判 決
裁判名:鬱ゲー裁判
被告人:鬱名 芸夢(うつな げえむ)
弁護人: 主任 膨脹にん弁護士
副主 仰角70度弁護士 ◆FouYoElE
アキバ弁護人 ◆MEINK6dU
青ネギ弁護人
(・∀・)弁護士
超弁護士
クリエ弁護士
SSD弁護人 ◆bmkCUG/U
塩湖弁護士 ◆voSLClTI(死亡つか自殺)
ケントギルバート弁護士 ◆voSLClTI
検察官: 主席 検察官マコ
陪席 パパ検事 ◆9Nov0CTM
陪席 仰角70度検察官 ◆FouYoElE
陪席 局付検事 ◆MEINK6dU
陪席 紫乃検事 ◆pVTCj5bA
陪席 白ネギ検事
前任裁判官:ドラグノフ裁判長 ◆MEINK6dU(死亡つか自殺)
陪審員:7名(有罪評決4名 無罪評決3名)
主 文
1.被告人に罰金20万円の支払いを命ずる。
2.非鬱愛好者の保護措置の策定、実施を行うことを命ずる。
理 由
一、鬱ゲーの定義及び自殺教唆、傷害の排斥
1.鬱という言葉が度々用いられる2chにおいても、現在はその言葉自体が多義的となっており、まして
「鬱ゲー」と言った造語においては、その意義は極めて曖昧なものであると考えざるを得ない。
この「鬱ゲー」を裁かんとする法廷において、その意義を確認することは必要にして不可欠であり、正常な
裁判の実現は、偏にこの定義の定立に懸かるとも言える。
本法廷において現出した様々な発言を取捨選択し、敢えて「鬱ゲー」を定義するならば、それは「プレイヤー
の心理に深い感動(喜怒哀楽の全てを包括する広義の意義)を生成しつつ、ことにネガティブな感動を
深く印象付ける作為を施すことによってプレイヤーの脱現実感を促進させ、結果として単なるゲームの中
のシナリオであるにもかかわらず、恰も現実に自らがその環境に直面してしまったかの様な没入感を
比較的長時間に渉ってプレイヤーに保持させることにより、そのシナリオが所詮はゲームであるとして
プレイヤーが割り切りることを著しく困難にするゲーム」と言いえる。
この為、プレイヤーはゲーム中に示された鬱なシナリオについて自問自答し、自らがその状態に陥った時
にはこのように、あるいはあのように、と様々な思考のトライアルアンドエラーを繰り返しつつ、鬱の呪縛状態
に置かれる。この呪縛状態は場合により日常生活にも影響し、自省や葛藤を生み出す契機ともなる。
しかしながら、以上の定義を見ても解るとおり、これ自体を違法として裁くことは極めて困難と言える。
何故なら、個人がどこに楽しみを置くかは、正に個人の自由と言え、鬱の呪縛自体を楽しみとすることは
些かも悪弊とすることは出来ないからである。また、鬱が一面においてリアル鬱解消に有用である、との
指摘については、裁判所の判断領域を越えるものであり、個々人の判断に依存すべきである。
加えて、それを鬱と感じるか否かは極めて流動的であり、あるものが鬱であると判断しても、あるもの
は鬱たりえないと判断してしまう、といった不確定な要素が内在し、厳密なる鬱の判断イコール個人心理
の判断、とならざるを得ないのが現状といえる。
2.このような個人の心理的なレヴェルにおいて、法を解釈し、その解釈から導かれた理論を適用しようと
することは、憲法13条の保障する個人の尊厳を著しく逸脱する可能性を孕み、司法消極主義の建前からし
て当裁判所としては判断につき消極に為らざるを得ない。
3.さらに、検察の主張する自殺教唆、傷害については「鬱」による現象であるのか、その因果関係の立証が
不十分であり、裁判所が自殺教唆、傷害を認める心証を形成するに足るだけの証拠の提出が脆弱である。
したがって、自殺教唆、傷害については、証拠不十分により全面的にこれを棄却するものとする。
二、詐欺及び不当景品類及び不当表示防止法違反について
1.鬱それ自体に違法は認められないとしても、鬱を好まない、あるいは鬱を生理的に受け付けない、といった
プレイヤーも存在する以上、それらのプレイヤーの救済は欠くことはできない。
上記にも述べたように、鬱の判断にばらつきが生じる以上、完全なる救済は現実には不可能ではあるが、
ある程度の救済は可能であるし、また具体的な救済の手法の策定はメーカーの責任と判断する。
例えば、「本作品には流血、グロテスクなシーンが存在します」といった表示は、ごくあたりまえに一般ゲーム
では行われているが、これは流血やグロを好まない、あるいは生理的に受け付けないプレイヤーへの救済
措置であることは明らかである。
偏に18禁エロゲであることをもって、その様な初歩的な配慮はいらないとすることは、業界自体が異質な
見識に慣れた結果であり、その見識が正常であるとは到底判断なしえない。
また、一部には鬱を表示することはネタバレにつながる、あるいは鬱自体をトリックとしたカタルシスを持味
とするゲームでは表記がそのカタルシスを半減させ当初の意図した効果が期待できなくなる、などと言った
反論も予想しうるところではあるが、耐性のあるプレイヤーとそうでないプレイヤーを峻別する唯一の手段
がパッケージの表記しか存在しない(ネット上の情報などはあくまで環境に依存する上、必ずしも目的の
ゲームの必要情報が得られるとは言い難い)現在、シナリオやカタルシスの効果はプレイヤー保護に優先
するべきではないと判断する。
2.したがって、パッケージデザインやキャラデザインについて萌えゲーを想起させ得るような外観を備えた
ゲームは、そのパッケージに鬱関連の初歩的かつ選択の指針と言える程度の情報を表示しない場合に
限り、内容が鬱であるものについて詐欺罪の適用を肯定するものと判断する。
さらに、現状の鬱ゲーの大半は鬱の初歩的かつ選択の指針と言える程度の情報を表示していない場合が
ほとんどであり、鬱愛好家以外のプレイヤーにとってみれば、地雷とのそしりを免れない。
この事実は、内容と外観の齟齬からくる現象であることを鑑みれば、内容についての不当な表示とも言える。
よって、上記のごとき鬱ゲーについては不当景品類及び不当表示防止法違反に該当すると判断する。
三、量刑
1.以上から、被告人には詐欺、及び不当景品類及び不当表示防止法違反の罪を認め、鬱ゲーの内容表示
という慣習の定着していない現状を考慮し、一部を酌量減刑した上で主文のごとく言渡す。
以上を判決する。
平成14年7月16日
葱板地方裁判所 裁判官裁判長 トカレフ次席裁判長 ◆MEINK6dU
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___ ミ,-Д-彡 < つか、サイレントヒルって鬱ゲーちゃうん?
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