あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
____ ________ _______
|書き込む| 名前:| | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
それでは〜点呼いきますよぉ〜
お題はぁ皆さんのイメージソングだそうですぅ。それではどうぞぉ〜〜
5 :
暫定FAQ:2005/08/09(火) 00:44:40 ID:/oYjcgKq
>>1 定番ですが、乙ファーレーン。
元気一杯ドジっ娘ヘリオンに「happy days」で。
>>1 ニ乙
>>4 夏だし、ハリオンに『いまのキミはピカピカに光って』 <2>
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <1さん乙
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
>>4 やはりこのお方には“創聖のアクエリオン”がええかと。
・・ヒィィィィゴメンナサイゴメンナサイ。
1さん乙
…時深は『少女神』とかはどうだろう?
>>1さん
乙リア。
うちの冷えすぎたり効かなかったりするクーラーにはセリアが潜んでいると思うんだ……
>>4 セリアに『1/3の純情な感情』を。
>>1 乙です。
えっと、ファーレーンで『Resistance Line』かな。(マニアック?)
>1Z
ウルカで「大岡越前」(ぇ
>>1 乙ミカ。
今日子で「君の瞳は10000ボルト」。
くーるなネリーに川本真琴『1/2』
あたしたちってどうして生まれたの 半分だよね
一人で考えてもみるけど やっぱへたっぴなのさ
あたしまだ懲りてない 大人じゃわかんない
届かないっていわれたって このままジャンプしたい 点呼は<9>?
>>1 ハリ乙
あんまり歌には詳しくないけど、
オルファに岩男潤子の「あそびにいこうよ!」
明るい歌なんでネリーでもいいかな
<10>
>>1 乙
レスティーナに、アニメ『天地無用!』から、折笠愛『恋愛の時空』
さーくらーがちるこーろーにー、ぐうぜーんあいましょーおー<11>
エスペリアにメイドさんr(ry
とか考える俺がいる
…最初の方しか聴いたこと無いけど
エスはやっぱ花右京メイd(ry
「先制SS、行きます」
あてんしょん
このSSは、基本的にファーレーンonlyの補完です。
全五編、それぞれ十六章で完結します。
無駄に長いので、そういうのが嫌いな方は遠慮なくスルーお願い致します。
§〜聖ヨト暦330年エハの月黒いつつの日〜§
一点の曇りも無く澄み渡る夜空。
明滅する星々が殊更明るい月の庇護の元、ささやかに寄り添い合って浮かぶ。
あるものは群れを成し、またあるものは孤高に煌き。そしてあるものは流れ、消えていく。
月が好きだった。
加護を受けているから。そんな当たり前の理由ではなくて。
全てが寝静まった世界をただ見守り、悠久に浮かび上がるその姿が。
日ごとに形を変え、その度に移りゆく表情が。
ひっそりと静寂を包み込む、慈愛に満ちた優しさが。――――闇を紡ぎ、映し出す強さが。
りぃぃぃぃん…………
それは突然に、訪れた閃光。
白く輝く森の木々が淡く夜空を照らす。
光の中で輪郭を失い、次々と消えていく星達。
ただ独り、未だ中空に漂う月の影が、初めて孤独に見えた。
――――― 朔望 ―――――
§〜聖ヨト暦331年エハの月黒みっつの日〜§
古い石造りの壁と天井。窓は無く、むろん月の光も届かない。
巨大な石室を思わせるその部屋の中心には貫くように一筋の赤い絨毯が敷かれている。
薄暗く無機質な部屋の中で一際鮮やかな絨毯の先には金色に輝く縦長の椅子。
常々その装飾は悪趣味だと思っていたが、むろん口に出した事は無い。
薄暗い玉座の主は今は無く、ただじっと寒々しい静謐さを醸し出している。
遺跡を連想させるその造りは意図したものだろうか、とふと思った。
片膝をついている石畳が温かくなっている。足元から這い上がってくる黴の臭い。
――――こうしてもう、一時間にはなろうか。
当然絨毯の上など許されるはずも無く、顔を上げるだけでも周囲の叱責の対象になるだろう。
目の前に立っているはずの人物が話し終えたのを確認して、一言だけ言葉を返す。
「それでは、失礼致します」
「………………」
満足とも後悔ともとれる溜息が聞こえてくる。いつもはそのまま立ち去る影が、小声で囁く。
「ごめんなさい、いつも貴女にだけこんな役目を負わせて…………」
「………………」
黒の妖精は僅かにかぶりを振って立ち上がり、そして声に背中を向けた。
――――― 夜想 ―――――
§〜聖ヨト暦330年アソクの月黒いつつの日〜§
「はぁ……」
ひっそりと暗い夜、静まりかえった部屋の中。悠人は片膝を立てたまま窓際に腰掛けていた。
窓の外をぼんやりと眺め続けている。相変わらず見慣れた星座は一つも見つからない。
月の色も少し青かった。それでも、満天の星空と大きく浮かぶ満月だけは元居た世界と変わる処はない。
一月をかけて回ってくる月の満ち欠け。こんな世界でも、それだけは同じ。
理不尽な世界に放り込まれ、孤独と不安に苛まれる中、唯一その事だけが心休まる事実だった。
…………そう、この世界に迷い込んで、もう一ヶ月。それとも、まだ、というべきなのか。
どちらにせよ起きた出来事は余りにも多く、そしてその殆どはろくでも無いものばかりだった。
正に悪夢とも言うべき時間。振り返るのも重過ぎる。だが夢は、醒める気配も無く続いている。
言葉さえまだろくに通じない別世界の中で、混乱するまま流され続けて。
もちろん考える事もやるべき事もいくらでもある筈。ただ今は、どうしても心が追いついてこなかった。
「佳織…………」
城の方角に視線を移す。そこに囚われているはずの妹。考えるだけで、焦燥が心を駆り立てる。
出来るものなら今すぐにでも駆けつけたい。あの忌まわしい、『エトランジェの制約』などが無ければ。
「くっ…………」
逸る心を抑える為に膝をぎゅっと握り締める。爪が肉に食い込む程強く、強く。
そうすれば、痛みが思い知らせてくれる。
自分は現実に、『ここ』にいるのだと。『この世界』が夢なんかじゃない、という事を。
軽く頭を振って迷いかけていた思考を逃がす。
鬱々とした気分を抱えたまま、もう寝ようと窓枠に手をかけて立ち上がったその時だった。
――――視界をなにかが掠めた。
何故そんなに慌てていたのか、後になってもよくわからない。
気付いた時にはばたんっ、と勢いよく窓を押し開けていた。
開かれた視界一杯に飛び込んでくる満月。先程と何の変わりも無い、満天の星空。
それらを無言で背負った森の一望。月に照らされてその闇を僅かながらも抑えている夜。
そんな蒼く淡白む風景の中。先程には無かったシルエットが浮かび上がっていた。
リクディウスの森の中でも一際高い大木の、さらにその先に佇む人影が。
いや、人ではない。第一、影には翼が生えていた。黒く翳る身に対称的ともいえる純白の羽。
身長をゆうに越えるであろう白翼が、月に負けない光を放って主を映し出していた。
――――そう、“彼女”は宙に浮かんでいた。
目は悪い方ではない。そしてこの世界が所謂“ファンタジー気味”なのもいい加減解っていた。
それでも自分の目が信じられない。それは、あまりにも非現実的な光景に思えた。
気が付けば、身を乗り出していた。そのまま暗闇に目を凝らしていれば、徐々に視界が慣れてくる。
逆光に浮かび上がる女性的なシルエット。その滑らかな境界線が少しづつ明瞭になっていく。
悠人は知っていた。その姿が正に妖精――アセリア達と同じ、スピリットのものなのだと。
ひゅう、と一陣の風が吹く。それに混じって微かに聞こえてくる音…………声。
耳に流れてくる空気の震えが徐々に旋律を形作るのが判る。スピリット――彼女は、謡っていた。
柔らかい、穏やかな抑揚。もちろん歌詞など理解出来る訳もないのに、何故か酷く懐かしく感じた。
月光が照らし出す黒蒼色の世界。その中で、少女は独り朗々と口ずさんでいた。
視線は軽く伏せられ、胸に当てた両手は紡がれる旋律を自ら抑え込む様に。
両肩からぼんやり伸びた白翼が軽く撓(たわ)み、その煌きで守る様に少女自身を浮かび上がらせている。
遠く近く澄み渡る声。淀みの無い音の波は静寂を優しく貫き、その波紋は穏やかに心に染み渡る。
そこだけが淡い光で包まれた空間。時折通り過ぎる風がロシアンブルーの髪を優しく静かに撫ぜて往く。
やや暗い白地に黒の紋章模様をあしらった中世的な衣装。腋から縦に僅かに施された臙脂。
深く刻まれたスリットから伸びたすらりと長い足は黒いオーバーニーソックスで覆われ、
胸元をそっと抑えた細い両手には銀色の手甲が光っていた。
そしてその腰から地上に向けて伸びている二紫の鞘。
収められているであろう神剣には無数のマナが細かく舞い散る。
やや細身の日本刀のような形状の剣が、何故か彼女にはとても相応しく思えて綺麗だった。
神を讃える戦乙女(ヴァルキュリア)。一瞬そんなことを連想していた。
ふいに、歌声が熄んだ。
少しづつ、うっすらと開かれていく少女の瞳。その眼差しが、微かに揺らいだ……様な気がした。
静かに湛えたような、深い海の様な鋼色の瞳。波紋を帯びた双眸がゆっくりとこちらに振り向く。
「〜〜〜〜!」
目が合った、と思った瞬間、強く窓枠を握り締めた。
体が全く動かない。いつの間にか煩い程激しい心臓の鼓動。
痺れたように働かない頭が警鐘を鳴らす。吸い込まれた目線が彼女から離せない。
しかし少女もそれっきり、動こうとはしなかった。
じっと見つめる瞳にかかる長い睫毛だけが時折風に震えている。
二つの視線が絡み合う。どちらからも逸らそうとはしない。
少しづつ失われていく距離感。悠人は少女がまるで目の前に居るような錯覚を覚え始めていた。
まるで同じ事ような事を考えていたかのように、少女の整った顔が微かに揺れ、髪がたなびく。
我が剣が一片『無名』に命ずる、彼の者を支援せよ!
どれくらい、そうしていただろう。
――――ひゅう……
穏やかな時間がゆったりと流れた後、軽い突風が夜気を薙いで静寂を破った。
それが合図だったかのように少女の翼が大きく羽ばたく。
「ま、待ってくれ!…………」
はっと我に返った悠人が初めて少女に声を掛けた時、その影は既に消え去っていた。
残された白い羽達が月の光に舞う。
次々と消えていくそれらの内の一枚が、風の徒(いたずら)か部屋へと迷い込んできた。
差し伸べた掌にそっと降り立つ一枚の白羽。やがて金色に還ったその羽から、微かに森の匂いがした。
向こうの世界と同じ、どこか懐かしい、瑞々しい香りだった。
呼び止めて、何を話すつもりだったのだろう。残された部屋の中で、悠人は暫く立ち尽くしていた。
開いた掌をぎゅっと握る。いつの間にかじっとりと汗ばんでいる手の平。
滲む様なその感触が、夢などでは無かったことだけを伝えていた。
窓から差し込む蒼い光に少しだけ目を向ける。
しかし当然彼女の姿は見えない。悠人は苦笑してベッドに寝転んだ。
眠気は意外と早く訪れた。
余計な思考も感情も洗い流された、こんな穏やかな深い眠りは久し振りだった。
もちろん、この世界に来てからは初めてのものだった。
§〜聖ヨト暦330年ホーコの月赤よっつの日〜§
レスティーナの私室から出てきたファーレーンは、一度黙礼した後静かにその扉を閉めた。
周囲に気配の無いのを確認してからゆっくりと歩き始める。城の中だろうが油断は出来なかった。
重鎮の中にはレスティーナ皇女に不満を持つ者達がいる。
現ラキオス王、ルーグゥ・ダィ・ラキオスを擁する一派がその最たるものだ。
彼らは必要以上にレスティーナ皇女が表に出るのを好んではいない。
どころか聡明過ぎるその「理想」を本能的に察し、自らの地位を守る為に彼女の失脚をも狙っている。
真に国を憂える一部の者を除き、ルーグゥ派は圧倒的な勢力を誇っていた。
力無い者程その保身には敏感だ。数が力だというのも、間違ってはいないのだろう。
しかし地位に伴っていないそれらの頭脳は、肝心な所がやはりというか抜けていた。
軍隊などの目に見える力だけを過信し、それさえ掌握しておけば安全と決めつけ、
レスティーナ皇女に対して情報部への干渉だけは残しておいたのだ。
官僚社会における典型的な“閑職”へにでも追い込んだつもりだったのだろうか。
しかしそれがいずれは彼らにとっての決定的な致命傷になる。
ファーレーンは、そう確信していた。
「理想」に賛同する者だけを残し、情報部は今や皇女の手中にあった。
ただ、新生してまだ間もない組織は今だ十分な機能を発揮する事が出来てはいない。
それよりもルーグゥ派が主流である現状、皇女の些細な動きも逆に致命傷になりかねなかった。
例えば情報部という本来人の行う部署に自分のような者が配置されている事。
それはスピリットをただの兵器としか考えられないルーグゥ派にとっては笑止としか取れない行動だろう。
しかしそれでもこの事実は漏れれば糾弾の材料にはされてしまう。
なぜならこの国、いやこの世界では、スピリットはただ指示に従って戦うものでなければならないからだ。
もしそれが自身の判断や分析などを伴っていると、例えば国民にでも知れればパニックになるだろう。
生命として、明らかに人より自己保存能力や攻撃・索敵能力に長けたスピリット。
それは操れると知ったればこそ、存在を許されるもの。
ある程度とはいっても自由を持たせて安心していられる訳が無い。
街を歩けばそれが良く判る。操る側の者が、操られる者を避けて通るのだ。
誰も疑問にすら思っていないその事実を、レスティーナ皇女の思考はいとも容易く打ち破った。
公に口にした事は勿論無かったが、ファーレーンはその理念をこう解釈していた。
―――― 人とスピリットの共存 ――――
ただ、理解しているという事と同意するという事はイーコールではない。
それが自分達にとって有益な事なのかどうか、そんなことはこの時のファーレーンにはどちらでも良かった。
主の命に従う。そして主を守る。それだけだ。だからこそ、警戒を怠ってはいけない。
唯一人、自分が今まで必死になって守ってきた大切な者の為に。
物思いに耽っていつの間にか辿り着いた部屋から僅かに灯が洩れていた。
少しの間自分の表情を確かめた後、そっとその扉を開く。
すると深夜にも関わらず、やはりまだ起きていたニムントールが振り返った。
「おかえりお姉ちゃん、遅かったね」
「ただいまニム。まだ起きてたの?」
「あ、別にお姉ちゃんを待っていた訳じゃないよ……その、神剣を手入れをしていただけだから」
そう言って、ニムントールは今まで床に放っていたらしい槍を慌てて持ち直す。
可笑しくなってきてくすくす笑った。そんな言い訳、しなくてもいいのにと思う。
「ニム、そっちは穂先、あぶないですよ。……ありがとう、待っててくれて」
「〜〜〜〜う、うん」
えへへ、と少し気まずそうに照れた後、ぽふっと胸に飛び込んでくる。
受け止めつつ、いつもと同じように髪を撫ぜながら訊ねた。柔らかい、日向のようなニムの髪。
「どうしたの、ニム」
「だって…………お姉ちゃん、どこ行ってたの?」
「ごめんね、ちょっとお城の用事が長引いちゃって…………さ、もう寝ましょう」
「…………うん、わかった」
やや不安げに見つめた後、大人しく着替えて布団に入るニムントール。
その間に兜を脱ぎ、ふわさぁと開放された髪を軽く解した。
『月光』を傍らに置き、ベッドの脇に跪いていつものように彼女の手を軽く握る。
「へへ…………お姉ちゃん………………」
ニムントールの寝息がゆっくり静かなものに変わっていく。
見届けながら、小さくごめんね、と呟いていた。
支援
ニムントールが寝静まったのを確認した後、起こさない様静かに部屋を出た。
そのまま詰め所の外、リクディウスの森の中へと足を踏み入れていく。
いつも独りで考えたいことがあると必ず訪れる場所。森の中でも一際目立つ大樹。
仲間内で「陽溜まりの樹」と呼ばれているその樹の幹に手を当てそっと目を閉じる。
――――必ずエトランジェを守ること――――
『ただし、これは極秘裏に行ってもらいます』
『他言は無用です。もちろん、スピリット隊にも内密です』
『一方情報部としての活動も同時に進めてもらいます』
『その交換条件としてのグリーンスピリット・ニムントールの戦場への参加の遅延を認めます』
皇女の言葉が次々と思い出される。
これまでの内部諜報活動とは全く違う性質の密命。
それは明らかに、「戦争」が発生する事を前提としたものであった。
もしかしたらニムントールが戦場に立つ時期がもう直ぐそこに来ているのかも知れない。
他のどんな事態よりも、それが憂鬱だった。
重く、霧のように積み重なる不安が心に根を下ろし始めていた。
色々と浮かび上がる憶測や考えを追い払うように、ファーレーンは少しだけ息を止めた。
心と背中の中間にすっと精神を集中させる。それだけで、背中に白翼が展開した。
ふわさぁと闇に映えるそれをゆっくりと羽ばたかせ、大樹の更に上へと浮かび上がる。
そこで彼女はいつもの様に胸元に手を当てつつ、瞳を閉じて詩を口ずさみ始めた。
遠くラキオスに伝わる、深く静かな愛想曲(セレナータ)。詩の意味はよく判らない。
それでもいつも心を鎮めてくれる、ファーレーンにとっては魔法の詩だった。
―――サクキーナム カイラ ラ コンレス ハエシュ
ハテンサ スクテ ラ スレハウ ネクロランス――――
ふと先日目の合った青年を思い出す。思えば彼がエトランジェだった。
正直、とても救世主と呼ばれる存在とは思えない。頼り無さそうで、何か欠けている様で。
それでも……何と表現したら良いのだろう。そう、まるで、吸い込まれるような眸の持ち主。
そんな「人」を見たのは初めてだった。彼を守るのだと思うと不思議に少し気分が軽くなる。
「確か…………ユート、様…………」
先程聞いたその名前を口に出して確かめてみる。
すると突然何かがこみ上げてきて、気付いた時には詰め所の方角に振り向いていた。
今、彼の部屋の窓は暗く閉ざされている。もう寝ているのだろう。
なんとなく寂しくなってきて、腰の鞘へとそっと手を添えてみた。
呼応した『月光』が、リィィィン――と柔らかい音を立てて震えた。
やがてファーレーンは静かに森へと降りていった。少し欠けた月の綻びが見守る闇の中へと。
支援
§〜聖ヨト暦330年エクの月青みっつの日〜§
荒れ狂う咆哮。殺意というよりは、純粋な怒り。
肌を圧する苛烈な力は最早竜巻などという比喩では追いつけない。
凶暴な息吹(ブレス)を受けながら、悠人は懸命に折れそうな自分自身と戦っていた。
魔龍サードガラハム。
初陣を覚束無くも辛うじて勝利で収めた悠人が次に受けた命令、それはラキオスに棲む異種族の討伐だった。
元いた世界ではファンタジーでしかお目にかかれない代物。リクディウスの門番とも言われるその存在。
出撃前に“謁見”したラキオス王の下卑た笑いが思い出される。
「エトランジェよ、無論やってくれるな?」
断る事が出来ない者への嫌味な物言い。切れそうになった悠人が何とか堪えられたのはエスペリアのお陰だろう。
「いまは耐えるときです。カオリさまのためにも……ユートさまのためにも……」
ただその一言が、踏み止まらせた。しかし同時に、後にも引けなくなっていた。
そして今、握っているもの。一見ただの骨董品に見えなくも無い『求め』という名の無骨な金属の塊。
何らかの理由で休眠していたその意志を、悠人は先日の戦いに於いて逡巡の末目覚めさせた。
ただ、佳織を救う為に。それが引いては自分自身の為なのだと言い聞かせて。
アセリアの『存在』を介して接触(リンク)した悠人の精神に響いた第一声は、
『我は力。求める者に力を与え、代償を求める』
――そうして覚醒したこの永遠神剣は、しかし悠人にとってはとんでもない代物だった。
力には、代償がある。失わずに得られるものなどない。元いた世界で大人達に嫌という程教わった法則。
初陣を思い出す。自分とそう歳の変わらない少女達との殺し合い。倫理観とかそういった綺麗事ではない。
ただ単に、怖かった。剣を振るう度に押し寄せるイヤな予感。自分が何かに飲み込まれる様な感覚。
悠人は遂に、一人の敵も殺める事が出来なかった。勝利が仲間のおかげだったと気付いたのはずっと後の事だ。
「代償」がなんであるのかは、すぐに解った。マナを得る事。その為にだけ囁く『求め』の呪詛。
以前からずっと聞こえていた不愉快な声の正体。それが、「神剣の干渉」だった。
神剣に、国などという概念はない。ただひたすら血と殺戮を求め、そのマナを啜る。持ち主に、それを強いる。
先日も僅かな隙を突かれ、アセリアやオルファリルという一緒に住んでいる仲間達を襲いそうになったばかり。
あの時はなんとか凌いだが、逆にそれ以降『求め』は全く沈黙し、悠人はその力を引き出せないでいた。
そして今。圧倒的過ぎる力を前に、悠人は再び『求め』の力に頼らなければならなくなった。
死なない為に。失わない為に。そしてもしかしたら、倒れている仲間の為にも。
『小さき者たちの都を火の海としよう』
その一言が、悠人の心の最も柔らかい部分に深く突き刺さる。灼熱。怒り。そうしてエトランジェは目覚めた。
しかしそれらの想いにようやく応えた『求め』を得ても、なお守り龍――サードガラハムは強すぎた。
「このっ!バカ剣、もっと本気を出せっ!!」
ともすれば飲み込まれそうな意志と吹き荒れるブレス。叫びながら、悠人は内外の脅威と必死に戦っていた。
魔龍の咆哮が一瞬熄む。その隙を突いて、一気に間合いを詰めると渾身の力で斬り付けた。
「うおおおおおっ!!」
がぎぃぃん、と硬い音が洞窟内に響く。弾き返された『求め』の勢いで悠人はよろめいた。
サードガラハムの目がぎょろり、と赫く燃え上がる。鋼の様な“鱗”には傷一つついてはいない。
『…………その程度で我に歯向かうのか、小さきものよ』
深く殷々と刺し貫く守り龍の声。
開いた翼が狭い洞窟の内壁に激突し、岩石の雨が降り注ぐ。撓らせた巨大な体躯が更に大きく膨らむ。
ブレスの予兆。身体が硬直するのが判った。避わせない。
「…………むぅっ」
そう思った時、魔龍の気配が一瞬小さくなった。
「うわあああああっっ!!」
考えも何も無い。“斬れ”なければ“刺す”しかない。十数メートルの高さを一気に跳躍する。
胸の辺りに取り付いた悠人は夢中で『求め』を逆手に持ち、その心臓目がけて深々と刺し貫いていった。
「与えられし苦痛を、与えし者に返せ…………!」
先程から、見られているのは判っていた。
黙殺されていたのは、いかに自分がサードガラハムにとって取るに足らない存在かという事の証明。
もし立ち向かえば造作も無く踏み潰されるだけだろう。
だから自らは動かず、ただ見守っていただけだった。
しかしそれでも悠人が危険だと判断した時。
自分でもよく判らない力に後押しされて、無意識のうちにファーレーンは飛び出していた。
無我夢中で放った神剣魔法は『月光』の力を半分も使ってはいない。
アイアンメイデンが龍の視界を捉えたのは、ただの偶然だった。
制御も出来ず放った黒い槍の内の一本が、たまたま門番の眸に飛び込んだだけ。
だが結果的にそれで動きの止まったサードガラハムは、『求め』に刺し貫かれてあっけなく絶命した。
幸いにして、自分の存在は悠人達には気付かれなかった様だ。
立ち去り際に、そっと溜息をつく。『月光』に飲まれたマナがまだ回復しきっていない。
ファーレーンは意識してゆっくりと歩きながら、懸命に自らの心を制御しようとしていた。
先程の行動は、ただ皇女の命令を遂行しただけに過ぎないと何度も自分に言い聞かせて。
雲間に欠けた月が覗いていた。
力無き力を力とせよ、支援!
「そういえばあのユートって奴、“守り龍”を倒したらしいね」
「え…………?」
ゆったりと窓の外を眺めていたファーレーンは唐突な妹のセリフに振り返った。
「ニム、それどこから聞いたの?」
「やだそんな怖い顔をしないでよお姉ちゃん。オルファリルが言ってたんだってば」
「そ、そう…………」
誤魔化す様に手拭でそっと顔を拭く。そんなに険しい表情をしていたのだろうか。
それにしてももうここまで伝わっているとは……情報部の在り方に疑問を感じてしまう。
「……もしかして、知らなかったの?」
怪訝そうなニムントールの表情に、はっと我に返る。
(……いけない。王城に行っていた事になってるんですよね)
「えっとほらニム、そろそろ上がりましょう、のぼせちゃうわよ」
ざばぁぁ。ファーレーンはやや慌てながら、湯船から上がった。
透き通る様な白い肌に水滴が流れる。身体全体が湯気に当てられてほんのりと赤みを差していた。
戦士とは思えない程滑らかな背中の曲線を伝い女性的な丸みを帯びた臀部へとこぼれ落ちる雫。
ニムントールが暫くじっとその様子を見つめていた。
「…………なに?」
妹の視線に気付いたファーレーンが心持恥ずかしげにその形の良い胸元を隠す。
「…………お姉ちゃんってスタイルいいよね」
「え?……いきなりななななにを言うんですか!」
ぼっと火のついた様に顔中真っ赤になったファーレーンを更にしげしげと眺めながら、
からかうように上目遣いで覗き込んだニムントールが続ける。
「う〜んニムもいつかこんなになれるのかなぁ」
「〜〜〜〜っ!ニ〜ムぅ〜…………いいかげんにしなさいっ!」
ばしゃぁぁっ。羞恥か怒りか最早全身桜色のファーレーンはニムントールに湯を浴びせた。
「わっ!ご、ごめんなさい〜っ!」
「こら待ちなさい!ニム貴女、またユートさまの事を呼び捨てにしてましたねっ!」
「だってユートはユートだもん…………ってちょ、ちょっと怒るのはそこなの………がぼがぼ………」
妹とじゃれ合いながら、ファーレーンはふと窓を見上げた。
今日初めて自らの意志だけで神剣を目覚めさせたエトランジェの少年を思い出す。
彼はこの夜を、一体どのように過ごしているのだろうか。同じ月を、見上げているだろうか。
そんな事ばかりが頭に浮かんでは消えた。ラースの月も、また欠けていた。
風に流れる分厚い雲が月を覆い隠していく。
僅かに差し込まれていた光が失われると、とたん部屋に湿った闇が満ちた。
きぃぃぃぃーーん…………
硬い、鋭い金属音が頭の中にだけ響く。錐の様に貫く痛みが全身をばらばらにさせる。
ベッドに腰掛ける事すら出来ず、悠人は部屋の中央でのたうち回っていた。
灯の無いはずの部屋にぼんやりと立ち込める青白い霧。『求め』の放つ禍々しい波動。
洞窟からの帰途エスペリアを押し倒した時の衝動が、磨かれた棘のように心の中を駆け巡る。
『マナ…………マナだ、契約を果たせ……』
頭を掻き毟り、額を床に打ち付ける。破れた歯肉から鉄の味がする。必死で床にしがみつく。
神経を剥き出しにされながら、自分自身は掴めない。感情だけが内から爆発しようとする。
ありったけの力を込めて、それでも搾り出すのはしわがれた悲鳴だけ。
「く、ぐっ……ぐぉあ…………」
掻き毟った爪が割れ、鮮血が滲む。脂汗が額を伝って床に染みを作った。
数刻後。潮が引く様に痛みが治まる。再び訪れる静寂。
汗まみれの全身が気怠い。時折こめかみに走る鈍痛がまだ生きていると実感させる。
「はぁっ、はぁっ、はぁ…………」
ようやく規則正しく吸い込む空気。ぼんやりしていた視界がゆっくりと戻ってくる。
「あ………………」
ふいに、温かいものが頬に触れた。
纏わり付くような澱んだ闇は退けられ、何時の間にか窓の外に浮かぶのは欠けた月。
月光がこんなにも温かいとは知らなかった。重い体を引き摺ってふらつきながら窓際に立つ。
そこに救いを求める様に。何を探しているのかも解らないまま。
『異界の小さき者よ。汝は何を求めて戦うのだ?』
サードガラハムの問いかけが耳に重く響く。しかし未だ虚ろな頭は何も考えられそうもなかった。
どんよりと重そうな雲は、今はもうどこかへ消え去ってしまっていた。
§〜聖ヨト暦330年ホーコの月青よっつの日〜§
夜空に想いを乗せた旋律が流れている。
初めて聞く、この世界には在るはずの無い音色。
低く、高く、太く、細く。殷々と奏で続けられる深い想い。
じっと耳をすませば伝わってくるのは悲しみ、嘆き。
きゅっと苦しくなってきた胸にそっと手を当てる。
知らず、涙が零れた。
城の一角。奏者もきっと同じものを流しているのだろうと思いながら。
sage忘れてたかもっ!もう一度支援っ!
§〜聖ヨト暦330年シーレの月黒いつつの日〜§
駆けつけたリーザリオは何の変哲もない、ただの古びた小さな街だった。
ただ一点、そこを舞台として行われている、妖精同士の殺戮と破壊を除いては。
「…………はあっ!!」
『存在』が白く輝きながら煌き舞う。「蒼い牙」が無表情のまま敵の連携を崩す。
辛うじて避わした先鋒のブルースピリットが細身の剣を振るい、殺到する。
「…………させませんっ!!」
『献身』から走る緑色の光が編みこむ様に盾と紡がれ、弾かれた剣と少女が体勢を崩す。
「てりゃ〜っ!!!」
待ってましたとばかりにオルファリルの放ったファイアーボールが敵を包む。
燃え尽き、金色のマナに還っていくその景色を、どこか遠い処のものの様に見ていた。
――だから、気付かなかった。死角から訪れる、もう一人の敵意に。
「…………ユートさまっ!!」
慌てたエスペリアの声が聞こえる。と、思った時には身体が勝手に動いていた。
「くっ!」
巨大な神剣を軽々と振り下ろす。意外と身軽な動きが敵の予想外だった様だ。
驚きの表情を浮かべ、僅かに避けた少女は、それでもハイロゥだけは庇いきれなかった。
ざっくりと肩口から抜けた『求め』によって腕と片翼が失われる。
「ぐぁ、あぁぁっ!!!」
バランスを崩し、地面を這い蹲い転がり回る少女。その姿に、反射的に駆け寄っていた。
「お、おい大丈夫か…………」
「いけません、ユートさまっ!」
「ユート、あぶないっ!」
「パパ、だめだよっ!」
仲間達の、叫び声。
瞬間、傷ついた少女の蒼い瞳がキッと睨んだ。背筋に冷水を浴びせられた様に悪寒が走る。
おもわず仰け反った鼻先を、ひゅん、と片手で振るった神剣が走り抜けていった。
…………咄嗟に覆いかぶさるように、『求め』を突き出していた。考えなど、何も無かった。
切先が少女の躯に沈み込むのを、どこか冷静な目で見下ろしている自分がいた。
「きゃああぁぁぁぁ…………」
ぴぴっと赤い飛沫が頬に当たる感覚。手に伝わる肉を貫く感触。
断末魔の叫び声。やがて動かなくなる体躯。
「ぱぱ〜、だいじょうぶ〜!?」
駆け寄ってくるオルファリルが見える。見えるが、認識出来なかった。身体も動かなかった。
『そうだ、倒せ。それでいい、契約者よ』
僅かとはいえマナを吸収した『求め』が嬉しそうに呟く。
それが引き金になったのか、急に体中の力が抜けた。どすん、とその場に腰を下ろす。
手を放した『求め』がからん、と軽い音を立てた。
「あ、ああ…………」
ようやく声を漏らす。見下ろすと、真っ赤に染まった両手が金色に煌き始めていた。
白く霞んでいく頭。今更震えだす全身。声にならない悲鳴が口から飛び出した。
――――その日、俺は「人殺し」になった。
秋の夜長に酒でも飲みながら読みたいSSだな〜、などと余計な事を考えつつ、支援。
§〜聖ヨト暦330年スフの月青ふたつの日〜§
剣と剣がぶつかり合う金属音が耳に纏う。目を閉じても浮かび上がる苦悶の表情。
どうあがいても、寝付けそうに無かった。びっしょりと重いシャツが肌に貼り付いている。
「ふー…………」
悠人は立ち上がり、窓際に寄った。ぎぃっと少し錆びた音を立てて窓を開く。夜空に弓の様な月が見えた。
風が涼しい。汗が徐々に引いていく。自分の手を確かめる。濡らしたものは既にマナになり、還ったはず。
しかし悠人にはそれが信じられなかった。手の平を繰り返し眺める。赤く染まってはいないかと。
見慣れた掌。何時もの、自分の手。ほっと安心した途端、また一昨日の感触が蘇った。
ぎゅっと拳を握り、それをやり過ごそうとする。その時、微かに音が聞こえた。
顔を上げる。期待していた訳ではない。それでも、予感はあった。
月の光が殆ど降らない闇の中、少女は淡く輝いていた。
包まれた白翼の中で、両手を胸に当てて。瞳を閉じたまま、朗々と詩っていた。
なにもかもがあの時と同じ。そして悠人もまた、動けなかった。前と同じく、届く旋律に耳を傾けたまま。
―――サクキーナム カイラ ラ コンレス ハエシュ…………
やはり歌詞などは判らない。ただ、哀しげなその韻律だけは心に染みた。
何故なら今悠人が感じている感情が、正にそれだったから。
また距離感がぼやけ始める。遠くにいて、それでいて近い少女。ふいに、口が動いていた。
「ラ、ニィクウ、セィン、ウースィ…………」
まだたどたどしいヨト語。うろ覚えな単語を繋ぎ合わせた、聞こえるはずもない小さな呟き。
それでも呼応するように、唄はぴたりと鳴り止む。
ゆっくりとこちらを向いた瞳は不思議な色を湛えて悠人を見ていた。
どれだけの時間が経ったのか。ふと彼女が微笑んだ。
遠くて良く見えないはずの表情に、確かに柔らかさを感じた。
「…………イス、ファーレーン」
綺麗な、澄んだ声が響く。確かに、そう聞こえた。それは静かな、唄の途中の様な音の流れだった。
……気付いた時には既に少女の姿は消えていた。月の光が届かない闇に、まるで溶け込むかのように。
§〜聖ヨト暦330年スフの月〜緑いつつの日〜§
人と変わりが無いスピリット達を殺す事に、慣れるなんてことは一生無い。
肉を骨を断ち斬った時のあのイヤな感覚。一つの生命を奪うという行為。
何度繰り返してもその都度吐き気がする。それなのに、内で騒ぐ『求め』の歓喜。
突き上げてくるのは支配欲、破壊欲。マナを、血を啜れと囁く衝動。
「ねね、パパ見て。まだ動いてるよ〜、おっもしろ〜い!!」
血に染まったオルファリルが無邪気にはしゃぐ。苦悶に満ちた敵の少女を見下ろしながら。
そう、敵。それだけで、“殺し合い”をやっている。自分の意志じゃない、と言い訳しながら。
守る為、生きる為と称して。
「戦わなくちゃ、みんな死んじゃうよ?オルファ、そんなの嫌だよ」
――――オルファにかける言葉が見つけられなかった。
「いいんだオルファ、オルファにも……きっといつか、判るから」
そんな言葉を自分自身に思い合わせて。
C
§〜聖ヨト暦330年スフの月黒みっつの日〜§
今日はなんとなく、真っ直ぐここに来てしまった。
一度部屋に戻ろうかとも思ったが、ニムが何がしかを悟るかも知れない。
気持ちを切り換えてから帰りたいと思った。気落ちしている顔は、見せたくなかった。
ふわり、と暗い森の中、いつものようにゆっくり浮かび上がる。
そっと目を閉じ口ずさもうとして、ふとまだ灯りの灯る部屋に目が止まる。……あの部屋は。
どくん、と胸が一つ、大きく弾んだ。自分が、期待している事が判る。
(――いったい、何を?)
問いかける。離せなくなった視線が、動き始めた窓を捉えた。鼓動がうるさかった。
はっきりと見えないはずの顔が、表情まで判る気がした。その縋りつくような瞳の色まで。
何かあったのだろうか。純粋な黒。そこに見える、吸い込まれるような儚さ。思わず呟いていた。
『守りたい大切なものは、ありますか?』
声には出ていなかったかもしれない。だけど、確かに彼が、頷いたように見えた。
自問自答。何度も自分に言い聞かせてきた想い。それに、思い込みでも応えて貰えたのが嬉しかった。
「それならば……きっと、大丈夫」
今度ははっきりと、自分に言い聞かせる言葉。届かないはずの、言葉。
それでも彼は、微笑んでくれた。きっと、それはただの偶然。でも、それでもよかった。
やがて流れてきた雲が、月の明かりを静かに落とす。
不思議に気持ちが安らいでいた。胸を暖かいものが包んでいた。
いつも落ち着くために唄っていた、支えてくれる詩。今日は、必要なかった。
森の静けさが再び迎え入れる。部屋へと戻る足取りは、心なしか軽くなっていた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月青ひとつの日〜§
我ながら、生真面目過ぎる性格だとは思う。
どうして自ら進んでこんな役を引き受けてしまうのだろう。
木々をすり抜けながら、ファーレーンはそんな事を考えていた。
右手に流れていくソーンリームの峰々を視界の外に収めたまま月で自分の位置を把握する。
ラセリオを出発して一日半。アキラィスの横を通り過ぎたのはついさっき。
左前方遥かに窺えるのは、蒼く湛えたイースペリア領ミミル湖。ロンドはまだ遠い。
ふと、サモドアで必死に神剣を振るっているであろう、エトランジェの姿が脳裏を掠めた。
今頃どんな思いで戦っているのだろう。あの、おおよそ争いに向いていない顔を思い浮かべる。
まだはっきりと見た事も無いその瞳が哀しみに満ちている様な気がして、不思議に焦りを感じた。
「もう少し、急がないと…………」
気配を殺したまま、ファーレーンは翼に力を籠めた。
――――ラキオスは現在バーンライトとの交戦中である。
既にリーザリオ、リモドアは陥ち、ラキオス軍は首都サモドアに迫っている。
しかしサモドアは堅牢な上、内偵した所では膨大な数のスピリット達が篭っている。
今までの戦力では容易に陥とせはしないであろう。そう報告した3日前の事を思い出す。
「それではファーレーン、イースペリアの動向を探ってください」
レスティーナ皇女の命令はこれだけだった。それに軽く失望を覚えたのは何故だか解らない。
ただ、今度こそ自分にも出撃命令が下されるものだと思っていた。
もちろん戦闘ではなく、エトランジェ守護の内命を帯びた者として。
そんな時に、何故イースペリアなのか。第一、何を探ればいいのかも示されてはいない。
「おそらくラースにわたし達が配属されていた事と何か関係がある事なのでしょうけれど……」
釈然としないまま、それでもファーレーンは単身ロンドに向かって急いでいた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月青みっつの日〜§
「………………!」
風の流れが僅かに澱んだ。浅瀬を歩いていていきなり水温の異なる場所に踏み込んだ様な感覚。
ファーレーンは、音を立てないよう静かにその場に伏せた。
息を潜めて周りの様子を窺う。警戒の為、翼は消さずに身体を囲む様に撓ませる。
やがて近づいてくる足音。緊張が走る。木漏れ日に額の汗が浮かび上がった。
「………………はぁ…………はぁ………………」
(……なに?)
激しい息遣いが聞こえてくる。隠れようとしている者の呼吸では無い。
がさがさと草を掻き分ける音に必死さが感じられる。手負いの気配だった。
ファーレーンは思い切って立ち上がった。視線の先。傷つき金色に輝きだしている少女が居た。
警戒を解かないよう、『月光』の柄に手を添えたままゆっくりと歩み寄る。
その姿を確認して少女――幼いブルースピリットは一瞬瞳に絶望の色を浮かべた。
「………………殺、せ」
低い声が流れる。剣を杖代わりに辛うじて立っているその少女に敵対の意志は無かった。
ハイロゥすらもボロボロで、最早飛ぶ事すら敵わないだろう。ファーレーンはその場で逆に問いかけた。
「内乱、ですか?」
「………………」
一瞬目を見開いた少女は、しかし訝しげな表情のまま何も答えなかった。
ただ、ファーレーンの言葉の真意を測りかねているのだろう。
ファーレーンは素直に自らの所属を明らかにすることにした。
「わたしはラキオスのブラックスピリット、『月光』のファーレーン」
この少女自身の口から事情を聞き出さなければならない。
しかし瀕死の彼女に対して脅しや騙しすかしは通用しないと判断しての事だった。
ラキオス、という単語を聞いたとたん、少女の口許に皮肉めいた笑みが浮かんだ。
「…………はっ……ラキオス……か、我がイースペリアはこの戦に、助勢を頼んだか…………」
苦しげに吐く息に鮮血が混じる。その赫が金色に代わるのを少女は可笑しそうに見つめた。
「いく、さ?……………………」
今度はファーレーンが沈黙する番だった。顔がこわばるのが判る。戦争。瞬間的に考えが走った。
ダーツィなら位置的におかしい。第一北方の脅威でそれどころではないだろう。
南方の大国、マロリガンの可能性も否定できないが、大国ゆえに、
あの砂漠の国は「ヘリヤの道」を越えるだけでもその動きが大陸全土に知れてしまう。
イースペリアにロンドを経由して攻撃を仕掛けられる地理的条件に当てはまる唯一の国、それは……
「サルドバルト…………」
自分で口に出してみても現実感がなかった。あの鉱山と不毛な海に囲まれた弱小国が、
よりによってこのタイミングで他国に攻め入るであろうか。
ファーレーンの心の葛藤を見透かしたのか、ブルースピリットがうわ言の様に続ける。
「我が女王は、裏切りを許さない。たとえ我が国が滅びようと、な……はは……ラキオスとて……」
「っ!滅びる、とはどういう事ですか?!」
初めてファーレーンの口調が荒くなった。自制しようとする心が『月光』を握る手に力を加える。
国が滅びる。今の時点でそれはサルドバルトがイースペリアを制圧するという意味だろう。
しかしファーレーンにはそれが信じられなかった。
どう国勢を分析しても、誰でもこう思うだろう。「イースペリアの勝ちだ」と。
だが実際に、イースペリアは――少なくともこの少女は――戦いに自滅をも辞さないでいる。
ラキオスのスピリットと遭遇した今でも淡々として笑っていられる少女の悲壮感は、
少なくとも勝勢にある国のスピリットとは思えない。
何かある。ファーレーンは直感でそう思った。
C
「サルドバルトは……いえ、イースペリア女王は一体何を…………」
言いかけて、ファーレーンは口を噤んだ。ひゅーひゅーと既に息も絶え絶えの少女が何かを口にしたのだ。
ぐらっと身体を傾けて仰向けに倒れようとした彼女を、ファーレーンはすんでの所で支えた。
驚くほど軽くなってしまった少女の口許に耳を傾ける。掠れた声が最後の一言を告げていた。
「…………さー……ていこ、く………………」
事切れて、ずしっと力の抜けた体が重くなる。
足元の神剣が細かい霧になると共に、少女の体温も消えた。やがて重みも失い、その姿さえも保たなくなる。
ファーレーンはそのまま全てが無に還るまで、じっと少女を抱き締めていた。
今更、胸が痛む。名も知れないイースペリアのスピリットに、慰めの一言も掛けられなかったという事に。
「帝国……サーギオス、ですか…………ありがとう」
誰も居ない空間にそう呟きながら、静かに目を閉じる。
レスティーナ皇女が自分をイースペリアに送ったのは、この不穏な気配を探らせたかったからなのだろう。
サルドバルトの背後に神聖サーギオス帝国の翳。それは確かに衝撃的な事実だった。
既にロンドに赴く必要も無い。あの強大な帝国が後ろ盾ではイースペリアでも苦戦を免れない。
だがそれだけに、少女の「許さない」という言葉の真意を測りかねた。
頭の中でさまざまな情報が錯綜する。
ルーグゥ派の策謀、帝国とサルドバルト。そしてイースペリア女王の固い意志…………
きぃぃぃぃーーーん………………
『月光』が、激しい警告を発した。はっと我に返って周囲の状況を確認する。五人、既に囲まれていた。
軽く舌打ちが漏れる。迂闊だった。自らの気配を隠す事も怠っていた。ここは自陣ではない。
敵地とまでは想定していなかったが、それでも気を緩めていい場所ではなかったのだ。
敵は確実に自分を捕捉している。一番薄い所を突破するしかない。…………北。
ファーレーンは最早隠す必要も無いウイングハイロゥを大きく広げ、同時に『月光』を鞘から抜いた。
抜き放った白い刀身の峰を右肩に掛け、やや屈んだ姿勢からぎゅっと地面を踏みだす。
ファーレーンの細い体躯がいっきに弾けた。未だ見えない敵の気配に猛然と殺到する。
敵の姿を確認した刹那(とき)。両手で『月光』の柄を握った時。振り下ろした刻。それらが全て同時だった。
「ハァッ!」
日本刀に酷似したその神剣の一撃は、激しく空を切り裂いた。
殺気を感知したのは敵――ブラックスピリットも同じ。どんなに速くても、向かってくる方向は判る。
それを承知で仕掛けたかつぎ面からの斬撃は避わされた。しかしそれでも良かった。
そのまま駆け抜けてしまえば包囲は突破出来る。欲を言えば敵の正体を確かめたかったが。
「シッッッ!!!」
しかし、少なくとも体勢を崩していたはずの相手は逆方向への応力を利用して、その神剣を薙いできた。
遠心力で身体を捻り、鋭い一撃に変えて脇腹へと迫ってくる。そのまま駆ければ背中を割られるだけ。
止むを得ず、横っ飛びでそれを回避した。地面を軸に添えた手を跳ね上げ、体勢を整える。
双方の動きが止まった。もう真正面から戦うしかなかった。
黒い妖精同士のぶつかり合いは瞬速と駆け引きの応酬だった。だが決定的に違う点が一つ。
先に仕掛けた敵の少女には余裕があった。もちろん、時間が経過すれば味方の援護を期待出来るからだ。
対するファーレーンには条件が酷過ぎた。慣れない土地。支援は無い。時間も今は敵だった。
額からつー、と汗が流れる。軽く唇を舌で湿らせながら、ファーレーンは“覚悟”を決めた。
「ふ〜っ………………」
大きく息を入れ、身体の力を抜く。右片手構えを正面から上段にゆっくりと変化させた。
敵の間合いの中、横腹を全て晒した大上段は、もちろん敵を誘う為のものだった。
「マナの導きがあなたの道を照らしますように……」
呟いて、ふと、ニムントールの幼い笑顔が思い出される。兜に隠れた口許に、そっと決意が浮かんだ。
C
§〜聖ヨト暦330年スリハの月青ひとつの日〜§
虚ろに俺を見上げているアセリアの手をそっと握る。
ぴくっと震えたその手は籠手を通じて少し冷たく、そして小さかった。
人もスピリットも関係ない。彼女達だって、別の生きる理由がきっと見つかる。
死と隣り合わせな戦場。だけど、それは綿々と連なるべきものじゃない。
そんな事は、有ってはならないんだ。だから、スピリットだって。
決して命尽きるまで戦い続ける、そんなつまらない存在なんかじゃない。この温もりが、確かな証。
そう、もう判っていた。俺は、この少女達をもう他人とは思えない。――――それなら、きっと守ろう。
スピリットが等しく人と同じ、戦う以外の道を選べる時まで。
そしてその時こそ、佳織と帰るんだ。あの懐かしい世界へ。
だから。
「戦う事……それ以外にも、わたしが生きる必要がある?」
アセリアが、そう訊ねてきた。例え独善的と言われても、構わないから。
「ああ、きっと、きっと何かあるはずなんだ」
大きく潤む深蒼の瞳に力強く頷けた。
『守りたい大切なものは、ありますか?』――――そんな彼女の問いかけを思い出しながら。
「わたくし達は戦うためだけの存在です……それでもユートさまは、戦い以外に生きろ、と?」
エスペリアが、そう訊ねてきた。未だ『求め』を抑えきる自信なんかないけど、これだけは言えるから。
「わからない……だけど俺はみんなが戦うだけなんて、嫌なんだ」
静かに問いかける濃緑の瞳を見つめ返せた。
『それならば……きっと、大丈夫』――――そんな彼女の微笑みを思い出しながら。
「わたしは……生きてみる」
アセリアが手を重ねる。握り返してくる手の温もり――まだ、答えは見つからないけど。
エスペリアとオルファリルが微笑んでくれる――それでも、前向きに考える事は出来るから。
C
§〜聖ヨト暦330年スリハの月青ふたつの日〜§
ヴァーデド湖から吹く風が気持ち良い。悠人は手摺に身を預けたままのんびりと街を見下ろしていた。
バーンライトとの戦い。重苦しいしこりは残るが、とりあえず生き残れた。
妹の為とはいえ沢山の少女を手にかけた。それでも、守れたのだ。
佳織を。仲間を。そして最近、少しだけ気に入っていた、この街の風景を。
そう、戦争は終わったのだ。悠人は久し振りの休息を心行くまで味わっていた。
のんびりと流れる時間。『求め』の干渉も今日はまだ無い。そして隣には、ワッフルを頬張る謎の少女。
「…………をい」
「ふえっ?」
食いついたままの間抜けな表情で、レムリアが振り向いた。
「一人で良くそんなにワッフル食えるなぁ…………おかげで平和な気分が台無しだ」
「え〜、こんな可愛い娘が隣にいるのに何か失礼〜。それに、ワッフルじゃないよ、ヨフアルだよっ!」
「わかったわかった、どうでもいいけど食ったまま喋るなよ。ワッフルが飛んでくる」
「だ〜か〜ら〜っ…………ふうっ、もうユート君、イジワルだよっ」
「ははは、ごめんごめん」
からかうと、面白い。ぷっと頬を膨らましてそっぽを向くレムリアに苦笑しながら謝る。
先程出遭ったばかりの少女に悠人は不思議な親しみを感じ始めていた。
ヤケクソ気味にワッフル……ヨフアルを頬張っている横顔を眺めていると、この街を守れてよかったと感じる。
「チチチ。約束なんて無粋だよ。遭えるときは遭えるもんだから」
そう言って大きく手を振るレムリアと別れながら、悠人はまた会えると良いな、と思っていた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月〜青みっつの日〜§
ざざざ、と風が草木を揺らす。三方から放射状に迫る敵意。
脅威に、しかし気を散らす訳にはいかない。目の前に立ち塞がる少女の目が昏くこちらを見据えている。
スーハー……スーハー…………
呼吸を整えつつじりじりと間合いを詰める。既にお互いの殺傷圏内。それでもどちらも仕掛けない。
もっともファーレーンは自ら仕掛ける気は無かった。もとよりこちらのほうが初撃の遅い構え。
先に仕掛けても撃ち合いにはならない。待ちながら、距離を詰める。全身に汗を噴き出しながら。
スーハー……スー…………
呼吸が、止まった。音が静止する。瞬間、敵の少女が動いた。
ブラックスピリットの加速度は常人の理解では考えられない肉体移動を現出させる。
ぶれた、と思われる姿は蜃気楼に似て、既に懐深く潜り込んだ体勢から居合い抜きの様な斬撃は、
残像を残したままファーレーンの脇腹を撃ち抜いていた。……もちろんファーレーンも夜の妖精で無ければ、だが。
誘った部位に繰り出された剣をそのまま受けては意味が無い。上に逃げては格好の標的(まと)。
ファーレーンは一瞬速く、鞘を流れるその剣と逆方向に弾んでいた。一気に間合いが詰まる。
がしゅっと踏み込んだ足で勢い良く地面が抉れる。削られた土の塊が木の幹に当たって砕けた。
姿勢を確保したと同時に『月光』を振り下ろす。薙いだ切先のすぐ脇で、敵側面ががら空きだった。
後の先。人同士の戦いとは少し異なるが、妖精同士でもそれは一応可能である。
絶体絶命のこの状況で、ファーレーンはあえてこの戦法を選択した。
刹那に活を求める。それ以外、敵の増援が来る前に決着を付ける手段を選べなかった。
そして、ファーレーンは賭けに勝った。少女の一撃はファーレーンを捉えなかったのだから。
『月光』の斬撃が少女の脳天を捉える。――――しかしその一瞬、ファーレーンに僅かな油断が生じた。
薙いだ体勢から少女が予想外の方向に動いた。
独楽鼠の様に勢いを殺さず、そのまま身体全体を軸にしてくるっと回転する。
軸自体に向かってくる『月光』を避けもせずに。同時に足元にくる衝撃。あっという間も無かった。
ファーレーンは自分から体勢を崩した。いや、少女の足払いによって、崩されていた。
力点と支点のバランスが取れなくては斬撃の軌道も衝撃もありはしない。
『月光』は振りかぶってきた籠手によってあっけなく防がれていた。
翳した左手の隙間から少女の濁った瞳が覗き込む。背筋にぞっと嫌な予感が走った。
思わず仰け反ったのは剣を弾かれた反動か、それとも恐怖か。
体(たい)が浮いたファーレーンを少女の剣が追いかける。それが彼女にとって、最後の勝機だった。
踵が浮いたその状態で、ファーレーンは辛くも必殺の一撃を凌いだ。切先が目の前をかすっていった。
摺り上げた切先が兜を跳ね上げる。衝撃に逆らわず、ファーレーンは後方に跳ねた。
二転、三転。空中で勢いを殺しつつ、木の幹に屈んで着地する。
つかの間静止したその体勢で、ファーレーンは左掌に眩い光球を生み出した。
そしてそのまま逆手に構えた『月光』に叩きつける。
ぱんっと風船が割れるような音がして光球が弾けた。マナを吸収した『月光』の刀身に光彩が煌く。
同時にファーレーンの躯が跳躍する。木を踏み台に加速したその動きは正に瞬速。
未だ斬りつけたままの体勢の敵が驚愕の表情を浮かべる。
その絶望の視界一杯に殺到するファーレーンの姿が映った。
マナに還る敵を確認した後、ふぅっと軽く溜息をついたファーレーンが静かに振り返った。
淡い、蒼鋼色の瞳。同じロシアンブルーの髪が微かに揺れ、森の匂いを運んできた。
「ごめんなさい…………」
“殺す覚悟”は先程したばかりなのに。それでもファーレーンは謝っていた。
三首蛇の紋章を胸に刻んでいた、名も知れぬ黒の少女に。
追っ手の気配が強まってくる。これ以上ここに留まるのは危険だった。
C
§〜聖ヨト暦330年スリハの月青よっつの日〜§
「ばかなっ!!」
エスペリアが伝えた次の戦いという指示に、悠人は思わず椅子を蹴り上げていた。
力任せに机を叩きつけ、それでも何も言わずに俯く少女を睨みつける。
怒りとやるせなさが支配していた。震える拳を抑える術を、今の悠人は知らなかった。
敵とはいえ、自分と同世代とも思える少女達の断末魔が今も聞こえてくる。
頭の中は常に理不尽な『求め』の意志に苛まれている。殺意と理性と欲望とが鬩ぎ合う。
それらは決して自ら望んだものなどではない。妹が人質に囚われているから。仲間を失いたくないから。
ただそれだけだ。ラキオス王の都合などどうでもいい。守る為には戦わなくてはならない。だから。
そんな思いで必死に自分を支え、ようやくバーンライトという国を一つ滅ぼしたばかりなのに。
「このままダーツィに向かえ、だって?!まだ殺さなくちゃいけないのかよっっ!!!」
悠人は搾り出される様に叫んでいた。
身を乗り出した事で、俯くエスペリアが間近に見えた。
彼女はじっと下を向いたまま、決して悠人と視線を合わせようとはしない。
ぎゅっと唇を噛み締めたまま、細い肩を細かく震わせているのが判った。そこでようやく悠人は気付いた。
彼女も苦しんでいるのだと。それでも罵倒を甘んじて耐えているのだと。他でもない、自分の為に。
それに対して自分はどうか。ただ命令を伝えただけの彼女に当り散らした態度が恥ずかしい。
頭に昇った血が急速に冷えていく。腰から力が抜け、悠人はぺたん、と椅子に座り直した。
「…………ごめん。エスペリアが悪い訳じゃないよな」
素直に謝る悠人に、顔を上げるエスペリア。しかしその表情には深い哀しみが湛えられていた。
「いいえ、そんなこと……ユートさま…………あまりご自分を責めないで下さい…………」
「………………ごめん」
部屋に重苦しい沈黙が走る。エスペリアの優しさが、今の悠人には辛かった。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月〜青いつつの日§
ラキオスを出発した時には右手にあったソーンリーム大地が今は左に迫る。
寒々とした灰色の風景の中、ファーレーンはサルドバルト首都を目指していた。
「…………また“浅瀬”ですか………………」
ハイロゥが明滅を繰り返す。元々全力で展開している訳では無かったが、それでも駆ける速度が落ちた。
マナ濃度の起伏が激しすぎる。息を切らせて立ち止まる時もしばしばだった。
ミスル平原を始めとして、サルドバルトにはマナの薄い場所が多い。
それは、人に例えれば空気の薄い高山地帯の様なもの。マナで構成されるスピリットには辛い土地だった。
天然の要害。弱小国サルドバルトが未だ生き残っている、その理由の一つかとファーレーンは思った。
イースペリア領を抜けて警戒しつつ接近したとはいえ丸一日。
慎重過ぎる程ゆっくりな行程は、半分は望んで行ったものでは無かった。
月の姿がはっきり見える。日はすっかり沈み、辺りに夜の帳が下りていた。
丁度良く窪んだ地面に身を潜り込ませ、ファーレーンは休息を取る事にした。
敵地。周囲に全く気配の無い、遠い大地に独り。闇の褥の中で、空を見上げる。
一昨日の戦いを思い出す。何も殺さなくても良かったのではないか。そんな忸怩な想いが沸き起こる。
敵を倒す度、考えれば痛み出す胸。声にしない様、彼女は口ずさむ。
じっと膝を抱えて。心を強く保つように。傍らの『月光』が、りぃぃぃん……と静かに共鳴した。
―――サクキーナム カイラ ラ コンレス ハエシュ…………
聞き届ける者は誰も居なかった。自分に言い聞かせた訳でもない。では、誰に届けたかったのか。
ファーレーンには、分からなかった。でもふと、辛そうなエトランジェの背中が見えた気がした。
§〜聖ヨト暦327年スリハの月黒いつつの日〜§
――――雨が、降っていた。
霧の様に細かい水滴は森の静けさに相応しく冷たく、時間をかけて身体の感覚を鈍くしていく。
重くなった髪から滴り落ちる雫は透明な直線の軌跡を描き、音も無く地面に吸い込まれて雨水と交わる。
風は止み、光は無く。ただ見守るだけのそんな森の中を、わたしは独り歩き続けていた。
いつからそうしていたのかは判らない。どうしてここにいるのかも判らない。気づけばただ、理解していた。
歩いているのが森の中だという事と。自分がスピリットという、戦うだけの者なのだという事を。
ぱしゃぱしゃと水溜りに踏み込む音だけが響く中。跳ねる泥も汚れる足も、全く気にならなかった。
ただ…………。ただ、一つの事だけが、判らなかった。「自分は何のために歩いているのか」、という事が。
――――りぃぃぃぃぃん…………
ふいに、肢に当たる硬い金属の感覚。
二紫の鞘に収められていたそれに初めて気づいたわたしは、ゆっくりと「それ」を引き抜いてみた。
闇の中、ぼんやりと浮かび上がる静謐な刃。永遠神剣第六位、『月光』の姿がそこにあった。
その時、さーっ、と光が刺した。
ふと空を仰ぎ見ると、それが当たり前だというかの様に、いつの間にか曇一つ無い満天の空。
一片の欠もない月が、闇に顔を覗かせていた。惜しげもなく降り注ぐ、柔らかい月の光。
水滴を反射して煌く森の木々。清冽に輝く鋼。どこか幻想的な眩しさに、わたしは思わず息を飲んでいた。
恐らく、それが原初の記憶。きっとわたしはそこから「始まった」のだろう。
何故なら、導かれる様に視界を下ろしたわたしの目の前。そこに、緑柚色の髪と目を持つ少女がいたのだから。
大木の下、怯えるようにしゃがんで両手で神剣を握り締めている少女に、わたしはどうしてか話しかけていた。
――――ラ、ニィクウ、セィン、ウースィ?
それが、初めて使った言葉。ぴくっと大きく目を見開いた少女が、やがて思い切った様にぼそっと告げる。
…………ニムン、トール。
そしてそれが、初めて聞いた言葉だった。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月赤ふたつの日〜§
「逃げたぞ、追えっ!」
「平原の方だ、スピリットはまだかっ!」
サルドバルトに潜伏しつつ、敵の情報を集めていたファーレーンは追われていた。
怒声と喧騒が、周囲の状況を教えてくれる。彼らが訓練をろくに施されていない証拠だろう。
頭の片隅で兵士の質が決して高くはない、という情報を改めて確認しつつ、疾走する。
それでも恐るべきは、帝国のスピリット。その幾人かは自分を追ってきているはず。
――――簡単すぎる予想は、あっけなく的中してしまった。
やはりサルドバルトは帝国のスピリットを擁してイースペリアに攻め込んだのだ。
それがここ数日この国に潜り込んでいただけではっきりとした。
つまり、それ程大多数のスピリットが帝国から送り込まれてきている事になる。
ファーレーンはミスレ平原へと急いでいた。
殆ど月の光が届かない、丈の長い草原を掻き分ける。ハイロゥを使っての高速移動は出来ない。
頭の中で、現在位置を計算する。日は変わっている。自分の速度から距離を割り出す。
恐らく、あと半日もすれば一旦イースペリア領に入れる。
決して安全とはいえないが、そこまで行けば、ラセリオまでは僅か。北上してラキオスに戻る。今はそれだけだった。
(……………………!?)
違和感を、感じた。足を止め、周囲の様子を窺う。辺りに、スピリットの気配は無い。
だが、確かに空気の流れを感じた。普段なら、些細な動き。それでも、ファーレーンは予感に従った。
前方に大きく跳ね、急いでその場を離れるのが殆ど同時だった。飛来した物体が、地面を抉り取るのと。
ド、ド、ド、ド、ド!!!――虚空から、音より速く火の槍が突き刺さっていた。気配だけで悟る。
後ろを振り返りなどすれば、それが命取りの隙になる。そう判断して更に前方へと加速した。
『月光』を軽く握り、ウイングハイロゥを展開する。空気が分厚い、重い層へと変化する感覚。
しかし脅威は、もうその前方に廻りこんでいた。…………迂闊だった。
ちらっと確認すると、やはりウイングハイロゥの透過度が高い。
どうやら黒の加護が薄い場所に、まんまと誘い出されたようだった。
「―――――」
そして、そこで驚くべき事が起こった。
敵の姿が、見えた。いや、浮かび上がった。膨大な赫いマナを纏いつつ。
いや、錯覚だ。“ソレ”は、最初からそこに居る。そう、ただ浮いていた――――巨大な瞳だけを映し出して。
強烈というよりは、断定のプレッシャ。昏いだけの夜空に、敵の姿が拡大されて浮き上がっていた。
「な、に…………?」
純粋な殺意がチリチリと肌を焦がす。対峙しているだけで、根こそぎ奪われるマナ。
「…………はぁっ…………はぁっ…………くっ!」
ファーレーンの息は、完全に上がっていた。――――勝てない。この相手には。本能が、警鐘を鳴らした。
風の流れが堰き止められた、灼熱の海の底にでもいるような、息苦しさ。
それを破ったのは、“ソレ”でもファーレーン自身でもない、後ろから来た一団だった。
「なんだ、貴様っ?!」
先頭を走っていたブルースピリットが、「見えていない」のか、敵の気配に飛び掛りながら叫ぶ。
しかしあまりのプレッシャに圧殺(つぶ)されそうな問いかけが、彼女の残した最後の言葉になった。
近づこうとしたブルースピリットの首と胴は、相手に触れてもいないのに、何の前触れもなく「蒸発」した。
分かたれたまま焦げ付いた匂いだけを残して。サルドバルトのスピリット達の、動きが完全に止まった。
…………こんなに至近距離にいたのに、まるで何が起きたか、解らなかった。
まだ、考えが働かない。サルドバルト、いや、帝国でなければ、何者なのか。
そもそも“アレ”は、スピリットなのか。ただ浮き、それだけで圧倒的な死を連想させるモノ。
――――怪物。そんな単語が浮かびそうになり、慌てて首を振って、否定する。
かたかたと震えている『月光』を持つ手を握り締め、どうやってこの場を逃げ切るか、それだけを考える。
ようやく震えが収まった頃、痺れを切らしたスピリット達が動いた。
数の上での、有利さを計算した事だろう。なんて、愚かな。ファーレーンは、咄嗟に逆に跳ねた。
直後。気配が激減する。考えるまでもなく、サルドバルトのスピリットが「消滅」したのだろう。
幸いにして“敵”が追って来る気配は無い。ファーレーンは、無我夢中で逃げた。
悲鳴一つ届かない場所まで辿り着いても、荒い呼吸は当分収まる事は無かった。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月赤よっつの日〜§
暗闇の中、両側から迫るような森の中を、歩く。
全ての気配が死に絶え、静謐な自然のみが支配する、純粋な夜の世界。
ただ想いに耽り、詩でも口ずさみながら歩ければ、それは心の安定を提供してくれる安らぎの場。
自分自身を照らし出してくれる鑑のような世界が、わたしは好きだ。…………でも、今は。
かちゃり、と小さく『月光』の鍔元が鳴る。
手元を確認すると、出発する時には鮮やかだったニ紫の鞘はすっかり汚れ、所々鋭く切り裂けていた。
「もう少し…………」
月の位置から、ラキオスの方向を再確認する。
だが、その為に立ち止まった足が、急に鉛のように重くなった。
ウイングハイロゥなど、とうの昔に展開出来なくなっている。
ミスレ平原で奪われたマナが予想以上に響いていた。
普段は心地いい霧の細かい水滴が、身体の芯まで冷たく凍みこんでくる。体力も、限界を超えていた。
正体不明の敵。その恐怖から逃れ、それでも追撃される懼れから逃げ続けた。
一度イースペリア領を通り、そこからラセリオへ。あとはひたすら北上した。その間、一睡もしていない。
「はぁ……はぁ……」
引き摺るように、足を引っ張る。もうじき、帰れる筈だった。
森の中でも一際目立つ、あの大きな一本の木を目指して歩いてさえいれば。
温かい、心許せる、自分で決めた、唯一の「居場所」。守りたい、たった一人の存在。
困ったような、むくれたような。
そんな顔で迎えてくれるであろう姿を想像して、ファーレーンは歯を食いしばった。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月赤いつつの日〜§
ばたんっ、という物凄い音に、ニムントールは目を覚ました。
慌てて飛び起き、『曙光』を握って周囲を確認する。その目が部屋の入り口に向いた所で止まった。
扉に背をもたれ、力なく両手をだらん、と下げている影(シルエット)。
未だニムントールがその人物を見誤った事など一度も無い。
「お姉ちゃんっ!!!」
「ニ、ニム、ただいま…………」
ニムントールが悲鳴を上げて駆け寄るのと、ファーレーンがその場に沈み込むのは同時だった。
がらん、と『曙光』が音を立てて転がった。
倒れそうな所をなんとか支えた姉の身体は、信じられないほど冷たく冷え切っている。
「ど、どうしたの、これ…………ちょ、お姉ちゃんっ!」
一人、ラキオスに転属になったのが、ついこの間の事。あれから10日程しか経っていない。
もう少ししたらわたしも行くから、とは言われていたが、それでも月が変わる位は覚悟していた。
それが、こんなに早く、しかも夜中に。そしてなにより、こんなにぼろぼろになって。
ニムントールは姉の身に、もしくはランサに何かがあったのだ、と判断した。
「だ、大丈夫、ちょっと早くニムに会いたくて……無茶しちゃった…………」
「お姉ちゃん?お姉ちゃんっ?!」
気絶したらしい姉を揺さぶるも、反応が帰ってこない。
「と、とりあえずベッドに…………んっ」
力を抜いた人間は、意外と重い。
それでもニムントールは先程まで自分の使っていたベッドに何とか姉の身を担ぎこんだ。
「外傷は無い、よね…………マナが極端に…………一体どうして…………」
答えの返ってこない疑問を口にしながら、努めて冷静になろうと『曙光』を拾い上げる。
グリーンスピリットとして、必要最低限叩き込まれた知識を総動員して姉の症状を確認する。
命に別状は無い。ただ、甚だしく疲労しているようだ。回復魔法が、必要だった。
まだ回復魔法の使えないニムントールはくっ、と悔しそうに歯噛みをし、ハリオンの部屋へと急いだ。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月緑ひとつの日〜§
「セィン、ウースィ…………あ、あれ…………」
懐かしい夢を、見た。奇妙に眩しい周囲のぼやけた様子が徐々にはっきりしてくる。
引き上げられるように浮上したファーレーンの意識が最初に視認したのは、
枕元で寝息を立てるニムントールのクロムグリーンの髪の色だった。
暗い部屋に窓明かりがかすかに毀れている。どうやらまる一昼夜も眠っていたようだ。
身体の異常を確かめる。起き上がってみたが、どこにも問題は無い。
ファーレーンはすうすうと眠っている妹を起こさないように、静かに立ち上がった。
窓に近づき、空を見上げる。報告しなければならない事が、たくさんあった。
イースペリアの考え、サルドバルトの胎動。それらを纏め、頭の中で文章化する。
今ラキオスが取るべき道。それを、レスティーナ皇女はどう判断するだろうか…………
ベッドの横で蹲っているニムントールに、振り返る。
きっと、ずっと看病してくれていたのだろう。…………いつも心配をかけてばかりだ。
ごめんね、と小さく呟いた。それでも、守りたい、そんな想いを込めながら。
そっとシーツを取り、ニムントールの肩にかける。ううん、と小さく囁く妹の寝顔を見て、くすっと微笑む。
穏かな、「今」。やっと、戻ってきた、と実感できる。なのにファーレーンの気分は晴れることは無かった。
「どうしてでしょうね…………」
もう一度、月を見上げて囁く。
「今頃は…………ダーツィ、でしょうか…………」
答えの出ないこの問いかけに、彼なら応えてくれるだろうかと、何故かふとそう思った。
殆ど言葉を交わしたことも無い、いや、それすら自分の思い込みに過ぎない筈の、あの少年なら、と。
いつかの夜のように。少し寂しそうな、それでいて強さを秘めた瞳と、通い合える事もあるのではないか、と。
無性に会いたくなっている自分に気づき、ファーレーンは微かに頬を染める。
詩。こういう時、いつも気持ちを洗ってくれる、あの詩を口ずさむことも忘れて。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月緑ふたつの日〜§
ファーレーンの報告を黙って聞き終えたレスティーナは、ほぅと一つ溜息を付いたままじっと瞳を閉じていた。
事態は、最悪の方向に傾きつつある。そしてそれを半ば予感しながらも、微かに期待していた何かが切れた。
サルドバルトがイースペリアへ兵を向けた。それも、帝国のスピリットを擁して。
これで事実上、『龍の魂同盟』に準拠して、ラキオスはサルドバルトとも事を構えなければならなくなる。
北方五国はすべからず戦場となってしまった。そしてそれが父の野望に与える影響も計り知れないだろう。
いや、そもそもこの事態は父の、つまりはラキオスの引いた引き鉄なのか。それともただの偶然なのか。
そしてファーレーンが遭遇したという、謎の敵。嫌な予感は膨らむばかりだった。
「……………………」
跪いたままのファーレーンが自分を見上げている。ロシアンブルーの瞳が指示を求めている。
決めなければ、ならなかった。既に動いている流れの中で、より厳しい激流に身を投じる覚悟を。
レスティーナはすっ、と細く目を開き、そして告げた。
「ご苦労様でした、ファーレーン。下がってください」
周囲に居並ぶ重臣達の前で、いつもの通りの冷厳な調子を懸命に保ちつつ。
はい、という小さな声を聞きながら、背中を向けて窓の方を見つめるふりをした。
ともかくも、行動を起こさなければならない。自分にだけ出来る、戦いの為にも。
二人のエトランジェの身につまされるような叫び声が、心の中で聞こえた様な気がした。
「……………………ごめん、なさい」
誰にも聞かれない呟きは、微かに震えていた。
月明かりが照らすヒエムナの今だ焦げ臭い崩壊した街並みを眺めながら、
悠人は半ば呆然として『求め』を握り締めていた。
大国、それも帝国の後ろ盾があるとは思えない、ダーツィの戦法。
それは、徹底した「焦土作戦」だった。常に敵を引き付けては、拠点を焼いて後退。
元々の戦力、特に勝敗を決するはずのスピリットの数が、
ラキオスに劣るとも思えないにもかかわらず、この国はその戦法を選んだ。
素人目に見ても、判る。そこに、事態を覆そう、との意志は無い。ただ、状況を引き伸ばすだけ。
それが何を意味するのか、悠人には犠牲の大きさばかりが目について、考える事も出来なかった。
サモドアを出発した悠人達は、途中でヒエムナ方面とケムセラウト方面に部隊を分けた。
それぞれに進撃を始めたのだが、ケムセラウトへ続く道に敵部隊が多数潜伏している事が判明。
急遽、全力でケムセラウトを陥とした。そして、とって返したヒエムナを制圧したのがつい先程。
それでもラキオスを出発してから既に8日。敵の思惑は少なくとも戦略レベルでは成功していた。
「くそっ!なんだってこんなことが出来るんだっ!!」
がっ、と足元の、元は建物の一部であったであろう、焦げた木材を蹴りつける。
本当は、わかっている。苛立ちは、非常な作戦を選択した敵に向けられたものでは無い。
それを承知で街を二つ、何の罪も無い市民ごと粉々にした自分達に対してだ、という事を。
かつん、と一つ小さな小石が『求め』に当たって転がり落ちた。
遠巻きに見つめている、小さな子供達。彼らの一人が投げつけてきたのだろう。
しかし、それを責める事は決して出来ない。やるせないのは、失ったのは彼らの方なのだから。
「ユートさま……」
後ろから、遠慮がちな声がかかる。振り向けば悲しげに顔を伏せる、緑の少女が立っているだろう。
「……エスペリア、俺達に、こんな事をする権利ってあるのかな」
「……………………」
前を見据えたまま、埒も無い事を呟く。崩れ落ちた建物。不自然に倒れた大木。
そしてまだ燻ぶっている、決してマナには戻らない人々。戦いとは何の関係の無い、罪も無い人達。
「…………なんだって、こんなことが出来るんだ…………」
悠人は、同じ言葉を繰り返した。もう一度、今度は自分自身に向かって。
「ユートさま、ご報告があります……情報部からサルドバルトの動きに注意をするように、との事です」
暫く悠人の様子を窺っていたエスペリアが、思い切ったような事務的な口調で告げた。
その淡々とした話し方は、しかし逆に悠人には、下手な慰めよりもありがたかった。
そう、ここでそんな疑問を口に出してはいけないのだ。少なくとも今血に汚れている自分達は。
サモドアで、決心した。
仲間達を、決して死なせない。生きて、“戦い以外の生き方”を見つけさせるのだと。
その為にも、そして自分自身、ひいては佳織の為にも。戦いは、早く終わらせなければならないのだ。
それを今、エスペリアは無言で教えてくれていた。恐らく、懸命に自分を殺して。
握り締めていた拳を数回開き、気持ちを切り替える。悠人はなんとかいつもの表情に戻し、振り返った。
「ごめん、エスペリア。今のは聞かなかった事にしてくれ…………サルドバルト?」
確か、ラキオスの西に位置する小さな国だ。食料をラキオスに支援して貰っている、貧しい国。
「えっと俺、そんなイメージしか無いんだけど。どう注意すればいいんだ?」
「さ、さあ…………わたくしにも、ただ情報部からそのように、との報告があっただけですので…………」
話を振られたエスペリアが、首を捻って困った顔で答える。それでも彼女はもう本来の表情に戻っていた。
「なんだかなあ。まあいいさ、それよりまずは、休息だ。明日はいよいよキロノキロだからな」
「はい、了解しました、ユートさま」
位置的にも、今回の戦いに関係があるとも思えない。結局今の悠人には、判断する材料が乏しすぎた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月緑よっつの日〜§
レスティーナは王宮の廊下を歩いていた。
的中して欲しくない予感だけが当たる。ファーレーンの報告は、それを裏付けてしまった。
戦いは、紛れも無く大陸全土に広がるだろう。多大な人と、スピリットの犠牲の上に。
そして、何の関係も無いのはエトランジェユート――ユートくんも、同じ。
そんな彼ら、彼女らに戦いを強いて、自分は何を成し遂げようとしているのか。
スピリットとの共存。その上で、更に考えているあの事は、自分のエゴではないのか。
父の暴走は、自分では止められない。ならばと考えた上での、皇女としての自分なりの戦い。
しかし実際には自分の手は汚れず、一人高い位置から俯瞰している。
これからは、より激しい戦いが待ち受けているだろう。それでも血を流すのは自分では無いのだ……
何時の間にか、部屋の前まで来ていた。ノックをする手が持ち上がったまま動かなくなる。
これから伝えなくてはならない事を考えて、気が重くなった。
カオリは、どんな表情をするだろう。自分を責めるだろうか。胸が痛くなった。
それでも自分はこの扉を開かなくてはならない。自分で決めた、自分自身の戦いの為に。
きゅっと唇を噛みながら、レスティーナは佳織の部屋の扉を静かに叩いた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月緑いつつの日〜§
サルドバルトからの帰還以来、ずっと厳しいニムントールの追及を逃れ、
ファーレーンはいつもの「陽溜まりの木」に来ていた。
冷たい木の肌が気持ち良い。そっと手を当てながら、先程のやりとりを思い出す。
“お姉ちゃん、ニムに何か隠してるでしょ”。“そんな事、ないですよ”。
ここ何日か、繰り返されている会話。ニムントールの言葉に答えられない自分が辛かった。
全てを話せてしまえば、どれだけ楽な事だろう。だが、それだけはしてはいけない事だった。
彼女だけは、こちらに踏み込んで来ては欲しくなかったから。
出来る事ならいつまでも、戦いなどという血生臭いものすら知って欲しくはなかったから。
「でも、それもいつまで続けられるのでしょうか…………」
自分で見、知ってしまった状況を冷静に判断すれば、「いつ」はもうすぐそこに迫っているのだろう。
ラキオスのスピリット隊は、質はともかく人数的に不足している。
バーンライトの捕虜がいるとはいえ、本来自分から戦いを仕掛けるには圧倒的に絶対数が足りないのだ。
ましてやこの上サルドバルトとも事を構えるとなれば、総力を挙げねば間に合わないだろう。
ニムントールが戦いに赴く。そんな事実が、すぐそこに迫って来ている。
考えれば考えるほどそれは想像ではなく、嫌な確信へと変わっていくようだった。
「ふぅ…………」
落ち込んでいく気持ちを抱えたまま、今はウイングハイロゥを開く気もせず、
縋るように見つめた先は、灯りの灯らない主が不在の部屋。
問いかけは、居ない筈の彼に聞いて欲しかったのか、
それとも何故そこを見てしまったのかという自問だったのか。
自分でもよく判らない囁きは、しかしいずれにしても答えが返ってくることは無かった。
今頃ダーツィで懸命に戦っているであろう、彼。
おそらくは心を傷つけながら、それでもカオリ様の為に、必死に剣を振るっているのだろう。
「怪我など、していませんよね…………」
遠い空の下、辛そうな瞳が見えた気がして、いつの間にかファーレーンは一心に祈っていた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒ひとつの日〜§
「イースペリアに各国のスピリット共が集結する。それに意味があるのだ」
自分の預かり知らぬ所でイースペリアにスピリットを向かわせたという報告を聞いたレスティーナは、
父の言葉を愕然とした思いで聞いていた。
その内容もさることながら、さも当然かのように、熱に浮かされたかのような恍惚の表情で語るラキオス王。
そこにはもはや、傲慢ながらもそれでも国の先行きだけには憂いの感情を持っていた父の面影は全く無かった。
「どういう意味ですか…………イースペリアに何が……ま、まさか!」
確かな確信などない。しかし今のレスティーナには、父のやろうとしている事が、朧気に見えてしまう。
ファーレーンの報告にあった帝国の影。北方五国のスピリット達は、帝国にとってただの障害に過ぎない。
もし彼女らが、ある一点に集まるとなれば、彼らはどう画策するだろう。恐ろしい考えが浮かび上がる。
そこまで思い当たった時、父の発言は、不気味な程その予想と一致していた。
しかし、そんな事が出来るのだろうか。自国のスピリットをも失う事を、全く躊躇もせずに。
レスティーナはもう、父を憎しみの感情でしか捉える事が出来なかった。
「我が国…………ラキオスこそが、北方を治めるのだ。多少の犠牲など、大したことではない」
「その場には、エトランジェたちもいるのですよ!」
「『求め』さえ回収できればよい。エトランジェは、もう一人いるではないか」
「っ!………………そんなっ!」
「スピリットなども補充できる。エトランジェが二人いることこそ、マナの導きというものだ」
最早隠し切れない悲鳴の様な叫びに、にべも無いルーグゥ・ダィ・ラキオスの声が返る。
「…………人のやることではありません」
唇を噛み締めながら、レスティーナは父を睨みつけて呟くのが精一杯だった。
「…………貴女だけに、背負わせはしません」
かつては親子だった二人の決裂を目の当たりにしていた影が一つ、気配も残さずにその場を立ち去っていた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月緑いつつの日〜§
何度目かの突撃の後、破壊され尽くしたキロノキロの城の中。
悠人は勝利に沸き立つ仲間の輪を外れ、独り城門に寄りかかっていた。
既に、正規軍にその指揮は移譲され、事後処理に追われた兵士達があちこちで動き回っている。
彼らは決してスピリット達に目もくれない。労いの言葉一つもかけては来ない。
それが、この世界の暗黙の了解。わかってはいたが、何度目の当たりにしても納得がいかなかった。
やるせない気分に、空を仰ぐ。既に暗くなったダーツィの夜空にも、ぽっかりと満月の姿は浮かぶ。
結局、この世界の体制そのものを覆すしか、ないのだ。彼女達が、「生きる意味」を見出す為には。
そんな大それた考えが、一瞬頭に浮かび、すぐに消える。
残るのは、「ただ生かされているだけの自分」。そんな何も出来ない無力感だけだった。
先程エスペリアから、正式にイースペリアへの救助要請を聞かされた。
“救助”目的の為とはいえ、進撃はしなければならないし、サルドバルトとも戦わなければならない。
先日情報部からあった情報、それが今になって現実としてその翳を落としつつある。
一つの戦いを終えれば、タイミングを計ったかのように待ち受ける次の戦い。
絶望感に、その度打ちひしがれそうになる感情。余りにも救いが無いような気がしてくる。
ふいに、月に少女の姿が被さる様に思い出された。ロシアンブルーのその瞳は一体何を語りかけていたのか。
「どうしてかな…………ファーレーン」
毀れる名前に、自分で驚く。思わず口に手を当てかけた時、背後でがしゃ、と硬い音が複数聞こえた。
「おい、どかんかっ」
不愉快な声が投げかけられる。悠人は無言で振り返った。そのまま動かずに声の主を睨みつける。
「な、なんだ…………」
それだけで、完全に腰が引けてしまう兵士の怯えた表情が滑稽だった。
人が、権威だけに平伏すものだとでも思っているのだろうか。悠人は同じ「人」として軽蔑するしかなかった。
呆れながら道を譲る。とたんほっとその体面を回復した兵士達の間に、一人の老人が見えた。
深い彫りの奥で光る、力強い眼光。衣装が埃で汚れてはいるが、高貴な雰囲気は隠しようも無い。
アーサミ・ダーツィ――現ダーツィ大公国領主――はゆっくりとこちらを向いた。
「ダーツィ大公…………?」
「…………異界の者、か」
揺ぎ無い意志が籠められたその瞳と、一瞬視線が合う。
皺がれた口元が、気怠げに言葉を紡いだ。湛えられた感情をあくまでも抑えた低い声が殷々と響く。
「言っておこう。このダーツィ、決して『求め』に屈したのではない。全てはこの“世界”の理(ことわり)」
「…………世界、の理?」
いきなり語りかけてくる老人の意図が、悠人には測り切れない。鸚鵡返しに呟き返す。言葉は続いた。
「そうだ異界の者よ。いずれファンタズマゴリアの趨勢は、与(あずか)り知れない者の手に委ねられている」
「な……それってどういう…………」
「…………まあよい、考える事だ。腰の『求め』は伊達ではあるまい?」
「ほらっ、こいっ!」
言葉を遮るように、兵士達が先を促す。それに抵抗一つせず、老人は連行されていった。
「ちょ、待ってくれ!もう少し話を……」
「だめだっ!連れて行けっ!!」
項垂れる事も無く、堂々と胸を張ってすれ違うダーツィ大公は、とても敗戦の将には見えなかった。
その背中を見送りながら、悠人は先程の言葉に、以前のサードガラハムの言葉を重ねていた。
そして、先程思い浮かべたばかりの少女に問いかけられた時のことも思い合わせる。
『自らが求めることに純粋であれ』
『守りたい大切なものは、ありますか?』
『考える事だ。腰の『求め』は伊達ではあるまい?』
どこかで何かが繋がっている。だがそれが何かだけが解らなかった。悠人は答えを求めるように空を見上げた。
中空に浮かぶ月は、ただ照らすだけ。無言の優しさで世界を包むだけだった。
ダーツィ大公の処刑は即日行われた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒ひとつの日〜§
レスティーナ皇女の部屋に呼ばれたファーレーンには、既にその用件が理解出来ていた。
「至急、一隊を率いてラセリオから南下して下さい」
それでも、いざ切り出された一言に、ぎゅっと全身が強張る。
「部隊編成はラキオス正規軍から一個中隊、ただしこれは後詰めです。その前にスピリット隊として――――」
当然だろう。「人」はスピリットが整備した道を歩いてくるのだ。それがこの世界の決まりなのだから。
ファーレーンは膝をつき、下を向いたままの姿勢でじっと息を殺し、次に紡がれるであろう言葉を待っていた。
「現在ラキオスに残っているファーレーン、貴女と…………『曙光』のニムントールに、先行してもらいます」
語尾がやや掠れた声色になっている。しかし今のファーレーンにはそれで充分だった。
顔を上げれば皇女の苦渋の表情が見えるのだろう。その心境が、今は痛いほど判ってしまう。
先程偶然聞いてしまったラキオス王とのやり取り。噛み付いていた皇女の表情が目に浮かぶ。
ましてや決断を下す為の判断材料を提供したのは自分なのだ――情報部に属し、妹の為に従ってきたとはいえ。
これまで、レスティーナの「思想」に別段興味があった訳ではない。
しかし先程「人」の身でありながら、王と対峙していたレスティーナに、ファーレーンは別の意識を持った。
自分達スピリットの事をも考え、何がしかの新しい方向性を導き出そうと戦うたった一人の「人」に、
ファーレーンは初めて「スピリット」としての共感を感じる事が出来ていた。
そして同時に、これ以上自分の我が侭で心の負担を強いる事は出来ない、とも思った。
身を引き裂かれる様な思いに囚われながら搾り出すと考えていた一言が、意外にもすんなりと零れる。
「それが、皇女の意志ならば」
「…………っ!」
息を詰める気配。ファーレーンは、初めて求められずに顔を上げた。
吹っ切れた想いで穏かな笑みを湛え、対等な「意志」として言葉を告げる。
「わたしは貴女を信じます、レスティーナ皇女」
にっこりと微笑むファーレーンの目に、涙を浮かべつつ口元を押さえ、それでも強く頷く少女の姿が映った。
「ダーツィが陥落しましたが、イースペリアはサルドバルトに押され、防衛線を首都付近にまで下げています」
深夜、占領したヒエムナに帰還した悠人は、エスペリアの状況報告を受けていた。
「さらに潜伏していた兵士がダラムを占拠した模様です。既にスピリットも配置されたようです」
「そうか、なら直ぐに助けにいかないとな」
「北上されればラキオスも危険にさらされます。王国軍と合流し、イースペリアの救助に向かいましょう」
「わかった、他に報告はあるか?」
「はい、先程正規軍のほうへ、訓練士の志願者が…………」
「ああ…………」
次々と紹介される志願兵の名前を聞き流しながら、悠人は何とは無しに机の上を眺めていた。
散らばっているファイルに、色々な人物の名前と経歴が書かれている。
彼らは、戦いというものにどういう想いを持って参加してくるのだろうか。
戦火の拡大を何とかしようと志願してくる人も、もちろんいるのだろう。
しかしそれが、どんどん戦争自体を広げていく、そんな矛盾が広がっているような気がした。
「……それと、新たなスピリットが補充されます。ブラックスピリット、『月光』のファーレーン」
「…………え?」
考えに耽っていた悠人は、聞き覚えのある名前を聞いて、がたっと勢いよく顔を上げた。
そのまま驚きに目を見開いて、ぽかんと口を開けたままエスペリアを見つめる。
不思議そうに見上げたエスペリアが首を傾げ、亜麻色の髪が揺れた。
「どうかしましたか?ユートさま」
「あ、ああ、なんでもない。先を続けてくれ、エスペリア」
「…………?はい……。そして、『曙光』のニムントール…………」
浮かしかけた腰をようやく下ろしながら、悠人は心臓の高鳴りを抑えようと胸に手を当てていた。
彼女に、会える。冷静に努めようとしても、激しくなってくる動悸をどうしても止める事が出来なかった。
「よっし、これでやっとお姉ちゃんと一緒に戦える!」
珍しく身体全体で喜びを表しているニムントールを目の前にして、
ファーレーンは沈んだ表情を隠しきれないでいた。
「ニム、わかっているの?これは戦争なんですからね」
「うん、ニム、ちゃんとお姉ちゃんを守るからね」
「そうじゃなくて…………」
「それよりさ、ニム、ユートに会ったことないからちょっと楽しみなんだ〜」
一応念を押してみたものの、暖簾に腕押し。既に後ろを向いて準備を始めている。
ファーレーンは軽く額に手を当てながら、覚悟を決めたとはいえ、大丈夫なのだろうか、と不安になった。
妹の訓練度合いはもちろん知っている。
グリーンスピリットとして防御は優秀だが、未だに神剣魔法を憶えきれてはいないのだ。
戦場で、もし怪我でもさせたら……。そこまで考えて、ファーレーンははっと我に返った。
「ちょっとニム、又ユートさまを呼び捨てにしてっ」
「わっ、急に大声出さないでよ、びっくりするじゃない」
「あっ……ご、ごめんなさい」
「も〜しょうがないなぁお姉ちゃんは」
「…………もうっ」
反射的に謝ってしまう。
苦笑しながらいつの間にか笑えている自分に気づき、いつもこの妹に救われてきたのだ、と改めて思った。
「…………生きて帰ろうね、ニム」
ファーレーンは、ニムントールの背中に届かない小声でそっと呟いた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒ひとつの日〜§
『つまり、女王にはなんらかの意志がある、と?』
『はい、これは憶測に過ぎないのですが……』
『……判りました。ファーレーン、出来るだけイースペリア女王の保護をお願いします』
『え……でも…………』
『もちろんエトランジェ……いえ、ニムントール最優先で構いません。ごめんなさい、何か嫌な予感がするの』
『…………宜しいのでしょうか?王の意志は』
『あら、今更そのような事に念を押すのですか?』
『え?あ、あの…………』
『ふふ…………必ず生きて帰って来て下さい、ファーレーン。「みんな」と一緒に』
『…………そうですね、これからの「戦い」の為にも』
ラセリオから国境を越え、避難を始める人々の群れで混乱するミネアを過ぎ、ダラムへ。
両側から迫る木々の中を駆け抜けながら、ファーレーンは出発間際のレスティーナの言葉を噛み締めていた。
今までの任務とは違う、別の意欲が湧いてくる。目的を見つけた、それが一番しっくりくるかも知れない。
皇女が目指す世界、それを信じてみようと思った。最後に「みんな」と言った、その意味を。
「お姉ちゃん、なんだか笑ってる?」
横を走るニムントールが不思議そうに話しかけてくる。まだついて来れるみたいだ。
「ニム、急ぎますよっ!」
にこっと笑ったファーレーンのウイングハイロゥが輝きを増す。
「わっ、ちょっとわたし翼なんて無いんだからね〜!」
追いかけてくる声に気を使いながら、何時に無く軽い躯がダラムへと向かった。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒ふたつの日〜§
「全部、ぜ〜〜んぶ、焼き尽くしちゃえ!」
オルファリルの詠唱が終わっても、敵はなす術が無い。
乱れた隊列の中、及び腰で神剣を構えたまま立ち尽くす彼女達に、無常とも思える楽しげな声が響き渡る。
「邪魔するのは許さないんだから!アークフレアッ!」
『理念』に生じた拳大の赫い塊が、ひゅん、と意外に軽い音と共に集団に向かって飛んでいく。
圧縮された膨大な熱量のマナが、敵の中心で一気に弾ける。悠人は思わず顔を背けていた。
「ぎゃあっ!、ああぁぁぁぁ…………」
重い地響きが悲鳴さえ掻き消し、熱風が背中を圧す。
細かい何かの飛礫が収まるのを待って悠人は顔を上げた。
街道は所々黒く焦げ、圧し折られた木々が斜めにせり出しながら燻ぶっている。
そしてもちろん敵集団はマナの霧になり、そしてゆっくりと蒸発していった。
「ねね、パパ見た?オルファの最新技だよ〜!」
「あ、ああ…………」
凄いでしょ、褒めて褒めて〜、そんなオルファリルの声に虚ろに返しながら、悠人はその惨状を眺めていた。
所々で伏せている敵は、明らかに弱かった。
ブルースピリットはオルファリルの神剣魔法をキャンセル出来ず、
基本的にサポートやディフェンスに入る筈のグリーンスピリットが慣れない攻撃をしてくる。
シールドハイロゥを展開しているエスペリアやハリオンに、そんな同色の攻撃がそう通じる筈も無く、
それらはかえってこちらの進撃速度を上げる結果にしかならなかった。
「こんなの、無駄死にだろ…………」
悠人は無意識にオルファリルの髪を撫ぜながら、呟いていた。
ランサに辿り着く頃には、既に敵も小隊一つという寂しさだった。
構成するスピリットもたったの三人。怯えた兵士を背中に庇うようにこちらを睨みつけている。
悠人はもう、これ以上の争いは無意味だと思っていたし、したくも無かった。
「エスペリア、ちょっと待っていてくれ」
「え…………ユ、ユートさま…………?」
『献身』にマナを籠め、シールドハイロゥを展開しつつあるエスペリアの肩を押しのけ、
目線だけでアセリアやオルファリル達を抑える。正面を向くと、先頭に立つ赤い髪の少女と目が合った。
「ごめん、言い訳はしない。判ってくれともいえない。こんなにしちまって、すまなかった」
「……………………」
岩石ごと潰された家。薙ぎ倒された木。動かない人。捲れ上がった石畳。
所々で立ち上る煙の焦げた匂い。倒されたスピリット達だけが、跡形も無く消え去った残骸の街。
これまでの戦いで自分達がやってきた事を思えば、とても許されるものではない。
目の前のサルドバルトのスピリットに、そんな事を言っても通じないだろう。それでも悠人は頭を下げた。
「こんな事をしておいて、だけど、頼む!退いてくれないか。もう、誰かが死ぬのは嫌なんだ……」
「……………………」
無駄だろうと半ば諦めつつも、対峙しているレッドスピリットの少女に説得を試みる。
無言の少女からは、敵意しか感じない。それでも伝えておきたかった。たとえ偽善と罵られても。
それだけは譲れない、そう思うから。そうしないといけない、と思ったから。
「…………イースペリアには近づくな」
「……え?」
顔を上げた悠人は、一瞬少女が泣いているように見えた。立場を忘れ、思わず駆け寄りたくなる。
「あぶない、ユートっ!」
「っ!」
アセリアの叫び声が、咄嗟の動きに繋がった。『求め』を構えた所にレッドスピリットが殺到する。
「これでっ、終わりだぁぁっ!」
スフィアハイロゥを纏った杖状神剣が、残像も残さない速さで三連撃を繰り出してくる。
しかしそれも、正規兵の「人の目」から見てのもの。
エトランジェの悠人ならずとも、その動きはスピリットから見れば、緩慢そのものだった。
きぃぃぃん。最初の一撃を受けながら、悠人は先程の彼女の表情に戸惑った。
(なんで…………)
きぃぃぃん。二撃目。鋭くも何とも無い、闇雲に繰り出しただけの杖が、『求め』に弾かれる。
(逃げてくれないんだ……っ!)
身勝手なのは、わかってる。それでも、攻撃しなければこちらが殺される。
逃げてくれと心の中で悲鳴を上げながら、悠人が三撃目を受けようと『求め』を斜め上に構えた時。
――――ざしゅっ。
「え…………」
攻撃をしてくると思ったレッドスピリットが、神剣を放り出し、自分から『求め』にぶつかった。
咄嗟に剣を避けることも出来なかった悠人は、ただその様子を他人事のように眺めているだけだった。
無防備で飛び込んできた少女の腹部に深々と突き刺さる『求め』から、生暖かいものが手に伝わる。
そのまま倒れてきた少女の口が薄く開き、何かを告げようとして、赤い霧を吐いた。
「お、おいっ!」
「危、な、い、から……………………」
「…………くっ!」
金色のマナを撒き散らしながら、サルドバルトのスピリットは静かに消えていく。
それでも、最後に見せた透明な笑顔はラキオスのスピリットとなんら変わるところが無かった。
背後からばたばたと逃げ出すサルドバルト兵の足音が聞こえる。頼みの綱を失った、とでもいうのか。
彼らは逃げ出せる。だけども、スピリットである少女は「逃げられなかった」。
どんなに絶望的な状況でも、それが理不尽な要求でも。ただ、「スピリット」というだけで。
だから、少女はこんな方法を取るしかなかったのだ。他の二人のスピリットを救う為に。
「くそっ…………なんで…………」
悠人は最後までその少女を抱き締めたまま、湧き上がる怒りを必死に抑えていた。
怯えるように、それでも逃げようとしない残りの二人が戸惑いながらもその背中を見つめていた。
「お姉ちゃんっ!」
「ニム、下がってっ!」
がぎぃぃん!
鬱蒼と生い茂る背丈よりも高い草原に、警戒を怠っていた訳じゃない。
それでも、飛び出してきたブラックスピリットの太刀筋は、僅かな気の緩みを的確に狙ってきた。
普通のスピリットなら死角になる位置。左前方からの真っ直ぐな突き。少し刀身を斜めに傾けた一撃。
「くぅっ!」
受けた鞘ごと左手に痺れが走る。わざと重心に向けた攻撃は、受け流す事が出来なかった。
敵の気配を探りつつ、目の前の彼女を観察する。身のこなしはやや左に流れる。剣技は……互角。
「はぁっ!」
「…………ちっ」
“軸足の”爪先でフェイント気味に蹴り上げ、避わそうとバランスの崩した相手から離れる。
ざざざっと踏み込んだ勢いで辺りに土煙が舞い上がった。
「ニムっ!」
「は、はいっ!ここだよ!」
視界の隅に、慌てて『曙光』を握り直す緑柚色の髪が見えて、ほっとする。どうやら敵は一人らしい。
「ニム、援護、お願いね」
「う、うん、わかった」
えっと、と下を向いてぶつぶつ呟き出す妹の姿を見て、ファーレーンは思わずくすっと微笑んだ。
奇襲に失敗した相手はじっとこちらを見据えたまま動かない。
ようやく鞘から『月光』を抜き放つ。まだマナを送り込んでいない刀身が、青錆びた鈍い色で煌く。
それを見たブラックスピリットの構えが、ぴくっと微かに崩れた。
「…………いきます」
ゆっくりと下ろす“右手”。その動きとは裏腹に、ファーレーンは全力で地面を蹴っていた。
ががっ!
神剣がぶつかり合う音が、寸断無く流れる。金属音が重なり合い、不協和音を奏でる。
袈裟からの攻撃は、いとも簡単に防がれた。なおもマナを送り込み、下段から払う。
それを敵は、柄をぶつけて来て防いだ。“てこの原理”で頭上からくる刃を辛うじて手甲で受け止める。
「くぅっ!」
「…………ははっ」
主導権を奪ったのは、敵の方だった。力押しに来る所を避わそうとしたハイロゥを無造作に掴まれ、
そのまま空中に放り投げられる。一瞬浮いた躯を捻り、飛んできた刃先に『月光』を合わせる。
ひゅっと息を飲む気配と唸りを上げてせまる蹴り。倒れたまま着地した地面を左手で懸命に弾く。
目の前すぐをカマイタチのように通り過ぎる足が、前髪をすぱっと何本か持っていった。
ようやく体勢を整え終えた時にはやや息が切れかけている。立ち上がって対峙し直す。
「仕方がありませんね…………」
呟いて構えを変えようとしたとき、後ろからニムントールの声が聞こえた。
「マナよ、深緑の風となりて我を守れ……」
「っ……ニム?」
まだ憶えていない筈。ファーレーンが驚きの表情で振り返る前に、ニムントールの神剣魔法が発動した。
「……ウインドウィスパー!」
「!これは…………」
急に背中から、包まれるような暖かさ。それはあっという間にファーレーンを「満たし」た。
身体の隅々までいきわたる活力。マナが充溢するのが手に取るように判る。
いつの間に神剣魔法を…………。驚きながら、ファーレーンは応えなくては、と微笑んだ。
これ以上時間をかける訳にもいかない。つまり、こちらから仕掛けるしかないだろう。
ファーレーンはかちゃり、と『月光』を“左手”に持ち換える。そう、自分の「利き腕」に。
「…………この動き、見切ることが出来ますか?」
「…………っ!!」
踏み込んだと同時に、その姿までもが“掻き消える”。残光すら残さない、見えない刃が水平に流れた。
空いた空間を満たす為の疾風が、遅れて巻き上がる。死に際して敵が感じたものは、ただ森の匂いだけ。
繰り出されたファーレーンの斬撃は、自分に何が起きたか判らないままの敵を一瞬でマナに換えた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§
傾いた塔が窓から見える古い家の一室。
ランサに到着した悠人は、エスペリアに「特別命令」を受けていた。
「イースペリアのエーテル変換施設を活動不能にせよ、との事です」
淡々と、それでいてどこか訝しげな表情で告げるエスペリア。悠人は最初その表情の変化に気づかなかった。
その内容は一見どこにも問題が無い、ただの救助の一環だと思えたからだ。
しかし続いた発言に、悠人は驚きを隠せなかった。座っていた椅子がぎっと嫌な音を立てて軋む。
――――最優先事項です。あらゆる救助活動は行うな、と。
「救援に行くんじゃないのか!」
反射的に、叫んでいた。これ以上、死ななくていい命が消えていくのに、悠人は耐え切れなかった。
「そんな命令が聞けるか!俺たちは保護を優先……」
「ユートさま!これは…………これは、王の命令なのです」
エスペリアの強い口調がそれを阻む。察して下さい、そう訴えるような哀しい瞳で。
「くっ……!」
ラキオス王の、下卑た笑い声が思い出される。同時に、「強制」に踊らされている自分の立場も。
逆らっちゃいけない。従わなくては佳織が、そしてエスペリア達スピリットが。様々な思考が交錯する。
「……ごめん」
悠人は歯噛みして謝るしかなかった。握った拳が自分の心を殺すのを感じながら。
ふと、服の裾を強く掴む感覚に気づく。
見ると、隣に座っていたアセリアが、手を伸ばしたまま不思議そうに呟いていた。
「ユート、……どうしてユートは迷う?……戦い、嫌なのか?」
嫌に決まってる、悠人はそう怒鳴ろうとして、聞こえた。何故かいつも、心に響いてくるあの言葉が。
『守りたいものは、ありますか?』
落ち着くようにと、大きく深呼吸する。そう、心を、殺すのではなく、活かす為に。
「…………もう大丈夫だ。行こう!」
犠牲の上に成り立っている願い。それでもそれを守る為に、悠人は『求め』を握り直した。
C
「もう、いつまで浮かれてるの、ニム。ここから先はもっと気をつけないと……」
「判ってるってば。もっとニムを信用してよ」
へへ〜んと得意げに鼻を擦るニムントールを、ファーレーンは苦笑しながら眺めていた。
正直、神剣魔法を体得していたというのは、予想外の事で驚いてもいる。
しかしそれ以上に、それでニムントールが慢心する事の方が、ファーレーンは心配だった。
戦場では、一瞬の油断も死に繋がる。それを実践出来ていないニムントールは、「危うい」のだ。
だがそれを伝えようと気を引き締めても、どうしても妹の前だと甘くなる。
ファーレーンはダラムを目前にして、我ながらそんな自分に呆れていた。
でも、それもここまで。立ち止まった先からも一望できる程小さな街。
一見ひっそりと静まり返っている一帯に、どれだけの敵が潜んでいるか判らない。
ダラムという街は、そこから三方に街道を伸ばしている。
ファーレーン達から見て左手、東に伸びた道を辿れば一度南下してランサを経由、
そこから「∫」字に迂回するような形で“旧”ダーツィー領ヒエムナに繋がる。
右手、つまり西に向かえばダスカトロン大砂漠を遠望しつつ、イースペリア首都へと直結する。
そして今来た道、ラセリオへと続くこの道は、もしも自分達が破れるような事があればそのまま、
サルドバルトのスピリット達がここから北上してラキオスを蹂躙する時の補給線になるだろう。
つまり敵味方、どちらが進撃するにしても必ず通らなければならない交差点。
戦術上、いわゆる「衢地(くち)」と呼ばれる要害なのだ。
だが三方に開かれているという地形はその利便性と引き換えに、
攻めに易く守りに難いという難点をも併せ持っている。
それゆえ、敵の攻撃が予想される様な事態には、
その数倍をもって守りを固めるというのが戦術としての定石だった。
慎重に近づき、付近の草叢に潜り込んだファーレーンは
ニムントールに仕草だけで無言を指示し、息を潜めて辺りの様子を窺う。
溢れかえる数の敵が居れば、すぐに判るはずだった。
粗末な朽ちた木の門が見える。恐らくそれが街の入り口、ということだろう。
さやさやと、風が木々の葉を擦り抜けていく音だけが聞こえる。
しん、と静まり返った街並みは所々古びてはいるものの、どこか落ち着いた佇まいで、
そこだけ戦争という行為からは浮いているかのようにも見えた。
「……………………?」
「…………どうしたの、お姉ちゃん?」
隣のニムントールが姉の異変に気づいたのか、身を寄せ、ひそひそ声で訊ねる。
しかし当のファーレーンは、街から当然流れてくる気配がまるでしない事に戸惑っていた。
(サルドバルトのスピリットどころか、人の気配まで…………っ?!)
ざっ!
「わっ、ちょ、ちょっと待ってよお姉ちゃんっ!」
急に飛び出したファーレーンを追いかけて、慌ててニムントールもダラムの門をくぐった。
.. .
――――そこは、無人の街にされていた。
「ひどい…………」
ダラムに一歩踏み込んだファーレーンは立ち込める異臭に眉を顰め、
目の前の凄惨な光景に立ち尽くしていた。
「はぁはぁ、もう…………うっ!」
追いついたニムントールが息を飲んで口に手を当てる。目を背けたくても体が動かない。
石造りの建物は、何も壊れてはいなかった。
燻ぶってはいるが、木造の家も街路樹も枝一つ折れてはいない。
穏かな、田園風の街並みは。
ただ、「地面に接触している部分だけが炭化」していただけで。
ただ、石畳の道も芝生も何もかもが焦げてぶすぶすと音を立てているだけで。
――そしてただ、そこからあちこちに「人だったもの」の黒く不恰好な塊が生えているだけで。
完全に、死の街に“されて”いた。
C
そんなオブジェだけが屹立する中、たった一人生身の少女が立っている。
一見幼く小柄な体に余りにも不似合いな、自分の身長を大きく越える双剣の様なものを携えて。
短く無造作に切り分けられた赤い髪は風に弄られるまま、その双眸はあらぬ方角を眺めたまま。
何をする訳でもなく、まるでただ偶然そこにいただけ、とでも思わせるようなその佇まいからは、
とても、敵ならば当然放つ筈の「威圧」といったものがまるで感じられなかった。
眼前の少女を間違いなく敵と認識しながらも、その殺意が全く感じられない事が逆に不気味さを増大させる。
焦りを感じたファーレーンはニムントールを背後に庇いながら、静かに喉を鳴らした。
「…………貴女が」
「…………?」
「……っ!」
この街を、という質問は、最後まで発する事が出来なかった。
声に、初めて他者がいたと認識したように、ゆっくりとこちらを向くレッドスピリット。
彼女の沈んだ深く昏い瞳は、一切を拒絶していた。どこも見ていない。周囲は勿論、敵である自分達すらも。
知らず、冷たい汗が背中を流れる。“ひっきりなし”に頭の中が、警報を鳴らす。――逃げろ、と。
「お、お姉ちゃん…………」
ニムントールがぎゅっと掴む服の裾が、微かに震えているのが判る。
しかし今のファーレーンには、それが妹の怯えなのか、それとも自分の緊張なのかが判らなかった。
.. . .
どちらにせよ、「サルドバルト」のスピリットではない。この敵は、決してそんなに弱くはない。
(ニム、合図をしたら、後ろに飛んで)
(う、うん、判った)
判断し、すばやく敵の少女に見えない死角から、ニムントールにサインを送る。
嫌な予感は膨れ上がる一方で、必死に検索する思考が弾き出した答えはたった一つしかない。
ファーレーンは、怖れていた。かつてはラキオスにいたという、浮かび上がる訓練士の名前。
情報部は、正確にその後跡を辿っていた。追われ、帝国に流れ着いた彼が造り出した部隊、その名は――――
「……マナの支配者である神剣の主として命じる…………」
まるで今気が付いたかの様に、気怠るそうに持ち上げられた神剣が地面に突き刺さる。
忌まわしい、「妖精部隊(ソーマズフェアリー)」の名を冠する少女。
抑揚の無い詠唱は、ファーレーンが初めて耳にするものだった。
C
「渦巻く炎となりて――」
あくまで無機質な、淡々とした詠唱。
しかしそれがこの街を滅ぼした神剣魔法だ、とファーレーンは悟った。
熱風が彼女を包み、そして周囲が蜃気楼で歪む。巻き上がった熱砂がお互いの姿を霞ませ、詠唱を掻き消す。
今、はっきりとファーレーンは理解した。先程から探っているにもかかわらず、この街に他者の気配がしない事。
地形的に、絶対に大隊規模な防御力が必要なのにもかかわらず、一人のレッドスピリットだけしか存在しない事。
必要が、無かったのだ。何故なら目の前の小柄な少女が、それだけで「大隊規模」の脅威に匹敵するのだから。
「ニムっ!」
「うんっ!」
合図と共に遠ざかる気配を背中に感じながら、ファーレーンはだっ、と左に飛んだ。
敵の側面に回りこみながら、ウイングハイロゥを捻り、体を斜めに沈ませる。
「――敵を包み込め」
「…………なっ!」
地面に、異変が起こった。硬い筈の石が、踏み込んだ足で減り込む。足場が、失われた。
バランスを崩したファーレーンの頭上で、淡々とした、それでいて殺意だけが純粋な詠唱が終わった。
「――――インフェルノ!!」
宣言と共に高々と上げた少女の神剣が、赫く燃え上がる。
同時に目の錯覚か、彼女の足元に赤く巨大な魔法陣が膨れ上がった。
と、それは一瞬で津波のようになり、一斉にその周囲へと破壊の波動を放射する。
轟、という響きは地中で起きた。
うねるような巨大なマナ暴走は地面を一気に駆け抜け、
顎(あぎと)を開いた大蛇のようにファーレーンに迫った。
りぃぃぃぃぃん…………
刹那、『月光』の焦りが自分に伝わったのか、自分が感じた悪寒に『月光』が共鳴したのか。
「お姉ちゃんっ!」
叫ぶニムントールの悲鳴だけが、遅くファーレーンの耳に届いた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§
ダラムを目前にして急に現れた敵は、今まで戦ってきたサルドバルトのスピリットと質がまるで違っていた。
「やぁっ……なにコレ……? 力が入らないよぉ……」
オルファリルの神剣魔法が、ブルースピリットによって発動前にきっちりと無効化される。
「オルファ、下がって!アセリア!」
殺到したブラックスピリットから、咄嗟にシールドでオルファリルを庇ったエスペリアが叫ぶ。
「ん……はぁっ!」
「っ!」
ざしゅっ!受け流された剣の勢いのまま動けないブラックスピリットにアセリアが振るった一撃が決まる。
肩口に食い込む『存在』にぎりっと歯噛みをしたまま、それでも動くブラックスピリットに、
「……マナよ、癒しの風となれ」
いつの間にか背後に回ったグリーンスピリットが回復魔法を唱える。
「っ間に合え…………ぐっ!!」
がぎぃぃぃん…………。
アイスバニッシャーを放ってすぐに飛んできたブルースピリットが空中から降下してきて
グリーンスピリットに斬りつけようとした悠人の元に殺到する。
「こ、こいつら……強いっ!」
「ユートさま、お任せくださいっ!私にだって、これくらいなら!」
横を駆け抜けたエスペリアが必死に投擲した『献身』が緑色の粒子を撒き散らしてうなりを上げる。
「ハーベス…………あぐっ!」
どすっと鈍い音を立てて突き刺さった『献身』がようやく敵の回復源を断ち切り、混戦に終わりを見せた。
「きゃぁぁぁぁ!」
同時に後ろで響く、傷ついていたブラックスピリットの悲鳴。アセリアが止めを刺したのだろう。
「…………ちぃっ!」
味方が全滅したブルースピリットが、戦意を失い後退する。
引き際の鮮やかさに感心しながら、悠人はそのウイングハイロゥを見送っていた。
C
咄嗟に羽ばたいたウイングハイロゥが、先端をちりちりと焦がす。
既に地面は着地出来る足場では無かった。そこは溶岩のように赤く膨れ上がりその勢力を貪欲に広げる。
「な、くっ!」
地上0(ガロ)地帯を舐め尽くして文字通りガロ(無)に帰した炎の波は、
それだけでは満足せずに、空気を伝播して空をも侵食しようとしていた。
周囲の空気が「燃え上がる」のを肌で感じたファーレーンは更に上昇しようとして――目を見開いた。
「…………危ないっ!」
その視界の先、ちょうど敵の背後に回った建物の上、ニムントールが『曙光』を翳していたのだ。
敵の背後を取った安心感からか、ニムントールには、この神剣魔法の本質が「見えて」いない。
ただ地面を燃え上がらせるだけではなく、「逃げる生物を追いかける」有機の灼熱なのだ、という事が。
「ニムは負けない……お姉ちゃんを守る」
「…………」
微かな呟きに反応したレッドスピリットが、神剣魔法を発動したまま後ろを振り返る。
とたんファーレーンへと向けられていた赫蛇が、その気配を掻き消した。
「ニムっ!!!」
ファーレーンは叫びと同時に片翼だけを一度閉じ、残りのマナを全て放出しながら羽ばたいた。
全速で迫る屋根を見据え、一番熱を感じるその一点に、余った「片翼」分のハイロゥを展開する。
着地した右足に集中したファーレーンのハイロゥは、有り得ない筈のシールド状を呈していた。
「…………え?」
俄かにざわめき立った周囲が赤く染まるのを感じたニムントールは、咄嗟に動けなかった。
棒立ちになったまま、既に逃げ場の無い彼女の足元からマナが燃え上がり、
「え、え?」
どんっ!
次の瞬間には沸騰していたであろうその場から、飛び込んできたファーレーンに突き飛ばされていた。
退けたとはいえ、未だ周辺には敵の気配が色濃く残っている。
セリア達別部隊が合流するのを待っている暇も無かった。
ダラムは目の前。先にいきかけたアセリアを押さえ、悠人は警戒しつつ、街を見据えながら言った。
「アセリア達はここで他の皆を待っていてくれ。俺が先に様子を見てくる」
「ユートさま、それは…………」
「ええ〜、パパ、危ないよ?」
当然ながら、エスペリアが険しい表情を浮かべて制止し、オルファリルが不安そうな顔で見上げる。
アセリアは判ったような、判っていないような態度で視線だけ双方の間をきょろきょろと往復した。
「大丈夫だよ、エスペリア。それより急がなくちゃいけないだろ?」
「ですが…………」
「エトランジェの俺なら単独で動ける。オルファも、いいな?」
エトランジェ、の部分を強調した悠人に、押し黙るエスペリア。彼女も周囲の気配は感じ取っていた。
頭を撫ぜられてオルファリルも不承不承に頷く。アセリアは既に臨戦態勢を整え始めていた。
がさっ。悠人の言葉を待っていたかのように、草叢が揺れる。
「それじゃ……頼んだっ!」
現れたスピリット達がこちらを睨むのを合図として、悠人はだっと駆け出した。
「あっ、ユートさま…………もうっ!」
むくれたエスペリアの声を後ろに聞きながら、悠人は自分でも判らない焦燥感に襲われていた。
今行かないと、そんな、虫の知らせにも似た感情が悠人を急き立てていた。
「ぐ…………かは…………」
燻ぶっている背中を、レッドスピリットがつまらなそうに見つめていた。
神剣魔法――インフェルノの放射時間がぎりぎりの所で終了したとはいえ、
既にファーレーンは戦闘継続が不可能なまでに追い込まれていた。
ニムントールを庇う為に晒した背中は灼かれ、ウイングハイロゥを失っている。
その際踏み込んだ右足は、根こそぎマナを奪われたまま動かない。
衝撃で屋根から落下した時に兜は弾き飛ばされ、打ち付けた全身の骨が軋んだ音を立て。
大量に体内に侵入した熱が暴れ回り、朦朧とした意識を激痛でずだずだに引き裂いていた。
幸いにして右足以外身体的には深刻なダメージが無いものの、当分動けそうもない。
「ニ、ニム…………?」
霞んだ視界の先、辛うじて見えるのは、からん、と放り投げられた『曙光』のみ。
求める妹の姿だけが、捉える事が出来ない。
「ニム…………ニム…………」
探るように伸ばし彷徨う手が『曙光』に届きそうになった時。
がしゃっ!
「あ…………」
「……………………」
偶然なのか、いつの間にか近づいたレッドスピリットが、あらぬ方角を見つめたままでそれを蹴った。
――『月光』を握る手に力が入らない。
どうやらこちらに興味を失っている敵に、反撃できない自分が悔しかった。
「うわっ!…………な、なんだ?!」
街の門に飛び込んだ悠人は、いきなり空から落下してきた物体と遭遇し、慌てて手を伸ばした。
どすん。
「ぐ、お…………くあ…………」
反射的に受け止めた腕と重力加速度を逃がそうとする足がじーん、と痺れる。
落とさないように歯を食いしばりながら、悠人は暫くの間、体をくの字に屈めて衝撃に耐えた。
「く〜〜〜〜…………ふぅ…………ん?」
ようやく落ち着き、軽く膝を折りつつ改めて腕の中を確認する。
短く切りそろえたクロムグリーンの髪の毛。前髪に隠れた少し幼そうな面影。
気絶しているのだろうか、やや釣り目がちな目元は今は閉じられている。長い睫毛だけが時折ぴくっと動いた。
腕にすっぽりと収まっている小柄な躰から伝わる予想外に柔らかい温もり。
しかしなによりその戦闘服には見覚えがあった。
「女の子……ラキオスの…………スピリットか?」
悠人は呟きながら、少女をそっと地面に横たわらせた。
「ん…………んん…………」
どうやら外傷が無いらしい事を確認して安心した悠人に、うっすらと半開きの口から漏れた声が聞こえた。
「お、気がついたか?」
「んぁ……ニム…………一体…………」
「ああ、どうやらあそこから落ちたらしいな。どうだ、どこも痛い所は無いか?」
顎をしゃくりながら建物を指す悠人。呼びかけに、半分虚ろな瞳がゆっくりと頷いた。
「ん、ニムは大丈夫……お姉ちゃんが助けてくれたから…………お、姉ちゃん?!!」
がばっ!緑柚色の目がみるみる大きく見開いたかと思うと、その表情に驚きの色が広がる。
勢い良く起き上がった少女の変化の激しさに、悠人は思わず身構えた。
「な、なんだ、どうした!?」
「お姉ちゃんっ!お姉ちゃんがっ!…………って、誰?」
今度は一転不審そうに目を細め、見上げて詰問するように覗き込んでくる髪の毛と同じ色の瞳。
そのハイロゥリングがやや輝きを増したのを見て、悠人は何故か狼狽しながら答え、尋ね返していた。
「あ、ああ、俺は悠人、高嶺悠人だ。ラキオスの、一応エトランジェって事になってる。
君は……ラキオスのスピリット、だよな?…………それで、お姉ちゃんがどうのって……うわっ!」
悠人の答えにぽかんと口を開いたまま聞いていた少女は、急に悠人の手を取るなり駆け出していた。
§〜聖ヨト暦330年スリハの月黒みっつの日〜§
「……ニムン、トール」
「えっ?何だって?!」
「だから、ニムントール!『曙光』のニムントールよ、忘れたら承知しないからねっ!」
自分より二回りは小さい手に引かれながら、悠人はきっ、と振り返った少女の顔が真っ赤なのに気が付いた。
ようやく彼女が自分の名前を名乗っているのだとわかり、何となく苦笑する。
「お、おう。俺は高嶺悠人、“ユート”でいい、宜しくな、ニムントール」
「さっき聞いたわよ、バカ…………」
呟きながらそっぽを向いてしまったニムントールは、首筋まで赤く染まっていた。
面白い娘だな、と思いながら、改めて前で揺れている、短く纏められた後ろ髪を眺めてみる。
ぱたぱたと駆けている姿は、何処から見てもただの普通の少女にしか見えない。だが、それでも。
サラサラに流れるストレートのショートヘアーから浮いている、緑色に輝く光輪。それが「普通」を否定する。
この娘も、スピリット。幼い体で、戦いに身を晒しているスピリットなのだ。
何の為に、ではなく、ただこの世界で「存在」を許される、唯一の理由として。
ぎゅっ。
一瞬考え込んでいた悠人は、握られた手に強い力が籠められているのに、咄嗟に気づかなかった。
「ん?どうした?」
「…………お姉、ちゃん」
いつの間にか立ち止まった先に、少し開かれた広場がある。いや、「元広場」だった、と言うべきだろうか。
捲れ上がったまま焦げ付いた地面や所々に「生えた」黒い塊が、その異常性を知らせていた。
「これは…………敵、か?」
言うまでも無い。悠人は呆然としたまま一点を見つめて動かないニムントールの視線を辿り、そして――――
きぃぃぃぃぃん…………
腰の『求め』が鋭い音を発した。
「く…………はぁ…………」
このままでいれば、殺される。わかってはいても、指一本動かせない。
ちりちりと灼かれるような頭が必死になって活路を求める。
ハリオンの見様見真似で憶えていた形だけのシールドハイロゥは辛うじて敵の猛攻を防いでくれたが、
その代償として失ったウイングハイロゥは最早両翼とも展開できない。
どころか、失ったマナはその無茶な放出の為に著しく『月光』の干渉を活発にしていた。
りぃぃぃぃぃん…………
普段からその制御を求める神剣の強制力は、いつものファーレーンならば何ら問題なく抑えることが出来る。
しかし一刻も早い回復が必要なこの状況で、その干渉による集中力への障害は明らかに致命傷だった。
ざっ、と目の前の影がよぎる。
レッドスピリットが振りかぶった神剣が、ファーレーンの視界を掠めた。
どくん、と胸が一つ大きく鳴り、額に細く汗が流れる。暗い、死の予感が迫る。
りぃぃぃぃぃん…………
頭の中に響き渡る激痛がもう、熱の暴走なのか『月光』の干渉なのかすらわからなくなってきた。
余りにも煩い共鳴に思わず顔を背ける。と、その視線が、――――遠くに二人の人影を認めた。
まだ熱に浮かされた瞳は、正確な姿を捉える事が出来ない。
それでも縋りつくように、ファーレーンはその影を凝視する。背の高い方と、目が合った。
「あ……………………」
まるですぐそこにいるかのような、錯覚。いつかの既視感。不思議に胸の奥が静まっていく。
いつの間にか遠ざかっていく『月光』の声。――――ファーレーンは、微笑んでいた。
一人の、ニムントールと同年代に見える、幼い少女が立っている。
ぼんやりと揺れるような体には相応しくない、身長より長い棒のような神剣を手にして。
短く切りそろえられた赤い髪はニムントールに近い。持つ神剣はオルファリルに相似した双剣。
だがただ一点、たった一つだけ、今まで会ったスピリットとは違う。そう――――彼女の瞳には、意思が無い。
縛り付けられるような視線が、すっと下を向く。
追いかけるように吸い込まれたその先。そこにもう一人、少女が横たわっていた。
背中を向け、ぐったりとした体には既に生気を感じられない。
全身が引きちぎられたかのように傷だらけで、とくに煙を上げている右足が痛々しかった。
(死んで、いるのか?)
一瞬そんな考えがよぎったが、その時ふいにその顔が、弱々しくこちらを向いた。
ロシアンブルーの、やや外を向いている癖毛気味のショートカット。
その前髪から覗く、焦点を失いかけた瞳と視線が合う。その瞬間、二人の距離が急速に縮まる感覚。
そして力の無い、それでも安堵したかのように微笑んだ「彼女」の表情を間近に感じた時。
――――そこで、悠人の思考は焼き切れた。
きぃぃぃぃぃん…………
「うおおおおおっっ!!!」
闇の奥からどす黒い感情が湧き上がってくる。怒りで見えなくなる周囲。契約は、唯一つ。――「殺せ」。
悠人は獣の様な叫び声を上げ、右手に鈍く光る『求め』を振りかざし猛然とレッドスピリットに詰め寄った。
無意識に開放したマナが体中を駆け巡り、やがて『求め』一点に集中した光芒が空気中に飛散する。
「離れろぉぉぉ!」
「……………………む」
風を巻いて差を詰めた悠人の一撃を、しかしやや眉を顰めただけの少女はふわりと浮いて身軽く避わした。
がぎぃぃぃん!
硬い金属音が石畳に突き刺さり、そしてそのまま衝撃が、がががっと前方を抉り取る。
無言のまま飛び跳ねた少女は少し離れた所に着地して、そして悠人と対峙した。
「お、お姉ちゃん……ひどい…………」
駆け寄ってきたニムントールは、抱き上げた姉の右足を見て息を飲んだ。
「くっ…………大丈夫、ニム……良かった」
急に動かされた反動で激痛の走る足を悟られないように、優しく微笑むファーレーン。
額に大量の汗を流しながら、それでも自分に笑いかけてくる姉に、ニムントールは感情を爆発させていた。
「お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ〜〜〜!!」
「ちょ、ちょっとニム、痛いですよ…………」
泣きじゃくりながら抱きついてくるニムントールを宥めながら、
ファーレーンは今自分を庇って立っている大きな背中から視線を逸らす事が出来なかった。
まだ、夢の中にいるようだ。信じられない、そんな考えが次々と頭に浮かんでは消える。混乱していた。
「…………怪我は、大丈夫か?」
前を向いたままの声が、ややぶっきらぼうに、それでいて優しく問いかけていた。
ぼぅっとしていたファーレーンは最初それが現実の声とは思えず、上擦った声になってしまう。
「は、はいっ!…………あの、もう平気、です…………っ」
初対面の男性に対して、彼女にしては思いの外フランクな口調になってしまい、あっ、と小さく口を噤む。
語尾がだんだん縮こまり、真っ赤になってそのまま何も言えなくなってしまった。
煩いほど聞こえる、体中を流れる鼓動。押し黙ったまま、聞こえはしないかと心配になってくる。
小さくなってしまったファーレーンを、硬そうな黒い髪の影が、ちらっと振り向いた。
「……そっか。よかった」
たった一言呟いて、またすぐに前を向く。逆光に翳ったその顔が、にっと笑っていた。
「あ…………」
いつかと、同じ。胸の中に広がる、静かな暖かさ。
よく見えなかった筈なのに、ファーレーンはその表情を、昔から知っていたかのように感じた。
ファーレーンの無事な様子を確認した悠人の中で、あれ程暴れまくっていた感情がすっかり消えていた。
激しい頭痛――手に握る『求め』の干渉も、今は無い。残るのは、穏かな、純粋な、闘志。
悠人は左手を添えた『求め』を両手握りに構え直し、目の前の敵を睨みつけた。
「……………………」
何も映していない漆黒の瞳が、ガラス玉のように悠人の方を向く。
新たな脅威の出現にも動揺の様子を微塵も感じさせず、むしろ戦いの再開をひたすら待っているかのよう。
悠人には、敵の正体が判らない。ただ、尋常でないマナを纏うスピリットが、強敵である事だけは直感した。
先程のような突進は、このスピリットには通用しないだろう。
髪の色からも、ファーレーンの怪我の状態からも、神剣魔法を主体とした彼女に対抗する為には。
びょおっ、と風が吹き抜ける。それが合図だったかの様に、双方は詠唱を始めた。
「永遠神剣の主の名において命ずる……」
「マナの支配者である神剣の主として命じる……」
唱えると同時に二人は駆け出した。悠人は真っ直ぐ、少女は後方へと。
殺到する悠人と、距離を稼ぐレッドスピリット。二人の戦いは、時間が決する。
「精霊光よ、光の楯となれ!」
「渦巻く炎となりて敵を包み込め!」
詠唱は、少女の方が長い。先にレジストを完成させた悠人の体を薄緑のオーラが包む。迫る速度が加速する。
少女が翳した神剣が燃える鉄の様に赤くなるのを確認しながら、それでもあと一完歩まで迫った所で。
「インフェルノ!」
「なっ!」
初めて口元に笑みを浮かべた少女の足元――予想外の方向から、巨大な炎の大蛇がその牙を翻した。
「…………くくっ」
揺れた地面から、燃える感覚。それはすぐに体中へと広がり、悠人の全身を嘗め尽くす。
レッドスピリットは、自身の勝利を確信した。エトランジェを倒す、それが久しく忘れていた悦びとなる。
足を止め、振り向いた先で燃え盛る塊がマナに帰するのを確認しようとして――――笑みが、凍りついた。
「おおおおぉぉぉぉっ!」
陽炎揺らめく凝縮された熱の最中で。無骨な、巨大な剣が、そこだけ弾くように緑色に輝き、空に突き出て。
そして次の瞬間振り下ろされた鉈の刃は、僅かに身を捩じらした彼女の腕を肩口からもぎ取っていった。
支援
§〜聖ヨト暦327年スリハの月黒いつつの日〜§
肩に回して支えていた手に、ぎゅっと力が入る。
目の前で舞い上がった朱色の砂塵が風に流れ、徐々に開けてくる視界。
庇うように背を向け、やがて収まった熱を感じながらその中心を見つめる。
影が、二つ。
片や、振り下ろしたばかりの剣が、溢れるばかりの緑色に満ち。
片や、打ち破られた炎の壁の向こう、立ち込める血煙の中で、片腕を失っていた。
「凄い…………」
お姉ちゃんでさえ、避わす事も難しかった敵の神剣魔法。
それを彼――ユートは、力で「捩じ伏せて」しまった。
技量でも、策でもなく。そこにあるのは、ただ、「絶対的な位の差」だけ。
――永遠神剣第四位、『求め』。伝説の四聖剣のうちの一本。
そしてそれを振るうべく、別の世界から現れるというエトランジェ。
その隔絶した強さを目の当たりにして、ニムントールはもう一度、凄い、と呟いていた。
「…………!」
ふと、隻腕のスピリットがゆらり、と動いた。
(エトランジェ――ユートはまさか……気づいていない?)
神剣を振り切った反動からか、動きの止まった悠人に、敵が何かをしようとしている。
ニムントールは咄嗟に落ちていた『曙光』を握り、ハイロゥリングを開放し始めた。
「マナよ、神剣の主、ニムントールが命じる…………」
間に合え、そう念じながら。
体の感覚が少しづつ回復するにつれ、体を駆け巡っていた熱の暴走も収まってきた。
特殊な呼吸法により、僅かに残ったマナを総動員して『月光』を呼び起こす。
完全に「喰われた」右足はグリーンスピリットの回復魔法が必要だが、
それ以外は戦いにおいて、傷と呼べるほどのものではなかった。
問題は、今の精神力とマナで、『月光』を制御出来るか、という事。
――永遠神剣第六位、『月光』。
ラキオスのスピリットでも上位に位置するこの剣は、
使いこなせばその威力は例えば同じブラックスピリットであるヘリオンの持つ
永遠神剣第九位『失望』などとは比較にならないほど強力である。
同じ第六位の神剣を持つ『赤光』のヒミカ、『大樹』のハリオン。
この二人もだが、本気で戦えば、今は主力部隊に属している『存在』のアセリア、
『献身』のエスペリア、『理念』のオルファリル達にも充分勝ちうる。
アセリア達が主力で動いているのは、単にタイミングの問題にすぎない。
ヒミカやハリオンが『熱病』のセリアを助けて次世代の育成に努め、
自分が情報部に属した後にエトランジェ――ユートさまが現れた、ただ、それだけ。
でも、もちろんそれゆえの干渉もまた、比較にならない。
油断すれば、すぐに精神――マインドを削られる。『殺せ』、『奪え』と。
実際今も、あのレッドスピリットを「殺したくてしょうがない」のだ。
(……でもっ)
嫌な予感。
敵の片腕は無くなり、一方多少服が焼けてはいるものの、悠人にダメージは無い。
既に勝敗は決していると思われるその瞬間、
ファーレーンは「残った利き足」を大きく弾ませて、二人の間に飛び込んでいった。
渾身の、一撃。
援護も無しで飛び込み、間歇泉の様に吹き上がった炎を抵抗力だけで凌ぎ、
限界寸前のところで繰り出した剣は、確かに手ごたえを伝えてきた。
少女の左腕が独楽のように舞い上がり、その鮮血を浴び、
勢いは止まらず『求め』はざっくりと地面に突き刺さった。
ぎん、と手に強い痺れが走る。しかし悠人はそれを感じる“ゆとり”が無かった。
『委ねよ、その身を…………』
キィィィィィン――――
「ぐ、おおおおおおっ!!」
無理矢理に引き出したレジストの代償を、ひっきりなしに要求してくる『求め』の干渉。
一瞬で背筋に寒気が走り、ひび割れるような頭痛が脳天に響く。
思わずよろめいたその時。足が、鈍い痛みと共に掬われた。
「っ……がっ!」
最早致命傷ともいえる傷を負ったレッドスピリットがその身に残る力を振り絞って、
斬られた直後に足払いをかけたのだ。
気を逸らしていた悠人はひとたまりもなくどさっ、と仰向けに倒され、
「……くっ!しまった!」
起き上がろうとした目の前に、今まさに神剣を振り下ろそうとしている少女が立ち塞がった。
少女の神剣は、決して鋭い刃先があるというものではない。
むしろ棍棒に近いその形状は、斬る、というよりは神剣魔法を放出する際に、
いわば補助として使うのに適した形状のものである。
しかし双剣型のその重心は当然両端にあり、スピリットの力で振り下ろせば硬度に遠心力が加わり、
地面に小規模のクレーターを作れる位の威力は充分にある。
そして今その標的は、寸分狂わず悠人の頭に向けられていた。
「はぁぁっ!」
気合を叫ぶ口元から血を滴らせたまま、倒れこむようにその神剣を振るう少女。
炎の余韻を未だ纏い、唸りを上げて振り下ろされる神剣が動けない悠人の眼前に迫った。
がっ、ぎぃぃぃぃん…………
一瞬。
二人の間を割ってファーレーンが飛び込み、少女の攻撃を『月光』の刃で受け止める。
打ち込みの威力は絶大で、『月光』の刀身を削りつつ軌道を変え、
それでもなお身軽なファーレーンを圧し潰そうとする。
「く……はぁっ!」
「っ!?…………ファーレーン!!」
水平に受けていた『月光』を、ファーレーンは咄嗟に地面に突き刺した。
土を抉りつつ後退する刃先を懸命に押さえ、そこを支点に刃を返す。
力を逃がされ捻られたレッドスピリットの神剣は『月光』をがりがりと削りながら、
どうん、と鈍い爆発音と共に、ようやく地面に激突した。
「あぅっ!」
「……っあぶないっ!」
力を使い果たしたファーレーンが衝撃で吹き飛ばされる。
悠人はそれを左手で受け止めつつ、残った右手で更に『求め』を振るおうとした。
既に、頭痛は無い。
ファーレーンが危ないと感じた時、悠人にはそんな事を気にするゆとりが無くなった。
しかし先程のダメージの為か、
「くそっ!動けよ、このバカ剣!」
ぶるぶると震える腕を持ち上げようとしても、悠人の腕には力が入らない。
「ウインドウィスパっ!」
その時、ニムントールの詠唱魔法がぎりぎり完成する。
たちまち『求め』が緑の光に包まれ、悠人の、そしてファーレーンの力が僅かとはいえ回復した。
「ニムっ!」
「うぉぉぉぉっ!」
二人は倒れたまま、同時に神剣を繰り出していた。
横殴りに飛んでくる『求め』と、下から跳ね上がる『月光』。
最後の一撃を避わされ、最早死に体のレッドスピリットにそれらを避ける術は無かった。
吹き飛ばされた頭部と両手を失った胴部は、それぞれ金色のマナになって消えていった。
C
§〜聖ヨト暦327年スリハの月黒いつつの日〜§
「…………」
「…………」
霧になっていく敵を前に、悠人とファーレーンは暫く呆然としてそれを見つめていた。
やがてその姿がすっかり見えなくなった時、二人はやっとお互いの顔を見合わせ、
「…………っ!」
「う、うわっ!ごめんっ!」
互いの顔が息がかかる程に接近していることに気づく。
いつの間にか悠人はファーレーンの背中に手を回し、抱き合うような格好になっていた。
しかしファーレーンは事態を把握していないのか、ぱちくりと瞬き、そのまま体重を預けたままである。
「い、いえ…………」
「あ、ああ…………」
「……………………」
「……………………」
お互いの瞳に、お互いの顔が映っている。二人はなんとなくそのまま無言で見つめ合った。
羽のように軽いファーレーンを抱きかかえながら、
悠人は何故か恥ずかしさよりも先に、奇妙な穏かさを感じていた。
あの夜感じた、孤独で、それでいてとても優しげな瞳。
哀しみと温もりを同時に思わせ、それが不思議と共感出来る感覚。
動悸が、激しく鳴り響く。敵に遭遇した時とはまた違う、逃げたいような焦燥感。
(…………なのに)
なのに、酷く心が落ち着く。
常に理不尽な大人達に囲まれ、いつしか佳織の前でさえ解けなくなった警戒、緊張。
それらがどうしても保つ事が出来ない。ゆっくりと、融けていく。
そしてそれが、とても心地良い。凄く、暖かい。もう少しだけ、こうしていたかった。
あれ程うるさかった『求め』の声が、いつの間にか聞こえなくなっている事にも気づかなかった。
初めて至近距離で異性というものを見つめたファーレーンは、
何故か恥ずかしさよりも先に、奇妙な暖かさを感じていた。
あの夜感じた、儚げで、それでいてとても力強い瞳。
押し殺したような意志が、不思議に心の一部に通じ合うような感覚。
心臓が、うるさい程鳴り響く。敵に遭遇した時とはまた違う、逃げたいような焦燥感。
(…………なのに)
なのに、酷く心が落ち着く。
常に戦いに身を置き、ニムントールの前でさえ解いた事のない警戒、緊張。
それらがどうしても保つ事が出来ない。ゆっくりと、融かされていく。
そしてそれが、とても心地良い。凄く、暖かい。もう少しだけ、こうしていたかった。
あれ程うるさかった『月光』の声が、いつの間にか聞こえなくなっている事にも気づかなかった。
C
「ちょっと!いつまでお姉ちゃんにくっついてんのよ!」
「きゃっ!」
「うわわ、ち、違うんだ、これはっ!」
突然後ろからニムントールに声をかけられ、悠人とファーレーンは、ぱっと離れた。
悠人は諸手を上げて降参の体勢を作りながら、慌ててぶんぶんと手を振る。
背中を向けたままのファーレーンはもじもじと手を合わせて俯いていた。
そして二人とも、耳まで真っ赤だった。
「ん〜〜〜?……ちょっとユート、お姉ちゃんになんか変なことしなかったでしょうね?」
ちゃきっと『曙光』を構えながら、ニムントールが睨みつけてくる。
「ばっ、ち、違うって!…………え?」
必死に弁解しようとして、はたと悠人は気がついた。
「お姉ちゃん?……って、ファーレーンが?」
「そうよっ!お姉ちゃんに手を出したら……ってなんでユート、お姉ちゃんの名前知ってるのよ?」
「え、あ…………まあ、その…………」
「ん〜〜〜〜?」
咄嗟に上手い嘘もつけず、口籠もる悠人。
ちらっとそちらを見たファーレーンはくすっと小さく笑い、それからニムントールの方を向いた。
「ニム、ユートさまを困らせてはダメですよ。わたし達の事ならエスペリア辺りから報告があったのでしょう?」
そう言って、悠人ににっこりと合図を送るファーレーン。助かった、と目線で返しながら、悠人は捲くし立てた。
「そう、そうなんだ。実は二人がここにいるって聞いて駆けつけてみたんだけど、無事でよかった」
「はい、改めて初めまして、『月光』のファーレーンと申します。助かりました、ユートさま」
両手を膝にそろえ、深々と頭を下げるファーレーン。悠人もそれに倣い、自己紹介をする。
「うん、こちらこそ宜しくな、ファーレーン。それにニム」
「ん〜〜〜〜?」
やや芝居がかったぎこちないやり取りの反応が早すぎたのか、胡散臭そうなニムントールの視線。
「なんか納得いかないけど…………って、なんでユートがニムの事ニムって呼ぶのよ!」
「え?いやファーレーンがそう呼んでるから、つい。……駄目か?」
「駄目ったら駄目!!」
「こらニム、ユートさまに失礼でしょ」
「一体お姉ちゃんはどっちの味方なのよ〜〜〜!」
だー、と喚くニムントールは、すっかり話題を逸らされた事に気づいていなかった。
「ユートさま、ご無事でしたかっ!」
「パパ〜!大丈夫〜?」
向こうから、追いついたエスペリア達が駆けて来る。
悠人は手を振りながら駆け出そうとして、隣のファーレーンがふらついているのに気がついた。
「あ…………」
「とっ…………大丈夫か、ファーレーン」
咄嗟に支える悠人に、少しはにかみながらファーレーンは体を離した。怪我を悟られたくは無かった。
「……すみません、ちょっと足がもつれてしまって……っ!」
しかし離れた拍子に力がかかり、思わず顔を顰めてしまう。悠人は驚いて膝を着き、その細い脛に触れた。
「ユ、ユートさま?!」
急に触られて、思わず上擦る声。
狼狽するファーレーンに構わず怪我の様子を見ていた悠人の顔つきが、みるみる厳しいものに変わった。
「馬鹿ッ!こんなになってるのに無茶するなっ!」
「だ、だって…………」
「だってじゃないっ!痛いなら、我慢することは無いんだっ!エスペリア、来てくれ!」
「え…………」
我慢することは無い。今までそんな事は、誰にも言われた事が無かった。
ニムントールを守る為。その為に、いつも自分を押し殺してきた。
その全てを否定するような、ぶっきらぼうな悠人の言葉が、不思議にファーレーンに入ってくる。
それともやはりその言葉を、心のどこかでは待ち望んでいたのかもしれない。そう言ってくれる、誰かを。
「…………は、い」
ファーレーンは小さな声で、素直に頷いていた。
こうして、悠人達はダラムに辿り着いた。
のんびりと支援
§〜聖ヨト暦327年スリハの月黒いつつの日〜§
全員が揃ったダラムの街で、悠人達は小休止を兼ねて、これからの作戦を練っていた。
もっとも作戦といってもここから先は一本道の上、こちらには一刻の猶予も無い。
あとはただひたすら街道を駆け抜け、イースペリアのエーテル変換施設を停止させる。それだけだ。
「もう、ユートさまに何かあったらわたくしは…………」
少し離れた所で、ファーレーンが『大樹』のハリオンに神剣魔法を掛けられている。
いつも穏かな彼女は、その性格にふさわしく優秀なグリーンスピリットである。
岩場に腰を下ろし、足を差し出すファーレーンに緑色のマナを送り込みながら、
「あらあらファーレーンさん、暫く見ない間にこんなにボロボロになって〜。めっめっですよ〜」
などと天然でからかっている。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいハリオン」
そしてそれを真に受けて、ぺこぺこと頭を下げているファーレーン。
何となく微笑ましいその光景を見ていると、ふいに顔を上げた彼女と目が合う。悠人は軽く手を振ってみた。
とたんぱーっと頬を染め、慌てて手を振り返そうとしてバランスを崩し、
「きゃっ!」
座っていた岩場から滑り落ちて、尻餅をついてしまう。
「……………………」
「痛った〜い…………」
「何してんのお姉ちゃん……」
「あらあら〜。じっとしてないと、いつまでも治りませんよ〜?」
「なっ、何でも無いのごめんなさいごめんなさい……」
「…………ぷっ」
涙目になって謝っている姿を見ながら、悠人は笑いを噛み殺していた。
ファーレーンって意外とドジなんだな、などと新鮮に思いつつ。
ぐきっ!と急に首を捻られる。
「ぐぉっ」
「ユートさま、どこを見ていらっしゃるのですか?わたくしの話、ちゃんと聞いていらっしゃいました?」
見ると、両手を悠人の頬に添えたまま、不機嫌そうなエスペリアの顔がむ〜と至近距離で睨んでいる。
悠人は自分も回復魔法を受けている事を、すっかり失念していた。
―――――――――
……見られましたよね。はぁ、よりにもよってユートさまの前で……。
恥ずかしい。熱く火照る顔を感じる。自分が、彼を意識しているのがわかる。
どうしてだろう。
エスペリアが彼に接近しただけで、どうしてわたしはちらちらと、
そちらを盗み見るような事をしているのだろう。
どうしてこんなに見つめ合う二人が気になるのだろう。
「他人」をこんなに気にした事など、今まで一度も無かった。
なんだか、そちらを見ると胸が痛い。どうにも焦ってしまう。
この感情は、何?どうして、こんな気持ちになっているのかしら…………
あ、エスペリアが悠人さまから離れました。
真剣な表情で、どうやら作戦について話し合っているようですね。
――――あれ?おかしい……なんだか胸の痞(つか)えが取れたみたい…………
「はい、終わりました〜」
「あ、は、はい!ハリオン、ありがとうございます!」
―――――――――
頬を少し膨らませ、拗ねたようなエスペリア。
琥珀色に潤んだ大きな瞳がじっと無言のままこちらを覗き込んでくる。
……傍目から見れば、いい雰囲気に見えるのかもしれないな。
そう、この頬にぎりぎりと感じる圧力さえ無かったら。
さて、どうしたものか。
「あ、ああ、ちゃんと聞いてるよ、エスペリア。えっと…………」
しまった。いきなり詰まるような、“口から出任せ”だ。
「……………………」
う。絶対続きを待ってるよな、この目。
気のせいか、皆の視線がこちらに集中しているような気もするし。
だったら見てないで助けてくれ。少しずつ離れなくていいから。
「あ〜その……イースペリアの事、だろ?」
「え……?あ、はい……その、通りです…………」
急に頬から圧迫感が消える。当てずっぽうだが、どうやら間違ってはいなかった様だ。
…………気のせいか少し元気が無いのは、判らないけどやっぱり俺が悪いんだろうか。
「あのさ、エスペリア……」
「ユートさま、これから先は一本道ですが、なおのこと伏兵への警戒は怠れません……」
「え?あ、ああ……」
急に真面目な口調で説明を始めるエスペリアに、悠人は口を挟めなかった。
エトスム山脈を正面に、イースペリアを目指し、真っ直ぐに街道を進む。
途中小規模な襲撃に遭ったが、向こうに戦意がないのかあっけなく撃退出来た。
やがて、真っ白な城の全容が見えてくる。小高い丘の上から見下ろすとそれは精巧な模型の様にも見えた。
「なんだ、あれは…………」
悠人は呟いた。その視線は城自体より、やや上を睨んでいる。
突き抜けるような青空の、その上空だけが、紫色の雲に覆われていた。
時々雷のような音が響き、放電が街に降り注ぐ。どぉん、という破壊音が木霊のようにここまで届く。
「イースペリア中のマナが集められた空間に収まりきれないのです」
いつの間にか横に立っていたファーレーンが、城を見つめながらそう説明した。
ゆっくりとこちらを向く瞳に、強い決意の光が籠められている。
「ユートさま、一刻の猶予もありません。先にお進み下さい」
「ああ、そうだな…………え?」
ファーレーンの言い方に違和感を感じた悠人が問いかけると、
「申し訳ありません、ここからわたしは別行動を取らせて頂きます…………ニムをお願いしますね」
そう言ってファーレーンは優しく微笑んだ。誰にも見られないように、きゅっと軽く悠人の手を握って。
支援
「ユート、急ごう」
「あ、ああ!」
アセリアが、促すようにだっと駆け出す。
一瞬そちらに目を奪われた悠人が振り返った時には、ファーレーンの姿はもう無かった。
「お、おい…………」
皆が一斉に駆け出す。
城を目の前にして戦意が高揚している彼女達は、仲間が一人居なくなっているのに気づかない。
ニムントールでさえ、周囲に流されるように駆け出している。
「ユートさま!」
エスペリアが振り向き、鋭い声で悠人を呼ぶ。
「……ああ、今行く!」
駆け出しながら、悠人は思った。
彼女が何を考えているのかは判らない。だけど、どうせ向かう先はきっと同じだ。
また会える。手に残る温もりは、もう幻なんかじゃないのだから。
130 :
信頼の人:2005/08/09(火) 23:13:47 ID:Yu6cjHpc
まずは沢山の支援&裏支援、本当に有難うございました。
自分一人で投稿していたら一体どうなっていたかと冷や汗ものでした(汗
最近スレで、「ヘタレ」と言われ続けている悠人。
彼は何故ヘタレなのかと自分なりに考えてみた時期があります。
出た結論は、つまり「極めて熱伝導率の低い」心の持ち主なのではないか、という事でした。
また、ファーレーン嬢。こちらのイメージは、もう完全に「奥手(おくて)」。
周囲に男性の影形も無い環境の中で「善意の砂糖菓子で育ってきたような(公式設定)」彼女。
聡明っぽいのに簡単に騙されそうな、そんな人の良い「おねえちゃん」は、
生真面目にもニムントールを守る為だけにその人生を規定しているようで、
それだけに恋愛関係にはきっと真摯でも一途にはなりきれないでしょう。
「熱し難く“醒め”難い」。
そんな慎重な二人の穏かな心の惹かれ合いを書いてみたいな、と思ってたりします。
詩のハイペリア語はアセリア公式設定資料集を参考にした創作です。
もうちょっと続きがあるので今回は一応訳をメル欄に隠しました。
また各章記載の日付は、基本的にPC版を参照しています。
ただし「歴」は「暦」と修正しました。
誤字脱字某ハリオンマジック等、ご指摘があれば幸いです。
3時間以上に渡り大変ご苦労様でした。続きが読みたい一心でこそこそ支援してました。
ファーレーンの3つの顔をうまく書いていると結構感激。プロであろうとしているところと
姉としての葛藤、時折出る女の子の顔がなんともいい感じです。
一気に100レス近くの投下乙でした。
ここまで来るともはや投稿そのものに対して「乙」と言うべきでしょうw
実はまだ全部読めてないのですけど、今すぐ全部読んじゃうのも勿体ない気がするので
ゆっくり読んで、改めて感想入れます...
乙です。とりあえずまだ読み終わってませんがおつかれさまと言わずにはいられないので・・・
すげー新着レスがあるのを見て何があったのかと驚いたのは俺だけじゃないはず・・・
乙です。
新着確認して、驚くを通り越して思わず笑いますた。
佳織に岡崎律子さんの『秘密』を。
ネリーにYURIKAさんの『とおせんぼ』を。
セリアに佐藤裕美さんの『TOO LATE』を。
まずは乙です
地元の盆踊り(小規模・同年代皆無・地元定着の踊りなし)の練習中に見たら投稿があったので支援しました
…時間の関係上、始めの方だけでしたが
ざっと読みましたが、じっくり読めるのは盆明けになりそうです
現在は、休校となった小学校でプールの監視中〜
少人数だけど、スク水が眩しいです…
けど、盆だというのに夜勤+休みなし…(汗
>>信頼の人さん
大作お疲れ様でした。まだまだ続くようでとても楽しみです。
改めてこれまでに作り上げられてきた神剣やマナの仕組み、戦闘方法、
各国の動向などの世界観を消化し、既存のストーリを追っているようでいて、
先が気になるところで色々と再構成されて綴られた物語にすっかり引き込まれました。
思わず窓を開けて夜空を眺めたくなるような、静謐な闇夜とそこを照らす光の描写が、
風景としてのものも、精神的なものとしての悠人とファーレーンの繋がりに見えるものも、
美しいとすっと心に浮かべてしまうほどに言葉を通して入ってきました。
突然の◎の出現には驚くばかりでしたが、今回は結果的に助けて貰えたのでGJ……なのでしょうか。
一瞬、ダラムの焦土化にも一役買ったのではないかと邪推してしまったのは秘密です。
>>130 久々の超大作超乙です。読み応えたっぷりでした。
前回の『反転』が『信頼』の完成形なら、『朔望』は『恋慕』の完成形と言ったところでしょうか?
この分量があと4回続くという事で楽しみにしています。
今回はスレ移動早そうだw
この勢いでセリアのエタ化ルートにも期待させて頂きますw
>>130 うぉーっかれさまです。
そうか、ニムとファーの加入が遅いのにはこんな裏が。
いや、ぶっちゃけゲームの都合だろうけどさ。
それでもこうして何かを見てしまう、それが雑魚スピスレクオリティ。
ニムがめっさかわうぃねぇ。抱きしめて頭撫でくり回したい。姉バカ気分。
と、ちょっと邪道で、ちょっぴり正しいかもしれない視点から。
こんなくそ長いものに沢山の反応有難うございます。
>>131さん
こちらこそ3時間以上も御支援頂き、本当に多謝です。
変に生真面目な喋りから実は甘えたがりなのではなどと妄想し、
それでも戦いのみ許されるスピリットとしての枷の中で頑張って抑えているところを書きたかったので
その3面を見破って頂けれたのは嬉しいです。
>>132さん
スレの皆さんの支援が無ければとても無理(最悪バーボン、良くて日付が変わってました)でしたので、
自分的にはむしろスレの秘めた力に「乙」と言いたいです。もちろん深い感謝を込めて。
>>133さん
この編のテーマ『悠人とファーの邂逅』を考えるとどうしても分割出来ず、纏めて投稿してしまいました。
驚かせて申し訳ありません(汗
>>134さん
笑わせてしまいましたか……(苦笑
>>135無名さん
支援ありがとうございました。
無駄に長いので、読んで頂けるだけでも感謝です。
>>136さん
ある程度既存の部分については日付だけで省略している部分があるので、伝わったのなら良かったです。
なにせ持つ神剣が『月光』ですので、月や夜のシーンは特に力が入りました。
ロウの早々な出番は、明らかに小説版の影響ですが、読んでいなくても判る程度に抑えたつもりです。
ダラムの焦土化についてはインフェルノの特性と妖精部隊を掛け合わせてたらああなりました。
>>137さん
『恋慕』は自分的にかなり不満が残る内容になってしまったので、今回はじっくり準備して書き上げました。
そういう意味での完成形、といえるかも知れません。どちらにせよ今の自分のベストです。
長さを読み応えと取って頂ければ嬉しいです。
>セリアエタ化 エタ化させるとオリ剣が難しいんですよね……(汗
>>138さん
ですねw>雑魚スピスレクォリティ
ニムントールに注目されましたか。
彼女の妹っぷりに上手く『曙光』としての『月光』との対比が書けてれば良いのですが。
……正しいような邪道なような、と誤魔化してみる(ぇ
おお、遅レスになっちゃった! ようやく読み終わりますたw
これだけのクォリティを保ちつつ、この分量を書き上げるとは...しかもあと4回ですか。
信頼氏、改めて乙です。闇に溶け込み、月光に融け込むファーレーン。
とても丁寧に描きこまれてますね。戦闘シーンも含めて、今回は作者が
ヴィジュアル効果に気合いが入れているのが、ひしひしと伝わってきます。
穿った見方をすると、あの人の影響でしょうか?
個人的には『求め』と悠人がかつてないくらいリアルに描かれてるような気がしますが
これは読み手の視点が斜めなだけかも知れません。
では、続きをお待ちしています。
>>141さん
あの人の影響ですw(といっても二人ほどいますが……)
悠人視点が多いので結果悠人や『求め』は結構前面に出ているかもしれません。
所謂マルチサイトというやつを、性懲りも無くまたやってみました。
で、前スレ955さんの「スピ達がハマりそうなアイス」をもったいないので復活してみる。
ニムントール:雪見大福 寝ッ転がりながらもきゅもきゅ。
アセリア:宝石箱 貴金属と勘違い。勝手に機嫌が悪くなる。
ファーレーン:ハーゲンダッツ・ミルクティー ちまちまと食べている所を見つかって真っ赤。
ネリー:ガリガリ君・ソーダ くーるにかぶりつき、アタリが出てガッツポーズ。シアーにあげる。
種類じゃないけど何故かこっそり食べている所を見つかってツンと横を向くが、
頬についているアイスを掬い取られてデレるセリアを想像してしまった……
シアー:おっぱいアイス(※)にちゅうちゅう吸い付く。
「ちゅ〜、ちぅ〜……ふふ〜。ちぅ、ちぅちぅ〜……ん、む、んむ〜!?」
最後の一絞りが飛び出て目を白黒させるのもお約束。
(※)別名風船アイス、アイスボンボン、etc.
最後にどぴゅって出てきて顔中白濁べとべとになるんだよな
どうしても一緒に食べたくて、二人分のアイスを後手に思い切って悠人を誘うヘリオン。
「ユユユユートさまっ!わたしの風船アイス、(一緒に)食べませんかっ!」
「……へ?」
一瞬の間。やがて溜息と共に、ぽん、と肩をたたかれる。
「ごめんヘリオン、もう少し大きくなったらな」
「…………え?ええ?」
立ち去る悠人の背中を、訳も判らず見送りながらだーっと落涙。
ヒミカ姐さんはカキ氷にハマりそうだ……売る方でも。
赤のイチゴ、青のブルーハワイ、緑のメロン、黒は……黒蜜?
「……渋いな」
「うぅ〜、もっと奇麗なのが欲しかったです……」
「『チャクショクリョウ』とやらにも頼らず、自然な味わいなればこその妙味です」
「でも、その分本当に真っ黒というわけではありませんね」
ハリオンはトルコアイスをまぜまぜ
「んしょ、んしょ」
「いつまでまぜ続けるつもりなんだ?」
「んぅ、んんんっ、はぁ〜(汗だく」
ナナルゥ自家製天ぷらアイス
月光「かき氷か……そういえば聞いたことがある」
ファーレーン「知っているのですか月光!?」
月光「かつてハイペリアに氷を有効に使用した闘法が存在したという……。その使い手の名はカク・ゴール!」
ファーレーン「な、なんですってー!?」
月光「無論かき氷の語源はその戦士の名であることは言うまでもない……」
ファーレーン「……強かったのですね?」
月光「うむ。生涯無敗を誇ったカク・ゴールは最後に『我永遠にアイスを愛す』と言い残したと伝えられている」
ファーレーン「……もしも、その闘法を再現することができたなら?」
月光「まさに無敵となろう」
こうして、ファンタズマゴリア最強の部隊がラキオスに誕生した。
その闘法とは、敵対するスピリットに無理矢理練乳かき氷を食べさせて頭をキーンとさせて思考能力を低下させるだけではなく、
さらに服や下着の中にまで練乳かき氷をつっこんで悶絶させて戦闘能力を完全に奪うという恐るべきものだった。
ラキオスに敵対したスピリット達は皆びしょびしょのべたべたにされて戦場で悶え転がったとされている……
………ツヅカナイ
……まったくの余談だが魁●塾では、本当にかき氷を武器(技)として使用する敵が存在する。
……まったくの余談ですが、それってギャグ漫画かなんかですか?
古き良き出鱈目格闘ものですからー。
確か下が硫酸池の氷柱樹のステージでのバトルで
敵方が変な刃物で氷を上から大回転で削りながら
辺りを霧状にする技だったかな。
塾長なんてほぼ生身の体で大気圏突入してたぞ
違った、辺りを吹雪状態にして
相手の視界不良と凍死を狙う技だった。
スピ達はどこに泊まってるのだろうか。
スピリット計14人にレムリア、ヨーティア、イオ、さらには炎上した時深…。
今日子宅に泊まるのもアリかもしれんが光陰宅は…ヤヴァイ。
>>スピリット計14人
普通にクォーリンが加わってるのにワロタ。
>>155 しかし、広さで言うと光陰宅位にしかスペースなさそうだ。
いっそ秋月家を占拠してしまうとか……ロウ勢が。
瞬さま、今日の朝食は目玉焼きでございます
ユーフィー「ねーねー、ントゥたんどこ行ったか知らないー?」
>>159 「……という訳で現在行方不明のントゥたん(年齢不詳)を捜索中です。
近所にお住まいの方で、見かけたという方おられましたら是非御一報お願い致します」
どん。
「それでは情報お待ちしておりま…………ちょ、ちょっとユートさま、そんなに押さないで下さ……んんっ!!」
「…………ぷはぁ。しょうがないだろ狭いんだから。……待てセリア、泣くな、泣くんじゃない」
じわっ。
「あー!ユートさまセリア泣かしてるー!いっけないんだー!!」
「いっけないんだー!!」
「このくそ狭いのにステレオで騒ぐな!あああもう、誰だよ押したの!」
たゆん。
「あら〜、ごめんなさいユートさま〜」
たゆんたゆん。ぷに。
「…………あーいや、なんでもないんだ…………はっ!!」
ズゴゴゴゴゴ
「ヘブンズスォードヘブンズスォードヒューリーヘブンズスォードォォォォ!!!」
ぷつ。
――――暫くお待ちください――――
……ツヅカナイ
窓から差し込む光を感じて、俺は静かに目を開けた。
首筋から背中にかけてじっとりと濡れた感触に、思わず顔をしかめる。
ベッドから身体を起こして窓の外をそっと覗くと、
薄紫に染まりかけた空の端に残る鮮やかな橙の陽が見えた。
昼寝を始めてからの時間を考えてみると、
訓練の後に少しだけ休むくらいのつもりだったはずなのに、すっかり寝入ってしまったらしい。
まあ、普通に眠れるようになったのも最近の事だから仕方が無いといえば仕方が無いか。
とりあえず、お茶でも飲みに行こう。と、まだ重いまぶたを軽く擦ったところに、良く知った声が響いた。
「やれやれ、やっとお目覚めか。ま、俺も今来たところなんだが」
ゆっくりとそちらに目をやると、声と同じく見知った人影が枕元に立っている。
ここラキオスでは珍しい夕暮れ時の蒸し暑さの中、制服を着込んで口の片方を持ち上げているのは、
見間違う事も無く俺の親友だった。余りにも自然な振る舞いに何も言うべき事が見当たらずに、
俺にはただ尋ねることしか出来ない。
「……何をしに来たんだ」
「あぁ、こう暑い上にやることが何も無いとなると退屈でたまらんからな。
ちょいと夕涼みに一席設けてもらいにきたって訳だ」
調子よくにやりと笑った親友、光陰に向かって座るようにベッドから足を下ろす。
「一席? お前が説教でもしてくれるってのか」
「アホか、わざわざ聞きたがるような子もいないだろうがよ。
いいか、蒸し暑い中の夕涼みの一席に上がる話題といえば決まってるだろ。アレだよ、ア・レ」
言いつつ、奴は両腕を軽く上げて、手を身体の前にだらんと垂らした。
気配を感じさせず現れた光陰にはぴったりなポーズだと思いながら、俺はそっと溜息をつく。
その内に皿でも数えだしそうな雰囲気に、こいつが提案した一席の中身に想像がついた。怪談だ。
「本気か? ……いや本気か、その目は」
何処にいようが、考えがあるのか無いのか悟らせずに突発的に物を言い出すのに変わりはないらしい。
「でもな、どっちにしろお前の話をまともに聞く奴がうちに居るとは思えないんだけどな」
「だから、誰が俺が話すって言ったんだっての。お前が声かけりゃ絶対に集まる子はいるだろ?
その子たちが楽しんだり怖がったりする様を堪能させてもらうって意味で、
一席『設けてもらう』って言ったんだぜ。まぁ、機会がありゃあちょいと驚かす役に回っても面白いがな」
そもそも、ファンタズマゴリアに怪談なんてものがあるのかどうかすら俺には分かっちゃいない。
それでもこいつに言わせれば、人間怖い話をすることに国境も世界も関係あるかということらしい。
「いいか、暑さにまいってる子をぞっとさせて涼しくしてやる。
俺はその様子を楽しむ。何も悪い事じゃないだろ?」
それじゃあ俺にとってのいい事ってのは何になるんだ、という言葉を出しかけてぐっと飲み込む。
きっと言っても無駄な事だとは分かったし、もしも楽しめる奴が居るならそれに越した事は無い。
それに、それで光陰の気が済むならまあ構わないと思ってしまったのも確かだし。
「な、な? せっかく今日子に内緒でこっそり来たんだ。気付かれる前に一つ、頼むぜ悠人」
とうとう手を合わせて俺を拝み始めた光陰に対して、
どう考えても妙な光景だという感想を抱きつつ、俺は首を縦に振るのだった。
再び俺の部屋に戻ってきたら、うっすらと残っていた夕日も完全に見えなくなっていた。
後ろについてきたみんなに、集まってもらった理由とその内容を簡単に説明してみたものの、
「ねーねーユートさまー。カイダンってなーにー?」
「なに〜?」
「えーっとな、簡単に言っちまえば怖い話ってことなんだけど。
怖い話をしたり聞いたりして、怖いと思うと寒気がするだろ?
それで涼しく感じようっていうことなんだ……って、もしかして誰も知らないのか?」
ネリーとシアーの質問に、いきなりの挫折感が俺を襲う。
いざとなれば、俺が適当に知ってる話を披露するだけでもどうにかなるだろうけど、
と首をひねりかけた俺をフォローするように最後の一人、ヘリオンが補足してくれた。
「そんな事は無いですよぅ。『カイダン』っていうハイペリアの言葉とは違いますけど、
そういうお話はけっこうありますから。
でも……教えてもらえることじゃないので知らない方のほうが多いです」
「そうか。でもまあ、自分が知ってる中でとかでも、体験してみてって感じでも何でもいいからな」
頷いている三人を適当に座らせて、部屋の扉をパタンと閉める。
そう。都合がいいのか悪いのか、詰所を回ってみて集まったのは光陰好みのこの面々だ。
ちなみにその光陰はと言えば、部屋の隅の物陰でひっそりと佇んで完全に気配を断っている。
盛り上がりが最高潮に達したときに驚かせるのさ、と意気込んでいるためだ。
部屋にやってきたみんなを目に入れた途端に一瞬鼻の下がだらしなく伸びたのが確認できたけど、
それでも、自分の役目を果たそうと今の状態を維持して、気付かれてないままだ。
光陰が正面気味に見える位置の椅子に腰を下ろす。
机と椅子の位置関係から、残り三人が俺の方を向いている限り光陰を見る事は無いだろう。
「よーし、それじゃ始めるか。誰が最初に話してくれるかな」
三人を促そうとするが、ネリーが我先にと手を上げようとするよりも早く、慌てたようにヘリオンが声を上げた。
「あの、ちょっと待って下さいっ」
「どーしたのヘリオン? さっさと始めちゃおうよー」
さすがのネリーも黒スピリットの素早さには追いつけなかったらしく、軽く唇を尖らせて抗議する。
ところが、普段よりも幾分きっぱりとした口調でヘリオンはネリーに対して言葉を返した。
「まだダメですよ、『カイダン』はちゃんと雰囲気を作ってから始めなくちゃいけないんです。
ユートさま、せっかく外が暗くなってるんですから、部屋のエーテル灯も切っちゃってください」
「あ、ああ。そうだな。それじゃあ代わりの明かりに……」
言われてみれば確かにその通りだ。なんだかやけに詳しそうなそぶりを見せるヘリオンに言われたとおり、
部屋を明るく照らすエーテル灯を消すためにもう一度立ち上がって、小さなランプを目で探す。
「はい、これを机の真ん中に置けば大丈夫です」
その時には、既にヘリオンがランプに火を灯してすっかり準備を完了させていた。
「何か、手際がいいなぁ。じゃ、消すぞ」
嬉しそうにはにかむヘリオンを目に入れた所で、エーテル灯を消す。
部屋に残った明かりはこれで机の上のランプが一つ。
椅子に座りなおした俺の正面にネリー、左側にシアー、右側にヘリオンが、
それぞれほの明るく照らされている。……のは良いんだけど。
「おーい、シアー。まだ何も始まって無いんだからそんなに緊張しなくていいぞ」
さっきからだんまりだとは思っていたけど、薄ぼんやりとした照明に浮かび上がった人影を目に入れただけで、
すでにぷるぷると震えだしそうになってしまっている。
「う、うん……あのね、シアーも怖いお話するの?」
「もちろん聞いてるだけでも大丈夫だぞ。それに、実際のところ怖い話に限らなくたって、
ちょっと不思議に思えるような話でも、実は笑い話でしたってのでもアリだし」
笑い話、という言葉を聞いてほっとしたように体から力が抜ける。
でもまあ、この面子で洒落にならないような話は多分出ては来ないだろう。
「それじゃ、改めて。さっきはネリーが何か話してくれようとしてたから、お願いしようか」
「おっけ〜。えーっと、寒気がするような怖いことでしょ? そうだねぇ〜……
『最高Lvの「青の水玉」と「塔」がいっぱいある拠点の敵がヘブンズスウォードVとサイレントフィールドUを撃ってくる』!」
ネリーは発言の後も元気良く『にっぱ〜っ』という擬音が似合いそうな笑顔でこちらの反応を待っている。
部屋の暗さにも合っていないし、どう反応を返せばいいのやらといった空気が満ちてきていて、
それこそサイレントフィールドでも唱えられた気分だ。
シアーは本当にこんな話でもいいのかとしきりに疑問符を浮かべた視線を俺に送ってきているし、
ヘリオンだって、何を言ったらいいのか分からなくなったようにただおろおろとするだけだ。
「ちょっとちょっとどうしたの〜!? ユートさまはこの拠点にディフェンダーで突っ込む勇気があるっていうの〜!」
「いや、確かにそんな布陣があったら滅茶苦茶怖いけどさ」
「でしょ? この間のミエーユの時だって本っ当に大変だったんだから、それ以上の恐怖だよ!」
知るはずも無いとは言えぽんぽんと言葉を続けるネリーの後方で、
一人静かに立ち尽くしているそのミエーユの布陣の立案者が罰が悪そうに頭をかいているのが目に映る。
この話題を続けるのは、奴が居ることを知ってる俺には辛い。
「うん、だけど俺が思ってた怪談とはちょっと違ったもんだから戸惑っちまったんだ」
「そっかぁ……ほかに怖い話ってあるかなぁ?」
よくよく考えてみれば、怖い思いをする場所なんて俺達にとっちゃ限られてしまっている。
そういう風に怖い話を思いついてしまうこと自体が、もう『怖い話』なのかもしれないと気分がちょっと重くなった。
「それじゃあ普段の、詰所の生活で怖い思いや、不思議な体験をしたことは無いですか?
もっと『カイダン』に近づけるのなら、なんでその怖いこととかが起こったのか分からないっていうのも大事ですよ」
どんな話にすればいいかと悩んでいたネリーに助け舟を出すように、ヘリオンが話しかける。
その言葉に目をぱちぱちと瞬かせてから、記憶の中を探すように腕を組んで目を閉じた。
そしてそのまま考え込むこと数十秒。ネリーは唐突に目を見開いて自らの体験を語り始める。
「あー! あったあった! これなら『カイダン』になるよ! えっとねぇ。
この間、オルファが第二詰所に遊びに来たときなんだけどね、
シアーと三人で、詰所の中でかくれんぼをしてたんだ。
で、ネリーが隠れ場所を探すのに台所に入ったら、その時にどこからか甘い匂いがしてたの。
これはお菓子の匂いだって思って台所の中を探してみたんだけど、
机の上にも、かまどの所にも何にも無かったんだよね〜。
でもさ、匂いがあるんだから絶対にどこかにお菓子があるに決まってるじゃない?
ネリーにはそこでピーンと来たねっ。実は第二詰所の台所には『開かずの戸棚』っていうのがあるんだ。
いっつも鍵がかかってて、中に何が入ってるのか聞いても、
誰も教えてくれないからネリーが勝手につけた名前だけどね。
もうここにあるとしか思えないって、戸棚の取っ手をガチャガチャやったんだけど、
やっぱり鍵がかかってて全然開いたりはしなかった。ちょうどそこに、オルファも台所に隠れに来たんだ。
お菓子の匂いがするって言ったら、オルファも一緒になって取っ手を引っ張ったけどそれでもダメ。
だからね、こうなったら最後の手段って『静寂』と『理念』を持ってきちゃった。
もちろん、手加減はしたよ? そうやって戸棚の鍵は開いたんだけど……
戸棚を開けると、ちょっぴり、ちくっていうくらい体が痛くなったと思ったら、
いつの間にか、シアーが『ネリーと、オルファ、見ぃつけた〜』ってすぐ横で笑ってるの。
気がついたら、開けたはずの戸棚の鍵が何でかまたかかってた。
オルファもネリーみたいに戸棚を開けてからシアーに声を掛けられるまで、
なんだかぼうっとしちゃってたみたいに何してたか覚えてないって言うし。
シアーには見つかっちゃうし、お菓子は結局見つからないし、もう訳わかんなくなっちゃった。
今でも『開かずの戸棚』には何が入ってるのか全然わからないままで、ずうっと鍵がかかってるんだよねぇ」
話しているうちにその時の不思議さを思い返したのか、ネリーは腕を組んでしきりに首をかしげている。
ただし、向かい合ったシアーとヘリオンは顔を見合わせて軽く苦笑いを浮かべているけれど。
「えっと……勝手に開けちゃうと、また勝手に閉まっちゃうなんて不思議ですね?」
「……うんうん〜」
「そうでしょ、そうでしょ〜? それで、時間がたったら戸棚からはお菓子の匂いもしなくなってたんだよ!」
微妙に空いた間にも気がつかないで、ネリーはぶんぶか首を縦に振って『不思議体験談』を続ける。
けどそれなら何となく、二人の苦笑いの理由に思い当たったような気がするぞ。
「へぇ、どのくらいの時間が経ってからなんだ?」
「う〜んと、遊び終わって、手を洗って、ハリオンがネリーたちにおやつを出してくれてから!」
ああ。頭の中に、『つまみ食いしちゃ、めっめっですよ〜』とか言いながら鍵をかけている姿が浮かび上がる。
壊れた鍵だって、ハリオンならあっという間にどうにかしてしまいそうな気がするし。
とはいえ、ネリーの方を見ると俺たちの微妙なにやつきにも反応せずに、
『開かずの戸棚』の謎を反芻し続けているようだ。だったら、今のうちはまだ種明かしをすることも無いだろう。
「確かに、そこに何が入ってるのか分からなかったりすると気味が悪いよなぁ。
もし変なものとか、嫌いなものばっかり入ってたらと思うと大変だ」
「嫌いなもの……お菓子の匂いがしてるのにリクェムとかラナハナがいっぱいとか……?」
途端に、さあっと顔色を悪くしてネリーの動きが止まってしまう。
そうか、ネリーはまだ駄目なのか。それなら今度エスペリアに頼んで克服メニューを……
と思いかけた時、ネリーは唐突にハッとして立ち直りを見せた。
「ああっ、ユートさますごいねぇ〜! ネリー、今無茶苦茶怖くなっちゃったよ。そっか〜、これが『カイダン』か〜」
「そ、そうなのか。怖くなったんならそれはそれで良かったけど……まあいい。
一番手はネリーによる『開かずの戸棚』の話でした、と。じゃあ次の人の番なんだが、その前に」
言いながら、次はどっちかなとシアーとヘリオンの顔を見比べて、妙にうずうずとしているヘリオンの顔を見て気がついた。
机の上に置いてあるランプに手を伸ばして、明かりの量を調節し少しだけ暗くする。
ふと、部屋の隅のほうにさりげなく視線をやると、光陰の姿はほぼ影に隠れていた。
これなら、最後に盛り上がってきたときに驚かすという効果も高まるだろう。
俺がそう思っているのと同期したように、奴の漂わせる雰囲気が何か親指でも立てたように変化した。
いや、まだ意味はわかんないけど、こっちに来てからそのサインを向けられるのは変な感じがするからやめてくれ。
「一人の話が終わったら、こうやってちょっとずつ明かりを消していくんだ」
「へぇ〜、だんだん暗くしていくんだー」
さっきまではまだ、座っている姿がはっきりと見えるくらいだったのが、
今では身体の前面を照らすくらいの光量になっている。
そんな中でも、何故かヘリオンの顔はいよいよ雰囲気が出てきたと、期待に満ち溢れているように見えた。
それとは対称的に、決して怖いとは言えなかっただろうネリーの話の後でも、
部屋の暗さに飲まれたようにまた震えだすシアーがそろそろと手を上げた。
「ゆ、ユートさま〜、じゃあ、次のお話の後はもっと暗くなっちゃうの?」
「そうだぞ。で、最後の人が話し終わったら全部消して……お開きなんだけど」
危ない危ない。全部消したときに『出る』なんて今のうちから言ってしまったら、
シアーの怖がり様からすればまだ全然怖くもないのに帰ってしまいそうだ。
などとちょっとばかり意地の悪いようなことを考えているうちに、シアーは覚悟を決めたようにこくんと頷いていた。
「だったら、シアーが先にお話する〜。えっと、怖いお話じゃなくて、
不思議に思ったお話なんだけど……ヘリオン、いーい?」
「ええ、いいですよ。だったらシアーの後はわたしが話しますね」
「わかった。それじゃあまずはシアーからだな、さ、始めてくれ」
もう一度、シアーは首を縦に振ってから俺たちを見回して話を始めた。
「あのね、イオお姉ちゃんが訓練してくれるときには、お勉強も教えてくれるの。
そのときに聞いたお話なんだけど……
イオお姉ちゃんがヨーティアさまのお部屋をお掃除するでしょ?
でも、いつの間にか床の上が本でいっぱいになっちゃうんだって。
それでね、イオお姉ちゃんは、一体どういう風に本が散らかっちゃうのか調べてみたの。
そうしたら、お掃除した次の日には、お部屋の隅に一冊だけ置いてあったんだ。
それで、その次の日には落ちてる本が二冊に増えちゃってるの。
その日までは、イオお姉ちゃんも仕方が無いなぁって思ってたらしいんだけどね、
三日目になると、床には四冊の本が置かれてたの、それから、四日目には八冊になってたって。
じゃあ、五日目には何冊になるでしょうって聞かれたから、十六冊って答えたら良く出来ましたって褒めてくれたの。
でね、六日目とか、七日目の本の数も問題になって、答えるのはできたんだけどね、
急にイオお姉ちゃんがふぅって大きく溜息をついちゃったの。どうしたのって聞いてみたら、
『もしも、私が一ヶ月、いえ三週間でも掃除をしなかったら、と考えると恐ろしくてなりませんでした』
ってなんだか疲れきっちゃった顔で答えてくれたんだ。
それで、シアーもお掃除しなかったときを考えてみたら、ちょっとおかしなことに気がついたの。
だからイオお姉ちゃんに、もしそんなに長く放っておいても、いつか本棚から本が無くなっちゃうから、
お部屋が本で埋まっちゃうのは無いんじゃないかなぁって教えてあげたんだ。
けれども、イオお姉ちゃんはシアーを見てゆっくり首を横に振って言ったの。
『本当に恐ろしい事はですね、ヨーティア様の本棚はいつ見ても、
一定の本が入っているように見えることなのです。例え、片付けた後でも』って。
だから、イオお姉ちゃんは大変な事にならないように、ヨーティアさまを叱ってお片づけしてるんだって。
もしも、ヨーティアさまのお部屋の本が全部床に置かれちゃったら、
どうなるのかなぁ、不思議だなぁって思っちゃった」
一支援〜
おしまい〜、とぺこりとやって、はにかんで。シアーにしては珍しく長いお喋りを終えた。
俺としては話の不思議さよりもむしろ、イオが年少組への訓練方法を
きちんと考えてくれていることに驚いてしまったわけだが。
まぁ、ひたすら型やら戦術やらを詰め込もうとしてくる訓練士もいる中、
イオを始めとする少数はきちんと理論立てた訓練メニューを用意してくれる。
それでも、スピリットにこうやって色々と教えてくれるのはイオならではだろう。
「えー? えーっとぉ、何で三週間で大変なことになっちゃうの?
一冊が二冊で、二冊が四冊、八冊、十六冊……ね、ね、ヘリオン? 次、何冊?」
そっち方面の訓練が本当に必要な者もいることだし……
「あ、あの、十六冊と、もう一回十六冊が追加されるんですよ? だからどうなりますか?」
うん、自分で解けるように問題を出してやってくれ。ヘリオン。
おっと、肝心の不思議な内容については何も言って無かった。
シアーも俺の言葉を待つようにじっとこちらを窺っている。
「そういえば、ヨーティアの部屋ってたまたま片付いてるときも、
普段どおり散らかってるときも、本棚の中身ってあんまり変わってないような気がするな……」
実際にヨーティアのあの研究室に入った事があるのは俺とエスペリアくらいだ。
でも、見た感じではイオの言葉にはあまり間違いは無いような気がする。
早々に暗算から逃げ出したネリーが、指を折り曲げていた手を机の上に置いて口を開いた。
「そうなんだ? だったら、片付けた本はどこに行っちゃってるんだろうね〜?」
言われてみればますます謎だ。本の山の中から酒が出てくるくらいだし、
もう何があの部屋で起ころうが、どこか異次元に繋がってようが何にしろありえそうな気がしてきた。
何かいい知恵でも出してくれそうな奴は暗がりの中だ。ちらりと見やると、
それでも奴は俺に何かを伝えようとするかのように口を動かしている。
……あ、い、え……い? 違うな。は、い……け……やめよう。
「本棚に入らないんだったら、どこか別の部屋……寝室に放りこんじゃうのはどうでしょう?」
「いやぁ、確かにそこも散らかってたけど研究室の本が入れられてたことは……」
ふと、ヘリオンから出された言葉への答えが、光陰の発言に気をとられていた頭から、
何も考えを通さずに口をついて出た。……まずい。
案の定、ネリーとシアーは特に何も勘付いてもいないようだけれど、
いくら何でもヘリオンまでスルーしてくれるはずも無かった。
絶句して、何ともいいがたい目つきで俺を見つめてきている。
「いや、あの。続き部屋ってことで入った事があるくらい、だぞ。一応」
自分の理性のあるうちでは。それに結局未遂だし。
色々と説明を重ねるほどに妙な感じになることを察して、俺は言葉を飲み込んだ。
二人の手前か、そうですか……と言いつつも追求をやめてくれた事にほっとする。
この話を続けるのは俺の心に負担がかかりすぎるように思える。
「考えても分からないってのは確かに不思議なままだな。
それじゃ、『不思議な本棚』の話はこれで終わりにしようか。もう少し暗くするぞ」
だから、もうさっさと切り上げる事にして、再びランプを手に取った。
今度はみんなの顔がうっすらと見えるくらいの明るさに調節する。
本当にロウソクで怪談大会でもするときにはこれくらいの光なんだろうなぁ。
もう完全に暗がりの中に隠れてしまった男のほうに目をやってみる。
さっきまでの口パクももう見ることは出来ないほどだ。
……頼むから、暗がりから抱きつくような真似まではしてくれるなよ。
「そちらに何かあるんですか、ユートさま?」
「別に、何でもないぞ。うん」
さっきの失言から俺を注視していたらしいヘリオンは、微妙な視線の変化にも気付いてしまったようだ。
一度、俺の視線を追って暗闇に目をやるのだが、やはりぱっと見ただけではそこには何も無い。
また俺の方へと目を向けながら、ヘリオンは軽く首を傾げた。
「次はヘリオンだよな。さっきから暗くなるたびに嬉しそうなんだけど、何か意味でもあるのか?」
やはり黒スピリットだけあって、暗い方が好きなのかとも思ったのだけれど、
そんな理由では無いことを証明するかのように、ヘリオンは実に楽しそうにふふっと笑みを浮かべた。
「わたし、最初に言いましたよ? 知らない方が多いって。
だから、わたしが怖い話を知ってるということはですね、
好きで読んだり調べたりした事があるってことなんですよ」
その笑みは、いつもの無邪気な笑みとはどこかが違っているような気がした。
ヘリオンの笑みが持つ何か得体の知れない迫力のようなものに、
ネリーとシアーもごくりと唾を飲み込むようにして話を聞く体勢を作った。
「それでは、最後まで落ち着いて聞いてくださいね……」
そこまで、普段のような明るい口調で話していたヘリオンの雰囲気が一変する。
部屋の暗がりに後押しされるような小さな声、しかし恐怖を煽るような迫力を持って、
静かに、ヘリオンの『カイダン』が始まった。
「これは、ラキオスとエルスサーオを結ぶ街道であったというお話です。
ある日一人の運搬馬車の御者がラキオスで積荷を下ろしてエルスサーオへ戻るときのこと。
ええ、この街道では毎日、馬車が往復して荷や人を運んでいるんですが、
その日はあいにくの雨で、街道には徒歩の人もいなくて、
ただぬかるみに車輪が足を取られないよう細心の注意を払って馬車を操っていました。
大雨の時に事故を起こしてしまった例はいくらでもありましたから、それも当然のことでしょう。
そんな時です。その御者さんはそれまでは誰にも会うことが無かったんですが、
ふと気付くと、前の方に道の端を傘も差さずに歩いている一人の影を見かけました。
泥を軽く跳ね上げながら馬車が進むにつれてその形がはっきりとしてくると、
人影は長い黒髪を雨に晒したままの小さな女の子だという事がわかります。
馬車が女の子に追いついたとき、御者さんは馬車を止めてこう言いました。
『お嬢ちゃん。こんな雨の中どこにいくんだい。
おじさんはこれからエルスサーオへ帰るところなんだが、良かったら乗せていってあげるよ』
馬車には、使い込んではいるもののまだまだ丈夫な幌もついています。
女の子はこのまま雨の中を歩いていては倒れてしまいそうなほど華奢で、
俯きがちの顔色もあまり良くないように御者さんには思えたのです。
普通なら、こんな所で歩いている子がいるわけは無いのになぁ、
と思いながらも御者さんは馬車の荷台を指差しました。
しばらく、その女の子は御者さんの顔を見た後、今にも消え入りそうな声でぽつりと返しました。
『ほんとうに? わたしも、エルスサーオに行きたかったの』
そうして女の子はほんの少しだけ、薄く唇に笑みを浮かべたのです。
ずぶ濡れになった青白い顔が見せたその笑みは、可愛らしいというよりもむしろ、
御者さんをぞくりとさせるのには充分なものでした。
それでも、身体を濡らしたままで放っておくわけにもいきません。
荷台に乗り込んだ女の子に向かって御者席から身体を拭く布を投げ入れて、
再びエルスサーオに向かって馬車を走らせ始めました」
これは……結構本格的じゃないか……
御者の台詞から子どもの台詞までわざわざ声のトーンまで変えて、表情つきで語るヘリオン。
特に、女の子の台詞には見た目の説明も相まって聞き手を釘付けにするような力がある。
その顔つきも、話しているうちに気分が乗ってきたといわんばかりに生き生きとしている。
自分たちが話していた事との大きな違いに、ネリーとシアーもすっかり引き込まれているようだ。
「だんだんと雨足が強くなる中、御者さんがちらちらと荷台の中の様子を見ると、
女の子は身じろぎ一つしないまま、膝を抱えて座っています。
その上、顔は俯かせたままなのに視線は御者さんの方へと注がれたままなのです。
車輪がぬかるみに取られるかもしれないというのに、これではとても落ち着いて運転できません。
『ところで、お嬢ちゃんはエルスサーオに何をしにいくんだい?
それとも、お家がエルスサーオにあるのかな?』
黙って見られているよりはいい、と御者さんは女の子に話しかけました。
『お友だちが、エルスサーオに行っちゃったから。会いに行きたかったの』
『行っちゃった……? ラキオスから、エルスサーオに引越しかい?』
振り向きながら、御者さんが尋ねます。
女の子は良く見てようやく分かるくらいに小さく頷くと、また膝を抱えてしまいました。
でも、御者さんの頭の中には何かおかしいという思いが湧き出てきました。
御者さんは、エルスサーオに住んでいます。けれども、ここ最近でラキオスから越してきた人なんて知りません。
『この子くらいの子どもがいる家族が、ラキオスから引っ越してきたならわかるもんだろうになぁ』
呟いて、一度馬に鞭をやります。ともあれ、目的地まではもう半分もありません。
出来るだけ早くたどり着いて、お友だちがいるのなら会わせてやってお仕舞いにしようと一人頷きました。
ところが。膝を抱え込んだままだと思っていた女の子が、言葉の続きを口にします。
『会いに行きたかったんだ……でもね、行けなかったの』
ぴく、と御者さんの腕が止まります。確かに、女の子は荷台に座ったままのはず、
なのにその小さな声はすぐ耳元で囁かれたように響いたからでした。
慌てて振り向いてみると、もちろん女の子の姿は元の場所にあります。
けれど、もう一度良く見て気付きました。さっき投げ渡したはずの布には全く触った跡がありません。
長い黒髪からぽたぽたと水滴を垂らしたまま、乗り込んだときと同じ薄い笑みを浮かべていたのです。
く、と御者さんが自分が唾を飲み込む音に驚きます。何を言っているのかと声に出す前に、
女の子は小さくゆがんだ唇を動かし続けました。
『エルスサーオには行きたかったけど、今、行きたいところはちがうの……』
御者さんは、息を呑んで首を周りに向けてみます。何故ならその声はずっと耳元で呟かれているから。
『今はね。……ハイペリアに、いきたいの……』
ひっ、と喉から声が漏れました。ハイペリア。死んだ人間が旅立つという、バルガ・ロアーの向こうの世界。
『ずっと、ここから、うごけないの』
今になって、御者さんたちの中に伝わる噂を思い出しました。
『ほかのひとにたのんだら、みんなおどろいて、ひとりでさきに、いっちゃった』
大雨の日のこの道には、事故を起こさせる「何か」がやってくる。
『ねぇ、わたしを、ハイペリアに、つれていって――――』」
「ぴぎゃ〜〜〜〜!」
「ひぃ〜〜〜〜ん」
搾り出すように掠れた声で訴えかけるヘリオン――今は女の子か――の言葉に耐え切れず、
ネリーとシアーは二人仲良く悲鳴を上げて机に突っ伏してしまった。
元から震え気味だったシアーはともかく、ネリーまでここまで取り乱すなんて、
ヘリオンの話し振りもなかなかに堂に入ったものがあるよなぁ。
「へ、へへへヘリオ〜ン……」
「もう、いいよぉ……こわいよぅ……ネリー、こっちぃ〜」
耳を塞ぎがちにぷるぷるとしながら、俺の左側のところにネリーが椅子を移動させた。
そんな寄り添う二人に容赦なく、一旦お話モードからちょっとだけ素に戻ったヘリオンが追い討ちをかける。
「え……でも、こういうお話って、途中でやめちゃうとひどい事になるんですよ?」
神妙な雰囲気を作ったまま恐怖を煽る事は忘れない。
お話の中の御者のように、ひぃっとうめきをあげて、
涙の浮かんだ目で二人は仕方がなさそうに首を縦に振った。
恐怖におののく二人を前にして、妙に艶を増した顔色を浮かべるヘリオンがお話の終わりに向かって言葉を紡ぐ。
実に楽しそうな気配を俺に感じさせながら、あらぶる息を抑えようとしている奴がその様子をじっと眺めていた。
「御者さんに聞こえる声はもう呟きではなくて。わんわんと頭の中で響くように鳴っています。
自分の声で響きをかき消そうとするように喉からわあわあと悲鳴を洩らした後、
御者さんははっと気付いて鞭を振るいました。いいえ、速さを出すためではありません。
自分の声に驚いてしまった馬を落ち着かせるためでした。
『連れて行けない、エルスサーオに帰るだけだ。連れて行けるのはエルスサーオだけだ……!』
念じるように呟きながら、荷台から確かに感じられていた気配も、頭の中に響く声も何もかも無視して、
ただひたすらに、御者さんは無事にエルスサーオに着くことだけを考えて馬車を操縦し続けます。
いつまでそうしていたのか、ふと気がつくと雨でふさがれた視界の向こうについにエルスサーオが見えました。
びちゃびちゃと泥まじりの水しぶきを跳ね上げながら、普段よりも随分と速く馬車はエルスサーオの街に滑り込み、
たっぷりと停車場所を行き過ぎてから、馬がいななきをあげると共にようやく止まりました。
はっと気付いたように御者さんが辺りを見ると、見慣れた街の景色が目に映ります。
『は、は、ほら、エルスサーオだ。今からでも遅くない。早く、友達に会って来なさい』
まだ荷台に座ったままの女の子に、息を切らした御者さんが話しかけました。
けれど、膝を抱えたままのその子の視線は一層冷たくなって、御者さんに向けられます。
『……う……のに……ちが……の……』
頭の中でまた、女の子の声が響き始めます。先ほどよりもずっと暗く、低く、重く。
ずしりと胸に重みを覚えた御者さんが堪らずに服の胸元を掴みながら、荷台を見ます。
荷台の中の女の子はのろのろと立ち上がると、未だにずぶ濡れのままふらりと御者台まで歩いてきます。
足跡もつかなければ、水音も何もしていないと気付いたときには、もうその子は目の前まで来ていました。
そこまで近づかれて、御者さんは、ようやくその子の顔をまともに見たのです。
それは、御者さんが良く知っている動物に蹴られた大きな傷をつけた老婆のものでした。
『わたしは、ハイペリアに、あいに、いきたかったのに……!』
一際大きく、しわがれて怨みのこもった声が届くと同時に、
頬と首元にひやりとした感触とぎりぎりと締め付けるような痛みが襲い掛かって、
御者さんはわけも分からずに大きく悲鳴を上げていました。
声を聞きつけ、一体何事かと御者さんの仕事仲間や、その近くの家の人が駆けつけました。
いつまでも御者台から降りてこないことを不思議がってさらにその人たちが近寄ると、
御者さんは他に誰もいない御者台の上で、『連れて行けない、連れて行けない……』と、引きつった顔で呟き続けていたのです。
何日か経って、ようやく正気に戻った御者さんと同僚が調べてみると、
もう何十年も前のことになっていましたが、ラキオスから引っ越してきた家族は確かにいました。
ですが、その家族の中にいた子どもも、もうすでに亡くなっていたそうです。
そしてラキオスの女の子に関しても。大雨の中視界が悪い中にもかかわらず、
急ぐあまりエルスサーオへの帰り道を無謀な早さで走っていた御者が、
一人の子どもを轢き殺してしまった、という記録が見つけられたのです。
もう一度、御者さんたちはその子に出会った場所まで行って、
ハイペリアへとたどり着けるようにお祈りをしてあげました。
ですがもうその御者さんは決して、恐怖のあまり雨の日には馬車を運転できなくなってしまったので、
本当に女の子がハイペリアに行くことができて、二度と現れないかどうかはわからないままなのだそうです……」
支援
話し終えると同時に、ヘリオンは自らの手で更にランプの火を落とした。
もう左右に座る三人の顔が見えるかどうかってくらいの小さな光だけしか残っていない。
「はい、これでわたしのお話は終わりです。あぁ、楽しかった」
つやつやと頬を紅潮させながら息をつくヘリオンの正面には、
「うぇぇ……ひくっ、馬車こわぁい〜、女の子こわいぃ〜」
「ふぇ〜、お、おわった〜?」
お互いを支えあうように抱きかかえながらぐったりと脱力するネリーとシアー。
うーん、まさかヘリオンからここまで怪談らしい話が聞けるとは正直思ってなかった。
どっちかと言えば今やっと立ち直りかけている二人のように怖がるほうだと思い込んでた。
「好きで調べたって事は、こっちにも色々とこういう話があるってことか」
「はい。噂話とかそういうのをまとめた娯楽の本があるところにはあるんです。
けれど……あの、今のお話、気に入りませんでしたか? あんまり怖がってくださいませんし……」
軽く俯き気味に顔を伏せ、ちらちらと上目遣いに俺の様子をうかがう。
「ん? 話はしっかりしてて面白かったぞ。それにさ、
俺まで怖がるような話ならネリーとシアーなんか気を失うくらいになっちまうって」
なぁ? と視線を向けると、カクカクと揃って頷く二人。
それから、と俺は言葉を続けてヘリオンに尋ねる。
「地縛霊っていうか、幽霊っていうかそういうのが居るってのはこっちでも一般的なのかな」
顔色を見るような目つきから一転してニコニコとしていたヘリオンは、
そうですねぇ、と小首を傾げながら調べたという話を思い返すように目を閉じた。
「スピリットの間では、あまりそういうお話が伝わることはないです。
お化けになっちゃうよりも、もう一度生まれ変わると考えられるほうが多いですからね。
ただ、人の間では今のお話みたいに何か強い思いがあると、
ハイペリアに行かずに残ってしまうっていう考え方も結構ありますよ」
どことなく、言葉を選ぶように静かに。ヘリオンは説明を締めくくった。
スピリットが死ねば再生の剣に。人が死ねばハイペリアに。
だとしたら、エトランジェが霧に還れば、一体何処に行くことになるのだろう。
その答えはどうなるのか、柄にも無く考えを巡らせかけたその時に、
横から気を取り直したネリーとシアーの声が上がった。
「あ〜、だったらネリーはお菓子をお腹いっぱい食べられないままだったらいつまでも台所に残っちゃうかな〜」
「シアーは……う〜ん、ネリーと一緒〜」
不意に、台所でお菓子をもふもふと頬張り続ける半透明の二人の姿が脳裏に浮かぶ。
確かにそれだけを思えばどことはなしに二人らしい姿かもしれない。けど。
「駄目だぞ、何か思い残すようなことをしちゃ。
お前たちはちゃんと、自分でやりたいことをやり続けないと。なぁ、ヘリオン」
「は、はい……っ。思い残しが無い、ように……」
「それなら、明日のおやつを増やしてってハリオンに頼んでよユートさま〜」
「ユートさま〜」
この三人だけでなく、みんな、少なくとも今居るみんなは最後まで一緒に居てほしいから。
「おう、それじゃヘリオンの話も終わったから……」
最後は俺の話だな、と左右からの視線に挟まれたその瞬間、
「その通りだ悠人! 思い残しは良くないもんなぁ。……というわけでだ。
誰かこの中に俺の心残りを埋めてくれるいい子はいないかなぁ〜!?」
さっきまではネリーの居た場所に、突如としてぬっと暗がりに隠れていた奴が姿を現した。
今にも手当たり次第に掴みかかりそうな言い草に、慌てて俺は立ち上がった。
そのまま牽制するように奴を睨みつける。……のだが。
『……?』
ヘリオンを始め、シアーも、ネリーも。俺の視線の先、
光陰へと目をやった後、いっせいに首を傾げて俺を見上げた。
「……あれ?」
左右を見回してからもう一度正面へ。ぼりぼりと頭を掻きながら苦笑いを浮かべている姿。
「いやぁ……悠人の話が終わってからと思ってたんだが。
黙って見てるだけになっちまうのも勿体無いものでなぁ、ま、十分楽しみはしたけどな」
その頬からつつぅと一筋の汗が流れた。さらに、その背後から、もう一つの影が浮かび上がってくる。
パシッ パシッパシッ ピシィッ
直後に、俺の部屋に乾いた音が響き始めた。
「ひぁぁっ!?」
「なななな何、この音ぉ!?」
「わ、分かりませんけどぉっ、『カイダン』をしてるとたまに……来る、とか……」
ガタガタッっと椅子を倒して立ち上がり、よたよたと這うように俺の傍まで寄ってくるみんな。
……ネリーとシアーはともかく、ヘリオンもか……
話すのも好きだけど驚かされる側に回ることも出来るとは、ある意味怪談にはぴったりの性格だ。
そこにもう一度大きく、パッシィィン! といっそ気持ちよくなるくらい甲高い響きが部屋を揺らした。
『ひぃやぁぁぁ〜〜〜〜!?』
腰から腕から、完全にしがみついている三人を身体の陰に隠して、そのまま正面を見つめる。
果たして、その場所には。げんなりと首根っこをつかまれたまま床にくずおれる光陰と、
「全く……黙って一人で先に行ったと思ったら、まぁたバカな事して。もうあんまり時間も無いってのに」
こちらも制服を着て右手にハリセンを持つ、もう一人の親友、今日子が共に居たのだった。
さっきからの音は今日子が光陰をハリセンで殴り倒す音だったのだけれど。
ああ、そうか。こういうのって、気付く奴と気付かない奴がいるもんな。
特にこいつらの場合は、つながりの深い俺だけがってことも十分にありえる。
「で、今日子は何をしに来たんだ?」
気負わず、普段どおりの調子で話しかけた。それに満足したように、今日子はにっと笑みを浮かべる。
「べっつに〜。へへ、ホントはね。悠が随分ヘコんでたみたいだから……
あたしたちは、大丈夫だよって言いに来てやるつもりだったんだけどね。
でもなんか、ちょっと前から自分で吹っ切っちゃったみたいだし」
じっと、軽く睨むように目を見つめられて、俺の頬にぴしゃりとした痛みと、包み込むような柔らかさが蘇る。
「う……あれも、見てたのか……」
「まぁね〜。だから、普通に会いに来るだけってつもりだったのに、このアホは……」
「そう言わないでやってくれ。俺も結構面白かったんだからな」
どこへとも無くハリセンをしまい込み、やれやれと肩をすくめて大きく溜息をついた。
「一応この後どうするかってのについて、悠の言葉も考えに入れるわ。
で、もう大丈夫だとは思うんだけどね、さっきのやり取りを見てても。
……負けちゃ、だめだよ。悠ももちろんだし、
その子たちだって、あたしたちみたいにしちゃ許さないからね?」
びっ、と指を俺の胸元に突きつけて力強く俺の目を見つめる。
決してそれから目を外さずに、俺も負けないくらいに今日子を睨みつけて頷いた。
「ああ、わかってる。もうこれ以上、絶対に誰も犠牲になんかしないから。
……だから、今日子も、光陰も、心配しないで見ててくれ」
よし、と今日子が頷くと、床に倒れかけていた光陰も身体を起こしてニヤリと笑う。
「言ったな? もしも約束破るような事があったら、俺がこの子たちを可愛がってやるから……ゴフッ」
今度はみぞおちに強烈な打撃を食らって、そのまま光陰は悶絶した。いい加減にやめればいいのに。
「それじゃあ、ね。もしも、次があったら今度は佳織ちゃんも一緒に会えたらいいな」
「……おう。それじゃあまたな。それまでは二人とも……元気で、でいいのかな?」
最後にくすりと笑った後、光陰の首根っこを引っつかんだまま、二人は俺の部屋から溶けるように姿を消した。
なるほど、鍵のかかった部屋だろうがお構いなしに出てきたのはそうしたからか。
「あ、あのぅ〜……ユート、さま? 今、一体どなたとお話を……?」
「ひょ、ひょっとして……『カイダン』したから来たっていうのとお話?」
「……?」
ラップ音もどきを聞いてからずっと、未だに俺の服にしがみついたままの三人をそっと振り返り、静かに頷く。
「そう、だな。最後に俺の話が残ってたんだから、説明も込みでそれを俺の怪談にするよ」
だんだんと服にかかる力が緩んで、もう一度三人が起こしなおした席に着く。
「……ハイペリアには、というか俺のいた国には、か。『お盆』って言う風習があってな……」
そして、俺は。今日体験したこの出来事を、静かに語り始めたのだった――
185 :
道行書き:2005/08/15(月) 21:14:22 ID:ysZMDgSU
あとがき
支援レスありがとうございます。
……光陰、今日子の処遇については一周目限定ということで勘弁してください。
PS2版のミエーユの配置に詰まりかけ、全スキルを駆使して足止めを図る光陰にいやらしさを感じてしまいました。
後はもう有名な「テラー」の台詞が全て。怖がらせて気持ちよくなるヘリオン最高です(違
暑い夜を乗り越える涼みになれば幸いです、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
コォォォイィィィン
キョォォォコォォォ
(つд`)
最後まできづかんかった。
GJ
せんこうはなびがみえますか そらのうえから
うまいっ! いいなぁこの話。お盆ネタ考えてみようと思ったけど、これは良いですね。
ラップ音ワロタ
ネリシア、ヘリオンだけでなく、全員で送り火を焚いてあげて欲しいですね。
>>185 怪談マニアキターッ
じゃなくて、お疲れさまです。
「らしい」趣向が良いですね。ふりだしへ戻る装置(違
そういうことだったのか!
「お盆」で締めてくるとは思いませんでした。GJ!
>>185 やけに大人びたヘリオンに注目。仕草一つ一つがなんていうか……エスペリア?
年少組(自分もだけど)を宥めながら目配せしてくるところとか。
なんとなくその成長ッぷりが気になって『失望の道行』を読み直してしまいました。
光陰も今日子も生きてるけどw
191 :
名無しさん@初回限定:2005/08/16(火) 11:31:30 ID:KbcoqJFG
>>195 どうでもいいところにツッコミをいれつつGJ!
はて、1週目ではヘヴンズスウォードVやサイレントフィールドUは出てこないような気が(フューリー インパルスブロウ エクスプロード ペネトレイト ゲイル 居合の太刀
全員にボコられますた。
192 :
名無しさん@初回限定:2005/08/16(火) 11:33:15 ID:KbcoqJFG
>>187さん
「パパー、準備できたよ〜!」
「……発射角度よし、いつでも行けます」
「加減はきちんとね、吹き飛ばすわけにもいかないんだから」
あの後、夕食時の話のタネにでもと第一詰所のみんなにも怪談会のことを披露したのだが、
それはネリーたちのほうでも行われたらしい。それがどういう風に伝わったのかは想像するしかないけど、
今日になって、俺が説明した『お盆』の締めくくりだけでも全員が中庭に集まって執り行うことになっていた。
「すごいのじゃ、山一つにでっかいのを焚くところもあるけど、そこまでする訳にもな」
とは言うものの、俺たちの前ではキャンプファイヤーが出来る位の大きさで木が組まれている。
「おっきいほうが面白そうだけど、薪集めが大変だもんね〜」
「ね、ネリー、火事の心配もしようよぉ……」
全員が、火を取り囲めるように集まったのを見て、着火役の三人に合図をする。
小さく絞られた火球が命中し、送り火は勢い良く燃え上がった。
「この火で、彼らを送り返すんですね」
炎に照らされた顔を見て、また頬がひりつく感じがしたけれど。
「ああ。色々迷惑かけたな……これでけじめにするよ」
ふ、と微かに和らいだ表情に気をとられる暇も無く、くい、と袖を引かれる。
「ん……火を焚いて追い出すんだな、ユート?」
「そうなのですか。手前はてっきり煙でいぶりだすのかと……」
「ち、違いますよぅっ!? 暗くなった帰り道を照らす火なんですっ」
どうも第一詰所のメンバーには俺の説明では足りなかったのかもしれない。
「は〜いぃ、みなさん〜。準備は出来ましたか〜?」
「ええ、いつ始めてくれても構いませんよ。ねぇ、ニム?」
「分かってる。ユートも頼んだんだからちゃんとやるってば」
ハリオンが微妙に、いやかなりゆったりとしたリズムで腕を振り始めたが、
他のみんなはもう既に頭に入っている速さで、一斉に声をそろえて歌いだした。
暖かく 清らかな 母なる光…
すべては再生の剣より生まれ マナへと帰る
たとえどんな暗い道を歩むとしても…
精霊光は必ず わたしたちの足元を照らしてくれる
清らかな水 暖かな大地 命の炎 闇夜を照らす月…
すべては再生の剣より生まれ マナへと帰る
どうか私たちを導きますよう…
マナの光が私たちを導きますよう…
……そうか。この祈りの歌を聴いたときに感じた何か懐かしいという思いは、
それが、俺たちの世界にだってしっかりと有った想いだったからなのだろう。
何度と無く聞かせてもらっているうちに歌えるようになった歌を、
みんなと一緒に口ずさみながら、もう一度俺は親友たちを想った。
そこに。ぱちぱちと跳ねる火の粉のほかに、ふわりと飛び交う微かな光が集まりだす。
「あら……? こんな、街の中で集まるなんて珍しい……」
送り火に誘われるように次々と。そして本物の炎に負けないほどに、
数多くのマナ蛍が光の柱を形作る。他のみんなも思わず歌を止めて静かに光に見惚れていた。
うん、これなら。二つの世界の送りの炎が、二人をきっと導いてくれるだろう。
――――――――――――――――
「ここからで、良いのかい? まぁ確かに眺めは良いけれどね」
「……ええ。私には、あの場所は眩し過ぎますから……」
「それでも、祈りと歌は、届くと思います。想いさえ篭っていれば……」
>>186さん
>>189さん
もしも、バレバレ過ぎたらどうしようかとビクビクしてました。
または最後まで意味不明かもしれないとブルブルしていました。
どんでん返しを楽しんでいただけたなら嬉しいです。
>>188さん
ぎくり。ええ、悠人の体験談として読み直すとほんの少しだけ違った感じがするかもしれません。
>>190さん
ネリーとシアーの前では年上ぶれ……もといお姉さんっぽく振舞えそうな気がするんです。
ニムはちょっとキツイから何となく苦手だったり。
PS2版をやってもなんだかヘリオンを見た目年齢よりも上で考えてしまいがちな脳のせいだと思います。
>>191さん
そのツッコミの真の入れ所は、一周目なのに「エレメンタルブラストトラップ」発動という事です(汗
(『怖いシチュエーション』の中だからどんなスキルでもOKだとしました。)
>>185 GJっすよ(つд`)
ちょっと泣いた。
197 :
名無しさん@初回限定:2005/08/16(火) 23:29:45 ID:KbcoqJFG
>>195 そうか!きっと1週目なのにエレメンt(ryを使えるのは
それこそハリオンマジッk(パワーストライク
「さあどうだ、これが新開発した『えあこん』だ!」
詰所の応接間に、期せずして歓声が上がる。
戦いを目前にして、ただの暑さに全滅しそうになっていた部隊に救世主が訪れた。
その名もヨーティア、自称天才科学者。性格に問題アリだが、こういう時には非常に頼りになる。
「……なんだか引っかかるモノローグだが、まあいい。それじゃ、スイッチを入れるぞ」
一同が見守る中、ぽちっとな、といった感じでボタンが押される。
天井近くの壁に設置されたその箱から、暫くして強烈な冷風が噴き出してきた。
「うわ〜、すずし〜ねぇ〜」
普段ぽやぽやしていて反応の少ないシアーが、風を受けて目を細める。
「へぇ……便利なものですね、これは。……あらニム、もう隠れるのは止めたの?」
「お姉ちゃんが心配するからしかたなくね。本当に、しかたなくなんだから」
「あらあら〜、そんな事言いながら、一番前で丸くなってぇ〜」
素直に感心するファーレーン。いつの間にか現れたニムントールに、ハリオンが穏かに突っ込む。
「あーー!ずっるーいニム、そこはくーるなネリーの場所なのにーー!!」
「ああもう、そんなに慌てなくても、そのうち部屋全体が涼しくなるわよ」
喧嘩を始めようとしたネリーがヒミカに窘められている。
「ふむ……不思議です。一体どのようなカラクリなのでしょう」
滝で荒行に励んでいたウルカも、どこから聞きつけたのか部屋の隅で座禅を組んでいる。
「あのあの、皆さん仲良く使いませんかぁ?」
おろおろと年少組の間を取り持つヘリオン。
「………………へっへっへ」
そしてナナルゥは、怪しげな笑みを浮かべながら箱を見つめていた。
「……まぁ、ヒートフロアを唱えないだけましか」
一番危険な人物が大人しいのを確認して、ほっと胸を撫で下ろす。
「やれやれ取りあえずはこれで凌げるか……ん?エスペリア、もう大丈夫なのか?」
奥からエスペリアがやって来たので、声をかけてみる。なんだかげっそりと痩せたように漂う緑の少女。
それでも気丈に微笑んで、
「ええ……ご心配おかけしました、ユートさま。これだけ涼しければなんとか……あっ」
「もうエスペリアお姉ちゃん、まだ無茶しちゃダメだよ!」
ふらついたところをオルファに支えられていた。
「ごめんなさいオルファ……わたくしがこんな身体なばっかりに」
「お姉ちゃん、それは言わない約束だよ」
「よよよ……いつもすまないねぇ」
「………………」
どこかで聞いた様なやりとりを交わす二人に、本当は元気なんじゃないか、ともの凄く突っ込みたかった。
「ところでヨーティア、一体どうやって作ったんだ?エアコンの構造なんて、俺だって知らないぞ」
隣でみんなの反応を満足そうに眺めている天才サマに訊いてみる。すると、
「よーく聞いてくれた!実はこの冷気を発生させる為に周囲のマナを凝縮させ、分子運動を極端に小さく……」
「あー判った判った。何か凄いのは判ったけど、俺には判らないだろうということは判った」
長くなりそうなので、適当に打ち切った。
「ヤレヤレ全くこれからがイイところなのに……これだからボンクラは」
とかブツブツと呟きながら大層不満気なご様子だった。
そんなこんなでそよそよと小一時間後。
「あっれ〜?そういえば、アセリアとセリアがいないよ〜?」
突然ネリーがそんな事を言い出した。
「え?そんな事ないだろ……ホントだ」
普段無口な二人組なので気づかなかった、などと隊長らしからぬ感想を思い浮かべる。
皆も同じだったらしく、今更のようにお互いの顔を見合わせていた。
「えっと……あれ?最後にセリアを見たのって、いつだったっけ?」
「う〜んそういえば朝からいなかったような気もしますねぇ〜」
不思議そうに首を傾げるヒミカ。お茶を煤っていたハリオンが呑気そうに答える。
「んぐんぐ……えっとシアーは見てないよ〜」
「わ、わたしも気づきませんでした……」
ヨフアルを口にしつつ、手を上げるシアー。つられるようにヘリオンも手を上げてから発言をする。
「ねえニム、二人を知りませんか?」
「う〜んむにゃ……ニム知らない……」
軽く揺り起こそうとするファーレーンに、ニムントールが面倒臭そうに答えていた。
「…………静かに!……何か、怪しげな声が聴こえます……」
それまでじっと瞑想に耽っていたウルカの凛とした声に、場が一瞬鎮まる。
全員が息を飲み、静まり返る中。
――――……ちょっと、押さないでよ……だめだってば……
――――……ん……まだココは熱い……マナよ、氷となりて……
――――……あ……だ、だめ……だめだめだめ……っ!!
「……………………」
一同は、同時に『えあこん』の方を見た。
がたがたがたっ!
突然冷風がぴたりと止まり、箱が激しく振動し始める。
咄嗟に全員が警戒し、それぞれの神剣を持ち構えた。反応の速さは流石にラキオス精鋭部隊である。
緊張が張り詰めた空気を作り出す。誰かが飲み込んだ唾が、ごくりと大きく響いたのが合図だった。
「……先制攻撃、いきます」
「ってちょっと待てナナルゥ!?」
こんな場でぷっぱなされては敵わない。慌てて振り返って制止するも遅かった。先制攻撃は伊達ではなかった。
「アポカリプス」
「先制攻撃じゃねーーーーーっっっ!!!」
バリバリバリバリ…………ズガガァァァァァン…………
「けほっけほ……あら?ここは……」
「ん。みんな、涼しくなったか?」
どうやら何故ここにいるのかよく判ってないセリアと期待の篭った表情のアセリアが箱から這いずり出てくる。
セリアの頬が桜色に染まって多少服が乱れていたが、しかしそんな些細な事はこの際もうどうでも良くなっていた。
「心頭滅却すれば火もまた……きゅう」
座ったまま気絶するウルカ。
「ヒミカさん〜生きてますかぁ〜」
「ハ、ハリオンお願い……リヴァイブかけて……」
白目を剥き、だらしなく四肢を投げ出しているヒミカ。ちなみにいつまで待ってもハリオンは覚えないぞ。
「ヨフアルが凍っちゃったよぅ」
「もー、判ったから泣かないでよシアー」
ちゃっかり自分達だけバニッシュしていたらしいネリシア。
「ニ、ニム?!ニムしっかりっ!!」
「お姉ちゃん……良かったね、真っ黒だよ……」
「み、みんな真っ黒ですけど……」
半狂乱で妹にしがみつくファーレーン。何気にひどいニムントール。意外と冷静に突っ込むヘリオン。
「クックックッ…………」
そしてナナルゥは、未だ恍惚として『消沈』を握り締めたままさっきとは違う薄ら笑いを浮かべていた。
「をい」
「あん?」
不覚にも咄嗟にレジストで守ってしまったヨーティアに話しかける。
「どういう訳だか説明してもらおうか」
「だから説明してやったろ、アイスバニッシャーの……しかし意外と早く暗示が解けたねぇ」
「はぁ?」
「ああ、バレたからにはしょうがないね。考えるのが面倒だったから、暑さで気絶してた二人に協力して貰ったんだ」
「一体どんな暗示を……じゃなくて随分ベタな落ちだな、おいっ!」
半壊してしまった詰所に、半ばやけくそ気味な突っ込みが響き渡った。
「あ、ああ……ラスクさま……そこに居たのですね…………」
「エスペリアお姉ちゃん、しっかり!そっちは行っちゃダメだよっ!」
ふらふらと消えかけながら出口に向かうエスペリアを、パンチパーマのオルファが必死に抑えていた。
ラキオス布告令第2149
スピリットたるものは常に国の守護者としての誇りを忘れず、多少の暑さに安易に神剣魔法を用いるべからず。
またグリーンスピリットについてはより一層の精進により、暑さ寒さに惑わされない抵抗力を付けるべし。
あと、ヒートフロア禁止。ナナルゥ限定で、先制攻撃全般も禁止。暑いんだから仕事増やさないでユートくん。
>>10さんを受けたのですが、何だか色々混ざってしまいましたorz
ナナルゥがまるで何処かの曹長みたいw
・・・
>>185 乙です。GJです。
いつかどこかで見たような気がする組み合わせですね。
昔は最後の突っ込み役が女王様でしたっk(レムリアインパクト
終盤の今日子達のセリフに目頭が熱くなります。
…ここは「泣ける2ちゃんねる」ですか?
>>204 乙です。ヒミカ姐、死んじゃ駄目だぞ。
この時期クーラーの調子が悪かったら、ホントたまりませんよね。
でも…何故かシアーに対して風当たりが強くありませんか?w
>>204さん
ヨーティアが排熱機構を忘れるなんて、おかげで熱が溜まって箱の中では二人が大変な事に。ありがとうございます。
……二人仲良く気絶していた状況って、ナニをしていたのか気になりました(そこまでは書かれて無い)
あと、ごめんなさい
>>201の「ぷっぱなされては」で、
見た目だけ大爆発っぽい威力の魔法を想像して妙にウケてしまいました。
>>196さん
ありがとうございます。涙の拭い場所には
ハリオンお姉さんが待っていますので、ささ、どうぞ。
>>207さん
生存ルート……どこかで見たお話、死亡ルート……今回のお話
少しだけ意識はしてました、主役が代わっていますけれどもw
>>205さん
何だかもう最近暑いのはみんなナナルゥのせいみたいに思えてきてまして(汗
>>207さん
最近スレにシアー分っが足りないなぁとか思ってたら青の水玉が思わず変な方向に。
でも実際反応薄そうな気がするんですけどこの娘w
>>208さん
多分忘れてたんじゃなくて、暑くて考えるのが面倒臭かったんじゃないかと、ニムばりにw
気絶は……なんでしょうね。青は暑さに弱いとか……各々の想像の中でという事で(ぉぃ
魔法をかけるときのナナルゥって容赦ないなぁとか思ってたらそんな表現になりました>ぶっぱなし
>>204 ヨーティア…そんな手抜きしてると半透明なクェド・ギンが現れて
「ふっ。大天才ともあろうものが…落ちたものだな」
とか言われちゃうぞw
ヒミカよりハリオンの方がダメージ大きくなりそうなものなのに…
さすがだぜ、ハリオンw
よし、二詰の居間にネリーとシアーの第二「えあこん」設置だ。
・元気いっぱい、じっとしてるのは性に合わないから、
すぐ飛び出してっちゃうネリー。でも気分が変わるとひょっこり戻ってたり。
職業意識(お菓子欲しさ?)に駆られたシアーに連れ戻されることも。
・基本的にもきゅもきゅぽけーっといつまでも入ったままのシアー。
暗くても狭くても大丈夫。ネリーがいるから。ネリーは必ず帰ってくるから。
でも、うっかりお菓子の補給を怠るといつの間にか姿が消えているという。
ネリーに連れ出されることも。
よって、稼動可能かどうかは開けてみないとわからない。
・開けたとたん、ネリーがシアーを引っ張って青い疾風になって飛んでくこともある。
・開けたことで、菓子屑をほっぺに付けて眠ってたシアーが目を覚ますこともある。
よって、開けたことによって稼動可能性は変わってしまう。
従って、稼動可能性に影響を与えずに稼動可能性をたしかめることはできない。
城での会議から第二詰所へ帰ってきた悠人はキーンと頭痛に襲われた。いや、『求め』ではなく。
「やけに冷えてるなぁ……」
そう、頭痛の原因は急激な気温差だった。どうやらエアコンの中のネリーとシアーががんばり過ぎたらしい。どうせ、いつものようにネリーが調子に乗り過ぎたんだろう。まぁ、それはいい…というか、いいことにして。
「……えーと」
テーブルがコタツになっていた。
うん、まぁ、ね。気持ちは微妙にわからんでもないよ。夏の暑い最中に冷えた部屋で毛布に包まるってのは、冬の朝のぬるま湯のようなまどろみとも暁を覚えぬ春ともまた違った幸せがあるもんな。でもさ、
「この場合は、コタツに潜るよりも毛布に直に包まる方が幸せだと思うぞ、ニ……」
む? 本当にニムか? ニムが示したコタツへの妙な執着というか意地というかのせいで、コタツと言えばニムというイメージができてたけど、第二詰所にはもうひとりいなかったか? そう、ハリオンというやつが。
ハリオンなら、冷え過ぎてきたところで、ネリーとシアーを止めればいいのに何故かコタツを設営、そのまま冬眠ってところか。ハリオンだしなぁ……ありうる。
「これはもう、たしかめてみないとわからないよなぁ」
と、コタツ布団になっている毛布に手を延ばしかけたが、途中で止める。
さて、俺はたしかめることができるだろうか?
・ニムだった場合。開けたとたんに顔を引っ掻かれて俺ダウン→気がついた時にはファーレーンの膝でごろごろしてるニム。
・ハリオンだった場合。開けたとたんに目の前真っ暗になって柔らかに俺昇天→気がついた時には台所で食事の準備をしてるハリオン。
「……開けたら観測不能?」
ため息ひとつ。
エアコンの方に向き直ると悠人は声をかけた。
「おーい、中のスピたち、冷やし過ぎ。止めて出ておいで。お茶にしよう」
「やだなー、中のスピなんていないんだよー」
「いないの〜」
「そっか。じゃ、何故か城でもらったこのヨフアルはありがたく俺が…」
パカッとエアコンが開いて、
「だめーっ!」
「や〜んっ!」
フューリーよろしく飛びついてくるネリーとシアー。
「はは。お茶淹れてくるから待っといで」
片手に持っていたヨフアルの入っている紙袋を、今はコタツになっているテーブルに置いたところで、コタツからひょこっと出て来た頭と目が合った。
「……ぅに?」
「そっか。ニムだったか」
ぽむぽむ。
「お茶にするから、引っ込むなよ?」
そうして、悠人は台所へ向かった。三杯の普通のお茶と、一杯のぬるめのお茶を淹れるために。
なんてな。
嗚呼、シュレーディンガーよ……(何かが違う
>>213さん
二連続猫箱考察乙でした。うまいなぁ。
確かめられなくてもいいから、引きずり込まれて昇天したぃ……
と思うと引っ掻きが待っており、それもいいと思うと引きずり込まれ……
うーん、不確定。
>>213さん
あ、題名に反応してくれる人がいたw
開けないと判らない、開けることによって観測結果が変わってしまう、むしろ観測では無くなる矛盾。
でも悠人、コタツの猫は喋れるんだから呼びかければ良かったんじゃないかw
・ニムだった場合。呼んでも答えないので誰も居ない可能性が浮上する。
・ハリオンだった場合。嬉しそうに引きずり込まれて柔らかに昇天(以下ry
……駄目かも。
それはそれとしてシアーの「や〜んっ!」には存分に、存分にやられましたw
お、俺大変なこと知っちまったんだよっ!! じ、実はナナルゥはヒー(プス) バタン
…………ピー ……プゥーーーーー…………
…………で、セリアさんのどこが熱かったのでしょうか? 今後の改良型のためにもアセリアに良く聞いておくべきではないかと。
廃熱も重要ですが、排水も考えなくてはいけないかも。誰のドコから流れt(流転100%)
箱の中のア&セリア。中でどうなってたのか考えるのは開けてみなくちゃわからないのか?
(アン、モウアセリア ン、セリアノココアツイ バニッシュシテモキキソウモナイ モウ、ダメダッタラ)
耳をすませばっ!!!
ラキオス布告令
テスハーア。暑さ寒さも彼岸までと言います。
「ああ、ラスクさま今そちらに」 その彼岸はダメーーー
>213
くーるびずに反しますw きょーとぎてーしょにラキオスもサインしてるそうです。ラクロック限界は間近らしいですよ!
>>216さん
流転100って……即死ですかw
>耳をすませばっ!!!
・更に聞き耳を立てる。よりめくるめく展開が聞けるかもしれないが爆発する可能性も。素人には(ry
・思い切って開けてみる。真っ赤になって涙目のセリアに手加減無しのヘブンズスォード。確定で。
どちらを選びますか?
>>213 ああ、うまいですねえ・・・まさか、こんなネタがあるとは思いません・・・でし・・・た(死確定
しかしネリシアの「中のスピなどいない!」にはヤラレました。可愛過ぎ。
ユートの行動がやけに保父さんっぽいのは仕様ですか?w
>>217 「くーるなネリーにはくーる美sがぴったりよね〜」とかいいながら水玉パンツ一丁になるネリー
で、何故かネクタイだけ締めてたり
ニーソックスもつけてください
敵も仰天するだろうな。ソーマなんかも裸足で逃げ出すぞ、きっと
>>223 いや「す〜〜ぴ〜〜〜た〜〜〜ん」」とかいってルパンよろしく服を0.5秒で脱いでおそうとおもわれ
くーるなネリー先生が優しくはうとぅ。
『すぴたん』
今冬発売未定
その頃のサーギオス帝国〜
「か、佳織?!どうしたんだその姿は!」
「えとえとあの、クール美sって言われたんで眼鏡となぽりたんを脱いでみたんですけど……どうですか?」
「うぉぉぉぉ佳織ぃぃぃ!僕の、僕の佳織がこんな姿にぃぃぃぃっ!!!」
「…………秋月先輩、それはなぽりたんです。あと“僕の”じゃありません、いちいち目赤くしないで下さい」
>>225 この『すぴたん』はラキオス語のテキストですか?
>>226 相変わらずのキチガイっぷり、しかし帽子で固体識別していたとは侮りがたし秋月瞬
っていうか本当に欲しかったのは佳織が付属したナポリタンだったのか?
それともナポリタンを佳織の本体だと思っていたのか?
>223-224 つまりソーマのあの格好はクール美s
クールビズと聞いて
「ユート様がそう仰るのでしたらそうします…でも少しだけですよ?」
というエスペリアを想像してしまった濡れは勝ち組……きっと勝ち組さ。orz
あと、光陰が年少組にクールビス用の服だといってスク水を持ち出してるのはガチ。
実は詰所の温度設定は、常にキッチリ着込んでいるエスペリアが熱くなく寒くない程度に設定されていたんだよっ!
「……腰が冷える」
「肩がこる・・・・」
そして覚えたての「こーねんきしょーがい」を口走ったネリシアに姉ちゃんフォース炸裂
させようとしてぎっくり腰発生。夜のお役目すらピンチに
そしてついたあだ名が
エスばあさん
はっ!!殺気が・・・
そして覚えたての「エスばあさん」を口走った悠人に
天空のエスカフローネも、登場人物の服装に統一感が無かったな。
ファンブックでさえ、ガイアの気候についてつっこまれまくり。
誰かが必ず暑さor寒さに耐えざるを得ない。キャラデザの人も大変だ。
「抑えて〜も抑えき〜れない揺れるこの谷〜間〜わぁ〜」
かちゃかちゃ。じゅっ。
「とめどな〜く寄せて上げる〜ヒミ」
「ハリオン!次焼けたわよっ!!」
「あらあら〜はいはいいらっしゃいませぇ」
「まったく危険な……変な唄歌ってないで手動かしなさい!忙しいんだからっ」
「ん〜、でもぅ、こっちはもう焼きあがってますしぃ」
「う……」
普段のぼーっとした態度からは、考えもつかない手際の良さ。
好きこそ物の上手なれ、自分の担当を神速で終わらせていたハリオンが困った顔をする。
どうしましょう〜などと呟き激しく胸を揺らす相棒の姿に一瞬殺意が湧いた。
「お姉ちゃ〜ん、ヨフアルちょ〜だい」
突然くいくい、と裾が引っ張られる。かけられた声にはっと我に返った。
「いらっしゃいま……」
光りかけた『赤光』は後手へと隠し、とりあえず最大限の営業スマイルを……って。
「……あら?また来たのね」
「うんっ!だってお姉ちゃんの焼いたヨフアル、すっごく美味しいんだもん!」
「ありがと。そう言って貰えると、嬉しいよ」
ちょっと前から毎日買いに来てくれる少女。顔馴染みの笑顔にころっと機嫌が直ってしまった。
お世辞でもそう言われればやはり嬉しい。我ながら単純だと思う。
いつの間にか営業スマイルが、ごく自然にくすぐったいような微笑みに変わっていた。
「ふふ、今日も一個でいい?」
子供なので、そんなにお小遣いがある訳ではない。この娘もいつも、一個だけ買っていく。
それを承知で、訊いてみた。今日こそは、もう一個オマケするつもりで。
「う、うんあのね……」
「あれ?今日は……」
それなのに。
ちゃりん。少し照れたように、差し出されるルシル硬貨。受け取ったそれは、二枚あった。
「えっとね……えへへ、二個っ!」
屈託無くにこにこと見上げてくる少女に、ちょっと戸惑った。
このまま受け取って、代金分のヨフアルを渡すのは容易い。
だけど、少女はひょっとしたら無理をしているのではないか。
そんな余計なのかも知れない心配がこのまま受け取るのを躊躇わせていた。
「あら〜、どうしたのですかぁ、ヒミカさん〜?」
そんな気配を察したのか、奥からハリオンが顔を覗かせる。
のほほんとした表情が、今だけは渡りに船だった。
ちなみにハイペリアの諺を多用するのは間違いなくユート様の影響である。
「あ、ハリオン。実は……」
品物を包むフリをして、そっと説明する。
ふんふんと聞いていたハリオンは、ふいに少女に向き直した。
しゃがみ込み、目線の高さを同じにして、じっと少女の瞳を見つめる。
「ん〜〜〜?」
「え?え?えっと……えへへ……」
「んふふふ〜〜〜」
「えへへへぇ〜……あはっ」
「なるほどぉ〜」
ただ見つめ合っているだけなのに、妙なコミュニケーションが成立する二人。
最初は首を傾げていただけだったのが、すぐに照れたようにはにかみだす少女。
ハリオンが何かを納得したかのようにうんうんと頷いている。訳が判らなかった。
「??? ねぇハリオン、ちょっと……」
「ほらぁ〜ヒミカさん、あそこにぃ〜……」
頭に疑問符を浮かべ出した所で、立ち上がったハリオンがそっと耳打ちしてきた。
支援
「―――――なんですよ〜」
「……ああ、なるほど」
そういう事かとようやく納得し、目の前の少女を改めて見てみる。
頬をほんわりと染め、恥ずかしそうに落ち着かない視線できょろきょろと辺りを見回し。
スカートの裾をきゅっと小さく握りながら、時々気になるのか、前髪を整えている。
そんな背伸びをしたちょこちょことした仕草が、初々しくてとても微笑ましかった。
「えっとぉ、ですからぁ〜」
「了解、判ってる。……今日は、二個オマケしておくね」
後半は、少女に向き直りながら。紙袋を差し出すと、大きく瞳を輝かせて見せてくれた。
きらきらと、無邪気な瞳が本当に眩しかった。そしてホンの少し――羨ましかった。
「うわぁ〜ホントにぃ?!ありがとう、お姉ちゃん!」
「いいから早く行きなさい……待ってるわよ。デート、頑張ってね」
「あ……うんっ!」
ぺこり、と勢い良く頭を下げ、そしてたたた……と駆け去っていく少女。
その先で、ちらちらとこちらを伺っている男の子が立っていた。
偶然目線が合ってしまい、慌てて顔が真っ赤になっている。
可笑しくなって軽く手を振ってみると、ぺこりと頭を下げてくれた。
二人を見送りながら、先程からの素朴な疑問を訊いてみる。
「……ところでハリオン、何で見ただけで判ったの?」
問いかけに、えへんとその大きな胸を逸らしながらハリオンは即答していた。
「んふふ〜、わたしだって、女の子ですからぁ〜」
「…………」
「あらあら何を言わせるんですかぁ〜。もぉぅ、めっめっですぅ〜」
理由になってない。しかも、私は女の子じゃない、とでも言いたいのだろうか。
くねくねと何故か照れているハリオンにそんな突っ込みが浮かんだが、言うのはぐっと我慢した。
気づかなかったのは、確かだし。無言で察したハリオンが、一枚も二枚も上手なのは否定出来ない。
――――悔しいが、私だって女の子なのだ。
こういう時、ハリオンの包容力に敵わないのは判っている。そういう意味ではこの相棒は最強だろう。
それに、嬉しそうに手を振っていた少女に貰った、この不思議な気分を無粋な発言で壊したくは無かった。
「そうね、私も頑張らなくっちゃ」
そんな呟きに、ハリオンはやはりというか、『何をですか』とは訊いてこない。
その代わりに、黙って微笑みながら紙袋を差し出してくる。
私はちょっと拗ねた風に湯気の立つそれを受け取り、そしてにっと笑って見せた。
(負けるもんかっ!)
こんな素敵なライバルに。今はまだ、ネリー辺りが言う所の「イイオンナ」にはちょっと届かないけれど。
敵を知り、己を知れば百戦危うからずってね。……あれ?諺じゃなかったっけ。
「マナの導きにぃ〜」
「乾杯っ!」
そうして焼きたてのヨフアルを口に運びつつ、私達は囁き合う。ほんのり甘い一日を噛み締めながら。
243 :
信頼の人:2005/08/19(金) 01:39:37 ID:Eh3TmQMS
「お菓子屋さん」シリーズ初参戦(ぉ 支援、有難うございました。
少女のイメージはまんまネリー、少年は子供時代の瞬だったりしてます。物凄いカップリング(自爆
……えっと、ヨフアル一個が相場で幾らなのかは遂に確認できませんでしたorz
>>243 乙彼〜
親友と書いてライバルと読む。強敵と書いて友と読む。
良き恋人や伴侶に劣らず良き相方は得難く貴重なもの。
ふたりはきっと知っている。だから、
ときに鎬を削り、ときに支え合い、ふたりは共に、いつまでも……。
ふたりにぃ〜、乾杯っ!
>>242 ×:胸を逸らし
○:胸を反らし
245 :
名無しさん@初回限定:2005/08/19(金) 22:11:25 ID:Jqepl6QA
永遠のライバル。12wq2w32456456756798o089i0-^09-p;p@:[p:@]@
\/ bc cA
スマソ キーボード掃除してたら入ってしまいマスタ。
永遠のライバルの二人。もしかしたらヨフアルが焦げてしまう時や、変な味になるときもあるかも知れないけど、
二人の関係は直ぐにふっくらこんがりにもどって。
いつまでも女の子、どこまでも女の子。
そういえば、うろ覚えですが、ヨフアル娘が悠人に渡したコインは二枚だったような……? それで買えるだけ(3〜4枚くらいか?)
>>244さん
ネリーとシアーの関係やファーレーンとニムントールの関係とは違うけど、
不思議に周りまで和やかにさせる関係。切磋琢磨しつつイイオンナが二人成長する事を祈って。
>>246さん
おお、そういえばそんな描写があったような。とすると相場ほぼ倍にしてしまいましたね(汗
ヒミカさん高いよマケて下さい(違
ハリオンの胸 だ け が夢に出てくる点について
そーいやなんだかんだ言って雑魚スピズの中じゃ御海老で一番描かれてないのな、ハリオン
いやクォーリン除いてですがw
”みんな、これを見てくれ。これは独自に手に入れた、かの大賢者ヨーティアの研究室にあった資料の写しだ。ここだ、ここをよく見てくれ。”
〈これは……っ! 永遠神剣第六位『大樹』っ!?〉
”そうだ。永遠神剣がそれぞれ固有の振動数を持つことは既にみんなも分かっていると思う。これは『大樹』の持つ
振動数をグラフに表したものだ。いいかよく見ておいてくれ。”
”そしてここに、もう一枚の振動グラフがある。どうだ……何か気が付かないか?”
〈…………まってくれ。こ、これは、ま、まさかこれはっ。大樹のグラフとそっくりだ!〉
”そうだ。これは、君たちなら誰もが知っているハリオンの持つ振動数をグラフにしたものなんだ。”
〈振動数? あのハリオン自身が振動数を持っているというのかっ?〉
”そうだ。これは紛れもない事実。振動数とは本来神剣のみが持つものの筈。それを何故かハリオン自身が持ってしまっていたんだっ!!”
〈お、おい待ってくれ、カレキバヤシ。一体ど、どういう事なんだ。〉
”わからないか? これはきっと俺達に対するマナ警告なんだ。ハリオンの持つ振動数――――それは、【たゆん振動】だったんだよっ!!!”
ΩΩ Ω<な、なんだってー!?
その固有振動数に共鳴する者を人すなわち巨乳好きとうわなにを
巨乳好きの発生源を個々のデータでシミュレートしても無意味だったんだ。
固有振動が一致するもの同士共鳴現象を起こせば、相互に干渉しあって増幅されて。
「いくぞ、ハリオンッ、ナナルゥッ! 共鳴だ! 俺の鼓動に合わせるんだっっ!!」
「すべてのたゆんを〜ここに〜っ」
「すべてのたゆんを、ここに」
圧倒されながら、恐怖を感じながら。それでも俺は、たゆんを諦めはしなかった。
脈動する俺の神剣をふたりのたゆん振動が挟み込む。
――――どうせなら……徹底的に抵抗してやるッ!!
……
…
「悠人さん……心を向けて下さい…力をか……すわけないでしょうがぁっっ!!」 たゆん共鳴Vanish
たゆん共鳴補欠員エスペリア
イーオッ!イーオッ!
イオも素晴らしいたゆんの持ち主ですね
PS2版やって感動した
某誌でヘリオンと新キャラを確認しました
新キャラの神剣が気になるが、それ以上に気になるのはヘリオンのペタなm(惨殺!)
新キャラの方が(たぶん)大きい…頑張れヘリオンタン(⊃д;)
…絶対領域が複数展開されそうだ
TGだね。
あのオッドアイのスピ? とヘリオンの立ち絵が載ってる。
>>253 セリアとニムのツンデレも固有振動数で共鳴させれば互いに増幅したりするだろうか?
ネリーとヘリオンのツルペタも共鳴させれば互いに増幅したりするだろうか?
アセリアとナナルゥのデンパも共鳴させれば互いに増幅(ry
オルファとコアラさまの足りないロリ分も共鳴させ(ry
今月のTGp376にて、すぴたんver光陰を確認。
うあ、渋い!
これならガロ・リキュア最高の戦士ってのも頷ける。
何も解説の無い線画ですがね。まあ、ユート達が退散した後なら、コウインが最高の戦士かな?
キョウコは防御力が劣るし
来月号に情報が入るみたいなんで楽しみにして待つか…ファンクラブに入ってればもっと情報が手に入るかもしれないけど、入ってないからなぁ〜
ファンクラブなんて…………ダーツィ大公国並に存在が薄いですよ?
ラキオス情報部クラブザウス支部は職務怠慢。
なんかヘリオンの腰にアセリアの腰についてたマントみたいなやつの短いのがついてたね。
むしろヘリオンの服装がエロイんですけど・・・
あのジッパーを上までびろーってやるとはだけちゃうのか?
ラキオスいい国だな
あの服装、コウイン様がライトニングブラストを散々喰らいつつ
レスティーナをヨフアルで釣ったに違いない。
保管庫に上げてほしい、というのは野暮か
今買える雑誌の画像を上げるのは・・・不味くないか?
無断掲載とかになっちゃうのかな?
とりあえず立ち読みとかで頑張ってみて欲しいところ
正式発表されれば載せられると思うんだけどなぁ・・・
思うにレスティーナってさ、いい歳して独身だよね。
ああいう世界ではとっくに嫁き遅れなのではないかなぁとか思ったりする。
婚期は13以降20過ぎたら嫁ぎ遅れ
ミレニアムバージンは論外
「いい歳って言われても、私18歳だから何のことだか分かんないナ♪」
「………そうだな。体型的には13歳でも十分通用すると思うぞ」
その後、悠人の姿を見た者は(ry
ラキオス布告令第3856
女王陛下の周囲における年齢及び体型に関する話は、須くこれを禁ず。
(後にメイドと巫女の周囲〜という条文も追加)
レスティーナ10代じゃなかったっけ?
戦国時代みたいに10前半で嫁ぐような世界には見えないけど
あー、王族にしては嫁ぎ遅れって事なのか
とりあえず竜の同盟に王子様がいなかったって事でw
そもそもハイペリアとファンタズマゴリアでは年月の進み方が違うので、年齢そのままで考えていいものか困るな。
年表から判るエスペリアたちの年齢とか明らかにおかしいし。
ユートがファンタズマゴリアに来た時点でエスペリアとウルカが22歳、アセリア21歳。
幼女エスがソーマに襲われていたのがその4年前…あれ?
ハイペリア換算すると、もっと最近のことになるな。
幼少時は急激に成長するイスカンダル人説を思いついたが
女王蜂のオルファはともかく、ネリシア辺りが作中の二年で全く成長してないしなぁ。
大人しく脳内で「実は十年前」とでもしておくか。
エスぺリアはラスクを失った哀しみと心労で一気に老けた、でFAジャマイカ?
そして
>>230>>231・・・
テラワロ・・・げふんげふん、カワイソス(´・ω・`)
「多分既出だけど聖ヨト暦で俺がファンタズマゴリアに来た時アセリア21。
ヨト暦は西暦に比べて約2/3日数だからアセリアルートで日本に来た時は14になるな」
「ん。そうなのか」
「ユ、ユートさま!わたくしもぜひハイペリアへ連れて行って下さいませ!」
「いや、そりゃ腰は治るかもしれないけどな……いいのか?もうお姉さんぶる事が出来なくなるぞ」
「ん。存在価値半減」
「う……」
「するとハイペリアの基準であればヒミカにもまだ期待値が見込まれる訳ですね」タユン
「なるほどぉ〜。良かったですねぇヒミカさん〜」タユンタユン
「そこで私に話を振るあなた達に底知れぬ悪意を感じるわ……」
「ねね、ユートさまぁ、ネリーも行きたい〜!」
「シ、シアーもぉ……」
「……それはランドセルが似合ってしまうから止めた方がいい」
「へっくし!うう〜風邪引いたか?ん、どうした今日子……ま、まさかまた『空虚』の強制か?!」
『ウウウ……クルナ……コノヘンタイメ……』
そもそも地球人類じゃないしな。
成長スピードとかが微妙に違ったりする可能性も十分ある。
>>275 幼少時の成長が早い場合、今度は18歳時点であの成長具合なのがおかしくなってくるけどな。
ハイペリア年齢に換算しても12歳でほぼ年齢どおりの体型になってしまうし。
幼少時は普通の早さで成長し、そこから急激に大人に成長する、つまりスピリットはお赤飯と同時に急激に成長を開始するんだよ!!1!
…と、ここまで書いてそれではヘリオンが作中で成長しないことの説明がつかないことに気づく。
ヘリオンってネリシアよりは上で、まだ大人にはなりきってない、まさに成長期真っ盛りぐらいだよなぁ…むぅ。
じゃあたまに蛹→変態して急激に成長。
変態の周期は個体差があるが数年に一度。
これなら作中で一切成長して無くてもオケ。
んで、たとえスピタンでいきなり急成長しててもオケ。
黒スピは成長が遅いんだよ。
だからウルカとファーは実はおばs(ry
>>281 _
ヽー´, , ,ヽ なにかいったか??
<彡ノノ从〉
彡)O 入(!|゚ -ノ|l
, --‐/ナi_(こf^(=O
`-ー―ナT /ゝ、`
∠_ノ_'/乙ソ
>277
今はランドセルも各色お好きに選べる時代だからな。やっぱり青ですかね>ネリシア
とはいえ、未だに赤黒以外のランドセルしょってる小学生を見たことがない。
ということで……実はレスティーナは出戻りだと言ってみる(不敬罪)
>>283 相手の王子だかが巨乳趣味でまるで相手にしてもらえなかっt(ヘブンズスォード)
ヨフアル三昧で国庫を食い尽くし、さらには良人までヨフアル漬けの傾国の美女。
レムリアがイキ遅れたのは父親のせいだろ……あんな義父嫌すぎる
ぺちゃぱいは自己責任だが好きな人にはたまらんだろうしムッハー!
>>284 ヘブンズスォード使えるんなら戦線にお出でになってください、ヨフアル王女。
そうすれば、イオに美味しいとこ全部もってかれずに済んだのに・・・ううっ(T-T)
・・・まあ、イオも好きだが。
あの血統大好き親父なら、龍の同盟の王子なんかにゃ娘をやるまい。
どこぞの国内の名家の男子を婚約者として指定してそうなもんだが、
そういう話が全くなかった辺り、いなかったんだろうなぁ。
そういえば、エターナルは生殖能力が恐ろしく低いそうだが
レスティーナルートのガロ・リキュアは早々に跡継ぎがピンチですよ。
そう考えると、ソゥユートが人工的に生殖能力削られた害虫のようだ。
レスティーナは血統とか考えてなさそうだからとっととユートと駆け落(ry
『あとは任せるね♪』
「……なんだいコレは」
「ヨーティア様宛だそうです」
290 :
エロ大王:2005/08/26(金) 09:12:40 ID:y97fDzzz
>>289 駆け落ちの荷物 中身の大半はヨファル・・・・
ユウト 「なんでこんなにヨファルばっかり・・・Orz」
レス 「だって保存も利くし、好きだし♪」
ユウト 「料理もできないもんな・・・・・・」
「こりゃおさんどん確定か・・・Orz」
ユウトの悩みは尽きないw
>>290 多少の失敗作があるだけで、レスティーナは料理スキル持ちだ
コロッケはともかく、肉詰めは悠人の好き嫌いに原因があっただけだ
そうだったのか……上手い料理はエスあたりに手伝ってもらったと思ってたよ
すまんかったレスティーナ
>>291 そのなんだ、俺も肉詰めはエスペリアが作ったものだと思ってたが・・・
紫色のコロッケこそレムリアの本領発揮に違いない
それでも世界の終わりのような顔を一度は見てみたいものだw
レスティーナの料理下手ってスキルがどうこう以前に味オンチなせいだったはず。
レスティーナ的に旨いものを作ろうと味見して努力を重ねるほど、ユートを含む一般人の口には毒なものが作られるという話。
しかも本人に味オンチの自覚があまりないらしいのが恐怖だな。
でもヨフアルはユートが食ってもうまいんだよな・・・
ヨフアル以外の味がわからないのか?
アレだな唐辛子かけまくんないと味ワカラン人みたいに、
ヨフアルしか舌が感知しないんだな・・・
レスティーナ可哀想・・・
味覚障害って亜鉛不足だと起きるんだっけ?
亜鉛不足のほかに、味を感じる器官である味蕾(みらい)自体が駄目になっている場合も増えているみたいだな
以前テレビの特集で、そば一杯を食べるのに七味を丸々一本使ってしまう例とかあった
298 :
名無しさん@初回限定:2005/08/26(金) 23:07:25 ID:Ez/sTLiu
普通なら死ねるな
ストレスで味覚がおかしくなるという話もある
あんな家庭環境じゃ不思議はない
つまり!レスティーナは病気だったんだよ!
コロッケ食べる?
スンマセン
「ユート君。この最後の一枚のヨフアルを食べきった時が私の命尽きる時なんだよ…………薄幸の美少女だね」
「食うな」
「ユート君。初めて街で会ったときに買ってもらったヨフアル…まだ一欠片だけ取ってあるんだ。…発酵の美少女だね。」
「早く食え…いや、やっぱ食うな。腹壊しそうだし。」
何故オー・ヘンリーなんて知ってるんだレムリアw
>>303 イラン時にイラン事をするイランキモウトに入れ知恵された、に一票!
シアー派ですが何か。
306 :
エロ大王:2005/08/27(土) 22:22:47 ID:vaFRTZB7
私はセリア党だ。
>>305 >シアー派
ワラタ(w 言葉ぴったりじゃないか。
309 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:20:05 ID:5TjZa0s3
「う〜ん……」
「ん〜〜? どーしたの、ユートさまぁ」
「へ?」
中庭のベンチに座って考えに耽っていた悠人は、呼びかけられてはっと隣を見た。
いつの間にやってきたのか、しゃがみ込んだシアーがぽやぽやと上目遣いで覗き込んできている。
普段はネリーの影に怯えたように隠れているが、今日は珍しく悠人が一人なせいか、自分から話しかけてきた。
「なんだシアーか。いや、なんでもないよ。最近ちょっとおかしなことが多くてさ」
「?? おかしなことぉ〜〜?」
「はは、まぁ大したことじゃないよ。心配させちまってごめんな」
自分の事のように首を捻りながら悩み出す仕草に何だか可笑しくなり、髪を撫でてやる。
「ん〜〜……えへへぇ〜」
すると最初は遠慮がちに、そしてゆっくりと悠人の膝に頭を乗せて甘えてくるシアー。
気持ちよさそうに目を細める蒼い髪の少女を眺めながら、悠人は先程と同じ事をまた考え始めた。
つまりは、最近身の回りで起きている数々の奇妙な出来事について。
――――――――――――
あれは確か一週間ほど前の事。
ネリーとシアーの訓練に付き合った後の帰り道。
「……痛て」
動いている最中は気が付かなかったが、肘に薄っすらと血が滲んでいた。
どうやら避わした筈の二人の攻撃が僅かに掠っていたらしい。
一瞬エスペリアに治癒魔法をかけて貰おうかとも思ったが、この程度の傷で大騒ぎするのも恥ずかしい。
「まぁいいか。ほっときゃ治るだろ」
そう思いなおして自室に戻った時だった。
「…………あれ?」
机の上に、見慣れない小瓶。草か何かを練ったような、濃緑の物体が入っていた。
何だろうと手に取ってみると、小さなラベルが貼ってある。良く見るとヨト語で『傷薬』と書いてあった。
310 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:21:37 ID:5TjZa0s3
一昨日の夕食は、第二詰所で食べる番だった。
どんな話があったのかは知らないが、たまにこういう日がある。
エスペリアの料理は美味いし不満なんかないけど、ハリオンの手料理もこれはこれで新鮮だ。
ところがその日は、違う意味で試練だった。
「な、なぁハリオン、これって……」
「あら〜ユートさま、リクェムがどうかいたしましたかぁ〜」
「いや、なんでもないんだけど、さ。は、はは」
やっぱり。皿の隅で一際目立つ色と香り。にこにこと微笑むハリオンに、引き攣った笑いを返すしか出来ない。
無意識なのか、それとも弱点克服とかって考えているのか。その表情からはさっぱり読めなかった。
「あーっ! ユートさま、ひょっとして……」
「うわ、こらネリー、余計な事喋るなっ!」
「んっ! ん〜ん〜っ!!」
隣で目を輝かせ始めた小さな口を片手で慌てて塞ぐ。こんな所で恥を晒す気は毛頭無い。
そうして目を白黒させながら頷いたネリーを開放し、料理に向かい直した時。
「あれ……?」
無かった。リクェムが、一つも。首を傾げながら見渡すと、雑談を交わしている面々。
逆隣ではシアーがもきゅもきゅと不器用な手つきで自分の料理と格闘していた。
誰もこちらを見ている様子が無い。よくわからないまま深く考えるのはやめにしてフォークを手に取った。
311 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:23:26 ID:5TjZa0s3
そして昨日。
「…………ん?」
「ユート、どうした?」
「いや……なんでも……」
戦闘中。背中から、視線を感じた。アセリアがじーっと見つめてくるのでそれかと思ったがそうでもない。
ちょこちょことついてくる蒼い眸はもう少し先を睨みつけていた。視線を追ってみると、敵が数人。
「ん……行く!」
「おうっ……ってちょっと待てアセリア!くそっ間に合うか……」
敵の中に、レッドスピリットが混じっている。
他の敵の背後でスフィアハイロゥを浮かべ、隠れるように詠唱を唱える姿がちらっと見えてしまった。
気づいているのかいないのか、アセリアは構わず突っ込んで行く。
慌ててレジストを唱えたが間に合うかどうかという際どいタイミングだった。
「……あれ?」
しかし心配は杞憂だった。アセリアは次々と敵を斬り伏せ、あっという間に全員をマナの霧に変えてしまっていた。
一瞬レッドスピリットが驚愕の表情で動きを止めたような気がしたが、すぐにアセリアが殺到したので良く判らない。
「どうした、ユート」
「アセリア……無事か?」
「?ヘンなユート」
いつの間にか戻ってきたアセリアが不思議そうに訊ねてきたが、こっちが理由を教えて欲しい位だった。
そういえば、と視線の事を思い出して振り向くと、ようやく後続の部隊が追いついてきた所だった。
――――――――――――
「……あれ?」
ふと気づくと、シアーの姿が見えなくなっていた。さっきまで確かに膝の上の頭を撫でていた筈なのに、影も形もない。
「……もしかして呆れられたかな?」
少し考え込みすぎたかもしれないと思いながら悠人は立ち上がり、軽くノビをした。
折角珍しく自分から話し掛けて来てくれたのに。もっと構ってやれば良かったと後悔が頭を掠める。
「んんーーっ…………はぁ。まぁいいや、帰るか」
ぼんやりしている間に、すっかり辺りは茜色に染まっていた。そろそろ夕食時だと思い出す。
悠人は『求め』を手に取り、日の沈みかけた中庭を後にした。
支援?
313 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:29:36 ID:5TjZa0s3
いつも通りの賑やかな食事を終え、自分の部屋に戻る途中。
ぱたぱたぱた……
「ん?」
悠人は廊下を走り去る後姿を見た。
すぐに角を曲がったので一瞬しか見えなかったが、消える瞬間ちらりと見えたのは短く切りそろえた蒼い髪。
「…………シアー?」
咄嗟に追いかけようとも思ったが、もう足音も聞こえない。
なんとなく自分の部屋から出てきたような気もする。……なんだろう、と思いながら扉の取っ手を回した。
薄暗い部屋に廊下の光が差し込む。いつもの見慣れた部屋。その奥に、木製の机と椅子が浮かび上がっている。
扉を閉じる前に机の上のランプに灯りを灯そうとした時、手が少し引かれた椅子に触れた。
拍子に白い布みたいなものが目に飛び込んでくる。どこかで見たような作りの服。
「え……羽織りか?」
悠人は驚いた。慌てて今更のように自分の身なりを確かめる。
出かける時には確かに着ていた筈の一張羅は、何故かいつの間にか身に着けていなかった。
「おかしいなぁ、朝はちゃんと……」
思い返してみるも、脱いだ記憶などない。訓練の時、アセリアの剣が少し掠って綻びたのまで憶えている。
「どうしてこんな所にあるんだ?」
呟きながら、きちんと畳まれている羽織を手にする。良く見ると綺麗に洗濯までされているようだ。
「…………え?」
不思議そうに眺めていた視線が、ふいにある一点でぴたりと止まった。
確かに、綻びた筈の羽織の裾。剣で破られたそこが、所々はねた糸で縫い合わされていた。
「これ……そっか……」
ちょっと力を籠めただけで簡単にほつれそうな不器用な縫い目。悠人はそっと指を這わせながら、
「ありがとな……」
窓越しに第二詰所の方へと目を向け、静かに呟いていた。
314 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:31:59 ID:5TjZa0s3
そして次の日。
戦闘中逃げる敵を深追いし過ぎて部隊とはぐれかかった悠人は、一旦引き返そうとした。
「確かこっちだったよな……ん? お、おいっ!」
掻き分け、踏み込んだ草叢の先。樹の幹に寄りかかるように倒れているスピリットがいる。
一瞬仲間の誰かかと思い、悠人は慌てて駆け寄った。
「…………敵か」
どうやら見知らぬ少女だと気づき、ほっと胸を撫で下ろす。少女は既に絶命し、金色のマナに包まれていた。
「全然気がつかなかったな……でもどうして」
今来た場所を振り返ってみる。背中を向けていた自分は格好の的だったはず。
死角から襲われていたらと思うとぞっとする。それにしても一体誰が。
そこまで考えていて、ふと敵の少女が何かを握り締めているのに気がついた。
「これ……」
引きちぎられた戦闘服。消えていくそれは、白地に紺色が混ざっていた。
戦いの最中、必死でちぎったものなのだろう。明らかにラキオスの戦闘服の一部だった。
となるとやはり味方の誰かが助けてくれた事になる。……それなら声をかけてくれてもいいのに。
悠人は首を傾げながら、その場を後にした。
315 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:34:42 ID:5TjZa0s3
味方の部隊はすぐに見つかった。
「まったく、わたくし達がどれだけ心配したと――」
急に姿を消していた事でエスペリアに小言を言われながら、上の空で辺りを見回す。
「なぁエスペリア、シアー知らないか?」
「――え?シアーでしたらええと……ユートさま? まだお話は…………」
部隊の隅の方で短く切りそろえた蒼い髪を見つける。小さな後姿は何だかこそこそと足を擦っているようだった。
悠人は追いかけてくるエスペリアの声に構わず、歩き始めていた。
「よっ、どうしたんだ、そんな隅っこで」
背中に出来るだけ優しく声をかける。一瞬ぴくっと震えた肩が、ゆっくりと悠人の方を向いた。
「あ〜ユートさまぁ、お帰りなさい〜」
「シアー…………」
にへら〜と浮かべるぼんやりとしたいつもの笑顔。その微笑みに、悠人は言葉を繋げる事が出来なかった。
普段は穏かに感じる表情が、今日はどうしても何かを我慢しているようにしか見えなかった。
今までなら気づきもしなかった仕草。隠しているつもりだろうか、血の滲んだ膝の前で両手を組んでいる。
それでも泥だらけの少しちぎれた服の裾は隠しようも無かった。
「……なんで」
そんな無理をするんだ、と言いかけて、悠人は言葉を飲み込んだ。
ヒミカやセリア達に比べて、まだ訓練が十分とはいえないシアー。
彼女は彼女なりに、部隊の足手まといにならないようにと周囲に気を配っているのか。
迷惑にならないようにと、こっそりと。自分のトラブルは自分だけで抱え込むように。
誰もそんな事は思っていないのに。それでもシアーにとってはそれが精一杯の自己主張なんだ――――
ひょい。瞬間。悠人は堪らなくなり、いきなりシアーの小柄な身体を両手で抱え上げていた。
316 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:37:40 ID:5TjZa0s3
「…………なっ!?」
遠目に悠人の行動を見守っていたエスペリアが息を飲んで固まった。
「どうしたのよ……え゛」
硬直したエスペリアに不審なものを感じたヒミカも視線を追ってそのまま固まる。
「ん」「わわっ!」「ほう」「ふぇっ?」「なななっ!」「……ふっ」「あらあらぁ〜♪」
連鎖するように、注目し始めた周囲も次々と固まっていった。
「〜〜〜ユ、ユートさまぁ?」
突然のお姫様だっこに、もちろん当のシアーは完全無欠に固まっている。
それでも悠人は構わずそのまま視線を下ろし、真っ赤になってしまったシアーを覗き込んだ。
「じっとしてろよ、シアー」
「…………うん。ありがとお〜」
真面目な表情に、シアーは少し考え、そして大人しく身体の力をふっと抜いた。
317 :
内助の孤独:2005/08/28(日) 01:41:34 ID:5TjZa0s3
駐屯地の隅に設置されているベンチ。そこまでくると悠人はそっとシアーをそこに座らせた。
そして自分も隣に腰を下ろしてごそごそと懐を探り、小さな壜を取り出す。
緑色のそれを見て、シアーが小さく息を飲んだ。
「あ……それ」
「ちょっとだけ我慢してくれ。知ってると思うけど、少し沁みるんだこれ」
そう言って、悠人は出来るだけ傷に沁みないように、優しく膝に傷薬を塗り始めた。
「え、う、うん。…………あは、ホントだねぇ〜」
「? ごめん、痛かったか?」
「えへへぇ〜。ユートさま、沁みるよぅ〜」
「……ばか。我慢する事無かったんだ」
熱心に薬を膝小僧に塗っている悠人。その髪に、ぽつぽつと冷たい雫が落ちてくる。シアーは笑いながら泣いていた。
いつも目立たない所でじっとしているシアー。内気な性格からか、どれだけ自分を殺してきたのだろう。
それでも隠れて、こっそりと周りのフォローに回っているのだ。こんな小さな体に、一生懸命『孤独』を抱えて。
「…………いつもありがとな、シアー」
治療を終え、そっと髪を撫でてやる。これからはもっと、ちゃんとシアーを見るから。そんな想いを籠めて。
「ふわぁ……気持ちいぃ〜……」
ゆっくりと閉じられる瞼。やがて小さな頭がぽふり、と膝の上に乗せられる。悠人は苦笑して呟いた。
「おいおいどこででも寝るやつだな、まったく」
「……ユートさま、何いってんの?シアーはここで以外、お外で寝たことなんてないんだよ?」
「うわっ、脅かすなよ。ここって……ベンチでか?」
「ん〜とそうじゃなくてぇ、こ、こ、以外♪」
いつの間にか背後から覗き込んでいたネリーが寝た子を起こさないようにか、そっと囁く。
こ、こ、と指差したのは、悠人の膝の上。言われて悠人は顔が赤くなるのを感じた。
「え?え? そ、そうなのか?」
「も〜ユートさまニブいねぇ〜……へへ、シアーったらすっかり安心しちゃってぇ。可愛い顔♪」
焦る悠人を尻目に、ぷにぷにと面白そうにシアーの丸い頬っぺたをツンツンと突っつくネリー。
夢見心地で静かに寝息を立てる蒼い髪が微かに揺れる。長い睫毛から大粒の水晶のような涙が光っていた。
318 :
信頼の人:2005/08/28(日) 01:43:00 ID:5TjZa0s3
このSSはシアー派の方々へ贈ります(ぇ 支援、有難うございました。
4コマ漫画などで最近よく見かける「↓」。フレームの端の方でこっそり話に参加している存在。
メインディッシュの中でのスパイスのような。「山椒は小粒でも」を地でいっているような気もしますが。
戦闘中よくサポートで使っているせいか、シアーにはそんなイメージがあったりします。
……決してス○ーカーでは(ry
319 :
エロ大王:2005/08/28(日) 02:07:59 ID:flj49yfI
信頼の人激しく乙!GJです
シアーかわいい!GJですっ!
来年の大河決定。
お菓子を我慢して立派なエクゥと羽織を用意。
沁みていく傷薬に零れる涙は孤独を解かしていく…………つかネリーッ、ちゃんとお姉ちゃんしなさい!
逆隣…………逆鱗って読んでしまったorz
>>318 うぉ〜つかれぃ。
うんうん。
で、実は悠人が気づいたのは半分にも満たなかったりとかなw
んでも言わない、内緒の孤独。
ありがとうって言われなくてもシアーちっとも淋しくないし
と呟きながら。
いつも涙で生きてるほど弱くはないけど強くもないのにね。
銀のスプーンを咥えて生まれはしなかったろうけど、
でも、きっと、心には、夢色の小さなスプーン。
うお、シアーキター!
何だか照れているようにも見えるシアーの行動ですね
ツンデレならぬコソテレな感じが・・・(?
それにしてもシアー
悠人のリクェムを食べてしまうのは感心しませんよw
悠人を甘やかすシアーという図も面白いですがw
最後にGJ and お疲れです
>>318 裏方シアー乙。
そうかあ、戦闘でボロボロになってるはずの悠人の陣羽織が
いっつも新品のようにキレイなのはシアーのお陰だったのかぁ…
これでまた一つファンタズマゴリアの謎が解明されましたねw
世界中にシアー派があふれれば戦争なんて起こらないのに。
何かこう、「いいこいいこ」と
ぐりぐりしてあげたくなるような可愛さが堪りません。
それを飛び越えてお姫様抱っこに突き進む悠人は、
「子ども」に対してではなくて女の子もしくは女性としてシアーを見ている証拠かも。
>>319 思えば『信頼』の時にもエロ大王さんには励まされたなぁ、と懐古モード(遠い目
シアーの心境とかが少しでも年少組への妄想の手助けになれば。
という訳で(何が ヘリ&ハリ続編お待ちしておりますw
>>320 つらつらと保管庫を眺めていたら、シアーの純粋なSSって意外と無いんですよね。
主観ですが、髪結いさんの『孤独の心臓』が唯一かなぁと。そんな訳でシアー萌え促進運動を企ててみました。
かわいいと思われたなら、幸いですw
>>321 籐吉郎ですかw
不思議です。ネリー単品で書くとシアーが割り食うし、シアー単品で書くとネリーが困った事になるんです。
やっぱり二人揃ってこそのネリシアなのかなぁとw 逆鱗……逆襲のシアー(ぇ
>>322 うわ、上手く纏められたw>内緒の孤独
ちっとも寂しくないし、とか呟きながら小石蹴ってる背中が見えてしまいました。よしよし(ぇ
強くなくても何かは出来る、頑張れる。小さくても夢を持つ方が銀のスプーンよりよほど幸せな気もします。
>>323 構図としては傷薬→迷惑かけた→こっそり、リクェム→悠人が隠したがってる→こっそり、
バニッシュ→部隊からはぐれた→こっそり、戦闘→自分が怪我した→こっそり、羽織だけ照れ隠し、
みたいになってます。コソテレ……新たなジャンルの予感w
>>324 実は発想がMikaTypeにあった『幸福な王子』と、同じく童話の『小人と靴屋』から得たものが夢の中でミキシングされたものなんです。
もっと遡ると前スレ
http://etranger.s66.xrea.com/past/past13.htm の652を読んだ瞬間咄嗟にシアーが頭に浮かんだというw
ですから解明したとするならばこれもまたスレの力という事でしょうねw
>>325 む、そこまでは考えて無かった(汗 どうなんでしょうね。
単に一番運びやすかったからか、頭撫でくり回す前に怪我の方を気遣ったのか。それとも「女の子」を意識したのか。
その辺書いてて勝手に動いたので元々ニブい悠人の心境というものは予測出来ないものがあります。
ってレスが一部おかしな事になってる……orz
変に連想して繋げて書いてしまいました、326の4行目は忘れてください(大汗
328 :
エロ大王:2005/08/28(日) 23:01:03 ID:flj49yfI
>>326さんどうもw
>ヘリ&ハリ続編お待ちしておりますw
う〜〜〜インスピレーションが・・・って初代スレからの人ってどれだけいるんでしょう?(汗
ってか初代スレの
>>530-541書いたの覚えていてくださる方がいるとは・・・(大汗
がんばりまつ・・・・
スプーンobsn…………NHKで放映するのは一種の報道テ(クリティカルワン)
>>328 初代スレと聞いて飛んで来(ry ノシ
>>329 第二詰所のスピリットたち〜に、誘われたのよパジャマパーティー
好・き・よ〜時深obsn さぁさ、一緒に(スウォードダンス
331 :
再生の剣:2005/08/29(月) 00:31:37 ID:vq4FBwiB
さすがですわね、メディアを使って洗脳を企てるとは
ワンフェスで売ってたヘリオンですな。
もしかしてディーラーの人?
334 :
再生の剣:2005/08/29(月) 08:18:24 ID:vq4FBwiB
>>333 買った人。夜の11時から目的もなく並んで、ぶらぶら歩いてたらへリオンと目が合ったから購入決定。
んでモチベーション高かったからすぐに作り上げてみた。
他のスピ達も出してくれないかなぁ・・・。すぴたんのおかげでこのヘリオンも型遅れッポイし。
アセリア自体がかなりマイナーだと思ってたけど、
そうやって作ってる人って結構いるんだね
俺が知らないだけか・・・
確かに強い剣ですが、相性が最悪です、マザー。
某ファリスの猛女のグレソに見えました(´ω`)
身長比から察するに、まだまだ尺が足りんな
ざ、斬艦刀?
331のヘリオンは前回の冬のワンフェスから売ってた。
今回のワンフェスではマスコットサイズのSDアセリアを出したとことが1つ
(見落としてなければ)
WHFだけでワンフェスに来ないディーラーさんがアセリアとヘリオン。
自分が知ってるかぎり、この3つのディーラーさんしか知らない
PS2効果で次のワンフェスで作ってくれてるディーラーさん増えないかなぁ
>>337 つぼに入った・・・(笑)
あの神官は猛娘(もーむす)なんで・・・
342 :
再生の剣:2005/08/30(火) 09:00:27 ID:G/ZDnrxM
>>340 SDアセリアは見かけたんだけどスルーした。WHF名古屋のやつは、買いに行こうかマジ悩んだ。
あそこのヘリオン、すごく動きがあるんだよねぇ・・・。てかアセリアもの少ないなぁ。
>>342 だがそれが良…ゲフンゲフン。
何でもないですハイ。
どっかでアセリアのガチャフィギュアでも出ないかね
造形が難しいのだろうけど、ちょっと欲しいですよ
なければ作れか
俺には無理です(ヘタレ)
値段と出来の兼ね合い的にはこの前グッドスマイルカンパニーから出た
Fateのフィギュアがいい感じだったな。
是非ともあんな感じで出して欲しい。
前にもそんな話題出たな。で、メイン以外は出ないんだろなぁ、つーながれに。
ココ的にはメイン以外で誰が出て欲しい?6種類+シクレ1ぐらいで。
みんなの魂の叫びが聞きたい。
俺は ネリシア、ニムファー、セリア、へリオン、シクレでイオ。
そーいやランブリングエンジェルの可能性もあるかな?
>>346 雑魚スピ限定なら
セリア、ナナルゥ、ヒミカ、ニムントール、ファーレーン(パーツ差し替えで仮面着脱可)
シクレでイオ・・・あたりかな。
メイン含めるならセリア、ナナルゥ、今日子、アセリア、イオ
シクレでミトセマール・・・あたりかな。
イオとミトセマールがマジで欲しい。
出ねーかな・・・三セットぐらい箱買いするよ。
汎用スピも欲しいなぁ・・・
ソーマをなんとか作って、エスペリア救出時の名場面をジオラマ加工したい。
他にもドールハウスを使って第二詰め所を再現したりとか・・・
シークレットはイオと、戦闘服着てるエスペリア
ヒミカ、ハリオン、セリア、ヘリオン の4スピは絶対出ると思う
後の2種類が俺には選べない・・・
どうせなら全部出してくれぃw
シークレットはアセリアの2刀流バージョンと言ってみる
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
アセリア「覚えたぞッ!」「ダメ押しというやつだッ!」「絶対に負けんのだッ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
悠人「やめろ、それ以上押し込むと死んじまうぞ」
アセリア「やめるかー!
内蔵をバラバラにぃー!ぶちまけてやるぜー!」
ズギャァーン
この後、アセリアを操っていた求めタソは悠人のオラオラでご臨終
ジョジョネタ便乗スマソw
意外とジョジョ立ちしているアセリアは格好いいかも?
ヨーティア「このヨーティアが最も好きな事のひとつは、
自分が賢いと思ってるボンクラどもに『NO』と断ってやる事だ」
こうですか?解りません><
「と…時深!いくら強くっても、やはりお前はob…もとい女!
ヤツはタキオスより弱そうだし、俺が闘うぜーっ」
「―――無用!
たかがエターナルなりたてほやほやの貴方からいたわられるほど、やわな人生は送っていません!」
「さ……さすが1200歳(推定)」
第2部大好き♪…しかし、今の若者は全く知らない罠…。
『任務は遂行する』 『部下も守る』 『友人も助ける』
エトランジェ
「全部」やらなくっちゃあならないってのが「主人公」のつらいところだな。
覚悟はいいか?俺はできてる
本編でもこんぐらい言ってくれりゃと思ったら負けかなと思っている。
なんで俺の皿にはリクェムばっかり入ってるんだよ‥‥
「このエスペリア容赦せん!」
JOJOは波紋の頃の方が面白かったと思っているナナシ
(殺した)
求め「おまえは今まで食ったスピリットの数をおぼえているのか?」
1〜3部、特に1・2部が面白かったなぁ、JOJOは。
シアー「鯖な事、じゃなくて・・・ボラな事・・・・も違う。ヤボな事じゃなく」
セリア「味な事、か?」
シアー「・・・・・知ってんだよォォォ!国語の教師かテメーはよぉ!」
おまけ
ネリー「甘いの3個欲しいのかぁ?3個・・・いやしんぼめ」
シアー「アウウアアウオ」
悠人 「・・・・・ヨフアル投げて何遊んでんだ?」
ネリシアファンの皆さんごめんちゃいw
俺は1部、2部、それに5部が大好きっ子であります
「……大地のマナよ、傷つきし者に癒やしの風を運べ―――。」
彼女がかざす掌が、緩やかに詠唱される詞詩とともにエメラルドグリーンの輝きを放ち始める。
そして、その緑の精霊光を小さな体に浴びた赤い髪の少女が、閉じられていた眼をゆっくりと開いた。
「―――あ……ハリオンお姉、ちゃん…?」
「…良かった。―――あんまり心配かけちゃ、めっめっ、ですよ〜?」
浮かべた表情は、彼女にしては珍しい苦笑い。無理もあるまい。意識を取り戻したこの少女は、練習とはいえ、
無謀にもナナルゥ相手に魔法勝負を挑んだのだから。しかも付け焼き刃のアイスバニッシャーで。
「さてと、次はネリーのお仕置きの番ですね〜。」
そう言いながら「皆のお姉さん」はゆっくりと首を回した。その視線に捉えられた青い少女がびくっ、と体を硬直させる。
その後方では、先刻この緑のお姉さんにこってりしぼられたナナルゥが、しゅんとうなだれていた。
「あ、あ、違うの!ハリオンお姉ちゃん、オルファがみんなに頼んだんだよ!」
慌てて体を起こしながらオルファが言った。
「いくら頼まれたからって、無茶にも程がありますぅ。ナナルゥの火焔魔法をオルファにバニッシュさせるなんて〜。」
いつもより少しばかり早口なハリオンがネリーに向かって言った。
「うーん、でも、もうちょっとでうまく行きそうだったんだけどな〜。」
さほど反省している様子もなく、パンパンと焦げ痕だらけの服をはたきながらオルファが立ち上がった。
「ね、どうだった、ネリー?」見事にカールがかかった頭をなで付けつつ、オルファがアイスバニッシャーの師匠に
振り返って、出来栄えを問いかける。
「え…あ、ああ、さっきの?そ、そうね、私が見てる限りじゃそれ程悪い出来じゃなかったと思うけど……」
ちらちらとハリオンの顔色をうかがいながらネリーが答えた。
「え、えーっと…多分、相手がナナルゥじゃなかったら何とかなったんじゃないかなー、なんて…」
「あなた達は、もう〜。」
懲りない少女達に心底あきれたように、ハリオンが首を振った。
「さ、ナナルゥ、詰所に戻りますよ〜。貴女には罰として、今日の夕食の準備を手伝って貰います〜。」
「…は…はあ……」まだ罰は終わっていなかったのか、とでも言いたげにナナルゥが顔をしかめながら、
半ば溜息のような返事をする。
「いいですか〜、貴女はもう少し神剣を制御する方法を身に付けないと〜…」
「あ、いえ、分かりました。手伝います!」
説教の第2ラウンドに入られてはたまらない。ナナルゥは慌てて二度、三度とせわしなく頷いた。
「……ふぅ。どこかに神剣の力を落とす薬でもありませんかね〜。」
肩をすくめるハリオンに、オルファが笑いながら言った。
「あはは、じゃ、オルファがパパにミルク出して来て貰おっか?」
「―――ユートさまのミルク?何の事ですか〜?」
オルファの言葉に、ハリオンがピクリと反応した。
「―――え?あ…あのね、この前エスペリアお姉ちゃんがね……」
見慣れている筈のハリオンの微笑にただならぬものを感じつつ、オルファが件の仔細を説明し始める。
「なるほど〜。エスペリアったら〜〜、そんな事を〜。」
うんうんと頷きながらオルファの説明に耳を傾けていたハリオンが会心の笑みを浮かべた。
「ハリオンお姉ちゃんの機嫌もなおったみたいだし、良かったね、ネリー!」
オルファが屈託なく笑いながらネリーに言った。
「うん……、でも、あっちってさあ、第一詰所の方向だと思うんだけどなー…」
ハリオンとナナルゥが歩き去った方角を見ながら、ネリーがいぶかしげに答えた。
「そんな事より練習練習!」
地面に転がっていた『理念』を拾い上げたオルファが、師匠に発破をかけた。
「―――オルファ、まだやる気?」さすがにネリーが目を丸くした。
「うん、だって今日はオルファの番でしょ?」
「そりゃそうだけど……うん、よーし、じゃ、くーるに練習再開っ!」
「おう!」
―――無邪気に笑いあう少女達。
そんな二人が、第一詰所の上空に垂れ込め始めている暗雲に気付く由もなかったのである。
「――あら?どうしたのですか、二人とも?」
その頃、エスペリアは突然自室に姿を見せた二人の訪問者を、きょとんとした顔付きで出迎えていた。
「いえいえ〜、今日は天気も良いことですし〜、ちょっとお部屋でお話を〜」
やや脈絡に欠ける事を言いながら、にこやかに入室するハリオン。
そして引き続いて入って来たのはナナルゥ。いつもの無表情な顔貌に、少し困惑の色がうかがえる。
「はあ…別に構いませんが…それでは私がお茶でも入れて参りましょう。」
「ふふふ〜、お気遣いなく〜」
笑顔を絶やさぬハリオンの視線に得体の知れないものを感じながらも、エスペリアは台所に向かった。
「……一体何を考えているのですか?」
エスペリアが出て行った部屋で、ナナルゥが不審そうに尋ねた。
「別に何も〜。ただですね〜、以前から気になってる事がありまして〜、ひょっとしたら今日それが分かるかも
知れないと思ったんですぅ。」
「……極力、平和にお願いします。」
ハリオンの期待に満ちた笑みを目の前にして、ナナルゥはそれ以上何も訊くことは出来なかった。
「さ、どうぞ。」
台所から戻ったエスペリアがテーブルの上にカップを並べ始める。
「あ、これは良い香りのお茶ですね〜。こんな事なら私もケーキを持って来るんでした〜。」
「そう言えばハリオン、貴女の焼いたケーキは、とても美味しいそうですね。」
「いえいえ〜、ほんのお遊びですぅ。」
嬉しそうに笑いながらもハリオンが謙遜した。二人の様子を見ながらナナルゥがほっと小さく息をつく。
この和やかなムードならば心配したようなケンカ沙汰にはなるまい。一安心したナナルゥは改めて
エスペリアが持って来たハーブティーを口に含んだ。
「ところで〜、今日来たのはですね〜。」おっとりとハリオンが本題を切り出した。
「実は〜、ここにいるナナルゥが〜、神剣魔法でオルファに怪我をさせちゃいまして〜。」
「ぶっ!!」このときナナルゥの身に何が起こったかについては、彼女の名誉のためにあえて触れないでおく。
「―――え!?」
驚きの表情をもって、エスペリアのライトグリーンの瞳が、完全に油断しきっていた赤の妖精に向けられた。
「そ、それは一体、どういう事なんですか?」
エスペリアの声がみるみる険しいものになった。
「え…あ、えっと、それは…!」ナナルゥが慌てて口の周りを拭きながら答える。
隣に座っているハリオンは相変わらず穏やかな笑みを浮かべるのみである。どうやら助け舟は期待出来そうにもない。
ふぅ、と溜息をついて、ナナルゥが説明し始めた。
「―――実は…オルファリルが最近覚えたアイスバニッシャーを試したいから、協力してくれ、と―――。」
我ながら馬鹿馬鹿しい釈明だと思いつつ、ナナルゥは言った。大体レッドスピリットが凍結魔法を使えるはずが
ないではないか。こんな事を話してもエスペリアがはいそうですかと納得してくれるようには到底思えない。
どうして自分はあの時すっぱり練習相手を断らなかったのだろう。
「そ、それでオルファは…?」急き込んで尋ねるエスペリアをなだめるように答えたのはハリオンであった。
「偶然私が居合わせていたので〜、今はもう大丈夫です〜。どうやらネリーにバニッシャーを
教わってるみたいなんですけどぉ。」
「―――はぁ。……あの娘ったら、そんな事までして…」
二人の予想に反して、エスペリアは妹の行動にあっさり合点がいったようであった。
「あら〜、知ってたんですか〜?」意外そうにハリオンが言う。
「ええ。最近どういう訳か、アセリアのマネをしたくて仕方がないようなのです。」
「あらあら〜。でも、誰だってお姉ちゃんのマネをしたがる時期はあるものですから〜、仕方ありません〜。」
そう言ってお茶を口にするハリオンの横顔を見ながら、ナナルゥはふと、彼女の間延びしたこの喋り口も
誰かの真似なのだろうかと、余計な事を思った。
「それにしても…よりによってナナルゥを実験台にするなんて…」
エスペリアが眉をひそめる。
「す…すみません、私もあらかじめ魔法力の微調整は出来ないと言ったのですが…」ナナルゥがうつむきながら言った。
「ふふ〜、そこでですね〜、今日はちょっとナナルゥを懲らしめるために〜、神剣魔法を抑える薬を
飲んで貰おうと思ってるんです〜。」相変わらず穏やか〜な笑顔を保ち続けるハリオン。
しかし、その笑顔を前に、エスペリアの背中で、つー、とイヤな汗がひとすじ流れ落ちた。
「薬――?い、一体何のことですか?」警戒するような視線を送りながらエスペリアが訊き返す。
「ふふふふふ〜、オルファから〜、聞いちゃいましたよ〜?ユートさまのぉ〜、苦ぁ〜いお薬の話〜。」
―――紡がれる言葉。
―――鮮烈なデジャ・ヴ。
―――そして。
「……完全に凍結してしまいましたね。」
座ったまま硬直しているエスペリアの額をつんつんとつつきながら、ナナルゥがあきれたような口ぶりで言った。
鮮やかなアイスバニッシャーを放ったハリオンは、まるで何事も無かったかのように落ち着き払って、
優雅にお茶の風味を楽しむのであった。
――――夢。
そう、これはきっと悪い夢。緑の魔法使いが青の魔法を遣うなんて聞いた事がない。
きっと昼間からお行儀悪くうたた寝なんてしていたからバチが当たったのだわ。
ああ、夢なら早く覚めて。私はユートさまのために、さっさと夕食のメニューを考えないといけないの。
「……すがに…それは…いのでは…」
―――あれは……ナナルゥの声かしら…?
「構いませんよぉ〜、エスペリアだって歴戦の勇士ですぅ〜。」
―――ハリオン?二人とも、何故ここに……?
「……了解。ではハリオン、危険ですので下がってください。……マナよ、煉獄の炎となりてかの者を……」
「ハッ!?」
ほとんど本能的に身の危険を察知したエスペリアが急激に意識を取り戻した。
「―――チッ。」構えていた『消沈』を下ろしながら、ナナルゥが小さく舌打ちをする。
「あら〜、気が付きましたね〜、良かったですぅ〜。」
集まり始めていた紅い炎のマナをかき分けながらハリオンが室内に戻って来た。
「―――く。」誰だってあの状況下では目を覚まさざるを得ないであろう。しかし、またしても、そう、いつの間にか
またしても窮地に追い込まれているではないか。
前回はウルカという援護役がいたのだが、今回は残念ながら孤立無援状態である。
しかも、相手がハリオンでは、下手な言い訳は通用しそうにない。――残念だがここは。
この場から逃げ出す。
なんとか言いつくろって誤魔化す。
→素直にありのままを話す。
……やはり、さっさと白旗を揚げるべきであろう。
ふうー、と長い溜息をついてエスペリアは語り始めた。
「―――最初は、レスティーナ殿下の命令だったのです。」
「女王の?」ハリオンと並んで席に着いたナナルゥが驚きの声を上げた。
「――ええ。」エスペリアがゆっくりと頷く。
「何と言えば良いのか、その……ユートさまがいわゆる欲求不満の状態だと、神剣に呑み込まれやすくなるから、
私が、あの、夜のお相手をして差し上げるように、と……。」相当言いづらそうにエスペリアが言葉を続けた。
「それでは、貴女が生贄になれ、と?」ナナルゥがいつになく気色ばんで身を乗り出した。
「まあまあ、ここは最後まで話を聞きましょう〜。」なだめるような口調のハリオン。
「女王様だってその役目にエスペリアを選んだのには、それなりの覚悟があるんでしょうし〜。」
「……!」盟友の、思わぬ鋭い言葉に目を丸くするナナルゥ。
「―――貴女には敵いませんね。」自嘲的に笑いながらエスペリアがぽつりと言った。
「私も自分が犠牲になることで事が上手く運ぶのであれば、と思っていたのです。
それに、もしユートさまが完全に神剣に支配されてしまえばアセリアやオルファの身が危険ですし。」
「貴女のその性格も〜、少し問題があるようには思いますけどぉ〜。」ハリオンが肩をすくめた。
「――そうかも知れません。ただ、私も初めの頃はなるべくオルファ達をユートさまから遠ざけたかったのです。
オルファはまだ人間の事をよく分かっていませんし、人間が皆ユートさまのように寛大な心の持ち主だと勘違いしたら
どうしようかと...。結局――私が誰も信じられなかっただけなのです。」そう言って、エスペリアは目を伏せた。
「―――という事はエスペリア、貴女は毎晩ユートさまに身を捧げていたのですか?」
固まった空気を振り払うように、ナナルゥが話題を戻した。
「――いえ、毎晩というわけではありません。それに身を捧げると言っても、使っていたのは手と口だけです。」
ハリオン、ナナルゥの両名から、おー、と感嘆の吐息が漏れた。
「でもぉ、興奮したユートさまがぁ、貴女を押し倒したりする事はなかったんですか〜?」
「それは一度もありませんでした。それどころか、私は体を触られた事すらないのです。」
なにげに口惜しさを滲ませながらエスペリアが答えた。
「言いにくいのですが…、それはひょっとして嫌がられていたのではありませんか?」
「――いえ、そういう訳でもありません。ユートさまも、口では止めろと言いつつ体はしっかりと反応していましたから。」
ナナルゥの直球な物言いに、少しムッとしたような口調でエスペリアが言い返した。
「やっぱりぃ、殿方のアレは大きくなるのですか〜?」興味津々といった口調でハリオンがぐっと身を乗り出す。
「ええ。それに大きくなるほど硬くなるのです。」対するエスペリアは割と平静であった。
「不思議ですね。普通に考えれば大きいものほど柔らかくなりそうですが。」
ナナルゥが小首をかしげて言った。
「ふふ〜、とっても勉強になります〜。それでですね〜、勉強ついでにどうしても聞いておきたいのですけどぉ〜。」
「――何ですか?」エスペリアが目を輝かせているハリオンに向き直る。
「やっぱりぃ、男の方のぉ、アレから出て来るミルクはぁ〜、ものすごぉ〜く苦いんですか〜?」
「あ、味…ですか?」
少し拍子抜けしたのか、かくんと肩の力を抜くエスペリアに、笑顔のままこくこくと頷き返すハリオン。
「そうですね…少々苦味はありますが、気になる程ではありません。」
エスペリアは目を閉じて、ゆっくりと記憶をたぐり寄せるように答えた。
「あう〜、そうですか〜、それは残念です〜。」
一体どんな答えを期待していたのか、ハリオンが肩を落とす。
「――私も、最初の頃は恥ずかしくてたまりませんでした。でも、だんだん慣れてくると何だか楽しくなってきて…。
恥ずかしそうにされているユートさまの表情が、実はとっても可愛いとか、ユートさまをうまくイかせた後の、
何とも言えない達成感とか……って、あら?」
うっとりと話し続けていたエスペリアが顔を上げた時。彼女の前のテーブルには、もう誰も座っていなかった。
「いたた、引っ張らないでくださいハリオン。せっかくこれからが面白いところだったのに……」
「これ以上長居は無用です〜。早く第二詰所に帰らないと、今日は夕食抜きになっちゃいますよ〜?」
名残り惜しげなナナルゥの襟首を引っ掴んで歩くハリオンは何故か、妙に不機嫌であった。
「わ、分かりましたから離して下さい。」
なんとかハリオンの手を振りほどき、身なりを整えるナナルゥ。
「一体何が気に入らなかったのですか?」早足のハリオンに歩調を合わせながら、ナナルゥが尋ねた。
「だって、だって、甘くも美味しくもないミルクなんて〜、そんなのインチキですぅ〜!」
「―――はぁ。……馬鹿馬鹿しい。」ナナルゥはあきれたようにかぶりを振った。
「もぉ、さっさと歩かないなら、先に行っちゃいますよ〜!」
まるで駄々っ子のように手をぶんぶん振り回しながらハリオンが言う。
「了解―――あ。」ふと第一詰所を振り返ったナナルゥの目に、厨房の煙突から上がる湯気が目にとまった。
おそらく今頃エスペリアが大慌てで夕食の支度をしているのだろう。
熱いマナを感じる股間をそっと服の上から手で押さえ、夕焼け空を仰ぎながらナナルゥは呟いた。
「しかし驚きでしたね―――まさかエスペリアが、ヒートフロアを習得しているとは。」
……そこはかとなくお下品なナナルゥなのであった。 続く。
369 :
憂鬱の人:2005/09/01(木) 17:08:09 ID:/rvAat/F
お久しぶりです皆様。
大作の陰に隠れながら細々と書き続けております。
あと1〜2回で終わらせる予定ですので、もうちょっとお付き合い下さい。
>>369 憂鬱の人さん、乙
で、この後の「お下品」ナナルゥの行動は?
ワクテカ(0゚・∀・)
371 :
エロ大王:2005/09/01(木) 20:19:17 ID:m6NhH2dN
黒いよ、黒いよハリオン・・・・・
エスペリア・・・乗せられすぎw
憂鬱の人乙でした
ラキオススピリット隊三巨乳によるトップ会談は和やかテイストに終わりを告げ、赤+30。
エスペリア、プライドを刺激されちゃってw エスかわいいよエス。
…………しかしこいつらなにやってんだっっw
細かい事言うと、「殿下」と「女王」は一緒に使ってはいけないと思われますです。エスに命じた時点では王女殿下ですが。
とか思ってググると……断言しづらいです(汗) 時間軸を考えるとやっぱりダメかな。
>>369 ハリオン、知りたかったのはそこかいw>ミルク
集まり始めていた紅い炎のマナをかき分けながら入ってくる彼女にも注目。なんて器用なんだw
なにげに口惜しかったんですねエスペリア。げに恐ろしきは年長組の井戸端会議の生々しさよorz
新たなスキルを収得しました。ヒート風呂ア。
>>369 お疲れです。
たゆん三姉妹の登場に何か期待したのは俺だけじゃないはずw
それにしても毎回ピンバニを喰らうのはエスペリアの宿命ですかそうですか orz
>>370 この後のナナルゥの行動……。
冷静な彼女は、このままではイカンとセリア嬢にアイスバニッシャーを
おねだりもといお願いしにイったそうでつ。
>>371エロ大王様
今回「桃色のマナ障壁」に四苦八苦しながら書いております。
大王っ!オラに力を分けてくれーっ!!w
>>372 殿下と陛下の使い分けは良くわからないのでテキトーに書いてます。
ウルカ合流時にはレの字は「女王」にクラスアップしてますからねぇ...
テキトー職人ですみません...。
>>373 ハリオン姉さんって、味にはうるさそうなもんでw
今回分の猥談シーンでは「男=ロマンチスト、女=リアリスト」という私の持論を
目一杯主張しております。ご了承下さいw
>>374 我ながら今回ちょっとエスペリアを苛めすぎかなぁ、とは思ってるのですがw
実は>367半ばくらいから「お互いのプロポーションを見比べるたゆん3姉妹」な展開も
考えてはいたのですが、どんどん険悪なムードになりそうだったもので回避してしまいました。申し訳ナサス
376 :
エロ大王:2005/09/02(金) 19:42:43 ID:awPgyOPO
,ィ^i^!1ー、 ,べV
ヽ, ,(レー― 、) / 〃  ̄ ヾ;
)ヽ. i`_l !i_!li_!i!リ ! i ミ(ノハソ
ノソ jixl」# - ノリ !ik(i|゚ ヮ゚ハ < エスペリアってば清純そうな顔していて
((_( _ λ(Ψll (う] リ⊂}!廿i つ 実はかなりムッリすけべですよね〜〜〜〜♪
<(Iif_Et=G//'__'jヽ=== く/Цレ'
`ー――` (メーtソ し'ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ネリーーーーーー後ろーー!!/ \後ろ 後ろー!!/
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧
∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ;)
ねりーのピンク☆バニッシャーに対抗してエーテル☆ピンクを習得しようとするシアー
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>>378 イオとクォーリンにはバトロワ参加資格ないのがもの悲しい・・・
380 :
残り14人:2005/09/02(金) 22:31:15 ID:C34/cHdk
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│ ! l」」ルl」」 .│ NO AA .│ TEXT ONLY │
│ i !ゝ゚ -゚ノゝ .│ .│ │ 舞-Spirit
├──────┼──────┼──────┤
│ ナナルゥ │ イオ .│ クォーリン .│
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>>380 こうなるとウルカルートの緑ポニーも欲しいな。数も丁度いいし。
>>381 すまないが、字数がカツカツで俺の技量だとこれが限界デス。
AAムズカシイネ。
くーるなネリーはマナの塵かよ・・・・
386 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 11:37:13 ID:VnSpQUVt0
ぱらぱらと降り出してきた雨に、見上げて目を細める。分厚い雲が垂れ込み、どっしりと重い空。
戦いの間中ずっと肌に貼り付いていた粘っこい空気が、霧のように身体の芯まで沁み込んで来る。
汗で冷たく湿ったシャツの隙間からじわじわと潜り込む生ぬるい風は、雨の雫と相まって不快この上も無い。
もたれかかった樹のささくれ立った感触が毒蟲の鋭い棘を連想させつつ背中をじくじくと刺激する。
放り投げた両足はバケツ一杯搾り出せるほどたっぷりと水分や泥を吸い込み、重くてとても動かせない。
力無く吐いた溜息が白い綿飴のように目の前を曇らせ、そしてどこかへと消えていった。
寒い。カチカチと勝手に鳴り出す奥歯。感覚の無い唇は、恐らくすっかり紫に変色してしまっているだろう。
筋肉が硬直する。強張りきった腹筋に力が入り、その拍子に強烈な痛みが走った。
「痛てぇ……」
しまった。口に出すつもりは無かったのに。痛みを庇ってつい傷口を押さえてしまった。
剣で回復させているとはいえ、普通の人間ならまず軽く致命傷になる筈の怪我。
そこにずぶり、と親指が丸ごと入ってしまう。普段で無くても呻き声の一つも漏らそうというものだが。
ぱしゃり、と身動ぎをする気配。樹の陰に立ち、神剣を構えながら周囲への警戒を怠らずに。
「…………ですから、無理だと申し上げたのです」
長く纏めた蒼い髪が靡き、冷ややかな氷の様な視線がゆっくりと振り返った。
387 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 11:41:57 ID:VnSpQUVt0
初めて紹介された時、彼女は腕を組んだままその鋭すぎる双眸を猫の目の様に細め、
「わたし、貴方のことを信用していませんから」
そんな、何の抑揚も感情も感じられない言葉を投げつけてきた。それも殊更凛とした態度を全く崩さずに。
当然差し出した手になど一顧もされず、俺の右手は行き場を無くして宙を彷徨う結果となった。
それはエトランジェとしてスピリットに傅かれる事に慣れていた俺にとって、かなり衝撃的な出会いだった。
それ以降、廊下ですれ違っても完全無視を決め込んでいる彼女に、自分から話しかける用事もなく、
また、進んで何とか和解しようと深く考えていた訳でもないので今までずるずるとそんな関係が続いていた。
同じ部隊になった事も無い。恐らくエスペリアの方で気を遣ってくれていたのだろう。
そう、ラキオスがサーギオス帝国に宣戦布告し、ここ法皇の壁寸前に迫るまでは。
ここで俺は失敗を三つも重ねた。一つは、散開し、森に逃げ込んだ敵を深追いし過ぎた事。
次に、絶対の防御力に油断し、不覚にも瀕死の敵の反撃を喰らい、深手を負った事。
そして、よりにもよってこの追撃を最後まで反対していた相手に、偶然倒れている所を見つかってしまった事。
特に三番目は、致命的だった。敵に止めを刺して膝をついた所に現れた味方。本来は喜ぶべきなのだろうが。
華奢な彼女では、到底俺は運べない。また、ブルースピリットの彼女には治癒魔法が使えない。
という訳で、不本意ながら俺は彼女の護衛の元、こうして回復に専一しているという状況に陥っていた。
388 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 11:45:12 ID:VnSpQUVt0
「…………まだ、かかりそうですか?」
特に心配しているとも思えない、淡々とした響き。聞きようによっては皮肉とも取れる突き放したセリフ。
治癒を施している、と言ったものの、実際には神剣は沈黙している。俺は答えを返さなかった。
下手に喋ると呻き声のようなものが漏れそうだったし、本当の事を伝えても事態の深刻さは変わらない。
何より、これ以上軽蔑めいた事を言われて最低の気分を更に突き落とすような無謀な真似はしたくなかった。
軽口の一つでも叩き合えば少しでも気が楽になるかも知れないが、相手に何を期待出来る訳でもない。
「………………」
「………………」
「………………なぁ」
「………………」
「俺の事は置いて行っていいから今のうちに助けを呼んで来てくれないか? 雨が激しくなると視界が悪くなる」
「………………」
「………………」
結局根負けして、同じ言葉を繰り返す。うんざりしながらも、他に話す話題も無い。
もう何回目だろう。彼女が現れた時に始めた会話。……最も会話と言えるかどうか怪しいもんだが。
彼女だってこの状況を快しとは思っている訳が無いだろう。俺としても最大限の折衷案だった。
しかし何度そう提案しても彼女は返事どころかその場を動こうともしない。
こうなってくると、何を考えているのかさっぱりだった。薄々判ってはいたが、相当な頑固者と言えるだろう。
もう一度空を見上げる。気のせいか少し大粒になったような雨が徐々に景色を煙(けぶ)らせていった。
陰鬱さは風景の方では無く、映し出す自分の心なのだな、と一つ利口になった気がして益々自嘲的になった。
389 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 11:49:58 ID:VnSpQUVt0
がさがさがさっ!
『っ!』
同時に、反応した。少し開けた右手の更に奥。そこで草叢が激しく揺れる。敵。咄嗟に剣を杖に立ち上がった。
とたん腹部に激痛が走り、力が抜け、膝が落ちそうになる。しかしその時どん、と肩が柔らかい何かにぶつかった。
「…………あまり世話を焼かせないで」
隣で彼女が細身の剣を構えたまま、俺を支えていた。華奢とも思える四肢に、ぐっと力を籠めて。
初めて会った時と同じ眼光で真っ直ぐに正面の草叢を見据え、前髪から滴り落ちる雫に瞬きもせずに。
「……ああ、スマン」
痩せ我慢というヤツだったのかもしれない。
助かった、とは素直に言えず、俺は口元だけでにっと笑い、そして同じように正面を睨んだ。
ぱしゃぱしゃと、いつの間にか本降りになった雨が泥の中で跳ねている。音は、それだけだった。
意識を神剣に集中させる。雨粒の一つ一つが通り過ぎるのが判るほど鋭敏になっていく感覚。
同時に時間が間延びされる。長く静止した瞬き。じわじわと、重くプレッシャーが圧し掛かってくる。
しかし、不思議に恐怖は無かった。まるで前の世界であいつが隣にいるような、そんな安心感があった。
「いたぞ!……大丈夫かっ!!」
飛び込んできた親友を見て、俺は体中から力が抜けていくのを感じた。遅いぞ、そんな憎まれ口も出てこない。
ざっ、と下ろした神剣を地面に刺し、かろうじて体勢を支える。深く長い溜息が漏れた。
ふと隣を見てみると、相変わらずの仏頂面。俺は思わず苦笑した。どこまで冷静なのか、と半ば呆れた。
そんな俺をちらっと一瞥した彼女がそのままニ、三歩歩き出したところで――――
「はい、問題ありませ……あ……」
――――どさっ、と助けに来た悠人に向かって倒れこんだ。
390 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 11:59:33 ID:VnSpQUVt0
「光陰っ! 無事なのっ?!」
草叢から、続けて飛び出してきた今日子が駆け寄って来て激しく揺さぶる。
しかし俺は、悠人に抱き抱えられたセリアを唖然として見ていた。水滴を滴らせ、背中に貼り付いている長い髪。
意識も朦朧としているらしく両手両足とも力なく垂れ下がっている。頭を悠人の胸に埋めたまま動かない。
そして…………つつー、とずぶ濡れの服から腕を伝う鮮血が、マナに変わりつつ『熱病』に吸い込まれていた。
両手で抱き上げながら、悠人が懸命に呼びかけている。
「セリアッ! 馬鹿、そんな怪我で飛び出しやがって!!」
「馬鹿って…… 言わないでよ…… しょうがないじゃない……」
風に乗ってなのか、微かに聞こえて来るうわ言のような掠れた答え。
「仲間が死ぬのは…… もう見たくないもの…… そんな悲しい思い、ユートさまには…………」
「……セリア! おいっ! ……くっ、今日子、先に行く! すぐにハリオンを呼ぶからっ!!」
「了解! こっちは大丈夫。悠、ちゃんとセリアを守るのよっ!」
「ああっ! 言われなくてもっ!」
急に目の前が明るくなる。悠人が『求め』の力を解放していた。そのまま必死の形相で駆け出していく。
ばしゃばしゃと泥を跳ね上げていく後姿を見送りながら、俺はやっと呼吸を取り戻したように呟いていた。
「……なぁ今日子 ……アイツら、強いな」
「ええ、ホントにね。光陰にも見せたかったわよ、悠の慌てっぷり」
「ん? なんだ、何かあったのか?」
「まぁ最初はセリアだったんだけどね……アンタが居なくなったって聞いた途端」
そこまで言って、今日子は喉の奥をくっくっと鳴らした。
「自分だって怪我してるくせに、エスペリアの治療を振り切って飛び出して行っちゃったのよ」
永遠神剣第七位 支援
392 :
熱病の理由:2005/09/03(土) 12:08:15 ID:VnSpQUVt0
「あたしより血相変えて、『ユートさまのご友人を見殺しには出来ませんっ!』ってさ」
「……あん?」
「ブルースピリットのスピードだからね。慌てて追いかけたんだけど、いや〜探すのに手間取ったわ」
「ちょっと待て今日子」
「悠も悠で、もうずっとセリアセリアって迷子の飼い猫探すようでさ。……全く、見てて妬けるくらい」
「いや、あのな。俺彼女には嫌われてたはずなんだが」
「へ? 何言ってんの? 馬鹿ねぇそんな訳ないじゃない。…………ほら、少しは楽になったでしょ」
「いやしかしだな……あ、おおさんきゅ、今日子。よっこいせっと」
ぽん、と傷口を軽く叩かれたが、痛みは感じない。『空虚』のマナが応急手当程度に回復させてくれていた。
俺は立ち上がりながら、『因果』を持ち上げてみる。微かだが、刀身が鈍く輝き始めていた。
「話せば判るけど、あの娘は誰に対してもああやって不器用なのよ。……最も悠以外には、だけどね」
今日子の言葉に思い知らされる。先程までの印象は、話さなくても完全に逆転していた。
「ああ……なるほどな。俺もまだまだ修行が足りないぜ」
ウインクしながら苦笑いする今日子に俺も片目を瞑って返す。ふと気づくと、雨が上がっていた。
思い出したように陽の差し始めた空を仰ぎながら、ふぅ、と大きく溜息をつく。
清々しい気分とは何故か正反対の言葉が出た。
「まったく…… 勝てなかった訳だぜ……」
「え? 何か言った?」
「……いいや。そういや今日子、さっきあたしより血相変えてって言ってたよな。少しは心配してくれたのか?」
「なっっ!! そそそそんな事、あたしが言うわけないでしょうがっっ!!」
「おおっと勘弁してくれよ、これでも重傷なんだ」
頭を守るように、両手で降参の意思表示。ハリセンを構えた今日子がしぶしぶ取り下げる。
俺は笑いながら、今度コツというやつを悠人に聞こうと思っていた。
悠人に教えを請うなんて少し悔しい気もするが、このまま礼も言わずに済ませるのは男が廃るというものだ。
『熱病』。まったくぴったりの神剣だな、蒼く美しい髪を靡かせた後姿を思い出してそんな余計な事を考えていた。
393 :
信頼の人:2005/09/03(土) 12:10:51 ID:VnSpQUVt0
まずは支援、有難うございました。
まさかこの短さで支援を受けてしまうとは思いもよりませんでしたが。土曜の昼って人少ないんですね(汗
光陰って実際スピリットの事をどこまで考えていたのでしょう。
本編ではオルファ達にちょっかいかけるし、スレではクォーリンと結構砕けてたりしてますが、その辺多少疑問だったりします。
元々あまり自分を晒すタイプでもないので、同年代のスピリットには警戒というか防御してしまうのでは、と。
そこで最悪と思わせる組み合わせ。セリアと二人きりになった時、何を思うのか。どう動くのか。
又、そういうのが苦手なセリアは自分をどう表現するのか。そんな事を考えながら書いてみました。
誤字脱字今回は無いと思いますがハリオンマジック等、ご指摘があれば幸いです。
>>376 う〜んムッツリというか顔だけ清純そうというか(エレブラ
>>380 何故か選挙の公示みたいに見えました。ネリー落選orz
このAA、人気投票とかにも使えそうですねw
>>393 普通に気づきませんでしたorz
最近は叙述トリックが密かなムーブメントとなりつつありますなw
何はともあれセリアGJ(*´Д`)
>>393 真面目な光陰、良いですね。
最初怪我したのは悠人だと思ってた・・・
読みが浅いな、俺
不器用だけど優しいセリアGJです
セリアが登場する話だと自分の支援率が上がる気がするようなしないようなw
なんとなく光陰っていつもオープン見たいなイメージがあったのですが
オルファを追っかける光陰も、真面目に口説く光陰も全部本心かなと
どっちかと言えば、セリア達の方が勘違いしていそうですね
「え?光陰様って幼女趣味じゃなかったの?」
「それがね意外とノーマルらしいのよ。ね、ハリオン?」
「そうですねぇ〜。大変じゃないですかぁセリア〜」
「何で私に話を振るのよ」
遅くなりましたが熱病セリアgjdです
それにしても弱っているセリアって可愛いw
'´ ⌒ヽ 〜♪
ハ」」」l」」〉
ヾゝ゚ ヮ゚ノゝ
⊂》|Tリつ
く/|_ノ⊃
(/
あれ?人がいる〜
'´ ⌒ヽ '´::::::::
ハ」」」l」」〉 ? ノ〈:::::::::
ヾゝ ゚ ヮノゝ 从ヲ::::::::
⊂》|Tリつ ノ⊂》:::::::
く/|_ノ⊃ て(く/:::::::
(/ し'::::::
.П
こんにちわ〜・・・あれ? Ц
'´ ⌒ヽ ハリオンお姉ちゃん? '´ ヘ ヘヾ ||
ハ」」」l」」〉 ノ〈从ハ从〉||
ヾゝ ゚ ヮ∩ 从ヲ´ヮ`ノヲ.||
⊂》|Tリ ノ ノ⊂》|Tリつ.||
く/|_ノゝ て(く/|_ノ ゝ .||
(/ U し'ノ ||
.П
Ц
'´ ⌒ヽ '´ ヘ ヘヾ ||
ハ」」」l」」〉 ノ〈从ハ从〉||
ヾゝ ゚ ヮ∩ 从ヲ´ヮ`ノヲ.||
⊂》|Tリ ノ ノ⊂》|Tリつ.||
く/|_ノゝ て(く/|_ノ ゝ .||
(/ U し'ノ || ⊂|二と( 。Д。)つ
. П ⊂⊃
Ц , ' ` ^ヽ
'´ ⌒ヽ て '´ ヘ ヘヾ || ノ ル从ルリゝ
ハ」」」l」」〉 そ ノ〈从ハ从〉|| 从リ゚ ー゚从 フワーリ
ヾゝ;゚ ヮノ 从ヲ´ヮ`ノヲ.|| ( )
⊂》|Tリ つ ノ⊂》|Tリつ.|| )ノ
く/|_ノゝ て(く/|_ノ ゝ .||
(/ U し'ノ || ⊂|二と( 。Д。)つ
.П
Ц
'´ ⌒ヽ '´ ヘ ヘヾ ||
ハ」」」l」」〉 ノ〈从ハ从〉||
ヾゝ;゚ ヮノ ヲ´ヮ`ヲ从.||
⊂》|Tリ つ ノ⊂》|Tリつ.||
く/|_ノゝ て(く/|_ノ ゝ .||
(/ U し'ノ || ⊂|二と( 。Д。)つ
ハリオンお姉ちゃん〜なにしt
ふふふ〜そぉ〜れ〜
やぁ!や、やめてぇ〜
手加減しませんよ〜♪
永遠神剣「大樹」の主ハリオンが命じる〜(ry
ズドゴードーンドーンドー・・・(ハリオンマジック発動)
あ、ネリー〜・・・今からそっち行くね〜・・・・・・
┌──────┬──────┬──────┬──────┐
│ ヽ .│ ,ィ^i^!1-、 │ ヽ .│ _ .│
│. , ´  ̄ ヽ │ ,(レ´  ̄ ヽ) │ , ´ ̄ 〉ヽ .│ ヽー´, , ,ヽ .│
│ i イ((())) │ .i`_l !i_!li_!i!リ │ ixil ノノハ))) │ <彡ノノ从〉 │
│ | l| ゚ -゚ノ|| │ .jixi」 ゚ -゚ノリ │ ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ、 │ 入(!|゚ -ノ|l .│
├──────┼──────┼──────┼──────┤
│ アセリア .│ エスペリア │ オルファリル. │ ウルカ. │
├──────┼──────┼──────┼──────┤
│ , ヘ _ .│;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;│ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;│ _ ,ヘ │
│ 〃 ' ヘ ヘヽ .│;;;;;\ /;;;;;;;;;│ ;;;;;\ /;;;;;;;│ 〃/::::|ヽ ..│
│ ノi ミ从l~iルソ .│;;;;マナの塵;;;;;;;│;;;;マナの塵;;;;;;;│ ∠ <====ゝ .│
│ ((ヾ(i|゚ -゚ノi │;;; / \ ;;; | ;;; / \ ;;;; │ んヘi」゚ -゚ノ」 │
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│ セリア │ ネリー │ シアー .│ ファーレーン .│
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│ , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ │ '´ ヘ ヘヾ │ '´ ⌒ヽ .│ ;;;;;\ /;;;;;;;;;|
│ ( リ〈 !ノルリ〉)) .│ ノ〈从ハ从〉 .│ ! ソノノ~))) │;;;;マナの塵;;;;;;;│
│ ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( │ 从ヲ´ヮ`ノヲ .│ く人リ゚ ー゚ノiゝ │;;; / \ ;;; │
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│ へリオン │ ハリオン. │ ニムントール │ ヒミカ │
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│ '´ ⌒ヽ .│ .│ .│
│ ! l」」ルl」」 .│ NO AA .│ TEXT ONLY │
│ i !ゝ゚ -゚ノゝ .│ .│ │ 続く?
├──────┼──────┼──────┤
│ ナナルゥ │ イオ .│ クォーリン .│
└──────┴──────┴──────┘
402 :
エロ大王:2005/09/03(土) 20:51:07 ID:AmTOi+fx0
脅威の暗殺者ハリオン・・・
(ガクブル
403 :
エロ大王:2005/09/03(土) 20:56:44 ID:AmTOi+fx0
振り向いたハリオンがこええ・・・
俺も最初、怪我をしたのをユートだと思って読んでしまっていた。
まだまだ修行が足りませんな
405 :
エロ大王:2005/09/03(土) 23:33:21 ID:AmTOi+fx0
つ
ttp://xuse.nippon1.jp/ninki.html キャラ人気投票
ヘリオン現在一位、主役食ってるw
あと4コママンガワロス
ヽ ,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
, ´/`'ヽ ( ノ i」」」」」〉))
i イ((())) <敵・・・ ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( <応援
|!,| lゝ゚ -ノノ ノ`ヽ ((⊂! |T|!つ リ ありがと〜〜♪
i lヌ(介)(9_(uUJ ===く/|_|〉lj=
((U=(,)'/三ΞΞ)> く/Цレ'
i(ソ‐ヾ_)ゝ し'ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
オマケ
△ _△
,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
( ノ i」」」」」〉))
ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( <ハリオンネコミミも〜ど♪
(( ⊂! |T|!つ リ
===く/|_|〉lj=
(フフ
>>393 GJですた。
あうう、セリアタソが冷たくも温かい……
こんな娘が横にいればどんな男でも安心しきって、ついつい寄りかかってしまう事でしょう。
倒れこむタイミングも狙いすましているかのように。なんて良いツンデレ加減なんだw
>>401 あ、いつの間にかヒミカ姐がっ!!?
>393
騙されたっ! 絶対の防御力で気付くべきでした……orz
しかしセリア、対悠人の時と変わらない初期態度はさすがセリアと言うべきか、苦笑すべきか。
光陰>少なくとも、大戦後への視点はあったと思いますよ。でも今日子を自分で助けられるとは思っていなかったのでしょうけど。
結局は破滅への道のりだからこそ、スピ達を慮ったのではないかな。
その辺が頭がいい光陰の、目敏いのは良いけど限界点もすぐ覚ってしまうという欠点でもあるかと。
スピたらしのコツは俺も知りたいところ。
>401
始終笑顔のハリオン((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル 動機は何なのだろう。
当選、じゃないかな
残り11人
┌─────┬─────┬─────┬─────┐
│ ヽ .│ ,ィ^i^!1-、 │ ヽ .│ _ .│
│ , ´  ̄ ヽ │,(レ´  ̄ ヽ) │ , ´ ̄ 〉ヽ .│ヽー´, , ,ヽ │
│ i イ((())) │i`_l !i_!li_!i!リ │ixil ノノハ))) │<彡ノノ从〉 │
│ | l| ゚ -゚ノ|| │jixi」 ゚ -゚ノリ │ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ│ 入(!|゚ -ノ|l │
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│ アセリア .│エスペリア │ オルファリル │ ウルカ │
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│ノi ミ从l~iルソ .│;;マナの塵;;;;;│;;マナの塵;;;;│∠ <====ゝ │
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│ セリア │ ネリー │ シアー │ ファーレーン .│
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│;;;;ネコミミ;;;;;;│ノ〈从ハ从〉 │ ! ソノノ~))) │;;マナの塵;;;;│
│; / \ ;;│从ヲ´ヮ`ノヲ │く人リ゚ ー゚ノiゝ│; / \ ;;│
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│ へリオン │ ハリオン │ ニムントール │ ヒミカ │
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│ ナナルゥ │ イオ .│ クォーリン .│
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スピたんが話題になってからはじめて第一報のザウス生搾りを見た。
な、なんかヒミカ姐さんが眼鏡装備してましたよ?
明らかにここの影響でしょうね。さすが。
そー言えば「すぴたん」は秋発売のはずなんだが、誰か情報持ってない?
>>395さん
書いているうちにそんな風になってしまいました>ミスリーディング
題名セリアなのに光陰視点なのは描いていて新鮮というか(苦笑
>>396さん
元々ゲーム内ではある程度真面目な子なんですけどね、光陰。
やっぱりスピ追っかけるイベントが致命的だったのかなぁw
>>397さん
支援、thxですw
普段硬い娘が折れる瞬間にクるのは男として当然でしょう(断言
性格的にはオープンに見えるのですが、中々自分の事を話さないような。
自分にはそんなイメージが光陰にあります。
>>403エロ大王さん
うぃ。いつも読んで頂いて有難うございます。
>>404おにぎりの中身の人さん
意識的に誘導したのでお気になさらずに(汗
作者的には意外と引っかかって下さった方が多いので密かにほくそえんでたりしてますが(ぉ
>>406さん
今回は少しツン強めかな、と思ってましたがバランス取れていたようで良かったです。
個人的にはこの後悠人に看病されるセリアのデレ具合をどなたかが書いてくれないかな、と。
自分で描いてると段々痒くなってくるんですよね、色々とw
>>407さん
むしろヒントがそこだけでしたのでそれに気づかれたのでしたら逆に凄いかと>絶対の防御力
う〜んやはり目聡いというか変に賢いと見切って醒め切ってしまう部分が出てくるのでしょうね。
先が見える分慮っていたというのはありそうですね。刹那的ではありますが。返答、有難うございます。
スピたらし(汗 悠人、天然の上変幻自在ですし。意味不明の行動を取る、とかw
>>398-401、
>>405、
>>409 AAリレー、第二次スピロワ発生?!の流れに爆笑しましたw 特に最後、ネコミミで×なんですかww
えっとヒミカさん、一体何をしたのですかあなたわ。光輪がすっかり天使の輪になっちゃって……
また拙い場面に遭遇してしまいましたシアー。振り向いたハリオンの微笑みに何を見たのか。
最後のセリフがやけに気持ちよさそうなのは気のせいでしょうか。恐るべきハリオンマジックw
ところでうかつに一位を取ってしまったヘリオンを敵と認識してしまうアセリアが少し可愛い(何が
>405
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ヘリオンーーーーーーまほうーー!!/ \ヘー!! へー!! ほわぁーーっ!!/
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧
∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ;)
ところで、資料集をつらつら眺めるに、
”高嶺悠人”「全てを犠牲にしてマンションでふたり暮らしを続けています」(PC版・PS2版同じ)
――――え。 一軒家じゃないの?
確かに
>>405が魔法にかかっているw
恐るべしお姉さん
ねこみみまでいつの間にか奪うとは
>>410 マジですか眼鏡装備!?
セリア眼鏡っ子じゃないのですk(エーテルシンクフューリー
>>414 アセリアルートでハイペリアに来た時、マンションの記述なかったっけ?
自分の中では違和感なくマンション住まいでしたね
マンションっていっても低層住まいなんだろうな。
序章の登校シーンや、ラストの佳織と母の掛け合いなんかは
一軒家住まいのようにみえる。
(ドラえもんで例えると、
ガラッと戸が開いてカツオやワカメが「いってきまーす」なシーンが思い浮かぶ)
>>416 ドラえもんにカツオやワカメか・・・・コロ助やオバQとのコラボレーションもみてみたいz
なるほど
それで書いた人の年代を測定しようという試みか
光「マンション住まいねぇ……」
悠「なぁ? おかしいよな、どう考えても」
今「そうよねぇ。12月8日の朝、悠が『玄関』から出てきたすぐ脇にアタシが立っている訳だし」
悠「直前に俺の部屋から今日子の声が聞こえてるしな。その割には」
光「ああ、待ち構えていた今日子がハリセンを振るうのは天下の往来だ。俺も居たがな」
悠「仮にマンションだとして、朝から押しかける友達が門の外で留まるものだろうか?」
今「大体今時いないわよ、マンションの外から大声で部屋の住人を呼ぶなんて。みんな驚くじゃない」
佳「じゃあわたし、マンションの廊下を外に出るまであの変な食べ物持ち歩いていたんですか?」
悠「自分で変なのとかいうなよ、カオリサンドは絶品だぞ。いやそれにしても変だな」
光「うむ、問題は何故それをすぐに悠人に渡さずにわざわざゴミを先に捨てに行ったか、だな」
今「そうねぇ、まさかカオリサンドを持ったままゴミを捨てに行った訳じゃないだろうし。汚いしね」
悠「あの短い時間に戻ってガスの元栓を確かめている辺り、やたらと近い所に収集所があるという事だよな」
光「で、そのままマンション前の道のど真ん中でコントを繰り広げていた、と」
今「…………もしかしてあたし達、相当恥ずかしい事してたんじゃない?」
佳「回収日の朝って主婦とか出勤前のうだつの上がらないサラリーさんがよくゴミ持って出てきますよね……」
光「佳織ちゃん、何気に酷いな。いやでも確かに、我々は見事に衆目に晒されていた事になる。問題だな」
今「それにその夜なんだけど、悠、なんなのよあのお風呂場は」
悠「なんで知ってる……あれは反省してるって。俺もファンタズマゴリアでちゃんと学習したんだ」
光「いやそっちじゃなくてだな、悠人。問題は風呂場の大きさだと思うぞ」
佳「そういえば、マンションにしては大きすぎると思ったんですよね、家のお風呂」
今「まぁ5LDKとかなら有り得ない大きさじゃないけどさ。悠ん家は2人暮らしな訳だし」
光「ああ、悠人は出来るだけ遺産を使わない方針だったからな。んな贅沢をするとも思えない」
悠「ああ、テレビもちゃんと14インチだぞ。ま、あんまり見ないけど」
佳「リビング、お兄ちゃんの部屋、私の部屋。キッチンはリビングにあるから……少なくとも2LDKですね」
今「それとも、お風呂に何かどうしても譲れない拘りでもあったかしら」
悠「何だそれは……あ、遺産の一部だったとか。分譲なら家賃を払わずに済むし。どうなんだ、佳織」
佳「え、え? う〜んと、どうなんだろ……」
今「そして次の日、アタシは早速台所に上がりこんで漬物を食べていた、と」
悠「なんでモノローグ風な語りなんだ。あの時はビックリしたぞ」
光「朝練で佳織ちゃん、先に出てたんだよな。で、いつもは外で待ってた俺も今日子が居ないからもしやと」
悠「いやでも駆けつけたっていってるぞ。外からでも聴こえたのか? 俺が気絶させられた上殴打されてるの」
佳「マンションなら隣の人とか気づきますよね。防音が利いてるなら碧先輩も聴こえないし」
光「あと問題なのは、勉強会を開いた時に判明した事態だな」
悠「ああ、インターフォン越しに長話をするというやつか。マンションでやるとまるでキャッチセールスだな」
今「ア、ア、アタシ毎度毎度マンションの廊下で独りでひたすら喋ってた訳ぇ?」
光「同じ階の住人が目撃したら確実に変な目で見るな。その癖、もう止めた方がいいと思うぞ」
悠「佳織も早く入れてやれよ。今日子が通報されないうちに」
佳「あ、あはは……」
鳥「おっはよ〜ございま〜す! 何々どうしたんですかこんな天下の往来で内緒な秘密のお話ですかぁ〜!?」
悠・光・今・佳「………………」
瞬「もうマンションの一階でいいじゃないか」
アセリアルートは今ちょっとセーブデータがないので確認取れませんでしたorz
瞬と佳織が悠人よりも昔からの馴染みらしいってのもよくわからん設定だよな。
ご近所さんというわけでもなさそうだし、かといって学年も違う2人にどんな接点があったというのか。
悠人と光陰・今日子の関係もいったいいつからのものなのか。
確か悠人と佳織って佳織の両親が亡くなってからは悠人の祖母の家に住んでいたはずだよな?
>>421 小さい頃の佳織が病弱で、いつも通っていた病院に瞬も偶然入院していて、
それで仲良くなったという設定じゃなかったかな? 確かPS2でそんなのがあった気が。
悠人の部屋って二階じゃないのかな。そういうイメージだったんだけど。
階段の昇降の描写はなかったとは思う。
そういえば、統べし聖剣戦後のレスティーナとの会談で、背景がサーギオス皇帝の間だったのはさりげなく直ってますね。
これカナリ違和感だったのよね。
>>423 直接の描写は無いけど、二階だと思って画面眺めていると
今日子が駆け込んでくる時の効果音が階段駆け上がって来る音に聞こえる。
PS2版は二周目の頭に瞬と佳織の出会いのシーンが入ってたな。
それがいつ頃の話なのかは良く分らんのだけど
病室で一人で泣いてる瞬を佳織が見つけて慰めに来たような感じだった。
で、その時から瞬のストーカー症が頭角を現し始めたわけだ
慰めに来たのが悠人だったら良い友人になっていたんだろうな…
瞬は好きなキャラなんだけどなー。キモウトよりも。
比較対象が微妙といえば微妙だな。
まぁ俺もキモウトは嫌いじゃないけど。ソーマよりは。
悠人が慰めに来てたら今度は佳織に嫉妬するのか?
↓ここからユートとカオリが逆になるストーリー開始
/ )
./ /
/ /
/ / ハァハァ
./ /V从∧) , -つ
/ / W*´Д`) ./__ノ ユゥトォォォォォォォォォォ!!
/ \ / / キモウトなんて見捨てて俺の家に来ないか?
.| へ/ /
| レ' /、二つ.
| /
/ / ヽ)/
/ / ∠´ ハ`ゝ
/ / 彡//ノハハ〉
/ ノ ゞ(リ;゚д゚ノ!⊃ キモー
_/ / / つ /
ノ / / ⌒)
⊂ -' し'⌒ ̄
「ほらぁ、佳織、早く起きないと遅刻しちゃうぞ〜〜?」
ゆさゆさ。
佳織 →「うう……だめ……眠すぎる……」
「わかった……起きるから」
佳織Mind-100
ちょ、ちょっと待て!逆って事はなにか。
悠人が変な帽子型生物を被り、あまつさえ頭蓋骨をトランスフォーメーション。そんなキャラなわけですか?
・・・勘弁してください(泣
そんで、悠人が人質にとられ、佳織が「求め」ぶん回すわけですか
いい趣味してるなラキオス国王w
あまつさえスピも全員男性。
無口でクールな美形、ショタで活発なガキ、完璧執事スキル持ち、いにしえのサムラーイ始め豊富な人材が(ry
じゃあ、瞬はケツ掘ってマナ採取するのかYO!
コアラさまが喜ぶ予感
コアラさま逆にマナ取られてシオシオのババァになっちゃったり
コアラ様が吸いまくるとか…美男子スピのミイラが山積みになってたり
現実世界の西日本側では、エターナルなエスペリア(激怒+暗黒バージョン)が猛威を振るってますね…いや、何となくですが
むしろイオがヨーティアにお仕置き真っ最中かもしれん>西日本
しかしこれで四国の水不足が無くなったバンザイイオ
「もう今日という今日は許しません。覚悟なさって下さいヨーティア様」
「ま、待てイオ、怒ってるのは部屋を片付けない事か炎の祭壇を備え付け過ぎたせいか……うわわ」
「ピュリファイピュリファイピュリファイピュリファイピュリファイィィィィッッ!!!」
書き込めるかのテストです。
スルーして下さい。
ちなみに、俺はニムが好きだ!!!
書き込めるかのテストです。
スルーして下さい。
ちなみに、俺はヘリオンが大好きだ!!!
多分誰も覚えていないだろうが、ヘリ&ハリオン劇場の第2部を書き出したんだが・・・
ウルカのしゃべり方が思い出せなくて困ってた・・・雑魚スピスレ保管庫にでもいって確認してくるか・・・
ちなみに俺はハリオンが好きだ!!
みんなついでのようににいいやがって酷いな
オレがストレートに言ってやる
雑魚スピすべてが好きだ!!
やれやれ、お前等もうちょっと空気よめよ?
おばさんさいこうd
スピロワの続き思考中
どんな展開にしようかなー
俺はネリー&シアーが好きだ!
連休もネタも無く放置してた未熟な翼(仮)のネタが出てきた&久しぶりの連休が出来たので、サクサク書き上げよう
そんな俺は、ウルカとヘリオンとセリアとヒミカが好きだ!
…今から書いてきます
なんですかこの流れはw
>>448 「そんな俺」ってウルカとヘリオンとセリアとヒミカが好きな理由になってませんがな>未熟な翼=シアー&ニムントール
などと細かい突っ込みをたまには入れるほどファーレーンが好きだ!!
何か叫びたくなってきた。
俺は、セリアが好きだ!!
>>449 好きなキャラ程突き放すってやつです。…未熟者なんで、好きなキャラで書くと破綻するんですよ〜
過去にウルカED後のSSを書こうして、破綻して中止しましたし
ちなみに未熟な翼は、題名を思い付かず苦し紛れに、自分の未熟さ+アセリア=ハイロゥの翼をイメージして安直につけた題名だったりします。故に(仮)
ちなみにニムとシアーは個人的ランクで5位と6位です。アセリア・エスペリア・オルファの三人よりも上位だったりします(汗
えっと、無謀にも今、セリアで長編SS書こうかなーって
あーでもないこーでもないって企画してるけど…
需要ってある?
あるならマジでガンガッてみるが、どうでしょう皆さん?
>>452 セリアSSの需要はこのスレ的にはトップクラスにランクされる。と思う。
ただ、あえて苦言を一言呈しておこう。
俺はナナルゥが好きだっ!!
>>452 保管庫管理人が仕事無くて寂しがってるからガンガって書くといいよ。
ちなみに俺はクォーリンも好きだっ!!!
>>453>>454 うい、やってみまつ。
そうだよなー、ほかのキャラも蔑ろに出来ないよなー
どうしよ、特にクォーリン
設定下地がNeeeeeeee!!!
456 :
453:2005/09/07(水) 23:56:55 ID:nZDkBafr0
>>455 あ、ごめんね。別にナナルゥを書き足してくれってリクエストした訳じゃないんだ。
でももし余力があれば、ヘリオンとネリーの出番もあると嬉しい。
>>455 セリアSS 楽しみにしてます。
ちなみに自分は
一位:ウルカ=セリア 三位:ハリオン 四位:ナナルゥ
ってとこです。この人たちの出番があると悶えるかもしれませんw
とりあえず……ウルカ、セリア好きだ!
458 :
453:2005/09/08(木) 01:32:27 ID:cvaQ3D840
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) !?おお、なんか期待されまくり?
とりあえず、セリア分はボリュームたっぷりでいこうと思うが…
ほかのキャラ達の掛け合いテラムズカシス(´・ω・`)
でもガンガルYO!
459 :
453:2005/09/08(木) 05:25:32 ID:cvaQ3D840
とりあえずントゥシトラ戦のとこまでは
なんとかプロットの形が出来てきた!
ただ、ボリューム有りすぎ。
少しシェイプしないとだめだね。
460 :
453:2005/09/08(木) 06:28:29 ID:cvaQ3D840
あ、ヤベw
夜明けちゃった
仕事逝って来ないと
462 :
453:2005/09/08(木) 07:26:07 ID:cvaQ3D840
463 :
452:2005/09/08(木) 07:28:08 ID:cvaQ3D840
…すまん間違えまくり。
仕事逝って頭リセットしてくる。
465 :
頼@461:2005/09/08(木) 10:27:31 ID:BP9OZsbU0
>>452、
>>453 瓢箪から駒で赤ん坊増えないかなぁ、と思っただけですのでどうかお気になさらずに(汗
それはさておき452さん、突っ込んでおいてなんですが、セリア長編楽しみにお待ちしてますw
466 :
452:2005/09/08(木) 18:22:16 ID:FdZjebGE0
帰ってきたー
神剣マン…と続けてみる
スマン、吊ってくる ∧‖∧
サルベージ第二幕キター…………外伝か?w
ところで皆を孕ませたのは誰?
469 :
452:2005/09/08(木) 22:21:42 ID:FdZjebGE0
うえ、3章後半からのプロットが消えてる…orz
俺の3時間…
小ネタはともかくチラシの裏化はやめような。
慌てて机の上の細々とした紙切れをしまい出すヒミカさん
>468
もちろんみんなのお母さん
オルファタソでそ
473 :
秩序の壁:2005/09/09(金) 00:33:34 ID:kuqGBN/K0
注:これはテムオリンが聖賢を「忌々しい」と言っている理由の推察と妄想の、あくまでフィクションです。
聖ヨト暦332年ホーコの月黒ひとつの日
ソーンリーム遺跡の最深部。闇から滲み出るように、テムオリンは低く呟いた。
「その剣…………『聖賢』ですわね。忌々しいものを」
若きエターナルがだらりと下げているそれを、さも不愉快そうに憎しみの眼差しで睨みつけながら。
――時を遡る事2周期前。(推定)
「……では、どうしてもわたくしの剣にはなりたくない、そう仰いますのね?」
『無論だ。うぬには我が主になる資格が……無い』
対峙する『聖賢』とコアラさま。お互いに秘められたオーラが激しくぶつかり合い、青く火花を散らす。
「どうしてですの?せめて理由をお言いなさい」
『元々我はロウ陣営には与さぬ。共に行動して得られる知識も無いだろう。だがそれよりも……』
そこで一度沈黙した『聖賢』がより一層輝き、一瞬とはいえ『秩序』を凌駕する。
何か、信念のような力強いオーラ。その迫力に初めてコアラさまはその端正な顔を歪め、口元をぎゅっと結んだ。
「く……そ、それよりも?」
しかし次の瞬間、刀身を眩く輝かせながら響いた『聖賢』は想像を遥か斜め上空へと越えすぎた発言をした。
『見た目だけ若きエターナルよ。お主には、ロリ属性に必要なある一点が欠けている』
「…………は?」
ここに来て、『聖賢』が放つオーラが最高潮に達する。青白い渦が嵐となって周囲を吹き荒れた。
474 :
秩序の壁:2005/09/09(金) 00:36:36 ID:kuqGBN/K0
しかし対するコアラさまは、ぽかんと口を開けたまま。惚けた頭にようやく意味が飲み込めてくる。
堅物だと思っていたこの剣に、そんな隠れた趣味があったとは。衝撃に、思わず訊き返してしまう。
「ど、どういう事、ですの?」
思えばコレが失敗だった。さっさと見限って立ち去れば、あんな屈辱は受けずに済んだものを。
しかし説明好きな『聖賢』はそんなコアラさまのささやかな後悔になど気づきもせずに気分良く語り出す。
『言葉遣いと言い換えてもいい。ふむ、そうだな……試しに、くーると言ってみせよ』
「ク……クール」
畳み掛けるような迫力に呆れながらも動揺して反射的に口にしてしまうコアラさま。
とたん、鼻で笑うような気配がする。
『ふん……見よ、それだけでも話にならないではないか』
「何故っ!?」
しかも、見限られた。 たかが剣ごときのロリ属性からも。 コアラさまには理由がさっぱり判らない。
『これ以上は無駄なことだ。諦めよ』
「ちょ……お待ちなさいっ!」
『聖賢』は、それ以上何も語りかけては来なかった。輝きも今は失せ、ただの剣と化している。
つまりは、興味は失せたと言わんばかりの態度。ひゅー……。だぶついた服にすきま風が冷たかった。
「くっ…………この屈辱、忘れませんわよ」
コアラさまは生まれて初めての敗北感に唇を噛み締めながら、その地を後にした。復讐を硬く心に誓って。
ひょこっと飛び出したネリーが考えに耽っていたテムオリンを現実へと引き戻す。
「へへ〜ん隙ありぃっ!すべてを凍らせ、動きを止める……ネリーみたいに く ー る な女にぴったりよね♪」
――――その一言は、テムオリンを殆ど逆上させた。
全ての剣を空中に浮かべ、さざ波程度にしか感じない神剣魔法を軽く受け流す。
「生まれたてにしては、中々やりますわね……」
低く、懸命に感情を押し殺した声。だが歪む口元だけは、抑えても抑え切れない揺れるこの(ry。
「ふふふ……存分に、存分に戦いましょう…………」
そうしてうっすらと微笑むテムオリンは、意外と動機が子供(ロリ)っぽかった。よかったねよかったね(違
注:これはコアラさまがその容姿に反して意外とロリ人気が出ない理由の推察と妄想の(ry
475 :
信頼の人:2005/09/09(金) 00:39:52 ID:kuqGBN/K0
>>475 乙!
そうか、だからコアラ様(ry
それにしてもタキオスといい、聖賢といい、信頼ワールドには炉利嗜好の住人が溢れ返ってますなw
タキオスが炉利嗜好なのは「無我」(とコアラ様)の影響かと
なんせ「聖賢」の知り合い?なくらいだし
「二つも三つも嗜好を持つ必要は無い。唯一つを極めてこそ最萌となる」
変なネタにレス有難うございます。
>>476さん
う、言われて見れば多い……バドランドとかも灰色だし(汗
はっ、まさか永遠神剣『炉利』の強制力が(違
>>477さん
そうか、ソレ繋がりの知り合いだったのか!(大違
最萌といえば、スレの最萌って一体なんなんでしょうねw
そろそろ選挙ですが、皆様投票する党や議員、もう決められましたか?
私は『自慰民党』のS・ペリア女史に決めました。
汚職はちょっと心配ですけど政見がふるってますよね、「悠精見えんか」って。
ほっとけない、萌のインスパイヤ。三秒に一人スピ萌で部屋をゴロゴロころがっています。
そんなあなたに「各スピ色バンド四本セット」 今回は特別価格300ルシルでご提供いたします。
さらにさらに、今回はホワイトバンドもセット! 大変お買い得。さぁみなさんもラキオス城のライトアップのためにドブにお金をなgピーガガッガァガッー
>479
悠精で汚れ役となる気満々です。快感無くして性交無し。
481 :
452:2005/09/10(土) 01:12:40 ID:zCBzxFfn0
とりあえずプロローグだけでも投下しますね
期待?のセリア長編(無謀)SS
タイトルは「変革の一歩」に決定しました
では
‐Prologue‐
「敵が見えた。行くぞ!」
彼はそう言うと、剣を片手に敵陣に突撃していった。口を挟む間すらない。
「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
たった一人でおたけびをあげながら、彼は手にした剣を振りかぶった。
彼が振るった無骨な剣から圧倒的なオーラフォトンが迸る。
――ズドォォォン!
もうもうと立ち昇る土煙。たった一撃で敵陣に深い亀裂が走った。
彼は異世界より降臨したエトランジェ。名は確かタカミネユート(変な名前ね)と言った。手に持つは無骨な青い神剣。
伝説より伝えられる剣の名は「求め」。階位は第四位。
その力は今見た通り。リクディウスの魔竜を倒したというのもあながち誇張ではないみたい。
単身敵陣に踊りこんだ悠人は、近づく敵を片っ端から攻撃している。
私はしばらく、その光景を見ていることしかできなかった。
剣をがむしゃらに振り回すさまは稚拙そのもの。突撃のタイミングも悪い。もっと引きつけてからでないと、対峙する前から息切れしてしまうだろう。
おまけにたった一人で敵陣に突っ込んで行く暴挙。
全くもって素人だ。戦士としても、隊長としても。彼が生きていられるのはまさしく、神剣のおかげにほかならないだろう。
「全く、なんであんなのが私達の隊長なの?」
何故、こうも人間に振り回されなければならないのだろう?心が暗澹たる思いで満たされる。
人間の事などどうでもいい。
私達に戦う事を強いる者達。それでいて自らは高みで傷つかず、私達を省みない。
そんなヒトの世界の趨勢など私には関係ない。興味もない。
だから私が大切に思うのは私自身。
自分を支える一人の戦士としての矜持。
そして同じスピリットたち。
命を預ける仲間として。
相対し、矜持をぶつけ合う敵として。
戦いは嫌いだ。しかし悪意や憎しみをもって敵に剣を向けたことは、私にはない。
自分と共に戦う仲間で憎まざる敵。
それがスピリット。
それが、わたし。
戦いは嫌いだ。
戦いを強いる人間が嫌いだ。
だから、人間の事などどうでもいい。
目の前で戦う彼も人間だから、どうでも…
「よくは…ないか」
このままでは危ないかもしれない。彼は仮にも私達をまとめるはずの隊長だ。
私はともかく味方の士気、ひいては戦略的に作戦の頓挫も起こりうる。
「…考えていても、仕方ないわね」
私は彼の後を追って駆け出した。思い通りにはならなかったけど、確かにこれはチャンス。
「一気に畳み掛けるわよ、みんなユート様に続いて!」
ハイロゥを展開し、地を滑るように駆ける。敵陣との距離がみるみる縮まっていく。
交錯の瞬間を待ちわびていたかのように「熱病」が仄かな熱を帯びる。
「たぁぁぁぁぁぁぁっ!」
私が放った一撃は、狙い違わず相手の胴を両断した。しかし、私の意識は既に横合いから迫る気配に向いている。
肉薄する槍の穂先を軽く引っ掛け、いなす。槍は地に刺さり見やった先には、投擲の体勢のまま固まっている緑の妖精。
無表情の中に驚愕を覗かせている。
「逃さないわ…」
今度はこちらから距離を詰める。相手も距離をとろうとするが所詮は緑。青のスピードにはかなわない。
相手は丸腰だ。こちらの間合いまであと少し…
「セリアッ、やめろっ!」
がしぃっ!
「え…」
484 :
変革の一歩:2005/09/10(土) 01:17:10 ID:zCBzxFfn0
腕を掴まれていた。大きい手だ。視線を這わせていくにつれて太い腕、肩…そして
「もういいんだ…相手は撤退を始めてる」
悠人の苦い表情があった。既に剣は腰に吊るされ、空いているはずの手にはセリアが落とした槍を持っていた。
槍の持ち主は少し離れたところでじっとこちらを見ている。悠人は彼女に向かって無造作に槍を投げた。
明らかに驚きながらも彼女は自分の槍を受け取ると抱きしめた。自らの半身を愛しむように。
「いくんだ、追撃はしない……そしてできれば、もう戦わないでくれ」
悠人の言葉を聞いた緑の妖精は訝しみながらも退却していった。
「………」
「………」
場に静寂が訪れる。
「…そろそろ、手を離してくれませんか?」
静寂を破ったのはセリア。同時に悠人を冷たく睨む。
「ああ、すまない」
悠人は慌てて手を離したが、セリアは悠人から視線を外さない。
深い青、透き透る水底のような一対の瞳は悠人の全てを暴こうとするかのように。
気圧されて、視線を外した。
悠人は傷だらけだった。深手はない。だが傷の多くは、いまだ出血を続けている。
「…エスペリアを、呼んできます。そこを動かないでいて下さい」
セリアは踵を返すと早足で後続の仲間達の元へ向かう。
その表情はいつものとおり、澄んだ湖面のように静かで、冷たい。
あの人は、ヒト。
――でも、私達と同じように傷つくヒト。
この世界のヒトではない人。
彼は、何故戦っているのだろう。
何故、あんな無茶な事をしたの?
彼は、何故私を止めたの?
表とは裏腹に、心は散々に乱れる。
その中で、唯一確かな事。
彼に対して、ほんの僅かな興味が芽生えた。
支援
もう一つ支援?
さらなる支援?
スピリット達と訓練をする事になりました。
固定メンバー ユート様
セリア
ハリオン
選択可能メンバー アセリア
ナナルゥ
ヒミカ
追加可能人数 1〜2人
詰まった、ヘルプ
固定+アセリア&ヒミカで話として十分組めるかと
組み合わせは、セリア×ヒミカとユウト×アセリアで、セリア×ヒミカが対戦後、ハリオンの癒しを受けつつ休憩。ユウト×アセリアの訓練を見てセリアが問題点を指摘する様な形にすれば…さらなる味付け等は作者次第ですが…
…って、ここに書いちゃマズイかな?(あとの祭り
>>482-484 乙でした。でも続き物は投稿終えた後一筆終了宣言した方が良いですよ。
バーボン心配されたり、続き待っている間に寝落ちしてしまう自分のような不届き者が出ないとも限りませんので(ぇ
初接触が少し柔らかいセリアも良いですね。悠人に興味を持つ過程がまるで猫のようです。
何となく気になるけど、それほどでもないから気にしないようにする。でもちょっとだけ、みたいな。正にツンの本領w
個人的には悠人に助けられた少女の野生の猫みたいな仕草が気になりました。また出てこないかなぁ(ぇ
>>489 この位なら全然問題がないような。
アセリアの訓練風景を見て評価するセリアというのは少なくても自分の妄想を喚起しましたw
というか決して絶対全部駄目、という訳では無くて(そもそもそんな決定権は誰も持っていませんし)、
あまりアセリアと関係無いレスが続くとスレの流れとしては何だか妙じゃないかなぁ、と思いまして。
スレ建ての当初からのスタンスとして、ここは基本的にネタスレですし、アセリアネタで行きませんか、と。
もちろん数々の紆余曲折の末、SSをネタの延長として楽しむという不思議なスレの特徴なのですが、
そこが所謂SSスレッドとは違うこのスレの魅力だと思うのです。ネタとSSの繰り返しや応酬、拡大再生産等。
(紆余曲折については初代スレ
http://etranger.s66.xrea.com/past/past1.htmの15-や44-辺り参照で。)
その辺が475のスレを派生させた所以だと察して頂ければ。いえ、この辺全て先人の受け売りなのですが(汗
と、
http://etranger.s66.xrea.com/past/past7.htmの175で前科持ち老人の繰り言でしたorz
堅苦しい話ばかりでもなんですので、名無しに戻って
>>489のネタを拡大してみる。
>>489 「はぁはぁ……どうだセリア、何か気づいた所はあるか?」
「ん。私も聞きたい。早く」
「そうですね。技は稚拙だし動きに無駄が多いし、言いたい事は山ほどありますが」
「う……さすがに厳しいな」
「でもアセリアには癖があるわ。そこにいつまでたっても気づかない、相手を良く見ていない証拠です」
「え、そんなのがあるのか? 全然気づかなかった……俺もまだまだだなぁ」
「さ、アセリア、もう行ってもいいわよ」
「ん。サンキュ、セリア」
「え……お、おい、どこ行くんだアセリア」
「…………ユートさま、女性にそのような事を聞くのですか?」
ぴゅーとレディスに駆け込むアセリア。……ハリオンもナナルゥも出てこないorz
492 :
革命の人:2005/09/10(土) 20:52:31 ID:V3LweFMz0
>>489 レスどうもです。
うーん、何て言うか一度詰まってしまうと外からの影響受けないと
火付きが悪いんで、私。
>>490 助言ありがとうございます。
SS書くのも投降するのもなにぶん不慣れ(つーか初です)で途惑ってばかりです。
至らない点は多々あるかと思いますが、どうか生暖かく見守っててください。
>482-484,492
何よりも踏み出してくれたことが嬉しいし、がんばって欲しいと思います。
ただ、論述文ではなく物語を書くことに慣れるためにも、
いきなり(大)長編ではなく、短編からトライした方が良いかも。
#ここで具体的につつくのはやめておきます。
#
>>475(下)辺りへ行けば『信頼』の中の人辺りがつついてくれるでしょう。セリアだし。
ま、長編向きで短編不向きな人もいるし、一概には言えないとこですが。
きんもー
もんきー
Ξ v _ v
/`'´/ `´ ヾヘ
! f{ミ|iソノリリ)〉 ! ドガ!!!
Ξ ! !ヾリ#゚ロノリ! ! \从 /
ノソ O)フとl)}リ >,’;;;て∧__∧∩
く/_|に二二ニ‐,’;;;',ヘ#)`Д)/
Ξ ヽ_) `Y,´,´
>>494>>495' /
,ヽノ_
,' 〃, ^^ヾ ☆))Д´) ツンデレ
i y(从ソ))リ゙∩ ☆))Д´)
>>494 ノノ゙(リ゚ -゚ノリ彡☆))Д´)
>>495 (( ⊂彡 ☆))Д´) ツンデレ
☆))Д´) モット
"
´∴ __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=(
>>494ー495 )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
/ | | |\ \ ´ ∴ ヾ .
・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . ....
〃  ̄ ヾ;
i`_(ノハソ
ノ从゚ヮ゚ハ, よしよし
( Ημ)| つ
乙_∪ (;-;)
>>494、
>>495
,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
て / ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
 ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_ __,,-''"
._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄ |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
,,-''::::二-''" .--i| .|i "- ;;:::`、
._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
.(:::::{:(i(____ i| .|i _,,-':/:::}
`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
"--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i| .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
i| |i
.i| ・ ・ .|i
...i| ↑ |i
..i|
>>494-495 |i
.i| ,,-、 、 |i
i| ノ::::i:::トiヽ、_.|i
_,, i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
. П
Ц
'´ ヘ ヘヾ ||
ノ〈从ハ从〉||
从ヲ´ヮ`ノヲ.||
ノ⊂》|Tリつ.||
..て(く/|_ノ ゝ .||
し'ノ ||
こ、この流れはいったい・・・・・・・・
教えてツンデレ
_
社会に必要のない毒虫である
>>494-495を断罪していたら
ハリオンおねーさんがファンタズマゴリアを再隆起させて
向こう側への扉を開いてしまいましたとさ
501 :
494:2005/09/11(日) 01:05:05 ID:HyKF/TXY0
↓ここからスピライド開始
ピンチになるとサードガラハムのアルターとか出したり?
そうなると
カズマ→ヒミカ
劉鳳→セリア
クーガー→ファーレーン
な感じかな?
この世の理はすなわち速さだと思いませんか?
物事を早く成し遂げればその分時間が有効に使えます
遅い事なら誰でも出来る
ターンをかければ誰でもいつかは拠点は落とせる
有能なのはAランクよりSランク、SよりもSSです
つまり速さこそ有能なのだ!
戦場の基本法則!
そして私の持論です
解りますかぁユート様!
…なんか訳わかんなくなってきたw
イオ戦後
「っ?…悠人か…」
「他に誰がいるんだよ…ったくクソ重てぇんだよテメェは」
「ハハッ悪かった…おい『求め』は…」
「痛ぇよ泣きそうだぜ」
「そりゃ難儀だな」
「少しは同情しろよ」
「そういや俺の神剣は?」
「置いてきた、使い方わかんねぇし」
「なんだよったく…でぇもいっかぁこの新剣があるしな、乗り心地最高…」
「落とすぞてめぇ」
「少しぐらい我慢しろよぉてめーのせいで俺の部隊何組潰されたと思ってんだよ」
「あーそうかい悪かったよ…」
「悠人くぅーんそこ右ですよぅ」
「へいへい…」
「いいなぁこの神剣、いうとおりに動く…クラクションまでありやがる」
「よっかかんじゃねぇよコラ…ま、今回ばかりはおまえに助けられたからなサービスしてやるよ」
「それにしても重いなもっとしがみつけよ光陰っ」
「ユウ!ユウ!ユウ!ユウユウユウユウ!!」
「あぁ待たせたな、ちょっとヤボ用がよ」
「もうまだそんなこといってるの?ホントにしょうがないんだから…あ…」
「どうした?」
「こ、光陰が…アレ?」
「光陰がなんだよ?光陰がどうしたってんだ?」
「オイちゃんとつかまってろよ光陰、おっこっちまうだろ?なぁ」
「グスっ…グス…ふ」
「光陰?ふ、ヘヘッなんとか言えよ光陰、チャラけてる場合じゃねぇだろ」
「ふぇえっ…ふぇ」
「?なんだよ今日子」
「ふぇえっ…グス」
「オイちょっ…光陰?」
「おい…起きろよ光陰」
カナシーミーノーキズハマダー
漫画版の壊れっぷりがイカしてたな、スクライド。
ビバ・ノウレッジとか。
┌─────┬─────┬─────┬─────┐
│ , ヘ _ .│ ,べV . │ .│ .│
│ 〃 ' ヘ ヘヽ.│/ 〃  ̄ ヾ; │ '´ ⌒ヽ .│ ,^》ヘ⌒ヘ《ヾ│
│ノi ミ从l~iルソ .│! i ミ(ノハソ │ハ」」」l」」〉 │(リ〈 !ノルリ〉)).│
│((ヾ(i|゚ -゚ノi │!ik(i|゚ ヮ゚ハ .│ ヾゝ゚ ヮ゚ノゝ │ノノ(リ゚ ヮ゚ノリ(.│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│ツンデレ党 │くーる党 │おやつ党 .│らぶらぶ党 │
│ セリア │ ネリー │ シアー │ ヘリオン│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│ _ ,ヘ │ │ .│ .│
│ 〃/::::|ヽ │ '´ ⌒ヽ .│ '´ ヘ ヘヾ │ , ' ` ^ヽ │
│∠ <====ゝ │ ! ソノノ~))) .│ノ〈从ハ从〉 .│ノ ル从ルリゝ │
│んヘi」゚ -゚ノ」 │く人リ゚ ー゚ノiゝ.│从ヲ´ヮ`ノヲ .│从リ゚ ー゚从 .│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│仮面武党 │ めん党 │たゆん党 .│ 熱党 .│
│ ファーレーン.│ ニムントール│ ハリオン│ ヒミカ .│
├─────┼─────┼─────┼─────┘
│ .│ .│ .│
│ '´ ⌒ヽ .│ .│ .│
│ ! l」」ルl」」 │ NO AA │TEXT ONLY│
│ i !ゝ゚ -゚ノゝ.│ .│ .│
├─────┼─────┼─────┤
│燃やす党 │アシス党 │ 一途党 │
│ ナナルゥ│ イオ .│. クォーリン │
└─────┴─────┴─────┘
そうだ選挙に行こう
>>505-506 不覚にもちょっと泣きたくなった。
なんで神剣置いてくんだ悠人……治るモンも治らねぇじゃねえか(つд`)
>>508 激しくワロタ。壊れそうな物語集めそうな(古っ!)ファーに一票。
レムリアインパク党は棄権ですかそうですか。
国王ルーグウ・ダーツィ大公・バーンライト国王・サーギオス皇帝らは腹を切って
死ぬべきだ。また、炎神ナナルゥは彼らを地獄の火の中に投げ込むものである。
彼らを支持する有権者も腹を切って死ぬべきであり、また、炎神ナナルゥは
彼らも地獄の火の中に投げ込むものである。
'´ ⌒ヽ
! l」」ルl」」 ┃>∫∫
i !ゝ゚ -゚ノゝつグツグツ
i !/wkつノ.┃<ヽ`Д´>
ノノく/|_ノ 〈≡≡≡≡〉
し'ノ ./ 生 贄 ヾ
||ニニニニ||(____,,)
|| ||ヾ;从;从;;从ノ
511 :
エロ大王:2005/09/11(日) 12:21:17 ID:8sGIQZLy0
>>508 よし、何だかやってくれそうなヘリオンに一票
ナナルゥが当選したら世界が火の海になりそうだw
513 :
エロ大王:2005/09/11(日) 12:31:47 ID:8sGIQZLy0
>>508 党別アピールポイント
ツンデレ党セリア>ツンデレは最先端をいきます
くーる党ネリー>くーるなネリーは環境にやさしいです♪(温暖化防止)
おやつ党シアー>おやつま〜だ〜♪(チン!チン!)
らぶらぶ党ヘリオン>みんなに愛されてるヘリオンです(ペコリ)
仮面武党 ファーレーン>乱闘ならまかせろ
めん党ニムントール>日本ラーメン党と連立(マテ
たゆん党ハリオン>この豊かな胸の揺らぎでみんなを幸せに・・
熱党ヒミカ >温泉大好き、以上!
燃やす党ナナルゥ>何事においても完全燃焼します
アシス党イオ>貴方の悩み事解決します
一途党クォーリン。貴方に尽します
どうでしょ??
火の七日間が続き、巨乳兵達が大地を焦土と化した。
青き衣の「ツンデレ党」「くーる党」「おやつ党」は緊急事態に対し連立政権を確立。
だが旧勢力「自慰民党」による、“介護から夜伽までなんでもしちゃうの政策”にあい、改革は骨抜きとなり、
政権運営は予断を許さぬ状況となっている。
めん党って何?
>>514 「さぁさ、ニム、選挙活動に行きましょう」
「はぁ……めん党」
「そんな事言わないの。ほら、セリアやヘリオン達はとっくに出掛けましたよ?」
「…はいはい。でもさあ、お姉ちゃん、政治家は顔覚えて貰ってナンボの商売なんだから
こんな時くらい仮面外したら?」
「え……?そんな…(ポ)」
うーむ、めん党に一票入れそうになるw
そっちのめんかよw しかも入党は拒絶されそう。
「お姉ちゃんを、止めるな」
なんて
ツンデレ党とくーる党とで激しく悩む俺がいる
どっちも地球に優しそうだ
特にツンデレツンデレ!
くーるなネリーはキョートギテーショにぴったりよね♪
くーる党
少しでもニサンカタンソを減らさないと……オゾン壊しても意味なんてないわ
ツンデレ党
…………風呂nは無いといやだぞ。
ツンデレ党支援者の声
,^》ヘ⌒ヘ《ヾ
(リ〈 !ノルリ〉))
.ノノ(リ゚ ヮ゚ノリ◎ <皆さん!どうか「らぶらぶ党」の私に一票を!
( ⊂》|Tリ|つ[]
┌──┬───────┐
| | ら ぶ ら ぶ 党 .|
┴――┴―――――――┴―、
/.く´ ハ`ゝ//. ̄ ̄| || ̄ ̄ ̄||| ̄ ||
/.//ノハハミ// | || ||| ||
[/ !゚д゚ ソ)//[ ] | ||___||| ||
||_. ̄ ̄ ̄|_| ̄ ̄ ̄ |.|. ..|ヽ. _||
lO|o―o|O゜.|二二 |.| ||
| ∈口∋ ̄_l__l⌒l_|_____|_l⌒l_||
 ̄ ̄`ー' ̄ `ー' `ー' `ー'
\ヘリオン!ヘリオン!/ \まかせろー!一票入れたるでぇー!/
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧
∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ *)
. П
Ц
'´ ヘ ヘヾ ||
ノ〈从ハ从〉|| えれめんたるぶらすと〜
从ヲ´ヮ`ノヲ.||
ノ⊂》|Tリつ.||
┌──┬───────┐
| | た ゆ ん 党 . .|
┴――┴―――――――┴―、
/.く´ ハ`ゝ//. ̄ ̄| ||針 ̄ ̄||| ̄ ||
/.//ノハハミ// | || ||| ||
[/ !゚д゚ ソ)//[ ] | ||__音||| ||
||_. ̄ ̄ ̄|_| ̄ ̄ ̄ |.|. ..|ヽ. _||
lO|o―o|O゜.|二二 |.| ||
| ∈口∋ ̄_l__l⌒l_|_____|_l⌒l_||
 ̄ ̄`ー' ̄ `ー' `ー' `ー'
\ちょ・・・・ちょっとまって!/ \票いれるから!いれるから落ち着いて!/
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧
∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ;)
少し変えて便乗で作ってみた
そして掛け持ちで全員の街宣車を運転しているユートワロタ
>>523 やるな針音、行動不能にして足止めする気か。
*** 第一回 ラキオススピリット隊隊長補佐役選挙 ***
順番は届け出順
自現 エスペリア・グリーンスピリット
「今まで築き上げてきた隊長との信頼関係は、誰の入り込む隙間もありません。わたくしはどんな汚れ役も厭いません。
今後はもう一歩関係を進めてさらに深いものとし、一心同体、以心伝心を体現していきます」
ツ新 セリア・ブルースピリット
「隊長と現職補佐役の公私混同! 隊則の乱れ! 私はこのような事を断じて許しません!
補佐役として断固たる態度で緩みきった隊長の頭に活を入れます! マンツーマンで、正しい道へと導いていきます!」
ら新 ヘリオン・ブラックスピリット
「と、とにかくがんばりますっっっ!! と、とと当選の暁にはっ、、、、ま、まずはあの、お、お散歩からは、
始めたいと思いますっっ!!」
た新 ハリオン・グリーンスピリット
「あらあら〜やっぱりお姉さんがついてないと〜ユートさまもまだまだですからねえ〜」
街の有権者の声
「ヨフアルもらっちゃったよぉ。票を入れるとねぇもっとくれるんだって〜」
「お姉ちゃんが覆面でも立候補できるかってさ。もうバッカみたい。投票なんてメンドウだし」
「ん、みんなのせんきょぽすたー描いた。ハイペリアの作法だ」
「アセリアお姉ちゃん。これお空からばらまくんだよね。 オルファもやるーっ」
補佐役選挙法補記:過半数を獲得する候補者が現れない場合、隊長の一票を持って決定とする。
スイマセン
間違えました。
何を間違えたのだろう・・・(モワモワ)
>>526 気がついたら結構の立候補者が投票側に回っているw
果たして誰が泣き誰が笑うのか!
つ【ヘリオン】
お散歩してくれるそうなので投票しまつ
無新 倉橋 時深
「補佐役というのは時に厳しく接しなくてはいけません
ユウトさんを慕うスピリット達にそれができるでしょうか?
やはり第三者である、私のような者が(見苦しい言い訳のため称略」
532 :
>>257:2005/09/12(月) 23:42:32 ID:NnAKyAl80
無言で書き込んでしまったので。
533 :
>>532:2005/09/12(月) 23:47:43 ID:NnAKyAl80
って、また間違えた。
>>527です。
本当にスイマセン
補佐役というのは滑舌が良く無ければいけません。 自現 エスペリア・グリーンスピリット
す、少なくともヨト語の経験者が良いと思いますっ! 匿名第九位
536 :
エロ大王:2005/09/13(火) 08:31:39 ID:EbjepnCL0
とある神剣さんのこえです
>>512-535 Ш
‖ <正直マナさえ、貰えればどうでもいい
〈 〉
匿名希望○めさんでした
>>534 少なくとも「リレルラエル」の発音がつらそうに思えたがw
サブスピで唯一ヨト語をしゃべってくれた彼女に1票
「YES」をヨト語で言えや!(セクハラ)
補佐役というのは舌技が上手く無ければいけません。 自現 エス(ry
へ「わ、わ、わたしだって!!」
選挙は、セクハラを超越した様相を呈して参りましたw
ヽ)/
∠´ ハ`ゝ
彡//ノハハ〉
ゞ(リ ゚д゚ノ! ξ セクハラとか言う以前に、俺は若い娘の方が好きだから
/¶.くVゝ¶\V━・
/ | |゚/ ̄ ̄ ̄ ̄/
__(__ニつ/ 求め /____
\/____/
540 :
エロ大王:2005/09/13(火) 17:10:57 ID:EbjepnCL0
とある神剣さんのこえです
Ш
‖ <でもあのあばれ巫女はかんべんなw
〈 〉
匿名希望○めさんでしたw
541 :
エロ大王:2005/09/13(火) 17:25:53 ID:EbjepnCL0
まさに外道なそっくり具合にワロタ
ツインテールを脳内合成すればそっくり!
544 :
エロ大王:2005/09/13(火) 19:23:09 ID:EbjepnCL0
ヘリオンルートハイペリア編という事で・・・
イオ作ってみた。文句があったら言ってくれ
ノ⌒))ヽ
.. ( .ノ(()))
ノ l| ゚ ー゚ノ|)
..( / 》)T ) ゝ
U/| | |ヽ
くノ|_|_|uゝ
┌─────┬─────┬─────┬─────┐
│ , ヘ _ .│ ,べV . │ .│ .│
│ 〃 ' ヘ ヘヽ.│/ 〃  ̄ ヾ; │ '´ ⌒ヽ .│ ,^》ヘ⌒ヘ《ヾ│
│ノi ミ从l~iルソ .│! i ミ(ノハソ │ハ」」」l」」〉 │(リ〈 !ノルリ〉)).│
│((ヾ(i|゚ -゚ノi │!ik(i|゚ ヮ゚ハ .│ ヾゝ゚ ヮ゚ノゝ │ノノ(リ゚ ヮ゚ノリ(.│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│ツンデレ党 │くーる党 │おやつ党 .│らぶらぶ党 │
│ セリア │ ネリー │ シアー │ ヘリオン│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│ _ ,ヘ │ │ .│ .│
│ 〃/::::|ヽ │ '´ ⌒ヽ .│ '´ ヘ ヘヾ │ , ' ` ^ヽ │
│∠ <====ゝ │ ! ソノノ~))) .│ノ〈从ハ从〉 .│ノ ル从ルリゝ │
│んヘi」゚ -゚ノ」 │く人リ゚ ー゚ノiゝ.│从ヲ´ヮ`ノヲ .│从リ゚ ー゚从 .│
├─────┼─────┼─────┼─────┤
│仮面武党 │ めん党 │たゆん党 .│ 熱党 .│
│ ファーレーン.│ ニムントール│ ハリオン│ ヒミカ .│
├─────┼─────┼─────┼─────┘
│ .│ .│ .│
│ '´ ⌒ヽ .│ ノ⌒))ヽ .│ .│
│ ! l」」ルl」」 │.. ( .ノ(())). │TEXT ONLY│
│ i !ゝ゚ -゚ノゝ.│ ノ l| ゚ ー゚ノ|) │ .│
├─────┼─────┼─────┤
│燃やす党 │アシス党 │ 一途党 │
│ ナナルゥ│ イオ .│. クォーリン │
└─────┴─────┴─────┘
……こうかな?
補佐役になった暁には私達をきちんと紹介する事を誓います! たゆん熱くーるおやつらぶらぶ連立政党
549 :
名無しさん@初回限定:2005/09/14(水) 13:47:15 ID:Y3wzAhq90
上げてしまった・・・すいませんすいません(ペコペコ
クォーリンを作るのは現状きついねぇ
スピたんでの参戦を期待しているけど
そして
>>551を見た中の人が今頃「あ、忘れてた」というオチ
553 :
546:2005/09/14(水) 18:35:33 ID:yfetOfQl0
帽子の形が違う気がしたので作り直してみた
._
./´ `)ヽ
.ノ_ __ノ()))
ノ~l| ゚ ー゚ノ|)
..( / 》)T ) ゝ
U/| | |ヽ
くノ|_|_|uゝ
う〜ん難しいorz
注文があったら言ってくれ
>>552 「忘れていた」ならまだ救いがあるね
最初から構想外なのだと思うよ
まだ見ぬクォーリンに花束を・・・
>>553 髪型といい、帽子といい、イオ様は表現しにくそう
でもGJ
あえて言うなら口元が気になるかな
口元引き締まっているほうがイオっぽい気がする
>>553 PS版のサウナバスタオル姿も見てみたい(ぉ
556 :
553:2005/09/14(水) 21:37:50 ID:yfetOfQl0
./´ ̄`)ヽ
.ノ_ __ノ()))
ノ~l| ゚ -゚ノ|)
..( / 》)T ) ゝ
U/| | |ヽ
くノ|_|_|uゝ
引き締めてみた。あと個人的に頭部が三行で収まると幸せなのでしてみた。
そういや、理想の形ってわからんな。
559 :
エロ大王:2005/09/14(水) 22:44:03 ID:QmEHp6Kb0
あー、そういやそうだった。ピカーとしてるイメージしか残ってなかったけど
放り投げたりしてたから動体視力を頑張れば見えるな。
ラスダンメンドクサス('A`)
家事得意そうだから箒形とかシャモジ形とか物干し竿とか
「短剣型」という設定はゲーム中でも語られているはず
でも
>>561でも面白そうだ
包丁型とか
>>561 >箒形とかシャモジ形とか
メルブラを思い出した
でも悪くはないと思う
なにいってんだ
『バスタオル型』で確定してまんがな
なるほど、ピュリファイで濡らして相手を張り倒す訳ですね。
エッケルザクス?
まぁハイエタにしないとクリアできないバランスじゃないし、
98でも99でもどっちでもいいよ・・・って感じだな。
俺は99まで上げたらあとはイベント追うためだけにノーマルしか再プレイしないから
ハイエタになんぞなる必要がない。
ごめん誤爆した。近いけど。
ハァッ
ハァッ
ハリオーン大魔王〜〜
orz
〜BGM:メヌエット
開け放った窓から流れてくる、湖からの涼しげな空気。森の樹の瑞々しい香りが風に運ばれて鼻をくすぐる。
柔らかい、温かな日差し。時折聞こえる鳥達の囀り。楽しげな歌声が、穏かな休日の午後に彩を与えていた。
かちゃり。掃除洗濯を終え、ここ第二詰所に訪れた『献身のエスペリア』は優雅な手つきで白いカップを手に取った。
メイド服の膨らんだ袖口から覗いている艶やかな手首。濃緑の、慈愛に満ちた瞳がその手元をずっと追っている。
「……いい風ですね。わたくしの汚れた心も身体もまるで洗ってくれているよう」
口元に運んだ所で一度止め、ゆっくりとクールハテの香りを楽しみ、それから静かにそう呟く。
「そうですねぇ〜。平和ですぅ〜」
ぽんやりと夢見がちな表情で答えるのは同じグリーンスピリットの『大樹のハリオン』。
どこが「そう」なのかによっては相当な皮肉とも取れる台詞を平気で放てる、奇特な人望の持ち主である。
ボリュームのあるたわわな胸が両腕の間で窮屈そうにその形を変えている。
しなやかな細く白い指。両手でそっと包み込むようにカップを持ち、目を細めて窓の外を眺めていた。
全く害の無い、心底人を安心させるようなその横顔。エスペリアは軽く苦笑してカップに口をつけた。
ランサ防衛戦が開始されてから早数週間。ここラキオスに残っているスピリットは少ない。
特に回復の要であるグリーンスピリットは忙しく、こうして三人が揃うというのはかなり珍しい事だった。
「……ってなんでニムまでここにいるのよ」
「まあまあいいじゃありませんかニムントールさん〜。たまにはこうして親睦を深めるというのもぉ」
「そうですよニムントール。考えてみればわたくし達がこうして集う、というのも初めてかも知れませんし」
「……別に」
いいけどね、とそっぽを向くのは『曙光のニムントール』。ちょっぴり斜めに醒めたスピリット最年少である。
子供らしくお下げに束ねた髪が日差しを浴びて天使の輪を形作っていた。
ぷい、と不機嫌そうなニムントールの空になったカップに、無言で微笑みながらハリオンがお茶を注ぎ入れる。
横目で見ていた緑柚色の大きな瞳がクールハテの優しい匂いに誘われたのか珍しくありがと、と素直に呟いていた。
差し出されたヨフアルを一生懸命もきゅもきゅと頬張るニムントールの頬に着いた食べかすを摘みながら、
「それでぇ、今日はなにか、お話があるのではないのですかエスペリアさん〜?」
ハリオンは薄く目を閉じているエスペリアへと切り出した。
「そう、ですね……」
無意識にか亜麻色の毛先を弄っていた指先がぴたりと止まる。カップを同じ白いソーサへと優雅な仕草でそっと置く。
かちゃり、と陶器同士が触れ合う音が乾いた音を立てた。静かに下ろした両手が白い前掛けの裾をぎゅっと掴む。
一瞬の沈黙が流れた。
雰囲気を悟ったニムントールがヨフアルを咥えたまま、不思議そうに二人の顔を左右交互に見渡す。
しかし直ぐに関心を失い、再びヨフアルへと取り掛かった。焼きたてが一番、と言わんばかりの態度で頬張る。
俯いていたエスペリアがようやく、いかにも当惑しているといった感じで小首を傾げながら顔を上げた。
ハリオンはカップを手にしたまま、風にやや乱れた髪をそっともう一つの手で押さえながら無言で先を促す。
部屋には暫くの間、ニムントールが奏でるはむはむという音だけが聞こえていた。
「実は……最近、ユート様が冷たいの、です」
やがて蚊の鳴くような声で、意を決したエスペリアが囁く。耳を澄ませて、やっと聞こえるほどのか細い声。
当然、ヨフアルに夢中になっているニムントールには聞こえなかったようだ。
しかしその秘め事を打ち明けるような囁きに、ハリオンの眉がぴくりと動いた。目元が微かに揺らめく。
「ん〜、それは一体、どういう事なのでしょう〜」
それだけでは判らない、といった風にエスペリア同様小首を傾げる。頬に当てた人差し指の仕草がやや幼い。
拍子にさらっとやや長い前髪が一房、顔にかかって表情が見えなくなった。頭上のハイロゥが薄く輝き出す。
何だかイヤな迫力を醸し出してきたハリオンに、ニムントールは一瞬ビクっと身を竦めた。
子供らしい、純粋な警戒心が首をもたげる。面倒なことになる前に、立ち去るべきかと一瞬悩んだ。
「…………」
目の前に置かれている、まだ湯気の立つヨフアルが美味しそうな匂いを放っている。
(でもニム、関係ないしね)
秤にかけ、そしてニムントールは敢えて危険を選んだ。ハリオンの顔色を伺いながら、そっと手を伸ばす。
しかし指先が触れるかどうかの所で、反対側から突然、冷や水を浴びせるような低い声。
「夜、お訪ねしてもいらっしゃらない事が多いのです。どうやら別の場所でお休みになられているご様子で」
警戒していた方向とは別の角度からの攻撃に、ニムントールのディフェンスは完全に裏を掻かれた。
心臓が飛び跳ねるような衝撃に、差し出した手が凍りつく。どきどきしながら覗き込む視線がすっかり萎縮していた。
平板な表情を崩さずにお茶を楽しんでいる仕草はそのまま、やはりというかエスペリアの光輪が淡緑に輝いている。
ニムントールは知っていた。最近たまに悠人が夜中、ハリオンの部屋に入っていくのを。
トイレに行こうと部屋を出た所で怪しい人影に驚き、一瞬漏らしそうになったのは死んでも言えないが。
「おやおや〜、めっめっですよぅ、後をつけたりしてはぁ。ユートさまにもぷらいべぇとがおありでしょうし〜」
「ええ、それはもちろん。……でもユート様は わ た く し 達の隊長ですから、やはり心配です」
「そうですねぇ、副隊長さんも大変ですぅ〜。覗 き ま で しなければならないのですからぁ〜」
「そんな事はありません。ハリオンがしっかりこちらを見てくれていますから、あちらに 専 念 できるのですよ」
「あらあら〜」
「ふふふふふ……」
目を細め、お互いを見つめながら微笑み合う二人。手に持つカップの中でお茶が優雅にさざ波立つ。
じわじわと集まり出す癒しの緑マナ。穏かな透明な日差しの中、薄っすらと目に見える程に渦を巻き始めている。
いつもは心地良いそれが、ようやく事態を掴んだニムントールのすべすべの背中にざりざりと鳥肌を立たせた。
(こ、このままだと……殺られる!?)
まるで戦場のような台詞が自然に思い浮かぶが、腕を伸ばした体勢のまま、金縛りにあったように動けない。
ニムントールはつつーと流れる汗を額に感じながら、生まれて、いや転送されて初めて恐怖というものを感じていた。
窓の外に広がる澄んだ青空の下、ぽかぽかと穏かなマナがやけに遠く懐かしく思われた。
「ところでニムントール」
「は、はいっ!」
いつもからは考えられない程素直な返事が返る。ニムントールは雷に打たれたように「気をつけ」の姿勢になった。
しかし立ち上がった彼女に驚きもせずににこっと微笑みながら、気持ちが悪い程優しい声で、
「最近、ファーレーンはどうしていますか?」
などと一見関係ない事を訊いてくるエスペリア。ほっと油断したニムントールは気を緩め、
「えっと最近は……うん、良く偵察とかに行ってるよ、ユートと一緒に…………あ゛」
「そう……ユート様と……御一緒に……」
「へぇ〜ユートさまと御一緒にぃ〜……それはぁ、初耳でしたぁ〜」
急に目を細める二人の周囲の空気がぴしり、と音を立てて亀裂を走らせる。酷く息苦しい。
有り得ないプレッシャーに、なんでニムがこんな目に、とニムントールは泣きたくなった。針のムシロだった。
(……大体これというのもユートがユウジュウフダンだからっ!)
段々腹が立ってくる。そもそも気が長い方では無い。ヤラレたままで済ますような性格でも無かった。
鈍感なエトランジェのせいだと決め付けてしまえば話は早い。コノウラミハラサデカ。
ニムントールの頭上でも、ヤケクソ気味に光輪が輝き始めた。部屋中が濃密な緑色の光に包まれていった。
支援いきまーす
「おい大変だ、悠人のヤツがアセリアと一緒に現代世界に飛ばされて……っておわっ!?」
そこへ突然飛び込んでくる碧光陰。いまいち二枚目としての本領が発揮できない憐れなエトランジェである。
間の悪さは最早才能のようなもので、この場合も部屋に充満する不穏な空気に気づくのが少々遅かった。
ところで彼の放った一言は、事態の重大さよりも『アセリアと一緒』の部分が誇張されて三人に伝わる。
「あらあらぁ? なんでコーインさまがこんな所にぃ〜?……えいっ!」
「ぐはっ! な、なんだいきなり……」
何の予備動作も無く放たれたハリオンの八つ当たりエレメンタルブラストは生臭坊主の動きをぴたりと止める。
絶対の防御力も行動回数への攻撃には無防備同然だった。その場に貼りついたように何も出来なくなる。
「大体コーインさまはまだ、敵の筈です。大胆不敵にも程がありますね」
「いや、それは作者の意向……ってぐあっ! や、やめっ!」
エスペリアの八つ当たりエレメンタルブラストが、『献身』の穂先から迸る。これで絶対の防御力も削られた。
「何だか知らないけど丁度いいや……やられる前に、先に潰すっ!」
「ちょっ待っ、誰もやろうとなんかしてな……ホント、勘弁、しっ!」
そしてニムントールの八つ当たりエレブラ3000が扉に手をかけたままの光陰を――
「だ、誰か癒しの魔法を……ガクリ」
――完全無欠に黒焦げにした。
「はっ、今確かにコーインさまの声がっ!」
その頃クォーリンは、遠いマロリガンの空の下で見当違いなサーギオスの方角を振り返っていた。
「でもなんでいきなりコーインがここに出てくるのよ」
つんつん、と爪先でぷすぷすと音を立てている“元”光陰を突付きながら首を傾げるニムントール。
ストレスを発散させて機嫌が直ったのか、エスペリアとハリオンがお茶を口にしながら同時に答えた。
「それはですねぇ〜」
「この談義が“みどり”編だからですよ、ニムントール」
「…………そんなオチでいいの?」
こうして今日も第二詰所の危険なお茶会は無事終了した。どっとはらい。
577 :
信頼の人:2005/09/16(金) 23:48:54 ID:k12XGppY0
いえ、ハリオン呼ばれた気がしたもので。あまり活躍してませんが(汗
支援、有難うございました。
ところでこのネタ、談義にも何もなってません。題名に偽り有り、いけませんねorz
>576
GJ!まさかオチがそんなことになろうとはw
呼んだ人です(汗)
ああ、魅惑の“美鳥の日々”!!(違 悠人の片腕足るべく日夜というかどっちかってーと夜に比重が……あ、いえ、日々精進であります(`・ω・´)
緑濃菌に汚染された部屋はバイオはざ−ど!
580 :
憂鬱の人:2005/09/17(土) 11:47:08 ID:ywZeLyOW0
>>577 乙です。
色々な意味でドキドキしながら読ませて貰いました。
クォーリンには悪いけど、やはり光陰はやられ役が似合いますね(合掌
まああの二人はランサで死んでも何故か生き返るから大丈夫でしょうw
手を広げすぎた悠人のとばっちりとは……
名は体を表す、体を張ったオチに乾杯。
緑のメンバーは怒らせないようにしないといけませんね。
>>577 最強番長エス、裏番ハリオン、ムカつく事にかけては定評のあるニム。
そりゃ、この三人が揃えばタダじゃ済みませんよね…(^^A
光陰一人の死で済んだのは、僥倖と言うべきなのやらそうでないのやら……?
『女三人寄れば恐ろしい』とはよく言ったものです(違
剛田で「スピたん」キター!
キャラは、主人公とツェナ(猫耳?で目の色が違うキャラ)、
ニム、ネリー、シアー、ヘリオン、ミュラー・セフィス(女性って設定は既出だっけ?)、光陰の紹介があり
CGはヘリオンスカート捲り上げ、ネリーの半脱ぎで誘惑?、
ニムを背面座位で突き上げ、ヒミカとのH(ついでにハリオンが胸を揉んでいる)
あとはゲーム画面の掲載
剛田ってなんでしたっけ?
つ ヒント:ジャイアン
>>578さん
テキトーなオチでしたが、受けていただけて恐縮ですw
>>579さん
呼ばれて飛び出て(ry
なんだろうとググってみたら……凄い設定ですねコレ>美鳥 片腕がニムになったら……(汗
>>580憂鬱さん
シリーズの看板に泥を塗ってなければいいのですが。
あそこで死なれては設定が破錠するような(汗
>>581さん
どっちつかずの態度を迂闊に直情的な女性陣の中でやらかすと、どっかしら防波堤が必要な訳でして(ぇ
いえ、ハリオンが直情的かどうかはよく判りませんが(汗
>>582さん
「癒し」がテーマの筈の緑スピなのに、そう並べられるとかなり遠い位置にいるような(汗
>>583 侮り難しスピたん。特に「CGは〜」以降がw
……ところでファーレーンやセリアはどうなったのでせうorz
>>583 もしかして主人公、節操なく摘み食いするタイプなんだろうか
なんか不安になってきたorz
なんで…なんでこの近辺には剛田がまだ売ってないんだー
ぬぅ、剛田発売したのか
早速本屋開いたら買ってこようー
情報さんきゅ
今頃から言っても、とは思うけど
雑魚スピ勢のエロシーンはまたイビルシナリオ系のみ、
とかだったりしたらどうしよう……
スピたんは楽しみだ。
くーるないいオンナになったネリーが見たい。
甘え上手で泣き虫なナイスバディなシアーが見たい。
ここの影響で、ヒミカ姐さんの設定がどうなっているのかが見たい。
本編ラストより感情を取り戻したであろうナナルゥが見たい。
たゆんとハリオンマジックを炸裂させているだろうハリオンが見たい。
きっと一段と気まぐれネコっぽくなっているだろうニムが見たい。
あの性格のまま、世界屈指の剣士になったヘリオンが見たい。
相変わらず覆面愛着してるだろうファーレーンが見たい。
けど。
セリアだけは見たくない。少なくとも悠人以外で攻略したくない。
ああ…。俺って本気でセリアをメイン以上だと思ってるんだ…。
わかってたけど再確認した。
>>529 基本的にみんな、ヘタレだけどやるときはやってくれるユート好きなんだよね・・・
特にここの住人はそうだと思う。
だからあんまし実感わかないんだよなぁ・・・ユート以外のキャラとスピの恋愛というものは・・・
いや、実感がわかないというよりも「そうであってほしくない」という気持ちのほうが強いのかもしれないな
594 :
変革の一歩:2005/09/18(日) 03:26:24 ID:X2OVLmhQ0
−T−
――サモドア山道を通りラセリオを襲ったバーンライト軍。
しかし、ラキオスのエトランジェ、「求め」のユートの活躍により第一陣は撤退を余儀なくされた。
その後、数日に渡ってラセリオを襲撃するが、初戦にて士気を挫かれていたことが影響し、ついには作戦を断念する。
両国に走る緊張は、次こそが決戦であることを予感させていた。
そして、バーンライトとの決戦があと一週間に迫ったとき…
「サモドア攻略戦まであと一週間となりました。やっと準備が整いましたので、今日から三日間をユート様の強化特訓と銘打ちまして、私、セリアの指示に従って訓練のメニューを消化していただきます」
訓練所に呼び出されたと思ったら、唐突にそんなことを言われた。
「ちょっと待ってくれ、話がぜんぜん見えない」
「決定事項です。反論は却下します」
慌てふためく悠人に対してセリアはぴしゃりと言い放った。
「説明くらいしてくれてもいいだろう?」
セリアは悠人から視線を外し、しばらく考え込んで。
「…ペナルティです。ラセリオの一件、まさか忘れたわけではないでしょう?」
時は遡って、最初のラセリオ防衛戦の後…
「ユート様、何故あんな事をなさったのですか?一人で敵陣に突撃など…」
エスペリアの語調は堅い。傷を癒されたとたん詰問が始まった。
エスペリアのほかにいたのはセリアとヒミカ。残りは残敵、伏兵の警戒に当たっているた。
悠人は色々考えた末に
「自分なりに一生懸命に考えたんだけどな。心配させたのは謝る。繰り返すつもりはないし、反省もしてる」
そこで一息きる。
「だけど……だけど、悪いとは思ってない」
「…ユートさ――」
ぱしぃぃぃぃぃっ!!
セリアに頬を思いっきり引っ叩かれた。後ろでは何か言おうとしていたエスペリアが目を白黒させていた。ヒミカもあまりの事にぎょっとしている。
セリアはやはり悠人を睨みつけた。今までで一番恐かった。
いつもなら冷たい威圧感だけを映す瞳は、今やはっきりと怒りの炎がともっていた。
「あなたは隊長としての実力も思慮も欠けています。はっきり言って隊長に相応しくありません」
言うべき事は全て言ったとばかりに、セリアは自陣に帰ってしまった。
596 :
革新の一歩:2005/09/18(日) 03:31:56 ID:X2OVLmhQ0
「…う」
悠人は思い出してうめいた。
そうだ、引っ叩かれたんだっけ。
(たぶんまだ怒ってるよな…)
「そういう訳で、ユート様には戦士としての技量も無く、指揮官としての思慮もありません。「求め」の力だけで戦い続ければ間違い無くこの先どこかで犬死にします」
「はっきり言うよなぁ」
むっとするが、言いたい事はわかる。確かに悠人は未熟だ。
「ユート様は鈍いようなので」
しかし、セリアの言うことには、およそ容赦というものがなかった。
「私達に与えられた時間は少ない。しかし、ユート様の戦士として指揮官としての成熟をこの短期間で望めるはずもなく、そこでエスペリアと協議の下、
せめて戦士として戦線で生存に耐えうるようにと、特殊訓練施設の建造および特訓のメニューを作成しました。
訓練士の報告書によると、ユート様は基礎身体能力は高く素質もあるとの事ですが、理論と実践は大変不得手であると評されています。
そこで、限りなく実戦に近い状態の模擬戦闘を行い、実戦の感覚を養います。その中で理論と実践を身体で覚えてもらう事となりますが、ここまでで何か質問は?」
セリアはいつになく饒舌だが、その内容の半分は悠人に対する皮肉だ。
「結局、今日は何をするんだ?」
「………私の話を聞いてなかったんですか?」
悠人は苦笑して、
「いや、聞いてたけど解らなかった」
…ダメすぎる。本当に、なんでこんなのが自分たちの隊長なのだろうか?
「とりあえず、いきなり摸擬実戦は荷が重いですね。今日のところは基礎訓練と一対一の稽古だけにしておきます」
そこで、すっ、とセリアの目が細められた。
「……先に言っておくけど、私は甘くないわよ」
悠人は背中を嫌な汗が流れるのを感じた。
支援が必要か?
598 :
革新の一歩:2005/09/18(日) 03:42:04 ID:X2OVLmhQ0
「どうしたの、これでおしまい?戦場では立ち上がるまで待っててくれる者はいないわよ!」
柔軟から、型、構え、素振り等の基本のお浚いをざっとなめてから始まったのは、激烈な手合わせ稽古だった。
セリアの動きは軽やかだが打ち込まれる剣は、重い。これで床に転がされたのは何度目だっただろう?
「ぐっ…ちょっと待ってく――」
悠人は立ち上がろうとしたが、
ちゃきっ
いつの間に移動したのか、悠人の頭上には「熱病」の刃。悠人は仰向けに転がされた姿勢のまま、全く動けなかった。
「…これで、また一回死んだわ」
セリアは何事もなかったように剣を引き、音もなく鞘に納めた。
「……まぁ、これくらいにしておこうかしら。休憩にするわ」
緊張の糸が切れた悠人はその場にへたり込んだ。
セリアはそんな悠人の様子をじっと見詰めていた。
セリアにとって彼は疑問のかたまりだった。表向きは異世界より降臨し、神剣に選ばれて龍を倒した勇者。
しかし、蓋をあけてみればただ神剣が使えるというだけの一般人だった。
彼に隊長は任せておけない、とは思った。でも、彼を隊長に任命したのはラキオス王だ。いちスピリットが王の決定を覆せようはずもない。
結局は彼が隊長としてまともになってもらうのが一番現実的な選択だった。そのために自分がこんな事をしなければならないのは、ニムントールではないが面倒で仕方がない。
仕方がないが、やるしかないだろう。
適任者が私しかいないのだから。
まず未熟な年少組は除外。エスペリアは彼の代理で雑務に忙殺されている。ハリオンとヒミカは年少組の面倒を見なくてはならないし、神剣の形状が違うために彼に剣を教えるのに向かない。
ファーレーンはニムントールの育成と別任務があるし、第一こちらの隊に正式な配属がされていない。アセリアは教える側には向いてない。そしてナナルゥはそもそも剣の扱いに長けてない。
一方私はそこそこの経験もあるし、剣を扱えもすれば教えることもできる。消去法でいっても私しかいないのだ。
それに、エスペリアに聞いてしまった。彼の現状を。
彼は、私達と同じようにヒトに戦いを強いられていた。妹を人質に取られ、「求め」によって王族に逆らえないよう強制されている。
やはり彼はヒトとは違う?
彼は、私達にとても近い――
セリアはそこまで考えて、悠人に傾きかけた思考を中断した。
だから、という訳ではない。
これは同情なんかじゃない。
彼の強化はあくまでも部隊全体に関わる重要事項なのだ。
だから真剣に検討もするし、付き合いたくなくとも付き合わなければならないのだ。
「……ア、……リア…」
なんか耳元がうるさい。
「…リアってば……ーい」
吐息?が耳にかかった。
「…んっ」
くすぐったくて、思わず声が漏れた。…って
気がつくと彼が耳元で何か言っていた。文字どおり「お互いの息がかかる距離」だ。
ずざざっ!…ちゃきっ
「な…な、なにしてるの!」
一瞬で間合いを取って、剣を抜き、かまえた。まずい、少し赤くなってるかも、顔。
彼もずいぶん慌てていた。
「うわ、ま、待ってくれよ。呼んでも反応なかったし、どうしたのかなって…」
「だからって、そんなに近づかなくてもいいでしょう?」
思わず、睨みつけた。心は平静を取り戻すことに必死だ。
「と、とにかく悪かった。落ち着いてくれ」
とにかく、何とかこの場を切り抜けなくては…
「き、休憩は終わりです!訓練を再開しますっ!」
「待ってくれ。準備がまだ――」
こうして訓練は再開された。
支援?
602 :
革命の人:2005/09/18(日) 04:18:37 ID:X2OVLmhQ0
594
タイトル違いますね…すいません。
>>597>>601 助かります。
とりあえずここで終了です。
他キャラとの掛け合い考えたんですがムズイです…
名前欄が毎度ちゃんと入らないですね
名前入れる時コピペとかだとダメだったりってしますか?
>>586 ここで紹介した以外のスピリットも出てくるとあったから、多分登場する。
>>590 ホントの発売日は3日後です
604 :
300:2005/09/18(日) 12:12:32 ID:4SRcYAXd0
605 :
300:2005/09/18(日) 12:13:13 ID:4SRcYAXd0
やべ、誤爆。
内容的には間違ってないような気もするがw
607 :
革命の人:2005/09/18(日) 17:43:15 ID:X2OVLmhQ0
>>606 アドバイスありがとうございます
申し訳ない…なんか一番最初の頃から間違えていたみたいです>タイトル
一応誤字修正依頼と合わせて連絡スレで報告してきました
未熟な身なれど、頑張っていきますんで
これからもどうかよろしくお願いします>ALL
こうやって、何も知らない初な青年を仕込んでいくのですね。キャァー
「ユートさま〜、ほら、この棒をですね『求め』さんに括りつければ〜。ほ〜らカッコイイ槍にだいへんし〜ん。
さぁさぁ私がいっぱい教えてさしあげますぅ〜〜」
「ちょっとハリオン。モップの柄どこやったのっ!?」
そんなことよりもみなさん、ちょいと聞いてくれよ。ロウエタの野望とはあんま関係ないけどさ
昨日、ちょっとオルファちゃんと遊ぼうとラキオス城の第一詰所行ったんです。第一詰所
そしたらなんか皆出払ってるらしくて誰もいないんです
で、仕方ないから第二詰所でお茶(ナンパ)でもしようと思って第二詰所行ったら
なんか悠人がいて、その両脇にネリーちゃんとシアーちゃんがくっついてるんです
もうね、アホかと。馬鹿かと
お前らな、いくら自分たちも暇だからって悠人にくっついてんじゃねーよ、ボケが
俺のところに来いよ。俺のところ
なんか遊ぼう遊ぼう言われて照れ気味だし。メインヒロインはすっぽかしか。おめでてーな
「しょうがないな」って、わざとぶっきらぼうに言ってるの。もう見てらんない
お前らな、ヨフアルやるから俺に従えと
スピリット隊ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ
テーブルの向こうにいるスピリットがいつハイロウ展開してもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。キングオブヘタレはすっこんでろ
で、館の食卓まで来たかと思ったら、料理してたヘリオンちゃんが、目の前の俺を無視して
「ゆゆ、ゆ、ユート様!あの、これ、味見してみてくださ〜い!」とか言って走っていくんです
そこでまたぶち切れですよ
あのな、同じエトランジェである俺を無視なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが
味見希望なら複数の人に言うべきだろ
お前は本当に悠人に味見をしてもらいたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい
お前、悠人に会いたいだけちゃうんかと
スピリット通の俺から言わせてもらえば今、スピリット通の間での最新流行はやっぱり、
訓練、これだね
訓練の後に成績の悪いドジスピリットを慰める。これが通の誘い方
訓練ってのは神剣を使って斬り合う。それで鍛える。これ
で、わざと本気出してコテンパンにして、その後泣き崩れる彼女をやさしく慰める。これ最強
しかしこれを実行するとどこからともなく雷鳴が轟き黒焦げになる危険も伴う、諸刃の剣
抵抗の低い可燃物にはお薦め出来ない
まあ取り残された俺は、ツンデレ少女のニムントールちゃんでも次の標的にするってこった
ズドーン バリバリバリ・・・(完)
'´ ⌒ヽ
〃∩ ! ソノノ~)))
⊂⌒~人リ゚ ー゚ノiゝ
`ヽ_っ⌒/⌒c ハイハイ サケビサケビ
⌒ ⌒
私の可愛いニムは一番最後なのですねコーインさま。
ちょっと安心しましたが、そこはかとなく許せません。夜道には気をつけてくださいませ――匿名覆面より。
スピたん、気になる一点はクォーリンが出るかどうか。
それだけに尽きる…というのは漏れだけかorz
>>609 ワロタw
きっと今日子の作った牛丼を前にそんなこと話したんだろうな
>>612 俺も激しく気になるぜ
「ユート君。もうね、ユート君に逢えなくなるみたい」
湖の見える高台。何度となく繰り返した偶然という名の逢瀬。
今この瞬間も、湖の水平線に沈む太陽をふたり並んで見つめながら、ベンチに寄り添い座っていた。
そして、どちらからともなくその手を求め合うはずだった。
しかし。
「な、なに言ってんだレムリア? い、いきなりどうしたんだよ」
突然の言葉に驚いて悠人は、隣のレムリアを見る。その横顔も艶めく黒髪も、夕日に照らされオレンジ色に輝いていた。
レムリアはゆっくりと首をめぐらせ悠人に真っ直ぐな顔を向けた。悠人を映し込んだ黒い双眸。憂いを秘めた眉。
悠人は今さらながらに今の状況を忘れて、その凄艶さに胸を高鳴らせてしまう。
「えへへ。ごめんねユート君。わたしのお父さんね……この前ね死んじゃったんだ。…………事故で。
だから、わたしが家を支えなきゃいけなくなったんだよ」
レムリアは目を逸らさずに言葉を続けた。けれど、最後には耐えきれなくなったのか、揺れる眼差しを湖へと移した。
住む世界の違い。そんな言葉が何故か悠人の心をよぎる。
「レムリアのお父さんが……」
「うん。だからね、近いうちにこの街から出ることになったんだ。だから、残念だけどお別れ」
目の端が光る。赤い、ほとんど水平に差し込む光が、透明な滴(シズク)の表面に跳ねた。
つつけば、崩れ落ちてしまうのではないか、そんな危うい脆さの笑い顔が、悠人の胸を苦しいほどに締め付ける。自分の無力さが恨めしかった。
「マジ、なのか。もう逢えないのか?」
「うん。もう無理。だから、運命はね、ここでおしまい……なんだよ」
たっとベンチから飛び上がったレムリアは、つま先でくるりと回ると、夕日を背にして悠人の正面に立ち腰をかがめた。
…………昏い影が、悠人に仄かな余韻を残して、すっと離れていく。
「こう言う時、ユート君の国ではなんて言うのかな。さよならだから、指切り、もう出来ないね」
「レ、ムリア…………」
レムリアの顔がよく見えない。昏くて遠くて、まだ目の前にいるのに既に届きそうもなく感じる。
まっ黒なシルエットが後ずさりし、空気を震わせる。
「じゃあねユート君。…………いつかまた、逢えるといいね」
きらめく雫を散らし、そのまま駆けだしたレムリアの後を、悠人は追うことも出来ず呆然と眺めていた。
石壁に穿たれた、切り取ったような狭く昏い階段へレムリアは消えていく。
必殺の構えで待ち受ける黒スピリットにも、爆炎の火壁にも怯むことなく踏み込んできたはずの両脚は、体の芯から降りてきた震えに萎えきり、
立ち上がることすらできなかった。
一瞬の触れ合いの名残はあっけなく消え去り、悠人はしばらく呆然と座っていた。空では一番星が輝き始め、次々と生まれでた新たな光が宵の残光を追い出していく。
悠人は顎を上げ、ベンチの背もたれに両手を投げ掛けて、ただ、上を向いていた。濃紺の空に散りばめられた幾千の星芒が、悠人の瞳に降りそそぐ。
そのまま動かない悠人の上で天上の星は瞬いていたが、悠人の瞳は瞬くことはなかった。
それは――――地上の星が、零れ落ちてしまわぬよう。
数十分はそうしていただろうか。
悠人は、ようやくのろのろと動き出した。階段へ消えていったレムリアの残影を追い求めるように、視線をゆっくりと、ぽっかりと空いた昏い階段口へ向けた。
のらりと立ち上がり、一歩二歩とふらつく足取りで歩く。星影の中、視界の隅に何かが映える。石畳の上に何か白い物が。
物憂げな仕草で、屈み込んで手を伸ばす。拾い上げたそれは小さなカードだった。星明かりにかざすと、かろうじて読みとれた。
そこには、こう書かれていた。
“ラキオスヨフアル本舗 ”
ヨフアル食い倒れ大会三連覇 レムリア殿
総合記録1024個 【進呈】《終身三割引券》
“ ”
――――レムリア……これを持っていれば、いつかまた逢える。そんな気がするんだ。
運命の糸は、まだ切れてはいない。そう胸に刻んだ悠人は、カードを握りしめながら空を見上げると、レムリアの笑顔を夜空に思い描いた。
遠くには微かな波の音が聞こえていた。
シリアスだと思った人スマソ。いえ、本人達にとっては十分切実な事でしょうけどw
ということでカナリお久なネタ書きでした。
>>616 すみません、「事故」でイキナリ吹き出してしまいました。というか「事故」だったんですか、アレw
二人の絆は決して見えない赤いヨフアルで結ばれて……(違
きっちり2^10個なのが何とも。食べすぎです殿下。多分参加していたハリオンも呆れた事でしょう。
乙です
最後の最後でずっこけましたw
間違いなくラキオス…いや、ファンタズマゴリアのギネスですね
よーっく考えてみるとスピリット達は、皆何がしかのギネスは狙えそう…
米粒に文字書いたりしてるアセリアとか想像した
>>609 欠如……足りぬこと……それは補完を呼ぶ(違
「少々お待ち下さい、ユートさま。こうして『赤光』を細く削れば『求め』みたいに……」
「わああちょっとヒミカさぁん! 『失望』で削らないで下さいよぅ〜!」
「……皆さん、何をしているのですか」
「ナナルゥ、そう言いながら『月光』ガメないで」
更に間違えた……
>>608です。ハリオンのエレメンタルブラスト喰らってきますorz
ヽ)/ ヨフアル食い倒れ大会 歴代総合記録 (備考)
∠´ ハ`ゝ 第1位 レムリア 1024個 誰もが認めるチャンプ
彡//ノハハ〉 . 第2位 ハリオン 965個 笑顔のまま昏倒しリタイア
ゞ(リ;゚д゚ノ! ナンダコイツラ・・・ .第3位 オルファリル 610個 口直しにネネの実を持参したため記録伸びず
/¶.くVゝ¶\ 第4位 エスペリア 592個 持久力はあったがオルファリルのリタイアとともに撤退
/ | |゚/ ̄ ̄ ̄ ̄/ .第5位 異国の匿名巫女 477個 記録こそあるが誰も彼女を覚えていない
__(__ニつ/ 求め /____ .第6位 シアー 302個 途中で吐いてしまいリタイア
\/____/ 第7位 ネリー 289個 替え玉疑惑アリ
カタ .第8位 ヨーティア 255個 消化剤を忍ばせていたため反則
カタ .第9位 ヘリオン 238個 180個目でダークスプリングしたせいで暴走しリタイア
第10位 アセリア 201個 無言で食べ続け無言で倒れる
・
・
・
>>616 お城に戻った女王様。夜風に吹かれて寂しげな微笑みひとつ。
「あ〜あ、これでユートくんともお別れか...残務処理は山積みだし、
これから先、残された楽しみと言えばこの...あれ?無い!?た、確か左のポケットに...
ま…まさか、落としてきちゃったの〜っ!?いやあっ、そんなあぁあぁぁ〜〜〜っっ!!!!」
「じょ、女王陛下がご乱心だっ!だっ誰かっ、誰かおらぬかっ!!」
>>622 ネリーの替え玉疑惑とか軽々しく言わないように。
またあのツンデリストが妙なSSを書いたらどうするんだ!(←他人の事が言えた義理か
>>616 うはw、乙〜
うん、こんなオチがむしろ相応しい。「レムリア」だからなw
>>623 セリア「ク…く…くーるなわたしにはヨフアルも似合うよねー(にぱっ)……
……………(ボッ」
ということか?w
「ふぅふぅ……セ、セリアぁ、アタッカー替わって〜」
「もう、考え無しにブラックスピリットに何度も斬りつけるから……今回だけよ」
「うんっ! でもあのね、ユートさまには内緒だよ。恥ずかしいからぁ」
「……無茶言わないでよ、ディフェンスのユートさまに気づかれない訳ないでしょ」
「だいじょぶだいじょぶ。あのね……ゴニョゴニョ……」
「え゛」
〜戦闘中〜
「いくぞ! みんな!」
「了〜解っ!すべてを凍らせ動きを止める、ネ……セリアみたいにくーるな女にぴったりよねっ!」
「…………は?」
「いくわよっ! 熱……じゃなかった、『静寂』、力を貸して!」
「へ? へ?…………」
〜戦闘後〜
「なぁエスペリア……俺、疲れてるのかな」
「ど、どうかしましたかユートさま!?」
ツンデリストすげぇ…。たったこれだけのネタでここまで…。
セリアがくーるな女とか言ったら、驚天動地の衝撃だろうなぁw
とにかく、GJ!と。
現在の状況
ヽ)/ ,べV , ヘ _
∠´ ハ`ゝ / 〃  ̄ ヾ; 〃 ' ヘ ヘヽ
彡//ノハハ〉 ! i ミ(ノハソ ノi ミ从l~iルソ
ゞ(リ;゚д゚ノ! !ik(i| ゚ -゚ハ (((ヾ(i|゚ ヮ゚ノi|
<´ii Yliン, リ⊂》|Tリつ 从i⊂》|Tリつ
U |.Tii< く/|_ノゝ く/|_ノゝ
<_ノ_jイ_ゝ. し'ノ し'ノ
>>624 「おい、セリア!顔色悪いけど大丈夫か!?」
「う、ふふ・・・くーる・・・くーるなんだから・・・」
「顔も真っ赤だぞ。おかしいな、ヨフアル大会にセリア出ていないのに。
エスペリア、どう思う?」
「何か無茶な事でもなさったのでしょうか?先ほどからうわ言のように・・・」
「『くーる』と。まるでネリーだな」
「もう・・・立ち直れない・・・・・・」
戦闘シーンテンプレAA(PS2版)って需要ある?
なんとなく(雑に)作ってみたんだけど
630 :
本スレ300:2005/09/20(火) 21:14:38 ID:fqC80RKQ0
「セリアぁ、まだぁ〜?」
「ネリー、途中で出たらノーカンですよ」
じりじりと身を捩らせながら汗まみれで身もだえするのは『静寂』のネリー。
どの辺がくーるなのか判らない、むしろ対極に位置するような判り易いお元気娘。
一方冷静に突き放し、目を閉じたままじっと耐えているのは『熱病』のセリア。
くーるというのは正に彼女にこそ相応しいかもしれないが、
面と向かって言えば逆鱗に触れる事火を見るより明らかな、複雑なお年頃のツンデレである。
ランサ防衛戦が開始されてから早数週間。ここラキオスに残っているスピリットは少ない。
特に対魔法防御の要であるブルースピリットは忙しく、こうして四人が揃うというのはかなり珍しい事だった。
「…………ねぇねぇ、ノーカンってなぁに?」
「ん。シアー、ハイペリア語で無効、という意味だ」
ふわふわと平和な声でのんびり夢見心地なのは『孤独』のシアー。
南アルプス並みに純天然系な彼女は雑魚という境遇を身を持って具現している。
そして確か主役である筈の『存在』のアセリア。
たまにどこかへ逝ってしまうという癖があるが、どうやら今はまだまともに答えているようだった。
砂漠の戦いは過酷だ。無限に降り注ぐ紫外線。埃っぽい、焼けるような空気。……ついでに、極端に低いマナ。
あまり大声では言えないような所にまで掻いた汗が接着剤の役目を果たし、敏感な部分まで砂塗れになったりする。
更に四六時中浴び続けた紫外線との相乗効果によって、戦う乙女の柔肌には笑えない、深刻なダメージがあった。
繰り返して言うが、砂漠での戦いは過酷なのだ。特に、お年頃の娘達にとっては。……ついでに、戦う事にも。
「え〜! も〜ネリー我慢できないよぅ!」
「…………ねぇねぇ、なんでアセリアがそんな事知ってるの〜?」
アイスバニッシャーやエーテルシンクを唱え続けてカラカラになる喉。
しかしマナを犠牲にしてまで得た水分(氷)は、いつも虚しく敵へと飛来して行ってしまう。
「ん……カオリに聞いた。ハイペリアの古い諺」
「……アセリア、子供に嘘を教えないで」
一度など、あろう事か砂漠でヒートフロアを唱えた敵が、汗を掻きつつ頭を下げてそのまま撤退していった。
だから謝るなら、最初からアタッカーにレッドスピリットも居ないのにヒートフロアなど唱えるな、と。
熱の篭ったままの砂を握りしめながら、小一時間問い詰めたかった。
「ネリー、あと少しだ」
「ううう〜。ホントにこんなんでイイおんなになれるの〜?」
蜃気楼が揺らめく景色の中に、独り元気良くレジストで切り込んで行くハリガネ頭に
何度『熱病』を直撃させたい誘惑に駆られた事か。気づくと薄っすらと微笑んでいる自分が怖かった。
「煩いわね。イヤなら出てもいいのよ。イ ヤ な ら」
「セ、セリア何だか笑ってるよぅ……」
「セリア、少し落ち着け」
「しょうがないでしょう! 暑いんだからっ!!!」
がばっと立ち上がった拍子に、巻いたタオルがぱらり、と落ちる。散らばる蒼い髪。
うっすらと玉のような汗が滑り落ちる火照った全身を隠しもせず、セリアはすっぽんぽんでアセリアを睨みつけた。
エーテルジャンプでほぼ同時に帰還したセリア達ブルースピリットは、
まずはこの気持ち悪く肌に纏わりつく汗と砂を何とかしようと浴場に飛び込んだ。
そこでこの施設―――サウナ風呂―――に遭遇したのである。丁度出てきた『理念』のイオがつやつやとした肌で、
「健康に大変優れた効能を発揮いたします。お肌にもよろしいようですよ」
などと微笑んだのは、たった今お肌に劣悪な環境から帰還した乙女達にとって、抵抗出来ない囁きだった。
とはいえ灼熱の砂漠から帰還していきなりの蒸し風呂直行。少女達は明らかに選択を間違えていた。
という訳で、只今四人はイオの言うところの三分間を必死に耐えている真っ最中なのである。
「ってうわわセリア、全部見えてるよぅ〜」
慌てて目を両手で覆うシアー。もち肌というのか、ぷにぷにとした白い腕に汗が浮かぶ。
タオルの奥からはぷるん、とささやかな膨らみが拍子に持ち上げられ、意外にボリュームを形作っていた。
「うわ〜、せくしぃ!」
恐れを知らないネリーが仁王立ちのセリアに興味深そうに近づく。ポニテがすっかりお尻の方まで貼り付いていた。
「ね、ね、ネリーもこんくらいになれるかなぁ?」
ぷにぷにもみもみ。
「きゃっ! ちょ、ちょっと止めなさいネリー……んっ!」
ふいをつかれ、ネリーの両手で整った胸をすっかり蹂躙され、揉みしだかれてしまうセリア。不覚にも声が色っぽい。
「あ……だめ……ふぅっ……」
こりっ。
「……あれぇ? なんか硬くなってきたよ?」
「セ、セリアどうしたの〜? お顔真っ赤だよ〜」
ネリーの絶妙ともいえる力加減に抵抗力が抜けてしまう。敏感になってくる先端がしなやかな手に擦れて痺れる。
ぴくんぴくん、と身体が跳ね上がり、その都度体温がどんどん熱くなっていく。ぼぅ、としてくる頭。
「イ、イヤ……もう……」
「……セリア、わたしと違う。濃い」
「はぁーっ……って何がよっ!!!」
じーっと下の方を見ていたアセリアの一言に、セリアはようやく我に返り、慌ててタオルで前を隠した。
かぽーん…………
「全く……危なかった」
「…………痛いぞセリア」
「口は災いの元っていうの。『熱病』で膾にしなかっただけ感謝しなさい。もう、髪が乱れちゃったじゃないの」
ちっとも痛そうじゃない表情で頭を擦るアセリアに、頬に張り付いた前髪を気怠い仕草で払うセリア。
「ネ、ネリーだいじょ〜ぶぅ?」
「痛たたた……もぅ、酷いなぁ。ちょっとふざけただけじゃん」
大きなコブを貰ったネリーがうー、と少し恨めしそうな顔で見上げてくる。
セリアはちょっと溜息をつき、ネリーの隣に座り直して真面目な顔を作った。
「いい、ネリー。そう簡単に人の身体を触らないの。びっくりするでしょう?」
「え〜? だってだって、ユートさまはいつも嬉しそうにしてくれるよぉ? ね、シアー?」
「う、うん……ダメなのぉ?」
「(#あの男は……)そ、そうね、でもそうじゃない人もいるのよ。憶えておきなさい」
「…………セリアは、嫌なのか?」
「え? わ、わたし?…………う゛」
じーっと全員に見つめられて、セリアは詰まった。大体、こういうのが苦手なのだ。
幼い頃から誰かさんに話しかけてもマトモなレスポンスを期待出来なかった環境が、彼女の人格に深刻な影響を与えていた。
相手が何を考えているか判らなくなり、ついには話しかけるというコミュニケーションに何も期待しなくなったのである。
三つ子の魂なんとやら。必要な時以外、誰にも何も期待しない、それが幼年期に於いてセリアが学んだスタンスだった。
今ではすっかり防御的になり、何かを自分から他人に持ち掛けるという行為自体を放棄するようになっている。
警戒が先に立ち、つい相手の顔色を窺って表情が強張ってしまうのが本当は良くないとは思ってはいるが、
昔叩き込まれた癖は今更直しようもない。だからこそ人に物を教えるとかいう事態を出来るだけ避けるようにしてきたのに、
よりにもよってその性格を創り上げた張本人に問い詰められてしまうとは。そっと緊張で強張った二の腕を掴む。
セリアは幼いネリーとシアーの無垢な瞳に混じって捨てられた子猫のようなアセリアの顔を心底恨めしく思った。
「セリアぁ、イヤ……だった?」
「ごめんなさい……知らなかったの……怒らないでぇ……」
暫く無言で複雑な表情を浮かべるセリアに、敏感に何事かを感じたネリーとシアーに広がる不安の気配。
縋るような視線に、セリアはマズい、と思った。ここで対応を間違えれば、二人共自分みたいになりかねない。
サウナの暑い空気で掻いたのとは別の冷たい汗が、追い詰められたセリアの桜色に染まった背中につつーと流れる。
仲間を犠牲には出来ない。わたしみたいなのは一人でいい。ここでもそんな彼女の几帳面な義務感が頭をもたげた。
「そ、そんなコト、ないわよ…………う、う、嬉しいかな、わたしも」
「……………………」
「……………………」
引き攣った頬の筋肉を懸命に持ち上げ、微妙な笑みを浮かべる。それだけで、胸が大きく波打った。
しゅーしゅーと、どこからか聞こえてくる水蒸気の音。セリアには、この時間が無限に続く拷問のように思えた。
間違ったコトを言ってしまったのだろうか。そんな不安が頭をよぎる。三人の顔色からは、何も読み取れない。
元々他人の顔色から何かを判断するなどという高等技術は持ち合わせていない。そんな事誰も教えてくれなかった。
昔のアセリアの顔をふと思い返しながら、セリアは無意識に長い後ろ髪を弄っていた。すっかり痛んでしまっていた。
「……よしっ! 三分経ったぁ!」
突然文字通り『静寂』を破るネリー。
いきなり立ち上がった彼女のスレンダーな身体を見上げながら、セリアは目を丸くした。
「もーいいんだよね、セリア? おッ先ぃ〜!!!」
「え? さ、三分? え? え?」
「ふああ〜。暑かったよぅ〜」
上擦った返事よりも早く飛び出して行ったネリーの後を、シアーがぽやぽやと追いかける。
タオルの裾から零れた二人の白く瑞々しいお尻をセリアは呆然と見送った。隣で、すっとアセリアが立ち上がる。
「ん。セリア、行こう」
差し伸べられる細い腕。華奢なそれをじっと見つめていたセリアは、暫くしてやっと一言だけ口にした。
「ねぇアセリア……わたし、間違ってたの?」
「ん? 時間、ちゃんと数えなかったのか?」
「…………お願い、少し一人にして」
不思議そうに首を傾げるアセリアに、セリアはそれだけを告げるのが精一杯だった。
頭に疑問符を浮かべながら、アセリアがサウナを出て行く。
(そう、わたしみたいなのは一人で、いい……んだから…………くすん)
ぱたん、と空気が漏れるような扉の音を聞いた瞬間、小さな鼻がぴくん、と動く。華奢な肩が微かに震えた。
そうして人差し指で椅子をぐりぐりと突付きながら、セリアの両目からぽろんと二つ、大粒の涙が零れ落ちました。
かぽーん…………
「きゃはは〜! 行っくよ〜……えいっ♪」
暫くイジけていたセリアは、ふと外の騒ぎに顔を上げた。どうやらネリーが大声ではしゃいでいる。
「…………何の騒ぎかしら」
センチな気分を振り払い、気を取り直して立ち上がる。髪を後ろで纏めながら、サウナの扉に手をかけた。
ばたん!
ノブを捻ろうとした所で、いきなり勢い良く扉が反対側から開かれる。セリアは驚いて咄嗟に後ろに数歩下がった。
「だから裸で抱きつこうとするなって! どうしてこうみんな、自覚が無いんだ…………って…………」
「………………」
飛び込んで来たのは通称ヘタレエトランジェ、高嶺悠人。スピリット隊の中でもユウジュウフダンで有名な男である。
もっとも彼以外に男性はいなかったので、スピリットの方が刷り込みというか経験不足というか入れ食い状態なのだが。
とりあえずこの場合、悠人はサウナで仁王立ち(そう見えた)しているセリアを見て青くなった。
気のせいかいつもより何割か増しで冷え切った蒼いマナが周囲に充溢している。
「うわっセリア! ち、違うんだこれはっ! たまたま気づかなくって! ゴメン、すぐ出ていくからっ!」
慌てて出ようと背中を向ける。しかしその腕が思いがけない程強い力で引っ張られた。
「なっ…………うわわっ!」
バランスを崩してそのまま壁にぶつかる。すれ違ったセリアが素早く後ろ手に扉を閉め、そのまま睨みつけてきた。
「………………」
「う、い、いや、その……」
閉じ込められ、悠人は狼狽の声を上げた。無言のセリアから、何か尋常ではない空気を感じる。
ほんのりと紅色の肌には満遍なく汗を貼り付かせ、前髪で隠れた表情からは顔色が窺えない。
タオル一枚で身を包んでいるすらっとした身体から、色々な意味で目が離せなくなった。
胸の辺りの意外と大きい形の良さそうな膨らみや、太腿の眩しい白さについ目を奪われてしまう。
正に戦慄を覚える美しさと艶かしさ。ごくり、と悠人の鳴らした喉の音が、狭いサウナに大きく反響した。
「………………」
セリアは見ようによっては凄惨な笑みを浮かべたまま、すたすたと近寄ってくる。
悠人は目をぎゅっ、と瞑った。遠くの川越しに婆ちゃんが手を振っている光景を思い浮かべながら。
「へ…………?」
ふわり、と良い匂いが鼻を掠める。悠人は一瞬何が起きたか判らなかった。
長いセリアの後ろ髪が、勢いで肩口辺りに絡みつく。胸板に感じる熱く柔らかい二つの膨らみ。
内股に、バスタオル越しに感じる火照った体。背中にも汗で滑らせた細い指の感覚。
悠人はようやくセリアに抱き締められていることを理解した。
「ちょ、な、何を……!」
動揺して、上擦った声が漏れる。戦いで疲れきった体にこの刺激は強すぎた。即座に反応する、ある一部分。
慌てて引き離そうとするも、セリアは同じ力でしがみついて来る。
「……セリア?」
「…………嫌、ですか?」
細い体が震えていることに、悠人は驚いた。
微かな、掠れた言葉。怯えるような仕草に、ようやく何かあったのか、と思った。
場違いだと判っていても、むくむくと湧き上がって来るいつもの保護欲。悠人はそっとセリアの髪を撫でていた。
「嫌じゃないよ。むしろ嬉しいけどさ……セリアは、本当にこうしたいのか?」
「え…………?」
頭に手を置かれたまま、至近距離で見上げてくる。悠人は照れ臭くなって、思わず顔を背けた。
「いやあのさ、こういうのってされる方じゃなくて、する方の意思表示っていうか」
「意思、表示……? でもアセリアはそんな仕草、昔から一度も見せてくれなかったわ」
「アセリア? ああ……あいつは、なぁ」
扉の向こうを見ながら苦笑する。悠人はセリアとアセリアが幼馴染なのを、ようやく思い出した。
「でしょう? だから、解らなかった。相手が何を考えているのかなんて」
「う〜ん…………それはまた、大変だっただろうなぁ」
アセリアの意味不明な言動や仕草には、振り回されてばっかりだ。小さい頃からそんな状況に晒されていたら。
セリアの普段の態度の源泉が、こんなところにあったのかと妙に納得してしまった。
胸の動悸がとくんとくん、と伝わる。緊張はいつの間にか解けていた。
なんとなく、セリアの言わんとしていることが判ってくる。悠人はもう一度セリアの瞳を覗き込んだ。
「セリアがこうしたいっていうのなら俺は嬉しいよ。……でもセリアは、抱き締められるのは嫌なのか?」
思いがけない悠人の質問に、セリアは目をぱちくり、と一度大きく瞬きさせた。
まだ帰って来たばかりで、埃っぽい悠人の体に自分の髪が貼り付いている。
よく見ると、硬い髪も埃で灰色になっていた。むっと匂う、汗の匂い。
(あ……折角身体、洗ったばかりなのに)
自分から抱きついておいて、そんな理不尽な考えが一瞬頭に浮かぶ。
汗の匂いに、異性に抱きついているという事実に今更気づき、熱くなる顔。
しかし身体はそんな理性とは相反した動きをとっていた。
「…………はい。嬉しい、です」
そうしてセリアは、更にぎゅっと抱き締めた腕に力を籠めた。
“抱き締めるのが”なのか、それとも“抱き締められるのが”か。そこだけを微妙に濁した台詞を呟いて。
……三分間は、とっくの昔に過ぎ去っていた。
いつまで経っても出てこない悠人とセリアに、水風呂に浸かっていたネリーが耐え切れなくなって叫んだ。
「う゛う〜、も〜二人とも、何してるのぉ?!」
ざばっと立ち上がり、サウナの方とざぶざぶと水を掻き分けていく。
「ネリー、邪魔しちゃだめだよぅ……」
口まで水に浸かりながらぶくぶくと泡を立て、寒い筈なのに顔を真っ赤にしたシアーがうわ言のように呟く。
隣でタオルを頭に乗せていたアセリアが、珍しく口元に笑顔を浮かべながらネリーの背中に呼びかけた。
「ネリー、ノーカンだ。くーるな女やり直し」
「え〜〜〜〜?!! も〜本当にこんなんで綺麗になれるのぉ〜!!!」
「ん。三分間我慢するってイオが言ってた」
どぼん、と少々はしたなく湯船に飛び込む音。足元に、四本の神剣が微妙に光りながら転がっていた。
こうして第二詰所のお風呂会は滞りなく終了した。どっとはらい。
641 :
信頼の人:2005/09/20(火) 22:34:54 ID:SVcl+AEH0
途中からセリアに感情移入しすぎました。今は反省して(ry
信頼の人お疲れ様でした。
いつの間にか戦うことがついでになっているのに笑ってしまいましたw
┏━━━━━━┳━━━━━━┳━━━━━━┓
┃ 高嶺 悠人 ┃ 静寂のネリ- ┃ 熱病のセリア .┃(○+ 5)((;:)+ 5 )
┃ 99999/99999.┃ 99999/99999.┃ 99999/99999.┃(◎+ 5)(●+ 5 )
┃━━━━━━┃━━━━━━┃━━━━━━┃
┗━━━━━━╋━━━━━━╋━━━━━━╋━━━━━━┓
.┃(エターナルミニオン)┃(エターナルミニオン)┃(エターナルミニオン)┃
. ..(†+ 5)(∇+ 5)┃ 99999/99999.┃ 99999/99999.┃ 99999/99999.┃
.┃━━━━━━┃━━━━━━┃━━━━━━┃
.┗━━━━━━┻━━━━━━┻━━━━━━┛
Supporter Defender Attacker
∇ ∇ ∇
ヽ)/ ,べV , ヘ _
∠´ ハ`ゝ / 〃  ̄ ヾ; 〃 ' ヘ ヘヽ
彡//ノハハ〉 ! i ミ(ノハソ ノi ミ从l~iルソ
ゞ(リ ゚д゚ノ! !ik(i| ゚ ヮ゚ハ (((ヾ(i|゚ -゚ノi|
<´ii Yliン, リ⊂》|Tリつ 从i⊂》|Tリつ
U |.Tii< く/|_ノゝ く/|_ノゝ
<_ノ_jイ_ゝ. し'ノ し'ノ
┏━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃.∠´ ハ`ゝ..┃みんな、行くぞ! .┃
┃.彡//ノハハ〉...┃ ┃
┃.ゞ(リ ゚д゚ノ!....┃ ┃
┗━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
>>630 ほんじゃ貼っときます。かなり手抜きですが試作型ということで。
いろいろ改良してみてください。使うときはAAE使用推奨です
>>641 スピ達も成人してれば冷えたビールで乾杯できたものをw
それにしても砂漠でヒートフロアなんて嫌がらせ以外の何者でもありませんね。
言い遅れましたが禿しくグッジョです!画像板の色付きセリア(destroy氏作)で一服して下さい。
セ・リ・ア! セ・リ・ア!
もー、セリア激ラヴィ!!
激しくGJでした!
セリアスキーには堪りません。うはー。
ギャグかと思ったら、なにげにしんみり良い話でGJ。
悠人の描写が特にイイ感じ。保護欲が強くなると恥ずかしさが消えて対応できる所とか。
セリア…かわえ〜。
冷静な思考と女の子な感情の狭間で揺れる、お年頃のツンデレですね。
セリア萌えには堪らんSSでございました。
前半の「複雑なお年頃のツンデレ」とか、文章のセンスが秀逸です。
とにかくGJ!
648 :
髪:2005/09/21(水) 01:26:56 ID:jkcUG7V70
osを二年ぶりに再インスト&環境構築中。MSIME使いヅラス。シーゲートHDDあっついよーパパ。
>617
お、おい滅多な事言うもんでねぇ。あ、ありゃ不幸な出来事なんだよ。じょ、女王様の直属隠密スピの手引きだな…あ、ちちがうぞお、おら、なんも言ってねえだっ。
トゥルルル トゥルルルル ビクッ!! し、知らねーぞ、お、おら知らねー。あ、あんたもう終わっただ!!う、恨むんでねーど。
(´・ω・`)? ガチャ 「もしもし、私ファ(ry 今あなたの後ろに(ry」
>618
すいません。たまにはずっこけない話を書きたいのですがw
ギネス…あの寸胴振りも十分ギネス級……トゥルルルル ヒ、ヒィィ
>622
これがラキオス公認の人気投票を兼ねてます!……いえ、なんでもありませんorz 今日も熾烈なランキング争いが繰り広げられていることでしょう。
ネネの実大食ならオルファでガチ。
>623
そんなときこそ、ヨフアルがいつも用意してあれば多い日も安心。国庫への負担を減らすためにも取り戻すのはお早めにw
>624
レムリアだって、レムリアだって、女の子だもんっ。
ヨフアルでしか語られない女王陛下に栄光あれっ〜〜
>641
本当は、もう熟れごろなのにいまだに枝から落ちないようにガンバルセリアさん。カップめんのびちゃいましたよ〜。
やはり結局セリアの資質に問題があるのではツンデレ。
ところで青スピには蒙古斑があるって、アセリアのハイペリア薀蓄コラムで読んだんだけどどうなんでしょうか隊長。
649 :
革命の人:2005/09/21(水) 02:12:31 ID:Su7ULdAz0
>信頼の人
乙です。あなたの中にはこんなセリアが住んでるんですか、羨ましい…私に下さいw
>髪結いの人
いえいえ、あなたのずっこけはこのスレの貴重な清涼剤です
でも違ったスタイルの作品も私としては見てみたいです
えー、ちなみに低発熱なHDDのおすすめは日立かWDあたりですね
これ以上はスレ違い
イビルルートで凌辱すると
セリアが幼児退行するって本当ですか?
デンジャーにモエなのですが
誰か詳細を教えてぷりーず
今からでも遅くない、KOOLにソゥ・ユート!
>>650 んー、今ちょっとシーン再生してみましたけど、そんな事ないとは思います
でも、口調は舌足らずな感じにはなってました…
あくまで私見ですが
>>651 そーデスか……求めタンのバカバカバカヘタレ触手ーッ!ウワアァァン!
>641
ヒートフロアハゲワロス
ネリーのくーるなイイオンナへの道はまだまだ長いねぇ…
いや、大丈夫だ、ネリー。ほら、無印の頃はセリアそっく(バニッシュ
>>641 ラストの大人の対応をするアセリアとシアーがナイスです
「くーるな女やり直し」のアセリアが非常にくーるw
それにしてもセリアー!セリアァー!
もう何も言う事はありません、GJ!!
>>650 子供のように泣きじゃくるって描写はあったような?
触手に絡まれているセリアはそれはそれで美(ヘブンズry
OHP更新!ヒミカおぱーい結構あるじゃん!バトルも面白そうだし。
ミュラーは片腕、つーこのスレのイメージがあって、キャラ紹介見たときに思わず、
「あ!腕がある!」とか思ってしまった。
年少組しか紹介ないけど、みんなオサレになってるね。
公式ページキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
剣聖様、服装エロすぎ
光陰老けすぎ
ファー姉さん、覆面してねぇ?
なんかサルっぽくなった>光陰
やはり中の人がサイヤ人の超エリートだとサル方向に引っ張られるのか?
ニムの違和感がぬぐい去れん……なんだろ、髪かな?
なんか戦闘スタイルがディスとかファントムなんとかみたいな感じだな
それはそうとヘリオンが「アセリア」の時より若く見えr(星火燎原
やっぱりシアーの方がおっぱい大きい(*´Д`*)
662 :
エロ大王:2005/09/21(水) 16:47:03 ID:IntDVtK/0
>>614-
>>615さん
激しくワロタwww
>>622 テラワロス
>>631-
>>640信頼の人さん
乙です、セリアのビーチクの感度良好!!ハァハァ
ところで以前の
>>541の画像は保護しましたか?>ALL
公式のトップの絵の、一番左にいる女の子誰?
まさか・・・エターナルにためにやっちゃって、その時に妊娠し
ユートと時深の間に生まれた悠深ちゃん(仮名)か!?
双子の時人くん(仮名)も希望
公式見てきた
そのなんだ、サンプルCGとか戦闘画面とか見たが
ザウス 忘れてないよな?
セリアの文字がどこにも見えないのだが!?
出てきてくれー!出てきてくれないと再生の剣に戻っちゃうぞ!
ps2版のエンディングでセリアだけCGに映ってなかったしな
頼むぞザウスー!
・・・まさか!
ネリーが大人びたと思ったが、実はセリアが若返ったオチn(インパルスブロウ
つかやっぱ新主人公がきにくわねぇ…orz
いいじゃねえかよアナザールートだってよぅorz
分かっている…すぴたちも恋をするということは…
だがぽっと出の少年にその役がいくのは感情が納得できましぇん!!。・゜・(ノД`)・゜・。
新主人公は無論メチャ気に入らんが、絵柄が変わってしまったせいか
スピ達が別人に見えてしまって、拒否感がちと減った。
・・・いいのやら、悪いのやら。
新主人公に流れるのは百歩譲って許すとしても
エトランジェでもなく神剣ももってなさそうな新主人公が
ミュラータンの弟子ってだけで激戦潜り抜けてきたスピたちより強かったら萎えるなぁ
雑魚スピスレには、実に半年振りに訪れる事になるよ。
もう、ここに戻ってくるつもりは、なかったんだけどさ。
スレ住人パワーが健在で何よりですよ。
なしてワザワザ戻ってきたかと言うと・・・
ニムが知らない野郎とヤってるんだよー゜(゚´Д`゚)゜。
誘ってるセリア(セリアだよな、ネリーだったら悲しい)とか
たくし上げヘリオンとか、何やってるのハリオンさん!
ヒミカの前のポジションは俺なんだよ俺!
おちおち永遠の世界に旅立ってられませんよ。
まぁ、このままじゃマナの塵に還るのも時間の問題ですけどね。
にしても、なんとなくショタっぽい主人公だなあ。シナリオが心配だ・・・
それに比べると光陰は渋く、紹介文も格好よく書かれてる。
光陰にライターの自己投影補正でもかかったのか?
なんか新主人公がスピたちを摘み食いしまくる展開なのか?
ヒミカ&ハリオンとのCGとか見るとorz
exの時も思ったけど、今回のを見る限り高瀬氏は完全に身を引いたのか。
正直、かなり残念だ。
>>669 表情的にネリー。セリアはあんな顔しないと思う。
あとそのポジションはお前でも俺でもなく、ソゥユートのポジションだ。
アセリア関係スレ小爆発。
スピ達が、戦後それぞれ幸せを掴んでいくことに異論のある向きは居ないと思うのだけど、それをわざわざメーカーオフィシャルで
我々に見せる必要はないんだよなぁ…………。つーかエロ分は コウイン×キョウコ×クォーリンで 十分じゃまいか。
後は楽しくスピ達のやり取りを眺められればもうそれでザウスGJッ!!なんですがね。
ロティ君には何か秘密があるのではとは思うけどね。
パラレルでもいいからユートが良かった…某月型新作も設定パラレルだからいっそパラレルの方が良かったよぅ!!
多分買わんと思う…でもまぁ、永遠神剣第二章には期待しておこう
>>674 俺はユートがいなくなった後もそれぞれに幸せに生きるスピ達が見たいし、
その幸せの一つが新しい恋なのは別にいいと思うが。
そもそも公式上ユートに惚れてるのはヘリオンだけじゃないのか?
他のスピも好意は持っているだろうが明らかに恋愛感情にまで言ってるのはヘリオンだけ。
他のスピに関しては多分にこのスレの影響があるせいだと思うが。
俺はナナルゥやイオが幸せになら新主人公との仲を微笑ましく見守りたいね。
・・・最大の問題はイオに出番があるか?ですけどw
アセリアとしっぽりヤってますから!!
>>642さん
まぁあの年頃だし普通の女の子ならそんな感じかなとか思ってたらあんな台詞が出てきましたw
>>644さん
ご報告感謝です♪ スッカリ癒されて美味しい麦酒頂きましたw
>>645さん
なんというか、えっとセリアの嵌りすぎには注意しましょう、お互いw
>>646さん
その辺が悠人の魅力というか、相手が弱いと途端大胆になるというか。
個人的にはそれが甘え下手に繋がっているのかなぁとかなんとかかんとか。
>>647さん
「冷静と情熱の間」(違 セリアさん、色々あると思うのです。よく行動見てると情緒不安定だしw
>>648髪結いさん
素直になれずに枝にしがみつく内面には後天的なもの以外の何かがっ!
蒙古斑……ネリーにはありそうですねw
>>649革命さん
ではまずあのハネッかえりを説得して今度の休みにでも二人で挨拶に来なさい。
娘の気持ちが本物ならば二人の仲は許してあげませうw
>>653さん
今でも戦闘チップは区別がつかな(セリアシンク
ネリーもだけど、年少組は焦らずともイイオンナの資質は十分。ゆっくり育てましょうw
>>654さん
水風呂アイスバニッシャーでみんなくーるという事で(ぇ
とりあえず今日子はドコいったんだらう(ボソ
絶対条件は…複数同時攻略はナシ!!
普通ないよね?イービルの印象が強いんだろか。
ハリオンはヒミカの時だけ特別とか…
参加してるけどあくまでヒミカに手を出してるだけとか…
俺は変わりゆくものをスルーしちゃう人なので流れ断ち切って
戦闘のときとかに剣の名前を呼ぶのテラモエス
黒スピ勢とネリー以外に名前呼ぶ奴いるっけ?
それとウルカルートの冥加(漢字これでよかったっけ?)がテラカワイソスなんだが
ウルカはずっとあれでいくのかと思ってた。
新主人公になるのはもういい諦めた。
とりあえず戦闘でスピリット達より強いとか無ければいいや
物語途中で神剣入手なんて萎える事やらないでくれ
とりあえずヒミカの乳が普通にあって安心した俺がいる。
俺の中では無印の乳アリヒミカがデフォなんで、
EX以降のグラフィックはさらしか何かで抑えてるという脳内設定だったんで
実はおっぱいの中身は、蓄えられたマナで、ハイペリアのラクダと同じで、使うと萎びるんだよ!!
だから充足すればバインバインにな(ヒートフロア+ファイアエンチャント)
しかし、けっこー巨乳な希ガス
普通エロゲの続編って言ったら、ego!のIZUMOのように完全に世代交代するか、
主人公はそのままだと思うんだけどねー ファンタズマゴリアにユート残留Endとかで。
まあ、不満タラタラですが諦めるしかないか。
ただ、パッションは何が何でも欲しかったけど、今のままでは予約はしないなあ。
価格設定も強気すぎ。
>>676 >そもそも公式上ユートに惚れてるのはヘリオンだけじゃないのか?
>他のスピも好意は持っているだろうが明らかに恋愛感情にまで言ってるのはヘリオンだけ。
それは正直、今更このスレ住人として何を言っているんだという感じだな(w
恋愛感情がないんだったら、それこそパラレル続編でユートと作っていくのが面白いんじゃないか。
別に前作のエンディングを踏襲する必要はなかろ。
今の所はスルーだが、これからどんな情報が出てくるのやら。
確かに今のところ強烈に惹かれる所はないですねー
と、EXでは企業ブースで炎天下の中、四時間並んだ私が言ってみます
作品の中じゃエターナルは設定上、最強のジョーカーだし
蓋があるからレスティーナエンド以外は登場する事すら絶望的ですねぇ…
…どうしても諦め切れないです
セリアが出てない事にホッとする俺ガイル。
セリアスキーにとっては、セリアは自分ですら対象にしたくないもんなのです。
セリアのデレは家族のスピ達と、ソゥユートに向けられるものなのですよ。
>>685 >恋愛感情がないんだったら、それこそパラレル続編でユートと作っていくのが面白いんじゃないか。
別に前作のエンディングを踏襲する必要はなかろ。
いや、前作のEDを踏襲した正統な続編として出して欲しいっていう意見だっておかしくは無いだろう。
パラレルにすると今後アセリアの続編がなんらかの形で出ても矛盾が生じて、
スピたんの話は全く反映できない・・・なんてことにもなりかねんし。
世界観の広がりっていうものも楽しみにする俺としては前作を完全無視とかはむしろ勘弁。
まぁ何というか流石にこのスレでは否定派が多いな。
本スレとかだと肯定派も少なからずいるんだが。
まぁこのスレの住人でもあるし、気持ちはわからなくも無いけどね。
俺は新主人公が普通に好感持てるいいやつなら全然オケなんだがね。
ナナルゥを幸せにしてくれるかと思うと今から楽しみだよ。
>686
>と、EXでは企業ブースで炎天下の中、四時間並んだ私が言ってみます
くっ、負けた・・・何て熱意だ。自分は三時間くらいしか並んでない。
それはともかく、このまま様子見だね。たぶん、発売まじかになっても様子見だろうけど。
それと、前作の設定を引き継ぐと、最初は一週目だから光陰死んでるぞ。
高瀬氏がいなくなったら、座敷猫氏やりたい放題って感じだな。
たぶん、よっぽど良い感想が出ない限り買わないと思う。高いし。
>それと、前作の設定を引き継ぐと、最初は一週目だから光陰死んでるぞ。
そこはそれこそパラレル(2周目以降)適応で何とか…
なりませんか、そうですか…
いまんとこは買いたいと思える部分が限りなく0に近いんだよな
俺が見たかったのはユートとサブスピたちの話であって新主人公と乳繰り合ってるのを見たいわけじゃないし
年長組の紹介が追加された時から本祭だな、こりゃ。
最初の永遠のアセリアが完成度高すぎたから、どうしてもしょぼく見えるのは仕方ないかなぁ。
今回の新作はちまたに氾濫している、オリキャラ主人公のアセリア二次創作って感じがするのが難点。
正直そこまでするなら、エトランジェ(光陰達)は完全に排除した方が良かったな。
現在は、中古で安かったら試しに買ってもいいというレベル。
やっぱソゥユートがカギなんだな
確かに「アセリア」のストーリー軸上でのサブスピがメインの外伝物の方がよかったかも
・・・なんか哀しくなってきたんでPS2版やってくるわ
俺はむしろ、新主人公なんかよりも、ネリーの乳輪がでかすぎる事に憤慨している。
ふと思ったんだが、あったかもしれないひとつの可能性として女王ルート後のユートじゃだめだったんだろうか・・・
とある事情で聖賢が手元にないとかすれば、ユートの弱体化は可能だし。
俺はニムを二ムだとわからなかったことに嘆いている
>>697 それはオレも考えたな。
例えば、困窮する悠人のためにレスティーナが紹介した仕事というのが・・・とかで。
>>697 一回クリアすると二週目から最強キャラのソゥユート(王女ED)が出現とか…
あったらいいなぁ
ただレスティーナEDだとどのスピがヒロインでもソゥユートが
女王様と別れなきゃいけないからなー
NTR属性の無い人にはちとつらいかも
さて、次スレテンプレ熱烈募集中!
Expansionの時もPS2の時もそうだったが、
スタッフはこのスレを見ているとしか思えないな。
とりあえず詳細不明なミュラー姐さんに萌えときます。
>>702 このスレは見てそうだが、媚びてはいないな。
媚びるんだったらユートハーレムみたいな展開にしそうだし。
まぁクリエイターとしてはそんぐらいがいいよ。
ファンに媚びまくることはいい結果を生まないことも多いし。
まあ、ニーズに答えなかったら売り上げ落ちて採算取れなくなるだけなんだけどな。
エンターテインメントの、しかもエロゲ業界ではそこら辺露骨だし。
2ちゃんの、しかもこの板の総意がアセリアユーザーの総意とは限らないけどね。
実際他スレでは肯定意見も多いし。
まぁ全ては発売すればわかる話ですよ。
とりあえず俺は採算取れないようなコケかたはしないとおもうけどね。
てゆーか、なんだかんだで売れる気がする。
求めたんストラップを賭けてもいい!
否定派でも結局買っちゃう人は結構いるだろうし。>俺とか
ついにOHPで「スピたん」公開!
しかし、主人公はロティ・エイブリス(誰ディスカー?)
登板確定降板未定の我らが愛しきサブスピたちと新キャラに一喜一憂の住人たち
伝えても伝えきれない、けがれなき言葉ははたしてスタッフの心にとどくのか?
困惑と迷走が錯綜する様はヘリヤの道の蜃気楼のごとく
ここは妄想に支えられた世界、第2ファンタズマゴリア…またの名を
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 15
>>701 テンプレ一応作ってみました。
でも次スレ立つまでには公開進むから
改変の余地ありまくりw
みんな騒いでるけど生搾りで既出じゃなかったけ?
主人公が変わること。
CGが公開されたからじゃない?
情報だけだと、誤報や設定変更って事もありえたし
そもそもどんなキャラなのか分からないし。
後は、実際のエチシーンの公開も大きいかと
>703
>媚びるんだったらユートハーレムみたいな展開にしそうだし。
>まぁクリエイターとしてはそんぐらいがいいよ。
まあ、このスレでは大歓迎って訳にはいかんだろ。どう考えても。
率直に言って、このスレがここまで繁盛したのも
ハーレム要素がたぶんに含まれていたのが一つの要因だと個人的に思ってるからなあ。
と言う訳で、俺のストライクゾーンからはかなり外れる。感想待ちだな。
ふと思ったんだが。
アセリアエンド後(ハーレムエンド後でも)が舞台だとしたら、
アセリアは最初からいなかった事になる
↓
セリアは一人で転送され、教育を受けた事になる ↓
あの性格が作られる環境はなかった事になる
で、やや冷めた性格のごく普通の女性として描かれる事にならないだろうか。
まあ中の人がここを見ているなら有り得ないだろうが。そうでなくてもツンデレはメジャーな属性だし。
ただ、そういう形でのパラレルな世界も少し見てみたいと思っている俺ガイル。
すまん、携帯から打ってて改行を一つ入れ忘れた。
いきなり、3Pシーンがあるからな……もう、既にグタグタっぽい……orz
EXは即座に買ったけど、さすがにこれは様子を見なくては。
>>704 うむ。と言うか、媚びてないぞとか言うのは、企業としてはむしろダメダメだろ。
最もウケそうなターゲットに矛先を向けるのが普通。芸術作品じゃないんだし。
とまあ、スレ特有の事情はともかく、うーむ・・・高い値段だな、これは。
タイトルからしてキャラ中心ゲームなのに、新主人公と言う未知要素でこの価格とは。
ザウス、チャレンジャーだな(笑)
おまえらが言いたいのは新主人公の性格に対する懸念だろ
ユート以上のヘタレ希望
↑そうだよッ!完璧超人はイラネ。
妖精趣味である時点でヘタレは確定だな。
く、以前から知っていたとは言え、ユート贔屓の自分には辛い設定だな、おい(泣
Exとこのスレだけが安息の地と言うことか……
他のサイトではほぼオリキャラ主人公だし。
むう、しっかし、なんか絵柄変わったね。変な感じがする。
ハイペリアとファンタにはヘタレか超人しか居ないとおっしゃる
完璧超人は既に光陰がいるからなぁ。本人はあまりそういう面出さないように、わざと幼女ハァハァを前面に押し出してるけど。
まあ主人公のプロフィールを見る限り、将来有望だけどまだ実戦経験は皆無な青二才という印象。
おそらくヘタレだろう…というか周りが歴戦の猛者ばかりだから頭上がらんわな、フツーは。
へタレと言っても君望の主人公クラスは勘弁願いたい
722 :
エロ大王:2005/09/22(木) 06:27:34 ID:9BZ2LfSG0
>>702 自分ザウスの営業の人に教えちゃいましたが、このスレの存在
まだ初出だし、状況はかわる可能性もあるしまだ時間はある。それまでは
『まだだ・・・まだまだおわらんよ・・・』って感じですね
あてんしょん
| ̄ ヽ
|」」 L.
|゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
|とl)
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i|゚ ヮ゚ハ 。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ)) 問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
く/|_|〉
(フフ
____ ________ _______
|書き込む| 名前:| | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,ィ
,べV //
ネリーみたいなくーるな女には / 〃  ̄ ヾ; / ./
sage進行がぴったりよね〜 ! i ミ(ノハソ / /./
!ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
リ⊂}!廿i つベ/
く/Цレ'
し'ノ
とりあえず暫定で
>>707を少しだけ変えてみました。あとずっと気になっていたsageネリーのズレ修正。
何かおかしな点あったら適時宜しくです。
次スレ点呼ネタ案1
各スピリットの新妻風景
例:「オサイフは持った? ハンカチは? あ、ほらネクタイ曲がってるわよ。もぅ、襟もちゃんと伸ばしなさい」
エプロンで手を拭きつつ、ぱたぱたと玄関にかけて来て勝手に身の回りを世話するセリア。 <1>
しかしメインスピの誰が消えるルートなのか知らんが
誰が消えても大問題だよな、アセリア居なくなったら
戦力的にやばかろうし、エスペリアがいなくなったりしたら
もう目も当てられない状況になってそうだし。
誰がメインスピ達の頑張り分を貰うことになるんだろう。
ユートの頑張り分はコウインが貰ったっぽいけど
新主人公でやるならキャラ全部入れ替えて欲しかったよ
前作キャラはゲストみたいな感じでチョイ役で登場、みたいな
スピたんからの新キャラがいまんとこ主人公だけってのはな…
ヒロインに新キャラは居ないのか?
>>729 巫女服みたいなのを着てる左右の目の色が違う女の子がいる
名前は確か「ツェナ」だったかと
前のレスでもあったけどコーインはいかにも作者投影が入りそう。
紹介文がアレ過ぎ(w しかも、主人公との対比が露骨(w
>新主人公でやるならキャラ全部入れ替えて欲しかったよ
>前作キャラはゲストみたいな感じでチョイ役で登場、みたいな
右に同じ。雑魚スピは借りるけど、主人公だけは交代なんて意図が分からない。
どんなエロゲかと。
雑魚スピが登場したらいいって物じゃないんだけどなあ。
なんか、ヒロインが総勢10人以上いるとかの状態にならんだろうな・・・
新シミュレーション部分の設計と調整で労力を取られそうな気が。
正直光陰達なんて外して、雑魚スピも全部新キャラの方が買いやすかったな。
中途半端に成長したネリー・シアとかが先輩役として出る方が萌える。
>>728 その分へリオンに強烈な補正が掛かっていた、とかになりそーな。
剛田買って来ました
正直なところ公式HPの方が情報量多いw
ただ新キャラであるツェナの可愛い立ち絵が載ってるよ
コレ見る限りオッドアイにはみえねーです
それにしても一晩ですごい勢いでスレが伸びたね
一瞬別スレかとおもた
なんか否定派が多いのもちょっぴり悲しいですよ
悠人がエターナルになって全部無かった事になったんだから、これくらいの事はやっても良いと思っているよ
せっかくなんだしザウスを応援しようぜ
>>732 先輩役モエス
ただその後に来るであろう後輩のほうが遥かにしっかりしていそうだなw
アセリアは好きだけど、ザウスがイチオシメーカーって訳でもないからねえ。
あ、書き込んでしまった。スマソ。
んで、同じくザウスの最果てのイマはちといまいちだったし、トーマス2は酷い出来だったし。
と言うか、アセリアが楽しすぎたんだけどね。
現実からの異世界召喚物で人質を捕られつつ戦って更にハーレム状態、と言うベタながら、
完成度高い内容だったし。
ヘリオン主人公サブスピたちの冒険談エロはないよ
のほうが購入意欲そそられたんだがな
新しい主人公がこうも不評なのは、新主人公がシュンに似ているせいと言ってみる
自分的にはシュンの評価は意外と高め
俺のアセリア男キャラランキングの二位はシュンだったりする。
何となくOPの二番って瞬のことを歌ってるような気がする。
前作のキャラを利用するんだったら、ふつーにユートにしたら良かったのに。
まあ、早くも購入意欲が不安な続編だけど、最悪ダメダメな内容だったら、
黒歴史として封印してしまえばOk(笑)
だいたい、このスレ自体も想像の宝庫から生まれたものだからなあ。
事前情報としては分かっていけど、実際に画像とかで見るとがっくり来るものがあるなぁ。
新作がこのスレ的に黒歴史になるのかどうかが今一番考えてること。
>>734 >悠人がエターナルになって全部無かった事になったんだから、これくらいの事はやっても良いと思っているよ
そう、まさにコレがネックなんだよ。
雑魚スピたちは忘れてる+このスレ住民は覚えてる=辛い
いや、つーかさ、絶対にありえないんだけどさ
探訪の最中にたちよった大陸で、偶然にも上位神剣を入手して記憶とか戻ったらどーすんの!?
以下、ニムのイベントCGを見た後に読むと後味悪さの補正が+20%くらい?
ニ「おねーちゃん!ユートは?ユートはどこっ!」
ファ「どうしたのニム?」
ニ「ニムたちの隊長だったでしょ?」
ネ&シ「誰それ?しらないよ〜」 「よ〜」
セ「一体どうしたの?」
ヒ「いや、ニムが突然、変な事を言い出して」
ニ「変な事じゃないよ、みんな覚えてないの?忘れちゃったの?」
ファ「それよりもニム、ロティ隊長はいいの?」
ネ&シ「そうだよー、折角らぶらぶになったのにー」 「なったのにー」
ニ「・・・くっ」
746 :
名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 18:39:05 ID:l7twEimg0
>>745 無性に新作主人公に腹が立ってきたジャマイカ。どうしてくれる。
>>745 いやいやいや、発売前の想像とは言え、それはなかなか・さ・い・あ・く・だねっ!(泣
と言うか、それ読んだら脳内で既に黒歴史決定済。
意味わかんね
創作を公式と混同するなよ
新作肯定派はここじゃ異端か・・・
ハリオンとエスペリアが出るまでは様子見
んー、ぶっちゃけ新主人公で何が問題かって、前作に出てないことなんだよな・・・
まぁ、当たりまえっちゃ当たり前なんだが・・・
でもさ、そうすると戦争には参加してなかったんだよな、出身マロリガンだし。
普通に考えれば、スピリットを戦いの道具としてきたんだよな。
そこまで行かなかったとしても、何もしてこなかったんだよなぁ・・・
それで、戦ってきたスピたちと恋愛されてもなぁ・・・
ユートのように悩みながら戦ったわけでも、レスティーナのように開放を目指したわけでもない。
大統領や光陰のように何かのためにたたかってたわけでもない。
正直それだったら俺としては、まだ光陰が主人公のがましだなぁ。
新主人公になんらかの背景があることを信じて待ちますか。
メインキャラ(スピリットのみ)総入れ替えとかになってたなら
絶対クォーリンは出てきたと思ってみます
この場合だと光陰がいてサブスピいないですし…
で、稲妻部隊や妖精騎士団の生き残りとかがそれぞれ苦楽を抱えて
ガロ・リキュアで生きている
そんな中で一人の少年がスピリットたちに関わっていく…
っていう流れだったらここまで反感を抱く事はなかったんですが
これならサブスピたちがチラホラ出てきても何ら違和感がないですし
正直な話サブスピとの距離がユート様より近いのが
どうにもやりきれないのです
>>748 まぁここは良くも悪くも雑魚スピに強い思いがある人間が多いからな、仕方あるまい。
本スレや作品別なら肯定派もちゃんといますよ。
補充スレ5まで半ROM小ネタ振りしてたりしてたが
正史はアセリア一拓で消化済みだから漏れも肯定派ですよ。
主人公と恋愛といようりも、主人公が妖精趣味に徐々にハマり出す
ムッツリヘタレであってくれると笑えて面白そう。
>>748 >新作肯定派はここじゃ異端か・・・
そんな事は昨日からの書き込みで分かっているだろ。
本スレで肯定されているんだったら、それでいいんじゃないか。需要あるんだろうし。
自分は買わんけど。
なんか、昔あったシーズウェアと言うメーカーさんのEVEと言うエロゲを思い出す気分だ。
シリーズ最初の作品は評判良かったが、シナリオ書く人が変わったせいか、どんどん人気が落ちていくと言う。
>748
>創作を公式と混同するなよ
有り得たら最悪って事だろ。ジョークを素で返してどうする。
だいたい当初はこのスレなんてかすかな設定と巨大な妄想で成り立っていたのに、今更何言ってんだ。
CGで来ると、また衝撃の度合いが違うな。
まあまあ、皆さん落ち着いて…
人それぞれ思う所あるとは思いますが
スレの雰囲気が険悪になるのはとても悲しい事です
とりあえず肯定派の方は保管庫で私たちの思いの丈を知って欲しい
私たち否定派も、まだ海のものとも山のものとも痴れない新作を
徒に否定するのもお互いの溝を深めるだけです
マターリ、いきましょう
…マジレスオレキモス
知っていたから新主人公には諦め気味としても、過去の遺産借りている割に値段高いですがな。
最低でも、あと2000円くらいは安くして欲しい。
>>750 さすがにその辺はメーカーも辻褄合わせするんじゃないか?
ミュラーがラキオスにスカウトされるまでは剣術を習っていたって事は、
サーギオス中盤まではミュラーと各地を転々としていたと考えるべきじゃないかな
戦争に出ていないというのは同意
それゆえスピリットを戦争の道具ということもしなかったんじゃ
ミュラーの弟子だし、偏った考えはして無そうだ
と願いつつ年末を待つとするよw
正直なところ年内発売が出来るか激しく不安なんだがな・・・
9,240円(税込)だもんなあ・・・
大作のエロゲで有名なエウシュリーの新作を超える価格設定とは、すごい自信・・・
ミュラー以外NTRっぽく感じてしまう(´・ω・`)
>>760 普通のADVで同じ値段つけてるところはどうすればいいんだ。
>>761 そんな感じだね。2ch知らずにゲーム本編だけやってたらダメージ少ないだろうけど、
もう自分は手遅れの深みにはまってるし。く、自業自得か。
仕方ない。Exを再インストールして、気分転換するか。
あのタイトルでシリアス重厚なストーリーやられても困るけど、
EXのような小粒で楽しいゲームでも個人的には良かったんだけどね。
噂の新主人公は感覚的にもちと駄目かなあ。
やっぱり新主人公には新ヒロインを揃えたら違和感なかったのに。
主人公やスピリットも確かに考えを揺さぶられるんだけど。
いくら龍の爪痕が前人未踏エリアだって言っても、
「緑テロテロ」「赤プルプル」「丘くじら」……
世界人口全部ントゥたんの世界があるにしても
ファンタズマゴリアにモンスターモンスターした生物がいたことに衝撃を隠せない。
767 :
名無しさん@初回限定:2005/09/22(木) 21:16:43 ID:/ZIdQmDp0
まぁ、なんつーか NECの暗黒舞踏2と同じ末路が待ってそうw
スタッフの誰かがわけのわからん我侭発動ってのが真相かな?
正直サブスピにエロはいらなかっ・・・た・・・
なんというか…キャラへの愛情云々というよりはユート×○○(逆でも可)というカップリングに拘ってるだけとしか思えんな。
ユートはメインヒロインの誰かを選んで遠い世界へ行ってしまったのだし、しかもサブスピたちにはユートの記憶は残っていない。
そんな覚えてもいない失恋(そもそも恋愛感情を持っていたかも謎だが)にずっと心が引っかかって、死ぬまで一生恋愛もせずにいる方が不憫じゃないか?
俺は新主人公がサブスピたちを幸せにできるいい奴なら問題ないと思うし、だから実際に新作が出るまでは不必要に叩くべきでもないと思うがね。
お前さんたちの感覚では、失恋した女の子や夫を亡くした未亡人は死ぬまで相手のことだけ想っていないと尻軽女だってわけかい?
>>769 陵辱も欲しい俺もいる。とくに異種姦。
そーゆー意味じゃモンスターさんにも期待。
絵師の人丸氏としても本領発揮だろうし。
>>770 なんか……マジレスに加えて長文って何考えてんだ?
萌えスレに近いここで、はっきり言ってかなり異常に見えるぞ。メーカーの人間なら分かるが。
本スレとかならまだしもこのスレで書かれるとSHINE乙としか思えん
>770
なんだかなあ・・・
エロゲーと言うのをすっかり忘れてるとしか思えんのだが、どうしたものか。
それ(ゲーム)はそれ、これ(リアル)はこれだ。エロゲーを現実思考と絡めるなんて論外。
何か勘違いしてないか?
>>770 まずは落ち着け。話はそれからだ。
むしろ、君は生真面目にのめりこみすぎ。
きんもー
というか、ユートが前作のメインヒロインと結ばれてるとは限らないし。
いや、エロゲであるとちゃんと認識してますよ?だからこそ主人公がユートである必要性を感じない。
相手が誰だろうがサブスピたちが幸せそうにしてる姿見て萌えられればそれでいいんじゃないかね。
ぶっちゃけネタ投下してくれるなら何でもいいよ、サブスピはあまり本編でイベントなかったし。
このスレのSSにしたってすぴたんとは無関係なIFとして楽しめば全く問題ないんだからな。
>>778 レスティーナエンドの可能性は否定されてないしな
なんか滅茶苦茶浮きまくってるな・・・
ぶっちゃけメーカーだからと言って、影も形も無かった新キャラ受け入れろと言っても個人的には無理。
オリキャラを主人公にして雑魚スピと仲良くなっているSS読んでも、全然楽しめないし。
それを楽しめる人ならオーケーなんだろうがね。
そろそろ
>>775はタイムアウトと見て建てようかと思うんだけどどうかね?
ここは確かに雑魚スピのスレだけど、彼女達が出ればいいってものじゃないし、
こう言う形での続編は正直残念かな。
>>785 >イービルルートか!?
おおぉぃ?!
…めっちゃ特定のターゲットには購買意欲倍増かもしれんが。
>>782 世界観が世界観だからね。
スピと人の間に越えられない壁があって、道具扱いしてきたという過去を踏まえて
戦争に参加すらしてない新キャラはなー。
歴史変わったからラスクが生きてて奴が主人公、とかなら別にもにょらないんだけど。
イービルルートやってないなぁ・・・
>>789 乙。
それではこのスレに蓋を掛けるか・・・・。
>>790 参加していた可能性もあるだろうて。
戦争に不参加っていう話は出てないよな?
光陰がマロリガンに来る前の隊長とか、
異世界に不慣れな光陰の補佐役として稲妻部隊にいたとか、
光陰がラキオスに行った後の旧マロリガンスピの部隊を率いていたとか、
(ラキオススピ以外にもロウエタとは交戦してるスピはいたみたいだし)
ミュラーと一緒にラキオス軍訓練士として帝国戦あたりから参加したとか、
まぁ後付設定にはなってしまうが、それは仕方ないし。
それを否定したらEXの雑魚スピの設定も後付けだしな。
という訳で480k越えると落ちてしまうので、速やかに次スレに移動願います>ALL
さぁみんな、ガロ・リキュア!!
本来のネタスレに立ち戻ろうじゃないか!
797 :
790:2005/09/23(金) 01:26:48 ID:L922rq5p0
>>793 戦争に参加してスピ開放の名目を信じたなら俺的にはOK。
ただなぁ、世界観的にはかぎりなく、”そんなやつはいない”はずなんだよなぁ・・・。
妖精趣味っていう蔑称が存在する世界だからなぁ・・・。
後付でも納得できる理由が欲しいなぁ。
結局、ファンディスクじゃ無く、続編的に1本新作という企画段階での方向が
悪く働いている感じがしないわけでもなく。
出来れば訓練士で指揮能力もある者が抜擢されて…
というような主人公でゲーム中姿を画面に見せないような形を
期待していたが(例えればクロスハーミットの主人公)
これだとエチシーンが出せないしなあ。
ミュラー先生主人公で百合オンリーとかどうか。船なわけだし。
>>799 百合は一つ二つある位ならいいけど、メインだとツライなぁ。
基本的に同性愛は勘弁。
ロティは実は戦闘には参加しない訓練士だったと言う落ちはどうだろう?
って
>>798ですでに出てるか・・・
でもその方が私個人的には受け入れ可能
フツーの人間がスピたちと一緒になって戦うなんてできないはずでしょ?
伝説レベルのミュラー姉さまは別としてもさ
ミュラーが実は冒頭で死亡。
その意志と能力を秘伝により継承するロティ…。
これで俺も戦える!スピリット達だけに辛い思いはさせないっ!
こうしてロティはサブスピ達と共に戦うのであった……。
ダメダメだな( ´・ω・)y━~~~
ミュラーはイオの分離体
イオが暴走事故を起こしたときに分裂し新たな個体として自我を持った
その辺で永遠に年を取らぬ体に
ロティはミュラーの子、イオ黒歴史はミュラーに引き継がれその結果生まれたのがロティ
とか鬱々な超設定なら一応戦えるなとオモタ
ロティは一応スピリットの血筋ということで
天海みはるも大変だな。
806 :
抜擢の理由:2005/09/23(金) 16:35:53 ID:dyjDxgPX0
目の前の危機は過ぎ去り、その先に広がるものは一時の平穏と更なる問題。
その後者に対応するべく、ここ旧ラキオス……ガロ・リキュア王城の一室でも、
現在の休息を返上する勢いで様々な処理が行われていた――――
カリカリ、カリカリ、と静寂に包まれた部屋の中にペンを走らせる音だけが響き、
手を動かしているものの熱心さを誰へとも無く伝え続ける。
腕から手首までを包む純白のグローブから伸びる白魚のような手、
それがインクによって汚されることを気にも留めずにてきぱきと書類へと書き込んでいく。
決して豪奢とは言えないが気品に溢れた、本人が気にするくらいには華奢にすぎる身体を包む純白のドレスにしても、
一応毎日取り替えてはいるらしいのだが、連日の勤めにややくたびれた感が覗いてしまっている。
集中力を増すために、と普段ならある程度は開放している執務室を閉め切っての作業だ。
彼女の体調を気遣う優秀かつ信頼のおける家臣たちは、そっと庭に面した窓から様子を窺い、
顔や視線の動きに連なってさらさらと背中を流れ、揺れる見事な黒髪を見て、
その精力に満ちた活動に、自身の責務に対する気力を充実させるのだ。
……が。
部屋の周りにも、外にも一切の気配が無いことを察知して、彼女は白く細い指先をぴたりと止めた。
と、徐々に、少しずつ、ペン先に力が込められてそれが震え始める。
完全に動きの止まった筆を力強く握ったまま、彼女は、「黒色の」瞳に薄く涙を浮かべて声を洩らした。
「ふぇ〜ん……女王様の身辺警護って、絶対こんな仕事じゃないですよぅ〜……
何だか最近はすっごくお洒落してお出かけになるし、お菓子を届けに来たハリオンさんからは、
一緒にお店に来る人がいるってお話を聞くし……わたしも会ってみたいですよぅ〜……」
その後も、ひとしきりぶつぶつと口を尖らせて愚痴をこぼしたのち、大きくため息をつきながら、
レスティーナ統一女王の変装をしたまま、ヘリオンは自らに課せられた書類作成を続けるのであった――――
808 :
枕のファー子:2005/09/23(金) 17:37:51 ID:a2KaV+7Z0
春は、あけぼの。
やうやう白くなりゆく意識はすこしぼやけて、
紫だちたる剣の細く煌きたる。
夏は、夜。
月のころはさらなり。
闇もなほ。敵味方飛びちがいたる、また、ただ一つ二つなど、
にはかに撃ちこんでいくも、をかし。アポUなどの降るさへをかし。
秋は、ゆふぐれ。
夕日のさして、拠点のいと近うなりたるに、仲間のねどころへ行くとて、
三つ四つ、二つなど飛びいそぐさへ、あはれなり。
年少組などのつられたるが、いとちひさく見ゆる、いとをかし。
日入りはてて、剣の音、喘ぎのねなど、はたいふべきにあらず。
冬は、つとめて。
マナの降りたるは、いふべきにもあらず。ハイロゥの白きも、
またさらでもいと悲しきに、火など急ぎおこして、炭もて塗るも、いと哀し。
ひるになりて、ぬるくゆるびもてゆけば、火桶に映りしわが身も、
白きブラックスピリットがちになりて、わろし。
「お姉ちゃんが落としていった手帳なんだけど……どう思う?ユート」
「いや……どうって言われても」
809 :
信頼の人:2005/09/23(金) 17:39:05 ID:a2KaV+7Z0
810 :
彷徨う視線:2005/09/23(金) 22:28:36 ID:XqidDAfz0
―――ロウエターナル達との凄絶な戦いが終わってから数年の後。
ここラキオスの城下町で、音に聞こえた剣の達人・ウルカ・ラスフォルトの下へは、
今日も教えを求めて来訪する人々が引きも切らぬ。
「先生、一手、御伝授を!」
「―――では、参る。」
その居合いの早業は神の如し。
毎日の如く、そう、まさに人、スピリットの分け隔てなく、数え切れぬほどの
仕合いをこなしながらも、疲れた素振りさえ見せないウルカは、
実に師範かく有るべき、という姿を体現していると言って差し支えなかった。
「まっ、参りましたっ!!」
無様に転がされた新弟子に向かってウルカが静かな微笑を見せる。
「―――まだ、貴殿は剣に振り回されておられるようです。」
「ははーっ!仰る通りでございます!」
「刃に―――刃に、心を乗せるのです。」
「はーっ!先生の目はごまかせません!つい、その形の良い胸に見とれておりました!!」
ぴくり。ウルカの片頬が吊りあがる。
「―――誰が刃に下心を乗せろと言った。……貴殿も、ここで冥加の露と消える運命か。」
―――『冥加』が妖しい光を放ち始めた。
人格者だが、怒らせるととっても怖いウルカ師範なのでした……
811 :
憂鬱の人:2005/09/23(金) 22:43:29 ID:XqidDAfz0
皆様のウルカより早い職人技に触発され急遽参加致しました。
……なんでウルカってあんな格好で師範やってんですかね?w
永遠のツカイッパ、ヘリオン。彼女に明るい未来はあるのか!?
エス「お痛わしゅうございます、陛下。激務に身を削っておられるのですね。
あんなにも背中が小さく...うぅ...」
文才溢るるファーレーン。彼女が真の黒スピになれるのはいつの日か?
「ニム、とりあえず文具屋でマジックペン買って来い。俺が何とかしてみるよ。」
「―――もぉ、お姉ちゃんは酔い潰れた学生じゃないんだから。プンスカ」
次スレです↓
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1127395692/
すいか
めろん
……うめ………いちじく…………らいむ
「……ユートとコウインがあっちの言葉で話してるの聞くと、なんかムカツクんだけど」
「あらぁ、私はスイカらしいですよぉ〜?
とってもあまぁ〜い果物なんですってぇ〜
ぴったりですよねぇ〜」
た、たべて良いですか (´Д`)
「ええっとぉ、私はきっと食べても美味しくないですよぉ〜?
それよりぃ〜・・・(にっこり)
・・・ケーキを焼きましたから、一緒に食べましょう〜。
エスペリアの、お気に入りのお茶も有るんですよ〜?」
>>815 ケーキかよっ!!
……と、二日間たってから突っ込んでみる
さっき寝ようと布団に入ったら
『ハリオンのおっぱい』
と言う言葉が脳内でエンドレスしたんだ…
良い夢が見れそうだな
ナナルゥも加えようぜ
サブスピの乳の大きさ比較するとどうなるんだろう?
最巨乳はハリオンで鉄板だろうけど。
ハリオン>ファーレーン>セリア>ヒミカ>シアー>ナナルゥ>ヘリオン>ニムントール>ネリー
でもそのうちヘリオンが最下位になり、シアーはベスト3に・・・というのが俺の思想
ハリオン>ナナルゥ>ファーレーン>セリア>シアー>ヒミカ>ニムントール>ヘリオン>ネリー
じゃまいかと予想する。
ハリオン>ナナルゥ>ヒミカ>セリア>ファーレーン>シアー>ヘリオン>ニムントール>ネリー
……くそう。脳内ビジョンでしか、ちちくらべができやしねぇ
悠:なあ、この柱の傷はなんなんだ?
ハ:それはもちろんちち(フガフグッ)
まずは仮想、理論の構築、実証を経て論拠足るモデルを得る。
○仮想:純粋にPS2版の立ち絵による主観的比較・カテゴリ分け。
(無印だと比較というか一部間違い探しみたいになってしまう)
大:ハリオン・ナナルゥ・セリア
中:シアー・ファーレーン
小:ネリー・ヒミカ・ニムントール・ヘリオン
○構築:これに無印Hシーン一枚絵による補正追加。
大:ナナルゥ・ハリオン
中:ヒミカ・セリア・シアー
小:ネリー・ヘリオン
不明(グラフィックから判断し難い):ファーレーン・ニムントール
∴ ハリオン≒ナナルゥ>セリア>シアー≒ファーレーン>ヒミカ>ヘリオン>ニムントール>ネリー
○実証:次にそれぞれのHシーンについての記述による比較
ナナルゥ:「大きく形の良い胸」「鷲掴みにしたくなる」
ハリオン:「見事に張り出した胸」「鷲掴みにした」「豊満な胸」「たっぷりとした胸」
※形状描写なだけのナナルゥに対して「見事」という単語は悠人の感嘆を表すものだし、
描写の多さは悠人の注目度を感じさせる。
鷲掴みに「したくなった」がしなかったナナルゥに対して実際に鷲掴みに「した」というアドバンテージも大きい。
その上挟まれてしまってまでいる。よってハリオンの勝ちか?
シアー:「華奢な二人」(胸の描写が殆ど無い)
ファーレーン:悠人「そう大きくはないが形の良い胸」ニムントール「お姉ちゃんの胸、柔らかくて大きい」
※シアーについては描写が「華奢」だけ。大きさについての形容詞が見当たらない。
ファーレーンを、悠人は大きくない、ニムントールは大きいと表現している。どっちやねん。
とりあえずイービルルートという事で、他の巨乳と比較しているかもしれない悠人に対してニムントールは
状況から自分と比較しているように思われるので、普通といったところか。よってドロー。
○結論
ハリオン>ナナルゥ>セリア>シアー≒ファーレーン>ヒミカ>ヘリオン>ニムントール>ネリー
……なんか違う気がする。というか何でこんなの真剣に2時間も考察しているんだろうorz
827 :
名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 22:07:39 ID:Y+/eO3Pz0
>>825-826 いや、GJだw
そうか、ファーレーンはなんとなく巨乳、セリアはイベント絵で中の下、
という認識だったから実は逆だったというのは結構意外。
そうか、セリアがきょぬー派(;´Д`)ハァハァ
>>825-826 あんた最高だw
しかし誰が判定しても最貧乳はネリーか。
やったなネリー!
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|ベV
|〃 ̄ ヾ
|ミ(ノハソ
|#゚ ヮ゚ハ <(ネリーよりも大きいなんて・・・!)
|とl)
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/ '´ ⌒ヽ 〜♪
ハ」」」l」」〉
ヾゝ゚ ヮ゚ノゝ
⊂》|Tリつ
く/|_ノ⊃
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'´ ⌒ヽ 〜♪
ハ」」」l」」〉
ヾゝ゚ ヮ゚ノゝ フワーリ
( )
)ノ
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⊂|二と( 。Д。)つ カサカサ ~ ̄> ̄> ̄>
ロストチルドレンの章
糸冬
ミュラー様も結構な物だな
あのセリアはセリアじゃないの。
リア・セリア・アセリアの養成所の教官が、ネーミングに困って「それじゃ戻すか」って
名前付けた新しいスピリットなの。詰まるところは、新キャラなの。
……うん、新キャラなの。
俺ね、あんな誘ってる青スピは、ネリーだなんて信じてなかったのね
むしろセリアさんに誘われたら、
ルパンダイブしちゃうくらいの勢いだったんだけどね
ネリー・・・ネリー・・・
セリアがなんか家庭的な感じになってしまってる。
もしかして、前作のメインヒロイン4人組が全員エタ化しちゃって、それぞれの
属性が
アセリア→ナナルゥ
エスペリア→セリア
オルファ→ネリー
ウルカ→ファーレーン
と引き継がれでもしたんだろうか?
>>838 全員E化したって考えないと残ったヒロインが可哀相だよね
その辺をどうやって辻褄合わせするかがちょっと楽しみ
セリアに関しては激しく同意
よりお姉さん属性に進化したセリアさんを期待してはいるけどね
あと、どれだけツンデレ分が進行しているかもw
>835
正直、自分もあのセリアには衝撃を受けたな・・・
と言うか、ヒミカのメガネも何だかなあ。
ネタの中でヒミカがメガネってのは結構好きだった。
すぴたんでメガネかけているって設定はちょっと首傾げる。
ネタだから好きだったんかなあ・・・俺。
ハリオン乳でけー…
それはデフォ
いや、かなり強調されてるだろう
ポーズがw
目を皿のようにしてみても公式のキャラクター一覧にセリアの名前がない件について
>>845 な、なんだってー?!
とすると、セリアは被害(wを免れたのか? < たぶん、ぬか喜び(笑
残り4k程ですが、折角ですので久々に一行レス埋めリレーでもやってみませんか、と。
ある日ラキオスはタイフウに遭遇した。スピリット隊に動員がかかる。
悠「くそっ、なんて風だ!さぞかしタイフウの目も大きいんだろうなっ」
その頃のタイフウの目―――― 「……ンギュ?」
悠人「タイフウが何だか温帯低気圧に変わりそうな予感がするんだけど」
ハリオン「あらあら〜、それは大変ですねぇ〜」
ネリー「じめじめむしむしは嫌だもんねー、こーいうときは、くーるなネリーにお任せ!」
光陰「待て、タイフウにアイスバニッシャーかけたらどうなるんだ?」
謎の老人「むぅ、あれこそはハイペリアを恐怖に陥れた巨大台風・カトリーナじゃ。」
ナナルゥ「まとめて・・・・・・消し飛ばします」
悠人「ああっ! 光陰が消し飛んだっ!!」
「おおっと光陰君吹っ飛ばされたー!!」
謎の老人(2)「龍の巣だぁ〜〜!!」
オルファリル「すごいよパパ! ハイペリアはほんとうにあったんだ!!」
ヘリオン「みなさ〜んっ。あ、遊んでないで、風でえぐれた穴を埋めるの手伝ってくださいよぅ〜」
ニム「面倒くさい。お姉ちゃん、早くハイペリアに行こうよ」
アセリア「ん……中々埋まらない。後1k」
このゲームの二次創作って
「ぼくがかんがえた えいえんしんけん」
ばっかでまじ笑える
"
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__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
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