平坂いずみは、プロローグからたびたび登場する藍染川学園に通う美術部所属のクラスメイトにして明るく、活発な幼馴染。
大悟とは昔からの付き合いなため、比較的、邪険に扱われがちなのだが、めげずに彼に対して世話を焼きたがる。
また理由は分からぬものの、死神と出会ってから妙な行動を繰り返すようになった主人公を案じている。
依子の死後しばらくして年の瀬も近付きつつある頃。大悟は相変わらず死神の代行を続けていた。
死神は彼の力が大分快復したとの事や大悟を殺そうとした悪魔もどこかで快復を待っている事を話す。
年が明けるともう受験直前、彼は自宅を訪れたいずみと共に初詣に行き、当面の悩みを忘れて勉強に打ち込む。
三学期が始まった直後、願書を提出する大学について話し合うためにいずみが再び彼の家を訪れた。
なんとなくいずみと同じ大学を受ける事を決める大悟。そんな彼の態度にいずみは嬉しそうな顔をする。
そんなある日、大悟は身を潜めていた悪魔に遭遇する。
既に回復を終えていた悪魔は大悟に死神が憑いている事に気付かずに、
親しげな態度で、もしも死神を見つけたら私を呼べ、と言い残して去っていく。
その夜、大悟は死神から彼の体に幾重にも巻きつけられた鎖(神への服従の証)を見せられる。
しかしその次の日、運命の扉は残酷な未来を主人公に投げかける。
死神が死亡予定者に「平坂いずみ」の名前を挙げたのだ。
幼馴染としてずっと一緒に過ごしてきた彼女の死を受け入れられず、激昂する大悟。
いずみの死亡予定日は二週間後。ちょうど大悟といずみが第一志望の大学を受験する日であった。
しかし、どんな手立てを尽くしてもいずみの死は変わらないと告げる死神の言葉にやがて大悟は絶望する。
大悟自身も死の予定が覆らぬ事を死神代行を続けてきた事でたっぷりと思い知っていた。。
翌日、約束をすっぽかして電話にも出なかった大悟に会いに来たいずみは、ひたむきな言葉で彼に己の思いの丈をぶつけた。
それによって大悟は自分がどれだけいずみを大切に思っていたかを自覚してしまう。
悩みに悩んだ末、大悟はいずみに全てを打ち明ける決心をする。
その夜、大悟は彼女の部屋に忍び込んでいずみに死神となった事を告げ、そして彼女に死の宣告をする。
未来が失われる事に恐怖して崩れそうになるいずみ。
その姿に耐え切れなくなった大悟は彼女を抱きしめ、死の運命から彼女を守ると約束したのだった。
それから日々はあっという間に過ぎ去り、受験日の前日となる。
大悟は慎重に移動ルートを選び、いざとなれば空を飛び、人間離れした動きのできる死神の力を使うことも辞さずない覚悟を決めていた。
そんな彼の姿を、死神は何も言わず、何も邪魔せず、ただじっと見つめていた。
やがて現地に到着した二人は下見を終え、ホテルに戻る。
そこで大悟は最後にどうすればいずみを助けられるか自問自答した。
死神エンド
死神の力を使って事故を回避する事に決める大悟。
その直後、彼の部屋を訪れたいずみは迫り来る死の足音に対する怯えを吐露する。
もしも助からなかったとして自分を責めないで、と告げるいずみを思いきり抱きしめる大悟。
そして結ばれる2人。
翌日、受験が終わって帰路に着いた2人は高速バスに乗り込んだ。
しばらくして、大悟は死神からもうすぐタイム・リミットだと告げられ、その数分後乗っていたバスのブレーキに異常が起こる。
予め対策を立てていた大悟はいずみを抱えてバスが事故を起こす前に死神の力を使って窓から飛び降り、その直後、後続車がバスに突っ込んだ。
運命を回避できたと思った彼がすぐ隣のいずみに声をかけようと振り向いた瞬間、
いずみは玉突き事故を回避しようとして脇道に逸れたバイクに跳ねられて宙を舞った。
やはり未来を知り、それを回避しようと足掻いても運命は変えられなかったのだ。
震える大悟を見上げながら彼女は死の間際に、「学校の美術室に置いてある自分の絵を貰って欲しい。そして自分を責めないで」と伝えて息絶えた。
卒業を数日前に控えたある日、力を快復した死神は彼に謝辞と別れの言葉を告げる。
大学に落ちた大悟は、いずみが行きたかった大学に受かるようにもう1年勉強すると死神に伝え、
そしていずみが文化祭のために描き上げた、彼を死神に見立てた絵を死神に見せる。
死神は大悟と絵の事を覚えておく、とだけ言うと、大悟に己の名を伝えた。
彼の名前は「アズラエル」。奇しくもその名前はいずみが描いた絵の題名と一致していた。
身代わりエンド
いずみの死を回避するために大悟は死神に向かって自分の寿命と彼女の寿命を取り替えてくれと頼み、死神は渋々それを了承する。
(途中の展開は死神エンドと同じなので省略)
やがて受験の終わった帰り道、いずみを襲うはずだった交通事故は大悟を襲って彼に致命傷を負わせた。
霞む目で見上げると、泣きじゃくるいずみの顔。
最後の力を振り絞っていずみに「生きろ」とだけ言うと大悟は息絶える。
最後に伝わってきたのは死神の鎌に切り裂かれて己の魂が全てのものから解放された感覚だった。
ここで冬実か依子のどちらかとだけ仲良くなっていると、仲の良い方のヒロインが見たことのない道(死後の世界)を歩く主人公を迎えに来てくれる。
彼女は「いずみは無事だ」と告げて主人公の手を取り、2人はそのまま黄泉路へと歩き始めていった。
(冬美が迎えに来てくれる展開を「冬美エンド」、依子が迎えに来てくれる展開を「依子エンド」と考えてもいいかもしれない)
悪魔エンド
死の運命を退ける力を持つ悪魔の存在を思い出した主人公は、死神を裏切り魂を売り渡す事を覚悟して悪魔を呼ぶ。
現れた悪魔リリスは死神を消し去り、主人公にいずみの命を助ける為に必要な条件を提示した。
その条件とは主人公自身が悪魔となる事。
それは同時にあらゆる人間の中から御崎大悟という人間が存在したと言う記憶が消えてしまう事を意味していた。
悪魔の条件を了解した大悟は悪魔や夢現の心地となっているいずみと共に儀式を執り行い、彼女に迫っていた死の運命を追い払う。
そして彼の存在は全ての人間の中から消えていった。
数ヵ月後、大学に合格したいずみはどこかで見た事のある男と出会う。
二言三言だけ言葉を交わすが、結局誰だか思い出せぬままいずみは男と別れた。
男は悪魔となった大悟で、彼は一旦は退けた死の運命が再びいずみを襲わないように密かに彼女を見守っていたのだ。
いずみの様子を確かめると彼は仕事仲間の悪魔と合流する。
彼は悪魔と連れ立って歩きながら、これからもいずみが平穏な生涯を送れるように陰から彼女を守り続ける事を誓うのだった。
補足
完璧なハッピーエンドはなく、神に仕える死神と神に逆らう悪魔についての背景などについては、最低限しか明かされない。
死神とは神の奴隷であり淡々と仕事をこなし、殆ど無感情に近い。
だが感情的になって色々とヒロイン達の為に頑張る大悟に、時折理解を示す事も。
その反面、悪魔は感情豊かで愛と欲を何よりも大切にする。
また奔放で大事な者の為ならばどんな禁でも犯す面を持ち、ある意味で非常に人間的。
この粗筋を含めて製作メーカー「survive」のOHPにあるOPデモを見れば大体の雰囲気や内容が理解できると思う。