>>499 「な、何してるの!?」
音夢はその光景を見て失神さえできなかった。
「あ、音夢さま。ことりを捕まえて食べてました。」
微笑む頼子の口からは食いちぎられた内臓らしきものが垂れ下がっていた。
台所の床にことりがはらわたをさらけ出して倒れ、苦悶の表情を浮かべている。
胸が上下しているのを見るとまだ息はあるようだ。
「頼子さん!何するの」
これは夢。音夢は吐きそうになるのをこらえて彼女に問い質した。
「ええ、ことりが純一さまと音夢さまを邪魔するものですから」
彼女はまたはらわたにかぶりついて、顔を上げた。ことりの体が反応し、
口がうめき声と一緒に動く。
「音夢さまは私のご主人様ですからこれを」
彼女は血だらけの口にくわえたことりの肝臓を音夢の足元に置いた。
「ご主人様、どうぞ」
頼子はうれしそうににっこりと笑った。音夢は「ぶぅっ!」といやな音を大
きく立てて口から吐瀉物を吐き出した。ただし、それは全て花びらになっている。
「音夢さま、これ内臓みたいできれいです」
頼子は吐き出されて床に散った花びらをぺろぺろと舐め始めた。
「なんかとてもおいしいです」
頼子は床に顔をつけ、夢中で花びらを舐める。
後ろで仰向けに倒れていることりには、もう興味がないようだ。
音夢は膝をついてまた吐いた。もう普通のものを吐き出す事さえできない。
花びらを吐くことしか出来なかった。
「生き物って気持ち悪いなあ」
窓の外からその光景を見ていた美春はびっくりした顔をして半分になった
バナナを口に放り込んだ。