyふじこl;p@:!!!」
それが先日上書きしたばかりのペネトレイトYによる黒属性の三連撃だと悟った時には、
我の意識は遥か時空の彼方、遠くハイペリアの三途の川手前まで吹き飛ばされていた。
282 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:01:55 ID:r6a3wN7u0
「ごめんよ佳織、俺がそんな頭蓋骨に育てたばかりに……はっ!」
ぱちくり。瞼を開くと、青い空。心配そうに見守っている仲間達の、顔顔顔。
首を捻れば向こうに見える、見覚えのある門。更に向こうに、もっと見覚えのある城の遠望。
「…………あれ? ここは……ラキオス?」
「ユート様! 気づかれましたか?!」
「ふう。ニムントール殿のリヴァイブがどうやら間に合った様子」
「ふん! 感謝してよね! まったくユートのせいで、いっつも余計な仕事が増えるんだから」
「クスクスまたそんな事を言って。ニムったら、真っ先に神剣魔法を唱え始めたんですよ」
「ええ〜あの慌てぶり、ユート様にも見せたかったですぅ〜」
「べ、別に慌ててなんかない! ニムはユートなんてどうでも良かったんだけど、お姉ちゃんがどうしてもって言うから」
「と、とにかく良かったです! 本当に危なかったんですよ! さっきなんてこう、マナの人魂が口からぶわっと」
姦しい周囲をよそに、頭を振る。さっきまでの記憶が無い。
「ええと……あれ?……俺、何してたんだっけ?」
確か、マロリガンで大統領が神剣に飲み込まれて、こっちも『求め』の力を最大限に引っ張り出して――――
『……チッ。捕らえ損ねたか』
「…………お前か」
油断も隙もない。どうやら一時、意志を奪われていたらしかった。
仲間達の様子を窺ってみるが、異状には気づかれなかったようだ。『求め』がよほど巧妙に操ってたのだろう。
もしくはラキオスに着いてからじっくり活動するつもりだったのか……危なかった。
『ふん。我は代償を求めただけだ』
「あん?」
代償ってこれかよ。まだ寝そべっている俺の視線を最後の力で縛りつけるなバカ剣。
いや、確かにスピリットの戦闘服って裾が短いなとか今まで思わなかったわけじゃないけどさ。
白とか黒とか水玉とかしゃがんで覗き込んでいるみんなにバレたら宿主ごとバルガーロア行き確定だろうが。
「……いいんだな、それで」
『む。なぜ恐山や樹海がビジュアルとして浮かぶのだ』
「名所だからな。独り言を呟く俺をさっきからウルカが不審そうに見つつ鍔口を切ってるんだ」
『あの妖精か……了解した、我は眠る』
「賢明だ。っていうか、もう起きんな」
283 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:04:51 ID:r6a3wN7u0
などと相方と漫才を繰り広げていると、後ろの方がまた賑やかになっていた。
「ああっ! 大地の祈りが全然効かないっっ! コウインさま? コウインさまぁ〜!!」
「ふん! 放っときゃいいのよ、そんなやつ」
「…………あっちも相変わらずか」
背後でまだ一人危ない奴が居るらしいが、あえて見ないことにする。
というか今日子、無事だったんだな。良かった。相変わらずで、何よりだ。
前置きが長くなったが、マロリガンを制圧した俺達は、こうして無事(?)ラキオスへと辿り着いた。
物珍しそうに辺りをきょろきょろと窺う光陰と今日子を、エスペリアが案内がてら城へ連れて行こうとする。
まぁ勝手に連れて来た訳だし、レスティーナに一言許可を貰わなければここでの市民権が得られないから当然か。
それにしても光陰、うちのグリーンスピリットは結局誰一人リヴァイブをかけなかったわけだが、よく生還したな。
クォーリンの大地の祈りだけでたいしたモンだ…どうでもいいけど何でみんな光陰に神剣魔法をかけたがらなかったんだ。
≪す、すみません。わたくしはちょっと……あの、今マインドが足りなくて……ぽ≫
だからどうしてそこで俺を見たんだエスペリア。変にもじもじしてたし。
≪わたしはぁ〜、いつまで待っても覚えませんからぁ〜≫
そうだった。のはいいんだけど、楽しそうな顔グラはなんとかならないのかハリオン。
≪〜〜コ、コウインは苦手!≫
いや、苦手とかじゃなくて。人の命がかかってるんだからさ。
284 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:05:25 ID:r6a3wN7u0
「…………きっと、色々あったんだろうな」
「ん? 何か言ったか悠人」
「……いや」
「おかしなヤツだな。久し振りに帰ってきたんだろう? もっと嬉しそうな顔しろよ」
ばんばん、と気安げに肩を叩いてくる親友。不安の元凶が何ぬかす。
「……ところで悠人よ」
「あん?」
「どうだ? やっぱり属性と同じ色で統一されているのか?」
「……お前ってやつぁ……」
さっきまで『求め』と組んで何かをヤラかしていたに違いないと、その無駄に爽やかな笑顔を見て確信した。
「では、ユート様、わたくしはここで。さ、コウイン様、キョウコ様。王城へご案内いたします」
「お、そうか悪いな。それじゃ俺達はここでな、悠人」
「また後でね、悠」
「おう。しっかりおつとめ果たして来いよ〜」
街の向こうへ消えていく後姿を見送りながら、ひらひらと手を振る。
すると、並んで歩く光陰と今日子の後をぱたぱたと追いかけていた背中が一度立ち止まり、振り返ってこちらを見た。
目が合うと、慌てて物凄いお辞儀をする。傾斜角80度はイってるんじゃないか、というくらいの。
顔を上げ、にっこりと微笑んだ緑の瞳に不覚にも一瞬どきりとした。
礼儀正しい娘じゃないか。光陰も良い部下を持って幸せだな。
とかなんとか、調子に乗って親指を立て、にっと笑い返してみる。
285 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:06:57 ID:r6a3wN7u0
「!!!〜〜〜〜〜っっ!!!」
「あ」
途端、びゅんと風のようにうなりを上げて立ち去るクォーリン。……またやってしまった。
前にエスペリアにも似たようなことをした気が。あの時も最後まで理由は教えて貰えなかったっけ。
ひょっとして、グリーンスピリットにだけ通じるサインみたいなものがあるのだろうか。
「…………」
くいっ
「あらあらあらあらぁ〜。ユート様、こんな明るいうちからぁ〜」
くねくねと身を捩じらせ、頬に両手を当てつつ喜ぶハリオン。……あれ?
「…………」
くいっくぃっ
「なっ! バ、バ、バカユート!!!」
「ぶべらylp;@!!」
「〜〜〜ッ、お、お姉ちゃん、帰ろっっ!!」
「こ、こらニム! ユート様、いくらユート様でも……ちょ、ちょっとニム、引っ張らないで――」
「いてて……あれ? みんな、どこ行ったんだ?」
一瞬飛んだ意識を何とか取り戻した時には、ヘリオンとウルカ以外誰も居なくなっていた。
強烈な『曙光』の裏打ちを受けてまだ煙の出ている顎を擦りつつ首を元に戻す。すると。
「みんな、帰っちゃいましたよぅ……」
情けないような呆れるような声でヘリオンが答えてくれていた。
いつも元気一杯横に跳ねているお下げをだらんと垂れ下げたままで。
どうやら何か落ち込んでいるらしい。
いや、お下げが元気のバロメーターってわけじゃないだろうけど、見上げてきている目元がうるうると潤みっぱなしだし。
286 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:08:31 ID:r6a3wN7u0
さて、もう気づいているかもしれないが。
つまり今回の遠征は、実は途中からずっとグリーンスピリットとブラックスピリットのみという編成だった。
ある日エスペリアに尋ねてみたら、何でも首都で問題が起きていたらしく、その為に青と赤は次々呼ばれたのだという。
気づいた時には黒と緑しか残っておらず、スレギトの荒涼とした風景の中、さすがに呆然とせざるを得なかった。
偶然だろうが、こう属性に偏りがあると戦闘が大変なのだ。よく3ルート同時突破などという無茶が出来たものだと思う。
「はぁ……やれやれ。行くか」
そんな訳で歴戦の疲れが溜まっていたし、本来なら、俺も真っ直ぐ詰所に戻ってゆっくりと羽根を伸ばしてみたい所だ。
……だが俺にはもう一つ、任務があった。それが何かと問われると、結構時間を遡らなければならないのだが。
あれは、ランサへ向かう前。エーテルジャンプ施設がまだ開発中だった頃。
『しかしユート、お前さんの世界では、一体どういう解決法を取ってるんだい?』
『あ〜〜? 俺の……世界?』
俺はいきなり拉致もとい招待されたヨーティアの研究室で大量のアカスクを無理矢理飲まされ、グデグデに酔っ払っていた。
そこで酒の肴にと、向こうの世界について色々と語っていたわけだ。
『なんだいもう酔っ払ったのかい? 弱っちいねぇ、エトランジェってのは』
『む。まだ酔ってなんかいないぞ……そうだなぁ、あっちじゃ――――』
俺もまだ、若かった。酔った勢いで強がり、殊更知識があるような見栄を張りたかったのだ。
実際ソレの構造なんて、全然わからない。しかし普段から使っていたのだから、ソレの機能だけはいやでも知っている。
身振り手振りで結構派手な説明を繰り返していると、ヨーティアはその度納得げに頷いた。
『ふ〜んなるほどねぇ。よし、この天才様の力を見せてやろう。いいか今度の遠征までには……おい、寝ちまったのか?』
『う〜ん……ントゥタン……ハァハァ……』
『……こんなイイ女を目の前にして別の女の寝言とは失礼なヤツだねぇ。……そうだ、こうしてやろう』
『あふぅ……だめだってそんなプラズマ……――――』
『…………一体何の夢を見ているんだ、コイツは』
287 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:09:07 ID:r6a3wN7u0
そこで俺は沈没してしまい、朝気づいた時には自分のベッドで一人いびきを掻いていた。
起こしに来てくれたエスペリアが何かマズいものでも見てしまったかのように目線を逸らしたのだが、
なにせ昨日の記憶が無いものだから原因にも思い当たらない上二日酔いが酷くて深く追究する気にもならない。
それから出発まで、妙にみんなよそよそしい態度。――そう、誰も、教えてはくれなかった。
教えてくれたのは、砂漠のオアシスで、偶然水面に映った自分の顔。
【消したら】帰ってきたら、街を視察しる!【処刑】 レスティーナ・ダィ・ラキオス
額に黒々と書かれた聖ヨト語。鏡など、この世界には無いのだと実感した瞬間だった。
「まったく。いくら前髪に隠れるっていってもあんなにチマチマと書き込みやがって――――」
「ユ、ユート様。あの、これからお暇ですか……?」
「消すの大変だったんだぞ。ただでさえ砂漠じゃ水は貴重なんだ。いやヨーティアのことだからそれも計算して――――」
「もしよろしければ私と、そ、その、一緒にお散歩でも……」
「やりかねん。くそ、おかげで忘れようにも忘れられない任務になっちまったじゃないか」
「二人でヨフアルを食べて……それから、えと、えと……きゃっ♪」
「だいたいなんなんだあの染料は。水に反応して自爆するなんて無駄機能、聞いた事もないぞ。絶対普通じゃない」
「……ユート様? どうかなさいましたか?」
「敵にも同情の目で見られるし。回復魔法まで気の毒そうにかけてくれて。トラウマになったらどうしてくれる」
「あ、あのぉ〜」
「あ゙?」
「ヒッ!」
「……あ」
往時を思い返してブツクサ文句を垂れていると、再び不安そうなヘリオンの声が聴こえてきて我に返った。
……のはいいんだが、何だか反射的に睨みつけてしまったらしい。ずざざーと疾風のように後退されてしまった。
288 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:09:58 ID:r6a3wN7u0
「ああいや、なんでもないんだ。気にしないでくれ、別にヘリオンが悪いわけじゃないんだし」
「は、はぃぃ〜」
自分でも引き攣っているのが判る作り笑いに、却って気味悪がられてしまう。
たちまち青ざめ、自分の両肩を抱き締めて震えだす始末。自慢の触覚がぴくぴくと過敏に反応したりして。
悪いことしたな、とは思うものの、どうしようもない。困っているとぽん、と肩を叩かれた。
「悠人殿」
「お、ウルカ、まだ居たのか」
「……そこはかとなく酷い言われようですが、はい」
「そんな事はないぞ。むしろ地獄に仏だと思ったくらいだ」
「はぁ……ところでユート殿?」
「ん?」
「ふむ、もう大丈夫なご様子……手前もここで失礼致します。先程のヘリオン殿の俊敏な動き、手前も見習いたく」
「へ? わたし……ですか?」
「はい。宜しければ、これから訓練に付き合っては下さらぬか」
「え、え? わたしが? ウルカさん@漆黒の翼にですかぁ?!」
「ささ、時間が勿体無い故。急ぎましょう」
「ちょ、待っ、あ〜〜〜ユート様ぁ〜〜……様ぁ〜〜……さまぁ………………」
「…………まぁいいか」
俺が何かを言う前に、さっさと話を決めたウルカがきびきびとした動きでヘリオンを連れ去っていってしまった。
そして誰もいなくなった。いつかどっかで聞いた事のあるなにかのタイトルみたいに。
289 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:11:58 ID:r6a3wN7u0
そんな感じの流れで、街まで視察に赴いてみた訳だが。
「しっかししばらく見ないうちに……こりゃ凄いな」
久し振りに来たラキオスの城下街は、賑わっていた。
いや、賑わっていたなんてモンじゃない。人ごみでごった返しているとか、芋を洗うとか、そっちの方が近い。
西洋風の石畳は、全て足で埋まっている。うかつに歩き出すと他人の足を踏んでしまいそうな勢いだ。
ぼーっと立っていると波に背中を押されてしまう。姿勢を保つのが難しい。丁度満員電車のような。
「おかしいな、解消されたんじゃなかったのか……うおっ!」
「チッ、気をつけなっ!」
「いてて……なんなんだ」
肩がぶつかったアンちゃんは、捨て台詞を放ったかと思うともう消えていた。ふに。
「……ふに?」
手の平に伝わる妙な柔らかさに顔を上げる。
と、砂漠の民と思われる妙にスリットが深い衣装を着込んだ女性がわなわなと肩を震わせて
「いやぁぁぁっ!」
ばしっ!
「がふっ! ご、誤解だ……」
手の平でかち上げられた顎にあやうく舌を噛みそうになる。
しかし呟きながらもにぎにぎと豊満だった胸の感触を反芻してしまうのは悲しい漢の宿命と書いてさだめだな、うん。
290 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:13:37 ID:r6a3wN7u0
そうこうしながら目的地に辿り着いた時には、俺の顔には沢山のもみじが散りばめられて秋の紅葉も真っ盛りだった。
いや、決して狙ったわけじゃないぞ。どこぞの痴漢者じゃあるまいし。
……いかん、まだ『求め』の余韻を引き摺ってるのかも。
「ふぅ、やっと着いたか。あれだな、ヨーティアが言ってたやつは」
気を取り直して前方に開けた大通りを確認する。
街でも、とりわけ大きい街道がぶつかる交差点。そこに今回の目標があった。
「う〜ん……やっぱりイメージとは違うなぁ」
辻ごとに、新しく設置された銀色の箱のようなものが4つ、建っている。
大きさで言えば丁度詰所に宛がわれているドレッサーくらい。
人が二人入れば一杯くらいのそれが、差し向かいごとにぼんやり箱ごと青と赤に輝いていた。
異世界だし、俺の説明だけであっちの世界と同じものが出来るとも思ってはいなかったが、
こうして目の前にしてみるとどうしても奇妙な感じがある。どういう構造で光ってるんだろう。
「お、変わった」
4つの箱が同時に色を交換したのを見て、感心してしまった。
ちゃんと元いた世界の信号機と、機能は同じらしい。
――――そう、信号機。俺が交通整理の機能としてヨーティアに提示したものは、正にそれだった。
291 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:14:25 ID:r6a3wN7u0
≪ふぅん、青は進め、赤は止まれ、ねぇ≫
≪ああ、それで事故を防ぎつつ、流れをスムーズにしてるんだ≫
ドカッ!!
「むぎゅっ!」
「オラオラ、そんな所でボーッと突っ立ってるんじゃねぇよ!」
回想に耽ってたら、いきなり事故ってしまった。
思わず漫画のような悲鳴が零れる。実際こんな声を出す日が来るとは思わなかった。
いや、そんなことより背中につけられたエクゥの蹄が痛すぎる。こりゃ暫く起き上がれないな。
ていうか、今の信号無視じゃないか? 確か青で渡ってたような気がするんだが、俺。
「……暴走エクゥ車?」
この世界でもいるのか。まったく世知辛い世の中だ。
「う〜んそれ以前にむぎゅっ、信号ルールがまだぐっ、浸透していないようなウホッ♪」
視界の隅に映る信号機はやっぱり青のまま。
なのに煩雑している交差点で寝そべっている俺を市民達は躊躇無く踏み越えていく。
その拍子に時たま見え隠れしてしまうスカートの中を堪能しながら、俺は思索を繰り返してちゃき
……ちゃき?
「……やあセリア、久し振りだな」
いつの間にか首筋に怪しげな光を放つ『熱病』が突きつけられていた。
「……久し振り、ですって?」
セリアの表情は逆光で良く見えないが、仁王立ちの両目だけが蒼く鋭く光っている。
陽炎のようにゆらめく妖しげなオーラを背負った姿はポニーテールが波打ちつつ逆立ってまるで 山 姥
「ふふふ。このような所で昼寝をするエトランジェなどに面識はありませんが」
などとは口が裂けても絶対に言えない。
292 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:15:25 ID:r6a3wN7u0
『む。なぜ津軽海峡や宗谷岬がビジュアルとして浮かぶのだ?』
「なんでそんなにあっちの地理に詳しいんだ」
「は? 何か仰いましたか?」
「いや、なんでも。ええと、昼寝してる訳じゃないんだけど。ところで一つ、いいかな?」
「なに? お互いが不幸にならない納得のいく説明をお願いしたいものだけど」
「ああ、いや俺今、動けないんだ。ほら、戦いから帰って来たばかりだし」
口から出任せだ。今更怪我で動けないなんて訳がない。
しかし戦いというキーワードに反応したのか、セリアははっと口元に手を当て、そしてしゅん、と項垂れた。
「あ……そうでしたか。……そうね、私の勘違いでした。……平和に慣れすぎるのって怖いわ」
「いや、それはいいよ。セリアたちが安心して暮らせるような世界にするために俺達は戦ってるんだ。そうだろ?」
「〜〜〜は、はい。……ごめんなさい」
調子に乗って言いくるめていると、珍しく自分の非を認めたセリアが小さく謝罪まで述べてきた。
自慢のポニーテールが元気なく垂れ下がっているところを見ると、本当に反省してしまっているようだ。
……いや、別にポニーテールが元気のバロメーターって訳じゃないだろうけど。
心なし潤んでいる蒼い瞳を見ていると、いつも強気な分嗜虐感もとい、罪悪感が募ってくる。
――――しかし、ここは慎重にいかなければならない。
嘘をついていることは心の中でだけそっと謝っておく。今真実を告げればシャレでは済まされないだろう。
偽善と言われようが、黙っている事はお互いの為なんだ。判ってくれるよな、セリア。
「うん、だからさ、とりあえずは引き上げてくれると助かる。その、見えてるからさ、目のやり場に困……あ゙」
「え? 見え? やり場って……きゃあ!」
293 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:18:17 ID:r6a3wN7u0
やばい、早速マヌケというか、口が滑った。
一瞬きょとん、としたセリアは言葉の意味を悟った途端、慌ててスカートの裾を両手で抑え込む。
今更そんな事をしても俺の脳裏に焼きついてしまった薄いブルーの光景は消えはしないのだが、じゃなくて。
涙目のまま睨みつけてくるセリアの頬がどんどん真っ赤になってきてるし。
小刻みに震えている肩の向こうから、ずごごごご……などとなんだか怪しげな擬音が聞こえてきたりしてるし。
……もしかしなくても手遅れのような。 何かの間違いで実は恥ずかしがっているだけ、とか有り得ないかなぁ、だめかなぁ。
「ユ〜ウ〜ト〜さ〜ま〜?」
「うん、まずは落ち着いてくれセリア。俺今、動けないっていったよな。つまりそれはセリアが勝手に見せてたわけで」
いかん。言えば言うほど泥沼な気がする。
いやこの場合、火に油か。青のくせに。我ながら旨い事言うな、はっはっは。山田君、座布団一枚持ってって。
……こんなのっぴきならない状況で、結構余裕あるな俺。ああそうか、これが諦観ってやつか。
「〜〜〜〜長引かせてもっ! 意味っ! なんてっ!」
「ちょ、待てがっ! だから誤k! 少し餅つっ!」
『契約者よ、我は眠る』
「おいっ! 都合よく寝起きするんじゃねぇっ!」
「これっ! ぽっちもっ! 全っ然!! ないわ〜〜〜っっ!!!」
「痛っ! あたたたっ! 痛いっ! 『熱病』痛いっっ!!」
こうして俺は無抵抗のまま、当然ボロ雑巾のように蹂躙の限りを尽くされた。
それはもう、振り返っても口にするのが恐ろしいくらいに。
「あたた……ほんとに手加減無しなんだもんな……」
「自業自得です。生きているだけ儲けものだと思って下さい。次は無いわよ」
「いや、次PS2版御謹製エーテルシンクを街中で放ったりしたらそれこそラキオス永久追放になるから」
まだ凍傷でひりひりする頬を感じながら周囲を見渡す。
突然のハルマゲドンに驚いたのだろう、辺りは蜘蛛の子を散らすような騒ぎの後、人っ子一人居なくなっていた。
294 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:19:32 ID:r6a3wN7u0
「しっかしこりゃまた派手にやったなぁ」
道路周辺は、一様に凍り付いている。
緑映えた街路樹はそのまま雪祭りのオブジェみたいになっていたし、道路はすっかりスケートリンク。
建物の窓も台風に備えるように木を打ちつけられたまま閉め切られた上から霜が結晶を形造って綺麗だな、なんて。
「燃やしましょうか」
「ナナルゥ……いつの間に居たんだ?」
「いけませんか?」
「いや、いけないって訳じゃないけど。近いよ」
気づくとナナルゥが、目の前に相変わらずの無表情のまま立っていた。それも、こう、お互いの鼓動が判る程の距離で。
翡翠色の瞳に俺の顔が映し出されているのがはっきりと判る。
それが段々大きくなってくるのも。
「いや、だからさ、近いって。ナナルゥ近い」
「へっへっへ……ふぅ〜」
「うわっ! 意味判んねコイツ! 鼻息をかけるなっ!」
首筋に生暖かい吐息を吹きかけられ、思わず身を捩る。が、それ以上はどうしようもない。
先程絶対零度で道路脇の家壁に張り付けられてしまった全身は未だ凍りついたまま指一本動かせないのだ。
行動回数が無くなってしまった俺を面白そうに(見える)仕草でからかうナナルゥ。
呆れて見ているセリアに視線で助けを求めるが、ぷい、とそっぽを向かれてしまう。
そうこうしているうちに、口を窄めたナナルゥが
「ふぅ〜〜〜」
「うひゃ、うひゃひゃひゃ! ちょ、ひゃめ、そこ弱い!」
「……まとめて、吹き飛ばします」
「あひゃひゃひゃひゃ―――――え゙?」
直後、本日二度目の爆音が俺をキモ笑いごと完璧に薙ぎ払っていた。
295 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:21:37 ID:r6a3wN7u0
「ふうん。これが信号機ねぇ……」
微妙に火加減を誤ったというか手加減無しのイグニッションで自由を得た俺は、
まだ燻ぶり続けるアフロヘアをがしがしとやりながらようやく目的のモノの前へと辿り着いていた。
いや、長い道のりだった。気持ち的にはマロリガン攻略中龍を退治に行く時位。喩えが判りづらいな俺。
「あっちの世界のとは大分違うな。一体どういう仕組みなんだ?」
呟きながら、ぽんぽんと「箱」を叩く。意外と硬い。丈夫そうだ。
「はい。どんな暴走エクゥ車でも頑丈に跳ね返します」
「人の心を読むな。っていうか、だめじゃんそれ」
交通整理を目的にしてるのに、事故を前提にしてどうするんだ。
ナナルゥに軽く突っ込みながら、改めて触れ直してみた。
手触りとしてはひんやりとした金属なんだが、どうやって発光しているのだろう。
「……ん?」
ごと。なんか動いた。もう一度叩いてみる。
ごとごとごと。あ、赤に変わった。
「えっと……押しボタン式なのか?」
セリアとナナルゥを振り返ってみる。と、何故か気まずそうに視線を逸らすポニーテールと変化のないボブカット。
二人とも態度から何も読み取らせまいと何だか必死そうだ。意味が判らない。
296 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:22:59 ID:r6a3wN7u0
≪違うよ〜〜≫
「へ?」
首を傾げていると突然箱の中から返事が返ってきた。……箱の中? いや、今確かに聞こえたよな、ここから。
しかも、どっかで聞き覚えのあるやけに間延びした口調で。
≪こ、こらシアー! 喋っちゃだめでしょ!≫
≪え〜? だってユートさまだよ〜?≫
「ヒミカもいるのか? なにやってるんだ?」
≪――――――≫
≪――――――≫
「…………国のため仲間のため」
≪わたしは戦わなくては…………はっ?!≫
やっぱりヒミカか。そんな所で本当になにやってるんだ。
ややあって、ごそごそと気まずそうに箱の裏からヒミカとシアーが這い出てくる。
呆れながら、そんな所に出入り口があったのかと意味の無い事を考えていると、辻の向こうからも声が聞こえた。
「あ〜、アセリアお姉ちゃん、出ちゃだめだよ〜」
「ん、そうか?」
「オルファだって我慢してたのに……ってアセリアお姉ちゃん、待ってよ〜」
出てきたアセリアとオルファは、そのままこそこそ建物の影へと消えていく。
「おい待てよ、二人ともどこへ」
「ユートさま、それはセクハラ発言です」
「……ああ、なるほど」
色々と、大変だったんだな。ヨーティアもその辺何とか考えてやればいいのに。
297 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:24:24 ID:r6a3wN7u0
「ユートさまーー!!」
どかっ!
「ぐへっ!」
突然、背中を物凄い衝撃が襲う。そして圧し掛かるような圧力。
「へへーー。ネリー、超くーる? くーる?」
「く、くる……しい」
嬉しいのは判ったから、早く俺の背中からどいてくれ。
こうして並んだ面々を前に、俺はようやく事情を理解した。
「そういえば、誰も通ってないのね」
「ヒミカお姉ちゃん、気づいてなかったの?」
「ヒミカは生真面目だから」
「ちょっとどういう意味よ、セリア」
「セリアは、窮屈だとこぼしていましたので丁度良い機会とばかりに任務を投げ出しました」
「ま、待って、あれはユート様がきょ、挙動不審だったから」
「セリア、噛んだ」
「か、噛んでなんかないわよ!」
「セリア、ずっる〜い」
「シアーまで……ってアセリア、何笑ってるのよ」
「ん。なんでも」
とりあえず、発光の仕組みは判った。青と赤の7人が交代交代で回していたのだろう。……ん? 7人?
298 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:25:16 ID:r6a3wN7u0
「ちょっと待て。ネリー、誰と組んでいたんだ?」
「え? 何言ってんのーユート様。ネリーはナナルゥと一緒……あれ?」
「ナナルゥならずっと私といたわよ」
「はい。セリアが狭いから胸を押しつけるなとうるs」
「それはもういいから。シアーはヒミカ……アセリアはオルファリルよね」
「そうよ。ね、シアー?」
「うん」
「ん」
「暗かったけど、アセリアお姉ちゃんだったよ……あれ?」
「……じゃあ一体、ネリーは誰と組んでたんだ?」
「………………」
「………………」
「え、え? えーーーーーー?」
今更のように理解して、動揺するネリー。
気の毒そうに、それでいて目線を合わせようとしない面々。
謎は深まるばかりだった。
というか、始めた時点で誰か矛盾に気づけよ。
299 :
右みて左みて:2006/05/20(土) 23:26:19 ID:r6a3wN7u0
それはそうと。
「で、結局渋滞の解消にはならなかった訳か。こんだけ人員を割いておいて」
俺は深く溜息をついた。ただでさえ希少な戦力を戦場から奪っておいて、この投げやりな仕事っぷり。
どこぞの政治家じゃあるまいし。ラキオスの施政について、本気で心配してしまう。
帰ったらどうヨーティアに文句を言ってやろうかと考えていると、ナナルゥが肩を叩いてきた。
「良い事を思いつきました、ユート様」
「ん、なんだナナルゥ」
半分もうどうでもいい感じで訊いてみる。
「渋滞ごと燃やしてしまいましょう」
「またか……どうしてそんなに燃やしたがるんだ?」
「スピたんの影響で」
「そんなオチかよ」
半ば予想通りの答えに、俺は虚しさのあまり、がっくりと崩折れていた。
こうして当分の間、ラキオスでは信号機の導入が見送られたという。どっとはらい。
300 :
信頼の人:2006/05/20(土) 23:28:03 ID:r6a3wN7u0
親指を立てるのはプロポーズの合図ですよ? (←念のため
元々ファンタズマゴリアに信号機を持ち込んだらどうなるかなとか考えていたら、
なんだか全員首を突っ込んできて大変なことにorz
GJっす、面白かったッス。
ただ今の読後感は、こんな気分です。
× しかし呟きながらもにぎにぎと豊満だった胸の感触を反芻してしまうのは悲しい漢の宿命と書いてさだめだな、うん。
☆ しかし呟きながらもにぎにぎと豊満だった胸の感触を反芻してしまうのは悲しい炎のさだめと書いてユートの飲むSぺリアのイスィーイスは美味い、だな、うん。
盗まれた過去を探し続けて〜♪
来週も今週も、そしてタイムシフトしてまでも、おはようからおやすみまで再生の剣に還る時までユートと雑魚スピ萌え地獄につきあってもらう。
ネリーのパートナーはントゥたんだらうか?
プラズマワロス えーと次の信号樹はプラズマ式でヨロ。
クォ「コ、コ、コ……コッ」
光「なんだニワトリみたいな声出して?」
クォ「あのあの、……(だ、だめよクォーリン。私がユートさまから求婚されたなんて打ち明けたらコウインさまとユートさまの間の友情に亀裂が入ってしまうの。
私の胸にだけしまっておけば……ええ、そう。私はコウインさまを思いながら……望まぬ相手へと嫁がなくてはいけないの……。申し訳ありません。コウインさま。
でも、こんな私があなたのお側にいたことを……そして命尽きるまでこの思いを心離さずに過ごしていくことを……どうか忘れずにいてください……)」
光「お、あの屋台でちょっと腹ごしらえしようぜ」
そう言ってクォーリンの眼前に親指を立て屋台を指し示す光陰様。
クォ「…〜〜っ〜〜〜!!!」
>>300 GJ。何気に画像板の振りも抑えるとは粋なことしますなw
求め、ただのエロ神剣に成り下がってますねw
オーラフォトンでの触手プレイとかできるのに、なんでそんなせこい欲求解消するのかと小一時間(ry
ユート様がントゥタンとクォーリン、どちらを選ぶのか楽しみにしてます(違
>>302 もう収拾つかねーwww
聖ヨト歴349年度FWC会議レポート
今回の重要議題は、方舟世界における「丘くじら」の保護方針についてです。
各国の意見のとりまとめを行い、他の魔物猟との地域バランスをどう保っていくかが、とても困難であり会議は紛糾しました。
ガロ・リキュア代表団は、オブザーバー参加のハイ・ペリア代表団からハイ・ペリアにおける捕鯨活動の隆盛と衰退。そして、
感情的お為ごかしの弊害を学び取り、建設的議論を進めていこうとしましたが、一部過激丘くじら保護論者達(グリーンスピース)
の方舟一島丸々丘くじらサンクチュアリ化論の前に、丘くじらの継続的利用を断念せざるおえない「丘くじら保護法」を
呑まされることとなり、無念の帰国となってしまいました。一部にはFWC脱退の声も上がりましたが、代表のヒミカ氏は冷静に事を受け止め、
今後の対応策を識者達と協議し次回の総会での巻き返しを図る考えのようです。
今回のおかくじら保護の声は、方舟世界での無秩序な魔物の乱獲がそもそもの原因である事を糊塗し、
人々の理解を得やすいおとなしくかわいげのある丘くじらの個体数減少を体の良いスケープゴートとした面が強く、
一時の恣意的な規制に憂慮の声が上がっている模様です。
>>301さん
萌えって地獄だったんですかw
>>302さん
クォーリン妄想しすぎw あと信号樹ってw
>>303さん
そこは光陰の影響ですよ>せこい欲求
>>304 グリーンスピースの筆頭はエスと見た。
「上手く飼いならせばわたくしの不完全な防御をカバーする立派な忠くじらに……ふふふふふ」
偶然買ったゲームで4人のヒロインのうち3人の声が
アセリア、セリア、シアー(アセリア、コアラ、小鳥)の中の人だったと
EDのスタッフロールを見ていて初めて気づいた。マナの導きを感じた。
>>306 ほう、それはよかったな。
アセリアとは何の関係も無いが、
6人のヒロインのうち3人ずつかぶっているゲーム
3本なら持っている。
306の買ったのはFifth Aileかな?アセリアとシアーは記憶にあるが…
アセリアとヘリオンの人(ウルカも?)は数が少ないからなぁ。
, ヘ
〃 ' ^^ヾ '´ ⌒ヽ,
i ハ从从リ <技の一号 『ネリーライダーブルー!!』 . <」」」l」」ハ
ノノゞリ゚ ヮ゚从 <パ ヮ゚ く/
⊂《 lT》 つ 力の二号『シアーライダーブルー!!』> . ⊂ 《Tl 》 つ
(=◎=) (=◎=)
(_ノヽ_) (_/ヽ_)
悠「シアーは分かるけど、ネリーの技ってのはなあ」
ネ「ああーユートさまそーいうこというんだーーーーもうねネリーのスキルなんて匠レベルなんだからね!」
セ「ふーん。いいこと聞いたわね。アセリア?」
ア「ん。セリアの店に出す小物を作るのに人手欲しかった」
悠「……で、いかんなく発揮した技の集大成がこれか」
ア「凄い。ショッ○ーの人形と変身ベルトがこんなに一杯」
悠「いや、家にもあったけどな、こんなオモチャ。で、肝心のネリーは?」
シ「あのね、セリアが様子を見に来た途端、ぴゅーってどっかにいっちゃったの」
悠「……そうか、それであの異様なオーラの説明がつく」
ア「セリア、怖い」
セ「ふ、ふふふ……シアー!!」
シ「わっ! は、ははははいっ!」
セ「壊しなさい! このガラクタを今すぐ! その自慢の力とやらで!!」
シ「イーーーーッ!!」
ウ「悠人殿、実は光陰殿からこのような剣を頂戴したのですが」
悠「あー……レーザーブレードね」
ウ「この剣で正面に×の字を描くような型を習得するよう言われまして」
悠(……髪が銀色だからか?)
ウ「型を行う前のかけ声も教わったのですが、その意味を悠人殿に教えていただきたく――」
悠「あんな感じのヤツでしょ?」
ナ「――赤射!」
――灼熱の赤マナエネルギーが第2詰め所のエーテル変換システムにスパークする!
増幅された赤マナエネルギーは「消沈」に転換され、宇宙刑事ナナルゥに赤射蒸着されるのだ!――
悠「ネリー、勝手にナレーション入れない」
…!
そうなるとシャイ○ーはセリアなのか?
とりあえず時空戦士は時深obsnでガチ
アニーのパンチラ担当者はどなたですか!? 妄想が蒸着して赤射して焼結しそうです!
「天の道を往き、総てを司る。ネリーみたいなくーるな女にぴったりよね〜」
とか
「ユートさまが言ってた・・・」
とか。
巨大ロボが足りん!
きっとどこかの世界には巨大ロボ型の永遠神剣もあるんだろうなぁ・・・とか考えてしまった。
>>316 >巨大ロボ型の永遠神剣
ブリキ大王でいいジャマイカ、いいジャマイカっ!
>>316 つまりアセリア2では
学園丸ごと異世界へ、ということだな。
>>317 OK。
それじゃまずはタイ焼き屋を用意するんだ。
インコ大仏…いや、なんでもない
漂流教室思い出した俺はどうしたら
流れぶった切って済まないのだが、
オルファは全てのスピリットの元なんだよな。
ってことはユーフォリアからオルファを見た場合・・・
((((゜Д゜;))))
いにゃ全てではないな。
ほとんどはリュトリアム2が母体なんじゃね?
オルファは純エターナルって言うけれど、これは人工的にエターナルを生み出せるって事なんだろうか?
だったらテム様がポコポコ産めばいいのに……。
ってマジに考えるとコストパフォーマンスが悪くてそうは出来ないことなんだろうな。エターナルミニオンを生む比ではないだろう。
>>327 生まれた時からエターナル>純エタ
例:ユーフォリア、オルファ
上位神剣と契約してエタ化>量産エタ
例:悠人やガッツ
補足。
どんな生物でも、エターナルになった瞬間に生殖能力が付加されます。
ですが、エターナルの生殖能力は恐ろしく低いです。
設定資料集より。
確かにパフォーマンス悪い。
コアラ様のように神剣コレクションから、適当な奴にあてがった方が良いな。
ントゥとミトセマールの子供とかできたら
謎の生物だろうな
ユートとアセリアだったから良いものを
タキオスとコアラ様は長いこと一緒に居るようだが的中はないのかねえ
タキオス「年増に興味はない。我が求めるのは幼女d(神々の怒り」
コアラ様はいろいろと「まだきてない」らしいですよ?
今さらながらアセリアをクリアしました。そしてこういうスレがあることに感動しました
職人の皆様、頑張って下さい
・・・ところで、このスレ的にあの続編はなかったことになってるんですか?
>>333 別にそんなことないよ?
ただザウス本スレや作品別のスレの住人と比べれば否定派が多いかもしれんが。
別にスピたんネタが禁止とかそういうことは全然ない。
ちなみに俺はスピたん好きだよ。
・・・年長組が攻略できない以外は。
>>333 いや、スピたんもありだと思う。個人的には。
まあ、漏れは
>>334とは違って
ノーマルルートそのままな展開で年長組を個別攻略ができた日には、
輪廻の果てまでロティ君を追っかけて然るべき処断をしていた所だがw
少なくともニムやツェナ、先生ルートの彼には大変好感が持てたし。
ということはこのスレでSSを書きたい場合プレイしたほうがいいんでしょうか?
いろんなレビューサイトで地雷評価&主人公が違うという理由で回避してましたが
いや、そんな事も無いと思う。
そもそもこのスレのSSで公式設定と食い違ってるものも結構あるし。
無印アセリアしかやってなくても全然オケだと思うよ。
まぁ戦闘システムに目をつぶって、主人公変更に拒否反応がないなら
やってもいいと思うけどね、スピたん。
日常描写とかチビキャラとかはいい感じだしな。
>>336 おお!新たなエトランジェですか?
SS書くなら材料は多いにこした事がないと思いますよ。
まあ、どちらでも構わないとは思いますが。
ちなみに、避難所の雑談スレに顔を出しているコテの
半分くらいは間違いなくプレイしてます>スピたん
SS書くなら材料は多いにこした事がない・・・
そうですね。まずはアセリア関連のゲームすべてプレイしてきます
スレ汚し失礼しました。最後に職人の皆様、頑張って下さい
んー、材料は多いにこしたことはない、かどうかはわからないかな。
却って枷になるパターンが無いとも言い切れまいし。
人による、というのに尽きるかも。
スピたんはまじめに(極楽なしで)やると長くなるから、
とりあえず現状で小物でも書いてみれば? と思ったり。
そですねー、スピたんは確かに黒歴史の可能性を多く孕んでいます。
が、それでも『有り得る選択のひとつ、その先』が描かれているわけですし、なかったことにするには惜しいところもある、と。
…まあセリアに手ぇ出した時点でアレはバルガ・ロアーにブチ込み確定なんですが!!
スピたんやってない、設定資料集持ってない。PS2版やってない。
やったのは無印とエキスパンションだけです。
そんな俺でもがんばってハリオン長編を書こうとしている。
今まで数作だが短編も投稿している。
大切なのはとりあえず書いてみること。
ずいぶん前にハリオン長編書くよ!って言ったのはいいが全く手をつけず、
短編書いてるけどこれまた1〜2ヶ月ほど放置している俺。
ハリオンについては頭の中ではすでにストーリーはほぼ完成しているが
オリキャラ出していいものかどうか悩んでます。
( ´∀`)スレ一番の遅筆ですが気にせずお待ちください。
「材料には、みかえりのある材料と無駄な材料があるんだ」
「2つも3つも材料を持つ必要は無い ただ1つを書き上げてこそ糧となる」
俺も無印アセリアとエキスパンションプレイしただけだな
ぶっちゃけエキスパンションでサブスピーズに表情やさらなる個性が追加されててビックリした口
イービルルートでしかほとんど出番なかったから余計にですよ
そういう意味でサブスピ活躍のPS2版を買おうか悩むところ
スピたんはもっと安くなったら買うかな
>>342 ハリオン長編ですか…楽しみですねぇ。
しかし、ハリオン長編を書くならPS2版の
今日子・光陰死亡ルートをプレイすることをお勧めします。
あれでハリオンに惚れたクチなんでw
ところで、このスレ的にサブスピ以外を
メインに持ってくるのはどうなんでしょう?
ウルカ辺りをメインに短編でも書いてみたいな〜、なんて…
ドリームエレメントにでも投稿した方が良いですかね?
>>345 ある程度サブスピたちの見せ場とかあるならOKなのでは?
保管庫のカテゴリにもメインヒロインの分もあるし…
いや別に雑魚スピ勢が出てなくて大丈夫でしょ。
さすがにオリキャラエトランジェとかあーいう類のはNGっぽいが。
あそこはある意味オリで世界観を広げて楽しむ所、
ここはゲーム内の世界観をより深く探求してネタにする所、
つまり指向性が外と内の方向に住み分けられています。
ここでオリ完全否定の結論はまだ出ていませんが、
既存のもので代用が利くような設定に対しては反応が薄くなる傾向はあります。
メインをヒロインキャラにするのはスレ発足当初は否定されていましたが、
雑魚スピのみでは補完に限界があるとして、スレ2から無問題となりました。
それに伴い、スレタイも統合スタイルに変更、現在に到るわけですね。
…もう3年。なにもかも懐か(ry
そういえば、スピたんの主人公がメインの話みないなあ。
雑魚スピが雑魚ではなくメインになったのが原因か、割とスピたん自体がスルーされてのが原因かは知らないがなあ
ファンサイトの方はどうなんだろ
つか、スピたんはメーカーの出した二次創作な印象がぬぐえんのはなぜだろ
>>349 >そういえば、スピたんの主人公がメインの話みないなあ。
結局これなんじゃね?↓
>つか、スピたんはメーカーの出した二次創作な印象がぬぐえんのはなぜだろ
それ自体が楽しめないというほどでもないとしても
取って代わったり新たな礎となるほどの魅力ではない
ってことなんじゃないかなぁ、とか思ってみる。
あくまで、雑魚スピスレというローカルな経緯下において、ね。
今はまだスピたんのネタばれをしないようにってのがあるんじゃないかな? <br> 続編物だからなのかここに長いこといるからなのかそんな印象かもしれないし <br> アセリアをプレイしてない人はどう感じたんだろうか
ロティ君は紆余曲折を経て超空気キャラとして認定されつつあるので、
メインとして起用するなら、相応の力量が必要な希ガス。
個人的に紡ぎタンとラブラブな話は見てみたいが。
参考:ロティAA↓
゜ー゜
いくらなんでもそのAAはあんまり。ある意味、無視できないインパクトがあるけど……
ときにスピたんに手を付けてないのでわからんのですが、紡ぎタンって誰ですか?
公式にその名前のキャラはいなかったような?
ロティ君の永遠神剣。第五位。
形状はビームサーベル型、あるいはライトセイバー型。
性格はツンデレ、女性人格。
マスターが他の女にうつつを抜かすと頭痛攻撃をしかける。
そんな感じ。
>>紡ぎタン
ロティがゲットした神剣です。
属性ツンデレで主ラヴ、焼きもちやきな萌えキャラ。
いやいや、俺ロティAA見ると吹いてしまうw
これはこれで個性だよ、うん。
゜ー゜ <前スレdat落ち
人間が永遠神剣持ちなんですかですか
上位永遠神剣?まあ、詳しく知りたいならゲームやるしかないか
ところで偉大なる13本ってなんだったんだろ。当初は上位が13本だと思ってたけど違うみたいだし、上位で特に強いってことで考えると13本の中に含まれない二位がいたり偉大の基準がわかりません
>>358 よく勘違いされるが永遠神剣はエトランジェとスピリットしか使えないわけではない。
あくまでも無印アセリアの世界では人間が使える神剣が出てないだけ。(例外、禍根)
ファンタズマゴリアにおける永遠神剣やスピリット関係は全てロウエターナルの陰謀なので
意図的に人間用の神剣が無いんじゃないかと。
偉大なる13本に関しては不明。純粋な格の話なら第3位が含まれるのは変な気がするし。
単純なパワーではなく他の神剣には無い特殊能力を持ってる剣とかかもしれない。
あるいは上位永遠神剣の中でも古参メンバーとかそんな感じなのかも。
(複数の神剣が融合して新たな上位神剣が生まれたりもするだろうから年齢差とかはあるだろうし)
>>359氏の年功序列説や特殊スキル説に結構同意。
>>358 普通に上位から考えると
1位『叢雲』『運命』『宿命』(他にもあるらしいが、5本はないらしい)
2位『聖賢』『再生』『探求』『堕落』『縁思』『虚空』『秩序』『無限』『赦し』『世界』『悟り』(他にもあるらしい)
1or2位『時逆』(時深が持っている、『時果』より上位の神剣としか表記無し)
他に『天位』とか『地位』とかはたまた『鞘』とかあってとても13本では収まりきれず。
大体『永遠』『聖緑』『深遠』は第3位でも「偉大」ですし。
もっとも公式設定資料集や舞台劇パンフの内容なので、無印辺りでは余り影響の無い設定です。
とりあえず、あまり考えず楽しむのが吉かと。
矛盾とか謎とか、今から深く探求すると知恵熱出ますよ? キニシナーイキニシナーイ'`,、'`,、'`,、('∀`) '`,、 '`,、'`,、
あてんしょん
このSSは、基本的にセリア only の補完です。全八回で完結します。今回は第七回です。
無駄に長いので、そういうのが嫌いな方は遠慮無くスルー願います。
361 :
胡蝶 Z-1:2006/05/28(日) 13:28:35 ID:v3jxI0GE0
「悠人さん、準備は出来ましたか?」
「ああ、俺はエターナルになる。このまま瞬を放ってはおけない」
森の奥で、トキミ様が待っていた。周囲のマナが、凛、と澄み渡る。
あれほど激しかった雨なのに、赤と白の異界の装束には、雫一つ纏ってはいなかった。
エターナルとは、そんな能力もあるのだろうかとどうでもいい事を考えてしまう。
「セリアも、来たのですね。確かにスピリットにはその資質が多少なりともありますが」
「……セリア、ほら」
「……ユート様」
ぎゅっと手を握られて促され、顔を上げる。するとトキミ様は真剣な表情でじっとこちらを見つめていた。
「エターナルになる、という選択は、その未来を捨てるということ…………それでも後悔しませんか?」
「…………はい」
一瞬だけ、リアの顔を思い出せたような気がする。それは、とても優しい笑顔だった。
今の自分は、彼女と同じ位素敵に微笑む事が出来るのだろうか。
隣に立つユート様を見上げる。視線に気が付き、力強く頷いてくれた。
「もちろん。後悔なんて……しません」
「……わかりました。ふたりを時の迷宮へと誘いましょう。それでは……『門』を開きます!」
トキミ様が何も無い空間に神剣を翳した瞬間、森中の木々がざわめいた。
風が唸り、マナが濃厚に集中する。渦巻いた波は、短剣の綺麗な飾りを煌かせた。
「我は混沌の永遠者。永遠神剣第三位『時詠』の主にして、永遠神剣第三位『時果』の主、トキミ」
周囲の空気が一点に収束していく。そんな息苦しささえ帯びてくる詠唱。
私は誘われるように目を閉じ、次の瞬間起こる筈の何かに備え、心を平静に保とうとした。
「偉大なる十三本のうち、五本が眠る場所、時の迷宮へと、新たな者を誘う――――」
――――リィィィィン――――
362 :
胡蝶 Z-2:2006/05/28(日) 13:31:28 ID:v3jxI0GE0
「ッッッッ!!」
「なっ、なんだっ!!」
「これは……え? 『熱病』……?」
瞑想していた瞳を開く。突然鳴り出したのは、『熱病』。
ユート様もトキミ様も、驚いてこちらを見ている。刀身が、今までに無いほど光り輝いていた。
戸惑う私に、トキミ様の高い叫びが投げかけられる。
「これは……まさか! 自ら現れるなんて!」
「自、ら……?」
「セリアッ!?」
「! いけない! 悠人さん、先に行っていて下さい! すぐに追いかけますから、『門』の前でっ!」
「どういう事だ? だめだ、俺はセリアと……」
「大丈夫ですから! 秩序の永遠者達と戦う、新たな力を得るために……『門』よ、開けっ!!」
「うおっ……時深、セリア…………――――」
それを最後に、二人の叫び声が『熱病』の高すぎる共鳴の響きに掻き消された。
「どうしたの、一体何が……ッッッ!!!」
本当に一体何がどうなったのか、全然理解出来なかった。
突然、真っ白になった目の前。眩しいなどというレベルではない光芒が辺りを包む。
まず、地面が無くなった。続いて左右も上下も失われる。
自分と周囲の境界線が確かめられない。いつの間にか意識だけが、ぽっかりと浮かぶ感覚。
そんな中、空間の中央にいつの間にか、より光を放つ一本の銀色の剣があった。
何故、どうしてといぶかしむよりも先に、頭の中に直接響いてくる声。
【 私は『永遠』……不変を司る、永遠神剣第三位。どうしても貴女が知りたくて、こうして来てみました 】
「第三位? 神剣……『永遠』?」
【 はい、初めまして。もっともこの世界ではマナが少し足りないので……一部だけ、なのですけどね 】
363 :
胡蝶 Z-3:2006/05/28(日) 13:40:02 ID:v3jxI0GE0
漂う私に、優しい音色が呼びかけてくる。
この世界のマナが足りない、という言葉の意味を考えてみるが、不思議に恐れは湧いて来なかった。
【 不思議な事……矛盾した想いが一つの“不変”になっています。セリア、貴女は“人”を憎んでいました 】
「?…………はい」
【 それなのに、今は、その“人”に全てを捧げようと考えている。何故、憎むのを止めたのですか? 】
「それは……気づいたからです。種族なんて関係無い。……いえ、むしろスピリットだからこそ、“人”を守れる」
【 それは、従うということですか? それは確かに、貴女の意志なのでしょうか? 創られたものではなく 】
「……判りません。私は……スピリットですから。“人”を護る、その為の存在でしたから。……でも」
奇妙なほど、素直になっていく心。疑問をよそに開いていく唇。
洗われるような気持ちの良さに、自分でも纏まらなかった言葉が紡ぎ出されていく。
「私は、自分を卑下していました。憎しみは、その劣等感からだったんです。それを教えてくれたのが――――」
【 ユート、というあの青年なのですね。なるほど…… 】
「――――はい。ですから私は、守りたい。全てを捨ててでも、彼を……彼と、ずっと一緒に居たい。その為に戦いたい」
【 そう……。それは貴女の“望み”なのですね。ですが、貴女はまだ一つだけ、大切な心を忘れています 】
「え……?」
【 貴女に、試練を与えましょう。心の試練です…… 】
「試練……? あ…………」
ふわり、と身体が浮かび上がる。逆らわず、目を閉じ身を委ねた。
途端青白い光が心の奥底から噴き出し、私の意識は遠く、本当に“遠くへと”飛ばされていた――――
支援
「ほら。熱いから気をつけろよ」
「あ、ありがと……ごめんね」
人気の無い公園の、ベンチ。お礼を言いながら、謝る。渡された缶コーヒーが、痺れた手に温かい。
「いいけどさ。どうしたんだ、いきなり」
「………………」
どかっ、と少し乱暴にわたしの隣に座り、足を組む高嶺くん。片手でかしゅっと軽い音を立て、缶を傾ける。
その様子を横目で伺い、視線を落とす。もうすっかり日が暮れ、寂しくなった紫色の風景。
それでも、先程の視線をもう感じなかっただけ、充分過ぎるほど落ち着ける。
スカートの膝の上、両手で握った缶コーヒーをじっと見つめながら、言葉を探す。
「……ね。気がつかなかった?」
「…………何が?」
「うん。……なんでもない。ごめんね」
からん。高嶺くんが投げた空き缶が、ベンチの隅にあるごみばこへと吸い込まれる音。
あれは、一体何なのだろう。じっと、どこからともなく見つめてくるのに、感情も何も伝わっては来ない。
感じるのはただ、違和感。言いようの無い、恐怖、不安。ストーカーとかとも、ちょっと違う。
「言いたくないならいいさ。でも今日はもう、練習はなしだな」
「え……あ!」
言われて、気がついた。鞄を神社に置いてきたままだ。
慌てて高嶺くんを見ると、手ぶらになった両手をひらひらさせたまま、こっちを見ながら苦笑している。
そういえば、鞄を脇に抱えた高嶺くんの腕を、強引に取った気が――――かーっと全身から汗が出た。
「ご、ごめんなさいわたしったら……いけない、セーター!!」
「……セーター?」
「あ、あ、なんでもないの!…………本当に、ごめんね。いっつも迷惑かけて……」
思わず口走った単語を誤魔化しながら、嫌になってきた。彼の前なのに、挙動不審もいいところだ。
俯き、激しく落ち込んでいると、くしゃり、と髪越しに、何か大きなものが頭を覆った。
「え……ちょ、ちょっと」
「いいって。委員長の、意外な一面を見させてもらったし」
「意外って何が……ん…………」
言い返そうとしても、上手く言葉が出ない。くしゃくしゃと頭を撫でる、大きな手。その温かさにぽーっとしてしまう。
ポニーテールを巻き込んで乱れてしまうのが、全然不快じゃない。見上げると、黒い瞳がにっと微笑んでいた。
「あ、あのね、実は今、セーター編んでるんだけど……」
いいのだろうか、こんなに幸せで。ふとした疑問が胸の鼓動の中で掻き消される。
勇気も決心も必要が無い、平和な時。自然に、とても素直に紡ぐことが出来る告白。
「よかったら、その……貰って、くれますか――――」
「へ?……俺? えっと……え? それって?」
はっきりと、頷く。決して目線を逸らさずに。跳ねる心臓。伝えられた想いに、じん、と熱くなる目頭。
戸惑う高嶺くんの返事を待つ間に、ちら、と手首の腕時計が見えた。
デジタルの日付が、12/18を示している。時刻は17:30。
そっと動いた彼の指先が、瞼に触れた。浮かんだ涙を掬いながら静かに囁く優しい声が耳の奥まで届く。
「……俺、よくわかんないけど……悲しませたくない、気がする。いつも……笑っていて欲しい」
一言一言を、区切ってしっかり伝えてくれる。腕を回され、引き寄せられる肩。わたしはそっと目を閉じた。
「だから……それが好きって事なら……俺は」
「ん……」
唇が触れたのは、ほんの一瞬だった。瞼を開くと、すぐ近くに高嶺くんの顔。針金のように、硬そうな髪。
大きな肩幅、力強い瞳の色。そしていつも孤独そうな、寂しそうな背中。
きっとそこに、惹かれたのだ。自分と同じ、そして自分とは違う背中に、わたしの居場所が見えた気がして。
「好き――――」
段々と、混濁する記憶。ぐにゃりと歪み、霞んでいく景色。虚ろに浮かび上がる心。現実感が消えていく。
それでも、気持ちは変わらない。恋という熱病に侵かされたというのなら、このままの自分で構わない。
俺は、守りたい――――――セリアを。
. . . . . .
眩く光り出す世界。意識が再構成されていく中、二本の神剣の視線をずっと感じていた――――
368 :
胡蝶 Z-4:2006/05/28(日) 13:53:55 ID:v3jxI0GE0
【 ……貴女は、こうも望んでいた筈です。今視てきた、“人”としての幸せな自分を。叶わぬとわかっていながらも 】
「………………はい」
元の、真っ白な空間。引き戻された私は、俯いてじっと手を眺めていた。
そこに、何があるわけでもない。それなのに、握られていた熱い感触だけが残り火みたいに燻ぶっている。
【 私、そして『時詠』。力を貸すことは出来ます。貴女が、先程の世界で生きていけるように 】
「え…………?」
【 それが、望みなのでしょう? 貴女は戦いたい訳じゃない。ただ、人のように暮らし、人のように笑い――― 】
「………………」
燻ぶりが、じわりと私の心を焦がす。それとは別に、内に冷えて固まる透明な意志。
『永遠』のささやきが、相反した心の葛藤を少しずつ融けあわせるかのように導いてくれる。
彼女は、なにもかも識っていて、それでいて私の答えを待っているのだ。
【 ――――人のように生きる。それが貴女の『不変』。貴女がずっと信じてきた、人への羨望の感情…… 】
「…………違う」
【何が、違うのですか? あの世界で見せていた、純粋な気持ち。あれは、嘘だったのでしょうか?】
「嘘じゃない……嘘じゃないけど、違う。私は、そう、確かに人に、憧れていました」
【 ……………… 】
「でもそれは、私が接した人の一面。勿論その大多数かも知れないけど……今なら、信じる事が出来る」
C
370 :
胡蝶 Z-5:2006/05/28(日) 13:57:02 ID:v3jxI0GE0
【 ? ……信じる、ですか? 何を? 】
「ええ。もう、知っているから。だからこれは、私が自分で選んだ心。あんな幸福“すぎる”世界は望まない」
示された別世界。確かにそれは、魅力的な世界の、恵まれた“わたし”だった。でも、あれは“私”じゃない。
なんとなくだが、判る。あの“わたし”だって、今の“私”に憧れる部分がきっとある。
何故なら彼女は、“人”だから。そして私は“スピリット”だから。どちらも、“自分自身の心”だから。
「今までの自分を絶対に否定したりはしない。今の自分が好きだから。ユート様と一緒に歩きたい、そんな自分が本物だから」
【 ……………… 】
一瞬のような、永いような、曖昧な時が流れる。
沈黙が満足げな肯定に満ちていたと考えるのは、私の勝手な都合の良い思い込みだっただろうか。
はっきりと口にして、初めて気づく想い。その大切な言葉が光に飲み込まれるまで、待ち続ける。
やがて『永遠』と名乗る神剣は、りぃ、と小さく鳴り響いた。
【 ……試練は、おわりました。残念ですがセリア、貴女は私の主としては、失格のようです 】
「え……主? そうなのですか?」
驚いた。ということは、これは上位神剣を手にするための試練だったのか。
軽い失望と、それとは別に不安が訪れる――――これから私はどうなるのだろう。
すると怯えを敏感に察したのか、『永遠』の口調が更に宥めるようなものに変わった。
【 二律を同時に受け入れる心……慌てないで……トキミ、そこに居ますね? 】
≪ ……ふぅ、流石にばれていましたか。我ながら、上手く隠れていたと思うんですけどね ≫
つC
372 :
胡蝶 Z-6:2006/05/28(日) 14:03:47 ID:v3jxI0GE0
「ト、トキミ様!?」
急に割り込んできた声に、びくっと身を竦ませた。
思わず振り返ってみるが、当然誰も見えない。真っ白なままの空間に、もう一度トキミ様の声だけが響く。
≪ ごめんなさい、試すような事をして。貴女に本当にエターナルとしての資質があるのか、実はまだ未知数でしたから ≫
【あら、かの“時詠みの時深”でも判らない未来があるのですか? 】
≪ からかわないで下さい、『永遠』。貴女の強引な能力よりは不確定要素が多いんですから ≫
【 強引……まぁ、いいでしょう。それより、協力して頂けますね 】
≪ ええ。幻想を選ぶようでしたら許さないところでしたが、これだけ心の資質があれば……セリア? ≫
「……え? あ、私、ですか?」
唐突に話を振られて慌て、上擦った答えを返してしまう。
同時に二人(一本と一人?)のくすくすという忍び笑いが聴こえた。
……だって、仕方が無いじゃない。話の半分も理解出来ないんだから。
俯きながら、ぷっと軽く頬を膨らます。その様子も見られたらしい。両者から、再び失笑が漏れた。
【 そう。内包する二つの想い……新たな剣に、ある意味相応しい資質の主ともいえます 】
≪ 仕方ありませんね。人員不足ですから、今すぐにでも参加して欲しいのですが……これも誤差の内、かぁ ≫
【 トキミ、本当に残念なのはそれだけですか? 】
≪ ……『存在』、意地が悪くなりましたね ≫
【 ふふ……では、いきます。セリア、『熱病』に集中して下さい。私の一部を“繋げ”ましょう 】
373 :
胡蝶 Z-7:2006/05/28(日) 14:05:12 ID:v3jxI0GE0
「え? 一部? え、え?」
≪ ……もう。永遠神剣第三位、『時詠』の主として命じる、彼の力、解放せよ! ≫
「だ、だから、何が起き――――ッッッ!!!」
再び引き戻される、空間。真っ逆さまに落ちていく。
がさっ、と草を踏む音。気づけば私は、地面に四つんばいになっていた。
耳に戻ってくる、虫の音。風の匂い。泥に汚れてしまっている手を見つめる。
「ようこそ、私達の時間へ。セリア」
トキミ様が微笑みかけながら、手を差し出してきていた。
「私――――」
手を取り、立ち上がる。見渡すと、先程と同じ森の中。月の位置から判断しても、そんなに時間も経ってはいない。
正面に立っているトキミ様が、可笑しそうに笑っている。なんとなく、憮然としてしまった。
手持ち無沙汰になり、落ち着かない。そちらを見ずに手の平だけで探る。柄に、手が触れた。
りぃぃぃぃぃん――――
「――――え?」
剣が、軽い。まるで羽根のように、何も感じない。
……いや、感じる。それも、更に膨れ上がりつつある。かつて経験した事もない、巨大な力が。
374 :
胡蝶 Z-8:2006/05/28(日) 14:06:57 ID:v3jxI0GE0
「な……ハ……クッ…………」
慌てて両手で持ち直し、懸命に制御を試みる。歯止めの利かなくなる直前で、剣はようやく大人しくなった。
「ふぅ……どうしたの、『熱病』?」
話しかけながら、理解した。これは、心だ。私の心に反応している。
形状は同じ。大きさも同じ。両刃の、銀色の鋼。転送された時からの半身。
しかし、内在している力は比べ物にならない。――ただ、勝手気儘なだけ。
『熱病』は本来、大人しい剣だった。私の命令にも忠実に、力を貸してくれた。
なのに今まで上手く付き合ってきた、その記憶だけが剣から失われている。まるで、躾の終えていないエヒグゥ。
生まれ変わったように、無垢な剥き出しの感情。それでいて、しっかりと馴染んでくる柄。
「…………そう、私と同じ、なのね」
「ええ。それが『永遠』と『時詠』の力を分けて新たに生み出された貴女の神剣。永遠神剣第三位――――」
「待って。――――『熱病』よ。この子は、『熱病』。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「……判りました。改めてようこそ、若きエターナル、『熱病』のセリア」
「こちらこそ、よろしく。……色々ありがとう」
私達は、ぎゅっと強くお互いの手の平を握った。
「ところでセリア、悠人さんの事ですが」
「…………あ」
完全に、忘れていた。我ながら酷い。元はといえば、彼について行く為にこうしているのに。
誤魔化し気味に後ろ髪を触る。上目遣いで窺うと、トキミ様――――トキミが口元に手を当て、肩を震わせていた。
「ふふ……彼は今、時の迷宮にいます。大丈夫ですよ。そうですね……半月、位でしょうか?」
「? 半月って、どういう事?」
「あちらは時の流れが多少違うのです。そこで、折角こちらでエターナルになったのですから……セリア?」
「え、うん。何?」
「先にラキオスに戻って、下地を作っておいてはくれませんか? その間に悠人さんを、迎えに行ってきますから」
「え……ちょ、ちょっと待って。私は忘れられているわ。そんな、一人で行っても誰も相手に――――」
支援
376 :
胡蝶 Z-9:2006/05/28(日) 14:12:18 ID:v3jxI0GE0
一気に捲くし立てようとした時、頭の中に何か知らないはずの知識が浮かび上がり、言葉を失う。
それはイメージというものに近かったが、その方がかえって判り易かった。同時に先程の“二人”の会話も理解する。
「――――そうか。まだ私、“渡り”を行ってないから……」
「ええ、シュンと同じです。貴女に関する記憶は、ちゃんとまだこの世界に残されているのですよ」
「その例えはやめて欲しいな。……うん、でも、わかった。あ、でも……」
「? 他に、何か? 大体の事は『熱病』が教えてくれるはずなのですが」
「その、ユート様―――― 悠 人 に何かしたら、承知しないわよ」
「――何かって、何を? わっ! じょ、冗談ですよ! それでは行ってきますねっっ」
「…………ふぅっ」
無言で引き抜いた『熱病』を腰に戻す。睨みつけたのは、牽制だ。
嬉しくない事に、『時詠』の情報部分から、トキミの気持ちまで判ってしまった。
神剣にまで刻まれるほど、強い想い。冗談まじりに苦笑いをしていたが、胸の痛みは他人事ではない。
頭が冷えると、急に辺りが静かになった。晴れた日にしか見えないマナ蛍の群れが舞っているのに今更気づく。
「……まだ、ラキオスにいるのね、私」
青や緑に明滅する光球を眺めながら、ぼんやりと呟いていた。
それから半月は、目の回るような忙しさだった。
まず、エターナルというものを、一から皆に説明し直さなければならない。
トキミが渡りを行ったせいだが、時を遡ればこんな手間は省く事が出来る。
彼女はこれを知っていてあえて使わなかったのだ。時間遡行という、『時詠』の能力を。
生まれ変わった『熱病』は、まだそこまでの能力を使いこなせるほど、“育って”はいない。
手の込んだ事を、と腹が立つ。彼女はただ悠人を迎えに行く為だけに、こんな“悪戯”を残していった。
そんな訳で、同じ事を何度も仲間やレスティーナ王女に向かって話しているうち、
「…………後で、覚えてなさいよ」
などと、たまに舌打ちをしてしまったりして変な顔をされる私だった。
仲間達には、普通に迎え入れられた。
忘れられるという一大決心をしてまでなったエターナルに、誰も深くは訊いて来ない。
『熱病』が突然第三位になった事についても、追求がない。――せいぜい、朝帰りを咎められた程度。
前日部屋に引きこもっていた事なども、すっかり忘れられているようだった。
最初は戸惑い、感謝をしつつも不安になって、こちらから尋ねてみると。
「どうしてだ? セリアは、ん、セリアだ」
「なぜです? セリアはセリアでしょう?」
「え? だって、セリアですよね」
「……セリアじゃん」
「セリアだと、何か問題があるのでしょうか?」
「いいんじゃない? セリアだし」
……最後のヒミカの台詞にはちょっと引っかかるものがあったが。
それでも、拍子が抜ける程、判を押したように返ってくるのは同じ言葉。
嬉しかったが、その一方で、胸が痛む。彼女達の記憶に、“ユート様”はもういない。
だからこそ、エターナルへの興味が長続きしないのだ。神剣についても発掘された貴重な戦力、その程度の認識なのだろう。
エターナルミニオンは、幸いまだ活発に活動はしていない。
ソーン・リームに眠る『再生』にマナを集中させているからだろう。……“彼らロウ”は。
くすぐったいことだが、エターナルになることで、俄かに待遇が良くなった。
特別視されるのは嫌だったが、神剣の性能上、自然、軍師のような立場で皆に指示を出すようになる。
旧サルドバルト領とイースペリア領はソーン・リームに接しているので、重点的な警備を配した。
もうあんな悲しい想いは、「誰にも」させたくなかったから。
「あっ! セリア姉様っ! 来てくれたんですね!」
「うん。どう、調子は。ちゃんと食事は摂っているの?」
「も〜いつまでも子供扱いなんですから〜」
当然ロンドにも、何度か足を運んだ。その度に少女に会いに行き、ユミナ・アイスのお墓を訪れた。
支援
「知らなかったとはいえ、自分が行って来た事……全部を償えるとは思わないけど。それでも、償っていきたいと思うんです」
涼しい風が吹き抜ける、小高い丘の上。手を合わせながら、少女は呟いた。
もう立派に伸びた緑柚色の後ろ髪が、きらきらとたなびく。
元・ウルカ隊のメンバーだったという彼女は、望めばウルカの側にも居られるというのに、自分でそれを断った。
「戦後の世界……それが私の生きる道、だから……」
乱れる髪をそっと抑えたまま振り返った微笑には、太陽の陽を受けて輝くとても綺麗な涙が浮かんでいた。
――――そして、半分欠けていた月が再び満ちた夜。
「ただいま……セリア」
「お帰りなさい……悠人」
私は一つの決心と共に、森で彼を迎えることになる。
「あ、ああ。……はは」
呼び捨てにされ、彼は面白いほど狼狽していた。
携えている、一本の剣。両刃の、流線に不思議な力強さを感じる永遠神剣が淡く緑色に輝いている。
ふいに『熱病』の一部が微かにさざめいた。それで、説明されなくても自然と知ることが出来た。
永遠神剣第二位、『聖賢』。彼はそれを手にし、無事エターナルとなっていたのだ。
「それが……?」
「ん? ああ、俺の新しい相棒。『聖賢』だ」
「……ふふ」
思わず笑みが零れてしまう。ちゃんと帰って来てくれたことに。
時深は大丈夫だと言っていたけれど、それが気休めなのもまた、知っていたから。
「? 何笑ってるんだ?」
「――内緒です。それより、時深は?」
「あいつなら、俺がその、……う、判ってるって」
「?」
「……せ、聖賢者になってすぐ、先に帰るとかってすぐにいなくなったぞ」
「…………」
「…………」
「……“聖賢者”? …………ぷ」
「わ、笑ったな? くそ、だから名乗りなんて俺には向いてないって……くっ! 頭の中でどなるなって」
何か、文句を言われたらしい。『聖賢』と喧嘩を始めてしまう――――悠人。
そんな彼を見ていると、この半月の苦労なんてどこかへ行ってしまう。安心出来る。
ふわっ、と優しい風が吹く。浮き上がるマナ蛍。その輝きまでが、半月前と同じもの。
変わらない。彼も、私も。これから、永遠の時間を歩くとしても。この瞬間だけは。
私はすっ、と手を差し出した。
「さ、帰りましょう、私達の場所へ。――――悠人」
「え、あ、セリア?」
まだ呼び捨てに馴れないのか、うろたえたままの彼の腕を巻き取るように両手で取る。
ちらっと『聖賢』を見てみると、刀身に刻まれた文字が戸惑ったように明滅を繰り返していた。
変なところでお似合いの“二人”だ。
『……ふん』
じっと見つめていると、『聖賢』が不満そうな声を漏らした。
それでつい思わずからかい気味に優しく声をかけてしまう。
「初めまして、『聖賢』。これから宜しく」
『……うむ』
すると“彼”は横柄でぶっきらぼうな口調の後、黙りこくってしまった。
同時に無言で歩き出す悠人。腕を取ったままなので、そのまま私も引き摺られるように歩き出した。
「…………」
「…………」
頭一つ高い上背。肩越しに見ると、月の光に照らされた彼の横顔は少し赤い。
「悠人? どうしたの?」
「…………」
本当に、そっくりな二人だ。私と『熱病』は、心の中でこっそりと微笑みあった。
「どうぞ。散らかってますけど」
とりあえず第二詰所へ戻ってきた私達は、そのまま私の部屋へと直行した。
第一詰所の元・悠人の部屋もちゃんとそのまま用意されているのだけれど、こんな夜中だ。
レスティーナ様への引き合わせも何もかも、朝になってからの方がいいだろうと判断した。
……もちろんそれは、口実と取ってもいいものだけれど。
一つしかない椅子を薦め、自分はベッドに腰掛ける。それから現状を説明し、お互いの知り得た情報を交換しあった。
そうして暫くすると、オレンジ色の光の中で、いつの間にか黙って見詰め合っている事に気づく。
「…………」
「…………」
じじ、と乾いた音を立てるエーテル灯。その灯りに照らされた彼の頬が赤く揺れている。
自分もそう見えているのだろうかと考えると、つい目線を逸らしてしまう。
気まずい沈黙の中、膝の上で揃えた両手を見つめていると、ふと、遠い声が聞こえた気がした。
――――今時流行らないよ、ただ黙って見守るなんて。
ただの空耳だったのだろう。でも確かに、それは私の気持ちを、しっかりと後押ししてくれた。
「……セリア?」
無言で立ち上がる。
何故か、急き立ててくるような感情。今でなければ、もう踏み出せないような。
でもきっと、彼も同じ想いを持ってくれている。帰って来た時、表情を見て、判った。
だから。ただ、待っているだけなのは、もう嫌だ。せっかく決心していたのだから。
「え、お、おい何を」
「目を、逸らさないで」
ファスナーを下ろす時には、流石に指が震えた。慌てて目を逸らそうとする彼を言葉で制する。
肩の引っかかりが無くなると、あっけなく戦闘服は地面に落ちた。
ラキオススピリット隊の証を示す、グレーと紺。その鮮やかな色彩が目に飛び込んで来る。
――――貴女が、ユート様の事を心配しているのは判っています。ですから、今度はもう少し正直な態度で、ね?
下着を取り払い、彼の正面に立つ。壁に、晒された全身の影が朧げに浮かんでいるのが見えた。
エスペリアには、ここまで見透かされていたのだろうか。私が、ここまで正直になれると。だとしたら、一生敵わない。
――――お兄さんとセリア姉さま、お似合いです
靴を脱ぎ、髪を下ろす。その間中ずっと落ち着かなさ気に漂う彼の瞳をずっと睨みながら。
みんなみんな。知っていた。判らなかったのは、“私”だけ。あの世界の“わたし”でさえ、自覚はしていた。
なのに私は、そんな“ちゃんと見てくれている”視線にすら、愚かしい程に鈍かった。
――――意地っ張り
大きく、黒く澄んだ瞳。惹かれたのに、理由なんか、きっと無かったのだ。
無理矢理言い訳を作り出そうとしたのが間違い。想いを確認するだけだった今までを思い出す。
そう、ただの意地っ張り。今までの私を総括すると、きっとそんな単語に収束されてしまうのだろう。
「セ、セリア……」
全てを脱ぎ去った私を目の前に、彼の喉が大きく鳴る。
せわしなく動く指先が、そっと髪へと伸びてきた。流した蒼い髪が炎で薄紫色に浮かび上がる。
情熱の赤に混じりあう、静寂の蒼。
不思議に心は静まり返っていた。黙って弄られる髪が自分の心を映し出しているように思え、ぽーっとする。
「……いいのか?」
いつの間にか耳元に近づいていた口から、呟くような確認の声。私はこくり、と素直に頷いた。
そしてそこで、ふと思い出したので、尋ねてみる。
何もこんな時にまでとは思うが、いかんせん、情熱の赤と静寂の青を併せ持つ『熱病』の主なのだ、私は。
どんな場合でも、冷静さを欠かすなんて事はない。
「……トキミとは、“した”の?」
ぴしっと空気が凍りついた。
まるで王の前で敬礼をする時のようにぴっと姿勢良く背筋を伸ばしたまま、動かない悠人。
私は含み笑いを堪えながら、もう一度ゆっくりと尋ねた。
「……“し、た”?」
「あ、い、いや、してない! してないぞ! しそうになったけど、あれは時深が勝手に」
「……そう?」
「え? あ、あれ? 何で知ってるんだ? いや、その、してないって!」
疑わしげな私の視線にあっけなく陥落した悠人は、しどろもどろになっていく。
本当の所がどうだったのか実は知っていたが、だんだんかわいそうになってきた。
「ふふ。……これからは、許さないから……嘘も、浮気も」
私はゆっくりと、焦ったままの悠人の顔に近づいていく。
「そして、憶えておいて……スピリットである私を。忘れるなんて、もう許さない……んっ」
口を塞ぐ、暖かい感覚。
その中で、絶対に忘れない、と優しい言葉を囁かれ、私の両目からは勝手に涙が零れ落ちた。
「――――ン、ンンッ!!」
――――初めて体内に侵入してきた異性は、予想もしなかった激痛を私に与えていた――――
「くっ……あっ……ああ……」
「はぁ、はぁ……大丈夫か?」
「え、ええ……んっ」
気遣うような彼の声にも、まともに返事を返せない。
声を出そうとすると、勝手に収縮して異物感を余計に際立たせてしまう。――――でも、そんなことよりも。
「ご、ごめん」
「んっ、ふっ……くぅっ……う、嬉、しい……」
彼は何を、謝っているのだろう。私は、こんなにも嬉しいのに。
スピリットとして生まれ、それでいて、“痛い”ほど愛されているという事。
それをこんなに近くに、感じる事が出来る。
私は反射的に歪みそうな顔に目一杯の笑顔を示し、彼の瞳と向かい合う。
そっと両手を伸ばし、硬い髪に触れてみた。ゆっくりと、撫でるように確かめる。
「大丈夫……続けて」
「あ、ああ。……セリア……好きだ」
「……知ってるわ」
繋がっている。痛みよりも、それを身体中で感じられるのが、嬉しい。
じっとしているだけで、お腹の奥から溢れてくる熱い気持ち。
じゅっ、と何かが沁み出てくるような感覚に、堪えきれずにしがみついた。
押しつけ、潰れた乳房に響く心臓の鼓動と、硬くなった先端を滑らす汗のぬめりに、痺れるような快感が頭を突き抜ける。
ぴん、と張り、もうこれ以上は伸ばせないという位引き攣る爪先。僅かに身動ぎしただけで、ぴくぴくと震えてしまう。
刺激が、心を溶かしていく。何も考えられずに唇を求めた。薄っすらと開いた口腔に滑り込んだ彼の舌がノックしてくる。
遠慮気味に差し出すとすぐにそれは絡み合い、溢れる唾液を素直にこく、と飲み込む。
喉元を通るとき、自分が変わるのがはっきりと自覚出来た。
――――ずっ!
「あっ!」
――――ず、ずっ!!
「う、ぁぁっ!」
急に、お腹の中で彼が動き始めた。擦るような、かき混ぜられるような異様な感覚に、一瞬だけ息が詰まる。
続いてちかちかと明滅する白い光。じりじりと焦げ付くような熱に浮かされる。つつー、と太腿を熱い雫が伝った。
――――ずっ……ずっ……ずずっ……
「あ、あ、あっ、あ」
律動を繰り返されるたび、少しずつ、少しずつ自分の中が奥へと抉じ開けられる。
侵入される、その事に抵抗出来ず、悦びで弾けそうな力を懸命に抜く。半開きの口から漏れる、短く区切った声。
自分で出したものだとは到底信じられない甘い喘ぎが響く中、とうとう彼がこつん、と私の一番奥に辿り着いた。
「ハッ! 〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」
少し、苦しい。
ぴったりと埋め尽くしたそれはなおも膨らみ、私の中をぐいぐいと圧迫してくる。
刺激に勝手に反応し、制御出来ずうねるお腹に、私は髪を振り乱しながらふるふると首を振った。
ぶるっと震えた全身を、しっかりと両手で抱き締められ、固定される。そして再び動き出す彼。
「んぁぁっ!……あ! あぅ、あ、だめ、あっ、あぉっ、はぅっ!」
津波のように押し寄せてくる快感。このままでは狂ってしまう。許して、そう言おうとしても掠れた喘ぎしか出ない。
「ユ、ユー……はっ! ちょ、ちょっと待っ! うっ! グッ! ハアッ! ハッ! ヤ、イヤ、ハ、アァァ!」
両腕ごと上半身を抱き締められ、腰から下を勢いよく突き上げてくる塊。荒々しい動きに、ただ蹂躙される。
「――――ヒッ!」
ぐりっ、と奥の柔らかい部分を抉られ、一瞬意識が飛んだ。
硬い先端がめり込んだ瞬間、内臓を突き上げてくる衝撃にもかかわらず、熱く反応する身体。
真っ白に塗り替えられていく頭の中で刺激だけが飛び跳ねる。ぎゅっと絞り込むように包み込んでしまう。
その動きが更に快感を増幅し、もう何も判らなくなってきた。ただ、お腹の中の彼の動きだけが、感覚の全てで。
「ハッ、アッ、アアッ、アアア、また、大きっ!……ひぅっ!」
「セリア、セリアッッ!!」
「ユッ、ユートッ! ユート様ッ! ユートさまぁっ!!」
意味も無く、獣のように名前を呼び合う。いつの間にか、呼び方が元に戻っているのにも気づかずに。
「ルゥ……ルゥ……」
何かにしがみついていないと、飛んでいきそうだった。
自分から硬い筋肉に腕を回し、肩口に顔を押し付ける。それでも足りず、噛み付いた。
漏れた喘ぎの間に、鉄の味が混ざる。ぐちゃぐちゃに掻き回される内と外。渦巻く熱と汗の匂い。
「はっ、はっ……くっ!!」
「アッアッアッアッ―――――」
その螺旋が収束した瞬間。
――――どくんっ!
「――――ア゙ッ!?」
胎内に灼けた飛沫が弾けるのを感じ、私はびくっと大きく身を仰け反らした。
しっかりと両腕に抱え込まれた背中を無理矢理撓らせる。
一瞬だけ見え、すぐに火花に掻き消されてしまう天井。
いつしか開いていたウイングハイロゥがばさばさと激しく羽ばたいているのが最後に見えた。
――――どくっ! どくっ!
「ンンッ! ンッ、ンンンンッッ!!!…………ア――――――ッ!!!」
硬直したまま、これ以上無い位伸びきる爪先。胎内で、いっそう膨れ上がった快楽が爆発する。
まだ、断続的に叩きつけられる粘膜。その熱い暴力的な衝撃に、私は強引に光の渦へと飲み込まれていった。
……………………
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…………ンッ、ンン…………」
まだ断続的にぶるぶると震えている全身。
ようやく開放され、ゆっくりと弛緩していく。
お腹の中にじんわりと沁み込んで来るような。
ぴったりと当て嵌まっている、そんな不思議な充足感。こんな穏かな気持ちになったのは初めてだった。
「……大丈夫か? ごめん、俺も途中からなんだか判らなくなっちまって……その、あんまり気持ち良かったから」
余韻に浸り朦朧としていると、耳元で心配そうな声が聞こえてきた。
答える代わりに、そっと唇を塞ぐ。
「あ、ん……ルゥ……」
触れた部分からじんわりと伝わってくる、優しさの温もり。――――満たされていた。
言葉ではなく、心で。心だけではなく、身体全体で。身体だけじゃ足りなくて、存在全部で。
「ん……ふ……」
「んん、ん……」
「ん……………………ンンッ!? ぷはっ、え、なに? また硬く……あうっ!」
「……ごめん、我慢できない」
まだ収まったままだったものが固さを取り戻し、うっとりとしていた私は慌てて唇を離す。
すると情けない顔をしたまま、彼は私のお尻を鷲掴み、いきなり腰を使い始めた。急な行動に、喘ぎが上手く噛合わない。
「なっ、何を、謝って…………は、ぁんっ!」
「セリア……セリア……」
「あっ、わ、わたしまだ――――あっ、あっ! あっ、あっ…………」
余韻の解けてない波が再び荒々しく押し寄せ、声にならない。
乱暴な動きを止めさせようとしたが、途中で諦め力を抜いた。
委ねると、安心感が込み上げてくる。揺れる視界がぼやけ、やがて再び涙が零れ始めた。
「アゥッ、あ、あ、あぁぁ…………ルゥ、ウルゥゥ…………」
このまま、壊されてもいいと思った。
すぐ側に聞こえる息遣い。そっと髪を抱き寄せる。硬い、針金のような髪がどうしようもなくいとおしい。
彼に、求められている。嬉しさを噛み締めながら、私はその夜ずっと彼に揺さぶられ続けていた。
388 :
信頼の人:2006/05/28(日) 14:57:36 ID:v3jxI0GE0
今回は、ここまでです。
前半は、エターナルになりつつ記憶を保留出来るパターンとして、瞬を参考にしてみましたが、矛盾がないかとガクブルです。
後半は……まぁ、お互い若いし、猿という事で(汗
いやー、それにしても21禁板とはいえ、こういうの発表するのは未だに慣れません。
それに加え、今回投稿規制の厳しかったことorz 頂いた支援がこの上なく有り難かったです。本当に多謝です。
えっと、お付き合い下さった方、有難うございました。誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。では(脱兎
>>388 心の底からご馳走様でした。
雑魚スピスレ最後の清純派セリアさんも、遂に開通式を迎えましたね。
これまでも散らす事は多々あってもw、散らされたのは本作品が初ではないかと。
蒼熱恋慕は夢オチだし。
で、ついにセリアさんE化。
どんなオリ神剣になるのか、密かにwktkしてたんですが、そうですか『熱病』のままですか。
セリアさんらしいっちゃらしいけど、『熱病』で押し通されたNew神剣がカワイソスw
委員長編、とうとう、正体が判明しましたね。
最終的にどうタイトルと結びつくのか、こちらも楽しみにさして頂きます。
それから誤字脱字か微妙ですが、
>>372でハリオンマジックならぬ、『存在』マジックが発生。
にしても次で終わりですか。楽しみなような、残念なような。
これほどの歪みを抱えていたとは正に逸z(ヘヴンズ
セリア委員長 風紀が乱れています!w
時詠と永遠の愛の結晶が、永劫とも言える時の流れの中に彼女の不変の世界を形作る一助となる。
なにやら一気の寄りに流されっぱなしな気もするセリアさんですが、
やはりユートと繋がったままハイロウ広げて詰め所内を疾走すべきかとw(AAry
悠人君、ヨフアルルート並みに迷宮内で逃げ走ってたんでしょうか カワイソス
セリアの背中で小さくなってる悠人も惜しいところ。
あとは個人的にアセリアとのお別れに期待なのです。
胡蝶。
てふてふなのは、もしかしたらセリアの方なのかも知れません。でも……悠人のいる方が現さね。
>>388 信頼の人、お疲れ様です。
胡蝶も大詰めを迎えつつありますね。
今回の分を読むまで胡蝶の意味を考えてなかった自分を
褒めてあげたい気分で一杯です。>委員長
こういう仕掛けは読んでびっくりするのが一番楽しいです。
後一回、大変でしょうけど頑張ってください。
>>388 お疲れ様です!
セリアさん、ついにE化。
簡潔まであと少し、泣いても笑っても次で最後。
ここまで来たら、何にも言う事はありません。
後は幸せな結果であるようにと、祈りながら見とどけたいと思います。
今回もお付き合い頂き、有難うございます。
>>389さん
まぁ本体『熱病』ですし>名前
転送された時から慣れ親しんだ愛着のある剣。
元々面倒見の良いセリアさんならそうするのではないかと妄想しました。
指摘、有難うございます。早速連絡スレにて修正依頼をば(汗
>>390さん
あの通り勝気な娘ですので、どうしても流されるような流れならむしろ自ら加速させるかと。
というか、繋がったまま疾走ってw いくらなんでも歪み杉でわww
悠人君は、ほら、試練ですから。元々一人で立ち向かわなければならないのです>迷宮
あ、何気にタイトルの意味、伝えられたような気がしてウレーシェw
>>391さん
あ、こちらも何がしかが伝わったのかもしれず、ウレーシェですw>胡蝶
あと一回、ちょっとした仕掛けも残っているので、宜しければも少しお付き合い下さい(頭を低く
>>392さん
うぃ、頑張ります。……幸せかどうかは、マナの導きにお祈りしつつ(ぉぃ
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……以前から思っていた事なのですが……グリーンガム、ブラックブラックガム、ミントブルーガムが有りながら
|とl) 何故、レッドホットファイヤー☆ミカスパイシーガムがないのでしょうか?
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……イチゴかアセロラあたりで我慢して下さい……
|とl)
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……マロリガム……なんでもない
|とl)
「おとーさん、紹介したい人がいるの・・・」
「ん、友達でも出来たのか?遠慮することはないからつれてきてもいいよ、ユーフィ」
「はいってきて〜」
「あの・・・その・・・僕、ユーフォリアさんとお付き合いさせて頂くことになったロティと申します、お父さ」
「コネクティッドォ〜〜〜〜〜〜ウィル!」
ユートが親になったら親バカ確定だろうから、何しでかすかわかったもんじゃねぇ・・・
>>388 亀レスですが、乙彼様です。へー、セリアさんてば『永遠』の主になるのかー、と素で思っちゃいました。
単純でうっかり者な自分に乾杯w
いやいや、でも皆もきっと騙されたですよ。巧妙な罠ですよ。そう信じる事にします。(希望的観測)
んで、神剣も委員長もかなり良かったのですが、個人的に一番のハイライトシーンはやっぱ
「……トキミとは、“した”の?」
↑コレで決まりでした。その問い詰めぶりもヤキモチっぷりも、お姉ちゃんに 瓜 二 つ 。
セリアさんたら立派になって……あれ?お姉ちゃんに似たんじゃ、駄目方向への躍進なのか?(笑
最終回、限りなくなさそうなエスの活躍を夢見て待ちます(本気
「確かに、わたくし『貴女が〜もう少し正直な態度で、ね?』とは言いました。ええ、言いましたとも。
ですが、それはあくまで純粋に部隊内の和を考えて言ったのであって、決して『正直に素直にユートさまとイ
くとこまでイけるように応援しています、ガンバ♪』などといった意味を込めて言ったわけでは全然まったく
これっぽっちもないのです! 正に拡大解釈も良いところ。温厚なわたくしでも終いにはブチ切れです!
って、聞いているのですかセリア!?」
何の反応も返さないセリアさんに対し、守り龍も尻尾巻いて逃げ出すような恐ろしい形相で振り返るエスペリ
アお姉ちゃん。が、しかし其処にはさっきまでいた筈のセリアさんの姿は何処にもなく、
代わりに一枚の紙片がヒラヒラと舞い落ちてくるのみ。そして、それには実に完結に
『旅に出るわ。捜さないで』
という御約束な一文が書かれていた。
「ふっ……ふふふっ………##いい度胸です、セリア。
これは、わたくしへの挑戦状と受け取らせてもらいます。どんな遠くに行こうと、地の果てまで追いかけて…
お説教フルコースです!!首を洗って待っていなさい!!!」
今日もまた、いらん決意と無駄な闘志に燃えるどこからどう見ても駄目なエスペリアお姉ちゃんであった――。
「エスペリアって、俺の事覚えてないんじゃなかったっけ?」
「…そこはツッコんじゃいけないとこよ、悠人」
胡蝶本編の描写通り、本当のエスペリアお姉ちゃんはセリアさんでも一生敵わない聡明さと優しさを併せ持つ
パーフェクトお姉ちゃんだと私も思っております(ぉ
信頼の人さん、お疲れ様です。
どんどんと怒涛の展開になっていますね。
このスレで誰かも言ってましたが、私にとっても生きる糧です。
避難所でも書きましたが、改めて大団円である事を期待して続きを待っています。
…そして頑張れ、エス姉ちゃん。
そして、ようやく書き上げられたシアー長編の続きです。
一部、多分に茶をふいてしまう部分もありますが大真面目に狙ってますので。
それでは、よろしければどうぞ。
いつか、二人の孤独を重ねて第9章・ゆうしゃさまは、ひとごろし -中編-
「寒いな」
特に前触れも深い意味もなく、ただ唐突にそう呟く。
呟いた途端、自分に注目する視線の多さに悠人は思わず苦笑してしまう。
「…ごめん、続けてくれ」
片手で軽く頭をかきながら席から立ち上がって、全員に頭を下げて謝罪する。
謝罪した後に、説明の途中だったエスペリアに顔を向けて視線で続きを促す。
エスペリアが、自分に対して軽く頷いたのを確認してから改めて席に座る。
-そうだな、会議だったもんな。
リレルラエル占拠の際に自軍のものとして使う事にした帝国軍基地の会議室。
そこに年少組を除いたラキオスピリット隊他、ヨーティア等の人間たちも集まっていた。
相変わらず、リレルラエルに釘付けにされたままのラキオススピリット隊。
近頃になってようやく、帝国の猛攻はおさまったものの、全員の疲労は色濃かった。
今日になってやっと戦闘行為に支障の無い程度にまで回復出来ただけである。
それもやはり、各施設の建設や部隊の支援などに尽力してくれた人間たちのおかげ。
ただ、それだけにある一つの「違い」が悠人の目に際立って見えてしまっていた。
帝国領内で生まれ育った人間たちの…メンタリティ。
日がたつごとに街の外や内で何がしかを見るにつけ、悠人はいつもこう思った。
-なんなんだ、ここは?
悠人の感覚からすると違和感どころでないモノで、帝国は包まれていた。
人間も、スピリットも、暮らしも、何もかも全てが…。
確かに自分は日本人だから、ファンタズマゴリアの人間じゃないから…かもしれない。
現代世界では紛争の絶えぬ世界各国から見れば自分の生まれ育った日本は奇跡的な平和さだ。
平和ボケした日本人、大国に飼いならされた島国、同じ日本人でさえも誰かがそう言う。
例え、昨今特に暗いイメージが広がってきていたとしても。
むしろ、日本で生まれ育った事自体は極めて幸運な事なのではと悠人は考えた事もあった。
だが、それを抜きにしても帝国領内はあまりにも異質だった。
ラキオスとも違う、マロリガンとも違う、バーンライトとも違う、ダーツィとも違う。
もともと自分は異世界に来たのだという、それは実感…を拭いきれないでいたが。
ここは…いや、ここには来たのでも呼ばれたのでもなく、こう感じざるを得なかった。
ここでの自分は、ここには…墜とされたのだ、と。
周囲の仲間たちを見ると、どうやら誰もが近い感覚を抱いているようだった。
ナナルゥまでもが、ここに長く滞在するのは得策ではないと判断します…と進言する程に。
何と言えば良いのだろう、果たしてどんな表現ならもっとも適切なのだろう。
わからなかった、どんなに考えてもわからなかった。
思い余って、光陰に聞いてみた事もある。
「何だ悠人、思ったより余裕あるんだな?
あんだけ戦ってて、そんな暇なことを考える事も出来るんだったら…まず大丈夫だ」
むしろ珍獣に出くわしたかのように目を丸くされただけだった。
たまたまそこで聞いていたセリアにまで、知恵熱を真剣に心配されたのはご愛嬌か。
ただ、やはり何かにつけてどうしても感じてしまうのは。
ここは、ただ寒いという事だった。
|・ω・`)
雪が降るわけでもない、寒い季節に入っているわけでもない。
ただ、寒いのだった。
思わず、肩をぶるりと震わせてしまう。
すると、ふわりと柔らかい感触が肩を優しく包み込んだ。
それに気がついて目をやって確かめると、それは光陰の羽織だった。
「ヤロー臭いだろうが、まあ我慢しとけっ」
いつの間にか後ろにいた光陰が、いつも通りにニヤリと笑っていた。
その台詞と悪戯っぽい笑顔につられて、つい口元が嬉しそうに笑みを作ってしまう。
「悪いな、いつも助かるよ…サンキュ」
それだけ言って、悠人は今度こそ会議に集中しようとエスペリアの方へ向き直った。
そして、その日の夕刻。
早朝から続いていた会議がようやく終わり、会議室の扉を出たところでようやく息をつく。
それまでずっとためこんでいた、重い空気をようやく吐き出せた。
「おつかれさま〜」
聞きなれた声、久しくずっと聞いていなかった声。
ちょうど通路の窓からさしこむ夕焼けに照らされて、シアーがそこにいた。
悠人のそばに駆け寄って、小さな包みと水筒をにっこり笑って差し出す。
包みからは、また久しくずっとご無沙汰だった甘い香りがただよってくる。
「あのね、ハリオンのヨフアルと…シアーの淹れたお茶だよ」
嬉しかった。
そこにシアーがいてくれた、その事も含めて今ある全てが嬉しかった。
シアーの手から包みを受け取ったあと、空いた手でシアーの髪を撫でる。
懐かしくて優しい、今目の前にいるシアーの髪の感触。
髪を指ですき、手のひらでなでてやると照れくさそうに嬉しそうなシアー。
「ありがとう、シアー」
誰かが、そこにいてくれる。
誰かが、確かに生きていてくれている。
ただそれだけだったが、とても大事な…ただそれだけが純粋に嬉しかった。
「ネリーや、他の子たちはどうしたんだ?」
その問いかけに頷いたシアーが指差す方を見ると、ネリーたちもそこにいた。
シアーが悠人にしてくれたように、エスペリアや他のみんなにも差し入れを配っていた。
ニムの差し入れに感極まって、瞳をウルウルとさせて抱きしめるファーレーン。
困ったニムの抗議の声にも、首をぶんぶんと振って抱きしめたまま。
オルファの差し入れに、本当にみんなのお姉ちゃんという微笑みでお礼を言うエスペリア。
ここからでは聞こえないが、何事か二人で内緒話して時折お互いにくすくすと笑っている。
ヘリオンの差し入れを受け取るや否や、早速そこに地べた座りして包みを開くナナルゥ。
慌ててヘリオンが注意すると一瞬考えて、今度はヘリオンに空気椅子させて、その足に座る。
ネリーの差し入れにセリアは滅多に見れない、いつもの鋭さのない笑顔で頭を撫でる。
その直後にネリーが何事か余計な一言を口走ったらしく、いつもの説教モードに入ったが。
アタックするも、ことごとく年少組に逃げられた光陰は男らしく笑って泣いている。
そんな光陰に同時に自分のぶんの差し入れを分けようとしている今日子とクォーリン。
その他の仲間たちも、一緒に来ていたラキオス兵他から差し入れを受け取って談笑している。
「ここは寒いと思うときもあるけど…大切なものは変わらずそこにあるんだよな」
ついと漏れた一言に、シアーの言葉が続く。
「だって、ユート様が頑張って守ってくれてるから。
ユート様とみんなで、一緒に頑張って守ってるんだから」
その誇らしげなシアーの言葉に、再びシアーへ顔を向ける。
「ね?」
夕焼けに照らされて、そう微笑むシアーがいつもより凄く大人びてて綺麗だった。
宿に帰る途中にちょうどある形で位置していた公園のベンチで二人で飲むお茶は甘かった。
モウラフ(ミルク)で淹れた、砂糖を入れた甘いイスィーイス(お茶)。
ちょっと砂糖の分量が多い気もしたが、ただシアーが淹れてくれただけで悠人は良かった。
それから、数日後。
部隊のコンディションを整え、まだ夜明け前と言える時間帯に街の門に全軍集結。
点呼を取り、全員を確認。
作戦の概要を改めて簡潔に確認した後、部隊編成。
サレ・スニル攻略部隊の総指揮官は悠人と光陰、それぞれの参謀にエスペリアとクォーリン。
アセリアにシアー&ネリーと、セリアのみを除いた青スピリットを全員配置する事に。
リレルラエル残留部隊は帝国の地理に詳しいウルカを総指揮官に、参謀にセリアとヒミカ他。
隠密に長けた者としてファーレーン他ブラックスピリットやナナルゥを配置。
バランスのいい編成とは言えなく不安要素は尽きなかったが、このような編成に決まった。
全部隊の半分はリレルラエルに残留、残りはサレ・スニルを目指して進軍。
同時に二方向に進軍する案もあったが、それは見送りになった。
サレ・スニルを占拠した後、更にそこでまた部隊を分けるからである。
サレ・スニルに拠点を置いた上で、剣聖ミュラー・セフィスのもとに赴く必要があった。
ミュラー・セフィスが隠居しているのはダスカトロン大砂漠のちょうど真ん中。
そこに敵対する兵力があるとは思えないが、何があるかわからぬため一部隊を派遣する。
リレルラエル残留組は、そのままそこで補給ラインを防衛。
サレ・スニル攻略部隊がサレ・スニルでの足がかりを固めた後にまた部隊を分けてそこへ。
当面の作戦を大まかに表すと、そういう事であった。
悠人と光陰の率いるサレ・スニル攻略部隊がリレルラエルを出立してからしばらく。
シーオスまでそう遠くないという事を示す立て札が悠人の目に止まった時。
街道のド真ん中で、その男が待っていた。
恐らくはコース両サイドの木々の間から急襲するとの光陰の予想を裏切って、そこにいた。
周囲に一切を遮る何もかもがない、その街道のド真ん中で待っていた。
ソーマ・ル・ソーマ。
ソーマの背後に控えるは、ソーマズフェアリーと呼ばれる特殊部隊。
青ざめながら震える声でエスペリアが呟く、ねえさま…と。
この男に対する対処は全て光陰とエスペリアの計に従う手はずだった。
それが、全て裏切られた。
何も無い。
ソーマのすぐ周囲には、絡め手も何も行えそうにないだだっ広い街道しかなかった。
確かに両サイドに木々はあったが、それとて木と木の間は広く光も充分にあった。
足元に草はそれなりに生えてはいたが、トラップを仕掛けるには難がある具合だった。
ソーマは悠人を見とめると、本当に口元だけをわざとらしく微笑ませて会釈をした。
「ようこそ、勇者殿。
お待ちしておりましたよ…私はソーマ・ル・ソーマ。
そこのエスペリアから話をうかがっておりましょうが、まあ…ただの人間です」
それだけ言うと、わずかにクックックッといやらしく笑う。
「悠人、気をつけろ…絶対に何か策がある」
そう言って、光陰が前に進み出ると同時にソーマズフェアリーがソーマの前に壁となる。
ふと、悠人はソーマの持っている杖が気になった。
何故かはよくわからないし根拠もない、ただ…ひどく良くないものだと感じた。
「みんな、あの杖に気をつけ…」
そう全員に注意を促そうとした時に、ソーマは自らの口に杖をあてた。
まるで地獄の底から響いてくるような、心の全てを呪うような禍々しい曲を奏でる。
悠人以外の全員が、耳を頭ごと両手でふさいで苦しむ。
悠人自身は妙な圧迫感を感じるだけなのに、他の皆は尋常じゃない苦しみを見せている。
それは間違いなく、ソーマが杖を笛にして奏でている曲がもたらすものだった。
「光陰、エスペリア、シアー、ネリー、みんなっ!
一体どうしたんだ、しっかりしろっ!」
光陰やエスペリアたちのそばに駆け寄り、ゆさぶって声をかけるが届かない。
誰もが、身体中にあぶら汗を滝のように流しながら尋常でない苦しみにもだえるだけだ。
曲の調べにのって、ソーマの声がエスペリアとその側にいる悠人に聞こえてくる。
「エスペリア…私の手で磨かれしモノは、私の手に帰るのです…」
その声に首を激しく横にふって、エスペリアは必死に抵抗しているのが見てとれる。
その様子で、悠人は初めてソーマの「策」がどういうものか理解した。
そして、それは子供の頃に見たとある特撮番組の一場面に非常に似ている事も。
「くそっ、あの奇怪な機械(ロボット)じゃあるまいしっ!」
毒づくも、悠人には手立てが何もない。
手立てがなくとも、今すぐにこの場で何とかしなければいけない。
なぜなら、このままでは確実に全員がソーマの操り人形と化してしまうのだから。
「ちょうど、あなたたちがマロリガンを落としたあたりからずっと見ていたのですよ」
ソーマの声が聞こえる、いやさ頭に直接響いてくる。
どうやら、この曲は奏でる者の思念をも一緒に対象に運んでくるらしい。
「ヨーティア殿やクェド・ギン殿に去られたとはいえ、帝国にもそれなりに技術者はいる。
そして、あの事件で失われた物は確かに大きかったですが…残された技術もあるのです」
悠人は忌々しげに、本当に愉快そうな薄ら笑いをその目に浮かべるソーマを睨む。
「永遠神剣の発する共鳴や思念は、音楽の波長と非常によく似ているという実験結果…。
スピリットに音楽を聞かせてから交戦させると凄まじい効果を示したそうです。
それは、人間の場合や植物の成長を促すのとは比較にならないものだった、とも。
ただし、あらかじめ神剣の波長にあわせた曲でないと効果は全くないのですがね」
そこまで聞いて悠人は、ずっと見ていたというソーマの台詞の意味に気づく。
「そうです、その通りなのですよ。
ずっと、調べていたのです…あなた方の神剣の波長を。それは曲にするとどんなのか、と。
苦労しました…苦労しましたよ、みなさんにより多く共鳴する曲を作曲するのはねェ」
洒落ではなく、その旋律は悠人にとって戦慄そのものだった。
悠人ひとりで、この場にいる全員に勝てる道理が全く無い。
いやそれ以前に、悠人に仲間たちを斬れるわけが絶対にない。
だが、ここで勝たなければ…ソーマを倒さなければ確実にラキオスは滅ぶ。
ソーマに操られたラキオススピリット隊をラキオスの誰も疑問に思わず街に入れるだろう。
そして、同じ様に全く疑う理由もなくレスティーナ女王は救おうとした者に斬られるだろう。
全員の目が、だんだんと光を失っていくのがわかる。
「何故、俺だけ操らないっ!」
ただ焦りだけで考えも無く発した一言だったが、それに対する回答が悠人を救った。
「それは、あなたの【求め】が他の神剣によって抑え込まれていたからですよ。
【因果】と【空虚】の波長が…雑音となって、混じっていたのでしてねぇ…。
しかし、これではどちらにしろ同じ事…あなたは信じた者たちに殺されるのです」
その台詞を聞き終わる前に、悠人の身体が動く。
そして、【求め】に強く語りかける。
-おいバカ剣っ!状況はわかってるな、だったら力を貸せェ!!
大上段に構えた【求め】がまるで太陽が如く眩しくオーラフォトンで輝く。
-わかっている、契約者よ…我とてあのような下衆に操られるのは我慢ならぬ!
【求め】が輝きをますごとに、魂が根元から吸われるような感触に悠人は必死で耐える。
魂の奥底から搾り出すかのような雄叫びと共に渾身の一撃が街道ごと、大地を砕く。
その轟音が、悠人の目論見どおりに悪魔の戦慄を全員の耳から遮る。
それだけでは、ない。
大地が砕ける最中を、悠人は無理やり身体を動かしてソーマのもとへ走る。
しかし同時に、ソーマズフェアリーが更にソーマの前に集結するのをも感じる。
-バカ剣、やりたくなかったがアレをやるぞっ!
悠人がそう【求め】に叫ぶと同時に、悠人の眼前にオーラフォトンの魔方陣が展開される。
-わかっておる、今回ばかりは汝の意識どうこうは考えぬゆえに加減抜きで撃てィ!
相変わらず魂が吸われるような感覚はあったが、意識が塗りつぶされる感じは全くなかった。
「オォーラフォトン・ビイィィィィンムッ!」
光の奔流が、いつだかテレビで見た土水流の如く激しく魔方陣より撃たれる。
ソーマの絶叫が、大地を砕いた轟音とオーラフォトンビームの轟音に混じって聞こえる。
やがて全てがやんで静かになった時、神剣魔法の構えのまま立ち尽くす悠人ひとりだった。
-やった、のか?
そう思ったとたんに、全身を凄まじい疲労感と脱力感が襲う。
【求め】を力なく落としながら、前のめりに倒れる悠人。
その悠人へ、仲間たちが駆け寄ってくるのがわかる。
光陰に肩を支えられて起されてはじめて、悠人は自分の目論見が成功した事に安心する。
「大丈夫か、悠人。
すまねえ、俺としたことが…あとは休んでいてくれ」
横目でぼんやりと見えるだけの光陰に、無理やり力なく微笑んでみせる。
「敵、まだいる。でも大丈夫…ユート、安心する。
今のであの音に対する耐性がついた…もう二度と効かない」
珍しく凄く怒っているのがわかるアセリアの声。
一回無効化すればもう二度と効かないなんて随分と都合がいい気もした、が。
だが、そうでもないと決して勝ちようがないよなとも悠人は思った。
光陰に急いで、戦闘空域から離れた場所に運ばれる悠人。
ぐったりする悠人の目に、ぼんやりと次々にソーマズフェアリーと切り結ぶ仲間たちが見える。
その中で、エスペリアとシアーも同様に切り結んでいるのも目に入る。
だが、そこで違和感を感じた。
エスペリアが切り結んでいる相手は、クォーリン。
シアーが切り結んでいる相手は、ネリー。
-まさか。
激しく頭を振って、その様子を今度ははっきりと…見る。
-まさか、そんな…そんな、そんなッ!
エスペリアの目からは、完全に光が消えていた。
クォーリンや他のみんなの声に耳を貸さず、鬼神の如き勢いで仲間に襲い掛かるエスペリア。
シアーの目からも、完全に光が消えていた。
必死でネリーが呼びかけるが、やはり全く耳を貸さずに剛剣を振るい続けるシアー。
-エス、ぺリア…目を覚ませ、エスペリアッ…!
必死で喉に力を込めて、悠人は叫ぼうとする。
「シアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
悠人がその名を叫んだ小さき妖精は、ただ無反応で【孤独】を振るい続けるだけだった。
今回はここまでに。
支援を下さった方、ありがとうございました。
色々な都合で必要以上に話が長くなってますが勘弁してくださいorz
それにしても一つの話を書き終えるまでに何ヶ月かかっとんだろ私。
ともあれこれからも、出来れば怒らないで最後まで書かせてもらえると幸いです。
では、みなさまにマナの導きがあらんことを…。
>>414 乙ですた。
どのようにして前編冒頭の結末を迎えるのか、楽しみにさしています。
エスペリアVSクォーリン、正ヒロインとスレ内限定ヒロインの夢の対決ですね(勝負になってないw
「死ね!」
音速を超えて繰り出される槍を寸前で受け止める。
が、衝撃波までは相殺出来ず、クォーリンはそのままの体勢で宙に投げ出される。
「く…、エスペリア、目を、目を覚まして!!」
「殺す! 私以外の緑は全て殺す!!」
「エスペリア! ………え?」
クォーリンが二の句を告げる前に、再び繰り出される音速の連撃。
「何がサブスピイベントだ! 何がスピたんだ!! 馬鹿にしやがってっ!!! 馬鹿にしやがってっっ!!!」
「…あの、…エスペリア?」
「…お前は名前しか出ていない癖に地味に人気がありますね!?」
「ひっ! べ、別に人気があるわけじゃ…。 一部で変な盛り上がりがあるだけだし…、三傑とか言われても結局ヤラレキャラだし…、オチが無い時のネタ要員だし…」
「うるさい!! お前みたいな奴に罷り間違って顔グラでも付いた日には、私は…!! 私は……!!!」
「…エスペリア…さん? 操られてる…んですよね…?」
怯えるクォーリンを見据える瞳の奥で、黒い炎がギラギラと光を放っていた。
こんな展開しか思いつかない私は穢れているのです…、穢れているのです…。
>>414 お疲れ様です。
ただの人間が放った一手。
妄執と憎悪で塗り固めた切り札は、彼が死してなお悠人を苦しませる。
こうなってくるともはや呪いですね…
さて、どのようにしてミッシングリンクは繋がるのか。
これからも目が離せません。次回にも期待。
>>415 激しくありえそうな光景ですねw
>414
ナナルゥが懐からサモドア名産スハラ(かしわ)餅をとりだし、「……美味」と感想をのたまってから、
おもむろにスハラの葉っぱで対抗曲を即興してソーマの旋律を圧倒。
その後、ナナルゥの冗談の後にはこの曲がかならず演奏され、聴衆の傀儡笑いが強制発声されたそうな……
冗談は消沈しておいて。
なぜこの二人なのか。つらつら考えるにどこか共通した部分があるためなのか。
抑圧された部分が大きするから……?
おそらくエスさんはソニクの使いすぎでマインド低下してたのd(ソニック
>415
ww エ、エスペリア、ほら。人気投票の結果一覧だよ。ね、君はグリーンでは一番なんだよ。でも二回目があったらどう転ぶか分からないから、
危険な芽は早めに摘んでおくに越したこと無いよね。
心神耗弱自愛無罪。
>>414 おつかれー
ゆっくりでもいい、たくましく育って欲(ry
とりあえず細かいのは置いといて、
>>412 ×:戦闘空域
○:戦闘区域
かな?
>>415 バロス
>>414 乙です。
何気にシアーよりクォーリンの方に見せ場が用意されてそうなのは気のせいでしょうか?w
続きマターリと待たせて頂きます。
>>415 ここのエスペリアさんはなんでこんなに必死なんでしょうか?w
しかも全然違和感無いしw
『スピたん Spirit Expedition ―in the Phantasmagoria―』/8月1日/著:たかなみれい/挿絵:ちんちくりん
発売日決まったんだ
>>399さん
アレ、書いてる時勝手に喋った台詞なんです>した
止めとけっていうのに、セリアさんが暴走して……ホントですよ?(冷や汗
お、遂に始まりましたか伝説の名作『エスペリアの家出』第二弾、『セリアの家出』(ぇ
どこまでも追いかけるエスペリアの想いは果たしてセリアに届くのか。
果ての断崖の果て、遠くサーギオスに甲高いお説教の声が響き渡る!(大違
>>414 >今回はここまでに。
━━━━━工エエエエ工━━━━━(←読み終えた後の、最初の感想 in 満員電車
うわ、めちゃめちゃ先が気になります。
一体どういう顛末で、前回と繋がるのか。何故悠人は『献身』を手に取る事になったのか。
他の仲間はどうなったのか。というか、何故エスペリアとシアーなのか。
……とりあえず、今回『求め』には助演男優賞を。
同意しながらも容赦なくマナを吸い取る辺りが渋すぎです。
あと個人的に、自信たっぷり「もう二度と効かない」と言い切ったアセリアはツボでしたw
>>415 エスペリア、ハイロゥ黒っww
>オチが無い時のネタ要員 orz
>>398 ちょ、ロティなんでいるんだw
ユートはちゃんと妹離れできてるから門前払いはしないかも
ネリシアルートのロティだったら殺っちゃうだろうけど。
>>414 あわわわ、続きがめっちゃ気になる、もうナイス寸止め?
ドキドキしながら後編まで待ってます。
明確な悪役とある程度フリーに動かせれるから
ソーマの出番は長編の楽しみなところですね。
砂漠の凄愴な程蒼い月を見上げ、セリアはそっとハイロゥを閉じた。
「悪く――――思わないで」
たった今止めを刺した金色の霧に語りかける。
しかし当然返事など返ってはこない。砂混じりの風が語尾だけを虚しく運んでいく。
踵を返し、元来た道を振り返る。歩き出そうとして、腕が何かにくん、と引っかかった。
「――――?」
不審に思い、手元を確かめる。先程まで凍りついたような血が滴り落ちていた神剣『熱病』。
その剣先が、乾いた砂の地面にめり込んだまま押し黙っている。そういえば、腕がやけに重い。
「……そうね、動きたくないか、もう」
肩には、もう感覚が無かった。敵に受けた傷は、マナの希薄なこの土地では致命傷に近い。
その他にも全身に出来た裂傷からは、今も緩やかに体温が抜けていく。
セリアは何だか面倒臭くなり、尻餅をつくようにその場に腰を下ろした。
戦闘後の余熱はとっくに冷めている筈なのに、硬い地面は何故かひんやりと小気味良い。
膝を抱え、砂に寝かした『熱病』の背をそっと撫でる。銀色の刃は指先が触れる度曇っていった。
「お疲れ様…………ん……」
まだ動く右腕で頭の後ろを探る。利き腕では無いので慣れなかったが、髪留めを外す位は何とか出来た。
窮屈に結び付けられていた蒼い髪が砂漠の風に嬲られ、思い思いに散らばっていく。
「ふぅ。気持ちいい……」
砂漠の夜は寒い。溜息はたちまち白く結晶して、まだ残っていた敵の金色と交じり合う。
セリアはその最後が中空に消えていくのを、ただぼんやりと見送った。指先で髪留めを弄びながら。
激戦だった。味方を庇い、深追いしすぎ、複数の敵に包囲され。手加減など、求めようもなかった。
無我夢中で剣を振るい、砂漠を駆け抜け。夜の帳が下りる頃、ようやく自分がまだ生きていると悟った。
改めて周囲を見渡すが、荒涼とした砂の海に見渡せるのは、星空と砂丘の境界線のみ。
味方とは、とっくにはぐれてしまっている。治癒魔法など求めようも無い。
満足なのは、今回も仲間を護れた事。敵に対しては、何の感傷も無い。いずれは自分も逝く。
ただ願わくば、自分の最後もこんな美しい、そして凄愴な程の光景の中であったなら。
「……くだらない」
そうしてすぐに、口に出して否定する。戦闘服の胸元で目を掠めるラキオスの紋章。
龍を模倣したそれがいつも仲間達の顔を連想させる。暖かい、自分の居場所。
「戦わなくちゃ……守れないわよ」
声が寂しさを帯び、震え始める。体温の低下が、迫りつつある死の気配をじわりと伝えてきた。
「――――ッッ!」
思わず膝に顔を埋める。それでも寒さは凌げない。今更のように押し寄せる孤独感。
さっきまで美しい景色だなどと思っていた自分が悔しかった。
場所など、関係ない。
今、自分が抱えている自身。それが消えてしまう。たった独りで、こんな砂漠で。
「……帰り、たいなぁ…………」
幼くなってしまった呟きが、そして熱い雫が、音も無く乾いた地面に吸い込まれていった。
「……? ん……」
どれ位、そうしていただろうか。或いは何度か意識を失っていたのかもしれない。
唐突に感じた気配に、セリアはのろのろと顔を上げた。すると同時にこちらに気付く、月明かりに動く人影。
近づいてくる気が仲間のものだと理解した途端、セリアは声を上げようとして――――ぐっと思い留まった。
慌てて乾いた涙の後をごしごしと、赤くなる程擦りつける。
「もう……ここはまだ、敵の勢力下なのに……」
そうしてよろよろと立ち上がったセリアの目元はまだ赤い。それでも長い睫毛の奥で、瞳だけは蒼く輝き。
砂漠の澄んだ月だけが、そんな反発する感情を優しく見守っていた。
妹っぽいセリアさんって難しいですね……
えっと、誤字脱字今回は無いと思いますが、ハリオンマジック等御指摘があれば幸いです。
>頼様
こっそり投稿お疲れ様
え〜と、妹っぽいセリアさんって……読むのも難しいですね。
やっぱりここは単品ではなくエスペリアお姉ちゃんとセットにしないと(ヘヴンズ
や、こういうセリアさんもいいと思います。
素人がおいそれと真似できるものではないな、と筆力に脱帽です。
六月はひとりで青いマナ散らして 砂漠の海歩きます
最期の時はひとりぼっちでした でも……やさしい月が見ていてくれる
家へ帰ろう。
めんどくさいはニムだけにして。
誤字脱字ハリオンマジックのお約束呪文を忘れてました(´Д`;)
>>415 楽しみにしててもらえていれば、それだけで書き手としては無上の幸福です。
エスペリアとクォーリンは、ともに上司のエトランジェに恋焦がれる有能な参謀役の緑スピて事で、このような場面を描けないもんかなと考えてました。
でも、そちらの描かれたように他の書き手さんがもっとオイシイ場面を思い描いてるだろうと思ってましたので。ていうか、それ本編として読んでみたいんですがエエ。
>>416 期待してもらえて、まこと書き手として幸いです。個人的にソーマを「強い敵」として描きたくてずっと悩んでました。
それで時折、保管庫にある長編でのソーマの出ている場面を読んで考えていたのですが…どうにも考えられる限りの「ソーマ流の戦い」が全て先にやられててマジ途方に暮れてました。
そこへ、スレ内空気一時的特撮ムードの流れで、人造人間キカイダーの場面が脳内に。ソーマがおもっくそプロフェッサーギルつうか全くそのまんまですが、もうこれしか残されてないと。
恐らくマジ笑えないギャグにしかならんだろなーと思いつつ私なりに「強くて怖いソーマ」を描いたつもりですが、さてどこまで怖がってもらえたのやら。
>>417 それ、十二分にありえるからナナルゥ連れて来させなかったのですマジで。
他にもソーマの戦慄が素で効かなそうなハリオンや、あのマスクで聞こえてなさそうなファーレーン、鋼の精神力やら無の心やらで無理やり無効化しそうなウルカあのへんはみんなリレルラエル。
>>418 間違い指摘いただいてマジ感謝です。…自分ひとりの思い込みって怖い。保管庫の中の人に修正依頼出すとしますですよ。
>>419 いえ…単に、シアーがヒロインなのにシアーの出番が少なすぎるだけなんです…。マジですみません。
ネリーやエス姉ちゃんにクォーリンに光陰とかが、どうしても描きやすいんです。どう考えてどう動くかがわかりやすいから。
ただ、あくまでも私個人のイメージであってシアーなんかは以前にスレ内でも指摘されたように違和感がぬぐえない人もいますし。
二次創作は楽しいけれどもまた難しさをも思い知っています、このアセリア二次創作で。精進せねば。
>>422 あんまり永遠神剣というもの、特に【求め】あたりにはいいイメージ持ってなかったんです、もともと。
でもあれから色々な人の書かれたものを読んでみてだんだん考えが変わってきたわけで。
それだけに、初めて「危険だが頼れる奴」として書いてみた今回の【求め】に着目してもらえたのは素直に嬉しいです。
アセリアに関しては、ああいう台詞を戦場で吐けるのはあの面子の中ではアセリアが一番だろうと思ったので。アセリアは不器用ですが基本的にウソはつかないタイプですからね。
>>423 ええ。保管庫で読んで思ったのですが、長編では何となく書き手の方々みなさん「ソーマ編」を腕の見せ所にしてるようにも見受けられます。
実際、それぞれのソーマの描写に着目してみると、また面白いんです。
なので自分も、やってやろうと意気込んだはいいのですが…空回りしそうで不安いっぱいです。
あとは… 彼 ですね。 つうか欝展開は個人的に書いてて消耗するから自分はもうこのシアー長編だけにしたい(涙
>>415 おお、なんか大人気だっていうか先にも書いたように是非本編として読んでみたい。どうでしょう、考えてみてもらえませんでしょうか?その場面をマジで本編として書いてみるの。
>>426信頼の人さん
このシリーズ、毎月本当に楽しみにしています。
ていうかちょうど胡蝶のクライマックスと時期がかぶって、なんか凄いですな。
それにしても信頼の人さんの描くセリアは本当に愛情がこもってて、読み手としても凄く好感が持てます。
個人的に9月のシアーの話が待ち遠しいです。っていうか来月はナナルゥですな、そういえば。
雑魚スレ式アセリア検定試験Lv.1
ファンタズマゴリアにゆで卵があったとして、各々はどうやって剥くだろうか。もしくは食べ方。
例:ナナルゥ 丸呑み
ネリー&シアー 半分に割って黄身を取り出し白身だけ食べる
ニム 面倒くさいので食べない
435 :
名無しさん@初回限定:2006/06/04(日) 17:44:20 ID:LLxVE6Yz0
ウルカ 「冥加」を一閃。何故か殻だけが割れてつるつる中身が綺麗に出てくる。
ヘリオン ウルカの真似をしようっとして空振り。床に落ちてヒビの入った殻を涙目で丁寧に剥いていく。
ヒミカ:おでこに打ちつけてひびを入れる。それから剥く。
ハリオン:↑が遅れて襲ってきた痛みを感じているスキに潰して卵サンド作成。
>>434 ファーレーン そんなニムの分も一生懸命剥いてあげて一緒に食べる
エスペリア 黄身と白身を分離後、白身部分だけをジョッキ3杯飲み干す。 その後、ソゥユートの寝室で待機。
おまいらネタ出たとたん元気だなw
>438
だがその晩ユートさまは黄身だけのゆで卵を食べて胸焼け。
ヨーティアの胃薬を飲んだら実は精力剤で、エスぼろ儲け……と思ったら、ハリオンが横取り。
ユートのモノを剥いてくれます。
>>439 なにせネタスレだからなw
セリア 几帳面に眉顰めつつ白身の表面を傷つけないように剥き終えて満足
アセリア ↑剥き終わってバラバラになった殻を使ってアクセサリーを創りだす
オルファ ↑二人とも剥いたことに満足して放置の卵を溜息混じりに回収
イオ 魔法でむいてしまいました
ヨーティア 寝ぼけていて丸かじり
統べし聖剣シュン 素で丸かじり
キモウト 食べようとした卵が頭のナポr(ry
ントゥシトゥラ 食べようとしたら蒸発、食べられない
タキオス 空間ごと殻を粉砕、大味な方法だけど綺麗に剥く、でもマナの無駄づかい
>>436 ヒミカの真似しようとして力加減誤り額から煙を出しつつ気絶するネリーが見えた
エスペリア 緑塩で美味しく頂く
コアラ様 何を思ったかゆで卵から怪しげな生物を孵す
そうして産まれてきたのがキモウトだとは今知った
光陰 妄想で年少組とタマゴプレイ
歳の数だけ食するとそそのかす今日子
それに引っかかるおbsn
・・・おbsnの頭は歳とともに退化してんだろか
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <時を駆ける少女が来ましたよ
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
…………えっっ!?
>>451 こら、突っ込んじゃいけません!
obsnのタイムアクセラレイトが――
うわなにをするやめrくぁwせdrftgyふじこlp;@:
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <過ー去ーも未ー来ーもー
j /ヽ y_7っ= 瞬ーまでー倒ーすからー
(7i__ノ卯! だーきーしめーろー
く/_|_リ
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <ヘタレ〜このキング・オブ・ヘタレ〜
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
有名になるのだあ!ってアンタ…orz
>>455 面白いと思ってやってるんだろうかこいつ
エターナル・おbsn
スレ住人全員死ぬ
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| ・ ・ .|i
...i| ↑ |i
..i|
>>98 |i
.i| ,,-、 、 |i
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ
. П
Ц
'´ ヘ ヘヾ ||
ノ〈从ハ从〉||
从ヲ´ヮ`ノヲ.||
ノ⊂》|Tリつ.||
..て(く/|_ノ ゝ .||
し'ノ ||
これが伝説のハリオンマジックかw
一瞬、素で『大樹』に見えたw
胸のデカさにばかりつい目を奪われがちだが
のほほんとした反応の遅さとマイペースな包容力が
マイペースお姉さんハリオンの真骨頂
……え、ハリオンについて語る流れじゃないの?
スピリット100人に聞きました
Q:「将来の夢は?」
一人目
どこの誰だか知らないけれど誰もがみんな知っている
そんな正義の味方になりたいのです‥‥
二人目
戦いなんて、死ぬのなんて嫌…
みんなで笑って、楽しく、平和に暮らしたい…
>>463月光仮面ですかww
三人目
早く人間になりた(ry
四人目。
聖戦(コミケ)参戦。
467 :
名無しさん@初回限定:2006/06/08(木) 01:16:54 ID:Qmr8HSgM0
五人目。
お嫁さん!(しかしそれが何を指すのか分かってない)
>>467 あるあるあるw(ちゃーちゃーちゃーちゃーちゃ〜〜〜……
カッターと言ったらオルファ♪
久しぶりにSpiNetを起動してみるテスト
【いい加減】深緑の稲妻が玉砕したら上げるスレ★98涙【諦めろ】
γ"⌒ヽ
(.リノ彡ヾ〉
!pリ;゚ヮ゚リ ……
((<(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄
毎度毎度スレ立ててるんだがな…
諦めが悪すぎる上に流れ早くていい加減疲れてきた。
 ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ)/ r‐-- -┐
∠´ ハ`ゝ /・ 皿・ ヽヽ
彡//ノハハ〉 レ'´从リ从!〉
ゞ(リ ゚д゚ノ! 从◎_◎从 <…直接言ってあげなよ
/¶ V ¶\ / V ⌒i 碧先輩は小五ロリなんだ…って
/ | |゚/ ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/ 求め / .| .|____
\/____/ (u ⊃
ラキオス王国はバーンライト王国へ侵攻、リーザリオ・リモドアを占領した。首都サモドアの防衛に専念するかに見えたバーンライト王国だったが、塞いでいたサモドア山道を開き、ラセリオを狙う動きを見せた。
ラセリオを落とされては首都ラキオスは目と鼻の先である。急ぎラセリオの防衛態勢を整えねばならないが、リモドアを空にするわけにもいかない。防衛施設の建築と同時に、部隊の再編・再配置を実行。
エスペリアの采配により、敵の精鋭部隊の襲来が予想されるラセリオへはエスペリア・アセリア・オルファリルが急行、リモドアの警戒守備には悠人と新たに配属されたセリア・ナナルゥが当たることになった。
残りのヒミカ・ハリオン・ネリー・シアー・ヘリオンは、戦局の変化に応じ臨機応変かつ柔軟にラセリオ方面またはリモドア方面の戦力を強化できるよう、首都ラキオスにて待機となった。
そんな、戦局次第という薄氷のように危ういながらもつかの間の休息となった、ラキオススピリット隊第二詰所でのこと。洗濯当番の仕事が一段落して、しばしの休憩を取ろうと居間にやって来たヘリオンは、そこで目にした光景に少し驚いた。
「珍しいですね」
思わずその光景を構成する当事者の片割れであるハリオンに小声で話しかけてしまう。
「ふふ。たまには〜、こんな日も〜あるでしょう〜」
やはり小声で応じて、ハリオンはヒミカの髪を撫でる。そう、ヒミカが毛布に包まってハリオンの膝枕で眠っていた。いつもなら所構わず眠ってしまうのはハリオンの方なのに。ハリオンのために居間に毛布が常備されているぐらいだ。
「へー、めっずらしー」
「ヒミカさん……かわいい〜♪」
いつの間にか寄って来ていたネリーとシアーが、ヒミカの寝顔を覗き込んで囁いた。
「たしかに……ヒミカさんには失礼かもしれないですけど、かわいい、ですね」
膝枕しているハリオンの雰囲気もあるのだろうが、無防備に眠るヒミカの様子はどこか甘えているようにも見え、戦場での姿を考えるとヘリオンには意外だった。
「そういえば、ハリオンさんはヒミカさんとは長いんですよね? ヒミカさんってやっぱり昔から強かったんですか?」
ヘリオンは神剣が低位であることや本来の育成期間が満了する前に動員されたこともあり、年長のヒミカに憧れに似たものを抱いている。一般的に赤スピリットは強力な神剣魔法での攻撃を宗とし、直接攻撃は不得手なものだ。しかし、ヒミカは違った。
神剣魔法も使えないわけではないようだが、フレイムシャワー等の全体攻撃魔法を使うのを見たことがなかった。使わないのか使えないのかはヘリオンには分からなかったが。
どちらにせよ、ヒミカの真の特徴は神剣魔法ではなく、直接攻撃にある。基本的な威力こそ青スピリットには僅かに及ばないものの、並みの赤スピリットを遥かに凌ぐ威力を誇るのだ。きわめて風変わりな赤スピリットと言えるだろう。
だが、風変わりであるからこそ、自分の能力に劣等感を抱きがちなヘリオンの関心は強くなる。自分も強くなれる可能性をそこに見てしまうからだ。
「ん〜、そうですねぇ〜……あなたの言う意味では強くなかったんじゃないですかねぇ〜」
ハリオンの答えは何だかよく分からなくて。
「くわしく! あ、すみません。くわしく教えて下さい」
つい声が大きくなってしまったヘリオン。
「聞き……(もがーっ、もががもがぁーっ)」
「ネリー、大きな声はだめだよ〜」
便乗しておねだりしようとしたネリーの口をシアーが塞ぐ。そのシアーらしからぬ素早さに、ヘリオンは自分の黒スピリットとしての存在価値を少し疑問視してみたり。
「ん〜、そうですね〜、では〜、お話ししてみましょうかぁ〜。弱くて強かったヒミカちゃんのことを〜」
そして、ハリオンは語り始めるのだった。
あれはまだ育成期間の……今から見るとまだ最初の方でしたかねぇ、基礎体力づくりが終わり戦闘実技に入ってしばらくした頃だったと思うんですけど。ある日のことでした。訓練士さんに呼ばれて行ってみますと、
「赤スピリットの剣技の訓練相手を探してるという回状が来てる。丁度良いからお前行って来い」
と、こう言われまして。それで行ったところにいたのがヒミカちゃんだったんですね。挨拶が済むとすぐにヒミカちゃんは訊いてきましたね。
「それであなた、剣の技量[うで]は?」
わたしはただ首を横に振るだけです。
「そ、そう……それじゃあ防御は?」
やっぱりわたしはただ首を横に振るだけ。
「……」
「……」
じとーんっていう空気が流れました。
「あなた何しに来たの?」
「訓練士さんが言うにはぁ、『お前はのん気に過ぎる。緊張感を鍛えてこい。幸い相手は赤だ。魔法ならともかく剣技ということだから、お前の相手には丁度良かろう』とのことでしたぁ」
ヒミカちゃんってば、がっくりとくずおれましてね。今にして思えば泣いていたのかもしれませんね。いつも強がってましたけど、本当は泣き虫さんでしたからねぇ、ヒミカちゃん。肩を震わせながらぶつぶつ呟くんです。
「……しょせんわたしにはこんなのしか」
わたしも幼かったですからねぇ、「こんなの」呼ばわりされてつい、めっ、て。
「む〜〜〜、そんなこと言う子はぁ、めっ、て、されちゃうんですからね」
でも、「しちゃう」じゃなくて「されちゃう」なのが、何と言いますか、あの頃ですねぇ。そんなこと言われれば当然黙ってるヒミカちゃんじゃありませんから、
「なら、わたしが間違ってるって証明してみせなさいよ、実力で!」
ということになっちゃいました。
あの頃のヒミカちゃんはまだ今みたいに強くはなかったんですけど、それに輪をかけて私も強くなかったですからねぇ。こてんぱんにやられてしまいまして。それでも幼い頃のことでしたからね、わたしも悔しかったもので、
「アースプライヤ〜」
「なっ!?」
って。いえ、それでもまたのされちゃったんですけどね。何度かくりかえしているうちにヒミカちゃんの動きが鈍ってきまして。ようやくわたしが初めて勝ちました。それまでに何回負けたのかもうわかりませんけどね。そのときヒミカちゃんが言ったんです。
「何よ……あるんじゃない、誇れるものが」
って。ぼろぼろになって倒れたまま。あ、もちろん急いで回復してあげましたよ。
「うふふ〜。今のわたしがあるのは〜、ヒミカちゃんのお蔭なんですよぉ〜」
語り終えたハリオンはいつも以上に笑顔でそう言った。
「訓練で鍛えられたからですか?」
その言葉をとらえてヘリオンが尋ねるも、ハリオンはゆっくりと首を横に振って。
「それもありますけど〜、心の強さをもらったんですよ〜」
「どういうことですかっ!?」
「どー……(もがーっ、もががもがぁーっ)」
尻馬に乗ろうとしたネリーをまたもシアーが押さえるが、ヘリオンは見向きもしない。
「いつも訓練士さんに怒られてばかりで〜、落ち込んでましたからね〜。どうしてか訓練士さんにもヒミカちゃんにもそうは見えなかったみたいなんですけど〜」
「(……ハ、ハリオンさんが落ち込んでるところって想像できない)」
「(……想像つかないなぁ)」
思わず見つめ合ってしまうヘリオンとシアー。ネリーは必死にもがいててそれどころではなかったが。
「ヒミカちゃんの『あるんじゃない、誇れるものが』って言葉が〜、わたしを救ってくれたんですよ〜。あぁ、大丈夫、わたしにもあるんだって。わたしはわたしなんだって。
あとで訓練士さんに『えぇいっ、ますますのん気になりおってからにっ!』って怒られたりもしましたけど、もう大丈夫でしたねぇ〜」
「……あれ? それじゃあ、結局、ヒミカさんは強かったんですよね?」
はたと気づいてヘリオンが尋ねた。
「剣は決して強くはなかったと思いますよ〜、わたしが弱かっただけで〜。でも〜、心は強かったと思いますよぉ〜」
その時、
「……まさか、あなたののん気さが治るどころかますますひどくなった原因が、わたしだったなんて……ね」
ヒミカがそう呟いて目を開け、身を起こした。
「えっ!?」
「あーっ!」
「あれ〜?」
「あらあら〜」
驚く年少組と、驚いているのかいないのかよく分からないハリオン。彼女らをよそに、ヒミカは首を回してこきこきと鳴らしている。
「もうっ、ネリーさん! 起こしちゃったじゃないですか」
「ネリーぃ〜」
「めっ、ですよ〜?」
「えーっ、ネリーじゃないよー!」
驚きから立ち直ったみんなに責められるネリー。まぁ、普段が普段だからねぇ、とヒミカは思ってみたりする。
「あの、それで……どの辺から聞いてました?」
恐る恐る尋ねるヘリオンに、
「んー……『くわしく!』から」
ヒミカはにやにやしながら答えた。
「あれ? ということは……」
「あれ〜?」
「ほらーっ、ネリーじゃないじゃん! ぶーぶー」
「めっ、です〜」
「はぅうぅうぅ〜、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
矛先はネリーからヘリオンへと一転した。
「まぁ、それはいいとして」
騒ぎを適当なところで止めると、ヒミカは隣にいるハリオンの肩に手をかけて引き倒し、その頭を自らの腿に乗せた。そして脇にどけてあった毛布をハリオンの体にかける。
慣れないことでぎこちないが、一応は膝枕だ。べつにそうする必要があるわけではないけど、まぁ、なんとなく。
「あらあら〜」
なんだかハリオンが楽しげな様子だけど、まぁ、ハリオンだから。
「今度はわたしが話すから聞きなさい」
そして、ヒミカは語り始めるのだった。
|・ω・`)
わたしは落ちこぼれなのよ。この歳でこうしてあなたたちまで駆り出される状況になるまで本隊に配属されることもなかったぐらいにね。精鋭候補になるほどの潜在能力がなかったのもあるけど、神剣が恐かったのよ。だから魔法がからきし駄目でね。
今でも得意じゃないけど。ふふ。笑っちゃうでしょ? 赤スピリットで魔法が駄目だなんて。魔法が駄目なんだから、もう剣しかないじゃない? 別に得意なわけじゃなかったし、青みたいな重さも黒みたいな速さもなかったんだけどさ。
そんなわけで訓練相手を探したんだけど、来たのがハリオンでしょ。今ほどではなかったけど、ずれた子だったからねぇ。そりゃ、
「……しょせんわたしにはこんなのしか」
とも言いたくなるわよ。で、言い合いになって、勝負になって。幼かったわねぇ、ハリオンもわたしも。
最初はわたしが押してたんだけどね。いや、わたしは全然強くなかったわよ。同年齢時点のオルファリルにも勝てないだろうぐらい。もちろん魔法抜きでよ。それでもね、相手があの頃のハリオンだったから。
何せ防御が三撃分は遅れるのよ、信じられる? こっちがヘリオンやネリーみたいに速いわけでもないのによ? 最初はふざけてるのかと思ったけど、本気みたいでさ。今となっては「ハリオンらしい」としか思わない辺り、慣らされたものよね、わたしも。
まぁ、そんなわけで楽勝……のはずだったんだけどねぇ。
「アースプライヤ〜」
ハリオンのそれ一発で流れを変えられちゃってさ。こっちは疲れていく一方なのに、あっちは回復するんだもの。そりゃあ、最後には負けるわよね。とうとう「こんなの」と思ってたやつにのされちゃってさ。
「何よ……あるんじゃない、誇れるものが」
なんて。負け惜しみよね。そしたら、ハリオンがさ、
「いっしょに強くなりましょう〜。大丈夫ですよ〜、どんなに怪我しても、わたしが治してあげますから〜」
なんて言って、わたしにアースプライヤーかけてくれたの。
「それがなんだかとってもあたたかくてね……涙が出たのを覚えてるわ。それはわたしが初めて見た希望の光。あぁ、この子はこんなわたしとでもいっしょに歩んでくれるんだ、支えてくれるんだ、って。
弱虫で臆病で意地っ張りな落ちこぼれの赤スピリットを暗闇から連れ出したのは、マナの導きなんかじゃ全然なくって、ずれててどんくさくて優しい落ちこぼれの緑スピリットだったのよ」
語り終えてヒミカは天を仰いだ。そこに当時が見えるとでもいうように。
「ほぇ〜、友情ですねぇ」
「さて、どうかしらね」
いかにも感心といった風情のヘリオンを、ヒミカが苦笑しながらいなしたところで、
「すぴ〜〜〜、すや〜〜〜」
ハリオンがえらく間延びした寝息をたてた。
「あらら、ハリオンさん、眠っちゃってますね」
ヘリオンがハリオンを覗き込んで様子を見てそう言ったが、ヒミカは平然と。
「ハリオン、眠ってなんかいないんでしょう?」
するとハリオンはパチッと目を開いた。
「あらあら〜。黙っててくれてもいいじゃないですかぁ〜、ヒミカちゃん」
「一人だけ逃げようったってそうは……って、『ちゃん』はやめなさい、『ちゃん』は」
「いいじゃないですかぁ〜。せっかく懐かしい気分になったことですしぃ〜」
そのまま座が混沌の淵に沈もうとしたところで、ネリーが割り込みをかけた。
「ね、ね、で、どっちがほんとなのー?」
「へ?」
虚を突かれてヘリオンが凍る。シアーは先程から首を傾げて何やら考え込んだまま。ヒミカはにやりと笑い、ハリオンはハリオンだった。一時の静穏。それを動かすのはやはりネリーだ。
「だーかーらー、ハリオンの話とヒミカの話って、同じなのになんか違ーう!」
「あれ? そう言われると……」
ネリーの言葉は意味を成すか微妙に怪しかったがどうにか通じたようで、ヘリオンが記憶の中の話を反芻しだす。
「それは……」
ヒミカが口を出しかけたところで、
「えっと、どっちも正しいんだけど、どっちも間違ってる、じゃないかなぁ、だめかなぁ?」
割り込みをかけたのは今度はシアーだった。皆の視線がシアーに集中する。ヒミカも例外ではない。まぁ、ハリオンはやはり笑顔のままだったが。
「えっと……その……」
シアーがおずおずもじもじしだす。と、
「シアーさん、何かわかったんですかっ!?」
ヘリオンがいち早く驚きから立ち直って掴みかからんばかりに詰め寄る。
「えーっ、シアー、わかったのー!? ……ぐぇっ」
負けじと続こうとしたネリーを、ヒミカが襟を掴んで止めた。
「ヘリオンも! ほら、シアーが恐がってるじゃないの」
「はわっ、ご、ごめんなさい!」
慌てて立ち止まってぴょこんと頭を下げるヘリオン。
「って、ヒミカさん、ネリー、放してあげて〜っ!」
シアーの慌てた声で気づいたヒミカは
「おっと」
どさっ。ネリーを解放した。
「ぐほっ、げほっ……ヒミカひどーい!」
「ごめんごめん。でもね、二人とも自分で考えてごらんなさい。シアーに訊くんじゃなく、ね」
「え゛ーっ、わかれば同じじゃん。なら、速い方がいーにきまってるじゃーん」
「そうですよぅ、速いに越したことはないじゃないですかぁ」
「二人とも……そこは『速い』じゃなくて『早い』でしょ。変なところで自己主張するんじゃないの」
二人が矛先を転じてくってかかるのを受け止めて、ヒミカは続ける。
「考えてわかったのと聞いてわかったのが本当に同じかしら? シアーはどう思う?」
「えっと……自分で考えた方がいいと思う」
ヒミカに話を振られて、シアーは少し考えて答えた。
「というわけで、二人とも自分で考えてみなさい。シアーから無理に聞き出そうとしたら、ハリオンによるおしおき」
「めっ、ってしちゃいますよ〜?」
迫力ないことこの上ない。
「ま、まぁ、こんなだけど、ハリオンを怒らせると恐いわよ、普通とは違う意味で、ね」
そう言ってヒミカはため息をついて見せる。その様子に何を想像したものか二人が折れる。
「う゛ー、しょーがないかー」
「はぅー、しかたありませんね」
「まぁ、どうしても駄目なら言いなさい。ちゃんと自分で考えてみた様子があれば考えるのを手伝ってあげるから」
二人があまりにしょげるものだから、ヒミカは助け舟を出す。考えてみること自体を諦めてしまわないように。
「えっと……合ってるのかなぁ?」
おずおずと問うたシアーを、ヒミカは招き寄せると一瞬抱き締めた。そして、頭を撫でながら、瞳を見つめて、囁く。
「きっと、ね。それもまた『正しくて間違ってる』のかもしれないけれど……」
C
482 :
寸劇の人:2006/06/08(木) 23:43:51 ID:hsnoYQOd0
To be continued to 『寸劇@第二詰所』.
image songs:
『シナリオ』reset(
ttp://www.reset-web.com/)
『UNCHAINED HEART』橋本舞子
『My Song For You』橋本舞子
>>471-476,478-480
『Dialectic』をお届け致しました。
いろいろな要素が積み上がってできていますが、
ここでは特に 2_466さんと 6_560さんに感謝を捧げておきたいと思います。
ありがとうございました。
483 :
寸:2006/06/08(木) 23:46:26 ID:hsnoYQOd0
おっと、支援さんくすです。
>>482乙です。
う〜ん題名に篭められた意味が深い。。。
相変わらず頭を使わせてくれますね(汗
うーむ段々ヒミカが哲学者か預言者みたいに見えてきた……
ところでハリオンさん、アースプライヤ〜の行動回数は大丈夫だったんですか?w
485 :
寸:2006/06/09(金) 20:01:30 ID:FZEuKy/D0
>>484 「わたしはわたしでいたいのに」という言葉が出るならば、
「わたしとは何か?」と向き合ったことがあるのではないかなぁ、とか。
cogito, ergo sum だったかどうかはわかりませんが(w
ハリオンさんにインタビュー。
「回復なら、まかせてください〜」
だそうです。やっぱりよくわかりません(汗
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
な、なんかヒミカにつつまれた |
ような気がする・・・。 |
_____ ________/
V ,,
_, ' `"´|
\フル从ルリゝ . それは「つままれた」でしょ〜
<>○<>从リ゚ ー゚从 〃  ̄ ヾ; っていうかヒミカさん……
/べV \⊂ ̄ , ヽ . (ノハソ _`i
//〃  ̄ヾヽ  ̄ ヽ . パヮ゚;从l
/,! i ミ(ノハソ ヽ ,ゝ |___, ヘ ⊂}!廿i つ
| ! ik(i;゚ヮ゚ハ )( | < | //Ц>
ヽリヽ\`yノ ノ_と_ノ\_<_ノ しU
 ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
な、なんかハリオンさんにつつまれた |
ような気がしますぅ・・・。 . |
_____ __________/
V
_ '´ ヘ ヘヾ
,@)〈从ハ从|(@ え〜と……え〜と〜……
<>○<>从ヲ´ヮ`ノヲ 〃  ̄ ヾ;
// ヽ\⊂ ̄ , ヽ (ノハソ _`i
/,^》フ⌒ヽヽ  ̄ ヽ . パヮ゚;从l
/( ノ i」」」」」 ヽ ,ゝ |_____. ⊂}!廿i つ
|ノノ!リ;゚ ヮ゚ノリi )( | , ,,,) ,,, ). //Ц>
ヽ \`yノ ノ_と_ノ\_)_ノ しU
 ̄ ̄ ̄ ̄
と、つつんでみたりしたところで、
SpiNet(
>>470) continue?↓
>482
知っているのか詩嗚呼っ!? てマジ分からん。お菓子あげるから教えてw
コインの表裏は見る方向で違うけど、やっぱコインはコイン?
>487
299 名前:名無しさん@ラスフォルト[sage] 投稿日:ハイ・ペリア暦2006/06/09(金) 23:07:01 ID:2munimgn
小五ロリ=ローティーン
ローティーン=ローティ
ローティ=ロティ
小五ロリとは、ロティのことだったんだよ!!!! と思う。
γ"⌒ヽ
(.リノ彡ヾ〉
!pリ;゚ヮ゚リ <……そ、そういうことだったの!? 私がいくらアタックしてもアタックしてもアタックしても
((<(つ/ ̄ ̄ ̄/ 振り向いてくれないのも仕方ないの?
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄
ところでPS2版アセリアのサントラってでてる?
でてないなら、hallelujahを聞くためにはザウスボーカルコレクション vol.3を買う以外ない?
でてないね。
hallelujahはボーカルコレクションVol.3しかないと思う。
,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
( ノ i」」」」」〉))
ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
(( ⊂! |T|!つ リ ゜ー゜ は〜れっるっやっ!
===く/|_|〉lj=
(フフ
Ξ v _ v
/`'´/ `´ ヾヘ
! f{ミ|iソノリリ)〉 ! ドガ!!!
Ξ ! !ヾリ#゚ロノリ! ! \从 /
ノソ O)フとl)}リ >,’;;;て∧__∧∩
く/_|に二二ニ‐,’;;;',ヘ#)`Д)/
Ξ ヽ_) `Y,´,´ /
せーかいじゅーのーだーいすきーをーあーつーめーてーもー
きみにとどけたいーおもいにたーりーなーいー
あてんしょん
このSSは、基本的にセリア only の補完です。今回で完結します。
無駄に長いので、そういうのが嫌いな方は遠慮無くスルー願います。
――――『ファンタズマゴリア』?
――――そう、本のタイトルよ。ちょっと神秘的な響きがあるでしょ。
――――うーん。それで、一体どんな話? ちゃんと“人”みたいに上手く書けてるの?
――――まあ、その辺は抜かりはないわよ。城下の古本屋で、暇を見て色々勉強したし。
――――へぇ。でも流石作家を目指してるだけはあるわね。見た目はちゃんとした本じゃない。
――――他に言い方は無いかな。……でも、まあね。もっと褒めてもいいわよ。
――――調子に乗らない。見せてくれる?
――――はいはい。ほら、これ。どう? 力作なんだから。
――――ええと……ふんふん…………え? あ、あの、これ、ひょっとして。
――――せ、い、か、い ♪ これね、貴女をモチーフに創ったものなんだよ。もっともちょっと脚色はしたけど。
――――な!! ちょ、ちょっと待って………………
――――当時は面食らって反撃したものだが、今ではヒミカには感謝している。
こうして改めて振り返ってみると、自分というものがとても客観的に見えてくるから。
懐古や感傷など、必要ともしなかった私達。そんな“哀しい”事にも気づかなかった私達。
ただ黙々と、剣と共に、“人”のため。それは、機械とどこが変わるところがあるというのだろう。
ガロ・リキュアが歩んだ歴史を“眺めれば”、それに関しては良い方向に進んだ、と思いたい。
少なくとも、私の身近な仲間達は、皆“スピリットとして”幸せな生涯を送った。
ただ、彼女のこの手記めいた小説には、当然これより後の記述がない。
なので、私は足りなかった部分を補い、こうして今も大事に持ち歩いている。
時折見直し、懐かしい彼女達の姿を脳裏に思い浮かべては泣き笑いを繰り返して――――
496 :
胡蝶 [-1:2006/06/11(日) 00:15:48 ID:j5q4bAQt0
さくさくと軽い音を立てながら、雪に覆われた山道を登る。
敵に対してはまさに仇敵、と言うほど馴染みのあるトキミがその気配をより詳しく探る為、先頭を歩いた。
その後に、ラキオスの仲間達。しんがりを私と悠人が努める。
エターナルミニオンは強敵だが、元々がスピリットのコピーでもあり、
個々に対して集団で向かえばアセリアやエスペリアでも何とか戦えた。
それでも向こうが群れて殺到してくる場合は私達が相手になる。
エターナルになって判ったが、ミニオンというのは戦闘力だけ取れば図抜けている。
ロンドで一対一の戦いをしたが、それは今思えば冷や汗ものの行動だった。
あの場にもう一人居たら、私は確実に今この地には存在できなかっただろう。
年少のネリーやシアー、オルファリル達も、皆のサポートとして頑張っている。
ソスラスに着いた夜、寝静まった部屋をこっそり覗き込んでみると、寄り添うように一箇所に固まって眠り込んでいた。
ヘリオンがネリーとシアーに揉みくちゃにされて少々寝苦しそうだったので、少し離してやる。
「ニムが……お姉ちゃんを……守る……」
普段ファーレーンにべったりなニムントールまでがその中に混じっている。
これまでの戦乱を経験し、彼女達なりの決意や結束があるのだろう。
そっとずれたシーツを掛け直していると、耳元で更に小さな寝言が聞こえてきた。
「う、うう〜ん……頑張りますぅ……」
「負けないんだからぁ……」
「……そうね。これからは、貴女達の時代なんだから……」
起こさないよう呟きながら、そっと乱れたネリーの髪を撫でる。
その頼もしい寝顔達は、不思議な勇気を私に与えてくれていた。
497 :
胡蝶 [-2:2006/06/11(日) 00:17:01 ID:j5q4bAQt0
広間にも、顔を出してみた。
するとそこにはさっき見た年少組以外が何故か全員揃ってしまっている。
一番手前に座っていたヒミカが振り返り、余り驚いてはいないような声をかけてきた。
「あら、セリア。貴女も寝てなかったの?」
「そういうヒミカこそ。ウルカ、何かあったの?」
「丁度良いところへ。今から皆で相談しようとしていました」
「相談? なんの?」
部屋は、薄暗い。マナの濃い地方なのに、何故かエーテルの灯りは弱々しく感じられた。
ゆらゆらと揺れる皆の影が壁に映し出されている。誰も答えを返してこない。
輪の中心に座る、エスペリアに顔を向けてみた。すぐに深いエメラルドのような濃緑の瞳が見返してくる。
私はその視線の奥に感じられるいつもと同じ慈愛の表情を見て、彼女の意志を理解した。
「……そう。置いていくのね」
「ええ。純粋に戦力として考えた場合、副隊長としては選ぶ判断ではないと思いますが……」
「ううん。私もそれが良いと思う。……私達はスピリット、だから」
「……ん」
隣で、すぐに頷くアセリア。それにハリオン、ナナルゥ、ファーレーン。全部を言わなくても、判る。
この戦いで、失うわけにはいかない大切なもの。この戦いの後にこそ、必要なもの。皆それを、判っている。
「みんな〜、幸せになれるといいですねぇ〜」
穏かで、それでいてやや遠い目をしたハリオンの優しい一言が、その場にいた全員の覚悟を代弁していた。
498 :
胡蝶 [-3:2006/06/11(日) 00:18:19 ID:j5q4bAQt0
出発は夜明け前、まだあの娘達が目を覚まさないうち、山並みの端(は)に朝日が差し込む刻と決まった。
ラキオスの詰所ほどではないにせよ、ある程度は整えられた厨房で、エスペリアが最後の食事を用意している。
同じく料理の得意なハリオンやヒミカの姿が見えない。他の仲間と出発の仕度でもしているのだろうか。
食材で埋まった机の向こうには、保存食の準備もしているのか、結構な湯気が立ち上っていた。
せわしなく動く後姿に懐かしさを感じ、くっ、と鼻の奥が熱くなる。今まで何度、この光景を見てきただろう。
こんな時なのに、昔の想い出が次々とよぎる。感傷的な気分を振り払うのに相応の努力が必要だった。
冷静に、そう自分に言い聞かせながら、背中に声をかける。
「……エスペリア」
「あ、セリア。手伝いに来てくれたのですか?」
振り向いたエスペリアは、すぐに嬉しそうな表情になる。
優しい眼差しに、一瞬言葉が詰まった。それでも、言わなければ。拳をぎゅっと握り締め、近づく。
「出来るだけ軽いもので済ませようとはしたのですが。つい作りすぎますね」
ぺろっと可愛く舌を出し、可笑しそうな口調で、再び手元のまな板に注意を戻すエスペリア。
その子供っぽい仕草や背中は、思ったよりも華奢で小さかった。
昔は、見上げていた背中。いつの間に追いつき、追い抜いたのだろう。
女性的な、丸みを帯びた肩がリズムよく小刻みに動いている。
その小さな肩に、どれだけのものを背負いながら、私達を見守っていてくれていたのだろう。
思わず声をかけるのを躊躇い、遠く想いを馳せてしまう。どれだけそうして懐かしい背中を眺めていただろうか。
ふと、トントンと聞こえていた包丁の音が、ぴたりと止まった。
「……行くのですか?」
「――――!!」
ふいをつかれ、背中に戦慄のような衝撃が走った。
499 :
胡蝶 [-4:2006/06/11(日) 00:20:12 ID:j5q4bAQt0
エスペリアは背中を向けたまま、全く動かない。ただ、その肩だけが、まだ細かく震えていて。
「……エターナルは、それほどまでに強いのですか?」
諦めきれない、苦渋のような響きが含まれる。何か言わなくては、そう思うのに、声が出ない。
揺れる緑の服を、ぼんやりと視線が追いかけるだけで。拳を硬く握り締めるだけで。
「……そう。ごめんなさい。こんな時なのに、力になってあげられないなんて」
振り返ったエスペリアの瞳には、大粒の涙が光っていた。
「……どうして」
「セリアの考えくらい、判りますよ。一体何年、一緒にいたと思っているんですか」
無理矢理微笑むエスペリアの、亜麻色の髪が揺れている。気づけば私は涙に濡れた彼女の瞼をそっと拭っていた。
指に伝わる暖かい感覚に、唇をぎゅっと強く噛み締める。搾り出したような声がようやく出た。
「……ごめんなさい」
「……好き、なのですね?」
「……うん」
「……ちゃんと、護れますね?」
「……うん」
「あの方だけではありませんよ。自分もです」
「……うん」
「それじゃ……いってらっしゃい」
「うん、行って来ます――――ありがとう、姉さん」
いつの間にか抱き締められながら、“あの方”という部分に一抹の寂しさを覚える。
それでも、包まれ慣れた両腕の慈しさに、嗚咽交じりの涙が止まることは無かった。
そっと、傍らの『熱病』の力を解放する。さよなら、大好き、そんな想いをマナに籠めて。
『……あ、あら? わたくし……? ここは……』
玄関口に続く暗い廊下。予感めいたものはあったが、やはりそこにぽつん、と小さな人影があった。
蒼い髪の影から両手で抱え込むように持っている『存在』が光って見える。
500 :
胡蝶 [-5:2006/06/11(日) 00:21:52 ID:j5q4bAQt0
「……アセリア」
「セリア、行くのか」
「……ええ」
「……そうか」
ゆっくりと顔を上げたアセリアは、相変わらず無表情な蒼い瞳をこちらに向けた。
ぼつぽつと紡ぐ言葉も平板で、短い。それでも、私にだけは判る。そこに浮かぶ、批難の色が。
エスペリアと同じ。どれだけ長い間、一緒に過ごして来ただろう。
「じゃあ、わたしも行く」
「……駄目よ」
「敵は、強いのか?」
「強いわ。アセリアより」
「……む」
「そんな目をしても連れては行けない」
「なんでだ?」
「なんででも」
「……む」
さらさらな髪が、長い『存在』の刀身に反射して橙色に揺らめく。
ぐずっているのが手に取るように判った。こちらを窺っている目線が上目遣いに変わっている。
転送されてきた時から、しばしば観察された仕草。甘える事を知らない私達の、精一杯の反応なのかもしれない。
やがてしぶしぶというように確認してくるアセリアの瞳は、縋るようなものになっていた。
「……帰って、くるのか」
「帰って、くるわよ」
「ユートと、行くのか」
「……うん。『聖賢』は強いから」
「……そうか。ん、わかった」
501 :
胡蝶 [-6:2006/06/11(日) 00:22:46 ID:j5q4bAQt0
寂しそうな視線をつい、と逸らす。
「セリアがそう言うなら、そう。心配いらない。ずっと、そうだった」
「……アセリア」
「わたしは、待ってる。だから、これ」
「え? これ……」
「作ってみた。持ってろ」
「…………」
そうして手の平に乗せられた、小さな銀色の塊。刻まれた形に、息が詰まりそうになった。
二本の神剣が、交わるようなデザインのブローチ。『熱病』と――『求め』。
「なんとなく、そうなった……変か?」
「ううん……全然、そんなことないわ……」
憶えているはずはない。それとも、無意識下のどこかに、折れる前の『求め』の印象がまだ残っているのか。
思わずアセリアの小柄な身体を抱き締める。ずっと姉妹のように、側にいた小さな存在。
「ありがとう……忘れない、絶対に」
「? よくわからない……でも、セリアが嬉しいなら、わたしも嬉しい。良かった」
珍しく、微笑んだ顔。浮かべる表情が涙に霞んでいく。こんなにも涙もろかったのだろうか、私は。
手元で静かに輝き始める『熱病』。薄っすらと、思った。
きっと記憶を奪うなどという事は、単なる自分勝手な我が侭。
それがどんなに相手を気遣っての行為だとしても。――――だから、涙が出るのだ。苦しくて、哀しくて。
「もう、いいのか?」
「……ええ。もう、充分」
外で待っていた悠人に、頷き返す。それから、キハノレの方向を見据えた。
私達はそうして暫く、無言で世界を眺めていく。
澄んだ星空を照らす、冷たい月。静けさに、固まった空気のような時間が留まっていた。
502 :
胡蝶 [-7:2006/06/11(日) 00:24:08 ID:j5q4bAQt0
「では、行きましょう」
背後に現れたもう一人の人物の声が静寂を破る。
「ロウエターナルの反応はシュンも含め、6つ。初任務にしては、荷が重いですか?」
「……あまり関係ないわ。さっさと終わらせましょう。……トキミ?」
「? どうかしましたか?」
「貴女って……凄いわね」
首を傾げている巫女服姿の少女を改めて見直す。
ロウエターナルはともかく、こんな苦しみを何度も乗り越えてきた彼女の強さには、絶対に敵わないと思いながら。
五つの魔法陣が大地を震わせ、伝播された高密度のマナが飛雪を纏いながら蒸発していく。
遥かに見渡す雪原と遠く重なる峻峰、蒼く輝く月と星々だけが戦いを見守っていた。
「ククク、頑張りますねぇ……ほらほら……」
「はあっ!」
ガッ!
すれ違いざま一瞬だけ交わる刃。その衝撃に“ぶれ”る剣先。
目の前でまだ余裕を見せる痩身の男から注意を逸らさないよう、横目で状況を確かめる。
503 :
胡蝶 [-8:2006/06/11(日) 00:26:43 ID:j5q4bAQt0
左手奥に物凄い熱風、そして右手からは鋭く風の切り裂かれる音。
空気が間断無く響き、ずしっ、ずしっとその度に鈍い地響きが辺りを揺るがす。
悠人が『業火のントゥシトラ』、トキミが『不浄の森のミトセマール』と対峙していた。
どちらも、まだお互いに致命傷らしきものは負っていない。形勢も均衡を保っている。
「? ……よそ見、ですか。僕もナメられたものですねぇ」
「それは嫉妬? だとしたら、みっともないわね。心配しなくてもちゃんと相手はしてあげる……今だけだけどね」
「――――フ……ハハハハッ!! 面白いことを……参りましたね、ますます殺してあげたくなりましたよ」
「……そんなだから見てももらえないのよ」
そして私は、『水月の双剣メダリオ』と名乗った男と戦っていた。
エターナルは、3人同時に現れた。
一番最初に察知したトキミが散開を命じた途端、雪原の中にジャンプしてきた3人。
それぞれが放つ冷気と熱に大気中の温度差がまるでテリトリーを持つかのように分断される。
彼らが創り出したフィールドは、私達を綺麗に1対1の状況へと持ち込んだ。
集団による戦法など、元々必要がないエターナル同士の戦い。
おおよそ予想は出来ていたが、相手の力量が判らない以上、不安要素はまだ残る。
メダリオという男の操る力の属性は、文字通り水のような気配がした。
数合交えただけだが、その剣技は速さも質も今まで会った敵の群を抜いている。
恐らくあの、ミュラー・セフィスでさえ打ち克つのは至難の業なのではないか。
504 :
胡蝶 [-9:2006/06/11(日) 00:27:44 ID:j5q4bAQt0
「ああ、いいですねぇ貴女。ほら、剣がこんなに震えている。嬉しいんでしょう――――僕と一緒でっ!!!」
「……変態。――――!!!」
しかし、彼には一目で見て取れる性格上の欠陥があった。
こんな軽々しい挑発に易々と乗り、私程度のまだ“生まれたばかり”のエターナルに容易く本気を出してしまう。
しかもどこかにまだある余裕が枷になっているのか、どこか隙のある驕りまで見せて。
「っっ気に入らないな……その澄ました顔が、気に入らないよっ!!」
「マナよ疾く進め、破壊となりて、彼の者どもを包め――――」
「――あ?」
私には、一つの確信があった。
ラキオスの、ブルースピリットを識別出来る戦闘服。蒼い髪、蒼い瞳。蒼を基調にした刀身の色。
この世界に来てスピリットをある程度識っているエターナルなら。ましてや、自らの属性がそれに近いなら尚更。
「――――イグニッションッッ!!」
.. . . . . . . . . . . . . .. . ..
私の攻撃は水の妖精の加護を受けた攻撃に限定されると、勘違いしてしまうだろう、と。
「グッッッ! これは……」
反射的に身を逸らし、『熱病』から迸り出た熱線をぎりぎりの所で避わすメダリオ。
その男の懐に一気に滑り込み、剣を持たない右手に力を収束させる。
「こ、このッ!」
ひゅん、と鼻先を双剣の一本が掠める。バランスを崩した所からの一閃は、流石に前髪を一房持って行った。
間近に迫った濁った瞳に余裕の色が失われつつある。いくら剣技を極めても、いやそれだからこそ失われた間合いは痛い。
油断していたとはいえ、屈辱も混じっているのだろう。私は鼻だけで薄く笑って返した。
「マナよ我に従え、彼の者の包み、深き淵に沈めよ……エーテルシンクッ!!」
「お、お前……チイィッ」
無理な体勢から剣を振るったメダリオは、窮屈な体勢から膝を畳んでそこに防御魔法を展開した。
咄嗟の判断は立派だが、炎と氷の連続攻撃に翻弄され、混乱した心の動きが手に取るように解る。
捻った反動で繰り出してきたもう一本の剣が舞い上がった後髪を軽く掠めるのと同時に、
私はメダリオが創ったばかりのシールドごと、彼の脇腹を思いっきり神剣魔法で“殴り”つけた。
「ゴフッ、ガアアッ!」
「おあいにく様……タアァァァッ!!」
それは、先程“澄ました顔”などと言われてしまったことに対する返礼。
ビビッ、と鮮血が空気中に拡散する。変な方向に捻じ曲がった右足とめり込んだあばらに、苦悶の悲鳴を上げるメダリオ。
その喉元が、ぐっと仰け反る。そこに狙いを付け、『熱病』を振り切った。
――――どん、という鈍い音と共にメダリオの頭部は何も無い中空へ舞い、そして雪原の合間へと吸い込まれていった。
「怪我はありませんか、セリア」
側に、いつの間に戦いを終えたのか、にこにこ顔のトキミが立っていた。
その悠然とした態度や様子に、戦った後の者という材料が見当たらない。流石、と内心舌を巻く。
「そうね、髪を少し痛めつけられた。何となく悔しいわ……相手が男だったからかしら」
「……? ふふっ。エターナル同士の戦いで、そんな感想を言うのは貴女が多分初めてですよ」
「そう? そんなものかな……」
言いながら、悠人を探す。――――探すまでも無かった。なにせ、物凄い勢いでこちらへ駆けて来るから。
「大丈夫か、セリア!!」
「きゃっ! ちょ、ちょっと……悠人?」
いきなり抱き締められ、顔を覗き込まれてしまう。見ると、彼は煤だらけだった。ントゥシトラに苦戦したのだろう。
彼の方が、明らかに怪我が多い。それなのに、逆に物凄く心配そうに見つめられ、困ってしまう。
「あらあら悠人さんったら真昼間から」
戸惑っていると、隣でくすくすとトキミの笑い声。
それにも悠人は気にしている風が無い。一心不乱に私の瞳だけを見つめてくる。頬が熱くなってくるのが判った。
「大丈夫か? 怪我は無いか?」
「え、ええ……」
かなり、いや非常に照れくさい。どう答えたら安心してくれるのか、そればっかりを考えていた。
抱き上げられたまま、そっと髪を撫でてみる。ごわごわと、硬い髪の毛に安心出来た。……私が安心してどうするの。
笑っていたトキミが私のそんな表情の動きを見て、急に深刻な声で呟いた。嫌な予感がした。
「悠人さん、セリアはとても大事なものを傷つけられてしまったようです」
「え、ちょ、ちょっと」
「何っ! 時深、どういうことだっ!」
「女の娘ですから……そうですねぇ、相手は殿方でしたし、それはもうショックを受け」
「なんだよっ! 一体何を!」
「トキミッッ!!」
際限なく続きそうなトキミの悪戯っぽい表情に、私は堪らず大声で叫んでいた。
そして、心の隅でちらっと驚く。「女の娘」、などという言葉をこんなに素直に受け入れているなんて、と。
山並みに陽の輪郭が顔を覗かせる頃、私達は“はじまりの地”、キハノレの城内部へと踏み込んでいた。
こつこつと、硬質な響きが反響する。周囲がいつの間にか、見た事の無い異質な構造物へと変化していく。
奥から感じられる圧倒的な、それでいて優しい気配。――――『再生』。幼い頃から、いつか還ると聞かされてきた場所。
幾何学的な文様が彫られている壁と天井は、どう見てもこの世界の文明が創ったものとは思えない。
正に、隔絶された異界。上下の感覚までがおかしい。悠人も同じらしく、しきりに辺りを見回している。
「…………」
そっと隣に近づき、空いている手を取った。こんな時にかなり思い切った行動だったけど、そうしたかった。
高鳴る胸を抑え、探るように肩一つ高い横顔を見上げてみる。――――気づいていないのか、相変わらず周りを眺めていた。
「痛てっ!!」
「? どうかしましたか、悠人さん」
「い、いや何も……おい、なんだよセリア」
「――――フンッ!」
思いっきり足を踏んでやった。……手は離さなかったけど。
相変わらず先頭を歩いていたトキミの歩みがぴたり、と止まった。その先に、大きな扉が立ち塞がっている。
振り向いた表情に、変化はない。ただ、気配の緊張だけは高まっていた。
「悠人さん、セリア、着きました。この先に……居ます」
「ああ、俺にも判る。ヤツだ」
「……“ヤツ”?」
隣に立つ悠人の横顔に、思わず問いかける。私の視線に気がついたのか、彼はゆっくりと頷いた。
「……ああ、『黒き刃のタキオス』。以前、砂漠で逢った事があるんだ。その時は、多分見逃されたんだと思う」
ぶるっと身震いするような形で『聖賢』を握り締めている悠人。砂漠。何があったというのだろうか。
扉の向こうに先程から感じる、堪えるような分厚く重い殺気。じっと息を顰めて待ち構える肉食獣の気配。
通り名を聞いたせいだろうか、黒い霧のようなものが壁から滲み出てきて全身に恐怖の感情を刷り込ませようとしている。
明らかに、数刻前に遭遇したエターナルとは存在感が異なっていた。とても第三位とは思えない。
「! 待っ……」
独りで歩き出そうとした悠人に声をかけようとして、はっと思い留まった。
扉の向こうへと吸い込まれていく背中に、聞こえたような気がしたから。――――“俺だけで戦わせてくれ”、と。
りぃぃぃぃん…………
ここでC
|・ω・`)
『熱病』が、手元で細かく震える。
ぽん、と肩を叩かれ、顔を上げるとトキミの慰めるような、寂しそうな笑顔。
「少々計算とは違いますが……セリアにしては、よく我慢しましたね」
「……しかたないじゃない。悠人が、“そうしたい”って言ってるんだから」
「そう、“言ってる”、ですか……しかたがありませんね。悠人さんも男の人ですし」
「? 男の人? 当たり前じゃない」
「そういう意味ではないのですが……セリア、解らないで見送ったのですか」
「……む。じゃあどういう意味かしら。トキミには解ってるというのね?」
「さあ。でも、止められないという意味ではセリアと一緒ですよ。セリアほど可愛くはありませんけど」
「〜〜な! か、からかってるの?」
「ふふ、さあ私達も行きましょうか。『法皇』が待ちくたびれていますし」
「……ちょっと待って」
「え?」
「“セリアにしては”ってどういう意味かしら?」
「……憶えてましたか」
「誤魔化そうとしても無駄よ」
「…………」
「…………」
「……プッ」
「ふふ、ふふふっ!」
私達はひとしきりにらみ合った後、互いに噴き出した。
この先に訪れようとしている不安を吹き飛ばそうとするかのように。
『法皇の間』―――― 法皇テムオリンが待ち構える敵の拠点。
「思ったよりも時間がかかってしまいましたね……ふふふ、待ちくたびれてしまいましたわ」
彼女は、部屋の中央で笑いながら“浮いて”いた。
「あれが……第二位」
思わず、呟いていた。『無我』の、殺気とも違う。静かに佇み、それでいて目が離せない存在感。
テムオリンの、一見幼さを見せる容姿がより危険な匂いを醸し出す。
上品な口調に宿る狂気にも似た感情が、何故か神経を苛立たせていた。
トキミが警戒しつつ、ゆっくりと話しかけている。
「久し振りですね、テムオリン。今度は何周期ぶりでしょうか?」
「あら、周期で語ってはお終いですが……わたくしもいい加減飽きてきましたわ、トキミさん」
「お互いさまでしょう? そろそろ決着を着けたいところですが……」
「無駄でしょう。ここで戦っても、どちらかが一度この世界を駆逐されるだけ。でも……退屈凌ぎには丁度宜しいのかも」
「それではその退屈凌ぎのお相手とやらを、お願いしてもいいのですね?」
「どうしましょう……どちらかといえば、そちらの“生まれたて”を可愛がってあげたいんですのわたくし。ふふふ……」
「……そうやって若い娘を見ては変な舌なめずりなんかしてるから歳がバレちゃうのよ」
「――――いいでしょう。たった今、まずは小うるさい年増を叩き潰す事に決めました。覚悟なさい」
一瞬嘗め回すように全身を観察された時は鳥肌が立ったが、どうやらトキミの挑発に乗ったらしい。
ゆっくりと手に持つ錫杖のような永遠神剣第二位『秩序』を振りかざす。
彼女の周囲に無数の神剣が輪を描いて浮かび上がった。辺りの空気がゆっくりと渦をなし、流れ出す。
「よもやこの攻撃だけで終わりなどとのつまらない決着では承知しませんわよ――――“時詠みのトキミ”」
「ふん、見飽きた構えですね、“法皇テムオリン”――――あなたが塵となった姿が見えます」
同時にトキミが懐から取り出した、一枚の紙。人型のそれがみるみる増殖し、鋭い刃となって風を切る。
二人の間にマナが密度濃く収縮しつつあった。見計らい、そっと後方に下がる。
巻き込まれるのを避ける為と判断したのか、テムオリンは気づいていながら何もしてこない。
立ち去り際、トキミが小さく呟いてきた。
「セリア、この半月……有意義に過ごせましたか?」
「……ええ、心配ご無用。無駄にはしません……いえ、させない」
「そう、安心しました。ふふ、なんなら替わってあげてもいいのですが」
「結構よ。トキミこそ、“門”は閉じるんだからね?」
「努力しましょう。……『世界』の気配は判りますか?」
「嫌という程。『熱病』が教えてくれるわ」
「……では、また“後”で」
「マナの導きのあらんことを!」
法皇の間を踏み出し、駆け出したところで、後ろから割れんばかりの振動が伝わってきた。
振り返らず、駆け続ける。『再生の間』は目前だった。
ゴオン……ゴオン……
赤く輝く空間。その中央に、白く眩しく貫く光柱。そこに、男は佇んでいた。
禍々しい異形の翼を広げ、歪んだ笑みを赤い瞳に浮かべて。手に持つ、というよりは一体化してしまっている神剣。
部屋の膨大なマナを喰い散らかし、まだ膨れ上がりつつある力。永遠神剣第二位、『世界』。
サーギオスで見た時とは比べ物にならない程“飲まれてしまったモノ”の末路がそこにあった。
中央に沈みつつある『再生』の様子を窺う。『再生』は彼を仲介して、この世界そのものを吸い込もうとしていた。
イースペリアで嫌というほど感じた悲鳴のような軋みがあの時の想いを呼び起こす。
――――戦後の世界……それが私の生きる道、だから……
もう、絶対に繰り返してはならない。未来を創りだそうとしている少女達の為にも。
「……なんだ、妖精が一匹紛れ込んだか」
一瞬逸れた考えの隙間から、低く重い声が入り込む。
顔を上げると、シュンが“今気がついた”というような表情でこちらを見ていた。
完結編キター! C
瞳に、なんの感情も浮かべてはいない。ただ、なにか異物に対する不快感のようなものだけが僅かに見て取れる。
明らかに敵な私に対して、神剣の力を解放しようともしない。ただ、スピリットだとは認識しているようだ。
纏った鱗のような甲冑がぎしぎしと不協和音を奏でている。
それが部屋で唸りを上げている何かの駆動音と合わさって不快だった。
じっとしていると神経が磨り減るような音に耐え切れず、口を開く。
「初めまして、というべきかしら、『世界』。見事に“人”を取り込んだものね」
「……ふむ、生きていたか。だが、それもどうでもよい事……『再生』は間もなく陥ちる」
ぶわっ、と周辺の空気が陽炎のように歪んだ気がした。私の顔を憶えているとは思えない。
少なくとも、「シュン」が憶えている筈はない。一体何と間違えて――――そこまで考えて、思い当たる事があった。
手元の『熱病』に軽く力を籠めてみる。マナの豊富な空間で、剣はそれだけで眩しく光り輝いた。
「……む。――――何者だ」
「そう……そういう、事」
私は、知らず口の端に小さく笑みを浮かべていた。目の前の敵は、私が誰なのかも認識してはいない。
サーギオスですれ違っただけの存在なのだから、当たり前といえばそうなのだが、違う。
明らかに、誤解している。私を、トキミと。――――ただ、手元から流れる『時詠』の気配だけで。
“人”ならば、姿形をまず認識する。スピリットのそれと見誤るなどは有り得ない。
それをしないということ……つまり『世界』はそこまで彼の意識を取り込んでしまっている。
混ざり合った『永遠』と、恐らく雑音程度の『熱病』の気配、それだけに戸惑っているのが証拠だ。
「――――不愉快だ。消えろ、“僕”の前から」
ならば、戦いようがある。そう考えた時、シュンがふいに動き始めた。ゆっくりと『世界』を肩にかける。
すると唐突に、彼の周囲で発生し、急速に回転し始める魔法陣。そこに赤黒いマナが集まっていく。
私はまず手前の足場を飛び、ウイングハイロゥを展開して間合いを詰めた。
「遅すぎて話にならん……ハアァアァアッッ!!」
「!!」
ズンッ。浮いている、六角形の結晶体のような足場。踏み込もうとしたそれが、鈍い音を立てて歪んだ。
「……クッ!」
「ははははははははははははッッ!!! オーラフォトンブレイクゥゥゥッッ!!!」
咄嗟に爪先だけで跳ね上がる。
確認すると、地面からせり上がってくる幾筋もの不規則なうねり――蛇のようなマナの塊。
それはまるでそれぞれが意志を持ったかのように、私一人だけを目指して殺到してくる。
「ッッハァッ!」
瞬間、剣先に氷の付加魔法を唱え、振り切った。“スピリット”としての私の最大の技、ヘヴンズスウォード。
開いた攻撃姿勢が一瞬の隙を生むが、それでも懐に入った「蛇」から順に熱を奪いつくして崩壊させてゆく。
びしびしっと亀裂を走らせ、次々に砕け散る赤い塊。蹴飛ばしつつハイロゥを捻ってシュンとの差を更に縮めようとする。
ちらっと窺うと、彼の顔にはまだ余裕の表情が浮かんでいた。もう一段駆け上がり、後ろを振り返る。
同時に、すぐそこまで追いかけていた魔法陣が大きく膨れ上がって弾け飛んだ。
爆風と細かい刃が四方から一斉に襲い掛かってくる。ダメージを受けている様子が無い。
私は小さく舌打ちをした。どうやら出し惜しみをしている余裕はないようだった。
「ッ! 精霊光の一撃をここにっ! 光となって、永遠とひとつに!」
唱える、初めての詠唱。
ギュン、と白金に輝いた『熱病』の先で、空間が捻じ曲がる。そこに“捲れた”マナを、振り切りざま無理矢理注ぎ込んだ。
巻き込まれかねない“捻れ”に身体中が悲鳴を上げる。まだ『永遠』の力を完全には引き出せない私にとって、未完成な技。
その威力が、シュンの魔法陣とぶつかり合って周囲が閃光に包まれる。ぎりっ、と奥歯を噛んで耐えた。
「エタニティリムーバァァァァァ!!」
「ハアッ! ハァッ……」
ようやく自分で開いた空間を“閉じ合わせた”私は、がっくりと膝をついていた。
予想していたとはいえ、消耗が激しい。いや、激しいなんてものじゃない。全身が軋んでばらばらになる寸前だ。
一方、オーラフォトンブレイクという技を封じられたシュンは、驚きを隠せないようで、何かを呟いている。
「馬鹿な……凌いだだと? その力……まあいい……相手をしてやる!」
しかし、息をつく暇など与えられない。すぐに気を取り直したシュン本人が、今度こそ迫ってくる。
彼は、一度肩から下ろした『世界』をもう一度屈みながら水平に構え、そのまま突進してきた。
空中を飛びはしないものの、踏み込んだ足場が次々と粉々になっているところを見ると、『世界』の威力が加速している。
「集えマナよ…… 僕に従い、敵を爆炎で包み込め!」
「まったく、せっかちね……マナの力もて時を歪めよ、一時の間、我らに予見の目を……」
是も非も無い。憎まれ口が突いて出たが、どうせ聞こえてもいないだろう。――――まだ、繋げられるだろうか。
半信半疑のまま、『熱病』を折り畳んだ腕の中に引き込む。
錆付いたままの膝に力を篭め、伸び上がるような姿勢で私はまたもや馴れない技を繰り出していた。
耳元で炸裂する、爆風。歪んだ風圧が、私達を中心に放射状に押し広げられて辺りを軒並み薙ぎ倒していく。
「タイム、コンポーズ!!」
「オーラフォトン、レェェイッッ!!!」
ほんの僅か、それこそ刹那。私の詠唱の方が、速かった。
タイミングを見計らった訳ではない。偶然、彼の方から間合いを詰めた、その一瞬。
『時詠』の力を放って敵の動きの隙を突いた『熱病』の切先は、貫くには不適切な形状を法則ごと“捻じ曲げ”、
シュンの防御が一番弱い部分、すなわち鱗の無い胸の中央へと深々と吸い込まれていった。
――――――だけど、もちろん私だって、無傷では済まない
「グッ、くお……ガフッ」
「あ、ああ……」
目の前で、苦悶に歪むシュンの顔。吐き出した血飛沫が乾いた霧のようにマナへと代わり、私のそれと交わる。
ぼんやりと、それを眺めていた。身体の中心が、焼けるように痛い。ずるり、と生臭い音。
「お、お前……まさか、最初から……」
「ふ、ふふ……今、更、気づいた……?」
仰け反りそうになる体勢を必死な様子で耐えながら、よろよろと後退していくシュン。
同時に、彼の剣に支えられていた格好の私の膝からも、急速に力が抜けていく。
ずるずると二人の間に伸びていく、二本の血塗れの剣。『熱病』と……『世界』。
交錯する刀身がキン、と偶然一度軽く擦れ、それが合図だったかのように『世界』は私の“胸”から完全に抜け落ちた。
ぺたん、と尻餅をついてしまう。まだ両手で握り締めていた『熱病』の刀身をぼんやりと見つめた。
余韻が残っているのか、金色のマナに包まれたそれが淡く赤く『再生』の色を反射している。
その先で、どすん、と重い音。顔を上げると、シュンも同じように座り込んでいた。
がっくりと項垂れて、髪に隠れた表情が見えない。しかしもう、『世界』の気配は残ってはいなかった。
「まさか、妖精にやられる、なんてな……“僕”とした、こと、が」
俯いたまま、ぼそぼそと呟く。もう答える気力など殆ど残ってはいなかったけど、それには何となく言い返したくなった。
「妖精とか……言わないで。そんなの……関係、ないわよ」
ビシッ、と二本の神剣から、同時に嫌な音が聞こえてくる。それは、主が回復不能な証明。
高揚した胸の鼓動が、皮肉にもどくどくと命を吐き出していく。もう、痛みも感じなかった。
「“人”とか、スピリット、とか……くだら、ない……誰、だって、守りたい、んだから……」
|・ω・`)
ゴオン……ゴオン……
暫く、沈黙が続いた。
『再生』の周囲で響く、地鳴りのような音だけが耳の奥に響く。
それがとても、遠く思えた。まだスピリットだった時に聞けば、もう少し近くに感じられたのだろうか。
「ふ……くはは……関係、ない、か……」
微かに零れる笑い声に、現実に引き戻された。まだ生きていたのかと、そちらを窺う。
シュンは、顔を上げていた。瞳には、もう狂気の色は無い。そこにいるのは、ただの“人”だった。
どこか寂しげな、透明な顔の白さがやけに印象に残るような。まるで憑き物が落ちたような表情に、息を飲む。
「……それ、悠人の、受け売り……だろ?」
悪戯っぽい、吹っ切れた笑顔。そこに、悠人と何故か同じものを感じる。だから、笑って答えた。
「違うわ。もっと……大事な人の、言葉、よ」
「……チッ。どこ、までも……嫌な、ヤツだ……まぁ、いい」
そうして一度深くて長い息をつき――――彼は、動かなくなった。
シュンの身体が金色に淡く弾けるのを見届けた後、私は支えきれなくなった上半身をどさ、と床に横たえた。
天井ともつかない白い空間に、沈み行く『再生』だけが見える。
手に握った『熱病』が小さく鳴っていたので、ぎゅっと握って応えた。もう、そちらを見る気力も無い。
「これが……死、かぁ……」
冷たく、石になっていくような感覚。どこか、引っ張られるような喪失感。
リアも、これを味わったのだろうか。こんな嫌な、独りぼっちをただ黙って受け入れるしかない感覚を。
≪セリアァァァッッ!!≫
遠くで、声が聞こえてくる。大好きな、たった一人望んだ人の声。
周囲が金色に光る中、もう良く見えない視界の向こうに姿まで見えたような気がした。
「無事、だったの……よかった……」
そうして私は意識を失う直前に、ようやく理解する。リアが最後に残した涙の意味を。
あれは、微笑みと共に見せた涙だったのだ。敵など、関係なく。ましてや、“人”とか“スピリット”とかではなく。
ただ、守れた事への悦びから。リアは、純粋に喜んでくれていたのだ。
―――― 私は、想いの受け取り方を、間違えていた ――――
そうでなければ、こんなに自然に笑みは零れてこない。こんな時、悠人にこんな風に、笑いかけてはいない――――
……最後に見たのは、腕時計の文字盤。 .. . .
“2005/12/18/17:30”という、数字の羅列。高校受験を控えた冬の、淡く懐かしい夢のような憧憬。
―――― 真っ白な中、浮き上がっていく ――――
頬に暖かさを感じ、薄っすらと目を開くと、そこは森の中だった。
柔らかな日差しが生い茂る木々の隙間から、惜しげもなく降り注ぐ。
鳥の囀り。草の匂い。ゆっくりと身を起こす。すぐ近くから、何かさらさらと澄んだ音色が聞こえた。
「――――?」
すぐ側に、小川が流れていた。木漏れ日を反射して、きらきらと輝いている。
ひんやりと冷たい空気が気持ち良い。まるで吸い込まれるように川辺へと近づいた。
対岸で水を啄ばんでいた小鳥が一瞬こちらを見たが、逃げもせずに再び水面へと嘴を向ける。
…………不思議な気分だった。
ここはどこだろう、とか、なぜこんなところに、とか、そんな素朴な疑問が通り抜けていく。
それどころか、自分がだれなのか、それすら上手く思いだせない。それなのに、――何の不安も感じない。
森の息吹が、清々しい空気が、風の流れが心を洗い流していく。包まれるような、一体感。
自分が世界の一部だと、世界が自分の一部だと。そんなごく“あたりまえ”のことが、沁み込んで来る。
そっと川面に片手を伸ばし、蒼く眩しい水を掬う。ぱしゃり、という軽い音。
「フフ……マカノサス、ルゥ」(ふふ……くすぐったい)
思ったとおり水は冷たく、そして小鳥も逃げなかった。ちち、と小さな鳴声を漏らし、首を小刻みに傾げている。
わたしは微笑みかけ、それから水面を覗き込んだ。そこに映し出されるのは、思ったよりも幼い姿。
蒼い髪、蒼い瞳。白い肌の上半身。
「アルゥ……ヨテト、ヤァ、イスカ……」(そう……これが……私……)
生まれたままの姿でこちらを見つめてくる“私”は、微笑んでいた。だから“わたし”も微笑み返した。
――――りぃぃぃぃぃん……
清冽に光り輝く刀身。気づけばずっと持っていた“神剣”を、両手で胸に抱き締めていた。
癒し、慰めるような音色が微かに心を揺れ動かす。波紋は穏かに広がり、混ざり合って泡沫と消えた。
一瞬なにか、ずっと見てきた背中が遠ざかっていくような、いたたまれない寂寥感。
そっと目を閉じる。通り過ぎていく想い。一つだけ決めた。これから、どんな運命が訪れるとしても。
―――― この場所は、ずっと“わたし達の”とっておき ――――
「…………ン……ンン?」
後ろで、くぐもった声が聞こえる。振り向くと、起きたばかりなのか、目を擦っている少女。
私と同じ、蒼い髪、蒼い瞳。ぼんやりと薄く輝くハイロゥリング。そして傍らには――――銀色の神剣。
透き通るような肌が、全身に陽光を浴びて眩く。私は微笑んだまま目を細め、そして静かに呼びかけていた。
「 ヤシュウウ。ネーニ、クミトラス、クム―――― 」( おはよう。気持ちの良い朝よ―――― )
「まったく、騙されたよなぁ」
「くすくす。あれは見ものでした。悠人さんったら、セリアの居た空間に大声で泣きつくんですから」
「しょうがないだろ、しっかし普通俺にも一言あってもいいんじゃないか? 黙ってるなんて意地が悪いぞ時深」
「まぁ、敵を騙すにはまず味方からといいますし、あの場合、悠人さんが一番表情に出ますから」
「む……なんだか馬鹿にされているような」
「そんな事ありませんとも。ただ可愛かったですよ、くすくすくす……」
「ちぇ……」
後ろで二人のそんなやり取りが聞こえてくる。
私は笑いを噛み殺しながら、目の前の石造りのお墓の前に膝を下ろした。
さわさわと、気持ちの良い風が流れてくる。マナの流れも、どうやら平常に戻りつつあるようだ。
小高い丘の向こうには復興の兆しが見えるロンドの街並み。イースペリア全体はまだ無理だが、いずれは叶うかもしれない。
「姉様ぁ〜〜〜!」
向こうから駆けてくる、少女のような意志が沢山受け継がれていくかぎり。
手元の『熱病』がリィ、と小さく響く。“本体”とはいえ、まだ上手く馴染んではいない。
子供のような、無邪気な子。私は諌めるようにそっと握り、それから少女に応えて軽く手を振った。
――――本来はタキオスを3人で倒し、テムオリンとシュンで私とトキミが使う手段だった。
その上で残った悠人が順にロウを倒し切れば、この世界は守れる。
幸いにして、トキミはそれを使わずに、テムオリンを退けた。悠人も、タキオスに打ち勝った。
しかしまだ“生まれたて”で、更に“本体”を既にここに分けてしまっていた私には、手段を選ぶことが出来なかった。
マナが豊富な『再生の間』だからこそ、相打ちに持っていけたというべきだろう。
分身の『熱病』でも、何とか『永遠』や『時詠』の力を引き出せたのだから。
また、分身だからこそ、シュンやテムオリンが軽視してくれたというのもある。
「それにしても……こらっ!」
「きゃっ……ちょっと悠人?!」
「判ってるんだろうな、散々心配させやがって!」
「散々って……だから散々、謝ったじゃない」
急に後ろから、じゃれるような悠人の抱擁。
両肩を包まれるように後ろから抱き締められるのが気持ち良い。――――でも、言わない。
「あらあら、もう、見せつけてくれますね」
「ホント、お似合いですよね。……あれ? ところで、どなたですかあの方」
「ふふ、知らなくてもいいこともあるんですよ」
「ふ〜ん……そうなんですか。でも姉様、すっごく嬉しそうな顔です♪」
後ろでからかう二人の笑い声。そろそろかなり恥ずかしくなってきた。
「ちょっと、調子に乗らない……あっ」
「おっと。まだ本調子じゃないんだから、暴れるなって」
「暴れてなんていないわ……な、何を」
反論する暇も無い。うっかりよろけてしまった私は、ひょい、と軽く悠人に抱き上げられてしまう。
両手で抱えられたまま、じたばたと足を振ってみるが、全く意味が無かった。
渋々力を抜き、今度は懇願の口調に変えてみる。
「お、下ろして……みんな見てる」
「構わないさ。しかしあれだな。こうしてるとセリアも随分大人しあたっ」
「やっぱり下ります! ……ちょ、ちょっと。急にこっち向かないでよ」
「暴れると抱え難いだろ、全く。少しは大人しくしてろよ……嫌なら避けてもいいぜ」
「何言って……ん! ん、んん〜〜…………ん……」
悔しい。不意打ちなんて、卑怯。そんな言葉は、遂に口から出せなかった。
くたっと全身の力が抜けてしまう。仰け反ればいいのに、どうしても避けられない。
嫌だなんて、とんでもない。それ位、気持ちが良かった。大好きな人の、大好きなキスが。――――言わない、けど。
「で、どう、調子は」
「はい! 街の復興は順調です。みんなも頑張ってますし、それに……」
息も絶え絶えになりながらようやく悠人の抱擁を離れた私は、少女と二人で丘の向こうを眺めていた。
頭にコブを3つほど拵えた悠人が頭を擦りながらトキミに何か言われているが、無視することにする。自業自得だし。
「それに? なに?」
「最近、街の“人”たちが何だか優しいんです。わたし達のせいで壊された生活なのに、笑って協力してくれて……へへ」
そうはにかむ彼女の瞳は軽く潤んでしまっている。相変わらずの泣き虫だ。
最もこの頃、自分も人の事は言えないと、しばしば思うようになってきてはいるのだが。
私はそっと彼女の目尻を掬ってやりながら、そっと『熱病』に力を篭める。
恐らく後ろでトキミが『時詠』で同じ力を使ってくれている事だろう。この、『私に関する記憶』を奪う力を。
さわさわさわさわ…………
「――――あれ?」
少女は、きょろきょろと辺りを見回している。どうしてこんな所へ、と不思議そうな顔だ。
様子を見ていると、ゆっくりと立ち上がる。そして首を傾げながら丘を下りて行った。
背中を見送る時も、もう涙は零れなかった。想いを、受け継いでくれる。それだけで、充分だったから。
隠れていた木の陰から出てみると、丘はひっそりと寂しく見えた。
「…………」
無言でそっと、お墓の石を撫でてみる。ひんやりと、冷たく硬い感触。“本体”を保管した時と、同じ感覚だった。
もうこの世界に、私を憶えてくれている人は、この中のリアとユミナ・アイスしかいない。
正確には、リアとユミナ・アイスが私に引き継いだ想いしかない。だから。私はトキミに振り向いた。
「――――残るわ」
「――――そうですね」
「……知ってた?」
「ええ。それも予定の範囲内です。本当は、戦力不足なのですけど、ね」
「……ごめんなさい」
「いいですよ。ただ、くれぐれも介入は――――」
「判ってる。ただ、見守るだけ。そうしないと、ここから動けないから」
知っていた、という割りにはやや呆れ顔のトキミから目を逸らし、悠人の方に顔を向ける。
終始無言だった彼は、力強く頷いてくれた。その手を握ると、軽く握り返してくれる。
私はそっと離れ、『熱病』を頭の後ろに持っていった。後ろ髪を束ねるように持ち上げ、その下に刃を当てる。
「憶えておいて……スピリットの私を」
―――― ばさっ
あっ、と小さな声をあげる悠人。今まで大事にしてきた後ろ髪は、あっけなく落ちていた。
マナに還る前に『熱病』に添え、そのままお墓の下へと埋める。
その作業の間、誰も一言も喋らなかった。無言の中、風だけが草の擦れ合う音を奏でる。
緑の匂い、木々の木漏れ日。ふと、リュケイレムの森を思い出し、涙が一粒だけ零れ落ちた。
「蓋」が閉じられる気配がラキオスの方向から近づいてくる。
恐らくエスペリア達の報告で、もう“敵”が存在しないことを知ったのだろう。
「……そろそろですね」
トキミが、小さく呟いた。私も頷き返す。覚悟を、決めなくてはならない。
一時とはいえ、かなりの長い期間、離れ離れになれなければならない悠人に、最後に何と言えばいいのか。
「さ、悠人さん。こちらも“門”を開きます。集中して下さい」
「あ、ああ……」
もう、時間が無い。少し焦っていると、トキミと目が合った。何故か、片目を瞑っている。
少し微笑んでいるような気もした。――――いや、あれは。何か、悪戯を考えている目だ。
「トキミ、一体何考え――――」
「悪いな時深、俺も残る!」
「え? きゃあっ!!」
突然私を抱え、走り出す悠人。何が起きたのか、咄嗟に反応出来ない。
後ろから、“門”に吸い込まれていくトキミの声が追いかけてくる。
「あー悠人さん、駄目ですよー」
……なんて、棒読み。駄目だとか言いながら、制止する気が全く感じられない。
ふと見上げると、にっと憎らしいくらい清々しい悠人の笑顔――――やられた。
「――――いいの?」
思いもよらない展開。
悔しいけど、そんな台詞しか出てこない。嬉しいのと申し訳無さで、すっかり萎縮してしまった口調。
声と同じ位縮こまって、私じゃない位大人しくすっぽりと彼の腕の中に納まりきっている体。
「当たり前だろ? セリアの我が侭にももう慣れたしな、ははっ」
「……もうっ。誰が我が侭よ」
「我が侭じゃないか。折角俺は気に入っていたのに、その髪。勝手に切りやがって」
「え、え?」
『お幸せにーーー!!』
「おうっ、またな、時深っ!」
「……ありがとうっ!!」
悠人はほぼ確信犯的に、私はほとんどヤケクソ気味に、二人とも心の底から本当に感謝の気持ちを篭めて叫んでいた。
時は、ゆっくりと流れ続ける。
戦争の爪痕は、ありきたりな表現だが、徐々に癒されつつあった。
これはもちろん、ガロ・リキュア全体から見える印象を一括りにしてしまったただの総括だ。
だけど、大多数の人々やスピリット達にとっては概ね幸せな方向へと向かったのだと思いたい。
どんな歴史でも、影で苦しむ存在はある。私は孤児院という形で各地を転々とする事で、少しでもそれらを守っていきたい。
「お姉ちゃーん、お腹空いたぁー」
「ちょっと待って、もう少ししたらおやつにするわ。我慢できるわね?」
忙しい日々。目の回るような日常。
もう、誰も死なせない。もう、誰も失わせない。まだ戦いの余熱と共に、しっかりと息づく感情。
それに従い、戦いの後、初めて自分で選んだ私自身の「戦い以外の生きる道」。
「お姉ちゃーん、お客さんが来たよぉ!」
「はいはい…………全く、忙しいのに。また━━━━━達が遊びに来たのかしら」
洗い物を途中で放り投げ、前掛けで手を拭きながらぱたぱたと戸口に出る。
「あら…………」
りぃぃぃぃん…………
久し振りに聞いた、『聖賢』の声。それは、酷く懐かしく、そして――――
「ただいま。……すまん、ちょっと遅くなっちまった」
ばつの悪そうに、ハッキリしない態度。
ぼそぼそと呟くように伝えてくる言葉。針金のようにごわごわした髪。
どちらかというと、第一印象は最悪だった。あの出会い以来、そんな所はなんにも変わっていない。
…………なのに今はどうしても、胸のずっと奥深くから溢れてくる微笑みを抑える事が出来ないでいる。
――――――お帰り、なさい――――――
悠人はあれ以来、機を見ては各地を回り、復興の様子を確かめている。
いつも、手を貸すことが出来ないのが歯痒いとこぼすのを窘めるのは、専ら私の仕事だ。
そんな鉄砲玉のような性格は変わらない。出会いを引き合いに出すと、苦笑いをして
「セリアも変わらないな」
などと反撃され、口喧嘩が始まる。最近は、私の方が折れることも多くなってきた。
仲間達のその後は当然気になったし、事ある毎にラキオスの様子を窺ってもいた。
元々レスティーナ王女の理想と市民意識の高さから、スピリットへの偏見は他の地域に比べ、終息するのは早かった。
ネリーやシアー、オルファリルやヘリオンの無邪気な明るさ、積極的に店を出したハリオンの努力も見逃せない。
一度我慢が出来ずにハリオンの店を訪れた時、丁度エスペリアとアセリアが来ていたので驚いた。
パンを選んでいる振りをして聞き耳を立てていると、近々ヨーティア様が何かの発表をするという。
――――スピリットの存在を維持させながらの抗マナ変換装置の完成。
その日、家に駆け帰った私のはしゃぎように、悠人は心底面食らっていたようだ。
でも、こればかりは悠人には判らない。スピリットにとっては、本当に死活問題だったのだから。
そっと胸につけっぱなしのブローチに触れ、“そこに居る”アセリアに話しかけてみる。
―――― ん、よかった
そんな声が、聞こえた気がした。
結局「蓋」は2周期もの間、私達をこの世界へと止める事になった。
その長い年月は、当然ガロ・リキュアの盛衰をも飲み込み、一つの文化にも幕が下りる。
人とスピリットの間に種族の隔たりというものが無くなり、融合されて最早久しい。
私と悠人は何時の頃からかひっそりと、一目につかない森の奥で生活するようになった。
リアとユミナのお墓があった丘も今は深く樹々が繁り、
かつてはソーン・リームと呼ばれた土地に発生した大森林地帯の一部となっている。
ラキオスの王城はその外壁だけが痕跡を残し、湖の底で静かに眠っていた。
開け放たれた窓から、鳥が自由に入ってくる。
机の上に広げられた本を物珍しそうに眺めて首を傾げ、すぐに興味を失うと、再び羽ばたいていく。
目を細めて見送り、それからそっと日記を閉じた。ヒミカがこれを渡してくれた意味を、考えてみる。
≪ こんな世界でもね。私にも何か残せたら、って考えるのは、素敵じゃない? ≫
あの日、ニーハスで最後に会った時。ヒミカは眩しい程の笑顔でそんな事を言っていた。
実際に、彼女の著書が、少なくとも一冊、私の手元にまだ残っている。
――――でもきっと、彼女が言いたかったのはそんな事じゃなくて。
「くっ……ふふ……ヒミカぁ…………」
両手で熱くなる目頭を庇うように、どさっとベッドに仰向けになる。
こうして今も脳裏に浮かぶ、ラセリオでの防衛戦。今にも聞こえて来そうな凛とした声。
――――みんな、来たわよっ!
頼もしい後姿。躊躇う気持ちを後押ししてくれる、そんな優しさが。
――――今時流行らないよ、ただ黙って見守るなんて。
ほら、こんなに。いつまで経っても消えない残り火が、止めどもなく涙を流させるじゃない。
どれほどの世界を、時間律を渡り歩いただろう。
エターナルとしての戦いは、確実に時の平衡を失わせていく。
それでも隣には、いつも愛する人が一緒にいた。時には喧嘩もしたが、互いを失うことには耐えられない。
任務は、常に二人。それなりに古株になってきた私達に、トキミ辺りは渋い顔をするが、仕方が無い。
だって、離れられないのだから。
そうして辿り着いた、今回の世界。
そこで私は、一組の少年少女を見かけた。無邪気にじゃれあう姿に、つい苦笑して観察してしまう。
隣で付き合ってくれている悠人が、退屈そうに欠伸をしていた。
「ふあぁ……まぁいいけどな。今回は、戦いというわけでもないし。なんでトキミも俺達をここに送ったんだ?」
「いいから。ほら、あの子、悠人にそっくりじゃない?」
「ん? ……んー俺には女の子の方がセリアに似てると思うけど」
「……浮気、じゃないわよね」
「ち、違うって! セリアが振った話だろ?」
「なら、いいけど。……少し、嬉しい」
「?」
「あ、いけない、気づかれたみたい。悠人、行くわよ」
「おい、急に引っ張るなって……」
不安そうに振り向く少女を後に、私達はすばやくその場を立ち去った。
もう、二度目だ。鋭い娘。さすがにこれ以上見守るのは無理だろう。
「なんだか懐かしいような光景だな……」
誰もいない、夕暮れのキョウシツ。ガッコウと言われる、“渡り”を行なっているとたまに見かける建物。
既に廃屋となっているのか、人気は無い。夕日が窓から差込み、室内は暖かい橙色に染められていた。
「もう、酷く昔の事に思えるよ。光陰や今日子と馬鹿やってたっけ」
今回のは特に、悠人が昔居た世界に似ているらしい。いとおし気に机を撫でている目が優しい。
「ふふ。ここは学ぶ場所だと聞いているけど」
「ああ。でも、それだけじゃないんだよ。退屈だから居眠りもするし、休み時間には仲間と遊ぶし……あれ?」
「? どうしたの?」
「いや。はは、よく考えたら俺、あんまり遊んだ記憶はないな。バイトとか忙しかったし。んーーー」
「……さっきから、変ね」
「なんだろう、何か……居眠りしている時、良く起こしてくれた娘がいたような……生徒手帳?」
「セイトテチョウ? それは、何?」
「え? ああ、証明書みたいなもんなんだけど。何か引っかかるなぁ……」
そのまま首を傾げるように、黙り込んでしまう悠人。私は彼をそのままに、キョウダンというものに乗ってみた。
ぎし、と木製のそれが軋む。目の前に、大きな光沢のある黒い板があった。
――――なんだか、好きになれそうな匂いがする。
「……あら?」
眺めていると、隅に消し忘れのような、引き攣った跡を見つけた。
大して興味を引いた訳でもないそれに、何故だか視線を引き付けられる。
…………………………
……………………
………………
「そろそろ行かないか……ん? どうした、何だか楽しそうだな」
そのまま結構な時間、熱心に眺めてしまったのだろう。気がつくと、戸口に悠人が立っていた。
一瞬呼び寄せようかとも思ったが、改めて考え、やめることにする。この位の秘密は持っていていい気がした。
「なんでもないわ。さ、行きましょう」
「おいおい、待ってたのは俺だぜ。おかしなヤツ」
「ふふ……そう?」
私は文句を言っている悠人の手を両手で掴むと、そのまま彼の身体を外へと押しやった。
そうして最後に、もう一度だけ振り返ってみる。夕日を反射した黒い板の表面に、白く浮かび上がった有り得ない文字。
「……ありがとう。さよなら」
主役 :高嶺 悠人
ヒロイン:セリア・B・ラスフォルト
そこには確かに現(うつつ)の狭間に埋もれかけた、夢の残滓が沁み込んでいた。
―――― 胡蝶 ende ――――
535 :
信頼の人:2006/06/11(日) 01:07:48 ID:j5q4bAQt0
憎しみ、悲しみ、恨み。その奥底に隠されているはずの羨望。
「もしも」自分も人間だったら。スピリットなら誰でも少なからずそう思う瞬間があったのではないか。
アセリアを初めてプレイした時、ふとそんな事を考えました。ですが当時はそんなものを表現出来る手段を持たず、
ただ漠然とした構想だけがどっか頭の隅にこびりついたまま幾星霜(←大げさ
スピたん発売前にようやく仕上がった代物ですので、スピたんの補完とは別物と捉えて頂ければ嬉しいかと(汗
この作品は大別すると2部構成になっていますが、実は Yearning の方が本編だったりしてます。
PS2版のイベントに沿った方が副題で、そこに上記のテーマを緑ッ娘の補完と一緒に織り込みました。
構成の方ですが、主題と副題の間に time、field 的には所謂『ねじれの位置』というやつを採用しています。
『時詠』の力というのは結構なんでもありなので、こういう時非常に役に立(ry
最後になりますが、今回も御支援頂いた方、数ヶ月の間お付き合い頂いた方々、
それにネタを提供して下さる住人の方々に最上の感謝を述べたいと思います。
本当に有難うございました。このスレに、マナの導きのあらんことを。
誤字脱字ハリオンマジック等、御指摘があれば幸いです。それでは。
>>535 信頼の人様、お疲れ様でした。
胡蝶の完結編にリアルタイムに遭遇できた幸運に
感謝してる次第ですが…、
保管庫行って、最初から読み直してきます。
信頼さんをはじめとする職人の皆さんのおかげで、
このスレのSSは構成のレベルも高くなったよなぁ。
保管庫での復習が必須になってきた。
乙です。
どっかでまたレスティーナが王女でしたが、これは間違っていない気もする……?
>>535 ……はふぅ。
溜め息が漏れるのみです。
ごちそうさまでした、とお礼を。
エターナルの設定を生かしまくった最終戦。やはり、と、なんと!が織り混ざり、非常に美味しく頂けました。
やはりこうきたか、と思ったのはセリアの多属性。
『熱病』のブルースピリットですからね。
スピたんでもセリアは青だけではなく赤属性まで有していまし。流石無印最強ツンデレ。
(スピたん最強ツンデレは紡ぎタン)
しかしイグニッションまで使いこなすとは。何処まで無敵に素敵になる気ですかセリアさん! 得意技を奪われたナナルゥが屋根裏からアポカリプスしないか心配です。
驚いたのは永遠と時詠の技を使った事、分身を利用した事。
天位(仮)と反則技の集合体みたいな時詠の力まで使えるなんて……何処まで無敵に素敵になる気ですかセリアさん!(しつこい)
分身はエタの基本っぽいですけど悠人は本編最終戦では使う気配すらありませんでしたから、頭からすっぽり抜け落ちてました。
あーそりゃ永遠に戦い続けるわな、と改めてエターナルになることの重さを痛感しました。
ラストがまた……。
ついほろりときてしまいました。
夢の残滓、それは砂の器のように満たされずに指の隙間をこぼれ落ちるのが宿命(さだめ)。
けれど、永遠の中で欠片を見つけることもある。かつて求め、願った理想。その欠片。
それは自分のものではないけれど。その幸せは別の『誰か』のものだけど。
……その『誰か』は『私』なのかもしれないから。胡蝶の夢の中の『私』は……そんな幸せの中にいて。だったらそれはきっと私の現(うつつ)でもある。
さて、長くなってしまいましたので。……本当はまだまだ語りたいことはあるのですが。
まずは、お疲れ様でした。
長編作品を書くことの難しさは、多少なり解るつもりです。長いスパンで作成するプロット、ちょっとした文に込めた回収しなければならない伏線、統一させるだけではなく変化する仕草や言葉使い、etcetc……
本当にお疲れ様でした。本編で、このスレで、セリアを愛するものとしてこのような作品を書いて頂けたことに最大の感謝を。
そしてこの素晴らしい作品に出会えた事をマナの導きに感謝します。
願わくば、永遠を共に歩む二人に永久(とわ)の安らぎを……
539 :
536:2006/06/11(日) 03:50:56 ID:CoW8Vg1M0
保管庫に復習に行っていたら、2時間も経ってた…。
もう一度、読み返してみても、胡蝶の様々なテーマや伏線を
消化しきれない自分に腹が立つと同時に、これからも読み返す度に
新たな喜びに出会える事に嬉しさを感じています。
上記のように、感想が纏まらない現状ではありますが、
信頼さんが胡蝶という作品をこのスレに残してくださった「素敵」なことと
その作品が私の中に「消えない感激」を与えてくださったことに感謝いたします。
話は変わりますが、Yearningの世界での他の雑魚スピ達の暮らしぶりを
読んでみたくなりますね。出てきたのはヒミカ(親友)、アセリア(妹)、エスペリア(姉)
ナナルゥ?(手芸部の友人)でしょうか。
作品のラストの夢の残滓を見た後に、Yearningを読み返すと何か物悲しい気持ちに
させられました。でも、きっと胡蝶の夢ならば、あの世界で「人」として暮らす雑魚スピ達が
ファンタズゴマリアを夢見ているのかもしれないと思っています。
取り留めのないレスになってしまいましたが、今一度、信頼の人にお疲れ様でした。
また、素晴らしい作品が紡がれることを期待しております。
>>535 大変お疲れ様でした、信頼の人さん。
なんといっていいのか、気持ちを伝えたいけど表現方法がわかりません。
ただ、あなたの描くセリアは、何処までも美しかった、いや、美しい。
正直、同じ書き手としてその技量に嫉妬を覚えざるをえません。
それは、よくない感情だとわかってはいるのですが。
でもやはり、他の誰かも先に述べたようにあなたが胡蝶を描いてくれたことを、幸せに思います。
あなたが、この作品を描いてくれたことを、心より嬉しく思います。
技量も何もかも決してあなたにおよびませんが、せめて。
せめてやはり、私なりに精一杯に描かせて返礼させてください。
決して「なにもかけない」私ではありますが。
それにしても、読んだあとに不思議と自分の未来に根拠もないのに期待したくなるのは何故でしょう。
私個人だけの、間違った思い込みでしょうか。
重ねてお疲れ様でした、ありがとうございました。
>>535 信頼様、お疲れ様っ!でした。
うーむ、「保険」をかけておくとはセリアも抜け目がありませんね。
それにしてもリアルタイムで見られなかったのが惜しい…
こんな事ならマイケル・ムアコックとかゲド戦記とかトールキンとかの
情報を漁っているんじゃなかったw
(「アセリア」世界が好きなら是非「ストームブリンガー」でぐぐって欲しい)
対エタ戦、イグニッションが来ましたか…なるほど。
やっぱりエターナルはデタラメですねっ!w
…そしてやっぱり気が付かなかった数々の伏線と結末(汗
雑談スレで私にだけヒントがあったというのに…
ああ、私の読解ってこんなもんかと思う瞬間。
しかし、このような感動を貰った以上
こちらも精一杯自分の出来る事でスレや期待を寄せて下さる人達に
少しでもそれを返せればと僭越にも思う次第です。
信頼さん、本当に有難うございました。
>>535 お疲れ様です。
彼女たちはセリアの記憶を持たないが、セリアの想いを受け継いだ。
セリアは彼女たちと分かたれたが、彼女たちの記憶を受け継いだ。
セリアのあらんかぎり、彼女たちもいきる。
それは永遠[とわ]の物語。
『胡蝶』がいつか時に埋もれても、それは何かを受け継いでいた。
未だ見ぬ住人は『胡蝶』の記憶を持たなねども、『胡蝶』の想いを受け継いで。
その者のあらんかぎり、『胡蝶』もいきる。
それは永遠[とわ]のスレ。
>>536(&
>>539)さん
あああそんな、粗探しに行かないで……ってもう逝っちゃってましたか(汗
今回構成(関連性)を敢えてぼかしているので(プロット上は整合性あるんですが、一応)
えっとセリアの自己呼称、“わたし”と“私”の違いとか、「律」の概念とか……わけわかめですねorz
Yearning の登場人物は、設定上概ねその通りです。ただ、名前出してないのにそう感じて頂けたのなら、
それは紛れも無くこのスレのネタの影響にどっぷり浸かっているとも言える訳でしてw
彼女達ももう少し見てみたい気もしたのですが、調子に乗って書いてるとうっかり学園物になりそうでしたので(汗
>>537さん
いえいえ、今調べてみたらかなり前から「王女」のままでした、ははは orz
どうも「王女」と「女王」にあまり変化のないイメージを持っているのかも。
御指摘、有難うございました。早速連絡スレにて保管庫の管理人さんに修正依頼をさせて頂きます。
>>538さん
うわわ、2K制限ぎりぎりの感想、有難うございます(ぇ
無敵に素敵ってw
分身?は同一世界でも可能なのかどうかちょっと設定上心配だったのですが、
自分で調べてみた限りそんな細かすぎる詳細どこにも説明されていなかったので思い切って使ってみました。
う、見破られていましたか>多属性
正直そんなどちらの属性もあるなんて中途半端に器用貧乏だからSHで出番が無いんだと(ヘブンズ
ラスト、そこまで読み切って頂けると大変嬉しいです。
でもOPの歌詞、そんな意味があったのかぁ(←指摘されて初めて気づいた愚か者
……ちなみに、紡ぎタンは個人的にどちらかというとクーデレだと思っております(ぇ
>>540さん
それは多分、お互い様だと思います>嫉妬
ただ、それだけじゃつまらないので、セリアみたいに Sublimation(昇華)に変えていきましょう(←ちょっと偉そう
折角自分なりの表現の場を与えられているのですから、使わにゃ損損(ぇ、みたいな感じで、肩の力抜いて。
美しい……ですか。なんかこっ恥ずかしいですけど、有難うございますw
どの辺だろう、胸倉掴む所とか浮気問い詰める所とかかなぁ(違
>>541さん
初めてアセリアプレイした時、
青なのに『熱病』などという紛らわしい神剣持ってる所でなんなんだこの娘とか思ったもんです。
そっからツン=青、デレ=赤とか勝手に決めていた節があります>イグニッション
だから、デレにならないと使えないのです(大嘘
スピたんで赤属性にLB振り分けられたり付加魔法が赤だったのには、実は一々ガッツポーズだったり(←馬鹿
『保険』といっても一度は消滅するわけですから、確信が無い以上相当覚悟がいると思うんですよね。
その辺上手く出せたら良かったのですが、出すと伏線にならないというジレンマに断念しました。
なるほど、『求め』と『誓い』になんとなく似てますねw>ストーム
>>542さん
いつも詩のような感想Thxです。
特に今回前半は、まるでヒミカのボイス入りで聞こえてきたり。
SSに限らず、ネタの精神?とかも綿々と引き継がれるスレであって欲しいと思います。
>>535 御疲れ様でした。今回は最終章だけあって、もう本当いろいろいろいろ言いたい事は山ほどあります。
ありますが、一番声を大にして言いたい事だけ言わせていただくと――
エスペリアお姉ちゃんとセリアさんは永遠に不滅です!!
この一言に尽きます(ぉ
描かれることはおそらくないだろうなぁ、と考えて勝手に妄想してた二人の別れ……
これが自分が望んでいた以上に素晴らしく描かれていて、もう言葉もありません。
エスペリアお姉ちゃんがいて、アセリアがいて、三人で過ごした騒がしい日々。
その記憶を胸に抱いているから、永劫の時も物怖じせずに歩んで行ける――
なんて夢想もありかな、と思ったりw
『胡蝶』最初から最後まで存分に堪能させて頂きました。心より感謝を。ありがとうございました。
「さてセリア、疲れたでしょう。今、お茶でも淹れますね」
「……怒ってたんじゃなかったっけ?」
「ふふっ、可笑しな事を言いますね。
『 慈 愛 』と『 若 さ 』に満ち溢れたわたくしが、怒ったりするわけ無いでしょう」
…ああ、ここで黙っていれば平和的に終わる事ができる。最後なんだし、当然そうすべきだ。が、しかし。
「いや、『 若 さ 』って単語はあなたには使われてなかったから。最初から最後まで、一切」
姉の駄目な発言を諌めるのも、妹の役目。結局、生真面目なセリアさんには、『妥協』という文字はないのである。
ブッチン(←お姉ちゃんの何かが切れる音
こうして、今日も今日とて仲良く(?)追いかけっこに興じる、
あいかわらずなエスペリアお姉ちゃんとセリアさんであった――。
………また亀レスなのがなんともorz
>>信頼の人さん
お疲れさまでした。
前回から溜め込んでしまっており、復習のため全編を再び読み返しながら、
じわじわと想いや態度を変化させていくセリアさんを楽しんでもいたのですが……
あぁ、そうかぁ、変化じゃないんだ、この気持ちの揺れは。
変わっていったのではなくて、一つ……いえ、二通りのセリアに共に流れるもの、は
ずっと変わることなく筋を通していて、それを覆っていたものが剥がれ、捲れていくのを目の当たりにしていたんだ、と最終話まで読み進めた時に考えさせられました。
それを成した面々はもう物語の中でたっぷりと活躍してくれていて、
セリアに影響を与え続けていたことが胸に迫ります。
また、セリアから彼、彼女らに与え返した影響と、
そして新しく続くように次代に与えていく影響の連鎖がある、
と確信させられる喜びを、空白の2周期の中からも受け取ることができました。
時に楽しく、時に寂しく、時に熱く、心を揺らされながら読ませていただきました。
そして最後になっても、それぞれのセリアやファンタズマゴリアの面々に対して
渦巻く思いがなかなか落ち着いてくれません。
それでも一番奥に残るものは、何度も読みたくなる物語を読むことができた喜びです。
ありがとうございました。
>>545さん
エターナルになる際の仲間達との別れというのがPC版で満足出来なかったので、
それなら自分で(いつか)書いてやるぜっ!!って感じの構想を練ること早2年。
もうそろそろ書けるかな、と思ってやってみましたが、満足して頂けたようで嬉しいです。
あと、シリーズ通してセリアとエス姉の姉妹漫才、楽しかったです。
若さ……どうしてこのスレでは何でエスには似合わないんだぜw (エレメンタルブラスト
>>546さん
ゔ、正解です。っていうか、あの性格は死んでも直りそうになさそうで(エーテルシンク
妙に生真面目で、異常に不器用で。PS2のイベントやらで頑固さを確信するにつれ、
鍍金を剥がすにはどうしたらいいかとずっと考えていました。セリア攻略(違
隠すつもりは無かったのですが、ミスディレクションみたいになってしまった様で、見つけて頂いて嬉しいです。
W杯ファンタズマゴリア代表メンバー発表
アセリア 今日子
悠人
ファーレーン ウルカ
ナナルゥ セリア
ニム エスペリア 光陰
ハリオン
控え
ヘリオン(FW) ネリー(FW) シアー(MF) ヒミカ(MF) イオ(DF) クォーリン(DF)
監督
レスティーナ
マスコット
オルファ
ファイヤーショットなら、主守備陣をふきとばせるなと思ってしまった。
550 :
名無しさん@初回限定:2006/06/13(火) 00:47:58 ID:KXlyOzag0
ハリオンさんふっとばされたー!
コウイン くんの か゛んめんブロック !!!
しかし ガッツ か゛たりない !!!
キャプツバやったことない俺は流れに乗れないぜorz
スカイラブハリケーンは誰と誰がやるんだろう・・・
>>553 フツーに考えればネリシアかと
「あらあら〜そう何度も吹っ飛ばされたらたまんないです〜」
エレメンタルブラストがあれば守備陣は守護神ハリオンだけで充分だと思った
オルファがマスコットなのは惜しいと思った
「ゴーーーール!! 前半0分、開始早々オルファリル選手のイグニッションシューーーッ!!」
つまりDFには最低一人青を置かないといけないのか
それもLv.的にアセリアかネリーじゃないと防ぎきれない恐れがあるな。
二人とも貫通力(属性)ある一発を持ってるからどちらをFWにすえるか悩むところだ。
相手DFが強力なほど威力を発揮するヘリオンのテラーTドリブル。でも勝手にこける。
進行していく試合。
そのさなか、ベンチのレスティーナ監督は書置きを残し、席を外す。
「ちょっと、ヨフアル分を少しばかり補充に」
一方その頃、観客席にふらりと一人の正体バレバレ変な髪形の断崖絶壁胸板町娘が現れた。
すました顔で腰を下ろした席のすぐ隣には、ヨーティア・リカリオン。
「…順調さ。中盤頃には充分すぎるくらいにあたたまった身体で出てこれる」
レムリアは、ヨーティアのその言葉に満足そうに頷く。
「ア○トロ球団式特訓コーチのミュラー・セフィスにリベロとして仕上げられたイオ・ホワイトですか
例の、ブリッツ・シュートとやらは会得できたようで何よりです」
そのレムリアの台詞にヨーティアは、本日777本めの酒瓶をあけながらまた別の名前を続けて告げる。
「そうそう、それからマロリガンの大統領も深緑の稲妻を…売ってくれる事で了解してくれたよ」
それを聞いたレムリアはヨーティアに軽く会釈をしてから、観客席を悠々と去っていった。
その手に、あの思い出の中が毒々しい紫の殺人コロッケ重箱五段重ね弁当をたずさえて。
そしてそんな彼女たちの様子を、遠目から仮面をつけてVer.スピたん仕様に変装する事で余計に目立ちまくりの…彼が見ていた。
「ふ…お前たちは、気高き者か?」
かつてあの時に告げた、彼自身のお気に入りリスト不動の一位の台詞(少々改ざん済み)を試合場へ向けてつぶやいた。
ヴォリュームMAX超弩級大音量のスピーカーで。
そして、ラキオス陣営の控え室では一体どんな手違いがあったのか超ミニのチアリーダー服の今日子&ナポリたん(本体のみ)が猿ぐつわ状態で全身縛られてモガモガ暴れていた…。
エターナルになった方々はさしずめ界外組といったところだろうか。
>>558 大音量スピーカーでつぶやくなよw
界外組ウルカ、必殺の天壌無窮蹴り。16連発のシュートにGK防御不能。
謎の最強チーム、チーム・ザ・エターナル出現!
鋼鉄の処女、守護神おbsnのタイムトリップファン(16回防御)!
「な、何?手前の天壌無窮蹴りを止めるとは…!」
「時間ごと加速する私には、如何なるシュートも通用しませんよ」
流れに乗って、往年の少年漫画みたいなパターンにしてしまった。
今は反省し(ry
, -‐‐- 、
/二二二\
∠ノ,ノノ^ソ从ゝ チーム・ザ・エターナルと聞いては黙っている訳にはいきませんわ
∠从リ ゚ ヮ゚ノ从ゝ _ 行きなさいメダリオ!流ドリブル100%であのカビの生えた鋼鉄を
(( /ヽ 〒 !7つ==∋) 打ち砕くのです!
人( iニノ ) ノ人  ̄
く/_|__ノ II
しかし、無敵のダブルボランチセリア&イオの前に氷つく最強エタ軍団
パッションアシスト&ネイチャーフォースシュートを止めれる者は居るのだろうか・・・
「ぐふっ!・・・見事・・強者には・・敬意を払わねば・・なるま・・い・・」
と担架に担がれるタキオスと、それを運ぶントゥ救急隊
キーパー・ントゥシトゥラ
守備はザルだが、カウンターで敵FWを負傷させる。
「あー!先制ゴールをあげたユート選手立ち上がれない!」
「キーパーとの接触でしょうかね・・・燃えてますが。」
「アーッハハハハハァ! アタシの蔦捌きは世界イチィィィィッッ!!」
ミト姐、ハンド。
触手は脚ですか腕ですか。
どっちも何も触「手」な罠。
……タキオスの触手ディフェンス想像しちまったい。
タキオスの触手じゃ年少組しか止められませんよ
キーパー・碧光陰
「今日の俺はキアイ光陰!・・・平気だよ」
マイナーネタでスマヌ。
こつ。
「では、リモドア方面の治安については当面軍による統制を待ちまして……」
こつこつ。
「続きまして、戦時における経済対策の是正の要請がラセリオから……」
こつこつこつ。
「引き続き、宮内省から老朽化が著しい王城の補修予算案を……」
こつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつこつ。
「……あの〜、王女殿下?」
「え、あ、な、なんですか?」
言われて初めて、王座を高速連打している人差し指に気がついた。
「……いえ、何でもありません。……こほん、ですからいつまでもハリボテでは我が国の威厳が……」
一瞬の気まずい空気の後、何事も無かったかのように、つまらない討論が再開される。
ふぅ、と小さく溜息を付き、引き締め直した表情で周囲を見渡してみた。
―――――― 爺、爺、爺。
しかめっ面で、どうでもいい話を延々と続けている我が国の重臣達。
ラキオスを動かしている頭脳、といえば聞こえはいいけど、つまりは中年、もしくは初老の面子ばかり。
白髪や禿げかかった頭と朝からずっと付き合わされている私の身にもなって欲しい。
どうせラキオスは専制君主国家なのだから、王族の鶴の一声で決まってしまう事項ばかりなのに、
どうしてこう年寄り(←私の中で少し進化した)というのは埒も無い長話が好きなのだろう。
私まで精神的に老け込んだらどうしてくれるのだろうか。
「……あの〜、王女殿下?」
「え、あ、そうですね。その件については、保留ということにしましょう」
ぶつぶつ呟いていると、また先程の重臣に心配そうに顔を覗きこまれた。
その件もなにも聞いてなかったのだから、保留にするしかない。後始末は留守にしている髭親爺に任せるとして。
「それよりも、ちょっと宜しいですか? 私、少々気分が優れなくて」
「な、なんと! 侍従、侍従を呼べ!」
「責任者は誰だっ! 今朝の食事を用意した奴の首を刎ねよ!!」
「……あのね」
途端、喧騒と動揺で慌しい雰囲気に包まれてしまう謁見の間。うかつに仮病も使えない。
心の底からの溜息をこぼし、こほん、と一つ咳払い。これで大抵は鎮まってしまう。
「落ち着きなさい。近衛大臣も、みだりに人の命を奪うものではありません」
「し、しかし……」
「おだまりなさい。これは命令です。私が下がった後も責任の追及は無用です、いいですね?」
「は、ははっ!」
平伏してしまう重臣その一。その媚びたニヤけ顔が見るに耐えず、無視を決め込んで颯爽と立ち上がる。
元気ではないかと言いたそうな空気が立ち込めるがこれも無視。ずっと座っていたので腰がちょっと痛かった。
少し足早に、その場を後にする。心配そうに追いかけてきた声々もひたすら無視。
こうして私はやっと老人の茶飲み話から解放された。というか、自分でした。
出てきた廊下に人影は無いのを確認し、無駄にひかれた赤絨毯の上を急ぎ足で抜ける。
宮廷作法がうんたらかんたら、口うるさい側近が居たら何を言われるか判らないが、知った事ではない。
長い毛並みに何度か足を取られそうになりながら、ようやく自室に駆け込む。アレはその内廃止にしよう。
「さて、と。ここからが問題なのよね……ええと、ふんふん」
机の引き出しの一番奥にこっそりと隠していた、一冊の少女向けファッション雑誌『Mana - Mana』。
これを入手するのにも悲喜こもごもの壮大なドラマがあったのだが、そんな事はどうでもいい。
そこに説明されている髪形をもう一度確かめながら、正装の鬱陶しい冠を取り外す。
もう、時間が無い。
朝方寝起きに、最早日課となっている窓の外の観察を行なっていると、ようやくそれらしき動きが見えた。
ふらふらと一人で王城の門を抜けていく後姿から、間違いない。あれは絶対高台に向かっている。
予想通りだとそろそろお腹が空いてきている頃なので、ヨフアルの店で列に並んでいるといった所か。
「ええと……ええと」
まずは頭からしか抜けないドレスを引っぺがし、適当にベッドの上へと放り出す。
隣に準備しておいたワンピースを手に取りながら、靴も脱ぎ捨てた。
「へへ。割とすーすーして気持ちいいのよね、これ。露出が多いのが多少気になるけど……」
街娘は皆、このような格好で恥ずかしくはないのだろうか。
でもスピリットのみんなも同じような服で戦ってるんだから、案外これが普通なのかもしれない。
見られる快感ってやつ? あ、そういえば初めてこの姿で会った(衝突した)時、なんだかドキドキしたっけ。
そんな事を思い出しながら、くるくるとその場で回ってみた。
ふわりと浮くスカートから、太腿がギリギリまで見えてしまう。側近が見たら、卒倒してしまうだろう。
さて、肝心なのは、ここから。胸のリボンを丁寧に束ねながら考える。
前回は、深く考えずに試してみたら、上手くいった。やっぱり今回もコレでいくべきだろうか。
ちょっと粗末にしているようで、胸が痛む。でも他に、代用が利くものも思い当たらないし。
「……え〜いっ! どうせもう、食べられないんだしっ!」
どさどさどさ。
ベッドに備え付けられた天蓋を揺らすと、そこから落ちてくるのは大量のヨフアル、ヨフアル。
急に食べたくなった時の用心としてへそくりにしておいたものだが、加速する買い溜めに、次々と賞味期限が切れてしまった。
古くなって固い食感も堪らないんだけど、食べると三日は腹痛と嘔吐が続いてしまう罠。素人には全くお薦めできない。
一度国が滅亡するんじゃないかって勢いで周囲が悩乱し、国政が停滞してしまったことまである。
あの時はお腹も痛かったけど、周りの視線も痛かった。
ヨフアル王女などと妙な渾名まで影で言われ、情報部総出でその粛清に走ったりもしたっけ。若かったなぁ。
「……って、そんな綺麗な想い出に耽ってる場合じゃなかった。今日は……これと、これね」
手頃な大きさのものを二つ見繕い、片方を机の上に置く。そしてもう一個を髪の片側に。
「これが無いとどうしても安定感がね……ん、完璧」
そうしてもう一個を芯に、束ねた逆側の髪も巻き上げて、完成。窓に映った髪形を確認して、
「うん。立派なお団子頭♪」
例えば孤島で遭難とかした時なんかの超非常食も兼ねた、我ながらの名案。
二個あるから二人で分け合ったりして、それって正に“運命”だよね!
「さて、そろそろ本気で急がないと。それこそ“運命”に間に合わなくなっちゃう」
用意していた鉤を取り出し、窓に引っ掛け、その先のロープを伝って外に出る。
ナナルゥ直伝の技は、衛兵達の目を誤魔化すための必須項目。今では30秒で地上に降りられる。
裏庭の芝生に降りて、深呼吸。清々しい青空が目に眩しい。今日も、湖、綺麗だろうなぁ。
おまけ
「本当に夢のような日々だった……飾らない自分でいることもできたしね」
「レムリア……? なに言ってるんだよ。早く逃げないと」
「ううん。私は逃げちゃだめなんだよ…………私だけは……逃げちゃ、だめなの」
シュル。どさどさ。
「………………」
「………………」
「――――レスティーナ?!」
「ユートくん、ごめんね。私……嘘つきなんだ。ごめん……本当に、ごめんね」
「そんなことよりこれ……ヨフアルだったのか? そんな……そんなことって」
「あははは……すぐばれるかなって思ったんだけど、ユートくんって鈍いから」
「いや、鈍いとかじゃなくて。確かに偏執的な所はあったけど、さすがにここまでとは」
「でも、他のみんなだって同じだよね。私、ただ髪形変えただけだったのに」
「そ、そうか。みんなも同じなのか」
「結局、本当の私なんて誰も知らないから……私自身も含めて、ね」
「どっちが……本当なんだ?」
「わからないよ。もう、どっちが本当の私なのか……」
「……うん、俺もよくわからなくなってきたよ」
ふるふると自虐的に首を振り続けるレムリアと転がるヨフアルを前に、
こんなのに忠誠を誓っても俺は本当に大丈夫なのだろうか、などとドン引き気味の悠人だったorz
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ダレモイナイ……ネタオトスナライマノウチ……
|とl)
>>577 ダレモイナイ……ダレモイナイケド……
吹きました。
よりによってそんなオチですかw
こっそり投下乙でした。
>>577 ちょwwwヨフアルさん、粛清ってあんたw
2レス前で重臣に言った台詞はなんだったんですかw
今回もワラわせていただきました。
>王座を高速連打している人差し指に気がついた。
王女殿下に申し上げます!
コントロールキーに錘を置くのがよいと思われますッ!
>577
あの中身はそんなんだったのか?! 胸にも適用してくださいませ。
無人島で二人きりのロマンチックな夜(遭難)。生暖かなヨフアルをユートくんに身を切るように渡す、
ヨフアルレディなレスティーナはジャムおじさんWANTEDでツルペタは荒野を目指す。
>胡蝶 今頃読んだのでレス。
ウースィ セム ヨテト(あなたとわたし)
雑魚寝な雑魚年少組――何か暖かそうです。ミツバチにくるまれたスズメバチになりたいくらい(ぉ
エスとアセリアとの別離――良かったです。アセリアがらしくて。
メダリオさん――もう何であんたは口だけなの! つーか双剣ならダブル属性はメダリオこそがやるべき。煮魚とか焼き魚とか刺身とかフナ鮨くさやとか(氏
ユートくん――見せ場なしw 瞬まで持ってかれて。セリア専用やる気ジェネレーターでした。
『熱病』――暑さ寒さも永遠まで。強い。クリティカルツンデレ 1/1 HP効果120%。会話が見たかったかも。オリ上位神剣の表し方も色々出てきたもんだなあ。
蝶――中原中也だったかな……蝶が河原で…な詩があったのですがそれを思い出しました。
さらさらと、さらさらと流れて、目に見えるモノは消え去っていったけれど、ひとつ世界のせせらぎに落とした彼女たちの影は、
姿を変えて時の流れを越えていくのでしょう。
そして、戦いに赴く前に残したセリアの分身のように、彼女自身知らない何処かで枝分かれした、
別の泡世界のもう一人の少女が、夕日差す教室の扉をスゥッと閉め……ありがとう さようなら みんなみんな う、何かぐっとっきた。
ホントにお疲れ様でした。セリア長編、回を追うごとに洗練されていくのに脱ナポしています。
凝りに凝った作りにエス姉さんが肩凝り腰張りで、オルファに足踏みマッサージ(チャキン
しっかりと収束しながら、やはり無限の広がりを持つお話が、胡蝶となって∞のメビウスの輪。輪郭の無い表と、表。
なるかなの分岐世界なんざあっさり霞んでマナの霧でした(分岐の意味が違うだろうけど)
演劇は、やはり全編聖ヨト語で……同時翻訳弁士いいんちょの親友。
>>578さん
うぃ、そんなオチなので、ダレモイナイうちに(汗
>>579さん
それはそれ、これはこれ。たまには我が侭王女w
>>580さん
それではうっかり自分のイベントも飛んでしまう可能性がw
>>581さん
胸にも適用するとグラフィックと矛盾が(ファイアボール
メダリオ、それ全部共食いw>胡蝶
悠人や他のエターナルも、PS2イベント以降、どんどん意識して影薄くしてました。
あくまでセリア主観の補完を意識して。『熱病』との会話ですか…う〜ん。まだ設定上赤ん坊ですから。
全編聖ヨト演劇はちょっと見てみたいですね。2週目から日本語も選択出来るようなやつでw
ラーメンおいしいよラーメン
_ ._____ .____ ____ ____ ___ _____ ____ ____ __
∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
_ , ヘ , ヘ _ _ ,ヘ
, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ '´ ⌒ヽ '´ ヘ ヘヾ ' ` ^ヽ '´ ⌒ヽ 〃 ' ^^ヾ 〃 ' ヘ ヘヽ '´ ⌒ヽ 〃/::::|ヽ
( リ〈 !ノルリ〉)) ! l」」ルl」」 ノ〈从ハ从〉 ノ ル从ルリゝ ハ」」」l」」〉 i ハ从从リ ノi ミ从l~iルソ ! ソノノ~))) ∠ <====ゝ
ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( i !ゝ゚ -゚ノゝ 从ヲ´ヮ`ノヲ 从リ゚ ー゚从 ヾゝ゚ ヮ゚ノゝノノゞリ゚ ヮ゚从(((ヾ(i|゚ -゚ノi| く人リ゚ ー゚ノiゝんヘi」゚ -゚ノ」
(つ=|||| つ_ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ (つ=|||| つ
 ̄ ̄\≠/  ̄\≠/ ̄ ̄ \≠/ ̄ ̄\≠/ ̄ ̄\≠/ ̄ ̄\≠/  ̄\≠/ ̄ ̄ \≠/ ̄ ̄\≠/ ̄ ̄
 ̄ . ̄ . ̄ . ̄  ̄  ̄ . ̄ /´ハ``゛>. ̄ . ̄ ゜ー゜
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\ \ 〈ハハヽヾ゛ミ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ \. . \ | ゚- ゚; ゞ)゙  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ \ .\ =⊂__ .⊂)〜 なんで俺だけコーナーなんだ
もしファンタズマゴリアにラーメンがあったら . \ \  ̄ ̄\≠/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
青塩ラーメンとか赤塩ラーメンとか \ .\ . .  ̄
みんなどんなのが好みなんだろ .....\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ロティの存在にしばらく気付かなかったw
ナナルゥは鼻から食べてくれそうな気がする
コウインかユートかとオモタ、コーナーの人。
ロティって一人称俺だっけ?いつの間にか俺の脳内では僕になってたよ。
いやコーナーにいるのは悠人でしょ。
>>587 え?じゃあ
>>584のロティ発言はなんなのさ。
・・・と思いつつ改めて見直して噴いたw
ロティ・・・君は今ナナルゥを越えた。ある意味。
こうしてみるとクォリティ高いよなw>ロティAA
ところで抱きまくらの投票済んだ?
スピの誰かになるとは思うんだけど、
第一、第二詰め所と人数多いから、票がバラけて純米にまくられる危険も…
>588
|
ぱくっ|
/V\
/◎__ヽ
レ'´
_ l ゜ー゜ 釣り乙wwwwww ってまじかよ。
ヽツ. l リ:::::::.::::.:..|
ヾソ::::::::::::::::.:ノ
` ー '" '
999の車掌さんみたいw
>>590 スピの誰かになるかどうかは判らんが、
あれだけ細分化すると同率首位が何人も現れそうな危険は感じる。
会員が一体何人いるのかは知らんが期間も短いし思い切った予選だ。投票したけど。
>>591 ________
|=====|
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <呼びましたか?
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
>>591 そういや999の車掌なんだよな
それがスピたんに出てくるとは…世の中わかんないもんだぜ
>592
それはまさかメーテルのつもりっ!?
銀河鉄道のパスを手に入れるためには誘いの巫女との儀式が……
次は〜惑星プラズマ〜、ントゥ惑星プラズマ〜、硫酸の雨と硫黄にご注意下さい〜
今日はチチの比
オルファは何をあげるのだろう
>>590 スピになるとは限らなくね?出来レースなら話は別だが。
ザウスファンはアセリアファンだけじゃない品。
フロラリなんかは強敵なんじゃないかと。
・・・ま、シャーリー最萌えの俺は負け組確定。
600 :
花のセリア:2006/06/18(日) 18:06:27 ID:0o24dou90
宿敵サルドバルドを制し、北方五国の主となったラキオス王との謁見に臨むセリア。
しかし、ここで己の信念を重んじツンデレを通せば死を与えられるは必定。
負け戦を勝ってこそ真のいくさ人と信じるセリアの行方はいかに!?
「セリア・ブルースピリット殿、お目見えに参上なされました!」
(さーて、何が出てくるやら)
現れたのはポニーテールを思い切り片寄せたセリアであった。
そのためか、まるで顔が引きつったような錯覚を起こさせていた。
(ん?)
(思ったほどではないな。 当代一のツンデレと聞いていたが、これでは姿形のこけ脅しではないか)
そんな王や重鎮達の胸中を知ってか知らずか、セリアは挨拶も礼もせずそのままずかずかと歩き始めた。
「貴様、王の御前であるぞ!」
激昂する重鎮には目もくれず、そのまま王の前まで突き進んだセリアはそこで動きを止める。
そして、頭だけを真横に向けるとそのまま無言で平伏した。
「「「「!!!!?」」」」
この時、初めて全員がこのポニテの意味を理解した。
見事なまでのツンぶりだった。
確かにポニテは王に正対している。
頭を見る限り、セリアは王に平伏して見えるのである。
だが、顔は横を向いている。
つまり、セリアは王に頭を下げることを平然と拒否したのだ!
続かない。
花の慶次読んでたら急にこんなネタが降りてきた。
多分湿気のせい。
そだ |------、`⌒ー--、
れが |ハ{{ }} )))ヽ、l l ハ
が |、{ ハリノノノノノノ)、 l l
い |ヽヽー、彡彡ノノノ} に
い |ヾヾヾヾヾヽ彡彡} や
!! /:.:.:.ヾヾヾヾヽ彡彡} l っ
\__/{ l ii | l|} ハ、ヾ} ミ彡ト
彡シ ,ェ、、、ヾ{{ヽ} l|l ィェ=リ、シ} |l
lミ{ ゙イシモ'テ、ミヽ}シィ=ラ'ァ、 }ミ}} l
ヾミ  ̄~'ィ''': |゙:ー. ̄ lノ/l | |
ヾヾ " : : !、 ` lイノ l| |
>l゙、 ー、,'ソ /.|}、 l| |
:.lヽ ヽ ー_ ‐-‐ァ' /::ノl ト、
:.:.:.:\ヽ 二" /::// /:.:.l:.:.
:.:.:.:.:.::ヽ:\ /::://:.:,':.:..:l:.:.
米国の海兵隊に入隊すればエターナルになれるらしいよ。
/:.:.:.:.:/:.:.:'"~ ヽ:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.',
|-ー':.:.:.:.:.:ヽ _ノ:.:.:.:.:.:.:.:`ー-:.:.:!
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
l--ー― ''''''""""````'''''' ―ー-l
__,,,, -―''''''"" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` ''';;;;―- ,,,,__
, ''":.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,, -ー=ニニ;, ""i!r=ニニ==''ー-、:.:.:.:.:.:.:.:.:.゛` 、
(:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ'i;;;| ;=ニ( )ヽノi ミ{;<( )ニ=、 |;;;il/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:_ノ
``''' ―ー- ;;_:i`! /` - '", ';;; ⌒ ;;;`,;;`''' ヾ l,'"`;―ー '''"´
l | /i ;;ハ ` ノ l.ソ .l
.| l. ./`-=、_,=-ノ、 i !/ .,' 貴様、
!.' , i! l ! ゙i! l! .,' / 俺の海兵隊をどうするつもりだ!
`-ゝ i! ;,'"⌒゛ヽ,; .i! .,' ‐"
', i! (~i ̄ ̄i~! .| ./
,,-―、 /:..l .l! |! ',t--ーt/ i! / ,'
/i :::', ,./:.:.:.', ',', ` -ー' . ノ .,' /,,,__
ノ.i ', :::! '゙:.:.:.:.:.:.ヽヽ `''''''" / ,' ',`-ヽ二二ニ'' ー-、
__,,,.! .ヽゝ ,,,_:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` \.、 __ノ./ ',:.:.:.:\:.:.:.:.:.: ̄ ̄` 、
, '":.:.:/ ;; ::::|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ニ二ニ- '"ヽ、 ',:.:.◎:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
だよもん星人にさらわれてもエターナルになれるよ
===エターナル急募☆!!===
全額能力給 / 経歴不問・初心者大歓迎 / 服装自由 / 職場多数アリ
誰にでも出来るカンタンなお仕事です。
手続きも簡単、明るい戦場が貴方を待ってます。
スキルアップを頼れる先輩達が優しくフォローしてくれますよ♪
面接地:時の迷宮(入社儀式アリ)
職場のコメント:『永遠はあるよ』
職場のコメント:『パンの耳を揚げて砂糖をまぶしたものも、なかなかに美味です』
職場のコメント:『ンギュルギュルリ』
職場のコメント:『超くーる!』
どうやら『来る』とかけてるみたいですね
迫り来るコーナー、せばまる視界
加速を止め、慣性にまかせて減速。路面状況からこの位置からでは見えないコーナーの出口の状態を予測し車体を移動させる
そして、瞬時に組み立てられた走行ラインに乗せるとアウト側に寄せた車体の上で体を半分内側に移動させ、インに入る
―――予想通り!
路面から読み取った情報は様々な人が走った跡、すなわちベストラインへの道標!
このままのラインを維持し、アウトに振れば全開でコーナーを脱出出来る!
しかし、そのラインは後方から走ってきたライダーによって瞬時に潰された!
彼は認識した瞬間に速度とラインを調整すると後方から追い抜いたライダーの後ろに付き、コーナーを脱出、スリップについたまま次のコーナー出口で追い抜くためのラインに乗った
「どう?ここが名物のシエラレース場だよ♪」
偶然出会ったエターナルが連れてきた場所に一同は驚いた
今、目の前を走っているのは過去に戦ったエターナルを彷彿させる生き物達だったのだから
ツーリング先で休憩中に書きました。後悔はしていない
SS…書く暇ないよ〜(⊃д;)
久しぶりな無名でした
誤→シエラ
正→シトラ
久しぶりなんでミスった^_^;
>>610-612 ,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ __ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___ !ik(i|゚ ヮ゚ハ \\_\ < きたきたきたぁー!!
[Nelie // ___⊃ ─) へ ̄ ヘ \_________
−=≡ \二人 |//ニ \_| |__)
−=≡ ヘ_ / ) ノ/_/ ロ= / ̄=フ
−=≡ γ\\(__) Spi-eku / | |⌒\
−=≡ ( ([\_/ ̄\ ─ / \| |へ_|
−=≡ \_ハ_____\_|( (*) )
\__ノ
こうですか?!わかりません!
レース場の主はユーフィ on ントゥシトゥラ。
路面に焼き付けられた走行跡は乗り手と奇体との信頼の証……
ハリオンは怒っていた。必ずやあの那智暴虐な王を取り除かねば……もとい。
とにかくハリオンは怒っていた。
それはもう、怒っていた。
例えていうなら時々怒ってみせるのが活火山の小規模噴火(煙だけのヤツ)なら、今の怒りは幻の富士山大噴火クラス。
「まったくもう、どうしてなんですか〜!」
彼女が怒っている理由は、とある魔法についてだ。
HP効果100のエレブラも相当にアレだが、何より納得のいかないことが、
「どうしてエスペリアが覚えられるのに私はリヴァイブ覚えられないんですか?!」
Lv99まであげたのに。
一体SHを何周したと思っているのだ?!
処刑を一切せずにオール99にするためには、オール60の状態からSHだけで7週前後は必要なのに!ノーマルから合わせたら十五週じゃきかないというのに!!
「納得いきません!」
プリプリ怒るハリオンにナナルゥが声をかける。
「ハリオン、簡単なことです」
「どうしてなんですか?ナナルゥ」
「リヴァイブは純粋な心を持ったグリーンスピリットにしか使うことが出来ないと聞いています」
「ええ、そうですよ。私が使えないのは、もう大人になって純粋な心を忘れてしまったからだと諦めもつきます。
でもエスペリアが使えるのに私が使えないだなんて、それは納得できません!」
言外、彼女の方がヨゴレじゃないか、と言っているのだが、ナナルゥはそんなこと気にせずに、
「いいえ、エスペリアは純粋です」
「どこかですか?!」
「純粋に汚れきっているのです」
「……なるほどぉ」
「そんな酷なことはないでしょう」
「そうやって人気取りに走るところが、汚れてる所以じゃあないのか?」
唐突に現れ、流れをぶった切り投下してみる。
そしてそのまま去る。
>617
ベジータがスーパーサイヤ人になれる理由みたいだwGJ
訂正
「どこかですか?!」→「どこがですか?!」
>>617 ワラタw
次はろくな回復魔法を覚えられないニムントールでヨロ。
このスレを読みふけってたら
途中にゼットンが居てフイタwww
☆☆☆ エターナル労働組合結成のお知らせ ☆☆☆
ファンタズマゴリアでのマナ争奪戦も無事終了しましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、この度我がロウエターナル陣営では、労働組合というものを組織する事となりました。
「法」の名を冠しながら遅すぎる結成とは思いますが、陣営の垣根を越えて同じエターナルとして、
昨今看破するべからざる上司への不満や待遇について、胸襟を開いての会合を用意致しました。
御都合を御考慮の上、なにとぞ積極的な御参加の程、お待ちしております。
尚、『運命』の所有者には御内密に願います。組合どころの騒ぎじゃ無くなりますので。
from 『流転』のメダリオ to 『悠久』のユーフォーリア殿
ユーフォリアの51%はファーレーンの覆面で出来ています
ユーフォリアの32%はントゥシトラたんで出来ています
ユーフォリアの8%は戦闘シーンは腹ボテなテムオリンで出来ています
ユーフォリアの5%はエーテルコンバータで出来ています
ユーフォリアの4%はハクゥテで出来ています
だそうだ。
>>358-360 かなり遅レスだが
「偉大なる十三本……『聖賢』を含む第二位と第三位の中で特に力が強い剣のこと」
って、久々に起動したら聖賢がそう言ってた。どうやら第一位以上は関係ないらしい。
>>625 その聖賢の台詞だけで考えると第一位が無いのは説明できるが
第3位が選ばれる理由がわからんな。
神剣だけの単純な力比べだと位階の差は覆せないみたいだし。
特に上位になればなるほど位階ごとの差が開くらしいしな。
>>626 属性とかも関係するんじゃ?
タキオスの「無我」は第三位だが、「聖賢」の対になる神剣で、第二位に匹敵するなんて話もあったような…
無我や永遠が強いのは使い手との相性ゆえなんじゃないかな、多分。
ユートは聖賢の力をほとんど引き出せてないみたいだし。
なぜだれも
>>622の
ファンタズマゴリアのマナ争奪戦にユーフィーが居たことに突っ込まないのか
そしてユーフィーの存在をメダリオが知っていることに違和感がないのか
とおもったらユーフォリアじゃなくてユーフォーリアだったんだな
まだまだ名前さえ出てない神剣使いがいるんだな、と思ったある梅雨の日
しんとした食堂に、耳奥に染みこむような音がやさしく響く。
しとしとと降りしきる雨。久方ぶりの天の恵み。草木の色は水気を濃くしていく。
遥か空から落ちてきた滴が食堂の大きな窓を微かに叩く。
すっかり冷めてしまったお茶を右に置いて、セリアは窓際のテーブルに突っ伏していた。
何もする気が起きない。つくのは深い溜息。
組んだ両腕の上に左の頬を乗せて、ほつれた鬢が一本右頬にくすぐったい。けれども髪を払うのさえ面倒に思える。
ホーコの月の、ぽっかりと空いた午後。
微睡みを誘う雨音に弛緩した瞳には、庭木の新緑が無性に華やいで見えた。
遠く、喧噪が聞こえる。二階ではしゃぐ小さい娘達と、微かに轟く遠雷。
気だるさが体を支配して、なんとなく髪を結ったひもを弛めようかと手を伸ばした。
けど、やめた。
「セリアさん」
ガタッ!
余りに驚いたため椅子が大きな音を立てた。正直なところ、不覚。全くもって気付かなかった。
まだ3分の1ほど入ったままの木製カップの方はなんとか無事だった。
たるんだ神経の方はまだ2分の1程度寝てるのを無理矢理たたき起こし、いつもの表面張力を取り戻して返事をする。
「な、なんですか、あ、あ、え、とカオリさま」
あまり戻っていない。
「あ、ごめんなさい。驚かせちゃいました?」
目の前には佳織。恐縮顔だ。いつものナポリタンは被っていない。
そのことに何故かちょっとホッとするものを感じつつ、しかしやや赤面しつつ。
「いえ……その恥ずかしいところを……」
「あはは、そんなことないですよ」
両の手をヒラヒラさせて、佳織はあわててフォローしてくれる。だらけて気の抜けたところを見られたのはセリアの沽券に関わるけれど、
相手が佳織ならば、一歩譲って、まあいいかと言う気になる。
軽くウエーブの掛かった赤い髪を垂らしている佳織を、椅子に座ったセリアは見上げる形となる。
年の頃は……おそらくヘリオンくらいだろうか。ハッキリと聞いたことはないけれど。
大きな瞳が純粋さを感じさせる。やや頭が縦長な気もするけど……人を疑うことを知らない真っ正直な人柄は、エスペリアやレスティーナ女王からも聞き及んでいる。
正直あの兄には似ていない。というか似なくて良かったと思う。
そんな酷いことを考えているセリアの隣りに、「ここいいですか?」と聞いてから佳織が座った。
手にはポット。重そうにしてテーブルに置いた。
「あの、寝てるのかと思っちゃいました」
「いえ、寝ていたわけでは……ありません」
一応本当のことだ。間違ってはいない。あと数分で陥落していたかも知れないが。
「それで、なにか?」
自分でも、どうにも冷たい言葉だとは分かっているけれど、ついこんな突き放した言葉遣いをしてしまう。
――――でも、しょうがないじゃない。
言ってから後悔して、胸の中ではいつもの言い訳。それでも、昔と比べれば変わった気がする。
自分で自分を分析しても、良い方に判断して楽観するのは苦手だけれど。一応、他からの評価は有ったには有ったけど評者はアセリア。
「ん、丸くなった」
……これはだめだ。
こんな当てどない思考に気付くわけもない佳織は、いつものくしゃっとしたはにかみ顔で言う。
「お茶……取りに来たんです。そしたらセリアさんがいたんで、寝てると風邪ひいちゃうし……あ、お茶どうですか?」
白い陶器製のポットを押しだし、言葉が繋がらないのを誤魔化したのだろうか。
とはいえ、言葉が続かないのはセリアの方も同じ。胸中で困ったな、と思いながらも、冷めたお茶を一息に飲み干すと、そのままカップを差し出した。
「ありがとうございます」
セリアにとっては普通に出た言葉だけれど、佳織は、自らの分を別なカップに注いでから不思議なことを言う。
「あの……その私がこんなこと言うと怒っちゃうかも知れませんけど……私なんかに敬語というか、
丁寧に話さないで欲しいんです。ネリーやシアーを相手にするようにお話して欲しいんです」
「それは……」
戸惑い。別に……困った申し出ではないけれど、やはり佳織は佳織だ。エトランジェ。
「だめですか?」
――――線を引いているのは私の方なの?
不意に浮かんだ思いは、突如強くなった雨脚にかき消されてしまった。煎れたばかりの熱いお茶でも、
仄かな温もりだけを伝わす木製のカップを両手で包んで、揺れる水面を見詰めた。
「それは……努力してみます。だけどあまり期待しないで」
悠人相手なら、睨め付けて話しを強制終了も可能だけど。この優しさが強すぎる子には出来そうもない。
自分は好意という物が苦手なのかも知れない。自己分析が過ぎるのも考え物ね、とセリアは独りごちて佳織を見る。
佳織は、にこりと微笑んで、「はい。セリアさんですから大丈夫です」とほんの軽く言った。
なんだか、彼女の赤心を、自分の腹中にポンと置かれてしまった気がしてしまう。
心の武装をあっさり通過されてしまった事にこみ上げる苦笑。隠すように、顔を再び窓に向けた。
琥珀色の香りを鼻で楽しんでから一口飲む。
「……おいしい」
「ありがとうございます」
世辞ではなくて、本当においしかった。蘊蓄を傾けられるほどお茶に気を掛けて来たわけではないので、うまく言えないけれど、
ハリオンやヒミカのお茶とはまた違う新鮮な味わいだった。
一時の静穏。
それからしばらく、ふたりで雨模様を眺めていた。
相変わらず、降る。
昼前から降り出した雨は、ラキオスの薄い四季の移ろいを感じさせてくれる。ずっと日照りが続いていた大地には、良いお湿りだろう。
「降りますね」
「ええ、そうね。比較的乾燥したラキオスですけど、ホーコの月は毎年こんな物、です」
なんだか滅裂な言い方に、つい下唇を噛む。馴れないことはするものじゃない、と思う。
ホーコの月とは、この世界での六月の事。
年較差の少ない温暖な気候のラキオスといえども些少の変化は存在する。そしてホーコの月は、雨季と言うほどではないけれど、
他月に比べれば雨の多い月となっていた。
「ブルースピリットである私にとっては、この月は調子が良すぎて逆に空回りしてしまうわ。ネリー達はどうということもないでしょうけどね」
未だうるさい二階への諫言であるが、佳織は誤魔かし笑いで受け流す。
「ホーコの月か……ハイ・ペリアの言葉では“ろくがつ”って言うんです。あ、そうだ……そう言えばハイ・ペリアにはこんな言い伝えがあります」
小さな笑顔を見せて、セリアを見る。お茶を口に含んで一呼吸。セリアもそれに倣う。
アセリアほどでは無いけれど、セリアだって人並みにハイ・ペリアへの感心がある。もっとも悠人にどうこう聞くなど出来ようはずもなく、
かといって佳織とは接点がなさ過ぎた。今日はたまたま佳織がオルファともども第二詰所へ遊びに来ていたため、
今のような形となって並んで椅子に座っているけれど。かといって、セリアは積極的に佳織に話しかける気など無かったのだが。
支援しときます
「六月、ホーコの月は……ハイ・ペリアにある別の言語で、ジューンと言うんです」
「ジューン……ね」
微妙に、聖ヨト語の単語に響きが似ている気がする。
「はい。これには由来があって、昔信じられていた女神様の名前なんです。ユノとか、ジュノーって呼ぶのが本来みたいですけど。
でもですね、女神様はとても嫉妬深い人なんです。夫の浮気相手に色々酷いことしちゃうんですけど……実は……」
「実は……何?」
いつの間にか体を佳織の方に傾けている。ポットのお茶を佳織と自分の分に注ぎ足す。
外の雨脚は弱くなってきていた。やや空が明るい。そういえば、ユートはまだ城で会議中だろうか。
「えーと、実は女神様は結婚の守護者だったんです」
「け、結婚?」
思わずどもった。今、ちょうど脳裏に浮かんでいたユートの姿。それが先日、街中を巡回中に偶然見た結婚式の新郎の正装に変わろうとした……慌ててかき消す。
「はい。結婚の守護者だから、夫の浮気が許せなかったのもしょうがないですよね」
ひが目なのか、微かに笑われた気がする。なんだか居心地が悪い。
「ふ、ふーん。そうね、守護者ならしょ、しょうがないわ。サードガラハムみたいなものね」
気持ちをお茶に逃がして、ズズッとすすった。
「だから六月は、ジューン・ブライドって言って、この月に結婚式を挙げれば、花嫁は幸せになれると言われてます。女神様の祝福を受けてるって事で。
あ、ブライドは花嫁のことです。一種の縁起担ぎですけど、でもやっぱり、私もこういうの憧れちゃいます。それにハイ・ペリアの六月も、
今みたいに雨が多くなる時期なんですよ。それで、えと、友達に小鳥って子がいて、その子はこういう話しが大好きで……」
女の子らしい無邪気な、そしてやや取り留めのない話し。しかし小鳥の名を出したとたん、佳織の声が湿っぽくなったのが感じ取れた。
「セリアさんは、こういうのどう思いますか?」
「ど、どうって……」
聞かれても困る。そもそも考えたこともない、はず。巡回の時、隣にいたのは誰だったのかは思い出してはいけないのだ。
「私は、夢です。叶うと良いなあってくらいの」
「そ、そう夢ね」
佳織の横顔がほんの僅かに翳った事にセリアは気付かない。正直こういう話しは苦手なのだ。
「叶うと良いわね」
「はいっ」
意外にも逡巡無しの佳織の返事に少し驚く。少し赤い頬。
なんだか押され気味な気分で苦し紛れに先日の記憶を披露してみる。
「あーえーと先日、ね。街中で結婚式を見かけたわ。綺麗な女の人が正装の男の人に手を引かれて、たくさんの人に祝福されてました」
「うわあ、そうなんですか! 見てみたかったなー凄いんだろうなー綺麗なんだろーなー」
佳織は、無邪気にもまだ見ぬ光景を思い描こうとしていたものの、意外にあっさりと鉾先を変えてセリアに再び話を振る。
「そういえば、さっきセリアさん言ってましたよね。ホーコの月はブルースピリットの調子が良くなるって」
「ええ」
「それって、セリアさんと六月の相性が良いって事だから、もしかしてセリアさんも良いお嫁さんになれるかも知れませんね」
ニッコリ笑って夢見る瞳で爆弾発言。セリア即効性麻痺。戦闘前の緊張など比べるべくもない激しい動悸息切れ不整脈。
「な、なななにをば、馬鹿な事を言ってるの全然関係ない」
「ん〜〜そうかなあ? でもセリアさんだったら凄く綺麗だと思いますよ。料理だってうまいし。見てみたいなー」
小首をかしげる佳織。悪意など欠片もない天然なのだろうが、だからこそたちが悪い。佳織も女の子。乙女チックに語りたくなる日もあるとはいえ。
「わ、私は」
「そういえば、以前、お兄ちゃんとお話ししたことあったんです。お兄ちゃんが、ラキオスでお嫁さんをもらうなら誰が良いかって。そうしたらお兄ちゃん」
「〜〜っ!?」
――――なにをカオリさまはっ、ユ、ユートさまがどんな答えを返そうとも、私には関係ない。きょ興味なんか。
どうせ、エスペリア辺りに鼻の下伸ばしてるに決まってる。本性も知らないでホントに馬鹿なんだから。
あんな、頼りない人にはもっとこう……いつも冷静沈着で厳とした、自己分析に長けていて必要以上に感情移入せずそういう……、
ど、どうでもいいけど、ホントにどうでもいいけど、一応聞いてやっても。
支援
「そ」――――ドタドタドタ。
ちょうどその時、二階から足音3つ。食堂の扉を元気よく押し開けて、飛び込んできたのは青青赤。
スピリット1ユニットは、あっさり目標を発見し、口々に姦しくしゃべりまくる。
「カオリさま遅ーい」
「カオリさま特製お茶まだなの〜?」
「あ、セリアお姉ちゃんとお話ししてたんだ? でもほらカオリ早く行こっ」
セリアのことなど眼中にない3人娘は、佳織をあっさり引っ立てて、連れて行こうとせかす。
「テク! テク! 何でも迅速じゃないといい女になれないよー」
遅刻常習者の言葉も、セリアのややハイ・ペリアに片足突っ込んだ意識にはうまく認識されていない。いやこの場合バルガ・ロアーだろうか?
どちらでもいい気もする。とにかく逸る心に急ブレーキ。
3匹のお邪魔虫は、セリアにくーるな冷や水を浴びせて未来の小じoーとをテク テク テイクアウト寸前なのだ。目の前で跳梁しているというのに、
それを阻止するのは戦況が許さない。セリアのステータスはバニッシュ状態。
「あ、ごめんね。あのそれじゃセリアさんごめんなさい。私行きますね」
「……え、あ、うん、そ、そうね」
求める限り答えは逃げていく。それが定めのように。
とにもかくにも機は去った。半分は軽くなったポットを手に辞去する佳織へ、生返事を返したセリアの眼前からあっさりと。
ドタドタドタドタ。
二階への足音四つ。
うなり声を発しながら立ち上がったセリアは、食堂の木製扉に今現在のマインドにマッチしたスキルを叩きつけた。
バン、と音を立てて開いた可哀想な扉の先には、
「うぉっ!!? な何だセリア?」
いつもの針金髪を雨だれにしんなりさせて、驚きに目を見開いている隊長ユートの姿があった。
一瞬わき上がる当惑と謝罪の気持ち。
「あ、ご、ごめ……」
それを上回る羞恥といつもの気位。
「…………ふ、ふん。これで勝ったと思わないで!!」
くるりと豹変するセリアの表情と意味不明な言葉に目を白黒させるユートをほったらかして、セリアは玄関口へ疾く歩いていった。
苛つく。八つ当たりなのは気が付いているけど、やはり面白くない。雨で頭を冷やそう。
「お嫁さん」などセリアには戯れに過ぎないのだ。有りもしない未来だとも分かっている。
大体あんなヘタレ隊長とどうこうしようなどという物好きがそうそういるわけがない。なにより選択権はユートにだけ有るのではないのだから。
歩きながら、何故か思い出すのは、あの時見た青空の下の結婚式。花嫁の、太陽いっぱいの笑顔。祝福する人間達。隣にいたユートのごく当たり前の感想。
……ジューンブライドは幸せになれる。なら……あの女性も幸せになれるのだろうか。
玄関の扉を押し開ける。“ろくがつ”の雨はとっくに上がっていた。
あとがき
女心とホーコの月の空は似たもの同士。
年較差なんて言葉久々に使った。支援ウレーシェ。
>425-426 セリア〜ホーコの月から紡いでみました。
なんだか、セリアの反応に悩んでなかなか仕上がらなかったです。書いては消してを繰り返してると方向性が滅裂にorz
佳織は酷いやつです。こうやって女性陣にカマを掛けて悪いムシをチェックw
ジューンブライドについては、他にも有力な説が有るようですが、今回はこれで。
乱暴に?言えば、ユノ(ジューン)ってのはギリシャ神話のヘラのことです。大神ゼウスの奥方。
>>641 あのお話からどうやったらこう転ぶのですかw
それはともかく楽しませて頂きました。静かな日常に投じられた一滴。
敬語と丁寧語と通常語がごっちゃになっている辺り、セリアの性格が出て面白いです。
他人を拒絶する悠人と、人見知りが極端すぎるセリア。表層上だけ見れば、やはり似た物同士なのでしょう。
しかしホーコって日付考えると雨に濡れた悠人が少し物悲しいですね。
聖ヨト歴332年ホーコの月青。時の迷宮寸前の、泡沫の夢とか考えてしまうのは穿ちすぎでしょうか。
>セリアの反応
本性も知らないでホントに馬鹿なんだから。
↑これだけで必要かつ充分だと思いますw
>>641 「そういえばカオリ様が言ってたけどね、花嫁が結婚式で身に付けてたものをその花嫁から受け取ったら、つぎに結婚出来るんだってさ」
「へぇー。あれ、セリアお姉ちゃんの部屋のお花、綺麗にまとめてあるね」
「リボン、可愛いね〜」
翌日のラキオス新報
『結婚式場に怪人物登場!?』
昨日、三件立て続けて結婚式場で花嫁が襲われるという痛ましい事件が起こった。
被害者には怪我はなく、ブーケやヴェール、ドレス等を奪われた模様。
目撃証言によると、物凄いスピードでなにかが通りすぎたのを感じた、とのこと。しかしその旋風のような素早さとは裏腹なトットコトットコという足音も同時に報告されている。
人生の一大転機であり、女性の憧れである結婚式、それを襲撃するなど!と関係者一同は憤りを露にし、事件の早期解決を捜査陣に求めた。
>>641 GJであります。
新婦に憧れ、花も恥らうセリアさん。
素敵なツンデレ分ご馳走様でした。
>>643 ちょwwwwwセリアさんwwwwwww
>>643 あの戦闘時の緊張感皆無な足音が馬脚をあらわす原因とわw
まあ焦るのも無理はないか、年齢的に一番崖っぷ(エレメンタルブラスト
>>608 職場のコメント:『…ガスが止まってなかったらな』
>>641 【本性】
生まれつきの性質。本来の性格。
「聡明、清廉、優柔、万能……あら?
わたくしの本性でユートさまが知らない事など、別に何も無いですね………??」
「…あのさ。いえ、やっぱいいわ。流石にツッこむのももう疲れたし。
そんな訳で後は頼んだわよ、ヒミカ」
そう言って、作品鋭意製作中(徹夜2日目)のヒミカ先生の肩にポンと手を置くセリアさん。
「私に振られても困るんだけど。そもそも、そういう事はハリオンに言ってよ。
きっと、何とかしてくれると思うし」
「そうかしら?なんか緑対緑の全面戦争が始まるだけのような………」
「あ。ヘリオンあたりを生贄に捧げれば、被害が最小限に抑えられそうな気がしない?」
「……成る程。妙案かもね」
疲れているとはいえ、意外と非道い事を考えるセリアさんとヒミカ先生であった―――。
ちゃんとした感想書こうと思ったのに、↑何故こんな駄目ワールドが展開されてるのか小一時間(ry
まあ、全てはエスが『魔性の女』なのがいけないという結論に達しました(ぉ
>「…………ふ、ふん。これで勝ったと思わないで!!」
どっちかというと二ムが言いそうな台詞だなぁと思ったのですが、よくよく考えるとセリアさんも妹。
時々子供っぽくなるのも世界の法則。………………深い。
GJでした。
>>641 おつかれー
いやいや、セリアの常に非ざるうろたえっぷりとして
結実してるんではないかと。 < 滅裂
ツンでない限り、これまで通りではいられない
デレない限り、夢には近づけない
汝は夢を求めるか?
>>643 ちょ、えs(ソニック
648 :
643の裏話:2006/06/22(木) 18:43:51 ID:YJMSQaA7O
それは雨が続くホーコの月の、ぽっかりと晴れたある日の話。
純白のドレスが風に優しく踊り、たくさんの人々に祝福されて、なにより隣には愛する人。
幸せだ。心から思う。
隣に立つ夫の顔をそっと窺う。照れ臭そうに周囲の人々に手を振る姿に微笑みが自然に浮かぶ。
その一瞬―――
突然の強い風!
慌ててドレスとヴェールを押さえる。が、その弾みで持っていたブーケが突風に拐われてしまった。
青空に吸い込まれたブーケに、その場にいる全ての人の視線が集まる。
そんな中―――女神が舞った。
一人のブルースピリット。彼女が翔んで、ブーケを取ってくれたのだ。
青空に煌めく白い翼。その姿は神々しくさえあり、私は、いやその場の全ての人は見惚れてしまった。
シン、と静まりかえった中、そっと私の前に彼女が降り立つ。
静かに差し出されたブーケに私は手を伸ばし……止めた。
キョトンとする彼女に、それは貴女に受け取って欲しいと告げる。
彼女は暫し考えて、コクリと頷いてくれた。照れの混じった表情で。
ブーケを手に、彼女は一度私たちに礼をしてその場を離れていった。周りからの祝福の声の理由が分からないようで、表情に困惑が浮かんでいる。
彼女の向かう先には一人の男性。有名人だ。勇者・『求めのユート』。
彼は慈しみの眼差しで彼女を迎えるとこちらに深く礼をしてくれた。
私と夫は慌てて小さく手を振る。彼はもう一度頭を下げると彼女を伴って離れていった。
その姿を見送りながら思う。
花嫁のブーケは幸せのバトン。私のブーケを受け取ってくれた彼女がここに立つ時、隣にはきっと彼が寄り添っているのだろうと。
花嫁のブーケは幸せのバトン。彼女はその時誰に幸せのバトンを渡すのだろうか。
「ふふふ、奪い取っゲフンゲフン譲っていただいたドレスの仕立て直し(主にヒップ周り)は万全。まさに私のためにあるドレスです!
純白のヴェールは正に慎み深い私にぴったり。
純白の花のブーケは儚い雰囲気の私にぴったり。
なにより純白のドレスは清廉な私にぴったり!
ユート様! ヴェールにブーケにドレスは装着済みです。
さあ一言『結婚しよう』と言ってくださいませ!!!」
「ウェディングドレスって綺麗だよね〜」
『ね〜』
「着てみたいよね〜」
『ね〜』
「あー、でもでもカオリが言うには花嫁以外がウェディングドレス着ると、一生結婚できないんだって」
「えーっ、そーなのー!?」
「怖いね〜」
支援
うい、以上です。
643ではあまり描写しなかったので、その前後の補完を、と考え書きました。
エスは何時からこういうキャラになったんだっだたっけ……
ついほろりとしてしまいます。
珍しくロテやん主人公の短編でも書こうかと思ったんだが
果たして需要があるのかどうかが・・・
それ以前にスピたんやってないもんだからロテやんがこのスレとかを
読んでイメージから想像したもので書くから・・・似てないかもな。
口調とかが特にわからん(つД`)
やらずに書くのはよした方がいいと思うが
>>653 んじゃやめとこう。
変わりにナナルゥでも書くことにします。
PS:IDすごいなw
ども。実は谷山浩子「六月の花嫁」がビミョーにモチーフだったり。でも全然繋がらない内容orz
>642
""ああ、六月がセリアかあ……だったら青スピだし……雨と六月と佳織の問答で……"" 程度だったかも(マテ
>泡沫の夢
いやいや、帰蝶姉さんは炎上する本蒼寺詰所で天下布武の道半ばに夫と共に本性を知ってしまった
緑の悪魔の汚濁に対抗するため真の力に目覚め俺達の戦いはこれからだ! 次の作品に期待しないでください。
ほ、本性なんて僕もシランガナ(´・ω・`) ホントだからねっ。
>643
セリア何時の魔に!w そうかアンニュイなのは耳から離れない足音で寝不足だったのか(違
何かめちゃくちゃ大事にしてそうです。
えーと洗濯シーンは新規書き起こしですかw エス姉さん何を何枚洗ってんだろうね?
>644
ホントはギャグ落ちだったのに……(汗) 市中巡回中、人だかりから離れてから、おそらく無言のセリア嬢。
梅雨(デレ)は近い。
>646
例:嘘つきが言いました「私は嘘つきです」
緑のお姉さん「……意味が不明ですね」チャキン と[[横断中]]の黄色旗何故か槍付き。 あ、いえ私の方が嘘つきでしたガクブル横断
ニムのセリフ>ニムはスネキック! 実効力が伴います。セリアさんはニラミ殺します。漏れなく負け惜しみ添付です。
>647
そ、それは第三位『突照』との契約の言葉!?
「夢なんか、いらない。私が望んでいるのは、温もりを持った現実。デレる為にツンを犠牲にすること自体が違うの。
そんなことをしなくても、きっと方法はある。ツンもデレも、両方持ったままの属性が!」
>651
その青スピさん美しすぎます。きっと花嫁の記憶に何時までも残ったことでしょう。鮮烈な青と白のコントラスト。五月晴れ。
対して……純白の装備品があっさり汚れて見えるのですが気のせい?(汗) 心までは洗濯できないんだなあ。ホント怖いね〜
そろそろ次スレトリガが近いんで、煽り文と点呼ネタ募集↓
点呼ネタ:○○は風呂でどこから洗うか。
点呼ネタ:スピ・エタと行ってみたいところ(ハイペリア・ファンタズマゴリアどちらでも)
例:ハリオンと温泉に行ってみたい(*´∀`*)ポワワ
ゼットンオモシロス。
作者さん続き書くつもりないっぽいし、代わりに続き書こうwww
煽り文案
ネタを原動力とし
妄想を原動力とし
萌えを原動力とし
今日もまた、彼女たちは活躍し続ける。
彼女たちの『雑魚スピ』の称号から『雑魚』が取れる日は来るのか?
いや、なるべくなら来ないでほしい、明日の夢のために。
言葉の一つ一つで紡がれるパラレルワールドを、心行くまで読み耽ってほしい。
ここに来た日から、あなたもファンタズマゴリアの住人なのだから…
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 23
PC版から入ったあなた、PS2版から入ったあなた、スピたんから入ったあなた。
理由はどうでも、彼女たちへの愛さえあればそれで十分です。
まったりのんびり、ハリオンマジックを味わいながらいきましょう。
推進疑問ネタ。
瞬は佳織の志倉付属行きの話しを知ってたのかね?
知ってたら、端から見れば褒め殺しみたいに過剰に佳織を誉めそやしそうだな.
それとも悠人から引き離すために瞬自ら画策してたり?
662 :
テンプレ 1:2006/06/24(土) 01:33:41 ID:r+imTSmp0
663 :
テンプレ 2:2006/06/24(土) 01:34:17 ID:r+imTSmp0
____ ________ _______
|書き込む| 名前:| | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
664 :
テンプレ 3:2006/06/24(土) 01:34:50 ID:r+imTSmp0
あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
665 :
テンプレ 4:2006/06/24(土) 01:36:11 ID:r+imTSmp0
Q: 雑魚スピって何ですか?
A: サブスピです。
Q: 具体的に教えて下さい。
A: シアー・セリア・ナナルゥ・ニムントール・ネリー・ハリオン・
ヒミカ・ファーレーン・ヘリオン、以上9名の総称です。
Q: これまでに投稿されたSSはどこで読めますか?
A: ここで読めます。→
http://etranger.s66.xrea.com/ Q: 俺あんまりサブスピに興味ないんだけど。
A: 雑魚スピです。
>>1の関連スレリンク集で行き先を探してみましょう。
470K達してたので一応貼っときます。
>>661 知らなくてそのまま卒業→佳織イNeeee!!な展開とか考えてしまったorz
667 :
エロス1/2:2006/06/24(土) 05:51:49 ID:nXrcW+Kr0
「はぁ…またコレか…」
自分ひとりだけの執務室で彼女は小さくため息を漏らした。
周りを見れば空の椅子が三つ。
この部屋の主たる上司の豪奢なのがひとつと、仕事を分担すべき相方が
座ってるはずの物がひとつ。
「それにしても、こんなに忙しかったかしら?」
呟きながら彼女は先刻のことを思い出していた。
・
・
・
ガチャ、バタン!
「ヒミカぁ〜、ヒミカぁ〜」
ノックもしないで相方がドアを開け飛び込んでくる。
「ドアは静かに…」・「おそいわよ!!」
注意、抗議する二人をさえぎり彼女は続けた。
「ゴメンナサイですぅ〜、でもでもコレにおいしいヨフアルのお店がぁ〜」
相方の手に握られていたのは「タンラキ」…いや今は「タンガロ」の最新刊?
「おいしいヨフアル!?」
上司である少女がすばやく反応した。
「そうなんですよ〜、焼き立てを売ってるらしくて〜」
相方の返答にうなずきながら少女は目を輝かしながら宣言した。
「ヒミカ、ハリオン、私は市内の視察にでます」
「ハリオンは私の案内、もとい護衛を」
「ヒミカは引き続き今の仕事を行ってください」
反論する間もなく予定が変更されていく…。
「わかりましたぁ〜、レスティーナ女王様〜」
そして、少女は調子のいい返事をする相方とともに執務室を出て行ってしまった。
668 :
エロス2/2:2006/06/24(土) 05:52:21 ID:nXrcW+Kr0
・
・
・
「はぁ、頭が痛い…」
先刻のことを思い出し、彼女は頭を抱えた。
目の前には本来三人で片付けるべき書類の山。
ペンを手で回しながら、彼女は独り愚痴る。
「レスティーナ様に注意できる真面目なひとが欲しいわね…」
「真面目で、優しくて、起こるとちょっと怖い…」
「そうだ、今度のお話のヒロインに…」
「相手の主人公はちょっとぶっきらぼうな弟みたいなカンジで…」
「舞台は、ん〜ハイペリアで…」
仕事の手は止まり、愚痴は彼女の趣味である小説の構想へ変化する。
「それで、ヒロインが主人公を支えて…」
「夜も彼女の方からで…」
「戸惑う彼に『私は汚れているのです』とかいって…」
・
・
・
「そうね、名前はエ……」
んじゃ、次スレ建て行ってくる
670 :
669:2006/06/24(土) 17:11:24 ID:ZvWq4KT60
672 :
667:2006/06/27(火) 12:50:09 ID:YiXO3jjz0
>>671 そう実はヒミカ=高瀬だったのでふ・・・w
つか、構想というかイメージだけはPCアセリアをクリアした時からあって
各エンド後の詰め所のひとコマで消えたヒロインの名残を感じるっていう話が
四話分、あらすじと題名だけメモ帳に書いてあったんだけど・・・
何分、才がないもんでw
ここまでほっといてまいた。
題名はそれぞれのヒロインにこじつけて
エロス(エスペリア+Loss)、ア○ウェイ(アセリア+無+道)
お江戸(オルファ+END)、幽霊(ウルカ+ゼロ)でした。
お気に入りのヒミカが出る話だけ、とりあえず仕上げて
丁度スレが埋まる頃なんで書き込んでみました。
今まで妄想はするけど、SSなんてほとんど書かなかったもんだから
下手だし、恥ずいし・・・orz
>>672 ああなるほどー、sエンド後のお話だったのですね。
てっきりイメージした小説にピッタリのキャラを身近に見つけてほくそえむヒミカかと(ファイヤーボール
その辺、もちょっと判り易い記述が欲しかったかも。
これだけでもにやっとはしましたけど、それが判れば深みも出るしより面白いしw
初心者なんて、キニシナイ!(AAry
最初は誰だって下手だし、SSなんて書けば書くほど上達するもんです。
スレの職人様達だって殆どみんな最初は初心者だったんですから。
妄想があるならどんどん産んじゃって下さい。個人的にはお江戸に興味アリw
>673同様、
エスを揶揄するような話しなのかと……。スマネエorz
ア○ウェイってやっぱあれなのですか?(汗) ディストリビューターとか、プラチナとか。
ラキオスのネ○ミ○!?
ぱしん、ぱしん。
窓の外で依然降り続ける細かい雨が乾いた音に掻き消される。
ぱしん、ぱしん。
湿った重い空気が支配する中、張り詰めた緊張が部屋に差し込む日差しを殊更に暗く見せ、
集った三人の瞳からはまるでマナを吸い取られたかのように光が失われつつあった。
誰もが一点を見つめたまま、行儀の良い正座を崩さずに固唾を呑んでいる。
ぱしん、ぱしん。
そろそろ沈黙にも耐えられなくなってきたその瞬間。
一瞬の間隙を狙い済ましたかのようなセリアの右手が勢い良く振り下ろされる。
絶妙な牽制渦巻く中極限まで引き絞った矢は今弓を離れ、確実にその獲物を射抜いていた。
ぱしん!
「イノ・シカ・チョウ! これでこのブーケは私のものねっ!!」
最後の一枚で一発逆転を決めたセリアの表情は、額に浮かべた汗までもが無駄に爽やかだった。
「く……セリア、もうコイ・コイはしないのですか?」
もう勝負はついているにもかかわらず、尚もベットの上乗せを要求するエスペリア。
「あ〜あ、もうちょっとで雨入り四光だったのになぁ〜」
どっと両手を広げ、後ろに倒れこむ佳織。
悔しがる二人に向かってほくそえみ、セリアは得意げに言い切っていた。
「だめですよカオリ様。アメは私が持っていたんですから」
……イエ、スレ読み耽ってたら
>>632の一行目が「こいこいですか」に見えてついorz
清々しい午前中の空気を胸に吸い込みながら、ナナルゥは森を歩いていた。
踏みしめる湿った枯葉や土が、先程まで降っていた雨の気配をまだ残している。
おかげで蒸れた森の匂いがたちこめ、辺りには活性化した樹木のマナが満ち溢れていた。
自分を加護するマナではないが、洗い流された澄んだ空気は嫌いではない。
もう一度深呼吸した所で、いつもの場所へと辿り着く。一本の巨木が聳え立つ場所。
別に決めている訳でも無いが、いつの間にかここが定番となってしまった。
「…………ラスト ラーリク、エヒグゥ?」(……エヒグゥ、ですか?)
しかし今日は、そこに先客がいた。白く小さな塊が、樹の根元で鼻をひくつかせている。
全く逃げる気配も無い。警戒心が強い動物だと聞いていたが、これは一体どういうことか。
「…………ルゥ」
ナナルゥは、困った。
決めている訳では無いが、折角ここまで来たのだから、同じ場所でなければ何となく落ち着かない。
だが、人やスピリットでも無い一匹のハクゥテに、場所を譲ってくれと言っても通じそうには無かった。
もちろん、追い払う事くらいは造作も無い。その気になれば、恫喝など簡単に出来る。
しかし、気忙しく首を傾げながら見上げてくる紅い瞳を見ているうちに、何故か他の衝動が湧いてきた。
そっと音を立てないようにしゃがみ、神剣を後ろ手に隠して怖がらせないよう空いた手を差し伸べる。
「……チチ、チチ」
「…………」
当然、エヒグゥは全く寄ってこようとはしなかった。暫くの間気まずい空気が一人と一匹の間に流れた。
ナナルゥは少し考え、そして潔く諦めた。立ち上がり、エヒグゥと並んで梢に背をもたれかける。
そして手の届く枝から適当な葉を取り、唇に当てた。その間も、足元の小動物は逃げようとしなかった。
「〜〜〜♪」
やがてナナルゥの口元から流れてくるのは、綺麗な草笛の音色。
同時にピタリと熄んでしまう、それまで騒がしいほどだった鳥の囀りや虫の鳴声。
森の静寂に、笛の音だけが通り抜けていく。
緩やかで澄んだ戦慄に、エヒグゥの長い耳だけが静かに揺れていた。
憶えているフレーズをひとしきり吹き終えた後、ナナルゥはそっと呟いた。
「……ル ヨクイス ヒツラフ」(……そろそろ、でしょうね)
リクディウスの守護龍。精鋭部隊がその討伐に向かったのは昨日のこと。
順調なら、もう遭遇している頃だろう。
龍と戦う、などと無謀な事を言い出したのが誰なのかは知らないが、胸の奥がざわざわと気持ち悪い。
理解しがたい焦燥感に、そっと胸へと手を当ててみる。動悸が少し速くなっていた。
「……イワル ホカゥ。ニルカ ニス イキロ ミハ シスエク レテングス ヤァ ヨテト」
(……不思議ですね。私が戦うわけでもないのに)
まるで語りかけるような口調になってしまっている事に、ナナルゥは気がついてはいなかった。
それでも慰めるかのように、いつの間にかくんくんと鼻を擦り付けてくるエヒグゥ。
踝のくすぐったい感触に、ナナルゥはくすっと小さく笑い、慎重に抱き上げてみた。
暴れることもなく腕の中に収まった、白くふわふわした毛並みに落ち着いてくる胸の鼓動。
「フフ……クミトラス ルゥ……」(ふふ……暖かい……)
そうして頬擦りする切れ長の紅い瞳はいつもより少しだけ、エヒグゥのように丸く輝いていた。
新スレが一週間すぎたので、そろそろ埋め促進のテスト。
ヨト語で馬=エクゥなのに、何故か7月って「エク」の月なんですよね。。。
>>677さん
そうか、神剣で三光は揃ってたんだ。。。
しまった、それをネタにすればファーレーンもヒミカもニムントールも絡められたのにw
>>680 乙です。
好きだなぁ、こういう雰囲気。
動物を呼ぼうとして、スルーされるのって気まずいですよねw
この時点では神剣に飲まれかけの筈だけど、
なんだ、結構自我はあるのではないですか。
後、ハクゥテってパスタじゃなかったっけ?
>>680 乙。
配備前のあったかもしれないひとつの光景、ですかね。
大自然による情操教育を受けるナナルゥ。幸あれかし。
>>681 スピ札ないし剣札とか?
>>682 オルファが飼うエヒグゥの『ハクゥテ』をおbsnがすり替えて
死から救出して過去に送り込んだ、とかw
やがてそれをオルファが拾って飼ってしまい歴史が……
ほら、怖くない。
寂しいと死んじゃうエヒグゥはナナルウの傍で孤独を癒すのです。
そしてナナルゥも、我知らず共感をもって。
ついでに空腹も癒してくれます。
>>682さん
>ハクゥテってパスタ
_| ̄|○ マタヤッチマッタヨ…
すみません、至急連絡スレにて修正依頼をば(汗
>>683さん
剣札とかあったら格好いいですよね。日本画っぽく。でも坊主は光陰で(ぉ
スピたんBOOK読んでたら草笛は配備前から知っていたようでしたので、
その辺に感情の萌芽とか無かったかなぁと書いてみました。
>>684さん
ちょwwwww>空腹
そんな共感はいらないww
,ィ^i^!1-、
曰 ,(レ´  ̄ ヽ)
| | i`_l !i_!li_!i!リ
ノ__丶 jixi」 ゚ -ノl _ なんだか暇ですね……
||ス||/ . | ¢、
_ ||ピ||| | Ψ ) ̄丶.)
\ ||殺||L二⊃ . ̄ ̄\
||\`~~´ (<二:彡) \
||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄
. || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
深夜の第一詰所。
いつもは賑やかな食卓の上、エスペリアは一人ささやかに宴を開く。
口の端から肴であるイカの足をはみ出させながら。
「んぐんぐ……ぷはぁ。家事育児戦いの日々。この一杯のために生きてます」
「……なるほど、そうやって腹が「)」になってしまったわけだな」
「ユ、ユートさまどうしてこちらへ?!」
そこへ突如現れる、最近ちょっと気になるエトランジェ。さあどうするエスペリア。
「にょ、女房酔わせてどうするつもりです?」
「…………酔ってるな。ほどほどにしとけよエスペリア」
――――恋は遠い日のマグネシウム花火
「……逃げるのですね?」
「は?」
「逃げるのですね、そうやって。もう親指も立てては下さらないのですね?家出しちゃいますよ?」
「いや、意味不明だし。もう遅いんだから、寝ようぜ。その一升瓶も空だろ?」
「寝る? 寝る……んふふ〜、もう、ラスクさまったら〜」
「誰だよラスクって」
こたつの中にはニムが一人〜♪
「めんどくさい・・・」
こたつを叩いたら(ドグシャ)
「めんどくさい・・・」
「かなりめんどくさい・・・」
ニムが二人〜♪
「って夢を見たんですがどうしましょうユート様・・・」
「もっかい寝ろ、ファーレーン」
「ん……なんだ、アセリアまで飲んでるのか?」
「うぃ〜」
「その台詞はやめれ」
にむ妻ダイアリー
朝
「zzz……」
「起こすのめんどくさい」
「あれ? 朝飯は?」
「めんどくさい。作って」
「うわっ、台所から異臭が!」
「……めんどくさい」
夜
「そういえば最近ごぶさただよな」
「zzz……」
>>693 殺意が沸きそうな新妻だなw
そのまま調教編に突入だ!
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
戦慄の旋律再び
比較的目立つのに誰も言わないのは故意だから?連絡板の方で既出?
>>417を受けたネタとかだったらマジスマソ、スルーしてくれ
それは失礼
外部板や埋まる前の新スレは基本的に見に行かないもんで