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んじゃ、挑戦しませう。長文スマンソ。
わくわく☆惑星プリンセス 1998年 PUMPIE
山田「〜ひとつ積んでは母のため〜〜、〜〜二つ積んでは〜〜♪」
先輩「をう、山田君。相変わらず暗いなあ。ちょっと営業車を電柱にぶつけたくらいで落ち込んでは
イカンなあ。大した事故ぢゃなんだから気にすんなよ。早く帰らないと終電がなくなってしまうぞ。」
山田「・・・先輩。ヲレみたいな不器用且つ不幸しかデフォルト装備していない人間は、何時までたってもイ
イことなんてないっすよ。ヲレ出家して比叡山にでも籠るつもりっす。」
先輩「待ちたまへ、山田君。事故ったって悪いことばかりぢゃないさ。この『わくわく☆惑星プリンセス』
というPCソフトに登場する主人公を見てごらんよ。」
山田「イキナリ自動車の運転の練習を深夜の山の中でしてるっすね・・・って事故って車が大破して
るぢゃないっすか。しかも助けも呼べずに野宿っすよ、山の中で。先輩、これはヲレの失敗に対する
あてつけですか、ソウデスカ?」
先輩「そういわずに、続けてみたまへ。」
山田「星空を見上げつつ主人公がいきなりオナーニ始めたんですけど?う〜ん、凄い図太い神経っすね。」
先輩「そうさ、山田君。この衝撃のオープニングで分かるだろう。やってしまったことは仕方が無い。腹を
括って状況を最大限活用しろという強いメッセージが読めるかい?」
山田「ハイ、車は壊れる。行く当ても助けも期待できないのに、性欲の処理を前触れも無く開始するこの
前向きな姿勢には心惹かれるっすね。・・・あれ、夜空に流れ星が・・・・あ、星が落っこちて来た
っすね。しかも至近距離に。」
先輩「言わずもがなだけど、これまた期待通りのお約束だろう。星空が出てくれば、空から何かが降ってく
る。そして落ちてくるのはムサイオサーンではなくて、美少女なんだな。更に星から来たといえば
宇宙人の美女というのは外せまいさ。加えて追加装備で星のプリンセス。さあどうだ。
そ・し・て、ヒロインの『パム』さまの絶対に忘れられないこの髪形とCGだ。↓」
ttp://www.dollhouse.co.jp/pumpie/ 山田「これでもか、ってくらいお約束ですね。すごいや、お話は安定調和の何物でもないのにキャラデザは
インパクト抜群ですね!!!
あれ、宇宙船から降りてきた少女が言いがかりをつけてるっすよ。なになに、主人公があそこでオナ
ーニしたから彼女の宇宙船が落ちてしまった・・・。しかも光線銃で他人を遠慮なく撃ってパワーが
足りないから責任取れ・・・?・・・先輩、かな〜り理不尽な気がするんですが・・・。」
先輩「山田君。交通事故補償というのはそもそも理不尽なものさ。過失割合がど〜たらこ〜たら。それより
もこの理不尽な非難はアレだよ。特定な自由業のヒトの高級車にカスリでもしたら、どういうこと
になるか。その恐ろしさに対して警鐘を与えてくれていると分かって欲しいね。」
山田「なるほど。しかし、エロゲで交通事故問題を問うのは重過ぎると思うっす。」
先輩「心配無用。ほら、彼女が言っているだろう。宇宙船が飛ぶためにはイクイクパワーが必要だと。つま
り、主人公は女の子とHをしてイクイクパワーを集めなくてはならない展開に巻き込まれるという
寸法さ。これぞ・・・。」
山田「エロゲのベーシックすね。Hな展開なくしてエロゲではないという。何て分かり易くも丁寧親切な
設定なんだらう。脈絡も無いH物語へ突入ってのは興醒めっすからね。やはりしっかり目的意識のあ
るストーリーは読み応えがあるっすよ。」
先輩「うむ。しかも、主人公はわざわざ1から性交の相手を探す必要は無いのさ。
このパッケージに描かれているように、3人の可愛い女の子が既に知り合いなんだ。」
山田「あれ、先輩?パッケージには宇宙少女を除いて4人が登場してるっすけど?」
先輩「山田君。両端の女の子は眼鏡を付けたバージョンと外したバージョンさ。
これは言わなくても分かるだろう?」
山田「ハイ。眼鏡の有り無しが選べるという直接的福音と、上げ底に騙されるなという教訓ですね。」
先輩「正解だ。とても親切なゲームなのさ。だから自動車が大破して動けなかった筈の主人公が瞬時にして
自宅へと戻っているのも、移動する冗長な表現をオミットしてくれたと考えるべきだぞ。決して事故
が無かったことになってるなどと穿った見方をしてはイカンよ。しかも、パワーの採取期限が6日し
かないという緊迫した状況も付け加えてくれる。もうドキドキものだろう。」
山田「先輩、でも主人公はパワーを取れそうなのは彼女の『まなみ』しかいない、って頭抱えてるっす。」
先輩「だいじゃうぶ。王道恋愛AVDだからね。ほら、となりのお姉さん『涼子』さん登場だ。しかもひと目
でパムさまが『エロ』だと見抜いてしまうので、相手にはもってこいさ。更に、バレンタインデー
に主人公へチョコレートを渡した眼鏡っ子の『可憐』。あっという間に選択ヒロイン揃い踏みだぞ。」
山田「これは話が早いっすね。しかも一日に登場するのはたったひとりのヒロインだけという無駄を排した
ソリッドな作りは素晴らしいっす。彼女以外の子も電話しただけでデートの約束ができてしまうのも
シンプルでイイっすね。」
先輩「シンプルな要素はまだあるんだ。何とゲーム中で使用されるBGMはたったの3曲さ。」
山田「をを、名曲だけなら数曲のリフレインで十分っすよ。」
先輩「しかも、ユーザーを退屈させないシステムが目白押しさ。スクリーンサイズは他に類を見ない
728×512。おまけにインストール不要という親切さだぞ。」
山田「他の追随を許さないっすね。」
先輩「で、実際にデートになるんだが、選択する要素はたったの5つというお手軽さだ。デートの場所と
渡すプレゼント、その場所で何をするか、食べる食事、そして会話の内容、これだけだ。
しかも選択肢で変化した好感度が即座に分かるという親切設計だ。」
山田「ハイ。フラグの分かり難い選択肢って鬱陶しいっすからね。で、この好感度のパラメーターなんです
が、『石』『鉛筆』『リボン』『ネコ』『お花』で段階付けられているのがアバンギャルドっすね。」
先輩「そうさ、この絵で表示される好感度の上下は・・・・
恋愛は数字ぢゃないんだ!!例えゲームの中でも、恋愛とは不確定要素なんだ、わからないものなん
だあ!! と訴えているんだね。全く正しいよ。」
山田「そして、表面的には簡単にホテルへGo、できるエロゲ正統派な流れ。ゲームのメッセージ性と、実際の
進行のチープさのギャップがとても風刺的っす。」
先輩「しかも、パムさまがデートを逐一ストーキング。ホテルで肉弾戦に及ぶ主人公とヒロインの戦いまで
も見守ってくれているだろう。」
山田「ええ、これは羞恥プレイという要素の付加とストーキング問題への投げかけなんすね。社会派ゲーム
っすねえ、感心するっす。」
先輩「更に、このエッチシーンの独特な会話にも注目だ。まさに宇宙を設定に加えたことを強調するかの
ように会話もシーンも宇宙的だろう?」
山田「ハイっす。しかもクライマックスに隠れていたパムが出てきて光線銃を放つシーンにはドキドキっす。
都合よくヒロインが気絶するのもキャラ同士の掛け合いを省くという一点集中へのこだわりっすね。」
先輩「こだわりは他にもあるだろう。翌日から違うヒロインとデートすることになるけど、展開も会話も全て
同じ。単にキャラと場所と会話の内容が少し変わっているだけなんだな。」
山田「そうっすね。同じ展開を繰り返すことで、キャラよりもプロットを印象付けようとしているんですね。
となりのお姉さんとラーメンを食いながら細胞分裂とかクローン細胞の『学術的な話題』を話すシー
ンも衝撃的っすね。」
先輩「現代の若者のデートが定型化した個性の無いものであること。そして若者に教養が不足している現状
を製作者は憂いているのさ。」
山田「先輩、3日間同じパターンを正確にトレースして3人からイクイクパワーを集めたっすよ。これでパム
も星へ帰れるっすね。」
先輩「ここで重要な選択肢が出るだろう。『パムを帰す』『もう少しいさせる』。これで『帰す』
を選ぶと・・。」
山田「嗚呼、パムが帰りたくないってイキナリ泣くっす。あれだけ責任取れって言ってたのに何時の間にか
愛が芽生えてたっすか。」
先輩「そうさ。2人が惹かれ合う過程なんて陳腐でステロタイプな描写は、作り手が不必要としてスッパリ
排除しているけどね。そして当然お約束のHが待っているぞ。」
山田「ううっ、感動っす。しかも別れの会話が、『またイクイクしようね〜』『ああ、またしような〜』
っすよ。いたずらに湿っぽくしないところがイイっすよう。」
先輩「山田君。まだまだだね。パムさまを『もう少しいさせる』に選択してみそ。何と2回目のHが3人
のヒロインと楽しめるんだ。しかも1回目と一文一句、寸分違わぬ同じ展開だぞ。」
山田「をを、2回も同じシーンを見せてくれるんすね。何て親切なんだ。」
先輩「が、6日経過後の当然ラストは全く違うぞ。ほら、パムさまが、主人公に『一緒に行こう』と誘って
いるだろう。次の瞬間はもう無限に広がる大宇宙に飛ぶんだ。」
山田「先輩〜・・・これってナンボなんでも拉致監き、ゲフッ!」
先輩「おや?山田君、持病の気管支炎かい?仕方ないなあ。で、宇宙といえば無重力、宇宙船の中のH
といえば、無重力セクースだね。まるで英国スパイのアクション映画の(以下検閲)。当然初体
験の気持ち良さに昇天&失神する主人公。」
山田「・・・・で・・・気がついたら主人公はパムの故郷『むんむん星』に到着っすね。スペースオペラ
の基本、『未知な世界への旅立ち』を見事に描いているっす。」
先輩「うむ、山田君、相変わらず復活が早いねえ。
さて、このラストをどう思うね?」
山田「う〜ん、この主人公、結局3人を食っておいてやり逃げできるんすよね。ある意味男の理想っすよ
ねえ。他の星へ行ってしまったら後腐れも何にもないっすから。オマケに星の王女サマとネンゴロ
で新世界っすか・・・・・。あ〜羨ましいっすねえ。あやかりたいっすよ。」
先輩「・・・山田君、それは本気かい?」
山田「先輩、ヲレみたいな駄目社員はこの世界からどっかやり直せる世界に行きたいって願望はあるっす
よ。本気も本気、オオマジっすよ。」
先輩「・・・念を押すが、本気だね?」
山田「せ〜んぱい。何か眼がマジっすよ。まあ無理だろうけど、星の世界へ逝ってみたいっすよ。路地裏
の元宇宙少年っすからね、ヲレ。
・・・・・って先輩?そのジャイアント・●ボを呼ぶような不必要にでかい腕時計みたいなのは
何すか?あの〜、しかも『*#%@◆×』みたいなお言葉で通信していられるんですけど・・・。」
先輩「ニヤリ」
山田「・・・せ・ん・ぱ・い・・・。すご〜く嫌な予感がするんですが・・・。何か変な音が聞こえるし、
窓の外が夜なのに妙に明るくなってるんですが・・・・。これ未知との遭g・・・(パタリ)」
先輩「・・・こちらむんむん星工作員、『への八番』。被検体を一体確保。・・・は、本人の承諾は得て
おりますので、条約には抵触しないと強弁が通じ・・・はい、承知しました・・・・。」
山田「う〜ん、ヲレはしばら・・・星・・・・・帰れそう・・・ムニャムニャ・・・。」
先輩「全く、このソフトは名作だね。原住民の捕獲にはもってこいだよ・・・フフフ・・・・。」
私がこのソフトをプレイしたのは1999年でした。
当時、私はとある外地の僻地に島流しされ、勤務しておりました。
半径300kmには全く遊ぶところもなく、ゴルフとドライブくらいしか娯楽はありません。
私は毎日ジムで3時間筋トレばかりしてましたが、流石に2年も3年もこれでは飽きます。
当時、日本から日本語OSのPCを持って行ってはいたのですが、暫くすると手持ちのゲームには
飽きました。たまたま視察と打ち合わせに来るというゲーム好きの同僚に「何でもいい
からPCゲーム5本買って来てくれ。」とメールしたのです。
すると3本のエロゲーの中にこのソフトが入ってました。当然定価を彼には支払いました。
きっと彼は娯楽に飢えていた私を楽しませようとしてくれたに違いありません・・・・。