126 :
1-2:
「あくぅっ、ぅくっ、ふっ……」
北条は必死に柱にすがりつく。
爪がキリキリと漆黒に塗られた板目に食い込むが、北条自身は全く自覚してはいなかった。
「ぅふっ、ふっ……ふ、ふあぁっ、あぁあっ!」
背後から、男が己の尻を犯し貫いている。
身に纏っていた衣服は乱れ、帯がなければすでに床に滑り落ちていた事だろう。
女物の、可愛らしい柄と明るい色の着物。
「……いいか、北条……気持ちいいのかっ?!」
また男が自分を揺さぶりかける。ちゅくっ、と結合した尻穴から音が立った。
「はっ……はいぃっ、っぁ、ああっ……気持ち……気持ちいいで……すっ、
んっ、んんんっっ!!!」
すでに一度、腸内にこの男の白濁した精液を注ぎ込まれているのだ。
またそこをかき回され揺り動かされる事で、奥深くに粘りついていたそれが
たらりと中を滑り落ちて、男の挿入に程良い湿り気を与えている。
「わたしの……わたしのお尻がぁっ、ぁああっ、熱いぃっっ・……」
衆道の契りはついぞこれまで経験した事はなかった。
己のこの容姿である。今までも幾度、そうした申し出やあからさまな視線を受ける事はあった。
立身の為ならと喜んで体を差し出す者、出世の為ならと本心を押し殺して受け入れる者も多い世界。
しかしその中で、だからこそと思うところもあったのだ。
わたしはわたしである、と。
「あぁああっ、っああっ、っは……んんんっ、駄目っ……!」
パン、と平手が軽く尻たぶを張った。数回、また続く。
127 :
2-2:02/10/27 19:11 ID:Jn4eZ6oz
痛みはない。
だが叩かれる事で、ふらつく体を支えていた脚が揺れてしまう。
「あ、あっ、ああっ、駄目っ、あ、あう、あうぅっ!」
つま先が布団を滑る。股が自然と、更に男を深く受け入れる様に開いて行く。
くく、と男の意地悪い笑みが聞こえた。
「駄目……ゃ、いやです、いやです双厳さまっ……
お、お願いです・………………意地悪しないで……」
哀願の声がいやらしい。甘くなってしまった声に、自分の頬が更に熱く染まってゆくのが分かった。
(ああっ……わたし、わたしは男の子なのに・……)
自分を弄び嬲る、この男がとてつもなく愛しい。
己に潜められていた、こうした特異な嗜好――女人の衣をまとう事で、
自分がまるでそのまま女となってしまった感覚……いやそれだけではない。
そうして欲情し、あまつさえ同じ男に抱かれ嬲られ貫かれる快楽を感じてしまう、そう願う欲求。
頑なに否定してきたものが、たかが衣服を変えただけで己を易々と支配してしまうのだ。
「ああっ、あああっ、そ、双厳さまっ、ぃ、ぃいいっ!」
円を描く様に腰を使われ、ぴっちりと収まった怒張が狭い腸内を焦らし嬲る。
北条は甘い悲鳴をあげた。
――この男はそんな自分を見破ったのだ。そうして受け入れてくれたのだ。
北条を知りながら、このわたしをも愛してくれている。
「双厳さまぁっ・…………す、好きぃっっ!!!」
感極まった北条の、そびえたつ男の証から、びゅくびゅくと精液が跳ね飛んだ。
(完)