二本刺し・・・(*´Д`)
ぱふぃ2マダー
パタン。
軽い音を立てて扉が閉まる。
立派な造りにも関わらず重厚すぎる音がしないのは、その扉が真に豪華な事の証明。
見栄も虚飾も無い、実用的でありながら洗練された美しさがそこにはあった。
インテル家。CPU界の名門である。
名門はその存在だけで敵を作る。
そこにいる者の優雅で誇り高い立ち振る舞いもそれに拍車をかける。
しかし、それは間違いなくそこにいる者達の不断の努力の賜物である。
努力せずして得られる栄光など、無いのだから。
そのインテル家、屋敷の中。
姉であるテュアラティンの部屋から退出したプレスコットは、小さく溜め息をついた。
『巷では勝手な事が言われてますけど、貴女はそんな事気にする必要は無いのですよ。
貴女はまだ成長期に至る前段階。成長するための体、その土台を作った段階なのですから』
そうお姉様は慰めて下さった。
しかしその言葉は、今の自分は現実に期待されているほどの能力を発揮できていないという事の傍証でもある。
聞くまいと思っても、自らの評価は嫌でも耳に入ってくる。
大食らいだとか、熱くなりすぎるとか、期待してたほどの能力が無いとか。
コストパフォーマンスが悪いとか、今はまだノースウッドの方が優秀だとか。
プレスコットは自分にかけられている期待を痛いほど自覚している。
期待を無視できるほど鈍感でもなければ、『勝手に期待をかけて勝手に失望している人達なんか知らない』と開き直れるような性格でも無かった。
期待をしてもらえるのは嬉しいと思う。何とかしてその期待に応えたいと思う。
もう一つため息が出そうになるのをプレスコットはぶんぶんと頭をふって飲み込んだ。
落ち込む暇があるならば、自らを高める努力をすべきだ。
よし。
プレスコットは小さく頷くと、勉強をする為に部屋に向かった。
その前向きな姿は、洗練されたセンスの良い屋敷の内装、どのインテリアよりも美しい。
プレスコットのいなくなった部屋の中、テュアラティンはくすっと笑った。
以前にも同様の事を語った事があったのを思い出す。
その微笑はプレスコットが遠くない未来に周囲を納得させる結果を出すという確信に満ちたもの。若き後継者への絶対の信頼がそこにはある。
「貴女は限りない可能性に満ちている。
でもまぁ、それに気付けないまま焦るのが若さというものなんでしょうかね。
その焦燥も若さの特権かしら。ちょっと羨ましいわね。
……さて、と」
テュアラティンは呟き、立ち上がった。
「今日のご飯は何が良いかしらね?
最近の子は良く食べてくれるから、私も作りがいがあるわ」
場面は変わって次の日の学園。放課後。
「あ、あら? くらくらしますわ」
プレスコットはめまいを感じて壁に寄りかかった。
『迂闊ですわ。昨日ちょっと無理をしすぎたかしら』
調子が悪いのは今朝からだ。
昨日、遅くまで勉強していた為、疲れがちょっと残っているだけだろうと思っていた。
自らの健康管理もきっちりできねばならないと自らに課すプレスコットは、これくらいで学園を休んではいられないと、心配する家族に『大丈夫』と言って学園に出てきたのだ。
しかし、時間が経つにつれ調子は悪化し、今や体が火照っていると同時に寒気を感じ、頭ががんがんすると同時にぼーっとするというかなり悪い状況になってしまっている。
『全く情け無い。CPUが調子を崩すなどというのは最低中の最低だというのにっ!!』
自らを戒め、気合を入れるも体は上手く言う事をきかない。
その時、プレスコットにかかる声があった。
「あれ、プレスコット、どうした?」
様子のおかしいプレスコットに気付き、声をかけたのはCPU界2巨頭のもう一方、AMD家のクローハマー。
AMD家の血筋らしく、どこか熱血系のクローハマーは能力その他、プレスコットと毎回比較される相手である。
基本性能、将来性共に高く、新入生でありながら学園の中でも高く評価され、慕うものも多い。ちなみに、中にはちょっとあぶない視線をおくる子もいる。
その中で誰よりもクローハマーのことを認め、高く評価しているのがプレスコットであり、また逆にプレスコットの事を最も評価しているのが他ならぬクローハマーでもある。
その意味で2人は間違い無く互いに競い合い、高め合うライバルであり、そして親友だった。
「何でも無いです。ちょっと疲れただけですわ」
クローハマーには弱みを見せたくない。見られたくない。
それは相手を心から認めているがゆえの強がりだった。
「全く、まーた無理してんじゃないだろうな」
「無理などは!!」
「あーはいはい、解ってるって。全く、お前のそういうところは長所であると同時に欠点だよなぁ。まぁそこがお前らしさなんだけど」
「むぅ」
見透かされているようで面白くない。
しかし同時にクローハマーは自分の事をしっかり理解してくれているという嬉しさもある。
プレスコットの心中は複雑だ。
「しっかし、本当に大丈夫なのか? 顔色悪いぞ?」
「!?」
言うが早いか、クローハマーはプレスコットの頭を抑え、プレスコットの額と自らの額とをくっつける。
こういう事を自然にできてしまうあたりが、クローハマーの人気の一因であり、優しくされた相手に誤解を与える要因でもある。
「な、な、な、何を!?」
上手く言葉が出てこないプレスコットに対し、クローハマーは焦った声を出す。
「おい、何が大丈夫だよ!! いくら平熱が高いお前でもこの熱は尋常じゃないぞ!!」
「え?」
「ほら、さっさと保健室に行くぞ」
クローハマーは有無を言わさずプレスコットの手を引いて保健室に連れて行こうとする。
「そんな、自分一人で行けます」
「つまんない遠慮してないで、いいからほら。いくぞ」
「あ、引っ張らないで」
「ほらみろ、全然力が入ってないじゃないか。なんならおぶってやろうか?」
「け、結構ですわ」
保健室には誰もいなかった。
「全く、保険医の先生はどこに行ったんだか」
一応プレスコットをベッドに寝かせはしたものの、薬のありかなどは全然分からない。
「どうするかな」
「クローハマーさーん。まだおりますのー?」
途方にくれかけたクローハマーに、ベッドのプレスコットからお呼びがかかった。
「ああ、まだいるよ。しっかし、どこに何があるのか分からないな。勝手に薬あさるのもなんだし、そもそも何が悪いのかも判らないしな」
「そんな事はいいですから、こっちに来て下さいませんこと?」
「え? まあいいけど」
このとき、プレスコットの瞳がとろんと解けている事に気が付かなかったのがクローハマーのピンチ第一歩だった。
「うふふ……クローハマーさんって、ステキ」
突如プレスコットの口に紡がれた言葉に、クローハマーは心底焦る。
他の子から似たような事を言われた事はあるが、他ならぬプレスコットにそう言われるのは全くの予想外。ゆえに動揺を隠せない。
「あ、あはは……ありがとう」
「本当にステキ……恋に落ちちゃいそう」
「あはは……え!?」
「うふふ……『スキ』と『ステキ』の境界線は、それほどはっきりしたものじゃないのよ」
ふいに引っ張られ、クローハマーはベッドに倒れこむ。
そこにプレスコットが覆い被さった。
「お、おい、ちょっと待って。冗談だろ?」
「あら、うふふ。誘っておいてそんな言い方はありませんわ」
「誘ってなんて!!」
「保健室で二人きり。これは誘われているとしか思えないじゃありませんか?」
「いや、そういう意味じゃ……んぐーーー!?」
言い終わらないうちに口を防がれた。口で。
油断していた事もあり、容易に舌の侵入を許してしまう。
ちゅ、んちゅ、ちゅくっ。
平熱時よりも高い熱を持ったプレスコットの舌が、クローハマーの口腔内を這い回る。
初めての感覚にクローハマーは目を白黒させるばかり。
一方のプレスコットは積極的に舌を絡め、クローハマーの口の中を舌で撫ぜていく。
実際はこれがプレスコットにとっても初めてのキスであるのだが、理性がとんでいるがゆえの本能的で大胆な行為になっている。
「ぷはぁっ」
ようやくキスから解放されたクローハマーだが、体はプレスコットにしっかりと押さえ込まれて動けない。
至近距離、息が届く距離にプレスコットとクローハマーの顔はあった。
潤んだ瞳でプレスコットはクローハマーを見つめる。
「ファーストキスにしては上手くいったと思うのですけれど、クローハマーさんはどうでした?」
「ど、どうって、そそそ、そんなの判るか!!」
「判らないのですか。それは困りましたねー。では、もう一回」
「んぐーーー!!」
ちゅぱ、ちゅぷり、ちゅ、んちゅ。
逃げようにもクローハマーの頭はプレスコットにしっかりとおさえられ、もがいても離れられない。
調子が悪いプレスコットを気遣い全力を出せないクローハマーと、調子が悪いとはいえリミッターが外れたプレスコットでは力の差は明らかである。
口の中が、まるでとけて混ざり合ってしまいそうな感覚。
強制的に与えられるその感覚に、クローハマーは頭がくらくらしてくる。
「ぷはあっ」
「どうですか?」
にっこりと、無垢でありながら、いや、だからこその妖艶なプレスコットの笑み。
それを至近距離で見ながらクローハマーは逡巡する。
判らないなどと答えようものなら、またキスをされてしまう。
ではどう答えればいいのか。判らない。
何よりも頭が混乱していて、考えがまとまらない。
「困りましたねー。
あ、もしかしたら!! 言葉にできないほど良い、という事ですねー?
うふふ、嬉しいですわー」
クローハマーが混乱する真上で、プレスコットは心底嬉しそうな顔をする。
今の状況も一瞬忘れ、クローハマーはプレスコットに見惚れた。
しかし、次の一言がクローハマーに現実を思い出させた。
「では、もっと喜んでいただきますわ。これは頑張りませんと」
「え、ちょっと、待った!!」
「待ちませんー☆」
プレスコットの手が、クローハマーの豊満な胸に添えられた。
服の上からではあるが、その大きな胸は軽く力を加えられるだけで、ふにふにと自在に形を変える。
「これは素晴らしいですわー。私も本気を出さなくては」
「ちょっと、もうダメだって、ひあんっ!! な、何!?」
プレスコット右手がクローハマーの左胸をリズミカルに少し強引にもみしだき、左手が右胸をこれ以上無い位に優しく這う。
まるで異なる2つの動きにクローハマーはただただ翻弄されるしかない。
「ふふっ、これが並列処理能力、HTの威力ですよー」
「ひあっ!! こんな事に、あんっ!! 能力を、んあっ!! 無駄遣い、あっ!! するな、ああんっ!!」
「何を言ってるのか解りませんよー」
「だから胸を揉むのは、んふぅっ!! もう止めてって!!」
頭がおかしくなりそうな中、残った理性を総動員してようやく言う。
クローハマーの発言を無視するかと思われたプレスコットだったが、意外にもあっさりと胸を揉むのを止めた。
しかし、クローハマーにほっとするスキは与えられなかった。
「それじゃあ、今度はこっちを……」
プレスコットはつつっ、と、指を滑らせ、胸から腹へ、そして下半身へとゆっくり滑らせていく。
「ちょっと待って!! それはまだ覚悟が!!」
「待ちませんー☆」
その時。
「保健室で騒いじゃダメだ……」
「どうしたー。なんか騒がし……」
「この声はクローハマーか? 一体どうし……」
「面倒事じゃないでしょうね……」
と、保健室に入ってきたのはAMD家、クローハマーの兄である雷鳥と、姉であるパロミノ、サラブレッド、バートンの3姉妹。
助かったとクローハマーは思った。
クローハマーには、4人が神の使いに見えた。
が。
「ごめんねー。今出て行くから」
と、さっさと出て行こうとするパロミノ。
「あ、あはは……お邪魔だったかな?」
と、出て行こうとはするものの、名残惜しいようにじっくりと観察しているサラブレッド。
「えっと、見てちゃダメ? 見られてる方が燃えたりしない? むしろ撮られてたりすると燃えたりしない?」
と、カメラを取り出すバートン。
「違っ、助けっ……んぐーーー!?」
んっ、ちゅ、んちゅ、ちゅぷ、んんっ。
誤解を解くべく声を出そうとするクローハマーだが再び口を塞がれてしまう。
プレスコットの舌がクローハマーの口の中を、まるで味わうかのように優しく這い回る。
その様子をパロミノがおそるおそる観察し、サラブレッドがじっくりと観察し、バートンが激写している。
状況は更に悪化したっぽい。
あぁ、終わった。
覚悟を決めたのか、全てを投げたのか、クローハマーがどっちとも付かない悟りの境地に達しかけた時、上のプレスコットの体からくてんと力が抜けた。
見ると、雷鳥がプレスコットの頭を優しく撫でている。
プレスコットはそのままベッドに座った雷鳥にもたれかかり、程なく寝息を立ててしまった。
「風邪だな。プレスコットさんも無理して頑張ってるんだろ。疲れがたまってたんだろうな」
手際良くプレスコットの様子をチェックして、雷鳥が言う。
クローハマーは服の乱れを整え(とはいえ、服の上から胸を揉まれただけだったので乱れは少なかったが)、混乱した頭を静めながら尋ねる。
横で「ちぇー、いいところだったのにー」とか「何で服着たまんま? もしかしてそういうプレイ?」とか言ってくる姉達が、逆に冷静になるのに役立った。
「雷鳥兄さん、どうしてここに?」
「ああ、今日は講師として招かれたんだ」
「そうなんですか」
「まぁ、俺なんかから今更学ぶものがあるのかどうかは疑問だがな。
さて、と。乗ってきた車があるからこのままプレスコットさんを送っていくか。
おい、バートン。インテルさんの家に、今から風邪で調子悪いプレスコットさんを送っていくって連絡入れてくれ。
サラブはタオル絞って用意して。パロミノはプレスコットさんを運ぶのを手伝ってくれ」
「「「はーい」」」
てきぱきと指示を出す雷鳥にクローハマーはちょっと驚く。
「雷鳥兄さん、実は兄さんが一番常識的な方だったんですね。今まで私は兄さんの事を誤解してたみたいです」
「ん? どんな風に?」
「K75姉さんとアンモラルな関係に、って、ああっ!! ウソです!! ウソです!! 冗談ですーっ!!」
「じゃあ俺はプレスコットさんを送っていくけど、お前達は……」
「あ、私達もアニキと一緒に行くよ。変なトコに連れ込んだりしないか心配だしね」
すやすやと眠っているプレスコットを抱きかかえた雷鳥を、バートン達が茶化す。
「バカな事言ってんじゃないっての。全く」
「あ、私は……」
「ブッブー、定員オーバーだよー」
「バートン、ちょっとお前は黙ってろ。えっと、クローハマーは先に戻っててくれ。
実際これ以上車には乗れないからな。悪い。
プレスコットさんは責任持って送り届けるから心配するな」
「あ、はい」
「じゃあ、ちょっと行って来る」
「バイバーイ」
運転席の雷鳥に、助手席にナビ役のパロミノ。後部席ではサラブレッドとバートンがプレスコットの様子を見、汗を拭いてあげている。
姉達もなんだかんだでしっかりとなすべき事はしてくれているようだ。
一応安心しても大丈夫だろう。
「ただいま」
クローハマーが家に帰ると、キッチンの方からK75の返事が聞こえた。
「お帰りなさい、連絡は受けてるわよ。大変だったみたいじゃない」
「ええ、まぁ」
「ちょうどコーヒーが入ったところよ。キッチンにいらっしゃい」
「あ、はーい」
熱いコーヒーを飲みながらクローハマーはK75に今日の出来事を報告する。
ちなみにクローハマーはブラック。K75はミルクたっぷりのカフェオレだ。
「でも、バートン姉さん達ひどいですよ。雷鳥兄さんがいなかったらホントどうなった事か」
「なにかあったの?」
「いや、まぁ、その、あはは」
姉さん達から話は伝わるかもしれないけれど、何も今、自分で墓穴を掘って飛び込む必要は無い。
「ただちょっと……、私がピンチだったのに、助けてくれないんだもん!!」
「ふーん?」
歯切れの悪い、と言うかあからさまに『何かありましたがその話題は避けます』といったクローハマーの態度にいまいち納得いかない様子のK75だったが、本人が話したくない事を無理に話させる必要は無いと判断したのか、あっさり引き下がる。
「ま、その場に雷鳥クンがいたからねー」
「?」
「雷鳥クンはしっかり者だからねー。だから他のみんなも安心してボケ役にまわれるのよ。」
「そうなんですか?」
「うん。雷鳥クンがそこにいなかったら、きっと3人とも大慌てであなたを助けたわよ」
「そう、ですかね」
「そうよ。それだけ雷鳥クンが信頼されてるって事でもあるわ」
言い切るK75。
クローハマーは、兄を思い出してみる。
優しく、そしてしっかり者の兄。
パロミノ、サラブレッド、バートン、そしてK75にここまで信頼される兄。
「雷鳥兄さん、か」
ふと呟いたクローハマーにK75が笑いかける。
「ふふ、あなたは若いから知らないのよね。雷鳥クンのもう一つの顔を」
「もう一つの顔、ですか?」
K75から微妙な単語が出てきてちょっと危ない想像をしてしまったクローハマーだが、それに気付かずにかK75は言葉を続ける。
「うん。貴女達には想像もつかないかもしれないけど、私や雷鳥クンだって最前線で活躍してた時期があったのよ。
彼はね、それこそ自らを燃やし尽くすほどに頑張ってたのよ。本当に命がけでね。
だからだと思うな、彼が優しくなれるのは。苦労を乗り越えた分だけ、優しくなれる。
彼は苦労を知ってる。努力を知ってる。そして本当の強さを知ってる」
「……」
「雷鳥クンだけじゃなく、パロミノちゃんも、サラブレッドちゃんも、バートンちゃんも、みんな頑張ってきた。ううん、今も頑張ってる。
考えてもごらんなさい。親友であるはずのプレスコットさんが調子崩して倒れたのに、貴女がどうしてそんなに安心していられるのか。
パロミノちゃん、サラブレッドちゃん、バートンちゃんが明るく振舞ってくれたからじゃない?」
「それは……」
クローハマーははっとする。
なぜこんなにも安心できているのか。
姉達の明るい振る舞いは計算されたものだったのだろうか。
いや、多分違う。計算なんて事をせずとも、自然とそういう行動がとれるのだ、姉達は。
そういえば、K75も連絡を受けていると言っていた。
いつもとはチョットだけ違って、コーヒーを用意して自分を待っていてくれた。
ごく自然にされていた事が、全て意味を持って見えてくる。
クローハマーはK75を見る。そこには穏やかな笑顔があった。
「みんな頑張ってきた。立ち向かい、立ち上がり、その度に強く、優しくなってきた。
そして」
ふわり、と、クローハマーの頭を撫でるK75の手は優しく慈愛に満ちた母のそれだった。
「貴女の戦いは始まったばかりよ。頑張りなさい。努力は決して貴女を裏切らないから」
「……はい」
何かを受け取った。言葉にできない何かを。
クローハマーは目をつむり、胸の奥に灯ったその明かりを静かに抱きしめた。
「ただいまー」
「ただいま」
「たっだいまー」
玄関の戸が開く音がし、間髪いれず、元気な声がする。
雷鳥達が帰ってきたらしい。
「ただいま。あ、クローハマー、プレスコットさんは大丈夫だ。明日には元気になるだろ」
「そう。良かった」
「ん、どうした? じっと俺の事見て」
「う、ううん。何でもないです。あ、あはは」
「?」
「もしかして、クローハマー。お前、アニキに……」
「ちーがーいーまーすー!!」
「ホントかー? そうやってむきになる所が余計に……」
にわかに騒がしくなったキッチンを、K75がパンパンと手を叩いて黙らせる。
「はいはいはい。お喋りは後にしてまずは手を洗ってきなさい。すぐご飯にします。あ、クローハマーちゃん、部屋にいるみんな呼んできてくれる?」
「「「「「はーい」」」」」
こうして、AMD家の時間は流れていく。
翌日、見事にプレスコットから風邪をうつされたクローハマーによりAMD家が、風邪が完治しお見舞いに来たプレスコットも巻き込んだ大騒ぎになったのは、また別のお話。
965 :
あとがき:04/04/15 15:16 ID:NPqvxy3o
おそまつさまでした。
ここのスレにいると、気持ちが優しくなれるからいいね。
モツカレ
もだえさせて頂きました‥‥‥K75に
なんだか山田太郎ものがたりみたいだw
>>966 一瞬山田風太郎って見えた。
…デュロンは忍法帖シリーズとか好きかもな。
>>965 お疲れさま
新人2人の初々しさと苦労を乗り越えてきた人たちとの対比が素敵ですね。
GJ!
しかし、こう言うお話を読んじゃうと、ますますパーツが手放しにくくなる(ニガワラ
Zzz… さて、マターリと1000でも
________. ,'´⌒⌒ヽ 目指しますか
|◎日|千/ /|| !((八ノ))〉 ,ィ^i^!1、 ,ィ^i^!1、
|[]::目|鳥l二二l || 人- 。- l)ゝ レ' ⌒ヽ}〈] レ' ⌒ヽ}ヽ
|三三|乃\∩ \||\⊂ ⊂ 〕‐┐〈(( (((( ! ゝ 〈(八(((( ! それにしても
[二二二二二二二二|.二二二|ソ| | 人゚∞゚ l|人 ! 人´ヮ` |)リ 自作PCにまで進出するとは
| | || |し'し'|__|⊂{Å}(つ ) ⊂{H}(つ 流石ですね、バニアスさん
| \ | \_ ̄_| |_ く/{-}》> く/{-}_>ゝ
|___] |__]◎──◎ U U U U
自作バニアスさんはメイドが一人しかいないので千取り出来ません
__
〃´/ 痩ヾヽ
! i , ̄、i i
リ从 ゚ ‐゚ノリ デバンナシ…
([iつとi)
く/_i_〉
し'ノ
Sledge Hammerタンモナー
>974
出番の無さといいデコっぷりといい
まるで黄薔薇のようだ
KT600とか>>熊男
デュロンたんは聖さま
980 :
972:04/04/17 22:36 ID:FlVYSyEu
あら、プレスコットピンが曲がっていてよ
パフィは志摩子さん…じゃないな。
>>979 >>982 でゅろんが聖さまなら、ぱふぃの祐巳すけは自動的に決定する。
・・・よく考えたらでゅろんって、ぱふぃより先輩なのか。
桜も散り、日に日に暖かくなっていくこの頃。
もう少しすれば、暖かいの形容が暑いの形容に取って代わられるようになるだろう。
そんな中、縁側に腰掛け湯飲みでお茶を飲む二人。
ジフォースとラデオンである。
ちなみにジフォースの持つ湯飲みの中身こそ日本茶ではあるが、ラデオンの持つ湯飲みの中にはハーブティーが入っている。
しかもラデオンオリジナルブレンドハーブティーという事で何やら妙な匂い(もはや香りではない)がしているのだが、そこは付き合いの長いジフォース、こういうものだと完全に割り切っている。
慣れとは恐ろしい。
「このスレもだいぶ人がいなくなりましたわね」
「新スレ立ったから」
「あの日の賑わいはどこへやら、かしら」
「賑わうっていうほど賑やかでもなかった」
「それを言ってはお終いですわ」
「でも事実」
「……まあ、確かに。でも、今思えば騒々しすぎない、あのノンビリとした雰囲気こそが、私は好きだったんですわね」
「じゃあ新スレに行けばいい。このスレにいた人達が移行したんだから、まったり進行の雰囲気は今度は新スレで多分味わえる」
「んー、まぁそうなんでしょうけれどね」
「何か問題?」
「いいえ。向こうの新スレに問題があるわけではありませんわ。
新スレを立てて下さった
>>970さんに心から感謝しておりますし、新スレにも足を伸ばし、まったりした雰囲気を味わっても参りましたわ」
「じゃあ、なんで?」
「新スレに行きたくないからここにいると言うのでは無く、こちらのスレにいたいからいると言った方が正しいですわね」
「ふぅん?」
「新しいものに移行するのは簡単ですし、その方が賢い選択なのかもしれません。
古いものに固執していては新しい波に乗り遅れてしまいます。
特に私たちの世界は日進月歩。
新しい波に一度乗り遅れてしまえば、その遅れを取り戻すのは容易ではありません。
ただでさえ大量消費が推奨され、使い捨てが基本になっている世の中です。
古いものを修理などするよりも、新しいものを購入した方がお金も手間もかからない。
でも、それでも……」
「それでも?」
「……私は少し変わったのかも知れません。
古きものから新しきものに移行するときも、その古きものに対する感謝を忘れない。
古きものがしてくれた事を、それによって自分が成長できた事を忘れない。
古きがあるからこそ、新しきがある事を忘れない。
それを忘れた時、人はただ新しきを、流行を追い求めるだけの人形(ヒトガタ)になってしまうのではないでしょうか」
「……」
「そう、何かを追い求めるにも、その根底にあるのは自分自身。
自分自身を失い、ただ最先端を追い求め、流行を追い求めるだけでは生きているとはいえない。
『どこにでもいる』という事は、『どこにもいない』と同義なのかも知れません。
いくらでも自分の代わりがいるというのは、自分がいなくても何も変わらないという事ですから。
だからこそ、私は私自身を大切にした上で、一つ一つ成長をしていきたいと思うのです。
成長を、積み重ねて生きたいと思うのです。
古きの上に新しきを、そしてその上にまた新しきを、と」
「……そう」
そっけないラデオンの返事ではあるが、付き合いの長いジフォースはその微妙なニュアンスから込められた意味を理解し、その返事に満足した。
そして二人また静かにお茶を飲む。
そこだけ時がゆっくりと流れているように、そんなふうに感じる一日。
ラデオンは祥子さまな気がする
でもジフォースの爆熱ぶりも短気な祥子様っぽい気が…とは言えラデのが似合うか、紅薔薇だし。
画質ではミレに、立体ではゲフォに一歩譲り時々挙動不審…
なんかでこちんな感じが>>ラデ
イメージカラーだとやっぱり祥子さまだけど
凸様の影の薄さっぷりはS3っぽいと思う
ラジオ・『MOE PCz Knight』
DJ「――JAM! JAM! 今日もKAWLな時をキミに4U!!
一世代前のサウンドボード、普及価格帯よりちょっとだけ豪華、SoundBlasterAudigy無印版の『MOE PCz Knight』の時間だ!!
もうみんな新スレに移行してここも廃れてきたが、こんな時だからこそKeep on smileの精神で寂しくても笑え!! それが正しいスレ末っ子だゼ! ンナ!?
頑張ろうぜお互い。まだ落ちてないってYo?
そんなこんなでスレ末まではオマエと一緒だ!!
Hey JAM!! ――Check it out!!
さて、とうとう990レスだ!
萌えPC5スレ目の住人たるオレたちにも、そろそろ引導が渡されるときが来たってコト。
あと10レス、覚悟キメてるかみんな!?
確かにもーここにいる住人は少ないだろーが、今までまったり進行しておきながらこのゴに及んで意味無いレス連発するのはくだらねぇ以外のナニモノでも無いぜ? ダロ?
あ、それはオレも同じか、ヘヘヘヘ。
でもまぁ、ここまできたら気持ち良く落ちるのがKAWLってモンだ!
オレはこのスレが生きてる限り最後まで居続けるつもりだ。
ここで何かを残そうとする事はムダじゃぁないハズ。
いつかhtml化された時に、誰かがこのスレを見、懐かしんでくれればそれは成功だ。
だからみんなもこの場所でちょっとつっぱってみようぜ。
それじゃあ次レスはこんな状況をぶっ飛ばしてくれそうに熱いヤツ、ハイ!!」
CLIE PEG-N600CタソとMGMS Duo 128MBを身請けしてしまった…。
しかし、クリエタソにMS宛てのお手紙を頼むと妙に遅い気がする。
オレンジのアクセスランプにせっせとエロゲーを運ぶクリエタンの姿を想像してハァハァしまつ。
今回は完走できるかな保守。
本日MediaGXさんを身請け完了。
クロウソアタソよりは大柄だけど、かわいいのう・・・
先日ママンがお亡くなりになってしまってAthronXPたんが失業中・・・
995 :
@12:
我が家に来るIBMのHDタンは皆病気持ち(ジャンク扱い)で来るからでしょうか・・・。
本日二台目を看取りました。
思えばもう危ないという言ってくれていたのに・・・。
その警告を無視してバックアップを取っていなかったので
彼女に入っていたデータは電子の海の藻屑と化しました・・・。
一年間有り難う、DTLA-305040タン・・・(´・ω・`)