, ' ⌒ヽ
(@)ノノ)))リ)
§(リ゚ ヮ゚ノ§ <1く〜〜〜ん!
⊂!) 英i7つ(#)
くイ__ 〉
し'ノ
_
'´ ヽ クルッ♪
〈(( (@)
i、|!) シ§
⊂!) ノ 彡
|_l_ >つ
U
'´∋θ∈ パッ!
! ノノ))))
i (リ゚ -゚ノl| <スレ建設、乙でありました…
⊂)iゝヲiつ
ノl〈/ !芥!〉リ
く_/liVil,ゝ
5 :
寸劇の人:04/06/13 03:18 ID:pIsfP00p
>>1 一応、乙ューリー
ネリーのようにあわてんぼなあなたには
大きな親しみ易い文字で「あわてるな!」と書いたリボン
を進呈します(w
6 :
信頼の人:04/06/13 07:22 ID:9oU79sIG
>>乙ファーレーンです。
あれを矯正するのは難しいかとw
7 :
信頼の人:04/06/13 07:22 ID:9oU79sIG
ageてしまった・・・orz
すみません。
おつです。
しかし3までいけるとは思わなかった。
妄想万歳!!
9 :
道行の人:04/06/13 09:08 ID:N5Vs2zx3
>>1さん
ヘリ乙です〜。
あなたはあわてんぼうさんですけど……いえ、だから速さでは負けませんでしたっ!
というところでしょうかw
前々スレ788とか続くとなんだかなぁという気がしてきましたので、
見事に行動を読まれていた前スレ804さんに付けて頂いたこっちに変えてみます。
はい、後編は昨日には一応書き終わりました、
文章量で今スレに回さないとトリガーを大幅に超過してしまうほどのが。
もう少し見直しておこうと思いますので今晩には投稿できるかと。
しばらくお待ちいただけると幸いです。それでは一旦失礼します。
>>1 乙ルゥ〜。
みんなの妄想にはいつも頭が下がる思いです。
いつも楽しく読ませてもらってますよ!
>>9 大作乙っす!
今夜を楽しみにしてますっ!
13 :
マナの祈り:04/06/13 11:09 ID:DHmznG8i
暖かく、清らかな、母なる光…
すべては再生の剣より生まれ、マナへと帰る
たとえどんな暗い道を歩むとしても…
精霊光は必ず私たちの足元を照らしてくれる
清らかな水、暖かな大地、命の炎、闇夜を照らす月…
すべては再生の剣より生まれマナへと帰る
どうか私たちを導きますよう…
マナの光が私たちを導きますよう……
何となく挙げてみる。エクスパンションで、これに節付けてくれないかな。
>道行の人氏
ハンドル付けないと辛くなってくると思って振ったのはたしかなんですが、
えーと…ほんとにいいんですか、それで?(汗
まだ間に合いますのでよーく考えてからということで…
「〜の人」って「さん」とか「氏」とか付くと微妙に間抜けという話もありますよ?(w
それはそれとして、原稿用意、乙です。きっとやってくれると思っていました。
これで書きかけ原稿急がずに済みます(w
うおっしゃあっ!! 道行きの人支援即死回避点呼いくぞおまいらっ!!
アセリアは永遠じゃーっ!ヽ(`Д´)ノ<1>
親子そろってスタートダッシュ!
ユーフィは悠久だっ!ヽ(`Д´)ノ<2>
17 :
寸劇の人:04/06/13 12:42 ID:pIsfP00p
容量・レス数は道行の人が投入すれば足りる予感はするけど
24時間放置は避けないとね。(一週間説あり)
と考えれば点呼を始めてもいいのかもね。
ということで、点呼続いてても躊躇なく投入よろしくです。 > 道行の人
んー…今回は
ニム、君はまだツンデレラさ ヽ(`Д´)ノ<3>
にしておこうかな。
エロイメイドさんは大好きです!エスペリア<4>
ツンデレ・セリア!
ツンデレ・セリア!ヽ( ゚Д゚)ノ<5>
20 :
信頼の人:04/06/13 13:36 ID:zPRbohOr
>>道行の人
一応自分も新スレに合わせてちまちま書いていたのですが、
新スレが予想以上に早く立ってしまったので間に合いませんでしたorz
レスは朝になってしまいますが後編楽しみに待ってます〜
で、道行の人支援ファン投票点呼ですねw
この2週間程ずっと考えているちょっとボケたウブで優しいお姉さん(自己設定)
ファーレーン嬢にも戦う理由があるんです!! ヽ(`Д´)ノ<6>
ネリーみたいにくーるな女は
このスレにぴったりよね〜ヽ(・∀・)ノ<7>
お菓子あげたら活躍増やしてくれないかなぁ だめかなぁ…(゚ヮ゚ )<8>
あらあら〜
えと、新レスですか?なハリオンたんヽ( ゚Д゚)ノ<9>
曰
| | ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ__丶(〃´Д`)_ < シアータン… <10>
||黄||/ .| ¢ \__________
_ ||金|| | .  ̄丶.)
\ ||水||L二⊃ . ̄ ̄\
||\`~~´ (煤E卅<))\
||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄
. || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <倉橋時深、<11>歳です!
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
, -‐‐- 、
/二二二\
∠ノ,ノノ^ソ从ゝ <あら時深さん、<12>周期歳の間違いでは?
∠从リ ゚ ヮ゚ノ从ゝ _
(( /ヽ 〒 !7つ==∋)
人( iニノ ) ノ人  ̄
く/_|__ノ II
藻真裏…
妄想も大概に…って、漏れも同類かっ Σ(゜△゜ <13>
ポケットにヨフアル<14>枚常備!
|
 ̄ ̄/ / / /  ̄/ /
/ . / / ―― / ――. /. /
/│\ / _/ _/ /_/
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| +
\ `ニニ´ .:::::/ +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
|┃三
|┃ 》《-― - 》《ヘ
|┃ノi」」」」」」l〉 i
|┃( ( 0) ( 0)、 |
|┃ /ヽ __ )l/
______.| ⊂. J
|┃ | .| =lj=
ガラッ.|┃ !、_/⌒ J
あ、点呼してたのか。
ヒミカクール(AA略 ヽ(`Д´)ノ<15>
32 :
道行書き:04/06/13 18:24 ID:rBxEhrFC
,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
( ノ i」」」」」〉))
ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( < ほ〜ら、ほ〜ら<16>ですよぅ♪
(( ⊂! |T|!つ リ
===く/|_|〉lj=
(フフ
>寸劇の人さん
うっ、確かにこうして「〜の人」に「さん」をつける時には「〜の方」とかにしたい衝動に駆られます。
あと考えているうちに、私まで「〜の人」になると何だか増殖しすぎのような気もしてきました。
心変わり早すぎかと思いつつも「道行書き」で落ち着かせます。あんまり変わってないですが。w
しかし、IDくらい見とこうよ私……orzシロウトマルダシダ
それでは、後編を投下します。
注意点は……ヘリオンのえっちシーンです、お気をつけください。
血と雨に濡れた服に殊更ゆっくりと手をかけて、頭から抜くように脱いでいく。
新しい部屋着は隣の棚に用意しているが、それでも脱いだ物を丁寧に折りたたみ、籠の中に入れる。
腿まである靴下の肌に張り付く感触に軽く不快を表しながら、両手で少しずつ剥がすように外していく。
これも、たたんだ後に服の下に入れた。
一枚一枚、体を包んでいた布が無くなる度に、頭に血が上って上手く手が動かなくなってしまう。
肌着を脱ぐのに時間がかかることなど初めてだ。いつものように手早く折る事も出来ずに、
形が崩れ気味のまま、さらに籠の奥へと滑り込ませた。
下着姿になった自身を顧みて、早鐘をうつ心臓を必死に落ち着けようとする。
一つ大きく深呼吸して、下着の端に指をかけて下ろしながら、身をかがませて片足ずつ抜き取った。
焦りでたたむ事も出来ないまま、小さく丸めて籠の底に突っ込んでしまった。
髪を纏めるリボンはそのままに、震える手でバスタオルを掴んでゆっくりと体に巻く。
そうすると少しだけ気持ちが落ち着いてくれた。
脱いだ服の逆隣の棚にあるもう一人分の濡れた衣服に目をやって
小さく息を飲み、ヘリオンは浴場へと続く戸に向かって歩を進めた。
脱衣所に向かう戸の奥で人影が揺れる。
体の部分の影が白から肌色、そしてまた白へと変化していくのを
悠人は鼓動を激しくさせながらちらちらと見やる。
そもそも、どのようにしてこの状況が出来上がったのか。
エーテルジャンプ施設から二人がラキオスに帰還した時、詰所は両方がもぬけの殻だった。
血に汚れたままレスティーナに謁見するわけにも行かずに、帰還の報告を兵に伝えた所、
リレルラエルの防衛に関しても一応の決着がつき、ソーマ隊との連絡が途絶えたと思しきタイミングで
帝国の部隊は撤退を開始したという光陰たちからの報告があったと伝えられた。
だが、光陰達の部隊は大事をとってもう暫くはリエルラエルに駐留すると言い、
再び伝令役を受け持っていたスピリット――特徴を聞く限りはハリオンらしい――は引き返したという。
そして傷や疲れの具合を見てのことだろう、自分たちが正式に報告に上がるのは明日と言う事になった。
帰ったままの状態でとりあえずの報告を終え、詰所に戻った時に二人して雨に濡れたことからくる寒気が走った。
(そこで、というか何というか。結局一緒に入りたかっただけなんだよなぁ)
『あ、あのぅ、それじゃ、わたしたちの他には、今晩は誰も居てないって事なんですよねっ』
耳まで赤くして、もじもじしているヘリオンを見ている内に、
帰還する前のやり取りが急速に現実味を帯びてくるのを実感するに至り
何時の間にか乾いていた唇を湿して、一大決心とともに自らの要求を切り出したところ、
『き、着替え』
と俯いて一言呟いた直後に気合の入った目で悠人を見返して、、
『着替えを取ってきますからっ、ユートさまは、さ、先に入っててくださいっ』
脱兎の如く走り去ってしまったのだ。
(そのまま言葉どおりに待ってたわけだけど、やっぱりバスタオルは巻くよなあ……)
小さく溜め息をついて、自分も湯船の中にタオルを浸けて股に巻きつけなおして、
脚を曲げて座り込んでいるところに、カラカラと音を立てて戸が開かれる。
影で予想できていた通り、裸身にバスタオルを巻いただけの立ち姿。
だと言うのに、その布とは異なる剥き出しの肩と脚の艶かしい白さに言葉を忘れてしまう。
バスタオルの繋ぎ目に手を当てて、静かに湯船に近づいてくる。
その顔は、まだ湯にも浸かっていないのにのぼせた様に上気していた。
膝をつき、湯船から汲み取った湯で二、三度かけ湯をしてもう一度立ち上がる。
ちゃぷ、と音を立てて湯船に足を入れ隣に腰をおろすと、少しだけ肩が触れる。
顔の火照りとは逆に、その肩は雨で冷えていた。
その冷たさに呆けていた意識が戻ってくる。すると耳に声が届いた。
「……トさま、あの、何もお答えにならないでじっと見られちゃうと……」
「え、今まで、何か言ってたのか、ヘリオン」
俯いて、呟き気味に聞こえてくるその声に、湯船に浸かっていた悠人が慌てて言葉を返した。
ヘリオンの言葉どおりに、自分の視線は既にヘリオンの体を凝視しているように向けられている。
「お湯を汲むときと、ここに座る時に声をかけたのに黙って頷かれるだけでしたよ、ユートさま」
「うわ、ごめん。全然声をかけられた覚えが無い。あと、そんなにじっと見てたのか、俺」
「は、はい……わたしが入ってきたときからずーっと」
水面に目をやったまま不満げに口を尖らせるヘリオンを改めて見やり、悠人はさらに落ち着きを無くした。
身を振り手を振り、水面を揺らして腰を浮かせる。
「いや、これは、やっぱり心構えをしてても驚いたっていうか、
その、思わず、み……見惚れてたっていうか、気を、悪くしたんなら謝る」
「み、見とれて……?」
ちら、と上目使いでヘリオンが悠人を見た瞬間、悠人の動きが止まる。
その目に映るものは紅潮したヘリオンの顔と、細い肩。
その角度と目つきで照れられるというのは、非常に耐えがたいものがある。
再び声を失い、かくかくと首を縦に振る悠人の横で、ヘリオンは頬を緩めて横座りに姿勢を直す。
「ほら、ユートさま。きちんとお湯に浸からないとあったまりませんよ」
悠人の腕を引き、もう一度隣に座るように促して、ちゃぷりと湯を揺らして肩を寄せて目を閉じた。
積極的な様子に胸を高鳴らせて悠人も静かにヘリオンに肩を預けると、彼女は口元に笑みを浮かべて頭を預けた。
心地の良い重さにいとおしさを覚え、悠人は頬を緩めて視線をやって、直後に目を見開いた。
座高の差から、悠人はヘリオンを見下ろす形になるのだが、
(う、薄い思ってたけど、この角度だと……)
ほんの僅かにバスタオルを押し上げているふくらみが、正面から見るよりははっきりと判別できる。
注意された端からじろじろと見るわけにもいかないと悠人は目を逸らそうと努めたが、一度目に入った光景に
心が奪われてちらちらと視線をやってしまう。肩にあたる肌の柔らかさから胸元の感触にまで想像が及んで
悠人はゴクリと唾を飲み込んだ。
「ふぇ?」
その音は悠人が思うよりも大きく響き、肩の感触に安心して頭を預けていたヘリオンがぱっと顔をあげて悠人を見る。
正面から合わされたその目は悠人の焦点がどこに向けられているかを詳細に読み取った。
瞬時に慌てふためき、ぶしつけな目で眺めたことを謝ろうとする悠人に対し、
ヘリオンはのろのろと身を引いて自らの胸元に震える手をやり、
「ゆ、ユートさま、やっぱり、バスタオル、付けない方がよかったですか……?」
紅潮した顔を隠しもせずに悠人を上目使いで見たまま、繋ぎ目に指をかけた。
完全に予想外の行動にさらに動揺して、悠人はざばざばとヘリオンに近づきながら手を振る。
「な、ななな、まっ、待って、しなくていい、ヘリオンが恥ずかしいから付けてたんだろ、
だったら、外さなくって良いから、じろじろ見てた俺が悪いんだから、無理に外す事無い!」
「わたしなら、その、ユートさまにひっついてたら慣れてきましたからだいじょうぶ、です」
「え、いや、でも、なんと言うか、俺のほうが、心の準備が出来てないっていうか」
自分でも情けないと思いながらも全く動揺を抑える事が出来ない。
その落ち着きを無くした様子にヘリオンは目元に微かに悪戯っぽい光をともすと、
バスタオルから手を外して膝に置いた。それに気付かなかった悠人がほっと腰をおろしたのもつかの間。
「わかりました。それじゃあ、ユートさまの心の準備ができるまで、お背中お流ししますね。
あ、もちろんバスタオルはつけたままですから心配いらないです」
にこりと微笑みを浮かべて悠人の横に回りこみ腕を掴んだ。
「え、ええっ」
そのまま悠人と一緒に立ち上がるヘリオンに逆らう事もできず、かろうじてタオルを股間から外れないようにすると、
悠人は腕を引かれるままに用意された椅子に腰を下ろす事となってしまった。
この雰囲気は以前にも体験した事がある。
今となっては忘れられもしないヘリオンとこんな風になる原因の出来事だ。
その時も、今のようにヘリオンに押され気味のまま色々と恥ずかしい目をしたが、
今回は自分から求めたのだから、同じ様にヘリオンにされるがままというのは情けなさ過ぎる。
背後で楽しげに石鹸を泡立てているヘリオンの気配をひしひしと感じて、悠人は流されるまいと気合を入れた。
「ユートさま、それじゃいきますねっ」
「ああ、頼む」
背中を流されるのは、あまりいい思い出では無いけれど初めてではない。
わしゃわしゃとした固めのスポンジの感触を予感して、悠人が背中に少し力を入れた瞬間、
ぬるり。
背筋を這い登るくすぐったさに思い切り身をよじらせてしまった。
「ぅわわっ」
「あ、動いちゃダメですよぅユートさま」
「い、いま、一体何で擦ったんだよ!」
「え、手ですけど。だって、ちゃんと治療してないのに固いスポンジで擦ったら痛いじゃないですか。
それとも、気持ちよくなかったですか?」
もし振り返れば、実に楽しそうに笑みを浮かべているヘリオンの顔が映っただろう。
急に訪れた快感に慌てて紅潮していなければすぐさまそうしただろうが、
悠人はヘリオンに返す言葉を考えて俯いてしまった。
確かに、戦闘でついた傷は神剣の力で塞いだだけだがそこまでする事があるだろうか。けれども、感触は確かに。
「いや、気持ちはよかったけど……じゃなくてっ、だからって、いきなりはびっくりするじゃないかっ」
「ふふっ、びっくりしただけなら良いじゃないですか。気持ちよかったんならこのまま手で洗いますね」
「な、ちょ、ちょっとま……!」
ぬめぬめと、上から下にヘリオンの柔らかい手が背をすべっていくのを感じて、悠人は息を呑んだ。
ただ擦るだけではなく、丹念にもみほぐすように微妙に力加減を変えて手を動かしている。
その気持ちよさにどんどん身体の力が抜けてしまって、声を上げてしまう事だけは必死に耐えたのだが、
代わりに呼吸は切れ切れに震え出してしまう。
「こうして擦ると、見てるだけよりずっと大きいです、ユートさまの背中」
ヘリオンの吐息が、ほぐされて敏感になった背筋にほう、とかけられた。
「……っ」
悠人が自らに降りかかった快楽に反応を起こしかける下半身をタオルで押さえつけているのにも構わずに、
「あ、背中に手を当てても分かるくらいどきどきしてますよぅ」
などとヘリオンは一度洗い終わったはずの所にも何度も手を這わせている。
その手が撫で回すのは、全て悠人が敏感に反応した所。弱点を的確に責められて悠人の思考は白く染まっていく。
「ヘリオン。もう、もういいから。背中は、全部洗い終わった、だろ。だからもう、終わって、いいっ」
振り向きながら息も絶え絶えに悠人が告げると、蕩けるような笑みを浮かべて、
ヘリオンは静かに背後から悠人の両肩に手を置いて、その背中に身体を押し付けて耳元で囁いた。
もう一つ伝わる、より大きな振動とともに悠人の鼓膜を震わせる。
「ユートさま、それじゃあ心の準備、できましたか?」
「え……なん、だって……」
「準備ができるまでお背中をお流しするって言いましたよね?
ですから、それまでずーっと背中を洗うつもりです。さあ、どうなんですか、ユートさま」
唇で耳たぶをくすぐって今度は肩に手を這わせ始める。
これ以上撫で回されてはたまらないと、悠人はそそくさと押し付けられていた身体を離した。
「できた、準備できたから、だから背中はおわりっ」
そこまで喋って、はっとその言葉の意味に思いが及んだ。
慌ててヘリオンのほうを向くと、ごく近くでぺたんと床に腰を下ろしたまま艶やかに口元を緩めている。
「はい、それならユートさまもだいじょうぶ、ですね。さあ、どうぞ……」
とバスタオルの繋ぎ目を悠人に向けて突き出すように身体を差し出している。
悠人は背中をほぐされた事によって、動転と緊張だけはどこかに消えてしまっていることに気がついた。
色々といい様にされたのではという羞恥は残っていたが、確かに心の準備とやらは整っているようだ。
すう、と自身を落ち着けるように呼吸をすると、ヘリオンの様子が目に入る。
上気した頬と潤んだ瞳、艶然とした表情に引き寄せられるように近づき、悠人はそっとヘリオンの肩に手をかける。
動揺のない真っ直ぐな瞳でヘリオンを見つめてそっと繋ぎ目に手をあてようと肌に沿って滑らせた。
「……んっ」
その瞬間のヘリオンの表情の変化が目に付いて、静かにその手を背に回し、中心に置いた。
「あ、あの、外さないん、ですか?」
「いや、ちょっと……あぁ、やっぱり、ヘリオンだってむちゃくちゃどきどきしてるじゃないか」
悠人がバスタオル越しに激しい鼓動が感じられる事を指摘すると、
ヘリオンは余裕を見せていた表情から一転、急に落ち着きを無くし真っ赤になってしまった。
「あ、え、そんな」
「さっき背中に身体をあててた時にもう一つ心臓の音が聞こえてきてさ、
聞くけど、ヘリオンはほんとに準備、できてるのか?」
「で、できてますよ、そんなのっ。ぱあっと、外しちゃってかまいませんっ」
そういうヘリオンの表情は、悠人の緊張が無くなった事で魔法が解けたようにカチカチになってしまっていた。
悠人が試すように繋ぎ目に指をかけると、びくっと身体を震わせてしまう。
「あ、あれ、さっきまで、だいじょうぶだったのに、どうして」
涙目になって緊張に震えるヘリオンを見ている内に、
悠人は心の中に可愛らしいと思う気持ちが湧いてくるのを止められなくなっていた。
「うん、じゃあ今度は俺の番だな」
「え……?」
「ヘリオンの心の準備ができるまで、今度は俺が色々する番。
バスタオルが外せないから背中を洗うってのは無理だけど、ま、何とかする」
「え、ゆ、ユートさまが?」
優しく微笑んで頷き、悠人はさらさらと呆としているヘリオンの頭を撫で回す。
「ひゃう」
「あれ、気持ちよくなかったか?」
「な、そ、そんなこと言うなんてずるいですよぅ」
「さっき言われた事だからなぁ、俺だってこれくらい恥ずかしかったんだ。で、どう?」
「うぅ……きもち、いいです」
撫でさする内にヘリオンの身体から徐々に力が抜けて表情も緩くなっていく。
悠人はもう片方の手でヘリオンの頬に手を添えて、おでこに軽く口付ける。
ふるふると震える目元から、頬へと順に唇を滑らせてヘリオンの様子をうかがい、
目を合わせて確認をとってから、一瞬だけ唇を合わせる。
続けざまについばむ様に何度も口付けを繰り返すうちにだんだんと瞳に熱を込めて、
細かく息をつくヘリオンの唇を最後にもう一度奪う。
「準備、できたか?」
自身の身体をそっと見下ろして、ヘリオンはこくりと頷いた。
もう一度悠人がバスタオルのつなぎ目に指をかけて、ヘリオンに微笑みかけながら静かに外す。
水を含んでいるためにそれだけでは身体から離れずぺろんとめくり上げると、
小柄な身体に巻かれていたためにその奥にもまだタオルがあまっていて、
もう片方の手で逆方向にめくってようやくその身体が露わになった。
「あ、あんまり、あの時から変わってなくって恥ずかしいですけど……」
「そんなの気にしないから大丈夫だよ。それに、あれからずっときれいなままだ」
自分の背後にバスタオルを置いて、悠人は顔を紅潮させて俯いているヘリオンの肩を掴んで寄せ、軽くおでこに唇を寄せる。
悠人は顔を離した時に、ヘリオンがぺたんと座って大事な所を手で隠しながら送る視線を感じた。
「あの、ユートさまもできたらタオル、外してほしい、です」
「あ、ああ、そうだな。でないと、不公平だもんなっ」
とりあえず横を向いて隠しながら股間のタオルを取り去る。
だというのに、ヘリオンはちらちらとその様子を覗き込んで、悠人が身体の向きを直したときには
あぐらをかいて腕で隠されていた股間のモノを視界に納めて頬を染めていた。
「まだ、あんまりじろじろ見られるのも、見るのも恥ずかしいんじゃないか、お互い」
「は、はい、わたしも、もうちょっと時間がかかりそうです……あ、じゃあ」
とヘリオンは膝で立って、悠人の隣に這い寄った。その手には、石鹸。
「先に、別の所を洗っちゃいましょう。そしたら慣れてきてると思いますから」
照れながら微笑みつつ、またその手に泡をためこみ始める。悠人はそれを見て顔を引きつらせた。
「待ってくれヘリオンっ、ひょっとしてまた俺の身体を洗うって言うのか!?
いや、いいっ。今度は自分で洗うからっ」
「ダメですよぅ、ユートさまには……わたしを洗ってもらうんですから」
「な、お、俺が!?」
「はい、この石鹸、使ってください」
にゅるん、とヘリオンから泡塗れの石鹸が手渡される。
ヘリオンの顔をうかがうと有無を言わせぬ勢いで微笑んでいる。
そっと視線を動かして、ヘリオンの身体に焦点を合わせる。滑らかな白い肌に華奢な体つき。
露わになった桜色の胸の先端が目に入り、悠人は息を飲み込んだ。
同じ様に手の中で石鹸を転がして両手が泡に包まれた頃に、
ヘリオンが正面に陣取って座ってできるだけ視線を下に向けないように悠人の顔を見つめた。
「それじゃ、せーの、でいきましょう」
「あ、ああ……」
その紅潮した顔を見つめ返して、同時に手を互いの胸元に滑らせた。
「ふわ……」
「……っく」
触れた瞬間、互いの手に鼓動が伝わって同じ様に声を上げた。
鎖骨に手を滑らせてにゅるにゅると石鹸を塗りたくる大き目の手と、
胸板の筋肉の強張りを丁寧にもみほぐしながら泡を広げる小柄な手が互いの身体を求める。
「次は……?」
「く、首から、肩にしましょう」
身体にはあまり視線をやらずにあくまでも視線を絡めあったまま手を動かす。
「ヘリオン、右腕だして」
「あ、や、わきはくすぐった……ひぁ、ならユートさまも、右の手、かしてください」
泡が塗りたくられる面積に比して、呼吸はあらく、腕の動きも大胆に変わっていく。
思考もだんだんと熱を帯び、考えられるのは互いの体を求める事だけ。
目の前にあるヘリオンの顔に口付けを降らし、悠人はヘリオンを抱きすくめた。
急な体勢の変化に驚いている間に、両腕に広がったぬめりでヘリオンの背中全体を愛撫する。
悠人に引き寄せられて前傾姿勢をとったヘリオンの手が悠人の膝に置かれた。
ひとしきり足の方に手をやった後に、つつぅ、と緩やかにその手が悠人の内腿を滑る。
その中心に手がかかった瞬間びくりと背中を撫でていた手が震えるのを感じながらも、ヘリオンは目を見開く。
「わ、あ……」
ほう、とため息をついて、こくりと喉を鳴らすとそのままその部分全体に指を這わせ始めた。
「うぁ……ヘ、ヘリオン、恥ずかしかったら別の場所でもいいんだぞ」
「だ、だいじょうぶ、です……ユートさまの、ですから……」
断続的に送られてくる快感に反応し、半ば勃ちかけていた性器がさらに硬くなっていく。
一度洗った後は、悠人が反応した箇所を重点的に刺激して快楽を引き出していった。
「あ、こ、こんなに、おっきく……え、あ、きゃぁ」
されるがままではたまらないと背中から手を滑らせて、悠人はヘリオンのおしりをやわやわと揉んで
軽い身体を持ち上げ、そのまま膝に乗せた。ヘリオンがバランスをとる為に悠人の肩に手を置きなおした所で、
悠人は右手を小ぶりな胸に、左手を肉づきは薄いが張りのあるおしりに這わせる。
むにむにと、既に泡だらけになっている胸を執拗に掌でこねる。
手の中にあっさりと収まってしまうささやかなふくらみは、それでもふわふわとした弾力を悠人の掌に返した。
次第にしこり始めた乳首の感触が掌に生まれでる。そっとヘリオンの反応を覗くと、
ヘリオンは悠人のわき腹を力なく擦り、身体を洗っているという体裁を作って口を尖らせている。
しかしそこから洩れる吐息は熱く、声には甘い色が混じり始めていた。
「ぁあ、ユート、さまぁ、それじゃ、洗ってるだけじゃないですよぅ……っん」
「ヘリオンだって今も、背中の時もやっただろ。ちょっとお返ししてるだけじゃないか」
「そ、そうです、けどぉ……っっ!?」
ふるふるとヘリオンの身体が震え、手を背中に回してぎゅっと自らに引き寄せてしがみつく。
おしりを撫でていた悠人の指が割れ目に沿って動き、奥にある窄まりに小指をかけていた。
「んやぁ、そこ、やぁ……」
「大丈夫だよ、中に入れるわけじゃないから」
表面を細かく撫でるだけでびくびくっとヘリオンは全身を痙攣させる。
「それでも、ふぁ、ダメ、ですぅっ」
「じゃあ、お終い。って言っても、もう洗い終わったんだけどな」
「ひゃふっ」
もう一度ぬるっとおしりに石鹸を塗りつけて、涙声になってしまったヘリオンを解放する。
くたりと悠人の胸に頭を預けてはぁはぁと息をつくのを見て、少しやりすぎたかと優しく背中を撫でた。
ゆっくりと身体を起こし、熱に浮かされたように潤んだ瞳で悠人を見る。
「ユート、さま……あとは……?」
「後は、ヘリオンの脚と……」
つい、と視線だけで洗う場所をさし示す。つられてヘリオンも目を動かして、
屹立している悠人の股間と、ヘリオン自身の秘所を視界に入れた。
「あ……ここ、ですかぁ」
「駄目、かな。俺のは、ヘリオンが洗ってくれたわけだし」
頬を赤く染めたまま、しばらく考えているように悠人を見つめた後に、おねがい、します。と一つ頷いた。
「それじゃ、ちょっとヘリオンにはそっちに向いてもらうから」
「へ?」
ころん、と向かい合わせになっていた体勢をヘリオンを抱き上げて百八十度入れ替え、悠人はヘリオンを膝の中に抱え込んだ。
「ぁん、おしりに、ユートさまの、あたってます……」
「うん……さ、足、貸してくれよ」
脚を曲げさせて足の指先から細かに指で擦り、ふくらはぎから太腿を伝ってだんだんと内腿へと這わせていく。
敏感な部分に指が近づく度にヘリオンはぴくりと身体を硬くして息を細かく吸っていた。
その様子を見て、悠人は一旦お腹に手を回してから、再び徐々に下に降りていくように動きを切り替えて、
お腹の中心のくぼみに人差し指をいれてくりくりと弄る。
「く、くすぐったい、ですよぅ……あの、ユートさまって、おへそ、好きなんですか?」
「どうだろう、きっと、ヘリオンのだったらどこでも好きだ」
わぁ、と笑みをうかべて背中の悠人に体重を預ける。そっと上から覗き込むと、
足からも力を抜けて、薄い茂みの奥に息づく秘所が見えた。
左腕でヘリオンのお腹を支えたまま、右手をゆっくりと滑らせて秘裂に指を這わせる。
石鹸が塗られる前からぴくぴくと震え出していたそこに中指があたると、くち、と水音が漏れた。
「あれ、ヘリオンのここ、もう」
「い、いわないで、くださいよぅ……」
軽く頷いて掌全体で大きく擦って、洗うという目的だけは達成する。
その動きだけでも声を殺して目を瞑り、お腹に巻かれた悠人の腕を掴んで震えるヘリオンを感じて、
悠人の頭にちょっとした優越感が横切った。何時の間にか自分にアドバンテージが回ってきている事に気がつき、
中指の先端で二種のぬめりに包まれた秘裂をそっとなぞる。
「〜〜〜っ!?」
声にならない声を上げて悠人の腕を握り締めるヘリオンの反応に、悠人の行動に熱が入る。
親指を上端の突起にかけて、一度だけくに、と押し込んでやった。
「ぁあっ……ん、くぅ……」
少しだけ、甘い声が漏れるのを耳にしてそのまま軽く刺激し続ける。
「ふぅ、……ん、はぁ……ぁ」
ぴくぴくと全身を小刻みに揺らしながらも、ヘリオンが息を止めて
声を上げてしまうのを我慢している事に気付き、手を止めて静かに耳元に息を吹きかける。
「声、あげていいんだぞ」
「やぁ……だって、ここじゃひびい、ちゃ……うぅ」
「俺しか聞いてないから大丈夫だよ、それに、ヘリオンの声、聞きたいから」
かぷりと耳たぶを食み、お腹に置いていた左手を上に滑らせ、やわらかい乳房をふにふにと揉んだ。
「んぁぁ……だって、はずかしぃ……ですよぅ」
緩い刺激に緊張を解いて体の力を抜いた瞬間、待ち構えていたように右手の動きを再開させる。
同時に、耳の穴に舌をいれてねぶり、左手の人差し指と中指で乳首を摘んで転がすように弄った。
急に送られてきた強い快楽にヘリオンはきゅうっと全身を縮こまらせて、大きく息を吸い込んだ。
とどめとばかりにちゅぷりと音を立てて右の中指の先を秘裂に埋める。
「ふあああぁぁっ!」
反動で背中をぐいと反らし、悠人の胸板に身体を押し付けて首をいやいやと振る。
「だめぇ……つよいの、おかしく……なっちゃう……」
わたわたと身体を動かして、ヘリオンは悠人の膝から抜け出そうと軽く暴れる。
膝に手を置いて身体を浮かそうとした瞬間、石鹸塗れの手と腿がぬめりあってにゅるっと悠人の股間に手が滑った。
「うわっ」
硬くそそり立つ男根にぐに、と力がかかって悠人の手が止まる。
「あ……ぴくぴく、して、る……」
刺激を与えると返ってくる悠人の動きを感じて、呆としたままヘリオンは後ろ手に悠人の性器を掴む。
「ぐ、ヘリオン、何を……」
「ユートさまが、いじわるするなら……わたし、だって……ぇ」
ぬる、にちゃ。根元から先まで、先刻に覚えた悠人が悦んだ場所をじわりと擦りながら手を往復させた。
細く声を洩らしながら、悠人も両手で再びヘリオンの身体を強くまさぐり始める。
「ふぁ……ゃだぁ、くちゅくちゅ、音、でてる……」
ヘリオンは自分の指で悠人の性器の先端を覆い軽くひっかきながら、自らの秘所を弄る悠人の手を見つめた。
石鹸によってぬめりが増して、悠人の指を奥に誘う様に吸い付いているように感じられる。
一本だけ挿し込まれている中指は、既に半分ほどが出し入れされてしまっていた。
「あぁ、ユート、さまからも……わたし、からもぉ……ねばねば、でてるぅ……」
手の爪を軽く立ててカリの部分をひっかくと共に、先端にも差し込もうと力を込める。
悠人はヘリオンを昂ぶらせていく内に、自分に跳ね返ってくる刺激が強くなりすぎている事に気付き、
「ちょっと、強すぎ……っ、わかった、いじわるやめる、からヘリオンも終わって……っ」
このまま続ければヘリオンを達しさせる前に自分が果ててしまうと、きつく指を咥える秘洞から中指を抜いた。
股のところから手を外し、ヘリオンの手を掴んで股間から外させる。
ぬるりと最後に与えられた刺激に軽く眉をしかめてヘリオンをこちらに向かせた。
「あふ……ぁ、あ、洗うの、おわっちゃうんですか……?」
緩みきった瞳で見返されて悠人は唾を飲み込んだが、かろうじて首を縦に振って答える。
「そう、だな……。石鹸、流そう」
「ぅあんっ……お、おひめさま、だっこなんて、お、おもくないですか」
「軽いから全然平気だよ」
身体を横向きに抱き上げて湯船のそばまで運んで下ろす。
桶で汲み取ったお湯を自分に二三度かけて石鹸を流し終わった所で、ヘリオンがくたりと腕を掴んで見上げてくる。
「ユートさまが、さいごまでちゃんと流して、ください……」
頷いてお湯を汲み、最後の仕上げに身体をさすりながら石鹸を落としていく。
「ユートさまの手、さっきから、すっごくえっちです……」
細く長く息を洩らしながら、正面に座って胸を撫でる悠人の顔を見つめてヘリオンが呟いた。
「い、今は石鹸流してるだけじゃないか」
「それだけじゃ、さっきみたいにきもちよくなるはず無いですよぅ、きっと、ユートさまのせい、なんですから」
事実悠人の手は、すべすべと滑らかなヘリオンの肌の心地好さを味わおうと全身を愛撫するべく貪欲に動き続けている。
「う……でも、気持ちよくなってるんだったらヘリオンだって充分えっちだと思うぞ、俺は」
つぅーっと背筋に指を這わせると反射でひくっと背中を反らすのを見ながら悠人は精一杯の反論を試みた。
かあ、と全身を羞恥に染めてヘリオンの動きが止まる。
「も、もちろん俺だってヘリオンに色々したりされたりで気持ちいいんだから、おあいこなんだけど」
あまりに分かりやすいヘリオンの反応に悠人は逆に恥ずかしくなって慌ててフォローを入れるが、
「あぁ……じゃあ、わたしたち二人とも、なんですね……」
当のヘリオンはそれを認めた途端に、力を抜いて悠人の手の動きを感じる事に集中していった。
悠人の手がついに最後に残った股間へと伸ばされ、ちゃぷちゃぷとお湯をかけながら洗い落としていく。
「ゃ、ぁ、きもち、よくって……ぬるぬる、とまらないです」
ぴくりとヘリオンの身体が震えてそんな言葉を洩らした。悠人が目をやると言葉通り、
石鹸が流された後もぬめりは落ちずにとろとろと愛液が少しずつ湧き出し続けている。
ヘリオンの視線も、向かいにある悠人の股間に注がれていた。
「ユートさまも、先からぬるぬる、でてます……」
「そりゃ、俺だってヘリオンに触れられて気持ちいいから」
「びくびくってしてて、何だか辛そうなんですけど、だいじょうぶなんですか?」
ヘリオンの視線に晒されてより興奮し、悠人は自身に痛みを感じるほどに昂ぶっている。
「う……確かに、ちょっときついかも」
ヘリオンの愛液と同じ様に先走りが滲み出ている事からも我慢の度合いが知れようというものだ。
その悠人の状態をじぃっと見続け、ヘリオンは体中で息をついて恥ずかしそうに口元に握った手をあてた。
「あの、楽にするのって、さいごまですれば、いいんですよね?」
その言葉に、悠人の頭が一瞬真っ白に染まる。
「ま、まあ、そうなんだけど……」
何とかそれだけを口にしたところにヘリオンが追い打ちをかける。
「ユートさまは、わたしを感じたいって言ってくれました。わたしも、そうなんです……だめ、ですか?」
俯いて頬を染めて告白するヘリオンの様子に唾を飲み込み、悠人はそっとヘリオンの肩を抱いた。
「だめなんて事はない、ただ、ヘリオンはここで良いのかなって思ってさ」
「その、はしたないって思われるかもしれないって、怖いんですけれど、
わ、わたしも、ユートさまみたいに……ぬるぬるした所が、じんじん、してて……
はやく、ユートさまに、楽に、してほしいんです……」
ヘリオンが悠人の手をとって、自らの秘所へと導く。
数度目に触れたそこはくちゅりと音を立てて、とろとろと湧く蜜を悠人の指に絡ませた。
はぁ、と涙目で息をついたその顔は、羞恥以上に艶っぽさで色づいていて、悠人の理性を蕩けさせるには充分だった。
「そんなこと、絶対に思わない。ちゃんと、ふたりで最後まで気持ちよくなろう」
「は、はい……、ユートさまのも、わたしが楽に、しますから……」
ヘリオンのわきの下に手を入れて立ち上がらせようとして、ヘリオンの脚に力が入らない事に気付くと、
悠人はもう一度へリオンを抱きかかえて湯船の側から離れ、
「ひゃ……?」
そっとヘリオンを床に下ろして、側に置いてあったバスタオルを敷いた。
「これくらいは敷いておかないとちょっと、な」
「あ……そう、ですね……」
ぺたぺたとその上に這い寄って座ったヘリオンの頬に手をあてて、じっと覗きこむ。
「……?」
「今までさ、ヘリオンを感じたいとか、ずっと一緒に居たいとか
色々回りくどい事言ったけど、一番大事なのが残ってた。これを言わなきゃ、嘘だ」
すう、と息を吸ってヘリオンの顔を真正面に捉える。
「俺は、ヘリオンが好きだ。ヘリオンの全部を、愛してる」
瞳を潤ませて大きく息を継いで頷いたのを見て、一度視線を絡ませあってから、静かに吸い付いた。
既に半分開かれていた口内に舌を潜りこませる。
「ぅん、ん、ふぅぅ、んぁ、ぁぁ……ちゅ……ぴちゃ、ちゅ、る」
初めはされるがままだったヘリオンからも、おずおずと舌での愛撫が返された。
次第に動きは激しくなって両の手で悠人の顔を包み、
悠人から唾液が送られてくるのを感じると、積極的に唾液を舌に乗せて送り返す。
口内にも舌にも絡んでくる唾液は量も多く、甘く熱い。粘性も悠人が思ったよりも遥かに高く、まるで溶けるゼリーのよう。
それを生み出すヘリオンの口内はどんなものか。厚く唾液に覆われた舌と粘膜が悠人の舌を蕩かすように包み込む。
恐らくは全くの無自覚に、悠人の送り込んだ快感以上の快楽をヘリオンの身体は返していた。
苦し紛れに悠人が口の中に侵入した舌を甘噛みすると、その動きを元にヘリオンもより強い快感を返すように真似をする。
悠人はジンと痺れる頭を必死で働かせてヘリオンの口から舌を脱出させようと苦闘した。
「ちゅ……ぷ、はぁ、……は、ぁは、ぁぁは、はぁ、はぁ……」
つぅ、と唾液の糸を引いて二人の舌が離される。悠人がぼうっとしているのをヘリオンがじっと覗き込む。
「わたしも、ユートさまのこと、ぜんぶ、すきです……わたしを、ユートさまでいっぱいにして、くださいっ……」
「ん……っむ」
ちゅる、と音を立てて今度はヘリオンが悠人の唇を吸った。ちろちろと短めの舌を懸命に伸ばして悠人の口内を蹂躙する。
ぴくぴくと震える悠人の舌により繊細な動きを用いて絡ませながら、溢れる唾液を交換する。
「ん……ふ、じゅ、ぢゅ……ちゅる、る」
とろとろと喉を滑り落ちる蜜のような唾液に呼吸を妨げられて、だんだんと悠人の力が抜けていく。
肩に手を置き、悠人の身体を求めるように全身を押し付けて口付けを続けるヘリオンの勢いに負けて、
背中に手を回して抱きついたまま悠人はゆっくりと押し倒されてしまった。
ただ、バスタオル越しでも背に当たる固い床を感じて、この体勢でもまあいいか、と悠人は思い直した。
手を二人の身体の間に滑り込ませて押し付けられている胸に触れる。激しい高鳴りをその手に受けながら
ピンと尖った先端を弄るとぴくぴくヘリオンの眉が揺れて、舌の攻めも緩くなった。
その隙にじゅると唾液を飲み込んで唇を離し息をつく。
「はぁ、はぁ、は、やっぱり、ヘリオンって感じやすいんだ……そっちからしてくれるのも、すごく上手いのに……」
「そ、そんないじわる、言わないでくださいよぅ……」
「意地悪で言ってるんじゃないぞ、だってほんとの事なんだから」
身体の上に乗ったヘリオンから漏れ出る蜜を指を伸ばしてすくい取って、悠人がぺろりと舌へ運ぶのを見て、
「あ……そんな、ことぉ……」
ヘリオンが声を洩らすと同時にとろ……と新たに愛液が溢れ出た。
「ほら、さっきから準備も出来てて、こんなじゃないか」
「そ、それだったら、ユートさまだっておしりにこつこつ当たってますよぅ……」
「ああ、だってヘリオンが自分で言っただろ?俺たち、お互いの全部が好きで、
二人とも、こういうことも好きだって……」
もう一度指を伸ばし、くちゅりと音を立てさせると身体を震わせて頬を染め、こくりと頷いた。
「あ、でも、この格好のままで、なんですか」
「う……ん、やっぱり、床、固いから。このままの方が良いかなって」
「は、はい……それじゃあ、お願い、します……」
胸に置いた手で身体を支えながら膝で立って少し腰を浮かせる。
悠人は自分の下腹とヘリオンの秘裂の間に一瞬かかった糸を目にして、びくりと自身を蠢かせた。
「あ、また、びくってしてます……」
性器に手を添えて、悠人はヘリオンが挿入しやすいよう固定する。
そろそろと腰を落としたところで互いの性器がぴと、と触れ合った。粘液同士が擦れあって音が響く。
「ぅ……ん……熱い、です……」
ず……
「く……ぅう……ん」
「うわ……」
先端の一部分が飲み込まれただけで悠人には今までよりも深い快楽が、ヘリオンには予想以上の痛みが襲い掛かっていた。
充分に濡れているとはいえ小柄なヘリオンには悠人のモノは少し大きい。
それでもさらにヘリオンは腰を落とそうと眉をしかめながら身体を動かす。
「焦らないでいい、ゆっくりで良いから力、抜いたほうがいい……」
身を起こそうとしてヘリオンに刺激が与えられた事に気付き、悠人は手を伸ばしてヘリオンの頬を撫でる。
「は、はい……」
ず、ぷ、ずず……
「ぁ、ああ、っは、ぁあ……」
目に涙を浮かべながら、何とか先端を全て膣内に入れ、秘洞を押し広げられる感触を得ながら徐々に腰を進める。
しかし、悠人はそこに存在した最後の抵抗にヘリオンの動きが止まった事に気がついた。
ヘリオンが息をついて悠人の顔を見つめる。その表情には彼に対する懇願が浮かんでいた。
「ユート、さまからも……いれて、ください……わたしだけじゃ、ちょっと、怖いです……」
「……わかった、できるだけ優しくするから、な」
こくんと頷いた事を見ると徐々に手を下へと滑らせて両手の指先を羽毛のように使いヘリオンの胸を撫でる。
別の刺激に身体の力を抜いた所でさらに下に手をやり腰を掴んで、ヘリオンと呼吸を合わせて結合を深める方に引き寄せる。
ずぷ……ち……っ……じゅぷ……ず、ず……
「あ、ぅああっ……っああぁぁぁ……っはぁ、はぁっはぁ……」
薄い抵抗を破った後もヘリオンは腰を沈ませ続け、悠人もヘリオンの動きを感じながら掴んだ腰を押し下げる。
最後には二人同時に、先端が一番奥をこつりと叩いたのに気がついた。
「は、はいっちゃい……ました」
痛みと驚きが覚めない顔のままヘリオンがぽつと呟いた。
悠人がちらりと繋がった所に視線をやるとそこには白く濁りかけた愛液に混じり赤い血が少しずつ流れ出していた。
入りきらなかった男根を伝って悠人の下腹にも付着していく。
「う、ん……しばらくは、このままで良いから」
とは言ったものの、ヘリオンの膣内はまだ動かないうちからきゅっと悠人を締め付けてさらに奥へと誘おうとする。
「く……」
ヘリオンにまだ痛みがあるのに気持ち良くなるのは何か悪い気がして、少しでも痛みを紛らわしてやろうと
太腿に手を伸ばし、ゆっくりと指先でくすぐるように刺激を与える。撫でるうちに徐々にヘリオンの強張りが解けていった。
「ユートさま、慣れるまで……もっといろんな所撫でて……ください……」
悠人の胸に手を置いて全身に触れやすいように軽く身を近づけ、おねだりとも言える目つきで悠人の手を誘う。
頷いて、先ずは目の前でふるふると震えている乳房の先端を摘んだ。掌をむに、と押し付けて全体の感触も味わう。
「ん……ん、ふ……む、ぅん……ちゅ、ぷ」
身体を軽く起こして口付けを求めると、ヘリオンから顔を近づけてきてくれて、そっと舌をさし込んだ。
もう片方の手を背中に滑らせておしりの肉をやわやわと揉みしだく。
「ふぅぅ……ん、また、あっちはぁ、ゃ、やですよぉ……」
「わかってるよ、嫌がる事はしない」
身体を洗う時にさんざん撫で回したというのにヘリオンの滑らかな肌の感触に飽きる事は無い。
「ユートさまの手……やっぱり、えっちですけど……とても、やさしいです……」
それどころか、快感に熱を帯びた表情と体温がより深く手を吸い付かせるように感じる。
結合部に手を伸ばし、肉芽にかぶさった皮をそっとめくり上げて充血した淫核を晒す。
指先にからむ粘液を塗りつけるようにしてくりくりと転がすと、びくびくとヘリオンの身体が恍惚に震えた。
「あぁっ……だ、めぇ……つよい、です……ぅ」
単に締め付けるだけだった膣内も、新しく湧く愛液に助けられて絡みつくようにその動きを変えていた。
己を包む快楽に身を委ねて、思うままに動く誘惑をかろうじて耐えてヘリオンに問い掛ける。
「くぅっ……ヘリオン、もう、大丈夫か?」
悠人の腹筋に手を置いてゆっくりと身を起こして、
「わたしは、もう慣れて、きましたから……ユートさまも我慢、しないでください……ね?」
ヘリオンは瞳を快楽に潤ませながら腰を浮かした。
「ふあぁっ、……ああんっ」
ずちゅ、という音と共にもう一度腰を落とす。自分でほんの少し内襞を擦っただけで脚から力が抜けた結果だろう。
「こ、こんなに……?」
自分の行為がもたらした感覚に戸惑うヘリオンの表情を見ているうちに、さらにそれを引き出したいという思いが
悠人の胸を駆け巡っていった。しっかりとヘリオンの腰を掴んで、徐々にヘリオンの身体を持ち上げていく。
つられてその動きを助けるようにヘリオンも腰を浮かせるが、その感覚に思考が回らなくなる。
「ぅぁ……あ、あ、抜け、ちゃ、うぅ」
「ヘリオン、いくぞ……っ」
「ふぇ?ぁ、ああっ、お、落ち、ちゃ、……っあああぁぁぁっ」
悠人が腕から力を抜いて、じゅぷっ、と粘液が散る音を立てながら再びヘリオンの膣内に肉棒を埋め込んだ。
小さく息継ぎを続けて身を震わせている間に、
「んぁ、ま、またぁ……擦れ……てぇぇっ」
ずずず、ず……じゅぷ、ずず、ず……ずちゅぅっ
ゆっくりと繰り返しへリオンの身体を上げ下げする。
刺激を与えるたびに湧き出る愛液が、悠人の肉棒に絡みつき抽送を滑らかにしていった。
歯を噛み締めて脊髄を駆け上る快感に耐えながら腕を動かしていた所で
ヘリオンの手が悠人にそっと重ねられて、腰から手が外される。
「ヘリオン……?」
呼吸を荒くしてとろんとした瞳を悠人に向ける。
「だめ、ですよぅ……ユートさま、なんだか我慢してるみたいです……」
それはそうだ。そうじゃなかったら湧きあがってくる射精感を抑える事なんか出来ない。
そんな悠人の思いとは裏腹に、ヘリオンは悠人が気持ちよくなるのを我慢しているととったらしい。
「わたしも、気持ちよかったから……お返しです……」
そして今度は悠人の力を借りずに自分で腰を動かし始めた。
「ん……ぁ、あ……どう、ですか……?」
動きはまだぎこちなく、ゆっくりとした物だったがその懸命な表情と声に不満も消し飛ぶ心地がする。
何よりも、ヘリオンが自分から悠人を求めて身体を貪欲に打ち付けている、その状況だけで脳が蕩けそうだ。
「……く、ぃぃ」
「ぁん、こ、こうです……ね……、ぅぁ、わ、わたしも……すご、いぃ……!」
捏ね回すようにおしりを動かすと、奥にまで届いた先端がぐりぐりと行き止まりの壁を刺激する。
それが互いに圧倒的な快感として襲い掛かった。
自分で動かなければあっという間にヘリオンによって達しさせられてしまいそうで、
悠人も負けじとヘリオンをより高めさせるために腰を使い始める。
「ひぁん、あ、あぁ……んん……ユート、さまぁ……」
振動の波長を互いに測りながら、タイミングを合わせて動きをつけ、徐々に速度を増していく。
「ヘリ、オンは、どう、かな?」
「ぅあっ、あんっ、あっああぁっ、ふあっ、きもち……ぃ、ぃいれ、すぅ……」
じゅぷじゅぷと腰同士を打ちつける音を浴場に響かせながらさらに深く二人は交わりあう。
「ああっ、おとぉ、きこえ、ちゃうぅっ、らめぇっ、はずかし……んあぁっ」
既に嬌声を悠人に惜しげもなく披露しているにもかかわらず、譲れない線があるらしい。
それを微笑ましく思っていたところで、ヘリオンの膣内がきゅぅきゅぅと締まった。
抽送を妨げることなく、襞の一枚一枚が吸い付くように、絡みつくように肉棒を咥え込んで離そうとしない。
それでいて悠人に与えられる感覚に痛みは全く無く、きつく締めつけられているのも全てが快楽として感じられる。
「ヘリオンの、なかっ……すごい……」
「ふぁあっ、ユートさま……ユート、さまぁっ、もっと、きもちよくなって……
わたしもぉ……きもち、いいですからぁあっ」
「ああ、一緒に、最後まで、いこう……っ」
がば、と身を起こし、悠人はヘリオンを抱きすくめてさらに勢いをつけて腰を打ちつけた。
先ずは首筋に唇を寄せて順繰りに届くところ全てに口付けていく。
全身にさわさわと手を這わせて、胸のささやかなふくらみの先端にそっと指をかけ、
人差し指と中指で充血しきった乳首を挟んで転がす。同時にもう片方にも唇をつけてちゅうと吸い付いた。
「ひゃうっ、ああっ、あ、あ、あ、いぃ……ユートさまの、ぜんぶ、きもちいいですぅっ」
ヘリオンの全身がびくびくと震え出し、絶頂が近い事を悠人に報せる。
「……あ、あっ、今、なに……?おかし、いぃ……きもち、よすぎてぇ……」
「ヘリオンっ、俺も……もうすぐ、イクから……」
「い、いまの、が……?あ、あぁ、また、ま、たぁ……」
軽く達するたびにぎゅっと悠人を抱き返して、身の震えを伝える。それは膣内に埋め込まれた肉棒にも如実に伝わり、
悠人の射精感を増大させていった。
「ああっ、なかで、びくびくして……あ、また、んゃぁ、こんど、は……すご、いの、きちゃう……」
「なら……俺も、一緒にいくぞ……っ」
瞬間、悠人は身体の動きを止めて大きく腰をひいた。殆ど抜け切ってしまうのでは無いかと思うほどに肉棒を露出させ、
「ぁ、あぁ……ユート、さまぁ……ぬか、ないでぇ……なかに、ぜんぶ、きて……ください……っ」
大きく頷いた後に一際強く最奥まで届けとばかりに、粘液を飛び散らせながら自身を挿入した。
「あ、あああぁぁぁぁああああっ」
「く、ぅううっ」
ヘリオンの背中が反り返り、一呼吸遅れて悠人にかつてないほどの締め付けが襲い掛かった。
どくっ、どくっどくどくっど、くぅっ
「あぁっ、あつ、ぅあ、あああぁぁぁぁぁっ……」
耐えに耐えていた射精感が解放されて、叩きつけるようにヘリオンの膣内へと精液を流し込む。
悠人の肉棒がびくりと痙攣するたびにヘリオンも何度も絶頂を味わい、その体から力が抜けていく。
「ぁあ、ユートさまの、あついのぉ……いっぱい、はいってきてます……」
射精がようやく収まった頃に、ヘリオンはくたりと悠人にもたれかかってそれだけを口にした。
焦点の上手く合わない瞳で悠人の姿を求めて小さく呼吸を続けるヘリオンに、悠人はゆっくりと口付ける。
視界に悠人の顔を納めて蕩けるような笑みを浮かべ、ヘリオンは悠人の胸に頬を摺り寄せた。
悠人が、ずる……とヘリオンから少しは落ち着いた性器を抜いて、抱き合ったまま横になる。
そっとヘリオンの顔を覗き込むと安心しきった表情で目を閉じて脱力し、静かに呼吸を続けていた。
意識はあるけれども、体が上手く動いてくれないのかもしれない。
腕を伸ばし、敷いていたバスタオルの側に丸めていたタオルを拾って、
ヘリオンの股間から垂れている粘液を拭い取っていく。
ねっとりと溢れ出した精液に混じり桃色に見える血液を見て取り、愛おしさが頭を占めた。
言葉は無しに、まだ胸に顔を埋めたままのヘリオンを強く抱きしめ、
余韻に浸りながらそのまましばらく肌を触れ合わせる。
やがて、ヘリオンがゆっくりと目を開けて悠人を見つめた。
「ユートさま、わたし、今こうしてるのが夢みたいです」
「夢なもんか。俺だってヘリオンだって、ちゃんとここに居て、愛し合ってたんだから」
視線から望む事を読み取って、もう一度深く唇を合わせる。そっと顔を離して照れながら微笑みあった。
「な?」
「……はい」
悠人は静かにヘリオンを抱き起こして、もう一度湯船の側に運ぶ。
「拭いただけじゃまだきれいにならないだろうから、ちゃんと洗わないとな」
桶にお湯を汲んで、ヘリオンの身体にかけようとしたところで、頬を染めたヘリオンに止められた。
「あの、ユートさま。その、今度は自分でしないと……また、きもちよくなっちゃいますよぅ」
かっと顔を赤くしてあたふたと湯桶を渡し、悠人はヘリオンに背を向けて自分の股間にざばざば水をかけて粘液を落とした。
ヘリオンは、ぬるめのお湯で出来るだけしみないように注意して自分の体を清めていく。
それでも、一度ぴりっとした刺激を受け、先ほどまでの行為が現実感を伴ってヘリオンの思考を満たした。
「ヘリオン、やっぱりお湯に浸かりなおすのは無理っぽいな」
「え?あ、そう、ですね」
ふと気付くと悠人がヘリオンの顔を覗き込んでいた。股間に手をやって痛みに顔をゆがめてしまっていたらしい。
我慢できないほどでは無いけれど、確かにこの状態で湯船に浸かれば傷口にしみてしまいそうだ。
「どうしようか……せっかく温まりに風呂に入ったのに、そこまで気が回らなかった。
ごめん、これじゃ結局身体を冷やしちまう」
「そんなっ、だってわたしがここで、し、してくださいって言ったからじゃないですか、
ユートさまが謝ること無いですよぅ」
それを聞いても、悠人の顔は心配そうなままだ。その時、ピンとヘリオンの頭に案が浮かんだ。
「それじゃあ、ユートさまにお願いがあります」
「え、何かな」
にこ、と笑みを浮かべて悠人に迫る。
「一緒にお風呂に入るお願いを聞きましたから、
風邪をひかないようにユートさまがわたしをあっためて下さい、ね?」
ぎし、と音を立てるかのように悠人の身体が硬直するが、すぐに首をふって持ち直した。
「いや、何を今さら。いいに決まってるじゃないかそんなの。なんなら、ずっとこうしててやる」
ぎゅっと抱きしめて、まだ互いに熱の冷め切っていない身体を押し付ける。
「ぁ、上がってからでかまいませんよぅ。それにまだ、頭は洗ってないんですから上がれませんし」
「ああ、そうか、そうだよな。つい」
そっと腕を離して、照れながら髪留めを外したヘリオンを見た。
濡れた髪がばらりと下ろされて、想像以上に雰囲気が変わる。
「どうしたんですか、そんなにじっと見て」
何でもない、と悠人は赤くなった頬を隠してざぶんと湯船に跳び込んだ。
首をかしげて頭を洗い始めるヘリオンの後姿を見ながら、また新しい魅力を見つけたような気がして胸を高鳴らせる。
石鹸を洗い落とすまでぼうっと見つめ続けている所で、ヘリオンが振り返った。
「お待たせしました。ユートさま?」
「あ、それじゃ、上がろうか」
ざあっと湯を滴らせながら湯船から上がって、悠人はヘリオンの元へと歩み寄った。
少し冷えてしまっているヘリオンの身体をもう一度抱いて、体温を移しながら浴場から出る。
乾いたバスタオルを自分の身体に巻き、別の一枚でヘリオンの身体を拭いていった。
「こ、これくらい、自分で出来ますよぉ……」
「風呂から上がったら、思いっきり温めてやるって決めてたんだ。これくらいさせて欲しい」
頬を染めて黙り込んでしまったヘリオンの水気を取り去った所で服を渡す。
いそいそと着ている間に悠人も手早く身体を拭いて服を着た。
「あの、ユートさま、それじゃあ行きましょうか」
静かに悠人の腕に自分の腕を絡めて、メイド服に身を包んだヘリオンが悠人を促す。
「うん。あ、そうだ、ヘリオンはお腹すいてないか?何しろ今日は俺たちだけで何とかしなきゃならないからなぁ」
「それなら任せてください、わたし、何でも作りますよ。
……その代わりって言ったらなんですけど、ほんとに、さっきのお願い、聞いてくれますか?」
頷いて、ヘリオンの肩を抱く。
「当たり前じゃないか、ずっと、一晩中でも温め続けてて大丈夫だ」
口に出して、お互い即座に顔を紅潮させる。
そっと顔を近づけて口付けを交わしながら、長い夜を過ごす為に、まずは台所へと二人は消えていった。
……翌日、レスティーナへの報告に訪れるはずの悠人が遅刻しかけた事は言うまでも無い。
57 :
道行書き:04/06/13 18:55 ID:rBxEhrFC
あとがき
以上、第五幕後編でした。残す所はあと一、二回となると思います。
えー、シチュエーションだけは当初から決めていました。
ヘリオンとするときは風呂以外ない、と。お楽しみいただけたら幸いです。
それでは幾度目かの長文にお付合いくださり、ありがとうございました。
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くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <タイムシフト
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
>>33-57 Good Job!!
リアルタイムでいいもの見させてもらいました。
……ちょっとトイレへ
GJ!
ヘリオンタン(;´Д`) ハァハァ<17>
>>道行き書きの人
風呂対するこだわり、正に見事
GJ
63 :
エロ大王:04/06/13 21:47 ID:wxSMhjDX
えかった〜〜〜〜(;´Д`) ハァハァ
>>33-57 Good Job!!でしたごちそうさまでした
>「ゆ、ユートさま、やっぱり、バスタオル、付けない方がよかったですか……?」
うぉおぅぉxじょぃいxじょいぃjぉいxくぉいまおいq;qqq
65 :
名無しさん@初回限定:04/06/13 22:01 ID:8gwVUUBU
>>33-57 ∩
( ⌒) ∩_ _
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /" .
./ / _、_ / ノ'
/ / ,_ノ` )/ / good job!!
( /
ヽ |
\ \
ごめんsage忘れた。
>>33-57 なんつーか、もう、本当にヘリオンルートだな。
このままヘリオンE化まで行ってくれるのだろうか。
グッジョグッジョ!!
道行書き氏、ヘリ乙です〜〜〜!! <18>
新スレ移行後、イキナリの良作でもぅ
初めまして、最近此方を知って流れてきましたが・・・
いや、早速すごいSSを読ませて頂きました。
ゲーム画面でも、一人髪型に特徴があるキャラですが、ここまで来ると何でヘリオンエンドがゲームにないのか
悶々としてきます。
最後までの流れを楽しみにしていますので、頑張ってください。
他の方も魅力的なSSが多いので、新参者が生意気ですが、よろしく願いますm(__)m
しかしここまで来て、最後悠人が剣に飲まれたりs(以下検閲
妹がいつも履いているオーバーニーソックスを失敬してきて履いてみました
タンスの中にあったオーバーニーソックスの中で
1番長そうなナイロンの白いオーバーニーソックスを選びました
履いて思いっきり伸ばすとおチンチンの横まで伸びるんです
僕より背の低い妹なら普通に伸ばしても脚を全部包むんじゃない
なんだかいやらしいよこのオーバーニーソックスってやつは
履いたままオナニーしちゃった
射精して冷静になると「僕は妹のオーバーニーソックスでなに興奮しているんだ」と自己嫌悪になった
それでも履いたままでいるとまた興奮してきた
セリアがいつも履いているオーバーニーソックスを失敬してきて履いてみました
タンスの中にあったオーバーニーソックスの中で
ラキオス生地の青いオーバーニーソックスを選びました
履いて思いっきり伸ばすとおチンチンの横まで伸びるんです
ツンデレのセリアが何時も穿いて脚を全部包むんじゃない
なんだかいやらしいよこのオーバーニーソックスってやつは
履いたままオナニーしちゃった
射精して冷静になると「いったい人の部屋で何をしているんですか」と背後にセリアがいました
もう完全にセリアフラグは消失したんだな
, -‐‐- 、
/二二二\
∠ノ,ノノ^ソ从ゝ …と
∠从リ ゚ ヮ゚ノ从ゝ
(( /(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
‐-−--‐ < この後の展開が楽しみですね
-−=≡=−-
‐-−―-‐
-−-
/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
,べV
/ 〃  ̄ ヾ;
! i ミ(ノハソ
!ik(i| ゚ ワ゚ハ ………
<(つ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄ヽ/SpiNet/ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄
>>71-72 ワラタ
ナイス迎撃。
>道行書きさん
改名おめ&乙&G.J.!!
萌えたぜ…萌え尽きたぜ…真っ白になぁ…⊂⌒~⊃。Д。)⊃
おっと、まだだ。まだ倒れるわけには…最後まで見届けてからだ…グフッ
ツンデレってなんじゃ?
>>72 いや、マジでやばいくらいどうなるか気になるな
とりあえず生きるか死ぬかのラインをさまよう羽目になると思うが・・・
設立当初から居るけどツンデレの意味がさっぱりわからないんだが?
>>77 ぐぐってみたらこんなのが出てきた
>>「普段はツンツン、二人っきりの時は急にしおらしくなってデレデレといちゃつく」
あってます?
ソーマさn前スレですよ?
……とか、あえてツッコミ入れてみる。
>>79 いや失敬、しかも744ではなく740でしたな〜〜
ハハハハハ……
……と、誤魔化してみる。
82 :
道行書き:04/06/14 20:57 ID:WyjYBFf2
直球の感想、ありがとうございます。
自分で書いてハァハァしていた怪しげな状態だったのですが、
読み手にハァハァしていただけたり、萌えていただけたりすると、
やはり書いて、また投稿して良かったと思える瞬間となります。
最後まで書いていく気持ちはもちろんありますので、気長にお待ちいただければ嬉しいです。
オーバーニーソックス、ヘリオンは……黒かッ!
脳内で繰り広げられている第二ラウンドでのネタになりますた(;´Д`) ハァハァ
>>78 現在のツンデレスレ(
>>81)ではそれは狭義のツンデレみたいですな。
広義では、時間経過(シナリオ展開)でツンツン→デレデレと変化するのもツンデレみたい。
ツンデレスレ(
>>81)の 1にあるキャラリスト(外部)へ行って、
「ツンデレDeeper」を読むのがわかりやすい気がする。
84 :
エロ大王:04/06/14 21:34 ID:4gP/CR+a
雑魚スピが寝まきに着替えたら・・・・・ってのをふと思いついた・・・
ヘリオンたんが黒のスケスケレースのネグリジェ装着をを想像して・・・・ヤベエ・・・萌える・・・…⊂⌒~⊃。Д。)⊃
ニム
はタンクトップにパンツで・・・ハァハァ…⊂⌒~⊃。Д。)⊃
85 :
信頼の人:04/06/14 21:56 ID:JQ6dr0NN
>>道行書きさん
乙です!っていうか乙すぎます。
色々な意味で仕事終えてから拝読させていただいたのは正解でしたw
いつも癒されます。そろそろ話のほうもクライマックスですね、楽しみにしてます!
>>84 スケスケはナナルゥのほうがはまると思いませんか?
いけね、自分も想像したら萌えてきた
ニム、ヘリオン、ネリシアは普通のパジャマで充分萌える
そのままパジャマパーティーに突入だっ!
やっぱ裸Yシャツだな
サイズ大きめでブカブカがいいぞ!
でニーソは履いたまま
ではここで男物のTシャツを提唱してみる。
片方は肩口までずり落ちているのが良。んで下はパンツのみ。
ここは第二詰所、親睦会の名目で俺はパジャマパーティに借り出されてきた・・・
みんなパジャマで集まってきたけど、あれヘリオンはパジャマじゃないな
「ねぇねぇ、ユート様、これなんかどうですか?」
そういって現れたヘリオンは男物のTシャツにパンツ姿で現れた。
「えへへ、これコウイン様からお借りしたんですよ!」
そういうと、俺の前でくるくる回ったかと思うと、上目使いにこっちを見てくる。
回った拍子でシャツがずれて肩からずり落ちているのがなんとも・・・
「ユート様・・・これ・・・」
次はナナルゥか・・・って!
見るとブカブカのYシャツ1枚にパンツ1枚、その割にはハイニーソはつけたままだ
しかもYシャツのボタンは上の二つまでしか留めていないので、妙に艶かしい
「ナナルゥ、その格好は!?」
「コウイン様が、これだとユート様が悦ぶから・・・って・・・」
(いや、これはちょっと嬉しすぎて自制が!というかそのままさらってしまって甘美なマナを・・・
だめだだめだ!俺はバカ剣に乗っ取られたりはしないぞ!)
(契約者よ、私は契約者の精神に干渉はしておらぬぞ)
む、時間がないのでこの辺で
おのれ光陰め!GJ!
でもパジャマか…。
他のみんなは、部屋着とかパジャマくらい持ってそうだけど、ナナルゥだけはそういうことに関心なさそう。
そんなナナルゥを不憫に思ったユートさまが自分のTシャツをプレゼント。
すると翌日、なぜかスピリット隊全員のパジャマが盗まれるという不可解な事件が発生。
結局犯人は見つからなかったという…。
――ラキオス不思議事件簿No12
ここは第二詰所、親睦会の名目で俺はパジャマパーティに借り出されてきた・・・
みんな思い思いのパジャマのなか、ナナルゥだけ下着姿のままだ。
「どうしたナナルゥ、パジャマは着ないのか?」
「持ってない、それにこれでも寝られる…」
「そうか、でも風邪ひくかも知れないからな、ちょっと待ってろよ」
そういうと、悠人は持ってきた着替えの中から、自分のTシャツを取り出し
「ほら、これをやるから着てみろ」
Tシャツをナナルゥの頭からかぶせ、袖を通してやった。
「どうだ?暖かいだろ?」
「…ん・・・暖かい…」
最初は驚いていたが、暫くするとシャツをうれしそうに頬に寄せていた
(喜んでくれてよかった)
ナナルゥの表情を見て自分もうれしくなった悠人だったが、そのとき周囲の空気が微妙に変わったことなど
当然ながらこの男には気がつくはずもなかった。
翌朝
「んー、良い朝だな、それにうれしそうなナナルゥも見ることが出来たし、良い一日になりそうだ。
そういえば、こんな昔話があったな…って、あれは地蔵に編み笠だったか」
(契約者よ)
「どうしたバカ剣」
(契約者の語る物語は「すべての相手」に配ったようだが、今回はスピリット一人にしか配って居らぬぞ。
まぁ、我が心配する事ではないようだがな)
この後起こる事件を、まだ悠人は想像することも出来なかった。
>>91 当方技量不足で、勢い任せだと、この短さでなおかつ無茶苦茶な話しか作れません。
どちらにしても、悠人に待っているのは修羅場でしょう(笑
エスペリアは、下着姿で寝るらしいな>設定資料集
となると、ナナルゥはスッポンポンで寝ててもおかしくはない罠
そこで夜中に敵襲ですよ!
んでシーツ巻きつけて出るわけだ
1撃でも入れられたらハラリだから3割増で強く
>>93 >>94 くそっ!そんな設定があったのか!不覚
ということで、ナナルゥはすっぽんぽんで、それを不憫に思った悠人がシャツをかぶせてあげたことで
各員脳内補完お願いします。
>>96 自分から攻撃を仕掛けても危ないですぞ!
「こんなときに敵襲!?こんな格好だけど・・・行くよ失望!」
はらり
「きゃ〜〜〜」
(ぺたりとその場にしゃがみこむヘリオン)
(ぬぅ、黒スピリットにすらカウンターをかけるとは、新手の魔法?
というか俺も(目がくぎ付けで)動けん!これはエーテルシンクXか!?)
>>96 ナナルゥなら無造作に、神剣一丁でスッポンポンのまま戦闘突入!というのが正しいのありかたであろう(w
>>99 GJ!
やはり自分のようなつまらない文章より、インパクトがでかいです。
いっそのことパジャマ編やTシャツ編も是非!
つまらない文章って何のことだ?
102 :
97:04/06/17 16:13 ID:QTvx7Swj
>>101 失敬、97の脊髄反射で書いた文章のことです。
卑屈になるのは感じ悪い
評価が悪くなるのは仕方ないとしても
自分でダメポダメポ言うのは読み方を不快にさせるだけ
>>103 うう、それは申し訳ない。
ただ自分も思いつきで書いてしまうものなので、あとから見て「なんじゃこりゃぁ!」と鬱になることも。
精進してみますのでご容赦を。
って、ちょっと前の過去スレにも似たような内容が・・・
105 :
98:04/06/17 18:04 ID:Nr3ire9f
>>99氏
…GJ!、アーリガトウッ!
>>97氏
また-りいきましょう、また-り、いいもん見れたじゃありませんか(w
それだけでは、なんなので、
ナナルゥ以外に就寝中・入浴中等に、突発的に戦闘が発生した場合、無造作に全裸のまま戦闘に突入しそうなキャラって誰かな?
エトランジュでは、光陰、第一詰め所では、アセリア・オルファはやりそうと思うんだが、第二詰め所では後、誰だろう?
兜(フェイスガード?)をかぶってればOK、とか、ツインテールのままだったら問題なし、とか、後でお菓子を…等々、条件付でも可だったら、過半数を超えそうだが(w
兜をかぶって…ハッ(;´Д`)
…顔をかくして体かくさず!?
……神剣が『月光』なのは、まさかそれか!?
ファーレーンは夜襲があったら…
サンタクロース帽子のようなナイトキャップを兜と間違えてかぶって来そう。
そして神剣と間違えて抱き枕を持ってくるヒミカに萌え。
>>106 イカン、あのマスク被ったファーレーンが決めポーズ取って脳内から離れねぇ…
「ただの一撃で突き崩す…おっぴry!」
即死確定w
ファーレーンは夜襲があったら、曙光を持ってくるに永遠神剣1本。
……そして『求め』を持ってきてしまうニム。
うん、そうに決まっている。
事が全部すんでからようやく起きてくるハリオン。
「ナナルゥ!敵はどこ?!」
「どうやら第一詰め所の方らしいです。
・・・それよりセリア、トレードマークのポニテはどうしました?」
「・・・貴女こそ何か着なさいよ。」
『デュアルエーテルウェーイブ!』
ぴかーっ
「光の使者、雑魚ブルー!」「光の使者、雑魚ぶるー!」
『ふたりはネリシア!』
「邪悪なシモベの光陰よ!」
「とっとと宿舎へ帰りなさい!」
『永遠のアセリア〜The Spirit of Eternity Sword〜 EXPANTION』
XUSE【本醸造】/8月13日(夏コミ初売り・イベント限定販売)/3500円
燃料投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
雑魚スピシナリオまだ〜?
舞台劇もやるみたいだが、雑魚スピたちに出番はあるのだろうか・・・。
120 :
寸劇の人:04/06/18 20:29 ID:B1SPuU8W
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
( ;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;;゚д゚)
( ´・ω・)
(つω⊂)ゴシゴシ
( ´・Ω・)
(つΩ⊂)ゴシゴシゴシ
(`・Ω・´)シャキーン!!
今日子ルートはイラナイヨォ…光陰好きの俺は鬱になるよぉ…
と言うか雑魚スピルートくれよぉ。
イベント限定・・・('A`)
ショップでも売れよ('A`)
うむ、ハリオンルートが欲しい。
と言うかおば<<検閲により削除>>ネ
ファーレーンに一票
>>120 ワロタ、彼がイベントの真の黒幕だったんだよ!
128 :
寸劇の人:04/06/19 01:04 ID:6wW7BF8T
>>127 さすがに何の関係もないだろうけど反応するしかないよな、ネタとして、と。
本当に愕然&ガクガクぶるーぶるーしたのは内緒ということで(w
しかし、『+で小騒動』の時といい、どうしてこう妙な符合踏みますかね、私…
……
そろそろイベント情報ページの Dream P"e"rty を Dream P"a"rty に直そうね > Xuseの中の人
と言ってみるテスト
いまさら某声優スレを見て
毒舌吐きまくりのフェンリルエスペリアを妄想してしまった漏れorz
「大丈夫か?」
悠人はうずくまっているニムントールに声をかけた。二人で哨戒任務を終えての帰途、半分眠りながら歩いていたニムントールはつまずいて足首を挫いてしまった。器用なんだか不器用なんだか…。
「だ、大丈夫よ。慣れてるから…」
「……慣れてるのか」
慣れてるということはつまり…。と、ニムントールが慌てて言い募る。
「く、訓練で、よ、訓練」
「ふーん、訓練で、ね…」
「ムッ、なんか文句…っ」
食ってかかろうとして立ち上がりかけたニムントールだったが、痛みに再びうずくまってしまう。
「あぁ、動かない方がいいぞ。ちょっと待ってろ」
悠人は森から手ごろな枝を拾ってくると添え木に、自分の服の袖を切ったのを包帯代わりにして固定してやる。
「ほら、これで少しはマシになっただろ?」
おっかなびっくり立ち上がってみるニムントール。
「…ぅん」
「ま、治るわけじゃないし、痛みが完全になくなるわけでもないけど、何もしないよりはいいだろ」
「変なこと知ってるんだ…」
「んー、まぁ、いろんなバイトしてたしな」
「『バイト』?」
「あぁ、えーと…任務みたいなもんだ」
「ふーん…」
「そっか、この世界じゃ神剣魔法があるからあんまりこういうことしないかもな」
「………」
黙り込んで俯いてしまったニムントールを見て、悠人は己の失言を悟った。今のところニムントールが使える神剣魔法はウィンドウィスパーしかない。
ニムントールのウィンドウィスパーには何故か回復効果があるものの、その効果量はアースプライヤーには到底及ばない微々たるものだ。一般に緑スピリットには防御力と回復魔法が期待される。
普段、強気に振舞っているニムントールだが、防御にこそ優れるもののアースプライヤーを使えないことに内心忸怩たるものがある。悠人はそれに既に気づいていた。気づいていたのに…
「ま、傷じゃないから神剣魔法じゃろくに効果ないだろうけどな。ふむ、そう考えると捻挫の応急処置として広めた方がいいかもしれないな」
「ん…」
>>116 ああ、自分も逆にしたら以外とはまるのでは!?と思ったが
これは笑える(いや失敬
悠人は努めて明るく言うも、ニムントールの顔は晴れない。下手な気休めだ。たしかにアースプライヤーはマナを活性化させて傷を癒す魔法であり、欠損ではない捻挫のような症状には幾分効果が薄い。
とはいえ、その差は小さなものだ。捻挫も少し痛むだけで普通に歩けるぐらいには回復し、そのまま二〜三日も経てば完治するだろう。アースプライヤーにはそれだけの力がある。
ニムントールにもそれがわかっている。悠人は己の失言を、そしてそれを上手くフォローできない己の不甲斐なさを悔やむ。えぇいっ、仕方ない。
「きゃあっ!? ちょっ、ちょっと、なにしてんのよっ!」
「ん? 何って、おんぶだよ、ニム」
「な、なんでいきなりおんぶなんかしてんのよっ!? てゆーか、ニムってゆーなーっ!」
背中で暴れるニムントールにポカポカ叩かれながら、悠人は少し安堵する。「いつもの」ニムントールに…。
「いくら痛みを抑えたとはいえ、歩けないだろ? 落ちるから暴れるなって」
そう言って、ニムントールの足を支える腕を一瞬緩める。
「ひゃうっ!?」
「っと」
再びしっかりと支えて、後ろに傾きかけたニムントールを前に戻した。
「ほれ、歩くから首か肩につかまってろ」
「うぅうぅうぅぅ〜」
ニムントールが唸りながらもつかまったのを確認すると悠人は歩き出した。
ゆらゆらと揺られながら、ニムントールは湧き上がるあたたかく懐かしい気持ちに戸惑っていた。
なんだろう…この感じは…どこかで…いつ…?
なんとはなしに、つかまった手で体を支えるのではなく、悠人の背中に寄りかかってみる。そう、なんとなく、だ。悠人は何も言わなかった。ちょっと体を前に傾けただけだ。落ちないように、安定するように、ニムントールが体を預けやすいように。
そう、言葉はいらない。悠人が突然おんぶしたのもニムと呼んだのもわざとだということはニムントールにもわかっていた。わかったから、怒ってみせた。努めていつものように。
いつも喧嘩(といってもほとんどニムントールが一方的につっかかるだけだが)してばかりいたが、いつの間にか口にする言葉とは別の会話が成立するようになっていた。
あったかい…
湧き上がる想いが強くなる。それは嫌な気持ちではない。むしろ…。ニムントールはその先を意識にのせるのを止めた。
今のニムは変だから…でももうすこしこのまま…今だけ…
そのままほんわかとした安心感に包まれて眠りに落ちる。その寸前、ニムントールはわかった気がした。
…そっか…この感じは……
ニムントールが目を覚ますとそこは第二詰所の自分の部屋だった。窓からは朝日が差し込んでいる。どうやら悠人に背負われて帰るうちに眠ってしまい、そのまま翌日の朝まで起きなかったらしい。
昨日挫いてしまった足首を動かしてみるとほんの微かに痛みがあるだけだ。きっと眠っている間にハリオン辺りのアースプライヤーで治癒されたのだろう。
足を動かしたときに布団に引っかかりを感じて目を向けると、悠人がベッドにもたれて眠っている。手を伸ばしてそっと悠人の手に触れた。思い出すのは昨日のことだ。
眠りに落ちる寸前、認識すまいとする意思のたがが緩んでしまったのか、結局ニムントールは理解してしまった。無意識ではもうとっくに悠人が信頼できる相手だと認めていたことを。
そして、おんぶをきっかけに過去の記憶を呼び起こして認識をせまったのだと。それに抗おうとしていたのは自分が変わってしまうことへの恐れのためだった。だけど、変わったわけじゃない。無意識もまた自分、それだけのこと。
「ん…?」
悠人が身じろぎした。ニムントールは慌てて手を引き戻す。自分の中に悠人への信頼があることは認めた。だが、それはそれとして、まだ素直に表現することにはためらいがある。
「…ふぁあ。あぁ、おはよう」
「ぅん、おはよ…」
「陽の加減からいって昼前というほどでもなさそうだけど、早朝ってわけでもないな。よっと、んー」
悠人は立ち上がって伸びをする。
「腹減ったろ、メシ食いに行こうぜ。ハリオンに診てもらったから歩けるだろ」
「んー、起きるの面倒…」
まどろみながらたわいない会話をするこの雰囲気をもう少し味わいたい、というのが本当のところだ。
「ほれ、起きろー、ニム」
そう言って悠人が毛布を引き剥がす。
「うにゃ〜」
枕にしがみついて丸まるニムントール。「ニム」と呼ばれたことは流してみる。
「はぁ。なんか、ファーレーンの苦労が思いやられるな…」
「…なんか、ムカつく」
「いや、まぁ、ニムとファーレーンが普段どうなのかは知らないけどな。俺は普段起こされる側だから、起こす側の苦労に思いを致して反省してみた。…それはそれとして、はい、起っきー」
悠人が枕ごとニムントールの上半身を起き上がらせる。
「う゛〜」
「ほーら、ごはんが呼んでるぞー」
ニムントールはベッドから降りて立ち上がる。枕を抱えたままだ。つと、顔をしかめてみせると腰を下ろした。
「ん? まだ痛むのか?」
「ぅん…」
本当は大したことはない。立てないほどじゃないし、歩くのだって平気だろう。
「……おんぶ」
ぼそっと。
「…なんだかずいぶん甘えんぼだなぁ。そんな甘えんぼなお姫さまは、こうだっ」
「きゃうっ!?」
悠人はニムントールを抱き上げた。お姫さまだっこだ。
「な、な、な…」
「そんなに長い距離じゃないからな。それに、こっちの方が都合がいい。ほい、枕置いて」
ニムントールが枕をベッドに落としたのを確認すると悠人は歩き始める。
「ニム、扉開けて」
「………」
「な? おんぶだと二人とも手がふさがっちまうんだよ」
「…バカ」
廊下に出ると辺りを見回してみる。幸い誰もいない。出てくる気配もない。おそらくみんなもう食堂にいるのだろう。それをたしかめてニムントールはほっとした。
悠人に抱かれて運ばれながら、ニムントールは自分の胸の鼓動に戸惑っていた。もう急に抱き上げられた驚きは収まったはずなのに、その鼓動はなおも速い。
顔が紅くなっている気がして、悟られないように悠人の胸に寄せて表情を隠した。と、悠人の鼓動を感じる。あは、なーんだ。ユートもおんなじじゃん。…へへ、ニムといっしょだぁ〜……
そんなことを思っているうちに、もうすぐ食堂への扉だ。
「ね、降ろして」
「ん? 大丈夫なのか?」
「いいから降ろす!」
「はいはい」
悠人はそっとニムントールを降ろして立たせた。
なんてことないやりとり。だがそこに込められた意味は、
(みんなの前ではいつもどおりだからね!?)
(わかったよ)
といったところか。
食堂に入ったニムントールは「大丈夫?」という声に迎えられ、「大丈夫」と答えて、そしてあとはいつものように進む食事。
ニムントールの食べるペースが速くないのもいつものことだ。だが、今はいつにもまして進みが遅い。悠人に抱かれて食堂へ向かっているときの胸の高鳴りについて考えていたからだ。
ふと気がつくと、まだ食べ終わっていないのはシアーとニムントールだけだった。悠人も食べ終わっている。ニムントールはあわててペースを上げる。
「…ニムントール」
「…んごきゅ。何?」
悠人に声をかけられ、あわてて口の中のものを飲み下して聞き返す。
「ついてるぞ」
そう言って悠人は自分の頬を指差した。食堂へ入る前のやりとりを反映していつもの調子だ。だけどニムントールにはわかる。悠人が、
(あわてなくても先に行ったりしないから落ち着いて食え)
という意味を乗せてきたことが。
「う」
別にそうじゃない、そう切り返そうとして、けれどその意図を乗せられる「いつも」らしい返し方が思いつかなくて、半端な反応になる。ニムントールは布巾で頬を拭って食べるのを再開した。普通のペースで。
シアーよりも遅れていたから、自分のせいで片付けが遅れるのを避けようと思った。それはたしかだ。だけど、自分が遅れていることに気づいた瞬間、悠人の状況を確認してしまった。
やっぱりそれも気にしてたんだな…。もうニムントールはそれを認めるのにやぶさかではない。だから、普通のペース。
隣に座っているファーレーンに髪を撫でなれながら食後のお茶。その手からはいつもと変わらぬ愛情が感じられる。目覚めたときにいなかったけど、見捨てられたわけではない。それが確認できて安心する。
もちろんファーレーンが自分を見捨てることなんかない、それはわかっていた。それでも、わかっていても、改めて確認できると安心するものだ。
やがて三々五々と食堂を出て行く面々。ファーレーン、ニムントール、悠人が残ったところで、ファーレーンが立ち上がる。
「それでは、あとはお願いします」
「ああ」
「え? お姉ちゃん、もう行くの?」
「わたしは用事がありますから。またあとでね、ニム」
ファーレーンはそう言うと食堂を出て行った。二人で冷めたお茶を啜ることしばし。
「さて、そろそろ行こうか?」
「そうね」
二人は席を立ち、ニムントールは側に来た悠人に掴まって、そっと歩き出す。その必要もないのはないしょだ。
廊下に出て人気がないのを確認したところで、ニムントールは悠人に掴まった手をくいくいと引いた。
「………」
何も言わず、ただ視線で。
「それじゃ、ニムに選ばせてあげよう。どっちにする?」
「………だっこ」
悠人の腕に抱かれて運ばれながら、ニムントールはまた胸が高鳴るのを感じていた。今度は予めだっこされるのがわかっていたけれど。そして、また悠人の胸に顔を寄せて安心するのだ。
もう、ニムントールの世界を照らす光はファーレーンだけではない。
信頼とは別の何かもまた芽生え始めているのだが、ニムントールがその「何か」の正体を認識するにはもう少し時間が必要だろう……。
ともあれ、ニムントールが手に入れたそれは夜明けの光のように、眩しく、あたたかな、希望―――
139 :
寸劇の人:04/06/19 12:40 ID:6wW7BF8T
>>130,
>>132-138 『それは夜明けの光のように』をお届けしました。
以前から、ニムを書いてみたいという気持ちはありつつ、難しくて避けていたんですが、
『StoryTellerHimika』なんてお話を書いてしまったので、逃げてるわけにいかなくなって、
書いてみることにした、というものです。
スレ初期に勢力を誇っていたツンデラーなニムニスト達に影響を受けて、
私の中でもニムはツンデレ風味なキャラ像ではあるんですが、
そろそろ少しツン期から外れた描写を試みてもいい頃合かと思って挑戦してみましたが、
いや、難しいです、はい。
この先なりもっとドラマチックなデレ移行なりは、本職のツンデラーにお任せします。
アースプライヤーが捻挫に対して効果が幾分薄いというのは、この話のために捏造した設定です。
「幾分」に免じて目をつぶって下さい、お願いします。
未明に起きたファーレーンは、隣で眠るニムントールを起こさないようにそっと身を起こしてその枕元に腰を下ろした。ニムントールの眠りが深いことを確認すると、窓から射し込む月の光を浴びて青みを帯びて見えるその髪をそっと撫でる。
ニムントールがファーレーンの部屋に泊まるのは久しぶりのことだ。昨日の朝まで悠久が第二詰所にいて、その間ニムントールは悠人にべったりだったからだ。ニムントールが悠人と過ごすように、ファーレーンもニムントールとの距離感を極力調節していた。
信用できる相手がファーレーンただ一人という状態はニムントールにとって決して良いことではないと考えてのことだ。戦いに身を置く以上、ファーレーンの命は明日も続くとは限らない。
それはニムントールも悠人も同じことだが、ファーレーンはニムントールより後に死ぬつもりはない。己の命に代えてもニムントールは守る。その場合つまりファーレーンがマナに還ったとき、ニムントールには頼れる者が、支えてくれる存在が、必要だ。
悠人もまた戦う身ではあるが、エトランジェである悠人はスピリットであるファーレーンよりも生き残る可能性が高い。もちろん、悠人だけではなく、より多くの者を信じられるようになってくれるに越すはない。
ニムントールはすっかり悠人になついたようだ。表向きは以前と同じように振舞ってはいるが、ファーレーンにはわかる。そして、どうやらニムントールの中で悠人はファーレーンよりも大きな位置を占めたようにも思える。
ファーレーンはそのことに不安と寂しさを感じる。不安とは悠人がエトランジェであることだ。他の世界から来た悠人はいずれ元の世界へ帰って行くことになるのだろう。ニムントールは大きな存在を失うことになる。
その悲しみを想像してファーレーンは胸を痛める。だが、ファーレーンが生きていれば、あるいは他に信じられる者が増えていれば、孤独になるわけではない。ニムントールが孤独になってしまうことに比べればまだいい。ファーレーンはそう己を納得させる。
それよりも問題は寂しさの方だ。否、寂しさを感じてしまう己だ。
ニムントールが悠人になつくのが予想より遥かに早くそして大きかったとはいえ、こうも自分が動揺してしまうとは…。ニムントールが信じられる者を増やしていくのを無意識の内に阻害したりしないように気をつけなければ…。
そう自戒の念を抱くとともに、己もまたニムントールの存在に大きく依存していることを改めて認識する。そして、記憶の始まりからニムントールとの出会いにかけて思いを馳せる。
ファーレーンは気がつくと森にいた。それまでどこでどうしていたのかという記憶はない。自分がスピリットという存在であること、やがて人間のために神剣を振るい戦うこと、そういった知識だけはあった。
しかし、さしあたりどうするべきかという行動指針がないので途方にくれる。しばらくその場でぽつねんと突っ立っていたが、やがて疲れてきたので座り込む。いつしか日が暮れ始め、どうやらこのままここにいても何も起こらないと悟り、当座の寝床を探すことにした。
いつか人間に見つけられるなり人間を探すなりして戦士となるのだろうが、人間がやって来る気配もなければ探す当てもない。それまでの期間が長いのか短いのかもわからないが、長くても大丈夫なように雨風をしのげる居所を確保しておいた方が良いだろう。
しばらくして、どうにか陽が落ちる前に具合の良い洞窟を見つけることができた。落ち葉と枯れ草を集めて寝床を作り終える頃には陽が沈んでいた。
軽い空腹を感じ、火と水と食料の算段をしなければならないことに思い当たったが、辺りは既に暗闇が支配している。今から探して回るのは難しいだろうし得策ではないだろう、そう判断して、明日の課題とすることにした。
そのまま倒れるように横になる。そう大した運動をした気はしないが、なんだか強い疲労を感じたのだ。もはや空腹も気にならず、そのまま眠りへ落ちていった。それが、ファーレーンの記憶にある最初の一日だった。
それから幾多の日を過ごした。水場を探し、木の実を拾い、草を口に含み、火をおこし、小動物を捕り……。火を使うこと以外はほとんど野生動物のような生活に適応していった。
どれぐらいの月日だったのかファーレーンにも正確なところはわからない。三年か五年、そんなところだろうか。
運命の日の朝は霧のような小雨が降っていた。目覚めて雨が降っているのに気づいたファーレーンは辺りの様子を観察した。どうやら夜明け前にはもっと強く降っていたようだ。
風の感じからすると昼ぐらいにはまた降りが強くなるかもしれない。そう判断してファーレーンは今のうちに食料の補充に出かけることにした。
しばらく徘徊して木の実などを集めるも、さすがに動物は見当たらない。ふと何かが動く気配を感じるとともに、その気配に反応するかのように腰の神剣が一瞬だけ気配を放つ。
それまでただの重いナイフ兼包丁でしかなかった『月光』がたしかに神剣なのだと実感する。獲物に近寄るようにそっと気配のした方へ近づいていく。
そこには、雨に濡れて倒れているスピリットの姿があった。とりあえず、食料ではないのはたしかだ。別に危害を加えてくる様子でもない。
関係ない、放っておこう。そう思いつつも何故か立ち去ることもできずに見つめ続けるファーレーン。
と、ファーレーンの気配に気づいたのか、倒れているスピリットが気だるげに首を上げて視線を向ける。目が合った。その瞳は物憂げだ。
やがて向こうが目を閉じて首を下ろした。顔はこちらへ向けたままだが興味があるわけではなさそうだ。そこには顔を向こうに戻すのも面倒だという雰囲気があった。
「わたしはファーレーン。あなたは?」
それはファーレーンが記憶にある限りで初めて発した言葉だった。知識として言葉は知っていた。そもそも言葉で思考している。もっとも、いつ、どこで、覚えたのかはわからない。そういうものだと思っている。
しかしながら、これまで会話するようなあるいは言葉を解しそうな相手に出会ったことがなかったのだ。初めて言葉を口にしたが、自分の耳で聞く分には理解できる。あとは相手がこの言語を理解できるかどうかだ。
「………ニムントール」
返答があった。相変わらず目を閉じたままで投げやりな様子ではあったが。どうやら相手も同じ言語に属するらしい。ファーレーンは続けて尋ねてみる。
「こんなところで何をしているの?」
「………べつになにも」
「いつからそうしているの?」
「………昨日ぐらいから」
「体を壊すでしょ?」
「………めんどう」
会話と言えるのかも怪しいほどニムントールの言葉は少なくて把握するのに手間取ったが、要するに何をするのも面倒だということらしい。返事をすることさえ面倒なほどに。
「面倒でなければいいのね?」
「………んー?」
何を言ってるんだ、何をやってるんだ、そう思いながら、ファーレーンはニムントールを抱え上げて背負った。そして自分の住処へ運んで行く。ニムントールはされるがままだ。
ニムントールをおんぶして歩きながらファーレーンの頭の中では、どうしてわたしは…という問いが解もなく繰り返されていた。
洞窟に帰り着くと、何はともあれまずはニムントールを火に当たらせた。自分も火に当たりながら、ニムントールに食べ物を与えてやる。
むしゃむしゃと食べるニムントールの様子からすると一体どれほどの間何も食べていなかったのだろうか。あの面倒くさがりようからすると、あの場所で気がついてからずっと、という可能性もありそうだ。
ファーレーンがそんなことを考えていると、いつの間にかニムントールは横になって眠っていた。幸せそうな顔で、安らかな寝息を立てて。
その寝顔を見ながらファーレーンは、何故ニムントールを連れて来たのか、何故厄介者を抱え込むようなまねをしたのか、何故自分は食料まで分け与えてやるのか、考え続けるのだった。もちろん答は出ない。
やがて、ニムントールの体が乾き充分に温まった頃を見計らって火を消し、ニムントールに枯れ草をかけてやると、ファーレーンも横になる。そして、考え事を続ける内にいつしか眠りに落ちて行った。
ファーレーンが目覚めた時には次の日の朝だった。豪雨が降っていて空は暗く時間が掴みにくいが、さすがにまだ昼にはなっていないと思いたい。
ずいぶん長く眠ってしまったようだ。どうしたというのだろう。独りではないから調子が狂ったのか。それにしても眠れないならともかく眠り過ぎるというのはどういうことだろう。そう考えてニムントールの存在を思い出して見やる。
ファーレーンより先に起きていたらしいニムントールは目が合うと、
「ファー、おなかすいた」
と空腹を訴えた。ニムントールに食べ物を渡して、空に視線を向ける。今日一杯は降り続けるだろう。明日には止むだろうか…明後日になるか…微妙なところだ。
多少は食料を蓄えてあるものの、当然、一人分しか想定していなかった。早く雨がやんでくれることを祈りながら、ファーレーンも食事を摂った。幾分控えめに。
結局、雨が止んだのはその翌々日のことだった。朝、目覚めてみると抜けるような青空が広がっていた。朝食を摂り終えると、ファーレーンは食料補充に行くべく立ち上がる。と、ニムントールがあわてて立ち上がって、
「どこ行くの、ファー?」
と尋ねる。その声は心細げに揺れていた。ここでファーレーンは「ファー」というのが自分のことだと今更ながら気がついた。そもそも話す相手はお互いしかいなかったために気にもとめていなかったし、最初に聞いた時にはあくび混じりだった気がする。
「食べ物を探して来るだけです。日暮れまでには戻りますよ。昼食はあるものを適当に食べて下さい」
そう答えて、ファーレーンは洞窟を出た。
頭の中でいくつかの場所を思い浮かべ、最後に行った時の状況を思い出す。まだ充分な残量があったはずだ。新しい場所の開拓は余裕があったらでいいだろう。
そう判断し、今日のコースを検討する。豪雨の後だから状況確認の意味も込めて主要な場所は見ておきたい。巡回対象を決め、遠くから近くへとルートを決め、最初の場所へ向かって歩き始めた。
スタスタスタ…
トテトテトテトテトテ…
スタスタ…
トテトテトテトテトテ…
ファーレーンとは別の足音がする。ちらりと振り返ってみると、ニムントールだった。付いて来るつもりだろうか。ファーレーンは放っておくことにした。そのうち諦めるだろう。
スタスタスタ…
トテトテトテトテトテ…
距離が開いていく。
スタスタスタ…
トテト…
やがてニムントールの足音が届かなくなる。
スタスタスタ…
振り返ってみると、ニムントールの姿は見えない。しばらくその場に立ち止まる。自分は何をやってるんだろうと思いながら。やがて、途中で曲がってきた角の茂みからニムントールの姿が現われた。どうやら諦めなかったようだ。
ニムントールは辺りを見回したかと思うと、ファーレーンの姿を見つけて駆け出した。それを見てファーレーンは、ゆっくり来い、と身振りで伝えてやるとその場に腰を下ろす。
そして、動物や魚を諦めて木の実と果実を中心にコースを練り直しながらニムントールを待つのだった。
あくる日、ファーレーンは少し早めに起きた。ニムントールが寝ているうちに出かけてしまえば追って来ることはないだろうと踏んで、肉か魚を獲って来ようと思ったのだ。
ところが、起きてみるとニムントールがいない。洞窟を出て辺りを見回してみるが、やはりニムントールの姿は見当たらなかった。
空腹が満たされ生きる気力が出たので出て行ったのだろうか。食料を手に入れられる場所も昨日把握している。
一応それらしい理由を考えて納得しようとしたファーレーンだったが、胸にぽっかりと穴があいたような違和感は消えなかった。
その違和感を押し切るように、ファーレーンは出かけることにする。早起きした理由はなくなったが、食料調達が必要なことには変わりないのだ。
それでも、歩いて行くファーレーンの脳裏には、昨日出かける時の心細げなニムントールの顔が、一度見失ったファーレーンの姿を見つけた時のニムントールの安堵の表情が、浮かんでは消え浮かんでは消え……。
結局、成果は散々だった。ニムントールのことが頭から離れず、集中力に欠いたのだ。昼頃まで粘ったが、今日は駄目だと諦めて住処へ戻ることにした。
いったい自分はどうなってしまったというのだ、という苛立ちを抱えて歩くファーレーン。と、
「ファーっ!!」
声がしてそちらを見るとニムントールだ。抱えていた木の実を落として駆け出したかと思ったら、腰にしがみつかれる。
「…っ、いなくなったかと…っ、おいてかれたかと…っ、ニム、ニム、昨日足手まといだったから、っ、集めてこようと…っ、戻って来たら、ファー、いなくてっ…うわ〜ん、よかったぁ、よかったよぉ〜っ」
訴える声は掠れ、つっかえ、くぐもって、揺れていた。涙をぼろぼろと零しながら顔を押し付けて。ファーレーンの存在を確認するように…。
ファーレーンは違和感と苛立ちが消えて胸が温かくなるのを感じていた。そして、気づいていなかった、あるいは無意識に認めるのを避けていた、思いを受け入れた。
そう、己もまた、孤独だったのだ、ニムントールの存在に救われたのだ、そして、朝、ニムントールの姿が見当たらず、見捨てられたと感じたのだ。
「…お肉を獲りに行っていただけですよ」
両腕でニムントールを抱きしめてそう言うファーレーンの声もまた、揺れて、湿っていた―――
追憶に耽っていたファーレーンは目を開けた。そこにあるニムントールの幸せそうな寝顔に、ファーレーンの心も温まる。そして、窓の向こうで淡く輝く月に視線を向けて思いを巡らせる。
月は闇夜に怯える者たちの心を照らしてくれる。だけど、月もまた、見上げる者の存在に救われていることだろう。
皆が寝静まった夜に輝く月は孤独だ。だからこそ、見上げる者の存在は月にとっては救いとなる。そう、ファーレーンがニムントールの存在に救われたように。
月を見上げていた者がやがて視線を戻して歩き出しても、月は光を射しかけ続ける。行く手を照らすように。
ファーレーンもまた、ニムントールを見守って行くつもりだ。たとえニムントールにとって唯一一番の救いではなくなったとしても。引き留めるのではなく、行く手を照らすように。
それでも時々は振り返ってくれることを祈りながら。性根は優しいニムントールのことだから、きっと振り返ってくれるだろうけれど。だからこそ、引き留めてはいけないのだ。月のように見守るのだ。
「わたしは『月光』のファーレーン。夜明けの光が空を染めても、月の光は其処に在る―――」
149 :
寸劇の人:04/06/19 13:10 ID:6wW7BF8T
>>140-148 『月の光は其処に在る』をお届けしました。
前スレ485での私の妄想をリサイクル・拡大してみたというものです。
そういうわけですので、妄想設定度が非常に高い代物になっていますので、
気に食わない方はスルーして下さるとありがたいです。
150 :
寸劇の人:04/06/19 13:13 ID:6wW7BF8T
>>130,
>>132-138 『それは夜明けの光のように』
>>140-148 『月の光は其処に在る』
と、2つに分けてお届けしましたが、2つで1つという面もありまして。
ニム専門な方には『それは夜明けの光のように』を、
ファーレーン専門な方には『月の光は其処に在る』を
(あいにくファーレーンは損な役回りですが…)、
両方な方には、2つ合わせて『曙光に空が白むとも月光は其処に在り』として、
それぞれお楽しみ頂ければ幸いです。
(「白む」は「しらむ」と読んで下さい)
いつもテキトーに題名付けてきて、『StoryTellerHimika』ではついに、
書き始める時にテキトーに付けたファイル名そのまま、というのをやってしまいまして。
これではイカンと、今回は書き始める前にエディタを起動する前に、
散々悩んで題名決めてみました。題名考えるだけで数日かかりましたが(w
ともあれ、スレに、住人の皆に、光在れ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄
____________ O
ヘー ♪ ホェー / \ _ _ 。
,べV | という、そんなお話――― > //, ヽヽ\
/ 〃  ̄ ヾ; 〃  ̄ ヾ; ,'^》フ⌒´ヽ》ヘ \_____________/_ (/ハ\ヾ ii
! i ミ(ノハソ i`_(ノハソ ( ノ i」」」」」〉)) |_|__|__|__|__ ハ´ヮ`)))/
!ik(i|゚ ヮ゚ハ l从゚ ヮ゚ハ ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( ||__| |__ / ( Y _ ) ))
リ⊂}!廿i つ ⊂}!廿i つ (( ⊂! |T|!つ リ |_|_| 从.从从 |_(つ//⊂二//
く/Цレ' く/Цレ' く/|_|〉 |_|_|///ヽヾ\| | |_| ||/||
し'ノ し'ノ (フフ ─────────し レ ||/
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_ _ /\, ._ っ
__________ //, ヽヽ\ ____ /| ::::゙i `,... つ
|__|__|__|__| (/ハ\ヾ ii , ⌒⌒ヽ | | ∠=====> ゝ
|_|__|__|__|_ ハ´ヮ`))|)/ (((゙^ )) )i | | |」、‐ ;;;ノ!ヘヘJ
||__| |__ / ( Y _ ) )) <》==0L!、ヘ'ノi)イ>===| |=℃--------')>
|_|_| 从.从从 |_(つ//⊂__// `ヽ\_.!廿( > | | ℃--------'
|_|_|///ヽヾ\| | |_| ||/|| くi |_ L\ | | くi |_ L\
─────────し レ ||/ しし~  ̄ ̄ ̄ ̄ しし ~
''''' ''' '' '
>>140 >昨日の朝まで悠久が第二詰所にいて
ユーフォリアたんは第二詰め所配属なのかハァハァ
>>寸劇の人さん
グッジョブ!!
ところでそのAAはヒミカが二人に襲われてる??
なんか身近な人で同人話を作っているイメージが浮かんじまった。
ヒミカが悠人×光陰の話をネリ、シア、ヘリにして「きゃー」「続き〜」
後ろで今日子がハリセン持って立ってるとか……
変なことスマソ・・・・・・orz
>>153氏
ぐはっ
× 悠久
○ 悠人
ですね。 orz
そろそろ辞書登録しろよ > 私
>>154氏
『曙光に空が白むとも月光は其処に在り』がヒミカさんのお話だったら、
ニムはピキッときて、ファーレーンがそれを止めるのかな、と。
わかりづらくてスマソ orz
真っ昼間からオツカレ。
>寸劇の人氏
おつかれさま!&GJでした。
そういえばここのSSでニムが主役に来るのは久しぶりのような?
…しかし、やっぱりスピリットははじめ野良なのかなぁ?
俺はあの神剣が刺さっているところ(エーテル変換施設だっけ?)に転送されるのだと思っていたけど。
それで、ニムは元々敵国のスピリットだったけれど、ハイロゥが黒く染まりきっていない子を殺すことができず、
ファーレーンがこっそり連れ帰って保護することにした…
とか妄想してはいたけれど、具現化能力が妄想力に追いつかない_| ̄|○
>>157 前スレの「もし最初に悠人を見つけたのが…」でイイ!のが出てましたね。 < ニム
でも、初代スレの頃はけっこうニムニストが居た気がするのに
最近はニムは影が薄くなってきた気がします…
はじめは野良というのは単なる私の妄想ですから信じないように(w
なるほど。変換施設ですか。そっちの方が無難な気がしますねぇ。
いや、思いつかなかったです。
何やらそちらはそちらで良さげな妄想ですねぃ…
と、人が少ないのをいいことにちまちま…スマソ
>前スレの「もし最初に悠人を見つけたのが…」でイイ!のが出てましたね。
あ、それ俺が妄想展開した奴かも。
いつも妄想だけが先走って、プロットと出だしだけ書いて放置したままのやつが幾本もある…。
文章力とモチベーションが欲しぃょぉ。_| ̄|○
なんでイービルルートでしか雑魚スピとセックルできないんだろう、そう思った土曜日の午後。
どっこいファーレーン派である罠。
162 :
道行書き:04/06/19 23:19 ID:Yl1fxjRB
>寸劇の人さん
二本立てで楽しませていただきました。GJ&お疲れさまです。
二ムメインの話は確かに久しぶりな気がしました。
毎回趣向が凝らされていてすごいなぁと思うしかないわけです。
>85 信頼の人さん
感想ありがとうございます。どうにか長い話にも終わりが見えてきました。
スパートがかけられるようにスピ分補充をしている所なのですが、
ヘリオンED目指して進んでおります。
>157,159さん
私の場合、妄想だけで放置しておいたほうがいいネタもあったりします。
どてっ腹に穴開けたタキオスと下半身ぶっちぎれたテムオリンが
どのように再生するのか考えてみたプロットはスレの主旨とも
自分の趣味とも合わない物になっていきましたとさ……orz
ラキオスの南に広がる広大な森。
その豊富な資源によってラキオスを支えるこの森には
一本の街道が設けられている。
ラキオスからラセリオ、ミネアを経由してダラムへと続く大動脈。
普段は商人の行きかう賑やかな街道なのだが、今は使う者も無くひっそりとしている。
通りすがる人を見かける事も殆ど無いその道を、緑と黒二つの影が疾走していた。
「ねえお姉ちゃん、隊長ってどんな人だろうね?」
「ねえニム、そんな事よりもっと周りに気を配って。
ここはもう戦場かも知れないんだからね。」
「は〜い。・・・んーでも気になるなぁ。お姉ちゃんは気にならないの?」
「もう・・・エトランジェ様は男性だって訊いてるけどあとは知らないわよ。
会えば判るでしょ。急ぎましょう。」
「え〜男なの〜。なんかヤだなぁ〜。
ヒミカみたいにカッコいい女の人だったら良かったのに・・・」
「・・・・・・ふぅ・・・・・・。」
軽い溜息を付きながら、ファーレーンは出撃直前に
レスティーナ皇女から言い遣った一言を思い出していた・・・
サルドバルトがイースペリアに攻め込んだ。
ラキオス王が龍の魂同盟によりイースペリアの救援を決定したことで、
悠人達主力部隊はヒエムナからランサへの道を進撃する事になる。
又、サルドバルトがダラムを占拠した以上、
ミネアからラキオス本城が攻められかねない。
そこで先手を打つ意味合いも含めてダラムへの二面作戦が立案され、
ラキオスに後置されていたファーレーン、ニムントールに出撃命令がだされた。
・・・表向きはそういう事らしい。
急遽編成を終え出発しようとしていたファーレーンに
皇女から直々に呼び出しが掛かったのはつい先程である。
「エトランジェの保護を最優先に。それだけを考えて下さい。
その為ならどんな犠牲も厭わない様に、これは命令です。
それからこの事は一切他言無用です。いいですね・・・
・・・ファーレーン、彼の盾になってあげて下さい。
敵はサルドバルトだけではないのです・・・」
最後にそう漏らした皇女の少し翳のある表情で
これがただのイースペリア救援ではないのだと気付いた。
でもそれだけだ。敵はサルドバルトだけじゃない・・・?
「お姉ちゃん、ミネアが見えてきたよ!」
ニムの声に我に返ったファーレーンの目前にミネアの街が迫っていた。
戦禍を恐れて閑散としているミネアでファーレーン達を待っていたのはエスペリアだった。
ランサへの進撃が思ったより難航しそうだと判断したエスペリアが
ダラムへの邀撃をより効果的にする為に自分が行くと言い出したのだ。
エスペリアが抜ける事に難色を示していた悠人だが、彼女の押しの強さに最後は折れた。
「でも無茶はするなよ、エスペリア。
無理してダラムを陥としても包囲されたら意味無いんだからな。」
「ふふ、悠人様こそお気をつけ下さいませ。
今度は無茶されても守って差し上げられませんよ?」
「・・・・・・うっ、わかった、気をつけるよ、だからエスペリアも・・・」
「それでは御待ちしております、ダラムで!」
最後まで悠人に言わせず飛び出して来たエスペリアだった。
「エスペリアさん、どうしてこちらへ?」
「そんなことよりファーレーン、部隊はこれで全部ね?
これからすぐにダラムへ向かいます、各部隊の把握を宜しくね。
総指揮はわたくしが執ります。これはエトランジェ・ユート様の命令です。」
「え?あ、ハイ!今すぐ準備に取り掛かります!行くわよ、ニム!」
素朴な疑問をそんなこと扱いされつつも、畳み掛けるようなエスペリアに
反射的に返事をしてしまうファーレーン。
そんな姉に従いながら、ニムントールはやれやれと思っていた。
連投規制 ですか?
力尽きたんだろう
なんてな
鯖落ちしたんじゃないの?
昨日は2chおかしかったしな
昨日というかここ最近おかしい。
木曜か金曜かにも全鯖落ちなかったっけ?
マナが枯渇気味なのか・・・
と言うか2ch自体崩壊が近そうな雰囲気。
ホーコの月黒いつつの日 午後三時
雑魚スピ原理主義シアー派の皆さん、お菓子は用意しましたか?
173 :
寸劇の人:04/06/20 15:45 ID:L2DkyV8U
タイミング的にそこはかとなくアクセス(書込)規制の巻き添えの悪寒ですね。
何にせよ、後日に続きなり改めてなりと期待しております。 > 163-165氏
(アク規制巻き添えなら避難所に足跡でもとりあえず)
ミス指摘、感想、労い等をくれた方々、ありがとうございます。
>>159氏
もしや前スレの618氏か622氏辺りですか?
あ、あんなのが幾本も…是非書き上げて欲しいところですね。
文章力って…わたしらプロじゃないし(少なくともこのスレに書くことで金得てる人はいないでしょう)気にしてもしょうがないかと。
できる範囲で書いてみるしかないかと。
住人の求めているのは上手い文章より、萌える話(展開)・キャラ像かと。
私はある意味、住人の萌えを見出す/汲み取る力を信頼してます(w
まぁ、書くという作業はそれなりに時間も取りますし、無理強いはできないですが、
できる範囲で一本書き上げてみませんか?
そして願わくば投下してみませんか?
と、かつて閑散とした中、素人の先陣をきった者としてお誘いしておきます。
…と書いてて、過去のパターンから行くとこういうこと書いてると実は相手があの方だったという落ちの悪寒がしてみたり((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
>>161氏
今回はニムルート寄りでファーレーンにはちょっとかわいそうでしたかね。
でもまぁ、腹黒説が定着しつつあるところに違う風味をということでどうにか…
ファーレーンはきっと163-165氏が『恋慕』で幸せにしてくれるかと。
>>道行書き氏
趣向…になっていると良いのですが。スレ的には小手先の小細工な邪道かもしれないです。王道を行けないが故の。
まぁ、一人ぐらいそんなのがいてもいいよね?ということで…
で、163-165氏って、タイトルといい文のスピード感といい、信頼の人氏かな、と思ってみたりするが、さて?
>>150 ♪ 負われ〜て見たのはぁいつの日か〜
相変わらずええ話ですね。二人は別れ難き半身なんだな。「月は右手に陽は左手に」状態
になるのだろうか>悠人。
冒頭、前々スレでのオレのレスな予感。あれから三ヶ月くらいか……やっと全シナリオ終わったんで、
たまったネタを昇華すべきかなぁ。ナナルゥの話書いて以来ネタふりなんかはしてたけど。
175 :
159:04/06/20 18:48 ID:Kqxdxehx
>寸劇の人氏
自分は前スレの618ですね〜。
寸劇の人氏がいう「あの方」がどの方かわかりませんが、
会話文ばかりの、SSの範疇に入れていいのか微妙な奴なら何本かだしましたけどね。
そうですね。短いやつなら、せめて投下できるくらいには体裁を整えてみようかな…
>>175(159)氏
おぉ、前スレ618良かったですよ〜、転がらせて頂きました(620)。
「あの方」というのはですね、現在スランプ中(?)な書き手さんで私と違って名無し潜伏の上手な方がおられまして(w
うっかり書き手勧誘すると釈迦に説法を踏ませてくれる、私にとって 神 兼 天敵 のような方でして。
また踏むかとドキドキしてたわけです。違ったようで一安心。
…って、あなたも既に書き手でしたか…orz
では、会話文主体とのことですので、これを期にSS寄りなのも書いてみてくれるとありがたいです。
>>174氏
初代スレ415氏のヨカーン
「ニムとアースプライヤー」はそこから来てます、その通り。
私の中での雑魚スピのキャラ像は軒並みスレ住人の影響が多分にありますが、特にニムはほとんど影響で成り立っています(w
そういう意味では私は代筆しているようなものかもしれません。
「原案:スレ住人/執筆:寸劇の人」とか。
いい所突く感想もありがとうございます。
二人同時ルートでも個別ルートでも月日が巡っても、ニムにとってファーレーンはお姉ちゃんであり続け、ファーレーンもニムを愛しみ続けるのではないか、そういう妄想。
繋ぎ目の「おんぶ」に反応というのも嬉しいところです。
髪結いの人だったりするのかな?
ネタたまってるなら是非。お話もネタ振りも。
>>保管庫の中の人氏
既にミス指摘を受けていますので今回もご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
妙に勧誘モード入ってますが、私自身はスランプの予感がしてたりして _| ̄|○
信頼の人氏より規制報告がありましたので転載します
20 名前:信頼の人[sage] 投稿日:2004/06/21(月) 05:48 ID:1UuUnkHg
何時までたっても規制が取れないので、こちらで謝罪&御報告致します。
皆さんの御指摘通り、ものの見事にプロバイダのアクセス規制にはまってしまいました。
投稿中いきなり書き込め無くなったので一応規制板で確認を取った所、あと3分規制発動が早ければ
せめてお見苦しい所をお見せせずに済んだという・・・orz
夜中の事でもありどうする事も出来ず、スレに大変御迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。
昼間にネットカフェから投稿しようと思っていたのですが、持っていったFDが壊れていたというオチまでついてます(涙
『恋慕』の方は、規制が解除され次第、続きを投稿致します。
179 :
信頼の人:04/06/21 20:08 ID:L6Brkr+c
>保管庫の中の人さん
なんだか避難所とこちらで行ったり来たりですみません。
どうやら規制が解除になっているのを確認しました。
既に3レス分載せてしまっているので、今回はこちらに投稿する事にします。
御心配&御配慮&転載有難う御座いました。
今回は突然の事とはいえ、スレの皆様には御迷惑をお掛けしました。
今後このような事態が発生した時はもう少しスムーズに収拾出来るように心がけたいと思います。
又、温かい助言を頂いた寸劇の人氏、保管庫の中の人氏に改めて御礼申し上げます。
「私、てっきりお姉ちゃんが部隊長だと思ってたよ。」
ミネアを出てすぐに、ニムントールは切り出していた。
「え?あ・・・そうね、そういえば・・・なんでこうなったのかしら?」
素で今気付いた、という風なファーレーンにニムントールは心底呆れ返る。
「もーっ、呑気なんだから、お姉ちゃんは。これって
私達が“えとらんじぇゆーと”とかって奴に全然信用されてないってことじゃん!
まったく・・・ニム達の強さ、知らないくせにさ・・・ホントムカツク・・・ぶつぶつぶつ・・・」
不機嫌そうに黙り込んでしまった妹を横目で見つつ、
(でもこれでもう一つの役目は果たせ易そうになったわね・・・)
「隊長」という役職に縛られては動きにくいと思っていたのでむしろほっとしてるファーレーンだった。
エスペリア率いる第二部隊の進撃速度は敵の策略を完全に覆していた。
元々彼我の戦力差が大きすぎるのだ。
完成度の高いファーレーンの攻撃、強固なニムントールの防御、
さらにエスペリアのサポートまで加わっては
ただでさえ手薄なこの方面の守備隊はひとたまりも無かった。
そうして狼狽した敵がこちらに兵を割く事も又エスペリアの計算通りだった。
敵をミネア方面へ引き付けた隙に悠人達主力がランサを陥とし、
その勢いのままダラムへと北上したのだ。
サルドバルトはゲリラ作戦を展開、たびたび伏兵で奇襲をしかけたが、
既に大勢を覆せる程の影響力は無かった。
こうしてダラムは陥ちた。
「お疲れ様エスペリア、お陰で皆無事生き残れた。
・・・その、いつもだけど、ありがとう。」
「あ・・・いえそんな、ユート様こそ、御無事で何よりです。リュールゥ・・・」
軽く頬を染めながら楽しげに会話をするエスペリアと悠人。
いい雰囲気の二人を、ファーレーンとニムントールは少し離れた所から観察していた。
(あれがユート様・・・)
雷に打たれた様に、とはまさに今のファーレーンの事だった。
すらっと高いやや細身の体。針金の様につんと尖がった髪。意思の強そうな眸。
膝の下まで裾がある、不思議な服を着ている。
あれがハイペリアの衣装なのだろうか。
そして腰に鈍く光っている無骨な大剣。間違いなく神剣だろう。
『月光』の感情が伝わってくる。かなり高位の神剣だ。
それに選ばれしハイペリアのエトランジェ・・・。
そしてファーレーンは、それらの中でも特に彼の眼に惹かれていた。
黒く澄んだ瞳はエスペリアを優しく見つめている。
(でもなんで・・・なんであんなに悲しそうに微笑うんだろう・・・)
何かにじっと耐えているような、見ていると心が潰されるような、そんな微笑み。
そんな笑顔をファーレーンは今まで見たことがなかった。
ポーーーーーーーーーーーーーー
「あれがユート〜?ふ〜んなんかぱっとしない奴だね〜。ねっ、お姉ちゃん?」
「・・・・・・・・・」
「お姉ちゃん?もう、お姉ちゃんってば!」
「・・・えっ?な、なに、ニム。呼んだ?」
「(じーーーー)・・・・・・なんでもない。お姉ちゃん、顔真っ赤だよ?」
「えっ?えっ?えっ?そ、そんな事・・・」
姉のただならぬ様子に何か嫌なものを感じたニムントールは小さく溜息をついていた。
「・・・・・・めんどくさい。」
エスペリアが悠人に二人を紹介する頃にはファーレーンも大分落ち着きを取り戻していた。
「紹介します、ユート様。こちらが『月光』のファーレーン・ブラックスピリット、
そして『耀光』のニムントール・グリーンスピリットです。
二人の活躍無くしてはこの作戦は成功しませんでした。」
「よろしく、二人とも。俺は悠人。ここじゃ一応隊長ってことになってるけど
皆の方が先輩だから、これからも頼むな。」
そう言って二人にニッと笑い掛ける悠人。
「わっわっわたくしはひゃーれーんとも、も、申す、申します、します!
はっ、初めまして、こっこっこっ・・・」
「・・・・・・にわとり?」
「お姉ちゃ〜ん・・・」
・・・・・・全然落ち着いていなかった。
「こっこっこちらこそ、宜しくお願いしますっ!失礼しますっ!」
ぴゅーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ・・・おーーいっ!」
ぶんっぶんっと勢い良く挨拶をしたかと思うとあっという間に
走り去ってしまうファーレーン。
「あーーーー、行っちまった・・・俺、なんかしたか?・・・」
あっけにとられている悠人にニムントールがしかたなく挨拶を続けた。
「・・・・・・はぁ。私はニム。ニムントール。宜しく。」
「え?あ、おう、宜しくな、ニム。今回は助かったよ。」
そう言いながら、ニムントールの頭をぐしゃぐしゃと撫ぜる悠人。
「妹」的なものへの、悠人にとってはナチュラルな行動だったのだが、
それがニムントールの勘に触った。
「・・・ちょっと、子ども扱いしないでよ!それと、ユートのくせにニムって言うな!」
顔を真っ赤にして怒るニムントール。ばしっと手を払うとそのまま姉の後を追いかけていく。
「・・・・・・あちゃー、嫌われちまったかなぁ・・・」
がしがしと頭を掻きながら悠人が言うと、今までやりとりを見ていたエスペリアが可笑しそうに答えた。
「くすくすくす・・・知りませんよ、ユート様。
後でちゃんと謝っておいて下さいましね。ニムは怒ると怖いんですよ?」
「おいおい、脅かすなよ・・・それにしても」
(・・・・・・黒スピリットってみんなああなのか・・・?)
何故かヘリオンあたりを連想して苦笑いしてしまう悠人だった。
「ところでエスペリア、特別命令って・・・・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
その頃ファーレーンは逃げ込んできた森の中で激しく落ち込んでいた。
地面に『の』の字を書いている。(注:ヨト語で)
(もう、やだ、私ったら・・・なんであんなに気が乱れたのかしら・・・)
(あんな変な挨拶なんかして・・・変に思われたわよね・・・『にわとり』って言われたし・・・)
(・・・・・・ところで『にわとり』ってなにかしら?・・・ってそうじゃなくてっ!)
器用にも無意識に『月光』で抜き打ちをしながら自分に突っ込みを入れつつ悶えるファーレーン。
周囲の木が音もなく薙ぎ倒されていくが、本人は気付いてもいなかった。
(・・・たとえなのよね・・・やっぱり変なたとえなのかしら・・・)
(・・・でも変に思われてもしょうがないわよね、あんな変な挨拶だったんだから・・・)
「ユート様は私のことを『にわとり』だと思ったのかしら・・・ううん、きっとそう・・・」
妙なネガティブ思考の材料に使われているにわとりこそいい迷惑だった。
「は〜〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜ぁ〜〜〜〜」
長い溜息をついたかと思うと神剣を収めてしょんぼり立ちすくむ。
「・・・でも素敵な人だったな、ユート様・・・背、高かったな・・・優しそうな眸だった・・・」
思い出すと、また顔が熱くなる。胸の鼓動が激しい。
「・・・・・・わたし・・・どうしちゃったのかしら・・・」
「お姉ちゃん?」
「きゃあ!」
ビュン!
いきなり声を掛けられて動揺したファーレーンは咄嗟に『月光』を振るったが、
あわやという所で剣を止める。そこには立ちすくんだニムントールがいた。
「・・・あ、あっぶないなぁ〜お姉ちゃん。もう、ニムを斬る気?」
「ニ、ニム?い、い、いつから居たの!?」
「えっとね・・・『ユート様は私のことを・・・』ってあたりかな?
お姉ちゃん全然ニムに気が付かないし、居合いの訓練してたから・・・」
「えっえっ?訓練?って、私、声に出してた?」
「うん、ねぇ、『にわとり』って何?アイツが言ってたんだよね、それ。」
「・・・・・・ねえニム、この事はないしょよ。誰にも言っちゃダメ。いいわね。」
「え?『にわとり』の事?それともお姉ちゃんがユートの事を素t」
「きゃあーー!きゃあーー!きゃあーー!!!!」
ニムは今まで聞いた事が無いような姉の大声を聞かされながら口を塞がれていた。
良く見ると涙目になっている。
「むーーーーっ!むーーーーっ!!」
「いいわね、忘れなさい、忘れるのよ、ニム!お願い!!」
「・・・・・・(コクコクコク)」
泣きそうな姉の頭を撫ぜながら、ニムントールは頷いていた。
その夜。
ファーレーンと仮宿舎にあてがわれた二人部屋のベッドの中で、
ニムントールは姉の錯乱?について一つの結論を出していた。。
(どうやらまだお姉ちゃんは自分の気持ちにまだ気付いてないみたいだし・・・
とりあえず出来るだけユートとの接点を増やさないようにしなきゃね・・・
お姉ちゃんが好きになる人はもっとカッコイイ奴じゃなきゃ・・・
ユートなんてダメダメじゃん!まったく見る眼がないんだから・・・)
隣で寝ている姉の後姿を可哀相な者を見るような眼で眺める。
ふと、昼間悠人に頭を撫でられた事を思い出した。
(ふ、ふんっ!なにさ、馴れ馴れしいんだから!ニムを子ども扱いして!
エスペリアにでれでれしてたくせにさ。・・・くせにさ・・・)
いつの間にか自分の頭に当てていた手に気付くと、振り払うようにベッドに引っ込めた。
「もう!なんか判んないけどムカツク!」
「・・・・・・う〜んニム、まだ起きてるの〜〜?・・・」
「あ、ううん、もう寝るよ。おやすみ、お姉ちゃん。」
「・・・・・・はい、おやすみなさ〜い・・・すうすう・・・ユート・・・様・・・・・・」
半分寝ぼけた挨拶を聞きながら、ニムントールは拳を握り締めて決意を新たにした。
(絶っ・・・・・・対に邪魔してやるんだからっ!!!)
次の日。
エスペリアから特別命令の内容を教えられた悠人は出来るだけ急いで
イースペリアへ向かう事を決めた。
エーテル変換施設を破壊する事に疑問は残るが、
いずれにせよ自分が出来るだけはイースペリアの人々も助けたい。
一刻も早く辿り着くのがベストなのは間違いなかった。
そして、出発前に各部隊への作戦が悠人とエスペリアから伝えられた。
「まず、イースペリアへの進撃ルートは一本しかありません。
なので部隊分けは為されますが、基本的に全部隊同一行動を取る事になります。
まずは前衛部隊をダラムからの波状攻撃で一掃します。
わたくしは元の第一部隊に戻りますので、第二部隊の指揮はファーレーン、
貴女にお願いします。宜しいですね?」
エスペリアがファーレーンに微笑み掛けると、ニムントールは密かにガッツポーズをした。
労せずして昨夜の決意がとりあえずイースペリアまでは果たされることになる。
これで姉の頭も冷える冷却期間が出来るというもの。
しかもエスペリアはその間悠人の傍。ニムの勘によればあの二人には信頼関係以上のものがある。
それが進展してくれれば姉は戦わずして、というやつである。
一石二鳥という言葉は知らなかったが、これは正にそれだった。
と、ニムントールがほくそえんだ矢先、ファーレーンが勢いよく片手を挙げていた。
「あ、あのっ!エスペリアさん!わたしもユート様への配属を希望します!」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
「・・・・・・・・・・・・#(ピキッ)」
「・・・・・・・・・・・・ええええ!?」
(ざわっ!!!!!!)
悠人が間抜けな声を出したのとエスペリアの笑顔が引きつったのとニムントールが驚愕したのは同時だった。
予想もしなかったファーレーンの一言に場が一瞬凍りつく。
彼女に注目していたその場のスピリット全員の視線が一斉にある種の敵意を放っていた。
異様な雰囲気に自分の問題発言に気付いたファーレーンが片手を挙げたまま慌てて訂正を始める。
「・・・・・・え?え?あ、あの、違います!ま、間違えました!
いえ、間違いじゃないですけど、ってそうじゃなくて、そう、第一部隊です!
だ、第一部隊への・・・配属を・・・き、希望・・・しま・・・す・・・・・・」
真っ赤になって俯くファーレーンの様子が気まずい空気に拍車をかけていた。
「・・・・・・で、何故第一部隊への配属を希望するのかしら、ファーレーン。」
「ハイ、それは・・・」
しばらくして落ち着きを取り戻したエスペリアが溜息をつきながら質問する。
皇女直々の命令と言いかけて、慌ててファーレーンは口をつぐんだ。
(いけない、あれは『一切他言無用』でした・・・・・・どうしよう・・・・・・)
「どうしました、ファーレーン。何か訳があるのでしょう?それとも言えない理由があるの?」
声は優しいまま眼が笑っていないエスペリアに、
女の本能で恐怖を感じ取ったファーレーンは追い詰められて思いついた事を並べ上げていた。
「ぜ、全部隊が同時に動くのであれば各指揮官が第一部隊にいた方が戦略を伝えやすいですし、
我が隊にとって最も重要なユート様の近辺には出来るだけ戦力を割いて危険を避けるべきだと思います。
それに戦力の分散・逐一投入は戦術的には宜しくないという定説もありますし・・・」
「全部隊が同時行動を行うのですから戦略を各部隊が掌握する必要はありませんし、
第一部隊にはアセリア、オルファをはじめ、精鋭がちゃんとユート様の護衛をいたします。
わたくしもユート様の『盾』として赴きますので御心配なく。
それから確かに戦力の逐一投入はよくありませんが、
わたくしの話を聞いていましたか、ファーレーン?全部隊同一行動ですよ、
全・部・隊・同・一・行・動。他に何か問題はありますか?」
「あう・・・・・・・・・・・・」
最初から無理がある説明をエスペリアが論破するのは一瞬だった。
「まぁ、いいじゃないか、エスペリア。本人達がやりたいって言ってるんだからさ。」
悠人の一言にエスペリアの表情が曇る。
「ユート様、でも・・・」
「俺もファーレーンとニムとは一緒に戦った事ないしさ、部下の力量を知っておくのも部隊長としての努めだろ?
それに丁度第一部隊には黒の技を使える娘がいないことだし。」
「・・・・・・わかりました、ユート様がそう仰るのなら・・・。」
「よし、決まりだ、ファーレーン、ニム、二人は第一部隊へ編属してもらう。それでいいな、ファーレーン。」
「ハ、ハイ!ありがとうございます!頑張ります!」
思わぬ援軍に、ぱぁっと顔を輝かせて返事をするファーレーン。
一方あっけなく「計画」が瓦解したニムはいつの間にか自分も話に含まれている事に気付き、二重に驚いていた。
「ち、ちょっと待ってよ、別にニムは・・・」
「でもそうなると第二部隊が戦力不足になりますね・・・とくにハリオン、貴女の負担が重くなる事になるけど、
頼めるかしら?それとヒミカ、第二部隊の指揮をお願いします・・・・・・」
不機嫌そうに話を進めるエスペリアは、ニムントールの発言を無視していた。
「ね、ね、ニム、良かったわね、ユート様と一緒で♪」
「・・・・・・・・・はぁ。」
脱力して突っ込む事も出来ないニムントールは最早溜息をつくしかなかった。
こうして様々な愛憎?渦巻く中、イースペリアへの進軍が始まった。
「ハアアアアアッーーー!!!」
高速で走る神剣が敵を切り倒していく。
初めて見るファーレーンの剣技の鮮やかさに悠人は見とれていた。
奇襲気味に襲い掛かってきた敵スピリット。さほどの数でもなかったが、
それでも素早く反応したファーレーンはその大半を殆ど一瞬で倒していた。
「・・・・・・凄いな・・・」
「ふんっ、当然でしょ。お姉ちゃん、強いんだから。」
姉を褒められたせいか、つい悠人に話しかけるニムントール。
「ああ、ホントに凄いよ。目にも止まらないってのは本当にあるんだな。
見えないんだけど、見とれちまうな。」
「なにそれ?ユートってたまに変なこというね。あ、そういえば、『にわとり』ってなに?
お姉ちゃんに言ってたでしょ?お姉ちゃん、なんだか良く判らないけど落ち込んでたんだから。」
「・・・・・・あー、あれな。ファーレーンも憶えてたのか。あれは・・・」
「ユート様となに話してたの、ニム。」
「わあ!お姉ちゃん!て、敵は?」
「とっくに倒したわよ・・・それよりニーームーー?」
「あ、にわとり。」
「え、どこ・・・ってちょっと待ちなさい、ニム!こらーーー!」
「・・・・・・いいコンビだな。」
苦笑いをしながら走り去る二人を見つめつつ、悠人はいつの間にかファーレーンから
目が離せない自分に気が付いていた。
サルドバルトの前衛部隊は壊滅した。これでイースペリアへの進軍には障害がなくなった。
いよいよ明日はイースペリア城下に突入する。
王の秘密命令は『エーテル変換施設を最優先で破壊する事』。
公式ではイースペリアの民を救助する事になっているが、それが出来るかどうか。
もちろん悠人としては民衆の保護を優先したいが、王の命令は絶対だ。
逆らえば佳織がどうされるか判らない。(心を殺すんだ・・・)
そう決心した悠人だが、そう簡単に割り切れるものでは無かった。
「ユート様・・・・・・」
「・・・・・・わかってるよ。『大切なものを守る為には犠牲が必要』だもんな・・・・・・」
深刻な顔で考え込んでいるとエスペリアが心配そうに話しかけてきた。
その心遣いは嬉しいのだが、正直今は一人になりたかった。
「ごめん、ちょっと外の空気でも吸ってくるよ。すぐに戻ってくるから。」
「・・・・・・あ・・・・・・」
バタン。閉められた扉をエスペリアは悲しい瞳で見送っていた。
「・・・・・・わたくしでは貴方を癒す事は出来ないのですか・・・ユート様・・・・・・」
支援。
ビュンッ!ビュンッ!
一心不乱に剣を振るう。そうする事で嫌な気分が少しでも軽くなるかと思ったが、なかなか上手くはいかなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・くそっ!」
がちゃんと乱暴に剣を放り投げて座り込む。
「心を殺すんだ・・・心を・・・そうしなければ、佳織が・・・・・・」
かちゃり・・・
かすかな物音に気付き、うつろにそちらを見る。そこには『求め』を両手で抱え込んだファーレーンがいた。
「あっ、あの・・・・・・ユート様、落としました、よ・・・・・・」
ファーレーンも戸惑っていた。
今の悠人の眸。それは初めて悠人と会った時に見た、あの眸と同じだった。
そして今はそれを隠そうともしていない。なにかがあったのだ。きっと悲しいなにかが・・・・・・。
「・・・・・・ああ、ありがとう、ファーレーン。でもそれは捨てたわけじゃ・・・・・・っ!」
捨てられた仔犬のような眸をしながら苦笑いする悠人を、思わずファーレーンは抱きしめていた。
どうしよう、とかそういう事ではなかった。ただそうしたかったからそうした。
「あ、あの、ファーレーン・・・?」
「大丈夫です、ユート様、大丈夫。だから・・・・・・だから・・・・・・
そんな、悲しい顔、しないで・・・・・・一人で、抱え込まないで、下さい・・・・・・」
そっと頭を撫でられる。それは普段悠人が見ていたファーレーンではなかった。
大人の、女性の優しさ。例えるなら母のような抱擁に、悠人は不思議に心が落ち着いていくのを感じていた・・・・・・
「ファーレーンは何か、大切なものってあるか?」
「?大切なものですか?そうですね・・・・・・ニム。あの娘が幸せになれたら、後はなにもないです。
あの娘の幸せを守る、それが今一番大切なもの、です。」
しばらくして離れた二人は、並んで座っていた。
悠人もファーレーンも、自分がこんなに落ち着いて相手と話せているのが不思議だったが、それが心地よかった。
「そうか・・・・・・俺にも妹がいるんだ、知ってるかもしれないけど。」
「はい、カオリ様、ですね・・・。」
「うん、だからファーレーンの気持ちは良く判るよ、俺も佳織が無事なら・・・幸せなら何もいらない。
例え自分がどんな事になっても佳織は守る。その為なら・・・・・・自分の心だって殺す・・・・・・」
「・・・・・・心を・・・・・・殺す・・・・・・ですか?」
「ああいや、例えってことだよ。必要なら、それくらいの覚悟は必要だよなって・・・・・・」
「それは違います、ユート様。」
「え?」
悠人が振り向くと、ファーレーンは強い意志を持った瞳で彼を見返していた。
「それは違います、ユート様。ユート様が心まで喪われたら一番悲しむのはカオリ様です。
それはカオリ様にとって、幸せでしょうか?」
「・・・・・・・・・」
「私が敵を倒せば、ニムは助かります。でも、神剣に飲まれすぎると、ニムは悲しむんです。
そんなニムを私は見たくない。だから、わたしは『神剣とも戦います』・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「あ、あ、すみません。なんかわたしばっかり意見を押し付けてますね。
ユート様の事情もよく知らないで、わたしったら何言ってるんだろう・・・・・・」
「ああ、いや、うん、そんなことないよ、ありがとう、ファーレーン。
その、良かったらもう少し俺の話を聞いてくれるかな・・・?」
「は、はい!わたしで良かったら!」
「いや、ファーレーンには聞いておいて欲しいんだ。実は・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・
支援
「そんな・・・・・・」
悠人から『秘密命令』を明かされたファーレーンは驚きを隠せないでいた。
「でもそれでは、イースペリアは・・・・・・」
「ああ、二度と文明的な生活は出来なくなる。ラキオスか、サルドバルトか、
どちらかは判らないけど属国になっちまうだろう。
それよりも俺は、この作戦自体が納得できない。俺達はイースペリアを救援しにいくはずだ。
施設なんか後回しにして、まず住民達を助けるべきなんだ。でもそうすれば、佳織は・・・・・・」
「すると、カオリ様は・・・・・・」
「ああ、いわゆる人質ってやつだよ。俺が逆らえばどうなるかわからない。俺は指示通り戦うしかないんだ。」
そう言うと、悠人は自嘲的に『求め』を握り締め、目の前にかざす。
その様子をファーレーンはじっと見つめていた。
「このバカ剣もそうだ。常に俺にマナを求めてくる。もっともこっちはなんとか抑えてるけどな。」
抑えきれないとスピリット達を襲ってしまう、とはさすがに言わなかったが、
なんとなく察したファーレーンは軽く頬を染めて俯いた。
「・・・・・・実はわたしもユート様に隠し事があります。聞いていただけますか・・・?」
「え?あ、ああ・・・」
そしてファーレーンは皇女から与えられた『別指令』を悠人に打ち明けた。
「・・・・・・そうか、レスティーナがそんな事を・・・・・・」
「はい、でもこれで皇女の仰る『敵はサルドバルトだけじゃない』という意味が判りました。
王はイースペリア以外にもなにか目的を持っておられる・・・それもユート様を用いて。
皇女はそれに危険を察してわたしを・・・・・・」
「そういうことになるな。それがなんだかまでは判らないけど・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
沈黙が流れる。やがて決意を固めたファーレーンは悠人に向き直った。
「でもそれでも、わたしはユート様を守ります!これは皇女の命令だからじゃなくて、
わたしがそうしたいからです。そうする事がニムの幸せにも繋がると信じます。
ユート様の幸せにも繋がると信じます。だから、ユート様はご自身がなさりたい事をなさって下さい。
無理して心を殺さないで下さい。それがカオリ様の幸せに繋がると、信じてください。」
「・・・・・・ファーレーン、ありがとう、わかったよ・・・・・・」
「あ・・・・・・・・・」
悠人はそっとファーレーンを引き寄せ、軽く口付けしていた。
「・・・・・・え?あの、えっと・・・・・・え?え?」
突然の事に一切の抵抗もなかったファーレーンがやっと動揺し始めたのを可笑しそうに見つめた後、
すっと立ち上がった悠人は照れ隠しにそっぽを向きながら冗談を言ってみた。
「そうだな、とりあえず考えるよりやってみるよ。ファーレーンが見ててくれるんなら安心かもな。
でも本当に大丈夫か?俺って結構無鉄砲な所があるらしくて、よく佳織に怒られ・・・・・・」
当然ながらファーレーンは聞いていなかった。
その頃、二人の姿を遠くから見つめる視線が二つあった。
「お姉ちゃん・・・・・・」
「ユート様・・・・・・」
二人のグリーン・スピリットはそれぞれよく分からない敗北感を醸し出していた。
「ただいま、エスペリア。心配掛けたけど、なんとか心の整理もついたよ。
なんとかやれそうだ。・・・・・・って、居ないのか。」
「おかえりなさいませ、ユート様。」
「おわっ!なんだ、居たんじゃないかエスペリア。返事もしないで背後に立つなんて趣味悪いぞ。」
「ええ、どうせ趣味悪いですから、わたくし。それよりお早いお帰りでしたねユート様。
てっきりもっと遅くなるものだとばかり思ってました。」
「?・・・・・・ってなんか機嫌が悪くないか、エスペリア?」
「い・い・え・べ・つ・に。それより『上手く』お気持ちが整理できましたようで、良かったです。
お茶でもお持ちしましょうか?」
妙な緊張感をまといながら、固まった笑顔で聞いてくるエスペリア。
「あ、ああ・・・・・・頼むよ。」
「わかりました、少々お待ちを・・・・・・」
ロボットのように去っていくエスペリアを悠人は不安そうに見送った。
・・・・・・・・・暫くして出されたお茶はぐつぐつと程よく沸騰していた。
支援
どうやって自分の部屋に戻ってきたか分からない。
なにか別れの挨拶を交わした様な気もするが、ファーレーンは全くうわの空だった。
「・・・・・・ただいま〜〜〜。・・・・・・あれ?」
入った部屋は真っ暗だった。それで我に返ったファーレーンは辺りを見回してみる。
ベッドの中にニムントールの姿が見えた。
「なんだ、ニム、もう寝ちゃったのね。じゃあ灯は消したままで置いといてあげましょう。」
呟きながら手甲を外す。そしてそのまま指を唇に当てていた。
「キス・・・・・・しちゃった・・・・・・」
いきなりだったけど、嫌じゃなかった。いや、冷静になった今では、むしろ嬉しい。
もしかして自分はユート様の事が好きなのだろうか・・・?
今までニムの事で一杯で、恋などというモノを経験した事が無い。
スピリットなのだから、それも当然と思っていた。
しかし、今自分が感じているものは。優しくて、嬉しくて、少し切ない。
思えば初めてユートを見たときに感じたもの。あれは一目惚れだったのだろうか。
「これが・・・・・・恋・・・・・・?」
ベッドの中で寝たふりをしていたニムントールは
姉が自分の感情に気付きかけている事を悟り、小さく溜息を付いていた。
(なにさ、ユートなんか、ユートなんか・・・・・・絶対にお姉ちゃんにふさわしくなんかないんだから!
なによ、ニムの頭なんか撫ぜてたくせに・・・。だいっ嫌いなんだから!・・・・・・)
そっと頭に手をやりながら、ニムントールは自分の感情にだけ気付いてはいなかった。
「おい!こら、ニム、そっちじゃない、こっちをサポートしろって!」
「うるさいわね、ニムって言うな!つまんない命令ばっかりしないでよ、バカ!」
イースペリアでの市街戦は混乱の状況を呈していた。
逃げ惑う人々の合間を縫ってサードバルトの兵が突っ込んでくる。
市民を傷つけないように兵だけを倒すのは予想以上に大変だった。
ファーレーンのサポートでなんとかここまで来たのだが、今彼女は逆方面からの敵の対応に追われて手が放せない。
アセリア達主力部隊とはとっくにはぐれてしまっていた。
そこでニムントールと急遽連携を取ろうとした悠人だったのだが、それが更なる混乱の引き金になった。
「バカってお前な!あっ、そっちは危ないって!!」
「そっちこそ危ないわよ!ふんっ!なにさ、お姉ちゃんにでも守ってもらえば?」
「ファーレーン?ちょっとお前、何言って・・・・・・っておわっ!」
死角から切り込んできた青スピリットをすんでの所で避わす。
咄嗟に滑り込んできたエスペリアが何とか退けていた。
「大丈夫ですか、ユート様!」
「ああ、助かったよ、エスペリア。ってニムは?!」
「ベーーーーだっ!ふんっ!」
「この・・・・・・っ!エスペリア、ちょっとここを頼む!」
「え?あっ、ユート様?!」
逃げるニムントールを悠人はムキになって追いかけていた。
「おいニム、ちょっと待てって!人の話も聞け!」
ズバッ!ズバッ!!
「ちょっと付いて来ないでよ、バカユート!ニムの邪魔しないで!あとニムって言うな!!」
ビュン!ヒュッ!キラキラキラキラ・・・・・・
罵り合いながら駆け抜けていく二人は奇跡的なコンビネーションを見せながら敵を薙ぎ倒していったが、
しかしそんな連携がいつまでも長続きする訳もなかった。ついにニムントールの感情が爆発したのだ。
「お前、何怒ってんだよ!いいかげんにs」
「いいかげんにするのはユートでしょ!なによ、いつもいつもニムを子ども扱いして!!
あんたなんかにお姉ちゃんは絶対渡さないんだから!!!」
「・・・・・・え?お前、泣いて・・・・・・」
「・・・・・・・・・!!!」
思わず手を止めてしまう悠人に出来た隙を敵は見逃さなかった。
今まで息を潜めていた赤スピリットがオーラを纏って斬りつけてくる。
「しまっ・・・・・・!」
反応できない悠人と敵の距離があっという間に0に変わる。
その瞬間、死を覚悟した悠人の眼前に飛び込んできたのはニムントールだった。
・・・・・・ザンッ!!!
「・・・・・・ちっ!」
エトランジェを仕留め損なった悔しさからか、軽く舌打ちをして去っていくスピリット。
「ニム!!」
それには目もくれずに、悠人は倒れ伏しているニムントールに慌てて駆け寄っていった。
「・・・・・・おいっ!しっかりしろ、ニム!ニム!おいっ!!」
いつの間にか辿り着いていたイースペリア城内の庭園。
そこでニムントールを抱き締めながら、悠人は必死に叫んでいた。
「くっ・・・!俺がぼっとしなきゃこんな・・・クソッ!ニム、ニム!」
「・・・・・・・・・うるさいわね・・・・・・耳元でニムニム怒鳴らないでよ・・・・・・大丈夫だから・・・・・・」
「・・・!気付いたのか?こんな傷、すぐに治るからな!しっかりしろよ、ニム!」
「・・・・・・もう・・・・・・ニムって呼ばないでよ・・・・・・全く、ユートが治す訳じゃないでしょ・・・・・・」
「ああ、ああ、そうだな・・・大丈夫、直ぐにエスペリアが来てくれる。そしたら治るから・・・・・・」
「だからニムは大丈夫だって・・・・・・あれ?ユート、泣いてる、の・・・?もう、しょうがないなぁ・・・・・・」
意識が混濁しているニムントールはもはや力が入らない手で悠人の頭をそっと撫でる。
それはいつも頼りない姉が落ち込んでいる時にしてあげる、ニムントールの慰め方だった。
「・・・・・・ニム・・・・・・?」
「ニムって言うな・・・・・・っていいわよもう、めんどくさい・・・・・・」
呟きながら、ニムントールの意識は暗闇へと落ちていった。
間も無く駆けつけたエスペリア、ハリオンの治癒魔法によって、奇跡的にニムントールは助かった。
ここが城内だったことで皆がこちらに向かっていた事、ニムントールの防御力、
敵の抵抗が収まった事など幸運が重なったのだ。
「お姉ちゃんごめんね、ドジっちゃった・・・・・・」
「ばかね、そんなこともういいから。・・・・・・無事でよかった・・・ホントに・・・・・・
もしニムに何かあったら・・・・・・ごめんね、ちゃんと見てあげてなくて・・・・・・」
「もう泣かないでよ、お姉ちゃん。ニムは大丈夫だから。ホラ、落ち着いて。」
「うぅっ。ぐすっ。うん、うん、ごめんね・・・・・・」
「もうーーー、しょうがないなぁ・・・・・・」
なでなでなで。
どちらが姉だか分からなかった。
「それより、ユートきっと落ち込んでるよ?いいの?」
「あ・・・・・・・・・」
「ほら、早くいってやんなよ、お姉ちゃん。わたしはここで待ってるから。」
「う、うん!ニム、ごめんね・・・ありがと。行ってくるね。」
たたたたた・・・・・・
「・・・・・・ふぅ。もう、世話が焼けるったら・・・・・・ホントめんどくさいんだから・・・・・・」
そう呟きそっと目を閉じるニムントールは少し微笑っていた。
(ちぇっ・・・・・・頑張んなよね、お姉ちゃん・・・・・・)
「もう大丈夫です。でもあと少し遅れていたら危ない所でした。」
「・・・・・・・・・」
回復魔法を大量に使用した事で疲労しきったエスペリアがそう呟く。
自分の落ち度によりニムントールを危ない目に会わせた悠人は一言もなかった。
「・・・・・・そんなに御自身を責めないで下さい、ユート様。我々スピリットは元々こういう存在なのですから。」
「そうじゃない、そうじゃないんだよ、エスペリア・・・・・・」
自分はファーレーンの1番「守りたいもの」を失くそうとしてしまったのだと言いかけたとき、
向こうから駆けて来るファーレーンが見えた。
「あ・・・・・・ファーレーン、今回は、その・・・・・・」
「気になさらないで下さい、ユート様。こうして皆無事だったのですから。
それより城内に急ぎましょう。」
「でも、俺は・・・・・・」
言いかけた口をそっと指で塞がれてしまう。
「今は使命を果たしましょう、一刻も早く。それがニムにとっても一番だから。」
「・・・・・・そうだな、ゴメン、ファーレーン。今は俺の我が侭を通させてくれ。」
「はい!」
ニッコリと微笑むファーレーンにドキリとしながら、悠人はイースペリア城内へ駆け込んでいった。
マナ制御装置の動力中枢停止に成功した悠人達はイースペリア郊外の草原にいた。
謎の黒スピリットとの戦いで負傷したアセリアをエスペリアが看ている。
ファーレーンはずっとニムントールに付き添っていた。
思っていたより順調に回復しつつあるニムントールに、ファーレーンはほっと胸をなでおろしていた。
「みんな!守りをかためろ!!」
突然悠人が叫ぶ。と同時に辺りに異様な地響きが巻き起こっていた。
「!なに?このマナの動きは?!」
『月光』に震えが走る。(これは・・・イースペリアの方?・・・・・・何かが来る!!)
物凄いマナの膨張、・・・・・・断末魔?『月光』が伝えてくる。何かが“はじけ”ようとしている!
「・・・・・・!ニム!伏せて!!」
咄嗟にニムントールをそちらから庇うように覆いかぶさる。
同時に襲い掛かる膨大なマナ衝撃。
「お姉ちゃん!」
「・・・・・・・・・くっ!!」
物凄いプレッシャーに、本来防御の苦手なファーレーンはそれでも懸命に堪えていた。
しかし圧倒的なこの衝撃ではあと数秒も持ちそうに無い。『月光』が悲鳴を上げる。
(せめて・・・・・・せめてニムだけでも!!)
「・・・・・・っ!!!」
ニムが何か叫んでいるが、もうよく聞こえなかった。それに、頭の中がチリチリと焼ける様に熱い。
(ダメ!もう・・・耐えられない・・・・・・!!・・・ユート様!!)
脅威が、死が背中まで迫っていた。
ニムントールを強く抱き締めながら、ファーレーンはぎゅっと目を閉じた。
支援。
(・・・・・・・・・・・・・・・?)
予想される衝撃がいつまでたっても来ない。
恐る恐る目を開けてみると、視界にファーレーンに覆いかかる悠人の顔が飛び込んできた。
オーラフォトンを展開しつつ、懸命に呼びかけている。
「しっかりしろ、ファーレーン!ニムを守るんじゃなかったのか!」
「・・・・・・ユート様!!」
自分は幻覚を見ているのかと思った。先程死の間際に思い浮かべたその眸が目の前で叫んでいる。
しっかりしろ、と自分を励ましている。ニムを守る・・・そうだ、守らなきゃ!!
「大丈夫か!もう少しだ、頑張れ!力を合わせるんだ!」
悠人が更に叫ぶ。その声がファーレーンの中に温かく響いてきた。そうだ、まだ、頑張れる!
「はい!・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!」
我に返ったファーレーンの中で、新しい力がはじけた。共鳴した『月光』が光を放つ。
しかしそれは・・・・・・漆黒の黒い光だった。禍々しいまでの深い闇がファーレーンの全身を覆い出す。
同時に、全身からマナが失われていくのが感じられた。内側から喰い尽される異様な感覚。
「お姉ちゃん、それは・・・・・・!!!」
ニムントールが姉の異変に叫んでいた。闇の光は、その主をすら飲み込もうとしている。しかし。
(ニムを・・・・・・ユート様を・・・・・・守る!!!)
意識が闇に沈むその瞬間、ファーレーンは躊躇わずその全てを開放した。
『サクリファイス・・・・・・』
『月光』が柔らかく呟いたのをかすかに聞きながら、ファーレーンの意識は黒い光の奔流に流されていった。
(私・・・・・・ここは・・・・・・?)
次にファーレーンが目覚めたのは、ラキオスの自室だった。
「おっ、気が付いたか、ファーレーン。」
「・・・・・・ユート、様?・・・・・・わたし・・・・・・一体・・・・・・」
「全く3日も目を覚まさないもんだから、心配したぞ。ニムなんかほれ、待ち疲れてそこで寝ちまってるし。」
悠人が苦笑いをしながら備え付けの椅子を指差す。
そこでは手すりにもたれてニムントールが気持ちよさそうにうたた寝をしていた。
「あ・・・・・・ニム、無事で・・・・・・」
思わず起き上がろうとして体に力が入らないのに気が付いた。悠人がそっと肩を支える。
「おっと、まだ無理するな。体中のマナが抜けちまってるんだ。」
「あ、ありがとうございます・・・・・・え・・・・・・」
よく見ると悠人の目の下にはくまが出来ていた。
いつの間にか苦笑いを止めていた悠人の目に涙が浮かんでいる。
「良かった、ファーレーンが無事で・・・・・・でも、あまり無茶しないでくれ、お願いだ・・・・・・」
そのまま抱き締められる。かすかに震えているその重みが今のファーレーンには心地よかった。
「・・・ありがとうございます、ユート様。ユート様のおかげでニムを守れました。」
「でも俺は、ニムを危険な目に・・・・・・」
「わかったんです、わたし。ニムの気持ち。ニムは危険な目に会ったなんて、きっと思ってません。
ユート様を守りたかったから、それだけだから。だってわたしも今、こんなに嬉しいから。」
真っ直ぐに悠人を見つめる。その顔が驚いたようなものからゆっくりと優しいものへと変わっていった。
「・・・・・・ありがとう。俺もわかったよ、その、大事なファーレーンを守れて、よかった・・・・・・」
ゆっくりと近づいてくる悠人の顔を感じながら、ファーレーンは瞳を閉じる。
(守れたんだ・・・・・・)
幸福感に包まれながら、ファーレーンは悠人の背中に手を回していた。
(あ〜あ、ユートが『お兄ちゃん』かぁ・・・・・・)
狸寝入りをしているニムントールの顔は、それでもにやけるのを隠しきれないでいた。
211 :
信頼の人:04/06/21 22:08 ID:L6Brkr+c
あとがき
まず、寸劇の人さん、乙彼です。っていうか、ヤラれましたw
ちょうど「恋慕」のラストを書いている所でしたので、「ファー」を使いたくなる使いたくなる(汗
正直このSSで書きたくて書ききれなかった主題を読ませて頂いた感じで、正に脱帽です。
という訳でものの見事に寸劇の人さんと被ってしまったのでどうするか悩んだのですが、
せっかくスレがファーレーンやニムントールの話題で流れているのでと思い切って投稿してみました。
最後までお付き合いしていただいた方、ありがとうございました。
誤字・脱字・今回は大丈夫だと思いますけどハリオンマジック等御指摘頂ければ幸いです。
212 :
信頼の人:04/06/21 22:11 ID:L6Brkr+c
途中支援して頂いたID:4FqlIzEfさん、有難う御座いました。
おつかれー
乙です
>>193 >>196 >>200 >>208 連投規制はスレ内ではなく、板全体でカウントされるんで
雑談系のスレなど、どこか他のスレに書き込んでいただければOKなはずです
住人の少ない板ではなく、常に板内のどこかで書き込みもされてるはずですので
支援自体もそれほど必要ではないかもしれません
うは〜やられた。やはり愛情値を上げるには同じ部隊に配属しなくてはなりませんか。
信頼の人 氏は地理を考えながら話を作れるんですね。前作同様細部は改変されてるようですね。
ファーレーンもニムもうまく落とすところに落としたようで。ラストのニムのセリフがこのSSの真髄でしょうか。
エスペリアはでばがめで、趣味がワルイ……gakuburu ま、エスには越えなければならない壁があるからね。
216 :
寸劇の人:04/06/21 23:28 ID:8rlSzcl7
>信頼の人氏
まずは「おかえりなさい」。
そして、おつかれさまです&GreatJob!!
えー、私も即死回避用予備として書いていたので、期せずして似たようなことしてたわけですが(w
当然の結果として、キャラ像も違えば、ルート的な比重(ファーレーン寄り/ニム寄り)も違い、
ファーレーンの幸せをフォローして頂いたような感じで気分は最高です。
ファーレーン&ニムという面では被ったとも言えるのかもしれませんが、
前述の通りその扱いというか比重も違いますしネタも違いますから、
これはもう、被ったとは言わないでしょう。
ちょっとボケ入ったファーレーンもいいなぁ。
私の中ではどうも年長組のボケ分は全てハリオンに行ってしまってるから(w
お姉ちゃんを撫で撫でするニムも何気に味わい深いし。
何だかやけに幸せですよ?
>>182 『耀光』のニムントール
耀…光り輝くように素晴らしい、まぶしいほどに光り輝いている。
・・・エターナル化?
うぉぁー
ファーレーンがこんなに沢山……我が生涯に一片の悔い………ぐらいならある。
あとはヒミカとセリアさえ読めればもう何も言うこと無し
>>177 前スレ622ってオレみたいです……
雑魚スピのイメージがこのスレで培われているのは、私も同様ですね。セリアなんかイメージ変わりすぎ、って
自分も原因の一翼を担ってたりするかも……
ところで、ちょっと御法度ネタかも知れないけど、データをいじくると、ファーレーンに星火燎原の太刀を使わせたり、
ナナルゥにスターダストを使わせたりできます。しかもセリフ付き!! 効果は変だったりしますが。
>217
なんか悪くないな。
その手のネタちょっと追加。
ネリーにフューリーを無理矢理覚えさせると、覚えたのはなんとディバインマジックだったりします。
(ただのバグですし、何の効果もありませんけど)
ヒミカのエンドサポートスターダスト、ニムのキュアーUは有名でしょうし…あとは…
そうそう、シアーもセリアもサイレントフィールド用のセリフがあります。
シアーあたりはかなり可愛かったり。
シアーのはディバインマジックを封じるだけ(攻撃力、防御力を一切触らない)なので実に使いやすいのです。
ネリーの本物は、使い方を間違えると味方ディフェンダーの緑スピが即死したりして怖いし。
…くそぅ、データいじってサブスピをもっと強くしたいぞ。
ナナルゥにまともなアタックを覚えさせたり、ネリーに属性攻撃使わせたり。
>>217 永遠神剣第二位「耀光」…スキルとか作ってみたくなるな。
いや、第二位か知らんけど。
サブスピ
・
・
・
・
・
・
・
(・∀・)イイ!!
しかし相変わらず雑魚スピネタ以外は低調だな、ここ……orz
,'^》フ⌒´ヽ》ヘ
( ノ i」」」」」〉))
ノノ(!リ゚ ヮ゚ノリ(( <ダケド、ソレガイインジャアリマセンカ〜〜〜♪
(( ⊂! |T|!つ リ
===く/|_|〉lj=
(フフ
ザウススレでおばさん'sが大暴れだな
アレは荒らし半分かと
ところでこの雑魚スピスレ的にエクスパンションってどーなのかしら?一応コミケ逝く予定なので
227 :
信頼の人:04/06/22 23:52 ID:UjYNSEfk
御指摘有難う御座います、『曙光』でした、すみません。
実はプロットの段階では二人の内一人がエターナル化して、
二本の神剣『曙光』と『月光』が融合→『耀光』というのを考えていたのですが、
話が重くなりそうなのでボツったんです。・・・・・・どこで間違えたんだろう_| ̄|○
>>215さん
エスペリアはもっと絡んでたんですが、今回完成後に尺を縮める段階で涙を飲んで頂きました(汗
もうちょっとバランス良く削れば・・・精進します。
ニムのツンデレが上手くいかなかったので最後のセリフだけでも気に入って頂けて幸いです。
>>寸劇の人さん
今回はお世話になりました。無事?投稿出来てほっとしてます。
ファーレーンは思いっきり自分の趣味が入ってますw
母性本能前回の天然お姉さんとの無言の機微とかが好きなので。
でもその分会話が端折り気味で、悠人の心情が分かりづらくなってます。
その辺がもっと上手くなれればいいなぁとか思ってます。これからの課題です。
さて、そろそろ要ネタ振りですかね?
ネタ…ネタ…zzz…と寝落ちしてる場合じゃなくて(寒オヤジ
アセリアルートのハイペリア行のアレは世界の問題ではなく
単に飛び方の問題だったと仮定してみる。
さらに、何らかの手段で問題なくハイペリアへ到達した場合の
「スピリット達 in ハイペリア」
でも考えてみるというのはどうだろう?
とか、スピリットガイドのp.8 左上を見ながら思ってみる。
面子の設定はテキトーにということで。
うーん、アバウト過ぎるかな?
サンプル:
「ねーねーねー、これなーにー?」
オルファとネリーが雑誌から見つけてきたのは遊園地だった。
というわけで、ラキオススピリット隊ご一行様ハイペリアツアーの案内人
悠人は皆を引き連れ(皆に引きづられ)て遊園地へ。
オルファ・ネリー・シアーヘリオン:
キャーキャーはしゃぐ@ジェットコースター系
ファーレーン・ニム:
ゆったり@メリーゴーランド・コーヒーカップ・観覧車
エスペリア・ハリオン:
まったりソフトクリームをペロペロしながら製法談義@ベンチ
やはり、戦闘服orメイド服のままでうろつくわけにもいかんだろ、ということで
まずはハイペリアのファッションを身につける事から。
ヒミカの場合は、ジーンズにTシャツでさっぱりとした活動的なイメージを。
ネリー、シアーにはお揃いの青いワンピースに麦藁帽子、白いサンダルをセットで。
ハリオンは、白いブラウス、胸元に緑のブローチ、足元までのロングスカート。
あと、ファーレーンは…紬姿が焼きつけられてますな。
エスペリアは何を言われようとメイド服から変えなさそうだけど。
エスペリアはゴスロリ
みんなセーラー服で
ヒミカは意外とブラウンのタイトスカート&ストッキング&ジャケに白いブラウスとか似合うかも。
女教師っぽく。「遅刻ですよ、ユート様」。
セリアは普段はチビT&白ジーンズとかなのに悠人に誘われた夏祭り辺りでは浴衣着そう。
真っ赤な顔を団扇でかくしたりして、見とれてる悠人に「・・・・・・・・・なによ」。
ヘリオンはずばりセーラー服。何故か持っている鞄に逆に持たれているような感じ。
持ってた鞄をぶんぶん振り回して「あっ、ユートさん、こっちですーーー!!!」。
ナナルゥは色付きブラウスに薄い黒ジャケ、白い綿パンにローヒール。
一歩間違えると派手に見えるコンビを上手く(渋く?)着こなしそう。
待ち合わせに遅れた悠人に時計を見ながら「・・・・・・・・・今来たトコ」。
以上、妄想爆発でしたw
光陰が居残りで隊長になった後、訓練時はブルマと体操着着用になるわけだが…
掛け声も「ラキオスー、ファイ!オッ!ファイ!オッ!ファイ!オッ!」
セリア「ファイ!オッ!ファイ!オッ!……くだらない」
↑ ↑ ↑
ノリノリ ( ゚д゚)ハッ
はしゃぎまわって、遊びまくって、翌日は全員瀕死なんですね…
ネリシアに連れ回された悠人も瀕死っぽ
遊園地お約束編。
主にオルファ・ネリーに引っ張りまわされ早くも疲労困憊した悠人が
ベンチでぐったりしていると、突然、
「きゃあぁあぁ〜〜〜っ」
ヘリオンの悲鳴が耳に飛び込んできた。
慌てて飛び起き声のした方へ走る。
と、そこで悠人が見たものは…
「はわぅうぅうぅ〜、わ、わたし、たしかにちっちゃいですけど、でもでも」
ヒーローショーの悪役にステージ上へ攫い上げられてわたわたと慌てるヘリオンの姿だった。
(……なんというか…違和感ないというか…ハマってるというか…)
そこで伸剣を振り回し始めてステージ大混乱が目に浮かぶ。
なんか少年マンガで「剣よ伸びろーっ!」ってフレーズあった気がする
なんだったっけな…
>>237ネタ扱いスマソw
240 :
名無しさん@初回限定:04/06/24 22:35 ID:H7vwLpSR
幽白
ああ、あいつさ、リーゼントの―――――ダレだっけ?
γ'⌒ __
ヘ@^`⌒ヘ@ヘ 'r==メヽ7
∠ツ ノ(从ハリ)ヾゝ ((ハ从ノ i>
《w(l|゚ ヮ゚ノリ》 <はじめまして、え〜と |i、ヮ゚|i) | <あら? あなた…まさか
([__入Xノ!]) /i y ハ8
ん ノ_l_iゝ L卯 メ__iリ
(( ~(./J~ 〈/」_i ゝ
γ'⌒ __
ヘ@^`⌒ヘ@ヘ 'r==メヽ7
∠ツ ノ(从ハリ)ヾゝ ((ハ从ノ i>
《w(l|゚ ヮ゚ノリ》 <ときみおばさん! |i、ヮ |i) |
([__入Xノ!]) /i y ハ8
んノ_l_iゝ L卯 メ__iリ
~し'ノ~ 〈/」_i ゝ
おほほほほ、外見は母親似ですけど
性格は父親の貴方そっくりのようですね!!!!タイムアクセラレイト(省エネ
__ ヽ)/
「,'´r==ミ、 ∠´ ハ`ゝ
くi イノノハ))) ―≡ ̄`彡//ノハハゝ≡゚ヮ゚ノ´゜¨
| l||#゚ヮ゚ノl| ≡―='(((l|li´Д`ノ( ̄=―≒‥
j /ヽ y_7っ= ( ゚ヮ゚≡と と ノ =―≡―
(7i__ノ卯! =―≡ ̄(⌒) ノ ≡゚ヮ゚ノ
く/_|_リ ≡―=' (,_,ノ ∵゛、゜¨゜¨
と、時深、じょうだん…ウボァ
>>242 激しく ∩
( ⌒) ∩_ _グッジョブ !!
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /"
_n グッジョブ!! ./ /_、_ / ノ'
( l _、 _ / / ,_ノ` )/ / _、 _ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` )( /( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ |  ̄ \ ( E)
/ / \ ヽフ / ヽ ヽ_// これを待っていた・・・ッ!!
>>242 ぐっじょです
さて公式ページで
>今日子とトキミルートのみをピックアップした、
>「永遠のアセリア」ファンディスクです。
>エクスパンション用に新たなマップを作成!
>今日子とトキミの新技も追加に!
>新曲ボーカル曲も1曲追加。
と雑魚スピを愛する者としては、どうでもいい内容ですが
>その他にも、色々と新要素を付け加えていますので、お楽しみに!
これ期待していい!?期待していいのか、ニムっ!!
新要素…
雑魚スピルートしか考えられないな
後ろに再生が見えるな例のステージ。
遂に雑魚スピに1枚絵!?
光陰と今日子ルートだと今まで思ってたよ・・・
折角光陰タンとセックルできると思ってたのに!!
>>247 パワードールみたいなクリア時のご褒美CGみたいなのでもいいから欲しい!
もう、陵辱CGはいらねぇぇ!!
そのCGが、何か日常の一葉とかだったら、さらにOK!
皆もそう思わないか?(夢見すぎか?)
ふっ、純愛、陵辱、、日常、全ているに決まっている
じゃあ2枚でいいよ。
雑魚スピの皆とお風呂、以上!
雑魚スピスレ住人は雑魚スピの夢を見るか
また、初版分の特典として、
永遠神剣「求め」のマスコット付きストラップを同梱いたします!
これについてどう思う?
漏れは欲しいが。
永遠神剣の形してるなら欲しいが
住職とお揃いのペンダントだとちょっと微妙w
>248
光陰とセクースするのは悠人きゅん以外認めん。
>>254 求めよりもヘリオンたんのSDフィギュア付の方が嬉しい俺は、欲望に忠実すぎですか?
じゃあオレはントゥシトラたんで
ントゥのキーホルダーはカコイイかも
人前でもつけられそう
そんなバカな
U-1のような蝶メジャーどころが、アセリアのようなマイナーどころまで取り上げてくださるとはw
まあそれはさておき、この話題は間違いなく荒れますよってに、このスレでは触らない方が
いいと思うのですが、と老婆心溢れまくりの元葉鍵板住人でした。
はじめの十数行を見て
('A`) マンドクセ って
雑魚スピ居ないみたいで
まぁいっか…
ネ右一信者は何でもネタにするな。
どうでもいいけど。
んでこのスレ的には擬人化ントゥシトラたんでFA?
設定資料集のアセリアの挿話で、悠人を犯した赤スピが、ラキオス城でスピリットを一人殺してることに
なっているが、貴重な雑魚スピが一人減ってしまったことになるな……どんな娘だったのだろうか?
>悠人を犯した赤スピ
詳細を聞きたい
序章で悠人がファンタズマゴリアに到着した直後に襲ってきたあの娘じゃないか?
あれはエターナルミニオンじゃないのかな?>襲った赤スピ
で殺されたのは恐らくヒミカ・ファーレーンタイプであろう。
エターナルミニオンにしては弱いな。
アセリアに殺される「筋書き」だったから強さ調節してあるんじゃないかな
<赤スピ
>>273 正直、青スピと赤スピのガチンコじゃ、赤が圧倒的に不利な悪寒
赤の攻撃は青には通らないし、逆に青の攻撃は赤には致命傷
頼みの綱の神剣魔法はアイスバニッシャーであぼーん
ヒミカ・ファーレーンタイプってのは既にある程度訓練の進んだ年長者って意味?
それとも、責任感あるタイプ?
悠人が隊長就任後も、まだ実戦配備できない幼スピはいたのかなぁ?
ところで、PSOBBやってる人いない?未だ、アセリア関係のキャラ見たこと無い。
やってるけどアセリア系でキャラは作ってないなw
つか、武器や装備のデザインがSFっぽ過ぎるから
やれそうなのって大剣持ちの大男と杖持ちのょぅι゛ょで
ロウ・エターナルコンビぐらいしかないような。
そろそろへリオンたんを3DCG化か、フィギュア化する神が現れるころか?
小説版のアセリアで雑魚スピの出番が
あまりなかった・・・orz
次の巻ではもう少しあってホスィ
というか、あるのかよ。すげええええええ。
確かに鬼畜ルートにわざわざ行かなければ真に出番0だもんな
278、良ければ簡単に内容教えて
>>276 そう? アギト持たせて、「星火燎原の太刀っ!」とかだめ?ハニュならファーレーン、ヘリオン、アセリア
ヒミカ 、シアー、無理矢理ネリー、セリアに合った髪型もあると思うし。フォニュだとイマイチかな。フォマールに
巫女っぽいの有ればいいのに。
DC版経験有りだけど、あのころはネイがごろごろいたなぁ……。
きもうとはレイキャスト。
たこの事なんて言うんだっけ?馬はそのまま同じ物が存在すると考えて良いのかな。
>282
人のふりしちゃいけません。
>>280 とりあえずヘリオン分だけ抜粋すると、
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
訓練中のヘリオンは・・・。
「わわわ、がんばりますっ」
そそっかしい、というか、危なっかしくて、まだまだ実戦には参加させられそうにない。
かなり本人も気にしているらしく、ときどき恨めしそうに呟くのだ。
「ヘリオンがお嫌いなんですね・・・・上達が遅いから・・・・・弱いから」
叱れば・・・・・泣く。
ほめれば、足が地に着かないほど舞い上がる。
教える事の難しさを痛感する悠人であった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
基本的には原作に忠実なんだけど、レスティーなの親友でイースペリアのアズマリア女王とか
サブキャラがいい味出してて漏れは結構好きかもしれん。
そこで神剣に「ファイナルベント!」
小説版アセリアget。
悠人が、隊長として認められたくだりで思わず・・・。
>>286 マジか!?
そんな物が在ったとは…
濡れもサッソク捜してみる
設定資料集によると、神剣って十位まであるんだね。よかったね>ヘリオン
俺は位は高いけど、カオスエターナル側でもっとも地味そうな聖緑に同情してしまう。
自然力は凄いけど。
>>280 情報thx!
ヘリオン萌への漏れにとっては、そのテキストだけでも入手義務を課すのに十分だッ!!
征ってくる
>ほめれば、足が地に着かないほど舞い上がる。
それで悠人に誉められたい一心で、かの名台詞
「ふふ、ユート様誉めてくれるかな♪」が生まれたということか。
ますますもって犬チックw
292 :
290:04/06/30 02:12 ID:FYjnmd7W
……入手失敗
さすがにこの時間に空いてる本屋では入手は厳しかったか……
あ、290のレスの
>>280 は
>>284 の間違い、スマソ
誰か、ウイングハイロゥを展開して目をキラキラさせながら舞い上がっているヘリオンを
画像板に描いてくれないかなあ
>>292 ちょっと想像してみて……失敗。
天使の輪ッかが見えちまったよ……orz
>>289 聖緑は名前こそ地味だが、能力自体はかなり派手だぞ。
設定資料集によると一振りで竜巻、雷、地震の自然現象を呼び起こし、
地面にぶっさすだけで見る見る大樹が出来上がるというトンデモな代物・・・
なんかハリオンに似合いそうだな(;´Д`)ハァハァ
因果の能力好きだなあ。
小説入手。2時間かからんね。
出来は可もなく不可もなし。ただ相変わらず神剣の位に間違いがあるのと、義妹義妹うるさいのと、
Sporit of になってるのが残念。
意外にセリアがまとめ役なのかね?ヒミカがあんなんだとは……
あんなん!?
こんなヒミカはまとめ役っぽくない!
居間でリーダー権限振り回してTVを占領する!
しかもリモコンをどこにやったか忘れる!
忙しくて風呂に入れないとき、洗面所で頭を洗う!
しかもシャンプーを風呂場に戻さない!
事務机のペン立てから勝手にペンを持ってく!
やっぱり元の場所に戻さないのでペンがどんどん減っていく!
冷食をレンジでチンするが、待ち時間中に読んだ本に熱中して二時間放りっぱなし!
コーヒーミルの豆を捨て忘れてカビだらけに!
洗濯当番の時、色物と白物を一緒に洗ってしまう!
寝るときは下着一丁!しかも寝相最悪!
>>296 なんつーか、小説の描写はヒミカとセリア逆じゃねーのかと感じるのですよ。あまりネタバレしないように
くわしくは書かんけど。
まあキャラの性格は多分に著者の見解も混じってるだろうから・・・
>298
最後を見る限り、エスペリアはまとめ役っぽくないということか。
小説は読んでないんだけど
ヒミカはリーダーって言うよりは先陣切ってくタイプじゃなかったっけ?
戦闘の時はそうだったような。
多分ここでのヒミカが人格者すぎたんだろうね。
もっと男勝りなイメージでみんなつくってたら良かったのかもね。
304 :
寸劇の人:04/07/01 07:59 ID:IQCbAId/
スマソ_| ̄|○
>>303 いや、作者もここに出入りしていると信じたい!
感感。
なんか小説ヒミカは先頭切って突っ込む理由が
ゲームや設定と違う気がする。
つーか雑魚スピの中でも扱い低いんじゃないか、今回?
ヒミカファンとして次巻では改善をお願いしたいところだ・・・
聞きたいんだが、アセリアとエスペリアクリアしてないんだが、したほうがいいのか?
>>308 そう。「国のため、仲間のため、私は戦わなくてはいけないの」 と言うセリフとは
どこか乖離している様に感じる。確かに突貫気味なんだろうけど、全体を考える冷
静さはあるだろう。ユートにもいらぬ反発はしないと思うんだけど……ここでイメージ
蓄積してしまったからな。
そういえば、雑魚スピ二人分だけ足りてないね>小説
誰ー?
ヒミカは普段はまとめ役のお姉さんだが感情的になりやすく
戦闘時は気がはやって猪突しがち、味方を指示する冷静さを欠く
などと勝手に分析してみる
>>313 ファーと二ム。
あと小説のキャラ紹介(最初のカラーページ)のとこで
ネリー・レッドスピッリトとハリオン・レッドスピリットになってる……orz
>>310だが
どっち先にやった方がいいんだ?
オススメとかあるか?
>>316 残りがアセリアとエスだけなら、アセリアはオーラスに回しとけ。
なんと言ってもアセリアが真打ちなわけだし。
>>317 個人的に、その二人が残りなら、なおのことアセリアは最後にしておこう。
アセリア→エスペリアだと、なんとなくエンディングが報われないぞw
聖ヨト暦332年レユレの月、ついにサーギオス帝国との決戦に終止符が打たれた。
皇帝の間での秋月瞬との激突の後に
意識を失った高嶺悠人が次に目を覚ました時に最初に目に入れた人物は大切な妹、佳織。
『求め』を失い、回復も遅く寝台から起き上がる事も難しい体調ながらも、悠人がその喜びを享受する日々は続いた。
そして、悠人がある程度は自由に動けるようになった頃に、
賢者ヨーティアと倉橋時深から、ハイペリア、つまりは元の世界に帰還する方法が確立したと伝えられた。
「……帰れるんだよな、俺たち。元の世界に」
悠人の自室には悠人に佳織、光陰、今日子の四人が集まっていた。
理論などは悠人にはさっぱりだったが、要はファンタズマゴリアとハイペリアを繋ぐ『門』を、
エーテル技術と時深の永遠神剣の力で固定し、それをくぐれば元の世界に、ということらしい。
その知らせを聞いても各人は、表面上は明るく振舞ってはいても内心では穏やかではなかった。
「うん。ねぇ、今日ちゃんは、帰ったら何をする?」
「アタシは、そうね、まずは新聞でも見ようかな、日付欄」
「え、どうして?」
「だって、こういう話って大体は、元の世界に戻ったら何百年も経ってましたっていうのがよくあるじゃない」
「ああ、そのあたりは時深の神剣の力でどうにかなるらしい。
俺たちがこっちに来た日の次の日くらいに送ってもらえるってさ」
「ほう、なかなか便利なもんだなそりゃあ。はぁ、俺たちが使える門が開くのとやらが何百年に一度なんてもんじゃなければ
もっとこっちの世界を楽しんでから帰る事もできるって言うのに」
「碧先輩、それじゃあ帰ったきた先輩が一日でおじいちゃんになっちゃってたっていう事もあるんじゃないですか」
「おっと、佳織ちゃん。いい所に気がついたな、確かに、そりゃ盲点だった。はっはっは」
「……アタシとしては、こっちの世界で何を楽しむのかがすっごく気になるんだけど。
その内容次第によっちゃただじゃ済まさないわよ」
パリパリと雷を纏うハリセンを携え、今日子が光陰に向き直る。
振り下ろされそうになった雷撃を慌てて悠人が押しとどめた。
「おいおい今日子、佳織はもちろん、今じゃ俺もその一撃の余波で黒こげになっちまうんだぞ。
それにさ、もうそんな物騒な物振るう必要も無いんだからちょっとは落ち着いたらどうだ」
その言葉を悠人が発した瞬間、三人の動きが止まる。いち早く平静を取り戻して、光陰が今日子に笑いかける。
「全くだ、最後までそんなきついのを振るい続けたら、帰ったあとにはただのハリセンじゃ物足りなくなっちまうぞ今日子。
今のうちから軽い打撃に慣れておいたほうがいいじゃないか、なあ佳織ちゃん」
「え、あ、うん。そうだよ今日ちゃん。それに、あんまり痛いのは碧先輩が可哀相だよ」
「ま、まあそうよね。それじゃ、肩ならしに一発雷無しで……っ」
「な、ちょ、タンマ、俺はまだ、こっちの世界の楽しみをごまかし、いや、説明してないんだ、がぁっ」
すぱーん!と小気味よい音を立てて光陰の脳天にハリセンが叩き落された。
しかし、その奇妙な間に悠人は軽く疑問が浮かべ、また一つ心に違和感を増やす結果となった。
ラキオス城下町の隠れた名所、とある高台にて悠人は一人物思いにふける。
果たして、自分がこのまま元の世界に帰りたいのかどうか。
当初の目的は、佳織を助け出して元の世界に帰る事だったはずだ。
だが、その過程であまりにもたくさんのものを傷つけ、壊して、あるいは守ってきた。
また、逆に傷つけられたもの、得たもの、与えられたものも数多くある。
そっとポケットから蒼い金属塊を取り出す。記憶は曖昧だが、瞬との戦いで砕けた『求め』の一部だ。
この神剣で、悠人は多くのものを傷つけ、また守ってきたのだ。
「何よりも……こいつの干渉が無きゃヘリオンとはただの仲間だっただろうな」
今日子を通じて佳織ともそこそこに面識が出来て、見舞いに来てくれていたヘリオンは、
悠人たちがハイペリアに帰還できると言う話が持ち上がった頃から急に姿を見せなくなった。
離れたくないに決まっている。けれども、世界を隔ててしまえば二度と会えなくなることなど子どもにだって分かる。
きっと、会ってもヘリオンは帰らないで欲しいとは言わないのだろう。だけど態度には表れてしまう。
だからこそ、元の世界に戻る気持ちを妨げないように、会おうとはしないのだろうか。
ダンッ、と見晴台の石造りの手すりに、『求め』を握りこんだ拳を叩きつける。
「何が一緒にいたい、なんだよ。俺も、ヘリオンも」
悠人の脳裏に浮かぶ未来の光景は、何時の間にか佳織を守りながら過ごす日本での物と、
ヘリオンと共にいるファンタズマゴリアでの物が交互に入り乱れている。
いざ実際に元の世界に帰ることが出来ると分かった途端に迷いが出てしまった。
ここに残る事も考えの一つだし、強くなったと思える今の佳織なら一人で帰っても大丈夫だろう。
しかし、ヘリオンの態度は悠人に帰還を促しているように思えて余計に分からなくなる。
あの戦いの後、みんながみんな自分たちに元の世界に帰る事を願っているように感じられる。
もちろん、巻き込まれた悠人たちに対する申し訳なさなどの表れだといえない事は無い。
それならば、今このときも頭を巡る違和感は何だというのだろうか。
何か大切な事を忘れたままでいるような感覚が常に付きまとっている。
その正体に悠人が気付く前に、遠くへやってしまおうとされているような気がしてたまらなくなった。
帰還の日が近づくにつれて違和感はどんどん悠人の頭を塗りつぶしていった。
そして、ペンダントに加工された『求め』が一瞬放った光に、ついに全ての違和感が晴らされる。
エターナルへと変貌した瞬。自らもまたエターナルだと名乗った時深。
破壊されようとしているファンタズマゴリア、そしてハイペリア。
霧に覆われていた記憶が蘇り、居ても立ってもいられなくなった悠人にのしかかる物は、
『求め』を失った自分に出来る事は無いという絶望だけだった。
ヘリオンたちの態度にも納得がいった。ただ自分に気付かせまいと振舞っていたわけだ。
その中にあって、最後に一つ残った希望に悠人は気付く。
真実となるか否かはそれこそ諦めなかった者の勝ちなのだろう。
そして、決断の時が間近に迫る。
無事に佳織をハイペリアに送り届け、「時の迷宮」への門が開くまであと少し。
悠人が足早に訓練棟へと入って来た。それだけで到着した時には軽く息が上がっている。
そこには、一人黙々と『失望』を振るうヘリオンが居た。
悠人には気付かれないようにしながら、今もまだ終わってはいなかった戦いの為に訓練を重ねていたのだ。
訓練士用の模擬剣を手に取り、静かに横に並んで剣を振る。
「腕が、上がりきってませんよ、ユートさま。それに、腰も入っていません」
「……うん、まあそうだろうな、今の俺じゃ」
震える声を隠そうとしながら、ヘリオンは手を止めて悠人の剣さばきを批評した。
悠人の戦う決意を込めた瞳を見据えて、彼がこれから何をするのか理解できてしまった。
いや、時深からも聞かされていたことだ。悠人がハイペリアに帰らないときのことは。
悠人が、彼女によって封じられた記憶を取り戻した時にとる行動など全員が分かりきっていた。
どんな手段をもってしても戦いに参加するだろう、と。
そして、その具体的な手段もヘリオンには時深から伝えられている。
見た目だけは穏やかだったが、時深の目はヘリオンに対して悲しみと、そして憮然とした色を秘めている事を告げていた。
『時深さま、どうなされたんですか?』
『いえ、何でもありません。どんな相手なら私の望みと逆にヘタレ具合が直るのかと思っただけです。
よくもまあきっぱりと断ってくれて……おかげで千年かけた計画がおじゃんです……』
なおもぶつぶつと言う時深を相手にヘリオンは首を傾げるばかりだったが、
これからの悠人のとる道を聞いて、愕然と脚を振るわせた。
即ち、悠人もまたエターナルとなるということ、
そしてまたその代償、自分たち全員が高嶺悠人の存在を記憶から消してしまうという事、
さらには、現段階では自分が悠人の側に居続ける手段がないことまで。
頭を冷やす意味もこめて一人でいつものように剣を振っていたけれど、それも叶いそうに無い。
引き止めることだけはしてはいけないと思いつつも、言葉を止められない。
「ユートさまは、やっぱり自分だけでつらい事を背負おうとしちゃうんですね」
ヘリオンの指摘に注意して剣を振りなおしていた悠人の動きがはたと止まる。
「わたしも、ユートさまが帰っちゃうのはつらかったです、でも、
それでもわたしはきっとユートさまを忘れるなんてこと、無かったですよ」
「知ってたのか、ヘリオン」
「はい、ユートさまのしようとしていること、トキミさまから聞きましたから」
それを聞いて、悠人がふうとため息をついた。
「他には、だれが」
「カオリさまとコウインさま、キョーコさんはご存知だったと思います」
「そっか。それで二人はあの時にいなかったのか。いや、瞬の事もあるから元から残るつもりだったんだろうな」
以前の光陰たちの態度を思い出して頭を振った。悠人を見つめ続けているヘリオンに視線を戻して言葉を続ける。
「どっちが良いのかなんて、俺にもわからない。
ヘリオンが俺を覚えてないまま、最後に側で一緒に戦って、その後はまた離れちまうのと、
俺を覚えてるまま二度と会えないのと、さ。
でもな、ここでこのまま俺が帰っちまったら瞬に、いや、『世界』にヘリオンたちもファンタズマゴリアも消されちまう。
それを防げる可能性が残ってるのに、逃げ帰るのなんて嫌だったんだ」
ヘリオンや佳織たちが生きていてくれる事が、悠人を覚え続ける事よりも大切だと悠人は言う。
「ヘリオン、一度俺の剣を受けてみてくれ。あ、カウンターは勘弁してほしいけど」
だから、きっとこれは別れの儀式。黙って消えてしまう事も出来ただろうにこうして来てくれた。
色気のあるものでは無いけれど、共に戦ってきたという点ではこれに勝る物は無いだろう。
ならば、決心が鈍るような事、例えば、涙とか、そういうのは無しにしよう。
「はい、わたしも加減はしますから、受けてくださいね」
頷きあって、まずは悠人から一撃が届く範囲に距離をとる。以前とは違ってかなり短い。
ひたとヘリオンの目を見据えてヘリオンの元へと跳びこみ模擬剣を振るう。
ギンッと障壁に阻まれる音がして、悠人の振るった剣はヘリオンに届く前に折れて飛んでいってしまった。
頼んだ通りに、『失望』を抜くことなく空手のままカウンターを繰り出した格好でヘリオンは悠人を見つめ返していた。
続いて、悠人が新しい模擬剣を手にもって防御をしようと構える。
悠人の感覚では大きく離れて、ヘリオンはウイングハイロゥを展開した。
そこから、悠人の目にはとまらない速さで飛び込んで斬りつける。模擬剣を斬り飛ばしてヘリオンは大きく後ろに跳び退った。
神剣が無ければ、人とスピリットとの差などこんなものだ。この状態から抜け出すために悠人は遠くへ行ってしまうのだ。
最後まで視線を絡ませあったまま駆け寄って近づき、折れた剣と『失望』を軽く打ち合わせた。
「うん、強くなったな、ヘリオン」
「ユートさまのおかげです。ユートさまがいたからわたしは、絶対に強くなろうって思えたんですから」
互いに剣を納め、或いは破棄して一礼を交わす。
「ユートさま、お願いがあるんですけど。まだ、『求め』の欠片は残ってますか」
「え、ああ、ペンダントに使ったけどまだこれだけは」
削られてさらに小さくなった欠片が悠人のポケットから差し出される。
それは既に何の光も放たずに、金属としての鈍い光沢だけがあった。
「ごめんな、今からじゃ何の飾り気もつけられない」
「いえ、わたしたちには飾りよりも、剣としての『求め』の方が近くに感じられますから、これがいいです」
受け取って、ヘリオンはそっとそれを懐にしまいこんだ。
顔をあげてきゅっと悠人の手を握り、訓練棟から出るように促す。
「場所もお聞きしてます、見送りに行かせてください」
悠人も無言で頷いて、力強くヘリオンの手を握りなおして足を進める。
向かうは異世界への門が開く場所、悠人が初めてファンタズマゴリアに降り立った地。
殊更にゆっくりと歩きながら、悠人はヘリオンの手のぬくもりを胸に刻みつけた。
高嶺佳織を送り届けてからもう一つの門が開くまで、倉橋時深は残り少ない時間をここ、リュケイレムの森で過ごしていた。
時間になれば悠人がやってくるはずだ。自分と同じ存在、エターナルとなるために。
そして、互いに想いを寄せる人物の記憶から消えるために。
偉大なる十三本うち、『聖賢』『永遠』『再生』『聖緑』『深遠』の五本が眠る『時の迷宮』。
そこに到達できるのはそれら上位永遠神剣に認められた者だけだ。
いや、現在の悠人の隣にいる者が認められない事は無いと、実際に相対して時深には感じられた。
他人を守る事から、全てを守る事へと心を広げ、力を広げる覚悟のあるなし。
そんなものは悠人と志を共にすると誓える心根があるならさして問題ではなかった。
だが、何故それが彼女なのか。ヘリオンが扱える神剣は、この門の先には存在しない。
形状なら適したかもしれない『深遠』はあくまでも、リュトリアム・ガーディアンのための剣なのだ。
『世界』を相手に共に戦い、その先も永久の時を歩むことが出来たはずのスピリット。
その心とは逆に、本人にはどうしようもない理由で引き離されようとしている二人を思い、時深は溜め息をつく。
「全く、離れたら離れたらで私には好都合だったはずなのに。
ここまで脈がなくなるなんて思いもよらなかったです」
『時の迷宮』に入るための条件は単にその者の心の持ちようだけだ。
それを知る由も無い悠人に対して、はったりと少しの脅しでその気になってもらおうと画策した事は、
『待て、それっておかしくないか。『時の迷宮』に入るのにその、処女を抱かなきゃいけないって。
そんなことしてたら、最初にそこに行った奴はどうやって入ったんだって事になる。
それに、いちいち新しい仲間が増えるたびに女の子を用意するような奴らなのか、カオスエターナルって言うのは』
あっさりと矛盾点を見抜かれてしまった。何かと理由をつけて襲う事も頭をよぎったが、
カオスエターナル全体にまで疑問を広げられては誤魔化しもできない。
『いや、でもそんな事は大した理由じゃない。時深が納得して諦めそうな理由を並べただけだから。
それより何より、いくら誘われたって俺は本当に好きな奴以外を抱く気にはなれない。だから、服を直してくれ』
と、視線をそらしたままはだけた胸を隠すように着物の前を合わせなおされてしまった。
用意した殺し文句も言えないままに、『しなきゃいけないなら鉄の剣と盾で戦ってやるからな』と逆に言われる始末。
みすみす自分のせいで悠人を殺すような真似をする訳にもいかない。
何を言えるでもなくただ謝るだけで済んでくれたことを感謝すべきなのだろう。
ずっと見続けてきた身としては、浮気心を起こしそうに無い男になったと思えばそれはそれで嬉しかったりもするのだから。
「と、悠人さんの事は今はもう良いんです。千年の思いは最後まで片思いでした。お終い」
かぶりを振ってもう一度溜め息。すっと頭を上げた先の空中を見据える。
永遠神剣第九位『失望』、その持ち主ヘリオン・ブラックスピリット。
「第九位……でも、あれは既にそんなものではありえない」
『求め』の場合は、最初に第四位にはありえないほどの弱体化をロウエターナルの手によって施された。
それが、スピリットたちを斬る事で元の状態に戻っていったために強化されたのだ。
けれども『失望』は、恐らくはこの世界に生れ落ちた時からずっと第九位のはずだ。
にもかかわらず、ヨーティアの言によればヘリオンが振るう『失望』は現在では部隊のトップクラスの性能を発揮している。
大量のマナを吸い続けて成長する剣。ある意味それは永遠神剣のあるべき姿だ。
「『世界』だって、数本の神剣が一つになってもとに戻っただけなんですからね……あれ」
それなら『失望』はマナを吸い続けて、もとの神剣に戻ろうとしているというのか。
どのような神剣を斬ったとしても力を増す『失望』、その意味は元の神剣の力が殆どの神剣に含まれているということだ。
第九位までに身を落とすほどに細かく砕かれた上位神剣。しかも、元に戻ろうとする心が強いにもかかわらず
持ち主を取り込もうというつもりも無い。そんな神剣の情報はカオスエターナル内に存在したか。
さらに思索をめぐらそうとした時深の前に、二人分の気配が近づいてきた。
はっとして意識を戻すと、そこには悠人とヘリオンが立っていた。
「待たせたな、時深」
「ええ、ヘリオンも……来てしまったのですね」
「はい。最後まで、ご一緒したかったんです」
ここで悠人と時深が『時の迷宮』に入った瞬間に、何故自分がここにいるのかもあやふやになってしまうというのに。
「時間は残り少ないです、もうやり残したことがあっても間に合いませんよ」
そう時深が告げると、二人は視線を合わせて頷き、絡ませあった指を解いた。
「ああ、全部済ませてきた。だからやってくれ、時深」
そっと時深はヘリオンに視線をやった。一滴の涙も滲ませる事無く、悠人の顔を見つめている。
後ろを向いて、『門』を繋ぎとめるための儀式を執り行うと、滞りなく『時の迷宮』への道が開かれた。
「ヘリオン、それじゃちょっと行ってくる。すぐに戻ってくるから……また、会おう」
待っていてくれとは言えないもどかしさに悠人の顔が曇る。一度深呼吸をして、ヘリオンは精一杯の笑みを浮かべた。
「ええ、ユートさまが帰ってきたときにはもう平和になってましたっていうくらい、みんなで頑張っちゃいますからね。
また、お会いしましょう」
悠人は頷いて、『門』へと身を進めていく。その背中にヘリオンの声がかけられる。
「ユートさま、最後に一つだけわがままを聞いてくださいませんか」
ヘリオンが、悠人の聞けないわがままを言うはずも無い。そっと身を屈めて、ヘリオンが求めるままに耳を貸す。
「キョーコさんに教えてもらったんです、男の人をお見送りする時はこうするんだって」
そのまま、ヘリオンは悠人の頬に唇を寄せた。
「いってらっしゃい、ユートさま」
震える声でそれだけを言うとぱっと身を離して、微笑みながらあとを続ける。
「今度は、きちんとユートさまが聞きたいあいさつが出来るようにしますからっ
ユートさまも、忘れないでくださいねっ」
唇を引き締めて体を震わせると、「ああ、行ってくるよ」とだけ力強く残し、悠人は『門』の向こうへと足を進めていった。
「トキミさま、ユートさまをお願いしますね」
「いえ、この先は悠人さん本人の力だけが頼り。私に出来る事は無いんです。ヘリオン、一つだけよろしいですか」
ヘリオンは首をかしげて続きを促す。
「あなたの剣、『失望』に関して何かわかる事はありますか」
「すぐに言えるのは、とても優しい気持ちを持ってるということくらいです。
力が強くなるにつれてそんな感じが強くなってきたような気もします」
それが、どうかしましたかと続けるヘリオンを見返して、ある仮説を組み立てる。
悠人が試練を受けている間に調べられる事はあるだろうか。
「『失望』の抱く気持ちを、大切にしたほうがよろしいでしょう。
……もっとも、この助言を覚えていられる事はないでしょうけれど」
罰が悪そうに目を伏せて、時深はきびすを返した。
悠人に続いて『門』を通る。その後は、何事も無かったように空間が閉じた。
「あ……れ、わたし、どうして……哨戒の途中、でしたっけ」
きょろきょろと辺りを見回して自分の居る場所を確認する。
城の近くの森の中、夜中のここに一体どんな用事があったのか。
急いで城へ戻ろうとした瞬間、ヘリオンの腰に下げられた『失望』が大きく震えた。
「え、なに、『失望』が……」
そこからヘリオンに伝えられる心は。
「忘れ……ないで……。それは、何を……?あれ……なんで」
その声を聞くと、ぽろぽろと、ヘリオンの目から雫が零れ落ちた。理由の分からない涙に、胸がきゅっと締め付けられる。
痛みのままに胸に手をあてると、懐には何か得体の知れないものが入っている。
取り出してみると、それは蒼い金属の欠片。見覚えの無い、一見ゴミのような破片が、ヘリオンの心に突き刺さる。
「なに、これ。知らないもの、なのに」
ぎゅっと両手で包み込んで、もう一度胸にかき抱く。
決して無くしてはいけない物のような気がして、『失望』からの声と、胸にある青い欠片に心を揺さぶられながら、
ヘリオンは歩けるようになるまでその場に座り込み続けた。
331 :
道行書き:04/07/02 21:09 ID:Cu8Fv/ct
ついに次回が最終幕となります。
最後の仕上げを残すのみとなってますので近いうちに投下出来るはず。
ヘリオンEDまであと少し、ラストスパートをかけて駆け抜けていきます。
もちろん、悲劇を終幕に持ってくるつもりは有りません。
最後にはヘリオンに笑顔を。
>>信頼の人さん
反応が遅くなって済みません。
ファーレーン分濃い目でニムントール分をプラス、G.J.でした!
「信頼」の時もそうでしたが、さらにその先の展開を想像して笑みがこぼれるというのは
文中で充分にそのキャラに萌えさせてもらえている証拠だと思います。
お疲れ様でした。
332 :
信頼の人:04/07/02 21:58 ID:6Y2v91EG
道行書きさん、お疲れ様&G.J.でした。
偶然ですが、リアルタイムで読ませていただきました。
登場人物の心情を最小限の会話でここまで表現するとは・・・。凄いの一言です。
途中まで読んで、ヘリオンも迷宮について行くのかな、と思っていたのですが、
ラスト気になる展開で、楽しみにしてます。『求め』の欠片・・・どんな伏線なんだろう?
何気に時深が良い味を出しているので何かやってくれそうな気もしますがw
後、感想ありがとうございます。
正直『信頼』より自分の中で消化不良な点の多い作品なのですが、読んで頂いて幸いです。
道行の人、乙です
イエー。リアルタイムで読んだー。
xuseの人もココまで愛されては追加シナリオを書かざるを得まい。
GJ!
道行の人、乙ですグッジョです
11〜12にかけて泣けてきました。
そう言えばエターナルになると記憶が戻るんだなぁ、とか思い出したり
ヘリオンには、ぜひ幸せになってもらいたい
次回、期待して待っています。
>道行書き氏
乙&G.J!
いや、
シナリオの中の人にこれでもかと叩きつけるかのような迷宮行条件回避
最高(w やってくれましたね。いや、ヤってないのか(w
まさしくヘリオンルート。成長したな、悠人も。
成長したのはヘリオンだけではない、二人で歩んできたのだ、ということですな。
最終幕へ向けての布石も随所に感じた気がしつつ
アセリアルートにも負けぬ怒涛の王道の予感に、心が期待に高鳴ります。
もう、
ファンタズマゴリアの運命は!?
そして、記憶の壁に隔てられた二人の運命は!?
いよいよ次回、感動の最終幕(フィナーレ)!!
その時、読者は第二ファンタズマゴリアの歴史の証人となる―――
とかそんな感じで往年のジャンプのような煽りが心眼に映るかのごとく…
338 :
道行書き:04/07/03 23:50 ID:2tI3xmuQ
感想ありがとうございます。
>信頼の人さん
心情と台詞の関係を大切にしたいと思っていましたので、そう言っていただけると
本当に嬉しいです。欠片の使い道は……どうぞお楽しみに(w
>334さん
完全版を夢見ていたのですがExpansionDiskU希望になってきています。
何にしろ雑魚スピの補充を心待ちにしてます。
>336さん
はい、幸せにできるようにここまで書いてきたのです。
後戻りは出来ないと覚悟を決めております。
>337さん、という事に(w
ジャンプの煽り文句というと……嘘予告を思い出して笑いが。
誰かが死ぬような予告で誰も死ななかったりとか、
その号で決着がついているのに次回決着!とか。
えー、先ほど本文を書き終えました。
誤字、脱字の見直し、本文の長さ規制対策が終わった時にまた現れます。
それでは失礼致します。
一ヵ月後、時詠のトキミに連れられて、聖賢者ユウトがラキオス王国に姿を現した。
ラキオススピリット隊の全指揮権を譲り受けた悠人が最初に行った事。
それは隊の練度を見ることでもなく、手合わせをする事でもなく。
「俺は、聖賢者ユウト。みんなの指揮を取る事になったから、これからよろしく頼む」
目の前に並んだ者たちを前にしての自己紹介。全員の顔も、名前も知っているのにもう一度聞くのは
奇妙だと思いながら、相手の言葉を待つ。いや、その前に。
「ああ、みんな仲間なんだから、神剣の位も、スピリットの色もいらない、名前だけで大丈夫だ。
……正直言うと、あんまり長い名前になると覚えられないからさ。その代わり俺もユートでいい」
ふっと、緊張した面持ちで並んでいた皆の顔が緩む。
一番にひょこりと出てきたのはツインテールの少女。
「はじめましてユートさま、わたしはヘリオンです。これから、よろしくお願いしますっ」
はじめまして。その言葉にぐっと悠人の息が止まる。皆の目が疑問に染まらないうちに神妙に頷く。
静かに差し出された手を取って、変わらないそのぬくもりに心を奪われかける。
ネリーとシアーの自己紹介に耳を傾けながら悠人はそっとその手を握り返して目を閉じた。
この手を守るために、自分は彼女の記憶から姿を消したのだと言い聞かせて。
「ヘリオンばっかりずるいよ、ネリーもユートさまと握手するんだからっ」
はっとネリーの声に気付くと、悠人は自分がいつまでもヘリオンの手を握っている事に気がついて慌てて離す。
ヘリオンを見ても、少し不思議そうな顔をして自分の手を見つめている。
「どうかしたのか、ヘリオン」
「いえっ、とても優しい握り方をされるんだと思ってしまっただけですっ。
あ、えっと、そのどうかお気になさらないでくださいっ」
わたわたと列に戻り、はしゃいで悠人にまとわりつくネリーとオルファをエスペリアが諌めるのを見ながらも、
ヘリオンは全員の自己紹介が終わるまで再び手に視線をやっていた。
夜、一通りの訓練が終わった後に自室に戻ってころんと寝台に横になり、
ヘリオンは懐から取り出した正体不明の青い金属片を見つめる。適当に紐をくくり付けて首から下げるようにした、
一ヶ月前から何時の間にか持っていた不思議な欠片。どう見ても役に立つようには思えないから誰にも見せてはいない。
ただ一人、ちょうど一ヶ月前からラキオスに現れたトキミと名乗るエターナルを除いて。
「いったい一月前に何があったんだろう……」
サーギオス帝国を倒した後に、正体不明の勢力が大陸に現れて大陸全土を滅ぼそうとする勢いで侵略を開始した。
ファンタズマゴリアを滅ぼす事だけが目的の勢力、ロウエターナル。
それからファンタズマゴリアを守ろうとするカオスエターナルの一員、時詠のトキミ。
その時期からしきりに自分に語りかけてくる『失望』、そしてこの金属片。
さらには今日に姿を見せた聖賢者ユウト、その全てが関わり合って一つになろうとしているように思う。
理由は自分でも分からない、けれども神剣の声は常にヘリオンに問い掛けるように響き続けている。
曰く、『忘れないで』と。
何を忘れてはいけないのか、それとも既に忘れてしまっている事を思い出せというのか。
青の欠片についても、全く見覚えが無いにも関わらずこうして見るたびに胸が締め付けられる心地がする。
その様子が気になったのだろうか。トキミがやって来て間もないうちに『失望』の様子や、欠片について尋ねられた。
神剣からの声と、欠片を見て感じる思いをヘリオンから聞くと、一瞬、彼女は驚いて言葉につまり、
一呼吸の後に平静を取り戻しながら言った。
曰く、『剣の声に耳を傾けて、でも決して飲み込まれないように』
剣に飲み込まれる、ということが起きるような気は全く無い。事実、ロウエターナルが姿を現したときから
他のみんなにしても剣からの干渉が過剰に起こる事は無くなっている。
例えば、人間に絶対に服従しなければならないという強制や、必死に押さえ込んでいた場合もあった他の神剣への殺意が。
それでも、心を貫くような悲しみを与える声を聞くのはつらかった。
しかし同時に、耳を貸しているうちに、何かがぷつりと切れたまま結ばれていないという焦燥感に襲われてしまう。
つまりは、自分にもこの喪失感に心当たりがあるという事に他ならない。
そして今、『失望』からは一際強く声が発せられている。原因はきっと。
「聖賢者……ユートさま」
その名を口にした瞬間、ずきりと胸が痛む。心の中で繰り返されるものは、
自分に向けて放たれた声、差し出した手を握り返したときの彼の表情。
ハリオンやヒミカは、にやにやと一目惚れでもしたかとからかってきたが、恐らく違う。
自分が忘れている事は、きっと彼に関係のあることで、
とても大事なことだからこそ『失望』も必死に思い出させようとしてくれている。
だからこれは、一目惚れではなくて、ずっと想い続けてきたということだ。
「……でも、これじゃあ何か危ない人みたいですよ、ねぇ『失望』」
こちらからの問いかけには答えずに、ただ悠人への感情を増幅させるように声を響かせてくる。
「ふぅ、仕方ないです。行こう『失望』、こんな時にはいつもの通り体を動かさないと」
心がざわめいて落ち着かなくなって、ヘリオンは欠片を懐に戻して『失望』を掴み、訓練棟へと足を運んで行った。
与えられた客室で、悠人は一人『聖賢』を抜いて精神を集中させる。
守るべき世界、守りたい人、それらが悠人の脳裏に浮かび上がって心を高揚させていく。
徐々にオーラフォトンが形成されて空気を震わせていたかと思うと、しかしそれは急に霧散してしまった。
【駄目だ、この程度では奴らに対抗など出来はせぬぞ】
「分かってる、けど何でだ。いくらここのマナが『時の迷宮』に比べれば薄いからって、全然力が出せないじゃないか」
【……言って欲しいか】
「いや、今の態度で分かった。俺がお前の力を引き出すに値する状態じゃないって事だろ」
頭の中に、ヘリオンの姿が浮かんだ後に、声が聞こえた。「はじめまして」と。
彼女の中から消えたという事が想像していた以上に堪えているようだ。
【既に『再生』を暴走させるためのマナが送り込まれ始めている。もはや残る時間も多くは無い。
酷だとは思うが今はこの世界を守る事が第一だ、その結果としてあの娘をも守ることも出来るのだからな】
と、そこで『聖賢』は言葉を切って部屋の外に注意を向けるよう悠人に促した。
直後に扉をノックする音が聞こえてくる。
「誰だ?……って時深か、何か用か」
扉を開けた悠人の前に現れたのは、巫女装束に身を包んだ倉橋時深だった。
「何か用か、じゃありません。いきなり館の中なんかで『聖賢』の力試しなんかしないでください。
元から全力が出せるはずも無いですけど、万が一、加減を間違えれば部屋が吹き飛ぶくらいじゃきかないんですからね」
「悪かったな、力が出せなくて。それで、そんな小言を言うために飛んできたってのか」
思わず口をついて出た棘を含んだ口調に悠人自身の顔が歪む。
一瞬、眉を吊り上げかけた時深もそれを見て溜飲を下げたのか溜め息をついて言葉を返した。
「はぁ、悠人さんにとっては私と別れた直後なんでしょうけど、
私にとっては悠人さんと会うのは一ヶ月ぶりなんですからもう少し何かあってもいいんじゃありませんか」
「あ、そう言えばそういう事になるか。うん、みんなが一ヶ月持ちこたえてくれたのは時深がいたおかげかもしれないな」
「見え透いたお世辞もいりません。この世界の人々やスピリットたちがロウエターナルに対抗しようとしているからです」
あまりにも気を抜いた悠人の返事に、ぴしゃりと時深がそれを切り捨てて続けた。
「ですが、それも時間の問題。一刻も早い悠人さんの参戦が待ち望まれていたのです」
「そうだな、俺はそのためにこいつを手に入れたんだから」
悠人が手に持ったままの『聖賢』に目をやって頷く。だがその表情は決して明るくは無い。
確かに、と時深は思う。せっかくの永遠神剣第二位の力も、悠人がこの調子では宝の持ち腐れだ。
「焦っていても力が引き出せるようにはなりません。
とにかく、剣を使うならきちんとした場所でするように」
そう言うと、時深は部屋にも入らずにすたすたと帰っていった。
「……結局、最後には部屋で剣を使うなっていう小言だったじゃないか」
【ふむ、だが正論だ。まさか自分の拠点を崩壊させるわけにもいくまい】
「きちんとした場所で、か」
そうは言われても、この時間帯はきっと先客がいる。だが、ここにいて考えているだけではどうにもならない事は明らかだ。
つまり時深は、さっさと自分の中で決着をつけろと焚きつけているという事かと考え直して、
息をついて『聖賢』の柄を握りしめ、悠人は静かに部屋の外へと出て行った。
その姿を物陰から見続ける者がいる。
「私に出来るのはこれだけで、後は全てが賭けですか。
さて、もしもの為に私も行きましょうか」
先ほどに戻っていったはずの時深は悠人の姿が見えなくなった頃にそっと後をつけていった。
夜の訓練棟には、悠人の予想通りの姿があった。
『失望』を鞘に納めて目を瞑り、一撃を振るうために神経を研ぎ澄ます姿は以前のまま変わっていない。
悠人はその場に立ち止まり、ヘリオンの一挙手一投足を見続ける。
ややあって、ぱっと目を開いた瞬間にマナのオーラを乗せた斬撃が風を切り、
次にヘリオンを見たときには既に剣を鞘に納めなおしていた。
充分に残心を行う時間をとった後に悠人は一歩を踏み出す。
「精が出るな、こんな時間に秘密の特訓か」
出来るだけぎこちなさが無くなるように気をつけて話し掛けるがヘリオンを驚かせるには充分だったようで、
彼女は『失望』を取り落としそうになりながら慌てて悠人のいる方へと体を向けた。
「えっ、あ、ユートさまっ!どうして、こんなところにいらっしゃったんですかっ」
「俺も明日からに備えてもう少し動いておきたかったから。
それにしても、今の一撃はすごいな。昼間の動きとは段違いじゃないか」
「いえっ、これはその、誰にも見られてないと思ったから『失望』の気の向くままに思い切り振ってみただけでして、
いつもはこんなに上手く切れるわけじゃないんですっ。ですからそんなに褒めないでくださいよぅ」
ぶんぶんと手を振って謙遜を続けているヘリオンに、悠人は表情を固くする。
今くらいの斬撃ならいくらでも放っていたし、それで助けられた事も幾度か経験している。
それはつまり、あの頃のヘリオンは悠人がいたから常に最高の力を発揮できていたという事だ。
「あの、ユートさま。どうか、なされましたか」
「ごめん、ちょっと考え事があって。『失望』の気の向くままってのはどういう事なのかなって」
「それはどういう風にご説明したらいいのか分かりませんけど……実は今も『失望』がずっと話し掛けてくるんです。
わたしが何かを忘れてるって、思い出さなきゃいけないんだって。何の事かも分からないのにそれを聞くと
胸が苦しくなってしまって、いつも、落ち着くためにこうして『失望』が言うとおりの剣の振り方をしてるんです。
今の振り方じゃ、わたしたちの部隊には息を合わせられる人がいないのに」
静かに『失望』を抜き、顔の高さに持ち上げて刀身を見つめていたヘリオンが、ふと顔をあげて悠人を見る。
「ユートさま、すみませんがお願いがあるんです。『失望』があなたに剣を受けてもらえって言ってます。
いつもの声と何か関係があるかもしれないから……いえ、わたしも何を思い出さなきゃいけないのか知りたいから、
一度、お手合わせをお願いします」
その目にはもう照れも、慌てた様子もなく、ただ真摯に悠人を見つめる光が湛えられている。
それよりも悠人を驚かせたのはその発言の内容だ。時深から得た記憶に関しての話とは大きく違っている。
ヘリオンが忘れてしまったことを『失望』は覚えている可能性があるというのか。
「ああ、かまわないぞ。ヘリオンと『失望』の気が済むまでつきあうよ」
それが今最後に残った希望だと言うなら何だっていい。悠人は頷いて『聖賢』を抜き放って距離をとった。
ヘリオンも剣を納めて間合いを調整しようとして、はっと動きを止める。
「ユートさま……どうしてでしょうか。その距離はわたしが一番打ち込みやすい所なんです。
それにこうして向き合っているだけなのに『失望』がずっと大きく震えてるんです。
これで、一体何が起きるのかも分からないのに、すごく懐かしい感じがして、不思議です」
言葉を続けていたヘリオンが再び剣の柄に手をかけて腰を落とした。
その距離も、構えも全てがたった一ヶ月前に行った事と同じだとは思いもよらないだろう。
悠人は静かに『聖賢』を構えてオーラフォトンの障壁を張る。
こちらの防御は『求め』の時とは段違いで破られる事などありえそうにない。
「いつでもいいぞ、ヘリオン」
「はいっ……いきますっ!」
頭上に白く光るハイロゥをきらきらと翼に変化させてヘリオンは一足飛びに斬りかかってくる。
しかし先ほどに見せた最高の斬撃はその威力の全てを障壁に殺されて、
弾き返された衝撃をヘリオンの身体に伝えるだけに留まってしまった。
にもかかわらず、ヘリオンの身体は止まらずに再び距離をとって二撃目を繰り出した。
『失望』が纏うオーラと、『聖賢』が放つオーラのぶつかり合う音が大きく響きあって
悠人とヘリオンの意識から余計な物が消えていく。
支援
『聖賢』の障壁は二度の防御では崩れずに未だに悠人の身体を守り続けている。
そこにヘリオンの放った三撃目の太刀が叩き込まれたが、それでようやくオーラフォトンバリアは空に融けた。
攻撃を終え、ヘリオンは一度大きく飛び退ってから『失望』を構えなおす。
「もう一度、お願いしますっ」
視界に悠人の姿だけを捉えてヘリオンが近づいてくる。
その動きの全てを見極めるように凝視して、悠人も再び障壁を編み上げた。
いかに力が発揮できない状態にあるとはいえ元が強大な神剣である『聖賢』の作り出す障壁は強固で、
へリオンが何度斬撃を繰り返そうが貫く事は無く、持続時間も長いために黒スピリットであるヘリオンの
攻撃でも回数が足りなくて直接攻撃を加えられる機会も無い。
そうしてまたヘリオンは三度の斬撃を弾き返されて後退する。
「はぁ、はぁ……あっ」
だが体力とマナを消耗した状態での動きに足がもつれ、着地に失敗したヘリオンが地に倒れた。
「ヘリオン、大丈夫か!……っ!?」
慌てて駆け寄ろうとした悠人を手をあげて制して、ふらつきながらゆっくりと立ち上がり『失望』を構える。
「まだ、です。まだわたしは大丈夫ですから、ユートさまも構えて、ください」
「いくらなんでも、無茶じゃないか。そんな体で満足に剣が振れるわけないだろ」
「いいえ、だって『失望』が言うんです、『諦めちゃいけない』って。
わたしが、本当に知りたい事を得るには、諦めちゃだめなんです。
だから、ユートさまも全力で防御をしていてくださいっ」
よろめく体とは違って、その瞳からは衰える事のない光が放たれ続けている。
ヘリオンはそっと自らの胸に手をあてて目を閉じた。
「『失望』も、あなたも、優しい力で後押ししてくれるのが分かる……だからわたしは、
それに応えなくちゃいけないんですっ。行こう、『失望』っ」
気合を放つと、背中のウイングハイロゥが一際強く輝きを増した。
それに応えて悠人もオーラフォトンバリアを全力で展開する。
一撃目、一瞬で距離を詰めて抜き放たれた居合切りが悠人の喉元を狙う。
悠人とヘリオンの視線が絡み合ったまま、体に届く遥か遠くで障壁が『失望』を弾き返した。
二撃目、身を翻した勢いに乗せて撃ち放った攻撃が胴体に切り込まれる。
悠人の体を視界に収めて行われた斬撃は障壁を大きく震わせて二人の身体の距離を離した。
三撃目、一直線に悠人の元へ駆け込みながらすれ違いざまに胸元を切り裂こうと疾駆する。
オーラを纏った一撃が、オーラフォトンのバリアを砕き、そのままヘリオンは駆け抜けた。
だがしかし、悠人に攻撃が届くには至らずに、悠人は無傷のまま剣を構え続けている。
さらさらとヘリオンのウイングハイロゥが消え出すのを見て、
悠人がそっと『聖賢』を握る手の力を緩めた、その次の瞬間、ヘリオンの胸元から蒼い光が漏れ出した。
「な……この、光は……『求め』!?」
そのマナ光は崩れ去ろうとしたヘリオンのウイングハイロゥを補うように形を変えて、
足元のおぼつかないヘリオンを叱咤するように最後に強く輝きを残した。
「く、ぅ、ぁあああああぁぁぁぁっ」
ふらつく足を一歩踏み出し駆け抜けた勢いを殺すと、ヘリオンはウイングハイロゥをはばたかせて
方向転換し、今までに成し得なかった四撃目を放つに至った。
「ぃやああああぁぁぁっ!」
迸る『失望』と『求め』のオーラに後押しされて、ヘリオンの動きから加減や寸止めという考えが完全に消えている。
「『聖賢』っ……くぅ、間に、合わないっ」
障壁を張る暇すらなく、悠人は『聖賢』をヘリオンの狙う場所に合わせて構えた。
一撃が来ると思った次には、二人の体が衝撃によって大きく弾き飛ばされていた。
【ぐぅ、あ、ぁぁぁあああああっっっ】
金属同士がぶつかり合う音よりも、悠人の耳には『聖賢』自体が上げる悲鳴のほうが強く聞こえる。
いかな第二位の剣といえどもオーラのない状態で他の神剣の全力攻撃を受ければどうなるかは想像に難くなかった。
「『聖賢』!おい、『聖賢』っ!」
悠人が慌てて『聖賢』の刀身を確認すると、剣の腹から先端までが『失望』の切っ先によって大きく傷つけられている。
その傷から勢いよくマナが吹き出て、徐々に『聖賢』の力が抜けていくのが悠人にも理解できた。
【だ、大丈夫だ……この程度では、我が我でなくなる事は、無い。お主が意識をすれば流出もマシにはなる。
それよりも、我から漏れ出たマナはどこに行った……っ】
「そうだ、ヘリオンっ……いた、あそこだ!」
悠人が『聖賢』からのマナの流れを探る必要も無く、目に見えるほどの濃密なマナが少し離れた所で倒れ伏している
ヘリオンの持つ『失望』に向かって吸収されている。
「ぅぁっ、あ、あああ、ぁぁぁっ」
『失望』がマナを吸収するたびに強く輝きを増し、それに合わせてヘリオンの全身が苦痛に震えているように見える。
胸を抑えてかきむしる様に腕を動かしてのたうち始めたのに気付いた悠人だったが、
「くそっ、これの何処が『優しい』んだよ!『聖賢』、落ち着いてマナを垂れ流すのをやめ……!?」
ヘリオンに駆け寄って『聖賢』からのマナの流出を止めようとした悠人の前に、一人の影が立ちはだかった。
「まだです、まだ、止めてはなりません」
白の装束に赤い袴、その姿は。
「時深!何でだ、ヘリオンだってこんなに苦しそうじゃないか!」
「ええ、ですから完全に止めるのではなく、調節して送り続けるんです」
驚いて時深を見返した悠人に、時深は一瞬だけ俯いて、そして微笑みながら悠人に言った。
「大丈夫、悠人さんなら出来るはず、何しろヘリオンのためなんですからね」
「あ、ああ、それならやってみるけど、本当に大丈夫なんだろうな」
意識を集中させて『聖賢』から湧き出るマナの量を抑えてゆっくりと『失望』に向かって放っていく。
その様子は悠人にとって輸血を思わせる物だった。
【時詠のトキミよ、一体何をするつもりなのだ……行き過ぎれば、我自身もどうなるか分からぬぞ】
「って、『聖賢』が言ってるんだけど……っ。ほんとに、大丈夫なの、か」
「今はまだ説明は出来ません、少なくとも『聖賢』が失われる事態にはならないはずです」
勢いが緩まったために強い輝きを放つ事もその反動でヘリオンに苦痛が与えられる事も無かったが、
『失望』が『聖賢』のマナを吸い取り続けている事に変わりは無い。
悠人の手に収まった『聖賢』を通して、悠人自身の体力や精神力も
ごっそりとヘリオンと『失望』に持っていかれているような感覚に襲われる。
歯を食いしばって消耗に耐え、『聖賢』よりも先に悠人の足が役に立たなくなった頃に、
『失望』がとうとうマナの吸収を止めて、強い輝きを放つ事も無くなった。
『聖賢』から漏れる光を止めて、がくりと膝をつきながらも悠人はヘリオンの顔を覗き込んだが
彼女の顔色は真っ青でとてもあれだけのマナを吸収したようには見えない。
呼吸も弱く、今にも消えてしまいそうなほどになっているヘリオンだったが、
その手にある『失望』だけが、妙に充足した様子で静かに光を湛えているのが不気味だった。
「一体、これでどうなるって言うんだ、時深」
地面に腰を下ろしてヘリオンの頭を膝に乗せた状態で悠人が溜め息をつく。
『聖賢』は側の壁に立て掛けてあるが、
『失望』についてはヘリオンの手が強張っていて外せないために今も右手に握られたままだ。
「全然目を覚ます気配も無いし、『失望』だけが変に力を放ってる。
なあ、ヘリオンは今どんな事になってるんだよ」
悠人がマナを放出し続けている間はずっと黙っていた時深がようやく口を開いた。
「ヘリオンは、今は『失望』……いえ、その本当の姿の神剣の元に居ます」
その言葉にばっと悠人は顔をあげて時深を見返す。
その視線を受けながら、時深は壁に立て掛けられた『聖賢』に向かい言葉を続ける。
「永遠神剣第九位『失望』、それがヘリオンの持つ神剣です。
ですが『聖賢』なら、実際にその身で一撃を受けてみたその強さ、何か感じたことがあるはずです」
【ふむ、あれが第九位というのは何かの間違いでは無いか。
いくら使い手が未熟とは言え我からいとも容易くマナを奪っていく一撃の重さ、
そしてあの状態からでも的確に急所を狙い打つやり口。あれはむしろ……
いや、時詠のトキミは『本当の姿』といったか、それではこの推測は正しいという事なのだな】
異常なまでにマナを吸収した『失望』が本当の姿に戻る。その意味に気付いた悠人が、
時深に視線を戻して、ヘリオンを揺さぶらないように気を付けながら声を上げる。
「『本当の姿』って、こんなやり方じゃ『失望』が『世界』みたいになっちまうんじゃないのか。
『世界』だって、『求め』たちのマナを吸収して上位神剣へと変貌したんだろ、
だったら、いくら上位神剣になったって剣に乗っ取られちまったんじゃ意味がないじゃないか」
確かに上位神剣の持ち主となることが出来れば、エターナルとなることができる。
しかし、その上位神剣の特性、或いは性格によっては『世界』に取り込まれた瞬のように、
世界を破壊していくロウエターナルへと姿を変えるかもしれないのだ。
「いいえ、それはまだ分からないんです。悠人さんがエターナルになるかどうかが読み切れなかったのと同様に。
ただ言えるのは、『失望』はいくら成長を遂げていてもヘリオンの自我を犯す性格ではなかったということだけ。
それが唯一の安心できるかもしれない要素なんです」
目を伏せて時深が言葉を切った。不安を煽る事も、気休めで安心させようとする事も無いのがかえって悠人を冷静にする。
「『失望』が元に戻るためのマナを与えるまでが俺と『聖賢』に出来る事ってわけか。
後は……全部ヘリオン次第なんだな」
膝に乗ったヘリオンの顔を見ると、眉をしかめて呼吸をつまらせている。
苦しげに自らの胸元に左手をやって何かを掴もうとするが上手くいかないようだ。
悠人がそっとヘリオンを抱えなおして服の胸元を緩めると、見覚えのある金属片が紐にぶら下がっていた。
「そっか、やっぱりお前もヘリオンを助けてくれるつもりなのか」
最後の一振りを行う力を与えてくれたのもこの欠片なのだから、ここまできたらとことんこき使ってやろう。
悠人は静かに『求め』の欠片をヘリオンの首から外すと、それを自らの右手に乗せてヘリオンの左手に合わせた。
ヘリオンの指の間に悠人自身の指を絡ませて手を握る。
小さな手がぴくりと震えたかと思うと、その手の力強さを求めるようにきゅっと握り返してきた。
微かに和らいだヘリオンの表情を見て悠人はそっと息をつく。
「あのさ、時深。ところで『失望』の本当の姿って、何ていう剣なんだ」
時深と『聖賢』から同時に剣の名前が紡がれる。それを聞いて、悠人の口の端が笑みを形作った。
「何だ、それが『失望』の元の形なら絶対に大丈夫だ。ヘリオンは最後まで諦めることなんかしなかった。
俺だって……たとえ、希望がなくなったって諦めたりなんかしてやらないから。
だから、絶対に帰って来いよ、ヘリオン」
さらに力を込めて右手を握り願いを込める。
きつく閉じられた二人の手の間からはどんな光も漏れる事は無かったが、
その手の中に確かな熱を感じて、悠人はそっと目を閉じた。
其処には何も無かった。空中も地面も、壁も天井も、光さえも。
自分の姿すら見えない闇の中で、ヘリオンは地に足のつく感覚も無いままにただ其処に居た。
いや、其処と場所を特定することも無く、全ての場所に自分が居るような感覚を覚えて、
さらにそれがヘリオンという存在を希薄にしていくように感じられた。
「……違う、わたしはちゃんと此処にいます」
そう宣言すると、何も無かった空間にヘリオンの姿が不意に現れた。
【ああ、君は確かに此処にいる。だが、今現れた君は本当の君なのかな、ヘリオン】
ヘリオンの周りの空間から響く声にきょろきょろと視線をやってその主を探す。
「この声は『失望』、なんですか」
【『失望』か、確かに君との付き合いはその姿の時の物でしかないな。
それに、こんなに多くの言葉を発することが出来るような事態も何周期ぶりのことか。
確かにいきなり本題に入るのは君にとっても、僕にとってもプラスにはなるまい。
まずは僕の事を知ってもらおうか。『失望』は千々に砕かれた僕の欠片。
それが再び一つになって僕に……まあ、
戻りきれては居ないけどこうして意志を取り戻すくらいにはなったって所かな】
男性とも女性とも取れない声で、それは空間からヘリオンに言葉を投げかけてくる。
雰囲気で言えばそれは優雅に一礼をするような間を空けて自らの名を紡ぐ。
【僕は虚偽を嫌い虚飾を払うもの、永遠神剣第三位『真実』だ。はじめましてヘリオン】
「わたしを知っているのは、あなたが『失望』でもあったからなんですね」
答えは無かったが、空間から感じ取れる気配は肯定を示すように揺らいでいる。
目の前の事態が飲み込めてくると、ヘリオンは自分が此処に居る理由に思いをめぐらせた。
確か、つい先ほどまで城の訓練棟で悠人に打ち込み稽古の相手をしてもらっていたはずだ。
『失望』からの声に促されるままに斬撃を繰り返し、『聖賢』に斬りつけた所までは覚えている。
その時に、いや一ヶ月前からずっと響いていた声が『失望』であり『真実』のものだったということだろうか。
「あなたが『真実』に戻るために、わたしに『聖賢』を傷付けさせたんですか。
それが、わたしが思い出さなきゃいけないことと、何の関係があるんですか」
ただ自分の持つ剣が上位神剣に戻るためだけに自分を利用しただけなのではとヘリオンは身を震わせた。
【……重症だね、なんとも。最初の質問に戻るけど、今、僕の前に居る君は本当の君だと思うかいヘリオン】
その呆れた様子を感じさせる声に、ヘリオンは自分の思考までもが『真実』に知られている事を悟った。
「つまり、思い出さなきゃいけない事のあるわたしは、本当のわたしでは無いって事なんですか」
【質問ばかりじゃ詰まらないよ。自分で見つけなければ意味の無いものでもあるんだからね。
なら、まずは此処から始めないといけないのか】
そうヘリオンの意識の中に声が響いた時には、その身体の周りに無数の景色が張り巡らされていた。
それは、今此処に居るヘリオンが体験してきた出来事を忠実に再現したものだった。
周りを見渡しても、既に『真実』の気配は失せている。一体自分に何をさせようというのか。
一番近い出来事は、つい先ほどの悠人との打ち込み稽古のものだ。
だんだんと昔へと遡っていき、時深が現れた時期のもの、サーギオスを光陰や今日子と共に制圧した時期、
その今日子や光陰がマロリガンからラキオスに下った時期、エスペリアがヨーティアを連れて来た時期、
龍の魂同盟の国々を次々と破っていた時期へと続いている。
そのさまざまな時期のうち、ヘリオンが一人で黙々と剣を振る場面、初めて敵のスピリットを斬った場面、
今日子、光陰と話している場面などが一際強くヘリオンの脳裏に違和感を刻み付ける。
一番初めにある悠人の姿を目に入れてからその記憶へと目をやると言い知れぬ胸の痛みが襲い掛かってくるのだ。
「これは……どうして、わたしがしてきた事のはずなのに。
おかしいです、キョーコさんや、コウインさまがラキオスに来る理由が無いじゃないですか。
それに、それにわたしが一人で訓練したからって……『失望』がこんなに強くなる事なんてない、はずです」
『聖賢』を傷付ける前から、それが出来るほどに『失望』は強くなっていた。
その理由を考える事など必要ないと思い込んでいた事に気付く。ただ第九位ということを忘れたいと思う心と、
部隊の中で役に立っているという安心感から、『失望』がそうなった原因に気を向けることなどなかったのだ。
頭痛と胸の痛みを抱えながらヘリオンは自分の記憶の中の違和感を探していく。
特に、夜の訓練棟の光景の殆どが強く頭痛を訴えかけた。
「『失望』……ううん『真実』、これが、わたしの思い出さなきゃいけないことですね。
だったら、絶対に思い出してみせますから……もっと、あるはずです。
もっと大切なことが、わたしの中にあったはずなんです。どんな事を忘れてしまっているのか全部見せて下さいっ」
一人で剣を振る夜。誰を守りたいと思って敵を斬ったのか。
今日子と談笑するようになったきっかけ。誰が二人をラキオスに呼んだのか。
ヘリオンの頭の中に一人の男の声が響いた。
『神剣の位も、スピリットの色もいらない。名前だけで大丈夫だ。
……正直言うと、あんまり長い名前になると覚えられないからさ』
その声の主は、自分の気にしていそうなことを先回りして読み取って、自己紹介をさせた。
自分の声を聞く表情がとても辛そうだった事を覚えている。
ふいに、目の前の光景には無いところから声が届いてきた。
『長くて覚えにくいから、ヘリオンでいいよ。他のみんなも適当に名前を教えてくれればそれでいい』
それは、全く同じ声。それを聞いてひどく心が揺らめいた。声の出所を探そうとすると、
眼前に広がる景色が輪を縮めてヘリオンの周りを取り囲んだ。
ズキズキとする胸に手をあてて、懐にある金属の感触に安堵を覚える。
これが手に入ったきっかけも、この記憶の中には無い。
耳を澄ますと、周りにめぐらされた光景の更に奥から微かに声が聞こえてくる。
『ごめんな、今からじゃ何の飾り気もつけられない』
『いえ、わたしたちには飾りよりも、剣としての『求め』の方が近くに感じられますから、これがいいです』
男の声と、自分の声、そして金属片の元となった剣の名。
懐から欠片を取り出そうとヘリオンは手を動かすが、痛みに邪魔をされて上手くいかない。
「邪魔を……しないでっ。この向こうにわたしの大事なものがあるんですから……っ」
わたしは、彼を知っていた。それは当然のこと、だってずっと前から一緒にいたはずなんだから。
不意に、懐にあったはずの金属片の感触が左手に移った。微かに光る金属の熱以外に、
温かいぬくもりがヘリオンの手を包んでいるように感じられて、彼女は静かに笑みを浮かべた。
目の前に、一人で剣を振っている光景が迫ってくる。ヘリオンはそっと左手をその景色に向かって突き出す。
ヘリオンの手が触れた瞬間、その光景はさらさらと崩れていき、微かに奥から漏れる声が大きくなった。
それに伴って、ヘリオンの中にひとつの情景が蘇る。先ほどと同じ様に剣を打ち合う悠人とヘリオンの姿。
涙を浮かべながら頷いて、ヘリオンは次々と違和感を生み出している光景だけを打ち消していく。
最後に残ったのは、ヘリオン一人で湯浴みをしている所だった。
その記憶がある時期に思い当たり、かっと頬を染めながら左手を振る。
巧妙に紛れ込んでいた記憶が消された後に、奥に隠されていた
一ヶ月より前の記憶がもう一度ヘリオンの周りに浮かび上がった。
ヘリオンがそれを自らの内に強く刻み込んだ時に、また辺りは元の暗闇に戻る。
しかし、先程よりも温かさを感じさせる気配がヘリオンの周囲を包んでいた。
【よく出来ました、というところだね。言うまでも無いだろうけど全部消してしまえば君が無くなる所だった。
真実と虚像を見分ける目、僕の持ち主になる能力は充分にあるみたいだ】
目の前に、『失望』とは比べ物にならないほどに強い力と存在感を放つ物があるのを感じて、
ヘリオンはそっと息を飲み込んだ。先ほどまでの軽さをかもし出す雰囲気が消えて、
『真実』から自らの全てを見透かされ、試されているような圧力を叩きつけられている。
【これが最後の問いかけだ。此処にいる君は本当の君かい、ヘリオン】
今、取り戻した記憶の中の自分の横には常に彼が居た。彼を思わせるぬくもりの残る左手を胸に抱き、
「いいえ、此処にいるわたしだけじゃ、一人でいるわたしだけじゃ本当のわたしにはなれないです」
ヘリオンは静かに、首を横に振った。
「一人きりじゃなくって、キョーコさんや、ヒミカさん、ハリオンさんに他の皆さん。
それに、誰よりもユートさまがいてくれたからこそ、わたしは今此処にいることが出来るんです。
だからわたしの『本当』はユートさまと共に在ること。
それが『真実』になるようにあなたも力を貸してくれていたんでしょう?」
言い終わって、目の前にある気配に微笑みかける。その周りの空間が苦笑に震えたように感じた。
【ああ、僕だって彼に感謝はしているよ。こうして君が僕を元に戻せるほどに身体も、心も強くしてくれたんだから。
さて、それじゃあ一旦お別れだ、目覚めた時に二人で彼に会おう。僕の姿はそれまでお預けだ。
その心が常に真っ直ぐである事を決して忘れないように。いいねヘリオン】
そう『真実』が告げた瞬間、ヘリオンの周りからその気配が消えて、
ヘリオン自身の意識も、浮かび上がっていくような感覚を得ながら静かに閉じていった。
「永遠神剣第三位『真実』。この剣は私たちカオスエターナルにも、そしてロウエターナルにも属していなかったようです。
私がエターナルとなる以前から既に失われた神剣として扱われていたので、詳細は私にも分かりません」
【属していなかった、というよりは興味が無かったといったほうが正しいかも知れぬ。
世界を破壊しようともしなかった代わりに、積極的に世界を守ろうともせずに持ち主と共に
ふらふらと世界を渡り歩いていたものだ。勢力に与しては『真実』から遠ざかるのみと嘯いておったのだが、
最後にはその在り方に危険を覚えた双方から狙われて散っていったのだ】
時深と『聖賢』の話を適当に聞き流しながら悠人はじっとヘリオンの顔を見つめ続ける。
『真実』がどんな剣だろうと、ヘリオンがそれに負けさえしなければ帰ってきてくれるのだから。
ふるふると、ヘリオンのまつ毛が揺れた事に気付いて、悠人が静かに呼びかける。
「……!ヘリオン、気がついたのかっ……ぅわっ」
同時に、彼女の右手に握られていた『失望』から眩いばかりの光が迸った。
決して手を離さないようにしながらも目を瞑って閃光が収まるのを待つ。
再び悠人が目を開けた時、ヘリオンはゆっくりと瞬きをしていた。
「ユートさま……?あぁ、だから、左手がぽかぽかしてたんですね……」
充分に周りの状況が把握できていないにも関わらず、ヘリオンは悠人に向かい微笑みを浮かべる。
その笑みが、自分にとって慣れ親しんだ物である事を悟って、悠人はぎゅっとヘリオンを抱きしめた。
左手に残された欠片を首にかけなおして、ヘリオンもゆっくりと悠人の背に手を回す。
【感動している所ですまないが、あんまりくっついてると危ないぞ。
なにしろまだヘリオンは僕を握りっぱなしなんだからね】
時深とも『聖賢』とも違った声に悠人とヘリオンははっと身体を離して、その声の出所に目をやった。
【しばらくぶりだね、ヘリオン。そしてはじめまして聖賢者ユウト】
ヘリオンの手の中にある神剣が、その姿を変えて思念を送ってきている。
「あなたが……『真実』なんですね」
宣言どおりに華美な装飾も無く、ただ柄から伸びた刀身だけがその存在を主張する一振りの刀が『真実』の姿だった。
その一点の曇りも無い刃にヘリオンが視線を這わせると、その刃と同じ様に澄んだヘリオンの瞳を真っ直ぐに映し、
自分の心の内を常に探られ、試されているような威圧感を覚える。
【その通り。僕はいつでも君の心を見ているんだ。僕に映る瞳が曇る事の無いようにしてくれよ】
神妙に頷いて、ヘリオンは『真実』を鞘に納める。鞘の見た目も『失望』の時と変わってはいない。
「何というか、随分と面白い剣だな『真実』って」
悠人がヘリオンに手を貸して立ち上がらせながらヘリオンに話し掛ける。
『聖賢』も時に気難しい発言をするが、あそこまで軽い雰囲気をもつ神剣があるとは悠人には思いもよらなかった。
「あ……ユートさま、『真実』が照れてます」
どれどれ、とヘリオンの腰に下げた神剣を覗き込もうとする悠人たちに向かって、
「て、照れてますじゃありませんっ!ヘリオンも、悠人さんも何をそんなに普通にしているんですか!」
呆然と成り行きを見ていた時深が駆け寄ってきた。その慌てようにようやく悠人の思考も働き始める。
「そうだ!ヘリオン、どうして俺たちのことを覚えてるんだ!?」
「えっと、それは……」
【君のおかげだよ聖賢者ユウト。いや、正確には高嶺悠人か。君がいたおかげで『失望』の中に僕が戻り始めていたんだ。
上位神剣にとっては記憶の制約は無いからね、溜め込んでいたそれまでの記憶をきっかけとして
持ち主であるヘリオンの中にあった、彼女自身の記憶を掘り起こしてあげただけさ】
こともなげに言う『真実』に時深と悠人の動きが止まる。
「あの、『真実』は嘘を言いませんので、多分その通りだと思います」
おずおずと手をあげて二人に言葉をかけるヘリオン。
だがそれについてよりも、二人は『真実』の言葉の別の部分に気を取られたようだ。
「それじゃあ、今のヘリオンはやっぱり『真実』の持ち主ってことなんだよな」
「え、あ、はい。そうみたいです」
「そうみたいですじゃありませんっ。何ですかそのエターナルの自覚の欠片も無い態度はっ」
そう叫んだ時深の言葉に反応し、壁に立て掛けられたままの『聖賢』から悠人に声がかかる。
【無駄だ。『真実』とその持ち主にそんなものを期待するほうが間違っているぞ時詠のトキミ。
第一、そんなものなど我の契約者も持っておらんでは無いか】
「な、そりゃ無いだろ『聖賢』。それにこれから身につけていけばいいだけじゃないか」
悠人が『聖賢』を手にとり腰に佩く。静かにヘリオンの横に並んで、その目を見つめた。
「でも、本当に良かったのかヘリオン。時深の話じゃ今はみんなへリオンのこと覚えてるんだぞ。
それなのに急にエターナルになっちまってきっと混乱しちまう」
「大丈夫です。だってここでの戦いが終わったらわたしもユートさまと一緒に行くんです。
だから今ちょっとくらい色々あっても構わないって思う事にしました」
真っ直ぐに悠人を見返して悪戯っぽく笑みを浮かべる。
だがその瞳は決して揺るがない決意と、悠人への想いを秘めていた。
「そうだな。一緒にいれば……って、『真実』はそれでいいのか?
カオスエターナルの仲間になるのは嫌なんじゃなかったっけ」
「ええ、『真実』の中ではカオスエターナルに与するんじゃなくて、
ユートさまについて行くって事で納得してくれました。ですからお気になさらないでください」
そう時深にとっての爆弾発言をあっさりと言いのけてヘリオンは頷く。
「これも、言うだけ無駄なのでしょうね」
溜め息をついて時深はヘリオンと悠人に向き直る。
「けれど悠人さん、ヘリオン。この戦いの後の話はきちんと『世界』との決着をつけてからです。
二人ともまだエターナルになって間もないという事に変わりはありません。
特に、悠人さんは『聖賢』の力が削がれているんですから充分にそれを考えに入れてくださいね」
「ああ、それは分かってる。けどこうして『聖賢』を持っても気になるほど力が落ちてるようには思えないんだけどな」
【当たり前だ。この世界で振るえる力の上限も、今のお主が扱える力の上限も我の今の力の遥か下だ。
余計な心配事がなくなった分、先程よりも調子がいいくらいだ】
ぐぅの音も出ないほどに悠人をへこませて気分を良くしたかそれきり『聖賢』は口を閉じた。
時深も、言いたい事を言い尽くしてすっきりした顔で、
明日からの激戦に備えるよう注意した後は訓練棟から一足先に姿を消した。
残された二人と二本。そのうちの二本はもう静かになっていて邪魔をするつもりも無いらしい。
いや、後一つ大事な奴が居ると悠人は思い直す。
「『求め』に感謝しなくちゃいけないな。まさか、こんなに助けてくれるなんて思ってなかった」
「ふふっ、でしたら、きっとそれが『求め』良い心の部分の表れだったんじゃないでしょうか」
言われてみれば、皇帝の間での戦いの後から『求め』はずっと協力的だった。
砕かれた時に、ロウエターナルに仕組まれた呪縛が解けたかのようだ。
「そうだな。……さんきゅ、『求め』。俺を、そしてヘリオンを助けてくれて」
ヘリオンの胸元で揺れる欠片に対して声をかけるが、その返答はない。
二人で、その欠片に思いを込めて目を閉じた。そしてしばらく経ってから。
「あの、ユートさま。わたし、この言葉を言えるなんて思ってもみませんでした」
俯いて頬を染めたヘリオンが静かに視線だけを悠人に向ける。
何を言おうというのかに思い当たって、悠人は静かに身体と心の準備を整えた。
「おか……ひゃっ」
顔をあげてヘリオンが口を開こうとした瞬間に、先回りして悠人はヘリオンの頬に口付ける。
真っ赤になって硬直したヘリオンに静かに笑いかけて、耳元に口を寄せて囁いた。
「ただいま……。それから、お帰り、ヘリオン」
くしゃりと頭を撫でて、くしゃくしゃに歪めた顔を覗き込む。
その頬を両手で包み込まれて、何を言われる事も無いまま悠人はヘリオンの唇を受けた。
絶対に、自分たちが負けることも分かたれることも無い。
そう口付けを交し合った願いは、近い未来に真実となる。
そして、ファンタズマゴリアからロウエターナルの脅威が去り、幾日かが過ぎた明け方。
ラキオス、いや、ガロ・リキュア王国の城下から離れた平原に、二人の影があった。
「やれやれ、俺たちが跳ぶ前に目が覚めた奴がいたら、きっとみんな大騒ぎなんだろうな。
何せ、みんなの中じゃヘリオンがエターナルになった上にガロ・リキュアに居続けるって思ってるんだから」
「とは言っても、レスティーナさまやヨーティアさまにはトキミさまからお話が行ってますから
大丈夫だとは思いますよ。それに、お二方とも大きすぎる力の危なさはしっかりとご存知な訳ですし」
それに、と言葉を続けかけたヘリオンを悠人がとどめる。
「この世界から一度離れたらそんな事は関係なくなる。でも、ヘリオンはまだこの世界との繋がりが残ってるんだ。
確かに、表立って動く事は出来なくても、自分の生まれた世界で生きてくことが出来るんだから……」
言葉を続けるうちに悠人の顔がだんだんと引きつっていく。
それもそのはず、悠人に向けられたヘリオンの視線が見る見るうちに怒りを帯びて、
終いにはぷんぷんと頬を膨らませ始めたのだから。
「ユートさまっ、心にも無いことを言わないでくださいっ。
思いっきり、わたしと離れるのは嫌だけどこれがわたしの為かもしれないって顔にかいてますっ。
わたしにはこの世界で生きることよりも、ユートさまの側にいることが大事なんです。
それなのに、ユートさまはわたしに一人でここに残れって言うんですねっ、
ユートさまを忘れる事も出来ないのに、残れって言っちゃうんですね」
怒った余りに涙まで浮かべて抗議をするヘリオンに、悠人はもう謝ることしか出来なかった。
「ダメです、わたしの気持ちも考えないでそんなことを言うなんて信じられません」
「う、悪かったよ、ヘリオン。それじゃどうしたら、許してもらえるかな。
その、出来る事なら何でもするから」
「そうですねぇ……やっぱり『真実』の名の通り、
ちゃーんとユートさまの心の底からのお言葉が聞きたいです」
にまっと涙を引っ込めてヘリオンは笑みを浮かべる。
顔を一気に朱に染めて悠人は首を振った。
「な、う、嘘泣きっ!?おい、『真実』っいいのかよこんな事させてっ」
「はい、見てて面白い分には大丈夫だそうです。ですから、ほらほらユートさま、どーんっと仰ってくださいっ」
ヘリオンはきらきらと輝く目で悠人の言葉を待ち、悠人は紅潮した顔で口を開け閉めする。
今になっても、意識をしながら面と向かって告白することには恥ずかしさがある。
しばらくの間、焦らすというよりも煮え切らないと言った様子でまごまごとしていた所に。
「悠人さんっ、ヘリオンっ!何をゆっくりしているんですか。早くしないと、色々とお話があるんですからね!」
平原の向こうから時深が文字通り飛んできてしまった。
悠人がほっと胸をなでおろした素振りを見せた瞬間に、ヘリオンからの視線が突き刺さる。
しかしヘリオンが何かを言うよりも、時深が先に喋り始めるほうが先だった。
「まず、真実のヘリオン、そして永遠神剣第三位『真実』。あなたたちについてです。
あなたたちが私たちカオスエターナルに与する意志が無い事を鑑みた結果、
私たちと共に行く事は却下されました」
しかもその内容に二人の思考が止まってしまう。
「次に聖賢者ユウト、そして『聖賢』。あなたたちが『真実』の復活の為に多大なマナを失ったことで……」
「ちょ、ちょっと待てよ時深!『世界』を一緒に倒したんだから大目に見るって話じゃなかったのか!」
「わ、わたしたち離れ離れなんですかぁっ。
ユートさまが、さっきちゃんと言ってくれなかったからなんじゃないんですかっ。
え、でも……そんな……やだぁぁ……」
二人を無視して話し続ける時深に悠人が食って掛かり、ヘリオンは地面にへたり込んでぽろぽろと涙を零す。
その様子をたっぷりと観察してから、時深は意地悪くにこりと笑って悠人を引き剥がした。
「はい、時間に遅れた罰はお終いです。いいから最後まで話を聞きなさい」
一瞬の間が空き、悠人とヘリオンはぽかんと時深の顔を見返す。
「いいですか。事実として、『真実』がカオスエターナルに参加する意志はありません。
ですから、無条件で連れて行くわけにはいかない事は分かりますね。……よろしい。
そして『聖賢』に関しては、この世界にいるときには実感が湧かないでしょうが
今の状態では、マナの豊富な世界での戦闘に耐えられる状態ではありません。
そこで、カオスエターナル側として、聖賢者ユウトの第一の任務を次のように決定しました。
『永遠神剣第三位『真実』とその持ち主の監視及び監督、その期間は『聖賢』を安置しマナの補充に努めよ』です。
理解していただけましたか?」
呆けたまま、二人はカクカクと首を縦に振っていたが、
だんだんと思考力を取り戻した悠人が時深に向かってまくし立て始める。
「あのさ、監視と監督って具体的にはどういう事なんだ。
それに『聖賢』を安置って、剣を手放してどうやって戦えって言うんだよ」
「それを今から説明するんですっ。ヘリオンを見なさい、悠人さんもきちんと最後まで聞く姿勢を……あら」
「うわっ、ヘリオン、離れなくていいって分かったとたんに放心しっぱなしになるんじゃないっ」
「ふぇっ!?あ……なんだか、安心したら気が遠くなっちゃって……」
大きく息をついた三人が、もう一度落ち着きを取り戻して話を聞く体勢を作る。
「悠人さんの任務というのはもう殆ど公認の休暇みたいなものです。
『聖賢』を使わずに回復させる事に努めなさいという事。
残念ですが今の悠人さんと『聖賢』では満足に戦うことが出来ないんです」
「や、やっぱり、わたしのせいですか……?」
「仕方がありません。こういう事にならなかったら
『世界』を倒す事も難しかったんですからそれで気に病むのはお門違いです。
そして、何もせずに休んでいるのもいけないから、『真実』がふらふらしないように、
持ち主にも『真実』にも気に入られている悠人さんといるのが適任という事になりました。
監視とかいう言葉も殆ど方便。一緒に居れば問題も無いんです」
ふう、と溜め息をついて時深が何処からとも無く大きな封筒を取り出す。
悠人を手招きで呼び寄せてその中身をちらりと見せる。
それを視界に入れて、悠人は目を見開いた。小声でヘリオンには聞こえないように叫ぶ。
「な、何だよこれは、どうしてこんなもんがここにあるんだ!?」
「私だって知りません。戦いの無い世界で暮らすんだからこれくらいは要るだろう、
なんて言った、上の趣味ですっ。悠人さんがきちんと説明したら、『門』の場所まで来てくださいねっ」
とす、と悠人に封筒を押し付けて、時深はさっさと『門』まで駆けて行ってしまった。
後に残された悠人にヘリオンがとことこと寄って来る。
「ユートさま、それってなにかの書類ですか」
ぎくりと危うく封筒を取り落としそうになる。
「う、うん。あのさ、ヘリオン。その、これから行く世界って、もしかしたらハイペリアかもしれない。
たしかに、あそこならしばらくエターナル同士の戦いなんて無さそうだからな」
目を瞬いて、ヘリオンは悠人の持つ封筒に視線をやった。
「えっと、それじゃあその中身ってハイペリアの言葉で何か書かれてるんですか」
「ああ、それがさ……ちょっと、さっきの続きと話が繋がるんだけども……」
静かにヘリオンの肩を抱いてその瞳を見つめる。先ほどの続きと聞いてヘリオンも息を飲んで見返した。
「俺も……ヘリオンとずっと一緒に居たい。
離れるなんて絶対嫌だし、さっきの時深の冗談に本気で怒っちまった。
それで、この中身なんだけど、たぶんハイペリアの物だったら日本の、俺が生まれた国の戸籍とかが入ってる。
俺のとヘリオンのが揃ってるんだけど、それと一緒に……」
かさ、と中からある書類を取り出した。そこの一番初めに書いてある文字は。
「これって、一体……?」
「あー、えっと、読めないんだよなぁ……その、『婚姻届』って……」
真っ赤になってぼそぼそと言葉を濁す悠人の声に、ヘリオンは大きく瞳を開いた。
「こっ婚姻って、け、結婚のことですかっ!?その、人の男性と女性がする、あのっ!?」
「いや、もう人だからどうって話じゃないだろ俺たち。まあ、とにかくその結婚のこと。
だから、その……とりあえず、戸籍やなんかだけでも住人にはなれるんだけど、
向こうで暮らす間も、いや、その先もずっと、俺はヘリオンをお嫁さんにしていたい」
「ぇ、ぅあぁ……」
かああっと、悠人が見る間に同じ様に頬を染めて身をよじらせようとするヘリオンだったが、
しっかりと悠人に肩を掴まれているために抜け出す事も出来ない。
口から心臓が飛び出そうなほどに、ばくばくと鼓動が響いて言葉も出せない様子だった。
もちろんそれは悠人にしても同じ事で、ヘリオンの目を覗き込んだまま微動だにしていない。
その悠人の緊張に気付いたヘリオンは息を飲み込んで、静かに肩に置かれた悠人の手をとった。
二人の手を胸元で祈りのように組み、瞳を潤ませながら、
「……はいっ、ふつつか者ですがよろしくお願いします……ですよねっ」
満面の笑みを浮かべて言うと、勢い良く悠人の胸に飛び込んだ。
足取りも軽く、両手に買い物篭を下げて一人の少女がアパートの扉をくぐろうとする。
その前に、いつものように扉にかかった表札をみて口元を緩めた。
『高嶺 悠人
縁音』
口だけを動かして、「たかみね、ふちね」と呟いて扉を開けた。
ちょうど、この地に多い人種の髪と目の色を持つヘリオンが生活の場で受け入れられやすいのでは、
と用意された名前は、悠人たちの名の持つ響きを好んでいたヘリオンにも好評だったようだ。
「ただいま帰りましたっ」
「お帰り、って別にいいんだぞ、そんな丁寧に喋らないで。まあ、言って直るもんでも無いだろうけどさ」
「やっぱり二年以上も言っていると癖になっちゃいましたから、仕方ないですよユートさま」
「少なくとも、外で「さま」だけはよしてくれよ……ご近所の視線がものすごく痛いんだ」
「はい、分かりましたユートさまっ」
そっと息をついた悠人が買い物篭を受け取って、冷蔵庫に食材を詰めなおしていく。
「ところで、また意味がわかりにくい言葉を耳にしたんですけど……」
「え、そうなのか?」
神剣の力によって日常会話に関しては完璧にマスターし、
読み書きにしてももう少しすれば大丈夫であろうヘリオンだったが、
時おり本人の語彙力では理解しにくい単語があるという。
「ええ、お買い物の途中でお魚屋さんから『オサナヅマヲカコイコンダアンチャン』に精のつくもん食わしてやんなって……」
バタンッ
勢い良く冷蔵庫の扉を閉めて、悠人はがくりとうなだれた。
「ユートさま『オサナヅマ』って……?」
「後で教えてやるから、その魚屋の場所を教えてくれ……」
決してその店の前は通るまい、そう心に誓って。
悠人とヘリオンが連れて来られた地はやはり地球だった。
その地の人間として馴染むためにしなければならない事は山積みで、
結婚を期に引っ越してきた若夫婦として世間に慣れていく事に少々の戸惑いもあったが、
その生活にも徐々に親しんでいくことが出来た。
夕食の後、風呂の無いアパートから銭湯に出かけた帰り道。
「ユートさ……ユートさん、お待たせしました」
「……いや、俺も今上がったとこだから」
空を見上げていた目をヘリオンに移して、悠人は静かに微笑みかける。
横に並んで自宅に向かい帰路に付く。辺りに人影が無い事を見てから
悠人を見上げて、ヘリオンは静かに問いかけた。
「ユートさま、また空を見上げてましたね。やっぱりカオリさまが心配ですか?」
確かに、ここに来た最初の日に時深に連れられて佳織と最後の会話を交わした。
それから、その地とは離れたこの地域に住む事になったのだが。
「ん、そうだなぁ、それもあるけど。でも佳織はこの空の下に居るんだって分かるから。
それよりは今、この空の向こうで時深や、まだ会ったことも無いエターナルが戦ってると思うと
いつまでも休んでるわけにも行かないなってさ」
戦いの日を空に見る悠人に、一瞬だけヘリオンの瞳が揺れる、それを振り払うように、
「もちろん、今のこの時間はすごく楽しいし夢みたいだ。
だから、自分が守ろうとする物が、いろんな人たちのこんな生活だって分かっておくのにはちょうどいい。
いつまでになるかは分からないけど、それまでは二人で今の生活、楽しんでおこう」
軽く笑みを浮かべながら頭を掻く悠人。その笑みに安堵し、ヘリオンはゆっくりと悠人の腕に腕を絡めた。
「はい、わたしたち、いつまでも一緒ですよ……ユートさま」
二人の左手の薬指にはお揃いの、サファイアに似た輝きを持つ石をあしらえた指輪が煌いている――
Youto The Sacred Keeper
Herion The Truth
エターナルとして目覚めた悠人。
多次元世界を舞台に、永遠神剣をめぐる戦いに
身を投じていく……のは、もう少し先の事である。
『失望』の道行 〜 Herion's Route 〜 Fin.
370 :
道行書き:04/07/04 02:08 ID:UNEOW2no
以上、『失望』の道行 〜Herion's Route 〜 をお送り致しました。
一作目を投下してから早三ヶ月、無事に完結させることが出来て感無量です。
初代スレ487氏が『真実は常に失望とともにある』を掘り出して下さったことが全ての発端。
イビルルートをプレイして、「ヘリオンを幸せにしてやりたい、がどうやって?」
と脳内妄想を繰り広げていた私にとって目から鱗でした。
第一幕を書き上げた当初の頭の中には、上に加えて剣の稽古と風呂くらいしか無かったのですが、
普段交わされるちょっとした妄想や希望、願望を読み、また書き込んでいるうちに少しずつ形になっていきました。
そして、最後の最後までスレの中で交わされた雑談、小ネタ等などに影響を受け、
ヘリオンエンディングを迎えました。皆さんの雑談が原動力となり、ここまで続けられたのです。
まだまだ至らない所も多いのですが、
妄想と勢いとヘリオン萌えだけで突っ走ってきたこの作品に
長い間お付合いいただき本当にありがとうございました。
>>道行書き氏
GJ!!
最高だよ、あんた
長い間、乙彼様
GJ!
このSSに出会うためだけでもゲーム本体をやった価値があると思える。ホントに。
で、あらためて最初から読み直させてもらったけど、
ゲーム本体だと分岐や共用シナリオの都合らしき事情で納得いかなかった展開が
このSSでは全部うまく収まっているのも感動モノ。
>道行書き氏
Great Work! おつかれさまでした。
『求め』の欠片の活かし方といい、
とっても味のあるかつ展開に活きる『真実』のキャラクタ造形といい、
お見事です。
時深お…ねぃさんもこれぐらいサポートに回ってくれると味わい深いですな(w
感動の大団円と微笑ましく温かいエピローグ。圧巻です。
あぁ、自分のレス能力不足がもどかしい…
今、万感の想いを込めて、青い光がスレを包む。
「第二のファンタズマゴリア」は、たしかにひとつの到達点に至ったのだ。
それはひとつの旅の終わり。そして新たなる旅の始まりでもある。
真の答えを求める永い探求の旅に果てはない。
道行書き先生の次回作にご期待下さい。
と、そんな感じのキャプション入れたい気分です(w
ともあれ、正に偉業と言える大作をありがとうございました。
願わくば、しばしマナを補充した後、また我々を萌えと感動の海に攫って下されば、と期待して止みません。
>道行書き氏
今こそこのレスをせねばならぬ時!!
2004年7月4日、雑魚スピスレに、神、降臨す
>>374 すみません、出来れば「囲っちゃった幼妻」の方をお願いします(笑
>>道行書き氏
大作乙!
なんつーかもう、最後はニヤニヤ笑いが止まりませんでしたよ。
ハッピーエンドとはいいものですなあ。
>>道行き書きさん
お疲れ様でしたっ!!
もう〜〜、これぞヘリオンルートと言わんばかりのものを読ませていただいて、感謝感激です。
ヘリオンファンとしてはこれ以上のものは有りません。
ありがとうございました。
379 :
エロ大王:04/07/04 19:37 ID:9v82/opH
>道行書き氏
すばらしい、長編乙!
アセリアの世界観が波状なくそれでいてきちんとヘリオンるーとができてると思いますよ
悠人の ソコモウトオレネエヨ・・・・・
「後で教えてやるから、その魚屋の場所を教えてくれ……」 _| ̄|○ ;;;;;
が自分的には最高ですw ↑悠人みたいなw
>>道行書き氏
長い間、お疲れさまでした。
もう完全に「私の中の」公式へリオンルートですよ……
ハッピーエンドバンザ〜イ!!
381 :
道行書き:04/07/04 20:58 ID:lhiiUeSW
今晩は。最近のレスの殆どを二日連続で埋めてしまって
ハイテンションになり過ぎたかと今さらながらに反省しています。
暖かい感想が、達成感に程よく疲れた心に染み渡ります。
皆さまのおかげで自分では楽しんで書くことが出来ました。
ですから体感している時間はあっという間のものでした。
……時深おねぇさんのスキルを喰らっていたかのように。
神々への尊敬の中で恐る恐る初めてのSS投下を試みた身として、
神と呼ばれる事には嬉しさと恐れ多さが混在しています。スレ住人の一人として皆さまからネタを受け取り、
消化し、それを文に置き換えていたという感覚でいる私にとってはスレ住人の方々誰もが神に思えます、本当に。
初めからまとめて読むと、イベントとイベントをぶつ切りに繋げる構成をとっているために
その間に多くの脳内補完が必要である事が今回の課題でしょうか。
納得がいくような展開にするためにねじ込んだり
カットしたりした試みを受け入れられる方もおられて一安心です。
世界観からずれないよう注意する為にサウンドトラックを使ったのですが、
曲に引きずられたシーンも何度となくあって、OP、EDテーマの力を改めて強く感じました。
他の面子と被らないようにと進めていくと、良いとこ取りになってしまったと思いはするのですが、
ファンタズマゴリアの神様はハッピーエンドがお好みさ!
と自らの望むものを書き連ねてヘリオンEDに辿り着けた時は本当に何とも言いがたい気持ちになれました。
おっかなびっくり踏み出した一歩が後押しを受けて
少しずつ後ろに道を残し、この道行を作り上げる事が出来ました。
第二詰所のスピリットたち、またファンタズマゴリアに生きる者に多くの幸が訪れるよう祈ります。
本当にありがとうございました。……って二度と書かない雰囲気になってきた(汗
今度は小さなネタからこつこつと考えてみたいと思っています。
再び何かを投下できるようにファンタズマゴリア分を補充していきます。
382 :
道行書き:04/07/04 21:07 ID:lhiiUeSW
>前スレ855さん
>(時深お、ねえさんが)あの格好で役所に行って住民票やら婚姻届を取りに行ったのだろうか…
ええ行きました、服装だけは怪しいけれども用さえ済ませてしまえば
役人の記憶からもおさらばできますから。という事にしておいてください。(w
>373さん
圧巻、偉業……すみません、こっ恥ずかしいです。
テーマ、メッセージに溢れたお話を読んで、どれほど勉強になったか、
また書く事の楽しさを教えていただいたか分かりません。改めてお礼を申し上げます。
>374さん
G.J.!ゲーム画面風の効果にExpansionDiskUを見たような気分になれました。
早速保存させていただきました。支援絵、ありがとうございます。
……ダメだ、メッセージを読むとその上にちらついている太ももに目が行ってしまうorz
本編をやり直して気になった事があるのですが、
ヨーティアとミュラー・セフィスって面識がありそうに思えませんか?
遺跡に住むスピリット研究の専門家と知り合いであるとヨーティアの言葉にありまして。
ヨーティアの年齢がまだミュラー・セフィスよりも若いときから知りあっていたりしたら……
いざラキオスに参加したミュラーと会ったヨーティアはどんな反応をと妄想中。
完全にスピリットじゃなくなってますけれどねw
>道行書きさま
楽しませていただきました。なんつーかこの感動をうまく文字にできないのが悔しいです。
にしてもほんとに本醸造の人ここ見てくんねえかな・・・
立ち位置を読者ではなく書き手側に寄せるので記名で。
>道行書き氏(
>>382)
as 373:
私だけではなく、皆の反応が示しているように、
ついに織り成されたヘリオンルート、偉業と呼ばずして何と呼ぼうか(反語
as 寸:
あぁ、先人の手を求めてよちよち歩きを始めて今なお遠い背中を追っている気持ちなのに、
こんな面映くも至上の喜びである言葉を受けるとは。時は流れているのですね。
何かを見つけて頂けたのなら幸いです。心から、ありがとう。
けれど、過信は禁物ですよ? 然るべき場合はちゃんと反面教師にして下さいね。
そして、あなたももう、伝える側でもあるのです。
あなたの作品を、言葉を、見て、聞いて、
あなたの手を背中を追って、歩き走り始めた人が、きっといるから―――
385 :
信頼の人:04/07/05 20:25 ID:LU8qNzW2
>道行書きさん
>全編読み直させて頂いて。
長い間お疲れ様でした。これだけ執筆期間が開いても破綻しないどころか
大円団へと見事に収束しているストーリー展開に、本当にG.J.!!です。
このままゲーム本編に入れても良いんじゃないかと思えるくらい、ヘリオン萌えを満喫しました。
>最終幕を拝読させて頂いて。
正に王道ですが、ここまで書き込まれると良い意味で読んでて楽しかったです。
「婚姻届」には意表を突かれましたがw
しかしヘリオンってかなり甲斐甲斐しい妻(幼な妻?)になりそうですね。
「ほらユートさん、洗濯しますから着ている物を全部脱いで下さい。」
「えっ、ぜ、全部、か・・・・・・?」
「そうです、は・や・く♪」
「うわわわわわ、ちょっと待てヘリオン、実は今ちょっと大変なことに・・・・・・」
ばさっ
「あら?なんですかユートさま、その本は・・・・・・・」
・・・・・・ザウスさん、「ヘリオンの幼な妻だいありー」出してくれないかなw
妄想はさて置き、これでスレの名物?も読み納めかと思うと少し寂しい気もしますが、
道行書きさんの次回作に期待しています。
戦場に鐘が鳴る。
黄土の街路が長く伸び、端には鬱蒼と生い茂った、天然の森林の壁が立ちふさがる。
後方にはラキオスの街、前方には向かうべきリーザリオの街が、遥か遠くに、小さく見える。
その中心で顔色を無くし、僅かに緊張と恐怖で身を震わせる少女は失望のヘリオンだ。
長く、解けば腰にまで届きそうなツインテール。
透き通るような白い肌を、白と黒を基本とした、厚めの服装で身を覆う。
両手に付けられた手甲は金属音を立て、彼女の心情を露わにしていた。
前方、ヘリオンにとって恐怖の対象である、サルドバルトのスピリットがいる。
ほぼ同じ国力だというのに、見に纏うマナの量は自分とは桁が違う。
相手側には帝国が付いているのだ――
それを思うと、ますますヘリオンの心は収縮していく。
スピリットは基本的に一部隊三人で戦う。
相手は青、緑、赤、と最も基本的な陣形を見せている。
対するラキオスの部隊はユート、エスペリアと言った精鋭。
だと言うのに、何故自分はこんなにも震えているのだろう。
腕に力が入らない。いや、全身から力が抜けていた。
助けて欲しい、戦いたい。
相反する感情がヘリオンの中でぶつかり合う。
「ヘリオン、前に出すぎだ! 一旦戻れッ!」
「は、はいっ!」
悠人の鋭い叱咤が飛んだ。ヘリオンが周りを見渡せば、自分独りが特攻を掛けているよ
うな、酷く危うい状況だった。
ヘリオンが正面を見ながら、ウィングハイロゥの力を使って後退する。
その時、まるで見計らったようなタイミングでレッドスピリットが攻勢を仕掛けてきた。
黒いウィングハイロゥがはためくと同時、弾けるような前進。
追いつかれる! とヘリオンが身を堅くしながらも『失望』に手を掛けた。
初めての実戦。初めて身に襲い掛かる殺気が、手元を少しずつ狂わせていく。
その時だ――
「――アキュレイトブロック!」
「エスペリアさん」
「ヘリオン、もっと下がれ」
視界を割って入るようにして、エスペリアがレッドスピリットのスイングの全てを受け
止める。
その動きは流石経験豊富なだけあり、一つ一つの動作にも無駄が無い。
最小限、最低限の動きで最大の効果を挙げている。
流れるようなレッドスピリットの連撃が止まった時が、悠人達の反撃の始まりだった。
「おぉぉぉぉぉおっ!」
咆哮一つ。
エトランジュならではの圧倒的なオーラを撒き散らしながら、悠人が前進した。
求めから溢れ出る蒼色のオーラ。
動きに無駄こそ多いが、そのマイナスを補って余りあるパワー。
グリーンスピリットへ袈裟懸けに一撃――金色のマナが血となって飛び散る。
返す刀で二撃――足の付け根から肩にかけて一刀両断。
金色のマナが、身体の全てを覆い尽くし、やがて空気に溶けるように霧散していく。
悠人を周りを中心に、血の臭いと、蛋白質がこげた時に発する特有の嫌な臭いがした。
荒い息をつき、歯を食いしばる悠人が何を思うのか、ヘリオンには分からない。
だが、その鬼気迫った表情が、悔恨を見せ付けていた。
何故だろう、とヘリオンは不思議に思う。
アセリアは、オルファは敵を倒した時、全く悔やむと言う事はない。
それは自分自身の存在意義でもあるからだ。
だが、目の前にいる悠人は違う。
戦いを悲しみ、殺す事を痛んでいる。
――何故なんだろう。
再びヘリオンは自問自答する。
先ほどまで恐怖に慄き、ただ震えることしか出来なかったというのに、何故悲しむ隊長
を前に、自分はこんなにも胸が高鳴るのだろう。
考えるが、理由は分からない。
死を前にしてそんな事を考えるのは、きっと酷く失礼で、愚かな行為だろう。
そう分かっていても、ヘリオには胸の高鳴りを抑える術を知らなかった。
「残り……二人」
絞り出すような声。
同時に、悠人が再び駆ける。
先程よりも更に速く、更に鋭く。まるで自らの思考も断ち切るように。
血が乱れ飛ぶ。返り血が悠人を赤く染める。
レッドスピリットを、グリーンスピリットを倒し終えたと言うのに、しばらく悠人の血
はこびり付いたまま消えなかった。
風が吹き、少しずつ返り血がマナとなって大地へと還ってゆく。
OP
へ 、ヘリオン萌え……? 何だかヘリオン“燃え”っぽい展開になってしまいました。
失望と絶望。これは永遠神剣と言うよりは、感情の差異、として取って頂ければ。
ぢつは、ただいまテスト中です。
とりあえず18の峠は今年入って越えましたが……永遠のアセリア、まだウルカ編だけ
なんですよね……。
因みに、アンケート? 募集したりします。ネタに困っていますので。
一番知りたいのは、雑魚スピの各キャラの性格って所でしょうか。
もちろん希望もOKですので、協力宜しくお願いします。
って、4/4載せるの忘れてる〜!
おまけに直接書いてたからデータ残ってねーORZ
○ <GJ愚者タン…ホラ…アキラメナイデ、ガンバッテモウイッカイカクンダヨ
ノ|)
_| ̄|○ <し
○ノ <ガンバレバキットEXPANSIONニヘリオンタンハァハァナCGハイルヨ
○ ノ|
_| ̄| <し
Σ○
○ ノ/ヽ
_r ̄| />
ヽ○ノ ○」
レ 「/
/> />
…スマソw
「さて、行くか……」
そう言った悠人の表情は優れない。
近寄れば、今もまだ血の臭いが鼻に刺す。
悠人がリーザリオの街へとゆっくりと歩く。気配も同時に探っているのか、歩みに淀みが無い。
エスペリアが遅れずに付いて行き、しばらくしてヘリオンが慌てて後を追う。
彼らの移動は早く、一時間で五キロほど進んだだろうか。
ふと、たった今気付いたように悠人が足を止め、振り返った。そしてヘリオンに向けて口を開く。
「良く考えてみれば、これが初陣だったんだよな」
「は、はいっ!」
「確かにそうですね」
「……、どうだった?」
エスペリアもまた、初めて気が付いたと言う声を聞きながら、
ヘリオンは自分の戦闘を振り返って頬を紅潮させ、次に落ち込んだ。
そこにある感情は恥と自分への失望だ。風が吹けば掻き消えてしまうような小さな声でヘリオンは応える。
「震えちゃって……、全然駄目でした」
「そっか。じゃあ俺と同じだな」
「悠人隊長っ!?」
にこやかに笑って言う悠人に、ヘリオンは驚いた。
初陣より先、竜退治と悠人の活躍は常に耳にしていた。
例えそれが本人以外からの情報だとしても、驚かずにはいられない。
「俺だって、最初は役に立てなくて、今も皆のサポートが無きゃマトモに戦えない」
だから、震えても良いんじゃないかな? と、そう言って悠人が再び歩き出す。
その背中を、ヘリオンはいつまでも見続けながら後へと続いた。
ヒミカとセリアとハリオンがホスィなぁ
アンケートでなくて好みの問題だが。
えーと…16進だよな、きっと(素
>愚者の生贄氏
まずは、乙です。
えーと、このスレに限らずSS等物語系の文章を書くのは初めてですか?
>>391さん
微妙な励ましを受けて書き直してみました。
ヘリオンをゲーム内でも育てまくってみます。
>>393さん
サブとしては出せるかと。
次回は彼女達を(ダーク編をクリアしてから)書いてみたいと思います。
やり始めたのが先月で、色々と多忙な日々が続いています。
>>394 自分一人でこっそりと書きはしていましたが、公開はこれが初めてになります。
宜しくお願いします。
近況
テスト終わりました。来週までに製図を完成させるよう厳命を頂きました……誰か安寧の日々を下さい……
――――!
純粋に知らなかった……
登校板の方にお邪魔するとしますか……あれは21禁じゃ無かったとは思うんだけれど……
>>397さん
・・・・・・もう投稿スレのほうに逝かれたかもしれませんが、とりあえず乙です。
「だから、震えてても良いんじゃないかな」が個人的に好きです。
あと、今度からSSはワードかメモ帳でもいいですからそこで保存して、
コピペで投稿するようにすると良いですよ。
一時の静穏 スレよ、眠りの淵へと沈め……って一日発言無しってどういう事よ……。
この日本の状況の為か、新聞なんかで良く目にする「再生」の文字を見るたびアセリアを思い出してしまう。
「ナイジュノコウ」はいつ発揮されるのかなぁ。
SS投下後の燃え尽き症候群かと。
特に今回は、雑魚スピスレの柱石とも言うべき作品の幕引き後だけに……
じゃあ誰かセリアタンのツンデレハァハァを……
(*´Д`)セリアタンハァハァハァハァハァハァハァハァ
ところで
俺、今日久しぶりにPSの幻想水滸伝やったのな
ヘリオンタンがぁぁ!!!。・゚・(ノД`)・゚・。
ノベライズ上巻入手&読了。
う〜ん…まぁ雑魚スピ的には最初期だしな。
配属時に紹介byエスペリア@ゲームの代わりという気がする。
この後出番増えたりは…きっとしないんだろうな…orz
さてと。どーしたもんかなぁ…封印するか強行するか繋ぐか…
何にせよネタ無いと始まらんか。マナの導き声が聞こえてからだな…
それはそれとして、スレの流れの方もネタ振りが必要っぽいが、
そっちも思いつかない_| ̄|○
ネタかぁ…
ネタってわけじゃないけど、前から気になってたことでひとつ。
スピリットって体の欠損はどうなるのかね?
死ぬとマナになって何も残らないってことは
スピリットの体は、ただ単にエネルギーの塊って事だと思うんだけど・・・
戦闘で手や足を切り飛ばされて、それでも生き残ってしまった場合
神剣魔法で治るのかなぁ・・・それとも処分?
>404
>単にエネルギーの塊
体の維持にマナが必要だという解釈はどうだろう?
ギャザのクリーチャーみたいに世界に繋ぎ止めておくのにマナを使ってるのではないかと
単純作業してると変なネタ思いつくことがある‥‥
投下してみるテスト
エスペリアたんの声で読んでみよう
新しい訓練士の方が登録されました
”ハートマン”さま
本来ラキオス正規軍の訓練士の方ですが
ユート様の訓練も担当してくださるそうです。
言動に少々問題がありますが‥‥
訓練士としての実力は確かです。
訓練をなさるかどうかはユート様がお決めになってください。
>>405 ((((;゚Д゚) ガクガクブルブル
ユート「ああ、綺麗だよ求め………お前はなんて美しいんだ……愛してるよ求め」
求め「契約者よ・・・・・・剣先の穴は敏感なのだ、もっと優しく触れてくれ(ポッ)」
スピリット隊の訓練じゃ無くて「ユート様の」訓練なのか
仮に『永遠のアセリア』のキャラが全員性別が逆だったらどうなるだろう…
スピリットたちは全員美少年?
駄目だ、誰も買わねぇ
>>402 ヘリオンババァ
自分を老いぼれとか言ってる
>405
前々スレよりコピペ。
327 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:04/03/19 09:13 ID:hHb9KYBA
>326
『ハー○マン先任軍曹のような鬼スピリット』……位置的にはエスペリアか?
エスペリア
「本日をもって貴方達はウジ虫を卒業します
本日から貴方達は「ユート様の」スピリット隊員です
姉妹の絆に結ばれるのです
貴方達がマナの塵になるその日まで
どこにいようとラキオススピリット隊員は貴方達の姉妹
多くはサーギオスへ向かいます
ある者は二度と戻らない
ですが肝に銘じておきなさい
スピリットは「ユート様のために」命を捧げる
「ユート様のために」命を捧げるために我々は存在する
ですが永遠神剣は永遠です
つまり―――貴方達も永遠なのです!」
レスティーナ
「エスペリア、訓示に余計な言葉を挟んではいけません」
>>411 確かに全員逆だったら駄目だな
悠人と瞬と光陰は野郎のまま
これならイける
妹は……
「あたしに妹なんていないわ……」
って、妹→弟だとすると、なんとなくタクティクスオウガのカチュア姉ちゃんを思い出す。
姉貴が弟をゲットするために神剣で、並み居るスピリット共を鬼武者ばりに大!虐!殺!
オミ君っっっっ!
もし悠人と瞬とか野郎のままだったバヤイは、妹は小柄でおとなしカワイイ系の
家事好きな眼鏡君で仔犬チックな弟に変更か?
悠人を呼ぶときは「兄さん」か「悠兄さん」、部活は……応援団とか。
しかし、瞬より先にレスティーナに陵辱され囲われそうな予感。
>>418 鬼姉呼ばわりなカチュア姉さんだが、何故か俺の脳内で救出した際の告白後は
デニムを毎晩求めまくりというコトになってる
波止場で追いかけていくオリビアの背中を射抜く、嫉妬に狂った姉さんの視線…その胎内にはデニムの仔がw
オウガスキー多いかもしれないけど、念のためスレ違いスマソ
なんか、こういうブレインストーミング的な小ネタの出し合いなんて、いつ以来だろう……
と、ノスタルジーに浸りつつ、「お兄ちゃん、ボク妊娠しちゃうううっ!!」な義弟を
想像してみる。
義弟、頭蓋骨は矯正されてるが下半身が大変なことになってそう。
>>422 自分の求めに純粋であれ……サードガラハムも逝ってますよ !!! まあ似たような妄想は抱いたことありますが。
しかしこれはロウルートと言うことか>419 屠城の濡れ衣を掛けられたユウねえ……あ、濡れ衣じゃないのか。
>423
ブレインストーミングって、調べてみたけど、脳内垂れ流しってことね?
OKOK。テスハーア、テスハーア。
>424
触手。
ヘリオンタンが保管された事により
このスレのマナが暴走を始めてしまった
爆発に巻き込まれる前にネリーとシアーは俺が持ち帰る
じゃあ俺はエスペリアとハリオンを囲って生きる
漏れはナナルゥたんだけでいい
とりあえずヒミカとセリアとハリオン貰っておく。
あとファーレーンとニムも。
あとは全部くれてやるぜ
>>429 時深おばさんやるからハリオンをよこせ。
ついでに頭蓋骨もつけてやるから。
アセリアと風呂入ってきますね
マナ暴走にびっくりしたオルファが膣ケイレン起こして大ピンチなんですが
>>432 ちょっと待ってなさい。
今ヘリオンたんにウィークン頼みに行ってくるから。
思うに、ニムとエスペリアは相性悪そう。 口答えしして、それを
ファーレーンが取り繕う。
ところが天然の腹黒ファーレーンの事、毒吐き発言でさらに事態が悪化する。
ファーは腹黒じゃありません!
と思いたい、、、
ニムは懐いたものには尽くす
小隊の年上のほとんどにそうであると思いたいが、、、
芹亜は苛めそうだしなぁ
438 :
エロ大王:04/07/11 13:28 ID:NAG/GloS
『永遠のアセリア』の上巻買って来た
P140あたりの展開がメチャワロタ
>438
どれどれ…(読み返し中)…おおぅここか!
ここは俺もワロタ
なんか、ネリー3回くらい発言してる希ガス
みなさんはじめまして〜
自分のHPで小説を書いているものなのですが、「失望の動行」をはじめから全部読ませて頂いて
激しく感動しました。
それに触発されて、アセリア好きの俺も何か一つ書かせていただこうと思います。
ヒロインは自分の中で最強萌えのハリオンタソにしようかと思うんですが・・・
住人の皆様にお聞きしたいのですが、ハリオンタソがエターナル化したときの上位永遠神剣の名前は
「天然」と「太陽」、どっちがいいですかね?
太陽は…赤?
豊穣とかは?
>>440 「天然」はちょっと笑ってしまうので、どっちかと言うと「太陽」かな。
しかし、「太陽」って聞くとどうしても赤スピのイメージが湧いてしまいますが。
まあ、なんにせよ楽しみにしてるので頑張ってくだされ。
太陽だと、曙光と被るかな。それにあまり直截な熟語は向かない様な気も。
豊穣はオパイが大きそうだ
445 :
道行書き:04/07/11 21:34 ID:6epMntTD
書き終えた後に出てくる書き忘れ……
まぎらわしいタイトルでごめんなさい、「道行」は「みちゆき」と読みます。
思い出してみたら「道行」の後書きの中で書いた事が無かったですorz
>383さん
感想をありがとうございます。
雑魚スピ萌者全員の力を見せ付けて、待遇アップを願わずにはいられません。
>信頼の人さん
お約束を通しきったハッピーエンドをお送りしてみました。
いざ自分が言葉を受ける立場になると確かに褒めすぎなのでは、
と嬉しさと同時にガクブルが襲い掛かってきているこの頃です。
「ヘリオンの幼な妻だいありー」と聞くと、
>「あら?なんですかユートさま、その本は・・・・・・・」
「えっちできれいなお姉さん」( Law + 1 )
「新婚旅行のパンフレット」 ( Chaos + 1 )
育成SLGっぽい妄想につながってしまいます。
>440さん
お読みいただきありがとうございます。
神剣自体の能力とか性格が絡んできそうですので、その二つなら「太陽」の方が好み。
ハリオンは自分の中でも上位に位置するキャラで非常に楽しみです。
>>444の理由から豊穣に一票
つーか他のも考えよう。いくら創作は自由っつっても
スレ内にある程度の指標が無いと職人さんも難儀するのではないかと。
「陽光」とか言ってみる。
もともと使っているのが「大樹」だからなぁ・・・・・・「将軍」とかw
真面目な話、「樹」にまつわるものを考えてみると「聖緑」とどうしても被ってしまう。
うーん、「根幹」とか。・・・・・・だめだ、字面だけ追おうとするとイメージが崩れるorz
>>447 『曙光』を経て『陽光』へって感じでなんとなくニムの方が自然な気が。
セリアは『熱病』から何に繋げればいいのかと真面目に考えてしまった。
大樹……木を増やして緑林。
……コレハダメダorz
豊穣に似てるけど繁茂……やっぱり豊穣のほうが良いなぁ。
>>449 セリアについては前にちょっと考えていた時期があって、
その時思いついたのは「開放」でした。
「熱病」→「快方」から「かいほう」で引っ掛けたのですが、今考えるとorz
豊穣……無事ユートと供にエターナルとなり、永遠の時を歩むこととなったハリオン。
しかしある日、二人の愛の結晶をロウエターナルにさらわれてしまう!!
嘆き悲しむハリオンは、岩屋に籠もり、それが為ハイペリアは作物が実らず住人は難
儀することとなった。
ユート達は、なんとか子供を助けることに成功するが既にその子はロウ側のマナ干渉
を受けてしまい、一周期の半分をロウ側で、残りをカオス側で過ごすこととなった。
ハイペリアでは何故かこれを、ハリオンののうわ、やtrんm、cpt
ちなみに時深は岩屋の前で舞を差し、服を脱ぎ、そのホトを
´∴ __ ゜ヾ´ ″´∴
「,'´r==ミ、―≡ ̄`:∵∧_∧´∴∵゛'
__くi イノノハ))≡―=',((( )≡―=‥、 ∵゛、゜¨
, ≡ )| l|| ゚ヮ゚ノl|r⌒) _/ / ̄ =―≡― _
´∴'≡く / ∧ | y'⌒ ⌒ ヽ イノノハ))( ≡―=‥、,、
″″ \/〈(((ノ从| / | | ゚ヮ゚ノ`=―≡―∞
" ||( ゚ヮ゚ー' | |ヾノ //
=―≡ ̄`:, | , | ( ̄=―≒‥,,
" ,゛"=―≡―=',/ ノ )∵`=≡―=
″( ゚ヮ゚∴/´/ / | | , ゚ヮ゚ノ'ゞ ∵゛、 ゜ ¨
ヾ =―≡ ̄`:゛/ / \| |≡―=‥、,、 ヾ
,゛"=―≡―='( | ( |=―≡―∞=@ , 、∴
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・ / / | | | ヽ/⌒〉
.... . ............ . .(_ 「 _) (_〈_/....... . .. . .... . . .
>453
『熱病』にかかった人々を鎮める『鎮魂』とか?w。
永遠神剣の形状はありそうでなかった「鎌」型で。
「過去幾度と所属部隊が全滅したが、必ず一人帰ってきた事から、敵味方問わず『死神』と恐れられている。」
とかそんなベタなエピソードがあったりすると漏れ的には最萌キャラなんですが。
「疫病神」呼ばわりされてきたユートとも仲良く出来そうだし誰か書いて頂けたらと。
でもこの筋書きだとハッピーエンドに繋げなそうなのがどうにも・・・orz
「熱病」→「死病」、「絶命」、、
嫌なイメージばかり浮かぶ
つーか、最初の名前がおかしい様な、、
「冷徹」とかの方があってたんじゃない?
そして「熱愛」に、、
みごとなツンデレっぷりを見せてくれ
『熱病』が変化→病を癒すには湯治が一番→永遠神剣・『熱海』
こんな発想しかできない漏れ orz
>>456 超ワラタ
一票いれたいがシリアスなSSでも出て来るたび笑うから
君の考えてるとおり却下したい orz
いや、それならむしろ永遠神剣『草津』の方じゃなかろうか。
お医者様でも草津の湯でも……orz
恋の『熱病』から『熱愛』へ進化
この熱でサイレントフィールドすら消し飛ばせ!
すいません私が悪うございました_| ̄|○
熱愛の形状はハートのついてるステッキ
近くにいるだけで恥ずかしいみたいな orz
ハリオンは木関係で『森羅』とか
『熱病』は難しい……本当に病気じゃなくてメンタル的な意味合いかな、多分
癒し。
463 :
440:04/07/12 06:28 ID:mi+nWcnq
OK兄者たち、とりあえず一番得票の多い「豊穣」で考えてみますね。
ヘリオンかわいいよ、ヘリオン。
そしてエレクトリック・アイへ。
466 :
465:04/07/12 08:17 ID:u9MWqXVz
>>465 訂正→流れとは少し関係ない話になるけど
スマソ●| ̄|_
「アセリア SS」でぐぐればTOPにくるアレですな。
このスレの住人なら大概知ってるかと思われw
知らんかった……
orz
漏れも知らんかった
orz
熱情のセリア、情熱のセリア……どう考えても赤の名前だな。
そうだ、赤を取り込んで紫に!!
いや、それはセリアと違うだろう。
熱病自体が…
顔面蒼白?
472 :
名無しさん@初回限定:04/07/12 22:16 ID:e7chYYNa
熱病、動悸、息切れ…急し(ry
げ、Liveはデフォsageじゃないのかスマソ
「氷后(ひょうこう)」…闘争本能、殺意という「熱病」に罹っていた神剣に対して、
持ち主であるセリアが悠人によって自らの生きる意味、価値に気付かされた時、
「想い」の熱は「病」の熱を上回り神剣の持つ殺意を昇華して守る力へと変える。
素直になりきれないため、その想いは悠人に冷たく当たるという裏返しで現れてしまうのだが。
エターナル名は「氷雪の息吹セリア」。「炎帝」と対。
…暴走しすぎたorz
熱病のような(感情)とすると
『情操』か『情動』
熱病に続く激しい感情を意味するなら情動かな
「赤光」→「しゃっこう」→「しゃこう」→「しゃどう」→「赤でシャドウ」→「赤影?」
>>474 サポートスキルはやっぱりダイヤモンドダストですか?w
>>454見てふとダイナソアがやりたくなりますた。
ていうかほのぼの系もいいんだけど、世界観のいやーな部分をフルに生かしたブラックなSSなんかも見てみたいところで砂。
この際なんでそこら辺のパートをセリアにでも(ry
往々にして荒れる元だと思われるが……特にキャラに思い入れが強いと、
アレルギー示す人のなんと多かったことか<ダーク
普通は冒頭の注意書きで対処するところだけど、スレに投下するとどうしても
ログに残っちゃうから、保管庫の人に専用スレ作ってもらうとか
よし、いっちょダークなのを一発
『マインドブレイク〜堕ちゆく黒の果てに』
出演
高嶺悠人 碧 光陰 秋月 瞬 ラキオス王
クェド・ギン ソーマ タキオス メダリオ
>>480 おまいは予告ホームランしながら、セーフティーバントかますSINJOかYO!w
つーか先がまったく読めないって意味でまさしく「ダーク」だなw
ラキオス王×ソーマの純愛SS希望
ああ、ハリオン用の上位永久神剣ちゃんと考えていたのに・・・
こうなったらタイミング外したけど書いちゃる。
|つ『翠嵐』
山に立ちこめる草木のオーラ、てな感じの意味があるので
『大樹』の上位に似合うと思ってたのにー!
ヘリオンは『成長』『昇格』
失望から対をなして『自信』あたりが似合いそうだが・・・
マトモな言葉が思いつかん orz
だれかこの永遠神剣使いたい奴いるか?
っ[賄い]
コウインがエターナル化したら、『輪廻』なんてどうだろうか
・・・そのまんますぎるか(つД`)
コウイン「輪姦」
キョウコのエターナル化、『輪姦』
『口淫』
『強固』
……今日子の『強固』なのを、光陰が『口淫』するのか……
ハリオンは「結実」なんてのはどうだろう? 樹には実がなるわけで。
セリアは熱病が冷めた静かなる心……『水鏡』とか。
光陰は「自在」なんてのを考えてた。仏教的意味がある様なのがいいかなぁ。
エターナル周期……もう幾つなのか誰にもわからないほどの悠久の時の果て……
ハイペリア歴換算五十六億七千万年後の世界に、一切衆生を救うため『救世の光陰(グゼノコウイン)』
が神剣『自在』と供に降臨す。
>474
「氷嚢(ひょうのう)」と読んでしまった。
たしかに「熱病」には効果があるな。
神剣額にぺたっと当てて「きもちぃぃ…ハァハァ」とか言うのか
ところで、オルファシナリオで求めを折られた時、オルファが助けに入ると思ってたひといる?
みんな共通なんだもんなぁ……
光陰「無情 改め 無情」
寝取られたから
2人も
>>482に捧ぐ
まだ昼間だというのに、曇天のためか窓から漏れる日は少なく、
ただでさえ普段から暗い王宮内部はエーテルの明かりのみの光しかないため
普段からある重苦しい雰囲気をさらに際立たせていた。
王座にはこの国の王、ラキオス国王が王座でたった一人、ある人物の到着を待っていた。
そこに・・・歳は35〜45だろうか、眼鏡をかけた男が入ってきた。
体は細めだが、体にはしっかりと筋肉がついており、服装が胸元をはだけさせていた。
この奇妙な風貌から、彼が一体何者なのか、想像するのは難しい。
王の前だというのに、その口には下品な笑みがこぼれ、王を敬い尊敬する気持ちなど、微塵も感じさせなかった。
そして、玉座の前までくると、その男は跪いた。
ソ「ソーマ・ル・ソーマ、と申します。本日からラキオス・スピリット隊の戦術指南役として配属されました」
王「ふむ・・・楽にしてよいぞ」
ソーマ、と名乗った男は伏せていた顔を上げ、王を見据えた。
王もまた、その視線を受け止めた。
この男の呼ばれた理由はスピリット隊を今後始まるであろう、国の存亡を賭けた戦いに向けてスピリット隊をより強固にすることであったが、
ソーマのやり方はあまりにも非人道的であったため、議会では否定されたのだが・・・
王は議会をむりやり押さえつけ、この男を呼んだのである。
ザァ・・・
外ではついに雨が降り出した。かなりの大雨なのだろうか、雨音が王宮内にまで響いていた。
雨音だけが聞こえる中でしばしの沈黙の後、先に口を開いたのはソーマであった。
ソ「ククッ、王様、私にスピリット隊の全権を与えてくださる・・・とお聞きしたのですが?」
王「無論、そのつもりだ。」
ソ「ありがとうございます王様。いやぁ、私に任せておけばラキオスのスピリット隊は北方一になるでしょう・・・」
王「しかし、条件が一つだけある」
ソ「えぇ、なんなりとお申し付けください」
王「今後、我ら二人っきりになったときは・・・わしのことを『お兄ちゃん』と呼ぶように」
ピカッ・・・ドンッ!!!!
かなり近くで雷が落ちたのだろうか、一瞬の閃光と爆音が鳴り響いた。
その衝撃に驚いたのか、それとも王の発言に驚いたのか、ソーマは動けないでいた。
ソ「え・・・」
王「一目見て貴様が気に入ったのだよ!!なんなら『おにいたま』でもかまわんぞ!ハーハッハッハ!」
こうして・・・この二人の間に、秘密の確約が持たれた。
ソーマがラキオスを裏切りるその日まで、彼らの兄弟関係は続いたと言う。
レ「え・・・お父様が痔ですって!?」
純愛・・・・・・かなぁw とりあえず乙。
RR多すぎ
前スレdat落ちのもより
ちょうど今落ちたな
暑くてばて気味になるようなスピリットは居るのだろうか……
青スピは暑さに弱そうだけど、ラキオスじゃあ年中春みたいなもんだから、
「あ〜も〜、暑いから脱ぐ〜」
「ね、ネリー、だめだよぉ〜」
「え〜っ、シアーだって暑いんでしょ〜!だったらほら、脱いだ脱いだ〜!」
「ぁ、ゆ、ユートさまが遊びにきてくれてるんだから、だめ〜」
てなこともないんだろうなぁ。
ユートが遊びに来るなら、ますます持って脱ぎそうな連中ばかりの第二詰め所
例年にない異常気象で猛暑に襲われたファンタズマゴリアでの戦闘
ヒミカ 「来たわね。私が先に仕掛けるからヒートフロアお願い、ナナルゥ!」
ナナルゥ 「・・・・・・・・・・・・暑いからヤダ。」
セリア「・・・・・・・・・」
熱病「・・・・・・・・・何故我を握らぬ。」
敵スピ「え、えっと・・・・・・アイスバニッシャー!!」
ヘリオン「あ、ありがとうございます!」
ワロタ。
セリアは夏風邪ひきやすいかもしれん。
ファンタズマゴリアの人々に地球の歌を聴かせてみよう
『戦争はんた――――――い!!!』
「はんた〜〜い」
「エトランジェ・ユート。あれは一体どういうことなのか説明しなさい」
「いや、その……スピリットたちにジョン・レノンの『イマジン』を教えてやったら、
どうやら反戦平和主義に目覚めたらしくて……」
「……国王命令です。さっさとなんとかしてきなさい!!」
我々はラキオス王を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!
帝国に比べ我がラキオス王国の戦力は30分の1以下である。
にもかかわらず今日まで戦い抜いて来られたのは何故か?
諸君!我がラキオスの戦争目的が正義であるからだ!これは諸君らが一番知っている。
我々はこの北方の地を帝国軍によって脅かされてきた!
そして帝国が各地にまで膨れ上がった軍隊で侵略行為をして50余年!
ラキオス領に住む我々が協和を要求して何度踏みにじられたか!
ラキオスの掲げる人類一人一人の統一の為の戦いを神が見捨てるわけはない!
私の父、諸君らが愛してくれたルーグゥ・ダィ・ラキオスは死んだ!何故だ!(…無能だからよ♪)
新しい時代の覇権を我ら選ばれた国民が得るのは歴史の必然である。
ならば、我らは襟をただし、この戦局を打開しなければならぬ。
我々は過酷な北方の地を生活の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築きあげてきた。
かつてヨト・イル・ロードザリオは、人類の革新はこの世界の民たる我々から始まると言った。
しかしながら帝国のキンコナどもは、自分たちが人類の支配権を有すると増長し我々に抗戦をする。
諸君の父も、子も、その帝国の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!
この悲しみも、怒りも、忘れてはならない!それを・・・ラキオス王は・・・死をもって我々に示してくれた!(クスクス♪)
我々は今、この怒りを結集し、帝国軍にたたきつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。
この勝利こそ、戦死者すべてへの最大の慰めとなる!国民よ!!悲しみを怒りに変えて、 立てよ国民よ!
我らラキオス王国国民こそ選ばれた民であることを忘れないで欲しいのだ!
優良人種たる我らこそ人類を救えるのである! ジーーク、ラキオス!
ジーク・ラキオス!
誰かやるとは思ってたけどワラタ(括弧の中身が
ジーク・ラキオス!
ジオンネタか
ジーク・ラキオス!
ハイルはともかくジークってなんだろう
白いオーガノイド
クェドギン「何を言うか! マナの独占を目論むラキオスの小娘が何を言うか!」
>>511 ジーク=勝利
ジーク ハイル!で勝利万歳とか。
>>513 なるほど
ジオンってドイツ語圏なのかな^^;
「夏風邪はしつこいっていうからな。どうだ?辛いか?」
「・・・・・・わたしは大丈夫。いいから悠人は訓練に戻って。わたしが居ないからって手を抜いたら承知しないわよ・・・ケホッ」
ここはセリアの個室。風邪を引いたセリアを悠人が看病しにやって来ていた。
「無理すんな。ちゃ〜んと俺が看病してやるから。」
「・・・・・・なにか腹立つわね、そのニヤケた顔。」
「いや〜普段あんなにキツいイメージのセリアがこんなに大人しくなるとはね〜♪
これで俺もようやく彼氏らしい事が出来るってもんだ。嬉しくもなるさ。」
「・・・・・・ばか。・・・・・・ねぇ、わたし、そんなに普段、可愛くない、かな・・・?」
しゅんとして上目がちに訊ねてくるセリア。心なし瞳がうるんでいる。まずい。悠人はあわてた。
「い、いやそんなことはないぞ、普段だって、その・・・・・・セリアはか、可愛い、さ。」
とても正視したままでは言えず、真っ赤な顔をしてそっぽを向く。
「そ、そうだ、そんな事よりこれだ、これを見てくれ!」
と、先程から良い匂いをしているそれをセリアに差し出した。
「なに、それ?食べ物・・・?」
「ああ、俺のいた世界じゃ病人はこれを食べるんだ。弱った体にはこれが一番だからな。
こっちじゃ似たような材料が中々見つからなくて苦労したけど、ま、食べてみてくれ。味は保障しないけど、な。」
「え・・・?これ、悠人が作ってくれたの・・・?」
「ああ、味見はエスペリアがしてくれたからまず大丈夫だろうけど熱いからな、気をつけろよ。」
「・・・・・・うん。・・・・・・ありがとう。」
セリアはしばらく悠人とお粥の間に視線を言ったり来たりさせていたが、やがて意を決したのか、こう言った。
「・・・・・・あーーーーーーーーーーーん・・・・・・・・・・・・」
悠人は硬直したまま、セリアは目を瞑り、口を大きく開けたまましばらく時が流れた。
「・・・・・・・・・?・・・どうした、の?」
いつまでたっても入ってこない食物に疑問を感じたセリアが餌の与えられない雛鳥の様な目で悠人に訊ねる。
その瞬間はっと我に返った悠人が口にした疑問はある意味当然だった。
「・・・なんでそんなことを知っているんだ、セリア・・・・・・」
心の動揺を悟られない様にいたって冷静に聞いてみる。さっきのセリアのしぐさは正直ツボ過ぎて心臓がどうにかなりそうだった。
質問されたセリアは何故か慌ててごにょごにょと呟き始める。
「あ、あの、その、それは、カオリ様に聞いたというか、その、恋人同士はそうするんだよっ!って・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「だ、だから、応援するから頑張ってねって、その、悠人とのことを相談しに行った時に色々・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「お兄ちゃんは押しが弱いからこっちから行かなきゃだめ!とかすぐに飛び出すから支えになってねとか・・・・・・」
「だーーーーーー!!!!もういい!いや、頼むからやめてくれ、お願いだから!」
黙って聞いていた悠人が耐え切れなくなって叫んだ。
すると、いつの間にか指先をもじもじさせつつ赤くなって語っていたセリアがきょとん、と悠人を見つめる。
奇妙な沈黙が流れた。
「・・・・・・悠人?」
「うっ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・(じーーーーーーーー)」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・(じーーーーーーーーーーーー)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・わーーーーかったよ!今回だけ、だからな!!!ホラ、あーーーーーーん!」
根負けした悠人がヤケクソ気味にそう言うと、心底嬉しそうにセリアは微笑んだ。
「うん!・・・・・・あーーーーーーん♪」
セリアが恥ずかしげに口を開け、悠人がぎこちなくもその口に匙を運ぼうとした時。
突然部屋のドアが激しく開いた。同時に雪崩のように崩れ落ちてくる第二詰め所の面々。
「いたたたたーーーーーー!!!!!!ちょっとシアー、押さないでよ!!!」
「そ、そんな事言ったって・・・・・・お〜も〜い〜〜〜〜!!!」
「あらあら〜そんなことないですよ、ヒミカさんの体重は〜〜」
「ちょ、ちょっとハリオン、こんなとこでなにいいだすのよ!!!」
「ぐすっ、ユート様・・・・・・」
「・・・・・・よしよし」
「青春よね〜〜〜♪いいなぁ〜〜〜」
「おねえちゃん、ちょっと年寄りくさいよ、それ・・・・・・」
「お、お前ら・・・ぐはっ!」
思わぬ闖入者にツッコミを入れようとした悠人はその姿勢のままいきなりセリアに突き飛ばされていた。
派手にドレッサーに体当たりして動かなくなっている。
「み、みんな、訓練は?」
そんな悠人を見向きもせずセリアが訊ねた。とたん、喧々囂々だった全員の動きがぴたり、と止まる。
「あ、あははーーー!セリア、元気かなーーーって思って、さ!」
「う、うん、セリアさん、具合はどう、ですか・・・ははは・・・」
「セリアさん〜。こういうときはもっと、積極的に〜」
「セリア、あいすばにっしゃーかけようか〜〜?」
「・・・・・・・・・不潔。」
「ナナルゥ、若さゆえの過ち、というのもあるのですよ。」
「おねえちゃん、それ、ちょっと違うと思う。」
「と、という訳で、皆でお見舞いに行こうという事になったのよ!」
ステレオな言い訳が飛び駆る中、顔を真っ赤にしたセリアの「鶴の一声」が放たれた。
「こんなところで油を売ってないで、さっさと訓練に も ど り な さ −ーーー い !!!!!」
「「「「「「「「しつれいしました(します した し〜ま〜す〜)」」」」」」」」
ずるずると気絶した悠人を引きずって去っていく面々。溜息と共にセリアはそれを見送った。
「・・・・・・・・・ふうっ」
怒鳴ったせいか、体がかなり熱っぽい気がする。力を抜いてぼふっとベッドにうつ伏した。
(はぁ・・・・・・)
そのままサイドテーブルを見る。と、悠人の作ってくれた料理が目に入った。先程の攻撃?を思い出す。
(ちょっとやりすぎちゃったか、な・・・・・・)
先程の裏拳は我ながら会心の一撃だった。咄嗟の事で手加減が出来なかったのだ。しかし、それにしても、と思う。
(それにしても、あんなときに会心にならなくても・・・・・・)
照れが先立ってつい本気で放ってしまった。手ごたえがまだ腕に残っている。後悔と心配。
(悠人、大丈夫だったかな・・・・・・あとで謝らなくちゃ・・・・・・)
そんな事を思いつつ、ゆっくりと身を起こして料理を手に取る。
「さっき、ざんねんだったな・・・・・・」
くすり、と笑う。匙を口に運びながら、それでもセリアはこの上なく幸せそうだった。
ぐっじょぶ
漏れの中でセリア株が上昇しますた
520 :
信頼の人:04/07/16 22:22 ID:xM9vDVLD
あとがき
短いので必要ないかとも思ったのですが、一応失礼します。
悠人&セリアは既に公認の恋人という自分設定です。
なのでセリアも「ユート」ではなく「悠人」と発音しています。
もともとは「信頼」を投稿したときに削った分の一部だったのですが(元は怪我でした)、
>>506さんの書き込みから妄想しつつ「夏風邪」にして書き直してみました。
でもあまり(ほとんど)夏風邪の設定を生かし切れてません(汗
読んでくださった方、有難う御座いました。誤字脱字ハリオンマジック等のご指摘があれば幸いです。
セリアさん、なんですかこれはっ!萌やしすぎは夏風邪には良くないって云っといたでしょうっ!
……まぁ、いいでしょう。お大事に。
つーか、信頼の人氏にネタの拡大再生産されるの二度目だ。 ワーイ
ああ、初っ端から好感度マックス状態のなんと甘々なことか……
それでも照れたりしてキツイ時はしっかりキツイのはセリアらしいと思いました。
ところで、もし「あーん」が成功していたならば……
「あつっ」
潤んだ瞳で悠人を恨めしげに見るセリア。
悠人は慌てふためいて、
「ご、ゴメン、それじゃちょっと冷まさないとな」
二口目を運ぶ際ふーふーしている内に温度確認の為に少しだけぱくり。
「うん、コレくらいならいいだろ……どうした、セリア?」
「な、なんでもないわよっ!?その、ちょうどいい熱さなら早くちょうだい」
「ああ、それじゃあ……」
『あーーーん』
「もぐ、こくん。……悠人」
「うん?」
「次も、冷ましてからにしてくれるかしら」
「ああ、いいぞ」
……見事に夏風邪がうつり、セリアが看病する番になりましたとさ。
ごめんなさい、読んでたらこんな妄想が……
(゚д゚)..........
キタ─wwヘ√レvv~(゚∀゚)─wwヘ√レvv~─ !!!!
しかし敢えて一言言うからには………
ツンデレはなによりもそのツン→デレの課程が大事。
な に よ り だ !
ケチつけてるわけじゃありませんゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ orz
セリアは会長、お嬢様風なんだなぁ
と思った
GJ!!
アセリア・ナナルゥあたりなら黙々と食いそうだな
526 :
エロ大王:04/07/18 18:28 ID:mON2zitl
とりあえずヘブンズ・ソード(アセリアver)おいておきますね改変してセリアとかつくってくだはいw
\’、;,・*//, ガガッ
\\ //,∧∩ ー―― , ´  ̄ ヽ
\\//,゚Д゚)∴;”  ̄ ̄i イ((()))
ヾ\/,ヽ /;', ;、 ー ――モヽ | l|l#"ーノ||
///\\ 、 _ __ _ヾ( ノ f〈(^ヽ,ヽ,
(_//)ソ\丶  ̄ ̄  ̄ ̄ (´ノ く/_|jO)OijVΞΞΞΞ)>
/ し' ヽ \ __ _ _(_ノ `-'
未だ終わりを告げることのない戦いの日々。どこか暗く沈んだ市中。足りぬ物資。降り
続ける雨にぬかるんだ道。
ラキオスは、サーギオス帝国との最終決戦を前にどこか閉塞した空気に包まれていた。
エスペリアの表情はすぐれなかった。先の戦闘からの残務処理、帝国との戦争へ向けて
の戦略の練り直し、補給の手配など休まる暇はなかった。
辛い戦いになる。そんなことは分かり切っていた。スピリットであるエスペリアにとっ
て戦いは日常なのだから。
だから、だから諸々の事情などよりも、大事なことがあった。
マロリガン共和国エトランジェとの、悲壮な、そして必然の戦い。親友同士だったはず
なのに、本気で剣を向けあった心の傷は癒える事もない。
一時の平穏すら許されることもなく、サーギオス帝国スピリットによる襲撃。力の暴発。
さらわれた佳織。
エスペリアは、手を伸ばすことができなかった。近くにいても、何も、できなかった。
「……ソウ、ユート」
つぶやきは、霧散するのみだった。
部屋の扉がノックされたことに暫く気が付かなかった。ハッとして立ち上がり、扉の前
へ向った。
「…………俺だ」
瞬時にエスペリアに緊張が走った。
期待。喜び。恐れ。複雑な思いを胸に抱きながら、エスペリアは扉を開けた。
「ユート、さま。どう、いたしました」
震える唇で、言葉を紡ぎ出す。知らず、胸元で右手を握りしめていた。悠人は何も言わ
ずエスペリアを見つめるだけだ。その双眸に輝きはなかった。翳りのある頬と、ただ何か
に憑かれたような……何も映さぬ昏い瞳をエスペリアに向けているだけだ。
「エスペリア。マナが足りない」
前置きもなく云う。
「佳織を助けるためには、帝国に勝つためには、足りない」
エスペリアは、ただ、願う。
「二人……いる。あいつらは、もう戦えない。だから」
続くであろう言葉。願いは、叶わない。
「だから、処刑する」
心に亀裂が走る。
足が震える。
だが破れたりはしない。
だが崩れ去ったりはしない。
総てはエスペリアの、存在理由だから。
「ユートさま」
それだけを、云った。唇を噛んで。
微笑んで、悠人を見つめる。
その浮かべた笑みは、ベッドで身動きのできぬ悠人を甲斐甲斐しく世話していた頃の、
優しく包み込むようなものと何ら変わってはいなかった。
そして、一歩、二歩と悠人から離れ自室の中央へと後ずさった。
その手には、いつの間にか握られた『献身』があった。
悠人は、流石にただならぬ気配を感じ取った。止めようとした。
だけど、悠人の手は、間に合わなかった。何もつかめなかった。
「エスペリアッ!なんで、何でこんなっ」
真っ赤な鮮血がとめどなく溢れ、金色の霧にかわり消えていく。
「ユー、トさま」
抱き留めたエスペリアの体から、流れ出る血が、悠人の手からこぼれていく。抑えよう
としても抑えきれない。
「くっっ、すぐにハリオンをっ」
だが、悠人の手は握られていた。優しく。強く。
「もう、 無理です」
弱々しく首を振るエスペリア。悠人にもそれはわかった。長く戦ってきた経験が同じ判
断を下していた。だからと云って受け入れられるものではなかった。
「だめだっ、エスペリアッ。だめだっ、こんな、こんなっ」
「大丈夫。大丈夫です、ユートさま…………これで、これでマナが足ります」
蒼白な顔で、悠人の瞳を見つめたまま云った。
「なにを馬鹿なことをっ!エスペリア!!死ぬな、死なないでくれっ!!」
エスペリアの白い冷たい手が、悠人の頬をなでる。優しく愛おしそうに。
こわばった口元が、無理矢理笑みを作る。
「ふふ わがまま、で すねユートさま よご さなくてすみまし た、だからこれで
い いんです」
「ユートさま の手……つな ぐため、剣を握ったまま ではだ め で す」
「なにを、なにを……」
「ユー トさま、カオ リさま を、この世界 を みんなを よろしくお願 いします」
涙が、こぼれ落ちる。エスペリアの手を、頬を濡らしていく。
消えていく。
エスペリアと言う存在が希薄になっていく。
「『サヨナ ラ』で す ソ、ウ ユー ト」
ハイペリアの言葉。
そして、口だけが弱々しく動いた。
たった七音の、最期の言葉。
「おい、救いようのない、ボンクラ」
悠人の部屋。
放心状態の悠人の元へ現れたのはヨーティアだ。遠慮無く悠人の前に立つと、拳大の石
を悠人の前にかざした。
「これがなんだかわかるか?これはエスペリアだ。エスペリアのマナ結晶だ」
押しつけられた緑に輝く石を悠人は両手で包み込んだ。
「巨大なマナを秘めている。こんなもん使えるわけ無いがな。いいか、エトランジェユー
ト。自分が何をすべきか考えろ。泣き言云う前に馬鹿は馬鹿なりに努力しろ。腑抜けじゃ
なけりゃな。そうすりゃ……」
ヨーティアはそのまま去った。悠人一人を残して。
「エスペリア……」
感じる。マナを、エスペリアのマナを。
「うぐっ、ぐぅ、エス、ペリア。馬鹿野郎、大馬鹿野郎」
悠人は、泣き続けた。ただその石を抱いたまま。
駆けめぐるエスペリアとの想い出。
いつの日かエスペリアに乞われて教えたハイペリアの言葉。
そう、あれは。エスペリアの最期の言葉は、きっと。
「……俺も、同じだよ、エスペリア。ごめんな、もっと早く云うべきだったよ。」
「愛してる。エスペリア」
悠人は、立ち上がる。
石を机の上に安置すると、剣を佩きラキオスの戦闘着を羽織った。もう涙は止まってい
た。
「俺には……、やるべき事がある。立ち止まってはいられないんだ。エスペリア、見てて
くれ。きっと、エスペリアの望んだ世界にしてみせる。犠牲は……必要ないんだ。俺は
……俺は、馬鹿で勝手な奴だけど、もうけして、何かをあきらめたりしない。それで、
いいよな? エスペリア」
緑色の石が一瞬煌めいたように見えた。
GJ!!
でも、リセットしてセーブポイントからやり直します
こわい……こんなの書いて反応がコワイ (((( ;゚Д゚))))
処刑ネタで、だいぶ前に考えておりました。自分で考えて涙ぐんだりするあほです>オレ
話の繋がりが弱いかも知れませんが、オレの脳内話を全くそのまんま文章化ってできな
いんです……。
お口直しにもう一本べたな話を書き上げてあります。
なんだかんだでエスペリア最萌なオレ。スマン 初の?第一詰め所話がこんなんで orz。
>>532 こういうのも一つの可能性では
漏れはヨーティアはもっと「無駄死にさせないため」とか言って
結晶を使っちゃうかなって思ったけどw
自国スピが敵に殺されても
マナが結晶化すればいいのに
「形見として取っておく」or「マナに還元する」の選択肢出して
で、3つ集めると一人生き返るとか
これは悪乗りのし過ぎか
>>533 >で、3つ集めると一人生き返るとか
キン肉マンの超人墓場を思い出してしまった。
>>532 これも必要だと思う。そういう選択肢がある限り可能性はあるのだから。
だから言う、GJと。
「ふぅ……」
ラキオスのスピリット隊第一詰め所、その食堂でカップを両手にエスペリアが小さく
溜息を吐いた。
「なぁに、エスペリアお姉ちゃん溜息なんかついてぇ?」
聞こえないくらいの小さなものだったはずだが、耳聡くそれを聞きつけたオルファリルが
訊ねる。エスペリアが顔を上げると、何事かと興味津々に顔を覗き込むオルファと、無表情な
まま視線だけをこちらに向けるアセリアがいた。
「え、な、なんでもありません」
「何でもなくて溜息なんか吐かないよ、ねぇ、アセリアお姉ちゃん?」
コクリとアセリアが頷く。
「それにぃ、『溜息吐くと幸せが逃げる』って言い伝えがハイペリアにあるんだって。カオリが言ってたよ」
「本当か、オルファ?」
今度は興味津々とばかりに身体を乗り出してアセリアが聞き、思わずオルファはのけぞった。
「ほ、ホントホント。カオリに聞いてみれば?」
「うん……そうか、溜息を吐くと幸せが逃げるのか……そうか…うん」
ぶつぶつと独り言を言って違う世界に行ってしまったアセリアを少し眺めてから、オルファは
気を取り直してエスペリアに詰め寄る。
「でぇ、なんで溜息吐いたの?」
「で、ですからなんでもありませんってば」
「うそぉ…ひょっとして、パパのこと?」
当たらずとも遠からずのオルファの突っ込みに、エスペリアは思わず目をそらす。
「やっぱりそうなんだ。なになに? 悩み事ならオルファが聞いたげるけど?」
というより是非話せと言うようにエスペリアの手を掴むオルファ。
「ち、違います。ちょっと、昔のことをね、思い出しただけで…」
「昔のこと?」
オルファが首を捻る。
思わず口走ってからしまった、と苦い表情をしてオルファを見る。視線がまともにぶつかった。
続けて欲しそうなオルファの視線を受けて、エスペリアは思う。
自分もこんな目をして聞いていたんだろうか、と。
だから、思い直して話す気になった。
「いいわ、別に隠すようなことでもないし。…昔ね、ある人とお話ししたことを思い出していたの…」
………
……
…
「…で、これ以後、この四振りの永遠神剣は、エトランジェの履く物となった」
訓練と家事の合間を縫って行われるラスクの講義。それを聴くのは幼いエスペリアだけ。
今日は歴史の話だった。懸命に話をノートに書き留めるエスペリア。それを勧めたのは
ラスクだった。
『エス、聞いたことをノートに書いてご覧。その方が覚えが早いって言うから』
まだ字が下手で、後から読み返すのにも苦労する代物だったが、それでもエスペリアは
勧めに従って書いた。
辛いことばかりの毎日。その中にあるささやかな幸せな時間を、そのノートを見るたびに
思い出すことが出来たから。
「じゃあ、今日はこれくらいかな?」
ラスクが自分のノートを閉じる。それは後日、エスペリアに残されることになる。
「エス、判らないところはあるかい?」
「え、えと、えと」
エスペリアは懸命にノートを読み返す。今日は特に難しいところはなかった。
「な、ないです。あ、でも」
「でも?」
「質問があります。ラスク様」
「なんだい?」
優しく促すラスクに、エスペリアは聞いた。
「ラスク様は、その、エトランジェ? その方に会ったことはありますか?」
「うーん、残念ながらそれはないなぁ」
ラスクは肩をすくめた。
「いつも存在するってわけでもないし。ここ何十年は現れてないみたいだよ」
「そうですか…」
残念そうにエスペリアは俯く。
どちらかというと、エトランジェはどうでも良く、話が途切れたらこの時間が終わって
しまうのが悲しかった。
「でも…」
ラスクが悪戯っぽく続けた。
「もしエスの前にエトランジェが現れたら、凄く大変だと思うよ」
「え、どうしてですか?」
「だって、エトランジェはこの世界の人間じゃないんだ。何より、言葉が通じないだろ」
「え、あ…」
「もし、エスがエトランジェの世話をすることになったら、まずそこから始めなきゃな」
「言葉を…教える?」
「そう、まず名前を知って、こっちの名前も覚えて貰って、それから身振り手振り、
あれはアレ、これはコレって呼び方を教えて、って具合にさ」
聞いただけで気が滅入る作業だった。
「エスは自分の名前を言うとき、なんて言う?」
「え、エスペリア、ラ、ヨテト…ですか?」
「それがエトランジェの世界の言葉だと『今日はご飯抜きです』だったらどうする?」
「ええぇ〜!?」
くくくとラスクは笑いをこらえながら続ける。
「『お腹空いた』って言葉が聖ヨト語だと『エスペリア、大好きだよ』かもしれないぞ?」
「!?」
エスペリアは顔を真っ赤にして俯いた。
「ははは、ゴメンゴメン。でも、あちらさんにだって言葉があるんだろうから、それで
エスが困り果てることがあるかもな」
「そんなの困ります!」
「しょうがないさ、それをなんとかしなきゃな」
「ラスク様、絶対楽しんでるでしょう?」
もうエトランジェが明日にも現れるような気がして、エスペリアは狼狽えた。
「でも、言葉だけじゃないぜ、教えることは」
「ま、まだあるんですか?」
「そりゃそうさ。例えば裸でうろつき回るヤツだと、服を着せることを教えないといけないだろ?」
想像してしまい、また真っ赤になるエスペリア。
「何せこの世界のことは何も知らない、赤ん坊みたいなもんだからな。エスが何もかも
面倒見てやらないといけない」
エトランジェは災厄以外の何者でもない、エスペリアにはそう感じられた。
「あと……」
急にラスクが言い淀んだので、不思議に思って顔を上げると、辛そうな様子が見えた。
「戦うこともな」
「あ…」
「この世界に来るエトランジェの役目は戦うことに違いないから」
「そう…ですね」
「優しいヤツなら、凄く嫌がるだろう。それを戦わせなきゃいけない」
それは今までで一番嫌なことだった。
「さっき教えたエトランジェのための永遠神剣。それも同時に現れる可能性が高い」
求め、誓い、空虚、因果。
スピリットよりもはるかに強い力をエトランジェに与える彼らが出現すると言うのだ。
「だからな」
ラスクは言った。
「現れていない今は幸せなのかも知れない。お互いにな」
それは、いつか必ず現れる、本当の意味での災厄の予言でもあった。
…
……
………
ラスクの名前だけを伏せて、エスペリアはオルファ(と、聞いてないようで聞いていたアセリア)に
話して聞かせ、一つ息をついた。
「う〜ん、難しくてオルファよく分かんない」
「そう、でもオルファは、ユート様が現れなかったとしたらどう?」
「えぇ、嫌ぁ。パパのいない生活なんて考えられないよ」
アセリアもこくり、と頷いた。
「そう…」
それはエスペリアも同じだった。
(ラスク様…)
エスペリアは想う。
(一つだけはずれていました)
現れない方が幸せ、それは違っていたと言うこと。
戦うための存在、スピリットに「生きろ」と言ってくれたユート。
自分のためではなくカオリのため、そしていつしか、ラキオス、いや、このファンタズマゴリアの
ために戦ってくれている優しいユート。
そして、戦いから逃げないながらも戦うことに苦悩し続けるユート。
そんなユートが、ここにいてくれて良かったこと、それだけは、あの日のラスクに異議を唱えたい
エスペリアだった。
(…それと)
『ユートさまぁ!』
『さまぁ〜!』
廊下をばたばたと走る音が聞こえる。
「あ、ネリー達だ!」
オルファも廊下に飛び出していった。
(一つだけ教えてくれなかったことがあります)
ぴしっと音がしてエスペリアのカップにひびが入ったのを横目に見たアセリアも、とばっちりを恐れて
こそこそとその場を後にした。
(…こんなにモテるなんて知らなかったですよ、ラスク様)
先程の溜息の一部には、嫉妬も含まれていたようだった。
第一詰め所ネタは今しかない、と言うことで即興で書きましたw
かなり展開急ですがご容赦のほどを。
何か書きたかったことが大幅に変わってる気がしますが…まあいいか。
GJ!!いいもん読ませていただきました
GJ!うう、良いなあ。
・・・そうですよね、エスペリアはユートにヨト語を教えていた時、
ラスクと自分のことを重ねていたかもしれないですね・・・
序盤の聖ヨト語での進行が、すごく深く思えてきたw
GJです。そしておやすみなさい・・・
ユートが来る前はエスペリアがラキオススピリット隊の隊長をしていたとして、副隊長は誰だったのだろうか・・・
副隊長のポストを設けなかったのかもしれないが、第2詰め所のメンバーをまとめる人がいてもおかしくはないだろう。
てなわけで、色々候補を考えてみました
青ザコスピ代表:セリア
通称『ツンデレのセリア』。かの有名な『ツンデレのニム』とあわせて二大ツンデレと言われるほどの実力者。
他の候補者に比べればいささか若いが、その分を持ち前の負けん気の強さでカバーする
赤ザコスピ代表:ヒミカ
面倒見がよく、年下から好かれるタイプ。赤スピにしてはめずらしく剣が得意で、武人のイメージがある。
仲間や自分にとって大切な人を何があっても守ろうとする自己犠牲の精神が強い。
緑ザコスピ代表:ハリオン
自称『大人の雰囲気のおねえさん』だが、すべてが規格外と言われるほどの人物。
独特の言動をしているが、第2詰め所の家事を何でもこなしそうな気がする。(なんか料理がうまそうな気がする)
ネリシアが喧嘩してても「喧嘩はダメですよぉ、めっ!」の一言ですべてが片付いてしまう。菩薩?
黒ザコスピ代表:ファーレーン
大人の雰囲気のおねえさん、ならこっちの人の方がしっくりくるのが、このスレでは腹黒イメージが強い。
ある緑スピが彼女を強烈にバックアップし、詰め所のリーダーにしようとしている。
なんとなくヒミカ筆頭でその下にセリアとファーレーンが相談役としてフォローしそう。
ユート隊長就任後、比較的ヒマな時期に、回り持ちで一日副隊長とか
やらせてみるのも面白そうだな。
ネリーやハリオンのあたりで、レスティーナがブチ切れそうだが。
生徒会長:ヒミカ
副会長:ファーレーン
会計:ハリオン
書記:セリア
こんな感じだろうか。
>会計:ハリオン
実際の生活でもそうかもしれないな、コレ。
内緒のお菓子作りの材料費は裏金から捻出してるに違いないw
エスペリアと第二詰所の年長組とは微妙に仲が悪そうに思うのは漏れの偏見だろうか?
他スピから見れば昔からいるエスペリアはうつぼねかも
夏だ!海だ!、海水浴だ!
「と言うことで、悠人よ。オレから一つ今日の訓練について提案があるんだが」
「……みなまで云うな。どうせ、湖で遊ぼうとか云うんだろう」
「悠人に読まれるとは……まあ良い、スピリットたるものいかなる状況でも戦わなくていかん。
であるから、皆で水練の実施といこうではないか。ん?」
「必要ない……飛ぶ…」
「さすがアセリア……一言で切って捨てたな」
「ぐっ、いや、悠人よ。エスペリアやファーレーンあたりの水着姿を見たいとは思わないのかっ?
オレは思うぞっ強烈にオレの根底から叫んでいる!!」
「ふーん、どのあたりの娘のが見たいわけ?」
「そりゃぁ、本命はオルファちゃんで次がニムちゃん、シアーちゃ ぐおっ!!??ぐあgia」
「ユートさま、このラキオスでは人もスピリットも泳ぐというような習慣はありませんが」
「エスペリア……スルーか。あ、うん、いややっぱり今日の訓練は光陰の云う様に湖に行こう。
ただ遊ぶだけでさ」
「……はい。それではお弁当作りますね」
「パパ。みんなで遊ぶんだねっ行こ、行こ、早くっハクゥテも連れて行くよ〜」
「やったーユートさま遊ぼうねっいっぱい遊ぼうねっ!」
「ネリーはしゃぎすぎだよぅ」
「フン。そんな馬鹿なことしてていいの」
「セリア、別に良いでしょう。こういうのも必要なのよ。ハリオンっ色々準備しましょうか」
「はいヒミカさん。結構嬉しそうですね〜」
「ユートさまと夕日の砂浜で……」
「お姉ちゃん、またヘリオンどっかいっちゃってるよ」
「あらあら相変わらずですね。さ、ニム、ヒミカさん達のお手伝いしますよ」
「えーめんどくさいなぁ」
もう過ぎちゃったけど海の日記念で。その後どうなったかはご想像におまかせ。
この世界、水着ってあるのかなぁ。
ヒミカ「あなたの『献身』は第七位、わたしの『赤光』は第六位よ!
そのあなたが上位の神剣使いであるわたしに命令がましい口を利くなんて一体どういうつもり!?」
エスペリア「私はただ今、レスティーナ様にスピリットの指揮の全権を一任されております。
つまり軍においては例え神剣の位が上位の貴方といえども、この私に従ってもらいます。
これ以上の問答は無用です、まだ何かあるというなら抗命罪で拘束しますよ、ヒミカ」
ヒミカ「クッ!」
昔はこんな事があったのかも
>>553 何故だか知らんが漏れの中では妙に
>>298のっぽいヒミカが固着してしまった……
もっとダルそうでやっつけなヒミカキボンヌ。
つーか
>>298が責任取ってなんか書け
555 :
代打:04/07/20 18:59 ID:UJJTKqPR
エスペリア「わたしの『献身』は第七位、あなたの『赤光』は第六位。
神剣の階級順ということで、隊長をお願いできませんか?ソウ・ヒミカ」
ヒミカ「
ヽ(`Д´)ノ
( ヘヘ エエー!! マンドクセー
エスペリア「ですが…」
ヒミカ「
〃∩ _, ,_ /) 〃∩ _, ,_ /)
⊂⌒( `Д´)ミ( ⌒ヽつ⊂⌒( `Д´)ミ( ⌒ヽつ
`ヽ._つ⊂ノ⊂( ,∀、)つ.`ヽ._つ⊂ノ⊂( ,∀、)つ ゴロゴロゴロゴr
エスペリアやってやってやって〜〜〜
セリア「ふん、こんな人に任せられないわ」
ネリー「ネリー反対!居間でリーダー権限振り回してTVを占領するし」
シアー「しかもリモコンをどこにやったか忘れるし〜」
ナナルゥ「……洗面所で頭を洗った後は、シャンプーを風呂場に戻して下さい(ボソッ」
ニムントール「事務机のペン立てから勝手にペンを持っててるでしょ!ペンが減っていくでしょ!
戻してよ!」
ファーレーン「こら、ニムぅ!」
(……冷食をレンジでチンして、待ち時間中に読んだ本に熱中して
二時間放りっぱなしだったことを激しく指摘したい。
でも、体面上ここは我慢だ。ガンガレ私!\(゚∀゚)ゝ
556 :
代打:04/07/20 19:00 ID:UJJTKqPR
ハリオン「コーヒーミルの豆を捨て忘れてカビだらけでした〜♪」
ヘリオン「ヒ、ヒミカさんが洗濯当番の時、色物と白物を一緒に洗ってしまってて、
アセリアさんの服が、赤、緑、青、黒のマーブルカラーになってました!
ご、ごめんなさい、ごめんなさい!
マーブルアセリア「……」(←どうでもよさそう)
オルファ「寝るときは下着一丁!しかも寝相最悪なんだよね!♪ 」(←誰かが吹き込んだ)
エスペリア「(…それは私もですが(恥))
分かりました。レスティーナ様と相談してします。」
ヒミカ「やたっ!らっきー♪
| デモ、ナンダカムナシイ…
| ('A`)
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄
\
| オボエテナサイ…!! キャハハハ
| (;`A)
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄ /
」
メチャメチャそのまんまだがワロタ
エスペリアは年長組よりもむしろ年少組からも訓練でシゴかれて印象が悪い可能性もあるな。
訓練後、シアーやヘリオンにエスペリアの悪口をいいまくるシアー、突然顔が凍りつくシアー&ヘリオン。
「ネリー、うしろ、うしろ!」ってのは非常にありそうだな…
559 :
558:04/07/20 21:25 ID:5n23vTK/
うわ、タイプミスった。
×エスペリアの悪口をいいまくるシアー
○エスペリアの悪口を言いまくるネリー
560 :
159:04/07/20 22:25 ID:MoQlHZxI
なんか、ヒミカの印象が180度転換してしまったw
遅いけど。
>信頼の人氏
乙&G.J!
『信頼』フルバージョンが読みたくなってきてしまいます。
>初代スレ771氏
乙。そして、何よりも処刑ネタに挑んだ勇気に敬礼!
>初代スレ830氏
乙&G.J!
落ちがいかにもでいいですなぁ。
スススっと動くアセリアの立ち絵が思い浮かぶというか(w
>>555-556 ワラタ
ノベライズ出る前から他の人による違ったヒミカ像も見てみたいと思ってはいたけど、
これはこれでイイ!かも(w
G.J!
>>558 ,ィ^i^!1ー、 ,べV
ヽ, ,(レー― 、) / 〃  ̄ ヾ;
)ヽ. i`_l !i_!li_!i!リ ! i ミ(ノハソ
ノソ jixl」# - ノリ !ik(i|゚ ヮ゚ハ < エスペリアってば自分ばっかり
((_( _ λ(Ψll (う] リ⊂}!廿i つ ユートの前でかわいこぶりっこして
<(Iif_Et=G//'__'jヽ=== く/Цレ' ずるいよねー
`ー――` (メーtソ し'ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ネリーーーーーー後ろーー!!/ \後ろ 後ろー!!/
∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧
∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∩_∩ ∧_∧ ∧_∧ ;)
564 :
代打:04/07/20 23:56 ID:kEyyL5ac
>>562 こわっw これだと誰も頭が上がらないだろうな
>>560-561 漏れ個人のヒミカのイメージは、
しっかり者のお姉さん
敵には容赦がなく苛烈
先陣を切って突撃するが、普段は隊長のサポをするいぶし銀
かつ、タイトスカートが似合う
だから、皆と同じ感じだと思われ
ねえねえ調のはっちゃけヒミカもいいんだけどね
漏れの中では
ナナルゥは序盤でユートを襲った赤スピと同一(記憶喪失)
でも、未だに脱いだらアグレッシブ
ファーレーンは優しいお姉さんと思っていたが
面白いので腹黒設定。でも自己嫌悪、葛藤があるみたいな
この二人は皆と違うかな…?
流れに沿って、ほとんど書き上げておきながらお蔵入りしてたSSを投入。
「ねぇネリー、やっぱりやめようよー」
「だめっ、今日という今日は言ってやるんだから」
第二詰め所廊下に響く、青い髪の二人の少女の話し声。
「だってずるいよっ。私たちにはユート様と馴れ馴れしくするなとか、同じだと思う
なとか言うくせに、自分が一番仲良くしてるじゃないっ」
「そ、それはぁそうだけどぉ」
憤るネリー、消極的ながら同意するシアー。いつものパターンだ。
ずかずか突き進むネリーの後をおろおろしながらシアーが追う。そこへ右手のドア
が開き、ハリオンが顔を出す。
「あらあら、どうしたんですかぁ。なんだか怒りんぼのようですけどぉ」
いつもの、間延びした声でネリーとシアーに声をかけた。
「ハリオンッ、ねぇー聞いてよ。今日の訓練の時にねユート様とちょっと休憩してた
らね、すごく怒られたんだよ。ちょっと疲れたからお話ししてだだけなのにさ、まじ
めにやれとか、ユート様と遊ぶなとかラキオスのスピリットとしての心構えだとかた
まには魔法も練習しろとか人間に反抗するなとかユート様は私たちと違うんだから常
にスピリットとしてユート様に仕えろとかシアーも同じ事言われたんだよ」
長セリフものほほんと受け流すように、ハリオンはニコニコしたままおもむろに口
を開く。
「あらあら、大変ですねぇ。エスペリアさんも使命感が強いですから、しょうがない
と思いますよぉ」
「えーだってぇ、そのあとでエスペリアとユート様で街に買い物に行ったんだよっ。
ずるいずるいっ。シアーだってそう思うよね」
「え、う、うん」
突然話を振られて、つっかえながら答えを返すシアー。実のところ、シアーもネリー
と同意見ではあるのだが、不満を口に出すエネルギーはないのが実情だ。
「だってエスペリアって、私たちに色々言うくせに、一番ユート様と仲良くしてるん
だよ。自分だけ仲良くするなんてずるいよ。ハリオンもそう思うでしょ」
「そうですねぇ。大体は同意しますけど、ユート様もエスペリアさんが一番話しやすい
でしょうし、何よりエスペリアさんはユート様の副官ですからねぇ。あ、ほら、知って
ますか?ユート様がこの世界、えー、えー何でしたっけファ、ファ」
「ファンタズマゴリア?」
シアーが助け船を出す。
「そうそれです。ファンタズマゴリアに現れてから、ユート様はずっと寝たきりだったんで
すよ。それをずっとお世話してたのはエスペリアさんですから。知ってましたかぁ?」
「うん、聞いたことはあったよ」
シアーも横で肯首する。
「エスペリアさんにとってはですね、ユートさまは手の掛かる弟のような感じだと思
いますよ。だから少しだけ独占欲みたいなものがあるのかもしれませんね」
「んーだったらネリーもユートさまのお世話する。朝も昼も夜もっ!」
力説するネリーと、顔を赤らめるシアー。
「ネ、ネリー夜はちょっと……」
「え?だって夜もユートさまをお世話して遊べるんだよ。一日楽しいまんまだよ。シ
アーも一緒にやろーね」
「えっえ?ちょ」
「あらあら、走って行っちゃいましたよ。どんな騒動が起きますかねぇ〜」
くすくす笑うハリオンは、真っ青に晴れ上がった空を窓越しに見上げながら、お洗濯
と、第一詰め所に見学に行くのどちらが良いでしょうと楽しげに思案するのだった――――
GJ!!
ネリシア陥落前のエピソードだったりして
既に神剣に取り込まれたユートを
エスペリアがお世話してるとか(夜も)
落ちが考えつかなくてフォルダにつっこんだままだったんですが、今さっき思いつきました。こんなたいしたことのない
落ちで悩むヘタレSS書きでスマソ
>鮮やかな命(ひ)
皆さん感想ありがとう。ちょっとやばいかなとか思ってましたが。これはこれでこういう話と思って貰えれば(汗)
でもゲーム中処刑コマンドは使えません……メーカースレじゃ当たり前の技みたいですが>マナ再利用
>531
命はリセットできません(byACとかその辺) タイムシ(ry
>533
まぁその辺は悠人君次第で。
結晶をいくつか混ぜて再生すると、目が点ばりのスピリットがった(ry
>535
そう、あくまで可能性ですので。光陰も今日子もその手に掛け、佳織まで失う羽目に陥った悠人が心神喪失状
態みたいな。この辺ゲーム中もほっぽり出したまんまだったような。
>561
なんか特攻してきたみたいだなw まぁやはり萌は偉大だと云うことが『溜息』を読んで分かりましたよorz
>541
ああ、もおいいなぁ……オレはエスをいじめるような話ばかり思いつきます。腹黒なのとか。GJ!!デスヨ
>562
おもろすぎw
一応書いておくと、設定資料集にあるのですが、
帝国の研究の話で、スピリットが自分の神剣で自殺することによりマナ結晶化する……とのことが分かり、帝
国はそれをやりまくったとのこと。
私はパープルスピリット『熱光』のセリカ、今後ともよろしく
パープルスピリット
ブルースピリットの様にクールで、レッドスピリットの様に情熱的…つまりツンデレセリカw
572 :
信頼の人:04/07/21 01:57 ID:GtuZzn85
やっとプロパ規制解けた・・・・・・本気で自宅鯖復活させようかな・・・・・・
レス遅れて済みませんでした。何気にスレの流れにも出遅れてたり_| ̄|○
ただROMってるのがこんなに辛いとは。
>>519さん 雑魚スピ愛情度に貢献できてれば幸いですw
>>521さん ちなみに
>>505は私だったりします(汗 しかし2回目ですか・・・どれだろう、のらスピかなぁ?
>>522さん 「あ〜ん」ネタは正直うかつにも思いつきませんでした。氷枕&体温計くわえたセリア・・・見たいかもw
>>523−524さん デレツンになってしまってますね(汗 当時はツンデレがここまで徹底?してなかったので・・・すみません
>>525さん 個人的にはセリアは某由佳里嬢より風と大地の妹っぽいと思ってます(ぇ
>>561さん full.ver.は・・・・・・自分で読んでても長すぎなので(汗
しかし今月だけでもう5度目のプロパ規制・・・・・・たのみますよpl○l○さん
電球みたいだな。『熱光』のシリカ。
名無しに戻って感想を。
>>初代スレ771さん
短時間に2本のSS投稿、お疲れ様でした。
>鮮やかな命(ひ)
このスレの流れではかなり思い切った作品ですね。
可能性として当然ありうる帰結ですが躊躇してしまう、そんな題材を綺麗に書ききった勇気にG.J.です。
『献身』って言葉の意味の取り方で大分流れが変わってしまうんですね・・・・・・
>ネリーの不満
微妙な腹黒さなハリオンに笑わせて頂きました。しかし自分の住んでる世界の名称をすぐ言えないとはw
>>初代スレ830さん
ラスクとの悲しい別れを経験しているエスペリアは新たな出会いの中でも常に失うことを恐れているのかも・・・
そんな事を思いつつ第一章あたりをやり直してみると感慨深いですね。G.J.です。
しかしエスペリアルートだと折角見つけた喜びに嫉妬が混じって忙しい事にw
大変だなぁ、エスペリアw
>>555−556さん
wどんどんヒミカのイメージが・・・・・・これはこれで・・・・・・w
>>571さん
何度かセリア→セリカと書き込んだ過去があるのでなんとなく補完された気分です(違
やっぱりバニッシャーとイグニッション同時発動とか出来るんでしょうかw
これでスレに追いついたかな・・・(汗
ガロ=リキュアが平和になり、戦う以外の道を見つけるために皆、それぞれの旅に出る・・・
その中でナナルゥはある企業の就職面接を受けることにした・・・
面接官 「特技はイグニッションとありますが?」
ナナルゥ 「・・・はい、イグニッションです」
面接官 「イグニッションとは何のことですか?」
ナナルゥ 「・・・神剣魔法です。」
面接官 「え、神剣魔法?」
ナナルゥ 「・・・はい。神剣魔法です。敵全員に大ダメージを与えます。」
面接官 「で、そのイグニッションは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
ナナルゥ 「・・・誰よりも先に攻撃が出来ます。」
面接官 「いや、当社には襲ってくるような光陰はいません。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね。」
ナナルゥ 「・・・でも、エスペリアにも勝てますよ?」
面接官 「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね・・・」
ナナルゥ 「・・・敵全員に攻撃力1500以上のダメージ与えるんですよ。」
面接官 「ふざけないでください。エスペリアって誰ですか。だいたい・・・」
ナナルゥ 「・・・エスペリア=ラスフォルト、通称『お局様』です。お局様というのはカオリさまが教えてくれて・・・」
面接官 「聞いてません。帰って下さい。」
ナナルゥ 「先制攻撃、行く?」
面接官 「いいですよ。使って下さい。イグニッションとやらを。それで満足したら帰って下さい。」
ナナルゥ 「・・・あ、神剣、家においてきちゃった」
面接官 「帰れよ。」
次の日
ナナルゥ「・・・落とされた。次はアポカリプスUでがんばってみよう・・・」
面接官 「いいですよ。使って下さい。イグニッションとやらを。それで満足したら帰って下さい。」
ナナルゥ 「・・・イグニッション!!」
面接官 「ぎゃーっ」
ナナルゥ。こういう時はヒートフロアだ!赤いマナの導きが面接突破への手助けとなろう。
糸目は結ばれないかもしれんがな。
業種が気になる・・・・・・ナナルゥもだけど、みんなどこに就職するんだろう。
悠人のところに永久就職ですよ
夜のレスリング大会をしたい
ネリシアによる「はじめてのおつかい」を第一詰め所全員で見守る展開を想像してみました
…やべぇ、萌える
光陰は敵なのか……
>>582 …はじめてのおるすばんと見まちがえた…
\’、;,・*//, ガガッ ,べV
\\ //,∧∩ ー――/ 〃  ̄ ヾ;
\\//,゚Д゚)∴;”  ̄ ̄ ! i ミ(ノハソ
ヾ\/,ヽ /;', ;、 ー ――モヽ !ik(i|゚ ヮ゚ハ とりあえず切っておきますね
///\\ 、 _ __ _ヾ( ノ f〈(^ヽ,ヽ,
(_//)ソ\丶  ̄ ̄  ̄ ̄ (´ノ く/_|jO)OijVΞΞΞΞ)>
/ し' ヽ \ __ _ _(_ノ `-'
↑
>>584
>>548 キサマー!なんてモノを!このレスのおかげで今日は妄想に冒されて
仕事がすすみませんでしたよ?
「王立スピリット学園」(以下本日の妄想)
書記セリアはポニテメガネです、おいらの中では。
エスペリアは寮長でした。
で生徒会となんかあるごとに対立(というか言いがかり)
ヘタレは最初は、生活指導の先生だったけど赤松チックなので
生徒会に入った新人という扱いに。
ヘリオンはユーと様追っかけ(というかストーカー、
生徒会室の中に聞き耳を立ててたり。)
でネリシアナナルゥとでファンクラブ(謎)結成。
ツンデレ-セリア イベント、ツンデレ-ニム イベント(ファーレーン焼餅イベント)発生
きもうとは超黒く、正体を知っているのは小鳥だけ、
人前ではゲーム内のとおり、陰では陰謀を次々しかけてた。
いつもはキリッとしてるヒミカだけどユートと二人だけになると
超だらける、パシらせる。
で、ハリオンにかわいい服着せられて、それをユートに
目撃されてはずかしさのあまり逃走。
仲直りイベントでハリオンがユートの背中を無理矢理押して
事故っぽいキスで二人言葉をなくして・・・
ってところで仕事していないのがバレタ
朝 エスペリアに起こされ、食膳の一杯
朝食 エプロンアセリアの後から摘み喰い
午前中 朝の訓練、ヒミカと突きの練襲
昼食 テーブルの上にいるオルファを注慰する
午後 ラキオス城の一室にて、レスティーナと意見控姦
3時 買い物に来ていたセリアに、オヤツをあげる
夕方 森でヘリオンに縄抜けを挿せる
晩御飯 ネリシアにテーブルマナーを手捕り足捕り押し得る
就寝前 ハリオンに子守唄を鳴(ウタ)って貰う
ユート「今日も一日大変だった、隊長と認めて貰うまで今日以上に頑張らなくては」
………いい身分だな、悠人
ナナルゥとかニムとかファーレーンが・・・
>567
お、それは思いつかず。となるとハリオンは、無垢な乙女達を色欲世界に落とし込んだ悪女ですね〜wしかも確信的?
>574
>鮮やかな命(ひ)
もしかすると、アセリアで一番最初に考えたネタかも知れません。エスが自殺なんてする訳ねぇ
よヽ(`Д´)ノと言う人が大半かもしれんけど。蛮勇も勇気の内……ダトオモフ。
>ネリーの不満
佳織とオルファの無許可非公式命名ですので、ハリオンも聞きかじった程度だったんでしょう。きっとそうだ。
しかし、ハリオンにハラグロ属性付けると手が付けられないんですけどw
これ、プロパティ見ると、「髪結い」よりも先に書いてますわ。「様」と「さま」でどこから書き足したか分かって
しまうし orz
で、>521はオレだったりします。前スレ740ツンデレツインテール→前スレ790青スピ渾然化の流れの話です。
もっとも信頼が先にあるからこそ、ツンデレツインテールが出てくるわけですが。
最後に思いつきを云ってみる。
エキスパートモードのファーレーンが低成長なのは、求めと同じようにエターナルに力を奪われているからだ。
おまえら重要な部分がわかってないな
スピ学におけるユートの位置はペットだぞ
前スレでは保健体育教師だったしな。
ブリーダーじゃないんだ、、、orz
アセリアの中巻フラゲしまつた。
感想は、、、なんというか、、、いかにもハーベストらしいというか、、、。
エロシーン増やすのはいいんだけど、それで本筋を薄くするのはいかがなものかと。
漏れ的には失望の道行の方が何倍も深みがあって好きでつ。
下巻どうしようかなぁ、、、。
また取って付けたようなのがあるのか。
ユ「う゛ぁ゛〜、最近暑くなったなぁ」
ネ「ユートさまは暑いの嫌いなの?」
ユ「ん、暑いの自体は嫌だけど、夏は好きだぞ。イベントが多いからな」
シ「いべんと?」
ユ「やっぱりまずは夏休み…っと長期休暇のことな。んで海とか山とか、後はお祭りとかな」
ネ「…オマツリって何?」
ユ「は?お祭りを知らないって…もしかしてこっちには祭りが無いのか?」
シ「ん、分かんないです。ユートさま教えてー?」
ユ(仮に有ったとしてもスピリットには関係の無い話だからかな)「よし、じゃぁ地元の祭りでも話すか」
ネ「わーい!わくわく」
ユ「わくわくするような話じゃないんだけどな。まぁいいか。
で、俺の地元では一年に一週間だけ、神社の境内に屋台をならべたり、お神楽をしたり〜」
ネ「…?」
ユ「〜だけど、6年に一度だけ神様が別の神社にお引越しをするから、大名行列を作ってだな〜」
シ「…?」
ユ「ごめん。全然分からないよな?」
ネ&シ「うん」
ユ「はぁ、ネリー達には喧嘩神輿とか阿波踊りとかの方が分かりやすいかもな」
ネ「何それ?おいしいの?」
ユ「食べ物じゃないぞ…。喧嘩神輿っていうのは、神輿―あぁ、神輿は神様の乗り物で、
大勢の人で抱えなきゃいけないような、大きくて重い台座みたいな奴なんだけど―
それを勢いよくぶつけ合うんだよ」
ネ「おー。楽しそう」
シ「そ、そうかなぁ、ちょっと怖い気がするよぉ」
ユ「まぁ怖いのは確かだな。毎年怪我人が出るし。でも阿波踊りは怖くないぞ。これはだな…」
コンコン――ガチャ
エ「失礼します。ユートさま、そろそろ…」
ユ「あぁ、サンキュ、エスペリア。ネリーシアー。俺はレスティーナの警護に行って来るから」
ネ「えー!アワオドリは?」
ユ「また今度な」――バタン
ネ「あ〜あ、行っちゃった。もっとオマツリのこと聞きたかったのに」
シ「ん〜、じゃぁコウインさまに聞いたらどうかな?」
ネ「コウイン〜?なんかやだ〜」
シ「で、でもユートさまがコウインさまは物知りだって言ってたよ?」
ネ「ふーん。ユートさまがそう言うなら聞きに行ってあげようかな」
シ「ネリーってばぁ…」
………
…
ユ「ぅぁ〜、ただいま」
エ「お帰りなさいませユートさま。随分とお疲れのようですね?」
ユ「あぁ。まったくレスティーナも視察をダシに遊びに行くのはもう勘弁して欲しいぞ」
エ「ですが良い気分転換になったのでは?」
ユ「そりゃレスティーナはな。つい先日も敵スピリットの侵入事件があったばかりだったし、警護の方は気が気じゃない。
じじいども(政府高官)も一々煩いし、こんなことする位なら一日中訓練していた方がよっぽどましだって」
エ「そうですか。ではお食事の前にお風呂に入られますか?」
(…あ、なんだか今の台詞、ちょっと新妻っぽいかも。よ、よ〜し!)
エ「そ、それとも、わ・た…」
ユ「先に風呂に入るよ」
エ「え?」
ユ「いや、だから先に風呂にしようかなって…」
エ「そうですか!そうですよね…。どうぞ、ごゆっくり…はぁ」
ユ「…? なんだか分からないけど、風呂に入るからな?」
…
ざばぁ〜
ユ「ふぅ。こっちにも風呂に入る習慣があってよかった〜」
?「ね、ねぇ。ユートさまお風呂に入ったみたいだよ?」
?「よし、ではこれより決行だ!」
?「ほ、ほんとにやるのぉ?」
?「当たり前でしょ!?これやるとユートさまは喜ぶって、コウインも言ってたじゃない」
?「コウインさまなんてあてにならないなんて言っていたのに…」
ゴソゴソ モゾモゾ
ユ「なんだ、誰かいるのか?」
ネ「え〜い、もう行くよ!ユートさま!」
シ「ゆ、ユートさまぁ…」
ユ「うわっ!な、な、なんだお前ら!?」
シ「オマツリをしに来たんですぅ…」
ユ「は、お祭り?なんのことだ?」
ネ「いいからいいから。ユートさまは座って待ってて♪」
思考が情報に追いつかずおたついている俺を、二人は問答無用で風呂用の丸椅子に座らせた。
ユ(あれ、何で突然地の文が?)
俺が意味のわからないことを考えている間に、二人も椅子に座って体を洗い始めていた。
「んしょ、んしょ」
いや、しかしこれがファンタズマゴリア流の洗い方なのだろうか?
二人は時折石鹸を直接肌にこすりつけたりなどしており、
体を洗っているというよりむしろ泡を出すことを主目的としているように見える。
「あぅ〜」
しかも体の上部(特に胸の辺り?)に泡を貯めておきたいようだが、
凹凸の少ない彼女たちの体ではいつまでも泡を留めておくことはできないようだ。
折角作った泡もすぐに、舐めるように胸からお腹へと垂れ、下のデルタ地帯へと溜まってゆく。
…意図したわけではないのだろうが、その様は下手に見せるよりもよほどエロチックだ。
「…んで、ただ一緒に風呂に入りたかったのか?」
このまま見続けるのは性心上とても宜しくない。というか目覚めてしまいそうなので、
状況を変えるべく水を向けたが、より悪い状況へと加速していった。
「ん〜違うよ。お祭りをしにきたって言ったじゃない。あぁもういいや!じゃぁシアー、いくよぉ!」
「う、うん!ユートさま!」
ネリーの合図で、二人が突然飛びついて体をこすりつけてきたのだ。
「おわぁ!」
こんなところでも性格の違いが出るのか、ネリーは俺の背中を、体を大きく動かして大胆にこすりつけ、
シアーは俺の腕を取って丁寧に体をこすりつけてゆく。
ただ、どちらも肉付きが良いとはいえない上に、運動に適した体作りをしているだけあって、
その感触にはやはり硬さがある。
しかし、微かな胸のふくらみや、女性特有の皮下脂肪のもたらす微妙な柔らかさが、
所々感じる硬さに対するアクセントとなって、飽きることの無い刺激を与え続けててくれる。
そしてなにより、成熟しきっていない少女特有のきめ細かな肌触りが石鹸の滑りに助長され、
“シルクのような”などという陳腐な修辞では語り尽くせない甘美な触感となって脳髄を襲う。
とはいえ、俺にゆっくり堪能できるほど余裕があるわけも無く…
「ちょ、ちょっと、あぅっ!やめろって!ぉぉっ!?いったい何の真似だ!?」
「何って、だからユートさまが言っていたお祭りだよ。ほら、そのアワオドリってやつ?」
「泡踊り!?」
「ぁ、ぁの、なにか違うのかな?」
「ち、違うっ!いや、違わないけど、でも違うっ!っていうかこんなこと誰に聞いた!?」
「コウイン」「コウインさま」
あの色ボケロリ坊主ー!
「あのな、いいか二人とも」
と、俺は二人の攻撃が止んだ隙に二人の方を向く…のは大変危険なので、そのまま背中で語りかけることにする。
「アホ坊主が何を言ったか知らないけど、俺が言いたかった祭りはこれじゃないし、
それにこういうことはその…好きな人同士でやるものだから、軽々しくやっちゃ駄目だ。分かったか?」
努めて冷静に話してはいるものの、実際分かってくれないと困る。正直理性はデッドゾーンぎりぎり一杯だ。
「…ネリーたちはユートさまのこと好きだよ?」
「あ、あのぉ、それならユートさまがシアーたちのこと嫌いだから、駄目なんですかぁ?グスッ」
「いや、待て!そんな事は無い!俺もお前達のことは好きだぞ!」
(…あ、やべっ)
「ホント!?じゃぁ続けてもいいよね?」
(やっぱりそうきたか!)
なんと言うか、王を守るために持ち駒を使って、逆に身動きが取れなくなった状況だ。
ふと二人のほうを見ると、ネリーは期待に顔を輝かせ、
シアーは捨てられた仔犬のような、すがるような視線を送ってきている。そんな顔をされたら…
「…あぁ、いいよ」
(ほら詰んだじゃないか!)
「わーい」「わ〜い」
そして攻撃は再開された。今度はシアーが背中の左側を、ネリーが右側を分担するようだ。
こうなってはしょうがない。ここは娘と戯れる父の心境で、邪心を排すればいいんだ。
すべすべのお腹とか、ふにふにの胸とかは考えないようにすればいいだけだ。
(胸とか…)―ふにふに
(胸とか………)―ふにふに
「…ひょっとしてシアーの方が胸大きいか?」
「!!」
あ、ネリーの動きが止まった。
「ユートさまのバカ!た、確かにお胸はネリーの方がちょっとだけ負けているけど、ほんのちょっとだからね!」
「うんうん。わかってるって」
「う〜!それに、背だったらネリーの方が高いんだから!…少しだけど」
結構気にしていたのだろうか、必死になって弁明するネリーだが、
背が高いっていうことは、相対的にもっと胸が小さいってことだよな。
ま、指摘するのも可哀想なので、適当にお茶を濁しておくことにする。
「そうだったのか?そうかぁネリーはすごいなぁ」
「むっか〜!いいもん!ユートさまがそういう態度なら、
意地でも「ネリーの方が気持ちよかった」って言わせてやるんだから!」
何が気に入らなかったのか、そう宣言すると同時に、今まで以上に体を密着させ、大きくグラインドしはじめた。
ただ胸のことを言われたからか、上体を起こして、あまり胸があたらないように、体の下半分をこすりつけてくる。
おかげで腰のあたりに、なんだかぷにぷにしたものが当たっているような…
いやいや、今の俺は明鏡止水。気にしない気にしない。
(…ホントだぞ?)
「ネリーだけずるいよぉ。シアーもユートさまに誉めてもらうんだから!」
うれし…もとい、厄介なことにシアーも負けじと攻撃を強化し始めた。
僅かな差とはいえ、自分のアドバンテージを有効利用するつもりなのだろう、
ネリーとは対照的に前傾姿勢になって、より体重をかけるように密着する。
若干ネリーよりも柔らかい肌の感触に加えて、首筋辺りに頬擦りしながら熱い吐息をかけてくる凶悪な攻撃に、
宅の息子ももう大変なことに!
(でも我慢!がんばれ理性!)
……
…
「はぁ、はぁ」「ん〜、ふぅ」
初めこそぐしゅっぐしゅっ、っと石鹸の泡が肌に押しつぶされる音が派手に響いていたが、
今は石鹸がもう落ちたり乾いたりしたためか、水音よりも荒い吐息の方が目立つようになってきた。もう頃合だろう。
「あの〜二人とも?もういいよ。サンキュ、気持ちよかった」
「はぁ、はぁ、でもまだ前を洗っていないよ?」
「あ〜、前は色々問題があるからやらなくていいや。じゃぁ体を流して出ようか?」
「ん〜、んっ、ふっ」
しかし何故か二人ともこすりつけるのを止めようとしない。
「お、おい、もういいって!」
「だ、だって、止まらないんだもん!」「シアーもぉ。なんだかもどかしいの」
そこで俺ははじめて二人の変化に気がついた。ネリーの下半身がこすりつけられている腰のあたりには、
なんだかぬるぬるしたものが感じられ、シアーが胸を押し付けているところには柔らかいだけではなく、
コリコリとした二つの突起の感触があった。
「ねぇ、ユートさまぁ。お胸とお股がなんだか切ないよぉ。ネリー達どうしちゃったのぉ?」
(………ぷつん)
「…わかった。じゃぁ俺が教えてあげるから、今度は前の方を洗ってもらえるかな?」
「え?前も洗っていいの?」
「ああ。お願いしようかな…」
「わーい」「わ〜い」
その頃のエスペリア
(ユートさま…遅い!このままではお料理が冷めてしまう。うん、それはよくないですよね?)
(だからちょっと覗きに…ではなく、お食事の準備が出来た事を伝えにいかないといけないと)
(別にやましいことはないし、ごく自然なこと…ですよね?)
クドクドと自分を説得中。
暑かったのでむしゃくしゃしてやった。
スピリットなら誰でもよかった。
今では反省している。_r ̄|○
微エロG.J.!!
やっぱり悠人は流されますか(w
光陰や今日子がスピ達にハイペリアの(間違った)知識を
教えて、悠人を困らす……なんか普通にありそうだ。
GJ
光陰は普通にやるだろうな…
自分もマロリガンから連れてきたスピリットにやらせてるかも
なつまつり氏
泡描写がエロイ、、
G.J.です。あ〜仕事から帰ってきてこのスレが伸びてると癒されるなぁ。
光陰・・・・・・期待を裏切らない奴。このあとを妄想してみました。
「おい悠人、なにやってんだ俺も混ぜろよ」
わざとらしく颯爽と現れる光陰。しかし既に悠人は神剣に飲まれていて、もはや誰でもよかった。
「・・・マナだ、マナが足りない・・・・・・」
「へ?お、おい、ちょっと、冗談だろ、ちょ、ちょっと待てーーーーー!あーーーーーーーー!!!」
「ユートさま、お食事の用意が・・・・・・あら・・・・・・す、すみません、失礼しました!!!」
「待て、たのむ待ってくれ、おーーーい・・・・・・あっ・・・・・・♪」
(どきどきどき・・・・・・・まさかユートさまとコーインさまがあのような御関係だったとは・・・・・ぽっ)
こうしてある意味3P?の夜は更けていった。
・・・・・・お目汚しすみませんorz
あ、ネリーよりシアーの方が胸が大きいのは激しく同意ですw
そうじゃないと困る(何が)
GJでした。
おのれ光陰……ナイスアドバイス!
何というか、コミカル系SSにおける助演男優賞ものですね、光陰。
石鹸プレイハァハァ(*´Д`)
GJ!
しかしこの一件今日子にばれたら光陰は悠人もろとも黒こげだな。
いやそれ以上かも。
双子というものは元来、
活発な娘
大人しい娘
胸は活発≦大人しい
と決まってる\(゚∀゚)ゝ
(瑠璃色の雪etc)
(はじるす系、最近だとMinDeadBloodにはオパイ差は無さそうだけど
性格は踏襲)
ま、エロゲ上、同じ娘を登場させるのは
ほとんどないでしょ
どっちでも良くなるし
光陰「ロリが足りない…ロリをよこせ」
因果(ええい、落ち着け契約者!我輩の精神を蝕むのはやめんか)
光陰「おっ、あれはオルファたんだ! オルファた〜ん可愛いでちゅね〜」
因果(くっ、気をしっかり持たねば…、このままでは我輩がこやつに乗っ取られてしまう…)
光陰「ネリーたんとシアーたんの水浴びハァハァ」
因果(わ、我輩は永遠神剣第六位『因果』だ、このような煩悩の権化に決して屈しは〜!)
光陰「いぃーーよ!! ヘリオンたんのドジっ娘っぷり、いぃーーーーーーよぉぉぉ!!!!!」
因果(だ、誰かこやつを破壊して…)
>>610 つーと、ゲーム中では因果は既に光陰に乗っ取られていた為、あんなに大人しかったのですねw
とりあえず合唱
光陰、恐ろしい男だ・・・
正に「因果」だな
とりあえず光陰は見るだけで満足するタイプであってほしい。
少女時代のエスが毒視線にさらされなくて良かった。
煩悩即悟。因果応報天網恢々雷撃張殲
>>589 一応、ナナルゥとニム、それとイオさんについてはネタはあります。
ただ残りのメンバー分のネタが無くて四苦八苦しています(^^;)
つーか、これに需要が有るのかすら怪しいしw
ナナルゥとニムとイオに需要がないと申すか!
ノ∩
⊂ 615ヽ
/( 。A。 )っ
U ∨ ∨
,ノし /
∧_∧∩. .' / .
(# ´∀`)/ ./し' / 俺の神剣でガバガバにしてやるぞドチクショウ!
(つ / ./
人⌒l ノ / '
し(_)
うゐー、需要は十分にあります
雑魚スピスレを見くびらないでいただきたい
618 :
615:04/07/24 11:44 ID:44MT0lCF
>>616 >>617 あ――その少し言いにくいんだが、自分レスする相手を間違えたかもしれん。
よく読んでみたら
>>589は
>>586にレスをしているようだし、諸君も濡れを
>>586と勘違いしているようだ。
濡れは
>>586では無いし、当然赤松チックなネタも無い。
濡れが誰かは詮索せんでくれ……凹んでいるから
619 :
586:04/07/24 12:20 ID:0SR5kWMm
へこんじゃ駄目よー。どんなネタでもwelcomeー
つーか男一人 ハーレム状態になる話って
赤松系しかしらないのでそう表しただけよー。
おいらの神剣凸で618の心のスキマを埋めて
620 :
589:04/07/24 13:26 ID:RN+z60oB
>>620 Thanksおかげで立ち直れた、お礼と言っては何だがネタを投下しておく
大型船が完成した事をラキオス王から直に聞く。
船名はハイペリアで一番有名な船に因んで『タ●タニック』にする様に具申しておく。
処女航海には、自ら乗り込むそうだ、実に楽しみだ。
警備兵と警備について話し合う、途中隊長さんから部下に尊敬されていないと愚痴られる。
そこで『鎧を赤く塗って、兜に一本角を付ければ尊敬されますよ』とアドバイスする。
思わぬところでハイペリアでの知識が役に立った、世の中不思議なものである。
マロリガンとの戦争を控え、スピリット達から大統領と王の違いについて質問が来た。
取り合えずハイペリアではと前置きした上で、王は血統によって引き継がれていくためデブでも成れるが、大統領は民衆から選ばれるため少なくとも、
『自分専用の空飛ぶ船に紛れ込んだ反逆者どもを相手に素手で立ち向かい、幾つもの危機を乗り切り、敵を殲滅し「私の船から出て行け!!」』
と叫べる人じゃないとなれない、と答えておく。
ゲリラ戦の達人だから人間といって油断しないように、とも注意しておく。
多少現実とのズレがあるかもしれないが、おおむね問題ないのでそのままにしておく。
ユート「ハイペリアの事をよく知ってもらう為に、もっと積極的に教えてあげないと。もっと頑張らなくては」
……ってよく考えたら雑魚スピでてね〜じゃ無いか●| ̄|_
次に投下する時には、ちゃんと雑魚スピ出すんで勘弁してください
あの映画、無駄に死人が出てるからなあ。
針村峰土(ハリムラホウド)さんか
621のネタとある種真っ向から対立する意見なんだが、ファンタスゴマリアに海ってあったか?
海が無いならそれはそれで、ユートが海について説明するとかそんなシチュエーションがあっても
いいかもしれないな。
ついでに星座の話なんかして。
「北斗七星とカシオペア座の間に北極星ってのがあって、船乗りはそれを目印にして旅をするんだ」
「おい悠人、今はGPSがあるだろ」
「(光陰は放っといて)北斗七星ってのはヒシャク型で、カシオペア座は弓型だからどこにいてもすぐ分かるんだ」
「そう、そして北斗七星の近くに寄り添う小さな星が見えたら要注意、ってね」
「今日子もかー! みんなの夢を壊さないでくれよ」
……セリフの間に各自スピリット分を脳内保管してください。
イオで思う存分妄想したいが、漏れは設定資料集を持っていない…
>624
海はあるぞ。
それに面した国の国力がやばくなるような海が。
ゲーム立ち上げてマップの左上を見てみ。
サルドバルドにパートバルト湾がある。生命の皆無な死の海だそうな。
設定資料集によると海には何も無く、延々進んでも空間が捻じ曲がってるのでファンタズマゴリアに戻るとあるから、
小船はともかく大型船は無いような気がする。
まあ、そんな瑣末な事はともかく621のネタはワラタ。
誰も突っ込まない様なので一応。
○ サルドバルト
× サルドバルド
ソレはともかく死の海・・・・・・死海?浮くのだろうか?
まあドとトの違いなんてエスペリアの中の人にとっては日常茶うわなにwwくぁwせdrftgyふじこlp;@
┃/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┃|..なあ、最近求めタン(俺の要求に)応じてくれ
┃|..ないけど…どこか悪いのか?
┃\
グチュゥゥ! .┃ . ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.∧_..∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ...┃ .∧_∧
(`∀(;...´Д`)< お、奥に…っ! ...┃ ( .´Д`) ..∧_∧
(つ⊂ .(⌒) .\______ ...┃ ( ) (´Д`..;)
/.ゝ 〉,'__,,ノ ..┃ |.| | ( つつ ←求めタン
(_(__)_) ズチャ! ...┃ (__)_) ( ̄__)__)
↑ ↑ ┃ ↑ |\
誓い 求めタン ┃ 悠人 / ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┃ |..ちょっと体調が…ごめんなさい…
┃ \_____________
寝取られスレから
めちゃめちゃ海あったよーorz
設定資料集ホスィなぁ・・・
>>631 「世界」誕生の前触れですか?
「くちゅんっ!!」
目覚めの第一声はくしゃみだった。
嫌々ながらも目を開ければ一面真っ白。
ごしごしと手の甲で寝ぼけ眼を擦ってみてもやっぱり白。
それもそのはずシーツに頭まですっぽりと潜り込んで丸まっているのだから。
だが、その暖かなシーツに包まれているはずなのだがどこか肌寒い。
(あれ……窓開けっ放しだったかなぁ?)
風が吹いているような感じはないが一応確かめるべくもぞもぞ動き出す。
しばらく内部を蛇行しながら動いてやっとのことでシーツの端から顔を出す。
傍から見れば亀、もしくはみのむしと言った様子。
ともすれば眠気で今にも落ちそうな瞼を支えながら辺りを見渡す。
質素な六畳ほどの、家具も少ない実にシンプルな部屋。
(……窓開いてないです)
東側に面した窓からは朝焼けの光が入ってくるだけで風は入ってこない。
ぐるりと顔を回転させ南側の窓も見てみるがこっちもぴったりと閉じられている。
首を傾げながらもまたシーツの中に顔を引っ込める。
ぬくぬくとしたシーツの中でまた眠りの世界に旅立とうとするが―――
「くちゅんっ!!」
全身を駆け巡った身震いと寒気、それと共に出るくしゃみ。
どことなしか頭がボーとするような気もする。
ここまできたら症状に気付いてもいいはずなのだが―――
(……眠いからです)
と、考え、瞼を閉じて再び夢の世界に旅立っていった。
ほどなくして寝息と共にシーツが少し乱れ、端から艶のある黒髪が覗いていた。
「はぁ、面倒」
所変わって、時も変わって第二詰め所の厨房。
ぼやきながら厨房に立つのは『曙光』のニムントール。
ただ、声とは対象的に軽快な音と共に切り刻まれていく食材は見事としかいいようがない。
まがりなりにも刃物……神剣を持って戦うもの、包丁捌きはお手の物か。
厨房に響くのはトントンとグツグツの二つのリズム。
もっともニムが担当しているのはトントンのほうだけ。
切るのは得意だが味付けは苦手……という部類なのである。
一方、グツグツのほうを担当しているのは―――
「ほら、ニム。ちょっと切りすぎですよ」
いわゆるニムのお姉ちゃん……『月光』のファーレーン。
珍しくヘッドプロテクターを外した状態で理知的な顔には苦笑が浮かんでいる。
「あ、ごめん。お姉ちゃん」
未だに食材を切り刻んでいた手をピタリと止める。
なんだかんだ言ってお姉ちゃん子なのである。
どこぞのヘタレな隊長の言うことはあまり聞かないが義姉の言うことなら聞くのです。
「ん。いいのよ、それより出来たから盛り付けしてくれる?」
ニコリと笑った義姉にこちらも不器用ながら笑顔を返しながら頷く。
ほのぼのとした雰囲気が流れる。
二人が作っているのは一日の始まりとも言える朝食。
第一詰め所では『献身』のエスペリアが全てを受け持っているがこちらはローテーションだ。
基本的に掃除洗濯食事の支度、それぞれ二人一組で取り組むことになる。
そういうわけで二人は食事の支度をしているというわけだ。
しかし、本当はファーレーンのペアはニムではなかったのだが……。
そこらへんは言うと怖いことになるので言えない。
ただ、ファーレーンの今までペアになる相手はことごとく襲げk(以下略)……。
まあ、もともと二人の姉妹空間を壊すなど誰もする気はなかったのだが。
と、不意に厨房から居間へのドアが音を立てて開く。
開いたドアの隙間から顔を覗かせたのは『大樹』のハリオン。
「あのぉ〜お料理、出来ましたか〜?」
ニコニコと常に微笑を浮かべている。
「あ、はい。後は盛り付けだけですね」
ファーレーンもまたいつものように微笑を浮かべた顔で返事を返す。
「じゃあ〜盛り付けの終わったものから運びますね〜。皆さん待ちくたびれてますから〜」
飛び交う微笑、微笑、微笑。
間に挟まれ居心地の悪そうな盛り付け係ニム。
ていうか義姉とのひと時を邪魔されてちょっと不機嫌なニム。
でも、義姉の手前、どうしようもないので我慢しているニム。
一皿だけ微妙に怨念の篭った盛り付けになったが気にしない。
その後はやっぱり居心地が悪いものの仕事はきっちりするニムなのだった。
「って、あれ?ヘリオンは?」
料理の並んだ食卓で疑問の声をあげたのは『赤光』のヒミカ。
第二詰め所のまとめ役である彼女がいつも食事の挨拶をするのだが、一つだけ空いた席を見つけた。
ヒミカの疑問を聞いて初めて気付いたかのように皆も空席に目を向ける。
「珍しいね、ヘリオンが寝坊するなんて」
ヒミカに続いて声をあげたのは『静寂』のネリー。
「え、う、うん……そうだね」
シアーに続くように声をあげたのは『孤独』のシアー。
この二人もファーレーンとニムと同じような姉妹の関係である。
「そうよね〜……セリアとナナルゥも何か知らない?」
ヒミカが食卓についてから一言も喋っていない二人に声を掛けるが両者とも横に首を振る。
『熱病』のセリア、『消沈』のナナルゥ、両者共に喋る方ではないので仕方ない反応だ。
と、廊下へと通じる扉の向こうから「くちゅんっ!!」という小さなくしゃみが聞こえた。
いきなりの登場に唖然とするも気を取り直すヒミカ。
「えーと、お、おはようヘリオン」
少々ひきつった笑いになりながらも挨拶を返すがヘリオンはまたくしゃみ。
それと同時にゆっくりと扉か開いていく。
ぽよぽよと跳ねるツインテールを揺らめかせ、覚束無い足取りで入って来たのは『失望』のヘリオン。
「あ、皆さん。おはようございま……くちゅんっ!!」
開口一番、挨拶とともにくしゃみが飛び出す。
テーブルに向かう足取りもふらふらして顔は上気して少し赤い。
やっとのことで自分の席に腰を下ろしたヘリオンに皆の視線が向かう。
だが、ヘリオンはそのことに気付いていないのかポーと焦点の定まらない視線で食卓を見つめている。
「ま、とりあえず、全員揃ったことだし頂きましょうか」
ヒミカの号令と共にそれぞれが思い思いの食事を始める。
だが、そんな中ヘリオンだけが手をつけずに座っていた。
「ん?ヘリオン、食べないの?」
隣に座っていたネリーがヘリオンの顔を覗き込みながら尋ねる。
そこでやっと現実世界に返ってきたのか少々慌てながら
「あわわ、えっと、その、ちょっと食欲なくて……」
顔の前で手を振り振り、だがそれがいけなかったのかちょっとクラリとくる。
傾きかけたヘリオンを慌ててネリーが支える。
「ヘ……ヘリオン、だいじょうぶ?」
「だ……だいじょうぶ、だと、思います。ただ今食べると吐いちゃいそうで……」
少し青白くなった肌を押さえながら呟く。
現にクラクラと視界が廻って平衡感覚が保てない。
見てられないといった感じのヒミカが声を掛けようとするが先にナナルゥが―――
「………………妊娠?」
ピシリと音を立てて世界が止まった。
外界の音も聞こえず、静寂のみが場を支配している。
それは数時間のことでもあり、コンマ秒のことでもあって……。
次の瞬間にはいろんな意味をもった多種多様な視線がヘリオンに向けられていた。
「誰の子?誰の子!?」「まさ……か、ユート様」「ヘリオン……」
「おめでとう、お母さんね」「はぁ、面倒」「…………クスッ」
思わずたじろぐヘリオン。
全員(一部を除く)、好奇心満々の状態で身を乗り出してくる。
今にも飛び掛ってきて身体中を調べられかねない状況にヘリオンの決断は一つ。
すなわち、それは―――戦術的撤退。
椅子から立ち上がりドアへと向い全力疾走。
素早さがモットーのブラックスピリットなら逃走も可能だが、いかんせん今の体調を忘れていた。
イスから立ち上がった瞬間に猛烈な立眩み。
ついで一歩踏み出せば平衡感覚を失いそのままパタリと床に倒れこんでしまった。
最早、指一本動かせず暗くなっていく視界。
皆の慌てた声が聞こえるが最後にヘリオンが思ったのは―――
(ふぇぇぇーーん、貞操の危機……です)
「え〜と、39度6分……風邪ね」
額に氷枕を押し当てられヘリオンは自室のベッドに縛り付けられていた。
口元に入れられていた体温計も今はヒミカの手中に。
「あ……あの、わたしならだいじょうぶですから……」
もぞもぞと蠢きながら抗議の声をあげてみる。
が、返ってきたのは怒りを込めた鋭い眼光だった。
ビクリと体が強張る。
「あのね、皆に心配掛けさせないようにってのは分からないでもないけど、
その体で動き回られるほうが心配なの。だから大人しくしてなさい」
ピシャリとこう言われてしまっては返す言葉もない。
「はいぃ〜……くちゅんっ!!」
しょんぼりと縮こまりながら肯定の意を返すだけで精一杯。
意外と起きているのも辛かったりする。
そんなヘリオンの姿に幾ばくか表情を緩める。
「じゃあ、私達は訓練に言ってくるからその間大人しくしてるのよ。」
小さく頷いたヘリオンに満足げな表情を浮かべ立ち上がるヒミカ。
部屋の中にいた他の面々も口々に応援やら冷やかしやら言葉を掛けるとさっさと部屋から出て行く。
最後にヒミカが「おやすみ」とだけ言葉を残し扉を閉めると途端に眠気が襲ってきた。
「ふあぁぁぁ〜あ」
思わずでた大きな欠伸に赤面する。
思わず辺りをキョロキョロと見渡してみる。
(誰も見てませんよね……)
誰もいないことにホッと溜息をつくと―――
「…………クス」
天井から小さな笑い声が響いた。
赤面した顔を弾かれるように上に向ければ一対の瞳と出くわす。
天井に空いた小さな隙間から覗く目。
じー、と見詰め合う目と目。
と、唐突にいなくなる。
ただ、空いた穴からワインレッドの髪がちらりと見えたのは錯覚ではないはずだ。
「はぅ……」
小さく溜息をつくと、頭からシーツを被り白の海へと潜り込む。
ほどなくして心地よい眠気と共に夢の世界へと落ちていった。
不意に感じた人の気配に意識が浮上してくる。
目を開けば目の前は白……ではなく夕焼け色。
これから察するに随分な時間眠っていたようだ。
もぞりと体を反転……させようとするがシーツが突っ張って反転できない。
(…………ほえ?)
そんなに体に巻きつけてるかな?と思いシーツから顔を出してみる。
シーツを見渡す、別段異常は……な……い……。
「えぇぇ……むぐ」
叫びそうになる口を両手で押さえる。
反動でツインテールがぽよぽよと揺れた。
異常があった、それも大きな異常だ。
じー、とそのシーツの上に突っ伏している物体を見つめてみる。
尖った硬質の針金を思い起こすような髪質。
あどけないながらもキリリと引き締まった顔立ち。
ただ、よだれがちょっと垂れて汚い。
こんな特徴的な姿を持つのは知ってる中でただ一人。
「え……えと、ユート様?」
恐る恐る呼びかけてみる。
耳がぴくりと動く、と同時にゆっくりとだが瞼が開いていく。
ゆっくりと体を起こすと欠伸と共に大きく伸びをする。
「ん〜!おはよう、ヘリオン」
ふやけた顔で挨拶されて思いっきり動揺するヘリオン。
「え、えと、あの、そ、その、お、おはようございます、ユート様」
案の定言葉がひきつりまくりのどもりまくり。
そんなヘリオンの姿にユートは―――
「おやすみ、ヘリオン」
また寝た。
「って、ユ……ユート様!起きてください!」
ゆさゆさ、ゆらゆら。
小一時間揺すられ続けてようやく覚醒してくる悠人。
「ふあ……おはよう」
「あ、えと、おはようございます……って、じゃ、じゃなくてです!」
寝ぼけ眼を擦りながら体を起こす悠人と赤面してるヘリオン。
「ど、どうしてユート様がここにいるんですかぁ!」
「どうしてって……お見舞い」
さらりと言う悠人の二の句が継げなくなる。
「ヒミカから聞いたけど風邪、引いたんだって?気をつけろよ、風邪は万病の元って言うし」
しみじみという悠人、けれどヘリオンは別のことを考えていた。
(あわわ、ユート様と二人っきり……しかもわたしの部屋)
さっきから心臓がドキドキバクバク、顔の熱もあがっているような気がする。
救いを求めるように辺りを見渡してもやっぱりいるのは悠人ただ一人と自覚するだけ。
最大限できることといえばシーツで顔を隠すこと。
けれど半分だけ顔を覗かせて悠人を観察している。
と、唐突に悠人がこちらを向く。
「ん、顔が赤いな。熱あるのか?」
言葉とともにコツンと額に振動が響いた。
(……え?)
目の前に悠人の顔、しかもドアップ。
おでことおでこが引っ付きあい互いの熱を吸収している。
今の状態を認識すると同時に身体全体がゆでだこのように真っ赤になる。
「………ユ……ユート様?」
「うわ、凄い熱じゃないか!」
悠人が叫ぶと同時におでこのひんやりとした感触が遠のく。
(あ……)
ただ少し恥ずかしいけどもこのとき名残惜しいと感じてしまった。
「ちょっと待ってろ!」
扉を荒々しく開けて出て行った悠人だがすぐに戻ってきた、その手に洗面器を抱えて。
「とりあえず冷やさないとな」
タオルを水に浸してから絞るとゆっくりとこちらの額に乗せてくる。
ひんやりとした感触が熱を吸い取ってくれる。
(はう……気持ちいい)
表情が緩やかになって安心したのか悠人は「じゃあ、エスペリアを呼んでくる」と部屋を出て行こうとする。
けれど、なんとげなしに呼び止めてしまっていた。
「あ……あのユート様」
呼び止めに不思議そうな顔でこちらを見てくる悠人。
ただ、なんとなく呼び止めてしまっただけなので会話はないのだが……。
「えーと、あの、ユート様はどうしてそんなに優しくしてくれるんですか?」
「え?」
「わたしたちは……その……スピリットですし」
例え一時でも戦えないスピリットは処刑されても文句はいえない。
ただ、これに対するユート様の答えならなんとなく分かっている。
でも、一度聞いておきたかった。
「家族だから……かな」
少しの間逡巡していたようだが悠人はキッパリそう言った。
「もともと俺も、エトランジェで人じゃないし、スピリットとそう大差ないしな。
それに一緒に戦う仲間だ。家族といってもいいんじゃないか」
照れくさそうに笑う悠人、それを見つめるヘリオン。
「やっぱり、ユート様はユート様ですね」
あははと二人して笑いあう、と「くちゅんっ!!」とくしゃみの音。
悠人も話を切り上げるとエスペリアを呼びに出て行ってしまった。
後に一人ぽつんと残されたヘリオン。
ただ、その心のうちには何か温かいものが蟠っていた。
(家族……かぁ)
ムフフと小さく含み笑いをするとシーツの中に潜り込む。
ほどなくして襲ってきた眠気にそのまま身を任せた。
(今度はいい夢が見れるかなぁ……)
翌日、ヘリオンの風邪は完治し元気にドジっ娘ぶりを発揮していた。
だが、一方悠人の方はと言えば―――
「へ……へックショイ!!」
思いっきり風邪を移されていた。
「か……風邪は移すと治るっていうのは本当だったんだな……ガクっ」
精も根も尽き果てベッドで倒れる悠人。
『……情けない』
頭に響く『求め』の声がやけにこびりついた。
642 :
風変わり:04/07/25 02:02 ID:ldZYpfFm
ひがな一日ご〜ろごろ〜、風邪ネタ既出でちょっと鬱〜
(´-`).。oO(……と、ヘリオンの風邪っぴきを書いて見ましたが)
特に何の特徴もない作品……ふっ、駄目だこりゃ
風邪を引いた理由に関しては以前SS投稿スレに投稿した作品「血飛沫の舞う空で」と
ちょとリンクしてたりもしますが特に気にしないで下さい、あんまり関連ないように書きましたし。
……野郎共!いまだ戦術的撤退!!
>>642 >>……野郎共!いまだ戦術的撤退!!
そうは逝かない、濡れがしっかりリアルタイムで楽しませてもらったw
何はともあれGJ、GJだナナルゥw
>>642さん
何時でも誰かしらは観ているものです。
という訳で残念ながら私もリアルタイムで拝読させて頂きましたw G.J.です。
天井裏のナナルゥ、いいですね〜、なごみますね(ぇ
シーツを引っ張られたときにはハリオンか?と思いましたがそこからラブ展開とは。
っていうかうかつに風邪も引けませんな、第二詰め所はw
GJ!
んでもって君もだナナルゥ、GJ!
体温計て
きっと温度で色が変わる特殊な鉱石とかがあってそれをファンタスゴマリアでは体温計と(ry
セルシウス換算なのは気にしない。
言い忘れてた、GJ!
天上から覗いてたのは誰なんでしょう?
もしナナルゥだとナナルゥが面白キャラに。
ナナルゥッ!天井裏の散歩者なのかっ?他の住人の痴態も観察してたりして。
エスペリアとファーレーンは確か自分を慰め、、
「ハァハァ、ヘリオンタン・・・・・・ハァハァ」
「・・・・・・・・・・・・」
「ハァハァ、オルファタン・・・・・・ハァハァ」
「・・・・・・・・・ナナルゥ(ぼそっ)」
「ハァハァ、ナナルゥタン・・・・・・ハァハァ・・・・・・って、え?」
「・・・・・・・・・(くすっ)」
「な、なんだ、視線を感じる・・・・・・?」
「・・・・・・・・・(くすくすくす)」
「(目が合う)・・・・・・あの〜、ナナルゥさん?そんなとこでなに、を・・・・・・?」
「・・・・・・・・・(じーーーーーー)」
「あ〜あの、このことはどうか、今日子には何分内密に・・・・・・」
「・・・・・・・・・(こくっ)」
さっ!
「・・・・・・・・・・・・」
以来光陰がナナルゥと目を合わせることは無かったといふ。
ナナルゥ最強だなw
「ナナルゥあなた最近手ぇ抜きすぎじゃないの!?」
「ヒミカ……ゆうべは三回だった……」
「え……なななな、なんの話」
「じーーーー」
「こ、今回は見逃してあげるわ」
「……勝利」 v
忍者ナナルゥw
ナナルゥか?
時代はナナルゥなのか!?w
折からのSS連続投稿のため10日間連続高騰を続けていた雑魚スピ市場は、ここに来て
ふたたびヘリオン株に買い注文が殺到、買い材料豊富なヘリオン株の一人勝ちかと思わ
れてきていたが、関連株のナナルゥ株が意外な伸びを見せ本日の上昇率トップを伺う勢
いだ。
25日未明から吹き上がった雑魚スピ市場ナナルゥ株は、未だ買い注文が殺到。売りが全く
ない状態でストップ高へと市場関係者の期待を集めている。
>655
マーケティングリポート?
んじゃ訓練師株でも買って置くかな
んじゃクェドギンが変化したイオ株で
剣聖株いきます。
じゃあ ナポ… いえっ
なんでもないです
ここは時深姐さんと今日子の空売り。マジおすすめ。
エキスパンション買っても多分今日子は放置するな俺。
ティッシュなど存在しないであろう世界で、ユート君の事故処理は、
やはりもっぱら風呂場であろうか。
>>663 アセリアルートにその答えが。
だいたい風呂場でんなことしてたらエスペリアに
速攻で見つかるって。
でもあの世界紙は存在するんだよな
>>664 えっなんかあったっけ?アセリアとウオシュレットくらいしか覚えがないが。
エスペリアはもしかしたら風呂掃除で痕跡探ししてるかもな。
「ここの床……なんだか突っ張りますね……」
>>666 エチシーンだからってテキストスキップすんなよw
はっきり「普段は抜いてない」とユート君が。
・・・・信じられないことだが。
「ふははははーーー!!!
このヨーティアさまにかかればハイペリアのてぃっしゅなど、再現するなんて朝飯前さーーー!!!」
「おおっ!もう完成させたのか、さすがはヨーティア!よっ!天才っ!
早速だが緊急事態だ、すぐにそのてぃっしゅが必要なんだ、もらっていくぞっ!」
「それはかまわないが・・・・・・っておーーーいユート、そっちはトイレだぞ!」
「うるせーーーーっ!もう辛抱たまらんのだーーー!!!」
バタンッ!!
「やれやれ・・・・・・なにをあわてているんだ、あやつは・・・・・・」
(こ、これでこの地獄から開放される・・・・・・ハァハァ・・・・・・)
「・・・・・・・・・・・・」
「ハァハァ・・・・・・ってえっ!ナ、ナナルゥ、なんでこんな所に!」
「・・・・・・・・・(ニヤリ)」
「えっとこれはその・・・・・・男の生理というか・・・・・・」
「・・・・・・・・・ふっ」
「わ、笑ったな?今笑っただろ?くそーーー!ああそうだよ、だけどしょうがないじゃないか!
周りはなぜか美少女しかいないし後処理できなかったから、溜まってんだよ!」
「・・・・・・・・・くすくす」
「うわーーー!そんな哀れみの視線で見るなぁ!いや、見ないで下さい、お願いします!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・あのー、出来ればこのことは御内密に・・・・・・」
「・・・・・・・・・(コクッ)」
すーーーぱたん
「・・・・・・・・・・・・・」
その後悠人はナナルゥの顔をまともに見れなかったといふ。
>>668 G.J.
そーいやヨーティアイベントのあとで事故処理してたような気がするなあ。
ユート様の嘘つきー!
ナナルゥ!!見てないで手伝ってやれー!!
ヘリオンのイベントCGを見るたび
「事後処理であのおちりをフキフキしたい」と思った香具師は俺だけではあるまい
ふっきふきっ!ふっきふきっ!
>>667 別にHシーンだからってスキップするわけではないが記憶にないな。あの辺の話はアセリアが自分
にも赤ちゃんがどーのこーのとか、すっぽんぽんで皆に発見とか、二刀流とかそんくらい。
ヨーティアの後は、イオあたりが気を利かせてくれたと思いたい。
アセリア中巻買ってきた。あっけなく読み終わるなぁ。
表紙くらい書き下ろせよ〜。雑魚スピ紹介くらい書き下ろせよ〜
結局未だに『空虚』の位が分からないよ〜
で、そんなに悪くはないかなぁ、結構シナリオごっちゃになってますね。光陰&今日子にご不満
の方は買ってみると良いかもね。
OVAクル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
雑魚スピ来い!!
私の名前はナナルゥ。趣味は隠密活動。
・・・今日も元気にみんなの秘密を見て回る。
今日はヒミカの部屋の天井に隠れてみた。
部屋の中は暗いが、私には良く見えている。ヒミカは寝ているようだ。
10分ぐらい経ったときに、ふとヒミカが立ち上がった。
部屋の明かりをつけて、ベットの上に立った。
彼女はパジャマを下だけ脱いで、尻を突き出し
「びっくりするほどユート様!びっくりするほどユート様!」
と叫びながら尻を叩いている。
2〜3回したあと、何事もなかったかのように寝た。
頭のいい人のすることはよくわからない
次の日、ちゃんとユート様に報告しておいた。二人が会ったときが楽しみだ。
>674
GJ。ほかのスピリットも希望。
OVAか。以前書いたことあるかと思うが、ヨト語日本語切り替え可能にして欲しいな。雑魚スピも
ヨト語しゃべってくれ。
>674
すっかり不思議キャラになってしまって……ヒミカ。
ヨーティア「これを付ければユート殿の性能は10倍に跳ね上がるぞ!うぁはははははーっ!!」
「ヨーティアさまは……イオが遠征に出てから栄養失調になってしまって、昼間からあんなことばかり……」
ユート「みんなもよくやってるとは思うんだけど、瞬を相手にするにはどうも戦力が足りないんだよなぁ」
ヨーティア「ふむ、ならばこんなことも有ろうかと、拾ったマナ結晶をガメ……
もとい流用して極秘裏に開発した汎用スピリット型決戦兵器「Mech-Spirit」通称「めかすぴ」の出番だよ」
ユート「めかすぴ?」
ヨーティア「そうさ。マナ結晶を動力源に動く自信作。
各スピリットの特徴を元に特殊能力を搭載し、足りない戦力を補うにはもってこい!
青めかすぴは、口から大量の水を射出して赤スピリットの炎の魔法を鎮静させる。
赤めかすぴは、口に仕込まれた極秘機構から火炎放射する。
緑めかすぴは、口からマナ光を放出して仲間の回復が可能だ。
黒めかすぴは、口内の企業秘密システムからアンチブルービーム、通称ABBを発射するよ」
ユート「何か良くわかんないし、サポート専用っぽいけど凄そうだ!」
ヨーティア「さらに、士気向上のための楽団機能まで搭載されているのさ!
さあ、出ておいでめかすぴ隊!」
ユート「うわ、いつの間に何十体も!?つーか、二頭身!?」
めかすぴ隊「ワタシラメカスピ〜、ユートサマニ〜ツイテ〜イク〜。
キョウモ〜ハシル〜タタカウ、フエル〜ソシテ〜コ〜ワ〜サレ〜ル〜」
ユート「待て待て待て!こんなの歌われて使えるか!」
ヨーティア「ちっ、仕方ないねぇ、じゃ、二番だ」
めかすぴ隊「アオメカスピハ、ヒニツヨイ。アカメカスピハ、ヒヲフクゾ。
ミドリメカスピ、カイフクダ。クロメカスピニハ……企業秘密だ」
ユート「訳がわからないじゃないか!なんでそこだけヨーティアの声なんだよ!?」
ヨーティア「やれやれ、楽団機能は不評、と。で、使うのか、使わないのかどうなんだ?」
ユート「せっかくだから、俺はこのめかすぴを使わせてもらうよ!戦は数だな、ヨーティア!」
ヨーティア「くくく、ラキオスの技術は世界一ィィィィィーーー!」
シュン「なんだ、このスピリットの数は!?圧倒的じゃないか!?」
ユート「すごい、5倍以上のエネルギーゲインだ!」
聖賢「(求めとは違うのだよ、求めとは)……あのような剣と一緒にするでない」
ラキオス王「寒い時代になったと思わんか?あんな年端もいかぬスピリットたちも戦闘に駆り出して」
レスティーナ「はぁ・・・(って、おまえが駆り出してんだろが!ボケナス!)」
>679
個性がいろいろメカスピズ〜
やばい・・・クソワラタw
>>668 えーと、誰だったっけか?あのドイツの人。
シュトロなんたらとかいったかな?
>>679 どうせなら口以外の場所からも何か出して欲しかったな
鼻から牛乳出してみたりおっぱいミサイル(ドリル付き)とか
んで極めつけは、額が割れてくるっぽーと時報を知らせる機能が(ry
お、おっぱいミサイルは(ry
688 :
679:04/07/29 18:58 ID:KHBlPqE2
光陰によるめかすぴ改良計画企画書。
赤めかすぴ、火炎の威力上昇の為に手首にも放射機構の追加を求む。
黒めかすぴのビーム発射口を変更、音声機能を駆使し「メカラビィーム!」のボイス付きに。
緑めかすぴの回復光は口からの放出ではなく胸部からの吸引式に。
青めかすぴの水の射出口を……部に変更。(一部不適切な表現が含まれており自主規制)
光陰「ふう、ま、こんなもんだろう。実際に提出するわけにもいかないが、いざとなったら自力で改造して……くく」
今日子「ふぅん。何をちまちまやってるかと思えば……」
光陰「な、いや、これは違う!違うというか、規制部分はあれだ、鼻水のつもりだったんだ!」
今日子「言い訳になるかぁ!今回は趣向を変えて……これでも喰らいなさぁーい!」
http://etranger.s66.xrea.com/bbs/src/1091094384418.png 光陰「ギャアアアァァァ!」
確かに口以外から色々出ても良かったですね。
イメージが上図でしたので口の他に発射口が思いつかなかった。w
白メカスピにはぜひドリルの装備を!
>>688 ……んちゃ砲?
>>688 勝手に続き
光「…ふぅ、酷いメにあったぜ…アラ?黒めかすぴタンがいつの間にか改造されて…おぉっ!」
ダダダダ…ガバッ
光「こ、コレは…ビーム射出口が目に変更されてる!なんだ、悠人のヤツ判ってんじゃねぇか」
いそいそ…
光「にひひ…語尾に"にょ"も欲しいけど、まずは"メカラビィーム!"の試し撃ちを…っと」
うぃんうぃんうぃん…
光「いっけー!黒めかすぴタンっ!」
クワッ!
黒「光○力ビィ―――――――――んムッ!」(CV.石○博也
光「… orz
ところでそのメカスピなんだけど
ABC(愛撫接吻結合)兵器は搭載されてる?
身長129.3cm、体重129.3kg、BHW各129.3cm、
頭周り129.3cm、足の長さ129.3mmという究極のスペックでよければ……
―――――対サーギオス帝国決戦前夜。
ヨーティアのエーテルジャンプ技術によりケムセラウトの宿に移動して来たラキオスの
面々達は明日からの戦いに思いをはせ、それぞれの時間を過ごしていた。
「エスペリア、まだ起きてるかな。」
いやがうえにも緊張の高まる悠人は、少しでも自分の不安をやわらげようと、名参謀である
エスペリアから作戦を聞いておくため、彼女の部屋を訪ねることにした。
今日子、光陰という力強い味方が加わったとはいえ、サーギオスの帝国スピリット達の
戦闘能力は、これまで戦ってきた相手とは比べ物にならないと聞いている。
「隊長の俺がビビッてたらシャレにならないもんな。」
いつも冷静沈着なエスペリアならば優しい微笑みで、悠人を力強く励まし、勇気付けて
くれることだろう。
(いつも頼ってばかりでゴメンな、エスペリア)
悠人は心の中でエスペリアに詫び、彼女の部屋をノックした。
(あれ?返事がないな。もう寝てるのか。)
少し期待外れではあったが、さすがに起こすのはしのびないと思った悠人は
その場を立ち去ろうとした。
(―――?でも、中から声がする?)
ドアに背を向けようとしたその時、エスペリアがなにやら小声でぶつぶつ言っている
のが、部屋の外の悠人の耳に入ってきた。
「ははぁ、さては」
いつの事だったか、オルファと2人してエスペリアの部屋に入った時のことを悠人は
思い出して呟いた。
「また居眠りして寝言を言ってるな。」
普段のエスペリアとのギャップが大きいその姿を思い出し、悠人は先程までの
緊張もどこへやら、笑いをかみ殺しながら部屋を覗くことにした。
(こんな大事な時に風邪でもひかれたら困るもんな。)
悠人は自分に言い訳しながら心に湧き上がるわずかな罪悪感を
振り払った。
カチャリ。
静かにドアを開けた悠人の目に飛び込んできたのは机の上に拡げられた
サーギオス周辺のものであろう地図と、一心不乱にそれに見入っている
エスペリアの姿であった。
エスペリアは地図を見ながらぶつぶつと独り言を言っている。その額には
脂汗が浮かび、そしてそれが金色のマナとなって立ち昇っていた。
(うおっ!?起きてる?)
エスペリアが居眠りしているとばかり思っていた悠人は不意をつかれた格好となったが、
どう見てもただ事ではないその状況を見て、瞬時に隊長としての自分を取り戻した。
「おいっ、エスペリア!」
―――何か重大な情報でも入ったのか。それともサーギオス帝国軍の
戦力とは予想をはるかに超えるものなのか?
「どうしたんだ!何か異変があったのか!?」
「ハッ、ああっ!ユート様!?」
ガタンッ!
エスペリアは弾かれたように椅子から立ち上がり、その拍子に椅子が
大きく後方へと倒される。
「い、いえっ!何でもありません!」
「なんでもないって事はないだろ?」
――おかしい。明らかにエスペリアはうろたえている。「今さら何が起こっても
驚かないから言ってみろよ。どうせもう後には引けないんだからな。」
「は...はい。実は、明日からの対帝国戦の計画を色々と
考えていたものですから...すみません...ユート様が
いらっしゃった事にも全然気が付きませんでした。」
悠人の態度にやや落ち着きを取り戻したエスペリアは
答えた。
――どうやら重大な戦況悪化などではなさそうだ。
「―――そうか、エスペリアは完璧主義だからな。まあ、あんまり
根をつめすぎないでくれよ。作戦も大事だけど、エスペリアだって
戦いでは防御の要なんだからさ。」
悠人は諭すように言った。
「――はい、ご心配をおかけして申し訳ありません。」
「いや、俺も夜に突然来たりして悪かった。じゃ、おやすみ。」
「はい、お休みなさいませ。」
悠人は倒れた椅子を元の場所に戻し、静かにその場を離れた。
「あっ...すみません。」
椅子が倒れたことも気付かなかったエスペリアは慌てて
悠人に謝ったがその時には悠人の姿は部屋にはなかった。
「ユート様に余計な気苦労をさせてしまった・・・」
悠人が出て行った部屋の中でエスペリアは肩を落とした。
しかし、すぐに気をとり直し、再び地図に視線を戻す。
「えーと...ここがリ、リレ、リレルラエルで...こっちが
ゼ、ゼギオス...え?ぜいぎおす?もう、なんなのよ、
小さい『ィ』ってええっっ!!!」
そう、作戦解説係のエスペリアにとっては敵赤スピの強力魔法
アポカリプスUよりも恐るべき相手、それがサーギオスの地名
であった。地名が致命的な天敵。
(エスペリア、頑張れよ)
実は部屋の外でいやらしくも聞き耳を立てていた悠人は
心の中でエスペリアにエールを送った。
(その後には難敵の「秩序の壁」も控えているんだ。)
しょうもないオチの話を黙って見守ってて下さったスレの皆様、
本当にすみません。十行ぐらいで終わらせるつもりだったんです、
こんな小ネタ。書いてるうちに収拾がつかなくなって。
夏の暑さに魔が差しました。
乙!!
エスペリアだけ台詞が異常に多いしなぁ・・・
しかも地名とか紛らわしいのがあるし。
中の人も大変だっただろうな。
こんな苦労があったとは…参謀そして語り部としての重責を改めて認識。エスペリアも乙!
しかし努力の甲斐あって?リエルラエルは味のある、良い発声でした。
今でもなんか耳に残ってるしw
あ、リレルラエルだったのか…すまん、エスorz
ワロタ。どっかを占領しそうになったり誰かがレベル上がりそうになると
前もってセリフの練習してたりするのだろうか。
エスペリアにこんな苦労を……気付いてやれなくてスマン orz
赤スピガミ青スピガ黄スピガミ
ミが抜けた
○ 青スピガミ
× 青スピガ
「赤スピガミ青スピガミ黄スピガミ赤スピガミ青スピガミ黄スピガミ赤スピガミ青スピガミ黄スピガミ赤スピガミ青スピガミ黄スピガミ・・・・・・
言いやすいです」
なぜ黒や緑や白がなくて黄なんだ
赤スピ青スピ白スピ黒スピ緑スピリレルラエルサルドバルトレベルがレベルが新たに日々精進です
>>709 「貴様っエスペリアじゃないな!ってナナルゥか……何をやってるんだ、わざわざエスペリアの
メイド服着て。それにあまり似てないぞエスペリアの真似なんだろうけど。
えっ胸がきつい?……そ、そうか」
712 :
まえがき:04/07/31 23:44 ID:HyE9Nagc
7月某日、遅ればせながら「永遠のアセリア」コンプリート完了。
未だ興奮冷めやらぬその手で、更なるアセリアの世界を求めて検索開始。
そして、私はこの世界に辿り着いた・・・。
「こ、ここがハイペリアか・・・?」
そして、『失望』の道行 読了。
「うわぁ、超大作だよ、他の人の作品もめっちゃ面白いし・・・。」
これじゃ、私の作品なんて恥ずかしすぎて書けないカモ・・・orz
いや、しかしそれで私は満足できるのか?
『私は、まだ萌え尽きてはいない!』
・・・え〜、と、いうわけで、素人ながらこのスレに参加させていただければと思います。
掲示板にSSを投稿するのは初めてなので、いろいろと失敗するかも知れませんが・・・。
どうぞ、気長にお付き合いお願い致します〜〜。
追記・ヘリオンたんネタはもうお腹一杯という方はごめんなさい!
―城塞都市ランサ―
大陸中央に位置するダスカトロン大砂漠に隣接するこの町は、古くからその地理的条件の為に争乱の渦中にあり続け
たという歴史を持つ。近年のイースペリア国とダーツィ大公国の睨み合いに於いても、戦略的拠点として重視され始終
小競り合いの絶えることはなく、膨大なマナ資源が防衛施設とその守備部隊へと投入されてきた。それは両国が滅び、
共にラキオス王国に併合された現在となってもいささかも変わるものではなかった。
そして聖ヨト暦331年、コサトの月。今まさにランサは開闢以来最大の脅威を迎えていた。
後世の歴史家の多くはこの時期こそがその後の永遠戦争の趨勢を決めたと分析する。
曰く「もしも賢者ヨーティアの発明による挽回策が取られるのが、あと一月遅かったならば。」
またある者は曰く「或いは帝国の参戦が史実よりもわずかに早く、また本格的なものだったならば。」
・・・現在のファンタズマゴリアは、また別の姿を見せていたであろうと。
それほどまでにヘリヤの道を北上するマロリガン共和国の尖兵<天空の稲妻>部隊の攻勢は苛烈であり、対してそれ
を迎え撃つラキオス王国の精鋭――エトランジェ<求め>のユート率いるスピリット部隊の疲労と緊張は頂点に達して
いた。わずか一月前。部隊は一度はヘリヤの道を南下し、マロリガンの突端にあるスレギトの攻略に成功したかに見え
た。しかしそれはマロリガンの策謀であり、切り札<マナ障壁>の発動により危うく全滅の憂き目を見る所であったの
だ。ユートの機転により九死に一生を得た部隊は止むを得ずスレギトを放棄し、ランサに撤退し防備を固めねばならな
かった。
それより前。女王レスティーナの理想に共鳴し、王国の客分となった賢者ヨーティアの協力によって、果てし
なく続くかに見えた辛苦の時に幾ばくかの光明は見えた。しかし未だ実用化はならず、今しばらくは、この防戦一方の
状態を強いられ続けなければならないのだった・・・。
「・・・嫌な風だなぁ。」
トレードマークのツインテールを揺らしながら、楼上のヘリオンはひとり呟いた。
日はとうに落ちて夜の帳が下りてはいたが、このうだるような暑さが収まってくれる気配はない。それというのも、
この熱く乾燥した風が絶えず吹き続けているからだ。年々拡大を続けるダスカトロン大砂漠の影響なのだろう。見張り
塔の上などにずっといれば、体中砂だらけになるし喉はいがらっぽくなるし、ろくなことはないのだ。
まじめでどちらかと言えば我慢強いヘリオンだったが、たまには愚痴りたくなるのも無理もないと言えた。
そして何より不都合なことには、舞い上がった砂塵の為に極度に視界が制限されてしまうのだ。
(夜襲があるかも知れない。)
それに備える為の見張り番ではあったが、杞憂であって欲しいと願わずにはいられなかった。しかし、これまでにも
頻繁に攻撃を仕掛けてきた稲妻部隊が、この機をみすみす見逃すとは思えなかった。
戦闘になる・・・ヘリオンはその強烈な圧迫感に侵されながら、背筋を先ほどまでとは違う冷たい汗が流れるのを感
じていた。
知らず知らずに暑さでだらけた表情を引き締めながら、緊張を取り戻す。
そうして改めて警戒を続けていると、ふと視界の端に人影を見たような気がした。
――キィン!!!
それを確かめようと身を乗り出そうとした時、腰に佩いた永遠神剣<失望>が警戒音を鳴らした。
そして間を置かず死角から襲い来る斬撃!!
「わっ・・・と・・・・た・・・・!!?」
「・・・チィ。」
ウィングハイロゥを展開しながら、持ち前の素早さで塔から離脱することで、間一髪難を逃れる。ようやく空中で体
勢を整えた時には、既に襲撃者は飛び退いた後だった。
「ふ、ふぇ〜〜〜。かわせて良かった・・・。」
気配を感じ取らせずにこれほどまでに接近してくるとは、かなりの手練れに違いない。
見れば相手はその手に黒塗りの神剣(小太刀のような形状をしている)を構え、間合いを計っているようだった。奇
襲の為か身を包む黒装束は露出が極めて少ない。頭巾から零れる黒髪とウィンドハイロゥを持つことから、恐らく自分
と同じブラックスピリットであると思われる。見張り塔にはある程度の灯りは確保されていたのでそこまでは判別でき
たのだが、このまま闇夜の空中戦となれば相当不利な状況に追い込まれてしまう事だろう。
「・・・小娘にしてはやる。」
事も無げに呟く。
「こ、小娘って、確かに私はちっちゃいですけど!」
日頃から気にしている為か、こんな時でも反応せずにはいられない。だが当然敵がいちいち取り合うわけもなく、す
ぐさま次の攻撃をしかけてきた。
「シッ!」
「きゃうっ。」
やはり間合いを取りづらい。咄嗟に横にかわしたが、今度は左腕に浅手を受けてしまった。
自分の役目としてはすぐにでも警鐘を鳴らして来襲を知らせなければならないのだが、どうやらそれはさせて貰えそ
うになかった。例え隙を突くことができたとしても、灯りを背にしてしまえばますます攻撃をかわすことが難しくなっ
てしまう。当然襲撃者は一人ではないだろう。今となっては仲間が神剣同士の衝突による波動を察知してくれることを
祈るばかりだった。
「うぅ。ユートさまがいたらすぐに助けに来てくれたかなぁ・・。」
確かに彼女が敬愛する隊長とその神剣<求め>ならば、気配を抑え忍び寄る襲撃者をも察知できたかも知れない。し
かし彼は報告事務の為に現在王都ラキオスへと飛んでおり、明日の昼にならなければ帰還しない予定だった。
既に数合切り結び、深手こそないもののその度にヘリオンは傷を増やしていった。今こうしているうちにも新手がや
ってくるかも知れない。これ以上の時間のロスは致命的な結果を招くことになるだろう。
――覚悟を決めるしかなかった。
何度目かの攻防の後、お互いに飛び退いて距離を取る。そしてヘリオンは呼吸を整え、ブラックスピリットだけに許
された極限の集中の世界へと入っていった・・・。
「とうとう観念したか。」
次を最後の一撃とするつもりなのだろう。襲撃者は神剣を構え、不敵に言い放つ。
気押されそうになりながらも、精一杯の声を振り絞って反駁するヘリオン。
この状況を打開できるのは、自分自身しかいないのだ。
「あ、貴女の太刀筋は大体読めました・・・・・行きます!」
ハイロゥの推進力を全開にし、砦の屋根を足場として踏み込む。そしてその突進は、襲撃者の予想を大きく超える速度
を持っていた。
「な・・・!」
驚愕に眼を見開きながらも己が神剣を振るうが、ヘリオンはそれを身をよじる事によってかわす。
「はぁぁぁぁ!!」
そして次の瞬間。<失望>は襲撃者の肩口を突き通していた。・・・寸分違わず、急所をわずかに"外して"。
襲撃者は痛みのあまり神剣を取り落としてしまい、呻きを上げながら落下していった。
「い、生きてますか・・・・?」
落下はかなりの衝撃だったようだ。土煙が上がる街道に警戒しながら降り立つ。
戦わねばならなかったとしても、できれば殺したくはないのだ。
捕虜となったスピリットがどんな扱いを受けるのか想像はできなかったが、マナの霧へと還るよりはマシだろう。
普通のスピリットであれば、そんなことは考えもしないだろう。それがヘリオンが他のスピリットと大きく違う点で
あり、彼女を悩ませる欠点だった。―――そう、それは欠点なのだ。このファンタズマゴリアに於いては。
リアルタイムに出くわしたので連投支援
「・・・痛たたた。一体何が?」
転げ周り砂だらけになった頭を抑えながら、状況の把握に努める。体は節々痛むが、幸い大きな怪我はないようだ。
所々、打撲はしているかもしれないが。
「何をしているの、早く次に備えなさい!!」
「す、すみません!・・・て、あ、セリアさん!?」
怒鳴られて初めて、目の前で新手の襲撃者と対峙する女性に気が付いた。
配置が近かったセリアは、いち早く襲撃に気づき駆けつけたのだ。
そうしてみると、今のは自分を助ける為に彼女が突き飛ばしてくれたのだろうか。
もし彼女の救援が間に合わなかったら・・・。
ヘリオンはそう想像すると、ブルルと震えた。
視線を戻すと、セリアは敵ブルースピリットの猛攻を何とかしのいでいたが、神剣を取り戻したブラックスピリット
が横槍を入れてくる事もあって形勢は悪い。更に後方には、いつの間に侵入して来たのかレッドスピリットの姿までが
見えた。
(早く加勢しなきゃ!)
慌てて立ち上がると、自分が<失望>をしっかり握っていることを確認して駆け寄っていく。
襲撃者達は一旦飛び退くと、素早く散開し二人を包囲した。
「セ、セリアさんその腕!?」
自分を庇うために負傷したのだろう。鮮血に染まるセリアの左腕を見て、ヘリオンの瞳に後悔の色が広がっていく。
(私の為に・・・すみません、セリアさん。)
「この程度のダメージ、大したことはないわ!・・・それよりもしっかりしなさい。切り抜けるわよ!」
「はい!」
そうだ、今は考える時ではない。3対2。気を抜ける状況ではないのだ。
☆早速やってしまいました・・。こっちが本当の第一幕5です・・・orz
襲撃者・・・ブラックスピリットは、仰向けに倒れながらも、起き上がろうとしているようだ。
彼女の神剣はヘリオンから見て右斜め前方、ちょうど二人から同じくらい離れた地点に突き刺さっていた。
「お願いです・・・これ以上抵抗しないで下さい。」
<失望>を突きつけて呼びかける。襲撃者はヘリオンに射る様な眼差しを投げかけながら、決して外さずにゆっくり
と立ち上がると前屈みになった。手負いの今、相手に勝ち目はないはずだ。仮に神剣を取りに走ろうとも、到達する前
に止めを刺せるはず。
「そ、そのまま両手を挙げて下さい。早く!」
それが相手にも解っているはずだと、ヘリオンは思いたがっていた。
実際その事に間違いはなかっただろう。・・・これが、1対1の戦いだったならば。
今度はヘリオンが驚愕する番だった。
あろうことか勝ち目のない筈の襲撃者は、何の工夫もなしに一直線に神剣の元へと駆け出したのだ。
(斬らなきゃいけないんですか・・・!?)
躊躇しながらも接近するヘリオン。しかし彼我のスピードの差は明らかだった。落下した際に骨折でもしたのだろう
か、こちらが神剣の落下地点まで到達した時、まだ襲撃者はその半分程度しか進んでいなかった。
(殺さずに済ませられないかなぁ。)
一瞬、そんな考えが頭をよぎる。今ならば、まだ間に合うかもしれない。
戦闘時の思考ではない。そうして目の前の相手にばかり集中していた為に、ヘリオンはついに気づくことはなかった
のだ。背後から、別の襲撃者・・・ブルースピリットが接近していたことに。
ヘリオンには、目の前の相手、ブラックスピリットがにやりと笑ったように見えた。実際には相手の顔は頭巾に覆わ
れていたのだからそんな事が解る筈はなかったのだが、違和感を覚えた時には、既に自分の体は衝撃を受けて吹き飛ん
でいる最中だった。
「・・・痛たたた。一体何が?」
転げ周り砂だらけになった頭を抑えながら、状況の把握に努める。体は節々痛むが、幸い大きな怪我はないようだ。
所々、打撲くらいはしているかもしれないが。
「何をしているの、早く次に備えなさい!!」
「す、すみません!・・・て、あ、セリアさん!?」
怒鳴られて初めて、目の前で新手の襲撃者と対峙する女性に気が付いた。
配置が近かったセリアは、いち早く襲撃に気づき駆けつけたのだ。
そうしてみると、今のは自分を助ける為に彼女が突き飛ばしてくれたのだろうか。
もし彼女の救援が間に合わなかったら・・・。
ヘリオンはそう想像すると、ブルルと震えた。
視線を戻すと、セリアは敵ブルースピリットの猛攻を何とかしのいでいたが、神剣を取り戻したブラックスピリット
が横槍を入れてくる事もあって形勢は悪い。更に後方には、いつの間に侵入して来たのかレッドスピリットの姿までが
見えた。
(早く加勢しなきゃ!)
慌てて立ち上がると、自分が<失望>をしっかり握っていることを確認して駆け寄っていく。
襲撃者達は一旦飛び退くと、素早く散開し二人を包囲した。
「セ、セリアさんその腕!?」
自分を庇うために負傷したのだろう。鮮血に染まるセリアの左腕を見て、ヘリオンの瞳に後悔の色が広がっていく。
(私の為に・・・すみません、セリアさん。)
「この程度のダメージ、大したことはないわ!・・・それよりもしっかりしなさい。切り抜けるわよ!」
「はい!」
そうだ、今は考える時ではない。3対2。気を抜ける状況ではないのだ。
二人はお互いを庇い合いながら、必死の抗戦を続けていた。しかし、セリアの動きが悪い。
気丈に耐えてはいるが、これ以上の出血は危険だった。
何回目かの衝突の際、意識を失いかけたセリアがふらついて隙を見せる。咄嗟にヘリオンがフォローに入るが、攻撃
を受け止めるその背でセリアは膝をついてしまう。
好機と見たレッドスピリットが詠唱を開始すると、それを合図に襲撃者達が飛び退いた。
「くっ・・・マナよ、我に従え・・・氷となりて・・・。」
セリアがバニッシュを試みるが、それよりも先に相手の魔法が完成する。
間に合わない・・・ヘリオンは、来るべき衝撃に備えて身を縮めた。
「くらえ!ファイア・・・」
――ボガォン!!
そう唱えようとした瞬間。レッドスピリットは魔法が発動する前に業火に包まれ、何が起こったのか理解する間もな
く、その身を金色の霧へと変えていった・・・。
「え・・・え、え、え!?」
「・・・後の先です。」
二人の窮地を救ったのはナナルゥが得意とする、イグニッションの魔法だった。
機先を制する高速詠唱魔法ならばこそ可能な芸当である。
「ナナルゥさん・・・来て下さったんですね!」
「敵レッドスピリット、沈黙。引き続き迎撃にあたりましょう。」
「もう・・・遅いじゃない。待ちくたびれた・・わ・・よ・・・。」
それだけ言うと、セリアは糸の切れた人形のようにその場に倒れ伏した。最後に試みた魔法の為に、気力を使い果た
してしまったのだろう。今の今まで戦い続けられたというだけでもさすがと言うべきだった。
続いて駆けつけてきたハリオンが、あわてずに治療を開始する。遠くからは、他の仲間達の声も聞こえてきた。
襲撃者達は状況を見て取ると、すぐさま撤退に移ったようだ。
(助かったんだ・・・・。)
全身から力が抜けていくのを感じながら、ヘリオンはへなへなと崩れ落ちるのだった。
・・・いきなりやってしまうとは;
コピペミスで、6番と5番を入れ違えて投稿してしまいました・・・。
まえがき書いてから次の投下するまでコピペだけなのに20分以上もかかっちゃったし。
今後も何かやらかしそうなので、第三幕の途中まではもう執筆済みなんですが、
二、三日修行してから投稿しようかと思います。
Kc9PP/nWさん、連投支援ありがとうございました。
読みづらいかも知れませんが、どうか見てやってください。
他の方々も、もしよろしければ投稿の際の形式の「いろは」
などについてご教授いただければ参考にさせていただきたいと思います。
それでは最後に、少しだけあとがきらしきことを・・・。
「明日への飛翔」第一幕開始となりましたが、この物語は北方5カ国が統一され、
レスティーナ女王が即位した後からの始まりとなります。
(ゲームでもルート分岐って大体ここらへんから顕著になりますし)
展開の都合上たまに話が過去に戻ったりして、構成力不足から不自由をおかけ
する事があるかもしれませんが、精一杯がんばって完結まで持って行きたいと
思いますので、温かい目で見守っていただければと思います。
それでは、またのお目見えまで失礼します。
読んだよー。
文章に関しては突込みどころが無いほど整ってますね。
変換ミスなども見当たらないことから、よく推敲されていることが想像できて好感が持てます。
道行と並んで大作の予感がするので、この調子で頑張ってくだされ。
あと、あえて苦言を呈するなら、余計なお世話かもしれませんが、
謙虚過ぎる態度は逆に反感を買ってしまう場合もあるかもしれません。
もっと気楽に投稿してくれてもよいかと思います。
GJ。
出囃子からヘリオンがカコよかったりと道行とはまた違った展開になりそうですね。
第2ヘリオンルート楽しみにしてまー。
初投稿お疲れ様です。
きれいな文章で読みやすく、
また物語もいきなりの戦闘シーンで緊迫していて、先が気になります。
ヒロインのヘリオンだけでなく、セリアやナナルゥもいい味が出ていると感じました。
続きを楽しみに待っています。
次回以降の保管庫へのバックアップ対象としては、以下の作品群を想定しております。
誤字脱字等の訂正事項がありましたら、お手数ですが作者の方は上記連絡スレまで
ご一報下さい。
夏風邪セリア
鮮やかな命(ひ)
溜息
ネリーの不満
なつまつり
風邪は万病の元?
エスペリアの憂鬱
明日への飛翔・第一幕
あくまで管理者の主観的な判断で「小ネタ」と思われるものは対象外にしておりますが、
この選別に異議のある方も、上記連絡スレまでお願いします。
そして連投スマソですが、スレ移行タイミングまで残り50KBとなったようですので、
これより移行準備態勢に入りたいと思います。
・次スレテンプレ用の煽り文を募集します。
・以後のスケジュールは、
460KB時点で次スレテンプレ投下、
475KB時点で次スレ移行となります。
・残り容量との兼ね合いから、長編SSは投下しづらいタイミングになりますので、
近日中に投稿を予定しておられる方は、予めその旨と、想定容量(KB)をご一報下さい。
以上、よろしくお願い申し上げます。
>>722さん
初投稿お疲れさま&G.J.です。
シリアスな展開にヘリオンの一面が又補完されるのかと期待しています。
・・・・・・果たして悠人に出番はあるのか?w 二幕以降が楽しみです。
(え〜と、名前欄これでいいのかな^^;)
皆さんいろいろなご感想ありがとうございました。何よりの力となります。
>>保管庫の中の人さん
どうもお疲れ様です。なるほど、スレ移行の時期なんですね・・・。
第二部は明日あたりに投稿する予定だったのですが、そうすると投下しづらくなるかもですね。
と、いうことで早速これから投下してみようかと思います。
(容量は、20〜25KBくらいになるかな?)
では、失礼します〜。
翌日。スピリット隊ランサ仮詰所の広間では、昨夜の襲撃についての報告が行なわれていた。
「・・・当方の損害は軽傷1名。重傷1名です。戦闘により西門付近の街道と建築物に被害がありましたので、修繕
が必要かと思われます・・・敵残党は<静寂>のネリー、<孤独>のシアーの両名が追撃にあたりましたが、ランサ西
方に逃走したらしいということが解っただけでした。次に・・・」
ナナルゥが報告書の要点だけを淀みなく読み上げていく。
負傷したセリアの代理だったが、普段無口な彼女の声をこれだけ聞けるのは、こういう時くらいのものだ。
ヘリオンは暗鬱たる気持ちでそれを聞きながら、昨夜の失態を恥じて落ち込んでいた。
劣勢の中、彼女が奮闘したということは事実なのだが、そこに至る理由もしっかりと報告書には明記されていた。
――止めを刺すのを躊躇って、それを敵につけこまれたと。
それに、当然真っ先に追撃に移るべき自分が、後から来たネリー達の背中を呆然と眺めていただけだったというのも大きなマイナスポイントだった。これでは、セリアの苦労も報われないというものだろう。
そんなヘリオンの様子を気遣ってかどうか、悠人がとりなすように言う。
「取り逃がしてしまったのは仕方がないさ。深追いして危険を冒すより良かったと思う。そんなことよりも・・・」
大事なことがある、と悠人が尋ねる。
「セリアの容態はどんな具合なんだ?」
それを受けて傍らのエスペリアが答えた。
「治療したハリオンによれば、傷自体は既にほぼ塞がったそうです。・・・命に別状はないようですが、大量に血を失っていますので、体力の回復には少し時間がかかるかと思われます。」
「そうか・・・。ゆっくり治療に専念して貰わないとな。」
顎に手をあてて考え込む悠人。正直、ここでセリアが抜けるのは痛い。
「・・・それじゃ、今日からしばらくセリアの抜けた穴には俺が入る事にするよ。」
「そんな、ユート様は昼2の時間帯にも入っているじゃありませんか!」
慌てて抗弁するエスペリア。
「ラキオスに報告がある時は午前中に往復するようにして、時間までには戻ってくるよ。・・・それで、悪いけど報
告書はいつもより早めに作るようにして貰えるかな。」
「報告書の事はかまいませんが、それではユート様のお体が持ちません!」
「これまでだって皆ギリギリでやってきてるんだし、仕方ないさ。・・・だいじょうぶ、こっちが攻めてるわけじゃ
ないし、暇な時は詰所で休めるんだから、楽なもんさ。」
冗談めかして言うが、防衛時には、攻撃時とはまた違う疲労があるのだ。いつ果てるともない防戦が続けば、精神は
急速に疲弊していく。解りきったことだったが、しかし、それを主張しても悠人が意見を翻すことはないだろうという
事もまたエスペリアは知っていた。いつもそうなのだ、この自分達の隊長は。
「・・・承知致しました。けれどもユート様。それならば、他の者の配置も少し調整させて頂きます。まずは・・・」
諦めたように言うと、副隊長兼作戦参謀の権限を駆使して分担を決めていくエスペリア。彼女の信念から言えば人間
である悠人が自分達と同じように苦労を分かち合おうとするのはとんでもない事なのだが、彼がそうしようとする事に
これ以上異議を唱えることはできなかった。・・・ならば、その前提で彼の負担を軽減しようとするしかない。
「・・・と、いうことにさせて頂きます。ユート様、よろしいですか?」
「え、ええと・・・良いんじゃないでしょうか。」
実際はどういう配置になったのかほとんど把握できていなかったのだが、エスペリアの有無を言わせぬ迫力にただ頷く
ことしかできない悠人である。それは、その場に居合わせた全員にも同じことが言えた。
「そして最後にヘリオン?」 「は、はいぃ!?」
びくりと反応して立ち上がるヘリオン。あ・・・椅子が倒れた。しかしそれを直そうとする余裕もなく、極力エスペリア
と視線を合わせないようにしながら言葉を待つ。
「・・・あなたには、今日からラキオスで別の任務について貰います。」
そういったやりとりがあったのが、もう一週間も前のこと。
ヘリオンはがっくりとうなだれながら、ラキオスの街道をとぼとぼと歩いていた。
「・・・・はぁ。」
本日何度目かの溜息。あの時エスペリアに言われた事がショックで、またそう言われるのも当然だと思うに付け、未
だに情けなくなってくるのだ。今もまた、そのシーンを繰り返し思い出していた。
『あなたのミスで一人が重傷を受け、部隊全体にも影響を与えました。これ以上皆が危険にさらされないようにする
為にも、しばらく前線から外れてもらうことにします。』
厳しく宣言するエスペリア。
『エスペリア、何もそこまで・・・。』
悠人が庇おうとしてくれたのは、ヘリオンにとってちょっとだけ嬉しい記憶だった。
『いいえユート様、重要な事です。失敗には相応の罰が必要です。そうでなければ、他の者にも示しがつきません。
これも一度や二度じゃないんですからね。それに・・・。』
『それに?』
『・・・いえ、これは後ほどお伝えします。・・・とにかく、指示には従って貰います。良いですね、ヘリオン?』
昔から怒る時は怖いエスペリアだったが、これほど強い口調で叱責されたのは初めてだった。
元よりヘリオンに逆らえるわけもなく、こうして言われるままにラキオスへと戻ってきていたのだが・・・。
最初は、単なる配置換えかと思っていた。
以前からスピリット隊には、ラキオスに交代で駐留し、王都の防衛と不穏分子の警戒を担当するという役割があり、
ヘリオンも何度か経験があった。(現在はアセリアとオルファがその任務にあたっている。)
しかし今回自分に命ぜられたのは、それとは違う特別任務なのだという。
そしてその内容は、研究を続ける賢者ヨーティアの<護衛兼助手補佐兼連絡要員兼その他雑務従事者>という長った
らしい肩書きの、要するに使い走りをするというものなのであった。
ただでさえ気の弱いヘリオンのことだ。歴史上最高の天才とまで呼ばれる人物の下で働くなど、考えるだけで眩暈が
しそうだったが、今ではあの型破りな性格にもすっかり順応してしまっていた。
余計な事を考える暇もないほど次から次へと用事を言いつけられたせいもあるだろうが、何より大きな理由は、ヨー
ティアが普通の人間とは違い、スピリットを蔑視していないらしいという事がすぐに解ったからだった。
(ユートさまに似ているかも・・・。)
どこがどう似ていると指摘することはできないが、何となくヘリオンはそう思った。
ヨーティアとその助手のイオとの関係を見ていると、その接し方が本当に自然なことに驚かされる。
もちろんいつだって、イオのヨーティアに対する丁寧な態度は変わることがないのだが、だらしなく眠りこけるヨー
ティアを叩き起こすイオの姿などは、ちょうど朝に弱い悠人に手を焼かされるエスペリアの姿に重なって見えた。
このラキオスでは悠人達が住む第一詰所とヘリオンのいる第二詰所とは離れているのだが、各地の拠点で仮の詰所を
接収した時などには、同じ屋根の下で起居することも多い。
そうした時は朝食も一緒になるのがほとんどなのだが、その時の悠人はいつにも増してぼぅっとしていた。
そんな風に考えると、自然とヨーティアに対する親しみが沸いてくる気がするのだ。それに、ヘリオンはイオに対し
ても、憧れに近い想いを抱いていた。
自分みたいにちみっちゃくないし、理知的で、多少融通の利かない所はあるものの、そのミステリアスで神秘的な雰
囲気はまさに「大人の女性」という感じだった。セリアやエスペリアなども自分に比べれば大人なのかも知れないが、
彼女達はどちらかというと「頼れるお姉さん」というイメージがある。
それに・・・「戦うこと」以外に道を見出しているスピリットに会うのは、彼女が初めてだった。
そんなこんなで、すぐに弱音は吐くし細かい失敗はしょっちゅうだったが、元々まじめで一生懸命なヘリオンは、
ヨーティアに始終からかわれ通しではあったが、気に入られていたのだった。
「でも・・・はぁ・・。」
やっぱり忙しさの合間には、こうしてついつい溜息が出てきてしまうのだ。
境遇に不満があるわけではないが、これで良いのかという思いがある。
「私って、ユートさまの役に立ってるのかなぁ・・・・。」
それが、一番重要な事だった。この仕事に一体どれだけの意味があるのだろうか。
ヨーティアを手伝うという事は重要な任務ではあるのだろうが、自分にはイオのような知識も技術もない。できる事
と言ったら雑用くらいのもので、何も自分でなくても用は足りるのだ。
もっとも、スピリットでそれが務まるというのも日頃から第二詰所の面々に鍛えられたヘリオンだったからこそとい
うのもあるのだが、そこには思い至らないようだった。
これが面倒くさがり屋のニムや落ち着きのないネリーだったならば、一日目で叩き出されていたに違いない。
それでも、ヘリオンは自分が楽をしていると思っていた。
一応護衛も兼ねている事になってはいるが、そもそもヨーティアの研究所は王宮や貴族の邸宅に匹敵する強力な警備
体制が整っていたし、ものぐさな彼女が外出することは滅多にない。
平和な日常の中にいるというのはありがたいことなのだろうが、自分がこうしている間にも前線の皆は戦い続けてい
るはずだと思うと、いたたまれなくなる。
戦うことは相変わらず嫌いだったが、ユートさまの役に立ちたいという欲求はある。
ヘリオンは前線を離れて、自分にこれほどの強い思いが宿っていたということに、初めて気付かされていた。
思えば、今まで自分は何かをしたいと強く願うことがあっただろうか。
ずっと、戦いたくなんてない。でも戦わなきゃならない・・・そんなことを考え続けてきたように思う。
(今の私は、昔とは違うんだ・・・。)
ヘリオンは、自分が変わり始めたきっかけとなった出来事を思い返していた。
部隊への合流当初。ヘリオンは見るからに危なっかしいと思われたのか、悠人率いる本隊に配属されていた。
自ら先陣に立とうとする隊長の為に、自然と部隊内でも戦闘回数は多くなったが、先代スピリット部隊の生き残りで
あり今は副隊長を務める<献身>のエスペリアの守りもあり、後方からのサポートに徹することができた。
自分が直接止めを刺さずに済むことにほっとしているヘリオンだったが、幾度勝利を重ねても自分達の隊長は戦勝を
喜ぼうとはしない。返り血を浴びて悲痛な表情で立ち竦む彼の姿を見た時は、どこかひどく負傷してしまったのではな
いかと心配すらしたものだ。
いつもはぼうっとしているのに戦場では勇敢で、人間なのにスピリットに塗れて戦う。
――風変わりな、捉えどころのない青年――それが、ヘリオンが悠人に対して持っていた印象だった。
そしてサモドア陥落前夜。悠人率いるラキオススピリット部隊は、明朝の総攻撃に備えて野営を布いていた。
ヘリオンはその時見張り番ではなかったが、今までで最大規模の戦闘になるであろう明日の攻城戦を思うと、目が冴
えてとても眠りにつくことができないでいたのだった。
・・・多くの命が、マナへと還ることになるのだろう。そしてそれは、自分であるかも知れない。
(確か見張りは、シアーがしていたっけかな・・・。)
あの内気な友人は、焚き火の前で一人で夜の闇に怯えてびくびくしていることだろう。どうせ眠れないのだ、二人で
お喋りしていれば、この震えもまぎらわせる事ができるかも知れない。
そんな事を考えていると、どこからともなく苦しげに呻く男の声が聞こえてきた。
(ユートさまの・・・声かな?)
あの隊長はヘリオンにはよく解らない理由により、いつもスピリット達とは少し離れた場所で寝るようにしていた。
しかし、どうやら声はそれとは別の方角、もう少し遠くから聞こえてくるようだ。
他の者が気付いて目を覚ます様子はない。これが見知らぬ人間のものだとしたら少し不気味だったが、苦しんでいる
ようなら放っておくわけにもいかないので、ヘリオンは自分を叱咤し、声の主を探しに行くことにした。
焚き火のそばには何故か誰も見張りがいなかった。不審に思いながらも、声がする方向へと歩いていくヘリオン。
下草を踏み分けて森の中へ入っていくと、数分経って、暗がりで四つん這いになる人影を発見する。
「ユートさま・・・ですか?」
小さな声で、相手を刺激しないように誰何する。返事はなく、沈黙の中、雲が流れて月明かりが人影を照らした。
「ユ、ユートさま!大丈夫ですか!?」
果たして相手は悠人であったのだが、何やら様子がおかしい。
「ヘリオン・・・か?」
間近で叫ばれて、ようやく気付いたかのように呟く。見れば全身脂汗を流し、呼吸することさえ困難のようだ。
「だ・・・大丈夫だから、俺に近づくな・・・!!」
突然怒鳴られてびっくりしたが、それよりも得体の知れない空気に突き動かされて、ヘリオンは踵を返した。
「エ、エスペリアさまを呼んできますね・・・きゃっ!?」
背後に感じる異変に恐る恐る振り返ると、硬直し、視線が釘付けとなる。
駆け出そうとした瞬間、悠人の傍らにある彼の神剣<求め>が強い光を発したように見えたのだ。
<失望>が一瞬警戒音を鳴らしたように思ったが、今はただじっと沈黙している。
・・・何かこの場に、禍々しいオーラが漂っているかのように感じた。
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
彼女の隊長は、目の前で絶叫し、苦痛に喘いでいる。
直後、悠人は頭を抑えながら転がりだした。木の幹にぶつかろうが、小石を下敷きにしようがおかまいなしだ。
恐怖に縛られたヘリオンは、それをただ見ていることしかできなかった。
「ぐ・・ぅ・・あ、あぁあ・・・・だ、黙れバカ剣!!・・・大人しくしやがれ・・・・・・!!!」
そう一際大きく叫んでしばらくすると、悠人は転がるのを止めてその場にうずくまった。
いつしか禍々しいオーラは消え去っていた。静寂の中、悠人の深く呼吸する音だけが聞こえてくる。
「・・・・・なぁ、ヘリオン?」
どれだけの時が経っただろうか。肩で息をしながら、顔だけを向けて呼びかける悠人。
「は・・・はい・・・。」
「・・・悪いけど、水を一杯貰えないか。」
「怖い思いをさせちゃったな。」
ヘリオンの介添えで水を飲み干して、ようやく人心地ついたのか悠人が呟く。見張り無しで焚き火をそのままにして
おくわけには行かないので、今は野営地に戻ってきていた。
「い、いえ、そんな事は・・・。」
本当は大いにあったのだが、どう返答して良いかわからずに言葉を返す。
「あの・・・本当にエスペリアさまを起こして来なくて良いんですか?」
「ああ、気にしないでくれ。」
それだけ言うと、お互いに口に出す言葉が見つからずに黙り込んでしまった。
こういう時は、部下である自分から何か話題を振った方が良いのだろうか、それともそんなことしたら逆に失礼にな
るだろうか。あぁ、でもずっと黙ってるのも失礼かもしれないし・・・。
ヘリオンが悩んでいると、ふいに悠人が口を開いた。
「ところでさ、今気づいたんだけど。」
「ひゃ、ひゃい!?」
「落ち着いて落ち着いて・・・いやさ、ヘリオンが髪を下ろしてるのって初めて見たなぁって。」
「え、あ、そ、そうですね。いつもはリボンで結んでますから・・・。」
突然髪の事を言われるとは思っていなかった為にパニック気味になるヘリオン。今はいつものツインテールはほどか
れて、艶やかな黒髪が夜風になびいていた。
「あ・・・申し訳ありません・・・気を緩めてるわけじゃないんですが、寝る時はいつもこうなので・・・。」
「え?いや怒ってるわけじゃないんだ。ほら、ちょっと新鮮だなって思っただけだから。・・・そうだよな、普通下
ろすよな、今まではただ偶然見たことなかっただけか・・・ははは。」
「そ、そうでしか。失礼しました!そうなんです、いつもは寝る直前に下ろすので・・・あはははは。」
悠人としては沈黙に耐えられず何気なく振った話題だったのだが、それを怒られたと思われるとは言い方が悪かった
のだろうか。お互いに気まずさをごまかそうと二人は小さく笑い続ける。
「それじゃ寝てるのを起こしちゃったのかな。できるだけ野営地から離れたつもりだったんだけど、ごめんな。」
しばらくして、心底すまなそうに謝る悠人。
「いえ違うんです!・・・ただ、ずっと眠れないでいたら声が聞こえてきたので近づいただけで。」
「そっか、俺も何だか眠れなくってさ。シアーに言って見張りを交代して貰ってたんだ。」
「ユートさまでも、そんな事があるんですか?」
驚きだった。伝説のエトランジェでも、緊張したり不安になったりするのだろうか。
「しょっちゅうさ。・・・それでまぁ、夜空を眺めながら色々考え込んでたんだけどな。その内に急に頭が痛くなっ
ちゃってさ。いやはや困ったもんだ。」
何でもないことのように言うが、何かを誤魔化そうとしているのがありありと見えた。
ヘリオンはしばらく悩んでいたが、どうしても聞きたくなり意を決して尋ねる。
「ユートさま・・・聞いて良いことなのかわかりませんが・・・さっきユートさまが苦しんでいる時に、神剣が光っ
ていたように見えました。あれは・・・神剣の干渉のせいですか?」
まだ幼い頃。ラキオスのスピリット達のまとめ役だったエスペリアが、しきりに口を酸っぱくして言っていたのを覚
えている。神剣に呑まれてはいけない。心を、強く持ちなさいと。
ヘリオンの持つ永遠神剣<失望>は第九位に過ぎなかったが、悠人の持つ永遠神剣<求め>は第四位であると聞いて
いる。<失望>とは比べ物にならない力を持っているのだろう。そして、それだけ持ち主に与える影響も大きいのだ。
悠人は最初は難しい顔をしたが、こうなっては仕方がないとばかりにゆっくりと語りだした。
「・・・そうだよな、神剣については俺なんかより皆のほうがずっと良く知ってるか・・・。ヘリオンの言う通り、
このバカ剣がちょっと騒ぐんでな。皆の迷惑になっちゃいけないと思って野営地を離れてたんだ。・・・こいつ、
最近は戦闘続きで大人しくしてたと思ったんだけど、明日の戦いの前に欲張りだしたんだな。まったく。」
実際は、<求め>の干渉はちょっと騒ぐなどと言う程度のものではなかった。激しい戦いを生き延びる為に、今までにない強烈な圧迫を持ってマナの充足を求めたのだ。うら若き妖精達の・・・生気を奪う事によって。
ヘリオンはそのような事を知る由はなかったが、悠人は満足げに微笑んだ。
「でもヘリオンが来てくれて助かったぜ。俺一人じゃ、結構危ないところだった。ありがとな。」
そう、<求め>が自ら近寄ってきた獲物に反応して圧迫を強めたのは事実だが、守るべき仲間達の事を強く意識できたからこそ、悠人は尽きかけていた最後の精神力を振り絞ることができたのだ。
ヘリオンは、悠人に対してどう応対したら良いか解らなくなっていた。
その後も悠人は色々と話しかけてきたが、適当な相槌しか打てない。
このように自分に接する人間は初めてだった。ヘリオンの知っている人間は、スピリットに気楽に話しかけてきたりなんかしないし、何かして貰ったとしてもそれが当然だという態度を取るのが普通だった。
今までの戦闘でも何度となく庇って貰ってはいたが、ヘリオンは悠人が、満足に戦うことのできない自分を軽蔑しているのではないかとさえ思っていたのに。
「私・・・私は・・・。」
掻き乱され、止めることの出来ない感情が溢れ出す。
「ユートさま、私には、ユートさまにそんな風に優しくされる資格なんてありません!・・・ユートさまの剣になることもできないし、エスペリアさまのように盾になることもできないんです!!・・・私なんて、足を
引っ張るばかりで、私なんて・・・私なんて・・・・・・ふえぇぇぇ・・・。」
自分でも何を言ってるのかわけがわからなくなって、涙声になるヘリオン。
悠人はおろおろしながら、ぎこちなくヘリオンの頭を撫で回した。
「馬鹿だな・・・戦うことばかりが人の役に立つことじゃないだろ?ヘリオンは、ちゃんと俺を助けてくれたよ。」
「うぅ・・・っぐ・・・ひっぐ・・・・。」
こうやって頭を撫でられるのは二度目だった。自己紹介でとちって、舌を噛んで泣きそうになっている時にそうされ
たのだった。あの時は叩かれるのかと思ってびくびくしていたけれど、今はほんわりと暖かい気持ちになってくる。
昔エスペリアにそうして貰ったことがあったのを思い出し、でもやっぱり悠人にされるのは少しだけ何かが違うよう
な気もして・・・そうやって頭を預けているうちに、いつしかヘリオンは抱いていた恐怖をも忘れて寝入っていた。
「ありゃりゃ?・・・寝ちまったのか。しょうがないなぁ。」
悠人は苦笑するが、自分が何ともいえぬ優しい気持ちになっている事に気付いた。
つい先刻までは、望まぬ戦いを強いるラキオス王に対する憎しみや、戦争とはいえ恨みなどない相手を殺さなくては
ならない罪の意識と恐怖に苛まされていたいうのに。
(そっか・・・ヘリオンって、雰囲気が佳織に似ているんだな。小動物っぽいとことか、ほっとけないとことか。)
「やっぱりちゃんと助けられてるよ、俺。・・・だから、もう少し自信持てよな。」
寝てしまったヘリオンを寝床に移すと、起こさないようにそっと呟く。
――佳織を助ける為に・・・俺は戦わなきゃならない。それも、決して自分を見失ったりせずに。
悠人は、改めてそう自分に言い聞かせるのだった。
(それで、次の日に陥落したサモドアで、ユートさまがアセリアさんに語ってたんだよね・・・。)
想いに沈みながら、ヘリオンはその光景を思い出していく。アセリアの手を取りながら、生きる意味を探せと、命を
大切にしろと諭すその言葉は、傍らで聞いていたヘリオンの胸にも深く刻み込まれ、悠人に対する絶対の信頼と敬意の
念を抱かせたのだった。
以来、ヘリオンは何とかユートさまの役に立ちたいと願ってきた。それは信仰にも近い純粋な気持ちだったが、ヘリ
オン自身が・・・例えば、あの夜の悠人との語らいを思い出す度に疼きだす胸の高鳴りが何なのか・・・そういった感
情に気づくのは、もう少しだけ後の話である。
ヘリオンがそうしてラキオスの街道を歩きながら躁鬱状態を繰り返していると、突然腰の<失望>が震えだした。
「ひぁ!?」
『ヘリオン様・・・ヘリオン様・・・聞こえますか?』
「わわわわ、<失望>がぺらぺら喋ってる!!?・・・・って、その声はイオさまですか!?」
そうだった。その度ごとに驚いて心臓が止まりそうになるのだが、イオの持つ永遠神剣<理想>は、思念を飛ばして
遠距離での会話を可能とするような、いろいろ特殊な力を持っているのだ。
<失望>を鞘から取り出し、耳にあてようとするが、慌てるあまり指を誤って切ってしまうヘリオン。
『ヘリオン様、どうか落ち着いて下さい。』
イオの方も、ヘリオンの対応に慣れたのかまるでこちらが見えているかのような事を言う。
「も、もう大丈夫です・・・ちょっぴり痛いですけど・・・。」
『実は・・・ヨーティア様が、ヘリオン様の帰りが遅いと仰って機嫌を悪くしていらっしゃいまして・・・。』
「あぁああ!!・・・す、すみません〜〜、今すぐに帰ります!!」
<失望>を耳にあてながらその場でぺこぺこするヘリオン。端から見れば、これほど滑稽な姿もないだろう。
すっかり忘れていたが、今はヨーティアに命じられて買出しに行った帰りだったのである。
こけつまろびつして擦り傷を作りながら、研究所までの帰路をひた走るヘリオンであった・・・。
・・・・・・・。
今度は配分間違えました・・・・orz
(12/11ってなんだよ;)
と、とりあえず第三幕にはこんなことがないようにがんばります!
それでは皆さんまたのお目見えまで失礼〜〜〜(汗)
リアルタイムで拝読させて頂きました。まださわりのようですね。
三幕は次スレか・・・・・・お待ちしております。G.J.でした。
GOOD JOB !!
∩
( ⌒) ∩_ _
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /" .
_n グッジョブ!! ./ /_、_ / ノ'
( l _、_ / / ,_ノ` )/ /_、_ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` )( /( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ |  ̄ \ ( E)
/ / \ ヽフ / ヽ ヽ_//
746 :
エロ大王:04/08/01 21:21 ID:T+CZ7SG+
イイ!!、マジで・・・・おつかれさんでした。
よいですな〜〜〜ヘリオンはやはりかわゆいのう・・・・
時には切なく、また時にはダイナミックにキャラ設定を塗り替えて逝く。
メインヒロインズから雑魚スピまで、大作から小ネタまで。
だってしょうがないじゃないですか、メーカー補完がないんですからorz
妄想がバルガ・ロアーより深く沈み込んでしまった第二ファンタズマゴリアの住人達に
『永遠のアセリア EXPANSION』は今度こそ一条の光明を与えてくれるのか?
暴走と迷走を繰り返しつつ、
スピリット達に様々な幻想を追い続けるここはアセリアネタ総合スレッド。
>明日への飛翔
イイね(゚∀゚) かなりイイ。
へリオンの心情がよく書かれていて、エスやヨーティアや、ユートとの関わりが気持
ちよく書かれてます。左遷ヘリオンGJ w
行軍中の野営と言うのがゲーム中で書かれてないのが不満だったんですが、こん
な事も当然あり得るわけで。ユートくんやはり苦しんでたんでしょうか。戦闘でスピリッ
トを斬れば幾ばくかはおとなしくなるだろうけど、周りにグルリと美女が寝そべってるん
だもんな。
G
J
私の名前はナナルゥ。趣味は隠密活動。
・・・今日も元気にみんなの秘密を見て回る。
今回はヘリオンの部屋の天井に来て見たけど・・・留守みたい
他の部屋の仲間達に聞こえないようにスッと床に降り立つ。早速家捜しと行こう。
こじんまりとした部屋はきれいに片付いている。第2詰め所で部屋の片づけをしないのはニムとネリーぐらいだろう。
ふと、机の上の本に目が留まった。既製品の本ではない。自分で作ったものだろうか
『ヘビーアタックW〜ユートさま×コウインさま〜 作:黒魂へり☆おん』
中身を見てみる。
ユート様とコウイン様が激しく○○○で×××なことをしている・・・
・・・最初は気持ち悪いと思ったのに、目が話せないのは何故!?
逆に体が火照ってきた・・・恐ろしい本だ。読むだけでヒートフロアの効果があるなんて・・・
次の日
ユート「お、ナナルゥおはよう。」
ナナルゥ「・・・・・・・変態」
ユート「え・・・?」
そのころ
ヘリオン「えぅぅ〜、ネリーに見せてあげる約束の新作本が消えちゃった〜」
やはり、緑スピの天井に潜むと、「曲者っ!」とか云われて槍で突き上げられるのでしょうか。
ハリオン;気づかない
ニム;面倒くさい
ハリオンは普通に挨拶してそうだな。
対峙するシュンと今日子。緊迫した空気の中、今日子が先を取り攻撃を仕掛ける!
「貫けぇ!」
「ほらほら、剣を向けてみろよ」
今日子の攻撃をいなすシュン。だが今日子は即座に構え直し再び突撃をする!
「貫けぇ!」
オーラフォトンの防壁によってまたも防がれる刺突。
「今の貴様の攻撃だが……まるでピッチャーフライ取るみたいに簡単に受け止め――」
気を良くしたシュンは挑発の台詞を吐くが、既に今日子はそこには居ない。雷迅の疾さで
反転した今日子は一条の電光となって駆けている!
「貫けぇ!」
――加速された紫電のオーラフォトンが
「貫けぇ!」
――シュンの身を刺し貫き
「貫けぇ!」
――それは、器の破滅に足る衝撃だった。
「(は……速すぎる。なんだ? こいつの神剣は……? 時間でも止められたみ
たいに速すぎるッ…………!)」
困惑、疑念、混濁したシュンの意識は更に混乱し正常な思考力など最早存在しないだろう。
だが、そこでシュンは見る。今日子の手甲の中に仕込まれた短剣を――
「第三位・時果……そうか、きさ、ま……ごふっ」
……微妙に方向性を見失った気が。
要するに何が言いたいかというと、倉橋の人は時間を加速までして3回攻撃ですか、と。
エターナルでも無い人が5回攻撃できるのに。
きっとあの妙に大きな手甲の中におばさんのサブウェポンが入っててこっそり加速してるに違いないとか
脳内補完してみたらこんな物が完成。
「――お国のスピリットが『白い』ままとは、まったく意外でしたな。バーンライトはともかく、北方五国のうちでは最強と目されていた我がダーツィを平らげたラキオスのスピリットはどれほど『黒い』手練れかと思えば……と、これは失礼」
いやしくもラキオス王家の一員である自分の前で、忌憚どころか遠慮会釈もない見解を店ざらしにしてみせる壮年のダーツィ人に、佇んでいた窓辺から振り返ったレスティーナは、優雅に微笑んで見せた。
「構いません、剣士ジャドー・ロウン殿。事実を事実のまま述べたからとて、何の不都合がありましょう。御指摘の通り、我が国のスピリットはまだまだ未熟なのです」
「――恐れ入ります、殿下」
と、殊勝に頭を垂れて見せたのは、ほんの瞬きの間に過ぎなかった。
「ときに、ダーツィの禄を食んでいたこの私をお召しになられたからには、お国はさらなる壮図を企てておられる、と解釈してよろしいか?」
ジャドーは挑戦的な眼差しを年若い王女にぶつけた。ダーツィ大公国を併呑したラキオスは、今やかの神聖帝国と直接に境を構えてしまったのである。
今度の戦役に対しては中立を保っていたとはいえ、大陸随一の超大国であるサーギオスが事実上の属国を目の前で落とされて、このまま座視し続けるとは思えない。
ラキオスは、戦勝をもってこの難局を乗り切ったがために、対サーギオス帝国という途方もない難局に直面する羽目になった。その落としどころに苦慮せねばならないことを、暗に含めてのものである。
値踏みするかのようなぎらついた視線に晒されたレスティーナは、臆した風も見せず、淡い薔薇色の唇をわずかに綻ばせ、ジャドーに向けて一歩踏み込んだ。
「バーンライト、ダーツィの二国は、我らが龍の魂同盟の積年の怨敵。ラキオスは盟約に従い、それを討ち果たしはしましたが、未だ平和の兆す気配もありません。我々は、今後もせいぜい寝首を掻かれないために、軍備の弛みを戒めるのみです。
座して滅亡を待つ国家などどこにありましょう。生き残るために剣士殿のような人材が必要とあらばそれを求めること貪欲であって当然のはず。是非とも当家、いえ、ラキオスの国民のためにお力添えを賜りたく存じます」
「そのラキオスに滅ぼされた私には、随分虫のいいお話に聞こえますがな」
「故国の人々も、今では愛すべきラキオスの国民に相違ありません」
それは、レスティーナの本心であった。
「ふむ――建前論ではありますが、奢らず臆せず、理に適う。噂通り、当座を見誤らない聡明な殿下はいずれ史書に名を残す名君におなり遊ばすに違いない」
その途端、部屋の隅に控えていた侍従たちがざわめいた。
「なっ!?……言葉を慎まれよ、剣士殿……」
「構いません。剣士殿、痛み入ります」
色をなして詰め寄らんばかりの侍従を制し、レスティーナは、深々と頭を下げた。
むしろ彼女こそ、この人を食った男を今すぐこの部屋からつまみ出してやりたいところなのだが、王国のために資する人材と見込めばこそ、この程度の腹芸なぞ造作もない。
「これは恐れ多い。私は一介の剣士に過ぎません、頭をお上げくだされ。そこまでされては否やは申せません。どうぞこの武骨を、お国のためにお使いください」
レスティーナの大度に自尊心を満たされたか、ジャドーは手の平を返したかのように腰を低くした。「言葉多く、慇懃無礼」と言われるダーツィ人の典型のような男である。
「感謝いたします、ジャドー・ロウン殿。我がラキオスをよりよき道へお導き下さい」
頭を上げたレスティーナは、洗練された笑みを口元に貼り付けた。
公務という名の茶番は、ここに幕を引いた。
「それでは、早速明日より訓練を始めましょう。なに、ものの一月もあれば、連中も立派に黒く染まって、一層お国のために……」
意気揚々と所信を述べつつ立ち上がりかけたジャドーの背中に、レスティーナが声をかけた。
「率爾ながら、その儀には及びません」
「……今、なんと仰せられた?」
「我がラキオスの精兵には、帝国の流儀など無用に願います」
もはや大陸の主流となったサーギオス式の訓練法は、帝国に近しいダーツィ人、ジャドーの得意とするところ。
促成的にスピリットの自我を神剣に「食わせ」ハイロゥを黒く染め上げる。神剣の本来的な攻撃性向を解き放ち、「感情」という不安定要素を取り除き、兵器としての洗練を極める。
早い話が、スピリット同士を殺し合わせ、人為的に淘汰を行うバトルロイヤルに他ならない。
レスティーナは、それを拒絶したのである。
「……本気で言っておられるのですかな、殿下。スピリットになまなかな人間性など残しておいては、戦場における采配の妨げにこそなれ、何ら益するところはありませんぞ?」
レスティーナに向けられたジャドーの砂色の双眸には、驚きよりもむしろ呆れの色が見て取れた。
「もとより承知の上。サーギオス式を実践できるほど我が国のエーテル貯蔵は潤沢ではありませぬゆえ、貴重なスピリットを一兵たりとも損なうわけには参りません。
「それにこれは、我がラキオスの誇るエトランジェ、『求め』のユートの意志でもあるのです。訓練法は、旧態依然たる聖ヨト式で結構」
「なっ……馬鹿げている! スピリットの補充などさしたる難事ではありますまいに。スピリットを百体鍛え上げるよりも、九十九体を犠牲にして最強の一体を作り上げる方が遥かに効率的です。お国のエトランジェは、兵法に昏いとしか思えませんな」
この時レスティーナが浮かべた笑みは、同席した侍従たちの溜飲を大いに下げるに足りた。
「ふふ。よもやお忘れではないでしょうが、先般ラキオスのスピリットは、『白』のままながら、ダーツィの『黒』を破りました。帝国式合理主義の理論的優位性を覆す絶好の反証ではありませんか。
剣士殿は、元来聖ヨト式の泰斗であったと聞き及んでおります。その御令名を慕えばこそ、この席にて我が国への出仕を切望して止みません。それに旧法即ち悪法と限ったわけでもありますまい。
これを奇貨として、剣士殿が革新的な訓練理論を編み出されるならば、その堯名は永く史書に語り継がれるものと確信します」
「ううむ……」
レスティーナは絶句するジャドーを置き去りに、悠然とドレスを翻して客間を辞した。
数刻後、レスティーナの私的な客室にて。
部屋に軟禁されている佳織に楽しげに語りかけるレスティーナは、柔らかな物腰といい、くつろいだ雰囲気といい、先刻の彼女とはまるで別人だった。
公人としての威儀を脱ぎ捨てた彼女は、年相応の少女なのである。
「そうそう、そう言えばユートのことなんだけど……」
兄の近況に飢えていた佳織は、その名を聞いた瞬間、手にしたカップを握りしめた。
「ラキオスにはスピリットの詰め所が第一、第二と二つあるのだけれど、今日、彼が第二の方に臨時隊長室を開設したいって言ってきたのね。
隊長室は第一の方にちゃんとあるし、そこが使用不能になったわけでもないのにどういうことかって問いただしてみたら、『第二詰め所の隊員達と親睦を深めるため』ですって。
日替わりで二つの詰め所を行き来して、スピリット達と寝食を共にしたい、なんて、そんなことを言い出した隊長は今まで一人もいなかったのよ?
彼に妖精趣味が芽生えたんじゃないかって、言い出す大臣もいたけど、そう言われても仕方ないくらいおかしなことを考える人ね、カオリのお兄さんって」
と、呆れたようにレスティーナが肩をすくめてみせ、喉を湿らすべくお茶を一口飲み干す傍で、佳織は口元に手をやり、含み笑いをこらえた。
「うふふ……」
「でしょ? まったくユートは何を考えてるのやら……」
「あ、いえ、ごめんなさい。そのことはおかしくないと思います。ただ、とてもお兄ちゃんらしいな、って思ったら、それがおかしくてつい」
レスティーナはカップをソーサーに戻し、怪訝そうな眼差しを佳織に向けた。
「お兄ちゃん、らしい?」
「はい。お兄ちゃん、昔から仲間っていうか、友達のために何かしないではいられない人ですから」
「……友達?」
「ええ。だって、みんなお兄ちゃんと一緒に戦ってくれてるんですから。それはお兄ちゃんのためじゃなく、単に国のためなのかも知れません。
でも、理由はどうあれ一緒にいて、一緒に行動しているから、みんなと仲良くしたいというのはお兄ちゃんにとっては当然のことなんです」
言葉を選んで、佳織は兄の謎を解題してみせた。その言葉の端々から滲み出る兄への思慕の念が、レスティーナの心根にちくりと突き刺さった。
「ふうん……私たちのスピリットに対する認識からすれば、ユートの態度は奇矯に映るのだけれど、あなた達エトランジェには、そう言う感覚はないということなのでしょうね」
佳織は微かに首を横に振って、その憶測を否定した。
「いえ、悲しいことですけれど、私たちの世界にもそういうのはあります。多分、人が集まって社会を作る以上、それはどうしようもないのかも知れません。
ただ、お兄ちゃんにとっては、オルファたちは大事な仲間だって、たったそれだけのことだと思うんです。どこかおかしいでしょうか?」
「――でもね、カオリ。あのような姿形をしているから、あなた達エトランジェは混乱するのでしょうけど、こちらの世界では、スピリットはあくまで兵器……戦争のための道具に過ぎないのよ?
そのようなものに対して感情移入が過ぎると、とんでもない過ちが起きるかも知れないのに」
だから、「思い違い」してはいけないとレスティーナは一般論をもって諭したかったのだろう。
しかし不幸なことに、佳織とって、それは辛辣な皮肉にしか聞こえなかった。
「それなら、同じ事じゃないですか。あなた方にとって、エトランジェも兵器に過ぎないんですから……」
そこまで言って、佳織は言葉尻を飲み込んだ。「同類相哀れむ」というハイペリアの格言に該当する聖ヨト語を知らなかったせいもある。
「カオリっ!?」
レスティーナが、不意に席から腰を浮かしかけた。テーブルが揺れ、白磁のカップとソーサーが甲高い金属音を掻き鳴らす。その目を見た佳織は、はっと息を呑んだ。
驚きと、非難とが混ざり合ったその瞳が今にも泣き出しそうに見えて、佳織はやるせなく目を手にしたカップに伏せる。琥珀色の澄んだ液体が、わずかに揺れていた。
「ごめんなさい、レスティーナさん。あなたが、私たちによくしようとしてくださってることは、分かってるつもりです」
と、一端言葉を句切ったあと、佳織は縋り付くような目をレスティーナに向けた。
「それに……さっきの言葉、レスティーナさんの本心じゃ、ありませんよね?」
「……え?」
「スピリットが兵器だって言う……」
「あ……その……」
レスティーナは、バツが悪そうに口をつぐんだ。
気まずい沈黙が室内に充満する。
「――あの、お兄ちゃんには、お兄ちゃんなりのやり方で頑張らせてあげてください。私からは、それだけです。その……お願いします……」
「……わかりました。私に出来る限りのことは、果たしてみせます」
兄妹を持たないレスティーナには、兄のために頭を下げてみせる佳織を目の当たりにしての、不分明なその感情を言葉にするための適切な語彙がついに見つからなかった。
スピリットを「モノ」として扱うジャドー・ロウンと、「ヒト」として扱うユート。
レスティーナの理性は、ジャドーの見解を「是」とするが、つい先ほど佳織によって、その前提の内包する大いなる矛盾を再認識させられた思いがした。
レスティーナは、すっかり冷えたお茶を飲み干して、そのまま席を立った。
「それと、カオリ……」
「……はい?」
扉の前で立ち止まったレスティーナの華奢な背中を、佳織は熱の冷めた目で見やった。
「……もう二度と、あんなことは言わないで。お願いだから……」
「…………はい」
レスティーナが佳織の部屋を辞すと、冷涼な夜風に流されて甘く香ばしい匂いが漂ってきた。
「……いい匂い」
レスティーナは、ふと回廊の外に目を向けた。すっかり夜のとばりが降りた王城の中庭は、星明かりと、各所に点在するエーテルの常夜灯によってほのかに照らし出されていた。
その子細を見渡すのは人の身として困難であったが、レスティーナには匂いの元の、おおよその見当はついていた。
きっと「彼女」たちも、自分と同じものを美味しいと感じているに違いない。
王女である自分と、スピリットである彼女たちと、それは何ら変わるところがないという確信は、レスティーナに新鮮な感慨をもたらした。
「……また食べたくなってきちゃったな。明日は久しぶりに時間が取れそうだし…」
もう一度、その微かな香ばしい匂いを胸一杯吸い込んで、レスティーナは足取りも軽く自室へと戻っていった。
>>755-760 これは私が「名も無き名無し」名義で、SS投稿スレに「はじめてのおつかい ラキオス編」
と題して途中まで投稿していた話を、全面的に改題・改稿したものです。
長い間どう書いて良いかわからず放置気味になってましたが、ようやく目処が立ったのと
構成を大きく弄ったのを機に、こちらで再連載させてもらおうと思い立った次第です。
取りあえず、次スレ移行を促進するための埋め草みたいな形になりましたが、以後は
こまめに投稿したいと思います。筆に迷いの多い人ですので、今あるプロットがまた
崩れる危険性はありますが……
さて、460KBを超えましたので、また後ほどテンプレを投下しに来ます。
乙&GJ!!
>>761 カミングアウト キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
おつかい キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━!!!!
そしてまさに掌の上で踊っていた漏れ…
ユート「ふぅ、ナナルゥはいつもこんなところを移動しているのか…」
先日、ナナルゥに秘密を握られてしまった俺はリベンジを果たすべく、天井裏に潜入した。
ユート「ふう、音を立てないように気をつけないとな…」
天井裏にはところどころに穴が開いていて、下から光が差し込んでいた。
ユート「ナナルゥの奴…こんな覗き穴まで用意していたのか」
全くプライベートも何もあったものじゃない。
方向にあたりをつけてしらみつぶしに覗いていく。
ユート「ん、ビンゴ。ナナルゥの部屋はここか……
アセリアの部屋並みに何もないな……」
よく見ると布団が膨らんでいる。
ユート「ナナルゥは寝てるのか……
しばらく待ってみるしかないな」
じっと天井裏で息を潜めるユート。
ナナルゥはなかなか起きない。
小一時間ほど待っただろうか。
我ながらグッドな忍耐力だ。
エスペリアのお説教で鍛えられたに違いない。
その時俺は、かすかな声を聞いた。
?「ぁぁ……」
ユート「ん……?」
ナナルゥはまだ寝ているようなので、俺は声を手がかりに移動することにした。
ユート「ここか……よっと」
覗いてみる。
そこでは、なんとヘリオンが自分を慰めているではないか。
ヘリオン「ああ……、こんなことホントは駄目なのにぃ……」
そう呟きつつ、自分の小俣さんを熱心に触っているヘリオン。
ユート「(いや、駄目じゃない、駄目じゃないぞ!)」
食い入るように見る俺。
ヘリオン「ぅぅ……、ユートさまぁ、ユートさまぁ……くぅぅん」
ユート「……」
感極まった俺は、ベルトを外し、ズボンを下げた。
もう限界である。オナーニを……
しゅっしゅっしゅっ
四つんばいで震える俺。へリオン隊員には見せられません。
ユート「(……ん?四つんばい?両手はここに……)」
振り返ると、しごいているのは、
件の赤スピ、ナナルゥ だった。
ナナルゥ「……抵抗すれば大声を出します(ボソ」
ユート「……!……!ナナルゥは寝てたはずじゃ……(小声)」
ナナルゥ「あれはダミーです。私、忍の者ですから(ボソ」
ユート「(そ、そんな……)」
適確に責め立ててくるナナルゥ。
……ってこれは、エスペリアのテクじゃないか。
見てたのかよ……
ナナルゥ「ユート様、人の秘密を探ることなど、いけないことです。
たっぷりお仕置きしますから、覚悟してください(ボソ」
仰向けにされる俺。
その上にナナルゥがのしかかってきた
ユート「(ぉ、ぉぃ、聞こえる…聞こえちまう……!
くそ、来るんじゃなかった、ぁぁあああーーー!……!)」
一方、ヘリオンは……
/ ギシギシ \
| ……?
| ('A`)
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄
/ ギシギシ アンアン \
| ……
| ('A`;)
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄
771 :
代打:04/08/04 01:13 ID:VVqkLKVZ
ヘリオンファンの方々スマソ
そして忍者ナナルゥに幸あれ
……ん?四つんばい?両手はここに……>ワラタ
GJ!!
ナナルゥ!おまえってやつは!!
・・・・・・実は結構いいやつだったんだな。
悠人君はもうちょっと頑張って、次こそはリベンジ成功させて欲しいです。
第二詰め所の夕食後のひととき。
赤青緑黒、四色とりどりの少女たちが、本日のデザートの焼き菓子「ヨフアル」と、お茶を楽しんでいる。
その面々を前に、黒い給仕服を着た年長の女性が手を打って、注目を要求した。
「えっとですね〜、前にも言ったとおりユート様が〜、私たちの館に住むことになりました〜」
がぜん、年少の少女たちが色めき立った。ラキオス王国スピリット隊隊長、エトランジェ『求め』のユートこと高瀬悠人に関する消息は、今や彼女たちにとって最大の関心事である。
「はいはいはーい、ユート様の部屋は、ネリーたちの部屋の隣にけってーい!」
いの一番に、蒼く長い髪の涼やかな少女が、手を振り回しつつわめき散らした。
彼女の名はネリー・ブルースピリット。通称、『静寂』のネリー。
ネリーのみならず、この場に集う少女たちは、そのたおやかな様子とは裏腹に、自我すら有する超常の武器「永遠神剣」の担い手であり、
戦うことのみが存在理由という非業の妖精「スピリット」の眷属である。
けれどネリーは、そんな悲壮感漂う出自を少しも感じさせない、元気はつらつさを持ち前としていた。
なにしろ彼女の神剣の銘が皮肉にも『静寂』であることから、「持って生まれてくる神剣を間違えた」とも、「いや、神剣に間違えられた」ともからかわれるほどだ。
そして、第一詰め所にいるライバル、『理念』のオルファリルに次ぐ情熱をもって悠人に懐いている。
今回の出来事は、悠人と一つ屋根の下に住んでいるオルファの後塵を拝し続けているネリーにとって、文字通り「千載一遇の好機」であった。
「ブーッ!? ちょ、ちょっとネリーさん、そ、それ困りますっ! ネリーさんの隣の部屋って、私の部屋じゃないですか……」
不意に、艶やかな黒髪を両おさげにした少女、『失望』のへリオンが口に含んだ茶を吹き出すや、慌てて立ち上がった。
ちょうどそこに、ネリーの突き出した拳が裏拳となって鼻柱にヒットする。
「んがっ!?」
見事なK.O.である。どうっと倒れ込んだヘリオンが床に大の字を描いたが、ロビー活動に無我夢中のネリーは、それにまるで気づいた様子はない。
「住むって言っても、こっちに移住する訳じゃないんでしょ? だったら、客間に寝泊まりしてもらえば事足りると思うんだけど」
炎のように明るい赤毛の颯爽とした美女、『赤光』のヒミカが、挙手と同時に指名を待たず発言する。
悠人の本拠はあくまで第一詰め所であり、こちらには臨時に滞在するに過ぎないことをふまえてのものである。
「それはね〜、ユート様がご自分は『お客様』じゃないから、客室は使えないっておっしゃったからなのよ〜」
給仕服の女性、『大樹』のハリオンが、後ろで括ったややくすんだ緑色の髪をいじりながら答えた。
「あー……ま、ユート様がそうなさりたいのなら、しょうがないわね。幸い空き部屋はあることだし」
ヒミカは腕を組み、それ以上異議を唱えることなく引き下がった。もとより、スピリットの分際でエトランジェの意向に逆らえるわけもない。
「空き部屋って……じゃ、あの部屋片づけなきゃなんないわけ? あーめんどー…」
見るからに不機嫌そうな顔をしているニムこと『曙光』のニムントールが、ヨフアルをくわえたまま食卓に突っ伏して見せる。
今この詰め所の唯一ともいえる空き部屋は、半ば物置と化していることを思い出したせいだ。
「もう、ニムったらお行儀がわるいわよ。それに二言目には面倒面倒って文句ばかり。人聞きが良くないからおやめなさい」
「はーい」
それを見咎めた姉貴分の『月光』のファーレーンがきつくたしなめたが、ニムはいつものごとく生返事を返して、ヨフアルを頬張った。
「ダメダメ、はんたいはんたーい! ユート様のお部屋は、ネリーたちの部屋の隣がいいんだからっ!」
話の雲行きが怪しいと察したか、ネリーは食卓に身を乗り出して異議を申し立てた。
「ええと〜、どうしてそこまでこだわるの〜、ネリー?」
「ユート様と遊びたいからに決まってるでしょ、本当にユート様命なんだから」
ハリオンの問いかけを、ヒミカが横取りしてからかった。
「う……そ、それだけじゃないもん、その方がユート様にとって、便利だからだよ!」
図星を指されて顔を赤らめたネリーは、口を尖らせて抗弁するが、それこそヒミカの思うツボである。
「例えば?」
「え?」
「ユート様があなたの隣の部屋に入ることで、どれだけ便利になるか、言ってごらん」
「そ、それは……ええと」
「ほれほれ、お姉さんに言ってごらん?」
戦時には支援向きとされるレッドスピリットには珍しく、前衛に立つことも多い「斬り込み隊長」のヒミカに「手加減」とか「仮借」とかいう語彙はない。
まさか「ユート様が、ネリーの部屋に遊びに来やすいから」とは口が裂けても言えるはずもなく。
「え、えっとその……し、シアーも、そう思うよねっ!?」
ネリーはヒミカの猛攻を支えきれず、応援を要請した。
「もぐもぐ……ほえ?」
蚊帳の外で一生懸命お肉と格闘していた『孤独』のシアーは、突然呼ばれてきょとんと小首を傾げた。
ネリーとは対照的に青い髪を涼しげなおかっぱに切り揃えているシアーだが、髪型を除けばそのあどけない顔立ちは、ネリーと生き写しである。
事実、彼女はネリーとは「双子」であった。
さて、彼女は食べるのが人より致命的に遅い。口の周りをソースで汚したその間抜けな表情から察するに、今の話を聞いていたとは到底思われない。
ネリーは片眉を吊り上げて、ぐずな妹に詰め寄った。
「だ・か・ら! シアーもネリーの言うことに賛成でしょ?」
「え、えと……う、うん。し、シアーは、ネリーに賛成ですぅ〜」
ネリーの気迫に圧倒され、シアーはおどおどと頷いて見せた。何はともあれ姉さえよければ万事それでいい、非の打ち所のないお姉ちゃん子なのである。
「……それで、何のお話なの?」
「ほら! シアーもそう言ってることだし、そうしようよっ!」
妹の疑問の声を黙殺し、ネリーはかさにかかって自分の主張をごり押しする。
「……だって。どうする、ハリオン?」
ヒミカはネリーのただならぬ熱意に呆れて、さじを投げた。
「そうは言っても〜、困りましたね〜。ネリーとシアーの隣の部屋は、へリオンの部屋ですし〜……あら? そういえば〜、へリオンはどこに〜?」
ふと、へリオンの席がもぬけの殻であると気づき、ハリオンはきょろきょろと辺りを見回した。彼女の席からは、マットに沈んだ敗者の亡骸は見えない。
「ん? さっきまで居なかったっけ?」
ヒミカがいまさら気づいたように目を向けると、唐突に食卓の下からにょっきりと手が生えた。
「あらあら?」
病的に震えるそれは、がしっと食卓の表面を捕らえた。興味深げな視線が集まる中、その手は黒いツインテールの少女を一本釣りにした。
「う、あううう……」
「あらあら〜、へリオンったら、そんなところで寝てたら、風邪引いちゃいますよ〜?」
「ち、違いますっ! ってててて……ひ、ひどいですよ〜、ネリーさん……」
目尻に涙を溜め、鼻筋を手で庇いつつヘリオンは抗議した。
「あれ? へリオンいたの?」
全く身に覚えのないネリーは、目をぱちくり瞬かせてまだ微妙にふらついているへリオンを眺め回した。
「いたの、じゃないですよ、もう……とにかく、私の部屋は勘弁してくださいよ。ユート様のご命令ならともかく、立ち退くのはちょっと……」
「えー? ……あ、じゃあさ、へリオンがユート様と一緒の部屋に住むってのはどう? うん、これなら完璧じゃん、ネリーってあったまいいーっ!」
「私の部屋にユート様を……? そ、そそそそそ、それは、こ、困りますよぅっ!!
だ、だって、そんな、ユート様と一つ部屋で、一緒に寝起きするなんて、ベッドも一つしかないしその……あわわわわ」
「ベッドが一つしかないなら、それこそ一緒に寝ればいいんじゃない?」
耳まで真っ赤に茹で上がって一人で盛り上がるヘリオンを肴に、ヒミカはお茶を啜った。
「ひ、ヒミカさんっ!?」
「そうそう、そうしなよ」
ネリーが賛同の声を上げる。
「じょ、冗談じゃありませんっ! そ、そんな恥ずかしいことっ、できるわけないじゃないですかっ!?」
「どうして? その方がユート様といっぱい遊べるじゃない」
「え……いっぱい遊ぶって……」
絶句しかけて、ヘリオンはぶんぶんと頭を振った。多分、そっちの「遊ぶ」ではない。
「そ、それはそうかも知れませんけど、だったら、ネリーさんの部屋にユート様をお泊めすればいいじゃないですかっ!」
「えー? それはだめだよ、だって、ネリーは女の子だもん」
「わ、私だって女の子ですっ!」
こうなってしまえば、誰かが止めない限りどこまでも脱線していくのが常である。
「もう、おやめなさい、二人とも。話が一向に進まないじゃないですか!」
そして、いつものようにファーレーンが仲裁に入った。
にやにやと煽りを入れるヒミカ、にこにこと見守るばかりのハリオンのツートップは、場を仕切るには性格が向いていない。
「……はぁーい」
「す、すみません……」
一人は不承不承、もう一人は身を縮こまらせながら着席する。
「ハリオン、続けてください」
「え、ええ。そうですね〜、ネリーには悪いけど〜、やはりユート様のお部屋は、あの空き部屋にしましょうか〜。そ
れでは、明日の訓練が終わったら〜、みんなでお掃除しましょうね〜」
「ほっ……」
「ちぇーっ」
ハリオンの裁定に舌を鳴らしたのはネリーだけだった。残りは口々に、あるいは無言で「異議なし」を表明する。
「……ほえ?」
一人シアーだけは、最後まで蚊帳の外だった。
「……話は、これだけですか?」
それまでつまらなそうに俯いていた『熱病』のセリアが、血色の薄い相貌をあげて、素っ気なく確認する。
彼女が悠人の話題に積極的な姿は、未だに目撃例がない。
「私、そろそろパトロールに行かなければならないんですけど」
彼女の背後には、永遠神剣『熱病』が無造作に立てかけられている。
第一詰め所の『存在』のアセリアとは同郷同輩で、名前も、取っ付きの悪さもよく似ていた。
しかし、無邪気なところのあるアセリアとは違い、セリアにはどこか人を寄せ付けない毒気がにじみ出ていた。
「ええ、これだけですよ〜。他に何もなければ、お開きにしましょう〜」
ハリオンが一同を見渡して告げると、セリアを含む幾人かは席を立った。
無言のまま軽く会釈だけして、セリアが食堂を辞した。
「それでは、行って参ります」
と、『月光』を手にしたファーレーンが後に続く。
支援いるかな?
「それじゃあ、ニムは片づけをお願いね〜。私は〜、お風呂に行ってきますから〜」
「……はぁ、面倒」
ハリオンの言いつけに対して今度は一言目にぼやいてから、ニムは渋々汚れ物を集め出す。
しかし敵は9人分の食器、あまりの多さに閉口して、視界の端に移った赤い髪の持ち主を目ざとく呼び止めた。
「ねえ、ナナルゥ。手伝ってくれない? どうせ後は寝るだけなんでしょ?」
「……はい、わかりました」
食堂から今しも退室しようとしていた『消沈』のナナルゥは、言われるままに踵を返した。
無口で影が薄く、ある意味もっとも「スピリットらしい」従順な彼女を便利使いする向きは割と多い。そのことを特に疑問に思うような者もいなかった。
「あーあ、つまんないの。シアー、お風呂行こうよー」
頭を後ろ手に組んだネリーは、未練がましく不平を鳴らしていた。
「う、うん。もうちょっと待っててね……」
未だ食事中のシアーは、最後に残った肉の一切れを小さな口に放り込むと、もぐもぐもぐもぐ……と丁寧に噛み砕く。
すっかり冷えて美味しくないんだから、そんなの残せばいいのに……と、いつも一人だけ食事が遅い妹を、ネリーは焦れったそうに見守っていた。
「もう、早くしなよー……?」
ふと、その目がテーブルの上に残されていた焦げ茶色の物体を捕らえた。今晩のデザートのヨフアルである。
もう焼きたてというにはほど遠いが、冷えたヨフアルもそれはそれで味わいがあるのだ。
先ほどの鬱憤晴らしとばかりに、ネリーはシアーの肩越しにそれを取り上げ、欠片をこぼしながらぺろりと平らげてしまった。
「うん、でもやっぱり焼き立ての方が美味しいよね……」
汚れた指を服の裾で拭いながら一人合点に頷くと、ちょうど下げた目線が、振り返ったシアーの目とぶつかった。
見る間に、自分と全く同じ深い藍色の瞳が、じんわりと潤み始めるではないか。
「し……シアーのヨフアル〜」
「え?」
「せっかく取っておいたのに〜、ネリーが食べた〜っ!」
妹のあまりの剣幕に、ネリーは思わず鼻白んだ。
「そ、そんなの知らないもん。だいたい、シアーがいつも食べるのが遅いのがいけないんだよっ! それを手伝ってあげただけなんだからっ!」
「ふぇ〜〜んっ、ネリーがシアーの食べた〜っ!」
ネリーの弁解にまったく耳を貸さず、シアーは泣きながら姉の横暴を糾弾する。
「あんたたち邪魔邪魔っ ほら、あっち行った行ったっ」
ちょうどシアーの席に差し掛かったニムが、シアーの食器をひったくりながら声を荒げた。
雑用中のニムほど不機嫌なものは、およそ存在しないのではないかと思わせるほどに、苛立っている。
「そんなこと言ったって、ネリーのせいじゃないもんっ!」
「……っていうか、あんた学習能力あるの? 何回同じことすれば気が済むわけ? 前もあんたがシアーのおやつを取ったの取らないのって喧嘩したばかりでしょ。
食い意地が張ってるだけならまだしも、今度は妹に八つ当たり? みっともないったらありゃしないわね、まったく」
「うぐっ…」
一度口を開けば、ニムは容赦というものを知らない。ぐうの音も出ないネリーは、仕方なくシアーの腕を引っ張り、この場を退散しようとする。
「ほ、ほら。行くよ、シアー……」
しかし、シアーは微動だにしない。椅子に根を生やしたかのごとく、頑張ってくる。
「やーだーっ! シアーのヨフアル、返して〜っ!」
「もう、食べちゃったものはしょうがないでしょ!」
「ああもう、どいたどいたっ!」(げしげし!
「いたっ! いたいってばっ!」
追い打ちをかけるようにニムが小突いてくる。前門のシアー、後門のニムントール。にわかにネリーの進退は窮まったかに見えた。
食堂の扉が開いたのは、丁度そのときである。
「えーっと〜、ニムはまだいるかしら〜?」
風呂にいったはずのハリオンが、ひょっこり顔だけ覗かせて、きょろきょろと部屋の中を窺った。
「あ、ハリオン!」
目ざとくそれを見つけたネリーの苦り切った表情が、この瞬間からりと晴れ上がった。
シアーとニムを置き去りにして、脱兎のごとくハリオンの元へ逃げ込んでいく。
「はわわ……ど、どうしたの〜?」
いきなり懐に飛び込まれて、ハリオンは目を白黒させる。
脱衣後に直行してきたらしく、裸身に巻いただけのタオルがはだけて落ち、その規格外の乳房が露わになるが、ネリーはお構いなしに抱きついた。
「あらあら、またシアーを泣かせたの〜?」
「ううん、あれはちょっと違うんだよ、うん、何でもない何でもない。それより、今日出たヨフアルって、もう余ってない!?」
「ヨフアル〜? えーと、出したので全部だけど、どうかしたの〜?」
あごに人差し指を当て、小首を傾げるハリオンに、ネリーの瞳からは急速に希望の光が失われていった。
「そか……ううん、ならいいや……」
「そぉ?」
項垂れるネリーと、しゃくり上げるシアーを交互に見比べたハリオンは、何か得心したように頷いた。
「あ、そうそう。あなた達に〜、頼みたいことがあるんだけど、いいかしら〜?」
「ん……なに?」
ネリーは、力無く先を促した。
「明日ね、ユート様のお部屋を整えるでしょ〜? でもぉ、いろいろ足りないものがあるから〜、おつかいに行って欲しいんだけど〜」
「……おつかい?」
「ええ。悪いんだけどぉ、お願いできないかしら〜?」
「うん、別にいいけど……」
「ありがとう、助かります〜。ちょっと量が多いんだけど、シアーと二人で行けば〜、大丈夫よね〜?」
「……」
ネリーは、ちらっとシアーの方を盗み見た。ニムはその場から離れ、ナナルゥがシアーの頭を不器用な手つきで撫でている。
それが効いたものか、シアーは少し落ち着いたように見受けられた。
「……」
ネリーは居心地が悪そうに視線を戻した。途端に、ハリオンの大きな乳房が視界を肌色に埋め尽くす。
「あ、そうそう。市場には〜、美味しそうな屋台とか、楽しい見せ物とかあるけれど〜、寄り道とかしちゃだめよ〜?
特にヨフアル屋さんなんか、メッ! メッ! ですよ〜?」
「……え!」
それを聞いて、ネリーが顔を上げた。
「わかった〜?」
「う、うん! 大丈夫、もうネリーたちにバッチリ任せといてよっ!」
大張り切りのネリーを見て、ハリオンは満足げに目を細めた。
「それじゃ、詳しいことは明日ね〜。もう遅いから、明日に備えてちゃんと寝るんですよ〜?」
「は〜いっ!」
元気のいい返事をするネリーの頭を撫で、ハリオンはようやくタオルを拾い上げようとする。が、それはすんでの所で、横取りされてしまった。
「……で、ハリオン。ニムに用事があるんじゃないの?」
「あら〜、ニム、いたの〜?」
タオルを抱えて見下ろすニムに、ハリオンは刺激的な挨拶を返した。
「……」
「冗談よ〜、そんな怖い顔しちゃいやです〜」
「明日の訓練が楽しみね」
「あらあら〜、お手柔らかにね〜。それから、用事の方はもう済んじゃったから。それじゃ〜、後かたづけ頑張ってね〜」
不機嫌そうに鼻を鳴らすニムの頭を撫で、ハリオンは平然と素っ裸のまま風呂場へ戻っていく。その背中目がけてニムはバスタオルを投げつけた。
それは、丁度ハリオンが閉めた扉に当たって、床に落ちた。
一方ネリーは、小さくガッツポーズを決め、飛んでシアーの元へ舞い戻る。
「ねえねえ、シアー! ネリーたち明日おつかいにいくことになったんだよっ」
「……ぐすっ……お、おつかい?」
ひとしきり泣いて発散できたのか、シアーはぐずる程度にまで治まっていた。しかし、食い物の恨みはなんとやらで、ネリーを牽制するように睨み付ける。
「うん、だからね、ごにょごにょ……」
そんなことはお構いなしに、ネリーはシアーの耳元に口を寄せた。
「や、ちょっと、ネリー…………えっ、本当っ!?」
見る見るうちにシアーの泣き顔が輝きだした。
「へへー、ネリーにまっかせなさーいっ!」
どんっ、とささやかな胸を叩いてみせる姉を見上げるシアーの瞳の色は、もう全幅の信頼を取り戻していた。
「うんっ、了解ですぅ〜!」
「じゃ、お風呂いこっ! 明日に備えて、早く寝なきゃ!」
「あ、待ってよネリーっ!」
いつもの調子を取り戻した双子は、相前後して矢のように部屋を飛び出して行った。
「……何あれ?」
「……仲直りできたのでしょう」
取り残されたニムが訝しげに呟くと、ナナルゥは律儀に答えて皿の山を持ち上げた。
>>774-778,780-783
というわけで、次スレ移行の追い込みも兼ねて「いつもいっしょ・その前夜」(顛末編はミスです)
を投下させていただきました。
>>779さん、お気遣いありがとうございます。投稿エラーが出て整形に手間取ってましたもので、
連投規制ではありませんでした。
さて、トリガを軽くブッチしてますので、これより次スレを立てて参ります。
保管庫の中の人乙です
それにしてもヘリオンはいじられ役が板についてますね
ネリーを嗾けておもちゃにしてるヒミカがいー感じ
まとめているうちに次スレがたってしまうとは・・・
今まで出てきた、上位永遠神剣ネタをまとめてみました。
(明らかなネタも含みます。)
セリア 孤高>前スレ522,霊水>451,開放>452,鎮魂>454,死神>455,
絶命>455,熱愛>455>459,熱海>456,草津>458,癒し>462,
熱情>470,情熱>470,顔面蒼白>471,動悸>472,息切れ>472,
氷后>474,情操>475,情動>475,水鏡>491,氷嚢>493
ヒミカ 赤心>前スレ526,赤影>476
ナナルゥ 自我>前スレ521,誠実>前スレ526
ハリオン 超越>前スレ517,豊穣>前スレ526>441>444>446>453>463,
天然>前スレ533>440>442,太陽>440>442-445,陽光>447,
将軍>448,根幹>448,緑林>450,繁茂>450,森羅>461,翠嵐>483,
結実>492
ニムントール 独善>前スレ522,耀光>220>227,陽光>449
ファーレーン 盗人>前スレ517,贖罪,毒牙>前スレ521,腹黒>前スレ524,
朧>前スレ526,耀光>220>227
へリオン 誠実>前スレ526,真実>340-370,成長>484,昇格>484,自信>484
今日子 迅雷>前スレ518,輪姦>488,強固>490ー491
光陰 輪廻>486,輪姦>487,口淫>489>491,自在>492,無情>496
不明 真実>前スレ778,賄い>485
ネリシアのネタがないような・・・
「いつもいっしょ」にレスくれた方、ありがとうございます。
既発表ものの焼き直しにレスがもらえるとは思ってませんでしたので、感激です。
なお「その前夜」の続きは、新スレの方にダイレクトに投下するのは避け、保管庫の方の
予備スレに投下して、リンクのみを本スレに貼り付けに行くことにします。
>>787 ネタのまとめ、ご苦労様です。さすがにスレが3本目まで行くと、溜まってるものですね。
息の長いネタですし、これをテンプレにしてみるのも面白いのではないでしょうか?
>787
乙
ヒミカ>紅炎(プロミネンスのこと)
ハリオン>鳴動(ハリオンは動じない)・福音
セリア>玲瓏(八面――とは行かない w)
ニム>日輪・普遍(遍く照らす)
ファーレーン>北辰・破軍(良い意味では無いか)・葉隠(ちょっとネタっぽいか)
ネリー>静謐
シアー>絆・安息・親愛
ナナルゥ>至誠
入れ替えても違和感無いのもあるな。
たしかに、テンプレ化するのもいいかも>788
ネリシアって、ネタ有ったような気もする。
790 :
名無しさん@初回限定:04/08/05 23:55 ID:KmqgRagl
>ネリシア
確か水月の双剣でエターナル、ってネタがあったような
__
「,'´r==ミ、
くi イノノハ)))
| l|| ゚ヮ゚ノl| <保守です
j /ヽ y_7っ=
(7i__ノ卯!
く/_|_リ
永遠のアセリアexp欲しい揚げ
あ゛〜、暑いわ仕事煮詰まってるわで、流れについていけてない〜
で、移行済みなのをいいことに寸隙モードで、いくつか拾って亀レス。
>『ネリーの不満』
何気にハリオンがいい感じですな(*^ー゚)b
>『なつまつり』
bbspink分の補充GJ!
>風変わり氏
おぉぅっ、てっきりこのスレ見捨てられたかと…(´Д⊂)
また攻め寄せて来て頂けると信じてますよ、ええ。
>忍者ナナルゥ
激しく楽しくてもう設定なんてどうでもいい気分に(w
>『エスペリアの憂鬱』
こういう「ネタ」なの好きです(w
>『明日への飛翔』第一〜二幕
スレ新規参入ということですので、まずは「ようこそ!」。
若干、表現の使用法、文のリズムに気になるところがありますが、
全体的に良く書けていると思いますし、作話力の高さを感じます。
ご活躍を期待してます。
>『いつもいっしょ』
まずは
>>765だったわけですが(w
再構成…あれがこう来てるのか…なるほど。
ふむ。キャラ像も手を入れたんですね。
ハリオン…規格外度が上がっちゃってまぁ…(;゚∀゚)=3 イイ!!
さて、
エスペリアは『献身』をりゅうりゅうとしごくのか!?(w
やはり風呂場は風雲急を告げるのか!?(w
楽しみにしてます。
質問なのだが、SS書く上でアセリア本って必須?
教えて貰えると助かる。
新スレで聞いた方が作者達から意見が聞けて良いと思いますが。
ちなみに自分の場合はゲームのイメージのみですね。
(だから第一詰め所ネタしか書けないw)
設定資料集は持ってますが、活用してません。
>>796 了解しました。
新スレで聞いてみます。
サンクス!
798 :
道行書き:04/08/11 00:20 ID:Zp9GjA4f
新スレの流れがPS2版でもちきりですので、すみませんがこちらで。
SSを書くにあたって必須、というほどでは無いと思います。
あった方が世界観を引き出しやすいのでしょうが、
ゲーム本体との食い違いに混乱するという話もありますし。
私のように未所持でSSを読んで、また書いている人もいるので、
アセリア本にしか書いていない情報を使われると解説が欲しいという時もあるかも。
ありきたりですけどゲームのイメージを持って「永遠のアセリア」に対する思いをぶつければ何とかなると思います。
そう言えば、全然使われない設定に通貨単位があった。なんて云うんだっけ>アセリア本
ちょっと、片づけしてどこいったかわからん。
え〜と。「ルシル」だな。
大陸全土共通だけど物価は地域差があるらしい。
もう、並ぶ気もおきねーっつの
何だよアノ列の長さは。
お前らは、おばさん&電撃ハリセンで満足なのか?
と自己完結して帰還しました。
これで電プレの「ニム」や「ヘリオン」追加CGあったら負け組み
(ヘリオンはありそうだ・・・)
仕事明けで午後から行ったら、「本日分は終了しました」の張り紙が…(;´Д`)
>>801 無いことがわかってる私は負け組?
まだおばさんしかクリアしてないが。
ただ、次スレの315があったので勝ち組かも。
804 :
803:04/08/13 23:15 ID:GFyx7kcP
訂正
電プレは持ってないのでそのヘリオンのCGかは知らんが、とりあえずヘリオンのCGはあった
完全に負けました、マナの塵と消えました
雑魚スピの立ち絵もあるし、よく喋るって。
今日子のCGもあったって・・・。
>>805 あなたのマナがファンタズマゴリアの地に帰り、あたらしい雑魚スピとなることを祈ります……
短い1レスとは言え、体張った埋め草レスを次スレに誤爆するとは…
寸隙引退だな、こりゃ。
雑魚スピスレでずいぶん楽しませてもらったからと
CD版あるのにDVD版も買って未開封で転がしてあるぐらいには、
ある程度お金落とすつもりはあるんだけど
お金じゃない所で折り合えないというのは、
私がエロゲマとしては虚弱でヌルくてズレてるからか。
そんなこんなで、Exのネタへの活用は諸氏にお任せします。
つーか、寸劇のほうも半分引退状態だしね(w
寂しいことを云いなさるな。引退講演はまだ早すぎます。
ネタはまだまだあるでしょう。幕はまた上がりますよ。
StoryTellerが難航しなければ初代が沈むのに合わせて引退していたはずだったり…
今は一応、寸「劇」的にはSSというより小ネタかなというぐらい短い(予定)のを
あと2つ書きたいと思ってはいます。材料揃わずに未だ0文字ですが(w
なので「半分」。
#本当は3つ書くべきなんだけど内1つは既に失敗しているので…
そんな状況で埋め草のネタがあろうはずもなく寸「隙」はさすがに無理があるので。
さて、Xuseスレではいくらか感想出てるみたいだけど、
このスレ的視点で見ると演劇どうだったんだろう?
実は誰も観なかったのかな?
そうだとするとちょっと悲しいね、寸劇の人としては(w
と言ってる本人が観てないので説得力無し(w
埋め草ってことで説得力無い無責任モードでさらに突っ走ってみる。
21世紀FOXと知った時点で「演劇としては」問題ないものになると思った。
心配したのは脚本/演出で演劇人とエロゲマのズレが出ること。
Xuseスレの反応を見る分には大丈夫だったようで何より。
縁とかコネ的に選択肢は必然的に声優系劇団になるんだろうけど、
21世紀FOXなら能力も安定性も良いし、総合型(非特化型)というのが、
方向性の異なるブランド群を持つXuseには良いだろう。
#詳論は省略
多分に今回は実験的なものだったんだろうけど、
将来的にまたやる可能性を見た/残すなら、
今回の縁を大事にした方がいいかもしれないね。 > Xuseの中の人
とはいえ、劇団も人の集合。移ろふもの。
常に見極める目を以って見なければならない。
少なくとも、こんなエセ観劇家の戯言に惑わされてはいけないということだ。
と、言ってることが全て無意味というのは何とも埋め草らしいよね(w
>>809 あと二つですか、でも時と供にネタが増えたり……w。期待しております。
オレも、四行書いて止まってるのが(汗) 今更『髪結い』読み返して誤字発
見してみたりorz
ネタは8つくらい在るけど、単体ではSS化できないのもあるから実際は6つ
くらいかな>ネタ EX通販されればまた増えるかも。逆に没になる可能性も高いが。
>演劇
見たかったなぁ。コメントできる見識は皆無なのでとりあえずDVD化きぼん
としか言えません。生で永遠のアセリア聴いてみたかった。演奏は生じゃな
いだろうけど。
聖賢 「契約者よ、リクェムも食べろよ」
悠人 「ああ。何とかこの味も好きになってきたからな」
聖賢 「好きとか嫌いとかはいい。リクェムを食べるんだ」
聖賢 「どうだ?うまいか?リクェムがうまいのか?」
悠人 「ああ、うまいぞ」
聖賢 「……こんなに緑なのに……契約者はうまいと言う……」
聖賢 「ところで妖精よ悩みはないかね?」
ヘリオン「え、えっと……ちょっと背が低すぎるのが……」
聖賢 (……)
ヘリオン(……)
聖賢 「他に悩みはないかね?」
ヘリオン「あの……なぜかコウインさまにつきまとわれるんですけど……どうしたら……」
聖賢 (……)
ヘリオン(……汗)
聖賢 (…………)
聖賢 「他に悩みはないかね?」
聖賢 「そういえば以前我の刀身を斬ったそうだな。我に何の断りもなく」
ヘリオン「あ……」
聖賢 「腹から先端にかけて!!」
ヘリオン「す、すみません」
聖賢 「そんな事されたらどんな気持ちになる!?」
ヘリオン「ごめんなさい、すみません」
聖賢 「いや、怒っているわけではない。妖精がその様に斬られたらどうなる」
ヘリオン「死にます」
聖賢 「死ぬ様なことを……(ゴゴゴゴゴゴゴゴ……)」
ヘリオン「ホ、ホントに怒ってないですか?」
>810
雑魚スピが一切出てこなかったのが不満といえば不満ですが?
>>811 まぁ、増える可能性はゼロではないですが…
ただ、その2つで私の中で一区切りつくので。
尤も、それとは関係なく、StoryTeller並みにネタ種見た瞬間にパタパタパタっとアウトラインが湧いてしまえば書いてしまう気はします(w
その辺はそんなネタ種が出るかどうかに依存ということで。
>>812 …スマソ、元ネタ、タイトルしか知らんので反応できん… orz
>>813 あ〜、なるほど。
雑魚スピのいる位置は演劇的に扱い難しいだろうなぁ…
兵士Aみたいな書割に近いのでもなく、かといってメイン級でもないのは。
常にというわけでもないけど、アセリアみたいにメイン級多いと辛いだろうな。
視線コントロールの都合もあるし、床面積/空間の制限もある。
少なくとも全員出すのはかなり難しい。
よくある解法として、複数人のキャラ/役目を合成して1人にするというのがあるけど、
キャラ萌え要素の強い原作でこれをやると嫌われるのが落ちだったりする。
なので、やるなら、合成はなしで純粋に人数を絞ることになるだろうけど、
その場合、設定/作話で、そのキャラの必要性(重み付け)と、
削った同ランクのキャラを出さない理由付けをしてやる必要が出てくる。
たぶん資料にExは含まれてなかったろうし、危険は避けて安全側に傾けたんじゃないかな。
と、観てもないのに根拠の無い憶測をしてみる埋め草(w
>>1-815 " タイムアクセラレイト
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