永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 7

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1名無しさん@初回限定
アセリア本編の設定が根底から覆るのを踵の先で支えつつ、
自由気儘に補完されていく第二ファンタズマゴリアの妖精達。
或る者は真面目に戦い、又或る者はただ酔っ払う。
或る者は腹黒く企て、又或る者は天井裏に潜んでプライバシーを蹂躙する。
その持てる特性をフルに使い、彼女達は遂に闘技場で集い合う。
真の戦いの果て、悠人は一体誰の手に堕ちるのか。
光陰はどうなってしまうのか。
そして巨乳ナンバーワンの栄光を掴むのは果たして?

スレの内容を正確に伝えたような伝えていないようなここは
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド。

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 6
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1094625285/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/

外部板:SS保管庫@アセリアネタ総合 (10月一杯まで)
http://jbbs.shitaraba.com/game/13463/
外部板:雑魚スピスレ画像補完庫(画像掲示板)
http://etranger.s66.xrea.com/

過去スレ、関連スレは>>2以降に
2名無しさん@初回限定:04/10/31 08:27:48 ID:MaGhhtcl
過去スレ
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 5
http://etranger.s66.xrea.com/past/past5.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1091602820/
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 3
http://etranger.s66.xrea.com/past/past3.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 2
http://etranger.s66.xrea.com/past/past2.htm
永遠のアセリア・雑魚スピ分補充スレッド
http://etranger.s66.xrea.com/past/past1.htm

関連スレ
エロゲー板:Xuse(ザウス)総合29
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1096094972/
エロゲ作品別板:永遠のアセリア 第二章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1097371492/
ギャルゲー板:永遠のアセリア-The Spirit of EternitySword-(仮
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1092327160/
3名無しさん@初回限定:04/10/31 08:28:27 ID:3zXidpOu
     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl|  <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
4名無しさん@初回限定:04/10/31 08:28:36 ID:MaGhhtcl
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                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなクールな女には      / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ

5時深乱舞テンプレ:04/10/31 08:30:46 ID:MaGhhtcl
   " タイムアクセラレイト
     ´∴     #   __        ゜ヾ´      ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((      )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
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  "       ,゛"=―≡―=',/  ノ )∵`=≡―=
            ″( ゚ヮ゚∴/´/ / |  | , ゚ヮ゚ノ'ゞ    ∵゛、 ゜  ¨
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  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
6名無しさん@初回限定:04/10/31 08:35:25 ID:MaGhhtcl
即死回避点呼、今回は何スレ目から第二ファンタズマゴリアに降り立ったのか!

初代スレから入り浸るヘリオン好きヽ(`Д´)ノ<1>
7名無しさん@初回限定:04/10/31 08:43:03 ID:D5poGEnL
第4スレから入りました超少数派佳織スキーですっ!!ヽ(`Д´)ノ<2>
8名無しさん@初回限定:04/10/31 08:45:11 ID:2t4KH5xe
同じく初代スレのほぼ最初からから居続けてるヒミカスキーヽ(´ー`)ノ<3>

…実は初代スレの804、未だに完成見込み立たず_| ̄|○
9名無しさん@初回限定:04/10/31 08:46:02 ID:2t4KH5xe
…「同じく」は削除してけれ…_| ̄|○
10名無しさん@初回限定:04/10/31 09:22:05 ID:064QaCh0
2スレ目から見てるヘリオン好きヽ(`Д´)ノ<4>

でも、このスレに書き込むの2回目(´・ω・`)
11名無しさん@初回限定:04/10/31 09:24:48 ID:VWFQQobD
2スレの目中盤から存在しこっそり絵も描いてたりするてるセリアスキーヽ(・∀・)ノ<5>
12名無しさん@初回限定:04/10/31 09:29:53 ID:vqapPhjK
調べてみたら初代76だったファーレーン好きヽ(´ー`)ノ<6>
13名無しさん@初回限定:04/10/31 09:30:44 ID:FVwP5Kh7
4スレから見ている・・・駄目だ一番決めらんねー!<7>
14名無しさん@初回限定:04/10/31 09:31:10 ID:HZj64/oR
初代スレの頃は、ネリシアニムヘリ 傾向だったのに
最近は、ヒミナナファーハリ のお姉様系に・・・<4>

俺の中の光陰魂は消えてしまったのか
15名無しさん@初回限定:04/10/31 09:33:17 ID:HZj64/oR
…お前ら、朝から…ダメダメじゃん・・・俺・・_| ̄|○
>>14→<8>な
16名無しさん@初回限定:04/10/31 09:47:45 ID:GYxiDB9w
初代から……?
違うな濡れは此処が出来る前(SS投稿スレッド6)から居ました。
つーことだから−2スレだろうか…?<-2>
17名無しさん@初回限定:04/10/31 09:47:59 ID:GRITSw4n
徹夜しててもねりーくーる!<9>
エキスパンション、ラストの敵にねりーおbsnハリオンでぎりぎり耐えれるぞ!
キュアーで健気に耐えてユート様を待つんだ!
18名無しさん@初回限定:04/10/31 10:05:07 ID:iG1EjZXs
同じく眠気に耐えつつニムス好き<10>
19名無しさん@初回限定:04/10/31 10:05:53 ID:iG1EjZXs
スが多いOTL
20名無しさん@初回限定:04/10/31 10:14:20 ID:pYZRYB8X
初代の100辺りからいますよ〜エスとファーが好き<12>

このスレとSS投稿スレがなければ、どうせ積むからなぁ……と、買うのをためらって
いたアセリアを買うこともなかったであろう。
それ以来半年あまり、ファンタズマゴリアからの出口が見つかんね〜
21名無しさん@初回限定:04/10/31 10:15:50 ID:pYZRYB8X
おっと>16含めて<12>ね。
22名無しさん@初回限定:04/10/31 10:17:37 ID:1oD1tg15
そりゃーもう、初代スレから暗や(ry <13>
23名無しさん@初回限定:04/10/31 11:08:51 ID:CeXEOrMy
初代スレから……というよりSSスレからかなぁ。
最近ヒミカ分が増えて大変嬉しい、ヒミカ好き(・Θ・)ノ<14>
24名無しさん@初回限定:04/10/31 11:13:07 ID:dAI5II4y
初代スレからのイオ好きだ!<15>
25名無しさん@初回限定:04/10/31 11:48:02 ID:yM6z78e8
初代スレからだ。セリアマンセー!<16>
26名無しさん@初回限定:04/10/31 12:02:11 ID:TJ1etrX5
                      26ゲットズサー!
                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄
            ―――――――――   
    ;; `);; ヽ      ー ‐‐ ―‐ ―――   '´ ⌒ヽ
      );;  ⌒)‐‐ ―‐ ズザー―――  ! ソノノ~))) 
    ;)   ;;)  ;;;`ヽ⌒`)⌒ . _ __ _(ヽ,ヘくλ(リ゚ ー゚ノiゝ 
     ;) )´⌒;;)´⌒;;)⌒;);; )_ ___ ⊂〈ニ(_(つTノつ
27名無しさん@初回限定:04/10/31 14:24:16 ID:3Z3AZllY
見始めたのは前スレの序盤から
カキコは今回が初めてだ〜
ヘリオンたんハァハァ
現在は、新たな神剣を妄想してSSを書く準備をしてます

書き込みついでに27ゲットー&ヘリオンとお菓子を食べに行ってきます
28へっぽこn(ry:04/10/31 15:24:03 ID:VWFQQobD
夢でなんとなく「今日は良作ゲーに出会えそうな気がする」と思ってたら


アセリアエクスパンション入手キター!
29名無しさん@初回限定:04/10/31 16:33:43 ID:emmm+wGA
>>28
とりあえず、おめ。雑魚スピに萌えるだけでなく、戦闘も燃えてください。

見始めたのは、3スレ目、『失望』の道行第5幕から
点呼は <20> ?
もうそろそろ即死回避大丈夫かな。
30名無しさん@初回限定:04/10/31 17:13:49 ID:ssf9p0i7
見始めたの2スレ中盤からのネリシアスキー
小ネタしか書き込んでいないので<21>
31名無しさん@初回限定:04/10/31 17:57:06 ID:TUX1HlUK
初代スレからのハリオンゲッターだぜ!!<<22>>
32天才さまのアヤマチ1/5:04/10/31 18:18:44 ID:wYY3ZUx0
「ユート、悪いがちょっと部屋に来てくれ。少し人手が要るんだ」
 廊下で出くわした途端に、少しも悪いと思っていない顔で大天才さまから呼び出しを喰らった。
 人手が必要なら他のみんなが居る時にすればいいだろうに、
今日に限って自由に動けるのは俺一人だけ。何とも間が悪いと思い、大げさに溜め息をつく。
それをあからさまに無視して先を行くヨーティアに導かれ、久々に研究室へと足を運ぶこととなった。

「うわ、いつもに増して酷いなこりゃあ」
 普段から書物やら実験器具やらでとっ散らかっている部屋だったけれど、しばらく見ないうちにその混沌振りに
拍車がかかっている。下手したら、夜食の食いかすや酒の飲み残しまで残っているんじゃないか。
「五月蝿い、いくらなんでも其処まで汚くするはずが無いだろ。本まで汚れちまうじゃないか」
「それで、この惨状を俺に見せてどうしようって言うんだ」
 待った、そんな察しが悪いと蔑むような目線をくれるな。部屋に入ってすぐに、エプロンに三角巾、
はたきに箒、ちりとりまで完全武装したイオが待ち構えていたことから何をやらされるのかは一目瞭然だ。
「申し訳ありません、ユート様。このようになってしまってはもはや私一人では手におえないのです」
 差し出されたゴミ袋を受け取り、神妙に頷く。さすがにこの混沌の海へとイオ一人を送り出すわけにも行かない。
「全く、どこに何があるかが分かってるんだからまだ大丈夫だって言ったのに」
「お言葉ですが、ヨーティア様がご自分で書物や器具をお探しになった事は久しくありません。
『ソコにあるアレ』で出てくるのは私が場所を覚えているからです。この状態ではもうそれもままなりませんので、
今日という今日は徹底的に整理整頓させていただきます」
 涼しげに、かつ有無を言わせぬ迫力を以ってはたきを握り締めるイオ。その静かな迫力に圧されては、
いかなヨーティアといえど頬を引きつらせて、
「ま、程ほどにしといてくれ」
と呟き、外へと避難するしかなくなったのだ。
 ……手伝うなんて選択肢を彼女に期待するのは間違いだろうな、きっと。
33天才さまのアヤマチ2/5:04/10/31 18:19:54 ID:wYY3ZUx0
 必要な物はイオにしか分からないため、俺の作業は必然的に完全なゴミの掃除に留まるのだった。
先ほどのヨーティアの言い訳は何だったのか、本の下敷きになっている空瓶。器具の一部かと思うほど昔から
あるように見えた皿。ある程度は文字も理解できるようになってきた今でさえ意味不明な計算式らしいものが
びっしりと書き込まれている丸まった紙。イオが仕分けしている間に出て来たそれらを分別し、
それぞれ一まとめにして袋に詰める。それを片っ端から廊下へと運び出すのだが、どんどん袋が
廊下に溜まっていく。ひょっとしたら、四分の一位はゴミだったんじゃないだろうか。
 徐々に整理されていくに従って、部屋本来の形が明らかになるような心地がする。
重なりに重なった本を退かせばその下からさらに本が出るわ、器材が出るわ、木箱が出るわ。
本当に今日だけで終わるのかと思ったりもしたのだけれど、一度やる気になったイオの
作業スピードはとんでもなく、足の踏み場も無かった床が、跳び石状に歩けるようになり、
さらに片していくうちに入り口からの通路が出来て、寝室へと繋がる道が完成した。
蔵書量が半端でないため、結局床から書物がなくなる事は無いのだけれど、少なくとも貴重であろう本などを
踏んづけてしまう心配が無くなるのは良い事だ。
「何か、あっという間に終わったような気がするなぁ、ほとんどイオがやったようなもんだけど」
「いいえ、あの量の不要物を運ぶのは私では時間がかかりすぎてしまいますので本当に助かりました」
 まあ、そりゃ力仕事は俺のほうが向いてるからな。すぅ、と目を細めて微笑むイオから照れ隠しにそんなことを
考えながら目を逸らした。その拍子に、ふと掃除の最中に発掘された木箱が目に入る。外から見ても
結構丈夫そうなつくりになっていて、どうやら釘か何かで打ち付けられていた跡がある。あれはもしかして。
「どうかなされましたか?」
「うん、あの木箱なんだけどさ、俺の記憶が確かなら結構いいものが入ってたはずなんだ、
ヨーティアもいないことだしちょっと頂いて楽しもう」
34天才さまのアヤマチ3/5:04/10/31 18:20:48 ID:wYY3ZUx0
 あんな所に埋もれていたんじゃ、ヨーティアだって忘れてるだろう。手伝いもせずにどっかへ
行っちまったんだから、ちょっとくらい彼女の取り分がなくなってもバチは当たるまい。
水割りくらいにしておけば、イオだって楽しめるだろう。
「よろしいのですか、勝手にヨーティア様の物を……」
「まあ、ひょっとしたら中身が無いから無造作にほっぽってたのかもしれないし、そうならゴミ袋行きが増えるだけだろ。
中身があれば、そうだな、掃除のご褒美ってことにしちまっていいんじゃないか」
 言いながら持ち上げてみれば、中身があると確信できる重さがあった。
既に釘も外されているため、すぐに開ける事が出来るだろう。机のあいているスペースに乗せて、
イオと共に軽く覗き込みながら蓋になっている部分を外した。中から出てきたものは果たして。
 先ずは一本のガラス瓶。予想通りのものだと思ったのもつかの間、引っ張り出してみると
中身の液体は琥珀の色ではなく、怪しげな桃色、さらに奥にあるものは。
「……こ、これは……!?」
 口を開いて硬直してしまった状態から抜け出せないうちに、廊下からどたどたと足音が聞こえ、
ばたんっ!と扉が開く。
「イオ、ボンクラ!本の下の器材の下敷きの木箱は掃除しなくていいぞ!ああそうだ、
そこに何があるかは分かっていたんだ、ただ、注意しておくのを忘れていただけで…………」
『……』
「……あ」
 もしも。もしも木箱から出てきたのがこの瓶一本ならその効果を知るのはヨーティアのみの
怪しげな液体ということで済んだだろう。だけれども、恐らく怪しげな物を隠すには怪しげに散らかった物の中、
というコンセプトの元に仕込まれたこの秘密の木箱に封じられた物はそれだけではなかった。
35天才さまのアヤマチ4/5:04/10/31 18:22:02 ID:wYY3ZUx0
 どう名状した物か、その、アレ。男のモノを象った器具に、紐付きの球体、
さらには書き物には全く向いて無さそうな羽ペン状の物体などいわゆる「おとなのおもちゃ」の数々。
驚くべきことには、その大概に小型のエーテル動力装置が仕込まれているようだ。
 ……分かるさ。だって、掴んでしまった張り型が震えているんだ……
 正直、勘弁してくださいという他無いラインナップの中にこの液体。
まだ記憶に残る、あのとんでもない薬であることに間違いは無い。
「……これが、結構いいものですか……どのように楽しむのか聞かせていただきたいのですが」
「いや、違う!ほら、やっぱり俺の記憶なんて当てにならないから!」
 先ほどとは違った意味で細められた視線がチクチクと突き刺さる。
「く、くくく、そうか、見てしまったか……」
 ひやり、と背筋が凍る声色でヨーティアが死の宣告とも取れる音――後ろ手に鍵を閉めた――を響かせる。
いつの間にやら、イオまでがはたきを剣のように構えてこちらに相対している。
つられてこちらまで手にしている物を構えては最悪の事態だ。すぐに放り出したけれども、
偶然入ったスイッチの切り方もわからず、机の上で気まずい雰囲気を増加させる重い音が響き続ける。
「なに、帝国時代の若気の至りという奴だ。
使った事があるのはその薬だけだが……そういえば他のモノの使用実験をしていなかったな……」
 聞かれてもいないのにすらすらと説明がヨーティアの口からなされて行く。
本当かどうかなんて俺には分からない、ただ本当だと思っておいた方が良いという類の話であることには違いない。
 どちらにしても、これから俺の身に起こることが変わる訳ではなさそうだ。ひた、ひたとヨーティアが近寄り、
机の上の物体を手にとり、振動を止める。じりじりと追い詰められるように後ずさるしかない俺だが、
すっかりと自分が今まで何をしていたのかを忘れていた。足を運びやすい方向へと進んでくという事は、
それすなわち出来上がった通路を部屋の入り口とは反対方向へと、つまりは寝室方面へと
入り込んでいくことになってしまっている。それに気付いたのは、まだエーテル灯の点いていない
薄暗い部屋の中に足を踏み入れてからだった。
36天才さまのアヤマチ5/5:04/10/31 18:25:40 ID:wYY3ZUx0
「いい子だ。自分から実験に志願するなんてねぇ。……イオ、その木箱を」
「はい」
 うわ、そんな興味津々に目を輝かさなくても。
 さらに一歩、一歩と足は後ろに。その途端、予想しなかった物が俺の足を取った。
研究室はきれいさっぱり整理されている、けれども私室の中は未だ未整理。
「あ、れ?」
 ぼすん、と腰を落とした先にはいつぞやのベッド。明かりの灯っていない天井を見上げていた
視線を入り口に向ける。向こうの部屋から入ってきている光が、二人の姿をシルエットに見せている。
その僅かな光が閉じられた扉によって遮られた。慣れない暗闇の中で、影になっている片方から機械音が発される。
「ふ、ふふふふふふ……何も怖がることは無い。悪いようにはしやしないさ」
 かちかちと鳴る歯の音を他人事のように聞きながら、俺に出来るのはただ無様にズボンの尻を押さえるだけ。
 徐々に形をはっきりとさせる二人の影を呆然と眺めながら、頭の中では現実逃避のように、
みだりに女性の部屋を物色するのはイケナイことだという、今さらな後悔が湧いては消えていった……
37名無しさん@初回限定:04/10/31 18:39:17 ID:Oo7Xv0Yq
ヨーティアスキー並びにイオスキーの方スミマセン。
即死回避にはもう少し要るのでしょうか。

回線切れて書き込み確認……ID変わりそう。
38名無しさん@初回限定:04/10/31 19:13:06 ID:3MPr1Ulv
>>37
乙です〜
ヨーティアもいい感じのキャラなんだよなぁ…
私はどうも縁が無いけど(w
つい、
 エトランジェ 高嶺悠人
 今!!人生最大の危機に遭遇!!
 頑張れ!高嶺悠人!
 生きろよ!!
とか思い浮か…スレ違い∧||∧
39名無しさん@初回限定:04/10/31 19:30:07 ID:HD5rU0WI
仕事の都合でちょっと見ない間に新スレが!
1さん乙です〜
そんな訳でSALVAGEも滞ってますので信頼さん遠慮なくドゾ〜。

あ、3スレ中盤からの新参者です。態度はデカいですが。
40名無しさん@初回限定:04/10/31 19:55:42 ID:vqapPhjK
>>37 道行さん
スレ立て共々乙でした。
流石はホワイトスピリット、家事をそつなくこなすなぁ。
ていうかイオ、なんだかヨーティアのメイドみたいだ……と妄想がw
イオに着せるなら割烹着よりメイド服なんだろうけどエプロンは似合うまいとかorz

>>39 憂鬱さん
了解しました。
お仕事がんばってくださいね〜とハリオンさんが(ry
41名無しさん@初回限定:04/10/31 20:13:03 ID:tDm0Vu4m
忍者ナナルゥは漏れが貰った!<23>

もう点呼はいいかな?
42安息 W−1:04/10/31 20:21:11 ID:vqapPhjK

「…………甘いっ!」
一瞬の隙を突かれて懐深く潜り込まれてしまう。
まただ。そう思った瞬間には為す術もなく神剣を叩き落されていた。
どんなに鍛えても、スピリットの属性に伴うスピードの差はそうは埋まらない。
まして目の前で剣を収め、一息入れている大陸随一の剣士には敵う訳がなかった。
それでも有る程度は工夫したつもりだったんだけど、なぁ…………
痺れた腕をさすりながら、大きく溜息をついてしまう。
それを見ていたウルカが小さくくすっと笑った。
「そう落ち込む事も無いと思われます、ヒミカ殿。今の間合いの取り方は、なかなか思い切ったものでした。」
「褒めて貰えるのは嬉しいけどね……。でもやっぱり速さでは敵わないんだなぁ……。」
「それは仕方の無い事でしょう。けれど手前にはヒミカ殿の強さはそれとはまた別の処にある様に思いますが。」
「う〜ん。例えば神剣魔法との複合とか、そういう事?それならウルカだって……あ……。」
「左様。手前はこれまで剣の声が聞こえませなんだ故。ですが、そういう意味ではないのです。」
そう言ってウルカはこれ以上上手く説明出来ないという風に首を傾げる。
自分の事とはいえ、そんな感じで悩まれるとかえって戸惑ってしまう。
そんな強さが自分にあるとは思えなかったし、
それよりこれまで神剣本来の力を使わずにこの強さを発揮していたウルカの方がずっと凄いだろう。
「ところでいつもゴメンね、訓練に付き合ってもらって。ウルカだって大変なのに……」
「いえ……手前は囚われの身。むしろこうして剣を振るっている方が気が晴れます。それに……」
「……それに?」
「それに、約束ですから。『今度は逃げませぬ』。」
「…………ぷっ!」
「…………ふふっ。」
一瞬見つめあった後、二人は楽しそうに笑いあっていた。
43安息 W−2:04/10/31 20:22:52 ID:vqapPhjK

エトランジェ、永遠神剣第五位『因果』の光陰、第六位『空虚』の今日子。
彼らと遭遇した数日後、悠人達は一旦占領したスレギトを放棄して一時撤退を余儀なくされていた。
マロリガンの新技術、『マナ障壁』。
ヨーティア曰く元々は帝国の研究だったらしいのだが、つまりそれの攻略が上手く行かないのだ。
マナによって作られた強力な障壁はそれ自体が巨大な『壁』となって悠人達の前に立ちはだかっていた。
それをどうにかして越えるか壊すかしなければ首都であるマロリガンには辿り着けないのである。
ラキオス軍は最前線であるランサに釘付けになりながら、ヨーティアの策を待つ状態が続いていた。

そんなある日の事、ウルカが捕虜としてラキオス首都に送還されてきた。
哨戒中のオルファリルが砂漠の中で倒れているのを見つけ、悠人が保護を決めたそうだ。
よくレスティーナ皇女が許したとは思うが、待機中だったヒミカはすぐにウルカを訪ねていた。
最初はただ話がしたかっただけなのだが、うまが合うとでもいうのか、すぐに打ち解けた。
今ではこうして暇をみて剣の稽古をつけてもらっている程である。
聞けばウルカは『剣の声』を聞いた事がなかったという。
最近ある事がきっかけでその神剣『冥加』が目覚め、真に使いこなす事が出来るようになったというのだ。
それはつまり今までは自らの技量だけでスピリット同士の戦いを切り抜けてきたという事で、
それだけでもヒミカは彼我の力の差を思い知った気持ちだった。
しかしウルカはウルカで何故かヒミカを高く買っている様なのである。
ある日その疑問をぶつけてみた時、ウルカが何故か寂しそうにこう呟いたのが印象的だった。
「手前の部下にもヒミカ殿のような眸を持った者がいました……」
意外な答えに、いや答えにもなってない呟きにヒミカはそれ以上何も言えなかった。
44安息 W−3:04/10/31 20:26:47 ID:vqapPhjK

「…………はぁ。」
ひとしきり笑い合った後、ヒミカは別の事でまた溜息をついた。
「どうなされた、ヒミカ殿?」
「え……、ううん、なんでもない、さ、もう一合お願い、ウルカ。」
「…………承知。」
こういう時何も訊いて来ないのはとても嬉しい。そう思いながらヒミカは立ち上がった。
構えながら心の中でそっと苦笑する。
(あの時……足が竦んで何も出来なかった……)
そう、マロリガンのエトランジェ、キョーコとコウイン。
情報では伝えられていたが、実際に対峙してみるとその力は正に隔絶していた。
もともと神剣は自分より位の高いモノとの戦いではまず勝負にならない。
しかし『求め』を持つユートさまとですら、両者の力の差は歴然としていた。
特に『因果』のコウイン。彼は、上位神剣の支配すら跳ね除けて使いこなしていた。
最後に見せたあのオーラの放出。『因果』をそのまま振るわれていたら、どうなっていたかは明らかだ。
なぜか向こうが引いたので戦いにはならなかったが、もし戦闘になればスピリットの出る幕などなかっただろう。

(あれ以来ユートさまの元気がないのよね……なんて相談出来るわけ、ないか)
(でもマロリガンのエトランジェ……ユートさまは知っているようだった……)
(キョーコとコウイン……ユートさまとどういう関係なんだろう……)
(キョーコ……女の人……ユートさまとキョーコ……)
(やっぱりユートさまも人間の女の人の方がいいわよね……)
(ううんううんっ!ユートさまはそんな方じゃないっ!…………きっと)
(でももしかしたら……ハイペリアで積み重ねた)

「隙だらけですぞ!ヒミカ殿っ!」

げしっ!

いつの間にか自分の世界に逝ってテロップを組んでいたヒミカはあっさりと宙に舞っていた。
45安息 W−4:04/10/31 20:29:36 ID:vqapPhjK

一方その頃。
「ふぁ〜あ…………こほっ」
ハリオンは哨戒中のランサの砦で欠伸をしていた。とたん、熱い砂埃が口に入り咳き込んでしまう。
ここ数日、敵に目立った動きは無い。加えて目の前に広がる砂と空の単調な景色。
欠伸くらいは仕方が無いのかも知れない…………が。
「緊張感の欠片もありませんね、貴女は。」
容赦無いナナルゥの一言が突き刺さる。隣で彼女に見られていたのはまずかった。
ここは笑ってごまかす事にする。
「あらあら〜。なんだか埃っぽいところですねぇ〜」
「……砂漠ですから。うかつに欠伸などするものではないでしょう。」
「ははぁ〜。そうなんですか〜、気をつけます〜」
「…………はぁ」
ナナルゥは諦めたような溜息をつきながら砂漠に目を戻す。
一見なんでも無い会話。しかしそこには以前にはなかった『温かみ』があった。
ユートさまから受けた影響。そして先日の出来事。
それらは確実にナナルゥの中で何かを揺さぶっている。
ハリオンはいつものにこにことした笑顔で砂漠を見つめる彼女の横顔を見守っていた。
ふと、ナナルゥの顔に緊張の色が走る。
「…………敵影。」
つられて見た砂漠の丘の上。敵部隊の影が見えた。
「……いくわよ、ハリオン。」
言うや否や駆け出すナナルゥを追いかけながら、ハリオンは先程とは違う喜びを感じていた。
そう。いつもなら一人で飛び出すナナルゥに初めて誘われたという、その事に。
46安息 W−5:04/10/31 20:33:20 ID:vqapPhjK

マナ障壁の存在を脅威に感じたサーギオス帝国がマロリガンに宣戦布告をした事で、戦況は三つ巴の形になった。
形式上帝国とは中立の立場同士との事だったが、それでも接触すれば交戦しなければならない。
マロリガンだけでも手一杯の現状では、頭の痛い事態であることは間違いなかった。

そんな中、ラキオスに衝撃が走った。
哨戒中の悠人とアセリアが行方不明になったのだ。
ラキオスでは本国で待機中のスピリット達も刈り出されての一斉捜索が行われたが、依然二人の行方は判らない。
戦闘が膠着状態だったこともあり、レスティーナ皇女の指導の下大きな動揺は見られなかったが、
それでもスピリット隊に与えた波紋は大きかった。

毎夜第一詰め所や第二詰め所からは抜け出すスピリット達が居た。
もちろん軍律違反であったが、昼間の捜索だけではなく自主的に自分達で探そうという彼女達をレスティーナは黙認した。
これまでの戦いで、彼女達はちゃんと悠人を「隊長」と認めていたのだ。
レスティーナはそれが嬉しかった。
47安息 W−6:04/10/31 20:35:28 ID:vqapPhjK

そして二週間程たったある夜。
ナナルゥはリュケイレムの森の中にいた。
ガサガサと草木を掻き分けながら歩く。
自分でも何をしているのかよく判らないが、それでもじっとしているよりはましだった。
とりあえず、今の第二詰め所は落ち着かないのだ。
気の抜けた様な稽古でウルカに叩きのめされているヒミカ、しゅんとなって妙に大人しいネリーとシアー。
料理を皿ごとぶちまけるファーレーンとそれをフォローしようとして素っ転ぶニムントール。
ブツブツと何か呟きながら食事を口からぽろぽろ落としているヘリオン。
それを妙にイライラしているセリアが叱り飛ばす。
ハリオン……は相変わらずだが、食事時などは火の消えた様な有様だった。
落ち着かない。今までそんな事を感じたことは無かった。
しかし今はそれを感じ、あまつさえ何とかしようなどと考えている。
我ながらそんな自分が少し可笑しく思えるが、それでも悪い気分ではなかった。

で、その原因を何とかしたいとこうして森を捜索している。
「本当に……どこをほっつき歩いているのでしょう……」
呟きながら更に森の奥に進む。昼間、大体捜索し尽している辺りだ。
今更確認しても当然誰も居ない。ふいに針金みたいな髪を思い出し、腹が立った。
(やっと納得のいく薬草の調合が終わったっていうのに……もうっ!)
いつの間にか憤慨して拳を握り締めている自分に気付き、はっとする。
なんでこんなにイライラしているのだろう……肩を落として軽く溜息をつく。
諦めて戻ろうとしたナナルゥが振り返りかけた時、少し離れたところに突然光が発生した。
(…………!!)
普段なら危険を感じて警戒する筈の彼女は、無意識に走り出していた。光球に向かって。
48安息 W−7:04/10/31 20:38:32 ID:vqapPhjK

エスペリア達に伴われて森を出て行く悠人とアセリアを、ヒミカは黙って見送っていた。
ナナルゥと同じく夜も悠人を捜索していた彼女は、同じく異変に気付いて駆けつけたのだ。
ただヒミカが辿り着いた時には光は収まり、既に一行が詰め所に向かっている所だった。
悠人の姿を見たとたん駆け出そうとしたヒミカは、しかしなぜかそれ以上前に進めなかった。
同時に救出されたらしいアセリアを見る悠人のまなざし。
その眸に心配以外の何事かが宿っているのに気付いてしまったのである。

「ま、もともと叶うはずも無かったけどね…………」
自嘲する様に呟きながらそばの木にもたれると、自然に力が抜けた。同時に頬に感じる熱いもの。
油断したのだろうか、知らず涙がこぼれていた。あわてて腕で目を覆ったが、涙は止まらない。
「あ、あれ…………なんだろう、コレ…………はは、らしくない、じゃない…………」
エトランジェである悠人とスピリットである自分。釣り合わないとは判っていた。
それでも淡い期待感みたいなものを抱いていたのも確かだ。しかしそんな幻想も、さっきの光景で消し飛んでしまった。
自分と同じスピリットであるはずのアセリア。
そんな彼女が、いつの間にか悠人にあんな眸で見つめられるようになっていたのだ。
自分にも、そうなる可能性はあったのだろう。ではこの差はなんだったのか。考えるまでも無かった。
幻想を幻想としかとらずに何も行動を起こせなかった自分。アセリアは、きっとそれを成し遂げただけなのだろう。

「負けた、なぁ…………」
「そうですね〜。」
「またアンタは……気配殺して近づかないでよ…………」
いつの間にか側にいたハリオンに怒鳴る気力も今は無い。
それどころかヒミカはそっとハリオンにしがみつき、そのまま胸に顔を埋めた。
「あら〜?」
「ちょっと、いいからこのままで…………おねがい…………」
何も言わずにされるがままになってくれているハリオンが有難かった。
泣き声を懸命に堪えながら、ヒミカは悠人への想いを涙で必死に洗い流そうとしていた。
(大丈夫、明日になればきっと二人を応援できる…………だから今だけ…………)

ふと、既視感が走る。前にもこんな感じが……それは、いつのことだっただろう…………
49安息 Finite Intersection Property−2:04/10/31 20:43:25 ID:vqapPhjK

無数の金色のマナが空に還る。
その幻想的な光景の中、中央に眩く光る白いハイロゥ。
それはあまりにも美しくて。
だから、気付かなかった。
光の中に存在する影の様な黒い翼を。
あまりにも自然だったから。
輝きの収束と共に、消えていたから。
だから、気付かなかった。
当たり前のように消えた、黒い影に。

 ――――擦り切れた記憶。遠い、幻想的だった光景。
50安息 W−8:04/10/31 20:46:55 ID:vqapPhjK

数日後、ナナルゥは集合をかけられた訓練所で変わり果てたアセリアと対面していた。
第二詰め所の面々が悠人とアセリアを囲んでいる。
アセリアがウイングハイロゥを展開したとたん、スピリット達の間に動揺が走った。

「ナナルゥ、これって……」
横でヒミカが話し掛けて、絶句している。無理も無い。目の前で見ている私も信じられないのだから。
先日救出された時は気絶していたし、夜だった事もあってまるで気が付かなかった。
「………………」
無言でハイロゥを展開しているアセリア。無言は今に始まった事ではなかったが、そのハイロゥが。
あの純白だったアセリアのハイロゥが、完全に黒く染まってしまっている。
これではまるで以前のウルカだと彼女の方を見ると、やはり同様の事を考えていたのか難しい顔をしていた。
周りを見渡すと、やはり皆驚きを隠せないのか心配そうにアセリアを見ている。
「…………殺す…………マナを…………」
呪文のようなことを呟き出すアセリアを見ていると、完全に神剣に飲まれてしまっている事は明らかだ。
何があったか知らないが、これ以上戦闘に参加させるのは無理ではないだろうか?

 …………え?

自分で考えて驚いた。神剣に飲まれている状態はすなわち戦闘には最も適している状態、という事だ。
いままでそう思い、自分自身それに近い事を実践してきたではないか。
それなのに何故、アセリアを見て無理だなどと考えてしまったのか……判らない。……ユートさまはどう考えているのだろう…………
「そういう訳で、アセリアはこれからも部隊に入ってもらう。
 …………これはレスティーナと“相談”した結果だから、皆も協力してくれ。……たのむ。」
そう言ってユートさまが頭を下げている。
(あ………………)
気付いてしまった。彼が歯を食いしばっている事に。何かに耐えている事に。
いつか、カオリさまがウルカに攫われた時と同じ。あの時も、じっと一人で耐えていた。
その震える肩が痛々しくて。でも、手一つ差し伸べる事すら今でも自分には出来なくて……そんな自分が、悔しくて。
ナナルゥは、聞こえないようにそっと呟いていた。今初めて気付いた自分の「感情」の萌芽に戸惑いながら。
「……了解、しました。」
51安息 Diagonal Elements−1:04/10/31 20:50:32 ID:vqapPhjK

「よっ。これからこの『稲妻部隊』を任されることになった光陰だ、宜しくな。」

隊長就任の挨拶は、一瞬だった。私達スピリットを遥かに凌駕する力の持ち主、エトランジェ。
どんな恐ろしい人物なのだろうと想像して緊張していた私はそのあっけない挨拶に拍子抜けした。
大体自分を「エトランジェ」とも名乗っていない。変な人、というのが第一印象だった。

「私が稲妻部隊の副隊長を勤めさせて頂きます、グリーンスピリット・クォーリンです。
 エトランジェ・コウインさま。これから宜しくお願いします。」
「ああ、こんなちっこいのに参謀なのか。こっちこそ宜しくな、クォーリン。後、俺のことは光陰でいいぜ。」
「きゃっ!いきなり髪を撫ぜないで下さいっ!それと小さいのは関係ないですっ!」
「ああ、すまんすまん。小さい娘をみるとつい…………」
「…………?なにをきょろきょろとしているのですか?その……コウイン、さま?」
「いや…………なんでもない。ただの条件反射だ。じゃあ細かい所を説明してもらえるか?」
「??……はい。まず稲妻部隊はまだ編成中で…………」

辺りを見回した後一瞬見せた悲しそうな瞳。それが第二印象。
そして次第に打ち解けてきた頃、私はいつの間にか彼に何でも話すようになっていた。

「はははっ!それでクォーリンは尻尾巻いて逃げてきたって訳か?」
「笑うなんて酷いですよぅ、コウインさま。話せっていうからお話したのに……」
「悪い悪い……。しかし漆黒のウルカか。話には聞いていたが、なんつーか……不思議な奴だな。」
「はい……。剣の声を聞きもせずあの強さ。…………正直敵う気がしませんでした。」
「で、クォーリンはどうなんだ?今でも『自らの声』とやらは聞けないのか?」
「は、はい。……ウルカは「剣の声」ではなく「私の声」を聞けと言いました。でもよく判りません、今でも。」
「そうかな。俺にはなんとなく判るぜ、漆黒の翼が言いたい事。」
「え、えっ!そうなんですか?」
「ああ、その内クォーリンにも見えてくるさ、そうすればもっと強く「慣れる」かもな。」
「…………?」

そうして遠い目をする彼を見たとき私は初めて自覚した。彼を異性として見ていることに。
52安息 W−9:04/10/31 20:52:52 ID:vqapPhjK

「ハァァァァァァッ!!」

アセリアの一振りで、数人のスピリットが吹き飛ぶ。
砂塵と共に金色の粒が宙に舞うのをヒミカ達は唖然として見ていた。
あれだけ苦戦していたマロリガンの精鋭『稲妻部隊』。彼女達をアセリアはまるで子供扱いしている。
元々大陸でも三本の指に数えられる程の剣の使い手ではある。
『稲妻部隊』相手でもそれなりに戦えるのだが、それにしても「今の」アセリアは桁違いだった。
戦闘に特化されたスピリットがどれだけの力を発揮するか。
それをまざまざと見せ付けられているヒミカ達は、しかしそれに恐怖しか感じなかった。
禍々しく黒く光るハイロゥの翼。
何の感情も持たずに敵を斬り倒していくその姿にはあの帝国の『妖精部隊』しか被らなかった。

凄まじいアセリアの攻撃の後、『稲妻部隊』はあっけなく崩壊していた。
既に敵の姿は殆ど無く、一人部隊長らしきグリーンスピリットが歯噛みをしながらこちらを睨んでいる。
ゆらっとそちらに動き出したアセリアを見て、咄嗟にヒミカは飛び出していた。
「だめっ!アセリア、もう殺さなくても!」
「……!殺す……どけ……!」
聞こえないのか、『存在』を構えなおす。その暗い眸に圧倒されてヒミカは思わず後づさった。
そのまま押しのけようとするアセリアの『存在』をいつの間にか後ろにいたナナルゥがはじき落とす。
とたん、アセリアは糸が切れた人形の様にがくっと崩れ落ちた。
「もういいわ、アセリア。……貴女も、行きなさい。」
振り向いてそう言ったナナルゥを悔しそうに見つめていたグリーンスピリットは、やがて姿を消した。

倒れたまま気を失っているアセリアを囲みつつ、皆は暫く無言だった。
重苦しい雰囲気が辺りに漂う。やがてナナルゥが、ぽつりと呟いた。
「こんなのは……違う……」
以前の自分が考えていた、理想的なスピリットとしての戦闘状態。
いざ仲間がそうなった今それを否定しているナナルゥは、しかしもうそんな自分に不自然さを感じることはなかった。

スレギトは目前だった。
53安息 Diagonal Elements−2:04/10/31 20:59:32 ID:vqapPhjK

「そっか、スレギトは陥ちたか。」
「申し訳有りません!私が居ながら、むざむざと……」
「ああ、いいさ、クォーリンはよくやってるよ。むしろ悠人達の健闘を褒めるべきだろうな。」
「それなのですが……以前の報告とは敵戦力に若干の違いがあります。……黒き翼を確認しました。」
「黒き翼?ああ、ウルカのことだろ?帝国を追放されてどうしたかと思ってたら、あのネエちゃんラキオスにいたのか」
「え、いえ。『漆黒の翼』は確認していません……そうではなく『青き牙』が黒いハイロゥを、その……」
「は?なんだ、そりゃ?……クォーリンすまないな、そんなに疲れているとは思わなかったんだ。」
「ち、違いますよぅ!ですから確かにアセリアのハイロゥが……それで、その、凄い力で……」
「ああ判った判った。どっちにしても今は少し休んでくれ。またその内クォーリンの助けが俺達には必要だ。」
「も、もうっ!頭を撫ぜて誤魔化さないで下さいっっ!」
「ははっ!まあ、いずれ判るさ……どの道俺達は戦わないといけないからな……」
「あ…………はい、わかりました…………」

なぜかトボトボと部屋を後にするクォーリンを感じながらも、視線はずっとベッドの人物に向けられていた。
どんな犠牲を払ってでも守ると決めた存在。
「そうか悠人、いよいよ来たか……。やっぱり「俺達」は戦う運命ってやつなんだな……」
呟いてから、軽くかぶりを振って考えを否定する。……「運命」だって?はは、笑っちまう。
そんなもんは自分の手で切り開くもんだ。…………俺は戦ってみたかったんだ、悠人と。きっと、ずっと……な。

「マナを……『求め』…………殺す…………」
唸る今日子の手をそっと握る。安心したのか、表情が少し和らいだ。
さて、大将はどう出るかな……
物憂げに天井を眺める光陰は少しの間昔に想いを馳せて、やがて踏ん切りをつける様に静かに目を閉じた。
54安息 W あとがき:04/10/31 21:03:45 ID:vqapPhjK

テロップってなんだ……(汗
書き込んだ瞬間に気付くのなんて初めてです、お恥ずかしい。
「プロット」に脳内修正お願いしますorz

これで折り返しなのですが、やっとアンチテーゼ以外の登場人物が出てきた感じです。
なお、クォーリンに関しては年齢についての情報がないので
勝手に(都合よく?)やや幼な目に設定してます。

それとは別に設定資料集での話を土台にしているので捕捉を。
ウルカとクォーリンは過去に一度戦っています。
圧倒的な力差でウルカがクォーリンを破り、更にクォーリンはウルカに助けられてしまいます。
その際ウルカがクォーリンに告げた
『自分は剣の声が聞こえない、だから戦う理由が判らない、其方は聞こえるか、剣ではなく「自らの声」が』
という一言がずっとクォーリンの心の隅で引っかかっています。

それでは、誤字脱字ハリオンマジック等ご指摘があれば幸いです。
55名無しさん@初回限定:04/10/31 21:22:19 ID:3MPr1Ulv
>>54
乙です〜
 IV-6のションボリ描写がいい味出てますね。「観察者」ナナルゥ視点というのも功を奏しているかも?
それはそれとして、ヒミカさん…(w < IV-3
あ、いやいやそれでもなくて、ナナルゥのじわじわと移り行く様子が良く描けていて(・∀・)イイ!!
黒アセリアうまく使いましたねぇ…
 微妙に確度上がった部分もある気もしつつなお予断を許さない捜査続行中。メロンパン持って張り込みだ〜
56名無しさん@初回限定:04/10/31 22:09:51 ID:qYuHB3e0
>信頼の人さん
失恋大量発生中……一体何個の枕が濡れそぼったことでしょうか。
本当に、アセリアルートを進むことで
皆の心が浮き彫りになっていくのが感動ものです。
あと一本の軸が誰になるのか、楽しみにしています。
57名無しさん@初回限定:04/10/31 23:03:57 ID:pYZRYB8X
アセリアルートってこういうことだったんですね。ウマー(゚д゚) 
テロップはマジに受け取ってしまって、ヒミカが怨み節を骨髄に達するかの如く
フリップボードに刻みつける様が脳内展開w

ナナルゥの変わっていく様、ヒミカのヘこみ具合、ハリオンの……なんだ?
ま、とにかく、ヒミカとナナルゥの関係は早々に逆転しそうですねw でもナナルゥも
そのうち消沈し枕を濡らす日がくるのですか(;´д⊂
58名無しさん@初回限定:04/11/01 00:06:24 ID:Nmbmw3la
○補足 ×捕捉 searchしてどうする……今回ぐだぐだだ……orz

皆さん感想ありがとうございます。

>>55 寸劇さん
 何か感動的なきっかけでイキナリというのを出来るだけ避けたかったので
 じわじわという感想が嬉しいですw でも結局は引き金がある訳でして……
 黒アセリアwに関してはゲームで語られている所出来る限り削ったのですが
 もう少し補完しておいた方が判りやすかったかなと反省しています。

>>56 道行さん
 悠人に憧れるっていうのは年頃?のスピリット達にはなにかしらあると思うんですよ。
 女子高に男子が転入してきたみたいなノリでw
 で、全部うまくいく訳ないのですが、そんなものを書いてみました……『W』では一応。
 話の「軸」はほぼ出てきてます。「アンチ」も軸といえば軸なのですが、
 あまりメインテーマと関係ないのでさわり程度しか出てきません。

>>57 髪結いさん
 一瞬パニくってテロップのままでうまく繋がんないかと2分程葛藤しましたorz
 走馬灯のように頭の中にビジョンを浮かべるヒミカ……いやだめだろ、とか(汗
 ナナルゥはこれ以降は昇り調子か、と。今は恋愛事どころじゃなさそうですがw
 ハリオンの活躍は……(検索中)……『Y』で全開します。そこで3本収束します。
 
そっか、ミスディレクションって連載にすると推理モノみたいになるんだ……
59名無しさん@初回限定:04/11/01 01:22:15 ID:3mQeW0yS

ヘリオンタンハァハァ
   '´⌒ ヾ        , ^》ヘ⌒ヘ《ヾ  ユートサマ〜
  | ゙「_~~_i     。・゜・ノ リ 〈 !ノルリ〉)) ・゜・。
〜 ヾ(i´Д`ノ       ノノヾ(リ;´(フノリ((
  (》つY[]つ      ((   i!]つリ⊃ ソ
〜 く/_人ゝ       "  く/|_|〉 
   〈_ノヽ_〉          (ノ゙J
60名無しさん@初回限定:04/11/01 01:49:03 ID:YcCfdYWo
>>37道のおやびん
色々乙でした。マインド下がってませんか?作風こんなでしたっけw
「気まずい振動音」のとこで大笑いしちゃいました。
イオはなんのためらいもなくヨーティアに協力しちゃうんですか?
「ヨーティア様!せめてそっちの細い方に!!」とか援護してくれないかなあ。

>>54頼のあにき
やっぱり待っててくれたんですね。乙でした。
テロップはそれほどおかしくないと思いますよ。
頭の中で勝手に字幕が浮かんでくるヒミカさん、好きだらけだっ!!ハアハア
クォーリンがヘリオンとかぶるのは気のせいでつか?
続き楽しみにしてます。ルビがふれないのは辛いですよねー。

61寸劇の人:04/11/01 02:51:05 ID:DOuABP7D
>1
>外部板:SS保管庫@アセリアネタ総合 (10月一杯まで)

ということで、11月になってしまいましたね。(まだ消えてはいないようですが)

「SS保管」については動いている方がおられますのでお任せするとして、
取り急ぎ「避難所」の代替を用意してみました。
http://www.MiscSpirits.net/Aselia/refuge/
急ごしらえですので不備等あるかとは思いますが、適宜ご指摘下さい。
当面は暫定運用ということで。(汗
#この頃は葱板が飛ぶこともめったにないですが…
62『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:14:26 ID:NA/e4dZ+

キーンコーンカーンコーン―――

朝、小鳥の囀りと共に一日の始まりを告げる鐘の音。
まだ、その鐘の音が鳴り止まないうちにパタパタと慌てて通路を駆けてくる音が聞こえる。

通路を走る、真紅の髪をした小さな少女。

ずっと走って来たのか息も切れ切れになりながら通路を駆けていく。
と、急に足の裏から煙が出そうな急ブレーキを掛けて停止する。
彼女の目の前に佇むスライド式の扉。それを間髪いれずに引き開け、部屋に飛び込んだ。

「セーーーーフッ!!」

一瞬だけ静まり返る部屋の中、けれどすぐにざわめき始める。
互いに「おはよう」と朝の挨拶をしたり、他愛のない雑談で盛り上がったり……。
そんな中、少女はすれ違う人々に「おっはよー!」と挨拶しながら自分に割り当てられた席へと向かう。

部屋の中にいるのはいずれも自らのイメージカラーで染められた制服で身を包んだ、見た感じ年齢バラバラな少女達。
それぞれが等間隔に並べられたパイプ製の机やイスに座り、周りの少女たちと会話している。

―――キーンコーンカーンコーン……
やがて、鐘の音が鳴り止むと、少女たちも私語をやめ、前に向き直った。

63『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:14:52 ID:NA/e4dZ+
少女たちの前方、つまり部屋の前方には一際大きな机が置かれており、
その向こうの壁には大きな黒い板が取り付けられている。その黒板には今日の日付と、空欄と共に日直との文字。
しかし、―――この部屋には扉が前方と後方、二つあるのだが―――少女たちの視線は前方の扉の方に注がれている。

鐘の音が鳴り止んで数分後。
コツコツと通路を歩く靴音が聞こえてくる。
徐々に大きくなるそれは、やがて扉の前でピタリと止まった。
と、次の瞬間にはガラッと扉が開かれ、一人の男が入って来る。

男の歩みと共に少女たちの視線も動いてゆく。

針金のような髪質で、研ぎ澄まされた精悍な顔つき、紺色のブレザーの上には陣羽織。
腰には無骨な剣を下げ、左手には『日誌帳』、ミスマッチだが様にはなっている。
男はそのまま歩いていくと黒板の前に置かれた机の上に日誌帳を叩きつけた。
バンッ!という大きな音に少女たちが一斉に身を縮める。
男はそれを睥睨しながら、少女たち全てを見回した。

「……この国はすっかり駄目になってしまいました」

どこか疲れたような表情と共に男が重々しく口を開く。
教卓に両手を突きながら少女たちを見つめる男を困惑顔で見つめ返す少女達。
だが、そんな少女たちも男の次の一言で絶句することになる……。


「そこで、今日はちょっと皆さんに殺し合いをしてもらいたいと思います」


64『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:16:45 ID:NA/e4dZ+

「……って、なんでやねーーーーん!!!!」

ズゴーーーン!!!という感じに教卓が天板の方からバックドロップ気味に黒板にめり込んだ。
………決して黒板に書かれていた『B○法』を抹消しようとしたわけではない、著作権の問題なんて関係ない。

いきなりの奇態に愕く少女達の視線を感じながら、男は、両手はめりこんだ教卓の脚、
背中はエビ反り気味な半ブリッジ状態で荒い息をついている。
やがて、腹筋を駆使して上体を起こした時、男の顔は幽鬼のようであった……。

―――エトランジェ『求め』の悠人、いつでもどこでも損な役回りをする男である。

さて、事の発端はあの(以下略)であるが、誰がここまで計画したのかは定かではない。
チャイムの音といい、城の会議室を改造し、まんまハイペリアの学校の教室のようにしてしまったり、
某映画の再現しちゃってたり……ただ、城に勤める侍女の話では、早朝の事エトランジェがレスティーナ嬢の部屋から
今にも死にそうな顔をして出てきた、とのことだ。
というか、こんな権力を持っているのはこの国でただ一人だけなわけなのだが……。

「あ、あの……ユート様、これはどういうことなのでしょう?」

真っ先に声を挙げたのはやはり優等生度No,1のエスペリア嬢。
が、当のユートは片手を額に当てうつむき、さらにもう片方の手をひらひら……「俺に聞くな」ポーズ。
腰につけたきびだ……じゃなかった、『求め』の光も心持ち弱弱しい。


65『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:18:29 ID:NA/e4dZ+

「……その説明は私がさせていただきます。」

ガララッとスライド式ドア独特の音を立てて、迷彩服の兵士と共に教室に踏み込んできたのは―――

「「「「「え?」」」」」一同の困惑の声が被る。

「皆さん、おはよう御座います……」
ペコリとお辞儀するその少女は、ヨーティアの助手であり、訓練士No.1であるイオ・ホワイトであった。


「………と、かくかくしかじかな訳なのです」
それから数十分後、イオの説明が終わり、皆の疑問が解消され―――
「誰も分からないと思うわよ、それだと……」鋭いツッコミのセリア嬢。

仕方ないので解説することにしよう!
ようするに、エトランジェゾッコンLOVEな女王様が彼が悩んでいるのに心を痛め、
少しでも力になりたいと天下一武闘……じゃなかった、一度全員を戦わせてラキオスのNo,1を決めてしまおうと、
そうすれば彼の心の悩みは消えるだろうと画策したわけだ。決して面白そうだからと安易に決めたわけじゃないぞ!
ちなみにNo,1になったものはビリの者を一日好きにできるという特典があるぞ!

「ねぇ、セリア……何で虚空を睨みつけてるの?」
「なんでもないわよ!」
………終始、ご機嫌ななめなセリア嬢なのでした。……生理?
66『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:23:12 ID:NA/e4dZ+
「……詳しい説明をする前にこれをまずはつけてもらいましょう」
そういってイオがちょっと暇そうにしてる兵士に持ってこさせたのは鈍い光沢を放つ首輪。
それを少女達一人一人の机の上に置いていく、少女達に浮かぶのはまたもや困惑。
「あの……これは一体?」
「それは、今回の訓練を行う上で欠かせないものです」
やがて、黒板の前まで戻ってくるとそこに『求め』と共にいじけて座り込んでいる悠人の首に何のためらいもなく首輪を装着した。

「な!何!?」ガチャリと鍵のかかる音と共にピッタリとフィットする首輪。

「このように、万人の首に完璧にフィットするように作られています。」
ガチャガチャと首輪を外そうとしている悠人を尻目に説明を続けるイオ。
「それに加え、装着者の脈拍、呼吸、体温……つまりは意識の有無が確認できます。」
「そして……」スッと音もなく、いまだもがいている悠人の後ろに立つとゆっくりと神剣を振り上げる。

ズドコーン!!!!

地響きすら起きそうな衝撃と共に悠人が地面に沈んだ。
唖然とした少女達が見守る中、イオは何事もなかったかのように服の裾についた埃を払い落とし、咳払いを一回。
その横で、金色の粒子になって悠人が消えていく……って何!?
「え!?あのユート様!?」「パパ!?」「ユート!?」
一斉に少女達が立ち上がり、駆け寄ろうとする。が、それを片手で制するイオ。
「ご心配には及びません、これも首輪についたエーテルジャンプ機能です。」
そういうイオの横で最後の金色の一粒が空中で弾けて消えた。

――――出席番号1 エトランジェ『求め』の悠人 死亡
67『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:24:10 ID:NA/e4dZ+
それを横目で確認しながらイオがまた説明を続ける。
「このように、意識を失うなどした場合には自動的に転送される仕組みになっています」
もとは負傷者などの戦線離脱用にヨーティアが開発中だったものを試作ということで利用しているのだった。
「それで……あの、ユート様はどこに?」
「ご心配なく、今頃は医務室で手当てを受けていられる頃だと思います」
教室中に一瞬、安堵の息が満ちたような気配がした。

「で、ようするに私達は何をするの?」
じれったくなってきたのか少し苛立ち気味に声を出すセリア。
朝早く集合命令が掛かり、ここに集められてから長い間待たされている。
「まあまあ……そうカッカしないで落ち着きなさいよ。」
ちょうど後ろの席から声を掛けるのは纏め役のヒミカ嬢。
……もっともカッカしないと言っているわりには自分も先程から貧乏ゆすりしていたが。

真っ直ぐに自分を見つめる視線に少し溜息をつきながらイオは答える。
「そうですね……簡単に言えばこれは訓練だと思ってくれて構いません」
「で、実際には何をするわけ?」やっぱり苛々しているセリア嬢。
「スピリット隊内での模擬戦闘と言ったところでしょうか、それに伴い隊内での
 簡単な戦闘能力の測定も行います。これからの戦闘の参考にもなるとのことですから」
「そう……訓練なら仕方ないわね。ようするにさっきの首輪をつけて戦い合って気絶、
 もしくは戦闘不能になったものから脱落。最後に生き残ったものがNo.1ってこと?」
「簡単に言えばそうですね。後は、場所に関してですが―――」

イオの横に迷彩服を来た兵士達が立ち、手に持った地図を少女達に向けるように大きく広げた。
ラキオスを含めた北方五国を網羅した詳細な地図、それの一点を神剣で指しながらイオが続ける。

68『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:25:24 ID:NA/e4dZ+
「城内、また城下町などは安全性や広さの面で少し不安がある為、場所としては不向きです。
 ということで、北のリクディウスの森か南のリュケイレムの森ということになりますが……」
「今は戦争中、マロリガンがいつ攻めてくるとも限らない……。」続けたのはファーレーン。
「その通りです。ですので何かあってもすぐ対応できるようにより敵地に近い、
 南に広がるリュケイレムの森で行うこととします。」地図を折り畳み、兵士達が後ろに下がる。

と、また新たな兵士が何か大量の袋を持って教室に入り込んできた。

袋は金属音やら打撃音を響かせながら前方の扉の近くに次々と積み上げられていく。
あっという間にそれなりの山になった。

「それと、訓練は最後の一人になるまで続けられます。」
今までなんとなしに楽観視していた少女達の顔に緊張が浮かんだ。
「一人って……そ、それじゃあ、いつまでかかるか分からないってことですか!?」
「そういうことになりますね。一日で終わるかも知れないし一週間掛かるかもしれません。」
少し怯え気味なヘリオンに妖艶な微笑を返すイオ、かなり怖い。
途端にざわめき始めた教室を一瞥し、イオが言葉を続ける。
「勿論、その間の食料などは自給自足ですが……さすがにもしもの事があっても
 まずいとのことですので、こちらからある程度のものは支給します。」
そういって扉の前につまれた袋の山を指す。
「教室を出る際に一人、一個お渡しします。中には当面の食料と……武器が入っています。」
「武器……ですか?」気だるげな表情で疑問を口にするナナルゥ。
「ええ、といっても神剣があるスピリット達には無用のものですが……そうですね、戦略性の武器とだけ言っておきます。
 後は配られた後で確認してください。一人一人中身は違いますので。」
と、ここで兵士の一人が一枚の羊皮紙をイオへと手渡した。
69『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:26:07 ID:NA/e4dZ+
「………それでは、そろそろ開始時間ですね。名前を呼ばれた方から出口前で、
 袋を受け取りリュケイレムの森に向かってください。ちなみに出口で待ち伏せも有りですが危険……ですよ。」
羊皮紙に眼を通しながらすらすらと言葉を続けるイオ。
「それと……先程言った生き残った者はビリの者を一日好きに出来る、ですが。
 一応ユート様も今回の参加メンバーに入っていた為、今回生き残った人は一日ユート様を好きにしていいということになりますね」
一瞬にして、教室中の空気が張り詰めた。

「「「「「「あは……あははははは」」」」」」

様々な思惑が飛び交いあい、教室内に魔界を作り出すほど濃厚な塊となっている。
そんな中で一人別のことを思っている少女がいる……「面倒臭い」と。
「では、そろそろ開始することにしましょう。」
羊皮紙から眼をあげたイオがちょっと危ない雰囲気になりつつある教室を見渡した。

「『失望』のヘリオン」

「は、はい!〜〜〜ッ!」慌てて立ち上がったせいか脛を思いっきり机にぶちつけるヘリオン。
少し涙目で脛を擦りながら首輪を嵌め、前へと出てくる。そのままイオに促され出口前へ。
ビクビクしながら強面の兵士からバックを受け取ると扉へと手を掛けた。
が、急に振り返るとじっとこちらを見ていた仲間たちに向かって―――

「あ……あの、負けないんですから!!」

叫ぶと同時に走り出していくヘリオン。
唖然とした少女達だったが少しずつ笑いが広がった。彼女もちょっと積極的になったかもしれない。

70『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:30:33 ID:NA/e4dZ+
「『静寂』のネリー」

寝ぼけ眼で前へと出てくるネリー。ふらふらとして危なっかしいが机はちゃんと避けている。
シアーの心細そう視線に気付いているのかいないのか、そのまま扉の前で荷物を貰うとさっさと外に出て行ってしまった。
その間、一言も喋らなかったネリー……ようやく神剣と対になったか?

「『孤独』のシアー」

ビクッ!!!と思いっきり身体を飛び上がらせるシアー。
その後、おどおどと天敵に怯える動物のように机の隙間を縫って前へと出てくる。
「うう〜……怖いよぉ」兵士から荷物を受け取ると怯えながら扉の外へと出て行く。
と、シアーの姿が扉の向こうに消えた瞬間「キャッ!!」と可愛い悲鳴が聞こえた。
騒然とする教室内、「待ち伏せ?」「敵襲……」など飛び交うが悲鳴の後、廊下を駆け抜ける音を最後に音は聞こえなくなった。

「『消沈』のナナルゥ」

「はい……」イマイチ抑揚のない声で返事。まあ、ある程度は仕方がない。
そのまま音もなく歩み出ると扉の前で荷物を受け取り、扉に手を―――掛けずにいきなり真上に飛び上がった。
愕く視線を気にせず少し突き出た照明に両手を掛け、振り子の要領で身体を揺らすと足の裏で僅かにずれていた天板を蹴り上げ、
空いた隙間へと身体を滑り込ませた。その後ゴソゴソと暗闇の中から音がするとスッと天板が元の位置に戻される。
この間、僅かに3秒。さすがは天井裏の散歩者か……。
71『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:32:22 ID:NA/e4dZ+
「『月光』のファーレーン」

ゆっくりと立ち上がるとそのまま無言で歩み出てくる。
プロテクターに隠された顔からは表情は読み取れないが口元は微かに結ばれている。
山積みにされた袋から一つ選び出し、肩に担ぐと少しだけ仲間達の方へと振り返った。
キラリとプロテクターに隠された瞳が僅かに輝き……まるでそれは宣戦布告のように。
そのまま扉をひき開けると戦場へと向い、飛び出していった。

「『熱病』のセリア」

一度、戦ってみたかった。赤い短髪の華麗な少女を見つめる。
他人を拒絶していた為、手合わせしたこともなく果たして自分と彼女の力の差はどれほどのものなのかと。
……刃を交わせればこの胸の奥に燻ぶる気持ちの正体に気付けるかもしれない。
袋を手に、教室を出て行く前にやや熱っぽい視線でヒミカを見つめるセリア嬢であった。

「『大樹』のハリオン」

「は〜い」にこにこ笑顔でグラマラスな肢体を揺らしながら進むハリオン。
第二詰め所スピリットの中でもっとも謎の多い女性、通称魔女。
彼女の周りでは何が起こっても不思議ではない、まさにハリオン空間。
現に今も袋を持って出て行こうとする彼女の手には何故か二つの袋。
果たして、今回はどんなハリオンマジックが炸裂するのか!

72『The Spirit BR』 chapter.3:04/11/01 12:33:02 ID:NA/e4dZ+
この後も次々と少女達の名前がそれぞれ呼ばれ、袋を貰い、戦場へと去っていく。
やがて、兵士も退出し、誰もいなくなった教室でイオが一人呟いた。

        ―――「バトルロワイヤル……スタート」―――



                                     Chapter.3 End
73風変わり:04/11/01 12:33:53 ID:NA/e4dZ+
はい、こんにちは。ちょっと死に掛けの風変わりです……。
10月中に完成させるはずが全く、これっぽっちも完成していません。
……ごめんなさい、無駄に容量頂きます。

ようやく、始まり……予想外の長さになってしまっております。
本当は今回で終結させる予定だったのに書けば書くほど長くなってしまって……orz
さてさて、開始場所はリュケイレムの森、いよいよ殺し合い……というか気絶のさせ合いが始まるのです。
次回からはほぼ、森内部での戦いがメインになると思います。
少女達同士の駆け引きやら色々なっちゃったり……
ナナルゥがあんなことしちゃったり、ハリオンマジックが炸裂しちゃったり、
相変わらずヘリオンはいじられ役だったり、セリアが無駄に優遇されちゃってたり……
自分でもよく分からない展開になりそうです、設定資料集は完備してくださいorz

それでは、まだちょっと続きそうなのでもうしばらくお付き合いのほどお願いします。
74名無しさん@初回限定:04/11/01 12:52:37 ID:J1xYPQ++
仕事の邪魔してくれちゃって...お茶目な風やんめw

悠人!死んでる、死んでるよ、絶対!
セリア!百合か?百合なのか!?
お〜い、ヘリオン、早くもハリオンに袋取られてないか?

...様々な妄想とともに期待するのであった。
75名無しさん@初回限定:04/11/01 20:23:24 ID:ZvcJzHHD
>>73 風変わりさん

悠人、出席番号1だったのか……とゆうかいきなり脱落してるしw
ハリオンとかエスペリアはいきなり自分で気絶して悠人を看病しちゃいそう。
セリアが妙にツンツンしてるのはいつデレに変化するのでしょうか?
天井裏に隠れてしまったナナルゥはいつ外に出るのか?
袋の中身も気になる……まさかブーメラン?!
などなど興味は尽きません。どんどん長くしちゃって下さいw

>>60 憂鬱さん

そう言っていただけると救われます>テロップ
クォーリンの設定ですが、どうしても「年少組」なんですよ、自分の中で。
子供なのに状況で大人と同等の事をしなければならず、背伸びしている感じでw
あとルビもですがたまに小声を小さいフォントで書きたくなります。
でも贅沢言ったらきりないですね(汗 限られた条件でどれだけ表現出来るかがある意味勝負ですし。
76名無しさん@初回限定:04/11/01 20:35:50 ID:7L2aJy0i
男は1番、女は50番ぐらいからはじまるのが出席番号のセオリーです。
50番なら男オンリーとかでも対応できますからね(経験者談)

策士(腹黒)タイプの人たちの動向が気になります・・
77名無しさん@初回限定:04/11/01 22:22:32 ID:yeBmmSD7
ヘリオンタソwith首輪……素晴らしい、犬ちっくスピリット。


それはそうと、バトロワやるのでしたら、
やっぱ最後はこれで締めて欲しいな→         【残り12人】
78名無しさん@初回限定:04/11/01 22:35:31 ID:gfAwq8QN
わざわざ迷彩服に着替えさせられる一般兵士萌え。
袋の中の予備武器……ナナルゥは、よもやシュリケンなのでしょうか?w
風変わりさんの書く、弄られヘリオンの不幸っぷりは毎度楽しみです。
79名無しさん@初回限定:04/11/01 23:41:12 ID:LT5HfR3r
ところで……

>ちなみにNo,1になったものはビリの者を一日好きにできるという特典があるぞ!

いきなりビリはユートに決定したわけだが、これはスピリット達を煽るためのイオの作戦か?
エトランジェゾッコンラヴの女王の発案とはとても思えないけど。
80名無しさん@初回限定:04/11/02 00:07:13 ID:CyIKNyzg
ユートよ死んでしまうとはな(ry  一般兵士さん乙〜、忍びのナナルゥ、なんかサンデーキャラに近づいてきた。ブービー
トラップとか仕掛けそうw
セリア優遇上等っ!搦め手なお姉様連の手練手管に期待!ファーレーン元祖腹黒の本領をみせてくれ。
支給食料って、材料のままだったりして……生きたエヒグゥ一匹(羽?)とか。年長組有利か?


関係ないけど 
アセリア
イオ
ウルカ
エスペリア
オルファリル
で、「あいうえお」なのは狙ってるのかなぁ。
81名無しさん@初回限定:04/11/02 00:28:46 ID:Mt061b7K
>ちなみにNo,1になったものはビリの者を一日好きにできるという特典があるぞ!

それって、デュエル・セイヴァーの「指導」なのでは?

向こう(作品別板)のスレでも、たまにアセリアの話題があがるし(キモウト繋がり?)
結構、重複している香具師がいるのか?
82名無しさん@初回限定:04/11/02 02:11:48 ID:A1HS4rZw
デュエルセイヴァーで思い出したが、ナナシルートだと主人公が『種馬救世主』と陰口叩かれてたな。
よくまあ悠人はあれだけ周りに好意を寄せてくれる美人がいて『種馬エトランジェ』にならなかったもんだ。

ところでイビルルートやった感じ、スピリットはどうも色事に溺れやすい印象があるんだが。
「求め」のせいではあるんだろうが、羞恥心少な目の年少組ほどHにハマっちゃってるし。
83名無しさん@初回限定:04/11/02 03:14:20 ID:iWycsmg+
乙かれ様〜。
って悠人即死かい!まぁ賞品だからしょうがないか。
ところでファーレーンは覆面版ではなくフェイスガード(か?)版ですな。
どっちが人気あるんだろうか・・・
自分はフェイスガード(?)派だけど。

>>78
多分ちくわと鉄アレイかと(ねぇよ)
84名無しさん@初回限定:04/11/02 07:04:39 ID:L72CRHgJ
>>80
アイウエオは狙ってたらしい。
でも白スピがなくなった(というか特殊扱い)ので
イオはヒロインではなくなったらしい。
雑誌インタビューかなんかで見た気がする。
85名無しさん@初回限定:04/11/02 07:26:24 ID:/RC8iqUH
それじゃPS2版でイオルートを作るのが筋ってもんじゃ(無理言うな
86前スレ580:04/11/02 07:48:25 ID:TFWW/fFp
BRキテル―――――(・∀・)――――!!
 
ユートはやはり賞品ですかw
87名無しさん@初回限定:04/11/02 08:16:21 ID:GP7Drt/E
>>82
確かソーマが出てってからは(ラスクが居なくなってからは)、
ラキオスでもそれまで以上に戦闘に特化したスピを育成する方針になってしまったらしいから、
年少組であるほど倫理観とかの教育が疎かになってるとかのせいじゃないか?
88名無しさん@初回限定:04/11/02 08:17:13 ID:mQs9LDD9
>>85
イオルートは欲しいが、イオの過去はエス並みかそれ以上に酷い目にあつてるみたいだしな・・・
PS2版じゃ内容うすくなりかねないな・・・
EX2希望・・・無理か・・・
89名無しさん@初回限定:04/11/02 09:47:19 ID:Mcc9EvG5
ハリオン
ヒミカ
ファーレーン
ヘリオン
ボンクラ   は狙ってるのかなぁ。
90名無しさん@初回限定:04/11/02 10:53:56 ID:hqDxMEZU
>>73
お〜、ついに幕が上がりましたね〜。
うん、やはり風変わり氏と言えばセリアですな。
…『温もりの起源』は前振りだったのか。。。
ヒミカさんおいしそうだからそれはそれで…(w
ちょっと展開を妄想してみよう…

 一方その頃、ナナルゥは天井裏でお茶を飲んでいた。
 と、目の前に突然ヨフアルが現れる。
 とっさに身を翻し距離をとるナナルゥ。
 もちろんお茶を零したりはしない。
 それどころか波一つたてていない。
 (いつのまに……わたしとしたことが…)
 目の前にはニコニコと微笑を湛えて
 ヨフアルを差し出しているハリオンの姿があった。

…あれ?


>>58
まぁ楽しみ方のひとつということで… < 推理モノみたいに
91名無しさん@初回限定:04/11/02 14:50:40 ID:bv6JSJgD
皆さんに喜んでもらえたようで何よりです〜
ちょいと熱で浮かされながら書いたもので支離滅裂な部分があったりしたらすみませんでしたorz

>>74 ユン様
はっ、仕事の邪魔しちゃってすみません。
それより風やんですか………ちょっといいかも(*´Д`)
>>75 信さん
今回は出来るだけバトロワに忠実に再現したかったもので
袋は必須なアイテムだったわけですが……武器はちょっと危険なものばかりです
もっともそれをさらに危険にしてしまうのは使う本人達でしょうが〜
……どうしてもユートとヘリオンは不幸にしてしまうのでした
>>77
や、やられた……忠実に再現するつもりがそれを忘れてました
はい、もう一度BRを見て修行しなおしてきます〜
>>79
……そうですね、イオたんの作戦とみて間違いないです
イオたんは少女達が皆出払ったの確認して医務室の悠人たんの所に行き
あんなことやこんなことを……(*´Д`)
>>81
バレた!?バカナ、私の計算ではバレるはずはないのに……
実際には特に意識しないで書いたのですがDUELもプレイしていた為
色々と影響が出てきてしまったのでしょう……きっとそうです。
ただ私的にはDUELの妹はキモウトじゃなかったです……あのサイコの様な嫉妬振りは萌え(´Д`)
>>83
そういえばエクスパッションでは覆面になったのですよね……
でも、やっぱりフェイスガードの方が腹黒っぽさが出てるので私はこっち派です
>>90 寸劇様
セリアと私は一心同体!身も心もひとうわなにをすくぁswでfrgtyふじここlp;
温もりの起源のおかげでヒミカとセリアをくっつけようとする心がいる風変わりでした

Chapter.2から最早幾日……すっごい遅筆な私
こんなことではいけない!というわけで鉄槌を……時深おばあさんカモン!!
92名無しさん@初回限定:04/11/02 15:20:55 ID:is994KVH
リクエストにお答えして…
   " タイムアクセラレイト
     ´∴     #   __        ゜ヾ´      ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((      )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
             =―≡ ̄`:, | ,  | ( ̄=―≒‥,,
  "       ,゛"=―≡―=',/  ノ )∵`=≡―=
            ″( ゚ヮ゚∴/´/ / |  | , ゚ヮ゚ノ'ゞ    ∵゛、 ゜  ¨
  ヾ       =―≡ ̄`:゛/ / \|  |≡―=‥、,、   ヾ
      ,゛"=―≡―='(  |  (  |=―≡―∞=@   , 、∴
               /  |  |  |\ \  ´ ∴  ヾ             .
  ・            / / |  |   | ヽ/⌒〉
     .... .  ............ . .(_  「 _) (_〈_/....... .  .. .  .... . . .

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
9392:04/11/02 15:35:59 ID:is994KVH
ガッ!の方が希望だったらスマン

お詫びに小ネタを一つ…
淫牙の荒淫

…ハリセン喰らってきますorz
94名無しさん@初回限定:04/11/02 18:05:21 ID:TFWW/fFp
永遠神剣第三位<淫牙>
ロウエターナルに属する神剣。
複数の牙のような刀身を持ち、他の神剣を内部から喰らう。
とりわけ容姿が幼い神剣の持ち主を選ぶのだが、それが神剣の主の趣味であることはあまりしられていない。


正直スマンかったorz
95名無しさん@初回限定:04/11/02 20:07:23 ID:aE+VNkGG
淫牙「ょぅ女を……もっとょぅ女をよこせ…………」 _| ̄|○
96ア&セリア子供劇場 1:04/11/02 20:08:36 ID:aE+VNkGG

アセリアとセリアは幼馴染です。
二人は物心ついた頃、一緒にエルスサーオに転送されてきました。
以来、遊ぶのもご飯を食べるのも訓練を受けるのも寝るのもいつもいつも一緒。
同じ青スピリットだったこともあり、二人は絵に描いたような仲良しさん……とはいきませんでした。
生まれた時から何を考えているかよく判らないアセリアはともかく、
セリアは何をやっても敵わないアセリアを密かに敵対視していました。いけませんね。

そんなある日の事。
二人は揃ってお出かけする事になりました。
仲の悪い二人を心配したエスペリアお姉ちゃんにお使いを頼まれたのです。
二人で何かを成し遂げれば少しは友情が芽生えるかと考えたのですが、いささか浅はかなのは否めません。
その後のエスペリアもさすがにまだ幼かったのです。
セリアは本当はアセリアとなんか一緒に行きたくなかったのですが、
微笑みながら『献身』をこねくり回すお姉ちゃんには逆らえません。
そんな訳で二人はリュケイレムの森をてくてくと歩いていきます。

「……………………」
「……………………」
ずるずるずる

元々無口なアセリアと機嫌の悪いセリアは無言で並んで歩いています。
ああ、神剣を引きずってますね。まだ小さいので仕方がありませんが武器は大事にして欲しいものです。
あ、アセリアがセリアのやや前に出ちゃいました。
考えがあってやった訳ではないでしょうが、セリアのプライドを大きく刺激したようです。
セリアはちょっと頬を膨らませて歩く速度を上げました。
アセリアを追い抜いていきます。
このままでは置いて行かれると思ったのでしょうか、アセリアも黙って早歩きを始めました。
97ア&セリア子供劇場 2:04/11/02 20:11:12 ID:aE+VNkGG

「……………………」
「……………………」

激しく左右に動くつつましげなポニテと軽く風に流れるセミストレートヘアの小さな女の子。
ぷりぷり動く二つのかわいいお尻とかはそっちの趣味の方にはたまらない光景です。
そんなことはどうでもいいのですが、セリアはそろそろ疲れてきました。
ちょっと横をみるとアセリアは息一つ乱さずセリアについてきています。
むっとしたセリアはまだ小さいハイロゥをそっと展開しました。ずるです。いけませんね。
でもそんな倫理観が子供にあるはずも無く、勝ち誇ったセリアはふふんと自慢げに鼻をならしながら横を見ました。
するとどうでしょう。よく見るとアセリアもハイロゥを広げていたのです。
しかも結構前から出していたのでしょう。涼しい顔してずっとずるしていたのです。どうりで汗一つかいてないはずです。
セリアはすっかり自分の事を棚に上げながらカッとなってしまいました。
逆切れし易いのはこの頃から変わっていません。どうにかしてほしいものです。
あっ、セリアがいきなりアセリアの足を引っ掛けました。

ずべたっ

しかし転んだのはセリアの方でした。慌てて逆の足を出してしまったのです。まぬけというか、因果応報ですね。
でもセリアはまだ小さいのでそんな難しいことは知りません。顔から地面に転んでしまいました。
アセリア、助けてあげないと…………って、さっさと先に行ってしまいます。怒っているのでしょうか。

「………………」

………………まぁ予想通り、気付いていないだけでした。

森の出口でようやくアセリアは気付く訳ですが、それまで放置プレイだったセリアはというと。

「……………………ぐすっ」

どうやら足を挫いたようです。踝の辺りが赤く腫れてます。とても歩けそうにありません。
98ア&セリア子供劇場 3:04/11/02 20:13:20 ID:aE+VNkGG

ざわざわざわざわ…………

急に風が吹いて森の木々がさざめきます。一人になったとたん、周りのものが急に大きく感じ始めました。
大したこと無かった足の痛みが気のせいか大きくなってきます。不安が広がってきました。
でもツンデレのセリアはそう簡単には泣きません。頑張っています。いけませんね。
ここはお約束の展開で止めを刺してあげましょう。

ごろごろごろごろ…………

遠くで雷鳴の音がしました。ふと見上げると雲がかなり厚く空を覆っています。
普段から苦手な雷が近づいてきたことがセリアの不安を更に煽ってそろそろ我慢も限界にきたのでしょう。

「………………ふぇっ…………」

セリアの顔がくしゃっとしました。あと一息です。

「………………ん」

あっ、何という事でしょう。アセリアがいつの間にか戻ってきています。
そっぽを向きながら、しゃがみこんでセリアに手を差し伸べています。
これからがいい所なのにもといなんという美しい光景なのでしょうか。
セリアはむ〜と少し悩んだあとに気付きました。アセリアがあちこち擦り傷だらけだということを。
それでも素直になれないセリアは手を取る代わりに黙ってアセリアの頭についた葉っぱをとってあげました。

「………………えへっ」
「…………さんきゅ」

こうして二人は雨が振る前にと急いで帰りました。繋いだ手をしっかり握って。
ところでセリア、足はもう大丈夫なのかな?
99ア&セリア子供劇場 4:04/11/02 20:16:28 ID:aE+VNkGG

セリア「ななななんでこんな話を知ってるのよっ!」
ヒミカ「なんでって……アセリアがみんなに話してたわよ?」
ヘリオン「へ〜、セリアさんって昔から変わってないんですね〜」
セリア「どういう意味よ!ヒミカもなんでこんなキャクホン書くのよっ!私まるっきり悪役じゃない!」
ヒミカ「失礼ね=3 わたしは聞いたことを忠実に再現しただけよ、なんか違うの?」
セリア「う…………こ、この通りよ…………だけど貴女が普段わたしをどういう目で見ているかがよく判ったわ……」
ファーレーン「ああ、これが次のコウエンのキャクホンなんですね……あら、三人しか出ないのですか?」
ニムントール「お姉ちゃん、突っ込みどころ違う」
ハリオン「感動的な〜お話ですねぇ〜」
ネリー「へへ〜、セリア、かわいい〜」
シアー「う、うん、アセリアも〜」
セリア「そこうるさい黙れ!っていうか、読〜む〜な〜っっ!!」
ナナルゥ「セリア…………」
セリア「う…………な、なによ…………」
ナナルゥ「……………………………………………………ふっ」
セリア「笑ったっ?あんた今笑ったわねっ?」
悠人「おお、あのナナルゥを笑わすとは」
セリア「きゃあ!ゆゆゆユート!いつの間に……ってダメ!読んじゃダメ〜〜☆#$!!」
悠人「うわ、痛てて。なんで?セリア可愛いじゃないか」
セリア「……………………」
アセリア「セリア、沈黙か?」
セリア「あ、貴女ねえ…………こんなの、恥ずかしくないの?」
アセリア「なんでだ?これ、わたしとセリアの大切な想い出。セリアは恥ずかしいのか?」
セリア「……………………」
ヒミカ「さ、話もまとまったことだし、ジカイコウエンはこれでいくわよ〜!」
セリア「や、ま、ちょっと待って!やっぱりイヤ〜〜〜〜!!!!」
100名無しさん@初回限定:04/11/02 20:17:27 ID:aE+VNkGG

雑魚スピ子供時代第一弾ということで。第二弾があるかは判りませんがネタ振りにでもなればと。
101名無しさん@初回限定:04/11/02 22:45:13 ID:5qMTGNFN
やべぇ……ア&セリア最高
102名無しさん@初回限定:04/11/02 23:23:08 ID:cmf6fM7h
セリアって子供の頃からの筋金入りの百合&ツンデレだったのか...
次回、アセリアとヒミカが愛憎渦巻くガチンコバトルを!?

あれ、バトロワには第一詰所スピは参加してなかったっけ?
も一回読み直すとするか...
103名無しさん@初回限定:04/11/03 00:04:43 ID:QeeICkbI
いいなぁこいつらw

ホンとにやってそうなところがまたw
104名無しさん@初回限定:04/11/03 00:17:16 ID:4P5xPs1D
>>100
幼女セリア…(*´Д`)

シリーズ化超熱望。
105名無しさん@初回限定:04/11/03 00:41:16 ID:XqBPPf6F
セリアは当然だが、アセリアもいいね。いまごろセリアは必死でアセリアに箝口令を布こうと頑張っていそうw
106名無しさん@初回限定:04/11/03 00:46:33 ID:OZvappxA
>>91
様はやめてぇ〜。・゚・(ノД`)・゚・。
風変わり様の方がよっぽど「様」なんですからぁ〜

>>100
いかにもな二人もイイ!ですが、ほのぼの微妙にイジワル(?)な
ナレーションもいいなぁ…と思ってたら…そう来ましたか(w
嗚呼、無駄ではなかったんだな…と遠い目をしてみるテスト。
107安息 X−1:04/11/03 13:48:26 ID:QPVO6xZL

ヨーティアの開発した『抗マナ発生装置』。それにより『マナ障壁』は消滅した。
更にスレギトという拠点を得たラキオス軍はいよいよマロリガンへの全面攻勢に入る。
乾坤一擲ともいえるその戦いは、正にその一戦でマロリガンとの雌雄を決しようというものだ。
『マナ障壁』が消滅したという事はすなわちサーギオス帝国もまたマロリガンへの侵入が果たせるという事。
帝国の介入が始まる前にマロリガンを制し、被害を最小に食い止めるというのがレスティーナの示した方針だった。
スレギトに設けられた仮詰め所の会議室に悠人の声が響き渡る。

「これからマロリガン首都への進攻を開始する!みんな、辛い戦いになるけど…………死ぬなよ。
 俺達は全員の力で戦いに勝つんだ!みんなで帰らなきゃ、意味なんて無いんだからな!」

それはこの戦いを通じて悠人がずっと言い続けてきた事。
そのスピリットに対する訓示としてはおおよそ聞きなれない言葉こそがラキオスの他国にはない「力」だった。
部隊の間に戦意が高まる。エスペリアが後を引き継いで部隊編成の説明に入った。

「まず西からニーハスを経由してマロリガン首都に入る部隊はウルカ、ヒミカ、セリア、それにわたくしが。
 次に南下してデオドガンからガルガリン、ヒエレン・シレタを制圧する部隊に
 オルファリル、ファーレーン、ニムントール。ファーレーン、指揮をお願い。
 ネリー、シアー、ヘリオンはスレギトで待機。いつでも動けるようにね。
 最後に中央。ミエーユを突破して首都への最短を進む部隊の指揮はユートさま、お願いします。
 ハリオン、ナナルゥ、それに……アセリア。彼女達が指揮下に入ります。」

てきぱきとした指示が飛ぶ。最後にアセリアの方をちらっと見た後、エスペリアは締めくくった。

「以上です。作戦開始は2時間後。一斉に出撃します!」

ラキオス軍の進撃が始まった。
108安息 Lemma−3:04/11/03 13:51:16 ID:QPVO6xZL

頭の固い議会の連中の中で、俺達エトランジェを「人」として対等に扱ってくれたのは大将だけだった。
まるでモルモットかなにかの様に今日子が強制的に神剣を目覚めさせられて暴走した時、
何も出来なかった俺に『因果』を与えてくれ、さらに議会から庇ってくれた恩もある。
なによりその生き方の姿勢みたいなものにある意味魅かれてもいた。
大将は、死ぬ気だ。
…………悪いな今日子、それに……悠人。
俺は大将に付き合う。まぁロクな結果にはならないだろうがこれも運命ってやつかもな。
せいぜいクールな二枚目の脇役ってやつを演じさせてもらうぜ……大将がそうしようとしてるように、な。

「最後の戦いだ。俺はこの日のために生きてきた。」
「…………止めても……無駄だよな?」
「……すまんな。俺の意志は誰のものでもない。誰にも……止めることはできんよ。」

扉の向こうに消えるクェド・ギンを光陰は静かに見送った。
これが彼を見る最後だろうと思いながら。
109安息 Diagonal Elements−3:04/11/03 13:54:53 ID:QPVO6xZL

執務室を後にする。
廊下に出ると、その先に落ち着かなく立っているクォーリンを見かけた。

「よぉ、どうした?こんなところで。」
「あの、コウインさま。今のお話は一体…………」
「……なんだ聞いてたのか。盗み聞きは良くないな、クォーリン。」
「す、すみませんっ!ご報告がありまして探していたところ、こちらとのことでしたので……」
「ああ、まあいいさ。……それで?」
「は、はい!本日ラキオス軍の我が首都への進攻開始を確認しました。三方向からの同時進攻です。」
「三方向……?ははぁ、悠人の奴も大分焦ってるな……大方サーギオスへの牽制でもあるんだろうが。」
「あの……それで……」
「ああ判ってる。クォーリン、稲妻部隊はまだ使わない。相手がせっかく焦ってるんだ、持久戦でいこう。」
「判りました、ニーハス、ミエーユ、デオドガン、それぞれに篭城戦の手配をいたします。
 それに遊撃部隊を設置してスレギトが薄いようでしたら攻め込ませましょう。」
「ああ、それでいい。頭の回転が速くて助かる……クォーリン、いつも苦労かけるな。」
「いえ、そんな、私はただコウインさまのお役に立てれば…………あ……」
「これで最後だ。稲妻部隊はミエーユ後方で待機。クォーリンも行ってくれ。俺達は……首都に残る。」

優しく頭を撫ぜていた手を放すと、光陰は手を振りながら去っていく。
後に残されたクォーリンは名残惜しそうに髪に手を当てながらその背中をずっと見つめていた。

結局、聞けなかった。
先程の大統領との会話の意味も、戦いの先に彼が見ているものも。
結局、言えなかった。
自分もついて行きたいと。自分が彼に惹かれているということも。

「だって最後まで『俺達』って…………ズルイです、コウインさま…………」

軽く唇を噛んだ拍子に瞳からあふれ出た涙がゆっくりと頬を伝い、そして床に落ちた。
110安息 Finite Intersection Property−3:04/11/03 13:58:12 ID:QPVO6xZL

金色が褐色に塗り替えられようとしていた時。
黒い妖精は確かに動いた。
反射して光る神剣は確かにこちらを向いていて。
だけど私は動けなかった。
それはあまりにもその光景が幻想的だったから。
それが現実だとは思えなかったから。
…………失ったものが大きすぎたから。
けれども妖精は動かなかった。
いつまでもいつまでも動かなかった。
だから気付かなかった。
いつの間にか妖精の姿が消えていた事を。
だから私はいつまでも眺めていた。その幻想的な光景を。

フェードしていく光景は悲しみと衝撃と処理しきれない情報量と反比例する心の弱さと。
今はまだ、準備が出来てない精神の防御。そして封印。
111名無しさん@初回限定:04/11/03 13:58:18 ID:p16HdkVM
泣くなクォーリン、支援するから。
112安息 X−2:04/11/03 14:01:31 ID:QPVO6xZL

進攻を始めた悠人は出撃早々恐るべき情報に接していた。
マロリガンの大統領、クェド・ギンが首都のエーテル変換施設を暴走し始めたというのだ。
イースペリアの悪夢が心の中に蘇る。

「そういう訳だ、ユート。時間は余り無い。引き返してくれば間に合わなくなるぞ。」
ヨーティアのやけに冷静なマナ通信が頭に響く。
これで後戻りは出来なくなった。あんな悪夢を二度も繰り返してたまるもんか。
しかし何故?以前交渉の時会った印象ではクェド・ギンはそんな愚かな事をする男には見えなかった。
一体何をしようとしてるんだ?歯軋りしながら悠人は振り返って叫んでいた。

「みんな!急ぐぞっ!」


 ―――――――――――――


急速に凝縮しつつあるマナを感じながら、光陰はベッドの上で仰向けになって天井を眺めていた。
マロリガン中のマナが首都に向かってどんどん流れこんでくるのがわかる。

「…………始めたな、大将。」

ゆっくりと起き上がり、よっと神剣を担ぐ。
永遠神剣第五位『因果』。その巨大すぎる刀身がゆらりと光った。

「行こうか、今日子。」
振り向いてそこにいる人物に話しかける。
鞘に納まってなお紫電を纏う永遠神剣第六位『空虚』。
携えてゆらりと立ち上がる今日子の瞳には憎悪の光が宿っていた。

「…………来たか、『求め』。こんどこそ……壊す。」
113安息 X−3:04/11/03 14:03:49 ID:QPVO6xZL

ウルカに鍛えられた成果がはっきりと出ていた。
確実にレベルアップしたヒミカの剣技が冴え渡る。
『赤光』は決して剣として殺傷に長けた形状ではない。
それでも次々と敵を戦闘不能にするヒミカの剣技はもはやレッド・スピリットのそれとは思えなかった。
セリアが積極的にそれをフォローする。実力でヒミカに劣るとは思わない。
それでも今のヒミカはのびのびと戦わせてサポートに回るのが正解だと判断したのだ。
また、新たに加わった元・漆黒の翼、ウルカの働きは言うに及ばなかった。
治癒魔法を使うこともほとんどなく出番の無いエスペリアが思い出したようにエレメンタルブラストを放つ。
心配された『稲妻部隊』の出現もなく、怒涛ともいえる勢いでエスペリア分隊はニーハスに雪崩れ込んだ。

ニーハスは騒然としていた。
どこから漏れたのか、『マナ暴走』が始まっている事が民衆に知れ渡っていたのだ。
ヒミカ達は逃げ惑う人々を押し分けるようにしてエーテル変換施設に辿り着いた。
エスペリアが急いで装置の解析を始める。
ヒミカとセリアはエスペリアの周りを固めるように警戒していた。
その時一人入り口を警戒していたウルカの瞳がつぃと細まった。

そこに、一人のグリーンスピリットが立っていた。
114安息 X−4:04/11/03 14:05:59 ID:QPVO6xZL

「…………『漆黒のウルカ』。ここで貴女に会えるとはね。いつぞやの決着、ここでつけさせてもらう!」

突然部屋に飛びこんできたグリーン・スピリットにヒミカは驚いた。
その小柄な少女はそのまま入り口付近に立っていたウルカに襲い掛かる。

ガギィィィィ………………ン…………

部屋中の壁に剣と剣がぶつかり合う音が反響した。
受け止めたウルカと敵スピリットはそのままもつれ合うように部屋の奥へと転がっていく。

「ウルカっ!」
「待たれよっ!」

思わず駆け寄りかけたヒミカはウルカの鋭い声に足を止められた。
目が一瞬ウルカと合う。……………………ウルカは来るな、といっている。
その理由は判らないが何か訳があるのだろう。赤い眸の威圧感にヒミカは何故か逆らえなかった。
ふと隣をみると駆けつけてきたセリアとエスペリアも同様、動く事が出来ずにじっと見守っている。
もう一度ウルカの方に振り向くと、戦い合う二人が奥の小部屋に飛び込むところだった。


一旦剣をはじき返して後退したウルカは自分がどうやら燃料倉庫にいることを確認した。
ここで戦うのはリスクが大き過ぎる。
ウルカは『冥加』を鞘に収めた。向かってくるクォーリンの神剣を柄で弾く。
そしてそのまま押し返そうと今度は自らクォーリンに斬りつけた。
しかしその瞬間、ウルカの双眸が動揺と共に大きく見開かれた。
驚いたことに、クォーリンは構えもせずウルカに対して無防備に両手を広げていた。
115安息 X−5:04/11/03 14:09:19 ID:QPVO6xZL

「…………くっ!!」

咄嗟に剣の軌跡を変えようとして切先が鈍った。
不覚を感じる暇も無い。不自然な動きを見逃す程クォーリンは「戦い」に甘くはなかった。
一瞬にして構えた神剣で『冥加』をはじき返し、同時に詠唱を始める。

「相変わらず殺す事にためらいがあるのね……ウルカっ!!」
「くぅっ!!クォーリン殿っ!!」

姿勢を崩したウルカは一瞬とはいえ迎撃の態勢を取る事が出来ない。
バニシングハイロゥは速すぎるクォーリンの詠唱には追いつかなかった。
クォーリンのシールドハイロゥがその瞬間を見逃さず、凝縮してウルカの腹部を襲う。
『大地の祈り』。大陸でも使える者は唯一クォーリンだけだと言われるグリーンスピリット最強の技。
本来癒しの力であるはずのそれを、驚くことに彼女は攻撃用に使いこなしたのだ。
(…………やったっっ!!!)
高密度のマナをウルカに放ちつつ、クォーリンは勝利を確信していた。

ずんっ

その威力とはうらはらに小さく鈍い音が響く。それは衝撃を全てウルカが受け止めてしまった証。
致命的な一撃を与えた手ごたえが伝わる。しかし。

「…………え?」
クォーリンは次の瞬間宙に浮いていた。
視界に飛び込んできたのは純白のハイロゥ。……え?……純白、の?

「クォーリン殿、舌を噛まれるな!」
「……え?え……え?」
何が何だか判らないまま、クォーリンはウルカに抱えられて倉庫を飛び出していた。
116安息 X−6:04/11/03 14:11:02 ID:QPVO6xZL

ズゥゥゥゥン!

その直後、出てきた場所から物凄い炸裂音と共に、熱風が吹き出してきた。
押し出されるようにはじき出されたウルカがクォーリンを抱えながら地面を弾む。
ばらばらと落ちてくる何かの欠片を背中に受けながら、ウルカが囁いた。

「…………大丈夫ですか、クォーリン殿。」

クォーリンはそこで初めて理解した。ウルカが自分を庇ってくれた事に。
恐らく私の技が燃料庫の小さなマナ暴走を引き起こしたのだろう。
私はそれすら気付かずにあそこで力を放っていたのだ。でもなんで?

「……なぜわたしを庇った、ウルカ。自分だけなら楽に逃げれただろうに。」
「…………其方もご存知でしょう、手前は殺せませぬゆえ。」
「な………………」
にっこりと微笑みかけてくるウルカをクォーリンはぼんやりと口を開いたまま見つめる。

「それよりもクォーリン殿。貴殿はもう聞こえましたか、『自らの声』は。
 …………手前は、『剣の声』が聞こえるようになりました。」
「え…………あ…………」

ゆっくりと立ち上がりながら語るウルカの腹部からは血があふれ出していた。
自ら受けたのだろう、その傷。さっきの手ごたえだとかなり深い傷のはずだ。
それでもそれを見たクォーリンはもう罪悪感以外何も感じられなくなっていた。

「クォーリン殿も早く“気付く”と良いでしょう、『自らの声』に。剣はその声に応えるものですから。」
その一言を最後に背中を向けて立ち去るウルカ。
その背で純白に輝くハイロゥの意味を考えながら、クォーリンは自らの胸に手を当てていた。
117安息 Finite Intersection Property−4:04/11/03 14:14:05 ID:QPVO6xZL

予想外の方向からの警鐘。
駆けつける直前に感じた膨大に膨れ上がるマナの逆流。
轟音と閃光の後。
呆然とその光景の前で立ち尽くしていた。
次々と意志を失くしていった部下達。
それでもそれで生き残る可能性が増すのなら、と思っていた。
打ち破ったのは意志を“あえて”失った強い心。
そしてもう一人、目の前に立ち塞がる彼女の瞳。
失った哀しみに満ちたその瞳を自分もいつか持ち得ていた。
…………どこで間違えたのだろう。
問いかけても、剣の声は未だ聞こえなかった。
118安息 X−7:04/11/03 14:16:35 ID:QPVO6xZL

突然爆発した奥から飛び出してきたウルカが炎の中でゆっくりと立ち上がる。その光景をヒミカはデジャビューと共に見ていた。

無数の金色のマナが空に還る幻想的な光景。
中央に眩く光る白いハイロゥの影にいた黒い翼。

ぱちんっと頭の中でなにかが弾けた。堰を切るようにして溢れてくる記憶。……フラッシュバック現象。

そう、何故気付かなかったのだろう。
それはあまりにも自然だったから。
輝きの収束と共に、消えていたから。
だから、気付かなかった。
当たり前のように消えた、黒い妖精に。

…………それがウルカだったことに。

 ――――――――――ああ、思い出した―――

ふらふらと戻って来たウルカに慌ててエスペリアが治癒魔法をかけている。ヒミカが近づくと、目が合ったウルカが優しく微笑んだ。
その眸に感情の逆流が起こる。ヒミカも笑顔を返そうとして………………涙が自然にこぼれた。

「貴女だったのね、ウルカ…………ありがとう、やっと全部思い出した…………」
「!ヒミカ殿……そうですか、思い出されたのですか……すみませぬ、手前は戦とはいえハリオン殿とナナルゥ殿に…………」
「ううん、それはもういいの。悪いのは私……。ショックとはいえ、こんな大事な事を忘れようとした弱い私……」
「ヒミカ殿…………」
「でももう大丈夫。多分あの娘だけは憶えていただろうから…………隠してたこと、とっちめてやんないとね。」
ウルカにニッコリと笑顔で答えたヒミカは『赤光』を握り締めて涙を振り払う。
入り口に視線を向けながら、ヒミカは誓っていた。今度こそ必ず助けてみせる、と。
訓練の時にウルカが言っていた別のところにある自分の力。今はそれがなんとなくわかっていた。
「ヒミカ殿は強くなりました…………手前が決して叶わなかった強さに…………」
今ならウルカのその呟きを、素直に受け入れる事が出来た。
119安息 X あとがき:04/11/03 14:20:26 ID:QPVO6xZL

>>111さん支援爆笑&有難うございました。
さて、無事軸二本(ヒミカ、ウルカ)が収束した『X』です。
ついでにアンチテーゼであるクェド・ギンもちょっと出てきました。
(といってもこれから先あまり活躍しないのでクェド・ギンファンの方いらしたらすみません)
言い訳っぽいですがヒミカの「フラッシュバック」というのは記憶喪失ではありません。
精神の許容量を越えた体験をすると安定の為にその再生再認を一時しまいこむという脳の防御反応がありまして、
「フラッシュバック」というのは切欠によってその記録が引き出される現象のことをいいます。
なのでそれ以外の記憶には障害がありませんがそれが引き金になって性格の修正が行われたりします。
これを起こした場合、大抵無意識にその時の行動をリプレイしようとしますので症状によっては危険ですが、
今回のヒミカには丁度良い方向に(ていうか話の展開上都合の良い様にw)動いていきます。

それでは今回もお付き合い頂いた方、有難うございました。
誤字脱字某ハリオンマジック等ご指摘がありましたら幸いです。
120名無しさん@初回限定:04/11/03 14:22:22 ID:QPVO6xZL

@100として

実は安息『V』と『W』の間の小話として用意していたものなのですが、
意外と反響があってちょっと驚いています。やっぱり萌えって大事なんだなぁw

>101さん
 タイトルは結構前から思ってた「アセリアとセリアって紛らわしいなぁ」というのから付けました。
 今では有りえないのですが何度タイプミスに泣かされたことか…………

>102 憂鬱さん
 セリアは百合じゃない……と思いますよ?(なぜ疑問形)
 周りが女の子ばかりだったので男に免疫のないただのツンデレですw

>103さん
 ありがとうございます。でも彼女達が楽しそうに見えるなら、
 それは寸劇さんのお陰以外の何物でもありません。なにせ書いていてホント楽しかったですからw

>104さん
 そっちのシリーズ化ですか……う〜ん風変わりさんの許可を頂かないと……w

>105さん
 アセリアはまだまだセリアの恥ずかしい想い出を握っていると思うんですよ。
 あれやこれや……どんどん補完してやってくださいw

>106 寸劇さん
 一番評価が怖かった人の反応がまずまずだったようでほっとしてます。
 それとそろそろ自分がどれだけ住人に影響を与えまくっているか自覚して下さいw
 少なくとも私が雑魚スピ書き続けてるのは間違いなく「寸劇@第二詰め所」の影響なんですから。
121名無しさん@初回限定:04/11/03 14:44:27 ID:p16HdkVM
乙&じーじぇい!
いつもの悪い癖で、支援ついでに茶々を入れてしまいました。
こないだちょっと言ってたルビの事ですが、あそこは「三たび」で
サラリと流すと良かったかも知れませんね。などと不遜な発言を。
122名無しさん@初回限定:04/11/03 16:21:54 ID:kDe9pNwe
大地の祈り=アースプライヤー ト認識シテマシタケド、コレモアリデスネ

次回更新モ ガンバッテネ
123105:04/11/03 17:24:36 ID:XqBPPf6F
諸葛コウイン、北方の大国の三道同時侵攻に上策中策下策を提案。
上策は、コウイン曰く「小さいスピは生け捕って、みんな俺が密室で尋mぐおmcoo¥^$#」流れ稲妻に貫かれ絶命。チーンナムナム

閑話休題。
ウルカが過去関わりがあったと?……よくわかりません、もう少しヒントを orz
クォーリン健気だなぁ……男達はみんな憑かれたように口元引き締め瞳を燃やし……少女は置き去られるのね(;´д⊂

そう言えば前回からだけど、「空虚」は五位で良いんでは。ウェブも印刷物もみんなバラバラ表記だけど。PS2版の公式でさえ
六位になってるけど。

>120 ん、やってみる。
124名無しさん@初回限定:04/11/03 17:25:43 ID:XqBPPf6F
 真夜中。草木もぐっすりと眠っている遅い時間です。アセリアとセリアの二人は、二つ並んだ
ベッドで可愛らしい寝息を立てています。二本の神剣は仲良く壁に立てかけてあります。

 昼間の訓練がきつかったのでしょう。さらに加えて、エスペリア先生による国語と歴史の授業
もありましたからなおさらです。セリアに取ってはアセリアに勝るところを見せるのにとても良
い機会なのですが世の中そう甘くはありません。何も考えていないようにしか見えないくせに、
アセリアは記憶力だけは抜群に良くて、エスペリア先生の質問に簡単に答えてしまうのです。も
ちろん文章の解読などではアセリアに負ける物ではないのですが。

 あれれ、一人だけむくりと起きあがりました。真っ暗なのでよく見えませんが隣のベッドで
眠る少女をゆさゆさと起こしています。
「セリア、おきろセリア」
 言葉からするとどうやら起きたのはアセリアのようです。でもこんな夜中にどうしたのでしょ
う?毛布にくるまってさながら蚕の繭のように寝入っているセリアは、延々繰り返される揺れに
ようやく目を開けました。
「ん〜〜もう分かったわよぅ〜」
 小さな口が動くと、寝ぼけ眼をこすりながら渋々体を起こしました。いつもの短めのポニテは
流石に解かれていてサラリとセリアの肩口で流れます。これはこれで…… コホン 
 セリアとアセリアは、小さなおそろいのスリッパを履くと連れだって部屋を出て行きます。パ
タパタと足音を立て、ギィと扉を開きます。愛らしいパジャマの裾が乱れて暗闇に白い肌が映え
ていますが気づいていないようですね。一体二人でどこへ行くのでしょう。
125名無しさん@初回限定:04/11/03 17:26:41 ID:XqBPPf6F
 野外での実戦形式演習の休憩時。アセリアは座り込んで汗を拭いているセリアの本へ歩いてい
く。セリアは手を休めてアセリアを見上げると、溜息をついた。
「はぁ〜アセリアまた?私は用無いんだけどな」
「セリア、いやか?いつも一緒だったぞ。それにできる時にしておくべきだ」
 アセリアは妙にまじめな顔でセリアに語る。いつもの顔と変わらないように見えてもそれは、
見る方に修行が足りないだけだ。もちろんヒミカとハリオンに次いで古い関係の二人なら、既に
阿吽の呼吸という物を体得している。
 仕方ない、とつぶやきセリアは腰を上げた。アセリアの瞳が微かに笑ったように見える。二人
して演習場から離れていく。
「お、どうした二人で?」
 革袋の冷えた水をがぶ飲みするユートが、意外な組み合わせを認め二人を呼び止める。アセリ
アはユートを一瞥すると口を開いた。
「私の役目を果たしているだけ。エスペリアに言われた昔からの役目だ」
「は?役目って何だ」
 悠人はセリアに目を向ける。アセリアでは理解できる言葉が返らないかも知れないから。
「あ、ななんでもありませんっ!役目なんてありませんっ!ほ、ほらアセリア訓練始まるわっ!
急いでっ!ユートさまもお急ぎくださいっ」
 一瞬で朱に染まったセリアが、アセリアの肩を掴むと凄い力で演習場の方へ押し戻していく。
「大丈夫か、セリア。漏らさないか?」
 あっけにとられた悠人が見ている前で、ずりずりと踵で地面に轍を付けながらアセリアが言う。
「な、ななn何のこと言ってるのアセリアほら早くエスペリアが怒るわよ」
 どんどん離れていく二人を眺める悠人。なにがなんだか分からないけど、とりあえず戻ろうと
思った。エスペリアに怒られるのは悠人といえど御免だから。
「ユートも水ばかり飲んでいて大丈夫か?エスペリアに怒られるぞ」
 遠くからアセリアの声が聞こえてくる。でもやっぱり悠人には意味不明だった。
126名無しさん@初回限定:04/11/03 17:38:38 ID:XqBPPf6F
ほんとに意味不明。求めに怒られてきます。

  |  サッ
  |彡
  |
127名無しさん@初回限定:04/11/03 18:02:44 ID:O0cs5T+M
昔から、二人揃って、真夜中に。

………ぶはっ
128名無しさん@初回限定:04/11/03 19:37:14 ID:dXyA5ETJ
「新たな技を習得しました」

     ツレションスウォードW(0〜60)

「上書きしますか…?」

     ツンデレブロウV(90〜100)
     フユーリーW(0〜30)
     ポニテアタックV(0〜100)

         マインド制限にご注意下さい…
129名無しさん@初回限定:04/11/03 21:56:51 ID:QPVO6xZL
>>126 髪結いさん


「アセリア〜、ちゃんといる〜?」
「ああ、いるぞ」
「いなくなんないでよ〜?」
「大丈夫、ちゃんと待ってる」

「…………もういいから先に行ってよ」
「だめ、役目だから」
「もう一人でちゃんとできるってば〜(涙」

エスペリアのことだからアセリアにそんな役目を与えたの忘れてるんだろうなぁw

 >ウルカ
 クォーリンとのことは設定資料集のままです。>>54を参照して頂ければ。
 ヒミカ達との小戦闘は完全に創作です。
 聖ヨト歴327年辺り(ソーマがラキオスから逃亡してサーギオスで暗躍し始めた頃)は各地で小戦闘があったようなので
 こんな戦いもあったかな、と妄想しました。
 関わりって程でもありません。たまたま以前戦闘した相手がヒミカ達だったことに気付いただけです。
 神剣の位については書いていて怪しくなると設定資料集を読むのでそのせいです。
 以前Xuseスレでも話題になりましたが今回は6位にしました。
130名無しさん@初回限定:04/11/03 21:59:01 ID:QPVO6xZL
っていうかホントに補完して下さったんですね、髪結いさん……G.J.でした。

>>121 憂鬱さん
 いつも人の居なさそうな時間に投稿しているのに何故に貴方はいつも支援して下さいますか?w
 「三たび」の方が判り易かったですね。ウルカの口調をどうしても漢字で再現したかったのであんな形になりましたが(汗

>>122さん
 やっぱり突っ込まれましたか(汗
 資料集に漢字で表記されていたのであえてクォーリンの個性を出そうと使ったのですが……やっぱりズルはだめですね。
 でもこれもありと言われて救われました。

IQテストで漢字一問間違えた……orz

131名無しさん@初回限定:04/11/03 22:19:15 ID:WUULTRXJ
>>119
ふむふむ、なるほどねぃ…ハッ 乙&GJです。
これでもうクォーリンも立派に萌えキャラの仲間入りですね。
…じゃなくて、いよいよ真相篇突入開始した感じですか。
「とっちめ」はQ.E.D.まで待ちで、次回は・・・.周辺かなぁ…
温かくもすっとぼけたマジック炸裂の薬缶に今から(;´Д`)ハァハァ
Q.E.D.後に改めて読み直すのが今から楽しみですよ〜。

>>120
ぐはっ。藪には蛇がいるもんだ、と。
でもねぇ…私にしても、雑魚スピスレ以前の彼らの活躍なかりせば、
ではあるのですよ、実際のところ。
えーと、そんでは…
 強い引きだ ほら、ぼくの単発と違ってこんなに……
 こんな風にみんなはそれぞれが違う作風を持ち違う物語を紡ぐ……
 けれども 確かなことは きっと きみも ぼくも ……共に
 美しい物語にみちて 生涯をおくれるということです
…うはーっ、似合わねーっ(w

>>126
三つ子の魂永遠に…ん?三つ子のままなだけか?(w
GJですよぉ〜
132名無しさん@初回限定:04/11/04 01:09:03 ID:lw36AURs
クォーリンの外見設定とかって、設定資料集に出てるんですか?
当方持ってないから知りたくてたまりません〜。
あと年齢とかも……。

……オシエテくんになってしまい、申し訳ない
133名無しさん@初回限定:04/11/04 01:46:41 ID:4mtIJEUb
>>132
現状では「グリーンスピリット」という情報しかなかったハズ。
それすらも「大地の祈り」=アースプライヤーの仮定の上での話だけど。
134WHITE:04/11/04 04:14:20 ID:vjJQHcDy
……本当にこれでよかったのだろうか……
幾度と無く同じ問いを繰り返し、
……これでよかったのだ。これしかなかったのだ……
幾度と無く同じ解を繰り返す。
同じ問いに対しては同じ解しか出てこない。
それなのに、心のどこかでは違う解を求め、
幾度と無く同じ問いを繰り返す。
……本当にこれでよかったのだろうか……
イオは同じ問答を繰り返し続ける。
何度も。何度も。
135WHITE:04/11/04 04:16:35 ID:vjJQHcDy
「俺はイオを、みんなを護りたい。だからエターナルになる。」
「はい……」
聞かなくともなんとなくわかっていた。
聞くまでも無く感じていた。
「ユート様、私も……」
(私も一緒に連れて行ってください)
そう言いたかった。
「私も……私は、ヨーティア様のお傍に居なくてはなりません…ですから…」
しかし口から出た言葉は正反対のものだった。
「ああ、わかってる。だからお別れを言いに来たんだ。」
『お別れ』。その言葉が深々と胸に突き刺さる。
「俺がここまで来れたのもイオやみんなのおかげだ。本当にありがとう」
ユート様は私を抱きしめながらお礼を言う。
「イオ、愛してる。」
「ユート様…私は…私は…」
言いたいことがあるのに、伝えたい思いがあるのに、
言葉にならない。形にできない。
そして、結局私は何も言うことができないままユート様と分かれてしまった。
136WHITE:04/11/04 04:20:10 ID:vjJQHcDy
幾度と無く同じ問いを繰り返し、幾度と無く同じ解を繰り返す。
同じ解を繰り返すたびに胸が痛む。心が軋み、悲鳴をあげる。
それでも同じ問答を繰り返し続ける。
痛みも、苦しみも今だけなのだ。こんな思いも、もうすぐ消えてしまうだろう。
そう、ユート様がエターナルになれば消えてなくなる。
……消える?消えてなくなる?……
この胸に宿る思いも、痛みも、苦しみも?
ユート様の顔も、名前も、温もりも?
何もかも全て消えてなくなってしまう?
そう思うと、涙が溢れてきた。
「いや……そんなの、いや……ユート様…」
名前を口にしてユートを思う。
そしてユートを忘れ去ってしまった自分を思う。
胸が張り裂けそうなほどの痛みが広がる。
心が壊れてしまいそうなほどの苦しみが広がる。
「泣くほど辛いのなら今からでも後を追えばいいだろう。」
気がつくとイオの後ろにはいつのまにかヨーティアが立っていた。
137WHITE:04/11/04 04:22:50 ID:vjJQHcDy
「ヨーティア様…」
「あのボンクラのことが好きなんだろう?」
「はい、ですが…」
「私のことは気にするな。行けイオ。行ってユートを助けてやれ。」
ヨーティアは優しい笑みを浮かべながら続ける。
「そして、全部終わったらまた私の手伝いをしてくれ。」
「ヨーティア様…ですが…!」
エターナルとなったものはその存在を忘れられる。
それはヨーティアも聞いているはずだ。
「それがどうした。記憶があろうと無かろうと、私の助手はお前だけだ。」
「…ヨーティア様…」
「わかったらさっさと行け。追いつけなくなるぞ。」
「はい…ありがとうございます。行ってきますヨーティア様。」
「ああ、いってらっしゃいイオ。」
イオは駆け出した。ユートのもとへと。
大事なものを失わないために、護るために。
全てを終わらせて帰ってくるために。
「まったく。どいつもこいつも世話がやける。」
ヨーティアは駆け出したイオの背中をいつまでも温かく見守っていた。
138名無しさん@初回限定:04/11/04 04:30:43 ID:vjJQHcDy
……ごめんなさい。
イオルートと聞いて思い浮かんでしまったもんでつい。
多分イオはヨーティアのとこに残ろうとするんだけど、
最終的にはヨーティアに背中を押されんだろうなぁと思いまして……
下手糞な文章でお目汚し申し訳ない。なんか人違うし。

すいませんでした〜!! orz←敗北のベスト・オブ・ベスト
139名無しさん@初回限定:04/11/04 06:11:45 ID:/1uqE8TW
お疲れです。はい、牛乳とジャムパン。 つ自Θ

イオ萌えの人って意外とこのスレでは少ない(と思う)ので
きっとあなたは貴重な存在です。

私としては「これからこの二人がどうなるか」よりも「一体これまで
二人の間に何があったのか?」のほうが気になります。

あ、文章は読みやすくって良いと思いますよ。念のために付け加えておきますが。
140名無しさん@初回限定:04/11/04 07:01:25 ID:kpCdOOUO
GJ!!!
数少ないイオ萌えとして応援します、がんばれ。
141名無しさん@初回限定:04/11/04 07:50:56 ID:KIHN+H+r
_○__|土下……寝?
フフ…嘘ばっかり…GJ!
そういや白スピは人間がスピになったっつー解釈でいいのかね?
142名無しさん@初回限定:04/11/04 08:37:19 ID:j2lezXLG
>>138
乙〜。
普段はしっかり者のお姉さん、でも「自分のため」になると…
な イオ、いい感じだと思いますよ。
文章もおっけーでしょ。そもそも大事なのは中身だし。
文章は伝える手段ですから、中身がなければ意味がないわけで。
(まぁ、中身が無いのを文章の力でカバーすることも無いとは言いませんが(汗)
「俺の中ではもっと…もっとイイんだーっ」ともどかしく思うものがあるなら
鍛えてみればいいじゃないかな、と。ある程度までは「慣れ」だと思いますから。
(プロになろうとか言うんでなければ)
ってことで、また何か思い浮かんだら書いてみて下さいな。
スレに投下するしないは別としても。
 と、もっともらしく言ってみる私はしばらく書いてないような気もしますが orz
143名無しさん@初回限定:04/11/04 09:44:24 ID:AXZtucvC
イオといえば、3章でヨーティアの中途半端なエロシーンがあったが、
多分そこからイオのエロシーンにつなぐ予定だったんだろうなあ…
なぜカットしちゃったんだよう、ザウスのばかぁ〜〜〜〜!
144名無しさん@初回限定:04/11/04 14:36:43 ID:cuP71kk8
はっ!しばらく見ない間にSSが大量に……

>>ア&セリア、信様
……(*´Д`)
言葉は不要、もうこの胸のときめきを誰に伝えたらいいのか
セリア……発売当初から私は貴方一筋よ
いい萌えです……セリア好きの私としては一回吐血しましたし
幼女セリア万歳!私からもシリーズ化……お願いします(*´Д`)
安息もなんだか凄いことになってきて、もうGJです
では、1、2、3、セリアー!!

>>124-125
セリア!セリア!
アセリアとセリア…ツレションですか
そんな昔から二人は……いや、しかしセリアたんは……

>>WHITE
イオだ……はじめて見るイオたんSSだ
BRでもしばらく主軸としてイオたんが活躍しそうなので参考にさせてもらいます(ぉ
……セリアとイオ……私はどっちを取れば……やっぱりセリア(*´Д`)

145名無しさん@初回限定:04/11/04 15:52:20 ID:XwcxcVAd
>141
大将が特別な場合で
もともと「すべての色の特性を併せ持つスピリット=白」だったはず

設定資料集が手元にないんで違ったらごめんよ
146名無しさん@初回限定:04/11/04 16:07:03 ID:eMVT8kyr
>>145
つまり、ツンデレで忍者で腹黒で純粋無垢でロリでたゆんたゆんということか?


なんだ!その完璧超人は!!?
147141:04/11/04 17:50:53 ID:KIHN+H+r
>>145
dクス。そうかー、イオは完璧超人なのか…
やべえ、ア&セリア見た後だとどこぞの肉の人を思い出してしまったw
148名無しさん@初回限定:04/11/04 20:23:25 ID:W7IOYz7C
白スピリット
全ての色の属性をもっている。
もともとオルファリルがリュトリアムとして設置されていたときのみに発生していた属性で、
テムオリンに設置されたリュトリアム2からは発生しない。
イオ
全ての属性の魔法を使える。だけどたいした事はできないよう神剣によって封印されている。
そしてそのリミッターはイオが死ぬまで解けない。本人はその事にすら気付いていない。
クェド・ギン
『禍根』は偶然出来たイオの神剣のコピー。
イオから生成したであろうクラスのマナ結晶と組み合わせることでスピリットを再構成する。
その際小さなマナ暴走を起こす。

設定資料集より抜粋

149SALVAGE 147/162:04/11/04 21:36:44 ID:1p5yq+7M
雲ひとつない晴れ渡った空。

「しばしの別れだ。ナナルゥ、達者でな。」
「このナナルゥ、ユート様のご無事を朝な夕なにお祈りしております。」
「ナナルゥっ!」
「ああっ、ユートさまっっ!」ひしっ。

「よっ、ナナルゥ殿!千両役者っ!」
「パパっ、かっこいい!」
「ナナルゥ〜、次は私と替わって〜!」
「あーっ、ネリー、順番だよぉ〜!」
無邪気な声援が送られる。
「見てられねえな、たくよぉ。おーい、誰かアイスバニッシャーかけてやれよ!」
「も、申し訳ございません、コーイン様。私もその魔法は存じ上げておりません。くく。」
今日子のハリセンを借りて胸元に風を送り込む光陰の横で、
「献身」を握るエスペリアの手がわなわなと震える。
「もう、放っときなさいよ、光陰。エスペリアもいちいち冗談を真に受けないの!」
150SALVAGE 148/162:04/11/04 21:39:23 ID:1p5yq+7M
神聖サーギオス帝国との戦争がはじまってから約ひと月が経過した日の午後。
新たにエトランジェ2名の戦力が加わった悠人達ラキオスの部隊は、
電撃的にケムセラウトからリレルラエルを陥いれ、3大エーテル供給地に向かって出発しようとしていた。
エトランジェ達はゼィギオスへ、そしてエスペリアをはじめとするスピリット部隊は
サレ・スニルへと進攻するべく二部隊での作戦を展開する事になったのである。

「―――で、何なの、あれ?」セリアが目の前で繰り広げられるバカップルの三文芝居に失笑する。
「...ごめんなさい。私がそそのかしたのよ。でも、あそこまでやるとは思わなかったわ。」
ヒミカが首を振りながら、額に手を当てた。
「ナナルゥも、相当ハイペリアの空気に毒されてますね〜。」
ハリオンもさすがに複雑な表情を浮かべる。

―――ほんと、バカバカしい。
自分が今まで恐れていたものは一体何なのだろう。そう思うと、セリアは可笑しくてたまらなかった。
151SALVAGE 149/162:04/11/04 21:41:32 ID:1p5yq+7M
「怪我したくなかったらどきなさい、あんた達!」
今日子の鬼のような稲妻攻撃に、さしものサーギオス兵も敗走を重ねた。
エトランジェ達はわずか三人の編成ながら、快調にセレスセリスを越え、
一路ゼィギオスを目指した。
「でもよ、良かったのか、悠人?なんならお前だけあっちに行っても良かったんだぜ。」
悠人とともに南下する光陰がニヤニヤしながら尋ねた。
「できればゼィギオスへは一部隊だけで攻め込みたいんだ。
シアー達にはやってもらわなきゃならない事があるからな。」悠人は意味ありげに笑った。
「あんたはオルファリルと組みたかっただけでしょ、光陰!」今日子がハリセンを取り出す。
「いや、俺は純粋に戦略的なことを考えてだな、別にオルファちゃんじゃなくても
ネリーちゃんでも...うわ馬鹿なにをする、やめろっ!」
「もう少し仲良く漫才できないのか、お前ら。」先行きに不安を感じる悠人であった。

悠人の不安はどこ吹く風とばかりにラキオス陣営の快進撃は続いた。
スピリットのみで編成された部隊もシーオス、サレ・スニルを相次いで陥れ、
部隊が別れてからわずか二ヶ月で悠人達はサレ・スニルでの再合流を果たしたのである。
152SALVAGE 150/162:04/11/04 21:43:28 ID:1p5yq+7M
臨時駐屯所として使っている町外れの宿舎で、昼のさなかから会議が開かれた。
「どうだった、エスペリア?」悠人は再会の挨拶もそこそこに、
かねてから情報のあった技術者、クォーフォデ・リウの消息を尋ねた。
「はい、最初はやはり渋っておられましたが、女王陛下の目指す世界に共鳴され、
ようやく我がラキオスに協力を取り付ける事が出来ました、ユート様。」
「そうか、これでイオ達も少しは楽になるな、よくやってくれた、シアー。」
悠人は偵察に説得にと奔走していたシアーの肩を叩いた。
「へっへーん。シアーだって一人でおつかい出来るんだよ〜。...あ、そうだ、それでね、
そのクォーフォデ様がねえ、もう一人お友達を呼んでくれるんだって。」
褒められてすっかりお姉さん顔のシアーが胸を張った。
「そうか、そりゃ凄いな。ヨーティアも学者仲間が増えて喜ぶよ。」
「ううん、今度の人は学者さんじゃないの。すご腕の訓練士さんなんだって。」

「訓練士...?」
イオのように訓練も施設建築もこなすタイプの人間だろうか、悠人は席に戻りながら、そう思った。
153SALVAGE 151/162:04/11/04 21:46:05 ID:1p5yq+7M
バーンライトと交戦していた頃とは異なり、イオを筆頭に、ガンダリオン、パウスリーといった
スピリットに勝るとも劣らぬ質の高い訓練士たちが、すでにラキオス部隊の育成にあたっていたのである。
「今度の方は大陸でもほとんど伝説になっている剣士です、ユート様。」
ホクホク顔でエスペリアがシアーの後を続けた。
「その名も...」

ガタン、と勢いよく悠人が立ち上がった。
「悪い、よく聴こえなかった。もういっぺん言ってくれないか?」
悠人の真剣な視線にエスペリアが仰天する。「ま、まさか、ユート様、私を...!?」
身の危険を感じたエスペリアが「献身」を構えた。
「ち、違うって!聴こえた気はするんだけど、ちょっと信じられなくってさ。
頼む!もう一回言ってくれ、エスペリア!」
エスペリアがその名をもう一度口にする。悠人にとって、忘れたくとも忘れられない、その名前を。

「うわ、きたねえ、コイツ、漏らしやがった!」悠人の横に座っていた光陰が飛び上がって逃げ出す。
「ウ...ウソでしょ?どうしたのよ、悠。」
さすがに距離を開けながら、今日子がそれでも心配そうな言葉をかけた。

「―――また洗わなきゃ。」ナナルゥが机に突っ伏した。
154名無しさん@初回限定:04/11/04 21:47:34 ID:W7IOYz7C
爆笑しつつ支援
155SALVAGE 152/162:04/11/04 21:49:02 ID:1p5yq+7M
「ユート殿!ミュラー・セフィス殿をご案内いたしました!」会議室に興奮したウルカの声が響きわたった。
「ミュラー殿も早く愛弟子の顔が見たいと、いたく感激のご様子で...え?こ、これはっ!一体っ!?」
「あ、そこ汚いぞ。踏むなよ、ウルカ。」光陰がウルカの足元にに注意を促す。

「―――変わってないな、ユート。」ウルカとともに入室した甲冑姿の女剣士が溜息をついた。

「ユート、私が言った通り、精進に怠りなかっただろうな?」
宿舎前の広場でミュラーが半ばあきれ声で、悠人に疑いの眼差しを投げかけた。
「はは。やだなあ、師匠。訓練をサボるなんて、滅相もない!」
街でガメてきたズボンに履き替え、悠人が乾いた笑い声を発した。
「では、久々に遊んでもらおうか。私も一・二を争う弟子に再会出来て嬉しいぞ、ユート。」
「ちっ。」ウルカに軽口を叩いたことを今さらながらに後悔する悠人であったが、
ミュラーの殺気のこもった構えの前には雑念は払わざるを得ない。
スピリット達はただの訓練とは思えぬ空気に、一体何事が始まるのかと遠巻きにして固唾を呑む。

「―――行くぞ。」
ミュラーの体が沈んだ。その体から発せられる凄まじい闘気に、居並ぶラキオス精鋭部隊も震え上がった。
156SALVAGE 153/162:04/11/04 21:52:11 ID:1p5yq+7M
「あの...大丈夫ですか、ユート様?」
その夜、ナナルゥが悠人の部屋に入ってきた。
「あちち。――ナナルゥか。まあ、何とか生きてるよ。張り切りすぎなんだよなあ、師匠。」
悠人がぎしぎしと軋む体を起こした。
「でも良かった。ミュラー様もお元気そうで。」
生傷に当てた濡れ手ぬぐいを替えながら、ナナルゥが嬉しそうに笑う。
「いい加減元気をなくして欲しいよ。あれで八十過ぎだって?冗談じゃない。」
「ユート様がウルカに調子のいい事を言うからです。」...返す言葉がなかった。
「――でも、またあの方に会えるなんて。」ナナルゥが胸を押さえる。
「師匠、本当に俺達の訓練士役をするつもりなのかなあ。
有難いけど、下手すりゃ部隊ごと全滅するぞ。」悠人は溜息とともに言った。
「さっき様子を見て来ましたけど、他のスピリット達には優しく剣の手ほどきをしてましたよ。」
ナナルゥが笑顔を絶やさずに言う。
「げっ、そんなのありかよ!それって差別じゃないのか?」
「そうですね、ふふふ。」
多分、いい意味でも、悪い意味でも、差別なのだろう、ナナルゥはそう思った。
紅い妖精の屈託のない笑顔に、悠人もまた、体の痛みが不思議と懐かしく、心地よいものに感じていた。
157SALVAGE 154/162:04/11/04 21:54:15 ID:1p5yq+7M
「ククク。多少は出来るようだが、自惚れは禁物だぞ、スピリットよ。」
その夜、月の光を浴びながら、対峙する二つの影があった。
「自惚れてなどおりませぬ。ただ、修練に手心は無用と存じますゆえ。」
「まあいいだろう。ユートはあのザマだしな。お前なら少しは楽しませてくれそうだ。」
ウルカは腹の底から湧き上がる緊張に、全身におこりのような震えが走るのを禁じえなかった。
これまで達人と呼ばれる敵とも数多く対戦してきたが、今、目の前にいる剣士は桁違いの殺気を放っていた。
恐らく、自分も悠人同様、地に転がされるであろうという事は容易に想像出来たが、
それでも自分の中に流れる何かが今、ウルカを突き動かしていた。

「――参ります。」ウルカはミュラーの脇構えと対称をなすように、居合いの体勢に入った。
右腕一本の、それも木太刀のみを持つミュラーに、電光の様なウルカの剣が撃ち込まれた。
しかし、それはことごとく弾かれ、そして、柳に吹く風の如く流された。
「いちいち鞘に納めるなっ!」ミュラーの怒号が飛んだ。同時にウルカの肩に痺れるような痛みが走る。
「ぐ―――ッ!」ウルカが呻いた。もう一度居合いの一撃を放った時、
手首をしたたかに打たれ、「冥加」が月光を反射させながら転がった。
「―――拾え。」木太刀を一直線にウルカの顎に突きつけるミュラーの顔に酷薄な笑いが浮かぶ。
睨み返すウルカもまた、片頬に笑みを浮かべた。

―――これほどまでに...!
158SALVAGE 155/162:04/11/04 21:58:59 ID:1p5yq+7M
  聖ヨト暦332年、レユエの月。

悠人達はサーギオス最大にして最後の砦、ユウソカの街を取り囲む外壁を視界に捉えていた。
「こんな状態で仕掛ける気、悠?」
ユウソカの街の前で立ち並んだサーギオスのスピリット達を見ながら今日子が心配そうに尋ねる。
悠人はともかく、ウルカまでも、まるで既に戦地へ赴いて来たかのように傷だらけであった。
「どうだ、ウルカ、厳しそうなら上がってもいいぞ。」悠人は今日子には答えず、横にいるウルカに訊いた。
「いえ、お供いたします。ユート殿こそ、体調がすぐれぬのであれば引き上げて頂いても宜しいかと存じますが。」
ウルカが静かに答える。
「バカ言うなよ。俺にしてみりゃ、あそこで雁首並べてる奴らより、サレ・スニルで待ち構えてる
あの人の方がよっぽど恐ろしいよ。」悠人は苦笑した。
「あはは、全くです。」
ウルカがつられて笑い声を上げる。
「まったく、お前らは病気だな。――ま、いいけどな。」光陰が双剣を構え直した。

「行くぞっ、みんな!」先陣を切った悠人の背中を追いかけるように、ラキオスの精鋭達が一斉に奔った。
その姿は紛れもなく部隊のリーダーの姿であった。

―――自分の弱さを呪い、泣いてばかりいたあのひとが...

「どうしたの、ナナルゥ、行くわよ。」ヒミカが声を掛ける。
「あ―――、はい。」悠人の後ろ姿を、まるで不思議なものでも見るかのように眺めていたナナルゥが慌てて駆け出した。
159SALVAGE 156/162:04/11/04 22:02:24 ID:1p5yq+7M
鉄壁の牙城と思われたサーギオス最後のエーテル供給拠点・ユウソカが
ラキオス戦士達の怒涛の攻勢の前にあえなく陥落したのはその丸一日後であった。
悠人達はほとんど休養も取らずに秩序の壁へと到達した。

「――ずいぶん静かだな。」
悠人はつぶやいた。ほとんど防衛するものもいない城壁を打ち崩し、悠人達はサーギオスの城へと続く道を進軍した。
「だいたいこういう時はロクでもない事が有るんだよなあ。」悠人は、ふと、マロリガンへと攻め込んだ時の事を思い出していた。
「恐らく城内で守りを固めているものと思われます。ユート様、ここは慎重に攻めましょう。」
エスペリアが硬い声で進言した。――その時、後方で喚声が上がった。

「敵?いつの間に後ろに回りこまれたの?」
ヒミカが振り向いた視線の先でひしめきあっていたのは敵軍ではなく、ラキオスの兵士達であった。
「なんだ、今頃援軍かよ。」光陰があきれる。「ま、あんまりアテにはしてないけどな。」
突然悠人達の神剣が唸りを上げる。ざらついた音が収束し、それは若き女王の声と変化していった。

『――皆さん。これは最後の戦いです。人のため、スピリットのため、世界のため、
あなた方が自らの力で新たな世界への扉を開けるのです!』
どよめきとともに歓声が上がる。
160SALVAGE 157/162:04/11/04 22:07:03 ID:1p5yq+7M
悠人はゆっくりと戦士達を見回した。
「――そうだな。戦いに無駄な戦力はない。ここは総力戦と行くか。」
人間の兵士達の目もまた、守るべきものの為に戦いを覚悟した目であった。
かつて悠人がこの世界で嫌悪していた、汚れ仕事を全てスピリットに押し付けていた人間達もまた、
変わろうとしている。悠人はそう感じずにはいられなかった。
城の周囲のそこかしこから剣を打ち鳴らす音が響く。悠人も剣を天に向かって掲げた。

「突っ込めっ!!」
悠人の号令の下、人間とスピリットが入り乱れて城内へと殺到した。


「はあっ、はあっ、みんな、無事かっ!」肩で息をしながら悠人は階段の踊り場から階下を見下ろす。
まだ人間の兵士達は追い付いてはいなかったが、ほとんど全てのスピリット達が悠人に遅れず従っていた。
それを確認し、ひとつ頷いた悠人は「求め」に意識を同調させる。
上方に、瞬と、その神剣「誓い」の気配があった。
「あっちだ、ついてこいっ!」悠人は一気に階段を駆け上がった。
161SALVAGE 158/162:04/11/04 22:09:20 ID:1p5yq+7M
「皇帝の間」に飛び込んだ悠人の目に入ったのは瞬と、怯えた目をした妹の姿だった。
「佳織...」悠人は小さな妹に呼びかける。「―――無事でいてくれたか。」
「お兄ちゃん...」
「瞬!もういいだろう、勝負はついてる。佳織を放してやれ。」
悠人は広間の真ん中に突っ立っているかつての同級生に呼びかける。
「フン、僕に命令するとは、何様のつもりだ、悠人。佳織は僕がお前から開放してやったんだ、勘違いするな!」
その姿はかつての瞬を知る悠人にとっては、見る影もない。

――俺も、あんな顔をしていたのか。
神剣に呑まれ、翻弄されていた自分には、それでもナナルゥという命綱があった。
だが、今の瞬には、果たして妹が守り神となり得るだろうか。
悠人は憐れむ気持ちが湧いてくるのを押さえられなかった。
「佳織、もう俺の事は気にしなくていい。お前も自分の気持ちを瞬に言ってやるべきだ。」
佳織が一瞬目を伏せる。しかし、次に顔を上げた妹の瞳には強さが宿っていた。

「――ごめんなさい、秋月先輩。私は、先輩と一緒にいたくないです。」
162SALVAGE 159/162:04/11/04 22:12:04 ID:1p5yq+7M
「佳織...君はこの男に騙されているんだ。目を覚ませ!」
「いい加減にしろっ!!」悠人の怒声が上がった。
「確かに今まで俺も佳織をカゴの鳥扱いしてたよ。
でも、今の佳織は自分の足で歩き出してるんだ。もう、邪魔をするな、瞬。」
「何だと...今さらキレイ事を並べるなよ、悠人。佳織には僕が付いてるんだ。
僕が進むべき道を教えてやったんだ!」瞬が吼えつづける。
「お前が佳織の事を好きだってのは構わない。それをどういうカタチで表現してもいい。
―――けど、佳織の気持ちを殺すような真似だけは...許さん!」悠人はゆっくりと「求め」を構えた。
「やっと殺人鬼の本性を現したな、悠人。佳織、これがこの男の本当の顔だ、よく覚えておくといい。」

悠人は瞬の言葉を聞きながら、しかし、冷静さを取り戻し始めた。
思えば、これまでの戦いは瞬と自分との戦いであっただけなのかもしれない。
そして、その戦いに巻き込まれたスピリット達を自分は数多く斬り殺してきたのだ。
「お前の醜い欲望の手先になって散っていった奴らのためにも...瞬、俺はお前を...殺す!」
163SALVAGE 160/162:04/11/04 22:14:34 ID:1p5yq+7M
「佳織、見ていてくれ。僕がこの男を殺して、君の目のくもりを払ってあげるよ。」
熱に浮かされた様に、瞬が狂気じみた笑いを浮かべる。
「――瞬、お前には、まだ分からないのか。」思えば、悠人にはいつも見守ってくれる友がいた。
今日子や、光陰が悠人の事をシスコン呼ばわりしてくれなければ、自分も瞬と違いはなかっただろう。
だが、神剣と同化してしまっている目の前の同級生には、それを教えてくれる友達もいなかった。
「グオオ――ッ!!」もはや人間のものとは思えぬ咆哮とともに「誓い」が唸り声を上げて襲いかかる。
叩きつけられるオーラフォトンは、しかし、悠人のシールドを突き破るだけの威力はなかった。
悠人はほんの僅かに体をひねるだけで「誓い」の一撃をいなし、ガラ空きの瞬の胴体を薙いだ。
それはまるで豆腐のように真っ二つに裂けた。瞬の躯体が金色のマナへと、還り始める。

―――契約者よ、様子が変だぞ。
「そ、そうだな...」いつもなら敵を斬った時に感じるはずのマナを吸う手応えがまるで無かったのだ。
例えて言うならばそれは、抜け殻を斬った感触であった。
164SALVAGE 161/162:04/11/04 22:17:09 ID:1p5yq+7M
その疑念に応えるかのように、マナへと帰すはずの瞬の体が、再びその姿を取り戻し始めた。
「どういう事だ...!?」悠人が「求め」を構えなおす。完全に再形成した瞬の高笑いが響き始めた。
「ハハハハッ!!これほどの歪みを抱えていたか!」
己が体を確かめるように撫でさする瞬は、もう悠人の知っている瞬とは全く別の生き物であった。
―――契約者よ、あの者はすでに「誓い」ではない。高位神剣を持つエターナルだ。
「求め」の刀身が震えはじめる。
「なに震えてんだよ、バカ剣。」悠人が「求め」を睨みつけた。

―――神剣の世界において、その位の差は絶対だ。我の力だけではあの剣、永遠神剣第二位「世界」には及ばぬぞ。
「お前ね、ほんっと、そういうロウ的発想は良くないよ、バカ剣。何だ、今までさんざん下位神剣をバカにしてたくせに。
ひとつやふたつ高位だからってビビってんじゃねえよ。相手が強けりゃそれだけ燃えろ!
俺はお前をそんなひよわな奴に育てた憶えはないぞ!」
―――我も汝に育ててもらった覚えなどない!!
唾を飛ばしてくどくど説教する悠人に、「求め」が反論する。
165SALVAGE 162/162:04/11/04 22:20:21 ID:1p5yq+7M
「ククク...これが新たな力か...素晴らしいッ!」
「瞬」であった物体が、まさに神剣とともに一体化し、一陣の刃風となって襲いかかる。
「ぐぅぅっ!!」
それを受けようとした「求め」の刀身が根元からポッキリと折れた。
「ちっ、根性なしめっ!」悠人は手元に残された柄に向かって毒づいた。
瞬が冷酷な笑みを浮かべ、再び近付いてきた。しかし、悠人から二、三歩の位置でその歩を止める。
「――悠人さん。」突然の背後からの声は、聞き覚えのある女性の、しかも日本語のものであった。
「あんたは――!」振り向いた悠人の目に見覚えのある姿が映る。
それは、神社の境内で悠人に初めて神剣を見せた、巫女服姿の倉橋時深であった。

「この場をこれ以上乱すことは、私が許しません!」
時深は、瞬に向かって言った。その手には小型の神剣と、扇子が握られていた。
「―――フン、カオスか。まあ、いいだろう。この場で慌てて決着を付ける事もあるまい。」
「瞬」はそう言い残し、その姿をゆっくりと黒煙に同化させた。それとともに、悠人の意識も失われていった。
166あとがき:04/11/04 22:23:31 ID:1p5yq+7M
...予告の大ネタの所まで届きませんでした。
相変わらずの尺詠みの甘さです。許してくれ、時深...お姉さん。
いや、別にネタのために書いてるわけじゃないんですが。ホントですよ?
支援してくださった方、どうも有難うございました。

忘れられかけた「SALVAGE」第十部でした。では。
167名無しさん@初回限定:04/11/04 22:33:49 ID:W7IOYz7C
忘れるわけないじゃないですか、待ってたんですからw
しっかりリアルタイムで拝読させて頂きました。乙です。
なんか怒涛の急展開って感じですね。
ミュラーがよっぽどトラウマになってたんですねぇ悠人。
黙って下の世話をするナナルゥもすっかり古女房が馴染んで……じゃなくて。
ここにきて瞬やら佳織やら時深……さんやら勢ぞろいですね。
そして悠人への突っ込みと共に散っていった『求め』は……南無w
168名無しさん@初回限定:04/11/05 00:06:38 ID:EHKdIfeL
板、復活したかな?
>>167信さん
支援アリでした。感動的再会、喜んで頂けたようで何よりです。
ゲームの進行取り入れながら書くのって結構しんどいですね。
容量がかさむかさむ...orz
あと少し、頑張ります。
169138:04/11/05 04:32:07 ID:wCxFmLUt
皆様ご感想ありがとうございます。
SSは初投下だったんでもんの凄く緊張しておりました。
感謝の極み(ズパッ)。

>>139 憂鬱の人様
ありがたく頂戴します。つ自Θ
自分もこれまでのことが気になりますね。
なんせ思いついたのここだけですからw(オイ)
どうもでした〜。
(言えない・・・実はマスクド・ファーが最萌えだなんて・・・)

>>140
どうもです。そしてすまぬ・・・↑
イオも萌えるけど最萌えはファーです。

>>141
どうもです。
そこまでされたら埋まるしかないじゃないか! _○ノシ_

>>142 寸劇の人様
やっぱり文章うまくなるには、
ひたすら書いてひたすら読むしかないですかね。
なんというか、足りないものがあるんだけど自分でそれが分からない。
そんな感じです。精進あるのみですな。
どうもでした〜。

>>144 風変わり様
どうもです。
参考になれば幸いでありますが・・・
なるかなコレ・・・
170まあ何つーかスマソ:04/11/05 05:31:47 ID:qTaNI8By
求め 「こちら求め
    契約者よ、性欲をもてあます」
悠人 「今は余計な事を考えるな
    瞬をくい止める事が先決だ」
求め 「契約者よッ!」
悠人 「…君しかいない…」
求め 「あはは、ほぅら言ったとおりだ」
光陰 「らしくないなぁ、悠人」
悠人 「光陰、どうして?」
光陰 「君と同じく淫行生活だ
    たまには女子高生とヤったりはしてるがな
    我慢できなくなってな」
悠人 「光陰…」
光陰 「悠人…」
悠人 「や ら な い か」
光陰 「激しい一面もあるぞぉ?
    たっぷり30分はプレイするといい」

(シュル…)

光陰 「悠人!まだだ!まだ終わっていない!!」

《ズガン!》

悠人 「光陰、俺は」
光陰 「言うな! 悠人」

ttp://libido14085.hp.infoseek.co.jp/
171名無しさん@初回限定:04/11/05 09:25:25 ID:wCxFmLUt
>>166
乙です。GJ!
冒頭のやりとりでなぜか大正時代の衣装でやりとりする二人が
浮かびました(何ゆえに)w悠人にいたっては番傘装備で。
俺の脳って一体・・・
毒されしナナルゥが可愛すぎです。それと失禁悠人。
実は光陰も悠人と同じくらいしばかれたと予想してみる。
物語もついに大詰めですね。がんばってくだされ。
172名無しさん@初回限定:04/11/05 11:41:32 ID:EHKdIfeL
>>171
感想どうもです。
寛一お宮の雰囲気でしょうかねw
ウルカが訓練されるのはまあ、EDに関係してくるので...おっとっと。
なんだかんだで激甘なんですよ、ミュラータンはw
173名無しさん@初回限定:04/11/05 13:15:38 ID:mPOoqWuS
>>166
乙です。
いやぁ、相変わらず夫婦漫才うまいなぁ…
いよいよ次回辺りあの辺かな? どうこなしてくれるのか楽しみにしてますよ〜

>>169
その辺語る器でもないし、あんまり話し過ぎると板違いかもしれないけど…。
 アイデアの発想力や、話の構成力は置いておいて文章のみ。
アイデア(というか書きたいこと)は既にあると仮定。
構成力は…信頼の人氏辺りにお任せしておいて。
とりあえず文章「力」を二つに分けてみます。
 まずは、語彙や表現方法の幅、そして適切なものを選ぶセンス。
これはもう、増やす・磨くしかないんではないかと。
広辞苑を読む(引くではなく)ことができる人ならともかく、
やはり、良いものを多く読むことがいいんじゃないかな、と。
手軽でしかも楽しめるんですから。エロゲほど財布に厳しくないし(w
意識的にそういう視点で、既読の良かったと思うものを読み直してみるのも吉かも?
 次に、それらを使いこなして頭の中にあるものを書く(描く)力。
ここが習熟というか慣れというかかな、と。
前項で培った「読む」力が見直しする時にも生きてきます、たぶん。
howto等の技術・方法論もそれなりに役立ちますが、使いこなすには結局習熟が必要かと。
 と、柄ではないけど、将来良い書き手が増えてくれることを願って。
間違ったこと言ってたらツッコミきぼん > 頼の字ほか諸氏
174名無しさん@初回限定:04/11/05 15:51:28 ID:EHKdIfeL
>>173寸劇氏
クッ、またしても先読みされちゃってますか?
バカナ、私の計算では(ry

貴方にツッコミ入れる勇気のある者はいないでしょうから、
ブラックな私が一肌脱ぎましょう。つまり、寸さんが言いたい事をまとめると、
「喪前ら、そろそろ漏れが真のSSってものを見せてやるっっ!!」
...こんなところで宜しいでしょうか?(←黒すぎだよ)

それはさておき。(←な、流すのか!?)
私が>>169さんに言いたいのは、あなたの脳内で
一体何が起こったのか?という事です。
たいした「萌え」もないのならユート君が、「イオっ、愛してる!」
などと言うシーンは浮かんでこないはずです。
さあさあ、恥ずかしがらずに貴方の「萌え」を主張してください。
SSじゃなくても小ネタでも、普通のカキコでもいいんですよ。
ただ、あんまり萌えすぎると私や>>144みたいにコワれちゃうので
気を付けて下さい。
175名無しさん@初回限定:04/11/05 20:48:27 ID:Ir9FAwKJ
うわ、寸劇さんに振られた(汗
>>169さん
文章力については寸劇さんの仰る通り増やす・磨くことだと思います。
具体的には誤字脱字、現在・過去・過去完了・進行形の使い分け等。
書きあげた作品を繰り返し読み直すことが大事だと思います。
構成力っていうとなんだか難しそうですが、私の場合でよければ少し。
まずテーマを決めます。絶対に変えません。出来るだけ単純に、一個だけです。
次に妄想しつつ起承転結を決めます。軽い軸です。本数で話の次元と長さが決まります。
あとは軸に肉付けして次元を単一化していきます(結にもっていきます)。そこまでが「チラシの裏」ですねw
プロットを立てる時に一度それぞれの軸のイベントをばらばらに書きます。
その後先ほどのチラシに話を時間軸にそって組み合わせてプロットの完成です。
あとは書き上げる&校正だけですが、プロットまでが全体の9割以上ですね。
私の場合遅いので書き始めるまで2ヶ月くらいかかったりします(汗
例えば私は『WHITE』を拝読させて頂いた時、
「なぜイオは悠人を大事な人と思ったのだろう?」と妄想を膨らませました。
これをテーマにして付ければ立派な1本の話になります。これが軸です。
身近なところでヨーティアが絡んだ妄想になれば軸が1本増えます。
それぞれのイベントをテーマに沿って組み立てれば肉付けになります。
時間軸に沿って整理すればプロットが完成します。そんな感じですね。
『WHITE』はまだ「結」の部分しか書かれていないと思うんですよ。
それが悪いとかじゃなくて、それで住人の妄想が膨らむのですからむしろ楽しいのですが、
もし169さんがイオ嬢をもっと補完したい!と思っておられるのならば起承転結を書き上げるのも
一つの手だと思います。もちろん憂鬱さんの仰る通りここは別にSS専用スレじゃないので
小ネタでもなんでもどんどんカキこんで一緒に雑魚スピを補完していきましょう♪
176名無しさん@初回限定:04/11/05 21:54:45 ID:uOWD9uMu
セリアさんCィCィ……セリアさん何で抜刀してるんです?ツレションスウォードWなんて低マインド技
使っちゃ自分がヒロインボーナスを受けられる身じゃないことをわざわざ公言するようなもの……
ちょ、ちょっとまっtこ、こうしましょう え、えっと『CCセリア』!これでセリアさんも大っきなお友達
がっ!え?もういくら切り捨てても足りないくらい間に合ってるって?あ、あのじゃぁもしかして
ツンツンですか? YES!YES!YES!デレデレですか?YES!YES!YES!  
     ,ヽノ_
    ,' 〃, ^^ヾ  ☆))Д´) ツンデレ
    i y(从ソ))リ゙∩ ☆))Д´) ツンデレ
   ノノ゙(リ゚ -゚ノリ彡☆))Д´) ツンデレ
  ((     ⊂彡    ☆))Д´) ツンデレ
          ☆))Д´) ツンデレ

えーと【復活】 昨夜は2ちゃんが落ちてる内にエーテルシンクで眠りの淵に落ちてしまいました。相変わらず変な話ばっか
ですみませぬ。エスはですね、ハイペリアの地図を布団に書くのが大好きなセリア対策にアセリアを充てたんですね。エス
が起こせばいいのに、きっと自分の睡眠時間を優先したんですwその上言ったことを忘れてると>129
なんかまだ色々「少女時代」ネタがムクムクとわき起こってきそうなんですが……

「ユートさま、何かお気に召さない物でも?さっきからあまり進んでいないようですが」
「ああうーんとなぁ……」
「ユートは、リクェムとラナハナが嫌い」
「好き嫌いとはオルファみたいなことを。隊長とも有ろう物が。残さず食べてもらいますよ。いいですね」
「あ、ああでもなぁ」
「そうだユート、好き嫌いは良くない。セリアも克服したんだ。ユートも頑張れ」
「え、なんだセリアもなのか?」
「ちょっとアセリアっ」
「リクェムは13歳の時シーレの月に大丈夫になった。ラナハナは15歳のルカモの月だ」
「ぷっなんだ偉そうなこと言ってセリアも同じじゃないか」
「ななななち、違います。私は既に克服していますゆ、ユートさまはまだでしょうっ」
「俺はこれからだ、これから」
「いーえ、逃がしません。私が作った料理で、私の目の前で苦手を乗り越えてもらいます」
「「エスペリアの方が」」
「##聞こえませんがなにか?」
177名無しさん@初回限定:04/11/05 22:15:19 ID:uOWD9uMu
っとなんだか私のキャパを越えた話をしてる(汗) 私の場合、読み返して違和感がなければOKと……駄目ダメですね。ミュラーたんに
オムツしてもらってきます……。

>166
ユート君……笑わせないでくれ〜〜なんだかエターナルになっても、失禁だけはラキオスで語り継がれそうだなw
ナナルゥ相手でもバカップル化するとは恐るべし悠人。ミュラーたん、つぇー。佳織、瞬、いきなり解説する求め。
刮目するしかないですよ。

>138
イオッ!ですか!たしかにヨーティアへの「忠」と悠人への「愛」に挟まれ苦悩するイオは有りですね〜。後は『理想』のリミッターとか
『求め』との意外な関係とか絡めると良いかも〜〜僭越ですが。イオはオルファの直子で、存在も古いから……いろいろ有るし?
しかしイオ相手だと時深もタジタジだなぁ。
178名無しさん@初回限定:04/11/05 22:47:50 ID:uOWD9uMu
三連カキコで何だけど、PS2公式の更新内容、ちょいとこのスレ的に必見かも。
179名無しさん@初回限定:04/11/05 23:07:46 ID:27kGZUOr
>>174
 いや、単純にゲームの展開ではこの後…だよなぁ、と。
雑魚スピを書くに際してのある意味一番の鬼門だよなぁ…とか。
突き進むにしろかわすにしろどうこなしてくれるのか楽しみにしてるんですよ。
憂鬱の人氏のことだから思い切ったことしてくれそうで。
 >貴方にツッコミ入れる勇気のある者はいないでしょうから、
工エエェェ(´д`)ェェエエ工工
マジックとかマジックとかマジックとか… orz
 >「喪前ら、そろそろ漏れが真のSSってものを見せてやるっっ!!」
SSなんて雑魚スピスレに来るまで書いたことありませんでしたがなにか?(´・ω・`)
次回(予定)『寸劇をもういちど(仮)』絶賛座礁中ですがなにか?。・゚・(ノД`)・゚・。

>>175
 ( ̄ー ̄)ニヤリッ
だって私プロットなんて書いたことないですからぁ〜(汗
誰ですかぁ〜?プロットのまま投下してるだけだろなんて言ってるのは〜
>そこまでが「チラシの裏」ですねw
ナ、ナンダッテー(AAry
てっきり日記帳のことかと(ry
 それはそれとして、乙です。
実は私も聞いてみたかったという落ちだったり。
やっぱりしっかり練ってるんですねぇ…反省。。。

>>176
ごめん、
>ツンツンですか? YES!YES!YES!デレデレですか?YES!YES!YES!
これに一番ワラタ
180名無しさん@初回限定:04/11/06 00:03:36 ID:RyHrAJPd
求めが撃ち合いも無く、あっさり折れるなんて…
ユウトの技量無しぃ〜虐められちゃえ〜(泣きダッシュ

求めは粋な部分を出す訳でもなく、ヘタレ神剣のまま…南無w


求めの力の行方が気になるところです
個人的には…うわっ!何を(ry
181名無しさん@初回限定:04/11/06 00:06:25 ID:KABV6ssb
>信頼の人さん
幼少時代と安息の二本立てを楽しませてもらいました。
ア&セリアで和んだ直後に、ベールがはがれ始めたシリアスな展開が!
アレはあーだったから……何回確認しながら読み直しているんだろうw

プロット……ぶっつけ書きには身につまされる思いが。
マジで勉強になりました。

>138さん
イオルートクライマックス――!
ヨーティアのナイスサポートにニヤリとする一方で、
部屋の掃除は誰がするんだ、と思ってしまいました。

>憂鬱の人さん
パブロフの犬状態での失禁に大爆笑していたら、
なんと大ネタは次回以降のお楽しみでしたかw
ネタも、ナナルゥの行く末も楽しみです。
182名無しさん@初回限定:04/11/06 00:34:05 ID:JdazbGZJ
>>177
ああ、ここにもコワれかけてる人が...
私としては迷わず悠人に向かって「献身」を構えるエスに刮目して欲しかったw
いや〜、でも自分の睡眠時間を優先させるエスってのはいいですね。
いかにも腹黒って感じで。
>>179
うああ、寸さんを追い込んでしまったあっ!(←何を今さら、確信犯だろ)
でもねえ寸さん、あなたのチラシの裏に何が書いてあるのか気になってる人は
多いと思うんですよ。ひょっとして投下基準を自分で高すぎるところに設定してませんか?
だとしたら勿体ないです。ツンデレ台風が吹き荒れるこのスレに赤緑の太陽を!
>>180
なんと、「求めタン萌え」ですか...?出来ればそこに至った理由を是非!
>>181
あ、良かった。ぶっつけ書き仲間がいたw
いやホント、期待させておいてアレですが、すべったらスマソ。
183Gypsophila elegans 序章・過去:04/11/06 01:14:00 ID:KhSkDqzv
ファンタズマゴリア北東部ラシード山脈・・・

「ふふふ、人形にしては中々やりますわね、ですけど・・・」
吹き荒れる圧倒的なマナの嵐と共に降り注ぐ神剣。
全力でシールドを展開しているにもかかわらず全身を次々に削りとられていく。
雪のように白く美しい肌が鮮血に染まる。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
カラン・・・白い少女の手から剣が落ちた。
「時間があればもう少し可愛がってあげますのに・・・」
残念そうに杖をもった少女が呟く。
「残念ですがそろそろおしまいですわね・・・」
少女の杖に先程を遥かに越えるマナが集まる。
「では、ごきげんよう。」
少女が杖を振るおうとしたその時―――
184Gypsophila elegans 序章・過去:04/11/06 01:15:09 ID:KhSkDqzv
「グォォォォォォォォォォッッ!!!」
咆哮と共に白い閃光が飛来する。
「くっ!!」
閃光が少女がいた空間を飲み込む。
衝撃波によって地面に叩きつけられつつも白い少女は見た。
純白の巨大な龍と半身を抉られてなお生きている少女を。
「油断しましたわね・・・まだ時間はあったはずですのに・・・」
そこで彼女は気づいた強大な力を持った神剣の反応を。
「なるほど・・・あの女ですのね。たしかに時間などあの女にしてみれば・・・」
白い龍が半身を失った少女の方を向く。
「予定よりは早いですがこれまでですわね・・・」
龍が口を開ける。
「駒と道具は用意しましたわ、あとは・・・」
閃光が少女を飲み込むと同時に少女が放った神剣が白い少女を貫いた。
185Gypsophila elegans 序章・過去:04/11/06 01:15:58 ID:KhSkDqzv
数刻後―――
巫女装束の少女と龍が戦いによって荒れ果てた大地を見下ろしていた
「やけにあっさり引きましたね。陽動かしら?それとも・・・」
意識を集中してみるが見える映像は不鮮明である。
「だめですね、この世界の未来は良く見えません。」
それが意味することは―――
「そう遠くない未来にエターナルが干渉するみたいですね・・・そして・・・。」
少女は一人の少年を思い浮かべる。
「ところで一人のスピリットが戦っていたみたいですが?」
「ウム、ダガアノ怪我デハ助カラナイダロウ。モットモ、コノ荒レ様デハ確認モデキヌガ・・・」
「少々気になりますが、まもなく門が開きますし探している時間はないですね」
なぜスピリットがエターナルと抗戦していたかは気になるが今は確かめる時間はない。
「ではアシュギス、そろそろ失礼しますね・・・」
186名無しさん@初回限定:04/11/06 01:21:18 ID:fxM8LyGM
支援ですわね。
187Gypsophila elegans 序章・過去:04/11/06 01:21:51 ID:KhSkDqzv
同刻、衝撃波で飛ばされた一人と一本

奇跡的に少女は命を永らえたようであった。
「流石は白のスピリットといったところかしら?」                        
神剣は主の命令通り少女の記憶と力を封じた、そして自身もろともマナ結晶に拘束していく。                        
「殺しきれない場合は封印しろ、か。主の計画に気付いたのが不運だったわね。」                        
白い少女の全身が結晶で覆われる。                        
「ふわぁーあ、眠いわね。マナを使い切っちゃったわ」                        
神剣から光が失われていく・・・                        
「少し・・昼寝でもしよう・・かしらね・・・」                        
188Gypsophila elegans 序章・過去:04/11/06 01:22:33 ID:KhSkDqzv
そして彼女は眠り続けることとなる。                        
ファンタズマゴリアが激動の時を迎えるその日まで                        
                        第1章・目覚め に続く
189あとがきにかえて:04/11/06 01:35:41 ID:KhSkDqzv
WHITEを読んでイオルートを書きたくなったので、
以前から考えていてのを文にしてみました。
文が未熟なのは勘弁してください。なにせ初SS。
最後にまともに文書いたのは高校の卒業アルバム・・・
タイトルが一番悩んだのです。が、思い浮かばず結局ヒネリはなし。
しかも出てるのはオバサン達となぜかアシュギス。
名前出るのはアシュギスのみ。ん?雑魚スピスレ的におかしい気がするな。
では、この辺で。

>186
支援サンクス


190名無しさん@初回限定:04/11/06 01:44:13 ID:fxM8LyGM
初投稿乙です。リアルタイムで拝読させて頂きました。
あとがき前にも支援入れた方が良かったですね。
龍が出て来るSSってなんだか新鮮だなぁ。
テムオリン?なんだかかっこいいしw
壮大な物語な気がします。頑張ってください。楽しみにしてます。

>タイトル 
 Gypsophilaは判ったのですがelegansが判らない……orz
191名無しさん@初回限定:04/11/06 01:58:28 ID:KhSkDqzv
>190
タイトルはかすみそうの学名らしい。
いやネットで調べただけなんで「らしい」としか言えない。
ただ、「かすみそう」でもよかったんだけどね。

タイトルを考えるのが苦手でなんで大変でしたよ。
『理想』の道行とかにしたらスレ追放されそうだしw
最後は頭の中をイオナズンという言葉がぐるぐると・・・
駄目気味、俺。
続きはいつになるか解りませんがやるからにはエターナル編までやりたいな、と。
192名無しさん@初回限定:04/11/06 08:12:08 ID:Ty1kFXHH
「お前は疫病神なんだよ!」
「そんなことより瞬、佳織のお休みパジャマ姿のブツがあるんだが」
「いくらだぁっ!」
「ちょっと待て悠人っ!俺も一枚」
「あんた等ぁっ!」
「うわ今日子ちょっと待t」
「ちっ、お邪魔虫が…悠人っ!後で持ってこいっ!」
「一セット一万な!またっ!」
 
 
そんな仲良し四人組な悠人たちの夢を見た…(⊃дT)
193名無しさん@初回限定:04/11/06 09:38:21 ID:78EfTMML
「大体ヒミカは年少組に甘いのよ!」
「そんなことよりセリア、ニムのお休みパジャマ姿のブツがあるんだけど」
「いくらだぁっ!」
「ちょっと待って下さい〜、私にも一枚〜」
「貴女たちは〜っ!」
「うわ〜ファーレーンさん〜ちょっと待っt」
「ちっ、邪魔が入ったわね……ヒミカっ!後で行くからっ!」
「アセリアの昔話と引き換えよ!じゃあっ!」


そしてこんな仲良し四人組な雑魚スピズを妄想してしまった………(⊃дT)
194ハリオン最高ー!!:04/11/06 10:10:52 ID:3yKLlDRT
http://xuse.nippon1.jp/interview.html
Q2.PS2『永遠のアセリア』の見所を、PC版『永遠のアセリア』と比較して教えてください。

A2.
やっぱり、サブスピリット関係でしょうか。
PC版では普通に進めると、空気のような存在になってしまいましたからね。
今回は彼女たちにもちょこちょこと出番があります。

Q3.『永遠のアセリア』の中で、お好きなキャラクターとその理由を教えてください。

サブスピリットのハリオンも好きです。
サブスピリットの性格付けはかなり自由にさせてもらったのですが、ハリオンには特に好みが出ています。
『無敵のぼけぼけお姉さん』というのが、書くのも見るのも好きなので。
195ア&セリア子供劇場V 1:04/11/06 13:26:39 ID:78EfTMML

アセリアとセリアは幼馴染です。
二人は物心ついた頃、一緒にエルスサーオに転送されてきました。
以来、遊ぶのもご飯を食べるのも訓練を受けるのも寝るのもいつもいつも一緒。
同じ青スピリットだったこともあり、二人は絵に描いたような仲良しさん……とはいきませんでした。
生まれた時から何を考えているかよく判らないアセリアはともかく、
セリアは何をやっても敵わないアセリアを密かに敵対視していました。いけませんね。

そんなある日のこと。セリアはエスペリアお姉ちゃんのお部屋に連れて来られました。
なんの用事かさっぱりわかりません。初めてお部屋に呼ばれたセリアは驚きながら一生懸命考えました。
布団の地図はコッソリ陰干ししたしラナハナは隠しておいて後でエヒグゥにあげたし……………………
……………………(滝汗
どうやら心当たりが多すぎる事にやっと気付いた様です。悪い事は出来ないものですね。
おしおきが怖くてドアの前で立ちすくんでしまいました。顔に縦線が何本も並んでいきます。
そんなセリアに気付いてか知らずか、振り向いたエスペリアが優しく声をかけました。

「あらセリア、いつまでそんな所で立っているのですか?早く入りなさい。」

びくっ!…………フルフルフルフル

「?なにをイヤがってるの?おかしな娘ですね……。今日来てもらったのは…………」
196ア&セリア子供劇場V 2:04/11/06 13:29:02 ID:78EfTMML

数時間後。セリアは街を歩いていました。
トレードマークのポニテと髪を纏めている大きめの黄色いフリルリボン。
肩口が軽く膨らんだ柔らかそうな素材の服からすらりと伸びる白い腕には『熱病』を…………持ってませんね。
いかにも戦闘に向いてなさそうな大きく広がったスカートにはささやかな胸元とおそろいのフリルがひらひらしてます。
スカートの裾から慎まし気に見え隠れする肢にはいかにも清楚な白のストッキング。
全体に薄っすらと緑がかった黒が基調のワンピースが髪のリボンと良くあって…………
……をや?なんだか色々危険ものを見てしまった気がしますね。もう一度よく見てみましょう。
……………………ゴスロリ?
これはこれで……じゃなくて気でも違ったのでしょうか。普段からは考えもつきません。
一体なにがあったのでしょう。いずれにしてもかなり目の毒なのは間違いありませんが……ごほん。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

顔を真っ赤にして俯いたままセリアは歩いていきます。
道行く人がすれ違いざま皆振り向いていくのですが恥ずかしくてそれどころじゃありません。
先ほどのエスペリアの満面の笑みと言葉が思い出されます。

「やっぱりぴったりですね。わたくしはもう着れませんからセリアに、と思って♪」

あんな顔をされてはただでさえ後ろ暗いセリアはいやとは言えませんでした。
本当はすぐにでも脱ぎたかったのですがそのまま用事を命じられてしまったのです。
足元がすーすーして落ち着かないことこの上ないですが仕方がありません。泣く泣くそのまま出てきました。
これでは新手の罰ゲームかなにかなのだろうかと疑いたくもなります。
セリアはもう二度とラナハナを残さないと心に決めました。あっ、セリアのLvが上がりました。
197ア&セリア子供劇場V 3:04/11/06 13:31:26 ID:78EfTMML

下を向いて歩いていたセリアは人とぶつかってしまいました。よくあるアクシデントですね。
慌てて顔を上げるといかにもな大人の人達が怖い顔で睨んでいます。
「おう嬢ちゃん、どこみて歩いとるんじゃ!」
「あ、あの…………ご、ごめんなさ」
「あ〜ん、よく聞こえんな〜…………なんだ、スピリットかよ」
「スピリット〜?…………へへ、よく見りゃ上玉じゃねぇか」
「あん?お前、そっちの趣味があるのか?」
なんだか時代錯誤なことを口走りながらセリアを囲んでしまいます。弱いものイジメの典型です。
とゆうかこの人達、神剣ももってないのに一発でスピリットと見破る辺り、妖精趣味全開です。いけませんね。
もっともスピリットが本気になれば一般人など相手にもならないのですがそこはまだ幼いセリアです。
しかも今は神剣を持っていません。すっかり怯えてしまったセリアは黙って俯くしかありませんでした。

 ―――――― 一方その頃。

「じゃあアセリア、セリアにちゃんと『熱病』を届けてね」
「……わかった、ちゃんと届ける」
「それにしてもぴったりですね。わたくしはもう着れないから」(ry

セリアはふるふると震えています。少女の本能が警鐘をならしているのですが足が竦んで動けません。
そうこうしている内にスカートの裾を掴まれてしまいました。このままでは捲られそうです。
慌てて必死にスカートを抑えようとした隙に後ろに回ったもう一人がポニテを引っ張ります。

「!……ヤッ!!」
「へっへっへっ。騒いでも無駄だぜ」
「ここいら辺にゃお前を助けようなんて奇特な奴は誰一人居やしねーんだからな」
「まったくこんな格好しやがって…………いっちょ前に男を誘ってんのか?」
お約束のセリフを連発する恥ずかしい大人達に小さいセリアはろくに抵抗が出来ません。
目からじわっと涙が出ましたがその手の趣味の人には全く逆効果だったようです。いけませんね。
これでは誘っていると言われても反論できないもとい絵に描いたようなセリアのピンチです。
っていうか、この世界ロリ多すぎです。
198ア&セリア子供劇場V 4:04/11/06 13:34:04 ID:78EfTMML

ガスッ!

「な、なんだテメェは!」
「俺達を誰だと……ぐえっ!」
「こ、この……がはっ!」

セリアの貞操が風前の灯かと思われた正にその時です。
颯爽と現れた王子……もといアセリアがあっという間に悪漢を倒していました。ちょっと早過ぎ……ごほんごほん。
いつもの白い戦闘服は心なしか少しふわっとしています。ああ、ところどころ咲いている白い花模様のせいですね。
スカートのレース模様が黒ストッキングと相まって絶妙な背徳感を醸し出しています。
ワンポイントで胸元に黒いクロスのネックレス。いつもの紫リボンもいいですがこれもなかなか。
細めの白いリボンが髪になびいてるのもポイント高いですね。
……………………白ロリ?

「「おぼえてやがれ!」」
……どこの世界でも悪役の捨て台詞は同じなのでしょうか。
それはともかくそれを見届けたアセリアは振り返ってセリアの様子を窺いました。
ぺたりと座り込んで上目遣いのセリアの目にはうっすらと涙が浮かんでいます。そして地面には。

「……ごめんね」
「……うん」
夕焼けに包まれた街。アセリアは腰が抜けてしまったセリアをおぶって詰め所に帰っています。
背中に心地よい重さと、小さなお尻の生暖かい湿った感触を感じながら。
ところでセリア、用事はどうしたのかな?

セリア「……で、この劇で貴女は一体 な に を 伝えたいの?」
ヒミカ「う〜ん……最初はこんなはずじゃなかったんだけど……どうなんだろ?」
セリア「 わ た し に 聞 か な い で く れ る か な 」
アセリア「セリア、なぜ怒る?これ、セリアと私の大切な」
セリア「……………………お願いアセリア、少し黙ってて」
199名無しさん@初回限定:04/11/06 13:36:19 ID:78EfTMML

ただゴスロリを着せてみたかっただけなんですが、
百合とか連れ(ryとか頭から離れずこんなになってしまいました…………
ヒミカのセリフは今の私の心の叫びですorz

>>144 風変わりさん

 このSSは貴方に捧げますw

>>177 髪結いさん

 AAが…………w
 それにしてもアセリア、記憶力凄いなぁ。
 こんな小ネタを拝読させられては更に妄想がループしちゃうじゃないですかw

>>179 寸劇さん

 ……ひょっとして私釣られましたか?w
 チラシの基準は自分で決めているだけなので人それぞれか、と。
 あと日記帳は一番完成度の高い小説なんだと誰かが言ってましたw

>>181 道行さん
 
 読んでいただいて有難うございます。しかも何回もとは……ホントに感謝です。
 連載形式だとやっぱり忘れちゃいますよね……終わる前に前スレが落ちなければいいのですが……


あとプロットですが、私も長編以外は立てません、一応。
これも妄想のままに2時間位で書きなぐりましたし(汗
ってゆうか皆さんプロット立てないであそこまで書き上げてるんですか!!?
そっちのほうが凄い&うらやましいですよ〜(涙
200名無しさん@初回限定:04/11/06 16:22:28 ID:cwDBfcrS
>>199
...ゴスロリ?
しかし、ヒミカのナレーションを聞いてると、セリアに萌えてるとしか思えない。いけませんね。

さすがにプロット立てずに書くのは無理ですよ、信さんw
一応頭の中で常緑の樹のそばに立ててます。

私にはわずか二時間余りでこれだけ妄想&ぶっつけ書き出来る
貴方のほうが羨ましいです。冗談抜きで。
201名無しさん@初回限定:04/11/06 17:17:35 ID:GS52XMYm
流れぶった切ってしまってスマンですが、稲妻部隊の服の配色って普通のラキオススピと同じ色でしたっけ?
それとも帝国仕様の黒字に朱ラインでしたっけ……?
202名無しさん@初回限定:04/11/06 18:09:05 ID:YFKeRPJx
マロリガン一般兵は茶色ベース。
稲妻部隊は一般兵の服をベースに黄色を強くしたもの。
203名無しさん@初回限定:04/11/06 18:11:20 ID:6gyzZ6B7
>>182
純粋に執筆が止まってます。投下に躊躇うのは出来上がってからですね。
ん〜、出来不出来じゃなくて世界観に喧嘩売りそうで…
私が何を書こうとしてるかはたぶん推測可能な程度には既に切れ端ばらまいてあるかなと(w

>>189
乙乙。
何よりも踏み出してくれたことが嬉しいですね。
初にしては大きなお話になりそうでちょっと大変かもしれませんが。
実際に書いてみて感じるところもあった/あるでしょうから、進行と共に成長して行けばいいと思いますよ。
今回は割と離れた視点っぽいので、この先 心情をぐりぐり描く必要が出てきた時がひとつの峠になるかもしれませんね。
適度に力を入れて、気楽に、じっくりと、行ってみてくださいまし。

>>199
 子供劇場、絶好調ですな。
 釣った というより 召喚した ですかね。
たまにはこんな話も書き手各位(私含む)の刺激になるかなぁ、とか。
私が聞いてみたかったそのついでで何ですが(汗

 私は短編しか書かないせいか、紙やらテキストにプロットを書いたことはないですね。
もちろん頭の中で絵でも音でも言葉でもない頭の中のイメージというか雰囲気というかは考えますが。
しっかり確定はさせないのでいざ書いているときに、
  あ、シアーたん、そんなこと言ったら…せっかくシアーたんの見せ場なのに…
  あ〜、ハリオンがおいしいとこ持って行っちゃったよ… orz
  …まぁ、これはこれでいっか (゚∀゚)アヒャッ
なんてこともままあったり(w

>>201
稲妻部隊(ライトニング)はステータス画面で見る分には茶色地にスピ色ラインかな。
204名無しさん@初回限定:04/11/06 18:14:55 ID:6gyzZ6B7
うわ、被った orz
しかも…
たしかに、稲妻部隊は一般兵より明るめの色合いな感じですね。
205138だったり169だったり:04/11/06 19:52:53 ID:yg7NY6IX
>>173 寸劇の人様
アドバイスありがとうございます。
勉強になります。参考としてがんばらせて頂きます。
にしても課題多いなぁ自分・・・

>>174 憂鬱の人様
まさか自分って潜在的イオ萌えなのか・・・?
自分実は普通のカキコは結構してます。
ナナルゥに『へたくそ』言わせたのも実は自分ですw
・・・ゴメンナサイ orz

>>175 信頼の人様
なんというか、眼から鱗です。
みんなそこまで考えて書いてるんだ・・・すげぇ
自分はなんとなく思い浮かんだ一場面を書くだけだからなぁ。
うし、がんばります。ありがとうございました。
206138だったり169だったり:04/11/06 19:55:36 ID:yg7NY6IX
>>177 髪結いの人様
ご感想ありがとうございます。
でもこれ以外何も考えてなかったり・・・orz

>>181 道行の人様
ありがとうございます〜。
多分誰もしてないと・・・むしろさせてないかも。

>>189
乙です。まさか過去の話からとは・・・
嬉しいお言葉です。
期待しております故がんばってください〜。


長&遅レス申し訳ないです。
それから、信頼の人様ア&セリア子供劇場お疲れ様〜。
ちっちゃいセリアかわいすぎ。
あとちっちゃいころとあんまり変わってないアセリアもw
207名無しさん@初回限定:04/11/06 20:49:21 ID:GS52XMYm
>>202-204
情報、ありがとうございます。
ぺそぺそ行ってみます。
208名無しさん@初回限定:04/11/06 21:07:59 ID:u5dUNzbL
>>200 憂鬱さん
 また感想レスで笑ってしまいましたw いけませんねとか常緑の樹とか何故そうスラリと出てきますか?
 妄想が二時間で書きあがるのは憂鬱さんはじめこのスレの方々が
 どんどん材料&小ネタを投下して下さるから♪ いつも感謝してます。
 ゴスロリってこういう格好だったと思ってたのですが……どこか違いましたでしょうか?

>>203 寸劇さん
 ハリオンにセリフを奪われるシアー…………
 「いぢめる?いぢめる?」(ウルウルウル)
 「コラ〜!シアーをいぢめるな〜っ!」(過去スレより抜粋)
 …………すみません、好きなんですこのやりとりw

>>205−206さん
 読んで頂いてありがとうございました。
 偉そうに書いてますがあくまで私の場合で、結局人それぞれだと思うんですよ。
 場面を投稿するのも立派に小ネタなのですから楽しいです。
 というか最近1レスで纏められるものが書けなくなってきた自分が問題かも(汗

そういえば発想力についてがまだでしたね。
ここはいつも奇抜&新鮮&大胆な展開でSSのみならず感想レスですら唸らせて下さる憂鬱さんにお任せしましょうw
 
209名無しさん@初回限定:04/11/06 21:21:35 ID:l0IACdGL
>>189
まずは進水式、おめでとうございます。
序章からいきなりコアラ様と時深が!?

貴方の中のイオはどんな女性なのでしょうか、楽しみにしています。

それにしても寸劇さんといい、信頼さんといい、
遠慮なくプレッシャーかけてくれるなあ。(←日ごろの行いのせいでは)


210名無しさん@初回限定:04/11/06 21:47:25 ID:rdWLoYM0
ふらりと現れ、ふらりと去る……それが私(;´Д`)
おかげで皆さんが話していることに全くついていけない罠

>>189
おー、初SSとな……
緊張なさらず気軽に投稿していけばいいと思いますよ
初SS、そして、投稿……私もかなり緊張しましたカラ
……いまだに投稿した後、スレ更新するのが怖かったりしますから
もしも、「カエレ」とかついてたらどうしようかと((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル

>>199
( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
ああん……セリア嬢、あなたはやはり私が想ったとおりの人ヨ
ていうかチンピラ!セリアに触れるな!穢れるだろー(*´Д`)
と、どうもセリア絡みとなるととことん壊れてしまいますのであります
ゴスロリ……セリア……百合……このアイディアもらったぁー!!
211名を名乗る程ではない189:04/11/06 22:10:38 ID:KhSkDqzv
>>206
正直WHITEなかったら書かなかったかも・・・
こちらこそ新たな道に踏みこむきっかけを感謝します。

>>209
名前出さなくてもバレバレなオバ・・・お姉さまがた。
別に隠してる訳じゃないので問題ないのですが。
取りあえず進水した直後に沈没とならないようにしたいものです。

>>210
レスが一個も付かなかったり、カエレとか言われたらどうしようかと
内心かなりビビッていました。正直少しホッとしました。
程よい感じでがんばります。

>>199
お疲れ様です。このシリーズのヒミカさんがなんかいい味だしていて好きです。
212名無しさん@初回限定:04/11/06 22:51:55 ID:Yq0skvOl
>>208
うーん、わたし的には
  ヘリオン「いぢめる?いぢめる?」
  シアー 「いぢめないよぉ〜」
  ニム  「いぢめてやるいぢめてやるぅ〜。アンタみたいにベソベソしてるヤツ見るとイライラすんのよっ」
  (略)
  シアー 「それじゃあヒミカさんに聞いてみよう」
  ヘリオン「そうですね、そうしませう」
  ニム  「アンタねぇ…いーかげんに何でもヒミカに聞くのやめなさいよね」
というイメージが…(w


>場面を投稿するのも立派に小ネタなのですから楽しいです。
あ、そうそう。今のままでもスレ的には充分OK。
純粋に、本人の意欲なり渇望次第で。
213名無しさん@初回限定:04/11/06 23:02:15 ID:5OXPjI4w
>>210 カエレ!
まったく、血を吐いて少しはおとなしくなったのかと思いきや
相も変わらずセリアセリアと...

でも、BR書き上げなきゃいけない大事な体なんだから
くれぐれも健康にはご注意を。

...ハッ!?いつの間にかツンデレ菌に喰われている!?

>>212
なぜか今、緑のアンテナが反応しますた。
214名無しさん@初回限定:04/11/07 00:55:58 ID:YAFmK4Nj
>189さん
初書きお疲れさまです。
「新たな道が発見されました」(エスペリア口調)と、続きが楽しみですよ。
タイトルに悩むのは私の場合もなのですが……タイトル案で何故それが出てきますかw
誰にでも応用の効くのをつけた自業自得なのですけれど。

>信頼の人さん
  彡//ノハハ〉∩
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!彡  ゴスロリ!ゴスロリ!
   <´ii ⊂彡
いつの間にやらアセリアに癒されている自分を感じます。

プロットと聞いてそう言えば、と「『失望』の道行」フォルダの中から数Kbのメモ書きを発掘しましたが……
>風呂 石鹸 泡まみれ ぬめぬめ
>首切りへリオン
コンナンプロットジャナイヨ……o...rz
215安息 Y−1:04/11/07 02:02:51 ID:I3opixYQ

ミエーユは乱戦だった。
この最も首都に近く、最も巨大なエーテル変換施設を持つ城には敵の最精鋭、『稲妻部隊』が詰めていた。
それでいてあっさり侵入出来たのは、敵の罠だったのだろう。
時間が無いことに焦っていた悠人はあっさりとこの罠に嵌ってしまった。
誘導される様に城の際奥、行き当たりの大広間に追い詰められたのだ。
大広間といっても巨大な空間である。侵入されればひとたまりも無い。三方から敵が同時に襲い掛かってくる。
正面はアセリア、右廊下に悠人、左廊下をハリオンとナナルゥが防ぎ、
分散してなんとか大広間の中に敵が雪崩こむのを防いでいた。

「まずいですね…………」
ハリオンは珍しく間延びしない口調で呟いていた。それほど余裕が無いという証拠だろう。
隣でナナルゥの『消沈』が光る。赤い光球が弾け飛び、敵の一部が燃え上がった。
炎の中から飛び掛ってきた黒スピリットを『大樹』ではじき、敵集団に向かってエレメンタルブラストを放つ。
ハリオンのエレメンタルブラストはエスペリアのそれのように敵を一掃させるという性質ではない。
敵の動きを一時無力化するという、本来青か黒スピリットと組んでその威力を発揮するものだ。
しかしこの状態ではそんな事も望めない。自ら斬りこんで数体傷つけ、またナナルゥの横に立った。

「…………ハリオン、あと何発撃てますか?」
「さぁ〜、一度くらいはなんとかなるかも〜。貴女はどうですか〜?」
「……イグニッションが一発。それが最大の神剣魔法ね。あとはファイアーボールで凌ぐしか…………っ!」

言いながらナナルゥは廊下の壁を駆け抜けてきた青スピリットに火球をぶつけて吹き飛ばしていた。
しかし明らかにその威力は落ちている。倒れたスピリットは衝撃で気絶しているだけだった。

「しかたありませんね……一旦後退してユートさまと合流しましょう。」
「わかりました〜。風よ〜、守りの力となれ〜」

唱えると同時に一斉に駆け出す。
雨の様に敵の光球が降り注ぐ中、ハリオンが展開したウインドウイスパに守られながら二人は必死に駆けた。
216安息 Y−2:04/11/07 02:07:35 ID:I3opixYQ

大広間の入り口をくぐったとたん、ハリオンの横を正面から何かが横切った。
ソレは物凄い勢いで今通ったばかりの入り口の横の壁に激突し、ぐしゃり、と嫌な音を立てる。
ぴぴっと頬に何か飛んでくる感覚。そっと拭った手が赤く染まった。
恐る恐る後ろを振り向く。辺りにぶちまけられている真紅。一部は既に金色のマナになって舞い始めていた。
そしてその巨大な花模様の中央。そこに、敵スピリット「だったモノ」がへばり付いていた。

「はぁぁぁぁぁっ!!!!」
広間に響き渡る叫び声でハリオンは我に返った。
見ると遠く広間の中央付近。距離にしてミートストラロスはあろうかというその先で、アセリアが暴れている。
気合と共に振るったアセリアの剣は膨大なマナの放出と共に敵を薙ぎ倒していた。
回転する『存在』が光り輝きながらアセリアを中心とした嵐を起こしている。
先程のスピリットがその嵐に巻き込まれた者だと悟ったハリオンは背に冷たい汗が流れるのを感じた。
(まさかあそこから吹き飛ばしたのですか…………)
神剣の支配に身を委ねるという事。その凄さはよく「知って」いた。
しかし自分が知っている「それ」とは明らかに違っている。
神剣の位の違い?それともこれがアセリアの本質なのだろうか?
呆然としていたハリオンをもう一度現実に戻したのは、すぐ隣から聞こえた悲鳴だった。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ナナルゥ?!」
「いやだぁーーー!!!!」
突然悲鳴をあげたナナルゥはそのまましゃがみこむ。両肩が激しく震えていた。
『消沈』を放り出して、身体を庇うように両手で抱き締めている。
驚いたハリオンは駆け寄ろうとして足を止めた。
そのまま入り口の方を見る。追いついてきた敵が二人に襲い掛かろうとしているところだった。

※注 ミートストらロス 500
217安息 Relative Topology−2:04/11/07 02:12:14 ID:I3opixYQ

いつの間にか包囲されている事に気付く。
灼けるように熱い肩は動かない。
なのに雨に打たれた体は悪寒を訴え。
醒めなければならない思考だけがせわしなく頭の中を巡る。

守るべきモノはたった一人。
倒すべきモノは…………あまり数えたくありませんね。たくさん。

我ながら無茶ですねと思うのと、草むらから飛び出た影に反撃したのは同時だった。
片腕だけで殴りつけたソレはやはり致命傷では無かったらしく、再び草むらで息を潜めつつこちらを窺っている。

囲まれた輪がじりじりと狭まる。
後ろにある大木を背にして防ごうかとも思ったが、ちょっと考えてやめた。
それではこの愚行の意味が無くなるから。

ホント、愚行ですね………………

大木の下から少し離れた。初めて試すのだから、巻き込まないよう。震えている彼女をチラッと見て、


 ――――――私は、ワタシとお別れした。
218安息 Y−3:04/11/07 02:16:38 ID:I3opixYQ

意志の無いアセリアの瞳。赤い血の色。燃え上がる炎。マナに還るスピリット。
それらを一度に目の前にした時、ナナルゥははっきりと恐怖を自覚した。
気が遠くなり、思わずうずくまる。いけない、敵中で…………
震える肩を抑えつけようとするが、収まるどころかそれは激しさを増していた。
放り投げた『消沈』の意識が流れ込む。戦え、戦え、戦え戦え戦え戦え戦え戦え…………
気が狂いそうだ。こんなにも神剣の声が気持ち悪く感じたことは無かった。
全身に悪寒が走る。ナナルゥは初めて自らの意志で、神剣を拒絶した。

「いやだぁーーーー!!!!」
搾り出すような悲鳴をあげたナナルゥの自我は『消沈』の支配を完全に抑えつけた。
同時に降り掛かる感情と記憶の奔流。崩れていく砂時計。
混乱と整合を繰り返すその中で、ナナルゥは一つの光景を思い出していた。
自分が「自分として」最後に見た光景を。
怯えていた女の子を。助けに来てくれた友達を。
…………守る為に神剣に差し出した、自分自身の姿を。

「あ…………あ………………」
次に訪れたのは自我を見失った後の光景。嵐が残していった爪痕の軌跡。
半ば支配されつつも、無意識に神剣の力を抑えていた自分。
そんな自分の側に常にいてくれた、一人の女の子。
訓練の時も、戦いの時も。
無反応だった自分に対して、いつもいつも微笑んでいてくれた。
長い間、何時も私がこれ以上自我を失わないようにと癒しの力を与えてくれていたではないか。

「あ…………あ…………あ………………」
記憶の収束と交わり溶けるように現実へと視力が戻ってくる。
目の前には傷だらけになりながら懸命にシールドハイロゥを展開しているハリオン。
その暖かな懐かしい緑色のヴェールを感じた時。ナナルゥの中で彼女と少女が完全に織り重なり、そして一つになった。
219安息 Proposition−3:04/11/07 02:21:03 ID:I3opixYQ

雨の中、周囲の気配が一瞬にして消える。
それは閃光と雷鳴の嵐の後。
自分にも、それが神剣魔法の中でも最大のモノだと判る。
そして、それがどれだけの負担をそのココロに与えるのか、も。
だから自分は今まで神剣を振るうのを嫌ってきたのだから。
自分が自身ではなくなる恐怖。それに打ち克つ程のココロが無かったから。

だから、判ってしまった。
この人は、守ってくれた。
その代償として失う「自身」を顧みもせず。
私のココロを守ってくれた。
たったそれだけの事が。
恐怖で身を竦ませていた自分には判らなかったのだ、ということが。


いつしか躯の震えは無くなり。
私はその人に駆け寄っていた。
傍らに投げ出していた神剣、『大樹』を手に取って。
220安息 Y−4:04/11/07 02:26:31 ID:I3opixYQ

一斉に飛び込んできたのがレッド・スピリットだけで助かった。
直接切りつけられていたら防ぎは間に合わなかっただろう。
それでも時間の問題には変わりないですけどね〜とハリオンはひとりごちる。
我ながらこんな時でも落ち着いていられる自分が可笑しくてつい微笑んでしまった。
それでも…………
傍らにうずくまるナナルゥをちらっと見つめる。以前の自分に被さるその小さな肩。
守ると決めていたから。あの日、守ってもらったその時から。たとえこの身に代えても。
この優しい少女を絶対に守ると決めていたから。

 ――――震えているのに包んであげられないのは少し残念ですけどね…………

遂に神剣魔法による攻撃を諦めたのか、ブルー・スピリット達が斬りこんで来るのが見えた。
一人や二人ではない。ああ、とても防げませんね……私が盾にならないと。
視界の端には異変を悟ったのか駆け込んでくる悠人の姿が見える。
あらあらだめですよ、ユートさま。そこからでは全然間に合いませんよ。

 ――――ナナルゥのこと、宜しくお願いしますね…………良い娘ですから…………

『大樹』を握る手に力が入らなくなってきた。
防ぎきれなかった最初の神剣魔法攻撃の時に受けた傷からマナがどんどん抜けていく。
弱ったシールドを易々と突破した敵が神剣を振りかぶったその時、ハリオンは振り返ってナナルゥをもう一度見た。
その瞳に優しい光が宿っているのを見て…………

ハリオンはちょっと驚き、次に微笑んだ。
221安息 Y−5:04/11/07 02:30:47 ID:I3opixYQ

向き直ったハリオンが迫る敵の神剣を体で受けようとしたその時。
疾風のように駆け込んできた誰かがその敵を一閃していた。
横から不意に襲われたブルースピリット達は悲鳴をあげる暇もなく壁に叩きつけられる。

「………………おや〜〜〜〜?」
「おやーじゃないでしょハリオン!ほらもう、しっかりしなさいっ!」
いきなりやってきた謎の助っ人は肩で息をしながらずんずんと近づいてきて胸倉を掴む。
そしてそのまま有無を言わさずいきなり平手打ちをお見舞いされた。
左右に揺れる視界の中、短く切りそろえた赤い髪が見える。よく見なくてもヒミカだった。

「あぅっ!あぅっ!あぅっっ!!ヒミカさん、痛いじゃないですか〜」
「うるさいわねっ!アンタ今までずっとアタシに黙ってた事あるでしょ!その罰よっ!」
「ええ〜…………ああ〜もしかしてずっと夕食にヒミカさんの嫌いなラナハナをこっそり混ぜていたことですかぁ?」
「アンタそんな事してたの……って違う!アタシ本当に怒ってるんだからね!!」
「う〜ん何のことでしょう…………あらあら〜?」

今度はいきなり抱き締められた。
ハリオンの豊満な胸に顔を埋めるヒミカは、しかも何故か泣いているようだ。
困ったハリオンはとりあえず慰めてみることにする。

「どうしたのですか〜ヒミカさん〜。どこか痛いのですか〜?」
「……ばかっ…………痛いわよ…………だから……もう、一人で痛がんないでよ……ハリオン……」
「………………はい〜?」
「ごめんねぇ……忘れてて、ホントごめんなさい……全部アンタに押し付けて…………」
「あ、あらららら〜…………」

とぼけた口調で誤魔化すつもりがうまく出来なかった。自分の目元にも涙が溢れてくるのを感じたから。
222安息 Y−6:04/11/07 02:36:05 ID:I3opixYQ

「あぶないぞっ!ヒミカ、ハリオンっ!!」

向こうから駆けて来る悠人の叫び声が二人を現実に戻した。
悠人の必死の叫びに反応した二人は、しかし敵の位置を咄嗟に把握する事が出来なかった。
ヒミカとハリオンからは死界になった所。そこに敵の残りの全兵力が集まり、一斉に神剣魔法を詠唱していたのだ。
敵中での一瞬の油断。スピリット同士の戦いではそれは致命傷に値する。辺りに閃光が広がった。

ガズゥゥゥゥン…………

雷鳴が辺りに轟く。
思わず目を閉じたヒミカは、しかしいつまでもこない衝撃に恐る恐る目を開けた。
もうもうと煙を上げる入り口付近に目を凝らす。辺りには死体の山が出来ていた。
最後の攻撃を仕掛けようとしていた敵は、逆に桁違いの雷撃で一気に炭化してしまっていたのである。
見覚えのあるこの光景。
こんな神剣魔法を使えるのは……ううん、「使えた」のは…………

「アポカリプスU…………」

ハリオンの呟きが自分の思いに重なる。
まさか、と思いつつゆっくりと振り返る。そこに、懐かしいスフィアハイロゥが輝いていた。

「ハリオン、ヒミカ、大丈夫ですか?」

いつもと同じ口調。いつもと同じ態度。
しかし、今までとは全然違うところがあった。
こちらを窺うナナルゥの表情は、柔らかく微笑んでいた。
本来の力を完全に引き出した、まだ赤く焼けている『消沈』を携えて。
223安息 Y−7:04/11/07 02:42:19 ID:I3opixYQ

「うわ〜〜〜〜ん!!!」
「キャッ!ちょ、ちょっとハリオン…………」

ナナルゥの瞳に強い意志の光が宿っているのはすぐに判った。
あの日以来、何時も見ていたから。あの日以来、何時も待ち望んでいたから。
自分では何も出来なくて。それでも側に居続けて。…………ずっと待ち続けていたから。
だからもう、自分を抑えることなど出来なかった。目の前に、ずっと失ったままだった恩人が微笑んでいるのだから。
今度こそ涙を堪え切れなくなったハリオンは、泣きじゃくりながらナナルゥの胸に飛び込んでいた。

「…………よかったぁ〜……よかったですよぉ〜…………ナナルゥ〜………………」
「ハリオン…………今までその……ありがと……ごめん…………」
「そんなことぉ〜……わたしこそぉ〜…………」
涙と血でぐしゃぐしゃになったハリオンの語尾は掠れていてもうよく聞こえなかった。
いきなり抱きつかれて真っ赤になったナナルゥは、それでもずっとそのままでいた。

少し離れた所でヒミカが浮かんだ涙をそっと拭っている。
やっと駆けつけた悠人がその肩を静かに叩いた。
不思議そうに、抱き合う二人を見つめながら。

「ユートさま…………」
「大丈夫かみんな……っていうか、ヒミカ、なんでここに……?」
「なんとなく、です。ユートさま、友達がピンチの時は助けるのが当たり前じゃないですか♪」
ヒミカは笑顔で即答した。向こうでうんうんとナナルゥが頷いている。
首を傾げながら、悠人はそれでも二人の笑顔がとても眩しいものに思えた。
224安息 Y−8:04/11/07 02:47:19 ID:I3opixYQ

興奮から醒めたハリオンとナナルゥは、結局普段通りの態度に戻った。
大体の話をヒミカから聞いた悠人はそれでもナナルゥやハリオンの変わりように最初は戸惑っていた。
以前とは比べ物にならない位親密なやり取りを繰り広げる三人に苦笑しながら城の門を押し開く。

ここまでくればもうマロリガン城は目と鼻の先である。
その巨大な城は、ここからでも一望出来る程のものだ。そしてその城を中心に黒々とした雲が渦を巻いている。
マロリガン中のマナが城に流れ込んでいるのだ。それは、『マナ暴走』が近い事を意味していた。
「急がないとな…………」
ふいに、横にいたアセリアがピクリ、と立ち止まった。

「…………どうした?アセリア。」
答えが返ってこないのを承知の上で話しかける。
アセリアは一瞬こちらを見た後、マロリガンの方へ駆け出していた。
「お、おい、アセリア!」
慌てて全力で追いかける。幾つか砂の山を越えた時、アセリアが立ち止まった。
追いついて息を整えた悠人は、文句を言おうとして前方から目を離せなくなった。


道の先に、人影が見えた。
ゆっくりと立ち上がるその男は、悠人が良く知っている人物だった。

「よっ、悠人。遅かったな。」

光陰は、朝の挨拶でもするような軽い口調でそう告げた。
225安息 Y あとがき:04/11/07 02:50:31 ID:I3opixYQ
○ミートストラロス
×ミートストらロス またやった……orz


過去に心を助けられたハリオン、守る為に心を代償にしたナナルゥ、心を助けられなかったヒミカ。
それぞれに乗り越えたり耐えたり時には逃げたりして今に至る経緯。
安息のテーマを完成させようとした時、一番書きたくて一番難しかった場面でした。
元々覚悟はしていたのですがハリオンの心情が上手く書けなくて四苦八苦した憶えがあります。

読んで頂いた方、有難うございました。
誤字脱字某マジック等ご指摘があれば幸いです。


>>210 風変わりさん
 許可頂いたので書いてみましたw 楽しんで頂けたようでよかったですw

>>211 名を名乗る程ではない189さん
 ヒミカさんのキャラ設定はある人のお陰であまり考えなくて済むので楽です、ココだけの話w
 @190として。なるほどかすみそうですか……後ろだけググったら虫とか出てきて混乱したんです。
 学名だったんですね、盲点でしたw エターナルまで書くのは大変だと思いますが、頑張ってください。

>>212 寸劇さん
 ヒミカ「そうね、じゃあ今回はニムに頼もうかな」
 ファーレーン「こら〜、ニムをいぢめるな〜」  ……以下繰り返しw

>>214 道行さん
 良かったらヘリオンにも着せてあげて下さい<ゴスロリw
 というか「首切りヘリオン」が凄く気になります…………
226名無しさん@初回限定:04/11/07 10:40:46 ID:Klw0hzOZ
え〜〜っ!!!

なになに、アレがハリオンでコレがナナルゥだったという事は...
ソレは...ファーレーンいや違うセリアでもない...
ハッ!?まさかコアラ様?(←完全に混乱してるし)

だめだ最初から読み直そう...

あ、GJでした。序盤のハリオンとナナルゥの会話、
緊迫した場面にも関わらず、何となくヨフアルの屋台の前で
お互いの財布をのぞきっこしてるシーンを妄想してしまいました。

...やっぱりコワれてますか、私?
227名無しさん@初回限定:04/11/07 12:00:56 ID:pBbVIr4L
憂鬱さん、感想有難うございます。
ファー&セリア嬢は出てきませんよw
読み直す方が続出してる予感……連載形式がやっぱり問題だったのか単なる力量不足なのか(汗

「まずいですね……」
「ハリオン、あと何個食べられますか?」
「さぁ〜、一個くらいならなんとかなんとか〜。貴女はどうですか〜?」
「……クリーム味が一個。それが最大の妥協ね。あとは魚の餌にして凌ぐしか……」
「姉ちゃんたち、そういう会話は店の前でやらないでくれるかな#」
親父の声と同時に駆け出す。雨のように罵声が降り注ぐ中、二人は必死に駆けた。

……_| ̄|○
228名無しさん@初回限定:04/11/07 13:54:46 ID:ILRPMrOR
set of "proposition","finite intersection property","relative topology" を crollary-A 、set of "lemma","diagonal elements" を crollary-B とそれぞれdefineすると
corollary-A と corollary-B は 互いに疎。ここで corollary-B はequationを立てられる段階ではないからhypothesis留まり。
therefore, ここでanalyzeすべきはcorollary-A. "proposition"と"finite intersection property"に於いてはviewpointがindefiniteだから
……ハッ  読み返してます、読み返してます、えぇ(汗
229名無しさん@初回限定:04/11/07 15:06:48 ID:vlewxFRK
ヒミカさん三連打ですか。
「へっ啼け、喚け。アンタはアタシから離れられないんだからな」
「あぅっ、私は薄幸のおんな〜ふくよかさと幸せは反比例なんですよ〜 よ よ よ」
こっそりヒミカの食事に遅効性の貧胸薬を盛ったり。

あーやっと誰が誰だか分かりましたよ多分(汗)しかしやはり読み返すとしましょうか。でも何年前の話なのだらう。
ユートもアセリアもそっちのけで、ちょいと感動。
笑顔の影、蝕まれた心、消去された記憶。覆水盆に返るどころか溢れそうな想いです。全てが元に戻った姦し三
人娘の怒濤の侵攻の前にはコウインのオーラも破れ障子程度でしょうか。

>ア&セリア子供劇場III
IIIって……(汗) Limited skill扱いでIIは上書き奨励(汗) 
セリアたんの金色の聖す、いや金色のマナに癒されました方は多いことでしょう。
何気なくエスが黒々としてるのはきっと気のせい。二着持ってるのは一体……次に受け継ぐのはやはりネリシアかな?
画像板のぷりきゅあのような。
こうしてセリアの人を寄せ付けない人格が形成されていったのですね〜。悪漢の方々GJ!wアセリアはもうちょっと電柱の
影で隠れててっ。

このスレも妖精趣味の巣窟ですからいけませんね。
「デレデレですか?」は「NO!NO!NO!」の方が良かったかもしれぬ >179

>214
隊長の寵愛を一身に受け、隊の副長総長参謀と要職を独占。
隊中法度を振りかざし、翻るは二条の黒髪。
隊長との愛の巣生活守るため、切って見せます不埒な敵スピ。
でも隊内粛正の方が多いのは秘密ですよ?

>189
おおぅっ大作のよかーん。イオガンガレ、アシュギスが出てくるとは新鮮です。目覚めたイオたん (( ;゚Д゚)))マ マサカ
187でしゃべってるのは誰なんだろう?続き テクッテクッ。
230『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:09:40 ID:EOo1C0dV
帝国との交戦開始から数日が経過したある日。
ラキオス軍は未だリレルラエルを攻略出来ずにいた。
帝国国境の大城壁秩序の壁の堅牢さと
配備された帝国スピリットの予想外の強さ故だった。
「そういえばヨーティアが言ってたな、強化された帝国のスピリットは
エトランジェでも簡単には倒せないって・・・」
最初にケムセラウトに部隊を送ってきたあとは帝国側には大きな動きは無い。
「向こうから攻めて来ればやりようもあるんだけどな。」
「ま、あれだけ立派な城壁があるんだ、敵さんも馬鹿正直に突っ込んでくる訳は
ないよな。」
光陰は気楽な口調で答える。
「焦ってもいいことはないぜ、悠人。」
「・・・わかってるさ。」
佳織のことは気になるが、光陰の言う通り焦ってもしかたがない。
ケムセラウトに今日子やエスペリアら数人を残し悠人たちはラキオスにひとまず
帰還した。
231『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:10:58 ID:EOo1C0dV
「さて、せっかくラキオスに帰ってきたんだし皆と友好を深めないとな!
主にヘリオンちゃんとか!」
「お前は・・・まだレスティーナに報告もしてないだろう?」
「まかせろ。報告ならクォーリンにまかせてある。」
「な!いつの間に!?っていうか、職権乱用じゃないのか、それ?」
「まぁ固いこと言うなよ。今日子がいないなんて滅多にないんだからな。」
スキップしつつ第二詰め所にむかう光陰。
色々言いたいことはあるが、光陰を野放しにする訳にもいかず
後を追う悠人であった。
「とりあえず今日子には後で報告だな・・・」
232『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:11:44 ID:EOo1C0dV
第二詰め所に入った二人は倒れているネリーとシアーを発見した。
「な!どうしたんだ、ネリー!シアー!」
あわてて駆け寄る悠人と光陰。
「人口呼吸か?そうか!そうなんだな!!よ、よし!!!」
「意識の確認もせずに暴走するなエロ坊主。」
「・・・ユ・・ユートさま・・?」
「・・さま・・・?」
二人が弱々しく返事をする。
「どうした?調子が悪いのか?まさか敵襲?」
「な、それはいかん!どこを怪我したんだ?すぐに手当てしないと!」
いきなり、服を脱がそうとする光陰。
「オーラフォトンノヴァ・・・」
ズガシャァァァァァァァァァン!!!
「へぶしっ!」
光陰が開けっ放しのドアをぬけて遥か彼方に飛んでいく。
「で、どうしたんだ?」
光陰のことは0.2秒で忘れて再び問い直す。
「・・お・・・」
「お・・・?」
「おなかすいた・・・」
「・・すいた・・・」
「は・・・?」
233『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:12:45 ID:EOo1C0dV
とりあえずヨフアルを買ってきて食べさせる。
「で、なんでそんなに腹減ってんだ?ハリオンはどうしたんだ?」
ヨフアルで息を吹き返した二人に尋ねる。
ヨフアルを頬張りつつネリーがテーブルの上の紙をさす。
「なになに・・・って俺読めないんですけど。」
ハリオンの字らしいことはわかったが内容まではわからない。
「ふむ、なになに・・・」
後ろから光陰が覗き込む。
「ん?なんだ、生きてたのか?丈夫だな。」
「ふっ、今日子のサンダーストームに比べれば大したことはないぜ。」
サムズアップしつつ爽やかな笑顔をうかべる光陰。
「・・・で、なんて書いてあるんだ?」
234『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:14:36 ID:EOo1C0dV
「なにやらですねーミネアにあるお菓子屋さんでー
新しいお菓子が発売されるそーなんですよー
気になりますから偵察に行ってきますねー
ユート様にはー秘密ですよー喋ったらーめっ、ですよー
                             ハリオン」
「・・・・・」
「・・・・・」
「もぐもぐ」
「もぐもぐ」
あまりの内容に言葉を失う悠人と光陰。
「・・・じゃあさ、他のやつらは?」
「もぐもぐ・・・ラシード山道の龍の噂を調査に今朝でかけたよー。
今日中には報告に戻るって言ってたけどー。」
「けどー。」
235『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:17:23 ID:EOo1C0dV
「そうか、つまり料理をする人間がいなかったと・・・」
「うん、朝も昼も食べてないよー」
「ないよー」
「ねー、ユートさま。夕飯どうするの?」
「するの?」
「しかたないな、俺が作るか。外食は高くつくしな。」
「えー、ユートさま料理できるのー?」
「できるの?」
「まあ、簡単なものならな。光陰も手伝えよ、帰ってくる皆の分も作るとなると
独りじゃ大変だからな。」
「たまには料理もいいかもな。よし、ハイペリア風料理をネリーちゃんたちに
食べさせてやるぜ!」
「やったー。楽しみだね、シアー。」
「・・うん。」

236『ユート様、料理をする』の巻:04/11/07 15:18:49 ID:EOo1C0dV
天井裏ーーー
「・・・・・・ユート様の手料理・・・・」
「・・・ヒミカたちにも教えないと・・・・」

後編に続く
237名無しさん@初回限定:04/11/07 15:19:10 ID:qxgVhJrV
初リアルタイム遭遇支援
238237:04/11/07 15:23:14 ID:qxgVhJrV
支援が支援になりきれてないって所が俺らしいな(遠い目
239名を名乗る程ではない189:04/11/07 15:32:48 ID:EOo1C0dV
気晴らしで書いたら長くなりすぎた・・・
そんなわけで『ユート様、料理をする』前編ってことで。

>>234のハリオンの手紙の4行目のラスト
「喋ったらー、めっですよー」にしないと読みにくいですね。
他にも誤字とかあったらごめんなさい。
あとナナルゥ忍者ネタ使ってしまいました。
このスレみてて刷り込まれてしまった・・・

バイト行かなきゃー、ゾイドが待っているぜー
240名を名乗る程ではない189:04/11/07 15:35:07 ID:EOo1C0dV
うあっ、更新したら支援されてたよー
>>237さんサンクス
241名無しさん@初回限定:04/11/07 15:49:54 ID:pBbVIr4L
>>228 寸劇さん

うぁ、作者より深く考え込んじゃっている人がいる(汗
一瞬違うスレかと思ったじゃないですかw
少しお付き合いしますと、A∪Bがφなのはまだ境界条件が曖昧だからです。
また、∀a∈Aは同一事象を観測したelementとしての次元はイーコールですが、
propositionとrelative topologyの方がやや相対です。dim“p”=-dim“r”≒dim“f”という感じでしょうか?
もっともこれもそれぞれがφじゃなければと仮定しての話なのですが。
ぶっちゃけハリオンが抱えた命題、同様のナナルゥ視点、
それらの交差かつ収束を観測する為のちょっと離れたヒミカ視点。
タイトルの由来はそんなトコです。…………いいのかなぁこんな解説して。微妙にスレ違いな気が(汗
242名無しさん@初回限定:04/11/07 17:06:51 ID:TZYWfT1h
>>239
ハリオンの〜、置き手紙がぁ、いい感じです〜。
でもぉ、国境にあるのは〜、法皇の壁です〜。
間違えたら、めっめっ、ですよ〜。

ま、サルヴェージでもラースがラキオス南「東」にあったりする罠。

投下して 読んで気が付く 誤字脱字
                        信・憂
243名無しさん@初回限定:04/11/07 18:48:35 ID:pBbVIr4L
更新したらSSが……
>>229 髪結いさん
 あ、判ってくれた人が居た。時間はヨト歴327位と設定してます。
 ソーマがラキオスから逃亡してサーギオスで暗躍し始めた頃ですね。
 
>>239 名を名乗る程ではない189さん
 天井裏のナナルゥが糸を垂らして料理を……なんて想像しましたw

>>242 憂鬱さん
 うう、さらりと身につまされる一句……署名が俳号に見える……(涙
244名無しさん@初回限定:04/11/07 20:26:35 ID:9qZRpTVG
各位自己主張したいならとっととコテにして欲しいと思う。
245名無しさん@初回限定:04/11/07 20:32:12 ID:uFttlE3a
悠人って元の世界の境遇考えれば普通に料理できそうだなあ……
光陰はメチャいい加減になりそうなヨカン。
246名無しさん@初回限定:04/11/07 22:12:32 ID:01A2FFFm
>>245
学園に通ってるころ、今日子の弁当を光陰が作ってるという記述がなかったっけ?
247名を名乗る程ではない189:04/11/07 23:07:43 ID:EOo1C0dV
>>242
マジだ!壁の名が違う・・・気付かなかった・・・
おかしいな、何回か読み直したのに・・・

>>243
イオの話の方では面白ナナルゥに出番はなさそうなのでこちらで。
なぜ普通に登場しない、ナナルゥ?
248名無しさん@初回限定:04/11/08 07:50:52 ID:hptFfzq2
>>241
どうも。重要な物証が出たんで捜査の検証をしてきました。(#)メロンパンウマー
おかげさまで系Aについてはインテグラルを迎える心の準備はできました。
いや、しっかし、ひたすらのん気なお姉さん(気分)でしか書いてなかった者としては
頭が下がる思いです。GreatJob!

>>239
ハリオンの手紙を情感たっぷりに朗読する光陰…ワラタ

>>242
署名に 寸 も足しておいてくだせぃ orz
249名無しさん@初回限定:04/11/08 10:23:16 ID:3sskDgsr
>239
ハリオン姉さん遠すぎます。ミネアって旧イースペリア領なんですけどw
置き手紙に添えて、おにぎりでも握ってくれれば……天井裏の人が食べましたか。
まぁしかしラキオススピリット隊の最大の欠点は、賄い方を考えて部隊運用せな
ならん所ですな。年少組を集めて料理教室せんと。

できる人はエスペリア・ハリオン・セリア・ファーレーン・ヒミカ・オルファか。6/12。
問題なさそうな気もします。
250名無しさん@初回限定:04/11/08 12:22:28 ID:4DEoGfS7
ヒミカはねぇ、豪快な料理をしてそうですね。仔牛丸焼き、みたいなw
意外とセリアが上手っぽい。

「おお、ラナハナが☆の形に切ってある!こっちはタコさんウィンナー?
今日の当番は...って、セリア!?」

「なによ、何か文句あるの?」

「いやぁ、人はみかk」ズドカボキグシャ
251名無しさん@初回限定:04/11/08 17:03:47 ID:CU9pEPrN
ヒミカはケーキを美味しく焼けるくらい料理上手なはず…
赤スピだから火の扱いはお手のものだし
 
「はい炒飯お待ちっ!麻婆豆腐はすぐにでるからねっ!」
「追加オーダーきましたよ〜」
「どんどん持ってきてもいいわよっ!はい、回鍋肉できたわ!」
 
いや彼女には中華料理人が似合いそうで。
つかチャイナドレスのハリオンを想像して萌え
252名無しさん@初回限定:04/11/08 17:05:37 ID:CU9pEPrN
そいえば最近初めてファーレーンの素顔見た…
萌えたよ…真っ白にな…
253名無しさん@初回限定:04/11/08 21:22:57 ID:82xRe2+D
前スレまだ残ってたので弁当小ネタ振ってみました。
埋めという事でよかったら参加宜しくお願いします。>諸氏
254名無しさん@初回限定:04/11/08 22:06:46 ID:3sskDgsr
>252
お姉ちゃんの素顔をみたヤツは生かしておけない……お姉ちゃんのお腹に燃える
まっ黒な炎……ユートの耳に入ったら、片付くものも片付かなくなるもの。

まったく面倒くさい。252に怨みはないけど……
255名無しさん@初回限定:04/11/09 09:28:00 ID:EBdAiNjw
>>239
く、なんということだ・・・
こういう展開大好きだw
ところで忍者モードのナナルゥはずっと天井裏で監視してたんだろうか。
256名無しさん@初回限定:04/11/09 19:25:18 ID:0sNQNXx1
ナナルゥは優しい女の子ですから...
ネリシアが飢え死にしないようにずっと見守っていたんでしょう。
257名無しさん@初回限定:04/11/09 19:35:36 ID:UWhRzGd1
ナナルゥは飢えなかったのでしょうかw
258名無しさん@初回限定:04/11/09 22:12:46 ID:ZPzHQ26I
忍者ですから
259名無しさん@初回限定:04/11/09 22:14:16 ID:E3feeM8U
多分持ってたんでしょう、兵糧丸。
世を忍ぶ女の子ですから...
260名無しさん@初回限定:04/11/09 22:16:48 ID:E3feeM8U
おっと、かぶった、スマソ。
261名無しさん@初回限定:04/11/09 22:44:56 ID:Rz3VP/wm
飢渇丸と水渇丸
262名無しさん@初回限定:04/11/10 00:26:26 ID:stwT34BP
PS2版発売で、アセリアのガチャポンフィギュア出ないかなー。雑魚スピは入らなさそうだけどな〜。

263名無しさん@初回限定:04/11/10 01:45:20 ID:DqEaFqHu
ラインナップを妄想してみる。
アセリア、エスペリア、オルファ、ウルカ、レスティーナの攻略対象ヒロインは
当然として、6種類入れるとしたら今日子かな。立体映えするし。


お約束のシークレットはもちろん時深おb
264名無しさん@初回限定:04/11/10 03:27:45 ID:G6VxkI2i
265名無しさん@初回限定:04/11/10 03:29:34 ID:ppG8xYV+
ナポリたんは立体映えするぞ
266名無しさん@初回限定:04/11/10 10:59:39 ID:D/qkf/zH
>>263
シークレットは雑魚スピですよ。それでこのスレの住人を釣ると・・・
「ヘリオンがでない・・・・くっ、またおばさんかよ!5個もいらねーよ!
誰かタイムシフトしてくれ!」
全国で雑魚スピファンの叫びが・・・
267180:04/11/10 13:35:02 ID:CRdpDv9A
>ナポリたんは立体映えするぞ
作ってかぶってみる?基本的な裁縫レベルでも簡単に出来そう。

>求め萌え
一番初めに求めを見たのは、友人宅にて(ちょうど、折られる場面)
で、友人の簡単な解説を聞いて、「漢らしい」と思ったんですよ。
それ以来、神剣の中では、求めが一番に。

簡単にランク付けすると…
ヘリオン>求め≧その他
と、いった感じですね。

遅レススマソ
268SALVAGE 163/178:04/11/10 16:35:32 ID:5oNYZ0Na
戦争の勝利に沸くラキオスに悠人達が戻ったのは翌日の事であった。
悠人の記憶は奇妙な事に曖昧模糊としていた。瞬を斬ったところまでは憶えていたが、
その後どうなったのかがはっきりしない。
ただ、その手元にはともに戦ってきた神剣の欠片が残っているのみであった。
「勝った―――のかな、俺達。」佳織は無事にラキオスに戻って来ていた。
レスティーナ達もソーン・リーム自治区を除く大陸統一の事後処理に奔走している。

「――これで、きっと自由になれるよな。」悠人はこれまでともに戦ってきたスピリット達を想った。
当然いきなり好きにしろ、と言われて戸惑うスピリット達も多いとは思われるが、
必ずそれぞれが自分の進むべき道を見付けてくれることだろう。
「スピリットも人間も違いはない、か。」悠人はつぶやいた。

「―――悠人さん。」ノックとともに時深が入室した。
「あ...どうも。」悠人は、なんとはなしに頭を下げた。

269SALVAGE 164/178:04/11/10 16:37:38 ID:5oNYZ0Na
「この世界にあなた方を送り込んだのは私です。――特に、あなたには謝っても謝り切れません。」
時深はそう言うと、深々と頭を下げた。
「――そうか。」悠人は低い声で返事をした。
確かに考えてみれば自分は時深の身勝手な戦略に巻き込まれただけなのかも知れないが、
時深を憎む気持ちは全くと言っていいほど、湧いてはこなかった。
「私がこの神剣、『時詠』の力でもう一度門を開きます。
それであなたと佳織さんを元の世界に戻すことが出来ます。」時深は淡々と説明した。
悠人は何か釈然としないものを感じながらも頷いた。
「戦いの無くなった世界で、神剣も持ってない俺が居残る必要もないしな...。」
あれほど切望していた帰還ではあったが、悠人は別の事を考えていた。
果たして、自分がいなくなってもナナルゥは今のナナルゥのままでいてくれるだろうか。

「ま、大丈夫だよな。」悠人は自分に言い聞かせた。今のナナルゥにはヒミカやハリオン、
セリア達多くの「友達」がいる。元の世界に帰ることが出来るなど思いもしなかった時には、
悠人はいっそナナルゥとこの世界で一緒に暮らそうか、とさえ考えていた。
だが、それも独りよがりな考えだったのかも知れなかった。
270名無しさん@初回限定:04/11/10 17:16:36 ID:6Hc+g/HS
支援しときます
271名無しさん@初回限定:04/11/10 18:40:07 ID:lqdqgR3C
何かアクシデントですかね?>さるべーじ

>>266
想定されるヤフオク相場。
 メイン組:至って普通
激レアとしてのサブスピコンビもの:
 ネリシアコンビ:2200〜2500
 ハリオン&ヒミカ:1900〜2200
 ファー&ニム:2800〜3500
 セリア&ニム:2400〜2800
 ヒミカ&ナナルゥ:1800〜2000

 ヘリオン&イオ(全国10体限定):48000〜60000
なお、レアのサブスピ個別は1000程度。

…こんなこと考えたヤフオクに毒された漏れ逝ってよし。orz
272名無しさん@初回限定:04/11/10 20:04:56 ID:w8PHNZzF
どうやらアク禁に巻き込まれたようです>SALVAGE
そろそろだとヤマ張ってたのに…………orz
273憂鬱の人:04/11/10 21:43:16 ID:HFUsivWt
信頼さん、伝言ありがとうございました。
では、何事もなかったかのように、再開します。
274SALVAGE 165/178:04/11/10 21:45:46 ID:HFUsivWt
「この世界の皆さんには私から伝えてあります。多分、今夜あたり盛大にお別れパーティーが開かれるでしょう。」
時深がまるで悠人の心を見透かしたかのように言った。
「――そうだな、最後に大騒ぎするかな。」
悠人は苦笑した。光陰からスピリット達の酒グセが最悪だ、と報告を受けていたのだ。

時深と入れ替わるようにヒミカが入室して来た。
「ユート様、本当にお疲れ様でした。」ヒミカは微笑を浮かべながら悠人に言葉を掛けた。
「なに、俺だけじゃない。ヒミカ達だってずいぶん疲れただろ。俺の事は気にしないでゆっくり休養しろよ。
もう訓練サボったってそんなに文句も言われないよ、きっと。」
「――はい、ありがとうございます。」
「――あのさ、ヒミカ。」悠人は立ち上がった。
「ホント、ヒミカには世話になったよ。俺の事といい、ナナルゥの事といい、...ありがとうな。」
悠人はこの実直な少女に心から礼を言った。残念ながら、言葉以外のお礼の方法は思いつかなかったのだ。
「もうちょっと、マシなお返しが出来ればいいんだけど...。」

立ち去りかけたヒミカが、ふとその足を止める。
275SALVAGE 166/178:04/11/10 21:51:09 ID:HFUsivWt
「ユート様―――。」
「なんだ、どうかしたか?」悠人は立ち止まったヒミカの背中に尋ねた。
「ひとつだけ、私のわがままを、聞いて頂けないでしょうか。」ヒミカが振り返った。
「そりゃ、俺に出来る事なら...」言いかけて、悠人は言葉を切った。ヒミカの様子がいつもと違う。

「私は...」ヒミカが頭を下げた姿勢で話し始める。その声が、湿りはじめていた。
「私は、ユート様に、帰って欲しく、ありません。」
「ヒミカ―――?」悠人は言葉を無くした。自分にこの世界で生きろと言うのだろうか、ヒミカにしては、
確かにそれはわがままな願いであった。
「でも、もう神剣もなくなったし、それに、――佳織をいつまでもこの世界に置いとくわけにも...」
悠人はヒミカの震える肩から視線をそらしながら答えた。
「も、申し訳ありません、――忘れてください!」ヒミカが踵を返し、口を押さえながら背を向けた時、
雪崩のようにスピリット達が入って来た。
「パパ、いなくなっちゃうって本当?」すでにその瞳に涙をいっぱいに浮かべているオルファが
しがみついた。ネリーとシアーが悠人の両腕を抱え込む。
「ネリー達がわがままばっかり言うから、怒って帰っちゃうの、ユート様!?」
「シアーが家来になってあげるからぁ!!それならいいでしょ、ね?」
「わ、わたしもっ、強くなったところをまだユート様にお見せ出来ていません!」
「お願いです、このままここに残ってください!」ヘリオンが、ファーレーンが、次々に懇願し始める。
276SALVAGE 167/178:04/11/10 21:54:22 ID:HFUsivWt
「お、おい...」悠人はそれ以上喋る事が出来なかった。これ以上何か言えば涙がこぼれそうだった。
「やめなさいよ、あんた達!」幼いスピリット達を黙って見ていたセリアが、怒鳴った。
「そんなんじゃ...ユート様だって安心して帰れないじゃないの!」
拳を強く握りしめるセリアの声もまた、震えていた。
「セリアの言う通りです...。」セリアの横で、ナナルゥがうつむいて、絞り出すような声で、言った。

「あなたは――それでいいの?」ヒミカがナナルゥに詰め寄る。
「仕方...ありませんから。だってユート様は、もともとこの世界の...」
「馬鹿っ!!」パアン、と乾いた音をたててヒミカの平手がナナルゥの頬に飛んだ。
「ちょ、ちょっと...」驚いたセリアがオロオロしながらヒミカに言う。
だが、ナナルゥは、表情も変えずに、目を伏せたままであった。
「あなたがそんな事でどうするのよ、ナナルゥ!どうして素直に残ってくれって言わないの!?」
ヒミカが流れる涙も気にせずにナナルゥを叱りつけた。そのヒミカの言葉が、悠人の心にも突き刺さった。
「ヒミカ、俺は―――。」悠人が言いかけた、――その時。

「...お兄ちゃん。」いつの間に入って来ていたのか、佳織が悠人に呼びかけた。
「私の事は心配しなくていいよ。お兄ちゃんはどうするか、自分で決めて。」
「佳織...。」悠人はその少女の澄んだ目を見つめた。それは、もう弱々しい妹の目ではなかった。
力強く、自分の力で歩き始めた一人の人間のものであった。
277SALVAGE 168/178:04/11/10 21:56:54 ID:HFUsivWt
「そうよ、自分がどうするか、どうしたいのか、そのくらいは自分で考えなさい、悠。」
佳織とともに入室してきた今日子達が悠人を諭す。
「まったく、お前らはそろいも揃ってお節介だな。悠人だって子供じゃないんだ、そうだろ?」

「――俺は、この世界に残るよ。」悠人は言った。
「佳織、すまない。でも、この世界に俺のいるべき場所がある気がするんだ。」
悠人は静かに佇むナナルゥに、視線を向けた。
「ユート様...。」ヒミカがほっとしたような声を出した。
「最後まで世話になりっぱなしだな。」悠人はヒミカに笑いかけた。
ナナルゥがヒミカに背中を押され、悠人に歩み寄る。
「またやるの、寸劇?」
セリアのあきれたような、それでいて安堵したような笑い声が、居合わせた者達の心に和らぎを与えた。
「ナナルゥっ!」
「ユートさまっ!」...ひしっ。
「おお!情熱的ー!」
「じ、実に天晴れです、ナナルゥ殿!」オルファとウルカが目を丸くして喜ぶ。
「...この空気で、やるか、普通?」光陰は呆れかえった。
「こ、今回は私のせいじゃないからね!」周囲のジト目に睨まれるヒミカが、涙を拭きながら反論した。

「ふふふ、ナナルゥさん、お兄ちゃんのこと、宜しくお願いします。何かと世話が焼ける人だけど。」
佳織の言葉に、悠人も苦笑するほかなかった。
278名無しさん@初回限定:04/11/10 21:57:51 ID:ppG8xYV+
SSがッ!終わるまでッ!援助をッ!!止めないッ!!!    メメタァ
279SALVAGE 169/178:04/11/10 22:00:36 ID:HFUsivWt
その時、悠人の持っていた「求め」の欠片が鋭い光を放った。
「く...!」悠人の頭の中のモヤが一気に晴れてゆく。

「そうだ...何も終わっちゃいない...瞬は...まだ...!」

「思い出してしまったようですね、悠人さん。」
いつの間にか広間に戻ってきた時深の沈んだ声が、響いた。

「じゃあ、やっぱり瞬は死んじゃいないってことかよ。」
「正確に言うと悠人さんが倒したのは、『誓い』の瞬です。今頃はもう他のエターナルとともに
ソーン・リームに集結している事でしょう。――『統べし聖剣シュン』として。」
二詰の広間で聞かされる時深の説明は、全てが信じ難い事であったが、デタラメとは思えなかった。

『この世界は支配されている。...神剣の意志、とでもいうものにな。』
悠人はクェド・ギンの言い遺した言葉を思い出していた。
「今、この世界にはロウエターナルと呼ばれる者達が続々と集結し始めています。
ただ、悠人さん、これまであなたが戦ってきた相手とは違って「上位神剣」と呼ばれる神剣を
それぞれが持っています。はっきり言って、神剣すら持たない今のあなたの力では
太刀打ち出来ない、という事です。」
時深はそう言って寂しげに微笑んだ。
280SALVAGE 170/178:04/11/10 22:03:05 ID:HFUsivWt
「そいつらに勝てるって保証は有るのか?」
悠人は不安気に尋ねた。「もし、―――負けたらどうなるんだ?」
「その時は―――。」時深は言葉を切り、取り囲むスピリット達を見回した。
「少し、外して頂けますか?」悠人はナナルゥだけを残し、全員に広間から出るように伝えた。
「この娘だけは、聞かせてやって欲しい。――この世界が、どうなるのかを。」

完全なる消滅、それが時深の答えだった。
「ロウエターナルたちの目的は神剣を元の姿、つまり第一位の神剣に戻すことです。」
時深たちカオスエターナルが、気の遠くなるような昔から戦い続けてきた
対抗戦力である、との事であった。

「ずいぶん回りくどい事をする連中なんだな。」悠人は溜息をついた。
「でも、それならカオス側も時深だけじゃないって事か?」
悠人の問いには答えず、時深はナナルゥを見やった。
「――いいよ、もう何聞いても驚かないから、全部話してくれ。」
「本来はあなたも、我々の一員になる予定だったのです。」
「俺が――!?」
「驚きましたか?」
「う...まあ、少しは...」悠人は一瞬言葉に詰まった。
「でも、それなら俺も一緒に戦うよ。わざわざぶっ壊すために
世界を作り出すなんて、ふざけた奴らなんだろ、そいつら。」
281SALVAGE 171/178:04/11/10 22:05:47 ID:HFUsivWt
「条件が...あります。」
「条件?」
「あなたの体を私に、―――この、いざないの巫女に捧げる事です。」
悠人は傍らの赤い妖精と顔を見合わせた。ナナルゥの紅い瞳が危険な光を放ち始める。

「うーん、まあ、しかし、この世界を救うためならしょうがないよなあ。」
思わず妖艶な巫女服姿に見とれる志の低い悠人であった。
「ユート様、よだれが出ていますが。何だか顔もニヤけてるし。」ナナルゥが横目で悠人を睨む。
「ちょ、ちょっと待っててくれないか、時深。少し部屋の外で、この娘と話してくるから。」
悠人はナナルゥの肩を押しながら退室した。やがて、時深の耳に妖精の火焔魔法の詠唱が聴こえて来た。

「待たせたな、時深!ナナルゥも快く納得してくれたよ!」勢いよく悠人がドアを開けて入って来た。
「そ...そうですか?とてもそんなふうに見えませんけど...」
時深がこんがりキツネ色に焼き上がった悠人の顔を見て、ひきつった笑いを浮かべる。
悠人のトレードマークであるハリガネ頭がすっかりアフロヘアーに変わっていた。
その後ろでナナルゥがぜえぜえと肩で息をしている。
282SALVAGE 172/178:04/11/10 22:08:09 ID:HFUsivWt
「いやいや、そんな事ないって。なんたって世界の一大事だからな。
この際、個人的な感情は後回しだ。」重々しく頷きながら悠人が言った。
「もう、知りませんっ!!」ナナルゥが捨てゼリフを残して走り去る。
「悪かったな、騒いじゃって。ちょっと感情的な娘でさあ。」
鼻の下を伸ばしながら悠人が愛想笑いを浮かべる。
「ふう。―――まあ、いいでしょう。では儀式を始めましょう。」時深が悠人の手を取った。
「――ちょっと待ってくれないか。」悠人がふと考えこんだ。

―――時深って、もう千年以上生きてるって事だよな。

「――どうしました?やっぱり、止めておきますか?」時深が挑発的な笑みを見せる。
「いいや、据え膳食わぬはなんとやらだ。でも、その前に...」
「あの...どこへ?」時深が部屋の外へ出て行こうとする悠人の背中に尋ねた。
「いや、確か光陰がセ●ロガン持ってた筈なんだよ。念のために―――ん、何だ、これ?」

悠人の前にひらりと紙切れで出来た人形が飛んで来た。
283名無しさん@初回限定:04/11/10 22:09:45 ID:7dOf7JiM
いいか、>>278、俺たちは『支援する』という言葉は使わない。
支援しようと思ったときには、既にカキコしているからだ!
『支援した』なら使っていい!!
284SALVAGE 173/178:04/11/10 22:12:40 ID:HFUsivWt
 " タイムアクセラレイト
     ´∴     #   __        ヽ)/゜ヾ´ ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∠´ ハ`ゝ ゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((  T T )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
             =―≡ ̄`:, | ,  | ( ̄=―≒‥,,
  "       ,゛"=―≡―=',/  ノ )∵`=≡―=
            ″( ゚ヮ゚∴/´/ / |  | , ゚ヮ゚ノ'ゞ    ∵゛、 ゜  ¨
  ヾ       =―≡ ̄`:゛/ / \|  |≡―=‥、,、   ヾ
      ,゛"=―≡―='(  |  (  |=―≡―∞=@   , 、∴
               /  |  |  |\ \  ´ ∴  ヾ             .
  ・            / / |  |   | ヽ/⌒〉
     .... .  ............ . .(_  「 _) (_〈_/....... .  .. .  .... . . .
285SALVAGE 174/178:04/11/10 22:13:41 ID:HFUsivWt
「か...体を捧げるって...こういう事...か...ッ!」
血煙を上げて悠人が崩れ落ちた。


「じゃあね、お兄ちゃん。」
佳織が時深の作り出した光の輪に包まれながら笑う。
「――お、おう、元気でな。」悠人の目に涙が浮かんだ。
「ナナルゥさんを泣かせたら、フルートでお兄ちゃんの頭蓋骨、カチ割りに来るからね。」
佳織は笑顔を見せながら言った。
「うん...うん...。」涙で声にならない悠人にかわって、今日子が答えた。
「大丈夫よ、佳織ちゃん、その時はあたしがこいつでヤキ入れてやるから。」
ハリセンをちらつかせる今日子もまた、光陰とともにこの世界に残り、戦う事を選んだのだ。
佳織の体が光に包まれ、徐々に悠人達の視界から消え去ってゆく。

―――私ね、元の世界に還ったらこの世界の事、小説に書くんだからね、しっかりしてよ、勇者さん。
涙にむせびながら見送る悠人に、佳織のそんな声が聴こえた気がした。
286SALVAGE 175/178:04/11/10 22:16:54 ID:HFUsivWt
その日の深夜、悠人はリュケイレムの森へと入りこんで行った。
暗い小径で、ふと足を止めた悠人が振り返って、言った。
「出て来いよ、いるんだろ?」悠人の声に、紅い髪の少女が大木の陰から姿を現した。

「あの...。」
「ナナルゥも聞いただろ、エターナルになったらみんなの記憶から消される、って。」
「――はい。でも、私もユート様と一緒に行きたいんです。」ナナルゥが顔を上げる。
「ナナルゥがそう決めたんならそれでいいよ。」悠人は赤い妖精に微笑みかけた。
「はい!」ナナルゥが顔を輝かせる。

「やはり...二人で来たのですね。」時深はすでに森の奥で「門」を開く準備をしていた。
「―――ああ。頼むよ。」
悠人はナナルゥの手を取って、時深が開いた「門」へと、吸い込まれるように入って行った。

「なんだか、すごい所に来ちゃったな。」二人は迷路のようなその道を、何日も歩き続けた。
「あ、あそこに...」ナナルゥが前方に突然現れた階段を指す。
「行ってみるか。」二人は再び進み始めた。
287名無しさん@初回限定:04/11/10 22:18:05 ID:Y2k7nUXY
ん、支援……した
288SALVAGE 176/178:04/11/10 22:19:01 ID:HFUsivWt
「ここは...!」階段を登った二人の前にまるで小宇宙のような空間が開けた。
悠人達の心の中に力強い神剣の声が響く。

――よく来たな、新たな契約者よ。我は第二位の神剣『聖賢』。知恵をつかさどる者だ。

「あんたが...俺に力を貸してくれるのか?」
――まずは訊いておこう。汝はなにゆえ我の力を求める?
「―――ロウの連中ってのは神剣を一つに戻そうとしてるんだろ。
あんたはそれでいいのか?」悠人は尋ね返した。
――フフフ。汝は生まれついてのカオス、ということか。
『聖賢』が愉快そうに笑った。
「カオスだとかロウだとか、俺にはよく分からない。俺は自由に生きたいだけだ。」
――よかろう、我が力、汝に貸し与えよう。しかし、傍に付き添う妖精よ、
そなたに見合う神剣は、ここには無いぞ。

その冷淡な言葉にナナルゥがうつむいた。
「待ってくれ。俺に力を貸すんだったら、ひとつ聞いて欲しい事があるんだ。」
悠人は胸のポケットから「求め」の欠片を取り出した。それはお守りとして佳織に渡すはずのものであった。

―――これってきっと、お兄ちゃんの心の結晶だから、残ったんだよ。
佳織はそう言って受け取らなかったのだ。
289SALVAGE 177/178:04/11/10 22:21:55 ID:HFUsivWt
「こいつを、復活させて欲しい。あんたがこのバカ剣より高位なんだったら、出来るんじゃないか?」
―――我が身を...自ら砕けと言うのか?

悠人の言葉に『聖賢』が絶句した。
「――そういう事になるのかな。」
空間が完全な静寂に包まれる。ややあって、『聖賢』が高らかに笑い始めた。
――フフ...ハハハハハッ!何と破天荒な事を!面白い!汝の求め、しかと受け取ったッ!!
『聖賢』の、その言葉とともに、空間が白い光に満ちはじめた。
――本来ならば、ここから新たな神剣を手に入れずして元の世界に戻る事は叶わぬが、
我が力、すべてそなた達に預けよう。
...そして、悠人とナナルゥの体が、柔らかな光に包まれた。

気が付くと、ナナルゥと悠人は元の森に戻っていた。
「あ...ユート様。その剣は...。」
「うん。約束を守ってくれたみたいだな。」
悠人のかざした「求め」は、気のせいか、以前よりも少し上品な光を放っていた。
「おい、バカ剣。せっかくリベンジのチャンスを手に入れてやったんだ、感謝しろよ。」
290名無しさん@初回限定:04/11/10 22:22:31 ID:D/qkf/zH
支援には磨きをかけまくってるんだから!
291SALVAGE 178/178:04/11/10 22:24:29 ID:HFUsivWt
「それは一体...どういう事なんですか、悠人さん!?」
悠人が携える「求め」を見て仰天した時深は、説明を聞いて溜息をついた。
「はあ...なんてもったいない事を...。」

城に戻った悠人は、出迎えたレスティーナ達ラキオスの面々を前にして考えこんだ。
―――さて、何て自己紹介したもんかな。
悠人はさすがに親友たちを前に、気分が沈みこむのを隠せなかった。
「紹介しましょう。この方達が、新たな戦力として参加される事になりました。」
時深が失望を隠せぬ口調で言った。

「あの...えっと、神剣マンです。」
「私もですか...。あの、神剣ウーマンです。」ナナルゥが苦い表情で悠人に調子を合わせる。
「何だ、そりゃ。どう突っ込めって言うんだ、悠人?」
「それって新しい劇のセリフかなんかなの、ナナルゥ?」
ヒミカと光陰のリアクションに、時深、悠人、ナナルゥの三人が思わず顔を見合わせる。

「――そっか、エターナルにならなかったんだっけ、俺達。」
悠人がその理由に気が付くまでにはそれからしばらくの時間を要した。  続く。
292あとがき:04/11/10 22:29:55 ID:HFUsivWt
まずは、お詫びから。お見苦しい所がありました。アク禁なんて初めてだったのでパニクりました...
支援してくれた多くの方、有難うございます。

そして、>>180さん、おちょくるようなレスをしてごめんなさい。しかもわざわざ返事までしてくれて...。
あそこでマジレスしてたら完全にネタバレだったんです。スルーすればよかったでしょうか、ううっ...(泣)
...いぢめる?

以前、本スレかどっかで「求めタン残留ルートを」という声があって、私も禿同!だったのでこんな展開になりました。
『聖賢』も悪くないんですが、個人的に、あの○○○のような雄雄しすぎるカタチがイマイチ...って、
SSにカタチは関係ないか。
ナナルゥのオリ神剣も「消沈」と対比するように「昇華」とか考えては見たんですが、
まあ、これもあまりストーリーと関係ないので却下しました。(←何だ、そのやる気のない態度はっ!)
でも、ナナルゥがカオスエターナルになれない事はないと思います。
なんせあの、ロウの権化のようなエスペリアがなっちゃうくらいですからw
...一体、時深はどんな基準でスカウトしてるんでしょうか?

次回やっと最終章です。...コアラ様ファンの私にとって最大の鬼門です。
293名無しさん@初回限定:04/11/10 22:33:51 ID:Y2k7nUXY
ね、粘っててよかった……(ヘリオン調)

乙でした。アク禁早く解けてよかったですね。
SSにAAを織り交ぜるとは……実は一瞬何が起こったか判らなかったりw
ヒミカ嬢、土壇場でまた良い味を出してますね。最初からずっと、ナナルゥの姉のように。
そして『求め』。前回あっけなくお亡くなりになって心配していたのですが
まさか『聖賢』と融合分裂してしまうとは。時深でなくても仰天しますよw
エターナルにならなかった悠人というのも新しい切り口で、これから先が更に楽しみです。
SHとかだったらラスボス編が大変そうなルートだなぁとか妄想しつつ。

ところでナナルゥ、そこは『神剣レディ』もしくは『神剣ガール』の方が若く聞こえますよw
294名無しさん@初回限定:04/11/10 22:59:53 ID:HFUsivWt
>>293
イヤ本当に、伝言に支援にと色々お手数かけました。
もう貴方に足を向けて寝られません。

大ネタと言っておきながら前フリが長すぎたかなー、と反省中です。
こないだ本スレ722で偽装してふざけたカキコをしたところ、
まるでジエンのネタのような展開になってしまいました...
自業自得というか...巣から出て行くもんじゃないですね、やっぱり。
295名を名乗る程ではない189:04/11/10 23:22:24 ID:D/qkf/zH
祝!求め復活!
乙です。生放送に自己は付き物です(違っ)
AAを使うとはヤラレマシタ。
次も楽しみにしてます。
求めよ、男を見せるんだ!ナナルゥお幸せに・・・(まだ早っ)

あと毎回名前欄が↑だと名乗ってるも同然なんで止めてメル欄に。
この方が埋もれて目立たない・・・ひっそりとスレに生息します。
とりあえず放置中のやつは↓こんな感じ。
 『ユート様、料理をする』・・・迷走・暴走中、なんでこんな展開に・・・
 Gypsophila elegans ・・・1章書き終えたけど暗いかも。

明日イオルート投下(予定)
296名無しさん@初回限定:04/11/10 23:24:43 ID:D/qkf/zH
やべっ、自己じゃなくて事故だよ。
297名無しさん@初回限定:04/11/11 00:01:01 ID:rAsc7Z74
>>295霞草様(←これでいいのかな?)
メル欄ケテーイおめでとうございますw

とりあえずAAで笑ってくれた方がいたようなのでホッとしました。
久しぶりに初投下の時の緊張を味わったので。
しかも大ネタだと予告しまくってたし、これでスベったらどうしようか、と。
298名無しさん@初回限定:04/11/11 00:38:32 ID:pCtuyhTi
>292さん
アクシデントに見舞われながらの投稿、乙でした。
え、剣持ってない相手に本気でタイムアクセラレイト!?死ぬ、悠人死ぬから!とモニタに声を飛ばしましたが
……気絶してる間にヤられちゃったって事ですか?(違
ともあれ『求め』リベンジルート、お待ちしております。……あれ、ナナルゥが……

>239さん
ユート様のハイペリア料理教室、になるのでしょうか。
迷走、暴走……頭の中に色々浮んできてしまいましたが先の楽しみにしておきます。
明日のイオルート、暗めのお話も楽しみです。

>225さん
遅ればせながら、なんとか自分の中で繋がったなぁと感じられるようになりました。
マロリガン側の面子のどんでん返しか、はたまたラキオス赤緑連合の快進撃か、残り二回から目が離せません。
というか、後二回なのか……と思いなおすと名残惜しいように思います。

あと、首切り某……>229さんのような格好のいいものでは無いのですw
あの時見直してインパクトがあったのを引っ張り出したので。
ヘリオンの初撃は首狙いというのを表したかったのだろうと思います。
299名無しさん@初回限定:04/11/11 01:22:44 ID:5k1CXYhc
「……る」
今日戦士ネタはうっちゃっておいて。

時深さん、エターナル界の寝業師の本領発揮はー? >284 …ぐぅぅ、、、打撃系だったのか…不覚。
下半身の求めは、抑えても抑(ry 英雄色を好む。私としては黒、いや青も捨てが ドカバキ

エターナルにならずにロウ共との決戦を迎えるとは、ほんとに総力戦の予感がひしひしとして
きます。でもってそうなると記憶が消えないんですよね>妹
求めのしゃべりに期待です。

願わくば皆が笑って、スレのみんなも笑って終えられると良いなぁ。

>「思い出してしまったようですね、悠人さん。」
 これ、引き戸をガラッと開けるAAを連想しました。
300名無しさん@初回限定:04/11/11 02:42:25 ID:JhJOBp6w
>憂鬱の人氏
えーと、何て言うか…

    ̄|_|○   < 277

301名無しさん@初回限定:04/11/11 04:39:32 ID:VCtC9tfO
・・・・・・
ついに!ついに!ついにっ!!
エトランジェルートキタァーー!!!(おちつけ)
エターナルではなく、エトランジェとしての力。
みんなを守るためではなく、みんなと共に戦い、歩むための力。
それが悠人が『求め』た力・・・・・・ってこともなく、
ただ悠人が『求め』を相棒として認めていたからかもしれないけど。
新生『求め』の力はいかに!?いや、そなた達ってコトは『消沈』も?
兎にも角にも仲間達との繋がりが強く感じられました。
憂鬱の人様、アク禁にも負けず乙かれ様です。心からGJ!
最終章もがんばってくだされ!

私のPPM(プロジェクトプリンスメーカー)が・・・orz<時深お姉様
302Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:36:23 ID:XeGwdb/p
ザッザッザッザッザッザッ・・・                        
「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・」                        
荒れ果てた大地を歩き続ける。
どこへ向かっているのか、この先に行けば助かるのか、少女にはわからない。
もう何日こうして歩いているのかもわからなくなってくる。
「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・」
少女は自分の名、それすらも失っていた。
剣を杖代わりにふらふらと歩きながら少女は目覚めた時のことを思い出す・・・
303Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:39:50 ID:XeGwdb/p
「・・・う・・うん・・・」
少女は切り立った崖のそばで目覚めた。
「ここは・・・どこなの・・?」
何も思い出せない。
ここがどこなのかも、自分が何をしていたのかも、自分の名さえも。
のろのろと起き上がる。
「・・・ッ!痛い・・・」
右肩を怪我しているらしい。
「いったい私はどうしたの・・・?」
血に染まりズタズタに斬り裂かれた服を見るに何者かに襲われたのだろうか?
しかし身体にはそれらしい切傷はなかった。
何が何だかわからぬまま少女は辺りを見回す。
周囲には蒼く輝く結晶の破片が散らばっていた。
少女は肩の傷を押さえつつ崖の方へ向かった。
304Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:42:19 ID:XeGwdb/p
「・・・・・・・!!」
そこはさながら世界の終焉であった、霧が出ている訳でもないのに対岸も底も見えない。
左右を見回してもどこまで続いているのか全くわからない。
吹きつける風の中、少女は呆然と立ち尽くした・・・
ーーー龍の爪痕、のちにファンタズマゴリアと呼ばれるこの世界の東部を走る大断層である。
無論、少女はその名を知らないが、渡る事も降りる事も不可能であることは理解できた。
「こっちは無理ね・・・」
少女は振り返り逆方向に歩き出した。
ふと、先ほど目覚めた辺りに一振りの剣があることに気付いた。
引き寄せられるように剣に近づき拾い上げる。
「この剣は・・・?」
刀身には血が付着していた、これが肩の傷の原因だろうか?
自身を傷つけた凶器かもしれない剣であったが何故か捨てる気にはなれなかった。
少女は剣を片手に行く当てもなく歩き出した・・・
305Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:46:47 ID:XeGwdb/p
「・・・い!・・・・おい!聞いてんのか!?」
ふと気付くと男達に囲まれていた。
飢餓と疲労で意識が朦朧としていた男達の接近に彼女は気付かなかった。
「へへ・・・、こんなところに女が一人でいるとはな・・・」
「村まで攫いに行く手間が省けたな。」
「おら、下向いてねーで顔あげてみな!」
無理やり顎をつかまれ顔を上げさせられる。
「・・!ほう、お前スピリットか・・・!」
「こりゃ本当についてるぜ!」
彼らは盗賊であった、今日は近隣の村から年頃の娘を攫い、
売春宿にでも売ろうとしていたのだが・・・
「予定変更だな、スピリットがいりゃあ十分すぎるぜ。」
「ああ、スピリットはその筋のヤツには高く売れるからな・・・」
「半年は遊んで暮らせるぜ!」
「へへ、お頭・・・商品の具合を確かめてもいいですかね?」
盗賊の一人がいやらしい笑みを浮かべながら尋ねる。
スピリットに対し性欲を抱くのは妖精趣味といわれ、
一般には人として最低のこととされていた。
しかしながら一部の好事家やモラルの欠如した盗賊のような者にとっては
見た目も美しく、人を傷つけることができないスピリットは最高の性処理の
道具であった。
「ふん、処女の方が高く売れるんだがな・・・まあいい、予定外の獲物だしな。
たまには楽しめ。」
頭の許しが出るやいなや男達が少女を押し倒す。
「あぁっ・・・いや・・・!」
少女には抵抗する力も気力もすでになかった・・・
「おい、お前ら・・・壊して売り物になんなくするなよ!」
手下に注意しつつ少女の衣服を剥ぎ取る。
「いやぁぁぁぁ・・・・、誰か・・誰か・・・助けて・・・!」
辺りに少女の弱々しい叫びが響く、しかしそれを聞くものは盗賊達だけであった。
306Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:51:14 ID:XeGwdb/p
ガバッ!!
「・・・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・」
薄暗い部屋の中、私は目を覚ました。
「また、いつもの夢・・・」
そう、夢・・・しかしそれは自らの身に間違いなく起こった過去であった。
『おはよう、イオ。大丈夫?』
傍らに置かれた永遠神剣『理想』が語りかけてくる。
「おはよう、『理想』。ええ、もう大丈夫です。」
ベッドから起き上がり、着替えを済ませる。
「少し早いですがヨーティア様の朝食を作りましょう。」
私は『理想』を手に取るとヨーティア様の部屋へ向かった。
バサバサバサ!ガシャーン!ズドン!
「うわーーーー!」
隠れ家としている洞窟の中を歩いているとヨーティア様の部屋の方から
何やら凄い音と悲鳴が聞こえた。
「ヨーティア様!?」
慌てて部屋へ向かう。
「ヨーティア様?どうなさいました?」
ノックしつつ尋ねる。
「うーん、イオー・・助けてくれー。」
扉を開けて中に入る、そこには崩れた本やら何やらの下敷きになった
ヨーティア様(多分)がいた・・・
どうやら本の山が崩れたらしい。
助けないわけにもいかないので、本をどかし始める。
「はぁ・・・だから毎日あれ程片付けて下さいと言いましたのに・・・」
307Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:52:24 ID:XeGwdb/p
数分後ーーー
「いやー、参った参った。危うく死ぬところだったよ・・・」
ヨーティア様があっけらかんと言う。
「これに懲りたら少しは片付けて下さい。」
無駄だろうが一応注意してみる。
「わかった、わかった。」
全然わかってなさそうな口調で答えるヨーティア様を見て溜息をついてしまう。
(全くこの方は・・・)
「ところでイオ、今日はやけに早いな。なんかあったのか?」
「・・・いえ、たまたま早起きをしてしまっただけです。
ところで、すぐに朝食になさいますか?」
「いや、朝食はとりあえずいい、頼みたいことがあるんだ。」
私の問いに答えつつ、なにやら机の引き出しを漁っている。
「おお、これだこれだ。」
帝国の紋章が刻まれた書簡を取り出す。
「これをラキオスの新しい女王様に渡してきてもらいたいんだ。」
そう言いながらヨーティア様は私に書簡を渡した。
「それは構いませんが・・・いいのですか?もう国家には関わらないのでは?」
私の問いにしばし考えてるようだった。
「・・・そう、思ってたんだけどね。そういう訳にもいかなくなりそうだ。
どの国もボンクラばかりみたいだからな、アタシの出番ってわけさ。
まぁ・・・あれだね大天才も楽じゃないってことだな!」
いつも通りの飄々とした態度・・・しかしイオは彼女の瞳に強い決意を感じた。
「わかりました、そういうことでしたらお任せを。」
「ああ、頼むよ。あ、イオがいない間の食事は非常食で我慢するから
気にする必要はないぞ。」
「はい、では朝食を食べたらすぐに出ることにします。」
私は朝食の用意の為に部屋をでる。
308Gypsophila elegans 第1章・目覚め:04/11/11 08:53:36 ID:XeGwdb/p
一人になった部屋でヨーティアは一人呟く・・・
「・・・この世界とスピリット達の未来の為か・・・
いつまでも私が犯した罪から逃げている訳にはいかないもんな。
今度こそ私は間違えないよ・・・」
ヨーティアは一人の少女を思い出す。
「イオ・・・・」
もう二度と取り戻せない少女の名を彼女は呼んだ。

ザッザッザッ・・・イオは砂漠を一人歩いていく、ラキオスに向かって。
未だ遠い、その地でイオは異世界からの来訪者と出会うことになる。
ラキオスのエトランジェ、高嶺悠人。
彼との出会いが彼女を更に数奇な運命に導くことなるのだが・・・
そのことを彼女はまだ知らない・・・

続く
309あとがきとか:04/11/11 09:12:11 ID:XeGwdb/p
そんな訳で誰もいない?朝から投下。
イオと悠人の出会い前夜みたいな感じで。
ようやく次からアセリア本編に繋がります。

>>297 憂鬱さま
いや、全然すべってないですよ。笑わしてもらいました。
正直自分の投下前にあんなのがあると投下に躊躇いが生まれます。
でも、書き始めた以上逃げるわけにはいかない!
そんな訳で気合をいれつつ送信、送信・・・

>>298 道行さま
料理話は・・・まぁ近いうちに・・・短編であまり引っ張るのもアレだし(汗
とりあえず雑魚スピは総登場ですよ?
310おにぎりの中身の人:04/11/11 09:12:25 ID:xe0VHdD0
朝からもつかれさまでした。
311名無しさん@初回限定:04/11/11 17:50:59 ID:91AVxd09
やっとアク禁解除されますた。昨日は非常口からの投下だったもので。
>>298道さん
ユート君も余計な事を言わなけりゃちゃんとエターナルに
なれたのに...
原作よりもマインドが低いですからねー、ウチのはw

>>299髪結いさん
>引き戸をガラッと開けるAA
し、しまった、美味しいネタを逃した!!(←大マジ)
最後は笑えますよ〜ハズしてなければ、きっと。いや、別にネタのためにSS書いてる訳じゃないんですが。
...前も同じ事言ってたかなあ、自分。

>>300寸さん。
やだなあ、そんなに引っくり返るほどウケてくれるなんて...なになに、277って...?
ダ――ッ!(←冷や汗の音)
いやっ!違うんです!誤解ですっ!あれは、「寸劇をもう一度」に対する当てつけとかじゃなくてっ!!
...でも思いっきりそんな感じになってますね...
うーむ、普段の言動が言動だけに信じて貰えないかなあ...でも、違うんですぅ〜...(←消えゆく声)
とりあえずニムにエレメンタルブラストくらって来ます。
312名無しさん@初回限定:04/11/11 18:08:53 ID:91AVxd09
>>301
今回のSSは、悠人と雑魚スピズとの出会いから結束まで、と言うのが
一つのテーマだったので、その点では、まあまあうまくまとまったかなあ、
などと考えてます。話が進むにつれヒミカさんのウェートが当初の予定より
大幅に大きくなっちゃいました。自分の赤スピ属性を再認識した次第です。
青や黒を目のカタキにしてる訳じゃないですよ?

>>309霞さん
重い出だしですねー。私もサルヴェージの序盤を思い出して、少し落ちちゃいました。
ノベルの設定ではその通りですけどね...さて、この空気がどんなふうに変化してゆくのか、
続きを焦らずに期待しています。
313名無しさん@初回限定:04/11/11 20:15:07 ID:AwwKkqov
>>309
乙です。
舞台の基礎もできて次回辺りから描写が大変になってくるのかな?
がんがって下さいまし〜。

>>311
えっ、狙って仕込んだんじゃないんですか?(素
反応するしかないよなぁ、と。
「スキル:関西人の血」を所持してないのでよくわからんですが(w
314名無しさん@初回限定:04/11/11 20:45:03 ID:JQ1tOhjK
乙とか何とか。
結構長い道のりになりそうですね。>霞の人(でいいの?

で、小ネタ投下。
ttp://www.britishcouncil.org/jp/japan-trenduk-notsohappy.htm

英国人はネリーみたいにくーるじゃないみたい。
315おにぎりの中身の人:04/11/11 22:33:34 ID:xe0VHdD0
スピリット検定1級の問題
イービルモードでハリオンのシーンのときのユートの台詞で
「訓練のときから思っていたが、一体どういう性格をしているのだろう?」との台詞があります。
では、訓練中にハリオンは何をしていたのか、自分の妄想をふまえて答えなさい
(20点)
316名無しさん@初回限定:04/11/11 22:41:08 ID:MdAw5aHW
>>309 霞さん
 話が現代に戻ってきましたね。ヨーティアの呟きが重要な伏線に思えます。
 イオは重苦しい過去やらヨーティアとクェド・ギンとの絡みやら
 生まれつきの束縛やら暗い材料が多いので大変でしょうが頑張ってください。
 それにしてもイオの神剣『理想』っていうんですか……
 初めて知った……ノベル買わなきゃ……(汗

>>314
 どこがスピと絡むんだろうと最後まで読んだら…………爆笑w
 しかもそこはかとなく雑魚スピがクリスマスしても同じことしそうなのがなんとも……
317名無しさん@初回限定:04/11/11 22:56:24 ID:MdAw5aHW
>>315 おにぎりの中身の人さん
 ハ「さぁ〜いきますよ〜」
 某「もっと本気で打ち込んできて!訓練にならないじゃない!」
 ハ「はい〜それでは〜えいっ」
 ポコッ
 某「きゃっ!ハリオン、どこ狙ってるのよ!……はっ!」
 ハ「あらあら〜。女性にはもっと優しくしなきゃ、めっ、ですよ〜」
 フニフニ
 某「あん☆わたしも女性……ってだからドコを狙って…………きゃぅっ!」
 ハ「おしおきですぅ〜。えいっ、えいっ」
 フニフニフニフニフニフニ
 某「あぅ、もうやめてったら……はぅっ、あん、あん、あ〜♪」

 悠「………………なにやってるんだあいつら……」

_| ̄|○
318名無しさん@初回限定:04/11/11 23:38:37 ID:ObpvFADQ
>309さん
よくよく考えたら、エスペリアのイベントの陰で、イオとの三人旅でもあるんだよなぁ、
と次回以降もますます期待が高まります。
本に埋れたヨーティアと言えば、初対面時のパンツ丸出し。
今回の生き埋め時にも、パンツ丸出し。などとアホな事を考え出したら、
シリアスな呟き時にも……マジデアホダorz
319名無しさん@初回限定:04/11/12 00:13:21 ID:wIG2wcyM
>315さん
ハ「ふぅ〜、疲れましたね〜」
悠(求)「おい、何を勝手に休んでるんだハリオン。まだ始まったばかりだぞ」
ハ「え〜、でも、人によって疲れ方は違うんですよ〜」
悠「ははっ、そうだな、確かに他人よりも疲れやすそうな身体をしている(ニヤ)」
ハ「そ、それはぁ……」
悠「ククク……」
ハ「お姉さんではなくてぇ、おばさんだとでも言いたいんですか、ユートさま〜?」
悠「……(うぬ?)」
ハ「女性に対して、年齢のことを話題にするのは、めっですよ〜」
悠「いや、そうではない、つもりなんだが……」
ハ「い〜え〜、ユートさまの言うとおりですね〜、おばさんはぁ、疲れやすいですから〜、
 疲れを取るマッサージでもしてもらいましょうか〜?」
悠「何、何故俺がハリオンに奉仕をしなければいけないんだ!」
ハ「……してもらいましょうか〜?」
タントンタントンタントントン
ハ「ふぅ……肩たたきはそれまででぇ、次は揉んでくださいね〜」
悠(何故だ、契約者の体が妖精に逆らわないように動いている……)
…………
ハ「あぁ〜、すっきりしました〜」
悠「……そうか」
ハ「肩が凝るんですよねぇ、『他の人より疲れやすい』と〜。それではぁ〜」
スタスタスタ
悠(……分かってた!?その上、マッサージまでさせられた!?)
320名無しさん@初回限定:04/11/12 00:38:28 ID:OtSqvXzN
二|
詰|∀゚)つ[モミモミ券]
壁|
321名無しさん@初回限定:04/11/12 06:12:03 ID:doBcJJUO
ヨーティアって何歳だ?
322名無しさん@初回限定:04/11/12 16:25:42 ID:sStitv0p
29ぐらいか
323名無しさん@初回限定:04/11/12 17:01:00 ID:4ndpInBP
>316
ゲーム中で隠者ヨーティアのところにお使いに行く時
理想の力で水の浄化とかしてますよ
そのあたり見直すのはどうですか?
324名無しさん@初回限定:04/11/12 17:17:15 ID:6fcA3yrt
水……お小s(ry

325安息 Lemma−4:04/11/13 00:17:11 ID:Y8eV9mbV

「やれやれ……朝はバタバタしちまうな。」
「アンタのせいでしょ〜が!」
「イテッ!!」
「まったく佳織ちゃんも、こんな兄貴だと苦労するでしょ。」
「うむ、まったくだ…………」

 ……………………………………

「おっほら……その凶暴性が針金頭によく現れている。」
「うんうん。」
「だぁーれが針金頭だぁぅ!無礼なことを言うのは……この口かぁ〜〜〜〜!!!」
「はぐぁっ!」

 …………………………

「そうだよな。俺も今日子もバカじゃないよな。」
「悠もバカじゃないもんね、バカじゃ。」
「ははは。」
「アハハハ。」
「……ふぅ、お前たちは本当にバカだわ。」

 ………………

静かに目を開ける。意識の深層にほんの少しだけ齧りついている宿主の心。
まだ残っていたその温かさが、不快だった。

「『求め』…………早く来い…………」

ゆっくりと立ち上がる『空虚』はミエーユを睨んで呟いていた。
326安息 Z−1:04/11/13 00:20:12 ID:Y8eV9mbV

光陰の姿を確認したとたん、『求め』が激しく反応した。

『因果』…………『因果』を壊せ!契約者よ、『因果』を壊すのだ!

頭で鳴り響く『求め』の憎悪を全力で抑え込もうとする。
その様子を見ていた光陰は楽しそうにニヤリと笑い、悠人に話しかけた。
「相変わらずその剣とは仲良くやってるようだな…………。」

苦しんでいる悠人を庇うようにナナルゥ、ヒミカ、ハリオンが前に出ようとする。
しかし少し落ち着いた悠人が手を広げてそれを制した。

「ゴメン。でも、これは俺とアイツの問題だ。二人だけにしてくれ。」
「ユートさま…………判りました。」
何事かを悟ったナナルゥが代表してそう答える。ヒミカとハリオンもしぶしぶながら従った。
アセリアは有り難い事に、何も映さない瞳をしたままただ黙って立っている。
見届けた悠人は振り向いて再び光陰と対峙した。

「……光陰!今、俺達が戦う意味が、どこにある!もうすぐ……もうすぐマナ消失でみんな吹き飛ぶぞ!!」

悠人がそう問いかけた瞬間。
光陰の周囲から巨大なオーラフォトンが立ち上がった。
327名無しさん@初回限定:04/11/13 00:23:36 ID:vGTjZ/lq
支援〜
328安息 Diagonal Elements−4:04/11/13 00:23:35 ID:Y8eV9mbV

ニーハスでウルカに敗れたクォーリンは、とぼとぼと砂漠を歩いていた。
「…………痛っ!」
ウルカに庇われた時にそれでも負ったのだろう右肩の傷が急に痛み出す。この様子では恐らく折れているだろう。
「うっ………………うう………………」
想いを断ち切って挑んだ戦いにも敗れて傷ついた。今の自分はもはや戦いに措いても光陰の役に立たない。
嗚咽を抑えるように小さな胸をぎゅっと抑える。
『大地の祈り』を使えば肩の傷などすぐ治る。しかしクォーリンは、今更それをする気は無かった。
涙が出るのは決して傷のせいではなかったから。心が痛いだけだから。
『自らの声』。ウルカの言葉が心の中で反芻される。自分の、心の声。今、私は何を感じているのだろう?
しゃくり上げながら自問自答してみる。
とたん、何故今まで気付かなかったのかと思えるほどすぐそこにあった溢れ出る『想い』。

…………痛い…………寂しい…………辛い…………哀しい…………

……………………『会いたい、よ』………………………………コウインさま…………

ミエーユの方角から二つの巨大なオーラの衝突を感じた。
クォーリンは自分がなにをしたいのかまだよく判らないまま、ぐすぐすと泣きながらそちらに向けて歩き出した。
329安息 Z−2:04/11/13 00:26:00 ID:Y8eV9mbV

「悪いが死んでくれ。苦しまないように、全力で消してやる。」
「くそぉぉぉッッ!!」

長い間離れ離れだった親友同士の、それが最後の挨拶だった。
全力で全てを守ろうとした悠人と、以前の悠人の様に一番大切なものを守る為それ以外の全てを切り捨てた光陰。
どこまでも平行線ともいえる意志と意志のぶつかり合いは遂に言葉で交わることは無かった。

光陰から殺到するオーラに気後れしないように、悠人は『求め』を強く握りなおす。
そして今自分がもてる最強のオーラフォトンバリアを展開しつつ、駆け出した。
光陰が黄緑色に凝縮させたマナのシールドを身に纏う。
オーラを帯びた悠人の『求め』がそれに激しく殺到した。

ガギィィィィン!!!

鋭い金属音とともに『求め』のオーラが弾け飛ぶ。体勢を崩した悠人は巨大な神剣が頭上に落ちてくるのを感じた。
咄嗟に砂を蹴って前方に飛ぶ。光陰の脇を摺り抜けた時、後ろで砂山を抉る鈍い音がした。直後に起こる砂の嵐。
転がりながら吹き飛ばされる。砂まみれになりながら立ち上がった時、辺りの景色は一変していた。
「……なっ………………!!」
絶句する。さっきまで立っていた砂山は擂り鉢状に抉られ、クレーターの様になったその中央に光陰が立っている。
更に絶対的な防御は光陰にその影響を全く与えていなかった。静かに悠人を見つめる瞳は普段どおりの冷静なまま。
(そんなばかな…………)
最大限の力をもって斬りつけた一撃はあっけなく弾かれた。
絶対の防御をそのままに、光陰はこちらを上回る力で攻撃してくる。
改めて彼我の戦闘力の差を思い知った悠人は背中に冷たい汗が流れるのを感じていた。
330安息 Z−3:04/11/13 00:30:46 ID:Y8eV9mbV

ゲイルをかわされた光陰は、それでもなんの気落ちもしていなかった。
むしろ避けた悠人に対して嬉しくなってきてしまう。
(さすがだな。それでこそ悠人だ。……そうでなくちゃな。)
小刻みに身体が震えている。武者震いを感じるのは久し振りだ。
……そうだ、俺はコレを望んでいたんだ。悠人とのこの戦いを……悠人、もっとだ、もっと全力で来いっ!!

光陰のその思いに同調したように、悠人が吼えた。
悠人の周りに今までとは桁違いのオーラが展開する。
握った『求め』が集まりすぎたマナの為か、刀身が見えないほど輝いている。
(そうだ、それだ!こい、悠人っ!)

いつの間にか笑みを浮かべつつ心の中で叫んだ光陰は、その時自分に生じた僅かな隙に気付かなかった。
戦いに高揚する余り、今まで完璧に抑え込んでいた神剣の意志が自分に介入しているという事に。
一瞬とはいえ心を、すなわちマインドを侵食されている事に。
331安息 Z−4:04/11/13 00:36:03 ID:Y8eV9mbV

(おいバカ剣っ!お前の全てを解放しろっ!)
今のままでは絶対に勝てない。そう判断した悠人は一か八かの賭けに出た。
一時的に『求め』に完全に身を委ねる。とたんに溢れてくる際限のない力と欲望。

『マナを、マナをマナヲマナヲマナヲ『因果』ヲ壊せ壊せ壊せ壊せ………………』

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!」
頭痛を必死に抑えながら力だけを引き出そうとする。
破裂しそうな程収束したオーラが『求め』を輝かせた時、悠人は知らない言葉を詠唱していた。
「マナよ、光の奔流となれ。彼の者どもを包み…………」

 ――――――――――

悠人の詠唱がオーラフォトンノヴァだと確信した時、光陰は初めて危険を感じた。

……詠唱は早い。これから反撃するのでは間に合わない。
すぐに頭を切り替えた。今持っている最大の防御、『加護の力』で凌ぎきる。
悠人だってそう何発もそんな化け物みたいな神剣魔法を使えるわけじゃないだろう。
「神剣よ、守りの気を放て、俺達を包み、敵を退けよ…………っ!??」

光陰はそこでようやく異変に気付いた。
(トラスケードが発動しない?!何故だ!)
慌てて『因果』を確かめる。あれ程自在に引き出せた神剣の力が、完全に沈黙していた。
先程まで自分を包んでいた黄緑色のオーラフォトンが消えうせている。
(…………まさかっ!!)
ようやく全てを理解した光陰は既にどうにもならない状況に立っていた。
殺到してくる粒子の塊を目前にして、ただ自らの敗北を覚悟するしかなかった。
332名無しさん@初回限定:04/11/13 00:39:06 ID:vGTjZ/lq
支援って書き込むだけでいいのかな?
333安息 Z−5:04/11/13 00:40:00 ID:Y8eV9mbV

 …………………………

勝ったとはいえ断片的に襲い掛かる『求め』の意識に、悠人は何度も飛ばされそうになっていた。
「くぅっ…………!!!」
四つん這いになって砂を握りながら必死になって耐える。
その手をふわっと包む温かいモノ。
頭痛を抑えながら胡乱気に見上げると、そこには穏やかに微笑むナナルゥの姿があった。
「ユートさま、気をしっかり持って下さい……神剣に……心で負けないで下さい……」
「……………………」
呪文のように囁くナナルゥの言葉が柔らかく悠人の中に入り込む。
じっとそれに身を任せていると、あれ程うるさかった『求め』の声がゆっくりと後退していった。
「……サンキュな、ナナルゥ。お陰で落ち着いた。それにしても今のはまるでハリオンみたいだったぞ。」
「えっ?…………そ、そんなこと……ないです。」
「んふふ〜。ユートさまに褒められてよかったですね〜、ナナルゥさん〜」
「なんでアンタに例えたのが褒めた事になるのよ…………まったく。」
三人にからかわれ、真っ赤になって俯くナナルゥ。暫くの間和やかな空気が流れた。

「うっ…………ううっ…………」
側で聞こえてきたうめき声に悠人がはっとして立ち上がる。
そこにはオーラフォトンノヴァで全身ずだずだになった光陰が大の字で倒れていた。
生きていたことにほっとしながら悠人が光陰に近づく。

「だめぇっ!!!」

突然、砂山から飛び出てきた小さな影が目の前に立ちふさがった。
334安息 Z−6:04/11/13 00:43:30 ID:Y8eV9mbV

「だめぇっ!!!」
光陰が傷だらけで倒れているのを見つけたクォーリンは咄嗟に飛び出していた。
普段の冷静な彼女では絶対に出来ない行動。エトランジェに一人で立ち塞がるのがどれだけ無茶なことか頭では判っている。。
しかし今の彼女は、それを心では理解出来なかった。クォーリンは今初めて自分の行動を『心』に委ねていた。

小柄なグリーンスピリットが両手を広げて悠人を阻もうと睨んでいる。
ヒミカはそのスピリットに見覚えがあった。先程ウルカと戦っていた、稲妻部隊のスピリット。
ヒミカはふいにすたすたとクォーリンの方へ歩き出した。全く、無防備に。
「お、おい、ヒミカ…………!」
悠人のそんな声が聞こえないかのようにクォーリンに近づく。
一方自分に全く警戒しないレッドスピリットの接近に、クォーリンは怯んで半ば泣き声のような声を出した。
「な、なによぅ…………」

ぱしっ

突然の衝撃に何が起きたか全く理解できないクォーリンは暫く目をぱちくりとさせていた。
ヒミカがいきなりクォーリンの頬を平手打ちしていたのである。
「…………えっ?えっ?」
動揺したまま張られた頬をさする。僅かに熱を持っていた。赤くなっているかもしれない。
かっとなってヒミカを睨んだその途端、頭の上に雷のような声が連続で落ちてきた。
「いい加減にしなさい! ウルカの言ってたことがまだ判らないの?!」
「何の為にここまで来たの?! ニーハスから遠い所をわざわざ来たのは何の為っ!」
「あたしたちを倒そうとその傷を押してわざわざここまで来た訳なの?」
「その辺よーーーっっっっっっくその胸に聞いてごらんなさい。」
「………………違うでしょう?だったらこんなトコで突っ立ってないで、他にやる事があるんじゃない?」

ヒミカの怒声は途中からとても優しいものに変わっていた。
自らに言い聞かせていたようなその囁きに、クォーリンの顔が一瞬くしゃっとしたかと思うとみるみる泣き顔に変わる。
「う…………コウインさまコウインさま、コーインさま〜っっ!!」
泣き叫びつつ光陰に抱きついたクォーリンは今度こそとっておきの『大地の祈り』を開放していた。
335安息 Z−7:04/11/13 00:48:27 ID:Y8eV9mbV

光陰をクォーリンに任せ、悠人達は走った。去り際に光陰が言った一言が悠人の頭を巡る。
『今日子のこと…………よろしく頼むぜ』
託された想い。自らの願い。誰も死なせない。誰も、失わせない…………

マロリガン首都直前、南下していたファーレーン達と一時合流した悠人達は、
ガルガリンで恐るべき情報を入手していた。
なんと、マロリガンのエーテルコアは第四位の神剣だというのだ。
イースペリアのそれは第七位だった。それでもイースペリア全土のマナを喰い尽す大惨事になったのだ。
それを考えるとマロリガンの神剣の暴走がどういう結果をもたらすか、容易に想像できる。
クェド・ギンをなんとしても阻止しなければ。
「急げ…………急げ…………」
ガルガリンを守る為に残ったファーレーン達と別れた悠人達は必死になって走っていた。
マロリガン城に突き刺さる、巨大な金の柱をずっと見つめながら。

砂漠を抜けた荒野。
そこに、複数の人影があった。
気配を隠そうともせず陽炎に浮かぶその影の中。
見間違えようがない人物に向かって悠人は叫んだ。

「今日子ッ!!!」

ありったけの力で悠人が叫ぶと同時に『稲妻部隊』の最後の生き残り達が一斉に襲い掛かってくる。
襲撃に備えようと構えた悠人はそっとハリオンに抑えられた。
「ユートさま〜。今度は私たちの番、ですよ〜。」
にこにこしながら諭すハリオンの脇を摺り抜けながら、ヒミカとナナルゥが微笑む。
「そうですよっ!ユートさまはとっととキョーコ“さま”を助けてきてください!!」
「……ここはわたしたちに任せてください。」
「………………わかった……頼むっ!」
今までの戦いで悠人が何をしようとしているのかが彼女達には良く判っていた。
そんな三人に心の中で感謝しながら、悠人は今日子の元に駆け出していった。
336安息 Diagonal Elements−5:04/11/13 00:52:13 ID:Y8eV9mbV

「悠人達、行っちまったな…………」
「はい…………」
「まったく、意地張ってみたけど、いいことなかったぜ…………」
「そんなことありません!コウインさまは…………」
「慰めてくれなくてもいいぜ、クォーリン。俺はな……土壇場で諦めちまった。アイツは諦めなかった。だから完敗だ。」
「……………………」
「ほらほらそんな顔するな。別に、悔いを残している訳じゃない。むしろやられてスッキリしたくらいだからな。」
「コウインさま…………」
「俺は間違っていたって訳だ。おかげで目が覚めた。……何も、諦める必要は無かったんだよな。」
「コウインさま……あの……私……」
「クォーリンにも感謝しなくちゃな。よく来てくれたよ…………ん、なんだ?」
「え?あ…………コウインさまは……そのぅ…………良いお友達をお持ちだと、その、思いますっ!」
「あん?お前まさか、悠人に惚れたのか?かぁ〜っ、まったくアイツは自覚無しに次々と…………」
「な、ち、違いますよぅ!そんなこと絶対にありませんっ!私はその…………コウインさまが……ゴニョゴニョ……」
「ははっ、まあいいさ。それよりも、今度こそ大将を止めなきゃな。アイツだけじゃキツいだろう。」
「………………(ばか)」
「ん?なんか言ったか、クォーリン?」
「もう…………はいっ!行きますよっ!コウインさまっ!!」
「お、おう……ってクォーリン、なにか怒ってないか?わわっ、わかったから引っ張るなって…………」

光陰に腕を絡めながら、クォーリンはどことなく楽しそうに怒っていた。
今はこれで。それでも、諦める必要などもうないのだから。
337安息 Z−8:04/11/13 00:56:21 ID:Y8eV9mbV

完全に『空虚』に飲まれている今日子に悠人の説得は届かなかった。
『空虚』を前にして、また騒ぎ出す『求め』。
それに対して滅ぼそうとする意志を隠しもしない『空虚』に向かい、悠人は斬りつけていった。
身軽にソレを避わした『空虚』がそれこそ雷の様な一閃を放つ。
刀身より遥かに長いその射程から放たれた閃光は悠人の脇を辛うじてかすっただけだった。
明らかに手加減したと判る攻撃。その攻撃の後、『空虚』は楽しそうに呟いた。

「呼びかけてみるか?それも面白い戯れだ。最後に残った意識を、返してみてやろう。」

 …………………………

久し振りに感じる空気の匂い、風の流れ。自分が確かに自分自身で立っているという感覚。
一瞬感じた爽快感は、しかし悠人を認めたとたん消し飛んでいた。代わりに訪れる後悔と絶望。
どす黒い感情と失っていた記憶がみるみる心の中に広がる。半ば発狂しながら今日子は叫んでいた。
「アタシ……いっぱい殺しちゃったよ。スピリットたち、いっぱい。いっぱいだよ!それに、人だって……!」
戦いの中で損なってきた命の数々が、昔の思い出と重なって畳み掛けてくる。
悠人が何か叫んでいるが、なにも聞こえなかった。今日子は半狂乱で声を絞り出した。

「アタシ、生きてちゃダメ、だよ…………」
338名無しさん@初回限定:04/11/13 01:01:06 ID:vGTjZ/lq
今後は支援のやり方を>>2以降に書いてて欲しい今日この頃
339安息 Z−9:04/11/13 01:01:08 ID:Y8eV9mbV

心の底からの悲鳴だった。
既に生きることを放棄したような言葉の、しかしその裏に隠された本当の思い。
以前の悠人なら気付かなかったであろう助けを求めるその声が、今は確かに届いた。
『友達がピンチのときは助けるのが当たり前』。そんなヒミカの言葉が思い出される。
ちらっと後ろで戦っている三人を見た。あの三人が示してくれた友達同士の絆。
それを知らなかったら、適当に慰めの言葉を掛けるだけだったろう。そしてずっと後悔する結果になったかも知れない。
しかし今の悠人は知っていた。絆が、神剣から心を救い出すことも可能だという事を。
まだ取り戻せる。三人の想いに後押しされて、悠人はゆっくりと語りかけた。
「俺達にできることは、償うことだけだ。生きて、それで……なにか、償おうぜ。俺を、信じてくれ!」
「悠…………」

悠人は罪に立ち向かう事を示してきた。そして、自分を信じろと。
あえて困難な道を自分と歩こうと諭す悠人に今日子の表情がふっと緩む。しかしそれも僅かな間だった。


一瞬悠人に応じたかと思った今日子が険しい顔に戻る。
予想外にも立ち直ろうとしていた今日子の心に危険を感じた『空虚』の支配が強まったのだ。
抵抗も出来ずに『空虚』の意識に引きずり込まれる。その前に、今日子はありったけの声で叫んでいた。

「おねがいっ!悠っ。アタシを殺してぇぇっっ!!」

『空虚』の力が膨れ上がるのを、悠人もまた感じていた。

「諦めるなっ、今日子ぉぉッッ!!」
思わず叫んだ悠人に今日子は弱々しく微笑み……そして囁いた。

「…………約束だから……ね」
340名無しさん@初回限定:04/11/13 01:01:20 ID:5UIoKDWm

341安息 Z−10:04/11/13 01:05:11 ID:Y8eV9mbV

その瞬間、今日子の躯から、紫電の柱が空へと落ちた。
「時間切れだ。」
つまらなそうに『空虚』が呟く。同時に『求め』の声が頭に響いた。
『ダメだったようだな。』
決定的な二本の神剣の宣告に、しかし悠人は諦めなかった。とっさに目標を切り替える。より困難な目標に。
「くそっ!こうなったら『空虚』だけを破壊してやる。やるぞっ!!」
親友との約束。仲間の後押し。そして、自分の「求め」。叶える為に、悠人は諦めなかった。

「お前は許せないっ、『空虚』ぉぉぉぉっっ!!!」
互いに防御よりも攻撃を得意とするエトランジェ同士の戦いは、すれ違いざまの一瞬だった。
スピードで明らかに差のある『空虚』が悠人の叫び終わるのも待たずに殺到する。
雷を纏った神剣の三段突き。イクシードと呼ばれるその技を、避わし切れば悠人に反撃のチャンスが出来る。
初撃と二撃目は同時だった。突きどころか引き手すら見えない。驚くべきそのスピード。
残像のような攻撃はしかし急所を狙い過ぎたのか、勘だけでかろうじて避わせた。
放電が痺れるような感覚を残して空気中に散っていく。触れてもいない部分が麻痺していた。
異様な感覚に少しよろけた悠人の隙を『空虚』は見逃さなかった。…………確かに『空虚』は見逃さなかった。
止めを刺そうとした三撃目の切っ先。それが僅かに鈍った。
(?…………!!!)
考えるより先に体が動いていた。悠人は身を捻りつつ、『空虚』に『求め』を叩きつけていた。


『求め』に確認する。確かに、『空虚』の意識だけを斬った感覚があった。

『最後の最後で、この娘が『空虚』の意識を切り崩した。』

先程の三撃目が思い出される。確かに一瞬『空虚』の動きが鈍った。そうか。あれはやっぱり今日子だったのか……
倒れている今日子に悠人は急いで駆け寄った。
「う…………」
今日子の意識は無いものの、神剣の気配ももう無かった。ほっとしたが依然危険な状態に変わりは無い。
『求め』に斬られた傷からは今も血が溢れていた。
342安息 Diagonal Elements−6:04/11/13 01:09:48 ID:Y8eV9mbV

「誰か回復をっ!はやくっ!おまえたちの隊長だろっ!!!」
周囲の戦闘は既に熄んでいた。隊長が敗れた事で戦意を失った『稲妻部隊』が呆然とこちらを見ている。
誰も動かないのを見てたまりかねた悠人がハリオンを呼ぼうとした時、砂漠の方から一人の少女が駆け寄ってきた。
「ユートさま、わたしにお任せください。すぐに癒せると思います。」
「え、あ、ああ…………頼む。もう…………戦うつもりはないから。」
「ええ、わかってます。ユートさまは先をお急ぎください。」
「…………悪い。急がないと、この一帯が吹き飛ぶんだ。だから…………頼むっ!」
それだけ言って駆け出した悠人は、ふと思いついて後ろを振り返った。
癒しの魔法を懸命に掛けている少女に優しく声をかける。
「ああ、そういえば……名前、なんていうんだっけ?」
きょとん、とした表情で悠人を見上げた少女はやがてぺこりと勢いよく頭を下げた。
「は、はいっ!『稲妻』のクォーリン……クォーリン・グリーンスピリットと申します、ユートさま。」
「そっか、クォーリン、コイツを助けてやってくれ。俺にとって大事な友達なんだ。」
悠人が頭を下げるのをみて慌てたクォーリンはちょっと地の出た早口でまくし立てる。
「そんな、大丈夫ですよぅ、わたしだってこのまま勝ち逃げされちゃ悔しいですから…………あ」
「……?勝ち逃げ??」
「ななななんでもありませんっ!とにかく、任されましたからっ!キョーコさまは絶対に助けてみせますっ!」
ふんっと出来もしない力瘤を作って見せようとガッツポーズするクォーリンに、
悠人は歳相応の幼さを垣間見てぷっと吹き出した。それを見て膨れたクォーリンが不審そうに悠人を睨む。
「な、なんですかぁ…………」
「ゴメンゴメン、なんでもないよ……じゃあな、頼んだっ!!」
「あっ、ちょっと…………もう、変なトコロがコウインさまとそっくりなんだから…………」
今度こそ駆け去る悠人の背中がなんだか可笑しく、クォーリンは一人クスクスと笑っていた。
343安息 Z あとがき:04/11/13 01:12:55 ID:Y8eV9mbV

ゲーム本編での対光陰戦、何故か光陰のディフェンススキルとサポートスキルが使えなくなっている。
調べてみると光陰のスキル、アタック以外はマインド制限あるものが結構多いんですよね。
つまりこれはマインドが下がった状態だったのではないか。
で、前後のテキストを読んで自分なりに補完したのが今回の光陰です。
今日子は戦闘シーンの行間を有る程度予測して書いてみました。
いささか『空虚』があっけない感じがしますがゲーム本編もあれですし(汗
ここまで来るとクォーリンがほとんどヘリオン化wしています。
最初はもう少し違うイメージだったのですが動かしているうちにこんなになってしまいました。

そんな感じで残りあと一回となります。
今回も読んで頂けた方、そして支援して頂いた方々、有難うございました。
誤字脱字某ハリオンマジック等ご指摘があれば幸いです。

>>vGTjZ/lqさん
支援はただ書き込んで頂けるだけで助かりますのであれでO.K.だと思います。
連投制限が3回目からあるので或る程度時間がたっても続きが投稿されないな?とか感じたら、というタイミングだと大変あり難いです。
344名無しさん@初回限定:04/11/13 01:22:05 ID:vGTjZ/lq
>>343さん
教えていただき、ありがとうございます。
無知ながらも、お役に立てて(?)よかったです。
345名無しさん@初回限定:04/11/13 13:45:48 ID:nj/mW727
読んでくださった方々に感謝しつつ・・・
>>310 おにぎりの中身の人さま
いえいえ、こちらこそ朝から投下して・・・(変な返事・・・)

>>312 憂鬱さま
設定資料とかに逆らわないとこーなりますからね・・・
人間に酷い目に遭わされるのはエスとかぶりますが・・・
果たしてイオは?みたいな感じで。

>>313 寸劇さま
がんばりますー。キャラをどこまで増やすかが悩みの種。
皆に活躍の場を与えたいけど、それでは収拾がつかなくなるし・・・
ただでさえアシュギスとか出しちゃったしなぁ・・・

>>316 信頼さま
ヨーティアは今後も出番はあるけど深く掘り下げる気はなかったりします・・・
そこら辺はいわゆるヨーティアルートでやるべき内容かなと思いまして。
そんな訳で彼女に関してゲーム本編や設定資料以上に語ることは多分ないです。
がっかりさせてしまったら申し訳ないです。ちなみにヨーティアルートを書く気も
ないです。たちあがれ!ヨーティア萌えの誰か!

>>318 道行さま
正直我ながら現状は暗い話になってるんでヨーティアを埋めてみました。
いや、少しは空気をまったりさせようと・・・

346名無しさん@初回限定:04/11/13 14:01:10 ID:nj/mW727
しまった、安息の感想書く前に送信しちまったい・・・
>>343
クォーリンがかわいいですね。あとヒミカの姉御っぷりに惚れそうです。
次回の最終話もがんばって下さい。楽しみに待っております。

>>前編に感想下さった方々に感謝しつつ
 『ユート様、料理をする』の後編できました・・・・
前編の約倍になってしまいましたが・・・中編と後編でわけるべきか?
とりあえず・・・・私は短編でも勢いだけで書いてはいけないと・・・
誤字とか見直して夜にでもまたきます・・・・
347名無しさん@初回限定:04/11/13 14:24:38 ID:OIod6kCI
ヒミカとハリオンは非処女っぽいが
誰が相手なのかなー
348名無しさん@初回限定:04/11/13 15:15:46 ID:nsVBeFK5
>>347
ソーマ・・・・・・・・・そんなのイヤダァァァorz
349名無しさん@初回限定:04/11/13 17:52:57 ID:tNP3sMPD
信頼さん、ついに致命的ミスを犯してしまいましたね、ふっふっっふ。
クォーリンは「小さい胸」ではなぁ――いっ!!
だって、だって、緑なんだもん、だもん、もんんっっ...(←エコー)

まあ、そんな私の低マインドな妄想は置いといて。
私の書いた同じ場面があなたに悪影響を及ぼしていないか心配していましたが
全くの杞憂でした。ハリオン化するナナルゥ、優しさのにじみ出るヒミカ、
そして恋心を懸命に押さえ込むクォーリン...。「心の動き」をじっくり描きこむ
相変わらずの『信頼節』に題名通り、安息させて頂きました。改めてGJです!

以前信頼さんが言われていた「背伸びしている女の子」というイメージは
私がヘリオンに対して持っているイメージそのままなので、余計かぶって見えるのかも。

しかしクォーリン!あんまりヘリオン化すると光陰が愛に来るから気を付けろよ!
350名無しさん@初回限定:04/11/13 20:28:50 ID:CUi1BxVK
クォーリンを巨乳に描いてしまったものです。
そう言えば、彼女は稲妻のクォーリンって文章では出てましたが、あれは神剣の名前が『稲妻』なのか、
ライトニング部隊だから稲妻なのか……どっちなんでしょうかね。

とまれ、信頼の人、お疲れ様でした〜。
351名無しさん@初回限定:04/11/13 20:56:46 ID:xV0tAcVD
正解は、新妻のクォーリンの誤植です♪
352名無しさん@初回限定:04/11/13 21:27:15 ID:tNP3sMPD
>>350
視覚的補完いつも有難うございます。

まだ見てない人は画像板へGO!
353名無しさん@初回限定:04/11/13 23:25:15 ID:nj/mW727
>>350
無印本編やったときは神剣の名前が稲妻だと思ってた。
設定資料みるまでは赤スピだと信じてた。情熱的クォーリン・・・

そんな訳で予告通り投下。
ぶっちゃけ長い・・・
354名無しさん@初回限定:04/11/13 23:25:33 ID:3hZvMffK
>> 霞さん
 自分が補完し切れなかったので勝手に期待していただけですので
 あまり気にしないで下さい<ヨーティア
 読んで頂いて有難うございます。
 あと一回となりましたが最後までお付き合い頂ければ幸いです。
 『料理』、そろそろ来るかな……

>>憂鬱さん
 も、盲点でした……画像板チェックしていなかった……
 『家出』の影響は受けてますよ、しっかりとw
 ただ『SALVAGE』の頃は既に完成していた作品なので幸か不幸かあまり影響を受けていません。
 逆に使いたかったネタが湧き上がって困りましたがw
 この場合クォーリンの方が言い寄っているから問題ないのでわw

>>350さん
 こちらこそ画像UPお疲れ様でした。
 胸の大きさは気にしないで下さい。公式設定が無い以上、妄想は個人の自由ですから。
 稲妻部隊ってクォーリンを象徴しているのかなぁと考えましたが……どっちなんでしょうね。
リーザリオ、街中の広場ーーー
「ナナルゥさん、遅いですねー。」
ベンチに座ったヘリオンが呟く。
「本当ね、何やってるのかしら?」
「ところでヒミカ、ファーレーン達は何処行ったの?」
「リーザリオ名物エヒグゥの串焼き買いに行ったわよ?あ、戻って来たみたいね。」
ファーレーンとニムントールが戻ってくる。
「あら、ナナルゥはまだですか?」
ヒミカ達にも串焼きを渡しつつファーレーンが尋ねる。
「ありがとう、二人とも。そーなのよね、そろそろ帰ってきても・・・」
ガサガサガサッ!!
「・・・そんなものを食べてる場合じゃないです・・・」
ベンチ裏の茂みからいきなりナナルゥが顔をだす。
「な、なによナナルゥ!急に出てきたら驚くじゃない!」
「あ、あなたは普通に出てこれないの!?」
驚いたヒミカとセリアが文句を言う。
「ふえーん、串焼き落としましたー。」
「ヘリオンのドジ・・・」
「こら、ニム!」
「で、報告はどうなったの?」
ヒミカが尋ねる。
「はい、レスティーナ様の許可は取れました。勝算があるなら構わないそうです。」
「そう、じゃあさっきの打合せ通りやりましょう。」
「龍が相手ですか、腕がなりますね。」
「ニムは面倒臭い・・・」
「以前戦ったラキオスの北西で戦った龍と同じくらいでしょ?
楽勝とは言わないけど勝算は十分あるわね。」
「実際被害が出てるみたいだし放っておく訳にもいきませんもんね。」
士気は十分のようである、約1名以外・・・
「じゃあ、予定を変えて今日はこの町で一泊ね。」
「それでは駄目です、ヒミカ。」
「ん?なんで?」
「今日中に帰らなくてはユート様の手料理が食べられません・・・」
「「「「「!!!!!」」」」」
「そそそ、それは本当ですか、ナナルゥさん?」
「落ち着きなさいよヘリオン。で、本当なの!?」
「ヒミカこそ落ち着きなさいよ・・・」
「セリアは気にならないのですか?」
「と、当然よ。全然気にならないわ!」
「・・・お姉ちゃんは?」
「え?気になりますよ。でも、そうですね
私一人の為に作ってくれたりしたら、もっと・・・」
「ムッ・・・」
何やら興奮しているヒミカ達に詳細を説明する。
「ハリオンさんにも困ったものですね・・・」
「重要なのはそこじゃないですよー!」
「そうね、この際ハリオンなんてどうでもいいわ。」
「・・・ヒミカ、何気にひどい事いいますね・・・」
ファーレーンが苦笑する。
「そういうことなら何としても夕飯までには帰らないとね・・・」
「龍はどうするのよ?まさか放っていくの?」
「無論倒すわよ、今からね!」
「正気なの、ヒミカ?」
「ええ、私のため、ユート様の手料理のため負ける訳にはいかないわ!」
「そーです、ユート様のご飯です!龍なんてへっちゃらです!」
「・・・みんなバカ・・・」
違う意味で士気の上がった一行はラシード山道へ走るのだった・・・

一方その頃・・・ラキオス、第二詰め所・台所ーーー
「さて、材料はこんなもんだな。」
「それで、何作るんだ?悠人よ。」
「んー、肉じゃがかな。完璧に再現はできないけど、まぁハイペリア風ってことで。」
「じゃあ、俺は天麩羅でも作るかな。」
「お、いいな。こっちの揚げ物は洋風だからな・・・まぁ、あれはあれで
ウマイけどな。」
「うまいといったら、マロリガンで食ったアレはうまかったな。」
「あぁ、アレだろ?俺も食ったぜ。アレはいけるよな。」
・・・と、リーザリオの様子を知らない二人はのん気に料理をするのであった。
358名無しさん@初回限定:04/11/13 23:30:59 ID:n+XJPfOt
期待支援
龍退治について・セリアの日記○月△日より抜粋ーーー
・・・そんな訳で強行軍で龍と戦う羽目になった。
ヘリオンはともかく普段は冷静なヒミカとファーレーンも興奮していた。
龍退治なのに緊張感の欠片もない。これじゃ龍も立場がないわよね。
これといった被害もなく倒せけど、とんぼ返りでラキオスに戻ったから疲れた。
全く・・・皆ユート様の料理がそんなに楽しみだったのかしら?
大体ラキオスのスピリットはユート様が絡むと冷静になれない者が多すぎる。
皆あんなツンツン頭のどこがいいのかしら?
隊長としては未熟だし、すぐ突っ走るし、皆に甘いし。
この前だってオルファやネリー達にせがまれて遊び相手になってたし・・・
私には用でもないと話しかけてもくれないのに・・・
やっぱり私みたいな女よりも可愛い娘の方がいいのかしら。
私だって本当は・・・(以下、龍退治と関係なくなってきたので省略)
その夜ーーー
そんなこんなで帰還したヒミカ達や報告を終えたクォーリンも交えての夕食。
『いただきます。』
すっかり広まったハイペリア風食事の挨拶をする。
「さぁ、皆遠慮せずに食べてくれよ。結構うまくできたと思うぞ。
エスペリアやハリオンには全然負けるけどな。」
「はうー、そんなことないですよぅ。」
憧れのユート様の手料理を食べたヘリオンの精神は早くもハイペリアに
飛んでいる。
「く、悔しいけど・・・おいしい、かも・・・」
「もう、ニムったら素直じゃないんだから・・・」
「おいしいよね、シアー?」
「・・・うん、おいしい。」
ハイペリア風料理が受け入れられるか内心不安だったが好評のようであった。
「まぁ、納豆とかだしたら大騒ぎなんだろうな・・・料理じゃないけど。」
「もぐもぐもぐ、ぱくぱくぱく・・・」
「なぁ、ナナルゥ。初めて食べたハイペリアの料理はどうだ?」
黙々と食べる赤い妖精に聞いてみる。
(・・・・・初めてではないですけど・・・・)
「どうした、ナナルゥ?」
「いえ、何でもありません・・・とてもおいしいです。」
実はユート様が訓練後とかに軽食を作ったりした際に
こっそり摘み食いしたことがあるのだった。
(・・・ばれてないみたい・・・普段のユート様は微妙にぬけてるから・・・)
・・・・ナナルゥに言われてはおしまいである。
「ユート様、今度これの作り方を教えてもらえますか?」
肉じゃがを気に入ったらしいヒミカが尋ねる。
「わ・・私も教えて欲しいです!」
「あぁ、いいぜ。まぁたいした物でもないけどな。」
悠人の了承に喜ぶ二人。
「なぁヘリオンちゃん、俺が作った方はどうよ?」
悠人に負けじと光陰がしゃしゃり出て来る。
「え、えーと・・・お、おいしいですよ?」
「うん、おいしいよー。コウインさまも料理できるんだねー。」
「ねー。」
「ええ、正直びっくりしました。」
「・・・・おいしい・・・」
次々と褒めるスピリットたち。
「きた!ついにきた!常に変態扱い、たまのシリアスな話でも
悠人の良き親友役止まり!そんなこんなで7スレ目。ついに俺にも春が!」
妙な電波を受信した光陰が叫ぶ。
「・・・・これがなければイイ奴なんだが・・・」
冷めた目で光陰を見つつ悠人は呟いた。
「ニムちゃんはどうよ?」
マインドが300位にいってしまった光陰がよせばいいのにニムに尋ねる。
「・・・バカでもおいしい料理を作れるのね。」
「こ、こらニム!本当のことを言ってはコウイン様に失礼でしょ!」
「・・・それはフォローになってないわよ・・・ファーレーン・・・」
苦笑しつつヒミカがつっこむ。
舞い上がったところに痛烈なカウンターを喰らい凹む光陰。
「ふっ・・・どうせ俺はオチ役だよな。ま、当然だけどな・・・」
「元気だしてください・・・コウイン様。ええと・・おいしかったですよ?」
クォーリンが慰める。
「俺の味方はクォーリンだけだよ・・・」
「え・・・そ、そんなことないですよ・・・」
光陰の何気ない一言にうろたえるクォーリンであった。
362支援マシン:04/11/13 23:38:21 ID:n+XJPfOt
(・∀・)イイ
「ん?そういえば・・・」
悠人は一言も喋ってない者がいることに気付いた。
黙々と食べていたかとおもえば、急に複雑な表情を浮かべる彼女に話しかける。
「えっと、どうした、セリア?口にあわなかったか?それとも体調が悪いのか?」
「い、いえ・・・そ、そんなことないです。」
急に話しかけられうろたえる。
「そうなのか?なんか考え込んでるみたいだったからさ、心配で。」
「なんともないです!
ユート様の料理だって言うからどんなに酷いものが出てくるか心配してたら
思いのほかまともで驚いただけです。」
「そ、そうか・・・いや、元気ならいいんだけど・・・」
あまりの言葉だったが元気になったみたいなので安心する悠人であった。
「・・・・あ、あの・・・」
「ユートさまー!皆食べ終わったから片付けるよ?」
「よ?」
「あぁ、俺のも片付けていいよ。あ、手伝おうか?」
「いえ、片付けは私達でやりますから休んでいてください。」
「そうですよ、ユート様は休んでいてください。今お茶を持ってきますね。」
「そうか?まぁヒミカとヘリオンがそう言うならお言葉に甘えるとするか。」
そう言いながら改めてセリアの方に向き直る。
「そういやさっき何か言いかけてなかったか?」
「い、いえ・・・」
「・・・?気のせいだったかな?」
「では、失礼します・・・」
「あ、あぁ。今日はお疲れ様、セリア。」
セリアが部屋を出て行く。
「ユート様、お茶をどうぞ。」
「あぁ、サンキュ。」
こうして今日もラキオスの夜は更けるのであった。
ユート様の料理について・セリアの日記○月△日より抜粋ーーー
でも正直ユート様があんなに料理が上手いとは思わなかった。
正直・・・・私よりも上手いと思う。
やっぱりユート様も料理が上手な女の子の方がいいわよね・・・
エスペリアもハリオンもオルファもヒミカもヘリオンも皆私より上手いし。
もっと練習しないと駄目かしら。
い、いや別にユート様なんかどうでもいいけど。
そういえばユート様においしかったともごちそうさまとも言えなかったな・・・
・・・・いや、だからユート様はどうでもいいのよ。
・・・本当に今日の私はどうかしている、日記も長くなりすぎたし。
・・・ユート様が私より料理が上手いからいけないのよ!
そうよ、そうに違いない。やっぱり明日から練習ね。
後日ーーー
「ハリオン・・・無断でラキオスを離れたら駄目だろ?」
「ミネアもー今はラキオスの一部ですよー?」
「いや、それは屁理屈だから。そもそも・・・」
「あぁー思い出しましたー。」
「え、何を?」
「ユート様はー皆の為にー料理したんですよねー?」
「あぁ、そうだけど・・・いや、今はその話じゃなくてな・・・」
「えぇー私にはー作ってくれないんですかー?」
「あのな・・・」
「そんなーイジワルさんにはーめっめっですよー」
「いや、そうじゃなくてな・・・」
「じゃあー作ってーくれるんですねー?」
「あぁ・・・それはいいけど。」
「ユート様はー優しいですねーお姉さんはー嬉しいですよー」
ナデナデ・・・・
「じゃあー今日の夜にでもーお願いしますねー」
去っていくハリオン。
「・・・・・・はっ!はぐらかされた?」
ハリオンのマイペースぶりに敗れる悠人であった・・・

おしまい
366支援マシン:04/11/13 23:41:45 ID:n+XJPfOt
(・∀・)オツデス ツンデレニッキ イイ!!
367あとがきとか:04/11/13 23:45:20 ID:nj/mW727
支援してくれた皆さんサンクス。

いや、マジで長い・・・
イオルートの気晴らしにぱぱっと書くつもりが・・・
もう少しコンパクトに纏められる様になりたいものです。
・・・・ウルカの出番を丸ごと捨てたのは秘密だ・・・
368名無しさん@初回限定:04/11/14 00:38:28 ID:DXr4N7/4

>>367 霞さん
 変なトコで割り込んですみませんでした。
 完結しちゃったんですね……もう少し読んでみたかった気も。特にセリア日記w
 それにしてもエヒグゥの串焼きってまた凄いものが名物なんだなぁ、リーザリオ。


ハリオンのフライングについて・セリアの日記○月△日より抜粋ーーー
今日はいよいよ特訓の成果を試そうとした。
ミネアに出かけたユート様に内緒で朝から一生懸命準備する。
我ながら会心の出来だった。不本意ながらユート様の帰りが待ち遠しくなる。
……決してユート様に早く食べてもらいたいからとかじゃないよ、うん。
心持ち夜遅く帰ってきたユート様は料理の山を見てぐうの音も出ない。
勝ったと思ったその時、彼はお腹を押さえてトンデモない事を言った。
ごめん今日はハリオンと食べてきたんだ、と。ハリオンとハリオンとハリオンと。
かっとなったわたしは皿をユート様の顔面にぶちまけてそのまま部屋に駆け込んでしまった。
どうしてあの時あんなに頭にきたのだろう。ユート様は知らなかったのだから悪くはないのに。
…………そうよ、ハリオンのせいだわ。よくわからないけどそういう事にしておこう。
明日ちゃんと謝らなくっちゃ。でも彼の前に立つとすぐイライラしちゃうからなぁ、わたし。
……料理、今度はちゃんと約束をして食べてもらおう…………

……すみません、勢いあまって妄想してしまいました_| ̄|○
369名無しさん@初回限定:04/11/14 01:13:09 ID:FfHHid+g
おお、乙です!霞さん!
なにげに落ち込み気味のセリアの日記が(゚∀゚) イイ!
尺の長さは全然気になりませんよ。むしろもっと長くてもいいくらい。
それにしても、悠人も光陰も家庭的な料理を作ってるなあ。

...だからクォーリン、あんまり光陰に近付くなってばw

>>354
お、珍しくニアミスしましたね、信頼さん。でも本編投下直前で何より。
「家出」の影響ですか...私が読んでもよくわからないですけど。
あんまりサルヴェージの影響は受けないで下さい。
他の職人さんのマインド下げてるんじゃないかと心配してますので。いやマジで。

...ユート、無理してでもにっこり笑って食えよ。漢を見せろ!

370名無しさん@初回限定:04/11/14 13:13:04 ID:vAEX19/r
>>368 信頼さま
なにやらセリア日記が好評でよかったです。
次回は『ユート様の料理教室』『セリアの特訓』『史上最大の摘み食い大作戦』
の3本です。・・・・・・・・・スイマセン、嘘です。何にも考えてないです。
あと最後に・・・皿ぶん投げセリア・・・(・∀・)イイ!!

>>369 憂鬱さま
セリアさん大人気w愛されてますね皆さんに。
素直になれずキツイこと言ってあとで凹むのが私の中のセリアのイメージです。
・・・・・いや、私もセリア好きですよ?

訂正箇所
>>356の7行目変でしたね。以前ラキオスの北西で戦った龍・・・ですね。
なんだ・・以前戦ったラキオスの北西で戦った龍・・・・って・・・( ´・ω・`)


371名無しさん@初回限定:04/11/14 16:28:38 ID:18j1bB/Z
………

………

醤油の無い世界で、どうやって肉ジャガを作ったのだろう?
372名無しさん@初回限定:04/11/14 16:50:23 ID:AHPWEfyv
だから、「ハイペリア風」なんだとおもわれ。ジャガイモだってタマネギだってニンジンだって
糸こんだってあくまで近い物でありそのものではないだろう。肉はやっぱりエヒグゥか。


天ぷらは何を揚げたのかが気になる。エスの秘蔵ハーブを掻き揚げにとか……湖の小魚とかかな。


時深のおはぎも完全再現ではなかったような。
373名無しさん@初回限定:04/11/14 18:01:44 ID:DQVctnK5
醤油の代用品→酒に塩を入れて、火にかけたもの
…だと勝手に想像(某食いもん系マンガより


ヘリオンが料理したら、塩と砂糖以上の間違いをしそう…で、それを笑顔で食べるユウト
で、後でそれを食べて、泣きながらユウトに謝るヘリオン…お約束やねぇ〜
374物語の裏で 1/5:04/11/15 05:46:29 ID:AJn4mZHZ
 レスティーナはソーマ・ル・ソーマを打倒すべく、ヒミカ、セリア、ファーレーンの3人に指示を与えた。
 過去に因縁のあるソーマに出会って、エスペリアが冷静を保てるとも思えない。
 かつてウルカの部下だったものを指示しているとの報告を受けている以上、ウルカを出すのも憚られる。
 戦略に長けている相手に、比較的経験の浅い年少組、そして直情的な悠人や今日子を出すのもいまいち不安が残る。
 性格の素直なアセリアやナナルゥは格好の罠の標的になる可能性がある。
 光陰が適任な気もするが、サーギオスとぶつかっている今、防御の要となっている彼が抜けるのは痛い。
 同様の理由で、緑スピリットのハリオンとニムントールも使えない。
 それらを踏まえた上でのレスティーナの人選である。

 サーギオス領にて、3人はソーマを追い詰めた。
 しかしソーマは3人を嘲笑うかのように罠にはめる。
 全員がソーマズフェアリーに囲まれたかと思ったが、その囲いから逃れていた者が一人。ファーレーンである。
 自らの仕掛けた罠に絶対の自信を持つ者は、それを破られた時に意外な脆さを見せる。
 その罠も又同様。僅かな綻びからあっさりと瓦解する。
 余裕を見せて既に背を向け、その場を離れていたソーマは、その罠が食い破られている事に気付く事が無かった。
 3人を囲んでいたソーマズフェアリー、その6体の内4体が金色の霧となったところで、ファーレーンは戦線を離脱する。
 それはソーマを追う為。
 十分にソーマが仲間の戦うこの場から離れたと判断した為。
「私は目標を追いますね」
「ああ!! 頼んだ、ファーレーン!!」
「気をつけて!!」
 仲間の言葉を背に受けて、ファーレーンは闇に紛れて、消えた。
375物語の裏で 2/5:04/11/15 05:50:09 ID:AJn4mZHZ
 ソーマは薄暗い森の中を悠々と歩いていた。
 愚かで単純なスピリットをまた狙い違わず罠にはめた事に、昏い優越感に浸りながら。
 そう、思っていたから。 
 ひゅうっとひとつ、風が吹いた。
 ソーマの隣にいた護衛の2体のスピリットが不意に倒れる。
「? どうしまし……ひいっ!?」
 2体のスピリットは首を切り裂かれ、ぱくぱくと声にならない叫びを上げていた。
 喉からひゅうひゅうと漏れる息もやがて無くなり、スピリットは苦悶の表情で金色のマナに返る。
 ソーマは動けない。逃げ出そうにも、どちらに逃げていいのかすら解らない。
 恐怖に慄きながら辺りを見る。そして視界に入る微かな違和感。よく見れば、真後ろに黒いスピリットが立っていた。
「ひ、ひいっ!?」
 彼女はいつからその場所に立っていたのか。一切の音も気配も無く。ただ、在った。
「お、おお、おま、お前は!?」
「月光のファーレーン」
 ファーレーンが感情の篭らない平坦な言葉で問いに答える。
 その冷たい声にソーマは戦慄する。質問をぶつけた事を後悔する。その名乗りは、ソーマの耳に死刑宣告と響いたから。
 ファーレーンの真価は、正面からぶつかる戦闘では無く闇に紛れた暗殺でこそ発揮される。
 スピリット隊の中でその姿を見せる事はしない、ファーレーンの暗殺者としての姿。
 そのファーレーンがソーマにこの場であえて姿を見せ、名を名乗ったのにはいかなる理由があったのか。
376物語の裏で 3/5:04/11/15 05:53:13 ID:AJn4mZHZ
「他者を見下し貶める者は、下しか見ていないがゆえに自分より上にいる存在に気付かない」
 怯え後ずさるソーマと、ファーレーンの距離はまるで離れない。それは本当に影の如く。
「自身が他者に見下ろされている事に気付かない」
 ソーマが背を大木にぶつける。ひいっ!? という声と共に、ソーマが腰を抜かしてへたり込む。
 ファーレーンは、ソーマに近づくペースを、緩めなかった。
 ゆっくり、ゆっくりと距離が詰まる。
「わ、私は人間ですよ!! スピリットが人間を殺してもいいと思っているのですか!?」
 ソーマが叫ぶ。
 ソーマ率いる帝国の妖精がソーマズフェアリーと呼ばれ、大陸の恐怖の的となったのはこの一点。人を殺せるスピリットであるという事。
 それまでのスピリットは、人にとって安全な兵器だった。人はそれゆえに、これ以前の戦争を深く考える事すら無かったくらいだ。人間達に直接の被害は来ないのだから。
 スピリットは人を殺せない。それがこの世界の常識だった筈。
 そんなソーマの淡い期待をファーレーンはあっさりと斬り捨てる。
「人の命もスピリットの命も関係ありませんね。私にとって価値があるか否か。それが私の判断基準の全てですから」
 ファーレーンは実のところ今のラキオスにあって唯一、人を迷わず殺せるスピリット。
 それは仲間には決して見せない負の面、裏の顔。
 ファーレーンはラキオスの勝利にも、スピリットと人との共存にもさしたる興味は無い。二次的な興味しか無いと言った方が正しいか。
 全てはニムントールや悠人、そして友人達の為。彼彼女らがそれを望んでいるからこそ、ファーレーンは刀を振るう。
 ニムントール達の笑顔の為ならば、スピリットを殺す事も、人を殺す事も厭わない。
377物語の裏で 4/5:04/11/15 05:57:26 ID:AJn4mZHZ
「私とあなたは似た者同士です。だからこそあなたの作戦が私には手に取るように解った」
 一歩。また一歩。ソーマに近づいていく。
「自分の大切な者には優しく、そうでない者には限り無く残酷になれる」
 迷いの無い足取りは、しかし僅かな足音も、一切の衣擦れの音も無く。
 それをソーマが意識して気付く事は無かったけれど、無意識下でソーマの本能に恐怖を刻む。
 ソーマの全身は傍目にも判る位にがたがたと震え、冷たい汗を噴き出している。
「世界はその大切な者の為だけにあり、その為ならば何でも出来る。どんな手段をも躊躇い無く使える」
 ファーレーンの言葉は、ソーマに対して喋っているのでは無く最早一人語り。
「大切な者の為ならば何でも手に入れるし、何でも捨てる。例えそれが地位であっても名誉であっても財産であっても、大切な者以外の一切、世界のあらゆる物その全てを道具とする事に迷いは無い」
 なぜなら、ソーマの声はファーレーンの耳に入っていない。全く興味が無いから。
「ただ一点だけ、私とあなたが違う事は……」
 ソーマの必死の命乞いも、虫の音ほどの興味すらファーレーンには与えない。
「あなたは自分自身しか好きになれなかった事。私は好きになれた仲間達がいる事。かけがえの無い存在のいる事。それだけの、でも決定的な違いです」
 ソーマを見るファーレーンの瞳には、何の感情も篭っていない。
「私とあなたは似た者同士。あなたも少し考えれば判るんじゃないですか? 私があなたをどう見ているか」
 這いつくばり必死に助けを請うソーマを映しながら、哀れみも怒りも、一切の感情が篭らないガラスの瞳。
「私にとって、あなたは無価値」
 ファーレーンは無造作に『月光』を突き出し、命乞いをするソーマの心臓を一突きにした。
 訳が解らないといった表情で、ソーマは最後の言葉を吐き出し、倒れる。
「こんな……筈では……」
 それがソーマ・ル・ソーマの最期の言葉。
 そこで初めて、ファーレーンはソーマの声に反応して表情を僅かに、ほんの僅かに変えた。
「『こんな筈では……』ですか。自分以外の一切を信じられず、最期には唯一信じていた自分にすら裏切られる。
 愚かで無様で醜く惨め。どこまでもあなたらしい辞世の句です。最期の言葉だけは分相応だったと認めざるを得ませんね」
378物語の裏で 5/5:04/11/15 06:17:43 ID:AJn4mZHZ
 それから少しして、ソーマズフェアリーを倒したヒミカとセリアもファーレーンと合流した。
「やったわね」
「よし、作戦成功。さっさと帰ってシャワーでも浴びよう。結構疲れちゃったよ」
「ええ。そうしましょうか」
「それにしても、今回もファーレーンのおかげで助かったな」
「そうね。ファーレーンだけは敵に回したくないわ」
「ふふっ。おだてても何も出ませんよ。さて、帰りましょうか。皆が心配してくれているでしょうから」
 ファーレーンの笑顔。
 それは偽りでは無い、心からの笑顔。
 こうして笑っていられるように、ファーレーンは刃を血に染める。
379名無しさん@初回限定:04/11/15 10:23:10 ID:pffpu+33
 自 ずずっ、ごくごく... Θ もぐもぐ...

む、アヴェンジャー・ファーレーンか、ソーマ殺しのホンボシは...
やっこさん、どうやら動き出したな。さて、もう少し泳がせてみるか...?

...いつから刑事モノのスレに?
380SALVAGE 179/200:04/11/15 16:37:09 ID:pffpu+33
――聖ヨト暦258年、スリハの月。

その世界は、「求め」、「誓い」、「因果」、そして「空虚」という、
エトランジェ達の四神剣による戦乱の真っ只中にあった。

「お姉ちゃあん...」
幼い少女が、暗がりの中で戦いに巻き込まれて負傷している姉の体を抱きかかえていた。
「...私は大丈夫よ。それより、今なら兵士達もいないわ。後から追いかけるから、
あなたはすぐにここを離れなさい。」それは、年齢よりもずっとしっかりした口調であった。
「いやだよぉ。お姉ちゃんと一緒にいる!」泣き声ながらに姉にしがみつく青い髪の少女。
「―――駄目よ。もうすぐここも見つかるわ。わがまま言ってないで、早く逃げなさい!」
しかし、叱咤する姉の声にも、幼い妹はその場を動こうとしなかった。
足をくじいて動けない姉の体にしがみつく両手に、いっそう力がこもる。

コツ、コツ、コツ―――。

民家の納屋に、まるで二人がそこにいることが判っているかの如く、
まっすぐに近付く足音が響いてきた。その音が幼い姉妹を恐怖で凍り付かせる。
381SALVAGE 180/200:04/11/15 16:40:27 ID:pffpu+33
「ここに居られましたか。――お迎えに上がりました。」
積まれた藁の影に隠れている二人に、感情を感じさせない冷たい声が投げかけられた。
少女達の体が、ビクリ、と動く。

「―――おや。まだ、目覚めておられなかったのですね。」
少女達の顔を見ながら、いや、姉の顔だけをじっと見詰めながら、その男が言った。
それは、人形のように美しい相貌をした青年であった。しかし、その瞳には人間らしい感情はこもっていない。
命を、命とも思っていない冷酷な、暗い光が宿っているだけであった。―――そして、青年の両手には、
瞳と同じように、冷たく蒼い輝きを放つ二振りの剣が握られていた。
幼い少女達は一目でそれが永遠神剣と呼ばれるものであることを悟った。
しかし青年の二本の剣は、見たことのある、「求め」や「空虚」よりも格段に力強い輝きを備えていた。
「来ないでっ!!」幼い妹が、怪我をしている姉をかばうように、気丈にも二人の間に立ちふさがった。
「危ない、逃げてっ!!」
姉の叫び声が小さな納屋に反響した。

「―――フ。お嬢ちゃん、邪魔をしないでくれるかな。」立ちはだかる少女にほとんど目もくれないまま、
その男の振った片方の剣が、ヒュンッ、と軽やかな音を立てた。
同時に幼い妹の左腕が、音もなく断ち切られた。
382SALVAGE 181/200:04/11/15 16:43:17 ID:pffpu+33
「いやあ――っ!!」悲鳴を上げたのは姉であった。
妹は苦痛に顔を歪ませながらも、それでも歯を食いしばって、青年の顔を睨み続けていた。
「―――ほう。なかなか我慢強いお嬢ちゃんだ。少しばかり、楽しませて貰いましょうか。」
青年が酷薄な笑みを浮かべ、初めて妹に視線を向けた。―――その時、姉に異変が起こった。
「グッ、グアアッ!」姉が、何かに襲われるように体をかかえこんでうずくまった。
次の一撃を仕掛けようとした青年の動きが止まる。
「―――どうやら、時が来たようですね。」
「お姉ちゃん、大丈夫っ!?」片腕を失った少女が、姉の下へ駆け寄る。
しかし、目を大きく見開かせた姉の顔は、いつもの優しい姉の顔では無かった。
「お、お姉...ちゃん...?」
「ハアッ、ハアッ、ハアッ...」
四つん這いになって、肩で息をする少女の傍らに、ぼうっと、何かが浮かび上がった。
「―――お目覚めですか。お遊びの時間はお終いですね。」
別に残念そうでもなく、青年は無感情のままつぶやく。
妹に対して浮かんだほのかな興味も、すでに消え失せているようだった。
383SALVAGE 182/200:04/11/15 16:45:29 ID:pffpu+33
シャランッ!

怪我をしていた姉の足に向かって、浮かび上がった物体から、鈴のような音とともに光が放たれた。
すうっと、何事も無かったかのように少女は立ち上がり、それを手に取った。
「―――ずいぶん、遅い出迎えですわね。仕掛けは、終わりましたの?」
「嫌だ...嫌だよ...お姉ちゃん...」妹の瞳から涙が溢れ出した。
そこにいるのはよく知っている姉ではなく、青年と同様の冷たい瞳をした、別の生き物であった。
「すでに手筈は整っております。...全ては、神剣の意志のままに。」
美しい青年が、うやうやしく頭を下げた。
「では、参りましょうか。」
そう言って少女は腕を軽く一振りする。鈴の音とともに、闇のような穴が、ぽっかりと口を開けた。
「お...ねえ...」顔面蒼白となった幼い妹が、気を失い、崩れ落ちる。
「そちらの娘は――?」青年が倒れた少女に目を向けて尋ねる。「姉」であった少女が、幼い妹を一瞥した。
「放っておきなさい。どうせあの出血では助かりませんわ。」

闇の穴の中に入り込んでゆく「姉」であった少女を、心の奥底に封じ込められようとしている記憶の欠片が、
ほんの一瞬振り返らせる。
少女が闇に呑まれる寸前、小さな鈴の音とともに放たれた僅かなきらめきが、血まみれの妹の体に吸い込まれた。
384SALVAGE 183/200:04/11/15 16:47:43 ID:pffpu+33
「ああ...強いですねえ...まさか、こうなるとは...思いません...でし...た...。」
神速のウルカの剣に斬り倒された男が、無表情なままで呻きながら倒れる。
「―――下衆め。」
黒い妖精が、珍しく憎しみをこめて、その残酷な男の最期に向かって吐き捨てた。

―――聖ヨト暦332年、コサトの月、黒ひとつの日。

悠人達のラキオス戦士達は順調にロウエターナルのメダリオ、ントゥシトラ、ミトセマールを撃破し、
キハノレの要塞下に集結していた。
「あとひと息だ、行くぞ!」悠人の号令とともに、一斉に部隊の精鋭達が要塞になだれ込む。
迷宮のようなその要塞に入った悠人達を、いかつい男が、とても剣とは思えぬほどの巨大な武器を手に、
待ち受けていた。
「来たか。貴様らのうちに俺と戦うに足る者はいるのか?」
傲慢とも思える言葉でその男、『黒き刃のタキオス』が悠人達を見回した。
「俺が相手してやるよ。」悠人が進み出る。
385SALVAGE 184/200:04/11/15 16:50:47 ID:pffpu+33
「フム、貴様の剣は見たところ上位ではないようだが...よかろう。俺の前に立った事、後悔するなよ。」
タキオスが軽々とその巨大な黒い神剣「無我」を一振りし、構えた。
「てやあぁぁぁ――っ!!」
「アセリアっ、待てっ!」悠人の制止も聞かず、血気にはやったアセリアが突っこむ。
しかし、タキオスの張った防御壁に弾きかえされ、その軽い体が壁に打ちつけられた。
「アセリア!」エスペリアが慌てて駆け寄り、回復魔法を詠唱した。
「その程度の攻撃では俺の体にはカスリ傷一つ付けられんぞ!」タキオスが吼える。
「お前の相手は俺だ!来い!!」悠人が怒鳴る。刹那、タキオスが黒い神剣を横殴りに一閃させた。
悠人は跳躍し、その斬撃をかわした。空中から振り下ろされた「求め」がタキオスの肩に命中する。
「何だとっ!?」左肩を砕かれたタキオスが驚愕の表情を浮かべる。
「これが人間様の力ってもんだ、恐れ入ったか!」
悠人が間合いを開けながら言った。「神剣の格やら力ばっかりに頼ってると大怪我するぞ、オッサン!」

「ぐ...そうか、貴様、オーラフォトンを展開せずに...!」
タキオスが肩を押さえ、呻きながらも不敵な笑みを浮かべた。
「ク、ハハ、久し振りだ、これ程の力の主は...!」

386名無しさん@初回限定:04/11/15 16:54:52 ID:HX3ZwTcT
真炉利元的支援
387SALVAGE 185/200:04/11/15 16:56:17 ID:pffpu+33
神剣魔法による防御壁が無駄と悟ったタキオスが右腕一本で「無我」を構えなおした。
「―――貴様のような男に出会うために、俺は戦い続けていたのかも知れん。」
暴虐の世界から召還された破壊の王、タキオスは静かな口調で言った。
そこには神剣に呑まれた者の顔はなく、満足気に微笑む人間の顔があった。

「ぬおおぉぉ――っ!!」潮合がきわまり、再びタキオスが剣を薙いだ。
「おらっ、気合い入れろよ、バカ剣!!」悠人が凄味を増した斬撃を正面で受け止める。
以前なら破壊されていたであろう「求め」が火花を散らし、しかし、悠人の闘気を吸い込み、
金色に輝きながら、しっかりとその衝撃を受け切った。
「うおおぉぉぉ―――っ!!」
黒い刃をはねのけ、一直線に繰り出された「求め」がタキオスの脾腹を突き抜けた。
「ぐ...はッ...な...なんという...!」
無数の戦闘をくぐり抜けて来た、傷だらけのその体が、ゆっくりと崩れ落ちる。

「勇者よ...最後に、名を聞かせて貰おうか...」
傷口を押さえながら、それでも微笑を絶やさずに、タキオスが言った。
「悠人...。高嶺悠人だ。」戦いに生きた男の最期を看取るように、悠人はゆっくりと名乗った。
その言葉を聞いたタキオスが、頷きながら目を閉じる。やがて、その体がマナへと浄化されていった。
388SALVAGE 186/200:04/11/15 16:58:25 ID:pffpu+33
「タキオスも、とんだ見込み違いでしたわ。」
迷宮の奥へと進んだ悠人達を待っていたのは、幼い少女であった。
「こんな下位神剣などに後れを取るとは...。」その少女は苦笑をまじえながら首を振った。
「テムオリン!ここまで来たらもう逃げられません!覚悟なさい!」
時深が、昂ぶったその感情を隠そうともせずに叫んだ。
「あなたも懲りない女ですわね。ぞろぞろと役に立ちそうもない坊や達を引き連れて、
よくもまあ...。私がまとめて葬って差し上げます!」せせら笑う少女の体が宙に浮き上がる。

シャランッ!

テムオリンの振りかざした錫杖から閃光が奔り、もろにその衝撃波を浴びた時深が倒れた。
「くそっ!」悠人が歯ぎしりする。高く舞い上がったその少女にとても刃が届くとは思えなかった。
「虫ケラは虫ケラらしく、地べたに這いつくばっていれば良いのですわ!」
再び、少女が手にした錫杖を振り上げた、―――その時であった。
「こんなの相手に苦戦するとは、やはりまだ未熟者だな、ユート。」
「し、師匠!?」悠人はその声に驚愕した。「い、いくら師匠でもここは危険すぎるぞ!」
「ごちゃごちゃ言ってないであの娘の神剣魔法を何とかしろ。」
悠人は慌ててシールドを張る。刹那、「秩序」が唸りをあげた。
389SALVAGE 187/200:04/11/15 17:01:20 ID:pffpu+33
「ぐおぉぉっ!」
悠人が衝撃波を受け止めた瞬間、そのシールドの影に入っていたミュラーが飛び出す。
「ユート、肩借りるぞっ!」悠人を踏み台にしたミュラーが驚異的なジャンプ力で法皇テムオリンに襲い掛かり、
空中で二つの影が交錯した。

「え...?これは...?」
木太刀に鳩尾を貫かれたテムオリンが、その幼い顔に不思議そうな表情を浮かべた。
「私が...負ける...?こんな...虫ケラごときにッ...!?」
少女と、ミュラーの体が折り重なるように地に落ちる。
「師匠っ!」
「ミュラー様っ!」悠人とナナルゥが抱き起こしたミュラーの体にもまた、錫杖が突き立っていた。
「ミュラー殿っ、気を確かにっ!!」
「冗談だろっ、師匠、しっかりしてくれよ、おいっ!!」
ウルカが、そして悠人が虫の息のミュラーに向かって叫んだ。
ミュラーが悠人の手を握りながら、弱々しく笑みを浮かべる。
「憶えておけ、お前達...心の力というものは、時として、神をもしのぐ...だが、それは、時には...
悪魔よりも醜くなる...。どっちに転ぶかは...お前達次第、という事だ...。」
そう言い遺した美貌の女剣士の瞳が、静かに閉じられてゆく。
390SALVAGE 188/200:04/11/15 17:03:28 ID:pffpu+33
「ミュラー様、しっかりしてください!まだ...まだ私は...
貴方に教えてもらわなければならない事が沢山あるのにっ!」
しかし、ナナルゥの嗚咽混じりの呼びかけに、ミュラーが応える事は、もうなかった。

よろよろとふらつきながら、時深がテムオリンに近付いた。
その幼い法皇の体は、マナに帰すことなく、静かに横たわっていた。
「どういう事だ、時深...?」悠人が尋ねた。
「―――これもまた、彼女の選択なのでしょう。
本来、エターナルが人間に倒される事などは、あってはならない事ですから...。」
最大のライバルを失った時深は、複雑な表情を浮かべ、幼い少女の瞳を閉じさせた。
神剣の秩序のために身を投じ、時の果てる事のない戦いを続けてきたテムオリンの相貌は、
しかし、ようやく全てから開放された、あどけない少女のものであった。
「師匠...。」
ひょっとしたらミュラーは、その身命と引きかえに、この幼い少女を救い出したのだろうか、悠人はそう思った。
かつて、悪魔への道へと進み始めていた自分を引きずり上げてくれた、あの時の様に―――。
391SALVAGE 189/200:04/11/15 17:06:22 ID:pffpu+33
「――行こう、みんな。」
しばらくの休息を経て、悠人達は要塞の最深部へと入って行った。
この世界中から収束しているマナを感じ、誰もが迫り来る恐怖と威圧感に口を閉ざしていた。
「何だか、凄い事になってるな。」
要塞中央の部屋に入った光陰が、マナを吸い込む巨大な神剣を見上げて言った。
世界中のマナをかき集め、その神剣が今にも破裂しそうな赤い光を発している。
その巨大な「再生」の根元に佇んでいたのは、身も心も神剣に同化させた瞬であった。
「あれ―――秋月なの――?」今日子が忌わしいものでも見たかのように息を呑む。
「あんまり、信じたかねえな。」光陰がつぶやいた。
「...間違いなく、瞬だよ。」悠人が「求め」を握りしめる。
「さ、出番だ。――今度こそ、根性見せろよ、バカ剣。」
悠人の言葉に応じるように「求め」が静かに光を放ち始めた。

「ほう、エターナルにもならずに、よくここまでたどり着いたものだな。」
口調こそ違えど、その声だけは、間違いなく瞬のものであった。
「――よく憶えておいて下さい。あれが悪魔の力に身も心も委ねた者の姿です。」
時深がゆっくりとその空間の中央に進み始めた。
392名無しさん@初回限定:04/11/15 17:07:03 ID:e6jLmJvf
支援ですわ
393名無しさん@初回限定:04/11/15 17:08:04 ID:HX3ZwTcT
真炉利元適支援
394SALVAGE 190/200:04/11/15 17:08:34 ID:pffpu+33
「私は混沌の永遠者、『時詠』の時深!あなたの存在を永劫に葬り去って見せます!」
時深の咆哮とともに瞬の体がふわりと浮き上がった。
「まずは貴様から片付けてやる!マナよ、爆炎となって彼の者を包み込め!」
瞬のかざした『世界』から、かつて悠人達が体験した事のないような凄まじい衝撃波が巻き起こった。
「くぅっ!こ、このくらいでっ...!」一身に赤い波動を浴びて、時深がそれでも耐えようとする。
しかし、時深の体が、刃と化した赤いオーラフォトンに、徐々に切り裂かれてゆく。
「と、時深っ!!」
悠人が、耐え切れず崩れ落ちた時深に駆け寄ろうとした時、まるで無差別攻撃のような第二の衝撃が襲ってきた。
「うっ、つうぅっ!」数々の強敵を打ち倒してきた今日子が、アセリアが、そしてウルカまでもが
一瞬にして瀕死の状態に陥る。
「こ、これが悪魔の力だってのか...っ!」悠人の膝が震えた。
今まで見たことのないその光景に、悠人の心が崩れそうになる。
ほんの僅かな時間で同胞達が、次々と倒れてゆく姿を目の当たりにした悠人の心を支配したのは、
逃れようのない恐怖であった。
395SALVAGE 191/200:04/11/15 17:10:58 ID:pffpu+33
「フフフ...今頃になって後悔しているのか。次は、お前の番だっ!!」
あざけるようなその声と同時に第三の赤い津波が、悠人を襲った。
「うおおぉぉっ!」衝撃波をまともに食らった光陰の加護のオーラが、まるで薄紙の様に破られた。
同時に悠人も弾き飛ばされ、その視界が霞んだ。

―――やっぱり勝てないのか、俺達の力じゃ。
...しかし、ボロクズのようなその体を、柔らかな体が受け止め、支えた。

「―――しっかりしてください、ユート様。貴方なら負けるはず、ありません。
――地の底から這い上がってきた、ユート様なら。」
その声は、窮地に追い込まれた悠人を、何度となく救ってきた炎の妖精の、静かな声であった。
「倒れないで、ユート様!」
「おい、悠人よ、まだ何も終わっちゃいないぜ。」
「そうよ、バカ悠。あんたが決着をつけるんでしょ?」
ヒミカが、そして倒されたとばかり思っていた光陰が、今日子の声が、折れそうだった悠人の心に、奮い立たせる力を与えた。
「ここまで来て、負けて帰るなんて、イヤですっ!」
「そうだ、私達は、まだ戦える、ユート。」
ヘリオンが、アセリアが、次々と力強く立ち上がる。
396SALVAGE 192/200:04/11/15 17:13:10 ID:pffpu+33
―――契約者よ、我に言った事、よもや忘れたとは言わせぬぞ。
戦乱をともにくぐり抜けた相棒が、理性に満ちた声で悠人に語りかけた。
「――ホント、こんな情けない隊長に、よく着いてきてくれたよな、みんな。」
悠人はもう一度、光を取り戻したその双眸で、瞬を睨みつけた。

「悪魔に心を売り渡したあなたを...倒します!」
ナナルゥの頭上に、純白の光輪が浮かび上がった。
そしてその光輪が、美しいスフィアハイロゥとなり、駆け出したナナルゥの体を包み込んだ。
「ナ、ナナルゥ!無茶だ!」悠人が叫ぶ。しかし、その時、それまで瞬のオーラフォトンに妨害され、
本来の力を失っていた光陰の加護のオーラが、突然勢いを取り戻した。
「サポートは任せろ、悠人!あの娘にゃ借りがあるんだ!」
だが、加護の力を受けて加速したナナルゥの渾身の斬撃も、あっけなく瞬のオーラフォトンに弾かれる。
「ハハハッ!そんなひよわな攻撃で、僕の体を傷付けられるとでも思っているのか!」
瞬の高笑いが響き、再びその体が空中から襲いかかって来た。
「ぐ―――ッ!?」
悠人が受けた衝撃は、しかし、それまでの瞬の攻撃とは比べ物にならないくらい、脆弱なものであった。
397名無しさん@初回限定:04/11/15 17:15:42 ID:HX3ZwTcT
百合姉援
398SALVAGE 193/200:04/11/15 17:17:15 ID:pffpu+33
「へっ、秋月のヤツも、へばって来やがったな。」光陰の表情に、ふてぶてしい笑みがよみがえる。
「今度は、こっちの番です、ユート様。」素早く自陣に戻ったナナルゥが、
ごく自然に悠人の背後に回りこんだ。―――まるで、ずっとそこにいたかの様に。
「ユート様の背中は...私がお守りします!」その言葉に呼応するかのように「消沈」が輝き始める。
「行って来い、悠人!」光陰の黄緑色のオーラフォトンが、強靭なシールドとなって展開された。
―――さあ、行け、契約者よ!我に汝の全てを見せてみろ!
『求め』の放つ金色の光とともに、悠人が翔けた。――その刃に、ともに戦ってきた仲間達すべての思いを乗せて。
「うおおぉぉ―――っ!!」

ガッ、ガッ!!
一発―――二発。悠人の斬撃が、確実に瞬の体を捉える。
「―――マナよ、怒りの炎となれ。黒き血にまみれし彼の者を焼き尽くせ!」
ナナルゥが、何かに導かれるかの如く火焔魔法を詠唱する。
『消沈』がそれまで見せた事のないほどの真っ赤な光を放ち、ナナルゥの目の前に、
巨大な盾のような紋様が出現した。そして、『再生』へと収束しつつあったマナをも巻き込みながら、
その魔方陣が紅蓮の炎へと姿を変え、瞬に襲いかかった。
399SALVAGE 194/200:04/11/15 17:20:21 ID:pffpu+33
「ぐあ...あ...なん...だとっ!?僕の...体が消える...?
この僕が...僕が、負ける...なんてッ!!」
煉獄の炎にその身を焼かれた瞬が、獣のような断末魔の声を残し、
そしてその身体が、まるで蒸発するように消え始めた。
...やがて、集めるべきマナをなくし、光を失った『再生』もまた、瞬の体を追うように、
闇と化した空間の中に呑みこまれて行った。


「――これで、良かったんだよな、師匠。」
悠人はソーン・リームの雪原に並んで建てられたミュラーとテムオリンの墓標に向かって言った。
二人とも、穏やかな死に顔であった。
年齢の差はあったが、その二つの顔は、不思議な事に、どこか似通っているようにも見えた。
「さ、帰ろう、俺達の家に。」悠人は墓標の前で長い間ひざまずいていたナナルゥとウルカに呼びかけた。
「―――はい。...さようなら、―――ミュラー様。」
ナナルゥが流した一筋の涙が、真綿のような雪に、ポツリと小さな穴を開けた。

ラキオスに戻った悠人達を、熱狂的な観衆が取り囲んだ。
大陸を救った英雄として迎えられたセリアが、ヒミカが、そしてファーレーン達がもみくちゃにされ、
困ったような笑顔を見せる。スピリットを蔑む目は、もう、どこにもなかった。
400SALVAGE 195/200:04/11/15 17:22:51 ID:pffpu+33
「悠人さん、あなたもこの世界に残るのですね?」時深が念を押すように尋ねた。
「そうだな。まあ、時深には悪いけど、俺には永遠の戦いを続ける気はないよ。」
悠人は赤い妖精の肩を抱いて言った。
「―――そうですか。残念です。今のあなた達からは我々と同じような力を感じるのですが。」
時深はそう言って首を振った。
「俺なんかがいなくても大丈夫だよ。もし、この先タキオスや瞬が復活したとしても、―――その時までには、
虫ケラみたいなちっぽけな奴の中から、必ず神様に一泡吹かせようってヒネクレ者が出てくるさ。」
「あなたは根っからのカオスなんですね。」溜息をつく時深の言葉は、悠人にはどことなく聞き覚えのあるものだった。

「あーあ、次のイベントまでに、またイキのいいのを探さなくっちゃ。」時深が苦笑しながら言う。
「はは。あんまり乱暴な事はすんなよ。」悠人もつられて笑った。
「あ、あったり前でしょう!ふん、もっと紳士的でカッコいい男の子を見つけてやるんだから!」
時深が拳を振り回しながら毒づいた。
「―――それ、どういう意味ですか?なんか、性格変わってるし。」
口を尖らせるナナルゥが、控えめに抗議した。
401SALVAGE 196/200:04/11/15 17:25:25 ID:pffpu+33
―――スピリットが人間の社会に溶け込んでから、さらに数年が経過した。

スピリット達はこの世界で、自分の選んだ道を歩き始めていた。
ヒミカは王立図書館の司書職を勤めている。勤務の傍ら、創作活動にも精を出しているようだ。
ハリオンは、大陸各地のグルメ旅行にいそしみながら、料理教室を開いていた。
その料理教室を優秀な成績で、最初に卒業したのは、以外にもセリアだという事であった。
ヒミカの情報によると、どうやらいい人が出来たらしい。

―――そんなある日の事。
「あら、ニム、いらっしゃい。」ナナルゥが微笑んだ。
「ふう、疲れた。ここに来るたび思うんだけど、すごいとこに住んでんのね、ナナルゥ達って。」
ニムが溜息混じりに言って荷物を降ろす。
「いつも悪いわね、ニム。こないだお礼にあげたキノコ、どうだった?」
「あれね...料理してコーインに食べさせたら、三日ほど起き上がってこなかったわよ。」
402SALVAGE 197/200:04/11/15 17:28:42 ID:pffpu+33
今や大陸でも知らぬ者がいないほどの名医となったニムが眉をひそめた。だが、その躍進の影に、
あるエトランジェの、本人も気付かぬうちに行われた数々の人体実験があった事は秘密である。
「あ...そう?うーん、キノコは見分けが難しいのよねえ。」ナナルゥが腕組みをして、首をかしげる。
「あっ、ニム、いい所に来てくれた!おい、これほどいてくれよ!!」
なぜか洞窟の前の大木に縛り付けられている悠人が叫んだ。

「―――ナナルゥ、あれ、なんなの?」ニムがいぶかしげに尋ねた。
「せっかく髪型整えてあげるって言ってるのに、逃げようとするのよ、あの人。」赤い妖精が屈託なく笑う。
「当たり前だ!こないだ変な薬であやうくつるっぱげにされかけたんだぞ!」悠人が怒鳴る。
「―――で、今度のは大丈夫なの、ニム?」悠人の言葉には全く耳を貸さないナナルゥであった。
「これならどんなに硬い髪でもさらさらになると思うよ。えっと、この前渡したのと、
この青い瓶の中身を混ぜてね。あ、間違えてそっちのと混ぜたら爆発するから気を付けて。」
ニムが荷物の中身を取り出しながらナナルゥに説明を始めた。
403名無しさん@初回限定:04/11/15 17:29:37 ID:HX3ZwTcT
ネコ・スピ・モード♪
404SALVAGE 198/200:04/11/15 17:32:15 ID:pffpu+33
「一体お前ら、人の体を何だと思ってるんだっ!!」悠人が泣き叫ぶ。
「気にしないで、ニム。あの人元気が有り余ってるのよ。夕べなんか三回も私と...。」
「んまあ、三回も!?」
「こ、こらこらっ!!ナナルゥ!!そこで赤裸々な夫婦生活を語ってんじゃない!
ニムもなんでそんな主婦じみたノリをしてんだよっ!」
「―――うるさいわね、ユート。ナナルゥ、エレメンタルブラストかましといていい?」
「あ、いいけど、そこ珍しいハーブ植えてるから気をつけてね。」
「―――俺の体の心配は無しかよ...。おい、バカ剣っ、お前の主の危機だぞ!
何とかしろよ!相手は下位神剣だろ!」
―――契約者よ、我の貴重な思索の時間を邪魔するでない。しかも神剣の位などと...それこそ心貧しきロウの発想だ。
「くっ!妙に『聖賢』に干渉されてやがる!こんな事なら復活なんてさせるんじゃ...ぎゃあっ!!」
なおも騒ぎ立てる悠人の頭上からエメラルドグリーンの雨が降り注いだ。
405名無しさん@初回限定:04/11/15 17:33:52 ID:uFo8D9EN
シエン
406SALVAGE 199/200:04/11/15 17:36:55 ID:pffpu+33
――そんな平和な日々が続いたある日の事。
ナナルゥと悠人が暮らすラシードの洞窟に傷だらけの少年が辿りついた。
「へえ、人間の子か。よくここまで来れたもんだな。」
感心しながら少年の顔を覗き込んだ悠人が目を丸くする。「お、お前、ひょっとしてあの時の...!?」
よく見れば、それはいつか、ラキオスの城下町で出逢った事のある顔であった。
「―――勇者様に、剣を教えて貰いに来ました。」
その少年はボロボロになった剣で体を支えながら言った。
しかし、泥だらけの顔の、そのまっすぐな瞳はどこまでも澄んでいた。
「教えて貰いにって...。うーん、せっかく来てくれてこんな事言うのは気の毒だけど、
俺は別に訓練士とかじゃないんだ。ラキオスの町にウルカって先生がいるだろ。そこで剣を習ったほうがいいぞ。」
ウルカは、一番弟子のヘリオンとともに、ラキオス城下で、大陸中から集まる者全てに、
それこそスピリット、人間の分け隔てなく剣を教えていた。
誇り高い女剣士から教えられた剣の心を、一人でも多くの者に伝えるために。

「そのウルカ様がここに行けって言ったんだよ。」
少年がキッと悠人を睨む。
「は?ウルカが、か?」悠人は眉をひそめた。
なぜ、こんな年端もゆかぬ少年に危険を冒させるような事を言ったのか、見当がつかなかったのだ。
407SALVAGE 200/200:04/11/15 17:39:02 ID:pffpu+33
「教えて上げればいいじゃない、あなた。」ナナルゥが横合いから口を出した。
「だって、この子の眼、―――昔のあなたにそっくりよ。」
赤い妖精がいつもと変わらぬ静かな笑顔を見せる。
「やれやれ、ナナルゥまで―――。なあ、お前、何でまた俺ん所まで来たんだ?」悠人は少年に向き直った。
「強くなりたいんだよ、俺!」少年が瞳を輝かせながら答える。
「ふうん。強くなりたい...か。」悠人はニヤリと笑って、言った。

「――で、強くなってどうする、坊主?」


                                             SALVAGE   完
408あとがき1/2:04/11/15 17:42:14 ID:pffpu+33
つ...疲れた...。支援していただいた方々、有難うございました。
後半駆け足の展開を続けた感のある「SALVAGE」、ようやく終了しました。
「ンギュルルン、ギュルッギュウッ!!」
「ただでさえLボタンで出番が削られてるってのに、また尺の都合ってやつかい!もう聞き飽きたよっ!」
―――後ろで何か言ってる人達は放っておきましょう。

「寸劇」の舞台にもなったサモドア陥落の名シーンで、エスペリアが言うセリフがあります。
「ユートさまは、変わりませんか?力を持つ事で、変わってゆく事はありませんか?」
これはただ単に神剣に飲み込まれるという意味ではないように思われます。
そこで、ひとつ「力を持つ事で変わってしまう悠人」を書いてみよう、と思ったのが今回の動機の一つです。
ですから本当の意味でのイービルルートとはちょっと違うものになっています。
信頼さんが「構成が難しい」と言ってましたが、私のパターンは「雨降って地固まる」と決まってますので、
その点では、実は「家出」とあんまり変わりないです。
今回はひどい土砂降りだったのでかなりの人が心配したり、ムカついたりしたのではないかと思いますが、
ただ、そんな心優しい人ほど後半が楽しめたのでは、と密かに思ったりもしてます。
でも雨降らせるのは簡単だけど、その後が三倍くらい労力が必要ですねえ。
もう少し作風のマインドを上げたいものです。
409あとがき2/2:04/11/15 17:44:10 ID:pffpu+33
ナナルゥは、実際魔法が強力で、しかもヒロインボーナスがないものだから、
知らないうちにマインド50台になってたりしてビビった経験も踏まえて、
「よっしゃ、ワイヤー10本使って笑顔を引き出してやる!」と気合いを入れてみました。
十本目のワイヤーがキノコだったのは内緒ですw
個人的には時深と契りを交わそうとする悠人の後ろでブチ切れてるナナルゥが気に入ってます。
あと今日子戦で泣くところ。あ、エチシーン前の「恋慕」のエスっぽい、無表情問い詰めナナルゥもいいなあ。
でもやっぱり笑顔のシーンかなあ。...どれなんだよ!
しかし、さすがにラスボス戦で「はいぺりおんすた――っず!!」と叫ばせるのは無理でした。
エターナルナナルゥを期待してた方々、本当にスマソ。
ラストシーンの「ナナルゥの新妻だいありぃ〜」で勘弁してください。

では、暖かい目で見守ってくれたスレ住人の方達、本当にありがとうございました。
いつか発売されるかも知れない「アセリア・雑魚スピFD」にナナルゥルートがある事を祈りつつ。
410名無しさん@初回限定:04/11/15 18:02:08 ID:PZcQOq9R
リアルタイムで読めた感動をここに記す
411名無しさん@初回限定:04/11/15 18:22:47 ID:uFo8D9EN
>憂鬱様
GJ&乙です!
今回の作品で私の中のナナルゥ株は鰻上りです。

妹の腕ぶった切られた時はまさかとは思いましたが、ミュラータソにこんな過去が用意されてるとは思いませんでした。
それにしてもミュラータソはどういう経緯でファンタズマゴリアまで来て、50年もピチピチのままで居たんでしょうか?
気が向いた時にでもこの辺の補完ネタもおながいしますヽ(´ー`)ノ

ちなみに私は前半のダークな雰囲気大好きでしたよ。
次回作ではもっと黒い奴希望ですw

412名無しさん@初回限定:04/11/15 18:34:58 ID:uFo8D9EN
というわけで、長編SSの保管は無事完了しますた。
http://etranger.s66.xrea.com/ss/long/

短編の方は鋭意作成ちうの為もうしばらくお待ちを。
なお、ご意見、ご指摘、ご苦情、ご中傷等ありましたらこちらまで。
「寸劇様作成、連絡スレ2」
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi?bbs=refuge&key=1099424351&last=50&nofirst=false
413名無しさん@初回限定:04/11/15 19:06:52 ID:pffpu+33
>>411...というか、424さん。
ご愛読有難うございました。
実は今回冒頭のエピソードは設定のみにとどめておこうと思っていたものです。
テムオリン戦書いてるうちにやっぱり入れたほうがしっくりくるなあ、と思い立ち、
急遽差し込みました。
一応「目覚め」るまで、テムオリンはミュラーの姉としてファンタズマゴリアで
生まれ育った事にしています。ミュラーはエターナルではなく、「秩序」の影響を受けて、
年をとりにくくなった人間、という設定です。分かりにくかったですかね。

もっと黒い奴ですか...ホンモノのイービルルートSS...私の筆力を超えてますねえw
414名無しさん@初回限定:04/11/15 19:40:14 ID:hkExnjkI
>>412
もし、テンプレ等に載せるなら
SS保管庫・連絡スレッド 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099424351/
の方が(少しだけ)すっきりしてるかもです。
一応、ついでに避難所スレの方もURL置いておきますね。
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/

415名無しさん@初回限定:04/11/15 19:48:36 ID:e6jLmJvf
憂鬱さん21日間ご苦労様でした、G.J.!です。
きっちり200レスに収めている辺りがさすがです。
っていうか読み直していたら凄い時間経ってた……

>>179以降
 うっ……ナナルゥが唱えた神剣魔法が判らない……(汗
 それはそうと師匠、まさかテムオリンと姉妹だったとは。隻腕が伏線だったんですね……
 悠人。すっかり「髪結いの亭主」になってしまってw
 少年に告げた一言が話の全てに問いかけている気がして鳥肌立ちました。
 
>>1から読み直して
 最初はかなり「人間っぽく」って存在感のあったヒミカ、セリア、ヘリオン等がどんどん目立たなくなってくる。
 気づいた時には良い意味で「誰が」の意味が余り無くなっていて、しかもそれなのに各々に個性を感じる。
 驚いたことにラスボスである瞬や物語の鍵であったミュラーでさえその工程に含めてしまっている。
 それはつまりナナルゥや悠人の「SALVAGE」の過程がどれだけ自然だったかという事で、憂鬱さんの凄みを感じました。
 伏線が豊富でミュラーとテムオリンの関係もですけど38のミュラーのセリフなどは白眉だったと思います。
 ナナルゥ。前半で呟いた「あんまり、面白いことってなかったなぁ」の下りで初めて心象が描かれていた訳ですが、
 そのとき感じた妙な温かさがずっと続いてて開放されただけなのにこんなにもラストのナナルゥが可愛く思えるのは何故でしょう。
 『エスペリアの家出』に続き、同じテーマをまた別の形でしっかり示されてしまいました。

以上、解説風に。これで最終回だと思うと少し寂しいですが、私もすぐ後を追いますのでw
どうでもいいけど「炎の妖精」でずっとイーフリート・ナナルゥを想像していたたわたしはオサーンです_| ̄|○
416名無しさん@初回限定:04/11/15 19:49:17 ID:e6jLmJvf

>>二代目保管庫さんこと424さん

 SSの補完、本当にご苦労様でした。あんなにかっこよく補完されると少し恥ずかしいですねw
 っていうか『代償』と『安息』のサブタイトル、大変ご迷惑をお掛けしているみたいで……(汗
 あれがなければすっきり章ごとに区切れるんですね。今度から名前欄少し控えよう……
417名無しさん@初回限定:04/11/15 20:29:31 ID:e6jLmJvf
アンカー付いちゃってる_| ̄|○
○>>SALVAGE179、>>SALVAGE1 です……
418名無しさん@初回限定:04/11/15 21:06:27 ID:hkExnjkI
>>343
急を要する戦況の中、敵味方それぞれ心は雨上がりですね。
残りあと一回ですか。
最後にどんな安息を私たちの心に残してくれるのか楽しみにしております。

>>367
いろいろと当スレの雰囲気がよく出ている楽しい一篇ですね。
日記を書いているセリアの様子を想像して(・∀・)ニヤニヤ

>>378
ひとつ人世の…
こういうファーレーンもいいかも…
やはりポイントはフェイスガード/覆面なのか!?

>>408
お疲れさまでした。
そ、そう来たか! < ミュラー
「若さの謎」のサルベージ、お見事です。
そしてやっぱり悠人はヘタレでサルベージされるのね。
そりゃ尻に敷かれるわなぁ(w
イ`、禿になってもサルベージしてくれるさ、きっと(w > 悠人
最後の一言がなんというかあったかいですね。
悠人を、ナナルゥを、ファンタズマゴリアを、未来を、
サルベージした真の主役(?)の心はこうして受け継がれて行くのですね…
419名無しさん@初回限定:04/11/15 21:46:45 ID:dGv/06yF
>憂鬱の人さん
ミュラー・セフィス姐さん……まさかこう来るとは思いもよらなかったです。
序盤でのナナルゥとの交流、というか師弟関係からナナルゥの感情を
引き出していく所が思い出されて、ナナルゥの涙がこちらの胸を打ちました。
エピローグ、『聖賢』混じりの『求め』の一言がかなりツボです。イビルでさんざん金縛り使っといてそれかよ、と。
改めて、完結おめでとうございます、お疲れ様でした。

>374-379さん
アベンジャーファーレーン、コワー
心からの笑顔、からフェンリルまでは行ってなさそうなので私もアベンジャーかなぁと思いました。
きっと、アセリアルートやオルファルートの裏側では……という補完、乙でした。
ソーマの情け無さっぷりがなんとも言えず面白……とか思う時点で私もマインド低いw

>霞さん
思っていたよりも悠人が料理上手で意表を突かれるとともに、
食した各々の反応が個性が出ててイイなぁ、と笑みが浮びます。
ええ、セリア日記が非常に好きになりましたよ。

>信頼の人さん
本編の展開を忠実にたどりながらも、クォーリンとヒミカ達がこのお話の中で一回りと言わず、
大きく成長していた事がふんだんに盛り込まれていて、本編のシーンに盛り上がりが上乗せされています。
残るは大将。彼の生きた道が今現在の悠人たち、ナナルゥたちにどう受け止められるのか楽しみにしています。
420名無しさん@初回限定:04/11/15 21:55:47 ID:dGv/06yF
×379→○378 アンカーミス、すみません。
421名無しさん@初回限定:04/11/15 22:05:03 ID:pffpu+33
>>415
何だかストーリーより難しい感想で焦っちゃってますw
うーん...過大評価されてる気が...
自分としてはもう少し軽く楽しめるモノを書き上げたつもりだったんですが。
ラスボス戦の呪文はアポUに少し手を加えたものです。聖賢パワーが少しばかり
プラスされた消沈の神剣魔法。本当はやっぱりあそこで一発「はいぺりおん(ry
RPGゲームでは魔法使いの火炎魔法は定番ですので、「炎の妖精」という言葉を
多用してました。特にモデルがあった訳ではないです。

>>418
ウルカに誘拐される直前の佳織との会話がラストシーンの伏線です。
やはりナナルゥ物語として最後は二人でシメよう、と。
最後の一言は悠人がミュラー師匠に言われた言葉の受け売りです。
仰る通り、遺志を継ぐ者、という感じです。

>>419
今日子戦で喜怒哀楽が出そろったナナルゥ、というふうに書いたつもりです。
マイナスの感情も人間らしさの要素だと思いますので。
補完SSである以上、「求め」にも成長してもらわないとw

...アンカーマジック、引っかかってないかな?
422名無しさん@初回限定:04/11/15 22:19:39 ID:EORovbfP
>374-378さま
ファーレーンかっこいい!ソーマはやられ役が映える・・・

>>憂鬱さま
お疲れ様です。師匠の最期は衝撃でした。
彼女は何を思い長き人生を歩んだか色々想像させられました。
ナナルゥ・・・お幸せに。(前回も言ったけど)

>>二代目保管庫さんこと424さま
お疲れ様です。かっこよく保管されてて照れます。
負けないような作品を書けるように精進せねば!

>>寸劇さま
なにやらセリア日記が思いのほか好評でびっくり。
正直、龍退治の描写を省略するための代案だったのですよ。
(当初はウルカを交えた熱いバトルの予定でした)
うーん、ウルカには悪いことをした・・・(ウルカファンの人スマン)

>>道行さま
正直キャラの多さが大変でした。
セリフを読めばどのキャラかわかるように努力したつもりなので、
各々のスピの個性を感じてもらえたなら本望です。
423名無しさん@初回限定:04/11/15 22:52:42 ID:pffpu+33
>>422
あなたは長編への道を歩き始めた所ですよね。
私を含め色んな住人達が新しい力に期待してます。
なんせここはカオスの世界ですから!
私も他人の書いたモノに茶々を入れる気楽な立場で
手ぐすね引いてます。(←マインド低いな、相変わらず)
424名無しさん@初回限定:04/11/16 00:41:40 ID:1CVVIGO+
>374
井の中の……と言うより夜郎自大?>ソーマ。
私のファーレーン観も、茶々を抜かすとこんな感じです。敵からは無慈悲な暗黒鬼神扱い。でも仲間の為には
身を捨てられる。自分がいなくても代わりがいる。誰かがニムを守ってくれると信じられるから……

>408
はわわ〜…………絶句。テムとミュラーを持ってくるかぁ……ついでにメダリオも好演。

代償の無い奇跡はない。ならば代償を払えば奇跡は起こるのか?
奇跡なんて、既に陳腐な言葉ですけど、赤い妖精の紡ぎ出した糸は、無事糸巻きに巻き終わりましたね。
様々なスピリットと人々の持つ無限色の太い糸、細い糸を巻き込みながら。
定命者のままの二人。普通に老いて、普通に死んでいく。それこそがカオスの本質で有り、守り求めるとこ
ろなのでしょう。後は語り部ヒミカの役目。

難しい考察は皆様が既に書かれてるので……逃げておいて。セリアとニムの現況は一体!?
「いい人」と「キノコ」「すごいところ」で、『猫の森には帰れない』を連想してしまった。
しかし、洞窟住まいなんですか!?
425名無しさん@初回限定:04/11/16 01:29:59 ID:8lPeIHgj
>>424髪結いさん。
アンカーが偶然にも、なので名前付けときますねw
最後はやはり髪結いナナルゥがこのスレでのお約束かと。
永遠に戦う悠人ってのもやっぱりロウっぽく感じちゃうんですよねー。
「自分の住んでる世界くらい自分で守れやゴルア!」の方がカオスっぽいかな、と。
ナナルゥがミュラータンにまだまだ教えて貰わなければならなかった事、
それは...キノコの見分け方。(←か、感動が台無し...)
セリアはようやく熱病恐怖症から脱し、リハビリしてるところですよん。
ニムは、まあ、「家出」からの引っ張りネタです。奴は光陰殺しのホンボシに違いありませんぜ。
426名無しさん@初回限定:04/11/16 02:37:10 ID:1CVVIGO+
>425
「髪結いの亭主」ってヒモのことなんですよね ハッ、そう言えば縛られてましたね>悠人w

>自分の住んでる――――
そう言う思いは私にもありますが、必要最小限の行為で、さらに世界から消えれば歴史から
抹消されるのですから多少は勘弁して〜。えたーなるななるぅは字面が笑えるし。
>キノコの見分け方
えっ??だってゆうべ三回もって言ったじゃないですかナナルゥさん? あ、ちょっとヌメリが
あるかも知れませんがナメコみたいなもの(ドカバキ

ニムはなんかあのセリフだと、コウインと同居してるように感じられて……でもコウインのスト
ライクゾーンから微妙に外れ始めてて安全かもしれんね。数年後のニムか……これはこれで w
 

爆発する薬瓶はパーマ用。
427名無しさん@初回限定:04/11/16 06:16:47 ID:8lPeIHgj
>>426
まったく下品なんだからもぅ。
悠人がエターナル放棄したのを一番悔やんでるのはキノコ好きのナナルゥでは
ないでしょうか。聖賢は見事なキノコ型ですから。
いやでもユート君のがあるからいいか。うわなにをするやmj¥wdふじこsfhg

ナナルゥご奉仕プレイの後のひとコマ。
「ユートさまのこれ、名前を付けたいんですが」
「結構ナナルゥって不思議ちゃん系だったんだな。…『聖賢』なんてどうだ?」
「カタチは似てますけど...あまり知性は感じられません。『求め』のほうがいいのでは。」
「ストレートすぎるだろ。うーん、でもハリオンのだと名前負けするしなあ。
かといってヒミカのだと余りにも露骨だし...。」
「やはり私が愛用してるという意味もこめて『消ち...」
「♯それだけはやめろっっ!!」

428おにぎりの中身の人:04/11/16 17:06:30 ID:AY8POd9E
スピリット検定1級 第2問
ユートとあるエターナル化したスピリットの間に子供が生まれました。
その子供の名前と、その子の持つ永遠神剣の名前を考えなさい。
もちろん、頭蓋骨やおばさ(ry)との子供の名前も考えてもおk  (10点)

例1
ユート×アセリア
名前:ユーフォリア
神剣:悠久           (本編より)

例2
ユート×ヘリオン
名前:エリオン・ユーフィ
神剣:名称不明        (本スレ『明日への飛翔』より)
429名無しさん@初回限定:04/11/16 19:27:40 ID:0Lb4xhLJ
ほとんどお約束みたいなもんですが。

    ユート×ナナルゥ
    
    名前:ナナユゥ
    
    神剣:バカチン(髪かき上げ必須)
430名無しさん@初回限定:04/11/16 21:01:09 ID:Wqho8a1u
では。

ユート×セリア

名前:ユーセリア (強烈なファザコン。セリアをライバル視する)
神剣:突照 (打突系)

ところでおにぎりの中身の人さん、第一問の点数は?w
431名無しさん@初回限定:04/11/16 21:06:38 ID:JVgPoT1u
ユウト×セリアで、
名前:ユーリア
神剣:反射又は反発
色:黒

ユウト×ハリオンで、
名前:ハウト
神剣:吸収又は吸精
色:無

強引に考え中の神剣を出しちまった…
さらに、微妙な名前だし…
432名無しさん@初回限定:04/11/16 21:09:58 ID:Wqho8a1u
>>374-378
 遅レスですが拝読させて頂きました。
 大切なものを守る為にその他には徹底的に非情になれる……ファーレーン、敵に回したくない奴w
 ソーマとファーレーンの相対性って考えたことなかったので新鮮でした。G.J.です。
 ファーレーン萌え分が補充されました。やっぱりいい女には危険な香がするんだなぁとか思いつつw
433名無しさん@初回限定:04/11/16 21:13:50 ID:azv6zjUs
ユート×エスペリア

名前:コーイン
神剣:真理

エスペリア「ユート様、この子の名前、何か考えてくれましたか?」

ユート「あぁ、最高の名前を考えてきたさ…………コーインだ」

エスペリア「……え?」

ユート「いい名前だろう?かつて命を賭して世界を救うために戦った青年の名前から貰ったもノナンd
コーイン「俺はまだ死んでねええええええ!」」
434名無しさん@初回限定:04/11/16 21:32:58 ID:1CVVIGO+
空に浮かぶコウインの笑顔。だからサムズアップはこの世界では禁止だっての。


ユート×シアー

名前:ユーシァ
神剣:どうのつるぎ

「おきなさい ユーシァ きょうは あなたの16さいのたんじょうび
じょおうさまに あいさつするのでしょ さあ いってらっしゃい」
435名無しさん@初回限定:04/11/16 22:08:45 ID:VNgPJF2r
>>434
ユーシァ「ママ、16さいはらいねんだよ」
シアー 「あれ?」
436名無しさん@初回限定:04/11/16 22:11:07 ID:m8te5anT
>>430
突照...ツンデレと気付くまで時間がかかったw

ユート×ネリー

名前:ユーリー

神剣:百合

        ああ、どんどんベタに...

437名無しさん@初回限定:04/11/16 22:35:20 ID:Wqho8a1u
ユート×エスペリア

名前:ユリア
神剣:北斗

_| ̄|○
438名無しさん@初回限定:04/11/16 22:48:29 ID:xv6+AZ7+
>>437
その名だと北斗と南斗の二刀持ちになりそうなw
439名無しさん@初回限定:04/11/16 22:57:21 ID:VNgPJF2r
>>437
ある晩のこと、ユリアは眠りに落ちる寸前、母エスペリアの声を聞いたような気がした。
「わたくしは…」そこまで聞いてユリアの意識は眠りの海に飲み込まれてしまい、
何を言おうとしていたのか、今でもわからない。
翌朝、ユリアが目覚めると、エスペリアの姿が見当たらなかった。
そればかりではない。父ユートの姿も見当たらないではないか。
焦ったユリアは、「くだらない質問スレ逝け」「最悪板逝け」等の罵倒を承知で
「朝起きたらパパとママが消えてますた」とスレを立てようと携帯を取り出した
ところで愕然とした。携帯が繋がらないのだ。
消えた父母はどこへ?
母の言葉の真意は?
父母の消失と共に携帯が使用不能に陥った、この符合は何を意味するのか?
『北斗のユリア〜iを取り戻せ』

_| ̄|○
440名無しさん@初回限定:04/11/16 23:01:57 ID:1CVVIGO+
>435
シアー「し〜〜 だまってればわからないから じょおうさまから よふある いっぱいも
らってきて」
ユーシァ「パパ いってたよ ママ たたかいおわってから ふとったって ネリーおばちゃん
も いってた」 

>436
 気付かんかった orz  でもエレクトラコンプレックス  イイッ 母親を越えるツンデレって一体 ハァハァ
 だんだん語呂合わせになっていく w

>437
 You は shock! ユリアは「南斗最後の将」!! って既に秘孔を二つ突かれてますな。さすが『突照』
(打突系)
441名無しさん@初回限定:04/11/16 23:46:28 ID:JVgPoT1u
名前にリアがつくスピが多いから、ユウトの子の名前はユリアになりそう…と、思ったから回避したら書かれたorz
いや、別にいいんだけどね

再チャレンジ

ユウト×ヒミカで、
名前:ユリカ
神剣:撫子

…正直、スマンorz
442名無しさん@初回限定:04/11/17 00:05:12 ID:HXkkyhUg
ユウトxオルファ
で考えてたら、名前よりも先に状況が思いついたオチ
オ「ぱぱ〜、」
娘「ママ!パパはわたしのパパなの!
  取っちゃダメ〜!!」
443名無しさん@初回限定:04/11/17 01:27:32 ID:f+hRSUVA
>>409
お疲れ様。そしてご苦労様でアリマス。
200回も続いたSALVAGEもついに完結ですね。
「――で、強くなってどうする、坊主?」
力と共に受け継がれる問い掛け。
少年もいつしか口にするのでしょうなぁ。
その他の雑魚スピたち、そして人間たちも気になりますね。
虎視眈々と悠人略奪の機会を窺ってるファーレーンとエスペリアとかw
ヨーティアとイオは何も変わらないだろうけど。
G・Jでした!

>>428
ユート×ファーレーン
名前:カオリ(某妹から名前を取って。頭蓋骨は普通<おい)
神剣:欲望(求め+ファーの人物特性:腹黒より)
通り名は「欲深なカオリ」
「え〜ん、お母さんのせいで変な名前でよばれた〜!」
「えぇっ!?私のせいなの!?」
「お母さん腹黒だからなぁ・・・」
「ユ、ユートさんまで・・・う・・・うわぁ〜ん・・・」
「あ〜あ、お父さんお母さん泣かせた〜」
「俺のせいなの!?」
444名無しさん@初回限定:04/11/17 01:33:34 ID:K/QK2Jzx
ユウト×(ラキオススピリット隊)

娘「お父さん、どのお母さんが私の本当のお母さんなの?」×13

まるでシスタープリンセ(ry

445名無しさん@初回限定:04/11/17 12:16:26 ID:oidDtXNA
番外編
光陰×クウォーリン
名前:コーリン
神剣:悟り

「アンタいつこの子に手出したのよ!?」
「い、いやあのな今日子…」
「ぱぱ〜だっこ〜〜」
「よーしパパコーリンだっこしちゃうぞー(*´∀`)」
「あ、ん、た、はーー!!」

いいパパさんになれそうだけどな、光陰
446名無しさん@初回限定:04/11/17 17:30:00 ID:4ISjYcZ0
>>443
楽しんで頂けたようで何よりです。
ノベルを読んでその中での雑魚スピ達の余りの雑魚っぷりに刺激されたのも
サルヴェージを書いた動機の一つです。
ナナルゥなんてほとんど出番が無いばかりか、ハリオンとごちゃまぜになってるしw
エスはファーレーンの十倍くらい腹黒だし。それはそれでいいんですけど。
ヒミカやヘリオンに至っては...orz
せめて全員このスレの中でくらいは幸せになって欲しいもんです。
447安息 Lemma−5:04/11/17 20:46:54 ID:Nh/1oYrK

帝国で『マナ消滅』が起こったあの日。
研究所の大半が消し飛んだその日以来、探し続けてきた。

スピリットを自決させてマナ結晶を作り出す。
マナ結晶を利用してスピリットの力を最大限以上に引き出す。
そんな、人としてやるべきではない事を行おうとする奴らを。
それを指示したのが何者なのかを。
そして、気付いてしまった。
帝国を動かしているのは「人」ではない、という事に。

だから、帝国を去った。
ヨーティアを、そして……イオを残して。

世界は所謂『運命』に支配されている。
なぞるように繰り返す歴史の不自然さ。
確率では望めない結果としての「なんとなく」。
そんな不安定なモノが『神』と呼ばれるモノならば。
俺は、『神』と戦う。俺の意志を、俺だけのものにする為に。

傍らの『禍根』を手にとる。
意志を持たないその神剣は、目の前の巨大なマナ結晶と共鳴して静かに光っていた。
448安息 [−1:04/11/17 20:48:17 ID:Nh/1oYrK

マロリガン首都は混乱の極みだった。
逃げ惑う民衆はこの世の終わりとばかりに右往左往しながら揉み合っている。
だれもが侵入してきた敵スピリット隊を気にも留めていなかった。
やがてエーテル変換施設に辿り着く。不気味に空に生えた金色の柱が臨界の近さを無言で語っていた。
悠人達が侵入しようとした時、イオの『理想』からヨーティアのエーテル通信が響いた。
解除コードは『トヤーア』。自由という意味のその言葉は、今の状況には明らかに不似合いだった。
とにかく動力炉を止めなければ大陸全土が吹き飛ぶことが判明する。
クェド・ギンを止めてやってくれ……そう告げてヨーティアの通信は一方的に切れた。
「いきなり大陸全土かよ…………」
呆然としていた悠人は激しく頭を振って考えを切り返す。後ろを振り返り、自分に言い聞かせるように叫んだ。

「みんなっ!いくぞっ!」
終わりが、近づいていた。

誰もが逃げ出した後の施設には、まるで人の気配がなかった。
それでも慎重に進んだ先。そこに広がっていたのは遺跡のような部屋だった。
静まり返ったその空間。戸惑う悠人達にいきなり複数のスピリットが襲い掛かった。
449安息 Quod Erat Demonstrandum ante:04/11/17 20:52:35 ID:Nh/1oYrK

突如現れたスピリット達。
自分どころか剣の意志さえ感じられない彼女達に、しかし今のナナルゥはもう全く恐怖を感じていなかった。
確かに強敵ではあるだろう。しかし、それだけだ。横にいるヒミカとハリオンを見ると、二人とも頷き返してくれた。
考えていることは一緒だった。『あんな人達には負けない』。
同時に迎え撃った三人の瞳には、乗り越えた者だけがもつ強さが確かに宿っていた。

殺到する敵に対してナナルゥは躊躇わず、滑らかにヒートフロアを唱えていた。
間に合わないはずの詠唱がハリオンのウインドウイスパに守られる。
圧倒的な力で振りかざしたはずの敵の剣は、それ以上に『大樹』の力を引き出したシールドハイロゥに弾かれた。
敵の攻撃に傷一つつかない緑色の粒子が美しくその輝きを放つ。
同時に二つのスフィアハイロゥが『赤光』と『消沈』に凝縮された。
ヒミカが炎を纏った『赤光』を握って駆け出したとき、ナナルゥの詠唱が完了する。
レッドスピリットの特性を最大に放つ為、地の属性を丸ごと変えてしまう神剣魔法。
『消沈』の先から放たれたそれが真っ直ぐ『赤光』に飛んでいく。
あっという間に倍加したスフィアハイロゥがヒミカの動きを加速した。ブルースピリットのようなスピードでたちまち三人の敵を薙ぎ倒す。
ファイヤエンチャントと呼ばれるレッドスピリット最大のその剣技は、しかし強大が故にその動作の最後に大きな隙が出来る。
仲間を倒されても怯む事のない敵はその隙を見逃さなかった。
450安息 Quod Erat Demonstrandum post:04/11/17 20:54:46 ID:Nh/1oYrK

ヒミカの動きが止まるその一瞬を狙ってアイスバニッシャーをぶつける。連動して別の敵が斬りこんでくる。
神剣魔法をキャンセルされた『赤光』のスフィアハイロゥが霧散した。次の詠唱に入って無防備なナナルゥ。
戦いを通じて一番危険な瞬間。その瞬間、ハリオンの『大樹』から巻き上がった雷が敵全体を襲った。
敵の動きが止まる。短いその時間で、それでもナナルゥの詠唱は完了してしまっていた。
ハリオンのエレメンタルブラストにより抵抗が限りなくゼロに近づいてしまっていた敵は、
ナナルゥのアポカリプスUを無防備で受けあっけなく消滅した。

自分が持つ最大の神剣魔法を連続で放ったナナルゥは、しかしもう『消沈』に飲まれることはなかった。
後悔を知るハリオンは、守る為に『大樹』を振るう事に恐れはなかった。
二人の誇らしい親友を持つヒミカは、本当の自信を持って『赤光』の力を解放した。
彼女達は顔を見合わせて微笑みあう。神剣の支配を覆す一つの大切なもの。それは互いへの『信頼』かもしれなかった。
451安息 [−2:04/11/17 20:57:24 ID:Nh/1oYrK

「…………なんだ、こいつらは…………」
倒しはしたものの、スピリット達の力は尋常なモノではなかった。
そこにスピリットの意志などはなく、更に剣の意志すらも感じられない。
完全なロボット。先ほどのヨーティアの通信が思い出される。人のやる事じゃないよ…………
「くそっ!!」
思い切り壁に拳を叩きつける。やり場のない怒りが悠人の心を覆っていた。
静かに部屋の奥から声が響く。力強い意志の感じられる、低く太いその声は部屋中に響き渡った。

「やはり来たか。いや……来させられたというべきか。また会ったな。エトランジェ、『求め』のユート。」

クェド・ギンはゆっくりと、しかし静かに語り出した。

 ――――――――――――

巨大なマナ結晶とそれに突き刺さる鎖に絡まれた第四位神剣。
その不気味なオブジェを背にしたままクェド・ギンは語り続ける。
世界を支配する本当の力を。それが神剣の意志なのだと。
そして、それに逆らう為に自ら世界を終わらせるのだと。
熱に浮かされたように語るクェド・ギンに、圧倒された悠人達は一言も挟めなかった。

「わたしたちは生かされているのではない。生きているのだ!」
最後にそう言って手にしたマナ結晶をかざしたクェド・ギンは発した光の中に包まれていった。
そして光が消えた後に立っていたのは…………『禍根』を手にした一人のホワイト・スピリットだった。
452支援:04/11/17 21:01:08 ID:IeIaOMw0
    
453安息 [−3:04/11/17 21:01:26 ID:Nh/1oYrK

あらゆる色が混ざり合って真っ白になった無数のマナ粒子が悠人達に襲い掛かる。
吹雪のように荒れ狂うホワイトスピリットの神剣魔法が悠人達の防御力を削っていった。
「みんな、大丈夫かっ!!」
「はいっ!」
「まだ、なんとか〜」
「……やれますっ!」
頼もしい答えとは裏腹に、三人の顔に苦痛が広がっている。
バニッシャーを持たない悠人達は、一瞬でもこの嵐を抑えることが出来ない。
…………もっとも持っていても、結果は同じだった。
戦い当初制止も聞かず飛び出したアセリアが放ったエーテルシンクは逆にあっけなく無効化された。
それでも『存在』を振るったアセリアは疾風のような槍で肩を貫かれ、向こうで気絶している。
「あの」状態のアセリアと『存在』がまったく子供扱いだったのだ。

ホワイトスピリットは所謂全ての属性魔法を使いこなす。
こちらの神剣魔法は全て無効化され、あちらの攻撃は全て強大。
例えばイオが『理想』の力を生まれつき封印されていたという事。
戦闘者としても強力過ぎて封印せざるを得なかったという戦慄すべきその事実を、今悠人達は身をもって知らされていた。
こうしている間にも荒れ狂う吹雪は収まるどころか膨れ上がる一方である。
オーラフォトンをぎりぎりまで展開しながら悠人は必死になって考えた。
間合いに入らなければ攻撃出来ない俺とヒミカは話にならない。
ナナルゥの神剣魔法は問答無用でキャンセルされる。
いつ尽きるともしれない敵の攻撃じゃ、いずれ俺とハリオンのシールドは壊される…………
454安息 [−4:04/11/17 21:05:46 ID:Nh/1oYrK

「きゃっ!!!」
最初に力尽きたのはナナルゥだった。
慣れないながらもスフィアハイロウで防いでいたナナルゥだったがやはり神剣の位の差は大き過ぎた。
殺到する純白のマナに混じる蒼い粒子に『消沈』の力を全て打ち消され、その軽い躯を吹き飛ばされた。
そのままアセリアの横まで弾んで動かなくなる。
「ナナルゥ!!」
思わず駆け出したヒミカがハリオンのシールド外に出てしまう。
ひとたまりもなく嵐に舞い上げられたヒミカはきりもみ状に落ち、地面に叩きつけられた。
「…………ぐっ!!」
「ふたりとも〜、大丈夫ですか〜?」
場にそぐわないハリオンの声に弱々しく手を上げて応える二人をみて悠人はほっと胸をなでおろした。

永遠とも思える時間のあと、ホワイトスピリットの神剣魔法が突然熄む。
不気味に沈黙する『禍根』を前に、悠人はしかし動けなかった。
『禍根』に流れ込むマナの量が尋常ではないのである。へたに動けばあの嵐が来るに違いない。
結局は時間の問題なのだがアレをあと一回でも食らえば誰も無事ではすまないだろう。
「それにしてもハリオン、余裕だな。」
「あらあら〜、ユートさまもお変わりなく〜」
緊張を紛らわせようと、悠人は軽口を叩いてみせる。苦笑いをしてハリオンを覗くその額からは汗が噴出していた。
そしてにこにこと答えたハリオンもまた、『大樹』を持つ手に汗を隠せなかった。

――――ホワイトスピリットの神剣魔法が完成する。

近づいてくる臨界。攻めることも守ることも出来ない、絶望的な状況。
八方塞がりで活路が見出せない、一番辛いそんな時に。
当然のように、悠人の背後から心強い親友の声が響いた。

「よう…………、助けは必要か?」
455安息 [−5:04/11/17 21:09:51 ID:Nh/1oYrK

「光陰っ!!」
「ちっとばかし遅くなっちまったな。……あれが大将の成れの果てか…………」
「…………?」
相変わらずの軽い口調でホワイトスピリットを見た光陰の表情が一瞬翳る。
その哀しそうな瞳の訳を、悠人達は知る由もなかった。


「決着は元の世界でつけよう……佳織ちゃんのためにも、今は悠人の面倒をみてやるさ!」
声と共に悠人達の周りに展開される黄緑色の『加護の力』。
『因果』独特のそのオーラフォトンはホワイトスピリットの嵐を力で押し返した。
「ハリオンっ!アセリア達を頼む!行くぞ光陰っ!」
「応っ!!」
隣に光陰がいるだけで、気持ちが落ち着く。
さっきまで感じていた恐怖も絶望も、今はなかった。
あれ程脅威に思えたホワイト・スピリットに立ち向かう気力が湧き出てくる。
安心して後ろを親友に任せた悠人は自らの高まりを『求め』へとシンクロさせていく。
同調がピークになったとき、光陰のトラスケードがホワイトスピリットの神剣魔法を完全に打ち消した。
「今だっ!……悠人、大将を頼むっ!」
「任せとけ!うぉぉぉぉっっ!!!」

一気に間合いを詰めた悠人はオーラフォトンブレイドでホワイトスピリットに斬り付けた。
『求め』が殺到する瞬間にも表情を変えないその瞳に一瞬の哀しみを感じながら。

…………………………

散っていくホワイトスピリットが残した言葉が先程ヨーティアが呟いていたそれと不思議に重なる。
『クェド・ギンを、止めてやってくれ』
『お前たちが勝ったなら……俺の意志を継いでくれ』

暴走の解除を指示するヨーティアの声は、『理想』越しのせいか少しくぐもって聞こえた。
456支援:04/11/17 21:11:32 ID:Z3m2GX3U
 
457安息 Lemma−6:04/11/17 21:12:29 ID:Nh/1oYrK

ホワイトスピリット……クェド・ギンがマナの霧になるのを光陰は黙って見送っていた。

(大将…………やっぱり間違ってたってことだよな……)

人は他人(ひと)の気持ちなど本当の所は絶対に解らない。
だから諦める。諦めて、悟ったような気でそれ以上踏み込まないように一線を画す。
それは最も単純なプロテクト。傷つかない為に心に生まれるシールドの構築。
それが一番楽な事だということには目を背けて。自分から向き合わなければ相手だって弱いままなのに。
信じることさえだんだん怖いもののように思えて。信じられるものがなくなった訳じゃないのに。

「俗すぎてこっ恥ずかしいけどな……。信じればよかったんだよ、アンタも……俺も、な……」

マナの最後の光が霞んでいく。『禍根』が消えたのを確認して、光陰はゆっくりと部屋の隅を見る。
そこには支えあって立ち上がろうとする三人のスピリットの姿があった。
その景色が不意に懐かしい思い出と重なる。悠人。今日子。そして光陰。
三人ならなんでも出来ると思えた昔の日々。

 ―――なんでこんな簡単な事を忘れちまってたんだろうな……

アセリアを背負った悠人が近づいてきた。光陰は拳で悠人の胸を軽く叩き、そして笑った。
「さ、俺達のじゃじゃ馬姫さんに会いに行こうぜ!」


部屋を出る時、もう一度振り返った光陰は小さく呟いた。
「じゃあな…………大将の意志とやらは継げないけど、俺はアンタのこと嫌いじゃなかったぜ…………」
458安息 [−6:04/11/17 21:14:58 ID:Nh/1oYrK

感動の再会でじゃれ合う悠人、光陰、今日子をヒミカ達は少し遠くから眺めていた。
既に他の方面に進攻していたラキオス軍も全部隊合流して辺りは人とスピリットでごった返している。
皆戦いの勝利で湧き上がっていた。

今日子のハリセンブラストが炸裂したのをみて慌てたクォーリンが真っ黒こげの光陰に駆け寄る。
「キョ、キョーコさまっ、酷すぎますよぅ!コウインさま、コウインさま?!」
「あらら〜、光陰、懐かれてるわね〜#」
「お、おいもう止めとけよ今日子、クォーリンも巻き添えになっちまうだろ?」
「……あらゆ〜う〜?なんでこの娘の名前知ってんの〜?」
「うわっ、やぶへびっ!違うんだって、クォーリンとはさっきちょっと……なぁ?」
「は、はい、ちょっと…………ですね」
「ピクッ)おほほ〜、ちょっと何だっていうのかしら〜?……まったくアタシがいない間にアンタ達はぁ〜!」
「違っ!がっ!痛いっ!今日子そのハリセンマジで痛いっ!!」
「ふんっ!!」
「ユート殿、お疲れ様でした。」
「パパ〜、やったね♪」
「まったく…………ああ、ウルカにオルファ、お陰で何とかなったよ。みんなも無事で本当に良かった。」
「なにっ?オルファっていうのか、この娘。いや〜前から気になってt」
「コウイン殿、御免っ!」
「ぐぉっ!!」
「少しは控えられよ……まったく苦労されるな、クォーリン殿も。」
「え?あ、あはは…………」
「え〜なになに〜?パパぁ、一体どうしたの〜?」
「…………さっきから気になってたんだけどさ、悠。『パパ』ってなに?」
「……………………判った、全部まとめて説明するからその首筋に当てた『空虚』を離せ。痺れて痛い。」
459安息 [−7:04/11/17 21:18:04 ID:Nh/1oYrK

楽しそうに話す悠人達。
そんな中になんとなく入り辛くて一歩踏み出せないといった感じのヒミカの脇を、ナナルゥがすたすたと歩き始めた。
「ちょ、ちょっとナナルゥ…………?」
そのままナナルゥは悠人と今日子の剣呑な雰囲気を気にした風もなく、悠人に話しかける。
「ユートさま、お疲れ様です。」
「ああ、ナナルゥ。そっちこそお疲れ、もう大丈夫なのか?」
「はい、もうなんの問題もありません。」
「……ねぇ悠、この娘は?」
「初めましてキョーコさま、レッドスピリット・『消沈』のナナルゥと申します。情熱的です。」
「情?……あ、う、うん。アタシは今日子。悠と同じエトランジェよ。こちらこそよろしく。」
「はい…………あのユートさま、いきなりですが、お願いがあるのですが…………」
「え?珍しいなナナルゥが、っていや別にいいけど。なに?」
「先日調合した新しい薬草をぜひ試したいのですが……ラキオスに戻ったら早速宜しいでしょうか?」
「薬草……?ああ、シャンプーのことか?風呂場で洗ってもらってたの、あれナナルゥの自作だったのか…………あ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「風〜呂〜場〜?ゆ〜〜う〜〜〜?」
悠人は口を滑らして余計な事まで説明してしまっていた。
地獄の底から響くような今日子の声に、ギギギと錆びたような音を立ててそちらを見る。
背景に炎を纏って『空虚』を構える今日子の髪の毛は怒りで逆立っていた。
殺される。比喩でもなんでもなくそう覚悟した悠人だったが、ナナルゥの次の一言で九死に一生を得た。
「今日子さまも御一緒にいかがですか?硬い髪によく効くんですよ?」
「えっ?ホントホント?いや〜すぐ帯電する髪でさ〜、こっちのシャンプーはアタシには適わないし、実は困ってたんだ〜。」
「はい、どんな髪でもなめらかさらさらそれでいてしっとり♪にして差し上げる自信があります。」
「っ!なめらかさらさらそれでいてしっとり♪?!いや〜ナナルゥってばいい娘ね〜、ね、ね?悠?」
「あ、ああ…………」
一瞬にして殺意を霧散させた今日子がナナルゥを抱き締めるのを見て、悠人はほっとしながらも別の意味で戦慄していた。
(あの今日子をあっという間に篭絡してしまうとは……恐るべしナナルゥ…………)
460安息 [−8:04/11/17 21:21:15 ID:Nh/1oYrK

輪に溶け込んでしまったナナルゥを見て、ヒミカはそっと溜息をついていた。
側で傷ついたアセリアを治療していたハリオンがそんなヒミカを見上げながらにこにこ笑う。
「ヒミカさん〜、また負けちゃいましたね〜。ああいうのを「将を得んとすればまず」というのでしょうか〜?」
「……………………」
色々と反論しようとしてやめた。ハリオンには全部知られちゃってるし、
それに今の自分はそんな事じゃもう諦めなくてもいいんだって知っているから…………それにしても。
「……ハリオン、あたし、こんなに臆病だったんだ。心って……凄いね。」
心の弱さに記憶を封じた自分。心の弱さに恋で遅れをとっている自分。
耐え続け、待ち続けたハリオン。自ら克服し、還ってきたナナルゥ。悠人の為に「存在」全てを投げうったアセリア。
…………一番弱かったのは、自分の心だったのだ。
そんなヒミカの心を悟ったかのように、いつの間にか側に立って空を見ていたハリオンが呟く。
「そんなことはありませんよ〜。ヒミカさんがいないと私もナナルゥさんももっと強くなれません〜。」
「…………ふふっ、そうね……ありがと……ハリオン、あたしもよ。」

ふぅっと息をついて自分も空を見上げる。金色の柱も暗雲も今はない。
突き抜けるような青空が、ヒミカにはとても眩しく感じられた。
そう、まずは第一歩。その一歩が大切だから。

「さて、あたしもユートさまに今度のキャクホンを推敲して貰うようにお願いしてこようかなっ♪」
「がんばってくださいねぇ〜」
にっと笑ってヒミカが駆け出してゆく。その背にかけられるハリオンの声援が嬉しかった。

楽しそうなその背中をハリオンはいつものように見送っていた。あの日から始まった、変わらない想いをそっと籠めて。
461安息 A Posteriori:04/11/17 21:24:08 ID:Nh/1oYrK

焦る心を抑えながら、友達の気配を追う。
徐々に近づいて来る焦げる様な異臭。
辺りにはぶすぶすと煙が立ち込める木々。
……マナに変わろうとしている「ケシズミ」。


大量の死の中央に立ち尽くす少女を見止める。
影が動いた。
咄嗟に『赤光』を握り締め、ゆっくりと近づく。
警戒はしかし、無意味だった。
友達の瞳には何も映っていなかったから。
傷だらけのその躯を、ただ雨に晒しているだけだったから。


その足元には泣きじゃくる少女。
謝りながら、必死にハイロゥを展開していた。
美しい、それでいて力強い緑色のヴェールを周囲に解き放って。


 ―――――――雨が上がるまで、ヒミカは呆然とその光景を眺めていた。



 それは、もう昔の話………………



               ―― 安息 Fin ――
462支援:04/11/17 21:25:08 ID:IeIaOMw0
  
463安息 Measurable−1:04/11/17 21:26:05 ID:Nh/1oYrK

「アセリアっ!!」

ユートの叫び声が聞こえる。
ユートが呼びかける声だけが聞こえる。
記憶も感情も根こそぎ振り回される奔流の中。
ただ、呼びかけられる声だけが自分を取り戻させた。
ユートの手の力強さを感じる。
ユートが握っている手だけを感じる。
腕も足も全身を捻じ切られる様な激流の中。
ただ、繋いだ手の温もりだけが確かな感覚だった。
ユート、ユート、ユート…………
呟くように念じるようにただひたすらその事だけを考える。
抗し難い圧力に、それでも決して屈しないように。
自分と、そして大切なユートを決して見失わないように。
『求め』と『存在』がその輝きの中に霞んでいった時。
それでも、ココロは闇に引きずられていった。
464安息 Measurable−2:04/11/17 21:27:44 ID:Nh/1oYrK

敵を……倒す。
昇華したマナが最後に発する金色を見ることだけが心を高揚させる。
ただそれだけを求めてひたすら「剣」を振るう。
突き動かされる衝動もその瞬間息を止めるような快楽。

しかしその愉悦は、突然背後から抱きつかれることによって失われた。
遠くどこかから不快な声が響いてくる。

「だめっ!アセリア、もう殺さなくても!」

「……!殺す……どけ……!」
背中から感じる悲しみすら理解できない心の強制。
自分の声とはとても思えない低く強い声。抑圧された殺意は出口を求めて声色を変える。
抱きついていた腕の力が抜けるのを当たり前の様に感じながら次の敵を探す。
その時。
「剣」の感覚が無くなった。

「こんなのは……違う……」

急速に失われていく力と意識。最後に聞いたのは、そんな呟きだった。

 ……………………

圧倒的な力。威圧感が心を突き抜けていく。強力なエトランジェ。
明らかな敵。なのに動かない体。それでも視線は離す事が叶わず。
わたしは初めて焦りというものを感じていた。

ふと目の前をよぎる影。見覚えのある長身は振り向いて一瞬微笑んだ。
それはなんだったのだろう。なぜこの状況で笑えるのだろう。
楔のように打ち込まれた笑顔を残し、その男は戦いへと赴いていった。
465安息 Measurable−3:04/11/17 21:30:11 ID:Nh/1oYrK

白く眩しい敵は悪意のカタマリ。
そう、敵だ。敵ならば倒さなければならない。
巻き上がるマナの竜巻を斬りつけ、開いた隙間に強引にねじ込む。
小柄なスピリットを認識すると同時に「剣」を振り切った。
斬った、と確信したその瞬間。わたしは弧を描いて弾き飛ばされ、壁に叩きつけられていた。
何が起こったか判らない。それにどうやら手足が動かないようだ。
もがいていると近くにドスン、と何か重たいものが落ちてきた。
辛うじて動く首を曲げると見覚えのあるスピリットがこちらを見ている。
動かない自分を見てなぜか彼女は微笑んだ。

「アセリア、焦らないで。きっといつか……思い出せるから」

なにを思い出すというのだろう。わたしは焦ってなどいない。
そう思ったわたしのココロだけがちくり、と違和感を訴えていた。
なんだろう、これは。
傷付き弱々しく微笑むさほど強いとも思えないレッド・スピリット。
訳の判らない事を諭しているその娘の、しかし瞳の力強さだけは何故かしっかりと印象に残った。

 ……………………

柔らかいエメラルドグリーンの光。目覚めると澄み渡った空。なんの意味もないもの。
体の異常を確かめる。どこにも問題がない。グリーン・スピリットが囁く。

「アセリアさんも〜負けないで下さいね〜」

負ける?敵に?わたしが?疑問が幾つか浮かんでは消える。それも癒しの力なのか。
目を閉じるわたしの中へ流れこんでくるその温もりは、不快なものではなかったか。
全てが思い出せなかった。霧がかった頭に聞こえてくる声。

「心って……凄いね。」
466安息 Measurable−4:04/11/17 21:34:21 ID:Nh/1oYrK

どこかの森を駆け抜けていた。
自分の意志じゃない。誰かが強く腕を引っ張っていただけだ。
彼からは敵の気配がしないから。だから黙って従っていた。
なにか話しかけている彼の声に混じって、ふと気配を感じる。
咄嗟に前を走る彼に逆らうように踏ん張って足を止めた。1、2、3……
ブルー・スピリットとブラック・スピリット。全部で5体。敵だ。
みるみるココロから噴出す殺意。押し出されるようにわたしは叫んでいた。
「ウゥア…………アッーーーーーーー!!!」
「剣」を抜き、ハイロゥを開く。
同時に姿を現し始めた敵の真ん中に向かって走り出していた。
今は赤く輝いている剣を的確に敵に打ち下ろす。怯んだ敵は殆ど一瞬で消滅した。
高揚した精神は、更に高みを目指して上昇する。伴って訪れる眩暈。
際限の無い覚醒。心臓の音までもが手に取るようにわかる程激しく。
…………なにか、おかしい。
体が燃えるようだ。なにかが内で膨らんでいく。支えきれないわたし自身がひび割れていく。
そう感じた時にはもう耐え切れなくなっていた。
わたしはもう一度だけ叫んで、そして意識を失った。

次に目覚めたのは、夢のなかだった。
青白い空間の中、自分が自分で無くなったかのように浮いている感覚。
水の中を漂うようなその感覚の中、わたしは一振りの剣を見つけた。
大きな、無骨な剣。その剣がふいに優しく輝いた。
剣に表情がある訳ではない。しかし確かにその剣はわたしに微笑みかけている。
その微笑には覚えがあった。もうあやふやになってしまった三人のスピリット。
彼女達が見せた笑顔が連想される。彼女達の名前はなんといっただろう…………

「幼きスピリットよ」
剣の声が自分を引き戻す。
「……だれ?」
わたしはごく自然に「彼」に問いかけていた。
467安息 Measurable−5:04/11/17 21:37:32 ID:Nh/1oYrK

『求め』の言葉が訥々とココロに染み渡っていく。
少しづつ開かれていく扉。神剣に同化しかかっていたわたしが戻ってくる。
まず、名前を思い出した。次に声。そして最後にあの優しい顔を思い浮かべられた瞬間。
…………わたしは全てを取り戻していた。ユートの全てを。わたしの全てを。わたしの帰るべき安息の場所を。
そう、帰らなくては。ユートのところへ。みんなのところへ。

(きっといつか……思い出せるから)

言葉が蘇る。その意味がやっと判った。
今ははっきりと思い出せる彼女達にわたしはそっと答える。
  
   ナナルゥ、ヒミカ、ハリオン、……みんな、帰るよ―――

あの三人が示してくれた、失わないための戦い。取り戻すための戦い。
今度こそ正しく叶えるための戦い。そしてわたしの戦いは…………

『求め』に導かれるままユートとの想い出を強く念じた。
次々に溢れ出す想いの欠片が心を埋め尽くしていく。
欠片はやがて一つの形となった。それは心の奥底でずっと答えを求めていたもの。
そして自ら問いかけ続けてきたその疑問が一番最後にふたたび零れ落ちる。

「わたしは……………………どうして戦っているのだろう」

 
 ―――――――そうしてわたしの中に、見つけた。
468安息 Measurable−6:04/11/17 21:41:35 ID:Nh/1oYrK

再び目覚めた時、わたしは薄暗い洞窟の中にいた。
両手には『求め』と『存在』、二本の神剣が握られている。
『求め』からユートの気配を感じ、わたしは森の中に飛び出していた。
今は純白に光り輝くウイングハイロゥを大きく広げて。

ユートの気配が弱まっていく。
同時に感じられる複数のスピリット達。
考えなくても判る。ユートが危ない。
「このままじゃ、間に合わない!」
全開だったウイングハイロゥに更に力を籠める。
舞い散る白羽が、羽ばたく翼に追いつけないくらいに。
彼女達の姿が見えた時、わたしは両手を振るっていた。

 ―――――――――

垂れ込める闇の中に舞い上がっていく煌きの群れ。
金色のマナとわたしの白い羽と。
静と寂が交差するその中でたった一つ手に入れたもの。
わたしは最高の笑顔を浮かべて振り返る。
わたしの戦う意味。もう絶対忘れない大切な想いと共に。


 ――――――ただいま、ユート


469安息 あとがき 前:04/11/17 21:45:49 ID:Nh/1oYrK

まず支援していただいた方々、ありがとうございました。

神剣に飲まれかけているナナルゥ、いつも癒し系のハリオン。
ナナルゥにはその理由が、ハリオンにはその裏に抱えた悲しみ。
そういったモノがあるのではないかと考えたのがはじまりでした。
以前は逆の性格だったのでは、そしてその原因があれば、当然仲が良いとされている
ヒミカが影響を受けないはずがない、と膨らませた妄想がこのSSです。
「恋愛感情」無しで神剣の拘束から開放される過程、というのを構築出来るかが課題でした。
悠人と関係なく立ち直るスピリットとそれを見て立ち直るきっかけとする悠人、アセリアルートの補完。
そんなラキオス隊に影響を受けていくウルカ、クォーリン。そして光陰、今日子。
そんな今までのSSとは真逆のパターンを取ってみましたがいかがでしたでしょうか?
前回の『代償』で反省してもっと短いものに仕上げるつもりがいつの間にかこんなになってしまいました。
この手のミスディレクションは話が判らなくなった時簡単に読み直せるのが前提として普通書かれる物でして、
スレを跨ぐ連載形式は非常に読み辛かったと思います(私自身連載初挑戦で不慣れというのが最大原因なのですがorz)。
それでも我慢強く読み続けて頂いた皆様、有難うございました。
『信頼』『恋慕』『代償』、そしてこの『安息』と時間軸を追いつつ雑魚スピを補完して来ましたが、
やっと一区切りついたというのが今の心境です。
470支援:04/11/17 21:46:14 ID:IeIaOMw0
  
471安息 あとがき 後:04/11/17 21:47:23 ID:Nh/1oYrK

このSSはいろんな意味でこのスレが無ければ書けなかったものでした。
スレや保管庫を支えている職人さん達と住人の方々。
そしていい意味での影響や刺激を与えて下さったSSやイラストの数々(もちろん小ネタやAAも)。
こんな素敵なスレに辿り着けたことと共に感謝しつつあとがきとさせて頂きます。

また、これは私信ですが、寸劇の人さんへ。
『寸劇@第二詰め所』を拝読した後の感想カキコ(スレ1の463)へ頂いたレスへの、私なりの答えを込めました。
当時はまだ書ききれる自信がなく、悪い言い方をすると今までの作品で試行錯誤しつつ準備して書き上げました。
かなり遅くなりましたがずっと温めていた寸劇さんの問い掛けにやっと一つの答えを示す事が出来たと思っています。

それでは最後までお付き合い頂いて有難うございました。
誤字脱字某マジック等ご指摘がありましたら幸いです。
472名無しさん@初回限定:04/11/17 23:20:54 ID:Ot3e1RyR
まずは完投お疲れ&おめでとうございます。
予告通り私の後追いをされたんですね...惜しい人を、って、殺してどうする。

かしまし三人娘だけでなく、ウルカ、アセリア達もそれぞれのカタチで神剣に捕らわれ、互いの
干渉の中、それぞれが脱出してゆく。特に三人娘は手を取り合いながら、同時に自分の内側にも
目を向けてその弱さを克服する、というのが圧巻です。決して一方的にどちらかが助ける、という形式では
ない訳ですから。しかも最後まで悠人への恋愛感情を前面に出さなかったのは流石というしかないです。

アセリアルート、自分はそれほど深く考えてプレイしなかった事もあり、雑魚スピとどう絡ませるのか
全然予想が付きませんでしたが、なるほどテーマが似ているだけに逆に言えばどんな形でも絡んで行ける、
という事なんですね。

似たようなテーマ、似たようなキャラで書いても作者が違うと視点が違って新鮮です。ナナルゥやヒミカのちょっとした
セリフについつい涙もろくなってしまう...
473名無しさん@初回限定:04/11/17 23:30:11 ID:/CWoLET0
完結おめでとうございます。最終回まで改めて読ませていただきました。

ヒミカ、ナナルゥ、ハリオンの心のしこりが、今回までに解消されていき、
それがアセリアや悠人に影響を与え続けてラストシーンへ……の流れがとても綺麗に感じました。

あくまでも、アセリアルートとして描かれた『安息』。サブキャラとして書き込まれた面々が、
自らを主張しつつもアセリアルートの味を引き出すためにそれぞれの役割を果たし続けていたのだと思います。
ラストシーンだけでなく途中においても、他のスピリットたちの目から見たアセリア、という形で
飲み込まれた者の違和を表していて、アセリアが存在感を放っていたようですから。

ミスリードに引っかかったり、疑問が解消されてすっきりしたりと何とも落ち着きの無い読者ですが、
大変楽しませていただきました。お疲れ様でした。
474寸劇の人:04/11/17 23:59:11 ID:AWp0lvoc
Q.E.D.キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ってことで、信頼の人氏、お疲れ様でした。
うん、お見事な仕上がり、さすが信頼節。
あとがきのおかげで感動もひとしお、個人的に。
どう反応したものか考えてる間にしっかりした感想を
書いた人たちがいることだし、
そもそも私に普通の意味での感想を求めてないですね、
ってことで、えーと、じゃあ、がんがってエラソーに。
>>471
  そうか、君はあの時の少年か…強く、なったな…
  よもやたったあれだけからここまで為し遂げようとは…
  この青年は、いつか私と同じ世界をわけあうのかもしれない…
  もしかしたら私のこの迷いも苦しみも全ても
  そのままにわけあってくれる後継者をこんなにも早く
  私は持ったのかもしれない…
  君が歩み出したその道は、人間が知る中でもとても
  懊悩に満ちた険しいものだとほどなく知るだろう。
  だけど、その時にはもう遅いのだ。
  萌えと感動と仲間と手を携え、想いの高みを目指すのだ。
  己が心の翼 折れるまで。
  それでも。私は君を信頼しよう。
  君ならきっと、辿り着けると。
  私の翼では届かなかった 至高の瞬間へと…
  若者よ、王道を往け!
475名無しさん@初回限定:04/11/18 00:01:09 ID:YQE9cDQM
恋の至極は忍ぶ恋。
とか書くと忍者ナナルゥになってしまいますがw 


はぁ(歎息)、良い物読みました……
なんだか、サモドアでのあの名場面……あれが今回の「安息」。ここに集約されてい
るような気がします。「寸劇@第二詰め所」への信頼氏なりの答えなのですね。もうな
んか、「つながってるよ!片手じゃ全然足りないってば!」と言った感です。

嗚呼、もどかしい。うまい言葉が出てきません。
”戦うってなんだろう?守るって何だろう?”
サモドアの”繋いだ手”でのユートの独白ですが
「国のため、仲間のため、そして、皆の所へ還るため」ヒミカさんならこんな言葉で返してくれる
のかもしれません。アセリアも、ね。

ホントにお疲れ様でした。
476おにぎりの中身の人:04/11/18 01:29:34 ID:wToiAIot
>>430
それぞれの答えは、みんなの中にある答え。
模範解答すらない問題なのです。
そのため、自分の答えは自分で点数をつけてください。
自分でつけた点こそが、正しい点なのでしょう(自分で言ってて意味不明)

安息の完結お疲れ様でした。
人に過去があるようにスピリットにも過去がある。悲しいことも、うれしいこともあったのでしょうね
みんなの、友達を思う気持ちが良く伝わってきました。ハリオン・ナナルゥ・ヒミカタソ(;´Д`)ハァハァ

・・・3ヶ月で1行しか書いてないSS、また書きたくなってきました。
477名無しさん@初回限定:04/11/18 12:37:34 ID:S983etsa
安息、お疲れ様でした。
いや良いものを読ませてもらいました。なんていうか、足りない部分がすっぽり嵌ったというか。
雑魚スピ補完というよりは自分自身が補完されちゃった感じが(笑
これからも皆仲良く、ね。

おにぎりの人ではないですが、自分も書きかけのSSを仕上げたくなってきました。
ヒミカルートなのですが、そのうち完成してお披露目できる……といいなぁ(ぇ

もう一度、本当にお疲れ様でした。
478信頼の人:04/11/18 21:34:34 ID:/Yif87KM
沢山の感想レス有難うございます。

>>472 憂鬱さん
 無事後追いしましたw
 ゲームでは所詮脇役の雑魚スピですが、「雑魚のどこが悪い!」と逆に開き直ってみました。
 「イブシ銀」の感じでスポットを当てたままアセリアルートを補完出来ないものかと。
 雑魚スピも悠人達と常に共に行動しているのですからメインヒロインは誰でも絡めると思います。
 憂鬱さんとは1本のテーマを求めて互いに違った角度からもうずっと見ている気がしますね、不思議とw

>>473 道行さん
 何度も読み直されて頂けたようですみません&有難うございました。
 アセリア、存在感まだありましたか……出来るだけ隠していたつもりだったんですが、ラストまで。
 でも飲み込まれた者の違和というのだけは印象付けたかったので、気付いて頂いて嬉しいです。
 ちなみに第二詰め所で私がどうしてもまだ補完出来ない娘が一人だけいます。
 ヒントは最早伝説になったあのSSが全て語っていたようにどうしても感じてしまうからですw

>>474 寸劇さん
 この間Q.E.D.を使われた時どれだけ私が焦ったか知らないでしょうw
 もったいない詩を書いて頂いて嬉しいやら恥ずかしいやらです。特に少年とか言われると>この歳で
 でも綺麗に纏めてこっそり自分は引き下がろうとしてもダメですよ。
 「ふん、しょーがないからニムがもっと読んであげる。だからもっともっと書かなきゃだめだよ」とニムントールさんも仰ってますw
479信頼の人:04/11/18 21:34:55 ID:/Yif87KM

>>475 髪結いさん
 あ、ヒミカに言わせたかったセリフをとっても綺麗に纏めていただけました。
 サモドアからアセリアが(多分)考え続けた疑問の答えが正にそれだったと思います。
 ただそのセリフをいきなりヒミカが言ってもアセリアが実感したかはヒミカの人となりに掛かっていると思うんです。
 振り返ると「同じ言葉でも語る人によって受け止め方が違う」、
 それをヒミカが語れるようになるまでの過程をも『安息』で書きたかったのかもしれません。欲張りな話ですが(汗

>>476 おにぎりの中身さん
 う、寸劇さんの問い掛けに似てる……(汗) なるほど、精進します。
 スピリットの過去はほとんど情報がメーカー側から出ていないのでこのスレ的には急務な補完ですw(多分)
 SSになっても小ネタに終わってもぜひ読ませてください。楽しみです。

>>477さん
 ちょっとでも補完されたとしたら嬉しいです。っていうか、自分ですか、そんな大げさなw
 でも嵌ってないピースはまだ一杯あると思うんです。
 そんな訳で477さんが描くヒミカルート、楽しみにお待ちしてますw

皆さん読んで頂いて有難うございました。
480名無しさん@初回限定:04/11/19 00:19:00 ID:vgEjYPCU
さて、ちょっと小ネタ用に振りでも置いといてみますね。

  学 園 祭

文化の日はとうに過ぎましたが、シーズンかな、ってことで。
観客はレスティーナ他少数だろうけど。
悠人は観客兼監督の先生かな?
スピリット隊総出で出し物ひとつか、詰所対抗か、はたまた色別か…
エスペリアvsハリオンの出店対決勃発?
ミスコンは危険な香り?
実は一番楽しい(のかもしれない)準備期間のあんなトラブルこんな騒動…

とかって妄想はいかがでしょ?
あ、例によって、信頼の人先生へのお便りは引き続き募集の方向で。
481はじめてのウエイトレス:04/11/19 16:13:40 ID:0caxkq7B
「なんで文化祭なんだ・・・」
ラキオスのエトランジェ、『求め』のユートは呟いた。
「これもあの馬鹿が・・・」
ことの発端は例によってあの男だった。
・・・・数日前
「なぁ悠人よ・・・文化祭やらないか?」
作戦会議中に突然光陰がそんなことを言い出した。
「はぁ?光陰・・・アンタ一体なに言ってんの?」
「雷のくらい過ぎで脳がイカれたか?」
今日子と悠人が呆れたように答える。
「ふっ・・・まぁ聞け、二人とも。
いいか・・・これは今後の帝国戦にも繋がる重要なことなんだ。」
光陰が語り始める。
482はじめてのウエイトレス:04/11/19 16:14:16 ID:0caxkq7B
「いまやラキオスのスピリット隊は稲妻部隊も交えた大所帯だ・・・
お互いロクに話したことのないやつもいるんじゃないか?
それでいいのか?否!それでは強大な帝国には対抗できないだろう・・・
俺たちは今こそ互いを知り、団結しなければならないのだ。
そのための文化祭なのだよ・・・」
長々ともっともらしいことを語る光陰。
「・・・まぁ、言いたいことは判った。でも文化祭じゃなくても・・・」
「甘い!ラキオス名物ヨフアルより甘い!
いいか?文化祭は皆が自分のやりたいことをしていい。
すなわち、そこに個性が出る。お互いを知る上で最適なイベントだと言えるだろう。
さらにだ!この戦いが終わればスピリット達も自らの道を歩まねばならない。
自分達のやりたい事が他人を満足させられるのかを試すいい機会になるはずだ!
どうだ?これでも文化祭は駄目だと言うのか?」
こぶしを握り締め熱く語る光陰。
「・・・で、その心は?」
「そりゃーもちろん、オルファちゃんやヘリオンちゃんと文化祭デートを・・・」
「結局それかーーーー!」
龍も屠らんとする勢いで振り下ろされたハリセン(雷付き)で黒焦げになる光陰。
483はじめてのウエイトレス:04/11/19 16:15:31 ID:0caxkq7B
と、いうようなことがあったのだが結局文化祭は実行となった。
悠人や今日子から話を聞き皆が興味を示したからである。
「・・・まぁ、光陰の言うことにも一理あるからな・・・」
そう言いながら俺はハリオンの喫茶店『ほのぼのエレメンタルブラスト』の暖簾をくぐった。

「いらっしゃいませー、あらー、ユート様じゃないですかー。
お好きなーお席にー座ってくださいねー。今お冷をもっていきますー。」
とりあえず席に座った悠人は周りを見る。
レスティーナのおかげで以前に比べスピリットに対する偏見が薄まったのか
ちらちらと城の人間や町の人も見える。
「俺達しかいなかったらどうしようかと思ったけど・・・杞憂だったな。」
ガチャン!
突然の物音に悠人はびっくりする。
「・・・なんだ水が来たのか・・・って、ええ!?」
そこにいたのはハリオン・・・ではなくウエイトレスの格好をしたセリアだった。
「・・・メニューです。」
スマイルも浮かべずメニューを渡してくるセリア。
「あ、ああ・・・じゃあ、これとこれ。」
何だか威圧感を感じる悠人はろくに見ずに慌てて頼む。
「・・・畏まりました。ハリオン特製オリジナルブレンドティー『アポカリプスU』と
自家製ヨフアルでよろしいですね・・・?」
「あ、ああ。」
何か物騒な単語が聞こえたが了解してしまう。
「少々お待ち下さい・・・」
掻っ攫うようにメニューを受け取るとセリアは凄い勢いで厨房に消えた。
「・・・俺ってやっぱり嫌われてるのかな・・・」
484はじめてのウエイトレス:04/11/19 16:16:59 ID:0caxkq7B
そんなこんなで食べ終わり悠人は会計を済まそうとする。
ちなみにお茶は普通だった。ハリオン曰く「名前はーなんとなくですー」
妙に形が崩れてるヨフアルも味はよかった。
結局セリアは最後までニコリともしなかった。
悠人が見る限り他の客には普通に接客していたのだが・・・
「・・・ありがとうございました。」
「あ、ああ。おいしかったよ。ヨフアルも丁度よい甘さで・・・」
「・・・そ、そうですか?」
「これなら喫茶店としてやっていけるんじゃないか?
セリアのウエイトレス姿も可愛いしさ。」
「そ、そんな目で私を見てたんですか?こ、これだから男は。」
褒めたつもりなのだが怒られる悠人。
「あらあらー駄目ですよーお客様にそんなこといっちゃー。
めっめっですよー。ヨフアルだってー褒めてくれたんですからー。
全くーしょうがないですねーセリアはー。
いつユート様が来てくれるかそわそわしてt・・・」
「ア、アイスバニッシャー!!!」
ハリオンが一瞬氷に閉じ込められセリフが中断される。
「はぁはぁ・・・」
「冷たいですー素直にーならないとーめっですよー。
ライバルはー多いんですからー。」
「ハリオン!もう一回くらいたいの!?」
「・・・何だかよく判らないけど程々にな・・・」
そんなこんなで今日もセリアは素直になれないのでした。
485名無しさん@初回限定:04/11/19 16:29:48 ID:0caxkq7B
ごめん・・・小ネタのはずが長くなった・・・(またかよ)
素直になれないセリアさんシリーズってことで。
ちなみに『ユート様、料理をする』との繋がりは何も考えてないのであしからず。
あ、セリア日記も書けばよかったか・・・
いつかセリアさんが報われる日も書いてあげたいなー(未定)

>>信頼さま
遅くなりましたが完結おめでとうございます。
お疲れ様でした。アセリアルートが見事に補完されてる感じです。
仲良し三人組に幸あれ
がんばれ!ヒミカ!失恋した分いい女になるさ!
486名無しさん@初回限定:04/11/20 02:05:46 ID:GyWIiIfT
>>485
 乙〜。
たった一言から長編が生まれたりもするわけで、
長さは気にしなくていいと思いますよ。
まぁ見合った中身がないとつらいこともあるでしょうが…
 ブレンドティー『アポカリプスU』か…
ヒミカかナナルゥ辺りが湯を沸かしたんだな、きっと、うん。
 セリアの場合、ウェイトレスを引き受けるまでにも一騒動
あったかもしれないなぁ…
とか思うとますますセリア日記が読みたくなりますね。
487名無しさん@初回限定:04/11/20 04:59:22 ID:7K5G3ke0
>>471
「安息」完結お疲れ様〜。
正直凄いの一言です。
逆に何書いていいか分からない・・・
心の弱さ。心の脆さ。
それぞれが克服して、またそれぞれが支えあう。
それこそがきっと心の強さ。
とかよく分からないことを書いてみたり。
ともあれご苦労様。GJ!

>>485
お疲れ様〜。GJです。
素直になれないからこそツンデレ。
ツンデレだからこそセリアなのです!
照れ隠しアイスバニッシャーが素敵w
488妖精的美少女審査大会:04/11/20 11:07:28 ID:XwjLodBl

『第一回第二詰め所制服コンテスト』

王室の間に掲げられたその大仰な看板に悠人は盛大な溜息をついた。
「一体なんでこんな企画が通ってしまったんだ……」
会場はすっかり観客で埋まっていた。どこから集まってきたかと思える程の彼らからは異様な熱気が感じられる。
その最前列に座らされている自分の前には何故か『審査委員長』というプレート。
「まぁたまにはいいじゃないか、この天才様にかかればハイペリアの衣装なんて朝飯前さ」
自慢げに鼻を鳴らす隣の『副委員長』殿が少し恨めしかった。

489妖精的美少女審査大会:04/11/20 11:08:46 ID:XwjLodBl

「それでは第一回第二詰め所制服コンテストを開始いたします」
いきなりカゾリック系シスターの格好をしたエスペリアが登場して開会の挨拶をする。
黒で統一されたロングワンピースに白の肩衣。胸元にはロザリオが光っていた。
それだけで会場からおおーと大きな歓声が上がる。
「エントリーナンバー1番、『赤光』のヒミカと『熱病』のセリア、タイトルは禁断の花園」
セリアが比較的スタンダードな紺のツーピースブレザーで恥ずかしそうに登場した。
続いて現れたヒミカがセリアと腕を組む。着ているのは……黒のガクラン。
がたたっと派手な音を立てて悠人が椅子から転げ落ちた。なんだそのタイトルわ……
「ちょ、ちょっとやめなよヒミカ」
「そんなに恥ずかしがることはないんじゃない、可愛い娘羊ちゃん?」
「こんな格好、十分恥ずかしいって!娘羊ってなによ!なんでそんなに適応してるの貴女は?!」
「ふふっ怯えた顔の君も素敵だよ……さあ逝こうじゃないか、二人の楽園に」
「な、なに言ってるのよ貴女は、ちょ、ちょっとそっちは寝室…………」
二人のやりとりが微かに聞こえる。悠人は何故か心臓の鼓動を抑えることが出来なかった。
「エントリーナンバー2番、『静寂』のネリー『孤独』のシアー姉妹、タイトルは愛姉妹」
その版権スレスレのタイトルに再びずっこける悠人。一部観客から絶叫が上がった。
手を繋いだ二人はおそろいの黄色い帽子を被っている。水色のワンピースはやや短めのスカート。
そして胸元には刺繍で「ねりぃ」「しあ」と名前が書いてあった。
「ね、ね、ユートさま驚いてる〜」
「ほんとだ…………(ポ」
こちらを見て手を振る二人に引きつった笑顔を返しながら悠人は(絶対光陰だな)と確信していた。
490妖精的美少女審査大会:04/11/20 11:14:11 ID:XwjLodBl

「エントリーナンバー3番、『消沈』のナナルゥ、タイトルはお嬢様」
続いて登場したのはゴシック調の格子柄を基調にしたジャケットを身につけたナナルゥだった。
白のブラウスに細いネクタイがスカートと同じ清楚な青で統一されている。
胸元に刺繍されているラキオスの紋章がかろうじてここがファンタズマゴリアだと認識させてくれていた。
「………………にこっ」
殊更上品な仕草で微笑むナナルゥに観客が沸いた。
抑え目にしていても自己主張している胸元に視線が集中しているのは別として。
ただ致命的なのは髪の色と補色になってるんだよな……といつの間にか悠人は真面目に評価していた。
エスペリアの紹介は続く。
「エントリーナンバー4番、『曙光』のニムントール、タイトルは……え?ニムがいない?え、えっと……」
「…………?」
「すみません、4番は体調不良のため欠場とします。続いて5番……」
(逃げたな……)エスペリアの説明を聞きながら悠人はニムの逃亡先をあれこれと考えていた。
「『大樹』のハリオン、タイトルはき、巨乳お姉さん特別授業」
今までで最高のどよめきが会場を覆う。出てきたハリオンの格好をみて悠人は思わず前かがみになった。
大きく開かれたカッターシャツにどこから入手したのかハイペリアのブラのラインがくっきりと浮かび上がる。
歩くたびにひらひらと舞うミニスカートにもはや滅亡したかと思っていたルーズソックスのハリオンは、
間違いなくこのコンテストの趣旨を完全無欠に勘違いしていた。新宿の3丁目辺りの方が絶対相応しい格好である。
「お客さん〜初めてですかぁ〜」
判っているのかいないのかそんなセリフを飛ばす。別の意味で効果は絶大だった。
悠人がそっと振り向くと、会場中が前かがみになって困っていた。
491妖精的美少女審査大会:04/11/20 11:16:25 ID:XwjLodBl

「こほん、エ、エントリーナンバー6番、『失望』のヘリオン、タイトルはドジっ娘」
気を取り直したエスペリアの紹介に続いてちょこちょこと出てきたヘリオンはごく普通の制服姿だった。
濃紺のジャケットにスカート、ブラウスの胸元にエンジの棒ネクタイ。無難なデザインに少しほっとする。
「あ、あの、宜しくお願いしま…………きゃぁ!」
悠人の目の前でハデにすっ転ぶヘリオン。
そしてその勢いで大きく捲くられたスカートの下からゾウさんプリントの……ってぇ!
「きゃ〜っ!きゃ〜っ!きゃ〜〜〜〜っ」
慌てて立ち去るヘリオンに悠人は不覚にもドキドキしてしまっていた。

相次ぐお色気攻撃に騒然としてきた中、エスペリアの紹介もラストとなった。
「それでは最後になります、エントリーナンバー7番『月光』のファーレーン、タイトルは覆面取ったら」
タイトル通り素顔を晒して登場したファーレーンはセーラー服だった。
白いセーラーに黒のスカートと、定番中の定番である。
右肩だけに二本の黒い縦線がデザインされているのが清楚な感じを強調している。
長い深緑のロングヘアーを白いリボンで纏めているのが新鮮だった。
開かれた首元に浮き上がった綺麗な鎖骨や歩くたびに見え隠れするお腹がさり気なく涼やかな色気をも醸し出している。
何より普段めったにお目にかかれないファーレーンの素顔に悠人はぽーっと見とれていた。
「あ、あの、ユートさま?そんなに見つめられると困ります……」
悠人の視線に気付いたファーレーンが消え入るような声で軽く抗議する。その仕草だけでもう殺人的だった。
「あ、ご、ごめんファーレーン、その、あんまり可愛かったから……」
「か、からかわないでください〜」
一瞬二人だけの世界に浸る悠人とファーレーンにエスペリアの進行が少々阻害された。
「コホン、それではこれでエントリーは全員です。投票をお願い致します…………」
492妖精的美少女審査大会:04/11/20 11:17:55 ID:XwjLodBl

投票を終えて会場を抜け出した悠人は誰もいない第二詰め所に来ていた。とある部屋をノックする。
「…………だれ?」
「俺だ、開けてもいいかな?」
「……ユート?……勝手にすれば?」
声を確認してゆっくりと扉を開く。果たしてニムントールが制服姿で立っていた。
フリルをあしらった白ブラウス。チェックのスカートがジャケットとお揃いだ。
「ふん、どうせ似合わないとか言うんでしょ!」
「そんな事ないぞ、似合うじゃないか。どうして出なかったんだ?」
「はぁ?ばっかじゃない!?ニムがそんなの出るわけないでしょ!」
「じゃあなんでそれ着たままなんだよ」
「ユ、ユートが見たがると思ったからよ!なにさ、他の娘見て鼻の下伸ばしてたクセに!」
「ああ、ゴメンな。でもニムがいないって知ったときは本当に残念だったんだぜ」
「え…………ふ、ふん!ニムなんて皆の前じゃ絶対こんなの着ないんだからっ!ユートだけなんだからね!感謝しなさいよっ!」
そう言って腰に手を当てるニムントールのスカートからなにか紙切れがひらひらと落ちた。

そこにはたった一文だけ『タイトル:ユートだけ見ていい』と書かれていた。
493名無しさん@初回限定:04/11/20 11:19:46 ID:XwjLodBl

学園祭って意外と難しい……2日考えてこんなオチだしよく考えたら赤の補色は緑だしorz
投下して読んで気が付く(ry

>>485 霞さん
 そのネタでタキシード姿のヒミカを想像してしまいましたw
 仲良し三人組のイメージが女子高のノリなのでそれで連想したのかも。これもネタの拡大再生産?

>>487さん
 読んでいただいて有難うございました。
 一方的な支えじゃなくて皆でっていうのが伝わったようで嬉しいです。
494名無しさん@初回限定:04/11/20 17:40:47 ID:G64srhzu
覆面取ったら、また覆面みたいなオチがちらりと頭をよぎった
495名無しさん@初回限定:04/11/20 22:16:36 ID:o5DVbyHq
>>489
サフィズムかーー!!
496名無しさん@初回限定:04/11/20 23:08:31 ID:ESw1Rtq6
>>493
乙です〜
ヒミカ…もうすっかりゆry
ついにここまで…光陰おそるべしw > ネリシア
ハリ(ry
497名無しさん@初回限定:04/11/20 23:38:11 ID:9leXoGpl
「エンゲキ?もう一度あれをやれって言うのか?勘弁して欲しいなあ。」
ヒミカの依頼に悠人は渋い顔をした。以前出演した時の事が思い出される。
突然カンペでキスをしろと言われたり、ハリオンが瞬間移動してヘリオンがいじけたり...
「あ、今回はユートさまには出て頂かなくて結構です。」
ヒミカが柔らかな笑みを見せる。「ただ、ユートさまの役をする方にお願いして頂ければ、と思ったのですが。」
「俺の役を?誰に頼むって言うんだ?ま...まさか光陰に?それは非常に危険な試みだぞ、ヒミカ!」
「えーと、色々と考えまして、キョウコさまにお願いしたいのですが...。まだ、ラキオスに来てから日も浅いですし、
これをきっかけに、とけ込んで頂こうかと思いまして。ただ、私からではちょっと...」
「へえ?今日子か。ま、確かに髪型は似てるけどさ。あいつ、引き受けてくれるかなあ。」
悠人は腕組みする。
「そこは友人のユートさまが上手く説得してください。出し物は前回と同じサモドアの一シーンです。
では、宜しくお願いします。」言いたい事を言うとサーッとヒミカは引き上げた。
498名無しさん@初回限定:04/11/20 23:39:53 ID:9leXoGpl
「光陰!あんたってやつはっ!!」
悠人が詰所から出て行くと、例によってドツキ漫才をしている二人の姿が目に入った。
「...なるほど、確かにあれじゃウチのスピリット達は近付けないよなあ。」
さすがは気配りのヒミカだ、などと妙な感心をしつつ悠人はシールドを全開にして
ゆっくり今日子に近付いた。
「あたしが?なんで悠の役なのよ?」ハアハアと荒い息をつきながら今日子が言う。
「親睦を深めてほしいっていう事だよ。ほら、怯えてるだろ、あそことか。」
そう言いながら悠人が指し示す先にネリーとシアーが木の陰から、
おっかなびっくりこちらを伺っているのが見える。
「う...で、でも大体光陰が悪いんだからっ!」まさにガキのケンカである。
「ケンカもいいけど少し場所を考えてやれ。じゃ、頼んだぞ。」

学園祭当日。
「今回は見る側か。やっぱり俺にはこっちの方が気楽でいいよ。」
「出演者全員女の子なんて、まるでタ○ラヅカみたいだな。」
悠人の横の光陰も上機嫌である。やがて、幕が上がった。
アセリア役のヘリオン、エスペリア役のセリアも今回は堂々とした演技っぷりであった。
ハリオン姉さんが夜なべして作った衣装のせいもあり、低音で演技する山本直子、もとい今日子も、
遠目からはまさしく悠人のあの日の姿であった。
「ううう、ぐすっ。俺ってあんなにカッコ良かったっけ?」
「...俺に聞くな、悠人。」そう言う光陰の目にも涙が光っている。
499名無しさん@初回限定:04/11/20 23:42:09 ID:9leXoGpl
翌日。
悠人が詰所前の庭を歩いていると賑やかな声が聞こえてきた。
「キョウコさまー!」
「さま〜!」
双子が今日子を探している。
「ちょっと、悠っ!なんとかしてよ!」
「いいじゃないか、人気者で。」
今日子のおかげで、シャンプー片手にナナルゥが風呂場に侵入する事もなくなり、
すっかりプライベートな時間を取り戻した悠人が笑う。
「あっ、いた!」
「いた〜!」
「ヤバい、見付かった!お、憶えてなさいよ、悠!」捨てゼリフとともに今日子が逃げ去る。

今日子と双子を見送る悠人の背中から声が掛かった。
「あの...ユートさま...」
「え?セリアか?」
いつもとはうって変わって、すっかり恥じらう乙女といった風情のセリアに、悠人は度胆を抜かれる。
「これを...キョウコさまにお渡しして頂きたいのですが...。」
花柄模様の封筒を悠人に渡したセリアが「キャッ!」と言いながら頬を染めて走り去った。

「......百合?」
リクディウスからの北風が、やけに冷たく感じられる悠人であった。
500名無しさん@初回限定:04/11/20 23:44:13 ID:9leXoGpl
…そろそろ限界を感じています。いろんな意味でorz
501学園祭実行委員控え室にて:04/11/21 00:37:30 ID:UkbiW1Fp
「おい、悠人、ちょっと来てくれ。ハリオンとヒミカのヨフアル屋台が大変なんだ」
「大変って、あの二人に限って食中毒やら何やらが起こるわけ無いだろ」
「いやいや、そう言うんじゃなくってな。屋台荒らしが出現したって大騒ぎだ」
「……」
「さっきから、チャイナドレスに身を包んだ可憐な美少女が商品を全部食い尽くす勢いでな」
「……それで」
「それに対抗して、ハリオンが『食い倒れさせてあげますよ〜』とばかりに材料の追加購入を始めた。
今はネリーちゃんやシアーちゃんが小麦粉や卵を運んでる最中だ」
「って事は、調理人もヒミカとハリオンだけじゃ足りないんだよな」
「ああ、とてもじゃないが追いつかねぇ。俺たちでもネリーちゃんと一緒に材料を運んだり、
ヘリオンちゃんと一緒にヨフアルのタネを混ぜたりするのは出来るだろ。な、さっさと行こうぜ」
「そうだな。それに……ヨフアルが切れたら大変だ。客が満足して無いのに売り切れなんて、な」
「お、おう。確かにそうだが……悠人、その客に心当たりでも有るのか?」
「うん?さあ、どうかな。とりあえず、せっかく屋台を楽しみに来てくれた人がいるんならこっちも精一杯もてなさないと」
「よし、急ぐぞ悠人。ぼやぼやしてたらシアーちゃんたちの手伝いが出来なくなっちまう」
「ああ。俺も、ハリオンの意見に賛成だ。もう食えないってくらいまでご馳走してやろう」
502名無しさん@初回限定:04/11/21 02:02:04 ID:089VEVLJ
>>501
ほほぅ、そっちの vs が来ましたか。
急行する悠人。喉を詰まらせたレ(ryとごっつんこ(ry

>>500
イ` むしろ漏れが代わりに逝く ∧||∧
503名無しさん@初回限定:04/11/21 19:22:40 ID:eq2SInNf
遅れましたけどSSの保管一通り完了しました。

長編
http://etranger.s66.xrea.com/ss/long/

短編
http://etranger.s66.xrea.com/ss/short/

保管漏れ及び修正の連絡、ご意見、ご苦情等は例によってこちらまで
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099424351/
504名無しさん@初回限定:04/11/21 19:38:19 ID:TWDpzHdW
 ラキオス王国スピリット隊新規隊員募集!!
====================
激動の大地、煌めく白刃、燃えさかる爆炎。こんな世界だか
らこそ身を立てる術もあるというもの……私達ラキオススピリッ    ∞∞エトランジェ・ユートさまと、一つ屋根の下∞∞
ト隊は今、戦線の拡大によって人手が極端に不足しています。
あなたのその手はきっと何かを掴むためにあるはず。持て余
した若いマナ、思う存分に振るってみませんか?                         

     ヽ)/                                  ””年齢・剣位・経験等完全不問です。家事のできる方大歓迎!!
  ∠´ ハ`ゝ 『隊長ユート』                         女性の活躍している職場です””
  彡//ノハハ〉 「剣を握った反対の手。こぼれ落ちる物を         
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!   受け止めて欲しいと思う」                   
   <´ii Yliン,

待遇:寮完備。他国とは一線を画す瀟洒な作りの二階建て        ,ヽノ_
   の洋館です。もちろん全室個室!法令改正により、         ,' 〃, ^^ヾ  『熱病のセリア』
   給与所得も可能となりました。制服貸与(戦闘・普         i y(从ソ))リ゙ 「隊長はとても格好良くて、仲間はみんな個
   段着)食事も三食OK(当番制自炊)                  ノノ゙(リ゚ -゚ノリ  性的で明るい職場です。自分の時間を持つ
昇給:LVアップ毎、当隊規定に拠る                    (( ⊂}!廿i つ こともできます」
勤務地:大陸各地                               
休日:週一回                                       
応募:神剣通話で人事担当ハリオンまで。神剣振動数「XXXXX-XXXX」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「で、ハリオン。似顔絵付きで私の捏造コメントが載ってるのは何でなのかしら?」
「え〜? みんな恥ずかしがるのでセリアになっただけですよ〜」
「###…………」
505名無しさん@初回限定:04/11/21 19:47:35 ID:TWDpzHdW
えーと学園祭の人・スピ出に期待しての張り紙って事で。前からできてたけど(汗) 2KBぎりぎり。

>501
翌日。レスティーナは体調不良を訴え、政務を一日休むこととなった。
エ「それではユートさま。女王陛下のお見舞いに行ってきますね」
ユ「ああ、レスティーナによろしくな。あ、エスペリアそれは置いてっ
たほうが良いと思うぞ」  >お見舞いのヨフアル (#)

>500
百合の花柄模様だったりw>セリアの手紙 分かっててやったのならセリアの気
づいて欲しい乙女心もカワイイ物ですなw しかしこれでコウインの立場は……ガロ?

>493
ファーのそれって 「♪ふ〜く〜め〜ん〜ンンを ぬ〜が〜さ〜ないで」でOKですかw 
セーラーファーレーン GJ   つーか前スレキックオフ空間は私だったりする。
前屈み観客はこのスレの住人共であろうか。ネリシアは毎朝黄色いバスにのンゴbmンsッペsptモpン

>485
喫茶店名が何というか……w いつまでも腰を上げない客で溢れそうです。
これで制服コスもあれば、む、無敵っ! ハリオンさんもうちょっとで見えそハァハァ

男性客「おう、そこのポニテの姉ちゃん。この炭酸入りジュース「ダークインパクト」三つ頼むわ」
セリア「うっさいわね、私は(ユートの監視に)忙しいのよ。ヘリオンッ ほらお望み通りにしてやって」
ヘリオン「はわわ〜〜ホントにいいんですかぁっ?」 <ちがうぞたぶん

>503                                                      ∬
おつかれさまです。これだけの数を……一息お着きになって、どうぞアポカリIIでも (  ゚Д゚)⊃旦
506名無しさん@初回限定:04/11/21 20:44:13 ID:4SyKNTb7
>>504
よしっ!!さっそく応募だ!!!
...え?神剣持ってないと駄目なの?
一応ハリオン姉さんとおんなじやつなら持ってるんだけど(←見栄張りすぎ)

不採用?マインド制限に引っかかったって、ナニそれ?
507名無しさん@初回限定:04/11/21 21:41:09 ID:N8ZRbyY3
>>504 髪結いさん
振動数が伏字になってて読めないですよ!
神剣は無いけど真剣さなら両手にいっぱいなんちゃってって駄目ですかそうですか。
……少し壊れてみましたorz
そうか、なんか書いててデジャビュー感じると思ったら……って貴方だったんですね。
しかも突っ込み入れてるのわたしだったりするし>キックオフ
おにゃんこクラブといいなにか世代的に通じるものでもあるのだらうかw
あ、あと連絡スレの方有難うございました。
508名無しさん@初回限定:04/11/22 01:01:06 ID:Sf26A/qY
お二方とも、既にハイロウがまっ黒くろすけの様で……私ですか? 私のは白くて白くて真っ白すぎて、
他人には見えないくらいです。いえ私にははっきり純白のハイロウが見えるのですがね<裸の王さm

>506
その短槍は規格にちょっとだけ足りないようです。えっ?伸縮自在で長槍にもなるんですか。ん〜勤務時間は
一日八時間+夜間見回りまであるのですがその間持ちますか?

>507
仕方有りませんね、裏技をお教えしましょう。普通の電話を持って適当な番号で電話を掛けてみて下さい。
うまくいけば「お助け女○事務所」に掛かるはずです。えっ?そこは違うって?だってあの世界だって既に永
遠世K (アイスバニッシャー  ウルカのちっちゃいってことはべ(エーテルシンクッ
裏側>礼を言うのはこちらの方で。コンゴトモヨロシク
509名無しさん@初回限定:04/11/22 02:32:48 ID:Rl9zOza/
えーと、この『日溜まり』ならいいですか?(w
510名無しさん@初回限定:04/11/22 18:43:26 ID:0ixo4C3q
>>504
よし、早速応募するぞ〜
事故現場で回収した永遠神剣の欠片が一つ、「永遠神剣・無位 無名(むみょう)」で…って、無理ですか?
まあ、名無しだもんな…

現在、同人の暇つぶしにウルカED後のSS書いてます。…いつ出来るかは分からないけど。

ついでに、同人用に考えたネタより、没ネタを一つ…

ある日…
「なあ、悠人。エスペリアってさ、一部の人に『エスお姉ちゃん』って言われてるだろ」
「ん、そうだけど。それがどうかしたか?」
「おい悠人、エスだぞ!エス!そこはかとなく、エロスを感じないか?」
「なっ…何言ってるんだよ光陰!…エスペリアは両h…」
「両…何ですか?ユウト様(はあと)」
「え…えすぺりあ、これにはワケが…」
「問答無用!エ・レ・メ・ン・タ・ル…」
「お、おい悠人!その手を離せ!俺を解放しろぉ〜」
「五月蠅い!お前も道連れ…」
「ブラストォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
その日、二人のエトランジェが帰らぬ人と…なりかけた。

後日、二人は口をそろえてこう言った。
『やっぱ、たゆんたゆんが一番だよな!』
…再度、死にかけたのは言うまでもない。

全年齢向きじゃないので、ここに投下
乱文&文章力無くてスマン
511名無しさん@初回限定:04/11/22 18:53:33 ID:/16O2bkO
>>504
改行のおかげで一瞬「性的で明るい職場」に見えてしまった(w
512名無しさん@初回限定:04/11/22 20:11:09 ID:HFpx2927
>>504
だらだら生きてるよりは生き甲斐のありそうな職場なだ。
最近は戦争も事務的でつまらんしな・・・
513学園祭屋台広場にて1/2:04/11/22 20:31:17 ID:uDT2qvz7
さて、この状況で俺はいったいどうするべきだろう。
目の前にはたった今鉢合わせた、屋台のヨフアルを手にしてにこやかにパクついているヘリオンちゃん。
うん、いい。可愛い娘が、実に美味そうにお菓子を食べる。うん、良い絵だ。
何よりも、その無邪気な顔の柔らかそうなほっぺにひとかけらの食べかす。
お約束を裏切らないナイスなドジっぷり。
けれども。やっぱり場所が場所なんだ。
ちょっと見てる分には微笑ましいが、そのままでうろうろするのは宜しくない。
気付かないままでいて、いざという時に恥をかくってのも……それはそれでイイかもしれないが……
いやいやいや、流石にそれは可哀相過ぎる。
という事で、最初の自問に戻るんだが……さて、どうするべきか……
周りにはばらばらと一般客の姿もある。城下の人間がスピリットと交流する。
良い事だとは俺も思うが、この状況では面と向かってヘリオンちゃんに注意も出来やしない。
かといって、急に物陰に引っ張りこむのも同じく他人の目があるから却下だしなぁ……
ここはあくまでもさり気なく――
あー、ヘリオンちゃん、今日子がどこにいるか知らないかな?
ああ、そう、さっきまでヨフアルの屋台の前で一緒だった。へぇー。
ヨフアルって、今食べてるやつ?それ、食べる時にちょっと気を付けないとダメだよな。
時々かぶりついた所から、ぽろっと欠片が落ちたりしてさ。ヘリオンちゃんは大丈夫かな?
――よし、これで行こう。
514学園祭屋台広場にて2/2:04/11/22 20:32:14 ID:uDT2qvz7
「よう、ヘリオンちゃん、どっかで今日子の奴を見なかったか?」
よし、頭の中の台本よりもさらに自然だ。
「え、キョーコさん、ですか?わたしはちょっと……」
なんてこった。早くも計画が崩れ去っちまった。
次の作戦の立案を急ぐ脳味噌。だがそれが完成する前にふらりと一人の男が通りかかった。
「あ、ユートさま、キョーコさんが何処にいるかご存じですか?」
「今日子?確か、さっきヨフアルの屋台のところで見かけたけど」
ナイスタイミングだ!これならちょっとした修正だけでさり気なく注意を……
って、おい、悠人。いきなりヘリオンちゃんのほっぺを凝視してどうするんだ。
え、なんだ、その「しょうがないなぁ」って感じの苦笑いは。ヘリオンちゃんも戸惑ってるぞ、なあ。
あ、あ、手を、手を伸ばして……むに。むに?むに!?
摘み取りやがりましたよこの野郎!あ、あまつさえ自分の口にお運びに!
あーあ、躊躇いも何も無しでやっちまいやがった。つーか、何も考えないでやっただろお前。
何せ茹でダコみたいになっちまったヘリオンちゃんを見て慌て出すくらいなんだからな。
おいおい、周りから見られてるって。あらあの二人ですよ、何時見ても初々しいですね、だとさ。
あのなお前ら、城下へ出かけたときもそのノリかよ。
やれやれ。そうか、今日子はヨフアルの屋台の所か。と。
じゃあな、二人で見回りでも観覧でもしててくれ。

お、まだいた。ま、せっかくだから声でも掛けるとするか。おーい、今日子……お前もか。
……さて、俺はいったいどうするべきだろう?
515名無しさん@初回限定:04/11/22 20:33:15 ID:uDT2qvz7
この後の光陰の運命や如何に。

>485さん
よくよく考えると、実は毎日がメイド喫茶なラキオス第一、第二詰所w
ウェイトレス姿は逆に新鮮なのかも知れませんね。

>493さん
微笑むナナルゥ、その口元から覗く八重歯がチャームポイント。
……モニタの具合か真実か、EXPで一回限りの立ち絵に見えたような気がしたんです、はい。

>500さん
つまり、今はナナルゥが今日子の髪の毛を柔らかくしようと……
女の子同士だから風呂に服は要らn(アポカリプスU で、別の所もやわらかk(ライトニングブラストY
低マインドを反省orz

>504さん
エトランジェ・コウインさまと一つ屋根の下……(書き換え
セリア「これでいいわね、只のミーハースピリットをふるい落とさないと大変だもの」
……
クォーリン「あの……張り紙を見たんですけど!」
セリア「……」

>510さん
発掘すれば色々と美味しいネタを持っておられるように思います。
ウルカSS、待つ楽しみが増えました。
516名無しさん@初回限定:04/11/22 22:26:09 ID:Lg3cavvO
>>515
最後のループがナイス。
これはもう、「おーい、今日子」と声をかけた時点でライトニングブラスト確定しちゃってますね。

選択肢その@
「おい、ほっぺたに付いてるぞ。」と教えてあげる。
→「わ、笑ったわねっ!!」と、八つ当たりのライトニングブラスト。

そのA
見て見ぬふりをする。
→通行人の視線で気が付いた今日子に「何で教えてくれなかったのよっ!!」と(ry

そのB
「ほら、これ。」と手を伸ばして取ってあげる。
→「ななな何恥ずかしい事してんのよっ!!」と真っ赤になった今日子に(ry

そのC
そこらへんを歩いているネリーかオルファにいきなり抱き付く。
→脈絡がないようでこれが一番理にかなっている。
517名無しさん@初回限定:04/11/23 16:13:10 ID:aTXO4ZUI
>480
色対抗ってことで、黒スピチームによるお化け屋敷というのが浮んできた。
518紅蓮の剣 1/26:04/11/23 17:38:49 ID:4PhXN8/E
 ──思い出すのは、いつも戦場。
 雨の降る草原。足は、濡れた草を踏んでいる。
 頭を垂れるように、名も知らない花が足元に咲いていた。
 周りには、黄金の霧に帰っていく無数の屍。
 それを見送ることもなく、彼女はくず折れそうな身体を、己の剣で支えていた。
 荒い息は、雨音に消されて聞こえない。
 やがて霧は全て雨に溶け、後には一人、彼女だけが残された。
 よろよろと、剣で身体を支えながら立ち上がる。
 生まれたての仔牛が、自らの力で立ち上がるように頼りなく。
 それでも、しっかりと地面を踏み締めて。
 支えにしていた剣を放し、彼女は顔を上に向けた。
 曇天。何も見通せない空。
 それを見上げながら、彼女は知らず、吼えていた──
519紅蓮の剣 2/26:04/11/23 17:39:35 ID:4PhXN8/E
 ヒミカは、正直彼のことを頼りなく思っていた。
 エトランジェの実力は幾度も目の当たりにしてきた。
 次々と敵を薙ぎ払うその姿は、背負う永遠神剣の位に恥じないものではあった。
 だが、弱い。太刀筋には迷いが見て取れる。
 彼も自分も仲間達も、立つ場所は戦場なのだ。
 んな迷いを抱いていては、やがて足元を掬われてしまうだろうに。
 進んで前線に立っていたヒミカは強くそう思う。
 迷いは己を殺す。
 それに、戦場で何を迷う理由があるのか。
 戦う理由はないかもしれない。自分達は結局人間の代わりに戦わされているのだし、それは敵も同じはずだ。
 国家間の諍いために使役されているだけである。例えば盤上遊戯の駒のように。
 それに悠人は、国王に妹を人質に取られていると聞いた。
 それなら彼には、戦わなくてはならない強い理由がある。ならば尚更、迷っていてはいけないはずなのに。
 戦場では誰もが生き残るために戦っている。誰も彼も精一杯で、敵にまで構っている余裕などない。
 常に首筋に刃を当てたような場所でふらふらとしていては、あっさり首が落ちてしまう。
 そんな場所において、悠人はひどく頼りなく見える。
 そして同時に、そこが殺し殺される場所である以上──いつかは自分も死んでしまうかもしれない。
 漠然と、ヒミカはそう思う。──それが、戦場というモノだ。
520紅蓮の剣 3/26:04/11/23 17:40:59 ID:4PhXN8/E
 ──だというのに。
 あのエトランジェは、こともあろうに自分達に対して「死んで欲しくない」などと言ってきた。
 人もスピリットも変わらない。命を捨てるような戦い方はするな、と。
 彼が来て最初の、第一、第二詰め所合同での作戦会議の際である。
 こういう時一番に反発しそうなエスペリアが何も言わなかったのは覚えている。
 皆は呆れたり、戸惑ったりしていた。何しろそういう風に言われたこと、一度もなかったのだ。
 ヒミカもその一人である。だが──その感情を理解できないわけでは、ない。
 ヒミカにも、死んで欲しくない誰かはいる。
 それはスピリット隊の仲間達全員に対してそう思うが、強くそう思うのは、ナナルゥに対してだった。
 同じレッドスピリットで、神剣魔法を得意とし──そのために、意識を神剣に飲まれかけている。
 同じレッドスピリットだから、という理由からか、ヒミカはよく彼女の面倒を見てきた。
 今ではすっかり妹分だ。彼女自身が、どう思ってくれているかは分からないが。
 そして──ハリオン。いまいち調子が掴めず、天然ボケ的なところもある。
 だがヒミカにとってはこれ以上なく頼れる相棒で、何物にも代え難い友だった。
 恐らくは、ファーレーンとニムントールも互いに同じような感情を抱いているだろう。
 あの二人は傍目に見ても仲が良い。本当の姉妹のようだ。
521紅蓮の剣 4/26:04/11/23 17:41:44 ID:4PhXN8/E
 そして悠人は、それを口先だけでなく実践してきた。
 自ら率先して切り込んで行き、他の誰かを護って、その身に傷を刻んできた。
 その在り方と強さには、ヒミカは心から敬服していた。
 皆を護ろうと必死になっていること、それを為すだけの力があること。
 けどだからこそ──そんな在り方を不安に思う。
 斬る度に迷い、護る度に傷つく。そんな戦い方ではいつか斃れてしまう。
 苛立ちさえする。彼は、自分がどんなに危ない在り方で戦場に立っているのか、きっと分かっていない。
 自分がどれほど皆に慕われ、皆の中で大切な存在になっているか、分かっていない。
 オルファリルや、ネリーやシアー、ヘリオンは眼に見えて彼を慕っている。
 セリアやニムントールは表にこそ出さないが、態度も最初の頃に比べたら軟化していた。
 エスペリアやファーレーンも、さりげなく彼を支えるように立ち回っている。
 アセリアとナナルゥとハリオンは……良く分からないが、悪いということはないだろう。
522紅蓮の剣 5/26:04/11/23 17:42:33 ID:4PhXN8/E
 そしてヒミカも、彼には好意を抱いている。
 但し恋愛感情のそれではなく、仲間として、戦士としてだ。……多分。
 第一今まで戦うばかりで、恋などしたこともする相手もいなかったのだ。そういう感情は良く分からない。
 ……まぁ、それは兎も角。
 彼は戦う度に迷っている。
 だが、仮にも彼は隊長なのだ。皆を率いるべき者が、誰よりも迷っているなど──
 補佐に回るエスペリアや、彼と一緒に率先して前に立つアセリアは、その迷いを見ているだろう。
 だが前者は士気を考慮して悟らせないようにするだろうし、後者に至っては興味がないかもしれない。
 だから彼の迷いを知っている者は、第二詰所の中には少ないだろう。或いは自分一人かもしれない。
 彼はいつも前に立ち、戦う背中を見せるばかりで、決して顔を振り向かせようとはしないから。
 ヒミカがその顔を知っているのは、彼女もまた最前線に立つ身だからだ。
 レッドスピリットでありながら神剣魔法があまり得意でない彼女は、代わりに直接攻撃に特化していた。
523紅蓮の剣 6/26:04/11/23 17:43:19 ID:4PhXN8/E
 だから今日もヒミカは、一人で詰所裏の森までやってきている。
 昼間の訓練士による訓練に加え、彼女は毎夜、一人で鍛錬に励んでいた。
 アキラィスを制圧し、サルドバルト開戦を間近に控え、気が抜けない状況が続いている。
 今夜の鍛錬は鍛えるためと言うよりも、気を引き締める意味合いのほうが強かった。
 手に提げた神剣の重みを感じながら、森の奥へと足を踏み入れ──
 そこで、剣を振るう悠人の姿を見つけた。
「……ッ」
 思わず足を止め、木の陰に隠れてしまった。
 そっと木の幹から顔を出し、悠人のいる方向を確かめる。
 彼はこちらに背を向け、一心に神剣を振るっていた。気づいている様子はない。
 その様子を、ヒミカはつぶさに観察する。
 荒削りだが力強い動き。それは訓練の時にも見る、いつもの彼の動きと同じだった。
 一定の型を守るということに関してはいまいち冴えない。
 しかし剣の重量にエトランジェの力を上乗せした一撃は、重い。
 例えば今ヒミカが隠れている木の幹程度なら簡単にへし折ることのできる威力を持っていた。
524紅蓮の剣 7/26:04/11/23 17:43:58 ID:4PhXN8/E
 だが──遠目に見ても、今夜はそれにキレがない。
 ただでさえ型などない動きなのだが、今は更にそれが無秩序だ。
 それは仮想の敵を打ち払う動きと言うよりも、別の何かを振り払う動きに見える。
 ──例えば、自身の心を。
「…………」
 ヒミカは木陰から出て、悠人のいる方向へと歩いていった。
 
 轟、と風が唸る。
 真横に振り切られた〈求め〉の巻き起こす風が、悠人の頬を撫で、通り過ぎていく。
 背中に流れていった風をもう一度引き寄せるように、剣を落とし、続けて振り上げた。
 引きずられた大気が悲鳴を上げ、今度は上に放り出された。
「ふぅ……」
 息を吐く。後には、心地良い風だけが残った。
 だが、心の奥に残るしこりはまだ取れない。
 イースペリアで起きたマナ消失──それが、長く悠人の中で後を引いていた。
 その精神的な疲労が、これまでスピリットを殺してきた罪悪感を更に煽る。
〈求め〉の干渉も毎日のように起こるし、気の抜ける時がなかった。
525紅蓮の剣 8/26:04/11/23 17:45:30 ID:4PhXN8/E
 今は休んでおく時だと分かってはいるのだが、悠人はどうにも眠ることができなかった。
 少しは気も紛れるかと思って、森に出て剣を振ってみたが、変わらない。
 舌打ちをする代わりに、悠人は苛立たしげに〈求め〉を一度振り下ろした。
 とその時、背後でガサリと草を踏む音がした。
「誰だ!」
 声を荒げて振り返ると、そこに立っていたのは、髪の短いレッドスピリットだった。
 突然怒鳴られて、驚いた表情でこちらを見ている。
「あ……ヒミカか。すまん」
 ほう、と息をつく。
 思わず怒鳴ってしまった。どうやら、思っている以上に気が立ってしまっているようだ。
「訓練ですか?」
 怒鳴られたヒミカのほうは怒った様子もなく、そう訊いてきた。
「あー、まぁ、そんなところだ」
 曖昧に苦笑して茶を濁す。実際にはそんな気などなかったのだが。
526紅蓮の剣 9/26:04/11/23 17:46:07 ID:4PhXN8/E
「どうも寝付けなくてな。ちょっと身体動かしてたんだ」
〈求め〉を肩に担ぎ、今度は悠人が問うた。
「そういうヒミカは何でここに?」
「ユート様と同じ理由です。但し、寝付けないわけではありませんが」
 日課として行っていることだと、彼女は言う。
「そうなんだ。……あ、じゃあさ、ちょっと付き合ってくれないか? 手合わせしたい」
「私とですか?」
 悠人は頷く。
「一人でやってると、剣振り回すだけだからどうにも物足りなくてな。
 ヒミカなら相手として不足はない。寧ろ、俺が教えられることのほうが多いだろうな」
 普段の彼女の戦いぶりを見ていると、本当にそう思う。
「……分かりました。お相手致しましょう」
 少し挑戦的な笑顔で、ヒミカは承諾した。
527紅蓮の剣 10/28:04/11/23 17:48:23 ID:4PhXN8/E
「戦うのはいいのですが」
 それなりに距離を取って向かい合い、ヒミカは言う。
「私もそれなりに本気でいきますので、そのつもりで。
 ユート様、くれぐれも気を抜かないでください」
 悠人は、はは、と頼りなく苦笑する。
「ヒミカの本気はちょっと怖いな。できれば手加減して欲しいけど……」
 冗談じみた口調でいいながらも、悠人も〈求め〉を構えた。
 ヒミカも茂る草を払うように〈赤光〉を一振りし、悠人に向き直る。
 お互い、小さくマナを展開する。
「では、」
 すぅ、とヒミカが腰を落とす。
「──行きます」
528紅蓮の剣 11/28:04/11/23 17:49:16 ID:4PhXN8/E
 ザァッ、と木の枝葉が揺れたのは風が吹いたからではない。
 低く飛ぶように疾駆するヒミカの身体が、大気のうねりとなって草木を揺らす。
 突撃する動きに合わせて悠人もオーラフォトンを前方に展開し、攻撃に備えた。
 一秒足らずでヒミカが肉薄し、殴りつけるように神剣を振り下ろす。
 立てた〈求め〉の腹を甲高い音を奏で切っ先が滑落し──次の瞬間には捻り上げる動きで上昇する。
 旋風の如く迫る刃を、悠人は一歩後ろに後退し回避しながら横薙ぎの一撃を加えた。
 ヒミカはしかし、軽い跳躍でそれを飛び越え、それが足下を通り過ぎる瞬間踏みつける。
 思わぬ重みに悠人がバランスを崩す。──その隙を逃さない。
〈求め〉を足場に更に滞空したヒミカが、剣ではなく鋭い蹴りを浴びせてきた。
「…………ッ!」
 首を曲げる。耳元を貫く足が起こした風が、耳朶を叩いた。
 闇雲に振り上げた〈求め〉に、ヒミカは不自然な体勢のまま〈赤光〉を打ち下ろす。
 ガッ、と刃同士がぶつかり合う鈍い音。受けた衝撃に逆らわず、ヒミカはより高く跳んだ。
529名無しさん@初回限定:04/11/23 17:49:55 ID:i0VU6SdA
支援
530紅蓮の剣 12/28:04/11/23 17:49:57 ID:4PhXN8/E
 遠ざかるヒミカに追い縋る形で、悠人は駆ける。
 着地し膝を曲げたヒミカの上には、振り下ろされる肉厚の刃。足に全体重がかかる直前に真横に跳ぶ。
 ずん、と大地に刃がめり込む。が、その速度を緩めないまま、悠人は力任せに刃の向きを曲げた。
 湿った土を撒き散らして、〈求め〉の刀身が姿を現した。
 ヒミカは低い姿勢のまま後ろに強く跳躍した。真後ろには丁度、良く育った太い木がある。
 尚も迫る青い刀身。それがヒミカに届く寸前、足の裏が木の幹に吸い付き、それを蹴った。
 ゴッ、と斬撃というよりは殴打の音として〈求め〉が木の幹にめり込み、
 高く、悠人の真上をヒミカが飛び越え──その真後ろに着地する。
〈赤光〉を逆手に握り直し、ひゅっ、と短く息を吸って、無防備な背中に向けて刺し穿つ。
 だが悠人もまた幹から剣を引き抜き、勢いに任せてヒミカへと振り下ろし──
531紅蓮の剣 13/28:04/11/23 17:50:47 ID:4PhXN8/E
 お互いの神剣は、それぞれの首筋の寸前で静止していた。
 その状態のまま、しばらくお互い見つめ合っていた。
 剣風に揺らされ続けた葉が、ひらひらと、二人の間を通り過ぎていく。
「……これくらいにしておきましょう」
 す、とまずヒミカのほうが剣を引いた。悠人も〈求め〉を下げ、息を吐いた。
「はぁ……強いな、ヒミカは」
 感心した面持ちで悠人は呟き、その場に腰を下ろした。
「勿体無いお言葉ですが、そんなことはありません。……隣、よろしいですか?」
 ああ、と何気なく答えると、では失礼します、と一礼して隣に座る。相変わらず礼儀正しい。
 ふと悠人がその様子を見ると、意外なことにヒミカは正座を崩した、所謂女の子座りをしていた。
532紅蓮の剣 14/28:04/11/23 17:51:17 ID:4PhXN8/E
「? どうかしましたか?」
 悠人の視線に気づいて、ヒミカが首を傾げる。
「ああいや……ヒミカがそんな座り方してるの、ちょっと意外だと思った」
 勝手な思い込みだったが、普段礼儀正しく勝気な彼女は、正座するものだと思っていたりもした。
「っ! し、失礼しましたっ!」
 瞬間的に顔を赤くして、ヒミカは居住まいを正して正座した。
 膝の上に手を置き、背筋を伸ばした、そのままお手本になりそうな見事な正座である。
「いや、別に座り方を咎めたつもりはないんだけど……」
 訳が分からなくて悠人は困惑する。自分は何かマズいことでも言っただろうか。
「えーと……良く分からんけどすまん。普段通り、楽にしてくれていい」
 とりあえず謝ってみた。
「あ……ユート様が、そう仰るなら……で、では改めて失礼します」
 妙に歯切れ悪く言いながら、ヒミカは元の通り脚を崩した。
533紅蓮の剣 T. 15/28:04/11/23 17:53:42 ID:4PhXN8/E
「…………」
 そんなヒミカの挙動を、悠人は何気なく見つめていた。
 脚を崩して、普通に女の子らしく座るヒミカには……何故か妙な色気がある。
 短く刈り込んだ髪と常に凛然とした表情は、少女と言うより少年のそれである。
 戦場でも、常に皆の先陣を切って戦う戦士としての姿しか見たことがない。
 だからこそなのか、こうやって女性らしい一面を見ると、ギャップのせいかやけに可愛く見えてしまった。
 まだ赤い顔とか、鍛えられ引き締まった手足とか、先程の攻防のせいで汗ばんだ額とか。
(って何考えてるんだ俺はっ)
 この馬鹿、と心の中で自分の頭を殴っておいた。
「…………」
「…………」
 ヒミカは喋ろうとしない。何故かこちらと視線を合わせず、妙にもじもじしている。
 ヒミカがそんななので、悠人もまた話しかけることが出来ないでいた。
534紅蓮の剣 T. 16/28:04/11/23 17:54:26 ID:4PhXN8/E
「……えーと、」
 とはいえいい加減間が持たない。悠人は、何とか自分から切り出してみた。
「それにしても、ヒミカは本当に強いよな。さっきも負けたし」
 素直に思うことを口にする。
「そっ、そんなことはありません! 私はまだまだです。アセリアや、ユート様には及びませんし……。
 それにさっきのだって、あれが実戦なら相討ちでした。ユート様が負けたわけではありません」
「そうでもないさ」
 先程の自分の立ち振る舞いを振り返りつつ、悠人は言う。
〈求め〉は重心が前にあるので、一撃の重みはある。だが、その分扱いづらいとも言えた。
 最近ようやくそれにも慣れてきたところだが──最後、〈求め〉は木の幹にめり込んでしまった。
 勢いをつけすぎると、それを瞬間的に殺すことができないのだ。
 実戦だったらもっと強く振るっていただろう。そうなれば、簡単に剣を引き抜くことはできない。
 さっきの戦いから自分が感じたことを、そのまま悠人はヒミカに話した。
535紅蓮の剣 T. 17/28:04/11/23 17:55:08 ID:4PhXN8/E
 それを聞いて、ヒミカは、ふむ、と考え込むように顎に手を当てた。
「確かに、ユート様の剣だとそうなってしまうでしょう。昼間も訓練士から型がなってないと……」
「あー、うん」
 何度も言われていることである。
 そもそも、元の世界にいた頃は剣道やその類をやったことはない。
 型を取ろうにも、一朝一夕には行かないのである。
「その点ヒミカは凄いよな。何ていうか、動きが綺麗だった」
「そんなことは、ありません」
 と言いつつも褒められて照れているのか、ヒミカは頬を薄く染めて視線を泳がせる。
「言っとくけどお世辞なんかじゃないぞ。いつも一緒に戦ってるから、ヒミカが強いのは良く分かってる」
「私は……神剣魔法があまり得意じゃないですから」
 緩みそうな頬を押し隠すように、ヒミカは苦笑の表情を作ってみせる。
「その分、剣の腕を磨いただけのことです。こうでもしないと、皆を護ることはできなかったから」
〈赤光〉を引き寄せ、腕の中に抱き締める。
536紅蓮の剣 T. 18/28:04/11/23 17:55:43 ID:4PhXN8/E
「護る、か……」
 その言葉は、悠人の中ではひどく重いものだ。
 最初は佳織だけを護ろうとして戦ってきた。
 今は、佳織だけでなく仲間を護るために戦っている。
 ──でもそれは戦うということだ。敵のスピリットを殺すということだ。
 もう結構長い間剣を振るってきた気がする。
 実際にはこの世界に来てそんなに長いわけではないが、戦争と言う密度の高い時間を過ごしているせいか、そう思う。
 だが幾ら時間を積み重ねてもそれは消えないし──消しちゃいけないものだと思う。
 誰かを殺す罪悪感が消えることは、自分が自分でなくなってしまいそうで嫌だった。
 手は、肉を切り骨を断つ感触を覚えている。
 耳は、傷つき死に逝く者の声がこびりついて離れない。
 目は、黄金のマナに還っていくスピリットの姿が焼きついている。
537名無しさん@初回限定:04/11/23 17:55:57 ID:Zzhsi6bb
敵を殲滅します
538紅蓮の剣 T. 19/28:04/11/23 17:57:04 ID:4PhXN8/E
「……迷っているのですか、戦うことを」
 ふと、ヒミカがそう声をかけてきた。
 顔を上げて見た彼女の表情は、真剣そのものだった。
「そんなことないさ。戦わなきゃ、もっと大切なものがなくなるんだ。迷ってなんか、いられない」
「嘘をつかないでください」
 見破られた。
 ヒミカは眉尻を下げ、少し哀しそうな表情をした。
「ユート様は、お優しい方です。いきなりこの世界に呼び出された戸惑いもあると思います。
 でも、私達は戦争をしているんです。それが望んだものでないとしても……戦わないと、生き残れない。
 せめて戦場で迷うことはしないでください。あなたが死ぬと、皆が哀しみます」
「俺は……そんな大層な人間じゃないよ」
 ヒミカは小さく、首を横に振った。
「私達は、戦って死ぬ、それだけの存在です。なのにユート様は『死ぬな』と言って下さいました。
 ユート様は、皆を変えつつあるんです」
539紅蓮の剣 T. 20/28:04/11/23 17:58:10 ID:4PhXN8/E
 そう……なのだろうか。悠人にはあまり実感がない。
 ただ、自分のせいで誰かが死んでいくのが耐えられないだけだ。
 ──それが、例え敵であったとしても。
 だがここはファンタズマゴリア。代償無しには何も得られない世界。
 護ろうとするものの数だけ、他の命を奪わねばならない。
(それでも、俺は──)
 割り切ることなど、できない。
 悠人が何も言えないでいると、ヒミカは尚も続ける。
「ユート様には、護るべきものがあるのでしょう?
 なら、迷わないでください。でないと、いつかは取り返しのつかないことになります」
 そう言って、ヒミカは立ち上がる。
「今夜はこれで失礼します。……どうか、私の言葉を忘れないでください」
 踵を返し、ヒミカが遠ざかっていく中で、
「誰だって……誰かを殺したくてここにいるわけじゃないんだから──」
 風に乗って、そんな呟きが聞こえた気がした。
540紅蓮の剣 T. 21/28:04/11/23 17:58:57 ID:4PhXN8/E
 遠ざかる気配を、悠人は背中で見送る。
(迷うな、か)
 難しい話だ、と自嘲する。
 戦う覚悟はいつもできている。しかし敵を殺した瞬間の、あの肉を断つ感触だけは……消えない。
 多分、自分はこれからも、敵を殺しながら迷い続けることだろう。
 だがいつまでもそうしているわけにもいかない。戦いは、そんなに甘くないから。
 悠人は深く、ヒミカの言葉を胸に刻んだ。
 と、
 
 キィィィイイィィイィィイィィイィィィ……!!
 
「────、ッ……!」
 頭の中で金属の擦れ合う音がした。
『契約者よ……マナを、マナを寄越せ……!』
 精神に強制するような低い声が頭蓋骨に激しく響いた。
541紅蓮の剣 T. 22/28:04/11/23 17:59:37 ID:4PhXN8/E
(この野郎、珍しく静かだと思ったら……!)
 こちらの気が緩んだ瞬間に、強い干渉をかけてきた。
『奪え……先の赤き妖精の、甘美なるマナを……!』
(ヒミカのこと、か……!?)
 ぎしぎしと軋む全身を押さえる。脳裏に、自分のものではない、ヒミカの裸身が投影されていく。
 細く引き締まった身体を押さえつけ、泣き叫ぶ声も無視して、犯し続ける自分。
『抱いただろう、卑しい劣情を。あの妖精の身体を見ながら……!』
 語りかけてくる声に、そりゃ健全な青少年だからな、とどこか冷静に考えていた。
『ならば、犯せばいい。自分のものにしてしまえばいい。そうして、我にマナを……』
「それと、これとは……」
 頭の割れそうな痛みに耐えながら、悠人は〈求め〉の柄を握り、立ち上がる。
「話が別だろうがっ!」
542支援:04/11/23 18:03:44 ID:XLam6L45
543紅蓮の剣 T. 23/28:04/11/23 18:04:57 ID:4PhXN8/E
 ──ごすっ。
 少し離れた闇の中で、何かが突き刺さる音がした。
 手の中に〈求め〉はない。つい今、思いっきり投げてやったからだ。
「っはぁ、はぁ……」
 肩で息をしながら、先の音がした方向へふらふらと歩いていく。
 途中から切り落とされた枝をくぐると、見事に木の幹に突き立った〈求め〉を見つけた。
「ふん……少しは反省したか、バカ剣」
『────』
 返事はない。間違いなく反省していないが、今夜はもう干渉するつもりはないようだ。
 やれやれ、と肩を竦めつつ、悠人は〈求め〉を引き抜きにかかる。
 連日連夜干渉を繰り返されて、どこか慣れてしまった感もある。
 もう今夜は干渉がない、と思えるのもそのせいだ。何となく分かる。
 認めたくはないが……ある意味これも一種の信頼関係なのだろうか。
544紅蓮の剣 T. 24/28:04/11/23 18:05:53 ID:4PhXN8/E
「いい加減にしろっつーのに、まったく……っと、抜けた」
 薪に刺さった斧を引き抜く要領で、〈求め〉を上下に動かして木の幹から引き抜いた。
 とそこで、干渉ではない声が頭の中に響いた。
『……マナがないと、我は充分に力を振るえぬぞ』
 それは脅しなのかどうか良く分からなかったが、悠人は答えた。
「なら何とかやりくりしやがれ。今までだって、敵を倒した時のマナだけでもってきたんだ。なら、これからもそうしろ」
『ほう、敵を殺すことさえ迷う汝が、これからはより敵を殺すと?』
 嗤うような気配。ぐっ、と悠人は詰まるが、言葉を選んで続けた。
「……ああ、そうなるかもな。でも仲間を犠牲にするよりはよっぽどいい」
『……ふん……』
 と鼻を鳴らすような声を残して、〈求め〉は沈黙した。悠人はそれを担ぎなおし、息を吐く。
「まったく……お前のお陰で疲れちまった。こりゃ、よく眠れそうだ」
 勿論返事はなかった。
545紅蓮の剣 T. 25/28:04/11/23 18:06:59 ID:4PhXN8/E
 ベッドに入ったヒミカは、さっきの悠人との会話を思い出していた。
 ──迷わないでください。
(残酷な言葉だ、な)
 彼にとって、その言葉はどれほどの重みとなるだろう。
 彼は優しい人間だった。
 肉親のことになると目が見えなくなるようだが、それはそれだけ大切に思っているということだ。
 そして今は、その思いを自分達にも向けてくれている。
 ならば。護るならば、迷うべきではないのに。
 そんなことぐらい、きっと彼だって分かっているだろう。
 それでも彼は迷うのだ。誰かを護る為に傷を負うくらい、優しいから。
 だが、戦場で優しさは意味を成さない。
 ただ生きようとする意志がぶつかり合い、横たわるのは厳然たる死しかない。
546紅蓮の剣 T. 26/28:04/11/23 18:07:35 ID:4PhXN8/E
 なればこそヒミカは、彼にとって残酷な言葉を投げかけた。
 ユート様には強くなってもらわなくてはならない。
 そして彼自身と、皆を護れるようになって欲しい。
 ヒミカは、いつか自分がマナに還った時のことを考えている。
 いつも率先して敵陣に切り込んでいくという役目は、後続の有利と己の死を同時に背負っている。
 ヒミカが先頭に立つのは、皆を護りたいからだ。例えその果てに死が待っていても。
 死ぬのは怖い。けど、それは誰だって同じはずだ。
 ならばヒミカは、まだ若く無垢なスピリット達にそれを味あわせたくない。
 誰かを殺す罪を、背負わせたいとも思わない。
 この戦争が終われば少しは平和になるだろう。
 そうなった時、彼女達には戦うこと以外の何かを知って欲しかった。
 戦いしか知らない自分と違って。
547支援:04/11/23 18:09:53 ID:XLam6L45
548紅蓮の剣 T. 27/28:04/11/23 18:11:39 ID:4PhXN8/E
 戦いが終わった時、もし自分がそこにいなかったら。
 その時は悠人に彼女達を導いて欲しいと思う。
(今は、少々頼りないけれど──)
 彼は強くなるだろう。
 身勝手な願いだとは分かっている。
 でもこれは、彼にしか任せられないことだ。
 バーンライトで、彼がアセリアに言った言葉を、ヒミカは知っている。
 ──アセリアの手だって、剣を握るためだけにあるんじゃないと俺は思う──
 その言葉を、ヒミカもまた聞いていた。
 誰にも死んで欲しくない、という言葉も。
 彼は、自分と同じことを思ってくれている。
 しかし、そう遠くない未来、自分は死ぬかもしれない。
 スピリットに若い者しかいないのは、過去に起きたとある事件によってラキオススピリット隊が
 壊滅的な打撃を受けたこともあるが、そうでなくとも皆、多く歳を重ねる前に戦場で散っていくからだ。
 自分もいつかはそうなるだろう。
 無論進んで死んでやる気はないが、もしそうなった時──彼が、皆を引っ張っていってくれると思う。
 だからこそ、彼に死なれては困る。それが、彼にとって苦痛を伴う生き方であっても。
549紅蓮の剣 T. 28/28:04/11/23 18:12:16 ID:4PhXN8/E
 そしてヒミカ個人の感情としても──彼には死んで欲しくない。
 理由は良く分からないけれど、それはとても嫌だった。
 ……胸が苦しくなる。
 自分が死ぬ未来より、彼が死ぬ未来を想像すると、呼吸ができない。
 ベッドの上で身体を丸め、毛布を握り締めた。
 そういうことを考えるのは、やめよう。精神衛生上良くない。
 それにそんな未来は在り得ない。彼は強いから。
 もしそうなりそうだったら、その時は。
 ──その時は、私が彼を護ろう。
 密かに、しかし強くヒミカは誓う。
 
 サルドバルトとの開戦は、近い。
 
550紅蓮の剣 T.あとがき 1/2:04/11/23 18:13:40 ID:4PhXN8/E
投稿数数え間違えた……orz
しかも途中で「題名のあとに「T」って入れ忘れてたー!!」って気づくし。俺の阿呆……
そんなわけで題名が見づらくなってます……申し訳ありません……orz

というわけで妄想ヒミカルート第一話をお送りしまし(アポカリプスU
なんか悠人が迷ってばかりですね。はい。たくさん迷ってもらいます。
ゲーム中ではバッサバッサと敵を薙ぎ倒す(というよりプレイヤーが薙ぎ倒させてる)悠人ですが、
やっぱりどこまでも迷いというものは付き纏うものなんじゃないかと。
肉を切る感触ってのは良いものではないです。残るんですよね、割と。後を引く。
……いや、自分は別に殺人事件とか起こしたことはないですが(汗
そしてまた、ゲーム中ではADVパートばかりが描写されがちですが、彼らがいるのは戦場です。
プレイヤーである自分達はSLGパートとして消化してる部分ですが、彼らは本当に戦っているわけで。
そういった場所の泥臭さや血生臭さを描けたら、と思います。
……ヒミカ補完というよりは悠人補完になりそうな気がしないでもない(ぇ
551紅蓮の剣 T.あとがき 2/2:04/11/23 18:15:05 ID:4PhXN8/E
以下言い訳。

この話の中では、ヒミカはラキオス配属前に別所で警備任務についていたことになっています。
やはり最年長ですし、それなりの実戦経験はあるものではないか、と考えた次第です。
ハリオンも同様に。
戦争状態に突入する前にも、バーンライト当たりとの小競り合いはあったと思いますし、
本編序盤でアセリアが警備の任についていたことも踏まえて。
いやまぁ、想像の域を出ないことではありますが。
あと妙にヒミカが覚悟の人みたいな感じになってますが、自分の中では彼女は戦士としての色が強いので……
というか全体的にこのスレのイメージと言うか本編からもかけ離れてるような……補完というより妄想に(ダークインパクト

いろんな意味で不安が一杯の話になりそうですが、よろしければお付き合いください。
不備や誤字脱字ハリオンマジック勘違いなどがありましたら突っ込みよろしくお願いします。
既にいくつかやらかしちゃってますがorz
552名無しさん@初回限定:04/11/23 18:20:00 ID:Zzhsi6bb
フォォォォォ!!
リアルタイム遭遇乙
戦士ヒミカいいですよ。早く続きをw

ところでヒミカ、ゲーム中は結構魔法攻撃もいけましたよね。
緑スピDにフレイムレーザーとかフレイムレーザーとかフレ(ry
真価を発揮するのはやっぱりアタッカーとしてですが。
553名無しさん@初回限定:04/11/23 20:14:40 ID:R5xgBQx3
うう、いい話です。
ヒミカの内面描写も訓練シーンのスピード感もいいなあ。
ヒミカのイメージにも全然違和感は感じられません。
いや、むしろ読んでてヒミカ像が補完されてゆく気がします。

今後の展開をむちゃくちゃ期待してます!
554名無しさん@初回限定:04/11/23 20:22:14 ID:mUwZHTEg
>>514
その場を立ち去る光陰の背中に漢の涙を感じた……゚・(ノД`)・゚・

ふむ、これがガクエンサイというものか。いつまでたってもソーンリームにやって来ぬと不審ではあったが……解せぬ。
何故こやつらは戦い以外のことに悦びを見出そうとするのか。もっと俺を喜ばせろ。
……む、あれは『因果』の主か、何をしているのだ?ほう、この急激なオーラの高まりは『空虚』だな。これが心の力というものか。
これは面白い、期せずして神剣同士が戦い合うようだ。もっとだ、もっとお前の力を見せてみろ。
……ん、どうしたントゥシトラ、目玉になにかついているぞ、おいなぜそんな期待に満ちた目で俺を見るのだ……

この後のタキオスの運命や如何に。

>>550
乙でした〜。もしかして477さん……?かどうかは別として、拝読させて頂きました、ヒミカルート。
戦闘シーン(今回は訓練でしたが)の描写が凄い緊張感あって楽しめました。
樹に刺さってしまう求め辺りが伏線かもなどと疑ってしまう辺り素直に読めない読者ですが(汗
未だ戦いに迷いを持つ悠人を放っておけないヒミカの心情が綺麗に書かれていてこれからの動きが気になります。
このスレを見る楽しみが増えました。
555名無しさん@初回限定:04/11/23 20:56:18 ID:Sdc+d+VW
>>550
乙です。ヒミカの心情が丁寧に書かれていていい感じです。
はたして悠人は迷いに答えが出せるのか気になります。
続きを楽しみにしております。悠人補完もむしろ望むところ(ぇ
続きがなかなか進まないイオルートも求め補完になってますから(ぇぇ

つ、続き書かないとなー。完成させてから投下するべきだったかも・・・
保管所の最終更新日がいい意味でプレッシャーです。(何か一番上だし)
556名無しさん@初回限定:04/11/23 21:39:32 ID:VKW4oGmn
>>550-551
超 G J !

無茶苦茶カコイイじゃないですか!
こういうのすんごい大好きです。
スレ内のイメージとか全然気にしないでいいんでこのまま突っ走って下さい。
557名無しさん@初回限定:04/11/23 21:56:50 ID:dA9yD63H
>>550
乙。
戦う事への内面描写や、ユートとヒミカの微笑ましいやり取りがとても良い感じですな。
甘い考えでそれが欠点になるとしても、迷う方がやはりユートらしくて個人的に好み。
そう言うところがスピ達への信頼に繋がるんでしょうし。
最後の独白も良さげ。

>……ヒミカ補完というよりは悠人補完になりそうな気がしないでもない(ぇ
望む所だ!(笑)

んでは、続きをまったりとお待ちしてます〜
558学園祭の舞台裏:04/11/23 22:50:01 ID:chIbMc1u
イオ:ヨーティア様、計画案とは出し物が少々変化しているようですが‥‥
ヨーティアの研究室に回されてきた苦情の報告書の山を見聞しながらイオが言う
ヨーティア:かまわんかまわん、スピリット隊の交流が図れるなら安いもんだ。
       苦情は全部こっちに回すように言ってあるからな‥‥
       しかしまた‥‥こりゃ徹夜仕事かもな‥‥

「サポートは任せておけ」と皆に言ってしまった手前苦情の処理に頭を抱える
実行委員長(役職は光陰から強奪した)のヨーティアだった
559名無しさん@初回限定:04/11/24 00:20:57 ID:5PpR2r5f
>>550
お疲れ様です。
アクションパートの緊迫感とスピード感もいいし、
心情描写もよく描けていて、ぐいぐい引っ張られました。
スレのイメージとかは気にしない方向で行って下さい。
というかむしろ本来のイメージに近いのではないかと。
と、妙なイメージをスレに蒔いてしまったA級戦犯第一候補より(w … orz
560名無しさん@初回限定:04/11/24 00:22:28 ID:twiF16GK
>550-551さん
第一話の投稿、乙でした。
ヒミカは凛々しい上に可愛らしいわ、悠人は迷いながらも格好良いわ、
求めは油断ならないわで、一気に引き込まれて読み進みました。
妄想でも、スレのイメージと違おうとも思う存分ぶつけに来てくださいw
きっとそれがまた新しいスレの味に加わりますから。
第二話を楽しみにお待ちしております。
561名無しさん@初回限定:04/11/24 01:37:59 ID:3p8Bk0kV
殺し合うのが正義でないと、知って戦う戦場だけど――――
既に一話目にして魅力がヒミカのフレイムレーザーで貫いていきました((滅裂))
迷うのは弱さ。弱さを覆うのは妥協か信頼か。
求めるのは力。破滅への力か何かを護る力か。
どこか似たところのある二人。行く末に二人は何を掴むのでしょうね。
頑張れヒミカ。でもハリオンにばれないようにね〜
詰め所の面々は多かれ少なかれ、何かを護ってるのかも。

>509
(´・ω・`)?
………
……

Σ(´д`*)

「はいどうぞ〜お掛けになって下さいね〜」
「あらあら〜ぽかぽか楽しそうな神剣ですね〜。ん〜〜私の『大樹』と交換しませんか〜?」
「ええ〜っだめですか〜。んもぅ〜いけずですぅ。めっめっですよぅ〜」
「しかたありませんね〜さいよ〜しま〜す。後で中庭に来て下さいね〜気持ちいいことしましょう〜」

「なあヒミカ。さっき、ヒミカの師匠が来るって話し聞いたんだけど」
「あっユートさま。はい……城下に入られたのは確かなのですが、フラフラと何かに引き寄せられ
るように何処かに消えてしまった、との報告が有ってから、その後の足取りがつかめないのです。
新作をひっさげてきてくれるというので楽しみにしていたのですが」
「残念だな、一体どこにいるんだろうな。あ、そう言えばさっき新しく緑スピリットが入ったらしいぞ。
稲妻部隊にいたやつらしいけど、なんか知らないけどセリアが渋い顔してたな」
562名無しさん@初回限定:04/11/24 13:05:51 ID:TcA8vk20
>>550さん
やったー!!ヒミカルート乙!&ぐっじょぶ!!
こうゆう体育会系なキャラの可愛らしさって、最強(個人的に)なんで…
続きを楽しみにしてます。
563紅蓮の人:04/11/24 13:48:20 ID:Ry9ibfun
概ね好評のようで一安心であります。
元々、批評に遠慮がないながらも、狭いグループの中で文章を書いてきた人間ですから、
こういった初めての場所で受け入れられるか不安があったのですが、杞憂に終わってくれた……と思います。
一般受けするような文章書かない人間だからなぁ……更に言えば所謂二次創作もあまり書かない人間だったりするので(ぇ
皆様のご期待に沿えるよう、頑張って続きを書かせて頂きます。

戦闘シーンについては、唯一自分が自信がある……ような気がする部分です。スピード感を感じて頂けたなら幸いです。
逆に心理描写は全く自信がなくて、少し同じことを繰り返しすぎたかな、と書きながら感じていたのですが、
そうでないならこれまたほっと一安心。

>>554
お察しの通り477であります。
自分の作品を楽しみにしていただけるなら物書きとして幸いこれに勝ることありませんw

>>555
私も続きを期待しておりますので、お互い頑張りましょう、とこっちからもプレッシャーかけてみたり(ぉ

>>561
似ている、と思ったのなら、それはこちらの狙い通りです(ぉ
ハリオンには……案外あっさりバレてしまいそうですけれど(笑
564名無しさん@初回限定:04/11/24 14:04:50 ID:is0Qk84F
>>561
同人の方が最優先になってますので、気長にお待ち下さい。

同人初参加(予定@地方ですが
絵を描くのが遅い&下手なんで、かなり描き直してます。f^_^;
ダミー化だけは避けたいので…

…こんな事ならもっと絵を描く練習をしとくんだったorz


と、ここで問題(ネタ投下)。
アセリアキャラで一番、絵が上手いキャラは誰でしょうか?


…乱文でスマン
565憂鬱の人:04/11/24 15:24:01 ID:DGXCTXpn
>>563
なんと、物書きさんでしたか。道理で文章がこなれていると思った。
あなたのような人がヒミカルートを書いてくれるなんて、私の代わりに逝ってくれた
某寸劇親父も今頃草葉の影で歓喜の涙をうわ何をするやめrlkj¥yq

...くっ、まだ元気に生きてらっしゃるそうです。
それはともかくとして、続きを楽しみにしてますので、貴方の中のヒミカ物語を
彼女の剣の如くまっすぐに貫いて下さい。その先に何が待ち受けていようとも、
きっと美しい物語になると信じています。あ、一つだけ注文を付けさせて貰えるならば
あとがきは少なめでお願いします。
信頼さんには悪いんですが、余り先読みせずにドキドキしながら待ちたいのでw

>>564
アンカー515の道行さんじゃないですかね。
全年齢向けの同人ってのも気になりますが、一区切りついたら顔を出して下さいな。
そうそう、画像板というのも有りますからそちらにも是非来て下さい。
絵の上手なキャラ...アセリアは手先が器用という事になってますが、このスレ的には
どうでしょう...時間かけて仕上げてきそうなシアー?

566紅蓮の人:04/11/24 15:36:43 ID:Ry9ibfun
>>564
何故かセリアが水彩画を描きそうなイメージが。
油絵ならクォーリン。何でだ。

>>565
物書きと言っても、ただ長く書いているだけの素人ではあるのですが(苦笑
あとがきは少々自分でも長くなってしまったと思うので……次からは短くします。
567名無しさん@初回限定:04/11/24 22:02:13 ID:3p8Bk0kV
ところで紅蓮の人は >8と同じ人? 「剣」はけん? つるぎ?
永遠神剣『紅蓮』 ……なわけないか。
568名無しさん@初回限定:04/11/24 22:27:46 ID:SWHNYDlt
「紅蓮剣」と言われると違う物を思い出してしまう漏れ。
569名無しさん@初回限定:04/11/24 23:04:25 ID:7b0cAj+B
風魔の小次郎
570名無しさん@初回限定:04/11/24 23:07:10 ID:HNoUCfg/
インフェルナス
571名無しさん@初回限定:04/11/24 23:27:24 ID:/FwESmv9
ているずしりーず
572名無しさん@初回限定:04/11/25 02:01:11 ID:8JCPcK/j
『紅蓮』→『紅蓮の爆熱魔人さん(モモーイVoice)』→『小野坂・桃井のヴァーチャラジオ 電脳戦隊モモンガー』
と連想した俺は異端
573名無しさん@初回限定:04/11/25 03:43:46 ID:FWVKjhZt
>>572
萌え萌えー萎え萎えー
574紅蓮の人:04/11/25 12:20:36 ID:NZvpwi1M
>>567
>>8さんとは違う人間です。「剣」は「けん」でお願いします。

>>568-571
書いてる本人もつい……orz 
575名無しさん@初回限定:04/11/25 13:21:38 ID:Ee/8kLQD
いつの間にか画像版にクォーリンとミュラーが補完されてますた。
http://etranger.s66.xrea.com/bbs/
576ヘリオンの憂鬱1/3:04/11/25 14:32:44 ID:ZnLZ2NJE
「お、あれは...?」
午前中の訓練を終え、屋外を散策していた悠人は、川べりに力なく座り込んでいる
黒髪のツインテールの少女の姿に、ふと足を止めた。

「はぁ...」その少女はなにやらメモ帳を片手に溜息をついている。
「おい、どうしたんだ、ヘリオン。」
「あっ、ユートさま!」ヘリオンは慌てて立ち上がった。
「元気ないじゃないか。らしくないぞ。」悠人は優しく笑いかける。
「あ、あの...実は...。」
ヘリオンはびっしりと細かい字が書き込まれたメモを見せた。
「ん?なんだそれ。」
「昼に売店で買ってくるようにみんなから言われてるんですけど...。
なかなか憶えきれなくって...」ヘリオンはうなだれた。
「なになに、メロンパン3個にアンパン5個、ジュースが9本、その他もろもろ...か。
確かに色々頼まれてるな。」
少女の持っているメモを覗き込んだ悠人は、思わず小さく溜息をついてしまう。
577ヘリオンの憂鬱2/3:04/11/25 14:34:28 ID:ZnLZ2NJE
「まだ今日の訓練のメニューもこなしてないのに...。
私ってそんなに気弱に見えるんでしょうか?
...やっぱり、いつも言われているように、私の性格は戦闘には向いていないんでしょうか?」
すがりつくような目をしてヘリオンが悠人に訴えかける。
だいたいこの世界に売店があった事自体が驚きであったが、
今はそんな細かい事を気にしている場合ではなかった。

「いいじゃないか、ヘリオン。みんなそれぞれ個性があるんだよ。
スピリットだって戦うためだけの存在じゃない。」
そっと片手をヘリオンの華奢な肩に乗せて、悠人は言った。
「きっと、みんなへリオンに甘えたがっているんだ。
ヘリオンを見ていると戦いを忘れさせてくれる...そんな気がするんじゃないのかな。
―――俺も含めて。」そう言って、悠人は照れくさそうな微笑を浮かべた。
「ユートさまは...戦いのため以外に、私に生きろ、と、そうおっしゃるのですか?」
黒目がちの美しい瞳にうっすらと涙を浮かべながら、ヘリオンが問いかける。
「うん。きっと、何か別の、生きる意味がある筈だよ。俺にも...そして、ヘリオンにも。」
陽光をキラキラと映し、ゆっくりと流れる川面に視線を落としながら、悠人は諭すように言った。
578ヘリオンの憂鬱3/3:04/11/25 14:35:31 ID:ZnLZ2NJE
「わかりました、ユートさま!なんだか元気が出てきました、ありがとうございます!」
両手でガッツポーズを作りながらヘリオンが言う。
「良かった。やっぱりヘリオンは元気な姿がよく似合うよ。
あ...そうだ、これ、受け取ってくれるかな。」
そう言って悠人はポケットから取り出したそれを、ヘリオンに握らせ、
手のひらで少女の小さな手を包み込んだ。
「え...ユートさま...?」ヘリオンはその暖かい手から伝わる悠人の体温に頬を染める。
「俺、焼きそばパンと牛乳な。あ、お釣りは返せよ。今月は厳しいんだ、じゃあな。」
爽やかにそう言い残して、悠人は背を向け、駆け出した。
「ユートさまったら...。『俺も含めて』って、なるほど...。ふ、ふふ、ふふふふふ。」
ヘリオンは手渡された小銭を握りしめ、こみ上げる笑いとともに体を震わせた。
いつか、野に放たれた火のように、目に物見せてやる、そう強く心に誓いながら。

ブラックスピリット・ヘリオン、ノーマルモード、Lv15の春であった。
579名無しさん@初回限定:04/11/25 14:44:26 ID:ZnLZ2NJE
最近無記名の短編が流行ってるみたいなので
スレ促進をかねてマネしてみました。...バレバレかな?
580名無しさん@初回限定:04/11/25 16:02:29 ID:T/BnKlWX
27=92=180=373=431=441=510=564だったり。
携帯(メイン@iMona使用)とPCを使用して見てます。
一応、見分ける為に今後は、mail欄に無名って放り込んどきますね。
過去のレス見たら、なんか恥ずかしくなってきた(赤面
…だぁ〜悠人の針金髪が上手く描けねぇ〜!

>>憂鬱の人 様
近日中に寄らせてもらいます。
年明け早々にあるのですが、遅筆&多忙なので亀のごとき歩みなのが現状です。
アセリアで、全年齢向け(ネタバレ無し)に挑戦してます。

>>579
GJ!と、言いたいところですが…
悠人よりも今日子の方がこの話の流れに合ってると思います。
悠人ならついて行くか、後で合流→一緒に食べる→他のスピに…となって、話が広がりそうな予感。
…新参&未熟者の癖に生意気なレスしてスイマセンorz
581憂鬱の人:04/11/25 16:26:53 ID:ZnLZ2NJE
>>580
いやあ、ウチのユート君は低マインドなもんで、
あそこで話をぶった斬っちゃうんですよw

無記名で新人さんを罠にはめちゃってごめんなさい。
そんなつもりは全然なかったんですが…いぢめる?

「...」と「―――」が出てくる文章には気を付けて下さいと信頼さんもおっしゃってます。
582名無しさん@初回限定:04/11/25 18:03:54 ID:wdFqIBgA
ヘリオン「いぢめる?いぢめる?」
ニム「だーっ!いじめないわよっ!!」
ハリオン「け〜ん〜か〜は〜だ〜め〜で〜す〜よ〜」

ぼのぼ○風に
583名無しさん@初回限定:04/11/25 20:49:05 ID:TdO1Rmm2
ダーク系に進みそうだな……w 
「パシリの怨念受けられるものなら受けてみて下さいっ!」
584名無しさん@初回限定:04/11/25 22:28:36 ID:pcGhvRBx
>578
そこは「プレステ」だろう、とツッコミたくなった自分はオールドタイプ
585名無しさん@初回限定:04/11/25 22:58:45 ID:kIlL3osr
  「,'´r==ミ、    私達はとんでもない思い違いをしていたのかもしれません……。
  くi イノノハ)))    悠人さんの永遠神権『聖賢』は知恵を司る神剣です…。
   | l|| ゚ヮ゚ノl|  < それを扱う悠人さんは『聖賢』の知恵を扱うことができます。
   j /ヽ y_7っ=  ということは悠人さんは女体の神秘にも精通しているということ………・
  (7i__ノ卯!     つまり『聖賢者ユウト』とは偽りの名前………。
    く/_|_リ     本当の名前は『性賢者ユウト』だったんですよ!!


       
    \な、なんだってーーーー!!!! /
      ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄
              ヽ)/      ,べV
   〃  ̄ ヾ;   ∠´ ハ`ゝ   / 〃  ̄ ヾ;
   i`_(ノハソ   彡//ノハハ〉   ! i ミ(ノハソ
   l从゚ ヮ゚ハ    ゞ(リ ゚ д゚ノ!   !ik(i|゚ ヮ゚ハ
  ⊂}!廿i つ    <´ii Yliン,   リ⊂}!廿i つ
   く/Цレ'     U |.Tii<      く/Цレ'
    し'ノ       <_ノ_jイ_ゝ       し'ノ


orz
586名無しさん@初回限定:04/11/25 23:05:58 ID:TdO1Rmm2
    ,ィ^i^!1-、
   ,(レ´  ̄ ヽ)
   i`_l !i_!li_!i!リ
    jixi」 ゚ ロ゚ノリ <『性力』のエスペリアには敵いませんっ!!
    ⊂)llΨ)つ    十発でも許しませんよ、ネーチャンフォースッ!!!
   ん/t___|l
    `tナナ'
587名無しさん@初回限定:04/11/26 00:44:35 ID:10q7YWet
>>579

ようやく売店に到着したヘリオン。
「あのぅ、すいませーん」
「はいはい〜、ちょっと〜、まってくださいね〜。…はい〜、ご注文の品です〜」
「えっ、はい? あの、わ、わたしまだ注文してないです…ってハリオンさん!?」
「い〜え〜、わたしは〜、売店のお姉さんですよぉ〜」
「だ、だって、まだ注文してないのに品物がわかるなんてそんな人この世界にあなた以外ぃrわdrftgyはり0n;@:」
「ほらほら〜、みなさんお待ちかねですよぅ〜?」
あわてて品物を受け取ってハイロゥを展開し飛び立とうとするヘリオンの背中に声がかけられる。
「ハイロゥはぁ〜、めっ、ですよぅ〜。これは〜、足腰を鍛える訓練なんですからぁ〜」
「やっぱりハリオンさんでしょ!? そうなんですねっ!?」
「誰ですかぁ〜? ハリオンさんって〜?」
それでもトコトコと走って行く素直なヘリオンであった。首を傾げて考えながら。ハリオンか否かにこだわるあまり、「訓練」うんぬんという言葉は記憶に残ることなく忘れられてしまう。
やがてヘリオンの姿が見えなくなると、売店のお姉さんの体がスッと浮かび上がった。
「で、ハリオン、あなたはこうして飛んで行くわけね。いい身分ね」
ハリオンを抱えてハイロゥで浮上しながらセリアがため息混じりにそう言うと、
「あらあら〜、これは〜、あなたの飛行訓練でも〜あるんですよ〜?」
まったく悪びれずに、売店のお姉さん改めハリオンは返すのだった。
「…で、あなたの訓練は?」
「(すやすや)」
「(怒)」
588名無しさん@初回限定:04/11/26 00:47:55 ID:10q7YWet
そろそろ、次スレの煽り文案募集の頃合ですかね。
589NIGHTMARE LUMP:04/11/26 03:49:32 ID:L649r5kb
……なんだろうこれ……
それが目の前の物質を見ての率直な感想だった。
少なくとも今までの人生でこんなものは一度も見たことが無かった。
見た目で言えば今にもンギュルンギュルいいだしそうな感じだ。
「…えーと、これは・・・?」
説明を求めるとウルカが遠慮がちに口を開く。
「はい、どうもユート殿が近頃お疲れ気味のようですので、
おいしいものでも食べて元気を出して頂ければ思いまして…」
ああ、これ料理だったのか。
そういえば皿の上に載ってるし、スプーンやらフォークやらが添えてあるな。
「ですが、手前はどうも料理というものが苦手でして。
それでアセリア殿に手伝っていただき二人で作ったのです。」
「ん。がんばった。」
「あ、ああ、ありがとう……」
二人の気持ちは本当にありがたい。
しかし…なぜそこでアセリアに手伝いを頼む!?
普通エスペリアあたりに頼むだろ!
そもそも二人ともいくら料理が苦手といってもここまで凄いものは作らなかったはずだ。
なぜ?二人で作ったからか?
590NIGHTMARE LUMP:04/11/26 03:51:22 ID:L649r5kb
「ユート殿?」
「どうした?ユート」
料理(とウルカが呼んでいたもの)を見つめたまま固まっていると二人が不安げに声をかけてくる。
「いや、なんでもない。ところでこれ、味見してみたか?」
「いえ、やはり一番初めはユート殿に食べていただこうと思いまして。」
「そうか……」
味の保障は皆無らしい。
…しょうがない、覚悟を決めよう。
「じゃあ、頂きます…」
とは言ったもののどう食べればいいかわからない。
何せ初めて見る…えーっと、料理?だ。
しばらく手を出せずにいるとウルカがフォークを手に取った。
「ユート殿、その…なんでしたら自分が食べさせて差し上げます。」
そう言って料理…だったっけこれ…の一部をフォークで刺し、そっと差し出した。
その頬は微かに赤く染まっている。
「…口を開けてください。」
「ウルカずるい。私も。」
そう言ってアセリアもスプーンを手に取り、料理…でいいんだよな…を掬って差し出す。
591NIGHTMARE LUMP:04/11/26 03:53:49 ID:L649r5kb
「さぁ、ユート殿。」
「ユート。」
「ちょっと待った、二人とも…」
落ち着いて…と言う暇も無く、その物質は半ば無理やり口の中に入れられた。
味が…風味が…匂いが…舌触り、歯触りが…というよりもう何も分からない。
なんか変なものが口の中でンギュルンギュルいってるだけだった。
頭がボーっとしてきて姿勢が保てなくなり、そのまま前のめりにテーブルに倒れる。
少しずつ、だが確実に、視界が闇色に染まっていくのを感じていた………

「ユート、食事中に寝るのはよくない。」
「よほどお疲れだったのでしょう。」
ちなみに悠人はテーブルに前のめりに倒れたため、悠人が白目を向き泡を吐いている様は
二人には確認ができなかった。
「では、これは詰め所の者達で片付けるとしましょう。」
「ん。わかった。」
あと被害が拡大しそうだった。
592NIGHTMARE LUMP:04/11/26 03:56:38 ID:L649r5kb
一方その頃…
「ぐふっ……」
「コ、コーイン様!しっかりしてください!」
光陰もまた似たようなものの前にダウンしていた。
「クォーリン、それ、やっぱり毒キノコだったみたいよ?」
「そ、そんな…キョウコ様が大丈夫だって言うから…」
「あぁ、大丈夫よ。死ぬような毒じゃないし。それにどうせ光陰だしね。」
「ですが…」
「原因はキノコだけじゃないと思うけど……
っていうか口に含んだ瞬間ぶっ倒れるキノコなんて無いと思うし。」
「…やはりもっと料理を練習しなければいけませんか……」
「まぁ、がんばりなさい。」
「はい!」
「せ、…せめて…アース、プライヤーを…か、かけ…」
593名無しさん@初回限定:04/11/26 04:27:57 ID:L649r5kb
ちなみにメインはクォーリンです。(おい)
アセリアとウルカが料理ダメならクォーリンもダメだろうという
よく分からん発想のもと書きました。
なんだかなぁ・・・ごめんなさい。orz

>>551 紅蓮の人様
乙です。丁寧な文章ですね。
内面描写もお見事です。
どこまでも迷いは付き纏うというところは自分も激しく同意。
やはり迷いがあってこそ・・・ですな。
続きもがんばってください。

>>579 憂鬱の人様
乙であります。
そうしてヘリオンも身も心もブラックになっていくわけですね。
ちなみに自分の中では黒スピは忠義に厚いがやや腹黒で妄想癖ありとなっています。

>>587
そしてなぜか焼きそばパンもしっかり入ってるんでしょうな。
なんだかんだいいつつしっかりハリオンを運んでるセリアが素敵。

そういえばアセリア出てもうすぐ一周年ですか?早いなぁ・・・
594名無しさん@初回限定:04/11/26 07:26:19 ID:4bT+6zxB

>>587>>579
「急がなきゃ急がなきゃ…………きゃっ!」
「おっとってヘリオンちゃんじゃないか、どうしたんだそんなに荷物抱えて走って」
「あっコーインさま、わたし、訓練の途中なんです!」
「へ?訓練?……まあいいや、重いだろ、持ってやるよ」
「ととととんでもないです!コーインさまにそんなことさせられませんよぅ」
「いいからいいから……よっと」
「き……きゃああああっ!コ、コーインさま、なんで私まで抱えるんですかぁ〜〜〜!」
「ヘリオンタンを抱っこ……ハァハァ…………」
「きゃあきゃあきゃあきゃあっ!!!!た〜す〜け〜て〜!!!!」

>>593
「わ、わかりましたっ!」
「ちょ、ちょっとクォーリン、なんで顔を近づけるのよ!」
「へ?だ、だってハイペリアではこういうとき『イキツギ』をするとコーインさまが以前……」
「アンタって人はーーーー!!!」
「うぎゃーーーー!!!」
「まさに『因果』応報だな光陰」
595名無しさん@初回限定:04/11/26 07:47:24 ID:gjB1gdN4
>>593
「どうやらこの素材はソーン・リーム産だな。」
グルメな悠人はつぶやいた。
「ほほう、さすがはユート殿、ご慧眼、恐れ入ります。
今朝一番で手前とアセリア殿とで手に入れてきたモノですが、
いやあ、なかなか手こずりました。」

(それは多分フライングだぞ、ウルカ。)
悠人はツッコミを料理とともに心の中に呑みこむのであった。
596テンプレ案です:04/11/26 10:24:50 ID:eXPOnzed
「永遠のアセリア」発売から早や一周年。
それでもなお色あせる事のない妄想と願望が、メインキャラから
雑魚スピたち、果ては憎っくき敵エターナルまでをも補完してゆく。
降り立った者達を次々と呑み込み、混沌の世界へといざなうここは
アセリアネタ総合&雑魚スピ分補充スレッド。
597593:04/11/26 17:27:05 ID:L649r5kb
やっちまった・・・
味の保障→味の保証 なんでしたら自分が→なんでしたら手前が
ですね・・・orzやっちまいましたわ・・・

>>594
やはり光陰は変態で確定なのか・・・w
そして止めを刺される光陰。合掌。

>>595
それはグルメというよりゲテ・・・
っていうか知ってるのかよ悠人!w
598名無しさん@初回限定:04/11/26 22:37:27 ID:vNJrgB71
>593
 食べて中に王冠が入っていると、当たりでもう一個。
 やったねパパ。
599595:04/11/26 22:51:09 ID:BzSGqFrs
>>597
オルファ、最近ふぁいあぼーるが強烈になったと思ったら、パパに隠れてこんな物食べてたんだな!
ん〜、でもなんか、ホヤみたいでうまそう。ントゥたん萌えの人スマソ。
黒青コンビだけにフライングが得意、なんちて。(←そろそろベタは卒業しようね)
ちなみに貴方の黒スピのイメージを計測するとウルカ8割・ファー・ヘリが1割ずつでつか?

誤字脱字は保管庫で申告すると吉。↓

http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099424351/l50

424さんという人が黒スピ並みのスピードで修正してくれます。あと、ヘリオンファンは画像板へGO!
600黒スピの手帖 1/4:04/11/27 00:06:04 ID:nz+zP6fJ
 皆が待ちに待った月に一度の全休日。それは、哨戒任務に当たる者を除いたほとんどのスピ
リット達が、思い思いに休暇を過ごせる日。
 エトランジェである悠人も、その例外では無く、休暇を楽しんで――ただの体たらく――い
た。朝とも昼とも着かない食事をとると、ぼさぼさの髪を撫でつけながら第二詰め所の玄関口
を出た。既に太陽は西に傾き始めていて、アクビをひとつ放つと自室に戻って昼寝でもしよう
かと思い歩き出した。
 
 近道をしようと中庭へ向かって行く。数日前の、オルファとネリーのとっくみあいで崩れた壁
が、ちょうど良い抜け道を作り出していたためだ。
 中庭には、白く塗られたテーブルと、椅子が2脚置かれていた。テーブルの上にはなにやら
黒い物体。白と黒のコントラストが太陽の光に照らし出される。

 悠人は、その黒い――黒革の手帖を手に取ると表紙を眺めた。ひっくり返してまた眺めた。結
構使い込んである。なにやら書いてあるものの、見覚えの有る字だと言うこと以外は何も分か
らない。小さな丸っこい字を指で少しなぞると、ペラっと手帖を開いてみた。
 
――――こさとのつき……あお、みっつ……のひ。しーれ……のつきあか

 たどたどしくも、日付くらいは理解できる。普段から、エスペリアの提出する指令書やら決
裁書やらに目を通していたからだろうか。サインを機械的に書くだけのことではあるけれど。
一種の門前の小僧だろうか。もっとも理解と言うより「覚えた」というのが適当ではあったの
だが。
 日付が書かれ、その後に何行かの文章が書かれている。そしてそれが手帖の中程まで続いて
いた。さすがに悠人にもこれがなんなのか位は理解できた。
 おそらく、というより確実に日記であろう。一瞬、悠人は他人の秘密を覗いてしまったと思っ
たが、もとより読めるはずもなく、ふーむ、と唸ると針金頭をバリバリと掻きむしった。
 誰のものかは分からず、さりとてこのままにしておくのもなんだか問題があるように思える。
誰かが見てしまったら問題になるだろう。
 ヒミカにでも渡しておけば、うまく本人に返しておいてくれるだろう。そう思った悠人は、
手帖を持って振り返った。
601黒スピの手帖 2/4:04/11/27 00:09:14 ID:nz+zP6fJ
――――いきなり、目の前に飛び込んできたのはそれは。

 白く小さなウィングハイロウ。急激な停止についてこれず、慣性に従い流れる二条の黒髪。
ぜぇぜぇ息を吐くその少女は真っ赤な顔で、悠人の前で四肢を振り回し何かを喚き、次いで
口を手で押さえてから、一回、二回と深呼吸をする。これは、悠人がこの少女――ヘリオンに
教えた沈静の方法だ。悠人に教えられたことは律儀に守る。実際大したことを言ったわけでは
無く、この世界でも至極普通の方法のはずだが、ヘリオンには悠人に言われた、と言うことが
大事なのだ

 息を整え、小さな胸をなでる。そうしてから、やはり真っ赤な顔で悠人の手にある手帖が自
分の物であると言った。悠人は素直に手帖を渡す。吃りながら中を見たか聞かれたので正直に
答えた。するとヘリオンは、小さな――作戦行動中も携帯に支障がない程度の――黒革の手帖
を胸に抱きしめると、悠人の視線から逃げるかの如く、顔を埋めるように俯かせた。
 悠人からは額しか見えないけれど、ヘリオンの顔も、袖から申し訳程度に出ている小さな指
も、ちょうど昼食にでた、丸茹でのテミかと見まごうほどに紅に染まっていた。

 なにやら呟いたヘリオンは、踵を返すと、礼もそこそこに走り出した。悠人の言葉も振り切っ
て、一目散に。
 第二詰め所の玄関をくぐり抜け食堂を走る。普段のヘリオンなら絶対にしない行動。どちら
かというと、ネリーやオルファに注意する方だ。
 走った。胸の動機は誰が為なのか?
 走った。恥ずかしさと、それを上回る何かに突き動かされて。

 昇り階段への角を曲がる。どんっと誰かにぶつかった。あわわと慌てて、落とした手帖を拾
い、ごめんなさ〜いと再度駆ける。

 自室に飛び込んだヘリオンは、ベッドに倒れ込み大きめの枕をぎゅうっと抱きしめ、悠人の
名を呼び続ける。くぐもった声で何度も何度も。悠人が文盲だと言うことには気が回らない。
 何十分かそんなことをしていたけれど、今の出来事を、先ほどまで中庭で書いていた分に
追加しようと手帖を開く。これは普段なら絶対にしないベッドの中での日記記入。行儀は悪い
けど今のヘリオンは普通ではなかった。
602黒スピの手帖 3/4:04/11/27 00:11:43 ID:nz+zP6fJ
 手帖が開く。
 何度も開いたために開き癖が着いているのだろうか。自然とページが割れた。
 そこには、ずらりと第一第二詰め所全員の名が記されていた。几帳面な字で。
 名前の横には、目盛りが振ってあって、それぞれバラバラの位置まで塗りつぶされていた。

ユート    :□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
エスペリア  :■■■■■■■■■■■■■■■■□□□□□□□□
ニムントール:■■■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□
ハリオン   :■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□□
へリオン   :■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□                              
                                             以上抜粋

 一瞬目が点になったヘリオンは、慌ててその他のページを開く。やはりそこにも几帳面な字
がびっしりと書き込まれていて…………ガクガクガクガク、ヘリオンは震え出す。
 臓腑が、んきゅーと締め付けられたように苦しくなる。怖気とともに、手帖を震える手でひっ
くり返す。
 そこに記された名前は。

 コンコン。
 扉がノックされた。心臓を鷲掴みされたかのように、ギョッとしてヘリオンは飛び上げって
驚く。縺れた脚で扉に近づき、開かれた隙間には、覆面の――――
603黒スピの手帖 4/4:04/11/27 00:13:57 ID:nz+zP6fJ
 飛び起きたヘリオンは、グッショリと寝汗をかいていた。どうやら日記を書きながら眠って
しまったらしい。なんだか怖い夢を見たような気がする。
 お風呂にでも行こうかと思い、ふと横を見た。
 ファーレーンがいた。
 
 ヘリオンのうなされ声を聞き、心配して横に着いていてくれたらしい。ファーレーンは優しい
目で笑う。なんだか申しわけない気持ちになってしまう。
 ふと、自分が何かを抱いていることに気付いた。
 それは手帖だった。
 黒革の手帖だった。
 自分の手帖とそっくりな、黒革の手帖だった。

 凍り付いた腕から転げ落ちたソレが、パラリと自然に開く。

へリオン   :■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
604髪結いのしと:04/11/27 00:18:03 ID:nz+zP6fJ
元々ヘリオン萌話に過ぎなかったはずが、タイトル思いついた瞬間こんな話しが脳を駆けめぐりました。orz

しかし今スレは450KB到達最速かも!? 
605名無しさん@初回限定:04/11/27 01:12:40 ID:jYrQMy59
>604
会話文無しで進むのがいい味を出していますね。
しかし、「知られたからには生かしておけぬ〜」ですか(ガクガク
きっとその後は、何もせずとも牽制だけで威力を発揮し続ける究極の兵器に。
606名無しさん@初回限定:04/11/27 02:01:59 ID:RqfgUwja
>>600-603
(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
607名無しさん@初回限定:04/11/27 03:22:06 ID:Udf2F6EZ
すまんがワケがわからん。
元ネタ何かあるの?
608593:04/11/27 03:51:33 ID:hcDOZ9Ou
>>598
しかし、王冠入ってるとカウンター喰らって瀕死になりそうですなw

>>599 憂鬱の人様
・・・憂鬱の人様でしたのね・・・くっ、やられた・・・(なにを)
黒スピイメージについてはファー4割、ウルカ、ヘリオン3割ってところです。
なんか中途半端ですが。
ファーは一人で腹黒と妄想癖備えてそうですから。っていうか、ファー最萌えですから。
あと、なんとなくのらすぴの影響も受けて黒は犬チックというか、よくなつくというか・・・
その辺とウルカ組み合わせて黒スピ=忠義みたいなイメージです。
修正に関しては以後そうさせていただきます。ありがとうございます。
他の人に突っ込まれる前に直す!とか思ってたもので・・・

>>604 髪結いの人様
乙です。
一発でヘリオンが真っ黒に!まさに驚きの黒さ。
ゲージMAXで一体何が・・・
っていうか何気にニムが結構たまってるし。w
なんというか・・・がんばれヘリオン。
609名も無き墓に1/4:04/11/27 09:11:20 ID:jYrQMy59
 俺は帰ってきた。誰も、俺のことを覚えていない地、ファンタズマゴリアへ。
 大切な、恋人であり、娘であり、戦友である女性(ひと)と共に。

 ロウエターナルの城への侵入による騒乱もひとまずの収まりを見せて、いよいよ明日、
俺たちはソーンリーム台地へと出立する。はやる気持ちを『聖賢』に諭され、
自分でも抑えようと自室の椅子に腰掛け目を閉じていると。
「……ん?」
 廊下から、とっとっと、と駆け抜ける軽い足音。
立ち上がり、扉を開けた先にかすかに見えた炎の色になびく髪。
 もうエスペリアが廊下を走るな、なんて注意する事も無いんだな。
それとも、エターナルの実力と行儀とは別とばかりに雷でも落とすのだろうか。
出来ることなら、エスペリアにはそうして欲しい。俺には、いやオルファにだって、
それがついこの間までの日常だったんだから。
 そんな風に思って、ふと顔を向けたエスペリアの部屋からは誰の気配も無い。
 それもそうだ。決戦を控えた今のスピリット隊なのだけれども、
今日までのエターナルミニオンからの防衛の日々に皆が疲弊している。
今は光陰が中心となって、体調や身体に支障が残っている隊員の回復に努めているところだった。
 考えながら、足はそっと廊下を歩き始める。後をつける事になってしまうことに後ろめたさを感じる。
それでも俺は足を止めずに第一詰所の外へと進む。なぜなら、ほんの少し後姿が見えただけでも
感じ取れた、オルファの張り詰めた様子を無視することなんか出来なかったんだから。
610名も無き墓に2/4:04/11/27 09:12:14 ID:jYrQMy59
 オルファの気配を辿って行き着いた先は中庭だった。
エスペリアご自慢のハーブが植えられた花壇の側に、俺に背を向ける形で静かに彼女が佇んでいる。
 今日までの激戦を示すかのように、花壇のハーブには元気が無い。何故か、
オルファの姿がそれらと重なって見えた。
 意を決して、わざと足音を高く鳴らす。オルファは、肩を震わせて誰かが
近づいてきたことに気付いたとこちらに示した。けれども、彼女は振り向かない。
 声を掛けられないまま静かにオルファの側へと近づく。もう誰が居るのか分かったのだろう。
俯いたままの視線に促されて、オルファの小さな身体の陰になっている場所が見えるように身体を動かした。
 そこには。
 墓があった。
 いや、これが墓だと分かる奴は少ないだろう。
 何の標も無い、ただの積み上げられた石。
 しかし、少なくとも標はあったはずだ。
 彼女に命の大切さを教えてくれた、あいつの名を書いた墓標が。
「これは……」
 別に驚くことでは無いと、時深なら言うだろう。もっとも、罰の悪そうな顔は見せるだろうけれど。
たとえ、俺たち……もっと言えば、エターナルとなった者が元いた世界には『居なかった』ことになったとしても、
それまでに起こしたことの結果までが消えるわけじゃない。
例えば、俺が助けたことになる今日子や光陰は、俺が居なくてもここに居る。
クェドギンも、その生きた意味を違えられたまま最期を迎えたことになっている。
 だから、ここに眠るあいつも、名前と名付け親を失って、名も無い墓の主となったんだ。
611名も無き墓に3/4:04/11/27 09:12:48 ID:jYrQMy59
「ハクゥテ……」
 ぽつりと、オルファがその失われた名を呟く。エスペリアに叱られることも、
ネリーやシアーと遊ぶことも無くなった上に、彼女があいつの親だった証も失われたっていうのか。
 そっと、目の前で立ち続けている身体の小さな肩に手をかける。静かに握り返してきた手は、微かに震えていた。
「ハクゥテも、オルファのこと忘れちゃったのかな、パパ?」
 その答えは、俺よりもオルファのほうが良く知っている。
エターナルになった俺と、元からエターナルだったオルファ。
その力がどのように記憶に働くのかは、きっと、彼女の方が詳しいのだろう。
けれども、俺が出した答えは恐らく、オルファのものとは違う。
「分からない」
「……え?」
「それは、誰にも分からないよ、オルファ。だって、ハクゥテはもう、居ないんだからさ。
他のみんなが俺たちを忘れてるのはすぐに分かっちまうだろ。でも、ハクゥテが俺たちを覚えてるかどうかは
ハクゥテに聞かなきゃ分からないじゃないか。だから、今は誰にも分かりっこない」
 握られている手に、きゅっと力を感じる。
「でもそれじゃあ、ハクゥテに聞きに行けないね。オルファたちはあいつらに負けちゃダメなんだから」
「うん、そうだな。それならホントにハクゥテが覚えてるかどうかは分からないままだ」
 俺の手を握っている手から強張りが取れたときには、もう震えは収まっていた。
「だったら、オルファは絶対にハクゥテのこと忘れないよ。エスペリアお姉ちゃんだって、
ネリーだってシアーだって忘れないんだから、ずっと覚えてるんだからね、パパ!」
 ぱっと顔をあげて、俺の顔を見上げるオルファ。それに向かって、俺は大きく頷いた。
612名も無き墓に4/4:04/11/27 09:13:21 ID:jYrQMy59
「さて、それにしてもちょっと離れてる間に寂しくなっちまったなぁ、この花壇」
「うーん、ちょっとお水が足りてないみたいだよ。
土はそんなに悪くなってないから、すぐにみんな元気になると思うんだけど」
 ちょこちょこと花壇にかがみ込んで、オルファが少しばかりつやの無くなってしまったハーブに触れる。
その後、いつもの場所の用具置き場に駆け出して、ジョウロや桶を運び出す。
 今、手が空いているのは俺たちだけなんだけど……良いのか、こんな事してて。
「パパ、何してるの、早く手伝ってよぉ!こんな花壇のままじゃ、ハクゥテも可哀相なんだからぁ!」
 そう言われては、手伝わないわけにもいかないな。
「分かった、それじゃまずは水を汲んで来ればいいんだな」
 ……
 ……………
 …………………
 そして、俺たちは出発する。ソーンリーム台地へ、さらに、その先の無限の世界へ。
 出掛けにそっと、名も無き墓に新鮮なハーブを添えて。
613名無しさん@初回限定:04/11/27 09:19:36 ID:jYrQMy59
短編SS保管庫にオルファカテゴリが無いじゃないかと思って急遽妄想発動。
ハクゥテ、戦場にほったらかしは嫌だなぁと思ってこんなことに。
614名無しさん@初回限定:04/11/27 09:42:39 ID:e7aILWjx

>>604 髪結いさん
ファー、意外というかやっぱりというか、エスペリアに溜まってるんだなあと関係ないとこでしみじみしたり。
(ヘリオンからそう見えるってことはあながち的外れでも……いや……どうだろうw)
悠人の名前を呼び続けるヘリオン、可愛いです。鼻とか擦り付けていそう。
黒スピといえばウルカとファーの関係、最近気になってます。
>>613さん
う〜んいい話ですね。寝起きだったので何回も読み直してなんかしみじみしてしまいました。
戦いから帰って来たら真っ先に報告しにくるんだろうなぁオルファ。
615名無しさん@初回限定:04/11/27 12:57:37 ID:pi2tOri8
>>604髪結いさん
 ゜F(どファー)...ですね。ファーレーンは自己評価しているのでしょうか?やはり...100゜F?

>>613
オルファの震える手をしっかり握りながら悠人は答えた。
「オルファ、ハクゥテはいつまでもパパの中に居るよ。」

―――今さら俺とナナルゥで焼いて食べたなんて、言えないよなぁ...。

痛む胸を押さえる悠人であった。 
616次スレテンプレ1/2:04/11/27 21:34:53 ID:lA8aJt0O
「永遠のアセリア」発売から早や一周年。
それでもなお色あせる事のない妄想と願望が、メインキャラから
雑魚スピたち、果ては憎っくき敵エターナルまでをも補完してゆく。
降り立った者達を次々と呑み込み、混沌の世界へといざなうここは
アセリアネタ総合&雑魚スピ分補充スレッド。

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 7
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1099178827/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/

外部板:雑魚スピスレ画像補完庫(画像掲示板、SS保管庫併設)
http://etranger.s66.xrea.com/
外部板:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド避難所 2
http://www.miscspirits.net/Aselia/test/read.cgi/refuge/1099180045/
過去スレ、関連スレは>>2以降に
617次スレテンプレ2/2:04/11/27 21:35:52 ID:lA8aJt0O
過去スレ
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 6
http://etranger.s66.xrea.com/past/past6.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 5
http://etranger.s66.xrea.com/past/past5.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1091602820/
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 3
http://etranger.s66.xrea.com/past/past3.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 2
http://etranger.s66.xrea.com/past/past2.htm
永遠のアセリア・雑魚スピ分補充スレッド
http://etranger.s66.xrea.com/past/past1.htm

関連スレ
エロゲー板:Xuse(ザウス)総合30
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1101484734/
エロゲ作品別板:永遠のアセリア 第二章
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1097371492/
ギャルゲー板:永遠のアセリア-The Spirit of EternitySword-(仮
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1092327160/
618名無しさん@初回限定:04/11/27 21:38:10 ID:lA8aJt0O
そろそろ準備始めないとトリガ前に決まらんので
とりあえず版を用意してみた。適宜ツッコミ修正よろ。
619名無しさん@初回限定:04/11/27 21:46:07 ID:nz+zP6fJ
>605
いえ、その、ね。地文だけで書くとごまかしが利かなくて……ヘタレな文が良く分かってしまうのね。
元々脳内展開中は会話有りだったので、各自補完下さいな(汗)ヘリオンはこれで、ファーの犬決定ですね。
「恐怖に心を縛られてはまともに動けません あなたは今から、そうなるんですよ」

>606
おしっこはアセリアに付いてきてもらう?w

>607
スイマセン。理解しにくいかな、と言う懸念はありました。だいたい悠人の出番に意味無いし。
えーと、要はファーレーンの復讐帳です。腹に据えかねることもニッコリ笑ってやり過ごして
おいて、日記に「怨」を刻んでいくのです……。ポイントがたまるとおそらく各自に特典が輝くの
でしょう。――――戦場じゃ背中に気をつけな

>608
ヘリオンの髪をそっくりそのまま剥ぎ取って(ガクブル)ファーのカツラに(ヒィー
ファ「ユートサマホメテクレルカナア」 すいません黒すぎましたorz
ニムは……ん、近しい者こそ……?

>614
エスペリアメ……ウラミハラサデオクベキカ でもどっちも黒いのでOKです。
ウルカとファーは私も興味有るところ。初期能力だけで言えばファーレーンだって
二つ名をもっててもおかしくないしね。

>615
そこでそれを持ってくるか……それ書いたの手前でありますw ファーレーンの自己評価は
0゜Fでしょう。相対的に(ファーレーン的に)邪魔者共は゜Fが高くなります。ですのでファーレー
ンの内部では正当化されておりますw

ユートはオルファにハイペリアの唄を教えました。
♪あんたがったどこさ ひごさ 
620名無しさん@初回限定:04/11/27 22:09:30 ID:nz+zP6fJ
>613
キタ――――避難所に書いたかいがあったのかな?。
だれも居なくなった。居るのは悠人だけ。寂しいけれど、でも、体は成長しなくたっ
て心は成長する。翼を持ち大空を知ることができる。
何周期でも望むままに。

この世界に最初から居ない事になっただけで、事跡の残り香はそこここに漂う。
それは嬉しくもあり、一層寂しくもあり……

って実際のオルファはアッケラカンだっけ。

>618
乙であります。後は点呼の時に何かネタがあると良いなぁ。今スレみたいな。
621名無しさん@初回限定:04/11/27 22:36:11 ID:30LgoZ5Y
必殺技を叫びながら、点呼。
622名無しさん@初回限定:04/11/27 23:23:56 ID:UU1WBGMF
迷い込んだあと、居続けることになった決定打を申告、とか。
マンドクサくて応答者激減の悪寒…ダメだな OTL
623名無しさん@初回限定:04/11/28 02:39:01 ID:WGVA5IeV
雑魚スピの小ネタ会話リレー。お題は>>1が決めるということで。
624名無しさん@初回限定:04/11/28 12:06:59 ID:MMTlkDoz
>613
ごめんよ‥‥

>ハクゥテが俺たちを覚えてるかどうかは 
>ハクゥテに聞かなきゃ分からないじゃないか。だから、今は誰にも分かりっこない

ここからうっかり宇宙ヤバイ想像しちまった
誰にも分からないなんて凄すぎる。
625名無しさん@初回限定:04/11/28 12:44:26 ID:Uo0pT7o+
ところでそろそろ次スレですが、どなたか即死防止用SSを用意されている方いらっしゃいますか?
トリガ前なのでバッティングを含めて一応確認までに。
626名無しさん@初回限定:04/11/28 19:49:12 ID:YhzQZCU1
>>625
すみません、何もありません。信頼さんは?
「紅蓮」第二部はどうでしょうか?
627名無しさん@初回限定:04/11/28 20:46:11 ID:Uo0pT7o+
>>626 憂鬱さん
元々埋め用に書いた5K程のが1本ありますが足しになるかどうか……
もっと長いのをお持ちの方がいればそちらでお願いします(汗
628名無しさん@初回限定:04/11/28 23:12:02 ID:YS++3z0c
じゃあ、ここは私の【BR】で……
久しぶりにスレに顔を出して身の程知らずなことを言ってみました。
でも、もう次スレの季節なのですか。早いものですね……。
629名無しさん@初回限定:04/11/28 23:35:33 ID:Uo0pT7o+
>>628 風変わりさん
了解しましたっていうかお待ちしてましたw>BR
630名無しさん@初回限定:04/11/28 23:37:39 ID:rbMJGXtE
中途半端に書き終わってないので無理です、きりが悪いのです。
631名無しさん@初回限定:04/11/28 23:52:20 ID:g62hEeIU
小品を書いていましたが即死防止には間に合わないようです……orz
632次スレ:04/11/28 23:55:07 ID:Uo0pT7o+
とりあえず建てて来ました。

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1101652747/

移動宜しくお願いします。
633穏やかな移ろいの中で:04/11/30 23:33:50 ID:E36R0Mmv

カランカラ〜ン
「あっ、いらっしゃいませ〜ぇ」
なぜかカウベルが備わっている扉を開くとそこは喫茶店だった。
「ってなんでやねんっ!」
思わず突っ込む。なんかいい匂いがしたから寄ってみたのだがまさか第二詰め所を訪ねたらカウンターがあるとは思わなかった。
「あら〜ユートさま〜、今日初めてのお客さまですね〜」
そしてそのカウンター越しにはにこにこ顔のハリオンがコップを拭いている。
「いや看板もないんじゃ客もこないだろ…………ってそうじゃなくて!なんだこれはどうしてこうなるなにをやってるんだーっ!!……はぁはぁ」
「そんないっぺんに答えられませんよ〜、ふふ、とりあえず座ってくださいな〜」
「………………」
釈然としないものを色々と抱えながらも取りあえず落ち着こうとカウンターチェアーに腰を下ろす。
改装されて随分と狭くなった詰め所をきょろきょろと見渡すと部屋のあちこちに常緑の樹が配置されて懐古的な感じを醸し出していた。
高い天井にはご丁寧にも巨大なシーリングファンが回っている。どうやって回しているのかは深く考えないことにした。だってハリオンだし。
テーブル席は見当たらない。奥の片隅にジュークボックスがぽつんとあるだけだ。…………ジュークボックス?いや、考えるな、ハリオンだ。
大体BGMが聞こえてくるわけじゃないしきっとなにかよく似たものを置いているだけだろう……たぶん。
世界の不条理性と必死に格闘しているとことりと目の前にコップが置かれる。
「それで〜今日は、なにになさいます〜?」
呑気な声は先程の俺の質問を完全に無視していた。
634穏やかな移ろいの中で:04/11/30 23:35:26 ID:E36R0Mmv

「なぁ、みんなはどうしたんだ?」
俺は努めて冷静にもう一度同じ質問を繰り返した。するとハリオンはむ〜と頬を膨らませ、目の前に指を立てて身を乗り出す。
「駄目ですよユートさま、お客さまはまずご注文をしないとめっです〜」
急に迫ったハリオンはよく見るとメイド服だった。思わず胸の方に目がいってしまう。豊満過ぎるそれはカウンターの上にぷよんと置かれて揺れていた。
(う……)
慌てて目を背ける。いかん。なんか知らんがこの喫茶店は色々と危険な匂いがする。
「あ、ああ……じゃ、コーヒーを」
「はい〜、しばらくお待ち下さいね〜」
俺の答えに満足したのかハリオンは微笑んで後ろでミルを挽き始めた。っていうかコーヒーあるのか?
(まさかメーカーまであるんじゃないだろうな…………)
考えるのを諦めてハリオンの後姿をぼんやりと眺めてみた。エスペリアに借りたのだろうか、濃緑のレーススカートがお尻の動きに合わせてひらひらと舞っている。
「んしょ、んしょ…………」
「………………」
はっ!しまった、ついお尻に視線が釘付けになってしまった!これじゃまるで変態じゃないか。
……でもハリオンってスタイルいいよなぁ…………胸もふかふかだし一緒にいて安心できるし…………ってそうじゃなくてっ!
「な、なあハリオン、みんなどこ行ったんだ?」
俺は妄想を振り払うようにハリオンに話しかけてみる。
「さあ〜、みなさんまだ眠ってらっしゃるようですよ〜」
「ふ〜ん珍しいなこんな時間まで……で、これはハリオン一人で準備したの?」
「いいえ〜まさか〜。ヨーティアさまが手伝って下さいまして〜。前から一度やってみたかったんですよ〜」
なるほど、それなら納得がいく。あの自称天才ならこのくらいこなすかもしれない。俺は片肘を付きながらそんな事を徒然と考えていた。
635穏やかな移ろいの中で:04/11/30 23:36:54 ID:E36R0Mmv

「はい〜お待たせしました〜」
やがてことり、と少し大きめのカップが目の前に置かれる。黒いその液体からは確かに芳醇なコーヒーの香りがした。地獄の様に……だったっけ。
「おっ、本当にコーヒーみたいだな。どうやって作ったんだ?」
「それは〜ひ・み・つ・です〜」
イタズラっ娘のように片目を閉じてハリオンが答えた。俺は苦笑いを返してカップに口を付ける。
「……おお、旨い。これなら本当に喫茶店開いても成功するかもな」
「いやですわ〜お世辞を言ってもなにも出ませんよ〜」
そう言いながらまんざらでもないのだろう、ハリオンが嬉しそうに両手を頬に当ててくねくねと身をよじらせる。俺は調子に乗って続けた。
「いや、ホントに。中々この味は出せないもんだぜ…………ってアレ?アレレ?」
「どうしましたかユートさま〜?」
「あ、ああ…………いや、なんだか体が…………」
「ふふ、効いてきましたね〜」
なんか視界がおかしい。ぼやけるような回るような…………効く?
「おい……まさかハリオン…………」
「はい〜、これでユートさまはわたしのものです〜」
にこやかに笑うハリオンの妖絶な表情がぐるぐる回る。そこで俺はやっと悟った。みんながいない訳。そして配置されている常緑の樹。
「そうか…………食虫植物か…………」
その呟きを最後に俺の意識は深い闇へと落ちて行った。
636穏やかな移ろいの中で:04/11/30 23:43:22 ID:E36R0Mmv

見上げると眩しい陽光。大きく傘を広げた大樹の葉の影がちらちらと顔を撫でている感覚。まだボンヤリとしたままそっと目を開ける。
「おはようございます〜よくお眠りになりましたか〜」
「うわっ!ハリオンっ!!」
目の前にハリオンの顔……じゃなくて胸があった。慌てて起き上がろうとすると顔を温かい太腿に押さえつけられる。
「あん、だめですよ〜、そんなに暴れないで下さいね〜」
拍子に挟まれた上下のぷよぷよな柔らかさに動けなくなる。大人しくなった俺にハリオンの優しい声が続けた。
「ユートさん〜、気持ちのいい日差しです〜」
またぼんやりと昔のことを思い出しているのだろう。第二詰め所の仲間達。激しかったファンタズマゴリアでの戦い。今は遠い、懐かしい想い出。
「…………ああ、たまにはいいよな、こんな穏やかなのも」
「はい〜…………ふふっ…………」
見えなくても判る。きっといつもの様に柔らかく微笑んでいるのだろう。全てを包み込むような、そんな笑顔で。
先程の夢を思い出す。そうだ、俺はずっとこの笑顔に捉えられたままなんだ。これまでも、そしてこれからもきっと…………
「この任務が終わったら、時深にちょっと休暇を貰ってさ」
「え〜、なんですか、ユートさん〜?」
俺は手を伸ばしてハリオンの頬をそっと撫ぜる。そしてくすぐったそうに、でも嬉しそうに目を細める最愛の妖精に囁いた。

 
 ―――――喫茶店でもやってみようか…………
637あとがき:04/11/30 23:47:22 ID:E36R0Mmv

こっそりと埋め。ちょっと育ってきた常緑樹を文にしてみました。
638名無しさん@初回限定
   " タイムアクセラレイト
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  くi イノノハ)))
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