同じく促進スレ
>>181で指名を受けた「海からくるもの」フルコンプ。長文で失礼。
あらすじ
怠惰な生活の中、学校を恐怖で染めてやろうとする少年…。
野心を抱き『レフ』の力を利用する為、少年に近づく男…。
かりそめの平和に疑問を持つ二人の男が、それを突き崩す力を欲していた。
怠惰な生活の中、学校を恐怖で染めてやろうとする少年、友紀。
そして、彼の秘めた力を追う街のチンピラ滝沢。
彼らは、まだ自分達が見えない思惑に生かされていることを気が付いてはいなかった。
力を求め自らを暴力の中に投じる二人は、やがて、人々から闘争本能と憎しみを奪った者の正体を知る。
すべてが、発掘される遺跡のテクノロジーで作られた世界。
野を駆ける人類をわずか数百年で文明社会に成長させた先史人類ノイルマギ。
人々はまだその恩恵の中で暮らしていられたが。彼らは滅びへの道もまた、人々に用意していた。
世界観
『ノイルマギ』と呼ばれる先史人類の遺跡で成り立つ世界。
文化文明のすべては、彼らの歴史を辿っている。
そんな世界に突如生まれた『レフ』と呼ばれる特殊能力の保有者。
多くのレフは国家に登録され管理されていたが、人知れず潜伏しているレフの中には、
その強大な力の暴力性に魅入られ人々に恐怖を与えることを喜ぶ性質に変異した者もいた。
楠田友紀もその中の一人。
※公式サイトが既に閉鎖しているため、あらすじ・世界観はげっちゅ屋の作品紹介を参考に致しました。
つづき
シナリオ:B+
プレイ時間は1周あたり6〜9時間程度(どの程度ボイススキップするかによります)。
大作をやるのはしんどいけど、ちょっとした良作楽しみたい、という人には丁度よいボリュームなのでは。
本編で書けなかった部分も、クリア後のおまけシナリオで保管されているのが良。
狂気に身を任せつつも、最後の一線は中々越えられず苦悩する者、
力を信奉しつつも『レフ』の力を拒み、物語を最後まで見届ける者、
主人公二人の対比がよく書けていると思います。
グロテスクなシーンは思っていたより少なかったですが、
ホラー映画でも見ているかのような、「おぞましい」系の怖さですね。
1周で概ね掴めてしまいますが、ちょっとした叙述トリックも効いています。
ただ、あくまでこれは人間の心の闇に焦点を当てた作品であって、
異能力者同士のバトルを前面に押しているわけではないので、購入検討者は注意です。
(後述ですが)人物が必要量描けていること、ストーリーに破綻がないことから、
読み物として十分合格点だと思います。
個人的には、1周目はTrueEndではなくBadEnd1狙いをお勧めします。
ゲームを終えて、改めてタイトル画面の相沢が綺麗だ、とそう思いました。
キャラクター:C
登場する全キャラクターそれぞれに心の暗部があり、
それがどう昇華されていくのか、あるいはされないのか、という点も
本作品の見所ですが、サブキャラ含め、よく書ききっていると思います。
ただ、ダブルヒーロー制の宿命でもありますが、
特異な世界観も相まって主人公への感情移入はしにくいです。
女性キャラクターについては、相沢・藤木・加賀見以外のキャラクターは
物語に翻弄される側、というスタンスのため描写に乏しいです。
まあ、相手に好意を寄せ達成するのが目的でないゲームではないので、
そこはあまり気にはなりませんでしたが。
つづき
音楽:B
ボーカル曲こそないものの、定評のあるFunczion SOUNDSによる全17曲。
中でも、オープニング・エンディング両方に使用されている「終わりなき迷走」、
タイトル曲の「海からくるもの」は、作品の雰囲気が良く出ていると思います。
個人的には、日常シーンでよく使われる「閉じた記憶」もお気に入り。
同じくFunczion SOUNDSによるCROSS†CHANNELの「クリスクロス」を
退廃的にした感じとでも言えば雰囲気伝わるでしょうかね。
本作品は、主人公が進んで狂気に走る部分がありますのでマッチしています。
ただ、これはあくまで主観ですが全体的に音質が安っぽい感があります。
CD複数枚が当たり前のご時世、CD1枚でのリリースということが
容量的な足枷になったのではないか、と思わずにいられません。
エロ:D+
回想15枠。うち和姦6、輪姦1。
基本的にレイプだと思っていたけど、数えてみると意外と和姦も多いな。
原画は「教室」シリーズでもお世話になった真木八尋氏ということもあって
エロにも期待していましたが、こちらはやや肩透かし。
複数回戦やるシーンもあるので、全く使えないということではありませんが、
テキスト量は少ないと思います。
陵辱ものとして見ても、プレイがワンパターンなので物足りませんね。
少し前のゲームなので、ウインドウ時640×480という画面の小ささも痛いです。
つづき
システム:C
可もなく不可もなくです。
2003年のFSと同じシステムだと思っていただければいいかと
(また引き合いに出して申し訳ないですがCROSS†CHANNELと全く同じシステムです)。
このシステムはオート時の設定がかなり細かくできるのが良いですね。
不満は、主人公に設けられた「パラメータ」。
これの大小でシナリオ分岐する場合があるのですが、
正直、あまり必要性を感じませんでした。
総評:B−
プロデューサーに「教室」シリーズのKeN氏、原画に同じく「教室」シリーズの真木八尋氏
シナリオに「虜」シリーズの広崎悠意氏、音楽にFunczion SOUNDSという鉄板構成ながら、
やたらと地味な本作。
まあ、当時は「生贄の教室」で巻き起こった「KeNショック」がまだ尾を引いていましたし、
同じFS系列の話題作、「CROSS†CHANNEL」と同月発売でしたから仕方ないのかもしれませんね。
小粒な良作、というと耳障りは良いですが、やはりボリューム不足は否めません。
ストーリーも人物も良く書けているだけに残念。
読み物として十分楽しめる出来だと思うので、興味ある方は是非。