エロゲ最萌ロリトーナメント!! Round21!!

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558香坂アリス支援1/4
では、はじめさせてもらいますか。香坂アリス支援、参る。

『雪の降った日は』

「…寒…」
凍えるような寒さで、僕は目を覚ました。いくら朝が冷えるといっても、
こんなに寒いのは久しぶりだな。それに、やけに静かだ…。
「もしかして…」
ガタガタ震えながら起き上がり、暖房を全開にしながらカーテンを開けて
窓の外を見る。
「やっぱり…」
外に広がっていたのは、一面の雪景色だった。どうやら寝ている間に雪が
降り、朝方までに積もってからやんだらしい。朝日が積もった雪に反射し、
僕の目を射た。
「うう〜、それにしても寒い…もう一回寝直すかな?」
そう思って布団に触ると、少し離れただけでもう冷たくなりかけていた。
これじゃかえって心臓に悪そうだ…仕方ない、起きるか。
「二人はまだ寝てるのかな…」
凍りつきそうになりながら手早く暖かい格好に着替え、部屋を出る。居間に
足を踏み入れると、すでに起きていたらしいアリスがコタツに入ってテレビを
見ていた。
「おはよう…寒いね、アリス」
「おはよ、透矢…外見た?」
「もちろん…すごい雪だったね」
「全くよ…マリアはまだ寝てるんだけど、私も寒くて目が覚めちゃって…」
アリスの話を聞きながらコタツにもぐりこんで、暖を取る。はぁ…極楽だ。
「透矢…そんなだらしない顔しないでよ、いくらあったかいからって…」
苦笑いしながら、アリスがミカンを差し出してきた。
559香坂アリス支援2/4:03/01/24 01:03 ID:VI3FEbt3
「え…そんなに変な顔してたかな、僕?」
「してたわね。もう、こんな風に…」
顔をふにゃりととろけさせ、アリスがコタツに顎を乗せる。…僕の真似のつもりなのかな?
「アリス…やけに上手な演技だね。もしかして、僕がここに来る前もそういう顔してた?」
「そ、そんなわけないじゃない…私はしゃんとしてテレビを見てたわよ?」
「アリスってさ…ウソが下手だよね、結構」
真っ赤になって目をそらすアリスを見れば、鈍い僕にだって分かる。僕が来る前の
アリスは、きっと緩みきった顔で『極楽、極楽…』とか言っていたに違いない。
「う…うるさーい! この、この、この!」
怒ったアリスがコタツの上のミカンをつかんで、僕に投げつけてきた。
「いたたた…アリス、食べ物を粗末にしちゃダメだよ」
「知らないわよ、そんな事!」
投げるミカンがなくなったと思うと、アリスはコタツから飛び出して僕に掴みかかって
きた。2人とも顔が笑ってなければ、大喧嘩してるように見えるだろうな…。

「ケンカはダメだよぉ、お姉ちゃん、透矢さん!」
「きゃ!」
「うわ! ま、マリアちゃん…」
突然の大声に、僕達は慌てて振り返る。障子を開けて、マリアちゃんが僕達を
涙目でにらんでいた。
「ま、マリア…私達はちょっとふざけていただけで…」
「それでも、ケンカはダメだよぉ…ぐす…」
「う…わ、悪かったわよ…(ほら、透矢も)」
「(う、うん…)マリアちゃん、ごめんね」
「…ちゃんと仲直りしてくれますか?」
「「するする、仲直りします!」」
「…じゃあ、ミカンを片付けて朝ご飯にしよう?」
今まで泣いていたのがウソのようにマリアちゃんは笑い、嬉々として居間の片づけを
始めた。あまりの変貌振りに、僕とアリスは顔を見合わせる。
560香坂アリス支援Zwei3/4:03/01/24 01:04 ID:VI3FEbt3
「…もしかして、ウソ泣きだったのかな?」
「マリアはそんなに器用な子じゃないわ…あれは地よ、間違いなく」
「それはそれですごいね…」
「全くよ…」
「お姉ちゃんも透矢さんも、どうしたの?」
「「何でもない…」」

とまあ、一騒動あってから朝食をいただいて。食後の一休みをしていると、玄関の
チャイムが鳴った。
「こんな雪の日に、誰でしょうね?」
「さあ…分からないわね。透矢、いってらっしゃい」
「え…僕なの?」
コタツから出ると寒いので、三人ともコタツから出たがらない。そんな僕達を
せかすように、もう一度チャイムが鳴った。
「…じゃんけんにしましょう」
アリスの一言で、無言でのじゃんけんが始まる。何度かのあいこが続き、最後に
負けたのはマリアちゃんだった。
「ううう…寒い…寒いよぉ…」
「諦めなさいマリア、勝負の世界は非情なのよ…」
「マリアちゃん、頑張って」
「…代わってくれないんですね、透矢さんも…分かりました、いってきます…」
悲壮な顔で立ち上がり、マリアちゃんは超特急で玄関に走っていった。
「私達って、鬼かな…」
「負けたのはマリアちゃんだからね…仕方ないよ」
「そうね…」
そんな事をアリスと語らっていると、玄関の方からパタパタという足音が近付いてきた。
…? マリアちゃんの足音にしては、何だか軽いような?
「あ、透矢、危ない!」
「へ?」
「わはー!」
561香坂アリス支援4/4:03/01/24 01:06 ID:VI3FEbt3
アリスが僕に向かって叫ぶのと、障子に背を向けていた僕の体にものすごい勢いで
何かがぶつかってきたのは、ほぼ同時だった。
「ぐはぁ!?」
完全な不意打ちをくらい、僕の上半身は思いっきりコタツに突っ伏す。この声と勢いは…
す、鈴蘭ちゃんか?
「えへー…透矢ちゃん、外行こう、外! 雪で真っ白なんだぞー」
「ちょっと、鈴蘭! 透矢がつぶれてるわよ、いったん降りなさい!」
「わはー…アリスちゃん、やきもち?」
「っっっ…………この、アホぉ!」
「お姉ちゃ〜ん、鈴蘭ちゃんがすごい勢いでそっちに…きゃあぁ! 透矢さん、
 大丈夫ですか!?」
へ…平和な朝のひと時が、一瞬にして阿鼻叫喚の地獄に…。アリスに追いかけられて
『わはー♪』とか言いながら逃げ回る鈴蘭ちゃん、むきになって追いかけるアリス、
ひたすら僕とアリスの間をおろおろするマリアちゃん…当分の間収集がつきそうも
ない大騒ぎを薄れゆく意識で眺めながら、僕は一筋の涙をこぼした。

「全く…ひどい目にあったよ」
「ごめん、透矢…透矢がダメな時は私が場を収めないといけないのに、つい熱く
 なっちゃった…」
珍しくしゅんとしたアリスが、僕に膝枕をしてくれている。結局あの後、鈴蘭ちゃんが
アリスに捕まって玄関から放り出される事で、なし崩し的に騒ぎは収まった。さすがに
バツが悪そうな顔をして謝る鈴蘭ちゃんを許して、まだおろおろしていたマリアちゃんを
落ち着かせて…ようやく雰囲気が落ち着いた所で、鈴蘭ちゃんはマリアちゃんを誘って
雪の積もった外へ遊びに出かけていった。理由を言わずに残りたがったアリスを無理に
誘わなかったのは、鈴蘭ちゃんなりに責任を感じていたからなんだろう。
「僕の事はいいから、アリスも2人と遊びに行っていいよ…」
「そういう事は、もう少し元気を取り戻してから言うのね…大丈夫?」
「うん…」
体の調子はもうよくなっていた。でも、アリスには悪いんだけどもう少しだけアリスの
膝枕を味わっていたい。僕はアリスに体を委ねたまま、眠りの世界に落ちていった…。