永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 5

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1名無しさん@初回限定
                        おば
「雑魚スピに待望の立ち絵が」と狂喜し、巫女さんに萌えたのも束の間
PS2版の追加CGを待ちきれず再び暴走し始める住人達の前に新たな職人が現れる
「よぉ、SSは必要か?」
数多の矛盾を更なる矛盾と妄想で覆い隠し、永遠に向けて加速し続けるここは
アセリアネタ総合スレッド

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1091602820/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/

外部板:SS保管庫@アセリアネタ総合
http://jbbs.livedoor.com/game/13463/
外部板:雑魚スピスレ画像補完庫(画像掲示板)
http://etranger.s66.xrea.com/

過去スレ、関連スレは>>2以降に
2名無しさん@初回限定:04/08/27 00:09 ID:761jz/la
過去スレ
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 3
http://etranger.s66.xrea.com/past/past3.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 2
http://etranger.s66.xrea.com/past/past2.htm
永遠のアセリア・雑魚スピ分補充スレッド
http://etranger.s66.xrea.com/past/past1.htm

関連スレ
エロゲー板:Xuse(ザウス)総合27
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1092635914/
エロゲ作品別板:永遠のアセリア(Xuse【本醸造】)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1092787723/
3前766:04/08/27 00:11 ID:VWAhAOqv
>>1

ご迷惑をおかけしました...
4名無しさん@初回限定:04/08/27 00:12 ID:C0cHUt2B
もういいかな?
>>1乙と言いつつネリーはいただくですよー

>>3
ドンマイドンマイ。こんなこともある。
5名無しさん@初回限定:04/08/27 00:13 ID:SAa1j/6x
    , -‐‐- 、
  /二二二\
  ∠ノ,ノノ^ソ从ゝ   <またマナに還しがいのありそうなスレですわね。
 ∠从リ ゚ ヮ゚ノ从ゝ  _
 (( /ヽ 〒 !7つ==∋)
人( iニノ   ) ノ人   ̄
    く/_|__ノ II



>1さん乙です。
6名無しさん@初回限定:04/08/27 00:16 ID:xdQaISQ+
>>1乙そして恒例の即死回避点呼開始!

むしろ光陰分が足らないっ!!ヽ(`Д´)ノ<1>
7名無しさん@初回限定:04/08/27 00:23 ID:L4nfQypH
やっぱし、時深サイコー<2>
8名無しさん@初回限定:04/08/27 00:24 ID:WRNUcYes
オバさんなんてどうでもいい<4>
9名無しさん@初回限定:04/08/27 00:24 ID:oDtVR1I/
ヘリオン、かわいいよヘリオン。


 ,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
 ( ノ i」」」」」〉))
 ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((  < へりおんあたっく!!! <3>
(( ⊂! |T|!つ=lj======
  く/|_|〉 
    (フフ

10名無しさん@初回限定:04/08/27 00:25 ID:qdZbJQcS
>>1

そして俺の糞煽り文使ってくれてthx!
喜びのあまりヘリオン持ち帰りつつ<5>
119:04/08/27 00:25 ID:oDtVR1I/
ぎゃー、 ずれたー!!!!
12名無しさん@初回限定:04/08/27 00:27 ID:c/ebRZAj
>>1おつかれさま〜&時深さんに攻撃されないようにガンバ。

うわぉう、ヘリオンたん取られてるぅ・・・。
では、私は<6」>と言ってイオお姉さまに個人授業を・・・。
13名無しさん@初回限定:04/08/27 00:34 ID:GbAJpdaa
ハリオンお姉さんに癒されたい今日この頃<7>
14名無しさん@初回限定:04/08/27 00:37 ID:Mi0A98CH
イオたんとられちゃったからウルカさんと剣の修行してくるよ<8>
15名無しさん@初回限定:04/08/27 00:51 ID:B0261JCV
よぉ、即死回避は必要か?<9>
1613:04/08/27 00:52 ID:B0261JCV
あげてしまった…、スマソ
17寸劇の人:04/08/27 00:54 ID:761jz/la
人生初のスレ建てでした(w
…『はじめてのおつかい・雑魚スピスレ編』?(w

>>10
いや、案2も良いとは思うんですが、客観になりきれませんでした。ごめんね。> 案2提案者
ペース落ちてるものの職人と呼ばれる側に身を置く者としては「力作」の面映さが乗り越えられなかったのです。
それに、やはり、常に、(SSに限らず)書き手が増えて欲しいと思っていますから、
増えるのを待つのではなく増やすんだ、という心意気で案1を選択させて頂きました。

えーと、点呼ですか。
前スレであんなの書いたばかりですから当然、

たゆんたゆんハリオンふよんふよんお姉さんぽふん<10>

1815,16:04/08/27 00:54 ID:B0261JCV
しかも番号間違ってるし('A`)
19名無しさん@初回限定:04/08/27 01:06 ID:761jz/la
あ、前スレで前振りしておいたとはいえ、
・画像保管庫→画像補完庫
・shitaraba→livedoor
しちゃったけどOK?(って今更聞いても遅いけど)
20名無しさん@初回限定:04/08/27 01:18 ID:qdZbJQcS
>>19
実際それが正しいんで問題ない、というか変わってなかったら逆にマズかったのでは?

寸劇の人さんだったんですね...
あらためて乙です
21名無しさん@初回限定:04/08/27 01:24 ID:KEbtJZ8X
ントゥシトラの抱き枕とか
ントゥシトラののぬいぐるみとか
ントゥシトラののストラップとか作って欲しい<11>
22名無しさん@初回限定:04/08/27 01:39 ID:PVOhXfhd
ネリシアってまとめて呼んでますけれど
ちゃんとネリーとシアーって分けて呼んであげましょう。
あと、時々シアーとネリーって感じで
シアーをかまってあげないと大変ですよ<12>
23名無しさん@初回限定:04/08/27 01:43 ID:Mw6o1OwL
ネリーがいれば十分なので、シアーはあげます<13>
24名無しさん@初回限定:04/08/27 01:55 ID:msmrrIFm
アセリアはもらっていきますね。
一緒にユーフィーも引き取らせて頂きます。<14>
25名無しさん@初回限定:04/08/27 02:09 ID:iP3GN+BX
佳織は俺がいただいて頭蓋骨を矯正します。
あとファーレーンももらっていきます。<15>
26おにぎりの中身の人:04/08/27 02:30 ID:/KcCSzOO
くっ・・・ハリオンが取られた以上、俺はエスペリアをもらっていきますね<16>
27名無しさん@初回限定:04/08/27 02:59 ID:Fb7bqPQr
それではセリアをいただいていきます。ツンデレハァハァ<17>
28名無しさん@初回限定:04/08/27 03:03 ID:DCU9B80P
シスコンユート君を鍛えなおしてくるのはありですか?
求めたんもセットで貰っていきますね<18>
29名無しさん@初回限定:04/08/27 03:24 ID:msGPRdmJ
ユート様 「イヤイヤ、なかなかそーゆーワケにもいかんのよ。
       なにしろいまだかつて、この俺の理想の女の子なんてお目にかかったことがない」
光陰   「えーッ
       じゃ、じゃあ悠人はいったい、どんな女の子がタイプなんだよ?」
ユート様 「んーッ?
       そーねー雑魚スピスレでたとえるとー
       外見が。【A】
       性格【B】。
       夜は【C】。
       ……そんな娘」
光陰   「そんなやついまねーッ!
       そんなパーフェクトジオング見たいな珍妙な生き物、いる訳がないだろうが!!
       フィクションだッ!!
       SFだッ!!
       ファンタジーだッ!!」
ユート様 「なんだと光陰!?
       これでも遠慮していってやってんだぞ!!
       本来ならコレに『【D】』ってのが加わってるトコロだッ!!」
光陰   「そんなスーパー生命体は銀河系にゃいねえよ!」
ユート様「なんだとベジータ!!
       いるとこにはいるっつーの!!」
ベジータ 「いったいどこにいるってんだよっ!?」
ユート様 「ゲームの中にだよ!!」

問1.【A】〜【D】を埋めよ。(10分:20点)
   『2ちゃんねるスレ、永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 5、マナ濃度判定試験より』

【A】ファーレーン
【B】ニム
【C】ハリオン
【D】乳のサイズがハリオン。
(;゚∀゚)=3 ハァハァ  とあるスレよりアイデア拝借
30名無しさん@初回限定:04/08/27 04:07 ID:F11MGm7m
>>29
聖学か。部長が最高だ。

小鳥「先輩ったら、私達ががこんなにお慕い申しあげているのに」
佳織「ちっとも振り向いてくださらない・・・」(おっぱい押しつけ)

ズガー!(ユート様の蹴り一閃)
ユート様「重てーんだよ乳が!」

ユート様「俺様に相手して欲しくば、
ブラウン管の中に入れるようになってからくることだな!」
31名無しさん@初回限定:04/08/27 04:53 ID:761jz/la
>>29
この問題において、最大の鍵は【D】だな。
これだけが『』の中にある。前後からキャラ名ではない。条件かキーワードか…
次に重要なのは【A】だ。
       外見が【A】。
かと思わせておいて、「。」が【A】の前に来ている!
仮に誤植だったとしても、試験問題においてはそれさえも仮定条件に含まれるのが鉄則!!
従って、【A】にはキャラについての外見描写文(要句点)か、あるいは次の「性格【B】。」に繋がるものと見るべきか…
この【A】は合否を分けることになる可能性の高い重要な設問になるだろう。慎重に考えねば。
【B】についても助詞を補ってやる必要があることを忘れてはならない。見落としがちなところを突く引っ掛けだな。
くぅ、やるな、この出題者っ!

解答欄:
【A】髪型は、ショートだと寂しいけど縦ロールみたいにあざとくてもあれだしー、適度な線でハリオンぐらいかなー。で、もちろんハリオンみたいにあたたかい笑顔も必須だよな。
【B】は、ハリオン
【C】ハリオン
【D】たゆんたゆん


採点結果:0点

白ペン先生のアドバイス:
 【A】〜【C】を含む言葉を受けて、光陰君が「そんなやついまねーッ!」と、
日本語がおかしくなるぐらい力一杯否定していることに注意しましょう。
つまり、【A】〜【C】は同一人物ではないことになります。
受験テクニックに走るのではなく、問題の意図を正しく読み取る努力を忘れずに。
 それから、自分の名前ぐらいは書きましょう。
32名無しさん@初回限定:04/08/27 06:27 ID:i6/KPlRI
【A】ソーマ
【B】ラキオス王
【C】サードガラハム
【D】個性的な頭蓋骨
33名無しさん@初回限定:04/08/27 07:27 ID:k9ad1A31
【A】住職
【B】今日子
【C】ソーマ
【D】エターナルだから実はかなりおばさん
34名無しさん@初回限定:04/08/27 09:56 ID:TB9/e/Cc
ヨーティア「何、シンクロフュージョンアンクレットを追加開発しろ、だと?
      ……ついお遊びで作ったものが気に入られるとは……
      いや、何でもない。それじゃ、ちょっと待ってろ、原理は一緒だからすぐに済む」
悠人   「……よし、俺にシンクロナイズドスイミングを見てもらいたい気持ちが合体の条件なら、
      きっと合体は間違いなしにうまくいく。そこで。
      【A】ハリオン(たゆんたゆん分)
      【B】セリア (ツンデレ分)
      【C】ファーレーン(男に免疫が無いのを染め上げる)
      【D】ヒミカの戦闘能力
      略して、「ファミアン」計画発動だ!」
……
…………
………………
ファミアン『……それで、いったい何がしたかったんですかぁ〜?』
悠人   「いや、何となくこうなるんじゃないかって思ってたから……
      戻っていいよ。やってくれてさんきゅ」
ファミアン『はぁ〜?』
悠人   (ヒミカの胸に、ハリオンの性格、さらにファーレーンの戦闘能力……
      後のひとつは確かめるのも怖いよ……_| ̄|○ )

(戦闘能力はSHモードを想定しています)
35名無しさん@初回限定:04/08/27 12:18 ID:fZhM9Z9j
んでシンクロがちょこっとズレて悪い所取りのキャラが生まれると
36名無しさん@初回限定:04/08/27 12:29 ID:cJjwCbnI
あぁ、未だにアセリアルートをクリアしてない俺はいったいどうすれば……
というかエスペリアルートすらサーギオス侵攻中に面倒になってクリアしてないorz
37名無しさん@初回限定:04/08/27 12:32 ID:J5u3r1bE
このスレでナナルゥに惚れたので頂いていきますね。
38名無しさん@初回限定:04/08/27 15:11 ID:urPo1s5i
点呼終わったの?

とりあえず、飛翔の人さん降臨待ち
39名無しさん@初回限定:04/08/27 17:53 ID:passRNgb
>1さん乙でした。
……これを書き入れるのを忘れていました。orz
降臨待ちその二。ノシ
40名無しさん@初回限定:04/08/27 18:15 ID:ayI0NGhI
>38、39
ご期待ありがとうございます〜♪
今幕はサーギオス攻略戦からの物語となりますが、途中「幕間」に準拠した内容が出て
来ますので、まだ幕間を読んでなくて気になった方は、読み返して頂けると嬉しいです。

それでは恥ずかしながら、「明日への飛翔第九幕」を投下させて頂きたいと思います。
41明日への飛翔・第九幕1/24:04/08/27 18:17 ID:ayI0NGhI

 ・・・人の想い、スピリットの想い・・・
 そして散って往った多くの命を乗り越えて、俺達は今ここに立っている。

 ――帝都サーギオス。
 破壊の時代を象徴する、最後の牙城を前にして。
 この地に集った精鋭達が、女王の演説に心を昂ぶらせる。
 レスティーナ・ダイ・ラキオス。
 ・・・旗印としてこれほど相応しい人間を、俺は他に知らない。

 そして俺は、クェド・ギンの言葉を思い出す。
 『神剣の思惑通りに生きるなど、あってはならない。』 
 あの大統領は、こうなる事を予見していたのだろうか・・・。
 だけど、例えこれが神剣の思惑による物だったとしても。
 時代を開こうとする俺達の意思は、決して偽物じゃないはずだ。

 望んだ戦いじゃなかった。
 俺も、光陰も、今日子も・・・恐らくはあの瞬でさえ。
 平和な日常から一転して、否応無く戦乱に巻き込まれていった。
 最初は佳織を救い出す、ただそれだけの為に<求め>を振るっていたけれど。
 多くの仲間達に支えられ、いつしか心を一つにして・・・。
 俺達は、遂にここに辿り着いた。
 そう、再生の・・・希望の明日を掴む為に!!    
   
 やがて、レスティーナが号令を発する。

 『・・・全軍、行動開始せよ!!』
42明日への飛翔・第九幕2/24:04/08/27 18:18 ID:ayI0NGhI

 怒号のような雄叫びと、剣戟が重なる無数の音が響く中。
 副隊長として最後の助言をする為に、エスペリアが進み出る。

 「ユート様、この様な時に縁起でも無いと思われるかも知れませんが・・・かつて四王子の下に現れた、
エトランジェ達の争い・・・最後の決戦で、<求め>のシルダスは、<誓い>のソードシルダの前に敗れて
います・・・しかしそれは、シルダスが決して他の者を頼ろうとはせず、最後まで一人で突き進んだからだ
と言われています・・・それに対し、ユート様には・・・。」

 「・・・ああ、俺はそいつとは違う・・・俺にはこんなにも、頼りになる仲間がいるからな。」
 そうして見回すとスピリット隊の皆は、力強く頷いてくれた。
 傍らには、この世界で巡り逢い、俺に大切な想いを教えてくれた、誰よりも愛しい少女。
 「ユートさま、必ず・・・必ずみんなで、明日を迎えましょう!」

 「ああ、勿論だ・・・光陰、作戦通り頼むぞ!!」
 俺は決意を新たにすると、気持ちを切り替えて親友に呼びかける。
 既に元稲妻部隊の面々は、城門への道を抉じ開けるべく突撃している。
 「任しとけって・・・今日子、クォーリン!・・・俺達も出る。稲妻部隊の力、見せてやろうぜ!!」
 「承知しました、コウイン様・・・どこまでも、お供致します!」
 「それじゃ悠、アタシ達の分まで、あいつにガツンと食らわしてやりなさいよ!」
 「OK、解った・・・キツイ役目を押し付けて済まないが、絶対に死ぬんじゃないぞ!」

 最後の作戦・・・できるだけ俺の力を温存しながら、瞬の元へ辿り着く・・・帝国のスピリットは、瞬と
<誓い>の支配下にある・・・だから俺が<誓い>を砕きさえすれば、無益な戦いは終わる筈。
 光陰達はその為に危険な、先鋒として突破口を開き、城外の敵勢を防ぐ役目を買って出てくれたのだ。

 「よし、城門は破られた・・・ここは光陰達に任せて、突入するぞ!!!」
43明日への飛翔・第九幕3/24:04/08/27 18:19 ID:ayI0NGhI
 サーギオス城内でも、多くの伏兵が俺達を待ち受けていた。
 それを蹴散らしながら、ウルカの先導で駆け抜ける。
 迷路の様な外郭を突破すると、やがて十字路に出くわした。
 その全方向から、大量の神剣反応!
 
 「ユート殿、ここは正面を突破して下さい・・・その先は手前が居なくとも、ユート殿と<求め>ならば
感知する事ができる筈・・・どうか御武運を!」
 「ウルカ!?」
 一人で食い止めようと残るウルカの横に、アセリアが並ぶ。
 「ダメ・・・ユートは皆で、生き残ると言った。」
 「・・・かたじけない。」
 「全く、貴女達二人でどうしようって言うのよ・・・ユート様、私も残りますから、どうぞお先に!」
 「セリア・・・解った、ここは三人に頼む・・・後から必ず来いよ!」

 そして大広間。
 神剣に呑まれた帝国兵が、所狭しとひしめく。
 ・・・まさかサーギオスの戦力の殆どが、ここに集結してたんじゃないか?

 「今度は私達の番ね・・・ユート様、ここはお任せ下さい。」
 「ヒミカばっかり、格好良くしちゃずるいですよぉ?・・・私だって、やる時はやるんですからね〜。」
 「ネリー達だっているよ、皆には負けないんだから!」
 「負けないんだから〜♪」
 「この敵、この数・・・私達もご一緒しましょう。」
 「面倒・・・とも言ってられないか・・・ユート、私が一人も死なせないから、安心して先に行って!」

 国の為、仲間の為・・・そして未来の為に、志を同じくする仲間達。
 誰一人として失うわけにはいかない。俺達は、生きて明日を迎えるのだ。   
 その為にそれぞれが全力を尽くす・・・今ここで、俺に言えるのはただ一つ。

 「ああ、信頼してるぜ・・・帰ったら、ラキオスで大祝勝会だからな!」
44明日への飛翔・第九幕4/24:04/08/27 18:20 ID:ayI0NGhI
 俺の心を支配しようと、干渉を強める<求め>。
 湧き出す憎しみを抑えながら、少しずつ力を解放して行く・・・。
 そうして瞬の気配を探りながら、俺達は走り続ける。
 確実に、それは近づいていた・・・この先に、瞬と佳織は居る!

 「長い階段・・・ここで襲われるのが一番危険だな。」
 「伏兵の気配は感じませんが・・・何か妙な雰囲気です。」 
 「そうだな、みんな気をつけろ・・・って!?」
 お約束の様に、轟音と共に転げ落ちてくる大岩。
 いくら何でも、あんな物に潰されたら生きてはいられない。
 戻るには余りにも、距離があり過ぎる・・・焦る俺の前に、進み出る二つの影!
 
 「「イグニッション!!」」

 同時に発動する爆炎が、大岩を飲み込み粉砕する。
 「・・・目標消滅・・・・・迎撃成功です。」
 「やったやった〜♪・・・ねぇねぇパパ、オルファ達って偉い?」
 相乗効果の為か、その威力は単発での何倍にも高められていた。
 余りの高熱に岩石が一部溶解し、黒い煙が立ち昇る。
 ・・・しかし、それで終わりでは無かった。
 歓声を挙げ、振り向いたオルファが手を振ったのとほぼ同時に。
 ――壁や天井から飛び出した無数の矢が、無差別に降り注ぐ!!

 「くっ・・・二重のトラップか!?」
 これでは俺がオーラフォトンで守れるこっちはともかく、離れていた二人は・・・。
 「オルファ、ナナルゥ!!」
 攻撃が止むのも待たず、急いで駆けつける。

 ・・・しかし既に、護りの力が弱い二人は瀕死の重傷を負っていたのだった。
45明日への飛翔・第九幕5/24:04/08/27 18:21 ID:ayI0NGhI
 「・・・ご、ごめんパパ・・・ちょっとドジっちゃった・・・。」
 「いいから喋るんじゃない!・・・エスペリア、早く二人を!!」
 俺が言うまでも無く、エスペリアは治療を開始していたが、その表情は険しい。
 「出血が多すぎる・・・私の力の全てを使っても、救えるかどうか・・・。」
 「そ、それでしたら・・・ここに置いて行って下さい・・・。」
 「な・・・ナナルゥ、何を言ってるんだ!?」
 「・・・これではもう・・・作戦行動は不可能でしょう・・・エスペリア様の力は、この先も必要になる
筈です・・・もしかしたら、他の皆さんが駆けつけてくれるかも知れないし・・・。」
 確かに、瞬との戦いを前にエスペリアが抜けるのは痛手だった。
 だが、都合良く皆が駆けつけてくれるかどうかは解らない。
 もし救援が間に合わなかったら、二人は・・・。
 そんな俺の気持ちを察したのか、ヘリオンが袖をそっと引く。
 ・・・その瞳に漲るのは、信頼と決意。

 「・・・そうだよな、考えるまでも無かった・・・エスペリア、二人を頼む。」
 「承知しました・・・必ず二人を救い、駆けつけます。」
 「ナナルゥさん、オルファ・・・安心して、後は私達に任せて下さい!」
 「うん・・・。」
 「すみません・・・。」 
 「ヘリオン、ユート様を御願いします・・・・・最後まで、そのお側に。」
 そう言ってエスペリアは髪紐を解くと、ヘリオンの腕に結びつける。
 「エスお姉ちゃん・・・うん、絶対に!」

 そして俺はヘリオンと二人、瞬が待つであろう皇帝の間を目指す。
 ・・・一刻も早く、この戦いを終わらせる為に!
46明日への飛翔・第九幕6/24:04/08/27 18:22 ID:ayI0NGhI

 「せっかく、佳織の為に止めを刺さずにいてあげたのに・・・恩を仇で返すなんて最低だよ、悠人。」

 それが皇帝の間で待ち受けていた瞬の、第一声だった。
 後方には、怯えながらも俺達を心配する、佳織の姿が見える。
 ・・・待ってろ、今すぐ助けてやるからな・・・。
 だがその前に。瞬には一つ、聞かなければならない事があった。
 「おい瞬・・・お前が仕えていた、サーギオスの皇帝はどこだ?」
 どこかに隠れているのか、玉座には姿が見えない。
 これ以上の無益な戦いを無くす為にも、放って置くわけにはいかない。

 「ククク、今更何を言い出すかと思えば・・・どうせ最期だから教えてやろう、帝国を動かしていたのは
この<誓い>だ・・・サーギオスなんて国は、最初から存在しなかったんだよ!」
 「何だと・・・!?」
 「もうずっと前から、この大地は<誓い>が動かしていたんだ・・・馬鹿な人間共は、それにすら気付か
ず踊らされていたのさ・・・そう、僕の様に優れた者だけが、自分で歴史を動かせるんだっ!!」
 そう言って瞬は<誓い>を掲げ、強大なオーラを展開する。
 まるで殺意がそのまま形を持ち、地獄の炎となって纏わりつくかのようだ・・・。
 「ユ、ユートさま!?」
 「手出しは無用だ・・・ヘリオンは、佳織を頼む。」
 「ふん、殺すなどと生温い事は言わん・・・疫病神め・・・僕の<誓い>で、塵になれ・・・!!」
 肉薄する瞬に、俺も<求め>の力を限界まで引き出す。
 そして俺達の、互いの命運を賭けた、負けられない闘いが始まった・・・。
47明日への飛翔・第九幕7/24:04/08/27 18:27 ID:ayI0NGhI

 「悠人・・・お前は目障りなんだよっ!?・・・僕の前から消してやる!!!」

 以前戦った時よりも更に重い、<誓い>の一撃。
 これ程までに力を引き出す為に、瞬は何を捨てて来たのだろう。    
 狂気に濁った瞳からは、理性の輝きは感じられなかった。
 今のこいつは、完全に神剣に支配されてしまっているのだ。

 剣を交わす度に渦巻く、瞬と<誓い>への憎しみ。
 最早それが<求め>の干渉なのか、俺自身の感情なのか区別する事は出来なかった。
 だが俺は、そんな自分を遠くから眺める、もう一人の自分を感じていた。
 ――どうして俺達は、こんなにも憎しみ合っているのだろう。
 ・・・遠い昔在った事を、愚かにも繰り返しているような感覚・・・。
 それが黒く塗り潰されようとする俺の心を、押し止める最後のブレーキを為していた。

 視界の端に、この闘いを見守るヘリオンと佳織の姿が見える。
 そうだ、俺は瞬と同じ道を歩む訳には行かない。
 託されたいくつもの想い。
 今も俺を信じ、戦っているだろう仲間達。
 それに報いる為にも、俺は・・・。

 「・・・俺は、負ける訳にはいかない・・・神剣にも・・・瞬、お前にもだ!!!」

 自分の中に、<求め>とは違う誰かの意思が流れ込んで来るのを感じる。
 それはきっと、俺が忘れていたかつての自分。
 次の瞬間・・・鮮血が飛び、<求め>は瞬の身体を切り裂いていた・・・。
48名無しさん@初回限定:04/08/27 18:28 ID:cJjwCbnI
支援
49明日への飛翔・第九幕8/24:04/08/27 18:28 ID:ayI0NGhI
 「やったのか・・・?」
 手応えはあった・・・肉を抉り、骨を砕くあの感触。
 だがあれ程憎かった瞬に致命傷を与えた今、胸に去来するのはただ空しさ。
 狂喜する<求め>の感情も、俺の心を支配する事は出来なかった。
 「せめて、苦しまないように・・・終わらせてやるよ、瞬。」
 そうして<求め>を携え、俺は足を踏み出す。
 滅び行く瞬。
 その肉体からは金色のマナが立ち上り、霧となって消えていくだけの筈だった。
 しかしその時、研ぎ澄まされた感覚が異常を告げる。 
 「何だ・・・一体、何が起きているんだ!?」
 周囲に満ちていたマナが、急速に瞬に取り込まれていく・・・。
 それと同時に傷が癒え、体組織が造り換えられていった。
 事態を見て<求め>が、しきりに警鐘を鳴らし続ける。
 ・・・伝わってくるのは、恐怖。


 ――ヘリオンに守られながら、佳織は・・・。
 今まさに朽ちようとする瞬を見て、強い悲しみに囚われていた。
 先程から感じていた感覚。
 何故か争う二人の姿に、見た事もない、けれど懐かしい誰かの面影が重なる。
 次第に狂気に彩られていく瞬に、恐怖していた筈だった。
 しかし今、瀕死の重傷を負いながらも、自分を想い続けるあの男に感じるこの感覚は・・・!?
50憂鬱の人:04/08/27 18:29 ID:O47BmlLx
おお...またしてもリアルタイム。
しえんあたーっく!!
51明日への飛翔・第九幕9/24:04/08/27 18:29 ID:ayI0NGhI

 「お願い・・・二人とも、もう止めてぇ・・・!!」

 「佳織!?・・・駄目だ、来るんじゃない!!」
 ヘリオンの脇をすり抜け、突然駆け寄る佳織。
 だが既に瞬は、気を逸らした悠人に向けて<誓い>を振り下ろす寸前だった!
 「隙があるぞぉっ、悠人ぉぉっっ・・・・!!」
 「しまった・・・!?」
 咄嗟に突き出す<求め>に、<誓い>が叩きつけられる。
 そして―――驚愕する悠人の目の前で、嘘のように呆気なく―――<求め>は折れ飛んだのだった。

 「なっ・・・!!」
 神剣の加護を失った悠人に、疲労が押し寄せ、戦う力が喪われていく。
 呆然とする悠人に、瞬が止めの一撃を・・・。
 「え?」
 「何!?」  
 何とその時、瞬が放ったその衝撃波は。
 ・・・悠人と佳織を大きく逸れて、二人の上に落ちてきた瓦礫の破片を砕いたのである。

 「・・・ユートさま、カオリさま!!」
 ヘリオンが駆け寄り、二人の前に出る。
 だが瞬は<誓い>を構えながらも、襲い掛かろうとはしなかった。
 <求め>を失った今、はっきりとは解らない。
 しかし悠人には、瞬の発する邪気も衰えているように感じられた。
 
 「佳織?・・・僕は・・・一体・・・。」
52明日への飛翔・第九幕10/24:04/08/27 18:30 ID:ayI0NGhI

 目の前の瞬からは、あの暴君の気配は感じられない。
 「今の一撃・・・まさかお前、俺達を助けたのか?」
 信じ難いが、そう考える他ない。
 瞬が衝撃波を放たなければ、俺達は崩れた天井の下敷きになる所だった。
 佳織の叫び声が、<誓い>に支配された瞬の心に届いたのだろうか・・・。
 ・・・悠人がそう思ったその瞬間!

 「ぐぅ・・ぁ・・・<求め>・・・うぁ・・・・グァああああ!?」  
 一度は輝きが戻った瞬の瞳から、再び理性の光が失われていく。
 凄まじい光を放つ<誓い>が瞬の腕に融合していき、変貌を始める。
 同時に散らばった<求め>の破片が浮き出して、瞬の元に吸い出されていった。
 「秋月先輩!?」
 「近づくな!」
 手を差し伸べようとする佳織を、悠人が引き寄せる。
 「ぅぐぁぁあああああああっっ・・!!!!!・・・ぞ・・ぞんな・・・ぐぁ、ぐぼぉるあああ!!!」
 「秋月・・・先・・輩・・?」
 
 「・・・ぐぉご、ぼ・・ぼク・・・は・・・・・僕は・・・カヲ・・リ・・・・・を・・・・・・・。」

 この世の物とは思えぬ絶叫の後。
 辛うじて意味の取れる言葉を吐くと、それきり瞬は沈黙する。
 そうして・・・『彼』は誕生した。  

 「なん、だ・・・?」
 「う、嘘・・・こんな力・・・ど、どうか、どうかお二人は下がって!!」      
 ヘリオンが二人を制し、<失望>を構える。
 瞬から放たれる、今の悠人でさえはっきりと解る絶望的な力の奔流。
 ・・・果たして神剣を持つヘリオンは、どれ程の重圧を感じているのだろうか・・・。
53名無しさん@初回限定:04/08/27 18:33 ID:urPo1s5i
光陰「 サポートはする 後は各自で適当にやれ さすがにそこまでは面倒みきれないぜ」
54明日への飛翔・第九幕11/24:04/08/27 18:33 ID:ayI0NGhI
 立ち尽くす悠人達の前で、変わり果てた瞬が哄笑を上げる。
 「クッ・・・フ、ハハハ・・・素晴らしい・・・これほどの・・・これほどの歪みを抱えていたか!!」
 口元を歪め、紅い瞳を爛々とさせて笑い続ける瞬。
 その周りを、砕け散った<求め>の一部が六本の剣に変化して、悪魔の翼のように浮遊する。
 ・・・最早それは、同じ人間の姿とは思えなかった。 

 「お兄ちゃん、怖いよ・・・。」
 縋り付き、絶望に震える佳織。
 「・・・神剣に完全に取り込まれたか・・・お前は、<誓い>なのか?」
 悠人の問い掛けに、それまで全く三人を無視していた、瞬が嘲笑う。
 「フハハハ・・・<誓い>だと?・・・その様な存在ではない・・・。」
 「何・・・?」
 <誓い>ではない・・・だが断じてそれは瞬でも、ましてや<求め>でもなかった。
 悠人は未知の存在に恐怖しながらも、佳織を守ろうとする。

 (一体瞬に、何が起きたって言うんだ!?)

 「・・・私、また逢えて嬉しかった・・・だから最期までこうさせて・・・覚悟は、もうできたから。」
 強がってみせる佳織・・・だが俺は、こんな事を言わせる為に戦って来たんじゃない・・・。
 「佳織、そんな事を言うんじゃない・・・最後まで生きる事を諦めるな!」
 「お兄ちゃん・・・?」
 「諦めは覚悟なんかじゃない!・・・そんなの俺は認めない!!」
 そうして悠人は、柄だけになってしまった<求め>を握り締める。
 ・・・もう終わってしまったのか?
 あれ程<誓い>を憎んでいたくせに、もう消えちまったって言うのかよ。
  
 「・・・おい、どうしたよ、今こそ根性見せてみやがれ・・・返事をしろよ、このバカ剣!!!」
55明日への飛翔・第九幕12/24:04/08/27 18:34 ID:ayI0NGhI

 ――瞬が何気なく繰り出す一撃が、全てを打ち砕く衝撃となってヘリオンに襲いかかる。

 全身全霊を懸けても出来るのは、せめて力の方向を逸らす事だけ。
 ・・・ヘリオンは二人を庇い、圧倒的な力に耐えながら、あの夢を思い出していた。
 かつて<拘束>によって見せられた、瞬に敗れ、悠人を失うというあの悪夢を。
 状況は尚悪いが、これではまるで、あの夢の再現ではないか・・・。

 冷たい汗を流し、挫けかけるヘリオンを、<失望>が発する温かい熱が包む。
 相変わらず言葉こそ無かったが、それはまるでヘリオンを励ましているかのように感じた。
 (そうだよね、うん・・・ありがとう<失望>・・・またユートさまに怒られるところだったよ)
 己を取り戻したヘリオンは、集中し、自分に眠る最後の力を引き出していく。
 そうだ、諦めは覚悟なんかじゃない・・・。

 「私は・・・私は決して、望みを失わない・・・!!!」

 瞬の攻撃の前に、遂に<失望>が亀裂を走らせる。
 しかしそれは<失望>を砕くには至らず、ヘリオンは尚も力を注ぎ続けた。
 既に限界はとうに超えていた・・・けれど、私は死ぬわけにはいかない。
 翼が黒化しようとも、例え精神が崩壊しようとも・・・。
 ・・・ユートさまを・・・カオリさまを、守りきってみせる・・・!!
 篭められた力の大きさに、エスペリアが結んだ髪紐が千切れ飛ぶ。
 その瞬間・・・最後の一線を超えようとするヘリオンに、何か大きな力が流れ込んでいった・・・。 

 瞬が止めのつもりで放った必殺の一撃を、辛うじて撥ね返す。     
 その代償に力尽き果て、倒れ伏すその背に降り注ぐのは、清く暖かな波動・・・。

 「もう大丈夫です、安らかに休みなさい・・・それにしても第九位の神剣で、まさか生まれ立てとは言え
エターナルの猛威に耐えるとは・・・貴女がいなければ、全ては終わっていましたね。」

 (誰だろう・・・もしかして、ハイペリアから迎えに来た天女様・・・・?)    
 涼しげに笑う、美しい女性・・・それが失われていく意識の中、ヘリオンが最後に見た映像だった。
56明日への飛翔・第九幕13/24:04/08/27 18:35 ID:ayI0NGhI

 ・・・。
 ・・・・・。
 ・・・・・・・・。

 「・・・あ痛たたた・・・・もう、朝か・・・。」

 目覚めと共に、全身に残る痛みに顔をしかめる。
 「やれやれ、俺って随分<求め>に頼り切ってたんだなぁ・・・。」
 だいぶ癒えたとはいえ、神剣の加護を失った俺は、傷が治るのも遅くなっていた。
 ・・・そう、今の俺の手元に、あのバカ剣はもうない。

 三日前、目が覚めたら英雄として祭り上げられていたのだが、ひどく妙な気分だった。
 何しろ俺自身が肝心の決着の瞬間を、全く覚えていなかったのだから。
 最後の闘いを目撃したエスペリアによれば、俺と瞬は相討ちになりかけ、俺だけが助かった。
 その際に<求め>と<誓い>は、共に消滅したのだと言う。
 長い戦いが終わったのだという実感は沸かなかったが、事実ラキオスには佳織が戻り、<求め>もこんな
小さな欠片になってしまったのだから、疑う理由は無かった。

 そして俺は、この欠片を持ってきた倉橋時深と名乗る少女を思い出す。
 巫女の様な装束に、日本名。初対面の筈なのに、どこかで会った事があるかの様な印象を受けた。
 何より驚いたのは、彼女が持つ神剣<時詠>には特殊な力があり、ヨーティアの科学力と併せる事によっ
て、俺達が元の世界へ帰る為の「門」を開く事が出来るのだと言う。
 「やっと帰れるんだな・・・。」
 知らず呟くが、予想した様な感慨は沸かなかった。
 本当ならこの降って沸いた幸運に喜んで良い筈なのに、何故かそうは思えない自分がいた。
 
 それはこの、胸にぽっかり穴が開いたような感覚と関係があるのだろうか・・・。
57明日への飛翔・第九幕14/24:04/08/27 18:36 ID:ayI0NGhI

 「エトランジェ・ユート、どうしたのです?・・・今日は、貴方の為の宴だと言うのに。」
 戦勝を祝し、王城で催された華やかな宴の中、レスティーナが問いかける。
 「もしやまだ、傷が痛むのですか・・・?」 
 「ん?・・・あぁいや、そうじゃないんだ・・・何故か、気が乗らなくてさ。」
 言ってしまってから辺りを見回すが、幸い近くに家臣団はいないようだ。
 レスティーナも気兼ねがない為か、真摯に俺を心配してくれる。
 「そうですか・・・気詰まりなのも仕方がないかも知れません。こうして公式に、人とスピリットが同じ
テーブルを囲む事など、かつてなかった事ですから。」
 そうなのだ・・・レスティーナが掲げる、人とスピリットの共存。
 その第一歩として、スピリット隊の皆はあの戦いの最大の功労者として宴に招かれた。
 王宮の侍従達に傅かれて、エスペリアなどは却って恐縮していたっけ。
 オルファやネリーなどは相変わらずだが、いつも冷静なセリアやヒミカまでもが、慣れぬ応対におろおろ
していたのは微笑ましかった。
 だがそのめでたい席で、俺は一人浮いてしまって喧騒から離れていたのだ。
 そうしていても誰かが常に話し掛けて来たが、一緒に楽しもうという気にはなれなかった。

 「おい悠人、こっちに来いよ・・・って、いっけね。女王さんと話し中だったか?」
 「いえ、構いませんよ・・・やっと平穏を取り戻して、エトランジェの方々も積る話がある事でしょう。
・・・女王としての務めもある事ですし、それでは私は退散しますね。」 
 気を利かせたのか、そう言ってレスティーナは離れていく。
 「あちゃ〜、悪いことしちまったかな・・・まあ仕方ない、せっかくの好意は受けておこう。」
 光陰は俺の腕を掴むと、半ば無理やり自分のテーブルに引っ張っていった。
58明日への飛翔・第九幕15/24:04/08/27 18:37 ID:ayI0NGhI

 「・・・あ、お兄ちゃん。」
 「どうしたの悠、何だかしけた顔してるわねぇ・・・そりゃあ、これはラキオスの皆とのお別れ会も兼ね
てる訳だけどさ、あんたがそんなんじゃ、皆まで悲しくなっちゃうじゃないのさ。」        
 そう指摘する今日子も、何だか無理して笑っている様な気がした。

 「そ、そうだお兄ちゃん、まだほとんど食べてないんじゃない?・・・私が取ってあげるね。」
 佳織が引立てるように言い、料理を皿に取っていく。
 ・・・そうだな、うん。
 別れはつらいけど、兄としても何時までも、いじいじしては居られない。
 「ありがとう、佳織・・・って、こら、リクェムは入れるなよ!」
 「えー、ダメだよ〜。せっかくのご馳走なんだから、ちゃんと食べなきゃ。」
 「何、あんたまだピーマンも食べられないの!?」
 「それはいかんな・・・この際だから、こっちに居る間に克服させてやろう。」
 そう言って佳織が持っていた皿に、リクェムを積み上げていく親友二人。
 お前ら・・・せっかくのご馳走だからこそ、好きな物だけ食っていたいんだが・・・。

 何とか俺も元気を取り戻し、ハイペリアに戻ったら何をしようかと言う様な事を話していると、ウルカと
ファーレーンの黒スピリットコンビがやって来た。
 「ユート殿、団欒の所申し訳ありませんが・・・これまでの礼と別れの挨拶を致したく、参りました。」
 「別に気にすること無いさ・・・でもファーレーンは、ニムと一緒に来ると思ってたな・・・そう言えば
二人が最後だけど、みんな色別に分かれてやって来た気がするんだが、何か意味でもあるのか?」  

 ふと気付いて、何気なく聞いたのだけれど・・・何故かそこで、一瞬場が静まり返ったように感じた。
59名無しさん@初回限定:04/08/27 18:40 ID:urPo1s5i
まだまだぁっ! もっと動けるはずだ! 力を振り絞れぇぇっ!!
60明日への飛翔・第九幕16/24:04/08/27 18:43 ID:ayI0NGhI

 静寂を取り払ったのはファーレーンだった。
 「・・・ユート様とこうしてお話出来るのも、あと僅かですから・・・皆で話し合って、けじめを付ける
為にそうしたのです。今思い返してみると短い間でしたが、ユート様の下で働けた私は幸せでした。」
 「手前も同様です、まさに武人として本懐でありました・・・どうか故国に帰られましても、カオリ殿と
二人仲良く、健やかにお暮らし下さい・・・。」
 そう言って顔を伏せるウルカには、彼女らしくもない落ち込みが感じられた。
 「ああ、ありがとう二人とも・・・けれど、何か忘れてる気がするんだが・・・。」
 俺の言葉に、わずかではあるが、確かに動揺するウルカとファーレーン。
 見れば光陰や今日子、佳織までもが俺の様子を伺っているようだ。
 「どうしたんだ皆?・・・ああ、そうだ思い出した!」
 「「「!」」」
 「・・・そう言えば、イオとヨーティアに会ってないんだよ・・・あの時深という女の人もいないな。」
 「そ、そのお三方の事でしたか・・・。」
 「ん?」
 何だか気が抜けたような声で、ウルカが言う。
 それを引き継いで答えるのはファーレーン。
 「イオ様とヨーティア様、そして時トキミ様は現在、皆様がハイペリアに帰られる為の<時空間転移装置>
の開発に携わっておられます・・・せっかくの宴に顔を出せない事を、詫びておられました。」
 「そうだったのか・・・俺達の為に悪い事しちゃったなぁ。」
 「そ、そうねぇ・・・でもヨーティアさんって、こう言う改まった場って嫌いそうだし。」
 「それもそうかもな。」
 「まあ悠人、帰る前にお礼を言う機会もあるんだし、別れの挨拶はその時にしようじゃないか。」
 
 そうして光陰は飲み物を勧めるのだが、その雰囲気に俺はどこか居心地の悪い思いをしたのだった。
61明日への飛翔・第九幕17/24:04/08/27 18:44 ID:ayI0NGhI

 夕焼け空を眺めながら、一人思う。
 あれから数日が過ぎ、ヨーティアによればもうすぐ<時空間転移装置>は完成するらしい。
 皆は良くしてくれるが、俺はどこか腫れ物に触るようなその態度に、釈然としない物を感じていた。
 失った記憶はまだ戻らず、胸の虚脱感も埋まらない。
 そうして<求め>のペンダントを眺めていると、いつの間にかやって来た佳織が話しかけてきた。

 「お兄ちゃん、ちょっといいかな?」 
 「うわ!・・・な、なんだいきなり?」
 慌ててペンダントを後ろに隠す。
 佳織にプレゼントするつもりでアセリアに造って貰った物だが、やはり段取りと言う物があるだろう。
 我ながら不自然な対応だと思ったが、佳織は気にせずに話し続けた。

 「うん・・・実はね、お兄ちゃんに大事な話があるんだ。」
 「大事な話・・・?」
 「そう、とても大事な話・・・・・私ね、お兄ちゃんが好きだったの。」
 「何を今更・・・。」
 「・・・それも妹としてじゃなくて、一人の女の子として。」
 「い、一体!?」
 突然の告白に俺は動揺するが、佳織の表情は真剣そのものだった。 

 「ずっと好きだった・・・・好きでたまらなくて、でも妹としての、自分の立場を壊したくなくて・・・
ずっと悩んでいたけれど、でもね・・・あの時思い出したの・・・私は秋月先輩も、好きだったんだって。」
 「な!?」
 その瞬間・・・自分を好きだったと告白された時以上の衝撃が、俺を貫く。
 まさか佳織が、あの瞬を好きだったって・・・?
62名無しさん@初回限定:04/08/27 18:45 ID:cJjwCbnI
エスペリア「新たな支援が建設されました」
63明日への飛翔・第九幕18/24:04/08/27 18:45 ID:ayI0NGhI
 「大きくなってからは、少し怖かったけど・・・私にだけは、優しかったし・・・。」
 余りのショックに真っ白になった俺を前に、佳織の独白は続く。
 「私達・・・すっごく小さい時は、本当に仲良しだったんだ・・・毎日一緒に遊んで、笑い転げて・・・
でもどうしてかな、たぶん飛行機事故の頃までは覚えてたのに、すっかり忘れてた・・・これじゃ秋月先輩
もがっかりするの当然だよね・・・私、いつかこの人の、お嫁さんになるんだって思ってたのに・・・。」

 「か、佳織も小さかったからな・・・それはたぶん、事故のショックかそれとも――」
 ――<求め>の干渉で・・・口にしかけた想像を、慌てて飲み込む。
 すると何か、俺が<求め>と契約したせいで、佳織はその事を忘れ、瞬の奴もあんな風に・・・。
 『お前は佳織にとっての疫病神なんだよ。』
 ・・・瞬がいつか投げ掛けた言葉が蘇る。

 打ちのめされる俺を、佳織はそっと抱きしめて囁いた。
 「ごめんねお兄ちゃん、こんな事言っちゃって・・・お兄ちゃんは悪くないの、きっと私がもっとずっと
強ければ、お兄ちゃんも秋月先輩も・・・今日ちゃんや碧先輩だって、苦しまなくて済んだ筈なのに。」
 「佳織・・・?」
 「私、もう負けない・・・この世界に来てから、悲しい事もいっぱいあったけれど・・・いろんな人に出
会って、助けられて・・・私も少しだけ、強くなれたと思うから・・・だからお兄ちゃん、もう私の為に、
自分を殺すような事をしないで・・・お兄ちゃんの幸せの為に、愛する人の為に生きて!!」
 そうして佳織は、最後に呆然とする俺を強く抱きしめると、涙を拭いて走り去ったのだった。

 「愛する人の為に・・・?」
 佳織の言っている事が解らなかった。
 こうしてやっと再会して、皆で元の世界に帰れる時が来たというのに・・・。
64明日への飛翔・第九幕19/24:04/08/27 18:46 ID:ayI0NGhI

 その日の夜・・・。
 これまでの出来事を思い返しながら、俺は渡しそびれた<求め>のペンダントを眺め続ける。   
 『お兄ちゃんの幸せの為に、愛する人の為に生きて!!』
 佳織のあの言葉、そして失われた記憶。
 ・・・俺は一体、何を忘れているんだ・・・?
 そして瞬と対決した時の事を思い起こし、再びペンダントを掲げた時・・・!!
 
 『――汝はまだ、契約を果たしてはいない。』

 脳裏に流れる微かな、しかし確かな<求め>の意識。    
 同時に俺は、忘れていた全てを思い出した。
 <誓い>と<求め>を取り込んで、変貌を遂げた瞬と、絶対的な力を持つ永遠神剣<世界>。
 そして<世界>と渡り合う力を持った不思議な少女、時深の正体。
 二人のエターナルの出現は、俺の想像を超えた出来事だった。
 ・・・だが、そんな事よりも。
 俺と佳織を庇い、単身<世界>を持つ瞬へと立ち向かったあの愛しい少女は。

 「ヘリオンは一体、どうなったんだ・・・!?」

 頭脳を総動員するが、どう穿り返して見てもヘリオンがどうなったのか記憶はない。
 俺も佳織も、瞬が去った後すぐに気絶してしまったのだ・・・。
 記憶を消し去ったのは時深だろう。
 けれど何故ヘリオンの記憶まで、消し去る必要があったんだ?
 目覚めてからの皆の態度を思い返すに、忘れていたのは俺だけだったようだ。

 ・・・・・まさか、まさか、まさか、まさか、まさか、まさか・・・!!!?
65明日への飛翔・第九幕20/24:04/08/27 18:48 ID:ayI0NGhI

「光陰!!・・・何故黙っていた・・・ヘリオンは今、どこに居るんだ!?」

 時間帯や人の迷惑など関係なく。
 気が付くと俺は、第三詰所の門を叩いていた。
 もしエトランジェだった頃の力が俺にあれば、門を叩き破って侵入していただろう。
 俺が訪ねることを、予想していたのかも知れない。
 ・・・間も無く光陰と今日子の二人が、重い戸を開いて現れた。
 
 「やっぱり思い出しちまったか・・・でも悠人、時深さんもお前の為を思ったからこそ・・・。」
 「何が俺の為だ!・・・あの後何が起こったって言うんだ!?」
 「つまりだな、ヘリオンは・・・。」
 「ヘリオンは・・・ヘリオンは一体!?」
 「あーもう、少しは落ち着きなさいよね!!」
――バコォォォン!!
 光陰の襟を掴み、食って掛かる俺の後頭部に、今日子のハリセンが炸裂する。
 そして今日子は顔をしかめる俺の腕を掴むと、無理やり自分の方を向かせて言う。
 「安心しなさい、悠・・・ヘリオンは無事よ。」
 「ほ、本当か!?」
 「・・・ああ、少なくとも命に別状は無い。詳しい事は本人に聞くんだな。」
 「少なくともって・・・。」
 「ヘリオンは、今はヨーティアさんの研究所にいるわ・・・早く会って、元気付けてあげなよ。」
 「あ、ああ・・・それじゃ今から行ってみる・・・ありがとな、光陰、今日子!」

 ・・・思えばこの時二人は既に、ファンタズマゴリアに残り戦う決心をしていたのだろう。
 だが俺は迫る脅威や自分の事よりもまず、ヘリオンが心配で駆け続けた。
 ヘリオンが無事でいたのなら何故、時深は俺の記憶から消したりなんてしたんだ・・・?
66名無しさん@初回限定:04/08/27 18:53 ID:urPo1s5i
 ,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
 ( ノ i」」」」」〉))
 ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((  <この地をあるがままに… 規制される前に戻します
(( ⊂! |T|!つ=lj======
    く/|_|〉 
    (フフ
67飛翔の人:04/08/27 19:03 ID:ayI0NGhI
 いきなり電源落ちてびびった〜;;
・・・幸い復帰したので、投稿続けます。
68明日への飛翔・第九幕21/24:04/08/27 19:04 ID:ayI0NGhI

 「・・・大天才の睡眠を妨害するなど、本来なら許されない暴挙なんだが・・・。」     
 そう言いながらもヨーティアは、俺の顔を見るとにやにやしながらヘリオンの寝室へ案内してくれた。
 「悪いな、ヨーティア・・・でも、ヘリオンは本当に無事なんだな?」
 「勿論さ、一時期危険な状態にあったのは事実だがね・・・この私とトキミ殿が、不眠不休で治療に当ったんだ。助からない訳が無いさ・・・それじゃ私は寝るから、後は適当にやってくれ。」
 そうして手を振るヨーティアを見送ると、俺は震える手でそのドアを開けたのだった。

 「・・・ユ、ユートさま!?」
 そう言って目を見開いて、ベッドから身を起こすのは・・・。
 間違いなく、あの気弱な所はあるが芯は強く、真面目で心優しい・・・俺が愛した少女だった。
 「そ、そんなまさか、どうして?・・・ユートさまは、もう・・・。」
 「もう、ヘリオンの事を忘れてしまったはずだって?」
 ヘリオンは、生きていた・・・少しやつれてしまって、いつもより余計にちっちゃく見えたが。
 声を聞いた途端、俺は堪え切れなくなって、思わずヘリオンを抱きしめる。
 「バカだな・・・俺が、ヘリオンの事を忘れてしまえる訳ないだろう・・・。」
 「・・・!」
 「本当に、無事で良かった・・・本当に・・・。」
 「ユート・・さま・・・。」

 感動の余り、俺は泣いてしまいそうになったのだが。
 その直後別の理由により、心底本当に涙が出そうになった。  
 「いっ!?」
 「ユート様・・・怪我人の身でそんなに強く抱擁されては、ヘリオン様がお可哀想です。」
 いつの間にか背後に立ち、俺の背中を思いっきり抓り上げてイオが言う。
 「そ、そうだな。悪かったヘリオン・・・。」 
 「い、いえ・・・。」

 素直に謝る俺だったが、今のは絶対にやっかみ半分だった様な気がするぞ、イオ・・・。
69明日への飛翔・第九幕22/24:04/08/27 19:05 ID:ayI0NGhI
 そうして改めて、俺はイオにヘリオンの具合について尋ねた。
 瞬の<世界>から俺達を庇う為に、ヘリオンは自分の力の全てを使い果たした。
 その為エスペリア達が駆けつけた時には、翼はほとんど黒化し、神剣に取り込まれる寸前だったと言う。
 ヨーティアと時深の治療により自我は取り戻していたが、<失望>には亀裂が入り、<世界>によって
深く傷つけられた身体は、完全に治るまで何年かかるか解らないのと言うのが現状だった。

 ・・・そして明かされる、もう一つの事実。
 記憶を取り戻した俺は、自分もエターナルになれるかどうか、時深に尋ねるつもりでいた。
 だがもし俺がエターナルになれば、ヘリオンや皆の記憶から、俺は消えてしまうのだと言う。
 いや記憶だけではない、俺が存在したという、痕跡そのものが。
 それは時深が施した記憶操作などとは全く違う、完全な別離・・・。

 「・・・だから時深は、俺からヘリオンの記憶を、瞬の記憶と一緒に消したって言うのか・・・。」
 「トキミ様は、私が無事に自分を取り戻せたら、私に関する記憶は戻すつもりだったそうです・・・でも私が、そのままにして下さいって御願いしたんです・・・このままじゃ、私はお荷物だから・・・。」
 俺達がヘリオンと共にハイペリアに帰る事ができたのならば、違う選択肢もあったのかも知れない。
 だがスピリットであるヘリオンは、マナの薄いハイペリアでは特殊な結界でもない限り生きられない。
 ましてや今の弱っている身体でこの世界を離れる事は、自殺行為にも等しいのだと言う。

 「自分の記憶さえ無ければ、ユート様は安全なハイペリアに戻り天寿を全うする事ができるだろう・・・例えファンタズマゴリアが滅び、死ぬ事となっても、最期まで愛する人の思い出と共に在りたい・・・そう考えられたヘリオン様のお気持ち、どうかお汲み取り下さい。」
 イオが代弁するが、ヘリオンの気持ちは痛いほど良く解った。
 でも、それでも俺は・・・。
70明日への飛翔・第九幕23/24:04/08/27 19:08 ID:ayI0NGhI
 「・・・俺の我侭かも知れないけれど・・・こうして記憶を取り戻してしまった以上、俺は見て見ぬ振り
は出来ない・・・もしも俺に出来る事があるのなら・・・ヘリオンが俺の無事を願ってくれたように、俺も
ヘリオンやイオや、他の皆を・・・そして俺達が生まれた二つの世界を守る為の、力に成りたいと思う。」
 俺の手で幸せにしてやる事は出来ないかも知れない。
 それでも、俺はヘリオンに生きていて欲しかった。

 「わ、私は・・・私は・・・・。」
 言葉にしようとして果たせず、イオが差し出した水を飲みながら、ようやく落ち着くヘリオン。
 ・・・辛くない筈はないだろう。
 それでも、ヘリオンは最後には、にっこりと笑って頷いてくれた。
 「私はこうしてもう一度、ユートさまにお逢いできただけで満足です・・・私にとって、これ以上の幸せ
なんてないんですから・・・だから・・・だからユートさまは、ご自分の信じる道を進んで下さい。」
 「・・・・・。」
 「そ、それに・・・トキミさまの秘術を打ち破る程に、ユートさまが私を想っていて下さったなんて・・・。
・・・そう考えるだけで、心が舞い上がりそうになっちゃうんです・・・私は、これからユートさまを忘れ
てしまったとしても・・・きっと、もう一度ユートさまを好きになります・・・そんな気がするんです。」
 頬を紅くしながら、涙ぐみながら・・・それでもつっかえつっかえ、明るい声で訴えるヘリオン。
 それを見て感極まったのか、目尻を押さえながらイオが言う。
 「そうですね・・・最初からこうなる事は解っていたのかも知れません・・・ユート様の意思の強さと、
ヘリオン様への想いの深さを思えば、避けられない事だったのかも知れませんね・・・。」
71明日への飛翔・第九幕24/24:04/08/27 19:10 ID:ayI0NGhI

 「まあ、俺も・・・<求め>の欠片に残った僅かな意識に導かれて、記憶を取り戻したんだけどな。」
 俺はそんな上等な人間じゃない・・・余りに褒め上げられるのが面映くて、そう言ったのだが・・・。
 二人はきょとんとして、それから妙に納得したような表情になった。
 ・・・な、なんだろうこれは・・・がっかりさせてしまったと言うのでも無さそうだし・・・。

 言葉を捜している内に、ヘリオンが呟くが・・・それは俺にとっても、驚くべき事実だった。
 「そうでしたか、ユートさまも・・・実は私も、あの時<求め>に助けて貰ったんです。」
 「え?」
 「シュンの攻撃に耐えていた時・・・<世界>がまだ吸収しきれてなかった、<求め>の力の一部が流れ
込んで来て・・・限界を超えようとしていた私は、危うい所で神剣に呑まれずに済んだんです。」
 「トキミ様も驚いておられました・・・そうでなければ第九位の<失望>が、エターナルの攻撃を凌ぐ事
など出来なかっただろうと・・・今の<失望>からは第五位の下級、第六位の上級に匹敵する力を感じます。
・・・もっとも刀身に亀裂が入った今の状態では、ヘリオン様が五体満足でも用は為さないでしょうが。」
 「そんな事が・・・苦しめられてばかりだったけど、もしかしてあいつ、いい奴だったのかな・・・。」
 そうして俺は、鞘に収められた<失望>を眺め、あの戦友を思い返した。
 <失望>に吸収されてしまった今でも、少しくらいは<求め>の意識も残っているのだろうか?
 今の俺に解るはずもなかったが、何となくあいつが、『これも酔狂だ』と笑った気がした。
 
 「・・・それでは私はこれで失礼致しますが・・・ユート様、少し宜しいでしょうか。」
 間も無くしてイオは席を立つと、俺を手招きしてそっと囁いた。
 『・・・ヘリオン様は怪我人なのですから、無茶は為さらず優しくして差し上げて下さいね・・・それと
できるだけ、包帯は外さないように御願いします。では、後はお二人でどうぞ・・・。』
 少し遅れてその意味する所に気付き、硬直する・・・我に返った時には、既にイオの姿は無かった。  
 
 ・・・気付けば夜の寝室で、ヘリオンと二人きりになっていた。
 こうして、俺の人間としての、最後の夜は過ぎて行ったのである・・・。
 
72名無しさん@初回限定:04/08/27 19:12 ID:cJjwCbnI
乙です!
GJです!!
73あとがき:04/08/27 19:20 ID:ayI0NGhI
 支援して下さった皆々様、ありがとうございました。
 途中アクシデントもありましたが、何とか第九幕をお届けする事が出来ました^^;

 サーギオス攻略戦ですが、ゲーム的には全員で突っ込んで敵を各個撃破して、みんな
でボコるところなんでしょうが、物語としては
 「何をしている!・・・俺に構わず早く行け!!」「くっ・・・待ってるからな、死ぬんじゃないぞ!!」
 ・・・というような王道パターンをやりたかったので、こうなりました。
 あと、階段で「ここで襲われるのが一番つらい」と言うのなら、何か出してやろうかと。

 悠人がヘリオンの記憶を失った事についてですが・・・。
 ここらへん、ゲームでは共通パートになってる為か、ヒロインの話が出て来ないんですよね。
 「お前、自分の事や佳織の事より、考えることあるだろう。」と。
 と、言うわけで、ならばいっその事忘れ去って貰おうと思い、こうしてみました。
 ・・・まぁ、佳織と<求め>のおかげですぐ思い出す訳ですが。
 
 佳織の告白については・・・。
 この物語での真実がどうなのか、私も設定は考えていません。実際は・・・
 @ <求め>の干渉により、佳織は瞬を好きだった事を忘れてしまった。
 A 飛行機事故のショックにより・・・。
 B 余りにも幼かった為・・・。
 C 元々好きでも何でもなかった。現実は非情である。
 ・・・まぁ、皆さんも色々想像してみてください。
 
第九幕の最後で、いよいよ結ばれそうな二人ですが・・・。
「道行」がラブ度満点だったので、私は対抗してシリアス寄り、全年齢対象で
「飛翔」の本編を書いてきましたがこのスレの皆さんとしては、このままラストの
第十幕に突入するのと、「番外編」のえちシーン先に出すのとどっちが嬉しいでしょうねぇ?
 迷ってたので感想と反応を見て決めようかなぁと^^;

それでは失礼します〜。
74名無しさん@初回限定:04/08/27 19:21 ID:urPo1s5i
前の瞬の話が読みきり(?)かと思ったら、しっかりと絡めてきてマジよかった...
ってか、なんか瞬がカコイイ...焦ったw

   _、_
.∩( ,_>`) <飛翔の人さん、GJ!
(ヨ )

75憂鬱の人:04/08/27 19:22 ID:O47BmlLx
新スレの記念すべき一発目を大作で飾っていただき乙です!
いやあ、幕を重ねるごとにどんどん文章が洗練されていきますねー。
手前もまだまだ精進せねば。
76憂鬱の人:04/08/27 19:33 ID:O47BmlLx
わわわ、あとがき読み損ねてたorz
最後の質問、私にも投票権ありますか?
絶対絶対えちシーン希望ですっ!
(よ、よかった。九幕の終わり方見てスキップかと思った...)
77名無しさん@初回限定:04/08/27 19:35 ID:tnfgG99z
キタキタキタァー!!!!!
GJです!!!!

番外編と第10幕の順番については、時間軸に沿って番外編が先の方がいいかなぁ〜と。
78名無しさん@初回限定:04/08/27 19:43 ID:urPo1s5i
>>73
あら...得意のリロードし忘れしてしまったか...

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 番外編!番外編!
 ⊂彡

あ、あとPS2版ではサーギオス城のマップ追加が欲しくなった
79名無しさん@初回限定:04/08/27 19:56 ID:761jz/la
>飛翔の人氏
乙&GJです!
失望とは何か?それを知る者こそは望みを失わない者である。
って感じですか。
番外編ですか…時間軸に沿うのが王道かな、と。
後にすることでよりおいしくなる演出があるならそれもまたいいかと。
えぇ、見せ方もまた作品なんではないかと。
番外編にせよ第十幕にせよ、大詰めですね。がんがってくださいまし。


とりあえず、レス数・容量的には即死圏を越えたと思われますが、
念のため当面は1レス/1日は確保の方向でよろ > all
80名無しさん@初回限定:04/08/27 21:32 ID:HKEJAFpc
飛翔の人氏への感想/応援のお便りは引き続き募集するとして、
投函を終えてしまった人たち向けに軽くネタ振りというか妄想題材でも。


悠人は「スピリット隊のみんなに戦い以外にも目を向けてもらおう」強化作戦の
一環として、みんなに課題を出すことにしました。
それは―― 自 由 研 究 

・各員の選択したテーマと提出した成果物
はもちろん、
・研究/製作過程の様子/事件
・みんなイオに助言を請うて、お声がかからず不機嫌なヨーティア
・締め切り間際になって大慌てのネリー
などなど、適宜妄想を広げてみる方向で、ひとつよろしく。
81名無しさん@初回限定:04/08/27 21:42 ID:GOf7WBpj
>飛翔の人さん
GJ!
サーギオス城内の活劇で全員がそれぞれの役目を果たすシーンに、
冒頭から否応無しに盛り上がりました。EXでも皆の台詞が用意されているようですが、
「飛翔」の方も、というより「飛翔」の方が好みかもしれません。(w
ついに本編はあと一幕ですね。とは言え、どちらかといえば時間の進みどおりに
番外編を先に読ませていただきたいなぁ、と。
どちらも楽しみに待っています。

書き込み確認画面が……またIDが変わってしまう……
34=39です。待っていたわりに遅レスすみません。
82名無しさん@初回限定:04/08/27 22:29 ID:GOf7WBpj
リロード忘れすみません。

ハリオン「ええっと〜、それでは、新作にでも挑戦しますか〜」

悠人  「ん? 何かいい匂いが……」
ハリオン「あらぁ、ユートさまちょうどいいところに〜。
     いま焼きあがった所なんですぅ、良かったらご一緒にいかがですか〜?
     これが、私の研究成果ですよ〜」
悠人  「へぇ、やっぱりハリオンはこういうのが得意なんだなぁ。
     きれいに出来上がってるじゃないか、このカップケーキ」
ハリオン「ふふ、ありがとうございます〜見た目で気付かれては第一段階から失敗ですからね〜」
悠人  「え?」
ハリオン「いえいえ、何でもありませんよ? さ、召し上がれ〜」
悠人  「ああ、それじゃいただきます、と……
    (ふむ、甘味が控えめで食べやすいなぁ、少しは糖分の取りすぎが気になってたりするのかな。
     あ、プレーンじゃなくって色々混ぜ込んである。ニンジンっぽかったりオレンジっぽかったり)」
ハリオン「お茶もありますよ?」
悠人  「うん、ん、ごくっ……うまいっ」     
ハリオン「あらあら、本当ですか〜?」
悠人  「ああ、ただ甘いだけじゃなくって、果物の甘さだったり、アクセントに微妙な苦味があったりして。
     ひょっとしたら、ケーキ屋に出せるくらいかもしれないな」
ハリオン「そんなぁ、褒めすぎですぅ」
83名無しさん@初回限定:04/08/27 22:30 ID:GOf7WBpj
悠人  「いや、ホントに。中でもこの生地の中に見えてるこれ、野菜だと思うんだけど、これがいい味を出してる」
ハリオン「まあまあ、それじゃ、研究大成功ですね〜」
悠人  「へ?」
ハリオン「ふふふふふ〜。そ・れ・は、実はリクェムを混ぜ込んでみました〜」
悠人  「え、ええええええ!?」
ハリオン「しっかりと食べられるじゃありませんかユートさま〜。
     研究テーマは、『ユートさまの好き嫌いなくしちゃおう大作戦』なのでした〜」
悠人  「……ホントだ、食えた」
ハリオン「それじゃ、まだまだありますからみんなも呼んでおやつにしましょうか〜」
悠人  「そう、だな。うん、俺がみんなの所を回って呼んでくる。ハリオンはお茶を用意しといてくれ」
ハリオン「はぁ〜い」

ハリオン:テーマ「ユートさまの好き嫌いなくしちゃおう大作戦」
     提出物「リクェム入りベジタブルカップケーキ」
悠人の評:気付かずに食べておいしかった。お茶会でもおかわりするくらいおいしかった。
     ひょっとして、本当にピーマンが食えるようになったかもしれない。ハリオンに感謝。
84名無しさん@初回限定:04/08/27 22:57 ID:HKEJAFpc
>>82-83
速攻大きい妄想乙&GJ
>リロード忘れすみません。
これは気にせずに。というかむしろ
>飛翔の人氏への感想/応援のお便りは引き続き募集するとして、
なので。

ようするに、SSが多くなると SS投下→感想→SS投下→感想→ ループだけで
回るようになって、小ネタがどこか逝ってしまうので、
並行できんもんかな? という提起なわけです。
SSのネタは、書き手の自家生産もありますが、住人生産分もやはり重要で。
住人による生産分の供給が止まると、当面は備蓄で暮らせても、
将来的に行き詰るんでないかな、と。
つーわけで、「お便りは引き続き募集」としつつ、
どうにか思いついた題材を振ってみた次第。
べつにこれに限らず、>>29 なりもっといいネタなりでもいいし。

というのは単なる漏れの思惑なので、感想集中期間であるべきだ、と思えば
さっくりスルーなりゴルァなりしてくれておっけー。

つーわけで、まだまだこれから『明日への飛翔・第九幕』を読む人もいるだろうから、
そういう人たちは、小ネタの流れができてても気にせずガンガン飛翔の人氏への感想よろ。
85名無しさん@初回限定:04/08/27 23:37 ID:in9vATgm
>80
ナナルゥあたりユート観察日記でも提出しそうだw
86名無しさん@初回限定:04/08/28 00:02 ID:YT3vdRfV
>>82
「なぁ、ネリーは好き嫌いあるのか?」
「えー嫌いなのはないよ?好きなものはユートさまだけど」
 刹那、詰め所食堂の空気が固着したようなプレッシャーを感じたが、それも発言者がネリーと分かると
すぐに霧消した。
 だがやはり、心に覚えがあるものは心中穏やかならざる様で……。
「あ、忘れてた、ヨフアルも大好きだよ」
87名無しさん@初回限定:04/08/28 00:28 ID:u+UQJari
┃Д゚)…
┃Д゚)ノシ⌒□
┃彡サッ
88名無しさん@初回限定:04/08/28 00:30 ID:u+UQJari
ニム「ちょっとユート、こっち来なさいよ」
悠人「…なあ、前から言おうと思ってたんだが、
   一応俺隊長なんだぞ?偉いんだぞ?」
ニム「あんたの何処にそんな威厳があるのよ、早く来るさっさと来る面倒なんだから」
悠人「……何がどう面倒なのかサッパリだけど…ほら来たぞ」
ニム「じゃあここに座って」
悠人「座れって…正座でいいのか?」
ニム「始めは何でもいいよ、それじゃ実験開始」
悠人「はぁ?実験…って、なんで足の上に頭のせるんだ?」
ニム「こらユート動かない、じゃあ次はあくらね」
悠人「もう何が何だか…ほらこれで良いのか?」
ニム「そうそう、そんな感じ…頭のせるからちょっと手どけて」
………
……

89名無しさん@初回限定:04/08/28 00:31 ID:u+UQJari
悠人「なあ、さっきから正座だのあぐらだの足伸ばしてだの色々させて、何で頭をのせるんだ?
   俺の足に何かあるのか?」
ニム「ユートは口答えしない、…そういや足にこだわらなくても良かったんだ
   ほらユートベッドの上に寝転んで腕伸ばして」
悠人「ベッドの上って、これじゃ腕枕じゃないか」
ニム「うるさいユート、レポートは一眠りしたら出すから……起きるまで動いちゃダメだからね」



提出物
『ユートの体のどの場所が一番寝やすいか?』

ユートの評
「こら、ネリーにシアーそれとオルファとヘリオン、俺の手足は枕じゃない!!
 ファーレーンもフェイスガード越しにもわかる様な艶面な表情をして乗っからない!!!」
90名無しさん@初回限定:04/08/28 00:31 ID:q2QlWM7k
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     /  ユート観察日記   /  /   /
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91聖ヨトの謎:04/08/28 00:34 ID:yCnJdBaS
エスぺリア「・・・以上がファンタズマゴリアの聖ヨト暦以後の歴史です。
      なにか、ご質問はありませんか?ユート様?」
悠人「・・・ええと、俺の聞き間違いかもしれないから、聖ヨト暦の一番最初をもう一度」
エスぺリア「はい。分かりました。もう一度繰り返します。
      聖ヨト暦0年 ヨト・イル・ロードザリア王子の誕生。後の聖ヨト初代王である。
      聖ヨト暦1年 ヨト王子、エーテル技術とスピリットを手に入れる。
      聖ヨト暦4年 ヨト王子、アカラホク゜人の小国をスピリットで蹂躙する。・・・」
悠人「ちょっとまったーーーー!!!
   これ、おかしくないか?どうやったら生後1歳の人間がスピリットやエーテル技術なんて手に入れられるんだ?
   仮に手に入れられたとしても、到底使いこなせないだろ。なにせ1歳だし。
   で、4歳で他国に侵略って、ありえないよね。いったいどうなってんだ?この聖ヨトって奴は?」
エスぺリア「ユート様。落ち着いてくださいませ。
      これは、ええと、なんと言ったら良いのでしょう・・・
      歴史のいたずらというか、見えざる神の手というか・・・
      中の人が納期ギリギリの徹夜続きで、校正を見逃してしまったというか・・・
      とにかく!そうなってるものはしょうがないんです!わかりましたか、ユート様!」
悠人「は、はい・・・わかりました・・・」
こうして、聖ヨトの謎は誰しも疑問に思いつつも、歴史の闇へと消えてゆくのであった・・・

   
92名無しさん@初回限定:04/08/28 00:48 ID:OkGfirY7
王子として即位したんだと思ってたが<0年
それを祝っての年号変換とか
93名無しさん@初回限定:04/08/28 00:59 ID:yCnJdBaS
>>92
聖ヨト暦15年 北方と南方をほぼ統一。聖ヨト王国が建国される。
聖ヨト暦17年 聖ヨト王の御世。

たしか、スピリットとエーテル技術を手に入れた年を聖ヨト元年にしたらすぃ。
だから、生まれたのは聖ヨト前20年ぐらいが妥当なのに・・・
94名無しさん@初回限定:04/08/28 01:01 ID:pqwmrNIJ
ん、でも誤植とかじゃなくて、何か意味があるのかもしれないな……
エトランジェで、養子になった、とかか?
95名無しさん@初回限定:04/08/28 01:06 ID:+Vsggudq
歴史的に考えると実際の指揮を執ったのは宰相や元老議会の大臣達だが
歴史学者達は王家の栄光を主張するためにそのように記したんじゃ無かろうか

>>29
【A】見た目ハリオン
【B】性格ネリー
【C】夜はエスペリア
【D】乳はハリオン

やっぱ決め手は乳。
96名無しさん@初回限定:04/08/28 01:11 ID:yCnJdBaS
>>94
むう。その可能性もアリかも。(苦しいが)
それか、側室の子でそれまで認知されてなかったのが、兄の死によって王子になったとか(かなり苦しい)
他にも、聖ヨトの親父が革命かなにかをおこして、国を建国。
んで親父が国王に、ついでにヨトが王子になったとか(無茶苦茶苦しい)
まあ、普通に解釈すればこの年に生まれた、と思うがな
97おにぎりの中身の人:04/08/28 09:24 ID:7IyHrOhY
>>29
【A】見た目ハリオン
【B】性格もハリオン
【C】夜までハリオン
【D】乳は正義!

・・・・あら、ハリオンだ
98名無しさん@初回限定:04/08/28 09:31 ID:8ZtQeX+k

 「き、今日の昼ご飯はまた個性的なメニューなんだな。」
 引きつった笑みを浮かべながら、悠人が思わず後ずさる。
 個性的というか何と言うか・・・そこには原材料が解らない物体が鎮座していた。
 「ん・・・自由研究。」
 「な、なるほど・・・これはアセリアが作ったのか、うん。」
 「・・・ユート、何故逃げる・・・?」
 (う;・・・思わず防衛本能が肉体を突き動かしていたか)
 「ユートは、私の料理は食べたくないのか・・・?(じっ・・・)」
 「そ、そんな事はないぞ、いやぁ楽しみだなぁ!!(わわわわ・・・;;)
 ――そして一刻後。
 何とか完食するも、幽体とか垂れ流しながら、生死の境を彷徨う悠人の姿が観測されたという。

 ユートの評
 『とても頑張り屋さんの君ですが、次からは保護者同伴で研究に取り組みましょう。』

 「・・・ではユート殿、夕餉は手前が・・・。」
99飛翔の人:04/08/28 09:33 ID:8ZtQeX+k
 皆さん感想ありがとうございます〜♪
 ・・・やっぱり番外編・・・というか時間軸のままのほうが良さげですね。
 それでは鋭意、執筆に取り掛かりたいと思います〜。

 ・・・と言いながら、>>80見て面白そうだ♪と小ネタ投稿してみたり^^;
100名無しさん@初回限定:04/08/28 19:16 ID:63wYm4nq
>>29
【A】外見は          __            | ::/
            ,,─'´ ̄:::::::``\__       | ::/      
          / ::::: _ -:::::::::::::::.... \ ̄`ー、、   .|:::/      /::
          / ::::::: ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::....  \ |/     /::::/
         ./ :::::::/:::::/::::/:::::::::::::::::::::::::::::::\::::: \    / :::/
        / :::::::/ :::::|::::|:|::::::|::::::::::::|::::::::::::::::\::::  \  ./ :://
        / ::::::/:ー、_|::::|:|::::::::ヽ::::::::::|:::::::::|:::::::::\:::: :: l、/ :::/::::::
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      ./ ::::::::|::::::::/,riヘ`|`、:::::|/,,、l::ll:::::::::|:::::::::::::|、:::: ||::/:::::::::
     / :::::::::::::|::::|::| .|.|::・|ヽ \|'´|:::::\| |:::|::::| ::::::: |:::::: | /:::::::: / 
     /:::::::::::::::: |:::|::| _レ,     | ・ ノ/ゝ||:::|.|::::::::: |:::::: /:::::/  
   /::::::::::::::::: /|:|:|:|  ´<    ヽヒ.ノ  ノ||//\:::::◯//     
  /:::::::::::::::::::/::::|:::| \__    ___/ > ノ /ノ /◯ /|       
 /::::/::::::: /:::::::::::/:\. \ ̄ ̄_../    ./´__..ノ::::::: ヽ |
 /: ::://::::::::::::::/::::::::::\ `ー"´    / |'´:::::::::::::::::::  ヽ
  /  /:::::::::::::: /:::::::::::::::::\___,-─ ´   |::::::::::::::::::::::::::  ヽ
   /:::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::: |     / \:::::::::::::::::::::::::  \
 /:::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::/ |   /    \:::::::::::::::::::::::::  \
【B】性癖は光陰
【C】夜は最近叩かれまくってる方の、たまき
【D】戦闘力はベジータ
101名無しさん@初回限定:04/08/28 19:18 ID:+Vsggudq
>>100
吹いちゃったじゃないか!
それにしても最近何処に出もいるなこいつw
102名無しさん@初回限定:04/08/28 19:39 ID:63wYm4nq
>>101
スマン、作品別とここ2日間のエルフは俺だ...orz
最近やった2作(EXPと下級生)が両方とも直前にやってた3daysにつながってるからなぁ...
103>80 ファーレーンの日記帳:04/08/28 20:06 ID:L3E3zzLH
コサトの月赤よっつの日
今日は少し気分を変えて別の色の物を着けてみました。
けれどもユートさまったらそれを見たにもかかわらずに普段どおりにお話されるだけ。
昨日も見ていたはずなのに違いに気付いていないようです。

コサトの月緑ひとつの日
今日もユートさまはお気づきになりませんでした。この所毎日会っているというのに。
とは言っても、こちらから見て欲しいと言えるものでも無いし……はぁ。
同じような暗めの色ではインパクトが薄いのでしょうか、ニムはすぐに気付いてくれたのに。

コサトの月緑いつつの日
ダメ、やっぱり紺や藍では全然違いに気がついてもらえません。
普段は黒いものしか着けないからなのでしょう。白とか、明るい色のもの……
もっと言えば、花柄なんかにしてしまったらすぐに気付いてもらえるかもしれません。

コサトの月黒ひとつの日
悩みに悩んで、目の前には花柄の布切れ。手にとるたびに手が震えてしまいます。
隣に並べた、愛用している黒いものとの対比がわたしの心を責めたてます。
あまりにも、イメージに合いません。いくら違いに気付かれたとしてもこれじゃあ恥ずかしすぎます。
明日もきっと衣服入れの中でこの花柄は眠っている事になるでしょう。

コサトの月黒ふたつの日
こんな気持ちになるなら気まぐれなんか起こさなければ良かったのでしょうか。
他のみんなに対する態度からして、ユートさまがこういう事に鈍いなんてわかりきっていたはずなのに。
いっそ、着けないで会ってみたら……だ、ダメダメダメ、絶対ダメッ!見せないために着けているのに、
そんな事をしたら、まともに顔もあわせられないじゃない。……ふぅ。


どうしたら気付いてもらえるでしょうか……私の、新しい覆面。
104名無しさん@初回限定:04/08/28 20:50 ID:8ZtQeX+k
>>103
面白い。こう言うの好きですね〜。
でもタイトルに>80って付いてるのは、これも自由研究物なのかしらん。
・・・彼女の事だから、こっちは提出しないで他のもう一つやるのかな。
105名無しさん@初回限定:04/08/28 21:23 ID:pi/U9ccq
>>103

萌へ……。
106名無しさん@初回限定:04/08/28 21:46 ID:oGMBrlk3
>>103
覆面かよ! と突っ込んでみる
107名無しさん@初回限定:04/08/28 21:59 ID:63wYm4nq
>>106
ベタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━ !!!!

>>104
レポートと間違えてうっかり提出
108名無しさん@初回限定:04/08/28 22:03 ID:8ZtQeX+k
>>107
それじゃ、うっかりファレ兵衛になってしまうではないですか。
109名無しさん@初回限定:04/08/28 22:08 ID:63wYm4nq
>>108
そこでこのAAの出番になるわけです



こんな時こそ

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
110名無しさん@初回限定:04/08/28 22:34 ID:+Vsggudq
提出したレポートの効力のみが残り、レポートはファーレーンの手元に戻った!

どんな効力だ…………
全属性-500%?
111名無しさん@初回限定:04/08/28 23:04 ID:63wYm4nq
>>110
だがファーレーンはそれで「日記なんて存在しない」の一点張りで回避できる(まぁ誤魔化すなんて器用な真似はできそうにないがなw)
112名無しさん@初回限定:04/08/28 23:08 ID:8ZtQeX+k
 長いなこのネタ。改めて103さんGJです♪
・・・では私は、しかしナナルゥが見ていて、さり気無く真相をバラすに一票。
113名無しさん@初回限定:04/08/28 23:25 ID:63wYm4nq
>>112      _____
         / ヽ____//
         /   /   /
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      /   /   /
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ん?これは...ナナルゥの提出物か」
悠人が机の上に置かれた封筒を開封すると、なんとそこには...!

              ヽ)/
            ∠´ ハ`ゝ
            彡//ノハハ〉
            ゞ(リ - ノ! ゚ ゚
            <´ii Yliン,
             U |.Tii<
              <_ノ_jイ_ゝ


       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /              /ヽ__//
     / ファーレーンの日記 /  /   /
     /              /  /   /
    /   ____     /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /
114名無しさん@初回限定:04/08/28 23:44 ID:t3rp4Q3s
一応報告。ネット上で初めてヘリオン分満載SS発見。
「アセリア ヘリオン 創作」でぐぐれ。
115ファーレーンの日記帳・完結編:04/08/29 00:01 ID:Wvu4Uqks
コサトの月黒よっつの日
どうしましょう……自由研究を言い渡された時から書いていた日記を間違えて提出してしまいました。
「戦い以外のことに繋がるなら何でもいい」とユートさまが言うので、
気の向くままに書き連ねただけで、そんなつもりは無かったのに。
ああ、この二週間くらいの日記の内容を思い出すだけで顔から火が出そうです。

コサトの月黒いつつの日
ユートさまの様子が少し妙だと思ったら、「見なかった事にするから、その、ゴメン」と、
申し訳無さそうに日記帳を返してくださいました。間違えて渡してしまったのは私の責任ですから、
と言いましたがやはり顔が赤くなるのは覆面越しでも誤魔化せなかったようです。
でも、一冊目の日記の新しいページに、たどたどしい字で
『初めは別のもののことかと思った。びっくりした。思いだした。藍のがよかった』
と書かれていたのを見つけたときよりは、顔の火照りもましでしょう。
明日からは、新しいものがお気に入りになりそうです。
そして、提出する物も決まりました。
――――――
コサトの月黒いつつの日
今日はお気を使わせて済みませんでした。ですが……「別のもの」とは何でしょうか。
いえ、それは置いておいて、お返事を読ませていただきましたけれど、
ユートさま、どうやらまだ聖ヨト語の書き取りは苦手のご様子。
ですから、私の研究はユートさまの筆記術の上達をお手伝いすることにしようと思います。
このテーマが認めていただけるのなら、明日にもう一度このノートにお返事を下さい。
不思議です、面と向かっているときには出ない言葉がこの形なら書けますから。それでは。

ソネスの月青ひとつの日
「別のもの」は置いておいて欲しい。確かに書き取りは苦手だ。助かる。
そうだな、こうやって、手紙みたいに書くと、じっくりと考えることが出来そうだ。
……今書いているこれを添削されるのか?
きっと、真っ赤になって帰ってきそうだけれど、お手柔らかに頼む。

「はい、それではその日の出来事などを書き込んでください。
私のものをご覧になったのですから、少しの間くらいは構いませんでしょう?……と。ふふっ」
116名無しさん@初回限定:04/08/29 00:03 ID:O0UfAvN+
>>114
まずはGJ!
しかとお気に入りに登録して来ました。
後でゆっくりと読ませて頂きましょう・・・・^^
117名無しさん@初回限定:04/08/29 00:11 ID:O0UfAvN+
>>115
 おお、書き込んでいる間に完結編が!
 日記調いいなぁ・・・あしながおじさん読んだ頃から変わらず好きだ・・・。
いや勿論、115氏のセンスと着想があればこそ、それが上手く行ってる訳ですが。
 そうだよなぁ、ファーレーンって面と向かってアタックよりも、ラブレターとか
交換日記ってイメージかも。
・・・まぁ、悠人と対面して慌てて失敗する彼女も○ですけど〜。
 何となく、続きが気になる終わり方で色々と想像させますね。
 私もこういう、短くても心に残る話を書きたいなぁ。
 最後になりますが、115氏GJでした♪
118名無しさん@初回限定:04/08/29 00:11 ID:o6DJsMu/
>>115
交換日記キタ――――まずは慎ましく清く正しく節度在るおつきあいを。妹非公認。
>>116
アセリアSS自体は結構あるんだけどね。なかなか雑魚スピをメインに据えてくれないの。

119名無しさん@初回限定:04/08/29 00:39 ID:dFshZ9gT
>>115 交換日記グッジョーブ!!コレからが楽しみですな!

>>114
冒頭よみました、イイ感じですよ。
後でじっくり読みます。
しかし、みんなヘリオンのイメージは「ちっちゃくて、小柄」なんですね。
EXPの立ち絵を見て、多少戸惑いを感じているんですけど。
120名無しさん@初回限定:04/08/29 00:44 ID:jqa9ao0T
大丈夫、長身でマッチョではないだろうから………

でもヒミk(ry
121名無しさん@初回限定:04/08/29 00:48 ID:O0UfAvN+
>>119
 EXPは画像版のネタバレ部分しか判らないけど、立ち絵見るにちっちゃくも無いのでしょうか?
・・・というのはまぁ、ネタバレになるので回答等は作品別版などに^^;
 
 ヘリオンのイメージは戦闘時の台詞が大部分だと思いますね〜。
「ちっちゃいけど速さでは負けない」とか、バニシングハイロゥで「余計に小さく見えるかも・・。」とか。
それにほら、あずまんが風に言うと(?)
 「ヘリオンがおっきかったらそらヘリオンやない、ヘリや!」・・・って事で。
122名無しさん@初回限定:04/08/29 00:55 ID:O0UfAvN+
 ・・・み、みんな、急いで保管庫をチェックするんだ!
123遅れに遅れて後書き:04/08/29 00:57 ID:Wvu4Uqks
アンカーがついていたのは、>80さんのネタ振りがこれを思い浮かべたきっかけだからでした。
自由研究は提出するものである、という前提を私がすっぽかしてしまっただけです。
>115の一番上の記述が>80にした理由、というか言い訳というか……
的外れになってしまったアンカーが新たなネタを呼び込んで、
完結編を思いつくきっかけになっていました。
お読みしてくださった方、反応してくださった方、ありがとうございました。

>114さん
早速、探しに行ってみます。情報ありがとうございます。
124保管庫の人:04/08/29 01:01 ID:AU6K+Xs1
>>122
投稿終了後に信頼の人氏直々にこちらに呼び込みに来る手はずですので、
しばしお待ち下さいまし。
125名無しさん@初回限定:04/08/29 01:15 ID:0PBIGOsF
>>123
いやはや、私が、
 そろそろ夏も終わるなぁ…→夏の終わりと言えば宿題(w→ネリー…
と単純な発想で振ったところからここまでのものが…GJです!

やっぱこのスレの住人の想像力サイコーだわ〜。感服。
126名無しさん@初回限定:04/08/29 02:02 ID:O0UfAvN+
・・・とある事情によりうずうずしてる人(1/20)
まあ、それはとりあえず置いておいて。

何故雑魚スピに個別ENDがないんだ〜〜〜〜〜!!!

                                             ナナルゥ「雑魚だから(ボソッ)」
127代償 Lemma−1:04/08/29 02:15 ID:Xl+CGly8
止んだばかりの雨がたっぷりの水分を森中の緑に与えていた。
思い出した様に鳥が鳴いている。聞き覚えの無い鳴き声。ふと思い出す。そもそもここに鳥などという生物はいただろうか。
普段は考えもしない疑問が頭をよぎる。しかしその問いもすぐ闇の中に沈んだ。
森の時間は確実に雨宿りから抜け出して動き出しつつある。
コツ。コツ。コツ。
コツ。コツ。コツ。
足音がすぐ近くから響く。少し煩わしかった。軽く舌打ちする。
拍子に前髪から雫が零れた。雨に濡れた地面は音も無くそれを吸い込んでいった。
握る神剣から滴る鮮やかな赤は地面に落ちる前に金色になって消えていく。

コツ。コツ。コツ。
コツ。コツ…………

「…………?」ギュッ
不意に止まった足音。振り返るのと上着の裾を掴まれるのが同時だった。
「どうした……?」
「………………」ギュッ
問い掛けに答えが返ってこない。その代わり裾を掴む力が強くなる。
悠人は気付かれない様に軽く溜息をついた。
「どうした、━━━?」
苦手なりに出来るだけ優しく言ってみる。名前を呼ばれて少女がピクッと震えた。
恐る恐るといった感じで顔を上げる。雨に濡れた前髪が額に軽く張り付いている。
「……怒ってない……?」
「そんなことは無いぞ。すごく怒ってる。今回みたいなのはこれで最後にしてもらいたい。
 ……ま、うまく生き残れたし、今はそれより腹が減ったかな。何か作ってくれたらそれで許す。」
なにか忘れかけている感情が浮上してくるのを感じる。心の中に広がる波紋のような気配をやや不快に感じてしまう。
悠人は面倒臭くなり、慇懃に答えてそっぽをむく。背中でちょっとビックリした気配。そして。

「う、うん!わかった!」

嬉しそうな返事を、もう一度舌打ちしながら聞いていた。
128代償 T−1:04/08/29 02:17 ID:Xl+CGly8
「スマン、もう一度言ってくれ、ネリー。えっと……?」
「だーかーらー、シアーは、まだ敵スピリットをやっつけたことなんてないんだってばーー!」
ぷんぷんと擬音が聞こえて来そうな大声でネリーが繰り返す。
体全体でセリフを表現しようとピョンピョン跳ねながら話すので、トレードマークのポニーテールは揺れっぱなしだ。
「もー。だからシアーにおふぇんすは無理なの、分かったー?ユート!」
「あー……、でも今までだってシアーは実戦に入ってたんだろ?これまではどうしてたんだ?」
「ユートってばばかだなー。もっちろんネリーがおふぇんすでシアーがさぽーとだよー。
 ネリーはおねえちゃんなんだからシアーを守るのがあったりまえーーー!えへへっ☆」
「えへへっ☆、じゃないだろ……じゃあこの状況を一体どうすりゃいいんだ…………」
言って、悠人は頭を抱えた。

129信頼の人:04/08/29 02:20 ID:Xl+CGly8
以前スレで話題になった「保管庫に直接投稿→リンク」を行ってみました。
スレの伸びを楽しみにしていらっしゃる方が多いとの事で以前は却下になったものですが、
今は職人さんも以前と比べ物にならない位充実していると思われるので、
保管庫の中の人とも相談した結果、このような投稿方式を取らせて頂きました。
一つには、このSSが本スレに投稿するには長すぎる(89k)というのと、
個人的には分割するとかなり判りづらいものに仕上がった、というのがあります。

作品は、ネリシアものです。時期はサルドバルト攻略辺りです。

そんな訳で、「さわり」の部分だけこちらで投稿し、リンクを貼らせて頂きますが、
興味がないと判断された場合、遠慮なくスルーお願いします。

この「実験」に快く協力して頂いた保管庫の中の人さんに心から感謝致します。

続きはコチラからです↓

http://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/game/13463/1093708012/
130名無しさん@初回限定:04/08/29 02:32 ID:O0UfAvN+
・・・ふふり、待った甲斐があったと言うものです。
 信頼の人さま、お疲れ様でした〜〜〜♪
>>122、124の遣り取りの通り、少し先走ってしまいましたが・・・orz
IDと向こうとこっちの書き込みを見ていれば解るでしょうが、「飛翔」を
書いてるお天気野郎です。
・・・へま(?)やって名無しでいるのもあれなので白状をば;;

 形式上ネタバレが発生するので詳しい感想を述べられないのが残念ですが、
リアルタイムで拝読させて頂きました^^

 いやぁ、読み応え充分、ネリシアファンは勿論、そうでない皆様も必ず見ないと
損をする事間違いなしですよ。
 特に途中、「え、え、こうなっちゃうの!?」と驚かされる所もあり、
演出の仕方も巧く、高い完成度に唸らされました。

 それでは最後に、高らかに、「GJ!!!!♪」
131保管庫の人:04/08/29 02:33 ID:AU6K+Xs1
>>129
改めて乙彼様&GJです。

さて、「代償」への感想は、誘導先のスレにスレストをかけてありますので、
従来通りこちらの方へお願いします>住人諸氏
132名無しさん@初回限定:04/08/29 02:39 ID:O0UfAvN+
>>130
 あ、あ・・・ネタバレ云々ってのはまだ投下されたばっかだから、
私が今ここで言うのは止めておきますって事ですからね〜〜。
 今読み直してみたら、他の人が書き込みにくいような事言ってたかも;;
 だからこれから読まれた方は、どんどんバシバシ感想をば〜〜〜。
133名無しさん@初回限定:04/08/29 02:55 ID:Wvu4Uqks
>信頼の人さん
大作、お疲れ様でした。以前から楽しみにしていたこともあり、一気に読みふけってしまいました。
ネリーとシアーか、シアーとネリーか、と点呼中にふと出ていた発言を思い出してしまい、
ネリシアものに対する考えを改める機会になったように思いました。
>130さんの言葉をお借りしますが、本当に驚きの連続で、
途中で読む手が止まることがありませんでした。
改めて、GJでした。
134名無しさん@初回限定:04/08/29 03:34 ID:+JUWxcNh
ううっ!
シアーなんていらない発言したのは漏れです。

でも、>>129読んで考えが変わりました。
やっぱり、シアーあってのネリー、ネリーあってのシアーなんだなって。

信頼の人さん、GJです。ありがとうございました。
135寸劇の人:04/08/29 04:22 ID:0PBIGOsF
>信頼の人氏
いろんな意味でキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
作品読む前にこっち見てしまう人もいるかもしれないから
具体的に言ってしまうのもアレなんで、「いろんな意味で」の一言に想いを託させて頂きます。
きっと汲んでくれるものと信頼しております、えぇ。

で、未読な人が見ても障りない分の感想をば。
元々、読み手をぐいぐい引き込んで行く文章は氏の持ち味とするところですが、
インターリーブとでも言いますか、構成がさらに読み手を煽ります。
さらに、物語の緊張の高まりと共にその構成も動いて行き…手に汗握ります。
圧倒的な力で読者を物語へ吸引する氏の真骨頂!
もちろん、物語の中身も素晴らしいですよ。でも、それは読んでのお楽しみ。
さぁ、今すぐ >>129 のリンクへ Go !
信頼の人氏は正しくあなたの信頼に値することを改めて発見することでしょう。

と、感想 兼 未読な方への解説めいたことを書き終えて再び信頼の人氏宛てに戻って。
as 連絡スレ:52
さっくりコピペしちゃえば良かったですね、どうせ前スレ755は私なんだし。
間に合うようにと急いでて思いつきませんでしたが。sage寸する余裕もない程に(w
間に合って解決したことを祈ります。
136名無しさん@初回限定:04/08/29 05:49 ID:7AA35/yD
こんな時間にきてみて良かったー!!
信頼の人様、G.J.!!
137憂鬱の人:04/08/29 07:32 ID:zTTwoaFk
信頼様、GJでした。ネタバレしない程度に感想を。

おこがましい言い方ですが似た様なことを考える人がいるので
嬉しくなってしまいました。
神剣の名前ってネガティブなものが多いのは何でかなー、と。
私もネリシアの神剣名が一番分かりやすいと思います。
でも、「月光」とか「大樹」あたりはいまだに謎ですが。

あと、呑まれかける悠人の描写も良いですね。
グジグジ言い訳しながら戦うより、こっちの方が
はるかに好感が持てます。
神剣からの脱出は私もテーマにしてる部分なので
ちょっと違った方法を描いてみたいと思ってます。

なんだか偉そうな事書いちゃってすみません。
余りにも「共鳴」しちゃったもんですから。なんちて。
138信頼の人:04/08/29 16:35 ID:x7l0wGti
皆さん感想有難うございます。
今更ながらこの形式だとネタバレ制限発生する事にいまさら気付いた訳ですがorz
とりあえずこの方法を取ってみて気付いた事を。
まず、様々な投稿規制が緩いのがこんなに楽な事だとは。
当然ながら書いてる時はbbspinkを意識して文章を詰めたり改編したりするのですが、
それが要らない=表現を多く採れるという事を実感しました。
(実際保管庫に投稿した時は問題なかったLemma−1がこちらで改行に引っかかり、
 T−1は文字制限に引っかかりと多少動揺しました)
連投規制が無いのも投稿のストレスをかなり無くしてくれます。
あと利点としてやはりスレの消費が少ない&保管庫の人さんの負担が軽くなる、というのは言うまでもありません。
問題点ですが、>>84で寸劇の人さんも仰られていますが、
やはりSS→感想のループはスレの活性化には繋がらないと思います。
直接投稿されていればネタバレ制限など無いのでSSに触発された小ネタも発生し易い。
その点が損なわれるのはスレにとってマイナスかもしれません。

>>飛翔の人さん

保管庫に投稿を終えて来て見たら>>122が。で、人が居なくなるのを待っていたら>>126が。
もう、本当に嬉しかったです。本当は夜明け近くに投稿する予定だったのですが、
嬉しくて思わず「さわり」を投稿してしまいました。
向こうに書き込みがありましたのでリアルタイムで読んで頂けたのは知っていたのですが、
>>130で煽り文?まで頂けて、もったいないことこの上ないです。
>明日への飛翔・第9幕
 一度感想を書き込もうとも思ったのですが、どうせなら「信頼」としてと思い、こちらで失礼します。
 番外編が「番外」ではなく「布石」だったとは……瞬をここまでかっこよくしてしまったのは
 凄いと思います。あまり今まで深く考えた事無かったのですが、物語の中でも重要な要素だったんですね
 と改めて実感しました。ラストスパート頑張ってください!
139信頼の人:04/08/29 16:36 ID:x7l0wGti
>>保管庫の中の人さん

今回は本当にお世話になりました。改めて感謝いたします。
これがSSの投稿方式に一つの方向を示せる事が出来てたら幸いです。

>>133さん

長いSSを最後まで読んでいただいて有難うございます。
作中ではネリーとシアーを一対で考えないように出来るだけ考えつつ個性を出そうとしました。
うまくいったかどうかよく判りませんが、彼女達について2ヶ月程考えていたような気がします。
「双子の妹のような女の娘」というのは実際遭遇した事ないのでw
という訳で133さんのネリシアもの、楽しみに待たせて頂きますw

>>134さん

いえ、お礼を言わなくてはいけないのはこちらの方です。長いSSに付き合って頂いて有難うございました。
>シアーあってのネリー、ネリーあってのシアー
 私の妄想wではそうなっていますが、あとがきの通り、「Good End」の後○○が自立する、というのも
 ありかなと思ってますので人それぞれかと。……うう、ネタバレ規制あるとレスが難しい自爆な罠orz

140信頼の人:04/08/29 16:38 ID:x7l0wGti
>>寸劇の人さん

まるで映画の予告編のような煽り文?有難うございます!インターリーブとはまた凄い例えですね……
あと褒めすぎですw 照れ悶えてしまうではないですかw
「いろいろな意味で」キテ頂けたようで、書き手としては嬉しい限りです。
あと、連絡スレでのご助言、有難うございました。おかげさまで間に合いました。
でも「Lemma−1」だけタイトル欄間違えて投稿してしまったのは内緒ですw
構成についてですが、所謂「マルチサイトシステム」を真似して見ました。
主観がコロコロ変わるので上手く伝わっているか不安なのですが(特に『静寂』の特性とか)、
その点読み手に過剰に期待しているのはまだまだな証拠です。
>この樹の懐で
 前スレで書き込むタイミングを失ってしまったのでここまで感想書くの待ってました。
 せっかくなので「信頼」として書き込みたかったので。
 まず、拝読させて頂いて、「何か」、私なりに伝わりましたw
 具体的には「ヘリオンって実はかなり甘えん坊なんじゃないか」とか。
 悠人を離そうとしないヘリオンは「弟離れしていない姉」という感じがしました。
 実は今『赤光』『大樹』『消沈』について妄想を膨らませている最中なのですが、
 寸劇の人さんの作品はその度に私の妄想にいい意味で修正を迫りますw

>>136さん

「こんな時間」に読んで頂いて、お疲れ様です&有難うございます。
あえて人が居なさそうな時間帯を選んでみたのですが、レスを頂けて嬉しいです。
141信頼の人:04/08/29 16:39 ID:x7l0wGti
>>憂鬱の人さん

感想有難うございます。
実は『静寂』『孤独』の名称とネリー、シアーとのギャップがこのSSを書くきっかけだったりします。
(他にもシアーが意外と今だスレで『未開発地域』だった、というのもありますがw)
そんな訳で同じような考えを持っておられる方は結構いらっしゃるかも。
悠人は結果的に色々なモノに助けられるのでどうかなとも思いましたが
神剣からの開放というのは並大抵の苦痛ではないと言い聞かせつつああ書きました。
という訳で憂鬱の人さんが書かれる違った方法を楽しみにしていますw


>>というか皆さん

土曜の夜中にこんな長いSSにお付き合い頂いて有難うございました。
新しい投稿方式でもあり緊張もしましたが、温かく迎えて頂いて本当に嬉しいです。
これからも宜しくお願い致します。
142憂鬱の人:04/08/29 16:56 ID:71xb9Uxu
>>140
ヘリオンマジックが?
143名無しさん@初回限定:04/08/29 17:07 ID:jLk8f8Gz
>>142
ageワロタ、と
144142:04/08/29 17:23 ID:71xb9Uxu
お恥ずかしい...
145名無しさん@初回限定:04/08/29 17:45 ID:9DjhYvtx
スマソ、とある部分で大笑いしてしまった

『ハクゥテだと思って包囲したら、ドラゴンだった』

ドラゴンと料理を間違えるなんて、なんてお茶目な
(脳内で「ユーカリ、しまった」のボイスが鳴り響きました)

146名無しさん@初回限定:04/08/29 17:55 ID:jLk8f8Gz
>>144
ゴメン、最初はハゲだったんだが...つい...

>>145
読んでる最中に見つけるのは正直すごいと思った
何の違和感もなく読んでたよ俺は
147名無しさん@初回限定:04/08/29 22:15 ID:WTSkS6Iw
>80
悠人がふらりと第二詰所にみんなの自由研究の進み具合を見に来たところ、
居間でヘリオンと鉢合わせした。ぱっと顔を輝かせてお茶に誘うヘリオンの言う事を聞いてみると。
「ハイペリアの言葉を教えてくれ? そっか、ヘリオンはそれがテーマなんだな」
「ええ、『さんきゅ』がウレーシェの意味なんですよね。
あと、キョーコさまの『つっこみ』って言うのが、あの『はりせん』っていう武器と雷で同時に攻撃をかけること」
「いや、あれは『つっこみ』とはちょっと違うと思う。まぁそれは置いといて。
分かった、俺にエスペリアみたいな先生役が勤まるかどうかわからないけど、一緒に頑張ろう。
あれ、でも今日子や光陰からも教えてもらえるんじゃないか」
そう悠人が疑問を口にすると、ヘリオンは視線を二階に向けて眉を寄せた。
「それが、コウインさまにお話を伺っていたら、
キョーコさまが『つっこみ』を入れられて今はお取り込み中です」
「光陰から、どんな話を聞いてたんだ……」
「えっと、朝のあいさつが『おはよーくしゃーてりあー』、お昼のあいさつが『こんにちわわー』
夜のあいさつが『こんばんわんこー』……でした。それで、お迎えのあいさつが、
『おふろにする?ごはんにする?それとも……』というところでキョーコさまが飛んできたんです」
続きは何と言えばいいんでしょうか、と続けるヘリオンの言葉に悠人は大きく溜め息をついて、
「でたらめだから全部忘れていいぞ、ヘリオン」
と言い切り、彼女の顔を困惑に染めた。
148名無しさん@初回限定:04/08/29 22:16 ID:WTSkS6Iw
悠人の取った教授法は、かつてエスペリアに受けた授業を思い出して、
基本的な単語を中心に教え、文章へと直していくというもの。
「『私の名前は悠人です』」
「えっと、『ゆーと』が名前の所ですから『わたしのなまえはへりおんです』?」
自分が教えられたことをもう一度やり直してみると、改めてその方法が優れていたことがわかる。
さらにヘリオンにしても、生徒として非常に優秀で、悠人とは比べ物にならなかった。
そして、一回目の授業も終盤に入って。
「そうそう。何だ、めちゃくちゃ飲み込みがいいじゃないか。
なら、これはどうかな。『私はピーマンが嫌いです』」
「『ぴーまん』……リクェムのことですね、きっと。『きらい』はスユテ、ですから……
『わたしは』……あ、あのぅ、嫌いな食べ物が無いんですけどどうしましょうか」
「偉いなぁ嫌いな食べ物が無いなんて。そうだなぁ……」
首をかしげて尋ねるヘリオンに対して、悠人は目を閉じて考えてみる。
一つ頷くと手を打って口を開いた。
「じゃ、逆の意味にしてみるか。『私はモンブランが好きです』」
それを耳にして、ピクリとヘリオンの動きが止まる。
脳裏に浮かんだ回答に、血が頭に上っていってしまう。
「……『すき』、が『きらい』の逆の意味、ですか?」
「あ、ああ、そうだけど。まあ、物の名前はヨト語のままでいいから、何か文章を作って言ってくれ」
「『わたしは』……」
口をパクパクさせながら言葉を探す。
「……ヘリオン?」
「え、あ、えと……ヨフアル『がすきです』!」
そう言ったあと、深呼吸をするように息をついているのを見かねて、悠人が声をかけた。
「うん、よく出来ました、一日目でこれだけ出来たら上等だよ。
今日のところはこれくらいにしようか、何か疲れたみたいだし」
「は、はいっ、ありがとうございましたっ!」
ぺこりと頭を下げてとたとたとヘリオンは自分の部屋へと戻って行った。

……本日の授業の復習に用いた例文はいわずもがな。
149名無しさん@初回限定:04/08/29 22:27 ID:zWWEdKjN
幼妻ヘリオンが思い浮かんでしまったんは何故だろう…

飛翔の人さんも楽しみだが、
「縁音の新妻だいありー」も所望しますw
150名無しさん@初回限定:04/08/29 22:30 ID:FMoyDnnp
>>147-148氏 GJ♪
こ、光陰ったら一体何を教えてるんだか・・・。
口をパクパクさせて、目の前の相手以外の「好きなもの」を一生懸命考えてるヘリオンに萌え。
151まえがき:04/08/29 22:37 ID:FMoyDnnp
>>149さんご期待ありがとです〜。
と、いうわけで、前回予告した番外編をお届けしようと思います。
いつも物書いてる時に人が近づいて来たりすると、びくびくするタチなのですが・・・。
書いててこれほど恥ずかしくて身悶えしたのも初めてだ〜〜;;
・・・「道行」書きさん凄すぎますです・・・orz
と、とりあえず飛翔の人初のえちシーンでもある「明日への飛翔・番外編」をどぞ!
152名無しさん@初回限定:04/08/29 22:38 ID:zWWEdKjN
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
153明日への飛翔・番外編1/14:04/08/29 22:39 ID:FMoyDnnp

 ――ヘリオンは生きていた。
 時深の秘術を破り記憶を取り戻した悠人は、闇に眠るラキオスの街を駆け抜け、遂に再会を果たした。
 瞬の<世界>から悠人達を庇い、神剣に呑まれる寸前まで力を引き出したヘリオンは、その後治療の
為にヨーティアの研究所で静養していたのだ。
 献身的な看病を続けていたイオは、悠人に事の真相と、驚愕の事実を告げる。
 そして悠人は、悩みながらも皆や二つの世界、そして何よりも愛する少女を守る為に、エターナルと
なる事を決意したのだったが・・・。 

 イオが退室して二人きりになった後、硬直した悠人を心配してヘリオンが呼びかける。 
 「・・・えっと、ユートさま・・・まずは、お掛けになってはいかがですか?」
 「え!?・・・・あ、ああ、そうだな・・・。」
 「ユートさまったら、立ったままピクリとも動かないんですもの・・・私びっくりしちゃいました。
でもさっき、イオさまは何て言ってらしたんですか?」
 「そ、それは・・・。」
 答えに詰まる悠人に、イオの囁きが蘇る。

 『・・・ヘリオン様は怪我人なのですから、無茶は為さらず優しくして差し上げて下さいね・・・それと
できるだけ、包帯は外さないように御願いします。では、後はお二人でどうぞ・・・。』

 (・・・あ、あれはつまり、そういう意味だよな・・・。)
 緊張し、体温が上昇するのを自覚しながら、悠人は考える。
 イオの言葉とは別に、確かに機会は、今夜しかない。
 いくら奥手の悠人でも、健全な若者である以上、愛する少女と結ばれたいと願うのは当然だった。
 そして自分がエターナルとなれば、ヘリオンとこうして語り合う事は二度と叶わないかも知れないのだ。
154明日への飛翔・番外編2/14:04/08/29 22:40 ID:FMoyDnnp

 「・・・ユートさま?」
 想い人の気持ちを知ってか知らずか、ヘリオンが上目遣いに呼びかける。
 幾分やつれてはいたが、痛々しい程では無く、それが却って色香を醸し出していた。
 簡素な装飾の薄萌黄色の寝巻きは、普段着とはまた違う愛らしさを感じさせる。
 熱く昂ぶる悠人には、袖から覗く白い包帯さえも、ヘリオンの魅力を彩るものに見えたのだった。

 「隣に・・・座ってもいいかな?」
 「あ・・・はい、勿論・・・。」
 ベッドに腰掛けると、ふわりと舞った甘い香りが悠人を包んだ。
 「いい匂いだな・・・。」
 「え?」
 「あ、いや、なんか優しくて、心地よい香りがするって。」
 「そ、そうですか・・・良かった、ユートさまがいらっしゃったのが体を拭いた後で・・・。」
 「ん?・・・そうだよな、まだお風呂にゆっくり浸かったりは出来ないよな。」
 「我慢すれば入れるんですけどね。イオさまがどうしてもダメだって言うので。」
 「・・・もしかして、いつもイオが体を拭いてくれるのか?」
 「そうですね、背中とかは自分じゃ大変ですし・・・。」
 ヘリオンは言いながら、悠人にこんな話をしてしまった事に気付き上気した。
 悠人はと言えば、やはりその光景を想像してしまい紅くなっていたのだが、
それと同時に、イオに対する嫉妬のような物も沸き起こっていた。
 楽しげに、それはもう念入りにヘリオンの世話を焼こうとするイオの姿が浮かんで来る。

 (あの女、やはりそのケがあるんじゃ・・・。)
155明日への飛翔・番外編3/14:04/08/29 22:42 ID:FMoyDnnp

 「まさかヘリオン、その時ヘンな事されてたりしないよな・・・。」
 「へ、変な事って?」
 「あ、いや、気にしないでくれ・・・俺の方こそ変な事を聞いて悪かった。」
 「そ、そうですか・・・。」
 思わず口をついて出た台詞に、狼狽して取り消す悠人。
 だが一度意識してしまうと、なかなか妄想を取り払う事が出来ないものだ。
 そうしていると、ヘリオンが思い出すように、感慨深げに呟いた。
 「私・・・こうしてまた、ユートさまにお逢いできるなんて・・・・思っていませんでした。」
 「・・・え?」
 「ただユートさまとの思い出を、この胸に抱いて・・・そうして生きて行こうと思ってましたから・・・。
・・あ、あの・・・またさっきみたいに、抱きしめて貰っても良いですか?」
 「ああ、勿論だ・・・。」
 そうして悠人は、そうしなければすぐに壊れてしまう、宝物のように。
 ヘリオンを包み込むと、優しく抱きしめた。

 (ヘリオンって、こんなにちっちゃかったんだな。)

 見た目よりも、ずっと華奢で、儚げな少女。
 この小さな身体で、剣を振るい、あの戦場を翔けて来たと言うのか・・・。
 「・・ユートさま・・・・もっと、強くしても大丈夫です・・もっと、私に・・・感じさせて下さい。」
 ぎゅっと力を篭めて、互いにその愛しさを忘れないように、温もりを逃さないように抱き合う。 

 ・・・いつしか二人は見つめ合い、どちらからとも無く唇を重ね合った。
156明日への飛翔・番外編4/14:04/08/29 22:43 ID:FMoyDnnp
 「ん・・・・。」
 最初はぎこちなく、想いを確かめるように。   
 軽く口付けを交わしながら、背に腕を回し、抱きしめていた二人だったが。
 悠人が舌を分け入れると、ヘリオンは戸惑いながらも、それに応える。
 「ん・・んぅ・・ぁぁ・・・ちゅる、ぴちゅちゅ・・・。」
 本能の求めるままに、舌を絡め、口腔を愛撫し、唾液を交換して、飲み下す。
 それが媚薬の様に二人の快感を高め、脳髄を痺れさせた。
 「・・・っはぁ・・・ん・・・ちゅ・・ぴちゃ・・ちゅる・・・。」
 舌を甘噛みし、唇を吸い、また舌を絡ませ・・・。

 それだけで夢中になってしまい掛けた悠人は、息をつくと、そっと体を離した。
 「ぷはっ・・・・・・え、あれ・・?」
 のぼせたようにぼぅっとするヘリオンに向かって、悠人は囁く。
 「その、なんだ・・・あんまり良くて、何も考えられなくなる前に、言っておきたくてな。」
 「はい・・・?」
 「俺はヘリオンが好きだ・・・例えエターナルとなっても、二人の繋がりが消えてしまっても。
・・・この先何があろうとも、俺はお前だけを、愛している・・・。」
 何の飾りも無い、真摯な告白・・・そしてその真剣な表情に、ヘリオンも顔を引き締める。
 「ユートさま・・・私もそうです・・私も貴方を・・・いつまでも、貴方だけを愛しています。」 
 「ヘリオン・・・。」
 「だ、だから・・・だから私を、覚えていて下さい!・・・この体を、私の想いを・・・そして
私にも、ユートさまの温もりを、感じさせてください・・・!!」
157名無しさん@初回限定:04/08/29 22:44 ID:zWWEdKjN

158明日への飛翔・番外編5/14:04/08/29 22:45 ID:FMoyDnnp
 「そ、それって、つまり・・・最後までするって・・・事だよな?」
 この期に及んでわざわざ確認する悠人に、ただでさえ紅潮していた顔を更に赤くして、ヘリオンが叫ぶ。
 「わ、私だって、愛する二人が何をするかくらい解ります!!」
 「ご、ごめん・・・俺って奴は・・・。」
 「いえ、その・・・・・知ったのは、ちょっと前の事なんですけどね。」
 大声を出したのが恥ずかしかったのか、もじもじするヘリオン。
 「そ、それじゃ・・・私も脱ぎますから、ユートさまも・・・。」
 「あ、ああ。」
 そうしてヘリオンは、寝巻きを脱ぎ去り、傍らに畳んで行く。 
 「・・・そ、そんな風に見つめられてたら、恥ずかしいです・・・。」
 その様子から目が離せず、凝視していた悠人の視線に顔を赤くする。
 「う・・・ご、ごめん、つい・・・。」
 「もうっ・・・ユートさまの、えっち・・。」
 最後の一枚を取り去ると、ヘリオンはゆっくりと振り向き、裸身を晒した。

 「綺麗だ・・・。」
 「・・・嬉しい・・です・・・本当はもっと綺麗な身体を、見て頂きたかったけれど・・・。」
 ヘリオンの腕や足には包帯が巻かれており、まだ癒えぬ傷があの激戦を思い起こさせた。  
 そして慎ましやかな膨らみも、今は厚い布に覆われて、苦しげにしていた。
 ・・・しかし、それでも悠人の目には。
 ほんのりと肌を紅く染めた少女の姿は、何よりも美しいものとして映ったのだった。
159明日への飛翔・番外編6/14:04/08/29 22:46 ID:FMoyDnnp

 「本当に綺麗だよ・・・今のヘリオンは、誰よりも魅力的だと思う。」
 「そ、そんな・・・ん・・・。」
 恥らう口を塞ぎ、再び征服する悠人。
 「ふぁ・・・ぁん・・んぅ・・・・!」
 そしてそのまま、ヘリオンの身体を横たわらせて、舌を絡ませる。
 (胸は包帯で覆われてるからな・・・。)

 ちゅるるっ・・・!
 悠人は最後に強く唾液を啜ると、陶然とするヘリオンの足を静かに開かせ、顔を埋める。
 未だ浸入を許した事の無いその花弁は、じわりと愛液を滲み出してはいたが固く閉じられたままだった。

 「え、そ・・・そんな!?」
 そっと悠人が口付ける刺激に、やっと自分の状態に気付き身悶えするヘリオン。
 「だ、だめです、そんなとこ・・ユートさま・・・・ひぁ!?」
 舌先が秘芯に触れたその瞬間、電流のような刺激にビクリと反応する。
 堪え切れずに腰を浮かそうとするヘリオンの太腿を押さえながら。
 悠人は一度舌を離すと、今度はその周りにそってぴちゃぴちゃと舐め上げ、花弁をなぞり、不意をついて
突然、しかし幾分優しく突起を責め上げる。
 「んぅう!!・・・や・・いや、いやぁ・・・・・ふぇぇえん、ユートさまの・・いじわる・・・。」
 ・・・つつつ・・・ぺろぺろ・・・・・・ピタッ・・・ぴちゃっ・・ちゅ・ちゅちゅっ・・・。
 親指で腹を押し上げ、舌先で皮を剥き、唇で摘まむ。
 なぞるように舐めると、腿に舌を這わせ、再び戻し、入り口に舌を分け入れる。

 「・・・ふぁ・・あ、ああ・・だ、ダメ、わたし、なんか、お、おかしく・・・・あぁあああ!!?」
160明日への飛翔・番外編7/14:04/08/29 22:47 ID:FMoyDnnp
 ・・・そうして悠人は、ヘリオンが気をやり、充分にそこを湿らせるまで、飽く事無く責め続けた。
 悠人は自らを欲望のままに衝き動かすよりも、先ずこの少女を愛してやりたいと願ったからだ。
 それはこの世界に来てすぐに、名も無きスピリットにマナを奪われた時以外では、これがほとんど初めて
の経験と言って良い悠人にとって、驚くべき自制であったと言えよう。
 しかし、ただでさえ小柄なヘリオンが、その身を傷だらけにして自分を守ってくれたのだと思うと、これ
以上彼女を痛めつけるのは酷く無体な事だと思えたのだ。
 だから二人がその瞬間を迎える時も、悠人は出来るだけ、ヘリオンに優しくしようと努め続けた。

 「・・・そ、それじゃぁ・・・いくぜ。」
 ヘリオンの甘やかな声に猛り切ったそれをあて、悠人がその時を告げる。
 「はぁ・・はぁ・・・・は、はい・・・ユートさま、来て・・下さい・・・!」
 ――ぬりゅぅ。
 長い時間をかけて、唾液と愛液に塗れほぐされたそこは、柔らかに悠人自身を包み込んだ。
 ゆっくりと挿入されたそれは、やがて純潔の証に突き当たり、それを散らさんと抉じ開けていく。
 「くっ・・けっこうキツイな・・・・・ヘリオン、大丈夫か?」
 「だい、じょうぶ・・です・・・少し痛いけど、それよりも幸せの方が大きいですから・・・。」
 破瓜の痛みに耐えながら、ヘリオンが微笑む。
 そしてみちみち、と音を立てながら、とうとう根元まで埋まったそれを、柔壁が締め付ける。
 「な、なんだか、変な気分です・・・・痛いような、熱いような・・でも、嬉しくて、幸せで・・・。」
 「ああ、俺も胸がいっぱいだよ・・・それじゃ少しずつ、動くぞ・・?」
 「は、はい・・・。」
 時には止めて、口付けし、指を絡め、頬を撫でながら、悠人は抽送を続けていく。
 しかしヘリオンは、口には出さないながらも、激しい痛みに耐えているようだった。
161明日への飛翔・番外編8/14:04/08/29 22:48 ID:FMoyDnnp

 ・・・こうして結ばれただけで、満足するべきなんじゃないだろうか。
 ヘリオンのその痛々しい姿に耐えられず、悠人が言う。
 「やっぱり、止めた方が良いんじゃ・・・。」
 「くぅぅ・・い、いえ・・・最後まで・・・・最後まで、感じて下さい!」
 苦痛に耐え涙を浮かべながらもヘリオンは、悠人を導こうと締め付けを強くする。
 前戯で濡らした液体と、破瓜の血が潤滑油となって、それを助けた。
 そうして・・・悠人はやがて、達する事が出来たのだが・・・。

 「・・・っちゃ〜・・・やっちまった・・・。」
 「え・・?」
 絶頂に達する寸前、このままじゃ拙いと悠人は思わず性器を引き抜いた。
 だがその迸りはヘリオンの腹ばかりか、胸を覆った包帯にまで染みを作ってしまったのだ。
 (しかも考えて見れば、スピリットって確か生殖能力はないんだっけ・・・。)
 どこまでも迂闊な自分を呪う悠人だったが、ヘリオンはそれに気付くと、荒い息を整えて囁いた。
 「あ、あの・・・・それじゃこの包帯、取っちゃいましょうか?」
 「へ?」
 「こうなったら、流石に取り替えなきゃダメでしょうし・・・あ、でも、ユートさまがお嫌なら・・。」
 「い、いやそんな事は・・・。」
 ない・・・と言うか、むしろ見たい。
 「そうですか・・ま、まだ完全には治ってないんですけど・・・傷そのものは、そんなに見苦しい程じゃ
ないと思うんです・・・。」
 そう言ってヘリオンは、しゅるしゅると胸に巻かれた包帯を解き始める。
 肌を重ねた今であっても、裸の胸を晒すのはやはり恥ずかしいらしく、背中を向けてはいたが・・・。
 それは悠人も同様で、絶頂を経て落ち着いていた胸が、より一層高鳴るのを感じていた。
162名無しさん@初回限定:04/08/29 22:48 ID:zWWEdKjN

163明日への飛翔・番外編9/14:04/08/29 22:49 ID:FMoyDnnp

 「イオさまや他の皆みたいに、大きくないですけど・・・。」
 やがて向き直ると、抑えていた腕を取り払い、おずおずと見つめるヘリオン。
 言葉通り、形は良いが小ぶりなその胸は、それでも抑圧から解放されると、ふるると存在を主張した。
 そしてその中央を斜めに走る、一筋の傷・・・。

 「いや・・・すごく、可愛いと思うぜ。」
 「そ、それってやっぱり、ちっちゃいって事じゃないですか。」
 「構わないさ、俺は在りのままのヘリオンが好きなんだからな。」
 掌に包み感触を楽しみながら、悠人が囁く。
 「それにほら、柔らかくて、すごく弾力があって・・・おまけに感じやすいんじゃないか?」
 「そう、でしょうか・・・・ぁ・・・。」
 戸惑いながらも、次第に艶を帯びていくヘリオンの吐息。
 その胸を弄びながら、悠人は癒えきらぬ傷に、つつりと舌を這わせる。
 「っひゃん。」
 「痛かっただろうな、俺の為に・・・・。」
 野の獣達が、そうするように。
 それでヘリオンが少しでも癒されるかの如く、悠人は傷を舐め続ける。
 一方では同時に胸を揉んで、桃色の蕾を刺激し・・・。
 また吸い付き、舌で転がし、軽く捻る度に、ヘリオンは切なげに喘いだ。
 「ひぅ・・ぁ・・うぁ・・・ま、また・・・おかしくなってしまいそうです・・・。」
 それが面白くて、悠人はいつまでも、ヘリオンを愛撫し続けた。
 初めての痛みこそ大きかったが、基本的にヘリオンは感じやすい体質らしい・・・。
164明日への飛翔・番外編10/14:04/08/29 22:50 ID:FMoyDnnp

 (そう言えば昔、光陰が初めての時は中よりも、あそこを責めた方が良いらしいと言ってたかな?)

 悠人はヘリオンの後ろに回ると、抱え込むような格好で座らせた。
 そうして自分に体重を掛けさせると、ぎゅっとして抱きしめる。
 「な、何だか私、子供が甘えてるみたいですね・・・。」
 「ん・・嫌か?」
 「そんな事ないです・・・・ただ、こうしていると、すごく安心します・・・。」
 「そっか・・・。」
 悠人は後ろから抱きながらうなじに口付けると、片手でヘリオンの胸を、もう一方で秘芯を責め上げる。
 「ひぁ!?」
 「わわ、ごめん・・・指だと刺激が強すぎたか。それじゃ、こうやって・・・。」
 思わず跳ね上がったヘリオンを宥めると、悠人は流れ落ちる愛液をまぶし、指の腹の部分で優しく摩り、
馴染むと今度は掌で花弁全体を撫で回した。
 ・・・ちゅく・・ぴちゅ・・・にちゃっ・・・。
 粘性を伴った淫らな水音が、二人の耳に響く。
 「どんどん溢れて来るな・・・・ヘリオン、判るか?」
 「・・くっ・・・し、知りません・・・ひぁ・・しりま・・せん・・・・!」
 羞恥の為か、必死に声を抑えようとしていたヘリオンだったが・・・。
 一呼吸毎に高まって行く快感に、とうとう堪え切れずに気を吐いた。
 「くぅ・・はぁあっ・・うぅあ!・・・・き、きもち良すぎ・・ます・・・どうして・・んぅ・・ユート
さまに、こうして・・・頂くと・・・・こんなに、良いんでしょう・・・・?」
 「俺は、ヘリオンを愛してるからな・・・・ただ、どうすればヘリオンが気持ち良くなるか考えて、実行
してるだけなんだけど・・・そんなに良いか?」

 「こ、怖いくらいに・・はぁんっ・・・くぅ・・ぁ、ぁああ・・・・ユ、ユートさまぁっ・・・!!!」
165明日への飛翔・番外編11/14:04/08/29 22:51 ID:FMoyDnnp

 「・・はぁ・・っはぁ・・・はぁっ・・・・あ、あの・・・ユート、さま・・?」

 ユートの指で再び達し、脱力して身体を預けていたヘリオンが呟く。
 「ん・・・?」
 「あの・・その・・・い、今なら、痛みも引いて来ましたし、その・・・大丈夫だと思うんです。」
 「でも・・・本当に大丈夫か?」
 「は、はい・・・それに、私ばかりよくして頂いて、ユートさまは・・・。」
 確かに一度絶頂を迎えた後は、悠人はただ奉仕だけをしていた。
 それはそれで、自分の手でヘリオンが喜んでいるのを見るのも楽しいと思っていたのだが・・・。
 身体の上で向き直って、真剣な表情で言い募るヘリオン。
 「ユートさま、さっきからずっとつらそうですし・・・・私も、ユートさまと一緒に感じたいんです。」
 「う・・・・。」
 (・・・そ、そりゃまぁ、何度も背中やお尻に当ってたら、解るよなぁ。)

 「解った・・・それじゃあ一緒に、感じようぜ。」
 「はい・・あ、でも一つだけ、御願いが・・・どうか、ユートさまの顔が見えるようにして下さい。」
 「ああ・・・。」
 そうして抱き合い、ベッドの上で胡坐をかくようにして、再び繋がれる二人。
 充分に濡れそぼったそこは、今度は抵抗無く、じゅぷじゅぷと音を立てて悠人を迎え入れた。
 「あ、熱い・・・・ど、どうだ、痛くないか?」
 「だいじょうぶ、みたいです・・・さ、さっきは焼けた串で、貫かれたみたいな・・感じ、でしたけど、
今度は・・・ふぁ・・何だろう・・そこから広がって、頭の先まで・・・・うぁああ!」
166明日への飛翔・番外編12/14:04/08/29 22:52 ID:FMoyDnnp

 波の引き切る前に挿入されて、軽い絶頂を迎えてしまったらしいヘリオン。
 そして悠人も、きつかっただけの先程とは違い、熱く柔らかい肉壁が、絡み付いてくるのを感じていた。

 「ヘリオンの中も、すごい・・・下手すると、ちょっと動かしただけでイっちゃいそうだ。」
 「くふぅん・・そ、そう・・なん、ですか?・・・・ひぁ・・ぁ、うぁ・・・ん・・・!」
 悠人は絶頂を堪える為に、しばらくじっとして、代わりに唇を吸う。
 抱きしめる腕の力を強くして、ヘリオンもまた、それに応え、悠人を求めた。
 押し付けられる胸の感触が、また心地よい。
 悠人が腰を動かすと、されるがままだったヘリオンも、快楽を返そうと動く。
 そうして互いに求め合い、高め合っていく恋人達。
 ・・・ず、ずず・・じゅぷ・・・ぐちゅっ・・・ずずず・・・っちゅ・・ぶちゅっ・・・!
 ギシギシとベッドが軋む中、二人の喘ぎ声と、粘着質の音が耳に響く。
 「ユ、ユート・・・さま・・・・きもち・・いぃ・・ですか?」 
 「あぁ、ヘリオンは・・・どうだ?」
 「わ、私・・・も・・もう、痺れ、ちゃって・・・っあ・・・あぁ、もぉ・・・もうっ。」
 「俺も、もうすぐ・・・くっ・・・。」
 「お願い・・お願いっ・・ど、どうか・・・ユゥト・・さまも・・ぁ・・のまま・・・・このまま!!」

 一際大きく叫び、全身を仰け反らして絶頂を迎えるヘリオン。
 遅れて訪れる締め付けに、悠人も耐え切れずそのまま達し、ヘリオンの膣中に精を注ぎ込む。
 「くぁああ・・あ、あつい・・・ふぁ・・・これ、ユート・・さま・・・の・・・・?」

 共に倒れこみ、荒い息を吐く二人。
 それが顔に掛かる程接近して、互いに見詰め合うと、そっと口付けして、再び抱き合った。
 髪を撫でられながら、ヘリオンは悠人の胸に顔を埋めると、夢心地で呟く。

 「この気持ち・・・こんな幸せが、あったなんて・・・・・。」
167明日への飛翔・番外編13/14:04/08/29 22:53 ID:FMoyDnnp

 ――二人を包む、安らぎと不安。
 時は決して、待ってはくれないのだ。
 初めて結ばれたその夜に、決別の運命が降りかかる。
 運命は皮肉だと言ったのは、果たして誰だっただろう。
 もう永遠に、こんな時間は訪れないのだろうか・・・・・。

 口に出したら終わってしまう。
 それを知りながら、悠人の腕に抱かれたヘリオンは、悲しげに問い直した。

 「ユートさまは・・・行ってしまわれるんですね。」
 「ああ・・・明日にでも時深に言って、試験とやらを受けさせて貰うつもりだ。」
 それがどの様な試験なのか、ヘリオンは知らない。
 しかし時深に聞いた所では、悠人にはその資格があり、彼が望むならば、すぐにでも執り行うと言う。
 途中までは時深が誘うらしいが、多くの危険が待つのだろう。
 ここに来て、自分が悠人の力に成れない事が、たまらなく悔しかった。
 それでも決めたのだ。
 ・・・最後は、笑顔でこの人を送り出そうと。

 「ユートさま、もし赤ちゃんが出来たら、産んでいいですか?」
 「へ?」
 突然の確認に、面食らう悠人。
 勿論そうなれば産んで欲しいに決まっていたが、そんな事は在り得る筈が無いのだ。 
 スピリットに生殖能力が無い事は、誰よりヘリオン自身が知っている事だったが・・・。
 
 「あ、えっと・・・あのですね、もしも、奇跡が起きたらって話ですけど。」
168明日への飛翔・番外編14/14:04/08/29 22:54 ID:FMoyDnnp

 奇跡・・・そんな事が起こり得るのか解らなかったが、今はその想像に乗って見ようと悠人は思った。

 「そうだな・・・その時は、二人で育てような。」
 「きっとユートさまに似て、優しくて、強くて、勇敢な子になりますよ・・・頭ツンツンだけど。」
 「ヘリオンに似たら、優しくて、真面目で、純粋な子になるな・・・その代わり、ちみっちゃいけど。」
 「ちみっちゃいのは余計です〜〜〜!」
 「・・・だったら頭ツンツンなのも余計だろう?」
 「それは良いんです。私ユートさまの髪って好きですから。」
 「俺だってちみっちゃいヘリオンは好きなんだけどな。」
 「うぅ・・・で、でも、どっちに似ても優しくなるんですか?」
 「俺達の子だぜ?」
 「うふふっ・・・そうですね、ユートさまに似たら、すっごく優しい子になりますね。」
 「む・・・なんだ、何か言いたそうだなぁ?」
 「いえいえそんな事ないです!・・・・だって、ユートさまの優しさは私がよ〜っく知ってますから♪」
 
 そうしていつまでも、笑い続けるヘリオン。
 悠人はふくれ面を作って見せながら、暖かくそれを眺める。  
 叶うなら、いつまでもこの笑顔を見守っていたかった。
 
 「ヘリオン・・・。」
 「はい?」
 「心から、愛してる。」
 「!!・・・・・も、もぅ・・・不意打ちはずるいです・・・。」
 「別にいいだろ。俺がこんなに素直になるなんて、かなり珍しいんだからな。」
 「全くもう・・・私だって、ユートさまをとっても、と〜〜っても愛してますよ?」

 はしゃぎながら、何度目かの口付けを交わす二人。
 ヘリオンの身体を気遣って、再び愛し合う事はしなかったが、もう悲しみが二人を包む事は無かった。
 そうして疲れ果てた、ヘリオンが眠りにつくその間際まで。
 ・・・悠人はずっと、この少女を見守り続けたのであった。  
169あとがき:04/08/29 22:59 ID:FMoyDnnp

よ、よし・・・番外編投下し終わったぞ・・・。
なんというか、ある意味初めて投稿したよりも緊張しました^^;

エロとしては物足りない所もあるかも知れませんが、そこはまぁ純愛路線、
初めて尽くしのえちシーンだったと言うことでご容赦を。

第十幕とえちシーンどっちを先にするか迷ってたのは、実はそれによって
ラストを変えようと思ってたからなのですが・・・。
これで決心付きました。2/3くらいは書き終わりましたし・・・・。

問題は、30/30とか平気で超えそうな事カナ・・・・orz(ドウシヨウ;;)
それでは皆さん、ラストまでどうぞご機嫌よう〜♪

・・・・・ひょっとして二つに分裂したりするかもしれないケド。
170名無しさん@初回限定:04/08/29 23:02 ID:zWWEdKjN
>>169

 ,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
 ( ノ i」」」」」〉))
 ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ((  <飛翔の人さん、えちしーんGJですー
(( ⊂! |T|!つ ))
    く/|_|〉 
    (フフ


第十幕、いくらでも書いてください
必ず支援に参上いたしますのでw

......ちょっとヘリオンにダメージ与えて、声だけでも脳内補完してきますね
171飛翔の人:04/08/29 23:13 ID:FMoyDnnp
>>170
どうも支援ありがとうございました〜♪
・・・ヘリオンにダメージ・・・。

「い、痛いけど、生きてて良かった・・・・。」

・・・・orz<ゴメンナサイ
172名無しさん@初回限定:04/08/29 23:30 ID:zWWEdKjN
きゃっ
んくっ!? あ……ぅあ……
うぁっ!! ぐぅっ、あはぁぁぁぁっっ!!

(;´Д`)ハァハァ

ぅあっ、あぁぁぁ…… そん、なぁ……こんなところで…… いやぁ……死にたくな…い……

Σ(゚Д゚;)あ、ヘリオンたん…

_| ̄|○
173名無しさん@初回限定:04/08/29 23:34 ID:xP1GF1vz
不謹慎だろうがわろたよw
174道行書き:04/08/30 00:00 ID:+rojLY0F
小ネタの投稿、連絡スレを覗いてみたら
書き込むタイミングを読めてない……自分で読めなくしててどうするんだ。

えー、お返しいたします……何を教えちゃってるんだ光陰!w
げに美しきかな男の友情。

相手の身体をいたわりながら、心のつながりを求めて身体を重ねる……
純愛、王道、萌え。詰まりに詰まった描写にかける言葉はGJ!以外にあるでしょうか。

幕間の場合もそうでしたが、ありとあらゆるシーンに伏線が張り巡らされていて、
第十幕、そしてエンディングがどのように展開されるのか、期待が高まります。
ラストスパート、がんばってください。
175名無しさん@初回限定:04/08/30 00:03 ID:+rojLY0F
日付変更に間に合わず、三行目がおかしなことに。147,8もなのです。
176149:04/08/30 00:10 ID:jcQ8sLR0
>>175
すまん、チャ吹いたw

なんですか、それじゃあ俺が好き勝手言ってた場所は
御二人にはさまれてた
ってコトですか...

_| ̄|○ やっちまった...
177髪結い:04/08/30 00:41 ID:OwMUERl+
 買ってきた下巻と、『代償』、どちらを先に読もうかと思いましたが、考えるまでもなかったです。
 ネリシアでここまでやってくれるとは、、、ファーも兜を脱いじゃいますよ?神剣にまであのような……
エスやらナナルゥやら……。
 エーとネタバレを考えると少し書きにくいですね。後書きで『鮮やかな命』に触れられるているのには、
正直身もだえするというか、自分の中では恥ずかしくて読み返せない作品です>『鮮やかな命』(汗)
願わくは良い影響であればいいのですが……。
 あ、あとオルファが言いたいことがあると
      ヽ
       , ´ ̄ 〉ヽ
      ixil ノノハ)))
      ノノi(リ ゚ヮ゚ノlヾ、 <ハクゥテはハクゥテだけだよ〜
      ´ と)i个i7っ `
        く/廿V
         し'ノ'

 
 ……ちょっと被ってるバカ話が在ったりしたんですが、上げにくいなぁ。そろそろ前スレ解禁して良いで
すか>保管庫の人さん あっと、『ネリーの不満』修正ありがとうございました。保管乙です。

178保管庫の人:04/08/30 00:49 ID:3H5P4djC
>>177
えーと、前スレ解禁って、何のことでしょう?
179名無しさん@初回限定:04/08/30 00:56 ID:jcQ8sLR0
>>178
そっちで埋めたいんじゃん?
180保管庫の人:04/08/30 01:00 ID:3H5P4djC
>>179
ああ、なるほど……そういや向こうは道しるべのままほったらかしでしたね<忘れてる

こっちのスレはちゃんと軌道に乗ってるようですし、どうぞお使いくださいませ>髪結いの人氏
181名無しさん@初回限定:04/08/30 01:03 ID:g99CCown
EXPANTIONってディスクレス可能なの?
182名無しさん@初回限定:04/08/30 01:36 ID:OwMUERl+
   r‐-- -┐
  / /゙・ 皿・_ヽ<忘れないで、、、保管庫の人さん……
  レ'´从リ从!〉   
   l从○_○从
   (リ(つと)
    く/_|〉
    (_ノヽ)

 直ぐにってわけじゃないんですけどね(´∀`)

 そういやEX分振り込んできた。土曜には来るかな?
183保管庫からのお知らせ:04/08/30 02:19 ID:3H5P4djC
予告通り、8月29日において以下のSSを保管庫にバックアップしました。

夏風邪セリア
鮮やかな命(ひ)
溜息
ネリーの不満
なつまつり
風邪は万病の元?
エスペリアの憂鬱
明日への飛翔・第一幕〜第三幕
おしおきナナルゥ

SS保管庫@アセリアネタ総合
ttp://jbbs.livedoor.com/game/13463/

次回バックアップは、9月中旬頃に実施致します。
184名無しさん@初回限定:04/08/30 05:12 ID:egzJTW7K
>>飛翔の人氏
乙です。
いや〜、エチ前後・間が微笑ましいというかあたたかい空気で、
それがまたちみっちゃいヘリオンに似合っていて、
エチ自体もあたたかくて、なんだか和みました。
『明日への飛翔』の方向性(と言っても終わってないので現状まででの)や、
「ちみっちゃい」ヘリオンのキャラクタ像にマッチしていて良かったと思います。

ある意味では(w山だった番外編を終え、物語の方もいよいよ大詰めですね。
がんばって下さいまし〜
185憂鬱の人:04/08/30 05:28 ID:HC6LdVtS
飛翔様
遅ればせながら読ませて頂きました。
番外編だなんて、何をおっしゃるハクゥテさん、いや、エヒグゥさん。
堂々たる容量のえちシーンじゃないですか!ありがとうございました。
(ありがとうってのは変かな?)
初々しいヘリオン、最高です。
このスレでのヘリオンっていつも妄想ばっかりして
赤くなる、というパターンが多いですが、今回ついに
念願かなったわけですね。
良かったというか、残念というか...

翌朝のイオのリアクションが楽しみです。
にやけつつ、第十幕、期待してます。


 
186破壊の死神 前編 1/34:04/08/30 05:32 ID:gJvRAhvc
 高峰悠人とファーレーン・ブラックスピリットは恋に落ちた。
 二人はどこか似た者同士だったから、自然と惹かれ合ったのかも知れない。

 高峰悠人は高峰佳織を、ファーレーン・ブラックスピリットはニムントール・グリーンスピリットを守る為に剣を振るっていた。
 優しいが不器用で、恋愛というものに不慣れな二人は、共感に始まり、共にラキオススピリット隊としてたくさんの戦場を駆け抜けた。
 アセリアやヒミカ、オルファ達、突っ走りがちな面々に隠れてはいたが、悠人も十分に突っ走りがちなリーダーで、彼女らの突撃に「ああもう、待てったら」等と言いながら続いてしまう。
 そんな中で常に冷静な状況判断をし、的確な指示を出す事が出来るファーレーンは、悠人にとって非常に頼りになる存在だった。
 ファーレーンにとっても、どんな辛い時も、辛い時ほど笑顔で仲間を鼓舞する悠人に幾度励まされたかわからない。
 そして何より、二人には守るべきものがあった。
 悠人は佳織を、ファーレーンはニムントールを守る為に、どんな逆境でも決して諦めるという事をしなかった。
 悠人にとってファーレーンは、自らの命を投げ出す事を是としない、悠人の常識からすれば当然ではあるがこの世界では非常に珍しいスピリット。
 ファーレーンにとって悠人は、自分たちを道具扱いせずに仲間として捉えてくれる、初めて見るタイプの人間。
 二人は最後の最後まで自分を含めた皆で生き延びる事を最優先に考えながら、どんな厳しい局面をも打開した。
 それがたとえ自分の為では無く、守る者の為の行為であったとしても、お互い頼りに出来る相手である事に間違いは無かった。
187破壊の死神 前編 2/34:04/08/30 05:33 ID:gJvRAhvc
 ラキオススピリット隊が、その全てが首の皮一枚でつながるような戦いを勝ちぬけたのは、この2人の力によるものが非常に大きい。
 決して折れない、挫けない。諦めない。その心の強さが、ラキオスを勝利へと導いた。
 その戦いの中で、お互いに守るべきものが増えた。とても頼りになる、でもどこかちょっとだけ危なっかしい背中。
 自分の背をあずけ、相手の背を守る。
 命のやり取りをする戦場でのそれは、相手に100%の信頼を置いていなければ出来ない事。
 心から相手を守り、慈しみ、同時に相手に自分の全てを委ねる事を愛と呼ぶのならば、二人は愛でもって2年近くに渡る大陸統一の戦いを勝利に導いた。

 帝国は倒れた。
 高峰悠人は、高峰佳織を助け出す事に見事成功した。
 けれどもそれは、より大きな戦いの前哨戦に過ぎなかった。
 『求め』は砕け『誓い』と一つになり、上位永遠神剣『世界』へと進化した。
 エトランジェ・誓いのシュンはエターナル・統べし聖剣シュンへと変化し、より強大なファンタズマゴリアの敵となった。

 聖ヨト暦332年レユレの月。
 圧倒的な力を前に、悠人とファーレーン、二人の運命が揺らいでいた。
188破壊の死神 前編 3/34:04/08/30 05:34 ID:gJvRAhvc
 今日のユート様はどこか様子がおかしい。
 いつもどおりに振舞おうとしてはいたのだろうけれど、基本的に嘘や隠し事が苦手なユート様の態度は、傍から見れば何かを隠そうとしているのがバレバレだ。
 カオリ様から話を聞いていた私は、すぐにぴんと来た。
 ユート様はエターナルになるべく、今日、この世界を離れるのだと。

「ユート様、お待ち下さい」
 リュケイレムの森の中、私は第一詰め所を抜け出したユート様に追いつき、声をかけた。
「!? ファーレーン?」
「やはり来てしまいましたか、ファーレーン」
 ユート様の近くにはトキミ様も来ている。
 それを見て、やはりユート様が今日、この世界を離れてエターナルとなるという推測は間違っていなかったのだと今更ながらに確信する。
「ユート様はエターナルになるおつもりなのですね」
「……ああ。でもどうしてそれをファーレーンが知っているんだ?」」
 今更ごまかしても仕方が無いと悟ったのか、すんなりとユート様は肯定する。
「カオリ様に聞きました。ユート様がエターナルになろうとしている事を」
「そうか。佳織に」
「ユート様。どうか私を一緒に連れて行って……」
「駄目です」
 ぴしゃりと私の言葉を遮ったのはトキミ様だった。
189破壊の死神 前編 4/34:04/08/30 05:36 ID:gJvRAhvc
「ファーレーン。あなたはエターナルになるという事をどのように捉えているのです?」
「上位永遠神剣を手にし、強力な力を手にする事だと伺っています」
「それも佳織ちゃんに聞いたのですか?」
「はい」
「他には?」
「エターナルはどこの世界にも属さず、永遠に戦い続ける存在であり、エターナル以外の全ての存在の記憶から消えるという事を」
「なるほど。それを知ってなおかつここに来るというのは、覚悟は出来ているという事ですか」
「はい。私はユート様と共にありたい。例え永遠の戦いであろうとユート様となら……」
「しかしそれは、エターナルになった後の問題です。あなたはそこにすら辿りつけない」
「え?」
「一般に、位が上がるほど永遠神剣が強い自我を持つ事はご存知ですね?」
「は、はい」
「エターナルになるという事は、上位永遠神剣を手にする事。その為には上位永遠神剣に認められる必要があるのです。あなたは、自分が上位永遠神剣に認められる資格があると思っているのですか?」
「認められる……資格……」
「あなたの今の神剣である『月光』は第六位のもの。ですが、あなたはその第六位の神剣の能力すらも引き出せていない」
「そ、それは……」
 確かにその通りだった。戦争の初期の頃はまだ良かった。元々の神剣の位の高さゆえの能力か、実力は他を圧倒していた。
 しかし、戦闘の中で皆が成長してくるにつれ、追いつかれ、追い越された。
 そして今では……。
190名無しさん@初回限定:04/08/30 05:39 ID:G9AiqBoy
うおっ、こんな時間に敵襲か!?
せっかく鉄騎やってたっつーのに中断せざるを得ないじゃないか……

支援
191破壊の死神 前編 5/34:04/08/30 05:57 ID:gJvRAhvc
「同じブラックスピリットとしての戦闘力では、第九位神剣の使い手『失望』のヘリオンにも劣るのではないですか?」
「……」
 ヘリオンが第九位神剣の使い手としては類を見ないほど優秀な使い手に成長していた事も一因ではあったけれど、それが追い越される言い訳にはならない。
「おい、時深。そんな言い方は……」
「悠人さんは黙っていて下さい。それとも悠人さんは、希望という名の幻想を見せてファーレーンを惑わすつもりですか?」
「惑わすだなんてそんな!」
「悠人さん。優しさは時に残酷なものです。今ファーレーンに必要な事は盲目となって優しさにすがる事では無く、現実を直視する事です。悠人さんもそれは解っているのではないですか?」
「……それは……」
「はっきり言います。ファーレーン。あなたが上位永遠神剣に認められる可能性は皆無に等しい。仮に認められたとしても能力を引き出せない足手まといにしかならない」
「……」
 ぐうの音も出ない。
 握り締めた拳が痛かった。しかしそれよりも、己の情けなさがただひたすらに辛かった。
 涙が出そうになり、歯を食いしばって耐える。
「あなたが今まで誰よりも努力してきた事は知っています。しかしそれでもあなたは神剣の力を引き出せなかった。それは才能が無いという事に他ならない。あきらめなさい」
 ユート様も辛そうな顔をして黙っている。
 それは、トキミ様の言葉の肯定。
192破壊の死神 前編 6/34:04/08/30 06:00 ID:gJvRAhvc
 そう、自分でも解っていた。自分ではユート様の隣に立つには力不足だ、と。
 トキミ様に告げられるまでも無く、それは自分で気付いていた。
 気付きながらも必死で剣を振り、乗り越えようとずっと足掻いていた。
 そして今まで結局乗り越えられなかった。
 ユート様はいつも優しく、励ましてくれていた。それに甘えてしまっていた。
 頑張れば、もう少し頑張れば、明日こそは。
 そう思い続けてどれくらい経ったのだろう。
 現実は、気持ちだけで何とかなるほど甘く無い。
 死に物狂いの努力は、結局結果に繋がらなかった。それが、現実。
「行きましょう、悠人さん」
 トキミ様が私に背を向ける。
「ファーレーン。俺はお前を、この世界を守って見せるから。戦わなくてもいい世界を作って見せるから。……すまん」
 解ってしまう。
 ユート様がどれだけ私を好いて下さっているか。
 戦いになれば、トキミ様の言うように私は足手まといにしかならない。
 だから、ユート様は私を置いていく。私の幸せを願って。
 本当に、優しさは時に残酷だ。
193破壊の死神 前編 7/34:04/08/30 06:02 ID:gJvRAhvc
 涙が、押さえ切れない。
「謝らないで……ください。……全ては……私の力不足のせい……なのですから。……お役に……立てなくて……申し訳……もうし……わけっ……」
「ファーレーン……」
「もう、行って……ください……お願いですっ……泣き顔を……見ないでっ……!!」
「……すまん」
 最後に、そう言って、ユート様の足音は遠ざかっていった。
 足音がだんだん小さくなり、そして聞こえなくなった時、心の堤防が決壊した。
「うっ……うわああああぁぁぁぁぁーーーーーーーっっ!!!!」
 泣いた。
 悔しくて、情けなくて、寂しくて、苦しくて、切なくて。
 森の中で私は一人泣き続けた。
194破壊の死神 前編 8/34:04/08/30 06:04 ID:gJvRAhvc
 部屋の戸をノックする音が聞こえる。
 返事をすると、ニムが入ってきた。
「起きたんだ。お姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よ、ニム」
「本当に大丈夫? どこか痛いとこない? 無理してない? お姉ちゃん、すぐに無理するから……」
「本当に大丈夫よ。どこも何とも無いわ」
「そう。それならいいんだけど」
「ごめんなさいね。心配かけたみたいで」
「いいけど。……本当の本当に大丈夫なの?」
「ふふっ、うん。本当の本当に何とも無いわ」
 今、私は自室のベッドで横になっている。
 記憶が無いのだが、私は森の中で倒れていたらしい。
 昨日の朝、私を起こしにきたニムが私のいない事に気付いてみんなで探し、リュケイレムの森の中で私がひとり倒れているのを見つけてくれたのだそうだ。
 申し訳無い気持ちで一杯になる。
195破壊の死神 前編 9/34:04/08/30 06:14 ID:gJvRAhvc
「でも、何で森にいたのか、まだ思い出せない?」
「うーん。何でなんだろう。大切な何かがあったような、そんな気がするんだけど……」
「もう。お姉ちゃん、しっかりしてよね」
「ん。ごめん」
「解ったからもう休んで。今日は念の為に安静にしててよね」
「休まなくても大丈夫よ。体はどこも何とも無いのに」
「だから念の為だってば。大体本当に何とも無い人は、森の中で倒れてたり、何しに森に行ったのか忘れたりしないんだから」
「……それもそうね。じゃあ、休ませてもらうわ。お休み、ニム」
「うん。お休み、お姉ちゃん」
 パタン、と軽い音を立てて扉が閉まる。
 本当に体は何とも無かった。
 ただ、何か大切なものが無くなってしまった様な大きな喪失感があった。そして、無気力感。まるで心にぽっかりと大きな穴が開いたみたい。
 本当に、私は一体どうしたというんだろう。
 治療をしてくれたエスペリアやハリオンは、疲れが溜まっていたんだろうと言っていた。
 帝国との戦い、勝利。そしてエターナルの出現。
 肉体的に、そして精神的に疲弊していた事は否定出来ない。
 でも、それだけじゃない気がする。もっと何か、大切なものがあったような……。
 とはいえ、そんな気がする、というだけで何の根拠も無い。
 今日はみんなの好意に甘えてもう寝よう。明日になれば、何か思い出すかも知れない……。
196破壊の死神 前編 10/34:04/08/30 06:22 ID:gJvRAhvc
「ファーレーンの奴、ほんとにどうしたんだか」
 ぱちぱちと爆ぜる焚き火をぼんやりと見つめながら、ヒミカがぼやく。
 近くにはハリオンが横になり、幸せそうな寝息を立てていた。
 ファーレーンが森で倒れているのが発見されてから数日。状況は悪化の一途を辿っていた。
 新たな敵エターナルの出現、エターナルミニオンと呼ばれるエターナルの眷属達の出現。
 エトランジェである因果のコウインと、空虚のキョウコ、そしてこの世界を救うべくやって来たというエターナル時詠のトキミの活躍で何とか敵を抑えてはいるものの敵の数と力は圧倒的で、このままでは遠からず敗北するのが確実な状況だ。
 唯一の希望はトキミの言う助っ人の存在だが、それも現れるのはもう少し先だという。
 それまで、何とかもちこたえねばならないのだが。
「あの日、森で何があったのかしらね」
 セリアがヒミカのぼやきに答える。
 ファーレーンは森で発見されてからどこかおかしい。
 皆を指揮する冷静な状況の分析力、判断力は以前と変わらない。
 けれど最後の一線、危なくなった時、ここぞという時にファーレーンに諦めがちらつく。
 今までには無かった事だ。
 ファーレーンはどんな危機的状況でも、決して諦めない。折れない心を持っていた筈だった。それが、皆の大きな心の支えになっていた。
 たとえ退くにしても、それは反撃のための撤退だったのだが、今は違う。ただの逃げでしかない。
 指揮する者の弱気は、部隊全体に伝染する。
 攻めるにも攻めきれず、守るにも踏ん張りきれない。
 いざというときにこそ頼りになる筈のファーレーンの影響は、今のような状況では良くも悪くも非常に大きいものなのだ。
 それは戦闘力というよりも、心の支えとでもいうべきもの。
 ラキオススピリット部隊の支柱が揺らいでいた。
197破壊の死神 前編 11/34:04/08/30 06:29 ID:gJvRAhvc
「指揮から降りてもらう?」
「多分、本人は反対はしないでしょう。でも、指揮する立場じゃなくても、ファーレーンの影響はきっと変わらないわ」
「そうね。みんなが最後に頼る場所が無くなった様なものだもの。いざというときに絶対的に頼れるものがあるのと無いのとじゃまるで違う。
 踏ん張りが利かないのもそのせいか。はぁ」
 思わずといった感じでため息をつくヒミカ。
「こういう時にこそ私達が頑張らなきゃいけないんでしょうけど。だめね、私達まで弱気になっちゃってる」
「やれやれ。剣でも振って一度頭を空っぽにするのがいいのかも知れないけど、それもなんかやる気が、ね」
「ふふっ、自分が情けないわ。今までどれだけファーレーンに助けられてきたのか。身につまされるわね」
 セリアが自嘲の笑みを浮かべる。
 今やヒミカも、そしてセリアも、突如目標となる存在を見失い、自分まで訓練に気が入らない状態なのだ。
 ファーレーンの中からは、向上心も失われてしまっていた。
 卓越した剣技を持ちながらも、誰よりも早く訓練所に入り、誰よりも遅くまで刀を振り続けていたファーレーン。
 暇さえあればトレーニングをし、ベッドの枕元には戦術関連の本が常に高く積まれていた。
 皆の前では一言の弱音も吐いた事の無いファーレーンだったが、セリアはたった一度だけファーレーンの本音を垣間見た事がある。
198破壊の死神 前編 12/34:04/08/30 06:33 ID:gJvRAhvc
 それは帝国戦を控えた深夜。
 なかなか寝付けず外に散歩に出たセリアは、訓練所から光が漏れているのに気付き近づいていった。
 そこにいたのがファーレーンだったのは半ば予想通りだったが、そこにあった光景はまるっきり予想外のものだった。
 ファーレーンは悔し涙を流しながら、刀を振るっていた。
「何で……何で上手く出来ないの!? 何で!? 何でよおっ!! こんなんじゃ、みんなを、ニムを、ユート様を守れないっ!!」
 自分に対する悔し涙を堪え、それでも涙を抑えきれず、泣きながら刀を振り続ける。
 そこにいたのはいつも冷静沈着な指揮官でも、一片の容赦も無い戦士でも、頼りになるみんなの姉でも無い、ただ頑張り屋なだけのか弱い女の子だった。
 ファーレーンがこのところずっと伸び悩んでいるのは気付いていた。
 純粋な戦闘力だけならば、今やヘリオンにも抜かれているかも知れない。
 それでもファーレーンは部隊に欠くべからざる存在だった。
 皆の心の支え。どんなに辛く苦しい状況でも常に前を向き、進み続ける。その姿勢は皆の目標であり、憧れだった。
 だからこそ、見てはいけないものを見たような気がして、セリアはファーレーンに気付かれないように訓練所を立ち去った。
 まるで秘め事を覗き見てしまったような気まずさ。
 強く気高い皆の目標である筈の女性の内面、ただの一人の女の子である部分という意味では、秘め事となんら変わりの無い光景だったかも知れない。
199破壊の死神 前編 13/34:04/08/30 06:37 ID:gJvRAhvc
 翌日。ファーレーンはいつも通りのファーレーンだった。
 皆にいつもと変わらぬ笑顔を見せるファーレーンを、セリアは心の底から凄いと思った。
 もがき、苦しみ、でもそれは自分の力で乗り越えねばならない事を知っている。
 本当に強いというのは、ファーレーンのような者を指すのだと思った。
 しかし……。
 今のファーレーンは、どこかで自分に見切りをつけてしまっている。
 努力しても無理なものは無理と、自分を納得させてしまっている。
 それはセリアが、そしてラキオススピリットの皆が手本とし、目指したファーレーンでは無かった。
「ホント、どうしたのかしらね」
 セリアのつぶやきは闇に消え、誰も答えるものはいなかった。
200名無しさん@初回限定:04/08/30 06:40 ID:G9AiqBoy
孤独な単独支援。
201破壊の死神 前編 14/34:04/08/30 06:42 ID:gJvRAhvc
 戦況は目に見えて悪化していた。
 光陰も今日子も時深も、ぼろぼろになりながらも回復を繰り返して戦っている。
 瀕死の重傷を負って、仲間に担がれて戻って来た事も一度や二度では無い。
 エトランジェやエターナルですらそうなのだから、スピリットの状態は知れようというものだ。
 体力も気力も、皆限界に近い。いや、すでに限界は超えているのかも知れない。
 スピリット隊にまだ犠牲が出ていないのが奇跡だった。
 その奇跡は決して代償無き奇跡では無く、皆が死に物狂いで起こしている奇跡ではあったが。
202破壊の死神 前編 15/34:04/08/30 06:46 ID:gJvRAhvc
「お姉ちゃーん、ご飯まだー?」
「もうすぐ出来るわ。ちょっと水汲んできてもらっていい?」
「うん。わかった」
 スープをかき混ぜながらニムを待つ。
 ラース近郊、リュケイレムの森の外れ。
 エターナルミニオン達の襲撃からラースの町を守るべく私とニムはここで見張りをしている。
 たった二人というのが不安だが、贅沢は言えない。
 毎日がぎりぎりの戦いの連続で、こちらの戦力は全然足りていないのだ。
 まともに休息を取る暇も無く、皆疲弊した体をおして戦闘を繰り返している。
 今も各地で戦闘が起こっており、他の仲間たちは皆命がけで戦っているのだ。
 見張りが幾ら重要な役割とはいえ、人数をさけないのも仕方が無い。
 そんな状況にも関わらず、理由の解らない無気力感は、森で倒れていたというあの日からずっと続いていた。
 それが部隊に良くない影響を与えているのも気付いている。
 だからこそ、戦闘ではなく見張りを命じられたのだろう。
 以前であれば申し訳無く思い、こんな時こそ前向きに努力した筈だ。
 けれど、今は皆に対し申し訳無いとは思うものの、どんなに期待をかけてもらっても私には無理、私が幾ら頑張ってもどうせ無駄、そんな思いが私を捉えて離さない。
 私の才能の無さにみんな気付いていない筈は無いのに、どうしてさっさと見切りをつけてくれないんだろうと、周りの期待を鬱陶しく感じる事すらあった。
 幾ら頑張って手を伸ばしても届かないものならば、初めから下手な希望を持たず、手を伸ばすのをあきらめた方が、絶望しない分だけマシではないか。 
 そんなネガティブな思いが頭を支配している。
203破壊の死神 前編 16/34:04/08/30 06:49 ID:gJvRAhvc
「……はぁ」
 本日何度目になるか解らないため息。
 絶望しない為には希望を持たなければいい。立ち上がって踏み出さなければ転ぶ事は無い。
 だけれども、今の希望も絶望も無い状況はただひたすらに空虚であった。
「お姉ちゃん。水、汲んできた」
「あ、ありがと」
 はっと我に返る。
 目の前でニムが、笑顔を見せてくれている。
 ニムは私がこんな状態になっていても、態度を変えることは無かった。少なくとも表面上は。
 ヒミカやエスペリアの様に注意するでもなく、オルファリルやネリー達の様に色々と気を使って慰めてくれるでもなく、セリアやヘリオンの様に腫れ物に触るように接してくるのでも無い。
 今までとなんら変わる事無く笑顔で接してくれる。
 それがとても嬉しく、同時に酷く苦痛だった。
 ニムの笑顔を見るといたたまれなくなる。私はそんな好意を受けるに値する存在では無いと叫びたくなる。
 でもそれが出来ないのは、私がニムの笑顔をこの上なく価値あるものと感じ、絶対に失いたくないと思っているからに違いなかった。
 結局のところ、私はニムに笑いかけてもらっていたいのだ。
 自分の情けなさに、ほとほと愛想が尽きる。
「じゃ、ご飯にしましょうか」
「うん」
204破壊の死神 前編 17/34:04/08/30 06:52 ID:gJvRAhvc
 太陽のような笑顔でニムが私の隣に座ろうとしたその時だった。
 キィン、と神剣が警告を発した。
「敵!?」
「お姉ちゃんとゆっくり食事を取る暇も無いなんて……」
「戦いが終わったら幾らでもそんな時間がとれるようになるわ」
「……はぁ、面倒」
 愚痴をこぼすニムをなだめながら、神剣を構える。
 エターナルミニオンが二体、青のエターナルミニオンと黒のエターナルミニオンが禍々しい気配を伴って姿を現した。
 数で言えば互角。
 だが、戦力で言えば向こうの方が遥かに上だ。
 迷う。
 戦ってもどうせ勝てないのだから、ここは退いて仲間に任せるべきだろうか。
 自分でも弱気になっているのが解るが、ネガティブな思考は止まらない。
「ここは退きましょう」
 エターナルのトキミ様か、エトランジェのコウイン様、キョウコ様に任せよう。
 私じゃどうせ勝てない。
 しかし、ニムからは予想もしなかった答えが返ってきた。
205破壊の死神 前編 18/34:04/08/30 06:57 ID:gJvRAhvc
「ダメ、退かない」
「ニム!?」
「ダメだよお姉ちゃん。ここで退いたらラースに大きな被害が出る。ラースを奪われたら私達は負ける。解ってるんでしょ?」
 そう、解ってはいる。
「でも……」
「お姉ちゃんは私が守るから」
「え!?」
「いつだっておねえちゃんは私を助けてくれた。
 戦いの時だけじゃない。辛い時はいつもそばにいてくれたし、悲しい時はいつも優しく頭をなでて慰めてくれた。嬉しい時は一緒に喜んでくれた。
 お姉ちゃんが隣にいてくれるだけで、私は幸せになれる。
 私が今生きていられるのはお姉ちゃんのおかげ。私が神剣に飲まれなかったのもお姉ちゃんがいたから。
 だから今度は私がお姉ちゃんを守る番。お姉ちゃんが辛い時は、苦しい時は、私がお姉ちゃんを守る!! また一緒に笑えるように!!」
 緊張感に汗を浮かべながら、ニムが神剣『曙光』を構える。
「ニム……」
206破壊の死神 前編 19/34:04/08/30 07:00 ID:gJvRAhvc
 ニムは私が守らなきゃと思っていた。
 ずっと私の後ろに付いてくるものだと思っていた。
 でも、違った。
 ニムは強くなっていた。
 力だけじゃなく、心も強くなっていた。
 私の予想なんかを遥かに越えて。私なんかよりずっと強くなっていた。
 逆に私を守ってくれるくらいに。
 翻って私はどうだ?
 才能が無い? 結果を出せない? 努力しても無駄?
 そんなくだらない事にいつまで捕らわれている?
 自分の何が信じられない?
 ニムが信じてくれているものは何だ?
 ニムが信じてくれているのは、私自身。
 才能が無く、結果を出せず、努力が無駄に終わっても、ニムは私を信じてくれている。
 情けなさ無様さをも全部含めて、ありのままの私を信じてくれている。
207破壊の死神 前編 20/34:04/08/30 07:04 ID:gJvRAhvc
 何から、私は逃げてる?
 何から目を逸らしてる?
 自分の心はどこにある?
 答えは、目の前にある!!
 逃げるだけの私など、ニムに守ってもらう価値すら無い!!
 自分を見つめろ。ニムが信じてくれている私自身を見つめろ。自分は何がしたい?
 結果を考える必要は無い。大切なのは自分が何をしたいか。結果を恐れて自分を殺すな。
 私が今、心から成すべき事は唯一つ。ニムの笑顔を絶対に、守る!!
208破壊の死神 前編 21/34:04/08/30 07:07 ID:gJvRAhvc
 深呼吸を一つ。もうため息はいらない。
 成すべき事が見えた今、心には一片の迷いも存在しない。
「ニムは青をお願い、黒は私が倒す」
「お姉ちゃん!?」
「私が逃げてちゃ、ニムは心から笑えないでしょ?」
「お姉ちゃん!!」
 ニムの本当に嬉しそうな笑顔。
 そうなのだ。ニムは本質的に感情を抑える事が苦手なのだ。
 ひねくれて見せても、どこかに本当の感情が見え隠れするし、先ほどまでの私に向ける笑顔には心配してくれている事が現れていた。
 なんだか、ニムのこんな心からの笑顔を久しぶりに見た気がする。
 私が私らしくあれば、それだけでニムは心から微笑んでくれる。
 私もふっと笑って、敵に目を向けた。鞘に納まっている『月光』の柄に手をかけ、腰を低く落とす。精神を集中する。
 ニムも『曙光』を構えなおす。
 先ほどの構えからも十分な強さを感じられたが、今、隣にいるニムからは一片の不安も力みも無い、威風堂々とした美しさがあった。
「お姉ちゃん、いこう!!」
「ええ!!」
 動かなければ、勝ちは無い。
 私達は、敵に向かって飛び込んだ。
209破壊の死神 前編 22/34:04/08/30 07:11 ID:gJvRAhvc
「雲散霧消の太刀ッ!!」
「……」
 キキキキンッ!!
 刀と刀のぶつかり合う金属音が、刹那に四拍。
 スピードはほぼ互角か、相手の方がやや上。そしてパワーは相手の方が圧倒的に上。一撃の重さが違いすぎる。
「居合いの太刀ッ!!」
「……」
 キインッ!!
 刀を持つ腕に、痺れが走る。打ち合っているだけで、体力がどんどん奪われる。
 敵は私よりも遥かに強い。
 しかし、そんな事は初めから解っている事。
「……」
 キンッ!!
 目にも止まらぬ速度で迫る相手の刀を辛うじて防ぐ。力負けして肩口が斬られ、鮮血を噴き出す。
 連続して打ち込まれる攻撃。
 霞む刀が風を切り裂きぶつかり合い、弾き合い、火花を散らす。
 ゼロコンマでも反応が遅れればその瞬間に勝負は決まる。
 考えている暇は無い。考えてから動くのでは遅すぎる。
210破壊の死神 前編 23/34:04/08/30 07:14 ID:gJvRAhvc
 生まれてからずっと繰り返してきた訓練の成果を、自分の反応を信じる。
 ただひたすらに全ての感覚を研ぎ澄ます、そしてただひたすらに無心に。
 奇跡を繰り返すような攻防。
 防ぎ、避け、受け流す。傷を受けるのは当たり前、致命傷だけを避けながら相手に攻撃を打ち込んでいく。
 それでも実力の差は明白で、私の放つ全ての攻撃は防がれ、どんどんと押し込まれる。
 刀が追いつかない攻撃が、私の首筋に迫る。
 迷う事無く左腕の小手で防御。
 ガキィッ!!
 小手にヒビが入る。衝撃が小手を貫き、腕に鈍い痛みが走る。
 多分骨にもヒビが入った。
 もう一撃、左腕に強烈な斬撃。
 一瞬前に攻撃を受けた箇所から、少しずらして受ける。
 そうしなければ小手は完全に破壊され、腕ごと首を持っていかれるだろうから。
 ガキィッ!!
 腕の骨が折れたのが感じられた。小手も限界で次の攻撃は防げない。だが、構わない。
 痛みはある。
 しかし、今の私にとって、痛みは怪我の箇所を示すだけの意味しかない。
 これで左腕はまともに動かせなくなった。ならばそれに即した行動をする。
 それだけだ。
211名無しさん@初回限定:04/08/30 07:15 ID:jcQ8sLR0
>>200
君は1人じゃないよ
212破壊の死神 前編 24/34:04/08/30 07:18 ID:gJvRAhvc
 相手に刀を走らせる。
 ヒュン!!
 左腕を犠牲にし、攻撃を阻んだ隙を狙った攻撃も、僅かな傷をつけただけでかわされる。
 さすがに反応も動作速度も恐ろしく速い。
 が、僅かに間合いが離れた。
「月光の太刀ッ!!」
 ハイロウを展開。思い切り踏み込み、飛び込みのスピードを加えた居合い斬りを放つ。
 ガキイイィンンッ!!
 突進の勢いをのせた一撃は、相手の刀にあっさりと阻まれる。
 刀が止められる事は、考えるまでも無く解りきっていた。
 刀は完璧に止められた。しかし、相手はよろけた。
 なぜなら、斬撃と同時に繰り出していた起死回生の回し蹴りが、狙い違わず相手のわき腹に突き刺さっていたから。
 相手の体勢が崩れる。
 殺し合いにおいて、勝機は一度、一瞬で必要十分。
 躊躇無く刀を振り下ろし、相手の左の首筋から右腹にかけて袈裟斬りに一閃した。
 心臓を斬り裂かれ、鮮血を噴水のように切断面から噴き出しながら相手は倒れた。
 紅い鮮血の噴水が黄金色の霧に変わっていく。
213破壊の死神 前編 25/34:04/08/30 07:19 ID:gJvRAhvc
 目の前の敵は倒した。
 けれど、私の目的はこの敵を倒す事では無く、ニムの笑顔を守る事。
 相手の死を確認すると、ニムを探す。
 瞬間、もの凄い爆発音が響いた。
214破壊の死神 前編 26/34:04/08/30 07:22 ID:gJvRAhvc
「……ッッ!! 勝負はこれからッ!!」
 ガードの上から、もの凄い威力の攻撃が強引に打ち込まれる。
 一般に緑の属性は青の属性に有利って言われてる。
 戦術の時間に習ったし、お姉ちゃんに聞いた事もある。
 それは青属性の持つ攻撃力を、緑属性の防御力が防ぎ、癒せるから。
 緑属性の攻撃力が、青属性の防御を打ち崩せるから。
 そんな風に習った。
 けど、そんな理屈なんて、今は何のイミも無い。
 敵の攻撃は私の防御の上からも平気でダメージを与えてくるし、私の攻撃は敵のガードに阻まれる。
 もう私はボロボロなのに、相手はまともなダメージも受けてない。
 回復しようにも、神剣魔法は相手に打ち消されて隙をつくるだけなのが目に見えている。
「……ムカつく」
 八方塞がりだ。
 だから、攻める。
 そこから無理矢理突破口を開いてやる。
「ニムは負けない……絶対に生き残る!!」
215破壊の死神 前編 27/34:04/08/30 07:27 ID:gJvRAhvc
 『曙光』を振りまわす。半端な攻撃力じゃダメ。それは既に経験済み。
 遠心力を乗せ、一気に叩きつける!!
 ブンッッ!!
 全力を込めた一撃。
 ガキイィンッッ!!
 敵の神剣とぶつかり合う。
「くうっっ!!」
 あっけないほどにあっさりと弾き飛ばされる。
 体勢が崩れる前に自分から力の方向に体を回転させる。
 そのまま一回転して勢いをつけた『曙光』を、相手の追い討ちの攻撃にぶつける。
「やられる前に、先に潰す!!」
「……」
 ガギイィンッ!!
 明らかにリスクの高い予備動作をしてまで繰り出してる筈の私の攻撃は、相手の攻撃に軽く弾き返される。
「きゃああっ!!」
 『曙光』が弾き飛ばされ、私も吹き飛ばされた。
216破壊の死神 前編 28/34:04/08/30 07:31 ID:gJvRAhvc
「痛ぅッ!!」
 立ち上がろうとして、右足に激痛が走った。
 よろけるが何とか踏みとどまる。
 『曙光』は遠くに吹き飛ばされ、地面に刺さっている。
 大ピンチだ。
 相手は次の一撃にゆっくりと力をためる。腰を低く落とし、マナを集中させてる。
 チャンスだっていうのに、敵の表情には何の変化も無い。
 淡々と作業をこなしてるだけみたい。
「ホント、ムカつく」
 バッ!!
 敵の真っ黒なハイロゥの翼が広がって、溢れるほど大量のマナを神剣に集中させた敵が止めを刺そうと襲い掛かってきた。
 冗談じゃない。『曙光』も無いのに、そんな攻撃防げる訳無い。
 だから、無事な左足を思い切り使って、飛んでくる相手に向かって突進した。
 意外だったんだろうか、敵は初めて驚いた表情を見せた。
 いい気味。それに、バカなヤツ。
 私があきらめるとでも思ったの?
 私は、お姉ちゃんの背中をずっと見てきたんだよ?
217名無しさん@初回限定:04/08/30 07:34 ID:jcQ8sLR0
     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <私にはわかるんです いつ支援すればいいのか・・・
   j /ヽ y_7っ=   どうやらあの人のようですね
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
218破壊の死神 前編 29/34:04/08/30 07:34 ID:gJvRAhvc
 相手が神剣を振り下ろしきる寸前に、敵の懐に飛び込む。手を相手の胸元に添える。
 ゼロ距離からのエレメンタルブラスト!!
「砕け散れ!!」
「!?」
 爆発。
 世界が光で白く染まる。
 相手はアイスバニッシャーを使う間も無く、吹き飛んだ。
 私も派手に吹っ飛んで地面に叩きつけられた。
「かはあっ!!」
 肺の中の空気が全部搾り出された感じ。一瞬息が止まりかける。
 でも、生きてる。
「へへ……お姉ちゃん。やったよ」
 体中痛くて体を起こすのもままならないけど、何とか生き延びた。
 お姉ちゃんを探す。
 見つけた。
 お姉ちゃんも傷だらけだったけど、私の方を向いて笑ってくれた。
 ほっとする。やった。
 そう思った。その時、お姉ちゃんの顔が驚きに染まった。
 お姉ちゃんが叫ぶ。
「ニムッ!! 危ないっ!!」
「え?」
 痛みに軋む首を後ろに向けると、そこには敵のエターナルミニオン。
 新しく現れたんだろう赤いヤツが、今まさに魔法を唱える寸前だった。
219破壊の死神 前編 30/34:04/08/30 07:36 ID:gJvRAhvc
 もの凄い大音響、大爆発。
 ニムと戦っていた青エターナルミニオンは爆散し、金色の霧と成り果てた。
 ニムもかなりの勢いで吹き飛ばされたけど、何とか生きているみたいだ。
 良かった。心の底からほっとする。
 ニムが危なっかしくよろけながら起き上がり、きょろきょろと周りを見回し私を見つけた。
 笑いかける。ニムもにっこりと笑い返してくれた。
 すぐに駆け寄りたいところだけど、お互いに満身創痍というのも控えめな位にボロボロで、動く事もままならない。
 じれったい。でも、良かった。本当に良かった。
 その時、ニムの後ろの木の陰から、何かが飛び出してきた。
 それは新たな敵。
 しかもその赤エターナルミニオンは、神剣魔法の詠唱をたった今にも完了し、発動するところ。
 突然すぎる展開に、思考が千々に乱れる。

  圧倒的な魔法力  あれは……アポカリプス!!
      今の状態では食らえない、食らったら……間違い無く死ぬ
何とか防ぐ方法は?   体はまともに動かない
        ニムは緑スピリット   緑属性は魔法抵抗力が低くて……
 ニムももう限界  私は……   ニムは……

 一瞬の思考がただ一つの結論を導き出そうとする直前、突然に頭の中に声が響いた。それは『月光』の声。
220破壊の死神 前編 31/34:04/08/30 07:39 ID:gJvRAhvc
『くそっ、やるしかないな』
 『月光』の声が今までに無くはっきり聞こえる。こんなにはっきりと聞こえたのは初めてだ。
『俺の力を一部解放する。後はお前次第だ』
 !? 私に……出来るの?
『考えるな!! お前の心は何を望むのか、感じるままに動け!!』
 そうだ。今は余計な事を考えている時じゃない。
 私は……ニムを、助ける!! 出来る出来ないじゃない、絶対に助ける!!
『急げ!!』
 体中に恐ろしいほどの力が漲る。思い切り足を踏み出す。体中がぎちぎちと軋みをあげるが、躊躇いは無い。
『可能性は否定した時に閉じる』
 ハイロゥを展開、大気の壁を邪魔に感じるほどの高速飛翔。これなら、間に合う!!
『お前の望む道はどこにある? お前はそれをもう見つけている筈だ。なら、そこから目をそらすな』
 鞘に納めた『月光』の柄を握り締める。
『自分自身を貫け。お前がお前である為に!!』
 神速の抜刀術。一撃必殺の月輪の太刀!!
『お前の信念の前に立ちはだかるものを……』
「はあーーーーっ!!」
『破壊しろ!!』
221破壊の死神 前編 32/34:04/08/30 07:42 ID:gJvRAhvc
 ヒュンッ!!!
 間違い無く、今まで何千何万回と放ってきた中で最速の一撃。
 エネルギーは速度の2乗に比例する。
 有り余るエネルギーは『月光』の切れ味をもって、手応えも感じぬままにエターナルミニオンを真っ二つにした。
 繰り出した技のあまりの勢いに腕が耐え切れず、ぶちぶちと腕の中で何かが切れる感覚がある。
 突進の勢いを止める事も出来ず、真っ二つにしたエターナルミニオンであったモノにぶつかり、形を失い金色の霧になりゆくモノと共に、私は地面に倒れこんだ。
 かなりの勢いで地面にぶつかった筈なのだが、痛みもどこか虚ろだ。
「お、お姉ちゃん?」
 何が起こったか解らないといった感じの、ニムの声。
 ニムが無事だった事に心から安堵する。
「お姉ちゃん!!」
 ニムが足を引きずりながらも、慌てて駆け寄ってくるのがおぼろに感じられる。
 霞む視界で涙をぼろぼろとこぼすニムを確認し、自然と笑みが浮かぶ。
「ああ、私、……ニムを守れ、たんだ。……良かった」
「うん。うん! お姉ちゃんが守ってくれたんだよおっ」
「あはは、……うん、泣かなくても……いいから」
222破壊の死神 前編 33/34:04/08/30 07:45 ID:gJvRAhvc
 体中がだるくて痛い。おまけに何だかふわふわする。
 ニムの涙をぬぐってやろうと思ったが、腕に力が入らない。そればかりか体全部が全く言う事をきかない。
 今の攻撃に、自分の体が耐えきれなかったのだろう。
 特に一撃を放った右腕は、もはや痛みどころか感覚も無い。
 見ればびくびくと痙攣し、赤黒く変色してしまっている。筋繊維やら神経やら血管やら、全てが破壊されているのだろう。
 自分の腕なのに自分の腕じゃないみたいだ。痙攣してるのすら分からないというのもこれまた妙な感じだ。
 気が抜けたのか、そんなどうでもいい事を考える。
「お姉ちゃん。今度は私がお姉ちゃんを助けるからっ!! 絶対、絶対に助けるからっ!!」
「……ん」
 言って、目を閉じる。もう目を開けているのも辛かった。
「お姉ちゃん!? お姉ちゃん!!」
 ニムの声を聞きながら、意識がふわりと、途切れた。
223破壊の死神 前編 34/34:04/08/30 07:47 ID:gJvRAhvc
 ファーレーンが次に意識を取り戻したのはそれから丸一日後。
 時深に言われて二人を探しに来たエスペリアが、倒れているファーレーンと半狂乱になって泣きながら回復魔法をかけているニムントールを見つけ、大急ぎでラキオスへと連れ帰った。
 ファーレーンの怪我は見た目も酷かったが実際はそれよりも遥かに深く、特に外傷よりも筋や神経といった部分の損傷が激しかった。
 だが、ニムントールのかけ続けていた回復魔法の効果もあり命に別状は無かった。
 ニムントールの方の怪我も深く、ファーレーンの命に別状が無い事を聞くと、そのまま倒れるように眠ってしまった。
 翌朝、二人は示し合わせたように同時に目を覚まし、お互い微笑み合うとまた眠りについた。

 それから更に2日後、ファーレーンとニムントールが戦列に復帰した。
 絶望の陰りが見え、もう玉砕覚悟の特攻で敵を減らすしかないというところまで追い詰められていたラキオススピリット隊は、それだけで息を吹き返した。
 どんな逆境でも決して諦めず、絶望しない。大陸を統一した強いラキオススピリット隊が戻ってきた。
224名無しさん@初回限定:04/08/30 07:56 ID:jcQ8sLR0
支援時かな
225名無しさん@初回限定:04/08/30 07:56 ID:jcQ8sLR0
_| ̄|○ やっちまった...
226名無しさん@初回限定:04/08/30 08:00 ID:gJvRAhvc
お粗末様です。
テキストに書いてたときはそうでもなかったんですが、
アップしてみると視点転換場面が良く解りませんな。
口調、その他で判断よろしくお願いします。スイマセン。
支援、ありがとうございました。

とりあえず前後編に分けようと思ったのですが、
後編が長くなりすぎるので、中編をはさんでいきたいと思います。
文章自体はもう出来てますので。

エクスパンションをプレイして思いました。
ファーレーン愛されてねぇよ!!
本編でも出て来た時はメインの人達よりも強いのに、
後半になるほど能力が上がらなくなるし。
その辺の切ない思いを込めて。でした。
227名無しさん@初回限定:04/08/30 08:04 ID:egzJTW7K
>>226
乙〜。
レス書こうと思ったら始まってたんで、
ずっと924スレに書き込んでたよ。効果あるかは不明だけど。
そのレス書いたら読ませてもらいますね。
228名無しさん@初回限定:04/08/30 08:06 ID:egzJTW7K
>>140
 まぁ、感想として書いてるうちに番宣風味が入ってきたので、
せっかくだからと多少意識はしましたが、私の感想として嘘は言ってないですよ。
 「マルチサイト」ですか。私の語彙には入ってなかったです。(汗
ただ、視点の複数ということよりも、その混ぜ方と時間軸の方を指したかったんですよね。
何にせよ、変な言葉を引っ張り出してしまってごめんなさい。
(動画等のデータファイルならまだしもフロッピーのフォーマットを思い浮かべてしまった年寄りorz)
 一読者としては書き手側の意図を読み取り切れているかというと甚だ心許ないのですが、
書き手側はある程度読者に期待しても良いのではないかと思います。
無論、書き手と読み手の双方の能力や姿勢によって、理解の比率に差は出るでしょう。
当然、全員が完全に理解するというわけにはいかないでしょう。
ですが、教科書ではありませんし(w、全員が完全に理解できる「必要」があるでしょうか?
必要なのは、読み手の能力・姿勢に応じて読み取れるように書くことではないかと、私は思います。
誰にでも受け入れられるように、誰にでも分かるように、と突き詰めて行って、
毒にも薬にもならない無味乾燥なものになってしまったら、それは物語・小説・SSと言えるのでしょうか?
まぁ、書店に行けばそういうものもごろごろ転がっているわけですが。
私なんぞは、伝わればいいなとは思うけど伝わらなかったり違うように伝わったならそれはそれで、
と思ってたりして、これはこれで問題かもしれませんが。
何だか一部毒のある問題発言をしたような気もしますが、スルーして頂くとして、(汗
きっと、常に自戒の念を持ちつつ過度に気にしすぎないぐらいが丁度良いのではないでしょうか。
 >拙作関係
ありがとうございます。「貴方なりに」、私としてはそれが一番嬉しいです。
上手に甘やかされてあげるというのも、甘やかしのひとつの形かもしれませんね。
お、次作(?)構想中ですか。がんばって下さい、期待してます。
役に立つなら幸いではありますが、どうかあまり影響されすぎないように。
って、まぁ、信頼の人氏なら言うまでもなく大丈夫だとは思いますが。
229名無しさん@初回限定:04/08/30 08:07 ID:jcQ8sLR0
>>226
GJ!
IDが神ですねw

番号見ずに、ユートが出てないから支援したなんてことはないです...orz
すいませんでした....
230名無しさん@初回限定:04/08/30 08:59 ID:egzJTW7K
>>226
読み終えたので改めて、乙&GJ!
おぉ、ファーレーンの伸び悩みできましたか。良いねぇ〜。
文章に若干こなれてない部分を感じますが、文単位ではそれもないようなので、
文の集合としての文章のリズムというか流れに少し注意を向けてみると
もっと良くなるかもしれません。今のままでも充分と言えば充分なんですけどね。
テンポの緩急とか主題選択とか、良いものを持っていると思いますので、
せっかくならそれらをより活かせれば、と前向きな意味合いで。
(なんてエラソーなこと言える身ではないんですが、本当は)
続きもがんばって下さい、期待してます。
231名無しさん@初回限定:04/08/30 15:24 ID:btxO9G7c
検索で引っかかるっていうヘリオンもののSS読んだよ
それにしてもあれだ
作者は相当……まぁ俺らもそうなんだけどな
232名無しさん@初回限定:04/08/30 16:41 ID:XjMx6TXW
>>231
>作者は相当……まぁ俺らもそうなんだけどな

むしろその作者に此処の存在教えてやれ。
案外、ここの住人かも知れんがw
233憂鬱の人:04/08/30 16:42 ID:AYbxb7Ly
さて、そろそろ忘れられないうちに
第5部の投下を開始します。
今回はちょっとしたヤマ場のつもりです。
234エスペリアの家出・52:04/08/30 16:44 ID:AYbxb7Ly
「ウルカ、入るぞ。」
夜になった。敵の攻撃もほとんど止み、悠人は交代でテラスに見張りをおく事にした。
結局その後は新手の襲撃もなく、初日の戦闘結果は上々と言えた。悠人は光陰達に
見張りを代わってもらい、その足でウルカの寝室を訪ねた。

「ユート殿、先ほどは失礼致しました。」ウルカが頭を下げる。
「余り気にしなくていいよ。それより、今後の事だけど、
――ウルカの部下だったスピリット達は、どうも見たとこ西のほうから来てたようだな。」
「―――はい。」
「どうする?」
「どうする、と云われますと?」ウルカが顔を上げて尋ね返す。

「予定じゃウルカ達の担当にしてただろ、サレ・スニル方面は。」
今後も元ウルカ部隊だったスピリットの襲撃があれば、再びウルカ達が相対する可能性が高い。
その時にウルカが冷静でいられるかどうか。
「今ならまだ変更は出来る。編成を総入替えして、
俺たちがサレ・スニルに進攻するのなら、それほど大きな違いは出ない。」
235エスペリアの家出・53:04/08/30 16:45 ID:AYbxb7Ly
「ユート殿、――出来れば、手前に行かせて下さい。」ウルカが決意に満ちた視線を悠人に
向けた。
「――少し、聞かせてもらえるかな、今日のスピリット達のこと。」
悠人は即答せず、「神剣に呑み込まれていた」というスピリットの話を聞くことにした。

「――なるほど、じゃあ、今そのスピリット達はソーマという男が直轄している部隊にいる、と」
ウルカの説明を聞き終え、悠人は一つ、大きな息を吐いて言った。その男については
以前レスティーナに聞かされた事があった。以前ラキオスでスピリット部隊長を務めていた事、
かつてのエスペリアの上官であった事、――そして、「妖精趣味」の男である事を。

「予定通りサレ・スニルのほうはウルカ達に任せる。」しばらく考え、悠人は言った。
「よろしいのですか、ユート殿?」
「どうせ止めたって無駄、だろ?」無理に止めれば、この武士道精神のスピリットは独りで
飛び出して行きかねない。「そのかわり一つだけ、約束してくれ。」
「――何でしょうか。」
「俺は隊長だ。隊長として、俺の部下を死なせる事は許さない。
――そして、ウルカ。ウルカも俺の大事な部下だ。」

「――約束、します。――必ず。」
深々と頭を下げるウルカの双眸から、涙がこぼれ落ちた。
236エスペリアの家出・54:04/08/30 16:46 ID:AYbxb7Ly
次いで、悠人は病室に向かった。見ると、その病室からニムントールが出て来るところだった。

「ニム。どうだ、2人の具合は。」
「あ、ユート。」ニムが悠人に気付き、振り返る。その幼いスピリットはずいぶんやつれた顔をしていた。
「ずっと回復魔法をかけてたのか?まだ戦いが終わったわけじゃないんだから、
あんまり無理はするなよ。」
「・・・ん。」ニムは小さく頷き、足早に立ち去っていった。
やや無愛想にも見えるニムを見送り、悠人は病室に入った。
病室というほど立派ではなく、むしろ学園の保健室のような、
ベッドごとにカーテンで仕切られただけの粗末なつくりの部屋の中で、ハリオンとアセリアが休んでいた。
「ハリオン、大丈夫か?」
「あ、ユート様。」ハリオンが体を起こした。
「横になったままでいいよ。――まだ、痛むか?」
「いいえ、もうずいぶん良いんですよー。」ハリオンが笑う。
「ニムにも、もう大丈夫って言ったのにー、あの子、自分のせいだからってー。」
237エスペリアの家出・55:04/08/30 16:49 ID:AYbxb7Ly
そう言えば、いつも支援役に回っているハリオンが負傷したのは、
たまたまニムが守備から離れて神剣魔法を詠唱しようとしていた時であった事を、悠人は思い出した。
「――そうか。けっこういいとこあるな、ニムも。」悠人は微笑を浮かべた。
「それより、ユート様ぁ、わたし、体に傷が残るかどうか心配なんですけれどもー、
見てもらえますー?」そう言ってハリオンは胸元を開き始めた。
「自分だと、胸がじゃまでよく見えないんですよー。」少し前をはだけるだけで、
下着も着けていない白い大きな谷間が露出する。
「うっ、うわわっ、や、やめろハリオンっ!」しかし、次の瞬間、
悠人の目はタポン、と音が聞こえてきそうなハリオンの見事な胸に釘付けになってしまう。
悠人の心の中で天使と悪魔が言い争いを始めた。

――大丈夫だ、どさくさにまぎれて胸の一つや二つ(できれば二つ)さわったって、
ハリオンなら怒ったりしないって。
――よ、よせっ!いいのか?こんな事が他のスピリットや今日子達にバレたら、
今まで築き上げてきた隊長の威厳が一気に崩れ落ちるぞ!
――へっへっへ。そんなあるのかないのか分からないようなモンにこだわるなよ。
今は目の前のたゆんたゆんが最優先だ。
238エスペリアの家出・56:04/08/30 16:51 ID:AYbxb7Ly
「うおおおおおお―――っ!!」
かろうじて悪魔をオーラフォトンブレード(W)で退治した悠人は
「そ、それだけ元気があれば大丈夫だ!じゃ、じゃあな、ハリオン!」
と言って慌ててカーテンを閉じた。「あらー、見てくれないんですかー、残念ー。」
カーテン越しに聞こえる声が悠人の後ろ髪を引く。
「ハアハア...な、何が残念だよ...」息を整え、下半身がぶざまな事になっていないか確認してから、
悠人はアセリアの様子をのぞいた。「――おい、大丈夫か、アセリア...って、お前っ!」
アセリアはすでに上半身裸になってベッド上に座っていた。
「ユート、傷を見てくれるのか?」
「ちっ、違うっ!いや、違わないけど、違うんだ、アセリア!」
もう自分でも何を言っているのかわからなくなる悠人。
「傷じゃなくって、傷の具合を...た、頼むから服を着てくれ、アセリア〜。」
悠人は半泣きになって哀願した。実はアセリアには、今後無理な攻撃を仕掛けないように
、隊長らしく注意しようと思っていたのだが、もはやそれどころではなくなっていた。

「まったく、どいつもこいつも...」悠人は愚痴りながら、
先ほどウルカの部屋をカッコよく出て来た時とうって変わって、みっともないへっぴり腰で病室を後にした。
239エスペリアの家出・57:04/08/30 16:52 ID:AYbxb7Ly
数日が経過し、リレルラエルの防衛戦は成功裏に終了した。
依然としてエスペリアの消息はつかめないままだったが、
アセリア達の傷も癒えた今、これ以上出発を遅らせるわけには行かなかった。
その日の夕方、悠人はオルファ、ニムを伴って最後の見回りに出かけた。
最初は光陰が行く予定だったが、今日子の前でニヤケ顔を抑える事が出来なかったため、
今は生死の境をさまよっている。

水が流れる音が聞こえ、不意に森がひらけた。「――川だ。もうこんな所まで来たのか。」
いつもなら賑やかな仲良しの幼いスピリット達も、今日は口数が少ない。歩いている間も
ほとんど会話らしい会話はなかった。「少し、休憩しようか。」三人は河原の石に腰をおろした。
ニムも、オルファにつられるようにうつむいた。

――こないだ、八つ当たりしちゃったもんなあ。
悠人はオルファを見つめた。――「パパ。」不意に、オルファが思い切ったように悠人を見上げた。
240エスペリアの家出・58:04/08/30 16:53 ID:AYbxb7Ly
「パパ、オルファの事、嫌い?」
悠人の胸にオルファの言葉が突き刺さる。悠人は自分に腹が立った。
ただでさえエスペリアの事で不安定になっている、こんな年端も行かない女の子に
気を遣わせてしまっている事に。
「バ...バカだな、そんな事あるわけないだろ。」バカはどっちだ、と思いつつ悠人が答える。
「でも...でも、あんまり話してくれないし...」
「そ、それは...」

「オルファ、ユートだって、戦いばっかりで疲れてるんだよ。」
言葉を失うユートをかばうように寡黙なニムが突然口を開いた。悠人は少なからず驚かされる。
「もう少しでこの戦争も終わるんだから、みんなも頑張ってるんだから、
あたし達も頑張ろうよ、ね?」オルファの手を握って言葉を繋ぐニムの姿を見て、
悠人は涙がこぼれそうになった。
241エスペリアの家出・59:04/08/30 16:55 ID:AYbxb7Ly
「ニムは...戦争が終わったら、何かしたいことがあるのか?」
しばらくして悠人はニムに尋ねた。
「――え?」ニムが驚いたように悠人を見返す。馬鹿げた質問かも知れないが、
悠人は訊かずにいられなかった。

「ニムはね...――笑わない?」上目遣いに問いかけるニムに悠人は、真剣な顔で頷いた。
「ニムは...学校に行きたい。いっぱい勉強して、ヨーティア様みたいな学者になりたい。」
「ヨーティアみたいな、学者...?ニムも、マナとかエーテルとかを研究したいのか?」
確かにあの偏屈な賢者は、縦のものを横にもしないくらいのものぐさだが、
まさかその生活態度に憧れているという訳ではないだろう、悠人はそう思って続く言葉を待つ。
オルファも、突然のニムの告白にあっけにとられていた。

「――ニムは...グリーンスピリットなのに...魔法が得意じゃないから...
だから、薬の事とか勉強して、みんなを治してあげたいの。」
「―――ニム...そんな事考えてたなんて...すごいな...」
思わず正直な感想が口をついて出た。ニムが慌てたように真っ赤になってうつむく。
考えてみれば、この世界にスピリットが通う学校など一つもない。
しかし、レスティーナが目指す世界なら、それも実現可能だろう。
242エスペリアの家出・60:04/08/30 16:56 ID:AYbxb7Ly
「――あと少しでこの戦争を終わらせて見せる。
うん、ニムならきっといいお医者さんになるよ。」悠人は自分に言い聞かせるように頷きながら言った。

「パパ、戦争終わったら、オルファも学校に行くー。」
帰り道、何だかすっかり元気を取り戻したオルファがはしゃぐ。
「そうだな、オルファなら友達がたくさん出来るだろうな。」悠人の顔にも笑顔が戻った。

もし、この世界に人間がいなかったら、せめて争いがなかったら、スピリット達は何を考え、
何をしていただろうか。悠人がファンタズマゴリアに来た時からずっと考えていた事だった。
しかし、悠人には想像もつかなかったその答えを、少なくともその一つの可能性を、小さなスピリットが示してくれた。
「俺が、この世界で戦う意味、か。」悠人はつぶやいた。
何やら楽しそうにおしゃべりをしながら帰路を急ぐオルファとニムの後ろ姿が、
通学路を行く小鳥と佳織に重なってしかたなかった。

――やってやる。たとえ...神剣に、心を呑み込まれたとしても!
243エスペリアの家出・61:04/08/30 16:58 ID:AYbxb7Ly
「悠、いい?」夕食を終えて明日の準備をしているところに、ノックの音がした。
「――今日子か、開いてるよ。」悠人は顔だけをドアに向けて返事した。

「光陰は、もう復活したのか?」
「あのさ、エスペリアの事なんだけど。」長椅子に座った今日子が悠人の質問を無視して切り出す。

――あんまりいい話題じゃないな。
悠人はそう思いながら身支度を中断してベッドに腰掛けた。
先日の口論以来、二人ともエスペリアの話題は避けていた。
「――ここで、待っていなくても、いいの?」
「――サーギオスの連中も、もうここには攻めて来ないし、いつまでも居残るわけにはいかないだろ。」
サーギオス軍はリレルラエルの奪還をあきらめたのか、すでにその残存兵力のほとんどを
エーテルポンプ供給基地である三大拠点の防衛に回していた。

「あたしが聞いてるのは隊長としての意見じゃなくて、悠自身の考え。」
244エスペリアの家出・62:04/08/30 17:00 ID:AYbxb7Ly
「俺自身の―――?」
「そう。結局悠は、エスペリアにどうして欲しかったわけ?」
「どうして欲しいかって....そりゃ、まあ、俺の家来みたいな事ばっかりじゃなくって、
自分のしたい事をして欲しいって言うか...」
「エスペリアにはエスペリアのやり方があるんじゃないの?
今までのスピリットとしての生き方を変えろっていうの?」矢つぎばやに質問を繰り出す今日子だが、
決して冷静さは欠いていなかった。

「スピリットだって自分の進みたい道があるはずなんだよ。
ただ、これまでこの世界の人間がそれを邪魔してたんだ、きっと。」悠人は先刻のニムを思い出しながら、言った。
「エスペリアはね、ずっとそういう人間中心の世界で暮らしてたのよ。
いきなり悠があたし達の世界の価値観を押し付けたら、どうしていいか分からなくなっちゃうわよ。」

「――似たような事、光陰にも言われたよ。」悠人は溜息をついた。
「あのバカが悠になに言ったか知らないけどね。あたしにはあんたが意地になってるとしか思えない。」
245名無しさん@初回限定:04/08/30 17:00 ID:tVU7cOhl

246エスペリアの家出・63:04/08/30 17:01 ID:AYbxb7Ly
「なんだよ、それ。」少しムッとして悠人が聞き返す。
「だって、エスペリア以外にもロボットみたいなスピリットはいっぱいいるでしょ。
――この、ラキオスの部隊の中にも。どうして、エスペリアの事だけこだわるのよ。」

「―――!」半ば、さとすような今日子の問いかけに、悠人は返す言葉がなかった。

「悠は、スピリットとして、振る舞って欲しくなかったんでしょ?エスペリアには。
――エスペリアだけには。」
今日子の、決して怒りを含んでいないその言葉が、
ハリセン攻撃の何倍もの衝撃を持って悠人の心に叩きつけられた。

―――俺は...!
悠人は、うつむき、シーツを握りしめた。
「――やっと分かったみたいね、バカ悠。――じゃ、あたしの話はおしまい。
今さら出発延期ってわけにも行かないだろうけど、もし、今度無事にエスペリアと会えたら...」
「今日子。」悠人は今日子の言葉をさえぎり、顔を上げた。
247エスペリアの家出・64:04/08/30 17:03 ID:AYbxb7Ly
「――何よ。」
「――『妖精趣味』――そう言うんだそうだ、この世界じゃ。」
「何、それ。」
「だから、その...人間が...スピリットの事を...」
「好きになったら異常だっていうの?――あきれた。
それこそ、スピリットを道具あつかいしてるこっちの世界の言葉でしょ
。あんたがそれに振り回されてどうすんのよ。」
今日子の揺るぎない言葉が、今度こそ悠人の心の壁を、確実に打ち砕いた。

「じゃあね、あたしはもう寝るから。悠も、さっさと準備しときなさいよ。」
そう言って出て行こうとする今日子に、悠人はもう一度、声をかけた。」
「今日子、あの...うまく言えないんだけど...」
「礼ならいいわよ。悠には一度、あたしのワガママ聞いてもらってるから。
これでおあいこ。」少し照れくさそうな笑いを浮かべた今日子はそう言うと、
バタンとドアを閉め、悠人の部屋から出て行った。
248エスペリアの家出・65:04/08/30 17:04 ID:AYbxb7Ly
――参ったな。完全に俺の負けだ。
今日子の出て行ったドアを見ながら、悠人は思った。
「光陰が、神剣に呑み込まれないわけだよ。」今日子がかつて、「空虚」に支配されていた時、
今日子に殺されてやる、平然とそう言った光陰の顔を思い出し、悠人はつぶやいた。
多分、光陰なら三日間オルファと密室に閉じ込められても
何もしないだろう、そう考えると、笑いを禁じえない悠人であった。

「よお、今日子、どこ行ってたんだ?」どうやら復活したらしい光陰が廊下で今日子と出くわした。
今日子が光陰をまじまじと見つめる。
「...ってことは...こいつは、妖精趣味のロリコンってことね...」
いきなりスパークする今日子のハリガネ頭。
「な、何いきなり充電してんだよ、おい。」さっぱり話の見えない光陰があわてふためく。
「ええい、うるさいっ!!こんのド変態―――ッ!!」
今日子のスペシャル・ハリセン・サンダーが炸裂した。
「す...すいま...ゴメッ!ホント、勘弁...しっ!」自分でもなぜ謝っているのかわからない、
哀れな光陰の声がリレルラエルの夜空に響いた。
249飛翔の人:04/08/30 17:06 ID:zmW1WkFb
支援します。「えすぺりあ・あたーく!」
250エスペリアの家出・66:04/08/30 17:07 ID:AYbxb7Ly
――翌朝。
快晴の空の下、悠人はウルカをはじめとするスピリット部隊に別れを告げた。
「ウルカ。頼んだぞ。」
「承知。ユート殿の御武運、お祈りしております。」ウルカが一礼する。
「パパー、オルファ達と競争だね。負けないからー!」
「――そうだな、ちゃんとウルカお姉ちゃんの言う事守るんだぞ。」
なんだか本当のパパになった気分だ、そう思いながら悠人はオルファの頭をなでた。
「――ユート、気を付けてね。」控えめにニムが言った。
悠人が笑顔を返すと恥ずかしそうに背を向け、ネリーたちの方に走っていく。

「さてと。行くか、光陰、今日子。」
「へいへい、隊長殿。」悠人をうらやましそうに見ていた光陰が返事をした。
「なにいじけてんのよ、光陰。」今日子がニヤリとわらってハリセンで光陰を突っつく。
「出発前からあんまり無駄なエネルギー使うなよ、二人とも。」
悠人が隊長の顔に戻って、言った。
「まだ、何一つ終わっちゃいないんだ。」
そう言いながらも悠人には、全てがうまく行く、そんな予感がしていた。
251憂鬱の人:04/08/30 17:08 ID:AYbxb7Ly
おお、飛翔様、thxでした。
以上で第5部終了です。
252あとがき:04/08/30 17:17 ID:AYbxb7Ly
今回はかなりシリアス一辺倒の「家出」、如何でしたでしょうか。

ニムはいっつも「はあ、面倒」ばかり言ってますが、
サポートに回したときはけっこう泣かせるセリフが多いので
こんなエピソードをあたためてました。ヨーティアだけは様付けで呼んでますが、
さて、EXPではどうなんでしょうか。

ラストまであと2・3回の予定です。ストーリー自体は出来上がってるんですが、
いかんせん遅筆なのが私の欠点です。今スレ中に終わればいいんですが。

ご感想お待ちしてます。
253飛翔の人:04/08/30 17:19 ID:zmW1WkFb
 う、支援要るか微妙かと思ってたら・・・やっぱり五部終了でしたか。
 どんどん登場シーンが減るエスペリアに代わって、支援だけでもと思ったのですが^^;

 学校に行きたいというニム・・・健気ですねぇ・・・。
 EDで流れるオルファの「学校に行きたい」という願いは、もしかしてここで生まれたのかも??
 ハリオンの誘惑(?)というか天然もあって、思わず緑スピルートの名を進呈したくなりました。

 これから真打ちであるエスペリアに話題が移るのでしょうが、果たしてソーマの元で彼女は彼女
のままでいられるのか・・・・今から心配が尽きません。 

 では最後に・・・GJ♪&光陰南無。
254名無しさん@初回限定:04/08/30 17:20 ID:tVU7cOhl
gj
255名無しさん@初回限定:04/08/30 17:53 ID:ecMnNz6P
>>だって、エスペリア以外にもロボットみたいなスピリットはいっぱいいるでしょ。

メカすぴ思い出したヨ

しっずかっなこっはんのもっりのっかげっからーおっとこっとおんなのこえがするー
「オルファちゃんカワイイヨハァハァ(コウイン」
「だめぇ…そこっ変になっちゃうよぉ…ふぁっ(一人二役」

偶然聞いてた(聞かされた)今日子に黒焦げにされるわけだ
強いわけだメカすぴっ
256名無しさん@初回限定:04/08/30 19:13 ID:tVU7cOhl
一応貼っておきますね

Xuse(ザウス)総合28
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1093859522/
257名無しさん@初回限定:04/08/30 21:15 ID:egzJTW7K
>憂鬱の人
乙&GJ!
あはははは…あ、いや、スマソ、シリアスなんだよな今回。
でも、シリアスでも笑いを忘れないところが好きです。
哀れ光陰…おいしいけどな(w
ニム、かーいーよ〜。憂鬱世界では最初からなのか、はたまた転機があったのか…(妄想)
そしてハリオン…すっかり、た(ry
258名無しさん@初回限定:04/08/30 21:22 ID:3fXKcwLF
のわっ!
1日スレから離れていたらこんなに作品が…。
職人さま方乙&GJです!!!

ヘリオンたん、ファーレーンお姉さん、ニムたん、はぁはぁ…。
259名無しさん@初回限定:04/08/30 21:30 ID:egzJTW7K
>>257
+氏
orz
260道行書き:04/08/30 22:03 ID:GIa0+Oes
>226さん
長編の投稿、お疲れ様です。
ファーレーンは確かに、スーパーハードでは残念ながら使いづらい、
それが分かっていても読み始めてすぐに衝撃を受けてしまいました。
中編、後編と強さを取り戻したファーレーンがどのように悠人と再会するのか
楽しみに待っています。GJでした。

>憂鬱の人さん
GJ!&お疲れ様です。
天使と悪魔が読んでいる自分の中にも湧き出してくるようです。
「息抜きのネタがあるからって笑っている場合では無いでしょう、
エスペリアはソーマのところでどんな扱いを受けていると思っているのですか!」
「これからどうなるかは先のお楽しみなんだから、笑えるところでは笑っておいて、
シリアスなところでしっかり感動すればいいのですよ」
……少々悪魔が優勢かもしれません。
所々に散りばめられた重苦しくなりすぎないようなネタに癒されつつ、
エスペリアの無事を祈って続きを待ちたいと思います。
261信頼の人:04/08/30 23:32 ID:eJQlFIJv
ハクゥテ…………なんの疑問も無く使ってた……
大事な所なんだからちゃんと考証しとけよ、自分…………_| ̄|○
ご指摘を受けて読み返したら同じ所で爆笑してしまいました。
もう修正きかないのでどうしようもありませんが、気付いた方々申し訳ありませんでした。

>>177髪結いの人さん
期せずしてお笑いアクションみたいになった観がありますがw、
読んで頂いて有難うございます。
あとオルファ、ごめんなさい。エヒグゥだった。懺悔してオルファルートやり直してきます。

それにしても一日でこれだけのSSが……今日の睡眠時間は短くなりそうですw
262名無しさん@初回限定:04/08/30 23:58 ID:anUAjSyV
うわ、スゴい…職人のみなさん乙&GJ!

>226さん
初回プレイ時、世界の命運を決するラストバトル。
ロウエターナルの猛攻に、果敢に立ち向かうも次々と倒れるスピリット隊。
その中でただ一人、オーラフォトンの暴虐なパワーを受けきった歴戦のスピリット…
てのが自分の中のファーレーンのイメージなんです(盾ニシテゴメンネ雑魚スピノミンナorz)。

周回して、使い辛くなって、ギャップにもどかしく感じてもイメージは崩れませんでした。
でも今、その強さがどこから来るのか、感じとれた気がします。
やっぱりファーレーン強い!!
263保管庫の人:04/08/31 00:05 ID:haNrZBsf
>>226
お疲れさま&GJです。

中編以降の投稿についてですが、最近このスレの投稿ペースは異様に速い&大量
なので、できれば保管庫の連絡スレにて、他の作者さんの動向をチェック願います。

既に完成された作品ならば、信頼の人氏の「代償」のように保管庫の方へ一気に
投下してからリンクを貼りに来るという方式も選択できますので、ご検討下さい。

SS保管庫・連絡スレッド
ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/game/13463/1082271342/
264名無しさん@初回限定:04/08/31 00:13 ID:hCVLktqg
感想の続きです

>憂鬱の人さん
ズバっと切り込む今日子のセリフ鮮やかです。このシリーズ、エトランジェ組の友情アツいです。
光陰含め、お互いの弱さ折込済みで、支えあってる仲が好きなんですよ〜
今日子の場合、某イベントで株を落としてる印象があるんですが、
今回の彼女は、自分のいろんな想いを乗り越えて、一回り大きくなってる感じ。

そして前回、妖精趣味に加えメイド萌えが発覚したソーマ様(自分脳内)ですが、
料理・洗濯・お掃除の次にくるメイドさんのお仕事ってナニ?!エスペリア…不安ですw
265名無しさん@初回限定:04/08/31 00:23 ID:mHRmcd46
日付が変わったので、メル欄寸劇の人さんを真似てみました。

>>道行書きさん>147-148
なるほど〜。言われてみれば悠人が一方的にヨト語覚えるだけじゃなく
彼女達も日本語を覚えたがるはずですよね。『がすきです』で握り拳のヘリオン想像して笑いました。

>>飛翔の人さん>169
…………えっと……トイレ行って来ていいですかw
初エチシーン、お疲れ様でした。
悠人もヘリオンもすっきりした?所でいよいよラストですね。頑張ってください。

>>226さん
まずタイトルに驚いた訳ですがw
戦闘シーンもさることながら、「扉」を超えられなかったファーレーンが自分を取り戻す過程が楽しめました。
それはそうと、『月光』とニムが凄くいい味出していると思います。続き、期待してます。

>>憂鬱の人さん>252
「たゆんたゆんが最優先だ」爆笑しました。
しかし悠人の中の悪魔って……神剣の拘束とはまた違うものなのかなぁ。強敵らしいけどw
それにしてもエスペリアのその後がとても気になるのですがw

しかし大作が次々とラストに向かっていて楽しみやら少し寂しいやら学祭の最中みたいな気分ですね♪
266名無しさん@初回限定:04/08/31 00:26 ID:HLl0AMji
>>226
お疲れ様でした〜♪
これから何とお呼びすればいいのかな。(破壊の人とか死神の人ってコワイヨネ。
いきなりのハードな展開にドキドキ&びびってます。
中編、後編とファーレーンがどう成長するのか楽しみです。

それともう一つ、ニムについても丁寧に描写されていて感情移入させられました。
でもそれだけに、これから二人の間にどんな運命が待ち受けているのかと気になります。
果たしてファーレーンはエターナルになるのか?
もしそうなったらニムと別れる事に耐えられるのか。それとも別の道を行くのか。
そういった点など、注目して期待しています。がんばってください〜♪
267176:04/08/31 00:38 ID:iGcerKwm
飛翔の人さん、正直すまんかった...

_| ̄|○ <土下座ですよ

明日は(もう今日かな?)頑張ってください
268名無しさん@初回限定:04/08/31 03:33 ID:cggBT3NI
(´-`).。oO(誰かアセリアのネタしてくれないかな、アセリア分足りないよ)
269名無しさん@初回限定:04/08/31 04:01 ID:AsMAKIx7
メインヒロインだし、料理ネタからハイペリアでの制服えっちと色々本編にあるからねえ。
・・・でも、職人さまが気が向いた時にはお願いします。

(´-`).。oO(アセリアかわいよアセリア)
270名無しさん@初回限定:04/08/31 05:15 ID:KYNSKl1x
別にいきなり大作SS書けとは言わないけど、小ネタぐらい自分で考えてみない?
少しぐらいネタなり妄想喚起材料なり振らないと何も始まらないんでないかい?
…と突き放すだけではナンなので、サンプルに1レス小ネタでも考えてくるか。
漏れ自身はアセリアは本編でそれなりに満足してるんで、ネタとしての質は期待するな。あくまでサンプル。
そして予定は未定(w
271名無しさん@初回限定:04/08/31 06:09 ID:KYNSKl1x
とりあえず、>>80がハイペリア行より前だったと思いねぇ。

「ユート」
アセリアが悠人の前に紙を差し出した。何やら絵が描かれている。
「ん? あぁ、アセリアは自由研究に絵を描いたのか?」
「ん。ハイペリア」
どうやらハイペリアの想像図を描いてきたらしい。
「そ、そうか…えーと、これは?」
「学園」
「どうして城の形なんだ?」
「ん。カオリが言ってた。学園は大きい建物だって」
「あー、うん、まぁ、そうなんだけどな。でもどちらかと言えば城よりは研究所の形の方が近いかな」
「そうなのか」
しきりと感心している(ような気がする)アセリアに、悠人は続けて尋ねる。
「で、これはアセリアか?」
「ん」
「どうして何かと戦ってるんだ?(汗」
「『ブンブリョードー』…違うのか?」
心なしかションボリしている(かもしれない)アセリアに、悠人は慌ててフォローする。
「あー、まぁ、剣道部とかあるしな。うん、アセリアには剣道部なんか合ってるかもしれない、うん」
「『ケンドーブ』?」
「あぁ、えーと、剣の練習を通して心と体を鍛える人たちの集まりのことだ」
「剣の訓練か? それなら好きだ」
「あぁ、でも、相手を殺すことが目的じゃない。だから神剣(真剣)は使わなくて、竹刀…えーと…模擬剣でやるんだ」
「戦わないのに訓練するのか?」
「えーと、戦うけど、殺し合いじゃないんだ」
「よく…わからない」
272名無しさん@初回限定:04/08/31 06:11 ID:KYNSKl1x
「んー、そうだなぁ…最近、アセリアは訓練のとき、打ち合う相手にウルカをよく選ぶよな? それはどうしてだ?」
「ん。ウルカ、強い」
アセリアがぎゅっと拳を握った。
「そう、アセリアは訓練でも強い相手と打ち合うと充実するだろ? 殺し合うんじゃなくて、ただ技を磨いて競い合う楽しみ、そういうことさ」
アセリアが『存在』に目を遣るのを見て、悠人は続ける。
「ウルカは、神剣を使わなくても、模擬剣でも強いだろ? きっとウルカは神剣の力を引き出すんじゃなくて、自分の力や技術を鍛えてきたんだ。
 そういう風に、自分以外の力じゃなく、自分自身の強さを鍛えて、競い合って、より強くなる、それが『ケンドー』さ」
アセリアはしばらく『存在』と自分の掌を見比べていたが、やがて悠人に視線を戻した。
「ん…少し…わかった気がする」
「そっか」
よしよし、とアセリアのさらさらな髪を撫でてやりながら、悠人は心の中で呟く。
(ちょっと都合のいい解釈にしちゃったけど、まぁ、それは勘弁してもらおう)
そして、「ハイペリア想像図」の他の部分の検証はやめておくことにした。
他の部分も、まぁ、何と言うか、微妙に空想的でありながら、ファンタズマゴリアの知識の範囲を出ていない、なんとも奇妙な感じだった。
ハイペリアに憧れを抱きながらも、その想像の翼はウィングハイロゥほどには広がらない、そんなアセリアのもどかしさが表れている気がする。
そんなアセリアだから、追求を始めるといつまでたっても終わらないだろうからだ。
(まぁ、少しずつ、な)
273名無しさん@初回限定:04/08/31 06:14 ID:KYNSKl1x

翌日。
「ウルカ、『ケンドー』を教えて欲しい」
「は? 『ケンドー』、ですか?」
アセリアの唐突な頼みに、ウルカは困惑させられていた。
「ん。ユートが、ウルカの剣は『ケンドー』だって言ってた」
しばらくアセリアから『ケンドー』の説明を受けるも要領を得ず、結局アセリアと共に悠人の元へ訪れたウルカは、悠人の説明を聞いて得心した。
「なるほど、たしかにそれは手前の剣の道に通じるものがございますな」
「あぁ、ちなみに、『ケンドー』の『ケン』は剣を、『ドー』は道を意味するんだ」
ほほぅ、と感心するウルカ。「さすがハイペリア」と呟いた気もするが、まぁ、それは置いておこう。
「では、アセリア殿、共に剣の道を究めましょうぞ」
「ん。『ケンドー』する」
アセリアが『存在』に手をかけるのを見て、悠人は慌てて釘をさした。
「神剣はなし! 模擬剣でやること! それから、訓練棟でやること!」

こうして、ファンタズマゴリアにケンドー少女が二人誕生した(?)
274270:04/08/31 06:29 ID:KYNSKl1x
つーわけで、サンプル。>>271-273
1レスつーといて3レスも使ってるのは許してくれ(w
小かろうが、落ちなかろうが、萌えなかろうが、アイデア・ネタを出していくこと、積み重ねることが大事。
本当に求めるなら、何かしら動いてみようよ、と。
さぁ、おまいさんがどんなアセリア分が足りないと思ってるのか吐露してみるんだ、>>268よ!
と、煽ってみるテスト(w
275名無しさん@初回限定:04/08/31 07:09 ID:iS+dGe7R
「ユート……これ」
「なんだアセリアって、自由研究の課題か?」
「……ん」
「で、アセリアは何作ってきたんだ……彫刻?」
「ん……どうだ?」
「へー、相変わらず器用だなぁ……って、これ俺じゃないか!」
「他に……興味があるもの……なかった」
「……いや、それは嬉しいけど……なんで裸なんだ?」
「ん、コウインが言ってた。向こうではそうだと。違うのか?」

270氏に便乗して。つまらなかったのでボツ扱いだったのですが、何かの足しになれば。
276名無しさん@初回限定:04/08/31 09:50 ID:KYNSKl1x
>>275
小粒でピリリと…ネタとして負けた…


ところで、何故か今頃になって2代目スレで作ったお魚ネリータンが発掘されてるな…懐かしい(w
過去ログ効果…なのか?
277発掘した人。:04/08/31 12:17 ID:+sj5fp6d
 過去ログ効果でございますな。事後承諾ですがどうぞご容赦を。
【雑魚スピスレ画像保管庫】さんのおかげで、新参者の私でも過去ログが見れたので♪
・・・いや、作品板320で普通のお魚使ってる人いたので、これは使わねばと^^;
278名無しさん@初回限定:04/08/31 13:20 ID:+fUDXkak
>>277
正直同一人物だと思ってレスしてた
279名無しさん@初回限定:04/08/31 13:40 ID:KYNSKl1x
>>277
いや、使うのは全く問題ないですよ。承諾なんて要りません、はい。
つーか、お魚さんの中の人をキャラにするってネタ自体他スレであったものだし、
ネリー部分のAAはAA職人さん作のものだし。私は組み合わせただけなので。
久しぶりに見て、「あー、御頭は分離して帽子にして、ポニテを出すべきだったかなぁ」とか思ったり。
えーと、何にせよ、お魚さんは多用は危険ですので適度に(w

とりあえず、過去ログに何かしら効果があることが確認できたわけで、
このスレのためになる効果が生まれることも期待しよう。いや、277氏に限った話ではなく。
280名無しさん@初回限定:04/08/31 14:28 ID:cggBT3NI
>>270>>275さん
GJ
自分でなんかないかと考えてみるもネタが思いつかず
やっぱり本編で色々されると手を出しづらい典型か
実をいうと別作品のSS進行中なもので
進行中というか停滞中なもので
しかも長編なもので
愚痴に付き合ってくれてありがとう
なにか思いついたら書いてみるよ
281名無しさん@初回限定:04/08/31 14:37 ID:cggBT3NI
そうだ!!ユーフィとの絡みは殆ど手付かずじゃまいか!!








………アイディアが発展しないorz
282名無しさん@初回限定:04/08/31 14:51 ID:cggBT3NI
ユーフィに馴れ初めを語るアセリア
懐かしいファンタズマゴリアの話
話してみれば出るわ出るわ女の名前

ユーフィファンタズマゴリア冒険譚の始まり始まり〜〜
そして聖賢者ユートと永遠のアセリアのファインディング・ユーフィ


………ラストが思いつかね
つーかユーフィがいる頃にはレスティーナの代が終わってそう
完全に勢いだけだからスルーしてくれていいよ
283名無しさん@初回限定:04/08/31 15:01 ID:cggBT3NI
いや、ラストはどうせ皆エターナルなんだから忘れられるのは必定
三人はほろ苦い思い出と共に思い出の宝石箱にうんぬんかんぬん

世代の問題がクリアできないという罠
ゴメン>>270氏、俺ダメだったよ
284名無しさん@初回限定:04/08/31 15:57 ID:+sj5fp6d
>>282、283氏

こんな時こそ

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
285名無しさん@初回限定:04/08/31 16:00 ID:+sj5fp6d
>>282、283氏
いや実際面白い案ですよ。時を遡るユーフィ。
・・・歴史を変えない為には正体をバレちゃいけない。
うん、誰かにぜひ書いてみて頂きたい。
286名無しさん@初回限定:04/08/31 16:04 ID:cggBT3NI
それは思ったけど神剣の力をそんなことに使いますかね>>時深おばさん
かなーり無理のある話では?それにいかに時詠と時果といえどたぶん数十年単位では



ユーフィ:……できるの?おばさん
287名無しさん@初回限定:04/08/31 16:04 ID:+sj5fp6d
・・・あ、バラしてもよっぽど致命的な事しなければ、無かった事になるから良いのか。
288名無しさん@初回限定:04/08/31 16:06 ID:+sj5fp6d
そこで<悠久>の力を合わせるわけですよ。(言うだけ適当
・・・って、こらこらユーフィちゃん、気をつけなきゃ恐ろしいことに。
289名無しさん@初回限定:04/08/31 16:07 ID:cggBT3NI
俺としてはどっちかというとファインディング・ユーフィが
いやファンタズマゴリア冒険譚も捨てがたい
でも元々アセリアリクのはずがなぜこんなことに?
そんなにユーフィの需要は高かったのか
290名無しさん@初回限定:04/08/31 16:09 ID:+sj5fp6d
マイナーな方へマイナーな方へ流れるのがサガでして・・・・では、いい加減失礼しますね^^;
291名無しさん@初回限定:04/08/31 16:16 ID:cggBT3NI
まぁそんなもんですか。
雑魚スピスレですしエターナル組はすっこんでろってことですか。
なんにしろ一人でプロット練ってるときが一番楽しかったりするんだよねぇ。
今のところ手を回せそうにないっす。
にしてもこの時間誰もいないね。
俺もそろそろヲチ
292名無しさん@初回限定:04/08/31 19:22 ID:0aUTO06P
告白します。>>268-291を見てアセリア分について考えてたら、何故かTOM調で喋り方をレクチャーする<存在>と、
それに対して淡々と受け答えするアセリアが浮かんできて怖くなりました・・・orz<夢に見ちゃうよ;;
293飛翔の人:04/08/31 20:01 ID:0aUTO06P
 っとまあ、変な事書き込んだのは置いておいて。

 先日予告しました、「明日への飛翔」最終幕+Epilogueをお届けしたいと思います。
 あとがきも含めてちょっと長いので、不安な所もありますけれど・・・。
 ・・・・それではどうか、お楽しみください。
294明日への飛翔・最終幕1/28:04/08/31 20:03 ID:0aUTO06P
 
 ――俺がヘリオンの記憶を取り戻して、再会を遂げた次の日。
 ヨーティアは<時空間転移装置>の完成を宣言し、佳織はハイペリアへと帰還した。
 光陰と今日子はファンタズマゴリアへ残り、共にロウエターナルの脅威に立ち向かうのだと言う。
 一人帰す事は不安だったが、佳織は何時の間にか、俺の手を離れて成長していた。
 それが喜ばしくもあり、寂しくもあったが・・・結局最後まで、俺の心配性は直らなかったようだ。
 長い間行方不明になっていた俺達の中で、佳織だけが戻ったら問い詰められるのではないか。
 いよいよ装置が発動するという直前になって、俺は時深にそう尋ねたのだが・・・。
 この装置を使えば、俺達がこの世界へと飛ばされた、あの夜に戻る事が出来るので問題無いと言う。
 ・・・ハイペリアとここでは、時間の流れが違うのだろうか?
 やがてオーラフォトンの魔方陣が展開され、ゆっくりと不思議な光が佳織を包んでいった。
 佳織がお別れ会の最後で、せめてものお礼にと演奏した曲が頭に残っている。
 この世界に来て知り合った、多くの友人達が見守る中。
 俺は愛する義妹と――もしかしたら永遠の――別れを告げたのだった。
 
 そしてその夜。
 俺はもう一人の、最愛の少女との別れを迎える。
 エターナルとなる為に・・・俺は<時の迷宮>に赴き、試練を受けなければならない。
 本来ならば<誘いの巫女>である、時深とその・・・契る必要があったそうなのだが。
 俺がそれを拒絶すると、時深は目の前で手首を切った。
 突然の出来事に俺はうろたえたが、何でも<誘いの巫女>の生き血を飲めば、契るのと同様の効果が
得られるのだそうだ。見れば流れ落ちる時深の血は、何時の間にか取り出された杯に満たされていた。

 『悠人さんは酷い人です・・・心も身体も傷付きました。』

 ・・・そう言って、時深には随分と睨まれてしまったが。
295明日への飛翔・最終幕2/28:04/08/31 20:04 ID:0aUTO06P

 リュケイレムの森。
 この世界に降り立った俺が、最初に訪れたこの場所で、時深は待っていた。
 きっと皆が気を遣ったのだろう。
 佳織の時とは違い、見送りに訪れたのは、ヘリオンとイオの二人だけだった。
 そして時折涙ぐみながらも、ヘリオンは最後まで、笑顔で俺を見送ってくれたのだ。

 思えば初めて出会った時。
 俺はこんなにもいたいけな少女が、血みどろの戦いを生き抜いて行けるのだろうかと心配すらした。
 しかしヘリオンは、過去の亡霊に悩まされながらも、ひたむきに前に歩き続けた。
 そうしていつしか己の弱さを克服し、自分の心を否定する事無く、真の強さを見に付けていった。
 瞬との戦いではヘリオンがいなければ、俺も佳織も生き残る事は出来なかっただろう。
 俺はそんなヘリオンが気になって、時には励まされ、次第に魅かれていく自分に気が付く事になる。
 ・・・今ではもう、この胸の大部分を、ヘリオンへの想いが占めていた。
   
 エターナルとなれば、そんなヘリオンとの繋がりも絶たれてしまう。
 それでも俺は、この少女を守る力を得る為に、人を捨てる事を決意したのだ。
 想いと共に、後の事をイオに託して。
 俺は<偉大なる十三本>の内の五本が眠るという、<時の迷宮>に旅立ったのだった・・・。


 ――その旅立ちから、聖ヨト暦で一ヶ月後。
 試練に打ち克ち<聖賢者>となった俺は、ラキオスに舞い戻った。
 時深は皆との連携を円滑にする為に、一ヶ月前の世界に戻り準備を整えていた。
 ロウエターナルの侵攻を防ぎなら、援軍として現れる手筈の俺を待って。

 ・・・そして、いかなる偶然による物か。
 レスティーナへの謁見を待つ俺は、これまで起居していたその部屋に、案内されたのであった。
296明日への飛翔・最終幕3/28:04/08/31 20:05 ID:0aUTO06P

 「あれ程慣れ親しんだ部屋だってのに・・・やっぱりここにはもう、俺はいないんだな。」

 家具の配置など、間取りこそ変わらなかったが。
 ・・・逆にそれが、エターナルとなった身の上を俺に思い知らせた。
 例えばここ。ちょうど枕元に位置する、ベッドの上の壁。
 そこには俺が、<求め>の干渉に耐える為に頭を打ち付けて、ひび割れた跡があった筈だ。
 他にもうっかり付けてしまった傷や、落ちなかった汚れや染み。
 あの頃は気にも留めなかった、そう言った諸々の痕跡が、綺麗さっぱり消えてしまっている。
 本当に・・・俺は世界から、切り離されてしまったのだ。

 「実感できましたか?・・・でも本当に辛いのは、これからですよ。」
 俺の様子を見ていた時深が、思い深げに、しかし厳粛な儀式であるかの如く告げる。
 「ああ、これくらいでいちいち感傷に浸ってたら、この先やって行けないよな・・・。」
 彼女もまた、俺より千年以上も昔、この道を歩んで来たのだ。
 時深は頷くと、近づいて来る足音に気付き扉を見つめる。
 「約束の刻限にはまだ早いようですが・・・誰か訪ねて来たようですね。」
 
 トタトタと駆け寄ると一呼吸置いて、控えめに戸を叩く。
 その音に既視感(?)を覚えた俺は、知らず胸がざわめくのを感じていた。
 「あ、あの・・スピリット隊の者ですが・・・・トキミさまは、ご在室でしょうか?」 
 そうして呼びかける、かすかに尻上がりの、忘れもしないこの声は。
 「どうぞお入り下さい。」
 心の準備が出来ていない俺をよそに、時深が招き入れたその少女は・・・!
297明日への飛翔・最終幕4/28:04/08/31 20:07 ID:0aUTO06P

 「し、失礼します!・・・・あ、あああ、あれ、この方は・・・?」
 「そんなに緊張しなくても良いですよ、彼が前々から話していた、カオスエターナルの援軍です。」

 やはりそこに現れたのは、俺が愛した黒い妖精の少女、ヘリオンだった。
 当然と言えば当然だが、俺の記憶の中の姿と全く変わりない。
 まさか、こんな所で再会する事になるなんて・・・。
 俺は思いがけぬ邂逅に衝撃を受けずにいられなかったが、考えて見れば他の皆の前で対面して、不審に
思われるよりは良かったかも知れない。
 ・・・もう目の前の少女は、俺の事を覚えてはいないのだから。

 見れば声も上擦って落ち着かない様子だが、時深の友人という立場の俺に、遠慮しているのだろうか。
 不自然な間が空いたが、時深の視線に促されて自己紹介する俺。
 「ああ・・俺は、悠・・・いや、<聖賢者ユウト>だ。呼ぶときは、ユートと呼んでくれればいい。」
 「わ、わわ、私は、ブラックスピリットの、ヘ、ヘリ・・・・。」
 そう言えば初めて出会った時も、ヘリオンはこうして途中でとちって、泣きそうになってたっけ。
 「・・・ヘリオン・・・です。」
 目を合わせている事が出来なくなって、俯いて小さく呟く。
 俺は思わず駆け寄って抱きしめそうになるのを堪えて、そっとヘリオンの頭を撫でた。
 「あ・・・。」
 そうして紅潮し、目に涙をためて見上げる表情も懐かしい。
 俺の想いの幾らかは、こうする事によって届いただろうかと考えたその時・・・。

 「ト、トキミさま・・・・わ、私、もう・・耐えられません!」 
 「え?」
 なんと記憶を失った筈のヘリオンは、嗚咽を上げながら俺の胸に飛び込んで来たのだ!
298明日への飛翔・最終幕5/28:04/08/31 20:08 ID:0aUTO06P
 「ユートさま、ユートさま!・・・・あぅぅ・・・お逢いしたかったです、寂しかったです・・皆は忘れ
ちゃったけど、私は力にならなきゃいけないし、でも耐えなきゃだめだって・・・ふぇぇええん・・・。」
 「な?な?な?」
 事態が飲み込めずに、縋り付くヘリオンの為すががままになる俺。
 「・・・っぷ・・くすくす・・・あははははっ・・・悠人さんのその顔!・・もう少し引き伸ばせるかと
思ったけど、まあ仕方ないですね・・・・あははは♪」

 泣きながら頬をすり寄せるヘリオンと、困惑する俺を見て笑い転げる時深。
 どう考えても、運命によって引き裂かれた恋人達の、悲劇の再会シーンだとは思えない・・・。

 「時深ィ・・・・・おい、どう言う事だこれは!!?」
 「そんなに怒らないで下さいよ〜・・・良かったじゃないですか、こうして再会できて・・・フラレ女の
可愛いイタズラだと思って、軽く流して下さい。」
 「可愛いイタズラってお前・・・。」
 「それに<聖賢>には口止めして置きましたけど、悠人さんも同じエターナルなら、気配ですぐに気付く
くらいじゃなきゃダメですよ。そんな事では一人前のエターナルには・・・。」
 「同じエターナル・・・?」
 オウム返しに呟く俺に、時深の悪巧みに乗った<聖賢>が愉快そうに応える。
 『うむ、間違いない・・・ユウトよ悪く思うな。この様な奇跡、そうそう見られる物ではないからな。』
 「この様な奇跡って、それじゃ、まさか・・・。」
 ようやく泣き止んだヘリオンが、涙を拭いながら微笑んで答える。

 「はい、時の果てるまで永遠に・・・私は、ユートさまのお側におります!」
299明日への飛翔・最終幕6/28:04/08/31 20:09 ID:0aUTO06P

 ――リュケイレムの森。

 悠人と時深が青白い光の渦の中に消えると、辺りは闇と静寂に包まれた。
 ヘリオンはそれを見届けると、イオの胸を借り、号泣する。
 人の目の無い事を幸いに、心に吹き荒れる、その想いの限りに。
 「うぅ、ぁ・・ぁあ・・・うぁぁあああああああ!!!」

 気が弱く泣き虫のヘリオンであったが、これ程までに声を上げて泣いた事はかつて無かった。
 いつもべそをかいて泣き言を言いながらも、決して逃げ出しはせずに耐え忍んで来たのだ。
 しかし今、最愛の人を笑顔で見送って。
 堰き止めていた感情が、雪崩を打ってヘリオンに流れ込んだ。  
 「・・・忘れたくない・・・忘れたく、ないです・・・・ユート・・・さまぁ・・・・・。」

 イオはそんなヘリオンの悲しみを受け止めながら。
 泣き声を聴くごとに、身を切られるような思いをしていた。
 このまま後少し待てば、自分達の中からあの青年の記憶は消えるのだろう。
 そうすれば、ヨーティアの覚えもめでたいこの少女は、自分と共に研究所で働く事になる筈だ。
 傷付いた彼女はもう、決して戦う事など出来やしないのだから。
 けれどもそれは、彼女の望みでは在り得ないのだ。
 ・・・自分と共に、彼のいない日々を歩む事は。

 今まで言い出す事が出来なかった、一つの事実。
 気付けば彼女は、ヘリオンにその希望の言葉を投げかけていた。
 それが彼女自身にとっては、相反する結果を招くやも知れぬと言うのに・・・。

 「ほんの僅かな可能性ですが・・・あの方を、追う事が出来るかも知れない方法があります。」
300明日への飛翔・最終幕7/28:04/08/31 20:10 ID:0aUTO06P
 「え・・・ほ、本当ですか!?」
 「・・但し、引き返す事は出来ません。成功するかも判りません・・・そして成功してもそれは同時に、
私達の内からもヘリオン様の存在が消えてしまうと言う事です。」
 教え諭すように、哀願するように。
 答えの解っている質問を、イオは投げかける。
 「・・・それでもヘリオン様は、あの方と共に歩みたいですか?」

 「わ、私は・・・私は・・・・。」
 悲しみに満たされながらも、しかしはっきりと。
 ・・・ヘリオンは、強い意志を持ってそれに答える。

 「私は、イオさまやエスお姉ちゃんや、皆が大好きです・・・その皆との繋がりを失ったら、きっと私は
悲しくて、何度も落ち込んじゃうかも知れない・・・・・でも、それでも私は、ユートさまを・・・!!」

 その答えに満足したのか、それとも諦めたのか・・・。 
 イオは微笑むと、そっとヘリオンを抱きしめる。
 「・・・イオさま?」 
 「それではヘリオン様、時間がありません・・・これを持って、右手で<失望>を掲げて下さい。」
 抱きしめる腕を離し、イオが手渡したのは、一個のマナ結晶。
 ヘリオンは知る由も無かったが、これこそがかつてクェド・ギンが、切り札とした物の片割れである。
 「そして念じてください・・・更なる力を・・・強い意志を持って、神剣に取り込まれる事無く!」
 言われるままに、ヘリオンは目を閉じて集中する。
 「人の身でこれを試みれば、己を保つ事など叶わないでしょうが・・・今のヘリオン様ならば恐らく。」

 マナ結晶と<失望>は、次第に共鳴し、強烈な光を放ち・・・・ヘリオンを包み込んで行く・・・!! 
301明日への飛翔・最終幕8/28:04/08/31 20:12 ID:0aUTO06P
 「こ、これは・・・力が・・溢れて来る・・・?」
 やがて収束し、光がヘリオンと<失望>に取り込まれていくと。
 同時に傷付いた身体が再生し、<失望>の亀裂が修復されていったのだった。
 それを確認すると、イオは<理想>を掲げて詠うように呼びかける。

 「ここまでは巧く行ったようです・・・ヘリオン様、私は<時空間転移装置>の開発に携わり、トキミ様
の永遠神剣<時詠>に触れる事が出来ました。上位永遠神剣の持つ、その恐るべき力・・・今の<失望>の
力は、マナ結晶と<求め>の力の一部を吸収し、以前の数十倍に膨れ上がっています・・しかし、それでも
まだ足りないのです・・・・・上位永遠神剣を手にし、あの方を追いたいのならば。」

 「・・・エターナルに、成りたいのならば・・・?」
 「成りたいのならば・・・この私と、第四位に相当する永遠神剣<理想>を、討ち砕いてご覧なさい!!」

 ――次の瞬間。
 ヘリオンが初撃を防げたのは、イオが手加減したからでは無かった。
 紛う事無い殺気を篭めたその一撃は、突然の襲撃に戸惑うヘリオンに、刹那の疾さで襲い掛かった。  
 長い戦いの中で培われた、防衛本能が肉体を衝き動かさなければ、そこで全ては終わっていただろう。
 だがイオは微塵も容赦する事無く、焔の様に苛烈に、流水の如く滑らかな動きでヘリオンを追い詰める。

 「・・・イ、イオさま、どうして!?」
 「シュンの持つ<世界>も、<誓い>が<求め>を取り込んで進化した物だと言います!」
 「そ、そんな・・・・出来ません・・・・イオさまを、倒すだなんて!」
 あのイオと争う事など考えも付かず、防戦一方のヘリオン。
 以前のヘリオンと<失望>ならば、ひとたまりも無く討ち取られていただろう。
 ・・・それ程までに、イオと<理想>は絶大な力を持っていた。
302明日への飛翔・最終幕9/28:04/08/31 20:13 ID:0aUTO06P
 「・・はぁっ・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・。」 
 辛うじて、剣戟を逸らす事で耐え忍ぶヘリオン。
 イオの攻撃は、威力ではアセリアと<存在>をも凌駕し、速度ではウルカと<冥加>をも超越していた。
 今の<失望>からは、エトランジェのそれにも匹敵する力が感じられると言うのに。
 それなのに、自分をここまで圧倒するこの力は・・・?

 「ヘリオン様、私が生命を削って放つ一撃を、甘く見ないで下さい・・・私を倒せないと言うのならば、
死ぬのはヘリオン様、貴女なのですよ・・・!!」
 そうしてイオが<理想>を振るうごとに、放たれた命の耀きが儚く舞い散る。
 するとこの力は、<理想>の持つ最後の特殊能力・・・!?

 「・・・でも、それも良いのかも知れない・・・どうせ手に入らないと言うのならば、私の手で!!」

――ガキィィィン!!! 

 <理想>と<失望>が激しく打ちあわされる音が、夜の森に響く。
 とうとうヘリオンが、闘う決意を固めたのだ。
 迫り来る、死への恐怖による物ではない。
 ・・・このままではイオは、命の炎が燃え尽きるまで、<理想>を振り続けるだろう。
 ならば私に出来る事は、ただ一つ・・・!

 力でも技量でも、イオはヘリオンの一歩上を行っていた。
 しかし月と夜の加護を受けた黒い妖精達の中でも、ヘリオンは類稀な才能を持って生まれてきた。
 長らくその本領を発揮出来ないでいたが、戦いの中でそれを磨き、弱い心を克服し・・・。
 ・・・そして新たな力を得た今この時、この場所でなら可能な筈。
 かつて<拘束>に操られた自分が、ユートさまを傷付けてしまった忌まわしい技。

 「・・・けれど、今こそ封印を解きます―――夜半に冴える乱れ突き―――百花繚乱!!!」
303明日への飛翔・最終幕10/28:04/08/31 20:15 ID:0aUTO06P
 まさしく咲き誇る花のように美しく、またそれを一夜にして吹き散らす夜半の嵐の如く。
 己の肉体を省みない、限界を超えた瞬発力だけが可能にする無数の突きが、イオに襲い掛かる。
 それはマナの護りを削り飛ばし、その神技とも言える<理想>の防御を潜り抜け・・・。
 ただ本命の一撃のみが、急所を外してイオを貫いた。

 「くっ・・・かふっ・・・お優しいのですね・・・こんな所を突いても、人はなかなか死ねませんよ。」
 「イオさま・・・。」
 <失望>に貫かれたまま、イオはヘリオンに微笑みかけたが・・・。
 「――けれど!!」
 「えっ!?」 
 何とイオは傷口が開き抉れるのも構わずに、無理やりに<失望>を引き抜くと、再び<理想>を掲げた。
 見る間に溢れる鮮血が、白い衣を赤く染め、緩やかに金色のマナへと還って行く・・・。

 「ヘリオン様・・・殺す気で斬らなければ、私は止まりません・・・それでは意味がないのです。」
 「な、何故です、何故こんな事をする必要が!?」
 「・・・<理想>を砕くだけではダメな理由があるのです・・・説明する時間はありません。それよりも
ヘリオン様、早くしなければ・・・私達の内から、あの方の記憶も消えてしまうのですよ・・・!!」
 「・・・!!」
 駄目押しとなる、衝撃の一言がヘリオンを貫く。
 そうなのだ、どれ程の猶予があるのかは解らないが・・・。
 今こうしている内にも、ユートさまの記憶は消えてしまうかも知れない。
 そしてイオさまの傷と、あの出血・・・・あれではもう、助かりはしないだろう。

 「次を・・・最後の一撃と致しましょう・・・・さあ、<失望>を構えてください。」
 もうヘリオンには、他にどうする事も出来なかった。
 涙で視界を歪ませながら<失望>を構え、最後の攻撃に移るイオを迎え撃つ。

 「イオさま・・・・どうして・・・・・どうして、どうして、どうしてっ・・・!!!?」
304明日への飛翔・最終幕11/28:04/08/31 20:17 ID:0aUTO06P

 「イオさま!!」
 ・・・<理想>を砕かれ、止めの一撃を受けて崩れ落ちるイオの下に、急いで駆け寄る。

 「イオさま、どうして・・・どうして最後、振り切らずに・・・私の太刀を受けたんですか・・・!?」
 最後に放ったのは、星火燎原の太刀・・・しかしイオの一撃は、それが決まるよりも早くヘリオンに届く
筈だった・・・あの時<理想>を振るう速度が、ほんの一瞬緩まなければ。   
 「嫌ですわ、ヘリオン様・・・あれは血を失いすぎて、力が入らなかったのです・・・。」
 「そんな、嘘です!・・・イオさまは最初から、私の為に・・・!!」
 「それでは、そう言う事にして置きましょうか・・・・ヘリオン様、私は・・・私は初めてお逢いした時
から、貴女に魅かれていたのです・・・無知では無く、この世の哀しみを知りながら・・・・どこまでも、
優しく、純粋でいられる・・・貴女に・・・・。」

 「え・・・?」
 そうしてイオは、覗き込むヘリオンの顔を引き寄せると、そっと口付けする。
 「・・・!!!」
 全身を走る衝撃に、硬直するヘリオン。

 ――嫌悪の為ではない。
 流れ込んで来る、イオの想いと経験、知識と力・・・。
 それがイオの命そのものだと知って、冷たく、存在が希薄となって行く様子に気付いたからだ。
 一方で<失望>も、砕かれた<理想>から流れ出るマナを吸収し、変貌を遂げていく。
 同時にヘリオン自身も、肉体が作り替えられていくのを実感した。

 「ど、どうやら・・・成功の、ようですね・・・。」
 最後の力を振り絞って、安心したように笑みを作る。
 「愛しておりましたわ・・・・友人として、では無く・・・・・ヘリオン・・・さ・・・ま・・・。」
 「・・・イオさま?」
 そうして白い妖精の身体は、涙に濡れるヘリオンの目の前で、淡い光に包まれていく・・・。

 「い、いやっ・・・イオさま、いや・・・ぃっ・・いやぁぁぁああああああ・・・・・!!!」
305明日への飛翔・最終幕12/28:04/08/31 20:18 ID:0aUTO06P

 「・・・・・・こうして私は、エターナルと成る事が出来たんです。」
 「そんな事が・・・・。」
 第一詰所に割り当てられた、悠人の部屋で。
 ヘリオンの説明が終わると、何とも言えない沈黙が支配する。 

 「・・・悠人さん、先ずは歓迎しましょう・・・イオさんの為にも、この奇跡を。」
 「あ、ああ・・・・すると、それはもう<失望>じゃあないんだな?」
 俺の声に、ヘリオンが神剣をすらりと抜き取り、輝く刀身を掲げる。
 そう、その神剣は太陽の光とは関係なく、力強い明滅を繰り返していた。
 華美な装飾はないが、見る者を感動させずにはいられない、どこまでも美しい刃。
 ・・・その輝きを見ていると、知らず勇気と活力が溢れて来る様な気がした。

 「暗い過去を持ち、失望を知りながら、決して望みを失う事無く・・求めに導かれ、そして理想を得た。
・・・そんな彼女に相応しい神剣の名は、<希望>・・・そう、彼女は新たなるカオスエターナルの戦士、
<希望の翼ヘリオン>として生まれ変わったのです!」

 誇らしげに、時深が進み出て宣言する。
 「希望の、翼・・・そうだな、ヘリオンにはぴったりかも知れない。」
 小さなヘリオンが健気に頑張る姿を見れば、誰だって心に希望の火が灯るんじゃないだろうか。
 「わ、私としては、すごく恥ずかしいから、違う二つ名が良いって言ったんですけど・・・。」
 「<希望>は新しく生まれた上位永遠神剣ですから、先輩である私が<時詠>と相談して決めました。」

 ・・・先輩であるって・・・するとさっきのフレーズも、この一ヶ月の間に考えてたんだな・・・。
 自分の二つ名である<聖賢者>と言い、エターナルにはもっと普通の感覚は無いのか。
 いつもなら、そう突っ込んでおく所なのだが・・・。
 ・・・イオの事を考えると、そうする気にはなれなかった。
306明日への飛翔・最終幕13/28:04/08/31 20:20 ID:0aUTO06P

 「ヘリオンと別れずに済んだのは勿論嬉しいんだけど・・・ちょっと複雑だな・・・永遠に続く戦いに、
ヘリオンを巻き込んでしまった訳だし・・・それにイオの事も・・・。」
 元々この少女は、戦いの中に生きるには優しすぎるのだ。
 それなのに俺を追って、いくつもの思い出や絆を断ち切ってしまうなんて・・・。

 「ユートさま、それはちょっと違います。」
 「え?」
 「私は巻き込まれたつもりはありませんよ?・・ユートさまのお側にいるのも、共に戦うのも・・・全部
私が、自分で決めた事なんです・・・それに、性格が戦いに向いてないのはユートさまだって同じです。」
 「うぅ・・・で、でも・・イオの事は・・・。」
 「呼ばれましたか?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 「・・・・。」
 「・・・・。」
 「・・・・。」

 腹立たしい想像に目を瞑りながら、おそるおそる振り向くと、そこには・・・。
 「イ、イオ・・・・お、お前・・・。」
 「どうかされましたか、ユート様?」 
 この台詞、この声・・・何だか物凄くサイズが縮んでいる気がするが、そ知らぬ顔で言うこいつは!!
 「・・・イオ、お前俺を騙すの何回目だ!!?」
 そう、いつの間にいたのか解らないが・・・。
 俺の振り向いた先には、光陰にいたく好かれそうな年齢にまで若返ってはいたが、間違いなくあの神秘的
・・・もとい魔性の雰囲気を醸し出す女が、小悪魔のような笑みを浮かべて立っていたのだ。

 堪えきれず、再び噴き出して笑い転げる時深。
 ・・・そうだよな、当然お前も共犯だよな。
 ヘリオンだけは、申し訳無さそうに俯いているが、後でちょっとお仕置きをしてやろう・・・。
307明日への飛翔・最終幕14/28:04/08/31 20:22 ID:0aUTO06P

 「騙すだなんて、そんな・・・私もフラレ女の何とやらですわ、ユート様。」
 怒りに震える俺が目に入らない訳がないだろうに、臆面も無く「ちび」イオは言ってのける。
 見ればぷらぷらと、これもちっこくなった<理想>をぶら下げていた。

 「本当にタチ悪いなお前・・・話の流れからして、てっきり俺は死んだものかと・・・。」
 「私が居なくなったら、誰がヨーティア様のお世話をすると言うんですか・・あの能力は生き残る為の物
ですから、死んでしまったら元も子もありません・・・もっとも、一か八かの賭けではありましたが。」
 「・・・あ〜〜・・・悪いけど、俺が怒りを抑えてる間に、誰か説明してくれるかな。」
 確かに俺を騙して驚かせたのは許せないが、それもイオが生きていたからこそ言えることだ。
 話を聞く限りでは、ヘリオンの為に命を懸けてくれたのは本当のようだし・・・。

 「そ、それじゃ悠人さん、簡単に説明しますけど・・・前に永遠神剣は、私達と同じ様に意思を持って、
生きているという話をしましたよね?・・・多くの神剣が闘争本能に支配される中、<理想>は種の保存と
言うか、防衛本能の方が強い特殊な神剣だったんです。」
 「ご存知の通り、私は他のスピリットの様な戦闘能力は持っていませんが・・・その代わりに、<理想>
は多くの特殊能力を持っています。<理想>は私の身に危険が迫ると、命を削って力を引き出してくれるの
ですが・・・それすらも及ばず、私が生死の境を彷徨う事態に陥った時、襲撃者に力を譲り渡して、破壊を
免れようとするんです・・・私が実際に死に掛けないと発動しない、最後の奥の手と言う訳ですね。」

 「成る程・・・そんな危険な方法だから、今まで使わなかったって事か。」
 「必ず成功するとは限りませんし、成功しても<理想>は大量の力を喪ってしまいますから・・・未曾有
の危機を前に、ヨーティア様のお手伝いをするよりも、重要だと判断したからこそ使ったのです。」
 そうしてまた、イオはわざと素っ気無い事を言って見せるのだが。
 敢えて言わずとも、それがヘリオンの為を思っての行動だったのは、誰もが理解していた。
308名無しさん@初回限定:04/08/31 20:24 ID:R5QrYYCD
ん、支援する…!!
309明日への飛翔・最終幕15/28:04/08/31 20:24 ID:0aUTO06P
 「しかしそこら辺はまあ納得するとして・・・どうしてイオの記憶は、消えてないんだ?」
 「それは私の命が、ヘリオン様の中で息づいていながら、まだ私と繋がっているからです・・・ですから
エターナルとなった部分は他の皆様の記憶から消えて、私は元々このサイズだった事になっています。」
 『だから稀に見る奇跡だと言ったのだ、ユウトよ。まだまだ我にも、知らぬ知識があるという事だな。」

 経緯を理解しようと四苦八苦している俺を見て、時深が勢い付いて言う。
 「悠人さんもうかうかしては居られませんよ。確かに<聖賢>は<偉大なる十三本>にも数えられる神剣
ですが、使い手である悠人さんが使いこなせなくては何の意味もありません・・・それに対してヘリオンの
持つ<希望>は、上位永遠神剣としては脆弱な方ですが、これからどんな成長を遂げるかは未知数です。」
 更に続けて、ちびイオがしたり顔で付け加える。
 「ヘリオン様自身も私の力を取り込んだ事で、見た目は以前のままながら、全色のスピリットの資質を併
せ持つ様になりました。元々の素質もありますし、行く末が楽しみですね・・・。」
 
 それから畳み掛けるようにして、ヘリオンの有望さを言い募る二人に対し、俺をフォローしてくれたのは
やっぱりヘリオンだった。  
 「で、でも・・・私がこうして居られるのも、ユートさまが居ればこそですから!・・・それに人の身で
<聖賢>に選ばれるなんて、すごい事じゃないですか・・・だ、だから、私なんて大した事ないです!!」
 その愛情が身に沁みる・・・ありがとうヘリオン、やっぱりお仕置きは止めておこう。

 「・・・それはまあ、私も悠人さんに期待したから、あんな事もした訳ですけど、それが・・・。」
 「やはり最後には、ヘリオン様はユート様を選ばれるのですね・・・こうして文字通り、身も心も一つに
なった間柄ですのに・・・ヘリオン様の身持ちの堅い事と言ったら・・・・よよよ。」

 何がフラレ女だ・・・そうして結託して、愚痴を言い募るちびイオと時深。
 ・・・やっぱり俺もヘリオンも、この二人を相手にするには、まだまだ人生経験が足りないらしかった。
310名無しさん@初回限定:04/08/31 20:25 ID:uGpe6Ifq
コウイン「ちびイオたんハァハ…あ!?」ズドーンバリバリバリ
311明日への飛翔・最終幕16/28:04/08/31 20:25 ID:0aUTO06P

 ――ソーン・リーム自治区。
 
 最奥の地キハノレ。
 そこは太古より聖なる地とされ、如何なる勢力にも手を貸さず、独立を保ってきた。
 それを可能にした天然の要害は、極寒の気候にも守られ、侵攻する悠人達を苦しめた。
 スピリットの起源を探る賢者ヨーティアが、最も興味深い遺跡があると言っていたこの場所。
 ミスル山脈の頂上、マナ信仰の聖地であるその遺跡の奥に、ロウエターナルの本拠はあった。
 ファンタズマゴリアの柱であり、全てのスピリット達を生み出してきた上位永遠神剣<再生>。
 大陸を脅かすロウエターナルの首魁<法皇テムオリン>は、この<再生>を暴走させ、大陸のみならず、
この世界そのものを消滅させようと目論んでいたのだ。

 大胆不敵にもラキオス王城に乗り込み、宣戦布告をしていった、あの白い少女の顔が思い浮かぶ。
 何故か悠人には、それが初めての出逢いだとは思えなかった。
 必ず打ち倒さなければならない、宿命の敵。
 そう因縁づけられた存在だと、魂が確信していた。
 
 敵は強大であり、こちらの戦力は少ない。
 その為悠人達エターナルは、この大陸の中でも特に優れた戦士達である、二人のエトランジェとラキオス
スピリット部隊のみを引き連れて、このキハノレに侵攻したのだ。
 かつて共に大陸の命運を賭けて戦った、掛け替えの無い仲間達。
 その仲間達も今は、エターナルと成った自分達の事を覚えてはいない。
 だがそれでも、悠人達は心を一つにして、ロウエターナルとその尖兵に立ち向かった。

 そして今また、悠人は一人の強敵を討ち破る事に成功したのだった・・・。
312明日への飛翔・最終幕17/28:04/08/31 20:27 ID:0aUTO06P

 『・・・見事だ・・・生まれたばかりのエターナルが、これ程までにやるとはな・・・・この闘いに俺は
満足した・・それだけだ・・・・またいつか、剣を交えたいものだな・・・・・。』

 そうして<黒き刃タキオス>と名乗ったその剣士は、笑みを浮かべてマナの霧へと還った。
 それを見届けると、激戦を経て傷付いた悠人が膝を突く。
 「くっ・・・流石は<偉大なる十三本>の内に数えられる<無我>の使い手・・・恐ろしい男だった。」
 『だがユウトよ、良くやった・・・此度の敵勢の中で、<偉大なる十三本>の持ち主は二人。その一方を
討ち果たしたのだから、我の使い手として及第点はやれるだろう。』
 (・・・けど<秩序>を持つテムオリンの他に、まだ瞬の<世界>が残っている・・・。)
 『確かに<再生>が集めたマナの一部を吸収した、<統べし聖剣のシュン>は我等に匹敵する力を持って
いると言えよう・・・しかしユウトよ、汝には我の他にも、頼りになる仲間達がいるであろう?』
 
 ・・・<聖賢>が指摘するのとほぼ同時に、膝を突く悠人に<因果>のコウインが手を差し出す。
 「お疲れさん・・・流石は<聖賢者>と名乗るだけはあるな・・・だがお前さんはあんなゴツイのを一人
でやったんだ、これからしばらくは俺達に任せて休んでな。」
 「光陰・・・ああ、そうさせて貰う。でもあんまり危なっかしかったら、いつでも乱入するからな。」
 「了解了解。まあこの世界にいる間は、俺を親友だと思って信頼してくれていいぜ。」

 これまでの僅かな間に、光陰は悠人の本質を見抜き、信頼に足る男だと認めていた。
 ・・・一見軽そうに見えて、その胸には熱い想いが宿っている男・・・。
 (やっぱりお前とは、どこまでいっても腐れ縁のようだな、光陰)
 思わずにやりと笑う悠人だったが、今日子の警戒の声に表情を引き締める。

 「さ〜て、とうとう親玉がやって来たみたいよ・・・。」
313明日への飛翔・最終幕18/28:04/08/31 20:28 ID:0aUTO06P

 「か弱き子羊の群れを引き連れて・・・トキミさん、随分と涙ぐましい事ですわね。」

 そう言ってテムオリンはあどけなく笑うが、その場の誰もがこの一見子供にしか見えない幼いその姿が、
邪悪な本質を覆い隠す為の仮面に過ぎないと言う事を知っていた。
 この白い少女こそが、ファンタズマゴリアにあらゆる災厄を呼び起こした、諸悪の元凶なのだ。

 「その子羊の群れに、貴女は敗れるのです・・・奢り昂ぶった貴女方には理解出来ないでしょうが・・・
人の、そしてスピリットの想いは、時として何者にも負けない力となる事を見せて差し上げます!」
 「想いの力、ですか・・・そのような物、絶対的な存在である永遠神剣の意思の前には、取るに足らない
塵の様な物ですわ・・・貴女の固くなった頭にも理解できるよう、証明して差し上げましょう・・・!!」
 <秩序>を掲げるテムオリンを中心に、巨大なオーラフォトンの障壁が展開されていく。
 余りにも次元の違うその猛威に、スピリット達の神剣は警鐘を鳴す事も出来ずに押し黙る。

 このままでは、戦う前に勝敗は決してしまう・・・。
 流れを変える為に、進み出るエトランジェ二人。
 「とんでもない力だが・・・ちびっこがおイタをしたら、叱ってやらなきゃなぁ・・・!!」
 「ちょっと言い方が気になるけど、私が許す!・・・それじゃ光陰、行っくわよ〜〜〜〜!!」
 今日子が放った雷撃が、テムオリンを包み込み荒れ狂う。
 そして突進する光陰のワールウィンドの一撃が、間髪入れずに襲い掛かった。
 だが、しかし・・・。

 「なにっ!?」
 何とテムオリンが展開した防御壁は、今日子の雷撃の全てを弾いたのだ。
 更に<因果>の渾身の一撃さえそれを抉り切る事は出来ず、その身に触れる前に押し返されてしまった。

 くすくすと笑うテムオリンが<秩序>を振り上げると、空間が歪曲し、無数の神剣が姿を現す。
 「うふふふふっ・・・この程度ですの?・・・それでは今度は、私から!!」
314明日への飛翔・最終幕19/28:04/08/31 20:29 ID:0aUTO06P
 直後それぞれを狙い、降りかかる流星の如き煌き!
 「みんなっ!?」
 襲い掛かる神剣をオーラフォトンで弾き、悠人が叫ぶ。
 再び次元の狭間へと還り行く神剣の群れ。
 ・・・だがそれが取り払われて見れば、幸い誰もが軽傷で済んでいるらしかった。

 「あ、危ねぇ・・・時深さんが教えてくれなかったら、一網打尽だったな。」
 最も至近距離で攻撃を受けた光陰も、得意の護りの力を駆使して無事だったようだ。
 「ビジョンズ・・・自分の見た未来を、同一戦闘域の仲間に見せる力・・・相変わらず厄介ですわね。」
 「貴女こそ、全く物騒なコレクションですね・・・使われる神剣が、可哀想です。」
 「余計なお世話ですわ・・・でもトキミさん、人とスピリットの想いの力を見せて下さるのでは無かった
のですか?・・・結局エターナル同士の戦いになるのなら、わざわざ足手纏いを連れて来なくとも。」
 「何ですってぇ!?・・・このアタシが足手纏いかどうか、見せてやろうじゃないの!」
 「よせ、今日子・・・あのバリアを破らなければ、俺達には手出しの仕様が無い。」
 「コウイン殿、手前らも含めて、同時に攻撃をしかけましょうか・・・?」
 「ん・・・。」
 「ダメだ、それこそあの流星の様な攻撃で全員串刺しにされるぞ。」
 「そんな・・・。」

 悠人は嘲笑うテムオリンを前にして、抗い難い怒りと憎しみを感じていた。
 やはり俺が<聖賢>で叩き斬るしかないか・・・。 
 光陰の攻撃が通用しなかった以上、同じエターナルでも破壊力に劣る時深では倒せないかも知れない。
 そう考えた時、彼等の前に進み出る一つの影があった。
  
 「こ、ここは私が・・・私が道を開きます!!」
315明日への飛翔・最終幕20/28:04/08/31 20:30 ID:0aUTO06P
 「貴女は・・・確かその坊やと同じく、新米のお嬢さんでしたわね・・・誰が掛かって来ようと構いませ
んが、そんな小さな身体で私を倒せるおつもりですか・・・?」
 「ち、小さいって・・・貴女こそ、そんな姿じゃないですか!」
 「お気に入りませんか?・・・それならば、ちみっちゃいと言い直しましょうか、それともちんまり?」
 「〜〜〜〜〜!!」

 「お、おいヘリオン・・・大丈夫なのか?」
 戦う前から相手のペースに呑まれてるその姿を見れば、悠人で無くとも不安になりそうな物だったが。
 「そうですね・・・ではここは、ヘリオンに任せましょう。」
 「時深!?」
 「ほほほほほっ・・・笑えませんわね・・・ならばそのお嬢さんを、肉塊に変えて差し上げますわ!!」

 激昂したテムオリンが<秩序>を振り下ろすと、ヘリオンが立っていた場所に数本の神剣が突き刺さる!
 ・・・だがそう思った時には既にヘリオンの姿は無く、気付けば対角線上にその姿を現した。
 
 「天を流るる雲の如く、私を捉える事は出来ません・・・・風花の太刀・・・・たぁああああ!!」
 そうして斬りかかるが、予想通り<希望>の一閃はテムオリンのバリアを僅かに削ったのみ。
 だが向き直った時には移動した後で、テムオリンが投げ掛ける神剣も空を切るばかり。
 「こ、この・・・ちょこまかと煩わしい!!」
 「あれをやる気か、ヘリオン・・・。」

 エターナルとしては、遥かに格下だと思われたヘリオンだったが、悠人や時深にも劣らない、彼女だけの
能力がただ一つあった・・・それは、機動力・・・いや、より厳密に言うならば、瞬発力。
 そしてヘリオンの高速連続攻撃の前に、悠人達を特異な能力で苦しめた<不浄のミトセマール>は、その
身を幾千もの光の粒に変えて四散したのだ・・・そう、まるで美しい風花のように儚く。
 
 その瞬発力を活かし、一太刀入れては素早く離脱し、また再び突進する。
 <希望の翼>の名に相応しく、光り輝く翼を駆使して、ヘリオンはどこまでも加速していく・・・!
316明日への飛翔・最終幕21/28:04/08/31 20:31 ID:0aUTO06P
 「・・・成る程、奴の全体攻撃には『タメ』が要るらしいな。」
 「光陰、何か解ったの?」
 「ああ、それをしないのはあの凄まじい速度の攻撃で、集中を乱されているんだろう。あれだけバリアが
削られていってるのに防御に回らないのは、プライドの為かな?・・・だがこの攻撃をどれだけ続けられる
のかは解らない。俺達の役目は限界までバリアが削られた所で、集中攻撃を仕掛けるってトコかな。」

 光陰が冷静に分析するのとほぼ同時に、戦いを見守る者達の頭の中に声が直接響く。
 『え、えっと・・<希望>と皆さんの神剣を通して、直接精神に語りかけています。十秒後に離脱します
ので、神剣魔法の使える方は一斉にテムオリンを攻撃して下さい。』
 「ほ、ホントだ・・・光陰、あんたってやっぱ頭良いのねぇ。」
 「当たり前だろ?・・・さてタイミングも解ったし、あのちびっこに俺達の力を味わって貰うか!」
 
 そして加速したヘリオンは遂に光の帯となり、一瞬の後テムオリンの側から離脱する!
 「な、何ですのこれは・・・!?」
 驚愕の叫びを上げ、その危険に気付いた時にはもう遅かった。

 ―――雷撃が、爆炎が、闇の波動が、衝撃波が、破壊のオーラが!!
 ありとあらゆる神剣魔法が、その想いと共にテムオリンに襲い掛かる!!
 数多くのエターナルを束ね、世界の裏で暗躍し、気紛れに生命を弄んだその少女も。
 マナの多くを使い果たし、辛うじて生にしがみ付くのが精一杯だった。

 「そ・・・んな・・・・わた、く・・・し・・・・が・・・・消・・え・・・・・・?」

 土煙が上がる中、未だ信じ切れないと愕然とする。
 尚も<秩序>を振るおうとするその少女に、漂うマナを掻き分けて、時深が斬りかかった!
 
 「貴女が軽んじて来た想いの力、理解できましたか?・・・・・・さあ、これで終わりです!!!」
317明日への飛翔・最終幕22/28:04/08/31 20:32 ID:0aUTO06P

 最後まで、それが不思議だと言わんばかりに。 
 嘲笑を浮かべながら災厄が、光の霧となって消えていく・・・。

 「・・・これであいつは、滅びたのか・・・?」
 それを見つめていた、悠人が独り言の様に呟く。
 俺達の運命を狂わせ、この大陸の人と、スピリット・・・そして生あるもの全てを脅かした巨悪。
 まだこの先には、<世界>に呑みこまれた瞬が待っている。
 しかしその瞬さえも、テムオリンの策謀さえ無ければ、あの世界で人として生きていけた筈なのだ。
 そんなやり切れない思いの悠人に、半ば諦観を込めて語る時深。

 「残念ですが、テムオリンはあれで消滅した訳ではありません・・・別の次元で復活し、力を蓄えて再び
その触手を伸ばす事でしょう。」
 「それじゃ・・・それじゃこの戦いに、何の意味があったんだ・・・?」
 「全てをマナに還し、第一位永遠神剣への回帰を願うロウエターナルと、それを阻むカオスエターナル。
・・・長い時間を掛けて、少しずつ勢力を削り合う・・・それが私達の戦いであり、使命なのです。」
 「永遠に続く、陣取りゲーム・・・か。」
 「エターナルとなった事を、後悔しましたか?」  
 時深の問い掛けに、悠人は笑いかける事で答える。
 その視線の先には、光陰や今日子、ラキオスの皆にもみくちゃにされる、ヘリオンの姿。
 「・・・そうですね。貴方の側には・・・あんなにも輝く、希望がいるのでした。」

 「よーし、みんな〜!!・・・浮かれるのはそれくらいにして、次の戦いに備えてくれ・・・俺も、皆の
おかげで充分に回復する事が出来た・・・この先に瞬が待っている。俺達の世界を守る為に、行こう!!」
318明日への飛翔・最終幕23/28:04/08/31 20:33 ID:0aUTO06P
 ――マナが収束する。
 この大地の開闢以来、連綿と受け継がれた生命の系譜が。
 原初に還り、ただ一振りの神剣の元へと流れ込んでいく。
 上位永遠神剣<再生>。
 この世界の柱にして、全ての妖精達の母。
 彼女は一体、その生命を散らさんとする今、何を想っているのだろうか・・・。

 瞬は――いや、かつて瞬であった<統べし聖剣>は。
 暴走を続ける<再生>を眺め、たゆたう金色の霧を瞳に映しながら。
 魂の記憶を呼び起こし、運命をなぞると冷笑を浮かべた。

 『何と・・・何と哀れにも、愚かな生き物か。』

 遥かな昔、邪悪に魅入られて交わした契約に。
 絡め取られ、悲劇を演じ続ける破壊の皇子。
 どれだけ愛を求めようとも、決して救われる事は無いと言うのに。
 滑稽にも、繰り返し藻掻き、また繰り返し・・・・

 『・・・だがそれも、ようやく終焉を迎える・・この悲劇・・・いや喜劇もな。』

 そこにはもう、少年の意識は欠片も無かった。
 在るのはただ、世界を滅せんとする神剣の意思のみ・・・。

 哄笑を響かせる<世界>は、その気配に気付くと、ピタリと止めて振り向いた。
 
 『そう言えば、運命に抗う者は一人では無かったな・・・。』
 「・・・決着をつけようぜっ・・・瞬!!!」
319明日への飛翔・最終幕24/28:04/08/31 20:34 ID:0aUTO06P
 キュービック状の機械群が赤々と埋め尽くす、その聖域の中。
 宙に浮かび臨界を迎えようとする<再生>の下で、<統べし聖剣のシュン>が悠然と佇む。
 濃密な・・・いや飽和状態のマナが、狂わんばかりに押し寄せて来るのが判る。

 『本当にエターナルと成っていたのか・・・我と闘う為か、それとも・・・この男との因縁の故か。』
 冷然として問うその声こそ同じだが、そこにはもう瞬はいなかった・・・。
 悠人はそう悟り、一抹の寂しさを感じながら、それに答える。
 「大切な人を守る為、この大地を護る為・・・・・そのついでに、お前を解放する為さ。」
 『・・・理解できんな。」 
 「その必要はない・・・今ここで、滅びるお前にはな!!」
 <聖賢>を握り締め、力を解放する。
 ヘリオンが、時深が、光陰が、今日子が・・・・仲間達がそれに続き、瞬を包囲した。

 『ふむ・・・<聖賢>を砕けば、我の力も飛躍的に高まろう・・・・だが、その前に。』
 瞬もまた<世界>の全能力を解放し、暗黒の力を集中する。
 『・・・小虫は邪魔だ、消え失せろっっ・・・・!!!!』
 「なぁっ・・!??」

 終焉を迎える恒星のそれにも似た、絶望的な爆発が。
 その場の全員を平等に、消滅させんと襲い掛かる。

 「ぐぅ・・ぁ・・・な、なんてとんでもない力だ・・・!」
 溜めていた力を防御に集中して尚、爆炎はオーラフォトンの護りを貫通し、軽くないダメージを与えた。
 だがエターナルである悠人でさえそうなら、他のみんなは・・・・!?
320明日への飛翔・最終幕25/28:04/08/31 20:35 ID:0aUTO06P

 「・・・エス、ペリア・・・お姉ちゃん・・・・だい、じょうぶ・・・?」

 抵抗力の低いエスペリアを庇ったのだろう。
 その身を灼かれ、息も絶え絶えにオルファが呟く。
 「嘘・・そんな・・・・お願い・・・目を開けてっ・・・・オルファ!?」
 それきり動かなくなったオルファを抱いて、エスペリアが慟哭する。  
 あの瞬間、咄嗟に動いたのはオルファだけでは無かったようだ。
 見ればファーレーンが、ネリーが、ヒミカが、ウルカが、クォーリンが・・・!
 そこかしこで倒れ、金色の霧を巻き上げていく。
 ・・・そして響き渡る、絶叫・・・。

 立ち上るマナは、急速に<再生>へと吸収されて行った。
 身体を構成する必要なだけのマナが失われれば、最早リヴァイヴの魔法も効力を為さない。
 「・・・き、貴様ぁぁああああああ!!!」
 激情と共に斬り掛かろうとした悠人の耳に、少女の声が響き渡る!!

 「みんな、諦めないでください!!・・・・私達の命は儚く、
      進むべき道は、果てしなく遠い・・・・けれど前を向く者に、希望は灯るから!!!」
  
 「ヘリオン・・・!?」

 なんとヘリオンが<希望>を掲げて叫んだその瞬間。
 翼が光り輝き、その煌きが傷付いた仲間達を包み込む・・・。
 ・・・そして立ち上るマナが逆流し、消え掛けていた生命が、僅かな間繋ぎ止められていく!

 「皆さんの奥底に眠るマナを解放、活性化させました・・・今のうちに治療を!・・・ユートさま、
私が誰一人として死なせません・・・どうか心置きなくあの方を、<世界>を!!!」
321明日への飛翔・最終幕26/28:04/08/31 20:37 ID:0aUTO06P

 ・・・そうだ、誰一人死なせる訳にはいかない。
 瞬が再びあの技を使うマナを蓄える前に、一気に勝負を付けなければ・・・!

 『ぬぅぅ・・・小賢しい!!』
 悠人が殺到する前に瞬が放った六枚の翼が、力を注ぎ続けるヘリオンを襲う。
 「・・・!!」
――キキキキ、カキィィン!!
 それを読んでいた時深が、一瞬早く立ち塞がり、ひらりと叩き落す。
 「私を忘れて貰っては困ります・・・・悠人さん、さあ、どうぞ決着を!」
 「時深・・・・判った!・・・必ず俺が、あいつを倒す!!!」
 
 そうして悠人は、渾身の力を込めて<聖賢>を叩きつける。
 対する瞬の<世界>も、絶大な力を持ってそれを弾き返す。
 一進一退、エターナル同士の一騎討ちは、余の者が立ち入る事を許さない。
 その壮絶な闘いは、まさしく神話の時代の闘神も斯くやという物だった。
 ぶつかり合うオーラが空間を歪ませ、渦を巻き起こし、激流となって大気を震わせる。
 ・・・そして想いの力で瞬を圧倒する悠人が、持てる全てのマナを集中し、止めを刺さんとしたその時。
 「なにっ!?」
 瞬もまた闇のオーラを<世界>に集め、悠人に向けて解き放った!
 悠人の後ろには、魔法に集中するヘリオンと、それを守る時深。
 四人が一直線上に並ぶ、この位置での攻撃を<世界>は狙っていたのだ。

 ――相殺しなければ!!
 <聖賢>に集めたマナの全てを使い、闇の衝撃を防ぐ悠人。
 だがそこを狙って、死を告げようと六枚の翼が飛来した!!
322明日への飛翔・最終幕27/28:04/08/31 20:38 ID:0aUTO06P

 「しまっ・・・!?」

 <聖賢者>さえ倒せば後はどうとでもなる。
 その力を吸収しさえすれば、最早第三位の<時詠>など物の数では無かった。
 彼我の力が拮抗していると見た<世界>は、ヘリオン達を利用し、この状況に悠人を追い込んだのだ。
 力を放出した直後、無防備な状態で翼の神剣をくらえば、いかな悠人とはいえ重傷は避けられない。
 そしてそうなれば、<世界>が<聖賢>を砕く事は容易い筈だった。
 ・・・・筈だったのだが。

 「お、お前達・・・?」
 
 「へへ、俺達でも、翼の一本を弾き返す程度の事はできるぜ。」
 「一人一本じゃ、そんな格好つけられないけどね。」
 「うぅ、ネリー達は二人で一本なんだけど・・・。」
 「で、でも頑張ったよね。」
 「・・・ん・・・。」
 「あ、貴方に倒れられたら皆が困るのよ。」
 「・・・さあユウト殿、この闘いに・・・幕を!」

 ――勇気が沸いてくる。
 傷付き力尽きた身体に、再び活力が溢れて来るのを感じ、悠人は<聖賢>に呼び掛ける。
 (そうだよな、俺は一人じゃ無いんだよな・・・。)
 『うむ・・・さあユウトよ、託された仲間達の想い、応えるのは今だ!」

 他の仲間達も、この僅かな間を守り通す為に、懸命に抵抗を続けていた。
 ヘリオンと時深が、頷くと悠人に力を分け与える。
 気付けば殆どの力を使い果たし、逆に追い詰められていたのは<世界>の方だった。

 『この僕が、負ける訳が無い・・・・・消え去るのはお前、お前なんだぁぁあああ!!』
 最後の一撃に向けて、己が神剣に全てを乗せて、二人が衝突する。
 「・・・今度こそ、終わらせてやるよ・・瞬・・・もうゆっくり、休むがいい・・・・!!!」
323明日への飛翔・最終幕28/28:04/08/31 20:39 ID:0aUTO06P


 人の想いとスピリットの想い、そして神剣の想いを込めた一撃を受けて。

 ・・・生命そのものである輝きの中、<世界>は消滅した。

 そしてこの大地と、二つの世界は守られたのである。

 続く一撃で<再生>を破壊すると、悠人は振り返り・・・光となって拡散する、瞬を見つめる。
 ・・・誰よりも憎んでいた。
 その態度、言動のどれ一つとっても、反発し、嫌悪を覚えた。
 だがあの時、瞬は確かに、俺と佳織を助けたのだ。
 (まあ、俺は佳織のついでだったんだろうけどな。)
 礼など言えば、貴様など眼中に無いとか言って、怒り出す事だろう。
 それでも今、滅びようとする瞬に対する憎しみは、もうない。
 ・・・形は違っても、同じ少女を愛した男だったのだから。
 
 「これで良かったんだろう、瞬?」 

 小さく呟くと、悠人は喜びに沸く仲間達の輪へ戻った。
 それを迎えるのは、誰よりも愛しい、あの黒い妖精の少女・・・。

324明日への飛翔・Epilogue 1/4:04/08/31 20:41 ID:0aUTO06P

 「はぁっ・・・ったく、とんでもない人出だなぁ。」

 思い思いに談笑する人の群れを掻き分けて、溜息をつく。
 悠人達は今、ハイペリアに良く似た世界にある、遊園地へとやって来ていた。
 「ホントですねぇ・・・っきゃぁ!?」
 「おいおい、はぐれたりするなよ・・・けどもしここにオルファやネリーなんかを連れて来たら、喜んで
はしゃぎ回るだろうなぁ。」  

 人ごみに翻弄されるヘリオンに声を掛けながら、それを想像してあの頃を懐かしむ悠人。
 もうファンタズマゴリアの大地で起きたあの戦いも、遠い昔の出来事だった。
 だが悠人の胸には、それがまるで昨日の事のように、今でも在り在りと浮かんできた。
 何せ二人が出逢い、愛し合って、共に永遠を生きる事を誓った世界なのだから。

 「ねぇお母さん、今度はあれに乗ろ〜♪」
 「え、えっと?・・・ユーフィが言ってるのは、あれかな?」 
 混雑にてんてこ舞いするヘリオンとは対照的に、元気いっぱいのユーフィ。
 その姿を見ていると、親子と言うよりは歳の離れた姉妹の様に見える。

 エターナルとなったヘリオンは、命を宿す事が出来るようになった。
 けれどほんの僅かな可能性を潜り抜けて、奇跡の様に生まれて来た子供もまた、エターナルだったとは。
 (まあ、たまにはこんな時間を過ごすのも良いかもな・・・。)
 愛する我が子が、永遠に続く戦いに身を投じる運命にある事を思うと、ついつい暗くなりがちだったが。
 ・・・だからこそ、この一時の平穏を大事にしなければ。
 悠人はそう、願いと自戒を込めて自分に言い聞かせた。
 そんな悠人達に、大きな声で呼び掛ける少年の声。

 「ちょっとちょっと〜〜〜。みんな何時まで遊んでるのさ、早く行こうよ〜〜!!」
325明日への飛翔・Epilogue 2/4:04/08/31 20:43 ID:0aUTO06P

 「おいおいエリオン、まだ時間はあるんだからそんなに急ぐなって・・・。」

 そうして自分に似たツンツン頭に手を置いて、悠人が宥める。
 そう・・・生まれて来た子供は双子だったのだ。
 それぞれが両親に似て、エターナルでありながらすくすくと成長していた。

 「だってオレ、時深姉ちゃんに早く会いたいんだもん・・・。」
 「それは解るけど、お兄ちゃんなんだから少しは我慢しような?」
 「うぅ・・・まぁ、仕方ないなぁ。」
 勿論エリオンは、いつも妹想いの良い兄だったのだが。 
 これが大好きな時深姉ちゃんの事になると、その順位が逆転してしまうらしかった。
 いつか時深姉ちゃんに、お嫁さんになって貰うのが夢らしい。
 ・・・それが叶うかどうかは判らないが、父としても複雑な思いの悠人であった。  

 「でもユートさま、そろそろ待ち合わせの場所に向かってた方が良いかも・・・。」
 自分が迷子になりそうな、ヘリオンがしおしおと言う。
 今日は神剣は取り出せないので、はぐれたりしたら探すのに一苦労するのは目に見えていた。
 何時もなら、<希望>が持つ様々な特殊能力で活躍するヘリオンも、今日は心底参っているらしい。
 「そうか?・・・・それじゃユーフィ、乗り物は時深に会ってから乗ろうな。」
 「え〜?・・・ふん、だっ・・・時深おばさんなんてどうでもいいのに。」
 ユーフィにとって、時深はいつも一緒にいる双子の兄をたぶらかす、敵というかライバルなのだ。
 時深の方でも、まんざらでもないのかエリオンを可愛がるものだから、それは益々根を深くしていた。

 「・・・・・お願いだから、本人の前では呼ばないでくれな。」
326明日への飛翔・Epilogue 3/4:04/08/31 20:43 ID:0aUTO06P
 ・・・それにしても・・・。
 こんな場所に呼び出すなんて、一体時深の用事とは何だろう。
 以前から調査を続けていた、ロウエターナルの復活でも嗅ぎ付けたのだろうか・・・。
 悠人がそう考えていると、誰か連れを追いかけていたらしい、小柄な少女がぶつかって来た。

 「純くん待ってよぉ〜〜〜って、っきゃぁ!?」
 「っと、と・・・・大丈夫か?」
 弾かれて、座り込んでしまった少女を見下ろして声を掛ける。
 「す、すみませんっ!」
 「いや別に・・・・・って、あれ?」
 その見覚えのある顔に驚いて、硬直していた時。
 「こら貴様!・・・詩織に何をしている!!」
 はぐれた少女を探していたらしい少年が、そう怒鳴って悠人の襟を掴んだ。
 「ち、違うの純くん!・・・私が前を向いてなかったから、この人にぶつかっちゃったの。」
 「何だって?・・・詩織、本当か?」
 「本当だってばぁ!・・・だ、だから早く手を離してあげて。」    
 少女が懇願して、やっと納得したらしい少年。
 「済まない、早とちりだったようだな・・・だが僕にとって詩織は世界の全てなんだ。ついカッとなって
しまったが、どうか水に流してくれ。」
 「あ、ああ・・・。」
 「ど、どうしていつも人前でそんな事言えるの!?・・・・もぅ、純くんなんて知らない!」

 本当にすみませんでした・・・もう一度そう謝って、顔を紅潮させた少女は逃げるように立ち去る。
 そうして呆然とする悠人達に会釈して、一言呟くと少年は追いかけて行った。
327明日への飛翔・Epilogue 4/4:04/08/31 20:45 ID:0aUTO06P

 「あ、あの・・・ユートさま、今の人はもしかして・・・。」
 驚きが抜け切らない様子のヘリオン。
 そしてそれは、悠人も同様だった。
 「ああ・・・『家族と幸せにな』だってよ、あいつ・・・不思議な事もあるもんだな。」
 そう呟いて、あの二人が去った方向を見つめ続ける。

 確かエターナルと成った存在は、輪廻から切り離される筈なのだが・・・。
 テムオリンやタキオスと違い、何時までも復活しない訳が判ったような気がした。
 『上位永遠神剣にも、まだまだ解明されていない謎はある。』
 <聖賢>がいれば、そんな事を言ってこの奇跡を面白がっただろう。
 
 「ねぇ、お父さんもお母さんも、どうしたの?」
 「もう良いよ・・・ユーフィ、オレ達だけで先に行っちゃおう!」
 「わ、こら、ダメよ二人とも!・・・・迷子になるから、置いていかないでぇ・・・。」
  
 守るべき家族を眺めながら、悠人は笑みを浮かべる。
 そうだな、俺は本当に幸せだ・・・。
 この安らぎがあるから、俺は前を向いていける。
 果てしない戦いの日々も、いくつもの別れと悲しみも。
 共に笑ってくれる人達がいるから、耐えていく事が出来るのだ。
 ・・・守り続けよう、この永久の安らぎを。 

 翔けていこう・・・明日の、その先に向かって。
328名無しさん@初回限定:04/08/31 20:48 ID:JLR1qHmy
                  ∩
                  ( ⌒)      ∩_ _ グッジョブ!!
                 /,. ノ      i .,,E)
             / /"      / /"
  _n  グッジョブ!!   / / _、_   ,/ ノ'
 ( l     _、 _   / / ,_ノ` )/ / _、_    グッジョブ!!
  \ \ ( <_,` )(       / ( ,_ノ` )     n
   ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ      |  ̄     \    ( E)
     /    /   \    ヽ フ    / ヽ ヽ_//
329あとがき 1/2:04/08/31 20:49 ID:0aUTO06P

 ご支援ありがとうございました〜〜〜〜〜♪♪♪
 一ヶ月続いた「明日への飛翔」も、皆さんの温かい応援のおかげで完結する事が出来ました。
 いやぁ、なんと言うか素人同然だった私も、何かを形にできたかなと思うと感無量です。
 
 ヘリオンルートを考えた時、どうしても名作『失望の道行』が頭にありました。
 だから出来るだけ真似というか二番煎じに陥らないように、意識して作風を離して見ましたが・・・。

 「ではシリアス寄りで、ヘリオンは本当は結構強いんだけど、力を発揮できない理由がある事にしよう。
<真実>は上位の存在だったのが砕けて、その一つが<失望>になったらしいから、「飛翔」では逆に全く
新しく生まれた存在にしたいな・・・でもそうすると、どうやって第三位(以上)に進化させるか・・・。)

 そこで目を付けたのが、いろいろ特殊な所のあるイオさまの<理想>でした。第四位相当らしいし。
 「失望×(求め一部+理想)=希望」という感じで。>>79さんなんてほとんどこれ予想してたかも??
 いや実は、ヘリオン以外ではイオさまもかなり好きなのですよ。(何を隠そう>>12は私です。)
 でもこれ程イオさまが頻出するSSも見たこと無いので、バレバレだったかなぁ?
 物語としてはイオさまには、あそこで死んで貰う方が美しいのかも知れませんが・・・。
 やはり結局、死なせる事が出来ませんでした・・・orz<ちびイオたんになって復活させちゃったヨ。 
 悠人が前に誘いに乗ってたりして好感度低いと「ヘリオン忘れる→イオさまと百合な関係にEND」が?
  
 それで「えたーなるへりおん」と成った彼女ですが、ラストだしクラスアップもしたので新技続出です。
「百花繚乱」は五幕で肉体の損傷を気にしない<拘束>が使った、スピリットの限界を超えた乱れ突き。
  突き技ならこれしかないだろ〜とロマサガ2のイロリナの星から引っ張り出してきたのですが・・・。
  ・・・・・・そういえば、るろ剣でも変なおっさんが使ってたような::(気にしないでネ)
  月と夜の加護を受けた云々というのは、月輪の太刀の説明文から。これも五幕で一度出てきますね。
  本当に<拘束>様は使い勝手が良かったです。で、それを夜半の〜にかけてみたり。辞書参照^^;
330あとがき 2/2:04/08/31 20:50 ID:0aUTO06P
「風花(かざばな)の太刀」風花とは雲も無いのにちらちらと降って来るお天気雪の事ですね。
  攻防一体。攻撃しようとしても余りに疾いので雲を掴むように捉えられない。加えて姿も見えないのに

  (雲も無いのに)微塵切りにされて、溶けるように消える様子が風花のようだと。
  でも全体(範囲)攻撃に弱いです。オーラフォトンブレイクとか怖いですね。
  光陰に説明させようと思ったら長くなったので削りました。決め台詞は時深さん発案です。

「???」希望の翼が光り輝くあれです。白スピの力を手に入れたヘリオンの新サポートスキル。
  何と言うか、ヴァルキリー・プロファイルの「ガッツ」みたいな効果があるみたいです。
  詠唱呪文は「この大地の果てで」から取ってるので、ここでの希望は(ひかり)と読みます。
  当初からこの展開は狙ってたので、その為に<希望>にしたと言うのもあります。
 
 何と言うか、かなり成長して強くなったように見えるヘリオンですが、あれはコアラ様が油断してたのと
相性が良かったせいでしょう、きっと。可哀想でタキオスの相手なんかさせられません。

 ユーフィは・・・名前はアセリアの子と同じですが、髪の毛とか黒いです。髪型もツインテールで、神剣も
たぶん<悠久>じゃないかも。それで、少しイオさま入ってますね、時深おばさんとか平気でいう辺り。
 エリオンは・・・悠人のちびっこヴァージョンです。時深が好きだって設定にしましたけど、あるいは時深
の方でも好きだった悠人にそっくりだし、ショタに目覚めて結ばれたりするかも。
 きっと神剣も、求めの意識が残ってたりするかも知れませんね。<希求>とかそんな感じで。
 もし番外編を後にしたら、双子はまだ生まれずに悠人と二人ラブラブなヘリオンの姿を描くつもりだった
のですが、母親になっても少女っぽさが抜けないヘリオンも良いかなぁと、こういうラストに成りました。

 純(=瞬)の「詩織(=佳織)は世界の全て」という台詞は、神剣と幕間の冒頭の台詞をかけた物です。
エロゲのタイトルじゃないです。<誓い>の契約が生きてたのかどうか、再び生まれ変わった二人でした。

 それでは皆さん、また近いうちにお逢いしましょう〜♪(返信ですぐ出てきそうな気もするけど。)
331おにぎりの中身の人:04/08/31 21:16 ID:TF/uDMVy
おつかれさまでした!
書くの早いなぁ・・・ほんと

俺の今書いてる「ラジオハリオン」なんて、まだ1話の4分の1もできてないのに・・・(つД`)
332名無しさん@初回限定:04/08/31 21:33 ID:EOzhDzB5
////|   /ヽ              /       ヽ
////|  |  ヽ            /          ヽ               /\
////| |    ヽ         /            ヽ     |\       /  \
////| |      ヽ       /              ヽ    |  \    /     \
//// |        ヽ    /            |    |    |   \  /       \
///  |          ヽ  /          / \!    |    |    \/        \
/// | /\        V          /     ヾ、∠___|
/// ∠   \               /    _-― ̄`\ 飛翔の人さんGJだ!
//// | ̄ -ヽ  \           /  /  ̄|       \ 
//// |  |  \ \    |   /  /   /       /残念だけどさ
/////|   ヽ、_  (\\_  |__/ /◯ _,.-'        /  支援に
///// | ._  ` ‐-‐' ヽ!.l|, l__/ヽ‐-‐‐'´   __,.   /  間に合わなかったんだな 
//////|   ̄=≡/ =i i= ヽ≡=== ̄     \   これが!
////// |         | 「       -┐        \
////// |       /|       , ヘ        /ー \
///////|    __ヽ| ヽ    / /|       /  /
/////// |    |‐--二二二二 =-イ  /       /  /     /|
/////// |    Y´         `、/      /  /    /   |    /\
//////// \   |          /     /  /  /      |   /  \
//////////\  |         /     /  / /        |  /    \
///////////ヽ  !二二二二/    / /  //          | /      \
////////////ヽ   ━==    /   /              |/
333名無しさん@初回限定:04/08/31 21:39 ID:EOzhDzB5
   ∩___∩         
   | ノ\     ヽ    ユーフィー=ユーフォリア    
  /  ●゛  ● |            ~~~~   ~~~~ 
  | ∪  ( _●_) ミ        ユート+アセリア
 彡、   |∪|   |          ~~~~~ ~~~~
/     ∩ノ ⊃  ヽ  
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
334名無しさん@初回限定:04/08/31 21:42 ID:EOzhDzB5
>>330

ユート+アセリア
~~~~      ~~~

すげーズレかたしちゃった…
335名無しさん@初回限定:04/08/31 21:52 ID:2ci06VxO
つまりユーフォリオンに改名しろと?
336333:04/08/31 22:03 ID:tTnFV6NF
>>335
ワロタ

いやいや、ただ名前は同じって書いてあったから
エリオンがヘリオンからしか名前とられてないんだし
ユーフィーは名前省略せずにユーフィーなんかな、って思っただけ

何か日本語になってないから感じとってくれ
アフォなことばっかやっててスマソ
337名無しさん@初回限定:04/08/31 23:19 ID:Dm7ibfH6
>>333-335
おまえら面白すぎ
ところで『ユーフォリオン』ってラノベがあったりするが
それにかけてたりする?
338名無しさん@初回限定:04/08/31 23:43 ID:t2K0VNrc
飛翔の人グッジョブ!
お返しと言っては何ですが拙作の妄想Eヘリオン(希望ver)をば。

希望の翼ヘリオン
『戦います。ユートさまと生きる未来に、希望の灯を灯すために。』
愛する悠人と共に有る為にエターナルとなる道を選んだヘリオン。
「理想」と「失望」が融合した上位永遠真剣「希望」は、
「失望」の成長性と「理想」の多彩な能力を併せ持つ。

百花繚乱 黒 回12 最4 対象:変動 (特殊効果:アタックタイミング1回で4回攻撃する)
元々黒スピリットであったヘリオンは、
連続で攻撃を加えることで相手の防御を突き崩す戦法を得意とする。
そのスピードを極限まで高めた突きの連打は、相手に反撃する暇さえも与えない。

風花の太刀 無 回9 最3 対象:敵全体 (特殊効果:スキル発動回数−1)
「希望」は「失望」をベースにしているため、一撃はそれほど重くはない。
しかし、上位永遠神剣となったことでそのスピードは段違いとなった。
風花の太刀は相手の攻撃をいなしつつ超高速の剣を連続で放つことで
相手の攻撃力と防御力を同時に落とす攻防一体の必殺技。
これを受けた者は風に散る花のごとくマナの輝きを残し消えゆくのみである。

ウィッシュドホープ 無 回5 最1 インタラプト(ab)
ヘリオンの持つ「希望」はすべてのスピリットの特性を持ち合わせている。
ゆえに「希望」はヘリオンの感情に呼応してさまざまな力を引き出すことができる。
『護りたい』という気持ちで力を引き出すことで味方を構成するマナを活性化させ、
敵の魔法攻撃に対する抵抗力を大幅に高める。
(効果:敵サポートスキルの対HP効果−50%+味方全体50%回復)


お目汚しスマソ。

339名無しさん@初回限定:04/09/01 00:22 ID:bb7CRodc
>>338

百花繚乱 黒 回12 最4 対象:変動 (特殊効果:アタックタイミング1回で4回攻撃する)

三段突きじゃなかったっけ?
340飛翔の人:04/09/01 00:34 ID:EK0GtGoF
>>333-337
ユーフォリオン・・・な、なるほど、それでも愛称はユーフィになるから問題ないのか。

>>338
おおお!?我ながら無茶(?)かと思ってたオリジ技に、ゲーム用設定が!
感動でございます、ありがと〜♪
「ウィッシュドホープ」・・・格好良い名前だ・・・「ホープライト」とかで無くて良かった^^;
風花は、風に散る花の様に見えるからそう名づけられたらしいですが、
元々雪の名前なのでそれも想像して貰えると更に嬉しいです。

皆様どうも、感想ありがとでした^^
あんまり嬉しいので言っちゃいますが、330の最後で匂わせてたのだけれど、
「飛翔」では後一回だけ、番外編で投稿するつもりです。(現在完成度40%くらい)
喋る<希望>とちびイオを出したいので、ヘリオンE化直後から悠人参戦までを舞台として。
「えたーなるへりおん」って感じでしょうか。それではおやすみなさい〜〜〜zzz
341飛翔の人:04/09/01 00:39 ID:EK0GtGoF
>>339
わとと、書き込んでたらまた書き込みが^^;せっかくなので追加を。
私としては、「そらもうたくさん(2ケタ?)」回数のダメ表示が出る技というイメージでした。(一撃は弱いけど)
(ちっちゃい時に訓練士を倒したのは三段突きでしたが。)
342名無しさん@初回限定:04/09/01 01:14 ID:VnOUWZHp
飛翔の人さん、グッジョブです。
ついでに>275氏に触発されて、初めてのネタ投稿。
つまらなかったらスマソ。

「アセリア、また彫刻つくってるのか?」
「…ん」
「今度は…ネリーとシアーか!ずいぶんかわいらしく彫れてるなぁ
 ちゃんと服も着てるし…本物の布で仕立ててあるんだな」
「ん、着脱可能」
「そ、そうか。本格的な自由研究だな」
「違うぞ、ユート。これはコウインの特別課題だ」
「は?…なんなんだそれは?」
「『ふぃぎゅあ』はユートの祖国が誇る芸術作品だと言っていた。違うのか?」
「…いや、違う…とは言い切れないんだが…そうじゃなくて!」
「ん…ユート、ハイペリアでは初めて留守番をすることに特別な意味があるのか?」
343名無しさん@初回限定:04/09/01 02:02 ID:gkDZQ1nT
 スピリット隊全員の自由研究を点数化したときに最下位はセリアと予想し
てみる。セリアはいろいろと悠人がらみのネタを考え込んだ挙句、結局どれ
もこれも煮詰まってやけでツンツンモードを装っていつもの業務日誌あたり
を提出して押し通したりしそうだ。頭かたそうだし。
344名無しさん@初回限定:04/09/01 02:12 ID:eN2L2/il
>飛翔の人さん
祝・「明日への飛翔」完結!
おめでとうございます、そしてお疲れ様でした。
改めて第一幕から通して読み直してみると、ゲーム本編で言う所の共通イベントにまで
深く切り込んで描写を重ねていて、「物語を作る」気迫と姿勢に圧倒されるばかりでした。
ただの「ヘリオンルート」ではなく、「ヘリオン専用ルート」と言うべき、
ありとあらゆる補完を詰め込んだ大作に身を震わせています。
瞬にも<希望>が与えられるなんて、想像の遥か上の出来事にただ感動の息をつくしかありません。

エターナルとして目覚めた<希望の翼ヘリオン>、彼女の持つ神剣<希望>、
そしてその身も心も彼女の一部となった「ちび」イオ。
「永遠のアセリア」内でも語られなかった空白の一ヶ月間、三人に一体どのような事件が起こるのか、
「明日への飛翔・番外編『えたーなるへりおん』」期待して待て!
……とか、頭に鳴り響いて来ました。
再び彼女達が、またファンタズマゴリアの面々が活躍することを楽しみにしています。

>342さん
何というか、「スピヴィネ」とか、「週刊わたしのエトランジェ」などという単語が脳内を飛び交いました。
出来をチェックした上に魔改造に手を染めようとする光陰なんかも。グッジョブです。
345破壊の死神 中編 1/41:04/09/01 03:58 ID:9r3ctvvq
 トキミ様のおっしゃっていた味方のエターナル、聖賢者ユウト様がようやくファンタズマゴリアに現れた。
 第一印象は、威圧感のようなものがまるで無く、どこか危なっかしささえ感じてしまうような人。
 エターナルという事から、もっと威厳のある人物を想像していたので、正直かなり意外ではあった。
 けれど、その笑顔は不思議と私を安心させる力強さを持っていて、絶対にこの人は頼りになる、絶対の信頼に値するという強い確信が心の中に芽生えた。
 いや、芽生えたという表現は正しくない。それは瞬時に芽生えたというよりも、以前からずっと心の中にあったような不思議な感覚。
 それだけではない。
 私の心はどうしてしまったのだろう。
 ユウト様の笑顔に、真剣な顔に、そしてなぜか垣間見せるどこと無く寂しげな表情に、初対面の筈なのに私の心はなぜか激しく掻き乱された。
 これがエターナルの力なのだろうか。そんな事すら考えた。
346破壊の死神 中編 2/41:04/09/01 04:00 ID:9r3ctvvq
 夜。
「あのユウトってエターナル。なんか頼りない感じする」
 私の部屋にやってきたニムは、私のベッドに腰掛け足をぶらぶらさせながら喋っている。
 私は本を読んでいたのだが、ニムの話に集中力が途切れてしまって本を机に置いた。
 もっとも、ニムが来る前から集中できているとは言いがたい精神状態ではあったが。
「ニム、ユウト様はこの世界を救う為にやって来て下さったのです。呼び捨てにしてはダメでしょう」
「でも、ユウトは構わないって言ってたよ」
「それでもです」
「えー」
 何気に人見知りするニムが、ユウト様にはすぐに心を開いた。
 やはりエターナルというのは、どこか不思議な魅力を持っているのかも知れない。
 そうでもないと、この胸の高まりは説明できない。
「どしたの、お姉ちゃん?」
「う、ううん。何でもないから」
「ふーん?」
 ニムにばれない様にするのが大変だった。
 ニムは最後までどこか疑わしそうな目をしていたけれど。
347破壊の死神 中編 3/41:04/09/01 04:04 ID:9r3ctvvq
 翌朝、ユウト様がたった一人で敵の本拠地に乗り込んだという報告がトキミ様からあった。
 驚き、あきれ。でもそれ以上に、やっぱりと思った。困惑は無い。
 心のどこかで、ユウト様ならこうするだろうと思っていた。
 なぜだろう?
 答えは見えない。
 今はただユウト様を追って、ソーン・リームに向かい、走る。
348破壊の死神 中編 4/41:04/09/01 04:08 ID:9r3ctvvq
 完全に予想外だ。
 誰にも犠牲になって欲しくない、そう思ってソーン・リームに一人で出て来た。
 シュンとは俺だけで決着をつけるつもりだった。
 甘かった。
『だから言ったのだ。少し考えれば解ったであろうに。……まさかここまで考え無しだったとは』
 『聖賢』の声がする。いちいちもっともすぎて、逆に腹が立つ。
『全く、何故に我はこの様な者を持ち主と認めてしまったのか……』
「……文句言ってるヒマがあったら、もっと力を貸せよな」
『重ねて愚かな。お主が力を上手く扱えていないだけであろう』
 ……全く、腹が立つ。
「アーッハッハッハッ!! そらそらそらっ!!」
 バギャアッ!!
 鞭型の永遠神剣『不浄』が、一瞬前まで俺がいた場所の地面を抉る。
 岩が砕け、土や雪が飛び散る。
「そうですね……こうしたら、死んでもらえますか?」
 体勢を整える間も無く、双子剣型の永遠神剣『流転』による変幻自在の連撃が襲い掛かる。
 ガッガッガギィッ!!
「グル、アァァァアァァァ!!」
 辛うじて防御し、間合いを離すもそこに追い討ちの炎。永遠神剣『炎帝』による神剣魔法。
 意識を集中し、オーラフォトンの壁で炎を防ぐ。
 ゴアアアアッ!!
「ちいっ!!」
349破壊の死神 中編 5/41:04/09/01 04:12 ID:9r3ctvvq
 何とか受け流す事には成功した。
 それにしても、3体のエターナルを同時に相手にする羽目になるとは思わなかった。
 相手は皆第三位永遠神剣の使い手。
 一対一なら何とかなる。そう考えていた。
 だがよくよく考えてみれば、敵が一人一人出て来るとは限らない。
 まして、こちらが一人なら尚更に。
「くそっ、バカか俺は」
『改めて言わずともその通りだ』
「……」
『お主の頭でも理解できるように今一度言おう。今更言わずとも そ の 通 り だ』
「……『聖賢』うるさい」
 俺と『聖賢』のやり取りは聞こえていないだろうが、まるでそれを嘲笑うかのように水月の双剣メダリオが迫る。
「僕の剣が、あなたを倒したいと言っているんですよ!!」
 ガッガッ!! ガキャアッッ!!
 流れるような連続攻撃を受けたところに不浄の森のミトセマールの神剣魔法が叩き込まれる。
「さあさあ踊っておくれよ!!」
 ギャアアアアンンッッ!!
 体から力が抜ける感覚。
「くっ、この程度で、立ち止まるわけには!!」
 更に業火のントゥシトラの炎が襲い掛かる。
「アァァァッ、シュシュ、シュシュシュ……」
「!?」
350破壊の死神 中編 6/41:04/09/01 04:17 ID:9r3ctvvq
 体の、マナの反応が鈍い!!
 これは、さっきくらった『不浄』の力か!?
 目の前に灼熱の炎が迫る!!
 必死でオーラフォトンを集中、ガードを固める。
 しかし中途半端なガードにしかならない!!
 ゴアアアアアッ!!
 燃え盛る炎が踊り狂う。
 だが、ダメージは、予想よりも遥かに少なかった。
 それは、加護の力が俺を守ってくれたから。
「よぉ、助けは必要か?」
 振り向いたそこには、息を切らした時深、光陰、今日子、そしてスピリットのみんながいた。
351破壊の死神 中編 7/41:04/09/01 04:22 ID:9r3ctvvq
 嬉しい気持ち、すまない気持ち、全てが混ざった感情。多分言葉にすれば、感動というのが一番近い。
「みんな!!」
「悠人さん、どうして一人で勝手に突っ走ったりするんですか!? そんなに私は信用できませんか!?」
 怒られる。
「い、いや、その……すまん」
「もういいです。悠人さんには後でたっぷりとエターナルとしての心構えから何から叩き込んであげます。ですが今は……」
 時深が表情を引き締めて、敵の方を向く。
 その瞳は既に戦う者のそれだった。
「不浄の森のミトセマール。あれの使う神剣魔法は悠人さんには少々厄介です。私に任せて下さい」
「大丈夫か?」
「悠人さんがそれを言いますか? 大丈夫。力に溺れる者など、私の敵ではありません」
 時深は言うが早いか飛び出す。
「フン、生意気な。絶望を見せてやるよ!!」
「見えるのは、あなたが塵となった姿です。その先には明るい未来しか見えません!!」
 エターナル同士の戦いが始まった。
 鞭型の永遠神剣が激しく飛び跳ね、狂った様に四方八方から時深に襲い掛かる。
 それを全て舞でも舞うかのように優雅に避けきる時深。見てから避けるのでも、相手の攻撃を読んだのでも無い。
 攻撃の来る未来を見ていた。
「へぇ。やるじゃない」
「あなたは期待外れですけど」
「……言ってくれるじゃないか!! 覚悟しな!!」
352破壊の死神 中編 8/41:04/09/01 04:26 ID:9r3ctvvq
「ユウト、俺達はどうすればいい?」
 光陰が尋ねてくる。
「あの双剣の奴を抑えてくれ。だが、奴は強い。無理はするなよ。俺か時深が行くまでの時間稼ぎでいい」
「了解だ」
「まっかせといて」
 光陰と今日子がうなずき、スピリット隊がメダリオを取り囲んだ。
「さて、いくか。特に面白くも無いけど、死にたくもないしな」
「負ける気は無いからね。本気で行くわよ」
 メダリオにスピリット隊の波状攻撃が始まった。
「よし、俺の方も気張らないとな」
 仲間達にここまでされて、これ以上情けない真似は出来ない。
 感動を胸に、業火のントゥシトラと対峙する。
353破壊の死神 中編 9/41:04/09/01 04:30 ID:9r3ctvvq
 光陰も今日子も、アセリアもウルカも、エスペリアもヒミカもセリアも、皆自分の実力にある程度の自信を持っていた。
 弱気なシアーやヘリオンも、戦いの中で成長し、皆の助言もあって少しずつ自信をつけてきていた。
 どんなに強大な相手でも、皆で協力すれば何とかなると思っていた。
 しかし敵のエターナルは格が違いすぎた。
 相手のガードを問答無用で叩き潰す筈のアセリアやセリアの攻撃は軽く弾き返され、ウルカや今日子の電光石火の連続攻撃もそれ以上のスピードで叩き落される。
 そして相手の攻撃はエスペリアや光陰のガードすらやすやすと突破し、大きなダメージを与えてくる。
 全ての攻撃は防がれ、向こうの攻撃は防ぎきれない。神剣魔法は打ち消され、うたせてももらえない。
 これまでの戦いの経験が、この強力なエターナルを相手にしては、自分達は足止めくらいにしかなれないという判断をさせた。
 ユウトかトキミが敵のエターナルを倒し、こちらのフォローに来るまでは、何とか持ちこたえよう。そう考えた。
 だから、自分の力にまるで自信の無いファーレーンだけが気付いた。
 自分達は、足止めにすらなれていない。エターナルの眼中に私達は、無い。
354破壊の死神 中編 10/41:04/09/01 04:37 ID:9r3ctvvq
「さて、そろそろ遊びは終わりにしましょうか」
 メダリオが桁外れのマナを込めた双剣を構えて飛ぶ。
 とっさに皆が神剣を構え、防御の体勢を取った。
 しかしその目標は、光陰でも今日子でも、ましてスピリットの面々でもなく、ントゥシトラと対峙するユウトの後ろ姿だった。
「まずいっ!!」
 光陰が叫ぶ。だが元から違うスピード、しかも最初の一歩で出遅れて追いつける筈も無い。
 ユウトがやられたら、そこで勝負は決まる。
 それは第二位永遠神剣の持ち主がやられるという事以上の意味がある。
 記憶が無いとはいえ、長い戦いで培われたユウトに対する絶対の信頼が、皆の心の中にあったから。
 それは転じて、ユウトがやられれば皆が敗北を認めてしまうという事に他ならない。
 ユウトさえ倒してしまえば、それだけで勝敗は決する。それを理解していたからこそ、メダリオはまっすぐにユウトを狙った。
355破壊の死神 中編 11/41:04/09/01 04:41 ID:9r3ctvvq
 『聖賢』を構え、ふらふらと漂うように動くントゥシトラとの間合いを計る。
 甘く見ていた訳では無いが、その予想よりも遥かに厄介な相手だ。
 そもそも、今まで戦ってきた経験は人間型のスピリット達とのものであり、その戦いの経験がまるで通じない。
 外見は巨大な目玉。
 斬りつけた箇所からは高温の血液が弾け、それを受けるとこちらが酷い火傷を負う。
 攻撃も全く初めて見るもので、『聖賢』から流れ込んでくる知識が無ければどう対応していいかすら判らなかったかも知れない。
 しかし知識を与えられても厄介な相手である事に変わりは無い。
 攻撃と回復を繰り返しながら、相手の体力を削いでいくつもりでじりじりと動き、攻撃の体勢を作る。
 瞬間、ぞわりとした悪寒が背中を走った。
 戦いの中で研ぎ澄まされた感覚。殺気を感じ、素早く後ろを向く。
 そこには今まさに双剣を振り下ろさんとするメダリオの姿があった。
 やばい!! やられる!!
 そう思った瞬間、メダリオの剣筋の先に誰かが飛び込んでくる。
 それは、ファーレーン。
 いつも着けている兜は壊されてしまったのだろうか。
 広がるくせっ毛から漂った、花のような香りだけが妙にリアルだった。
356破壊の死神 中編 12/41:04/09/01 04:46 ID:9r3ctvvq
 思わず、ユウト様の前に飛び出してしまった。
 あのままではユウト様がやられると思った。
 だから飛び込んだ。
 ……いや、違う。そんな理屈で説明できるような、考えての行動じゃない。
 気がついたら飛び出していた。体が勝手に動いていた。
 なぜだろう?
 彼は昨日この世界に現れたばかりのエターナル。
 出会って、たったの一日しか経っていない筈。
 なのになぜ?
 思考の答えを待たずして敵のエターナルの攻撃が迫る。私ごとユウト様を斬り裂くつもりなのだろう。
 攻撃を防ごうにも、こちらの刀はもう間に合わない。
 まともに受けて生きていられるほどぬるい攻撃でもない。
 これで私は死ぬ。それだけがはっきりと確信できた。
 願わくば、ユウト様だけでも助かりますよう……。
 そうすればこの世界は救われるから……。
 ニムや他のみんなも救われるから……。
357破壊の死神 中編 13/41:04/09/01 04:51 ID:9r3ctvvq
 瞬間、世界が暗転した。
 頭の中にくぐもった声が響いている。
『……ぃ』
「え?」
 私は暗闇の中にいた。
 全くの暗闇、自分の体がどこにあるかすら確認できない。目を開いているのか瞑っているのかすら判らない状態だ。
 一体何が起こったのだろう。
『……に………よ』
 誰かが、あるいは何かが私に語りかけてきている。
 しかしその言葉は不明瞭で上手く聞き取れず、周りを見渡しても暗闇が広がるばかりで何も見えない。
『全…、心………っ………』
 状況が上手く把握できない、私は戦っていた筈だ。
 そう、その戦いの中でユウト様をかばって、敵のエターナルの攻撃を……。
 そこから先の記憶が無い。
 という事は、死を認識する間も無くやられたという事か。
 するとやはり、ここはバルガ・ロアーなのだろう。
 いかなる理由があろうとて、たくさんの命を斬り捨ててきた私が、ハイペリアに行ける筈も無い。それも当然の話だ。
 ならば、後は罪を贖うのみか。
 そう考えると、心が少し落ち着いた。心残りなのは、ユウト様がどうなったかという事。
 ユウト様が無事だったならば、きっとニムを、そしてファンタズマゴリアを救って下さるだろう。
358破壊の死神 中編 14/41:04/09/01 04:55 ID:9r3ctvvq
『……らいい加…俺の話を………』
 声が先ほどよりも少し明瞭に聞こえる。
 この声は、裁きの声だろうか。
『……落ち着……、心で聞…』
 落ち着いて心で聞く?
 暗闇の中、自己の認識すら危うい中で気付けていなかったが、そういえばこの声は耳ではなく、心に直接届いているような気がする。
 深呼吸をひとつ。
 いつもの修行で行っているように、心を落ち着け、無心になる。
 明鏡止水。
 すっと自分が空っぽになる感じ。世界と自分が一体になる感覚。
 再び心に声が響いてきた。
『やればできるじゃないか。最初からこうしろっての』
 声は明瞭に聞こえるようになったが……何だろうこれは。
 裁く者のイメージとはかけ離れた、妙にくだけた口調だ。
「誰ですか?」
 恐る恐る尋ねてみる。
『俺は永遠神剣『破壊』。お前の持っていた『月光』の真の姿だ』
「え?」
 そういえばこの声は、ニムを助けたときに聞こえた声と同じものだ。
『色々あって休んでたんだが、ようやく回復した』
359破壊の死神 中編 15/41:04/09/01 04:59 ID:9r3ctvvq
「回復って……私は死んだんじゃ無いんですか」
『おいおい、勝手に死ぬなよ』
 話が見えない。
 私はまだ死んでないのか?
「じゃあここは……」
『ここは俺の精神の中。ま、そんな場所だ』
「真っ暗で、何も見えない……」
 一条の光すら射さないこの闇が、『月光』いや、『破壊』の心だというのだろうか。
『あほぅ』
「あ、あほ!?」
『全く、本当にお前は……いいか? 世界は目に見えるものが全てじゃない。心で感じてみろ』
「心で……」
 先ほどと同じく、修行の要領で心を落ち着かせてみる。
 ……。
『どうだ?』
「……何だか暖かいです」
 なんだか陽だまりの中にいるような暖かさが感じられる。
『まぁ、最初にしちゃ合格か。世界は肉体で感じ取れるものが全てじゃないんだ。
 目に見えるのは可視光のみ。耳に聞こえるのは可聴域の音波のみ。が、それは世界のホンの一部でしか無い。
 全てを感じ取れるのは心だ。それが解れば、ここほど楽しい世界も珍しいぜ。自分で言うのもなんだがな』
「……ええ」
 五感全てに何も感じられない筈が、限りなく優しい色が見える。とても穏やかな音が聞こえる。いい香りがする。
360破壊の死神 中編 16/41:04/09/01 05:03 ID:9r3ctvvq
『っと、んな事やってる暇は無いんだった。
 おい、今はそんな事よりも、もっと大事な事があるだろ? お前、ユートという奴を助けたいんじゃないのか?』
 はっと息を呑む。
 そうだ、私はユウト様を助けようとして……。
『時間も無い事だし結論から言う。俺を使えばユートを助けてやる』
「ユ、ユウト様を助けられるのですか?」
『それと俺を使うならお前も助ける。逆に言や、このままならお前は死ぬ』
「え? 私が死ぬ?」
『双剣のエターナルに斬られかけてる。覚えてるんだろ?』
「じゃあ選択肢は無いんじゃ……」
『死ぬより辛い生もある』
「……」
『エターナルについての話は、カオリって奴とトキミって奴から聞いてるだろ?』
「……ええ」
 いつだったかはっきりしないが、確かにエターナルに関して話を聞いた記憶がある。
『俺を手にするって事は、エターナルになるっていう事だ。エターナルになるっていう事は、永遠の戦いに身を投じるっていう事だ』
「……」
361破壊の死神 中編 17/41:04/09/01 05:07 ID:9r3ctvvq
 薄々感づいてはいたが、やはりこの『月光』の真の姿という神剣『破壊』は上位のものだったのだ。
 上位永遠神剣を手にする事。エターナルになる事。永遠に戦い続けるという事。
 ぐるぐると考えが頭をめぐる。
『帰る場所も無くなる。エターナル以外の全ての存在からお前は忘れられ、いなかった事にされる』
 皆の記憶から、ニムの記憶から私が消える。ファンタズマゴリアで暮らせなくなる。
「……」
 心を落ち着ける。
 目を瞑り、再び深呼吸を一つ。
 うわべを考える事をやめ、本質を考える。
 自らの心に問う。
 私は、何を望む?
『世界は時と共にうつろいゆく。生まれ、そして死にゆく。それが自然ってもんだ。だが、俺を手にすればそこから外れる事になる。親しかった奴らが自分を残して消えていくのに、お前は耐えられるか?』
 みんなの事が思い出される。ニム。仲間のスピリット隊のみんな。これまで出会ったたくさんの人達。
362破壊の死神 中編 18/41:04/09/01 05:12 ID:9r3ctvvq
『どうする? 俺を手にして……』
「私は、エターナルになります。私はユウト様を助け、ニムや仲間達を、ファンタズマゴリアを救います!!」
『いいのか?』
「はい。私の心がそれを望んでいます。であるならば、この選択に迷いはありません」
 『破壊』は私の声に嬉しそうに応えた。
『その言葉が欲しかった。
 今、お前は自分の心に従い、自分を縛っていた枷を一つ破壊した。その心に応えよう。
 俺と共に古き自分を破壊し、気高く優しい心を貫き、立ちはだかる壁を破壊しろ。
 それが成長であり、より良き未来を切り開くという事だ。
 俺の名は『破壊』。第二位永遠神剣『破壊』だ。よろしく頼むぜ、相棒!!』
363破壊の死神 中編 19/41:04/09/01 05:17 ID:9r3ctvvq
 次の瞬間、私の意識は現実世界へと戻った。
 眼前には迫り来る双剣。
 けれども、ほんの一瞬前には絶望しか感じられなかったこの瞬間が、今ではもう危機でも何でもなくなっていた。
 自分の内から、圧倒的な力が溢れてくる。
「はっ!!」
 音速を遥かに超える速度で神剣を一振り。敵エターナルの双剣を跳ね上げる。
 ガキインンッ!!
「何っ!?」
 相手にしてみれば、信じられない事だったのだろう。ただのスピリットと思った者がエターナルの一撃を防ぎ、弾いたのだから。
 それも恐るべき速さと力をもって。
 敵エターナルは、意外な展開に後ろに跳び退る。
 私は『月光』を目の前に掲げた。そうすべきだと思った。或いはそれは神剣の意思だったのかも知れない。
 『月光』に光のひびが入っていく。
 羽化。さなぎが成虫になるかのように、神剣が眠りを覚ます。
 月光は光と共に砕け散り、そこに大きな鎌形の神剣が姿を現した。
 これが第二位永遠神剣『破壊』。
364破壊の死神 中編 20/41:04/09/01 05:22 ID:9r3ctvvq
 その大鎌を手に取り、軽く振ってみる。
 ひゅんっ。
 全てを斬り裂く圧倒的な破壊力が感じられた。
 刀型の神剣しか扱った事が無かったので不安だったが、意外にも大鎌は全く違和感無く手になじむ。
 『破壊』の声が語りかけてくる。
『どうだ?』
「不思議です。ずっと扱っていたかのように凄くしっくりきます」
『それじゃあ、いくか』
「ええ!!」
 私は軽く足に力を込め、双剣のエターナルに向かって飛ぶ。
 少し前にニムを助けた時の事が頭によぎる。
 『月光』、いや、『破壊』が力を貸してくれたあの時、その強大すぎる力は私自身の体をも壊しかけた。
 しかし今は、あの時よりも遥かに大きな力が体中にいきわたりながら、私の体はその漲る力をコントロールできている。
 これが、エターナルの体。
365名無しさん@初回限定:04/09/01 05:26 ID:xKTBl5yi
支援
366破壊の死神 中編 21/41:04/09/01 05:28 ID:9r3ctvvq
 敵は構えるが、その動きがひどく緩慢に、スローモーションのように見える。まるで水中でもがいているかのように。
 大鎌を振るう。まるで何万回も行ってきた動作の様に、自然に体が動いた。
 すっ、すっ、すっ。
 先ほどの素振りとなんら変わりない手応え。
 それは、手応えらしい手応えも無い、という事。
 しかしそれだけで『破壊』は、敵の命の火を刈り取っていた。
「え?」
 双剣のエターナルは、何がおきたかもよく解らないといった表情のままで、金色の光の粒になり、消えた。
367破壊の死神 中編 22/41:04/09/01 05:30 ID:9r3ctvvq
 何が起こっているのか、ユウトには把握しきれていなかった。
 水月の双剣メダリオが背後から襲い掛かってきて致命的な一撃を食らおうかという瞬間に、ファーレーンが身を挺して俺を庇うべく、その前に立った。
 ファーレーンが切り裂かれると思ったその瞬間、メダリオの神剣は弾かれ、驚いたようにメダリオは間合いを取った。
 ファーレーンが神剣を眼前に掲げると、ファーレーンの永遠神剣『月光』は砕け散り、大鎌に姿を変えた。
 ファーレーンはその大鎌を手に取り、数度それを振るとゆらりと姿を霞ませ、次の瞬間にはメダリオが金色の霧と成り果てた。
 その次々と起こる出来事に思考が追いつかず、ユウトの頭は混乱しかけていた。
「ユート様」
 いつの間にかユウトの隣にいたファーレーンが声をかける。
「う、うおっ!? ファ、ファーレーン? いったい何がどうなって……」
 慌てるユウトの言葉を、ファーレーンは冷静にさえぎった。
「その話は戦いの後に。まず今はあの目玉のエターナルを倒します。敵の返り血を浴びぬよう、下がっていてください」
 ユウトの返事を待たず、ファーレーンはすっと大鎌を構える。
368破壊の死神 中編 23/41:04/09/01 05:34 ID:9r3ctvvq
 ゆらり。
 再びファーレーンの姿が怪しく揺らめき、掻き消え、黒い風が吹いた。
 ユウトにはそうとしか感じられなかった。
 黒い疾風は業火のントゥシトラを吹き抜け、一拍おいてントゥシトラが霧散する。
「シュフ、ル、ルァァァァァ!!」
 斬られ舞い散る灼熱の血液すらも、噴き出した時には既に遅し。
 そこにはもう、誰もいない。
 混乱が加速し、立ち尽くすのみのユウトにまたもや隣から声がかかる。
「引き続き、トキミ様に助力し敵を倒そうと思います。しばしお待ちになっていて下さい」
「あ、ああ」
 ユウトはもはやどこをどう驚くべきかも判らず、もはや驚きを通り越して唖然とするしかなかった。
369破壊の死神 中編 24/41:04/09/01 05:38 ID:9r3ctvvq
「な、何なんだい。いったい何が……」
 不浄の森のミトセマールは最後まで言葉を言い切る事が出来なかった。
 ミトセマールもまた黒い風に呑まれ、後に霞むは金色の霧のみ。
 ゆらりと風が止まり、ファーレーンの姿をとる。
「……」
 金色の霧の漂う中、凛と立つその姿はまるで幻想のような美しさがあった。
 一気に相手のエターナル3体を霧散せしめたファーレーンは、大鎌を持ち直し、ゆったりと顔をユウトに向ける。
 混乱はしていたが、何はともあれ頼りになる仲間の登場と思っていたユウトの表情は、笑顔のままで固まった。
 ファーレーンが、双眸に怒りを湛え、ユウトを睨んでいたから。
370破壊の死神 中編 25/41:04/09/01 05:42 ID:9r3ctvvq
「う……」
 たった今、目の前で見せつけられた圧倒的な力が脳裏によみがえる。
 今の俺に、あの神速ともいえるスピードについていく自信はまるで無い。
「お、おい、ファーレーン……」
「悠人さん、油断しないで」
「え?」
 横で、時深が『時詠』を構えてファーレーンに対して身構えている。
「ファーレーンの手にしている大鎌は第二位永遠神剣『破壊』。私の知る中でも相当に強力な力を持った神剣です」
「み、味方じゃないのか?」
「解りません」
「……解らない?」
「あの神剣が何を考えているのか……。時に私達を攻撃し、またある時はロウ・エターナルを攻撃する。
 かといって、どちらに味方するという訳でも無い。ただ自分の気の赴くままに攻撃し、全てを破壊して去っていくのがあの神剣です。
 目的が何か、全然解らない」
「……戦った事は?」
「私は直接戦った事はありません。ですが、『破壊』に遭遇した仲間の話が本当ならば、私でも……いえ、今の私達二人がかりでも勝てる保障はありません。
 唯一の救いは、まだ新しい肉体に慣れていない事でしょうか」
「って、おいおい、敵みたいに言うなよ。今だって敵のエターナルを倒してくれたんだし……」
「敵の敵が味方とは限りません。本当に得体が知れない相手なんです。注意してください」
 時深からは本物の緊張感が、先ほどよりも張り詰めた雰囲気がぴりぴりと伝わってくる。
371破壊の死神 中編 26/41:04/09/01 05:48 ID:9r3ctvvq
 『聖賢』もまた緊張感を漂わせ、声をかけてきた。
『意識を集中しろ。そんな散漫な集中力では、相手の姿すら追いきれぬぞ』
「……集中しても対応できるとはちょっと思いがたいけどな。そういえばファーレーンの姿が揺らめいて見えたんだけど、あれは何なんだ?」
『マナによる陽炎のようなものだ。体を覆う超高密度のマナによって、体と外部空間との間に生じる抵抗を消しているのだろう。
 抵抗が無ければスピードは格段に上がる。高速で移動すればするほど、大気をはじめとする外部空間との抵抗が大きくなるからな。無論、もとより高速での移動が出来る事が大前提だが』
「俺にも出来るのか?」
『無理であろうな。今のお主には到底出来ぬ芸当だ。ただ力を垂れ流せば良いと言うものではない。
 ほんの僅かずつマナをオーラフォトンへと転換し、外部物質と相殺する。非常に繊細な技術を必要とするのだ。技術も何も無くただ力を放出するのとは訳が違う。
 更に言うならば、使用するマナが少なすぎては効果が薄れるし、多すぎては無駄だ。その点、あ奴は完璧だ。
 移動の時に漆黒に見えるのもその為だ。無駄なマナの光が見えるどころか、光子さえも完全に打ち消しているがゆえに黒く見える』
「……なんだかよく解らんが、凄いのだけは解った」
『お主の頭でそれだけ解れば上等だ。それにしても、『破壊』が元来強力な神剣だという事もあるが、相当強力にシンクロしていると見える』
「……」
372名無しさん@初回限定:04/09/01 05:52 ID:xKTBl5yi
支援
373破壊の死神 中編 27/41:04/09/01 05:52 ID:9r3ctvvq
 ごくり、と思わず唾を飲み込む。
 まさかファーレーンがあの神剣に支配されたなんて事は……。
 考えたくない。けれど、瞬の例もある。
 あの瞬が神剣に支配され、佳織を殺そうとしたのを、俺は見ているのだ。
 あれほど大切に、盲目的に愛していた相手ですら殺そうとしてしまうほどの、恐るべき神剣の支配力を。
「ユート様」
「お、おう」
 間の抜けた受け答え。
 しかしそれを気にした風も無く、いつも覆面の下に隠されているファーレーンの形の良い桜色の唇は、淡々と言葉を紡ぐ。
「ユート様……置いていった私に何か言う事は無いのですか?」
「す、すまない。助かった」
「そんな言葉が聞きたいのではありません」
 ファーレーンの静かに澄んだ、しかし有無を言わさぬ強さを持った声が、ぴしりと俺の言葉をさえぎる。
「……」
374破壊の死神 中編 28/41:04/09/01 05:56 ID:9r3ctvvq
「今の言葉は……我々を置いておひとりで出陣し危機を招いた事に対する謝罪ですか?
 それとも……私を置いて、おひとりでエターナルになられた事についての謝罪ですか?」
「え?」
 ファーレーンの目、鋭い眼光に目が離せない。
 だから、解った。
 ファーレーンの瞳には確かに怒りはある。しかしその奥にある煌きは負の感情によるものでは無い。
 それは、俺を好いてくれているが故の怒りだ。
 ファーレーンもエターナルになった時点で、俺の事は全て思い出したのだと気付く。
 言いたい事は沢山あった。
 でも、今言うべき言葉は一つだけだと思った。
「……ただいま、ファーレーン」
「おかえりなさい。ユート様」
 ふっと表情が和らぐ。泣き笑いのような表情。
 俺達は固く抱き合った。
375厳しいですか?:04/09/01 05:57 ID:xKTBl5yi
支援
376破壊の死神 中編 29/41:04/09/01 06:00 ID:9r3ctvvq
 抱き合った。
 ……抱き合った。
 …………抱き合った。
「……」
 ファーレーンは微動だにしない。
 いかに感動の再会の場面でもこれはちょっと長すぎると思い、少し視線を下げてファーレーンを見る。
 ファーレーンは顔を真っ赤にして、固まっていた。
 勢いに任せて抱き合ってしまったものの、ファーレーンはやはりうぶなファーレーンだった。
 気が付けば、周りには仲間達が集まって俺達を観察している。
 光陰や今日子やヒミカはニヤニヤと、エスペリアやヘリオン、シアーは恥ずかしそうに、でも視線は離さずに、
ウルカとセリアはどこか冷たい視線で、オルファとネリーは興味津々といった風に目を輝かせて、
ハリオンは「あらあら」などと言いながら、アセリアやナナルゥは淡々とじっくりと、みんな輪になって俺達二人を観察していた。 
「悠人さん!! いつまで抱き合っているんですか!!」
「ユウト!! お姉ちゃんから離れろっ!!」
 時深とニムントールの声が、重なって辺りに響いた。
377破壊の死神 中編 30/41:04/09/01 06:02 ID:9r3ctvvq
 敵との戦いがとりあえず一息ついたところで、少し休息しながら自己紹介となった。
 スピリットの皆はとりあえず少し離れた場所で休息を取っている。
『『破壊』だ。色々あって今までは『月光』として休んでた。ファーレーンが気に入ったからこれからしばらくはこいつに付き合う事にした』
 『破壊』の声が聞こえる。名前や外見から受けるイメージと違い、どことなくラフな印象の声。ちょっと意外だ。
「知ってるかもしれないが、俺はユウト。聖賢者ユウトだ。で、これが『聖賢』」
『我をこれ扱いするな!!』
「とまぁ、少々うるさい剣だ」
「時詠のトキミです」
 まだどこかに固さの残る口調で時深が自己紹介をする。
 それに対し、『破壊』も緊張感を漂わせ、時深に応じた。
 ぴんと空気が張り詰める。
『時詠のトキミ』
「はい、何でしょう」
『お前、ファーレーンに向かって「上位永遠神剣に認められる資格が無い」だの「足手まといにしかならない」とか、言いたい放題言ってくれたっけな』
「う、それは……」
378破壊の死神 中編 31/41:04/09/01 06:06 ID:9r3ctvvq
『俺は休んでたんだから、第六位のカタチをとっていたとはいえ力を出せなくて当然だったんだよ。
 休んでる俺を使って、あれだけの力を誇ってた。能力が伸び悩んだのは単純に力をそれ以上引き出せる余地が無かったって事だ。
 あの時引き出せる限界まで、ファーレーンは俺の力を引き出してたんだよ。
 そもそも俺の力を全部引き出したら、スピリットの肉体の方が耐えきれない。エターナルの肉体でなきゃ、俺の力に耐えきれない。
 お前、見ていたんだろう? こいつがニムントールを助けた時の事を。
 たった一撃で自分の体が限界になってちゃどうしようもないだろうが』
「はい。確かに。でもまさか、『月光』があなたの仮の姿とは思いませんでしたが」
『知らなきゃ何でも言っていいって事はないだろう』
「う……確かにそれに関しては完全に私の落ち度です。すいません。許していただけますか、ファーレーン?」
「そんな、謝らないで下さい。あの時トキミ様は私の事を思って言って下さった事くらい解ります。むしろこちらが礼を言うべき立場です」
『お人よしめ』
 ふっ、と『破壊』から発されていた刺すような緊張感が解けた。
「『破壊』。あなたは誰にも気付かせないくらい完璧に休眠体勢をとっておいて、そういう事を言うんですか?」
『そうだな、持ち主が気付かなかったんだもんな。持ち主が一番間抜けだな』
「くっ!!」
『そう怒るな、ファーレーン。それだけ俺が優秀って事だ。それと、あー、トキミ』
「はい。なんでしょう」
『すまん。それとありがとう、か』
 少し照れたような『破壊』の声。
379破壊の死神 中編 32/41:04/09/01 06:09 ID:9r3ctvvq
「え? 何の事です?」
『今さっき言った事についてだ。一応お前の発言に間違いはあって、それに関しては謝罪を求めた。
 だが、お前がファーレーンの事を思って発言してくれた事も、お前がその言葉を口にするのが辛かった事も理解してるつもりだ。
 責めるような事を言ってすまなかったな。その謝罪だ。
 それと、ファーレーンを気にかけてくれた事への感謝だ。ありがとう』
「あ、いえ。改めてそう言われると照れますね。どういたしまして。これからの戦いもよろしくお願いしますね」
『ああ。こっちこそよろしく頼む』
 本当にこの『破壊』はファーレーンの事を気に入っているらしい。
「時深、凄く意外そうだけどこの未来は見えなかったのか?」
「はい。神剣の、特に上位永遠神剣の関わる未来は読み辛いんです。それが強力な力を持った神剣であればあるほどに」
「なるほどね」
「……それにしても、少々意外な感じです」
 時深が『破壊』に話しかける。もうその声に険は無い。
『何がだ?』
「あなたはもっとやりたい放題な剣だと聞いていましたから。それに何で急に私達の味方になったのですか?」
『は? 俺はお前達の味方になったつもりは無いぞ。それに俺は俺のやりたい事しかしない。
 謝るべきと思えば謝るし、感謝すべきと思えば感謝する。それだけの話だ。
 今回の件だって、俺はファーレーンが気に入ったから相棒として一緒にいるだけだ。
 それと……今回の件に関して言えば、奴らが『再生』を玩具にしていやがるのが気にいらないってのもある。
 でもだからと言って、俺自身がどこかに属する気はさらさら無い。俺は俺のやりたいようにしかやらん』
「そういえばあなたは『再生』と因縁浅からぬ仲でしたね」
『ああ。まぁな』
380名無しさん@初回限定:04/09/01 06:09 ID:XglBonGs
職人さん、朝っぱらから乙であります!!!AA略
381破壊の死神 中編 33/41:04/09/01 06:12 ID:9r3ctvvq
 神剣にも色々と事情があるらしい。
「それは置いておくにしても、今回の件に関してだけでも仲間になっていただけるのは心強いです。それじゃ、もう一仕事頑張りましょうか、死神ファーレーン」
「え? 死神って何ですか?」
 妙に禍々しい呼び名に驚くファーレーン。まぁそうだろう。いきなり死神呼ばわりされたら誰でも驚く。
『俺の持ち主は『死神』と呼ばれてるらしいな』
「何ですかそれは!! そんな不吉な名前、いらないですよ!!」
 凄く嫌そうなファーレーンに、『破壊』と時深が混ぜ返す。
『単純に『破壊者』なんて呼ばれるよりは良いんじゃないか?』
「それ良いじゃありませんか。デストロイヤーですよ。プロレスラーみたいです」
「ぷろれすらあ? トキミ様、何ですかそれは」
「ファーレーン、時深の言う事は気にしないで良いから」
「むー。悠人さん、意地悪です」
 時深も完全に調子を取り戻したみたいだ。
「でも、『破壊』の行動にも問題があったんじゃないんですか?」
『まぁ、数え切れないほど返り討ちにしてきたからな』
「返り討ち?」
『知っての通り、神剣を砕くとマナが放出され、それを取り込む事が可能だ。それで俺を狙ってくる奴が多かったのさ』
382名無しさん@初回限定:04/09/01 06:15 ID:yWzbYrx8
僭越ながら支援させて頂きます〜
383破壊の死神 中編 34/41:04/09/01 06:15 ID:9r3ctvvq
「ロウ、カオス、どちらの陣営にも所属していない神剣を狙う方が、面倒が少ないですからね」
 時深が少々決まり悪げに、『破壊』の後を続けた。
「神剣が力を高めるにはやはり他の神剣を砕くのが手っ取り早いんです。剣同士の相性によっては『求め』と『誓い』が融合して『世界』になった様に、進化する事もありえます。
 その場合、味方陣営の神剣を狙うのはその後の事を考えると大変ですし、敵陣営の神剣を狙うのもこれまた両陣営同士の戦いの引き金になってしまう恐れがありますから、不用意には出来ません。
 かといって、下位の神剣を狙うのは効率が悪い。
 それで中立の立場にいる上位神剣を狙う者が結構いるんですよ」
『そんな奴らを返り討ちにしてるうちに、敵がいなくなったんだがな』
「その中でついた通り名が『死神』という訳ですね」
『ああ。周りが勝手にそう呼ぶようになった』
「なるほどねえ」
「それにしても、『死神』ですか。やっぱりイメージ良くないですね」
『俺に言われてもな。俺が自分で名乗ったわけじゃない。そもそも自分でふたつ名を名乗るなんて真似、俺は恥ずかしくて出来ない』
 確かに。自分で聖賢者などと名乗るのはよくよく考えれば、いや、考えずとも恥ずかしい。
 その思考が通じたのだろう。聖賢からむっとした感情が伝わってくる。
『なぁ、聖賢者ユート?』
 『破壊』も煽らないでほしい。『聖賢』の奴、すぐムキになるから。
384破壊の死神 中編 35/41:04/09/01 06:19 ID:9r3ctvvq
『受け継がれる名を何だと思っている!!』
 あーあ。
『いや、悪気は無いんだ。馬鹿な聖賢者もいたもんだと思ってな』
「『破壊』!! ユート様に向かって馬鹿なんて言わないで下さい!! ユート様に謝って下さい!!」
『そう言うな。お前だってこいつの馬鹿なとこに惚れたんだろう?』
「ユート様は馬鹿なんかじゃありません!!」
『自分を犠牲にして、他人を救う。自分の幸福と引き換えに、全ての存在を幸せにしようとする。馬鹿じゃないか』
「どこが馬鹿ですか!? ユート様の優しさがあなたには……」
『全ての人を幸せにしたいといいながら、そこに自分を入れ忘れてる。最初の一歩から間違ってる大馬鹿だ』
「それは……」
「……」
 俺もファーレーンも、何も言えなくなった。言えなかった。
 それが的を射ていた事もあり、『破壊』が何か大事な事を言おうとしているのが解ったからでもあった。
『いいか? ユート。自分すらも幸せに出来ない奴が他人を幸せにしようなんて甘いんだよ。
 特に自分に好意を寄せてくれる相手をそんな考えで幸せに出来る筈が無い』
「……」
『何故なら、相手の求める幸せがお前の幸せだからだ。お前は幸せにならなきゃいけないんだよ、ユート。
 皆を幸せにしたいというのなら、ファーレーンの為にも、お前自身が幸せになる義務があるんだよ』
385破壊の死神 中編 36/41:04/09/01 06:25 ID:9r3ctvvq
「ちょ、ちょっと『破壊』?」
 思わぬ方向にす進む『破壊』の発言に、ファーレーンが慌てる。
『俺は今の持ち主を気に入ってる。こいつはまっすぐで純粋な大馬鹿だ。こいつを不幸にしてみろ、俺はお前を許さない』
「……解った。約束する。俺は幸せになってみせる。その為にも、いつまでもファーレーンと一緒にいたい」
 考える前に言葉が口から出てきた。
 言ってしまってから気付く。もの凄い告白をしてしまった。
 でもこれが俺の素直な本心なのだとも思う。
「ゆ、ユート様……」
 ファーレーンは顔を真っ赤にしてうつむき、時深にいたってはあっけにとられ口をあけたまま固まっている。
 それに構わず、『破壊』が話を再開する。正直、助かった。
『よし。俺もファーレーンの幸せの為にもそうあって欲しいと望むぜ。
 だがそうなるとお前とも長い付き合いになりそうだな。まぁ、お前みたいな奴も嫌いじゃない。よろしく頼む』
「ああ、こっちこそよろしく」
386破壊の死神 中編 37/41:04/09/01 06:29 ID:9r3ctvvq
『『聖賢』もな』
『……』
 むすっとした聖賢の感情が伝わってくる。持ち主である俺が馬鹿扱いされた事が気に入らないらしい。
 それはすなわち、自分を馬鹿にされた事と大差無いからだろう。自分は俺の事を平気で馬鹿扱いしていたのに、我侭な奴だ。
『そう怒るなよ、『聖賢』。馬鹿でいいじゃねぇか。
 お前が何日も考えて出すような答えを、お前の今の持ち主は迷う事無く即行動で導き出す。
 考え無しともいえるが、どんな時も答えが己の内にある事を理解しているともいえる。下手な考え休むに似たりっつーか。
 そんな馬鹿っぽさがお前も気に入ったんだろ?』
『馬鹿馬鹿言うな。……我の求める賢を、こやつと共になら見つけられるかも知れんと思っただけだ。
 こやつは今までの持ち主とは違う行動をしそうだからな』
『ははっ、違いない。今回もそうだったみたいだしな。こんな行動とる奴は確かに珍しい。これからは楽しくなりそうだな』
『ふぅ、もういい。我は疲れた。少し休む』
「お、おい、『聖賢』!!」
『……何かあったら起こすといい』
『『聖賢』!!』
『……』
 本格的に無視を決め込む気らしい。全く……。
 とはいえ、今回は俺のあまりの考えの無さが『聖賢』に負担をかけてしまったのも事実だ。
 あまり大きな声で文句も言えない。少々反省しなければ。
387破壊の死神 中編 38/41:04/09/01 06:33 ID:9r3ctvvq
 『聖賢』が沈黙し、話も一段落ついた。
 時深も、周囲の気配を探りに出た。
 それを待っていたかのように、向こうからスピリットの皆の声が聞こえて来る。
「あ、みんな」
「みんな色々と聞きたそうな顔をしてるな」
「う……質問攻めにされそうですね」
「行ってきなよ。あ、俺、ちょっと『破壊』と話してみたいんだけど、いいかな?」
「私は構いませんけど、良いですか『破壊』?」
『ああ』
「では、ちょっと行って参ります」
 ファーレーンは『破壊』を置いて皆のところに向かった。
 楽しそうな声が聞こえて来る。
 どうやらこの世界でエターナルとなったファーレーンの事は、皆の記憶からは消えていないらしい。
 ふと、この戦いの後の事を思う。
 ファーレーンは戦いの後、どうするつもりなのだろうか。この世界を離れるのだろうか。
 『破壊』に聞いたら答えてもらえるだろうか。
 でもこれは『破壊』に聞くべき質問ではなく、直接ファーレーンに尋ねるべきだろうと思い直す。
388破壊の死神 中編 39/41:04/09/01 06:37 ID:9r3ctvvq
「『破壊』、一つ聞いていいか?」
『まずは質問を聞くだけ聞こうか。答えられるかどうかはそれからだな』
「ファーレーンのどこが気に入ったんだ?」
『どこ、と問われても返答に困る。誰かを、或いは何かを好きになるというのはそういう理屈じみたものじゃないだろ。
 俺の心がファーレーンを気に入った。それだけだ。お前もそうじゃないのか?』
「え、お、俺?」
『お前は、付随する条件や何かを、好意を持つのに必要とするのか?
 その存在のあるがまま、全てをひっくるめて気に入る。それが好きになるという事だと俺は思う』
「……そうかも知れない。俺もきっかけは色々あったかも知れないけど、今となってはファーレーンの長所、短所、全てが好きだから」
『お前らしい質問だったな』
「え? 何がだ?」
『答えはいつだって自分の内にあるというのに、それに気付かない。いや、気付かないフリをしてる』
「そうなのかな。よく判らないけど」
『ファーレーンもそうだが、お前ももう少し自分を信じるべきだな。お前が誰よりもお前らしくある為に』
389破壊の死神 中編 40/41:04/09/01 06:42 ID:9r3ctvvq
「自分を信じる、か……」
『ああ』
 でも……。
「……なぁ、『破壊』。俺がやってきた事は正しかったのかな?
 俺は自分でやるべきと思ってやってきた事が正しかったのかどうか判らない。
 俺はこのファンタズマゴリアに来て、佳織を助けたいと思って、結果たくさんのスピリット達を斬ってきた。
 佳織を助けた事を間違っているとは決して思わないけど、でもそれでもたくさんのスピリット達を斬った事は多分許されない事だと思うんだ。
 ファーレーンをこの世界においてエターナルになった時もファーレーンを泣かせちまったし、今だって一人で突っ走ってピンチを招いた。
 俺は、自分が間違ってばっかりな気がする。これからもたくさん間違いそうな気がする。
 そんな自分を信じてもいいのか?」
『そういう質問は、俺よりもむしろ知恵を持ってる筈の『聖賢』にするべきだろ……っつーのは意地が悪いか』
 にやりと笑うような声の響き。俺と『聖賢』の関係を完全に見透かされているような気がする。
『……そうだな。じゃあ逆に問おうか。お前はどうすれば良かったと思うんだ?
 この世界に来た時も、エターナルになる時も、そして今の事も、どうすれば良かったと思うんだ? 何が正解だったと思うんだ?
 その選択を選んだ時に起こる未来が、お前の選択してきた過去に続くこの今よりも幸福なものだとお前は断言できるのか?』
「そ、それは……」
『他にも選択肢はあったかも知れない。が、それが正解であったという保障などどこにも無い』
390破壊の死神 中編 41/41:04/09/01 06:45 ID:9r3ctvvq
「かも知れないけど、でも……」
『気にするな。お前は、思うままに突っ走ればいいのさ。
 何が正解で何が間違いかなんてどうせ誰にも判断できない。そもそもそんな正解不正解の基準なんてもの無いんだろうさ。
 でもな、お前の優しさが作る道は……少なくとも今までお前が作り、駆け抜けてきた道は正しいとか間違いとかじゃなく、俺は好きだぜ』
「……『破壊』」
『信じるままに進め。この世界で戦い苦悩した経験が、今のお前を形作った。
 ファーレーンをおいてエターナルになった事に関しても、今回お前が突っ走った事に関しても、お前らしい判断だったと思う。だからこそ、そこに俺がいたんだろう。
 お前の取ってきた選択は、正しい間違いじゃなくて、どこまでもお前らしい選択だ。
 繰り返すが、俺は好きだぜ、お前のその選択。実際それで何とかなってきたしな。運命ってのは、実に上手く出来てるもんさ』
「そう、なのかな」
『そうさ。お前やファーレーンの心には優しさがある。心に優しさを持っていれば、その心の示す道は自ずとそれに沿ったものになる。
 その道の先にどんな結果があろうとも、それが間違いだとは俺は思わない。
 行こうぜ、ユート。俺は、お前やファーレーンの優しさが切り開く未来を見たい。だから俺はここにいる。その為なら力を貸すぜ?』
 自分が優しいかどうかは判らない。
 だけど『破壊』の声はとても強く優しく心に響いた。
 そしてそれは、俺の中の一つの迷いが破壊された瞬間でもあった。
391226 破壊の死神 中編 あとがき:04/09/01 06:48 ID:9r3ctvvq
オリジナル神剣大暴走申し訳ございません。
月光という言葉のイメージから三日月→鎌形ということで。
で、鎌といったら死神かな、と。
戦闘方法も、ファーレーンはどこが黒スピか外見からは判らなかったれど、
戦闘中は黒より黒くといった感じで。
何もかもが安直です。

支援くださった皆様。有難うございました。
中編でした。
392名無しさん@初回限定:04/09/01 08:06 ID:tmj0lveG
朝一からお疲れ様でした。
取り合えず、中の人GJ
393名無しさん@初回限定:04/09/01 08:11 ID:bb7CRodc
                  ,/,.-‐-y'''"'''‐ニヽ_ __
                /レ'  ..:.:./ ..:.:./´,.-''"´  ゙、
              r‐/ l' .::.__::::,ヘへヘ'"_.:::::::::::::::.:..゙'、
               _l ヽ、/ / ./ i  ゙、 ヽ::::::-─- .,`ヽ
              | :::./ /  / i .l  ゙、 ヽ;:::::::.:.: : :゙、i
             r〈/ :/  /:/  l .:l   ゙、  ゙、::::-、:::.. . ゙i,
           / ..::/  /::/  .::| .:l    ゙、 ゙、 ゙、:::. ゙、::.:.. }
          // ..::::/..::::〃:/ |  .::l .:゙i   :゙i::. ゙、.゙、::.. ゙、:.,i'
   GJ!   /' ./ .::/,'::::/ i:/ i |  .::|゙、.:,ヽ::. .:.:l、:::. ゙i::゙i,::.:.:゙、l
          / .:/l、/:::/二!'、 l:l'、 .:l ゙、゙iヽ,::::::l,゙、::::i:::l、:::::::. i
         l .:/ ,'l:::/,/ i:::iヽ,il ゙、..::l'""゙、二ヽ::i‐、〉,゙iヽヽ::::ノ
          l:/   |l:/l 、.゙、::゙ノ l, ゙、::l '"i':::じ、、i 'i;.':i-、、∨
          !    |ハi|  `'''" .i  ゙、i  、'、:::ノ, ゙il/r'゙i",'::ハ
              ! `i    .::ノ   ヽ.   ̄   !‐'`,./:、|
              i,   ゙ヽ 、        ,.、_,/::::l:.ヾ、
               ゙、    、 _ ___.,     ,イ__:::::::ノ  ゙i゙、
                ヽ   丶       /.l.. 7`i'._,. <
              ,,.-''" iヽ、    ,. -''  l::/  l:::::::`i
            ,,.-'"    l  ` - ‐''"    / : :.:ハ`'<,. --─''''ヽ、
         ,-'"  . : : : :.:.,.l       _,,.-''"   .://:i /      ゙、>、
         _|l゙il . : : : :./ l   rニ',,,_       / :l /      /'i   ヽ
     ,-'''7"´ |l |l   /   l ,. -''i  ゙ヽ     i:: /     /  l     ゙、
.    /  /  l.l :゙i、/へ     ゙il = l    ゙ヽ、   l /    /   l i    ゙i,

394名無しさん@初回限定:04/09/01 09:08 ID:ekj9HJgw
死神キター
395名無しさん@初回限定:04/09/01 10:58 ID:cbcp6c2V
GJ!
いつか来るいつか来ると思っていたがついにきたか。>大鎌型
396名無しさん@初回限定:04/09/01 10:58 ID:cbcp6c2V
GJ!
いつか来るいつか来ると思っていたがついにきたか。>大鎌型
397名無しさん@初回限定:04/09/01 10:58 ID:cbcp6c2V
多重スマソ
398名無しさん@初回限定:04/09/01 11:59 ID:YIxiFjk+
 GJ〜♪ これでファーレーンが死神っ娘に。
 直接攻撃も強いけど神剣魔法も強力そうですね。
 さてはて、しかしこれからニムはどうするのだろうか・・・。
399名無しさん@初回限定:04/09/01 12:04 ID:YIxiFjk+
>>343
ならば私はオルファが提出期限をオーバーし、ネリーがシアーのを写して、
名前まで模写して何故かシアーの提出物が2つになると想像してみる。
400名無しさん@初回限定:04/09/01 12:38 ID:cbcp6c2V
>399
むう、確かにあいつらやりそうだ。
401名無しさん@初回限定:04/09/01 13:10 ID:MiW5l9rY
次回予告!!
カフェテラスで一休みしていたユートと時深とユーフィ
しかし真横にテムリオンが気配も無く座ってた
「随分と貧相な食事をしている事ですわ。ウェイターさん、スーパージャンボクリーミーパフェをお一つ、
  隣の貧乏人にも同じ物を差し上げてくださいな」
恕髪天を突く時深、なだめるユート、さりげなく礼を言うユーフィ
「ありがとー、しらないおばちゃん」

第XX話『戦慄のデザート』
402名無しさん@初回限定:04/09/01 15:17 ID:YIxiFjk+
・・・そして始まったのは、何故か砂漠に放り出された光陰と今日子の冒険譚だった。
403憂鬱の人:04/09/01 15:34 ID:ojL1vKzW
飛翔様

感想遅くなりましたが、じっくり読んでからと思いましたので。
同じ頃から始めた私としては寂しい限りですがついに終章を
迎えたんですねえ。お疲れ様でした。
エンディング、特にテムオリン戦、美しく戦うヘリオンに感動しました。マジで。
子供が生まれるのは予想してましたよ。むふふのふ。名前は
勝手にユリオン(女の子)とか思ってましたけど。
純と詩織ですか...幕間から瞬が独特の味を出してましたからねえ。
すっかりいいやつにしてしまいましたね?でも本編よりもしっくり来ますよ。
私も対瞬戦考えたんですがどうしてもネタに走る...orz

なにはともあれgood job!ゆっくり充電して下さい。
404憂鬱の人:04/09/01 17:20 ID:ojL1vKzW
前スレで私と髪結いさんで宴会やってます。
おヒマな方はドゾー
405保管庫の人:04/09/01 18:21 ID:qYkG1P2I
>>404
憂鬱氏、髪結い氏ともになかなか味わいのある小ネタ、ご馳走様でした。

で、私の方からは「一行リレー小説」なぞ振ってみましたので、よろしければどうぞ。
406飛翔の人:04/09/01 18:57 ID:o/fqsuR9
>>一行リレー小説 791氏と運命の邂逅か;;
30分以上経ってるのにピンポイントでバッティングするなんて・・・orz
407名無しさん@初回限定:04/09/01 21:20 ID:US23Ygyd
GNO2のジオン軍で、赤毛の眉毛の凛々しい娘にヒミカと名づけたら
ボクっ娘になってしまった…っつーか男の子だった?…orz
408名無しさん@初回限定:04/09/01 22:29 ID:LlGSwm31
>>329
飛翔の人さん、大作お疲れ様でした。G.J.でした。
瞬とのラストバトル、本家にも劣らない程手に汗握って読ませて頂きました。
最後ユーフィーが出てきてあれれ?と思いきや、双子とは……
瞬にとっての『世界』とは佳織への想いの具現化だったような気がしてなりません。
それを前世からの描写で書き上げたのはお見事でした。
ヘリオンだけでなく瞬&佳織まで補完されてしまう……読み終えた後の清々しさったらありません♪
それはそうとエリオンが時深と結婚するとユーフィーは自分の子供に堂々と「おばさん」と呼ばせられる訳だw

>>391さん
死神ファーレーンとかあほぅとかで笑ったり「お帰りなさい」の所で思わず泣きそうになったり非常に忙しかったです。
やっぱり腹黒くないファーレーンの方が可愛いなぁw
それにしても『破壊』って光陰が神剣になったようなキャラだと思ったのは私だけでしょうか?
軽い性格とか妙に禅門答みたいな説教とか……
色々な意味で後編楽しみにしています。
409Xuse(ザウス)総合27:04/09/01 23:23 ID:N0/BJAJw
999 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:04/09/01(水) 23:12 ID:ZJNRte3D
     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|#゚ヮ゚ノl| < 時が見える私が1000をとるなんて簡単なんですよ
   j /ヽ y_7っ=    ですので今回は999で許してあげますね
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ


1000 名前:名無したちの午後[sage] 投稿日:04/09/01(水) 23:12 ID:ZJNRte3D
うそ

1001 名前:1001[] 投稿日:Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


関係ないモンのせてゴメンな
でもさすがにワロタ
410名無しさん@初回限定:04/09/01 23:41 ID:nQmERxD2
>391さん
前編まででは、『破壊』のことを誤解していました、壊すことしか考えておらず、
名前の不吉なイメージどおりに、ファーレーンが壊されてしまうのではないかと。
マイナスイメージがつきがちな神剣の名前のまま、
未来を切り開く意味へと解釈を広げられてどんでん返しを喰らいました。
『破壊』本体のキャラも確かにおいしいものをしています。
残る後編での活躍を期待したいと思います。
411おにぎりの中身の人:04/09/01 23:55 ID:dYJJk2Q/
前スレの>>821で爆笑してしまったわ・・・
412名無しさん@初回限定:04/09/02 01:55 ID:rQlJyblq
しかし確かに暴走してるな。
特に強さのインフレが凄い。

ファーレーン>>>>>>>>>悠人、時深、他エターナル>>>>【越えられない壁】>>>>エトランジェ、スピリット

こう感じた。
413名無しさん@初回限定:04/09/02 02:44 ID:smbIUedd
遅レスですが>391さん、GJです。
しかし、ヘリオンに続き、ファーレーンもE化けですか。
黒スピの方が、イメージしやすいのかな?
他の雑魚スピも、早くE化してもらいたいものです。

あと、>398じゃないですけど、新スキルのネタも期待してます。


漏れが考えると、
「デス・ペナルティー」「サイズ・オブ・ダークネス」
なんて、某天使ネタしか思いつかない・・・

すれ違いスマソ。
414破壊の死神 後編 1/11:04/09/02 04:32 ID:wmMZc3mS
 統べし聖剣シュンは倒れ、第二位永遠神剣『世界』は砕かれた。
 ファンタズマゴリアを賭けた戦いが終わり、この世界は新しい未来へ向け進む事になる。
 この世界のスピリット達を生み出していた永遠神剣『再生』もまた砕け、スピリットが新たに『再生』から生み出されることも無くなった。
 エーテル技術は使えなくなり、間違いなくこの世界の人達の生活は不便になるだろう。
 けれど、不安は無い。
 それは光陰の、今日子の、レスティーナの、ヨーティアの、スピリットの皆の、そして道行く人々の笑顔を見たから。
 この笑顔から始まる未来に、どんな心配が必要だというのだろう。
 みんななら絶対に大丈夫。
 それは希望を越えた確かな確信。
415破壊の死神 後編 2/11:04/09/02 04:36 ID:wmMZc3mS
 そして今日、俺達―――俺と時深とファーレーン―――はこの世界を発つ。
 『破壊』が『聖賢』と行動を共にする事についてカオスエターナルの間でも少々もめたらしいが、『破壊』からの伝言―――俺はやりたいようにやる。止めたかったら止めてみろ―――を伝えると、結局静観する事になったらしい。
 カオスエターナルも戦力が欲しく、たとえ一時的ではあっても協力してくれるのならばありがたいといったところで落ち着いたそうだ。
 時深が言うには、下手につついて自分達が被害を受けるのだけは避けたいという事らしいが。
「正に『触らぬ神に祟り無し』ってやつですね。死神ですけど」
 そう言って時深は笑っていた。
 高台の上。俺の隣に佇み、ラキオスの町並みを眺めるファーレーンに問う。
 それは今まで怖くて言い出せなかった問い。
「いいのか、ニムントール達を残して……」
 何を言おうとしているのか解ったのだろう。ファーレーンが俺の口の前に人差し指をすっと差し出し、俺の言葉をさえぎる。
416破壊の死神 後編 3/11:04/09/02 04:40 ID:wmMZc3mS
「ユート様も、カオリ様を残してエターナルとして生きる道を選んだのですよね。
 でもそれは、カオリ様が嫌いだからではないですよね。
 大好きだから。誰よりも大切だからこそユート様はエターナルになった。違いますか?
 私もそういう事です」
 その通りだ。俺は佳織がそしてみんなが大好きだから、全ての人達の笑顔を守りたいからこそエターナルになった。
 ファーレーンも俺と同じなのだろう。
 それにしても、情け無いがほっとした。
 やっぱり残る、なんて言われたら、どうしようかと思ったところだ。
 一度はファーレーンをこの世界において、一人でエターナルになった事を思い出す。
 あの時はどうしてそんな事が出来たのか、不思議でならない。
 加え、この世界に戻ってきて俺の記憶を失ったファーレーンを見た時の苦しさは、ちょっと忘れられそうに無い。
「それに、私のこの世界での役目は古い秩序を破壊した事で終わったんです。
 後はみんなに任せます。みんなになら安心して任せられる。
 みんな、強いですから。私なんかより、ずっと」
 にっこり微笑み、俺を促す。
 俺達は肩を並べて、時深の待つリュケイレムの森へと歩き出した。
417破壊の死神 後編 4/11:04/09/02 04:45 ID:wmMZc3mS
「みんなに黙って出て来たんですか?」
 トキミ様が私達に尋ねる。
 ここはリュケイレムの森の中。
 以前ユート様がエターナルになる為に、この地を一度離れた場所だ。
「ああ。どうせ記憶から消えるんだし、別れの辛さをわざわざ味わう必要も無いだろ」
「それに、みんなの顔を見てしまったら、決意が鈍りそうですから」
 答える私達。
 その私達に、後ろから声がかけられた。
「みずくさいったら無いな」
「それくらいで鈍る決意なら、大した事無いんじゃない?」
「「……え?」」
 私とユート様が振り返ると、そこにはニム、コウイン様、キョウコ様、スピリット隊のみんな、おまけにレスティーナ様、ヨーティア様、イオ様までいる。
「悠人さんもファーレーンも、隠し事には向いてませんから」
 トキミ様が苦笑する。
 以前私が、ユート様の態度からエターナルになる事をあっさり察知したように、今回の私達の出発も態度からバレバレだったのだろう。
418破壊の死神 後編 5/11:04/09/02 04:49 ID:wmMZc3mS
 皆が私達を送ってくれる。
「うぅっ……」
 その事実に思わず涙ぐみかけ、これは自分で決めた事、泣いちゃダメだと必死で堪える。
 そこに、『破壊』が声をかけてきた。
『なんで、思い切り泣かないんだ?』
「だって、涙は見せたくない……から」
『なぜ?』
「みっともないじゃないですか」
『あほぅ』
「な、何ですそれ!?」
『別れの涙がなんでみっともない? それは恥じるもんじゃなく、誇るもんだろう。お前に大切な友人が、家族がいた証だろうが』
「……。でも私は……強くなきゃ……」
『戦士の涙がみっともないと言うんなら、俺の事はひとまずそこらに放り出せ。別れがすんだら拾いに来い。
 それまではお前は戦士じゃない。ただラキオススピリット達の頼りになる友であり、ニムントールというスピリットにとってのひとりの優しい姉だ。
 ほら、早くしろ』
「……ありがとう『破壊』」
 『破壊』を木に立てかけ、手を離す。
 今や、私はエターナルの戦士ではなく、ただのラキオススピリット達の友人であり、ニムントールのひとりの姉だった。
 駆け出す。
 みんなの所へ。
 泣きながら。
 視界はもうぐちゃぐちゃで、まともな言葉も出てこなかった。
 ひたすらにみんなで泣いた。
 ニムントールと抱き合って、涙が枯れるまで泣いた。
419破壊の死神 後編 6/11:04/09/02 04:59 ID:wmMZc3mS
 別れの時間は来る。
 自ら選択した事ではあり、後悔はしていないがやはり辛い。
「ぐすっ、おねぇちゃん……」
「ニム、元気でね」
「忘れたくないよ。お姉ちゃん……」
「大丈夫。たとえ記憶に無くとも、私はニムといつもいつまでも一緒だから」
「でも、行っちゃうんでしょ? そしたら私達の記憶から消えちゃうんでしょ?」
「ニムと一緒にいた時間。みんなと一緒に守った世界。そこに私は常に在る。
 私の傍にもニムが、そしてみんなが常に共にあるように。みんなと共に歩み、ニムに助けられた私の命と心に、ニムやみんなは刻み込まれてる」
 じっと耐えるようにうつむいていたニムが、ふとユート様の方を向いた。
「……ユウト」
「おう」
「お姉ちゃんを不幸にしたら許さないんだから。そんな事になったら次元の果てまでも追い詰めてやるんだから」
 『破壊』のような事を言う。
 ニムの中では、ユート様はほんの数日前にファンタズマゴリアに現れた、この世界の救世主の筈。
 その人に向かって啖呵をきる。
420破壊の死神 後編 7/11:04/09/02 05:05 ID:wmMZc3mS
 でもそれがニム。
 心の中では感謝や好意が溢れていたとしても、それを不器用に隠して憎まれ口を叩く。
 けれどその奥にある感情を隠しきれてない。
 ニムも、ユート様を心から認め、信頼している。
 でなければ、私を任せるなんて言ってくれない。そう考えるのは傲慢だろうか。
 それが記憶が失われても残る、魂に刻み込まれた絆。
 それをユート様も感じたのだろう。
 にっと笑って、以前エターナルになる前にしていたように、ニムの頭に手を置いた。
「ああ。約束する」
「ちょっと悔しいけど、任せたからね」
 頭にのせられた手を振り払う事も無く、ニムは涙の笑顔を、最高の笑顔を見せてくれた。
 ニムがいたから私は強くなれた。
 ありがとう、ニム。
421破壊の死神 後編 8/11:04/09/02 05:10 ID:wmMZc3mS
 お姉ちゃんと別れるのは辛い。
 凄く辛い。とっても辛い。
 でも、お姉ちゃんを止めちゃダメだって事も解る。
 ここで私が「ファンタズマゴリアに残って」と泣いて頼めば、お姉ちゃんはきっとファンタズマゴリアに残ってくれるだろう。
 けどそれは、お姉ちゃんが自分の心を殺す事になる。
 それだけは、絶対にイヤだ。
 お姉ちゃんには、いつもいつまでも私の大好きなお姉ちゃんらしくあって欲しい。
 だから私は、笑顔でユウトとお姉ちゃんを見送る。
 それが、お姉ちゃんが私に教えてくれた強さ。
 このなけなしの強さが、私とお姉ちゃんの絆。
 この絆と共に、私は生きていく。
 それはとても誇らしい事。
 ありがとう、お姉ちゃん。
422破壊の死神 後編 9/11:04/09/02 05:14 ID:wmMZc3mS
 長く辛い戦いを共に駆け抜けてきた戦友達ひとりひとりと握手を交わす。
 暖かい手、優しい手。固く握り締めてくれる手もあれば、慈しむように包み込んでくれる手もある。
 皆ひとりひとりが違う存在であるように、みんなの進む道も一つでは無い。
 みんなも遠からず、新たな自分の道を見つけ、自分の足で歩き始めるだろう。
 私はみんなよりもちょっとだけ早く、自分の道の最初の一歩を踏み出す。
 道は分かれている。
 でも、私達が繋いだ絆は無くならない。
 どんなに遠く離れていても、例え記憶が無くなっても、決して。
423破壊の死神 後編 10/11:04/09/02 05:18 ID:wmMZc3mS
 『破壊』を手に取る。
「お待たせしました。ありがとうございます、『破壊』」
『いい顔になったな。これで少しは解ったんじゃないか?』
「何がですか?」
『自分を縛る枷は不要だ。お前はお前であればそれだけでいい。それが一番大切な事だろう。
 あいつらはお前というありのままの存在を好いてくれてる。ならばありのままのお前で相対するのが礼儀だろう』
「そう、ですね。またひとつ学ばせてもらいました」
『ああ。お前が隠している面はお前が自分で思っているよりも遥かに美しいんだ。もっと自分を信じてやりな』
 恥ずかしい事をしゃあしゃあという。こっちが赤面してしまいそうだ。
 でも、それがとても嬉しい事に変わりは無い。
424破壊の死神 後編 11/11:04/09/02 05:23 ID:wmMZc3mS
「次元の扉が開きます」
 トキミ様の声が聞こえ、涙で歪んだ世界が更に揺らぎ始める。
 手を振って送り出してくれる皆に私も手を振り返す。
 隣では、ユート様も涙を浮かべながら手を振っている。
 これからも、私は古い自分の殻を破壊し、未来を切り開く。
 みんなとの絆が私の心を作った、その心を持って私達は未来を切り開いていく。
 私とユート様は皆の心からの笑顔に送られて、次なる世界へと飛び出した。
425破壊の死神 epilogue:04/09/02 05:29 ID:wmMZc3mS
 早速ファーレーンと二人で新たな世界での任務に就く。
 『破壊』とファーレーンがいるなら大丈夫だろうと言って、時深はさっさと別任務に行ってしまった。
 しかも、判っているのは近い将来に事件が起こるというだけで、それが正確にいつになるのかはよく判らないのだという。
 長いエターナルの時間の中では、数日数週間は平気で誤差範囲らしい。
 ほんの数日前にエターナルになったばかりの俺達には、その感覚はまだ掴めない。
 というか、エターナルが時間に適当というよりも、時深が適当なだけのような気もする。
 だが、数日後(或いは数週間後)の事件よりも、たった今直面している問題は……。
「……やっぱり相部屋だな」
「……そう、ですね」
 エターナルがこんなに金銭面で苦しいとは夢にも思わなかった。
 俺達に与えられたのは安い旅館の一室。
「後は若い方同士でごゆっくり〜。オホホホホ……」
 と、邪悪な笑いを残して去っていった時深を思い出す。
 本人は若いつもりの様だが、あのセリフはきっちりおばさんのものだ。自覚が無いのが余計に悲しい。
 それにしても到着が夜だったとはいえ、既に布団まできっちり並べて敷いてあるのはどういう事だろう。
「あの……さ、ファーレーン。布団、離すか?」
「……」
「ファーレーン?」
 ファーレーンは緊張した面持ちで部屋に入ると、きっちりと姿勢を正して正座し、顔を真っ赤に染めながら三つ指を突いて深々と頭を下げた。
「今の私の心はここにあります。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
426226 破壊の死神 あとがき:04/09/02 05:34 ID:wmMZc3mS
ありがとうございました。
最後、古い自分を破壊する、その強さを手に入れたファーレーンを感じていただたならば幸いです。

強さがインフレしてしまいましたが、
皆様遠慮しているのかそこそこ強力な神剣しか出ていなかったので、これもありかなー、と。
エターナルとスピリット達との実力差に関しても、
ゲームではまだしも物語としては、越えられない壁があってしかるべきではないかと思いました。
スピリット達にてこずるエターナルなんて、悲しいほど情けないと思いましたので。
たとえメダリオであっても、ね。

ちなみにタキオス〜シュン戦はばっさりと切り捨ててしまいました。
下の設定で補完をよろしくお願いします。

何にせよ、応援くださった皆様。読んでくださった皆様。
本当にありがとうございました。
427名無しさん@初回限定:04/09/02 05:41 ID:QolIk1cr
おつでした。
何というか、後からじわっときますね。
「破壊」は「聖賢」より賢いんじゃないかと思ったのは内緒ですw

個人的にはテムオリンvsファーレーン(むしろ「破壊」)を見たかったかな?
「破壊」と「再生」は元々対にあたる剣だったのかな、と脳内補完して。
(「無我」と「聖賢」のような。今あるものを壊す「破壊」と、新たな命を生み出す「再生」で)
428226 破壊の死神 おまけ:04/09/02 05:43 ID:wmMZc3mS
(SH時。ゲーム内で弱くなるのもお約束ですよね)

新月 属性:無 回:2 最:8 対HP効果:2000 対象:変動 (特殊効果:防御無効)
エターナルの身体能力に外部抵抗を打ち消すマナ操作を加えた事で、桁外れなスピードを得る。
外部から入ってくる情報も全て打ち消す為に、この技を使用するには心で世界を感じ取る能力が必要不可欠である。
ガードの抵抗を打ち消す事により、相手の防御を無視して強引にクリティカルを発動させる。

暁 属性:無 回:1 最:1 対HP効果:※1 対象:変動 (特殊効果:自分の全スキルの行動回数が無くなる)
「破壊」は未来を楽観視する。
ベストを尽くした現在の先には、必ずベストな未来があると信じているから。
現時点での持てる力を全て使いきり目標を破壊する究極奥義。
他の技のスキル回数が残っていればいるほどに威力は増す。
※1 (各スキルの対HP効果×残使用回数)/2

バニッシュガード 属性:無 回:3 最:9 対HP効果:※2 対象:変動 (特殊効果:カウンター)
相手の攻撃のオーラフォトンにはダークフォトンを、ダークフォトンにはオーラフォトンをぶつけ、
攻撃を弾くのでは無く、無力化する。
半端な力しか持たない者は攻撃はおろか、その存在すらも打ち消される事になる。
※2 相手アタックスキルの対HP効果 

エスケープ 属性:無 回:1 最:3 スタートサポート
戦闘力の伸び悩んだ経験が、ファーレーンに冷静な判断力をもたせた。
仲間の役に立つには、それしか無いと思ったから。
戦うべき時は戦い、引くべき時は引く。その全ての行動は勝利の為に。
(効果:強制的に戦闘終了、全味方HP回復20%、味方全スキル残回数1回復(エスケープ除く))
429名無しさん@初回限定:04/09/02 08:41 ID:3PD94Zfa
縁音>>>>【越えてはならない何か】>>>>ヘリオン>>>>ファーレーン>>>>【越えられない壁】>>>>ウルカ
430名無しさん@初回限定:04/09/02 09:09 ID:DrXRtva9
ファーは押しても引いても決め手がないからなぁ………
やっぱりせめてサポ的な魔法が強ければ、黒として活躍できたかもしれんのだが。

またはHPがバカ高くて、トリーゾンブロックで跳ね返しまくりとか
431名無しさん@初回限定:04/09/02 09:29 ID:Np4Lm+k3
……他のキャラをおとしめるのは、見ていて気分がいいもんじゃないな。
不等号が並びまくるのは好きじゃない。
432名無しさん@初回限定:04/09/02 09:56 ID:KjwVca9a
そろそろヘリオン厨という言葉ができそうな
433名無しさん@初回限定:04/09/02 10:00 ID:jaAN21xa
まあ、このスレ自体Xuse本スレから「雑魚スピ厨の巣」呼ばわりされてるけどNE
434名無しさん@初回限定:04/09/02 10:29 ID:lPHGYCje
とりあえずどこに書こうか迷ったがここに書く。
先日のワンフェスでアセリアのフィギュア出しているディーラーさんがあったんだけど、その横で
「今回はヒロインだけど、次は要望のあるキャラも・・・」みたいな発言が聞こえた。
当事者かは不明だから真偽の程はなんともいえないけど、皆で「出たら買うからヘリオン出して!」
といったら、次のキャラはヘリオンになるのかね?w
435名無しさん@初回限定:04/09/02 11:35 ID:IZRCrkYX
ttp://www.galge.com/galge/nomember/sbp/topics/0408/20b/04.html

よくわからないけど雑魚スピ置いておきますね。
436名無しさん@初回限定:04/09/02 12:51 ID:x/N19YtC
雑魚言うなー、ヘリオンは俺のメインアタッカーじゃー。
月輪の太刀で切るべし、切るべし。
437名無しさん@初回限定:04/09/02 13:09 ID:7slntxov
いまさらな質問ですまんが『赤光』ってなんて読むんだ?
しゃっこう?せきこう?
438名無しさん@初回限定:04/09/02 13:21 ID:+ZZ+DvA8
「しゃっこう」
無印でヒミカが「せきこう」って読んでしまったのは、台本にルビ振ってなかったんじゃないの。
439名無しさん@初回限定:04/09/02 13:23 ID:4z3WCnEx
つ【しゃっこう】

いや、ゲーム中で「せきこう」って読みも聞いた気がするけど、「しゃっこう」の
方が多かったし、普通だと思うので。
440名無しさん@初回限定:04/09/02 13:27 ID:4z3WCnEx
 うわおぅかぶった〜〜〜orz

ついでに>>407さん、そのままオレっ子になっちゃったら南無。
441407=437:04/09/02 13:45 ID:7slntxov
>>438-440
さんくす

ボクっ娘にさ、カタカナで「シャッコウ・ヒミカ」と名づけちゃってさ
性別を間違えた上に神剣の読みまで間違えてたら
漏れは部隊を解散させて金色のマナにかえろうかと思ってたところだった。
442名無しさん@初回限定:04/09/02 14:18 ID:DrXRtva9
リグ-シャッコーに乗せるんだな!?
443名無しさん@初回限定:04/09/02 14:32 ID:EZbWaa6H
>>442
微妙にワロタ
Vガンとか懐かしい罠、といった俺は「希望の翼」でV2が思い浮かんでた香具師
444名無しさん@初回限定:04/09/02 14:34 ID:4z3WCnEx
>>441
ヒミカ繋がりで話振ってみたら同一人物でしたか^^;
「シャッコウ」は苗字にしても格好良いからなぁ・・・「シツボウ」じゃ変だよなぁ。

ところで「聖賢」って一発変換できるし辞書にも載ってるのね・・・・シラナカッタヨ。
「聖賢:聖人と賢人」・・・まんまじゃないか。
なんというか、光陰の方がしっくりくるような気がしたりしなかったり。
445407=437:04/09/02 14:42 ID:7slntxov
>>444
私の部下に「シツボウ・ヘリオン」という女性パイロットがいますけど、それがなにか?
ダカール・ジオンという超劣勢地帯の弱小パイロットですが
レベルが上がればきっと強くなると信じていますが、変ですか?
446名無しさん@初回限定:04/09/02 14:45 ID:4z3WCnEx
参りますた。m(__)m エース級目指してがんば♪
447名無しさん@初回限定:04/09/02 14:49 ID:NHDavQ6m
光陰にはこっちをプレゼントしたい。

つまり

小五 ロリ
448名無しさん@初回限定:04/09/02 14:56 ID:EZbWaa6H
悟り
449憂鬱の人:04/09/02 16:51 ID:sTNLN1d1
いよいよ大詰めに入ってきました。
通し番号で分かりづらくてすみません。
今回分はNo.82が最後です。
訳あって全編シリアス調です。
では「家出」第6部、スタート!
450エスペリアの家出・67:04/09/02 16:53 ID:sTNLN1d1
リレルラエルを出発してから数日が経過した。
悠人たちの部隊は、セレスセリス、次いでゼィギオスを瞬く間に制圧していた。
ウルカ達のスピリット部隊はサレ・スニルに到達していないものの、シーオスを拠点に、
順調に勝ち進んでいる、という報告であった。
「意外と、あっけなかったな。」悠人が笑いながら光陰に言った。
「そいつは俺のセリフだ、悠人。」光陰が苦笑いする。
「けど悠人、お前だいぶ神剣の扱いが上手くなったんじゃないか?」
「そうか?」
「迷いが消えてるよ、俺の目から見ても。」

――迷い、か。
確かに、神剣に呑み込まれてもいい、そう思った日から「求め」の干渉は途絶えていた。
――そして、スピリットを斬り倒した時の快感も、ほとんど感じなくなっていた。
451エスペリアの家出・68:04/09/02 16:55 ID:sTNLN1d1
――ひょっとしたら、あのバカ剣の声は、心の鏡に映った俺自身の声だったのかも知れない。
悠人はふと、そんな事を思った。自分の煩悩を公言してはばからない光陰は、
だからこそ、神剣に呑み込まれる事も無いのだろう、と。
「なんだ、悠人?俺の顔になんか付いてるか?」悠人の視線に気付いた光陰が言う。
「あ、いや。髭伸びてるぞ、光陰。」悠人は笑ってごまかす。
「そうよ、剃りなさいよ、光陰。」
「うーん、これかぁ、こいつは俺のトレードマークだからなあ。」顎をなでながら光陰が言った。

休養もそこそこに悠人達はゼィギオスの宿場を出立した。
「あーあ、もうちょっとゆっくりしたかったなあ。」トーン・シレタの森の中を行軍しながら、今日子が愚痴をこぼす。
「早く制圧したほうがもう一方を援軍に行く事になってただろ。文句言うなよ、今日子。」
悠人が軽く睨んだ。
「うわ、鬼軍曹。」今日子が首をすくめる。
452エスペリアの家出・69:04/09/02 16:57 ID:sTNLN1d1
――その頃。サレ・スニルの臨時詰め所の中、苛立ちを隠せずテーブルを叩くソーマがいた。
「いったい、どうなっているんですッ!」戦況は刻々と悪化していた。悠人達エトランジェが
全員ゼィギオス方面に向かったという情報を得た時は、ラキオスのスピリット部隊を撃破し、
リレルラエルを奪還するのも時間の問題と考えていたソーマにとって、この事態は信じられないものであった。
手練れのそろっている元ウルカ部隊のスピリットを戦わせて、ラキオスの主力のアセリアさえ倒してしまえば、
残りは腑抜けのように去って行ったウルカくらいしか戦力は残らない。それがソーマの描いた絵だった。
しかし入ってくる戦況報告は予想を覆すものであった。ウルカが完全に息を吹き返し、
ラキオス軍のスピリット部隊を率いて、自らもアセリアと同等以上の力を発揮している。
しかも、貧弱と考えられていたラキオスのブラックスピリット陣にもう一人、ウルカやアセリアに
勝るとも劣らぬ新戦力が出現し、次々とサーギオスのスピリット達を打ち破っているというではないか。
サーギオス帝国にとってこのサレ・スニルは心臓部とも言える重要な拠点である。
その防衛を任じられているソーマも簡単にここを放り出して逃げ出すわけにはいかない。

「――こうなったら、彼女を使うしかありませんね。」ソーマは暗い目で、そう言って立ち上がった。
453エスペリアの家出・70:04/09/02 16:59 ID:sTNLN1d1
「これから...どうなるのかしら。」ベッドに腰掛け、エスペリアはつぶやいた。
簡易ベッドを置いた臨時詰め所の厨房、それがエスペリアに与えられた部屋であった。
ソーマの下に身を寄せてからというもの、エスペリアはほとんど雑用に忙殺されていた。
だが、体を動かす事で気を紛らせる事は出来た。戦線に出る事はないエスペリアであったが、
ラキオスの部隊の風評は時折り耳に入っていた。自身がその中にいた時は余り気が付かなかったが
その強さは鬼神の域に達しているようだ。ソーマの苛立ちはエスペリアにも伝わっていた。
いずれこのサレ・スニルも陥落するであろう。

「エスペリア、入りますよ。」突然、ソーマが厨房に入って来た。
「あ、ソーマ様。」エスペリアは立ち上がった。
「――あなたも聞いていると思いますが、我が軍の状況は芳しくありません。」ソーマは単刀直入に切り出した。
「――はい。」
「あなたには慣れるまでの間は、と思って雑用のみを任せて来ましたが、いつまでも特別扱いは出来ない、という事です。」
「―――!」エスペリアは目を見開いてソーマを見つめた。
「もうじきこのサレ・スニルにもあなたがいた国のスピリット達が押し寄せてきます。
その時は――エスペリア、あなたにも戦ってもらいます。」
454名無しさん@初回限定:04/09/02 16:59 ID:EZbWaa6H

455エスペリアの家出・71:04/09/02 17:00 ID:sTNLN1d1
「そ、それは―――!」エスペリアは喘いだ。アセリアや、オルファ達と刃を交える。それだけは何としても避けたかった。
「出来ない、と言うのですか?」
「それだけは、――それだけはお許しください、ソーマ様。他の命令には何でも従います、
お願いです。」必死に懇願するエスペリアにソーマは冷たく言い放った。
「フン、どうやら私と離れている間にスピリットとして最も混じってはいけない
不純物が入り込んでしまったようですね、エスペリア。」
「申し訳ありません。でも――。」
「せっかくこの私が手塩にかけて育て上げた一級品のスピリットだったというのに。
――もう言い訳は無用です、服を脱いで、そこに寝なさい、エスペリア!」
ソーマはベッドに向かって顎をしゃくりあげた。「あなたを純粋なスピリットに戻してあげましょう。」
「――!!」エスペリアの全身が硬直する。
「それも出来ない、と言うのなら、もう用はありません。ここから――」
「わかりました。」エスペリアはソーマの言を最後まで待たず頷いた。
――これで、戦わずにすむ。
自分にそう言い聞かせて。そして、エスペリアは一切の思考を中断した。
456エスペリアの家出・72:04/09/02 17:02 ID:sTNLN1d1
―――数十分後。
ソーマが厨房を後にした。「初めて―――でしたか。」やや意外そうに言いながら。
エスペリアは全裸で、粗末なベッドにその身を横たえていた。その瞳からは一切の光が失われていた。
何も考えない事にしたエスペリアは、何も感じる事はなかった。――痛みも、快感も。

突然鍋が、シュ――ッ、と音を立てる。
「あ...シチュー...焦げちゃう。」
エスペリアはのろのろと身なりを整え、立ち上がった。
鍋の火を消して振り返ったエスペリアの目に、自身の破瓜の血と、ソーマの精液で汚れたベッドが映る。
「これも...洗濯しなきゃ。」
エスペリアはシーツを剥がし、丸めはじめた。その時、ふと悠人の顔が思い浮かんだ。
今の自分を見たら、悠人はどう思うだろうか。悲しむだろうか、それとも笑うだろうか、
――あるいは、哀れんでくれるだろうか。
「――い、痛っ。」その瞬間、途切れていた感覚がエスペリアによみがえった。
「どうして――?今さら――考える事なんてッ!」エスペリアは床にひざまずいた。
「もう、これで何も...何も考えなくていい筈じゃない!」しかし、流れ始めた思考にエスペリアは抗う事は出来なかった。
かつての師、ラスクはこの悲劇を避けるために、体を張ってくれたのではなかったのか。
そして、エスペリア自身が最も恐れていた事が、心と体を切り離し、人間に「献身」する事ではなかったのか。
感情を捨てたはずのエスペリアの瞳から涙が溢れ始めた。
「どうして――?どうして――、ぐっ、うぐっ!」

暗く、狭い厨房にいつまでもエスペリアの嗚咽が響いた。
457エスペリアの家出・73:04/09/02 17:04 ID:sTNLN1d1
「ありゃー、もう終わっちゃってるねー、これは。」今日子が言った。
翌日の夕方、わずか半日でサレ・スニルの制圧を終えたウルカに、悠人達は市街地で出迎えられた。
「――ウルカ、みんな無事だったか。」
「はい。ユート殿もご無事で何よりです。なんとかこの街から敵を掃討できました。
今、全員で手分けして今宵の宿場になりそうな施設を探していたところです。」ウルカが微笑んだ。
「あっ、ユート様!」目ざとく悠人達を見つけたヘリオンが舞い降りてくる。
「お、ヘリオンも怪我はなかったか?」
「ヘリオンには、ずいぶん助けられました。褒めてやってください、ユート殿。」
悠人はヘリオンに笑いかけた。
「見ればわかるよ、ヘリオン。ずいぶん...大きくなった。」
「えーっ、あんまり身長は伸びてないですよぉ。」期待していた褒め言葉ではなかったのか、ヘリオンが口を尖らせた。
「はは、そういう事じゃなくて、たくましくなったってことだよ。」
今やサーギオス軍にも、ラキオス屈指の攻撃要員として、ヘリオンの名は知れわたっていた。
「うぅ、それも何だか素直に喜べません、ユート様。」
「なかなか難しい年頃だな。」悠人は苦笑した。
458エスペリアの家出・74:04/09/02 17:07 ID:sTNLN1d1
「――ところで、ウルカ、その、ウルカの元の部下達とは...」ウルカに向き直って悠人は言った。
「はい、この街に来るまで何度か、あいまみえました。」ウルカがいくぶん沈んだ声で答える。
「ですが、肝心のソーマと、その直属部隊とは、まだ出会っておりません。
このサレ・スニルのどこかに潜んでいるはずですが、その事でヘリオンが気になる事を少し――。」
ウルカはそう言ってチラリとヘリオンを見やった。
「気になる事?」悠人は視線をヘリオンに移した。
「はい、ユート様。――実は、今日の昼頃、黒いハイロゥのスピリットに囲まれているひょろ長い男を見たんです。
多分、ソーマっていう男と――」ヘリオンが少し言いにくそうに話し始める。
「――ソーマズフェアリー、か。」悠人もかつてラキオスに所属していたスピリット達の事は聞き及んでいた。
エスペリアの、先輩にあたるスピリット達。
「で、その中に...あの...多分、そうだと思うんですけど、エスペリアさんが...」
「な――!?」悠人は唖然とした。
459エスペリアの家出・75:04/09/02 17:08 ID:sTNLN1d1
「嘘だろ、ヘリオン!」思わず悠人はヘリオンの両肩を掴んでいた。
「いたた、痛いです、ユート様。」
「あ、ゴ、ゴメン。そ、それで、どうしたんだ?」我に返り、悠人は掴んでいた手を放す。
「それが、追いかけようと思ったんだけど、別の敵に阻まれて...」ヘリオンが申し訳なさそうに言う。
「――そうか。いや、でも深追いして返り討ちに遭うよりはその方が良かったよ。」
そう言いながらも悠人は落胆の色を隠せなかった。

――エスペリアが、生きていた。
待ち望んでいたそのニュースは、しかし、ソーマという男を知る悠人には到底心から喜べるものではなかった。
「捜しましょう、ユート殿!手前がお供いたします!」悠人の表情を読み取ったウルカが決然と言った。
「この街で...決着をつけましょう!」
「行けよ、悠人。」それまで黙ってやり取りを聞いていた光陰が言った。「ケリをつけろ、おまえ自身の手で。」
「悠ひとりじゃ手に負えないって言うんなら手伝うけどね。」今日子も後押しする。
460エスペリアの家出・76:04/09/02 17:10 ID:sTNLN1d1
悠人は力強く頷いた。「そうだな、よし!手分けして捜そう!ヘリオン、アセリア達と上空から見張っててくれ。
俺はウルカと神剣反応で探って見るよ。」
「はい!私が見たのはあっちの方です!」悠人はヘリオンの指し示した西の方角に駆け出した。

「エスペリア!ここから離れますよ!」追い詰められたソーマが、慌ただしくやって来て、
詰め所の中で負傷者の治療に当たっていたエスペリアに言った。
しかし、エスペリアは背中を向けたまま、傷を負ったスピリットの治療を続けた。
「エスペリア、聞こえないのですか!?」
「――お逃げになりたければどうぞお逃げください。私は――ここに残ります。」
振り返りもせずエスペリアは言った。多分、悠人ならば負傷者を見捨てて逃げるようなマネはしない、
そんな思いを噛みしめながら。
「クッ、――そういう事ですか。いいでしょう、今ここで口論しているヒマはありません。
――あなたは、やはりスピリットになりきれないようですね。」
ソーマはいまいましそうにそう言い捨てて、7体のソーマズフェアリーともに詰め所を立ち去った。
461エスペリアの家出・77:04/09/02 17:11 ID:sTNLN1d1
「どうだ、ウルカ、見付けられるか!?」悠人は「求め」に精神を同調させながら言った。
「いえ、まだです、ユート殿。」自らも神剣に耳を傾けながらウルカが答える。

「――契約者よ、気を付けろ。あの者は、妖精の扱い方を知り尽くしている。」
「へっ、久々に喋ってくれたと思ったらそんな事か。そんな事言ってるからお前はいつまでたってもバカなんだよ。」
悠人の毒舌にムッとしたように黙り込む「求め」。しかし、悠人にはわずかな神剣の気配が伝わってきた。
「――あっちか!ウルカ、行くぞ!」
ウルカの「冥加」も敵を察知したようだ。二人はほぼ同時に、木立に向かって走り出した。

森の小径に入ってしばらく進んだ所で、ウルカと悠人は立ち止まった。
姿はまだ見せていないが、いつの間にか複数のスピリットに囲まれていたのだ。
462エスペリアの家出・78:04/09/02 17:12 ID:sTNLN1d1
「これほど気配を消して近付いて来るとは――!」ウルカが舌を巻いた。
「1,2...3体ってとこか。」悠人が「求め」を抜く。
得意の居合いの構えを封じられたウルカは抜刀し、剣を八相に執った。
「ウルカ、下がれ。」悠人がウルカを制し、無造作に「求め」を一振りした。
飛竜のような光が奔り、木々が薙ぎ倒される。身を潜めていた3体のスピリットは一瞬にして消し飛んだ。
――まるで、最初からそこに存在していなかったかの如く。
「どうした、ウルカ?」悠人は横で目を丸くしているウルカに言った。
「あ、いえ...余りにも刃に迷いが見られないもので――」
「――今は感心してる場合じゃない。先に追ってくれ、近いぞ。」
「承知しました、ユート殿!」ウルカがハイロゥを展開して飛び立った。
「しまった、まだ――!」再び走り出そうとしたその時、油断していた悠人の後方から、もう1体のスピリットが斬りかかって来た。
463エスペリアの家出・79:04/09/02 17:13 ID:sTNLN1d1
狙いすました一撃が悠人を捉えたかと思われた時、耳をつんざくような轟音とともにヘリオンが降り立った。
背後から袈裟がけに斬られたそのスピリットは声もなく斃れる。
「ユート様、背中がガラ空きでしたよ?」ヘリオンが微笑む。
「さんきゅ。助かったよ、ヘリオン。」悠人は苦笑を浮かべた。
「ウルカが先に行っているんだ、追いかけてくれ。」
「了解です。」ヘリオンは軽く頷くと翼を拡げた。

「――たくましくなったよ、か。」羽ばたきながら、ヘリオンは悠人に聞こえぬ程度の低い声で、言った。
何とか悠人に気にかけてもらおうと、剣の腕を磨いてきたヘリオンだったが、
逆に剣が上達すればするほど悠人との隔たりが大きくなるような気がする。

「もう、強い女には見向きもしないんだから、ユート様って。」
464エスペリアの家出・80:04/09/02 17:15 ID:sTNLN1d1
「――追い詰めたか。」前方の木々の合間に男の姿が見えた。顔面蒼白のその男には、
1体のスピリットが付き添っているだけだった。
「お前が、ソーマか。」少し離れた場所から悠人は声を掛けた。ソーマがびっくりしたように振り向く。
悠人は歩調を緩め、ゆっくりとその男に近付いていった。間に真っ黒なハイロゥのレッドスピリットが割り込む。
悠人が間合いに入ったと見るや、無言で斬りかかって来た。悠人は斬撃をシールドで受け止め、
「求め」を一閃させた。レッドスピリットの躯体が真っ二つになる。

「あ、あなたが、勇者殿ですか...」側近達をあっという間に失ったソーマが泣き笑いの顔で立ち尽くす。
後方ではウルカとヘリオンがそれぞれの敵スピリットを斬り倒したところだった。
「エスペリアがお前の所にいた筈だが。」悠人は表情も変えずに尋ねた。ここに来るまでそれらしい気配は、無かった。
465エスペリアの家出・81:04/09/02 17:16 ID:sTNLN1d1
「エ、エトランジェ殿もエスペリアの事がお気に入りですか。」
ソーマがせわしなく視線を泳がせながら答える。
「エスペリアを、どこへやった?まさか――」
「エスペリアは無事ですよ、エトランジェ殿!」ソーマがぶんぶんと首を振って応える。
ここでエスペリアを犯した事がバレれば逆上したエトランジェに何をされるか分からない。
「ど、どうでしょう、エトランジェ殿。ここは一つ妖精を愛するもの同士、手を組みませんか?」
媚びるような笑いを浮かべて、ソーマが言った。何とかこの場を逃れられれば、という一縷の希望にすがって。
「当然、エスペリアは勇者殿にお譲りします。私なら妖精を何十倍も魅力的にする術をお教えできますよ。
同じ妖精趣味として、勇者殿のご満足は保証いたします。」必死に命乞いするソーマを前に、思わず悠人の頬が緩んだ。
466エスペリアの家出・82:04/09/02 17:18 ID:sTNLN1d1
「そうだな、エスペリアがスピリットである以上、俺もお前と同類の妖精趣味だよ。」
後方からウルカとヘリオンが歩み寄ってくる。
「そうでしょう、そうでしょう。エトランジェ殿は話の分かる方だ。」最大級の愛想笑いでソーマが繰り返し頷く。
悠人の顔から笑みが引いてゆく。
「だが、――あいにくだな、ソーマ。俺はスピリットを家畜のように飼い馴らすつもりはない。
例え転んで糞にまみれようが、行き倒れて飢え死にしようが、自分で選んだ道を自分で歩いてもらう。」
ソーマの表情が凍りついた。
「――そういうのを、俺たちの世界じゃ『自由』って言うんだ。」
「ジ、ジユウ...?」ソーマが喘ぐように言う。悠人は神剣を大上段に振りかぶり、一気に振り下ろした。
ソーマが防ごうとして抜いた剣を「求め」がへし折り、そのまま頭蓋を両断する。
ゆっくりと膝を付き、倒れるソーマを見下ろしながら悠人は言った。
「――お前の最期の言葉には、もったいなかったな。」


市街に戻った悠人達を待っていたのは今日子と取り乱したオルファであった。
「パパ!エスペリアお姉ちゃんがいたよ!」
「それが――様子が変なのよ。」オルファの肩を抱いた今日子が言った。
467名無しさん@初回限定:04/09/02 17:24 ID:4z3WCnEx
支援必要かな〜?
468名無しさん@初回限定:04/09/02 17:24 ID:4z3WCnEx
って、82がラストじゃん;
469憂鬱の人:04/09/02 17:26 ID:sTNLN1d1
今回分を書くにあたって。キーボードを打つ手が震えました。
エスペリアと一緒に泣いてしまいました。こんな事初めてです。
はっきり言って読み返すのも苦痛です。
こっそりSS自体を中断してもいいんじゃないか、
うまく笑いで逃げられないか、とも思いました。
でも、今までのストーリーが全部ここにつながってるので
避けられませんでした。
気を悪くした方、ごめんなさい。

470名無しさん@初回限定:04/09/02 18:13 ID:4z3WCnEx
>>憂鬱の人さま
まずはお疲れ様です。
難しいテーマに果敢に挑むその姿、苦痛は察するに余りあります。
まさしく大きな山場を迎えた第6部ですが、ゆっくりと読ませて頂きました。
次回以降、悠人は悲しみに沈むエスペリアに何をしてやれるのか・・・?
願わくば、最後に彼女が笑っていられるよう祈っております。
471名無しさん@初回限定:04/09/02 18:53 ID:8Bc7eNek
心を鬼にして良く頑張った!感動した!!
472名無しさん@初回限定:04/09/02 20:43 ID:A7PgUvQ7
元大統領「我々は書かされているのでは無い、書いているのだ!!」
473ファーレーン☆絵日記:04/09/02 21:05 ID:6uifEnut
ユート様がみんなへ自由研究という課題を出されたので、私は日記を書こうと思う。
提出はいつなのかまだ決まっていないらしい。二ムに何をするのか聞いてみたら、
「……はぁ、面倒」なんて言っていた。姉としては、この機会に料理を勉強して欲しい
と思う。セリアとかハリオンなら快く教えてくれるだろうし。そういえば、ユート様の
妹であるカオリ様も料理が得意なのだとオルファが言っていた。ニムもカオリ様のよ
うに食べることだけじゃなく、作ることにも興味を持って欲しいと思う。
    ――――(中略)――――
訓練が一段落した休憩中に、ユート様がヨフアルと呼ばれるお菓子を差し入れてくれた。
何故かユート様はワッフルとよんでいたけれど。初めて見るお菓子だったので、期待半分
不安半分で食べようと思ったら、ニムがヨフアルを落として砂まみれにしてしまっていた。
ニムは親の仇(ユート様は最大級の怒りの表現だと説明してくれた)のようにユート様を
睨んでいて完全に八つ当たりだったけれど、その心中がなんとなく理解出来たので、私の
ヨフアルをニムにあげることにした。訓練が終わってからユート様が、
「ファレーン、すまなかった。少し多めに買っておけばよかったな」
と言ってくれたので、嬉しかった。ヨフアルは本当に美味しかったらしい。食べたかったなぁ。
474ファーレーン☆絵日記:04/09/02 21:06 ID:6uifEnut
エスペリアが料理を作りに来た。何でも第一詰め所では、アセリアが再び料理に
挑戦するらしく、自分ひとりに任せてくれ、と言われたそうだ。そんなわけで、
既に買ってしまった食材を無駄にしないように第二詰め所で作るのだと言う。エスペリアの
料理は美味しいので、アセリアに感謝しておこうと思う。何気に、ニムが一番喜んでいた。
    ――――(中略)――――
ユート様がヨフアルの差し入れに来たのだと言う。伝聞形なのは、ニムから教えて
貰ったからで、つまり、私はヨフアルを食べていない。というのも、その時私はバーンライト王国
の警備にあたっていたから。私の分を残しておいてくれれば良いのに、ニムが二個食べたので、
もちろん残っていない。溜息をついたときに、ふとユート様が言った、
「少し多めに買っておけばよかったな」
というのを思い出して、ニムを問い詰めると四個食べたと白状した。ネリーとシアーも三個
食べたそうで、なんか泣きたくなった。
475ファーレーン☆絵日記:04/09/02 21:08 ID:6uifEnut

「――――というわけで、この日記を読む限り、お姉ちゃんはヨフアルが食べたくて食べたくて
仕方なかった。という結論に達しました」
ニムが言った。
「しつこく、しつこく、しつこーく、私が食い意地を張ってるって非難しているけれど。
実際に食い意地を張ってるのはお姉ちゃんでしょう?」
「食い意地を張っているって?」
聞き捨てなら無い言葉を聞いてファーレーンは声を上げた。
「そう。だって、私がヨフアル落としてユウトに八つ当たりしたのは事実だけど、
お姉ちゃんは自主的に私にあげたのに、未練がましく日記に書いてるし」
はぁ、お姉ちゃんひねくれてる、とニムが溜息をつく。
「ひねくれてる?」
ファーレーンは日記を勝手に読んだニムを怒る様子もない。そもそも、日記のような
私物でも、姉妹のような関係である二人には見られて当然の品物だった。
「そんなわけで、お姉ちゃんは頑張ってヨフアルを買ってきて」
当然の話題の変換にファーレーンは、目を瞬いた。自信満々のニムに何故か後ろめたくなり
「え、ええ」
なんか、まるめこめられた気がしないでもない。――というか、かなりする。
「あ、ネリーとシアーも食べるって言ってたから、十個くらい買ってね」
嬉しそうに笑うニムを尻目に。
ファーレーンは、ヨフアルを買うために列に並び、溜息をついた。
476名無しさん@初回限定:04/09/02 21:15 ID:O0RRmd/9
>>憂鬱の人
手を震わせてまでか! 負けたッ! 何に負けたか知らんがな!

続きも期待しております。頑張って下さい。
477名無しさん@初回限定:04/09/02 22:01 ID:g3Bl/8Ff
>エスペリアの家出
む、胸が痛い…。でもGJです!

>ファーレーン☆絵日記
乙&GJ!自由研究ネタはまだまだ続きそう。
ニムちゃん、お姉ちゃんの分位とっておこうね。
478名無しさん@初回限定:04/09/02 22:09 ID:rQlJyblq
>>426
遠慮っていうかバランスの問題じゃなかろうか。
一人だけずば抜けて強くなっても逆に萎えたりするし、
エピローグ後にファンタズマゴリアよりマナが豊富な場所に行ったら、
ファーレーン>>>>>>>>>>>>>>悠人になってしまいそうで、それはちょっと悠人が可哀想かなと。

エターナルとスピリットに実力差があるのは当たり前だけど、
エトランジェ*2+精鋭のラキオススピリット達で足止めにすらならないのは
少しやりすぎなんじゃないかと思った。
ゲーム中でも、ファンタズマゴリアのマナ量の問題で、エターナルとスピリットの差は
全く相手にならない程じゃないって明言されてるし。

あと、メインじゃないキャラの、背景のような置いてけぼり感も気になった。
もう少しサブも動かすようにした方がいいかも。
479名無しさん@初回限定:04/09/02 22:13 ID:g3sSwDg0
>>478
酷評乙
まぁ2次創作なんだから、そこまで目くじらたてても製作者が凹むだけかと
もっとオブラートにつつんでも良いんじゃん?

まぁ一番最後の段落に関しては禿胴だが
480名無しさん@初回限定:04/09/02 22:24 ID:4z3WCnEx
でもメール欄で人知れず激励する>>478はツンデレとみた。
481名無しさん@初回限定:04/09/02 22:31 ID:7slntxov
たぶん>>478は金髪でツインテールの女の子。
482憂鬱の人:04/09/02 22:32 ID:+BL5woK+
昨日の今頃は裏(前スレ)でバカ騒ぎしてたんですが
何だかすっかりテンション落ちちゃってます。あ、でも宴会はまだ続いてるみたいですよ。
ヒマのある人は急いで参加を。

前回(第5部)投下した頃に丁度今回分書いてたもので、
なんだか返事しそこねてました。
まずは飛翔様>>253お見通しのとおり私は緑スピ大好きです。
これまでの作品の中でも小話「ぐりーんぐりーん」が特にツボでした。

道行書き様
>>260私の中の天使と悪魔はそんなに上品じゃないですw
実は260の最後の一行が結構プレッシャーでした。期待を裏切って申し訳ない...
483名無しさん@初回限定:04/09/02 22:49 ID:BrS11hg5
>ファーレン☆絵日記
GJ。
つか>475でピンと来て笑いますた。
ファーとニムの関係をフランス語で言ってみろー!(w
484憂鬱の人:04/09/02 22:54 ID:+BL5woK+
>>264
有難うございます。ちなみに今回分で悠人がソーマを倒す時のセリフは今日子やニムの
助けがなければ出て来ないはずのものです。友達ってのはありがたいですね。
信頼の人様>>265
私なりの神剣についての解釈を少し。
神剣はアセリア世界では持ち主の『分身』として描かれているように思います。
特にウルカルートとかエスペリアルートでは迷宮で自分自身が出て来ますよね。
ですから男の持つ神剣は男性の声、女の持つのは女性の声なのではないか、と思います。
ネガティブな神剣の名前は持ち主の弱点をついているのかも。
静けさを最も恐れるネリー、孤独が何より怖いシアー、といったふうに。
自分の弱点が見える人は呑まれない、といった感じで書いて見ました。
うまく伝わっていれば良いんですが。

485憂鬱の人:04/09/02 23:05 ID:+BL5woK+
最後に今回分の感想を書いて下さった方々。
もっとボロカスに言われるかと思ってましたので
勇気付けられました。あとはhappy endに向かって
一直線で行きます。
486475:04/09/02 23:51 ID:6uifEnut
ネタを判ってくれた人がいるようで嬉しい限り。
個人的なニムはあんな感じ。ファーを振り回します。
ちなみに、よく読んでみるとなんかファーが日記に篭めた悪意(?)
が見えてきます。さすがは雑魚スピスレ唯一の腹黒キャラ。

>エスペリアの家出
実際のところ、ファーレン☆絵日記は読んだ痛みを紛らわす為に書きました。
ああ、エスペリアが……、と鬱。やっと落ち着いたので、
書き込みにきました。乙なんですが、もうエスペリアが不憫で不憫で。
happy end期待させてもらいます。
487名無しさん@初回限定:04/09/02 23:59 ID:THiKnzbQ
>>481
はにはに?
488名無しさん@初回限定:04/09/03 00:00 ID:RnL6i5h/
>426
 後編好きですよ。ファー強すぎだけど(汗)悠人の立場がオルファルートよか無いようなw 
 『破壊』はなんか義理と人情の鬼軍曹って感じです。
489道行書き:04/09/03 00:20 ID:CeueXlOs
>憂鬱の人さん
亀レスになってしまいました、すみません。
>最後の一行〜
いえ、先の展開も考えずにネタのような感想を送ってしまってこちらこそ申し訳なく思います。
書きづらい内容を敢えて取り入れ、それを投稿する不安は私の考える以上のものだと感じています。
互いの気持ち、自分の気持ちに気付いた二人であれば、happy end は必ず訪れることでしょう。
結末を読むことができる時をお待ちしています。
490名無しさん@初回限定:04/09/03 00:33 ID:3HU86Mct
http://etranger.s66.xrea.com/bbs/src/1094139014822.jpg

とりあえずニムに殺されるのを覚悟で、似ても似つかない死神な腹黒さん貼っておきますね
491前865:04/09/03 00:46 ID:Yx2GQWGX
保管庫の人さん、ごめん

もう吊るしかねぇ  ∧||∧
492保管庫の人:04/09/03 00:47 ID:0KQ+pKXD
…………やっちまった……orz<前スレ
493飛翔の人:04/09/03 00:48 ID:6chqtyDt
くぁっ、また再び一分以内のバッティングしちゃったかぁ。(前スレ863)
でも保管庫の中の人さん、前スレ865さん共にGJ!
・・・なにげに862さんのセリフにも通じ合う物あったし。
494保管庫の人:04/09/03 00:48 ID:0KQ+pKXD
>>491
いや、容量の見積もりが甘かった私もダメでしょうw
お互いお疲れさまです
495飛翔の人:04/09/03 00:49 ID:6chqtyDt
更に感想もバッティングするとは笑うしかないなぁ^^;
・・・いやはや皆さんお疲れ様でした。
496名無しさん@初回限定:04/09/03 00:54 ID:Yx2GQWGX
( д) ゚  ゚ >>491-495
マヂだ…

ってか俺、15分おかずに3回かぶったのかw

497名無しさん@初回限定:04/09/03 00:59 ID:Yx2GQWGX
>>494
忘れてた...
フォローさんくす
そしてお疲れ様...

ヨイショット ∧||∧
498飛翔の人:04/09/03 04:56 ID:6chqtyDt
 どうもおはようございます〜。
 先日めでたく完結を迎えました「明日への飛翔」ですが、保管庫の中の人さんに
お願いして、先程最終幕までバックアップさせて頂きました。(ちょっと疲れたかも。
 誤字とかはなるべく修正して、ぽつぽつとセリフが増えたり削れてたりします。
 なので興味のある方は、暇な時にでも読んで頂けると嬉しいです。

 ・・・で、宣伝はこのくらいにしまして。
 前回予告しました番外編、「えたーなるへりおん前編」をお届けしたいと思います。
 時期的には彼女がE化して、悠人が参戦するまでの間と言う事になっています。
 それでは人のいなさそうな今、こっそりスタート〜♪
499えたーなるへりおん前編1/12:04/09/03 04:57 ID:6chqtyDt

 ――そして私は自覚する。

 そこはリュケイレムの森の中。
 闇を照らすのは、あの白い妖精が放つ命の輝き。
 繋がれた感情が、嵐となって心を吹き荒れた。

 「愛しておりましたわ・・・・友人として、では無く・・・・・ヘリオン・・・さ・・・ま・・・。」
 
 目の前の出来事が信じられなくて。
 ヘリオンは呆然と、告白と共に消えようとする、その方の名を呟く。
          
 「・・・イオさま?」 

 後から後から、止めどなく涙が溢れてくる。
 悲しくて仕方がないのに、淡い光に包まれるイオさまは、やっぱり綺麗だと思う自分がいて。
 掛け替えの無い思い出が、彼女の胸に浮かんでは消えていく。
 初めて出会った時の事。
 料理を教えて貰った事。
 二人でヨーティアさまのお手伝いをして、おかしな話をして笑った事。
 失敗して、罰掃除を命じられた彼女を、こっそり手伝ってくれた事。
 いつも忙しいのに、時間外に訓練をみてくれた事。
 そして彼女の相談に、いつも優しく乗ってくれた事。

 ・・・そんな思い出の全てを、私達は共有していた。
 どうしてこんな事になってしまったのだろう。
 彼女はユートさまを、追いたいと願っただけなのに・・・!

 「い、いやっ・・・イオさま、いや・・・ぃっ・・いやぁぁぁああああああ・・・・・!!!」
500えたーなるへりおん前編2/12:04/09/03 04:58 ID:6chqtyDt
 そうしてヘリオンは、ユートさまを見送った時と同じくらい。
 ・・・それはもう想いの限りに、泣き叫んだのだけれど。
 イオさまから受け継いだ、その膨大な知識が。
 彼女の涙が・・・全く甲斐の無い物だったと言うことを、教えてくれたのだった。

 「そ、そんなのって・・・・イオさま、あんまりです!!」
 ・・・思わず抗議する彼女の前で。 
 あのグラマラスな体型が、淡い光の中で見る間に縮んでいって・・・。
 そうしてすっかり幼い子供の姿になってしまったイオさまが、決まり悪そうに呟く。
 「あら・・・もう解ってしまわれましたか?」
 「わ、私が・・・・どれ、だけ・・・わ、私がっ・・・・!」 
 やっぱり彼女はぼろぼろと涙をこぼし、文句を言おうとするのだけれど、言葉にならない。
 そうして小さくなったイオさまが、ちょっぴり背伸びをして、膝を突く彼女を抱擁する。
 「ごめんなさい、ヘリオン様・・・・泣かせたくは、無かったのですけれど・・・。」
 「イオさまは・・・ずるいです。」

 (・・・そんな風にして髪を撫でられたら、もう何も言えないじゃないですか。)

 もうヘリオンは、イオさまを許している・・・・それも仕方が無い事なのだろう。
 彼女にとって、イオさまは掛け替えの無い友人なのだ。 
 どうして彼女が本気で斬らなければならなかったのか。 
 そしてイオさまは何故それを教えてくれなかったのか。
 そんな疑問は全部、イオさまが分け与えてくれた命のせいで、理解してしまっていた。

 そこまで考えて私は、自分がイオさまに嫉妬しているのだと気が付いた。
 ・・・・・神剣である私が嫉妬? 
 これが感情・・・・いや、それを認識する『知性』と言う物なのだろうか。

 ――私の名は、第三位永遠神剣<希望>。
 ヘリオンを守護し、共に生きる者・・・・それもこの時、私は初めて自覚したのだった。 
501えたーなるへりおん前編3/12:04/09/03 04:59 ID:6chqtyDt

 「でもイオさまが生きてて、本当に良かった・・・。」
 「はい・・・それにこの感じ、確かに成功したと思うのですけど・・・・。」
 そう言えば、イオさまはしっかり私達の事を覚えているようだった。
 (私はちゃんと、エターナルに成れたのかな・・・?)
 戸惑うヘリオンに、教えてあげようと思ったのだけど。
 その時私は、急速に接近する二つの神剣反応に気付いたのだ。

 『それは間違いありませんよ・・・でもヘリオン、もうすぐここに人が来ますから、早く隠れないと。』
 「え!?」
 彼女が問い直す前に、木の上に隠れるようにイメージを送る。
 そしてイオさまも気配に気付いたらしく、頷くと素早く<理想>を振り上げた。

 「・・・ここらへんかしら、光陰?」  
 「ああ、確かに神剣反応が感じられた・・・・油断するなよ、今日子。」

 (コウインさま、キョウコさま・・・・。)
 咄嗟に飛び乗った木の枝の上で、息を潜める。
 隠行の術は得意な方だけれど、漏れ出る神剣反応は・・・。
 ヘリオンは心配するが、私は既に<理想>から受け継いだ特殊能力を使っていた。
 『完全に抑えてますよ・・・結界も張ってますから、捕捉される可能性はゼロに近い筈です。』 
 (え!?・・・・や、やっぱりこの声・・・貴女、<失望>なの?)

 ――小さな驚きが伝わってくる。
 こうして自己紹介するのも不思議な感じだったが、ようやく私は彼女と話ができるのだ。 
 『そうですよ、ヘリオン。こうしてお話するのは初めてですね。でも生まれ変わった今の私は、<失望>
じゃありません・・・・・これからは、どうか<希望>と呼んで下さい。』
502えたーなるへりおん前編4/12:04/09/03 05:12 ID:6chqtyDt

 (そうなんだ・・・・改めてよろしくね、<希望>・・・でも貴女って、女の子だったんだね。)

 『私達に雌雄の別はありませんが・・・確かに女性的かも知れませんね。でもそれよりも、今はほら。』
 そうして私は、コウインさま達とお話をするイオさまの方を見るように促す。
 ぶかぶかだった筈の衣服は、何時の間にか<理想>の能力で身の丈にあった物に直っているようだ。

 「・・・それじゃイオちゃん、私達に教える新技の練習をしてたって言うの?」
 「はい、こんな時ですから・・・皆様のお力に成れるよう、私も何かしなければと・・・。」
 「こんな夜にまで技の開発に勤しんでくれるのは嬉しいが・・・イオちゃんは戦えないんだから、一人で
出かけちゃダメだぜ・・・・よし、俺が研究所まで送り届けてあげよう。」
 「あら、それは・・・ありがとうございます、コウイン様。」
 「光陰・・・・念の為に聞いておくけど、それは純粋な親切心で言ってるのよね?」
 「あ、当たり前だろ!?・・・・・それにどうせお前だって、付いて来るんだろう?」
 「それこそ当然でしょうが!!!・・・あんた一人に任せたら、イオちゃんがどんな目に逢う事だか。」

 (不思議・・・お二人とも、イオさまが子供になっちゃったのは気にしてないみたい。)
 『変則的ではありますが・・・それは彼女の命が、貴女の中でエターナルと成ってしまったからですよ。
・・・だからヘリオン、今の彼等の記憶には、貴女は存在しない事になっているのです。』

 何故かそれは、私の中で確信としてあった。
 一族に共通する知識として、元々備わっていた物なのだろうか?
 それを聞いて悲しむ彼女の姿を見るのは辛かったけれど。
 心の準備も出来ずに話し掛けられて、面倒な事になるよりは良かったとも思う。

 (イオさまはお二人と一緒に帰ってしまうみたいだけど・・・私はどうしたら良いのかな?)
 『きっと後で<理想>を通して連絡が来るでしょうから、それまで私とお話でもしてましょう。』
 (そうだね・・・でも<希望>って、結構呑気なんだね。)
 『慌てても仕方ありませんから・・・それに私も急に知恵がついて、色々話したい気分なんですよ。
503えたーなるへりおん前編5/12:04/09/03 05:20 ID:6chqtyDt

 そうして私達は、これまでの分を一気に取り戻そうとするかのように、いつまでも語り合った。
 私が<失望>であった時の事は、今でもはっきりと覚えている。
 それを伝えるとヘリオンは恥ずかしそうにしていたが、伝わってきたのは喜びの感情だった。
 
 彼女の心は一言でいうと清らかで、その温かさが心地よかった。
 何と言っても低位の神剣は、多分に使い手に影響され易い。
 だから私がこういう性格になったのも、<理想>のせいもあるだろうが、多くは彼女の影響なのだ。
 もし彼女が私に負の感情を注ぎ続けていたら、<絶望>と言う名の剣を持った、ロウエターナルが誕生して
いたかも知れない・・・・まあ、それ以前にエターナルになど成れなかっただろうけれど。

 「貴女って楽観的な性格に見えるけど、意外に建設的な考え方をしているんだね。」
 そう言って彼女は感心するのだけど、私が『絵に描いた餅のような事ばかり言う<理想>とは違う。』と
主張すると、大人ぶって見せるのが可笑しいと言って何度も笑うのだ。
 ・・・それはまあ、私も生まれ変わったばかりなのは同じだけど、そんなに笑わなくても・・・。

 私達はあっと言う間に、大の仲良しになってしまった。
 まあ実際は生まれた時から一緒にいるのだから、それも当然なのかも知れないけれど。 
 「・・・これから共に永遠を生きるパートナーが、<希望>で良かった。」
 そう面と向かって言われた時は、嬉しいやら恥ずかしいやらで、刀身が熱を持ってしまいそうだった。
 ヘリオンの想いがユートさまに向けられていたとしても、私はそれで満足なのだ。

 ・・・願わくば、いつまでも共に在りたい・・・。

 心からそう思い、私も自分の使い手が彼女で良かったと思ったのだけれど。
 ・・・・私はしっかりと、彼女の欠点も受け継いでしまったらしい。
504えたーなるへりおん前編6/12:04/09/03 05:23 ID:6chqtyDt

 「ヘリオンさまと同じで、どうやら<希望>もうっかりさんの様ですね・・・。」
 「す、すみません・・・・。」
 『お恥ずかしい・・・。』

 そうして私達は二人、小さくなってイオさまに謝る。
 あれから何度も<理想>は思念を寄越したそうなのだけど、私の結界が予想以上に強かった事と、お喋り
に夢中になっていたせいで、通信が繋がらない内に朝になってしまったのだ。
 結局イオさまはもう一度、リュケイレムの森まで歩いて来なければならなかった。

 「<理想>の能力も充分に受け継がれているようで、喜ばしい事ですけど・・・・逆にこちらは弱まって
しまってますので、このような事があると困ります・・・。」
 「は、はい・・・気をつけます。」
 『私の責任です・・・もう、ヘリオンを許して頂けませんか・・・?』
 彼女の為に、命を懸けてくれたイオさまに対するこの仕打ち。
 私も申し訳ない気がして、ただただ謝って許して貰う事を祈るばかりだった。

 「そうですね・・・では私の愛に、僅かでも応えて頂ければ・・・。」
 「え、えええ!?」
 (で、でも・・・私にはユートさまがいるし、女同士でそんな・・・・。)

 そういえばイオさまは、そういう人だったのだ。
 ・・・彼女の羞恥と、困惑が伝わってくる。
 いくら何でも、それはちょっとあんまりじゃ・・・。
 ヘリオンの事だから押し切られてしまいかねない・・・私が代わりに抗議しようとしたその直前。

 「うふふっ、冗談です・・・ではこれでヘリオンさまを泣かせた事は、帳消しにして下さいね♪」
 そうしてイオさまは年齢相応の、無邪気な笑みを浮かべたのだけれど。
 ・・・・私にはそれが、最後まで冗談なのか本気なのか解らなかった。
505えたーなるへりおん前編7/12:04/09/03 05:24 ID:6chqtyDt

 「でも確かに見事な隠行でした。上位永遠神剣である<希望>は、<理想>の能力をただ受け継ぐのでは
無く、独自に強化・アレンジしている様ですね・・・同じエターナルである、トキミ様をも欺くとは。」
 「え・・・トキミさまが、帰って来られたんですか?」
 昨日の今日だと言うのに・・・でもそれならば、もしかして。
 「残念ながら、ユート様は戻られていませんが。」
 それを聞いてヘリオンは、期待が外れてガクリとする。
 後からユートさまが戻られるまでは、一ヶ月もかかると聞いた時程ではなかったけれど。

 「でも恐らく、結界を解いた事で既に感知されているでしょう。あの方の事ですから今にも・・・。」
 「・・・そうですね、しかしまさか貴女だったとは。」
 その言葉を待っていたかの様に、木の陰から姿を現す人影。
 「驚きました・・・未知のエターナルの気配に、少なからず緊張していたのですが。」
 「トキミさま・・・。」
 「やはりいらしてましたか・・・でも覗き見とは趣味が悪いですわね。」
 「すみません、でも私も敵か味方か見極める必要があったものですから・・・。」
 そうしてトキミさまは優雅に頭を下げて、非礼を詫びるのだった。
 「聞かせて頂けますか?・・・・エターナルに成れた経緯と、その神剣の事を。」
 
 ヘリオンは昨夜の出来事と、それから私と話した色んな事を掻い摘んで説明した。
 イオさまの力を受け継いだ辺りはぼかして伝えたのだけれど、滅多にない事だからどうしても聞きたいと
トキミさまが仰るので、イオさまが説明するのを彼女は顔を赤くして聞かなければならなかった。
 そして驚きながらもトキミさまは、ヘリオンがエターナルと成れた事を祝福してくれたのだ。
 この時<希望の翼>と言う二つ名も付けてくれたのだけど、彼女はちょっと恥ずしそうにしていた。

 予想外の援軍が到着したとして、ヘリオンがレスティーナさまに紹介されたのはその日の午後だった。
506えたーなるへりおん前編8/12:04/09/03 05:31 ID:6chqtyDt

 (ど、どどど、どうしてこうなったんだろう・・・?)  

 口には出さないながらも、ヘリオンはかなり動揺していた。
 目の前には、油断無く神剣を構えるアセリアとウルカ、そしてクォーリンの姿。
 何れも音に聞こえたラキオスの勇士達が、彼女に対しその全力をぶつけようとマナを高め集中している。
 『大丈夫、心を落ち着けて・・・今の貴女と、私の力を信じてください。』

 セリアの一言が引き金だった。
 本当にヘリオンに、レスティーナさまやトキミさまが言う様な力があるのだろうかと。
 昔のセリアさんなら気弱な彼女を良く庇い、助けてくれたのだけれど・・・。
 こうして他人として相対してみると、なかなかに扱いづらい性格だった。
 ・・・ユートさまの苦労も、察するに余りあるという物だ。
 そしてトキミさまがそれならばと、わざわざ三人を名指しでヘリオンの試金石に選んだという訳だった。
  
 「それではヘリオン殿、胸をお借り致します。」
 「我等三人を同時に相手にするなどと・・・・その大言、後悔させてやる。」
 「ん・・・・行く!!」
 
 やはり最初に突進して来たのはアセリアだった。
 「わわわ・・・・・きゃぁっ!?」
 その暴風の様な一撃を、咄嗟に身を引きながら受け流す。
 (び、びっくりした・・・・って、あれ?)
 『それ程の衝撃でもないでしょう?・・・今の私達なら、例え正面から激突しても力負けはしません!』

 向き直ると再び、アセリアは空中から大上段に<存在>を振り下ろす。
 ・・・・しかしエターナルとなった今のヘリオンに取って、そんな直線的すぎる攻撃は!!
507えたーなるへりおん前編9/12:04/09/03 05:33 ID:6chqtyDt

 ――ガキィィン!!!

 ヘリオンはウィング・ハイロゥを展開し、<存在>が振り抜かれるその直前に。
 ・・・急上昇して接近し、打点をずらして打ち付ける!
 「・・・えっ!?・・・。」
 力を乗せる前に強打され、衝撃に<存在>を取り落とす。
 アセリアのその姿に、誰もが目を疑い息を呑んだ。
 ヘリオンの見せた余りにも爆発的な瞬発力。
 光り輝く翼によって限りなく高められた、段違いの飛翔力がそれを可能にしていた。

 「ま、まずは・・・一人目!!」
 返す刀で峰打ちにすると、地に降り立ち残る二人に備える。
 二人は瞬時にヘリオンに対する認識を修正すると、呼吸を合わせ同時に殺到する。
 疾風の様なウルカの剣舞と、稲妻の如きクォーリンの槍捌き。
 それを防ぎ切ると言うだけでも驚嘆に値すべきだったが・・・。

 (な、慣れたのかな・・・大体解ってきたよ、<希望>・・・・あれを試して見よう!)
 『了解しました!』

 そして私はすかさず<冥加>と<峻雷>に干渉し、耳をつんざく大音響を送りつける!!
 「くっ・・・。」
 「なぁっ!?」

 ――それは<理想>が得意とした通信魔法の応用。
 より動揺したクォーリンが気付いた時には、ヘリオンは頭上に飛び上がり、回転蹴りを放っていた!
508名無しさん@初回限定:04/09/03 05:34 ID:v0Q09MS2
こんな時間に支援砲火。
509えたーなるへりおん前編10/12:04/09/03 05:35 ID:6chqtyDt

 「ぐぅ・・ぁ・・・。」

 ハイロゥの推進力と、回転の力を乗せた蹴りを受け、激しく地面に叩きつけられるクォーリン。
 そしてその背に神剣を突き付けられては、負けず嫌いの彼女も敗北を認める他無かった。
 「くぅ・・・私もリタイヤか・・・・後は任せたよ、ウルカ。」

 クォーリンがそう言い終わる前に、<冥加>の一閃が唸りを上げて襲い掛かる。
 しかしそれを予想していたヘリオンは、素早く飛び退いて難を逃れた。
 (あ、危ない・・・けど、これならいける!?)

 「流石に恐るべき技量・・・ならば手前の、最高の技を持ってお相手致す!」
 そうしてウルカが見せた構えは、彼女が得意とする星火燎原の太刀。
 対するヘリオンの構えも瓜二つ・・・ならば勝負は一瞬。どちらが疾く、剣を届かせるか。

 (ウルカさん・・・もう覚えてはいないでしょうが、貴女は私の目標でした。)

 ・・・ヘリオンの心に迷いは無かった。
 そこにいるのはただの剣士が二人・・・・後は集中し、己の全てを持って叩き伏せるのみ。
 「それでは・・・。」
 「・・・参ります。」

 「「星火燎原の太刀!!」」


 ・・・目の前の少女はいかにも頼りなげで、ちっとも強そうには見えなかった。
 しかしそのヘリオンがこれほどの力を見せた事に、ラキオススピリット隊の面々は一様に驚嘆した。
 にも関わらずどこまでも謙虚で、偉ぶろうとしない彼女は、皆に好感を持って受け入れられたのである。

 私もそれが誇らしく、これでヘリオンも少しは自信を持つだろうと期待したのだけれど・・・。
 ・・・その直後、私の小さな願いはトキミさまの手によって脆くも崩れ去ったのだった。
510えたーなるへりおん前編11/12:04/09/03 05:36 ID:6chqtyDt

 『あなた方に残って頂いたのには理由があります。』
 
 解散を宣言した後、トキミさまはヘリオンとエトランジェ二人を呼びつけてそう告げた。
 何でもヘリオンの力を見て、それでエターナルを理解したつもりにならないで欲しいと言う。
 それは勿論若輩の私達よりは、トキミさまの方が強いしエターナルについても理解しているのだろう。
 けれどもう少し、思いやりというか温かい言葉があっても良いのではないだろうか。
 私はそう思い、多少の反発も覚えて主張したのだが・・・。

 「はぁっ・・はぁ・・はぁ・・・・。」
 肩で息をするヘリオンに対し、涼しげな態度を崩さないトキミさま。
 いくらまだエターナルとなったばかりで、私の力を使いこなせていないとは言え・・・。
 何十回と繰り出した彼女の攻撃が、悉くいなされるとは信じ切れなかった。

 「私は<時詠のトキミ>・・・遠慮は要りません。貴女の持つ、最高の技を試してご覧なさい。」
 そして言い放つその言葉には、微塵も奢りや過信は感じられなかった。
 この人は絶対の自信を持って、私達に本気を見せろと言っているのだ。
 『ヘリオン・・・トキミさまなら大丈夫。あの技を使ってみましょう?』
 (う、うん・・・それじゃ<希望>、もう一度力を貸して頂戴。)
 
 ・・・そうして放たれた、神速の乱れ突き。
 ヘリオンが百花繚乱と名づけたその技は、優雅に佇むトキミさまを粉微塵に・・・。
 
 「え!!?」
 ――まさか避けないなんて!
 衝撃に震える私達だったが、この身に伝わる手応えは!?

 「確かに恐るべき速度の攻撃ですが・・・・まだまだ甘いですね。」
511名無しさん@初回限定:04/09/03 05:49 ID:v0Q09MS2
支援?
512えたーなるへりおん前編12/12:04/09/03 05:50 ID:6chqtyDt

 ・・・後で聞いた所によると、符術と呼ぶのだという。

 その不思議な術により、私が突き殺したと思われたトキミさまは突然紙切れに姿を変え・・・ヘリオンが
気付いた時には、首筋にピタリと<時詠>が突きつけられていたのだった。
 どれ程の威力や速度を誇ろうとも、相手に容易く予測される様では本領を発揮する事は出来ない。
 そんな事はヘリオンだって知っていたし、だからアセリアを難なく退ける事が出来たのだけれど・・・。
 ・・・トキミさまのその言葉は、ヘリオンを落ち込ませるには充分な効力を持っていた。

 「はぁ・・・少しは成長したと思ったんだけどなぁ・・・。」
 そしてその夜、何度目かの溜息。
 こうしてすぐに落ち込むのは、子供の頃から変わりなかった。
 彼女の純粋で真面目な性格がそうさせているのだが、しばらくすれば元気を取り戻すのが常だとは言え、
打ち沈む姿を見るのは忍びなかった。
 でも今の自分なら、励ます事も出来る・・・私がそうしようとした時、忍び寄る一つの影。

 「ヘリオン様、どうされました?・・・私で良ければ相談に乗りましょうか。」
 『・・・イオさま、見計らって来ましたね?』
 「別にそんな事は・・・この第一詰所は遠いですし、コウイン様のお相手をしている内に偶然この時間に
なっただけですわ・・・でも私、お邪魔でしたでしょうか?」
 「そ、そんな事ないです!・・・わざわざ心配して来て頂いて、ありがとうございます。」
 表情を曇らせるイオさまに対し、慌ててヘリオンがそう言って応じる。

 ・・・このちびっ子、本当は何歳なんだろう?
 病室に置いたままになっていた荷物を、運んで来てくれたそうなのだけど。
 このタイミングと言い態度と言い、何だかいかにもわざとらしい。

 私だってこれでも一応、イオさまを尊敬してはいるけれど・・・。
 ついついそう考えてしまうのも、無理はないんじゃないかと私は思った。
513あとがき:04/09/03 05:55 ID:6chqtyDt
本当にご支援ありがとうございました・・・・何故か書き込めなかったのです^^;
こっそり投下するつもりでしたが、いやはや一人では大変な目に逢う所でした。

完結したと言いながら番外編が出てきたりしましたが、この「えたーなるへりおん」
は本来なら第九幕と第十幕の間に入れるべき所を、「ちびイオと時深に騙される悠人」
の描写の為に、すっとばした部分でございます。

えたーなるへりおんと<希望>の物語、あと少しだけお付き合いください。
それではお休みなさい〜zzz。
514名無しさん@初回限定:04/09/03 06:01 ID:yuF7KLn9
リアルタイムでお疲れGJでした!

えたーなるへりおん編
これはもう番外編だからこそ面白い話です!
515名無しさん@初回限定:04/09/03 08:44 ID:Yx2GQWGX
飛翔の人さんGJ!
そしてバックアップ乙彼様です

208ってすごいですね
思わず初めから読み返すほど壮観でした

これからも頑張ってください、でわ
516憂鬱の人:04/09/03 15:15 ID:5YxBVisT
>>486
場を和ませて下さって有難うございます。
ヨフアル大人気だなあ。
ファーレーンのお小遣い足りるのかなあ、等と余計な心配をw
で、フランス語で姉妹って何て言うんですか?こっそり教えて。
飛翔様>>513
200超えましたか...容量も考えると私の3倍くらいですかね。
あらためてGJです!

むう...エターナルヘリオンでもトキミおbには敵わないのか...
へりおんあたっくで一泡吹かせて見ましょうか?無理?
517名無しさん@初回限定:04/09/03 15:49 ID:nTYPN8Zf
>>516
(´-`).。oO(結局ネタに走るのか…?)
518名無しさん@初回限定:04/09/03 16:21 ID:nTYPN8Zf
いいかみんな
        (゚д゚ )
        (| y |)

小五とロリを合わせると
     小五 ( ゚д゚) ロリ
       \/| y |\/  

悟りとなるのはココでも>>447-448でガイシュツだが
        ( ゚д゚) 悟り
        (\/\/

今回はもう一段階上を逝こうと思う、つまり…
        (゚д゚ )
        (| y |)

光陰にもう一段階特殊な性癖を持たせることにより
          穴
     小五 ( ゚д゚)エロ
       \/| y |\/  

最強の戦士へと…
        ( ゚д゚) ベジータ <ナ、ナンダッテー(AA略
        (\/\/

なんでもない
        (゚д゚ )
        (| y |)
519憂鬱の人:04/09/03 16:46 ID:5YxBVisT
>>517
それはまだ秘密
520飛翔の人:04/09/03 17:47 ID:wp15ty9e
>>516
それもまだ秘密
521飛翔の人:04/09/03 18:05 ID:wp15ty9e
>>514
感想ありがとうございます。楽しんで頂けたようで幸いです。
・・・でもそうですね、私も番外編だからこそ使える展開だと思います。
オリジ設定部分が多すぎて、「飛翔」を読んでないと全く解らないですし^^;

>>515
よ、読み返して頂けましたか。「飛翔」の為にそれだけの時間を取ってくれるなんて感激です。

>>憂鬱の人さま
>>520は茶目っ気と言う事で^^;
522515:04/09/03 20:10 ID:Tl0SS70w
>>519-521
なんか飛翔の人さんが必死っぽくてワロタ


>>飛翔の人さん
かなり失礼なこと言いますけど許してください
始まった当初は「『失望』の道行」が終了した頃だったこともあり

むぅ・・・(最近よく見かけるクマーのAA略

とか思ってたんですが(ホントすいません)
読み返すと中々楽しめました
お疲れ様です

で、新作はいt…
いえ、なんでもないです
523名無しさん@初回限定:04/09/03 20:13 ID:Tl0SS70w
やっぱ書かなきゃよかったなぁ…

しかもアンカーが変になってるしorz
524名無しさん@初回限定:04/09/03 20:52 ID:RnL6i5h/
 で、どうにも忘れ去られている悠人の実の両親はいったいどうなってんの?
525飛翔の人:04/09/03 20:58 ID:wp15ty9e
>>525 (なんだか気にされてるようなので再びカキコ^^;)
率直な意見の方が為になる事もありますので、どうかお気に為さらずに。
私としても名作の後に二番煎じをするのは、何だかなぁと言うかプレッシャーもあったのですが、
初SSなので一番好きなキャラを書こうかと思った次第でして。(でもこんなに長くなるとは;;)

今の番外編が終われば新作に挑戦したいと思ってますが、たぶん・・・・今月中旬くらいには
お目にかけることが出来るのではないかと。長編ではなく、程々の長さの物にしたいと思っています。

それでは失礼しました〜。
526飛翔の人:04/09/03 20:58 ID:wp15ty9e
うぐぁ、アンカーが・・・・orz
527名無しさん@初回限定:04/09/03 21:02 ID:QudLnuJ/
>>525 悠人が幼い頃、交通事故で死亡。
528名無しさん@初回限定:04/09/03 21:07 ID:QudLnuJ/
う、なんか伝染しているかのように俺もアンカー間違えた・・・・
529名無しさん@初回限定:04/09/03 21:08 ID:RnL6i5h/
>527
 いや、エターナルになってからさ。それでも死ぬのだろうか。悠人君は何の執着もない感じだが、
エンディングでは不思議に思った。

530名無しさん@初回限定:04/09/03 22:28 ID:25EgVA14
>>529
どうなんだろうね
なんでもありのおばさんの手腕によって、生きてることになってるのかも
531515:04/09/03 22:41 ID:D0H248Oc
アンカーミスが流行ってるスレはここですかw

>>525
そういっていただけると幸いです

……って冗談半分だったのに、今月中旬とか早?!

>>529-530
悠人のせいで死んだわけじゃないだろうから、多分それはないんじゃない?
532名無しさん@初回限定:04/09/03 22:59 ID:RnL6i5h/
両親もまた因果の中の人であり、特異点である悠人を生み、佳織の両親へ引き継ぐと言う役目があると言えなくもない。
悠人という存在が消えてしまうのなら、交通事故も起こりえないのかも。死ぬ必要がなくなるわけで。普通に子供に恵ま
れ生活してるってのが有力だろうが、出逢うことすらなかったりして。

どうなるのか時深にすら読めないのだろうけど、とりあえず死んじまった光陰今日子を安易に復活させんでくれよ……
今日子の死に様に流した俺の涙すら無かったことにしろっていうのかー。

533名無しさん@初回限定:04/09/03 23:05 ID:D0H248Oc
>>532
まぁ真相は闇の中

君の涙はユートの涙
534名無しさん@初回限定:04/09/04 01:13 ID:+hRqRXjh
PS2版アセリア公式サイト、BBS開設。

ttp://xuse.nippon1.jp/index.html
535名無しさん@初回限定:04/09/04 01:36 ID:FRLtwjJp

見た感じかなり微妙空間だったがなw
536名無しさん@初回限定:04/09/04 01:41 ID:Qzixi/VR
>>533
情報提供乙。早速見て来たけれど、要望で世界一キャラだして欲しいってのは笑ったなぁ。
・・・ラハールとかエトナ出て来たらもう違うゲームだよね。いや、裏技で隠しキャラなら・・・それでも変か。うぅん;;
537名無しさん@初回限定:04/09/04 01:43 ID:LzkjBxaX
魔王プリエきぼんぬとか言ってみる
538名無しさん@初回限定:04/09/04 01:49 ID:8uIPP2OY
アク禁から戻って来たはいいが浦島太郎 orz
もう380K越えてるのね(w
とりあえず、完走した 飛翔の人氏、226氏、乙&GJでした。
539名無しさん@初回限定:04/09/04 01:51 ID:FRLtwjJp
>>538
アンタなにしたんだ?
540名無しさん@初回限定:04/09/04 01:56 ID:8uIPP2OY
>>539
?……あ、アク禁ってのが変だったかな。規制の巻き添えが正しかった。
541539:04/09/04 02:02 ID:jXyTgNPc
????

まぁ、とにかくアク禁くらうような人じゃないらしくて良かった
542名無しさん@初回限定:04/09/04 03:10 ID:8uIPP2OY
>>541
>????
ごめんなさい、意図がつかめてないです。
そもそも>>538で削り過ぎたのが悪かった気がしますので訂正しておきます。

 僅か数日規制の巻き添えになっている間にスレは大きく流れ、
付けたかったレスも用を為さなくなってしまいましたが、
遅まきながら、乙&GJ そして おめでとうございます、と
無事連載終結のお祝いの言葉だけでも 飛翔の人氏、226氏へ贈らせて下さい。
 それにしてもスレ建てから一週間で380KBとは隔世の感がありますねぇ…

というようなことが言いたかったんです。削り過ぎですね、ごめんなさい。
流れを外してるのもわかってます、ごめんなさい。
もしかして最初からメル欄書けということでしょうか? ごめんなさい。
半年ROM…れる自信はないので、チラシの裏に…片面広告減りましたね…
しばらくエディタに向かってお話考えながら餅つきます… ∧||∧
543名無しさん@初回限定:04/09/04 07:15 ID:+hRqRXjh
姿見えないなと思ってた。
544名無しさん@初回限定:04/09/04 07:23 ID:jkQ/q5mp
PS2版アセリアのHPでキャラ紹介見て、ちとびっくり。
まだ雑魚スピの紹介は無いけど、B80以上あるのエスだけだった・・・
実は雑魚スピをいれても、このゲームって微乳、貧乳だらけだったんだな・・・

ちなみにアセ・B74、エス・B86、オルファ・B63、住職・B65
姫・B66、今日子・B75、ウルカ・B78、時深お・B69
545名無しさん@初回限定:04/09/04 07:30 ID:oD9PW6pz
たゆんのサイズはいくつだろうな?
546名無しさん@初回限定:04/09/04 08:34 ID:d/molfXv
>>542
なるほど

…片面広告減りましたね…、とかマジワロタ

>>545
軽く100over?
547名無しさん@初回限定:04/09/04 08:36 ID:d/molfXv
ちなみに>>541でした
説明dクス
そして

イ `
548名無しさん@初回限定:04/09/04 08:58 ID:jkQ/q5mp
>>546
となると、第二詰め所では
「ハリオンの後は(お風呂の)お湯が少ないのよー#」
とか言われると…
549名無しさん@初回限定:04/09/04 09:14 ID:ui72cnTN
というか、B60台大杉。
このゲームではやや巨乳の部類に入ると思われたウルカや今日子ですら
B70台ということは相当細身だぞこいつら。

そこでアセリアとウルカと今日子をBW差で比較してみる
アセリア:B75W55 ウルカ:B78 W56 今日子:B75W55

BW差2cmであれなのか?というか今日子とアセリアは全く同じだ。
ちなみに今日子とアセリアだと、長身の今日子のほうが貧乳になるはず。
ウルカはともかく、今日子に至ってはあきらかに誤植臭い。

そんなおっぱい星人の主張でした。
550名無しさん@初回限定:04/09/04 09:41 ID:d/molfXv
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡   

まぁぶっちゃけ脳内補完で十分だ罠
551名無しさん@初回限定:04/09/04 09:46 ID:NJ1MGqrf
頭蓋骨の立ち絵書き直しは無しかよぅ。
早くサブキャラクター紹介が追加されるのを祈るか…って、
頭蓋骨の扱いはサブキャラじゃないのか!?
552名無しさん@初回限定:04/09/04 09:47 ID:cGTE87Bj
相当細身でないと戦闘に適応できないのだろう、と擁護してみる。

…ぶっちゃけ黒スピあたりだと大きな胸は邪魔にしかならないと思うw
553名無しさん@初回限定:04/09/04 09:50 ID:d/molfXv
       ∩
/ /゙・ 皿・_ヽ彡 貧乳!貧乳!
     ⊂彡
554名無しさん@初回限定:04/09/04 09:52 ID:NJ1MGqrf
胸があると急所を一突きにされる危険が減るから、防御には適してると言ってみるテスツ。

……ああ、だから緑スピリットは胸が大きいんだな。ニムも将来は有望だろう。
何年かしたら「おねえちゃん、胸がきつい〜」とか言ってそうだ。
555名無しさん@初回限定:04/09/04 10:04 ID:+DH9SDow
そして複雑な表情をするファーレーン、と
556名無しさん@初回限定:04/09/04 10:07 ID:d/molfXv
正直抜かれるのは戦闘能力だけにして欲しいw
557名無しさん@初回限定:04/09/04 12:27 ID:k/KnhDw3
>ちなみにアセ・B74、エス・B86、オルファ・B63、住職・B65
>姫・B66、今日子・B75、ウルカ・B78、時深お・B69

レスティーナ、激貧乳すぎない?
オルファや住職と同程度なんて(比率なら完全負け)
558名無しさん@初回限定:04/09/04 12:34 ID:W/Fwqzur
/ /゙・ 皿・_ヽ<なあ兄弟、ヒミカの数字を聞くのが怖いんだが・・・・・・。
559名無しさん@初回限定:04/09/04 12:41 ID:q0N8aN/i
別の会社の作品だが、SSで「バストの10の位が7の人は希少だから保護しなきゃ」とまで言われているところもあるのに……
この辺が会社やブランドのカラーなのか。
560名無しさん@初回限定:04/09/04 12:50 ID:uNWTClcp
大樹を育てるためには、雑草を引っこ抜く必要があるということさ
561=558=作品別板423:04/09/04 12:58 ID:IJFY0hxa
/ /゙・ 皿・_ヽ<OK簡潔に。レスティーナ貧乳?の謎を解明しよう。

@ あの世界の食事は現代日本に比べて栄養価が低い。(薄味だし)
A でも王宮の食事はラキオス王のせいで豪華。(けど栄養は無視)
B レスティーナは小食に加えて、贅沢は出来ないと余り食べない。
C 庶民の気持ちを知ろうとヨフアル大人買い。(→栄養失調)。
562名無しさん@初回限定:04/09/04 13:03 ID:IJFY0hxa
うーん、ID変わっちゃったから名前入れたけど、入れなくても良かったか。
563名無しさん@初回限定:04/09/04 13:04 ID:hHxMnl3X
ジョルジュ長岡氏の出番が少なそうなスレはここですか?

それはそうと、来週中にもスレ移行ってことになりそうですね。
この勢いはどこまで続くのやら……
564名無しさん@初回限定:04/09/04 13:14 ID:LzkjBxaX
 _  ∩
('A`)彡 ヒンニュウ…ヒンニュウ…
 ⊂彡
565名無しさん@初回限定:04/09/04 13:49 ID:yUXNAnvH
>>560
大樹ってのはやっぱりタユンタユンでしょうか?
566557:04/09/04 13:54 ID:k/KnhDw3
レスティーナが右手を横に挙げているシーンだと
横乳は結構ボリュームあるように見えるのだが。

>561
>C 庶民の気持ちを知ろうとヨフアル大人買い。(→栄養失調)。

・・・レスティーナルートだと(ヨフアル買いに逝けなくて)餓死してしまう。
567名無しさん@初回限定:04/09/04 14:16 ID:uNWTClcp
>>566
服の下にヨフアルを仕込んであるだけ
568名無しさん@初回限定:04/09/04 14:21 ID:0gDGcT6n
寸劇の人さん同様アクセス規制に巻き込まれてました……

>>憂鬱の人さん
 『エスペリアの家出』
 うう、痛い……。すみません、読んでて泣きそうになりました。
 >484
 『分身』……。そうなのかもしれませんね。
 私は『特性の反映』みたいな感じで捉えていたのですが、
 「克服」というより「受け入れる」みたいな感じが神剣との対峙に必要なのかも。
 「ちょっと違った方法」、拝読させて頂きました♪

>>寸劇の人さん >228
 混ぜ方と時間軸の方は難しかった問題で、保管庫とこちらとどちらで投稿させるかで
 変わってしまうというモノでした。2パターン作ればよかったのですが、とてもそんな時間は取れず。
 「Lemma」と本編とのリンクを、読んでいて忘れない程度に繋げるのは「Converge」が
 ず最後になってしまう為、バランス取りに苦労しました。
 結局中庸を取ったのですが、それなりに汲んで頂けたようで幸いです。
 書き手に依存するというのはそういう複雑なシステムにしてしまった構成上の問題点で、
もっとすっきりしたシステム自体を改良する事には次回作で挑戦してみようと思います。
寸劇の人さんが仰る様に、文章から伝わる事は本当に少ないと思います。
ならせめて「伝わりやすい様に」書くくらいは頑張りたいと思ってます。

>>飛翔の人さん
 イオさん、貴女という人はw 
 それにしてもトキミお(ry 強いですね。さすがなんとかの功……いえ、なんでもないです。

ところで胸の話題ですか……。美乳派の私としては大きさは気になりません。ええ、気になりませんともw
569光陰・悠人のあは〜んなアレ:04/09/04 14:22 ID:0gDGcT6n
「悠人、ここはパラダイスだなぁ。」
「あん?いきなり何言ってんだ、光陰?」
「いやなに、先程このようなモノを極秘入手したのだが……」
「おまっ!これってこのあいだの健康測定結果じゃないか!なんでこんなモン……」
「しっ!声がでかい!悠人、お前黒焦げにされたいのか?」
「む〜っ、む〜っ!(俺は関係ないだろが!)」
「ほほう、ラキオスのエトランジェ様はこのようなものには興味がないと……ふんふん。」
「………………」
「ふふん、自分を偽るものじゃないぜ、悠人。ホラ見てみろよ、凄い数字がずらっと……」
「(ごくっ)うっ、こ、これは……」
「な?凄げーだろ?これだけ微乳揃いの女の子達ってのは、あっちじゃなかなかお目にかかれないぜ♪」
「あ、ああ……ある意味凄いが……お前、これが嬉しいのか?」
「当たり前だろ?まったく眼福だぜ……ハァハァ」
「そ、そうか……」
「何だ悠人、お前ひょっとして巨乳派なのか? いかん、それはいかんぞ!」
「いや、別にそんな事はないが……。それに大事なのは形だろ?」
「ばかもんっ!そんな事言ってるからお前はヘタレとか言われるんだ!微乳だからこそ形が整うというものじゃないか!」
「ふ〜ん、そうなんだ……#」
「当たり前だ!巨乳は垂れやすい、これは常識だ!万有引力が有る限り、これは覆されない事実だろうが!」
「なるほどね〜。それでアンタは何を 力 説 し て る の か ナ ? 」
「何ってここは微乳揃いで…………って、き、今日子さん?!」
「こ の 犯 罪 予 備 軍 が ぁ ーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


その後第二詰め所で光陰の姿を見たものは居ないと言ふ。
570名無しさん@初回限定:04/09/04 15:52 ID:pq6EPN3Q
  | |/ノ二__‐──ァ   ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ   /やれやれ
/⌒!|  =彳o。ト ̄ヽ     '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ ! < ココって意外と貧乳な/ヽァ/ヽァんだな
! ハ!|  ー─ '  i  !    `'   '' "   ||ヽ l |   \ま、当然だけどな。
571名無しさん@初回限定:04/09/04 17:37 ID:xPhfcAo6
ではネタを思いついたので。好調の課題→日記ネタシリーズに触発されて、こんなのはいかがでしょう?

レの字「人とスピリットの共存…口で言うのは簡単ですが、何から手をつけた物でしょうね。」
悠の字「ふむ・・・そう言う事なら直接あいつらに聞いてみたら良いんじゃないか?。」
レの字「なるほど、単純ですが試す価値はありますね・・・・・・では面と向かっては言い辛いでしょうから・・・。」

エの字「・・・・・・と、言うわけで第一、第二詰所の双方に目安箱が設置されました。私達の福利厚生の為、要望や
   改善要求などがあれば、無記名で良いのでどんどん投書して欲しいとの事です。ただこれは女王陛下が
   直々に目を通されますので、くれぐれも失礼の無いように御願いします。」
572例えばこんなの。:04/09/04 17:44 ID:xPhfcAo6
ex)1
じょおぅさまへ
さいきんパパがいつも忙しい忙しいと言って、遊んでくれないんだよ、ひどいよね?
・・・でもつかれてるパパもかわいそうなので、どうか仕事をへらしてあげてください。

ex)2
聡明なる女王陛下へ
この様な事をお耳に入れること、どうかお許しください。
誰とは申しませんが、スピリット隊には碌にかまってもくれないのにすぐ我をバカ呼ばわりする者がいます。
なので綱紀粛正の為にも、隊長自ら神剣を良く手入れし、尊重して蔑ろにしない様に指導願います。

悠の字「あ、あれ・・・なんで俺ペンなんて持って寝てたんだ?」


573名無しさん@初回限定:04/09/04 18:24 ID:kSBybaGR
求め礼儀正しいな
574名無しさん@初回限定:04/09/04 18:33 ID:xeGIxF1T
PS2番では、『求め』&エトランジェのまま残留するルートをどうかどうか……
575名無しさん@初回限定:04/09/04 18:57 ID:xeGIxF1T
……唐突に思いついたネタ。
その日、エスペリアが悠人を起こしに行くと、何か変な物が有った。
それは、色とりどりの、なにか塊だった。
それは、悠人のベッドに乗っていた。

「え……あ……ゆ、悠人さま?」
「エ、エスペリア? ……た、助け……うぅ……」

中から、悠人のうめき声が聞こえる。
よく、その物体に目を凝らしてみる。

それは、スピリット玉だった。

「ああああアセリアオルファハリオンネリーシアーにヘリオンまで! 何をやっているの!」
576名無しさん@初回限定:04/09/04 19:13 ID:4ZWOJvzN
>>575
ワロタ、ネコかよw。

>>572
そうか、求めが本編でアセリアだけタダで助けたのは、
時々アセリアが存在の手入れついでに求めも手入れしてたからなんだよ!

……とか言ってみる。
577おにぎりの中身の人:04/09/04 20:00 ID:CKg02fR1
私の名前はナナルゥ・・・趣味は隠密行動というヴェールに包まれたただの人間観察&秘密探し。
でも、今回は皇女様からのじきじきの命令。
「たゆんたゆんの秘密を探ってきて欲しいのです」と、言われたときはびっくりした。
そんなわけで、今日はハリオンの部屋の上にお邪魔してる・・・。実は私も知りたい。
ラキオスのレッドスピリットでは一番大きい私だけど・・・あの二人に勝っても、あまり・・・
ハリオンレベルとまではいかなくても、エスペリアさんには勝ちたい。・・・ユート様の世界には「大は小をかねる」って言葉があるらしいから。

早速、いつものように天井に開けた穴からハリオンの部屋をのぞいてみよう。
ハリオン「ふんふんふ〜ん♪」
部屋はとてもきれいに整頓されている。その中で鼻歌を歌いながらハリオンはとても上機嫌そうに見える。
恐らく・・・この後、たゆんの秘密がわかるはずだ・・・
ハリオンは一旦外に出ると、4分ぐらいして帰ってきた。右手にお茶を2つ、左手に茶色い何かを2個持っている。
それより、両手ふさがってるのにどうやって扉を開けたんだろう・・・謎だ。
ハリオン「今日もいい具合に焼けました〜」
あれは・・・カップケーキ!?そうか!奴の胸の秘密はあのカップケーキ!!
今日も、ってことは毎日あれを服用することにより、胸が大きくなるんだ!
しかも2個ずつ持ってるって事は、一人で2セットも食べるのか・・・
ハリオン「ところでぇ・・・」
彼女はケーキとお茶をテーブルに置くと、動きが止まった。
ハリオン「一緒にお茶しませんか〜?」
 ! ! ! ! !
目が合った!目が合った!
こちらの存在に気がついていた!?そんなこと・・・ありえない!
気配は完全に消していたのに・・・
私は急いで天井裏を走り、自分の部屋に戻った・・・。
ナナルゥ「ハァ・・・ハァ・・・怖かった。」
すとっ、と自分の部屋に降り立つと、呼吸を整えようと、空気を吸った。
・・・・?
何?このいい香り・・・?
まさか・・・と思い、恐る恐る振り向くとカップケーキとお茶が1セット、テーブルに・・・
『お茶と一緒にご馳走するんだから、みんなには内緒ですよ? ハリオン』
書置きまで・・・
一口食べてみる。おいしいけど・・・何故か冷や汗が止まらなかった・・・

次の日
ナナルゥ「皇女様・・・たゆんの秘密はカップケーキです」
レスティーナ「カップケーキ?それは本当ですか?」
ナナルゥ「はい・・・」
レスティーナ「にわかには信じられません・・・継続した調査をお願いできませんか?」
ナナルゥ「それだけは勘弁していただけませんでしょうか・・・」
もう、二度とあの部屋には侵入しないだろう。それだけは心に決めた。
レスティーナ「そうですか・・・ありがとうナナルゥ。」

1ヵ月後
悠人「よぉ、レムリア、久しぶり」
レムリア「ユートく〜ん、久しぶり!」
悠人「こんなこというのはなんだけど・・・ちょっと太った?」
579名無しさん@初回限定:04/09/04 20:27 ID:+hRqRXjh
 SS投下無しで、レスがここまで増えてるとは、やはり胸は偉大か……
 EXキター報告がないな。内はもう来たけどな。

>571

 [我々スピリットも現金を持つことが許されたとのことですが、詰め所運営費は一部の人に握られた
ままです。そこで、個人個人にも幾ばくかの金子を下賜されますようお願いする次第です。ニムントー
ルのために、ささやかですが、ベッコウの櫛を買ってやりたいのです。お願い申し上げます。]


 あ〜暑いなぁ〜、髪邪魔だなぁ、ムカツク〜あ、枝毛発見。ナナルゥに頼んで髪切っちゃおうかな。


 
 聖者の贈り物にならないよ orz
580名無しさん@初回限定:04/09/04 20:32 ID:vCodxZS5
レスティーナ「あら、第二詰所からの投書ですね。ふむふむ。」


         女王陛下

このような事、お書きしても良いのかどうか悩みました。
でも、思い切って言わせて頂きます。
私たちのスリーサイズがどこからか漏洩しています。
プライバシーの侵害もいいところです。
いえ、問題は余りにも個体差が有りすぎる、という事です。
同じスピリットとは思えません。絶対、何か秘訣があるはずです!
なにとぞ陛下のお力添えでその謎を解明して頂けないでしょうか。

                   匿名希望のレッドスピリット


レスティーナ「確かに、重大な問題のようですね。国力を挙げて解決に当たらねば!」
            
581580:04/09/04 20:37 ID:vCodxZS5
>>577
しまった...更新しそこねてバッティングしたorz
みんな考える事は同じか...
582名無しさん@初回限定:04/09/04 20:47 ID:xPhfcAo6
>>581
これぞシンクロニティ。補完もされてて爆笑しました^^

>>579
そういえば私も手に入れたのだけれど、まだ途中までしかやってないなぁ。
・・・雑魚スピの素顔を見るのが楽しみな反面、怖くて進められないのですよ。
583名無しさん@初回限定:04/09/04 20:47 ID:xPhfcAo6
あわわ、sage忘れた・・・・;;
584名無しさん@初回限定:04/09/04 20:51 ID:Lj3sTtqh
アタッカー向けに鍛えているスピだと、Bの数値以上に
トップとアンダーの差が厳しいんじゃないか?
特にヘリオンとかファーレーン、ヒミカ、ウルカといった面々は……
何カップなんだろ?
585おにぎりの中身の人:04/09/04 21:02 ID:CKg02fR1
ハリオン「ヒミカさんの胸はぁ・・・ユート様の世界では『えーだっしゅ』って言うらしいんですよ〜」
ヒミカ「意味はわからないけど、何故かあなたを切りたくなったわ、ハリオン」
ハリオン「あらあら〜?」
586名無しさん@初回限定:04/09/04 21:04 ID:+hRqRXjh
ハリオンたゆんの花魁道中
587名無しさん@初回限定:04/09/04 22:10 ID:uNWTClcp
>>584
スピリットを鍛えたからといって、人間と同じように脂肪や筋肉に影響がいくとは思えない。
そうでないと、日々の鍛錬のうちに『ラキオスでガッツ!』みたいなスピリットになりかねないし。
588名無しさん@初回限定:04/09/04 23:28 ID:FDt4Fi5y
ガッツ6『有限世界でガッツ!』
589名無しさん@初回限定:04/09/05 00:01 ID:qI8Q3CAb
猫柳建設=ロウエターナル
筋肉を付けたくて入社してきた主人公=メダリオ。
590名無しさん@初回限定:04/09/05 00:25 ID:kwSjSX06
 EXプレイ中……う〜だめだ〜ニヤケとつっこみが止まらない〜。オレのつっこみセリフと悠人のセリフ
が重なること数回。へっへっへっの真相があんなだったとは。ニムって意外と素直だな。
 
591名無しさん@初回限定:04/09/05 00:45 ID:k/FrIrgv
>>590
確かに「わざと」展開がわかりにくいSSしかはってないからね。
ハリオンの「おやつ」ネタも、本来はヘリオンが笑っていられる場面じゃないしw
592名無しさん@初回限定:04/09/05 00:50 ID:7RT5D2Y+
どういうわけか次元に迷ったユーフィ。ふらふらして出会ったのは、どういうわけかコアラ様。
テムオリン「(私の知らない上位永遠真剣を持ったエターナル? 味方につけるか、さもなくば……)」
ユーフィ「? お姉ちゃん、だれ? トキミおばちゃんのお友達?」
テム「あなた…今、わたくしをどう呼びました?」
ユーフィ「お姉ちゃん」
テム「それでは、トキミさんのことは?」
ユーフィ「トキミおばちゃん」
テム「うふ、うふふふふ…いいでしょう、今回は見逃してあげますわ」
後ろで必死に笑いを噛み殺すタキオス。
そして探しにやってきたユウト&アセリア夫妻とおばさんと鉢合わせ……。

という妄想が。
593保管庫の人:04/09/05 00:51 ID:xAd69DAo
このペースだと明日にも仕切り開始になりそうですね。
ちょっと早いけど、テンプレ案募集かけます。

それと、EXのネタバレ解禁はどうしましょうかね?
594名無しさん@初回限定:04/09/05 01:11 ID:FZ6QYzbK
>>592
ワロタw・・・でもコアラ様、わざわざ断らなくても上位永遠神剣持ってない
エターナルなんて普通いないですがな。(変な突っ込みごめんなさい)

でもこれでアセリア2では、そのセリフを気に入ったコアラ様に攫われて、
ロウエターナルとして育てられたブラックユーフィが登場・・・なワケ無いか。

>>593
まだ入手してない人には気の毒だけど・・・。一応それも考慮して会員通販が
届くまで待った訳だし、EXの話がしたくてうずうずしてる雑魚スピファン
の同志も多いだろうから、もう解禁しちゃっても良いのでは?

まあ既にネタバレ出来る作品別版とかもあるから、もう少しの間そっちで
やって欲しいと言う人もいるかも知れないけれど・・・。

自分としてはこういう意見なのだけど、他の方々いかがでしょ?
595名無しさん@初回限定:04/09/05 01:18 ID:k/FrIrgv
>>593
EXは全面解禁で良いんじゃないですかね?
ネタとしてもある程度は皆さん解ってきているでしょうし
596名無しさん@初回限定:04/09/05 03:33 ID:ZlN/97Dk
今日ゆうパック届いた。早っ!
ニヤニヤしながらプレイ中。

>>593
いいんじゃない?
ってゆーか、コレまでの雑魚スピSSの雰囲気だし。
時深ネタのAAも出ちゃってるしw
597名無しさん@初回限定:04/09/05 04:03 ID:FZ6QYzbK
>>596 
流石真っ向サービスの郵政公社。こんな早朝と言うか未明にも届けるとは。
・・・という冗談は置いてといて、時深ネタのAAってどんなのでしたっけ^^;
598名無しさん@初回限定:04/09/05 08:13 ID:fwcZOICz
>>597
スーパーアマテラス光線のこと
599名無しさん@初回限定:04/09/05 08:16 ID:fwcZOICz
あった、これ
     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <すーぱーあまてらす光線!!
   j l||(つと)=============================( ゚∀゚)・∵.======
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
600〒□□□-□□□□ :04/09/05 08:21 ID:4X45TJnh
>>596-597
そのうち我々も24時間営業(都心部only)になるとの噂があるんだからやめてくれYo…   ん、愚痴ってスマソ。吊って来る ∧||∧
601名無しさん@初回限定:04/09/05 10:53 ID:kwSjSX06
>597
どうせ正面からいくでしょ。黒猫は側面から、佐川は攪乱をお願い。
602名無しさん@初回限定:04/09/05 11:02 ID:urJjndM6
>>601
不覚にもワロタ
603名無しさん@初回限定:04/09/05 12:38 ID:7yXYjB22
青スピセリアの宅急便♪
604名無しさん@初回限定:04/09/05 12:51 ID:rTBldgyG
>>603
・・・そういえばED後、世界中が抗マナ化されてもスピリットは飛べるのかな。
だとしたらエーテル施設は使用不可能になってるんだし、輸送・伝達手段では
スピリット達が大活躍・・・というのは結構現実的な話かも知れぬ。

黒ネコファー子「きちんと礼儀を守らないといけませんからね。(これで私も黒く♪)」
605名無しさん@初回限定:04/09/05 14:09 ID:FyqrSFd8
魔女の宅急便みたいにスピリットの宅急便ができたりして。

で、この子は空を飛ぶことしか出来なくなっちゃったの
なんていわれながら新しい町で落ち込んだりもするけど私は元気です、な
ヘリオンたん。


黒は女を美しくみせるのよ?
606名無しさん@初回限定:04/09/05 14:15 ID:LoUfRrzg
文字通り、飛脚
607名無しさん@初回限定:04/09/05 15:32 ID:xIDIfnj5
レスティーナのもとで国営の郵便事業を営むスピリットたち
しかし郵政民営化の波は有限世界にも押し寄せてくるのであった…
「人生いろいろ、スピリットもいろいろ」
608名無しさん@初回限定:04/09/05 17:12 ID:8rmg6q1Q
画像板の死神に着色されてたんだが
銀色なのな、鎌

意表をつかれた
609憂鬱の人:04/09/05 17:14 ID:MMSi6Fpk
HNそのままの状態から何とか這い上がりました。
今回は、残念ながらまだネタは混じってません。
さあ、ソーマをやっつけ意気あがるユート君の前に、
ついにラスボス・エスペリアが立ちはだかる!
互いの脳髄を削り合うような神経戦が今、始まった!
(もうちょっと良い表現はないかなあ)
第七部、スタート!
610エスペリアの家出・83:04/09/05 17:16 ID:MMSi6Fpk
確かにそれは異様な光景であった。街外れの一角にある宿舎のような建物の前に、
悠人が探し求めていたエスペリアが「献身」を携え、佇んでいた。
ラキオスのスピリット達がそれを取り囲むように、しかし、エスペリアの放つ空気を前にして、
誰も近付けないままに輪になっていた。やって来たのが悠人だと分かると、
全員がホッとしたような顔をして一斉に駆け寄ってくる。

「どうした、みんな。」悠人は視線をエスペリアに向けたまま言った。
「ユート、エスペリアが、変だ。」
一番に口を開いたのは意外にもアセリアだった。
「あんなエスペリア見た事ないよ!」
「一言も喋ってくれないのぉ。」
ネリーが、シアーが、次々に訴える。
「ホントに、どうしたものでしょうねえ。」
ハリオンまでがその表情を曇らせている。
611エスペリアの家出・84:04/09/05 17:17 ID:MMSi6Fpk
「やっぱり悠じゃないと話にならないんじゃない?」
今日子が溜息をついて、言った。

「――わかった、俺がまいたタネだ。俺が行こう。」

悠人はかつて経験した事のあるエスペリアの持つ空気の正体に気付いていた。
あるいはここに居る全員が気付いていたかも知れない。ただ、誰もがそれを認めたくないのだ。
「――ユート殿。」ウルカが不安げに言う。
「はは、何だよ、ウルカまでしょぼくれた顔して。」悠人は笑顔を作って見せる。
「心配するなって。――犬も食わないつがいのケンカだよ。」
「あ、あれはそういう意味で言ったのでは――」ウルカが困ったように言った。
悠人はポンと一つウルカの肩を叩いて、ゆっくりとエスペリアに向かって歩き出した。

「お、おう、エスペリア、元気だったか?」我ながら間抜けな挨拶だと思いつつ悠人は声をかけた。
しかし、返事はない。目を伏せたその顔からは表情も見てとれなかった。
「ソーマは、――死んだぞ。」悠人はエスペリアに告げた。
それでもエスペリアはピクリとも反応しない。あるいはエスペリアも、予期していた事だったのかもしれない。

612エスペリアの家出・85:04/09/05 17:18 ID:MMSi6Fpk
「あ、あのさ、俺が悪かったよ。エスペリアの事も考えないで俺の考えばっかり押し付けちゃってさあ...」
「――ユート様。」エスペリアが顔を上げる。だが、そこにいつもの優しい微笑はなかった。
「この建物の中にまだ負傷者が残っています。もう、その者たちに戦意はありません。」
それはあくまで事務的な口調だった。それでも、久しぶりに聞くエスペリアの声に悠人は少し安堵した。
「そうか。うん、後から来る補給部隊にケガ人はゆっくり休ませるように言っておくよ。」
「お心遣い感謝いたします。」エスペリアは頭を下げた。しかし、依然その口調に感情はこもっていない。
「あの、それで、エスペリアは――帰って来てくれるんだろ?俺達のところに。」悠人は愛想笑いを浮かべながら言った。

「――私には、もうユート様のために出来る事は何ひとつありません。」
「だから、それは俺が悪かったって...」悠人は相変わらず表情一つ変えようとしないエスペリアに少し苛立ちを交えて言った。

「ユート様。私の体は汚れています。」
613エスペリアの家出・86:04/09/05 17:20 ID:MMSi6Fpk
――突然のエスペリアの言葉が悠人の心を突き崩した。
エスペリアがソーマと行動を共にしている、という報告があってから、悠人が最も恐れ、
そして最も聴きたくなかった言葉だった。悠人の鼓動がはやまり、頭にカッと熱い血が逆流するのが自分でもわかった。
「な―――!」悠人の抑えきれない感情が爆発する。
「何でだよっ!エスペリア!なんでそんな馬鹿な事っ――!」エスペリアに嘘だと言って欲しかった。
しかし、スピリットは絶対に嘘や冗談を言わない事も、悠人は知っていた。

「ユート様のせいです!」
初めてエスペリアの口調に感情がこもった。それは、悠人に向けられた怒りだった。
「ユート様が、私を人間扱いしなければこんな事にはならなかったんです!」
「何だと!?エスペリア、自分が何言ってるか分かってんのか!」悠人も思わず逆上して言い返していた。

「エスペリアっ!あんたねえ、悠がどれだけあんたのこと心配してたか――」
ここに至って今日子が声を張り上げた。光陰が肩をつかんで制止する。
「よせ、今日子。これはあの二人の話し合いだ。」
悠人はかつて似たような状況から今日子を救い出した。あいつなら何とかするはずだ、光陰はそう信じていた。

「ここは悠人に任せようぜ。」
614エスペリアの家出・87:04/09/05 17:21 ID:MMSi6Fpk
「分かったわよ、光陰。――分かったから放して。」
今日子はエスペリアを睨みつけながら押し黙った。
そんな今日子を一瞥してエスペリアは再び冷たい口調に戻る。
「私はもうユート様の顔を見たくないんです。」
エスペリアはそう言ってやおら「献身」を中段に構えた。
「―――消えて下さい、ユート様。」

「おれには全然わかんないよ、エスペリアの言ってる事。」
今日子の怒りで少し冷静さを取り戻した悠人は首を振った。
だが、エスペリアが先刻から途切れることなく放っていたのは、紛れもなく殺気であった。

「――本気で俺とやりあうつもりか?」
「私は、ユート様を殺します。」
悠人の問いにエスペリアは微笑を浮かべて答えた。
615エスペリアの家出・88:04/09/05 17:22 ID:MMSi6Fpk
槍を構えるエスペリアが悠人に向けた言葉は、初めて聞くものではなかった。
悠人の胸にあの日の光景が去来する。
それは、かつて、この世界に召喚された悠人が初めてラキオス王の前に引き出された時に
心に焼き付けられたものであった。まるで見世物のごとく戦わされたエスペリアと悠人。
普段のエスペリアからは想像もつかない愚風のような殺気。それはエトランジェとして
悠人が使えるかどうかを品定めするための戦いだった。当時の、剣すら握った事のない素人同然の悠人と、
数多の戦闘を経験していたエスペリアとでは、その力量差は天と地ほども開きがあった。
あの時、レスティーナが止めに入っていなければ今ここに、悠人がこうして立っている事もなかったであろう。
悠人が生まれて初めて直面した死の恐怖は、その後どれだけの戦いをくぐり抜けても拭えるものではなかった。

―――まさか、またエスペリアと戦うハメになるなんてな。
だが、今回は状況が違う。戦闘力の差は、二人の間にはほとんどなく、もし戦えば、文字通り殺し合いになる。
しかも、これは命令を受けて無理やり戦わせられるわけではない。エスペリアは自らの意思で悠人に刃を向けているのだ。
ただ、悠人にとってみても、ソーマとの事を知ってしまった今、
これから先、従来と同じようにエスペリアに接するのは難しいかも知れない。エスペリアにとっては、
それがどれだけ苦痛であるか、想像するに余りあった。
616エスペリアの家出・89:04/09/05 17:23 ID:MMSi6Fpk
―――俺の顔はもう見たくない、か。
エスペリアの言葉を反芻して、悠人はある事に気が付く。
「――そういうことかよ。」

エスペリアが悠人の顔を見ずにすむ最も簡単な方法。それはエスペリア自身がこの世から消えてしまう事だ。
つまり、悠人に殺してくれ、と言っているのだ。
暗澹たる思いを胸に悠人は「求め」の柄に手をかけた。後方で見守るスピリット達のざわつきが悠人の耳に届いた。

――それで良いのだ、契約者よ。我もこのところ凡百のマナばかりで、いささか飽き飽きしていたのでな。
「――黙れよ、バカ剣。今は集中しろ。舐めてかかって行ける相手じゃないぞ。」
エスペリアは間違いなく悠人と戦うことで命を絶とうとしている。恐らく、ここで悠人が戦いを避けたとしても、
自ら死を選ぶつもりなのだろう。しかし、そうだとしてもなぜ、わざわざ悠人と殺し合いを演じる必要があるのか――?
悠人のもう一つの、その疑問は、「求め」の言葉によって氷解した。
617エスペリアの家出・90:04/09/05 17:24 ID:MMSi6Fpk
エスペリアは、もう悠人のために出来ることは何一つ残っていない、と言ったが、それは違う、と言う事に悠人は思い当たった。
人知れずこっそり命を絶ったならば、エスペリアのマナは塵となって四散するだけである。
だが、その身を神剣の糧に変えるのならば――。

――結局俺の声は、何一つエスペリアに届かなかったってことかよ。
スピリットとは、人間のため、戦いに生き、戦いに死ぬものだ、かつて悠人にそう言ったのは、エスペリアであった。
その一点では、最後まで悠人と、お互いの意見を相容れる事はなかったのだ。悠人はゆっくりと「求め」を振りかぶった。
後方のざわつきがピタリと止まった。エスペリアの口が動いたが、小声で何を言っているのかはっきりしない。
「ウレーシェイソース、ソウ・ユート」――悠人にはエスペリアがそう言ったように見えた。

エスペリアが重心を落とし、体を沈みこませる。

「来いっ!エスペリアっ!!」
「はぁぁぁぁ―――っ!!」

静寂が支配する夕暮れのサレ・スニルの街角に、二人の咆哮が響きわたった。
618エスペリアの家出・91:04/09/05 17:26 ID:MMSi6Fpk
エスペリアが悠人に向かって突進しながら一直線に突きを繰り出した。
エスペリアらしい、クセのない真っ直ぐな突きであった。

「エスペリア殿――?」だが、ウルカ達の目にはそれが自殺行為に映った。
エスペリアの「献身」は槍と長刀を組み合わせたような形状をしている。
対して悠人の「求め」は剣である。必然的に、いかに自分の間合いに持ち込むかがこの両者の勝負の分かれ目となる。
「献身」が長刀としてのその威力を最大に発揮する「薙ぎ」の間合いは槍と剣の中間程度である。
当然エスペリアもそんな事は百も承知の筈であった。
――にも関わらず、エスペリアは直線的な突きで距離を削りながら、あえて悠人に接近戦を挑んでいる。

悠人の目にスローモーションのようにエスペリアの姿が入って来た。
戦士とは思えないその華奢な体。しばらく洗っていなかったのかやや汚れた、それでも、
この戦場でこれ以上似合う者がいないであろうメイド服。少しウェーブのかかった栗色の髪。
うっすらと紅を差したような白い頬。そして、吸い込まれそうな深緑色の瞳。
悠人がファンタズマゴリアに来てから片時も、そう、リレルラエルで別れるまで、ほんの片時も離れることなく、
悠人の影の様に、寄り添っていたその姿が近付いてくる。
619おにぎりの中身の人:04/09/05 17:27 ID:jUZgC+my
トキミ「援護します!タイムシフ(ry」
620エスペリアの家出・92:04/09/05 17:27 ID:MMSi6Fpk
――俺と、「求め」に献身するつもりか、エスペリア。

「ははっ」悠人の口から思わず嘲笑が漏れた。この、ラキオス城での対峙よりも道化じみている戦いに。
「献身」の穂先が悠人の鳩尾に吸い込まれる。そして、それはあっという間に悠人の体を貫いた。

――だが、悠人の「求め」は上段に振り上げられたまま、微動だにしなかった。

「そんな―――?」目の前で起こった事に、一番驚いていたのは当のエスペリアであった。
「嘘、嘘です、ユート様。そんなの――嘘ですッ!」眼前にある悠人の顔に向かって首を振る。
しかし、エスペリアの両腕に残った感触は消えることはない。充分過ぎるほどの手応え、
それが何を意味するかエスペリアには分かりすぎるほど分かっている。

ガシャリ、と音を立てて「求め」が地面に落ちた。
「帰って、来いよ。」悠人の口が弱々しく動いた。「みんな、待ってるんだ、エスペリアのこと。」

エスペリアが慌てて槍を悠人の体から引き抜き、投げ捨てた。傷口から脈打つように鮮血が噴き出し始める。
エスペリアに、抱え込まれるように、悠人は倒れた。後方から押し寄せるような足音が聴こえる。
621エスペリアの家出・93:04/09/05 17:30 ID:MMSi6Fpk
「こんなの――こんなのってないよ!!光陰っ!何とかしてよお!!」
今日子の、悲鳴に近い絶叫がこだまする。
「やってるよっ!!」いち早く悠人に駆け寄って加護のオーラを展開していた光陰が、今日子に怒鳴り返す。
しかし光陰の、グリーンスピリットをもしのぐ回復魔法をもってしても、悠人の傷は一向にふさがる様子はない。
悠人の体から溢れた鮮血はすでに金色のマナへと還り始めていた。
「光陰、佳織のこと...頼むぞ...エスペリアのことも...」悠人が光陰に笑いかけ、
少しだけ首を上げ、集まってきたスピリット達を見回す。
「俺がいなくても...成長したこいつらなら、充分、勝てる。スピリット達を...自由にしてやってくれ...」
「馬鹿野郎、ふざけるなよ、悠人。こんな所でお前がいなくなったら、佳織ちゃんがどんな顔すると思ってるんだよ!」
光陰の震える声も、もう悠人には届かない。悠人はゆっくりと目を閉じた。

――契約者よ...なんと愚かなことを――。
悠人の薄れてゆく意識に「求め」が語りかけた。
――悪かったな、バカ剣。――でも、最後まで、いい相棒だったよ、お前は。

「求め」の言葉がなければ悠人は、今ごろ「献身」を叩き落し、エスペリアを斬っていたかも知れない。
悠人の死に顔にうっすらと微笑が刷かれた。
622エスペリアの家出・94:04/09/05 17:32 ID:MMSi6Fpk
―――― パシン!
小さな破裂音とともに、悠人の体と、「求め」が一瞬強い光を放ったかと思うと、その姿が消えた。
エスペリアの服にべっとりと付いた血のりも、夕日に照らされ、オレンジ色に輝きながら上空へと立ち昇り、飛散してゆく。

「――くそっ!!」光陰が力の限り地面を殴りつけた。
普段その感情をめったに表に出す事のないハリオンやナナルゥまでもが、流れ落ちる涙を隠そうともしなかった。
ある者は立ち尽くしたまま、ある者はくずおれ、またある者は抱き合って、泣いた。
誰よりもスピリットを愛し、スピリットの新しい生き方を追い求めて戦い続けた人間のために。

消えゆくマナを呆然と見つめていたエスペリアがふらふらと夢遊病者のように立ち上がった。
「ユート様一人で...行かせません。」そうつぶやいて傍らに落ちていた「献身」を拾い上げ、自らの胸にその穂先を向ける。
「やめてっ!!」そう叫んで赤い妖精がエスペリアに抱きついた。
「献身」に衣服を裂かれ、背中から真っ赤な血が流れ落ちるのも気にせずに。
623エスペリアの家出・95:04/09/05 17:33 ID:MMSi6Fpk
「パパが...パパが、死んで...エスペリアお姉ちゃんまでいなくなっちゃうなんて、そんなの、やだっ!!」
「放しなさい、オルファ...放して。」エスペリアが弱々しく振りほどこうとする。

光陰が立ち上がり、「献身」の柄を握りしめた。
「いいかげんにしろよ、エスペリア。」
「お願いです、コーイン様。行かせてください。」
「――悠人はな...あいつは、どうしようもない馬鹿だったが、馬鹿なりに真剣に、お前達の事を考えてたんだ。
自由な生き方をさせるってな。――エスペリア、俺はお前が死のうがどうしようと知ったこっちゃない。
だが、お前も、少しでも悠人のために何かしようと思うんなら、この戦争が終わるまで戦い続けるべきじゃないのか?
――悠人の言ってた世界を実現させるために。」

感情を押し殺した光陰の声に、エスペリアの「献身」を握る手から徐々に力が抜けていった。
エスペリアは両の手でオルファを抱きしめ、その赤い髪に顔をうずめて泣き始めた。
624エスペリアの家出・96:04/09/05 17:34 ID:MMSi6Fpk
「――エスペリア殿。」ウルカが突然口を開く。
「確か、グリーンスピリットの神剣魔法の一つに蘇生の秘術があると聞き及んでおりますが...
エスペリア殿ならご存知なのでは?」
「本当か、ウルカ?」光陰が勢いこむ。「どうなんだ、エスペリア?」
居並ぶスピリット達の視線が一斉にエスペリアに集中した。
「も...申し訳ありません、コーイン様。私も、その魔法だけは...存じ上げておりません。」
エスペリアはうつむいて唇を噛んだ。
「く...そうだ、ハリオン!ハリオンなら出来るんじゃないのか!?」
光陰はエスペリアと互角の魔法力を誇るグリーンスピリットに振り向いた。
「いえ...私もその魔法だけは、どうしてもマスターできないんです。」

ハリオンが無念そうに答え、かぶりを振った、―――その時。
625エスペリアの家出・97:04/09/05 17:35 ID:MMSi6Fpk
「大地の精霊たちよ、ここに集え!!」
張り詰めたような声が響きわたる。誰もがその光景に目を疑った。
エメラルドグリーンの紋様が幾重にも連なって、地面に輝き始めていた。
その魔方陣の中心にいるのは、誰もが見慣れている筈の幼い妖精だった。
しかし、今そこに、いつもの、神剣魔法を不得手とする、面倒くさがり屋の面影を見つける事は出来なかった。

「ニム...知ってるの?」オルファが驚きの表情でその姿を見つめる。

魔方陣から放たれる無数の光条が放射状に、夕焼けの空へと伸びてゆく。
その場にいる者全てが息を殺してニムントールを見守る。一度始まった神剣魔法を中断させる訳にはいかない。
こうしている間にもどんどん悠人のマナは拡散しているのだ。今は、この幼いスピリットにすべてを委ねるほかなかった。
ニムントールが、その小さな両腕を一杯に広げ、詠唱に入った。

「神剣の主が命ずる。天空に散りしマナよ、その流れをたがえ、この曙光のもとへ収束せよ!」
空に向かって放たれた光線が「曙光」に集中して、その刀身を光り輝かせる。
やがて、広げられたニムントールの両腕に抱きかかえられるように、金色のマナの光球が出現した。
626エスペリアの家出・98:04/09/05 17:37 ID:MMSi6Fpk
「マナよ...マナよ、地に斃れし者に、今一度立ち上がり、戦う力を与えよ!」
ニムントールが嗚咽をこらえてそう言うと、光球がウソのように消え去った。
そして、ニムントールの胸の前に、透明な液体が、ふわふわとシャボン玉のように浮かび上がった。

「あれがエーテルか...」光陰が言った。
集束したマナが「曙光」を媒体にして次々とエーテルに変換され、そのエーテル球に吸い込まれてゆく。
最初ビー玉程度だったエーテルが、次第にその大きさを増し、ニムントールの腕一杯に抱きかかえられる。
数本の光輪がエーテルの周囲に現れ、やがてその光輪もエーテルの中へと取り込まれた。
無色透明のエーテルが徐々に人間の形をなしてゆく。
――やがて、エーテルが色づきはじめ、一人の、神剣を握った人間の姿へと、変わっていった。

「あ...?何で、俺は、ここに...。あれ、ニムか?どうした...なんで泣いてる...?」
悠人が、しがみついている小さなグリーンスピリットの頭に手をのせて言った。
「ユート...ユートぉ、良かった...間に合ったよぉっ!」
再び目の前に現れた悠人が、もうどこへも行ってしまわないように、
ニムが泣きじゃくりながら、悠人の体を、力の限り抱きしめていた。
627憂鬱の人:04/09/05 17:39 ID:MMSi6Fpk
以上で第七部終了です。
おにぎりさん、どうもです。
昨日あなたとバッティングしたのは実は私だったりします。
では次スレでお会いしましょう。
628名無しさん@初回限定:04/09/05 17:47 ID:8rmg6q1Q
GJ!

先生!(゚Д゚)ノシ >>626のメル欄で結局ネタに走ってます!
629名無しさん@初回限定:04/09/05 18:43 ID:/xXYrSIN
ニム、ナイスな《レイズ・アンデッド》……ぢゃなくて、《リヴァイブ》だ!


630名無しさん@初回限定:04/09/05 18:50 ID:kwSjSX06
 ヒー(( ;゚Д゚)) そそんな、と思いながら読みました。
 ニムさん、気高く純粋なスピの面目躍如ですね。でもエス……大丈夫……?
631おにぎりの中身の人:04/09/05 19:06 ID:jUZgC+my
いえいえ、短編しか書けない(集中力が持たない)&お笑い系しか書けない俺には、長編書ける人は心の師匠ですので
それのお手伝いですわ。本当にいい話ですた。

俺もがんばらないとなぁ
632名無しさん@初回限定:04/09/05 19:12 ID:LsVhS8NA
憂鬱の人さん、GJです。

・・・でも、エスも使えるんじゃないですか?リヴァイブ。
EXみたいに、エレメンタル・ブラストで上書きされているのか?
633名無しさん@初回限定:04/09/05 19:25 ID:vx3KONXu
乙&GJです!!
リヴァイブがあったんですよね、忘れてました!!!
634名無しさん@初回限定:04/09/05 19:28 ID:2fJ8ew8w
憂鬱の人さん、GJ。

リヴァイブを使うのがエスじゃなくてニムなのは習得レベルが早いから?
635名無しさん@初回限定:04/09/05 19:42 ID:iUsMaPPf
演出の都合(うわーみもふたもねー

…とまあそれは冗談として、ニムの場合レベル99でもリヴァイブが普通に残ってそうなんですよね。
ニムのサポート…ウィンドウィスパーW、エレメンタルブラスト、リヴァイブ(ウィンドウィスパーVかも)
エスのサポート…(SH引継ぎなしの場合)キュアーU、エレメンタルブラスト、ハーベストW
           (Normalから育てた場合)キュアーのかわりにウィンドウィスパーWかアースプライヤーUかリヴァイブか。
           エンジェルプライヤーで消されてるという説もw

ガイアブレスをとってる人はどのくらいいるんですかね?
636憂の字:04/09/05 19:46 ID:lR3rpWHz
>>635
代弁ありがとうございますw
一応舞台はSHモードを想定してますので。おっしゃるとおりエスもリヴァイブ
覚えますが大抵上書きされてるのではないかと。
スキルレベルも低いし、使いづらいんですよね、アレw
今回分書くにあたり、10回くらい死んでもらったユート君のご冥福を
お祈りします。もちろんそのあとニムのリヴァイブかけましたけど。
ヒマでしょうがない方は試してみて下さい。ちなみにニムは余りリヴァイブ以降
使える魔法を習得しないので上書きされてないんじゃないでしょうか。
習得レベルはエスの方が早かったと思います。
637名無しさん@初回限定:04/09/05 20:58 ID:0purcDxS
>憂鬱の人氏
よくぞ立ち直った! 苦境に負けず立ち上がるその姿はまさにスレの鑑!
つーわけで、乙&GJです。

ニム、よくやった!
…あ、いや、おかえり、エスペリア。

……雑魚者でスマソ∧||∧
638名無しさん@初回限定:04/09/05 21:02 ID:xf913mYe
スレの鑑?
639運動着 1/2:04/09/05 21:18 ID:GoNmf99/
 事の発端は、ネリーが我々の世界の服について尋ねた事。
 俺達は制服で戦っているが、これは自分たちの住んでいた世界と今の自分達とを繋ぐものとしての意味合いが大きく、本来制服は激しい動作をする為の服ではない。
 それで運動着について光陰がネリーとシアーに説明していた。
 そして案の定、話はズレてきた。
「ユート様の世界の『ぶるま』って、動きやすいの? それで戦うと戦いやすい?」
「うんうん。良いかも知れないな」
 にやけた光陰の脳裏には、ブルマ姿で戦うラキオススピリット隊の姿が浮かんでいるに違いない。
「そうは思わないか、悠人。みんなに運動着にブルマで戦ってもらえば俺達のやる気も10割増しだよな?」
「俺に振るな。つか、どう考えてもそれはやばいだろ」
「何を言う!! さあさあ、想像してみるんだ、悠人!! ネリーちゃんが!! シアーちゃんが!! ヘリオンちゃんが!! オルファちゃんがブルマ姿で戦う姿を!!」
「……戦いの緊張感が微塵も感じられないぞ。命を賭ける戦場が、運動会のグラウンドになっちまう」
「か〜っ!! 全くお前という奴は。いいか、そもそもブルマというのはだな……」
 ノリにのっている光陰の後ろから、地獄の底から響くような今日子の声が聞こえてきた。
「光〜陰〜」
「ぎくうっ!!」
「ぎくうっ、とか口で言うな!! この変態!! 天誅!!」
 ズドーン!! バリバリバリ!!
「ギャ━━━━━━(;;゚口゚;;)━━━━━━!!」
640運動着 2/2:04/09/05 21:19 ID:GoNmf99/
 やれやれといった感じで今日子がため息をつく。
「はぁ〜。全く、ブルマなんてあんたみたいな変態のせいでもう無くなりかけてるでしょ。私達の学園だってスパッツじゃないの」
「すぱっつって何?」
 ネリーが今日子に尋ねる。シアーもそれに習う。
 二人が来た初めの頃は、光陰が焦げる度に少しは気にかけていたのだが、今ではもう完全スルーだ。
「あー、スパッツって言うのはね、私が履いてるみたいな……」
 今日子がスピリットの皆にスパッツの説明を始めたのを見て、ぷすぷすと煙を出しながらも、光陰は不敵に笑った。
「ふっふっふ、狙い通りだ」
「何笑ってるんだよ、光陰。ブルマ計画が失敗したんじゃないのか?」
「甘いな、悠人。ブルマはおとりだ」
「おとり?」
「その通り。俺はブルマが好きな事に間違いは無いが、今日子がいる以上みんなにブルマを履いてもらうのが無理な事くらい俺だって承知している」
「ほぅ」
「でだ。俺はブルマも好きだが、スパッツも好きなのだ」
「……」
「世の人間は皆ブルマが良かったと言い過去を懐かしんでばかりだが、スパッツも捨てたもんじゃない。
 腰とかお尻の形がよく解るし、何よりもあの真ん中にスジがあるところなんか最高じゃないか!! そうは思わないか、悠人?」
 こぶしを握り締め、語っていた光陰が顔を上げると、そこには今日子の引きつった笑顔。
「あんた、そういう目でスパッツを見てたんだ……#」
「いや、それは!!」
「言い訳無用!! 天誅!!」
 ズドーン、バリバリバリ!!
「ギャ━━━━━━(;;゚口゚;;)━━━━━━!!」
 焦げた光陰を見ながら悠人は光陰とは別の方向の事を考えていた。
 ハリオンがきつきつの運動着を着てたらそれこそ戦いどころじゃないだろ、と。
641名無しさん@初回限定:04/09/05 21:43 ID:9wl8zA40
アソコの月青ブルマよっつの日
 アセリア、ネリー、シアー、セjvp;yi,dsdr,;m 


 …………わ、わかったそれじゃ緑みっつでグギャ
642名無しさん@初回限定:04/09/05 21:45 ID:jClb0pR9
策士だな、光陰・・・
643名無しさん@初回限定:04/09/05 21:47 ID:uyH5o1hB
>憂鬱の人さん
乙&GJです!
緑スピルートが全開で進んでいて、多くの登場人物の活躍に目が離せません。
息を飲んだと思えば胸をなでおろす流れが気持ちよく頭に染みていきます。
ラストスパートになるのでしょうか、残りも楽しみにしています。

>639-640さん
GJ!胸の名札・ゼッケンはひらがなを推しておきたいです。
644名無しさん@初回限定:04/09/05 21:52 ID:xf913mYe
>>643
ヨト語w
645名無しさん@初回限定:04/09/05 21:55 ID:9wl8zA40
そこはそれ、変な漢字をうれしがる外人みたいなもんだ
646名無しさん@初回限定:04/09/05 23:13 ID:hEDngvHL
関係ないけど
実は今スレに入ってからまだ1回も
トキミ乱舞テンプレ使われてない?
647名無しさん@初回限定:04/09/06 00:17 ID:/+hnzm2h
感動台無しな入れ替え。

エスペリアの家出・96−

「確か、グリーンスピリットの神剣魔法の一つに蘇生の秘術があると聞き及んでおりますが...
エスペリア殿ならご存知なのでは?」
「本当か、ウルカ?」光陰が勢いこむ。「どうなんだ、エスペリア?」
居並ぶスピリット達の視線が一斉にエスペリアに集中した。
「も...申し訳ありません。きれいさっぱり忘れました」
エスペリアはうつむいて唇を噛んだ。

上書きしちゃったよVerでした。
ゴメンナサイ。
648名無しさん@初回限定:04/09/06 00:18 ID:aoobT6//
>>646
最近は終わりくらいにしか使われてない
本スレだろ
649名無しさん@初回限定:04/09/06 00:30 ID:S7D9AyyE
みんな、敢えて時深乱舞をくらいたがっている>>647の勇気に応えるんだ!
650名無しさん@初回限定:04/09/06 00:32 ID:S7D9AyyE

   " タイムアクセラレイト
     ´∴   #   __        ゜ヾ´      ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((  649 )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
             =―≡ ̄`:, | ,  | ( ̄=―≒‥,,
  "       ,゛"=―≡―=',/  ノ )∵`=≡―=
            ″( ゚ヮ゚∴/´/ / |  | , ゚ヮ゚ノ'ゞ    ∵゛、 ゜  ¨
  ヾ       =―≡ ̄`:゛/ / \|  |≡―=‥、,、   ヾ
      ,゛"=―≡―='(  |  (  |=―≡―∞=@   , 、∴
               /  |  |  |\ \  ´ ∴  ヾ             .
  ・            / / |  |   | ヽ/⌒〉
     .... .  ............ . .(_  「 _) (_〈_/....... .  .. .  .... . . .

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <sage忘れてますね。
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ
651名無しさん@初回限定:04/09/06 00:33 ID:aoobT6//
>>649

____      ________               _______
|書き込む| 名前:|            | E-mail(省略可): |sage       |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                        ,ィ
                         ,べV       //
ネリーみたいなクールな女には      / 〃  ̄ ヾ;  / ./
    sage進行がぴったりよね〜    ! i ミ(ノハソ / /./
                           !ik(i|゚ ヮ゚ハ<///
                            リ⊂}!廿i つベ/
                               く/Цレ'
                             し'ノ
652名無しさん@初回限定:04/09/06 00:38 ID:aoobT6//
くぅ・・・タイミングが悪かったか…

_| ̄|○
653名無しさん@初回限定:04/09/06 00:41 ID:CVRle5FT
時深おばさんめ
時深おばさんめ
時深おばさんめ
何の脈絡もなく「おはぎ作りました」とか言って
ヘリオンルート阻止したよね
ヘリオンルート阻止したよね
くっそ〜
654名無しさん@初回限定:04/09/06 00:46 ID:lyrRmc6x
気持ちは解るが少しもちつけ
655名無しさん@初回限定:04/09/06 00:51 ID:aoobT6//
>>653
禿胴
だけどそれを口に出すとこうなる

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <すーぱーあまてらす光線!!
   j l||(つと)=============================>>653( ゚∀゚)・∵.======
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ

656名無しさん@初回限定:04/09/06 01:05 ID:AiH7YEtf
>>653
PS2版ではあそこで選択肢キボンヌ
657名無しさん@初回限定:04/09/06 01:18 ID:fYo78CS3
    ,ィ^i^!1-、
   ,(レ´  ̄ ヽ) リ゙レ゙ル゙ラ゙エ゙ル゙
   i`_l !i_!li_!i!リ γ⌒'ヽ
    jixi」*゚ヮ゚ノリ  i ミ(二i
    (ヽ)llΨ)ヽ  ヽ、,,_| |ノ
   ん/うt___|lう    r-.! !-、
             `'----'

>>653 EXPにはヘリオンルートが存在していたのですか?
AAは特に意味無いですよ〜
658名無しさん@初回限定:04/09/06 08:37 ID:aoobT6//
>>657
ない

ちょいバレをすると、
ユートがヘリオンと散歩に出かけようとした時に
おbsnがおはぎ作ってて
おはぎの説明を求められたユートが”お菓子”と説明してしまったがために
たゆんに連行され、デートができなくなるって話
画像板のこれがその時にあたる

http://etranger.s66.xrea.com/bbs/src/1092501731981.jpg
659名無しさん@初回限定:04/09/06 08:39 ID:aoobT6//
ゴメンナサイゴメンナサイ

まだやってない人ゴメンナサイ

∧||∧
660おにぎりの中身の人:04/09/06 08:48 ID:uExWFA8N
どうでもいいが>>657の扇風機の前で発声練習してるエスペリアに萌えた
661名無しさん@初回限定:04/09/06 09:08 ID:aoobT6//
>>660
本スレの方がイイ
662名無しさん@初回限定:04/09/06 09:50 ID:+ESqF2uh
>>658
だからあそこに貼ってある画像は、「わざと全部微妙」にしてあるんですよね。
663憂の字:04/09/06 11:33 ID:jtdEqOn9
あまり感想→返事ではループしちゃうので程々にしときます。

>>630まあ、メル欄の雰囲気からすると大丈夫だと思いますよ。(←無責任)

おにぎり様>>631小ネタはこのスレの命です。がんがってください。ホントはウチのユート君も
ナナルゥの事すごく心配してるんですが、どうしても忍者ナナルゥのイメージが強すぎて
絡ませづらいんです。

寸劇様>>637前回のあとがきで心配かけたみたいですみません。
あくまでここは雑魚スピ天国です。むしろエスものの私が異端児w

>>643そこまで楽しんで頂ければ書き手冥利につきます。

>>647実は原案ではまだしぶとく生きてるユート君とエスとの掛け合いを
考えてたんですが、まだエスが漫才できる状態じゃないので、泣く泣くネタから
身を引きました。

・・・扇風機のエス、いいなあ。(ボソッ)
664緑と共に 1/5:04/09/06 11:45 ID:/+hnzm2h

 聖緑エンド後ファンタズマゴリアサイド「緑と共に」

 ファンタズマゴリアを滅ぼそうとしたエターナルを退け、ファンタズマゴリアは新しい一歩を踏み出した。
 エーテル技術は使えなくなり、新たな技術を生み出す為のヒントを得るためにヨーティアは研究室に光陰と今日子を呼んだ。
 光陰が自分達の住んでいた世界の文明や技術に関する説明をしている。
 今日子はといえば、この類の話で光陰に勝る知識など皆無に等しく、話に入れずお茶を飲んでいるばかりだ。
「なるほど、石炭、石油にウラン、か」
「ああ。だが、このファンタズマゴリアにこれらの資源が存在するかどうかは知らないし、何よりもそれらを使った文明を作る事を俺は薦めない」
「そうだね」
「なんで? エーテルに変わる文明は必要じゃないの?」
 今まで話に入れず横にいるだけだった今日子が口を挟む。
 それに答えるヨーティアと光陰。
「まあ、コウインの言う事を踏まえるとだ、その化石資源にしろ鉱物資源にしろ、マナ同様に有限なものである事に変わりは無いようだ」
「そう。だからこそそれらをめぐっての戦争だってあっただろ? 資源自体もいつかは無くなっただろうしな」
「有限なる物は全ての人に公平にいきわたる事は無いし、それゆえ新たな火種の原因となる。それに、環境にも色々問題が出そうだ。誰かから奪い、未来の子供達に問題を押し付ける文明のあり方は、ちょっとね」
 それらを使って生活していた自分よりも、話を聞いただけのヨーティアの方が私達の世界について色々見抜いてるみたいだ、と今日子は思わざるを得ない。
 一を聞いて十を知る、その洞察力に舌を巻く。そして光陰とヨーティアの言っている事は確かにその通りだと、今日子は納得する。
665緑と共に 2/5:04/09/06 11:46 ID:/+hnzm2h
 自分達のいた世界では、資源をめぐってのさまざまな形での争いが絶えなかった。
 環境に関しても、オゾン層の破壊、温暖化、酸性雨、放射性廃棄物の処理問題。
 水は汚れて水道水をそのまま飲む事は躊躇われたし、川の水など言わずもがなだ。
 空気も汚かった。この世界の夜空を見上げた時はあまりの星の多さに驚いたものだ。それはこの世界から見える星の数が多いというのでは無く、自分達のいた世界の空気が汚れていた為だ。
 今日子がぱっと考えただけで自分達のいた世界の問題にもそれだけ思い当たる。
 今日子ですらそうなのだから、おそらく光陰やヨーティアにはその何倍もの問題が頭に浮かんでおり、それに関する深い考察がある事だろう。
666緑と共に 3/5:04/09/06 11:50 ID:/+hnzm2h
「誰かから奪って得たものや未来に問題を先延ばしして得るものにそれだけの価値があるのかというと、俺はノーと言わざるを得ない」
「でも、それって……」
 理想論じゃないのか、と言いかけた今日子を、ヨーティアがきっぱりと遮った。
「世界中のみんな。未来のみんなが残らず幸せになれるように考える。無理といわれる事に挑戦し成し遂げるからこその大天才さ」
 自信に満ちた笑み。今日子も光陰も、ヨーティアのこの笑みに裏切られた事は無い。
 光陰が窓の外を見て言う。
「向こうの世界からこっちに来て思う。物が豊かである事が、イコール幸せじゃない。皆が額に汗を流して働き、協力しあい、助け合う。
 誰かに喜んでもらいたいと思い、何かをなす。相手が喜ぶ姿を見て自分も嬉しくなる。
 それだけの事が凄く幸せな事だとしみじみ気付かされた。
 今のこの世界のカタチが、ある種理想形なのかもしれないな」
 新しい煙草に火を着け、ヨーティアが光陰の言葉に応じる。
「結論を急ぐ必要は無いけれど、私もそう思う時があるよ。自然と共にある事。いつまでも継続可能な文明。それが理想なんじゃないかって。
 もっと豊かに、もっと豊かになりたいと思っていたら満足する事は決して無いからね。そして何かを得た時になって初めて、別の大事な何かを失っている事に気付く。
 失って初めて解るなんて陳腐な言い回しだが、幸せなんてそんなもんさ。
 追えば追うほどに逃げていく。で、立ち止まってみればそれはすぐ隣にあったりする」
「心が満たされていると感じ、今という時に感謝し、幸せと思う事。それを死ぬまで続けていれば一生幸せって事だ」
「まぁ、現状に満足しちまったら学者は廃業するしかないんだが」
 苦笑しながらヨーティアは紫煙を燻らせた。
667緑と共に 4/5:04/09/06 11:55 ID:/+hnzm2h
「いや、ありがとう。参考になったよ」
 資料をとんとんとまとめながらヨーティアが言った。
「そうかな。何も参考になるような情報は提供できなかった気がするが」
「いや。十分さ。コウイン、キョウコ」
「あはは。光陰ばっかりで私は全然役に立たなかったけどね」
「惚れ直したか?」
「ばーか。そういう事言わなきゃかっこいいままなのにね」
「ちぇ」
 ちょっと残念そうな顔をして見せる光陰だが、今日子の笑顔を見て、隣に今日子がいるからこそ今を幸せと感じられるのだと心から思う。
 幸せなんて、そんなものなのだ。
 人の手は二つしかない。手に掴めるものは限られている。欲張って色々なものに手を伸ばすには今持っているものを手放さねばならない。
 そんな事よりも、手の届くところにある彼女の手をを放さない。それが一番大事だし、大切だし、幸せな事だ。
「何よ、ニヤニヤして気持ち悪いわね」
「いや、何でも無い」
「変な奴〜。じゃ、ヨーティア、私で役に立つ事があるかどうか分からないけど、何かあったらまた呼んでね」
「ああ。失礼させてもらうぜ」
668緑と共に 5/5:04/09/06 12:00 ID:/+hnzm2h
 今日子に続いて光陰が退室しかけた時、後ろから声がかかった。
「なあ、コウイン」
「ん、なんだ、ヨーティア?」
 光陰は振り向く。
 ヨーティアは光陰の方を向く事無く、資料を整理しながら尋ねた。それはヨーティアが人に質問するにしては非常に珍しい姿勢。
「あんたから見たクェドギンは、どんな奴だった?」
「大将、か」
 少しだけ考えると、光陰は静かに語る。
「大将は、誰よりもこの世界を愛していたんだと思う。だからこそ、この世界が神剣に操られているのに気付いた時に誰よりも苦悩したんだろう」
 問いとはちょっとずれた答えだったが、それがヨーティアの求めた答えだと思ったから光陰はそう答えた。
 ヨーティアもそれに満足したのだろう。
「そうか」
 とだけ、小さく返した。
「ヨーティア。責任重大だぜ? 俺達は大将にこの世界を任されたんだからな」
「誰に言ってる? 私は大天才ヨーティア・リカリオンだぞ」
 顔を上げ、ヨーティアは光陰の方を向いていつもの笑顔で言う。
「何百年、何千年経っても、子供達が幸せに笑っていられるような世界にしてやるさ。大天才の名にかけて」

 そして、エスペリアエンドエピローグへ。
669緑と共に あとがき:04/09/06 12:00 ID:/+hnzm2h
 エスペリアエンドが切ないという書き込みを見て、何か俺の感想と違うなと思ったので書いてみました。
 今の我々の世界の文明をこのまま続けるとしたら、数百年後、もしかしたら数十年後があるかどうかもかなり疑問だと思うのですよ。
 環境を破壊し、オゾン層が破壊されたが故に晴れた日は紫外線を気にせねばならず、大気が汚れている故に雨の日は酸性雨に注意せねばならず、
 有限なる資源をムダに消費し、将来の自らの首を締めるような今のこの我々の世界の文明のあり方が、そしてこの延長上にある文明が必ずしも正しいとは思えないのです。
 それよりも、子供達が自然の中で元気に遊びまわる世界の方が、或いは幸せなんじゃないかと。
 あのファンタズマゴリアの姿も文明進化の一形態だと思うのです。
 聖緑エンド後ということもあり、そんな気にさせられたのですが、どうですか?

 それにしてもザコスピとはかけ離れたSSでした。
 お許しくださいな。
670名無しさん@初回限定:04/09/06 12:23 ID:Rt4lP1Z1
GJ。自分は一周目がエスペリアだったから光陰とこういう風に絡ませるのはちょっと新鮮だったよ。
まあ、エスペリアに限らずほとんど同じ感じでファンタズマゴリアは退化ってか恒久化したんだろうとは思うけど。
671名無しさん@初回限定:04/09/06 16:28 ID:9+VfLPoc
>669さん
一見、退行したように感じていたその後のファンタズマゴリアに込められた先人達の想い。
確かにヨーティアならそんな風に世界の未来を守っていきそうでした。GJです。

レス数節約ごめんなさい、募集が始まっていたアオリ文ネタを。

新しく与えられた物語にさえも残された空虚を埋めるべく、雑談の中から
AA、SS、絵に小ネタ、ありとあらゆる補完を生み出す因果なスレ住人が
全てのファンタズマゴリアに生きるものの幸せを誓い
更なる夢想を求め続ける、ここはアセリアネタ総合スレッド
672名無しさん@初回限定:04/09/06 17:54 ID:TSpwHgLl
>>671
とりあえず乙
でもココってほぼ確実に1000前に500KB逝くから
あんま関係ないんじゃないの?
と言ってみる
673次スレテンプレ1/2:04/09/06 19:25 ID:zDX62Mj5
新しく与えられた物語にさえも残された空虚を埋めるべく、雑談の中から
AA、SS、絵に小ネタ、ありとあらゆる補完を生み出す因果なスレ住人が
全てのファンタズマゴリアに生きるものの幸せを誓い
更なる夢想を求め続ける、ここはアセリアネタ総合スレッド

前スレ:永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 5
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1093532912/
発売元:Xuse公式サイト(『永遠のアセリア』は【本醸造】より)
http://www.xuse.co.jp/

外部板:SS保管庫@アセリアネタ総合
http://jbbs.shitaraba.com/game/13463/
外部板:雑魚スピスレ画像補完庫(画像掲示板)
http://etranger.s66.xrea.com/

過去スレ、関連スレは>>2以降に
674次スレテンプレ2/2:04/09/06 19:25 ID:zDX62Mj5
過去スレ
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 4
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1091602820/
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 3
http://etranger.s66.xrea.com/past/past3.htm
永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 2
http://etranger.s66.xrea.com/past/past2.htm
永遠のアセリア・雑魚スピ分補充スレッド
http://etranger.s66.xrea.com/past/past1.htm

関連スレ
エロゲー板:Xuse(ザウス)総合28
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1093859522/
エロゲ作品別板:永遠のアセリア(Xuse【本醸造】)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1092787723/
ギャルゲー板:永遠のアセリア-The Spirit of EternitySword-(仮
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gal/1092327160/
675保管庫の人:04/09/06 19:30 ID:zDX62Mj5
よもやスレ立て2週間足らずでスレ移行になるとは予想だにしませんでしたが、
これも一重に住人諸氏の熱い補完魂のたまものと、御礼申し上げます。

今後のスケジュールは、間もなく道行き書き氏の方からご投稿がありますので、
それ以降はSSの投稿を凍結し、移行トリガ(475KB)を引き次第、次スレ立てを
よろしくお願いします。
676名無しさん@初回限定:04/09/06 19:35 ID:TSpwHgLl
>>675

sageネリーたんもテンプレにいれようよ、と言ってみる
677名無しさん@初回限定:04/09/06 19:52 ID:07q7IPvX
 まだまだ先が見えない大陸の情勢の中、いくら戦果をあげたとしても
のんびりしている暇など与えられることは無い。少しでも休む時間があるなら先に備えろと
戦術の講義やら、戦闘技術の訓練やらが待っている。
 そうした代わり映えの無い日の昼過ぎ、森の側の訓練所で俺は一人のスピリットと向かい合っていた。
「で、今日の訓練の相手はヒミカか」
「ええ。宜しくお願いします、ユート様」
 言いつつ距離を取って大型の双剣を油断無く構えるのは、俺が声に出したとおり
ラキオススピリット隊の切り込み隊長ヒミカ。とても訓練とは思えないその気迫に、
知らず『求め』を握る手にも力がこもる。実際に神剣を使った打ち込み稽古なんだから
それくらいでないとかえって危険なのだけれども、正直仲間相手に本気で向き合うのはどうも苦手だ。 
 ……まあ、本気で向かって来られるくらいには、俺も認められたってことだと思いたいけどな。
以前までは、俺の実力不足や実績不足がヒミカをはじめ何人かに不満というか、不信を抱かせてしまってたんだから。
 などと考えているうちにヒミカの準備は万端になったようだ。彼女の持つ『赤光』にマナの力が行き渡り、
その名が示すとおりに刀身が淡く輝き始めた。
「それではいきますっ!」
「おうっ!」
 存分に力を込められたダブルスイングが、張り巡らせた障壁に叩きつけられる。全ての勢いを殺しきれずに
衝撃が俺の身体を揺さぶった。とは言え、身体に傷をつけない程度の手加減がなされているのもヒミカの
実力のうちなのだろう。そして一度ヒミカは大きく下がり、俺が障壁を張りなおす猶予を取って、
再び剣に力を込めつつ跳び込んできた。もちろんこの攻撃も先ほどと同じように弾き返す。
「ふぅ、では次はユート様の攻撃です。どうぞ、ご遠慮なく仕掛けてきてください」
「ご遠慮なくって……ダメだろ、いくらヒミカが接近戦が得意だっていってもディフェンダーに
向いてるわけじゃないんだから。訓練用の全力でいってみるけれど、やばそうだったら言ってくれよ」
「無理をするつもりはありませんから心配いりません。それに、力を出し切るのがこの訓練の意義です、
いらない加減をして訓練になると思っているのですか。さぁ、どうぞ」
678騎士の心、柔隠2/8:04/09/06 19:55 ID:07q7IPvX
 障壁を張る準備を整えながら、ヒミカはその場に立ち続けている。一応、相手の防御能力を考えて
一番手加減ができる攻撃を仕掛けることにしよう。
「……いくぞ!」
「はいっ」
 一跳びにヒミカとの距離を詰めて、大上段から叩き下ろし、返す刀で胴を薙ぐ。
力を抜いたつもりでも、やはりエトランジェの力というのは大きいらしい。ヒミカの作った障壁を切り裂いた
感触に慌てて『求め』の速度を緩めて飛び退いた。とりあえずもう一度仕掛ける前にヒミカの様子を盗み見たところ、
まだこちらの攻撃を受ける余力は残っているように勝気に視線を送り返している。それなら。
「はぁぁぁっ!」
 俺の体が動く限りは攻撃をかけないと訓練にならない。普段どおりに二撃目を繰り出すために大きく飛び出して、
「く、ぅぅっ」
 ヒミカが障壁を張ろうと手のひらを盾にするように突き出すのを視界に収めたその時、
盾にするためのマナが霧散するのを空気の流れ方から本能的に感じ取った。
「な……危ないっ!」
 咄嗟に『求め』を掴む腕を身体の後方に流し、左肩からの体当たりに切り替える。
飛び込んだ勢いを消しきれずに、急に攻撃方法を変えられたために目を見開いたヒミカの表情を捉えた所で
自分の身体にも衝撃が走った。正面衝突した後ヒミカと一緒になって地面を転がっているのを自覚しながら、
少なくともヒミカに、できれば自分にも『求め』が刺さらないように気をつける。
 運良く、俺たちに『求め』や『赤光』が危害を及ぼすこともなく、俺が木の幹に背を打ちつけたところで
二人の身体の動きは止まった。俺の息も止まった。あまりの衝撃に呼吸ができない。
「く、はぁ……」
 ようやく身体が息の仕方を思い出した時には、ヒミカは既に衝撃から立ち直り俺の胸元の横の地面に手をついて
身体を起こそうとしている所だった。って、息の仕方を忘れてただけならともかく、
その直前のヒミカの体勢も記憶から飛んでるぞ。あぁ、勿体無い……じゃなくて。
679騎士の心、柔隠3/8:04/09/06 19:56 ID:07q7IPvX
「その、大丈夫か。ヒミカ」
「あ、は、はい。私に剣は当たっていませんし、今も、ユート様が庇ってくださいましたから」
「そっか。良かった」
 俺の言葉に、律儀に今の体勢のまま答えることを優先する。ただ、半ば覆い被さられているような感じで
声を返されても気恥ずかしさが先にたってしまう。少しぶっきらぼうになってしまった返事を聞いて、
俺が起き上がろうとする気配を感じ取ると、ヒミカもまた自分が俺の動きの邪魔になっていることを理解し、
ややぎこちなく身体を離した。
「でも、防御できるのが一回しかないなら先に言ってくれ。本当にびっくりしたんだからな」
 足を伸ばして座った姿勢のまま背中を木に預けなおす。無防備に背中を打ったダメージが抜け切るには
もう少し時間が必要らしい。一度立ち上がりかけたヒミカも、俺の状態を見てやや離れた位置に
腰を下ろしている。やはり上半身に痛みがあるのか、背中やわきの下、ちょっと目のやり場に困る
けれども、控えめな胸元を気にするように手をやり身体を捻っていたが、
俺の文句を耳にして、軽く俯きながら言葉を返してきた。
「す、すみません。ですが、もう少しでもう一段上の技能が掴めそうでしたので……」
「あれか、極限状態で新しい力が手に入るとか何とかいう」
「……はい。ユート様と、ユート様が振るう『求め』が相手なら力を引き出す原動力になると思いました。
ユート様が攻撃を切り替えなくても失敗のようでしたので、謝るしかないのですけれどね」
 なんてことを。熱血系主人公の特訓じゃあるまいし。もう少し気をつけて欲しいと文句を続けようと
思ったけれども、ヒミカのことだ、何が今の手段で悪かったか、何処が次の訓練のときに生かせるかを
自分で考えることができるだろう。背筋を伸ばして、深呼吸を一つ。よし、動くのに支障はない、と。
「まあ、たいした怪我が無かったならいいよ。それじゃまた攻守交代だな」
 すっくと立ち上がってヒミカのほうに歩み寄る。まだ一度ずつしか打ち込んでないんだから、
普段の量には全然足りてない。俺から打ち込むのはちょっとまずいだろうけど、ヒミカの攻撃に耐える
ことならまだまだいくらでも出来そうだし。
680騎士の心、柔隠4/8:04/09/06 19:57 ID:07q7IPvX
「え。ゆ、ユート様のお身体は、もう大丈夫なのですか」
「ああ。ちょっと打ったくらいなんだから心配しなくてもすぐ勝手に治る。ヒミカはどうかな」
「か、身体に支障はありません。ええ、訓練を続けても大丈夫です。心配いりません」
 慌てたように立ち上がって、『赤光』を掴む。そのまま小走りに俺たちが元いた場所に戻っていく。
どうやら、今の言葉に間違いは無いようでほっと胸をなでおろす。
 それはいいけど、何というか、妙に緊張したような挙動に俺も落ち着かなくなるような気がした。
確かにヒミカを庇ってる時には、片腕で身体を抱えてた覚えがあるし、木に衝突した直後はやっぱり
俺の上に乗っかってたんだと考えられる。
「ひょっとして、照れてるのか?……まさかな。ヒミカだし」
 誰に聞かせるわけにもいかない呟きを発したら、逆に俺のほうが恥ずかしくなってきた。
 咄嗟のこととは言ってもしばらくは密着状態だったんだから。

 先ほどとは異なった緊張に包まれた雰囲気を感じながら、再び俺とヒミカが対峙する。
『赤光』が淡く輝くのも同じ、『求め』を盾にして障壁を準備するのも同じ。だけど、それを持つ
俺たちがどうも同じようには向かい合えていないように思う。俺の場合はさっきの体勢のことに
意識がいくのを考えないようにしてのことだと思うのだけれど、ヒミカの場合はどうなんだろう。
「……いきますよ!」
「ああ!」
 攻撃する前に一度大きく深呼吸して、ヒミカは真っ直ぐに切り込んでくる。技も先ほどと同じダブルスイング。
だがしかし、その剣の振りの大きさも、スピードも斬撃の重さも、何か遠慮しているように加減が感じられた。
「俺なら大丈夫だから、もっと全力で来い!それじゃ訓練にならないって言ったのはヒミカだろ!」
681騎士の心、柔隠5/8:04/09/06 19:58 ID:07q7IPvX
気の抜けた一撃目を全力で弾き返した所で、聞こえるように大声で怒鳴る。跳び退るヒミカの顔色に朱がさしたことから
きっと耳に入っただろう。同時に微かに唇が動いたような気がしたけれど、その言葉の内容までは分からない。
「このぉぉ……てやぁぁぁぁぁっっ!!」
 距離を稼いで『赤光』に力を込めると、一撃目とは違う気合を発しながら半ばやけくそ気味に全速で突進してくる。
「え、何か力の入れ方が違うような……く、バカ剣!」
 慌てて障壁を張ろうと『求め』を構え直した時には、既に目の前にヒミカが迫っていた。
今日の一度目の攻防よりも遥かに力の入った動きで『赤光』を大きく振りかぶる。
 しかし、ヒミカがそれを力強く振り下ろす直前に、それは起こった。
 ヒミカが『赤光』を俺に向かって振り下ろす為に胸を大きく反らして剣を構えた瞬間ヒミカの表情が凍りつき、
その胸元が、何かから解放されるようにふっくらと持ち上がったのだ。まるで、パンの生地が膨らむのを
早送りで見ている様な感覚に陥って、思わずぽかんと口を開けてしまう。ぎりぎり掴めるかどうか……という
感じだったヒミカの胸は、最後には手のひらにちょっと余るくらいにまでその大きさを変化させていた。
「あ……あ……」
 その光景に目を奪われた俺を見て、ヒミカの動きも止まる。いや、赤くなっていた顔をさらに染めて、
恥ずかしさで薄く涙を浮かべかけながらふるふると身体を震わせていた。そんな風に動いているので、
押さえていた物がなくなったらしい胸元も一緒になって震えているのが目の当たりになってしまっている。
 馬鹿みたいに見続けている俺の頭の中に、『求め』からの警戒音が鳴り響く。はっと気付いた時には
ヒミカが『赤光』に、今まで訓練でも戦闘でも感じた事の無いような膨大なマナを注ぎ込んでいた。
「い……ぃやぁぁぁぁぁっっ!!」
 目を瞑り、目じりから涙の粒を飛ばしながら、防御が遅れた俺に渾身のダブルスイングが叩きつけられる。
狙いも何も無い一撃はかろうじて直撃することなく地面を抉り、俺が慌てて張った障壁を二撃目が打ち砕き、
残った衝撃が今度は俺だけを吹き飛ばしたのだった。
682騎士の心、柔隠6/8:04/09/06 20:00 ID:07q7IPvX
 またしても背中を強かに打ちつけ咳き込んでいる俺に、何とか落ち着きを取り戻したらしいヒミカが
駆け寄って来る。自分でやったことを反省してくれるのは嬉しいけれど、その動きはちょっと目の毒だ。
「すみませんっ、私としたことが我を忘れてしまって、本当にすみませんっ」
「あ、謝らなくっていいって。正直、何がどうなってるのか全然分からないけど、
ヒミカが怒るのも当然のことをしちまったのは確かなんだし。じろじろ見てた罰が当たっただけだ」
 膝をついて俺を覗き込むヒミカから軽く目をそらしながら返事をする。何故なら今も軽く四つん這いに
なっているヒミカの体勢のせいで、厚手の戦闘服の上からでも分かるくらいに重力に引かれている胸が
ちらついているんだから。
 自分でも、服の上からくらいならハリオンと比べれば、と考える部分はあるけれど、
予想外のインパクトにすっかりついていけていない。
「いいえ、確かに、ユート様のせいだという部分もあるのですが、訓練中にこのようになってしまったのは
私の手違いですから……あの、少しの間後ろを向いていただけますか」
 俺の言葉にまた慌て出したヒミカがそう言いながら自らも俺に背を向けてやや距離をとる。
もちろん言われたとおりに後ろを向くと、耳にしゅる、とか、ごそごそ、と衣擦れの音が。
 い、一体俺の背後で何が!?
「ゆ、ユート様、こちらを向いてくださって結構ですよ」
 何とも落ち着かない気分を引きずったまま振り返った俺の目に、やはり衣服の上からでも
判別できるふくよかな胸をもったヒミカが映った。正面に向かい合って腰を下ろし、その手には
脇に立て掛けられた『赤光』ではなく包帯のように巻き取られた一本の細長い布が握られている。
 あれは……包帯じゃなくて。
「さ、サラシ?」
「はい……直接、攻撃をかけるのに、ど、何処とは言いませんけど、邪魔でしたから、着けているんです。
それが、あの体当たりの時から、ゆ、ユート様が背中を掴むから、ほど、解け始めて、しまって。
いえ、助けて頂いたのは、ありがたいと思っていますから、お気になさらずに構いません」
683騎士の心、柔隠7/8:04/09/06 20:02 ID:07q7IPvX
 ヒミカは努めて冷静に事態を説明しようとしているつもりらしい。でも今の言葉を出すのにも顔を赤くして
俯きながらつっかえつっかえにしか喋れていなかった。もしかすると、こういう話は苦手なのかもしれない。
「どうにか、戻せないかと困っていても、ユート様は気付かずに話し掛けられるし、き、気付かれるのも、
それはそれで困りますし。私の気も知らないで、訓練を再開しようと言い出してしまわれるし。
注意を受けたところで、なんだかパニックになってしまって……」
 つまり、しきりに上半身を気にしてたのは怪我じゃなくてサラシを直せるかどうか弄ってたってことで、
妙に動きがぎこちなかったのはいつ完全に外れるか気が気じゃ無かったってことか。
「そ、それで、あの振りかぶった時に一気に外れるか何かしちゃった、と」
 そんな恥ずかしがる様子を長々と観察する趣味は俺には無いので、助け舟を出すつもりで
一気に結論まで引き継いで言う。ところが、自分で説明するよりも俺に言われてしまう方がヒミカの精神への
ダメージは大きかったらしい。再びあの瞬間を思い出したように耳まで血が行き渡って小さくなってしまった。
「……ごめん」
「いえ、本当のことですから。とは言え、あそこまで驚かれることは無いでしょう?」
 溜め息をついて、少しは動揺が収まったらしいヒミカが口を開く。
「いくら訓練中でも、あのように隙だらけでは困ります。戦場では何が起こるか分からないのですから
どんな時も平静でないといけないんです。ユート様が相手で動揺した私が言っても、説得力は無いですけれど」
 言葉を終えた後、ヒミカは再び何か恥ずかしそうに目をそらして押し黙ってしまった。
 どうにも気まずい。どうやらヒミカが苦手そうなこの話題をさっさと終わらせた方が良さそうだ。
「分かった、気をつける。でも、ヒミカが悪いと思うことは無いんだって。外したのは俺なんだろ、
そういう事をした奴がどんな目に会うのかは身に染みてるから、気にしないでいい」
 脳裏にハリセンと数珠を思い浮かべてしまい、二人がどうしているかに考えが飛びかける。
思わず歪んだ顔に、ヒミカが心配そうに言葉をかけてきた。
684騎士の心、柔隠8/8:04/09/06 20:06 ID:07q7IPvX
「当たりはしなかったと言っても、その、何も直接見られたわけでも無いのにやりすぎてしまったのは
確かですから。本当に、お怪我はありませんか」
「ああ、大丈夫だって。ヒミカが困ってるのにも気付かないで、体当たりした時の怪我が無くて
良かったって喜んでただけだったんだから、いい薬だ。それにさ、やりすぎたって言う
さっきの攻撃って今までに無いくらいの威力だったのは確かだろ。
あれくらいの攻撃がいつも出せたら結構凄いんじゃないか」
 喋っているうちにダメージも抜けていたらしく、特に問題なく立ち上がることが出来た。
俺に続くようにヒミカもそっと立ち上がって、空いているほうの手で『赤光』を掴む。
「あの時は殆ど無意識でしたからいつもいつも出来るとは限りません。
意識して乗せられるマナの量は試してみた所で……え、これは……」
 半ば冗談で、『赤光』に力を込めてみたのだろう。しかし、今ヒミカが持つ『赤光』からは、
今日訓練を始める前とは一味違う力が感じられた。
「どういう事、でしょうか。これは」
「うーん。これが、『極限状態で新しい力が手に入る』って奴なのか?」
 だとすると、ヒミカにとっての極限状態っていうのは……
 どうやらその考えにヒミカも思い当たったらしい。
「こ、こんな恥ずかしい思いをするのは二度と御免です!そうよ、日ごろの訓練の成果が出たに決まっているんだから!」
 きっと無意識に、ヒミカは他のみんなと話す口調に戻って力説する。
 まぁ、そう考えた方がヒミカの精神衛生上、良いに決まってるよな、うん。
「とにかく、これじゃあ今日は上がりかな」
「そう、ですね。そうして頂けると助かります。……すみませんがお先に失礼します、それでは」
 そう言うや否やほっと軽く息をついて、落ち着かない様子でやや早足に詰所方面へと進んでいく。
 でもな、視線をヒミカ自身の胸元にやって、揺れたり、服に擦れたりするのを気にしながら帰るのはよして欲しかった。
表情やら仕草が普段のきりりとしたものとは違って見えて、俺だって落ち着かなくなってしまうから。
 今日の訓練が色々と忘れられない物になってしまったと思いながら、俺もまた自分の部屋へと帰るのだった。
685道行書き:04/09/06 20:13 ID:07q7IPvX
レベルが上がりました。ヒミカLv9→Lv10
新たな技を習得しました。ダブルスイングT→ダブルスイングU

紹介されて登場しといて、胸ネタを落とすのかー!……
とガクブルしてしまったようです。タイトルミス、申し訳ありません。
イビルルートで「大きい」と明言されていたのをいいことに、EX・PS2の立ち絵に反抗してみる。
自分で「水着で谷間が」とか書いたから引っ込みがつかなくなったとも。
前スレ566さんの貧乳ヒミカに萌え転がっておきながら、
「実は結構ある」という方向から攻めてみたくて、
先日の乳祭りに居合わせることが出来なかった勢いで書いてしまいました。
それでは失礼します。
686名無しさん@初回限定:04/09/06 20:18 ID:Ls2sCfnG
ナイスおっぱいです!
687保管庫の人:04/09/06 20:20 ID:zDX62Mj5
……………………( ゜Д゜)
688名無しさん@初回限定:04/09/06 20:33 ID:QFERxU6j
つまりサラシネタを使えばどんなキャラも巨乳にできるわけだな…………



これは神の言葉か!
689名無しさん@初回限定:04/09/06 23:09 ID:WEgtARrf
  だ が 貧 乳 も イ イ
690寸劇の人:04/09/06 23:24 ID:bTD4fBJC
さすが、たゆん書き1号
691名無しさん@初回限定:04/09/06 23:53 ID:w5wmlYm+
GJ

新スレが近い…
692名無しさん@初回限定:04/09/07 00:07 ID:PShpay0z
なんというか……凄い極限状態、G.J.でしたw
693名無しさん@初回限定:04/09/07 01:08 ID:t1uZhGm2
>>今日の訓練が色々と忘れられない物になってしまったと思いながら、俺もまた自分の部屋へと帰るのだった。
 ハアハァ (´Д`)
694挿入歌:04/09/07 01:51 ID:lTl+fon2
あれは聞き慣れた言葉 時に人を狂わせる
これは行き場無く漂い 水面揺らす泡沫の夢

高く燃え上がる想い 時に人を傷つけ
やがて戦場(いくさば)を彩り 夜を照らす紅の月

名も無き花は 芽となりて
名も無き人の 悲しみ溢れる


散り行く花は 芽となりて
散り行く人の 儚きを偲ぶ

覚えていますか 過ぎしあのころ
今もいつまでも 忘れえぬ日々

…誰か英語を聞き取ってくれorz
695名無しさん@初回限定:04/09/07 02:12 ID:XxeZuX95
>694
歌いだしは「あれは」ではなく「forever」に聞こえるのだが…どうだろう?
696名無しさん@初回限定:04/09/07 02:17 ID:t1uZhGm2
 なぁ、一応云うけどさ、マニュアルに歌詞載ってるぞ。英語部分も。ついでにOPもEDも。
697名無しさん@初回限定:04/09/07 06:05 ID:11uAXenO
書いてあるね、漏れはゆっくりだし、英語の方が聞き取りやすかったわ。

というわけでEXP終了。とりあえず

雑魚スピ好きなやつはPS2版買わないとダメなのか、と思った。
記事とかに出てるあのCGはEXPにはないのね…
698名無しさん@初回限定:04/09/07 06:28 ID:NzEPhv4M
雑誌記事とかのCG。
眉毛の太くないファーレーンなんて、ファーレーンと認めません。
699保管庫の人:04/09/07 07:57 ID:fAlgad1a
反対意見とかないようですし、次スレからEXネタバレ解禁と言うことでFA。
700保管庫の人:04/09/07 07:58 ID:fAlgad1a
そしてIDもFA
701名無しさん@初回限定:04/09/07 08:52 ID:eZYOEVMl
>>700
おめw
702名無しさん@初回限定:04/09/07 10:15 ID:ihlAQ7PF
たゆん書き、もとい、道行書き様>>685遅ればせながらG.J.です。
じゅ...じゅーいん...
ヒミカ、隠し事は良くないぞ、と言ってみる。
703694:04/09/07 11:43 ID:lTl+fon2
ぐあ…マニュアルなんて見て無かったよ…
おbsnに殴られてマナの霧になってきます…orz
704名無しさん@初回限定:04/09/07 13:07 ID:aBIQzuxv
クリティカルワン!
    __
 「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))  \\
 | l|| ゚ヮ゚ノl|    | |
と( /y/ ̄)し    | |
   Y_/ノ   人
  くσしレゞ  <  >_Λ∩
  // ψ //. V`Д´)/
 レ_フ彡        /  ←>>694
705道行書きさんに触発されて:04/09/07 20:28 ID:Bd50flGs
「え、光陰さま、それじゃ……」
「ああ、悠人は間違いなく巨乳好きだ、親友の俺が言うんだから間違いない。本人は否定してるがな。」
「そ、そうなんですか……(私なんて……はぁ……)」

かぽーん

「あ〜、やっぱりお風呂はいいわねぇ〜」
「はい〜、一日の疲れが癒されます〜」
「そうだヘリオン、背中流しっこしようか……って、どうかした?」
「いえ……ヒミカさんって意外と大きいんですね……って、な、なんでもないです!」
「え?ああ……普段はサラシで巻いてるからね。大丈夫よ、ヘリオンもその内…………」
「…………(そうか、サラシを巻いてるんだ……)」

次の日の訓練

「動きが鈍いぞヘリオン!どうしたんだ、いつもの半分も動いてないじゃないか!」
「は、はいっ!(やだ、サラシが解けてきて……)」
「もう一度行くぞ!うぉぉぉぉっ!」
「わわっ!ユートさま、ちょ、ちょっと待ってください……きゃっ!」
ぷにん♪&ぱらり
「えっ、おっと、ヘリオン、なんか落ちたぞ……って、サラシ?」
「きゃー!きゃー!!きゃー!!!」
「……なんだってサラシなんて巻いてるんだ?」
「………………(真っ赤)」
「……あーその、俺が言うのもなんだけど、ヘリオンにはまだ必要ないと思うぞ?」
「え………………?」
「ヒミカ辺りはさ、無いと動きにくいというか、胸がじゃまというか……」
「………………」
「ヘリオンはさ、今のままで十分動けるじゃないか。だから……」
「ユートさまのばかーーー!!!うわ〜〜〜ん!!!」
「お、おい、ヘリオン?……行っちまった。何だ?俺また何か余計な事言ってたか?」
「「「###ユートさま、デリカシーって言葉、知ってます?」」」
706名無しさん@初回限定:04/09/07 20:34 ID:t1uZhGm2
包丁一本ちびスピドリンク
707おにぎりの中身の人:04/09/07 21:00 ID:xabRMLeo
どういうわけか・・・この第1スレから読み直した後に寝たら、スピリットが出てくる夢を見た。
ハリオンがウサギ(名前忘れた)を飼ってる夢で、何気にハリオンはエターナル化しており、
しかも背中には永遠神剣を2本背負っていました。
【太陽】と【大海】って名前の神剣で、緑スピでありながら赤と青の能力も使えるとか・・・
流石はハリオンマジックだな、と思ったところで起きてしまった・・・
708名無しさん@初回限定:04/09/07 21:05 ID:AyJU+Jv9
幸せそうな>>707に乾杯
709名無しさん@初回限定:04/09/07 21:38 ID:t1uZhGm2
えーと、ラナハナだと第一詰め所だから、リクェムだな。リクェムを残しましたね。
710たゆん書き:04/09/08 00:12 ID:VZ0fP5fJ
感想をくださった皆さまへ。
     ヽ)/
  ∠´ ハ`ゝ
  彡//ノハハ>∩
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!彡  おっぱい!おっぱい!
   <´ii ⊂彡
   U |.Tii<
    <_ノ_jイ_ゝ

>689さんに
  も ち ろ ん で す
と返そうとしていた私としては、
たゆん書きだけではすまない気がしつつ、上の改変をかましたら新たな解釈に。
元AAの意味を無視するかのように、大きかろうが小さかろうがおっぱいを讃えるユート。ということで一つ。

>705さん
ネタで笑った後に、「背中流しっこ」に思考が流れてしまいました……
そうだ〜しようか、で済ませられるくらいに日常的な光景なのでしょうかw
711名無しさん@初回限定:04/09/08 02:13 ID:ai01dwgN
475KBに向けて俺もやる

     ヽ)/
  ∠´ ハ`ゝ
  彡//ノハハ>∩
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!彡  おっぱい!おっぱい!
   <´ii ⊂彡
   U |.Tii<
    <_ノ_jイ_ゝ
712名無しさん@初回限定:04/09/08 02:29 ID:Q8LvVBa9

     ヽ)/
  ∠´ ハ`ゝ
  彡//ノハハ>∩
  ゞ(リ*´ヮ`ノ!彡  貧乳!貧乳!
   <´ii ⊂彡     たゆんたゆん!たゆんたゆん!
   U |.Tii<
    <_ノ_jイ_ゝ

EXPってハリオン&ニムのイベント(泣いてる)ってあるんですか?
713名無しさん@初回限定:04/09/08 03:24 ID:mhlCR548
…ハリオンのイベントなんて今まで公開されてたっけ?
714たゆん書き2号:04/09/08 05:35 ID:lwUYTcb4
>>710
乗ってくれちゃう1号は漢だ (*^ー゚)b
715名無しさん@初回限定:04/09/08 06:12 ID:tW8AbZom
ぐはっ、素で間違ったハリオンじゃねー!
ファーだよ!くそっ、こんなところにも
たゆんたゆんのトラップが仕掛けられてるなんて
716名無しさん@初回限定:04/09/08 06:37 ID:LkTQ6ebo
双丘につまずく
717名無しさん@初回限定:04/09/08 07:27 ID:riq4LfIp
>>712
久々に出たなハリオンマジックw

>(泣いてる)
EXPには無いよ。このスレの住人にPS2版を買わせるための
吊り餌画像と見た。
718名無しさん@初回限定:04/09/08 08:24 ID:ai01dwgN
>>717
どっかで見たようなストーリーとかあったら笑える
719名無しさん@初回限定:04/09/08 15:21 ID:BuDCf01/
まだ474KBか…
720名無しさん@初回限定:04/09/08 15:31 ID:pLM2EofA
こういうときは、時深おばさんを呼べばいいんだよ。
やーい、貧乳! 年増! 偽善者!
721名無しさん@初回限定:04/09/08 15:41 ID:pLM2EofA
>>720     次スレアクセラレイト!!
     ´∴     #   __        ゜ヾ´      ″´∴
             「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
          __くi イノノハ))≡―=',(((      )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
        , ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒)  _/ / ̄ =―≡―   _
      ´∴'≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ イノノハ))(  ≡―=‥、,、
     ″″    \/〈(((ノ从|  /    | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
     "        ||( ゚ヮ゚ー' |   |ヾノ   //
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  ヾ       =―≡ ̄`:゛/ / \|  |≡―=‥、,、   ヾ
      ,゛"=―≡―='(  |  (  |=―≡―∞=@   , 、∴
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  ・            / / |  |   | ヽ/⌒〉
     .... .  ............ . .(_  「 _) (_〈_/....... .  .. .  .... . . .

     __
  「,'´r==ミ、
  くi イノノハ)))
   | l|| ゚ヮ゚ノl| <次スレコンポーザー
   j /ヽ y_7っ=
  (7i__ノ卯!
    く/_|_リ

永遠のアセリア&雑魚スピ分補充スレッド 6
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1094625285/
722名無しさん@初回限定:04/09/08 15:41 ID:BuDCf01/
>>720
おい>>720、おbsn召喚前にトリガ引いたぞ?
723保管庫の人:04/09/08 16:01 ID:pLM2EofA
>>722
見事に自爆してしまいました。ええ、笑ってくださいな'`,、('∀`) '`,、

さて、こちらはしばらく次スレへの案内板にしますので、埋めレスは当面お控え下さい。
724名無しさん@初回限定:04/09/27 00:37:56 ID:XqK4uofA
   ヽ)/
  ∠´ ハ`ゝ
  彡//ノハハ>∩
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!彡  おっぱい!おっぱい!
   <´ii ⊂彡   たゆん!たゆん!
   U |.Tii<
    <_ノ_jイ_ゝ






むしゃくしゃしてやった。今は反省している。
725名無しさん@初回限定:04/09/27 22:14:41 ID:9aBk1TFj
      おっぱい!     おっぱい!
おっぱい!    おっぱい!
   おっぱい!  おっぱい!
     ((∩   ヽ)/
おっぱい!(∩∠´ ハ`ゝ∩))おっぱい!
    ((⊂ ((゚ -゚ ≡;゚ -゚ノ))ノ∩))
       ((⊂ l⌒i  / ⊃)) おっぱい!
     ((⊂  (_) )  )) ∪))
おっぱい!((_(((_)))_)))


正直すまんかった。
だが私は謝らない。
726名無しさん@初回限定:04/09/28 00:58:39 ID:q3fVNdrq
「国のため、仲間のため……………………ゆ、ゆユユゆゆユyu――」
「あらーヒミカ、白湯で良いんですかぁ?美味しいお茶もありますよぅ」
「な、ハハリオン、いいつからそこにっ!? 何でこんな裏にいるのっ!!」
「ふふ〜。聞き始めから725回と言うところですぅ。何回も口上の練習で喉が渇いたんですよね〜
はいどうぞ〜」  ⊃旦
「ち、ちがうっ。そうじゃなくてっ、ゆってのは」
「あら〜違うんですかぁ。それじゃあ、なんなんですかぁ」
「う、あう、うう……そそれは」
「♪ゆ、ゆ、ユ、ユートさまっですよねぇ〜」
「っ!! ななにを、うぁう、い、言っているの」
「ヒミカ、カワイイです〜〜(ナデナデ  お姉さんですから〜お見通しですぅ♪」
「ちょ、ちょっとやめなさいっ! も、もう何勝手なこと」
「ちがうんですかぁ?そういえばぁ、明日の部隊割りが変更されたの知ってましたか?私たちとユートさまなんですよ。ふふたのしみですねぇ〜」
「ええっちょちょっと聞いてないって。そんないきなり」
「何がいきなりなんですかぁ?ふふふ〜」
「…………あーもういいからっ表に戻るわよっほらっ」
「はいはい〜〜♪」
「はいは一回っ」


――――国のため、仲間のため、……ユートさまのため、わたしは………


            
727名無しさん@初回限定:04/09/28 01:50:02 ID:q3fVNdrq
ぬ、足りぬ、バイト数が足りぬ……480kいけば落ちるんですっけ?

やはりハリオンとヒミカでは相殺されてしまうのか……それじゃぁ



    ヽ)/
  ∠´ ハ`ゝ
  彡//ノハハ>∩
  ゞ(リ ゚ -゚ノ!彡  おっぱい!おっぱい!
   <´ii ⊂彡    たゆん!たゆん!
   U |.Tii<    ひんぬー!ひんぬー!
    <_ノ_jイ_ゝ


728名無しさん@初回限定:04/09/28 03:53:41 ID:c6Z6mVrO
なぜこのスレがagaってるのだ!
729名無しさん@初回限定:04/09/28 07:11:56 ID:rdc/e2aJ
下がらないよ……お兄ちゃん……
730724
うああ・・・すみませぬ。メル覧変更してsage忘れますた。吊ってきます。(AAがみつかりませぬ・・・)