【生き残るのは】型月神父スレ【ただ一人】

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205名無しさん@初回限定
やりましたよ。大変素晴らしい作品でした。
Fate(運命)という題名がぴったりですね。
茄子先生の作品に登場するキャラクター達は絶えず都合のいい才能、
すなわち運命によって優遇されているのが特徴ですよね。
少年漫画でよく見られる「ご都合主義」を茄子先生はとても効果的に利用していると思います。
今回の作品の主人公、衛宮士郎はそのご都合主義の塊のような人物です。
明らかに考えなしの馬鹿な行動をとったり、嫌な事は考えないようにするというヘタレ加減。
しかしそれでも周りの状況が都合よく動いてくれるお陰で生存する、まさに運命の使者のような存在。
そして戦闘シーンの見せ方にも同じ事が言えます。
一つの攻撃が通用しなければさらに強い攻撃を用いるという力技。
最初に提示された材料を用いることのない、機転も何もあったもんじゃない展開。
この手法はドラゴンボールなどにパクられていますね。
終始この力技の連続なので、ハラハラドキドキしないでいいのです。
しかも傷を負って血反吐を吐いても相手に立ち向かうという展開の乱用。
これは一種のサブリミナル効果を狙ったと言うのが通説ですが、効果覿面でしたね。
「どうせ傷ついても助かるんだろ?」という心理効果。
そしてその期待を裏切らないサービス精神。素晴らしすぎます。
こういう心臓に優しい物語の運び方こそ、茄子世界の魅力だと思いますね。
206名無しさん@初回限定:04/02/15 16:27 ID:oG0U9Q0W
主人公の士郎は心に病を持っています。
過去の凄惨な出来事の所為で自分の命を投げ捨ててでも他人を救おうとします。
しかし周りの出来事が都合よく動いてくれるおかげで彼は命を落とさずに済むのです。
これは「どんなに頭が悪くても、精神的に異常でも、才能さえあればモウマンタイなんだよ」
という茄子先生の痛烈なメッセージだと、学会では解釈されています。涙。
そんな精神疾患を持つ士郎に対して周りの人々は「お前は歪だ」「大馬鹿者」「ケダモノ」などの罵詈雑言を吐きかけます。
そこでようやく士郎も自分の病と向き合うのです。
そして彼は結論を出しました。「たとえ歪であっても、今までの自分が間違ってなかったと信じている」。
こういう結論に達した、というのはガチで素晴らしいと思います。
しかし精神的な病はそう簡単に治癒されません。
「これまでの事を信じてるからこれからもそれでいいや」。
セイバールートと凛ルートで士郎が得た答えはまさしくこれなのです。
やはり歪です。前提が狂っている事に気づいていながらもそれを矯正しようとしない。
3ルートのうちの前2ルートはこういった未来への破滅的な不安を抱えながら終了します。
しかし同時に「ああ、彼は選ばれた人間だから
これからも優遇されて上手く生きていくんだろう」と安心することもできるのです。素晴らしすぎる。
207名無しさん@初回限定:04/02/15 16:29 ID:oG0U9Q0W
しかし最後の章である桜ルート。
これまでとは一転変わり、こんどの士郎は多数よりも大事な一人を守る男に変わります。
「顔も知らない奴より好きな女の方が大事だっつの」。
葛藤の末に彼は真理ともいうべき答えを得るのです。
最終的に彼は大切な人を失いながらも、それでも一人の恋人を守り抜きます。
そこに至るまでも病的な面は見せましたが、少なくとも前2ルートよりも人間らしい生き方です。
茄子先生はこの章を「グランドフィナーレ」と称しました。
それもそのはず。精神的疾患を抱えながら生きていくよりも
人間らしく矯正された人生を大団円と称して何の問題があるのでしょうか。
何かを得たいのならば何かを失う。当たり前のことです。
前2ルートはご都合主義の主人公特権を主題にし、
桜ルートではそのことに対しての否定、そしてごく当たり前の答えの提示。
つまりは「選ばれた才能あるものの運命」と「通常の人間の運命」の比較論。
Fate/stay nightは「運命」という言葉の二つの側面を描いた、最高傑作だと思います。
こんな作品に出会えて私はとても幸せです。