某Aさんのエロゲークリエイター体験記

このエントリーをはてなブックマークに追加
3251 ◆TJ9qoWuqvA
某Aさんのエロゲークリエイター体験記74

なんか俺は、ディレクターにはなれそうにないな、とAさんは思った。
当面はライターとして、一人前になることが先決であり、
それより先のことをいま考えても仕方ないし…。
と、この後自分にどういう災難が降りかかるか知らないAさんは、
呑気にIちゃんの言葉を聞き流していた。

「しっ――」
Aさんたちの話を傍で聞いていたH子さんが、振り返って二人をとがめた。
Iちゃんは、すいませんと肩を竦めてH子さんに謝った。
ミーティングは、社長がJ君に次回作の企画の進行具合を報告するところまで進んでいた。
「…それで、Eと話し合って、企画のほうは大まかなところまで詰めることはできたのね。
後は企画書を作って、流通に持って行くだけだね。企画書は、A君にも手伝ってもらって、
今週中にも…A君聞いてる?」
「…は、はい」
突然話を振られて、Aさんは慌てる。

――えーと、いま社長なに話してたっけ? 確か企画がどうとか…。

「で、融資の確約が取れてから、雑誌に第一報という手順だね」
社長の隣りでE氏がうなずく。
「企画の内容、私は訊いてないんですけど、どういう内容なんですか?」
Iちゃんが手を上げて社長に尋ねる。
「時代は大正…。とある町にやってきた主人公は…巫女装束のヒロインと出会う…」
「ああ、月○炎ですね」
もったいぶった口調で語られる社長の企画案を、Iちゃんは一言で切り捨てた。
「ま、まあ…似てるといえば、似てるね」