○月×日 △曜日:放課後 私立瑞穂坂学園
「……一体何のつもりなんだろ、小雪さん」
俺の手の中にに光るのは、何の変哲もないひとつの指輪。
今日の昼休み、『Oasis』に寄った帰りに、小雪さんから手渡されたものだ。
『今日の放課後……この指輪を持って……いつもの公園に来ていただけますか……?』
「って……言われてもなぁ……」
小雪さんの行動がなかなか読めないのは、今に始まったことではない。
こと小雪さんと正式に付き合い始めてからは、小雪さんのこういった
突飛な行動に振り回されるのも、一度や二度じゃなかった。
だから……こういう時、あまりその理由を深く考えても仕方ないってのは、
俺が一番よくわかっている。
でも……
思い出されるのは、俺に指輪を渡す時の、小雪さんの表情。
まるで何かを思いつめているような……何やら決心を決めかねているような……そんな表情。
一体小雪さんは、何を思って、俺にこの指輪を託したんだろうか……?
「……」
俺はふと、小雪さんから渡されたその指輪に興味を抱いた。
そっと左手を広げ、その人指し指に、その指輪を静かにはめてみる。
………………
「……って、はめたからって何か起こるわけじゃないよな」
少し苦笑を漏らす俺。
そうだよな……小雪さんの指輪だからって、いくら何でも……
と、俺は廊下の向こうに、見覚えのある人影を発見した。
「ん? 柊?」
廊下の向こうから、おそらくバイト帰りであろう柊が、疲れた表情でてくてくと歩いてくる。
「柊……今バイト終わったとこか?」
「……??」
俺の声に、立ち止まって不思議そうな顔をする柊。
あれ? こいつ……俺のことに気づいてないのか?
「ほーら、どうした柊? 疲れて俺のこともわかんなくなっちまったか?」
柊の意識を呼び戻すかのように、柊の顔の前で手を振ってみる俺。
しかし柊は俺に反応するどころか、何やら怯えた表情であたりをきょろきょろ見回している。
「まさか……幻聴よね……アハハ……あたし、疲れてるんだわ」
……幻聴? 俺は確かにここにいるのに?
そのまま心ここにあらずといった体で、ひたひた歩き出す柊。
「って、ちょっと待てよ柊」
「ひぃっ!!!!」
俺が柊の腕を掴みかかった瞬間、柊がものすごい勢いで驚くのがわかった。
「雄真が……雄真が……化けて出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そのまま短距離走の選手もびっくりな勢いで、廊下を駆けて行く柊。
「何だよ……変なヤツ」
そんなことさらに驚く必要なんてないだろうに……
……と、俺はふと横の窓のほうに目をやった。
そこには、何の変哲もない学校の廊下が反射して映っている。
……ただ1つを除いて。
「……???」
俺は思わず、その窓に顔を向けた。
俺の姿が……映って……いない……?
まさか……俺はちゃんと、ここにいるはずなのに……
「……まさか」
俺は左手にはめた指輪に、目を向ける。
「……」
俺は静かにその指輪をはずし、改めて窓の方に目を向けた。
……そこには俺の姿が、ちゃんときれいに映し出されている。
「……」
指輪をはめ、窓の方を見る。
いない。
指輪をはずす。
いる。
指輪をはめる。
いない……
「……」
これで疑問は確信に変わった。
この指輪をはめた者は、その時だけ、周りから見えなくなってしまうのだ。
そして、さっきの柊の反応から察するに……
この指輪は、姿を隠すことはできても、その声までも隠すことはできないのであろう。
しかし、俺の唯一にして最大の疑問……
小雪さんがなぜ、こんな不思議な指輪を俺に託したのか……
そこまでは、うかがい知ることはできなかった。
「……公園へ急ごう」
とりあえず公園に向かえば、小雪さんの真意もきっとわかるはず……
危険防止のため指輪を一時はずし、俺は小雪さんの待っているであろう公園へと走って行った。
○月×日 △曜日:夕方 公園
「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
俺は息を切らしながら、側にある木にもたれかかっていた。
確かに小雪さんはあの時、ここで待ってると言った。
しかし……
探せど探せど、小雪さんの姿は微塵も見当たらない。
「……くそ……」
どこに行ったっていうんだ、小雪さん……
……と。
「……あの……雄真さん……?」
「?」
後ろから聞こえてくる、謎の声。
それは確かに……小雪さんの声だった。
「小雪さん……いるんですか? そこに……」
「はい……」
確かに声は聞こえるものの、いくら見渡しても、それらしき姿が見当たらない。
きっと……小雪さんもあの指輪で、姿を隠しているんだろう。
「よかった……もう会えないかと心配しましたよ、小雪さん……」
「……」
しかし……
こうやって姿を隠されてたら、まともに会話なんてできやしないぞ。
「……小雪さん……このままじゃ、小雪さんの姿が見えませんから、その……
もしよかったら……指輪……はずしていただけませんか?」
「!!! それは、その……」
俺の頼みに、妙に敏感に反応する小雪さん。
「……すみません……指輪は……その……はずすわけにはいきません……」
「でも、それじゃ小雪さんの姿が……」
「すみません……そのかわり、雄真さんもその指輪、つけていただけませんか……?
それできっと……私の姿も、見えるようになるはずですから……」
……?
何だか妙なことを言うな、小雪さん……
別に姿を見せるだけなら、わざわざ俺まで姿を隠させる必要なんてないだろうに……
……だが、これ以上姿の見えない相手に、ひとりごとみたく言葉をかけているわけにはいかない。
俺は小雪さんの言うとおり、指輪をはめてみることにした。
シュン……
その瞬間、小雪さんの言ったとおり、小雪さんの姿がスライドショーのように映し出された。
しかし、その姿に……
「!!!!!」
俺は思わず絶句していた。
生まれたままの姿に、三角帽子とブーツだけというあられもない格好で、
地べたにしゃがみこんでいる小雪さん。
全裸にブーツというその倒錯的な姿が、逆に俺の興奮を煽る。
確かにこんな格好じゃ、指輪なんてはずせるわけないわな……
……って、そうじゃなくて!!!!
「な、何て格好してるんですか小雪さん!!!!」
「あ……あ……あの……///」
俺の言葉に、顔を真っ赤にしながら、言葉をどもらせる小雪さん。
「こ……この前また……雄真さんの考えていることが……見えてしまいまして……
その……雄真さんが……こういったことをご所望だったようでしたので……」
「あ……」
そういえば少し、思い当たる節があるぞ。
確かに俺は、小雪さんと外で、こういったことをしてみたいと思ったことはある。
しかし……それはあくまで、森の木陰とか体育館の裏側とか……
人目につかない場所でっていう条件つきであって……
こういう……衆人環視の中でっていうのは……全く、想定していなかったわけで……
「あ……あの……小雪さん……」
「そ……そうですよね……雄真さんはやはり、こういった格好はお好みではなかったんですよね……」
「い、いえ……格好というよりも……その……」
さすがに今からここで始める気にはなれません。俺。
しかし……
「すみません……私、少し……早とちりしてしまいまして……
雄真さんが……ご所望でないとあらば……私……」
すごくがっかりした表情で、傍らに置いてあった服に手をかけ始める小雪さん。
……何か、このままじゃ、ちょっとかわいそうな気がしてきたぞ。
せっかく小雪さんが、俺のために、恥を偲んで頑張ってくれたっていうのに……
「……ちょっと待ってください、小雪さん」
「……?」
服に手をかけたまま、涙目でこちらに振り向く小雪さん。
「雄真さん……?」
「やりましょう……小雪さん」
「え……あ……でも……」
「小雪さんは、俺に喜んでほしくて、頑張ってくれたんですよね……だったら……
俺は……そんな小雪さんの気持ちを……無駄にするわけにはいきません……」
こんな所で小雪さんを抱くのは、まだ少し抵抗があるけど。
「……雄真さん……」
「それに……小雪さんが俺のために、そんな格好してくれたんだって思うと、俺……」
「……?」
きょとんとした表情で、上目遣いでこちらを見つめる小雪さん。
うぅ……そんなにじっくり見つめられると、何だか照れ臭いぞ……
「雄真さん……?」
「あの……何つーかその……すごく嬉しくなっちゃうじゃないっすか……」
うわ……何変なこと言ってんだよ、俺……///
「……!!」
俺の言葉に、思わず笑顔をぱぁっとほころばせる小雪さん。
「よかった……喜んでいただけて……嬉しい……です」
普段あまり表情を表に出さない小雪さんの、満面の笑顔。
こういう時、俺はいつも、小雪さんの恋人でよかったなぁって実感するんだ。
「それでは……その……優しくしてくださいね……」
「……わかりました、小雪さん」
俺は小雪さんをそっと抱き寄せ、優しくキスをした。
「あふ……ゆ……雄真さん……」
立ったまま木の幹にしがみつく格好で、こちらに訴えかけるような目線を送る小雪さん。
その荒々しい幹の表面と、小雪さんの白くて滑らかな肢体とのギャップが、
俺にさらなる興奮を呼び起こす。
「ここ……もう、こんなになってる……」
「あ……やぁっ……」
きゅっと狭められた小雪さんの股の間から奇麗なおつゆが滴り、夕日にきらめく。
俺はその付け根に指を這わせながら、小雪さんの耳元で呟く。
「ずっと……期待してたんだ? 小雪さん……」
「そ……そうなのでしょうか……私……」
「だって……ここ……もう、こんなに滴って……」
「あ……///」
小雪さんの愛液でねとつく指先を目の前に見せて、小雪さんの羞恥心を煽ってみる俺。
「いや……私……こんなに……///」
「言い出しっぺのくせに……こんなに……濡らしちゃって……いやらしいんだ。小雪さん」
「そ、そんなこと……あ! はぁっ……」
小雪さんが何か言いかけたところで、俺は再び小雪さんの股の付け根に指を差し入れた。
小雪さんの蜜壷から、とめどなく愛液がほとばしり、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立て始める。
「はっ、あぁっ、あん、んふっ……あっ、あああっ……
んあぁっ、あっ、はふっ、んんっ……」
膣口を絶え間なく襲う指の刺激に、絶えず歓喜の声を上げる小雪さん。
ふと俺は、小雪さんからもらった指輪の特性を思い出した。
「……感じてるんですね、小雪さん……」
「あぁっ、ぁはっ、ぁぅ……」
「でも……そんなに大きな声出したら……みんなに、聞こえちゃいますよ?」
「!!!」
俺の言葉に、思わず全身をぴくりとさせる小雪さん。
小雪さんもきっと、その意味するところに気づいたんだろう。
「せっかく指輪で見えなくしてるのに……みんなにバレちゃっても、いいんですか……?」
「そ……そんな……あ、ふぁっ」
小雪さんが答え終わるのを待たず、俺は更に膣口への愛撫を続けた。
「んっ、んんっ、んふっ、んん……」
周りへバレてしまうのを警戒してか、顔を真っ赤にし、必死で声が出るのを我慢する小雪さん。
その姿に、俺はどうしようもない欲情を感じていた。
「んんんっ、んふ、ん、んんっ……」
徐々に涙目になり、自由になりたいと言わんばかりに、お尻をふり始める小雪さん。
気のせいか、そこから滴る愛液の量も、少しずつ増えてきている気がする。
思いどおりに声を出せないもどかしさが、逆に小雪さんの被虐心を煽っているのだろう。
「すごく……かわいいです……小雪さん……」
「ん……んんんんっ……」
顔を紅潮させながら、やるせなさそうにこちらに視線を送る小雪さん。
……ふと俺の中に、小雪さんへの征服欲が、ふつふつと湧き上がってくるのがわかった。
小雪さんのことを、もっと、メチャクチャにしてやりたい……!!
コッコッコッ……
折りしも公園の向こうから、年老いた夫婦がこちらに歩いてくるのがわかった。
俺たちが今ここでやっていることにも気づかずに、平和そのものといった表情で散歩を楽しむ老夫婦。
「……小雪さん……」
「……雄真さん……? え……」
俺は小雪さんを後ろから羽交い絞めにし、そのまま小雪さんの体を老夫婦の方へと向けた。
指輪をしてなかったら、小雪さんの裸体が完全に老夫婦の目に晒されてしまってる状況だ。
「……やっ……っ……」
小雪さんは身をかがめて体を隠そうとするが、所詮女の人の力だ。
身を縛る俺の力を振りほどくことはできない。
更に俺は小雪さんの両足に手をかけ、そのまま両足をぐいっと広げてみせた。
小雪さんの蜜滴る花弁が、あられもなく夫婦のもとに晒される。
「あっ……雄真さん……こんな……格好……」
「静かにして……小雪さん……」
「あ……」
俺の言葉に、ムチに打たれた犬のごとく、体を硬直させる小雪さん。
そして俺は小雪さんの花弁に手をかけ、そこを指でゆっくりと押し広げた。
小雪さんの膣内の奥の奥まで見えて、とてもいやらしい光景だ。
「……っ……!!」
迫り来る羞恥心に、思わず身を固くする小雪さん。
「……小雪さん……」
小雪さんの耳元で、俺はそっと囁く。
「……え……?」
「このままの格好で、最後まで我慢できたら……小雪さんに、ご褒美あげますね」
「あ……」
そして俺は、右手に輝く小雪さんの指輪に、そっと手を触れた。
「少しでも声上げたら……これ、はずしちゃいますから」
「……」
小雪さんはしばらく涙目でこちらを見つめていたが、やがて意を決したかのように頷き、
そのまま正面を向いた。
「……っ……」
目を閉じて、唇をつむり、迫り来る羞恥心に必死に耐えている小雪さん。
その気になれば、空いてるもう片方の手で、いくらでも恥ずかしいところを隠せるはずなのに……
小雪さんはそれをせず、ひたすら自らの羞恥心と戦っているのみだ。
………………
……それから、どれくらいの時間が経ったのであろう。
小雪さんの被虐心を煽った平和な老夫婦の姿は、いつの間にやら影も形もなくなっていた。
辺りに再び訪れる、2人きりの静寂。
「……もう大丈夫ですよ、小雪さん」
「あ……」
静かに目を開け、誰もいないことを確認する小雪さん。
「よく……頑張りましたね、小雪さん」
「あ……うぅ……っ」
小雪さんは思わず顔をくしゃくしゃに歪ませ、俺の胸元へと飛び込んできた。
「う……うぅっ……ぐすっ……」
緊張の糸が切れたのか、俺の胸元でひたすら泣き咽ぶ小雪さん。
……時間にしてみれば、ほんの数十秒程度のことだったのかも知れない。
だけど、小雪さんにしてみれば、きっと永遠より長い時間に思えたに違いない。
俺は、俺のためにここまで懸命に恥ずかしさと戦ってくれた小雪さんが、すごく愛おしく思えて……
俺は思わず、小雪さんを強く抱きしめていた。
「雄真……さん……おいたが……過ぎますよ……っ……んんっ……」
俺はそのまま、小雪さんが泣き止むまで、小雪さんの頭を優しく撫で続けていた。
……やがて、泣き止んだ小雪さんが、おずおずと顔を上げた。
「雄真さん……」
何も言わなくとも、小雪さんの言いたいことは全てわかっていた。
「お約束です……雄真さん……ご褒美、下さいね……」
「……あぁ……」
俺は頷き、自らの膝の上に、小雪さんをまたがらせた。
小雪さんの下では、俺のものが、今か今かと唸り声を上げている。
「ゆっくり……行きますからね……小雪さん……」
「はい……雄真さん……」
そのままゆっくりと、俺のもの目がけて腰を降ろしてゆく小雪さん。
そして俺のものが、静かに小雪さんの秘密の場所を貫き……
「!! あ、はぁぁっ……」
ようやく訪れた挿入の瞬間に、思わず歓喜の声を上げる小雪さん。
あんまり長いこと周囲の目に晒されていたせいか、小雪さんの膣内はしっとり濡れそぼり、
いとも簡単に俺のものを受け入れる。
肉棒に絡みつく粘液の感触に、俺はどうしようもない快感を覚えていた。
「雄真さんのが、あっ、私のを貫いて……あっ、あぁっ……
はぁっ……雄真さんの……凄い……ですぅ……あっ、はぁっ、くぅぅっ……」
あまりの快感に耐えかねたのか、小雪さんが俺の上で腰を振り始める。
その度に、膣壁が俺の雁首をなぞり上げ、痺れるような快感を俺に与えてゆく。
「っ……小雪さん……ちょっと……ヤバすぎ……」
このまま小雪さんにこすられまくったら、すぐにでもイッてしまいそうだ……
俺はあわてて、小雪さんの腰を押さえつけ、腰の動きを無理矢理制止させる。
「ゆ……雄真さん……?」
「小雪さんは、少し、休んでいて下さい……後は、この俺が……」
そう言うと、俺は小雪さんの腰をつかんだまま、ゆっくりとピストンを開始した。
「あ、ふぁぁっ、あ、はぁっ、んっ、ふぁぁっ……」
下から次々と突き上げられる感覚に、力の抜けた表情で歓声を漏らす小雪さん。
……もはや俺たちに、周りの視線を気にする余裕はなくなっていた。
ただひたすら、お互いの体を貪ることだけに夢中になっていた。
「小雪さん……っ……くぅっ……」
最後と言わんばかりに、小雪さんのあそこに腰を打ちつける俺。
「ふぅぅ……ん……雄真……さぁんっ……んぁ、はっ、あぁぁっ……」
小雪さんの子宮が、俺の子種を誘い出すがごとく、ぎゅうぎゅうと俺のものを圧迫する。
その刺激に後押しされ、俺の下半身に、じわじわと射精感が訪れるのがわかる。
このまま一気に、小雪さんの膣内(なか)で、果ててしまいたい……!!
「……小雪さんの、中で……っ……!!」
「……雄真……さん……あっ、あはぁ……っ」
俺は下半身に溜まったものを押し出すがごとく、小雪さんの奥底を深く貫きだした。
その度に、小雪さんの体が小さく跳ね、痙攣した子宮が俺のものを激しく締め上げる。
そのうち、互いのピストンの数も減り、ただひたすら子宮の圧迫に任せ、
互いの絶頂を待つだけとなってゆく。
「いやっ、ああああっ、雄真さん……雄真……さぁん……」
「小雪……さんっ……あぁ……」
びゅくっ、びゅくっ……!!!
小雪さんが俺のものを一気に締めつけるのを合図に、俺は小雪さんの奥底目がけて放っていた。
同時に絶頂を迎えた小雪さんの子宮が、より強く、俺の子種を搾り取るべく収縮を繰り返す。
びゅくん、びゅくん、びゅくんっ……
「あぁっ……雄真さんのが……私の……中に……っ」
膣内に熱いものを注ぎ込まれる感覚に、恍惚とした表情で耐え忍ぶ小雪さん。
「はぁっ、はぁっ……」
やがて全てを吐き出し終えた俺は、背中の木に寄りかかり、激しく息を切らしていた。
「……雄真……さん……」
小雪さんもまた、全身の力が抜けたように、ゆっくり俺の上へと負いかぶさってきた。
「少し……疲れてしまいました……しばらく、こうさせてくださいね……」
「……小雪さん……」
そのまま俺たちは、つながったまま、幾度もキスを繰り返していた。
「……雄真さん……」
「……何ですか? 小雪さん……」
俺たちは今、お互い素っ裸になって、夕暮れの芝生に寝転がっている。
「こうやって……お外で裸で寝転がっていますと……何だか……動物さんになったような気分です」
「はは……そうっすね」
今更ながら、自分たちの滑稽な状況を省みて、苦笑いを浮かべる俺。
「でも……雄真さんといっしょでしたら……
また……こういうこと、やってみるのもいいかも知れません」
「……そうですね。たまには」
始めは小雪さんの突拍子もない発案で始めたことだったけど……
いつしかすっかり、この行為に病みつきになってしまってる自分がいる。
「でも……あくまでたまには、ですね。あんまりやり過ぎたら、
今度は普通のHじゃ満足できなくなっちゃいそうですから」
「クス。そうですね」
小雪さんの笑顔が、俺に安らぎをくれる。
小雪さんの行動には、俺はいつでも驚かされっ放しだけど……
たまにこんなおいしい思いができるんだったら、それもいいのかも知れないな。
「さて……そろそろ服着ちゃいますか。あまりこうしてると、風邪引いちゃいますから」
「そうですね。もうあたりも暗くなり始める頃ですし」
俺たちはさっそく、脱ぎ散らかしっ放しにしてた服を集め始めた。
そこへ。
「……あれ?」
公園の向こうに、何やら見覚えのある人影がやって来るを発見した。
「あれは……神坂さん?」
「!!」
思わぬ伏兵の登場に、思わず俺の背中に隠れだす小雪さん。
そんな小雪さんに、俺は優しく声をかける。
「大丈夫ですよ小雪さん。この指輪がある限り、俺たちの姿は神坂さんには見えっこありませんから」
「……ですが……」
「心配でしたら、そのまま俺の後ろに隠れてて下さいね」
「……」
そのまま俺の背中に、ぴったりとくっつきだす小雪さん。
やがて神坂さんが、俺たちの近くに通りかかり……
そこで、ふと立ち止まった。
(……!?)
今、ひょっとして、目が合った……?
んなわけねーよな……指輪もこうしてちゃんとつけてるわけだし……
しかし、俺の思いとはうらはらに……
「……!!!」
何を思ったのか、いきなり顔を真っ赤にさせる神坂さん。
「あ……あ……あの……///」
その場に立ち尽くし、何やら口をぱくぱくさせている神坂さん。
そして……
「し、失礼しましたっ!!!」
そのまま大慌てで、神坂さんは公園を去って行ってしまった。
ま……まさか……今のって……
俺は思わず、後ろでうずくまっている小雪さんに目を向けた。
「小雪さん……これは……どういう……」
「……すみません……雄真さん……」
いや、そこでいきなり謝られても……
「確かにこの指輪は……つけた対象の存在次元をずらして、
周りから見えなくする効果がありますが……
ですが……その魔力にも、限界がありまして……
……神坂さんクラスの使い手ですと……簡単に……見破られてしまうんです……」
「な、何だって!!?」
ということはつまり、俺たちは神坂さんに、この恥ずかしい姿をバッチリ見られて……
……ふと俺は、目の前が真っ暗になるのがわかった。
バタッ
「……ごめんなさい、雄真さん」
薄れゆく意識の中で、俺は二度とこんなプレイはしない……そう固く心に誓ったのだった。
(終わり)