永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 15

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1名無しさん@初回限定
ついにOHPで「スピたん」公開!
しかし、主人公はロティ・エイブリス(誰ディスカー?)
登板確定降板未定の我らが愛しき雑魚スピたちと新キャラに一喜一憂の住人たち
伝えても伝えきれない、けがれなき言葉ははたしてスタッフの心にとどくのか?
困惑と迷走が錯綜する様はヘリヤの道の蜃気楼のごとく
ここは妄想に支えられた世界、第2ファンタズマゴリア…またの名を

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 15


前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド14
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1123515511/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/
外部板:雑魚スピスレ保管庫
http://etranger.s66.xrea.com/
外部板:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/
外部板:永遠のアセリア関連スレリンク集
http://etranger.s66.xrea.com/past.htm
2名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:29:25 ID:o4wfeVvF0

あてんしょん

 | ̄ ヽ
 |」」 L.
 |゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
 |とl)
    ,べV      
   / 〃  ̄ ヾ; 
   ! i ミ(ノハソ
   !ik(i|゚ ヮ゚ハ   。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
   リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ))   問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
     く/|_|〉 
     (フフ
3名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:30:20 ID:o4wfeVvF0
____      ________               _______
|書き込む| 名前:|            | E-mail(省略可): |sage       |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなくーるな女には       / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ
4名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:31:12 ID:o4wfeVvF0
Q: 雑魚スピって何ですか?
A: サブスピです。

Q: 具体的に教えて下さい。
A: シアー・セリア・ナナルゥ・ニムントール・ネリー・ハリオン・
   ヒミカ・ファーレーン・ヘリオン、以上9名の総称です。

Q: これまでに投稿されたSSはどこで読めますか?
A: ここで読めます。→ http://etranger.s66.xrea.com/

Q: 俺あんまりサブスピに興味ないんだけど。
A: 雑魚スピです。>>1の関連スレリンク集で行き先を探してみましょう。

Q: エスペリアがよく燃えて困るのですが。
A: こちらへ。→永遠のアセリア−この大地の果てで−7
         http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1124361124/
5名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:35:31 ID:wrD+aF+P0
>>1
乙。
ハリオンはエトランジェらしく頂いて行く!!
6名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:38:19 ID:t1Fn7DgK0
新主人公に盗られるくらいなら、ニムファーまとめて

ああ痛い痛いスネ蹴らないで

やむを得ん、ファーだけで良しとしよう
7名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:39:17 ID:k3wAXZGp0
>>乙ァーレーン

……って今回は点呼無しでせうか? 一応<3>
8名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:40:37 ID:/mqJLkI40
>>1
乙!
とりあえずヘリオンもらっとく
9名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:41:10 ID:z1plj5by0
>>1
乙。

なら、新キャラが登場する前に、俺はニムをお持ち帰りさせていただくと言う事で。
10名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:46:37 ID:3XFAudo80
>>1 乙ナナルゥ!
11名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:49:01 ID:xFN0m2BQ0
>>1 乙
レスティーナを頂きます
12名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:52:31 ID:C/cCPFKl0
>>1
スレ建て乙です
何だかんだあってもやはりきょぬー派だったヒミカ姐さんをいただきます
13名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 22:59:25 ID:imMZZa040
新しいスレでも盛り上げませう

俺が言うのもなんだけどみんな仲良く
ハリオン姐さんくらいの大らかさで行こうぜ!
<9>
14名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:09:04 ID:khK3WshN0
では毎度の如くセリアともう寝るわ。
<10>
15名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:11:50 ID:DEagvDXO0
ヒミカにサラシ巻いてくる<11>
16名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:14:58 ID:xi4TORdX0
>>5
貴様の物ではあるまい!
…と思ったけどネリーがいるからいいや
<12>
17名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:15:17 ID:t1Fn7DgK0
言い忘れてた、>>1乙  <2>
     __
 「 ,'´r==ミ、
く i イノノハ)))
  i l||゚ ヮ゚ノl| <ではお茶でも飲みつつまったり進行しましょうか
  i (/つ旦O
  i と_ノ_')_)>  旦旦旦
18名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:21:10 ID:RiNVbEpJ0
>1
乙〜
続編に強奪される前にハリオンの心は頂いた。
と書きつつ、既に上でハリオンが二人もかっさらわれてるとはっ
19名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:43:17 ID:pYuqjyLO0
まだ間に合うなっ!
新作で肩の力を抜いてより魅力を増したヘリオンたんは頂いたっ!
20名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:44:16 ID:pYuqjyLO0
・・・しまった、ハリオンマジックに掛かってたようだ。
ちょっと雲散霧消の太刀に斬られてくる。
21名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 23:52:07 ID:j7a4bBZj0
それじゃ遠慮なくシアーたんは頂いていきますね
22名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 00:01:55 ID:XqidDAfz0
>>1乙!

あーあ、ナナルゥ取られちゃってるよ (´д⊂
仕方なくエスペリアを頂いて行きます…
23名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 00:09:00 ID:CoRI4/mt0
エスは外れドラ1ですか?
24名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 00:09:45 ID:fPr+1f3r0
>>1さん乙です!
やられた…セリアァァァァ!

それでも私は君を愛してますよ

…イオ様、私を慰めてくだ(ライトバースト
(更にどっかからヘブンズスウォ―ドX
25名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 00:11:44 ID:quADLUTfO
>>1

では毎度で悪いがウルカと訓練してくるわノシ
26名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 00:55:11 ID:aczDDsDY0
>>1乙。

>>25
くそう!それじゃあ俺は訓練の後にウルカに居残り特訓してもらうさ!
27名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 01:39:17 ID:TX43yjyq0
すぴたんなあ〜なんか寝取られた感覚がして好きになれそうにない
28名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 01:48:30 ID:TX43yjyq0
さらにいうと、戦闘画面がアルティメットハンターを思い出して鬱になる。アセリアのメーカーってことでやって微妙だったんだよなあ
ときに今回のキャラ紹介で前作のヒロインが誰も出てないが、まさかPS2の全ENDを見た後のハーレム?ENDの続きってことはないだろうな
29名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 01:54:39 ID:nFVqYuEj0
エスペリアは何の違和感もなくオープニングで今回のいきさつを語ってくれそうな気がするw
30名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 01:56:30 ID:ZQhJw9Nn0
>>28
ガロ・リキュアが国として機能してるっぽいから
レスティーナは出てくるんじゃない?
31名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 01:57:32 ID:TX43yjyq0
>>30
あのENDのレスティーナは出ていないのですよ・・・・・・出てませんでしたよね?
32名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:08:22 ID:RFSQQiYH0
>>27
大丈夫。俺もそう思ってるから(w
これから徐々に情報が出るたびにダメージを受け、発売日には真っ白に燃え尽きて購入などできんさ・・・

>>28
>アセリアのメーカーってことでやって微妙だったんだよなあ
お仲間ハケーン。ブランド買いするとえらい目に遭いますな。
と言うか、あの戦闘画面は開発中にしてもえらく不安を覚える・・・
33名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:14:20 ID:ZQhJw9Nn0
>>31
PS2版やってないから適当に言ってみた。ゴメン(´・ω・)ス

前作ヒロインは全員出てくるか出てこないかの2択だと思うなぁ。
全員出てくるとしたらユート様も出てきそうだけど・・・。

それとも完全なif設定か。
34名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:25:39 ID:Oy408+gB0
メーカ買いできるとことできないとこあるよな。ザウスはアセリア以外見た事もないけど。
しかし、このスレすぴたんあたりから流石にちょっと信者臭出し過ぎじゃね?
35名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:29:11 ID:p1QRPpAk0
つか質問なんだがエターナルになった瞬間に皆の記憶から消えるけど
感情は残ってるから一目ぼれ状態みたいな感じなるんですよ
ってトキミお姉さんが言ってたじゃないですか。
まぁ2行目の部分は気にしなくていいんだけど、
エタ化したあとにもスピ達にはあってるよな。
このスピ達はユートが別世界に行ってもユートのこと覚えてるわけ?
それとも別世界に飛んだらまた記憶リセットされるわけ?
36名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:40:39 ID:ef7HIURy0
>>35
本編最後で異世界にユートが旅立った時点でユートのことは忘れてしまう。
エタ化する前のユートもエタ化してファンタズマゴリアで戦ったユートも両方ね。
ただ強い思いがあれば再びファンタズマゴリアにユートが渡ってきた場合気持ちが蘇るらしい。
それでも記憶が蘇る訳じゃないから傍から見れば一目惚れに見える。
37名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 03:20:41 ID:p1QRPpAk0
おぉ、やっぱり移動後も記憶消えてしまうのか。
読み直したらちょっと分かりにくい文章だったのに答えてくれてサンクス
しかし今はじめて新作のHP見たが新主人公温厚で冷静でやさしいって
割とユートとは逆に近いな。やさしいって部分以外かすりもしてねぇw
まだどんな風になるのかはさっぱり分からんが、少し不安部分が大きいなw

38名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 08:40:24 ID:ge7GMje80
前スレ >>790 それだっ!
ただ、改変された歴史の中で
ラスク様がユートのやってきた行動分をカバーできるかが問題。
(まぁ、すでに無茶ありまくりだけどさ
 エトランジェが居ない北方の国が、どうやって勝ち抜いたのかと)

ラスク主人公のエスが正ヒロインでFA?
39名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 09:50:41 ID:iv5S7jQE0
初歩的な質問すまそ
訓練師と訓練限界以下のスピってどっちが強いの?
なんかここで聞くのがいちばんよさげだから・・・きいてみた
40名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 09:51:05 ID:3+PW3y6j0
新雑魚スピも出る雰囲気だが、いっそのこと全部新キャラにしたら良かったのにな。
前スレで媚びる媚びないとかあったけど、そこらへん変に中途半端。
まあそうすると、ライターの力量がそのまま問われるけど。
41名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:14:06 ID:a2KaV+7Z0
>>39
設定資料集眺めてみたけど具体的には載ってませんでした。
ただ訓練次第でハイロゥの形うんぬんとはあったから、訓練士というのはスピリットの能力開発スタッフのように思われ。
剣術等のテクニックも教える事の出来る人も居るけど、神剣の力を引き出させる事に主眼を置いているというか。
自我を無くさせて強化している国もあれば、ハイロゥ白いまま自我を残す方向の国もありますが。
肉体的に同条件で戦えば訓練士の方が強いけど、基本的には戦闘ポテンシャルは最初から圧倒的にスピリットが強い、かな?
42名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:14:37 ID:1Occ20dt0
>ラスク主人公のエスが正ヒロインでFA?
それはそれでエスファンには不満タラタラのような(笑

レスティーナの子孫とかで世代が変わったらやりようがあったかも。
そうしたら、スピ達の境遇もある程度改善させつつある状況とかにも出来るし。
後、好きだけどコーインとキョウコのコンビは外して欲しかった気もする。個人的に。
43名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:23:29 ID:JSiKrEG50
光陰は今から何でも屋に使われるのが目に見えるよう。
失敗への叱咤とか誰か傷つけた時に殴る役とか恋の助言とか影のサポート役とか。
シナリオで困った時に使える便利屋と言うことで。
44名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:37:48 ID:bdSOopDP0
今日子シナリオ作るくらいなら、雑魚スピシナリオが欲しいとは確かに思ったけどねえ・・・
新主人公は心理的にダメっぽいけど、それと同じくらいに気になることが・・・絵。

絵柄と言うか画風と言うか。
なにか、絵師の感覚が変な方向にいってるような。ここ一年で何があったのか。
45名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 11:49:12 ID:DGUNfGKF0
>>39
訓練士は技術的な型とか能力の引き出し方の方法に通じた人間で、スピリットはそれを教えられて戦うって認識が一番しっくり来ますがどうでしょうか


人丸さんの絵が一般受けしやすいモノになったなぁ。
ミュラーねぇさんは、うん、その、なんだ、凄いな。
あとは異形型ボスモンスターに期待。
46名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:09:59 ID:iv5S7jQE0
>>41>>45
さんくす。肉体的な強さはスピで技術的なものは訓練師ってとこか。
訓練師としてイオ<ミュラーだったから、ミュラーはどんだけ強いのかと思ってた。

前作レギュラーは出ないだろうけど、ウルカとかオルファは訓練師になってないのかなぁ
47名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:11:36 ID:iv5S7jQE0
っと、前作レギュラー→前作ヒロインに訂正。
48名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:15:06 ID:3uhgx8sz0
なぜかミュラー姉さまがイオに見えてしまうのはなぜだろう?
49名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:21:59 ID:LnabkOm50
アセリア、オルファ、ウルカは三人ともエターナル化してそう。
物語の流れ的に自然だし。

何が言いたいかというとエスペリア登場希望。
50名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:35:15 ID:OpXnFLD/0
もし仮に訓練士がスピより強かったら普通に戦場に投入されている希ガス。

あと前作ヒロインの件、巫女かハリセンENDアフターなら前作ヒロイン全員が
出てくる余地があるな。EXシナリオだが。
51名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:53:07 ID:u/vEgjje0
いや、どう扱われるかが恐いので、むしろ前ヒロイン達には登場して欲しくないような気が。
52名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 14:59:46 ID:quADLUTfO
今日子エンドだったら光陰が主人公でもいい…つかクォーリンを出してくださいorz
53名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:03:49 ID:bzZJgDmL0
と言うか、今日子エンドなんて需要があったのか、と失礼な発言をしてみる自分。
アセリア達はいじくって欲しくないな。それに今のCGの感じで再登場するのは勘弁。
54名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:08:23 ID:tE9pUoGq0
誰が主人公だろうがエロけりゃ買うよ
55名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:14:54 ID:J9usgomT0
ユーフィは出ないよねぇ・・・(´・ω・`)
56名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:22:19 ID:/PHKRUMr0
>>55
そこでシューティング「魔法少女まじかるユーフィー」ですよ
57名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:23:25 ID:nMjVJVcg0
光陰は今日子に任せて、クォーリンは俺が貰っていく。<1>


・・・いや、違った。
んじゃ、今回のラスボスはシュンとキモウトで行こう。なぜか二人して再度召喚されたとか無茶な感じで。
58名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:36:28 ID:/iDQmMWS0
ユーフィが出てもさすがに訳分からん展開になりそうだしなあ。
クォーリンは光陰になつかれている可能性が高いな。ひじょーに。勘だが。
それで、嫉妬した今日子が光陰へハリセンとか。
59名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 15:46:15 ID:suGcP+xtO
相変わらず今日子は需要がないな。
そしてやはり人気はクゥォーリン。まあコーインの副官はガチだろう。
ユーフィは二周目以降の隠しユニットなら出てきて欲しい。
あとはイオの動向が気になるところ。
キモウトは今日子並にどーでもいい。
60名無しさん@Limited skill:2005/09/23(金) 16:14:35 ID:OMNUrL/P0
ファンタマズゴリアを離れて、ユートとアセリアは娘のユーフォリア(ユーフィー)を育てながら
仲睦まじく、細々暮らしていた。
ユーフィーも大きくなり、次第にさまざまな世界に対して興味を持ち始める。そこである日のこと。

ユーフィ「お母さんが生まれた世界ってどんなとこなの?」
アセリア「ん。とても、自然か多くて、きれいてすてきなところ。仲間もいる。ヨフアルとかおいしい食べ物がある。」
ユーフィ「ゆーくんといっしょに、いってみたいなー。」
ユート 「俺たちは異世界を往復するだけの能力はないから無理だな。
      トキミおばさんに頼んでも、内側から入れないようにしているし。あと何周期か後じゃないとな。」
ユーフィ「ざんねんだなあー。」
アセリア「ユーフィーが大きくなったら一緒に行こう。」


ユーフィ「・・・・なんだって。」
-------「・・・その世界は確か、異世界の狭間があった筈です。二人ぐらいまでなら、そこをうまく通れば行けるかもしれません。」
ユーフィ「ほんとっ!?じゃあ用意してくるね!」


両親(特にユート)の強力な反対にあったものの、なんとか、ユーフィーのはじめてのおつ(悠久で一撃
何周期後・・・龍の爪痕で遭難しかかっていたところをラキオスの探検隊に救われ、探検に同行。

とか。
61名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:16:47 ID:BVof9sGs0
今日子の出番は2〜3回のライトニング・ハリセン
だけでいいと思うのです。
62名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:21:07 ID:YsB91GHCO
スピたんが「全雑魚スピエターナル化」の為のゲームであるなら耐えられる…と思う
とりあえず、俺は座して待つ!
気に入らなかったら、ここで保管していって、ユーザーによる真ルートを作ればいい!

だからザウスよ!ユーザーを気にせずおもいっきりやれ!

と、言いつつ混乱中な無名でした…SSが進まないorz
63名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:24:12 ID:5IHUobOs0
>>62
おいおい、全雑魚スピエターナル化とか洒落にならないよ。
全員鬱はいってるよ。

な ん で こ ん な 野 郎 と ヤ っ ち ゃ た ん だ ろ う

ってさ。
64名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:25:00 ID:YsB91GHCO
混乱しすぎて漢字間違えた…脳内変換ヨロ
65名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:36:08 ID:aTTuW1SG0
・・・いやいや、まさか今更エターナル化なんてやらんだろ。
正直そこまで前作を踏襲するんなら、新作の狙いどころがますますブれる。
まあ、今でもウリが良く分からんけど・・・
66名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:51:59 ID:ef7HIURy0
>>63
それはおかしい。おまいの主観が入りすぎ。
ユートの記憶が無いとはいえロティに惹かれたのは紛れもない事実なんだから、
記憶が戻った場合ユートとロティの間で葛藤ってのが正しい。
ようするに雑魚スピ全員今日子化ってのがそのルートの行く末?
67名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:07:27 ID:dwTC/NrD0
>>66
はあ。もー、いい加減マジレスするの止めろって。
前のスレにもいた奴だろ。そろそろ空気読んでくれ。
68名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:14:20 ID:sOmhzLBz0
またか。

ギャグとかネタとかそこらへん分かりそうも無いのか。ほんとに。
ネタで勝手に妄想して転げまわってるだけだろうに「おかしい」とか「正しい」て…youは座敷猫かよ。
69名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:21:54 ID:EGEmRwVP0
萌え心情的には>>63にメッチャ同意だけどね。
オリキャラ主人公SSなんて数回読んで止めたから、雑魚スピ達やクォーたんが
ユートやコウイン以外とよろしくやってるなんて想像も出来ないけど。

ぶっちゃけ、新主人公は受け入れできねーyo! と言う事で。率直すぎか。
70名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:26:40 ID:aGZ1LtT70
新主人公出すからにはユートと正ヒロイン達は出て欲しくないねえ。
本来ならコーインandキョーココンビもそうなんだが、出してくるとは意外だった。
作者さんに気に入られてるのか?
71名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:27:25 ID:HABktvVj0
公式でオリキャラ主人公二次創作やってどうすんだよ…

光陰生きてるのがありなら
「特定ヒロインのエンド迎えずにE化、シュン撃破後ファンタズマゴリアに残ったユート」
ってのでもありじゃないか
どうせ正史にはならないんだろ?
72名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:32:44 ID:or6zbq2b0
>>63
ははは……雑魚スピが新キャラとやってる時点で、こちらが鬱です……orz


まさか、クォーリン食わせる展開なんてないだろうな。
73名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:33:49 ID:YsB91GHCO
少ない情報で混乱したり、あーだこーだ言っても仕方ないんで、とりあえずロティ×ツェナが正式な組み合わせで、(以下、複数パターンあるので略)…と脳内で補完して来ました(何とか落ち着いた

冷静に考えると点同士を繋げた時に矛盾とか可能性とかが複数出るからどうなるかな〜と思ったり

自分で振っといてなんだが、全雑魚スピエタ化も複数の可能性の一つでしかないんだよね…
その結果も同じくだし、否定出来る要素もない。へこむかもしれないし、悩むかもしれない
とりあえず、この短い時間で改めてみんなの雑魚スピへの愛の深さを知ったよ


とりあえず、俺は座して待つ。ヘリオンの強さに負けない様に頑張ってSSを書き上げるぞ〜

稚拙な乱文、失礼しました
74名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 17:54:47 ID:D16vhmhD0
>71
>「特定ヒロインのエンド迎えずにE化、シュン撃破後ファンタズマゴリアに残ったユート」ってのでもあり
そこらへんはネタの宝庫だよね。
英雄に祭り上げられてあたふたしているユートとか。
女王の警備を任されたけど、なぜか一緒に抜け出してヨフアルを買いに行ってるとか。
アセリアが時間あまりまくって暇そうだとか。ヘリオンが突然直属の部下になったとか。

んー、新作は脱力物だけど、なぜか雰囲気が幼くなっているせいで自分は強引に別人と認識できそう。
それでも、3PのCGにはがっくり。
なんとなく値崩れしそうだから、中古待ちかな。
75名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:03:50 ID:weFhg1tg0
行かないと買えないexの時とは違って、新作は買う人買わん人はっきりしそうだなぁ。
自分はexで程々に満足したからもういいけど(exは来月一般販売)。
しかし、getchuで見たけど、すぴたん年内発売ってマジか。
76名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:15:36 ID:esVwcsqN0
それはそれでなんでわざわざファンタに戻ってるのか理由が欲しいけどな。
別に、扉のとこに落ちてたバナナを踏んづけて転けた挙げ句
その隙に蓋閉まっちゃいました でもいいけどさ。

後、別人解釈だの正史じゃないだの現実逃避自慢がうざい。
脳内修正かけて外に出すな。妄想スレなんだから良い所取りしとけ。
出来ない奴はセリアさんに斬られるまで脳内ファンタ彷徨ってこい。
77名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:26:28 ID:0Vkf9+r10
別人も何も同じ絵師なんだが、確かにアフター物とは思えんな。

>後、別人解釈だの正史じゃないだの現実逃避自慢がうざい
自慢じゃなくて嘆きだろ。キャラスレでは良くあることだ。それくらいスルーしなされ。
78名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:33:37 ID:J9usgomT0
ユートがラスクになっただけだし。

俺はロティくんが多少なりとも熱血してくれればそれで満足。
してくれるよね(´・ω・`)?
79名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:38:29 ID:zD4sE2mS0
これは、あれだな。
月姫というゲームで出来が酷かったアニメ版がなかった事にされている、そんな気分。
俺は絵よりもゲームシステムの方が不安だが。

>>76
まあまあ、そうかりかりしなさんな。

ふと思ったけど、本編の「永遠のアセリア」だけをPlayしたユーザーって
クォーリンなんて知りもしないだろうなあ。いや、普通は雑魚スピもそうなんだろうけど。
80名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 18:46:25 ID:5yKHNB5L0
>>74
第六のルートか。
確かに現代日本でもウルカルートでも、エターナルであるが故の身分詐称や偽装が必要そうだったもんな。
永遠者であることを隠さずに居られる世界が在ればカオス側拠点の一つとして有効そうだ。
蓋なんか無くてもマナが少ないから、ロウ側の一斉攻撃があっても常駐している面子のみで防衛出来そう。
ロウもカオスも特定の世界を拠点にはせんのかもしれんが。
81名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 20:44:26 ID:2/dYeuX20
このスレでの今日子とキモウトのヒロインとしての需要のなさは凄いものがあるな。
新作での拒否反応とは雲泥の差だ(w
82名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 21:15:31 ID:CoRI4/mt0
今回の敵役は、まんまモンスターなわけで、スピリット同士の同族殺しと比べると軽い。
おそらく単なる「敵」「障害」としてしか認識されないのだろう。

「♪へっへ〜んっ。これで10匹目!」
「まだはっぴき〜」
「むむむぅっ、よーしっ、スターダストォ!  チュドーン  これでネリーの数こえたもんねー」

情操教育が……。オルファは出ないだろうけど。

モンスター達の生息圏へ入り込んでいくのはスピ達の方。
モンスター達が攻撃してくる理由はちゃんと作られているのだろうか。門番って感じではないし。

まぁなにかしらの親玉とか居るのだろうけど。


83名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 21:20:05 ID:bLndeoJ90
キモウトはPC版のデザインで全てが決まってしまったな。

ふと考えたが、ユートがいないんだったら光陰は今日子と結婚してるんじゃないのか。
自分の気持ちは決まってるんだし、まさかこの期に及んで曖昧なポジションはないだろう。
84名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 21:43:43 ID:vy87amPL0
ま、ソゥユートの記憶無くなっているんなら、そうならん方が不自然だわな > 光陰×今日子
ただ新主人公の事といい、作り手は予想の更に斜め上へ行くカモ。
今日子の病死とか(マテ
85名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:08:22 ID:qCvQt/UL0
>>82
確かに何でモンスターがいるかは気になるね
その辺の理由を含めて「探検」なんだろうが
>>84
そこまで今日子嫌いかw
本国の戦力全部送る訳にはいかないからお留守番じゃないのかね
光陰と今日子はEDで語られてたようにくっ付いてるべ、さすがに
86名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:09:57 ID:LgVvDkg00
ふむ、ヒロインキャラも異様に多いし、細かいシナリオにはあんまり期待しない方がいいのかも。
今までの座敷猫氏がやってきたエロゲはどれも並みの出来だったし。
妙な設定とかしないなら、雑魚スピ以外はあんまし関心ない(死

あ、いや、前作のユート・アセリア達はせめてそっとしていて欲しいが。
87名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:40:10 ID:/4qcIr5D0
スピたんは買う予定にないので、PS2版がパソコンに逆輸入移植されたらなー、と。
アセリア以降PS2起動してないのに、それが原因で本体を売るに売れない。
88名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:11:27 ID:J9usgomT0
とりあえずPC版アセリアしかやってない俺は、Ex買って顔有りサブスピたんにハァハァしてきますね
89名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:14:51 ID:a0/p2YhM0
たしかツェナって初めてのスピリットと人間のハーフだよね?
それがあそこまで成長してるのってオカシクネ?一体何年後の話だよ?
あれか?スピやエトランジェは歳とりにくいんか?
90名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:34:35 ID:suGcP+xtO
多分ツェナの設定は変更されたんだと思う。
『探索中に出会う正体不明の少女』がTGの紹介文だし。
ハーフの可能性はまだあるけど、ガロ・リキュアの誰かの子供じゃない。
91名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:36:43 ID:43sRYqNw0
EXPANTIONはひたすら楽しめるからいいな。このスレ向き。安いし。
本家でも予約を開始した模様。
これで買える人多いんじゃないだろうか、コミなんて行ける人限られているだろうしね。

>89
たぶん、細かい事気にしたら負けなんだろうと思ふ。
92名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:46:33 ID:oMBuw/tR0
>>たしかツェナって初めてのスピリットと人間のハーフだよね?

そもそも、その設定はどこで出たもの?
雑誌かなにか?
93名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 00:38:42 ID:tu9ypRCE0
とりあえず、ガロ・リキュア放送局でも聞いて落ち着きましょうや・・・・

雑魚スピがここまで喋ってくれる事が、これほど嬉しいとは。
94名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 04:16:22 ID:OmSrirAZ0
今回はスピリットの育成にマナを使っているのか?
ヨーティアの装置で抗マナになってるからエーテルに出来ないだろうけど、
そうすると前作でなんでエーテルを使っていたんだろうという話に…。

なんか設定忘れてて見当違いな事言ってるかも…誰か解説下さいな。
95名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 09:12:31 ID:BjV4hckq0
『再生』の半身がこの世界から失われた瞬間〜(略)〜大陸の殆どの神剣は『再生』に飲み込まれ、
意識を持つものはほんの一握りになってしまいました。下位神剣はあくまで多少の力を持つ不思議な剣、
という程度になってしまいましたが…………公式設定資料集より。

となっているので、「訓練」があくまで神剣の意識にエーテルという餌を与えて飼い馴らすという目的ならば
下位神剣については「強制力」が無くなった為にエーテルを訓練に使う必要が無くなった、という事かも。
訓練はあくまで剣技等の技術的なものに絞られた、とか。……解釈違ってたらすみません。
96名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 09:12:59 ID:8XfCNy7g0
国営放送舐めまくりな三人がすげえ。余りにも無力なストッパー役、ヘリオンの明日はどっちだ
97名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 09:43:41 ID:6ygzCXlS0
変な考えだったらスマソ

抗マナ装置が働いているのは
既存の機器類を使用できなくする為の物だからで。
生き物が死んで>マナになって>再び世界に戻る
という一連の流れには影響ないわけですよね。

んでもって、スピリットが神剣魔法使ったりするのは、自然の流れだからOK。
スピリット同士の戦闘で、消滅する際のマナを吸収する事が出来た>今でも可能?
なら、無駄に殺戮を繰り返して、マナを吸わしていけば、強くなるのは可能なのではないかな、と。


他には、各スピリットの家系で
代々、引き継がれる神剣にマナが蓄積されていって強くなっていくとか。
ウルカ、ヘリオン、ネリシアなどはガロ以降も軍に所属だから、
子孫に継がれていく神剣も、色々と経験(マナ)を積んでいくから、少しずつ強化していったり。

逆に、ファーニムやハリヒミあたりは戦争とは無縁の生活を送るとして
でも、神剣は子供〜その子供〜と引き継がれていくだろうけど
戦いから離れていれば、その時のまま〜もしくは弱くなる〜など。
98名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 09:52:12 ID:1wVbL/uZ0
んー、そのへんは解釈の違いとかでどうにもなるような気もするなあ。
神剣魔法だって、
>下位神剣はあくまで多少の力を持つ不思議な剣、という程度
あの現象を多少と言うのもちと違う気がするから、魔法の規模とか威力が激減しているかもしれない。
マナのキャパシティも上限あるかもしれないし・・・高瀬氏カモーン。
いやまあ、雑魚スピスレで話す事じゃないけどさ。
99名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 10:29:51 ID:UYnE+Ln40
ま、余程マニアックになったり熱くなったりしなければいいんじゃね?
本スレはあんなんだし、正確な答えなんて出ないだろ。

訓練は技術的なものがメインになるんじゃないかと思う。ヨーティアが抜け道的に何かするかもしれないが。
神剣は前作での評価「超絶的な力」から「多少の力を持つ」と激減しているから、威力や魔法はがた落ちかと。
が、「意識を持つものはほんの一握り」とか幅が広がる書き方してるので、どうとでも創れるがね(w
100名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:36:30 ID:74vIf5wZ0
スピリットの育成は今までのように出来なくなったわけだが
スピタンのレベルうP(ニムのCG)を見る限りじゃ
強くなるにはマナが必要、(たぶん)マナは敵モンスターを倒して吸収とか。

ひとつだけ確実なのは
「新たな技を習得しました」は、ないって事かな。
育成はスピの強化+技術の付加だと思う。

それと、ニムのステータス画面をずっと見てたら
可愛くて可愛くて頬が緩みっぱなしに。
101名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:53:06 ID:74vIf5wZ0
ザウスからのメールでこんなのあったので載せておく


■編集後記

  新キャラの名前はまだ未公表のようです。開発用サーバを
 漁っていたらそれっぽいのがありましたが・・・
 あれ、なんかヤバげなキャラが・・・今回も強敵が
 ぞくぞく登場するようです。
  ミュラーの存在も謎がいっぱいです。推定20歳前後の女性で
 僧侶みたいな格好ですが、本当に強いのでしょうか?
 妖しさはヨーティアといい勝負ですが。
  まだまだ謎がいっぱいのスピたんです。徐々に明かされていくかと
 思いますので楽しみにしてください。
102名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:53:40 ID:t+vXQbWY0
スピばかりが傷つくのは間違ってるっ見たいな事言ってたのに
魔物は殺して平気なの?
103憂鬱の人:2005/09/24(土) 12:47:55 ID:R8nlIUZk0
抗マナというのはエーテル化出来ないマナ、という説明があったかと。
既存のエーテル変換装置は永遠神剣を使っているので原理としては
神剣魔法と同一です。ただ、全てのマナが抗マナ化するには、多分数年は
かかるだろうからスピ達がいきなり神剣魔法を使えなくなる訳ではなさそうです。
多少のパワーダウンくらいはあるかも知れませんが。

...私見としてはこんなとこでしょうか。

dream element にはEDアフターのSSを書いてる人が多いのでそのへんの設定は
向こうで尋ねたほうが良いかも知れません。
104名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 12:49:05 ID:FAG2Tg4B0
自衛ならともかく、率先して殺しに行くのようなものだからねえ・・・むうん。
まあ、ちゃんとしたバックポーンの理由つけるんだろうけど。資源的な問題とか政治的な問題とか。
オルファの例のイベントが印象に残ってるので、台無しな感じはあるが。
105名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 12:55:39 ID:yA6h1G040
そのためのツェナじゃない?
やっぱり人間の姿してるのとそうでないのとだと、前者を助けたくなっちゃうだろうし。
106名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:01:28 ID:O4+TcMR90
龍の爪痕を越える旅の途上、補給のために立ち寄った地で襲撃を受けたので対応。
そんなところじゃないかな。
107名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:03:49 ID:W1dVO74w0
>>100
気が合うね
俺もニムが可愛くてしょうがないw

たぶん竜の爪痕の向こうには坑マナされてない純マナで一杯なんじゃないかな
敵が強くて探検できない → ここはマナがイパーイ → 仕方ないのでLVうp
ってな流れ?
何かしらの理由つけてLV上げてくれないとゲームとして面白くないしなw

それにしてもロールシステムの話がどこにも出てないが・・・
あのシステムは一発ネタだったのか?
俺は好きなシステムだっただけに残念
108名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:09:24 ID:wMsAH6WF0
主人公が神剣も使わないのに、スピリット達と肩を並べて戦うんだから、
相対して考えると戦闘力とか魔法の威力は激減していると思う。
いや、実は奴が記憶喪失エトランジェとか言うビックリ設定を持ってきたら別だが。
それとも、天才だから何でもアリと言う事でヨーティアが強引に戦闘力上げるのか。
とスレ違いながら、そんな予想を。

>>102
いわゆる棲家荒らしは脱力モノだけど、探検SLGだからなあ。
どれくらいの年月経ったか不明にしても、国内の整備は終わったのだろうかと。
109名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:26:35 ID:O4+TcMR90
>>108
生絞りから設定が変更されてなければ2年後の話。
レスティーナエンド云々で騒いでいたのは、悠人が帰還した時に2年経っていた、というのもあったんじゃないかと。
110名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:30:19 ID:kJEE/CJJ0
ロティくんも意味ありげに目が赤いしなぁ。
純血のファンタズマゴリア人なのかどうか。ミュラー含めて。
111名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 13:36:28 ID:Mz5q7xri0
>109
それ決定稿かなあ。あっさり変更されそうな。
スピリット投入して探検なんてしているんだから、もっと相当な時間は経過しているんじゃないかと。
エンドも踏襲するのかパラレルなのか分からないし。
と言うか、細かい突っ込みは禁句のような気もしてきた・・・
112名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 14:10:19 ID:gZLWcicY0
スピリットの身体能力の高さは、神剣によるものでしたっけ? 
もしそれだったら、今回のロティ(人間……じゃないかもしれないけど)との強さのバランス云々は>>95の文章で納得行くものになりますね。

あとミュラーは前にここで言われていたとおりエターナルの線が濃厚なのでは?
もしくは土着の不思議生命体。


>>102
全部峰打ちというのはどうか?
殺さなくてもマナは出るだろうし。
113名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 14:26:25 ID:t+vXQbWY0
やばい俺やばいとんでもないことを思いついたよ
新主人公は
瞬 と ソ ー マ の 息 子
これでスピリットと同等に戦える理由も妖精趣味でイービル状態でもないのに
がんがんヤッチャウ理由も瞬にそっくりな理由も解決
うん、まぁゴメンナサイ
それと102はただの女神転生ネタで深い意味はなかった
114名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 14:35:24 ID:/fD4WCr30
それよりエタ瞬が実は死んでなくて
効率よくマナ貯めて復活できるように変身して
ネコ被ってるだけじゃないのかとか思ったけど、
展開として嫌杉なので考えない事にしている。
115名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 14:38:50 ID:Tssq91MJ0
やっぱ、スピリットの戦闘力が落ちたってのが自然かもね。


そして、なぜか突然シュンが大人気(w キモウトを超えたか。
116名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:21:00 ID:qlxCdKAs0
>>114
エターナルは別世界に神剣の力を残して保険かけてるから何度も
復活できるっていう話だったけど、瞬はそういう事してなかった
みたいだから完全消滅したのでは?
世界(神剣)の方は依存みたいに破壊されても意識が残っている例が
あるからいずれ復活するのかもしれないが。
117名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:27:59 ID:kJEE/CJJ0
瞬がE化したときって「エトランジェ秋月瞬」に対する記憶って消えてたっけ?
118名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:29:59 ID:cyAqo/cO0
公開されてる情報見てる限りだとメインヒロインはヘリオンとツェナっぽいが
よりにもよって設定で「ユートに惚れてる」って書いてあるヘリオンにメインヒロインやらせるか普通
119名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:55:50 ID:t+vXQbWY0
「そこまでして得るものはあったのか?なぁ、秋月よ」
みたいなこと言ってたし、少なくともコウインは覚えてたと思うけど。
エターナルになっても別世界にいかないと記憶消えないとかな
120名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 16:18:07 ID:Pwv4jxK80
>>114
E化した瞬は死んでませんよ。
先のエターナル同士の戦いでは、ロウ側が少し体力を削られただけ。
誰も消滅までは至っていません。

舞台劇2のパンフ設定を見ると、その後のエターナル同士のやり取りもあります。
瞬が仲間に愚痴ってる描写もあるし(新参の癖に凄いよ瞬様)


それよりもさ、上でもチラッといってるけど
ロティがスピと肩を並べて戦えるのってどうよ?
ステータスの情報見るだけでも、お前人間かよ?と。
無属性ってことで重要なキャラかもしれんが、俺は使わない。
マナが勿体無い、国営放送やってる3人に注ぐよ。
121名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 16:21:52 ID:lPyXgglR0
シュンのエセ転生ネタか(笑
なら、あれ。本編中にシュンがヤっちゃたスピリットの子とか・・・・・・うわ、最悪(死
突然マジレスすると記憶は本編見る限り残ってるでしょ。残ると言うか引き出すと言うか。

>>118
そこらへんの感覚が常人の斜め上を行くザウスの恐ろしい所。
人気で一番と言うのをこんな方向に発展してしまうとは。
122名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 16:43:58 ID:8n0RzgSy0
>>118
そこで
ヘリオンが上位永遠神剣ゲトー(E化)→記憶取り戻す→ユートの後を追う
とかやりそうだ

蓋?どうにかしちまうんだろうなぁ
そういう展開になるなら、だけど
123名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 16:44:24 ID:Ymjp0z090
>>119
それってPS2版の最終決戦時のセリフ?
システム重くて7周できてないなぁ…全然やり込めてない。
124名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 17:35:33 ID:t+vXQbWY0
>>119
ちょい自信がなかったんでテムとシュンを殺してきたんだが
テムが一撃で塵と化してワロス
んで、微妙に台詞は違ったが確かに覚えてるようだ。
125名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 18:14:56 ID:OmSrirAZ0
なるほどなるほど、多くの方の見解ありがとうございます。
スピ達の能力が激減しているのであれば、ロティ君と戦闘能力が
大して変わらなくても、ある程度納得出来ますね。

そういえば、求めは「マナをよこせ!」ってよく騒いでましたよね。
このことを考えると剣がマナを吸収して強くなってるのかなとも考えられるかな?
[スピの育成→エーテル] [剣の強化→マナ] みたいな。
126名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 18:22:16 ID:/fD4WCr30
求めタンのマナを寄越せは
バタリアンの脳みそ食いたいと同じで
幾らマナをやっても充足ってものが無いと思う

ステータス的にも変化ないしなw
127名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 18:59:12 ID:t+vXQbWY0
聖賢とかもマナクレマナクレ騒いだりすんのかな。
ところでエタになると皆に忘れられるんじゃなくて、
エタになった時に居なかった世界の人達に忘れられるって解釈でいいんかな?
ユートとかの事はしっかり忘れてた割にシュンの時は覚えてるっぽいし。
しかしコウインはシュンがユートと話してる時に「なんでこいつら顔見知り風味?」
とか思わなかったんだろうか
128名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:05:54 ID:wNxCG4rY0
違うますよ> エタになった時に居なかった世界の人達に忘れられる
確か渡りの際にその世界の肉体を捨て去って概念的な存在になったとき
入口側と出口側の世界のエタ以外の存在に忘れられる

だったと思います
うーむ、うろ覚えなんで違ってたら誰か訂正よろしくおねがいします
129名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:06:49 ID:kJEE/CJJ0
記憶が残ってるのなら誰も気付かないのは無理があるような気がするなぁ。
髪の色も目の色も同じっぽいし。

あと、エターナルは他の誰かがエターナルになった時の修正は受けないって思っていいの?
130名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:14:57 ID:wNxCG4rY0
あ、訂正

誤>渡りの際にその世界の肉体を捨て去って概念的な存在になったとき
入口側と出口側の世界のエタ以外の存在に忘れられる
正>渡りの際にその世界の肉体を捨て去って概念的な存在になったとき
滞在していた世界のエタ以外の存在から忘れさられる

ですね。入口出口とか何言ってんだ、私は…
131名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:26:02 ID:S+m/hlYS0
・エターナルが他の存在を忘れることはない(ド忘れ除く)
・エターナルが「渡り」を行うとエターナル以外から忘れられる
・エターナルになっても「渡り」を行わなければ忘れられない
・エターナル以外が「渡り」を行っても忘れられることはない

以下おbsnがやっちゃった掟破りから推測
・出口側の世界から何らかの誘導があれば忘れられない
 もしくは、追いかけられる形の「渡り」であるならば忘れない (帝国・統べし聖剣戦より)
・一緒に「渡り」を行えば忘れられない
 もしくは、時の迷宮は別判定 (聖賢取得及び依存取得のための渡り時より)
132名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:30:48 ID:wNxCG4rY0
>131
確かに悠人が聖賢取りに行った時はどうなんでしょうね?
時の迷宮の入口で時深が
「ここをくぐったら、皆に忘れられる」
みたいな事言ってた気がするんですが…
133名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 19:44:37 ID:S+m/hlYS0
あれは「渡り」終わってしばらく進んでからのことなので
「渡り」とは別の、時の迷宮の特性と判断するべきかと。
134名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 20:07:58 ID:l4g1irIf0
ユ「なぁエスペリア」
エ「何でしょうかユートさま」
ユ「手術中って言ってみて」
エ「ちゅぢゅちゅちゅー」
ユ「……………」
135名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 20:17:25 ID:4pTcPRP+0
エターナルと時の迷宮の関連とかも深いところは想像に頼るしかないから、
そう言うのは各々憶測でいいんじゃないのかな。
136名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 20:17:37 ID:PqN+vVc50
よし、ならば今度からちゅぢゅちゅのことをカトリーヌと呼ぼう
137名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:09:41 ID:t+vXQbWY0
俺、変なとこ拘るからコウイン関連は気になるところが山盛りなんだよな
まぁ気にしてもしょうがないし、俺も適当に脳内保管しとくか
138名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:28:38 ID:3DovP2RV0
なんだか、今回の騒動でここに流れてきた人が多いみたいね。
エターナルとか渡りとか。
139名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:40:51 ID:3DovP2RV0
>131
渡りを A→B とやった場合、その時Aの世界にいた人々から記憶が消える。Bの世界は影響なし。
だから、おばさんがあの場に乱入しても悠人の記憶にあるのは問題なし。

マロリガン戦前に、ヨーティアが「正体不明のふたり組」の話しをするけど、おそらくアセリアシナリオで、ユートが戻ってきてから
ヨーティアにこの話しをしても、咬み合わないかも知れず。

正体不明のふたり組がスピ達を一瞬で屠る→ヨーティアから聞かされる→タキオスと対峙、ハイペリアへ(タキオスへの記憶は消えない)
→ハイペリアから帰還(記憶保持。タキオス達はハイペリアの別地への転移らしい)→ファンタでは最初のタキオス達の行動は消えたか改竄。
→ヨーティアにふたり組とはタキ・テムだろうと話しても通じないカモ。
140名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:43:08 ID:t+vXQbWY0
ん?なんか騒動あったのか?
俺のことなら前から気になってたんだけど、
今丁度聞いてもよさそうな雰囲気だったんで聞いたんだが
ウザかったんならスマナイ
141名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:53:45 ID:64BH85Bj0
まあ、ここは雑魚スピメインのスレだけど、激論にならなければ少しくらいはいいんじゃない。
他のアセリア関係のスレあんまり覗かないから、他はどうだか知らないけど。
142名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:55:02 ID:wNxCG4rY0
>>140
いえ、お気になさらず
とりあえずこのスレにはスピたん(新主人公×サブスピ)否定派が
多数おられます
それで本スレ?から来た人とちょっと揉めて
スレの雰囲気悪くなったんで…
外から来た人に少し過敏になってるみたいですね
143名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:05:46 ID:pJ5WNF/u0
俺もここ以外のアセリアスレみないんだが
「渡り」しなければE化しても忘れないってのは設定資料集で見たな
>>134
エスペリアだけに萌えた
144名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:08:11 ID:kJEE/CJJ0
いくら考えても、求めのペンダントとかユーフォリアの存在のせいで
意味無い様な気がしてきた(´・ω・`)
145名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:12:38 ID:huTjMkxl0
>>144
求めのペンダントに関しては求めが第4位神剣という比較的高位の剣だからってのはあるかもね。
主人公(の剣)補正でかなり特殊な剣なのかも。
146名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:14:59 ID:3DovP2RV0
『世界』に取り込まれたってのも。残り滓(ぉ
147名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:41:45 ID:64BH85Bj0
本スレ探して全レスざっと覗いてきた。設定とかの話は今向こうでもされているようだから、
あっちがいいかも。見たところ、スピたんも肯定否定半々くらいだし。

ちなみに自分は絵柄がOKで新主人公にNGと言う感じ > 新作
ううむ、EXは楽しかったんだけど。
148名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:49:03 ID:Z/XXMfj90
保管庫をふと見てみたら、凄い数のSSがあったので驚き。
うーん、ずっとここは見てるけどあんなに投下されていたのか……
149名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:56:42 ID:wNxCG4rY0
もちろんこれからも増えますよ〜>SS
さーて、頑張って続き書かないといけませんね。
150名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:07:59 ID:8n0RzgSy0
SS書こうと思っているが
ヘリオンものにするかネリシアものにするか迷っている今日この頃

ああでもAAネタも投下したい(葛藤
151名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:11:59 ID:PqN+vVc50
投稿には絵もある事を忘れないでください

そういや展示場のレス入れられてるのってあるんだろうか?w
152名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:12:40 ID:ykavotNa0
AA使ったSSを投下すればよし。

そういえばそういう複合SSって見てないな。
シリアス系には向かないだろうけど、何か作るか?
153名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:32:34 ID:Z/XXMfj90
スレにいると言っても、実はEX未Playなんだよね。
なので、あまたのSSやCGで雑魚スピ分を補充している状態。
ここ以外ではsffffz氏の正しいお正月の過ごし方なんてツボ。後はヘリオンメインの黄昏に望むとか。
すぴたんは様子見の予定なので、来月のEX発売日が楽しみだ。
154名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:50:48 ID:Bf5p3sy+0
夏コミ行ける人なんて限られているからねえ。
物理的に行けるとしても、初めて赴くにはかなりの勇気がいるんじゃなかろうか。
155名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:57:14 ID:W65qa2cv0

あてんしょん

このSSは、基本的にファーレーンonlyの補完です。
全五編、それぞれ十六章で完結します。今回は第二編です。
無駄に長いので、そういうのが嫌いな方は遠慮なくスルーお願い致します。
156朔望 奏鳴 overture:2005/09/24(土) 23:58:10 ID:W65qa2cv0

 §〜聖ヨト暦331年スリハの月緑ふたつの日〜§

「…………ごめんなさい、こんなときに」

深く静かに湛える瞳。
さざ波のように溢れる涙が、一粒ふた粒、とめどなく零れ落ちる。
崩壊していく世界の中、その熱さだけが感じられる唯一だった。



  ――――― 奏鳴 ―――――

157朔望 奏鳴 minnesang −T:2005/09/24(土) 23:59:19 ID:W65qa2cv0
 §〜西暦2001年5月18日〜§

病院の天井に浮かぶくすんだ染み。梅雨前の生暖かく湿った空気の流れ。
消毒され尽くした純粋な死の匂い。満足に動かない体。満足に動かない心。
「くっ……ううう…………」
全てが、闇だった。全てが、虚ろだった。
通り抜けていく人々の視線。自分にだけ届かない思い。自分だけが伝えられない想い。

「あっ…………」
「えっ?!」
全てを与えられたものに、唯一欠けていたもの。
心の中でたった一つ、狂おしい程に渇望していたもの。
「……どこか痛い……の?」

 ――――ただそれだけを、求めていたもの。

「僕は、秋月瞬……キミの名前は?」
「高嶺佳織、よろしくね」

ようやく与えられた微笑に、少年は誓った。あらゆる力を得ることを。
「うん、よろしく。……よろしくね、佳織」
二度とこの幸せを、奪われないように。
……佳織を失わない為に。奪う側に立つ為に。

(佳織……僕の佳織…………)

その日、世界は変わった。
158朔望 奏鳴 volspiel −T:2005/09/25(日) 00:00:38 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦327年ソネスの月赤いつつの日〜§

「内緒ですよ。 実はわたし、スピリット達は人と変わらない、そう考えているんです」

二人きりの部屋。声を潜め、秘密を囁く。唯一砕けた口調で話せる、心許せる人に。

「それどころか、エーテル技術まで否定するつもりなんです。……可笑しいですか?」

決死の覚悟で誰にも話せなかった事を打ち明けたつもりなのに、相手はころころと微笑んだ。
馬鹿にされたかと思い、ぷーっと頬を膨らます。子供だと思われるのが嫌だった。

「だって変だよっ!
 彼女達はどこも人と違いは無いのに、スピリットだというだけで虐げられているなんて!
 エーテルだって、マナから還元する時に、少しずつ減少しているっていう説もあるんだよっ! 
 このまま放って置けば『呪い大飢饉』の時のように、また作物が取れなくなる日が来ちゃうよ!!
 どうしてこんな簡単な事を、みんな見て見ないふりをして暮らせるの?!」
ムキになって、ありったけの知識を捲くし立てる。知らず、目には涙が浮かんできた。
気持ちが高ぶったのか、解ってもらえないという失望感なのか。無性に悲しかった。

穏かな眼差しでそれを見つめていた彼女が、ふいに自分の手を取った。反射的に顔を上げる。

――――ごめんなさい、あなたの考えている事が、あまりにも私と同じだったから。

「え…………?」
思いがけない、答え。やがてそれは心へと沁みこんでいく。忘れられない程、心の奥底へ楔のように。

――――あなたならきっと出来ますよ、レスティーナ。それ、わたくしもお手伝いさせて頂けるかしら?

本当ですか、と声が上擦る。笑顔でまだ残る涙をそっと拭き取ってくれる、優しい手。

――――ええ、きっと。人とスピリットの共存する世界……わたくしも、共に見てみたいから…………
159朔望 奏鳴 T−1:2005/09/25(日) 00:02:56 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§

もう、飽きるほど見てきた光景。それでも慣れる、などという事は無い。
そしていつも、二度とは見たくないと思っている光景。それがまた繰り返されている。
地響き。炸裂音。崩れ落ちる家並。燃え上がる木々。逃げ惑う人々。怒涛、異臭、悲鳴……
一瞬立ち竦んだ先は、狂乱と恐慌の渦。一国の首都とは思えない惨状を呈している。
「なんだよ、これ……」
無作為に降って来る雷が、逃げ遅れ、立ち止まる人々を一瞬で焼け焦がす。
建物を貫き、火柱を吹き上げる。地面に突き刺さり、地鳴りを呼び起こす。
もうこれは、「戦争」と呼べるようなものなんかじゃない。
以前テレビで見た、大震災の映像。それが今目の前にあった。
違うのは、これが天災では無く、人災であるという事。
それは紛れも無い「現実」で、もしかしたらこれを引き起こした要因の一つに
自分が巻き込まれている、そんな恐ろしい想像に押し潰されそうになる。

「ユートさま!」
「っ!」
悲鳴に、我に返る。同時にすぐそこでどぅんと、大地が裂けるような衝撃。
一瞬膨れ上がった空気が鉄塊のように焼けながら襲ってくる。
直後、飛んでくるのは様々な街の欠片。枝、岩、礫。
「くっ!」
『求め』の加護が無ければ、生身の人間にはとても耐えられない落雷という現象。
防げると判っていても、思わず顔を庇ってしまう。びりびりと、それでも風圧だけは感じながら。

やがて風も収まり、恐る恐る手を下ろす。ふと、肌色が目に止まった。
それは、巨大な岩の下からはみ出していた。逃げ遅れ、潰された幼い腕。
自らの赤に塗れて、それでもまだ何かを必死に掴もうとしていた。
「〜〜〜〜!!!」
胃の中がせり上がる感覚。悠人は声にならない叫びをあげていた。

イースペリアは、建国以来最大の混乱に覆われていた。
160朔望 奏鳴 T−2:2005/09/25(日) 00:05:13 ID:MHvM6sz90

「これは……」
ファーレーンは逃げ惑う人波を摺り抜けながら、知らず呟いていた。
おかしい。破壊された街で遭遇するのは、イースペリアとサルドバルトのスピリットだけ。
加担しているはずの帝国スピリット達の影だけが見えない。
更にこれだけ城に接近しても、いやむしろ接近するほど敵の気配が少なくなる。
「やはり……」
ちらっと上空を窺う。そこに広がる、禍々しい暗雲。時折降り注ぐ紫電。
先程郊外で見た時から、気にはなっていた。そして今、それがほぼ確信に変わる。
『たとえ我が国が滅びようと……』
ロンドの森で遭遇したイースペリアのスピリットの言葉が蘇る。
あの時彼女は「滅びる」と言った。それがずっと引っかかっていた。それは、こういう意味なのか。
『……人のやることではありません』
恐らくレスティーナ皇女は気づいていた。だからこそ、自分に任じたのだ。
その「暴走」を止めるのではなく、その先にある「戦い」の為に。
これはもう、戦争と呼べるものじゃない。巨大な陰謀の、その結果に過ぎない。

ふと、彼の顔が浮かんだ。
混乱のどさくさで別れても良かったのだけれども、どうしても別行動になる事を伝えておきたかった。
そうしないと、彼はきっと心配してしまうから。殆ど面識の無い自分の様なスピリットに対してでさえも。
それに、ニムの事もある。彼になら託せそうな気がした。どこまでも優しそうな、あの背中になら。
今頃は、エーテル変換施設に向かっているのだろうか。
何も知らずに。この作戦を、ただの「救助活動」だと信じて疑わずに。
「…………急がなくては」
もう、時間が無い。今は自分の任務を果たす。後ろめたさはその後で感じればいいのだから。

城の入り口に、巨大な扉が見える。
ファーレーンは『月光』を抜き放ち、炎上しているその中へと飛び込んだ。
161朔望 奏鳴 T−3:2005/09/25(日) 00:07:16 ID:MHvM6sz90

オルファ達に陽動を任せた悠人とエスペリア、アセリアはエーテル変換施設に侵入した。

「……おかしいです」
立ち止まったエスペリアが、訝しげに周囲を見渡す。アセリアと共に駆け出そうとした悠人は振り向いた。
「通常、エーテル変換施設は、最後の防衛線です。……にも関わらず、こんなに手薄などということは」
「正面にあれだけ敵がなだれ込んでいるんだ。 施設なんて、」
もう一度作ればいいと思ってるんじゃないのか、と告げる悠人をエスペリアが不安そうに見つめる。
「ですが……」
「話は後だ。 今は施設を止めないと、な」
「…………はい」
一刻も早く、この戦いを終わらせたい。そうしなければ、皆死んでしまう。
そんな焦燥に囚われていた悠人には、エスペリアの危惧を顧みるゆとりが無かった。
なおも納得がいかないという表情で胸元の手をぎゅっと握り締めるエスペリアを、
半ば引っ張るようにして悠人達は変換施設の中枢部に向かった。

「ここ……」
アセリアに導かれて辿り着いた場所。それは、巨大な遺跡のような部屋だった。
ほの蒼くぼんやりと輝く壁は何かの文様を刻まれたブロック体に覆われ、
その中央に、透明に光る巨大な正八面体の結晶が浮かび上がっていた。
「なんだ……これ…………!?」
そしてその水晶のような物体を、圧倒するように“剣”が斜めに貫いている。
鎖が絡んだ銀色の刀身は鈍く輝き、秘められた膨大なマナが周囲に漏れ始めて辺りに充溢していた。
部屋の隅に、とってつけたような不恰好な装置が取り付けられている。
耳に煩わしいぶぅんという稼動音が、この神秘的な部屋にはいかにも不釣合いだった。

「驚きましたか? これがエーテル変換施設の中心部。 永遠神剣……全ての変換施設の動力中枢です」
説明しながら機械の方へと歩み寄るエスペリア。悠人は黙って頷いた。
162名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:09:33 ID:qddJkzuM0
支援
163朔望 奏鳴 T−4:2005/09/25(日) 00:10:31 ID:MHvM6sz90

滅びつつある国というのは、こういうものなのだろうか。
首都の、それも城の内部を歩いているというのに、誰一人とも擦れ違わない。
もっとも擦れ違えばそれだけではすまないのでしょうけれど、
ファーレーンは廊下を歩きながら、そんな事を考えていた。
時折どおん、という遠い音。それにともなう微震。それを除けば静謐、といって差し支えが無い。
こつこつと、自分の足音だけが響く。薄暗い廊下を真っ直ぐに進めば王座の間があるはず。
方向からも、外からの侵入に対して必要以上に複雑な経路からも、間違いない。

それにしても、と思う。イースペリア女王に会って、そして自分はどうすればいいのだろう。
親書を携えている訳でもない。伝えるべき言葉を託されている訳でもない。
いや、もし携えていたとしても、この状況でそれを渡して、意味があるとも思えない…………

(…………っ!!)
ふいに、悪寒が走った。全身を包む、氷のような冷たい気配に戦慄が走る。
体中に、蛇が這い回るような感覚。動けないのに痺れの様な、五感だけが研ぎ澄まされるような。
支配しているのは、絶対的な死の予感。昏い、邪悪なものが侵食してくる。
覚えが、あった。それもつい最近。あれはそう、サルドバルトで出会った謎の敵…………

唐突に、気配が消えた。とたん体中の筋肉が弛緩して、その場に膝をつきそうになる。
ようやく呼吸をしていなかった事に気づき、大きく息を吸い込んだ。鼓動が激しい。汗が大量に流れる。
それでも今感じたことにまるで現実感が伴わない事に、ファーレーンは戸惑った。
通路の先をじっと見つめる。そこに何か不吉なものを感じながら。
164朔望 奏鳴 T−5:2005/09/25(日) 00:12:02 ID:MHvM6sz90

小さな手帳を取り出したエスペリアが、しおりを挟んでいた箇所を確認している。
「でもこんな大きなもの、どうやって破壊するんだ?」
悠人はその背に向かって話しかけた。純粋な疑問が口についただけだった。
「マナ吸引装置を破壊させれば、マナの吸収が出来なくなり、全ての機能が停止します」
エスペリアが手帳をしまいながら、簡単に答える。しかしその内容はさっぱり理解出来なかった。
要するに、どこか重要な機能が失われればこの装置は止まる、そういった事なのだろう。
「……そのはずです」
自分の中で勝手に結論付けていると、エスペリアが小さく呟いたような気がした。
「え?」
思わず聞き返したが、しかし振り向いたエスペリアは厳しい口調で、
「ユートさま、アセリア、警戒をお願いします」
とその疑問を遮る。不安は残るが、信じるしか無かった。
「……わかったよ、気をつけて」
悠人はそう言って、入り口の方を見つめた。ありがとうございます、そんな声を背中に聞いて。

それにしても、と周囲を見渡す。この世界に来て、初めて見る“近代設備”。
そしてこの、永遠神剣。そのギャップから来るのだろうか、この違和感は。
ファンタズマゴリアというこの世界。その全体を覆う、なにかしっくりこないもの。

――『いずれファンタズマゴリアの趨勢は、与(あずか)り知れない者の手に委ねられている』

確かにこの世界は、「この世界によって創られたもの」には思えなかった。
165朔望 奏鳴 volspiel −U:2005/09/25(日) 00:13:38 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§

親友の懐かしい笑顔と共に、夢から目覚めた。
暫く、現実感の無い空間を漂う。そのままで、昔の思い出に揺られていた。
やがて、ゆっくりと顔を上げる。正面に飾られている、ラキオスの紋章を象った油絵。
どうやら、執務中にうたた寝をしていたらしい。ようやく状況を把握出来てきた。

「アズマリア…………」
呟き、窓の外を眺める。晴れ渡り、雲一つ無い空。
彼女とは、ずっと交流を温めてきた。
幼い頃から王族という枠の中、鳥篭のような世界で育てられた中で。
ただ一人、姉のように慕ってきたイースペリアの女王。
彼女は肉親からは与えられなかった愛情を教えてくれた。甘えを、受け入れてくれた。
その聡明さは自分にとって、長じてからは憧れのような存在に変わった。
自分もあのような立派な国の統治者になりたい、と常々思ってきた。
そして今では、“理想”に向けての唯一の理解者。同士、と言い換えてもいい。

立ち上がり、窓際に近づく。思い切って両開きの窓を開くと、気持ちの良い風が入り込んできた。
眼下に広がるリュケイレムの森。そしてその向こう、遥か遠くにイースペリアがある。

「どうか、ご無事で…………」
胸の前で手を合わせ、祈るように囁いた時。
太陽よりも眩しい光が、景色を煌々と輝かせた。
166朔望 奏鳴 U−1:2005/09/25(日) 00:16:03 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§

こつ……こつ…………
城の一角で立ち尽くしていたファーレーンは、背後から来る足音に一瞬気がつかなかった。
(……!!)
反応したのは、体の方が先。背中に感じる尋常ではない存在感に、咄嗟に足が動いた。
ぶわっと襲い掛かる圧力に鳥肌が立ち、それから思考がようやく追いつく。
物陰に隠れて、その距離を測る。相手は一人。強敵なのは、間違いない。…………気付かれるだろうか?
(ハート…………モート…………)
気配が近づく。唇が乾いている。鼓動が重く響く。
(ラート…………スート…………)
足音が直ぐそこまで迫った。ぎゅっと『月光』を握り直す。
(…………ラロ!)
引き絞った弓から放たれた様な勢いで飛び出したファーレーンは、
その距離をあっという間に0(ラロ)にした。驚いた気配が相手の背中越しに伝わる。
振り返る前に腕を掴み、絞り上げた。同時に『月光』を喉元に突き立てる。
「…………静かにっ」
耳元で囁きながら、ファーレーンは奇妙な違和感を感じ始めていた。
先程感じた強烈なプレッシャはこうしている今も鋭利な刃となって伝わってくる。
それなのに、さっきとは別の不思議な穏かさを同時に感じる。
それは相反する感覚となってファーレーンを戸惑わせた。
あまつさえ、敵が両手に武器を持ってはいないことに今更気づく。
そして掴んだ腕から滴り落ちてくるのは…………血?
自分が斬り付けたものではない。それならば何故。
「貴女は、一体…………」
「ラキオスの…………妖精、ですか?」
考えあぐねていたファーレーンに殷々とした声が語りかける。
ファーレーンは、はっとなった。もしやと問いかける。
「アズマリア・セイラス・イースペリア女王……ですね」
167朔望 奏鳴 U−2:2005/09/25(日) 00:18:24 ID:MHvM6sz90

「……ユート」
周囲を見回していた悠人の横にすっと立ち、珍しく緊張を帯びたアセリアが剣に手をかける。
その視線の先、いつの間にか一つの黒い人影があった。
「くっ、敵か……早いな」
身構えながら、その姿を凝視する。
鋭く光る赤い瞳。褐色の肌。纏う黒い装束の胸に彫られた三首蛇の紋章。
たなびく銀色の髪は無造作に束ねられ、握り締めている細身の黒い神剣からは無言の圧力。
それでいて、あくまで自然な佇まいからは古豪の剣士かなにかを連想させる。
少女は明らかに、今までのスピリットとは違う何かを秘めていた。
「ユート。 エスペリアを……お願い」
アセリアが、『存在』を構える。珍しく硬い口調が敵の恐ろしさを伝えてくる。
「お、おいアセリア」
そう声をかけ、近づこうとしたその時だった。

瞬間。
ゆらりと前傾姿勢になり、剣を鞘に収めた黒いスピリットが――――

ひゅん!

――――“見えない速度で”アセリアに殺到していた。

ぶわっと遅れてやってくる、一陣の風。その中で、二人は対峙していた。お互いの神剣を鍔合わせて。
受け止めるアセリアの、純白の衣装、銀色の『存在』、純白のウイングハイロゥ。
対して、正に対照的な姿がそこにあった。黒い衣装と神剣、褐色の肌、そして――漆黒の翼を擁して。
「…………ほぅ」
感心したような呟きを発するブラックスピリット。そう、彼女が広げたのは黒のウイングハイロゥだった。
168名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:18:32 ID:KmmWB7o80
支援ですわ
169朔望 奏鳴 U−3:2005/09/25(日) 00:19:47 ID:MHvM6sz90

壁に背をもたれさせたアズマリア女王は、荒い呼吸をようやく落ち着かせた。
剣に貫かれたかと思われる胸の傷は真っ赤に染まり、それはどうみても致命傷であるにもかかわらず、
ゆっくりとファーレーンを見つめる瞳には依然として強い光が宿っている。
白いドレスを身に纏い、凛とした誇りを失くしていないその態度が気品を放つ。
(なんて、気高き女性(ひと)なんだろう……)
滲み出る光芒。生まれついての女王。存在自体に圧倒され、思わず跪いてしまう。

「ご無礼をお許し下さいアズマリア女王。
 初めまして、ラキオスのスピリット、『月光』のファーレーンと申します」
声が、震える。ファーレーンは、「畏れ」というものを初めて感じていた。

「……………………」
ただそこにいるだけなのに、突き刺さるような視線と重い沈黙がその存在感を増大させる。
どこまでも間延びしたような時間が過ぎ、やがてふいに空気が和らいだ。
「ではファーレーン、必ずや戻って主に伝えてください。 レスティーナ……貴女なら、必ずできます、と」
ファーレーンは思わず顔を上げた。女王は、いつの間にか微笑んでいた。
慈愛の表情が、周囲の空気を一変させる。ファーレーンは息を飲んでその姿に見とれてしまっていた。

その視線をファーレーンから外し、ゆっくりと廊下の先の暗闇を見つめる女王。
「誤たれた“龍の魂同盟”……その先に続く、新しい“絆”…………」
どこか遠くに話しかけているような、そんな呟き。一瞬見せた悲しみの表情は、
しかしもう一度ファーレーンに向き合った時にはもう元の威厳を取り戻していた。
「そなたの主…………レスティーナ皇女に。 新しい秩序に、マナの導きがあらんことを…………」
ファーレーンは、そこでようやく我に返った。
新しい絆、そして秩序。もしや女王は、レスティーナ皇女の志を知っているのだろうか。

「アズマリア女王…………!!」
「わたくしも…………共に、見てみたかった…………」
そう言って静かに眸を閉じた滅び逝く国の気高き女王は、もう二度と口を開くことはなかった。
170朔望 奏鳴 U−4:2005/09/25(日) 00:22:10 ID:MHvM6sz90

力を使い果たし、肩で息をしているアセリアを、エスペリアが支えている。
それを庇うように立ち塞がる悠人を伏せ目がちにじっと見つめ、『漆黒の翼』ウルカは口を開いた。
「…………エトランジェか?」
「だったらどうする」
悠人は声に動揺が現れないよう、ゆっくりと呟いた。
先程のアセリアとウルカとの戦い。悠人にはほとんどなす術も無く、目で追うのも精一杯だった戦い。
その激戦にもかかわらず、呼吸一つ乱れていない、目の前に立つ帝国最強のスピリット。
今この戦力では、とても逃がしてはもらえないだろう。だけど、せめて二人だけは。
緊張して『求め』を握り直した悠人に返ってきたのは、しかし意外にも感心したような言葉だった。
「まだ荒削り……しかし、良い腕をしている」
「……な、に?」
「手前の役目はすでに終わりました。 これ以上、戦うつもりはありませぬ」
まるで剣術の師匠のような口ぶりには、薄っすらと笑みまで漏らしながら。
その赤い双眸に柔らかいものが宿るのを見て取って、悠人は少し混乱した。
すっと目を伏せ、剣を鞘に収め、再び平坦な口調に戻るウルカ。
「手前どもの任務は攪乱。 首尾は良く……戦う理由も消えました」
その視線が部下のいた辺りに注がれ、再び悠人に向き合う。
「貴殿の名と、先程の剣士の名を聞かせてはいただけませぬか」
「……俺の名は悠人、あいつはアセリアだ」
「感謝いたします……では、また戦場で」
「俺は……ゴメンだ」
「ふっ……残念です」

ウルカが走り去った後、悠人は不思議な印象を感じていた。
確かに、今までのスピリットとは違う。強さとかそういう事では無くて、もっと別の所で。
「戦う、理由……」
悠人が呟いた時、後方でぶうん、と機械音が変化した。恐らくエスペリアの操作が完了したのだろう。
171名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:23:13 ID:Va0UEb7w0
支援、いきます。
172朔望 奏鳴 U−5:2005/09/25(日) 00:24:05 ID:MHvM6sz90

女王の遺体を床に横たわらせ、その腕を胸の上に静かに揃える。
暫くファーレーンは、そのまま女王の手を握り締めていた。
もちろん「絆」の意味を、はっきりと言われたわけではない。
それでもレスティーナの世界観を説かれ、理解していたファーレーンには確信出来た。

 ――――『人とスピリットの共存』――――

その理想に共感してくれていた「人」。そんな、信じられる人間が、ここにも居たと。
胸に、何か熱いものがこみ上げてくる。そんな彼女から託されたものが、とても重く感じる。
自然に涙が毀れた。
死に接しての感情なのか、一時でも触れ合った心の為か。ないまぜになった感情が抑えきれない。
『必ずや戻って』
その言葉にはレスティーナ皇女と同じ、相手を気遣う柔らかさがあった。
『わたくしも…………共に、見てみたかった…………』
スピリットを、人と同じように捉えてくれる想い。それに心から共感してくれた。
そんな今までずっと信じられなかった現実が、ここにもあった――――応えなくては、ならない。

ずぅぅぅぅ…………ん………………

その時、一際大きな振動と炸裂音が聞こえた。ぱらぱらと天井から落ちてくる、細かい塵。
ぐいっと頬の涙を拭い、ファーレーンは立ち上がった。
一度だけ、女王に振り向く。
「必ずや、お伝えいたします…………」

駆け出すファーレーンの背後で、崩れる城と共にアズマリア・セイラス・イースペリアは沈んでいった。
173朔望 奏鳴 V−1:2005/09/25(日) 00:25:57 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§

ぞくり、と一瞬背筋が凍るような感覚が襲った。
「みんな、ただちにイースペリアから撤退する!」
悠人は叫んでいた。一瞬きょとん、としたエスペリア達が、直ぐに反応して行動に移る。
『あの者が自らの死を選ぼうとしている……このままでは巻き込まれる。 急ぎ立ち去るのだ』
いつもらしくない切羽詰った求めの訴え。同時に「あの者」のイメージが強制的に頭の中へと流れ込む。
そこに映るのは先程まで見ていたイースペリアの巨大神剣の像だった。
悠人はなおも感じる背後からの冷たい感覚から逃れるように駆け出した。

既に城の姿も見えない場所。そこに広がる草原に、やがて悠人達は辿り着いた。
疲弊しきった者や傷ついた者達を、エスペリアやハリオンが看て回っている。
悠人は一人離れた所に腰を下ろし、首都の方角を見た。
城下では、まだイースペリアやサルドバルトのスピリット達が戦っているらしい。
それを考えると、自分達の行った『救助活動』とは一体なんだったのかと疑念が積もる。
『求め』の声に後押しされるように撤退してしまったが、やはりもう少し残るべきだったのでは。
そうすれば、戦いで失う命を、もう少しだけでも救うことが出来たのではないか。
「……くそっ」
悠人は無意識に爪を噛んだ。違う。そうではない。何となく、わかってしまったのだ。
あの場にあと少しでもいれば、“自分達も危なかった”という事が。
理由は判らなかったが、あの背中を襲う感覚が、結論だけを確実に教え込んだ。
判断したのは、“ただ自分達が助かる為だけ”の撤退だったのだ。
「これがエトランジェの力なのかよ……」
昔から憧れていた、“力”。理不尽な大人達にも立ち向かえるだけの力。佳織を守れるだけの力。
しかし実際に手に入れてみれば、何のことは無いものだった。
守りたいものは守れず、失うものばかりが増えていく。
そうして最後に、何が残るというのだろう。戦いに狩り出される、という以外に。
「これじゃあ、エスペリア達の事なんて言えないよな……」
自嘲気味に呟いた一言。認めたくは無いが、今の自分はスピリット達と同じ、単なる戦いの駒だった。
174名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:26:05 ID:U+k5OwX30
支援に徹した方がいいのかなあ……なんか私に合ってる気もするし。
175朔望 奏鳴 V−2:2005/09/25(日) 00:28:10 ID:MHvM6sz90

「ユートさま、お伝えしたいことがあります。…………お時間をよろしいでしょうか?」
「……ああ」
背後から、エスペリアの躊躇いがちな声に呼ばれる。悠人は物憂げに振り返った。
そうして手帳を開いたエスペリアが変換施設の処理に対しての疑問を口にした時。

どくんっ

背中に、真っ黒な闇のイメージが広がった。襲い来る悪寒は先程感じたものと全く同じ。
「っ!!!」
険しい表情にエスペリアが何かを言いかける。それに構わず悠人は立ち上がった。
ごごごごごご…………
最初は、軽い眩暈。続いて感じる、マナの乱れ。気持ちの悪い、車酔いのような感覚。
それらが全てイースペリアの方角からうねり、襲い掛かろうとしている。瞬間、眩い位の閃光が走った。
「エスペリアっ!」
叫んだと同時に、周囲が一気に暗くなる。物凄い勢いで空を覆いつくした昏い雲。
振り向いたエスペリアの表情が、翳って良く判らない。しかし声でその緊張だけは伝わった。
「やはり! あれは暴走の操作! ユートさま、守りをイースペリアの方角に集中して下さい!」
言われるまでも無く、既に構えている『求め』をイースペリアに向け、そちらを睨む。
エスペリアが背後で他の仲間にも指示を出していた。
「みんなも、全力で防御を!『マナ消失』が来ますっ!」
(……マナ消失?!)
聞きなれない言葉が悠人の中で引っかかるが、思考を遮るかのように『求め』の声が響く。
『心せよ、汝の力が試される。……妖精たちと力を合わせよ、そうでなければ、消滅する』
「なっ、どういう…………っ!!」
ずしん、という衝撃と共に、悠人の疑問は掻き消された。
「ぐっ……ぐっ…………!!」
無限の膨張と限りない喪失感。それらが同時に襲い掛かる。
頭の中か身体の外か、どちらを掻き回されているのかも判らない。
津波に圧し潰されるような、竜巻に引き千切られるような感覚。
あらん限りの集中力で、『求め』の力を引き出す。先程までの躊躇など、微塵も無い。
荒れ狂うマナの奔流の中で、守る、悠人はただ一点、それしか考えられなくなっていた。
176朔望 奏鳴 V−3:2005/09/25(日) 00:34:02 ID:MHvM6sz90

暴力的に襲い掛かるマナの圧力が、一瞬でプラスからマイナスに変化する。
大地から、大気から、周囲のマナが根こそぎ吸い込まれていく。そう、あの巨大な神剣に。
イメージは、ブラックホール。自らの圧力で潰されていく、断末魔の叫び声が頭の中に反響する。
「……バカ剣っ! もっと力を引き出せっっ!!」
今出来るだけの魔法陣を最大限に紡ぎ出しても、なお足りない。
無理矢理にでも広げなければ、“後にいるみんなを助けられない”。
「くっ……おおおおおっ!」
こめかみに血管が浮かび上がるのが判る。ばさばさと暴風に巻き上がる前髪が目に入り鬱陶しい。
嫌な汗が張り付いたシャツの気持ち悪さ。心臓の鼓動がずしんずしんと五体に響く。
「…………ユート!」
背後から、声。誰の物かは判らない。ただ、僅か。ほんの僅かだけ、周囲の圧力に変化があった。
前に向かって流れていく緑色のマナ。グリーンスピリットの誰かが加護の魔法を掛けてくれた。
「……助かったっ!」
振り向かず、感謝だけを伝える。それも届いたかどうかは判らないが。
そうして一瞬の余裕の内に、更に魔法陣を広げようとした時。視界に大木が飛び込んできた。
「……くそっ!」
森から飛ばされてきたのか。ぶうん、と唸りを上げ、間違いなくこちらに向かってくる。
避わす事は容易い。しかし今、イースペリアの方角に集中している体勢を、自ら崩すわけにはいかない。
かといって無防備なまま受ければ、ダメージは無くても、それでも集中は崩れてしまう。
「……だめかっ!」
迫る大木を前に、思わず絶望的な叫びが零れたその瞬間だった。

――ざんっ

樹は真っ二つに裂け、悠人の隣には白いウイングハイロゥを羽ばたかせた少女が立っていた。
177朔望 奏鳴 V−4:2005/09/25(日) 00:35:25 ID:MHvM6sz90

「ユートさま! もう少しですっ!」
「…………ファーレーンっ?!」
「前方に集中して下さいっ! わたくしがお守りしますっ!」
「……頼むっ! く、おおおおおっっ!!」
風の中、ファーレーンの声だけが、何故か良く通って耳に飛び込んできた。
残りの力を全て『求め』に注ぎ込もうと手に力を入れる。
と、ふいにその手に暖かい物が添えられた。そっと流れ込む透明なマナ。
ファーレーンが手を握ってくれていた。自らのマナを、分け与えながら。
不思議に勇気づけられて、心の中の恐怖心が拭き流される。代わりに満たされる、安心感。

 ――――さんきゅ、な。
 
 ――――きっと、大丈夫ですから。

それは、伝わったのか。伝わってきたのか。
もう大丈夫。どうしてだろう、そう、感じた。

そうしてどれくらいの時間が経過したのか。
一陣の嵐が過ぎ去った後。焼け野原のような中、ラキオススピリット隊は九死に一生を得ていた。

「………………」
「………………」
力の解放を終えた悠人とファーレーンは、並んで立ち尽くしていた。
マナの不足による、あの神経を蝕むような飢餓感も起こらない。それぞれの神剣は何故か沈黙していた。
そよそよと、風が流れていく。声を出す者は誰一人としていない。草がひらひらと舞い上がっている。
抜け落ちた大地に、皆は無言でイースペリアを見つめ、そこから動く事が出来ない。
各々がたった今消滅した国に、様々な思いを抱えながら視線を送っていた。
悠人は頭が真っ白になり、何も考えられなかった。先程まで頭の内外で荒れ狂っていた嵐が嘘の様な静けさ。
178名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:37:12 ID:KmmWB7o80
もっかい支援
179朔望 奏鳴 V−5:2005/09/25(日) 00:37:37 ID:MHvM6sz90

やがてさざ波のように、後の方から溜息とも安堵ともとれる声が聞こえ始める。
それでも悠人とファーレーンは、暫くの間、ただじっと同じ方角を見つめ続けていた。
「…………あ」
「は、はは…………」
どちらとも無く声が漏れる。神剣を握る手が、今更ながら震え始めている。
それを確認して、見上げた視線が偶然ぶつかり合った。
「………………」
「………………」
一瞬ぱちくりとお互いの顔を見つめた二人は軽く微笑み合い、
そして申し合わせたようにぺたり、と同時に腰を落として座り込んでいた。

…………生きてる。ただそれだけ。だけど、それをここまで実感出来た事は初めてだった。
とくんとくん、という大分落ち着いた心臓の鼓動が、小気味良く聞こえてくる。悠人はそっと目を閉じようとして
「いつまでお姉ちゃんの手、握ってるのよユート」
後から、とても冷たい声を浴びせられていた。
「うおっ!」
「きゃあ! ……ニム?」
「……二人とも、失礼」
「ち、違うのよニム…………きゃっ!」
「いきなり声をかけるなよ…………うわっ! ごめんっ!」
悠人は反論しようとして、自分が酷くぎゅっとファーレーンの手を握ったままだった事にやっと気づいた。
先程感じていた鼓動がファーレーンのものだったと判り、急速に顔が赤くなる。
慌てて離した手を後に回しながら見てみると、少し離れた所でファーレーンが背中を向けていた。
隠してはいるが、両手をぎゅっと胸元で握り、兜の隙間から覗く首筋が今は真っ赤に染まっている。
「ふんだ、失礼っ! 大体さっきニムが神剣魔法掛けてあげたから……ってちょっとユート、聞いてる?」
悠人はニムントールの声を聞き流しながら、ファーレーンの後姿をぼーっと見ていた。

――――そうか、「守れた」のかもな……

この戦いを通じて、初めてただその事だけを純粋に嬉しいと思いながら。
180朔望 奏鳴 volspiel −V:2005/09/25(日) 00:39:36 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒いつつの日〜§

王座の間で悠人達の報告を聞いたレスティーナは自室に戻ると後手に鍵を掛け、
ようやくずるずるとその場に座り込んだ。大きく膨らんだスカートの奥で、膝が笑っている。

「そんな………………」
アズマリアが死んだ。どんな報告よりも、それが一番衝撃的だった。
一昨日見た、イースペリアの閃光。やはりあれが、アズマリアの命が消えた瞬間だったのだ。
予感は、あった。しかしそれをいざ事実として告げられた時、レスティーナの中で何かが崩れた。
どうやってここまで辿り着いたかも思い出せない。気がついたらここにいた。
重臣達に、不審に思われなかっただろうか。特に、父に対して毅然と出来ていたであろうか。
そんな事ばかりが頭に浮かぶ。瞼の裏に焼きついているのは、先程の父王の歓喜の表情のみ。
この期に及んでそんなものに囚われている自分がこんなに恨めしい事は無かった。
アズマリアが死んだというのに。あんなに慕っていた彼女との想い出が、何一つ浮かんでこない…………

「あ、あれ…………」
目頭がふと、熱くなった。頬につぅ、と一筋流れるもの。恐る恐る当てた手が濡れていた。
手をじっと見つめていたレスティーナの表情が、やがてくしゃっと歪む。
「うっ、う、ううう…………」
レスティーナは泣いていた。
堰を切ったように嗚咽を漏らして。子供のように、“ようやく”泣く事が出来ていた。

「ね、アズマリア……わたし、ちゃんと出来たかな…………」
答える者が居ない部屋。膝に顔を埋めたまま、レスティーナはずっと身を震わせていた。


この日、ラキオスはサルドバルトに対し、正式に抗議の文書を送った。
滅んだイースペリアを事実上の支配下に掌握しつつ――――
181朔望 奏鳴 W−1:2005/09/25(日) 00:41:17 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒いつつの日〜§

王との謁見の後、レスティーナの私室に呼ばれたファーレーンは、イースペリアでの一部始終を伝えた。
終始無言のまま毅然としてその報告を聞いていたレスティーナだったが、
報告がアズマリア女王の最後に触れた所で俯き、何かに耐えるようにじっとそのまま動かなくなった。
「女王は『貴女なら、必ず出来ます』、と……きっと伝えるように、と…………」
皇女の肩が震えているのに気づいたファーレーンは最後まで上手く言えず、そのまま語尾が空中に漂う。
これ以上、何を告げれば良いのか言葉が見つからなかった。重い沈黙が流れた。

やがて少しだけ顔を上げた皇女が、絞り出されるようなひび割れた声を漏らす。
「よく無事に帰って来てくれました……ありがとう」
レスティーナはそう呟いたきり、その手を白くなるほど握り締めたまま、もう顔を上げることは無かった。
一人にさせて欲しい、そう聞こえたような気がしたファーレーンはそのまま黙って一礼し、部屋を出た。

扉を閉めるときに漏れ聞こえた彼女の嗚咽が耳に残って離れない。
レスティーナの心境は、今は痛いほど伝わる。暗鬱とした気持ちは、ファーレーンも同じだった。
人の死。それがこんなにも自分を揺さぶっている。ましてや皇女にとって、きっとかけがえの無い存在。
もしニムントールを失ったら、恐らく自分はあのように感情を抑えることなど出来ないだろう。
182名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:42:49 ID:qddJkzuM0
再支援
183朔望 奏鳴 W−2:2005/09/25(日) 00:43:03 ID:MHvM6sz90

「あ…………」
いつのまにかリクディウスの森の入り口に立っていた。考え事をしているうちに辿り着いたのだろう。
森に風は無く、すっかり日が落ちた空気が紫を帯び、辺りに乾いた樹の香りを漂わせ始めている。
詰所の方を窺うと、暖かい灯りが零れていた。誰かの笑い声も聞こえてくる。
戦勝のお祝いでもしているのだろうか、そう思い、そちらに行きかけて、足が止まった。
「………………」
躊躇して、歩みを森へと変える。なんとなく、今の気持ちでその輪に入って行き辛かった。

やがて、『陽溜まりの樹』が見えてくる。
今夜は、月の姿が完全に隠れる日。ブラックスピリットにとって、その加護を殆ど受けられない日。
そのせいなのだろうか、この日は決まって気分が沈む。だからこそ、考えたかった。
これまでの事やこれからの事。それを闇の中で静かに一人、考えたかった。――――そのつもりだった。

(え…………)
そこには、先客がいた。
鬱蒼と繁る大樹に背もたれながらただ夜空をじっと見上げていた青年は、
やがて気配に気づいたのか、ゆっくりとその澄んだ黒い瞳をこちらに向けた。
どくん、と胸がひとつ弾んだ。
184朔望 奏鳴 W−3:2005/09/25(日) 00:44:12 ID:MHvM6sz90

仲間内のささやかな宴を抜け出した悠人は、涼むつもりで外に出た。

昔から、苦手だった。
皆と楽しんでいても、周囲が盛り上がると、ふと冷静にそれを見つめるもう一人の自分を感じる。
参加しているはずなのに、自分だけが醒めていく。そうなると、無性に独りになりたくなる。
どうしようもない孤独癖。そう自己判断は出来ても、性分だけは今更変えようも無い。
素直に喜べない心のしこりも相まって、気がつけばここまで歩いてきていた。
覆い尽くすほどの枝葉が空の一部を切り取って生い茂る一本の大樹。悠人はゆっくりとその幹にもたれかかった。

「ふう…………」
月が見えない分、見事な星空が目に飛び込んでくる。
元いた世界では中々見られない神秘的な景色に包まれながらも、心は一向に晴れなかった。

ダーツィ大公国からイースペリアへの転戦。それは悠人の心中に、大きな変化を与えていた。
戦う為だけの道具として扱われているスピリット達。それに示唆を与えようとした自分に気づいた。
戦いを自身の存在理由だと決めてかかる彼女達に、違う「生きる意味」を見つけてもらいたかった。
しかしそれらが既に「人としての」エゴだと。自分にそんな資格はないのだと。
状況に甘んじ、佳織の為だと逃げ、戦争の道具としての自分を認めたがらなかった自分が、
ただ苦しんだふりをしているだけで、正に「自分自身の生きる意味」を持っていない事を思い知らされた。

『自らが求めることに純粋であれ』
サードガラハムの言葉が、ここにきて痛烈に心に突き刺さる。
佳織の為、それは本当に、自分の願いだったはず。両親を失った佳織を守ると決めた時から、ずっと。
そのためになら、なんでもやる。たとえ自分を犠牲にしても。そう決心して生きてきた。
「でも、それを言い訳にしちゃ、だめなんだ。それは『自分で求めている』ものとは違うんだ……」
自己犠牲からは、何も生まれない。そんな陳腐な言葉の本当の大切さを、悠人は今更実感していた。
185朔望 奏鳴 W−4:2005/09/25(日) 00:45:43 ID:MHvM6sz90

「なら、どうすればいいんだろうな……」
呟き、空を見上げる。
こんな時、光陰なら腕を組んだままうんうんとやけに説教臭く
『そうやってすぐ思い詰めるのがお前の悪い癖だな』
とか言うんだろうな、と少し可笑しくなった。
『馬鹿な考え休みに似たり、ってね。 悠はバカなんだから、無理して悩むより行動あるのみ、よっ!』
そう言って、背中を力任せに平手打ちする今日子の姿が思い浮かぶ。

 ――――懐かしかった。

 二人とも、もういない。いつも一緒にいた幼馴染。
 迷った時、困った時。頼りになる、背中を押してくれたかけがえのない親友――――

「自分でなんとかしろ、ってことか…………」
押し寄せてくる寂しさ。改めて、ここが違う世界なのだと思った。

かさっ、と草を踏みしめる音に、悠人は我に返った。
視線を下ろし、そこに立っている影に気づく。
振り返った拍子に溜めていた涙が零れ落ちて頬を伝った。
ややぼやけた視界に映るのは、ロシアンブルーの髪とニ紫の鞘に納まった神剣。
いつもこんな情けない所ばかり見られちまうな、そんな事を考えていた。
186朔望 奏鳴 W−5:2005/09/25(日) 00:48:00 ID:MHvM6sz90

「あ……ユート、さま……その…………」
ファーレーンは何かを言いかけて、そのまま俯いた。
まるで見てはいけないものを見てしまったかのように。
その様子を察した悠人は慌ててぐいっと顔を拭う。気まずい雰囲気が少しだけ流れた。
「ああ、その……ファーレーンもここに?」
「え、ええ。 ユートさまはどうして……」
きまりの悪そうな顔で話しかける悠人にややほっとしたのか、ファーレーンが顔を上げる。
何だか噛合っていない会話だが、それでもお互い緊張がほぐれた。
悠人は頭を掻きながら、ファーレーンが今来た道の方を見つめてみた。
暗い闇の向こうにみえる、仄かな人の温かみ。しかしそれはどこか余所余所しくも感じられた。
「そうだなぁ……居辛かったから、かな」
「居辛かったから……ですか?」
「うん。 なんていうか……そういうの、無いか? 無性に一人になりたい時、とか」
「え? あの……」
わざと軽い調子で明るく言う悠人に、深刻に考え込んでしまうファーレーン。
口元に手を当て、う〜んと少し傾けた顔がなんとなく幼く見える。その仕草に悠人は噴き出しかけた。
「いや、そんな真剣に考えなくても」
「…………そうですね、そういう時もあります」
「え?」
「わたしもよく、この上に昇りますから」
「上……あ、そうか」
そう言ってファーレーンが見上げた先を、悠人も目で追ってみる。
大樹の陰が覆う中。枝の隙間から、いつもより少しだけ強い星の光が零れていた。
「そっか……そうだったっけ」
「…………ええ」
二人はほぼ同時に思い出していた。初めて出会った、あの夜の事を。
187朔望 奏鳴 X−1:2005/09/25(日) 00:49:29 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦330年スリハの月黒いつつの日〜§

いつの間にか側に来ていたファーレーンが、ゆっくりと悠人の隣で同じように幹に寄りかかる。
並んでみると、背はそう変わらない。やや視線を見下ろす辺り、すぐ横にファーレーンの顔がある。
改めてみると、美人、という形容が正に当てはまる顔だった。
彩度の低い独特の瞳と眉のせいか、きりっとした目鼻立ちには高貴ささえ感じてしまう。
それでいて全体の雰囲気は、決して冷たくない。時折ふと見せる幼い表情には、母性的な柔らかささえある。
ロシアンブルーの髪が風に流れ、微かに森の匂いが流れてきて悠人は少しどきりとした。
少しは期待していたのかもしれない。いつもこの樹の辺りに浮かぶ、彼女にまた会えるのではないか、と。
一人でいたい、そう思う気持ちは今はかなり薄れていた。

気になるのか、髪を横に掻き分けながらファーレーンが囁く。
「わたしも、同じですから。 辛い時は、独りになります…………今のユートさまのように」
「……ああ、そうだったのか。 だから…………」
その先を悠人は飲み込んだ。
『だから、同じだと思ったんだ』
恥ずかしくて、とてもそんなセリフは言えなかった。
代わりにぎゅっと拳を握り、思い切って聞いてみる。何故か喉がからからに渇ききっていた。
「ファーレーンはよく詩を唄ってたよな。 いつも寂しそうな歌声だった。 今みたいな顔で唄ってた」
「え……寂しそう、でしたか……?」
今度はファーレーンが目を丸くする番だった。
188:2005/09/25(日) 00:51:02 ID:7wLirY510
支援、ってあんまり向かないけど…
189朔望 奏鳴 X−2:2005/09/25(日) 00:51:08 ID:MHvM6sz90

思わず覗き込んだ悠人の眸は、ファーレーンよりやや高めにある。
背の高さは、ダラムで助けられた時の大きな背中を思い出させた。
じっと覗き込まれて動揺したのか、逸らした横顔が優しい。
ファーレーンはくすっと小さく笑った。一人でいたい、そう思う気持ちは今はかなり薄れていた。
少しは期待していたのかもしれない。いつもこの樹から見ていた、この人に会えるかもしれない、と。

――そう思った時には声が漏れていた。
「ユートさま、もし宜しければ……少し、お話ししませんか……」

(きっとこの人は同じ思いを持ってくれている……)
そんな確信が、何故かどこかにあった。思えば、距離感を失った出会いの時から。
だから自分から誘う、そんな事を意識しないで済んだのかもしれない。
「……不思議だな。 俺も今、そう頼もうと思ってた」
そっぽを向いたまま、それでも精一杯優しい声で応えてくれる。
やっぱり、と少し嬉しかった。
190朔望 奏鳴 X−3:2005/09/25(日) 00:52:29 ID:MHvM6sz90

じゃ、とそのまま腰を下ろす悠人。
「それでは、失礼致します」
ファーレーンも膝を揃えて隣に座った。
「………………」
「………………」
暫しの沈黙。悠人は何を話そうかともう一度空を見上げる。
相変わらずの見事な星空。ふと、何か肝心なものが欠けているような気がした。
「…………そうか、今日は新月だったんだな。 だからあんなに星が綺麗なのか」
今判った、といった感じの声に、きょとんとしたファーレーンが不思議そうに訊いてくる。
「シンゲツ、ですか?」
「ああ、月が日によって丸かったり欠けたりするだろ? 全部見えなくなるのを俺の世界では新月っていうんだ」
「なるほどそうなんですか…………すると全く欠けていない月にも名があるのですか?」
「うん、そういう時は満月っていうな」
「ではわたしは、マンゲツが好きです」
「? なんで?」
「だってマンゲツは、照らしてくれるから…………闇を紡いで映してくれるから…………」

そう言ったファーレーンは、また少し寂しそうに微笑んだ。俯き、合わせた爪先をじっと見つめながら。
折角弾みかけた話題が途切れそうになり、悠人は殊更に明るい調子で続けた。
「そういえばファーレーンと会う時はいつも満月だしな。 やっぱりその、影響とかあるのか?」
「え、ええ、月の加護を受けてますから。でも本当は、夜の妖精なんです、わたし達」
そう言った時には、もうファーレーンの表情は元通りに戻っていた。
あまつさえ、冗談っぽくぺろっと小さく舌を出し、ないしょですよ、と囁いたりする。
本当は夜の妖精、という意味が良く判らなかったが、悠人は取り合えず苦笑いをして見せた。
まるで子供同士が秘密を打ち明けあっているような、そんな妙な気恥ずかしさを誤魔化しながら。
191朔望 奏鳴 X−4:2005/09/25(日) 00:54:58 ID:MHvM6sz90

「俺さ……前の世界じゃよく『疫病神』って呼ばれてたんだ」
「ヤクビョウ、ガミ、ですか……?」
「ああ、なんていうのかな、災いを呼び込む元凶って意味。 いつも俺がいると佳織が悲しんでたから」
「……………………」
「最初は、両親が死んだ。 で、ばあちゃんに預けられてた後、叔父さん達に引き取ってもらった。
 佳織はその叔父さん達の子供でさ、初めは俺を怖がってたっけ…………。
 叔父さん達が飛行機事故で死んだ時、佳織は俺と同じ、一人ぼっちになって泣いてた。
 だから思ったんだ、コイツは俺が守らなきゃって。 でも親戚連中は皆言ったよ、お前は疫病神だって」

取りとめも無い告白。ファーレーンにはハイペリア語の半分も理解できない。
しかしファーレーンは黙ってそれを聞いていた。じっと目を閉じながら、一言一句聞き漏らさないように。
「そんな大人達に反発する気持ちもあったんだろうな。 ムキになってたって今なら判る。
 それでも俺は俺なりに頑張ったつもりだった。 でも結局、こうして佳織をまた一人にさせちまってる」

肉親という者の感覚は、ファーレーンには良く判らない。
それでも悠人が、大切なものを次々と失ってきた悲しみは伝わる。
レスティーナ皇女の哀しみに直面した時に想起した感情と同じものが胸の奥から突いてきた。
「……本当は、戦いたくなんかないんだ。 人を殺すなんて、誰が好きでやるもんか。
 でも、そうしないと佳織を守れない。 それに、この世界で出会った大切な仲間も守れない。
 だから、戦うよ。 格好つけるようだけど、それできっと上手く行くと思うんだ。
 戦いを終わらせれば、佳織の事も、この世界の事も、それに……みんなの生きる意味も」

ふう、と一息ついて悠人は空を見上げた。
「…………でも、俺が戦えば戦うほど、争いは増えていくんだ。
 沢山の人が不幸になる。 そして今度は、国一個丸々だ。……これじゃ本当に疫病神だろ?
 はは……どうしてだろうな。 ただ守ろうとしているだけなのに、何でこんなに上手くいかないんだろう」
192朔望 奏鳴 X−5:2005/09/25(日) 00:56:51 ID:MHvM6sz90

話している間に気持ちが昂じてきた悠人は気がつかなかった。
ファーレーンが、いつの間にかその鋼色の瞳を大きく見開いて悠人を見つめている事に。
(この人は……ううん、この人“も”…………)
ファーレーンは、驚いていた。悠人が自分達を「人」と言った事に。「仲間」と呼んだ事に。
それはとても自然で。あまりにも当たり前だという風に、とても自然で。
だからこそ、ファーレーンの心の中に、悠人に対する違う感情を湧き上がらせるのに充分だった。


  ユートさま、守りたいものはありますか――――?


「あ…………」
ファーレーンは、静かに悠人の頬に手を当てた。涙の跡をなぞる指はやがて頬全体をそっと包み込む。
大きな澄んだ瞳がじっと黒い眸を映し出す。悠人は暫く見つめ返し、やがて強く頷いた。
いつか無言で交わした、全く同じ問いかけ。今は少し違う答えで。
「……ああ、ある。 たくさんあるよ、今はそれが判る」
「…………なら、大丈夫です。 わたしが、ユートさまをお守りしますから」
「え、ファーレーン……?」
にっこりと微笑んだファーレーンは、黙ってもう一つの手を悠人のそれに重ねた。
「ユートさまはヤクビョウガミなんかではありません。だって……」
もう一度悪戯っぽく舌を出すファーレーンの瞳は、しっかりと悠人を見つめたまま離さなかった。


 ――――こんなにも、失ったものを大切に想われているじゃありませんか…………
193朔望 奏鳴 zwischenakt −T:2005/09/25(日) 00:58:30 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月緑いつつの日〜§

六本の、剣。
闇の中、妖しく光るその剣先が、全てこちらを向いていた。
からからに乾いた喉が、ごくりと鈍い音を立てる。
地面深く根を張り出したように、玉座に縛られている体。
僅かに残った唾液が針のように刺す痛みを残して胃へと通り抜ける。
血走った目はまるで何かに憑りつかれたか、一点を見据えて動かない。
ダゥタス・ダイ・サルドバルトは、未だ自分に何が起こったのかを理解してはいなかった。

窓に叩きつけられる、激しい雨音。暗闇の中で、それはひとしきり強調されて耳に飛び込む。
「…………なにが、望みだ?」
搾り出した声は、信じられない位にしわがれていた。闇に吸い込まれてどこにも行かない問いかけ。
手を握り締め、恐怖に耐える。引き延ばされた時間が流れ、やがて重い、生温く湿った空気が震えた。

「――――――」

稲光が走る。一瞬見えた意外に小柄な白い影は、くすくすと無邪気に微笑んでいた。
ダゥタス・ダイ・サルドバルトは、ようやく自分の運命を理解する。
雨音が、煩い。それに、無性に喉が渇いた。

次に雷鳴が辺りに轟いた時。その光に映るのは、濁った目を持つ意志の骸だけだった。
194名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:59:15 ID:qddJkzuM0
重ねて支援
195朔望 奏鳴 Y−1:2005/09/25(日) 01:00:11 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月緑みっつの日〜§

「いったい、どういう事なんだ!」
いつもの毅然と見せる鍍金を繕おうともせず、ルーグゥ・ダィ・ラキオスは王座から腰を浮かせていた。
怒りを帯びた罵声が高い天井にまで響き渡り、報告をした兵士の肩がびくりと震える。
居並ぶ重臣がその機嫌を更に損ねる事を恐れるかのように物音一つ立てず口を噤む中、
レスティーナは一人冷厳な瞳でその光景を眺めていた。

(所詮帝国に踊らされていただけに過ぎないのに……)
ここに到るまで、自分の為した愚劣な行為がどんな結果を齎(もたら)すのかも考えない父。
「ええいっ! 情報部は何をしていたのだっ!」
血走った目で叫ぶ。戦争における情報の重大性。それを今更のように騒ぐ父が、哀れでもある。
レスティーナはファーレーンから得ていたサルドバルトの内情を、一切報告してはいなかった。
その活動を軽視しきっていた王を始めとするルーグゥ派が、今まで全く要求してこなかったからだ。
好都合ではあったが、だからといって大局を動かすような行動はまだ取れないし取らない。
レスティーナはただ、目の前で跪いている一人の青年に皇女として命令を下した。
「ユートよ、エトランジェとしてサルドバルトを陥落させよ……滅ぼすか、滅ぼされるか」
そこで一度言葉を区切り、自分に言い聞かせるように。
「……戦うのみ」
満足そうに髭をさする、王と呼ばれる老人を睨みつけて。
196朔望 奏鳴 Y−2:2005/09/25(日) 01:02:38 ID:MHvM6sz90

 ――――ちゃん

振り下ろす剣先に集中する。ぼんやりと動く空気の流れ。その境目。
僅かに崩れた断層のような温度差を、その筋に沿って辿る刃。
細かい粒子が駆け抜けた後に、やっと追いつく風切りの音(ね)。

 ――――えちゃん

ひゅん、という涼しい音に被さり、その更に先を行く感覚。
既に音も立てずに鞘に収められていた鍔元は、落ち着く間も無く再び滑り出していく。
と、視界の隅に少し埃色の白い羽織を纏った人影が掠めた。

「お・ね・え・ちゃんっ!」

がきんっ!ニ撃目を収めた鍔が激しい金属音を立てた。
197朔望 奏鳴 Y−3:2005/09/25(日) 01:03:41 ID:MHvM6sz90

「な、なに? ニム」
心の乱れを悟られまいと、何事も無かったかのように振り向く。
目の前に、膨れた頬を隠しもしないニムが両手を腰に当てたまま睨んでいた。
でもそのうしろ、少し離れた場所に、長身黒髪の人。その姿につい目が行ってしまう。
「お姉ちゃん、訓練時間、終わったってば……もう、何ぼんやりしてるの?」
「え? わたし、ぼんやりしてました?」
「……はぁ〜〜、自覚無いんだ。……とりあえず『月光』、仕舞ったら?」
「え、ええ……あら……」

……収めたはずの『月光』は、鞘の脇で水平に浮かんでいた。鍔を鞘口にぶつけたまま。

何だか変だった。
あの夜以来、訓練に身が入らない。
自分では集中しているつもりなのに、出来ていない。
目前に迫る新たな戦いの為にも、少しでも技を磨き備えなければならないのに。

迷いは、剣先を鈍くする。ヒミカやハリオン、セリアと手合わせすれば、それが良く判った。
歴戦を重ねた彼女達は、確実に強くなっていた。操る神剣魔法も少しづつだが増えてきている。
久し振りに合わせた剣は、以前とは比べ物にならない位の眩い鋭さを放っていた。
認めたくはないが、確実に自分は以前より、「相対的に」弱くなっていた。
198朔望 奏鳴 Y−4:2005/09/25(日) 01:05:11 ID:MHvM6sz90

 ――――さま
     .. . .
心に、潜り込む。『求め』の意識を探り、そこから更に深層に。
混ざり合う自分を抑え、自我を保ちながら、その力だけを引き出す。
気を緩めると、真っ白な闇。混沌と秩序の偏在に囚われてしまう心。

 ――――トさま

何かを掴み、それを引き上げる。鮫が咥えた鯱を、横取りに鷲掴む感覚。
反撃してくる顎(あぎと)。獲物だけを狙った牙を剥き出しの心で応え、避わす。
切り刻まれる裸の意識。ふいに、何も捉えていない筈の視界をロシアンブルーの髪が横切った。

「ユートさまっ!」

わあっ、と情けない声を上げながら、意識が現実に戻った。
199朔望 奏鳴 Y−5:2005/09/25(日) 01:07:06 ID:MHvM6sz90

「な、なんだ? エスペリア」
心の乱れを悟られまいと、何事も無かったかのように振り向く。
目の前に、不機嫌そうな表情を隠しもしないエスペリアが両手を腰に当てたまま睨んでいた。
だけどそのうしろ、少し離れた場所に、物腰の落ち着いた女の子。その姿につい目が行ってしまう。
「訓練終了です、ユートさま。……どこを見ていらっしゃるのですか?」
「え? お、俺、なんか見てたか?」
「…………なんでもありません。 とりあえず『求め』をお拾いになって下さい」
「あ」

……握っていたはずの『求め』は、訓練途中で落としてしまっていた。地面に斜めに突き刺したまま。

何だか変だった。
あの夜以来、訓練に身が入らない。
ファーレーンに悩みを打ち明けて幾分すっきりしたものの、今度は別の悩みが出来てしまった。

『求め』の力は、不思議なほど高まっている。強制の頭痛も最近はあまり起こらない。
特別何かをした訳でもないのに、自分でも上手く制御する事が出来るようになっていた。
それはいいのだが、心に余裕が出来たのか。今度はファーレーンが気になってしょうがない。

我ながら節操が無いな、と苦笑していると、変な目で見られてしまった。
「……何でもないからな」
「ええ、まだ何も申し上げていません。 それよりも、お急ぎ下さいませ。 国王陛下が御呼びです」
「え?」


 ――――その夜ラキオスは、サルドバルト領アキラィスに向けて進攻を開始した。
200朔望 奏鳴 Z−1:2005/09/25(日) 01:10:17 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ひとつの日〜§

昨夜からの激しい雨はただでさえ不毛なこの地を、風景まで単調な無彩色に染め上げていた。
右手に聳え立つ、一切を拒絶するようなソーンリームの山並み。背後に広がるバートバルト海。
ミミル湖からの渓流はすっかり水嵩が増え、決壊寸前のごうごうという音が深い谷から聞こえてくる。
そしてそんな無表情な灰色の景色をごっそり切り取ったような断崖絶壁の先。
昔小説で読んだ悪魔の居城そのままに、サルドバルト城が浮かび上がっていた。

ラキオスを発ってからたった4日。
それだけで、悠人達はアキラィスを経てバートバルトを抑え、サルドバルトの前線を壊滅させていた。
勝因は幾つか考えられる。
ラキオススピリット隊の力が、ここ暫くの連戦と訓練で飛躍的に高まった事。
そしてモジノセラ湿地帯の不安定なエーテルが、上手く味方に作用した事。
しかしそれらを加味しても、サルドバルトは弱かった。
帝国の後ろ盾がある国とは思えない、脆弱で薄い陣容。
それはイースペリアを攻め滅ぼしたあの軍勢と同じものとはとても思えなかった。
何より、大体ここまで一度も“帝国の”スピリットとは遭遇していないのだ――――

振り向くと、皆が一様に頷いた。どの顔も、降り続く雨に濡れそぼって瞳に暗い影を落として見える。
順調に思える進軍にどこか罠が潜んでいるような不安感を胸にしつつ、悠人は重たい門を広げた。
ギギィ……と錆び付いた音が雨中に響く。幽霊屋敷を思わせる、粘つく嫌な音がいつまでも耳に残った。
201:2005/09/25(日) 01:10:27 ID:7wLirY510
支援、要りますか〜?
202朔望 奏鳴 Z−2:2005/09/25(日) 01:12:18 ID:MHvM6sz90

城は、完全な闇に包まれていた。
じっと見ていると黴臭い匂いが漂っているような錯覚がする上、
手を伸ばせばどこまでが自分なのか判らなくなる、そんな闇に。
こつ、と踏み出した自分の足音が、やけに大きな音を立てる。
誰も居ない。直感的に、そう思った。ここには、何の気配も無い。

ふいに、そっと手を握られた。
「ユートさま、神剣に力を。 『求め』を通して見るような感覚で」
傍に来ていたファーレーンが囁く。他の人に聞かれるのが恥ずかしいのか、声を殺している。
言われた通りにしてみると、少しづつ目が慣れてきた。俯くファーレーンの姿がぼんやりとだが見えてくる。
「……ありがとう。 お陰で躓かないで歩けそうだ」
軽口に、感謝の意を籠めた。見えなかった事を、言わなくても判ってくれていた事に。

「……ん?」
視線を感じた気がして振り向くと、みんながこちらを見て微笑んでいた。
周囲の空気が少し軽くなっている。……極一部を除いて。
「あの、ユートさま…………」
戸惑うような、消え入るようなか細い声。
「その……もう、手を離してもよろしいでしょうか…………」
「え?」
真っ赤になったファーレーンが見つめるその先。
しっかりと、彼女の手を握り返したままだった。それも、離さない程強く。

…………訂正。みんなはこちらを見てニヤニヤしていた。

「こほん……ユートさま、先を急ぎましょう」
エスペリアの指示はやけに薄っぺらい、表情の乏しい響きだった。
203朔望 奏鳴 Z−3:2005/09/25(日) 01:14:26 ID:MHvM6sz90

「なんだ……ここ」
王座の間は、大きく扉を開かれたままだった。
不自然なほど広い部屋には、死の気配が充満している。
冷たい石造りの壁には所々罅が入り、高い天井には蜘蛛の巣がびっしりと張っていた。
どこからかぎしぎしと軋んだ音が不気味に響き、まるでここ数年人の住んでいない廃墟のようだった。

「…………エトランジェか、遅かったな」
たった一つしかない窓。その向こうで、最早嵐に変わった雨粒が間断無く斜めに降り注いでいる。
低い呟きは、その窓の前の玉座で俯く人物が発したものだった。
「ダゥタス・ダイ・サルドバルトか……?」
ゆっくりと、顔を上げる気配。一瞬の雷がその姿を照らし出す。
深紅に染め上げたゆったりとした法衣を纏い、小柄な体に不釣合いな王冠を戴き。
げっそりと頬は削げ落ち、窪んだ眼窩から浮き出る血走った目。
まだ壮年と聞いていたが、その姿はむしろエジプトの砂の下に埋まる、干からびたミイラを連想させた。
そして突き出した棒切れのような腕から覗くもの。淡い光を放つそれは――――まさに永遠神剣だった。
          . . . . . .
「まさか……飲み込まれたのか……?」
控えていた皆がはっと息を飲むのが聞こえる。     .. .
それを嘲笑うかのように、ダゥタス・ダイ・サルドバルトだった男は幽鬼のようにふらりと立ち上がった。
204朔望 奏鳴 Z−4:2005/09/25(日) 01:16:07 ID:MHvM6sz90

がらん、と王冠が落ちた。
「ユートさまっ!」
「ユート!」
「パパッ!」
と同時に、悠人は走り出していた。正体不明の焦りが心を急かす。この男は危険だ。そう、本能が告げていた。
「うおおおおおっ!」
駆け寄りながら、『求め』の力を引き出す。流れ込むマナを、オーラフォトンに変える。
幸い、ここには溢れる程のマナがある。特に、奴の持つ神剣には、黒い、獰猛な、マナが。
「え…………」
ずぶっ。振り切った『求め』が、あっけなく王の体に吸い込まれた。

「あ、ああ…………」
「くくく……こちら側へようこそエトランジェ……」
人ならば、間違いなく絶命しているはずの深手。それを負いながら、平然と芝居がかった薄笑いを浮かべる王の声。
それは、先程までと同じ人物が漏らしたものとは思えないほど、酷くはっきりとした抑揚で心に入ってきた。
手に持つ神剣から、意識が流れ込んでくる。酷く暗い、粘液のような感情。そして。
「う、うう…………」
くぐもった悲鳴が漏れる。体が動かない。刺し貫いた『求め』が、抜けない。
止めを刺したとばかり思っているみんなが近づいてくるのが判る。悠人は搾り出すように叫んだ。
「みんな!来るなぁ!!」

突然、ふわりと体が浮かんだ。
侵食される意識の中、掴んだ『求め』に膨れる何かが爆発する。
「ははははははぁっ」

ばんっ!
弾けた。まるで風船のように膨らんだダゥタス・ダイ・サルドバルトは、今度こそその生を閉じた。
暴走に耐え切れなかった体を四散させて。その身を窓に放り投げながら。

落ちていく感覚の中。悠人はごうごうという、何か流れるような音を聞いた気がした。
205朔望 奏鳴 Z−5:2005/09/25(日) 01:18:26 ID:MHvM6sz90

周囲が一斉に悲鳴を上げる中、ファーレーンも同様に何が起きたか判らないまま駆け寄る。
悠人が止めを刺した、と思われた瞬間、眩しい光が辺りを包み、すぐに雷鳴のようなものが轟いた。
そして爆発。かろうじて見えたのは、窓に放りだされる白い羽織。
「…………っ!」
ファーレーンは咄嗟に窓枠に乗り出し、下を覗き込んだ。雨の飛沫があっという間に全身を濡らす。
暗闇の他には何一つ見えない。ごうごうという濁流の音だけが聞こえる。
「お姉ちゃん、まさか…………」
「……ニム、付いて来ちゃだめよ」
ちらっと見たニムントールの顔は、何かを悟ったのか泣き出しそうだった。
諭すように、目線だけそちらを向けて告げた言葉に、びくっと掴んでいた裾を離す。
それを確認して、ファーレーンは飛び出した。虚空の中、一瞬光った稲光がその姿を照らした。


迫り来る渓流。
沸騰した泥のように暴れるその水面に、ファーレーンはウイングハイロゥを閉じたままで飛び込んだ。
滑空の空気抵抗を少しでも減らす為だったが、おかげですぐに流される悠人の姿を見つけていた。
「くぅ…………っ!」
潜り込んだ川水は、様々な土砂を含み、乱流となって体を巻き上げる。
捻り込むように、絞り上げるように、翻弄される。それでもファーレーンは、必死になって泳いだ。
「っ!……ユートさまっ!」
掴んだ。伸ばした手が重い体を引き寄せる。意識を失っているらしい悠人は、伏せたまま動かなかった。
両手でしがみ付く様に背中から抱え込み、僅かに浮かんだ顔を上げて周囲を見渡す。
「これは…………」
川の両脇は、迫り来るような断崖だった。これでは、ウイングハイロゥで持ち上げるしかない。
「ユートさま、もう暫くの辛抱ですから……」
上を向き、意識を背中に集中させる。その時、視界に巨大な流木が跳ね上がり、飛び込んできた。
「っ…………!」
それがファーレーンが見た、最後の景色だった。
206朔望 奏鳴 Eine kleine nachtmusik −U:2005/09/25(日) 01:20:27 ID:MHvM6sz90

 §〜西暦2005年4月22日〜§

「あのね、お兄ちゃん……」
もじもじと落ち着き無く切り出した佳織が、何故か申し訳なさそうな顔をしていたのを憶えている。
「今日、小鳥と一緒に音楽室に部活動見学に行ったんだけど……」

「こちらになります」
「うげ……」
思わず唸ってしまう程、銀色に輝くそれは綺麗で、そして高かった。明らかに桁が違う値札。
それでも佳織が初めて自分から欲しがったもの。兄として、どうしても望みを叶えてやりたかった。
内緒で購入した帰り道の緊張は、今も思い出せる。値段の重さもだけど、むしろ期待の方に腕が痺れた。

「お兄ちゃん…………ありがとうっ!」
箱から取り出し、ぎゅっと強く胸元に抱え、泣き笑いをする佳織。
両親が死んで以来、久し振りに見せた、本当の笑顔。
絶対に忘れない、原初の記憶。『求め』に縋りついてまでようやく得る事の出来た笑顔。
                                           . . . .
幸せを実感出来た、数少ない想い出の欠片。初めて俺の望みが叶った、ささやかな一瞬だった。


『汝の契約を果たせ。得られた代償を忘れるな』
絶対に、忘れない。絶対に、失わない。佳織の笑顔。佳織の望み。佳織の幸せ。
『果たさなければ失われる……それでも良いのか契約者よ』
嫌だ。失うのは嫌だ。その為になら、俺は何でもすると誓ったんだ。
『ならば、契約を果たせ。 マナヲウバエ。 コロセ、オカセ』
…………そうだ、その為にマナを奪うんだ。殺シテ、オカシテ――――――

頭の隅で、ぱりん、と軽い音が聞こえた。硝子が割れ、細かい欠片が飛び散った。
207朔望 奏鳴 volspiel −W:2005/09/25(日) 01:22:12 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ひとつの日〜§

「…………お兄、ちゃん?」
「どうしたのですか、カオリ」
「あ……ううん、なんでもありません。 ただ……なんだかお兄ちゃんの声が聞こえたような気がして」
読んでいた本を置き、カオリはそっと窓際に立った。
その不安そうな後姿を追うように、隣に並んで外を見る。良く晴れ渡り、欠けた月がはっきりと見えた。
「今頃、どうしてるんだろう……」

「…………」
その呟きに、答えることは出来ない。困惑が顔に出てしまったのか、カオリは慌てて手を振った。
「ううんううん、ただの独り言です、忘れてください……あ、下弦の月、キレイですね」
そうして誤魔化すように、月を指差す。その仕草に、私はふっと微笑んで見せた。
「カゲンノツキ……ハイペリアの言葉ですか?」
「あ、はい!えっと、月の形が毎日変わるさまに、私達の世界では名前をつけてあげてるんです」
あげている、という表現が面白かった。月を擬人化しているのだろうか。試しに訊いてみた。
「すると、すっかり姿が隠れている時にも呼び方はあるのですか?」
「ええ、その時は、新月っていいます。 「朔」とか、別の呼び方をしている国もありますけど。
 逆に丸く全部見えているのは満月って呼んでます。 そっちは他に、「望」とか、ええと…………」
「なるほど……では私は、シンゲツが好きです」
「? レスティーナ、王女さま……?」
「シンゲツは、全てを隠してくれるから……醜いものも辛い事も、何もかも平等に……」
不思議そうに覗き込んでくる瞳。私は必死で悟られないようにした。
こんなにも純粋で、もしかしたら自分も幼い頃に持っていたかもしれない心。
それを踏みにじり、生贄のように戦場へと送り込んでおきながら、平気で月などを眺めている自分。

「お兄ちゃん……」
いつの間にかまた空を見つめていたカオリが、そっと囁いた。
その呟きは、錐のように鋭く、そして逃れる事の決して出来ない痛みとなって胸を突き刺していた。
208:2005/09/25(日) 01:22:49 ID:7wLirY510
さて、支援支援っと…
209朔望 奏鳴 [−1:2005/09/25(日) 01:23:59 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ひとつの日〜§

窓の外、対岸の崖にせり出した木の枝に、見慣れた白い羽織が風に嬲られながらも引っかかっている。

「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」
「落ち着きなさい、ニムントール!」
窓から乗り出すように暴れるニムントールを抑えながら、懸命に自分に言い聞かせた。
大丈夫。大丈夫。握った『献身』に伝わる震えを認めないように。仲間に動揺を与えないように。
『何があってもあきらめるなってことだ。約束できるね?』
心の中に、呼びかける声が聞こえる。嵐の飛沫が頬に当たり、今すべき事を思い出させる。
それでも皆に振り返り、絞り出した声は罅割れてしまっていた。

「これよりスピリット隊はユートさま及びファーレーンの捜索に向かいます!
 アセリアはネリー、シアーとヘリオンを連れて上空から、ただしアセリアは徐々に下流へ。
 ヒミカとナナルゥは念のため渓谷上流をお願いします。 わたくしとオルファはこの近辺。
 最も可能性の高い下流へは、ハリオン、セリア、それにニムントール…………出来ますか?」

全員が一斉に無言で頷き、次々と部屋を飛び出していく。
ぐっと悔しそうに唇を噛みながら、遅れてニムントールも頷いていた。
見送った後、漏れそうな嗚咽を噛み殺し、自分も部屋を出る。最後に振り向いた時、もう一度雷光が走った。

『隊長がどうしようもない場合、君たち自身で自分の身を守るんだ、いいね?』
「ラスクさま……ですが……ですが…………」
守るべきは、自分の身。それは頭では理解できた。だが、感情がそれを許さない。
エスペリアの呟きは、遅れてきた雷鳴の轟きに掻き消されていった。
210朔望 奏鳴 [−2:2005/09/25(日) 01:25:28 ID:MHvM6sz90

  §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ふたつの日〜§

 ―――――――――ん…………

頬に当たる重い砂の感覚。ぽんやりと遠く、水の流れる音。

 ――――ここは…………

薄っすらと目を開く。真っ暗な、闇。体中が痛い。降り注ぐ雨が、針のように全身を刺す。

 ――わたし…………

力の入らない腕。まだ目が慣れない夜。サルドバルト城に潜入して、それから…………

「…………っ! ユートさまっ!!」

悲鳴を上げる関節。構わずに立ち上がった。ふらふらと、揺れる体。容赦なく叩きつける雨。
さくっという足元の感触で、ここが砂浜だと判った。すると河口近くまで流されてきたのだろうか。

「……………………」
「!」
すぐ側に、気配。まだ視界は暗い。手探りで伸ばした指先が、微かに触れた。
211朔望 奏鳴 [−3:2005/09/25(日) 01:27:57 ID:MHvM6sz90

「ユートさま! しっかりして下さい!」
ファーレーンは、夢中で縋りついた。暗闇の中、仰向けで倒れている悠人を覗き込む。
声に、反応が無い。ただ苦しげな気配だけが聞こえる。
胸に耳を当ててみる。とくん、と微弱ながらも鼓動が響く。
ほっと息をつき、思いついたように口元に顔を近づけたまま、ファーレーンの表情は凍りついた。
――――呼吸が、停止している。このままでは……そう考えるなり、体が勝手に動いた。

「…………ん」
唇を合わせ、空気を送り込む。その中に、自らのマナをも含めて。
一瞬離れ、小さくすみません、と囁く。そして少し躊躇った後、もう一度。前髪から雫が零れた。

「…………か、はっ!」
「!……ユートさま!」
こぽり、と悠人が水を吐き出す。
「はっ…………はっ…………」
「良かった……」
苦しげな、それでも悠人の呼吸音が繰り返される。ファーレーンはほっと胸を撫で下ろした。

「でもこのままでは……」
冷たい雨に、体温はどんどん奪われていく。意識がある自分でさえ身震いしている。
ファーレーンは悠人を支え、立ち上がった。腕を回した肩がずしり、と鉛のように重い。
それでも、倒れるわけにはいかなかった。どこか、暖を取れる場所を見つけ出すまでは。
ざっ。湿った砂の上を、一歩踏み出す。

「あ、れ…………」
そこでファーレーンは気がついた。――――自分の目が、視えなくなっている事に。
212朔望 奏鳴 [−4:2005/09/25(日) 01:30:21 ID:MHvM6sz90

ひんやりとした硬い感触。手探りでなぞると、どうやら木製小屋らしい。
そっと悠人を地面に横たわらせ、ファーレーンはかちゃりと『月光』を構えた。
見えなくても、中に人の気配が無いこと位は判る。入り口を探している暇は無い。
「…………シッ!」
短く息が漏れた。と同時に、音も無く小屋の壁が太刀筋通りに切り裂かれる。
軽く肩で押すと、ごとん、と音を立てて薄い木の板が奥へと倒れ込んだ。
一応警戒しつつ、身を滑らせる。ひんやりと冷たい空気が流れた。
「……どうやら、整備小屋のようですね」
埃っぽい、油と錆びの臭いからファーレーンはそう判断した。
ラキオスは基本的に陸国なので詳しくは知らないが、海に浮かべる船というものがある。
戦時中の今はここは使われていないらしいが、それらの機材が収められているようだ。
「でもとりあえず、雨は凌げそうですね……」
ファーレーンは一旦外に戻り、悠人を抱え込んで再び狭い空間に潜り込んだ。

「ふう……あ、あら?」
一息つき、前髪から滴り落ちる水滴を拭おうとして、ファーレーンは兜をつけていないことに今更気がついた。
「一時的なものとは思いますけど……」
見えないとはこういうものか、と一人ごちる。それにしても、困った。暖を取る材料を探す事が出来ない。
見回してみるが、暗闇の中、感じられるのは鉄の重さと重厚な油の匂いだけ。それに、雨が天井を叩く音。
「……………………」
軽く、溜息を漏らす。暫く思案した後、きゅっと下唇を噛んだファーレーンは静かに立ち上がった。
「ユートさま……こちらを見ないで下さいね……」
意識の無い悠人にそれでも背中を向け、しずしずと胸元のファスナーに手をかける。
衣擦れの音が湿っぽく響いた。
213名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 01:32:42 ID:U+k5OwX30
二回も三回も支援をする必要は無い!……わけないので再支援。
214朔望 奏鳴 [−5:2005/09/25(日) 01:32:47 ID:MHvM6sz90

絞った戦闘服を広げて地面に敷いた後、ファーレーンはもう一度悠人と向かい合った。
これからすることを考えると、どうしても躊躇してしまう。ふぅ、と一つ深呼吸をした。
「し、失礼します…………」
手探りでシャツを見つけ、ぷちぷちとボタンを外す。
指先は、震えっぱなしだった。決して寒さのせいではないのはさっきからうるさい心臓の鼓動が教えてくれる。
出来るだけ避けようとしていても、どうしても触れてしまう異性の裸。
硬い胸板の感触に、ファーレーンはいちいち体温の上がる思いがした。
ようやくシャツを脱がせ、水気を絞って悠人の体を拭く。この場合、目が見えないのは逆に好都合だった。
そうでなければ恥ずかしさで死んでしまうかもしれない、ファーレーンはそう思った。

「お……お邪魔、しますね…………」
悠人の体を自分の戦闘服の上に横たえ、その横にそっと潜り込む。
上からシャツをかけたところで悠人がぶるっと身震いした。
「う…………ふぅっ……はぁはぁ…………」
「…………ユートさま?!」
「はぁっ……はぁっ…………」
息が、荒い。乱れた呼吸から感じ取れる、苦悶の表情。
「〜〜〜っ! 大丈夫…………わたしがお守りします…………!」
ファーレーンは、ぎゅっと強く悠人の全身を抱き締めた。それでも、大柄な悠人の全ては包めない。
背中に手を回し、全身を押し付けるように絡める。体中で感じる悠人の肌が、酷く熱を持っていた。
小刻みに震えているのは自分なのか悠人なのか、もうファーレーンには判らなかった。
「クフォエルラス……イサム、ハエシュ、ワ、モゥート……ヤァ、リレイランス、セィン、マナ…………」
ただ、必死だった。無我夢中で、しがみ付いた。助ける為に。失わない為に。
215朔望 奏鳴 \−1:2005/09/25(日) 01:35:17 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ふたつの日〜§

掻き分けた鋭い木の枝が、肩に掠って痛みをもたらす。
「痛ぅっ!」
それでも構わずに、ニムントールは道を急いだ。
サルドバルトを発って、半日。
ようやく雨は上がったものの、右手に見える川は相変わらず濁流となって泥だらけの木や葉を運んでいる。
先程、ようやく姉の気配を察知した。微弱だが、この先にいる事は間違いない。
生きている。そんな思いがニムントールを逆に焦らせていた。

「気をつけなさい、ニムントール」
追いかけるセリアも、そんな後姿をあえて止めない。気持ちは痛いほど理解出来た。
自分だって一足先に飛んでいってしまいたい位なのだ。
しかし、この中では確実にニムントールがファーレーンの位置を正確に捕捉出来る。焦りは禁物だった。
「そうですよ〜、急がば回れと言いますし〜」
呑気そうに聞こえるハリオンの声も、どこか緊張は隠しきれない。
一番後ろを小走りに駆けながら常に周囲に注意を配り、『大樹』が薄く光っていた。

「もう少し…………あっ!」
突然開けた視界に、ニムントールは小さく叫び声を上げた。
眼前に、重く灰色に染まったバートバルト湾。
雨上がりの空が雲間から僅かな陽光で海面を照らし出していた。
216朔望 奏鳴 \−2:2005/09/25(日) 01:38:48 ID:MHvM6sz90

「…………うう……」
柔らかな森の匂いに目が覚めた。ぼんやりと、薄暗い天井を見つめる。
「ここは……どこだ……」
自分で出した声が、何か違うもののように酷く潰れて聞こえる。喉が針で刺したように痛んだ。
「う、ん…………」
すぐ横で、息遣い。よく動かない首をぎぎぎ、と捻る。中に錆び付いた歯車が入っているような音がした。
続いて目に飛び込んでくる、ロシアンブルーの髪。閉じられている長い睫毛。軽く呼吸している小さな口。
柔らかな曲線を描く撫で肩。美しく透き通るような肌。浮かび上がる鎖骨。ゆっくりと上下する膨らみ。
「……………………」                                . . .
何故隣に丸裸の妖精が寝ているのかは、判らない。しかし、いづれにせよ好都合だった。

きぃぃぃぃん…………

『ウバエ……オカセ……』
自分の呟きが『求め』の囁きと一致する。荒々しく覆い被さる衝動を抑える意思は既に無かった。

「ん…………」
豊かな膨らみに手を伸ばす。乱暴に揉みしだくと、熱い充分な手ごたえが伝わってきた。
意志の強そうな太い眉毛がやや顰められ、くぐもった声が漏れる。“悠人”はぺろり、と舌なめずりした。
「いいマナを持っている…………」
呟き、細い首筋に噛み付く。ぴくっと反応した少女が薄っすらと目を開けた。髪と同色の、深みがかった蒼。
「目覚めたか、妖精」
「あ……ユート、さ、ま…………?」
まだぼんやりとしている目の焦点が合っていない。血の滲んだ歯型を舐めてやると、びくっと全身が跳ねた。
「え、あ…………や…………」
そしてようやく事態を把握したらしく、わたわたと見当違いな方向へ向けて両手を振る。仕草に不自然さを感じた。
「目が……見えないのか?」
大きく見開かれた瞳が何も、映していない。盲目の妖精とは驚いた。何故そのような者がここに居る…………
「良かった…………」
「なっ!」
見つけた、と言わんばかりに自ら抱き締めてくる妖精。その暖かさにかちり、と何かが頭の中で噛みあった。
217名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 01:40:33 ID:qddJkzuM0
大長編に畏怖しつつ、支援。
218朔望 奏鳴 \−3:2005/09/25(日) 01:42:05 ID:MHvM6sz90

りぃぃぃぃん…………

「ぐ、おお、おおおっ!」
途端、頭痛が走った。両手で掻き毟る頭の奥から乱暴に響く言葉が、妖精の悲鳴に被さる。
『何故迷う、啜れ、犯せ』
「ユートさま? まさか……神剣の干渉?!」
「があおぁああっ!」
意味の無い獣の様な声を漏らしながら、立ち上がる。ふと、視線を掠める一振りの剣。
ニ紫の鞘に収められたソレが、澄んだ高い波長の光を放出しながらこちらを睨みつけていた。
『……邪魔をするか、下位神剣の分際で』
「ああっ、ああっ!!」
ばきん、と酷く生々しい音が頭の中で炸裂した。苦痛でのたうち回る。壁にぶち当たり、背中が軋んだ。

『得られた代償を忘れるな……』
『求め』の声が木霊する。そうだ、佳織。佳織を助けなければ。その為に俺は何でもしなければ。

(守りたい大切なものは、ありますか……)
優しい声が、包み込む。引き波のように静けさを思わす言葉。俺は沢山ある、と答えたんだ。

【自らを信じることだ。それが心の剣となり、盾となろう……】
心の底まで響いてくる、いつか聞いた深く低い問いかけ。自ら? 自らって何だ? 俺は一体…………

(――――なら、大丈夫です。 わたしがユートさまをお守りしますから……)

色々な光景が浮かび上がり、沈んでいく。激流に揉みくちゃにされながら、最後に残ったのは、穏かな笑顔。
月に浮かび上がる、一つの影。白い、眩しい翼。脳裏に浮かんだ微笑と旋律。――自然と浮かぶその名。
「ファー…………」
「! ここに居ます……ユートさま……」
最後まで呼ぶ前に、ふわりと森の匂いに包まれる。潮が引くように消えていく頭痛。体中から力が抜けていく。
『…………ふん』
悠人の理性の中で、つまらなそうな『求め』の声がゆっくりと遠ざかっていった。
219朔望 奏鳴 \−4:2005/09/25(日) 01:46:18 ID:MHvM6sz90

「………………」
「………………」
二人は暫くそのまま抱き合っていた。互いの心音が聞こえる。静寂の中、それだけが実感できた。
悠人はまだ手放しそうな意識を懸命に保ちながら、腕の中にすっぽり納まっている少女を見つめた。
思ったより華奢な細い肩をかすかに震わせ、ぎゅっと手を握り締めたまま。
どうしていいか判らない、という風に悠人の胸に顔を埋めたままじっと動かない。
いつも凛としているファーレーンのそんな仔犬のような仕草が、ふいにとてもいとおしく感じた。
そっとその髪を撫でてみる。一瞬ぴくり、と身じろぎしたファーレーンだが、すぐに大人しく力を抜いた。
意外なほどの柔らかさに、指がさらさらと抜けていく。悠人は暫くそのまま髪を撫で続けた。
ファーレーンもじっと気持ちよさそうにそのまま悠人にもたれていた。もう震えてはいなかった。
「あ…………」
「?」
ふと冷静に返った悠人の声に、ファーレーンが不思議そうに見上げてくる。
その拍子に見える胸元の谷間から、悠人は必死で目を逸らした。
「あ、あのさファー、その、えっと……」
「???」
首を傾げながら更に迫るファーレーンの無邪気な顔に、益々悠人の顔は赤くなっていった。
しかし見えていないファーレーンには、その意味する所も当然判ってはいない。
「だ、だから、その……服を」
「ふ、く?…………」
鸚鵡返しに答えが返ってくる。直後そのぼんやりした瞳に、突然じわっと涙が浮かび上がった。
“女の子”にそんな反応を返されたことの無かった悠人は、かつてないほど動揺した。
「な、どどどどうしたファー?!」
声が裏返る。この状況で泣かれたら。どう取り繕えばいいものかと慌てて、訳の判らない問い掛け。
だがファーレーンは焦る悠人に取り合わず、そっと両手で悠人の胸板を押し返すと、のろのろと背中を向けた。
そして俯いたまま、蚊の鳴くようなか細い一言。
「…………見ました、よね?」
「見てない見てない見てない見てないっ! ちょっとだけだっ!!」
ぶんぶんっと擬音が聞こえそうな勢いで猛烈に首を振る悠人は、慌てて自爆気味な言葉を繰り返した。
「………………嘘つき」
その気配を、顔だけこちらを向けてじっと見つめていたファーレーンが、ようやくくすっと小さく笑っていた。
220朔望 奏鳴 \−5:2005/09/25(日) 01:49:08 ID:MHvM6sz90

「お姉ちゃんっ! いるのっ?!」
「うわっ! ……ニムか?!」
ばたんっ。突然扉が勢い良く開かれる。急に眩しい日差しが差し込んできて、悠人は目を細めた。
戸口に、逆光になったニムントールが立っている。全身に葉っぱをつけ、頭には木の枝まで刺さっていた。

「ニム? ニムなの?」
背中越しに妹の声を聞いたファーレーンが、驚いて振り向く。その姿を確認したニムントールはほっと膝をつき、
「はぁはぁ……良かった無事だった……って…………」
そのまま口をパクパクさせて硬直したまま動かなくなった。
「ん……? ニム、探しに来てくれたんだろ、さんきゅな」
一瞬不審に思ったものの、悠人は立ち上がりながらニムントールに笑いかけていた。

ぱらり。

拍子に背にかけていたシャツが悠人の肩からずり落ちる。
途端、真っ赤になったニムントールの絶叫がバートバルト湾に響き渡った。
「きゃああぁああぁっっ! バカァッ! ユユユユート、お姉ちゃんと一体何をしてたのよーーーーっ!!!」
「うわっ、何って……ぐはっ!!」
ごきん。頭上で物凄い音がした。一瞬遅れて鼻の奥が猛烈にきな臭くなる。
(そうか……今のは『曙光』がめり込んだ音か……)
遠くなりかける意識の中で、悠人はようやく事態を飲み込んでいた。
221名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 01:50:40 ID:az7MFSWn0
効くかどうか賭けになってしまうけど、こういう支援もあるのよ
222朔望 奏鳴 badinerie:2005/09/25(日) 01:51:13 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ふたつの日〜§

「だから、誤解なんだって…………」
正座をさせられたまま、悠人は弁解していた。向こうでファーレーンに戦闘服をかけるセリアの視線が冷たい。
「冗談じゃないわよっ! こっちがどれだけ心配したと思ってんのっ?」
「まぁまぁニムントールさん〜。こうしてお二人ともご無事だったわけですしぃ〜」
仁王立ちで睨みつけるニムントールを、ハリオンののんびりした口調が抑える。
「若いって事はぁ〜。それなりに、色々とあるんですよぉ〜…………さぁ、終わりましたぁ〜」
しかしわかったようでわかっていないその発言は、混迷を余計に深めるだけだった。
「ちょっと! 色々って何よユート!」
「いや、俺に言われても」
慌てたファーレーンが口を挟む。
「ハ、ハリオン、わたし達そんな、誤解されるような事は何も……あ、あら?」

「あっ! お姉ちゃん、見えるようになった?」
タイミング良く治療を終えたハリオンに駆け寄るニムントール。
じっと見つめていたファーレーンがにっこりと微笑み返した。
「……ええ、よく見えるわよニム。ありがとうございます、ハリオン」
「いいえぇ〜これが任務ですからぁ〜」
「えっと……お姉ちゃんっ! 良かったぁ……」
一瞬躊躇した後、がばっとファーレーンにしがみ付くニムントール。
その肩越しに、様子を窺う悠人と目が合った。
「……………………」
ぱちくり、と大きな瞳を一度瞬きし、恥ずかしそうに微笑む。
悠人は周囲に聞こえないよう口の動きだけでさんきゅな、と伝えた。
そんな二人を、ハリオンの暖かい眼差しとセリアの冷たい視線が見守っていた。
223朔望 奏鳴 zwischenakt −U:2005/09/25(日) 01:52:07 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒いつつの日〜§

「くくく……もうすぐだ……もうすぐ……」
青く光る巨大な刀身を眺め、老人はその濁った双眸を血走らせていた。

きぃぃぃぃん…………
          . .
「我が野望……世界を我が手に……」

口元に泡を飛ばし、よろよろと宙をさまよう腕。呼応するように、結晶体が輝く。
鎖に繋がれた巨大な神剣から放たれる“るつぼ”のようなマナが、部屋全体を包んでいた。
その恍惚感に、老人は震えた。泡沫の夢を抱きながら。

いくばくかの時間が流れ、やがて光が収まっていく。
いつの間にか跪いていた四肢に力を籠め、老人は立ち上がった。
「ふむ、そろそろエトランジェがやってくる頃か……」
ゆっくりと、歩き出す。
立ち去るルーグゥ・ダィ・ラキオスの後姿には、既に先程の狂態は微塵も残されてはいなかった。
224朔望 奏鳴 A−1:2005/09/25(日) 01:53:55 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ふたつの日〜§

一旦バートバルトまで戻ってきた悠人達は、そこで仲間達と合流した。
知らせを受けた全員が集まったのは、もうすっかり日が傾いた頃。それだけ各方面に散らばっていた事になる。
悠人は申し訳なさで一杯だった。自分の油断が招いた事態。その事は良く理解していた。
「みんな、今回はすまんっ!」
言い訳もせず、このとおり、と皆の前で頭を下げる。批難の声が聞こえてくるのは覚悟の上だった。
「………………」
しかしどれだけ待っても、息遣い一つ聞こえてこない。
恐る恐る顔を上げてみると、輪からエスペリアがしずしずと前に出てくる所だった。
きっと唇を噛み締め、やや眉を顰め、無言で近づいてくる。そしてゆっくりと、悠人の眸を覗き込む。
こういう時、冷静な彼女が一番怖い。背中に冷や汗が流れるのを感じながら、悠人は覚悟を決めた。

「ごめん、エスペリア。……俺の勝手な行動で、迷惑をかけた」
「…………ユートさまは」
「……え?」
「ユートさまはっ! 御自分の立場というものが判っておられませんっ!」
エスペリアは、泣いていた。無くした筈の、悠人の白い羽織をぎゅっと両手で握り締めながら。
「どれだけわたくし達が心配したと…………! それを、“迷惑”だなどと…………」
語尾を濁らせたまま両肩を震わせ、俯いてしまう。見ると、皆が一様に頷いている。
その表情に籠められた深い、静かな怒り。その意味に、悠人は胸を打たれる思いがした。
本気で心配していたが故の怒り。それは、自分がいかに仲間達に、「大切」だと思われているかという事。
不謹慎ながらも心に暖かいものが流れてくる。こんな感情は、光陰や今日子に接した時以来忘れていたもの。
「本当に……すまなかった…………」
心からの、呟き。そして決心した。二度と、軽率な行動は取らない。大切な人を悲しませない、と。

ぽすっと胸に、軽く羽織を押し付けられる。
「……行ってあげてください。ファーレーンが、どうやら風邪を引いたようですから…………」
俯いたまま、何かを押し殺す様に両手を突き出したエスペリアが囁いた。
225朔望 奏鳴 A−2:2005/09/25(日) 01:58:25 ID:MHvM6sz90

「ファー? 入るよ……」
軽くノックをした悠人は、静かに扉を開いた。
仮に設置された部屋は、どこか手狭だが、小さな窓からも充分な光が差し込んでくる。
風にた靡いて揺れている白いカーテン。中央にベッドが用意され、ファーレーンが布団に包まっていた。
「しーーー。お姉ちゃん、今寝たとこなんだから」
横で看病していたニムントールが指を立て、悠人を睨みつけていた。

こくこくと頷き、その隣に腰を下ろす。
監視しているようなニムントールの鋭い視線を気にしつつ、悠人はファーレーンの様子を窺ってみた。
すうすうと静かな寝息を立て、長い睫毛をじっと閉じている。
時折ニムントールが拭いてやっているのだろう、今は汗を掻いている様子も無い。
呼吸も穏かで、どうやらそんなに酷い風邪でもないようだった。
それでも恐らくは、自分が伝染したのだろう、そう思うと呟きが漏れる。
「ばか、だな…………」
こんな俺を助ける為に、そんな意味を篭めたつもりだったが、耳聡く聞いていたニムントールが激しく反応した。
「バカって何よっ! ユートの方がバカじゃないっ!」
「わ、ばか、しーーーっ!」
「う、う〜〜ん…………」
眉を顰めたファーレーンに、二人は一瞬顔を見合わせ、そして気まずそうに沈黙した。
226朔望 奏鳴 A−3:2005/09/25(日) 02:00:06 ID:MHvM6sz90

(バカってなによ、バカっ!)
がすっ。いきなり肘鉄が、悠人の脇腹に決まる。
(いてっ! ニムが大声出すからだろっ!)
(先にユートがお姉ちゃんをバカにするからじゃないっ! っていうか、ニムって呼ぶなっ!)
がすがすっ。
(ぐぉっ! やめろって、ファーが起きちまうだろっ!)
(〜〜〜っ!! お姉ちゃんのこと、ファーなんて呼ぶなっ!)
がすがすがすっ。
(あたたたっ!……あれ? そういえば、なんでだろ……まあいいか、呼びやすいし)
(いい訳ないでしょっ!)
ごきんっ。
(ごっ! ニ、ニム、『曙光』は反則…………ってうわわっ)
(ニムってい〜う〜な〜っっ!!!)

「…………ニム、何をしてるの?」
「「へ?」」
白刃取りで受けた『曙光』を差し挟んで睨み合ったところで、ベッドの方から声がかかる。
固まり、恐る恐る横を向いた二人に、すっかり目を覚ましたファーレーンが不思議そうな顔を向けていた。
227:2005/09/25(日) 02:01:29 ID:7wLirY510
イクシードのごとく、支援
頑張って
228朔望 奏鳴 A−4:2005/09/25(日) 02:02:00 ID:MHvM6sz90

「全くもう……だめですよニム、ユートさまに『曙光』を振り回したりしたら」
弱々しく、それでも姉としての威厳を保ちながら、ファーレーンが嗜める。
突っ込みどころはそこかい、と思いながらも悠人は黙ってそれを見ていた。
しょんぼりと俯いたニムントールが、それでも反撃を試みる。
「だってユートがお姉ちゃんのこと、ファーって…………」
「ニム、ユートさまを呼び捨てにしちゃいけません、って言ったでしょう?」
「う…………」
あっさり返され、言葉を失うニムントール。普段からは考えられない程従順な態度に、悠人は感心した。
とはいえ、この場は自分も悪い所があるし、とニムントールのフォローに回る。
「まあまあ、俺もニムとかファーとか呼んでるし……あ、嫌か?」
途中で気づき、本人に訊ねる。するとシーツを顔まで上げたファーレーンは、小さく恥ずかしげに
「いいえ……その、呼びやすい方で、構いません……」
蚊の鳴くような声で呟いた。とたんニムントールがぷ〜、と頬を膨らませる。
「却下っ! そんなのズル………………ユート、お姉ちゃんに馴れ馴れし過ぎっ!!」

その様子がよほど可笑しかったのか、じゃあ、とファーレーンが提案する。
「じゃあ、ニムもユートさまをちゃんとお呼び出来るのね?」
「う……で、出来るもんっ! ユ……ユー…………」
「お、おい無理しなくても、俺は別に構わないって」
「う〜〜〜〜〜っ!」

がたっ。

突然ニムントールは立ち上がった。
「お水汲んでくるっ! ふ、ふんっ! ユート、暫くお姉ちゃんを看ててっ! ちゃんと看てないと許さないからっ」
そう捨て台詞を残し、ばたばたと走り出す。一度入り口でけつまずいてお下げが跳ね上がった。
バランスを崩しながらもそのまま駆け去るうなじが真っ赤に染まっている。
そんなニムントールの慌てっぷりを見送った悠人とファーレーンは、お互いを見合ってくすくすと笑いあった。
229朔望 奏鳴 A−5:2005/09/25(日) 02:05:13 ID:MHvM6sz90

「その、ごめんな。なんかファーに伝染しちまったみたいで……」
「そんな、わたしこそこんな、わざわざユートさまに来て頂いて何のお構いも無しで……」
慌しい気配が遠ざかった後、二人は静かに話し始めた。
「いや俺が…………」
「いいえ、わたしが…………」
ぺこぺこと、頭を下げ合う二人。ややあって、どちらからともなくぷっと吹き出す。
「はは……元気そうで、安心した」
「はい……ユートさまも」

当たり障りの無いやり取り。ほっとした悠人はふいに真剣な表情になった。
「あの時、俺、『求め』に飲まれかけてた……ファーにも酷い事、したよな……」
「あ…………」
言われて頭に浮かぶ、あの夜。一瞬にして顔を真っ赤にしたファーレーンは頭までシーツを被った。
230朔望 奏鳴 B−1:2005/09/25(日) 02:06:40 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒ふたつの日〜§

「す、すみませんわたし、咄嗟とはいえあんな……その、失礼なこと……」
「え? あ、いや失礼というか、実に結構な……じゃなかった、そっちじゃなくて、いやそっちもなんだが」
思わぬ反応に自分も思い出して狼狽してしまう。既に何を言っているのか判らなかった。
「だから……ええいっ! 俺、ファーのお陰でバカ剣から抜け出せたっ! それを言いたかったんだっ!」
悠人はがばっと身を乗り出し、シーツを剥がしつつファーレーンの顔を見つめた。
最初はきょとん、としていたその瞳が驚き、え?え?と口をぱくぱくさせている。
「あ、あのわたし…………」
ぱちくり、と大きく瞬きを繰り返すファーレーンから目を離さないように、悠人は続けた。
「だから、本当にファーには感謝してる……助けてくれて、ありがとう」
「は、はい…………あの…………」
「?」
「あの、それではわたし……ユートさまを、お守り出来ましたか?」
「……ああ、律儀だよな、ファーは。あんな言葉、守ることないのにさ……」
よかった、と胸に手を当てて微笑むファーレーンに、悠人は言葉を重ねた。
「だからさ、今度は俺がファーを守るよ。取り合えずは看病だな」
「そ、そんなっ! ユートさまにそんなこと、させられませんっ!」
「いいからいいから……ほら、ファーは大人しく寝てろって。風邪には安静が一番だ」
慌てるファーレーンを無理矢理ベッドに寝かしつける。しぶしぶ従ったファーレーンが、
「もう……強引、なんですね……」
口を可愛く尖らせながら少し嬉しそうに囁いていた。
231朔望 奏鳴 B−2:2005/09/25(日) 02:08:56 ID:MHvM6sz90

「はぁ〜〜。まったく何でニムがこんな……」
水を汲みに来た厨房で、ニムントールは一人溜息をついていた。
桶の水に映る自分の顔が、酷くつまらなそうにしているのが判る。

原因は、はっきりしていた。
先程の、姉の顔。あんな無防備な表情は、見たことが無かった。
初めて会った時からずっと側にいた自分にさえ見せた事のない、幼い笑顔。

「お姉ちゃん、あんな顔も出来るんだ……」
妹の目からしても、はっとする程可愛い笑顔だった。
凛、とした表情もかっこいいけど、それでもそれは「スピリット」としてのかっこよさだ。
今までは、それで良かった。そんな姉が誇りでもあり、自慢でもあり、憧れでもあった。
ようやく戦いに参加出来て、その凄さはもっと判った気がする。
でもさっきのは、違う。上手くいえないけど、どきっとした。可愛かった。
だから、気がついた。羨ましいけど。悔しいけど。あれは、ユートのお陰なんだ。
認めたくないけど。ユートが、あんなお姉ちゃんの笑顔を引き出したんだ…………

ちゃぽん、と水滴が桶に落ち、水面に波紋が広がる。映った自分の顔も、くしゃくしゃになった。
「何でニムがこんな……気を遣わなきゃなんないのよ」
面倒臭いけど。取り合えずお姉ちゃんにふさわしいかどうか、ニムが見極めてあげる。
まだ認めたわけじゃないからね、ユート。でも……お姉ちゃんをファーって呼ぶのだけは許してあげる。

そこまで考えて、急にイライラしてきた。
がちゃん、と少し乱暴に桶を持ち上げる。とたん、入れた水が多すぎて、体がよろけた。
一旦下ろし、はぁ〜と長めの溜息をつく。
「しょうがない、少し減らそ……」
言い訳をしながら、腰を下ろす。ニムントールはそのまま暫く水も抜かずに、ぼんやりと時間を潰した。
232朔望 奏鳴 B−3:2005/09/25(日) 02:10:44 ID:MHvM6sz90

ゆっくりと上下する胸元の膨らみが、呼吸の安定を示している。
悠人はほっと胸を撫で下ろし、ぼんやりとファーレーンの寝顔を眺めていた。
先程失礼しますね、と目を閉じたファーレーンは、すぐに穏かな寝息を立て始めた。
すっきりと整った顔立ちや優しい目元が、寝顔のせいか、やけにあどけない。
普段の柔らかい表情に半開きの唇から白い歯が覗き見えて、子供っぽさを印象として与えていた。

「ん…………」
微かに身じろぎした拍子に顔に掛かった前髪を、そっと払ってやる。
「心配、掛けさせちまったんだよな…………」
意外にさらさらと指の間を抜けていく髪の毛を軽く掬ったついでに、悠人はそっと頬をつついてみた。
「ル……ルゥ…………」
ちょっと困ったように、眠っている筈のファーレーンが太い眉を顰める仕草が可愛い。
「こうしてると、まるで子供みたいだな…………」
ぷにぷにとした弾力が、少し強めに圧してやると、同じだけの力で押し返してくる。
昔の佳織のような表情が可笑しくて、悠人は調子に乗って繰り返そうとした。
その時。ふいに、ファーレーンが何かを探すかの様に、軽く顎を上げた。
気づいた悠人が慌てて指を引っ込めようとするが間に合わない。
「……………………ぁん」
ぱく。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」
吸い込まれたのか、求めたのか。
悠人の指は、すっかりファーレーンの唇に「咥えられて」しまっていた。

りぃぃぃぃん……………………
233朔望 奏鳴 B−4:2005/09/25(日) 02:12:05 ID:MHvM6sz90

『月光』の共振が静かな部屋に響き渡る。
からかう様なその音色を確かに聞いた気もするが、今はそれどころでは無かった。
咄嗟に叫び声を出すのは耐え切ったものの、未だ甘えるようなファーレーンの唇は悠人の指を離そうとしない。
離れまいとしているのか、むしろより強く、夢中になっているかの様に吸い付いてくる。
「ん…………ん…………ちゅ…………」
だらだらと、背中を滝のような汗が流れる。心臓が、信じられないスピードで体中に血液を送り込んでいた。
妹扱いしたばちが当たったのだろうか。そんな後悔が頭を掠めたのも一瞬だけ。顔と指だけが、やたらと熱い。
運動神経ごと鷲掴みにされた体がぎしぎしと錆び付いた音をたてる。
一歩も動けない。それでいて、あらゆる神経が指先に集中しているような錯覚を覚えた。
「あ……ん……………………」
生暖かい腔内が緩やかに蠢き、指全体を包み込む。舌で優しく嘗め上げられる度、悠人はぞくりと慄えた。
ちゅ、ちゅ、と湿っぽい音がファーレーンの口元から吐息の様に漏れ、その度深く悠人の指が吸いこまれる。
「……………………ん」
「〜〜〜〜っ!」
そして遂に、奥歯で甘噛までされてしまう。軽い痛みが何故か恐ろしい程の快感を与えてきた。
すべすべとした歯の固い滑らかな凹凸がリアルに感じられて、強引に引き抜くという考えが奪われる。
その行為に安堵でも覚えているのか、指を咥えたままのその表情が、嬉しいような、幸せそうなものに見えてくる。
「……………………やば、い」
このままでは、おかしくなってしまいそうだった。必死に別の事を考えようとする。
スピリットって虫歯とかないのかなとか何とか。――――無駄な抵抗だった。
「お、おい、ファ、ファー…………」
「ぁ…………」
「おっ」
もう起こすしかない。どうこの事態を説明するかが問題だが、そんな事も言っていられない。
そう決心して悠人が呼びかけようとした時、ふとファーレーンが口の力を抜いた。
隙を逃さず、必死になって指を抜く。ファーレーンの唇に、名残惜しそうな透明の糸が引いた。
「んむ…………ん…………」
「ふぅ……やれやれ…………」
悠人はまだどきどきする胸を抑えながら、そっとその口元を拭ってやった。
234名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 02:12:07 ID:qddJkzuM0
まだまだ支援。
235朔望 奏鳴 B−5:2005/09/25(日) 02:14:08 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年ルカモの月黒いつつの日〜§

ファーレーンの風邪は、次の日にはすっかり熱も下がり、回復した。
バートバルトを出発したラキオススピリット隊は、2日の行程を経てラキオス王都に帰還する。
悠人達を迎えたのは、北方五国を統一した国の、沸き返るような人々の姿だった。
しかし、その賞賛は決してスピリット達には向けられない。判ってはいたものの、悠人はその冷たさにうんざりした。

だが、嬉しい事もあった。それも意外な、そしてとてつもなく大きな。
「どうでしょう、その者の妹を、返してやっては」
レスティーナの一言。それが認められ、佳織が悠人の元へと帰ってくる事になったのだ。
悠人は、小躍りした。戻ってくるその日が待ち遠しかった。

「おめでとうございます、良かったですね、ユートさま」
その夜。真っ先に報告に行った『陽溜まりの樹』の下で、ファーレーンは胸に手を当て、心から喜んでくれた。
「わたしにも『妹』はいますから……」
にっこりと、そう囁く。その一言だけで、充分だった。
「ああ、ありがとう。今度ファーにもちゃんと紹介するよ。俺には出来すぎた妹なんだ」
「ふふっ……ユートさま、本当にカオリさまの事を想っていらっしゃるんですね」
少しからかうような、上目遣いで覗き込む仕草。ふわり、と森の匂いが広がる。
かちゃり、と小さく鳴る『月光』。軽くくせのある前髪がかかる距離まで接近されて、悠人は動揺した。
「なっ……ただ、佳織は俺の居ない所で泣く癖があるからさ。心配なだけだよ」
ぷいっと拗ねたように子供っぽく横を向いてみせる。あらあら、と横でファーレーンの含み笑いが聞こえた。
「……なんだよ。ファーだってシスコンじゃないか。ニムの可愛がりようは聞いてるぞ」
「? シス、コンってなんですか?」
「いや、シスコンっていうのは――――」
言いかけて、言葉に詰まる。光陰の影響なのか、変な言葉を口走ってしまった。
こほん、と一つ咳払い。空を見上げると、綺麗な夜空。なんだか平和だな、とのんびりした考えが浮かぶ。
「…………俺みたいな奴、の事だよ」
悠人は、可笑しそうに呟いた。首を傾げるファーレーンの瞳から、照れて目線を逸らせつつ。
236朔望 奏鳴 Eine kleine nachtmusik −V:2005/09/25(日) 02:16:06 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月青みっつの日〜§

ぱたぱたと、駆けて来る足音。軽い、聞き慣れた懐かしい音。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん……っ!」
ばたん、と勢いよく開かれる扉。小さい体がぱふっと飛び込んでくる。
悠人は両手で受け止め、力いっぱいに抱き締めた。両手にかかる重さと温かみ。
待ち続け、望んだもの。時には自分を殺しても、そう追い込まれても諦めなかった大切なもの。
「お兄ちゃん……会いたかったよ……寂しかったよぉ……」
「ああ……、ああ!」
悠人は、ただ頷くことしか出来なかった。耐えてきた感情。
それらは一度に噴出させることがとても出来ないほど、大きく膨れ上がってしまっていた。
寂しかったのは、自分も同じ。会いたかったのは自分も同じだったから。
「よく、よく…………がんばった……な……」
ようやく絞り出した一言。それは、もしかしたら自分にも言い聞かせた言葉だったのかもしれなかった。

一通り第一詰所での挨拶を終えた後。悠人はそっと佳織に耳打ちしていた。
「後で、会ってもらいたい“人”がいるんだ……」
237朔望 奏鳴 C−1:2005/09/25(日) 02:17:38 ID:MHvM6sz90

「妹の佳織。で、ファーレーンとニムントール。こっちで出会った仲間だ」
「初めまして、高嶺佳織といいます! これからヨロシクお願いします!」
「初めましてカオリさま、ブラックスピリット、『月光』のファーレーンと申します」
「…………ニムントール」
「こらニム、カオリさまにちゃんと御挨拶しなさい!」
ぺこぺこと頭を下げ合う二人と横を向く約一名。
どうやら無理矢理連れて来たのがお冠なのか、不機嫌さを隠そうともしないニムントールを
必死になって宥め、挨拶させようとするファーレーン。こうして3人の初対面は始まった。

「もう……すみませんカオリさま、いつもはこんな子じゃないんですけど」
代わりに謝るファーレーンに最初は目を丸くしていた佳織だったが、すぐにぶんぶんと首を振った。
「いいんです。ファーレーンさんにニムントールさんですね、兄がいつもお世話になってます」
「と、とんでもありません、ユートさまにはいつも危ない所を助けて頂いて……ほらニム?」
慌てて頭を下げながら、ぐいぐいと背中に隠れようとするニムントールを引き出そうとする。
しかし何を踏ん張っているのか、当の本人はファーレーンの後ろから出てこようとしない。
悠人はなるほど、と思うところがあった。不意に、裾をくいくいと引っ張られる。
(なんだ? 佳織)
(ふわ〜、すっごく綺麗な人だね、ファーレーンさんって……緊張しちゃうよ〜)
(兜越しでも判るもんなのか? まぁ綺麗だけどな……大丈夫だ、ファーはあれでけっこうドジだから)
(判るよぉ〜。それよりドジって……お兄ちゃんファーレーンさんのこと、えと、ファー……って呼んでるの?)
(ん? ああ。なんか呼びやすいから定着したんだが……どうかしたか?)
(……ううん、なんでも。それにしてもニムントールさんって随分人見知り、激しいんだね〜)
(お、やっぱり佳織もそう思うか? 俺も最初に佳織に会った時の事、思い出したよ)
(え? 酷〜い、私、あんなに怯えてなかったよ〜)
(…………佳織の方がよっぽど酷いぞ。お、こっち来た)

兄妹のひそひそ話が盛り上がってきた所で、ようやく説得されたらしいニムントールがおずおずと前に出た。
238朔望 奏鳴 C−2:2005/09/25(日) 02:19:52 ID:MHvM6sz90

もじもじと前で組んだ指先を見つめたまま、借りてきた猫のように大人しいニムントール。
いつもからは考えられない仕草に悠人は思わず噴き出しそうになり、必死で耐えた。
場をぶち壊す訳にはいかない。それに、後ろではらはらと見守るファーレーンの手前もある。
ふと、佳織の演奏会で焦りの為立ち上がった自分が思い出され、改めて似ているな、と気になった。
そっと側により、優しくファーレーンの手を握る。大丈夫、そう囁きながら。
ちょっと驚き見上げたファーレーンに頷くと、ほっとした表情が覆面越しに伝わる。
向こうを見ると、丁度佳織がニムントールに話しかけようとしているところだった。

「えっと……ニムントールさん、だよね? 高嶺佳織といいます。改めて、ヨロシクお願いします」
にこにこと、目線を合わせようとしないニムントールにもう一度挨拶し、そっと手を差し出す。
暫くその手を見つめていたニムントールだったが、やがてゆっくりと自分の手を重ねた。
真っ赤になった顔を上げ、佳織をじっと見つめてぼそっと一言だけ呟く。
「ニムは……ニムって呼んでいいから」
「え……? う、うん! あ、えっと、じゃあ私の事も佳織って呼んで下さい」
「うん……よろしく、カオリ」
「こちらこそ! ヨロシクね、ニムちゃん」

何となく友情みたいなものが出来始めた所で、二人の会話に驚いたファーレーンが口を挟んだ。
「ちょっとニム、そんなカオリさまに失礼な……」
「まあまあ、同年代っぽいしいいんじゃないか? よかったな佳織、いい友達が出来て」
「友達なんて……ですが…………」
「いいんですファーレーンさん。私もその方が嬉しいし」
「そうだぞ。大体珍しいじゃないか、ニムが初対面の相手に呼び捨てを許すなんて」
「え? そうなの?」
「ああ、大体俺なんか未だに……おおっ?」
「……ユートは、ニムっていうな」
たった今認めた相手の兄を睨みつける訳にもいかないのだろう、
複雑な表情でニムントールが『曙光』にマナを走らせていた。
239朔望 奏鳴 C−3:2005/09/25(日) 02:21:00 ID:MHvM6sz90

ニムントールが第二詰所の案内をすると言い出し、二人がぱたぱたと出かけて行った後、
見送ったファーレーンがふう、と一つ溜息をついた。
「申し訳ありませんユートさま、何だかばたばたしてしまって……」
そうしてもう一度、ぺこりと頭を下げる。悠人はがしがしと頭を掻いて、苦笑いをした。
「真面目だよなぁファーは。いいじゃないか、ニムにだって友達は多い方が」
「…………そうで、しょうか?」

ファーレーンは、そんな事を考えた事も無かった。今までは、必死に生き残るだけで。
ニムントールを戦場に出さないよう、自分が矢面に立つということだけで。
それで、守れるのだと思っていた。それだけが自分に許される、精一杯だったから。
「ネリーやシアー、オルファもだけどさ。まだ子供なんだから、友達から得られる事も多いと思うんだ」
「…………」
「それで戦い以外に生きる意味、みたいなものを見つけてくれれば……俺はそう、思ってる」
「戦い、以外に…………それは」
レスティーナ皇女を連想させる言葉。名前が出そうになって、ファーレーンは口を噤んだ。

「まあ、戦いもとりあえず終わったんだしその後を考えてもいいんじゃないか……ファー?」
真剣な眼差しで床を見つめているファーレーンに気づいた悠人は何となく恥ずかしくなってきて、鼻を掻いてみた。
「いやだから……ファーも、ユートさまってのは、止めてみないか?」
「…………え?」
唐突な話題の切り換えに、ファーレーンの肩がぴくっと震える。
「前から気になってたんだけどさ。俺も悠人でいいって」
どうにも照れ臭いので、悠人はそのまま窓を見て誤魔化した。
ややあって、やっと反応したファーレーンの目元が、ぼっと覆面越しに赤くなる。
「い、今すぐは無理です…………」
「そ、そうだよなぁ…………は、はは…………」
さりげなく言ったつもりが、見事に玉砕。悠人の乾いた笑いが部屋に流れた。
240朔望 奏鳴 C−4:2005/09/25(日) 02:22:54 ID:MHvM6sz90

「で、ここが大浴場よ」
「ふわぁ、おっきいね〜、気持ちよさそうだよ〜」
「……うん。気持ち良い、かも」
「そうだよね〜。…………ね、お兄ちゃんもココ、入るの……?」
「……たまにはそうなんじゃない? ニム、知らないけど。何で?」
「そっか、時間ずらしてるんだ。……よかった」
「当たり前だと思うけど」
「う、うん……そうなんだけど、ね。お兄ちゃん、ちょっと鈍いトコロあるから……」
「? ユートが鈍いのは知ってるけど。何かあるの?」
「あ、あはは……う〜んあのね、内緒だよ…………」

ゴニョゴニョゴニョ――――

「……………………」
「でね、お兄ちゃん急に裸で出てくるから……」
「……お姉ちゃんは、ニムが守る」
「へ?」
「カオリ、もっとユートの駄目なトコ、教えて」
「え、え? え〜と、朝中々起きてくれない、とかピーマ……リクェムをこっそり食べないとか……」
「うんうん。他には?」
「あ、あはは。あのね、でもでもいいところもあるんだよ、ちょっと判り難いけど優しいし……えと…………」
「いいトコは知ってるから。ううん、ニムは知らないけどね……お姉ちゃんは知ってるから、きっと」
「ファーレーンさん? あの、ニムちゃんどうしてそんなにお兄ちゃんのこと聞きたがるの?……あ」
「なんでお姉ちゃんもよりによってあんなヤツ……はぁ、面倒」
「あ、あはは〜…………そっか、だから“ファー”なんだ…………」
241:2005/09/25(日) 02:23:58 ID:7wLirY510
天壌無窮の支援
242朔望 奏鳴 C−5:2005/09/25(日) 02:25:36 ID:MHvM6sz90

月だけが照らす部屋。窓から覗く星一杯の夜空。
その夜悠人は、久し振りに佳織と二人で話をする事が出来た。
膝の上にすっぽり収まった小さな体が自然に体重を預けてくる。
その髪を柔らかく撫でながら、ようやく辿り着いた幸せを噛み締めていた。

「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?なんだ、佳織」
話が一区切り付いた頃、佳織は目を閉じながら、切り出した。
「ファーレーンさんって、綺麗だよね」
「…………いきなりだな」
「うん、いきなりだよ。お兄ちゃん、ファーレーンさんのことどう思ってるの?」
「は?」
「は? じゃないよ、も〜。さっきだって凄く自然だったし、ニムちゃんの話だと……あっ」
「なんだよ? ニムが何か言ったのか?」
「ううんううん、何も。でもファーレーンさん、優しそうだし大人っぽいし……憧れちゃうな」
「う〜んそうかぁ? たまに子供っぽいとこあるし、意外とおっちょこちょいだぞ。この間だって…………」

楽しそうな顔をしてファーレーンの話を始める兄の横顔を、佳織はじっと見つめていた。
そんな兄の顔は、初めて見る。柔らかく、険の無い穏かな笑顔。
向こうの世界に居た時は、常に何かに警戒したような、他者を寄せ付けないような雰囲気があった。
大体こんなに楽しそうに女の子の事を自分から話していた記憶が無い。
ここ数ヶ月離れただけなのに、また大きくなったような気がする。
必死で追いかけてきた背中が、ここにきてまた少し遠くなった。
それが少し寂しい、それでいて嬉しいような複雑な気持ちで佳織は悠人を眺めていた。
243朔望 奏鳴 Eine kleine nachtmusik −W−1:2005/09/25(日) 02:26:42 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月青いつつの日〜§

「あら…………」
第一詰所の廊下を歩いていたファーレーンは、ふと足を止めた。
奥の一室から、聞き覚えのある音色が流れてくる。いつか、城の方角から聴こえて来た旋律だった。
いつもの習慣で、思わず『月光』にマナを籠めながら、
「カオリ、さま……?」
そっと、開きっぱなしの扉を覗きこむ。そこには細長い銀色に輝く異国の楽器を吹く佳織の姿があった。
目を瞑り、想いを篭めるように演奏している。ノックをしようかどうか、迷って止めた。
「…………」
静かに、耳を傾ける。目を閉じると、胸に沁み渡るような穏かな響き。
前に感じた哀しい音色はそこには無かった。不思議に優しい旋律が体の隅々まで流れ込んでくる。

「…………ファーレーン、さん?」
急に、演奏が止まった。はっと我に返り目を開くと、不思議そうな佳織の気配。
ファーレーンは慌てて頭を下げていた。
「すっ……すみません。あの、綺麗な音色だな、と思ったらつい……」
「あっ、いいんですいいんです。わたしも聴いてくれる人が居てくれた方が嬉しいですし」
ぶんぶんと手を振り、手前にある椅子をかたっと鳴らしながら差し出す佳織。
「……あの、どうぞ。ここに」
「えっ? あ、そんな大丈夫ですから…………はい。失礼します」
にこにこと促されて、ファーレーンはおずおずと佳織の部屋に入った。
244朔望 奏鳴 Eine kleine nachtmusik −W−2:2005/09/25(日) 02:28:42 ID:MHvM6sz90

「えへへ……今、お茶入れますね!」
「あ、どうぞお構い無く……って行っちゃいました……」
返事をする間も無く、有無を言わさず駆け出していく。
ぱたぱたと忙しい足音が遠ざかると、ぽつん、と一人ファーレーンは部屋に取り残された。
「ふぅ…………」
椅子に座る事も出来ずに、周囲を何となく見渡す。詰所の部屋の配置はどこも同じなので代わり映えは無い。
それでも落ち着かない視線をうろつかせていると、なにかが光ったような感じがした。

「…………それ、お兄ちゃんから貰ったものなんですよ」
いつの間にかお盆の上にお茶を載せてファーレーンの後ろに立っていた佳織は、静かに呟いていた。

ベッドの上に投げ出されている棒状の装飾品が窓からの光に反射してキラキラと輝き、
複雑な文様のようなものが刻まれている本体には幾つかの突起と先端に大きな穴が空いている。
――――銀色のフルート。それを手に取りながら、佳織は静かに語り出した。
245朔望 奏鳴 D−1:2005/09/25(日) 02:30:22 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月赤ふたつの日〜§

取り戻した日常。佳織が朝起こしに来て、自分がむずかる。
そんな当たり前を取り戻した悠人は、ぼんやりと海を眺めていた。
まだ、元の世界に戻る方法は見つからない。でもとりあえず、戦いは終わった。
今はその平和を楽しもう、そう考えてぶらぶらと歩き、辿り着いた高台。
いい天気だった。さやさやと吹く風が汗で火照った体を冷やしてくれる。
海から流れてくる潮の香りが気持ちいい。そして隣には、ワッフルを頬張る謎の少女。

「……をい」
「ふぇ?」
食いついたままの間抜けな表情で、レムリアが振り向いた。謎でも何でも無かった。

確かにまた会えるかも、なんて考えてもいた。偶然というか、奇遇というか。
そんなものもあるのかもしれない。しかしレムリア曰く、「運命」とか「赤い糸」となると、どうだろう。
『赤は、熱い心の色。レッドスピリットも、情熱的な人が多いんだって』
言われたものの、オルファのあれは情熱、というのだろうか。ヒミカはそれっぽい所もあるけどナナルゥもか?
ってそんなことより。

「ん〜、ゆーひょふん、ふぉんだ〜?」
「食ってから喋れっ!」
246朔望 奏鳴 D−2:2005/09/25(日) 02:31:54 ID:MHvM6sz90

まったく、とその場で大の字になる。顔を撫でる草の匂いが気持ちいい。
目を閉じていると、慌てて食べ終えたらしいレムリアが隣で同じようにぱふっと横になった。
「ふぃ〜〜」
「……食ってすぐ横になると、太るぞ」
「大丈夫。ヨフアルは別腹だから♪」
「…………そうですか」

「ん〜風、気持ちいいねぇ」
ぼんやりと青空を眺めながら、そんな呟きを聞く。そうだな〜などと間延びのした返事。
のどかな、普通の会話。とても異世界に来ているとは思えない、感じるのはそんな錯覚。

「そっか、ホントのユートくんは、コッチなんだ」
「は…………? 本当の、俺?」
どういう意味だろう。レムリアは笑って誤魔化していたが、やけに気になった。

ふと顔色を窺う様に、レムリアが静かに訊ねてくる。
深みを湛えた大きな紫色の瞳に覗き込まれて、悠人は少しどぎまぎした。

 ――――ねえユート君、この国、嫌い?


帰り際、指切りを交わした。運命とやらにやけに固執するレムリアに、押し切られるような形になった。
改めてなんか変な娘だな、とまだくすぐったい小指を見つめながら帰途に就いた。
247朔望 奏鳴 D−3:2005/09/25(日) 02:33:50 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月緑ふたつの日〜§

「で、今日は大変だったよ」
「ふふ……。でも、エスペリアの言う事は、正しいですよ…………」

何となく、恒例になった待ち合わせ。夜の散歩代わりの、リクディウスの森。
月明かりの下、今日の話題は佳織とオルファリルに浴場で襲撃を受けた事だった。
苦笑いをしながら話す悠人にくすくす微笑んでいたファーレーンだが、
エスペリアがオルファリルを叱る場面でふと表情を曇らせた。『月光』をそっと握り締める。
「……ファー?」
「わたし達はスピリットですから。神剣と共に生き、人を守り、そして神剣と共に滅ぶ存在。それでも……」
さあー、と風が流れる。髪をそっと抑えながら、ファーレーンは悠人の顔を覗き込んだ。

 ――――ユートさま、ユートさまはわたしを紡いで下さいますか…………?

りぃぃぃぃん…………

「え…………」
突然の質問に、悠人は戸惑った。どう答えていいか、判らない。覗き込む鋼色の瞳の奥に、深く静かな意志。
目を逸らす事も出来ずに動揺している様子が伝わったのか、ファーレーンは目を細めて続けた。
「わたしがいつも口ずさんでいた詩、憶えていらっしゃいますか? ほら、この上で……」
「あ、ああ。ごめん、綺麗な唄だなとは思ったけど、意味は判らなかった。俺この世界の言葉がまだよく、さ」
「あ、あら? そうなんですか?」
悠人の言葉にビックリした様子のファーレーンが口元に手を当てる。
そうですよね、と半ば自分に言い聞かせるように呟く表情が少し残念そうだった。
「……ファー?」
「あ、いいえ、何でもないんです……それにわたしったら、ユートさまの前で」
最後まで唄ったことが無いのかもしれません、とぺろっと小さく舌を出す。
ぱたぱたと両手を振り、慌てた様子に悠人の方が思わず噴き出した。
248名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 02:34:29 ID:qddJkzuM0
支援投下。
249:2005/09/25(日) 02:34:42 ID:7wLirY510
あなたは投稿者。
支援はすぐに済みますわ。
250朔望 奏鳴 D−4:2005/09/25(日) 02:35:50 ID:MHvM6sz90

「なんだよそれ。変なやつだな」
「あ…………」
くしゃっと咄嗟にファーレーンの髪を撫でる。それは悠人にはごく慣れた、自然の行為。
子供扱いされ、ファーレーンの頬はたちまち赤くなった。落ち着かなさそうに、もじもじと身を捩らせる。
「あ、あのユートさま……」
「ん?」
「…………なんでもありません」
自意識の無い悠人に半ば諦め、されるがままにしていると、やがてどこか安心感を覚えている事に気づく。
いつの間にか目を瞑っていたファーレーンは、気持ちよさそうに呟いていた。
「ユートさま、わたしは黒の妖精、月と夜の守護を受けるスピリットなんです」
「ああ、そんな事言ってたよな」
「……ええ。でも、月光は太陽の光を月が受け止めるもの。陽光が無ければ月も輝かないんです。だから……」
そう言って、ファーレーンは唄い出した。いつもの、澄み渡る歌声で。

 サクキーナム カイラ ラ コンレス ハエシュ
   ハテンサ スクテ ラ スレハウ ネクロランス
     ラストハイマンラス イクニスツケマ ワ ヨテト ラ ウースィ…………ルゥ………………

人とスピリットの共存。それを、この人なら真剣に考えてくれるのかもしれない。
そんな想いを篭めたファーレーンは、唄い終えてほう、と小さく溜息を漏らした。
目を閉じたままじっと聴き入っていた悠人に上手く伝わっただろうか、そんな事を考えつつ。
「……へぇ。いい唄だな…………」
「はい、好きなんです。辛い時に唄うとなんだか落ち着いて…………古い、ラキオスに伝わる詩なんです」

呟いたファーレーンは、まだ気づいてはいなかった。詩が、遠い愛想曲(セレナータ)だという事を。
小夜曲とも呼ばれ、元々思慕する女性が夕暮れに想いを篭めて演奏した音楽なのだという事を。

――――そしてそれを悠人を前にして唄いたくなった、その意味を。

戦いだけだった時の中で、この時間があまりにも穏かだったから。その心地良さをただ感じていたかったから。
そのまま暫く、二人は身を寄せ合って空を眺めていた。詩が月に吸い込まれていくまで。
251朔望 奏鳴 D−5:2005/09/25(日) 02:38:09 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月黒ひとつの日〜§

「お兄ちゃーんっ、こっちこっちー!」
「そんなにはしゃぐと転ぶぞ佳織」
「大丈夫だよ〜…………きゃっ、と、と」
「よっ……言ってるそばからこれだからな」
「あ、ありがとう……えへへ…………」

街を、佳織と歩く。
普段は訓練とかで忙しい上、佳織は佳織で他のスピリット達と仲良くやっているらしく、
こうして昼間に時間を取って二人で歩くのは初めてだった。
転びそうになった身体を支えてやると、はにかむようにその腕を絡めてくる。
「おいおい、甘えん坊だな佳織は」
「へへ、いいんだよ、久し振りにお兄ちゃんとお出かけなんだから…………いい、よね?」
自分でしがみついておきながら、不安そうにそう尋ねてくる。まるで何かを確かめるように。
「……ああ、本当に久し振りだもんな」
少し可笑しく思い、当然だ、と大きく頷いてやった。
ぱぁっと明るくなった表情を確認して、ゆっくりと歩き出す。
何をする訳でもない。ただ、こうして居られればいい。
「それでね、昨日、ニムちゃんがね…………」
最近佳織は、ニムと仲が良い。二人で出かけることもよくある。
空を見上げると、抜けるような青空。柔らかく照りつける太陽。


――――この瞬間が、もうすぐ壊れてしまうなんて想像も出来ずに。俺達は、一緒だった。
252朔望 Eine kleine nachtmusik −X:2005/09/25(日) 02:40:57 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月青いつつの日〜§

「ユートさまに……?」
静かなファーレーンの質問に、ゆっくりと佳織が頷く。
「これ、私が我が侭言ったんです、すごく。そうしたらお兄ちゃん、大変だったのに買って来てくれて……」
体全体でいとおしそうに、大事そうに抱えたフルート。
「お兄ちゃん、いつもそうなんです。わたしの我が侭で、大事な物をいっぱいいっぱい捨てて頑張って……
 自分を殺して……そしてわたしを守ってくれました。……妹、だから。それはすごくすごく感謝してます」
一瞬、ぎゅっと目を瞑って俯く。ごしごしと擦り、再び上げた顔の目元が赤かった。

「お兄ちゃん、強いから……だから私、お兄ちゃんには幸せになって貰いたいと思ってます。
 けど、お兄ちゃんだから……わたしには弱いトコ、絶対に見せたくないんだと思います。
 こっちに来てからも嫌なコト沢山あった筈なのに、お兄ちゃんだけいっぱいいっぱい傷ついたのに…………」
「カオリ、さま…………」
俯き、小声になっていく。似ている、とファーレーンは思った。自分とニムントールの関係に。
とすれば、ニムントールも同じことを考えているのだろうか。ファーレーンには判らなかった。

「変な話かも知れませんけど、私なんかがこんな事おこがましいのかも知れませんけど。
 わたしじゃ、何も出来ないから。このままじゃお兄ちゃん、自分の生き方を失くしちゃうから。だから……」
「え…………?」
『自分の生き方』。幼い、しかし強い意志が、そこにはあった。ふいにニムントールの姿がそこに被さる。
涙声で、縋りつくような。小さな囁きが、ファーレーンに問いかけているように思えた。
自分は果たして、生きる意味を見出せるのだろうか。ただニムを守るだけでは駄目なのだろうか。
ユートさまは? ニムは?

…………一体『わたし達は、何の為に戦っているのだろう』…………

ぐるぐると思考が回り、ぼう、としたファーレーンに、佳織がぺこり、と頭を下げていた。

 ――――だからファーレーンさん、お兄ちゃんのコト、宜しくお願いします…………
253朔望 E−1:2005/09/25(日) 02:43:23 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月黒よっつの日〜§

「ね、お兄ちゃん。お嫁さんにするなら、誰?」
「ぶふぅっ!!」
突然の質問に、ルクゥテとクールハテのブレンドを勢い良く噴し出していた。
どういう話の流れでそうなったのかは判らない。しかし今、そんな事を訊かれるとは思ってもいなかった。
「きゃっ! もぅお兄ちゃん汚いなぁ。んしょ……」
「そんな事言ったって……けほけほ、佳織がおかしな質問するからだろ?」
「そんなことないよ〜、みんな綺麗だし。お兄ちゃん、本当に誰にも興味ないの?」
テーブルを拭きながら、きらきらした目で畳み掛けてくる。本当に女の子ってこういう話、好きだなぁ……。
「う〜んいきなり嫁さんって言ってもなぁ。考えたこともないし」
「本当に?みんなとってもいい人たちなのに?」
「いい人っていうか、そういう問題じゃないよ。なんていうか、こんな状態で考えられないだろ?」
「え〜。そうかなぁ…………」

「本当に? 本当に誰もいないの?」
「そうだな、あっちの世界に戻れたら、考えるのかもな」
「え〜、それじゃ遅いよぉ」
俺の答えに、いかにも不服そうに呟く佳織。一体なにが遅いというのだろうか。
でも、佳織の言いたい事も判る。本当は一瞬思い浮かべた顔があったが、黙っておいた。
考えたこともなかったけど…………。ちょっとおっちょこちょいで、それでいてしっかりとお姉さんで。
大人びてると思ったら子供っぽい一面も見せるし。楽しく支えあうそんな家庭……ってなに考えてるんだ。
妄想を必死に振り払っていると、何かを思いついたらしい佳織の第二撃が俺を襲った。
「それじゃあさぁ…………ファーレーンさん、とか」
「ぶふぅっ!!」
「あ〜、お兄ちゃんお顔真っ赤だよ〜。図星なんだね〜」
「ば、ばかっ! 佳織がいきなり変なコト言い出すから……」
「照れない照れない〜。ファーレーンさん素敵だし、きっといいお嫁さんになるよ。よかったね、お兄ちゃん」
「だから俺は…………」
文句を言いかけて、やめた。口に手を当てて、楽しそうな顔。それに釣られて、俺も笑ってしまったから。
254朔望 奏鳴 E−2:2005/09/25(日) 02:44:11 ID:MHvM6sz90

「ねぇお姉ちゃん、最近ユートとはどうなの?」
「………………!!!」
いつもの、午後のお茶。突然の質問に、思わずシナニィとハシバスのお茶を噴き出しそうになった。
どういう話の流れでそうなったのかは判らない。だけど今、そんな事を訊かれるなんて。
「けほけほ……ななな……何を言い出すの? ニム」
「…………お姉ちゃん、何でテーブル拭いてるの?」
「何でって……あ…………」
動揺して吹いてもいないのにテーブルに布巾を走らせていることに気づいた。顔が熱い。なんとか誤魔化さないと。
「どどどどうって……普通ですよ。ふつー」
「……お姉ちゃん判り易過ぎ。どもってるし、棒読みだし。それと赤面症、治そうね」
「うう〜……」
「最近毎晩どこかに出かけてるよね、ニム知ってるんだから」
「う゛ううう〜…………はぁ。実は…………」
気づかれていた。部屋を抜け出しては『陽溜まりの樹』でユートさまとお話をしていることを。
観念して、今までの経緯をニムに話すことにする。もちろん、情報部に属することは省いて。
「――――という訳です」
「ふ〜ん、なるほどって……それだけ?」
「〜〜〜〜ルゥ……」
改めて話してみると、恥ずかしい。兜が手元に見つからないのが恨めしかった。赤面症、治さなきゃ……。
「それで? お姉ちゃんはどうしたいの?」
「え…………?」
突然の問いかけに、思わずぽかん、と口を開けてしまった。目の前に、ニムの不思議そうな様子。
そこに、先日のカオリさまの言葉が重なり、心の中に何か違う感覚が芽生えた。
いや、正確には思い出された。ニムを守ると決めた時。その時と同じ。
自分の想いはユートさまを守りたい……いや、一緒に居たいという事なのではないだろうか。
「…………お姉ちゃん?」
思わぬ考えに耽って黙り込んでしまった時。

 ――――カーン!カーン!カーン…………
「「っ!」」
わたし達は、同時に立ち上がっていた。
255朔望 奏鳴 E−3:2005/09/25(日) 02:46:41 ID:MHvM6sz90

「逃げちゃおうよ……」
小さな囁きに、心が揺らいだ。神剣を握り、戦い続ける。それがこの国で求められていることならば。
佳織と二人、逃げ出すのも一つの方法なのかも知れない。どこか遠くで、二人だけで生きていく。
それは、元々俺が望んでいた形。――それでも今の俺には、それに頷くことが出来なかった。

 ――――ユートくん、この国、嫌い?

仲間が、いる。大切なものも、このラキオスに。もう、沢山。共に戦ってきた、スピリット達。
彼女達に、生きて欲しい。剣を取らずに済めばいいと願うのは、もう自分だけでは無かった。

「私、ね……お兄ちゃんがいてくれれば……ずっと一緒なら、他は何もいらないから……」
まっすぐに、決意を篭めた眼差し。潤んだ瞳は、まるで別人のように「強い」女の子だった。
応えることが出来ずに、顔を背ける。戸惑い、固まってしまった口からは、何も出てこなかった。

カーン!カーン!カーン!…………

気まずい沈黙を破るように、突然の警鐘。鳴り響く鋭い金属音が、俺達を現実に戻した。
「侵入者?! まさか、こんな明るいうちから!」
「お、お兄ちゃん! この音って……」
心細そうに震える肩をそっと抱き抱えながら、『求め』に意識を集中する。
どうやら相当数の、しかも強力な敵が入り込んでいるようだった。
「…………城か!」
立てかけてあった『求め』を握り締め、椅子から立ち上がる。
「お兄ちゃん、行くの?…………やだよ…………」
裾をギュッと握り締める佳織は、まるで二度と会えないかのような不安そうな瞳だった。
俺はくしゃっとその髪を撫でながら、殊更に明るい声で、
「大丈夫だ。佳織は地下室に入っていろ……任せろって、俺は佳織の保護者だぜ?」
にっ、と笑って見せ、まだ手を離さない佳織をやや強引に引き離し、部屋を飛び出した。
「絶対に帰ってくる。そうだな、帰ってきたら特製のナポリタン作ってやるからさ」
「…………約束だよ。ぜったいに、帰ってきてね」
小さく呟く声を背中に聞きながら、俺は腕だけを上げて答え、そして駆け出した。
256名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 02:48:51 ID:qddJkzuM0
三時間近くの長期戦に脱帽しつつ、支援。
257朔望 奏鳴 E−4:2005/09/25(日) 02:49:31 ID:MHvM6sz90

きぃぃぃぃぃん…………

城の門をくぐった所で、『月光』が悲鳴を上げる。近づく敵の気配。
「ニムはここに残って周囲を警戒して!」
「あっ! お姉ちゃ…………!!」
後方で叫んでいるニムントールに返事をする暇が無い。
駆けながら、ファーレーンは『月光』を通して敵の数を探ろうとした。
マナが点滅するように、頭の中で白く輝く感覚。スート。ラート。モート…………

「!!!」
ぎっ、と唇を噛んで耐えた。いきなりホワイトアウトした視界から。
必死で『月光』から意識を逸らす。一瞬呼吸が出来無かった。
「なっ…………まさか…………」
いつもは明滅する程度。敵の力が大きければ、小さな灯火として認識出来た。それが。
戦慄するほど一際輝く白い光が意識の中で膨れ上がり、爆発しそうになったのだ。
覚えが、あった。それも、二度。一度はサルドバルト。そしてイースペリア。そして今、ここにも。
『月光』に力を籠め直す。とたん、目に届かない筈の光景が、瞼の奥に広がる。

きっ、と見上げたファーレーンは、そこに開放されている空間を見つけ、咄嗟に肩口に意識を向けた。
瞬時に広がるウイングハイロゥ。とん、と軽く地面を蹴るだけで、一気に体が加速する。
急速に近づく、レスティーナの気配。踊りこんだ城の最上部。そうして転がり飛び込んだ先――――
258朔望 奏鳴 E−5:2005/09/25(日) 02:50:40 ID:MHvM6sz90

「よ、余は……手に……入れる……せ、世界……チカラ…………」
冷たく無表情な空気が支配する玉座の前。闇の中でも判るほど、辺りは血の匂いで充満していた。
全てが凍りついた世界に、金色のマナがその最後の輝きを所々で煌かせている。
恐らくは侵入したスピリット達なのであろう。倒れ、消え逝く体に纏うのは三首蛇を印した戦闘服。
静寂の海に住む神の紋章が、ファーレーンの足元でハイペリアへと駆け登ろうとしていた。

「なんて、ことを…………」
ファーレーンは、呟いていた。視線がある一点で、動かせなくなる。
豊かな髭の隙間から泡を飛ばし、何かを呟くルーグゥ王の、その足元。
視線の先で、マナにも還らずじっと蹲っているモノ。その気配に、覚えがあった。

「貴方が……殺したのですか……王妃を」
「ん〜〜〜?」
赤く血走らせながら漂う虚ろな瞳。その声に、ファーレーンは確信した。王は神剣に飲まれてしまっている。
『月光』を、左手に持ち替えた。鞘に収めながら、ゆっくりと前傾姿勢に移行する。
全力を開放しなければ、勝ち目は無かった。吹き出る汗が、神剣の気配が、それを教えた。

「貴方が…………」
もう一度訊ねずにはいられなかった。
「…………このように、変えたのですか?」    . . . . .
ファーレーンは、掠れる声を懸命に振り絞った。王の背後に立っている、得体の知れぬ「何か」に向けて。
259朔望 奏鳴 sinfonia −U:2005/09/25(日) 02:51:58 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月黒みっつの日〜§

古い石造りの壁と天井。窓は無く、むろん月の光も届かない。
巨大な石室を思わせるその部屋の中心には貫くように一筋の赤い絨毯が敷かれている。
薄暗く無機質な部屋の中で一際鮮やかな絨毯の先には金色に輝く縦長の椅子。
常々その装飾は悪趣味だと思っていたが、むろん口に出した事は無い。
薄暗い玉座の主は今は無く、ただじっと寒々しい静謐さを醸し出している。
遺跡を連想させるその造りは意図したものだろうか、とふと思った。
片膝をついている石畳が温かくなっている。足元から這い上がってくる黴の臭い。

――――こうしてもう、一時間にはなろうか。
当然絨毯の上など許されるはずも無く、顔を上げるだけでも周囲の叱責の対象になるだろう。

「もしもの場合…………せめて、苦しまないように頼みます」
居並ぶ『反ルーグゥ派』。その殆どが情報部に所属する。
そして、全員が既に一致したある「情報」を掴んでいた。
サルドバルトでのファーレーンの報告と、王の最近の取り憑かれたような行動。
それらは、ある一つの仮説を立証し、浮かび上がらせていた。

 ――――王は、神剣の意志に飲み込まれている。

早急に、対策を立てねばならなかった。それも、最悪の場合を想定して。

目の前に立っているレスティーナ皇女が話し終えたのを確認して、一言だけ言葉を返す。
「それでは、失礼致します」
「………………」
満足とも後悔ともとれる溜息が聞こえてくる。いつもはそのまま立ち去る影が、小声で囁く。
「ごめんなさい、いつも貴女にだけこんな役目を負わせて…………」
「………………」

ファーレーンは僅かにかぶりを振って立ち上がり、そして声に背中を向けた。
260名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 02:52:21 ID:oUOdiJHp0
「ネリーちゃん。わたしたちのでばんまだかなー?」
「もう少ししたらきっとあるからがんばろーよ」

ハァ
261朔望 奏鳴 F−1:2005/09/25(日) 02:53:46 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月黒よっつの日〜§

「―――――」

重く圧し掛かるプレッシャー。
時間が経つにつれ増大していく力は、確実にそこから発せられているのに気配だけが感じられない。
それでも、「そこに居る」。それだけで、周囲から何もかも奪いつくすような存在感を研ぎ澄ませて。
窓からの死角のせいか、姿は見えない。いや、例え映し出されたとして、「捉えられたか」どうか。
対峙し、『月光』を握る手が震える。無言の圧力が気力を根こそぎ奪おうとしている。
硬い石畳の床が、蛇のようにうねる錯覚。自分が立っている方向が解らなくなる。
「――――」
ぎら、と何かが光った。ソレが持つ、巨大な鋼が黒光りする。同時に叩きつけられる、純粋な“無”。
沈黙する『月光』を確認するまでも無い。理屈も何も無く、絶対だった。
それは明らかに、今までに見たことも聞いた事もない位の神剣。自分が敵わない、遥かな高みに位置する剣。
「あ…………あ…………」
膝が、震える。自分を保てない。精神が退行する。原始の恐怖。恐慌、と言ってよかった。

「父様っ!」
ばたん、と激しく扉が開く。物音に、体がびくっと反応した。
視線は逸らせないが、次の間に続く扉の前で、レスティーナ皇女が立ち竦んでいるようだった。
「……母様っ! まさか本当に………」
皇女の叫びに、ふっと体中の力が抜けた。同時に消える、重圧感。
先程までの空気が、嘘のように緩みきっていた。撒き散らかされた殺意の塊も、すっかり消え去っている。
「レスティーナ皇女…………」
ファーレーンは、その場に座り込みたかった。それでも、壁に背中を押し付けるように姿勢を保つ。
爪先に力を込めて立ち、『月光』にマナを送る。まだ、脅威が去った訳ではなかった。
262朔望 奏鳴 F−2:2005/09/25(日) 02:55:52 ID:MHvM6sz90

「レスティーナ様っ! 危険です、離れてくださいっ!」
両手を胸の前で合わせたままよろよろと王の方へ歩き出そうとしたレスティーナを、
ファーレーンの鋭い叫びが押し止めた。ぴく、とその細い肩が震える。
「本当に……? 父様……何故このような…………」
信じられない、といった風にふるふると首を振るわせるレスティーナには、先日の面影は微塵も無かった。
最悪を想定し、自分に暗殺の指示まで出した時の凛とした威厳も保てず、ただ年相応の反応を示している。

「せ、か、い…………」
「!」
ゆらっと動いた王が獰猛な攻撃の意志を放った所で、ファーレーンは飛び出した。
『月光』が激しい警告の痛みを送ってくる。「人」には逆らえない。そう教育されていた体が拒絶を示す。
「……くっ!」
一瞬考え、王と皇女の間を割るように『月光』を投げつける。
どすっ、と鈍い音を立て、赤い絨毯の上に突き刺さった神剣に、レスティーナの瞳が正気に戻った。
「あ…………わたくし…………」
「レスティーナさまっ!」
「あっ!」
駆け寄ったファーレーンは、剣を振りかぶった王の懐をすり抜けるようにレスティーナを突き飛ばしていた。
263朔望 奏鳴 F−3:2005/09/25(日) 02:57:58 ID:MHvM6sz90

「ぬうんっ!」
「シッ!!」
無理に庇ったせいか体勢を崩すファーレーンを、王が無造作に斬りかけた。
その鍔元を、身を捻りつつ、蹴り上げる。刀身がぱきん、と音を立てて砕け、舞い上がった。
「…………そんな!」
ファーレーンは、驚愕した。折れるほどの衝撃で蹴り上げても、王は刀を「離さなかった」のだ。
“ただの人に”そのような力がある筈が無い。これが神剣の力。
「飲まれている」とはいえ、どこか侮っている部分があった。そしてそれが、一瞬の油断だった。
思いがけず俊敏な動きで、腕と胴を「鷲掴み」にされる。掴まれた部分を万力で潰されたような激痛が襲った。
「ぐぅっ!!」
「ふはぁははははっ!」
そしてそのまま持ち上げられ、信じられない力で振り回される。
千切れるように遠心力で引き離された身体が吹き飛ばされ、一瞬後には壁に激突していた。
「が、はっ!」
全身をばらばらにされたような衝撃が襲う。瞼の裏が一瞬昏くなった。鼻の奥がきな臭い。
頭を振って失いそうな気を懸命に取り戻し、前方に意識を集中しようとする。

ファーレーンが壁に叩きつけられる前に、レスティーナは飛び出していた。
「父様っ!」
王の背後から、懐刀を手に迫る。止めなければ、もうレスティーナにはそれしか考える事が出来なかった。

「レスティーナさまっ!」
絞り出された悲鳴の様なファーレーンの声が背後から追いかける。しかしレスティーナにはもう何も聞こえなかった。
神剣に飲まれ、人足りえない力を暴走しているルーグゥ王が、突き刺さっていた『月光』を握る。
レスティーナの声に振り返り、血走った目が翳した剣に鈍く光った。明らかに王の方が速い。
勢い良く振り下ろした剣がレスティーナの頭上に迫る。その剣先が―――

「!…………ぬぅっ」

――ぴたり、と止まった。レスティーナの亜麻色の髪を、一房撫で斬った処で。
264朔望 奏鳴 F−4:2005/09/25(日) 03:03:34 ID:MHvM6sz90

 ――――どす、ん。

鈍い音が響く。縺れるように、倒れ込む二人。
レスティーナの懐剣は、柄までルーグゥ・ダィ・ラキオスの心臓深くを貫いていた。
信じられないというように、今更大きくかぶりを振るレスティーナの口から呟きが漏れる。
「な、何故……父様…………?」
「レ、レスティーナ…………」
ぶるぶると震える血塗れの手が、ゆっくりとレスティーナの頬に伸びる。触れた部分が赤く染まった。
「余は……余は一体……ご、ふっ」
「っ! 話さないで下さいっ! すぐに医者を……」
「そうか……もうよい」
立ち上がりかけたレスティーナを、そっと押さえる。
王は自分に突き刺さった銀色に光る刃を見て、小さくふぅ、と息を吐いた。
医者のような冷静な目に、先程の狂気はすでにない。口元に泡立つ粘液が、致命傷を証明だてていた。
「よく止めてくれた……立派に、育ってくれたな…………」
まるで憑き物が落ちたかのように、穏かな瞳。くしゃっと歪んだレスティーナの顔が映る。
「望みは…………代償無しでは……得られぬ…………余も、取り込まれたか…………」
「…………え?」
「力が……必要だった…………お前が……の、ぞむ世界、……の為…………」
「あ…………あ…………」
「…………聡明な我が、娘よ……その理想に……マ、ナの導きが…………」
ずるっと力無く落ちていく腕。レスティーナは必死にその手を掴んだ。
「父様…………父様っ?!」
「すまな、かった……」
一瞬目を細め、娘の姿を焼き付けた後、ルーグゥ・ダィ・ラキオスの瞳は静かに閉じた。
265朔望 奏鳴 F−5:2005/09/25(日) 03:06:06 ID:MHvM6sz90

「うっ…………くっ…………」
むせび泣くレスティーナの背後によろよろと近づいたファーレーンは、静かに『月光』を鞘に収めた。
最後の一瞬。その斬撃を止めたのは、紛れも無く「ラキオスの王」だったのだろう。
それでも尚、こうならざるを得なかった結末が、辛かった。
スピリットを道具と捉え、駒のように使い、戦禍を広げていたのは一体どこまでが王の意志だったのか。
今となってはそれすらも判らない。しかしそこには、確実に何らかの「別の意志」も働いている。
先程の影も含め、神剣、そして自分達。この世界全体が、何か得体の知れない他の意識に。
そうでも思わなければ、辻褄の合わない事ばかりだった。

ずぅぅぅぅぅん…………

「っ!」
外で、何か大きな爆発音がした。まだ戦いは終わってはいない。ファーレーンは声をかけねばならなかった。
「レスティーナ皇……いえ、陛下」
「……わかっています。ファーレーン、ラキオスの王として命じます、スピリット隊は迅速に敵を排除せよ」
ぐいっ、と一度拭い、再び上げたレスティーナの顔は、もう泣いてはいなかった。
強い意志が、まだ少し潤む瞳に篭められている。頬に残った赤い血と同じ色に腫れた瞳に。
「…………はっ!」
ファーレーンは一度跪き、そして部屋を飛び出した。もう、ここには敵は居ない。
しかし、戦いは始まったばかりだった。たった今生まれた王の、そして……自分自身の理想の為に。
266朔望 奏鳴 ]−1:2005/09/25(日) 03:07:55 ID:MHvM6sz90

 §〜聖ヨト暦331年エハの月黒よっつの日〜§

ファーレーンが去った後、二つの死骸を虚ろな瞳で眺めながら、レスティーナは決断を迫られていた。
「ちゃんと……ちゃんとしなくちゃ…………」
頭の中を、現在の状況が様々な情報となってぐるぐると回る。その混沌を、纏める時間は僅かしかなかった。
ばたばたと、廊下を駆けてくる足音。飛び込んできた兵士が、びっと直立したまま叫ぶ。
「御無事でしたかレスティーナ皇女!……え……あ…………」
部屋の惨状を確認し、動揺して言葉を失うその兵士に、レスティーナは毅然として立ち上がった。
「報告を!」
「は……はっ! 敵は、帝国のスピリット、現在妖精の第一詰所に向かって逃走中でありますっ!」
「帝国、帝国ですか……。判りました、兵達は続けて城の警戒に。スピリット達を詰所に向かわせよ。
 父と母の……“仇”を討たねばなりません! わたくしが指揮を執ります、そのように伝えよっ!」
レスティーナは懸命に震える手を抑えていた。状況を政治的に利用する、その罪悪感に押し潰されないように。
「行きなさいっ!」
「は、はっ!」
絞り出した悲鳴のような指示に、ばたばたと駆け去る兵士。
その後姿を見送りながら、レスティーナは呟いていた。
「アズマリア……父様、母様…………許して頂けますか…………?」
がらんとした部屋に、答えも無く吸い込まれていく。
目に映るのは、床に敷かれた絨毯だけ。血に混じった赤い絨毯。
その鮮やかさが、後戻りの出来ない赤い道だけをただ示しているようにも思えた。
267名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 03:09:05 ID:oUOdiJHp0
支援
268朔望 奏鳴 ]−2:2005/09/25(日) 03:09:43 ID:MHvM6sz90

遅れて謁見の間に辿り着いたエスペリアとオルファリルは数人の敵を切り伏せた後、
それが帝国のスピリットだと確認した。消えていく戦闘服に三首蛇の紋章があった。
「サーギオス…………狙いは一体…………」
エスペリアの事務的な呟きに、オルファリルが答える。
「ここの敵さん、弱かったね〜」
呑気そうにこんこんと『理念』を床に鳴らすオルファリルをよそに、エスペリアは考え込んだ。

確かに、弱かった。どうやってここまで潜入したのか。それとも…………陽動?
『献身』に力を集中させる。エーテル変換施設のある、城の地下にはもうスピリットの気配はない。
というよりも、先程からどんどん潜入した敵の気配が微弱になっていく。
どこに向かったのか。他に敵が狙う、重要な拠点…………

「エスペリアっ! オルファっ!」
突然の声に、思考が中断される。駆け込んできたのは悠人とアセリアだった。
「ユートさま!」
「パパっ!」
お互いに無事を確認しあう。ほっとした空気もつかの間、不思議そうに悠人が呟いていた。
「おかしいな……最初に感じた戦力より少ない。どういうことだ?」
先程から思っていた事を指摘され、エスペリアは困惑した。首を傾げ、呟く。
「ダメです……神剣の気配がわかりません。何かの妨害なのでしょうか」
そのまま、全員が黙り込む。一瞬の沈黙を破ったのは、殊更に明るい調子のオルファリルの声。
「もしかして、オルファたちじゃなくて、王様たちを狙ってたりして」
「「……っ!!」」
冗談の様な口調に、三人は凍りついた。悠人とエスペリアが、同時にお互いの顔を見合す。
事態を把握したのか、アセリアは既にウイングハイロゥを羽ばたかせている。
「王たちの寝所は確か上だよな?!」
「はい! 急ぎましょう!」
「え!? え〜、どうして?」
駆け出す3人を、遅れたオルファリルが慌てて追いかけていた。
269朔望 奏鳴 ]−3:2005/09/25(日) 03:11:07 ID:MHvM6sz90

城を出たファーレーンは、そこで敵のスピリットと対峙しているニムントールに駆け寄った。
相手は手負いらしく、ニムントールの稚拙な攻撃を懸命に防いでいる。
「ニムっ! どいてっ!」
「お姉ちゃんっ!」
声に応じたニムントールが一度『曙光』を振り切り、体勢を崩したブルースピリットから身を避わす。
開いた懐に殺到したファーレーンは、息もつかせずその脇腹を切り裂き、そして首を刎ねた。
マナに還るのを確認し、やや荒い息を整えて振り向く。思わぬ迫力に、ニムントールは訊ねていた。
「ど、どうしたのお姉ちゃん…………」
「ニム、お願い。すぐに王の間に。そこでレスティーナ“陛下”をお守りして」
「え? え?」
「早くっ!」
「う、うんっ!」
首を捻りながら慌てて駆け出すニムントール。ファーレーンには、妹を気遣う余裕が無かった。
この混乱の中、一番怖いのは帝国のスピリットではない。ダーツィ派の重臣達。彼らがどう動くか判らない。
まさかとは思うが、警戒するに越した事は無かった。これからレスティーナが為す事を思えば。

「ニム、頼みます…………」
一度後方を確認して、ウイングハイロゥを広げる。『月光』を鞘に収め、飛び出した。
「敵は…………第一詰所…………カオリさま!?」
一際大きく点滅する気配。森の枝を跳ね上げながら、何故、そんな疑問が頭をよぎった。
270朔望 奏鳴 ]−4:2005/09/25(日) 03:13:04 ID:MHvM6sz90

駆け上がった最上階は、地獄だった。
以前、佳織が監禁されていた階層。その廊下は、兵達の死骸で埋まっていた。
「スピリットが……殺したのか…………?」
壁も床も、真っ赤に染まっている。飛び散った血の跡は、どれだけ待ってもマナに還る事は無い。
まるで壊れた人形のように壁に叩きつけられ、潰れている人だったモノ。頭を吹き飛ばされ、動かない体。
臭酸を極めるその光景が、悠人にはどうしても受け入れる事が出来なかった。
スピリットには、人は殺せない。そんな認識が、今更のように甘かった事を思い知らされる。

エスペリアが呟く。
「人に対して殺意を持ったことは……殆どありません。でも」
苦しげに口元に手を当てながら、歯切れの悪い口調で。
「でも本当は、殺意……というものが、実感できません……と思い、ます」
「…………そういう風に訓練されたスピリットなら、人を簡単に殺せるってことか…………」
怒りが、ふつふつと心の中に湧いてくる。一体誰が、そんなスピリットを。
戦争の道具。そう認識している敵の思惑が、手に取るように窺えた。悠人は拳を握り締めた。

「ぐ……っ…………」
「!」
呻き声が、聞こえた。王の寝所の前。蹲っている兵の一人が、身じろぎした。
「大丈夫か、しっかりしろっ!」
まだ、生きている。悠人は急いで駆け寄り、話しかけた。ひゅーひゅーと、空気の漏れるような音が聞こえた。
助け起こすと、胸から脇腹にかけてザックリと斬られた跡。致命傷なのは一目で判った。
既に目の焦点は合わず、苦しげに漏らした声には力というものがまるで感じられなかった。
「……きさま、か…………エトランジェ…………」
271朔望 奏鳴 ]−5:2005/09/25(日) 03:14:59 ID:MHvM6sz90

第二詰所は、突然の襲撃を受けた。甲高い警鐘が響き渡り、臨戦態勢を整えた直後。
全員が集合し、ファーレーンとニムントールの不在が明らかになった時、敵は既に詰所を包囲していた。
「まずい、わね」
「何だと思う?」
「敵の狙い? さぁ、訊いてみれば?」
「どうやらぁ〜、帝国のスピリットさんみたいですよぉ〜?」
「確認しました。敵数、キトラ(8)」
周囲を警戒しつつ軽口を叩くヒミカとセリアに、
放胆にも窓を覗き込んだハリオンと哨戒してきたナナルゥが報告する。

「出入り口からおじゃまします、って雰囲気じゃないわね」
「まぁどこからでも入って来るでしょ、勝手に他国に踏み込んでくるような奴らなんだから」
「全く失礼…………って待ちなさいネリー」
「え〜? だって早くしないと他が危ないよ〜」
飛び出そうとするネリーを咎めるヒミカだったが、その一言に全員が黙り込んだ。
「…………そう、なのよね」
「やはり、陽動かと」
深刻に頷くセリア。ナナルゥの指摘は的を得ていた。敵は包囲したきり、まるで動こうとはしていない。
ここまで潜入しておいて、明らかに不自然な行為だった。第一ここを攻める理由が他に考えられない。
「ええっ、そうなんですか? あわわどうすれば…………」
一人今更判ったように慌てふためくヘリオンを、全員が冷ややかな目で黙殺した。

「あ〜、こんにちはぁ〜」
「!!!!!」
窓の方をボーっと眺めていたシアーが、呑気そうに呟く。一同は一斉に各々のハイロゥを展開した。
272:2005/09/25(日) 03:17:40 ID:7wLirY510
100k以上の大作投下に敬礼!
支援開始します
273朔望 奏鳴 coda:2005/09/25(日) 03:17:46 ID:MHvM6sz90

「いい……顔して、るな……エトランジェ。頼んだぞ……礼は、先に、言って……かん、しゃ…………」
言葉途中で、その兵士は息絶えた。遺体を床に寝かせ、立ち上がった悠人は一度振り返る。
いつも殴りつけられ、理不尽な命令を押し付けられ。この兵士に、ろくな思い出など無かった。
だが、今際の際に呟いた、一言。
――――ふん……今でも、俺は……お前が嫌いだ……だが、殿下を……頼、めるのは……もう、お前しか……
それは紛れも無く、託された想い。国を憂え、レスティーナに忠誠を誓う、ただの立派な兵士の姿、だった。
悠人は、慄えた。礼の前倒し。押し付けられた最後の命令は、しかし今の悠人には果たすべき約束だった。
「安心してくれ…………約束は必ず守るっ!」
悠人の力強い一言に、アセリア、エスペリア、オルファリルが頷く。悠人は走り出した。後ろを振り向かずに。

無人の寝室を確認し、城内の秘密の地下道に突入しようとした所で、明るい声が聞こえた。
「あ〜! ユートさまだ〜!!」
向こうで、ネリーがこちらを指差している。所々煤だらけの顔が、満面に笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。
続いてわらわらと第二詰所の面々が現れる。誰もが全身煤だらけだった。悠人はあっけにとられた。
「全く……手加減ってものを…………」
「こほっ……まだ目が沁みますぅ〜」
「ヒミカが、遠慮無くいけ、と」
「だからって味方を巻き込んでどうするのよ!」
「けほけほっ……あっ、ユートさま! ご、ごご御無事でしたか?」
「……? ユートさまぁ、ど〜したの〜?」
裾をぎゅっと握るシアーの不安そうな顔。悠人は誤魔化すように、苦笑いを返した。

地下道を駆け抜けながら、改めて一同を見渡す。ファーレーンとニムントールの姿が無い。
しかし悠人は不思議と心配していなかった。あの二人なら、大丈夫。今は、自分のするべき事を。
一瞬和んだ空気に、悠人は実感していた。館には佳織がいる。レスティーナもいる。“みんな”を守る。
約束だから。そしてそれが……「今自分が求めるもの」だから。出口を抜けると、飛び込んでくる月の明かり。
「ここで迎撃する! レスティーナを守るんだ!……そして、全員で生き残る。絶対に!」

 ――――なら、大丈夫。

そんな声を、背中に聞いて。
274信頼の人:2005/09/25(日) 03:23:36 ID:MHvM6sz90
あとがき

『いつの間にか人としての基準で』自分の心を推し量るファーレーン。
最初は戸惑い。やがてごく自然に。そんな流れが今回『奏鳴』の主題です。

『朔望』全体でいうと起承転結の「承」に当る訳ですが、散らばしすぎた伏線にかなり読み辛いものになったと思います。
最終章書き終えた後に何度か修正入れているのですが、昔の(といっても半年位ですが)の文体に自分で苦笑する点もしばしば(汗

アズマリア女王やサルドバルトのダゥタス陛下wは小説版の設定をお借りしました。
D章でファーレーンが謳う詩は、完全な創作です。今回はちょっとした事情で一応訳は発表しません。
又このSSの特徴として、ゲーム本編の日付に忠実に進行している(つもりです)ので、
ゲーム内で語られている内容は表現の重複を避ける為出来るだけ削るようにしています。ご了承下さい。
後、誤字脱字ハリオンマジック等、ご指摘があれば幸いです。

最後になりましたが、支援して頂いた方々、そして今回も一方的なファー萌えにお付き合い頂いた方、本当に有難うございました。
おかげさまで、今回も無事投稿を終える事が出来ました。本当に感謝です。
275名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 03:53:23 ID:qddJkzuM0
長編御疲れ様です〜

徐々に変化する丁寧な心理描写に引き込まれますね。
更に今回は実質一つの国が滅ぼされたり、王様脱落等と息を呑む展開に。
ラキオス王が少し意地を見せたのかな。レスティーナは更に辛そうですが。
途中の妹とニムの不器用な一面にホッと一息。
月に関する会話も印象に残る場面でした。

でも、一番良かったのはあれですな。
ファーレーンが「異様に」可愛くなった事(笑 しかも、微妙に艶っぽい(笑
276名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 05:37:50 ID:U+k5OwX30
超長編、乙です!
今回、伏線やらシリアスな場面やら数多くあったわけですが…あれ?
真っ先に思い返されるのは、ファーの萌えシーンばっかなのは何ででしょう?(笑
つーか、裸で抱き合ったり、指舐めちゃったり、反則過ぎです。
なんだか、スレ住人総ファー萌え化計画?と勘繰りたくなってきますw
恋をしてより可愛く、より綺麗になっていくであろう、これからのファーが楽しみです。

あと、>>269の最後「何故、」は「何故か」の方がいいかなあ、と思ったり。

>ちょっとおっちょこちょいで、それでいてしっかりとお姉さんで。
「これってどう考えてもわたくしの事ですよね?」
「……絶対違うと思うけど」
「どこが違うというのですか…ハッ!?確かにわたくし、おっちょこちょいではないですね」
「いや、うっかり者だからそこは合ってるわよ。違うのは【しっかり】の方」
「ふふっ…ちょっとこっちに来なさい、セリア。今宵の『献身』は血に飢えてますから――」
しかし、エスペリアの言葉も終わらないうちに夜空に向かって飛び立つ(逃げ去る)セリア。
無論、ウイングハイロゥ全開で。
「あ、コラッ、待ちなさい!!」
「待つわけないでしょ!!」

(あんなお姉ちゃんじゃなくて本当に良かった……)
遠目で二人の様子を眺めながら、しみじみとそう思うニムだった―――。

エスの「……行ってあげてください」は、今回のびっくり大賞です(苦笑
277名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 12:32:15 ID:gEb/2DFI0
うひゃあ。新着レス数と読み込みにビックリ。
すさまじく乙です。

ユートの認識が「頼れるお姉さん」から「可愛い女の子」に変わろうとしているのが楽しいデス。
でも、実はなにげにあの手この手で篭絡されかかっているような(w
ふと感じたのは場面転換したときに場所認識がたまに混乱しました。もちろん少し読めば分かりますが。
イースペリアの女王さんはやっぱり死んでしまうんですね。やたら渋く現れては消えたので惜しい。
278名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 14:17:11 ID:f5U9kcGA0
>>信頼の人さん
長編乙!!
ファーレーンの可愛くなっていく様がなんとも
たまらんですね!!
エスペリアにとっては (゚皿゚)ギリギリギリ でしょうけれど。

しかし個人的なツボはラキオス王の最後だったりしてw
王様カッコええ……
279革命の人:2005/09/25(日) 15:37:31 ID:7wLirY510
筆が遅く、苦労してますが特訓編2日目前半投下します
プロット見なおすといろんな意味で
ひじょーに偏りがあるんですが
そこは容赦のほどを…
280革新の一歩:2005/09/25(日) 15:38:57 ID:7wLirY510


 昨日の訓練は厳しかった。しかし、手応えはあったと思う。
 最初のうちは三合持たずセリアに叩き伏せられていた悠人だったが、午後に入ってから変化が起きた。
 戦場のようには混沌とせず、しかしいつもの訓練とは異なる状況は緊張と集中――そして思考の加速を促す。
 剣戟の途切れる間隔は次第に長くなり、反撃する機会も増えていった。
 しかし、ついに彼女から一本とる事はできなかった。
「今日はここまでにしましょう。ユート様にしてはよくやったかと思います」
 相変わらず微妙にトゲがある。やはり表情から彼女の心情はうかがえなかった。
「明日は私のほか数名で集団訓練です。集合は早朝になりますがくれぐれも遅れないように」
 寝起きの悪さにもしっかり釘が刺された。
 遅れたら、それこそ何を言われるかわかったもんじゃない。
「…そうだな。起きよう」
 悠人は重いまぶたをこすりつつ、もぞもぞとベッドから身を起こした。
281革新の一歩:2005/09/25(日) 15:40:09 ID:7wLirY510

 早朝のラキオス。
 珍しく朝食を一番に片付けて悠人は集合場所となっているスピリット隊第二詰め所へ来ていた。
 腹が膨れた分また眠くなってきた気がする。
「ふわぁーぁ…やっぱり、まだ眠い」
「ん…ユート、眠そう」
 隣にはアセリアがついてきていた。
「どうしたんだ?アセリアもこっちの誰かに用なのか?」
「……」
 彼女はじっ、とこちらを見つめたままなにも答えない。
(エスペリアやオルファだったらわかるんだろうけどな…)
 などと悠人が考えていると――
「あ、ユートさまだ。おっはよー」
 空いた窓からぶんぶんと手を振る少女は、目下彼が一番苦手な彼女と同じ髪形をしていた。
「おう、おはようネリー」
「アセリアもおっはよー」
「ん…おはよう」
 挨拶を交し合う。アセリアはやはり最小限の受け答えしかしない。
「ところでユートさま、今日はどうしたの?こっちに来る時はいっつもお昼ちかくなのに」
「ああ、それはな――」
「私が呼んだからよ。アセリアもね」
 悠人をさえぎって会話に入ってきたのはセリア。後にヒミカとハリオンもいた。
282名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 15:44:06 ID:/fzPADuZ0
規制を長引かせても意味なんてないわ……という訳で支援
283革新の一歩:2005/09/25(日) 15:48:24 ID:7wLirY510
「ユート様、おはようございます」
 真面目で凛とした態度。硬質な雰囲気。
 いつものセリアだ。
 悠人は昨日の休憩の時に見た彼女を思い出す。頬を赤らめて狼狽していたセリアと、今のセリア。
(ずいぶん、落差があるよな…でも昨日のセリアは結構可愛いかっ――)
「ユート様?」
 しまった。また睨まれた。
「あ、ああセリア。おはよう」
 ぷいとそっぽを向かれた。どうしたものか。
「あらあら〜、セリアダメですよ〜。ユートさまを、邪険にしたら〜」
「いいんだ、俺は気にしてないからさ。それはそうとハリオン、ヒミカおはよう」
 とりあえず、割って入って後ろの二人にも声をかけた。
「おはようございます、ユート様」
「おはようございます〜。今日は、よろしくお願いしますね〜」
「へ?って事は…」
 セリアに向き直る。
「皆、今日の訓練のメンバーです。それでは行きましょうか」
「ん、わかった」
「そうね、お昼も向こうで?」
「そうですよ〜。腕によりをかけて作りました〜」
 よく見るとハリオンは大きなバスケットを持参している。
 ちょっと待て。
「お、おいセリア。皆知ってるみたいだけど、どこに行くんだ?」
 列を作ったみんなの先頭にいた彼女は、首だけを悠人に向けて、一言。
「リュケイレムの森」
284革新の一歩:2005/09/25(日) 15:49:53 ID:7wLirY510
 ラキオスの南部に広がるリュケイレムの森。
 少し奥まで来て、悠人は気付いた。
 この場所に感じる、違和感。確か前はこんな感じではなかったはず。
「…なんだ?この感覚」
「気付いたの?なら、昨日の訓練も無駄ではなかったみたいね」
 セリアは微笑を浮かべた。
「まず先に、本日の訓練の主旨を説明します。昨日も言った通り今日は集団戦訓練を行います。
しかし、より実戦に近く…のコンセプトに従って、ルールは相手を消滅させなければ何でもあり、とします」
「…げ」
(本気でかかって来るって事か…なんかやばくないか?)
 そこでセリアは自分の荷物から細長い布を取り出した。色は蛍光イエローっぽい目立つ色だ。
「これを体の一部…相手から視認が利く場所に身に着け、切り落とされた人は戦闘不能とし、
どちらかのチームの全員が戦闘不能によって一試合とします。なお、布を着ける部位として頭部、頚部、胴体は禁止します。
チームはユート様、アセリア、ヒミカ、そして私を含めた四人を二チームで随時編成し、ハリオンは怪我した際の救護になります」
「はい〜。手当ては任せてください〜」
 セリアは気にせず先を続ける。
「先ほどルールで、何でもありと言いましたので、ユート様はオーラフォトンも使用してもいい事になりますが、
さすがにそれだと私たちに分が悪いので救済措置をとりました」
「救済措置?」
「ここには今、青の水玉、炎の祭壇が立てられています。黒スピリットは今回の特訓に参加しませんし、
緑スピリットは施設に頼らずとも、ここでは十分な力を引き出せます」
 今感じている違和感はそれだったのか。
285革新の一歩:2005/09/25(日) 15:50:24 ID:7wLirY510
「なるほど。神剣の差を縮めれられれば、ユート様はそう簡単には私たちを倒せないわね」
 ヒミカが首肯した。確かに理にかなっている。
「ん、チームはどうする?」
 珍しくアセリアが会話に入ってきた。
「うーん。そうだな…アセリアは誰と組みたい?」
 ここは普通に二人ずつになるだろう。アセリアと組まなかった方と組めばいい。
「……セリア、いいか?」
 アセリアはじっと彼女を見つめる。
「…わかったわアセリア、決まりね。ヒミカはユート様と…お守りは大変だけど頑張って」
 セリアは頷いて踵を返す。
「こらセリア!あなたまたそんな事――」
「いいさ、ヒミカ。確かにまだまだ俺はみんなのお荷物だ」
 セリアを嗜めようとしたヒミカだったが悠人に止められた。
「でもな、いつまでもお荷物でいるつもりはないぜ」
「そうですか。なら、結果で示してくださいね」
 お互い不敵に笑ってみせる。
「それでは〜、お互いのチームが見えなくなるまで、距離を取ってくださいね〜。そしたら〜、私が開始の合図をしますぅ〜」
「ん、負けない」
 特訓二日目、スタート。
286名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 15:53:58 ID:/fzPADuZ0
手加減はしません……最強の支援で葬り去るのみ
287革新の一歩:2005/09/25(日) 15:57:29 ID:7wLirY510

 天に高く日は昇り、昼にさしかかろう時間。
「……あががが」
「もぅ、動かないでください〜。きれいに治せないじゃないですか〜」
 ボロ雑巾の様に転がされた悠人はハリオンの治療を受けていた。
「ユート……弱い」
「軟弱ね」
「…結果では示せなかったですね。残念です」
 三者三様の反応に返事を返す余裕すらない。
 ここまで、四戦。一戦目はとりあえず開始と同時に距離を詰めようと、来た道を戻っている途中に木の上から襲撃をうけて瞬殺。
 二戦目は俺、アセリアVSセリア、ヒミカ。同じ徹は踏むまいとアセリアに相手の探知を頼んだが発見したとたん突撃。
 追いつこうにもウイングハイロゥに追いつけるはずもなく、掛けつけたときには既にアセリアは倒されてて
二対一でじっくり追い詰められていたぶり倒された。実は二人はSなんじゃないか?
 三戦目は俺、セリアVSアセリア、ヒミカ。俺が囮になって敵を引きつけ、セリアが急襲する計画になったが、失敗。
 二人の猛攻にセリアが来るまで耐え切れなかった。ていうか、セリアが来るのが明らかに遅かった。歩いて来てたし。
 四戦目。俺、アセリア、ハリオンVSセリア、ヒミカ。あまりに負けまくる俺にハリオンが加わる。
 合図の際に位置はばれてるので、少し場所を変えて待ち伏せる事に。
 待ち伏せを始めてだいぶ時間が経過しても気配すらしない。目算が狂った俺はハリオンに意見を訊こうとしたが、これがいけなかった。
 話は見事脱線して、終わらない。気が付いた時にはセリアの剣は俺の紐にかかっていた。そして、
「ヒミカ、やっちゃって」
「…了解」
 どがーん
 きれいに俺だけ吹っ飛ばされた。
288革新の一歩:2005/09/25(日) 15:58:07 ID:7wLirY510
 あとでハリオンが
「とっても〜、きれいな弧を描いて飛んでいましたぁ〜」
 とか言っていた。だからどうした。
 明らかにおかしい。訓練の皮を被せた嫌がらせだろうか?
「…ぐ、俺に味方はいないのか?」
 みんな潜在的な敵に思えてくる。いけないいけない、こんな事では…
 キイィィィン
【契約者よ、我が求めに答えるならば我が味方になってやってもよいが?】
(うっさい、黙れバカ剣。こんな時ばかりしゃしゃり出て来るな)
【ふん。我の中に十二分なマナがあれば、いくら増強されていようと低位の神剣しか持たぬ妖精達に遅れをとる事などありえぬ】
(かもな。でもこれは俺に対しての訓練だ。俺自身の強さが鍛えられなくちゃいけないんだよ)
【ならば今少しは、様子を見ていようか。強き契約者の強き求めもまた、我の糧となろう――】
 「求め」の声が遠ざかっていく。今回は諦めたようだ。
「――くっ」
 上半身だけ、起こす。体に痛みはない。傷はきれいさっぱり治されていた。
「サンキュ、ハリオン。助かったよ」
「い〜え〜、どういたしまして〜。ユート様も、回復されましたし〜、このあたりでお昼にしましょう〜」
 ハリオンの一言で昼食の準備を始める皆。しかし…
 ここは昼間でも薄暗い森の奥。さらにシートを広げられるような場所すらない。
(ここで食べるのはちょっと、やだな)
 どこか良い場所はないかと周囲を見まわす。すると…
「ん?なんかあっちは明るいな。開けた場所があるかも」
 俺はその場所へ向かって足を進めた。
289名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 15:59:46 ID:Va0UEb7w0
支援を出して規制を止める
くーるなネリーにぴったりよねー
290革新の一歩:2005/09/25(日) 16:00:15 ID:7wLirY510
とりあえず、ここまでです
支援の皆様ありがとうございます
この後は食事〜訓練後半のくだりとなりますが
それはまた、次の機会に…
291名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 16:00:54 ID:/fzPADuZ0
『熱病』よ……私に力を! この支援で確実に仕留めてみせるっ!!
292名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 16:02:25 ID:/fzPADuZ0
ぅあああぁぁぁぁっっっ!! な、なんてこと? 私が……こんなとこ、ろ…で………
293289:2005/09/25(日) 16:07:30 ID:Va0UEb7w0
自分もセリフ間違えてるわタイミング遅いわで・・・_| ̄|○
294革命の人:2005/09/25(日) 16:12:01 ID:7wLirY510
>>292
>>293
いえいえ〜、こんなにも支援の人がいてくれるのは心強い限りです〜
二日目後編楽しみにしててくれるとうれしいです〜
295名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:10:17 ID:/fzPADuZ0
>>革命さん
所用で遅れましたが拝読させて頂きました。
集団イジメに会う悠人を憐れに思いつつ、手厳しいセリアの手回しの良さがw
肝心の戦闘シーンが概要だけなのが残念ですが、まったくチーム戦に向いてないアセリアに笑いました。
何も言わずに第一詰所からついてくるわ、悠人の訓練なのに自分だけ飛び出すわ、勝手に負けてるわw
次はお昼ご飯ですか。……その前になんとなく艶っぽい予感が(ヘブンズ
296名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:11:41 ID:/fzPADuZ0
>>275さん
この辺はゲーム内でもイベントが多いので、どうしても展開が急な所が多くなります(汗
レスティーナにとっては一番辛い場面なのですが、こういう補完もありかなぁ、と。
ファーレーンはどんどん幼くなっていきます。それはもう、退行(ガツリンノタチ
それは冗談ですが、本来のファーってこんな娘なんじゃないかなぁ、と妄想してまして。
殻を取ってしまえば綺麗、というよりは可愛いというイメージでw
>>276さん
まだ本人に「恋」の自覚は無いんですけどねw 単に共感できる「人」に惹かれ始めている程度で。
「何故、」は「何故カオリ様を敵が狙う?」という部分を省略したものです。
「何故か」にして「そんな疑問」にかけてしまうと「疑問を持った事」が不思議に思える、
という風に取られはしないかとこんな表現にしてみました。……って違和感持たれたのならやっぱり駄目なんですが(汗
 >ちょっとおっちょこちょいで、それでいてしっかりとお姉さんで。
そこに注目して頂いて有難うございます。そこはご指摘の通り、エスペリアとの対比を匂わせてみました。
生粋の世話好きと、本来甘えん坊。どちらも面倒見がいいしっかりとしたお姉さんなのですが、その辺が二人の違いかな、と。
もちろん自分がゲームのイベントや台詞から勝手に膨らませた妄想ではありますが。
エスペリアのあの台詞は……あまり気にしないで下さい(大汗
297名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:15:19 ID:/fzPADuZ0
>>277さん
アズマリアさんには途中かなり感情移入してしまいまして、何度話破錠させずに生き残る方法を模索した事か(汗
場面転換と視点の切り替えは伏線上意図的に結構激しく行っているのですが、
読み辛くならないよう気をつけてはいるもののいかんせん技術力不足で……すみませんorz
悠人は妹属性強烈ですから、結局甘えるより甘えられる方がころっと逝きやすいような。エスペリアもそうだった気がしますしw
>>278さん
ルーグゥ陛下については前に一度ネタっぽく補完した時、既にこの場面を思い描いていました。
神剣による精神支配を受けているという大層な設定がある筈なのに、ゲーム内であっさりいなくなるのが不憫で不憫でw
余談ですが声やイベントどころか立ち絵も顔グラもない王妃ももっと補完して見たかったのですが、尺の都合で(ry
エスペリアさんについては多少の救いを一応用意はしてますが……あれ、救いって言えるのかなぁ(汗
とりあえず自分のSSでは彼女は幸せになる、というよりはオチにいいように使われる運命のようです。
298名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:39:02 ID:twkRAMZR0
すげえ(;゚Д゚)神レベル長編が2本も
短編書いてみたけど、SS書いてまだ日が浅い俺が投下できる雰囲気じゃないな・・・

何はともあれグッジョブです
299名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:55:10 ID:Pj4xQ0LC0
>>298
ヘリオンやアセリアだって最初から強かったわけじゃないんだ。
思い切って挑戦し、精進されてみてはどうか?
300名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 21:07:51 ID:KmmWB7o80
>>298
いっけえぇぇぇぇ―――っ!!
301:2005/09/25(日) 21:15:07 ID:LnQesT220
>>295
どうもです
やっぱり概要のみはまずかったですね…実は今回の分で特訓編は
書き切ってしまおうとしたんで
まあ、場合によっては加筆もあるかと思いますが
>>298
前スレ見てくださればわかりますが
無謀にも私は初めてですよw
皆良い人たちなんで、思い切って
胸を借りてしまったほうが楽しいと思います
302名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 21:20:18 ID:twkRAMZR0
皆さんどうもです。駄目駄目ながら投下するです
ネリシアメインのドタバタもの(のつもり)ですが、
なにか変なところがないかチェックするんで少し待ってください
303:2005/09/25(日) 21:22:01 ID:LnQesT220
バ ン ザ イ !
ワクテカしながら待ってます。
304名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 21:28:42 ID:1fjF2cnc0
>>信頼の人さん
遅れ馳せながら、お疲れさまでした。
たとえファーレーン相手でも、頭撫で撫でをやってしまう悠人はもう実に甘えさせ上手ですね。
膝枕でお昼寝中のニムの髪を梳くファーレーンの頭をゆっくりと撫でる光景が目に浮かんできました。
あぁ、確かにいつもニムにやってることをファー自身もして欲しいのかもしれないな、とか。

『求め』モードのソゥユートは(この作品の他でも)何度出てきても心臓に悪いです。
あ、もちろん使い方が上手いと言うことなんですが、どんな風に撃退されるのかもまた楽しみの一つにw

>>革命の人さん
心にグサグサと突き刺さるツンツン振りが涙と笑いを誘います。みんなみんな酷いっ。
というか、リボン切断とか丸っきり関係なくなってませんか敵チームの皆さん。
いつか結果を示す日が来ることを楽しみにお待ちしております。

>>302さん
「わーい、出番だ出番だー。よーしネリーにおまかせ、だよっ」
「あのね、シアーもぉ……頑張るよ? ホントだよ?」
楽しみにして待ってます。
305ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:40:24 ID:twkRAMZR0
スピリット達の朝は早い――─こちらの時間で言えば午前5時頃起きる
・・・のだが、戦いや訓練のない日、すなわち休みの日は思いっきりだらけるのもいる。

午前8時ごろのこと。今日の食事当番のヘリオンの料理のいい匂いが館中をかけめぐるころ
ネリーとシアーは目を覚ます。
「ん〜、ふあ〜ぁ〜」
「ん・・・」
「シアー、おはよっ」
「おはよう〜ネリー〜」
「さ、行こう」
「うん」

二人は顔を洗いに洗面所に向かおうとするが、どうもいい匂いには勝てないらしく、
自然と食卓に足が向く。
年少組にはよくあることなのだろうか。ニムントールも真っ先に食卓に登場する。
「おはよっ。ニムントール」「おはよう〜」
「おはよ。」
なんだか眠そうなニムントールの後ろから、ゆったりと登場するファーレーン。
「ニム、顔と手はちゃんと洗ったの?」
「面倒だから、洗ってない」
「面倒、じゃありません。ほら、洗ってきなさい。ネリー、シアー、あなたたちもですよ」
「ゔ、ヤブヘビ」
「やっぱりちゃんとしなきゃだめだよ〜。早く行こう、ネリー」
306ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:42:05 ID:twkRAMZR0
顔と手を洗って戻ってくること5分。そのころにはもう食卓には料理が並んでいた。
ちなみに、年長組のセリア、ヒミカ、ハリオンは今日は訓練で、既に訓練所に行っていて
食卓にはいない。この面子がいないと盛り上がらないということはないが。

「わぁ〜おいしそう♪」「おいしそ〜」
「はい!今日も自信作ですから。たっぷりと食べてくださいね。」
「いただきます」と、全員で一斉に悠人に教わった儀式(?)をしてから食べ始める。
「モグモグ・・・うん、お姉ちゃん、これおいしいね」
「そうね。ヘリオン、また腕を上げたのではないですか?見かけはもとより、味も洗練されています」
「はい、以前のそれよりも、旨みが上がっているように感じます」
「これなら、あなたの目的も果たせるのではないですか?」
ベタ褒めするナナルゥとファーレーン。するとヘリオンは顔を赤らめて言う。
「そ、そんなことないですよう〜。エスペリアさんに比べたら、まだまだです・・・きっと。」
「でもさ、試してみなきゃわからないじゃん」
「そうだよ〜。でも、これだけおいしければ大丈夫だと思うよ〜」
「で、でも〜はうぅ」
「けんそんしちゃって〜ほんとは食べてもらいたいんでしょ?」
「がんばれ〜」
「ゔゔ〜〜〜」

ヘリオンの、自分の料理を悠人に食べてもらって褒めてもらうという目的はまだ果たされていなかった。
というよりも、勇気がもてなくていつまでたっても切り出せないだけなのだが。
この目的も本当は秘密だったのだが、ハリオンに問いただされて口を割ってしまったらしく、
瞬く間に第二詰所で話題となったのだ。

「ごちそさま〜」「さま〜」
307ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:43:39 ID:twkRAMZR0
一通り食べ終わり、いつものようにヘリオンを茶化したところで部屋に戻るネリーとシアー。

「さて、今日はお休み!何しよっか?」
「今日も、オルファと遊ぶ〜?」
「そうしよっ。じゃあ、今日もくーるに遊ぼう!」
「遊ぼう〜」
「神剣はここにおいといてっと・・・じゃあ、行こう!」
ということで、二人は第一詰所に向かった。
休みの日にオルファと遊ぶのは、二人にとっては日課のようなものだったので、
何の抵抗もなく足取り軽く進んでいく。


ブワッシャー! ガランガランガラン

第一詰所に着くなり、どこからともなく水音と衝撃音が響く。
「え?なに?なに!?」
音のした方・・・台所の方に目を向けると、そこにはエスペリアとアセリア、それとオルファがいた。
そのあたりは水浸しになったり鍋が転がったりしている。
「もうっ、アセリア!いったいどうやったらこんなことになるんですか!」
「ん、冷やすって言うから、アイスバニッシャーした。」
「しっかり支えて水に漬けるんですよ。支えないで急激に冷やしたら爆発します!
それと、料理に神剣魔法を使わないで!強力すぎて危険ですから!」
「そうか。」
「またお掃除して、やりなおしだね〜。あははは・・・」
「はぁ、こういう事態を想定して朝早く(午前6時位)からやっているのに・・・
これでは、私たちはおろかユート様まで朝食抜きになってしまいます」
308:2005/09/25(日) 21:47:16 ID:LnQesT220
支援はしてやる
あとは各自適当にやってくれ
309ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:47:42 ID:twkRAMZR0
「!」
「これじゃ、オルファとは遊べないね〜」
「それどころじゃないよ!シアー、これは、チャンスってやつだよ!」
「え?」
「ん〜だから!ユート様がヘリオンの料理食べるチャンス!
おなかがすいてるユート様にあのおいしーい料理を食べさせれば、きっと喜んでくれるよ!
ユート様はおなかいっぱいで、ヘリオンも喜ぶ!『いっせきにちょう』ってやつだよ!」
「あ〜そっか」
どうしてネリーがそこまでヘリオンの肩を持つのかはわからなかったが、シアーも納得したようだ。
「じゃあ、ネリーはヘリオンに料理を作るようにたのんでくるから、シアーはユート様呼んできて!」
「わかった〜」
「い・け・ま・せ・ん・よ?」
「!!」という具合にぎっくりする二人。
話し声が大きすぎたらしく、ネリーの後ろで全身びしょ濡れのエスペリアが両腰に手を当てて立っていた。
「エスペリアお姉ちゃん・・・いつからいたの〜?」
「『いっせきにちょう』のあたりからです。いいですか?アセリアが料理している以上は、
ユート様は優しいですから、きっとお食べになるでしょう。それに、アセリアもユート様に食べていただけるのを
楽しみにしているので、ユート様には食べていただかなければいけないんです。・・・例えどんな味になってても」
「で、でも!」
エスペリアは二人をじっと睨み付ける。
「う、わ、わかった・・・」
「はい、よくできました」
最初からエスペリアに気圧されていたシアーが口を開く。
「エスペリアお姉ちゃん、オルファとは遊べないの〜?」
エスペリアはふう、とため息をついてつぶやく
「今日は多分・・・無理ですね。料理が終わるころには、疲労がピークに達してますから」
「うう〜」
「しょうがないよ〜。ネリー、戻ろう」
二人はすごすごと退散する羽目になった。
310ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:49:34 ID:twkRAMZR0
ネリーとシアーは城の中庭を歩いていた。
「じゃあ、今日はどうしよう〜」
「折角の休みになにもしないってのもアレだもんね。二人だけでくーるに遊んでもつまらないし」
「う〜ん」「う〜ん」
二人して何しようか考えていると、訓練場のほうから走ってくる人影があった
「あ、二人とも、ちょうどよかったわ。」
「あ、ヒミカお姉ちゃん」
「どうしたの〜?」
「お休みのところ悪いんだけど、訓練の手伝いをしてくれる?」
ネリーとシアーは顔を見合わせて答える。
「うん、いいよ。暇だったし」「いいよ〜」
「よし、じゃあちょっと急ぐからね。走って走って!」
そう言って、三人は訓練場に急いだ。

訓練場に来ると、そこではセリアとハリオンが切り合っていた。
状況はお互いに様子見をしている、といった感じだ。
「いい?二人ともよく聞いて。最近のハリオンは戦闘不能の相手にエレメンタルブラストで追撃する
変な癖があるの。だから、もしセリアが戦闘不能になってハリオンがそれを使おうとしたら、
どうにかして止めて。わかった?」
「うん!わかった!」「りょうか〜い」

こういう役割はブルースピリットが適任だと双方ともわかっている。
訓練していた3人の中ではブルースピリットはセリアしかいないから、
そのセリアが倒れたとなっては誰もハリオンの暴走は止められないだろう。
4〜5分ほど見ていると、セリアの連撃をかいくぐったハリオンが『大樹』の石突で怯ませた。
その瞬間、ハリオンの大振りでセリアは弾き飛ばされ、そのままダウンしてしまった。
311ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:51:15 ID:twkRAMZR0
「わぁ〜すごーい」
「すごいね〜」
直後、案の定ハリオンは魔法の詠唱を始める。
「二人とも感心してる場合じゃないわ!ハリオンが詠唱を始めたわよっ!」
「あ、そうだ。止めないとっ!」
「うん」
妨害魔法の構えを取る二人。
「・・・あれ?」
二人は同時に違和感に気づく。・・・何かが足りない気がするのだ。
「って、ああああ〜っ!!あなたたち!神剣はどうしたの〜!」
「あ」「あ」
すっかり忘れていた。どうせ休みだからと思って、部屋に神剣を置いたままだったこと。
大騒ぎしているうちに、ハリオンは詠唱を終えてしまった。
「えれめんたるぶらすと〜」
「ッ──────────!!!」

          ずどご〜ん どが〜ん

緑マナの爆発が訓練場を包む。しかも、その範囲は思ったより広く、脇で見ていた
三人にも爆発が届いてしまっていた。
「きゃああああぁぁあ〜!」
「やああぁ〜ん!」
「ハリオンのバカあああぁぁ〜!」

30分ほど気を失っていたネリーとシアーは、そのあとヒミカに
「たとえ休みの日でも、神剣は常に携帯しているように!!」と、おもいっきり叱られてしまった。
ちなみに一番割を食ったセリアは、回復魔法をかけたとはいえ、全治5日の怪我を負ったという。
ハリオンの癖がその後も直ることはなかったのは言うまでもない。
312ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:54:05 ID:twkRAMZR0
訓練場から帰ってくると、もう昼食の時間になっていた。
朝と同じような調子で昼食を済ませたネリーとシアーは、また何をしようか考えていた。

「さて、どーしよっか?」
「オルファが遊べないから、仲がいい子がいないんだよね〜」
「ヘリオンは食材の買出しに行くって言ってたし・・・あ、ニムントールはどうかな?」
「でも、いままで遊ぼうって言っても、なんだか冷たかったし〜」
「気にしない気にしない。こういうのは、何度も誘ってみるもんなの!」
「じゃあ、誘ってみようか〜」


二人は、ニムントールの部屋の前まで来ていた。
「ニムントール〜、いる〜?」
ドンドンと、部屋のドアを叩きまくるネリー。だが、いくら呼びかけても返事はない。
「いないのかな〜?」
「ファーレーンお姉ちゃんの所かもっ!」
館の廊下を疾走する二人。ファーレーンの部屋の前に来るなり、またもやドアを叩いて叫ぶ。
「ファーレーンお姉ちゃん!いる〜?」
「ネリー〜、少しは落ち着いて〜」
「はいはい、いますよ」
ガチャリ。扉が開きファーレーンが出てくる。
「二人とも、どうしたんですか?」
「えっと、ニムントール、いる?」
「ええ、いますよ。ニム、いらっしゃい。ネリーとシアーが来ましたよ」
とことことニムントールがやってくる。
313名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 21:56:17 ID:4QOlFngO0
エレブラ支援
314:2005/09/25(日) 21:57:01 ID:LnQesT220
神剣の主として命ずる
支援の力となり彼の者を助けよ
315ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:57:18 ID:twkRAMZR0
「・・・何?」
相変わらずそっけない感じのニムントール。一瞬引くが、ネリーはあきらめなかった。
「ねえニムントール、せっかくお休みなんだからさ、ネリーたちといっしょに遊ばない?」
「ニムントール、遊ぼう〜」
「別に、いいよ。面倒くさいし」
いつも通りの反応。しかし、ファーレーンがそれを許さなかった。
「ニム。せっかく誘ってもらっているんだから、遊んできたら?たまには、同じくらいの子と一緒にいたほうがいいわよ」
「え・・・う、でも」
「大丈夫よ。ほら、今日は外で遊んできなさい」
「う、うん。お姉ちゃんが、そう言うなら。でも、あんまり激しくしないでよね」
「そうこなくっちゃ!じゃあ、いこいこ!」
「やったあ〜!」


それから日が暮れるまで、鬼ごっこやらかくれんぼやら、木の実を取りに行ったりやらで、
結局ニムントールは激しく引っ張り回されていたが、ニムントールは満更でもない様子だった。
「ふぅ〜たのしかったね〜」
「たのしかった〜」
「たまには、こういうのも悪くない・・・かな。・・・面倒だけど」
すごく楽しかったという本心を隠すように言っているが、二人には隠しきれなかったようだ。
「んもうっ!ニムントールは素直じゃないんだから!」
「素直じゃな〜い!」
ネリーとシアーは同時にニムントールに突っ込みを入れる。
「ッ!痛いじゃない!この〜っ!」
「あはははは、こっこまでおいで〜」
「お〜いで〜」
「待て〜っ!許さないんだから〜!!」
ネリーとシアーは逃走しながら、ニムントールは二人を追いかけながら。微笑ましく館へ戻っていった。
316ネリシアのある休日:2005/09/25(日) 21:59:00 ID:twkRAMZR0
館に戻り、夕食と入浴、歯磨きを済ませたら、もう今日は寝るだけだったが、
ネリーとシアーは一緒にベッドに潜って話していた。

「今日はなんだかすごい一日だったね〜」
「うん、そうだね〜。疲れちゃった〜」
「なんだか、明日は疲れて起きられそうにないよ」
「でもネリー、明日は訓練だよ〜?・・・ハリオンお姉ちゃんと」
訓練場でのことがトラウマになっているのか、あの惨状がフラッシュバックする。
「げ・・・」
「・・・・・・」
「生きて帰れるかな〜」
「がんばろうね、ネリー〜」
「も、もう寝たほうがいいよね。お、おやすみシアー〜」
「うん、おやすみ〜ネリー〜」


・・・その日ろくに眠れず、二人は次の日の訓練でセリアと同じ目に遭ったのだった・・・




                      ─完─
317:2005/09/25(日) 22:01:47 ID:LnQesT220
乙です。
しっかりセリアの徹を踏んでしまう双子に萌えます
318名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 22:02:42 ID:twkRAMZR0
とりあえず、こんなもんです
SS自体は初めてではないんですが、ここでは初めてということで
もっと精進するつもりなので、宜しくお願いします(´・ω・`)ノシ
319名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 22:06:55 ID:4QOlFngO0
>274
怒濤の展開乙。スローカーブとインハイストレートを織り交ぜた巧みなリードに我がバットはくるくるネリー(ナゾ
しかしまだ回は三回終了くらい?

ちょっと場面転換がきつくて、こっちはどうなったんだ!? と思うことが多かったけど、次第に満ちていくファーと悠人の関係に雀躍したり、
ニムと佳織の微笑ましさにニマニマしたり、エスの相い変わらずっぷりに思わずわら(チャキ)……いえ、、、イカンですね遺憾です。
アズマリア、CGあればなぁ。美人なんでしょうねぇ。でもあそこ世襲じゃないんだっけ。子孫居ないんだろうな。
王様がんばりました。やっぱりレスティーナはあんたの子です。ゴシップ記事に王妃の不貞なんてのがあったけどマロリガンのプロパガンダさ。

月は遠くで見る分には冷たく綺麗なものでしかない。しかし、近づけば近づくほど本当の姿が見えてくる、と。ウワーンヽ(`Д´)ノ俺も月面に着陸してぇ〜
ヨーティアのロケット開発はまだですか!?

神剣に人が呑まれる……ってこの世界の人たちからすると天地がひっくり返ったような衝撃な気がします。
その割りにレムリア(達)があっさり受け入れてるような気が。
サルドバルド・ラキオス王を飲み込んだ「神剣」をどう分析してるのか気になる。

>269
ダーツィ派?

>290
四面楚歌悠人w
力、山を抜き。気、世を覆う。そんな甲斐性が有ればセリアもあっさり……「不調法ですが、一差し剣舞でも」 ヒィィ( ゚д゚;)  鴻門の会イヤーーー

なんだかんだ言って、ユートを自分好みに育てようとしてるような気もw アセリアの“空気読めっ”振りも良いです。
悠人はつくづく不幸の星の下に生まれついたのね。
人称の揺れがちょっと見受けられるかな。

>318
うはw これおもろい。ふたりが力を抜いて楽しく生きてる感じがしてGJです。皆まんべんなく絡んでるのも良い。
なんだか、「まんが日本昔ばなし」見てるみたいでした。
手を洗うの面倒くさいニムにはw。
320名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 22:23:51 ID:1fjF2cnc0
>>302さん
初投稿お疲れさまでした。
遊びに誘ったニムへの体当たりっぷりがほんわかと頭に浮かんできます。
しかし、ハリオンのエレメンタルブラスト(対HP効果100)で全治5日……ハッ
訓練終了後次の日の戦闘……
「えっとぉ〜、全てを〜凍らせ〜動きを止める〜……」
「あのね〜、シアーだって、やるときはぁ、やるんだよ〜」
「効くかどうかはぁ、賭けになってしまうけど〜、こういう戦い方だってあるんですよ〜」
……こういうことですかっ。
321憂鬱の人:2005/09/25(日) 23:50:04 ID:KmmWB7o80
ぷひゃあ〜。何とか未読消化。
職人さん達もっと手加減してよぉ〜w

>朔望
優しく疫病神を励ますファーレーンGJ。いや、ちょっと涙出ました、マジで。
新説・ルーグゥ人柱説に度肝を抜かれ、緊迫場面でも相変わらずなシアーに爆笑させられ。
でも「もう...強引なんだからぁ☆」の後の怒涛の展開を条件反射的に期待した私は
心底汚れています...汚れているのです...
もう言う事無しです。続き頑張ってくだされ。あ、それと副題何て読むんですか?

>革新の一歩
いたぶられてるなぁ、ソゥユートww
しかし安易に『求め』の力に頼らないなんざぁ見所があるじゃありませんか。
ひょっとするとこれから徐々に逞しさを発揮するのでしょうか。
セリアさんの態度がどう変化してゆくのかにも注目させて貰います!

>ネリシア休日
まずは初仕事乙です。こういう平和な気分のSSも良いですよね。
ヒミカ姐さん不帯刀に早く気付け〜〜w
それにしてもハリオンにあんな癖があったとは...
ま、まさかそれって癖じゃなくて日本語で言うところのバグ!?(←どこが日本語か
322名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 04:32:50 ID:OXXDj8sPO
怒涛の投稿ですね〜…俺も早くSS書き上げなきゃ

PCのOS入れ直し×2回やら残業やらでSSがちっとも進んでない(汗

と、言いつつ職場での休憩中にSS読んでる俺…
323名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 20:48:04 ID:Szili3580
>>318さん
……ハリオンさん、一体何があったのですか(汗

初投稿お疲れ様です。敷地内をぴょんぴょん飛び跳ねる二人にほわほわしましたw
「くーるな遊び」というのがどんなのかがなにげに気になります。二人ではつまらない遊び……うーん。
まぁネリーに聞いても意味不明の回答が得られるのでしょうけど。「くーるはくーるだよぉ?」とか言って。
エスペリアの「・・・例えどんな味になってても」に爆笑したのは内緒です。酷いなぁ、色々な意味でw
324名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 20:49:37 ID:Szili3580
>>304
多分に心理学的な分析なのですが、あの辺りは悠人やファーレーンが勝手に動いた形跡があります(何
甘えさせてくれる相手が居なかったファーレーンが徐々に甘える事に慣れるというか目覚めるというかw
その辺だけ限定すれば幼少の頃アセリアがまともな反応しなかったせいで対人苦手になったセリアと似てるのかも。
『求め』モードwについては、結局避けては通れない道なので……ただ克服の仕方にまだ補完の余地があるかな、と。
精神を強く持てばいい、とはいいますが、それを自ら行うか、他の助けを得るか。それだけでもかなり印象が変わりますし。

>>319さん
ルーグゥ派orz
マルチサイトの使いすぎによる読み辛さは読者に多大な負担をかける原因となります。用法用量をよく守り(ry
場面もですけど、視点切換もやはり激しすぎたかな、と反省しています。ご指摘ありがとうございましたw
≪補完の補完≫
“飲まれる”という表現は情報部が便宜的に症状をそう呼んでいるだけで、実際にはロウ側の神剣による精神支配となります。
情報部に属しているファーがサルドバルト王の様子を見て、スピリットが“飲まれる”のと同症状だと印象・報告した為です。
受け入れている訳ではないでしょうが、緘口令位はしいているような気が。って自分で書いたものに気も何も無いのですが(汗

>>321さん
副題は「そうめい」と読みます。まんまです。音楽の奏鳴曲(sonata:ソナタ)から。
ちなみに各編のラスト(coda:コーダ)は楽曲・楽章の最終部分の事です。他にも編・章題は全部音楽用語で統一してたりします。
>優しく疫病神を励ます 
なんだかそう纏められると童話とか牧歌的な印象になりますねw
あの辺お姉さんというより同等の視線で励ますというファーの母性を出してみたのですが、何がしかを感じて頂けたようで良かったです。
あと☆はついてませんがな(苦笑 怒涛の展開はまだファーには早いでしょう。ゆっくりと。しっとりと(何
325湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:36:30 ID:VP1zkIlG0
最近は戦いが多く、スピリット隊の面々も疲弊してきたが、
ようやく戦いは小競り合い程度に落ち着き、一時の休息を得られた。

俺たちは今、ラキオスから南下して、ミネアに向かっている。
メンバーは、俺以外には、
アセリア、オルファ、ヘリオン、ハリオン、ヒミカ、セリアだ。
なにをしに行くかというとだ、話は昨日に遡る・・・

「ユート様、ちょっとよろしいですか?」
「あ、エスペリア、どうしたんだ?」
「はい、最近ユート様は忙しかったでしょう。そこで、朗報をお持ちしました」
「朗報?」
「ラキオスから南下したところ、旧イースペリア領にミネアという町があるのはご存知ですね?」
「ああ、あったね」
「そこで、疲労回復効果のあるお湯が沸いて出たそうです」
「疲労回復効果のあるお湯・・・温泉、かな?」
「はい、一般の方も入浴が可能だそうですので、行ってみてはいかがでしょうか」
「そうだな、みんなで行こう」
「ですが、ラキオスをもぬけの殻にするわけにはいきませんから、部隊を半分に分けたほうがいいでしょう」

・・・で、俺が提案した抽選方法(早い話がくじ引き)でメンバーが決まり、温泉に入りに行くわけだ。

「楽しみだね〜。オルファ、温泉なんて初めてだよ〜」
「ん、そうだな」
「ラキオスにもあるといいんだすけどねぇ〜。行くまでがちょっとたいへんですぅ」
「それだけの価値があるってことよ、ハリオン」
「そうね。そうでなきゃこんな事しないわ」
「・・・・・・」
何故かヘリオンは固まったように黙っている。
326湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:37:18 ID:VP1zkIlG0
「どうしたんだ、ヘリオン。さっきから黙ったまんまで」
「え、えっと、そ、その〜ユート様と一緒にお風呂に入ると思うと〜・・・緊張しちゃって〜」
「・・・男湯と女湯には分かれてると思うぞ」
「はうっ!そ、そうなんですか〜。はあぁ」
安心したような、残念なような微妙な面持ちになる。
「あらぁ〜。残念ですぅ〜。お背中を流してあげようかと思ってたんですけど〜」
「オルファもだよ♪」
・・・勘弁してくれ。理性が吹っ飛ぶ。

そんなこんなで、俺たちの一行はミネアの町に到着する。
「えーと、温泉は・・・と」
「ユート、あれか?」
「お・・・」
そこには、『温泉』と(聖ヨト語で)書かれた大きな看板がかかった木造の建物があった。
「んじゃ、行ってみるか」
「お〜♪」
「はい!ユート様、行きましょう!」
俺たちは入り口で料金を支払い中に入った。
「(こういう元の世界の銭湯とかと変わらない所がいいもんだ、と)」
と、思っていると、目の前に看板と通路が二つ。
看板にはそれぞれ『男』、『女』と書かれているようだ。
「やっぱりここで分かれるみたいだな。じゃあみんな、また後でな」
「ん、ユート、あとでな」
「じゃあね〜パパ♪」
「ユート様、ゆっくりと、疲れを取ってください!」
「はい〜ごゆるりと〜」
「しっかりと疲労回復に努めて。私たちの隊長が疲弊していては話にならないもの」
「では、また後で」
327湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:38:41 ID:VP1zkIlG0
元の世界の温泉地の雰囲気を髣髴とさせる更衣室で、俺は服を脱いでいた。
「修学旅行とかの時を思い出すな・・・」
もっとも、あの時はもっと知り合いの男子がいて、和気あいあいとした感じだった。
光陰が女湯を覗き見して今日子に殺されそうになった事もあったっけ。

ガラガラガラ・・・
「お、露天風呂か。こりゃ気持ちよさそうだ」
早速入ってみる。
チャポ・・・チャプン
「ふ〜生き返る〜」
思わず日本語でつぶやいてしまう。
できたての温泉、しかも露天風呂。なるほどこれなら疲労も回復するだろう。
「ん・・・露天風呂?ということは・・・!」
ガラガラガラー
壁の向こうから引き戸の開く音がする。
「とーうっ!」
バッシャーン!!
「ぷうっは〜ぁ!気持ちいいよ〜!みんなも早く!」
「こらこら、オルファ、そんなに騒がないの」
「これが、温泉なのね」
チャプ・・・チャプ・・・チャポン
複数の人が次々とお湯につかる音がする。
「(な、な、なんてこった。会話が筒抜けじゃないか!)」
声とともにスピリット隊の面々が素っ裸になっている姿が頭の中でシンクロする。
「(くそっ!妄想に負けてたまるか!)」

               *ここからはリアルタイム(?)でお送りします
328湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:40:39 ID:VP1zkIlG0
         女湯                               男湯(悠人)
                              │
「ん、気持ちいい・・・」                  | 「(と、とにかく、聞いているってことを
                               |  悟られないようにしないと・・・)」
「そうですね〜。ユート様は、大丈夫かなぁ」    |
                              |
「これで気持ちいいなんていえない人はいないわ」 | 「(よかった、みんな気持ちよさそうだ)」
                              |
「ふふふ〜疲れがとれますぅ〜」           |
何を思ったか、オルファがハリオンを眺めて言う。│
「ハリオンお姉ちゃん、おっぱい大きいね〜」    | 「!!!」
「そうですか〜?ふふ、そうですよね〜」      |
「そこいくと、オルファはまだまだね」         |
「え〜?ヒミカお姉ちゃんもハリオンお姉ちゃん  |
ほどじゃないくせにぃ〜」               .| 「(く・・・っ)」
「でも、アセリアやセリアよりは自信があるわ」   .|
「それって、私とアセリア、どちらの方が大きいか  |
という問題にも発展するわね・・・」          |
「??よく、わからない・・・けど、ん、ヘリオンには .| 「(す、少し気になる・・・)」
勝つと思う」                       |
「ど、どーして私に振るんですかぁ〜!       |
 わ、わたしだって、あと数年もすれば、      |
 ハリオンさんみたいになりますよぅ〜!!」    .| 「(ヘリオンが、ハリオン級に?・・・想像できない)」
「それって、私に対する挑戦ですか〜?」      .|
「そうです!数年後、また勝負です!」        |
「パパは、おっぱいが大きいほうがいいのかな?」.|「(な、なぜそこで俺がでてくるッ!?)」
「女性の魅力は、胸だけじゃないというわ」     |
「私もセリアと同じ意見ね」               |
329湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:42:35 ID:VP1zkIlG0

「ということは、まだチャンスはあります!」     |「(俺は別に大きさは気にしないけど
「・・・なんだ?ちゃんす?」               |  ・・・って、考えるな!煩悩よ、出て行け!)」
「あ、い、いや、こっちの話です」            |
「でも〜大きいほうが包容力があって、       .|
 母性的とも、言われてるんですよ〜?       .|
 ユート様はまだまだ子供っぽいから、       |
 私みたいな人がキュ〜って抱いてあげたほうが .|
 いいかもしれませんね〜」               | 「(うぐ・・・ッ!想像するな、想像するなァッ!)」
「あ、ずる〜い!オルファも抱く〜!」         |
「わ、わ、私も〜!」                   .|
「・・・私も、ユートを抱く」                 | 悠人の妄想は止まらない。
「私はパス」                        | 興奮でどんどん体が火照っていく。
「・・・やれやれね」                     | 「(あ・・・か、うぐ、い、意識・・・が・・・)ぶくぶくぶく・・・」
                              .|悠人はのぼせてしまった。他の客が駆けつける。
「さて、そろそろ上がりましょう」            |「おい!この青二才、顔真っ赤にしてぶっ倒れたぞ!」
「!」と、全員が一斉に反応する。          .|「こいつ、ラキオスのエトランジェじゃねえか!
「ゆゆ、ユート様が倒れた!?」           .| お〜い!担架担架ぁ〜〜〜!!」
「パパ!?パパぁ〜〜!」               |
オルファとヘリオンがすっとんでいった。      .|
「あらあら〜のぼせちゃったんですね〜」      |「(あ、花畑がみえら・・・)」
「・・・原因は他にあると思うけど」           |
「ユート様は、意外とスケベなのね」         .|
「ユートは、すけべなのか。・・・すけべって何だ?」 .|
                              .|
330湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:45:34 ID:VP1zkIlG0
・・・気がつくと、俺は休憩室で寝かされていた。
ハリオンが回復魔法をかけ、アセリアはうちわ(のようなもの)で扇ぎ続け、
オルファとヘリオンは心配そうに顔を覗き込んでいた。
「あ、パパ目が覚めたよ!」
「ゆ、ユート様〜だ、だいじょうぶですか〜?」
「うん、なんか心配させちまったかな」
「その調子なら〜だいじょうぶそうですね〜」
「ん、ユート、よかった」
「はは、のぼせやすい体質だったのを忘れてたよ」
「ところで、ユート様?」
セリアがこちらをじっと見てたずねる。
「な、何?」
「入浴中の私たちの会話、聞いていたのですか?」
「え、あ、いや、それは、その〜」
「やはり聞かれていましたか」
と、あきれたように言うヒミカ。嫌な予感が頭の中をよぎる。
「ちょうどいいよ♪ねぇパパ、パパは、どれくらいのおっぱいの人がお好み?」
・・・やっぱり。だが、簡単に答えられるわけもなく、あわててしまう。
「え゙、そ、それはだな・・・」
「ゆ、ユート様!はは、はっきりしてください!」
どうにか逃げようとするが、ハリオンにつかまってしまった。
「ふふふ〜♪逃げられませんよ〜?」
「(くっ!どうすればいい!あ、そうだ!おいバカ剣、助けろ!)」
『ふむ、任せておけ』
その瞬間、俺の意識は『求め』の意識と入れ替わった。
331湯けむり殺人事件〜おっぱい〜:2005/09/26(月) 21:47:26 ID:VP1zkIlG0
「お前たちの中でなら、誰でも俺の好みの大きさだ」
『〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!』
そして、意識は元に戻る。
「つまり、ユート様はどんな大きさでもよいと、そういうことですね」
「う〜パパ!それじゃはっきりしないよ!」
「ゆ、ユート様!はっきりするまで、今日は逃がしません!」
「観念しろ。ユート」
「観念しましょう〜」
「ユート様、この際はっきりさせないと、男が廃りますよ?」
「まったく、スケベなだけじゃなくて、うだつもあがらないのね」
「だっ、だれか助けてくれ〜〜〜(このバカ剣〜〜〜!)」


結局、彼女たちが疲れて寝てしまうまで尋問は続けられた。
ラキオスに戻ってからも、オルファとハリオンがこの日の話をしたため、
このときいなかったメンバーからも尋問地獄を味わうことになった・・・。


「俺は何しに温泉に行ったんだ〜!?」



                          ─完─
332くじら318号:2005/09/26(月) 21:53:14 ID:VP1zkIlG0
ネタ思いついたので書いてみました。
よくあるラブコメっぽく書いてみましたがどうでしょうか


あと、名無しだとアレなんで、「くじら318号」と名乗らせてもらいます
よろしくお願いします(´・ω・`)ノシ
333名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 21:53:29 ID:rx1JcoOt0
おっぱい!おっぱい!
334名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 21:58:54 ID:Szili3580
>>332くじら318号さん

二元中継とは意表をつかれました。スピリット達に確信犯っぽいものを感じるのは自分だけでしょうか。
女性の魅力なんたらを語りながら、しっかりアセリアには負けたくなさそうなセリアが可愛いです。
というかスケベなんて単語を彼女達に吹き込んだのは誰なんでしょうw
335エロ大王:2005/09/26(月) 22:12:46 ID:35fHCwxC0
>>325-332:くじら318号さん

新機軸激しく乙

>>334
>スケベなんて単語を彼女達に吹き込んだのは

ハリオンじゃあないかと・・・・何せ雑魚スピエロ担当の名はだてじゃあないw
336エロ大王:2005/09/26(月) 22:14:36 ID:35fHCwxC0
                   (ニュウ)
エスペリア、ハリオンの緑スピは乳タイプ・・(マテ
337名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 22:59:11 ID:Ik2GDk2k0
ふと思ったがコウインって多分スケベって言われて喜ぶタイプだよな
338名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 23:36:28 ID:KWxBSNY50
俺達は思い違いをしているっ!  殺人事件が起きていない!w  
339名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 23:44:13 ID:zmgOnHDK0
ええー、でもスピ達は人殺せないし
スピ達&ユート様死んでも現行犯以外じゃ犯人特定できないんじゃないカナ?
死んだらマナの霧になっちゃいますし…

なんてマジレスしてみますw
340名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 23:44:35 ID:rx1JcoOt0
その役はコウインだろ
情報部がラキオス部隊が温泉に出かけるから防衛が手薄になると情報を入手
総攻撃云々言ってるところに、コウインが「いや、俺が単独で行こうゲェッヘッヘ」
一瞬だけ今日子の精神が戻り黒焦げに
341名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 23:48:01 ID:zmgOnHDK0
ああそうか!
たまたま居合わせた訓練士や建築士の誰かが殺されてって感じですね
事件を探っていく内に暴かれていく接点、
隠された悲しみと愛憎に満ちたサスペンス!
そしてスピ達が目にする結末は…


すいません、妄想限界です
342名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 23:49:39 ID:zmgOnHDK0
>>340
それだと犯人まるわかりw
しかも光陰死んでないし
343名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:03:28 ID:IChaApIz0
ハリオンは本編の凌辱ルートでも雰囲気ぶっ壊せる能力の持ち主だからなあ・・・・・・
無敵。
344名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:11:21 ID:Nz8sSfs40
ハリオンのHイベントって陵辱も正規ルートも大差ないような気がする
345名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:41:20 ID:fjHH5ZhC0
ハリオンの照れながらのエチシーン
・・・・・・・・・想像できねぇw
346名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:00:56 ID:rStCv5eL0
そういや火曜サスペンス劇場って明日で最終回なんだよな
温泉ネタだと土曜ワイド劇場なんだろか?
347:2005/09/27(火) 01:21:11 ID:SbVgVbJ10
…なんかどうでもいい、外伝SSなら出来上がるのにメインがちっとも進まない件
348名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 06:28:05 ID:5lHFavDG0
悩“殺”されたソゥ・ユート
349名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 09:43:48 ID:h9JqMxMoO
ソレダ!
350名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 10:24:35 ID:Nz8sSfs40
>>332くじら318号さん(>>318さんって事?)
乙です。ヘリオン級ハリオンも想像し難いですがハリオン級ヘリオンなんて……w
もうすでにそれはヘリオンではありません。ああややこしい。
何はともあれ最後まで覗こうとしなかった偉大な隊長に敬礼!
何故かヒミカがコメント回避しているように感じてしまうのは私だけでしょうか?w
351くじら318号:2005/09/27(火) 17:35:57 ID:BLVyv6Zh0
>>350さん
そうです、ネリシアもの書いたときに最もアンカーが多かった>>318を、
温泉ネタの投下と同時にコテ思いついたんで決めました(センス疑
何か問題があれば変えます。

それはそうと、なんかすごいことになってる・・・
まだ次のネタは決まってませんがこれだけ感想をもらえると
SS書くのにも力が入るというものです(`・ω・)Φカリカリ
AAを投下するかもしれませんが
352名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 22:06:58 ID:8BB6JOuj0
すぴたんについて、ザウスの問い合わせから要望として再考してくれるように送ってみた。
何もしないまま発売を待つことはできなかった。
可能性はあり得ないくらい薄いが、もしかしたらの希望をこめて。
・・・・・・ない? ないかな? ないよねやっぱり・・・・・・
要望がたくさんあって、前代未聞の作り直しとかあって欲しい・・・・・・

なんでもないっす。以下、何事もなかったかのようにつづいてくれい。
353名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 22:17:10 ID:qpBod0LE0
作り直すってのは、

「失望先生の誘惑授業」

に全面換装フルスクラッチしろ、ということだな。


全然成長してなくて受け持ちの女の子より小さくて失望したっ!!
354名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 22:46:00 ID:qpBod0LE0
つー事で何事もなかったように(ぉ



光陰が持ってる望遠鏡って一体何を見るためにあるんだろう?


「ふ。そりゃああれだ――――どんなに遠く離れていても、君のハートをいつでも覗く為に……さ」

「ゾゾゾゾゾ  あ、あんた気持ち悪いこと言うんじゃないのっ!!」スパーン
355名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 22:52:21 ID:YXcsRdOY0
「今度新しく配属された者です! 宜しく御指導御願い致しますっ!」
「(う……わ、わたしより大きい……)ま、まずは胸筋を鍛えましょうっ!」
こうしてヘリオンのラキオススピリット隊省胸化計画が始まった。
356名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:28:31 ID:Nz8sSfs40
「ねえ聞いた〜?ヘリオン先生の所に配属されたスピリット達が次々と巨乳化してるんだって〜」
「ほ、本当?私も転属願い出そうかな〜…」

「……はうぅ〜。小胸化作戦失敗ですぅ…」

大胸筋を鍛えるのは逆効果だという事にヘリオンが気付くまで、さらに数年を要したといふ
357食べさせて 1 / 22 :2005/09/28(水) 00:40:19 ID:cuYg3wJ90
 ある日のラキオス第一詰め所。
「やれやれ、困ったな」
 悠人は思わず溜息をつく。
 悠人の前にはアセリア、ウルカ、ネリー、シアー、ヘリオン、ナナルゥ、ニムントール。

 今はサーギオスとの戦争中。事務能力を有する者の需要が高まっているのは当然の事。
 そちらの方面に関し、全く役に立てないのが心苦しい限りだとすら、悠人は思う。
 しかしそれは仕方が無いにしても、事務能力の有る面々と、食事を作れる面々が、大きく重なっているのが問題だった。
 更に今日は、オルファリルも今日子も、それぞれ任務についている。
 要するに、今ここには(まともな)料理を作れる人員がいないのである。
 いっそイオに頼もうかとも思ったが、イオはイオで忙しい。
 イオも料理以外にもあらゆる事柄に傑出した才の持ち主なので、これまた当然の事である。
 頼めば時間を割いて料理をしてはくれるだろうけれども、悠人はイオの主人よりは控えめな人間だった。
 人によってはそれをヘタレとも言うが。

「私が作るか?」
「手前が何とか……」
 アセリア、ウルカの強力アタッカー二人組が進み出るが、悠人は涙をのんでこれを止めねばならない。
 エスペリアが仕事から疲れて帰って来た時に、自分の大切な場所であろう台所がぐちゃぐちゃに破壊されていたら非常に気の毒だし、
何よりもこの大変な時に、大事な戦力を大量に失うのは隊長として絶対に避けねばならないのだ。
358食べさせて 2 / 22 :2005/09/28(水) 00:41:47 ID:cuYg3wJ90
「しょうがない、俺が作るよ」
「えー!? ユートさま作れるのー?」
「作れるの?」
 ネリーとシアーが心配するが、今いる面々の中では、悠人が料理するのが確かに一番無難だろう。
 少なくとも悠人に任せれば、味はともかく食べられるモノは出て来るであろうから。
 逆に言えば、ここにいる悠人以外の面々には、それすらも期待出来無い。
 実際アセリアとウルカには立派な前科があり、ネリー、シアー、ナナルゥ、ニムントールは料理をした事自体が無い。
 ドジっ子へリオンに任せるのも不安が残る。
 という事で、悠人が料理する事に対する心配の声は皆からあがっても、反論はひとつも出なかった。
「まぁ何とかするさ。まかせとけって」
 とはいえ、今の悠人が作れる料理など一つしか無い。
 スパゲティナポリタン。
(ちょっと前にヨーティアに食わせても大丈夫だったから、まぁ最悪でも食えないって事は無いだろ)
 そう考え、材料がある事をを確認して、悠人は調理を開始した。
 親のいない生活をずっとしていた事もあり、悠人も向こうの世界ではそれなりのレパートリーがあった。
 だが、ファンタズマゴリアでは料理の方法はおろか、材料すらも満足には解らない。
 料理をしようにも、エスペリアが悠人を台所に入れないからである。
(エスペリアは、どうも男を厨房に入れちゃいけないと考えてる節があるからなぁ。
 手伝いすらさせてもらえないし。古風というか、何というか。
 けど、こんな事が度々あるんじゃ、俺も料理を練習出来る様に、エスペリアにもう一度頼んでみるしか無いだろうなぁ)
359食べさせて 3 / 22 :2005/09/28(水) 00:43:44 ID:cuYg3wJ90
 料理を乗せた皿が机に並んだ時、その場の面々は少なからず驚いた。悠人が料理したという事実もさる事ながら、その出てきた初めて見る料理に。
「えっと……これ、食べられる……の?」
 かなり失礼なネリーの発言に、悠人は答える。
「あ、ああ……多分」
 自信の無い発言も無理は無い。味見はしていても、その場の雰囲気が悠人をどこまでも不安にさせるのだ。
 悠人と料理を見つめる14の瞳、その多くは警戒の光に満ちている。
 正確に言えば、アセリアとナナルゥ以外の全員が不安げな視線を向けている。この視線に晒されて不安にならない方がおかしい。
「ん、いただきます」「いただきます」
 皆が躊躇する中で、雰囲気を全く読まないアセリアとナナルゥが早速スパゲティを口にした。悠人を心から信頼しているのか、それとも恐れ知らずで無謀なだけか。
 注目が二人に集まった。
 ずぞぞぞっ、と音を立てて食べる。マナーが全然なっていないが、それは今のところは仕方が無い。
 皆が固唾を呑んで二人を見つめる。かなり異様な光景である。
 もぐもぐ、と咀嚼。ごくんとのみ込む。
「た、食べられる……の?」
 またも失礼なネリーの問いに、
「ん、おいしい」
 とアセリアは答える。
 ナナルゥはといえば、すぐさま二口目に取り掛かっている。
360食べさせて 4 / 22 :2005/09/28(水) 00:46:47 ID:cuYg3wJ90
 それを受け、ウルカ、ヘリオンが恐る恐るスパゲティを口に運ぶ。
 本来礼儀正しい二人だが、ずぞぞぞっと音を立てて食べる。
 先陣を切った二人がどこまでも自信満々なので、それを手本としても致し方無い。
 もぐもぐ、と咀嚼。ごくんとのみ込む。
「これは……!! 流石はユート殿です。手前もユート殿を見習い、精進せねばなりますまい」
「ユート様、凄く美味しいです!!」
 目を輝かせる黒スピ二人。
 先程とはうって変わった眼差しに、これしか作れないとも言えずに、悠人は苦笑い。
 アセリアとナナルゥの発言、或いは味覚が信用出来無かったとみえる残りのメンバーも、次々と食べ始める。
 ネリーが、ええっ!? といった感じで目をまんまるにする。いずれにしても失礼な態度ではある。
 シアーはリスみたいに口の中に詰め込んでいる。
 ニムントールも一心不乱に食べている。
 がちゃがちゃずるずると音を立ててスパゲティを貪るハラペコ隊員達に、スパゲティの正しい食べ方を教え、悠人は自分も食事を始めた。
(どうやら上手くいったみたいだな。ひとまずは良かった)
 ほっと胸をなでおろす悠人であった。

 しかし、話はここでは終らなかった。
361食べさせて 5 / 22 :2005/09/28(水) 00:49:49 ID:cuYg3wJ90
「うふふ〜。ユート様って、とってもお料理上手なんだよ、ねー、シアー」
 翌日、第二詰め所に戻ってきた年長組の面々に、お帰りを言うももどかしくネリーは報告する。
 嬉しい事はみんなに自慢したいお年頃。
「え? ユート様の料理?」
 ヒミカが問い返す言葉に、ネリーは自分の事の様にぺったんこの胸を張る。
「うん!! 昨日作ってもらって食べたんだー!! すっごくおいしーんだよー!! ね、シアー」
「ユート様お料理上手〜」シアーもネリーに同意する。
 その横で昨日の料理を思い出し、一瞬で夢見る少女と化すヘリオン。
 ナナルゥもこくりと頷く。
「お姉ちゃんの料理ほどじゃないけどね」と、ニムントール。
 これはニムントールの最高クラスの褒め言葉。
362食べさせて 6 / 22 :2005/09/28(水) 00:52:20 ID:cuYg3wJ90
 しばらくは黙って座って、体全体を使う表現力豊かなネリーの話を聞いていたセリアだったが、
突如、ばしん!! と机を叩き、ネリー達を、きっ、と睨みつけた。
 いきなり鋭い視線に射竦められ、ネリー達は体を強張らせる。
「おい、急にどうしたんだ、セリア?」
 ヒミカの言葉に、セリアは年少組の方を向いたままで言う。
「ユート様は私達の隊長だし、それ以前にエトランジェなのよ。家政婦の様なマネをさせて良いと思ってるの?!」
「そんなにムキになるなって、セリア」
「私はムキになんてなってないわ」
 明らかにムキになったセリアは、止めようとするヒミカに一言言い放ち、再び年少組に向き直る。
「あなた達が、料理を作ってもらってどうするの? ユート様と自分達の立場の違いをあなた達は解ってるの?
 ユート様に料理をさせるなんて……」
「『なんてうらやましい!!』か?」
「ヒミカッ!!」
「すまんすまん」
「私は一般常識を話してるだけよ」
「やれやれ、『私、あなたの事を隊長とは認めませんから』なーんて言ってたのに。変われば変わるもんだねぇ」
「……何か言った?」
「いいや、何も」
 ヒミカは年少組には見られない角度で、小さく笑う。
 幸い、というべきか、年少組はまだ気付いていない様子だが、セリアは感情を隠すのが実は非常に下手である。
 自分ではきちんと隠しきれているつもりなのだろうけれど、セリアの顔はほんのりと赤い。
 そもそも、言っている事は正論でも、感情が混じらなければこんなに激する筈も無い。
 セリアのそういうところが可愛いと、ヒミカは思う。無論、口には出さないが。
「全く、余計な茶々を入れないで頂戴」
 ヒミカに向ける怒り顔。でもそれは半分照れ隠し。
363食べさせて 7 / 22 :2005/09/28(水) 00:56:17 ID:cuYg3wJ90
「ユート様が私達に優しいからって、あなた達は甘え過ぎです」
 三度セリアは、年少組に向き直る。
 一見冷静冷徹ではあるが、その実非常に乙女チック。
 そんなセリアの本質を知っているヒミカは、キツイ言葉を吐く姿を見て微笑ましくもなるのだが、年少組はそうはいかない。
「それくらいにしとけって、セリア。こいつらだけを責めるのも酷ってモンだ。
 出来無いものを出来無いままにしておいた私達にも、責任の一端はあるだろう?
 見ろ、ネリーなんか、お漏らししそうになって震えてるじゃ無いか」
「も、漏らさないもん!!」
 ネリーの反論も、いまひとつ迫力に欠ける。
 ヒミカは軽く笑って、年少組の方に声をかけた。
「まぁ、セリアの言う事も一理ある。オマエさん達がユート様に甘え過ぎって部分は確かに認めざるを得ないな。
 ユート様はセリアの言う通りに隊長だし、エトランジェだ。
 気にしなくて良いとユート様は言って下さってるし、実際に私達を人間と同等に扱って下さってる。とてもありがたい事だ。
 けど、だからって私達がそれにただ甘えるだけっていうのは、絶対に違う。
 立場には責任があり、それに恥じない中身がなけりゃならない。
 そしてユート様はその責任を十分過ぎるほど果たして下さっている。
 今までラキオスが勝ち進んでこれたのは、そして私達が生き残ってこれたのは、ユート様のお蔭だ。
 そうだろう?
 なら、オマエさん達もユート様の立場というものをもう少し尊重して然るべきだ」
「……ユート様と一緒に遊んだりしちゃ、ダメなの?」
 ネリーの寂しげな問いに、ヒミカはすっと床に膝を付き、ネリーやシアーに視線の高さを合わせる。
「そうは言ってない。けどね、ユート様にしてもらうばっかりじゃなく、ユート様の為に何か出来る事はないかを考えるんだ」
 年少の者や自分よりも立場の弱い者に視線の高さを合わせ、対等な位置で話す。
 自然にそういう事が出来るヒミカに、セリアは尊敬と羨望の念を持つ。
 セリアは、ずっと上を見、必死で背伸びして生きてきた。
 だからか、自分より弱い者、下にいる者に対しては見下ろすしか出来無い。そんな自分に嫌気がさす。
364食べさせて 8 / 22 :2005/09/28(水) 01:00:02 ID:cuYg3wJ90
「では〜、今日はこれからお料理教室ですね〜」
 唐突なハリオンの言葉。
「「「は?」」」
 皆の疑問符が重なるが、ハリオンは意にも介さず話を続ける。
「お料理が出来ると〜、ユート様に喜んでもらえますよ〜。
 昨日みたいな事があったら〜、一緒に台所に入ってお手伝いとかも出来るかも知れませんし〜」
「……はぁ、面倒」
 巻き添えを食った形のニムントールが言うが、過保護なファーレーンの影響でニムントールも料理は出来無い。
「それに〜、お手伝いしてる最中に手と手が触れ合って〜、目と目が合って〜、そこからナニカが始まっちゃったりして〜。
 あ、自分で作ったお弁当を持ってお散歩に誘うのもいいかもです〜。
 原っぱでお弁当広げて〜、『ユート様、あ〜ん』な〜んて、出来ちゃうかも知れませんよ〜。
 おまけに〜『デザートは、わ、た、し☆』な〜んて言ったりして〜」
「はいはい、馬鹿な事言ってないの。ほら、ヘリオンも戻って来なさい」
 ヒミカは、意識が別の世界へと旅立っていったヘリオンの頭をぺしりと叩いて強制帰還させる。
「でもまぁ、変な寝言部分は置いておくにしても、ハリオンの言う通り、料理が出来るに越した事は無いね。
 昨日だって貴方達の内誰か一人でも料理が出来れば、ユート様の手を煩わす必要は無かった訳だし。
 誰も料理が出来無かったからユート様の料理を食べられた、ってのも事実かも知れないけど、
 それとこれとはまた話が別だろうしね」
「……わ、わ、ワタシッ、頑張ってお料理覚えますっ!!」
 ヘリオンの意識は、まだ半分ほど甘い白昼夢の世界に漂っているようだが、それでもやる気を出すのは良い事だ。
 ヒミカはぽんぽんとヘリオンの頭を叩いてやる。
 見れば、ネリーもシアーも、ナナルゥやニムントールさえもやる気を見せている。
365食べさせて 9 / 22 :2005/09/28(水) 01:03:58 ID:cuYg3wJ90
「それなら、早速買い出しに行きましょうか。練習するには材料が足りないわ」
 やれやれ、とセリアも思わず笑みを漏らして、ヒミカを見る。
「OK。そうと決まれば善は急げだ。ファーレーンも手伝って……ファーレーン?」
「……『ユート様、美味しかったですか?』
 『うん、美味しかったよ。でも、まだ残ってるからね。俺は好きなモノは最後に取って置く主義なんだ』
 『えっ? ですが、もう何にも残っていませんよ?』
 『いいや、キミがまだ残ってる。ファーレーン、キミを食べてしまいたい』
 『そんな、ユート様……』
 『ファーレーン……』
 な〜んて!! きゃ〜〜〜〜!!」
「……アンタも戻って来い!!」
366食べさせて 10 / 22 :2005/09/28(水) 01:05:58 ID:cuYg3wJ90
「すごーい」
「すごーい」
 ネリーとシアーの声がハモる。
 とんとんとん、と、軽やかなまな板の音。
 手本として、流れる様な包丁捌きを見せているのはヒミカである。
 ヒミカは実は、手先が器用で料理も上手い。
 お菓子作りでは、繊細な味と飾りつけが他のメンバーの追随を許さない。
 ただ、気分が乗らない時には一転して大雑把な面が顔を出す。
 故にヒミカの料理当番の日には鍋が基本である。
「じゃ、真似してやってみな」
 ネリーに包丁を渡す。
「うん、解った。がんばるよ〜」
「がんばれ〜」
 シアーの応援を受けて、ネリーが包丁を構える。
「うおりゃーーーっ!!」
「何見てたんじゃ、この馬鹿たれがーーーっ!!」
 ネリーの気合の声に間髪入れず、思わず訛ってしまったヒミカの怒鳴り声が響いた。
 ネリーから包丁を取り上げ、代わりにゲンコツを一個くれてやってから、シアーに包丁を渡す。
 シアーは恐る恐るながら、ヒミカの手本を思い出しながら、慎重に丁寧に野菜を切っていく。
 二三危ない点に注意をいれて、ヒミカは一旦後ろに下がった。
 ネリーはたんこぶを撫でながら、感心した風にシアーの包丁捌きを見て、時々アドバイスする。
「ヒミカはもっとこんな感じだったよ」
「こ、こう?」
「うん、そうそう、そんな感じ」
 身振り手振りを交えたネリーの助言は、実に的確。
「……見てたんなら、ちゃんとやりなさいよね」
 ヒミカはため息が出るのを抑えられなかった。
 そこにセリアがやってくる。
367食べさせて 11 / 22 :2005/09/28(水) 01:07:50 ID:cuYg3wJ90
「この子達、上達するのかしら?」
「すぐに上達するだろうさ。何しろ動機が不純だからね」
「何よそれ」
「それ以上に一生懸命になれる理由があるかい?」
「さあね。その本人によるんじゃないの?」
「そうか? じゃあ、セリアはどう? 不純な動機だと必死にならない?」
「……知らないわよ。そんな事、私に聞かないでよ。私、不純な動機で何かした事なんてないから」
「ホントかなー……って冗談!! 冗談だから!!」
 『熱病』を取って来ようとするセリアを引き止める。
「全く、次に変な事言ったら、凍らせて砕いて、赤いかき氷にするからね」
「悪い悪い」
 笑うヒミカと睨むセリア、その二人の隣から聞こえてきたのはヘリオンとハリオンの声。
「えいえい〜ってカンジで切るんですよ〜」
「え、えーっと、こ、こうですか?」
「ちがいます〜。もっとこう、ガッ!! と」
「がっ、と……こ、こうですか?」
「ちがいますよ〜。そこを、えい、やあ、とー、ってやるんですよ〜」
「ふえええ〜」
 ヒミカは苦笑し、セリアはこめかみを押さえた。
「私、ハリオンと交代してくるわ」
「そうした方が良いね。あのままじゃヘリオンがかわいそうだ」
368食べさせて 12 / 22 :2005/09/28(水) 01:10:28 ID:cuYg3wJ90
「あー、ナナルゥ」
 淡々と機械的に作業をこなすナナルゥに、思わずヒミカは声をかけてしまう。
「何か手順が違いましたか?」
「いや、そうじゃ無いよ。そうじゃ無い。手順は完璧。手際もいい。
 けど、もうちょっと、なんつーか、こう、楽しんでやれないかな?
 適度な緊張は何事にも必要だけど、そんなに仏頂面してやらないでさ」
「楽しんで、ですか?」
「そ。別に任務って訳じゃ無いんだし。
 あ、いや、仕事といえば仕事なのかも知れないけど、料理は愛情とも言うしね。
 ほら、笑って笑って」
「料理は愛情……了解です」
 その言葉を受けて、ナナルゥは笑みを浮かべる。
「ふ、ふふふふふ、うふふふふふふふふ……」
 ざくりざくり。
 ナナルゥは薄く笑いながら肉を切る。
「うふふふふふふふふふふ……」
 ぐつぐつぐつ。
 実に愉快そうに不気味に笑いながら鍋をかき混ぜる。
「すまん、私が悪かった。普段通りにしてくれ」
 ヒミカは前言を撤回した。
369食べさせて 13 / 22 :2005/09/28(水) 01:12:43 ID:cuYg3wJ90
 ファーレーンの料理の腕は、第二詰め所でも一、二を争うのだが(ちなみに、ファーレーンとトップを争うのはハリオンである)、
こちらもまた教師には向かない。
 不器用に包丁を扱うニムントールの傍らで、ファーレーンは、はらはらそわそわと落ち着かない。
 初めてなのだから当然ではあるが、ニムントールは包丁の扱いが下手だった。
 だが、練習しない事には上達しない。
 放って置いたら、ファーレーンが全部ニムントールの代わりにやってしまいそうになったので、セリアが無理矢理引き離したのだ。
 それでもまだファーレーンは、ニムントールの危なっかしい手つきに「あぁ……」とか「あぅあぅあぅ……」とか、
世にも情けない声を上げながら手を伸ばしかけ、セリアにその都度止められる。
 戦場に立つ凛々しいファーレーンの面影は微塵も無い。
 指をちょっと切ったぐらいでは死にはしない。
 命取り合う戦場に立つスピリットが、どうしてこの程度で大騒ぎするのか、セリアには甚だ疑問なのだが、
その理屈を越えた部分こそ、姉バカの姉バカたる所以である。
370食べさせて 14 / 22 :2005/09/28(水) 01:15:12 ID:cuYg3wJ90
 こうして完成した第二詰め所年少組の料理は、見栄えも味もそこそこ出来の良いものだった。
 そもそもにして、アセリアやウルカの様な(そしてレスティーナの様な)、殺人料理を作る才能の方が稀有なのだ。
「ユート様、これ持ってったら喜んでくれるかなー?」
「喜んでくれるかなー?」
「きっと喜んでくれると思いますよ〜」
 間延びしたハリオンの言葉が終わらないうちに、
「じゃ、言ってくるー!!」
「あ、ネリー待ってー!! 行ってきまーす」
 自分の作った料理を持ってネリーはすぽーんと飛び出していき、シアーも急いでその後を追う。
「相も変わらない鉄砲玉ね。こぼさなきゃ良いんだけど」
「まぁ今回は仕方無いんじゃないか? 目的がユート様だった訳だしね」
 セリアとヒミカは顔を合わせて微笑み合う。
「ヘリオンは〜、行かないんですか〜?」
「え、えっと……」
「ぐずぐずしてるとネリー達にユート様を取られちゃうわよ。ほらほら、行った行った」
「折角作った料理、落とさない様にしなさいね」
「は、はいっ!! では、行って参りますっ!!」
 三人の声に後押しされて、ヘリオンもまた飛んでいく。
 ちなみにナナルゥの姿は既に無い。
 ネリーやシアーよりもなお早く、先制攻撃を仕掛けるべく悠人のところへ行ったのだ。
「じゃあニム、私達も行きましょうか」
「に、ニムは……って、あれ? お姉ちゃんも行くの?」
「……なんでアンタまで自分の料理作ってるのよ、ファーレーン」
「……飲み物までしっかり用意して……」
371食べさせて 15 / 22 :2005/09/28(水) 01:17:13 ID:cuYg3wJ90
 後日。
 セリア、ヒミカ、ファーレーン、ハリオンの年長組四人は悠人に呼び出されて第一詰め所に向かっていた。
「一体何でしょうか」
「さぁ。エスペリアが一昨日から出てるから、雑用でも溜まったんじゃない?」
「何にしても行けば解るわ」
「そうそう。行けば解りますよ〜」
372食べさせて 16 / 22 :2005/09/28(水) 01:19:37 ID:cuYg3wJ90
「パパー、みんな来たよー」
 窓から四人を確認したオルファリルが、ぴょんぴょん飛び跳ねながら言う。
「さすが、時間ぴったりだな。こっちも今出来上がるところだ」
「えへへー、オルファ、楽しみだよ」
 トントン、と正確に二回のノック。
 オルファリルがそれを出迎える。
「セリア、参りました」
「ヒミカ、入ります」
「失礼します。ファーレーン、入ります」
「みんなのお姉さん、ハリオンですよ〜」
「お姉ちゃん達、席について待っててね!! パパ、今来ると思うから。
 あ、オルファもお手伝いしなきゃ!!」
 セリア達が何かと思って待っていると、悠人がエプロン姿のまま料理の載った皿を持って厨房から姿を見せる。
「ゆ、ユート様? その格好は……」思わずファーレーンが訊ねる。
「服が汚れると悪いからエプロンを付けろって、オルファに言われてね。似合わないのは自覚してるんだけど」
「えー、パパ似合ってるよー?」
「そうか?」
「料理……をされていたんですか?」ファーレーンは覆面をつけていても解る位に上気している。
 普段とは違う悠人の格好に、何か感じるところがあったらしい。
「ああ。エスペリアは俺が料理する必要なんて無いって言って、普段は台所に入れてくれないけど、
 今日はそのエスペリアもいないしね」
 悪戯っぽく悠人は笑う。
「……それで、本日は何故私達を呼んだのですか?」
 ファーレーンとは対照的に、冷気を纏い始めたセリアが問う。
373食べさせて 17 / 22 :2005/09/28(水) 01:21:28 ID:cuYg3wJ90
「え? この前俺の料理を食べられなくて、残念がってるんじゃ無かったのか?
 いや、確かに大した料理じゃ無いんだけど、でも一応そう聞いたから。
 今日はちょうどラキオスに残ってるメンバーもこの前と逆だし、それでみんなを招待する事にしたんだけど……
 ハリオン、みんなに言ってなかったのか?」
 悠人はハリオンに問う。ファーレーンとヒミカの呆れ交じりの視線がハリオンに向く。
「……ハリオン、もしかして……」
「さては貴女の企みですね?」
「あ〜も〜、ユート様ってば、バラしちゃメッですよ〜。私までセリアに怒られちゃうじゃないですか〜」
「怒られるって……」
「当然です」
 絶対零度の声のする方を向けば、セリアはこめかみに血管でも浮かびそうな勢いだ。
「部下がいるというのにそれを使わず、自ら料理だなんて言語道断です!!
 英雄の誉れ高きエトランジェとしての自覚はあるのですか!?
 それ以前に、ハリオンに言われて喜んでほいほい厨房に入るなどと、男性としてのプライドは無いのですか!?」
「い、いや……いまどき男だって料理くらいは……」
「『いまどき』……? ユート様は流行り廃りで行動を決めると言うのですか? 軟弱にも程があります!!」
「で、でも、そうは言っても……」
 どもる悠人を、セリアは鋭い眼光で射抜く。
「ユート様。あなたが望んでいるにしろ望んでいないにしろ、あなたは今やラキオス隊の中心なのです!!
 それはすなわち、この国の未来を背負う存在であるという事。その自覚はあるのですか? いえ、自覚して下さい!!
 エプロンをつけて、鍋とお玉を持って喜んでいるような人に、人々が命を預けようと思えるとでも?
 確かに戦場でそのような格好をしている訳では無いでしょう。ですが、多くの国民の人達は戦場に直接立つ事はありません。
 ユート様の日常から、ユート様を判断するしかないのですよ?」
 セリアの論理と剣幕に、悠人は反省するばかり。
 最も、ここで反論や逆ギレが出来る様なら、ヘタレなどとは呼ばれはしない。
 オルファリルもおろおろするばかり。
 こういう時にセリアを止める役のヒミカ達三人も、セリアの理論武装は自分の心を護る壁だと解っているが故に強く止める事も出来無い。
 特に、セリアの心の弱さがもろに出てしまう悠人の前では。
374食べさせて 18 / 22 :2005/09/28(水) 01:24:35 ID:cuYg3wJ90
「いやあの……すまん。そこまで考えて無かったよ」悠人は素直に頭を下げる。
「じゃあ……料理、どうしようか」
「それは……勿体無いですから、食べますケド……」
 一転、ぼそぼそとセリアは呟く。
「え? 食べて……くれるの?」
「戦時の貴重な食料を無駄にする訳にはいきませんし、
 隊長の作った料理であれば、過程はどうあれ隊員は食べねばならないものでしょう」
「いや、セリアの方が料理作るのも上手いだろうし、それに……」
「ああもう!! ユート様は隊長らしく『食え!!』と一言命令して下さればいいんです!!」
 国民の判断はどうあれ、ラキオススピリット隊にとって、セリアにとって、
悠人の在り方は辛く苦しい戦いを生き抜く力となる。
 護るべき温かな日常を示してくれるから。希望の光を見せてくれるから。
「早くして下さい!! 折角作って下さったお料理が冷めてしまうではないですか!!」
「あ、ああ。じゃあ、みんなで食べようか」
「「「「「はい!! いただきます」」」」」
 揃って返事。が、誰も料理に手をつけない。
「え……っと」
「……あの、申し訳ありませんが……」
「パパー。どうやって食べるの?」
 テーブルマナーを守る面々だった。
375食べさせて 19 / 22 :2005/09/28(水) 01:27:46 ID:cuYg3wJ90
 皆が、ごちそうさまでした、とフォークを置く。全員残さず綺麗に平らげた。
「とっても美味しかったよー。ね、セリアお姉ちゃん」
「え、ええ、まぁ……まだまだ改善の余地は残っていると思われますが、十二分に及第点です」
 ああもう、どうして私はこういう言い方しか出来ないのよ!! と、心の中で地団太を踏むセリアに、
「ははっ。喜んでもらえて良かったよ。セリアに褒められると、何だか凄く嬉しいな」
 何も考えない悠人の言葉。
 セリアは頬をほんのり赤くする。しかし悠人は気付かない。流石は朴念仁。犯罪的ですらある。
「珍しいお料理でしたね〜。初めて食べる味でした〜。これは、なんというお料理なんですか〜?」
「俺がいた世界の料理で、スパゲティナポリタンっていうんだ。
 材料とかは違うから、正確にそうとは言えないけどな」
「ナポリタン? カオリの帽子も『なぽりたん』って名前だよー?」
「佳織にも前に作った事があってね。
 俺からすれば佳織の方がずっと料理は上手い筈なのに、なぜだか俺の作ったナポリタンを気に入ってくれてさ」
「いえ。解る様な気がします。ユート様の優しさが伝わってくるような味でしたから」
 ヒミカが自らの胸に手を当て、静かに目を瞑る。まるでそこにある温もりを確認するかの様に。
「ねーパパー。カオリも、料理上手いの?」
「ああ。俺なんかよりずっと上手だぞ。いつも俺に作ってくれてたしな」
「うわぁ。オルファも食べてみたいなー」
「私も食べてみたいです〜」
 はしゃぐオルファリルの横で、ハリオンが半目でよだれを垂らしかける。
「その為にも……と言うのも何ですが、早くカオリ様を助け出さねばなりませんね」
「そうだな。みんなよろしく頼むよ」
「はい」「了解です」「オルファ、頑張るよー!!」
 頼もしい返事が重なる。
376食べさせて 20 / 22 :2005/09/28(水) 01:30:13 ID:cuYg3wJ90
「でもでも〜、ユート様のスパゲティナポリタンも〜また食べたいです〜」
「今度オルファにも作り方教えてー」
「そりゃあ構わないけど……」
 悠人が言いかけたところでセリアが割り込む。
「先程の私の話を聞いていなかったのですか?」
「い、いや。料理は作らなくとも、教えるくらいは……」
「同じ事です。厨房に入る事それ自体が問題だと言っているのです」
「それにユート様、結構そそっかしいところがおありですからね。
 お料理されている最中に警鐘がなったら、
 片手に『求め』、片手にお鍋のエプロン姿で飛び出しかねませんから」
 ヒミカも微笑しながらもセリアに同意する。
「エプロン姿で戦うユート様……ぽっ」
 ファーレーンはファーレーンで、妄想を炸裂させてひとり赤くなっている。
 多分、悠人がすればどんな格好でもいいのだろう。
 悠人の半袖短パン運動着や、水着姿を見たりしたら、鼻血を出して倒れるに違いない。
「人の目というものはどこにあるのか解りません。
 ユート様の望む事ではないかも知れませんが、人の上に立つ者としてもう少し自覚をお持ちになって下さい。
 戦いというものは、戦場にのみある訳では無いのです。国民の士気を高め、心を束ねる事も大事な戦いです。
 それがラキオスの勝利、延いてはカオリ様を助け出す事にも繋がるのですから」
 だが、とセリアは思う。
 戦争が終わったその時に、もう一度この味を感じたい、と。
「戦いが終わったら〜、ユート様もお台所に入れますしね〜。
 平和になった事を皆に示す為、と言えば〜、まわりも強く止める事も出来無いでしょうし〜。ね、セリア〜」
「そうね。そうなれば偉そうにふんぞり返っている事こそ問題でしょうし、一度くらいは……って、ハリオン。
 人の心の隙に入ってこないでくれないかしら」
「はい〜」
 にこやかなハリオンには、怒気を向けてもムダだし、何より、全てを見透かされている気分になってしまう。
 こほん、とひとつ、周りから見ればわざとらしい咳払いをして、セリアはユートに向き直る。
377食べさせて 21 / 22 :2005/09/28(水) 01:33:58 ID:cuYg3wJ90
「今日は有難うございました。美味しかったです。ですが、御馳走になったままというのも礼に反します。
 それでですが、今度は私の料理を御馳走させて頂きます」
 え? と悠人は驚きを隠せない。
「あ、いえ、嫌と言われるのでしたら無理強いする事は出来ません。
 確かにエスペリアやハリオンの料理と比べれば私のものは見劣りしますし……」
 思考が一旦ネガティブな方向に向くと、根底の部分で自分に自信が持てないセリアの思考はどこまでもマイナスに進んでいく。
「すいません。私も雰囲気に飲まれ、少々浮かれていたようです。出過ぎた事を言ってしまいました。
 聞かなかった事にして下さい。
 ただ、その、感謝の気持ちだけは本当ですので、それさえ汲んでいただければ、あ、その、こういう事を自分で言うのも何ですね。すいません……」
「そんな事無いよ。一度食べてみたいよ、セリアの料理」
 その悠人の言葉に、今度呆けた返事を返すのはセリアの番だった。
「……え?」
「でも、セリアも忙しいだろうし、時間に余裕がある時でいいから。あ、第二詰め所で余りモノが出た時に、残飯処理に呼んでくれるのでもいいしさ」
「そ、そんな事出来ません!! 近いうちに、精一杯作らせて頂きます!!」
「うん。楽しみにしてる」
 オルファも食べたーい、と手を上げかけたオルファリルの口を塞ぎ、じたばたと暴れる体をがっちりと押さえ込みながら、ハリオンとヒミカは笑みを交わす。
「セリア、かわいいですね〜」
「やれやれ。ま、これで良かったのかな。……どうする、ファーレーン。セリアに抜け駆けされちまうぞ?」
(純情なセリアの想いを、どうして邪魔出来ますか)
「セリアの後に私もお料理を持っていって、私の評価を上げるとしましょうか。
 私もお料理には多少自信がありますし。申し訳無いですけど、セリアには踏み台になってもらいましょうか。うふふふっ」
「……ファーレーン。本音と建前が逆になってるから」
「はっ?!」
378食べさせて 22 / 22 :2005/09/28(水) 01:34:56 ID:cuYg3wJ90
 更に後日。
「ユート様。私がいない間に厨房に入り、あまつさえ私以外の皆に料理を振舞ったそうですね?(にっこり)」
379食べさせて あとがき:2005/09/28(水) 01:43:22 ID:cuYg3wJ90
タイムリーなSSと内容が矛盾してしまったり、一部キャラクターが暴走していたりしますが、
そこはパラレルワールドという事で。
誤字脱字、ハリオンマジック等御指摘頂ければ幸いです。
380名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 02:12:32 ID:6nNlj8Bu0
GJ!ヒミカの姐さんぷりがいい感じです
381名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 10:05:49 ID:4FwCj4Ne0
朝から良いモノを読ませていただきました、GJ!

雑魚スピスレは、この緩急の具合がいいんですよ。
シリアスでスレ住人を飲み込む大作から
ほんわかムードで和ませてくれる作品まで。
382名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 10:09:32 ID:Ar/kUKib0
>>379
GJな作品お疲れ様です
建前と本音が逆になったファーレーンに吹いたですよw
それにしても食事の時にマスクを取ったのかが気になるところ
383名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 10:49:24 ID:YHtuSh+t0
黒スピの速度を最大限に生かして、目にもとまらぬ速さで
マスク取る>食べる>マスク付ける>もぐもぐ
384名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 17:23:28 ID:d3WljLUo0
「・・・お姉ちゃん、仮面の口のところ、ソースが染みてる」
「はっ!?・・・だ、大丈夫ですよ。予備はいくらでもありますから
これは洗っちゃいましょう。ちょっと変えてきますね」
「(お姉ちゃん、一体何枚仮面持ってるんだろう・・・)」
385名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 17:53:23 ID:R9aWlThJ0
>>384
いかん、キン肉マンvsウォーズマンを思い出してしまったw
386名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 17:56:40 ID:p0FSAd5C0
マスクをめくるとその下にはもう一枚のマスクが
387名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 20:13:49 ID:RAhs1Rw30
>>379
ほのぼのとしたGJ!な作品でした。
不器用で純情なセリア嬢に萌えです。
姐御なヒミカ、腹黒ファーwなど、
キャラの特徴がよく出ていて面白いです。


一番ヒットしたのは、ナナルゥの愛情料理の光景だったりw
388名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 20:54:31 ID:4yVjuIIb0
>>379
蕎麦のようにパスタを啜る面々面白すぎw おっとこ前なヒミカ、いいなぁ。
途中からツンの化けの皮が剥がれるセリアやファーにほのぼのしました(何
半目でよだれを垂らしかけるハリオン……(汗
一番美味しいトコロを持っていってしまったのはナナルゥでしょう。怖いってw

でも何気に一番注目していたのは思い出したように存在を主張しようと頑張るヘリオンだったり。
389名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 22:26:23 ID:AIL66L1P0
>>379
乙〜。
なんかナナルゥが黒魔術の材料作ってるみたいでワロタ。
セリアと悠人の間で姐御っぽくも板ばさみなヒミカさんがいい味ですね。
さあ、果たして腹黒ファーレーンと理論武装セリアの軍配はどちらに!?w

390名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 22:47:01 ID:4yVjuIIb0
いきなりですが

ぎゅっ
「朝です早く起きて下さい、いつまで寝ているつもりなの、怒らないでよ起きないのが悪いんじゃない、
 ほらいつまでも膨れてないで汗臭いから寝巻き脱いで、ちゃんとボタンから外さないと伸びるじゃない、
 しょうがないわねじっとして、はいワイシャツ、ちゃんとアイロンかけておいたから余り汚さないでよ、
 それじゃ朝食出来てるから歯を磨いて、手が塞がるから寝癖は直してあげるわ、もう頂きます位言ってよ、
 まったくご飯粒なんてつけて本当に子供なんだからぱくっはいごちそうさま、ハンカチは持ったわねお財布は?、
 はいカバンほらしゃんとなさい、見てられないわ靴紐はこう結ぶのよわたしが恥かくんだからしっかりしてよね、
 ネクタイも曲がってるじゃないちょっと動かないでんんっ、もういきなりなんだから……今日は帰り遅いの?」

的な「テキパキ新妻セリアとヘブンズな朝」を妄想してみました。苦情は一切受け付けません。
391名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 23:09:59 ID:4pnTYSZD0
>>くじら318号さん
GJです。
同時進行にめちゃくちゃ笑わされました。
てーか『求め』さんや、あんたさんはマナさえ吸えりゃいいのでしょうが……
何処から吸うかっていう問題があるでしょッ!
今回は〜おっぱい〜編ということは、さらに〜お○○〜編へと……?
などと勝手に想像が広がってしまいます。お疲れさまでした。

>>379さん
年少組+αの料理シーン、
姉バカファーレーンのおたおたっぷりが目に浮かんできました。

女性のみのスピリットが男子厨房に入らずを信じきってるのは人間の影響なのかどうか、
ハリオンあたりはお菓子屋さんが男性なんだから気にしないだろうし。
……あ。エスがそう考えてるってことは、ヤツの影響なんじゃないかと思い直しました、はい。

>>390さん
やば。最後の一言が表情付きで頭の中をぐるぐるしてます。
392名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 00:42:34 ID:UbL2Nloy0
>>390
最後の一言破壊力強すぎ
393名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:03:38 ID:3u0qHD7p0
>379
「今時のハイペリアは、夫が家事をするのも普通のことだそうですよ〜」
「…………夫」
「………旦那様」
「……ご主人様」

「……そ、それなら、ま、ますますユート様が厨房にはいるなど、言語道断です。わ、私が妻なら………………ハッ!?」

「「「「妻?」」」」

>390
「ん、セリア」
「あ、もうアセリア。こんな玄関先で」
「だって、今日はユート早いんだろう? 時間が惜しい」
「ん、んぁっ。も、もう部屋に」

                                        orz
394名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 08:49:43 ID:OSb+5QK90
誰だよ、向こうでこんなの書いたやつ(藁


[742] 名前: 風の谷の名無しさん@実況は実況板で [ sage ] 投稿日:2005/09/29(木) 04:26:34 ID:xSQ2xMzq
空虚のアルテッサ
理念のリオーネ
静寂のミルロ
月光のミルキー
大樹のタネタネ
失望のソフィー
存在のレイン
因果のファイン


紫電のアルテッサ 第三位『依存』
再生の炎リオーネ 第二位『再生』
水月の双剣ミルロ 第三位『流転』
深遠の翼ミルキー 第三位『深遠』
聖緑のタネタネ 第三位『聖緑』
法皇ソフィー 第二位『秩序』
永遠のレイン 第三位『永遠』
運命のファイン 第一位『運命』


このスレに居るのは分かってるから、素直に名乗り出なさい
ネタがネタだけに、誰も・・・誰も・・・(´・ω・`)カワイソス
395名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:01:07 ID:89Rh+9JEo
>>390


  映  画  化  決  定
396名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:03:43 ID:tUdnIsp80
>>390

 ド ラ マ 化 決 定
397名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:22:46 ID:lXzWYhA10
>>390
そして誰も


  ゲ  ー  ム  化  決  定


とは言わない悲哀w
398名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:25:10 ID:eSH2DRC30
>>390


     実 写 化 決 定


399名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 17:35:57 ID:zSfVbtvlO
休みなんで、久しぶりにSSを書いてるが…『どれだけ武装した人間でも神剣を使うスピリットに勝てない』となっているので、かなり苦悩してます
特別な兵士なんてのはあまり使いたくないんだがなぁ〜

とにかく頑張って今夜投稿出来るようにしたい。が、無理なら日曜日の晩になる予定


一気に書ける人が羨ましい…
400名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 18:09:57 ID:ZBGehq+Y0
画像板は>>390を画像化出来るゴッドハンドの持ち主を求めています。
http://etranger.s66.xrea.com/gbbs/
401名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:03:45 ID:r1ZgyXwhO
>>397

ヘリオン、葉子(イマ)に続き、新妻だいあり〜シリーズ希望ですね
しかし新妻セリア…
なんて破壊力…
セリアスキー、死亡確認ッ!!
402名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:32:43 ID:msNPuY2t0
>『どれだけ武装した人間でも神剣を使うスピリットに勝てない』となっているので、かなり苦悩してます

ん〜、どういう状況かわかんないから助言になるかどうかわかんないけど。
まともにやって勝てないんなら正面から戦わなきゃ良いのだと思う。
幾重にわたって罠を張り、冷静さと大胆さを兼ね備えた策を練り、戦わずして勝つ。
決め台詞は、

「俺たちゃ弱えからよ。弱えなら弱えヤツなりの戦い方を見せてやるぜ」
403名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:58:50 ID:UbL2Nloy0
きっと人間に比べて嗅覚とかすごいんだろうから
10年ほど履き続けた下着をトラップに使えば多分イチコロ(エスペリア、ハリオンを除く)
404名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 20:45:03 ID:oIEh7/S+0
普通のADVで10人分新妻だいあり〜出してほしい(´・ω・`)
405名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:03:39 ID:g438NXuo0
>>402
ベルナドット隊長の台詞だったっけ?
406ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:43:28 ID:/eipBsJM0
「では行って参ります。オルファ、ハクゥテのお世話を忘れてはなりませんよ。」
「分かってるってば。ほら、女王様が待ってるんでしょ?早く行っておいでよ!」

――翌日の昼下がり。
エスペリアはオルファに詰所の留守を託し、城へと出掛ける事になった。
料理などの家事系統に関しては、オルファでも充分こなせるのでこれ自体はそう珍しい事ではない。
だが、ここ最近オルファの飼い始めたエヒグゥが、エスペリアの悩みのタネであった。
ひとたびオルファが餌をやり忘れようものなら、それこそあっという間に野生化して、エスペリア自慢の
ハーブ畑を蹂躙するのである。

「―――では、本当に宜しくお願いしますね。」
「大丈夫大丈夫。『オニノイヌマニ ココロノセンタク』なんだから!」
佳織にハイペリアのことわざを習って、そして憶えたものをすぐに使いたがるオルファ。
しかし意味を充分に理解していないためか、そぐわない場面でそれを用いては、悠人にたしなめられる事が多かった。
だが、残念ながら悠人が居合わせない今、そのことわざが適切な意味なのか否か確認するすべは無い。
後ろ髪を引かれるのか、しきりに振り返るエスペリアに元気良く手を振り見送った後、
オルファは詰所の陰に振り返って言った。

「もういいよ!二人とも出ておいで!」
407ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:45:32 ID:/eipBsJM0
「やっと行ってくれたねー。」
「ね〜。」
オルファの呼び声を合図に、建物の陰からひょっこりと並んで顔を出したのは、背格好のよく似た
双子のブルースピリットであった。蒼い長髪を頭頂部でポニーにくくっているのは、
このところオルファの陰の師匠として暗躍(?)していた『静寂』のネリー。
そしてそのネリーの後ろから隠れるように付いて来たのは、同じく蒼い髪の毛を
短めのおかっぱに切り揃えた『孤独』のシアーである。
「オルファ先生、よっろしく〜!」
「あの〜、シアーにも、教えてくれるの…?」
意気揚々とやって来たネリーとは対照的に、遠慮がちに尋ねるシアー。
「心配ないって。一人教えるのも二人教えるのも一緒なんだから!さ、早く早く!」
一瞬顔を見合わせた後、二人の蒼い少女は微笑を交わし、オルファを追うように詰所へと駆け込んでいった。


「第二詰所の台所でも良かったんだけどこっちの方が材料が揃ってるからねー。」
二名の生徒を前に厨房に立ったオルファが、腕まくりをしながら言った。
「うわぁ、ホントだー、調味料がいっぱい揃ってる〜」
シアーが周囲を見回し、所狭しと並んだ瓶の多さに目を丸くした。
「エスペリアってば……これって差別じゃないの?」ネリーが並んだ瓶の一本を手に取りながら
恨めしげに言った。
「あはは……まあ、エスペリアお姉ちゃんも、パパのことがカンケルゥだからねー。」
苦笑しながらも姉をかばうオルファ。「さ、そんな事より始めるよ!シアー、そっちの赤塩の瓶持って来て!
ネリーは買ってきた魚をそのまな板の上に並べて!!」

―――こうして秘密特訓の火蓋が切って落とされたのである。
408ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:48:37 ID:/eipBsJM0
「違う、ネリー!もっと野菜は細かく切るの!そんなんじゃパパは食べてくんないよ!
あ〜っシアー!鍋にお塩入れ過ぎ〜っ!!」厨房の中で、オルファの絶叫とも叱咤とも判別しがたい声が響き続けた。
「ふぇ〜、オルファって、結構厳しいんだね〜。」シアーが半泣きの表情で野菜のみじん切りと格闘中のネリーに耳打ちした。
「うぅ、まさかこないだのバニッシャーの特訓のお返しかなあ…」ネリーがぼやく。
「ほら!また手が止まってる、ネリー!それとナイフ使う時はちゃんとハクゥテの手でって言ったでしょ!!
そんなに指先伸ばしてたらケガするよっ!」
「あ、は、はいっ、オルファ先生!!」ネリーが慌ててまな板に視線を戻した。

……数時間の後。
三人の少女は神妙な面持ちで目の前にあるシチュー(らしきもの)を見つめていた。
「……じゃ、味見、しよっか。」
何故かぐっと肩に力を入れながらオルファが言った。
「え?味見するの?」これまた何故か額に冷汗を浮かべながらネリーが言った。
「シ、シアーはぁ、ちょっと、体調が……いたた」突然襲ってきた頭痛にお腹を押さえるシアー。
「―――何言ってんの、二人とも。」はぁ、と溜息をついてオルファが言う。
「自分達で食べられないハトゥラをパパに食べさせるわけにいかないでしょ?」
「…そ、そうだよね」ゴクリ、と喉を鳴らして、覚悟したようにネリーが匙を握りしめた。
「じゃ、みんなで一斉に行くよ?せーの、スート!」
「ラ、ラートォ」ネリーに続けてシアーが掛け声を発した。
「「「モート!」」」

――ぱくり。
匙にすくった一塊のシチュー(のようなもの)が、同時にそれぞれの少女達の口の中へと入って行く。
…そして、一瞬の、静寂。
「「「ん〜〜〜〜〜っ!!」」」
立ち上がった少女達は口を押さえながら、われ先にカップの並ぶ食器棚へと駆け出した。
409:2005/09/29(木) 21:50:23 ID:fihM4YFf0
支援いきます
410ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:51:39 ID:/eipBsJM0

ぱりんっ!

三人が争ってカップを取り出したはずみに、その中の一つが少女達の手を滑り落ち、派手な音をたてた。
「!」一瞬オルファ達の動きが止まった。が、カップ一つにいつまでも気を取られているわけにはいかない。
「んっ!ごくごくっ...ぷはぁっ!」
「はぁっ、はぁっ!…か、からかったぁ〜」
「ふぇぇ〜、し、死ぬかと思ったぁ〜。」
水差しの水を一気に空けて、ほっと一息入れる三人。

「あ〜あ…割れちゃったねぇ…」シアーが床に目を落としてつぶやいた。
「あ、あはは……後でエスペリアお姉ちゃんに謝っとくから心配しなくても良いよ。」
苦笑いを浮かべてオルファが片付け始める。ネリーとシアーが慌てて手伝った。

「……それにしても、料理って難しいんだねえ。」
欠片を集めながらネリーがぽつりと言う。
「ま、誰でも最初はあんなもんだってば。二人ともオルファがこれからびしびし鍛えてあげるんだから心配ないよ!」
意気消沈する双子を励ますようにオルファが明るい口調で言った。
「…え?あ、あのぉ、まだ特訓するの〜?」やや不安そうにシアーが尋ねる。
「あったり前でしょ〜、まだ練習は始まったばっかりだよ?それともパパに料理作ってあげるのはあきらめちゃうの?」
しばらく顔を見合わせるネリーとシアーだったが、やがて二人とも気を取り直したように力強く答えた。
「ま、まだまだこれからだもん!」
「だもん〜」
むっとした弟子達の顔を見て、オルファは笑いながら頷いた。
「そうそうその意気!『ヘタノヨコズキ』だよ!」
「へ?なにそれ?」聞き慣れぬ言葉にネリーが小首をかしげる。
「ハイペリアの言葉なんだよ。何ごとも努力すれば何とかなるって言う意味らしいんだ。」
得意満面でうろ覚えの知識を堂々と披露してみせるオルファ。
…ファンタズマゴリアで日本語が崩壊する日も、そう遠くはないことであろう。
411ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:55:32 ID:/eipBsJM0
「じゃ、また今度!明日はネリーが先生だよ!」
溌剌とした口振りでネリー達が手を振る。第二詰所に去ってゆく二つの影を見送った後、
独りになったオルファは、はぁっ、と溜息をついた。
「……やっぱり、お仕置きかなぁ〜?」
先刻割れてしまったカップは、よりによってエスペリアの大のお気に入りのものであった。
「……ま、壊れちゃったものは仕方ない、か。」
かぶりを振りながら振り返ったオルファの紅い瞳に、しかし、追い討ちのような惨事が飛び込んで来た。
「あ………っちゃあ〜……」
絶句し立ち尽くす少女。「そう言えば、ハクゥテのごはん、忘れてた……」
時既に遅し。散々に食い荒らされたハーブ園の真ん中で、当のハクゥテはうららかな午後の日差しを浴びながら、
悠々と昼寝を決め込んでいたのである。
大抵の事では快活さを失わぬオルファの額に冷汗が滲む。と、その時。

「よっ!」
凍り付いた少女の小さな頭上にぽふっ、と大きな手が置かれた。
「ひゃっ」びくん、と一瞬体を硬直させたオルファであったが、じきにその声の主に気付き、
満面の笑顔を見せた。
「―――パパ!帰って来たんだ!」
ランサでの哨戒任務を終えて、ラキオスに戻ってきたばかりのエトランジェの姿が、そこにあった。

「何だ、そんなにびっくりして。また悪戯でもしたのか?」
にこにこと笑いながら悠人は、オルファのピンク色の頭をくしゃくしゃと撫で回した。
「え…えへへ。またハクゥテにやられちゃった…」バツが悪そうな照れ笑いを浮かべるオルファ。
彼女が指差した先に視線を移し、一瞬苦笑いを浮かべた後、悠人はスタスタとその方向へ歩き出した。
412名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:59:41 ID:g438NXuo0
支援
413ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 21:59:52 ID:/eipBsJM0
「仕方ない奴だな。―――よっ、と。はは、全然起きそうにないなこいつ。」
悠人は畑の中から爆睡中のハクゥテを拾い上げ、抱きかかえた。
「……で、エスペリアは?」
「あ、エスペリアお姉ちゃんなら、女王様に呼ばれてお城に行ったよ。」
エスペリアの姿を探してきょろきょろと辺りを見まわす悠人の姿に、一抹の寂しさを覚えながらオルファが答える。
「―――そうか。じゃ、報告は後でいいや。とりあえずひとっ風呂浴びて来るよ。…ほれ。」
ハクゥテをオルファに渡しながら悠人は顔をしかめた。「砂と埃と汗でドロドロになっちまったよ、全く。」
「あ…ありがと、パパ。」浮かぬ顔でオルファがハクゥテを受け取る。
「――なんだ、オルファ、ずいぶん元気が無いな。心配するなって。エスペリアには後でパパが一緒に謝ってやるからさ。」
もう一度くしゃりとオルファの頭を撫でた悠人は、踵を返して浴場に向かって行った。

「―――ハクゥテの、バカ」
悠人の大きな背中を複雑な気分で見送りつつ、オルファは呟いた。
エスペリアの事だからハーブ畑やカップの事で悲しむことはあっても、それ程怒りをあらわにはしないだろう。
それを考えれば、わざわざ悠人にとりなして貰う必要性も無い。
「――うぅ〜〜。」だが、オルファの胸の中に渦巻き始めた得体の知れないもやもやは、
このとき既に、後戻りの出来ないレベルに達していたのである。

―――気が付いてしまったのだ。いくらネリー達に先生などと呼ばれて浮かれてはいても、
悠人やエスペリアからは自分は所詮、子供扱いしかされていないという事に。
414ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 22:03:47 ID:/eipBsJM0

「ほらぁ〜、早く歩かないと置いてっちゃうよ、シアー?」
二人で並んで歩いているとシアーが遅れがちになるのはいつもの事であったが、
今日のシアー歩みははそれに輪をかけてスローテンポであった。
「――うん…あのね、ネリー……」来た道を振り返りつつシアーが言う。
「な〜に?」痺れを切らして舞い戻ってきたネリーがシアーの顔を覗き込む。
「今日割れちゃったカップなんだけど……あれ、エスペリアの一番のお気に入りじゃなかったかなぁ〜……」
懸命に記憶の糸をたぐり寄せながらシアーが続けた。
「――え?」
ネリーの額につー、とひとすじの冷汗が流れた。確かに、言われてみればそんな気がする。
「オルファはぁ、大丈夫って言ってたけどぉ〜...」シアーが不安そうな面持ちで今来た方を振り返った。

「――シアー、戻るよ。」シアーの後ろ姿をしばらくじっと見つめていたネリーが決然と言った。
「え…?」
「このまま知らんぷりしてたら『くーるな女』になんてなれないよ!」
言うが早いかウィングハイロゥを展開させてとんっ、と軽やかに地を蹴るネリー。
「ま、待ってよぉ〜、シアーを置いてかないでぇ〜!」
シアーが慌てて「姉」の後を追う。…胸のつかえが取れたような、ほっとした表情を浮かべながら。



……ばしゃーん、かこーん。

「ん〜〜っ、やっぱこれだよ!」
威勢よく掛け湯をした悠人は思わず唸った。この世界に来てからというもの、心休まるひと時があったとすれば、
それはこの大浴場で汗を流す時間をおいて他にはない。欧米風の殺風景なユニットバスなどとは
比べ物にならない開放感。湿った木の香り。目に沁みこむ湯気すらが心地よかった。
415名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:07:27 ID:PWRoEy5t0
支援を、させて頂こうか
416名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:07:57 ID:a1ZZnnTD0
ガロルキアから支援
417ピン☆バニW 〜大人の階段(ry〜:2005/09/29(木) 22:08:58 ID:/eipBsJM0
残念ながら要衝の地・ランサは水が豊富ではなく、そのため悠人をはじめとする防衛部隊は、
簡単な水浴びですらままならなかったのである。
「――赤い道、か。」
悠人はこれから先続くであろう過酷な進軍を思いながら呟いた。
その脳裏に、はるかスレギトへと続く荒涼とした一本道が浮かび上がる。
砂煙の合間を縫うように延びているその道は「ヘリヤの道」、そう呼ばれているのだとエスペリアが教えてくれた。
今でこそランサでの散発的な防衛戦に徹しているだけであるが、いつまでもこの膠着状態が続くとは思えなかった。
炎天下での本格的な戦争が始まるのも時間の問題なのだろう。

がららっ!

気が滅入り始めていた悠人の後方で突然、扉が元気な音とともに開かれた。
悠人の背中に湯気を押しのけた冷気が漂って来る。振り返らずとも音だけで、誰が入って来たのか予想はついた。

「パパが居る時は入って来ちゃダメだって言ったろ。」
苦笑しながら悠人は言った。初めてオルファが入浴中に闖入してきた時には度胆を抜かれたものだが、
最近ではすっかりこの状況に慣れてしまっていた。
元来女性しか居ないスピリット達の風呂を使わせて貰っているのは自分である。
ましてや男湯や女湯の概念が無い彼女達に向かって「混浴が恥ずかしい事だ」などと説明してもピンと来ないであろう。
流石にエスペリアがメイド服を着たまま入って来た場合であれば、男として余裕を持って構えてはいられないが、
オルファやアセリアが悠人と一緒に食卓を囲むのと同じ感覚で入って来ることに対しては、それほど意識せずに
すむようになっていたのである。多分、光陰には一生かかっても到達出来ない「悟りの境地」、とでもいうやつなのだろうか。

「背中…流したげる。」
だが、いつもよりも張り詰めたオルファのその声に、思わず悠人は振り向いた。   …続く。
418憂鬱の人:2005/09/29(木) 22:10:34 ID:/eipBsJM0
支援有難うございます。ガロルキアってどこやねん。
今回の題名は長いので略してます。…略してばっかり。

『PINK☆VANISHER W 〜大人の階段のぼる 君はまだシンデレラさ〜』でした。

……それにしても我ながらなんつー終わり方……
419:2005/09/29(木) 22:17:00 ID:fihM4YFf0
乙です
このあとオルファがどんな行動に出るか
妄想を掻き立てずにはいられないです…
420名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:28:54 ID:a1ZZnnTD0
>>418
途中途中で繰り広げられるヨト語とハイペリア語の応酬に小気味良さを感じつつ、
……これって『エスペリアの憂鬱X』なんじゃないの? とか途中まで思ってました(爆死

ぼんやりしてそうでちゃんと観察しているシアー。よしよし偉いぞ。
ちゃんと自分でやった事に責任を持つネリー。よしよし頭撫でてあげよう。
幼いジェラシー小爆発のオルファ(違 戻っておいで〜そっちは修羅場だぞ(ぇ

いよいよ艶っぽくなってきたピンバニ、次回のご来店をお待ちしておりますw
421名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:06:50 ID:dyV0koFv0
無邪気な笑顔の下の、張りつめた声。
手に届く湯煙は限りなく霞んで。

ネリー、それは差別ではなく区別です。エスペリアの中ではそうなっていますw

さぁ、回頭を果たしたネリシア姉妹は、オルファの小さな胸の鬱積をシンクできるのか。
そして、悠人は炉利魔道へシンキングファストボール。



422名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:28:21 ID:pOgtvGR30
寸止めとわ…orz
423名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 07:17:20 ID:r+Hxxs+S0
>>356
ヘリオン率いる巨精部隊。対する敵の恐慌

「なに、敵はグリーンスピリットだけで殺到してくるだと?!」
「は、はい、大量の槍襖の中ちんまいブラックスピリットが一人だけ泣きながら駆けてくるのがもう怖くて怖くて……」
「…………何があったというのだ?」

orz
424名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 10:04:32 ID:kFX1ZwnG0
>>418
まさか続きがあるとは・・・!?
オルファがどんなピンバニを放つか楽しみですねw
そしてエスペリア姐さんの怒りの終着点は!?

>>423
ヘリオンカワイソス
425名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 13:54:45 ID:jmGuHM5sO
>>405
誰のセリフってわけでもなく、適当に略して引用(?)してきただけだったりします


とりあえず、一晩悩んで自己解決。日曜晩のうpを目指して書いてます
雑魚スピよりも名も無き帝国兵やスピリットの方が登場する割合が多くなりそう…


アドバイスについては、もう一本別のが書けそうな予感なので、そっちで使わせてもらいます
まだ構想だけど、こっちも雑魚スピ率が…(汗
426名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 14:42:07 ID:UgTyDjYe0
スレタイに「敵スピ」の文字が入るのも遠くはないかもしれませんね(*´Д`)
427憂鬱の人:2005/09/30(金) 17:23:50 ID:+D+Vm2ea0
>>419革さん
支援感謝。そうですか、妄想を掻き立ててしまいましたか。
何とか期待に応えたいと思っております!(←なんか政治家っぽい

>>420さん
今回はちょっとオルファの「ハイペリア語講座」にスポットを当てて見ました。
本編でも「おまい本当は分かってて言ってるだろ!」と突っ込みたくなった事がw

>>421さん
ピンバニにもしテーマらしきものがあるとすれば「大人への階段は一人じゃ登れない」
と言ったところでしょうか。語るほどのテーマじゃありませんがw

>>422さん
すみません……orz

>>424さん
今回エスペリア姉さんは完全にいびられ役に回っております。
個人的には、今まで最高峰ヒロイン・エスペリアばかり書いて来たので
ま、たまには良いかな、と考えてうわ何やめj¥gfふじこf@bgt\\
428名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 18:42:07 ID:Etd2KOxg0
スピたん

ヒミカさん目がねっ娘
ハリオンさん槍がドリル
ファーレーンさん覆面してない
セリアさん髪がショートに

さてどこから突っ込もう?
429名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 18:51:54 ID:IZpi0zVE0
そうだな、まずは尻を出せ
430名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 18:59:37 ID:jmGuHM5sO
ポニテじゃないセリアタンなんてヤダヤダ〜(AA略)
431革命の人:2005/09/30(金) 19:32:53 ID:ujZaIcsS0
>>427憂鬱の人さん
ぜひ頑張ってくださいw
賄賂代わりにSSでも投下できれば少しは燃料になるんでしょうが
なんせ筆が遅い…皆さんが羨ましいです
432くじら318号:2005/09/30(金) 19:44:43 ID:tdudZrCq0
>>427憂鬱の人さん
すごく乙です!
続編ものをお書きになるとは、単発ネタしか思いつかない
ワタクシとは違いますね。


話は変わりますが、ネタを思いついたのでSS投下したいと思います。
某マンガのパロディですが、楽しんでいただければ幸いです。
433おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:01:01 ID:tdudZrCq0
ある日のこと、悠人は怪我をしてしまった。とはいっても、すりむいただけだが。
エスペリアは、簡単な怪我に大げさに回復魔法を使うのは馬鹿馬鹿しいというので、
慣れた手つきで消毒治療をしてくれた。

「はい、これで終わりです」
「やれやれ、これは強烈にしみるな・・・」
「そういうものほど効果があるものです」
「『良薬は口に苦し』ってやつか」
「『良薬は口に苦し』・・・それは、ユート様の世界の言葉なのですか?」
「ああ、よく効く薬ほど苦かったり、しみたりするってこと。確かそんな意味だったと思うけど」
「そうなのですか・・・あ」
「どうしたんだ?」
エスペリアは薬箱の中を見て反応していた。
「いけません、薬が切れてきました。買ってこなければいけませんね」
「そうか、じゃあ俺が行ってこようか?」
「ですが、ユート様は薬のことはわからないでしょう?」
「う、そういえば・・・」
悠人はこの世界に来てからというものの、怪我をしても
回復魔法に頼りっぱなしで薬のことは触れたことはなかった。
「私が行って参ります。ユート様は、留守をお願いします」
「わかった。いってらっしゃい」

薬を補充すべく、エスペリアは、町へ出ていた。
「ええと、いつもの薬屋さんは・・・」
馴染みの薬屋。最近ではあまり行かなくなったが、数年前まで、オルファが館に来てからすぐの間は、
外で遊んでは擦り傷だらけで帰ってくることが多かったので、館の薬の消費量は莫大になり、
無くなる度に薬を補充しに行くうちにすっかり顔を覚えられていたのだ。
「あ、ここですね」
434おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:03:15 ID:tdudZrCq0
ガチャ。カランカラン・・・
扉を開けて中に入ると、恰幅のいいおばさんが目に入る。

「いらっしゃい!お、エスペリアさんかい。久しぶりだねぇ〜」
「おばさま、お久しぶりです」
「今回も、傷薬かい?」
「はい、瓶詰めで三本ください」
「はいよ。あ、そうそう、面白い薬が入荷したからさ、おまけにつけておくよ」
「面白い?どのような薬なのですか?」

薬屋のおばさんは丸薬の詰まった瓶を取り出す。
「これなんだけどね、男の人がかっこよくなるって噂の薬なのさ。ほら、確か、あんたんとこの館に
エトランジェの若い男の人がいたでしょ。試しに飲ませてみたら?」
「大丈夫なのですか?その、副作用とかは・・・?そもそも、本当に効くのですか?」
「南方では結構有名らしいから大丈夫だよ。うちののんべえ亭主には効かなかったけどね。」
エスペリアは少し考えてから、笑顔で答えた。
「・・・折角なので、いただいておきますね。はい、代金です」
「まいどあり!またおいで!」

エスペリアは店を出るなり、妙に早足になっていた。
これを悠人に飲ませるとどうなるのか知りたい、という目的があるのは明らかだ。
「(ユート様がもっとかっこよく・・・!ああ、どうなるのでしょう!ワクワク)」
・・・飲ませるつもり100%の思考状態。悠人の運命や如何に!?
435おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:05:21 ID:tdudZrCq0
十分ほどで、エスペリアは館に戻ってくる。
「あ、エスペリア、お帰り」
「ユート様、ただいま帰りました」
食卓のテーブルで、薬箱に傷薬を入れていく。当然、『あの薬』は悠人に見せるように置いた。
「あれ、その薬、傷薬とは違うな」
「あ、はい、えーと、これは南方の新しい風邪薬で、飲んでおくと風邪を予防できるそうです」
「へぇ、そうなんだ」
「これからの季節、風邪を引きやすくなりますから、飲んでおいてはどうでしょう?」
口八丁のエスペリア。これで悠人が騙されないわけがない。
「そうだな、戦闘中に風邪なんかひいてられないもんな。飲んでおくか。エスペリア、水持ってきて」
「はい!ただいま!」
エスペリアは内心、小躍りしていた。
「はい、ユート様。お水です」
悠人は瓶の中から2,3粒とって口に含み、水とともに飲み込んだ。
「ゴクッ・・・ふう、こんなもんかな」
「・・・・・・」
「あれ?エスペリア、どうしたんだ?急に黙っちゃって」
「(やはり、すぐには効果は現れないんでしょうか・・・)」
「エスペリア?」
「きゃっ!」

不思議そうに顔を近づける悠人に、妄想の世界に入っていたエスペリアは驚いてしまった。
「うわっ!ど、どうしたんだよ」
「す、すみませんユート様、ちょっと考え事・・・を・・・・・・?」
「え?」
エスペリアは悠人をじっと見つめ、みるみるうちに頬が赤くなっていく。
436おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:06:25 ID:tdudZrCq0
「ど、どうした!?」
「・・・どうもしません、ユート様・・・」
「どうもしないってことないだろ・・・ってわあっ!」
ガバッ!いきなりエスペリアが悠人に抱きつく。
「なにするんだエスペリア!(チョットウレシイケド)」
「私は、ユート様が好きでした・・・会ったときから、いえ、あなたが生まれる前から・・・」
「な、何わけのわからないこと言ってるんだよ!・・・くっ!」
「あ・・・」
悠人は無理矢理エスペリアを引き剥がす。
「どうしちまったんだよ!普段のエスペリアは、こんなことしないだろ!?」
「普段は普段、今は今です・・・ああ、私のユート様・・・」
どう見ても正気じゃない。神剣に飲み込まれている、というわけでもなさそうだ。
「(こうなったら、とりあえず逃げるしかない!!)」

今、アセリア、オルファ、ウルカは訓練で第一詰所にはいない。
近場で頼れるのは、第二詰所のメンバーだ!
「とにかく、誰かにかくまってもらおう!」
悠人は、第二詰所に急いだ。


ドアを開くなり、悠人は第二詰所に飛び込んだ。
「あれ〜?ユート様どうしたの〜?」
「どうしたの〜?」
そこには、ネリーとシアーがいた。
437おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:08:07 ID:tdudZrCq0
「あ、ちょうどよかった。ちょっとかくまってくれないか?」
「別にいいけど〜何から逃げて・・・る・・・の〜?」
「どうして〜・・・逃げてるの〜?」
「(うっ!まさか!?)」

どういうわけか、ネリーとシアーも頬が赤くなり、とろ〜んとした目で悠人を見つめている。
「ん〜♪ユート様〜だ・い・す・き〜♪」
「だ〜い〜す〜き〜♪」
二人は、今にも抱きついてきそうな勢いだ。
「(やばいッ!ここもだめだ!)」

後ろのドアから逃げようとするが、開けた瞬間、帰ってきたハリオンとヒミカに目が合ってしまった。
「げっ!」
「あらぁ〜ユート様〜?出会い頭に『げっ!』はないと・・・思い・・・ますよ〜?」
「まったくです!なんなのですか・・・ユート・・・様?」
「(お、おいおいおい!)」

この二人にも例の症状が出る。
「ふふふ〜私の好きな子が悪いことしたら、『めっ』てしてあげませんとねぇ〜」
「そうね〜おしおきしないとね〜」
好かれるのは悪い気はしないが、この状況はどう見ても異常だ。


「「「「ユート様〜」」」」
「(に、逃げろ〜ッッ!)」
438おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:12:38 ID:tdudZrCq0
とりあえず、食卓に逃げ込む。

「ユート様!どうしたんですか?そんなにあわてて」
「ユート様、興奮状態にあります。とりあえず、沈静してください」
「あ」
セリアと、ナナルゥだ。
「セリア!ナナルゥ!助けてくれ!追われてるんだ!」

セリアは、悠人を追う面々の様子を見てあきれたように言う。
「まったく、ユート様!よりにもよって何人にも手を出すなんて!スケコマシにも程が・・・あ?」
「仲間の異常を確認。ユート様、これ・・・は?」
「え゙」

案の定、セリアとナナルゥにも症状が出た。
セリアは頬を赤くしてやさしい目をしているが、
ナナルゥは青い炎を帯びたハイロウを展開している。まるっきり人魂だ。
「・・・ユート様。あなたと、ずっといっしょにいたいわ・・・」
「ふ、ふふふふ、ふふふ♪ユート様・・・」
「ヒィィ〜〜〜!」

正気を失っているせいか、普段のセリアからは絶対に出ない言葉。
少しうれしいが、八つ墓村状態になったナナルゥが何よりも恐ろしい。
悠人は飛ぶように二階へと逃げていった。

「どっかの部屋に隠れたほうがいいか・・・」
適当にノックも無しに部屋の中に飛び込む。
439革命の人:2005/09/30(金) 20:15:19 ID:ujZaIcsS0
支援っ!
440おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:15:45 ID:tdudZrCq0
「きゃ!ゆ、ユート様!」
「ッ!ユート!」
黄色い悲鳴。何かと思って振り向く悠人。
「あ゙あ゙ッ!」

そこには、ニムントールとファーレーンがいた。・・・しかも着替え中。
仮面オフ状態どころか、半裸のところを見られてしまい、ファーレーンは固まってしまう。
「あ、あ、あ、ああああ・・・」
「む゙〜〜ッ!!ユート!なにやってんのよ!」
「うわあっ!ご、ごめん!いま逃げてたんだ!」
「そんなこと関係ない!早く出ていっ・・・て・・・」
「ゆ、ユート様!私は、わたし・・・私は・・・」
「(う、嘘だろ〜!?)」
二人とも態度が豹変してしまっていた。
「うにゅ〜ユート〜ずっとここにいていいからね〜♪」
「はい・・・ぜひとも、見ていってください・・・」
ファーレーンは艶やかに下着を外し始める。もはやストリップショー状態だ。
「だ、駄目だ駄目だ〜!」
「あん、ユート様・・・」
「ユート〜まってぇ〜」
ちょっと見たい気もするけど、そんな心の余裕は無い。悠人は廊下に飛び出す。

「くそっ!どうすればいいんだ!」
「あ、あの〜何かあったんですか〜?」
騒ぎを聞きつけたのか、ヘリオンが部屋から顔を出す。
「あ、ヘリオン!頼む!助けてくれ!」
「ゆゆ、ユート様のピンチ!?な、なんだかよくわかりませんけど、こちらへ!」
悠人とヘリオンは部屋に入り、ドアを閉じ、鍵を閉める。
441おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:18:02 ID:tdudZrCq0
「ふ〜」
「そ、それで、ゆ、ユート様、一体どうしたんですか〜?」
「ああ、じつは、突然みんなが・・・」
「・・・・・・」
じーっと、頬を赤くしたヘリオンが見つめている。

「・・・ヘリオン?」
「ユート様・・・」
「(ぜ、全滅か〜〜!?)」
・・・と思っていると、ヘリオンは魔法の詠唱を始める。
「神剣よ、彼の者の動きを恐怖で封じよ・・・。テラー〜」
「うぐッ!」

『失望』が煌き、足元から生えた影の手が悠人の体の自由を奪う。
「ヘ、ヘリオン・・・な、何を・・・」
「ユート様・・・ごめんなさい・・・」
ヘリオンは、悠人と自分の顔をぐっと近づける。
「(こ、これは〜〜!!)」
「ん・・・ユート様・・・いただきます・・・」
「(これはキスじゃないのか!?ま、まずい!いくらなんでもそれは〜!)」
普段、ヘリオンが悠人を前にしてのぎこちない口調や行動はもう微塵も無く、
何のためらいも無く顔を近づけてくる。
「(う・・・)」
悠人とヘリオンの唇が重なろうとしたその瞬間のことだった。

ドカーン!

部屋のドアは破壊され、スピリットたちがなだれ込む。
442おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:20:14 ID:tdudZrCq0
「あ〜!ヘリオン!く〜るなネリーのユート様になにやってんのよう!」
「ユート様はシアーのなの〜」
「ふふふ〜♪私のかわいいユート様〜逃がしません〜♪」
「ユート様、私は、ユート様をお慕い申しております・・・」
「ユート様は誰にも渡さないわ・・・。ヘリオン、例えあなたでも、ユート様を狙う以上は・・・敵よ」
「ユート様・・・ゆーとさま・・・ユートサマ」
「ちょっと、なにいってんのよ!ユートはニムだけのなの!」
「ニム、悪いですが、ユート様は私のものです」
「〜〜〜!!」
「ユート様、お邪魔虫みたいですので・・・やっつけます・・・」
「みんなやめろ〜!」

と、叫んだところでやめるわけが無い。乱闘になり、たちまち部屋は地獄絵図と化した。
そのおかげか魔法が解けたので、今のうちにと、悠人は窓から飛び降りて逃げた。


「でも、一体なんであんなことに・・・?」
悠人は、必死で記憶の糸を手繰り寄せる。
「・・・あ!あの薬!ひょっとしてあれ、風邪薬じゃなかったのか!?」

どうかんがえてもアレが原因としか思えない。
悠人は、周りを警戒しながら第一詰所に急いだ。
443革命の人:2005/09/30(金) 20:22:51 ID:ujZaIcsS0
さらに、支援っ!
444名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 20:23:15 ID:bRCDijxL0
支援開始
445おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:23:38 ID:tdudZrCq0
第一詰所に着くと、そこにはアセリア、オルファ、ウルカ、それとエスペリアが倒れていた。

「あ、パパ♪」
「ユート殿」
「ん、ユート」
「・・・ッ!」
思わず逃げ腰になるが、ウルカは落ち着いた様子で話し始める。
「ユート殿、大丈夫です。手前たちにこの薬は効きませぬ」
「・・・へ?」
三人は、合いの手で説明を始めた。
「パパ、このお薬はね、飲んだ男の人に周りの女の人がベタ惚れしちゃうっていう惚れ薬なんだって」
「そして、この薬は、女性が飲むと、薬を飲んだ男性からの薬の効果を受け付けなくなるのです」
「そうだ。私たちもこれを飲んだ。だから安心しろ、ユート」
「そ、そうだったのか〜」

一気に力が抜けた。ようやく開放されたのだ。
こんなものを飲ませてくれるとは、エスペリア許すまじ。
「そういえば、なんで効果がわかったんだ?」
「サーギオスで、似たようなものを見たことがあります故。もしかしたらと思いまして」
なるほど、『南方』ってのはそういうことだったのか。
「エスペリアは・・・?」
「エスペリア殿はこの薬のせいで様子がおかしかったので、気絶させて飲ませておきました。
目が覚めたころには、元に戻っているはずです」
「エスペリアお姉ちゃんがおかしかったからわかったんだよ。このお薬のせいだって事」
「ああ、そういうことか」
446おくすりパニック!:2005/09/30(金) 20:26:04 ID:tdudZrCq0
すこしその場に佇んでいると、悠人は第二詰所が戦場となっていることを思い出す。
「・・・って、そうだ!ヘリオン達が・・・!」
「ユート殿、第二詰所に行っていたのですか!」
「パパ、早く飲ませなくちゃ!」
「ん、ユート、行こう!」
悠人たちは、薬を持って第二詰所に急行した。


しかし、暴走した9人のスピリット達を止めるのは生半可な努力では勤まらなかった。
全員を止めるころには、悠人たちもボロボロになっていて、夜中になっていた。

次の日、エスペリアを除く全員が大怪我を負っていたため、
スピリット隊はほとんど機能せず、あとでレスティーナにこってり絞られてしまう悠人だった・・・。


「そういえば、どうして薬屋のおじさまからは効果がなかったのでしょう・・・?」
首をかしげるエスペリアだったが、酒と一緒に服用すると効果が無くなる事を知るのは
まだまだ先の話であった。



                         ─続かない─
447くじら318号:2005/09/30(金) 20:30:23 ID:tdudZrCq0
以上です。
なんだか後半がやっつけなのは勘弁してください。

なんのマンガのパロディだかわかった人にはヨフアルあげます(´・ω・)つ(#)
448革命の人:2005/09/30(金) 20:30:27 ID:ujZaIcsS0
乙です!
治療はエスペリア一人でやる事となったでしょうねw
セリアが恥ずかしげもなくあんな事を言うなんて…
ヘリオンも信じられないくらい大胆でグーです
あと、ナナルゥ怖いw
449エロ大王:2005/09/30(金) 22:58:36 ID:Ngrt7NYN0
すっげ〜〜〜〜〜激しく乙
女が3人集えば姦しいといいますが・・・・

ここまで来るとバトルロワイヤル状態・・・・・・

雑魚スピスレに栄光在れ〜〜〜〜〜〜(爆死
450名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 00:09:11 ID:3lVQr2Vd0
乙〜!
惚れ薬ネタは基本ですな。やはり。と言うか、エスペリアあっさり飲ませすぎ(笑
それが若返りの薬とかだったりしたらどうするんだ < 無理

でも、今回のスピ達の変化でのポイントは、
>八つ墓村状態になったナナルゥが何よりも恐ろしい
ここで吹いた(w 八つ墓村状態て……
451名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 00:24:36 ID:8ID9P1780
おまいら、ガロ・リキュア放送局が始まってますよ
452エロ大王:2005/10/01(土) 00:34:12 ID:+R0EV0qY0
ガロ・リキュア放送局聞いてまつ・・・・・
イオ・・・・スゴス〜〜〜〜〜〜♪
453エロ大王:2005/10/01(土) 00:45:01 ID:+R0EV0qY0
ヨファルネタキタ〜〜〜〜!!

コウイン・・・・・いいオモチャだなwww
454エロ大王:2005/10/01(土) 00:51:56 ID:+R0EV0qY0
ヘリオン・・・・・・ジャパネット・ヨー○ィア・・・・
455名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 00:53:36 ID:OfzL7L2i0
バックでかかってた曲なんだろ?
456名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 01:03:00 ID:XgCsXzH00
ガロ・リキュア放送局って、どこで聞けるのですか?
ザウスHP見ても判らなかったので、教えてほしいっす
457402:2005/10/01(土) 01:07:27 ID:C+gK2llP0
>425
>誰のセリフってわけでもなく、適当に略して引用(?)してきただけだったりします


・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
458名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 01:51:04 ID:EwUCp0lX0
>>456
ヒント:会員用コンテンツ
459名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 02:04:28 ID:XgCsXzH00
>>458
むぅ、会員にならねば聞けないのですね・・・
入会するか否か・・・そんなことより
ヒントありがとうです!
460名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 02:09:08 ID:ht32jj870
>>458
前回の分は非会員でも聞けるから、周回遅れでよければ大丈夫ですよ
461名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 03:58:35 ID:oXIb+ngdO
>>457
まあ、正直に書くと、PS2版(初回)についてきた冊子の中に一文を見つけて書いたのですが、ニムに似て面倒くさがりなんで、適当に略しちゃいました(汗

…放送聞いてきます
462名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 07:46:04 ID:OfzL7L2i0
ヘリオンが好みのタイプ話しているときに
無理やりユートと結び付けようとしていた俺ガイル(´・ω・`)
463名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 08:03:51 ID:8ID9P1780
>>462
(´・ω・`)人(´・ω・`)
でもあれは悠人のことなんじゃねの?
ほらエターナルになって忘れられても感情その他は消えないってやつで
464名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 09:43:39 ID:iYPB6WOf0
>>447
何で誰かに会うと危険だと気づいていてヘリオンには匿って貰うんだソゥ・ユートw
テラーの使い方に妙に感心したり。ファーの「あ、あ、あ、ああああ・・・」には存分に、存分に萌えさせて頂きました。
465名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 09:53:32 ID:oXIb+ngdO
>>447
ね○まですかね?
ヘリオン=本屋役?と思ったので
466くじら318号:2005/10/01(土) 11:33:36 ID:s63YCxPG0
>>465
正解です。
当然ヘリオンのシーンは一番意識して書きました。

(´・ω・)つ(#) ヨフアルドゾー
467名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 20:55:43 ID:XgCsXzH00
>>460
第一回放送聞けました!
情報ありですたー♪
468458:2005/10/01(土) 21:04:37 ID:8isMUu/X0
>>460
>>468
あ、聞けるんですか
適当な事言ってすみません
…私も聞いてこよう
469458:2005/10/01(土) 21:09:13 ID:8isMUu/X0
アンカー失敗
>>467さんですね
失礼
自分にレスしてどうするんだか…
470静寂の理由:2005/10/01(土) 21:52:25 ID:SGcIXfgj0

  ―――さまぁ。起きてるぅ?

「ん…………」
ぼんやりと遠く白く霞む景色の中、何かが聞こえる。木霊のように耳元に届く音。
まるでアンテナの少ない携帯電話越しに小声で囁かれるような。それとももう思い出せない夢の続きだろうか。
なんだろう。考えようとしても無駄だった。吸い込まれるようなまどろみの気持ち良さ。
微かに響くこんこん、という音が子守唄のように響き、温かい泥の中へと引き摺り込まれてしまう。

  ―――おじゃましま〜す……

「ん……んん…………」
きぃ、という少し軋んだ鋭い音に、再び引き上げられる沈みかけた意識。
寝返りを打ち、ささやかな抵抗を試みる。拍子に薄っすらとした光を瞼越しに感じた。
……そうか、朝か。でも勘弁してくれ、まだ眠いんだ、などと叫ぶ心の声。つまり口を動かすのも面倒臭い。
ごそごそ。手探りで毛布を顔まで引っ張り上げ、安全地帯を作り上げる。腕が自分の物じゃ無い位重かった。

  ―――すぅーー…………

「…………んあ?」
すぐ近くに、風の流れるような音。気のせいか、何だか良い匂いまでする。おかしいな、どこか隙間が…………

「ユ ー ト さ ま ぁ、 起 っ き ろ 〜〜〜〜! ! !」
「どわわわぁぁぁっっ!!!」

鼓膜が破れるかと思った。
一気に覚醒し、首だけ仰け反った拍子に、強烈に後頭部を壁に打ちつけてしまう。
布団の中で発した甲高い声がくわんくわんと耳鳴りのように頭の中を跳ね回る。
痛覚と聴覚の同時攻撃に悶絶しながら少し潤んだ目を開くと、そこには至近距離でにっと笑う幼い顔立ち。
何気に腕を抱え込むようにしがみついている。なるほど重い訳だ、とそこだけ辛うじて納得出来た。
471静寂の理由:2005/10/01(土) 21:56:07 ID:SGcIXfgj0

「なっ、ネ、ネリー?」
「へへ、ヤシュウウ(おはよう)、ユートさま♪」
「何で俺の布団の中にネリーがいるんだ……って何かあったのか?!」
咄嗟に非常事態が思い浮かぶ。つい先日も敵の威力偵察による襲撃を受けたばかりだ。
無意識に『求め』の位置を手探りで確認する。しかしその手はすぐにしっかりと抑えつけられていた。
「しーっ、大声出しちゃダメだよ。まだみんな寝てるんだからぁ」
だけではなく、顔を更に接近させ、目の前に立てた人差し指を口元に当て、耳元で小さく囁いてくる。
「へ……寝てる? じゃあ、また敵襲とかじゃないのか?」
「敵さん? ん〜ん、来てないよぉ? ナンで?」
何故そんな事を訊くのか、と不思議そうにくりくりと動くネリーの顔。そうか、来てないのか。よかった。

「…………ヤヤカウ(おやすみ)」
安心した途端、再び眠気が訪れた。じゃあなんでネリーがここに、と疑問が頭を掠めたが、とりあえずは眠い。
背中を向け、惰眠の続きをしようとする。ネリーの感心するような声が背後から聞こえてきた。
「あ☆ユートさまヨト語上手になったねぇ……ってわわっ!」
「………………」
「コラぁ、寝ちゃダメぇ!」
一転、激しく揺さぶられる感覚。暫く無言で耐え続けてみたが、震度が3を越えた辺りで諦めた。
「……あのなぁ、今日は久し振りの休みなんだから、もう少し眠らせてくれよ……」
「ダメだよぅ。そんなの待ってたら、エスペリア達が起きちゃう〜」
ゆさゆさゆさ。何に拘ってるのか、小さな体を精一杯使って揺さぶってくる。震度が5を越えた。限界だった。
「判った、判ったから……。ふあぁ〜……なんだってんだ一体…………」
執拗な攻撃に、まだぐらぐらと揺れる頭を振りながら、しかたなしに布団を剥ぐ。
飛び込んでくる朝の日差しに目を細め、出てきた欠伸に涙を擦りながらネリーの方を向いて文句を―――
「――――あ゛?」
「へへ〜、やった♪」

――――言おうとして、動けなくなった。
472名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 21:57:19 ID:ynDSftiX0
朝から夜襲支援(意味不明
473静寂の理由:2005/10/01(土) 22:00:17 ID:SGcIXfgj0

ベッドのすぐ脇にぴょん、と立ち上がったネリーは朝日を浴びて、気持ちよさそうにはしゃいでいる。
長いポニーテールがくるくると元気に回る身体に合わせてきらきら蒼く靡いていた。

……しかし、目を奪われたのはそんな事ではなくて。ネリーは、普段の戦闘服では無かった。
「……佳織に借りたのか?」
思わず声が漏れる。っていうか、それしか考えられなかった。ファンタズマゴリアにあるはずの無い衣装。
濃紺のワンピースに朱色のネクタイ。セーラーを形取った三角の襟が白く肩から背中へと垂れている。
襟にひかれた二本のラインは、紛れも無くあの学園の幼○部のものだった。

「ねね、ユートさまぁ。似合う? 似合う?」
視線に気づいたネリーが少し気恥ずかしげに囁き、スカートの裾を掴みながら上目遣いで覗き込んでくる。
「あ、ああ…………」
機械的に頷いたものの、真っ白な頭では咄嗟に声が出ない。
やった、と小さくガッツポーズを取ったネリーがぴょん、と飛び跳ねた。
その瞬間、フリルを飾った短めのスカートがふわりと浮き、すらっとした健康的な足が太腿まで見えた。

……酷く、似合っていた。
いつもは青いハイソで覆われているそれが、念入りにも白いソックスに履きかえられている。
足首を申し訳程度に隠している短めのソックスがよく締まっている脹脛をより健康的に見せていた。
そして膝から急に丸みと柔らかさを帯びている真っ白な太腿。スレンダーなネリーが持つ、思わぬ脚線美。
普段見えない部分が見えるというのは必要以上に胸をどきどきとさせる。気づけば呆然と見とれていた。
474静寂の理由:2005/10/01(土) 22:02:53 ID:SGcIXfgj0

「―――ユートさまぁ?」
「わあっ!」
いきなり目の前で手を翳され、急速に我に返った。
「も〜まだ寝惚けてるのお? 早く起きようよ〜」
「あ、ああ判った、起きるよ、起きるから……」
どうしてこうも急かされるのかは判らないが、取りあえずは今の気分を誤魔化そうと腰のシーツをよけようとして、
「…………頼むから、一度外に出ていてくれないか?」
朝から刺激が強過ぎる。俺は情けない声でネリーに“懇願しなければならなく”なっていた。


着替えを済ました途端、ネリーに引っ張られて詰所を出た。
何故か廊下では足音を立てないよう言われ、理由を聞こうにも声を出す事も許されず。
外に出てからも、ずっと腕を引っ張られながら、気づいたら街の方角に向けて森の中を歩かされていた。
先導するように歩くネリーの大きなポニーテールが揺れている。木漏れ日が反射してきらきらと輝いていた。

ある程度まで来た所でようやくネリーの歩みがぴたりと止まる。
しかしそのまま耳を澄ませるようにじっと動かない。何かを探しているようにも見えた。
「??…………ネリー?」
「……うん、もう大丈夫だよね…………あ〜どきどきしたぁ! 脱出かんりょ〜!」
不審に思い始めた頃、唐突にその背中がぱっと大きくウイングハイロゥを羽ばたかせた。
「うおっ! びっくりした…………って? 脱出?」
くるっと振り返るネリーの表情が、悪戯っぽいものに変わっている。ぺろっと小さな舌を出していた。
どうやらもう声を出してもいいらしい。とりあえずの疑問を訊いてみる。
「脱出って……詰所から、か?」
「うんっ! だってみんなに見つかりたくなかったから……えへへ☆」
「? 見つかるとなんかまずいのか?」
頭に疑問符を浮かべたままの俺に、うーん、と伸びをしたまま日差しに目を細めたネリーは呟いた。
「だってだってユートさま、いっつも誰かと一緒だから。だからぁ、今日はネリーの番なんだよ……ダメ?」
475静寂の理由:2005/10/01(土) 22:05:19 ID:SGcIXfgj0

……そうか、だからこんなに朝早く。そういえば、最近は忙しくて殆どかまってやれなかったしな。
「ああ、そうだな。今日はネリーの日だ」
くしゃっと頭を撫でてやる。纏めた後ろ髪がふわりと弾んだ。
「わわ! ……あはは、ユートさまありがとう!」
くすぐったそうに身を捩り、にぱっと笑う。くるくると変わる表情が可愛いらしい。
さらさらのストレートな蒼い髪にその髪形はネリーにとても良く似合っている、改めてそう思った。
「……あれ? ネリー今日の髪留め、いつもと違うのか?」
「え……う、うん。だって折角ユートさまと“でぇと”なんだから……」
ごにょごにょと口籠もり、微かに頬を染めて俯く。
急に大人しくなった仕草に笑いが込み上げてきた。苦笑しながら更に頭を撫でくり回してからかってみる。
「ところでシアーにも内緒なのか? 後で怒られるぞ」
「あ、ううん、ちゃんとシアーには話したよ。おやつ一日分で許してくれたんだ」
「…………俺はお菓子かよ」
そんな雑談を交わしつつ、俺達は改めて街へと向かった。気づけば気持ちの良い朝だった。


「ふあぁ〜……いやそれにしても、流石にまだ店はどこも開いてないな」
「…………うん」
「これじゃどこに行っても同じか……どっか別の場所にでも行くか?」
「そ、そうだね…………」
街に辿り着いた途端、ネリーは急に無口になった。
さっきまでは元気良く前を歩いていたのに、今では俺のすぐ側から離れようとしない。
元気一杯に羽ばたかせていたハイロゥはまるで空気の抜けた風船みたいにしおしおになり、やがて消えていった。
(いくらくるくる変わるっていっても晴れ後雨じゃな……)
裾を掴んだままきょろきょろと辺りを見回しながら、ネリーはどこか落ち着かない視線でそわそわとしていた。
476静寂の理由:2005/10/01(土) 22:08:29 ID:SGcIXfgj0

「ネリーはどこか行きたいトコでもあるのか? 今日はどこでも付き合うぞ」
「…………ううん」
適当に話しかけても、なんだかレスポンスが悪い。すっかり萎んでしまったような感じだった。
「なんだ、どうかしたのか? もしかして具合が悪いとか」
心配して覗き込むと少し困ったように眉を顰め、作ったような笑い方で
「ううん、なんでもない。……ねぇユートさま、楽しい?」
「え? あ、ああまあ……朝の散歩なんて久し振りだしな。清々しいといえば清々しいかな」
「そ、そう……良かった…………」
終始こんなやりとりが続く。何だかネリーと歩いている気がしなかった。これじゃまるでシアーのような。
(…………シアー? あ、そうか……)
いつもネリーの影で、怯えるような視線を向けてくるシアー。今のネリーはそれにそっくりだった。
でも一体なんに怯えるっていうんだ? そんな疑問が頭をよぎった時、ふと視線を感じた。
「…………ん?」
改めて周囲を見回す。どこにでもある朝の街のひっそりとした風景だった。
まだ起き始める前の、人気の少ない道。近くに聞こえる鳥の囀り。
朝もやがかかり、少し湿度の高いひんやりとした空気。たまに見かける、散歩途中の人たち。
(あ…………)
ぴくっとネリーの肩が震えるのが判った。すれ違う人が、無言で一瞬だけこちらを見つめる。
その視線と初めて目が合った。
477名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 22:09:04 ID:8isMUu/X0
支援のお時間ですよ〜
478静寂の理由:2005/10/01(土) 22:10:06 ID:SGcIXfgj0

――――それは、不審と警戒と侮蔑の視線だった。


妖精――スピリット。その目は、そう語っていた。
異界の服装、蒼い髪に蒼い瞳。それは誰が見ても、人とは異なるもの。
この国・世界では、その外見は軽蔑と恐怖の対象だった。
街へ出る事が許されてはいるものの、人々の対応は冷たい。常に接触を避けようとする。

彼らは知らない。いや、知ろうとしない。
彼女達が、普通の人となんら変わらないという事を。
いやむしろ、より人としての優しさや温かさを、その業ゆえに持ち合わせているという事を。
自分達が現れる事で人々に不安を与えることを知っている彼女達は、だからこそめったに街には訪れない。
しかしその思いやりは伝わらず、こうして好奇の視線だけを送り続ける。
妖精趣味――そうとでも考えたのだろう、俺とネリーが並んでいるだけで。

「……ユ、ユートさまぁ?」
不安そうな顔が見上げてくる。俺は無言でネリーの肩を抱き、そのまま歩き続けた。
慌てたネリーが何か小さく訴えるような仕草を見せたが、気にせず更に力を籠めてやる。
やがて腕の中の小さな体は、きゅっと裾を掴む手の力を強くしてしがみついていた。


「わぁ…………」
誰もいない高台に出た途端、ネリーは柵に飛びつき、大きく叫んだ。
丁度朝日がヴァーテド湖をきらきらと照らしながら、その全身を水平線から浮かび上がらせた所。
すっかり機嫌を直し、嬉しそうに跳ねる後姿に、俺はようやく声をかけた。
479静寂の理由:2005/10/01(土) 22:12:38 ID:SGcIXfgj0

「なあネリー……こうなるのが判っていて、どうして俺を誘ったんだ?」
単独でも不快な思いしかしない。エトランジェと歩いていたら、尚更注目を浴びてしまう。
うかつだったが、考えてみれば当たり前の事だった。もっと早く気付くべきだったのだ。
自分だけならともかく、深く考えなかったせいで傷つけてしまった。そんな後悔で一杯だった。

「うん……ネリーね……一度でいいから、見ておきたかったんだぁ……」
ゆっくりと振り向く蒼い水晶のような瞳。円らなそれは朝日に反射して、猫の目のように細く輝いていた。
「あのね、ネリー、スピリットだから。だから、この国のみんなを守るんだよ。だからね……」
今来た道を振り返る。眼下に広がる、平和な街並み。人々がつつましく守っている生活。

「見ておきたかったんだぁ……ユートさまと一緒に……」
へへ、と笑い、仔犬のようにすり寄ってくる。俺は反射的に、小柄な体を力いっぱい抱き締めていた。
「ユ、ユートさまぁ、どーしたの?」
わたわたと両手をばたつかせて慌てるネリー。頭の上で、真新しい白いリボンがふわふわと揺れていた。


「ねぇねぇ、お兄ちゃんたち、何してるのぉ〜?」
「うわっ!」
「わっ、ちょっと……きゃんっ!」
急に足元から聞こえた声に、俺はぱっと反射的にネリーを突き放してしまっていた。
結果バランスを崩したネリーは盛大に尻餅をつき、上目遣いで恨めしそうな声を上げてくる。
「いたたた……も〜、お尻打っちゃったよ〜!」
「あ、悪い……つい驚いて。ええと……」
ぷぅ、と頬を膨らませて睨むネリーに謝りつつ手を差し伸べながら、先程の声の主を探る。すると。
「お姉ちゃん、大丈夫ぅ〜?」
「「…………へ?」」
ネリーのすぐ横に、いつの間にか手鞠のようなものを持ちながらしゃがみ込んでいる少女がいた。
480静寂の理由:2005/10/01(土) 22:16:43 ID:SGcIXfgj0

「お姉ちゃんたちも〜、お散歩の途中なの?」
いきなり話しかけられて、ネリーは怯える暇も無い。目をぱちくりとさせたまま、少女を見つめている。
年の頃はニムントールと同じかやや下といった所。迷子でも無さそうだし、どうやら近所に住んでいるのだろう。
舌ったらずの口調と、印象的な無邪気な瞳。なんだかハリオンとシアーを足して二で割ったような、そんな感じだった。
「ユ、ユートさまぁ……」
動揺し、助けを求めるように見つめてくる。そんなネリーの様子に、ふと思いついた事があった。

膝をつき、少女と同じ高さに目線を合わせ、にっ、と笑って見せる。
「ああ、俺達も散歩だったんだけどさ、お兄ちゃん、疲れちゃったんだ。よかったらこの子と遊んでくれないかな?」
「ユ、ユートさまぁ?!」
「え〜? そうなんだぁ……うん! いいよ、お姉ちゃん遊ぼ!」
「へ?……わ、わわわっ!」
「お〜。あんまり遠くに行っちゃだめだぞ〜」
「ま、待ってよちょっと、ユ、ユートさまぁぁぁ…………」
佳織の制服を引っ張られ、ろくに抵抗する事も出来ずにすぐ下の草原の方へと連行されていくネリー。
当惑しきっている姿を、ひらひらと手を振って見送った。
これで少しでもお互いが歩み寄ってくれれば、そんな願いを込めながら。

やがて二人は手鞠を使って何か遊び始める。最初はぎこちなかったネリーの動きが段々活き活きとし始めた。
微笑ましい光景を見守っていると、唐突に眠気が襲ってくる。
「ふぁぁ……あ〜あ、そういや朝っぱらから叩き起こされたんだっけ……」
ふと見ると、寝心地の良さそうなベンチ。俺は吸い込まれるように、そこへ横になっていた。
481静寂の理由:2005/10/01(土) 22:19:16 ID:SGcIXfgj0

……………………ん?

「こちょこちょこちょ……」
「ん、ん…………ぶぇっくしょいっ!!」
「きゃはっ! ヤシュウウ、ユートさま♪」
突然痒くなった鼻を擦りながら目を開くと、ネリーが可笑しそうな顔をして自分の髪を摘んでいた。
どうやらポニーテールの毛先でくすぐられたらしい。青い一房がひらひらと目の前を舞っていた。
「んぁ? ……何だ、もう帰ってきたのか?」
「やだなぁ。もう、ってもう結構明るいよ、ユートさま」
「ん……あれ、本当だ」
なんとなく日差しが温かいような気がする。結構な時間、寝ていたのだろう。
「そっか、あの娘帰っちゃったのか…………ん?」
「うん。でもねでもね、すっごく楽しかったよ! ネリー達、お友達になっちゃったんだ♪」
にぱっと笑いながら元気良く答えるネリー。明るくなったのはいいんだが、その、なんだ。
「いや、それは良かったな……ところでネリー、重くない、か?」
制服のスカートがさらさらと頬をなでる。ふにふにと顔をくすぐる甘い香りと柔らかい感触。
……俺はいつの間にか、自分よりも一回りは小柄な娘に、あろう事か膝枕をされていた。

さっきから起き上がろうとはしているのだが、ただ胸に添えられただけのネリーの手から、信じられない圧力を感じる。
流石はスピリット、とか関心している場合ではない。全く動けないのだ。道行く人がさっきとは違った視線で見ている。
中には耐え切れなくなったのか、くすくすとあからさまに笑っている女の人もいた。恥ずかしい事この上ない。

「え? べっつに〜? …………えへへ…………」
なのに、そんな事はどこ吹く風のネリーの態度。珍しくそっぽを向いた視線が微妙に泳いでいる。
知らんぷりを決め込んだのか、それでも頬は薄っすらと染まっていた。
「いや、あのな……」
言いかけて、止めた。きっとこれも、ネリーの「したいこと」なのだろう。今日は「ネリーの日」なんだし。
「あ〜、気持ちいいねぇ、ユートさまぁ」
目を細めて、街の景色を見つめる猫のような横顔。少し大人びたような表情に一瞬どきり、とした。
482名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 22:20:46 ID:ynDSftiX0
猫じゃらし支援
483名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 22:20:56 ID:8isMUu/X0
次も支援ですね〜
484静寂の理由:2005/10/01(土) 22:22:54 ID:SGcIXfgj0

「……ああ。平和だな…………ふあぁぁ……」
「ヤだユートさま、また欠伸ぃ?」
「しょうがないだろ、いきなり誰かさんに叩き起こされたんだから。寝足りないんだよ」
「ひっど〜い! ネリー、叩いてなんかいないよ〜」
口を尖らせながら、それでもくっくっと喉を鳴らす。こんな休日も悪くないよな、そう思った。


「いや、叩くってのは比喩で……まぁいいや。ヤヤカウ」
太腿の柔らかい感覚が、まどろみの誘惑を駆り立てる。俺は再び目を瞑ろうとした。
「あ☆ユートさまヨト語上手になったねぇ……ってわわ、だからせっかく起こしたのに、また寝ちゃだめだよぅ!」
途端、ぽかぽかと全然力の篭ってない手で頭を叩いてくる。全く痛くは無いのだが、眠気は遠のいた。
元々冗談のつもりだったので苦笑しつつ、そういうのを叩き起こすっていうんだと文句を言おうとした瞬間――――

――――きゅるるるるる…………

「……………………」
「……………………」
ネリーの腹が、盛大に可愛い音を立てた。
485静寂の理由:2005/10/01(土) 22:25:49 ID:SGcIXfgj0

さわさわさわ…………

湖からの涼しい風が、虚しく流れていく。二人の間に、神剣『静寂』の力が働いた。……訳はないけど。
少なくとも膝元の至近距離で否応無しに“音”を聞かされてしまった俺にはしっかりサイレントの効果があった。
「……………………」
「あ、あはは……も、もうヤだな〜ユートさま! お腹が空いたならそう言えばいいのにぃ〜!」
「…………をい」
「あっ、そういえばもうお昼時だもんね。よく考えたら朝も何も食べてないし!」
「いや今のはネリーの腹……」
「あーーーっ!! ねね、ユートさま! あそこにヨフアル屋があるよ! すっごい偶然だよねっ!」
誰に説明しているのか、大声で捲くし立てる。その横顔に流れるのは大粒の冷や汗。
どうあっても誤魔化したいらしい。ねっ、ねっと促すネリーの顔には鬼気迫るものがあった。

「…………そうだな、腹減った。ネリー、ヨフアルでも食べないか?」
「…………へ?」
俺の一言に、蒼い瞳が一瞬ぱちくりと瞬く。そうして次の瞬間、ネリーは弾けるような笑顔を見せた。
「…………うんっ!! ありがとう、ユートさまっ!」
起き上がって歩き出した俺に、ぴょん、とベンチを飛び跳ねて駆け寄ってくる。
頭をくしゃっと撫でてやると、嬉しそうにはにかんだ。きらきらと輝いている瞳にまたどきり、とした。
ちゃんと女の子なんだな、と改めて思う。少しくすぐったいような、温かいような。とにかく妙な気分だった。


「早く早くぅ、ユートさまぁ!」
くいくいと裾を引っ張りながら、ねーねーとねだられては悪い気がしない。
ヨフアル屋は高台から少し離れた小道の脇にあった。気をつけないと判らないような所に看板がある。
小さいながらも繁盛しているようで、ある程度の行列が出来ていた。
一番後ろに並ぶと、仄かな熱気と美味しそうな匂いが鼻をくすぐって食欲をそそった。
486静寂の理由:2005/10/01(土) 22:28:15 ID:SGcIXfgj0

「お、美味そうだな……ネリー、何個食う?」
「えとえと……う〜んう〜ん……」
隣を見ると、首を捻りながら懸命に考え込んでしまったネリーの頭の後ろでポニーテールがゆらゆらと揺れている。
朝と違い、人々の視線も余り気にならなくなったのか、無口という訳でも無さそうだ。
「でもでも……あ、それじゃイイオンナが……」
それでも指を口元に当て、真剣な目つきで何かをぶつぶつと呟いている。
自分で連れて来て今更何を悩んでいるのかさっぱりだったが、取りあえず聞いてみた。

「 何だよ、何をそんなに悩んでるんだ? ヨフアル、好きなんだろ?」
「あ、そうじゃないの! ヨフアルは大好きだよ! 大好きだけど…………」
そうして今度は腰に手を当て、捻ったりしている。かと思ったら、じーっとこちらを見上げてきたり。
「……? 別に食えるだけ食っていいんだぞ。そんなに高いモンでもないし、今日は俺の驕りだから」
「う、うんありがとぉ……」
「???」
何だか煮え切らない返事。意味不明な行動と言動に、俺の頭の上にはまたもや疑問符が飛び交ってしまった。


そうこうしている内に、俺達の番が回ってくる。カウンターのような所から、人の良さそうな親爺が顔を覗かせた。
「へい、らっしゃい! ……ほぅ、珍しいな、スピリットか」
487名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 22:32:12 ID:ynDSftiX0
支援☆
488静寂の理由:2005/10/01(土) 22:33:57 ID:SGcIXfgj0

「…………何か問題があるか?」
朝からの出来事ですっかり警戒してしまったせいか、妙な江戸前口調の親爺に対して知らず声が低くなってしまう。
そんな俺の険しい表情に何か悟ったのか、親爺は頭をがしがしと掻きながら、かかか、と高笑いをし、
「そう睨むなって、俺っちはそんなんじゃねぇよ。スピリットだからって差別なんかしねぇさ」
言いながら野太い腕をぬっと伸ばしたかと思うと、いきなりわしゃわしゃとネリーの髪を撫で繰り回し始めた。
「え…………わきゃっ!」
まだ考え事を続けていたネリーが突然の事に小さく悲鳴を上げる。どうしていいか戸惑っているようだった。
「これでも判ってるつもりだ。こんなちんまい嬢ちゃん達のお陰で俺達ゃ平和に暮らせてるんだってな」
「おっさん…………悪かった、な」
「がっはっはっはっ、まぁいいって事よ。よし、今日は俺の驕りだ! 好きなだけ食っていいぜ、嬢ちゃん」
「はわ、はわわわわ…………」
「…………ありがとな」
面白がって撫で続ける親爺と目を回しながら懸命に頷くネリー。俺は親爺に小さく礼を言った。二通りの意味を籠めて。


大量のヨフアルを包んだ紙袋を両手に抱えながら、俺達は親爺の店を後にした。
どうして江戸前口調なのかは最後まで疑問のままだったが、俺は親爺にかなりの好感を持ってしまっていた。
それこそ最後に片目を瞑ってよこしたところに思わず親指を立てて返しそうになったくらいだ。危なかった。
「…………ところでどうするんだ、こんなに」
ゴツい外見に相応しく、これでもか、と豪快に袋に詰め込まれたヨフアル。
とりあえず力任せに頭をシェイクされ、まだふらふらと足元の覚束無いネリーに聞いてみる。
「う〜、目が回るよぅ〜」
当然ながら、答えは返って来なかった。
489静寂の理由:2005/10/01(土) 22:38:36 ID:SGcIXfgj0

「お、美味い。やるな親爺」
草原に下り、そこで紙袋を広げる。ふわりと広がる匂いに、俺は早速一つかぶりついていた。
ほどよい甘みが口の中を満たす。かといってしつこい訳でもない。などとこんな所で○味しんぼ状態にさせられるとは。
「あのゴツい腕でどうやったらこんな繊細な味を出せるんだ……なぁ、ネリー?」
見ると、やけにネリーが大人しい。きっちり正座をし、両手で掴んだヨフアルをもきゅもきゅと小さく啄んでいる。
「……どうしたんだ、腹減ってんだろ? いつもみたいに豪快に食べ…………ぐぼっ!」
最後まで言う前に、ヨフアルを口に突っ込まれた。勢いが良すぎて喉まで到達してしまう。
「むぐっ……む、ぐぐ…………」
「…………ユートさま、サイテー」
悶絶している俺をよそに、ネリーはそのままぷい、と横を向いてしまった。

「ふぅ、食った食った……ってまだこんなに残ってるのか……」
腹を擦りながら溜息をつく。結局ネリーは二個しか食べなかった。いつもの半分以下だ。流石に少し心配になってきた。
「へへ、みんなにオミヤゲだね」
「……どうしたんだ? どこか調子でも悪いのか?」
「え? ううん。なんでもないよ……えへへ……」
言い終わると小さくなって俯く。そしてもじもじと、何だか落ち着かなくヨフアルの袋を眺めている。
今日のネリーは調子が狂いっぱなしだが、今回もやっぱりというか「らしく」無かった。理由があるのは明らかだ。
その上聞いても誤魔化そうとする。俺はじれったくなり、ネリーの頬っぺたを摘むと強引に顔を上げさせた。
「なんでもないことないだろ。言わないと……」
「うひゃ! いひゃい、いひゃいよユーヒョひゃま〜っ!!」
更に頬を軽く両側に引っ張ると、ネリーは両手をじたばたさせながらたちまち涙目になった。
490静寂の理由:2005/10/01(土) 22:40:42 ID:SGcIXfgj0

「いふ! いふからゆゆしてぇ〜」
「よし、それでこそネリーだ」
訳の判らない事を言いながら手を放してやると、むーと恨めし気に睨まれてしまった。大層御不満だったらしい。
「う〜、まだひりひりする〜…………ユートさま、酷いよぉ」
「素直に言わないから、お仕置きだ。昔佳織にやったら効果覿面だったな」
「も〜カオリさまに同情しちゃうよ…………言うけどユートさま、絶対笑わない?」
「ああ、笑わない。約束だ」
「ホント? 絶対の絶対だよ」
すっかり赤くなった頬をさすりながら上目遣いで見上げてくる。これも佳織の時と一緒だ。
予想通りだったので、俺は視線を逸らさないよう力強く頷いてやる。
案の定ネリーはそんな俺の態度にまだ疑うような視線を向けていたが、やがてぽつぽつと話し始めた。

「……実は最近ね……ちょっと…………その、体重が…………ゴニョゴニョ…………」
「え? 何?」
よく聞こえない。断片的な単語が上手く繋がらないので、耳を近づけ訊き返す。
見ると、真っ赤に染まったネリーの顔。泳がせた瞳がうるうると潤んでしまっている。
ここにきて、ひょっとしたら無理矢理におかしな事を訊き出そうとしてしまったのかと不安になってきた。
「いや、あのな。やっぱりそんな無理に言わなくても……」

「〜〜だ、か、ら、太っちゃったの! だいえっとしてるんだよっっ!!!」

「………………は?」
491くじら318号:2005/10/01(土) 22:42:25 ID:s63YCxPG0
支援よーいっ!みなさん!支援しましょう!
492静寂の理由:2005/10/01(土) 22:42:38 ID:SGcIXfgj0

ざわざわざわ…………

本日ニ撃目の静寂が俺達を包んだ。


「…………………………ぷっ」
「……ユートさま?」
「ぷっ……はは、はははははははっっ!!!」
我慢しようとはしたが、限界だった。込み上がる可笑しさが、これでもかという位突き上げてくる。
心配して損した、とかそんな次元の問題では無かった。
「あ〜んもう、やっぱり笑ったぁ! ユートさまの嘘つきぃ〜〜っっ」
ぷぅ、と頬を大きく膨らませたネリーが泣きそうな顔でぽかぽかと叩いてくる。
俺は両手で頭を庇いながら懸命に呼吸を整えていた。

「はは、いや、だってネリーは全然太ってないだろ? むしろ良いスタイルだと思うぞ、なんでそんな事考えたんだ?」
「え……? だ、だって…………」
ネリーの手がぴたり、と止まる。そして物哀しげに自分の腰の辺りに目を落とした。
見た目、というかよく眺めても全然太ったようには見えない。むしろすっきりし過ぎている位。
例えば妹分のシアーに比べ、スレンダーな感じさえする。何をそんなに悩んでいるのか逆に不思議だった。
「ネリーはそのままで充分だと思うけどな。それよりちゃんと食べないと健康に悪いんだぞ」
ぽん、と頭に手をやりながら、そう説得する。しかしネリーはまだ納得がいかない様だった。
493静寂の理由:2005/10/01(土) 22:47:12 ID:SGcIXfgj0

「う〜……。でもネリー、女の子だもん……太ったらヤだよ……」
「馬鹿だな、ネリーは成長期なんだから重くなって当たり前だ。それは太ったって言わないよ」
「え、そ、そうなの? ……じゃあじゃあネリー、まだセリアみたいに“くーる”になれる?」
「へ? えっと……う〜んそうだな……ちゃんと食べればなれるかもな」
いきなり出てきた名前に驚きつつ必死に頭を回転させて出てきた台詞だったが、ネリーの顔がぱぁっと明るくなった。
「少なくとも俺は、食べないでげっそりしている奴よりは健康的な方が好きだな」
「ネリー食べる! ちゃんと食べるよっ!」
「ああ、ただしヨフアルばっかり食うなよ。偏食は美容の大敵だぞ」
どうやらネリーにとっては正しい成長より美容の方が効果がありそうだ、そう思って補足してみた。が。
「ん〜? ユートふぁま、ふぁにかゆっふぁ〜?」
「…………食ってから喋れ」
悩みから開放されたネリーは物凄い勢いでヨフアルに齧り付いていた。


夢中で食べているネリーを置いて、俺は飲み物を買いに一度高台へと上がった。
そこでネネのジュースを見つけ、二人分を買い込む。
戻ってみると、満足して横になったのか、ネリーは草叢ですーすーと寝息を立てていた。
足元に、まだ中身の入った袋が二つ転がっている。覗き込んでみると、片方は第二詰所の人数分。
そしてもう片方には四つ、つまり第一詰所の人数分がきっちり残されていた。
なんだかんだ言いながら、ちゃんと“オミヤゲ”を残している。俺は寝顔をそっと指でつついてみた。
「そんな格好で寝てたら、制服が皺になって佳織に怒られるぞ」
「ん〜……くーる、なんだからぁ…………」
全く判らない寝言に苦笑する。同じように横になって覗き込みながら髪を撫でてやると、頬を摺り寄せてきた。
494静寂の理由:2005/10/01(土) 22:49:30 ID:SGcIXfgj0
「お、おい……」
「んん……あったか〜い♪…………」
「全く……甘えん坊だな、ネリーは」
胸に顔を埋めて気持ち良さそうにされてはどうしようもない。起こすのは諦め、そっと肩を抱いてやる。
膝を畳み、両手を胸元に揃えたネリーはそれだけで腕の中にすっぽりと収まってしまった。
そういえば戦闘中によく言っているな、と思いだす。恐らく佳織からでも聞きかじった英語なのだろうけど。
「ネリーは、どうして“くーるな女”になりたいんだ……?」
なんとなく声に出してしまう。すると寝ている筈のネリーの口元が微かに動いた。
「それはねぇ……へへ、ニブいユートさまには内緒だよぉ」
「……起きてたのか」
胸の中で、悪戯っぽい蒼い瞳が見上げていた。


「ん〜、やっぱカオリに怒られちゃうかなぁ?」
「ああ、もうカンカンだ。“なぽりたん”投げつけて暴れるかもな」
帰り道。しきりにスカートの裾を気にしているネリーに俺はぶっきらぼうに答えていた。
「も〜まだ拗ねてるの、ユートさまぁ」
「…………拗ねてなんかないけどな」
なんとなく一杯食わされた感じがするのは間違いない。気恥ずかしさも相まって、まともに顔を見れなかった。
しかしさっきからのそんな俺の態度にも、ちょっと覗き込んだだけで気にも留めずにやけに嬉しそうなネリー。
横目で見てみるとくるくると手を広げて楽しそうに辺りを飛び回っている。このままではどっちが年上か判らなかった。
495名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 22:50:07 ID:ynDSftiX0
親爺、支援もう一丁追加!
496静寂の理由:2005/10/01(土) 22:56:04 ID:SGcIXfgj0

「しょうがないなぁ……えいっ!」
「うわっ急に飛びつくなよ、危ないだろ」
そろそろ変な態度を取るのにも疲れてきた頃、いきなりネリーが体当たりをかましてきた。
文句を言ってみたが、実際小柄なネリーがぶつかってもふわり、とした羽のような軽さしか感じない。
咄嗟に両手で受け止めた時、長いポニーテールが夕日に煌いているのが目に映った。

「優しかったね、あの娘も、おじさんも……」
「え……ああ、そうだな」
背中にしっかりと手を回しながら、そっと呟いてくる。どことなくほっとしたような、穏かな口調。
判ってくれている人達がいる。それがこの小さな心にどれだけの勇気を与えてくれた事だろう。もちろん俺にとっても。
「あのね……今日はその、……ありがとぉ」
纏めた髪の隙間からみえるうなじが赤く染まっている。
夕日のせいなのか、それとも照れているのか。多分そのどちらでもなのだろう。だから、心から思った。
この街を守り、今日会った少女を守り、ついでにあの親爺を守り。そしてこの小さな心を守って。

「ああ、俺も楽しかったよ。…………また会いに行こうな。戦いが終わったらのんびりと、さ」
「…………ホント? いいの?」
不安そうに見上げてくる瞳は相変わらず蒼い。夕日を反射して映った俺の顔も朱くはなかった。
ふと、今朝の人々の反応を思い出す。スピリット。本来、戦いのみに生きる存在。人とは異なるモノ――――
俺は懸命にその考えを振り払った。どこから見ても普通の女の子じゃないか。小さな、健気な、ただ夢見ている。
「…………ユートさま、痛いよ……?」
「…………」
不思議そうな声が胸元で囁く。構わず、ぎゅっと抱き締める腕に力を籠めた。
……そうか、日向のような匂いがするんだ、ネリーって。鼻を掠める小さな頭に、俺は出来るだけ優しく囁いた。
「約束だ、ネリー。絶対にもう一度、“でぇと”に行こうな」
「…………うんっ!」


森の風が木の匂いを運んでくる。戦いの合間の、平穏な休息。黄昏が木漏れ日となって降り注ぐ。
さやさやと、今日三度目の『静寂』が世界を包んでいた。
497信頼の人:2005/10/01(土) 22:58:29 ID:SGcIXfgj0

×:関心 ○:感心 orz
支援、ありがとうございました。夜襲には爆笑させられましたw

ガロ・リキュア放送局で公開された設定をほんの少しだけ使ってみました。
上記以外の誤字脱字ハリオンマジック等ご指摘があれば幸いです。
498くじら318号:2005/10/01(土) 23:05:56 ID:s63YCxPG0
信頼の人GJです!
くーるなネリーの魅力 全 開 ですね。
集中して読ませていただきました。

それにしても、すごく描写が細かくて文章自体が素敵だ・・・
ワタクシも見習わなくては。
499革命:2005/10/01(土) 23:38:18 ID:8isMUu/X0
乙です>信頼の人
はぁ…、なんと言いますか
ネリーを、ぎゅうって抱きしめたい…
ネリー可愛いよネリー
500名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 00:51:22 ID:/0crLkVl0
>>497
乙かれさま。夜討ち朝駆けおはよう夜襲。
起伏の激しいネリーが親爺のヨフアルと同じくらいいい味です。
放送局で公開された設定というのがどの部分なのかよく分かりませんが。
―――ハッ!?まさかネリーの腰の辺りとか?(3連ヘヴンズ


「あら〜、ネリー、お土産ですか〜?(モグモグ)ん〜〜、絶品ですぅ〜」
「……本当、これ美味しいわね。ちょっとネリー、どこの店で買ったのか教えてくれる?」

――そうして二人は運命の邂逅を果たす事になる……
501名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 10:54:20 ID:1eFWkk6+0
>>418 憂鬱の人さん
「悟りの境地」で吹き出したと思ったら、そんな引きで締められた……!
意識せずにいられるのは家族間のような感覚を抱いているから――と、
勝手にじんわりとしていたのですが、その一線を一直線に突破してしまうのか。
また、戻ってくるであろう双子姉妹が見るものは? 楽しみにしています。

>>447 くじら318号さん
皆の豹変っぷりには頬が緩みまくりですた。
嬉しいと感じるけれどもエスを引き剥がしたり、二詰のメンバーから逃げ出したり、
見たいと思ってしまいつつも脱兎のごとく部屋を飛び出るキングオブヘタレに幸あれ。

>>497 信頼の人さん
ネリーよ……アレですか、佳織の制服が小っちゃすぎたりでもしましたか。
高台の傍にあのヨフアル屋があったのかぁ、と放送局を聞いて思っていたのですが、
作中のヨフアル親爺が想像通りの豪快さんに描写されていて思わずにやりとしてしまいました。
502名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 11:02:41 ID:uJw4vmxm0
>>497
乙です&GJっす。
制服&腹ペコなネリーかわいいですな
503名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 12:56:03 ID:9O2SXVct0
ニム、ネリー、へリオンかわええよ。放送局
けどやっぱりユートがいないのは悲しいな
新作にはやっぱでないんだよね…ハァ…
504名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 13:09:24 ID:opPvXH9y0
新作に出たら余計凹むことになると思われますが
505名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 14:17:09 ID:t1PGIehg0
言うな。それは考えないようにしているんだから(w 
と言うよりも、自分はEX未プレイなのでそっちで気が晴れそうだけど。

>>497
乙〜 はらはらしつつも何となくほっとする展開で読んでいて楽しかったです。
ただ、どう想像しても帰った後のエスぺリアとかセリアとかファーレーンが恐い気がしますが(笑
506名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 14:53:07 ID:nqqllmiq0
EXは更に反ロティ思想になりそうな気も・・・
507名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 18:55:39 ID:W5tVW1zk0
>>498くじら318号さん
丁度放送局が始まったので、その記念に、と。
文章描写は私も他の方に学んでばっかり……お互い日々精進ですw
>>499革命さん
今回はちょっと惚けたネリーの胸の内とか何とか妄想してみました。
その健気さというか、可愛らしさみたいなものを感じて頂けたなら幸いですw
>>500さん
うまい!座布団三枚w>夜討朝駆けおはよう夜襲
設定というか、三人の会話に美味しいヨフアル屋が登場してまして、その場所だけ拝借しました。
「二人はお菓子屋さん」と親爺の対決……うう、読んでみたい。お菓子上げたらあの方が書いてくれないかなぁ。
>>501さん
余り制服という設定を上手く生かしていません、いけませんね。う〜んネリーの方が背は高そうですね。それ以外は(ヘブンズ
ただあの制服を着せたかっただけなんじゃないかと自分に小一時間(ry
どうも親爺書くとすぐ大雑把な性格になってしまいます(汗
>>502さん
あの年頃ですからw 
結構いつもお腹空かしておやつの時間待ってるんじゃないかなぁ、年少組……辺りの妄想から始まったネタだったりします。
>>505さん
その辺りは楽観的に考えてるんでしょう、ネリー&悠人だし。考えるより突撃!みたいなw
エスペリア……悠人に「隊長が行方不明になってどうするんですか!」と詰め寄る。
セリア……余り気にしない。ただし対ユートフラグが立っていた場合、ネリーに苛烈なまでの訓練を施す。
ファーレーン……基本的にニムントール絡みでは無いのでお茶うけであっさり買収される。  などと妄想(ぉ
508名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 19:01:48 ID:opPvXH9y0
セリアみてたらさ、ヴァルキリープロファイルってゲームの
「貴方の働きだけど……全く褒められた物ではないわ」
とか言って来る人思い出す
509名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 19:34:23 ID:vtWfEzst0
黒い
すばやい
空を飛ぶ
触覚が2本

ヘリオンから抜き出したキーワードが「ヤツ」を連想させるのだが…orz
510名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 19:49:23 ID:fgIBhGhC0
Gですか!
511名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 19:53:36 ID:imd99I730
>>509
「手数が多い」も加えといて。
512名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:01:49 ID:CPeh9hCc0
ガクガクブルブル「テラーの使い手」も該当しますか?
513革命:2005/10/02(日) 20:20:26 ID:A38ufhrw0
>>508
あの人ですか…
ハード7章で粛清されそうになったけど返り討ちにしたのを思い出します
…結局ゲームオーバーでしたがw
って板違いですね
514名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:50:11 ID:+lgu5Yub0
>>509
君は今とても軽率な事を言った。



……言われるまで、気付きもしなかったのに。
これからふと気付くと嫌な連想が(w
515名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:53:44 ID:2r8xQn1z0
ヘリオンがエターナルになったときの剣は不変(3億年前から変わらない)ですか?
それとも生命(ほんとにしぶといですな)ですか?
あるいはストレートに五紀ですか?
516名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 21:13:11 ID:opPvXH9y0
ゴキが友人の家や自分の部屋に居た時の「絶望」
いや、普通は失望くらいだろうが既にあるしな
ていうか失望ってもしかしt(ry
517革命:2005/10/02(日) 21:18:48 ID:A38ufhrw0
>>516
家にもつい三日前に出ました>G
弟の部屋に
コキュートスかまして紙に包んでポイ
これ見てからは自分の部屋に出ない限り
優しくしてあげようって思いましたw
518名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:29:19 ID:DmzmwtMH0
               , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
               ( リ〈 !ノルリ〉))
        / ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
   カサカサ ~ ̄> ̄> ̄>   ヽ
519名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:39:09 ID:W5tVW1zk0
こう見えても本当は怖いんですよ……こ、怖いんですからねっ!
520革命:2005/10/02(日) 22:39:21 ID:A38ufhrw0
>>518
…君は今とても浅薄な暴挙で禁忌を犯しました
ヤバスw
トラウマになりそう…
521名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:57:35 ID:opPvXH9y0
G様には2つほど嫌な思い出がある
一つは顔面に飛んできたこと
二つ目は靴を履いたら踏み潰してしまったときのこと
アレ以来俺はGが視界に入るたびに飛び跳ねて遠ざかるほどになってしまった
友人にいつもオーバーリアクション杉と笑われるがこっちは真剣なんだよと
どうでもいいけどファーはこんな感じがする
ファー「ニ、ニム!貴方が面倒くさがってお部屋の掃除しないからゴキがGがっ」
ニム「はぁ……面倒」
522名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 23:15:28 ID:Mg0JyJ+j0
G、G言われると子供を食べようとする緑の恐竜が浮かんでしまう私。
523名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 23:18:45 ID:/0crLkVl0
ふっふっふ…おまいら、ファンタズマゴリアにG様などいない!

……と、思ってたら。

ショック!理想郷・ファンタズマゴリアにもGが実在した!!

 参照文献↓
ttp://etranger.s66.xrea.com/ss/short/archives/000199.html
524ぷろじぇくとG:2005/10/03(月) 00:20:00 ID:+MTAHxV70
こそこそっ、こそこそっ。
「……?」
ささっ。
さっきから、なんかおかしい。居間でぼんやりとお茶を飲んでいるだけなのだけれど、
妙な気配を感じて目を向けては、別に何の姿も見て取れない状況が続いている。
こんな風に隠れて覗くのは、アセリアとかシアーが主だったりするが、
俺が気付いたと分かれば前者はほんの少しだけ表情を緩めて、後者は恥ずかしげにはにかみながら姿を現してくれる。
かといって、オルファやネリーあたりが遊んでいるわけでもなさそうだし。
第一、あの二人ならこんなに長く隠れてられるわけもない。
何故なら俺の目の前にはお茶請けのお菓子があるんだから。
そこまで考えて、もう一人の候補に思い当たった。
そう言えば、初めて会った時にだってこうして陰からこっそりと覗いていたんだっけ。
さて、それじゃあ次に気配を感じたらちょっと呼び止めてみようか。
…………こそこそ。
……今だっ。
「何してるんだ、ヘリオ……ン!?」


               , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
               ( リ〈 !ノルリ〉))
        / ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
   カサカサ ~ ̄> ̄> ̄>   ヽ
525ぷろじぇくとG:2005/10/03(月) 00:20:42 ID:+MTAHxV70
「う、うわああああ!」
「は、はぅぅっ!?」
なんだか見てはいけないものを見てしまったみたいだ。
いや、気を取り直してもう一度見てみると、
ヘリオンの格好はいつもの戦闘服やメイド服とは違っているというだけだ。
妙にテカテカとした硬質っぽい材質で作られた衣装に身を包み、四つんばいで歩いている。
どうにか目線を合わせようと、恐る恐る屈みこみながらヘリオンに尋ねてみた。
「い、一体それは何なんだ……?」
「ふぇぇん……そんなに驚くこと無いじゃないですかぁ。
あの、この服はですね、オルファがカオリさまに聞いたという、
ハイペリア最強の生物をモチーフにしてヨーティアさまが作られた特殊な戦闘服なんですっ。
何でも、四つんばいでしか動けないにもかかわらず黒スピリットの素早さを何倍にも高める効果が有るとか無いとか、
敵を大きくひるませる効果が有るとか無いとか、わたしが着るとイメージのギャップでダメージ倍増だとか違うとかっ。
……あ、あのユートさま……? その細長く丸めた戦略地図は一体……?」
はっと気付いて、いつの間にか右手に握り締めていた大判の地図を元の場所に戻す。
「何でもない、気にしないでくれ。それで、どうしてさっきから物陰で隠れてたんだ?」
「え? えと、あの……その、に、似合っているかどうか、お尋ねしたくて……でも、えっと」
もじもじと顔を赤らめながら、床から俺を見上げる↓。

               , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
               ( リ〈 !ノルリ〉))
        / ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
  モジモジ ~ ̄> ̄> ̄>   ヽ
526ぷろじぇくとG:2005/10/03(月) 00:21:44 ID:+MTAHxV70
うわあ。
ヘリオンは決して悪くない。悪いのは自称天才。それは俺にもしっかりと分かってるのだけれど。
そんな俺の心の葛藤を読み取ったように、ヘリオンの顔色は見る見るうちに沈み込んでしまった。
「はぅ……やっぱり似合ってないんですね……
お時間を取らせてすみませんでした、あの、それじゃあ戻りますね……」
何のフォローも思いつけないまま、すごすごと帰り道に向かって方向転換をするヘリオンを見送る。
最後に一つ、力なく一息をついてから、彼女はおもむろに……

               , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
           ≦Ξ∋ ( リ〈 !ノルリ〉))
        / ̄ ̄ ̄ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((
   ブーン ~ ̄> ̄> ̄>   ヽ

「飛ぶなぁぁあああ!!!」
「い、いっったぁぁぁいっ!」
思わず、というか無意識に、というかもう既に本能のままに。
俺はもう一度丸めた地図を引っつかみ、すぱこーん、とヘリオンの後ろ頭を引っぱたいてしまった。
527ぷろじぇくとG:2005/10/03(月) 00:23:31 ID:+MTAHxV70
「……ごめん」
「ふぇ〜ん……ひどいですよぅユートさまぁ……」
ぽとり、と落ちて仰向けに倒れたヘリオンを助け起こして頭をさする。
良かった、傷もこぶもできてない。
柔らかな髪を撫で、思わずその心地よさに手を動かし続けながら話した。
「悪かった。……でさ、やっぱりその服、できれば着るのはやめてほしいな」
敵だけじゃなくて、味方に及ぼす影響が大きすぎると思う。
それ以前に、俺がこの格好のヘリオンや、場合によっては他の黒スピリットたちを見たくない。
ヘリオンの目に浮かんでいた涙がいつの間にか消えて、くすぐったそうに笑みを浮かべている。
「そうですか……はぁ、この服で強くなれればなぁって思ったんですけどね」
「服で強くなったりしても、しょうがないだろ?
それに、戦闘服が似合うとか似合わないとかも考えたくない。
そうだな、もし普段の服が別のになったりしたらまた見せてくれるかな?」
もっともヘリオンを初め、ここの皆ならよっぽどのものでない限り似合わない服なんて無いだろうけれど。
……うん。実際のところ、目の前の奇妙な服だって、動作にさえ目を瞑れば、
動きやすいようにピッチリと身体にフィットしたスーツや、背中を守る硬質の素材やら何やら、
ヘリオンが着ているというだけで、決して悪いものでは無いとも感じられるのだから。
「は、はいっ。……あの、ゆ、ユートさま?」
うん? と軽く首を傾げてみせたら、ヘリオンは大きく息を吸い込んでから、
「もし、お小遣いが服を買えるくらいに貯まったら、似合いそうな服を選んでくださいませんか?」
吐き出すように声を上げてから、真っ赤になって呼吸を整え始めた。
返事として、頭をもう一度くしゃくしゃと撫で回して大きく頷く。
その時に見せた嬉しそうな顔は、首から下の動きを無視すれば、実に心に残るものとなった。
528ぷろじぇくとG:2005/10/03(月) 00:26:11 ID:+MTAHxV70
「あ、あのぅ、それでもう一つだけお願いがありまして……
この格好で動き回るのってユートさまはお嫌いなんですよね?」
腕から解放して、まだ仰向けのままで寝転がっているヘリオンが尋ねてくる。
四つんばいになればまたかさこそと動いてしまうための処置らしい。
「ま、まぁ、そうだな」
「この服って、わたし一人じゃ着たり脱いだりできないんですよね、
だから、ヨーティアさまの所まで戻らなきゃいけないんです。
元の服もあそこに置かせていただいてるままですし。ですから、その……」
「分かった、ヨーティアの部屋まで運べばいいんだな」
と、ヘリオンを抱え上げようとしてふと気付く。背中のプロテクターやら、
関節の自由が利きにくい服の作りやらが邪魔して抱きかかえられない。
「あぅ、そ、それじゃぁこの方法で失礼しますね……」
どうしたものかと動きあぐねていると、ヘリオンがよっと横転して、
俺の脚から背中へとよじ登っていった。……うん、今の動きも忘れよう。
「全く、とんでもないもんを作らないでほしいよ」
「あ、あはは、そうですね……」
そうして俺達は、向かった先のヨーティアの部屋で盛大におんぶ状態をからかわれるのも知らずに、
どうやって文句を言ってやろうかと背中のヘリオンと喋りながら、二人で城の中へと歩きだすのだった。
529道行書き:2005/10/03(月) 00:27:13 ID:+MTAHxV70
>>518さん
やばすぎでしょ、このAA……爆笑しましたが。
途中の、改変失敗しちゃっててすみません。

中和剤、中和剤……になってるのかなぁ。
530名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:32:45 ID:dXKbujVb0
バカヤロウ、ヘリオンたんのハイロゥは白いから無問題なんだ。
531名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:09:12 ID:wn1IXeWp0
本場もんはチャバネだもんな
アレに比べりゃ軽いもんよとか思ったけど
人面犬みたいな状態でしかもあのでかさだと
ビビルかもしんない
532名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:09:21 ID:Ke2XrL1N0
イ、イービルルートは?
533名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:20:08 ID:cMLyy7QzO
むしろ白い方が嫌だ
羽と顔の部分だけ生っ白いゴキブリなんて普通サイズでも想像したくねえ
534名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:46:23 ID:S9KD5rn/0
なんか盛り上がってるようなので、やっつけですが挿しAA貼っておきますね


    , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
    ( リ〈 !ノルリ〉))/  
    ノノ(!リ*゚ヮ゚ノリハ`ゝ 
     ./ |ヘ//ノハハ〉 
    ./  |(リ;゚д゚ノ! 
    (  ⊂´ii Yliン, 
    丶 |ヘ .|.Tii< 
     \|ヘ_ノ_jイ_ゝ.
535名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 04:45:36 ID:6+xCPuW+O
Gスーツ:頭文字が特定のスピが暴走すると「フォー」などの奇声を…やめとこう
想像したくないし…
536名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 06:54:03 ID:35huFS7u0
                _ ,へ 
                ,´ /:::: |ヽ 
               ∠ <=====ゝ
        / ̄ ̄ ̄んヘ!」 ‐ノ」| 
   カサカサ ~ ̄> ̄> ̄>   ヽ

いや、触角ないし。
537名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 07:56:00 ID:u7yF5ZKc0
>>535
ハリオンがあのぴったり感のある黒いレザーを着るわけですね!
おっぱうわ何をするやめくぁw背drftgyふじこlp;@:「」
538名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 09:05:37 ID:aynYTOor0
>>529
:::::::...:。:::::::::....     , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ .. ..........::::::::..... ........... . .....
 ...。.......... .......    ( リ〈 !ノルリ〉)) ... ............. .. . ....... 
 ..........。... .......    ノノ(!リ*゚ヮ゚ノリ((   ... ............. .. . ..。.....
 ....。......... .......   ./ |ヘ//ノハハ〉  ... ......。....... .. . .......
         ./  |(リ;゚д゚ノ!  ... ........::::::::.......。 .. . .......
 ☆ :::::.... ......(  ⊂´ii Yliン,  ::::::::..::::::::............... .......
         丶 |ヘ .|.Tii<  ... ............. .. . .......::::::::..
  :::::::..... .....    \|ヘ_ノ_jイ_ゝ. ::::::::..
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. ... ............. .. . ....... .. . ........ ......
:.... . ∧∧   ∧∧  ∧∧   ∧∧ .... .... .. .:.... .... ..... .... .. .
... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ無茶しやがって… ..........
....  i⌒ /   i⌒ /  i⌒ /   i⌒ / .. ..... ................... .. . ...
..   三  |   三  |   三  |   三 |  ... ............. ........... . .....
...  ∪ ∪   ∪ ∪   ∪ ∪  ∪ ∪::::::::.... ........ ...
  三三  三三  三三   三三
 三三  三三  三三   三三

                

           ……いやまだ死んでないし。

>>537

「みなさ〜ん、お茶が入りましたよフォ〜〜」
「おおっ、ハ、ハリオンその格好は一体!?」
「今流行のピチピチルックです〜〜、レイザーハリオンハードスピって呼んで下さいフォ〜〜」
「……マジでやめて」
539名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 17:44:04 ID:vROK5eRg0
一瞬、爆裂ハンターなハリオンを想像してみたぞ
540名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 20:02:26 ID:ebl0L7Fn0
>>538
取り込まれてる!
ユート取り込まれてるよ!
541名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 20:39:25 ID:EEunYig20
ああソウユートが捕食された…
542名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 21:14:50 ID:eWvtPozH0
ヘリオン 激しく嬉しそうだなw
543名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 21:27:37 ID:LnrlS/X/0
HGハリオンか……よし
544名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 23:57:08 ID:6+xCPuW+O
アタッカー:HGヒミカ
ディフェンダー:HGハリオン
サポート:HGヘリオン
交代要員:HGファー(ry

戦闘前の口上
「ばちこ〜い!(×3)」








…正直、スマンorz
545名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 00:27:58 ID:BlR8LOaZ0
HGとか見るとPGは無いのとか聞きたくなる
546名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 07:09:07 ID:OeFC2a2w0
とつぜんですが

「まずは掃除ねどんな埃も見逃さないわよそんな所でだらしない女だと思われてもつまらないし雑巾だってちゃんと正しく絞れるわ、
 まだ午前か机の中も片付けなきゃちょっと何でこんな所に写真隠してるのよ恥ずかしいわね破いておこうかしら、
 浴衣なんてもう絶対着ないわよ初めてのデートだからって写真なんか撮らせなきゃ良かった悔しいからもっと奥に仕舞っておこう、
 わっいきなり出てこないでよ黒光りして気持ち悪いわね、動かないでもっと苦しんで死ぬことになるわよ、
 まだ昼過ぎかお風呂の水垢って落ちにくいわねつい夢中になっちゃうじゃない、洗濯も終わったしやる事無いから皺でも伸ばそう、
 うるさいわね新聞なんていらないわよ今手が放せないんだからアイロンかけ損なって嫌われたらどうしてくれるの、
 じろじろ見ないでくれるそんなに暇そうに見えたのかしら退屈なわけ無いじゃない忙しいんだから少しだけ寂しいだけよ、
 まだ夕方かそろそろ夕飯の仕込みねたまには好物を作ってやろうかしら、余り時間掛からないわね作り慣れてるし、
 もぅ遅いわね冷めちゃうじゃない折角会心の出来だったのに良い度胸だわ先に食べちゃうわよそれでもいいの、
 本当に遅いわね忙しいのかしら食べて来るとは聞いてないし浮気は無いと思うけど熱っまったくお茶こぼしちゃったじゃないの、
 はぁ時計を見るのも飽きてきたわお料理温め直さないと、面倒臭いわね本当に怒るわよ許さないんだから、
 あっやっと帰ってきたみたいしょうがないわね急いで迎えに行かないと拗ねるし…………おかえりなさい、今日は遅かったのね」

的な「テキパキ新妻セリアの昼下がりにリーブアタック」を妄想してみました。苦情は一切受け付けません。
547名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 09:25:09 ID:d3fZ883b0
>>546
なんか問い詰めを思い出した・・・・
548名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 10:16:16 ID:T7ZND0bq0
   '´ ⌒ヽ
   ! l」」ルl」」<…『消沈』
   i !ゝ゚ -゚ノゝ
   ⊂》|Tリつ*▽<Yes,Sir.
  ノノく/|_ノゝ
     し'ノ 


   '´ ⌒ヽ<先制攻撃、決めます。
   ! l」」ルl」」 .∧
   i !ゝ゚ -゚ノゝ[]
   ⊂》|Tリつ ‖< Ignition.
  ノノく/|_ノゝ .[]
     し'ノ   ∨
549名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 11:03:43 ID:HxTN2OYF0
>>546 
新妻セリア乙w
ひと〜り上手と呼ばないで〜

 × リーブアタック
 ○ リープアタック
550名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 11:33:15 ID:4senrVHF0
住むのリブに引っ掛けてるのかと思った
良い度胸だわ先に食べちゃうわよ がツボッたw
それにしてもセリアさん独り言多すg(アイスバニッシャー
551名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 11:55:57 ID:4cdunoFB0
    '´ ⌒ヽ<我々の出番なのですね
   l l l」ルl ハ∧
   Lli」゚ -゚ノ」[]
    ⊂! | |!つ‖
     く |_|〉 ‖
     し'ノii ‖
552名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 13:19:40 ID:h9uCsjBb0
ザウスのサイトでスピタン見てきたけど何か性格付けに首傾げてる俺がいる。
このスレに毒されてる・・・のかなぁ
553名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 14:46:49 ID:d3fZ883b0
>>552
間違いないでしょうねw
554名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 14:51:06 ID:K1JRNC9G0
このスレの読む→保管庫の作品を読む

これでどんどん反ロティ思想になったよ・・・
555名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 17:10:23 ID:gm/oS/JW0
実はロティがユート以上にへたれだったら
反応はどうなんだろ?
556名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 18:16:27 ID:eG6GgxXD0
>>546
漏れの中で

セリア>会長

になりました。
というか保管庫は>>390>>546を何故保管しない?
557名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 18:16:35 ID:5TEvgTLm0
某かぐやのような超絶受けシチュゲーになる悪寒w
558名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 18:39:29 ID:tvlZPmpg0
そんなことになったらこのスレ的には最悪だと思うのですが
559名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 19:17:55 ID:+rLEauST0
超絶受けゲーになっても主人公がユートなら丸く収まる気がしないでもない
560名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 19:28:48 ID:pABXg+MSO
戦闘シーンの書き方がしっくりこず、完成予定までにSSが完成しない…そんな俺は悠人以上のヘタレなんだろうなぁ…orz


悠人受けと見て、ロティ攻めと考えた俺…いや、見たくないけど
…記憶があったらヒミカあたりが書きそうな予感
561名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 20:06:14 ID:+rLEauST0
瞬×悠人
光陰×悠人
タキオス×悠人
求め×悠人
聖賢×悠人

ついカッとなtt(ry
562名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 20:14:52 ID:3svHZwBQ0
>>561
神剣とどうやってするんだYO!w



…そうか!悠人が受けか
563名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 20:40:53 ID:h9uCsjBb0
魔剣カオスとかその辺を見本にすれば十分に・・・・・・・想像しちまったよオイ
564名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 20:47:08 ID:3svHZwBQ0
>>563
なるほど、心のちん○もといオーラフォトンのち(ry

……… orz オレモソウゾウシチャッタ…
565名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 20:55:12 ID:ySj9LTAo0
>>562
柄をケツに(ry
566名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 21:00:04 ID:SPXpQ8RZ0
求めの穴に
567名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 21:01:59 ID:OeFC2a2w0
前スレから来てみたら……話題が天国と地獄ですね(汗
568名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 21:34:21 ID:UUFRlCEq0
569名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 22:06:44 ID:Y+/eO3Pz0
570名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 22:20:01 ID:3svHZwBQ0
>>569
上げないでくれ
頼むから…
571名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 22:43:46 ID:SPXpQ8RZ0
>569
うーんと。DreamElementでググってみな。
572名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 23:48:24 ID:J40sBlekO
本人か身内だろ、ほっとけ。
堂々とマルチしてるし。
573くじら318号:2005/10/05(水) 00:16:09 ID:1dS2uEpQ0
どうも今晩は。
SSを投下したいと思います。
またパロディです。

都合つけるため、以下のことはご了承ください。
・時間表記は現代のもの
・オリキャラ出しちゃった
・書いてたら長くなっちゃった
574失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:18:10 ID:1dS2uEpQ0

───ある日の真夜中・・・・・・第二詰所付近の庭園にて───

「はぁ・・・はぁ・・・」
まるで追い詰められた様にに息を切らし、足元を見つめる人影。
その足元には、ラキオス城の兵士の死体があった。
「これでいい・・・・・・これで・・・」
そう、その『殺人犯』たる人影は兵士を殺害したのだ。

ガサガサ・・・ つきあたりから誰かの足音がする。
「(・・・!まずい!)」
『殺人犯』は、なるべく気配を殺して逃走した。
なにしろここはスピリットの館の近く。やってくるのがスピリットならたちまち捕まってしまう。

どうやら、やってきたのはスピリットのようだ。幸いにもこちらには気づいていない。
「(・・・・・・そうだ、あいつがやったことにすれば・・・!)」
『殺人犯』の中でとんでもない考えが渦巻く。


突如として起こった殺人事件。
───それは、エトランジェである悠人の新たなる戦いの幕開けであった・・・
575失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:19:23 ID:1dS2uEpQ0
───次の日の朝、俺はエスペリア特製のハーブティーをすすっていた。
体中をすぅっとする感覚が突き抜ける。目覚ましにはちょうどよかった。
「ふう、やっぱ朝はこれだよな・・・」
「ユート様のようなネボスケにはよく効くんですよ。オルファもよく飲んでいました」
「ちぇっ、言ってくれるよな。俺だって早く起きようと思えば起きれるぜ?」
「じゃあ今度から自分で起きてください。毎朝起こしに行くのも疲れますから」
「・・・・・・やっぱ無理かも」
「ふふ、まあそうですよね」
俺とエスペリアは食卓で談笑する。今日は休日。
窓からの日を浴びてのんびりお茶を飲んでいると、オルファが慌てて駆けてくる。

「パパ!パパ〜!大変だよ〜!」
「・・・・・・どうしたんだ?オルファ」
「はぁ、はぁ・・・、えっと、えっとね〜えっと」
「落ち着いてください、オルファ。何があったんですか?」
「えっと、え〜っと、と、とにかくこれ!これ見て!」
オルファは一本の書簡を差し出す。この装飾、どうやらレスティーナからの書簡のようだ。
俺は、中から羊皮紙を取り出す。
「え、と。・・・・・・読めない。エスペリア、頼む」
俺は、聖ヨト語の言葉こそ喋れるものの、読み書きはまったく学んでいないことを思い出した。
こういう時に読めないのは致命傷かもしれない。
「だから、読み書きも勉強してくださいと言ったのに・・・」
ぶつぶつと文句を言いながら、エスペリアは読み始めた。

「ラキオスのスピリット隊隊長エトランジェ、『求め』のユートに玉座への出頭を命ずる。
今回の件は一般には極秘であるため、書簡にて言伝をするものであり、詳細は玉座にて伝える。
補佐として、スピリット隊副隊長エスペリアとともに至急出頭せよ」
576失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:21:59 ID:1dS2uEpQ0
「・・・・・・だ、そうです」
「極秘だって?なんだろう、一体・・・?」
首をかしげる俺たちを尻目に、オルファは説明を始める。
「それなんだけどね、今日オルファがね、ネリーたちと一緒に遊ぼうと第二詰所に行ったの。
そしたらね、なんか大騒ぎになってて、その、第二詰所の近くで人が死んでたんだって!」

俺たちはそろって驚く。
「・・・な、なんだって!?人が・・・?」
「敵の襲撃なのですか!?」
「オルファも詳しいことはよくわからないの・・・。とにかく、女王様のところに行ってみて」
人が死んだ・・・!!どんなことにしろ、ただ事ではないのは確か。
これは一大事と、俺たちは神剣を手に、玉座の間に急ぐことにした。

俺とエスペリアが玉座の間に到着すると、そこにはレスティーナとヨーティアがいた。
ヨーティアはいつもの調子のようだが、レスティーナはとても不機嫌そうだ。
「よ、やっと来たかボンクラ」
「ユート!遅いですよ!緊急事態だというのに!」
「はぁ、はぁ、すまない。それより、人が死んだって・・・!」
「レスティーナ女王陛下、一体何があったのですか!?」
「まあ、レスティーナ殿は緊急事態って言ってるけど、落ち着いて聞け」
ヨーティアは慌てて息を切らす俺たちを落ち着かせてから、今回の件について話し始めた。

「さて、ご存知の通り、第二詰所の付近の庭園で兵士が殺害された。
私が調べたところ、被害者の死亡推定時刻は昨日の午後11時30分から45分。
凶器は岩。後ろからゴツン、とやられてるね」
「凶器はその場にあったのか?」
「ああ、そうさ。被害者の血液も放射状に付着している。まず凶器は決定的だね」
「岩で殴られた・・・ということは、スピリットが犯人の線は薄いですね」
エスペリアがそう言うと、ヨーティアとレスティーナは神妙な面持ちになる。
「(・・・なんだ?どうしたって言うんだ?)」
「・・・・・・それが、そうでもないんだよ」
577失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:23:34 ID:1dS2uEpQ0
「え?」
俺の中でいやな予感が通り過ぎる。

「私たちに通報した兵士のピエールが言うには、殺人現場には、血まみれの岩を持つ
スピリットがいたというのです」
「そして、そのスピリットの名前は・・・・・・ヘリオン・ブラックスピリット」
「な、なんだって・・・?ヘリオン!?」
「そんな、まさか・・・」
「そして、私たちは重要参考人および殺人容疑で、彼女を捕らえました・・・」

そんなはずはない。ヘリオンに限ってそんなこと・・・!思わず俺は叫んでいた。
「ヘリオンがそんなことするわけ無いだろ!何かの間違いじゃないのか!?」
「ユート様!落ち着いてください!」
エスペリアが興奮する俺を静止する。
「・・・ピエールが言うには、ラキオスのスピリットの制服に、ツインテールの黒髪。
間違いなくヘリオンだったそうだよ。さらに、凶器の岩からヘリオンの指紋が発見されている。
これで疑うな・・・って方が難しいね」
「なんてこった・・・くそっ!」
「・・・それで、ヘリオンはなんと言っているのですか?」
「彼女は容疑を否認しています。『思わず岩を持ち上げちゃったんです!』・・・と」

実にヘリオンらしい否定。これじゃ疑われても仕方ないけど・・・
「なんとかならないのかよ!ヘリオンはやってないんだろ!?」
「おい、落ち着けボンクラ。なんのために呼んだと思っているんだ」
「?どういうことだ」
578失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:25:15 ID:1dS2uEpQ0
一気にいろんなことが起きて混乱している俺をなだめるようにレスティーナは言い出した。
「ユート、あなたを呼んだのは、ヘリオンを救うチャンスを与えるためです」
「え・・・ヘリオンを救うって、どうやって?」
少し希望の光が見えたようだった。助けられるなら、助けたい。ただそう思っていた。

「ヘリオンを救う唯一の方法・・・それはユート、あなたが明日の王国裁判で彼女の無実を証明することです」
「・・・裁判、ですか?」
「ああ、これは私の勘だが、この事件、どうもきな臭いように思えてね。
そこで、レスティーナ殿に手回ししてもらって、ヘリオンに助け舟を出してやったのさ」
裁判。それは『法廷』で真実を明らかにし、被告人を裁く方法。
「でも、スピリットが裁判なんて受けられるのか?」
「確かに、本来人間のための裁判をスピリットが受けるということに関しては批判も多かったのです。
ですが、ヨーティア殿のご助力により特別に受けられることになりました」
「なるほどな・・・」
ただでさえスピリットが差別を受け、虐げられているこの世界。
レスティーナとヨーティアの助けがなければ、ヘリオンは裁判を受けるどころか言い訳すら許されず、
とっくに処刑されていてもおかしくはないだろう。

「・・・ですが、それはあくまで『機会』です。もし、彼女の無罪を証明できず、有罪が確定したら、
そのときは、即刻死刑・・・スピリット隊のけじめとして、隊長であるユートが、直接首をはねることになります」
「ッ!やめてくれ!そんなこと、考えたくもない!」
偽らざる本音。俺はどうあってもヘリオンを助けたかった。
「それで、俺たちはどうすればいい」
「ユート、あなたには、裁判の際に彼女を弁護してもらいます。エスペリアはユートを補助して」
「はい。陛下」
つまり、ヘリオンの弁護士になれってことか。
「・・・ちょっと待て。俺は誰かの弁護なんてしたこと無いぞ」
「ああ、そこは安心しろ。なにしろ、検察側・・・つまり告発する方も初心者だからね」
579失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:26:47 ID:1dS2uEpQ0
「?」
「まあそれはおいといて、だ。ユート、とにかく、今からでも情報収集をするんだ。
少しでも多くの情報、証拠を集めとかないと、明日の裁判で負けることは目に見えてる」
「・・・そうだな。武器は多いほうがいい」
「それで陛下、ヘリオンはどこに?彼女にも話をうかがっておきたいのです」
「地下牢にいます」
「そうか、じゃあ早速話を聞きにいってみよう」
「ユート、忘れるなよ。ヘリオンの命運は、すべておまえにかかっているんだ・・・!」
「ああ!」
俺たちは、ヘリオンに話を聞くべく地下牢へと向かった。


ラキオス城の地下牢、そこには俺は入ったことは無かったが、イメージ通り、薄暗くて黴臭い空間。
いくつも並ぶ牢獄の中から、俺たちはヘリオンを見つけた。すっかりふさぎこんでいるようだ。
「ヘリオン」
「え・・・?」
ヘリオンは重々しく顔を上げる。
「ゆ、ユート様・・・!」
「・・・大丈夫か?」
「は、はい。でも、私・・・わたし・・・!!」
「落ち着けよ。俺たちは、話を聞きに来たんだ」
「ヘリオン、事件があったときのことを話してくれますか?」
「・・・・・・」
ヘリオンは言い渋っているようだ。まあ自分が犯人にされてるんだから無理も無いけど。
「ヘリオン、大事なことなんだ。こんなこと言いたくないけど、
もし、俺が君の無実を証明できないと、俺は・・・君を斬ることになる。
俺はそんなことしたくない。ヘリオンを助けたいんだ!だから、頼む・・・。」
俺は懇願するように言った。
「ゆ、ユート様・・・。わ、わかりました。あのときの事、お話します」
ヘリオンは、静かな声で話し始めた。
580失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:28:29 ID:1dS2uEpQ0
「わ、私、昨日の午後11時30分ぐらいに、外から妙な物音が聞こえてきたんです。何かを叩くような・・・。
そ、それで〜、何があったのかを調べるために外に出たんです。
音のしたほうに行ってみると、そこで、人が血まみれで死んでいたんです!
そ、そのとき、これで殺されたんだと思って、思わず血のついた岩を持ち上げちゃったんです」
「なるほど、そのとき見つかったのか。・・・タイミング、悪かったな」
「ちなみに、物音を聞いてから現場に行くまでどれくらいかかりましたか?」
「に、2〜3分ぐらいだったと思います・・・」

つまり、死亡推定時刻とヘリオンの行動した時刻はほぼ一致。でも変だな・・・
「ヘリオン、そのとき他に誰かいなかったか?」
「わかりません・・・」
「2〜3分もあれば、逃走は難しくないと思います。おそらく、既に・・・」
「・・・だろうなぁ。でも参考になったよ、ありがとうヘリオン」

しかし、それで気分が晴れるということは無く、ヘリオンは目に涙を浮かべていた。
「で、でも、もしユート様が失敗したら、私・・・」
「・・・・・・そうだ。でも、そんな目にはあわせない。絶対に」
「絶対なんて、ありえないです・・・」
今にも泣き出しそうだ。ここでヘリオンを不安にさせるわけにはいかないな。
「大丈夫。だって、殺してないんだろ?俺はヘリオンを信じてるから。必ず無実だって事をを証明して、
ヘリオンを助け出してみせる。だからさ、ヘリオンも俺を信じてくれ」
「そうです、ヘリオン。ユート様を信じて」
「・・・・・・わかりました。わ、私、ユート様を信じます!」
ヘリオンの瞳に輝きが戻ったように感じた。そうだ、こうでなくては。俺はヘリオンを助け出すんだ!

「ユート様、次は殺人現場に行ってみましょう」
「ああ。じゃあヘリオン、また明日、法廷で会おうな」
「は、はい!私、信じてますから・・・・・・!」
俺たちは、ヘリオンの信頼の視線を浴びながら、牢獄を後にした。
581失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:31:19 ID:1dS2uEpQ0
少しして、俺たちは第二詰所付近の庭園、殺人現場に来ていた。
ヨーティアの気遣いあってか、現場はしっかりと保存されているようだ。
「ここに、倒れていたのですね」
そこには、どす黒い血だまりができていた。
「そうだな。それで、この岩が凶器ってわけか」
球体にすると直径15cmほどの無骨な岩。その一角に放射状に血痕がついていた。
「う〜ん、それ以外にも何か無いかな。」
下手に現場を荒らすのも良くないが、ヘリオンを助けると誓った手前、
何か証拠を探さずにはいられなかった。

「あ・・・ユート様、これは?」
エスペリアが何か見つけたようだ。
「なんだこれ・・・?歯、かな?」
「被害者の歯でしょうか・・・?」
「そうだな、それはとっておいて。あとでヨーティアに調べてもらおう」
俺は、ドラマとかでよくあるように、証拠物件をビニール袋に入れとこうかと思ったが、
この世界にはビニールはない。瓶の中に歯を入れることにした。
「他にも何か無いかな」
俺たちは、現場のあたりをしばらく探索していたが、他にはこれといったものは見つからなかった。
「ん〜・・・こんなもんなのかな。エスペリア、どうする?」
「そうですね・・・とりあえず、現在までにわかったことを整理してみましょう」


俺たちは、状況を整理してみた。
まず、被害者はラキオスの兵士。後ろから岩で殴られて殺害された。
殺害されたと思われる時刻は11:30〜11:45の間。
ほぼ同じ時間にヘリオンが物音を聞き、2〜3分で現場に行って、
思わず岩を持ち上げたところを発見される。
そして、現場には誰かの歯。
582失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:33:14 ID:1dS2uEpQ0
「・・・・・・う〜ん、全然わかんないな」
「まあ、そんなに急いでも結論は出ないでしょう。とりあえず、ヨーティア様のところに行ってみましょう」
「そうだな、この歯を調べてもらおう」
俺たちは城に戻ることにした。


俺たちは城に戻り、今までのことをヨーティアに話した。
「ふむふむ、なるほど。それで、この歯を調べりゃいいんだね?」
「でも、俺たちはこれ以上何を調べればいいんだ?」
「ユート様、私に考えがございます」
「え、何?」
俺はエスペリアの意見に期待した。
「ヘリオンを見かけたという、兵士のピエールに会ってみてはどうでしょう」
「あ・・・!」
すっかり目撃者のことを失念していた。そうだ、まずは目撃者に会うべきじゃないか!
「ああ〜、それだったら無理だよ」
「え、な、何でだよ!」
「実はね、彼は検察側の証人として保護されてんのさ。とはいっても、
目撃したときのことは明日の裁判で証言するつもりらしいけどね」
「なんだよ!それじゃもうお手上げじゃないか!」
俺は思わず怒鳴る。しかし、ヨーティアは冷静に答えた。
「ユート、裁判ってのは、判決が出るまでが勝負だ。当日の証言から、
無実への糸口がつかめることもある。決してあきらめるんじゃないよ」
「あ、ああ・・・」
「ま、この歯はなんとか調べとくからね。今日はもう館にもどんな」
「エスペリア、大丈夫かな・・・?」
「私には判断しかねます・・・。ですが、必ず助け出すのでしょう?」
「もちろんだ!」
決意を新たにすると、ヨーティアが声を張り上げた。
「あ〜そうだそうだ、おいユート、これをお前に渡しとくぞ」
ヨーティアは、封筒を取り出して俺に渡してきた。
583失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:35:57 ID:1dS2uEpQ0
「・・・これは?」
「私が死体を調べた結果、わかったことが全て書いてある。ちゃんと目を通しておけ」
「・・・!そうか、ありがとうヨーティア」
「ありがとうございます、ヨーティア様」
「例には及ばないよ。私もヘリオンを助けたいからね」
それでも、信頼できる武器が手に入るのはこの上なく心強かった。

俺は、館に戻って、食卓でエスペリアと相談をしていた。
「・・・で、なんて書いてあったんだ?」
「えーとですね、後頭部の致命傷の他に、腹部に打撲の痕、それと、3つ、腕に引っかいたような傷があったようです」
「・・・それだけ?」
「これだけですね」
本当に少なかったのか、要らん部分は省略されているのか。これだから天才は厄介だ。
これじゃ、死体に傷が増えただけだ。相変わらず何も進展しない。
「う〜ん、さっぱりだ」
「いいえ、わかったことはあります」
「え?何が?」
俺はきょとんとしていた。
「普通、人を殺害する場合、致命傷は最後に与えられます。つまり、
致命傷である後頭部への岩による一撃は最後についたものの可能性が高いです」
「ふむふむ?」
「要するに、腹部の打撲、腕の傷はその前についたことになります」
「あ・・・!!」
「わかりましたか?被害者は、死ぬ前に犯人と戦っていた可能性があります」
被害者は死ぬ前に犯人と戦っていた・・・!それがどういうことか、すぐにわかった。
「普通の人間は、真正面からスピリットと戦おうとなんてしないよな?」
「その通りです。もし戦っていたら、おそらく致命傷だけが付くでしょう。
つまり、犯人はヘリオンではなく、別の人間である可能性が浮上するのです!」
大きな手がかりを得た。ヘリオンの無実を手助けする手がかりを・・・!
俺たちは、その手がかりを手にして、明日に備えて休むことにした。
「(ヘリオン・・・待ってろ。必ず、俺が助け出してやるからな・・・!)」
584名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 00:36:37 ID:Zf6W8itE0
支援
585名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 00:37:02 ID:y6UwzsKd0
支援いっきまーす
586失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:38:50 ID:1dS2uEpQ0

───強烈な日差しの昼下がり・・・・・・俺は『求め』を右手に立っていた。
ここは町の広場で、周りには何百人もの人々。
そして、俺の目の前には───正座した状態で拘束されたヘリオン。
「(なんだこれは・・・・・・何が始まるんだ・・・・・・)」
今考えている意思とは別に、俺は言葉を紡ぐ。
「・・・・・・これより、ヘリオン・ブラックスピリットの処刑を執り行う!」
「(─────!!)」

周りから、耳を劈くような歓声が聞こえる。
「(こ、これは!まさか、俺が立っているのは・・・処刑台!?)」
俺は、自分の立っている状況、そして、周りから聞こえてくる人々に目と耳を疑った。
人々は、『早く殺せ!』といわんばかりに騒ぎ、まるで処刑を愉しむような目で見ている。
「(なんだよこれ!そんなにヘリオンが死ぬところを見たいのかよ!)」

だが、体の自由は利かない。俺は淡々と言葉を続ける。
「大罪を犯し、法の下に死を受け入れるものよ、何か言い残すことはあるか?」
「(違う!これは俺の言葉じゃない!)」
そう言って、俺はヘリオンを見下ろしていた。
「(・・・・・・泣いてる?)」
「ユート様・・・私、信じていたのに・・・。どうして・・・?」
俺は黙っていた。何も言えなかった。
「でも、仕方ないんですよね・・・・・・。ユート様、私のこと・・・・・・忘れないでください・・・」

「もういいだろう・・・せめて、苦しまないように・・・」
俺は『求め』を振り上げた。これから、処刑が始まる───
「(や、やめろおおおおぉぉぉっ!やめてくれええぇっ!!)」

───そして、俺は真一文字にヘリオンの首を───
587失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:40:27 ID:1dS2uEpQ0

「う、うわあああああぁぁぁあっ!!!」

一瞬で風景が入れ替わった───ここは、館の俺の部屋。
俺は、ベッドから上半身が跳ね上がった状態で、体中が汗まみれだった。
「はぁ・・・はぁ・・・、くっ・・・ゆ、夢か・・・・・・」
縁起でもない。これから裁判だというのに。
「もし、失敗したら・・・現実になるんだよな。くそっ!」
とんでもない夢。正夢にするわけにはいかない、絶対に。
「もう、眠れそうにないな・・・」
まだ明け方だったが、すっかり目が覚めてしまった。
『契約者よ』
「・・・?なんだよ、バカ剣」
昨日は全然言葉を発しなかった『求め』が呼びかけてくる。

『お前の夢、我も見させてもらった。我からすれば、なかなか面白い趣向だったぞ』
「ふざけるな・・・!!」
『契約者よ、夢というのは、その者の心が大きく影響するものだ。
お前がそのような夢を見たということは、それを何よりも恐れているということだ』
「そうだよ。俺はヘリオンを手にかけたくない」
『・・・今まで、数え切れないほどのスピリットを斬ってきたのにか』
「!!そんなことは」
『関係ない、か?フ、まあそれでも良かろう。お前が助けるのは、スピリットではない。
志を共にする仲間、そうだろう?』
「(・・・・・・そうだ。俺は、ヘリオンという仲間を助ける。それだけだ)」
『契約者よ、敗北を恐れるな。少しでも隙を見せれば、恐怖はお前を支配してしまうだろう』
まるで賢者のような言葉で俺を諭してくれる。これがバカ剣なりの励ましなのだろう。

「(・・・サンキュな)」
俺は一礼した後、『求め』を腰に下げて食卓に向かった。
588失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:42:08 ID:1dS2uEpQ0
俺とエスペリアは食卓で朝食を済ませて、戦い(裁判)の準備をしていた。
「ユート様、資料はお持ちになりましたか?」
「ああ、大丈夫。全部あるよ」

とはいっても、今までわかったことを(日本語で)記したメモ。それと、ヨーティア直筆の検死書。
今のところ、武器となる証拠はこれだけだ。
「ユート様、落ち着いてくださいね」
「わかってるさ。さあ、行こう!」
俺たちは、裁判が行われる場所、ラキオス城内の法廷へと向かった。


俺は、控え室でイメージトレーニングをしていた。
「(少しでも、緊張に耐えられるようにないと)」
「あ、ユート様?お客様ですよ」

そういわれて扉のほうを見ると、そこには、頑丈な手錠をしたヘリオンがいた。
「ゆ、ユート様・・・」
やはり心配そうな顔。でも俺は笑って答えた。
「大丈夫だよ。必ず助けてやるって言っただろ?」
そういって、頭をなでてやる。すると、ヘリオンも少し笑顔になった。
「は、はい!あの、ゆ、ユート様、頑張ってください!」
「ああ!」
ヘリオンの激励を受けると、兵士の言葉が響く。
「これより裁判を行う!被告人および弁護人は入廷せよ!」
「よし!行くぞ!」
いよいよだ・・・!俺たちは、意を決して法廷へと足を踏み入れた。
589名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 00:43:39 ID:m/9rLxEN0
支援
590失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:44:46 ID:1dS2uEpQ0
ガヤガヤガヤ・・・法廷は意外と騒がしかった。というのも、傍聴席にはスピリット隊のメンバーがいるからだ。
・・・・・・たった一人を除いては。
本来ならスピリットは裁判を見ることもできないのだろう。周りの人間たちはざわめいている。
「・・・静粛に!」
裁判長に扮したレスティーナが木槌で音を鳴らす。
「(う〜ん、元の世界の裁判によく似てるな)」
そう考えていると、エスペリアは驚きの表情になった。
「・・・!ユート様、あれは!?」
エスペリアの視線は検察官のほうに向いていた。俺もその方を向くと、そこには・・・!
「な、せ、セリア!?」
「ユート様。あなたが弁護人だったのですね」
傍聴席にいないと思ったら・・・!俺の視線はすぐにレスティーナの方に向いた。
「レスティーナ!これはどういうことなんだ!」
「実は、人間の検察官が皆出廷を拒否してきたのです。それで、最も冷静に、状況を判断できる人物。
ということで、セリアを検察官に抜擢したのです」
俺は反射的にセリアを睨んでいた。
「セリア・・・、まさかセリアは、ヘリオンが犯人だと思っているのか?」
「ユート様、私だってヘリオンが犯人だとは思いたくありません!ですが、
私たちの役目は真実を求めることです。公私混同はしないでください。迷惑ですので」
「ユート様、セリアの言うとおりです。決して、憤慨なさらないよう・・・」
エスペリアは俺をなだめる。でも、納得いかない。
「で、でも、セリア!」
「ユート様!今日は、真実を求める立場上敵となります。情けなどかけないでください!」
びしっと止められてしまった。やるしかないのか・・・!
冷静沈着で頭脳明晰のセリアを相手に、果たして勝てるんだろうか・・・。
『契約者よ、まさか、我の言葉を忘れたわけではあるまいな』
不安になる俺に、『求め』がアプローチをかけてきた。
「(敗北を恐れるな・・・か。そうだよな、必ず助けるって誓ったもんな)」
『そうだ、それでいい』
深呼吸を二、三度繰り返す。よし、落ち着いた。レスティーナの声が響く。
「これより、ラキオス王国裁判を開廷する!!」
───戦いが、始まった。───
591失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:45:59 ID:1dS2uEpQ0
「まず、今回の件について、検察側、冒頭弁論を」
「はい。今回は城内第二詰所付近の庭園で起こった兵士殺害事件です。
死亡推定時刻は二日前の午後11時30分から45分の間で凶器は岩。
ほぼ同時刻、兵士のピエールが現場にいた被告人を発見し、拿捕。
また、凶器に被告人の指紋がついていたことから、検察側は被告人を告発しました」

「ご苦労。弁護人」
「は、はい」
「この冒頭弁論に異議はありませんね?」
ほとんど昨日聞いたとおりの内容。一応メモにも目を通すが、間違いは無い。
「はい、ありません」
「よろしい。これより、事件の真実を紐解くため、検察側が証人を用意しているとのこと。
検察側、証人を入廷させなさい!」
「はい!証人、ピエールを入廷させてください」
「(さて、これでどう出るかだな・・・)」
・・・と考えているとエスペリアが耳打ちしてくる。
「ヒソヒソ・・・ユート様、落ち着いて証人の言葉に耳を傾けてください。
ヘリオンが本当に無実なら、どこかで矛盾が生じるはずです」
「わかった・・・やってみる」

今回の事件の目撃者、兵士のピエールが入ってきた。
「証人、名前と職業を」
ちょっと突っ込みをいれたくなった。いや、形式的なものなのだとわかってるんだけど。
「私はピエール。ラキオス城の兵士です」
「殺人現場を目撃したとのことですが・・・」
「はい!私は見てしまったんです。血まみれの岩を持ったスピリットがいるのを!」
「では、その時のことを証言してください」
ピエールは証言を始めた。俺は聞き逃すまいと、一字一句を集中して聞こうと思った。
592失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:47:45 ID:1dS2uEpQ0
「あの時・・・午後11時20分ごろのこと、私は警備のため、城内を歩き回りました。
10分ほど歩いていて、第二詰所のあたりまでくると、人影があったんです。
近づいてみると、そこには血まみれの岩を持ったスピリットがいたのです!
私は大急ぎで応援を呼びました。その後すぐ、そこのスピリットを捕らえたのです」

「(・・・・・・なるほど、もっともっぽい証言だけど・・・)」
ふと目を横にやると、エスペリアはヘリオンを見ていた。
「ヒソヒソ・・・どうしたんだ?」
「ヒソヒソ・・・ちょっと気になることがあるんです」
「?」
「ヒソヒソ・・・ヘリオンの服装ですが、あれは事件当日のままなのでしょうか・・・?
ユート様、それも交えて尋問を行ってください」

ヘリオンの服装・・・それは、いつも見ているラキオスのスピリット用の制服。
丸一日以上地下牢に入っていたせいで汚れていること意外目に付く事は無い。
「では、弁護人。尋問を」
「は、はい」
なんとかやるしかない・・・!

とりあえず、俺は俺が気になったことを聞いてみる。
「えーと、証人、大急ぎで応援を呼んだ、と言ってましたが、
実際に被告を見てから捕らえるまでどれくらい時間がかかりましたか?」
「他にも警備をしていた兵士がいましたし、大声で叫びながらでしたから、
1分もかからなかったと思います。」
大声で・・・?ヘリオン・・・よく逃げなかったな。ん?待てよ・・・。
俺はさっきのエスペリアの疑問を思い出す。
「・・・ヘリオンの服装ですが、あれは事件当日のままなのでしょうか・・・?」
発見されてから捕まるまで1分もかからなかった。当然、着替える暇も無かった。
つまり、ヘリオンは今も事件当日の服装をしていることになる。もしかして・・・!
593名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 00:49:52 ID:3o3ODIQB0
支援
594失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:50:27 ID:1dS2uEpQ0
「証人、あなたが見たのは、血まみれの岩を持った被告、間違いありませんね?」
「はい、間違いありません」
「証人、それでは、被告を告発するのには不十分なのですよ」
「ユー・・・弁護人、どういうことですか?」

驚きのあまり、レスティーナは思わず俺の名を呼びそうになる。が、俺は続けた。
「証言からすると、証人は被害者が殺害された瞬間を見ていない。
血まみれの岩を持った被告を見ただけだ」
「・・・何が言いたいの?それでも、告発には十分だと思うわ」
と、セリア。
「セ・・・いや、検察側。被告を見て何も気づかないのか?」
「何って・・・、手錠以外は薄汚れたいつもの格好ね・・・・・・あ!!」
「気づいたようだな・・・」
「ど、どういうことですか」
ピエールはうろたえている。ここがチャンスだ!と思って、俺は説明を始めた。

「いいですか、みなさん。もし被告が本当に兵士を岩で殴って殺害したとすると、
決定的なものが足りないのです。」
「弁護人・・・それは?」
「血痕・・・そうでしょう?」
「そうです、証人はさっき、発見してから捕らえるまで1分とかからなかった、と言いました。
着替える暇も無かったはずです。つまり、被告は今も事件当日の格好をしているのです」
法廷内の全員の視線がヘリオンに向かう。
「もうお分かりですね?ヨーティアの報告によると、岩には被害者の血痕が放射状に付いています。
それほど血が飛び散ったのなら、今、被告の服にも血痕が付いているはずなのです!」
「────!!」
595失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:53:17 ID:1dS2uEpQ0
「・・・それが、どうしたの?」
セリアは至って冷静だ。
「スピリットが防御障壁を貼れる事は知っているでしょう?神剣による攻撃でなければ、
攻撃と同時に障壁を展開することは可能よ」
あくまでヘリオンを攻撃するように言うセリア。でも俺はすぐに反論した。
「・・・ブラックスピリットの防御障壁は同時に反撃を行うものだから、すぐ動けるように
障壁はほかのスピリットより範囲がすごく狭いんだ。だから、おかしいんだよ、
血痕が一滴も付いていないというのは・・・!」
「!」
さらに俺は続けた。ここで一気に押すッ!
「それと、ここに検死書がある。これによると、
被害者は後頭部への致命傷以外に腹部への打撲と腕に引っかき傷を受けている。
ということは、被害者は死亡する前に犯人と争っていたということになる。」
「それは、いくらなんでも被害者だって抵抗するでしょう」
「・・・・・・裁判長、もしあなたが被害者なら、スピリットを相手に抵抗できますか?」
「あ・・・!」
「そう、もしスピリットが犯人なら、こんな余計な傷は付きません。
スピリット隊で一、二を争うスピードの持ち主である被告ならなおさらです。
普通の人間なら、回りこまれたと気づくことなく一瞬で決まるでしょう。
このことから、被告は、被害者が死亡してから現場に来た可能性が高い!」
・・・決まった。これで大分有利になったと思うけど。
「・・・つまり、弁護側の主張は、犯人は別の人間である・・・と?」
「そうです」
「・・・ですが、それでは犯人が別にいるという可能性を示しただけに過ぎません。
被告を無罪にするには、決定的な証拠が必要です」
「それに、今重要なのは犯人が誰か、ということではなく被告が犯行を行ったかどうかよ」
ステレオで否定されてしまった・・・!これじゃあまだ説得力不足だ!
「え、えと・・・」
「ユート様!落ち着いてください!」
「おそらく判決は先延ばしになるでしょう。被告はまだ被告のままですね」
頭の中が真っ白になる。・・・何も思いつかない!くそっ!ここまでなのか!?
596失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:56:15 ID:1dS2uEpQ0
あきらめかけていたその瞬間、法廷の扉が勢いよく開かれた。
「うお〜っし!間に合ったぁ〜!」
大声とともにヨーティアが飛び込んできた。その手には歯の入った瓶と封筒がある。
「おいボンクラ!これが決定的かつ最強の武器だ!」
ヨーティアは封筒を俺に渡してきた。俺はすぐそれを開けて、エスペリアに読ませた。


「ユート殿、依頼どおりに歯を調べた結果、次のことが証明された。
まず、この歯は被害者の死亡推定時刻とほぼ同時に抜けたものであること。
そして、この歯は被害者以外のものである! ・・・以上」


「・・・・・・・・・」
法廷内がしん、とする。
だが、俺の中である考えが形を作り始めていた。おそらく、これが真相だ・・・!
「・・・で、それがどうしたのですか?」
「被害者以外の歯・・・ね。ということは、犯人のものということになるのかしら」
そこだ!とばかりに俺は発言した。
「そういうことです。おそらく、犯人は被害者と争った時に、顔を殴られるとかして
歯が取れてしまったんでしょう。これでさらに、スピリットが犯人である可能性が
減りましたね。さらにこんなこともあるんですよ」

俺は語った。
「みなさん、ご存知ですか?スピリットは、体の一部が切り離されると、その部分が
マナの霧になるということを・・・!」
俺は、イースペリアでのアセリアとウルカの戦いでそれを見ていた。
ウルカの斬撃で切り離されたアセリアの髪が、マナの霧になっていたこと。
「つまり、この報告書は、犯人はスピリットでは有り得ないと証明しているんだ!」
597失望、そして逆転:2005/10/05(水) 00:58:50 ID:1dS2uEpQ0
「─────!!」
法廷内が騒然とする。これでどうだ・・・!
「ユート様、どうやら大勢決したようですね」
少しして、レスティーナは口を開く。
「・・・弁護側の主張を認めます!検察側、何か異議はありますか?」
レスティーナはセリアに目配せする。セリアは、それを待ってましたとばかりに言った。
「いいえ、ありません。被告が無罪であることを、検察側も認めます」
「わかりました。では、被告人、ヘリオン・ブラックスピリット、前へ!」
「は、はいっ!」
ヘリオンが証言台に上ると、レスティーナは、法廷内の全員の顔を見渡してから言った。
「被告人に判決を言い渡します!・・・・・・無罪判決を!!」
法廷内は歓喜に包まれた。
スピリット隊のメンバーも全員笑顔を浮かべてこちらに手を振っていた。
俺はそれに応えた。
よかった。これでヘリオンは開放されるんだ・・・!


「ちょ〜っと待ったあぁ〜!!」
ヨーティアが大声を上げた瞬間、法廷内は静寂に包まれた。
「ど、どうしたんだよ。もう判決は下されたんだぞ」
「あんたらね〜大事なことを忘れちゃいないかい?」
「大事なことって・・・あ!」
どうやらレスティーナとセリアは気づいていたようだ。
「真犯人か・・・!」
「そう、まだ真犯人に対する判決が残っているじゃないか」
「でも、判決は今からじゃ無理じゃないか?犯人をヘリオンだって決め付けてたから、
ろくに捜査はしていないんだろ?」
俺がそういうと、ヨーティアはあきれたように言ってきた。
「何言ってんだい。犯人の手がかりなら、もう持っているじゃないか」
598失望、そして逆転:2005/10/05(水) 01:00:47 ID:1dS2uEpQ0
「そうか、この歯の報告書・・・!」
「そういうこと。あの時、現場に来れた人間は城内警備兵だけ。
つまり、その中から抜けた歯が一致する奴が、犯人だってことさ」
「では、早速調べてみましょう!」
エスペリアは急かすが、どういうわけか俺は落ち着いていた。
「俺のいた世界に、『犯人は現場に戻ってくる』って言葉があるんだ。
というわけで、まず手近なところからいってみようか。・・・ピエールさん?口を開けてもらえますか?」

視線が証人に集中する。
「その必要はありませんよ・・・」
さっきまで黙っていたのに、突然喋りだす。
「まさか、あなたがやったのですか・・・?」
「はい、女王陛下。私が此度の殺人事件の犯人です。・・・こうなっては、もう逃げられませんからね」
「真相を、聞かせていただけますね?」
「はい」
ピエールは語りだした。
「あの晩、私はあいつと一緒に警備をしていたのです。
ですが私は、ある動機からそのとき既に殺害衝動に駆られていました。
スピリットの館の前まで来ると、そこで一撃で人を殺せそうな手ごろな岩が目に入りました。
あいつは鎧を付けていても兜はつけていなかったから、剣よりも岩のほうがいいと思ったんです。
そして、あいつを気絶させようとして取っ組み合いになり、腹に入れて怯んだところで岩を持って・・・。
そのあと、人の気配を感じたので、すぐに逃げたんです。・・・そのとき、魔が差したのでしょう。
そのときやってきたスピリットに罪を着せようだなんて・・・。そして、回り込んで応援を呼びました」

淡々と紐解かれる真相。それによると、初めからスピリットに罪を着せようとしたわけではなく、
ヘリオンがやってきてしまったのは、どうやら本当にただの偶然らしい。
「(・・・・・・ヘリオン、つくづく運が無いんだな・・・)」
「それで、動機というのは・・・?」
彼の口から語られた動機。それは、彼の奥さんが被害者と浮気をしていたことによる妬み。
なんとも、低俗な動機。俺は、同情の余地は無いな、と思っていた。
『殺人犯』ピエールは、その後、有罪判決とともに20年間の強制労働を言い渡された。
599失望、そして逆転:2005/10/05(水) 01:04:07 ID:1dS2uEpQ0
「・・・・・・それでは、今回はこれにて閉廷!!」
戦いは終わりを告げた・・・


数十分後、俺たちは控え室で裁判の反省会をしていた。

「ユート様、おめでとうございます」
「ありがとう、エスペリア。本当に助かった。俺のほうが先に死ぬかと思ったよ」
「いいえ、私はなにもしていません。全てはユート様の洞察力と発言の賜物です」
「ははは・・・(そんなこと無いけどなあ)」
俺は完全に力が抜け切っていた。裁判に勝ったこと、ヘリオンを助け出せたこと。
これで、本当に終わったんだ・・・。

『フ、契約者よ、それはどうかな?』
「・・・?どういうことだ、バカ剣」
「あ、ユート様。今日の最高のお客様がおいでになられましたよ?」
エスペリアも、なんだか悪戯っぽく笑っていた。
首をかしげていると、廊下から誰かが走ってくる音が聞こえてきた。


扉が勢いよく開き、黒い影が胸に飛び込んできた。
「ユートさま〜〜〜!!」
「ヘ、ヘリオン!?ってうわっ!!」
虚を突かれた俺は、抵抗する間もなくヘリオンに抱きつかれた。
「ゆ、ユート様、ありがとう、ありがとうございます〜!」
「え、あ、ああ、よかったな。疑いが晴れて」
突然礼を言われて、なんだか変な返答をしてしまった。
600失望、そして逆転:2005/10/05(水) 01:06:08 ID:1dS2uEpQ0
「ユート様、わ、私、信じていました。絶対に勝って、私を助けてくれるって!」
「うん。俺も、ヘリオンを信じてた。だから、あれだけ本気で弁護できたんだ」
「で、でも、私、本当はすごく怖かったんです〜。もしユート様が負けちゃったらって〜」
本当に怖かったのだろうが、俺は少し吹き出すように言った。

「何言ってるんだよ。信じてたんだろ?」
「そ、それでも、怖かったんです〜!何度も、泣きそうになりました・・・。」
「そうか・・・辛かったよな。突然、人殺しの濡れ衣を着せられたんだもんな」
「は、はい。でも、私、ゆ、ユート様に信じてくれって言われて、わかったんです!
わ、私の涙は、辛かったり、怖かったりするときに流すものじゃないってこと・・・」
「え?」
何を突然言い出すのか。俺はあっけらかんとしてしまった。

「わ、私、今すごく嬉しいんです。だから、今ここで泣かせてください・・・ユート様・・・」
「お、おい・・・」
止めるまでもなく、今までの皺寄せが一気に来たように、ヘリオンは泣き出してしまった。

「ぅう、うう、うえええぇ〜〜〜ん!!ユート様!ユート様ぁ〜〜!!」
俺の胸を借りて思いっきり泣きじゃくるヘリオン。少し嬉しいけど、めちゃくちゃ恥ずかしい。
ふと目をやると、エスペリアはくすくすと笑っている。
・・・・・・しかも、そのさらに後ろでいつの間にか来ていたセリアまで笑いを堪えていた。
『フフ、役得だな。契約者よ』
「(・・・まあ、今ぐらいはこんなのもいいか)」

俺はヘリオンを落ち着かせるように、そっと頭を撫でてやった。
「う、うっ、ひっく、ひっく・・・ゆ、ユート様・・・ありがとう〜・・・」
俺たちは、しばらくそうしていた。なんだか、時間が止まったような感覚。
こういうのを幸せっていうのかもしれない。現に、俺は幸せだった。
俺は、ヘリオンが助かってよかったと、心の底からそう思っていた。
601失望、そして逆転:2005/10/05(水) 01:08:15 ID:1dS2uEpQ0

『・・・・・・契約者よ、いつまでそうしているつもりだ?もう10分ほど経つぞ?』
「え・・・あ゙」
バカ剣に突っ込みを入れられ、俺は我に帰った。
エスペリアとセリアは、笑いを通り越してあきれたような目で見ていた。
いきなり現実という現実に押し戻された気がする。・・・・・・死ぬほど恥ずかしい・・・。

「ヘ、ヘリオン?もういいだろ?」
「はうっ!は、はい〜・・・」
幸せに浸っていたのは俺だけじゃなかったようだ。まあ無理も無いか。
「さ、みんな!ヘリオンの無実を祝って、館に凱旋だ!」
「はい!ユート様、参りましょう!」
俺たちは、意気揚々と館に戻っていった。


その夜、俺たちスピリット隊のメンバーは第二詰所で祝賀会を行った。
今まで、こんなにまで幸福を感じたことがあっただろうか。
俺たちは時が経つのを忘れ、全員が疲れて寝てしまうまでどんちゃん騒ぎをしたのだった。
・・・・・・まあその次の日、レスティーナに叱られたのは俺だけど。でもいいかな。


「・・・・・・むにゃ、ん〜、ユート様ぁ〜・・・私は、ユート様に会えて、幸せです〜・・・むにゃ」
今まで運の無かったヘリオン。だが、今この時は、『悠人』という幸運を手に入れていた──。




               ── お し ま い ──

602くじら318号:2005/10/05(水) 01:12:42 ID:1dS2uEpQ0
以上です。
投下していて感じたんですが、設定dでたりするのも勘弁してくださいorz


余談ですが、本当は真相はもっと複雑で、
スピリット隊のメンバーも証人にするつもりだったんですけど、
あんまり複雑にしたら萎えるかな・・・と思ってシンプルにしました。
603名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 01:26:49 ID:B4DMPsfj0
支援できませんでしたが、乙です
単発でもいいですがぜひシリーズとして
頑張ってもらいたいものです
604名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 07:43:03 ID:s1dczAuH0
>>602
恐るべしヨーティア、既に指紋照合による犯罪捜査を確立しているとは。
やけに殺人に詳しいエスペリアさんにも注目。経験でもあるのでしょうか、いけませんね。
それにしてもヘリオン、そんな状況で思わず岩を持ち上げるって、なんてうっかりさんなんだw

レスティーナ裁判長、ソゥ・ユートのヘタレを告発したいと思います。

「異議なし!」byスピリット隊一同
605名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 08:23:20 ID:DGOL0Gqu0
ドジっ娘ヘリオンここに極まれり。
ヨーティアスゴス。
求めたん意外な補佐役。
予断捜査はいけませんね。
ピエールの細君はどうなったんだろう。
鉄格子越しの指切りとかあると良かった。
606名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 10:12:49 ID:p6mNgvXV0
>>602
逆転裁判を思い出させるような展開ですね
GJです
悠人が「意義あり!」と叫ぶのを期待してしまいまったw
607名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 15:29:19 ID:/tyXvc3r0
この設定だと、第2話でエスペリアが殺されてしまう!!
608名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 17:21:19 ID:E/YoQTmb0
今何の脈絡もなくびっくりするほどユート様!びっくりするほどユート様!!
っていうヘリオンが頭に浮かんだ
今の私はEスピリットならぬGスピリットとか言ってるんです
もう俺は駄目かな、って思いました
609名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 18:51:29 ID:H5eKiPSj0
そしてヘリオンに乗り移るエスペリア
610名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 19:00:46 ID:H/jhc9/s0
エスペリオンだな
611名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 19:18:41 ID:igvlN+Y10
何その素敵ロボw
612名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:14:36 ID:8Xy8Vdb20
>>くじら318号さん
ファンタズマゴリア式トリックが上手いと思わずニヤけてしまいました。
狩○冥スキーの視点から、セリア検事との応酬が少なかったのがちょっと寂しかったり。


「……証拠は……ない……っ」
対面する検事席から、狂気に赤く燃える視線が、しかし凍るような冷ややかさで突き刺さる。
「はっ、ははははははっ。だから、貴様は疫病神だというんだよ! 悠人!」
(く、もう、もう駄目なのか……俺には、誰も救えないのか……!)
目の前がゆっくりと暗くなる――重要に思える証拠物件は尽き、証人への尋問も既に終わろうとしている。
頭の中で、『諦め』の二文字がゆっくりと鎌首をもたげ始めたその時、
微かに、ただ微かにイメージが浮かびあがった。……これは、茅の輪……?
『――諦めてはいけません――』
唐突に、何か懐かしい声が聞こえる。
『――こういうときには――』
この声は……だれだ?
『――発想を<タイムシフト>するんですよ! 悠人さん!――』
       発想を――<タイムシフト>――!!
「さて、もういいだろう? 裁判長、判決を」
「は、はい……では、判決を……」
       【ハル、ノクラス!!】
「「「!!!」」」
「【待った】――まだ、法廷は終わっちゃいないぜ」

――「『時逆裁判』〜蘇るタイムシフト〜」――
613名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:29:42 ID:gUMfxS6g0
>610-611
硬さの緑スピ、速さの黒スピがくっついたという事は……リアルスーパー?(他所でどう言うのか知らんが)(ぇ

>612
吹いたw
614名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 21:10:30 ID:wuuEozYK0
>>612
なあそれで一本書いてみないか?
615名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 21:15:15 ID:8g5LaGFG0
>>612
もう、何がなんだか(w
616名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 21:20:58 ID:RpGSOCh10
シリーズ化?シリーズ化?
617名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 23:10:55 ID:DbKAdCBq0
シリーズタイトルは……「逆転神剣」?!
618名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:06:46 ID:oZDjpzJP0
スピたんのザコスピメンバー紹介
http://www.getchu.com/soft.phtml?id=208141

セリアのポニテがぁぁぁぁぁ!


でもこれはこれで(;´Д`)ハァハァ
619名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:10:58 ID:JeP33f2q0
>>618
やっぱり年長組は良いもの(胸)をお持ちで(*´Д`*)ハァハァ
620名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:14:28 ID:ZCgXp4Zv0
セリア・B・ラスフォルト(Selia B Lasfolt)

規律にうるさく、話し方も常に冷静。
そのため冷淡に見えるが、仲間思いで面倒見もいい。
料理やその他の家事もお手の物で、家庭的な面もある。
ポニーテールの姉がいる。
621名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:19:20 ID:fvFtdqhB0
新キャラ、巫女っぽいのかと思いきや中華っぽくて困る。
つーか、履いてな(ry
622名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:22:38 ID:e1ORy7Gd0
セリア…髪切ったのか  orz
いや、確かに歳考えりゃポニテは駄目だろうけどさ…(へブンズスォードX
623名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:24:23 ID:Ykh27b+A0
ファーレーンの素顔キタ━(゚∀゚)━ッ!
624名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:34:00 ID:dls7geoK0
髪型といい説明文といい
おもいっきしエスペリアと化したな。
625名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:01:01 ID:QuZSR8cX0
セリア改め、量産型エスペリアだな
626名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:03:13 ID:xT3Lb1U30
ヒミカの眼鏡キキキキキキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
逆にファーレーンは仮面外して外見的には劣化ウルカの凡庸なキャラになったなぁ
作中での姉馬鹿っぷりには超期待だが
627名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:18:34 ID:QQ7ZcMyp0
何人か引っかかりまくり。

セリア…誰?(死
ヒミカ…メガネ無い方が好みかも(マテ
ファーレーン…たぶん一番前の方が良かったと思わせるキャラ(笑

ツェナが際立って浮いているように見えるのは気のせいか。
628名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:24:35 ID:cyN6xsCs0
ナナルゥのポーズがたまらん。神剣持つ手とか特に。
629名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:56:01 ID:FpZof2Kh0
>>620
ちょwwwwおまwwww

ポニーテールの姉がいたら、ツンデレ双子の姉妹ど(ry
630名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 02:40:17 ID:FIH7X57J0
>>628
同志。あのポーズたまらん。

セリアは大分印象が変わったな。ちょっと丸くなったかな?
まぁ本編の後なんだから多少の変化があるのはいいけどね。
早くプレイしたいぜー!!!
そういや今回のってヒロイン別にルート分岐とかするのかね?
631名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 02:48:24 ID:1eLhd+N90
それよりおまいら、キャラ紹介にエトランジェ様がいませんよ。
ついに存在抹消されたか?
632名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 03:07:06 ID:JeP33f2q0
光陰カワイソス
633名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 03:20:35 ID:Ykh27b+A0
スルーしがちなステータス画面をよーく見てミロ

<<アイテムボックス>>
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
ハイペリア〜〜
〜〜〜〜〜〜
うさみみ
〜〜〜〜〜〜
鬼の角
ラキオス重工
ハチマキ

上段
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜

中断
〜〜〜〜〜〜
ハリセン

下段
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜

634名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 04:28:08 ID:fvFtdqhB0
>>633
俺もそう見えたけど、いくらなんでも「ラキオス重工」はないだろ(;´Д`)
635名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 07:02:11 ID:zV1uFNtG0
ラキオス鍔工とかラキオス腰工に見えるけど、どっちみち意味判らん。
あと鬼の角も兎の角に見えた。

という訳でウサミミファー(*´Д`*)ハァハァ
636名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 07:24:37 ID:G88HiUa90
ツェナぱんつはいてない説およびスピリットは苦労すると髪の毛のクセが強くなる説

>630
ナカーマ。しかしヒミカのそれも今見ると悪くない。赤スピ豊作だ。
637名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 09:41:46 ID:tWhL/+Ce0
>>620
それはセリア・バトリ?w
まー、髪切ったセリア姉さんも悪くないけど見慣れるのには時間かかるだろうなぁ
むしろ髪を切った理由とかありそうだ
>>628
同意。たまらん。
638名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 10:24:34 ID:VLkBZpe50
ファーレーンは違和感どころか、解説文無かったら誰か分からんぞ。
と言うか、 ハリオン以外の年長者組みは様変わりしすぎたのに比べ、
原画屋の趣味か年下組みはえらいそのままだ(w

しかし、自分は買うの保留なんだが、これってどう考えても2005年度中に
発売するとは思えん気がする……
639名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 10:36:13 ID:FIH7X57J0
>>638
延期はエロゲー界においてお約束みたいなもんだから。
アセリアなんて延期に次ぐ延期で一体何ヶ月待たされたことやら・・・
640名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 10:56:13 ID:h4wjQ3bn0
むー、スルーする予定の俺が言うのも何だけど、今回のは世界観とか設定とか人物とか
ほぼ前のライターさんの流用だから延期は「そんなに」無いんじゃないの?
あの異様な延期は初期アセリアが作りこみすぎただけのような。
だからこそ、深いファンもいる訳だが。
641名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 11:16:07 ID:Z8WuWfZI0
年長組は軍から離れて自活という環境の変化があったため、外見やら性格やらがある程度変わっても当たり前かなぁという気もする。

ところでロティの説明文に「生い立ちのせいで、やや人の顔色を伺う傾向がある」というのがあるな。
迫害でも受けてきたのだろうか?となるとやはり昔のエトランジェの子孫という線が濃厚?
642名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 12:02:29 ID:NjEVb2ne0
>>641
「禍根」と一緒にマロリガンに転送されるが、ロティ本人にスピリットとしての自覚がなく
また神剣との繋がりも希薄だったため、「禍根」を剥奪後、普通の人間として育てられる。

白スピで第四位+史上初(?)の男スピリットなら主人公として遜色ないような
気がしたけど、所詮妄想です(´・ω・`)
643名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 12:22:58 ID:FIH7X57J0
>>642
案外当たってそうだな、それ。髪も白いし。
スピリットは女性だけっていう設定だが、何らかのバグで男性体になったとか。
「再生」に異変があったのはリュトリアムがカオスに奪取されたときか?
644名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 13:14:09 ID:szu8bFSs0
確かに上と下で差があるけど、普通変化は年下組みの方が顕著かと。
スピの生態知らないから、なんとも言えないけどね。
前のヒロイン達が変に登場してイジられてなきゃいいが。

>>640
あんまりメジャーになりすぎても、それはそれで恐いけどなぁ。
オリキャラ主人公だけじゃなくてKANONの祐一主人公とか月姫の志貴主人公とか
わらわら出そうだし。ある意味悪夢だ。
645名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 13:35:56 ID:58Y4WkeQ0
>>633-5
エじゃなくてギリシャ数字の1じゃないか?上下の横線の長さ一緒っぽいし。
しかし能力値はやっぱり%なのね。
解りやすくていいんだが。
646名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 17:12:51 ID:R4kMTpu80
どーでもいいが、サムネだとヘリオンのスージィがクッキリだな。
647名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 17:55:46 ID:LQY7Odc+0
>白スピで第四位+史上初(?)の男スピリットなら
>主人公として遜色ないような

その設定ならまだ購入意欲が出るなあ。
なんかほかのスピたちの相手としてなぜだか許せる。
648名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 18:11:41 ID:UXhLX5+E0
むう、そうか?
むしろ男スピなんて突飛なものを出される方がなんだかなあと言う気はするけど。
649名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 18:24:02 ID:6neBfCZf0
自分は買う気しないけど、ある程度は売れるんじゃないか。
系統はまるで違うが、ヒロインだけが出る奴で詩乃先生の誘惑授業とかも
結構買った人いるようだし。

むしろ、ストーリーは分かっているとしても、新規SLG部分の方がヤバそうだな。
650名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 18:37:44 ID:9/KNDAN10
SSの話に勝手に戻させてもらうけど、逆転裁判って分かってる人多いのかな。
自分は知っているから面白いけど、上のSSは知らん人には何がなにやらになりそう。
651名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 18:56:00 ID:vpGDJghf0
>>650
逆転裁判はやった事ないがこれ見て欲しくなった。
正直ちょっと泣いた。
652くじら318号:2005/10/06(木) 18:58:49 ID:hhXIhIpM0
>>650
こめんなさいです(´・ω・`)
結構有名だから知ってる人多いと思ったんですけど・・・
やっぱパロネタはNGなんですかね
今度ははほのぼの系の単発ネタを書こうと思ってます


そういえば、このスレの職人様は「スピたん」購入予定はあるんでしょうか?
ワタクシはプレイするかどうかは置いといて買おうと思ってます
653名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 19:04:58 ID:vpGDJghf0
>>651
いや、遅ればせながらGJでしたよ。
そういうのはあんまり気にする事はないと思うけど。
ていうかパロネタなんて保管庫あさればいくらでも出てくるんだし。
むしろそういう方向で規制かけてく方がよくないと思う。
654名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 19:12:30 ID:9/KNDAN10
>>652
いやいやいや、分かんなくても面白いと思うからそんなに気にしなくても。
キャラは分かるし、オーケーだと思うよ。
別作品のキャラがメインとして出てくるのはNGだと思うけど。
655名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 20:55:28 ID:ADcnroin0

何故かスレの容量少なくなるタイミングで流れを加速させるような情報を公開するなぁ、Xuse(w
という訳で、前スレの事もあるしちょっと早いけどスレタイ募集してみる。

例:

ファンタズマゴリアではあるが、リレルラエルはない。
セリアの幼馴染ではあるが、アセリアがメインな訳じゃない。
「イグニッション!」
今日も悠人様ウッハウハの声が響き渡る。
「日々精進です!」
掛声に押され、揺れるハリオンの胸。その迫力に思わずヘリオンも空を飛ぶ。
「だから、ニムって呼ぶな!」
そんな訳の判らない、混乱したここ『第二ファンタズマゴリア』。
常に補完、でも時々とってもセクシー!

ヒント:スレ11−555 ttp://etranger.s66.xrea.com/past/past11.htm 雑魚スピスレテンプレの書き方


あと、点呼お題も同時募集。
656名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 21:08:01 ID:4steC32C0
流石雑魚スピスレ。既にイスルギ重工であったか。
657名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 21:23:35 ID:IQlTCmjy0
>>655
スレタイじゃなくてテンプレというか煽り文だね
658名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 21:31:13 ID:ADcnroin0
>>657
orz 突っ込み感謝
659おにぎりの中身の人:2005/10/06(木) 22:30:17 ID:/vbxf9ae0
     __
 「,' ´r==ミ、
く i イノノハ)))
  i l||゚ ヮ゚ノl|  <新作は出番がないようなので、ユートさんとお茶でも飲んで静観しますね
  i (/つ旦O  
  i と_ノ_')_)>  旦旦旦旦旦
660名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 23:16:02 ID:Lg4OghtH0
>>655
えーと、それは某あとがき作家ネタかな?
661名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 00:33:56 ID:QhT0puNl0
>659
(゚д゚)旦 ちょっと頂いてから点呼お題

1.定番だけど 「初アセリアはなんだったか?」
  無印アセリア
  EX
  PS2
  
2.ガロ・リキュア放送局に葉書を送るなら? コーナーは自由。

3.セリアのあの髪は是か非かw

662名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:53:09 ID:neL7ZGTf0
すぴたんの新主人公は許容できるか否かを点呼で聞いてみたいな、個人的には。
反対多数なのはやらなくても判るが、賛成派がこのスレにどれくらいいるかは興味あるので。
663名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:55:40 ID:lK3/uTnj0
正直また荒れそうな雰囲気がするからそれはさすがに止めた方が良いかと。
否定派の俺が言うのも何だが。
664名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 06:08:29 ID:UmVwLJfF0
セリアよりもファーレーンの髪型が(ry
665名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 06:32:49 ID:B1Po3thr0
俺の大好きコンビ、ニムファーが別人のようになったのでもう知りません
しかし単独では一番好きなナナルゥのみアセリアのときより良くなってた
666名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 07:04:01 ID:F5Y1M+ks0
>>661
特定スピで決めてしまうと住人全員が参加し辛いかも。
2)が発展的で面白そう。ただwebラジオ聞いてない方もいるだろうし、う〜ん。
無難な所で1)なのかなぁ。久し振りのような気もするし。
667名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 10:05:36 ID:9dyt26si0
>>665
うむうむ、同意。
スピたんは買わないぜ派の俺もついついそう思ってしまったよ。くっ、負けだ。


…いや、ホントにナナルゥだけえらく優遇されてないかなーと思ったり思わなかったり。
668名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 12:40:27 ID:JS/EJsj50
年少組は良くなってる希ガス。
むしろ、ニムかわいいよニム。
ファーも微妙っちゃ微妙だけど、素顔(・∀・)イイ!!
669名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 14:27:12 ID:qTloqCdf0
ニムが前より更にちっちゃくなってるのは気のせいですかそうですか
670名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 14:57:44 ID:LfMAtY4i0
俺もニムが更にちっちゃくなったとおもた。
でも、ニムかわええ(ウフフ
背中に背負った神剣とか堪らないw
671名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 15:27:34 ID:DtGdO8WR0
ニムは人丸の一番のお気に入りだからなー
672名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 19:18:36 ID:KHJjh5NU0
正直なところニムとヘリオンの胸の大きさに違いが見えないんだが
俺の目が悪いのか?
673名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 19:38:15 ID:/Vpj2KxTO
お前の目が悪い。
ニムは明らかに小さくなってる。
674名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 20:29:37 ID:gXUJKwZl0
あれは子供時代のニムだからな(無茶に断言)
にしても、これからファーレーンの長編を読む時は本編やEXの姿を思い浮かべよう。
スピたんの彼女はちと苦手でごわす。
675名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 20:33:45 ID:QhT0puNl0
セリアの髪って、彼女が選んだ道において邪魔だったってだけなんじゃないかな、と愚考致します。
それなら、命の取り合いの方がよほどあの長い髪は邪魔だ、とも思うけど(汗)

孤児院(だっけ?)では、セリアママとか呼ばれたりしているのだろうか。なんかにんまり。
「みどり亭」から差し入れをもって来たハリヒミコンビにもママ呼ばわりされて、睨みつけたら、ハリオン暖簾にあっさりかわされる様が目にw
676名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 21:02:15 ID:ev67JOr20
セリアの変化を一言で表す言葉を思いついた。

おばさんくさ(タイムリープアタック)



物腰が上品になったんだな。
677名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 21:18:31 ID:I1X4IYW40
だから一言で言えばエスペリア化だろ

エスペリア好かん
678名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 21:38:40 ID:bTVadafB0
とりあえず皆、おしえてミュラー先生を読むんだ。
679名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 21:58:29 ID:B1Po3thr0
そいや俺の心の本スレでスピたちはどうやって成長すんのよって書いてたんだが
実際どうやって成長するんだろうか
今でもマナの塵になるのか?それとも死体をいただきますなんだろうか
680名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:05:16 ID:bTVadafB0
ロティと・・・いや、なんでもない。
681名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:08:45 ID:QhT0puNl0
赤光って、ゲルググ薙刀?
682名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:31:14 ID:+PFZ3wio0
セリアの髪型は確かにおばさんの雰囲気が(w
もうちょっとセンス良く出来なかったのか。かわいそうに。

>>681
いやいや、ゲルググって……渋いな。
ふつー例えにそれを持ってくるか?(笑)
683名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:37:54 ID:neL7ZGTf0
>>682
赤いしいいんでない?

光陰「なんかヒミカは三倍強そうだよな。」
ヒミカ「???」
684名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:45:40 ID:bTVadafB0
ウルカ「ヘリオン!ファーレーン!ジェットストr(ry」
685名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:50:42 ID:alUambhR0
Sセリア・・・いやなんでもない
686名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:54:07 ID:F5Y1M+ks0
動かないで下さいまし。さもないと、もっと苦しむ事になられると思います。
687名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:56:26 ID:alUambhR0
更新来てる
688名無しさん@Limited skill:2005/10/07(金) 23:10:25 ID:zKX3n5fO0
「ねえ、そろそろ新スレ始まるのかな?(ネリー)」
「そうだと思いますけど・・・(ヘリオン)」
「もう新スレ移行してるみたいだけど〜(ニム)」
「うぅぇ〜!」「あれれれれっっ!?」「えっとっ、このスレッドは私、ヘリオンとっ!」
「ネリーぃ!」「ニムントール」
「のっ、三人のほか、ユート様と愉快なスピリットたちでお送りします!
 ・・・っと、こんな感じでいいですよね?」
「・・・うん、バッチリ、OK、OK〜」
「ヘリオン、ほかの人たちとスレッド名ゆーの忘れてる」
「はぁわぁっ!!(涙)」


”『永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 16』”(by ニム)

『ガロ・リキュア放送局』参照。
なんか、熱い煽り文ではないなあ。まあ、よかったら使って下さい。
あと、雑魚スピスレ テンプレの書き方はナシで。以前やってみて泣きたくなったので。

ユート「俺達の、みんなを愛してくれたエスペリアは死んだ!…何故だ!」
ヒミカ「可燃物だからよ」

ちょっ、酷いって。
689名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 00:24:07 ID:kuwnBM3/0
そういえば雑魚スピスレ保管庫には14までしかリンクが無いような・・・
690名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:45:59 ID:ftSkYE0e0
そういえばXuseスレや工作板のリンクも……
691名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 03:59:20 ID:Jo6ZIkqg0
反応がいまいちなスピたんだが、これをみたザウスはどんな初回特典をつけて購入意欲を煽るのかねえ
692名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 05:21:43 ID:qRRPwLx+0
別に反応はいまいちじゃないと思うけどな
拒絶反応が出る人が俺を含めて数名居るくらいで
693名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 09:15:21 ID:700h3BSq0
>>691
このスレにおいてイマイチなだけだと思うぞ。
あんまりこのスレの意見=アセリアファンの総意と思うのはどうかと。
まぁこのスレ住人としては気持ち判らなくも無いけどねー。
694名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 10:00:11 ID:SU7gi8Hk0
俺は買う気満々だが
ってあんまり言うとまた荒れかねないか

まーあれだ、たゆんは世界を救うとだけ言っておこう
たゆんたゆん
695名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 10:21:52 ID:mmumdAvX0
>>691
いや、このスレでも反応はあるだろ。マイナス方向に(笑)

まあ俺も買う意欲ないけど、一般にはある程度売れると思われ。
ここは単に雑魚スピに特化しすぎたスレだから、こうなるだけで。
696エロ大王:2005/10/08(土) 10:31:09 ID:lEcKcSU/0
たんにザウスがネタギレしただけじゃないだろうか??

だから単純に人気があってネタにしやすい『雑魚スピ』に魔とがあたっただけじゃあないかと
まあ漏れたちで育ててきた『雑魚スピワールド』に乱入されていい気持ちがしない人間も多いかとおもうが

盛れらの妄想 VS ザウスシナリオ担当
という感じでワクテカしている自分ガイルwww
697名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 10:58:36 ID:mSoI0gJO0
客観的に見ると、【漏れたちで育ててきた『雑魚スピワールド』】は痛すぎるぞw
698名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 11:07:04 ID:zRN5IYfO0
>たんにザウスがネタギレしただけじゃないだろうか??
ま、ザウスの他のゲームは正直イマイあ、なにをすhtやめhgqうぇs(w

…で、多めに見積もって、スレに書き込む人が50人くらい読む人が100人くらいとしても
売るザウスとしてはスルー出来る数と思われまするな。meは買いませんが(マテ

>>697
いや、696の気持ちは大袈裟ながらやや同感。雑魚スピのサイトなんて他所にないし。
あ、ヘリオンの長編SSが一つだけあったかなぁ。
699名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 11:41:52 ID:JYo55N7G0
意外だったのは、オリキャラ主人公のSSが山のようにあるDream Elementでも
それほど歓迎と言う訳ではなかった事かなあ。

>>696
こらこら、ウキウキするな(w
700名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 12:13:19 ID:T/p3vF5PO
>>697
いやいや、EXもPS2もこのスレ見てなければ有り得ないイベントが在ったし、言い過ぎとは思わない。
ヘリオン、ヒミカ姐さん、炸裂・ハリオンマジック等々…
人の想い(妄想)は人を魅了して止まない。


だからザウス、お願いです。
いくらなんでもあのセリアはあんまりじゃないか…
確かに攻略したくないとは思ったけどさぁ…
あれなら未登場でいいよ…
701名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 12:39:22 ID:mWVFxVKm0
この流れなら言える

「セリアは冷遇されているっっっ!」
702名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 12:40:45 ID:Jo6ZIkqg0
スピたんの先頭画面を見てると、どうしてもアルティメットハンターを思い出してしまう
とりあえず、アルティメットハンターみたいに、主人公が一度はほとんどのヒロインを食べてしまうのはやめてほしいところですなあ
つか、サンプルCG見てても上の予感がひしひしとするのは僕だけ?
703名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 12:45:39 ID:1ZF0EcwZ0
>>702
変に攻略対象にされるくらいなら、そっちの方が良いと思う俺ガイル
704名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 12:51:53 ID:mSoI0gJO0
いや気持ちがわからんわけじゃないよ。ただ、ファンタズマゴリアの外から見れば
オフィシャルにケチつける妄想厨みたいな評価は避けられないだろうなとも思ったわけで。
個人的にスピたん自体「なんか人気でたんで祭りあげました」みたいな感があって
首を傾げてたんで、こんぐらい変化させてくれるのはむしろ嬉しい。歳月も感じられるしね。
(ニムやへリオンがほとんど変わってねぇってのが不自然ではあるが)

ロティ君は、流石にソゥユート以上に踏み込んだ事になるとちょっと抵抗があるかもしれんw
そこらへんは実物でどうなるかわからんという話しではあるのだが。
705名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 13:01:42 ID:1ZF0EcwZ0
個人的に一番避けてほしいのは
いつの間にかロティにデレデレ→イタダキマースな展開かな。
きちんと惹かれていく過程が描写されると良いけど
ヒロインの多さが不安材料・・・。
706名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 13:04:53 ID:hVYRTXka0
>>701
ならば、俺も言える。
「ヒミカのメガネを提案した奴、表へ出ろっっっっっ!!」

>>703
ああ。ファーレーンとハリオンとヘリオンとナナルゥは非攻略対象にして欲しいもんだ < 多すぎ(w

それはそうと、702の意見が嫌に現実的で最悪な予想だな……orz
初期のライターさんはいないし、いかにもやりそうだ。
707名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 13:27:31 ID:SP9G6XaD0
最初のアセリアはシナリオ良かったなー
正直一般のPCゲーマーには雑魚スピなんて、うっすらとしか記憶に残っていないんじゃないだろうか。
そう言う人達にはスピたんは問題なさそう。俺はアリアリだが(w

しかし、初期アセリア久々に起動して見たけど、雑魚スピ達の影薄い・・・(笑
このスレの恐ろしさを改めて実感してしまったヨ。
708名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 13:54:21 ID:H04YRFno0
スタッフロールで
「脚本:○○の人」
って、ここ出身者の名前が出てこないかな〜
709名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 14:26:37 ID:SZrag4F00
眼鏡関連はいつかここでもネタになったような気がするが、
なんかヒミカのアレは何故か萎えるものがあるなぁ。

主人公達と雑魚スピのかけあいが楽しみでPS2版まで買った自分だけど、
今回のスピたんはちと無理。と言うか、あのセリア誰(w

にしても、優遇されてると思わなくもない>ナナルゥ
710名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 18:53:44 ID:Jo6ZIkqg0
しかし、ヒミカとナナルゥの胸のサイズが同じに見えるの〜〜
そして、ハリオンが一人飛びぬけてる
711名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 19:38:18 ID:700h3BSq0
>>710
まぁヒミカ貧乳説は公式では一度も出てないからね。
あくまでこのスレでの一般的な意見でしょ。
ネタの元としてはEXの乳が無いように見える立ち絵とかがあるけどね。
俺は普段はさらし巻いてて胸を抑えてる派だから問題ないです。
無印見る限りはヒミカに乳があってもおかしくないのです!
712名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 19:48:17 ID:za/+WNmU0
主人公のロティは先代のエトランジェの子孫で、
隔世遺伝によりその性質(体質?)が強く出た……だったりして。
つまりはFSSの騎士ね。
スピリットと違ってエトランジェは剣がなければ力は普通の人間と変わらないし。
713名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 19:52:15 ID:Ns16RvVx0
>>712
っつー事はアレか、ロティはソーマの親戚ってことかっっ!!


………やだ。
714名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 20:00:13 ID:za/+WNmU0
>>713
まあ、そこらへんは「血は薄まり拡散し、どこの誰に能力が開花するかはわからない」としとけばw
さすがにロティズフェアリー的な展開はないでしょ。
715名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 20:09:33 ID:700h3BSq0
>>714
イービルルートがあるならそれもアリかな。
ネチネチと雑魚スピを陵辱するロティたんも見てみたい気もする。
716名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 20:11:08 ID:zlopwqrs0
確かに、ヒミカとナナルゥの胸のサイズが同程度と言うのは、
物凄い違和感を覚えるな。このスレ的に(笑)

しかし、あのセリアのおばさん雰囲気はネタに出来そうな気も。

……そう言えば、元祖おばさんの姿がこのところ見えないなー
Exの発売と共に復活するか?
717名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 20:17:22 ID:xGk/QNZJ0
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <呼びましたか?
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
718名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 20:22:43 ID:1ZF0EcwZ0
トキミ様、かわいいよトキミ様
719エロ大王:2005/10/08(土) 20:52:42 ID:lEcKcSU/0
すーぱーあまてらす光線が出るのかっ!!
720名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 21:11:06 ID:mWVFxVKm0
犬チックなデザインと、既出のCGから

ネチネチと雑魚スピ「に」陵辱されるロティたんを予想…ソレはソレで嬉しかったりw
721名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:42:02 ID:uIYAGz5MO
SSは遅々して進まんが、それは端に置いといて、とりあえず叫ばしてくれ…

絶滅危惧種のツンデレポニテは保護汁〜〜〜!

以上、萌え属性ランク第一位がポニテな無名の叫びでした
722名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:58:22 ID:UXoNpv2A0
赤の捕食は緑。エスペリアが燃えるのは当然ともいえる。
緑の補色は赤。ナナルゥの胸が萌えるのは当然ともいえる。

だからどうしたと言われても困る。
723名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:29:17 ID:3+fIX7Fg0
もしロティが白スピだったとしたら白スピは両性ってことになるのかな?
そしてみさくら的展開に…
724どりるあーむ:2005/10/09(日) 01:44:08 ID:NXLZN4b10
どうも、初めまして。
僭越ながら、アセリアの世界を舞台にした二次創作を投稿させていただきます。
新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜
とあるマロリガンの敵スピと因果のコウインの二人で進む物語です。
稚拙ですが、よろしければ一読くださると幸いです。
725名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:47:47 ID:oi8CfuJh0
>>721
誰のことを言っているのか理解出来る所が不憫だな……

>>722
何を言っているのか良く分からんが、何を言いたいのかは良く分かった(笑

トキミ様でふと思い出したが、王女様なのに何故かあんまり人気のない彼女の事も忘れてた。
まあ、雑魚スピスレでは元々そんなに出番は多くないが(酷
726新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 01:48:51 ID:NXLZN4b10
あの人が、私に微笑んでる。



「大丈夫、大丈夫…だ。俺はッ、大丈夫だ…から。
 だから…、だから君は何も気にしないで…」
いつも夢で思い出すのは、あの日の戦場での光景。
血まみれの、あの人を私が抱きかかえている。
私はただ目の前の現実を受け入れられなくて、身体を震わせるばかり。
あの人の腹には、他の誰でもない私の剣が刺さっていて。
あの人の腹の、剣が刺さった傷口から流れ出る血の量に目が釘付けになる。

私の…私の剣が、私の剣があなたを…

それが、あの人から命を少しずつ、けれど確実に奪っていく。
それが、あの人から人間である事を証明する赤い血を傷口から溢れさせる。

永遠神剣の第九位・血涙。

私が生まれた時に、はじめから私の側にいた永遠神剣。
私の血涙が、あの人を殺してしまう。
私の血涙が、あの人を私から奪っていく。
「俺は、いいんだ…。いいんだ、何も…かも…。」
ただ震えるしか出来ない私に、息もたえだえで声もかすんできてるその人は。
727新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 01:52:14 ID:NXLZN4b10
今まさに私の腕から失われようとしている、その人は。
ゆっくり、けれど優しく手を伸ばして私の顔を包んでくれた。
優しく、ゆっくりと私の両頬を撫でてくれるその手は温かみを失っていく。
「君の、せいじゃない。俺が…勝手に望んだことなんだ」
私はその時初めて我を取り戻して、慌てて刺さった剣の柄を握る。
傷が広がらないように、慎重に血涙を引き抜く。
自分の永遠神剣であるにも関わらず、私は引き抜いた血涙を投げ捨てる。
「ああ…ありがとう…」
それでも血は止まらず、あの人の命は刻一刻と失われていくばかり。
戦場である事も忘れて、私は声をあらん限りに叫ぶ。

誰か、誰かあぁぁッ!助けて、この人を助けてえッ!
ラキオスでもなんでもいい、誰か回復魔法をかけてぇ!治療してえぇぇ!
助けて!この人を助けてよおッ!お願いぃ、助けてぇッ!

ノドが焼けるように痛むのもかまわずに私は戦場で叫ぶ。
人間にはスピリットの回復魔法は効果が無いのも忘れて、ただ叫ぶ。
ふと、するりと私の右頬を包んでいた手が落ちる。
私は慌てて、また落ちそうになるもういっぽうの手首を掴む。
あの人の顔を見て、もう何も言えなくなる。
悲しそうに、けれどやわらかく優しい微笑みをただ私に向けていた。
「イナ…リ…、イナリ」
最後の気力を振り絞って私の名前を呼ぶその人に、私もその人の名前を叫ぶ。
728新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 01:54:20 ID:NXLZN4b10
「いつか、君を…お嫁さんにしたか…た…」
その言葉で、戦いしか知らないはずの私は生まれて初めて涙を流す。

「愛している」

はっきりとした口調で告げられた、その言葉にまた更に涙があふれる。
その言葉を最後に、その人はこときれた。
動かなくなった、その人の身体を懸命に揺り動かす。
あらん限りの声で、何度も何度も名前を呼ぶ。
そんな事をどのくらい繰り返したのだろう。
ひどく遠い時間のあとに、死んだのだとやっとおぼろげに理解しはじめた。

戦場の天を仰いで、私は私というスピリットを愛した人間の名を叫んだ。
729新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 01:56:02 ID:NXLZN4b10
そこで、いつものように目が覚める。
今朝もまた、ノドが痛い。今朝もまた、寝ながら泣いてしまっていた。
呼吸が、荒い。鼓動が激しく胸を内側から叩いている。
ふと、陽光が差し込む方向を見やると窓のカーテンが風に閃いていた。
昨夜寝る前に戸締りは確認したはずなのに、窓が少し開いていたようだ。
違和感に気づく。
ここは、私の部屋と違う?
マロリガンのスピリット隊詰め所の、私の部屋じゃない?
眠ったのに疲労が抜けたとは感じられない重い頭と上半身を起こして部屋を見回す。
そうして、ぼんやりとだけれどようやく思い出す。
ああそうか、ここはマロリガンじゃないんだ。
ここは、ラキオスのスピリット隊第一詰め所の空き部屋だっけ。
そうか…昨日ここにエトランジェ様と一緒に来て、それぞれ別々に寝床を借りたんだっけ。

「大丈夫か、イナリ?」

声の方向へ顔を向けると、開かれた戸の隙間から見慣れた顔が心配そうに覗き込んでいた。
現マロリガンのスピリット隊をまとめる、エトランジェたる因果のコウイン。
「平気です、エトランジェ様。いつもの事ですからどうか気になさらずに」
コウインは、遠慮がちに静かに戸を閉めて部屋に入ってきた。
「そうか?あまり大丈夫そうに見えんがな」
そう言いながら、イナリが身体を横たえているベッドの脇へ椅子を引っ張ってきて腰をおろす。
「また、夢を見てしまったのか。…俺のところまで聞こえていた」
その言葉に、イナリは目を伏せる事しか出来なかった。
「ほら、これで顔や首を拭け」
コウインが差し出した手ぬぐいに、イナリはようやく自分の寝巻きが汗で濡れて気持ち悪いのに気づく。
受け取った手ぬぐいは、ちょうどよい加減に冷たい水で絞ってあった。
首周りを拭いて汗をぬぐう、身体の拭いた部位を風が撫でるのがここちよい。
「ありがとうございます、エトランジェ様。余計な手間をかけさせてしまい申し訳ありません」
礼儀正しいイナリはそう言って、コウインに頭を下げる。
730名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:56:51 ID:s5ZMNakX0
久々支援
731新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 01:59:19 ID:NXLZN4b10
ふと、イナリは思い出す。
いつもは同室のグリーンスピリットが、叫んでる途中で起こしてくれたりしている。
彼女が、顔や身体を拭くのを手伝ってくれたりもしている。飲み水も用意してくれる。
「…アロマ・グリーンスピリットは本当によくしてくれているんだな」
その彼女の名を、コウインが不意に告げる。
「今回の件でマロリガンを発つ直前、お前の事をよろしく頼まれたんだ」
イナリの脳裏に、メガネかけてて地味めだけれどいつも慈愛に満ちたアロマの笑顔が浮かぶ。
「いつも…彼女にも誰にも護ってもらってばかりです。
 そして、今日もまたこんな時だというのにエトランジェ様にまでこうしてもらって」
イナリはベッドからそっと脚を出し、座った姿勢でコウインと自分の位置をちょうど向かい合う形にする。
「そんなに気に病むことはないさ、イナリ。
 俺自身もマロリガンの民も…そしてお前以下、稲妻のスピリットたちの誰も」
コウインは、部下であるイナリに対して真剣な眼差しでけれど優しい声で語りかける。
「この俺が見出した、3代目稲妻部隊隊長イナリ・ブルースピリットに護られてきた」
そう言うと、コウインはいたずらっぽくウインクして笑ってみせる。
「私が今の隊長なのは、先代の隊長や他のもっと強い稲妻たちがもういないからに過ぎません。
 実力においても、私は稲妻に所属する事自体がそもそも奇跡のようなものですし。
 何より、今ごらんになられたようにメンタルな面においては壊れモノとしか言いようがありません」
イナリの言葉に、コウインは深くため息をつきながら首を横にふる。
「あのな、イナリ。確かに戦術面で言えばお前は先代の隊長やかつての稲妻たちより劣る。
 剣術はあくまでも中の上程度だし、魔法もそれほどでもない。統率能力が結構高いくらいだ」
イナリは、あくまでも真っ直ぐ投げかけられてくるコウインの眼差しを正面から受け止めて話を聞く。
732新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 02:03:42 ID:NXLZN4b10
「でもな、お前が俺の前に初めて現れた時な。あん時が時代が変わる瞬間だったんだよ」
突然、時代という単語が出たことにキョトンとしてしまうイナリにコウインは少しおかしそうに笑う。
「正直、今までの稲妻たちは戦士として本当に強かった。でも、それだけだったのさ。
 お前を見出す以前にそれまで残った稲妻たちから新しい隊長を選ぶ時、俺は途方にくれた。
 …確かに隊長をはれるだけの剣の技量や魔法や統率能力を充分に持つやつは他にも何人かいた。
 でもな、イナリ?普通のスピリット隊ならいざ知らず、稲妻の隊長はそれだけじゃダメなんだ。
 隊長をはれるだけのやつじゃなくて、隊長をやれるやつがどうしても欲しかったんだ」
なおも言っている事の深い意味を図りかねているイナリに、コウインは身を乗り出してくる。
「さっき言ったろう、時代が変わる瞬間だったって。
 あの時の、お前の涙が教えてくれた。お前こそが、これから始まる新しい時代の剣なんだって」
至極大真面目にそう力説するコウインの言葉に、イナリはぽかんとしてしまう。
「これから始まる、新しい時代のための剣? 私が…これからのための、剣?」
ただわけわからなくて目をパチクリさせるだけのイナリの前で、コウインは椅子から立ち上がる。
「このラキオスの館の風呂は絶品だ、寝汗を流して、さっぱりしてくるといい。
 …まぁ、なんなら俺も一緒に入りつつ着替えとかも上から下まで手伝ってもいいんだが?」
コウインのありがたい好意に対して、イナリは枕元に置いてた血涙を朝陽にギラリときらめかせてみせる。
「んじゃ、そういうわけで俺は食堂で待ってるぞ?」
ささっと逃げて、部屋から出て戸を閉じかけたところでコウインへの本心が少しだけうっかり漏れる。
「せっかく有能でカッコいいところもあるのに、女性に対して少々ふしだらなのがもったいなさすぎます。
 …しかも、アロマのように幼い外見だとなおさら人間もスピリットもお構いなし」
飄々とした表情のまま戸の隙間から顔をのぞかせてコウインはイナリへ言葉を返す。
「まてまて、その言い方じゃアイツが誤解するだろう?まぁ確かに年下はひかれるものがあるが」
733新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 02:05:16 ID:NXLZN4b10
ふうっと呆れたため息をついて、更にイナリは言葉を続ける。
「それだから、女性からの評判が惜しいところで今ひとつなんですよ?
 …あの人に、ほんの少しだけちょっぴりだけそっくりです」
あの人、という言葉にコウインはわずかに顔を曇らせる。
「お人好しで単細胞で女好きで軽薄で…。
 妖精趣味でもない癖に…スピリットなんかを…愛してしまった、あの人。
 どうしようもないくらいに優しくって、騙されやすくて本当にバカだったあの人…」
イナリがしまった、と思った時はもう遅かった。流しつくしたはずの涙がまた溢れ出してしまっていた。
「…あれは、くだらない陰謀だったんだ。
 お前もお前の愛した男も、たまたまソレに巻き込まれてしまっただけなんだ。
 これ以上そのままだと身体に障るぞ。早くさっぱりしてきたほうがいい」
コウインは、静かにけれども諭すようにイナリにそう促す。
「エトランジェ様…。
 私が愛したあの人も、あの人を殺した奴らも人間でした…」
イナリは、何も映らないのに涙だけが溢れてくる瞳をコウインに向けて問う。
「まず、これからお前が覚えなければいけないことがある。
 これから始まる、新しい時代のための剣として覚えなければいけないこと。
 3代目・稲妻部隊隊長として、覚えなければいけないこと。
 そして何より、お前がイナリという他の誰でもない一人であるために覚えなければいけない事」
コウインは、再びイナリの真正面でかがみ込んでイナリと同じ視点の高さで真っ直ぐに言い聞かせる。
734新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 02:07:17 ID:NXLZN4b10
「お前の愛した人が愛したのは、スピリットなんか、じゃあない。
 お前を愛してくれた男が愛したのは、ただのお前だ。世界にたった一人のイナリなんだ。
 だから、もう今のみたいにスピリットなんかとかそんな言い方は今日でこれきりにするんだ。
 これから始まる新しい時代では、人間もスピリットも互いに何も何一つも違わないんだ」
涙は、止まっていた。
コウインの言葉に、イナリは目をつぶって黙ってうなずく。
「あの事件以来、心を何処かにやってしまったお前が稲妻に戻るまでそれなりの月日を要した。
 経緯を聞いていた俺は、正直お前と対面する瞬間までお前を除隊しようと考えていたよ。
 でも俺の召集に応じて隊長室に来たお前は…部屋に入るなり、こう言ったよな?」
イナリは、うなずく。覚えている、確かに覚えている。だから、もう一度言った。
「私を、戦わせてください。あの人の愛した全てを護るために戦わせてください。
 あの人の愛を護るために、あの人を殺したこの血涙で戦わせてください…!」
コウインは、イナリの言葉に小さく微笑む。
「そうだ、その台詞と涙だ。命令されたからでも復讐のためでもなく。
 お前ははっきり、愛を護るために戦うことを俺に示してみせた。
 だから、決めたんだ。だから、わかったんだ。
 お前こそが、次に始まる新しい時代のための新しい稲妻の隊長だと」
そう言うと、コウインはくるりとイナリに背を向けて振り向かずに静かに部屋をあとにした。
735名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 02:08:09 ID:s5ZMNakX0
もひとつ支援
736新しい時代への稲妻〜血涙のイナリ〜:2005/10/09(日) 02:08:54 ID:NXLZN4b10
朝風呂ですっかり寝汗も涙も洗い流し、朝食と身支度もすませて。
色々な想いのこもった半身である永遠神剣第九位・血涙をしっかりと携える。
ラキオススピリット隊・第一詰め所の玄関を出たところで、イナリはふと立ち止まる。
長かった、あまりにも長かった戦争は終結を告げた。
あの時仰いだ戦場の天は汚れた灰色だったけれど、今仰ぐ天は何処までも澄み切った青。
「さ、レスティーナ女王や噂の大賢者様とご対面しに行くぞ?」
すでに待機していた馬車の中にいたコウインがいつもの調子で促してくる。
「はい、コウイン様。新しい時代の始まりのため、いざゆきましょう」
はじめて、それもどもるどころか迷いもなしに自分を名前で呼んだ事にコウインは心底ニヤリとする。
馬車のタラップに足をかけたところで、イナリはふともう一度天を仰ぐ。



あの人が、私に微笑んでる。

終わり
737どりるあーむ:2005/10/09(日) 02:15:12 ID:NXLZN4b10
どうも、支援ありがとうございました。
やはり稚拙で、しかも大っぴらに「愛」とのたまってる恥ずかしい内容です。
私個人は、ゲーム中で稲妻部隊に結構てこずらされた覚えがあります。
そこで、そんな稲妻を育て上げたカッコいいコウイン。
そんなコウインと私のイメージした一人の「稲妻」を舞台に立たせたかったでした。
と、いうわけでこのような内容になりました。
お目汚し、大変に失礼いたしました。
次回から更に精進し、新たに「敵スピ」専門で書きたいと思います。
ありがとうございました。
738名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 02:27:43 ID:s5ZMNakX0
稲妻部隊キターー!!
乙です
新しい風が来ましたね、ぜひ頑張ってください

739名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 02:53:43 ID:2IWhDgEA0
初投稿、お疲れ様です。
視点の切換に一瞬混乱しましたが、とても面白かったです。
設定がかなり深く掘り下げられていそう。
オリキャラの外見に一切触れていないのに、行間に表情が見えそうです。
暗めな話に湿った感じがしないのは、光陰のさっぱりした性格が前に出てるせいでしょうか?
「敵」に焦点を絞られるそうですが、ぜひウルカルートの名も無き少女の補完をw

それにしても三代目……クォーリンorz
740エロ大王:2005/10/09(日) 08:19:59 ID:An5T8lQL0
 >>726-737
どりるあーむさん乙です。
いいですね相手側のスピに焦点をあてた・・・・
ラキオスだけがスピリットに対して良い扱いをしていたというわけでなく
相手側にもまたスピリットを思いやる者たちがいたというのは・・・・・

良く頑張った!感動した!!!(AAry
741名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 10:28:33 ID:fPl+CWoU0
容量的にそろそろ次スレを考えた方がいいかな。
普通の長編ならぎりぎり入りそうだけど。
742名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 13:17:31 ID:VkMx5OUm0
じゃ、テンプレ投下しときます。
点呼ネタは>>661から、スレ建てた方の判断で。
743テンプレ 1:2005/10/09(日) 13:18:09 ID:VkMx5OUm0
「ねえ、そろそろ新スレ始まるのかな?」
「そうだと思いますけど……」
「もう新スレ移行してるみたいだけど〜」
「うぅぇ〜!」「あれれれれっっ!?」「えっとっ、このスレッドは私、ヘリオンとっ!」
「ネリーぃ!」「ニムントール」
「のっ、三人のほか、ユート様と愉快なスピリットたちでお送りします!……っと、こんな感じでいいですよね?」
「うん、バッチリ、OK、OK〜」
「ヘリオン、ほかの人たちとスレッド名ゆーの忘れてる」
「はぁわぁっ!!(涙)」


”『永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 16』”(by ニム)


前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1127395692/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/
外部板:雑魚スピスレ保管庫
http://etranger.s66.xrea.com/
外部板:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/
外部板:永遠のアセリア関連スレリンク集
http://etranger.s66.xrea.com/past.htm
744テンプレ 2:2005/10/09(日) 13:19:27 ID:VkMx5OUm0
____      ________               _______
|書き込む| 名前:|            | E-mail(省略可): |sage       |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなくーるな女には       / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ
745テンプレ 3:2005/10/09(日) 13:24:49 ID:VkMx5OUm0

あてんしょん

 | ̄ ヽ
 |」」 L.
 |゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
 |とl)
    ,べV      
   / 〃  ̄ ヾ; 
   ! i ミ(ノハソ
   !ik(i|゚ ヮ゚ハ   。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
   リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ))   問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
     く/|_|〉 
     (フフ
746テンプレ 4:2005/10/09(日) 13:28:53 ID:VkMx5OUm0

Q: 雑魚スピって何ですか?
A: サブスピです。

Q: 具体的に教えて下さい。
A: シアー・セリア・ナナルゥ・ニムントール・ネリー・ハリオン・
   ヒミカ・ファーレーン・ヘリオン、以上9名の総称です。

Q: これまでに投稿されたSSはどこで読めますか?
A: ここで読めます。→ http://etranger.s66.xrea.com/

Q: 俺あんまりサブスピに興味ないんだけど。
A: 雑魚スピです。>>1の関連スレリンク集で行き先を探してみましょう。

Q: エスペリアがよく燃えて困るのですが。
A: こちらへ。→永遠のアセリア−この大地の果てで−7
         http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1124361124/
747名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 13:30:15 ID:VkMx5OUm0
>>688のを少し改変、sageネリーとかの順番も何となく変えてみましたが、問題あれば適時修正宜しくです。

【トリガーまで後14k 】
748名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 13:49:32 ID:YK/9AEv90
テンプレ投下乙。
確かにそろそろ容量的には移行期かな。
749革命:2005/10/09(日) 13:59:06 ID:s5ZMNakX0
んでは、ちょっと子ネタ投下。
時深さんネタです。
750時詠の瞳:2005/10/09(日) 14:01:26 ID:s5ZMNakX0
「うあぁぁぁぁっっ!そんな、そんな馬鹿な……ッ!!僕が負けるなんて……あ、あぁぁぁぁっ!!」
 金色の霧となって消滅するエターナル、「統べし聖剣シュン」。
 その前に立つのは、人の身でエターナルを打ち破ったエトランジェ、「求め」のユート。
「…ぐっ!さすがに、きつかったなぁ……」
 彼はばたりと仰向けに倒れた。
「っ、はぁ…はぁ…」
 彼の体は満身創痍。オーラフォトンの爆炎に焼かれた全身。縦横に走る切り傷。
 体を構成するマナが夥しく流出している。
「ふぅ…」
 悠人はまるで他人事のように自己の現状を認識して、ため息を一つ。
(こりゃあ、もう助からないか…)
 床を伝わる振動でみんなが駆け寄ってくるのがわかった。
「―――!!」
「――!」
 何を言っているかよく聞こえない。
 みんなは泣いている。
 ああ、泣かないでくれ。
 やっと戦いは終わったんだ。
「…泣くなよ、みんな」
 声を振り絞る。俺に残った時間は少ない。
「俺は…みんなを、この世界を……守れた」
 首だけを動かしてみんなを見る。
「それ…だけで、満足……だよ」
 マナの輝きが俺を包む。いよいよもって最後の時が迫ってきたみたいだ。
「みん……な…は、……掴むん…だ。……み…ら…いを………」
 視界は金色に染まり、そして俺の意識は暗転した。


751時詠の瞳:2005/10/09(日) 14:03:22 ID:s5ZMNakX0
 ラキオス郊外の小高い丘に緋袴の少女が立っている。手には扇。
「…こうなって、しまいましたか」
 彼女に瞳に映る何通りもの未来。
 残酷な結末の一つとして瞳の中にのみあったものが、今こうして現実として顕われている。
 苦悩の果てに友を殺し、悠人は瞬を倒した。
 しかし、瞬は「誓い」と融合。「因果」と「空虚」を呑みこんでエターナルとなった。
 悠人は自分の全てを賭してエターナル達と戦って、勝利し、そして死んだ。
 残ったのは「求め」だけ。しかし、その「求め」もほとんど全ての力を出し切って眠りについている。
 おそらく彼はこの世界の記憶に刻まれるだろう。
 蓋が閉じ、世界があるべき姿に戻った後も。
 救世の英雄として、神剣と共に。
 一方の地球でも、悠人は行方不明扱いになっている。真実を知っているのは妹の佳織ちゃんだけだ。
 でも彼女は一人じゃない。二人の先輩と一人の友達に支えられて強く生きるだろう。
「…悠人さん」
 あなたはもう、どこにも居ないのですね。
 貴方は酷い人です。
 みんな貴方を好きだったのに。
 どのような形でも生きていれば幸せを求める事もできたでしょうに…
 …私は
 貴方と出合う希望を見つけてから。
「千年です。私は千年待ちました」
 貴方に合うまでの時間は私にとって灰色の時でした。
 希望に向かう千年の時は私にとって絶望でした。
 いつ、どこにいても「貴方と出合う」という希望があったからこそ私は未来に進めたのに…
752時詠の瞳:2005/10/09(日) 14:04:17 ID:s5ZMNakX0
「私の未来は…」
 決まっている。永遠者としての戦いの日々。
 そこには安らぎも希望もない。
 私の「時を見る目」にも見果てる事のない、まさに永遠。
 どこを切り取っても戦いに塗り潰されていた。
 私は虚ろに時を見続ける。

 ―――そして

「!!」
 遥か遠い未来に…
 希望を見つける。
 あの人の笑顔。
 まだ、繋がっている。
 それは千年よりさらに永い時かもしれない。

 ――それでも

「私なら辿り着ける」
 私はまた深い絶望に身を沈めるのだろう。

 ――それでも

 私は歩き続けるだろう。この永遠の道を。
 私だけに見える希望に向かって。

 −fin−
753革命:2005/10/09(日) 14:12:38 ID:s5ZMNakX0
えー、ノリと勢いだけで書きましたんで
誤字脱字ハリオンマジック等、指摘ありましたらどしどしw
時深さんってやっぱり悠人に対する愛の年季は
文句なしでNo.1でしょうから…って妄想です
なんせおbs(ry (クリティカルワン
754名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 14:43:23 ID:VkMx5OUm0
乙です。
っていうか、いきなり死んでるしソゥ・ユート(汗
エトランジェ全滅ルート……考えて見ればこれも当然有り得る未来。
それを知っていてなお防げなかった時深さんの、時詠みの力に対する絶望と、そして希望。
生まれ変わりかもだけど、年季の入った愛の前では余り違いがないのかも。
年を取るとボケるというし(タイムシフトAA略
755名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 17:38:14 ID:Dz2w2nsX0
一万と二千年たってもあ・い・し・て・るー
756名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 17:44:37 ID:7QuvaClZ0
八千年過ぎた頃からもっと恋しくなった
757どりるあーむ:2005/10/09(日) 19:05:31 ID:NXLZN4b10
>>738 >>739 >>740

ありがとうございます。何処までやれるか不安ですがやってみます。

そして、クォーリン。

一瞬、「誰?」と素で思ったオロカヤロウな私。
プレイしたアセリアのゲーム内容を慎重に思い出してみる。
覚えてない。
もともとPS2版でアセリアを知ったので家庭用アセリアスレで探す。
何処にも、存在を示すような書き込み無し。
公式サイト及び攻略サイトで、キャラクター一覧を調べてみる。
存在してない。
攻略本やムックにあるのかも。
そぉいえば、持ってない。
そういえば、このスレって初めて来るのよね。
LINKに何かないかちら。む?雑魚スピ保管庫??
クォーリン発見。
イラスト画像にて容姿確認、SSにてキャラ確認。
結論、色々な意味で可哀想すぎるキャラクターと判明。
なんつっても、永遠神剣の名前も位も判明してないし。
(ていうか、戦争終結後はなんだか稲妻部隊は存在してないくさいッ)
というわけで、急遽クォーリン生存&稲妻への帰還SSを構想中。
色々なところに無理があるがそこは強引に無理を押し通して。

>>749>>753
乙です、面白かったでした。
なんというか、時深さんの宿命とが痛々しかったでした。
感情の伝え方がうまいな、と思いました。
758名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:21:50 ID:JkwdQswx0
>753
乙〜
珍しくバットエンド気味ですな。相打ちを狙うソゥユートは、ある意味とても想像し易い展開。
と言うか、正直その状況はトキミ様に厳しすぎるカモ。再び希望は見つけたようですが。

>時深さんってやっぱり悠人に対する愛の年季は
>文句なしでNo.1でしょうから…って妄想です
ああ、そう言えばそうだなぁ。このスレでは不遇ですが(w
759名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:21:55 ID:MhCaD7v80

/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| いいか、みんな    |
\            /
   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
     ヽ)/              Vへ    
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ!          パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
   U |.Tii<           く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ   く/|_ノ ゞ
    <_ノ_jイ_ゝ.           しU      しU     しU




/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| 「いっぱい」と10回言ってみろ|
\                /
   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       ハ〜イ
     ヽ)/              Vへ    
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ!          パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
   U |.Tii<           く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ   く/|_ノ ゞ
    <_ノ_jイ_ゝ.           しU      しU     しU
760名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:22:41 ID:MhCaD7v80

            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
            | いっぱい!いっぱい!いっぱい!いっぱい!いっぱい!|
            | いっぱい!いっぱい!いっぱい!いっぱい!いっぱい!|
            \                                 ./
               ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ヽ)/              Vへ     
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ! ヨーシ       パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
   U |.Tii<           く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ   く/|_ノ ゞ
    <_ノ_jイ_ゝ.           しU      しU     しU




/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| じゃあ「い」を「お」にしてみろ |
\                 /
   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ヽ)/              Vへ    
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ!          パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
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761名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:23:53 ID:MhCaD7v80

                \_WWW|WWWWWWWWWWWWW/
                ≫                   ≪
                ≫   お っ ぱ ・ ・ ・     ≪
                ≫                   ≪
                /MMMMMMMMMMMMMMMMM、\
     ヽ)/              Vへ    
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ!          パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
   U |.Tii<           く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ   く/|_ノ ゞ
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               / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄./ ̄ ̄ ̄ ̄\
               |    い!  |  ・・・お   .|   い?   |
               \       .\        \      /
                  ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄

     ヽ)/              Vへ     
  ∠´ ハ`ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ   '´ ⌒ヽ, ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
  彡//ノハハ〉          (ノハソ彡i !  .<」」」l」」ハ ( リ〈ノルリ !〉))
  ゞ(リ ゚д゚ノ!          パ ヮ゚|i)ki !  く(゚ ヮ゚く/ ノノ(゚ ヮ゚リ!((
   <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  ⊂《T|》つ (⊂《T|》つ))
   U |.Tii<           く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ   く/|_ノ ゞ
    <_ノ_jイ_ゝ.           しU      しU     しU
762名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:27:40 ID:MhCaD7v80

          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
          | じゃ、最後のヨフアルはシアーのな。  |
          \                      /
             ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ヽ)/              Vへ    
  '´ ⌒ヽ,        .∠´ハ `ゝ          ;'´ ̄ ヾ;ヽ  ^》ヘ⌒ヘ《ヾ
 <」」」l」」ハ        .<//ノハハミ          (ノハソ彡i ! ( リ〈ノルリ !〉))
 く(^ヮ^く/ オイシー♪    !(゚д゚リ)く      ソンナ〜 ハTヮT|i)ki! ノノ(TヮTリ!(( ユートサマヒドイ
  っ(#)⊂         <´ii Yliン,          ⊂《T|》つリ  (⊂《T|》つ))
  く/|_ノ ゞ         U |.Tii<            く/|_ノ ゞ    く/|_ノ ゞ
   しU           <_ノ_jイ_ゝ.            しU      しU 








                  ヨフアル争奪戦 〜三人娘〜

                         ─完─




763革命:2005/10/09(日) 19:38:20 ID:s5ZMNakX0
>>757
感想ありがとうございます
支援は役に立ちましたか?
お互い新参ですが頑張りましょう
>>758
うーん、そう言うわけではないんですがw>相打ち狙い
でもどう考えてもエタ瞬には勝てないだろ、と
そこら辺は悠人に対する描写の不足ですね。
正直な話、今回悠人はおまけなんでテンポの為に削っていいかなーって…
>>762
ユート様、みんなに何言わせてんですかw

さて、セリアセリア
764名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 20:37:15 ID:/gDQcCjn0
>>757
ああっと、あのクォーリンは私の妄想絵に過ぎないので、正確な容姿はわからなかったりです……。
765名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 20:44:24 ID:ic8whfiG0
>>757
あなたは正しいのよ、普通の意味ではw
だって、ゲームじゃ絵も声も文字もないから…
766名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 20:47:09 ID:ic8whfiG0
っと、トリガ踏んだんで、次スレ試行行って来るわノシ
767名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 20:55:45 ID:ic8whfiG0
巡る憶測、止まぬ恐怖。
こわばった指がマウスをクリック。
ブラウザが、スピたんページを開き、Xuseの意思を示したとき、
皮肉にも、逆境が魂を震わせオーラが溢れる。
レジスタンス。
この、終わりなき闘いが、これこそが俺たちに似合うのか。

次スレ「永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 16」。
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1128858588/

妄想が進めば、乖離も進む。
768名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 22:17:33 ID:q0O7hs+c0
>>757
スレ移動もしたし参考になるか否か
これまで雑魚スピスレで語られたクォーリン像を以下に掲載。


・マロリガン最強のスピリット
・通称『深緑の稲妻』
・第六位『峻雷』の担い手
・童顔
・巨乳(光陰の趣味から外れているためむしろコンプレックス)
・高身長(光陰の趣味ry)
・気真面目
・料理下手
・セリアと仲良し
・光陰様激LOVE
・しかし奥手の為気付かれず(実はばればれ?)
・その他色々尽くすも報われず


つーか冷静に見つめなおすとスレ住人のあらゆる願望が集約されているなw
769名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 22:50:43 ID:1qaTvOug0
>>768
緑スピなのに料理が駄目ってのも狙ってるよな。
しかも基本駄目な娘で料理が下手なわけではなく、
マロリガン最強スピで有能な副官というできる女なのに料理が駄目っていうのが・・・
狙いすぎてませんか?いや、そこがいいのですが。
770名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 22:56:39 ID:Dz2w2nsX0
しかも有能なのに自分のやりたい事だけは空回り
771名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 23:04:22 ID:Vjmx0+nm0
しかし、名前だけのキャラをここまで膨らませるのも凄いな。
やりすぎると単なるオリキャラになるのを、そうならないようにするのが技の見せ所か。
772名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 23:27:15 ID:2T4SD8u40
オリキャラつーのはその作者の頭の中だけで完結するから、安易っちゃぁ安易だよな。
名前だけのキャラを、多くの人が妄想をちょっとずつ出し合って住人の共通認識まで育て上げる。
それがこのスレの真骨頂かも。
773名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 23:40:35 ID:Ubai49q80
メインキャラを食わないように目立ちすぎないように、でも主張すると言う微妙なバランスが大事。
774名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 00:03:18 ID:OTk1D8Go0
スレ住人の妄想は溶け合い、やがて一つの形を作っていく・・・って感じ?
775名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 02:20:43 ID:TM/0I2ZQ0
バドランドだって本編じゃセリフ1つ無いのにいつの間にかほえほえじーちゃんで通ってる品w
776名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 19:04:18 ID:G6v67kEM0
セリア・バトリ姐さんもなw
777名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 19:23:20 ID:28g+yrJv0
なぁ・・・思ったんだが・・・
「スピたん」のセリアは無印のツンデレセリアの姉という正体を現したバトリ姐さんなんじゃマイカ・・・?
778残り灯:2005/10/10(月) 20:50:42 ID:u9ik+rAJ0

「そう……行くのね」
「ああ、もう決めたんだ」
「止めても……無駄、よね」
「……ごめん」
「っ謝らないでよ! 謝る位なら……っっ」

いつもはちゃんと言える事が、どうしても最後まで伝えきれない。
語尾を吸い込んでいく夜の空気。風に流れていく言葉。森の翳に隠れる表情。

「……俺は忘れないから」
「え…………?」
「俺は絶対、忘れないから。例え……」
「…………許さない」
「え?」
「絶対、絶対に許さないんだから……」
「…………ああ、今までありがとう。本当に感謝してる……もう行く、な」

俯き、握り締める両手。背中に聞こえる、土を踏む音。彼が――立ち去る足音。
779残り灯:2005/10/10(月) 20:58:08 ID:u9ik+rAJ0

「許さないから……忘れてなんか……やらないんだから……」

呟きに、答えは返って来ない。聞こえるのは、透明な鳥の囀りだけ。

「だから、ちゃんと帰ってきなさい、よ…………」

睨みつけていたはずの地面がぼやける。一粒二粒、彩られる黒い染み。

りぃぃぃぃん…………

腰の『熱病』が、澄んだ音色を立てる。そっと鞘から抜き放つ。銀色に輝く刀身。
ぎゅっ、と唇を噛み締めた。これまでの想い出。その全てを確かめるように。

  ―――――ばさっ

何も無い空間に広がる、蒼の房。散らばり往く光達。もう、いらない。戦いに必要の無い物は切り捨てる。
戦い以外の生きる意味。その全ては、凝縮されて、たった今彼が持っていってしまったのだから。
…………唯一つ、余熱の欠片を残して。胸の奥に、その残滓だけを酷く滲ませたまま。



「お姉ちゃーん、お腹空いたぁー」
「ちょっと待って、もう少ししたらおやつにするわ。我慢できるわね?」

忙しい日々。目の回るような日常。
もう、誰も死なせない。もう、誰も失わせない。どこか記憶の隅に引っかかる、急き立てるような感情。
それに従い、戦いの後、初めて自分で選んだ私自身の「戦い以外の生きる道」。
780残り灯:2005/10/10(月) 20:59:28 ID:u9ik+rAJ0

「お姉ちゃーん、お客さんが来たよぉ!」
「はいはい…………全く、忙しいのに。またヘリオン達が遊びに来たのかしら」

洗い物を途中で放り投げ、前掛けで手を拭きながらぱたぱたと戸口に出る。

「あら…………」

逆光で良く見えないが、大柄な影。がしがしと頭を掻いている、見慣れない人物。

「あ……髪、切ったんだ」
「あの、どなたです、か…………」

何故か、声が掠れる。雷に打たれたように震えだす全身。ちくり、と胸を刺す感情。

りぃぃぃぃん…………

久し振りに聞いた、『熱病』の声。それは、酷く懐かしく、そして――――

「ただいま。っていうのも変かな……約束、だからさ。その…………帰って、きた」

ばつの悪そうに、ハッキリしない態度。
ぼそぼそと呟く意味が判らない言葉。針金のようにごわごわした髪。
どちらかというと、第一印象は最悪。その上、全然知らない人の筈なのに。
…………なのに、湧き上がってくる残り火みたいな感情。
わたしはどうしても、胸のずっと奥深くから溢れてくる微笑みを抑える事が出来なかった。



  ――――――お帰り、なさい――――――
781信頼の人:2005/10/10(月) 21:02:30 ID:u9ik+rAJ0
髪を切ったセリアさんに深刻な衝撃を受け、
納得の行く理由を無理矢理こじつけて精神の安定を図ってみました。
何か一本長編に出来そうな気もしたのですが、取りあえずは短く。
782名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:07:05 ID:G6v67kEM0
>>781
いつの間に!?
支援する間がなかったorz
本当にちゃんとした髪を切った理由が欲しいですね
ネリーとかぶるからとかそんなのイヤンなのです
とりあえずセリアルートエンディングGJでした(早とちり)
783名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:14:55 ID:kkl5Qz4n0
>>781 いつもいつもGJなのです
でもね、あえて言わせてもらえれば、切ない。
切なすぎるというか。

E化でもしないと報われねぇ、報われないよぅ。
784名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:15:38 ID:qCke9eHt0
>>781
GJ。
と言うか、個人的に神。セリア大好きですから、と古くなったスレでこそっと宣言しておこう。
でも、髪型は前の方が好きデス。あの凄く長い髪のポニテ最高。
785名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:26:31 ID:/YpJosVY0
>>781 GJ!
しかし私はポニテ擁護派(泣
786名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 19:07:50 ID:3ywkelznO
ツンデレポニテは神の芸術品です。
787名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 21:19:16 ID:8g4BAyc60
これだけの理由があれば……っ。やっぱりポニテがいい、なぁ……
保母さんということから機能的かつ実用的なあの髪型を選ぶのも、
セリアらしいとも思えますけれどね。
もしや子どもから受けるストレスですっかりキューティクルg(ヘブンズ
788名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 21:37:10 ID:cdb8y0t+0
まずあの髪型から好きになった俺からすると、がっくりですよ。ほんとに。
そして、
>>781
乙。心持ち癒されました。
789名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 20:49:37 ID:P8p498zK0
>>782さん
ネリーはストレート、セリアはやや癖毛。偉い人にはそれが(ry
>>783さん
ええ、自分で書いていても痛いと、それはもう痛切にw
>>784さん
見慣れるまでの辛抱だと思うんですけどね。でも、髪型は前の方が好きデス、私もw
>>785さん
絶滅寸前ですからね……貴重といえば貴重なのかもw
>>786さん
そこまで言い切りますかw
>>787さん
確かに、バッサリ斬ってしまうというのも彼女らしいですけどね。子供の為、保母の為。私は切らなきゃ(ry
>>788さん
ショートカットに納得しなくても、セリアはセリア。そう思うようにしました。うん、……そう。
他にも魅力沢山はあるし。怒りっぽいとかすぐ手が出るとか素直じゃないとか……あれ?
790国民の義務:2005/10/12(水) 22:33:58 ID:P8p498zK0

こんこん。
「ん……あれ、イオじゃないか、珍しいなこんな所まで。どうしたんだ?」
「実はこれを。ユート様にも是非記入して貰うようにとヨーティア様が」
「ん、なんだコレ。ええと…………」

  ≪ ラキオス国勢調査 ≫

 ・氏名及び男女の別

  女 その他(         )    氏(ラスフォルト ソゥ)名(         )

 ・世帯主との続き柄

  主従 居候 宿六 その他(         )

 ・出生の年月
  
  聖ヨト暦    年     の月     の日

 ・配偶者の有無

  無し

 ・国籍

  ラキオス その他(         )

「………………なぁ、これ、俺も書かなくちゃいけないのか?」
「ええ、義務ですから。それでは宜しく御願いしますね」

ぱたん。
791信頼の人:2005/10/12(水) 22:36:37 ID:P8p498zK0
時事ネタ風味で。ヒロイン:ヨーティア

という訳で、毎度の一レスヒロイン個別補完リレー。今回は「その他」です。

【あと?人】
792名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 23:51:50 ID:2o/VlfC/0
ばたーん!
ラキオス王城のとある研究室の扉をけたたましい音を立てて閉め、
わたしは一人廊下を足音高く歩き出した。
ふざけるんじゃないわよあの色ボケジジィ。何が、
『エーテル技術に関する論文は進んでおるかな?
なんなら、わしが直々に講義を行ってやってもよいぞ』
だ。せめて、講義の後の妄想を外に出さずに押し込めてから言ってみなさいっての。
確かに、技術者としての経験や知識はあちらに分があるに決まってる。
でもそれは、意味も無く年長者や重鎮クラスの側近を重用する体制の問題に大きく起因しているだけ。
けれども、未だ新米に過ぎないわたしが技術者として職を得たことも、
あのジジィに師事をしていたからという部分が大きくなってしまう。
わたしが問題なく建設を指示できるものなどたかが知れているっていうのに。
そして、技術や知識の向上に努めようとしても待っているのはそれと引き換えのアカハラの日々。
断固とした抗議の結果は、独学の強要とそれに伴う訓練所建設、
あるいは回復施設建設要員が関の山の成績なのだ。
……幸いにして、という言い方が正しいのかは分からない。
しかし、今この国は確実に変わりつつある。
他国の技術者を登用し、更なる智、更なる技が次々とここへと集まってくる。
ならば。わざわざジジィに媚を売る必要もなくなるじゃないか。一度たりとも売った覚えはないけれど。
盗みの対象がけちジジィだけに留まらなくなるのなら、きっと独学の効果も高まるだろう。
いつの間にか、高鳴っていた足音が収まり、自室の扉の前に立っている。
よし、とばかりにわたしはぶちきれたドサクサで持ち出した書物を懐から取り出して、部屋の鍵を開けた。
今日の徹夜の友はこれだと、心に決めてから。
……
「……優秀な人材とか、器用な人材は一人もいらないから、とにかく根性のある奴をよこしてくれ」
――そして、また一人の凡才が鍛えられる――
793登用の陰に・あとがき:2005/10/12(水) 23:53:52 ID:2o/VlfC/0
はっちゃけすぎてタイトル忘れてた……orz
今回のスポット先はきっと誰もが認める訓練所要員、リリ・ララ。……誰やねん。
ほら、技術者で一番下に来るあの人です。
技術者のランクアップが欲しいと思っていた遠いあの日。
自分のプレイで、変に中級クラスの技術者に訓練所はもったいなくて、
かといってEクライアントやEコンバーターを任せるには弱すぎて……
中途半端はいけないというヨーティアの論を地で行く登用具合でした。
794名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 12:38:52 ID:ix5+g9Jy0
hahaha,うちじゃヨーティアとイオが訓練所や回復施設作ってるぜ!
795名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 18:03:02 ID:4k2G5Zdp0
>>793
GJです。
やっぱりどこの世界も下っ端は苦労してるんですね・゚・(ノД`)・゚・。。
ガンガレリリララ!いつか夢開く時がくるさ。
796名無しさん@初回限定:2005/10/14(金) 05:37:24 ID:dsV6/3qGO
研究所2建ててバーンライト戦で大活躍してました。>>リリ
微妙な時期に微妙な能力で来るセリア(ryだのシアー(ryだのよりよっぽどお世話になってたり。
やはり任務との掛け持ちはキツいのか、とかアホな事考えてました。
797繋いだ小指:2005/10/15(土) 15:50:44 ID:A3vdVbR30
「よ、ワッフル食べないか?」
その人は、そう言いながら、ヨフアルを差し出した。
ふんわりと良い匂いを嗅ぎながら、口を少し尖らせてみる。
「ワッフルじゃないよ、ヨフアルだよ」
初対面の筈なのに、自然に話せてしまっている。そんな違和感を少しも感じず。

「おいひぃ〜。やっぱり、焼きたてに限るねぇ」
「相変わらず良く食うな……まったく」
「んふふ〜判ってないねぇ。冷めちゃったら、美味しくなくなっちゃうんだよ」
「いや、それはそうなんだけどな」
呆れ、苦笑いする表情。見てると、何か安心する。だから、口数が多くなる。
久し振りにはしゃぎながら、気さくなこの人に、好感以上の何かを感じていた。

「さ、て。もう、行かなくちゃ」
ぱんぱん、とスカートの草を払い、立ち上がる。陽が、大きく傾いていた。
……楽しかったけど、この時間はもうおしまい。本当の私の、仕事に戻らなくては。
振り向くと、座ったままの体勢で、無言で見上げてくる寂しげな顔。夕日に赤く染まる瞳。
胸のどこかをきゅっと締め付られたような気がした時には、そっと指を差し出していた。
「え…………」
「…………約束。また明日、ここで会おうよ。……ううん、会いたい、な」
言ってから恥ずかしくなってしまった私が、今度は黙りこくる番。
俯き、逃げ出したくなるような気持ちを抑える。それでも小指は必死に、引っ込めないよう。
きょとん、としていた気配がやがてすっと立ち上がる。その瞬間、指に暖かいものが絡められた。
「あ…………」
「ああ、約束だ。指きりげんまん、だな」
「う、うん! 指きりだねっ!」
ぱぁっ、と明るくなっていく心。湧き上がってくる、酸っぱいような感激。
ユビキリ。知らないはずなのに、知っている不思議な言葉。私は極自然に口にしていた。
その意味を、“私は絶対に知っている”。遠いいつか、記憶の先で。それが確信出来たから。

また明日。胸に秘めながら別れる。時々振り返り、大きく手を振った。
情熱の赤に包まれていく景色。偶然が、明日からは必然になる。ふと、知らず知らず、涙が溢れていた。
798名無しさん@初回限定:2005/10/15(土) 15:51:57 ID:A3vdVbR30
そろそろ真面目にその他ヒロイン補完。 【あと2人】
799名無しさん@初回限定:2005/10/15(土) 16:11:22 ID:A3vdVbR30
ついでに誘導。

育んだのは幻想なのか。
心の乾きが幻想を生むのか。
補完の果てに理想を見るのが妄想に過ぎないことは、
スレの誰もが知っている。
だが、あの無印の立ち絵が、PSの顔グラが幻だとしたら。
そんなはずはない。
ならば、雑魚スピの全ては幻想に過ぎぬ。
では、目の前にあるスレは何だ。

次スレ「再生」。
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1128858588/
スピたんなるものが牙をむく。
800名無しさん@初回限定:2005/10/17(月) 22:01:31 ID:w4uRkX2j0
801名無しさん@初回限定:2005/10/17(月) 22:12:35 ID:YRude5XZ0
>>800
またか。宣伝なのか晒しなのかワカランがいい加減ウザイよ。
802名無しさん@初回限定:2005/10/17(月) 22:37:12 ID:J8qvA+ta0
あまりにも面白くない小説だから、本人では無いと思われ。
恐らく書き込んでいる人は、叩いて欲しいか批判して欲しいんじゃないの。

まあ、こんなオリキャラSSなんて山のように増殖したから相手するだけ疲れるけど。
803名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 04:18:50 ID:unS6rBOX0
支援ばっふぁ
804名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 04:20:15 ID:unS6rBOX0
支援おるふぁ
805名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 06:17:19 ID:unS6rBOX0
支援せりふぁ
806名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 06:20:02 ID:unS6rBOX0
支援うるふぁ
807名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 06:40:01 ID:unS6rBOX0
支援えすぺりふぁ
808名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 06:45:45 ID:unS6rBOX0
支援れむりふぁ
809名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 06:47:32 ID:unS6rBOX0
支援にむふぁー
810名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 08:41:30 ID:Ec00GnKFO
支援ヒミファ
811名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 08:44:18 ID:Ec00GnKFO
支援よーてぃふぁ
812名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 09:36:50 ID:PykiOHDO0
支援ソーふぁ
「友達がいると思っているやつはバカですよ」
813名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 09:38:20 ID:PykiOHDO0
支援ナナふぁー
「知りませんでしたか? わたしはバカなんですよ」
814名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 09:51:35 ID:+2FY87cc0
支援ねりしふぁ
「くーるなオンナはバカなんていわないんだよー」「よー」
815名無しさん@初回限定:2005/10/19(水) 14:43:01 ID:vetzBVtN0
支援ハリオふぁ
「けんかしちゃめーっですよ」
816名無しさん@初回限定:2005/10/21(金) 11:51:34 ID:oq3RHI/9O
支援ぱふぁ・・・

















バツン!
817夢幻の如し:2005/10/22(土) 18:14:56 ID:fi4k8Czt0

我々は、戦い続ける。そう、雑魚と言われようが、何と言われようが。

「この戦い、勝たねばならない……」
ラキオスは、恵まれている。それは認めよう。
大体において、固有名詞があるのが何より大きい。しかし、だがしかし!

「敵だね! ボクはいつでも大丈夫だよ!」
顔グラや立ち絵が修正され、個別イベントまで発生し。
挙句の果てに、それ単体でゲームまで発表され。
そんな者を、最早雑魚と呼べるだろうか! いいや、呼べまいっ!(反語)

「はぁ……はぁ…… 剣持つのって馴れないなぁ……」
それより未だ戦闘台詞だけで放置されている我々こそ、正真正銘真の雑魚!
戦闘スキップされようが、個別判定が不可能だろうが、まとめて吹き飛ばされようが。
雑魚の中の雑魚、キング……違った、クィーンsオブ雑魚スピなのだっっ!!!

「活路はある、落ち着いていくぞ!」
こうして我々は、今日も戦い続ける。ただひたすら、補完の日々を待ち望みながら。
818名無しさん@初回限定:2005/10/22(土) 18:16:24 ID:fi4k8Czt0
悠人「いや、それはないって」
光陰「というか、それじゃ戦う他にどうしようも無いんじゃねーか?」orz
819名無しさん@初回限定:2005/10/22(土) 20:57:40 ID:0LC8I9Ni0
でもマロリガンの稲妻部隊ならクォーリン以外にも補完があるかもよ?
820名無しさん@初回限定:2005/10/23(日) 00:06:27 ID:pAqGRWPUo
そういや昔マロリガンルートをnscriptで作ろうとした(結局挫折)時の
シナリオならあるんだけどここで投下していいのかすげー微妙。 
821どりるあーむ ◆ncKvmqq0Bs :2005/10/23(日) 01:27:47 ID:BUpMKNzY0
誰も読んでなさそうな隙を見計らって…。
822名無しさん@初回限定:2005/10/23(日) 01:37:27 ID:aB0iMsOh0
投下ですか?(ワクテカ
正確な月日、わからず。

どういうわけか、私までハイペリアに連れてこられた。
そう、ヘタレ隊長とアセリアのバカップルに巻き込まれて。
別に幼馴染に初恋の人をとられたからムカついたりなんかしてない。
いったいどうやって、まきこまれたんだろうか。
やめておこう、いやむしろ考えたくもない。
ハイペリアというのは、想像以上にとても大変な世界だった。
以下、箇条書きにして簡潔に示す。

1・空の向こうより異形の侵略者が珍妙な船で侵略しに来る事日常茶飯事。
2・ハイペリアは灰色のえらく高い塔がそびえたっているけれど。
  それよりも巨大な様々な生物や機械の塊がよく暴れまわっていた。
  そして、いつもそれを光り輝く銀や赤の巨人が撃退していた。
3・身体に機械を埋め込んだ不気味な怪人たちが度々一般人を襲っていた。
  それに対し、この世界でいう「ばった」なる虫に似た怪人たちが戦っていた。
  他にも身体が赤と青に分かれたのとか髑髏の仮面をかぶったのとか色々。
  正直、ヘタレ隊長よりも彼らのうち誰か一人に隊長を代わって欲しかった。
  見かけはともかく、強いし女たらしじゃないし何よりヘタレじゃないから。

アセリアが目で訴えてくるので時々私が彼らを手伝ってあげたりした。
ヘタレ女たらし隊長と千年処女ストーカーが何か文句言ってきたがスルー。
アセリアが喜んでくれる事が、今の私には一番大事なことだ。
824どりるあーむ ◆ncKvmqq0Bs :2005/10/23(日) 01:52:51 ID:BUpMKNzY0
一発ネタなので、ここまでデス>革命さん
んでは、また。

さあ、シアー萌え長編の続きにとりかからないと…。
825名無しさん@初回限定:2005/10/23(日) 01:59:56 ID:xGNdP4Au0
セリア、それ違う、色々とw
826名無しさん@初回限定:2005/10/23(日) 02:56:21 ID:aB0iMsOh0
>>824
乙です。ソゥユートごとアセリアをこき下ろしているかと思いきや
アセリアを想うセリアが萌えますw
ウル○ラマンや仮○ライダーとかメタ○ダーがスピリット隊の隊長なんてイヤソ
ハイペリアは狙われているっ!

…革新の一歩の続き書かなきゃ
827名無しさん@初回限定:2005/10/23(日) 03:06:35 ID:BUpMKNzY0
>ハイペリアは狙われているっ!

それはつまり、次はレイ○ナーネタで書けと言う事ですか。

了解。
828名無しさん@初回限定:2005/10/24(月) 22:37:50 ID:SqPv52Je0
>>827
ちょwwまww
ヤバスw
829名無しさん@初回限定:2005/10/25(火) 15:15:22 ID:iiTi8UuQ0
>827
その了解は「レディ」と読むんですねw

手足を狙ソゥユート、急所を狙えと忠告する求めタンとか
830身に憶えのある者達:2005/10/25(火) 20:14:07 ID:d6u8zqR50
今日子は、困っていた。
「ええと…………これがこうだから、こうなって……だから……」
寝そべっていたベッドの上で、ごろごろごろごろ。たまにごつん、と壁に頭を打ちつけ、ぴくぴくと痙攣する。
「痛ったぁ〜〜…………くっ、こんのぉ!」
涙が出る程痛かったらしく、八つ当たり気味に壁に向かってハリセンアタック。そしてまた悶々。
「あ〜〜っ、どうしてこうなっちゃったのよぉ〜〜!」
それを延々、もう二時間は続けていた。

「…………なぁ悠人、どう思う?」
「どう思うって……とりあえず、近づかない方が懸命だな」
「うむ、同感だ。君子危うきに近寄らず。ここで見守る事にしよう」
「…………見守るのかよ」

そうこうしている内にがっしと『空虚』を握り締める今日子。その表情は強張り、張り詰めた緊張感が辺りを包む。
「あちらを立てればこちらが立たず……うう〜〜」
ぎっと刀身を睨みつけ、獣みたいな唸り声を上げ。同時にぱりぱりと全身から紫電が迸り始めた。

「お、おい何かヤバくないか?」
悠人は言いながら、嫌な予感がしていた。まさかとは思うが、ここで二股をバラすのでは、と冷や汗が流れる。
「ああ……ちょっと心配だな。神剣の支配が強まったのかもしれん」
一方の光陰は純粋に今日子の身を案じている。悠人は少し、いやかなり居心地が悪くなった。
「あ、あのな光陰、実は俺達……」
罪の意識に圧され、自分から楽になろうと呼びかけた時。
ばさっ!
「あ〜〜〜、もうっ! はっきりしなさいよ、アンタ、五位なの六位なのっっ!!!」
「…………へ?」
今日子は、二冊の本を勢い良く『空虚』へと投げつけていた。呆れた光陰が声をかける。
「なんだ今日子、そんな事で悩んでたのか? まったく、心配かけさせやがって」
「やだ光陰! 聞いてたの?…………だって、気になるじゃない?」
二人の会話を聞きながら、悠人は腰から崩れるようにその場へとへたりこんだ。目線に、本のタイトルが飛び込む。

『公式設定資料集』 『舞台劇永遠のアセリア第二幕』 本にはヨト語でそう書いてあった。
831名無しさん@初回限定:2005/10/25(火) 20:14:52 ID:d6u8zqR50
埋め促進 【あと一人】……なんだけど無理っぽい(汗
832名無しさん@初回限定
という訳で次スレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1128858588/

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