葉鍵ロワイヤルに負けないモノを作ろうではないか!

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654誓いと別れ:04/01/22 22:37 ID:/XnaDu0K
「武……ちゃん」
 純夏は、俯いていた顔を上げて、武の顔を見る。
 その顔は笑っていた。
「だって、俺達は……、仲間なんだからな!」
 
 中央へ向かう、純夏、冥夜、尊人。
 珠瀬の仇を追う、武、綾峰、榊。
 彼等は、また会うという約束を交わしてから、各々の目的の為、別の道を歩む事になった。
 
【白銀 武 招 状 ○ 持ち物 サブマシンガン 装填数 2000発(およそ二分間打ち続けられる)】
【鎧衣 尊人 狩 状 ○ 持ち物 ハンドガン 装填数 20発】
【御剣 冥夜 狩 状 ○ 持ち物 刀】
【榊 千鶴 狩 状 ○ 持ち物 マグナム銃 装填数 6発】
【綾峰 慧 狩 状 ○ 持ち物 弓 矢10本、ハンドガン 15発】
【鑑 純夏 狩 状 ○ 持ち物 ハンドガン(あの後貰った) 装填数 20発】
【ドライ、和樹 歳江 以前と変わらず】
 尚、装填数以外の予備弾は無し。
655負の力:04/01/23 00:26 ID:T64W14eO

「……だからー。この殿方たちとでも試してみようかなーって……」


 ……誰かの話し声が聞こえる。
 ……ああ
 ……俺達、やられたんだな……

 ………………

 ……わりぃ、つばさ。
 ……俺、もう駄目かも……


 ……真っ暗な世界。

 ………………

 はは、俺、どうかしちまったんだろうな……
 変なぬいぐるみまで夢に出てくるなんてな……
656負の力:04/01/23 00:27 ID:T64W14eO
 ………………

 ……自分の責任だ自分のせいでアーヴィがアーヴィがアーヴィが……

 ……悪いのはぼくぼくぼくぼく、ちがうちがうおまえだおまえだ……

 ……やっちまえやっちまえやっちまえ、うらぎられたうらぎられたうらぎられた……

 ……でもちがうちがうちがう……

 ………………

 ……どす黒い負の感情……

 ……怒り……

 ……後悔……

 ……憎悪……
657負の力:04/01/23 00:29 ID:T64W14eO
 ……ああ

 ……これか

 つばさが殺されたとき

 俺が化け物を倒した力は

 ………………


 ……醜い力だった


【桜井舞人・高町恭也、新撰組に運ばれる道中、舞人思う】
658笑顔の価値:04/01/23 05:22 ID:hXKtRSvn
「はあ・・・」
なんでこう自分はドジばかりなのだろう。
ケルヴァン様に起動させられてから1週間である。
その間に、失敗した仕事は両手はおろか足の指を含めても数えきることはできないであろう。
頭についているハンド型マニピュレイターの指10本も使ってみたが・・・むなしくなっただけである。
いろいろとやらされては見たものの、ケルヴァン曰く『ものすごい成果』(当然皮肉である)のためにお茶くみ要員と化していた。
給仕用アンドロイドであるリニアは効率よく仕事ができるように頭に人間の手を同じ形の機構を持っていたが、
彼女にかかればそれはいかに効率的に失敗をやらかす機構に成り下がっていた。
自分を修理し保護してくれたケルヴァンに対して恩義を感じ、役に立とうと張り切ってはいるものの全ては空回りしていた。

先ほどケルヴァンから、明日から客人が増えるだろうと聞かされている。
(ケルヴァン様達がなんかやってたのが始まるのかな・・・)
リニアはケルヴァン達が何をやっているのか知らないが、
ケルヴァンの性格から思うにリニアの道徳観では悪いことをしているのであろう。
奏子へ出したお茶のカップを回収し、キッチンに戻る間中リニアはそんな事を考えていた。

昼間にそんな事を考えていたせいなのか。

どうしても寝付く事ができずに、ふと部屋の窓から外を見上げた。
その時だった、空から流星が地上に向かって降り注いだ。
思わず「きゃっ」と悲鳴をあげてしまったがもう次の瞬間には、流星雨は降り終わっていた。
光学式視覚再生装置の故障だろうか?
(疲れてるんですね・・・私)
そう判断してリニアは、再びベッドに入り込んだ。
そもそも機械の部品が故障したのなら寝たところで直ったりはしないのだが・・・
先ほどの光景のインパクトが強くてその事に気づくことすらできなかった。

自分の視覚装置の故障だ。
そう思っていた。

翌日の朝に、キッチンで倒れた少女を見つけるまでは。
659笑顔の価値:04/01/23 05:24 ID:hXKtRSvn
「えっと・・・もしもし?」
思わず頬を突付いてみるが反応はない。
(え・・・ま、ま、ままままさか死ん・・・)
「恭ちゃん・・・」
少女から言葉が発せられると同時にリニアの思考は中断した。
ほっ・・・
思わず安堵の溜息をついたのも束の間、少女は意識を取り戻したわけではない。
何より少女がそこに寝ていると自分の仕事ができないのだ。
仕事というのはガラス拭きとお茶くみのことではあるが
少女は目覚める気配はない。
元来リニアの性格上放っておくこともできない。
リニアは自分の部屋に連れて行こうかと少女を持ち上げる。
(お、重い・・・)
これは少女─高町美由希の名誉のために言っておくが・・・リニアが非力なだけで美由希が特別重いということはない。
ついでに少女が大事そうに抱えていた刀も、持って行く。
時間はかかったが美由希を自室のベットに横たえることができた。
刀は・・・危ないのでベットの下にでも置いておこう。
(これでお仕事ができる・・・)
大労働を終えたリニアであったが彼女の仕事はこれからが本番であった。
もっともお茶くみとガラス拭きなのであるが。
660笑顔の価値:04/01/23 05:24 ID:hXKtRSvn
キッチンに行く途中でケルヴァンと会った。
「あ、おはようございます。ケルヴァン様」
「ああ・・・そうだ、リニア今日の奏子へのお茶だかな」
「はい」
「持ってこなくてもいいぞ」
「え!私・・・なんかしましたか!?」
また何かやってしまったのだろうか、しかもこのお茶酌みは、事実上最後の砦ともいえる。
(とろくて、機転が利かなくて、あげくにぽんこつだが・・・淹れる茶だけは美味いな)
4日前に言われたケルヴァンの台詞が脳裏をよぎる。
「そういうことではない。単純に今日だけいらないということだ」
「自室で大人しくしていろ。それが仕事だ」
「え?お掃除は・・・」
「今日から客も増える・・・明日のために茶を淹れる練習でもしておけ」
「・・・はい・・・わかりました」
気の毒になるくらい凹んでいるが、ケルヴァンは全く意に介さなかった。

自室に帰る途中でふと思い出した。
そういえばキッチンで発見した少女の事の報告を忘れていた。
(お掃除道具を部屋にしまってからでも、いいですよね・・・)
かなりいじけが入っている。
部屋に戻り道具を片付け、これから報告に行こうと思い立った時であった。
「あれ・・・?ここどこ?」
高町美由希は目を覚ました。
661笑顔の価値:04/01/23 05:25 ID:hXKtRSvn
えっと・・・ここはどこなのかな?」
高町美由希と名乗った少女は少々混乱気味である。
美由希は兄である恭也と剣の稽古をしていたはずだ。
「えっと、なんていったらいいんでしょうか・・・」
リニアはリニアで返答に窮している。
自己紹介は互いに先ほど済ませていた。
その時に小太刀は美由希に返した。(大事そうに受け取るのが印象的であった)
「と、とにかくですね。ここは安全な場所ですから、しばらく無理しないで寝てて下さい」
(安全・・・?安全ってどういうことだろう?ここは安全って事はここ以外に危険があるってことだよね)
「あ、リニアご主人様に美由希さんのこと伝えてきますね」
美由希が疑問を口に出そうとした瞬間リニアは、部屋の外に駈けていった。
(場所を聞くってことはこの屋敷の人じゃないから・・・もしかしたらお客さんかもしれない)
だとしたらケルヴァンに部屋を用意してもらわなくてはいけない。
リニアは足早にケルヴァンの部屋に向かった。(途中で4回も転んだが)

「ケルヴァン様!」
勢いよく部屋に飛び込んだ──つもりだったがドアに鍵がかかっていて頭からぶつかってしまった。
「っ〜〜〜〜!」
声にならない呻き声をあげるが立ち直りは早かった。
「あ・・・あれ?不在って」
扉には不在の札が、リニアを嘲笑うかのように揺れている。
普段のようにガチガチに緊張で固まっていたなら・・・扉の前で一度立ち止まっていたらこのような醜態を晒すこともなかったであろう。
起動して初めて臆せずにケルヴァンの元に行こうとしたにはあまりにも酷すぎる仕打ちだった。
(リニアには知る由もないがこの時ケルヴァンは朝倉姉妹の保護に行っていた)
リニアはケルヴァンの部屋の前で途方にくれていた。
(一度部屋に戻ろう・・・)
美由希の様子をなんだかんだと言って気にはなる。
先ほどは狼狽して思わず病人を放りだしたままケルヴァンの部屋に来てしまったが・・・。
やっぱり美由希に自分のわかる範囲でここの事を説明しよう。
それから・・・
662笑顔の価値は:04/01/23 05:37 ID:hXKtRSvn
(ケルヴァン様に・・・)
そういえば美由希が客人でなかった場合どうなるのだろう。
さっきから客人だとばかり思っていたがそんな事は考えても見なかった。
今朝キッチンに行く時に庭で女の人達が口論していたり、とてもきれいな女の人を廊下で見かけたりしたけれど
あの人達は・・・ケルヴァン様と同じ感じがする。
何か・・・不吉というか不安というか。
具体的には知らずともケルヴァンの性格からして、よくないことなのであろう。
もしかしたら、人が死ぬかもしれない。
それに比べて・・・
「私は・・・高町美由希。あなたは?」
そう言いながら微笑んだ美由希の笑顔には、自分の不安を・・・消し去ってくれるような雰囲気があったのだ。
アンドロイドである自分がこんな曖昧な感情を元に主を出し抜くような真似をしてもいいのだろうか。

「リニア」
不意に背後から声。
声の主はケルヴァンである。
「あ・・・お、おかえりなさいませ」
よからぬ事を考えていた少々言葉がどもった。
だがケルヴァンはその様子をとって見て別の結論を出したらしい。
「また何かやらしたか・・・その報告はいらん」
「そ、そうですか」
普段から失敗の報告ばかりしていたために、様子がおかしかったのが露見しなかったのはうれしいやら悲しいやら。
「それと仕事ができたぞ」
「本当ですか?」
まだスクラップにならずに済むようだ。
「客人がきたのでな。部屋で寝ている、2時間たったら見張りと交代してやれ」
「はい、わかりました」
「それと目を覚ましたらすぐに私に報告するように」
663笑顔の価値:04/01/23 05:43 ID:hXKtRSvn
リニアは表面上こそうれしそうにしていたが内心は複雑であった。
主たるケルヴァンに隠し事をしようとしている。
(でも・・・美由希さんに安全だっていっちゃったしね)
美由希の身が安全であるとわかればその上でケルヴァンに報告すればいい。
与えられた仕事に関してはまだ時間の猶予がある。
その間に美由希の安全を確認して・・・
(でも・・・もし・・・)
もし・・・ケルヴァンが美由希に危害を加えるようなら?
リニアは頭を振ってその考えを振り払った。
(それならその時で考えたらいいですよね)

リニアはまだ気づいていない。
ケルヴァンが美由希に危害を加える可能性があるように、美由希が客人である可能性だってあるのだ。
しかし無意識にリニアはケルヴァンと美由希の性格からそれはありえないという結論を出していた。

リニアはケルヴァンに美由希の存在を隠し通すことを───主の意に逆らうことを既に決心していた。


【リニア@モエかん(ケロQ) ? 状態○ 所持品 なし】
【高町美由希@とらいあんぐるハート3 招 状態○ 所持品、小太刀(龍燐)】
664名無しさん@初回限定:04/01/23 21:25 ID:MNNhUAJa
八雲辰人登場
ニャル様には誰も敵わなかった

終わり
665迷い込んだ客:04/01/24 00:02 ID:lTtKi2WI
「・・・俺はなぜ生きている」
俺は確かに美空に斬られて───
珠姫を死なせたくない。
そうなると己の内の邪神を殺すには恋人に自分を斬らせるという、ある種非情な手段をとらざるを得なかった。
自分の存在がこの世ならざる者を呼び、大切な者を危険に晒すと知った時彼は自分の死でその運命を断ち切った。
もとより一度死んだ身だ。
特に恐怖はなかったが、自分を斬った美空が傷つかないかそれだけが心残りである。
(さすがの我も危なかったぞ)
自分の内なる存在、邪神が語りかけてくる。
(守護者め・・・古の物語の結界を利用してくるとは)
(それより・・・俺はどうなった?死んだんじゃねえのか)
(たわけが!依代であるお前が死んだら我まで滅びてしまうであろうが。ここは別の時空だな・・
・思わず最も境界の結界が薄かったところに飛び込んでしまったが)
(お前のお仲間の世界・・・か?)
(そうであるならば都合がよいのだが・・・生憎そうでもないようだ)
ゴゴゴ・・・
──その時島が少し揺れた。
(どうやら気づかれたようだな、この世界の管理者が結界を強化しおった)
(前のタコの化け物の時見たいに力がろくに発揮できません・・・ってことかよ)
(まあ、生きていれば元の世界に戻ることができるかもしれぬぞ?)
(てめえさえ消えたらいつでも帰ってやるさ──)
どうせならあのまま死んでいれば美談になったのだが。
666名無しさん@初回限定:04/01/24 00:03 ID:lTtKi2WI
どうやら彼を取り巻く運命はそう甘いものではないようだ。
(もしかしたら・・・母さんがまたなんかやったのかもな)
ならば八雲辰人は生きなくてはいけない。
辰人の実の母親は、幼少の辰人、美空、珠姫の3人を救うために命を落とした。
母親の思いを無駄するわけにはいかない。
辰人は、元の世界に帰る方法を探すことに決めた。

一方・・・
「気づいたか?葉月」
「ああ、かなりの力の持ち主・・・我ら同様招かれざるものか」
「覚えがあるな・・・この気配、混沌か」
「知ってるのか」
「世界を・・・暇潰しの道具としてしか見てないいけ好かぬ輩よ」
「お主に嫌われるとは相当なものだな」
当然葉月の言葉は、さっきの伊藤乃絵美に対する蔵女の所業への皮肉なのであるが蔵女は気にしていないようだ。
「奴の力は危険だ・・・今のうちに排除しておくか」
「我らの目的のためには放っておくほうが都合がよいのではないか?」
「あやつは、非情に狡猾で己の退屈を紛らわすためだけに存在している。我の敵になれども味方にはならぬ」
それに・・・
「あやつの再生力は、どこぞの吸血鬼の比ではないぞ。お主の世界の不要物を消す刀以外に対抗できるとは思えん」
「先ほどの結界の強化で相当その力も落ちているのだがな・・・」
「奴とて条件は変わるまい。我に似た存在なのだからな」
不死にも近いその再生力。
ならば存在そのものを『消す』葉月の刀しか対抗する手段はなかろう。
「我が奴の気を逸らす。葉月・・・一撃で決めるのだぞ」
「言われるまでもない、もとよりその気だ」
667名無しさん@初回限定:04/01/24 00:04 ID:lTtKi2WI
(辰人!!敵意あるものが来るぞ)
(んだと!いきなりかよ)
身構えた瞬間、赤き爪を剥き出しに戦闘態勢に入っている蔵女が正面から突っ込んでくる。
(終焉をもたらすもの───何の真似だ!)
「久しいな混沌よ。すまんが取り込み中でな、旧交を温めあうということはできそうもない」
(我を消す気か!辰人!)
「少し黙って力を貸してろ!俺だってこんな場所でくたばる気はねぇ!」
辰人の爪と蔵女の赤い爪が幾度もぶつかりあい火花を散らす。
(忌々しい結界よ・・・亡者でも召喚し、けしかけてやろうにも力が足りぬ)
しかし辰人の爪が直接相手を切り裂くという性質に対し、蔵女の赤い爪は本来その用途に用いるものではない。
徐々に蔵女が押され始めた。
「むう・・・依代に宿る混沌がここまでの力を発揮するとは・・・」
蔵女が混沌を弱らせてその隙に葉月が止めを刺す算段だったのだが、辰人は予想以上に混沌の力を使いこなしていた。
蔵女の言動にも余裕の色が見れなくなっていた。
「俺にも死ねない理由があるんでな!あんたが何者だか知らねえが・・・悪く思うなよ!!」
辰人の爪が蔵女の爪を弾いた。
(しまった!爪を再生する暇が───)
「あんたの終焉とやらは自分に使うんだな!」
辰人の爪が蔵女の首を刎ねようと───「邪まなるものよ・・・消えよ!」

──!!
(辰人!後ろだ!)
葉月の刀が後ろから辰人に襲い掛かる。
内なる声の警告によって横に飛ぶ。
しかし葉月の剣速は避けきれるものではなく、左肩から腹部にかけて斬撃を食らってしまった。
(この力・・・リリスの眷属か!辰人、一端退くぞ!この力、真っ向から挑むには危険すぎる)
(くそっ・・・さっきから終焉だとかリリスとか訳分からんことばかり言いやがって!後で説明しろよ!)
葉月の斬撃を横っ飛びで避けたその勢いのまま辰人は全力で駆け出した。

668名無しさん@初回限定:04/01/24 00:06 ID:lTtKi2WI

「思ったより結界の影響が大きいな・・・刀の力も『削る』程度の力になってしまったか」
「まあ、捨て置いてもよかろう。既にやつに1人でこの島にいる者全員をどうこうできる程の力はあるまいて」
蔵女は爪の再生を終えて落ち着いたようだ。
「我はそう簡単には死なぬが・・・お主は刀以外は只の人を変わらぬのだ。リリスにどやされるのはごめんだからな
死んでくれるでないぞ」
「お主に身を案じられるか・・・複雑なものだ」
蔵女はそれを聞いてころころ笑った。
「お主が我のことをどう思っているかは知っているがあまり口にだすものではないぞ?」
しかし葉月はいたって真剣に
「性分なのでな、お主と反りは合わん」

(しかしこの世界・・・いや島か。何かあるな)
(何かって何だよ?)
(我も万能ではないのでな・・・しかし管理者たるリリスの使徒と終焉が行動を共にしているのだ何かある。
利用できるのかもしれんぞ)
(その前にこの傷口を治して欲しいんだがな)
(さっきの刀・・・管理者リリスの力だが。世界にとっての不要物を消す力がある。それの影響で力が更に落ちた)
(不要物を消す・・・ねぇ)
だったらあの刀に消されてしまった方がよかったのもしれない。
669名無しさん@初回限定:04/01/24 00:07 ID:lTtKi2WI
この内に眠る邪神ごと。
(しかし本来食らえば一撃で我とて消滅するはずだが・・・それができなかったということは
この世界の結界は奴らにも影響を及ぼしているということだ。奴らの力とて完全ではない。勝機はある)
そうだ───美空のところに帰らないと・・・な。
まずは・・・この傷を治すことだ。
削がれた力は戻らないだろうが、傷は一晩もあれば回復するだろう。
八雲辰人は内なる邪神と共に元の──美空のいる世界に帰ることを決意するのであった。

【八雲辰人@朝の来ない夜に抱かれて(F&C) 狩 状態 △ 所持品なし】
【蔵女 招 状態 ○ 所持品 赤い爪(能力)】
【葉月 招 状態 ○ 所持品 刀】

670名無しさん@初回限定:04/01/24 01:09 ID:cybRdFDX
状態修正

【八雲辰人 狩 状態 △(結界の強化と葉月の刀により力激減) 所持品なし】
671名無しさん@初回限定:04/01/24 01:30 ID:cybRdFDX
要望があったので更に追記

現在の八雲辰人の能力
攻撃方法は蔵女同様爪によって行う。
爪以外の攻撃方法はなし。
原作にあった亡者召喚は力の不足により不可能。


力が戻る可能性
結界の消滅。(=ヴィルヘルムの死亡)結界の解除により葉月の刀によって削がれた力も回復する。
しかし力が戻った場合邪神の力により元の世界に帰ると思われるので残す場合はそれなりの動機づけを。
672名無しさん@初回限定:04/01/24 01:33 ID:cybRdFDX
しまった。書き忘れ・・・

再生能力はモーラ、ギーラッハと同様。
673名無しさん@初回限定:04/01/24 01:43 ID:/H2UAHGI
葉月のキャラ違う
674はじめてのだっそう:04/01/24 04:49 ID:QiQiMyAU
「ねぇ…まいなちゃん?」
ゆうなは自分と同じように肩身が狭そうにしているまいなに話しかける。
「おちつかないね…」
彼女の目の前で三日月が逆立ちしていた。

彼女らがいる建物は、あのハゲ親父がいうところの幼稚園らしいが・・・
その内部を見て2人は絶句した。
そこはもうあらゆる自然の摂理や物理法則を無視したようなきらびやかとも禍禍しいとも付かない
誇大妄想の果てというべき世界だったのだから。

ここの主とか言うハゲ親父のしゃべっていたことについてはさっぱり分からなかったし、
聞いてもいない、たしか感性がだの情操教育だのと言っていたような気がするが、
幼稚園のみならず、窓から見える建設中だとかいう病院や役場も、こんな風なのだからかなり怪しい。
ただ少なくとも上機嫌でしゃべる姿を見る限り、このトンチキな世界が理想郷だと本気で信じているようだ。
「HAHAHAオジョウサーン、ノープロブレムネー、マダマダ未完成、ノットコンプリートネー」
勝手にしゃべってそう結ぶと、ハゲ親父は部屋から出ていってしまった。

そんな中でゆうなはちょっと背伸び気分で、こっそり母親の書斎で読んだ小説を思い出していた。
たしか天才がゆえに狂人となった大富豪が絶海の孤島に精神異常者たちの王国を築こうと企てる話だ。
自分たちがいる部屋、窓から見える風景、それらはその小説を読んで想像した王国のそれに近かった。
あのお話の最後って…確か…

と、さっきまで肩身の狭そうだったまいながいきなり立ちあがる、とシーソーになっていたソファが刎ねあがり
片方の端に座っていたゆうなはそのまま空中に投げ出され、巨大なバスケットゴールのネットに
すぽんと吸いこまれていく。
あたふたとネットから降りようとしているゆうなを待つことなく、まいなは大声で叫んだ。
「ゆうなちゃん良く聞いて…今からあたしたちはここから脱走するのよッ!」
「そんな大声で脱走なんて言ったらだめよ」
といいつつもゆうなも脱走には大乗り気だった。
こんな場所にいたら自分が朝倉ゆうなではなく、別の何者かになってしまいそうだ。
675はじめてのだっそう:04/01/24 04:50 ID:QiQiMyAU
と、いうわけで2人はさっそくこの物狂わしい王国からの亡命を決意したのであった。
で、2人はようやく最初に連れこまれた城の前まで辿りついていた。
道中、建物のみならず町割りまでもがとんでもなく、2人は何度も迷ったが
それでも途中誰にも見つかる事は無かった。

「ゆうなちゃん、ここをくぐっていこ」
まいなが指差した先の壁に穴が開いていた、2人がそこをくぐると目の前には花園が広がっていた、
2人は花を摘みながら先を急ぐ、と今度は目の前に白いテラスハウスが見えた。

2人はテラスハウスにそっと近づくと窓から中の様子を伺う、とそこには天井から吊り下げられた
巨大な鳥篭に閉じ込められた少女がいた。
少女は鳥篭の中で椅子に揺られながら編物をしている、その幻想的な光景にしばし2人は時間を忘れた。
まいながそのことに気がつき、ゆうなの襟を掴んで先を急ごうとした時だった。
少女は編物の手を止めて、唇にそっと人差し指を当てると、彼女らを手招きしたのだった。

少女は深山奏子と名乗った。
ゆうなとまいなは奏子から出されたお茶を飲みながら、ぽ〜っと奏子を見つめている。
「どうしたの?」
微笑む奏子にまいなが答える。
「お姫様みたいだなって思って」
「ふふっ、ありがとう」
たしかに奏子が閉じ込められている鳥籠の中は絵本の中でしか見た事が無いような豪華な調度品で
飾り立てられているし、奏子自身もなかなかの美少女なのでお姫様に見えても不思議は無い。

と、その時だった、廊下から足音が聞こえる。
「ケルヴァンさんよ!早く逃げて!」
奏子はキャンディBOXから飴玉を両手に握れるだけ握り出すと、格子の外へ手を伸ばし、
2人へと手渡す。
「奏子さんは逃げないの?」
奏子は微笑を絶やさないまま答える。
「お姫様は王子様が来てくれないと逃げられないの」
676はじめてのだっそう:04/01/24 04:56 ID:QiQiMyAU
ゆうなとまいなはキャンディをポケットに詰め込むと、そのまま外に飛び出そうとしたが
その直前、奏子に向かって頭を下げて大きく手を振る、奏子もそっと手を振ったのを見てから
2人は外へ飛び出していった。

そして2人があわただしく去っていった後、奏子は悪戯っぽく呟いたのだった。
「でも私の王子様は姉様だけどね」


一方のケルヴァンだが、彼もまた奏子について考えていた。
彼女にもしものことがあれば、怒り狂った初音が何をしでかすか分かったものではない。
人質として利用できるその時までは心身共に健康でいてもらわないと困る。
これから先は多忙になる、今までのように監視が行き渡る事もなくなるだろう。
そのスキを突かれ良からぬ輩に利用される可能性が無いわけではない。

「止むを得ん、誰か護衛をつけるか…」


【朝倉ゆうな・まいな@はじめてのおいしゃさん(ZERO) 招 状態 ○ 所持品 キャンディ】
677名無しさん@初回限定:04/01/24 05:41 ID:e52KmSNx
浩之と青児参戦
全ての技をコピーします

アストも参戦
キャラ単位に近いコピーします

魔弾ことジューダス・ストライフ参戦
その気まぐれゆえ、八雲辰人の力が戻りルネッサンス山田(ベルゼバブでニャル様)コンビ結成

小十郎&鳳凰参戦
無限の力を手に、平和主義片手に破壊の限りを尽くします
678名無しさん@初回限定:04/01/24 05:43 ID:e52KmSNx
神殺しことセリカ参戦
ただの退屈しのぎの様です
679名無しさん@初回限定:04/01/24 05:43 ID:l5l0LiuR
あ、死んだ。
680名無しさん@初回限定:04/01/24 05:52 ID:e52KmSNx
真道カスミ(ExodusGuilty)、那須宗一(Routes)、吾妻玲二(Phantom)の三人とか。
裏の世界の超一流トリオだけあって、どんな局面でも切り抜けてくれる。

普段は玲二をリーダーにしてカスミと宗一をサポートに、
ここぞというところでプロトアクチニウム原子破壊砲と天濡矛があれば、
大抵の相手は一撃で仕留められるので、かなりお奨め。
681名無しさん@初回限定:04/01/24 05:55 ID:e52KmSNx
二重影の双厳
永遠神剣&エターナル化のユートも参戦
682名無しさん@初回限定:04/01/24 06:05 ID:e52KmSNx
初音様参戦ヴィルと組んでしまいました
683名無しさん@初回限定:04/01/24 12:11 ID:b0qIlAoq
ヤミ様参戦
684名無しさん@初回限定:04/01/24 15:47 ID:I/+4IiN/
魔世中ハ我ノ物&永遠となった留守番の緒方星四郎とかでもな、好きなだけ好きなことができる
685名無しさん@初回限定:04/01/25 17:07 ID:M+k3X3Za
久我直之は、洋子とともに、ヴィル達の様子を見ていた。

「マスター」

洋子が直之に身を寄せ、直之は洋子の肩に手を回す

「ヴィルもマスターの思惑通りに動いておりますわ」
「ああ、そうだな」

闇の王の本質は、自己を中心に事象を動かす能力
そして、洋子が持つ未来視の能力は、ほぼ100%の確立で予想する
直之は、洋子が予想した未来を捻じ曲げる

「ああ、だがこのままではつまらん」
「…つまらない?」
「いつでも手に入るものは、既に手に入れているも同じだ。
こういうものは、手に入れる過程こそ楽しいんじゃないか?」
「そうですわね」
「ああ、計画は修正だ。いや、それよりもだ、面白い事を思いついた
神殺しセリカ・シルフィル、魔弾ジューダス・ストライフをこの世界に呼び出す
八雲辰人の力を元にもどすとしよう」

そういって、直之はイービルアイの力を発動させた

【久我 直之 状態 ○ 所持品 イービルアイ(能力)】
【坂下 洋子 状態 ○ 所持品 未来視(能力)】
686名無しさん@初回限定:04/01/25 21:59 ID:KesqaEXn
>>685
NGです、書き手の皆さんスルーもしくはあぼーんしてください
書いた方は反論があれば葱ロワイヤル感想・議論スレッドに来てください
687書き手紫零:04/01/25 22:16 ID:3SN/L0HE
[崩れゆく偶像]

現実を認めたくない。
そんな事は今までだってそれなりにあったと思う。
でも・・・。
(これは――あんまりじゃない・・・。)
さっきの事は夢か何かだと思いたかった。
しかし、現実に私の右腕は・・・ない。
不思議とそれほど激痛ではない。
(・・・よく切れる刃物で切ると大して手が痛くないのと同じ、なのかな。)
そんな事を考える。
「・・・料理、か。」
薄曇の空を見上げたまま私は呟いた。

出来もしない料理を始めたのは、急に出来た兄、大輔のためだった。
いつも学食ばっかりで、でも、私に手料理を作ってくれて・・・。
ママが急に結婚すると電話してきたときは驚いた。
しかも、同じ学園内に兄になる男の子がいると・・・。
でも、正直言って嬉しかった。
今まで私は独りだったから。
・・・誰も私を愛してくれない。
そんな思いばかりがいつも胸にあった。
ママが写真家のアシスタントで世界を飛び回っているからか、私の側には愛情という言葉が欠けていたように思う。

家族がいると言うこと――。
それは、私が思っていた以上に素敵なことだった・・・。
だから・・・。
688崩れゆく偶像:04/01/25 22:17 ID:3SN/L0HE
「・・・んく、・・・ひっく・・・・・・。」
堪えようのない悲しみだけが私を包む。
何も、考えたくなかった。
こんなところにいる事。
お兄ちゃんが・・・大輔が死んだ事も。
藍から聞かされたときは嘘だと思った。
質の悪い冗談だと思った。
もう、あの子供みたいな笑顔に会えない・・・。
時に優しくて、時に不安そうなあの人に会えない・・・。

・・・大好きなのに・・・愛しているのに・・・・・・。

「恋・・・ちゃん・・・。」
「あ・・・っく、・・・い・・・。」
そうだ。まだ、私はいい。
私には、まだ藍がいてくれる。
橘先輩の悲しみに比べれば・・・。
「藍・・・。」
気持ちを入れ替えると、私はゆっくり上体を起こし、長座の体勢になる。
「藍、みんなは・・・」
「皆様には・・・先に移動して頂きましたわ。」
藍がこれまでのいきさつを話してくれた。
クモ女を追い払ったこと、橘先輩と自分に何かが覚醒し、それがよく分からないこと・・・。
二人は島の中央に移動していることや、実はこの近くに小屋があるということも。
「私、見えてしまったんです。」
「見えた?」
はい、と藍が場に相応しくない笑顔で答えた。
「あの小屋の中・・・銃火器がありますわ・・・。」
木々の奥にポツンとある小屋を指差し、呟くように話す。
恍惚の表情とも取れる、藍の安心した顔。
689崩れゆく偶像:04/01/25 22:18 ID:3SN/L0HE
・・・違う。

これは・・・藍?本当に、私の知ってる藍なの?

「恋ちゃん?まだ・・・痛むんですね・・・。」
深刻な表情の私を気遣って藍が言う。
「う、うん・・・」
とりあえずうまく誤魔化しておく。
「恋ちゃん、行きましょう?・・・立てますか?」
差し出された藍の手を、私は掴むことが出来なかった。

――生まれた、猜疑心。

「大丈夫、一人でも何とか歩けるわ。」
「そう・・・ですか?」
片腕がないことは今は忘れる。
バランスがとりづらかったけど、何となく藍に掴まりたくはなかった。
そのまま、小屋に向かって歩き出す。

「恋ちゃん・・・強いんですね・・・。あれだけの事があったのに。感動してしまいますわ・・・。」

背後で藍の声がする。
・・・恐怖。
その言葉が一番近いような、そんな不快感。
(やっぱり・・・何か違う!)
「藍――」
690崩れゆく偶像:04/01/25 22:19 ID:3SN/L0HE
私が振り向いたのと、乾いた発砲音と共に”何か”が私の左胸を貫いたのは、ほぼ同時だった。
「何・・・で・・・・・・」
鼓動が一気に早くなる。
打たれた胸を中心に、焼けるような感覚が全身を覆っていく。
「私は・・・”力”を手に入れましたわ・・・。生きるための、力を・・・。」
藍は、微笑んでいた。
「恋ちゃんのお陰、ですわ。感謝しております・・・。でも――」
一旦ここで言葉を切る藍。

「私は――生きていたい・・・。そのためには、負傷者は邪魔なのですわ・・・。」

目の前が霞む。
痛みと、意識の薄れと――涙で。
「藍・・・そん、な・・・・・・。」
「だって、動くのが精一杯の人を抱えて走るわけには参りませんでしょう?」
信じられないことに、藍は笑った。
「重い荷物は捨てる。これは敵から逃げるときの常套手段ですわね・・・。」
捨てる・・・。
その台詞に何もかもが・・・壊された。

691崩れゆく偶像:04/01/25 22:20 ID:3SN/L0HE
ママのせいで入らされた一流幼稚園。
みんな大人しくて、ただ良い子だった。
私は、独りで泥遊び。
それでも毎日楽しかった。
家族のいない、独りの家にいるよりはずっと。
そんな時、私が声を掛けたのが同じように独りでいた藍だった。
私たちはすぐに仲良くなり、つられるように周りとも仲良くなった。
藍とは、それからここまで・・・親友になった。
どこか私たちは似ていたのかもしれない。
でも、それだけじゃなかった。
家族のような・・・少なくとも、私は藍が本当の家族と同じくらい好きだった。
これからも、そうだと、信じてた――。


地面に倒れこんだ私に藍は再び銃口を向ける。
「何が、こうさせるのでしょうね・・・。私にも解りませんわ。」
何故だろう。藍は泣いていた。
この世界に飛ばされたことが悲しくて?
それとも・・・私を殺すことに・・・?
ううん。それは・・・ない。
そうだったら、きっと微笑まない。
表情と声は笑いながら、ただ、泣いていた・・・。
「もう、誰も、信じない――・・・。」
692崩れゆく偶像:04/01/25 22:21 ID:3SN/L0HE
全身から力が抜ける。
暗く沈んでいく視界の中で・・・

「ち・・・がう・・・。」

私は、自分を否定した。
違う。信じられる人が、いる。
私は最後の言葉に、その人の・・・大好きな人の名前を、選んだ。
傍に・・・行きたい・・・。

「だい・・・す・・・・・・け・・・・・・――」

鬱蒼とした木立の合間を縫って、発砲音が響いた――。

【桜塚 恋:死亡 鷺ノ宮 藍 状態:○装備:武器庫から既に調達していた拳銃(種類不明)】
693春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:53 ID:Y9Za7FkT
「何なのよ…もう」
行けども行けども森、自分の見慣れた町並みはどこにも存在しない。
豪快を絵に描いたような少女として幾多の逸話を持つ春日せりなといえども、
今の状況には困惑を禁じえない。
いつもの面々と遊んでいたらいきなり声が聞こえて、気がついたらここにいた。

「はっ、もしかして私は伝説の勇者様って奴?それでもってこの森を抜けたら村があって
そこで私は救世主として…」
そこから先は言うのをやめた、いくら何でも虫が良過ぎる話だと我ながら思ったから。

だが春日せりなが考えるほど、この世界は甘くはなかった。
事実、いつまでたっても森を抜け出せる気配は無かったし、しかも出迎えは魔王の搾取に苦しむ
善良な村人などではなく、死体だったのだ。

標本や写真なんかじゃ決してありえない生の死体…しかも…。
胃の奥からすっぱい何かがこみ上げてくる…それでもせりなはその無残な、いや異常な死体から目を離せない。
何が異常かと言うと、その死体はまるで焼き魚のように、きれいに手足や胴体の肉や内臓だけが無くなっており
言わば理科室の骨格標本の上に制服を着せ、女の子の顔をくっつけたような死体だったからだ。

その女の子の顔はまるで眠るように安らかだった、ピンクの髪をしたまるで猫の耳のような癖毛が特徴的だ。
身に纏っている軍服チックな制服は、せりなにも見覚えがあった。
「白稜柊…私より頭悪そうに見えるけど勉強できたんだね」
生きている本人が聞いたら間違い無く気分を悪くするであろうセリフを、せりなは口にしていた。
我ながらこんな言葉しか出てこないのを不思議に思いながら。

「今…お墓を作ってあげるね」
それから後は、せりなもこれくらいしか口に出すことが出来なかった。
694春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:54 ID:Y9Za7FkT
せりながようやく珠姫の遺体に土をかぶせ終わった時だった、不意に自分の背後から声が聞こえた。
「春日せりなだな?」
「……」
背後からの問いかけにせりなは何も答えない。
「春日せりなだな?」
「いきなり後ろから初対面の人を呼び捨てる礼儀知らずに答える口は持ってないの」
声をかけた相手は、せりなの言葉に暫し沈黙したが、やがて苦笑すると
今度は改めてせりなの正面にから言葉をかける。

「これは失礼した、非礼平にご容赦頂きたい、己の名はギーラッハ、貴様を迎えに参った」
迎えという言葉を聞いて、やはり自分は勇者かもっと一瞬甘い期待を寄せるせりなだった。

「…というわけだ」
「で、断ったら?」
せりなの問いにギーラッハは即答する。
「その結果は、今、君の足の下にある骸が良く知っているだろう?」
「ふぅん…」
暫しの沈黙、そしてせりなの肩が小刻みに震えた瞬間だった。

「冗談じゃないわよ!逆らったら人をこんな風にするような連中と命惜しさに仲良く暮らせるほどね!
この春日せりなは腐っちゃいないのよ!!」 
せりなはまっすぐな怒りの感情を込めた視線でギーラッハを睨みつけている。
「ならばこの瞬間より、己と貴様は敵ということになるがそれでもいいのか?」
ギーラッハの手が剣に伸びる。
「望むところよ!!」
せりなも手に持った棒を構える、その様子を見てギーラッハは困惑を禁じえない。
(この娘、己が恐ろしくは無いのか?それとも何も考えていないだけか?)
695春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:55 ID:Y9Za7FkT
ギーラッハは不思議と目の前の娘に興味を覚え始めていた。
「やめろ…主がその得物をそれ以上振りかざせば、己は主を斬らねばならなくなる」
ギーラッハの瞳に気合が篭る。
だが、その眼光に威圧されながらもせりなはさらに構えた腕に力を込めたのだった。
(日中でしかも手加減しているとはいえ、己が眼力に抵抗するとは…)

どれくらいの時間が経過しただろう、やがて。
「まぶしいな…」
そう一言呟くと、ギーラッハはそのまませりなに背を向け、その場から立ち去って行く。
その背中にせりなの罵声が飛んだ。
「ちょっと!そっちから喧嘩売って逃げるの!!」
振り向くことなくギーラッハは応える。
「警告はした、おそらく己と主では戦いにもなるまい、いかに務めとは言え決まりきった勝負事など
 己には下らぬ児戯よ」
「だからって放っておいてもいいってこと!!激しくむかつくわね!」

その言葉を聞いてギーラッハが振り帰る、そしてその瞳がさらに鋭く光った。
その光を見た瞬間、せりなの身体から力が失われていく…。
(これが…実力の差って事!?)
先程のものとは比べ物にならぬほどのプレッシャー、まさに歴戦の戦士のみが持ちうる必殺の威圧だった。
「それでも主がもし抵抗する事を選ぶならば己も全力でお相手しよう、だが考え無しに命は無駄にするな」
ギーラッハの腰の剣がかちゃりと冷たく鳴る。
せりなは、ぱくぱくと金魚のように口を動かす事しか出来なかった。
「また会ったときは容赦せん、その時、いやそれまでに討たれるようであれば、それは主がそこまでの
 器だったというだけだ…己を失望させるな」
未だに金魚状態のせりなを置いて、ギーラッハは悠然と立ち去るのであった。
696春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:57 ID:Y9Za7FkT
それから、せりなは珠姫の墓の前で座りこみ、何かを考えていた、いや考えるふりをしていた。
そうだ、考えるまでも無いことではないのか。
少しでも多くの人を助ける、そして皆で生きて帰る。
誰かの死体を見るくらいなら、誰かを守って自分が死体になる方がまだマシだと思った。
例え自分が生きて帰れなくても構わない。
(みんなごめん、もう会えないかもしれない…でも、それでも他のみんなを助けたいの!)
こうしてせりなは立ちあがると、森の出口を探して力強く歩き始めるのだった。

【春日せりな@あしたの雪之丞(エルフ) 招 状態 ○ 所持品なし】
【ギーラッハ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス) 鬼 状態 ○ 所持品ビルドルヴ・フォーク(大剣)】
「何なのよ…もう」
行けども行けども森、自分の見慣れた町並みはどこにも存在しない。
豪快を絵に描いたような少女として幾多の逸話を持つ春日せりなといえども、
今の状況には困惑を禁じえない。
いつもの面々と遊んでいたらいきなり声が聞こえて、気がついたらここにいた。

「はっ、もしかして私は伝説の勇者様って奴?それでもってこの森を抜けたら村があって
そこで私は救世主として…」
そこから先は言うのをやめた、いくら何でも虫が良過ぎる話だと我ながら思ったから。

だが春日せりなが考えるほど、この世界は甘くはなかった。
事実、いつまでたっても森を抜け出せる気配は無かったし、しかも出迎えは魔王の搾取に苦しむ
善良な村人などではなく、死体だったのだ。

標本や写真なんかじゃ決してありえない生の死体…しかも…。
胃の奥からすっぱい何かがこみ上げてくる…それでもせりなはその無残な、いや異常な死体から目を離せない。
何が異常かと言うと、その死体はまるで焼き魚のように、きれいに手足や胴体の肉や内臓だけが無くなっており
言わば理科室の骨格標本の上に制服を着せ、女の子の顔をくっつけたような死体だったからだ。

その女の子の顔はまるで眠るように安らかだった、ピンクの髪をしたまるで猫の耳のような癖毛が特徴的だ。
身に纏っている軍服チックな制服は、せりなにも見覚えがあった。
「白稜柊…私より頭悪そうに見えるけど勉強できたんだね」
生きている本人が聞いたら間違い無く気分を悪くするであろうセリフを、せりなは口にしていた。
我ながらこんな言葉しか出てこないのを不思議に思いながら。

「今…お墓を作ってあげるね」
それから後は、せりなもこれくらいしか口に出すことが出来なかった。
せりながようやく珠姫の遺体に土をかぶせ終わった時だった、不意に自分の背後から声が聞こえた。
「春日せりなだな?」
「……」
背後からの問いかけにせりなは何も答えない。
「春日せりなだな?」
「いきなり後ろから初対面の人を呼び捨てる礼儀知らずに答える口は持ってないの」
声をかけた相手は、せりなの言葉に暫し沈黙したが、やがて苦笑すると
今度は改めてせりなの正面にから言葉をかける。

「これは失礼した、非礼平にご容赦頂きたい、己の名はギーラッハ、故あって迎えに参った」
迎えという言葉を聞いて、やはり自分は勇者かもっ、と一瞬甘い期待を寄せるせりなだった。

「…というわけだ」
「で、断ったら?」
せりなの問いにギーラッハは即答する。
「その結果は、貴様の足の下にある骸が良く知っているだろう?」
「ふぅん…」
暫しの沈黙、そしてせりなの肩が小刻みに震えた瞬間、彼女は文字通り爆発した。

「冗談じゃないわよ!逆らったら人をこんな風にするような連中と命惜しさに仲良く暮らせるほどね!
この春日せりなは腐っちゃいないのよ!!」 
せりなはまっすぐな怒りの感情を込めた視線でギーラッハを睨みつけている。
「ならばこの瞬間より、己と貴様は敵ということになるがそれでもいいのか?」
ギーラッハの手が剣に伸びる。
「望むところよ!!」
せりなも手に持った棒を構える、その様子を見てギーラッハは困惑を禁じえない。
(この娘、己が恐ろしくは無いのか?それとも何も考えていないだけか?)
ギーラッハは不思議と目の前の娘に興味を覚え始めていた。
「やめろ…その得物をそれ以上振りかざせば、己は貴様を斬らねばならなくなる」
ギーラッハの瞳に気合が篭る。
だが、その眼光に威圧されながらもせりなはさらに構えた腕に力を込めたのだった。
(日中でしかも手加減しているとはいえ、己が眼力に抵抗するとは…)

どれくらいの時間が経過しただろう、やがて。
「まぶしいな…」
そう一言呟くと、ギーラッハはそのまませりなに背を向け、その場から立ち去って行く。
その背中にせりなの罵声が飛んだ。
「ちょっと!そっちから喧嘩売って逃げるの!!」
振り向くことなくギーラッハは応える。
「警告はした、おそらく己と貴様では戦いにもなるまい、いかに務めとは言え決まりきった勝負事など
 己には下らぬ児戯よ」
「だからって放っておいてもいいってこと!!激しくむかつくわね!」

その言葉を聞いてギーラッハが振り帰る、そしてその瞳がさらに鋭く光った。
その光を見た瞬間、せりなの身体から力が失われていく…。
(これが…実力の差って事!?)
先程のものとは比べ物にならぬほどのプレッシャー、まさに歴戦の戦士のみが持ちうる必殺の威圧だった。
「それでも貴様がもし抵抗する事を選ぶならば己も全力でお相手しよう、だが考え無しに命は無駄にするな」
ギーラッハの腰の剣がかちゃりと冷たく鳴る。
せりなは、ぱくぱくと金魚のように口を動かす事しか出来なかった。
「また会ったときは容赦せん、その時、いやそれまでに討たれるようであれば、それは貴様がそこまでの
 器だったというだけだ…己を失望させるな」
未だに金魚状態のせりなを置いて、ギーラッハは悠然と立ち去るのであった。
それから、せりなは珠姫の墓の前で座りこみ、何かを考えていた、いや考えるふりをしていた。
そうだ、考えるまでも無いことではないのか。
少しでも多くの人を助ける、そして皆で生きて帰る。
誰かの死体を見るくらいなら、誰かを守って自分が死体になる方がまだマシだと思った。
例え自分が生きて帰れなくても構わない。
(みんなごめん、もう会えないかもしれない…でも、それでも他のみんなを助けたいの!)
こうしてせりなは立ちあがると、森の出口を探して力強く歩き始めるのだった。


【春日せりな@あしたの雪之丞(エルフ) 招 状態 ○ 所持品なし】
【ギーラッハ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス) 鬼 状態 ○ 所持品ビルドルヴ・フォーク(大剣)】
701生ける屍:04/01/26 03:30 ID:yq3DfSu3
「私は…生きていようが死んでいようが…同じなのだ・・」
低く、重い声で男は言った。
ボロボロに擦り切れた衣服、微かに血の跡がこびり付いたヘルメット。
弾を全て使いきり、銃剣と化した38式歩兵銃。
誰が見ても、ついさっきまで苛烈な戦場にいたとしか思えない格好をした男だった。

男の名は、長崎旗男。
魂を戦場に置き忘れた、生ける屍。
静かな森の中
辺りには、言葉を紡ぐ長崎自身と、そしてもう一人。

「戦友(とも)は皆死んだ―殺された・・・私だけが生き残った・・・・幾多の屍を踏み越えて帰った故郷は焼け野原になっていた―ウィミィの空襲によって・・・・家族も皆死んだ・・帰るべき家も灰になった・・」
そこで言葉を区切り、長崎は虚ろな瞳を目の前にいる青年に向けた。
「私には何も無い・・この世界に飛ばされるまで私は森の奥にいた・・静かに、朽ち果てるために・・・今もまた私は森の中に居る・・何も、変わらない・・・」
「・・・」
青年は、何も言えなかった。
男の語る内容の凄まじさに圧倒されたからではない。
長崎の語る内容が、彼にとって余りにもリアルだったからだ。

彼は、学生服の上に妙に古風な趣の上着を纏い、左手に無骨な、それだけに殺しの道具としては洗練された一振りの剣を携えていた。
名は、高嶺悠人。
異世界に突然召還され、ラキオスと呼ばれる王国において、義妹、佳織を人質に戦を強制され、今日に至るまで彼を助けるスピリットとともに戦場を乗り越えている。
そして、悠人がこの世界に飛ばされる数瞬前の過去で、彼はかつて元の世界で共に日々を過ごしてきた二人の親友と巡り合っていた。
敵同士として
702生ける屍:04/01/26 03:32 ID:yq3DfSu3
「(今日子・・光陰・・)」
彼は義妹の為に、幾人(スピリットはあの世界において人とは見なされてはいないが、彼にとっては同じ事だ)もの敵を己に与えられた、『求め』と呼ばれる神剣を振るい、屠ってきた。
そのことは、彼にとって苦痛だったが、妹の為と割り切る事ができた。
今となってはその妹も他国に奪われてしまっている。

「(もし・・あの二人を殺して・・・そして、佳織が死んでしまったら・・?)」
俺も、ああなるのだろうか?
「違う!」
我知らず悠人は叫んでいた。

「俺は絶対に今日子も光陰も殺さない!佳織だって助けて見せる!みんなで生きて元の世界に帰るんだ――!」
「ふん、まるで悲鳴だな」
不機嫌そうな声とそっくりの表情で、男が突然草むらから姿を現した。

「誰だ――!?」
反射的に身を翻し、神剣を構える悠人の姿を冷めた目で見ながら男は言った。
「慌てるな、別に危害を加えるつもりは無い」
その気があれば既に貴様は三度滅している、誰にも聞えないように微かな声で呟いた後、悠人が警戒しつつも構えを解いたのを確認してから軽やかな動作で二人の前まで移動する。
黒い高級そうなスーツに身を包んだその姿は一見一流企業に勤めるサラリーマンにも見えなくは無い。
男は悠人を値踏みするかのようにじろじろ見ている。

長崎旗男には一瞥もくれない。
先ほどの会話を聞いていたのかも知れない。
どちらにせよ旗男は変わらず生ける屍だ。
703生ける屍
「俺の名は飯島。とりあえず状況はお前達と同じだ」
そう短く言ってから、飯島と名乗る男は辺りを注意深く見渡して、わずかに舌打ちした。

「話は後だ、とにかく一度場所を変えるぞ」
「おい、いきなりなにを・・・」
「お前はまだ気が付いていないのか?」
露骨な嘲笑を隠そうともせず飯島は言った。

「ここは戦場だ。俺はここに来るまで幾度も殺し合いをの跡に遭遇した。そして今、貴様の大声を聞いた何物かがここに接近している。遭遇したくはないだろう?」
悠人は突然現われた男の言葉に顔をこわばらせる。
この世界に分けもわからず落されて、直ぐに長崎と会った。
お互いが全く別の世界にいたことを確認し合い
ならば元の世界に帰る為に協力しようと提案した所、長崎が徐に重い過去を語り始めたのだ。
未だ彼はこの世界で何が起きているかを全く知らなかった。