エロゲ最萌ロリトーナメント!! Round22!!

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190名無しnoゆうな応援2の1/4
「もうはじめてではない、日常のなかで・・・」 〜朗らかな午前の陽射し〜

広くもない上村病院の診察室。少し古ぼけているけれど、双子の看護婦さんのお陰で
衛生的に機能的に保たれている。僕は医者として、ここの医院長として、今日もここを
訪れる患者さんの健康のため、僕にできる精一杯を施す。
午前の明るく華やいだ光が射し込む、僕たちの居場所で。
「・・・、はい、オヤジさん、今度は両腕を上げてみてくれますか?」
「こ、こうかの?」
もう喜寿を超えているはずだが、カクシャクとした近所のご老体。それでも時々思い出し
たように肩や腰の痛みを訴えて、ここを訪ねてくる。本当に、どこか痛めているのか?
単なる腰痛ではなく、他の病気の兆候はないか。未熟ではあるけれど、僕を信じてここ
に来てくれる人たちのために、真剣に診察を続ける。僕の傍らでは、ナース姿のまいな
ちゃんが、普段からは想像できないような真面目な面持ちでカルテを持っている。患者
さんの脇にはもう一人、ゆうなちゃんが付き添うようにご老体の体を支えている。よく見
知った近所のおじいさん。ちょっと心配そうな、それでも患者さんを少しでも元気づけよ
うとするように優しい笑顔で、自分の役目に懸命になっている。
触診と問診を繰り返す。どんなに優秀でも診たてに100%はあり得ない。それでも僕は
九分九厘の確信を持って診断を下す。
「はい。おしまいですよ。服、着ちゃってください、オヤジさん」
「・・・ど、どうかの? そろそろ儂もお迎えがくるころなんかの?」
「・・・いいえ、ぜんっぜん! 元気なもんです。一応、いつもの痛み止めは出しときます」
「ぜ、全然・・・? じゃ、じゃが本当に痛いんじゃ! こう、バリバリっと軋むような・・・」
「ええ、それは本物の痛み。ここんとこ寒かったですからね。無理ないですよ。僕ら若い
ものでも堪えましたから。あ、だからって無理はしちゃだめですよ?」
「な、なんじゃ、そうか。」
191名無しnoゆうな応援2の2/4:03/01/28 08:45 ID:hL0Oln8R
老人がほっと安堵のため息をもらす。それと同時に、緊張の面持ちだった ゆうなちゃん
と まいなちゃんが、そっと力を抜く感じが伝わってきた。
「ふむ、お前さんにそう言われたら、なんぞ体も軽くなってきたわい!かぁはっはっはっ」
「いや、だから無理は禁物だと・・・」
「なんの! ほれ、こんなことも・・・!」
「あ! 遅いっ! もうっ いいかげんにしてください、おじいちゃん! まいなはそんなのじゃ
捕まらないですよ」
途端に元気を取り戻したご老体が、満面に喜色をうかべて手を まいなちゃんのナース服
に包まれたお尻にのばす。けれど、慣れっこになっている活発な彼女に、見切られた。
「だ、か、ら! いい歳してそんなことしてるとまた・・・」
「何を言っとるか! 儂がお前さんくらいの時にゃ、両手でも足りんほどの女子と・・・その
証拠に、ほれっ!」
「ふえっ?! あ、あ、や、やだぁ、おじいちゃん はなしてえ!」
言うが早いか、今度はすぐ脇でぽぅっとしていた ゆうなちゃんに抱きついてしまう。やれ
やれ。まいなちゃんと違ってすぐに捕まってしまう ゆうなちゃん。決して好きでそうしてる
訳ではないだろうけど、幼い頃から自分たちを本物の孫のように可愛がってくれた老人
を、振りほどいていいものか迷ってもじもじしている。
「はいはい、元気なのは解りましたから。返してくださいね、僕の大切な看護婦さん」
本当の気持ちを悟られないよう、僕は、殊更あきれたような表情を作る。そして老人の
手から さり気なく、だが断固として ゆうなちゃんのほっそりした腰を取り戻した。
「ふえええ・・・」
恥ずかしそうにしながらも、僕の腕に身を任せる ゆうなちゃん。僕は敢えて平静を装っ
てはいたものの、しばしその手を離すことができなかった。
「ふむ・・・。まだまだ青いの、若先生」
「え゛? なななな、何ですか藪から棒に!」
・・・・・・、どうやら僕のむなしい努力は、この人生の大先輩には通じなかったようだ。
192名無しnoゆうな応援2の3/4:03/01/28 08:46 ID:hL0Oln8R
待合室にも他の患者さんがいないことを確認して、僕は自らご老体の薬を整えた。袋
に入れた薬を手渡しながら、照れくさいのを隠すように出口までご老体を見送る。
「ま、何です。まだ寒い日が続きますから、なんか変わったことがあったらいつでも来て
ください」
「なんの、久々にお前さんと双子の顔を見たからの。しばらくは来んでもええじゃろ。儂
も生い先短い身じゃからの。それほど暇じゃないんじゃ。かっかっかっ」
「はあ・・・。」
「のう、若先生や?」
「は、はい。何でしょう?」
「ここは、ええ病院になったのう。あの二人が来てくれてから、益々ええ病院になった。
儂ゃ、先代に命を救われた口じゃからのう。儂ゃ・・・。ま、ええわい」
「は、はあ、ありがとうございます」
「のう、若先生。大切にするんじゃぞ? ええな?」
「は、あ、あの、何を・・・」
「ふぅーう、さて、帰るかの。婆さんが待っとるわい。おお、そうじゃ。生きとったら梅の
咲く頃にまた来てやるわい。儂が来んからと言って、あの二人を泣かせるようなマネを
したら、承知せんぞ、若先生」
「へっ? いや、そんなことは・・・」
「達者での、若先生」
ご老体は言いたいことだけを言って明るい外の光に消えていった。まだまだ青い、か。
僕は思わず吹き出してしまった。
診察室へ戻ると、まいなちゃんが ゆうなちゃんに、「ひゃくせんれんまのてだれから身
をかわす方法」というのを、盛んに教授していた。
「だめよ ゆうなちゃん! ゆうなちゃんのてーそーは、じぶんでまもらなくっちゃ!それ
が、お兄ちゃんへの、ゆうなちゃんと まいなの愛のあかしなのよ!」
「あ、あいのあかし? ふえええ〜。んと、んっと、ゆうな がんばるよぉ」
193名無しnoゆうな応援2の4/4:03/01/28 08:46 ID:hL0Oln8R
ちょっと面食らった。愛の証とは。だが真剣な双子の表情に微笑みながら、僕はふと
思う。
僕たちの何気ない日常。悩んだり悲しんだり苦しんだり怒ったり。それでも今、この瞬
間のように、言いようもないほどの小さな、小さいけれど失いたくない幸せ。
僕が、ゆうなちゃんから、まいなちゃんから、与えられているこの想い。
そして僕たちを包んでくれている人たちの想い。
「梅の咲くころに、また来てやる」
そう言って去っていった老人の後姿が、鮮やかに蘇る。
これじゃ、僕の診察を受けに来たのか、僕たちの心の往診にわざわざ来てくれたのか
解らないじゃないか。やれやれ、まだまだ青い、か。
いや、けど説教臭くなるには、まだ早い、よな? 僕は、忘れてはいけないことを噛み締
めながらも、自分の心に素直にあろう。僕は、何よりも、ゆうなちゃんの笑顔を、まいな
ちゃんの元気な姿を、ずっと見ていたい。
優秀、とは言えないかも知れないけど、とても優しくて元気な双子の看護婦さん。何より
患者さんの気持ちを気遣って、そして少しでも僕の役に立とうと頑張ってくれる二人。
僕は、大切な僕の看護婦さんたちのほうへと歩き出す。
「こらこら、ゆうな君、まいな君。診察室で運動は関心しないね」
「あ。ご、ごめんなさい、お兄ちゃ・・・じゃなくって、せんせ」
「ふ、ふに、だ、だから ゆうな、後でって言ったのにぃ〜。ごめんなさい、せんせ」
「うーむ、しかし午前中はもう患者さんもいないようだし・・・。よろしい。では罰として二人
は午前のお茶の用意をしなさい」
「「え? お、お茶のご用意?」」
「いいかな? 僕が二人をゆるしたくなっちゃうような、とびきりおいしい、ゆうなちゃんと
まいなちゃんの愛情たっぷりのお茶じゃなきゃだめだよ?」
にっこりと笑う二人に、僕もまた、笑顔で応えてあげた。華やかな午前の光の中で。