永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド11

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1名無しさん@初回限定
二人も三人も萌えキャラを持つ必要は無い!
ただ一人を萌え上げてこそ必殺となる!(意味不明)

そんな事を言ったって、周りを見れば、美少女ヨウジョの大嵐。
…………ごめんなさい、やっぱり無理です。
こうなったら、光陰やメダリオやソーマにだって萌えちゃうぜ?

そんなあなたに送る妄想のマナ結晶!
ここは永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド。そんなこんなで11スレ。

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド10
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1105802901/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/

外部板:雑魚スピスレ保管庫
http://etranger.s66.xrea.com/
外部板:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/
外部板:永遠のアセリア関連スレリンク集
http://etranger.s66.xrea.com/past.htm
2名無しさん@初回限定:05/02/13 23:08:09 ID:aBFr3hMN

 | ̄ ヽ
 |」」 L.!
 |゚ -゚ノ| ・・・
 |とl)
    ,べV      
   / 〃  ̄ ヾ; 
   ! i ミ(ノハソ
   !ik(i|゚ ヮ゚ハ   。・゚・⌒) 11杯目のチャーハン作るよ!!
   リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ))
     く/|_|〉 
     (フフ
3名無しさん@初回限定:05/02/13 23:21:03 ID:VfzYxK0B
1さん乙。
恒例の点呼〜!!!と言いたい所ですけど、まだ14日になってないや。
バレンタイン点呼は12時過ぎてからにしよっとw
4名無しさん@初回限定:05/02/13 23:21:27 ID:Ds2KY8dr
>>1乙です!

「ユート様〜…これ、食べてくださいね〜♪」
おもむろに脱ぎだすハリオン。その胸に挟まれていたのは…チョコだった。
すこし溶けかけているチョコを、俺は舌で舐め上げた。
「きゃうっ…あぁん、そこは違います〜。めっ、ですよ〜?」
んなこと知らない。俺はハリオンの胸についたチョコを無心で舐め続けた。
「あんっ、はぁ…う、んぅぅ…今日のユート様…すごいです〜」
ハリオンの顔も赤くなってきた。その瞳はすでに情欲に濡れている。
「ばれんたいんでぇ、ですから〜…いっぱい、食べてください〜♪」
言われるまでもなく、俺はハリオンの体を貪るのであった…

というわけでバレンタインネタハリオンはもらいますたw
5名無しさん@初回限定:05/02/13 23:31:46 ID:TTIKdiYc

____      ________               _______
|書き込む| 名前:|            | E-mail(省略可): |sage       |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなクールな女には      / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ

6名無しさん@初回限定:05/02/13 23:56:42 ID:Cws/OtOn
思いっきり照れ照れもじもじして、チョコを背に隠しているのバレバレなヘリオンたんは
チョコごとお持ち帰りさせて頂きますw
7名無しさん@初回限定:05/02/14 00:04:36 ID:sub84ALb
『義理だから、勘違いしないでよね!』と皆に言いつつ、
手作りチョコをくれそうなセリアたんは、いただいてきます。
こっそり訓練後とかに呼び出し貰えると嬉しいなw
8名無しさん@初回限定:05/02/14 00:05:30 ID:RNrCaXXV
イオはホワイトチョコを持ってきました。(ベタ)
えっとまたカウントが……<3>?
9名無しさん@初回限定:05/02/14 00:05:45 ID:r0CPrnwA
やっぱナナルゥに。
いかにも義理ですって感じで、無表情に手渡されたい!
点呼としては<3>。
10名無しさん@初回限定:05/02/14 00:07:52 ID:TfGxumXm
ポ○キーを口にくわえてふりふりさせているアセリアは頂いたw
11名無しさん@初回限定:05/02/14 00:09:18 ID:r0CPrnwA
点呼の番号ズタボロw
誰か修正求む。
12名無しさん@初回限定:05/02/14 00:10:48 ID:C7Aplpm3
味見でチョコを食べ尽くしてしまったネリーから、
お仕置きとしてほっぺに付いてるチョコの食べかすを貰います。<7>
13名無しさん@初回限定:05/02/14 00:12:34 ID:FGzlx0Fz
>>1
乙。
ではエスペリアは俺が頂いていく
14名無しさん@初回限定:05/02/14 00:13:32 ID:Qjdyo7MB
やっぱりイオに。でもヨーティアがなんか混ぜた薬のせいでアレやコレや。
えーと〈9〉?
15名無しさん@初回限定:05/02/14 00:17:31 ID:Kq+vGqkH
もじもじファーレーンから受け取る時、一瞬触れた小指が熱い。

<10>
16名無しさん@初回限定:05/02/14 00:32:29 ID:YQLxhXvo
>>1さん乙です〜。

「私の、ちっちゃいですけど…。
でもラブさでは、負けないんですッ!!」
………………ラブさ?
「とぉぉぉっっ!!」
「ぐおっ!?く、口に無理矢理チョコを押し込むな〜!!」

……せっかくなので、そんなお茶目な仔犬を愛でます。<11>
17名無しさん@初回限定:05/02/14 00:40:01 ID:LI7r3C6c
名前の書いてない箱がテーブルにおいてある。
開けてみると、少し形は崩れているがちゃんと美味しいチョコレートが。

そんな素直になれないニムのチョコは私が頂きます<12>
18名無しさん@初回限定:05/02/14 00:53:16 ID:VPpLhh09
今日子から、義理という名の、複雑な思いの込められたチョコを。
甘い筈なのに、何だかほろ苦いです。<13>
19ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:04:41 ID:Qjdyo7MB
そんなこんなで私はヘリオンと一緒にハリオンの所に相談に来た。
「・・・と、言うわけなのよ。」
ハリオンに一通りバレンタインについて説明をする。
「はぁ〜ハイペリアには〜素敵なイベントが〜あるんですね〜。」
「それでこれがチョコレートっていうお菓子なんですけど・・・」
ヘリオンがチョコレートをテーブルの上に取り出す。
「なんだか〜不思議な〜形ですね〜。」
袋からチョコを取り出したハリオンが興味深げに眺める。
「あぁ、それは溶けた後また固まったからね。チョコってすぐ溶けちゃうのよね。
まぁきちんと包装されてたし大丈夫よ、多少風味は落ちてるだろうけどね。」
マロリガンは暑いからね〜
きちんと包装されてなかったらポケットの中どろどろだったわね。
「なるほど〜ではでは〜いただきますね〜」
ハリオンがチョコを口に入れる。
「ぱくぱくぱく、もぐもぐもぐ・・・ごっくん」
「で、どうかな?作れそう?」
食べ終わったハリオンに早速尋ねてみる。
「はい〜大丈夫ですよ〜似たようなお菓子はこの世界にもありますよ〜」
「え、本当?いや、まさかこんなにうまくいくとは思わなかったわ。」
ワッフル似のヨフアルなんかもあるし結構同じものあるのね・・・
「まぁ原材料の捜索なんてしたら無駄に話伸びちゃいますからね・・・」
なんかヘリオンがどこぞから妙な電波を受信している。
20ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:06:47 ID:Qjdyo7MB
「ま、それはさておき・・・じゃあ、すぐにでも作れるのかな?」
「そうですね〜街に買いに行かないと〜いけない物も〜ありますけど〜
あ、そういえば〜手作りっていうのは〜一から作るんですか〜」
「そうねぇ・・・市販のチョコを買ってきて、
それを溶かして型に入れるだけよ基本的に。」
カカオ豆から作ったりはしないわよね・・・てゆーか、カカオ豆って売ってるの?
「それは〜お手軽で〜いいですね〜」
「ほっ・・・それぐらいなら私でも作れそうです・・・」
「あ、そうそう型はこんな形がいいんだけど・・・」
そう言いながら紙にハート型を書いてみせる。
「この形には〜なにか〜意味があるんですか〜」
どうやらこっちの世界にハート型はないらしい。
「えーとね、この場合は好きですってことかな。」
間違ってはないわよね?やっぱり本命といえばハート型よね。
「型は〜新しく用意しないといけませんね〜あてはあるので〜平気ですけど〜
それでは〜準備もありますので〜3日後にまた集合ということで〜」
「うん、わかったわ。・・・あ、悠と光陰には内緒よ?
こういうのはインパクトが大事なの。渡す前にバレたら効果半減だし。」
「はい〜任せてください〜」
よし、あとはハリオンに任せよう、私こっちの食材とかわかんないし。
「じゃヘリオン訓練行くわよー。ずっとアホ剣に操られてたから
まだ本調子じゃないのよねー。」
「えぇ!私とキョーコ様じゃ勝負になりませんよー。」
「いいから、いいから。ハイペリア流ハリセン殺法の極意をおしえてあげるわ。」
21ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:07:29 ID:Qjdyo7MB
バタン!
キョーコ様がヘリオンをひきずりながら部屋をでていく。
中々興味深い話を聞きました。皆にも教えないといけません。
では、バレないうちに・・・
「それで〜そこの曲者さんは〜どうしますか〜?」
・・・・!!!バレてる!?エトランジェのキョーコ様にも気付かれなかったのに・・・
「私達も〜やっぱり参加したいですよね〜?」
「・・・そうですね。でもいいんでしょうか?」
一応そんなことを聞いてみる。
「いいんじゃ〜ないですか〜ユート様とコーイン様には内緒ですけど〜
他の皆に〜内緒とは言われてませんし〜」
・・・まぁ、たしかに。
「あ、でも〜エスペリアには〜伏せておいて下さいね〜
バレたら怒られちゃいますから〜」
それはありえますね。この大事な時期に何浮かれてるんですか!とか。
「では、私は皆にも教えてきます。」
「はい〜おもしろくなりそうですね〜」
22ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:08:40 ID:Qjdyo7MB
3日後。
「って、なんか皆いるし!」
準備ができたというから来てみたら何故かラキオススピリット陣全員集合。
「まぁ〜こういうのは〜皆でやった方が〜楽しいですし〜」
まぁ、それはそうかもしれないけど・・・
「抜け駆けは駄目なんだからー」
「からー」
「先制攻撃は私の役目です。」
「はわわ・・・そんなつもりじゃ・・・(ありましたけど)」
「それにしても全員悠にあげるの?」
がんばれヘリオン。競争率は高そうよ?
「もちろんパパにあげるよ〜。ね、アセリアお姉ちゃん?」
「ん・・・特訓の成果を見せる・・・」
「手前もユート殿には世話になっておりますゆえ。」
「まぁ、ニムはどうでもいいんだけど・・・お姉ちゃんがどうしてもって・・・」
「もう・・・ニムは素直じゃありなせんね・・・朝から張り切っていたのに・・・」
「私は・・・その義理です。義理。それ以上でもそれ以下でもないですから。」
「こっちも素直じゃないわね・・・ま、セリアらしいけど・・・」
モテモテねー。私が大変な目にあってる間に随分うまいことやってんじゃない・・・
23ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:09:39 ID:Qjdyo7MB
「で、クォーリンまでいるわけね・・・」
まさか彼女も悠に一目惚れでもしたのかしらね?
「ま、負けませんから!」
「気合入ってるわねー。まぁライバル多そうだしね。」
「え?いや、私のライバルはキョーコ様だけっていうか・・・
ん?違うかな?ヘリオンさんやネリーさん達がライバルなのかしら?」
「え?なにか言った、クォーリン?」
「はぁ・・・なんでもないです・・・ハイペリアの人は女性も鈍いのでしょうか?」
えーと、これで全員かな・・・
「ん?あれ?エスペリアは?」
「エスペリアに〜バレたら〜怒られちゃうじゃないですか〜
まぁ〜作りはじめちゃえば〜こっちのものです〜」
「エスペリアの性格上、材料を無駄にはできないでしょう。」
はぁ・・・ハリオンにナナルゥ、あんた達いい性格してるわ。
嫌いじゃないけどね、そーゆ-悪巧みは好きなほうだし。
「ところで手前らが全員ここにいて大丈夫なのでしょうか?」
「そういえばそうね、帝国との戦争中よね今・・・」
ウルカとヒミカが当たり前といえば当たり前の疑問を口にする。
「抜かりは〜ありません〜最前線には〜ユート様とコウイン様がいます〜」
「女王の許可も得てます。エトランジェ二人なら防衛には充分かと。」
24ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:11:07 ID:Qjdyo7MB
「へっくし!!!」
ケムセラウトの空にくしゃみの音が響き渡る。
「お?なんだ悠人よ、風邪か?」
「さあな・・・まぁ今朝は冷えたから風邪ひいたのかもな・・・」
エトランジェだって不死身じゃない、風邪をひくことだってある。ところで・・・
「なんで俺達二人だけで最前線にいるんだろうな?」
ケムセラウトの砦を守るのは俺と光陰のみだ。
・・・ここって帝国攻略の最重要拠点だよな?
「ふっ・・・それだけ俺達が期待されてるってことだ。
俺はネリーちゃんに、コーイン様なら安心して任せられます〜って言われたしな。」
いや、お前多分いいようにあしらわれてるから・・・
あれだな、きっとまたロクでもないことが行われてる気がする。
今日子あたりが黒幕だな、多分。
「それにしても暇だな・・・」
帝国国境にそびえる法皇の壁を見ながら俺は呟いた。
25名無しさん@初回限定:05/02/14 01:13:24 ID:N66sxqJI
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26ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:13:46 ID:Qjdyo7MB
「さて〜それでは各自で〜作ってくださいね〜」
ハリオンから一通り作り方についての説明がされた。
まぁカカオ豆から作るわけじゃないし誰にでもできるわよね・・・

その1/ナナルゥ・ヒミカ・ハリオンの場合

「えーと、それじゃ始めましょうか。まずはチョコを溶かしてと・・・」
戦争中にこんな事していいのか疑問には思うけど、正直ちょっとワクワクする。
これでも結構料理には自信がある。ライバルになりえるのはハリオンぐらいよね。
この前読んだ本にも書いてあった、
男勝りな女性が実は家事が得意っていうパターンはツボらしい。
なんでも男の人はギャップに弱いとか何とか。
(ヒミカって見かけによらず料理とかうまいんだな・・・驚いたよ。)
(いえ、その・・・ユート様に喜んでもらうためにがんばりましたから。
あの、私、前からユート様のことが・・・)
(ヒミカ・・・俺も君のことが・・・)
27ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:14:48 ID:Qjdyo7MB
「先制攻撃いきます・・・イグニッショ」
「台所で〜神剣魔法は〜禁止です〜」
スパコーン!
ハリオンがどこからともなくハリセンを取りだしてナナルゥを打ち据える。
バニッシュ成功・・・って、よくあの間延びしたツッコミで間に合うわね・・・
「駄目ですよ〜イグニッションでは火力が〜強すぎます〜」
「そうですか・・・ではアークフレアぐらいでしょうか?」
「それぐらいですかね〜」
そうそう・・・それぐらいが丁度・・・
「って、いい訳ないでしょ!」
スパーン、スパーン。
ハリオンからハリセンを奪い取り突っ込む。
「痛いです〜」
「まったく・・・なんでアンタまでボケはじめるのよ・・・」
「そもそも〜私に〜ツッコミ役は〜似合いませんから〜」
まぁね・・・どちらかといえばボケ担当よね(失礼)
「だいたい〜ヒミカが〜止めないから〜私が〜ツッコミ役をしたんですよ〜?」
「何やらずっとニヤニヤしてましたがどうかしましたか?」
え!?まさか顔に出てた!?
「い、いや・・・ソンナコトナイワヨ?き、気のせい!そう、気のせいよ?」
「そうですか?ユート様がどうとか呟いてましたが・・・」
マジで!?っていうか私キャラ見失ってない?
「ヒミカは〜こうみえて〜恋に恋する乙女ですから〜」
「可愛いですね、ヒミカw」
「そこっ!なにニヤニヤしてんのよ!」
うぅ・・・まったくこの二人が組むと性質悪いわ・・・
28ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:16:32 ID:Qjdyo7MB
その2/セリア・ファーレーン・ニムントールの場合

「はぁ・・・面倒くさい・・・」
「もう・・・二ムったら。今朝までは張り切ってたのに・・・」
「相変わらず飽きるのはやいわね・・・ニムントールは。」
「別に・・・最初から張り切ってなんかいないもん。」
そうよ、冷静になってみれば
ニムがユートなんかにわざわざチョコ作ってあげる必要ないじゃない。
「だいたいさ、手作りじゃなくてもいいよ。どーせユートは区別つかないよ。」
「それは・・・たしかに有り得ますね。ユート様ですから。」
「何気に酷いわね二人とも・・・まぁユート様だから仕方ないか。」


「へっくしっ!!!」
うぅ・・・本当に風邪か?
トン、テン、カン。
(情けないな・・・契約者よ。やはりマナが足りないのではないか?)
「いや、それ関係ないし。」
トン、テン、カン。
ふぅ・・・しかしなんだな・・・
「なぁ光陰・・・」
「なんだ?悠人よ・・・」
トン、テン、カン。
29ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:18:59 ID:Qjdyo7MB
「なんで俺たち異世界来てまで土木作業してんだ?」
「さあな・・・お前が暇だなんて言うからだぜ、多分。」
「俺のせいかよ!?イオに頼まれて安請け合いしたのお前だろ!?」
「美人にお願いされて断るのが男のすることか?否!断じて否だぞ!悠人!」
「はぁ・・・まぁ気持ちはわからんでもないが・・・
ところでお前はロリコンじゃなかったのか?」
たしかネリーたんハァハァとかヘリオンたん萌えとかいつも言ってる気がするが・・・
「甘い!甘いぞ!悠人よ。たしかにネリーちゃんやヘリオンちゃんは最高だ。
だがおっとりお姉さんのハリオンもそれはそれで。
セリアの蔑んだ視線もたまらない。イオの大人の色香も捨てがたい。
ぶっちゃけ皆萌え。」
お前・・・それはあまりにもアレだろ・・・節操なさ過ぎ。
「おらー!ボンクラ共!なに無駄話してんだ!」
おっと手が止まってたな・・・いかんいかん。
「もう少しですからね。がんばって下さいね。お二人とも。」
「「うーい。」」
トン、テン、カン。

建設が終了しました。
30ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:21:09 ID:Qjdyo7MB
その3/オルファリル・アセリア・ウルカの場合

「・・・・・・」
「ん・・・完成。」
・・・・・・・・・・・・・緑色?
「手前もです。」
・・・・・・・・・・・・・ピンク色?
「・・・・・・」
えーと・・・アレ何?
「どうしました?オルファ殿?先ほどから一言も喋っていませんが・・・」
「え?いや、なんでもないよ?ちょっと疲れただけで。」
うん、そう・・・精神的に。
「ん・・・それはいけない。」
「でしたらこれを少々どうぞ。残り物ですが・・・
何でもチョコには疲れを吹き飛ばす効果があるとか。」
ウルカお姉ちゃんがピンク色のチョコ(自己申告)をくれる。
「ん・・・私のも。完成したのはオルファのおかげだから・・・」
アセリアお姉ちゃんも緑色のチョコ(たしかに材料はチョコだった)をくれる。
「・・・・・・・」
えぇ!?無理!オルファ死んじゃうよ(失礼)
「え、えーとオルファ自分のあるし・・・へ、平気だよ?
えーと、こーゆーのはやっぱりパパに最初に食べてもらった方がいいよ?」
ごめん・・・でもパパは強いから平気だよね?
オーラフォトンバリアとかあるし。(関係ないです)
31名無しさん@初回限定:05/02/14 01:21:51 ID:N66sxqJI
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32ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:22:46 ID:Qjdyo7MB
ぞくっ・・・
「うう、寒い・・・」
なんか急に冷えた気がする。
「おいおい大丈夫か?本当に風邪なんじゃないのか?」
「うーん・・・そうかもしれない。」
「なんだ?ボンクラは風邪か?だらしないね・・・」
「まったくだ、鍛え方がたりないぞ?
いや、そもそも馬鹿は風邪をひかないんじゃないのか?」
そりゃ酷いぜ、光陰・・・
「ヨーティア様特製の風邪薬ならありますけど・・・」
いや、それ何かそれは・・・ヤバそうじゃないか?
「なんだい?その目は・・・私が作ったのが不満みたいじゃないか?」
だってなぁ・・・なんか変な具合にキマッちゃいそうだよな・・・
「で、結局ありゃ平気なのか?」
ヨーティアには聞こえないように光陰がイオに尋ねる。
「はぁ・・・多分エトランジェでしたら・・・平気かと。
プロテクションとかホーリーとかありますし・・・」
「「駄目じゃん!」」
33ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:24:10 ID:Qjdyo7MB
その3.5/エスペリア襲来

バタン!
「いったい訓練もせずに何をしてるんです?」
私は部屋に踏み込むやいなや怒鳴る。
・・・ってこの甘い臭いは一体?
「あらあら〜エスペリアじゃないですか〜丁度いいところに〜」
「ハリオン!?いったい何をしているんです!」
「まぁまぁ〜落ち着いて〜そんなんじゃ皺が増えますよ〜」
「なっ!私はまだそんな歳じゃないです!」
「こらこら刺激してどうすんのよ・・・」
「ヒミカ!あなたがいて何なのですか?」
まったく何をしているのだろう?生真面目なヒミカまで訓練をサボるなんて・・・
「いや、これには深い事情が・・・かくかくしかじかってわけなのよ。」
「成程・・・かくかくしかじかですか・・・それは大変興味深・・・」
・・・っといけない。私はこれでもユート様の留守を預かる身・・・
流されては駄目です。ここは厳しくいかないと・・・

「帝国との決戦をひかえた大事な時期に何を浮かれているんですか。(ぼそっ)」
「帝国との決戦をひかえた大事な時期に何を浮かれているんですか!」
34ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:27:00 ID:Qjdyo7MB
・・・・・・はい?
「・・・当たった。予測通りです。(ガッツポーズ)」
・・・(怒)まったくこの娘は感情を取り戻したかと思えばなんでこんな変なキャラに・・・
「あんたまでエスペリアを刺激しないの・・・」
「でも〜もう作っちゃいましたし〜まさか捨てろとは〜言いませんよね〜」
「一応レスティーナ様にも許可は取ったみたいよ?ナナルゥが。」
なんて手回しのよい・・・はぁ、しかたないですね。
「わかりました。でも、今 回 だ け で す よ !」
「はい〜わかりました〜で、エスペリアも〜勿論作りますよね〜」
そうですね・・・こうなっては作らないと負けですね。
「ええ、参加させてもらいます。」

その4/エスペリア・ネリー・シアーの場合

「あ、エスペリアお姉ちゃんも作るの?」
「・・・るの?」
「ええ、こうなっては負けられませんから・・・ではなくて。
羽目をはずし過ぎないように監視しなくてはいけませんし。」
「ふーん、大変だね。」
「・・・だね。」
まったくです。ユート様が絡むとヒミカやセリアまでおかしくなるのですから・・・
私の苦労も・・・
「って、何をどさどさいれてるんです?」
「え?ネリー達がー好きなものだよー。」
「・・・だよー。」
ネリー達のチョコは何やら凄い状態・・・えーと、シチューみたいですね。
「一応聞きますけど・・・食べれるんでしょうね、それ?」
「うん。食べれるものしか入れてないよ?」
「・・・ないよ?」
そうですか、なら死にはしませんね。
アセリアの料理でも生きてましたし・・・(色々と酷い)
35名無しさん@初回限定:05/02/14 01:29:59 ID:N66sxqJI
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36ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:30:06 ID:Qjdyo7MB
「あー、このシチュー旨いよ。プロ級だなイオの腕は。」
「ぷろきゅう・・・ですか?」
イオが首をかしげる。おっといけない・・・って前にもやったな、俺。
「あぁ、店で出せるぐらい本格的で旨いって意味だよ。」
「そうですか・・・恐縮です。」
「いやー仕事のあとの飯はうまいね。これで酒でもあれば最高なんだが・・・」
ってお前まだ未成年だろ・・・しかも寺の息子。あーツッコミ所多すぎ。
「酒か?そんなこともあろーかと!」
ドン!ドン!ドン!ドン!
どこからともなく4本の酒(一升瓶)を取り出す。
4本?俺も数に入ってる?一人一本?ってゆーかどこから出た?あーツッコミ(ry
「おいおい・・・さすがに任務中に酒はマズイだろ・・・」
とりあえずこれだけは言っとかないとな、威厳なくとも隊長として。
「おいおい〜固いな〜ボンクラ〜私の酒が〜飲めないってか?」
「安心しろ〜酔えば酔うほど強くなる!それが酔拳ってもんよ!」
いや、お前はジャッキー○ェンか?いつから酔拳を使えるようになった?
てゆーか、あなた達出来上がるの早くないですか?
「おい・・・イオからもなんか言ってくれよ・・・っておい!」
「ごくごくごく・・・はぁ・・・」
イオはすでに一升瓶を飲み干していた。
「おいおい・・・そんなに一気に飲んだら毒だぞ?」
いや、スピリットもアル中になるかは知らんが・・・
37ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:31:01 ID:Qjdyo7MB
「あら・・・心配してくださるんですか?うれしい・・・」
イオが微笑みながら近づいてくる。
酒のせいか頬がうっすらと赤く染まり目も潤んでいる。
・・・その、なんだ・・・色っぽい。
「ユート様・・・」
イオの顔が近づく・・・ってこの流れは、アレか?
いや、酔った勢いってのは駄目だよな・・・うん。
こーゆーことは順番がだな、まずは交換日記から・・・
って、落ち着け!俺!
「ユート様・・・私・・・」
イオの手が俺の頬に触れる・・・
「あ、あのなイオ・・・」
「うえーーーーーーー」
「は?」
どばどば・・・
「うわー。イオ勘弁!ってこういうオチですか!」
(契約者よ!我を早く退避させろ!うわ!かかってる!)
「はぁ・・・すっきりしました・・・」
パタン・・・
「すぅすぅ・・・」
うわっ出すもんだして寝やがった!
「わはははは!」
「はっはっは!」
あっちはあっちで完全に出来上がってるし・・・楽しそうだな、オイ。
はぁ・・・俺は何の為にここにいるんだろう?
38ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:32:57 ID:Qjdyo7MB
その5/今日子・ヘリオン・クォーリンの場合

「はぁ・・・なんでこんなことに・・・」
「あはは。残念だったわね、ヘリオン。」
せっかく悠に告白しようとしたのにねぇ・・・
「皆で渡したんじゃ目立ちそうにないです・・・」
ヘリオンが溜息をつく。
「目立つ方法ね・・・」
相談されたこともあるしヘリオンのことは応援してあげたい。
でもスピリットは皆美人で個性的だからね。
目立つのは大変よね・・・
「私地味だから・・・小っちゃいし。クォーリンさんみたいにスタイルよくないし・・・」
「クォーリンはたしかにスタイルいいわね・・・背高いし。
こう・・・出るとこ出てて、ボン!キュ!ボン!みたいな。(おっさんくさいです)」
モデルみたいよねー。正直あやかりたいものだわ。
「でも・・・コウイン様は小さいほうがいいみたいだし・・・(ぼそっ)」
「ん?なんか言った?」
「いえ・・・そのキョーコ様の本命はコウイン様なんですよね?」
「え?えーと・・・そうなるのかな?一応・・・」
悠はともかく光陰は義理しか貰えそうにないし・・・
それに・・・やっぱり悠は私を友達としてしか見てないみたいだしね・・・
いいかげん私もちゃんと答えださないとね、光陰の為にも私の為にも。
39名無しさん@初回限定:05/02/14 01:33:09 ID:RNrCaXXV
支援します
40ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:35:09 ID:Qjdyo7MB
「やっぱりライバルはキョーコ様ですね・・・」
私は改めて決意をする。
『空虚』から開放されたキョーコ様は気さくで優しい方だ。
コウイン様が惚れるのも正直・・・わかる。
でもやっぱり諦めらめられない。
私だって見た目は結構悪くないと思う。
その・・・コウイン様の趣味からはずれてるかもしれないけど。
でも、キョーコ様だって小っちゃくはないし・・・
それに信頼されてる自信はある。どちらかといえば好意を持ってもらってるはず。
勝機はゼロじゃないはずよね。
「はぁ、クォーリンさんはコウイン様が好きなんですか?」
「わ!!へ、ヘリオンさん!?」
っていうか、聞かれてた?
「大丈夫ですよー。私にしか聞こえてませんし。」
「・・・その、内緒ですよ?」
「わかってます。お互いがんばりましょうね。」
「そうですね。がんばりましょう。」
相手は違えど恋するもの同士。親近感がわきます。
41ハイペリア式告白法・中編:05/02/14 01:38:02 ID:Qjdyo7MB
そんなこんなで・・・

「さてさて〜皆完成しましたね〜。では明日皆で〜渡すということで〜
あ〜先制攻撃はなしですからね〜ナナルゥ?」
「バレた・・・ちぇっ・・・」
「・・・ってするつもりだったのね貴方。」
「それでは〜解散です〜」

続く

次回予告
迫りくるチョコ!チョコ!チョコ!
果たして悠人を巡る女達の仁義無き戦いに決着はつくのか?
保管庫ではヒロインはヘリオンとなっていたけど本当にそうなのか?(えぇ
クォーリンと今日子の一騎打ちの勝者は?
イオをゲロ吐きの汚れキャラなんかにして許されるのか?
っていうか間が随分開いたけど前編を覚えて貰っているのか?
そもそも前回の次回予告と一部違う・・・(いや、かなり?)
様々な問題を抱えつつ迷走するヴァレンタインネタSS!
次回!後編は2月14日に投下予定!(まだ未完成!)
42後書きじゃなくてやっぱり中書きか?:05/02/14 01:43:29 ID:Qjdyo7MB
えーと・・・ぶっちゃけ色々とアレですいません。
どこで間違ったか・・・
たしか最初はヘリオンの告白話だったんですが・・・
ヘリオンより光陰とかの方が喋ってる?
変だな・・・
まぁ後編に続くので中書きはこんなもので。
43名無しさん@初回限定:05/02/14 01:53:23 ID:++aCs/sT
>>42
>>霞さん
G.J!!
いろんな意味で悠人が大変なことになりそうです(w
これから後編を書き上げるようですが頑張ってください。


>>点呼
ぶっきらぼうにチョコを渡してくるヒミカラブ<14>
44名無しさん@初回限定:05/02/14 02:10:44 ID:sy56URjh
レスティーナから、チョコレート入りのヨフアルを貰いたい。<15>
45名無しさん@初回限定:05/02/14 02:16:12 ID:Qjdyo7MB
誤字発見報告。
>>32
×  「ヨーティア様特製の風邪薬ならありますけど・・・」
    いや、それ何かそれは・・・ヤバそうじゃないか?

○  「ヨーティア様特製の風邪薬ならありますけど・・・」
    いや、それは何か・・・ヤバそうじゃないか?

見直せども あとで見つかる 誤字脱字 (字余り)

他にもあったらごめんなさい。

>>43
感想ありがとうございます。
後編も頑張ります。悠人には色々とアレでコレな目にあってもらう予定w
46名無しさん@初回限定:05/02/14 02:18:58 ID:lyHNs+vq
>44
チョコレートソースのほうが現実的では

某戦巫女さんだって参戦するかも?<16>
47名無しさん@初回限定:05/02/14 02:19:52 ID:RNrCaXXV
>>42霞さん
即死回避SS、お疲れ様でした。
最前線のはずなのに、のんびりとした雰囲気の悠人達。
何故か酒宴の方に目がいってしまうのでした(汗
48名無しさん@初回限定:05/02/14 02:25:30 ID:Kq+vGqkH
コーイン貴様っ!     激しく前面同意〜〜。

確かにどんなだったか忘れてましたw  

そろそろクォーリンを能動的に支援してくれるスピがいてもおかしくないですよね。
それがヘリオンかぁ……不安 あ、うそです。
 
ヨーティアからアカスク(ぁゃιぃ薬入り)をくすねてきてアカスクボンボンを。
49名無しさん@初回限定:05/02/14 10:41:37 ID:8bWu6wQG
>霞氏
華やかに巻頭を飾るSS投下乙でした。
イオさんやっと出張して来たと思ったら...なんつー事に...
ま、いいかw
ユート君の無事を祈りつつ後編お待ちしてます。

では、私はコアラ様に黒オーラ100%チョコ貰って来ます。
50名無しさん@初回限定:05/02/14 12:18:37 ID:ABnnnDXv
>>42
乙彼様〜
がんがれクォーリン

と言いつつ私はシアーに貰って半分こして一緒にもきゅもきゅしてきます
51黒くて甘い罠:05/02/14 14:28:40 ID:OMru9agu

「お疲れ様でした、トキミさま」
「…………信じられない。『時詠』の力をこんな事に使うなんて」
「まぁそう言うなよトキミ殿。お前さんだってこのイベントは大事なんだろう?」
「それはそうですけど…………って『門』を開いたのに、何故みなさん私を覚えてるんですか?」
「ふむふむ。これが伝説のハイペリアの…………」
「どうですかヨーティアさま。こちらで複製は可能でしょうか」
「イオ、誰にものを言っている。この大天才さまに不可能はないよ、ハッハッハッ」
「聞いてないしっっ!!」

聖ヨト歴333年エハの月赤ひとつの日。
別にこの日に意味があるわけではない。ただ、なんとなくイメージに合っていただけ。
そう、ハイペリアの一大イベント、『せんとばれんたいんでぃ』に。

「…………光陰、一体誰に説明しているんだ」
「気にするな悠人。それより、だ。問題は、この風習が皆に知れ渡ってしまっているという事だ」
「お前が吹き込んだんだろーがっ!しかもいかにも広めそうな、ネリーやオルファからっっ!!」
「まぁまぁ。問題は『どうして』じゃなくて、『どうするか』だろう?冷静になれよ」
胸倉を掴んだ俺に、はっはっ相変わらず馬鹿だなぁ、とか首を振りつつ、
爽やかな笑顔で肩にぽんっと手を置く破戒坊主を、俺は本気で殺したくなった。
「そこでだ、悠人、ここはどちらがより多く貰えるか、勝負といこうじゃないか」
「お前って本当に人の話、聞いてないのな…………」
脱力しながら、この世界にチョコなんてあるはずないだろう、と心の中で突っ込んだ。
52黒くて甘い罠:05/02/14 14:30:21 ID:OMru9agu

朝。食堂にて。
「ふぁぁ〜……お早う〜……」
「ユートさまっ!はい、ちょこだよ〜っ♪」
「……んぁ?」
意気揚々とネリーが差し出したものに、俺は欠伸をしたまま、開いた口が塞がらなかった。
この色艶、香り。なんだかいやにリアルなハート型。一気に目が覚めた。
「お、おいネリー、これ、どうしたんだ?」
「へへ〜。だってネリー、ユートさまが好きだから〜」
両手を頭の後ろで組みながら、自分のセリフに照れてぴょんぴょん跳ねるネリー。
後ろに控えていたシアーが、とことこと俯きながら歩いてくる。
「ユ、ユートさま、あの、シアーもなの…………」
そしておずおずと差し出してくる、ネリーと同じもの。最早疑いようもなかった。
「あ、ああ、二人とも、ありがとな……」
返事も虚ろに、自分の席に着く。いただきます、とナイフで切り分け、口に運ぶ。
うん、まったりとした、甘みが抑えられ、それでいてしつこくない味。
ハリオン、相変わらずいい腕前だな…………ってぇ!チョコ!チョコだって、これ!
慌てて周りを見渡す。こちらに向けられていた視線が一斉に下を向いた気もするが。
机の上を観察すると、どうやら俺の分だけ真っ黒らしい。何かの嫌がらせだろうか、これは。
何事も無かったかのように、食事を済ませていく面々。そんな中、ハリオンと目が合った。
「……………………」
にこ〜と意味ありげな笑顔を見せられて、俺はしぶしぶ「朝食」に取り掛かった。
53黒くて甘い罠:05/02/14 14:32:11 ID:OMru9agu

午前中。自室にて。
俺は、目撃した。天井から伸びる一本の紐が、するすると降りてくるのを。
「…………ナナルゥ、そんなトコで何してるんだ?」
机の上に下ろされたブツを見れば、そんな事は一目瞭然なのだが、聞かずにはいられない。
俺と目が合ったナナルゥは、さほど慌てるそぶりも見せず、ふっと意味不明な鼻息を漏らした。
「目的遂行完了しました。撤退します」
「……ちょっと待て。一応聞くけど、チョコか、これ?」
「…………ぽっ」
すー、と音も立てずに天井裏に消えるナナルゥ。俺は無言で天井の補修にかかった。

昼。食堂にて。
「あ、ユートさま、昼食の用意が出来てますよ」
「…………エスペリア、ユートのだけ、黒い」
「ホントだ〜、真っ黒だね。…………エヘヘ☆」
「珍しいこともあるものです。エスペリア殿とオルファ殿が揃って失敗なさるとは」
「こ、これはその、違うんです。……あの、ユートさま、受け取って頂けますか……?」
やり取りを半ばうわの空で聞いていた俺は、間近で囁くエスペリアの言いなりだった。
こくこくっと機械のように頷いて、席に着く。
もきゅもきゅと頬張る俺を、アセリアが不思議そうに見ていた。

どうやら、情報の伝わり方に、偏りがあるらしい。
アセリアやウルカは、どうやら何も知らないようだった。
それとも、光陰にあげたとか…………まさか、な。はは。
貰っても貰わなくても落ち着かない。そんな贅沢な悩みで、俺の笑いは乾いていた。
54黒くて甘い罠:05/02/14 14:36:22 ID:OMru9agu

それはそれとして、何だか変だ。いや、絶対にオカシイ。
なんでファンタズマゴリアにチョコレートが存在するんだ。
今更ながら、俺はこの疑問に辿り着いていた。いや、遅すぎるといえばそうなんだけど。
幸いにもこんな事が出来る人物を、俺は二人も知っている。
一人は、俺の恥ずかしい過去を隅々まで知り尽くしているので、出来れば話を拗らしたくない。
という訳で、俺はもう一人の自称天才科学者の部屋を、ノックした。

「おう、いるぞ〜」
ぞんざいな声を確認して、扉を開くと、そこは異世界だった。
……ファンタズマゴリア自体、異世界だっけ。まぁいいや。
「あいかわらず凄い部屋だな。ちょっとは掃除をしたらどうなんだ」
「なにを言うか、こうでもしないと研究がはかどらないんだ、わたしの場合は」
「…………そうか、それはそれとして、聞きたいことがある」
「なんだ、なんでも聞いてくれ……と言いたい所だが、試したい事があるんだ、後にしてくれ」
にべも無くそっぽを向いて何か作業をしているヨーティア。
ちょっと待ってみたが、それ以上こちらを向く様子はなさそうだった。
「…………わかった、後でもう一度来てみるよ。じゃまして悪かったな」
不得要領のまま、俺は部屋を後にした。
55黒くて甘い罠:05/02/14 14:39:49 ID:OMru9agu

「よろしかったのですか、ヨーティアさま」
「なにがだ?実験は、着々と進んでいる。何も問題はあるまい」
「…………それはそうと、そろそろ掃除をしても宜しいでしょうか?」
「ああ、いいぞ。隠す必要ももうないだろう」
ごそごそごそ。そこから出てきたものは、縛られたまま、猿轡の中からくぐもった声を漏らす。
「むーむー……むーーー!!」
「うるさいなぁ、しょうがないじゃないか、材料不足で数が足りなかったんだから」
言いながら、孫の手みたいなもので背中を掻く。丁度そこに転がっていた、扇子型の。


午後、高台にて。
俺は呼び出されてここに来ていた。
やがてぱたぱたと駆けて来る、髪を二本の三つ編みに纏めて下ろしている女の子。
「お待たせ〜、ユートくんっ」
ぴょん、と俺の手前きっちり一メートルで止まった彼女に俺は冷静に告げた。
「レスティーナ…………もうみんなにばれてるんだから、別にレムリアにならなくても」
「何をいってるのかな〜?誰、れすてぃ〜なって。もしかして他の女の娘の事考えていたのかな〜」
ぎりぎりぎり。両のこめかみに物凄い圧力が掛かる。冗談ではない。死んでしまう。
「わかった、わかったからごめん!…………は〜、「他」も何も、同一人物じゃ…………」
「ん〜〜〜?」
「わかったって!……で、何の用、だ…………?」
「ハイこれっ!チョコだよっ!こういうの、“ギリチョコ”っていうんだよね?」
「……………………」
色々と突っ込みたいところはあるのだが。義理チョコは、普通重箱には入れてこない。
ずっしりと重たいそれを受け取りながら、恐る恐る中身を覗こうとすると、
レスティーナがあっと小さく叫び声を上げた。
「ごっめ〜ん!わたし、急いで帰らないと…………じゃ、またね、ユートくん♪」
ぴゅーと消え去る彼女の後姿が見えなくなる。
「……………………」
俺は暫く躊躇した後、その後を追うことにした。
56黒くて甘い罠:05/02/14 14:44:48 ID:OMru9agu

「ごめん、至急女王陛下に話があるんだっ!」
城の衛兵は、今や英雄扱いの俺が血相変えて飛び込んできたことに驚いたようだ。
それでも即座に対応して、直ぐに王座の間まで案内してくれる。俺はずかずかとそこに入っていった。
王座には、その女王陛下様が落ち着いた表情で、居並ぶ重鎮の間から、俺を見ている。
しかし、俺は見逃さなかった。その肩が激しく揺れていたり、下ろした髪がやや乱れていることを。
「どうしたのエトランジェ・ユートく……こほん。どうかしましたか、そんなに慌てて」
必要最低限の質問で、呼吸の乱れを隠しているところなんかは流石だと思う。肝心の文章がめちゃくちゃだが。
「ちょっと聞きたいことがあるんだ。このことなんだけど」
先程貰った重箱をうやうやしく差し出す。重鎮のじい様達が何故かおお〜と声を上げた。
ぱかっと蓋を開けて見せる。一分の隙もなく埋め尽くされた黒い塊。
「これは、俺の世界にしかない食べ物の筈なんだ。レスティーナ、一体これを誰に貰った?」
おお〜と再び低い歓声が上がる。たまにハンカチを目尻にそっと当てたりして。なんなんだこいつら。
それはそうと、レスティーナはぷい、と関心無さそうに横を向いた。
「わたくしは、そのようなもの、知ら……知りません」
「……そうか、それじゃこれは、捨ててもいいんだな?」
ぞんざいな俺の言い方に、彼女の肩がぴくっと動いた。面白いほど判り易い奴。もう少しだ。
「知らないんじゃしょうがないよな〜。悪かった、じゃあな」
「あ、待っ…………お、お待ちなさいっ!」
「ん〜〜〜?」
首だけ動かして、意地の悪い笑いを口元に浮かべ、振り返る。
俯いたレスティーナの肩が、最早隠しようも無いくらいぷるぷると震えだしていた。
「…………わる」
「え?」
「いじわるいじわるいじわるっ!!!いじわるだよ、ユートくん!!!」
がばっと顔を上げたレスティーナの瞳は、うるうると漫画のように大きくなっていた。
そこからぽろぽろと大粒の涙を流しつつ、じたばたと暴れ出す。
「お、おい、ちょ、悪かった、悪かったから」
泣く子となんとかには敵わない。俺は慌てて頭を下げた。と、がしっと肩を両側から掴まれる。
見ると、だーと滝の様に涙を流した衛兵が、何も言わずにふるふると首を振っていた。
57黒くて甘い罠:05/02/14 14:52:04 ID:OMru9agu

午後。裏庭にて。
結局、脳乱したレスティーナからは、何の証言も得られなかった。
何時の間にか探偵みたいな事をしているな、と思いながら裏庭を通りかかる。
“日溜まりの樹”の側まで来た時、人の話し声が聞こえてきた。
「あ、あの、コーインさま、これ…………」
思わず隠れてしまう。伝説の樹の下で告白ですか、クォーリン。やるなぁ。
「う、受け取ってくださいっ!!」
「お、おう、サンキュ、クォーリン。義理でも嬉しいぜ」
「え、あ、あの…………」
「よっしゃ、これで1get!これで後はオルファタンハァハァ……ネリシアタンハァハァ……ヘリオンタンハァハァ……ニムタンハァハァ…………」
「……………………」
眩暈がしてきた。本当に、アホだ、こいつ。それともわざとやってんのか。
そっと離れると、物凄い轟音と共に、“日溜まりの樹”は真っ二つになった。


午後。詰め所の角にて。
「おっと!」
「きゃあっ!ユ、ユート!馬鹿、気をつけなさいよっ!」
「悪かった…………っておい!何か落としたぞっ!ってあれ?」
声も虚しく、すでにニムントールの姿は消えていた。やれやれと思いながら、拾い上げるとそこにはヨト語で。
『ユートに殺る』
「……………………」
俺、何かしたか……。冷や汗を垂らしながら、文面を良く見ると、おかしな所に気が付いた。
ユート「に」殺る。ユートに、やる。ユートに、あげる。……おお。

――――エスペリア、初等教育がなってないぞ……
58黒くて甘い罠:05/02/14 14:54:53 ID:OMru9agu

午後。自室にて。
「あらおかえり悠。頂いてるわよ〜♪」
部屋に入ると、ベッドの上に寝っころがりながら、今日子が迎えた。
見ると、足元には朝から貰ったブツの食べかすが散らばっている。
「をい」
「悠ってばモテるのね〜。ラキオスに来てからこっち、忙しかった筈なのに、ヤる事やってんじゃん」
「それとコレに何の関係が…………ってうわっ速っ!」
目聡く持っていたニムから貰ったばかりの物まで奪い取られる。
最接近した時の、獲物を狙う獣ように輝く瞳が怖かった。マジだ。こいつ、何か怒ってる。
とりあえず警戒しつつ近づくと、あ〜んと大きな口にかぶりついた所だった。
「いっただっきま〜す…………うんうん、悠もちゃんとこういうのを受け取るようになったのね〜」
「…………そんなに渡された覚えは無いんだが」
「な〜に言ってんのよ。アンタにあげたいって娘はたっくさんいたのに、アンタいっつも仏頂面だから」
けけけ、と意地悪そうな含み笑いを続ける今日子。
「だ〜れも近づけなかったのよね。で、結局佳織ちゃんとアタシがアンタを慰めていた、と」
「慰めって……義理だろ?……俺は別に、そんなのどうでも良かったんだけど、な」
溜息交じりに呟く。と、急に真面目な顔をした今日子が、ずい、と詰め寄ってきた。
「何言ってるのよ。こういうのは、アンタの気持ちじゃなくて、受け取れるかどうかが問題なの。……はい」
「へ?」
「それじゃ〜ね〜。ごちそうさまっ♪」
ぱたん、と扉が閉められる。俺は今の話の展開から、唐突に渡されたものについての流れがさっぱり解らなかった。
59黒くて甘い罠:05/02/14 14:55:49 ID:OMru9agu

「…………『求め』の位置、捕捉しました」
「おう、ごくろうさん、イオ。それで、どうだ?」
「現在、訓練場に向けて、移動中。まだ動きはありません」
「そうか、で、『因果』の方は?」
「先程まで気配が微弱でしたが、復活したようです。『空虚』との接触を確認」
「ふむ、これで2−1。中々拮抗してるな」
「ヨーティア様、ユート様は既に…………」
「証拠が無くなっている。誰も胃袋の中までは調べようがないだろう?」
「…………そんなんで、いいのでしょうか?」
「後残っているのは、『赤光』『月光』『失望』『熱病』の4人か……まだ難しいな」
「しかし、『赤光』や『熱病』はあまりこのようなイベントに参加するとは考えられないのでは?」
「甘いなイオ。猫を被って近づき、一気に喰らう。肉食動物の基本だ。奴らにぴったりじゃないか」
くっくっと邪悪な笑みを浮かべる主人を、イオは溜息混じりに見つめる。
「そういえば、コード:skullの動きが不明ですが」
「神剣を持っていないからな…………まあそれは、ひとまず棚に上げて置こう」
「了解しました…………で、いつまで遊ぶんですか、このネタで」
「どうせ今日一日だ。それ位大目に見てくれ」
60黒くて甘い罠:05/02/14 14:58:17 ID:OMru9agu

夕方。訓練場にて。
「あっ、ユートさま!」
「おいヘリオン、余所見すると危ないぞ」
「へ?」
がすっ。俺の警告も虚しく、咄嗟に刃を返したファーレーンの『月光』がヘリオンの頭に直撃する。
「きゃんっ!」
「ご、ごめんなさいヘリオン!だって急に動きを止めるから……」
「う〜、い、いいんです、ファーレーンさん。わたしがドジなだけですから……」
瘤の出来た頭を擦りながら、涙目になってふらふらとやってくるヘリオン。
なんだか酔っ払いのようなその動きを、後ろでファーレーンがはらはらしながら見守っている。
「…………?なんだ?俺に用?」
ようやく辿り着いたのはいいのだが、もじもじと手を擦り合わせるだけで、こちらを見ようともしない。
しょうがないのでこちらから話しかけてみると、何かを決心したのか、きっと上目遣いで熱く見つめる。
「お…………」
ヘリオンの急変に思わず仰け反る。すると同じ距離だけ、ヘリオンは瞬速で詰め寄ってきた。
流石ブラックスピリット。俺は変な所で感心した。
「あのっ!…………こ、これ…………」
「あ、ああ、ありが……」
そして、おずおずと差し出されるそれ。俺はそれを受け取ろうとして……周囲の空気が重く固まるのを感じた。
ぎぎぎ、と急に錆び付いた首を捻り、辺りを見回す。まず、ファーレーンと目が合った。
俺の視線に気付いた彼女のロシアンブルーの瞳が一瞬ぱちくり、と瞬きをして、にこっと微笑む。
そしてその肩越しに、セリアとヒミカの姿も見えた。二人とも、微笑んでいる。蒼と赫の瞳を、爛々と輝かせて。
「……ふぇ?どうしたんですか、ユートさま」
一人状況の深刻さを知らないヘリオンの無垢な質問は、答えるには重すぎた。
張り付いたような笑顔を満面に湛えながら、それぞれの神剣をこねくり回すラキオス屈指の剣士達。
最早恫喝というに相応しい、深遠と煉獄と絶対零度(アブソリュートゼロ)の支配する世界。
平均的なただの高○生である俺には、目の前の死に抗う術など持ち合わせているはずも無かった。
殺られる。脂汗がつーと背中を伝った時。俺は、本能に従った。つまり、逃げた。そりゃもう、全力で。
61黒くて甘い罠:05/02/14 14:59:52 ID:OMru9agu

夕方。自室にて。
「ふぅ……なんだか疲れた」
言い様のない疲労感を感じながら、『求め』を立てかける。と、なんとなく変だった。
一見、何も問題はない。でもなんだろう、この違和感は。しげしげと眺めてみると……やられた。
握りと刀身の間に、『鍔』がある。こげ茶色の。妙に精巧な模様入りで。
「いつの間に…………」
良く見るとヨト語で、『アセリア ウルカ』と銘まで彫ってあった。


夜。食堂にて。
怯えながら席につくと、やはりというか黒かった。
今度は誰が、と見回すと、がしゃんと派手に動揺したのは、黒蒼赫の、ラキオス屈指の剣士達。
「……………………」
ふと見ると、ヘリオンの席が空席だった。


夜。自室にて。
結局、ファンタズマゴリアに異世界の文明を持ち込んだのが、誰なのかは判らずじまいだった。
「絶対あの二人だと思うんだが…………」
『呼んだか、ユート?』
「うぉっ!」
いきなり、『求め』を通じて声が聞こえる。ヨーティアか?
『ご挨拶だな、そんなに驚かなくてもいいじゃないか』
「誰だって驚くっ!なんなんだいきなりっ!」
『あ〜、お前さんには報告しておかなくては、と思ったんでね。早いトコ、そこを離れた方がいいぞ』
「は?なに言って…………おおおっ!!!」
聞き返す前に、どおん、と激しい振動で、入り口が吹っ飛ぶ。
轟音と共に現れたその影は、ゆらり、とこちらを向いた。
『うっかり忘れていたら逃げられてしまってね。気をつけた方がいいぞ、我を失っているかもしれん』
淡々と説明を続けるヨーティアの声を聞くまでもなく、もう俺は絶対的に追い詰められていた。
62黒くて甘い罠:05/02/14 15:02:05 ID:OMru9agu

「よ、よう時深、こんな夜更けにどうしたんだ?」
何だか判らないが、無駄だと知りつつ話しかけてみる。対話から自我を取り戻すって話を聞いた事があるし。
このままでは危険が危ない。それにしても今日はやたらと綱渡りが多い日だな。
「…………こんなの」
「え?こんなの?」
かかった。このままスムーズな会話で人間らしさを取り戻してもらおう…………ってうお?!
「こんなの、認めませ〜んっっ!!!」
「ま、待て待て落ち着け時深、なんで泣いて、いて、俺が何したっt@&#*ぇいや%」


遠くから、フルートの音色が響く。気を失っていた俺は、その調べにふと目を覚ました。
辺りを見回すと、残骸の山。転がっている『求め』にも、鍔がついていなかった。
「はぁ〜〜」
吹っ飛んだままの窓から、夜空を眺める。
そういえば、毎年甘いものが嫌いな俺に、佳織はいつも、代わりと言っては曲を創って演奏してくれていたっけ。
俺はそっと目を閉じると、小さく、ありがとな、と呟いていた。
63黒くて甘い罠:05/02/14 15:04:04 ID:OMru9agu

「ヨーティアさま、どちらへ?」
「ああ、ちょっとな。あのボンクラ、結局誰からも貰えなかっただろう?憐れだから、施してくるよ」
「ユートさまは……いえ、なんでもありません。ひょっとして、計算されていたのですか」
「まあな。『竜虎相討つ』っていうだろ、これだけの面子だ、当然の帰結だよ」
ばたん、と扉が閉まる。イオは、主人の居なくなった部屋を眺め渡した。
所々に出来た、黒い染み。湯煎に使われた、ビーカーや試験管。それらを片付けながら。
「全く、素直じゃないのですね…………」
くすくすと、久し振りに微笑んでいた。


夜中。ラキオス湖周辺にて。
「ね〜、もうネリー、疲れちゃったよ〜」
「はぁはぁ…………シ、シアー、もう駄目…………」
「なんでオルファ達、こんなとこ走ってるの〜」
「ニ、ニムに聞かないでよ……」
「で、でも逃げないとって、さっきから『失望』が…………」
何故かぼろぼろのヘリオンのセリフに被り、遠くから狼の様な遠吠えが響く。
「ネリーちゃお〜ん、シアーちゃお〜ん、オルファちゃお〜ん、ニムちゃお〜ん、ヘリオンちゃお〜ん……」
「…………ひっ」
その下煩な響きは、少女の本能にダイレクトに伝わり、戦士である彼女達にすら鳥肌を立たしめらせる。
「な、なんでニム達の名前を叫びながら……」
「コーインさまは、追いかけてくるのかなぁ〜〜?!!」
「よ、よくわかんないけど…………」
「で、でも、きっと逃げないと、後悔すると思う…………」
「って、さっきから『失望』が…………」
うぉ〜ん…………
「「!!!っ!きゃあああぁぁぁぁ……………………」」
さっきより接近している邪悪な気配に、さながら童話の赤ずきんのようなヨウジョ達は、
疲れきった体に鞭打ち、一斉に加速した。決して後ろを振り返らずに。
64信頼の人:05/02/14 15:06:06 ID:OMru9agu
季節モノとしてバレンタインねたを色々と考えていたら、
なんだか一本の話みたいになったので纏めてみました。
微妙にオチがあるようなないような。
65名無しさん@初回限定:05/02/14 15:08:56 ID:FGzlx0Fz
>>信頼の人

乙です。
救われないなあユートw
66名無しさん@初回限定:05/02/14 15:36:38 ID:ABnnnDXv
>>64
乙〜
さすがヨーティア…食べ物相手でもビーカー・試験管、科学者の鑑だぜw
泣くなクォーリン(;´Д⊂)
67名無しさん@初回限定:05/02/14 16:44:39 ID:8bWu6wQG
>>信頼の人氏
乙かれ〜。何故にと言うか、やっぱりと言うか物騒なバレンタインなんですね、ラキオスでは。
佳織の優しげな笑顔が見えるのは樹の精もとい気のせいでしょうか?
とりあえずクォーリンさん、壊した樹は元に戻しといて下さいw
ああ、なんだかコインチョコが食べたくなった。なんでだろ。
68『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:37:27 ID:4LEH/0Gp

「ンギュルギュル〜♪ギュギュ〜♪」

奇声です。どこからどう聞いても奇声以外には聞こえません。
けれど、これは彼の国の言葉なのです。……そんな変な国には行きたくありません。
と、まあ色々ある文句は口にチャックをして置いて置きましょう。
さてはて、この奇声が聞こえてくるのは年中雪に閉ざされたソーン・リームのある一室。
入り口である重厚な樫の木作りの扉にはくさび型文字なんて眼じゃないぜ!と言わんばかりの解読不可能な文字が書かれていたりします。
数十分悩んでみたりもしますがやっぱり読めないのでとっとと中に入りましょう。
金メッキでピカピカなドアノブを廻して扉を開けると、まず眼に入るのが変な物体。
赤茶色で楕円形の餅みたいな姿をして、頭にはいかにもな感じの王冠が乗せられています。
イスにちょこんと乗っているため後姿しか確認できませんが、間違いなくントゥシトラたんでしょう。

「ギュ〜ギュ〜キュ〜♪ンギュルルル〜♪」

どうやら先程の奇声はントゥシトラたんのものだったようですね。
ご機嫌な様子で何かを書いているようです。不思議です……手がないのに。
大きな瞳をくりくりと動かしながら何かを思い出しているようです。
そして、思い出したことを羊皮紙に書き留めています。ということはコレ日記ですね。
―――いけないいけない、他人の日記を覗くなんて恥ずべき行為ですよ!
相変わらず眼を細めて実に楽しそうにカキカキ、カキカキ。
……少しぐらいなら構いませんよね。

69『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:38:29 ID:4LEH/0Gp
カキカキ、カキカキ(チラリッ)。

『ハレルヤハレルヤハレルヤー!ハレルハレルヤハレルヤハレルヤッハー!
 ハレルヤハレルヤハレルヤハレルヤハレルヤハレルヤハレルヤハレルヤ!
 ハーレールーヤーハレルヤーハレトンヤハレルナハレルヤハレンナー!!』

……はい、当然読めません。残念無念です。
折角、ントゥシトラたんが雨の日も風の日も雪の日も、ツンツン針金頭のエターナルに切り刻まれた日も、
部屋の中で自分の血を溢して炎上させてしまった日も、欠かさず書き続けた日記を読めるかと思ったのに!
しかし、ここで諦めるわけにはいきません。
なんとしてでも読まなければ沽券に関わるというものです。

「ンギュルルル〜ル〜ル〜ル〜♪」

おのれ!何も知らずにご機嫌な奇怪生物め!
さすがにこれはもう異文化コミュニケーションというレベルじゃありません。
どっちかっていうと異世界コミュニケーションです。無理です。
「ンギュルル〜……ンギュ?」
おっと、何か疑問に思ったのかントゥシトラたんが悩んでいます。
が、唐突にイスから降りて部屋を出て行ってしまいました。どうしたのでしょう?
ですが、これで日記は見放題です……読めませんが。
しかし、全身全霊を掛けて翻訳に挑戦です。
えーと、何々――――

70『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:39:21 ID:4LEH/0Gp
―――いつも雪が降っているのに、今日は珍しく晴れ。
―――そのせいか色々と不思議なことが起こった。

「ふわぁぁ〜ああぁ………ヒマねぇ……」
ソーンリームにある館の庭で大きな欠伸をしているのはミト姉(注:ミトセマール)。
ミト姉の一日は光合成から始まる。今でこそ人の姿をしているけど元は大きな植物だったみたい。
「ちょっと、そこの目玉。もうちょっとこっちに来な。」
さっそくお呼びが掛かった。慌てて移動開始。
なんだかソーンリームに来てからミト姉の光合成に付き合うのが日課になりつつある。
「はいはい、よく来たねぇ」と、辿りつくと同時にいきなり抱き締められる。
これもまたいつもの日課なので特に驚くこともなくされるがまま。
ミト姉は植物なのでどうにも寒いのが苦手らしい。
寒いなら先にその露出度の高い服装を直したほうがいいと思うのだけど未だに言い出せていない。

「ん〜……ほっかほか」スリスリスリ、頬ずり。
「おや?またハグですか、お盛んなことですね」
そして、いつもこのタイミングで現れるのは水生生物の王子様メダリオ。
メダリオは元々寒い世界出身なので気温零度以下のこの場所でも平気な顔をしている。
……ただそれがミト姉には気に食わないらしい。
「全く、寒い寒いと軟弱―――アウチッ!!」
問答無用で『不浄』が唸る。今に始まったことじゃないけども。
「毎回毎回……アウッ!…この仕打ち、ウッ!……は……ひどグハッ!」
何度も鞭で叩かれながらも顔だけは死守しているところはさすが真性ナルシストだと思う。
けれど、数分後にはボロ雑巾のように地面に転がるメダリオ。……ミト姉怖し。
71『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:40:18 ID:4LEH/0Gp
「はぁはぁはぁ……いい運動になったわ」
メダリオを殴り倒して体が温まったのか、ようやく解放してもらえた。
毎回毎回ミト姉に抱っこされるのは楽じゃない。……眼に返り血が入ってる。
眼の中の返り血を拭こうと悪戦苦闘していると、珍しい人物が庭に面した渡り廊下を通っていくのが見えた。

「あら?タキオスじゃないのさ……珍しいわね」

どうやらミト姉も気付いたようだ。
基本的にソーンリームにいるエターナルは三人だけ、タキオスとテムテムは
ロウ陣営の中でも動き回らないといけない立場にいるからあまりソーンリームにはいない。
……動き回っているのはテムテムで、タキオスはその後にくっついているだけだけど。
と、そういえば歩いているのはタキオス一人でテムテムの姿が見えない。
キョロキョロと辺りを見回していると隣でボソッと声がした。
「……チャンスか」
何故だかとっても嫌な予感がした。

「…………………」
「…………………」
「…………………ンギュル」
気まずい、とっても気まずい雰囲気。
見詰め合う、というか睨み合う二人、その間でオロオロ。
ミト姉に命令されてタキオスを連れて来たまでは良かったのに何故かこういう状況に。
頭一つ高いタキオスを見上げるように睨み付けるミト姉。といってもミト姉の瞳は目隠しで隠されているけど。
それを困惑顔で見返すタキオス。ちょっと不思議な光景。
72『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:41:21 ID:4LEH/0Gp
「ちょ、ちょっとアンタ……」
「……何だ?」
ようやく喋ったかと思えば後ろ手に組んで何やらモジモジ。
いつものミト姉らしくない。と、チラリとミト姉の後ろに何かが見えた気がした。
ラッピングされた……もう一度良く見ようとするとスルスルと伸びてきた『不浄』に叩かれた。……痛い( ´・ω・)。
しょんぼりしていると不意にミト姉の顔つきが変わった。何かを決心したような……。
「アンタ、こ――――」

「あら、タキオス。こんな所にいましたの?」

ちょうど狙ったかのようなタイミングで割り込んでくる白い浮遊物体、テムテム。
片手で何やら綺麗にラッピングされた箱を弄びながら浮遊してくる。
唖然としているミト姉を尻目に(というか尻で押しのけながら)タキオスに接近。
「ちょうど良かったですわ。受け取りなさい」
ぽい、と投げられたのは弄んでいたラッピングされた箱。
「これは……?」
「偵察に行った世界で貰いましたの。でも、私甘いものは好きじゃありませんから貴方に差し上げますわ。」
「むぅ……しかし」
「いらないなら捨ててしまっても結構ですわ。
 それよりも私、次の世界を偵察しに行かなければなりませんの。タキオス、貴方も来なさい。」
「はっ……仰せのままに」
疾風迅雷、神風、全ては一瞬の出来事。
あっという間にタキオスとテムテムの姿は見えなくなり……。
ポツンと残されたミト姉が我を取り戻したのはその数分後。
73『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:42:04 ID:4LEH/0Gp

「私を本気にさせる……?うふふ!…面白いじゃないか!ゾクゾクするねぇっ!!!」

怖いです、ブチ切れモードのミト姉は恐怖の化身です。
隠していた背中から出した可愛くラッピングされた箱を握りつぶすとズカズカと歩き去ってしまいました。
ポツン、と一人寒空の下に取り残される……って一人じゃなかった。
足元に転がる、ボロ雑巾もといメダリオ。とりあえず観察、次に触手でつついてみる。
「あ……ありがとう……僕の心配をしてくれるのは……君だけですね……ガクッ」
ツンツン、返事が無い。ただの屍のようだ。
寒さには強い体質なのでたぶん……大丈夫だと思う。
でも、寒くないように念のため血を掛けておいてあげようと思う。

「……ンギュル」
―――炎上した。

……見なかったことにして早く部屋に戻ろう。

それにしても今日は色々と不思議なことが起こった。
少し覗き見した他の世界では女人がそわそわして落ち着きがなかったし、この世界でもそうだ。
どうやら何かの行事と関係あるようだが良く分からない。
さっきの箱も気になる。

―――アレはなんだったんだろうか?

74名無しさん@初回限定:05/02/14 18:42:18 ID:sub84ALb
支援行きます〜。
75『ントゥシトラたんの日記』:05/02/14 18:43:01 ID:4LEH/0Gp

―――ガチャッ。

むっ、どうやら出かけていたントゥシトラたんが戻って来たようです。
「ンギュルル…………」
先程の元気具合はどこへやらなんだか元気がありません、どうしたのでしょう?
少し涙目になりながら日記の元へと向かいます。
器用に触手をあやつって二文、三文ほど日記に書き加えるとペンを置いてしまいました。
そのまま日記に背を向けると部屋の片隅に置かれたベッドへと向かいます。
ントゥシトラたんは寝る時は人型です、しかしシーツに潜り込んで寝てしまう為誰もその姿を目撃できないのです。
と、まあ眠ってしまったントゥシトラたんは置いておきましょう。
さてはて、一体なんと日記に付け加えたのでしょうか。


『―――アレはなんだったんだろうか?
 ミト姉に尋ねて見たら「バカな事言ってないで早く寝な!」と怒られた。( ´・ω・)
 
 結局、あれはなんなのだろう。…………やっぱり分からない。』


……今はお休み。
……また、来年になればきっと分かるさ。

76風変わり:05/02/14 18:44:24 ID:4LEH/0Gp
『BR』はちょっと休憩、バレンタインネタに挑戦。
でも全然バレンタインじゃないですね( ´・ω・)
……大人しく帰ることにしましょう。

>>信頼の人様
いやはやラキオスのバレンタインはいつも危険ですね
女の嫉妬は恐ろしい……今回はヨーティアの一人勝ちでしょうか
え、佳織?誰ですかソレは(ぉ
77名無しさん@初回限定:05/02/14 19:52:30 ID:tOkeWnYq
>>信頼氏
複数の肉食動物に襲われた上、HENTAIに追いかけられるオチ付きの仔犬。
何とも、可哀想です…………(´Д⊂)
素直杉なのも、罪なのでしょうか………?
>>風変わり氏
コアラ様、美味しいトコ持ってき杉ですヽ(´ー`)ノ
テムテム って愛称も可愛いし(笑
…でも実は、一身に駄目さを引き受けるメダリオにちょっと萌えた……orz
78名無しさん@初回限定:05/02/14 21:09:42 ID:GS1c8mLl
>>風変わり氏
ントゥたんの観察眼はダテじゃないのですなぁ。Gjですた。
79名無しさん@初回限定:05/02/14 22:41:06 ID:Y4qUx3ip
>>76風変わり氏

――伝えたい、伝えられない。どうすりゃいいのさこの気持ち。

そんな切ないミト姐さんの心情に胸を打たれます...
ロウエターナルだって年に一回くらい、心ときめかせたっていいじゃないか。

もう涙なしには読めません。せめてあの目隠しがなかったら、
アイコンタクトで伝えられたものを...あれって何の為にしてるんだろ?
80名無しさん@初回限定:05/02/14 23:30:10 ID:j5r2mQDE
>>42 霞さん
もう既に十分アレな目に遭っているにもかかわらず、ますます
災難が降りかかりそうなチョコの出来栄えに身が震えます。
本当にどうなることやら……w

>>64 信頼の人さん
胃袋に収めた量を考えると鼻血が出そうです。三食チョコ尽くし。
今日子の場合は別腹に収めましたか、高カロリー食品の摂りすぎでふt(ライトニングブラスト

>>76 風変わりさん
ミト姐(´Д⊂)……、う、でも。
眠るントゥタンを放っておくなんて勿体無い、
すぐにでもその身を隠すシーツを剥がして真実を皆の目に焼き付けるとしましょう。
シーツ剥がし Enemy Defender Attack Timing
炎帝     Enemy Attacker Defense Timing
――炎上した。
81名無しさん@初回限定:05/02/14 23:31:57 ID:FddnDT/j
>64
ナナルゥ、そこは 「スカルワンよりデルタワンへ任務k デカルチャー

えっと、skullって一体w 鼻血ユートが見れなかったのが残念っ! イオ特製ホワイトチョコはー?
ネリシアがいっちゃんストレートでしたね。『求め』実は鍔付けられてうれしかったりw

湖岸での走り込み乙。ところであの湖固有名詞があったり。アセリア本後部ラキオス王国項参照。


>75
届けっ! 水戸姉の乙女心! ってやはり雌株なのか。受粉? 
メダリオと戦う時は鏡持参ですな。メドューサ?
ントゥたん、結構大変な立場ですね。目配り懐炉?

結論 : 水戸姉自身が伝説の樹と化すしか無いっ! 学ランタキオス×セーラーテムテム (BGM告白)
……だめじゃんw  こうなったらコアラになるしかっってテムテムに取られてるしっ。
82ぶっちゃけ間に合わなかった:05/02/15 00:01:05 ID:z9iv/wfQ
                   ∧,, ∧
                   (`・ω・´)  後編は今日中には無理です!
                     U θU
                 / ̄ ̄T ̄ ̄\
                |二二二二二二二|
                |    霞    |
パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ
   パシャ パシャ パシャ パシャ パシャ  パシャ パシャ パシャ
 ∧_∧      ∧_∧     ∧_∧  ∧_∧    ∧_∧     ∧_∧
 (   )】      (   )】    (   )】 【(   )    【(   )    【(   )
 /  /┘ .   /  /┘.    /  /┘ └\ \   └\ \   └\ \
ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ      ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ    ノ ̄ゝ     ノ ̄ゝ

書き終わらなかった。時深おばちゃん!タイムシフトキボン!

>>47
いえいえ・・・即死回避には役立っても、バレンタインを盛り上げるのには失敗。
私はユート以上のヘタレ。

>>48
光陰!同意するぞ!
個人的に私の光陰観はロリじゃなくて節操ない感じ。だって今日子はロリじゃないし。

>>49
後編は今日になりました。ごめんなさい。

83ぶっちゃけ間に合わなかった:05/02/15 00:03:05 ID:z9iv/wfQ
>>50
クォーリン・・・光陰はロリ専じゃない勝機はあるぞ・・・多分。

>>64
GJでつ。なんか悠人報われないなぁ・・・人の事言えませんが。
誰か普通のラブ物は書かないのか?(人任せ)

>>76
GJ!ントゥたんハァハァ・・・

>>80
本当にどうなるんでしょうね・・・(遠い目)
いや、今日の朝までには・・・なんとか。

ダッシュでスレを駆け抜けまた執筆へ。
いや、本当ヘたれですんません。
てゆーか上のAAの今日中じゃなくて14日中だな。
日付かわってますし。




84名無しさん@初回限定:05/02/15 00:32:29 ID:UaA9U1fQ
今日ゲーム屋にPS2版アセリアの紹介の冊子?みたいなのがあった
新しいCGでユートとネリー、シアー3人のと佳織と瞬のなれそめぽいの
あと1枚分なんかあった
8544:05/02/15 00:46:03 ID:GZA4YhVW
>後編は今日中には無理です!
工工エエェ(´Д`)ェエエ工工

>>46
たしかに中にチョコ入れるより、そっちの方法の方が現実的かも。


>>信頼の人氏
光陰にハゲワラ


>>風変わり氏
>「……ンギュル」 
>―――炎上した。 
ここで爆笑しましたw

職人の皆様、面白い作品乙です。
ちなみに、リアルでのバレンタインは('A`)
86名無しさん@初回限定:05/02/15 07:11:23 ID:9t8LIw3M
初のオムニバス(結果論)読んで頂いた方、有難うございました。
>>65さん
まあ、救われなくても1個は貰えてる訳ですからw
>>66さん
ビーカーでパスタ茹でていた教授を知ってるんで何の違和感も無く書いてました(汗
科学者っていう人種は、あれを食器かなにかと勘違いしているようです。きっと。
>>67さん
コーインチョコと読んでしまった自分はスレ的にどうなんだろw
五円チョコとか、なんだか懐かしいですね。
>>76風変わりさん
なんとなく気の向くまま書いていたら天才様の一人勝ちっぽくなってました(汗
>ントゥシトラたんの日記
HugHugするミト姉、可愛過ぎます。一体どんな顔でチョコを用意したのかと思うと……
なすがままのメダリオ、ナルというよりM?
「炎上」もさることながら、何故に血を掛ける以外思いつかないのか、ントゥタンw
とりあえず、あなたも浮遊物体でしょうが、と突っ込んで見ませう。
>>77御洒落さん
どうやら前作で可愛がりすぎた反動がきているようです。
すっかりいじりやすくなってしまいましたw>ヘリオン
87名無しさん@初回限定:05/02/15 07:13:06 ID:9t8LIw3M
>>80道行さん
小ネタを繋ぎ合わせていったら、ユートくん、何時の間にか三食チョコになってしまいました(汗
今日子ってなんとなくこの手の「握りつぶし」をハイペリアでもやっていたような気が。
>>81髪結いさん
ホントだ、ゲーム中出てくるMapをハードコピーしたやつ使って書いてるので気が付きませんでした。Thxです>湖
さすがにストレートに日本語で書くのは抵抗がw>skull
ホワイトチョコはコレ書いた後点呼の時に咄嗟に出たのでもう入れられず……無念。
>>82霞さん
充分起爆剤でした、少なくとも個人的には。霞さんの「前編」が無ければこんなに考えませんでしたし。
そういえばどなたも書かれてませんね>普通のラブ物。
でもきっと、ファンタズマゴリアには本来無い風習なので、スピリット達の手際も未熟なのでしょうw
>>85 44さん
元々小ネタの集合体でしたので、オチ担当として光陰は最適でした(汗 上手くオチてない気もしますが……

さて、次はホワイトディねたでしょうか(早っ
88ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:46:00 ID:z9iv/wfQ
翌日。
ケムセラウトから帰還した俺と光陰はレスティーナの元を訪れた。
「・・・というわけで特に問題はなかったぜ。」
光陰が報告を終える。
・・・いや、俺としては問題大有りなんですが?
とりあえず酒はやめれ。
「ところで・・・ユート、上着はどうしたんですか?」
レスティーナが首をかしげる。
そういえば今の俺は学生服姿だったな。
「あー・・・ちょっと汚れてな・・・」
昨晩の酒盛の騒ぎの中で俺の一張羅は壊滅的なダメージを受けた。
夜中に一人で洗濯していたことを思い出すと・・・なんか泣ける。
横にいるクソ坊主と自称天才様は俺のことなんか忘れて盛り上がってるし。
あぁ・・・でもイオは色っぽかったな・・・寝顔も可愛かったし。
「ユート?どうかしましたか?泣きそうになったり怒ったりニヤニヤしたり・・・」
「気持ち悪いぞ、悠人よ。」
うるさいわい・・・誰のせいだ、誰の!
「いや、まぁ色々とあってな。」
「はぁ・・・なんだかよく分からないですけど・・・」
いや、わかんなくていいです。てゆーか俺も忘れたい。
「まぁ、それはさておき報告はこんなもんかな。」
89ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:47:53 ID:z9iv/wfQ
「御苦労様ですユート、コウイン。
それからキョーコから伝言があるんですが。えーと・・・
『報告が終わったら用があるので直ぐに第二詰所に来なさい。
来ないとあんた等の恥ずかしい話の一部始終を脚色交えて
スピリット達に話すわよ?』・・・以上です。」
「「脅しかよ!!」」
俺と光陰が同時に叫ぶ。
「今日子のやつめ・・・何をたくらんでいる・・・?」
光陰が脂汗を流しつつ俺に聞いてくる。
「知るか。だがロクでもないことに違いない。」
どうやら昨日からの嫌な予感は当たったみたいだな。
だが逃げるわけには・・・いかないだろうな、やっぱり。
今日子に握られたあんな事やそんな事を暴露されたら・・・
隊長としての地位が地に落ちる。(すでに低空飛行だけど)
これだから腐れ縁は・・・
「ふっ・・・どうやら逃げ道はないようだな、友よ。」
「あぁ、死ぬときは一緒だ、友よ。」
覚悟を決めた俺らは第二詰所に向かう。
90ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:48:41 ID:z9iv/wfQ
そんなこんなでやってきた第二詰所。
「・・・で、俺らを呼びつけた理由は何なんだ?」
光陰が今日子に尋ねる。
「いや、そんなに構える必要はないわよ?むしろ私に感謝して欲しいぐらいだし。」
今日子がニヤニヤと笑いながらこっちを見る。
「いやー悠もうまいことやってるわねー。お姉ちゃんびっくりよ。」
誰がお姉ちゃんか。俺には電撃を発射する姉をもった記憶は無い。
てゆーか話が見えないな・・・
「いやね、バレンタインの話をしたらね皆張り切っちゃってさ。
で、抜け駆けは禁止になったから皆であげようかなー、と思うわけですよ。」
「マジっすか!よくやった!感動した!さすがは今日子だな。いやぁ・・・」
「あー、うっさい。」
バリバリバリ!どかーん。
「あべしっ」
光陰が黒焦げになって倒れる。
「ほらほらポカーンとしてないで。皆待ってるわよ?
そこの席に座って座って。」
「あ、あぁ・・・」
言われるがまま席につく。
バレンタイン?チョコを俺に?皆が?
(ユート様・・・好きです。これ、受け取って下さい!)
・・・いい。うん、悪くない。てゆーか最高。
「うむ。チョコを恥らいつつ渡す女の子・・・萌え。悠人もわかってきたな。」
「いつの間に復活したんだ?てゆーか人の心を読むな。」
だが俺達は忘れてはいけなかった。
無償の奇跡は存在しないことを・・・
91ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:50:37 ID:z9iv/wfQ
「それではユート様とコウイン様に心をこめてチョコレートを渡したいと思います。
司会は私、クォーリンがお送りします。」
ぱちぱちぱち。
・・・なんか違くないっすか?
チョコってのは下駄箱に入ってたりするもんじゃないか?
もしくはどこかによびだされて・・・とかさ。
「・・・おい、今日子。」
「ん?なによ?」
「なんかノリが変だぞ、これ?」
「まあね・・・でもこうでもしないと渡す機会を奪い合って戦闘になりそうだったから。
細かいことを気にしちゃ駄目よ。」
むぅ・・・そうかもしれないな。貰えるだけでも嬉しい限りだからな。
「それでは一番手。ラキオスの青い牙!アセリアです。」
「ん・・・まかせろ。」
・・・イキナリデスカ。
かつてのアセリアの料理が思い出される・・・不安だ。
いや、でもチョコだろ?溶かして固めりゃいいだけだし・・・
「ユート・・・心をこめてつくった。受け取って欲しい。
ん・・・コウインにもあげる。」
「何か俺付けたしみたいだな・・・って。えぇ!?」
俺と光陰に差し出されたそれは緑色だった。
しかも和菓子の気品ある緑じゃない。蛍光グリーンに近い。
92ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:51:37 ID:z9iv/wfQ
「・・・・・」
「・・・おい、悠人よ。これがこの世界のチョコのデフォか?」
多分違う。エスペリア達が引きつった笑みを浮かべてるしな。
「・・・どうした?オルファに教えてもらいながら作ったんだ。上出来。」
オルファを見ると彼女は気まずげに目をそらした。
いや、分かってるよ。オルファ、君は悪くない。
ただ、残念なのはオルファのチョコを食べるまで
俺の身体が持たないかもしれないことだよ。
「光陰・・・こういうときはどうするべきだ?」
「そりゃ、お前・・・食うしかないだろ。」
だよな、あんなに期待した目で見られて食わないなんてできない。
「よし。せーの、でいくぞ。」
「おう・・・生きて再会しようぜ・・・」
互いに笑みを浮かべ頷きあう。・・・迷いはない。・
「せーの!ぱくっ。」
覚悟を決めて一気に食べる。
くぁwせdfrtgyhうじこlp;@:!!!
視界が暗転する・・・あ、駄目だ・・・
93ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:52:50 ID:z9iv/wfQ
「・・・小さきものよ、起きるがいい。」
「ん・・・ここは?」
気が付くと俺は野原にいた。近くには川が流れている。
「目覚めたか・・・小さきものよ。」
ん、誰だ・・・ってお前は!
「サードガラハムじゃないか!いや、久しぶりだなぁ・・・」
「ふむ・・・久しいな。」
うんうん、俺がこの世界に来てからはじめて戦った龍だからな・・・
「ってアンタ死んだんじゃなかったか?」
「うむ、死んだ。バッチリと。」
ってことはだ・・・ここは・・・
「天国ってヤツですか?」
「汝らはそう呼ぶな・・・」
まじっすか!俺にはまだやるべきことがあるのに・・・
「案ずるな・・・汝は仮死状態にあるだけだ。妖精達が何とかするだろう・・・」
「そうなのか・・・ってなんだ?」
どこかから呼ばれてる気がする。
「どうやらお別れのようだな・・・小さきものよ。」
そうなのか、いきなりだな・・・
「サードガラハム・・・」
今ならわかる。こいつは悪いヤツじゃない。もっと別の出会いをしていれば・・・
「強くなるがいい・・・そして妖精たちを守るのだ・・・」
あの時も言われた言葉・・・
てゆーか、その妖精に殺されかけたんだがなー
なんだかなぁ・・・と思いつつ再び俺の意識は途絶えた。
94ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:54:36 ID:z9iv/wfQ
「・・・ト様!しっかり!」
「パパー死んじゃ嫌だよー!」
「う、うん・・・?ここは?」
目を開けると皆が心配そうな顔で覗き込んでいた。
「はぁ・・・よかった・・・」
「エスペリア・・・?えーとぶっちゃけ俺死んでた?」
とりあえず聞いてみる。夢にしてはリアルだったが・・・
「死んでました、ばっちりと。」
「はい〜マナの霧が立ち上ってましたから〜。」
「とても綺麗でした・・・(うっとり)」
おいおい、人の死に様でうっとりしないでくれナナルゥ・・・
「そうだ・・・光陰は?」
横を見ると金色に輝く光陰と必死に蘇生魔法をかけるクォーリンがいた。
「コウイン様!しっかり!」
「待ってくれ!大将!まだアンタにゃ聞きたい事があるんだ!
・・・・・・その横にいる白い美人は誰なんだー!!!はっ!」
がばっと起きてキョロキョロとあたりを見回す光陰。
「よう、お前も生き返ったか。」
「生き返った・・・?じゃあ今のは夢じゃないのか?」
「おお、金色に光ってたぜ!危なかったな。」
洒落になんねー。
95ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:56:14 ID:z9iv/wfQ
「えーと、それでは感想の方をどうぞ!」
クォーリンが聞いてくる。
いや・・・アンタも立派な司会者魂ですね。
アセリアは期待に満ちた目をしている。できれば傷つけたくは無い。
「え、えーと凄かったぞ。うん。たいしたもんだ。」
嘘は言ってない・・・これなら・・・いけるか?
「ん・・・どのくらいだ?」
また答えにくいことを・・・そうだな・・・
「ヘブンズスウォードXくらいかな?」
「そうか・・・(満足げ)」
うんうん、一件落着・・・か?
「(褒めてないわよね・・・あれ)さて、それでは次です。
ラキオスの仮面の忍者黒影・ファーレーンと緑のツンデレ・ニムントールです!」
どんな紹介だ・・・
「ユート様を想って作りました。どうぞ・・・」
「ニムがわざわざ手作りしたんだから!感謝して味わいなさいよね!」
二人から手渡される。今度は普通のチョコだ。よかった・・・
「あ、コウイン様もどうぞ。義理ですが。」
「コウインにも一応。はい。勿論義理よ。変な期待しないように。」
「なんか俺、またついでみたいっすね・・・」
さて、ではありがたく・・・
「うん、旨い。ありがとうファーレーン。ニムもわざわざ作ってくれてありがとうなw」
「はい・・・うれしいです。」
ファーレーンが頬を染める。うーん、彼女も普通の女の子なんだなぁ・・・可愛い。
「別に・・・褒めたってなにも出ないからね!・・・あとニムって言うな。」
「もう・・・二ムッたら少しは素直になったらどうです?」
まぁ、そこらへんがニムの可愛いとこだよな。最近分かってきたが。
96ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:57:52 ID:z9iv/wfQ
「これは中々の高評価の模様です!さて、次は・・・
モットーは先制攻撃!不思議少女・ナナルゥと
ラキオスの癒し系お姉さんことハリオンです!」
あの紹介文はクォーリンが考えてるのかなぁ・・・
「愛してますユート様。はいどうぞ。」
「ぶはっ!!」
ナナルゥの余りに直接的な発言に飲んでいた水を吹いてしまう。
「あらあら〜やりますね〜やっぱりユート様には〜
それぐらいストレートじゃないと〜伝わりませんよね〜
はい〜お姉さんも愛してますよ〜どうぞ召し上がれ〜」
「コウイン様、どうでもいいですけど・・・はい。」
「あらあら〜酷いですね〜私は〜それなりに〜コウイン様も好きですよ〜?」
「それなりですか・・・いや、今までの中では一番マシか・・・」
「さて!それでは感想を!」
え、えーと・・・俺まだナナルゥの発言から立ち直ってないんだが・・・
「そ、そうだな・・・ナナルゥ・・・チョコおいしかった。
その・・・なんだ、ナナルゥの気持ち嬉しいぞ。
ハリオンも流石だな。こんな旨いチョコは初めてだ。」
「おおーっと!ハリオン選手流石の高評価!
だがナナルゥ選手のインパクトには一歩及ばずか!?」
・・・クォーリン、なんかキャラ変わってないか?
「・・・む、なんかムカつく。」
「やられました・・・もっと露骨にいくべきでしたか・・・
恥じらう乙女を演出し過ぎましたね・・・不覚。」
「お姉ちゃん・・・それはちょっと・・・」
97ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 07:59:48 ID:z9iv/wfQ
「それでは次です!第一詰所の双璧!
赤いロリっこ・オルファリルとラキオスの行かず後家・エスペリアです!
って、ええ!」
「な、な、な、なんですってー!!!どういうことですか!クォーリン!」
「し、知りません。私じゃないです。台本に書いてあるんです。ほらっ・・・」
クォーリンが隠し持っていた台本をエスペリアに見せる。
・・・クォーリンじゃないのか。じゃあ誰が考えたんだ?
「まぁまぁ・・・エスペリアお姉ちゃん。ほら、パパも待ってるし。」
オルファがなだめる。よく出来た子だ。パパ嬉しいぞー。
「こほん。そうですね。ユート様お見苦しいところを見せまして申し訳ありません。
ユート様、好きです。受け取って下さい!」
「パパー、オルファも大好きだよー。」
「ああ、ありがとう。」
「ついでにコウインにも!」
「いつもご苦労様です。」
「はいどうも。・・・オルファちゃん・・・ついでかよ・・・」
「うん、二人とも旨いな。甲乙つけがたいよ。」
「おっと!流石は料理が得意な二人高評価です!
ところでナナルゥ効果か、ストレートに好意を表現するようになりましたが・・・
そこらへんどうなんですか?解説のイオさん。」
「そうですね・・・
たしかに鈍さにかけてはエトランジェ中最高と名高いユート様です。
ストレートな告白は効果が高いでしょう。
ですがこーゆーものはインパクトも大事です。
そーゆー意味では最初にストレート告白をしたナナルゥ優位は
かわらないのではないでしょうか?
みなさんにはそれぞれ個性を出してほしいですね。」
いつからそこにいた・・・イオ。あと鈍いゆーな。
98ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:01:17 ID:z9iv/wfQ
「はい。イオさんありがとうございました。それではどんどんいきます。
気高き戦士の心の影に隠れるは少女の心!ラキオスの紅の騎士・ヒミカと
嫌よ嫌よも好きのうち〜素直になれないクールな女・セリアです!」
「ヒミカ〜あなたの紹介文は〜妙に気合はいってませんか〜長いですし〜」
「てゆーか、私の何よ!アンタでしょ、書いたの!」
ハリオンとセリアが文句を言う。
・・・そうか犯人はヒミカか。
「ユート様・・・前からずっと慕っておりました。これ・・・一生懸命作りました。」
「・・・義理よ?隊長だから、その一応感謝とか敬意とか・・・」
「あぁ・・・ありがとう二人とも。」
「あ、コウイン様にもありますよ。義理が。」
「義理。それ以上でもそれ以下でもないです。」
「・・・義理でも味は変わらんよな・・・いや、少ししょっぱいかな、ははっ・・・」
「さて、判定は・・・どっち?」
クォーリン・・・実に楽しそうだな。というかそんなキャラだったか・・・
「あー、ヒミカって料理旨いんだな。知らなかったよ。
今度なんか食わしてくれよ。得意料理でもさ・・・
セリアもありがとうな・・・おいしかったよ。」
「おーっと!これまた高評価。ラキオスのスピリットは化け物か?
こうなってくると先程の解説にも会ったようにインパクトが重要になりそうですね。」
インパクトならアセリアが一番だがなー。
99ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:02:15 ID:z9iv/wfQ
「では次。戦場を駆ける黒き旋風!侍娘ウルカと
二人はいつも一緒!蒼き双剣ネリシア姉妹です!」
アセリアを超える(かもしれない)人たちキターーーー!!!
(心せよ・・・契約者よ・・・汝の力が試される・・・)
うるさいよ。あ、お前さ俺と代わってみるか?
(・・・どうせなら『献身』の主か『大樹』の主がいい。)
わがままさんだな・・・気持ちわかるけども。
「ユート殿、手前も日頃の恩を返す為作ってみました。
未熟ですが貰っていただけるなら幸いです。」
ピンク色?ありえなーい。ウルカ・・・恩を仇で返す気か・・・
いや、わかってるよ。わかってるさ。悪気は無いんだろ?
だから困るんですよー!無下に出来ん!
「ネリー達のはね、凄いよ?ボリューム満点なんだから!」
「・・・凄いよ?」
うむ。凄い。なにやらチョコの大海に何かが沈んでいる。
えーと、何入れたんですか?チョコも固まっていませんよ?
「あ、コウイン殿もどうぞ。」
「はい、どうぞ。義理だよ?」
「・・・義理だよ?」
「ネリーたんにシアーたん・・・繰り返しで言わんでも・・・」
さて・・・どちらからいくか?
「よし・・・ウルカからだ。ええい、ままよ!」
ざsxdcfvgbhんjmk、l。・;:¥!!!
・・・・・・
100ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:05:02 ID:z9iv/wfQ
「父さん、母さん!佳織は俺が守る!だから安心してくれ!
・・・はっ?」
頭がくらくらする。どうやらまたアッチの世界にいったらしい。
「コウイン様ーカムバァーック!寝たら駄目です!死んじゃいます。
あぁ!マナが!マナがー。リヴァイブ!リヴァイブ!リヴァイブー!」
あっちも大変だなぁ・・・
ふう・・・残るはネリー達のか・・・
「とりあえず一口・・・」
チョコまみれのなんかを食べる。
・・・これは!
「う、う・・・・・・うまいじゃん。普通に。てゆーか食える。」
凄い甘いけどな。どーやらお菓子やらフルーツやらがドサドサ入ってるらしい。
「ネリー達のね好きなものをいれたんだよ?」
「・・・だよ?」
成程・・・ネリー達らしいというか何と言うか。よかったよ普通に食えて。
「ふぅ・・・よかった蘇生成功。で・・・感想は?」
「大変だな・・・クォーリンも。
あーウルカのも凄かった。これからも精進してください。
期待してます。(いや、本当に頼む。)
ネリー達のは正直だめかと思ったら普通にうまかった。うん。」
よし、あとは今日子とヘリオンそれにクォーリン、イオか?
なんとか切り抜けられそうだな・・・
101ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:06:18 ID:z9iv/wfQ
「ここで!ゲストです!ラキオス市民代表。レムリアさんです!」
「やっほー。ユート君。元気してた?」
は!?
「レ、レス・・・じゃない、レムリア・・・何でここに?」
予想外だ。やばい人がもう一人来た。
「だって・・・私もユート君好きだから・・・参加したいなー、なんて。」
「悠・・・あんた街の娘まで手をだしてたの?」
「やるなぁ・・・おい、俺にも紹介しろよ。」
いや、知ってる人だから。
「じゃ、これ食べて。愛情満点だから!あ、ユート君のお友達にもあげる。」
「ふっ・・・こうまで義理だといっそ清清しいな。」
期待を裏切らないそのチョコは紫色。・・・鮮やかだなー(遠い目)
くそっ、もうやけくそだ!食ってやるさ!
・・・・・・・
「はぁはぁ・・・いや、俺もう涙でそうな位嬉しいっすよ。いや、ホント。」
終わった・・・今度こそヤバイのは終わりだろ。
「ホント?ユート君お嫁に貰ってくれる?」
「あー、考えておきます・・・」
料理は俺が担当だな。もしそうなったら・・・
102ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:07:38 ID:z9iv/wfQ
「レムリアさんありがとうございました!
(あれってレスティーナ女王じゃないの?でも誰もツッコまないし・・・)
さて・・・次は・・・あ、私だ。
えーと、元マロリガン稲妻部隊所属クォーリンと同じくキョーコ様です!」
「やっと真打の登場ね。」
「「でもお前のチョコは毎年食ってるからなー。」」
レアリティが低いよな。インパクトってもんが・・・
「なんか言った?」
今日子の全身から紫の雷がほとばしる。
「「いや何も。うれしいなわーい。」」
「よし!これでも助けてくれたことに感謝して心こめたのよ?」
「ふむ、では貰おうか。」
「まぁ毎年貰ってるから安心できることは確かだよな。」
とりあえずヤバイ出来ではないからな。
「あ、あのコウイン様!私のも貰ってください!」
「お、おう。」
「あ、ユート様もどうぞ。」
「お、サンキュ。」
クォーリンのチョコをかじる。
「あ、あのそれでコウイン様・・・私、前からずっと好きでした!」
103ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:08:33 ID:z9iv/wfQ
言った。ついに言った。
隣のキョーコ様はどう思ってるのだろう?
コウイン様はどう思うのかしら?
やっぱり駄目かしら?
「・・・・・・」
「あ、あれ?コウイン様?」
「・・・・・・」
「ねぇ・・・クォーリン?あなたひょっとして料理駄目?」
キョーコ様が聞いてくる。
「えーと、その・・・マロリガンでは戦闘訓練ばかりでしたから・・・
その・・・あんまり・・・」
そうこう言ってるうちにコウイン様とユート様から金色のマナが立ち上る。
「きゃー。コウイン様、死んじゃ駄目です!あーん、なんでこーなるのー。」
「クォーリンって何でも出来そうなのに料理駄目なのね・・・」
「美人で〜仕事の出来るいい女〜でも料理だけは駄目ですか〜」
「ありがちですね・・・コレが萌えというものでしょうか?」
「ハリオンにナナルゥ!無駄話してないの!ほら治癒魔法かけて!」
104ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:13:22 ID:z9iv/wfQ
「・・・ふぅ。まさかクォーリンが料理駄目だとはな・・・」
「・・・って、お前知らなかったのか?」
「いや、そーいやマロリガンでも料理はしてなかったなー、と。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
「いや、誰にだって苦手なもんぐらいあるさ、なぁ光陰。」
「あぁ、そうだぜ。気にするこたーないぞ、うん。
欠点があるぐらいがむしろいいんだぞ?」
「むしろ萌え〜ですか〜?」
「お、わかってるじゃないか・・・ハリオン。その通りだ。」
・・・これは結局よかったのでしょうか?
なんだかコウイン様にはウケたみたいですが・・・
結局告白は聞こえてなかったみたいだし・・・
「ねぇ・・・クォーリン?あんた、あの馬鹿が好きなの?」
う・・・キョーコ様にはしっかり聞こえたみたいだし。(そりゃそうよね。)
「はい・・・好きです。その・・・お二人が付き合ってるのは知っているんですが・・・」
「あー、それはあんまり気にしなくてもいいわ。
正直言うとね私、今までは自分の気持ちよく分かんなかったんだ。
光陰に対する好きと悠に対する好きがどう違うのかさ・・・
だから光陰との関係も実は全然進展してないのよね、これが。
でも今日わかったわ。悠が皆に告白されてもあまり気になんなかったけどさ・・・
光陰に告白された時は・・・ちょっと悔しかったかな。
だから、勝負はまだ始まったばかりよ?多分。
正々堂々いきましょ?恨みっこなしでさ。」
・・・やっぱりキョーコ様は凄い人だ。逆の立場ならきっとこうは言えない。
敵わないなー。でも・・・それでも諦められない。結果がキチンと出るまでは・・・
「はい・・・こちらこそ。負けませんから!」
がっしりと握手をする。

「はぁ〜青春ですね〜」
「若いって事はいいことです。」
「あんただって若いでしょ・・・ナナルゥ。」
105ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:14:43 ID:z9iv/wfQ
「えーと、これで終わりだっけ?」
「イオさんは〜作ってないんですか〜?」
「作ろうとしたんですけど・・・昨日いつのまにか寝てしまって・・・」
「じゃあ、終わりかしら?誰かいないような・・・」
「まだです〜終わっちゃ駄目です〜。」
隣の部屋からヘリオンの声が聞こえる。
そういや、ヘリオンがまだだったな・・・
ところでなんで隣の部屋から声がするんだ?
「さっきまでこの部屋にいたわよね?」
たったった。
「おまたせ!」
扉を開けて登場したのは・・・今日子。
「ん?なんだお前まで隣の部屋で何してた・・・ってなんでメイド服?」
「ふっふっふ・・・それはね・・・見て驚け!ヘリオン出番よ!」
今日子に続いて部屋に入ってくるのは・・・ヘリオン。
だが、いつもの姿ではない。キョーコの制服を着ている。
「ちょっと大きめの制服に身を包んだヘリオンたんキター!!!」
光陰が咆哮する。
「いやね、上着着てないアンタを見て思いついたわけよ。
制服だって。インパクト充分。最強ね!」
「あ、あの・・・変じゃないですか?」
106ハイペリア式告白法・後編:05/02/15 08:15:45 ID:z9iv/wfQ
変じゃないです。・・・凄いいいです。
「あのユート先輩・・・これ受け取って下さい!
ずっと前から好きでした!」
おいおい・・・今日子よ。これは反則じゃないか?
光陰なんかあっちで鼻血ふいて倒れてるぞ?
「あぁ・・・ありがとう。嬉しいよ。」
だが・・・今日子よ・・・コレだけは言わねばなるまい。
             G J ! 
我が人生に悔いはないかもしれん。
・・・光陰に毒されたかな、俺も・・・

「いや〜負けましたね〜」
「そうですね・・・今回は。」
「残念だったわねナナルゥ。いい感じだったのに。」
「次は負けません・・・ヒミカ達だって諦めてないのでしょう?」
「いや、それはそうなんだけどね。」
「はい〜ヘタレのユート様は〜そう簡単に答えをだせないでしょうから〜」

こうして一つの戦いは終わった。
ラキオススピリット隊では今後しばらく制服が流行ったとか。
光陰の協力のもと様々なハイペリアの衣装が投入されたというが・・・
それはまた別の物語である。

ようやく終わる
107あとがき:05/02/15 08:23:30 ID:z9iv/wfQ
一日間に合わずネタの鮮度が暴落した後編、投下。
よし!いちおうヘリオンがヒロインだ!
最後しか出てないけど!
ちなみに前編を書いた際に考えていたネタは
アセリア(もしくはウルカ)のチョコで臨死体験するユートと
今日子から制服借りたヘリオンがユートにチョコ渡すことのみ。
中編以降はかなり勢いで書きました。
キャラ多すぎた。
これでもントゥシトゥラ、ミトセマール、時深は削ったんですが・・・
それでは朝っぱらからお騒がせしました。
さすが平日早朝。支援もない孤立無援の戦い。
108名無しさん@初回限定:05/02/15 08:29:59 ID:z9iv/wfQ
うわっ誤字だ・・・
>>105
×だが、いつもの姿ではない。キョーコの制服を着ている。
○だが、いつもの姿ではない。今日子の制服を着ている。

ユート主観だと今日子ですね。ぶっちゃけどうでもいいか。
最近コウインとコーインが混ざってることに気付いた。
でも直そうにも以前書いたやつにもあって諦めた。
どっちでもいいような気もするし・・・
109名無しさん@初回限定:05/02/15 12:57:49 ID:0UrVRQ6c
>>64
>>信頼の人さん
悠人も災難ですが、それよりもヘリオンが…
悠人には逃げられるは、HENTAIに追っかけられるは…
涙目へリオンが目に浮かぶようです(w

>>76
>>風変わりさん
ントゥ萌え。メダリオはゲーム中でもMr.やられ役なのに
仲間内でもやられ役とは…まぁメダリオだしいいか。

>>107
>>霞さん
義理チョコで死にかけても、それでも食べる光陰は
まさに漢ですな。
司会者クォーリンの名ナレーションとか思っていたら
台本はヒミカですか(w 後にラキオスの行かず後家の
お仕置きがまってますね、こりゃ。

皆さんのおかげですっかりスレが甘くなりましたね。
G.J!!&お疲れ様です
110名無しさん@初回限定:05/02/15 17:31:08 ID:UrM0KEZL
>>107霞氏

エトランジェ2人まとめてマナの霧へと還すなんて...

ヘブンズどころかオーラフォトンノヴァ級チョコを最後まで食べ切った漢二人に
熱い涙と拍手を禁じえません。しかし光陰、他にクェドギンに訊く事ないのか...
まあでも、リヴァイブのスキル回数がゼロになる前にコンペが終わって良かったです。
労災おりるんですかね、これってw
111名無しさん@初回限定:05/02/15 18:54:43 ID:0wZmqqEQ
>>霞様
かなりのハードタイムだったようで……お疲れ様でした
全くラキオスのバレンタインには死人が大量発生しますね
光陰は相も変わらず変態……いや漢っぷりを発揮してくれたりしてますが
ユートはやっぱりどこまでいってもヘタレユート様なのですネ( ´Д`)

>>77
何せ今回は>>1でメダリオにも萌えると書かれているものですからね(ぇ
実はコアラ様とミト姐はタキオスを巡って冷戦が繰り広げられているとかいないとか……
ロウエターナルズは扱いが難しいです( ´・ω・)

>>78
ントゥたんは、目玉大きいですからヽ(´ー`)ノ

>>79
ミト姐の目隠しがなかった場合……
「タキオス………」
「何だ……?」
「ん……(キョロキョロ)……えとその……(ポッ)」
と、このように恥じらい度がアップすると思われます
自分の世界では欲しいものを全て取り込んで来た姐御ですから心の触れあいは未知の分野なのですヽ(´ー`)ノ

>>80
ノォ!?……またここにントゥたんの素顔を見ようとするものが灰になった
いつの日か!いつの日にかントゥたんが素顔を晒してくれるその日まで天で見守っていて下さい……
112名無しさん@初回限定:05/02/15 18:55:29 ID:0wZmqqEQ
>>75
春ですから……春は繁殖の季節なのです、植物も。
ミト姐だってこれから先人生のパートナーが欲しくなったりするんですよ!
それを草葉の陰からじっと見守るのがントゥシトラたんに課せられた役目です。

……実際、テムテムは何歳でエターナルになったのか気になるところです。

>>86
……ントゥたんは飛んでいるように見えて実はあの小さな触手で体を支えているのです
物凄い腕力、いや触手力です。コンクリートの壁に孔を空けれます。
ちなみにントゥたんはたまにミト姉に抱き枕代わりにされて困っているそうですヽ(´ー`)ノ



一日ですっかり黒く染まってなんかもう異臭を漂うスレに変化しましたネ
……でもユート達、こんなにチョコ貰って来月大変そうです( ´Д`)
113名無しさん@初回限定:05/02/15 19:40:48 ID:9t8LIw3M
>>107霞さん
猛執筆、お疲れ様でした。
早朝って連続投稿規制厳しいんですよね(汗
私も何度か引っかかって会社遅刻(ry
それにしてもスピリットの皆さん、ストレートな告白ですねw
それを黙って聞いているしかない光陰、針のムシロです。
流されっぱなしの悠人は、自分の意志以外の所で勝敗決定。
ホワイトディが修羅場になる予感がしてなりません。
イオ嬢、こんな大事な日に眠ってしまうとは……(汗
>>109さん
ヘリオン、よく考えたら悠人に渡せないままなんですよね……
えっと、追いかけられるうちが花、ということで(汗
>>112風変わりさん
ントゥたん抱き枕。ちょっと欲しいですがw
寝る前に火遊びをするとおね○ょすると言われてますが、
その辺ミト姉は大丈夫なんでしょうかw
114名無しさん@初回限定:05/02/15 20:13:09 ID:XmUbazQO
>>霞氏
え?結局、サードガラハムの一人勝ち?(違
…まあ、それは冗談ですが。いい役だと思いました、守り龍。
ヘリオンの制服姿は、ホント反則だと思います。
……チョコの代わりに、食べられちゃいますよ?(ぉ
何はともあれ、エトランジェは食道や胃にもオーラフォトンバリアを張れる!
とゆー事実が分かって、とても驚きました。(笑
ま、真に驚くのは、それをぶち破れるアセリア、ウルカ達ですが……。
115名無しさん@初回限定:05/02/15 22:12:16 ID:MiHpPguD
新しいスキルを覚えました。
ヘブンズスォードX 属性:緑
射愛の太刀 属性:桃

も、もつのかっ!?(ホワイトデーのお返しで小遣いが) 


ファーは全身チョココーティングで攻めるべきっ! まさに「黒くて甘い」w
116おにぎりの中身の人:05/02/15 23:13:40 ID:h9Tgr+9K
ちょいと24時間アンケート

【メガネが一番似合いそうなスピリットは?】

ちなみに自分は
1位:エスペリア(メガネメイド萌え〜)
2位:ヒミカ(国語の先生みたいで萌え〜)
3位:ヘリオン(どじっ娘メガネ萌え〜)

ってな感じです。
みなさんは誰が似合うと思いますか?
1位だけでもいいですし1〜3位やそれ以上書いていただいても結構です。
24時間後ぐらいに集計します。みなさんよろしくお願いします。
117名無しさん@初回限定:05/02/15 23:48:17 ID:9t8LIw3M
一位:ニムントール(小さな丸眼鏡をヨーティアのように付けて、上目遣いで「……なによ」)
二位:セリア(偏光レンズのゴーグル。スポーティー。装着すると速くなる)
三位:ファーレーン(スーツにふち眼鏡の先生。たまに外すと男子生徒から歓声が起こる)

三分で思いついた…………眼鏡フェチだったんだ、自分…………orz
118名無しさん@初回限定:05/02/16 00:07:11 ID:Y/2/1lz8
>76
やたらと癒されましたw

>107
サードガラハムとは…やられましたw
そういや「ハイペリア」って本来、天国とかって意味だっけかw

>>116
うーん…とりあえず
 シアー(もじもじ)
119名無しさん@初回限定:05/02/16 00:07:48 ID:Ae4Tn08w
>116

1位:エスペリア
2位:イオ
3位:ウルカ
120名無しさん@初回限定:05/02/16 00:16:23 ID:nj6fPnsB
>>116
一位:セリア(堅実な委員長型丸眼鏡、取ったらド近眼で「ちょ……返して!お願いだから!」)
二位:ナナルゥ(小さな洒落眼鏡、白衣と合わせると無口な科学の先生型?)
三位:ハリオン(ビン底型の丸眼鏡、よくこけて豊満な胸で人を包み込むように押しつぶす)

……はっ!?主観と欲望が大分入ってしまっている!
121名無しさん@初回限定:05/02/16 00:23:07 ID:zzymlkel
1位:セリア(いいんちょ、がやたらと印象的だったので)
2位:ハリオン(女教師姿が以下略)
3位:シアー(自分でも理由がよく分かりません。PS版OHPの印象?)
122名無しさん@初回限定:05/02/16 00:35:49 ID:uOPADKak
読んでくださった方々ありがとうございます。
>>109
光陰は漢なのです。まぁスピも内心では光陰を結構慕ってると思うんですがね。
悠人が一番なだけで。おもろい変な兄ちゃんで終わる光陰・・・

>>110
このスレ的にはリヴァイブを上書きすると光陰あたりはやばそうです。
しょっちゅう雷食らったりしてるし・・・真の漢、光陰に私も拍手。

>>111 風変わりさん
結局、今日中には無理です!のAA張ったあと徹夜してました。
教訓。時間の余裕を持って書きましょう。特にネタに期限がある場合は。

>>113 信頼さん
ひたすら規制に引っかかっていたのは秘密です。
支援の重要性を再確認。
ホワイトディネタで下ネタしか思いつかなかったのは私だけでいいです。

123名無しさん@初回限定:05/02/16 00:36:44 ID:uOPADKak
>>114 御洒落さん
サードガラハム、一部のスピより喋ってる気もします。いいのか?
どーもSS書くと妙なキャラを捻じ込みたくなる悪癖。そしてキャラが増えます・・・

>>115 髪結いさん
そんなスキルで倒される敵スピがいたら哀れですよ・・・
全身チョコでファーに攻められたらすぐに神剣に屈しますね私は。
駄目だ・・・理性が砕ける。

>>116 おにぎりさん
一位、イオ(普通に似合いそう)
二位、セリア(クールな眼鏡美女。蔑む瞳に乾杯。)
三位、ヒミカ(文系教師。ハァハァ・・・)
番外、ミトセマール(サングラスがすげー似合いそう。)

>>118
「止めろアセリア!いくらハイペリアに行きたくてもそれは駄目だ!」
124名無しさん@初回限定:05/02/16 00:42:07 ID:O94+QeYX
>>116
一位:エスペリア。その微笑だけで、金色のマナへと還れそうです。

二位:二ムントール。ツンデレが頬染めながらレンズ越しに見つめてくるのは
萌えます。
三位:ハリオン。おっとりお姉さんに眼鏡は定番アイテムの一つかと。

なんか緑スピで固まってしまいましたがw

スピでなければ、悠人なんかとても似合いそうなんですがね。男だけど。
125名無しさん@初回限定:05/02/16 00:47:28 ID:PRTH6TN8
>>107 霞さん
ヘリオン編、素で光陰の咆哮とハモった自分に……orz
実際に食べてみたいと思ったのは、ネリー・シアー組のチョコシチューでした。
多分チョコフォンデュみたいになるのでしょうか。

>>116
一位:セリア(眼鏡越しの射るような視線を考えるとたまりません)
二位:イオ(ヨーティアに対抗してモノクル)
三位:ヒミカ(すっかり物書きとしてのイメージが出来上がってしまっています)

番外位:ネリー(パーティーグッズ・鼻めがね)
    :ファーレーン(兜・覆面・グラサン……怪しい!)
126名無しさん@初回限定:05/02/16 00:56:34 ID:79S0xgCK
1.セリア。眼鏡委員長ハァハァ。多分近眼。
2.ネリー。サングラスをかけて変装したつもりになって、ユートを尾行。でもバレバレ。
3.シアー。ネリーと一緒にユートを尾行。っていうか、ネリーに連れまわされてるだけ。
おまけ(スピじゃない).メダリオ。ある時は嫌味な眼鏡キャラ、ある時はのび太。
127名無しさん@初回限定:05/02/16 07:26:49 ID:ftXIvc5l
ええぃこのメガネ好きどもめっ。

一位 ナナルゥ    細いインテリメガネが似合う。秘書か女教師か。
二位 ファーレーン  花粉症でいつもマスクとメガネを手放せない。乾燥してると機嫌悪。
三位 クォーリン   メガネっ娘って公式設定だって聞いたけど? 

グラサン光陰……なんかカッコイイ。
128名無しさん@初回限定:05/02/16 07:50:13 ID:ekYR7+0d
セリア人気高っ!

そんな私は1位にユーフォリアが浮かんでしまったので、敢えてアンケートには参加しないことにした。
129名無しさん@初回限定:05/02/16 08:25:48 ID:hCQP7K6d
感動のアセリアエンド、その続き。
「あっ、時深おねーさん!」
「ユーフィ、大きくなりましたね……あら?眼鏡、落ちてますよ」
「えっ?あ、いっけな〜い。……(ゴソゴソ、スチャッ)……時深おばちゃん、皺、増えたね」
130名無しさん@初回限定:05/02/16 08:29:52 ID:ekYR7+0d
老化しないのに皺は増えるのか……
131名無しさん@初回限定:05/02/16 08:41:34 ID:79S0xgCK

   " タイムアクセラレイト
     ´∴     #   __        ゜ヾ´      ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((      )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
             =―≡ ̄`:, | ,  | ( ̄=―≒‥,,
  "       ,゛"=―≡―=',/  ノ )∵`=≡―=
            ″( ゚ヮ゚∴/´/ / |  | , ゚ヮ゚ノ'ゞ    ∵゛、 ゜  ¨
  ヾ       =―≡ ̄`:゛/ / \|  |≡―=‥、,、   ヾ
      ,゛"=―≡―='(  |  (  |=―≡―∞=@   , 、∴
               /  |  |  |\ \  ´ ∴  ヾ             .
  ・            / / |  |   | ヽ/⌒〉
     .... .  ............ . .(_  「 _) (_〈_/....... .  .. .  .... . . .

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
132名無しさん@初回限定:05/02/16 08:45:03 ID:yDoFoHvF
このスレの住人は早起きだな
133名無しさん@初回限定:05/02/16 08:56:50 ID:ftXIvc5l
おねーさんとおばちゃんの境界線

    
  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     
134名無しさん@初回限定:05/02/16 09:06:25 ID:Qyep52kj
「その動きは雷光の如く…、今日子様達には及びませんが…」
てなボイスがあったんだけど、これってクォーリンだったりするのかな?
それともやっぱり単なる稲妻部隊?
135名無しさん@初回限定:05/02/16 10:59:48 ID:HeYDEAEJ
>>134
そのセリフってどこにあるの?EX?
それとも無印の戦闘チップ?
136名無しさん@初回限定:05/02/16 12:47:43 ID:ftXIvc5l
PS2版のチラシにでも載ってたとか
137名無しさん@初回限定:05/02/16 13:09:44 ID:yfug6Oi4
これですな。
(pass「inazuma」)
ttp://up.isp.2ch.net/up/c63b95373a05.zip

クォーリンって多分登場予定あったんじゃないかと思われ。
138名無しさん@初回限定:05/02/16 13:19:19 ID:wOEsmOrY
1位:ハリオン(女教師or秘書で)
2位:エスペリア(女教師で)
3位:アセリア(女生徒で)

ああ、病んでるな俺
139名無しさん@初回限定:05/02/16 13:54:01 ID:ftXIvc5l
うほ、よいクォーリン。GJ!! イメージ増えますな。

お顔グラは入ってないのかな……

140名無しさん@初回限定:05/02/16 16:36:02 ID:Qyep52kj
>>135
data02.gd

そかー、やっぱクォーリンなんだー。
さっきのセリフの後に 「それでも私だって!」 ってのが入るみたいなんだけど、
「それでも私だって光陰様のお役に立てる」みたいな感じでクォーリンの性格が出てるっぽいのがイイ!!
PS2版で出しちゃくれないだろうか…無理か_no

>>139
画像全部見てみたけどそれっぽいのはなかったよん。
141名無しさん@初回限定:05/02/16 17:12:46 ID:3L2SoOPS
142名無しさん@初回限定:05/02/16 18:51:06 ID:G/rH2VVS
メガネ
1セリア、2ニム、3エスで。
眼鏡は日常と非日常の境界なのです。
ツンツンとデレデレ、無愛想と甘え、優しさとエロさ……
最高。
143名無しさん@初回限定:05/02/16 21:02:26 ID:T8EZNZuS
眼鏡…
1.ハリオン いやもう眼鏡で巨乳でぽややんお姉さん… 完 璧 だ !
2.セリア  委員長!委員長!委員長!!
3.ヒミカ  真面目一徹な彼女が眼鏡を取ったら…ハァハァ

年長組に似合いそうですね…
144おにぎりの中身の人:05/02/16 22:26:28 ID:m3bkhnv9
なんかめちゃくちゃ眠いので、メガネアンケートの集計は明日やります。Zzz・・・
145うなされるニム:05/02/16 23:14:37 ID:RMe0XF63

なんだか、ううん、凄く、イヤな夢を見た。
わたしは何処か暗いところに一人ぼっちで、とぼとぼと歩いていた。
音も光も見えないまま、ただずっと、下を見たまま歩き続けた。
どれ位、歩いたのだろう。前の方に唐突に、灯りが見えた。
心細かったわたしは、だっと駆け出した。
きっとそこに、不安を拭ってくれる何かを探して。
灯りはやがて大きくなり、段々と人の形を取り始めた。
すらりと高い上背、鋼色の髪と瞳。そして、優しい笑顔。
「お姉ちゃんっ!!!」
思わず叫んだその声は、闇に吸い込まれて音にならない。
届かない呼び声に、気付かないのか、お姉ちゃんはこちらを向かない。
そう、隣に立っている、もう一人に微笑みかけた、そのままで。
146うなされるニム:05/02/16 23:15:58 ID:RMe0XF63

「お姉ちゃんっ!!!」
「お、起きたかニム」
「どうしたの、急に叫んだりして……」
がばっと起きた、わたしの前に、驚きの顔が二つ。
わたしは迷わず、一人を選んで飛び込んだ。
「きゃっ…………ニム……怖い夢でも、見た?」
頬擦りして、温もりを確かめる。間違いない、お姉ちゃんだ。
よかった……夢、だったんだ。わたしはそっと、鼻を啜った。
「なんだ、甘えん坊だなぁ、ニムは」
声に、ぎくっと肩が震える。いつもは、嫌いじゃない、声。でも今は。
きっ、と顔を上げ、睨みつける。元はと言えば、ユートが悪いのだ。
お姉ちゃんを、取ったりするから。
「うっ…………な、なんだ?」
なんだかうろたえている、ユートにわたしはきっぱりと宣言する。
ニムだって、お姉ちゃんは応援したいけど。
「ユートなんかに、お姉ちゃんはぜっっったいに、渡さないんだからっ!」
147信頼の人:05/02/16 23:19:27 ID:RMe0XF63
イメージとしては、
『生まれた妹に両親の愛情を全部取られそうで不安な幼い心』です。
148名無しさん@初回限定:05/02/16 23:41:53 ID:65VokgFF
>>147
乙〜
うわ、めっさニム。ニムの核(コア)。(・∀・)イイ!!
149名無しさん@初回限定:05/02/17 00:39:25 ID:ybJd72DL
「お姉ちゃん、明日からニム一緒に寝て良い?」
「えっ……もちろんよ。よっぽど怖い夢だったのね」
私の頭を柔らかな手で撫でてくれる。優しいお姉ちゃんがこう言う事は分かっていた。
だから、お姉ちゃんの温もりの中で肩越しにユートを睨みつけてやる。
ふん、なに一人で困った顔してんのさ。ユートなんて許してやんないんだから。


……仕方ないから、一週間で勘弁してやる。特別。



その不安な心を静める方法はオレが知ってるオレにm(エレブラ3000)


鈍感ユート君が、何がニムの機嫌を損ねてるのか気付く日は何時なのか。未来視エターナル者時深さんに
来て頂きました。
早速ですがどうでしょう時深さん? 何か視えますか?

「先に契りを交わすのは私ですっ!! 何万回とシミュレーションをしたんですよっ 咽喉条例に引っかから
ないように我慢に我慢を重ねてきたのに! リセットッ! リセットしますッ!! もう一回やれば私のシナ」
だめだ!!早く差し替えろ!! 早く! うわっ 


**しばらくおまちください**

150名無しさん@初回限定:05/02/17 01:32:12 ID:yXKnLZho
せっかくだから集計しようと思ったけど集計の方法がわからんのでほりゅーー
151名無しさん@初回限定:05/02/17 02:28:09 ID:7OpDEidH
>>150
普通に一位3点、二位2点、三位1点でよろしいと思いますわ。
番外は番外で別にして1票1点で。

個人的には
1位:ウルカ(武人タイプ(特に日本刀使用)のキャラは本を読むときはメガネ着用という
       わけの分からない個人的固定概念から)
2位:ナナルゥ
3位:ニムントール

といったところで。
あれ?みんな釣り目キャラ?
152名無しさん@初回限定:05/02/17 03:21:55 ID:OhV9cxTR
>>信頼氏
最後の台詞が、すごいニムーって感じがします(笑
何か、ニムは成長して独り立ちしても、ファーから離れない、そんな風に思います。
>>髪結い氏
一週間って……短いのやら長いのやら…?
時深おばさんの駄目っぷりが、実に素晴らしいです。ヽ(´ー`)ノ

眼鏡…24時間にまるで間に合っちゃいないのですが。
1位:セリア(縁なし。射るような眼光で)
2位:ヘリオン(ズレ眼鏡+上目遣い)
3位:イオ(ヨーティアとお揃いで)
153小ネタ物語〜漢達の談議〜:05/02/17 03:24:46 ID:OhV9cxTR
――――ラキオススピリット第一詰め所。悠人の部屋。
今日もここで、不毛で下らない、実にどーでもいい会話が、漢達によって繰り広げられるのであった。

「なぁ、光陰。俺、前からずーっと疑問に思ってた事があるんだが」
「何だ?ま、とりあえず言ってみ」
「…んじゃ、言うが…光陰、お前ってマゾなのか?」

間。

「……ハッハッハ。ど、何処にそんな根拠がアルンデスカ?」

…今の間は、何だ。つーか、何故カタコト…?

「いや、お前が敵だった時さ、ファーの<テラー>くらっただろ。
で、そん時の台詞が『悪いな、助かるぜ』だ。…疑うだろ、普通」
「…………あー、そ、それはだな…ホラ!あれだ。余裕の切り返しってやつさ。
全然効いてませんよ〜、みたいな」
「………………………」
「こ、こら、何だ。その『こいつ、いかにも怪しい』って目は。よく思い出してみろ、悠人よ。
ヘリオンちゃんの<テラー>くらった時は、別にそんな事言わなかっただろ?」
「…ああ、確かに言わなかった。
…が、そん時の『いっつぅうぅぅぅっっ!!』って台詞、俺には喜んでる様にしか聞こえなかったんだが」
「………………ソンナ事全然ナイデスヨ?」
「………いや、別にいいけどさ…」

―――漢達の談議は続く………。

滅茶苦茶小ネタです。題名に、全く偽りないです(笑
ロリペド、マゾの光陰の明日はどっちだ!?(ありません)
154名無しさん@初回限定:05/02/17 05:16:46 ID:nztLllLh
セリア    24pts.
エスペリア  12pts.
ハリオン   10pts.
イオ      8pts.
ニム .     8pts.
ナナルゥ.   7pts.
シアー.     5pts.
ヒミカ      5pts.
ウルカ .    4pts.
ヘリオン .   3pts.
ファーレーン. 3pts.
ネリー      2pts.
クォーリン.   1pts.
アセリア.    1pts.


ダントツだw
155Strange Lovers:05/02/17 06:35:17 ID:7OpDEidH
バレンタイン……
それは女性が男性にチョコレートと共に想いを手渡すというハイペリアの文化。
他の異世界においては定かではないが、少なくともここ、ファンタズマゴリアにおいては
そのような文化は存在しない。
つまりはこの世界においてバレンタインとは異文化でしかない。
……とまぁ、こんな前置きはどうでもいいのだが。
ようするにまぁ、今日はハイペリアの暦に置き換えるとバレンタインデーなのである。
そして、それに便乗して大切な人に想いを伝えようという者がここにも一人・・・・・…

「なんです?ントゥシトラ。こんなところに呼び出して…」
男が尋ねる。
彼の名はメダリオ。
現在ファンタズマゴリア侵攻中のロウ・エターナル陣営において
最も下っ端に位置する男である。(オイ)
「ンギュゥ…ンギュルルシュ?…///」
女(?)が恥ずかしそうに答える。
彼女(?)の名はントゥシトラ。
彼女(?)もまた、彼と同じくロウ・エターナルである。
「バレンタイン……ですか?まぁ、聞いたことくらいありますが。
 それがどうかしたのですか?」
「ン、ンギュルゥ…///」
ントゥシトラは顔(というかむしろ全身)を真っ赤にしながら、
恥ずかしそうに触手をモジモジと蠢かせる。
もともと高い体温の更なる上昇に応じて、陽炎が発生し始める。
156Strange Lovers:05/02/17 06:37:24 ID:7OpDEidH
「ギュ…ンギュルルル!ギュル…!」
ントゥシトラは意を決したようにすっと触手の奥から綺麗に包装された箱を取り出すと、
それをメダリオへと差し出した。
「え…?これは……?」
メダリオは驚いた表情で箱を受け取ると、しばらく箱を観察し、
再びントゥシトラへと視線を向けた。
「ンギュゥ…ンギュンギュギュギュル……?」
「いえ、迷惑だなんてそんなことありません。
 僕も…僕もずっと君のことが……」
「ンギュルルル!?」
ントゥシトラがぱぁっと眼を見開きメダリオを見つめ返す。
「本当ですよ。」
二人はお互いに見つめあいながら、少しずつ近づいてゆく
その体が、頬が、唇が。
少しずつ少しずつ。
だが確実に近づいてゆく。
それは永遠のように永い時間。それでいて刹那のように儚い時間。
そしてついに………
157Strange Lovers:05/02/17 06:39:12 ID:7OpDEidH
「気色悪いことしてるんじゃないよ!!」
思いっ切りぶん殴られた。
ああ、ちなみに彼女の名はミトセマール。
ミト姐の愛称で親しまれる見た目どおりの真性Sである。(オイ)
「さっきから何を気色悪いことをしてるんだい!見苦しい!」
「ンギュルルルゥ!ギュルルゥ!」
「あぁ!?」
「ンギュルルル!シュルァ!」
「男が居ない憐れな女の僻みだぁ!?」
「ギュルギュル……シュルルゥ…」
「…いい度胸じゃないか…そこに直りな!」
「やめてください!ントゥシトラを殴るなら代わりに僕を!」
「両方シメるに決まってるだろ!?」
「「えぇぇーー(ギュルゥゥゥー)!!!?」
ビシ!バス!ゴシャァ!ドゴ!メゴス!
バタッ!!
ダブルノックアウト。
バタン!
何気にミト姐もカウンター炎帝喰らってトリプルノックアウト。
「……何をしているんですの?貴方達は……」

…ソーンリームは今日も平和だ……
Happy Valentin
158名無しさん@初回限定:05/02/17 07:07:48 ID:7OpDEidH
・・・・・・えーっと・・・日付とか見ない子が好きです。(おい)
風変わり様の作品を読んでるときになんか浮かんできちゃったもんでつい・・・
もうなんていうかごめんなさいorz

>>64
乙です。
クォーリンが不憫だ・・・頑張れクォーリン。
そして幼女'sも頑張れw

>>76
乙です。
なんというかントゥたん萌えw
そしてントゥをハグするミト姐萌え。

>>107
乙であります。
ああ・・・結局三人とも料理下手に・・・
とりあえずヒミカが心配でしょうがないw

>>147
乙です。
悠人も好きだけど、やっぱりファー盗られるのはいや。
実にニムらしい。
ところで俺がニムファーで百合ss書こうとして諦めたのは秘密です。
カケネェヨorz

>>153
乙です。
いや、光陰だけじゃなくて、絶対悠人もマゾだと思います。
159名無しさん@初回限定:05/02/17 09:03:22 ID:Ks+7Osrh
>>125 道行さん
チョコフォンデュです。・・・ネリシアは結局料理が上手いのか、否か。
今回のはたまたまなのか・・・

>>147 信頼さん
GJ!
ユートも好きだけどお姉ちゃんが盗られるのは嫌・・・
「じゃあいっそ私とニムの二人でユート様に尽くせばいいのでは?」
「いやファー・・・さすがにそれは・・・こーゆーことはケジメをつけないと。」
「ニヤニヤしながら言っても説得力無いわーーー!!!」
バリバリドカーン。

だからラキオスは一夫多妻制なのかどうなのかと・・・
多妻制ならそれはそれで大変だろうなぁ・・・

>>153 御洒落さん
GJ!光陰はマゾですね、絶対。
そうか・・・愛のエレメンタルブラストをぶちかませばいいんだよ、クォーリン!

>>158
GJ!日付なんて目安です。あとは勇気で補えばいい!
ントゥたんはオスなのか、メスなのか・・・
アセリア世界最大の謎ですね。私の中ではメスでファイナルアンサーですが。
そいやクォーリンを料理ダメダメさんにしちゃったけどいいのかなぁ(緑なのに)
160おにぎりの中身の人:05/02/17 10:33:02 ID:jyUTuK5q
すいません・・・俺が集計するべきだったのに、集計してもらっちゃって・・・
俺ももともと1位3点 2位2点 3位1点のつもりでしたので、ありがとうございました。

さて、1位はツンデレラことセリアが圧倒的な人気になりました。
メガネからのするどい視線を放つ委員長キャラとしてみなさんハァハァなのでしょう。
2位エスペリア・3位ハリオンと続き、みなさんメガネメイドがお好きなようで・・・俺も大好きですが。
161名無しさん@初回限定:05/02/17 15:23:59 ID:iu8xqW3w
読んでいただいた方、有難うございました。
>>148さん
コアまで行ってしまいましたか……(汗 さてはそうとうのニムファンですねw
>>149髪結いさん
「まったく……人の研究室の横で、何やっとるんだ、お前達は」
やりましたっ!危機一髪、隣から、自称天才科学者のヨーティアさまが降臨、
暴走時深さんを捕獲、無事その沈黙に今成功しました。我々は、助かったのですっ!
「……いいかげんそのナレーターみたいな喋りを止めないか、ヒミカ殿」
「はっ…………こほん、申し訳ありません。少し弾けすぎました」
「まぁそれはそれとして……なんなんだ、この騒ぎは」
「いえ、あまりにもユート君……さまが鈍感なものですから」
「ふんふん……なるほど。しかしお前達、それを承知でボンクラと付き合っているのだろう?」
「つつつつ付き合ってって!そ、そ、そんな事はっ!」
「隠すな隠すな。まぁ、あれだ、これも何かの縁かもしれん、考えてみようか」
「えっ?あの超絶天然鈍感ヘタレオブヘタレが何とかなるなんて事、金輪際あったりするのですかっ?!」
「…………ヒミカ殿も何気に言いたい放題だな。任せておけ。天才に不可能は無いさ」

 **しばらくおまちください**

  …………ネタとして完成してない…………orz

>>152御洒落さん
するとどちらと悠人がくっついても抱き合わせにw
成長したら凄い美人(キツめ)になりそうなニム、ネリシアもですが、見てみたい気も。
>小ネタ物語〜漢達の談義〜
そういえばそんなバグがw
「なぁ、光陰。俺、前からずーっと疑問に思ってた事があるんだが」
「何だ?ま、とりあえず言ってみ」
「…んじゃ、言うが…光陰、お前ってロリペドなのか?」
「勿論だとも」
「…………即答かよ」
162名無しさん@初回限定:05/02/17 15:25:40 ID:iu8xqW3w
>>158さん
(笑)同じシチュエーションをラキオスでやったらラブラブなのに、ロウ陣営がやると何故にこんなお笑いに。
同士討ちでソーンリーム攻略がイージーモードになりました。日々精進です。
というか、ニムファー百合もの、読みたいですよ?w
>>159さん
一夫多妻でもニムはやっぱり焼き餅さんな気がします。
「ユートはちゃんとニムだけ見てなきゃだめなんだからっ!」とか言って。

>>153+>>157で思いついたorz
ぴしぴしっ
「…………なるほど、エトランジェコーインは……くっ……マゾなのですか……気が合いっ……ますねぇ…………」
「何説教の最中によそ見してんだい、おらおらおらおらっ!!!!」
びしびしびしびしっ
「あっ、はっ、いっ、ミ、ミト姐、さっ、最高、ですっ、ねぇっ!!」
「な〜に笑ってんだい、気持ち悪いねぇ!アタイに同意を求めようってのかいっ!」
ばしばしばしばしっ
「違っ、コーイン、じゃなく、って、がはっ、ミト姐がっ、最高っ、ですよっ?!」
「あ〜〜はっはっはっ!ぞくぞくするねぇっ!」

「…………何をやっておられるのかしら、あの二人は」
163名無しさん@初回限定:05/02/17 18:41:26 ID:MIDvS+EF
>>147
乙です。>>149氏によるヨト語解説マダー?
>>153
言えない...ウチのファーは万年二軍で、光陰にテラー食らわせた事がないなんて...
>>154
集計乙〜。やっぱりセリアが1位か。イオが思ったより上位に食いこんでるw
>>158
もじもじ触手が絡まりそうなントゥたん乙。平和なソーンリームを乱す奴は許さん!...?
164名無しさん@初回限定:05/02/17 18:52:23 ID:KaHs52nl
>113
>ホワイトディが修羅場になる予感

 強く同意。
御返しは皆に するのだろうけれど、
一つ本命チョコ(御礼)を渡すとしたら
誰になるのだろうか...!?
165名無しさん@初回限定:05/02/17 19:02:33 ID:iu8xqW3w
たとえば全員に同じものを渡したとしたら、
後で見せ合いとかあるだろうから、そこでみんな同じと気付かれて修羅場。
誰か一人だけに本命を渡したとしたら、
その一人だけが見せたがらずに(ネリー、オルファは見せびらかしそう)ばればれで修羅場。
誰にも渡さなければ、問答無用で修羅場。
う〜ん、羨ましい悩みだ…………
そういえばントゥタンは何を貰って嬉しいのか、メダリオはちゃんと考えているのでせうかw
166名無しさん@初回限定:05/02/17 23:50:04 ID:ybJd72DL


詰|  
所|
壁|つ ttp://www.uploda.org/file/uporg45379.zip

濁音部分がちょっとぁゃιぃ。修正ver。


>メガネ
なんだかしらんが、コンタクトを入れようとして悪戦苦闘中のセリア嬢を思い浮かべてしまった。


>165
メガネ型永遠神剣。あ、ントゥタン飲み込んじゃダメだって! え?耳がない?

>163
イス、ハイサム、エトカム、ナ、エスペリア
〜してほしい  教える  に         
167名無しさん@初回限定:05/02/18 00:00:35 ID:dNo6wI32
ラキオス春の新色フェア
古い色を脱ぎ捨てて、装い新たにフレッシュアップッ!


     ズバ ズバ ズバババ
「え〜と〜今から〜五回切りますからぁ、よけないで下さいね〜〜
 あ〜せっかちさんなんですから〜そんなに早くマナの霧に変わらなくてもぉ〜。」
――――ハリオン・ブラックスピリット


「ネリーブラックさんじょうっ!! とぅっ! ネリーキーーーッック。」
――――ネリー・ブラックスピリット   RX


「シアーにも治せるかな〜。お菓子食べて治らないかな〜。」
――――シアー・グリーンスピリット


「青騎士の名にかけて。『青光』よ、ブルーレイレーザーで貫け! く、敵もさる者、HDとはね。」
――――ヒミカ・ブルースピリット


「インフェルノとかインシネレートとか二回も打つの面倒。イグニッションかけて、あと寝てるから。」
――――ニムントール・レッドスピリット


「これが本来あるべき姿です。私の髪は緑なんですから。……あら? なんだか 髪の毛が黒
く見えるような……緑の黒髪?…………って何でいまさら黒くなるんですかっ!!」
――――ファーレーン・グリーンスピリット?
168名無しさん@初回限定:05/02/18 00:56:13 ID:l6JlCKG4
>>167
面白杉です。ファーレーン最高。
せっかく特徴がどうこう言われなくなった、と思ったのにねえ...
169名無しさん@初回限定:05/02/18 02:13:14 ID:jcFODXMq
>>158さん
メダリオとントゥシトラ…素敵なカップルです。でも、ミト姉には永遠に春が来ない予感…(ぉ
セリアのキツイ言葉攻めに、身悶える悠人(M)……うわぁ、想像に難くない…orz
>>霞氏
とりあえず、ライトニングブラストの出力以上のエレブラじゃないと、振り向いてもらえません。
訓練、訓練。ファイトだ、クォーリン!
>>信頼氏
基本的に、自分の中では、ファーニムは抱き合わせ路線w
ニム、ネリシア…是非とも、年少組全員成長した姿を見てみたいものです。

光陰…書いといてなんですが、奴ならこう言います。↓
「…俺はHENTAIだ!!だが、それの何処がいけない!?
俺は自分自身に誇りを持っている!恥ずべき事など、何も無いッ!!」

……光陰とメダリオの友情物が書きたい、今日この頃。
>>憂鬱氏
ファーはヘリオンと比べて、どーしても使い辛い印象が有りますしね〜……。
てか、後半の成長の停滞っぷりが泣けます………………(´Д⊂)
>>167さん
オチ担当、ファー乙(笑
しかし、打たれ弱そうな緑スピだなぁ……(´ー`)
170名無しさん@初回限定:05/02/18 07:06:59 ID:aGTXpPg1
>>167さん
大体ファーの髪色って微妙過ぎるんですよねw
自分も緑、黒、鋼色、ロシアンブルーと4色使ってきましたが、
本当は何色なのか未だに正確にはわからないです…………
それはそうと一番笑ったのはシアー。最初何の違和感も有りませんでしたw
常春のラキオス、毎日色が変わるスピリット達。悠人が混乱しそうですw
>>169御洒落さん
ネリシア、ファーニムと合わせて楽しみに待ってます>光陰メダリオ
171名無しさん@初回限定:05/02/18 12:59:49 ID:paQoK5cd
>165
 うらやましい悩み。でも
「修羅場」に なりかねない難しい悩み・・・…。
172名無しさん@初回限定:05/02/18 17:02:24 ID:moXQHBhN
衣替えをしてみました
ネリー・ブラックスピリット
シアー・ホワイトスピリット

「「二人はネリシア!!」」
173158:05/02/18 19:23:06 ID:cTA0ScfG
読んでくれた方々ありがとうございますです。
感謝の極みであります。

>>159
ントゥさんは私的にもなんとなくメスなのかなーって感じです。
えっと、多分ントゥ子発言のせいで。一番初めにントゥ子言ったのだれかしら?
クォーリンに関しても料理ダメダメでよいと思いますわ。
自分も前に・・・いえ、なんでもありません。orz

>>161-162
まぁそれが彼ら(ロウ陣営)の宿命ですからw
ニムファーは書けたら書いてみたいんですけどね。
でも、変な出来になりそうでorz
メダリオ、浮気はいかんよ。ントゥたんにぶってもらいなさいw

>>163
ソーンリームは平和なのですねw
悠人たちが攻め込むまではみんなほのぼの暮らしてるんだろうか。

>>165
それだけ愛されてるということで、悠人にはおとなしく修羅場って頂きたい。
メダリオからは愛をプレゼント。
そしてミト姐乱入。
174158:05/02/18 19:24:41 ID:cTA0ScfG
>>167
その調子でいくと
悲しみの妖精ネリー・ロボスピリット
怒りの妖精ネリー・バイオスピリット
とかになりそうですなw 絶対ヨーティアになんかされてる。

>>169
そして光陰と共にハリセンで吹っ飛ばされて悦入る悠人・・・
ああ、なんか変な人に!w
信念を曲げず己を偽らぬ、魂の変態!それが光陰!
そういうことですなw
光メダ頑張ってください。

>>172
なんかシアーの方が強そうだ。
とりあえずメポメポ言う神剣は嫌ですw
175名無しさん@初回限定:05/02/18 21:20:50 ID:YKOU1Vk2
少し早いですが、スレ創立一周年記念&眼鏡セリア一位記念ということで……行きますっ!
176反転 T−1:05/02/18 21:22:02 ID:YKOU1Vk2

――最初から、何故か気に入らなかった。

「今日からこのスピリット隊の隊長になった、高嶺悠人。ユートでいい、宜しくな」
そう自己紹介して頭を掻きつつ愛想笑いを浮かべている長身黒髪(注:ぼさぼさ)の男。
わたしと同い年位だろう。先日我が国に降臨したというエトランジェ。永遠神剣第五位、『求め』の持ち主。
歴史上世界を割るような戦いを繰り返してきた無骨な鉈を肩に担いだその姿からは、
しかし戦いに身を措く剣士としての緊張感や風格といった物が微塵も感じられなかった。
こちらの顔色を窺うような緩みきった(そう見えた)表情から、卓抜した知性などを有しているとも考え難い。
そもそも自分の力だけを信じて戦ってきたわたしは、その他人に媚びた(そう見えた)ような笑顔が嫌いだった。
一目見ただけで実力の底が見えたようなわたしは、顔に出さないように心の中だけでこっそりと溜息をついた。
これからこの男の指示を仰いでいかなければならない。それがただ物憂いと、単純に思った。
177反転 T−2:05/02/18 21:23:22 ID:YKOU1Vk2

第一印象が確信に変わったのは最初の訓練の時。
「どりゃぁぁぁっっ!」
ただがなり立てているだけの声からは、気配を消すという剣士ならば当然の配慮も、
相手を威圧する鋭い殺気も、自らを高める為の気合ですら、微塵も感じられなかった。
剣を合わせてみれば、何の工夫も無くひたすら直線的に飛び込んでくるだけ。
おおよそ教えを受けた事も無い、全く素人の剣だった。これでは訓練にもなりはしない。
予想通り、という事がこれ程虚しく感じたのは初めての事だった。
「…………はぁ」
三合、あしらった後で『熱病』を収めた。見切りは早々につけるに限る。これ以上は時間の無駄だった。
一応礼儀として、一礼してから背中を向ける。次の練習相手を探すつもりだった。
「お、おい、どこいくんだセリア」
背中から、戸惑った様な声が聞こえてくる。しかしもう、返事をするのも億劫だった。
「……………………」
「ちょっと待ってくれ、俺、何かしたか?」
質問を無視して立ち去ろうと歩き出す。それでも男は慌てて追いかけてこようとしていた。
だんだん近づいてくる声。はっきり言わないと判らないのだろうか。イライラが募った。
「おいって、セリア!」
いきなり肩が掴まれた。思いのほか力強い手に驚く。しかし、不快感の方が遥かに上回っていた。
しつこい。これ以上、関わりたくない。そう身体全体で表しているのに、察しもしない。
なんでこんなに無遠慮なんだろう、この男は。拒絶されているのに気づかないのだろうか。
反射的にその手を振り解き、睨みつける。多少上目遣いになって初めて男の背の高さが気になった。
「これ以上は時間の無駄です。失礼します」
178反転 T−3:05/02/18 21:24:42 ID:YKOU1Vk2

「な…………っ」
思っていた事を、その通りに、皮肉たっぷりな丁寧語で叩きつける。
それだけで、男の瞳に動揺の色が走った。だらしない。そう思った。
返事が無いのを確認して、再び背中を向ける。今度こそ、開放してくれるだろう。そう思った時だった。
「ちょ、ちょっと待…………おわぁっ!」
「え…………?」
慌てた声が背後からした、と思う間も無い。わたしの頭はがくっと勢い良く後ろに引っ張られていた。
「………………いっ!!」
思わず、声が漏れる。突き抜ける様な激痛が髪と首に同時に走った。一体何が。ってこの男が何かしたのだ。
多少涙目になりながら振り向けば、やはりというかわたしの髪を引っ張ったまま、男が冷や汗を浮かべていた。
どうせ躓いたか何かして、咄嗟に掴まったのだろう。頭の隅ではそう冷静に分析していた。でも。
この髪は、まだ誰にも触れさせていなかったのだ。密かに自慢している、枝毛一つ無いウェーブ。
目と同じ色のやや癖のある青髪は、長く伸ばすのだって艶を保つのだってそれなりの努力がいる。
お気に入りの黄色いリボンで束ねるのだってコツがいる。幼い頃から大事にしてきた、たった一つの楽しみ。
ずっと一緒に居たアセリアにも、もちろん他の仲間にも、戦いの最中に措いてさえ、誰かに触らせた事などない。
それほど丁寧に気を使ってきた自慢の髪なのだ。それをよりによってこんな男に。大切な物を穢された気分だった。
きっと睨みつけて、意識した低い声で。今度はちゃんと殺気も篭めて。最後の理性だけは保って、敬語で囁いた。
「…………いつまで掴んでいるおつもりですか?」
179名無しさん@初回限定:05/02/18 21:24:49 ID:cYEHTdDd
サポートはおまかせを
180反転 T−4:05/02/18 21:26:03 ID:YKOU1Vk2

「あ、す、すまん…………」
狼狽する声は、どうやら謝っているらしい。それは、認めよう。だけど、そんな謝罪はどうでもよかった。
さっさと離せば良いものを、硬直しているのか未だその無骨な手は、わたしの髪を握ったままなのだ。
いいかげんにしてほしい。首の鈍痛が拍車をかける。そろそろ我慢も限界だった。
「触らないでっ!!」
「いてっ!!」
ぱんっ、と軽い音。思いっきり引っ叩いてやった。ようやく髪を開放した男がその手で頬を押さえる。
驚きで見開いた瞳がやや揺れていた。もう一度それを睨みつけ、わたしは無言で歩き出した。
「お、おいセリア…………」
何か言いたそうな声が聞こえてくる。それでもさすがに追いかけてくる気配はしない。
もう名前を呼ばれるだけで不快な気分だった。わたしは声を無視してその場を離れた。
今更ながらに手がじんじんしてくる。そのむず痒い熱さがより不愉快さを煽った。
離れてから、ふと手の平を眺める。そういえば、と思った。男を平手打ちしたのなんか、初めてだな、と。
181反転 T−5:05/02/18 21:28:02 ID:YKOU1Vk2

それから暫く、第二詰め所は何故かあの男の噂で持ちきりだった。
まぁ、判らなくもない。女ばかりのスピリット隊に、初めて男の部隊長などを迎え入れたのだ。
訓練士などは周囲にいるものの、これが異例の事なのには変わりが無い。
彼女達もどう対処していいか戸惑ってはいるものの、概ねはこの状況を楽しんでいる様だ。
毎日誰かがエトランジェの情報を持ち帰っては夕食後のこの時間などに皆で語らっている。
その時ばかりは、さながら祭りかなにかのような、浮かれた雰囲気が詰め所内を満たしていた。
自分の感情はともかくとして、とりあえずわたしは任務に支障が無ければその程度は問題無いと思っていた。
ただし、関わるつもりは一切、無い。いつも一人雑談の輪から離れ、ハーブを楽しんでいた。
「ね〜ね〜セリア、知ってる?」
「…………は?」
何時も通りに訓練を終え、何時も通りに食事を済ませ、何時も通りにお茶の香りを楽しんで、
そろそろお風呂に入ってのんびりと明日の訓練内容でも考えようと思っていた時だった。
たまたま隣に座っていたわたしと同じブルースピリット、『静寂』のネリーが話しかけてきたのは。
小さい身体でいつでも元気一杯明るい彼女は、ある意味この第二詰め所のマスコット的な存在である。
あまり馴れ合いを好まないわたしにでも、あれこれと気楽に話しかけてくれる数少ない存在だ。
髪型が近いせいもあり、よく懐いてくれている。普段から洗髪料やカットの仕方などを語り合っていた。
ちなみに彼女が今付けているリボンはわたしのお下がりだ。使ってくれていると思うと悪い気はしない。
仲の良い『孤独』のシアーの姿が見えない。どうやらそれで退屈になって、話しかけてきたという所か。
しかし今の今まで話題に入らず考え事をしていたわたしには、肝心の話の流れが見えていなかった。
なのでてっきり共通の話題である髪に関しての事かと油断すれば、飛び出してきたのはあの男の名前だった。
182反転 T−6:05/02/18 21:29:13 ID:YKOU1Vk2

「も〜、だから、ユートさまの事だよ〜。あのねあのね…………」
ネリーの言葉は途中から聞こえなくなっていた。……さま?今、さまって言った?あの男を?わたしは耳を疑った。
そういえば、と記憶を辿ってみれば、なるほどわたしは自分からあの男の名前を呼んだ事が無い。だがそれにしても。
確かにあの男は部隊長だしおかしくはないのかも知れないけど、でもわたしの髪を触ったあの男をさま付け?
いやそんな事より、まさか自分もあの男を呼ぶ時はそういった敬称を付けなくてはならないのだろうか。
…………いけない、眩暈がしてきた。冗談じゃ無い。大体わたしはあの男をまだ部隊長とは認めていないのだ。
「セリア、セ〜リ〜ア〜!」
「きゃっ……あ、ごめん、なんだっけ」
耳元で叫ばれて、我に返った。目の前にどアップで迫るネリーが不満そうに頬を膨らませている。
「も〜、だからね、ユートさまって仕方なく、戦ってるんだって〜」
「………………え?」
意外な話だった。言葉足らずなネリーの話は長くなったけれども、それでもわたしは根気良く聞いていた。
…………彼は、元々一般人だったらしい。それが妹を人質に取られ、止むを得ず神剣を握っている。
だからもちろん戦闘経験も無いし、剣術も部隊指揮も初めてである。話を纏めると、概ねこんな所だった。
183反転 T−7:05/02/18 21:30:18 ID:YKOU1Vk2

振り返れば思い当たる節は幾らでもある。極々普通の人間並みな体力。剣術が稚拙な事。気迫も殺意も見出せない事。
――それらは、当たり前の事だったのだ。それでも彼は、あんなに必死に、わたしを捕まえて訓練をしようと…………
「…………ふんっ」
脇道に(それもまずい気がする方向に)逸れそうな思考を、鼻息で一蹴して懸命に奮い立たせた。
だからといって、今更彼を認める訳にはいかない。大体今のままでは隊長としてあまりにも頼りなさ過ぎる。
置かれた状況には同情するが、それとこれとは話が別だ。戦場では、弱い者から殺されるのだから。
それに、髪を掴んで傷めた事は、まだ許していない。なにしろ誰にも触らせた事がなかったのだから。

暫くしてネリーと別れたわたしは、そのまま浴場に向かった。丁寧に解いた髪を洗いながら、真剣に考える。
明日からの訓練メニューを考え直さなければならない。気に入らないけれども仕方が無い。
未熟な彼を鍛え直さないと、部隊全体が危うくなる危険性があるのだから。
髪の一件については、とりあえず保留という事にしておいた。
184反転 T−8:05/02/18 21:31:35 ID:YKOU1Vk2

…………とにかく、彼は使い物にならなかった。
具体的に挙げれば、脇が甘い、剣先が鈍い、体重移動が遅い、動きに一貫性が無い、etc、etc……
つまり、どこから手をつけて良いやら、もはやメニューの修正などといったものでは追いつけそうもない。
訓練に自分から誘った事を、今更ながらに後悔していた。どうかしているとしか思えない。
「…………はぁ、もう結構です。今日はこれまでにしましょう」
溜息混じりに『熱病』を下ろす。するとやはり、彼がまだ構えたままの体勢で不思議そうに訊ねてきた。
「え?だってまだ始めたばかりじゃないか」
「もう充分判りました。今日はこれまでにしましょう」
もう一度同じ言葉でぴしゃりと言い放つ。すると今度は気のせいか、少し寂しそうな笑顔を見せた。意外だった。
「…………そうか、ごめん」
背を向けたわたしに諦めたような口調。何故そこで謝るのだろう。うじうじした態度が妙に癇に障る。
相手にしなければいいのに、そう思った時には、しかし反射的に振り返って一言言ってやろうとしていた。
だけど、それが間違いだった。ふにっ。妙な擬音と共に、鼻先を硬い針金の様な髪の毛が掠った。
「…………え?」
「……んんっ?!」
くぐもった声がその下から聞こえる。同時に胸の辺りが低く響いた。一瞬何が起きたか判らなかった。
「………………」
「ご、ごめんっ!!!」
ぱっと離れた彼が勢い良く前に出した手と首をぶんぶん振りながら、何かを言っている。
突然の事態に呆然としていたわたしの頭は、その情け無い顔を見ながら次第にクリアになっていった。
185名無しさん@初回限定:05/02/18 21:31:37 ID:cYEHTdDd
支援。
186反転 T−9:05/02/18 21:32:51 ID:YKOU1Vk2

つまり、こういう事だ。
彼は、頭を下げていた。しかも、わたしの直ぐ後ろで。で、向き直したわたしの胸に、頭から突っ込んだと。
で、今度はそれを謝っているのだ、と。声の近さや内容をもっとよく判断していれば、確かに判る事だった。
深く考えずにいきなり振り返ったわたしも悪い。悪いけど。デモソンナ問題デハナイ。
つかつかつか。冷静に、冷ややかな視線を心がけ、大股で近づいた。怯える瞳を湛えて、彼の動きが止まる。
「セ、セリア?…………っ」
そして何故か、彼はぎゅっと目を閉じた。腕をだらんと下げて、やや俯き加減でじっとしている。
……ああ、そうか、わたしが手を振り上げた意味、ちゃんと判ってるんだ。覚悟はO.K.って訳ね。じゃ、遠慮なく。
了承したわたしは手加減無しで腕を振り切る。ばしぃぃぃぃぃん…………と平手打ちの音が辺りに響いた。

「…………痛ってぇ〜〜〜」
「……ふんっ」
手形がくっきりと残った頬を押さえ、涙目で呟く彼を残して振り返ると、何事か、という視線を大量に感じた。
見ると、訓練場のあちらこちらで動きを止めた皆がこちらを見ている。とたん、かぁっと顔に熱が帯びた。
わたしは内心焦りながら、それを悟られないようにゆっくりと逃げ出した。恥ずかしさでいっぱいだった。
歩きながら、何故こんな思いをしなければならないのか、と腹が立った。建物の影に入った所でやっと壁にもたれた。
「はぁ〜〜…………なんでいつもいつも…………」
たった今叩いたばかりの手の平を、そっと眺める。赤く腫れていた。少し後悔を感じているのに驚いた。
軽く握って口許に持っていく。そっと唇を当てると、熱かった。頬の感触が蘇る。
「…………少し、やりすぎだったかな…………」
初めて胸を触られたっていうのに。そう思い返してももう、憤りも恥ずかしさもどこかへ行ってしまっていた。
187反転 T−10:05/02/18 21:34:53 ID:YKOU1Vk2

不思議な事に、その後実戦に赴いた彼は、いつもちゃんと帰ってきた。
なんだか変な言い方だが、それほどわたしは彼が生き残れるとは思っていなかったのだ。
永遠神剣第五位、『求め』の遣い手とはいえ、その力をろくに引き出してもいない。
剣技は今だに未熟なままだし、体力も精神力も普通の人間と大差が無かった。

……今振り返ってみると、彼が不在の時、わたしはいつも落ち着かなかった様な気がする。
気が付けば窓の外をぼぅ、と眺めていたり、指先がせわしなく机をとんとん叩いていたり。

まだ戦闘配備に就いていなかったわたしは、戦いの経緯を後からただ報告として聞かされているだけだった。
そしてその戦闘詳報や帰ってきた仲間達からの口伝てとしての戦場しか想像する事が出来なかった。
その中には、もし自分がいれば、と思わずにはいられない場面も所々ある。
落ち着かないのは、それらが、ただじれったいだけだと思うようにした――彼を心配している、とは思いたくなかった。

――――考えてみれば、その時気付くべきだったのだ。
    「好きの反対は無関心」。不満がある、ということは、期待がある、ということ。
    関心がある時点で、もう可能性は芽生えてしまっている、というのに。
188反転 T−11:05/02/18 21:36:14 ID:YKOU1Vk2

それから、毎日遅くまで、地図を広げる日々が続いた。
仄かな灯の下、爪を噛みながら、自分なりに色々と検討したりもしてみた。
たまに帰ってきた彼と、廊下ですれ違う事もあった。
そんな時、声をかけようとしても、足が勝手にきびすを返してしまう。
もやもやした何かが、常に邪魔をしていた。立ち去る後姿をこっそり振り返るのも躊躇われる程に。

そうして部屋に戻ってから、いつも決まって訪れるのは後悔と……失望。
――いったい何を期待していたというのだろう。
ばふっと身をベッドに投げ出し、天井を眺める。自分の感情が理解できなかった。
早く、戦いに参加したかった。そうすれば、もっと――もっと、なんだというのか?気が付けば、疑問が疑問を呼んでいた。

そんな訳で、サモドアへの出撃命令は、わたしにとってある意味待ちわびたものだった。
出発の前の晩は、中々寝付けなかった。いよいよ自分の力を試せるという高揚感。それが自分を昂ぶらせている。
そう思わずには冷静でいられなかった。油断すると浮かんでくる顔を、思考の隅から追い払う為に。
189名無しさん@初回限定:05/02/18 21:36:42 ID:cYEHTdDd
支援
190反転 U−1:05/02/18 21:37:24 ID:YKOU1Vk2

サモドアで、彼と一緒の部隊にいきなり編成されたのには驚いた。
いや、むしろ驚く暇も無かった、というべきか。わたしは最初から、彼に振り回されっぱなしだった。
「ちょっと、待ってくださいっ!」
「だめだ、もう少しでここは崩せる、セリア、後は任せたっ!」
「ちょ…………もうっ!なんだっていうのよ!」
口論は、尻切れトンボで終わった。話の途中で彼が飛び出して行ってしまったせいだ。
ちょっとした敵の動揺も乱れも見逃さないのは、確かに良い事だと思う。そこを切り崩す作戦も、まぁ当たっている。
…………だけど、なんで自分が先陣切って突撃するのか。もしかして、自分の立場を自覚していないのだろうか。

不満が口に出せないまま、そんな場面が立て続けに起こった。不思議な事に誰もそれに文句を言わない。
みんなは大体苦笑いをするだけで、全員がさり気ないフォローに徹しているのだ。
必然的に、新参者?の自分だけが常にやきもきさせられている。何だか理不尽な状況だった。

「セリア〜、何だかご機嫌斜めだね〜」
置いていかれ、腹立ち紛れに石を蹴っていたりすると、罪の無い笑顔でネリーが聞いてくる。
渡りに船。ここぞとばかりにわたしは疑問をぶつけていた。もちろん、同意を求めるつもりで、だが。
「ネリー、彼っていつもこうなの?」
「ん〜、そうだね、いつもこう、かなぁ……へへっ」
首を傾げながら即答し、にぱっと笑って彼の後を追ってしまうネリー。
ぽつり取り残されたわたしは、まるで馬鹿みたいだった。これでは彼との会話と変わらない。聞いた相手が悪かった。
ふぅっと溜息をついて、手を当てたままの頭を軽く振る。
「もうっ…………マナよ、我に従え 氷となりて…………」
彼はともかく、ネリーのフォローはしなければならない。わたしは渋々バニッシャーを唱えながら、後に続いた。
191反転 U−2:05/02/18 21:39:04 ID:YKOU1Vk2

一見ぱっとしないぼろぼろの、元は白かったかもしれない薄鼠色のロングジャケットと、針金頭。
その横でぴょんぴょん跳ねているはずの蒼いポニーティル。それを目印に追いかけていれば、それでいい筈だったのに。

「なんでわたしが迷子にならなきゃならないのよっ!!!!」
思わず叫んでいた。独り、森の中で。部隊からもはぐれて。…………おまけに、敵に囲まれて。
気配を悟られない様注意しながら手頃な木に拳を叩きつける。我ながら器用だ。
ぜーぜーと息が切れかけていたが、それで少し落ち着けた。

ちょっと前の事を思い出す。
あの後、神剣魔法で敵の火球を無効化し、ネリーと彼に駆け寄った。……そこまではいい。
ところが、あろう事かその問題児二人組は、それで気を良くしたのか、更に加速して敵部隊に突っ込んでいってしまったのだ。
もうすぐ追いつける所まで来ていたわたしは完全にその虚を突かれ、不覚にも唖然として足が止まってしまった。
まるで台風のように敵を蹴散らしながら駆け抜けて行く二人。それをわたしはただあっけに取られて見送るしかなかった。
最後に(特にネリーの)背中に見えた、楽しげに浮かんだ巨大な「♪」マークは、決して目の錯覚なんかではない。
忘れようとしても、金輪際忘れてなんかやるもんか。わたしは記憶の片隅に、その映像をしっかりと刻みつけた。
そうして彼らの行方を求めて彷徨って。こんな状況に追いやられているのだから。
192第四位 求め:05/02/18 21:40:14 ID:SB5ZNC2v
契約者よ…支援しよう
193反転 U−3:05/02/18 21:40:19 ID:YKOU1Vk2

「死ねぇっ!!!」
助かった。掛声を上げながら斬り付けてきてくれなければ、油断していたわたしは今頃真っ二つになっていただろう。
そんな事を考えながら、瞬間体は勝手に反転しつつ、自分から斜めに倒れていた。
ブラックスピリットの一撃が、咄嗟に首を捻って避わしたわたしの頬すれすれを掠めていく。
風切り音まで聞こえた攻撃をやり過ごしたわたしは『熱病』を地面に突き刺し、それを軸にしてくるりと体勢を整えた。

木を盾にして、半身だけで敵の姿を視認する。ブラックスピリットとレッドスピリットが一人づつ。他に気配は感じない。
どうやら当面、二人を相手にするだけで済みそうだ。判断したわたしは、だけど見通しが明るい、とはとても思えなかった。
手前にブラックスピリット、そして後方に控えるレッドスピリット。とにかく、この相性が、最悪だ。
ブラックスピリットを相手にすれば、レッドスピリットの神剣魔法が飛んできて、たちまち骨までロースト。
レッドスピリットの神剣魔法を無効化しようとすれば、その隙にブラックスピリットの斬り込みでこま切れにスライス。
もしブラックスピリットが神剣魔法全体をキャンセルする事が出来る程の手錬なら、わたしのバニッシュも通用しない。
つまり、レッドスピリットの神剣魔法を避わしながら、ブラックスピリットのスピードと渡り合わなければならないのだ。

「…………面白いじゃない」
そんな絶体絶命の状況で、しかしわたしはぺろっと小さく上唇を舐めていた。
自分の力をようやく試せる。そんなぎりぎりの状況は、きっと心のどこかで求めていたものだったから。
194反転 U−4:05/02/18 21:41:30 ID:YKOU1Vk2

いきなり全身を晒したわたしに、仕掛けを躊躇ったブラックスピリットが戸惑いの表情を浮かべる。
こちらとしては開き直っただけなのだが、間合いを外したと思ってくれたのなら好都合だ。
ばきっと、勢い良く跳ねる。
速さで競っては負けてしまう。一か八か、こちらから打って出るのみ。わたしは掌(たなどころ)に神経を集中させた。
硬く透明な結晶が組み合い、そのスピリット特有の色に変化する。左鎖骨から左心房、右肺下部、そして肝臓。
おおよそ致命傷と思える箇所を、わたしの場合は薄紅紫(ルージュ)のマナを帯びた『熱病』が一閃した……する筈だった。

――ずっと後に、彼から教えてもらった。そういうのは、「黒より昏い深紅」というのだ、と。
本能が、警鐘を鳴らした。わたしは無意識か、その沈んだ瞳の色から逃れようと、『熱病』ごと後ろに飛んだ。
赫く燃え上がった瞳は視線を残滓として空間に残し、取り残された神剣の軌跡が誰も居ない空間を切り裂く。
わたしの後に動いたはずのブラックスピリットは、わたしが『熱病』を振り切るより速くその初撃を終えた。
195名無しさん@初回限定:05/02/18 21:42:02 ID:NRS5DLTM
支援します
196反転 U−5:05/02/18 21:42:53 ID:YKOU1Vk2

「…………ちっ」
ブラックスピリットの予想外の速さに舌を巻く。
今この局面では役立ちそうにはないが、ファーレーンの恐ろしさが骨身に沁みて良く判った。
無理矢理バックステップで踏み込んだ足が地面に潜り込む。抉れた土が後方に飛ぶのを知覚する。そしてその先には。
何時の間にか廻りこんだレッドスピリットの気配。一方、正面で剣を鞘に収めたブラックスピリットが左に飛ぶ。挟まれた。
咄嗟にウイングハイロゥで上方に羽ばたくのと、後ろから飛んできた火球が蹴散らした土を蒸発させるのと、
追って飛んできたブラックスピリットの打突が迫るのが、同時だった。

――――わたしはここにきて、生存の可能性を半ば放棄した。

「…………だけどっ」
だけど、ただやられはしない。空中で、更に左足を蹴り上げる。止まらない敵の切先が、勢い良く足の裏を突き抜けた。
物凄い激痛が頭の先まで走り抜ける。全身から流れる油汗。耐えようと噛み締めた奥歯で舌が切れ、血の味が広がった。
反動で仰け反った視界にレッドスピリットの姿が映る。手にした杖型の神剣に、次の火球が浮かび上がっていた。
「あああああっ!」
左足を貫いた剣先が眉間に届く前に、わたしは残りの右足を前方に蹴り出していた。
ぐぅっ、とくぐもった声が、初めてブラックスピリットの口から漏れる。確かに手(足?)ごたえがあった。
197反転 U−6:05/02/18 21:44:18 ID:YKOU1Vk2

わたしに腹部を蹴られたブラックスピリットはバランスを崩して木々の間に突っ込んでいく。
同時に神剣の抜けた傷口から、赤い霧が噴き出した。空中に撒き散らされては呼び起こされる痛みの波。
だが、それらを確認する暇も無い。空中で制御無く浮いた形のわたしは、格好の標的だった。
レッドスピリットと一瞬目が合う。深い緑を湛えたその瞳は、しかし今は歪んだ敵意剥き出しだった。
火球がどす黒い渦を巻いて周囲のマナを吸い取っている。それが放たれてはひとたまりもないだろう。
ウイングハイロゥを捻り、体を反転させる。交差した足を屈めて遠心力を加速させ、投げた。
――――先程飛び出す時に折って隠し持っていた、ただの木の枝を。

それでも渾身の力を込めたそれは、ブーメラン同様、唸りを上げてレッドスピリットに向かっていく。
何かの攻撃だと思ったのだろう、レッドスピリットは杖を振るって枝を叩き落そうとした。
……予想通り神剣魔法の詠唱が止まる。

一瞬の、隙。それを見逃す程間抜けではない。わたしは『熱病』にマナを篭め、ようやく辿り着いた地面を蹴った。
放った枝と、同じ位、速く、速く。レッドスピリットは、まだ枝を払ったその体勢のまま、体を開いている。
無防備のまま立ち竦む彼女を、両手で握った『熱病』が、左肩から袈裟にスフィアハイロゥごと斬り捨てていた。
「…………か、はっ」
レッドスピリットが吐き出した血がぴぴっと霧のように空中に四散する。髪を庇ってそれを避けた。
踏み込んだ足の激痛に、そのまま倒れこむ。眼前に、口元から血を流しつつマナに還るレッドスピリット。
やっと、一人。額の汗がぽたり、と音を立てて、地面に吸い込まれる。
両手をついたわたしは、それでもう完全に息が上がっていた。
198名無しさん@初回限定:05/02/18 21:45:20 ID:7s5JZSnR
残念だがバイト行ってくる
後はたのんだ(つД`;)ノ
199反転 U−7:05/02/18 21:45:47 ID:YKOU1Vk2

動きの止まったそんなわたしを、残った彼女が見逃すはずが無かった。
背後から、唸りが音より速く近づいてくる。仲間を倒され、手負いの獣のように怒りを纏って。
猛烈な殺意にかろうじて振り向いたわたしに、弾丸のように身を縮めながら、黒い影が迫った。
迎え撃とうと立ち上がったとたん、がくっと膝が落ちる。体に力が入らない。足の怪我から抜け落ちていくマナ。
時間がスローモーションで流れていく。殺到してくるブラックスピリットの白刃が、網膜に広がった。
…………もう、だめかな。
この時、わたしは確かに弱気になっていたのだと思う。だからだろう、そんな幻聴が聞こえたのは。

――――我らに宿り、彼の者を薙ぎ払う力となれ……

ゆっくりと、周囲が白く輝きだす。足元の小石が浮かび上がり、重力が逆ベクトルに働き出した。
「…………ちっ!」
一瞬あらぬ方向を睨んだブラックスピリットが、舌打ちを鳴らして大きく後方に跳ねる。
わたしといえば、何が起きてるのか、さっぱり状況が掴めなかった。
「…………パッション!!」
今度は、はっきりと聞こえた。声と共に、背中からかかる圧力。同時に、身体の内部から湧き上がる、不思議な力。
自慢の髪が逆巻き、それぞれに波打つ。半ば浮いた状態で、わたしは何故か強い安心感に守られていた。

「セリアっ!諦めるなっ!!!」
背中から、遠い叫び声が近づいてくる。
「………………もぅっ」
まったく、勝手な事を言ってくれる。誰のせいでこうなったと思ってるのよ。後で、覚えてなさい。
『熱病』に、光が戻ってくる。いける。口元に零れ出る笑顔を隠しきれないまま、わたしは前方に力強く弾んだ。
200反転 U−8:05/02/18 21:47:25 ID:YKOU1Vk2

迎え撃つブラックスピリットは、両手握りの神剣を青眼に構えている。既に動揺からは立ち直っているようだ。
構わず、間合いに飛び込んだ。八双の構えから、乾坤一擲の『熱病』を振り下ろす。同時に動いた敵の神剣は、下から上へ。
がっ、と火花が飛んだ。鈍痛と共に訪れる、手首の痺れ。鍔元からかち上げられ、弾き飛ばされる『熱病』。
彼女の方が、初撃は速い。それを覚悟の打ち込みは、やはりというか、凌がれた。でも、それも承知の上。
『熱病』を握ったまま仰け反ったわたしをすれ違いざま斬り捨てる。そんなシナリオが出来上がっていたのだろう。

――――だから。

空中に、くるくると舞っている『熱病』。
神剣をあっけなく手放して、姿勢も崩さず潜り込んだわたしは、動きの止まった彼女の背後に簡単に廻りこめた。
「…………!!」
驚きの気配が伝わってくる。そんな彼女が振り返る前に、すばやく髪のリボンを解いた。
両手に握り、彼女の首に巻きつけて、そして思いっきり左右に引っ張る。
ひゅっと空気の漏れる音。首を絞められたまま浮き上がった彼女は、咄嗟に神剣を逆手に持って突いてきた。
ここで手放す訳にはいかない。僅かに身を捩っただけで避わすわたしの肩に、ざっくりとそれが突き刺さった。

「ぐっ…………ぐっ!!」
「…………っ!…………痛ぅっ!!」
灼けるような痛みが、肩口から全身に広がる。それでも力を緩めないよう、懸命にリボンを絞った。
じたばたと暴れるブラックスピリットの抵抗が、徐々に弱まっていく。
最後に、びくんっと跳ねた体が、ようやく動かなくなった。
201支援:05/02/18 21:48:07 ID:NRS5DLTM
しっかり働いて来いよ〜
202反転 U−9:05/02/18 21:48:39 ID:YKOU1Vk2

「はぁ〜〜〜…………」
長い、長い溜息をついて、その場に大の字になった。仰向けになって四肢を投げ出す。
肩の痛みも、硬い地面の冷たい感覚も、下敷きになった髪が傷まないかとかいう心配も、もうどうでもいい。
とにかく、生き残れた。自分の力を試せるとか、そんな事を考えている暇も無かった。無我夢中だった時間。

冷静になった自分が振り返る。わたしは、どこかで甘く見ていた。一人で戦う事が、こんなに辛いものとは思わなかった。
ぽつり、と頬に何かが当たる。何時の間にか厚い雲に覆われた空が、冷たい雫を降らせていた。
ああ、雨だ。それはきっと、疲労しきった身体に与えてくれた、マナの導き。ぼんやりと、そんな想いに耽っていた。
「セリア、怪我は大丈夫か?」

…………どうしていつも、こうタイミングが悪いんだろう。
浸っていた気分が一瞬で台無しになる。空を見上げていたわたしの視界を遮って、彼がぬっと覗き込んでいた。
ちょっと機嫌を損ねたわたしは、何か文句を言おうとして……やっぱりやめることにする。
――そうか、一人じゃ無かったんだ。
代わりに、無言で手を伸ばした。少し戸惑ったような彼が、その手を取って引き起こしてくれた。
203反転 Romance−1:05/02/18 21:50:25 ID:YKOU1Vk2

激しくなった雨を避け、二人並んで大きな木の下に座り込む。暫くの間、沈黙が流れた。
「………………」
「………………」
時々、思い出したように彼が落ち着かなく体を揺らす。拍子に当たった肩や膝に、動揺したのかぱっと離れる。
「ご、ごめん…………」
「い、いえ…………」
そして、沈黙。その繰り返し。その度に、何故か体温が上がる気がした。

――――なんだろう、この状況は。
どうしてわたしは、何も言えないのだろう。言いたい事は山ほど溜まっている筈なのに。
いつも無鉄砲な事や、責任の自覚の無さ。さっさと飛び出して行ってしまった事。おかげではぐれた事。
そのせいで迷子になった……窮地に追い込まれた事。全部、追いついたら言ってやろうとしていた事ではないか。
なんとか助かったから良かったものの…………そう、助けられたのだ…………そのお礼も、まだ、言ってない。
膝を抱えた両手に、ぎゅっと力を篭め直す。手の中にはまだ、お気に入りのリボンが握られたままだった。
鮮やかな黄色を見つめながら、こんな時にまで素直になれない、そんな自分は嫌だと思った。
「あの…………」
「あのさ…………」
思い切って話しかけようとした声が被さる。拍子に合った視線を、慌てて逸らせた。
初めて彼の顔を間近に見てしまったわたしは、どういう訳かそれ以上、一言も話せなくなっていた。

…………なんだろう、この状況は。
204反転 Romance−2:05/02/18 21:51:36 ID:YKOU1Vk2

水溜りの中にぱらぱらと、静かに波紋が広がるのを、ぼーっと見つめる。
細かい粒が流れる様子を眺めていると、しん、とした森の景色に同調したのか、心が安心感に満たされていく。
何時からか、沈黙が苦痛ではなくなっていた。触れるか触れないかの、彼の体温もむしろ心地いい。
――――だから、それはきっと気の迷い。一時的な、思い込み。
それをもっと感じていたくなったわたしは、戦いの後の安心感からか、自然にその肩に頭をもたげていた。

少しぴくっとたじろいだ彼が、何か言おうとした。
「しっ…………静かに」
それだけ言って、そっと目を閉じる。雨の音だけが耳に柔らかく入ってきた。

「あのさ…………」
ややあって、間を持て余したのか彼が話し出す。わたしは黙って頷いた。うん、と小さく声に出ていたかもしれない。
たまには素直なのも、いいだろう。そんな気分だった。了解したのか、彼が続ける。
「ごめん。ずっと、言いたかった。俺、いつもいつも、セリアには迷惑を掛けてばかりだな」
「…………そうですね」

――――だっていうのに、こんな答えしか、出てこない。

どうなっているのだろう。口にしてから、こんなに激しく後悔するなんて。
205反転 Romance−3:05/02/18 21:52:36 ID:YKOU1Vk2

それでも彼は、ははっ、と苦笑しながら先を続けた。
「俺さ、セリアに嫌われてるから、言われても迷惑かもしれないけど…………居なくなった時、本当に、心配した」
「………………」
一体彼は、何を言っているのだろう。理解するまで、時間が掛かった。
言いたい事は、いっぱいある。わたしが居なくなったんじゃなくて、居なくなった貴方達を探してたんだ、とか。
心配していたのは、わたしの方だ、とか。迷惑とか、どうして思うのか、とか…………

嫌ってるわけが、ない、とか……心配してくれてたのか、とか…………

――――そうか。そうだったんだ。イライラの原因は、こんなトコロにあった。

どくん、と一つ、心臓が弾んだ。急に落ち着かなくなって、この場から逃げ出したくなる。
所在無く漂わせた視線の先に、ふと赤く滲んでいるものを見つけた。わたしの表情に気付いたのか、彼が自分の肩を隠す。
「ああ、これか?ただのかすり傷だよ、ちょっと木に引っ掛けてさ…………」
それは、どう見ても酷い火傷の傷跡だった。どうして、今まで気付かなかったのだろう。
彼は自分を救ける為に、相当の無茶を繰り広げて、ここまで辿り着いたのだ。ろくに神剣魔法もキャンセル出来ないくせに。
彼の無謀さに頭にくる前に、後悔の方が先にきた。
どうして、ちゃんと側に付いていなかったのだろう。
自分が居れば、こんな怪我をさせないでも済んだのに。……そんな思いが、咄嗟に行動に出た。
「バカっ!…………いいから、じっとしていなさいよ」
「お、おい、それ…………」
「敵の首に巻きついてたから嫌かもしれないけど、我慢して」
リボンを縦に引き裂いて、充分な長さにしてから傷口に巻き付ける。お気に入りとかは、もう頭に無かった。
206反転 Romance−4:05/02/18 21:53:40 ID:YKOU1Vk2

雨が上がった森を、拠点に向かって並んで歩く。
『熱病』によって癒された傷がまだ少し痛むけど、少し斜め前を行く背中を眺めていれば、多少は忘れる事が出来た。
その肩を縛るリボンを見ていると、今更ながら自分の髪が気になりだしてくる。
そういえば、纏めてないんだ、すっかり乱れちゃったな、変に思われてないだろうか…………
そっと髪を撫ぜ上げる。濡れた幾房かが指に纏わりついた。そうして、知らず彼中心の思考になっている自分が可笑しかった。
「そういえば、セリアは何であんなとこに居たんだ?」
首だけをこちらに向けて、彼が問いかけてくる。それで、思い出した。そうだ、まだ誤解を解いてなかった。
「それは…………!」
口を開こうとして、言葉に詰まる。驚いた。この場面今の気持ちで、「貴方を探していた」とは、とても言えそうに、ない。

「…………あっ!ごめん、俺また余計な事を聞いたかな」
硬直したまま口をぱくぱくさせているわたしに、何を勘違いしたのか、彼は必死に手を振って誤魔化そうとした。
急に慌て出した彼のあからさまに不審な態度を見つめながら、何故こんなに動揺しているのかと、考えてみる。
首を傾げながら、彼の思考をトレィス。瞬時にその激しい勘違いに思いついたわたしは、真っ赤になって全否定を試みた。
「ちっ、違いますっ!!トイレじゃありませんっっ!!!」
がーっと噛み付かんばかりに詰め寄るわたしに、やや仰け反った彼は、ああ、そうか、なんてぼそぼそ呟いている。
煮え切らないぼやけた表現に、まだ疑っているような気配を感じたわたしは遂にハッキリと言い切っていた。

「だから、違いますっ!!心配して探してたんじゃないですかっっ!!!」

「え…………?」
「〜〜〜〜〜っ!」
ぱしゃっと踏み込んだ足が水溜りを跳ねる。雨に濡れた彼の黒い前髪から滴り落ちる雫まで見えた。
わたしはずい、と詰め寄った体勢のまま、もう一言も言えなくて、唇をぎゅっと結んだまま彼の言葉を待っていた。
上目遣いで睨みつけたまま、黒い瞳を覗き込みながら。
「…………もしかして、俺?」
無言で大きく頷いてやった。自信無さ気に自分を指差して固まってしまった彼にも良くわかるように。
207名無しさん@初回限定:05/02/18 21:53:58 ID:NRS5DLTM
真面目に支援
208反転 Romance−5:05/02/18 21:55:07 ID:YKOU1Vk2

「…………はぁ〜〜〜」
両肘をついていると、深い溜息が漏れた。溜息をつくと、その分幸運が逃げるというが、つかずにはいられない時もある。
あの後、なんとなく二人とも無言のまま拠点に戻ってみると、戦いはとっくに終わっていた。
バーンライトの軍勢はサモドアに引き上げ、どうやら篭城戦に移行する様子だという。
山道からの敵の襲撃が無くなったので、とりあえずスピリット隊に、一時ラキオスへの帰還と休息が命じられた。

……つまりわたしの初陣は、なんだかぱっとしないまま、何時の間にか終わってしまっていたという訳だ。
意気揚々と出撃した割に、結局した事といえば、彼とネリーのお守りだけ。しかもロストしてしまうという大失態。
挙句の果てには自分自身が迷子になり、最後にはお守りをしていた当の彼に助けられるというおまけまで付いていた。

「はあぁ〜〜〜」
「セリア〜、どうしたの〜?なんだか難しい顔してるねぇ?」
思い出して鬱の度合いが激しくなってきたわたしに、能天気な声が降ってくる。
今は髪を下ろしているネリーに、わたしは皮肉たっぷりに笑って見せた。
「ネリーは、大活躍だったみたいね?」
「わ、わ、セリア、なんで怖い顔〜?」
多少笑顔が引き攣っていたようだ。ネリーは思いっきり「ひいて」いた。…………失礼な娘ね。
209反転 Romance−6:05/02/18 21:56:02 ID:YKOU1Vk2

そう、ネリーはちゃっかり自分だけ敵陣に斬り込み、一人で敵部隊全体を崩壊させていた。
聞くと、てっきりわたし達が付いて来ているものと思い込み、夢中になって『静寂』を振り回していたら、
何時の間にか敵が逃げ出していた、らしい。恐るべきは類の見ない無鉄砲さだろう。

「さぁ、なんでかしら?なんでだと思う?」
「う〜ん、ネリー、わかんない!」
少しイジワルな質問も、天然のネリーには敵わない。どうしてどうして?と迫られて、わたしは逆に閉口した。
「もう、なんでもないわ…………よっ!」
「きゃあ!セ、セリア、熱いよ〜っ!!」
「ちょっと待ちなさい、ネリーっ!!」
腹立ち紛れに掬い上げたお湯を掛けても、ちっとも堪えていないネリーが、きゃっきゃと軽い悲鳴を上げる。
逃げ出した白い背中を追いかけながら、わたしは不覚にも彼の後姿を思い出してしまった。
俯いて、ちゃぽん、と湯船に映った波紋に乱れる自分の顔を見てみる。酷くつまらなそうに笑っている顔だった。

…………なんで、あんな態度しか取れないんだろう。もう少し、そう、今のネリーみたいに素直に…………
立ち止まったわたしを不思議そうにネリーが振り返っている。あ、なんだかまた落ち込んできた。
「はぁ〜〜…………」
「あ、また溜息ついた〜。いけないんだ、溜息つくと幸運が逃げるんだよ〜」
「……………………」
どこかで聞いたような言葉を言われていた。
210反転 Romance−7:05/02/18 21:57:27 ID:YKOU1Vk2

お風呂から上がって自分の部屋に戻ってみると、入り口で、挙動不審なお客が所在無さげに立っていた。
髪を拭っていたタオルの動きがぴたり、と止まる。先程思い浮かべていた人物が、そこで待っていた。
こちらに気付いたのだろう、彼は落ち着かなく頭を掻きながら近づいてくる。

わたしは、といえば、馬鹿みたいにその場に突っ立っているしか出来なかった。
「お帰りセリア、風呂だったのか?」
「え、ええ…………」
生返事しか返せない。なんでいつもこう、いきなりなんだろう。心の準備ってものが出来ていた例(ためし)が無い。
それ以前に、そもそも何で彼がわたしの部屋を訊ねてきたのか、理由が全然思いつかなかった。

「あ〜〜実はアセリアから聞いたんだけど……」
あさっての方を向きながら、ぼそぼそと何かを呟いている。どうやら緊張しているようだ。
それはともかく、混乱しきった頭の中に、特徴のある単語が飛び込んできた。
アセリア?アセリアから、一体何を聞いたというのだろう。
…………嫌な過去ばかりが思い浮かぶ。まさか、ね、と思いながら、わたしは悪い予感と戦っていた。

「それで…………これっ!」
「…………は?」
悪い予感は、一瞬で裏切られた。わたしに差し出されたのは、綺麗にトッピングされた小さな、箱。
…………ちょっと待って。よく判らない。なんだろう、これ。え?え?

目を丸くしたまま、固まってしまう。というか、予感に対してゲンジツは遥か斜め上をいっていた。
「聞いたんだ、セリア、髪を凄く大切にしてるって。それなのに、俺、勝手に触ったり、大事なリボン汚したり…………」
彼は箱を突き出したまま、どうしていいかわからない、といった感じで捲くし立てる。
「そんなんだから、嫌われて当然だよな。だからその、これ、お詫びっていうか、もちろんセリアが良ければ、だけど……
 ああ、もちろん、この前のお礼も含めて…………くそ、だめだ、ちゃんと練習したっていうのに……」
しどろもどろになったかと思うと勝手に地団駄を踏んで悔しがっている。彼のそんな姿に、なんだか、不思議に安心出来た。
わたしは自分の動揺を棚に上げたまま、くすっと少し、笑ってみた。今度は本当に楽しい気持ちで。
211反転 Reverse:05/02/18 21:59:28 ID:YKOU1Vk2

「…………ちょっとわたしの趣味じゃない、ですけど」
借りたお礼に、と言って新しいリボンを渡すと、セリアはしぶしぶながらもそれを受け取ってくれた。
佳織や今日子以外にこんなものを選んだり贈ったりしたのは生まれて初めてだったので、物凄く緊張した。
仕方なし、といった感じで付けてくれるセリア。まだ濡れている少し重たい髪の毛が、それでも綺麗に緑色に束ねられる。
似合い……ますか?と不安げに小さく訊ねてくる上目遣いな彼女の深い瞳に思わず見とれながら、考えていた。
セリアって意外と背が低いんだなとか、表情がくるくる変わるんだなとか、喜んでもらえただろうかとか。
それに、なんだか…………可愛い、な、とか。

嫌われているのは、なんとなく判っていた。それが、殆ど自分のせいなのだ、ということも。
改めて、彼女の怒った表情しか見たことが無かった事を、思い知らされる。
新しいリボンを飾ったセリアの整った顔立ちを見ていても、何故だか胸がずきずきと痛んだ。

――――女の子を意識したのも、生まれて初めての事だった。
212反転 Romance−8:05/02/18 22:00:31 ID:YKOU1Vk2

あの後、どうやって自分の部屋に戻ったのか、判らない。
もっとも、部屋の前だったのだから、そのまま入っただけなのだろうけど。
ただ、先程のやり取りだけが、上手く思い出せない。それ程、わたしにとっては衝撃的な出来事だったのだ。
ばふっとベッドにうつ伏せになって倒れこむ。拍子に濡れたポニーティルがベッドに広がった。
前髪を軽く掻き分け、ぼーっとしながら頭の後ろをそっと触る。かさっと指先に感触があった。
……そう、あれは現実に起きたことだったのだ。今更ながらに実感する。かぁっと顔が熱くなった。

男の人からプレゼントを貰う。そんなシチュエーションが、まさか自分の身に起ころうとは。
視線が、自然に机においた小さな箱にいってしまう。そこから見え隠れする黄色いリボン。
ちゃんと洗って縫っておいたから、と言っていた彼は、本当に自分で洗ったのだろう。
聞いた話では、身の回りの世話はエスペリアがいつも行っている、との事なのだが…………
所々皺の残るその仕様は、とても彼女の仕事とは思えない。不器用さが、なんだか彼らしいとにやけてしまう。

そして、この緑色のリボン。わたしの知っている限り、これを売っているのは、ラキオス城下で一軒だけ。
とても男性一人で入れるような、店ではない。一体、どんな顔をしてこれを選んでくれたのだろう。
わたしは気が付けば、ベッドの上でくくくっとお腹を抱えていた。
ネリー、溜息くらいじゃ、幸運は逃げないらしいよ。そんなことを、囁きながら。
213反転 Romance−9:05/02/18 22:01:30 ID:YKOU1Vk2

そうして暫くじたばたと悶えていたわたしは、突然はっとなって枕から顔を上げた。
そういえば、と思いつく。なんてことだろう。
わたしは、助けられた時も、今回も、お礼というものを言っていなかった。
がばっと身を起こし、先程のやり取りを懸命に思い出す。
検索該当無し……間違い、ない。大粒の汗が、つーと流れた。
「…………どう、しよう」
まずい。なにがまずいって、こんな時どうやってお礼を言えばいいか、全く判らない。
今更ながら、自分が異性とまるで話したことなど無いことを思い知らされて、愕然とした。

…………例えばこれが、ネリーに助けられたり、リボンを貰ったりしたのだとするなら、どうだろう。
にっこり笑って、訓練の時にでもさりげなく。
『ネリー、こないだは有難う。助かったわ』
そうそう、それを彼に応用して。

  …………駄目だ、とても言えない………………

こうして、苦悶と葛藤の一夜は明けた。
214名無しさん@初回限定:05/02/18 22:02:22 ID:GaqvVfT7
支援してみます
215反転 V−1:05/02/18 22:02:40 ID:YKOU1Vk2

「ね〜ね〜セリア〜、なんでおめめ、真っ赤なの〜?」
「………………」
言えない。一晩中、考えていたなんて。
聞けない。どうやって、男の人にお礼を言ったらいいの?なんて。
「もしかして、寝不足〜?大丈夫ぅ?今日はケッセンなのに〜」
「…………そう、なのよね」
深く、溜息をついてしまう。そう、今日はいよいよサモドアに突入する日なのだ。
というか、もう目前に城が迫っている。既に最前線からは、激しい剣戟の音や、爆発音が響き渡っていた。

「も〜、心配性なんだなぁ、セリアって〜。こういうのは、なんも考えないでずばっといけばいいんだよ〜!」
溜息の理由を誤解したまま、にぱっと笑うネリー。……この子、本当は何もかも知ってるんじゃないかって気がしてきた。
「ホント、貴女が羨ましいわ…………」
何の悩みも無さそうな彼女に、わたしは少し恨めしい口調を篭めて呟いた。
216反転 V−2:05/02/18 22:04:10 ID:YKOU1Vk2

ぽんっ。
「よっ、セリア、寝不足だって?」
軽く肩を叩かれる。振り向くと、そこにいた。悩みの原因が、真っ赤な顔をして。
「あ…………そっか、つけてくれてるんだ」
嬉しそうな顔。そう、わたしは彼のくれた、例の緑のリボンで髪を結んでいた。
これが切欠になって、上手く話が出来ればいい、なんて我ながら可愛いことを考え付いて。

それなのに、いざ対面してしまうと思わず恥ずかしくなって、ぷい、と顔をそむけてしまう。
彼が頭を掻きながら、ばつの悪そうな顔をしていたからでもあるけど。
変に意識してしまう。落ち着け。彼だって、そんなに過剰に反応されたら困るではないか。
「あ〜、ユートさま〜。ね、ね、セリア、なんだか緊張してるみたいだよ〜」
「え…………そうなのか?」
「……………………#」

余計な事を。わたしは心の中で、ネリーに舌打ちをしていた。しかし無論、そんなものが伝わるはずもない。
そっぽをむいたまま動けなかったわたしに彼は、心底心配そうな顔をして、励ましているつもりなのか、こんな事を言った。
「まああまり考え過ぎるなよ、セリア。こういうのは、なんも考えないでずばっといけばいいんだし」
「………………は?」
217反転 V−3:05/02/18 22:05:37 ID:YKOU1Vk2

ね〜、とか、ああ、とか言い合っている二人が遠く感じる。またもや置いてきぼりのわたしは急速に冷めていった。

また、勘違いされた?しかもネリーと全く同じセリフで?というより今、何て言った?ずばっと?
一体誰のせいで、こんなに悩んでると思って…………人の気も、知らないでっ…………
いつのまにか、わたしの肩は勝手にぷるぷると震えだしていた。駄目。落ち着かないと。

俯いたまま、こみ上げてくる何かを必死に耐える。それでも止めとばかりに、二人の声が仲良さ気に被った。
「あれ〜、どうしたの、セリア。もしかして、震えてる〜?」
「お、おい大丈夫かセリア。そんなに怖いなら…………」
ばきっ。わたしは半泣きしている自分を自覚しながら、思いっきり彼の頬を殴りつけた。
「………………痛って〜…………お、おいっ」
「だ、大丈夫、ユートさま?!」

手が、痛い。凄く、痛い。ぎゅっと握ったまま胸に当て、そのままその場を逃げ出した。
おろおろしているネリーと、呆然とこちらを見送る彼の視線を背中に酷くしっかりと感じながら。

こうして、サモドア攻略戦は、最悪の気分で始まった。
218反転 V−4:05/02/18 22:07:12 ID:YKOU1Vk2

サモドア城は、それなりにスタンダードな石造りの、バーンライト王城である。
…………でも、そんなことはどうでもいい。
そこに突入したわたしは、猛然と先頭に立って斬り込んでいた。いや、先頭に立たざるを得なかった。
正面に、ばらばらと現れる敵スピリット。
彼女達が神剣魔法の詠唱を終える前に、立ち塞がる一人に全速で突っ込む。
薄紅紫(ルージュ)に輝く『熱病』を片手で肩に担ぎ、一気に間合いを詰め、袈裟に振り切る。
避わされても、受けられても躊躇しない。倒そうが体勢を崩そうが、その隙間をすり抜けて、更に奥へ奥へ、と。
この際背後からの反撃は、考慮する必要が全く無かった。何故なら。

「……しつっこいわねっっ!」
「なっ、しつっ!…………おい待てって!セリアっ!!」
「何よっ、ついてこないでっっ!!!」

…………わたしは、彼に追いかけられていたのだから。

「来るなって言ったって…………おおおおおっ!!!」
先程越えた『壁』にぶつかってしまったのだろう、彼の気合が大きく響く。続いて後方で、爆音。
どうやら、また一蹴してしまったようだ。わたしは敵の不甲斐なさに、見当違いにも、ちっと軽く唇を噛んだ。
「もうっ…………使えないわね…………」
そんな理不尽な事を呟いている間にも、次の敵が見えてくる。わたしはスピードを緩めずに、きっ、と前を見据えていた。
219反転 V−5:05/02/18 22:08:35 ID:YKOU1Vk2

最初は、こんなつもりじゃ無かった。ただ、泣いている所を見られたくなかっただけだ。
殴られて、この上彼が追いかけてくるとは思わなかった。完全に、嫌われたと思っていた。
それなのに、彼は必死になって追いかけてくる。……それで、わたしは逃げてしまった。
実をいうと、もうとっくに怒ってなんか、いない。少し目が赤く腫れているけど、そんな事はもうどうでも良くなっていた。
自分が悪かった、との自覚もある。むしろ早く、謝りたい、仲直りをしたい、と思っている。
なのに何故、わたしはこうして逃げ回っているのだろう。色々な感情が無い混ぜになって、わたしはすっかり混乱していた。

「ま、待ってよ〜……ア、アイスバニッシャ〜…………」
へろへろになりながら、ネリーが必死になって彼の後を追ってきている。
「くっ、セリア、ちょっと落ち着けって!!!」
倒した敵を飛び越えて、彼が叫んでいる。
「だから、ついてこないでっ!」
そしていつのまにか、追いかけられているわたし。この間とは、全く逆だな、とわたしは少しだけ可笑しくなった。
きっと、混乱しすぎてどうかしていたのだろう。もう、なんだかどうでもよくなって。
「バカ…………落ち着いてるわよ」
なんて、囁く。進めば進む程激しくなってきている敵の抵抗を前にして、わたしは毀れる笑みを隠せなかった。
220反転 V−6:05/02/18 22:10:12 ID:YKOU1Vk2

どれくらい、そんな滑稽な鬼ごっこを続けた事だろう。
そろそろ息が上がってきた頃、わたしは今までで最も激しい敵の迎撃を受けていた。
恐らく、ここが最深部。もう、これ以上、逃げ場所はない。そう、腹を決めなければならない、所謂正念場。
そんな、本来敵が思うような事を、わたしは自分に言い聞かせていた。

ブルースピリットが飛び出してくる。低い体勢からその上体を避わし、交わしざまに水平に『熱病』を薙いだ。
力の入らないその一閃は、彼女に致命傷を与えてはいない。けれど。
「ぐ、あっ!!」
断末魔の悲鳴が、すぐ後ろで聞こえる。わたしは手を片膝に当て、少し丸めた背中でそれを聞いていた。
そう、もう、とっくに気付いていた。
わたしが後ろを気にせずにいられたのは、彼が、必ず追いかけて来てくれていると、確信しているからなのだ、と。

ぽん、と肩が叩かれる。思えば、わたしは最初から、彼に助けられてばっかりだったのだ。
「ようやく捕まえた……けど、話は後だ。まだ、動けるか?」
こくっと小さく頷く。荒く乱れていた呼吸が、少しづつゆっくりと、深いものに変わっていく。

さあ、もう、諦めろ。覚悟を決めろ。彼の言葉通り。わたしはもう、捕まってしまっていたのだから。
221名無しさん@初回限定:05/02/18 22:12:42 ID:NRS5DLTM
支援
222反転 V−7:05/02/18 22:14:01 ID:YKOU1Vk2

エトランジェの出現に一瞬動きの止まっていた敵集団が、各々の役目をようやく思い出す。
レッドスピリットが後方で詠唱を唱え始め、グリーンスピリットの杖型神剣が緑色に輝きだす。
ブラックスピリットがにじり寄り、ブルースピリットがその背後に続く。

『マナよ、力となれ 敵の元へと進み……』
「マナよ、オーラへと姿を変えよ……」
『風の盾よ……力を』
「マナよ、我に従え 氷となりて…………」

敵味方の詠唱が交錯する。
唱えながら、ゆっくりと、その攻撃位置(ポジション)を交代する彼とわたし。
恐らく敵は、神剣魔法主体の戦いを、想定しているのだろう。
詠唱を終えたとたん、ブラックスピリットが飛び込んでくるに違いない。
だけどね。わたしは心の中で、呟いた。こういう戦い方もあるのよ、と。
223反転 V−8:05/02/18 22:15:21 ID:YKOU1Vk2

全ての神剣魔法がわたしのバニッシュで無効化されていく中、彼のパッションだけは見事な効力を発揮していた。
これが、エトランジェの特性の一つ。彼の神剣魔法は、わたし達あらゆるスピリットのキャンセル魔法が通用しない。
それを知らなかったのか、敵の動揺は見ていて憐れな程だった。ブラックスピリットの剣尖にさえ、発生する迷い。
『熱病』に、新たな光が広がっていく。薄紅紫だった刀身が、白く眩しく輝きだした。
先日の、いやそれ以上に暖かい何かが体中を包み込み、不思議な力に満たされていく。
振り返った彼に、力強く頷き返した。彼はふと、たなびくわたしの髪とリボンにちらっと目をやって――――

「先に、行くぞ!」
――――その瞬間。にっと微笑んだ彼は、確かにわたしの中心に、決して抜けない楔のように打ち込まれた。

「…………ええ!」
もちろん、神剣魔法程度じゃ全然無効化できない、パッション(情熱)としての見事な効力を発揮して。
224反転 V−9:05/02/18 22:16:27 ID:YKOU1Vk2

半分崩れ落ちた城を背後にして、彼がアセリアに語りかける一言一言に耳を傾ける。
心からの言葉を聞いていれば、先程の「ずばっと」などが、いかに彼の本心では無かったかがわかる。
彼はわたしを励ますために、心にも無い事を口にしていた。また、知らない彼を見た気がする。
石柱にもたれながら、そんな事をつらつらと考えていた。

やがて話が終わったのか、彼が歩いてくる。目が合い、少し恥ずかしそうにそのまま近づいてきた。
その様子をただじっと大人しく待っていただけのわたしは、客観的に見ても生涯で一番素直になっていた、と思う。
「…………お疲れさま、セリア」
「…………お疲れさまです」
わたしの治癒を終えた『大樹』のハリオンが、後は若い者同士で〜とか意味不明なことを呟きながら、行ってしまう。
それを切欠にして、覚悟を決めたわたしは、一度ぎゅっと手を握り締めて、きっと彼を見上げて。
「あの、さっきのことですけど…………」
「セリア、逃げるのはいいけどせめて敵中突破するのはやめてくれ」
「あ、あの、ですから…………」
「わかんないけど、なんか俺、また無神経なこと言ってたんだよな。ごめん、謝る、このとおり」
225反転 V−10:05/02/18 22:17:39 ID:YKOU1Vk2

…………だからなんで、彼はこう人の話を聞かないのだろう。
リボンのお礼も今の気持ちも、謝ることさえ伝える事を許してもらえない。
勝手に解釈して、勝手に捲くし立てて、勝手に頭を下げている。もう、すっかり段取りは“おしゃか”にされていた。
「ちょ、か、顔を上げて下さいっ!」
「だからさ、俺も、これからはもう少し考えるよ。セリアに嫌われたく、ないからさ」
「な………………っ!!」

顔を上げた彼は、ぽん、とわたしの頭に手を乗せた。人の話も気持ちも何もかも放っておいて、満面の笑顔で、大きな手で。

うわ、ごめん、俺またつい、反射的に、とか、弁解の単語一つ一つが遠い世界からのもののように響く。
わたしは馬鹿みたいにふるふると、辛うじて動く首を微かに左右しただけで、
口をぱくぱくさせたまま、そうか、よかったなんて彼の言葉を聴いていた。
226反転 V−11:05/02/18 22:18:53 ID:YKOU1Vk2

やられた。反則だ。かーっと顔中が熱くなってくるのが判る。これでは耳の先まで赤くなっているだろう。
けれでも、わたしはもう、それを隠せなくなっていた。ううん、違う、もう隠す気が無くなっていた。
気づくなら気づけ。そんな半分投げやりな、でも少しは期待する何かを篭めながら、真面目な顔で懸命に見つめ返した。
心臓の鼓動が、戦闘中よりも煩い。かつて無い程緊張した自分を意識して、更に全身が熱くなった。
きっとわたしの瞳はこれ以上ないというくらい、爛々と輝いていたことだろう。

「そ、それじゃ、いこうか」

………………だっていうのにこの男は、こういう時に限って、さっさと行こうとしたりする。
一瞬不思議そうな顔をしただけで。何事も無かったかのように。しかも一度も振り返ろうともしないで。

 ――――この、鈍感っ!

一大決心ごと置き去りにされたわたしは瞬間沸騰しかけた頭を冷やす為に、今度は懸命に冷静にならなければならなかった。
とりあえずは『熱病』を握りすぎて、感覚の無くなりかけた心と手の平を緩めるところから。
……ところで、何でこんなに我慢しているのだろう、わたしは。以前なら、ただ怒鳴り返して終わりだったはずなのに。
どうしてこんな事になったのか。いつからこうなってしまったのか。どこまで辿っても、思考は堂々巡りを繰り返すだけ。

 ――――なんで、気づかないかなぁ。

なのに、声にも出せずにそんな無茶を心の中で呟くわたしがいる。
そして非常に拙い事に、そんな自分が決してイヤでは無かった。
227反転 And,so:05/02/18 22:20:11 ID:YKOU1Vk2

りぃぃぃぃぃん…………
突然、『熱病』の響きが鳴り響く。久し振りに聞いたそれは、気のせいか、なんだか笑っているようにも思えた。
だんだん、考えるのが馬鹿らしく思えてくる。そんな穏かな笑い。不思議に、受け入れてもいいかな、と思えてしまう。
ふぅっ、と空を仰いで軽く深呼吸。軽く髪のリボンに添えた手が、暖かい。
そうして、彼を追いかけようと踏み出した足は、何故だかとても軽かった。
「ちょっと、待ちなさいっ!」
声を掛けて初めて、逃げるように竦める肩が、照れを隠してるのだと判る。
ずるい。ずるいけど、今日はわたしが負けておこう。
結局わたしは最後まで、彼に振り回されっぱなしだったのだから。そしてそれを、許せてしまっているのだから。

どうやらわたしはいつの間にか、すっかり『熱病』に支配されてしまったらしい。
それが神剣なのか、それとも今追いかけている頼りない背中なのかは判らない、けれども。


  ――ねえ、ユート…………。  
  
  ――――最初「は」何故か、気に入らなかったんだ………………
228信頼の人:05/02/18 22:21:46 ID:YKOU1Vk2
あとがき

書き終えた時に、自爆気味な独り言。
「こういうのを、刷り込みっていうんだよなぁ」_| ̄|○

まずは支援頂いた方、有難うございました。

例えば、何気ない一言に、急に不機嫌そうに黙りこむ女の子。
例えば、何気ない一言に、急に機嫌が良くなったりする女の子。
周囲を見渡してみれば、そんな娘が、必ず一人いたりします。
男性陣はその都度対応に迫られる訳ですが、原因が何にあるかが判らないので四苦八苦(汗
もっとも、大抵最初はよく考えずに無神経な発言を飛ばす男が悪いので、
一度拗ねた女の子は、そうそう自分から折れたりはしてくれません。
セリア嬢。私の中で、彼女はそこで、折れちゃうキャラクターですw
で、悪い事にこの作者、そういう娘の表情がくるくる変わるのが、楽しくてしょうがないのです。
この作品の悠人のような態度を、天然じゃなく、計算でやってたりします(爆
振り回して嫌われる。典型的な「好きな娘をいぢめる小○生」です。いけませんね。
でも、何かの拍子に仲が良くなったりして、その時に見せる笑顔なんかは、個人的には最高だと思ってます。
中々見せてくれないものを、今はこちらに向けてくれている、そんな宝探しな感じかもしれません。
あ、セリア嬢が血相変えて追いかけてきました。適当に距離を取りつつ逃げまくりたいと思います。

読んで下さった方、有難うございました。誤字脱字ハリオンマジック等、ご指摘があれば幸いです。
229名無しさん@初回限定:05/02/18 22:35:54 ID:cYEHTdDd
正眼、じゃあないでしょうか。
230名無しさん@初回限定:05/02/18 22:36:54 ID:hgzdcALk
お疲れ様です〜。

残念ながら、誤字を幾つか。
永遠神剣第五位『求め』→永遠神剣第四位『求め』
切欠→きっかけ?
231名無しさん@初回限定:05/02/18 23:16:03 ID:IJ/EFhJt
お疲れ様です。
まさに刷り込み。
一晩中ああでもこうでもないって考えたんだろうなぁ。
「あの・・・お礼を言い忘れていました。ありがとうございます。
大切にしますね、ユート様。」
・・・ユート様?ユート様、ユート様、ユート様・・・
「言えるわけ無いでしょっ!」
枕を壁にぶん投げる。
「セリア〜うるさいです〜もう73回目ですよ〜」
232名無しさん@初回限定:05/02/18 23:19:50 ID:Tos/sUi6
エヒグゥセリア、ホントにホントに乙♪ 
ためいきくらいじゃ幸運は逃げません。もしも逃げられそうなら、ちょいと髪を解いて絞めてやれ。

とにもかくにもずばっと切り込めば悠人君は既に背水の陣でしょう。あとはキュッとw 恐竜並みの
鈍感なのでなかなか落ちないけど。

風呂上がりセリア……反則。
支援にドラマを見た。


青眼でも正眼でもOKらすい。私としてはポニーティルが気になるか。


「なあエスペリア。その、さ、リ……リボン売ってる所ってこの街にある、かな」
「えっ? リボンですか? (ユートさま……ああ、いけませんわたくしはスピリット。ユートさまとは釣り合いません。
わたくしに、そのような身に余る心遣いなど、ああでもユートさまの御心を無碍にするのも不忠というもの )はい♪
どこそこの通りをまっすぐに行ってですね……」
「サンキュ、エスペリア。――――ボソ どんなのがセリアに似合うかな ボソ」
233名無しさん@初回限定:05/02/18 23:34:10 ID:NRS5DLTM
ようやく、と言うべきか、ついに、と言うべきか。

冬の寒さも緩むこの時候に、セリアの凍った心も溶けはじめた、
というところでしょうか。思えば氏のHNの由来となった作品「信頼」も
セリアの物語だったのですが、書き手もキャラもここまで成熟したんだなあ、
と感慨に浸ってしまいます。他人をとやかく言う自分は余り成長してないですが(汗

「ツン」から「デレ」への移行。

無印では「ツン」ばかり。EXではすでに「デレ」になってしまっているセリア。
一番美味しいトコロが抜けてる訳ですね。まさに補完SSの王道です。
しかし、逆にそれだけ新鮮さが出しにくいテーマでもある、と言えます。
あえてそのテーマに再度突貫し、十二分に結果を出した氏に惜しみない拍手を送ります。

追伸:正しくは「正眼」ですが、私の好きな柴田錬三郎氏はよくこっちの「青眼」を
    使ってましたね。「八双」も。蛇足ですが。
234名無しさん@初回限定:05/02/18 23:42:01 ID:5QTid/Of
GJです!マジックの指摘ですが、
綺麗にトッピングされた小さな、箱。

ラッピング?じゃないカナ?

やっぱツンデレは変わりめが一番の旬ですね!
235名無しさん@初回限定:05/02/19 00:36:39 ID:2eLbGbW7
ツンデレは変わりめが一番の旬、にあえて反論しよう。

ツンも良し。
デレも良し。
変わり目も良し。
全て良し。

どこが一番など決められないですよ。ハァハァ
236名無しさん@初回限定:05/02/19 00:59:57 ID:+ZGsUis7
>>158さん
ントゥ子の唇がどこにあるかは気にしない事にして、近づくだけで火傷しそうです。
あんなに大粒の涙をぽろりと流す時点で、ントゥはきっとメスでしょう。さらに子どもっぽい。

>>信頼の人さん
「うなされるニム」
ヨト語辞典と突き合わせると、今までのニムの常套句
「ニムってゆーなっ」が大変頷けます。

「反転」
悠人が発する「放っておけないオーラ」に絡め取られていく
セリアの微妙な心の変化が自然に伝わってきて、こちらもやきもき+ニヤニヤしてしまいました。
なんだかんだ言って専用訓練メニューを用意する、
ネリーのフォローはしっかりと、火傷の手当ても万全に、
というあたりに世話好きという面を見せ付けられてどきりとしますw
237名無しさん@初回限定:05/02/19 01:32:35 ID:VSRtgU/S
とりあえず転載。ザウススレより。
http://www.xuse.co.jp/stage/index.html
第二位神剣って・・・
238名無しさん@初回限定:05/02/19 01:59:06 ID:VSRtgU/S
直リンしてしまった・・・ごめんなさい
239名無しさん@初回限定:05/02/19 09:00:02 ID:rAcxSWNO
うお!舞台だと二ムとヘリオン出るんか!
240名無しさん@初回限定:05/02/19 11:21:39 ID:JbUnqjsX
>「君の『願い』 ……僕に見せてよ……」
「願い」ヤーファス、この台詞だけだと悪役のような印象を受けるんですが。
241名無しさん@初回限定:05/02/19 14:48:02 ID:cxkPJKZ6
ニムとヘリオンか…
まぁ、シアーを出すとネリーを出さないわけにいかなくなるし、
ネリーはなぁ…オルファとかぶりぎみだしなぁ…
光陰はっちゃけ要員なんだろうなぁ…
242名無しさん@初回限定:05/02/19 17:00:22 ID:z30p7EHb
「誤字のLvが上がりました」 上がってどうするorz
やはりというか、誤字脱字のオンパレードに最早苦笑するしかない訳ですが(汗
皆さん読んで頂いて有難うございました。

>>「正眼」「青眼」
流派によって表現が違うようです。
私の所は「青眼」でしたのですが、「正眼」が主流なのかな……?

>>229さん
支援、有難うございました。
今回はセリアのお話でしたので、「青眼」で了承願います(ぇ
>>230さん
「切欠」は誤字っぽくて気にはなっているのですが、
変換されてしまうのでつい使ってしまいます、すみません。
「五位」……orz ご指摘有難うございます。何で五位だと思い込んでいたんだろう……(汗
>>231さん
隣ハリオンだったんですかw 枕に当たるセリア……可愛いw
243名無しさん@初回限定:05/02/19 17:01:26 ID:z30p7EHb
>>232髪結いさん
恐竜並みの悠人君の首回りは、リボン位じゃとても足りないかも>長さ
エスペリア……どこまでも報われないお方(汗
音引きを出来るだけ使わないようにと、「ィ」にしてみましたが、やっぱり変でしたか?>ポニーティル
>>233憂鬱さん
成熟……してるんでしょうか?ただひたすらマインドが下がっているだけのような(苦笑
不思議にセリアの話を考える時、設定にサモドア前が出てきてしまいます。まだ『信頼』を引き摺ってるのかも。
>>234さん
振りかけてどうする、自分orz ラッピングでした、指摘有難うございます。
微妙な変化にしても突然にしても、そこにやられる男性陣は多いようです、自分も含めw
>>235さん
言い切りましたねw 振り回されるか、振り回すか。
天然で振り回している悠人は、私の中で生粋のツンデレキラーのようです。
>>236道行さん
「絡め」……(苦笑 そう、世話好きなんですよね、母性本能が旺盛というかw
悠人を囲むスピリット達は皆尽くしたがりなので、
素直になれない彼女はいざ自分の番だと思うとそれはもう凄いんじゃないかと妄想してますw
244名無しさん@初回限定:05/02/19 20:25:44 ID:1bjaFThm
>231
このユートさま連呼は、

・・・ユート様? しますよ? と悠人の胸に置くように
 ユート様 ちょっと可愛く小首をかしげ
 ユート様 目線を切って恥ずかしげに
 ユート様・・・ じっと見詰めて

こんな感じで抑揚と所作を加え、鏡を前に百面相なのだろうか。モエ
245名無しさん@初回限定:05/02/19 20:47:13 ID:lar34399
>>信頼氏
セリアの心情の変化にドキドキさせられ、戦闘シーンでは、リボンに度肝を抜かれ。
さらに、『情熱』や『熱病』の引用に感心させられ。
纏め方も、とても綺麗で。
はっきり言って、本当に上手い、としか言いようがありません。
…自分の語彙の貧弱さが、何とも恨めしいですが…orz

ネリシア、なんとか自分に出来る限り頑張って、良い出来の物にしたいと思います。
期待しないで、お待ち下さい。(いや、ホントに…)

えーと、誤字として226の2行目「けれでも」は、「けれども」の間違いかと思います、おそらく。

246鳥になれ:05/02/19 21:28:39 ID:1bjaFThm
「ユートさまっ大変です!! 後方の町に敵の遊撃部隊があらわれました。攻撃を受けています!」
「なんだってっ! くそ、あそこの防備は薄いんだ。くそ、今からで間に合うか? どうする、どうすればいい」
「ユートさま」
「……セリアか。……もう青スピリットの機動力に頼むしかない。それでも分が悪い賭だ。行ってくれるか?」
「……要請などいりません。ただ一言行けといえばそれで良いのです」
「すまん、頼む」
「……ふぅ。大丈夫です。この『熱病』に掛けて守りきって見せます」

「アセリアッ、ネリーッ、シアーッ、いいわね? 今こそあれを見せるときよ」

「ん、わかった」
「へっへー特訓の成果見せてやるんだからっ」
「シアー、が、がんばる〜」

「いくわよっ!!」



「「「「パータッチッ!!」」」」



「…………俺、バードマンかよ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。防御の要コ−インをお忘れ無くっ」

「ん、重い」
 ハイロゥでゲシッ
「シアーたんのパンツゥゥゥゥーーーーしろぉぉぉぉーーーーー」  どんっ
 本望。
247名無しさん@初回限定:05/02/19 21:30:39 ID:1bjaFThm
わ け  わ か  ら ん  ○| ̄|_
248名無しさん@初回限定:05/02/19 21:41:30 ID:3cT8gJ13
>>247
面白かった。―――けれでも。


「シアー、そのロリ坊主を蹴りなさいっ!」
「え〜、だって〜」
「蹴れ!」
「でも〜」




正直スマンカッタ... ∧||∧
249名無しさん@初回限定:05/02/19 21:52:17 ID:zQlGVWKu
出遅れたっ
>>228信頼氏
「クラスがあがりました →ツンデリスト」(謎
ということでお疲れ様です。ツンツン→デレデレのセリアの移り変わりが可愛いのなんの。
しかし、リボンのアレで真っ先に必殺仕事人を思い浮かべてしまったのはどうなのかと orz
戦闘シーンの一連の流れは、セリアの内面と動きの両方を描けていて良かったと思います。
それにしても、悠人の鈍感ぶりも中々(笑 ヘタレ主人公の面目躍如ですね。
250名無しさん@初回限定:05/02/19 22:01:39 ID:1bjaFThm
>248
時速119キロのレス、、、クッ、、、やられたぜ。あとは頼ん、、、だ、、、ガク


漏れの脳内ではシアーたんは両足を掴まれてたので蹴れなかったの……


バードマンは実は有望な人間を見つけてはパーマンセット(エトランジェセット)を貸し与え、
その中から自分と同じエターナルとなりうる人物を選抜していたのだよっっ ナンダッテー
251名無しさん@初回限定:05/02/19 22:14:32 ID:3cT8gJ13
すみません...笑いが取れそうだと思うと条件反射的にレス入れちゃうんです...
呪うべきはこの関西気質。

許してください、信頼様。悪気はあったり無かったりです。
252名無しさん@初回限定:05/02/19 23:58:00 ID:xcRLrHD3
>>228
いやぁ〜、いいねぇ、セリアの忙しい心の中。

>>249
そうそう、つい、「シュタッ、ピンッ」とw
まぁ、「ずばっと」で参上とか解決とか思い浮かべた私よりは… orz
253名無しさん@初回限定:05/02/20 00:15:55 ID:ujnpaPlf
>>245御洒落さん
引用がこじつけになるかどうかは読み手側の判断一つなのですが、
良い方に取って頂けたようで嬉しいです。
「良い出来」を追い求め過ぎるとキリが無いので適度に大事な作品に仕上げて下さいね>ネリシア
自分の経験からですが、楽しんで書いたものでないとやっぱり後で読み直しても楽しくないです。
義務では無いのですから、妄想を楽しんでくださいw 誤字指摘、有難うございました。
>>247さん
今こそ〜の下りでばばーんとセリアの背後に巨大な炎が蒼く揺らめいたような。
光陰、ネリーはいいのかとどうでもいいような所を突っ込んでしまいましたw
>>249紅蓮さん
私、ツンデリストですかw
必殺仕事人は気付きませんでしたが、リボンを使った戦い方というのがあの場面書く時に最初にありました。
影響を受けたご本人に戦闘シーンについて感想を頂けるとやっぱり嬉しいですね。
動きの表現にもっと磨きをかけつつ上手く内面との両立を測ってみたいと思っています。
>>252さん
何か外に現れていないだけで、感情が豊かっぽいセリアって主観で書くとやたらとかさみます>文量
解決って古っw 判ってしまった私もあれですがw
254名無しさん@初回限定:05/02/20 08:55:48 ID:BsDm/Yhm
第一オルド長エスペリア
255名無しさん@初回限定:05/02/20 11:11:12 ID:rpqbQ94x
>237
しまった……“願い”が登場してしまうとは――っ!
自作SSの中で、“求め”を“願い”に変化させようとしていたのにぃっ

ま、書き上げる予定は永遠に未定だったんですけど。(意味ナシ
256名無しさん@初回限定:05/02/20 11:40:37 ID:Y+1ZlolK
埼玉県内で逃走中だったメスのワラビー、『セリア』ちゃん
ttp://www.tbs.co.jp/radio/x-radio/ps/
本日無事捕獲された模様。やるな悠人(違
257名無しさん@初回限定:05/02/20 14:33:43 ID:uE9Jtnx8
「もう...二度と離さないで下さいね。」とか、涙目で言ってるんだろうなあ、セリアちゃん。


                                 ―――ツンデリストの脳内では。
258名無しさん@初回限定:05/02/20 15:49:29 ID:Y+1ZlolK
>>257
どちらかといえば「何でもっと早く見つけてくれないのよ!」で涙目<脳内
259名無しさん@初回限定:05/02/20 16:32:00 ID:M1YzyYal
>>258
帰り道で子声で「ありがとう」<脳内
260名無しさん@初回限定:05/02/20 19:53:15 ID:qZLe6HDj
>>256
ワロタ
悠人と喧嘩でもしたんかなw
謝りたくても素直になれなくて。で、顔合わせらんなくて帰るに帰れず…。
でもってやっぱり涙目なのかな。

>>信頼氏
遅レスですが、『反転』楽しませてもらいました。
もうセリアが可愛いのなんのって…、読み返しては萌え転がってます。
信頼・夏風邪セリアと違って反転では『悠人』ではなく『ユート』と呼ぶんですね。
261名無しさん@初回限定:05/02/20 20:22:07 ID:Y+1ZlolK
>>260さん
『夏風邪〜』は『信頼』の番外なので、悠人と呼んでいますね。
『信頼』に関しては、セリアはハイペリア語で悠人、と呼びたかったのじゃないかと妄想しています。
今回は一回しか呼んでいませんが、ようやく名前を呼べるようになるまでの過程を書きたかったので「ユート」となっています。
>256
保管庫に収録されている長編→のらすぴっ!の第4話『セリアの家出』みたい事があったのかもw
262名無しさん@初回限定:05/02/20 20:28:01 ID:Y+1ZlolK
うわ、自演みたいになってる。
すみません、>>261の「>256」は>>260さんの「>256へのレス」へのレスです、@256ということで(汗
263名無しさん@初回限定:05/02/21 04:01:55 ID:AsbYWipc
>>228
遅刻気味ですが、お疲れ様でした〜。
セリアの心の移り変わりが丁寧に描写されててすごいです。
そして悠人鈍すぎw GJです!
読み終わってから何故か自分の身の回りの世話をしてくれてるエスペリアの名前を
セリアとの会話中に何度も出しセリアの機嫌を損ねる悠人。
とかそんな想像をしてしまいました。

「ああ、そういえばエスペリアも言ってたな。」
「エスペリアのおかげだよ。・・・ん?どうしたセリア。」
「♯♯……なんでもありませんよ!」

といった感じで。何故?

>>236
感想ありがとうございますです。
やはりントゥ子で確定なんでしょうかねw
ントゥ子ちゃんは可愛い女の子なんですよ。多分w

>>256
ああ、まんま「のらすぴっ!」が浮かんだ・・・
セリアって初めは反発しつつも、自分でも気付かないうちに悠人を信頼してて、
それを自分で気付くと同時にデレに移行。って感じなのかなーとか思ったり。
264名無しさん@初回限定:05/02/22 00:27:00 ID:+MqcHHa0
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050221/ase41.htm
ネリシアが可愛かったので貼っときます。
ほかにも、凛々しいヒミカや
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050221/ase42.htm
ちょっとデレの入ったセリアもあります。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050221/ase43.htm
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050221/ase.htm
265名無しさん@初回限定:05/02/22 00:37:28 ID:VtJJjHbE
これ、ネリシアに挟まれた悠人が今更目無し主人公なのがすげー違和感。

セリアはなんか期待してしまう絵ですな。

お団子髪は…………なんですかその紙袋はっ。家出用ヨフアルでも入ってるのか。
266名無しさん@初回限定:05/02/22 00:44:53 ID:CgPn1ElC
ヒミカねーさん、座禅(胡坐かも)似合ってる━━━(゚∀゚)━━━!!!!!

ところで、白い髪の坊ヤって瞬?
267名無しさん@初回限定:05/02/22 01:01:52 ID:j18FDkfU
セリアかわええ…。
い、いかん、この為だけにPS2買ってしまいそう…(w
268名無しさん@初回限定:05/02/22 01:15:08 ID:RjMaTl24
ますますキモウトはシュンにくれてやりたくなりました。
269名無しさん@初回限定:05/02/22 01:15:34 ID:+makSXEu
よし!買わずに後悔よりも買って後悔だ!
・・・と勢いで本日(と言ってもすでに昨日か)予約した私は多分勝ち組。
これで雑魚スピエンドあったらこのスレ大騒ぎだよな。
・・・個別なんて贅沢はいいません。せめて雑魚スピハーレムエンドを一つ。
これならED一個だけ追加で済みますし。イービルの変わりに一つ。

・・・でもこれ後でアセリア完全版として帰ってきそうだよねPCに・・・
270名無しさん@初回限定:05/02/22 01:59:37 ID:H4d6UKWz
瞬と和解してエタ化するルート……?
271名無しさん@初回限定:05/02/22 06:01:11 ID:J1fGUFaM
へーマインド下限10になるんだー
272名無しさん@初回限定:05/02/22 08:49:19 ID:3AIAH+M2
こうなるとEXで馬鹿ヅラにされてしまったハリオンも何とかして欲しくなるな
273名無しさん@初回限定:05/02/22 11:25:21 ID:5WKLvrct
PCに逆移植されるだろうな〜PS2版。
で、さらに雑魚スピ追加+αとか…
とりあえず…ウルカはやっぱりイイ!

・制作中のウルカED後ストーリーの進行が停止しました。(声:エスペリア)
・新しいネタを二つ思いつきました。ストーリー自体は短いので、出来次第UPします。(声:ヒミカ)

しばらく忙しいけど…
274名無しさん@初回限定:05/02/22 20:10:53 ID:2m/JVrpG
PS2版って発売日決まってましたっけ?
275名無しさん@初回限定:05/02/22 20:34:19 ID:St4M2KEW
>274
初回限定版及び通常版、共に4/28日発売〜。
余談だけど、自分の誕生日(爆

当然、PS2持っていなくても初回限定版予約しましたよ?w
276名無しさん@初回限定:05/02/22 20:36:10 ID:OC9wGKC/
4月28日予定になってるハズ
GW前というのは喜ぶべきなのか、それとも他に予定がないコトを嘆くべきなのかw
277名無しさん@初回限定:05/02/22 20:37:06 ID:OC9wGKC/
被っちゃった orz
278名無しさん@初回限定:05/02/22 21:13:19 ID:2m/JVrpG
決まってましたか、明日にでも予約に行きますか。
PS2持ってないけど
279名無しさん@初回限定:05/02/22 21:47:21 ID:CW7v6K+s
>>278
( ゚∀゚)人(゚∀゚ ) ナカーマ

「さて、この作戦の肝は、敵の拠点深くに直接大軍を送り込み、これを一気に殲滅する事にある」
「ですがヨーティアさま、一体どうやって?」
「エーテルジャンプさ。一つ聞くがアセリア、最近あのボンクラとはどうだ?」
「……ん。仲が良い。順調」
「よしよし、プロフィールの顔グラもちゃんと頬が染まってるな。これでO.K.だ」
「あのヨーティアさま、それがどういう…………ああっ!リーソカにいつの間にかジャンプ施設がっ!!」
「そういう事だ。どうやら塔が変質したものらしいが……敵さんも、とんだ所を見落としたものだよ」
「め、面妖な…………」
「え〜っ、オルファじゃ駄目なの〜?」
「すまんな、この現象はアセリアとボンクラの仲が行き着くトコまでいってないと観測されないんだ」
「…………(ポッ)」
「さて、それでは本作戦を発動する。作戦名は、『operacion spirit break』」
「……なんでハイペリア語なんですか、それも英語」
「蒼き清浄なるラキオスの為に!!」
「「「「サー、イエス、サー!!!!」」」」

数ターン後

『ヨーティアさま、リーソカに敵主力は存在しませんっ!』
「なんだとっ、そんな馬鹿な!…………くっ、敵に嵌められたかっ!!」
『嵌められたというか、そもそもよく考えてみたら秩序の壁の外に主力がいるとは…………きゃあっ!!』
「なんだ、どうしたエスペリア殿っ!一体何があったっ!!」
『敵の…………新兵器……です…………全部……消えて……………………助けてラ』ぷつ。ザーザー……
「おいっ、おい、エスペリア殿、思い出に浸るな、返事をしろっ!…………
 ……くそっ、さてはパッチを当てたな…………ユーザー共め…………なんて卑劣な手段を…………」


BGM:Broken the Ethercore。ずるはいけません。
281名無しさん@初回限定:05/02/23 07:07:50 ID:hsGZEwXS
相変わらず元ネタよく知らないのにこんなもの書いて…………_| ̄|○

>>263さん
遅くなりましたが、感想有難うございます。
そしていずれそんな依存症気味の悠人を学習するセリア。
「エスペリアのおかげだよ。……ん?どうしたセリア」
「そっ…………その位、わたしだって出来ます(ボソ」
密かに握り拳で新たなスキルの収得を決意したりして。
282名無しさん@初回限定:05/02/23 08:45:45 ID:F3D1E+4g
ああっ!?信頼氏がネタに走っているっ!?

...どうやらマナ蛍に見とれるセリア嬢のせいで脳内が
破壊されてしまったようです。いけませんね。
283BLACKBIRD 1/9:05/02/23 16:36:24 ID:F3D1E+4g

「ふう...」

もうこれで何十回目だろうか。
あきらめにも似た思いで溜息をつきながら、少女は夜風で冷えきった両の掌を擦り合わせた。

「また今度な、―――か。」
ぼちぼち日も暮れようかという頃合い。
少女はスピリットの館――通称第一詰所の前で、ただただ佇んでいた。

「頑張ったんだけどなあ...」

昼間の出来事を思い返す。この小さな胸の、それこそありったけの勇気を振りしぼって口にした、その一言。
勿論相手にとっては些細な一言だったのかもしれない。その言葉に籠めた気持ちなんて届くはずもない。

「私と散歩に行きませんか――?」
少女はもう一度その言葉を囁いてみる。少年の笑顔を思い浮かべながら。

だが、彼が傷ついて、弱った体をベッドから起こそうとしたその時、ヒミカが彼を呼びに来たのだ。
トキミさまがハイペリアのお菓子を作ってくれている――と。
284BLACKBIRD 2/9:05/02/23 16:38:29 ID:F3D1E+4g
どうしてあの時、いつ散歩に行くか、はっきりと約束しておかなかったのだろう。
そうすれば彼だって応じてくれたはずなのに......そこまで考えて、ヘリオンは思考を止めた。
あの時自分は仕方なく愛想笑いを浮かべるだけで、それ以上何も言えなかった。
――しつこい奴だとは思われたくなかった。

でも、もしもあの場に甘いもの好きのハリオンがいなければ、彼だって、散歩を優先させてくれたかも知れない。
『オハギ』...だっただろうか。確かに美味しかったけど、あれなら別に作りたてでなくっても...
「ああっ、もう!」
知らぬ間に眉間に皺を寄せてしまう自分に腹を立てる。これではただの嫌な女だ。

「こんなに暗くなっちゃった...。」
ヘリオンはふと空を見上げた。太陽はほとんど姿を隠し、ラキオスの空にはそろそろ星がいくつか見え始めている。
自分はさっきからここで何をしてるんだろう。「また今度な」、なんて、体よく話を流されただけの事なのに。
―――けど。
ひょっとしたら、そんな約束とも言えないような言葉を、あの優しい隊長は憶えてくれているかも知れない。
そして、明かりの灯り始めた詰所から出て来てくれるかも...。
「―――そんなわけ、ないか。」

我ながら、よくそんな都合のいい考えが出来るものだ。ふふ、と苦笑混じりの息を漏らす。
285BLACKBIRD 3/9:05/02/23 16:39:47 ID:F3D1E+4g
―――と、その時。

詰所の中から声が聞こえてきた。あれは、エスペリアの声だ。そして、もう一人は...間違いない!

「本当に、お一人で大丈夫ですか、ユートさま?」
「大丈夫だって。子供じゃあるまいし。」
「いえ...でも、まだお体の具合が...」
「これ以上寝てたら、それこそ寝たきりになっちまうよ。」

思わず木の陰に身を隠してしまう。自分が何のためにここに来たのかも忘れて。

「―――分かりました。ですが、無理はなさらないで下さい。」
「わかってるよ、心配性だなあ。」
はは、と呆れたような笑い声がする。そして、建物の中から出て来る人影が見えた。

「―――ユートさま」
ついその名を口にしてしまった。もっとも相手に届くほどではないが。

「...ちょっとは体、動かさないとな。」
少年は誰にともなく呟きながら、自分に気付かず目の前を横切って行く。しかし、やはり足取りは重そうだ。
エスペリアが心配している通り、まだ体調が万全ではないのだろう。
追いかけて、付き添ってあげないと...昼間だって、そのつもりで散歩に誘ったんだし...早く!
286BLACKBIRD 4/9:05/02/23 16:42:22 ID:F3D1E+4g
「...うぅ。」
なのに、体はまるでその場に縛り付けられたように動かない。
焦れば焦るほど、何と声を掛けて出て行けばいいのか、さっぱり思い浮かばなくなってしまう。

「どうして、よぉ...。」
じわあっ、と涙がうかんでしまう。自分が臆病というか、意気地がないという事は自覚していたが、
まさか、これほどとは...

「おっ、と。」その時、少年がよろめいた。小石に足を取られたようだ。
同時に、ヘリオンの足を縛っていた見えない鎖が解けた。
「ユートさま、危ないっ!」
転びそうになった悠人が驚いて振り向くのと、猛ダッシュをかけたヘリオンがその体を支えるのと、
全く同じタイミングだった。

「ヘリオン...?」
唖然とした顔で名前を呼ばれる。
「あああの、あのっ、だっ大丈夫ですかっ?」
悠人の顔を見上げながら、ヘリオンは真っ赤な顔で尋ねた。
「あ...ああ、大丈夫だ...けど。―――なんだ、いるならいるで声くらい掛けてくれりゃよかったのに。」
287BLACKBIRD 5/9:05/02/23 16:44:33 ID:F3D1E+4g
「あっ...そ、それは...あの...お、お邪魔じゃないかと、思いまして...っ!」
しとろもどろで答えるものの、自分でも、もう何を言っているのかよく分からない。
「邪魔なんて、そんな...。ヘリオンだって昼間、少しくらい体動かした方がいいって
俺に言ってたじゃないか。」悠人の顔に広がる苦笑い。
「あっ、あの、ですから、まだ一人で歩くなんて、無茶です!私っ、ご、ご一緒させていただきますからっ!!」
そう言って、キッと顔を引き締めたヘリオンは悠人の体を抱えなおした。
ちょっと驚いたような悠人のその瞳から、つい目をそらしてしまいながら。

「はは、歩くくらいどうって事ないって。」
「だ、駄目です!もし転んで怪我でもしたらどうするんですかっ!」
ヘリオンは動揺を悟られぬように、声を大にして言った。

「―――わかったよ。じゃ、まあ、横で並んで歩いてくれるかな。」
ふっ、と小さな溜息をついて悠人はあきらめたように言った。
その言葉とともにさっきまで少女に預けられていた体の重みが消えてゆく。
「あ...はい。」
離れて行くその温もりに未練を残しつつ、ヘリオンは悠人の横に立った。
「じゃ、行こうか。」
もう、影も出来ないくらい薄暗くなった木立の間の道を、二人は歩き始めた。
288BLACKBIRD 6/9:05/02/23 16:47:43 ID:F3D1E+4g
「ひょっとして、俺のこと、待っててくれたのか?」
歩きながら、突然悠人が問いかけた。
「え――?あ、いえ、た、たまたまです。ちょうど通りかかった時に...」
「そっか。」優しい微笑が向けられる。

...どうして素直に「待ってたんです」と言えないのだろうか。
ヘリオンは、まともに悠人の顔を見返す事も出来ずにうつむいてしまった。
下に向けた視線の先で、自然と悠人のおぼつかない足の運びが目に入る。
神剣が砕け散ってしまい、今は本当に並みの人間以下の能力しか残っていないようだ。
つい、また何かにつまづいてくれないだろうか、などとバカな事を考えてしまう。

あ、とヘリオンは胸のうちで呟いた。今なら...そうだ、今ならスピリットである自分の方が、
体力的には遙かに彼を凌いでいるではないか。
それに、今まで叱られたり、からかわれたりした事だって有るのだから、
少しばかり悪ふざけするふりをしてしがみついたって...

「でも、良かったよ、ヘリオンが付いて来てくれて。」

「――へっ?」
思わず間抜けな返事をする。この人は、突然何を言い出すのかと思えば...
「男の俺が言うのもなんだけどさ。やっぱりこんな暗い道、一人で散歩するなんて寂しいから、な。」
289BLACKBIRD 7/9:05/02/23 16:51:15 ID:F3D1E+4g
考えを読まれたわけでもないだろうに...。
今、そんな事言うなんて反則です、と少女は心の中で言い返した。
顔が赤くなるのが自分でも分かる。

「変なもんだな。―――昔は一人でいる事なんて、全然苦にならなかったんだけどなあ。」
少女の気持ちを知ってか知らずか、悠人は言葉を重ねる。
ヘリオンは少し照れ臭そうに話すその横顔を見つめた。まさか、あの勇猛果敢な隊長の口から
こんな言葉が飛び出すなどとは思ってもみなかったのだ。


どのくらい並んで歩いていただろうか。距離にすれば、ずいぶん長いこと歩いたはずなのに、
ヘリオンはどこをどう歩いたのかさっぱり憶えていなかった。

「...そろそろ帰ろうか。」
「―――はい。」少女が顔を上げる。

「おわっ!」帰りかけたその時、再び悠人がふらついた。
「あっ、だ、大丈夫ですかっ!」咄嗟にヘリオンが悠人の腕を掴む。
「はは...悪い悪い。やっぱりだいぶ体がなまってるみたいだな。」
小柄な少女に支えられ、笑いながら悠人は言った。
「あは...良かったです。転ばなくて。」つられてヘリオンの顔にも笑いが浮かぶ。
290BLACKBIRD 8/9:05/02/23 16:53:18 ID:F3D1E+4g
「――ずいぶん冷えてるぞ。」悠人は自分の腕に添えられたヘリオンの手を見て、言った。
「これ、着とけよ。」
少女の小さな体に陣羽織が被せられる。
「そっ、そんなの、駄目ですよぅっ!」
「ま、いいからいいから。」ヘリオンは慌てて返そうとするが、あっさり制されてしまった。
これじゃまるで子ども扱いだ、と複雑な気分になりながらもヘリオンはしぶしぶ腕を通した。

―――あ、大きい...。

掛けられた上着は、小柄なヘリオンにはだぶだぶであった。
悠人が羽織っている分には全く違和感が無かったのだが。少しだけ残っているその体温を感じながら、
ヘリオンは、改めてその長身の少年を見上げた。
思えば、この世界に悠人とともにやって来た佳織は、彼のことを「オニイチャン」と呼んでいたが、
もし自分が人間で、兄というものがいればこんな人だったのだろうか―――、と。

「どうした?」悠人がヘリオンの顔を覗き込む。
「なっ、何でも!」ヘリオンは掛けられた上着がずり落ちないように、ぎゅっと両手で押さえ、
頭をぶんぶんと振り回した。ワンテンポ遅れて二つにくくった髪の毛が、風に吹かれる柳の枝のように舞う。
291BLACKBIRD 9/9:05/02/23 16:58:16 ID:F3D1E+4g
「お―――見えてきた。」
二人の歩く前方に、詰所の明かりが浮かんでいた。もう少しで、こんな暖かい時間も終わってしまう。
上着を握りしめるヘリオンの足が重くなった。
「あ...悪かったな、付き合わせちゃって。ここんとこ訓練がキツいんだろ?」
ヘリオンが疲れたと思ったのだろう。悠人の口調は優しかった。

―――違う。確かに訓練はこの数日苛烈なものになってはいるが、
今、自分の歩みを遅くさせているのはそんな事ではない。

「あ―――ユートさま、これ、どうも有難うございました。」
ヘリオンはゆっくりと上着を脱いで、それを悠人に返した。
「...うん。」
悠人はさっさとそれを受け取って、詰所の中へと向かって行った。
だが、ヘリオンの重い足はその場から動かない。建物の中へ入ってゆくその大きな背中を、
少女はぼうっと眺めていた。―――自分の望んだ通り、一緒に散歩する事が出来たというのに、
この寂寥感はいったい何なのだろうと、そう思っていた。

「あ―――そうだ。」不意に悠人が振り返る。少女の体がびくっ、とこわばった。
「明日の晩もまた、散歩に付き合ってくれるか、ヘリオン?」

「あ...は、はいっ!!」
思いもかけないその言葉に少女は、自分でもびっくりするくらいの大きな声を返していた。


「〜〜〜♪」
―――満天の星空の下、第二詰所へと続く帰り道。ヘリオンの両足は、まるで翼が生えたように軽かった。


                                                  
                                             BGM:「HAPPY DAYS」 by Ai Otsuka
292憂鬱の人:05/02/23 16:59:10 ID:F3D1E+4g
...憂鬱もなければオチもない。鳥になったヘリオンの話。
私がこんな話を書いて許されるのでしょうか!?(誰か許すと言って〜!)

えーと、とりあえず「けれでも」をネタにしちゃったあの人と(本人が未だに気付いてなさそうなのが心苦しいですが)、
押しも押されぬヘリオン儲のその人に捧げますってことで。

ちなみにブラックバードというのはツグミのことです。カラスはCrow。ちょっと英語教室。
293名無しさん@初回限定:05/02/23 19:28:21 ID:X74QNAo/
PS2版の予約に行ったらリストになかった。同じ発売日の別のはあったんだけどなあ。
秋葉原あたりだったら予約やってるんだろうか
294名無しさん@初回限定:05/02/23 19:49:03 ID:w6TRfCH5
>293
秋葉原なら、まぁ確実かな?
池袋とかでも、店によってはやってるはずだけど・・・。

あ、もしかして普通の電気屋さんに行ったのかな?
アニメ系のお店で自分予約したから・・・orz
295名無しさん@初回限定:05/02/23 20:38:24 ID:PQOL4yoW
>>292憂鬱さん
問題はネタに走る事じゃなくてネタをよく知らない事だとオモイマス>自分
>BLACKBIRD
訓練といい散歩といい、健全なお付き合いからのヘリオンは、
ある意味ラキオスきっての恋愛猛者なのかもしれません(ぇ
それはそうと……仔犬ならぬ小鳥ヘリオン、可愛いですね。掌に載せたくなります。
余り刺激しないで下さい、またムクムクと黒魂が転がりますのでw
296名無しさん@初回限定:05/02/23 22:00:28 ID:FGnbFOdP
PS2版、声優大幅変更されるそうですね。

あれ? ナンデダロ…ナミダガ…(つд`)
297名無しさん@初回限定:05/02/24 00:53:12 ID:TheTgR0U
>>292 憂鬱の人さん
ぶかぶか装束姿を想像して癒されました。
散歩中に裾をずるずると引き摺ってしまっていないことを祈るばかりですw
あぁ、でも……

「す、すみませんユートさまっ。せっかく貸してもらったのに……」
「いいよ、気にすること無いって。戦闘の時の砂埃やら何やらでしょっちゅう汚れてるんだから」
「いいえっ、絶対、ぜったいにお洗濯してお返ししますからっ。ですから……あの、その……」
「……そっか。それじゃあもうちょっと預かっといてくれるかな?」
「あ……はいっ! とってもきれいにして、お返ししますねっ」
……残り香のある(二詰に持ち込まれた)羽織の運命やいかに。
298名無しさん@初回限定:05/02/24 01:04:35 ID:N2S5MzWH
>292
トゥルルル トゥルルル ガチャ

「あ、もしもしLAROですか? なんだかマインド表記に間違いがあると思うんですけどっ!!」
   _......._            
  ,-j´    ヾフ    
  ヾ;イノノリヾj'   LARO「ゆるすっ!」
  川ノ.゚ ヮ゚リ   
  ど_,「i__「iつ   
  ノノ.|___|     
     |-;;-|      
     ∪∪      
LARO  ―― Lakios Advertising Review Organization ――――


揺れるツインテールは温もりを知ってしまったが為に寂しさをも知ってしまう。

「あーヘリオンどこいくのっ?」
「の〜?」
「あ、あのあののそっそそ、お、お月様が綺麗なのでちょちょっとお月見でもしようかな〜と」
「ふーんネリーもいこーっと」
「シアーも〜」
「えええっっ??!!」
「ハリオン私達もいく?」
「ええ〜ヒミカ、腹ごなしに行きますかねぇ〜」
「あんた食べ過ぎ」
「セリアだって結構食べましたよ〜」

ほら、寂しくない寂しくないw
299名無しさん@初回限定:05/02/24 01:13:08 ID:N2S5MzWH
>296
アセリアの声を変えるのはなぁ……しょうがないのかなぁ。
300名無しさん@初回限定:05/02/24 01:28:59 ID:2FFEE8Pw
声が変わるのはねぇ・・・萎える。
301名無しさん@初回限定:05/02/24 02:23:27 ID:Uj1et7IR
浅野るり=清水香じゃなかったっけ?
302名無しさん@初回限定:05/02/24 02:44:17 ID:Uj1et7IR
303名無しさん@初回限定:05/02/24 09:28:38 ID:nHB9C2nF
>>295
温かいレス、有難うございます。こないだ『回帰』がアップしたばかりで
こんなの書いちゃっていいのかな、とか思ってましたので。
>>297
「た、確かに私、ちっちゃいですけどっ、いくらなんでも上着を引き摺るなんてっ!」
………ずるずる。
>>298
LAROってなんじゃろw 実は今回も途中でかなりヤバげでは有ったんですが。
次からはネリー達の見張りが有った方が良さそうです。

次回 『「失望」から触手が!?』ヘリオンの逆襲が始まる... (←いい加減にしろ)
304名無しさん@初回限定:05/02/24 20:53:43 ID:XNYijXZt
>>信頼氏
元ネタを再放送、しかも途中から見てるってのが……。
え〜い、分からない部分は妄想で補完だ!―――――撃沈。
……スミマセン……orz
>>憂鬱氏
要領が良さげな年少組の中において、一歩引きがちなヘリオン。
悩んで努力して傷付いて…でも、最後には幸せを掴める、そんな少女だと思ってます。
てか、ぶっちゃけ個人的に一番幸せにしたいキャラです(笑
GJでした!ヘリオン分、補給完了です♪

……ところで、「けれでも」をネタに…って、ひょっとして……私の事なんですか?
………………………((((゚д゚;;))))ガクブル
305名無しさん@初回限定:05/02/24 21:23:27 ID:KOA7MMTx
    _†_
   [≦≧]
   彡ノ 人ヽ ンギュ?
  彡! (◎))
 彡ミゞ、..Y.ン
  ((((〈〈
   ))))ヽゞ
  从ソ


306名無しさん@初回限定:05/02/24 22:29:11 ID:ZYvsVX48
>>304御洒落氏
書き方が悪かったですね、すみません。誤字指摘をしたのは貴方ですが、
あくどい事に、それをネタにして遊んでたのは私ですので気にしないで下さい。

ヘリオンはこれまで私の書いたものの中では不遇キャラだったもんで、
今回は何とかしてみました。EXやってない人には分からない話で悪いのですが。
まあ、補給完了なんて言わずにがんがん幸せにしてやって下さい。
307名無しさん@初回限定:05/02/25 00:41:58 ID:PVWhVVWM
>>302
良かった、同じ人だったのね。
デモンベインといいコンシューマー化した途端カミングアウト祭始めるのは何故なんだろう。
308名無しさん@初回限定:05/02/25 22:31:08 ID:w0mYqxSE
ほっと一息>アセリアの声


ところで、PS2版では当然のように悠人の年齢を16歳(高一。1992年生まれ?)と表記してきている
わけなのだが、この場合ファンタズマゴリア年表にも修正が入るのだろうか?
このままだとエスペリア(聖ヨト歴で22歳)がふる女ぼ(ネーチャンフォース)
309名無しさん@初回限定:05/02/26 00:11:43 ID:YAwnY5ez
一年前の今日。

>>初代雑魚スピ分補充スレッド
20 名前:記念投下 :04/02/26 16:45 ID:VLq/Wf+9
諸君 私は雑魚スピが好きだ
諸君 私は雑魚スピが好きだ
諸君 私は雑魚スピが大好きだ

ネリーが好きだ シアーが好きだ セリアが好きだ ナナルゥが好きだ
ヒミカが好きだ  ハリオンが好きだ ニムントールが好きだ ヘリオンが好きだ ファーレーンが好きだ
平原で 街道で 洞窟で 草原で 都市で 砂漠で 荒野で 雪原で 時の迷宮で 城内で
ファンタズマゴリアで行われる ありとあらゆる雑魚スピ達の戦闘行為が大好きだ
後列から狙った  ナナルゥのイグニッションが 轟音と共に敵スピを 吹き飛ばすのが好きだ
空中高く放り上げられた敵スピが ヘヴンズスウォードでばらばらになった時など 心がおどる
ヘリオンの操る 星火燎原の太刀が 敵スピを撃破するのが好きだ
悲鳴を上げて 悶える後列から 飛び出してきた敵スピを ソニックストライクWでなぎ倒した時など 胸がすくような気持ちだった
カウンターアタックをそろえた 黒スピ部隊が 敵のスピリットを 蹂躙するのが好きだ
ファーレーンが 既に息絶えた敵スピを 何度も何度も刺突している様など 感動すら覚える
敗北主義の 敵スピ達を秩序の壁上に 吊るし上げていく様などはもうたまらない
泣き叫ぶ敵スピ達が 私の振り下ろした手の平とともに 金切り声を上げるアポカリプスUに ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ
哀れな抵抗者達が 雑多な技で 健気にも立ち上がってきたのを エレメンタルブラストが
部隊ごと木端微塵に粉砕した時など 絶頂すら覚える
名も無き赤スピに 滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった雑魚スピが蹂躙され 誓いに壊されて行くさまは とてもとても悲しいものだ
ソーマスピリットに押し潰されて 殲滅されるのが好きだ
雑魚スピとのシナリオは堪能出来ず 義妹とのプレイを強要されるのは 屈辱の極みだ
310名無しさん@初回限定:05/02/26 00:12:46 ID:YAwnY5ez
>>初代雑魚スピ分補充スレッド
21 名前:実は拙作の改変版だったり :04/02/26 16:53 ID:VLq/Wf+9
諸君 私は雑魚スピを ハーレムの様な雑魚スピを望んでいる
諸君 私に付き従う大隊エトランジェ諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なる雑魚スピを望むか? 全員顔付きの 夢のようなルートを望むか?
雑魚スピハアハアの限りを尽くし 頭蓋骨変形の義妹を殺す 嵐の様な雑魚スピルートを望むか?

雑魚スピルート!! 雑魚スピルート!! 雑魚スピルート!!

よろしい ならば雑魚スピルートだ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとするトリプルスィングだ
だが この暗い闇の底で 3ヶ月もの間 堪え続けて来た我々に ただのDVD版ではもはや足りない!!

完全版を!! 雑魚スピ満載の完全版を!!

我らはわずかに一個スレ 千レスに満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は 一騎当千の来訪者だと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総兵力100万と1人のスピリット隊となる
雑魚スピを脇役へと追いやり ヒロインになっているキャラを抹消しよう
髪の毛をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
スタッフに熱い想いを 思い出させてやる
連中に我々の 軍靴の音を思い出させてやる
ファンタズマゴリアとハイペリアの狭間には 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
一千レスのエトランジェのスピリット隊で ハイペリアを萌やし尽くしてやる

全スピリット攻略開始 完全版「永遠のアセリア+」始動
ロットアップ!! 全キャラ 全攻略フラグ 解禁
「最後のスピリット隊 スピリット隊指揮官より 全エトランジェへ」
目標 ザウスHP !!
第二次アセリア作戦 状況を開始せよ

征くぞ 諸君
311名無しさん@初回限定:05/02/26 00:15:10 ID:YAwnY5ez
第二次アセリア作戦 → EXPANSION&設定資料集
第三次アセリア作戦 → PS2版『永遠のアセリア 〜この大地の果てで〜』

我等の未だ本懐は為らず。されど我等意気消沈せず。
さらにイオ、クォーリンの、更なるシナリオを望む。
来たるべき第四次アセリア作戦に向け、再び聖地(ザウスHP)へと赴かん!
312名無しさん@初回限定:05/02/26 01:07:05 ID:6gvU2hA8
な、懐かしい……Thx同士よ、忘れかけていた何かを思い出しそうだ
313名無しさん@初回限定:05/02/26 01:11:28 ID:0uuaqUIk
聖地は荒涼としてます…………
314名無しさん@初回限定:05/02/26 02:11:59 ID:Cul2VLF0
ふむ、こんな事があったのか〜

…過去ログ見てきます。
315名無しさん@初回限定:05/02/26 03:33:18 ID:E+HalrId
ンフハハハハハハハハ!!!マロリガンはこの副大統領が掌握した!
316名無しさん@初回限定:05/02/26 06:00:29 ID:IyYz73h2
>>306 憂鬱氏
あ、勘違いしてしまいました。良かった、良かった(ぉ
ヘリオン…幸せに出来るように頑張りたいと思………………ハッ!?

今考えてる話:セリア物、ファーニム物、メダリオ物、お洒落ナナルゥ

………しゅ、主演所か出番がNEEEEEE!!………orz
が、頑張ります、本気で……。
317翼 SCENE T-1:05/02/26 06:12:59 ID:IyYz73h2
「二人とも、早く、早くーっ!先行っちゃうよー!!」
「ま、待ってよ〜、ネリー…。急ぎ過ぎだよぉ……」
「急がないと、焼き立てのヨフアルが売り切れちゃうでしょーっ!!
ん、もう!シアーは、それでいいのー?」
「よ、良くないけどぉ〜〜…」
「なら、つべこべ言わないで、キリキリ走る!」

目の前を足早に駆けて行く、二人の少女。…まあ、言うまでもないが、ネリーとシアーだ。
二人とも軽口を叩き合いながらも、スピードはかなりの物。
負けじと、ことらも足を動かす。
ヨーロッパの街並みを思わせる、石造りの建物の数々。規則正しく植えられた街路樹。そして、人の波。
どれもビデオのコマ送りの様に、次々と流れていく。
加減しているとはいえ、俺もエトランジェ。瞬く間に、二人に追い着いた。
「わ、ユートさま、すっごーい!そんなにヨフアル楽しみなんだね!」
「なんだね〜」
「…ああ、好きだからな。焼きたてのヨフアル」
「だよね!だよね!ネリーも好きだよー!」
「シアーも〜」
「ははは…ま、皆ヨフアル好きって事か…」

…実際の所、俺はそこまでヨフアル大好き人間ってわけじゃない。
が、二人ともヨフアルは大好物だし、そう思われても別にそれで構わない。
とにかく、楽しければ何だっていいのだ。

これは、俺達三人の初デートなのだから。

318翼 SCENE T-2:05/02/26 06:14:26 ID:IyYz73h2
…とはいえ、最初は俺も、このデート全然乗り気じゃなかった事は認めよう。

何しろ、対帝国戦の準備で、仕事に忙殺される日々の中での久々の休日。
ここで、ゆっくり休養を取らずして、一体いつ取る!?そんな休日だ。
それなのに、朝も早よから二人に叩き起こされた挙げ句、無理矢理、街まで連れて来られてしまったわけで。
とてもじゃないが、デートを楽しめる心境じゃなかった。と言うか、正直俺は思いっきり不機嫌だった。
…その辺りは、察してもらいたい。

だが、そんな俺と一緒にいる二人の表情は、常に笑顔。
普段は俺の後について来て、戦場でも一緒の部隊になる事が多い二人だ。
不機嫌なのを隠そうともしていない、今の俺の心境を分からないとは、はっきり言って考え難い。
だから、俺はそれが不思議で仕方なく、しばらく考え続けてみた。
…そして、ようやく答えに辿り着いた。

二人は、俺を励ましたかったのだ。

319翼 SCENE T-3:05/02/26 06:15:34 ID:IyYz73h2
思えば、ここの所ずっと職務職務の毎日だった。遠目でも、俺が疲れて余裕が無い事は見て取れたのだろう。
もしかしたら、二人のことだから、最初は俺の手伝いをしようと考えたのかもしれない。
だが、俺のやるべき事は施設の建設指示、エーテル配分、効率的な訓練メニューの考案、部隊編成、等等……。
エスペリアやセリアならいざ知らず、二人に手伝えるような事ではない。
だから、自分達にできる事を考えて、実行した。…それが、このデートな訳だ。
もちろん、自分達が寂しいからという気持ちもあったとは思う。
それでも根底にあるのは、「俺の為に」という心なのだ。

…ここ最近、俺は二人と遊ぶどころか、ちゃんと話す事さえ蔑ろにしていたと言うのに。

俺は心の底から、自分の身勝手ぶりを反省した。…いや、反省だけでは足りない。
これだけ優しい心遣いを受けたのだ。それに対して、きちんと応えるのが道理だろう。
だから、俺は決めた。
今日と言う日を二人を楽しませる為に過ごす、と。

結局、そんな事を思い返している間に、俺達はヨフアル屋の前に着いた。既に、十人ほどの列が出来ている。
「…うわぁ、たくさん並んでるねぇ……」
「う〜ん…大丈夫かな?売り切れたりしないかなー?」
「大丈夫だよ。…ネリーって見かけによらず心配性だな」
「む、何だか馬鹿にされてる気がするー!」
「はは…じゃ、『見かけによらず』じゃなくて『意外と』って事にしとこう」
「うんうん。分かればよろしい」
「……どっちでも同じだよぉ、ネリー……」
「えーっ!?ユ、ユートさまに騙されたー!」

ネリーは、ぷうと頬を膨らませて、そっぽを向いてしまう。それを見て、笑い合う俺とシアー。
こんな些細なやり取りも、随分と久しぶりな気がした。

320翼 SCENE T-4:05/02/26 06:16:41 ID:IyYz73h2
…しかし、それにしても。落ち着いた目で、改めて二人を見てみる。
ネリーは、Tシャツにパーカーを羽織り、デニムのカーゴパンツを履いたラフな格好。
一方のシアーは、ブラウスにチェック柄のロングスカートという、大人しい印象の格好だ。
(まあ、細部や生地も何か違うような気もするし、こっちでなんて呼ばれてる服か、俺は全然知らないのだが。)
今更ながら、二人がお揃いの格好ではない事は、驚きだ。(色こそ上は白、下は青を基調として揃ってはいるが。)
初めて見る服装な事も考えて…やっぱり、俺を驚かせようとしたんだろうな…。
何と言うか、微笑ましい。
尤も、服をこのデートのために用意したって辺り、嬉しい様な申し訳無い様な…何とも複雑な気分だったけれど。

「ん?どーかしたの、ユートさま。ぼーっとしちゃって。」
「…いや、何でもないよ。お、それより、もう俺達の番じゃないのか?」
長かった列も順当に消化され、ちょうど俺達の前に並んでいた人がヨフアルの入った紙袋を受け取った所だった。
「あ、ホントだ。ユートさまはどーするの?シアーはネリーと同じのでいいって言うんだけど」
「うーん、そうだな…。じゃ、俺もネリーに任すよ」
「りょーかいっ♪」
懐から財布を取り出して、何枚かコインを渡す。すると、すぐにネリーはカウンターで注文を始めた。

321翼 SCENE T-5:05/02/26 06:17:45 ID:IyYz73h2
ふと、財布を見ながら、お金の事を思い出す。

―――先日の対マロリガン戦、その決着を報告した時の事。
「この度の働き、見事でした、エトランジェ・ユート。
マロリガンとの戦いを制しただけでなく、大マナ消失を食い止めた事、高く評価します。
…ささやかですが、褒美を取らせましょう。受け取りなさい」

…で、レスティーナから受け取った報奨金を皆で均等に分配したものが、今俺が持ってるお金という訳だ。
尤も、俺も今はレスティーナの事を、よく分かっている。
報奨金ってのは、未だに俺達に反発心を抱いている一部の家臣を、納得させる為のただの名目。
スピリットにも自由に使えるお金を、という事で気を利かせてくれたのだろう。

…とは言え、まあ、貰ったから必ずしも使うという訳でもなく。実際、俺は今日まで一度も使ってない。
アセリアやウルカも、買い物をしに街に下りたなんて話は聞かないし、俺と同じで、特に欲しい物は無いのだろう。

だが、ネリー、シアーの服をはじめ、他の皆は結構普通にお金を使っている様だった。
無駄遣いは、正直考え物だとは思う。けれど、自分自身での金銭管理は、良い社会勉強になる事も確かだ。
結局の所、各個人の自由を尊重するのが一番なのかもしれない。

「お待たせー!たくさん買っちゃった!」
「…わぁ、美味しそう〜……」
「確かに美味そうだな。ま、とりあえず歩きながら食べようか」
「「賛成〜!!」」

俺達は店を離れ、何処へとも無く向かう事にした。

322翼 SCENE T-6:05/02/26 06:18:56 ID:IyYz73h2
「…ん?」
店を離れてすぐ。何とは無しに、横目で二人を見る。
……二人は既に、ヨフアルを美味しそうに頬張っていた。
と言うか、ネリーなんて、次のヨフアル(二つ目?三つ目?)に手をつけてる所だった。
「コラコラコラ!お前達、それは早過ぎだろッ!」
「んー?ふーほはは、ほーふはひひょふはんはほ」
「…(コクン)」

えーい、口に物を入れたまま喋ってるから、何言ってるのか分からん!
…いや、まあ、シアーがネリーの言ってる事を分かって頷いた様に、俺にも何となくは察しがつくけど。
てか、いつから勝負になったんだ…?

そんな事を考えてる間にも、ネリーはまた次のヨフアルに手を掛けている。
…うおお、いかん!そりゃ確かに、俺はヨフアル大好き人間って訳じゃない。
だが、店先で並んでる間も、ワッフルそっくりの香ばしい匂いで十二分に空腹感を刺激されているのだ。
このまま何もせず呑気に構えていたら、俺の分は全て二人に食われるだろう。そりゃもう、間違い無く。

クッ、最早出遅れたのは仕方ない。とりあえず、豪快な漢食いで巻き返すのみッ!!
ネリーの持つ紙袋から、適当に掴んだヨフアルを勢い良く口に放り込む。そのまま咀嚼し、呑み込んで……。

………………………………苦ッ!!!
な、何だ、こりゃ!?
甘くて、苦い。とても苦い。さ、最悪のコラボレーション……。
冗談事じゃなく、意識が飛びかけた。
…しかし、この苦味、覚えがある。これは、まさか……。

323翼 SCENE T-7:05/02/26 06:20:10 ID:IyYz73h2
顔面蒼白状態の俺に気付いたのか、ネリーが素っ頓狂な声をあげた。
「あ〜〜っ!ユートさま<リクェム味>食べちゃったの〜!?
ダメだよ、食べたら『マズい…もう一個!!』って言わなきゃ!」

あ、あ○汁っすか……。
いや、それよりも。まさか、よりにもよって、リクェム(=ピーマン)を菓子にしようとは……。
さつまいもジュース(炭酸)や、ヨーグルト<カレー味>じゃあるまいし。
どんな発想で生み出したんだよ、こんなもん…。ひょっとして、何かの罰ゲーム用に作ったんじゃないか?
てか、もう一個って……まだあんの、コレ?

とりあえず、ツッコミ所が多過ぎて、どこからどうツッコめばいいのやら分からない。
が、一つだけはっきりしている事がある。
それは…このヨフアル争奪戦において、俺の負けが確定したって事。
と言うより、続けてこの<リクェム味>を食べた場合、俺の魂が本気でハイペリアに召される可能性、極大。
…さすがに、命は惜しい。
暫く、ヨフアルを食べ続ける二人を見ないように、歩を進める事にした……。

324翼 SCENE T-8:05/02/26 06:21:21 ID:IyYz73h2
「ふ〜〜。たっくさん食べたねぇ〜〜!」
「…いくら何でも、食べ過ぎだよぉ、ネリー…」

食べたヨフアルの数、シアーの六個に対し、ネリーは実に十一個。
そもそも、その前にもちょこちょこと買い食いしていたのだ。
甘いものは別腹、とかそういう次元じゃない気がする。
…でも、まあ、それだけはしゃいでるって事かもしれない。
さすがに、いつもこれだけ良い食いっぷりを見せてくれている訳じゃないし。

そう思うと、自然と笑みが零れてくる。
ああ、そうだ。今日は、二人が楽しんでくれればそれでいいんだった。
お腹を壊さない限り、食欲増進、大いに結構!
「……さて。まだ行ってない店でも、見て回ろうか?」
「「うん!!」」

―――それから、俺達は街を巡り歩いた。
お菓子屋、洋服店、八百屋、武器屋、肉屋、香辛料店、骨董品店、スープ屋……。いろんな店を見て回った。
元々、ウインドウショッピングは好きだったし、二人も終始楽しそうに笑っていたので、俺も純粋に楽しかった。
そう、それこそ時間を忘れる位。
楽しい時間は、過ぎ去るのもあっと言う間なのだ。…本当に。

いつの間にか日は傾き、空は誰そ彼時に差し掛かろうとしていた………。

325御洒落の人:05/02/26 06:23:59 ID:IyYz73h2
後書き

はい!永らくお待たせ致しました。
お洒落ネリシアをお届け……お届け……あれ?何か、題名間違ってますよ?
…しかも、完結してませんよ?

………………………ええっ!?まさか、長編!?……無茶な。
…まあ、今にして思えば、これを短編で纏めようとした事に無謀さを感じますが。
大体元はネタだったくせに、シリアスっぽい展開になってるし!
筆の進み、遅杉だし!!(お洒落セリアの後に考えてました…orz)
はっきり言って、いつ完結できるのかは、神のみぞ知るといった所でしょうか…(ぉ
気長に、生温かい目で見守ってもらえれば幸いです。

スレも一周年。記念SSとか言ってみるテスト。
……すみません、嘘です。未完の分際でナマ言ってました。すみません……。

326名無しさん@初回限定:05/02/26 10:51:28 ID:ZVQXsQR+
携帯からGJ
327名無しさん@初回限定:05/02/26 11:21:47 ID:wzN302XI
>>325
>> 御洒落の人さん、G.J!!
ネリシアがホントーに楽しそうだ…
くるくる回ってるネリーとニコニコしてるシアーが
眼にみえるようです。
それはそうとリクェムヨフアルですか。
ピーマン嫌いじゃないけど、パスしたい食い物ですね(w

328名無しさん@初回限定:05/02/26 16:08:33 ID:yA3t1DDP
>>325御洒落氏乙。
元気な双子は見てて気持ちがいいです。ちゃんとお洒落してるし。
でもきっと、無駄に元気ってわけではなさそうですね。
ネリーのセリフは「ん〜?ユートさま、勝負は非情なんだよ」と推測。
シアーには勝ち目なさそうだなぁw

…リクェムのヨフアル、ちょっと食べてみたい希ガス。

>>311氏。
原点...ですね。さて、今回のPS版発売で「我々の本懐」は近付いたのか、
それとも遠のいたのか...?
329Life goes on:05/02/26 16:12:15 ID:mWOnCEhd
「なぁ、今日子。俺達、これからどうなるんだろうな。」
「……言ってる意味がよくわからないんだけど?」
「俺達はこの世界に残って戦う事にしたけどさ。悠人がエターナルになったら、俺達はどうなると思う?
 時深さんの話だと、俺達がここにいるのは悠人のせいなんだろ?
 俺達が今ここにいる元凶が、そもそも存在しないことになったら、俺達はこの世界にいる理由がないんじゃないか?」
「そうね。でも帰りたくても、門は閉じちゃった訳だし、なるようになるんじゃない?」
「それはそうなんだが、どうも不安でな。」





とか考えてみた。
前から気になってるんですよね。これ。
330名無しさん@初回限定:05/02/26 18:56:52 ID:KRKRKF9N
>>325
乙彼さま〜
うーん、和むねぇ。ハリオンとは違う意味でw

雑魚スピスレ設立一周年おめでとう〜
と、自分の雑魚スピスレ初かきこから一周年を過ぎた辺りで記念かきこ

>>329
まぁ、何かしら別の理由がでっちあがるんだろうねぇ…w
331名無しさん@初回限定:05/02/26 18:57:13 ID:o3ZuZY92
>>御洒落さん
あ〜、気にしないで下さい、ちょっと迷っただけですので>280
そんなことより、来ました待望のネリシアでぇとw
スレ一周年の今日良き日に、季節外れの春風が吹くようです>私の心の中限定
しかも長編なのですね。二人がダブルの物語なのか、それともツインの物語なのか。
悠人はヘタレなのか、今回みたいに少し格好いいのか。
それはまだ判断出来ませんが、とりあえずスープ屋がどんな店なのか気になりますw

>>329さん
う〜ん存在理由だけならマロリガンの状況を知ってしまった以上、帰るに帰れないのでしょうか。
物理的には悠人がエターナルになった時点で記憶が無くなるので、
「記憶によって創られる存在」もまた存在しないのでは…………あ、知恵熱が(汗
332名無しさん@初回限定:05/02/26 19:54:03 ID:jHusscSh
>>331
どうもネタが解っていただけていないようで。
俺達はこの世界にいる理由がないんじゃないか?
→俺達がこの世界に召還される理由がないんじゃないか?

ならどうでしょう。
333名無しさん@初回限定:05/02/26 21:12:24 ID:KDZzQee2
>>御洒落の人さん
ええ子や、ネリーにシアーはホンマにええ子や……
本当に、元気を分け与えてもらえたように感じました。

緑色したリクェムヨフアル、黄色が濃いネネヨフアル、橙色したラナハナヨフアル。
安全なのは注意の黄色。ラキオスのヨフアル屋では健康野菜ブームが到来した模様です。

>>329さん
その辺り、なんだか脳味噌いじくられてるだけのような気がしてならないのです。
まさに『でっちあげ』を信じ込まされた状態で。
小鳥のことを考えるとちょっと気が重くなりますが、
実際に起こったことそのものは「渡り」をしようと無くならないのでは、と。
光陰と今日子がファンタズマゴリアに来るための「でっちあげ」自体は思いつけません……
334名無しさん@初回限定:05/02/26 21:59:56 ID:cFvt7lF9
>325
ネリシアキター もう一個w

こんな所にまで健康ブームが及んでいるとは。おそらくちゃっかりシアーはどれがリクェム味か
分かっていたに違いあるまい。
誰そ彼…………長く伸びるは寄り添う影三つ


>329
演劇練習中、いつもの追い駆けっこをに興じる二人は、ふとした弾みで神木神社の長い階段を
もつれ合いながら転がり落ち、気が付くと見知らぬ森の中…………って目の前に自分の顔がある???

それぞれの神剣もとまどうw
335名無しさん@初回限定:05/02/27 06:05:43 ID:cplvzt/i
>>326さん
ケータイから、わざわざありがとうございます。便利そうと思いつつ、やったこと無いケータイ閲覧…。
>>327さん
情景を具体的に思い浮かべてもらえるSSになったなら、嬉しい限りです。
…リクェムヨフアル、味は間違いなくマズいのでパスした方が賢明ですね(苦笑
>>憂鬱氏
大当たり〜ヽ(´ー`)ノ まさに、そーゆー台詞です。
シアーは姉想いなので、勝てなくていいや、とか思っています。
リクェム味………チャレンジャーですか?(笑
>>329さん
まあ、結局起きた事は変わらないわけで。悠人じゃなく、光陰のせいで跳ばされた様に記憶改変…かなぁ…。
>>330さん
ありがとうございます。
ハリオンの方はネタだったので、同じ和みだとそれはそれで、ちょっと困ったりします(笑
>>信頼氏
本当にお待たせ致しました。未完なのが、申し訳ないのですが。
先の展開は、私にもどーなるか予測できません。何せ、プロット→変更→変更、って感じなんで。(汗
ま、出来得る限り頑張ります♪
スープ屋は、古今東西のスープを集めたお店です……きっと、たぶん…(ぉ
>>道行氏
考えてなさそうで、二人ともいろいろ考えているのです。(何気に失礼)
緑が一番危険ってのも、なんですねぇ…。黄だけでなく、橙色も普通に美味しそうな気が。
>>髪結い氏
ちゃっかりシアーは、もちろんわかってました(´∀`)

…ところで、もう一個という例の台詞、何だか次の話を催促されてるような……そんな事ないですよね?
ないと信じたい……orz
336名無しさん@初回限定:05/02/27 08:55:41 ID:x+c4tU+c
>>332さん
……
…………おお(遅
なるほど、難しいですね。
試験勉強で完全に煮詰まった今日子がたまたま神社にお参りに。
無理矢理連れて来た光陰が賽銭箱を漁ろうとしてハリセンを喰らい、
二人の耐久力と攻撃力にそれぞれ反応した神剣が
別次元に呼び寄せる、とかは……理由になってませんね(汗
337お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:02:21 ID:x+c4tU+c

うららかな、常春の日差し。
どこまでも柔らかい、全てを包み込む様な暖かさに見守られて。
「う〜〜〜ごほっごほっ」
…………俺は、風邪をこじらせていた。


かちゃり。波のように押しては引いていく熱と痛みに苦しんでいると、
相変わらずのんびりとした口調のハリオンが入ってくる。
「おじゃましますぅ〜。あらあら、苦しそうですね〜」
「ハリオンか……あんまり来るなよ、伝染るぞ」
「あら〜、病人はそんなことを気にしちゃ、めっめっ、ですよ〜」
駄目元で言ってみたが、やっぱりというか、怒られてしまった。

「はい、ユートさま、ど〜ぞ〜」
「ごほっ…………へ?」
にこにこと、コップに入った何かを差し出してくる。
湯気が立っている所を見ると、どうやら温かい飲み物らしい。
338お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:04:13 ID:x+c4tU+c

「…………ハリオン、これは?」
起き上がりつつ、聞いてみる。暫く寝たきりだったせいか、少し目がくらんだ。
するとハリオンが間を置かずに、いつもからはとても思えないような素早さで支えてくれる。
「も〜、無茶しちゃ駄目です〜。これは、カオリさまに聞きました〜」
「……佳織に?」
「はい〜。ハイペリアにもスーラがあるそうで、こちらのマカレが合うといいのですけど〜」
「……………………」
なるほど。こっちにも風邪(スーラ)があるのか。だけど俺、薬(マカレ)苦手なんだよな…………

ほかほかと湯気を立てているコップをちらっと見てみる。白く濁った液体が注がれていた。
「モロシスに溶かしてみました〜。はい、どうぞ〜」
「そ、そうか…………」
なんだか嬉しそうに、こちらを見つめる少し垂れ目がちな緑の瞳。
そんな彼女の好意を裏切るような、そんな後ろめたい事はとても出来ない。
俺は覚悟を決めて、カップを取った。
目を瞑り、勢い良く口をつける。と、懐かしいような香りがした。

 ――――――――――

「ちなみに〜、モロシスとはハイペリア語で、お湯の事なんですよ〜」
「…………ハリオン、誰に説明してるんだ?」
339お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:07:51 ID:x+c4tU+c

「あれ、これ…………」
「はい〜?」
素っ頓狂な声を上げた俺に、ハリオンは小鳥のように首を傾げていた。
すー、と喉の痛みと熱が取れ、鼻の通りが良くなっている。そしてこの味に、覚えがあった。
「へ〜、おどろいたな、これ、ハイペリアでは、“しょうが湯”っていうんだよ」
「ショウガユ、ですか〜?わたしはだだ、マカレを少し甘くしただけなのですが〜」
「いや、飲みやすいよ……そっか、ファンタズマゴリアって基本的に漢方なんだ」
「カンポウ〜?なんですか、それは〜」
次々と俺の口から出てくるハイペリア語に、ハリオンの頭の上には疑問符が飛びまくりだ。
それでも、俺の負担に気を使ってくれているのか、それ以上しつこく聞いてきたりはしない。
…………まぁ、ハリオンの事だから、本当に深く考えていないだけかも知れないけど。

「いや、なんでもない。懐かしいな、よく佳織に飲まされたもんだ」
「聞きましたよ〜。ユートさま、スーラが苦手なのだそうですね〜」
言いながら、めっ、と人差し指を目の前に立てて見せるハリオン。
真面目に見つめてくる表情から、本当に俺を心配してくれている事が伝わってくる。
少し恥ずかしくなったので、そっぽを向いて答えることにした。
「…………まいったな。佳織、そんな事まで言わなくてもいいのに」
「ユートさま、子供みたいですぅ〜」
そんな俺を、くすくすと、ハリオンがからかう。
独特の雰囲気に勝てる筈もなく、いつのまにか俺も、一緒になって笑っていた。
340お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:11:21 ID:x+c4tU+c

「そういえば〜。もう一つ、あるんですよ〜。ほら〜」
ややあってハリオンが取り出したのは、タオルを棒状に巻いたもの。なんか見た事があるな。
「それってもしかして…………」
「はい〜。ある薬草を、そのまま包めてきました〜。首に巻くと、楽になるんですぅ〜」
「やっぱり。そんなものまであるんだ、ちょっと驚いたよ」
「いいえ〜。これは実は、わたしだけのオリジナルなんですよ〜。えっへん〜」
「……………………」
感心しきりの様子が嬉しかったのか、じゃじゃ〜ん、と擬音語が聞こえそうなほど自慢げに胸をそらすハリオン。
しかし俺はというと、拍子に大きく揺れた豊潤な所に思わず目が行きそうになり、慌てて逸らすのに必死だった。

「ん〜〜〜〜…………」
なのに、せっかく逸らした視線を追いかけるように、いきなりハリオンがず、ずい、と正面に迫ってくる。
驚いて僅かに後ろに下がったが、すぐに壁際にまで追い詰められてしまった。
「ち、ちょ、ハリ…………」
四つ這いになって迫るハリオンの胸元から、深い谷間がゆらゆら揺れるのが見えて非常に困る。
341お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:13:20 ID:x+c4tU+c

「も〜、逃げないで下さい〜」
「な、ななな何を急に、ハリオンさん?」
咄嗟に上げた声は裏返っていた。それでも強めの口調にやや驚いたのか、ぴた、とハリオンの動きが止まる。
「何をって、着けて差し上げようと〜」
そう言って、不思議そうな顔で見上げてくるハリオン。
ほっとしたのもつかの間、今度は至近距離で上目遣いに覗き込まれ、ごくり、と喉が鳴ってしまう。
音の大きさに、聞こえはしなかっただろうかと、焦りと恥ずかしさで顔が赤くなった。
「い、いや、自分で着けれるから…………」
「だ〜め〜で〜す〜。昔の人は、言いました〜。病人は、大人しくお姉さんの言う事を聞くものですよ〜」
昔の人は〜の辺りを妙に強調しているハリオン。悪戯っぽい瞳に見つめられて、俺は全く動けなくなった。
「そそそ、それならそれで、背中に回ればよろしいのでは…………」
「でも〜。ユートさま、背中を壁につけてますし〜」
「そ、それはそうなんですけど…………」
ハリオンが何か言う度に、悩ましげにゆらゆらと揺れる谷間。
最早その胸元から目を離せなくなってしまっていた俺の反論は、姉という言葉に反応したのか、
いつの間にか丁寧語になっている上、一切却下の方向で流されてしまっていた。
342お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:15:05 ID:x+c4tU+c

ハリオンが首の後ろに手を回しながら、んしょんしょとか唸っている間、俺の体温は上がりっぱなしだった。
首筋にかかる少し湿った息や、無防備なままで胸板に押し付けられる柔らかい膨らみや、
跨って挟み込まれた腰から伝わるしっとりとした温かい太腿の感触が、俺から理性を削り取ろうとしていた。
これに比べれば『求め』の干渉なんて、子供にじゃれ付かれているようなものだ。
『なんだと、契約者よ』なんて声も聞こえたかもしれないが、聞かなかった事にする。
正直俺は、それどころじゃ無かった。
本当に、干渉なんか無くてもマインドが急落しそうな位、それは甘く、危険な時間だったのだ。

「さ〜、出来ましたよ〜」
優しい声にはっ、と我に返った時には、あやうくハリオンの身体に腕を回しそうなところだった。
「あ……ああ、ありがとな、ハリオン」
ようやくネギ?を首に巻かれた俺は行き場の無い腕を誤魔化し気味に軽く振って、にっと笑ってみせる。
が、反面、背中にはどっと汗が噴き出していた。
「いいえ〜。さて〜、これで、あとは安静にしているだけですぅ〜」
そう言いながら、手を添えて俺が横になるのを助け、最後にそっとシーツを肩まで上げてくれる。
シーツの上からぽんぽんと軽く叩くハリオンの優しい仕草が、やけに身に沁みた。
かろうじて回避したとはいえ、そんな献身的な彼女の誠意に一瞬でもつけこもうとした自分が嫌になってくる。
「…………ごめんな」
「え〜?何か、言いました〜?」
「なんでもない…………本当にありがとな、ハリオン。少し楽になったよ」
シーツを顔まで引き上げながら、ぼそっと呟く。本当に、喉の痛みはかなり軽くなっていた。
…………体温は上がった気がするけど、それは自分のせいだ。
「いいえ〜。それより、早く休んで下さいね〜」
「ああ……そうするよ…………」
目を瞑ると、あっという間に眠りが落ちてきた。
俺はハリオンの空気に包まれながら、意識をゆっくりと手放した。
343お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:17:25 ID:x+c4tU+c

「あら〜、もう、眠っちゃいましたね…………それでは〜」
ハリオンの声が、遠くに聞こえる。
ああ、帰っちまうのか、少し残念だな。うろんな頭でそんな事を考えた。
ふいに、脇が少し寒くなり、すぐに温かくなる。温かくて、柔らかい。
なんだか気持ちいいな、ふにふにして。うろんな頭でそんな事を……ってぇ?

がばっ!
「あらあら〜、どうか、しましたか〜?」
「ハ、ハハハ、ハリオンっ!どうしてここにっ!!!」
「どうしてと言われても〜。先程からいましたけど〜?」
「そうじゃないっ!どうして俺のベッドに入ってくるんだっ!!!」
「ですから〜、昔の人は、言いました〜。風邪は、人に伝染すと治るんですよ〜」
またもや昔の人〜をやけに強調しつつ、非科学的な事を言い切る。
口をぱくぱくさせて立ち上がった俺に、一糸纏わぬハリオンは、不思議そうな顔をして首を傾げていた。

……………………一糸纏ワヌ?
344お姉さんの知恵袋:05/02/27 09:19:24 ID:x+c4tU+c

「☆$&t*pr@〜〜〜〜〜〜!!!!」
「……どうなさいました〜?」
追いかける形で立ち上がったハリオンの全身が目の前に晒される。
丸みを帯びた、母性を全身で表したようなライン。
すらっと伸びた、細い手肢。腰まで届く濃緑の後髪。
白く透き通った肌。うっすらと浮かび上がった青い静脈、形の良い鎖骨。
隠しても隠し切れない揺れる胸と、深い谷間にしっとり滲む汗の粒。
きゅっと締まった腰と、脹脛。
そこから繋がっているとは思えない程のボリュームを湛える太腿と柔らかそうなお尻。
ひっそりと窪むお臍。
そしてその下には、未だ未知の神秘を湛える、
ささやかな淡い緑の…………その、茂みが、ふっくらと息づいて。
悪意があっても無くても(恐らくは無い、と信じたい)、それは衝撃を超えた危険すぎる刺激だった。
なんだかんだ言いながらも視線釘付けで隅々まで見尽くしてしまった俺の鼻から、熱いものが迸る。
限界だった。マインドが下がるとか、そんな騒ぎではない。すーっと意識が遠のきかけた。

「もぅ……仕方ないですねぇ♪」
純粋に(きっと)心配して抱き締めてきたハリオンの、豊満な胸が顔に押し付けられて形を変える。
その先の、硬く熱いしこりを頬に感じた時、俺の意識は今度こそ本当にバルガーロアより深く沈んだ。

――――ああ、ハリオンって、うららかな常春の日差しだったんだなぁ。
そんな馬鹿な事を連想しつつ。どこまでも柔らかい、全てを包み込む様な暖かさに見守られて。
345信頼の人:05/02/27 09:21:22 ID:x+c4tU+c
ヨト語をtxt化された髪結いさんに捧げつつw
先日風邪でうんうん言っていた時に思いついて書きなぐりました。
どうやら弱っていると私の中の常緑の樹は育ちやすいようです。さすが癒し系(違
誤字脱字、今回特にハリオンマジック等ご指摘があれば幸いです。
346名無しさん@初回限定:05/02/27 10:31:36 ID:vqmTVdlR
>>345
朝っぱらから乙です。
ハーリーオーン!!!(興奮気味)
だ、だめだ・・・心が壊れる・・・
347名無しさん@初回限定:05/02/27 12:52:06 ID:aGTBgdwx
>>345 信頼の人さん
抱き枕ハリオン、GJです。ネギ巻きで既にKO寸前だったというのに……
そうか、そういうことだったんだ……
伝染してもらった後にもう一度看病してもらうという恐るべき策略だったんだよ!
次回は同じ手段で悠人に伝染す。以下エンドレス……もしくはナニがあったか同時に全快。

>>339 ×わたしはだだ→○わたしはただ
あと多分、>>339 ×スーラが苦手→○マカレが苦手
でしょうか。
348名無しさん@初回限定:05/02/27 13:17:18 ID:VAdukdYp
>>345
>>信頼の人さん
お姉さんキター(*´▽`)パァァ
しかし駄目ですね、ハリオンさんは……
ネギ?は首に巻くんじゃなくて、後のあ(ry
失礼しました……

349名無しさん@初回限定:05/02/27 14:58:33 ID:zSf475dK
 >>345信頼氏
            ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ thx

ニヤけつつも、「これに比べれば『求め』の干渉なんて〜」のところで、存分に、存分に頷きました。
3505_226:05/02/27 16:18:08 ID:XG6aBCf1
雑魚スピスレSSについて語り合う場を作って頂きました。
目的、規定等を熟読の上、御利用下さい。

『雑魚スピスレSSについて語らうスレッド』
ttp://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1109404558/l50

>>SS職人の方
SSを話題とする許可を頂けたら幸いです。
許可頂ける場合、当該スレにおいて許可表明を宜しくお願いします。
351名無しさん@初回限定:05/02/27 16:42:00 ID:x+c4tU+c
皆さん読んで頂いて有難うございました。
>>346さん
無事?壊れて頂けたようで、本望ですw
本当は夜に一周年記念として投稿しようとしてたのに、寝てたなんて今更言えない……(汗
>>347道行さん
この場合抱き枕悠人になるのかもw
エンドレスで抱き合う二人にはアイスバニッシャーで頭を冷やしてもらいましょう。
誤字指摘有難うございます。
>>348さん
そこまでしてしまうと描写が心苦しいというか見苦しいというか(汗
ハリオンだし喜んでやってしまいそうな所が怖いですw
>>349憂鬱さん
コアラさまですかw
よく考えたらむしろあそこで干渉をしない『求め』は間が抜けているかもしれませんw
352名無しさん@初回限定:05/02/27 20:55:11 ID:Bo8R5dJg
>345
悠人の額の熱は、下の方へ伝熱したことでしょう。反り返るは『大j(エレブラ100)
バルガロアーからサルベージするのは大変そうw

この最大最強の漢方薬欲しいんですけどっ!!  えっ逆に搾り取られる?(マテ


多少はお役に立てたようでなによりです>ヨト語
353名無しさん@初回限定:05/02/27 23:41:16 ID:Bo8R5dJg
ところで、アセリア用SUSIEプラグインでデータ開いてたら、船着き場の背景絵があったのだけどこんなの使用
してましたっけ?
あと、第五章章題「想い出の欠片」なんてのも。第五章はヒロイン5人分しかないわけだから……もしかして佳織
ルート?
EXにはハイペリアの俯瞰夜景のようなものも。



354名無しさん@初回限定:05/02/28 11:38:44 ID:P0sTKeB+
>>353
船着場は...想像つかない。竜退治のあたりで使う予定だった、とかでしょうかねえ...
五つ目の第五章表題、ひょっとして幻のイオルートとか?題名からは佳織っぽいけど。

EXはおまけマップの背景がそんなのだった気がしますが、また別の絵ですか?
355名無しさん@初回限定:05/02/28 20:52:36 ID:bLfAtgCM
>354
>おまけまっぷ
おお、確認。
確かにそのようです。おまけマップって全然やってなかったので印象にありませんでした。

船着き場はボート程度の船が三艘と、小さなはしけがある程度。向こう側には城が見えてます。
ラキオスの湖かなぁ?佳織との逃避行ルートとか。夜中の絵だし。

あ、あと「ぴいたん」と、企画段階であったオルファの召喚精霊「フレイヤ」と「フェニックス」の絵もありました。
356名無しさん@初回限定:05/02/28 23:56:13 ID:yreQoF4f
>>345 信頼氏
何だか、全て計算済みって感じがするんですが、ハリオン(笑
実は、部隊一の切れ者なのかも……。
てか、こんな事されたらへタレキングじゃなくても、撃沈必至ですよ?w
ま、何にしても羨ましい奴です、悠人は。
357名無しさん@初回限定:05/03/01 04:31:51 ID:ofLNEDye
ネリー:
シアー:
セリア:
ヒミカ:鳩野比奈
ナナルゥ:橘りん
ハリオン:如月葵
ニムントール:茶谷やすら
ファーレーン:竜ヶ崎まや
ヘリオン:

何方か雑魚スピの声やってる人判ります?
空いてる分は掛け持ちだと思うんですけど。
358名無しさん@初回限定:05/03/01 05:45:28 ID:N1H6pj0H
Exのスタッフロールより。
ネリー:本条真琴(ヨーティア)
シアー:文月かな(小鳥)
セリア:秋月まい(テムオリン)
ヘリオン:山本直子(今日子)

あと、Exではナナルゥが如月葵さんに変更になっている模様。
359名無しさん@初回限定:05/03/01 19:04:38 ID:+XsLFFNS
ネリーはヨーティアのひとだったような?
360名無しさん@初回限定:05/03/01 21:18:20 ID:sN6Rx2MA
>>352髪結いさん
ハリオンのサルベージは危険ですねw 
おかげさまで設定資料集がこれ以上反り返らずに済みそうです>ヨト語
おまけマップ、自分も早くプレイしないと……(汗

>>356御洒落さん
自覚無しに計算づく、それが天然の恐ろしさ。
どこまでもマイペースな彼女に振り回されるのも、幸せといえば幸せかも(汗
361名無しさん@初回限定:05/03/01 22:02:57 ID:+ym2451M
エスの部屋って、一階にあるのか二階にあるのか、どっち?
362名無しさん@初回限定:05/03/01 22:41:17 ID:DxNIjdsM
>>361
何故にこのタイミングでその質問が?w
しかしエス萌え第n人者として是が非でも答えねば。

確か最初悠人が寝てたのはエスペリアの部屋だったはずで。
庭にいるエスに親指立てるシーンがあって、あれが二階の窓からだった気がします。
...という訳で2階。
363名無しさん@初回限定:05/03/02 00:29:55 ID:RCon34+8
そもそも2階建てなのかな?
個人的には3階位だと思ってましたが。
364名無しさん@初回限定:05/03/02 00:54:26 ID:4HvKB5Cx
「えへへっあまいよっわっふるよりあまいよ〜。オルファのハクゥテがね逃げ出して詰め所の中を
走り回った時にね、エスペリアお姉ちゃんのお部屋にも入り込んだんだよ。その時はエスペリア
お姉ちゃんのお部屋は一階にあったんだ。あ、でもあのときエスペリアお姉ちゃん居眠りしてたね。
ハクゥテがほっぺなめたらびっくりしてたもん」
【オルファ談】

とのことです。
私………エス萌え第n人者
憂氏……エス萌え第n+1人者

よっしゃーw  
とは言えうろ覚え。追試しようにもちょうど良いSAVEDATAがない。確かに親指立ては二階のエスの部屋からですね。
メーカーの人この辺ちゃんとすり合わせ……るわけないか。

私の攻略順は  ウルカ>エス>陵辱>アセリア>オルファ>レスティーナ なのですが、アセリア以降は
何年何月何日にどんなことが起きたのかメモしながらプレイしてたり。

>363
少なくても複数階なのは確か。アセリア初登場時二階に上った気がする。
365名無しさん@初回限定:05/03/02 01:15:44 ID:zPmTVDjo
私は、普通に2階建てだと思ってましたが…。
あれ?そもそも、エス以外の個人部屋は2階?
悠人の部屋がかなり広い(ベッドにテーブル、椅子4脚、ソファー設置。12畳位?)んで、
そーすると、2階が結構無茶な事に。
それなら3階もあるのかなぁ……?いや、そもそも1階の広さが分からんけど…orz

366名無しさん@初回限定:05/03/02 01:34:51 ID:4HvKB5Cx
食堂や厨房、さらに風呂もあるわけですから。これらは一階でしょう。で、この上に二階がある。
背景絵で見る限りカナリ大きな作りなのでしょう。この世界では当たり前の広さなのかも。
おそらく2階建てだと思います。佳織拉致の辺りで何かそれらしいのないかな?

もしかするとエスペリアは自分の部屋をユートに譲って一階の空き部屋に移ったのかななどと思うのです。
367名無しさん@初回限定:05/03/02 01:37:01 ID:uitrw+Ok
あれ?一階じゃなかったっけ?

誰かハクゥテ捕獲イベントのデータ残ってたら確認して下さい。
お願いします。
368名無しさん@初回限定:05/03/02 01:47:45 ID:bp5x68kN
ときたま部屋換えがあるとか。
ユート様が誰の部屋にいくのか、誰が元ユート様の部屋にいくのか。
スピたちもドキドキ。
いや、本編でずっと1詰にいるからありえないんですけどね。
369名無しさん@初回限定:05/03/02 02:15:19 ID:LD+OKDSo
この場を借りて唐突に白状致す。

リョージョクルートはこのスレに出会うまでまともにやってませんでした。
ヘリオンくらいまではテキスト真面目に読んでたんだけど、
似たようなHシーンばかりで面倒になっちゃってスキップの嵐。
雑魚スピの側面を知るためにやり直してたらハマりますた。
動機は純粋だったんだけどなあ...ゴメンよナナルゥ(謎ヴェージ

>>364髪結い氏
しまった〜!!気にはなってたんですよ、ハクゥテイベント。
私もあれは1階だった気がします。
くっ、口惜しくなんか...口惜しくなんかないぜっ!+1なんて...ッ!
それにしてもエス萌え師匠と私の間には誰もいないのですか?ちょっと赤面。
370名無しさん@初回限定:05/03/02 07:47:47 ID:fU/uKDu0
隊長室と副官室、厨房や風呂等の共用施設が1階
スピリットの私室が2階
エスペリアはユート出現前事実上のスピリット隊リーダーだったが
公的な地位になかったので2階の私室にいた。
しかしユートのスピリット隊隊長就任と共に正式に副官に就任した為、
公務を優先し1階に移った。

……こんな感じでどうでしょ?
371名無しさん@初回限定:05/03/02 08:08:26 ID:TwF/r7uH
>>358
サンクスです、EXで載ってるんですね…。
ナナルゥの変更ってのが気になる所。
372名無しさん@初回限定:05/03/02 20:56:47 ID:rg9KyiGj
親指たてるのって
どういう意味だったっけ?
373名無しさん@初回限定:05/03/02 21:20:45 ID:KftIwr/U
>>372

や・ら・な・い・か

…ゴメン。一度言ってみたかっただけ。



リアルの就活で靴擦れ…ハリオンあたりに治してもらいたい!
けど、ウルカもいいかなぁ〜
374名無しさん@初回限定:05/03/02 23:20:47 ID:rg9KyiGj
>>373
うほっ いいエトランジェ。

なるほどサンクス
375名無しさん@初回限定:05/03/02 23:33:57 ID:4HvKB5Cx
追試したいけど、第一章からやり直さないとダメっぽい……。三章頭のはあるのに、オルファに誘われた時
ついて行ってないDATAだからいじっても直せない。

>369
確かに進めば進むほどやっつけ感が漂ってきていたお燗。

マインドを高速で上げるんだっ! そうすれば前から後ろから……いや前にも後ろにも間にもエスモエ野郎が
マナ蛍のように美しく飛びかっているのが見えるはずです。キレイだ。ハァハァ。

>370
うんそんな感じかと。就任直後はエスも悠人との間に壁を作って、隊長と部下という関係に冷やすことで、
傷つくのを回避しようとしてた感があるし。



ナナルゥの声って代わってたのか。声が変わっていたのは分かってたけど新録なだけだとばかり……。


376名無しさん@初回限定:05/03/03 19:11:51 ID:df22KNQ1
>>375
>マインドを高速で上げるんだっ!

    無理。

まあ、そう言わずに二人で「低マインドなエス萌え世界」を築き上げましょうよw
377YOU'RE ROLLING THUNDER(前編):05/03/03 20:56:08 ID:df22KNQ1

稲妻が神剣と同化したその醜悪な躯体に風穴を空ける。

「そんな...僕が...この僕が負ける、なんてッ...!」

未だ自分の敗北が受け入れられない「統べし聖剣・シュン」の体が、
空間に溶け込むように消滅して行った。

―――聖ヨト暦332年、コサトの月、黒ひとつの日。

若きエターナルを擁したラキオス軍勢は、雪原ソーン・リーム台地において、
法皇テムオリン率いるロウエターナル陣を見事に打ち破った。
...そう、ファンタズマゴリアは間一髪、消滅の危機を脱したのである。

「――これで、この世界での私の役目も、終わったようですね。」
カオスエターナル・『時詠』のトキミが静かな微笑みを浮かべて、言った。
「本当に有難うございます、トキミ様。貴女の力がなければどうなっていた事か...。」
涙すら浮かべながら、エスペリアが深く頭を下げた。時深が慌てたように手を振る。
「そ、そんなに大げさに礼を言われると困ります。今回の勝利は何と言っても
新たなエターナルの力に拠る所が大きいのですから。」

そう言いながら巫女姿の永遠者が満足気に、自らも属するカオス陣営に
加わったばかりの若きエターナルを見やった。
378YOU'RE ROLLING THUNDER(後編):05/03/03 20:58:39 ID:df22KNQ1
「ほーんと、すごかったよねー!くーるなネリーもびっくりだよ!」
ネリーが天使のような笑顔でそのエターナルの周りを駆け回る。
「まるでロウエターナルたちがゴミのようでしたね。」
セリアも尊敬の眼差しを投げかけた。

「まあ、敵のカウンター攻撃にはちょっと参っちゃったんだけどね。」
照れながらハリガネ頭を掻く少女―――今の彼女に与えられた名は、「紫電のキョウコ」。

「でっでもすごいです!ライフ残1の状態になってもがんがん突っ込んでいくなんて!」
両手を胸の前で組みながらキョウコを見つめるヘリオンの瞳も、心なしか潤みがちである。

「全く、あの状態でスターダストを食らっても平気で立っていられるのは、
貴女を置いて他におりませぬ。」ウルカがしたり顔で頷いた。

「あはは…あんまりおだてないでよ、みんな。」
そう言いながらも、今日子の表情は緩みっぱなしであった。
「まあ、なんて言うか、追いこまれると強いタイプ?あたしって昔からそうだったのよねー。」

「さあ、そろそろ帰ろうか、俺達の家に。」苦笑いしながら悠人が言った。

「――あ、悠。……いたの?」

今日子の言葉は、その場に居た全員を何よりもサイレントフィールドだった。(意味不明)
379名無しさん@初回限定:05/03/03 20:59:35 ID:df22KNQ1
最近EXをプレイした。
一周目・時深ルート、二週目・今日子ルートだった。

レベル上げや建築を考えないでいい事が、こんなにも苦痛だとは思わなかった。orz
380名無しさん@初回限定:05/03/03 21:37:33 ID:3eHA/KGu
ころがるカミナリはコケにする。
いいぞーいぞん。


ちょっと作業っぽいですからね。
ところで文面から察するにセリアとネリーを一軍に入れていたわけですね(違? 今日子がいればそこのけそこのけ
サンダーストーム。
ヘリオン。今日子に傾倒しないように。中の人も困るだろうし。

私はシアーを入れてました。
381名無しさん@初回限定:05/03/03 23:22:52 ID:TxrVcdRn
『タイトル未定(仮)』
XUSE
『永遠のアセリア』のヒロインが活躍するゲーム

遂にハリオンの時代クルー
382名無しさん@初回限定:05/03/03 23:26:54 ID:pIurbk7f
ソコで華麗におbsn登場w
383名無しさん@初回限定:05/03/03 23:36:25 ID:ANeoFDtB
>381
マジ?
384名無しさん@初回限定:05/03/04 10:44:48 ID:rozxKZN6
385名無しさん@初回限定:05/03/04 12:27:32 ID:IqTRBD2e
>>380
テーマは「竜頭蛇尾」。あの強さは反則的ですな。
残りの一軍はニム、ハリオン、ナナルゥでやってました。

>>381-384
つ、ついに雑魚スピルートが?と考えてしまう私。
とりあえずエスルートは無印で充分です。
386名無しさん@初回限定:05/03/05 00:16:39 ID:ZVi1xTbF
「レスティーナの胸がもう少し大きかったらこの大地は変わっていただろう」

――――スウエリ(後世の歴史家)
387名無しさん@初回限定:05/03/05 00:28:15 ID:ncnXZZ2O
で、レム・・・じゃなかったレスティーナ様って一応何歳の設定なんだ?
388名無しさん@初回限定:05/03/05 00:53:08 ID:ZVi1xTbF
389名無しさん@初回限定:05/03/05 01:04:16 ID:+BjEBbs0
ファンタズマゴリア暦で主人公より二つ上……ねぇw
390名無しさん@初回限定:05/03/05 02:23:27 ID:IwudQqxR
それより時深の設定年齢の方が気になる。
391名無しさん@初回限定:05/03/05 08:23:51 ID:SeQlmCX9
>>379憂鬱さん
あくまで時深&今日子補完のEX。悠人は忘れられてもしょうがないのでしょうw
しかしそんなことより。
セリア、尊敬の眼差しでそんなはしたない事を言ってはいけませんね。バニッシャー。
392ア&セリア子供劇場]:05/03/05 08:45:15 ID:SeQlmCX9

アセリアとセリアは幼馴染です。
二人は物心ついた頃、一緒にエルスサーオに転送されてきました。
以来、遊ぶのもご飯を食べるのも訓練を受けるのも寝るのもいつもいつも一緒。
同じ青スピリットだったこともあり、二人は絵に描いたような仲良しさん……とはいきませんでした。
生まれた時から何を考えているかよく判らないアセリアはともかく、
セリアは何をやっても敵わないアセリアを密かに敵対視していました。いけませんね。

かちゃかちゃと食器の音だけがおごそかに響く詰め所食堂、お食事時。
セリアは今、ちょっとしたピンチに立たされています。
傍目からは無表情を装い、でもテーブルの下だけでもじもじと落ち着かない太腿を摺り合せていたりします。
青いニーソックスの皺がその度増えていって下から見てみると非常にえろちっくなアングルな訳ですが、
だからといって別に、トイレを我慢している訳でもその手の趣味の方を喜ばそうとしている訳でもありません。

実はただ、ラナハナが大嫌いなのです。それはもう、匂いから形から味から色からなにもかも。
助けを求めるように、横でこくこくスープを飲み干そうとしているアセリアをチラ見してみます。
白い喉が微かに動いて、どんどんスープが無くなっていきます。半開きの口元から見え隠れする白い歯が健康的ですね。
当時まだ百合なんて素敵なものに染まっていなかったせリアは、しかしそれを見ても劣情など起こしません。
ただひたすら、焦るのみ。何故って、それを飲んでしまえばアセリアのお食事が終わってしまうから。
393ア&セリア子供劇場]:05/03/05 08:47:50 ID:SeQlmCX9

普段なら、エスペリアお姉ちゃんに聞こえないように、小声でお願いするだけ。
それだけで、アセリアは何も言わずにセリアの分のラナハナを、こっそり代わりに食べてくれます。
そんな好き嫌いの無いアセリアは、セリアにとって格好の残飯処理施設なのでした。いけませんね。
しかし、今はそんな状況ではありません。普段から無表情なのが、こんな所で仇になりました。
つんと澄ました表情からは、怒っているのかいないのか見当もつきません。そう、二人は只今喧嘩の真っ最中でした。

無視されているのなら、半端なひそひそ声では反応してくれるとも思えません。
かといって、下手に口調を強めるとエスペリアお姉ちゃんの『献身』が光り出して無言のプレッシャを与えてきます。
普段から、テーブルマナーには厳しいのです。躾けられたセリアには、骨の髄までその恐ろしさが染み込んでいます。
このままラナハナを残してしまえば、お尻ぺんぺん&『献身』逆さ磔の刑では済まないでしょう。
以前アセリアがそれを受けた時、うっかり目撃してしまったセリアはその夜悪夢に魘されて布団に地図まで作りました。
何故か嬉々としてお説教を始めるエスペリアお姉ちゃんの表情がありありと目に浮かぶセリアです。

思い出しただけで下半身がむずむずしてきました。フォークを持つ手が小刻みに震えてきます。
かちゃっ。あ。今、エスペリアお姉ちゃんがぴくっと一瞬だけ動きを止めました。空気が一気に重くなります。
体中の毛細血管が締まった気がしてセリアはもうなりふり構っていられなくなりました。
皿のラナハナを纏めて串刺しにし、目にも止まらない速さでアセリアの皿へ。
正に「青」の本領発揮です。日頃の訓練の成果を生かす時が来たのです。生かしてどうする。
394ア&セリア子供劇場]:05/03/05 08:51:36 ID:SeQlmCX9

セリアの「白刃」が鮮やかに煌いた時。一瞬早く、何の予備動作も見せずにアセリアの左手が始動しました。
ラナハナを持ったセリアの右手の運動軸。その肘に腕を当て、動きを止めておいて手の甲を捻ります。お見事です。
かくん、とバランスを崩したまま、あっ、と軽く開いたセリアの口の中に、問答無用で大量のラナハナが飛び込みました。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
抑圧された状況の中、セリアの無言の叫びが食堂中に響き渡ります。口中に広がる豊穣な味わいは地獄への誘い。
鼻から突き抜ける独特の香りに、思わず腰を浮かしかけたセリアは慌てて自分を抑えます。
どうやらエスペリアお姉ちゃんは一見何も反応を示してしていないようです。大変良く出来ました。

セリアは忘れていました。そう、アセリアも「青」の戦士だという事を。しかも自分より数段上手の。
ですが嫌いなラナハナをたっぷり頬張ってしまった今のセリアにそんな事を考えるゆとりは有りません。
大粒の涙を浮かべながら、無言でアセリアを睨みつけます。もっとも口を開いたりしたら大変な事になってしまいますが。
当のアセリアは澄ましたもの。リスのように頬を膨らませたセリアを無視し、ごちそうさま、と席を立ってしまいました。

さて。そんな一連の騒ぎを、あのエスペリアお姉ちゃんが実は見逃す筈がありません。
いつの間にか手元に引き寄せた『献身』を握り締め、現場を押さえた後の物騒な事まで考えていたのですが、
セリアが無事ラナハナを食したとみるや、この件はとりあえず保留と決めて食事を再開しました。
アセリアの行動は、実はそんなエスペリアお姉ちゃんの動きを見ての咄嗟の事だったのですが、
追い詰められていたセリアにはそんな水面下での激しい諜報活動なんてわかりません。
なんと報われない事でしょうか。お涙頂戴もいいところです。たいへんよくできました。
395ア&セリア子供劇場]:05/03/05 08:54:33 ID:SeQlmCX9

一方取り残されたセリアの全身からは大粒の汗が流れ出しています。挙動不審にふらふら身体を揺すったりして。
その異変は周囲から見ても明らかなのですが、エスペリアお姉ちゃんが支配しているこの空気では、誰も声をかけません。
かちゃかちゃと食器の音だけが響き渡る中、一人また一人ごちそうさま、と席を立っていきます。
縋るような瞳が捨てられた仔犬の様なセリアですが、後に冷徹と言われたその精神力もそろそろ限界に近づいてきました。
強烈なプレッシャに、じわっと水玉パンツが湿ってきますが、それが汗なのか何なのかを考える余裕もありません。
いいかげんに疲れてきた顎を軽く動かすだけで、ラナハナの一部が喉を通りそうになります。非常に危険です。
「…………っ!」
一刻の猶予もありません。ちょっと突付かれただけでももう泣きそうなのです。
とりあえずこの場を離れないと、いたる所からあらゆる物が噴出しそうで、色々な意味での乙女のぴんちです。
背に腹は変えられません。切羽詰まったせリアは、そのままそしらぬ顔をして立ち去ろうとしました。

しかしやはりというか、そんな浅はかな策を見過ごすエスペリアお姉ちゃんではありません。
そしらぬ顔で飲み終えたスープの皿をそっと机に置いてたりしますが、
幼い頃から人には言えない様な修羅場を数々くぐり抜けてきた勘はだてではないのです。
腰を浮かしたか浮かさないか、そんな僅かなセリアの挙動も許さず放った言葉は、
文節を馬鹿丁寧に短く切った、とても低く重たい最後通牒でした。
「…………セリア、『ごちそうさま』、は?」
「っ!!」
こちらも見ずに呟いた一言は、ものの見事にセリアの心臓を鷲掴みにし、彼女の下腹部から緊張を奪い去ります。
生暖かくなったパンツを感じながら、セリアはごくり、と喉を鳴らしました。……もちろん、ラナハナを飲み込みつつ。
「ひぁっ…………」
やりました、セリアが苦手を克服しました。レベルがレベルが新たなレベルが日々精進です。
396ア&セリア子供劇場]:05/03/05 09:05:29 ID:SeQlmCX9

「ご、ちそ、うさ、ま…………」
変に裏返った声で答え、嬉しさの余り、目から大粒の汗を流して立ち尽くすセリア。
エスペリアお姉ちゃんがいつの間にか取り出したハンカチで、そっと目元を拭っています。
こっそり柱の陰で覗いていたアセリアも、何だかうんうんと満足そう。
…………感動的な光景の中に何故か戦慄を憶えるのは気のせいでしょうか。気のせいでしょう、きっと。
お姉ちゃんがセリアの為にと出来るだけ味を出さない様苦労して作り上げたレシピが、今まさにその成果を上げました。
いつか又ラナハナが苦手な誰かさんが現れた時、この矯正メニューがきっと生かされる事でしょう。

セリアはその後、二度とラナハナを残さないようになりました。うんうん、やはり好き嫌いはいけませんね。
ところでセリア、喧嘩はどうしたのかな?


セリア「…………これ、ユートさまに見せたら 殺 す わ よ 」
ヒミカ「……降参降参。わかったから、喉元の『熱病』離してくれない?とても冷たいから」
アセリア「あの時はセリア、勝手に怒ってた、うん」
ヒミカ「ふぅ、大体なんで二人共、喧嘩なんてしてたのよ」
セリア「う…………アセリアがいきなり私の皿にラナハナ乗せたのよ。嫌いだって知ってたくせに」
アセリア「違う。エスペリアに頼まれただけ。それがセリアの為だって言ってた」
セリア「……へ〜そうなんだ。ふふふふふ、昔からエスペリアときたら限度を知らないというか…………」
ヒミカ「セリア、『熱病』光ってるよ。ちょっと落ち着きなさいって」
セリア「うるさいわねっ!貴女がこんなもの書くからでしょっ!これもうエンゲキなんて何も関係ないじゃないっ!」
ヒミカ「まぁそうなんだけどね……いいじゃない、ユートさまと嫌いな物が一緒だったなんて」
セリア「な、いいいいきなり何を…………あ……もしかしてユートさまもエスペリアに…………?」
エス姉「わたくしがどうかしましたか?」
セリア「きゃっ!エスペリアお姉…………なななっ、なんでもないわよっ!!」
アセリア「あ、『熱病』静かになった」
397名無しさん@初回限定:05/03/05 09:06:48 ID:ixh1FUmt
アセリアgj
398信頼の人:05/03/05 09:07:46 ID:SeQlmCX9
あとがき

嫌よ嫌よも好きのうち(違
399名無しさん@初回限定:05/03/05 11:09:30 ID:hMAOtjgO
お疲れ様。

>396
>セリア「…………これ、ユートさまに見せたら

 「ユートに見られた(読まれた)編」を読んでみたい気も...
400名無しさん@初回限定:05/03/05 12:47:00 ID:d0zfxZj0
GJ!ユートはラナハナも駄目なんでしたっけ?
やばい・・・覚えてない・・・リクェムは覚えてますが・・・

ユ「ふぅ・・・俺リクェム駄目なんだよな・・・」
セ「隊長がそんなことでは・・・皆の規範となってこその隊長ですよ。
  情けない・・・」
ユ「そんなこと言ってもなぁ・・・セリアは苦手なもんとかないのか?」
セ「・・・う、い・・・いえ、ないです。ネリー達にだって示しがつきませんから。」
ユ「そうか・・・セリアは偉いな・・・見習わないと。」

ナ「くすっ」
セ「な、な、な、見てたわね、ナナルゥ!」
ヒ「嘘はいけないなぁ、セリア。」
セ「な、アンタまで!う、嘘じゃないわよ!今は食べられるし。」
ヒ「でも苦手ではあるんでしょ?それなのにユート様には厳しいのね。
  ユート様、すっかりセリアには苦手な食べ物ないって思ってるわよ?」
ナ「好きな人には弱みを見せたくないと・・・可愛いですね、セリア。(くすっ)」
セ「そこ!笑わない!」



401名無しさん@初回限定:05/03/05 15:54:37 ID:rgdI810R
>400
ヒ・ナ『「だって、本当の事だもんねぇ〜」』

402名無しさん@初回限定:05/03/05 17:33:35 ID:/9MM30MP
>やりました、セリアが苦手を克服しました。レベルがレベルが新たなレベルが日々精進です。

ワラタ。こういう細かい芸が大好きですw
403名無しさん@初回限定:05/03/05 18:15:17 ID:fM8TiNpt
>>398
乙かれ様でした。
名物シリーズ「ア&セリア」も、そんなこんなで第10弾。
一体いつからエスペリアお姉ちゃんはマジシャンになったのか。
回を重ねるごとにレベルが上がっているのは、セリアだけではないようです。
404名無しさん@初回限定:05/03/06 02:15:35 ID:gsF25HBM
>>379 憂鬱氏
EXやってないですが、今日子が素敵に無敵なのは、よく分かりました。
とゆーか、普通で十分強いのに、エタ化しちゃったら敵が可哀想な気が…。
……まあ、Sだからいいのか(ぉ
激しく遅レス、すいません……。
>>398 信頼氏
…私を笑わせて、どーするつもりですか。ちくせう、面白いです!
毎度の事ながら、エスペリアお姉ちゃんが大変いい味出してると思います。
自分で書くと、動いてくれないのが悲しいですが…。
あ、395の14行目の「せリア」は、誤字?でしょうか。
いや、これはこれで全然問題ないですけど(笑
405蒼い光 1/4:05/03/06 02:18:58 ID:gsF25HBM

私は、昔からアセリアの事が嫌いだった。

理由は……それこそ幾つも。
いつも、何を考えてるのか分からない所。
いつも、マイペースで私の事なんかお構い無しな所。
いつも、何にでも反発しがちな私に対するあてつけの様に、自分に素直な所。
いつも、アセリアの何倍も努力している私を、剣技で負かす所。
エトセトラ、エトセトラ……。

……止めよう、キリがない。こんな事考えてたって何の意味も無いのだし。
とにかく、私はアセリアの事が嫌いなのだ。
そう、今も昔もずっと……。


今、そのアセリアは私の目の前にいる。
…いや、しかし『いる』と言っていいのだろうか。
それはやはり間違っていて、『ある』と言うべきなのか。……私には、分からないけれど。

今のアセリアの瞳は、私どころか何物をも写さない。
そこに浮かんで来るのは、ただの虚無、…それだけ。
今のアセリアの口は、意味のある言葉を発しない。
紡がれるのは、神剣の意志を代弁するかの様な言葉の羅列、…それだけ。
今のアセリアの身体は、必要以上に動かない。
反応するのは、食事、睡眠、最低限の身体状態の維持に対する項目、…それだけ。

確かに、元々口数が少なく表情の変化も乏しかった。人形ぽかったと、言えなくも無い。
…それが、今は完全な人形になってしまった。
つまり、何?
アセリアは喋るのも、表情を作るのも面倒になって、自分の意志で…望んでこうなったとでも言うのか?
406蒼い光 2/4:05/03/06 02:20:03 ID:gsF25HBM

「ふふ……ふふふ……あははははっ……」
自分で考えた事ながら、その馬鹿さ加減。可笑しくって笑ってしまう。

………けれど、アセリアが自分の意志でこうなったというのは、ある意味正しいのだ。
勝手に、ハイペリアに行って。
勝手に、ユート様を助けて。
勝手に、神剣に精神を呑み込まれて。

………………………ふざけている。
あまりにも……あまりにも、勝手過ぎる!

きっと、神剣と同化する直前。アセリアにはユート様を助ける事、ただそれだけしか頭になかったのだと思う。
こんな状態になる事や、それを私がどう思うのか…そんな事、欠片も考えなかったに違いないのだ。
…ああ、知っていた。アセリアは、こういう奴だって。
いつも、いつでも本当に自分勝手な奴だって!!

アセリアなんて、嫌い。大っ嫌い。
………………なのに、何で。

「何で……私があなたの為に泣かなくちゃならないのよッ……!?」
気が付くと涙が瞳から零れて、頬をつたっていた。後から後から、溢れて止まらなかった。

407蒼い光 3/4:05/03/06 02:21:11 ID:gsF25HBM

狭い部屋の中で、聞こえるのは私の嗚咽だけ。
どんな言葉だって、今のアセリアには届かない。だから、私の言葉に答えてくれる人もいない。…当たり前だ。
けれど、それが無性に腹立たしい。
いつもいつもいつも!アセリアは、私を腹立たせる。


………………………いや、違うか。もう、いい加減分かってる。
私が、常に腹を立てていたのは……私。
相手の気持ちを何も考えなくて。素直じゃなくて。そして、いつだって無力な私自身。

……………今頃、気付く。
私は、ずっとアセリアの事が好きだった。そして、羨ましかった。
でも、自身の嫌な所を認めたくなくて、それらの理由をアセリアに転嫁しようとしていただけ。
…そのせいで、一体、今までどれだけ突き放した態度をとってきただろう。
悔恨の念が、押し寄せる。これまでのアセリアと過ごして来た日々、その中の自分に。

…けれど、なんて皮肉な話。アセリアがこんな風になって、今更そんな事に気付いても、どうしようもない。
謝っても、その言葉は決して届かないと言うのに。

これは、罰なのか。それとも、アセリアなりの私への報復なのだろうか。
そんな考えまで浮かんで来る。

私は、泣いた。
哀しくて、悔しくて、淋しくて…泣いた。
ただ幼い子供の様に、泣き続ける事しか出来なかった……。

408蒼い光 4/4:05/03/06 02:22:11 ID:gsF25HBM

―――斬る。何も考えず、ひたすらに敵を斬る。アセリアに負けない様に。

対マロリガン戦。その戦線に復帰したアセリアの活躍は、目を見張るものだった。
殺意だけに縛られたアセリアの剣は、一片の容赦も慈悲もなく、多くの敵を斬り捨てた。
しかし、それを活躍などと称したくはない。
だって、敵スピリットを斬り殺す度、アセリアの精神は磨耗していってしまうから。

結局の所、私にできるのは敵スピリットの数を少しでも減らす事だけだった。
…こんな事をしても、無駄なんじゃないか?
正直、『熱病』を振るいながら、何度そう思った事か分からない。
でも。決めたのだ、私は。信じる、と。

血塗られた道の先に一筋の光がある事を、私は信じる。
それは、蒼く純粋な光。
いつも、どんな時でも、私の心を動かさずにはおかない光。
嫌いだ、嫌いだと、私は嘯いてしまうけれど…。本当は、大好きな……そんな光。


…尤も、この私を泣かせたのだ。
一発引っぱたいて、説教の嵐になる事ぐらいは、覚悟しておいてもらわなければならない。
もちろん、その後でちゃんと謝るけれど。
私が、本当の意味でアセリアと一緒に過ごす日々は、そこから始まる。だから。

―――だから、早く戻って来なさいよね、アセリア!

409御洒落の人:05/03/06 02:23:32 ID:gsF25HBM
後書き

セリア一人称SS『蒼い光』を、お送りしました。
珍しく、悠人が出てきません。と言うか、私のSSでは初めて。

アセリアルート。
エスペリアやオルファは、割と簡単にアセリアの自我喪失を受け入れていた様な気がしたわけで。
一番近しいセリアならどう思うか、って事で書いてみました。
…まあ、何か予想以上に重くなりましたが(汗

しかし、今回一番の問題点は「ア&セリア劇場」の後にこれを載せた事だろうなぁ……。
ゴメンナサイ、信頼氏。ほのぼの空間を台無しにして……orz
410名無しさん@初回限定:05/03/06 05:16:08 ID:IUdiY5Qd
ところでラナハナてなんでしたっけ?にんじん?
411名無しさん@初回限定:05/03/06 06:38:06 ID:eF7pP+Fi
>398
よかったねよかったね。エスペリアとアセリアはセリアのためを思えばこそ鬼になれるのです。
ああこの姉妹愛。美しいですね。ん? どこからか抗議の声が……空耳?

セリアもいつかわかる時が来ます。だからそれまでレベルアップに努めるのです。
あ、でも上げすぎると素人隊長にたいして「逝ね」とかいってしまうかも。ツンデレ虫も好き好き。
アセリアの強力な化頸にセリアはもう手も足も口もw あ、しっぽが残ってるなw 


]ですな。セリアの受難はどこまでも〜♪ 
ヒ「ねえセリア。これずいぶん溜まったから、戦いが終わったらまとめて本にしようかと思うのだけどどうかしら?」
セ「ヒミカ、私のハイロゥが白いうちにいい加減その口を閉じたほうが良いと思うわ」
ヒ「………………ん」
セ「書くのもダメ!!」
エ「セリアったらなんで娘に……育て方間違えたのでしょうか。あ、印税よろしくお願いしますね」
ア「たくさん、買う。ん、皆に読んで欲しい。わたしとセリアのた(ry


>409
蒼い光は、空で散乱するのです。決して真っ直ぐに相手に飛び込まないで。
でも、ほら。いつの間にかセリアのまわりを包んでいるでしょう? もしかしたらずっとそれに気づいて無かっただけなのかも
知れませんね。
そして同じ光をセリア自身も発していると言うことに、ね。

412名無しさん@初回限定:05/03/06 18:44:36 ID:HF18yC1I
>>409御洒落氏
相手構わずツンデレぶりを発揮するようですね、セリアさんw
それにしても「翼」といい、今回といい、このところ蒼づいてますな。

あー、EX未プレイでしたか...わかんないネタですみません。
バグじゃないかと思うくらい強いです、Eキョウコ。

>>410
ラナハナ=ニンジンです。ユート君はリクェムもラナハナも苦手だそうです。
413名無しさん@初回限定:05/03/06 21:47:59 ID:5QtanqX6
>>397さん
即レス有難うございます。アセリアちょっと影薄いので心配していたのですが。
>>399さん
その場合だと、「ヒミカを殺してわたしも死ぬっ!」とかで路線変更に(ry
>>400さん
公式設定資料集ではそうなってます、一応>ラナハナ
うぁやられた……そうです、そんな感じでセリアをいぢめたい訳です、自分も(ぇ
>>402さん
すみません、これ、ネタ元晒すと初代スレ79さんのレスです(汗
当時これに大爆笑した記憶がありまして、勝手に拝借してしまいました。
>>403憂鬱さん
元々一回きりの短編だったア&セリアがここまで成長したのも、
ひとえに連作に応じてくださった髪結いさんや9スレ465さん、それにスレの皆様の妄想のお陰です。
ちなみにエスペリアお姉ちゃんの存在感が段々増えていっているのは憂鬱さんの影響だったりしてますよw
>>404御洒落さん
いえ、問題オオアリでしょう、せリアじゃ(汗
辞書登録してないのがバレバレになってしまいました。あはは(遠い目
>蒼い光
嫌いだという事は失うと喪失感があるという事なのかも知れません。
ある意味ア&セリアと並んでいるのが妙に嬉しかったり。
>>411髪結いさん
]ですねw
なんだか自分が書くとどうしてもセリアメインになっている気がしないでも無いですが(汗
っていうかそのやりとりは後書きに残して置きたいほど面白いんですがw
414スピのエプロン〜ナナルゥ編:05/03/06 22:19:30 ID:H8rTLKBA
最近ナナルゥが料理を作ってくれる。
それも頻繁に。ハリオン曰く、どうやら料理に凝っているらしい。
・・・それはいい。俺だって男だ。女性が手料理を作ってくれれば嬉しい。
それがナナルゥのような美人ならなおさらだ。
だが、一つだけ困った事がある。それは・・・
「なんでいつもラナハナとリクェムが入ってるんだろう?」
俺はこの二つがどーにもこーにも駄目なのだ。
佳織やエスペリアに無理矢理食べさせられたりもするが未だに克服できない。
この前はレジストで抵抗力を上げてみたが駄目だった。
しかもエスペリアに食事中にスキルを使うのはマナー違反です、と注意された。
そんなマナーあるのか?まだまだファンタズマゴリアには不思議がいっぱいだ。
おっと、話がそれたな・・・今はナナルゥの料理のことだけを考えよう。
ちなみに今日のメニューはリクェムの肉詰めとラナハナのサラダだ。
何度見ても変わらない、リクェムとラナハナに間違いは無い。
415スピのエプロン〜ナナルゥ編:05/03/06 22:20:48 ID:H8rTLKBA
「どうかしましたか、ユート様?」
料理を食べはじめない俺にナナルゥが問いかけてくる。
「もしご気分が優れないのでしたら無理をなさらなくても・・・」
魅惑的な提案。正直同意しそうになる。
だが残念そうなナナルゥを見てそんな言葉を吐けるほどマインドは低くない。
「いや、元気だし腹も減ってるぞ。ちょっと考え事をしていただけさ。」
そうだ、せっかく感情を取り戻しつつある彼女にそんな酷いことは出来ない。
ええい、南無三!覚悟を決めて食べ始める。
くっ・・・口の中にピーマン、いやリクェムの味が広がる。うえー。
「どうですか?今日のは自信作なんですが。」
うん、たしかによくできてる。エスペリアやハリオンにだって負けてはいない。
そう、ナナルゥの腕は良いのだ。アセリアやウルカとは違い(失礼)
これでリクェムとラナハナさえなければなー。
「うん、うまいよ。ナナルゥ、また腕を上げたみたいだな。」
「ありがとうございます。次もがんばりますね。」
次っすか・・・なまじ上手なんで褒めざるをえない。
そして困ったことにナナルゥは褒められるとやる気を出すタイプらしい。
こういうのも悪循環と言うのだろうか?いや、嬉しいことは嬉しいのですよ?
それに嬉しそうに微笑むナナルゥは・・・その、可愛いと思うしな。
(・・・誰に説明してるのだ?契約者よ・・・)
416スピのエプロン〜ナナルゥ編:05/03/06 22:22:30 ID:H8rTLKBA
後日、悠人とヒミカ―
「・・・ということが最近あるんだけど。あれは悪気はない・・・んだよな?」
ナナルゥと仲の良いヒミカに聞いてみた。
「・・・多分。」
ヒミカから返ってきたのは何とも曖昧なご返答だった。
「そっか・・・どうせなら俺の好きなもんでも作ってくれればもっと嬉しいんだが・・・
いや、作ってもらってる側だから文句なんか言える立場じゃないことは
わかってるんだぞ?いい年してリクェムやラナハナ食えない俺も悪いんだし・・・
それにナナルゥが手料理を作ってくれるのは本当に嬉しいんだぞ?
リクェムとラナハナ料理以外は文句無く旨いしな・・・あれなら毎日食っても・・・
はっ!!!何言ってんだ俺は・・・」
「はいはい・・・言い訳するんだか、のろけるんだかハッキリしてください。」
417スピのエプロン〜ナナルゥ編:05/03/06 22:23:23 ID:H8rTLKBA
また後日、ヒミカとナナルゥ―
「・・・ってユート様言ってたんだけど。なんでいつもリクェムとラナハナ使うの?」
ユート様には口止めされてたけど気になったので聞いてみた。
「ナナルゥだってユート様がリクェムとラナハナ嫌いなの知ってるんでしょ?
エスペリアみたいにユート様の苦手克服の為?」
「違いますよ。」
「えーと、まさか嫌がらせとか?」
それはないわよねぇ・・・この娘、ユート様好きみたいだし。
「当たらずとも遠からずというか・・・私好きなんです。
ユート様が変な顔して一生懸命リクェムとか食べてるの見るのが。」
・・・それはなんとも・・・マニアックな・・・
「変ですか?」
「すっごく変。」

料理は愛情!ラブイズオーケー?

よくわからないまま終わる。
ラナハナ、リクェム話に便乗して。
・・・なんだよユート・・・幸せそうだな。
おかしいな恒例の料理ネタで酷い目にあわせようと思ったのに・・・
あ、ナナルゥ編とか書いたけど他のスピのネタは考えてませんです。
セリアさんはSSの感想ついでの小ネタで消費したし。
最近ナナルゥとヒミカコンビが妙に好きです。
問題はその魅力が描ききれてるのか?ということですが・・・
ではこの辺で。
419名無しさん@初回限定:05/03/06 22:49:32 ID:5QtanqX6
>>418霞さん
変な顔が好き……
不思議少女ナナルゥさん、ものの見事な面目躍如w
ヒミカの質問にコクコク頷く姿が浮かんできてほのぼのしました。
ニムントール辺りでも何か出来そう>エプロン
420名無しさん@初回限定:05/03/06 23:01:09 ID:HF18yC1I
>>418霞氏

小悪魔ナナルゥ乙w ユート君好き嫌いはいけません小学校でも習ったはずです。
あまつさえ食事中のスキル使用なんてもってのほかです。マナの無駄遣いは
やめましょう…ってそれはマナ違反うわ馬鹿何をしやがるnd\wいぐにっしょntr¥gdf
421名無しさん@初回限定:05/03/06 23:14:27 ID:eF7pP+Fi
>417

「…………心地よい熱を。」

「ナナルゥッ、て、敵はアポカリUを撃ってくんだぞっ! ヒートフロアなんか使うなっ!」

ドッカーン

「…………ユートさまを困らせる。わたしの愛は命がけ」

    ,ィ^i^!                                   
   ,(レ´  ̄:;.:.:...                          
   i`_l !i_!li:;.:゚..;.:  「…………わたくしは巻き添えですか?」            
    jixi」メ゚ヮ:;:...'...                                            
 


おそらく悠人の気持ちがそれてうわの空で食べてくれそうな方法があるのですがね。

   ネ 果 工 7゜ 口 ソ

皿が紅に染まるかもしれんけどw
422名無しさん@初回限定:05/03/07 02:39:18 ID:WvtHOyGD
>>411 髪結い氏
蒼い光は空で散乱する…うわぁ、それも絡めた方が良い話になったはず。
勉強になります。
しかし、>>421
これ巻き添えとかじゃなくて、恋敵の抹殺狙ってますよ、ナナルゥ!絶対。
…最近の私のエス株急上昇は、本気で髪結い氏と憂鬱氏のマインドコントロールを疑ってます(笑
>>412 憂鬱氏
アセリアだけは特別って感じがするのですよ、セリア。何となくですが。
蒼づいて…確かに。大丈夫です、次は違いますから!
Q.次って、…翼第二話は、どうなっているのですか?
A.………………予定は未定。
>>413 信頼氏
案外どうでもいい物以外は、大事な物なのかも。
妙に嬉しかったり…そう言って貰えると、こちらとしても嬉しいです(笑
これからも、「ア&セリア劇場」応援しております。
>>418 霞氏
変=ナナルゥ。ナナルゥの真価は、「変」にこそあり!
しかし、それでラブラブを成立させるとは……。恐るべし。
私には、無理です……orz
423エスペリアの憂鬱W:05/03/07 10:12:45 ID:DG3dOfri
「お言葉ですがレスティーナさま。わたくしは反対ですっ」
 エスペリアのあまりにも意外な言葉に、ただでさえ狭苦しいヨーティアの研究室は緊迫感に
押し包まれた。
 盲信しているとも言えるほどレスティーナを慕っているエスペリアが、面を冒してこのよう
な発言をするなど、この場の誰にも考えられることではなかった。
「エスペリア、具体的に言って下さい。この抗マナ化計画は、この世界を救い存続させるため
には避けて通ることの出来ぬ方策なのです。そのことを理解した上で言っているのですか?」
 さすがに驚きを隠せないものの、努めて冷静にエスペリアに反問するレスティーナ。
 エスペリアはこの大事に対しどのような理由を告げるのだろう。皆が固唾を呑んで見守る中、
エスペリアは言う。

「そのようなことをされたら、マナ式全自動洗濯機が使えなくなってしまいますっ。洗濯板は疲
れるのです。お肌も荒れますし、何枚も洗うのは骨が折れます。毎日毎日お洗濯するのは大
変なのですよ?。それにユートさまが毎晩シーツを……お察しくださいませ。キャッ  
あ、そう言えばハイペリアには乾燥機という物もあるそうです。このところ天候不順ですし、ヨー
ティアさまどうかお願 「エトランジェ・ユートッ!!」
「ハッ」
「後で私の部屋に来るように」
「…………御意('A`)」

 その後ヨーティアには、抗マナ化のための予算が三倍付けられたとか。
424ファーレーンの憂鬱:05/03/07 10:25:46 ID:DG3dOfri
「春だね、お姉ちゃん」
「そ、そうねニム」
 めっきり春らしい日和。
 少し前までは、城壁に阻まれて日差しが届くことが無かったというのに、今はその石積みの上
空高く昇った太陽が、春の暖かさをもって惜しげもなく周囲を包んでいた。
 第二詰め所を出て歩くふたり。やや風が強いだろうか。

「……ねぇお姉ちゃん」
「な……なぁにニム?」
「いい加減無理しない方がいいんじゃないの?」
「そ、そ……ん……、、な、こ、こ  ヘクシッ」
 腰に手を当てニムは、はぁ、と小さくためいき。
「ほらっ、もうお姉ちゃんって世話が焼けるんだから」
「ニ、ニムゥ゙〜 ダ、だって〜 ちーん」
 渡された懐紙で鼻をかむファーレーン。だけどやっぱり一時しのぎに過ぎなくて。
「ゆ、ゆーとさまがねぇ あヒ クシッ クシュックシッハクシュッ」
「だってじゃないでしょ。ほらまた」
 再び懐から懐紙を出し、今度はファーレーンの顔を拭いてあげるニム。最後にそのまっ赤な
鼻に当ててちーん。
「うう゛〜ニム〜〜」
 なんだか怨みがましげな目でニムを見る。既にその顔は涙でグシャグシャ。鼻はまっ赤で、
あの清楚で落ち着いた美貌は見る影もない。ついでにあのマスクもない。
425ファーレーンの憂鬱:05/03/07 10:28:38 ID:DG3dOfri
「だって、ユートさまがね。ユートさまがね」
「はいはい。何度も聞いてるから」
 ニムはにべもない。

 昨日のユートのセリフ『ファーレーンさ、マスクで隠す必要なんて無いんじゃないか?そ、
そのせっかく美人なんだしさ』

 Critical!

「まったくユートはいっつも余計なんだから。お姉ちゃん無防備だし。この時期のお姉ちゃん
にはホントにクリティカルなのにさ」
 そっぽを向いてニムはぶつくさ。
「え、ニムなんて言ったの?」
「何でもない。でもさお姉ちゃん? そんな顔でユートに会うわけ?」
「……ウウ、ニムぅーどうしよー」
「素直にマスクしたら?」
「で、でもユートさまがー クシッ」

 ニムから見れば本当に馬鹿馬鹿しい事で。一体何処に悩む必要があるのか。

「はぁ」
 春の日差しに溜息一つ 女心と花衣 お姉ちゃんには粉かけ禁止
426髪結いの人:05/03/07 10:53:10 ID:DG3dOfri
憂鬱シリーズ実行委員会の皆様から
「我々の知らない奴が入ってこれるわけ無い」とか「たかが髪結いが」とか言われたりして(汗)


とりあえずエスは水車式洗濯機でも開発して貰いましょう。

ファーは、なんかニムの憂鬱っぽいです(汗)
ゲーム内じゃ常春、アセリア設定資料集じゃ四季があるラキオス。どっちがファーにとって良い世界なのでしょうw
427名無しさん@初回限定:05/03/07 13:15:41 ID:dTG8/Phy
>>426
レ「…という訳です。マナは限りある資源なのですから余りシーツを
  汚してはなりませんよ、エトランジェ・ユート。どうしても汚したいのなら
  私の部屋に新しいシーツがいーっぱい有りますから、フ・フ・フ...」
悠「俺のプライバシーと人権は一体どこへ……(泣)」

ティッシュが貴重品な異世界で、自己処理すらままならぬエトランジェの運命やいかに。 
しかしエスペリア真の憂鬱は、彼のオカズが実はハリオンだったという驚愕の事実であった...お下品レスでスマソ。


ファー様が麗しきお顔を隠しておられたのにはそんな深い訳が!?
うう、ネタがかぶった気がする...「ファーレーンの憂鬱」書き直さなきゃ...(涙
ってゆうか妙な実行委員会を勝手に作んないで下さいw ちなみに杉は針葉樹です。
「しにょうじゅ」と打ち込んでも文句言わずに変換してくれるウチのIMEは優秀です(謎
4285_226:05/03/07 15:07:31 ID:ysYEfOet
アセリアファンサイトの方に、ペンネームMMMで一作投稿しました。
向こうに投稿すべきと判断した内容なのですが、
雑魚スピスレが無ければ出来なかった作品ですから、
このスレと住人の方々に感謝の意を込めて、御報告まで。
429名無しさん@初回限定:05/03/07 18:07:10 ID:FQvfaw8N
>>426
毎晩……悠人が枯れる日もそう遠くないですね。
エスペリア……恐ろしい子……!

ファーは花粉症なんスね。自分はなったことないですが、人が花粉症で難儀してる姿は傍から見てても辛そうです。
マスクの下には真っ赤に泣き腫らしたファーの素顔が。……あ、それはそれで。


却説。
自分も相変わらず書き殴っているわけですが……桃色マナ空間が書けないorz
いい加減間も空いてますし、そろそろ投下できると良いのですが。
430名無しさん@初回限定:05/03/07 20:00:59 ID:Ioc0JtlD
>>426 髪結い氏
悠人がアレなのに、幸せそうだなぁ、エスペリア(笑
ま、悠人は自業自得と言うか何と言うか…いい薬でしょう。

花粉症は人事じゃないので、笑うに笑えません……orz
涙目で困った顔のファーレーンは、想像するだに萌えますけど。
431漢達の談議 弐 1/3:05/03/07 20:04:55 ID:Ioc0JtlD
――――ラキオススピリット第一詰め所。悠人の部屋。
今日もここで、不毛で下らない、実にどーでもいい会話が、漢達によって繰り広げられるのであった。

「悠人よ、今日はいい物を持ってきたぞ」
「…どーせ、ろくでも無い物だろ。聞かんでも、それくらいの予想はつく」
「あまり、俺を嘗めてもらっちゃ困るな。皆のスリーサイズデータ、と言っても見たくないのか?」
「な、なんだってーーー!?と、当然二詰めの皆の分も、あるんだろうな!?」
「…いや、それは諸事情により入手出来なかった」
「………くっ、期待させやがって……orzもう、いいよ……」
「見ないのか?」
「…後学の為に、一応見よう」

―――鑑賞中―――

「ふーむ、成る程ねぇ…。
エスペリアのB86/W57/H87、アセリアのB74/W55/H75ってのは、まあ、かなり妥当な数値だよなぁ」
「俺的には、B63/W50/H64のオルファたんハァハァ(;´Д`)って感じだが」
「…分かってるよ、んな事は。ところで、お前にとってB75/W55/H74の今日子ってセーフなのか?」
「うむ。ややアウト気味だが、今日子のライトニングハリセンの気持ち良さは捨て難い物がある。
だから、ギリギリOKだ」

…こいつ、完全に開き直りやがった…。
そりゃ、確かに別にいいって言ったが…HENTAI街道を突っ走られても、親友としては対処に困る所だ。
とりあえず、M光陰から心持ち距離を取る俺だった…。

432漢達の談議 弐 2/3:05/03/07 20:06:33 ID:Ioc0JtlD
「ま、ともかく。大体は、問題無いと思うんだが…。
しっかし、この時深のB69ってのはヤバくないか?あの年で」
「そうだな。つるぺたは大好きだが、さすがにあそこまで年増はちょっとな……」
「……年増でB69と言うのは、そんなにヤバイのですか?」
「ああ。年が年だし、せめて70以上は………………って、え?」

はて、今の声は一体…?
今現在、この部屋には俺と光陰の二人だけしか居ない筈なのだが…。

俺達は、二人揃ってギギギギという擬音を鳴らしつつ、ゆっくりと首をドアの方に向ける。
そこには……やっぱりと言うか、何と言うか、微笑みを浮かべた時深が立っていた。
背後に『鬼』の形をした闘気を背負って……!((((゚д゚;;))))ガクブル

「あ、あのだな…こ、これは違うんだ、時深!…その、落ち着いて聞いてくれ。
えーと…和服はスレンダーな体型の方が似合うって言うか…まあ、そういう事を言いたかった訳で……。
他意は無いんだ、断じて!」
「そ、そうっすよ。胸が全然無い方が和服、似合いますよ?
年の事は……まあ、気にしないのが一番?みたいな」

ブッチン!
何かが、盛大に切れる音がした。
…ってゆーか、馬鹿坊主の発言が、時深の最後のリミッターを解除しちまった感が否めねぇーーーー!!
433漢達の談議 弐 3/3:05/03/07 20:11:58 ID:Ioc0JtlD
一歩一歩、こちらに近付いて来る時深の足音は、まさに死刑執行のカウントダウン。
これを止めなきゃ…殺られる。((((゚д゚;;))))ガクガクブルブル
「………………………覚悟は出来ましたか?」
「で、出来てません!だから、ちょっと待った!頭を冷やそう。そう、冷静になるんだ!
合言葉はクール!!オ、オーケー?」
「………………問答無用!!」
うおおおぉぉ……orz 聞く耳ナッシングですよ、この人ーー!!(´Д⊂)
「待った、待った、本当に待ったーッ!!こ、この展開はもしかしなくても、もしかして―――!?」
「………お約束のオ、オラオラ(タイムアクセラレイト)ですか〜〜!?」
「YES!YES!YES!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァッッッ!!!」

薄れゆく意識の中、俺は思った。
………やっぱ、レスティーナのB66について言及するべきだった………。

―――漢達の談義は続……かず、悠人と光陰は無事ハイペリアに帰還できたのだった。………………魂だけ。
めでたし、めでたし。
434御洒落の人:05/03/07 20:13:23 ID:Ioc0JtlD
後書き

今回、小ネタ物語が取れてシリーズ物に!?と思ったら、あっさり完結しやがりました(笑
やっちまった感も、大変強いです。が…まあ、後の祭なので、気にしない事にします(ぉ

これを書いてて判明した事…実は自分、時深おばさん結構好きなんじゃん!という事実。
お、恐ろしい……(苦笑

435名無しさん@初回限定:05/03/07 20:49:05 ID:RAbq8Ggp
>>419 信頼さん
ほのぼのして貰えたならなによりです。
ニムントールですか・・・文句いいながらも一生懸命手料理を・・・
萌える・・・

>>420 憂鬱さん
ユートはあれですね給食が食べられなくて昼休みはおろか放課後まで
残されるタイプ。「だってピーマン嫌いなんだもん。」

今「・・・っていう話があったのよ。」
へ「ユート様可愛いです。」
セ「どちらかというと情けないんじゃ・・・」
ハ「子供は〜そんなものですよ〜」
悠「きょ、今日子!お前いったい何話してるんだよ!」
今「え?我らがたいちょーの若かりし頃の伝説を。」

>>421 髪結いさん
ちりちりに焦げながらも幸せそうなナナルゥ・・・
ところでナナルゥの裸エプロンなんて見たらマナの霧になりかねませんよ。
花粉症ファーレーンに萌え、でも花粉症の季節は目がかゆくて辛いです。

>>422 御洒落さん
変でこそナナルゥ。このスレで忍者ナナルゥ見て以来それから抜け出せない。
でもEXでも変だったしザウス的にも不思議少女でFAなんだなぁ。
時深オバサンSS乙です。最近ザウスともアセリアとも関係ないスレでも
タイムアクセラレイトしてて笑った。私も好きです時深さん。
ギャグに使いやすそうなとことか、報われなさっぷりとか。

436名無しさん@初回限定:05/03/07 21:05:00 ID:n8Or8JMN
おbsn(((( ;゚Д゚))))ガクガクブルブル
437名無しさん@初回限定:05/03/07 22:53:19 ID:DG3dOfri
>427
「ヨーティア、人の部屋で何やってんだ?」
「ん? ああ、ボンクラの赤裸々な生活って奴を神剣ネットに流してやるのさ。これがカナリのヒット数を見込
めるんだ。課金システムも完全装備。全国のスピリット達の要望に応えるのも大事な私の仕事なのさ」
小さな宝玉を部屋のあちらこちらに配置しながらヨーティアが答えた。
「お、おい勝手なことするな俺のプライバシーはどこにいったんだよっ」
「そーんなものあるわけないだろー。公人たる隊長殿の一挙手一投足は皆の注目なんだなーこれが」
「ねーねーねー賢者様。これもう映ってるの?」
「ああもう動いてるぞ」
「何っ?もうかよっ」
「わーい、くーるなねりーだよーいいおんなだよー」
「あ、あのし、しあーですぅ〜」
「あーネリー、オルファが先に映るのっ」 どんっ。
「なにすんのさーオルファ。やるのかー」
「べーだ」     どかすか どんちゃん
「お菓子好きだよ〜あ、ネリーちゃんもねオルファもユートさまも同じくらい好きだよ〜 今日ね〜ハリオンと
ヒミカのヨフアル屋さんでいっぱいおまけしてもらったの〜」     延々つづくシアーの一人語り。

おかずハリオン主食エスでどうか。マ、マナがたりぬ……
かぶりましたか、スミマセヌ委員長殿。そ、それじゃぁ目出し帽ファーでいかがか(マテ

>429
深淵のごとく、飲み込まれていく悠人。きっともうシーツを干すエスペリアに親指を立てた時から決まっていた
運命なのです。取り込んだ洗濯物はちゃんとはたいて花粉を落とすように>ニム
 
>430
エスペリア幸せゲットズサ。涙目ファーは黒のサングラスを。おおっついに黒く?! 花粉症ご自愛ください。

>435
ナナルゥ幸せゲットズサ。ファーはユートの保護欲をそそるかも。 目がかゆいですか、つらいですね。
ちょっと目玉型永遠神剣を移植す(ンギュルンギュ  スマソ
438名無しさん@初回限定:05/03/07 22:54:58 ID:DG3dOfri
>434
し、白金の城っ!?  
おばさんはみんなの人気者ですよ? だってこうおばさんって親しみやすいし? あ、B69の真相はですね、
単にたれs
| l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト   

………

……



はっ(゚д゚)?!  あ、あれここはもしかしてハイペリアか? 俺さっきまでファンタズマゴリアにいたのに。
439名無しさん@初回限定:05/03/07 23:13:58 ID:LS4xwm8X
>>426髪結いさん
二本立て、お疲れ様です。
>エスペリアの憂鬱W
マナ式(ry が廃止になって困るのは、第二で家事担当のハリオン嬢も。
本当は一手に仕切りたいのに止むを得ず皆で協力することに。
「あらあら〜、そこ、手が止まってますよ〜」ごしごし
「な、なんであたし達“おさんどん”みたいなことしてるんですか〜?」ごしごし
「しっ、うるさいわねヘリオン!黙って自分のシーツ位洗いなさいっ!」ごしごしごし
「ヒミカの言うとおりよ、今のハリオンを怒らせるのは危険だわ」ごしごしごし
「…………ごしごし」
「……ナナルゥ、何だか嬉しそうですね」じゃぶじゃぶ
「うう、水が冷たいよぅ〜」こしこし
「手が荒れちゃったらイイ女台無しじゃん〜」こし……こし……
「#あらあら〜、ネリーとシアーは何かご不満ですか〜?」ちゃきっ
「「ごしごしごしごし」」
「…………めんどくさい」ぎゅうっ
抗マナ化によるライフラインの変化にいち早く不満が爆発するのはスピリット達の方かも(汗
>ファーレーンの憂鬱
クシッ。うう〜と涙目でニムに縋りつくファーレーン嬢。
甘えん坊の地が出ました。だってじゃないでしょ。可愛過ぎるじゃないですか(壊
姉の我が侭の為に懐から無限に紙を出し続けなくてはならないニムントール、合掌。

>>434御洒落さん
えーと……実はファンタズマゴリアの表記は単位がインチ……とか(違
しかし光陰、75がギリギリならアセリアは範囲内って事に。
440名無しさん@初回限定:05/03/08 01:05:55 ID:DQpBBTRf
>>434御洒落氏。
時深、私も好きなキャラです。好きならフツーにおばさんとか言わないようにw
アセリア一周目でエチシーンの時は思わずモニターに向かって
「やっと来た……」と、独り言を。ちょっといい話。どこがやねん。
441赤く染まる世界:05/03/08 03:58:57 ID:q2SFwuKY
ズブッ・・・
剣先が『誓い』の主の身体を貫く。
「がはっ・・・!そんな馬鹿な・・・
僕が……僕が負けるなんて……。認めないッ!!認めないぞぉぉぉぉぉッッ!!」
ガシャン!
奴の手から忌々しい『誓い』が落ちる。
「これまでだ・・・『誓い』の主よ。・・・死ね。」
高ぶる我の心に答えるかのように神剣にマナが集中する。
「くっ・・・はは・・・ははっ・・・
ははははははは!!!お笑いだよ!なあ、碧!
これがお前らの友情ごっこの結末って訳だ!!!
佳織!これがこいつらの本性だよ!
所詮みんな自分のことしか考えてないんだよ!
悠人も!碧も!この女もなぁっ!!!
これで分かっただろう!?佳織の信じるこいつらは互いに殺し合ったのさ!」
全身から血を流しつつ狂ったように叫ぶ『誓い』の主。
「黙れ・・・秋月・・・」
「はっ!本当のことだろう?聞かせろよ!悠人を殺した時の気分をさぁ!!!」
「黙れよ!!!」
隣に立つ『因果』の主が叫ぶ。
たしかにいい加減うるさいな・・・
442赤く染まる世界:05/03/08 04:01:00 ID:q2SFwuKY
「さらばだ『誓い』の主。それなりには楽しめた。」
バリッ・・・
神剣が紫に輝いた刹那、大気を殺意が駆け抜ける。
サーギオスのエトランジェ・秋月瞬はその神剣『誓い』と共に消滅した。
「・・・終わったな。・・・そうだ!佳織ちゃん、大丈夫か!?」
『因果』の主が部屋の片隅で震える少女に駆け寄る。
確か先日殺した『求め』の主の妹だったか・・・
「よかった無事みたいだな・・・」
「碧先輩・・・あの・・・あの、本当にお兄ちゃんは・・・」
「・・・すまん。許してくれともわかってくれとも言わない。
恨んでくれていい。佳織ちゃんには・・・その資格がある。」
「・・・・・・今日ちゃんは・・・神剣に負けちゃったんですか?」
「ああ・・・今日子はさ、そんなに強いわけじゃないんだ。
他人を傷つけ殺して、正気が保てるやつじゃないんだよ。
だから俺が・・・俺が守ってやらなくちゃいけなかったのにな・・・」
「碧先輩・・・」
さて、そろそろいいか。
「別れの挨拶は済んだか?『因果』の主よ、そろそろお前ともお別れだ。」
「・・・あぁ、約束だからな。
その代わり・・・これだけは約束しろ。佳織ちゃんを絶対に元の世界に返すって。
悠人との・・・約束なんだ。あいつとの最後のな。」
ふむ・・・そういえばそんな話もあったな。
「・・・いいだろう。神剣を持たぬ者に用は無い。
そのぐらいは聞いてやってもいいだろう。お前は役にたったからな・・・」
443赤く染まる世界:05/03/08 04:02:15 ID:q2SFwuKY
「そんな!二人は同じ国のエトランジェじゃないんですか?
だったら戦う必要なんて・・・」
「敵じゃなかったさ・・・ついさっきまではな・・・」
「別に『因果』と手を組んだつもりはない。
勝手に協力してきたから利用したまでのことだ。
おかげで『求め』と『誓い』を楽に砕くことが出来た。」
剣を『因果』の主へ向ける。・・・逃げようとする様子は無い。
「お前も愚かだな・・・こんなことをしても誰も・・・
そう、この女も救えはしないというのに・・・」
マロリガンの大統領と協力して色々研究していたようだが・・・
そうそう上手く神剣に呑まれた心を救う事などできはしない。
「・・・そんなことは百も承知だよ。だがお前にはわからないぜ、『空虚』。
例えどんなに可能性が低くても諦めるわけにはいかないのさ。
今日子のことだけはな。」
「だが、お前は賭けに負けたのだ・・・」
「さてな・・・勝負ってのは最後までわからないぜ。」
「減らず口を話は終わりだ・・・せめて楽に死なせてやる。」
『求め』と『誓い』を喰らい増大したマナを剣に集中させる。
これなら塵一つ残らず消滅するだろう・・・苦痛を感じる暇も無い。
「さらばだ、『因果』とその主よ。」
剣を男に向かい突き出・・・
「駄目ぇぇぇー!!!!!」
444赤く染まる世界:05/03/08 04:14:56 ID:q2SFwuKY
「げほっ・・・げほっ・・・で・・・できる・・わけ・・・ないじゃないですか。
コウイン・・・様が・・・死ぬと・・・わかっているのに・・・私・・・わたし・・・」
「いいんだよ!俺は!始めからこうするつもりだったんだからな!」
「そんなの・・・勝手・・・すぎ・・ます・・・はぁ・・うぁ・・・
わたしは・・・わた・・・しは・・・」
「もう喋るな!クォーリン!くそっ!俺の加護のオーラでも駄目か!
待ってろ今部隊の皆のところへ・・・」
「いいん・・・です。もう・・・助から・・・・ないです。だから・・最後に・・・
さい・・・ごに・・これだけは・・・ぐ・・・げほっ・・・
わたしは・・・ずっと・・ずっ・・・・と、こ・・コウイン様のことが・・・
好き・・・でした。はぁー・・・はぁ・・・迷惑・・かもしれない・・・ですけど。
さいご・・・さいごに、これ・・だけは・・・」
「・・・迷惑なんかじゃない!嬉しいぜ、あぁ本当だ。
だから死ぬな・・・お前が死ぬ必要なんてないんだよ!」
「よか・・・った・・はぁ・・それだけで・・・それだけで・・・・私は・・・・
たとえ・・コウイン・・・様が・・・愛して・・いるのがキョーコ様・・・でも・・
私の気持ちを・・・・嬉しい・・・と・・言ってく・・ださる・・な・・・ら・・・」
「クォォォォォーリィィィィーン!!!!」
緑の妖精が金色のマナの霧となり消滅する。
445赤く染まる世界:05/03/08 04:16:37 ID:q2SFwuKY
「案ずるな・・・お前もすぐに死ぬ。」
ズブッ・・・ズブッ・・・
今度こそ狙いをはずさず男を貫く。
「くっくっく・・・ついに・・・ついに!
これで邪魔物は消えた!『求め』も!『誓い』も!『因果』も!」
全身を駆け巡る高揚感。肉体が変化を遂げていくのを感じる。
力が、マナが身体に満ちる。
「くっくっく・・・ついに・・・ついに!この力があれば全てを・・・
全てを破壊しつくすことさえ・・・」
「駄目だよ!今日ちゃん!お願い・・・お願いだよ!
もとに・・・もとに戻ってよ・・
碧先輩はそんな今日ちゃんの為に死んだんじゃないんだから!
お兄ちゃんや・・・さっきのお姉さんを殺して何とも思わないの!?」
うるさい小娘だ・・・
「黙れ・・・大人しくしていれば元の世界に返してやる。
運がよければ貴様が死ぬまでエターナルの干渉も受けまい・・・」
「そんなの今日ちゃんらしくないよ!今日ちゃんは乱暴なとこあるし
悪ふざけしたりするのが好きだけど・・・
人を殺して喜べるような人じゃないんだから!
返して!返してよ!今日ちゃんを返してよ!!!」
キィィィーン・・・
娘の手から青白い光が発せられる。
なんだ・・・この光は?
「これ・・・お兄ちゃんの・・・『求め』の欠片?」
『求め』だと?なぜあんなところに・・・

『空虚』・・・いや『世界』は知らなかった・・・
悠人の死を佳織に認めさせる為に瞬が『求め』の欠片を回収したことを。
446赤く染まる世界:05/03/08 04:18:10 ID:q2SFwuKY
「お願い・・・『求め』さん。まだ力があるなら・・・
今日ちゃんを助けてあげて・・・お願い!お願いだから!!!」
「本来の『求め』ならまだしも・・・そんな欠片で何ができる・・・!?」
(まったくだ・・・契約者といい、この妹といい・・・無茶を言う・・・)
「貴様・・・まだ消滅していなかったのか!!!」
忌々しいヤツめ・・・
(ふん・・・そう怒るな・・・所詮敗れた我に大したことはできん・・・
全ては・・・その少女次第だ・・・)
「なに・・・?」
(砕けてなお契約者の求めをかなえる事になるとはな・・・)
(これもまた因果というものだ・・・)
(貴様はいつもそれだ・・・)
キィィィィィーーーン!!!!
『求め』の欠片が一際輝いた・・・

私は誰も殺したくなんてない。
何で私がこんな目に遭わなくちゃいけないの?
どうしてこんな私を守ってくれるの?
どうして私を殺してくれないの?
光陰も、悠も・・・二人になら殺されてもよかったのに。
みんなみんな殺してしまった。
何度も脳裏に浮かぶのは絶望に染まるスピリットの顔。
悲しそうな、悔しそうな顔で死んでいった悠。
悠の死に悲しみ、怒り、玉砕覚悟で向かってきたラキオスのスピリット達。
光陰を守って死んだクォーリン。
全てを受け入れて死んでしまった光陰。
なんで!なんでよ!どうして私が生き残るの?
誰も殺したくない。誰にも死んで欲しくはないのに!
447支援:05/03/08 04:25:22 ID:tfKV/OQG
 
448赤く染まる世界:05/03/08 04:39:31 ID:q2SFwuKY
(ならば自分の意思で起きろ・・・全てはそれからだ・・・)
あなたは・・・
(『求め』だ・・・汝の親友高嶺悠人の永遠神剣だ。)
悠の・・・でも、でも私は取り返しのつかないことを・・・
(たしかにそうかもしれん・・・だがそれでいいのか?
お前の友は・・・悠人と・・・光陰といったか?
二人は決してそのことから逃げはしなかったと思うがな。)
私は・・・私には
(正直罪を償えなどとそんな安っぽい説得をする気はない。
我の性分ではないしな・・・
我は『求め』、汝が求めることに力を貸そう。
お前はどうしたいのだ?このまま神剣に呑まれ破壊の限りを尽くすか?)
そんなの・・・嫌だ。
(悠人は佳織という少女とラキオスの仲間達を守る為・・・
そして汝と光陰を救う為に戦った。
光陰は・・・我がわかるはずもないな・・・おい『因果』)
(我が契約者、光陰は汝を守る為に戦ったのだ。
神剣に呑まれた意識がそう簡単には戻らぬことに気付きながら・・・
それでも他に方法はなかったゆえに汝を守りながら足掻き続けたのだ。
もっとも汝の前でこそ弱みなど見せはしなかったがな・・・)
光陰・・・
(悠人という少年と契約者、二人を殺したショックに最後の望みをかけたのだ。
もはや他に方法はなかったからな。それほど汝は深い闇に囚われていた。
今が最後の機会だ・・・我と『求め』の力もまもなく消滅する。
この機を逃せば汝が『世界』の支配を逃れることは敵わぬ。
契約者の最後の賭けも無駄となる。)
449赤く染まる世界:05/03/08 04:41:40 ID:q2SFwuKY
私・・・私は・・・そんなこと言われて・・・言われて。
それでも逃げるなんてできるわけないじゃない!
お願い・・・力を貸して。私はもう・・・逃げないから。
(いいだろう・・・)
(了解。力を貸そう・・・)
ありがとう・・・
(ふっ・・・我らもやられっぱなしというのは・・・な。)

「く・・・うぁぁぁ・・・!!!おのれ・・・まだ意識が残っていたというのか・・・
『求め』に『因果』め・・・この期に及んでまだ我の邪魔をするか・・・」
「ふざけるんじゃないわよ・・・もうアンタなんかに負けない・・・
これ以上ヘタレてたら光陰や悠に・・・私が殺した皆に・・・
合わせる顔がないのよ!」
(く・・・馬鹿な上位永遠神剣の支配から脱するだと・・・ありえん!ありえぬ!)
(ふっ・・・駄目もとでやったのだがな・・・まさか上手くいくとはな・・・
中々におもしろい・・・我が契約者といい永く生きた甲斐があったといえるな・・・)
(たしかに・・・我らの最後としては悪くない・・・)
450赤く染まる世界:05/03/08 04:42:43 ID:q2SFwuKY
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
何とか・・・なったのかな・・・
「今日ちゃん・・・なの?」
「うん・・・そうだよ、佳織ちゃん。」
久々に佳織ちゃんの声を聞いた気がする・・・
すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られる。
でも・・・そんな資格はない。私は悠を・・・彼女の兄を殺したのだから。
「・・・ごめんなさい。許してなんていえない。
私を殺したいなら殺して。死んで逃げる気はもうないけど・・・
佳織ちゃんが殺したいなら話は別よ。あなたにはその資格があるわ。」
「そんなの・・・できないですよ。全部許せる・・・なんて言えないけど。
今日ちゃんを守るために戦った碧先輩やお兄ちゃんのことを考えたら・・・」
「・・・でも全部私のせいなのよ?
私がもっと強ければ、そもそもこんなことには・・・」
なんでもっと早く自分の罪に・・・そして自分の弱さに向き合えなかったのか・・・
大切な人を失って・・・それからなんて遅すぎる・・・
「さっき『求め』の欠片が光った時ちょっとだけお兄ちゃんの最後の願いが
見えたんです。お兄ちゃんは今日ちゃんに元に戻って欲しかったんだよ。
それができない自分が悔しかったんだよ・・・
きっと・・・ううん、絶対お兄ちゃんだって私が今日ちゃんに復習することなんて
望んでないよ・・・」
佳織ちゃんが笑いながらも涙を流す。
・・・悲しくないわけはない。私が憎くない訳はない。
それでもこの娘は悠や光陰の気持ちを考えて・・・
・・・強いな。私に佳織ちゃんの半分も強さがあれば・・・
ううん、そうじゃない。過去に捕らわれても何も変わらない。
私自身の力で強くならなくちゃ・・・もう、二度と間違えないように。
最後まで私を思ってくれた光陰や悠の気持ちに報いる為に。
そして私の前で声を押し殺して泣く佳織ちゃんの為に。
だから、だから・・・今だけは泣いてもいいよね・・・光陰、悠。
451名無しさん@初回限定:05/03/08 04:49:17 ID:q2SFwuKY
あの後やってきた時深さんによると『世界』の意識は『求め』と『因果』の干渉で
ノックアウトされ気絶してる状態らしい。
「まさか第4位と第5位の剣で第二位の『世界』を倒すなんて・・・信じられません。
ですが・・・『世界』は消えたわけじゃないですよ?いずれ目を覚ますでしょう・・・
そのとき今日子さんの心が弱いままでしたら・・・また同じことの繰り返しですよ?」
・・・だそうである。でも丁度いいのかもしれない。
今度は私だけの力で神剣に打ち勝ってみせる。
もう、私は負けない・・・

私の名は『統べし聖剣のキョーコ』
その名はファンタズマゴリアで殺した神剣の使い手達を忘れぬ為に。
私の剣の名は『世界』
紅に輝くその刀身は血塗られた私の罪を忘れぬ為に。
犯した罪からも自分の弱さからも私は逃げない。
過去に捕らわれるわけじゃない。全てを背負って、その上で歩き続けよう。
永遠に・・・

終わり
452赤く染まる世界:05/03/08 04:51:26 ID:q2SFwuKY
>>444の訂正です

その瞬間、僅かに早く緑の妖精が男を突き飛ばす。
狙いを外れた剣は妖精のシールドを易々と貫き、その半身を消し飛ばした。
「く、クォーリン!!!おいっ・・・しっかりしろ!
なんで・・・なんで来たんだ!城の外で待機しろと・・・」
「げほっ・・・げほっ・・・で・・・できる・・わけ・・・ないじゃないですか。
コウイン・・・様が・・・死ぬと・・・わかっているのに・・・私・・・わたし・・・」
「いいんだよ!俺は!始めからこうするつもりだったんだからな!」
「そんなの・・・勝手・・・すぎ・・ます・・・はぁ・・うぁ・・・
わたしは・・・わた・・・しは・・・」
「もう喋るな!クォーリン!くそっ!俺の加護のオーラでも駄目か!
待ってろ今部隊の皆のところへ・・・」
「いいん・・・です。もう・・・助から・・・・ないです。だから・・最後に・・・
さい・・・ごに・・これだけは・・・ぐ・・・げほっ・・・
わたしは・・・ずっと・・ずっ・・・・と、こ・・コウイン様のことが・・・
好き・・・でした。はぁー・・・はぁ・・・迷惑・・かもしれない・・・ですけど。
さいご・・・さいごに、これ・・だけは・・・」
「迷惑なんかじゃない!嬉しいぜ、あぁ本当だ。
だから死ぬな・・・お前が死ぬ必要なんてないんだよ!」
「よか・・・った・・はぁ・・それだけで・・・それだけで・・・・私は・・・・
たとえ・・コウイン・・・様が・・・愛して・・いるのがキョーコ様・・・でも・・
私の気持ちを・・・・嬉しい・・・と・・言ってく・・ださる・・な・・・ら・・・」
「クォォォォォーリィィィィーン!!!!」
緑の妖精が金色のマナの霧となり消滅する。
453あとがきと謝罪:05/03/08 05:01:15 ID:q2SFwuKY
まずはすみません。
>>444コピペ間違えてすいません。
>>451タイトルなくてすいません。
連投規制にハマリまくってすいません。
支援の方の手を煩わせたみたいですいません。
・・・こんなところでしょうか?

では謝罪はこの辺で・・・あ、酷い展開ですいませんってのもあるかな。
テーマは今日子・光陰の説得失敗、しかも悠人敗北。
有り得たかもしれない一つの可能性ってとこです。
最初は完全に救われない今日子ロウエタ化にしてたんですが、
正直かいてて余りに嫌だったので、ご都合主義が過ぎる気もするけど
今日子に自我を取り戻させました。それでも充分酷いけど。
えーと、今回は自分でもこれはなぁ・・・と思うので、
非難のお便りも頂きたい所存です。それでは。
454名無しさん@初回限定:05/03/08 15:54:09 ID:VrWTn8YH
>>453
>>霞草の人さん、乙でした。
今日子がエトランジェ最後の独りになるって言うのは
エトランジェの四人をゲーム中でみたら、今日子が
一番強そう(低マインド時)(w だしある意味一番ありえたり……
とか思ってしまいました。

あと>>450 今日ちゃんに復習→復讐ですよね。
455名無しさん@初回限定:05/03/08 20:25:32 ID:dTg3nu4F
>>453
最初展開が全然分からなかった。
嫌なオリキャラ主人公かと思ったくらい(笑)
さすがに途中から気付きましたが。

うーん、会話文と説明文とのバランスが悪い気がします。
状況が分かり難いと言うか。
発想は面白いんですが。
456名無しさん@初回限定:05/03/08 23:19:34 ID:9CjUJL6a
>453
キター  私、光陰今日子死亡ルート好きです(マテ  

いやいや、正規今日子ルートが霞んでいきます。流石霞氏です。マジで。
因の果て、求めしは虚ろなる世界。今日子の心が晴れる日が来るのかと
言うとかなり難しそうですね。

それでも Eternal sky 孤独の中、大地の果て、いつか安らぎを。

しかしですね、ラキオススピが全滅したのかと思うとなんかいたたまれないです。玉砕とか
言われるとちょっとドキリとしましたw おばさん監視薄いよ何やってんのっ。
因果と求めコンビGJ。てっきりカオリエターナルかと思いました。

「復習」は最近の学校脅迫事件の文面みたいでちょいとずっこけました。
あと、もうちょっと改行があった方が読みやすいかと思います。
思いっきり重箱の隅つつき>「まさか第4位と第5位の剣で第二位の『世界』  あ、待って赤紫コロッケはやめてーw



457名無しさん@初回限定:05/03/08 23:57:39 ID:g5eYM0Ty
>>435>>453 霞氏
ナナルゥは、変な不思議少女でFA。時深は、報われないおばさんでFA(笑

赤く染まる世界…うーむ、まさか悠人死亡ルートとは……。
イービルルートでの悠人ロウエタ化、これは結構皆考えると言うか、私も希望してたのですが。
一本取られましたね。
あと、今日子が生きてくれて良かったです。個人的に、救いがある方が好きなんで。
でも、二つ名は「統べし聖剣のキョウコ」の方が、いい様な気も。
>>436さん
ガクブルしてもらえれば、本望です(´∀`)
>>437>>438 髪結い氏
( ´∀`)っ□ 花粉症仲間って事で、ファーに保湿ティッッシュドゾー

時深乱舞テンプレ、初めて見たときから「オラオラだ!!」と思ってました。
しかし、たれ……嫌な事実を知ったなぁ……(苦笑
>>439 信頼氏
インチはいくらなんでも(笑 …でも、単位は確かに違うんでしょうねぇ。
アセリアは、丁度境界線上と言った所?(人、それを射程内と言う…)
>>440 憂鬱氏
チッチッチ、甘い甘い、薄皮白あんぱん<5個入り>より甘いですよ、憂鬱氏!
私は、おばさんくさい女の子……大大大好きですッ!!
……え?時深は、おばさんくさいじゃなくて、おばさんそのも(ry しかも、女の子って年じゃない?
う、迂闊………orz
458紅蓮の剣 Y. 1/42:05/03/09 16:10:44 ID:nZTE8COS
 ──そして、帝国との最終決戦が始まった。
 スピリット、人間を交えたラキオス軍は二つに別れ、秩序の壁南北両方から同時に侵攻を始める。
 壁突破後は首都を取り囲み、全軍同時に街に攻め込んで城を落とす。
 首都の大まかな道などは、かつて帝国にいたヨーティアから知ることができた。
 総力戦となるだろう。間違いなくどちらにも多くの死者が出る。
 だがこれを為さずして戦争終結はありえない。逆に言えば、これが最後の戦いなのだ。
 目的は一つ。帝国と瞬を倒し、佳織を助ける。
 そうすれば、この大陸全土を巻き込んだ戦いの、全てが終わる。
 悠人は気を引き締める。青天の下、進軍する軍靴の足音が規則正しく響いていた。
 
 マナ供給を止めた秩序の壁は、思ったより呆気なく突破された。
 元々エーテルジャンプによる罠に頼っていた部分が大きかったのだろう。帝国が兵を送り込んでも後の祭りだ。
 悠人達を先頭にしたラキオス軍は、南を通った軍と合流し、首都周辺に集結していた。
 そんな折、最後の侵攻の準備を整える軍の前で待機していた悠人達に、ヨーティアから嬉しい報告が届いた。
 先日の戦闘で悠人達が保護したウルカの元部下を、神剣の呪縛から解き放つことができるかもしれないというのだ。
 リーソカを制圧した際発見された研究所時代のヨーティアの資料が役に立つらしい。
 完全に元通りになる保証はない。だがそれでも、ウルカは微笑み、頷いて見せた。
459紅蓮の剣 Y. 2/42:05/03/09 16:11:53 ID:nZTE8COS
 あれから、悠人の隣には常にヒミカがいるようになった。戦う時もそれ以外も。
 それを見てスピリット隊の面々は無論あれこれ邪推を巡らせたが、共通するのは皆、嬉しかったということだ。
 最近の悠人の姿は、皆の目から見ても危なっかしかった。ネリーやオルファがじゃれつくことすらないほどに。
 それが任務を終えて見てみれば、前のようにお人好しで明るい元の悠人に戻っていたのだ。
 ヒミカとの距離を改めて見れば、二人の間に何があったかなど一目瞭然だが──
 それでも皆、素直に悠人がかつてのような少年に戻ってくれたことを喜んだ。
 セリアもその一人だ。悠人にじゃれ付くオルファ達を見ながら、自然と微笑んでいた。
「めでたしめでたし、ってとこですね〜」
 その横にふとハリオンが進み出た。いつもと変わらぬ笑みを浮かべている。セリアは苦笑する。
「それはちょっと早いわね。戦争が終わってからじゃないと」
「いえいえ、そうでもないですよー?」
 うふふー、と愉しそうな笑顔を浮かべた。
「愛の前には何も敵うものなんてないんですからー。もう終わったも同然です」
「ああ……そりゃそうね」
 セリアも納得してしまった。とはいえ、当人達はそんな感情だと思っているかどうか。
 二人揃って不器用だから、恋という感情すら知らないのではないかとセリアは思う。
 まぁ、それはそれでいいだろう。戦いの後にも時間はある。その中でまたゆっくりと確かめればいいのだから。
 そのためにも──勝たなくてはならない。セリアは改めてそう思う。
 そんなことを思っていると、隣にナナルゥとヘリオンも並んだ。
460紅蓮の剣 Y. 3/42:05/03/09 16:12:58 ID:nZTE8COS
「些か、その予見は不確定要素が多すぎると判断します」
 無表情にナナルゥは言う。だがその瞳は一度、年少組にじゃれつかれたまま振り払えないでいる悠人を見、
「──ですが、問題ないと判断します」
 そう言った。理詰めで考えるナナルゥらしくない。だがそれも、悠人が彼女を変えた結果なのだろう。
「でもちょっと複雑な気持ちです……」
 気落ちした様子で言うのはヘリオンだ。あんたはユート様に惚れてたからねぇ、とセリアは苦笑した。
 ヘリオンは顔を真っ赤にして否定する。
「いいいいえそんなことないですッ! ただそのなんていうか憧れてたっていうかそれだけですってば!
 その別にユートさまとヒミカさんの間に割って入ろうとかそんなことはッ」
 気の毒なほどのうろたえっぷりにセリアはまた笑う。
「……別にどうでもいいけどね。ヒミカに聞かれる心配ならしなくていいわよ。今いないから。
 まぁ、聞かれたって気にしないだろうし、どっちにしろあんたの入る余地はないわよ。もう」
 あぅぅぅぅ、と呻きながらへなへなと座り込むヘリオンを尻目に、セリアはもう一度悠人を見た。
 丁度エスペリアが駆けてきて、オルファ達三人がお叱りを受けているところだった。
 微笑ましい、いつも通りの情景だ。もうすぐまた戦いになるというのに。
 だがそれでいい、とも思う。そして、この戦いの後も同じ光景が見れたらいい、と。
 セリアは両手で自分の頬を打つ。マナの導きを祈ることはしない。勝利は自らの手で勝ち取るものだ。
「さ、そろそろ時間よ。皆気を引き締めて。──この戦い、勝つわよ」
 三人とも、頼もしい表情で頷いて見せた。
461支援:05/03/09 16:20:14 ID:Yi76W4VB
「まだまだぁっ! もっと動けるはずだ!力を振り絞れぇぇっっ!!」
462紅蓮の剣 Y. 4/42:05/03/09 16:22:01 ID:nZTE8COS
 ──上空から見れば、首都を取り囲むラキオス軍が見えたことだろう。
 そしてラキオス軍が描く円の内側、首都をぐるりと囲む城壁の前には、帝国軍が控えている。
 スピリットを最前線に置き、後方に人間の兵士がいる。城壁の上には弓兵が並んでいた。
 首都の中も、殆ど帝国軍しかいないはずだ。
 民衆はラキオスがここを取り囲む前に首都を捨て、ゼィギオスなどへ避難してしまった。
 ラキオス軍も悪戯に民を殺すつもりはない。敢えてそれを見逃した。
 逃げた中には高官達も紛れていたかもしれないが……この後、スピリットもない身で兵を挙げるとも考えにくい。
 ラキオス軍には前もって三つのことが言いつけられた。
 略奪せぬこと。火を放たぬこと。無抵抗の者を殺さぬこと。
 終わった後にはまた民衆の生活があるのだ。それを阻害するのはレスティーナの意向ではなかった。
 それらが混乱する戦場においてどれだけ守られるか分からないが、何も言わないよりは良かった。
 為すべきことは速やかな拠点の制圧。最終目標は王城の制圧と皇帝達の捕縛。
 ──そして、帝国のエトランジェ・秋月瞬の討伐である。
 城壁、その向こうにある城を見据えながら、悠人は思う。
 瞬と、決着をつけなくてはならない。
 殺し合うことが正しいこととは思えないが、後に引けないところまで来てしまったのだ。
 ならば瞬を殺し、この戦争を終わらせるのは、他ならぬ自分でなくてはならないと悠人は思う。
463紅蓮の剣 Y. 5/42:05/03/09 16:23:11 ID:nZTE8COS
 全軍が隊列を整え終え、すぐにでも進撃できる状態になった。
 ラキオス軍は大きく、東、西、南の三つに分けられている。
 一番規模が大きいのは南の軍であり、これの先頭に悠人が立っている。
 東の軍は光陰を、西の軍は今日子を先頭に置き、軍を編成していた。
 それぞれがエトランジェ率いるスピリット隊を先頭に、全軍同時に進軍。
 三方向から同時に侵攻し、市街地を突破して首都中央にある城を落とす。そういう流れだ。
 筋書き通りに行くとは限らないが、兵士の数ではラキオス軍のほうが有利だった。
 ラキオス軍は、まず先端にスピリット隊を置き、その後ろに騎馬隊、そして歩兵がいる。
 対する帝国軍も同じく先頭にスピリットを置いている。
 スピリット隊も前方にブルーやブラックを配置し、後ろには砲兵であるレッドが横一列に並んでいる。
 その後ろには弓を主武装とする人間の軍。悠人達を壁まで近づけさせぬ構えである。
 この戦いは、要はそれを突破できるか否かだ。
 帝国軍を突破し兵士が城壁を突破できるかどうかで、この戦いの趨勢が決する。
 退くことは考えられない。今日この日、日の落ちぬうちに、この戦争は終結するだろう。
 このような、人間とスピリットを交えた大きな戦は、過去この大陸の歴史にはない。
 同時にこれが最後になればいいと、悠人は思った。
 ……一キロ弱の距離を挟み、両軍が睨み合う。
 そして、レスティーナの演説が始まった。
464紅蓮の剣 Y. 6/42:05/03/09 16:24:17 ID:nZTE8COS
「──皆さん、これまでの戦い、ご苦労様でした。
 平和への道であることを信じ、皆が痛みを受けることを承知で、私はこの戦いを起こしました。
 私は願います。これが、最後の戦いとなることを。
 ……今、私の目指した道は、少しずつ開けようとしています。
 すべての人、すべてのスピリットの力があれば、これをより強固にできることでしょう」
 その言葉には、この上ない説得力がある。人もスピリットも、一様にその声に聞き入っていた。
 声を聞きながら、悠人の脳裏にはあの時のソーマの言葉が蘇る。
 人間とスピリットが戦うことになる──だが、レスティーナの言葉には、それを是とせぬ力がある。
 それを、悠人は信じられる。
「この戦いで、破壊の時代は終わりです。今こそ、私達は再生の明日を掴まねばなりません。
 そのための戦いです。今しばらくの間、私を信じて、力を貸してください。
 人の未来のために。スピリットの未来のために。そして──この世界の未来のために。
 胸を張りなさい。時代を切り開くのは、あなたがたなのですから!」
 兵士達の気勢が高まっていくのが分かる。
「……それでは、皆にマナの導きのあらんことを。
 全軍、行動開始せよ!」
 大地を兵士達の喝采が震わす。そこかしこで自分達の武器をぶつけ合う音が聞こえた。
465紅蓮の剣 Y. 7/42:05/03/09 16:32:57 ID:nZTE8COS
 悠人も〈求め〉を掲げた。同じようにヒミカの〈赤光〉を初め、仲間の神剣が掲げられていく。
 ガァン!と肩が痺れるほど強く、神剣同士を打ち鳴らした。
「よぉし、皆。持ち場に着け!」
「了解ッ!」
 威勢良く答え、それぞれ自分の位置についていく。
 兵士が隊列を整え武器を構えた。いつでも突撃できる。悠人も前を見据え、剣を強く握り締めた。
 そこに、声がかけられる。
「──久し振りだな、エトランジェ」
 どこかで聴いた声に驚いて振り向くと──そこには、あの時、城で自分が助けた兵士がいた。
 城の警備をしていたはずの彼は今、騎馬に跨り、不敵な笑みを浮かべてそこにいた。
「お前……どうしてここに?」
「志願したんだ。お前に助けてもらったのに、何もしないで城でのうのうと警備しているのは癪だっただけだ」
 にやりと兵士は笑った。悠人は何故か嬉しい気持ちになって、同じような笑みを返した。
 兵士は城を見やり、あそこに、と言う。
「お前の家族がいるんだったな」
「ああ……妹だよ。瞬──帝国のエトランジェに攫われて、捕まってる」
 そうか、と兵士は頷いた。
466紅蓮の剣 Y. 8/42:05/03/09 16:34:01 ID:nZTE8COS
「当たり前の話だがな、俺にも家族がいる。大切な仲間だっている。
 そいつらにこれ以上余計な苦しみや痛みを背負わせないために、俺らは戦っているんだな」
 ああ、と悠人は頷く。これで終わりにしないといけない。
 兵士の横に立つ悠人は、今のこの距離を心地良く感じた。
 最初悠人は、自分を殴ってばかりいたこの兵士が嫌いだった。
 だが今は、こうして同じ戦場に立ち、同じ方向を向いている。
 時間をかければ、誰だって分かり合えるんだ、と悠人は思った。人もスピリットもエトランジェも。
 ソーマの言葉を否定しきれるわけではない。
 けれどこうして今の距離がある。それだけで充分以上に、そうとは限らないと胸を張って言える。
 兵士が槍を差し出した。悠人も〈求め〉を持ち上げ、カァン、と打ち鳴らす。
「……そろそろだな」
「ああ」
 悠人は言い、兵士が答えた。悠人は少し離れた場所に立つナナルゥを見る。
 その手の上に、人間の頭ほどある炎の球ができていた。
 ナナルゥは空を見上げ、炎を持つ腕を引き──それを、天高く投擲した。
 蒼穹に紅い炎が吸い込まれ──
 
 そして、遠雷のような爆音を轟かせた。
467紅蓮の剣 Y. 9/42:05/03/09 16:35:16 ID:nZTE8COS
 それがこの戦の始まりを告げる鐘の音だった。
 人間が、スピリットが。ラキオスが、サーギオスが。皆、雄叫びを上げ、大地を踏み鳴らし敵へと駆ける。
「じゃあなエトランジェ! お前が生きる運命を引き寄せて見せろ!」
 その言葉に悠人は驚いた。それはかつて、自分がレムリアに対して言った言葉だ。
 それを何故彼が知っているのか、或いはただの偶然かもしれないが──今、同じ言葉を背負っていることが、ただ快い。
「お互い様だ!」
 応えるように。戦旗のように〈求め〉を掲げ、悠人もまた飛び出した。
 一〇〇〇メートルの距離を、スピリット達は風の如く駆け抜ける。
 帝国のスピリットもまた駆ける。速度は同じ。両者は、二点間の中心で激突する。
 ──悠人達の役目は、帝国のスピリット部隊を薙ぎ払い、後続の兵士達に道を開けること。
 その役目を、果たす。
 真正面からぶつかってきたブラックを剣の一薙ぎで屠り、横から迫る別のスピリットをまた切り裂く。
 手の届く場所全てを斬り払い、手の届かぬ場所にいる者を片っ端からマナの風で吹き飛ばす。
 悠人達は退かず止まらず振り返らず、ただ奥へ奥へと押し進んだ。
 スピリットの壁の隙間から、その奥、立ち並ぶレッドスピリットの列が垣間見えた。
 全員が神剣を握り、手を差し出し、神剣魔法を完成させようとしている。
 悠人達も兵士達も、自分の仲間のスピリットも全て、一切合財まとめて吹き飛ばすために。
 だが、それを。
『アイスバニッシャー!!!!』
 高らかな声。多重となって空に響く大音声が、全てのマナを凍結させる。
468名無しさん@初回限定:05/03/09 16:44:49 ID:4dyqEh/U
支援
469紅蓮の剣 Y. 10/42:05/03/09 16:50:42 ID:nZTE8COS
 高く上空に待機していた、アセリアを先頭とするブルースピリット達。
 それが急降下しながら敵の神剣魔法を停止させる。
 バニッシュを逃れた幾らかのレッドスピリットは、手を悠人達から空へと向けた。
 マナが解放され炎となって迸る。殺到する業火を空の妖精達は翼で大気を打ち据え回避した。
 避け切れなかった者達が小鳥のように墜落していく。それを顧みることなく、残りの妖精達は赤の陣へ突っ込んだ。
 墜とされた者は殆どが地面に叩きつけられ絶命する。落下途中で空へと融ける者もいた。
 撃墜され、しかし生きていた者達は、己の傷を押さえながらまた敵へ向かった。
 火弾の射手の戦列へ突っ込んだ蒼穹の鳥達は片っ端からそれらを斬り捨てていく。
 その更に後方にいた人間達が、入り乱れる色彩に矢を浴びせかけた。それに射抜かれまた何人もが命を落としていく。
 アセリアの頬を矢が掠めた。アセリアは周囲の敵を薙ぎ払い、血を浴びながら地面に剣を振るう。
 全力で振り下ろされた一撃が大地を叩き、砂煙を上げる。強くウイングハイロゥを羽ばたかせ風を起こす。
 風に煽られた砂煙が兵士達の視界を奪う。その間にアセリア達はレッドスピリットを殺していく。
「──アポカリプスッ!!」
 遠くからナナルゥの声が響く。巨大な爆発が、一気に十数名のスピリットを吹き飛ばした。
 煙に紛れファーレーンが駆け、次々とスピリットの首を掻っ捌いていく。
 その過程で彼女自身も全身に傷を負っていった。槍が肩を引っ掛け、肉を引き裂いた。
「ハーベスト!」
 だがそれは、やや後ろから響いたニムントールの声と同時に癒されていく。
 ありがとうニム、と口の中で呟き、ファーレーンは再び地を蹴った。
470紅蓮の剣 Y. 11/42:05/03/09 16:51:41 ID:nZTE8COS
 悠人が剣を振るう。振り切って無防備になったその姿に他のスピリットが迫る。
 だがそれをヒミカの剣が貫き、マナへ還す。ヒミカの隣にいた別のスピリットを今度は悠人が斬る。
 二人は絡み合う風となり、次から次へとスピリット達を屠っていく。
 風はスピリットの壁を突破し、そして走り出す。そこかしこで他の仲間達も壁を抜ける。
 自軍の数はやや減じていた。
 見知った顔の中にいなくなっている者はいないが、名も顔も知らないスピリット達が、何人も。
 だが哀しむのは後だ。今は成果を喜べ。悠人はそう思い前へと突き進む。
 最前線にいた帝国のスピリット達は、最早その数を五分の一にまで減じていた。
 しかし悠人達の剣を掻い潜った者達は、その後ろ、人間の群れへと向かっていく。
 騎馬の首ごと兵士の胴を切断し、歩兵を次々と屠っていく。
 だが兵士達は止まらず、退かない。我が後ろに道は無しと、槍を腰に構え猪突する。
 一人の敵に三人が斬られ、四人が斬られ、五人目が斬られながら突き出した槍が、スピリットの腹を貫いた。
 動きの止まったそのスピリットに別の兵士達の槍が殺到し、全身を穴だらけにして殺した。
 如何にスピリットが一騎当千とは言え、この数の、勢いに乗った人間に勝てるほど強いわけではない。
 マナに還るスピリットを放り、兵士達は雄叫びと共にまた駆けていく。駆けていく。
 怒涛の如く。
471紅蓮の剣 Y. 12/42:05/03/09 16:52:35 ID:nZTE8COS
 帝国の兵士達が、弓に矢を番える。
 彼らの為さんとしていることを正確に理解した悠人は、〈求め〉を振るい剣圧で彼らを吹き飛ばした。
 風に薙ぎ倒される若草の如く兵士達は倒れていく。しかし倒れなかった兵士達は、矢を天へ向け、
「──ッてぇ!!」
 号令一下。
 弦が弾け、矢が飛翔する。
 天へ向かって射られた矢は当然重力に引かれ、放物線を描いて地へと落ちる。
 鉄の驟雨が、地をひた走るラキオスの兵士達へと降り注ぐ。
 兵士達は頭上に楯を掲げそれを凌ぎ、尚も駆けていく。
 だが矢衾は容赦なくその隙間から兵士達に突き立っていった。
 脚を射抜かれた兵士が蹲り、その背中を六本の矢が貫く。
 運悪く集中した矢が楯を砕き、その下にいた兵士を殺す。
 隣で倒れた戦友を振り返った兵士の首に矢が突き刺さる。
 次々と倒れながら、しかしラキオスの兵士達は前へと進む。
「やめろぉっ!」
 叫んだところで止まるものでもないが、それでも悠人は叫びながら剣風で兵士達を薙ぎ倒す。
 そして悠人はその向こう、将棋倒しに倒れた兵士達の先。そこにある、城壁の門目掛けて跳んだ。
 空中で剣を振り被り──着地と同時に振り下ろす。
472名無しさん@初回限定:05/03/09 17:00:01 ID:Yi76W4VB
支援要ります?
473紅蓮の剣 Y. 13/42:05/03/09 17:02:53 ID:nZTE8COS
 轟音と衝撃。
 城壁の門が粉々になりながら内側にすっ飛び、あまりの衝撃に城壁そのものが小刻みに震えた。
 揺れに足を取られた帝国兵が、僅かな時間、弓を放つのを止める。
 悠人やスピリット達はその隙に一斉に門の中へと駆け込み、或いは城壁を飛び越えていった。
 それを見届け、兵士達の先頭に立っていた騎兵隊長が叫んだ。
「雨が止んだぞ! 歩兵隊、槍を投げろォッ!」
 応える声と共に、兵士達が走る勢いを乗せ、槍を天へと投擲する。
 立っていた兵士の数だけ槍が空へ飛んだ。その数は先の矢の群れの比ではなく、しかし一つ一つが必殺。
 槍が、たたらを踏んでいた帝国の弓兵達に突き刺さっていく。
 槍は城壁の上の弓兵にも届き、頭蓋を、心臓を、腹を貫いては絶命させる。
 生き残っていた弓兵達は、先頭を走っていた騎馬隊が文字通り蹴散らした。
 遅れて剣を抜いた歩兵達が殺到し、地上にいた弓兵の群れを蹂躙していく。
 帝国軍もまた弓を投げ捨て剣を抜くが、数に押されその数を減らしていった。
 先頭にいたラキオスの兵は門をくぐり、城壁を駆け上がって帝国兵を切り払い後続の安全を確保する。
 敵兵をランスで貫き、騎兵隊長が声を張り上げた。
「先行したスピリット達に遅れを取るなよ! この戦いは我々の戦いでもある。
 今まで奴らに預けていた血と痛みを、今この場所で取り戻せ!」
 応、と力強く応える声が響いた。
474紅蓮の剣 Y. 14/42:05/03/09 17:03:25 ID:nZTE8COS
 城下町に入った悠人達を出迎えたのは、やはり人間の兵士と、スピリットだった。無論悠人達の相手はスピリットだ。
 勢いに乗った悠人達は止まらない。及び腰の兵士達を軽くあしらって、その奥から肉薄してくる妖精を斬り伏せる。
 足元に火弾が飛んできた。顔を上げると、レッドスピリットの群れが大通り両側の家の屋根に並んでいる。
「ヒミカ、アセリア!」
 了解、と二つの声が答え、それぞれ違う方向に地を蹴った。
 屋根に着地し、立ち並ぶスピリット達を次々蹴散らしていく。
 路地裏から現れた集団にナナルゥが火炎を放ち、民家の窓を突き破ってきた者をやり過ごす。
 建造物を隠れ蓑としてゲリラ戦を展開するスピリット達の中、悠人達はただ真っ直ぐ突っ走る。
 周りには構わない。制圧すべき場所はただ一ヶ所。
 目標は、正面にあるサーギオスの城のみ。
 ひた走る悠人の耳に、ザッと一瞬ノイズが紛れ、女性の声が聞こえてきた。
『──ユート様、イオです。そちらの戦況はいかがですか』
「順調だ。城壁を抜けて、城目指して走ってる。光陰と今日子は?」
『お二人の部隊も城壁を突破し、城へ向かっているそうです。
 人間の軍でも大勢は決しました。後は、城を落とせばこの戦争は終わります。──では、マナの導きを』
 ああ、と悠人は強く頷いた。
 城の門は、もうすぐそこだ。
475紅蓮の剣 Y. 15/42:05/03/09 17:04:28 ID:nZTE8COS
「悠人!」
 そこに丁度光陰率いるスピリット隊が到着する。その多くはかつての稲妻部隊だ。
 少し遅れて今日子も到着、三隊は合流し、城の敷地内へと入っていく。
 それらを追うように、町中に隠れていたスピリット達が城の門へと詰め掛けた。
「クォーリン、しんがりは任せた!」
「はいっ!」
 光陰の声に答え、クォーリンは足を止め後ろを振り返る。
 左右をスピリット達が通り抜けて行く中、クォーリンは右手を前に突き出し神剣を通してマナを掻き集めていく。
 仲間が皆通り過ぎ、それを追って帝国のスピリット達が門に詰め掛ける。
 密度の増したそこを、クォーリンは両の眼で見据え、槍の穂先を向ける。
 周囲のマナ全てを、自分の手へと手繰り寄せるイメージ。舌が許す限界の速度で詠唱し、座標を視線の先へと固定。
 数秒かからず詠唱を終える。意志を乗せ、腹の底から声を放った。
「──エレメンタルブラストッ!!」
 マナの暴風が吹き荒れ、帝国のスピリット達がそれに飲み込まれる。
 風の収まった後に、最早立っている者はいない。クォーリンはそれを見届け、皆を追って走り出した。
 
 瞬と、そして佳織がいると思われる場所は城の中心に近い。漠然とその方向に強い神剣の気配を感じる。
 だが簡単にそこまで辿り着けるはずがない。城の中はそれこそスピリットの巣窟だった。
 人間の兵士達は悠人達を見るなり我先に逃げていく。それと入れ替わるように、スピリット達が通路に詰め掛ける。
476名無しさん@初回限定:05/03/09 17:05:32 ID:sxII95th
「ヨーティア様…」
「ぉ、どうした?イオ」
「私って影薄くありません?」
「HAHA、ソンナコトハナイゾ」
477名無しさん@初回限定:05/03/09 17:10:27 ID:bYEWBjpB
大地の精霊よ、力を貸して。
みんなにSSを届けるために、この力が必要なの……
478紅蓮の剣 Y. 16/42:05/03/09 17:16:51 ID:nZTE8COS
 鍛え抜かれたラキオススピリット隊や、稲妻部隊には及ぶべくもないが、しかし数が多い。
 それでも何とか悠人達は城の中を突き進む。時折ナナルゥやオルファが狭い通路に神剣魔法をぶち込んでいたお陰で、
三階への階段に到着する頃には帝国のスピリットも大分数を減じていた。
 階段を上り、行きがけの駄賃とばかりにナナルゥが階下にアポカリプスを落とす。
 それから程なくして、悠人達は謁見の間に続く扉に辿り着いた。向こうには、紛うことなき〈誓い〉の気配。
 悠人は躊躇うことなく、その門を蹴り開ける。
「瞬ッ!!」
 広い、玉座の間。いつもは兵士や大臣で満ちているそこには、今は二人しかいなかった。
「来たか、悠人!」
 誰もいない玉座の前に立つ瞬が、歪な笑みを浮かべて悠人を出迎えた。
「お兄ちゃん!」
 肩を瞬に掴まれた佳織が、身じろぎしながら悠人を呼ぶ。今すぐ駆け出したい衝動に駆られながら、悠人はそれを抑えた。
 瞬が悠人達を一瞥し、侮蔑の笑みを浮かべた。
「一人では勝てないからって、仲間を連れてきたのか? 全く、弱い奴ほど群れたがる。
 弱いから、仲間なんてものを頼らなくちゃいけないんだ」
「──そうさ、俺は弱いから仲間を頼る」
 あっさり認めた悠人に、何、と瞬が怪訝そうに眉を顰めた。──瞬には、絶対に悠人の心が理解できないだろう。
「俺は、自分一人で全てを背負おうなんて、そんな思い上がりはやめたんだ。
 一人で全てをこなそうとすることは、周りの人間を信用していないのと同じことだから。
 ……何より、俺は、お前の言う通り全然強くないからな」
479紅蓮の剣 Y. 17/42:05/03/09 17:17:50 ID:nZTE8COS
 瞬は強い。だが、独りだ。自分は違う。仲間がいて、ヒミカがいる。
「俺には俺の弱さを支えてくれる人がいる。俺はそいつと仲間を信じてる。
 瞬、お前は強いかもしれない。だが自分以外誰も信じないお前は、孤独だ」
 悠人は〈求め〉を強く握り、瞬を睨みつけた。
「──俺は弱い。でも、俺は俺が弱いことを知っている。だから仲間を頼り、仲間の力を信じてる。そして──」
 雨の森の中で感じた、ヒミカの温かさが蘇る。
「自分の罪深さを知って、それを背負うと決めた。そして、一緒にそれを背負ってくれる人にも出会えた。
 だから、負けない。皆の力を借りて、皆と一緒にお前を倒す」
 切っ先を瞬へ向け、悠人が告げる。瞬は、嘲笑を以て答えた。
「へぇ、涙ぐましい気構えじゃないか。──だが見苦しい。見るのも不快だ」
 吐き捨て、瞬もまた剣を構えた。
 一触即発の状況。どちらかが少しでも動けば、その途端に激突するだろう。だが、その前に。
「一つ訊く。皇帝はどこだ、瞬。ここにはお前達以外いないのか?」
「皇帝? ──ハハッ。そんなもんいやしないさ」
「……どういうことだ?」
 光陰が眉を顰める。瞬は両手を広げ、演説するかのように大仰な仕草で喋り出した。
「この国には最初から皇帝なんていないんだよ! この大地は、ずっとこの〈誓い〉が動かしてきたんだ。
 どいつもこいつも馬鹿ばかりさ。神剣に屈するような、意志の弱い馬鹿ばかりだ」
 つまり、それは。神剣が、人々を操ってきたということなのか。
480紅蓮の剣 Y. 18/42:05/03/09 17:18:57 ID:nZTE8COS
『神剣の思惑通りに生きるなどあってはならない』。クェドギンの言葉が蘇る。
 この国は、真実、彼の言う通り神剣によって動かされてきたということか。
 バッ、と瞬は指揮者のように両手を大きく広げて見せた。
「──そして僕はその〈誓い〉に選ばれた。この世界を、真に正しい世界に導くために!」
 熱の篭もった瞬のその瞳には、紅い、狂気の色が宿っていた。怖気の走るその紅を見返しつつ、悠人は叫ぶ。
「違う! お前のほうこそが〈誓い〉に操られていると、何故気付かない!」
「出鱈目を言うな悠人。〈誓い〉は僕を必要とし、僕には〈誓い〉が必要だった!
 ああ、そうだ。僕は〈誓い〉が必要なんだ。この世界を統べ、お前を、〈求め〉を、滅ぼすために……!」
 狂笑に歪む口の端から泡を飛ばしながら叫ぶ姿は、どう見ても常軌を逸している。
 それに悠人は見覚えがある。自分が〈求め〉に呑まれた時と同じ、神剣に魅入られた者の瞳。
「だから、僕の前から消えろぉぉォォォッ!!」
 前触れなく振るわれた〈誓い〉から、凶悪なマナの雷が迸った。
 悠人達はばらばらに散開する。交渉の余地なし。後は、もう戦うしかない。
 大規模な神剣魔法は、佳織が近くにいる以上使えない。アセリアとウルカが大回りに走り、左右から攻め込んだ。
 だが瞬は剣の一振りでそれを跳ね返す。二人に隠れ、背後に回っていたファーレーンも軽くあしらわれた。
「おおおっ!」
 真正面から悠人が突っ込んだ。ギィン、と〈求め〉と〈誓い〉が衝突し、怨嗟のように金属音を掻き鳴らす。
「そうやってお前はいつも僕に歯向かう! 疫病神め、お前がいるから佳織が苦しむんだ!
 消えろ、消えろよっ! 僕と佳織の世界にお前の居場所なんてないんだよ!」
 瞬が、表情筋がはち切れそうなほど顔を歪ませ、憎悪の言葉を吐き出した。
481紅蓮の剣 Y. 19/42:05/03/09 17:27:43 ID:nZTE8COS
「ああ、そうさ。俺は疫病神かもしれないけどな、だけど今、佳織を苦しめてるのはどっちだよ!
 こっちに来て、お前がその剣を持って、その隣で佳織が一度でも笑ってくれたことがあったか!?」
「──黙れェッ!」
 力任せに瞬が悠人を弾き飛ばした。悠人は赤い絨毯の上に後ろから倒れるも、素早く受身を取って起き上がった。
「お前がッ、お前達がッ! お前達がいるからいつまで経っても佳織は目を覚ましてくれないんだ!
 お前達が佳織を狂わせてるんだ! お前達皆消えてしまえば、佳織はまた僕の側で笑ってくれるんだぁぁぁっ!!」
 狂気の風が玉座の間を蹂躙した。クォーリンと共に加護のオーラを展開し、皆を護りながら、光陰が呟く。
「狂人は自分が狂人であることに気付かない、とは言うがよ。ここまで盲目的なのは行き過ぎだぜ……!」
 風が緩んだその一瞬に、ヒミカは駆けた。姿勢を低くし風を掻い潜り、瞬へと肉薄する。
「くっ、かお──」
 瞬の手が、佳織を求めて伸ばされた。──楯にするために。
「させない!」
 だがそれを一条の光が遮る。二人の間に割って入ったナナルゥのフレイムレーザーが、瞬の動きを鈍らせた。
 ヒミカが〈赤光〉を振り下ろす。防御も間に合わず、瞬の胸が斜めに切り裂かれる。
 手応えは浅いが、しかし怯ませるには充分。
「ヘリオン!」
「はいっ!」
 声に応え、ヘリオンが一蹴りで玉座まで跳び、瞬から離れた佳織を掻っ攫った。
482紅蓮の剣 Y. 20/42:05/03/09 17:28:52 ID:nZTE8COS
「カオリ様、我慢してくださいね……!」
 勢いは止まらず、佳織を抱き締めたまま正面の壁に足をつけて蹴った。
 仰角45度で跳躍したヘリオンは、更に天井を蹴り三角形を描いて、勢いを殺しきれないまま仲間のもとへ戻る。
 このまま突っ込めば佳織は兎も角、受身の取れないヘリオンは骨の一つでも折ってしまうだろう。
「んっ!」
 だがそれを、ハリオンが全身で抱き留める。ハリオンの後ろでは、ネリーとシアーが彼女を支えていた。
 獣じみた怒声を上げながら瞬が剣を振るい、ヒミカは後退してそれを回避。
 追うように雷球がヒミカに迫る。オルファの魔法がそれを撃墜し、討ち漏らしをエスペリアとニムントールが防御した。
「喰らいなさいっ!」
〈空虚〉から、瞬の雷球の比ではない稲妻が放たれた。瞬は己を焼く雷に、〈誓い〉を立てて耐える。
 雷が止み、沸き立つ煙のその向こうから光陰が身を躍らせた。
「観念しろ、秋月ぃっ!」
「舐めるなっ!」
〈因果〉の分厚い刀身を、全身の力で瞬は弾き返す。衝撃に光陰の身体が揺らぎ──だが、笑った。
「──観念しろと、言ったぜ」
 光陰の大柄な身体、その陰から、〈求め〉を横に振り被った悠人が現れた。
〈誓い〉は振り切られ、戻す暇もない。ひゅっ、と瞬が息を吸い込む間もなく、
「終わりだ、瞬────────────────ッ!!」
 鮮やかな軌跡を描いて、〈求め〉が瞬の脇腹に吸い込まれた。
483紅蓮の剣 Y. 21/42:05/03/09 17:30:04 ID:nZTE8COS
 悠人の手に鈍い感触が伝わる。肋骨の間から入った刃は、左肺を切断し、心臓にまで達した。
「が…………!」
 悠人が剣を引き抜く。切っ先が臓腑を引っ掻き、夥しい量の血が噴き出した。
 間欠泉のように血の吹き出る、傷というには余りに大きな切断面を手で押さえながら、瞬はうつ伏せに崩れ落ちた。
「うぁ、っあっ、あぁ…………!」
 致命傷を負い、それでも〈誓い〉を手放さず、瞬は地面を掻き毟る。
「ぼくっ、僕は選ばれた、人間だ、ぞ。何で……ッ! 何で僕が、お前達如き、に、負けなきゃならないんだ……!」
 見苦しく、往生際悪く、けれど必死に己が死に抗いながら、瞬は尚も怨嗟を紡いだ。
「……簡単な話だよ、秋月。
 ただの一人で千人分の力を持っていたってな、たった一人じゃ百人の相手に勝つこともできないんだ」
 緩やかに死に向かう瞬を見下ろしながら、光陰は哀れささえ滲ませて言った。
「……お前には、理解できんだろうな」
 瞬には最早、光陰のそんな言葉すら聞こえない。
「僕は信じない、僕は認めない……! 僕が負けることなんてないはずなんだ……ッ!」
 血から、その身体から、黄金の霧が立ち上り始めた。
「いやだっ……! 僕はまだ死なない。死にたく、ない……! まだ、殺して、ないのに、ぃ……!」
 ぎしぎしと音がするほどに、瞬の手は〈誓い〉を握り締めていた。瞬はそれを見、そして、呼んだ。
「──聞こえるか、〈誓い〉ィィィ……!」
484紅蓮の剣 Y. 22/42:05/03/09 17:35:44 ID:nZTE8COS
 死にゆく身体のどこにそんな力があるのか。瞬は、〈誓い〉を支えに立ち上がる。
 ……その力の名を妄執と言う。たった一つのことに対する執念が、今彼を立たせている。
「あいつを殺したいんだろう、〈誓い〉。あいつが憎いんだろう、〈誓い〉!
 なら殺せ、なら動け、なら力を貸せ! 僕に、僕に僕に僕に僕にィ! あいつを、殺させろォォッ!」
 ──この時点で、既に瞬の目的と手段は入れ替わっていた。
 いや、もうずっと前から──〈誓い〉を手に取った時からそうだったのかもしれない。
『悠人を殺して佳織を手に入れる』のではなく、ただ『悠人を殺す』ことに。
 そのことに、結局瞬は気付かないまま。
 自分をそう変えた剣に、更なる力を求めた。
「──僕から何を持っていったって構わないッ! 〈誓い〉よ、あいつをすぐに殺せぇぇぇェェェェェェッ!!!」
 瞬間。
 黄金の霧が逆流する。瞬の身体から立ち昇っていたマナが、巻き戻すように身体に吸い込まれていく。
 それだけに留まらず大気中のマナさえも、瞬は取り込んでいく。
 マナの乱流が巻き起こす凄まじい風は、頑丈なはずの壁にさえ罅を入れ、柱を崩していく。
 逆巻くマナの風の中で──瞬の身体そのものが、形態を変えていく。
 傷が消え、服が作り変えられ、身体の所々が昆虫のような赤黒い装甲で鎧われていく。
「あぁああぁあぁぁぁああぁぁあああッ!!」
 瞬が人間のものではない絶叫を上げる。びりびりと大気が震える中で、恐怖に彩られた声で〈求め〉が言った。
485紅蓮の剣 Y. 23/42:05/03/09 17:36:47 ID:nZTE8COS
『砕け、契約者よ! 今すぐ、〈誓い〉を砕くのだ……!』
 殺意と恐怖に彩られた悠人はその声に逆らわなかった。得体の知れない恐怖は、また悠人の中にもあった。
 悠人は、再生を終え今にも動き出そうとする瞬へと跳ぼうとして、
「ッ、佳織っ!」
 崩れ落ちる天井の真下に、佳織がいた。
 咄嗟に悠人は佳織のもとへ跳んだ。剣の一振りで瓦礫を吹き飛ばし──
「──隙があるぞ、悠人ォォォォォッ!!」
 背後から瞬が迫る。その瞳に正気はない。最早、佳織のことすら目に入っていない。
 オーラを展開する暇もない。悠人は辛うじて〈求め〉を振るい、
 
 ぱきぃぃぃぃ────────ん。
 
 ガラスが割れるような音を奏でて。
〈求め〉が、〈誓い〉に叩き折られた。
 カラン、と落ちた〈求め〉の刀身が立てた澄んだ音を、どこか遠く悠人は聴いた。
 全身から力が抜けていく。神剣を喪い、身体が、ただの人間に戻っていく。
「はっ……あははははははっ! 〈求め〉は死んだァッ!」
 瞬は哄笑し、〈誓い〉を振り上げる。悠人は咄嗟に佳織をヒミカ達の方へ突き飛ばした。
「次はお前の番だ、悠人ォッ!」
486紅蓮の剣 Y. 24/42:05/03/09 17:40:29 ID:nZTE8COS
 悠人は瞼を強く閉じた。神剣を前に、ただの人間は余りに無力だ。
 だが──
「お、あ、ぁぁぁぁああぁああああああ!?」
 剣は落ちず、代わりに瞬の叫びが聞こえた。──その右手は、手首まで〈誓い〉と同じ色に染まっている。
 そして床に落ちていた〈求め〉の欠片が浮き上がり、形状を変えて瞬の周りに浮かんだ。
 瞬の周囲の空気が、力を喪った悠人ですら分かるほどドス黒く不快なものに塗り変えられていく。
 苦しむように背を曲げていた瞬が、突如、弾けるように身を反らして哄笑した。
「ふ、ふふ、あはははははははははははっ!!」
 その声は、瞬のものであって瞬のものではない。瞬の皮を被った、別のものだった。
「何という解放感か! これほどの歪みを抱えているとは、正に逸材であったのだな!」
(……〈誓い〉、か? ……いや)
 そうですらないと悠人は直感的に感じた。アレはもう秋月瞬でもなければ、〈誓い〉でもない。
 果てしない絶望感が押し寄せる。ただの人間では、あれに抗する術はない。──けれど、
(けれど、だからって死ねるもんかよ!)
 ……悠人は、この世界に来て一つ、学んだことがあった。それは『自分が生かされている』ということだ。
 自分一人で生きてきたつもりだった。だが、それは思い違いだったのだ。
 元の世界は単に、多くの人間が『一人で生きていける』と錯覚するくらい整備された場所だったに過ぎない。
 自分以外何も持たずにこの世界に来て初めて、誰かに助けられ、誰かを助けることの大切さに気付いた。
487名無しさん@初回限定:05/03/09 17:41:30 ID:5+kRYb/E
支援致します。
488名無しさん@初回限定:05/03/09 17:43:19 ID:Okz6F/XB
助ける事は助けられる事に似る。そしてそれはとても大切な事。支援。
489紅蓮の剣 Y. 25/42:05/03/09 17:49:35 ID:nZTE8COS
 だから悠人は、自分を護ってくれた皆を、それと同じように自分が護りたいと思っていた。
 そして護ってくれた者のために、自分もまた生きていく──それが、護られた者のすべきことだ。
 あの夜、ヒミカと本気で剣を交えた夜を思い出す。ヒミカは護ってくれた者のために、死のうとしていた。
 それを自分は否定したはずだ。護られた者が自ら死を求めることは、護ってくれた者への冒涜に他ならない。
 そしてあの雨の中で、ヒミカは自分と共に道を歩むと言ってくれた。
 ──そう、誓ったのだ。仲間を護り、自分を護り、互いを護ると。
 生きるために生かすために、戦うと。
「だから諦めてたまるか、こん畜生……!」
 柄だけになった〈求め〉を握り締めた。まだ微かに、〈求め〉が気配を感じられる。
(俺は皆を護るんだ! 少しくらい根性見せやがれ、バカ剣ッ!!)
 強く、強く呼びかける。すると柄が身じろぎするように震え、弱々しい声が聞こえてきた。
『……全く、人使いの荒い契約者だ。最早、我が意識は〈誓い〉に呑まれつつあるというのに』
(そんなこと言ってんじゃねぇ、どうにかならないのかよ!)
『無理を言うな。折れた剣など剣ではない。……だが、そうだな。
 我らは本来互いに力を与えるのが流儀なのだが……この程度の酔狂、あっても良かろう』
 少しだけ〈求め〉の声が強くなる。
『汝へと〈門〉を開こうとしている者がいる。我に残された力で、それを開こう。
 何が出てくるかまでは知らぬ。それでもいいか?』
490紅蓮の剣 Y. 26/42:05/03/09 17:50:23 ID:nZTE8COS
(……分かった、頼む。〈門〉を開いてくれ)
『それが汝の最後の『求め』か。……ふふ、汝と過ごした日々、なかなか退屈しなかったぞ』
(俺は休む間もなかったけどな。
 ……お前には、色々迷惑かけられたけど、俺や仲間を助けてくれた。そのことに礼は言っとく。──ありがとな)
『契約だ。そこには感謝など存在せぬ。──が、その言葉だけは貰っていこう』
 皮肉げに笑う気配。
『では、契約者よ……さらばだ!』
 潔い言葉だけを残し、今度こそ本当に〈求め〉の気配は消えた。本当に、呆気なく。
 迷惑ばかりかけられた。だが、それでも〈求め〉とは、戦友と呼べる間柄だったかもしれない。
 じゃあな、と心の中で別れを呟き、──その直後、頭の中に聞き覚えのある声が響いた。
『──門を開いてください、悠人さん。時間がありません。早く、茅の輪をイメージして!』
 言われるまま悠人はイメージする。頭の中にある茅の輪に──『自分の想像していない誰か』が駆け込んできた。
 そうだ、その人影は、その少女は、
「──時深!?」
 パァン、と茅の輪のイメージが弾け、入れ替わるように目の前の空間が歪み──倉橋時深が飛び出してきた。
 どうしてここに、と問う暇もなく、時深は変貌した瞬へと突撃した。
 まだ体勢を整えていなかった瞬は急襲に身を硬直させる。
 それを時深は逃さない。手に握った剣を縦横無尽に振り回し、瞬の身体を切り刻んでいく。
 その疾さは、そう、それこそ時間を早めているかのように。
491紅蓮の剣 Y. 27/42:05/03/09 17:51:37 ID:nZTE8COS
「ちぃっ!」
 一旦後退し、瞬は周囲に浮かぶ六本の剣を時深へと飛ばした。
 だがそれすらも障害に成り得ない。時深はそれら全てをするりとすり抜け、一瞬で瞬まで肉薄した。
 胴を薙ぐ斬撃を、しかし瞬も回避する。距離を取り、二人は向かい合った。
「……この私に、あなた程度の攻撃では届きません。それでも、まだやりますか?」
「ひとまず退く、と言いたいところだが……俺を虚仮にしたことは許さん。今、殺す」
 殺意を漲らせながら、しかし瞬は無表情だ。愚かな、と嘲るように呟き、時深は再び剣を構えた。
 今にでも弾けそうな空気の中で、
「──あらあら、面倒なことになっていますわね」
 第三者の声が響いた。
 時深は弾かれたように音源の方を見る。崩れ、最早殆ど原型を留めていない玉座の上。
 そこは時深が現れた時と同じように空間が歪み──そして、一人の少女が、舞い降りるように姿を現した。
「……法皇テムオリン! 何故、あなたがここに!?」
 驚きを交え、時深はその白い──しかし禍々しい空気を纏う少女を睨みつけた。
 テムオリンと呼ばれた少女は、その幼い顔に似合わぬ嘲笑の表情を以て時深に答えた。
「何故? 貴女が何故、と? トキミさん。未来を見るあなたが、私が此処に来ることを予測しなかったと?」
「……想定はしていました。しかし何の用です。あなたがここに現れる必要などないように思えますが」
「嘘をおっしゃいな。『見』ている癖に。……まぁ、一応教えてあげますわ。
 今回も傍観させて頂いていたのですけれど、そこの坊や達が思った以上にやるものですから、ね」
492紅蓮の剣 Y. 28/42:05/03/09 17:57:38 ID:nZTE8COS
 テムオリンの視線が悠人を捉える。ぞくりと、背筋に走る得体の知れないものを悠人は感じた。
「シュン、あなたも今は矛を収めなさいな。まだ本調子ではありませんでしょう?」
 図星なのか、瞬は押し黙る。テムオリンは再び時深に向き直った。
「さてトキミさん? 貴女はこれから私がどんな行動を取るか、幾つ予測していらっしゃるのかしら?
 十通り? 二十通り? それとも百通りかしら? そのどれを取るか、貴女に分かりますこと?」
 時深は答えず、ただ神剣を握り締めた。いつ、どんな風に、テムオリンが行動を起こそうと対処できるように。
 その様子を見て、テムオリンは満足げに微笑み、そして言った。
「……もう貴女とは長い付き合いですからね。いい加減、貴女が何をしようとしているか分かりますの。
 例えば私の取れる選択肢のうち、どれが一番選ぶ確率が高くて、どれが低いか、とか。
 どれが合理的でどれが非合理的か、とか。──どんなことをすれば貴女が間に合わないか、とか」
 サッと時深が顔を青褪めさせた。
 そうだ、どうして気付かなかった。いつも彼女と共にいるあの黒い剣士が、何故今この場にいないのか──!
「悠人さん逃げてぇっ!」
 時深が叫び、だが、

「──遅い」

 悠人の真横に突如現れた漆黒の大男が、鉈のような大剣を振り下ろした。
493名無しさん@初回限定:05/03/09 17:58:32 ID:sVkRGtWd
支援を、あなたに
494紅蓮の剣 Y. 29/42:05/03/09 17:58:36 ID:nZTE8COS
 落ちてくる剣は遅く見えた。だが空気が全部ゼリーになったみたいで、悠人は自由に身動きが取れない。
 時間が遅いのだ。その中を、凝り固まった空間を切り裂いて死が落ちてくる。
「──ユート様ッ!」
 だがそれより尚速く飛び出した赤い影が、断頭の剣から悠人を救い出す。
 しかし、それでも遅かった。通り過ぎた剣の余波が、それだけでヒミカの背中をズタズタに引き裂く。
「あぅ……ッ!」
 悠人を抱き締めたままヒミカは倒れ込む。
「ヒミカッ! おい、大丈夫か!?」
 大丈夫なわけがないのは一目見て分かった。背中の表面が抉られ、白いものが見え隠れしていた。
「あ……ユート、様。ご無事、でしたか」
「ああ無事だよ! だからヒミカも……! くそ、誰か治療を……!」
 力ないヒミカの身体を抱き締め、悠人は首を巡らせるが、光陰達は動けないでいた。瞬が遠くから牽制している。
 悠人さん、と叫んで、駆け寄ろうとした時深は──しかし動けない。喉元に、杖が突きつけられていた。
「隙がありますわよ、トキミさん」
〈秩序〉を保持したまま、テムオリンは口元を袖で隠し、微笑んだ。
 してやられた。時深は歯を食い縛る。最初から、テムオリンはこれを狙っていたのだ。
 時深は、テムオリンが悠人を攻撃する可能性を無視していた。力を喪った悠人を殺しても無意味なはずだからだ。
 だが実際の目的はその向こう。悠人を襲うこと自体が、時深に隙を作る手段だった。
 テムオリンにしてみれば、時深が悠人の死に動じないことも考えられたが、それはないとテムオリンは判断した。
 時深がそうしないということくらい、付き合いの長いテムオリンには分かっていたのだから。
495紅蓮の剣 Y. 30/42:05/03/09 17:59:26 ID:nZTE8COS
 読み負けた。今更己の浅薄さを悔やんでも意味はないが、時深は唇を噛み締めずにはいられない。
 可能性という言葉の何と無意味なことか。否、それを見ていながら活用できなかった自分の、何と愚かなことか。
 時を読む自分が、読み負けた。その屈辱を噛み締めながら、時深は嘲笑うテムオリンを睨みつけた。
「……大勢は決したようだな」
 巨大な剣を床に埋めたまま、黒い剣士が言う。剣を引き抜き、軽くそれを肩に担いだ。
「タキオス、もう用済みですわ。全員、始末しておしまいなさいな」
 は、と短く答え、タキオスは〈無我〉を振り回す。
 光陰達は身構えるが、全員、その男には勝てないことを理解していた。力のケタが違う。
「そういうわけなのでな、お前達には何の恨みもないが、斬らせてもらう。
 ……お前とは、一度剣を交えてみたかったのだが──最早、それも叶わぬか」
 自分を睨みつけてくる悠人と、手に握る〈求め〉の柄を一瞥し、タキオスは言った。
 悠人の腕はただ強くヒミカを抱き締めている。息の音さえ聞こえない少女が、マナに還ってしまうのを留めるように。
「いい眼だ。我が主の命とはいえ、殺すには惜しい戦う者の眼だ。
 だが、諦めろ。もうお前達には何もできないのだから。……情けだ、一太刀で終わらせる。共に黄泉路を行くがいい!」
 唸りを上げて鉄塊が落ちてくる。確実な死であるそれから、けれど悠人は眼を逸らさない。
(──ふざけるな)
 諦めろ、だと? 諦めきれるものか。この腕の中に抱く少女の温もりがある限り。
 腕の中のヒミカは瘧のように震えている。背中の傷からマナが立ち昇り、唇は紫に染まり──だが、まだ生きている。
 もう何の力もないけれど、俺は死んでない。ヒミカも生きている。俺には、まだ護りたい人がいる。──だから、
(ふざけるなよ、この野郎!)
 その魂に、火を点けろ。
496名無しさん@初回限定:05/03/09 18:05:01 ID:5+kRYb/E
支援入ります
497紅蓮の剣 Y. 31/42:05/03/09 18:09:15 ID:nZTE8COS
 ──それはありえない動きだった。
 高速で落下するタキオスの剣、それが地に到達するまでの刹那の時間。
 悠人は抱いていたヒミカをハリオン達のほうへ放り投げ、自身は横に跳んだ。
 すぐ横に鉄塊が墜落する。剣圧だけで脚の肉が削がれた。痛い。
 それでも悠人は両脚のばねを限界まで使い、地を蹴った。手の中に〈求め〉の柄を握り締めて。
 注視すれば見えただろう。悠人の身体から、薄く黄金のマナが立ち昇っていたのを。
 タキオスの顔が驚愕に染まる。剣をもう一度振り上げるのも間に合わない。
「あぁぁぁぁッ!」
 無防備なその顔面に、全体重を乗せるようにして拳を振り抜いた。
 ──みしり、と。悠人の拳がタキオスの頬にめり込んだ。
 その場にいた全員が硬直した。時深も、瞬も、テムオリンさえも。
 殴られたタキオスは、頬の拳を呆けた視線で一度見、そして悠人と視線を合わせた。
「……よもやな。拳で殴る、という行為を、久しく忘れていた」
 ク、とタキオスは唇の端を吊り上げて笑う。
「だが力なき勇気は無謀でしかない。無謀な己を痴れ者と知れ!」
 タキオスが平手で悠人を払いのける。それだけで悠人の身体は羽虫のように吹っ飛んでいった。
 ぼきぼきと、悠人は肋骨が立て続けに折れる音を聞いていた。軽い平手だったのに、意識が朦朧とする。
「中々愉しませてもらったが……今度こそ終わりだ」
 タキオスが再び剣を構える。床を転げ、しかし即座に起きた悠人に歩み寄ろうとする背に、タキオス、と声がかかった。
「テムオリン様? ──!」
 テムオリンの首に、時深の神剣が突きつけられていた。
498紅蓮の剣 Y. 32/42:05/03/09 18:10:42 ID:nZTE8COS
「私もまだまだですわね。その坊やが動いたくらいで取り乱すなんて。
 それともこれも貴女の読み通りかしら? トキミさん」
 命を握られているというのに、テムオリンは尚も時深を嘲笑う。
 時深は答えず、ただテムオリンから視線を逸らさない。テムオリンはつまらなさそうに吐息した。
「……仕方ありませんわ。タキオス、シュン、退きますわよ。どうにも、トキミさんはその坊やにご執心のようですし」
「やけに潔いですね。何を考えているんです?」
「別に何も。ただ、今私がこの世界から消滅しては、為すべきことを為せなくなってしまいますもの。
 それとも、今ここで私の首を刎ねますの?」
 テムオリンが嗤う。
 ……今、時深がテムオリンを殺せば、瞬とタキオスの動きを制限するものがなくなる。
 この二人を同時に相手にして無事でいる自信は、流石に時深にもなかった。
「……よしましょう。去るなら、さっさと去りなさい」
「では、お言葉に甘えて。タキオス、シュン、先にお行きなさい」
「は──」
 タキオスが頷き、瞬は不服そうな表情で悠人達から離れた。
 ごぅ、と二人を激しいマナの渦が包む。それを見て、す、とテムオリンも下がり、その渦に入った。
「ではトキミさん、ごきげんよう。それと──」
 テムオリンの瞳が、一瞬悠人を捉える。悠人はその幼い邪悪を、負けじと睨みつけた。
 三人が消え、悠人は先程放り投げたヒミカのほうを振り返ろうとして──そのまま、意識を喪った。
499紅蓮の剣 Y. 33/42:05/03/09 18:11:52 ID:nZTE8COS
 ────夢を。
 懐かしい夢を見た。手を伸ばして、けれど届かない、そんな懐かしい夢だった。
 
 ……眼を覚ます。
 すっかり見慣れた天井が広がった。第一詰所の、悠人の部屋だった。
 右手が何故か痛い。胡乱な頭のまま手を持ち上げ開くと、中には、鈍く光を弾く青い金属片があった。
「気がつきましたか?」
 声がかけられた。首を巡らせると、ベッドの横の椅子に巫女姿の少女が座っていた。
 少女が喋り出す。
「おはようございます、悠人さん。私は──「時深! ヒミカは!?」」
 がばっと悠人は跳ね起き、激しい口調で声を被せた。対し、時深は思わず硬直してしまう。
「何で……忘れてないんですか……?」
 呆然と時深が口を開く。忘れるものか、と悠人は思った。
 確かに、自分は忘れていた。だが手の中の〈求め〉の欠片と、時深の姿を見た瞬間には全て思い出していた。
 瞬のことも、あの白い少女や黒い剣士のことも、ヒミカが、自分を庇って傷を負ったことも。
「時深、ヒミカは……生きているのか?」
 語気を強めてもう一度問うた。最後に見た彼女はずたぼろだった。浅い傷ではない。
 死んでいるはずがない。生きていなくてはならない。だが、あの赤い背中がそれを不安にさせる。
「それは──」
 時深は、少しだけ眼を逸らした。
500名無しさん@初回限定:05/03/09 18:14:01 ID:Okz6F/XB
支援!! 今支援しないで、いつ支援するというんだ!!
501紅蓮の剣 Y. 34/42:05/03/09 18:17:08 ID:nZTE8COS
 その仕草に、悠人はざぁっと波の引くような音を立て、自分の顔が青褪めるのを感じた。
 まさか。まさかまさかまさかまさか。ヒミカは、
 
「──ユート様」
 
 声が、聞こえた。
 きぃ、と部屋の扉が開いて、ドアの縁に白い手がかけられた。
 弱々しい足取りで、ヒミカが部屋に入ってくる。顔は青く、壁伝いに、それでも悠人へ向かって。
「ヒミカ……ッ!」
 たまらず、悠人も毛布を跳ね除けた。全身が軋む。特に、抉られた脚が痛かった。
 だが歩いた。床に足をつけ、油の切れた機械のように自由の利かない身体を歩ませた。
 ヒミカは壁から手を放し、悠人への最短距離を歩み始めた。だがすぐに脚をもつれさせ、その身体が倒れ掛かる。
 それを、悠人が受け止めた。あ、と声を発するヒミカを、そのまま強く、抱き締めた。
「……良かった」
 心からの安堵と愛しさを込めて、悠人が言う。
 力の入らない腕に、懸命に力を込めて抱き締める。もう二度とこの身体を離すまいと。
 あの瞬間の、今にも消えてしまいそうだったヒミカの感触が蘇る。
 だがそれは雪が溶けるように、今抱き締めている温かさに払拭されていく。──ここに、いる。
「……生きてくれていて、良かった」
 強く抱き締める悠人に、ヒミカもまた、はい、と答え、悠人の背中に手を回した。
502紅蓮の剣 Y. 35/42:05/03/09 18:18:08 ID:nZTE8COS
「まったくもう、二人とも無茶しすぎです」
 二人に自分の紹介と、現状の説明を済ませるなり、時深は説教を始めた。
 ベッドで横になった悠人の隣では、知らせを受けて駆けつけたハリオンとエスペリアが治療に当たっている。
「ヒミカさんは眼を覚ますなり部屋を飛び出すし。第二詰所からここまで来る間に倒れたらどうするんですか」
 すいません、と椅子に座ったヒミカが縮こまる。
 ヒミカの傷は深かったが、ハリオン達のお陰でどうにか一命を取り留めた。
 つい先程目覚めたのだが、ちょっとハリオンが目を離した隙に悠人のところへ向かっていたのだ。
 どちらにせよ無事で良かった、と悠人が呟くと、じろりと時深が睨みつけてきた。
「大体、危険な状態だったのは悠人さんのほうなんですからね。
 タキオスを殴った時、自分がどれだけ危ないことしたか気付いてないんですか?
 あの瞬間悠人さんは、自分の身体を構成するマナを、〈求め〉の柄を媒介に無理矢理力に変換したんですよ?」
 神剣は大気中のマナを取り込み力とする。
 刀身を喪った〈求め〉にはそれができない。だが、悠人は自分の身体のマナを使って力に変えたのだ。
「非常識にも程があります。一歩間違えれば自分自身が消えてたんですからね」
 ぷんすか怒る時深に、仕方ないだろ、と悠人は反発した。
「自分でも何やったかなんて覚えてないんだよ。それに、ああしないと俺もヒミカも死んでたんだから」
「結果論でものを語らない!」
 喝、と時深がバックに虎を背負って叫んだ。
 前にも同じことを言われたなと思いつつ、今度こそ悠人は「すまん」と謝った。
503紅蓮の剣 Y. 36/42:05/03/09 18:19:13 ID:nZTE8COS
「……とにかく、悠人さんもヒミカさんもしばらく安静にしていてください。ヒミカさんも、自分の部屋に戻って」
 後半部分をやけに強調して、時深は言った。
 だがヒミカは、それは無理です、と澄ました顔で返した。
「残念ながら、ここに来るまでの間に体力を使い果たしたので自力では戻れそうにありません。
 少し休んでから戻ることにします」
 ひくっ、と時深の頬が目に見えて引き攣った。
「じゃ、じゃあ私が背負ってでも連れ帰って」
 さしあげます、と言おうとした時深の両腕を、ハリオンとエスペリアががっちりとホールドした。
 ハリオンは愉しそうな笑顔で、エスペリアは呆れと諦めが綯い交ぜになった表情で、だ。
「ダメですよ〜トキミさま。怪我人に無理させちゃ、めっ、です」
 そのままずるずると部屋の扉へと引きずっていく。エスペリアは無言だった。
「え、ちょっと待ちなさい。そうじゃなくって、あー……」
 ドアの外まで引きずり出され、時深の声が遠ざかっていく。
 ぱたん、とドアが閉じる様子を、呆然と悠人は見送った。
「……お加減はいかがですか、ユート様」
 二人きりになった部屋でヒミカが問う。悠人は軽く腕を回してみせた。
「ちょっと動きが鈍いけど大丈夫だ。それよりヒミカはどうなんだ? 体力尽きたとか言ってたけど」
「私も大丈夫です。少なくとも、今のユート様のお世話を出来るくらいには」
「……無理しなくてもいいんだぞ?」
 別に無理なんかじゃないですよ。ヒミカは穏やかに笑った。
504紅蓮の剣 Y. 37/42:05/03/09 18:26:46 ID:nZTE8COS
 とはいえ、一通りのことはハリオン達が済ませてしまったので、ヒミカも取り立ててすることはない。
 二人の間から言葉が消えた。わずかに開いた窓から、暖かい風が吹き込んでくる。
「……これから、どうするかな」
 ぽつりと悠人は呟いた。
 さっき時深から、元の世界に帰る目処が立ったと聞かされた。
 それはとても嬉しいことだ。だがそれを素直に喜べないのは、この世界に大切なものが多すぎるからだろう。
 共に戦ってきた仲間がいる。護りたいと思った国がある。
 悠人は心配そうにこちら見ているヒミカを見た。──共に歩むと言ってくれた人がいる。
 そして、瞬──否、〈世界〉はそれを壊そうとしている。放っておけるはずがない。
 だが、もう悠人に戦う力は残っていない。
〈求め〉は折れた。この身体はマナでできているだけの単なる人間に他ならない。
 戦うことは、できないのだ。
 静かに握り締められる悠人の拳に視線を落としながら、ヒミカは言った。
「ユート様は、元の世界に戻られるべきだと思います」
 そうヒミカは搾り出す。……そんなこと、悠人自身にも分かっていた。
 だがどうしてそれに頷くことが出来よう。誓ったのではなかったのか。雨の森で。
「俺は、ヒミカを護りたいのに」
 強い想いはそのまま言葉となって口から出た。それは言霊になって、また強く悠人の心を呪縛する。
「……ユート様は、もう神剣を持っていないではありませんか。それでどうやって戦うというのです。
 もう充分でしょう。カオリ様を、助け出せたじゃないですか」
505紅蓮の剣 Y. 38/42:05/03/09 18:27:41 ID:nZTE8COS
 それでも、と悠人はヒミカを見つめた、
「それでも俺は護りたいんだ。ヒミカも、皆も。俺一人、何もしないままじゃいられない」
 言葉に強い意志を込め、言う。だが、ヒミカは首を横に振った。
「それでも、です。そのような使命感は捨ててどうかご自愛を。
 言いたくはありませんが、今のユート様に戦う力はありません」
 決然と、しかし瞳には心苦しさを宿してヒミカは言う。その事実と、ヒミカの瞳の色に、悠人は何も言えない。
 唇を引き結んだ悠人に、ふっ、とヒミカは不意に優しい笑みを浮かべた。
「……安心してください。私は、ユート様が護ろうとした全てを護ります。そしてまた、私自身も護ります。
 ユート様が私を護ろうと思ってくれている。それだけで充分なんです。
 想いは、力になります。ユート様、あなたのその想いが、私を生かす力になる」
 そして、とヒミカは一拍置いて続けた。
「ユート様が元の世界に帰っても、私があなたを護ります。
 想いはきっと届きます。例え世界を隔てても、私の想いが、ずっとユート様を護ります。
 何の根拠もないけれど……私の想いが、あなたを護ると私は約束する」
 胸の上で拳を握り、ヒミカは誓約を立てる。
 柔らかな笑みには、しかし決意と誓いの強い意志が込められている。
「……ああ、ありがとう」
 その笑みに込めた意志が紛れもない真実だと分かっていたから、悠人はそんなことしか言えなかった。
 それを退けて我を通すだけの力も権利も、今の自分は喪ってしまっているのだから。
506紅蓮の剣 Y. 39/42:05/03/09 18:28:51 ID:nZTE8COS
 悠人のそんな想いを、またヒミカも理解していた。けれどヒミカはやはり微笑むことしかできない。
 ヒミカは、悠人の抱く無力感を癒すことなどできない。──否、きっとそれは誰にもできないのだ。
 それまで届いていた場所に届かなくなる。そのもどかしさを誰が理解できよう。
 戦う者の背負う罪は理解していた。同じ者であるヒミカに癒すことはできなくても、支えることはできた。
 ……今は、彼の苦しみを理解することすらできない。
 癒すことも支えることもできない。彼は無力感を抱えたまま元の世界に戻るだろう。
 だが──それでいいのだ。それで、これ以上彼が傷つくことがないのなら。
 共に罪を背負おうとは言ったけれど、背負わないに越したことはない。
 元より彼はそんなものとは縁遠いはずの人間で、自分は昔からその中に身を置き続けてきたのだから。
 正常な状態に戻るだけだ。彼は苦しむだろうけれど、理不尽な戦いで命を落とすことはもうない。
 この少年が生きていてくれることこそが、今の自分の望むことだ。
 そして存在する世界を違えても、悠人がいるなら──例え敵がどんなに強大であっても、絶対に死なない。
 彼の想いが自分を護り、自分の想いが彼を護る。
 この想いがある限り、傷つくことも罪を背負うことも苦にはならない。そう思えた。
「……そろそろ、私も戻ります」
 言って、ヒミカは立ち上がった。悠人と一緒にハリオン達の治癒を受けたお陰か、身体も大分楽になっている。
 まだ少し動きのぎこちない脚に気合を入れ、出来る限りしっかりとドアに歩いていく。
 ああ言った手前、悠人の前で転んだりするわけにもいかない。つまらない意地だが、それでも張り通す。
「では、失礼します。ユート様も、ちゃんとお休みください」
 ああ、と悠人が答える。それに微笑を返して、ヒミカは部屋を出た。
507名無しさん@初回限定:05/03/09 18:30:24 ID:sVkRGtWd
支援、いるよね?
508紅蓮の剣 Y. 40/42:05/03/09 18:35:41 ID:nZTE8COS
 ばたん、と閉じたドアを、しばらく悠人は眺めていた。
 遠ざかる足音が聞こえなくなったところで、悠人は小さく息を吐く。
 ……自分が情けない。
 戦う力が欲しかった。〈世界〉を斃し、この大地を護れるだけの力が欲しかった。
 あの時見た〈世界〉と、テムオリン、タキオス。あの三人の力は常軌を逸している。
 ヒミカはああ言ったものの、正直悠人には、ラキオスのスピリットが結集しても勝てる気がしない。
 それは仲間が──ヒミカが死ぬということだ。それを、悠人が許せるはずもなかった。
(──けれど、自分には何もない)
 レスティーナの指導力も、ヨーティアの技術力も。神剣を喪った自分は、ただの脆弱なヒトでしかない。
 時深が記憶を封じていたのも分かる。
 あのままだったら、何も疑問に思わず、ただ別れを惜しんでこの世界を去っただろう。
 それでお話はお終い。めでたしめでたし──と、この物語の幕は閉じるはずだった。
 だが生憎と、この〈求め〉の欠片はそれを許してくれなかった。
 戦いは終わっていない。何も終わっていないのだ。でも──
 ……両親との約束がある。佳織を幸せにするという、亡き父と母との約束。
 佳織は元の世界に戻るべきだ。佳織は、あの世界で幸せにならなくてはいけない。
 それなら自分も一緒にいるべきではないのだろうか。それを見届けるべきではないのだろうか──
 そう思うには、自分にはこの世界で多くのものを背負いすぎた。護りたいものと、犯した罪を。
 その為にも。力が得られるならば、自分は迷わずそれを手にする。そして、この世界に留まるだろう。
 一人きりの部屋の中、未だ明確な答えは出ないながらも、悠人はそれだけを確信していた。
509紅蓮の剣 Y. 41/42:05/03/09 18:37:09 ID:nZTE8COS
 そして一週間後、動けるようになった悠人は時深に呼び出された。
 そこで様々な事を聞かされた。エターナルのこと、永遠神剣のこと、時深自身のこと。
 ……自分がエターナルになれる可能性。
 エターナルになると、自分があらゆる世界から『いなかった』ことにされてしまうこと。
 つまりそれは、佳織やヒミカ、アセリア達からの記憶から消えてしまうということだ。
 歴史の改竄。その時点で消えるのではなく、遡って『自分』とそれに関する因果そのものの抹消。
 よく考えてください、と時深は言って、部屋を出た。
 
 悠人がエターナルになれる可能性を持つことは、悠人以外の全員が知っていた。
 目を覚まし、部屋に戻った後、ヒミカもまた時深からそれを聞かされていた。
 そして彼が、間違いなくその道を選ぶであろうことを、誰よりもはっきりと感じていた。
(そういう、人ですから)
 訓練所裏手の森で剣を振るいながらヒミカは思う。
 そういう人間なのだ。誰かが傷つくことを厭い続ける人間。そのために己が傷つくことを厭わぬ人間。
 そこまで分かっていながら──どうしても、自分の胸のうちにあるわだかまりを消せない。
 わだかまりの正体は自明だ。
 ──ヒミカさんは、エターナルにはなれません。
 一連の話の最後に、時深はそう言った。自分は、悠人と共に歩く資格がないのだという。
 糞喰らえだ、と汚い言葉でそれを罵っても、それで何かが変わるというわけもない。
 共にいることもできず、思い出を抱くことすら許されない。
『ユート様──私を、放さないでください』
『私の想いが、あなたを護ると私は約束する』。
 戦いの前に求めたこと。戦いの後で誓ったこと。全てが虚構と消え、それを果たすことさえ世界は許可しない。
510紅蓮の剣 Y. 42/42:05/03/09 18:38:42 ID:nZTE8COS
 悠人が力を取り戻すことは嬉しいことのはずだ。戦士としての自分はそう判断する。
 彼は自らの手で皆を護り、自分もまた共に戦列を組んで戦える。
 違うのは悠人のことを覚えていないというだけで──けれどそれは決定的な違いだった。
 悠人が力を得て戻ってくることよりも、自分が忘れてしまうという恐怖のほうが強かった。
 ……今、何も出来ないのは、自分のほうだ。
 悠人は間違いなくエターナルになる道を選ぶだろう。もう一度、その手に剣を執るだろう。
 それをどうして止められようか。同じ、仲間を護るために戦う者として。
 ──それでも、この心は彼を求めて止まない。
 でもそんなこと言えない。そんなのは彼を困らせるだけだと、分かっている。
 分かっている、はずなのに。
 ならば自分はどうして、今こんなにも必死に剣を振るっているのか。
「は、ぁ──」
 手から、〈赤光〉が滑り落ちた。もう力が入らなかった。連動するように膝が折れ、ヒミカはその場に座り込んだ。
 荒い息に合わせ、額から滴り落ちる汗が、地面に染みを作っていく。
「……私は、」
 ユート様と一緒に、いたい。それが今の偽らざる願い。戦士ではなく、『ヒミカ』としての。
 なくしたくない。この想いを喪いたくなかった。罅割れてしまいそうな心臓を、服の上から掴む。
 生まれて初めて抱く、切なく哀しい感情が、ヒミカの心を締め付ける。
 この感情がきっとそうなのだと分かっているが故に、尚のことその強さが呪縛となる。
 
「ユート様、私は、あなたを────」
511紅蓮の剣 Y. あとがき:05/03/09 18:42:53 ID:nZTE8COS
本当は次のZもこの話に含まれる予定だったのですが、予想外に長くなってしまって急遽分割。
天の声:もうちょっと短くまとめましょう。
スイマセン……orz

前回との間が長く空いてしまいましたが、六章をお送りしました。支援の方、いつも有難うございます。
投稿も連投規制に引っかかりまくりです……やきもきさせてごめんなさい。
今回はサーギオス首都攻略から佳織が元の世界に戻る前まで。
レスティーナの演説は本編の中でも名シーンだと思います。一枚絵がないのが残念。
戦闘パートでは、人間とスピリットを交えた戦争を描いてみました。
実際人間とスピリットの単体の戦力差がどれくらいかは分からないのですが、
どれだけ強くてもやはり『単体』ですから。神剣魔法を使えないなら、人海戦術を乗り切るのは困難だと思います。
悠人やアセリアくらいになると規格外レベルだと思いますけれど。
軍事知識はあんまりないので、劇中の戦闘行動がどれだけ理に適っているかは分かりません。
というか相当好き勝手書いてしまったのですが……
悠人がタキオス殴りつけるくだりやそれに対する時深の説明は全部捏造です。
……いや、そうでもしないと悠人が死ぬような状況に追い込んじゃった自分が悪いのですが(汗
大筋だけ決めてアドリブで書いてるからこういうことになるんですよね……反省。

誤字脱字等あればご指摘お願いいたします。
全然クライマックスが見えてきませんが、よろしければ今しばらくお付き合いくださいませ。
ホント短くまとめきれないでスイマセンスイマセンスイマセン……
512名無しさん@初回限定:05/03/09 18:56:41 ID:fpp68ers
紅蓮の人さん、GJ!

誤字脱字ではないですが、一つだけ。
ニムってハーベスト覚えなかった気がします。
513名無しさん@初回限定:05/03/09 22:02:49 ID:hmLN8Lj8
>>511 紅蓮氏
紅蓮の剣 Y、乙です!
今回、全員しっかりと見せ場があって、驚きました。特に、ヘリオンの三角跳び!
速さに自信があるからこその、佳織救出役。…うおお、無理がない!素晴らしいです☆
でも、今回の大賞は個人的に時深だと思います。
だって、だって……れ、連行されてるよ、この人ーー!!(大笑
折角戦闘シーン格好良く決めたのに…。お笑い大賞は、完璧決定ですね(笑
…とまあ、馬鹿な話はさておいて(ぉ
ヒミカは、何故エターナルになれないのか?このまま、エターナル化による別れが!?
続きが、とてもとても気になります!
紅蓮の剣 Z、楽しみにお待ちしております♪
514名無しさん@初回限定:05/03/09 22:27:40 ID:gpB9K4d8
つり合っていたはずの天秤が、右に揺れ、左に揺れ。
もう一度並ぶように。片方が空っぽにならぬように。
運命という重しをつかみ取れ。


無言のエスペリア……九回裏から逆転だっ! え、5回コールド?
ナナルゥの活躍が目立っておりますな。
「ネリーだっていっぱいがんばったのにー ブーブー」
「シアーだってやるときはやるんだから! た、たぶん……」
ふたりはつっかえ棒。
病床のユートの元に佳織とレスティーナもちょっと出して欲しかったり。

ナナルゥもフレイムレーザー覚えなかったりするけど キニシナイ(゚∀゚) 
515名無しさん@初回限定:05/03/09 22:44:25 ID:NubMmLkt
>>511 紅蓮の人さん
圧倒されるほどの大合戦ももちろんですが、
テムオリンと時深の化かし合い、もとい駆け引きが好きなシーンになってしまいました。
今回はテムオリン優勢で事が済んでしまいましたが、『時詠』の時深の名誉挽回なるか。
抑えても抑えきれない揺れる想いに縛られるヒミカがどのような行動に出るのか。
拳での一撃に賭ける熱血少年漫画主人公悠人君は桃色マナ空間を形成できるのか(ぉ
ついに本編で言う第五章に突入するところで次回へ。大変楽しみです。
516名無しさん@初回限定:05/03/09 23:16:49 ID:Yi76W4VB
>>511 紅蓮さん
ぐれけんキターーー!!!(勝手に略すな)
戦闘シーンに燃え、ヒミカに萌え。
楽しませていただきました。あと兵士がいい味出してます。
このまま悲しい別れで終わるのか?それとも・・・
続きが気にナナルゥ・・・いや気になる終わり方です。

>>454
テムオリン的には誰でも良かったわけですからね。
実際マロリガンはエトランジェが二人な上に精鋭ぞろいの稲妻部隊つき、
しかも光陰は今日子に殺される気でいたみたいなので
今日子(というより空虚)が勝ち残る可能性は高かった気がします。
復習・・・やっちまった・・・シリアス話で誤字をするとギャグ話の時の
三倍は凹みます。ご指摘ありがとうございます。

>>455
最初誰かわからないようにしたのは、狙ってのことでしたが・・・
裏目に出たのかもしれません。
バランス・・・今読み返すと自分でもそんな気が・・・(駄目駄目だ)
とりあえず自分でもまだまだだな・・・というのは自覚しているので
日々精進です。個人的には否定意見も糧にしたいので
これからも「だからアンタは駄目なんだー」等のご意見もお待ちしております。
凹みながらも精進しますので。






517名無しさん@初回限定:05/03/09 23:20:54 ID:Yi76W4VB
>>456 髪結いさん
>正規今日子ルートが霞んでいきます
それは流石に褒めすぎかと・・・パソの前で悶え転がってしまいます。
調子に乗りやすい子なので適度に「ふっ・・・ここが駄目ね。あとここも、そこも。」
みたいに叱咤してやってください。(注・別にMではないですよ?)
個人的にはこれぐらい救われない話があるのかな?と期待してました、アセリア。
(このスレ的には異端でしょうがダークな話を期待してました、最初)
だって公式HPとか雑誌とか見た限り救いの無さそうな展開になるとしか・・・
(すくなくとも一つはそんなルートがあると思ってました。)
結局はエロシーンを無理矢理ぶち込んだイービルのみでしたが・・・
(雑魚スピに萌えられたんでこれはこれでいいんですけど)
・・・いいのだろうか?こんなこと告白して。
もちろんハッピーエンドやギャグだって好きですよ?
・・・やっぱり「復習」はずっこけますよね・・・シリアスでのミスは痛さ三倍。
神剣の位も数字と漢数字混じってるー。・・・駄目だ。ご指摘ありがとうございます。

>>457 御洒落さん
統べし聖剣ユートは公式のアセリア完全版に期待したいところです(マテ
たしかにキョーコよりキョウコの方が見栄えが・・・
そもそも依存の場合はどうだっけ・・・(EX本編チェック中)
・・・ヤバイ・・・紫電のキョウコだ。これも訂正と・・・ご指摘ありがとうございます。
518名無しさん@初回限定:05/03/10 10:14:09 ID:LSFeZ8YB
>>511
>>紅蓮の人さん、G.J!!
自分達の力で何かを勝ち取ろうとする様になった
人間達がカッコイイ!!
ゲム中だとサーギオス前の姫様演説時の掛け声ぐらいしか
前に進もうとする民衆が見えてこないし、ちょっとその辺が
不満だったんですよね……なんか世界が平和になっても
エーテル技術やスピに頼りきった生活を変えれるのかな?って
思ったんですよ。でもこれなら悠人たちがいなくなっても
なんとかなりそうな力を感じます。

悩むヒミカが、激カワイイ……!!
そして連れ去られる(w 時深もかわいいかも
519名無しさん@初回限定:05/03/10 11:50:09 ID:HAoHCyT2
禿しく遅レスですがw
>>517霞氏
野心作乙です。今日子の正規ルートなんてあったっけ...などと思ってました。
こないだやったばかりなのにEXの存在を忘れているお馬鹿な私です。
これは今日子ルート、というよりむしろ光陰の描いた絵ですね。
私も本編でもし悠人が今日子・光陰チームに負けたら一体どうなるんだろうとか
思ってましたので、楽しんで読ませて貰いました。
でも今日子のいないハイペリアがどうなるのかが心配ですw
                                                                              
改行に関しては逆に多すぎのような気が。モニタ上では何となく右半分が寂しいです。保管される時の事まで考えるとこのあたり
を越えない程度で使うのが良いかと。関西的みみっちい発想ですみませんw
あとは・・・と…ですかね。444みたいになるとフォントの大きい・・・はIEでは目立ちすぎると思います。
520名無しさん@初回限定:05/03/10 12:01:11 ID:HAoHCyT2
>>511紅蓮氏
いつもながら大作乙です。集団戦闘シーンの押し寄せる人並みが見えるようです。
あの場面は本編でも初めて人間たちが前線に出て来るシーンですね。
「痛みを取り返す」。ジンとくるセリフです。
スピと人間の能力差はこのシーンでは本編に描かれてないのでSSに書くのは
難しかった事と思いますが、全然違和感なく読めたのは、やはり氏の力量によるものでしょう。

エスペリア、無理しちゃってw 無言で去りゆく彼女の後頭部から湯気が見えました。
521紅蓮の人:05/03/10 23:32:27 ID:muL7jJz7
>>512>>514
ご指摘の通り覚えせんorz 雰囲気重視で使わせたのですが、やっぱり本編準拠にすべきでしたね……
キュアーとイグニッションでもいいのだし。猛省中。

>>513
やはり皆好きなので、それぞれに見せ場は作りたいのです。ネリシアは微妙ですが……。
しかしそこはヘリオンではなくハリオンに注目して欲しかった!
こう、受け止めてるわけですよ。豊満なクッションで、ぽふんと。

>>515
時深とテムオリンは付き合いは長いはずですから。ああいうシーンは是非書きたかったのです。
五章……ようやく五章なんですよね。七つも書いてるのにorz

>>516
兵士は好きです。個人的にクェドギンやソーマに次ぐくらいの男サブキャラだと思っています。
いや、それ以前に男のサブキャラって少ないですけど。あとはもう王くらいしか。

>>518
本編だと人間が活躍してるシーンは皆無に等しいですからね。
そういった部分も含めて補完したい、という思いが自分の中にあったり。

>>520
>痛みを取り返す
スイマセンそこ投稿途中に思いついて二、三行書き換えたところです(ぇ アドリブが過ぎますね自分。

>>453
自分はこういうのもアリだと思います。いっそIfを書くならここまで突き抜けてしまうのもいい。
ただ、ちょっと「・・・」が多くて読み辛い気がしました。
522名無しさん@初回限定:05/03/10 23:38:18 ID:kh9ANp2o
「この戦争が終わったら結婚するんだ」のフラグが無かったのはイイ(・∀・)
523名無しさん@初回限定:05/03/11 15:01:22 ID:zfwndOY5
>>453霞さん
色々と大変な中、投稿お疲れ様でした。朝の連投は結構運任せな面が(汗
拮抗する四本の神剣の繰り広げてきた戦いは、
必ずしもどれが残る、とは言えないわけで、
それを考えると今日子が残り、そして統べる、そういう展開もあるのでしょう。
クォーリン……儚い…………(涙
えっと、憂鬱さんや紅蓮さんもご指摘なさっていますが、
自分も以前「・・・」を使用していましたが、
読む環境によっては「…」の方が読み易いようです。
三点リードや二点リードは心情表現等でつい使いたくなりがちなのですが、
多用すると記号としてそちらが目立ってしまうので、使い方が難しいですよね。
524名無しさん@初回限定:05/03/11 15:06:48 ID:zfwndOY5
>>511紅蓮さん
三人だけでも呪縛から解かれるかもしれない妖精部隊。
ヨーティアの尽力が待たれる訳ですが、まずは安心。
ユートさま、そんなに強く抱き締められたら……背中の傷が痛いです(ぇ

人との混合戦、攻城に騎馬はどうかと思いながら読み進めましたが、
戦場が広大だとこういう投入の仕方もあるのですね。
人海戦術も、今まで
「人がスピリットに勝つ為には、幾ら数で勝っても
 拳銃を避わす位の武術の達人が揃って無くては無理だろう」
とか思っていましたが、考えてみればスピリット同士が戦っている間は
それ以外に対して無防備にならざるを得ないんだなぁ、と感心しきりです。
数は力。それも瞬に対する悠人の出した結論の自然さに繋がってるのかも。
そしてその瞬との直接対決。
マロリガンの時もそうでしたが、この辺を本編に忠実に再現すると、
会話や状況を整合させる作業だけでもかなり難しいと思うのですが、
ゲームを知っている方には展開が読まれやすく、単調に流される危険性も含め、
今回はそれをどうこなされているのかと楽しみにしていましたが……
完全に、予想を裏切られました。それも、凄く面白い方向に。
残念ながらリアルに遭遇出来なかったので、
せっかくだから今回はじっくり拝読させて頂こうと決めていた筈なのに、
読み進める勢いにどんどん抗えなくなってしまいました。
自分達が支配しているはずの流れが、いつの間にかただの「人」である
悠人中心にして振り回されている状況に、ロウエターナルも、
そして時深も気付いてはいないのでしょう。
それぞれが活躍しつつも主人公である悠人の存在感を自然に出した、
紅蓮さんなりの「サーギオス編」、存分に、存分に楽しみましたw
525名無しさん@初回限定:05/03/11 22:17:43 ID:9IfyF0mS
あなたの統べてを受け止める

『ハリオンに抱かれ枕』  限定生産決定!      

完全注文生産です。ご注文はお早めに。
526名無しさん@初回限定:05/03/11 22:30:00 ID:9IfyF0mS
今さら蒸し返しますけど、佳織拉致の時第一詰め所って炎上しますよね。
この後でエスペリアの部屋も移動したのではないかな?

しばらく第二詰め所でやっかいになってたりして。


ラスクの時といい、第一詰め所修繕費結構掛かってそう。
527名無しさん@初回限定:05/03/11 23:24:53 ID:ntAWMNOp
>しばらく第二詰め所でやっかいになってたりして。

・・・それだ!嬉し恥ずかしお泊り会!
528名無しさん@初回限定:05/03/11 23:56:47 ID:zfwndOY5
あなたの眠気をバニッシャー

『ツンデレセリア目覚まし時計』 限定生産決定!

各個完全受注生声収録です。ご注文はヒミカ・ラスフォルトまで。
529名無しさん@初回限定:05/03/12 01:34:02 ID:L05gPygZ
「佳織ぃぃっっーーーーーーー」
 紅蓮の炎を吹き上げ天を焦がす第一詰め所。その上空で翼を翻すと、悠人の妹佳織を抱えて、
南方へと“漆黒の翼”は飛び去っていった。
 悠人の悲痛な叫びはむなしく響くのみだった。

「わ、わたくしの部屋が、ラスク様の手帖がっ。アセリアッセリアッ、バニッシュぶち込んでっ! 早く!」
………
…… 

「リュールゥ……エスペリアはいつまでもあなたのエスです、ラスクさま」
 手帖に頬ずり頬ずり。

「ねえ、パパ白目向いちゃってるよお」 
 ほっとかれてゴートゥーヘヴン。

>528
使い始めは、刺々しい言葉遣いですが、なれてくると甘い言葉で優しく起こしてくれます。オリジナル音声も
ヒミカ・ラスフォルトに注文すればOK。優しい囁きにすがすがしい朝を。スヌーズ機能付きです。
標準音声
「まずは一撃を与えて…」 一度目
「反応が鈍いっ!」     二度目
「『熱病』よ……私に力を! この攻撃で確実に起こしてみせるっ!!」 三度目
530名無しさん@初回限定:05/03/12 13:36:24 ID:pTo1FxBr
>>528
一度目
「全く、いつまで眠っているつもりなんですか。あなたがこの時間に起こせと言ったのですから、
ご自分の言葉には責任を持ってください。早く起きてくださらないと、迷惑です」

二度目
「まだ起きないというんですね。まぁ、あなたが寝過ごす分には一向に構いませんが。
……本当に、眠っているのですか? もし寝たふりだというなら、馬鹿な事をしてないでさっさと起きてください」

三度目
「はぁ……目を覚ます気がないんですかあなたは。いつまでもその幸せそうな寝顔を見続ける身にもなってください。
なんだか、起こそうとしている私が悪いように思えてきて……いえ、何も。いい加減に起きないと遅れますよ」

四度目
「ここまでくればもう根競べです。あなたが起きるのが先か、私があなたの寝顔を見飽きるのが先か。
起きたときに私がいなければ寝続けたあなたの勝ちです。もっとも、負ける気は全く有りませんが」
531名無しさん@初回限定:05/03/12 18:21:36 ID:G7SeB20E
>>530
それがクラブザウスの会員特典なら100万払っても加入するけどな
532名無しさん@初回限定:05/03/12 21:38:01 ID:OKBJY+eF
……つまり、お泊り会でうっかりハリオンに抱かれ枕をされつつ
セリア目覚ましを使ってしまった悠人が
たまたま起こしに来たエスペリアに凍った手帳をぶつけられる、と……

そういう流れですか?
533蒼く青い妖精 1/5:05/03/12 22:30:38 ID:y73R6QB1
「いったい何のようですか? こんな夜中に、しかもこそこそと」
めずらしく覆面を外しているファーレーンが、苦悩の表情を浮かべているセリアへと問いかける。
ごめん、と短く返答した彼女は、くしゃり、と髪を掻き揚げた。
「もしかして、寝てた?」
「いえ、……寝よう、とは思っていましたけど。
机の上に手紙が置いてあるのに、私が気づかなかったら、一晩中待っているつもりだったんですか?」
声に非難を乗せてファーレーンが言う。
「来ないなら来ないでよかったのよ。その時はその時。――ただ、わたしが納得できる答えが欲しくて」
セリアが夜空を見上げる。リュケイレムの森。ファーレーンの視界に映る木々はそうゆう名だ。
どこからどこまでが木で、森なのかファーレーンはふと疑問に感じ、けれどセリアとの話には関係ないな、と自らの思考を切り捨てた。
「答え?」
「そう、――答え」
背後に木の感触を確かめながら、セリアが寄りかかる。ファーレーンには少し申し訳ないな、と思いつつ。
「曖昧すぎますね。……全ての事柄に答えがあるのなら、私たちスピリットは――――いえ、忘れてください」
ファーレーンがかぶりを振る。その様子を見て、
「失言ね。珍しい」
おかしそうにセリアが笑う。
ばつの悪そうな顔でファーレーンがセリアを見る。それもまたセリアを笑わせる一因となった。
「……ごめんごめん。あなたって変なところで子供っぽいわよね。
ニムの手前お姉さん風吹かしてるけど、妹になったほうが相応しいんじゃない?」
「ハリオンですか?」
「ええ、ハリオンの」
534蒼く青い妖精 2/5:05/03/12 22:32:42 ID:y73R6QB1
セリアが答えるやいなや、今度はファーレーンが笑い出した。
ハリオンの前ではみんな妹ですよ、とファーレーンが目尻に涙を浮かべて答え、全くもって同感だわ、とセリアが答えた。
「はー、久しぶりにここまで笑った気がします。笑いがカンフル剤っていうの、なんとなく理解できますね」
何の? とはセリアは尋ねなかった。そんな分かりきった事。
「そうね」
だから、セリアは短く返答した。敏感にセリアの雰囲気を察したファーレーンは、目尻に浮かんだ涙を拭い、
「そろそろ、本題にはいりましょうか」
そう、切り出した。

「ファーレーンはさ。恋っていうの、どう思う?」
ファーレーンの脳内に一人の男性が浮かぶ。動揺を悟られないように、ゆっくりと息を吐いてから言った。
「どう思う、と言われても。……素敵なことでしょう?」
「そんなことじゃなくて、私たちはスピリットでしょう? 他に悩むべきことがあると思うのだけれど」
妖精趣味。いや、違う、とファーレーンは思った。妖精趣味は、人間が妖精を性の対象として見るときに使う言葉だ。
じゃあ、この場合はどう言うのだろう?
ふと、昔のことを思い出した。エスペリア。彼女もまた、ラスクという人間に惹かれたスピリット。
知っているのは、古株のハリオンと自分くらいなものだろう。あの時のことは、一種の禁忌じみていて、誰も触れようとしないのだから。
「――どうかしたの?」
なにやら考え込んでしまったファーレーンを不審そうな目でセリアが見つめる。
なんでもありませんよ、と答えようとしてファーレーンは思いとどまった。彼女は、どう思うのだろうか?
535蒼く青い妖精 3/5:05/03/12 22:33:22 ID:y73R6QB1
「そう、とても、――ではありませんが、昔のことです。……一人のスピリットが居ました」
独白のような声色。セリアは不審そうな目つきのままだったが、ファーレーンの表情の前に割り込めなかった。
「彼女はとても幼くて、自分をしっかりと見てくれる彼に惹かれていきました。
彼にとって彼女は、――妹、……みたいなものだったのだと思います。
それはある意味皮肉で、とても悲しいことです。彼にとって妹とは、守るべきものです。
――――ええ、どうしようもありませんでした! 妹とはいえ、彼女はスピリット! 彼女を守るために彼は命をかけました!
結果は彼の勝ちです。ですが、それはあくまで結果論。結局、彼女は彼を失ってしまいました」
ぼろぼろと、涙を流しながらファーレーンが叫ぶように言った。
セリアには全然意味が分からなかった。あまりにも断片すぎる。
彼というのがもしかしたら――、とは思ったけれど彼の妹はスピリットではないし、そもそも彼は死んでいない。
ファーレーンが、何度か深呼吸し、
「――――すみません」
と、言った。
それは、何に対する謝罪なのか。少なくとも、セリアに対するものでは無いことは、雰囲気で理解できた。
ぐ、と涙を拭ったファーレーンは、
「感情的に成りすぎました。――例え話です」
「そう」
「急に変なことを言い出しちゃいましたね。――セリアが言いたいことは、ある程度ですけれど分かります。妖精趣味……ですね?」
あからさまに話を逸らしている。
けど、セリアはファーレーンの『例え話』にこれ以上踏み込むべきじゃない、と判断した。
彼女は、強い。肉体的にも、精神的にも。なら、彼女は自分自身の力で解決できるはずだ。
それに比べて、なんて自分は弱いのか。
――仕方ないじゃないか。好きになってしまったのだから。惹かれてしまったのだから。愛おしいのだから。
536蒼く青い妖精 4/5:05/03/12 22:34:29 ID:y73R6QB1
「…………」
無言は肯定。
「――やっぱり、ね」
溜息を一つ。なんて置き土産をしてくれるのだろう。ファーレーンは心の中であの男を百回くらい殺した。
あの男、ソーマ・ル・ソーマを。
ファーレーンは妖精趣味、というのをそれほど忌避していない。
まぁ、勝手に性欲の対象として見られることには嫌悪感を抱くけれど、それは人間とて同じだと思う。
思いあって結ばれるのなら、素晴らしいことで素敵なことだと思う。
けれど、セリアは別だろう。
ソーマ・ル・ソーマがラキオススピリット隊を滅茶苦茶にした際に、ラキオス王はスピリットに妖精趣味の異常性を学ばせることを徹底した。当然と言える。そうすれば、ソーマ・ル・ソーマは何も出来なかったはずなのだから。
尤も、アセリアはあんな風だし、年少組は幼すぎる。エスペリアは言うまでも無く、ハリオンに至っては暖簾に腕押しだ。
――セリアを除いては。
真面目すぎるのですよ貴方は、と胸中で呟く、
「どうしたいんですか?」
ひ、と息を呑む音。ああ、全くもってラキオス王が施した教育は見事だ。
「……わたしは、ユートと、結ばれ、……たい」
「――なら、そうすれば良いじゃないですか。誰も貴方を責めたりしません」
「で、でも! こんなのおかしいじゃない! スピリットが――その、……」
セリアが口ごもる。余りにも真っ赤な顔は、恥ずかしさの為ではない様に見受けられた。
「おかしいのは、ユート様のほうですよ」
「え?」
「私たちを死なせたくない。なんて大口を叩いておきながら、実力が伴ってなくて。
スピリットは人間と変わりないってことを言葉だけじゃなく、行動で示してくれて。
……そうですよ。貴方がおかしいというのなら、おかしいままで十分じゃないですか。二人ともおかしいんです。ぴったりですよ」
537蒼く青い妖精 5/5:05/03/12 22:35:02 ID:y73R6QB1
ふふ、と微笑みながら、ファーレーンが言う。
「それとも、ユート様が他の人に盗られても良いんですか?」
「だ、だめよそんなの! ユートを一番好きなのは私なんだから! 誰にも渡さない!」
「なら、いいじゃないですか。……もう結論はとっくに出てるはずですよ?
ただ一歩が踏み出せなくて、その手伝いが欲しかっただけなんでしょう?」
「――ありがとう」
「感謝はまだ早いと思いますよ? セリアがどんなに想っても、ユート様は分かってないでしょうしね。しっかり伝えないと」
ええ、鈍感ですから、とセリアが答える。何処となく晴やかに感じる表情は、未来を感じさせるのに十分過ぎる。
「今から、告白します」
「今から!?」
流石にファーレーンも驚いた。いやだって、真っ暗ですよ?
「ユートにはちょっと申し訳ないけど、もう抑えられないし」
少女ような無垢な微笑み。それは、同姓であるファーレーンさえもドキリ、とさせて。
だからか分からないけれど、ファーレーンにはセリアを振るユート様を想像することができなかった。
「本当にありがとう。一歩踏み出す勇気の無いわたしを助けてくれて」
ぺこり、と頭を下げたセリアは、既にウイングハイロゥを展開し終わっていた。
どういたしまして、というファーレーンの答えはセリアの背中に吸い込まれる。
あっという間にいなくなったセリア。その彼女が向かった方角を見つめたまま、
「わたしは、これで失恋二回目ですよ」
零れる涙に気づかぬまま、ファーレーンは誰も居ぬ木々を背中に立っていた。
538蒼く青い妖精 あとがき:05/03/12 22:36:28 ID:y73R6QB1

妖精趣味。作中だと全く活かされてない設定。
どうにか絡ませられないかな、と考えながら書いてみたらこんなもんになりました。
ラスク関連は全くの創造です。
まさか、エスペリアに相談するわけにもいかないので。
感想、誤字脱字等。ご指摘が御座いましたら、とても嬉しいです。
それでは、読んで頂き有難うございました。
539名無しさん@初回限定:05/03/12 23:58:16 ID:qVLZdIBH
青いなぁ、春だなぁ……。セリアに春が来ればいいなぁ。
アシストに徹するファーレーンがこちらの涙を誘いました。
確かに、スピリットの側から妖精趣味を考えれば、
ヒトへの忌避も進みそうな感じがします。

細かくて申し訳ないですが、1レス目。
×ファーレーンの視界に映る木々はそうゆう名だ。
○ファーレーンの視界に映る木々はそういう名だ。
540名無しさん@初回限定:05/03/13 00:14:59 ID:YFCZoysT
>>538
乙です。ファーレーンがいい感じです。
彼女を支えてくれる人が現れるのはいつの日か?
光陰「俺、俺!何だったらニムたんも一緒に!美少女姉妹萌え!」
今日子「死ね!百万回死ね!」
・・・ゴホン!妖精趣味、確かに本編じゃあまり生かされてないですよね。
エスシナリオで多少・・・ってところですかね。
差別はそう簡単になくならない、人とスピリットの関係の問題も。
きっと本編ではあまり語られないけどユートやレスティーナを
異常な人間と見る人も多いんだろうなぁと。
そんなこんなで妖精趣味や人とスピの関係とかを考えさせられました。
個人的にはこの辺がアセリアの世界観の軸の一つかな、と。
なんか初心に帰った気分です。
アセリアってこんな世界観なんだよ!みたいな感じで。







541名無しさん@初回限定:05/03/13 00:15:30 ID:YFCZoysT
>>519 憂鬱さん
たしかに光陰がやろうとしていたことですね、この話。
>今日子のいないハイペリア
今日子エタ化によってどう歴史が変動したかはあえて触れませんでした。
無印本編の悠人エタ化後のように悠人達の死はなくなったのか?それとも・・・
けれどどちらにせよ今日子は彼らを殺した事を忘れることはないだろうし、
光陰達が生きてることになったとしても今日子のことを忘却している以上、
彼らが今日子に対して恨んでいないことを直接伝えることも無い訳だし、
全てハッピー問題なしとはもはやいかない訳ですが。
それはゲーム本編のどのエンディングでもそうですけど。
自分で話を書いてなんですがキョウコの歩む先に少しでも幸せがあればいいなぁ。

・・・と…ですか。たしかに・・・は使いすぎてる気がします。
改善の余地ありですね。でも使いたくなるんですよ・・・。便利で。

>>521 紅蓮さん
やはり・・・ですか。はい、次からは気をつけます。
読みやすさは大事ですからね。自己満足のチラシの裏にならない為にも。

>>523 信頼さん
クォーリン儚い…でも何気に数少ない思いが伝えられたSSなのかも。
それにしちゃ、あんまりな展開ですが。
誰かクォーリンを幸せにしてやってください。(人任せかよっ
やはり・・・(ry
まぁ駄目な所が色々指摘されたので勉強になったSSでした。
542名無しさん@初回限定:05/03/13 00:25:48 ID:HZTkpAqt
>>538さん
ファーレーン、そこまで悠人の行動を理解しているのなら、
自分から…………と、そこで立ち止まるのが彼女の性格なのでしょう。
ファンタズマゴリアの「妖精趣味」という響きには、
19世紀頃の欧州で興った種族排他の感情が想起されます。
生真面目な委員長タイプのセリアはその「禁忌」を打ち破る為に、相当悩む事でしょう。
過去にそれを実践しようとしたエスペリア、そしてそれを知っている(という設定の)ファーレーン。
538さんはエスペリアに相談するわけにも〜とあとがきで書かれていますが、
この場合だとどちらに相談しても結局は正しく導いてくれる経験の持ち主だと思います。
ヒロインであるセリアが霞むくらい、ファーレーンの感情が綺麗でした。
543名無しさん@初回限定:05/03/13 03:41:43 ID:5ZX7bE0M
雰囲気が不思議だ。ふたりの会話がちょっと噛み合っていないように感じます。ここに至るまで
何らかのやり取りがあるのだろうけど。夜の森は曖昧模糊。
二回目の失恋とは一体w
イオがヒロイン張ってれば、活かされたかも知れませんね>妖精趣味


この世界の妖精趣味は 人xスピリット が問題視されるだけで、エトランジェxスピは誰も感心がない
のではないかと思います。王自身、「スピリットは自由にして良い」と言って下卑た笑いを浮かべたわけで。

ですので、悠人にとっても「妖精趣味」という言葉はなんら抑制力を持たないのではないかと。スピリット達
にとってはどうかというと、悠人という「男」を自分たちを差別する人間達と同一視するか、なのではないか
と思います。スピリットは女だけですから。

 で、ゲーム内で見るにセリアとヒミカは悠人を人間側の人物だと思ってたんではないかな、と。単に素人
を侮ってただけかもしれんけど。
エスペリアはラスクと同一視することを恐れたのでしょう。傷つきたくないもんね。
544名無しさん@初回限定:05/03/13 09:24:05 ID:zrq5rlKz
>>霞氏
ロリ坊主が暴走しても止める香具師がいないなぁ、としょうもない心配を
したものですからw >今日子のいないハイペリア

>>538
妖精趣味…あ、また低マインドな妄想が……

王 「スピ達はお前の好きなようにしてよいぞ、エトランジェよ。」
悠 「ふざけやがって。いったいエスペリア達を何だと思ってるんだよっ!」
王 「えっちな機能付きの万能美少女軍団ですがなにか?」
悠 「一生付いてゆきます、国王陛下」


                                   


                    マジスマンカッタ... ∧||∧
545名無しさん@初回限定:05/03/13 10:37:32 ID:m8rK+Ehy
気にするな>>544
きっと濡れも一生ついて行くからw
546名無しさん@初回限定:05/03/13 13:11:06 ID:wvzjO4Mg
>>538
妖精趣味をテーマに捉えたものは今までありませんでしたね。GJ。
傷心のファーレーンを優しく抱きしめたい……いやいや浮気は駄目ですね。

妖精趣味が厭われる理由としては、やはり奴隷だという認識と、生物として歪だからでしょう。
〈再生〉破壊前は、人間とスピリットは生殖できないわけですからね。
そういった意味では、言葉としてはアレですが、獣姦と同じベクトルだったのかもしれません。

そういえばエスペリアは本編序盤で悠人を人間と言ってた記憶が……
あれも彼女なりの距離のとり方だったのでしょうか。

>>544
お供させてください。
547名無しさん@初回限定:05/03/13 15:10:39 ID:5ZX7bE0M
フレキシブルスピリット発売第一弾。

お姉さんモデル   エスペリア
             ハリオン 

購入者の声 
「昼の顔も夜の顔もす、総て受け止めてみせる!!!」
「お姉さんお姉さんお姉さんお姉さん……………はぁはぁ……ぅっ」
「お、俺の心はオールグリーンだぁぁぁぁ」
「リュールゥとかメッメッとかされると、もぅ、もぅ……」


――――――――――――
ヨーティアさまっ実際の購入者から苦情の神剣通話が殺到しています!

「起動したら、ワタクシハスピリットデス。ワタクシハスピリットデス。って繰り返すだけで煙あげやがったぞっ!!」
「お姉さんですから〜〜って言うだけでお菓子食わせないと仕事しねえぞっ!!俺の分まで食いやがった」

ちっ。イオ、とんずらするぞ。
は、はい。
――――――――――――

そして冷凍睡眠から醒めたコウインは美しく成長したクォーリンに失望したという。
滅裂オチ。
548538:05/03/13 20:48:49 ID:zoRn/vL5
>>539
誤字指摘どうもです。何回も読み直したのに気づいてませんでした。
『いう』と『ゆう』。しっかり区別しなくては。ありがとうございます。


>>542
自分もエスペリアなら、正しい道を示してくれるだろうと思いますが。
やっぱり、セリアはエスペリアに相談しないと思うわけですよ。
ほら、エスペリアって独占欲強そうだし。

>>543
厳しいですね。捕らえ方は千差万別なわけで、目から鱗のような状態でした。
妖精趣味については、抑止力うんぬんではなく、ファンタズマゴリアにおける悠人のようなものかな、と。
悠人はスピリットを屠ることを悩むわけですが、別にファンタズマゴリアではスピリット殺しが重罪なわけではありません。
けれど、悠人は悩みます。セリアにおける妖精趣味というのは、そうゆうもの、として考えました。

>>544
どうぞお供に。

>>546
なるほど。説得力ありますね。
アセリアをプレイする前は、銃に欲情する人間と同じようなものなのかな? と考えてました。
生物として歪。確かにその通りですね。
549名無しさん@初回限定:05/03/13 22:19:53 ID:218EbShc
〈再生〉破壊後は、人間とスピリットの生殖は可能なんでしたっけ?
550名無しさん@初回限定:05/03/13 22:28:47 ID:9yzOhXv3
>>549
可能ですよ。「再生」が関与できなくなったときに、スピリットに生殖能力が付加されることになってます。
ということでそれをネタにしたSSを今すぐ書くべし。(マテ
551名無しさん@初回限定:05/03/13 22:51:09 ID:razJKyhu
>>550
つまりヨアフルENDでは、御腹が大きくなったスピリットでいっぱいいっぱい……
552名無しさん@初回限定:05/03/13 23:03:51 ID:dcQFRTaz
>>551
ヨフアルルート以外でもそうだと思われ。人間×スピリットで。
553名無しさん@初回限定:05/03/13 23:08:11 ID:BoKnGeiC
まあおbsnには(ry
554てんぷれネタ:05/03/13 23:51:40 ID:1okrt25B
某スピリチュアリストは語る。
「このスレは、スピリットの全てを伝えてくれています」

愛と勇気と感動は終わらない――――
第二ファンタズマゴリアを萌えと燃えで揺るがせた脅威の話題作。

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド第12弾、本日上陸。

「わたしは、感動しました」


元ネタ「MAKOTO」予告編(汗
555名無しさん@初回限定:05/03/14 01:46:30 ID:SpYPs0jr
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッドのテンプレの描き方

*日本語で書く事。読める字で書く事。点呼はつけなくてよろしい。
*"ファンタズマゴリアでは、"で書き始め、"とってもセクシー!"で書き終える事。
*200字以内で書くコト。 前スレ・関連スレは>>1に、トキミテンプレ・sageネリーは>>2以降に書く。
*AA添付は可とする。
*以下の言葉を最低1回使うこと。
 「アセリア」「『イグニッション』」「ハリオンの胸」「ヘリオンは空を飛ぶ」
 「悠人様ウッハウハ!」 「セリアの幼なじみ」「ニムって呼ぶな!」「日々昇進です!」「リレルラレル」
*神剣放送禁止用語は、字数に関わらず、×××と、すること。
*机の上でオルファとウルカのライフの低さを気にしながら書く事。
*ファーレーンは腹黒とする。
*書き終わった人は見なおしてみよう。特に、誤字脱字やハリオンマジックがないかチェックしよう。
*スキル切れの相手でも「クールな女にぴったりよね♪」といって周りに要らないアイスバニッシャーをかけるのはやめよう。
*スレ立てしたら静かにシアーとヨフアルでも食べて支援を待とう。
556名無しさん@初回限定:05/03/14 08:22:25 ID:/BEKstoW
エス沢先生!「リレルラエル」であります!
スキル切れバニッシャーがツボに入りました!
557名無しさん@初回限定:05/03/14 11:03:42 ID:UWQlwgIa
エス沢先生!熱血少女のヒミカさんが見当たりません!
…って言うか、200字以内で書かないとダメなんですか?

素で難しいです!
558名無しさん@初回限定:05/03/14 11:19:39 ID:BlWS98ZA
エス沢先生!無理です!
使用必須の言葉が多すぎます!
書き出しと終わり含めるとそれだけで半分弱埋まります!
試しに書いたら意味不明な文になりました!
559名無しさん@初回限定:05/03/14 11:48:18 ID:izmuTv7O
「エスペリオン」ってなんだか巨大ロボットな語感がしないか?
ヨーティアにでも作ってもらおう
560名無しさん@初回限定:05/03/14 12:25:34 ID:UWQlwgIa
巨大ロボット?こりゃまた難しい注文だな。おーい、イオ!設計図!設計図もってこい!
あ、「エスペリオン」でしたら心当たりが。
何だって!本当かい?へぇ〜、大陸にもこの私を出し抜く天才がいたとはねえ。
いえいえ、訓練士のガンダリオンさまと、女王秘書のあの方との間に出来た子供です。
あ〜、砕けたんだっけか、『再生』。
561名無しさん@初回限定:05/03/14 12:31:06 ID:1YSPaGL1
ハイペリアの空より来たりて…
正しきエロスを胸に…
我等は萌え立つ筆を執る!!
汝、無垢なるおっぱい、エスペリオン!!


正直スマンカッタ
562名無しさん@初回限定:05/03/14 12:42:42 ID:/hVEX9ne
サイズが大きそうな順。
ユーフォリオン=オルファリオン>エスペリオン>アセリオン>ハリオン>ヘリオン
563名無しさん@初回限定:05/03/14 14:00:48 ID:izmuTv7O
ごめんよ時深…やっぱりオレ巨乳が好きだったらしい…
564名無しさん@初回限定:05/03/14 21:43:14 ID:pC1jfGki
>>562
ずいぶんハリオンが下位だなw
565名無しさん@初回限定:05/03/14 21:47:13 ID:EJYILi+F
ウルカリオンはー?
566名無しさん@初回限定:05/03/14 22:53:13 ID:7JjR2A6y
重心高くてバランス悪そうカオリオン
567名無しさん@初回限定:05/03/14 23:03:57 ID:6YmseGL3
テムリオンはー?
 
……ごめん、ちょっと言ってみただけ。
568名無しさん@初回限定:05/03/15 00:07:38 ID:yFAEY1fQ
メダリオンなら何とか……
569名無しさん@初回限定:05/03/15 00:17:30 ID:LvRk8JH9
SS進まないよ〜
文章構成力が足りないを実感してますorz

それ以前に、思いつきをそのまま入れて、わざわざバランスを崩して修正して、修正しきれないのを直さないとなぁ〜
プロットがほとんど役目をはたしてない…

けど、チグハグだろうが作りあげないと…

私的カキコスマソ
570名無しさん@初回限定:05/03/15 01:07:21 ID:P0+s86NU
神木神社って実在するのね。読みわからんけども。
よしおまえら、2008年12月18日17:30 そこに集合だ!!


三年後このスレあんのかなぁ……とか言うなヽ(`Д´)ノ 
ホワイトデーも過ぎちまったぞ。
571煩悩の白:05/03/15 02:01:08 ID:zyo8LRpQ
ヘ「私に話って何ですか?コウイン様。」
光「あ、あぁ。あのさ、この前俺にチョコくれただろ?」
ヘ「え、ええ。一応は。」
光「それでな、ハイペリアにはホワイトデーっていう日があってだな。」
ヘ「ほわいとでー…ですか?」
光「あぁ…チョコを貰ったお返しをする日なんだ。」
ヘ「へぇ、そうなんですか。(ユート様もお返しくれるのかなぁ?)」
光「それでだな…俺もヘリオンちゃんにお返しを・・・」
カチャ、カチャ…
ヘ「な、な、な…なんで脱ぎ始めるんですか!」
光「ホワイトっていうのはだな・・・白っていう意味なんだ。
  だから俺の白いやつを受け取ってくれ!ヘリオンちゃ…」
今「真面目な顔してセクハラするんじゃないわよ!!!」
悠「アホかお前は!おー、よしよし。もう怖くないぞ、ヘリオン。」
光「い、いや…ジョウダンデスヨ?だから神剣おろしませんか?」
今&悠「「問答無用!!!」」
光「ま、待て!オーラフォトンノヴァとサンダーストームじゃ流石に死ねる。」
今「いっぺん死んだ方がアンタの為よ?
  ほら、馬鹿は死ななきゃ治らないらしいし?(ニッコリ)」
悠「ああ、そうだな。俺達も辛いんだよ、うん。(ニッコリ)」
ちゅどーん!!!
今「忘れないよ…光陰。」
悠「いや、それキャラ違うから。」
572煩悩の白:05/03/15 02:02:03 ID:zyo8LRpQ
後日談
悠「なんか最近皆の様子が変だよなぁ。なんか知ってるか、ヘリオン?」
へ「あ、あ、あの!私、ユート様ならいつでもオッケーですから!」
悠「へ?何が?って、もういない…あ、セリア。なぁ、セ…」
セ「そ、それ以上近づいたら斬ります。わ、私はその…そんなつもりで…」
悠「???いや、話が見えないんだが?」
セ「し、失礼します!」
悠「・・・何なんだ?」

そういえば光陰の嘘ホワイトデーを訂正してなかったなぁ…
悠人がそれに気付いたのは3日後のことであった。
ちなみに正しいホワイトデーの情報にスピたちは安堵半分落胆半分だったそうな。
573あとがきのような提案のような文:05/03/15 02:14:06 ID:zyo8LRpQ
結局何も考えてなかったホワイトデー。
何も無いのもアレなんで微妙なものを投下。
すみません、すみません、アホな話で。
えーと、もう次スレ間際ですね!(話をそらそう…)
点呼案は…「アセリアを買うにいたった理由」なんてのはどうでしょう?
絵、キャラ、デモ、評判…などなど。これに惹かれて買ったんだ!みたいな。
あなたとファンタズマゴリアの第1種接近遭遇。
どうでしょう?
574名無しさん@初回限定:05/03/15 06:57:07 ID:qwTbL5WN
>>573霞さん
同じような事考えてました、点呼案。賛成に一票>アセリア第一種接近遭遇
>煩悩の白
悠人、いつのまにかおやじの仲間入り。
セリア、近づいたら斬ります、とかいいながら実際近づいても問題なさそうw

ヨーティアの研究室。
いつも精を出す掃除もほったらかしのイオが、何故か床にのの字を書いている。
「ん〜?どうしたイオ、そんな隅でイジケて」
「あ……ヨーティアさま…………ぐすん」
「うあ、なんだ、泣いてるのか?!は、初めて見た……」
「ひぐっ……だって……だって昨日はほわいとでぃだったんですよ……」
「あ、ああ、そういやそうだったな……」
「一年で一番私の日なのに!うう、なのに誰も私をねたに使ってくれないなんて……」
「…………」
だーと涙を垂れ流すイオに、ヨーティアはかける言葉が見つからなかった。いろんな意味で。
575名無しさん@初回限定:05/03/15 20:49:35 ID:VfyIO91V
>>555 200字は無理。

ファンタズマゴリアでは、光陰矢の如し、もう1周年になったのかと、思う今日子のごろ、
サブスピたちの新しい一面が紹介され、バニッシュスキルにダメージが付いて、スキル切れの相手でも
「クールな女にぴったりよね♪」といって周りに要らないアイスバニッシャーをかけるのは有効のようです。
通常ルートでは「悠人様ウッハウハ!」とはいかず、ヘタレ!扱いされるのか?見事、メインヒロインとして
ヘリオンは空を飛ぶのか?!中の人はリレルラレルは言えるのか?などオルファとウルカのライフの低さ以上に心配です。

一方、当スレッドでは、ヒミカ姉の机の上では、アセリアがセリアの幼なじみなのをダシに×××な執筆が気になったり、
そろそろ、ニムonlyの長編が・・・「ニムって呼ぶな!」・・・失礼。
誤字脱字やハリオンマジックがないかチェックしつつ、執筆中のエトランジェも入れて日々昇進です!

ここは、シアーともきゅもきゅヨフアル食べて、支援&PS2版アセリアを待つ、
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド。「日本一」より先に先制『イグニッション』をかける12スレ。

最後に一言。腹黒説のあるファーレーンですが、本当は妹思いで覆面をとってもセクシー!
576テンプレ案その2(554改変):05/03/15 21:17:58 ID:iZHzE7T7

某スピリチュアリストは語る。
「このスレは、妖精趣味の全てを伝えてくれています」

愛と勇気と感動は終わらない――――
ヘタレと変態もとどまるところを知らない―――
第二ファンタズマゴリアを萌えと燃えで揺るがせた衝撃の問題作。

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド第12弾、本日上陸。

「あなたに、この感動を伝えたい―――」





     無理と言いつつ挑戦する>>575に乾杯。
577名無しさん@初回限定:05/03/15 23:03:41 ID:3kBXKSGv
今回はスムーズに移行できそうだから新スレにSS投下はやめた〜っと。

もーちょっと手入れよう。
578名無しさん@初回限定:05/03/16 00:07:20 ID:ijP94u3a
白い煩悩ってイ〜イな〜WHITE&WHITE


光「まったくお前らは。この俺がだな、学校周辺で回覧板が回るような卑猥な行為をするわけないだろ?
俺の真意は こういう事だ」

ヌギヌギ

「さぁヘリオンちゃんっ! ファンタズマゴリアの風習通りに愛を告白した少女は愛しい人の白いパンツを
その手で洗ゴスッドカッ」


セ「あ、あのえーとわたしはそんなつもりで言ったわけではありません。……ですが今日は私が洗濯当番ですから、、、、
仕方ないので、あ、洗います」
ハ「あら〜〜? 今日はわたしが当番でしたよね〜」
ヘ「は、はいそうですっ。セリアさんはあさってですっっ!!」
セ「そう……だったかしら。まぁいいわ代わってあげるから」 ぐい
ハ「ええ〜いいですよ〜わたしがやりますからぁ〜」 ぐい
ヘ「あ、あの私も、あの」 グイ

びりぃぃぃ
「「「ああっ!!」」」

悠「俺のパンツ……orz」
今「あたしって確かパンツはいてなかったような(汗)」

>555>575
日々昇進? 精進な気がす。
579名無しさん@初回限定:05/03/16 12:40:03 ID:kzO08mCh
既出だろうけど、初回版のドラマCDだけでも価値はあるなと。

>初回限定版にはPS2用ソフトに、書き下ろしシナリオによる
>オリジナルドラマCD「永遠のアセリア-あの湯煙の果てに-」と、
>本作の世界観や用語、キャラクター設定などを収録した設定資料集
>「FANTASMAGORIA GUIDEBOOK」を同梱。

ソース↓
http://www.dengekionline.com/data/news/2005/03/15/42bcb3887428a6aa507088ba36cd2964.html

>「ファンタズマゴリア」に召喚された少年“悠人”となり、
>美しい妖精やスピリットを率いて大陸制覇を目指すシミュレーションゲームとなっている。
美しい妖精=スピリットじゃないかなと。・・・ん。追加キャラクターの暗示?
昼間から何やっているんだ・・・。>orz
580ヒミカの憂鬱 1/8:05/03/16 17:06:15 ID:HWnWfJBE

「マナ構成...?」
「そうだよ。ユート達の体は純粋にマナで形づくられているって事だ。」
「それがこの装置とどう関係するんだ?」

突然呼び出されたラキオスのエーテル中枢部で、悠人に向かって、賢者がまるで口頭諮問のように解説する。
―――ヨーティア・リカリオン。
風貌のさえない白衣姿の彼女こそ、稀代の大天才と謳われたエーテル理論研究者であった。

「まあ、話を急ぐな。…そうだな、ユートがユートであるために必須のものと言えば、何だと思う?」
「俺が俺であるために……心とか、そういうものか?」
馬鹿にされるのを覚悟で答えた悠人の言に、意外にもヨーティアは目を細めて頷いた。
「そう。まさにそれだよ、勇者殿。この装置は心だけを飛ばして、クライアント部に存在するマナを使って、
瞬間的にユート達を再構成するスグレモノってわけだ。」
「へえ、これがねえ...。ヨーティアって、本当に大天才だったんだな。」
「疑ってたのか、失礼なやつめ。」

二人のやり取りをハラハラした目付きで見守るレスティーナをよそに、
気さくな賢者は特別気分を害した風もなく、苦笑して見せた。
581ヒミカの憂鬱 2/8:05/03/16 17:08:59 ID:HWnWfJBE

―――聖ヨト暦331年、エクの月、黒ひとつの日。

マロリガン共和国とラキオス王国が互いに宣戦を布告して、約3ヶ月。
お互い決め手を欠き、睨み合いを続けていた両者であったが、所詮それはいっときの静穏に過ぎない。
いよいよ初のエーテルジャンプを明日に控え、ラキオスの部隊の中にも、ピリピリとした緊張感が漂っていた。


「あれ...?おい、ヒミカ、どうしたんだ、こんな所で?」

出陣を前にして、なかなか寝付けぬ悠人が城内の中庭にぶらりと出て来たとき、
長身の少女が月光を浴びて独り、佇んでいるのが目にとまった。

「あ...ユートさま。」振り返った少女の紅い瞳は、憂いを含んでいた。
「―――ヒミカでも緊張するんだな。」ゆっくりと近付いた悠人は、赤い妖精に並び立った。
「そういう訳でも無いのですが...。」そう言ってヒミカがうつむく。。

「いよいよ...だな。」悠人は気を紛らせるように、夜空を見上げながら言った。
「はい、――いよいよ、です。」

――二人とも無言のまま時が過ぎる。
582ヒミカの憂鬱 3/8:05/03/16 17:11:59 ID:HWnWfJBE

ややあってヒミカが口を開いた。
「ユートさまは...怖くはないのですか?」
ヒミカの、その弱気とも取れる言葉に驚きを感じつつも、悠人は答えた。
「怖くない、って言えば嘘になる。今度の敵は相当強いらしいからな。」

これまでどの国も攻めあぐねていたデオドガンを電撃的に制圧し、マロリガンの国力は、
今やサーギオス帝国にも迫ろうかという勢いであった。
噂では強力なエトランジェが部隊の中心となって、采配を振るっているらしい。

「敵の国力もそうなのですが...ヨーティアさまがお造りになられた装置の事です。」
「エーテルジャンプ装置、―――か。」
「はい。」

いかにもヒミカらしい、と悠人は思った。ヨーティアの腕を信頼していない訳ではないが、
心だけを飛ばす、と簡単に言われても、にわかには信じ難い。

「本当は、こんな事で悩むなど、我々スピリットには許される事では無いのかも知れません。
―――なのに、どうしても考えてしまうのです。かの地に降り立った時、私の心は本当に私のものなのか。
その時、私は私でいられるのだろうか―――と。」
うつむいたまま、ヒミカは何かの呪縛から逃れようとするように言葉を紡いだ。
思いつめたようなその横顔を悠人はじっと見つめた。その少女は、あるいは悠人に、
叱咤されるのを待っているのかも知れなかった。
583名無しさん@初回限定:05/03/16 17:16:59 ID:E6SiKxd6
C
584ヒミカの憂鬱 4/8:05/03/16 17:18:14 ID:HWnWfJBE
「―――わかるよ。」
だが、返って来た悠人の言葉の、意外にも優しい声音に、ハッとしたようにヒミカが悠人を見つめ返した。
「俺だって怖いさ。明日、ランサにいる俺は本当に自分なのか、
ひょっとしたら全く違う俺じゃないのか...って。」
「―――ユートさま...」

「何かひとつ便利になるたびに、人は何かを失ってきたんだ、きっと。」
悠人はハイペリアの生活に思いを馳せた。向こうでは当たり前のように享受していた文明。
しかし、それが圧倒的に立ち遅れているこの世界の生活が、いかに自分達の心を豊かにする事か。

「も、申し訳ありませんでした、ユートさま!」
ヒミカが突然深々と頭を下げた。「私の言った事、世迷い言とお思い下さい。」
そう、自分は国のため、仲間のため、そして、この心優しき隊長を守るために戦い続ける、
そう誓った筈ではないか。ヒミカは自らに言い聞かせる。
そして、その思いの前には今、自分が悩んでいる事など、ほんのちっぽけなものに過ぎない。
585支援:05/03/16 17:21:13 ID:TcP19LDN
いきますよ〜、えやっ!
586ヒミカの憂鬱 5/8:05/03/16 17:23:42 ID:HWnWfJBE
再び緩やかに時が過ぎた。

「―――ヒミカ。」突然、悠人が真剣な口調で呼びかけた。
「はい。」凛とした表情を取り戻し、ヒミカが応ずる。
「明日は、一緒に飛ぼう。そして、向こうに着いたら俺に尋ねてくれ。――ヒミカの事を、憶えているかどうか。」
「え―――?私の事を...?」
「ああ。心は自分の中だけじゃない。俺の中にいるヒミカも、きっとヒミカの心なんだ。
だから、それを確かめてくれ。」
「あ―――!」
ヒミカは絶句した。そうだ、自分の心は、独りではない。セリア、ハリオン、ナナルゥ、そして他の仲間たち。
みんなの心の中にも、自分は居るはずだ。―――自分の胸の中に、彼女達が住んでいるように。
そしてそれらは、紛れもなく己が分身である筈だった。

「――はい。必ず...お尋ねします。ユートさまがきっと、きっと『憶えている』とお答えしてくださると、
信じております。」不意に目頭が熱くなるのを感じながら、ヒミカは言った。

二人は柔らかに輝く月を見上げた。暖かな風が木立を揺らし、生い茂った葉をかき鳴らす。
ざぁざぁと、海鳴りにも似た。
587名無しさん@初回限定:05/03/16 17:26:13 ID:E6SiKxd6
F-104
588ヒミカの憂鬱 6/8:05/03/16 17:27:07 ID:HWnWfJBE
―――翌日。

「はぁ...。」
重い気分で、ヒミカはエーテル中枢施設のドアを押した、全裸で。
「よりによって、ハリオンとはね...。」
エーテルジャンプで飛ばされるのはマナ構成である自分の肉体と、神剣のみであるはずだ。
多分、スピリット服は、転送先で新たに支給されるのであろう。

戦いを前に、今さら私情を差し挟むつもりは無いが、さすがに悠人に裸体を晒すのは気が引ける。
加えて、部隊ごとの転送のためとはいえ、もう一人がハリオンというのは
何かの嫌味だろうか、とすら考えてしまう。

「あらあら〜?ヒミカ、風呂上りですか〜?」室内から間延びした声が掛かった。
ひと足先に入室していたのは部隊屈指のプロポーションを誇る『大樹』のハリオンである。

……しかし、そのハリオンはいつも通り、スピリット服をしっかりと着用していた。

「ハリオン、もう来てたの?貴女こそどうして服着てるのよ?」
ヒミカはいぶかしげに眉根に皺を寄せた。
589ヒミカの憂鬱 7/8:05/03/16 17:30:53 ID:HWnWfJBE
「これが私のいつもの格好ですから〜。」
にっこりと笑ってハリオンが応える。
「でも、エーテルジャンプで転送できるのは、マナ構成のものに限られるって...」
「貴女もまだまだお約束が分かってないようですね〜。めっ、ですよぉ〜。」
ハリオンの自信に満ちあふれたその返答に、
ヒミカはくらくらとめまいを感じずにはいられなかった。
…決して深い追求を許さぬ『オヤクソク』。
この世界にもしっかと根を下ろしているそれを充分把握しているのは、
どうやらハリオンの方であるようだ。

「私は別に裸でもよかったんですけどぉ。ヒミカ〜、細かい事ばかり言ってるとぉ、
殿方に嫌われちゃいますよ〜。」
あんたにだけは言われたくないわ、と思いつつも、返す言葉を失い、がっくりと肩を落とすヒミカ。
その時、彼女の背後からドアの開けられる音がした。

「お、もう来てたのか二人とも...って、あれ?ハリオン、何で服着てるんだ?」
入口に立つエトランジェが間抜けな声を上げた。
――果たして、悠人もまた、生まれたままの姿であった。

「ふふふ〜、ユートさまも、自信満々ですね〜。」呆れ笑いを浮かべつつ、ハリオンが言った。
「ユ゛……ユ゛ードざま゛〜〜」
『赤光』を握りしめたスレンダーな妖精の紅い双眸から、はらはらと涙がこぼれ落ちた。
裸を見られた羞恥のためか、それともお馬鹿な仲間がいた、という安堵の涙か、
もはやヒミカ自身にもよく分からなかった。
590名無しさん@初回限定:05/03/16 17:32:44 ID:E6SiKxd6
C
591ヒミカの憂鬱 8/8:05/03/16 17:34:14 ID:HWnWfJBE

「じゃ、運転開始だ。準備はいいか、露出狂のぼんくらども?」

着替えを終えて再び入室した悠人達をにやにや笑いで迎えたヨーティアが、
装置の配電盤を操作し始めた。
ヨーティアのいつもの毒舌に慣れている悠人は白衣姿のその背中を
キッと睨み返しただけであったが、免疫のないヒミカは彼の横で真っ赤になって恥じ入っている。

...やがて、ブウン、という唸りにも似た音とともに、三人は一瞬にしてランサへと転送された。


「―――ユートさま。」
閉じていた目を開けて、ヒミカが傍に立っている男に、口ごもりながら呼びかける。
「あ...あの、憶えてます?私の事...」

「―――残念ながら...全部。」
返って来た答えが、ヒミカの一縷の望みを打ち砕く。
ヒミカと悠人は顔を見合わせた後、二人揃って、はあ、と大きな溜息をつき、うなだれた。

――出来れば、何もかも無かった事にして新しい自分になりたかった、強くそう思う二人であった。
592憂鬱の人:05/03/16 17:38:12 ID:HWnWfJBE
ヒミカ長編を熱く執筆中の某氏に影響を受け、かつてないくらい美しい憂鬱話に...仕上がる筈だったのですが、
案の定、途中で息切れしますた。

支援どうも有難うございました。連投規制、厳しくなりましたね...。
こんな短編ごときで引っ掛かるとは。

Cは解読できましたがF−104はいったい!?
593名無しさん@初回限定:05/03/16 17:43:16 ID:TcP19LDN
>>592憂鬱氏
規制の中、乙でした。
F-104ですが、気になってググッたら
「マルヨン」と呼ばれるらしいとのことなので
もしかしたらこれかと……

>>何もかも無かった事にして(ry
何もかもなかったことにしたら……
もしかして悠人君不在?
594名無しさん@初回限定:05/03/16 17:43:41 ID:E6SiKxd6
スタートレックの転送ネタ微エロ風味みたいで面白かったです。

ちなみにF-104は自衛隊で使っていた戦闘機。通称「マルヨン」。
そっち方面のオタにしか分からないネタですまん。
595名無しさん@初回限定:05/03/16 17:58:34 ID:KQr4ju5V
>>592
GJです。
前半のシリアスな展開にドキドキしましたが、
いつもの憂鬱シリーズなオチで何故かほっとしましたw
596名無しさん@初回限定:05/03/16 19:21:31 ID:dNBVpjZX
>>592
GJかつ乙です。
最後はやはり憂鬱なオチですねw
というか、その、なんだ。裸体見せてください、もっと(もちつけ
597名無しさん@初回限定:05/03/16 20:44:46 ID:ijP94u3a
「な、なあヒミカ。そのさあまり前を俺に向けないでくれるか? 俺さすがに困るよ」
「ユートさま……私が向けているのは背中ですが……なにか」


き〜おくのなかで〜いきつづけてる らたいを〜
そこはタイムシフトしか。

えーとやっぱりふたりは似たもの同士と言うことでOKw
しかしなんですな。ユートと一緒に転送されたいという輩が続出しそうです。

ヘ「転送先のマナで再構成される……ユートさまと一緒に……その場のマナで一緒に……」
ヨ「ヘリオン、何やってんだ? 装置動くぞ早くしろ」
ヘ「え、あっは ネ「あ、ユートさまだっシアーーッいっくよーー」シ「ああ待ってよネリーちゃん〜」
バタン ブウン……
へ「あああぁぁぁぁユートさまぁ〜〜」


598名無しさん@初回限定:05/03/16 22:39:37 ID:hNIqhZ5q
>>592
前半と後半のギャップがw

ちゃんと前もって説明しないヨーティアは、第1級戦犯です。
潔く脱ぎ捨てたヒミカさんの男っぷりに何故か惚れ惚れしてしまいました。
後に光陰辺りはわざと勘違いしたふりをして乗り込みそう。

「オルファちゃん、早く来ないかな〜」
「パパ〜、オルファなんだか寒気がするよ?」
「心配するな、今、今日子が入っていった」
ビービービー。ボンッ。
「ヨーティアさま、ブレーカーが落ちました」
「なんだと!この天才様が設計したんだ、そんな筈……あのボンクラどもか……」
599名無しさん@初回限定:05/03/17 10:30:27 ID:ugbyPkSO
>>592
乙〜

悠「今回のヒミカはなんだかとっても女の子だなぁ」
ヒ「だって、わたしは女の子ですよ?」
悠「うん…」
ハ「そ〜ゆ〜ユートさまだって〜、今回はとっても男の子でしたよね〜」
悠「どーせいつもはヘタレだよorz って、おい、ハリオンどこ見てるんだよ! だいたいいつもなら裸なのはむしろハリオ…ぐぶるぶふぉ」
600名無しさん@初回限定:05/03/17 11:56:56 ID:rHdOTr83
>>592
乙です。シリアスかと思いきや…

悠「で、結局俺らがセットになるわけか…」
光「泣くな、悠人よ。俺だってオルファちゃんやヘリオンちゃんと組みたいぞ。」
悠「泣いてないし、お前と一緒にするな!」
ヨ「真面目な話、スピリット達の意見を聞くとこうせざるをえないんだよ。」
光「みんな恥らってるんだなぁ…
  ちょっと、いやかなり残念だが、それはそれで女の子らしくていいかもなぁ。」
イ「残念ながらそれは違いますよ、コウイン様。」
光「へ?」
イ「アンケートによるとユート様との転送を望む声ばかりです。
  理由は…パパと一緒がいいから。ユート様になら…キャッ!ん、ユートがいい。
  へっへっへ。ヘタレだから間違いもないだろうし。手前の剣はユート殿の為に。
  べ、別にどうでもいいのよ、本当よ?でも部隊編成を考えたら…ね?
  …と、などなどです。」
光「・・・・・・」
イ「あ、コウイン様へのご意見もありますよ?えーと…
  キモイから嫌。貞操の危機がありそう。ぶっちゃけ嫌。ユート様がいいからパス。
  キョーコ様の電撃の巻き添えくらいそうで怖い。選ぶ権利はスピリットにもあるはず。
  あともう一つ…是非ともコウイン…と…じ部…に…。かすれて読めませんね。
  以上です。」
光「…俺って慕われてないのか?」
悠「イキロ。」
ヨ「まぁそういうわけでケンカにならないようにお前らが一組になったと…」

601憂鬱の人:05/03/17 13:16:02 ID:wClypSRn
こんなバカ話に沢山の感想有難うございます、うう...(涙

>>593
手間取らせちゃってすみません。これからは人にモノを尋ねる前に
自分でググる癖を付けます。支援どーもでした。
この際悠人もいなかった事にしちゃえば...そこは平和なファンタズマゴリア?

>>594
ターミ○ーターとかのイメージでやってたんですよ。あの登場シーンとか。
あ、それとエヴァにも似たような場面があった希ガス。
支援thxですた。C(シ・エン)はすぐに分かったんですがw これからは人にモノを(ry

>>594
大抵私の書くものは前半シリアスなんですけどね。前振りと言うか。
安心して貰えて嬉しいような、寂しいような...
次回こそはきっと完全シリアスで、決めます!(←決めなくていいよ)
602名無しさん@初回限定:05/03/17 13:36:09 ID:wClypSRn
>>596紅氏
とりあえず盗作見逃してくれて感謝ですw
ナ、ナンダッテー!!?? >裸体もっと発言
すっ、すみませんっ!これが私の桃色マナ限界です!
この不全感...後は...あとは、頼んだ...ぞ...ガクッ(謎

>>597髪氏
ユート君そういう冗談はやめましょう女の子をいじめてはいけません
シアー、今だっ今こそネリーにアドバンテージを見せ付けてやれ!!

……合体したりしてw

>>598頼氏
ですから私の書くものは大抵前半が(ry
なんと、エーテル技術世界にもブレーカーがあったのか?
ハッ!?まさか落ちたのはシャイニングブレーkwhd¥いぞんgs¥hl
…EXネタはほどほどにしときます、ハイ。
603憂鬱の人:05/03/17 14:02:33 ID:wClypSRn
>>599
勿論ヒミカは女の子です。
そう、例えて言えばガラスのナイフのような。(←平気でパクるな)
いやでも本当にいい娘ですよ。情にもろく、義に厚い。

>>600霞氏
光陰言われたい放題w イ`。
一人だけフォローしてる娘は涙で字が霞んだのか?

悠「でも二人だけで移動するってのは勿体ないんじゃないか。」
光「おお、高嶺くん!信じてたぜ、我がかけがえのない親友よ!!」
悠「…殺そうとしてたくせに。ま、いいや。どうなんだ、ヨーティア?」
ヨ「確かにそうだな。よし、アレを使うか!」

ジャジャーン!「えとらんじぇおーるらうんだー変換装置〜!!」

光「……つまり一人部隊で行けってか。orz」
604名無しさん@初回限定:05/03/17 21:50:28 ID:EmsrJswf
俺達は思い違いをしていたっっっっっっっ!
いいかこれをよく見てみろ

   クォーリン……コーリン……コウリン……光隣  
               
           そうなんだよっ!! クォーリンってのは光陰の隣に立つ者という暗喩だったんだっ!!


閑話休題w

>603
今日子には最適ですな。強い女にゃ仲間はいらぬマナも略奪すればよい

605信頼の人:05/03/17 22:05:40 ID:CbgCwIrJ
前スレ埋めと促進を兼ねる為に、
というかいけると思って投稿してみたら予想外に容量足りず、
短編を分割、スレを跨いでの暴挙となってしまいましたorz
前スレに前編を投稿してしまいましたので、
興味の無い方は遠慮なくスルーお願いします(汗
606エターナルの憂鬱(後:05/03/17 22:06:24 ID:CbgCwIrJ

ばたんっ!
「タキオスっ!なんて無様なっ!!」
その時血相を変え、白い法衣を纏った少女が飛び込んでくる。
『法皇テムオリン』。一見幼いただの幼女こそ、ロウ陣営の首領である。

「テ、テムオリン様…………言い訳はしません。それがしの敗北です」
「あ〜〜!まだいたんだ〜。おばさんも、『ろう』なの〜?」
くの字に曲がった剣先をそちらに向けながら、少女は楽しそうにとんでもない事を口走る。
テムオリンはいきなり気にしている事を指摘され、逆上した。
「なっ、なっ、なっ…………なんなんですの、貴女っ!」
「えっと初めての挨拶は……初めましてテムオリンおばさん、わたしユーフィ、で、こっちはゆーくんだよっ!」
ぱんぱん、とスカートの埃を払いながら立ち上がる少女に、テムオリンはどこか覚えがあった。
「貴女まさか……い、いえ、気のせいですわね、ほ、ほほ…………」
引き攣った口元のまま呟くテムオリンを気にする事も無く、少女の自己紹介が続く。
「でね、パパはユート、ママはアセリア、で、おばさんはトキミっていうんだよ☆」
「……………………」
あんぐりと開いた口が塞がらない。
呆然としたまま暫くの間テムオリンは、得意の詐略を用いることも、先程の暴言を咎めることも、
なぜこの少女は聞きもしない家系図についてまで自慢げに語るのかと突っ込む事も、全部忘れていた。
「すきあり〜っ!」
一瞬の油断が命取り。硬直したテムオリンに、尋常ではないマナを帯びた『ゆーくん』が炸裂する。
607エターナルの憂鬱(後:05/03/17 22:07:30 ID:CbgCwIrJ

「だめだなぁ、こんなんじゃ『かおす』に負けちゃうよ、おばさん」
「ま、まだいいますか…………」
無様に転がされた四人と一匹を前に、やれやれと呆れ調子のユーフォリア。
そこにあの宿命のライバルの面影が見え隠れしていて、テムオリンは余計に腹立たしかった。
しかし、もう反撃する余裕などない。今は歯噛みして耐えるだけである。
やがてくるり、とこちらを向いたユーフォリアは、また遊ぼうね、などと捨て台詞を残して立ち去ろうとした。

「くっ…………お待ちなさいっ!」
「ん?なぁに?」
その背をテムオリンは思わず呼び止めていた。聞きたいことがあったのだ、どうしても。
「……お父様は、お元気?」
「え?うん!最近はげぇとぼおるっていうのに嵌ってて、全然お仕事してないけどね」
「そう……坊やの娘が成長を始めてから何故かエターナル全体が歳を取るようになったというのは
 カオス陣営も同様でしたの……すると時深も…………
 ふふふ……やはり最後に勝つのはわたくしでしたね…………」
「ん〜むずかしい事はよく判んないけど……まっいいや、じゃあね♪」

ぱたぱたと駆け出すユーフォリア。見守るのは、すっかり変わり果てたよぼよぼのロウ陣営だった。
608名無しさん@初回限定:05/03/17 22:30:33 ID:EmsrJswf
時が動き出す……おばさんはろうじゃなくて老だよユーフィーちゃん労ってあげてね。
時深おばあちゃんもね。
あ、そうだユーフィーちゃん。お父さんお母さんに早くお孫さんを見せてあげようね。こっちおいd(神々の怒り)


くの字に曲がった剣先って『無我』が曲がったって事ですか?

某所のアセリアとユーフィーの絵が良いよー。
609名無しさん@初回限定:05/03/17 23:02:53 ID:udpMVmhE
>>592 憂鬱の人さん
憂鬱シリーズらしからぬ(失礼)出だしにしんみりとしていたのも束の間、
読み終わってみればモニタの前で噴きだした人間がさらに一人追加されましたw
服を着たまま転送されるとして、再構成時のハプニングとしては合体もありでしょうし、
他には……着せ替え?

ヒ(うぅ、胸が余って……くぅっ)
ハ「あらあら〜」
悠「いや待て、俺の格好は想像しなくていいぞ! 頼むからやめてくれっ」

>>605 信頼の人さん
老エターナルの皆様方、というかタキオスが面白すぎです。
彼の緩みきった顔が想像できてしまう自分も少々どうかと思ってしまいました。

さらに未来の世界……
ヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボ
「いやぁすっかりと大人しくなってしまいましたねぇ、ミトセマールさんやぁ」
「あんだってぇ、最近は『不浄』の先がこんなにしなびちまってぇ」
「ンギュルルルゥ……」
「あぁ、私も『流転』が二本の杖代わりですからねぇ……」
「アハハハハハッ、まぁまぁ端から杖には困らない奴がいると思えば我慢も出来るもんさねぇ」
「ンギュギュギュ……」
ヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボヨボ
縁側でお茶をすすりながらテムオリンの陰口を叩く事がミト婆に残された楽しみ……

>>608さん
>くの字に曲がった剣先
『悠久』の剣先がくの字型という意味ではないでしょうか。
610名無しさん@初回限定:05/03/18 00:03:44 ID:xhwH5KNs
いえ、悠久って杖型だと……くの字と言うより丁字形だし。


うーん、私細かすぎかな。
611名無しさん@初回限定:05/03/18 00:17:11 ID:F9zTlBvN
>>607信頼氏
乙でした。スレ跨ぎとは、こりゃまた掟破りな...w
ロウエターナル…ろう…老エターナル...ああ、永遠のヨウジョ・コアラ様が...くっすん。
何百年かに一度のイベントだけを楽しみに生き続ける彼女達。普段は相当退屈な生活を
送ってるに違いありませんぜ、旦那。(←誰が旦那やねん)
年食って公園でのんびりげぇとぼおるにいそしむ方がはるかに幸せな人生なのかもw

>>609道行氏
着せ替えかぁ...そういや古城の上で胡坐をかいてる一枚絵がありますね、ヒミカさん。
PS版の紹介ページに。あ、あ、妙な妄想が...

ヒ「やっぱり自分の服が一番しっくりくるわね...フッ」

>>610(多分髪結氏)
細かすぎですってばw
しかし丁字型神剣...ユーフィーが生まれる時、
アセリアのアソコに引っ掛かったりしなかったのだろうか(ヘヴンズスウォードヘヴンズスウォードヘヴンズスウォード

612名無しさん@初回限定:05/03/18 00:30:33 ID:BHiaMnT/
>>592 憂鬱氏
エーテルジャンプは危険がいっぱいですね♪(笑

悠「俺も脱いどいてなんだけど、送られる直前まで、タオル巻いとくとか考えなかったのか、ヒミカ?」
ヒ「そ、それは……」
レ「そんなの、無粋だよっ!」
ダッシュで駆け寄り、ダッシュで去って行くレムリア。
ヒ「………誰?」
悠「一応、俺の知り合いなんだが。何を考えてるのかは、サッパリだ……」
ヒ「でしょうねぇ………」

>>605 信頼氏
…読んでて、ユーフォリアが無意識にエターナルの時間を操ってる、って気がしたんですが。
実際、どうなんでしょう?
まあ、何にしてもユーフォリアは最強って事ですか。
いろんな意味で(笑

出かけてる間にスレが進んで、もう次スレという感じ。
時が経つのは、早い……。
613名無しさん@初回限定:05/03/18 01:16:51 ID:xhwH5KNs
>612
レムリアw
「わ、わたし、負けてないもんっ」 横目でヒミカの胸元を見ながら走り去る。

>611
すいません、それじゃ今後はカスミ網の如く待ち伏s(あぽかりぷす)

ちなみに小説版では誕生直後の『悠久』は小枝サイズだったと書かれています。
だからきっとテスハーアテスハーア。よかったね悠人ナニガダ


…………
ザウスクラブ雑魚スピ壁紙きたー
いや、ナナルゥとハリオンの絵……なんか期待に胸がふくれますよw ハリオンの笑顔ってこういうんだ……モエ



614名無しさん@初回限定:05/03/18 16:48:06 ID:2ccXjNCP
>>612
ヒミカならやはりタオルではなくサラシがお約束でしょうw
ああ、またお馬鹿な妄想が...


「ふふふ...。我ながらあざといとは思いますが、これも勝負の世界。
ユートさまに今こそメインヒロインの底力、見せ付けて差し上げますッ!」
エスペリアはこみあげる笑みを抑えながらエーテルジャンプ施設に乗り込んだ。
「ヘリオン、申し訳ありませんが、貴女はわたくしの引き立て役です!」
参謀の座を目一杯悪用した部隊編成こそが彼女最大の武器である。

しかし、ドアに張られた小さなメモ用紙に、エスペリアの目は釘付けになる。
そこにはたどたどしいヨト語でこう書いてあった。

『編成は隊長権限で変更させてもらった。これも国家平和のためだ、スマン。 byゆーと』

黒々とした予感とともにドアを開けたエスペリアの目に映ったものは!

「あらあら〜。もう一人は貴女だったんですか〜?」
  どど〜ん!

「先制攻撃のチャンスだと思ったのですが。」
  ばば〜ん!

「ユートさまの…バカ……ッ!」


...雑魚スピスレのエスペリアに明日はあるのか!?
615名無しさん@初回限定:05/03/19 05:00:48 ID:IXN5pPWp
>>613
悠「いや、どー見ても負けてるだろ」
ピタリ
立ち止まったかと思ったら、何故か戻って来るレムリア。そして、無言で拳を振り上げる。
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!
レ「貧乳って言うな!貧乳って言うな!貧乳って言うなあぁぁぁッッッ!!」
悠「そ、そこまでは言ってない!って、痛、痛、痛い、本気で痛い!止めて止めて!ロープ、ロォォォプッ!!」
時「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ♪」
ドガガガガガガガガガガガガガガガ!!
悠「うおぉぉぉい!?時深、お前出番まだ…って言うか、何一緒に殴ってやが、ぷげらばッ!?」
時「女性の胸を馬鹿にする者は、須く敵ですッ!!」
レ「今、あなたイイ事言った!仲良くやれそうね!」
時「ええ、二人で世にはびこる敵を全て排除するとしましょう!」

貧乳同盟が結成されました。(要項:いい年こいて胸が著しく無い事)

…胸の大きさはともかく、闘争本能では勝ち目無いなぁ、と思うヒミカだった……。


――実際の所、ヒミカの胸の大きさはどのあたりに分類すべきか判断に困りますw
616名無しさん@初回限定:05/03/19 05:04:09 ID:dPJzSsaY
ヨーティアに豊胸マッスィーンでも作ってもらったらどうだ?
617名無しさん@初回限定:05/03/19 05:04:16 ID:IXN5pPWp
>>614
雑魚スピスレのエスペリアに明日はあるのか!?
…って、憂鬱氏と髪結い氏の両名がいればあと10年は戦える、と思いますが(苦笑

「くっ。メインヒロインの底力を見せるはずが、こんな屈辱を受ける羽目になるなんて……」
悠人のメモを恨めしげに見るエスペリア。
「あら?裏にも何か書いてある……」
メモの裏。そこには、部隊変更の詳細が書かれていた。

第一部隊:ユート・ヘリオン・エスペリア → ユート・ヘリオン・セリア

「………………………………………………。趣味に走りましたね、ユートさま#」

嫉妬の炎と怒りで、熱く熱く燃え上がるエスペリア!(1秒ごとにHP−410)

「…ただでさえ抵抗力低いのに…。自爆するつもりですか?」
「私が〜回復しますからぁ、大丈夫ですよ〜」

どこまで行っても落ち着いた、と言うかマイペースなナナルゥ、ハリオンであった……。


ヘリオン・セリア……悠人っつーか、まあ私の趣味です(笑
618名無しさん@初回限定:05/03/19 14:14:37 ID:UEfX1jm5
>>608さん
ロウで「老」、わかって頂けたとは……w
剣先の形はゆーくんの絵が何かそんな感じに見えたのですが、
全体を示して「丁」の方が良かったですね。
>>609道行さん
ミト姉……じゃなかったミト婆、神剣までしなびちゃったんですかw
あ、でも老化した『聖賢』と悠人の会話とかも面白そう。
>>611憂鬱さん
正直前スレだけで止めようかとも一瞬考えました(汗
あれはあれでオチっぽいし。
変な話で勝手に憂鬱シリーズに乗り込んでしまい、すみません。次こそは(ぇ
>>612御洒落さん
最初はユーフィがカオスとロウを仲直りさせようとする話だった筈なんですが……
どこをどう間違えたのか(汗 とりあえずユーフィ最強になりましたw
>>613さん
壁紙…………何故ファーレーンが無いのかと(涙
619名無しさん@初回限定:05/03/19 20:36:47 ID:pkb5/55D
鬼畜ルートでは「小ぶりだが形のいい」というくだりがあったような・・
とういうことで、ヒミカ姐さんは「B」としたいが、如何か
620テンプレ1:05/03/19 23:01:20 ID:Tt7IRb14
某スピリチュアリストは語る。
「このスレは、妖精趣味の全てを伝えてくれています」

愛と勇気と感動は終わらない――――
ヘタレと変態もとどまるところを知らない―――
第二ファンタズマゴリアを萌えと燃えで揺るがせた衝撃の問題作。

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド第12弾、本日上陸。

「あなたに、この感動を伝えたい―――」

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド11
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1108303603/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/
外部板:雑魚スピスレ保管庫
http://etranger.s66.xrea.com/
外部板:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/
外部板:永遠のアセリア関連スレリンク集
http://etranger.s66.xrea.com/past.htm
621テンプレ2:05/03/19 23:03:08 ID:Tt7IRb14

あてんしょん

 | ̄ ヽ
 |」」 L.
 |゚ -゚ノ| ……えっとこのスレに投稿したネタ(名前欄に題名を記入したもの)はね……
 |とl)
    ,べV      
   / 〃  ̄ ヾ; 
   ! i ミ(ノハソ
   !ik(i|゚ ヮ゚ハ   。・゚・⌒) 作者の意向が無い限り、
   リ⊂! |T|!つ━ヽニニフ))   問答無用で>>1の保管庫に収録されちゃうんだよ〜
     く/|_|〉 
     (フフ

622テンプレ3:05/03/19 23:05:23 ID:Tt7IRb14
____      ________               _______
|書き込む| 名前:|            | E-mail(省略可): |sage       |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなクールな女には      / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ

623名無しさん@初回限定:05/03/19 23:07:48 ID:Tt7IRb14

修正ありましたら適時修正宜しくお願いします。
それと次スレ、即死回避SSお持ちの方いらっしゃいましたら
バッティング含め、確認願います。

次スレ点呼お題:あなたとファンタズマゴリアの第1種接近遭遇。
624三つ子の魂百まで:05/03/19 23:10:39 ID:Tt7IRb14

「あのねあのねゆーくん、」
「え、なんだユーフィー」
「え?違うよ〜、お父さんじゃなくて、こっちぃ」
「あ、ああ、なんだ『悠久』の方か」
「……なんでユートが振り向く?」
「いや“悠”とか言われるとつい反射的に……」
「え〜、変なの〜。ねえ、ゆーくん♪」
きぃぃぃん…………
「くっ……何故か負けた気がするぞ」
「……ユート、親バカか?」
「む、そんな事はないぞ。ユーフィーその呼び名、何とかならないか?」
「え〜?ん〜それじゃあね…………パパっ☆」
「いやオルファ、俺のじゃなくて…………はっ!」
ズゴゴゴゴゴ…………
「……ユート、浮気か?」
「違う!違うぞアセリア、これはただの反射であって」
「お母さん、オルファってだあれ?」
「こらユーフィー、大人の話に口を挟むんじゃありません!良い子だからあっち行ってなさい!」
625三つ子の魂百まで:05/03/19 23:11:53 ID:Tt7IRb14

「知りたいか、ユーフィー?」
「うん!知りたい知りたいぃ〜」
「ちょっ……待っ…………」
「オルファは、お父さんにとって反射的に振り向くほど大事な人」
「異議あり!その言い方は色々と誤解があるぞ!」
「え〜!それってもしかして『ウワキ』ぃ?」
「そうだな、どうなんだ、ユート?」
「そんな訳あるかっ!って……もしかしてからかってるか?アセリア」
「ふふ……ユーフィー、冗談」
「え〜なんだ良かったぁ……でもわたしも会ってみたいなぁ〜」
「……もういない。ずっと昔にいなくなった」
「……アセリア?」
「わたしにとっても、とてもとても大事な人。ユートと同じ位」
「アセリア……」
「お母さん……泣いてるの?」
626三つ子の魂百まで:05/03/19 23:13:15 ID:Tt7IRb14

「ぐすっ…………だからユーフィー、その呼び名は駄目。わかった?」
「…………うんっ!判ったよ、ね、ゆーくん?」
「ああ、そうだな……ってなんだ、また『悠久』か」
「くすっ……ユート、そんなにゆーくんと呼ばれたいのか?」
「はは、昔から今日子に“悠”とか呼ばれてたからな……はっ!」
ズゴゴゴゴゴ…………
「ユート、浮気だな」
「そそそそんな事はないぞ、あれは一度きりの過ちで」
「……一度?」
「わあっ!アセリア落ち着け!『永遠』は子供の教育上宜しく無いと……」
「ね〜お母さん、キョーコってだあれ?」
「……ユーフィー、少し向こうに行ってる。お母さんはお父さんと大事な話があるから」
「えっと……は〜い。…………お父さん、頑張ってね(ボソ」
「待て、一人だけ逃げるなんてずるいぞっユーフィ!さっき俺が言った時は行かなかったくせに!」
「行こっ!ゆーくん」
「ああわかっt」
チャキッ
「……ユート、どこへいく?」
「い、いやあ、名前を呼ばれたからつい……は、ははは…………」
「そうか、そんなに“悠”と呼んでくれる方がいいのか」
「違っそっちに取るなってがっ……ちょっごめ@ぐふっ%jk#!」


「ね〜ゆーくん、又お父さんとお母さん喧嘩したらヤだから、
 今度は時深さんみたいに“ユートさん”って呼んでみようかなぁ」
627信頼の人:05/03/19 23:15:17 ID:Tt7IRb14

あとがき

子育てって難しいですよね。
628名無しさん@初回限定:05/03/19 23:34:33 ID:cmo2s56v
>>627乙〜w

「...と、いう訳で、『パパ』も『悠』も、『ユートさん』も禁止だ。
 いい子だから分かってくれるよな、ユーフィー?」

「おっけー。わかったよ、お兄ちゃん。」

「...中で出したくなるからそれもダメ。」


       お下品レスですいま...ごめッ!ほんと、勘弁...しッ!!
629名無しさん@初回限定:05/03/20 00:06:56 ID:cfk1HF0E
>>605 >>627 信頼さん
門を越えても忘れられないSS…GJ!老エターナルガンガレ…
あとユートもガンガレ。でも皆魅力的だし忘れられないよなぁ…

ところで時代はユーフィですか?
ユーフィいいなぁ…次回作では成長して是非ヒロインに。
そんで次作主人公とユートのバトル。
「ユーフィと付き合うならまず俺を倒せ!」
「…ユート。いきなり『聖賢』使うのは大人気ない…」


630名無しさん@初回限定:05/03/20 04:36:27 ID:MIJQzNCn
>>616さん
豊胸マシーン…ヨーティアなら作れそう。
まあ、できたらできたで争奪戦が凄そうですがw
>>619さん
では「B」でFA。でも「小ぶりだが形のいい」って、ヘリオンもそんな感じだった様な…。
大きさ、同じくらいなのだろか………。
>>627 信頼氏
子育てが難しい、と言うより駄目人間悠人の自業自得記といった感がします(笑
ユーフィーは、したたかな良い子だと思います。

「頼むからユーフィー、余計なことは言わないでくれよ。今、アセリア怒りっぽくなってるからさ」
「うん、わかった!こないだお父さんが昼寝してた時の寝言、それは黙っとくね!」
「……一体何て言ってたんだ?」
「うーんと…『ううッ、エスペリア…もう、出るッ!!』だったかなぁ?」
「ぬおぉぉ!?この俺が、まさかそんな寝言を!?そいつは是非とも黙っといてくれ、ユーフィー」
「…大丈夫だ、ユート。もう聞いてるから。ユーフィーが黙ってても関係ない」
「お、お約束キターーーーーーーーー!!!」(´Д⊂)

こうして今日も、『女は強い』という事を学び、
着実に最強のエターナルへ一歩一歩近付いて行くユーフィーなのであった………。
631名無しさん@初回限定:05/03/20 14:51:33 ID:8ei8/ANG
>>627
促進乙。
ユーフィー…お母さんっ子か?
お父さんを虐げるのはもちっとおっきくなってからにしてあげてくれぃ(;´Д⊂)
632名無しさん@初回限定:05/03/20 21:32:20 ID:ZDjzljg3
>>628憂鬱さん
「それじゃ……ユートくん?」
「……ユーフィー、それはとても料理が下手になるおまじないだ」
「え〜そんなのヤだから…………ユートさま(ポ」
「何故頬を染める……色々と思い出すからダメだ」
以下エンドレスw

>>629霞さん
次回作ですか……
ユーフィーが連れてきたのは一見優男風赤毛の少年。
「養父さん、少し落ち着いてください」
「お前にお父さんと言われる筋合いは無い!」
「……ふう、仕方ない。じゃあ僕はこれで」
「……ローガス、『運命』使うのは反則じゃないか?」
いえ、ローガスの自称が僕かどうかは知りませんが(汗

>>630御洒落さん
したたかは良い子なのかなぁw
娘はよく父親に懐くといいますが、
悠人の場合は反面教師になりかねない前歴が。
大体ヘリオンやシアー以外だと尻に敷かれそうだしw

>>631さん
ユーフィーはちゃんとお父さんを気遣ってるんですよ、きっと。
ただ自分の身の方が可愛いだけでしてw
633名無しさん@初回限定:05/03/20 21:37:53 ID:vD1kgRNG
>>627 信頼の人さん
乙です。
悠人、アセリアに小突かれてるうちはまだマシだと気付くのは何時の日か。
エターナルだといっても、気付かないうちに子どもはすぐに大きくなるぞー。

「ユーフィー、お風呂が沸いたから入って」
「はーいっ。それじゃゆーくんも一緒に入ろっか」
「うん、ユーフィーはもうシャンプーハットなしでも頭を洗えるかな?」
「……え? 違うよ、お父さんじゃなくてゆーくんと入るの!」
「え」
「お外で遊んだら、ゆーくんが汚れちゃったから洗ってあげるの。
 それに、もう私だって一人でお風呂くらい入れるよ。……お母さんとならいいけど」
「ん、任せろ。ユーフィーも『悠久』もぴかぴかにする」
「え」
「ユートには、お皿洗いと洗濯物を任せた。行こう、ユーフィー」
「はーいっ」

「……ぅうっ。くっ、ぐすっ」
「……その、何だ。我で良ければ酒には付き合おうか。飲めんが」

……(;´Д⊂) 微妙に亀。
634名無しさん@初回限定:05/03/20 21:47:15 ID:vD1kgRNG
475KB踏んでいたので、新スレ建ててきます。
635名無しさん@初回限定:05/03/20 21:53:01 ID:vD1kgRNG
建ちました。
次スレ点呼お題:あなたとファンタズマゴリアの第1種接近遭遇。
よろしくお願いします。

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1111322997/
636名無しさん@初回限定:05/03/20 22:00:16 ID:ZDjzljg3
>>633道行さんスレ建て乙です。
「……お母さんとならいいけど」にホロリときてしまいましたw
聖賢相手にはたから見れば一人で飲んだくれ、愚痴を言う悠人。合掌。
637名無しさん@初回限定:2005/03/22(火) 19:41:11 ID:S1W7sKiK
C
638名無しさん@初回限定:2005/03/22(火) 19:42:52 ID:S1W7sKiK
C
639名無しさん@初回限定:2005/03/22(火) 19:44:21 ID:S1W7sKiK
C
640名無しさん@初回限定:2005/03/23(水) 05:36:54 ID:ieyF9mSr
C
641名無しさん@初回限定:2005/03/24(木) 01:55:05 ID:hcQmS2gj
埋め状態だから、ちと雑談

2月のワンフェスでヘリオンのフィギュア出してたところあったよ。
exの立ち絵ポーズ。
造型も悪くなかったが、あまり売れてなさそうだった。
俺は買ったけどね。

このスレ見てると忘れがちだけど、本編だけだと個性も見えない汎用ユニットだもんなぁ
世間様からすれば知名度低すぎたんだろうな。

次も期待したいけど、もう作ってくれないかな?
ハリオン希望だけど、雑魚スピなら買いますって。
642名無しさん@初回限定:2005/03/24(木) 09:47:43 ID:1ugJQv6K
俺はアセリアモノ探しても見つからなかった。
いくらぐらいでしたか?あとサークル名も教えてくださると助かります。
それとWFには出ないけど、ねりちゃぎ同好会のアセリアとヘリオンも欲しいですね。
さすがに名古屋とかは行けない・・・。
643641:2005/03/24(木) 14:06:24 ID:hcQmS2gj
>642
ホームページも作ってないようだし、ディーラー名さらしていいのかな?
ワンフェスガイドブック B15−16 のとこです。
値段は確か5000だったかな?

ねりちゃぎ同好会ぐぐってみたけど、よさげですな。
お値段高めが気になるけど。
WHF横浜か有明で来てくれないかな、漏れもさすがに名古屋までは行けん。
644名無しさん@初回限定:2005/03/25(金) 13:38:44 ID:cI5W/cKu
>>643
多謝!5000かぁ。欲しかったなぁ。
645名無しさん@初回限定:2005/03/25(金) 19:26:30 ID:XLncI+3p
今日発売の電撃PSの特集でヘリオン単独のイベント絵があったよ
646名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 10:54:48 ID:9f3DqxPH
なんか本気でイービルルートの代わりは雑魚スピ全員普通に落とす
ハーレムルートなんじゃねえかと思えてきた
647名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 11:35:20 ID:5wZIDh1u
そんなことになったら俺は日本一信者になるぞ。
648名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 11:44:25 ID:QvIFg1L1
最後は
ナナルゥ「・・・で、誰が本命なんですか?」
ハリオン「それは〜気になりますね〜」
ヒミカ「まさか選べない・・・なんて言いませんよね?」
悠人「・・・さ、さあ訓練でも・・・」
ガシッ!!!
セリア「まさか逃げようなんて思ってませんよね?」
「「「「「「「「「で、だれなんですかユート!!!」」」」」」」」」

まだまだ俺に安らぎの日々は来ないらしい・・・

・・・なんだこの羨ましい状況。
649名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 12:52:22 ID:BdECoJXB
C
650名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 13:06:10 ID:BdECoJXB
C
651名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 13:11:02 ID:BdECoJXB
C
652名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 13:12:57 ID:G6D5EwtB
これで残りは、ハリオンとナナルゥか
うーん楽しみだ
653名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 13:27:26 ID:BdECoJXB
C
654名無しさん@初回限定:2005/03/26(土) 14:05:43 ID:wlSb4A2E
ハーレムいらね。
655名無しさん@初回限定:エロゲ暦24/04/01(金) 21:11:01 ID:SajGAZ70
キモウトいらね。
656綻び:2005/04/05(火) 21:42:57 ID:rpnz8imv

「判ってるの?!今度こんな勝手な事したら、許さないからねっ!」
「……………………」
判ってる。自分でも何故あんな事をしたのか、解らないという事が。

「まったく反撃してくる敵からわざわざ火球を逸らすなんて、一体…………」
怒っている。当然だろう。部隊行動に支障をきたす行為だったのだから。
だけど、嫌だったのだ。なんとなく。だから、“曲げてみた”。なんとなく。

「…………ごめんなさい」
「……そう。もういいわ、帰りましょう」
「…………?」
何故急に微笑むのだろう。判らない。何かを見つけていたようだけれど。
短く切りそろえた赤い髪を揺らす、目の前の彼女の思考が理解できない。
理解出来ないけど、どうやら許されたようだ。

「……なに首傾げてるの?置いてくわよ?」
「……はい」
でもその後姿が楽しそうなのは、何故か私も嬉しい。
それはきっと、なんとなく、ではなくて。
もっと何か、確かなものがあるはずだった。

 ――――――

地面に刻まれた放物線を描くような焦土の跡。
その脇に、一本の小さな紅い花。蕾が僅かに綻んでいた。
657信頼の人:2005/04/05(火) 21:45:45 ID:rpnz8imv
ヒロイン:ナナルゥ。【あと二人】(謎
658名無しさん@初回限定:2005/04/06(水) 12:36:27 ID:c+Qnp6PG
柱|-`).。oO(ミタヨー
659名無しさん@初回限定:2005/04/06(水) 22:08:53 ID:gPHH0Uge
柱|-`)つ赤 キヅイタヨー
660隔番:2005/04/06(水) 22:09:55 ID:gPHH0Uge
 人には向き不向きがあると思う。
 況や私たちスピリットは、持って生まれた能力からしてそれが著しい。
 もっとも、赤スピリットの身で魔法より剣を執る私がそう言っても説得力が無いのは分かっている。
けれど、それでも私は赤スピリットなのだ。炎を扱う事にかけては秀でている自負がある。
 ――だというのに。
「どうして私がお菓子屋の売り子をしなくちゃならないの……」
 ひっきりなしだった客足が漸くおさまって、ほっと一息を入れる。
 目の回る忙しさはお菓子作りも売り子も変わらないのだけれど、
一心不乱にお菓子を焼き上げる方が性に合っているのは間違いない。さらに言えば、
誰からも――私も含めて――好かれる笑顔を持っていて、今日は焼き窯の面倒を見ている、
役割の変更を言い出した彼女の方が売り子に向いているに決まってるじゃないか。
 貼り付いたような笑みと、硬い口調でしか応対出来ていないのではないかと、
不安ばかりが渦巻く私の頭は、不意に薄暗くなった目の前に気付くのにも時間を要した。
 もちろん、それは空が曇ったわけではなく、お客さんがやってきた証で――
「も、申し訳ありません、ご注文はなんでしょうか……! あ……ゆ、ユート様……」
 何てことだろう、売り子が違うと言う話を聞きつけてやって来たそうだ。
 いきなり見せてしまった失態に顔から火が出そうな私の心地に気付きもしないで、さらりとこう続ける。
「前のおっとりした売り子さんには癒されたし、
今日の活発な売り子さんには元気を貰ったってさ。はは、すっかり看板娘じゃないか」
 思ってもいなかった評価と嬉しそうに話すユート様の表情に、頭の中が白くなってしまう。
 だから、いつもはお土産を買うユート様を奥から見ているだけだったなと思い至ったのは、
「今までは奥にいるのを見る位しか出来なかったから、話せて楽しかったよ。じゃ、また詰所でな」
と、私が見繕ったお菓子が入った袋を抱えて帰るユート様を見送った時だった。
 奥から、ニコニコと暖かな視線を感じる。……してやられたと思うと同時に、感謝を送った。
661道行書き:2005/04/06(水) 22:16:14 ID:gPHH0Uge
ヒロイン:ヒミカ。【あと一人】

>>656 信頼の人さん
いつの日かこの喜ばしい綻びが大きく開きますように。
662名無しさん@初回限定:2005/04/06(水) 22:33:21 ID:Lpp6F8xy
>>658さん
気づかれたw
>>661道行さん
(ヒミカさんは〜、ほんのちょっぴり炎の魔法が苦手ですから〜、ヨフアルが焦げちゃうんですぅ〜
 ですから今日は売り子さんですぅ〜。ユート様も呼んでおきましたから、イッセキニチョウですぅ〜)
663名無しさん@初回限定:2005/04/06(水) 23:17:39 ID:4Aah1kkZ
>>662
いや、ヒミカはプロ級の評判だそうですよ?EXP
664倫理:2005/04/08(金) 17:11:28 ID:6CQraR5z
「をや?」
例によって朝寝坊した男が詰所の食堂に入って来たとき、そこにはいつもと違う空気が漂っていた。
食卓にはオルファが独り、ポツンと座っているきりである。

「何だ、みんな先に朝ごはん終わっちゃったのか。」
「―――あ、おはよう、パパ。」
それまで外の景色を眺めていた視線を移し、赤い少女は答えた。
「どうした、なんだか元気がないな。」
悠人はそのちっちゃな頭にそっと手を置いて言った。
「あはは、なんでもないよパパ。今からすぐ食事の準備するから待ってて。」
そう言ってオルファは立ち上がり、厨房へと消えて行った。

「はい、どうぞ。あんまり寝坊ばっかりしてちゃダメだよ。」
「ん...ああ、頂きます。」少し毒気を抜かれたように悠人は遅い朝食を摂り始めた。
オルファは向かいに座り、頬杖をついてぼんやりとそれを眺めている。
「やっぱ何か変だな。気分でも悪いのか?」
「...あのさ、パパ。」
「どうした?」
「オルファがいなくなっちゃったら、どうする?」
「―――どういう事だ?」
オルファの言っている事がすぐには理解出来ずに悠人は問い返した。
見つめ返す紅い瞳に涙が浮かび始める。
「オルファじゃ、ダメなんだって。これからはろりきゃらはきんしなんだって!!」
わっと机に突っ伏して、堰を切ったように泣き始めるオルファ。
しかし、悠人は全くうろたえる素振りも見せずに、言った。

「心配するな、オルファ。今度のは年齢制限のないやつだから。」
そんな事より敵スピに緑が多くなるケムセラウトで、突然消えるのだけはやめて欲しい、
痛切にそう思う悠人であった。
665憂鬱の人:2005/04/08(金) 17:16:46 ID:6CQraR5z
...PS版発売まであと一ヶ月強。(メーカー発表による)
果たしてオルファはPCに還って来れるのか!?(謎

>>657
うう、激遅でごめんなさい。気付いてはいたんですうっ!
ナナルゥがんがれ!(謎

>>661
お、ほんわか。
「二人はお菓子屋」シリーズ化ケテーイですか、ダンナ?w
666名無しさん@初回限定:2005/04/09(土) 19:02:53 ID:bAk3Hyww
>>663さん
別に神剣魔法で焼く訳じゃないですしね、そういえば。
>>665憂鬱さん
ろりきゃらきんしだとレッドスピリットの神剣魔法をキャンセルするのが難しくなるなぁ。
タキオスにつっかかる理由も半減するし。時深のライバルもいなくなるし。
などと筋違いの心配をしてしまう悠人であった。

さて、埋まったかな(謎
667名無しさん@初回限定:2005/04/09(土) 22:22:54 ID:2A0/x8Wp
>>666
埋まったようですw
しかし、五頭身以下がNGなんて中途半端な規制ですよね。
エスペリアみたいに頭の大きいキャラは不利だっつーのw
佳織は妹キャラ卒業して…姉キャラへチェンジ!?
「忘れないよ...弟ちゃん...」むちゃくちゃ不自然orz
668名無しさん@初回限定:2005/04/09(土) 22:26:11 ID:v1D2tUD7
おおう、ニアミス。
>>665 憂鬱の人さん
悠「そんな、ちょうど境界線辺りのヘリオンはどうなってしまうんだ!」
光「まてまて、何処が境界線だって言うんだ。ヘリオンちゃんはこんなにもちみっこくて愛らしいじゃないか」
ヘ「きょ、境界線ってなんですかぁっ。わたし、わたしそんなに子どもじゃありませんっ!」

緑スピ軍団はオルファ抜きでも、高威力単体魔法ヒミカと全体魔法ナナルゥ、
さらには敵ディフェンダーの高HPを利用したテラーTでどうにかなってしまったなぁ、
などと思ってしまうみtうわ何をすr(あぽかりぷすたーだすと
「お菓子屋」シリーズ化……まだまだ先は長そうです。

>>666 信頼の人さん
セ「そうですね。アイスバニッシャーを覚えるのが早いネリーが居なくなりますし、
私はサイレントフィールドを使えませんし……ね」
669名無しさん@初回限定:2005/04/09(土) 22:32:35 ID:EPGKpV3x
ソフ倫のあれってエイプリルのネタだったんじゃなかったけ?
670名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 14:50:55 ID:hkE2RK/r
>>668道さん
赤ってマナ消費が半端じゃないのに3人ともしっかり育ててたんですか?すごい……
わたしゃハード一周目でオルファルートに入ったもんで苦労しましたよ。
迷宮でクリアできなくなるからって、赤育成はほとんどオルファに集中させましたからねえ。
「ああっ!いない!?白い羽根も舞ってないとは何事!?」w

エスペリアならあの辺りでいなくなっても大して影響なしんこうわこら何をswjk¥ストライク@家出mk\\wg

...信頼氏、ついにセリアとの決別宣言っ?w
671名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 17:19:19 ID:g5ZmZYhj

決別なんてとんでもない。こんないい娘w

セリ「私はサイレントフィールドを使えませんし……ね」
悠人「二度も繰り返すなよ……なに怒ってるんだ、セリア」
セリ「い い え 別 に」
悠人「はぁ……俺はこれ以上セリアの負担を増やしたくないと思っただけなんだが……」
セリ「え……あ、も、申し訳ありませんでしたっ!わたし、勝手に勘違いして……」
悠人「全く俺がセリアを部隊から外すわけ無いだろ?サイレントフィールド?そんなもの関係ないっ!」
セリ「そ、そうですよねっ!敵も味方も関係なく攻撃強化する節操無い技ですし」
悠人「え……?そうだったのか?」
セリ「?」
悠人「あ、いや……そんな便利なものだとは知らず、ついバニッシャーで上書きしてて……はは……」
セリ「………………」
アセ「ユート、どうした?次どうしたらいい?」
悠人「おお、何となく残しておいたアセリア!頼む、サイレントフィールドを是非っ!」
アセ「ん、判った。マナの動きを抑える 今のうちに、早く」
セリ「……アセリア、私がアタッカーでいい?」
アセ「……ユート、どうする?」
悠人「あ、ああ……それは構わないが……セリア、なんで『熱病』を俺にあぶ&qやめ@rt*」

ファーストプレイ、ろくにスキルの効用確認してなかったなぁ。
672地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:21:25 ID:g5ZmZYhj

石造りの天井から僅かに差し込む日差し。
重厚な肘掛を強く握り締め、赤い絨毯を睨みつける。
幾重にも重なる眉間の皺を一層深くした苦渋の表情。
話しかけられる者は誰一人としていない重圧。
その沈黙は、強大にして無比。周囲はただ耐えるのみ。
顎まで覆う自慢の白髭が微かでも動くのを待つ。
やがてその時は来る。
ややしわがれた、それでいて良く通る声に一同は注目した。

「…………家庭の危機である」
673地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:22:20 ID:g5ZmZYhj

ラキオス王は悩んでいた。
娘であるレスティーナが、最近冷たいのである。
少し前までは喜んでだっこされたり一緒にお風呂に入ったり
パパのお嫁さんになる〜とか言ってきて思わず頬が緩んだものだったが
年頃になったせいか、どうも最近コミュニケーションが上手く取れていない。
うかつにノックもせずに部屋に入って着替えとはち合わせば烈火のごとく怒り出すし、
この間もちょっと茶目っ気でバーンライトに宣戦布告しただけで端正な眉を顰め、
無言で睨みつけてきた。あの時は不覚にも膝をがくがくいわせてしまったものだ。
后に到ってはすっかり自分の世界に閉じこもり、立ち絵どころか顔グラさえも無い始末。
レスティーナが生まれてから欠かさず続けてきた三人だけの食事も、
冷え切った家族関係に会話も無く虚しく食器の音だけが響き渡るものになっていた。
674地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:32:41 ID:g5ZmZYhj

思い当たる節が、無いでもない。
この頃少し加齢臭が酷くなってきた事とか若者のファッションセンスに追いつけてないとか
酒の勢いで守護龍を退治しちゃった事とかひょっとして髭がいけないのかなぁとか。

「……いや、わしは悪くない」
しかしそこは王の威厳。
沽券に関わるような事はあっさり忘れてしまおう。
都合の悪い事をもみ消すのはどの時代でもむしろ貴族としての嗜みだし。

――――そうだ、アレだ。全てはアレが原因に違いない。
最近こっそりと町娘なぞに変装してすっかり色気づいてきたと思えば、そういう事か。
675地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:36:51 ID:g5ZmZYhj

「おのれ……エトランジェめ…………」

先日物珍しさで保護した、どうやらこの世界の住人ではないと言い張っている男。
本気で信じたわけではないが、その道化っぷりに思わず付き合ってしまった。
古くから王家に伝わる骨董品の様な剣を振り回して急に切れたりする忙しい奴だ。
妹がいたのでレスティーナに預け、母性本能をくすぐらせて
少しは人当たりを柔らかくさせようとしてみたのだが、
まさかあの男の方に誑かされてしまっていたとは。

いや待て、我が娘ともあろうものがあんなヘタレに靡く筈が無い。
もっと子供を信用しよう。某国政府の広報でもそういってるし。
そうか、いやそうに違いない。レスティーナはあの男に騙されているのだ。
そういえば、蝶よ花よと少々篭の鳥にし過ぎたかもしれんな。
男というものがいかに下半身でものを考える生き物かをもっと躾けておくべきだった。

「その純粋さにつけこんだという訳か……くっ……卑劣な……下賎の者が考えそうな事だ……」
676地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:39:47 ID:g5ZmZYhj

ううむ、しかしこれはまずい、まずいぞ。
下手に頭ごなしに指摘しても、『お父さんには関係ないでしょっ!』などと
どこぞの国の分らず屋の父親と理解されない子供の図式を強制的に展開させられる事になりかねん。
第一恋は盲目という。父親とは寂しいものだな。
いやしかし、それはともかく取り合えず冷静になってもらわねば話にならん。

…………そうだ。さっき、情報部の奴らが面白い事を報告していたな。
確か、サルドバルトがイースペリアに攻め込んだとかなんとか。それだ。
あの男はいまダーツィに攻め込んでいるはず。奴を救援に向かわせよう。
アズマリアに恩を売っておけば、後々色々と楽しみもふえるであろうし。ふぉっふぉっ。
677地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:43:15 ID:g5ZmZYhj

「ただちにスピリット隊に伝えよ。至急イースペリアに救援に向かえ、と」

顔中に笑みを湛えたルーグゥ・ダイ・ラキオスの声が朗々と響く。
その深い眼差しの先、勅命を受けた兵士が殆ど平伏すように一礼をして去っていった。
その果断。その聡明さ。流石は伝統ある歴史を誇る、ラキオスの王。
重臣達は、今自分が仕えている真(まこと)の王に改めて感服する。
さざ波のような溜息が自然に収まるのを待って、王は再び口を開いた。

「これであの男が無事帰還すれば、妹との再会を認めよう」

おおーと再び歓声が上がる。なんという、慈悲。なんという、度量。
その荘厳な雰囲気の中には涙を流す者もいたという。
678地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:46:52 ID:g5ZmZYhj

これで、あ奴をレスティーナから引き離す事が出来る。
娘があんなハリガネ頭にうつつを抜かしているとは万々有り得ないとは思うが、
なに、石橋を叩いて歩くと某国の諺にもあることだし、手を回しておくに越した事はない。
我ながら、名案だ。この勢いで、その内政略縁談の一つも用意することにしよう。
   
ばたん!
   
「イースペリアに兵を送るというのは、本当ですか?」
おお、レスティーナ。お父さんはやったよ。お前にとっての害虫は取り除いた。
私はいつでもお前の味方だ。家族の平和、これからも守ってみせよう。
    
「イースペリアに各国のスピリットが集結する、それが重要なのだ」
「…………我が国のスピリットやエトランジェもいるのですよ?」
「代わりなら、もう一人いるではないか。これこそ天佑というものだ」
そう、天佑だ。あの娘がいれば、レスティーナの心もいつか開くに違いない。
679地主様の憂鬱:2005/04/10(日) 17:50:00 ID:g5ZmZYhj

「………………人のやることではありません」
                            
ぴしっ、と凍りついた音がする。冷ややかな、どこか憐れむような視線を投げ、
一瞥したレスティーナはそのまますたすたと王座の間を立ち去った。
                                          
愛娘に引導を渡されたラキオス王は、微動だにしなかった。
やがて老体が全身を震わせる。わなわなと、唸るように声を荒げて呟いた。
                                             
「おのれエトランジェめぇ……イースペリアと吹き飛ぶがいい…………」
                                            
呪詛のように唸り、側近にスピリット隊へ間違った解除法を伝えるように指示を出す。
                     
血迷った親爺は見境が無かった。
680名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 17:52:24 ID:g5ZmZYhj

娘を持つ父親の気持ちというのは複雑なのです(違

まさかスピリットを出さない事がこんなにも精神的にキツいとは思いませんでした。
親爺を書くのは意外と苦痛では無かったです。喜んでいいのか悪いのか。
ともあれムサクルしいネタで数スレを消費した事にお詫び申し上げます。

などと無駄に改行しつつ埋め促進。
681名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 21:31:08 ID:6MZeK7Yi
>>680
埋め促進&投稿、乙でありました ∠(@O@)

親爺できましたか……。
茶目っ気で宣戦布告したり酒の勢いで龍退治するのはどうかと……面白いがw
責任逃れカコ(・A・)イクナイゾ
682名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 22:35:38 ID:6PfKDVF6
>>672-680
GJ! 親爺ワロタ
683名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 22:54:38 ID:5yuA5EX5
陛下の度量に感服つかまつりまつた!w
684名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 23:15:10 ID:tSq2T14c
誰だだれだ誰だっ!せっかく可愛い赤トリオとセリアで飾ってたスレの最後を
親爺臭くした香具師はっ!!しかもあれだけ見事な悪役だった国王が妙に家庭的になってるしっ!!

...という訳で(何が)笑かしていただきました。乙です。
685名無しさん@初回限定:2005/04/10(日) 23:38:12 ID:xjkq1bdx
一筆啓上 悠人用心 娘泣かすな 親の心子知らず 

王様も人の親だぜw 
686名無しさん@初回限定
次スレ

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド12
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