エロゲ最萌ロリトーナメント!! Round09!!
まずはADSLから<<折原みさお>>に1票!
続いて邪神から支援SS投下だゴルァ!
俺の想いはあまりに強すぎて。
……でも。
あいつとの絆は、あまりに強すぎて。
俺が『えいえん』から、みさおを連れ出してしまってから、はや3日が過ぎ
た。
俺の前を元気よく走って行く、制服姿のみさお。
でも。
「どうしたの? お兄ちゃん?」
浩平の様子がおかしい事に気がつき、振り返ったみさおは兄のもとへと駆け
戻って、問いただす。
「なぁ……お前は……誰なんだ?」
みさおに対し、しかし浩平は、素っ気無い表情でそう聞いた。
「え……?」
みさおは笑顔のまま硬直してしまう。
「な、なに……言ってるんだよ、お兄ちゃん、私はみさおだよ、お兄ちゃんの
妹の」
「ちがう」
焦りながら言うみさおに、浩平はやはり、ポツリ、と言った。
「みさおは……本物のみさおは」
躊躇うように何度もどもりながら、しかし、浩平はその言葉を口にしてしま
う。
「もう、死んだ」
254 :
253:02/11/04 16:37 ID:k3FapdTa
「だとすれば、お前は、俺が連れ帰ったお前は……」
「そっか、気付いちゃったんだね……」
浩平の言葉に、みさおは、哀しげにうつむき、しかし、口元では微笑んで。
「そう……だよ、私は、お兄ちゃんが、『えいえん』の世界でお兄ちゃんがつ
くり出した幻影……お兄ちゃんの中の『みさお』なんだよ……」
みさおのシルエットが、ぼやり、どこか曖昧なものになって、そして彼女は、
ゆっくりと宙に浮く。浩平と視線が合うあたりまで上がり。
「やっぱり……そうなのか……」
「うん……でも、お兄ちゃんが、それに気付いてしまったのだとしたら、私は、
もう……」
――お別れだよ。
みさおは口にはしなかったが、2人の間にその言葉は、しっかりと流れたよ
うだった。
「じゃあね、お兄ちゃん……」
みさおのシルエットがさらにぼやけ、そしてゆっくりと浮かび上がる。
浩平は、下唇を噛み締め、視線を下げ、黙した。
…………そう、一旦は。
255 :
254:02/11/04 16:38 ID:k3FapdTa
がばっ
「えっ……?」
わずかに間をおいて……
浩平は、消え行こうとするみさおの躯を、しっかりと抱きとめていた。
「お、お兄ちゃん?」
「だめだ……俺は……俺は……うう……みさお……俺は、気がついてなんかい
ない」
「え?」
みさおが眼を円くする。浩平は、ぶんぶんと首を横に振って、
「気がついてなんかいない、気がつきたくなんかない、大人になんか……なれ
なくたっていい、だから……お願いだ、俺は、2度も、みさおが消えて行くの
を見たくない! 朝起きて、みさおがいない日常が始まるのは嫌だ! 偽者で
もいい、だから、消えないでくれ、お願いだ……みさお!」
幼い子供のように泣きじゃくり、訴える浩平。すると、みさおは、
「これじゃ、どっちが妹だかわからないよ……」
そういって苦笑し、浩平の頭を抱えるように、撫でる。
「私……言ったよね? 私はお兄ちゃんのつくり出した幻影だって……だから、
お兄ちゃんさえ、望むのなら……ううん、もし、そうなら、消える事なんかで
きないんだよ」
「え……そ、そう……なのか……?」
浩平は意外そうな表情で、聞き返してしまう。みさおは、苦笑したまま続けた。
「そうだよ……それに……私だってお兄ちゃんが望むのなら、傍にいたい。だ
って、私はお兄ちゃんのみさおへの想いであると同時に……みさおの、お兄ち
ゃんに対する想いでもあるんだから……」
「みさお……」
256 :
255:02/11/04 16:39 ID:R/QwZuKT
2人とも穏やかな表情になって、そして、みさおは続ける。
「私はお兄ちゃんとみさおの想いがつくり出した、お兄ちゃんへの優しい呪縛
……振払うも、捕われ続けるも、お兄ちゃん次第……」
「でも、捕われ続けたら、俺は……」
「大人になれない? そんな事はないよ。だって、それは抽象的な境界線でし
かないんだもん。それに、むしろ、大人になるんなら、自分のこころのバラン
スを失わない事の方が、大事だよ? 私がいる事で、それができるのなら、な
にも他に気にやむ事なんか、ないんだよ?」
「う……そんなもんかな……?」
浩平も苦い顔になる。すると今度は、みさおは悪戯っぽい表情になって、
「そ・れ・に・お兄ちゃんには、もう私に捕われようと、未来へ引きずってく
しかない“絆”があるんでしょ?」
みさおに言われて、浩平はぼっ、と顔を赤くする。
「そ、それは……」
「えへへっ、憎いねこのっ、色男っ!」
浩平を茶化してから、みさおはぽんっ、と言う感じで、高校生姿に戻り、道
に立ち、カバンを拾い上げる。
「さ、早く帰ろっ、お兄ちゃんっ、今日ね、叔母さん珍しく、早いんだって。
だから御馳走用意しちゃう〜とか言ってたよ」
そういって、みさおは振り返り、走り出した。
「あっ、こら、ま、待てよっ!」
浩平は慌てて、その背中を追った。
その姿は、もう消えることはないと確信しつつも。