エロゲーブランド最萌トーナメント 3回戦Round21!!

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907雪だるま ◆X7XxCOE.
メビウス支援SS「あのあんまんをもう一度」

桜もすっかり散ってしまった、4月の終わり。
退屈なコンビニのバイトを始めてもう一年。すっかり慣れたものだ。

期限切れのあんまんを蒸し器から取り出し、新しいあんまんを温める。
売れ残ったあんまんを捨てるとき
(あいつなら全部食っちまうんだろうな)
と、田舎においてきた少女の事を思った。

「あんまんは命の源だよ〜」
それか彼女の口癖だった。
いつも紙袋いっぱいのあんまんとスケッチブックを抱え、
二人でよく雪山に散歩に出かけていた。

北風は寒かったがそれだけに寄り添い、互いの温もりを確かめ合ったものだ。
温かいあんまんと暖かな彼女の笑顔。
彼女の唇が甘かったのはあんまんのせいだけではなかったと思う。

全て大切な物だった。何一つ失わずにいられると思っていた。

だが高校を卒業した俺に、親がひとつの選択を迫った。
地元の大学に進み一生この村で過ごすか、
自分の夢を追いかけ東京に出るか・・・
908雪だるま ◆X7XxCOE. :02/04/17 20:24 ID:/Ksr7Xrt
そしておれは、自分の夢のために田舎と彼女を捨てて、東京へ出た。

出発の日、彼女は見送りに来なかった。
・・・当然だろう。
将来を誓い合って体を重ねたのに、ちっぽけな夢のために自分を捨てた男・・・・許せるはずが無い。

・・・。
あんまんを一つ取り出し食べてみる。
取り出したばかりのあんまんは、熱々で美味しかったが、
彼女と一緒に食べた、冷え切ったあんまんのほうが甘く感じたのはどうしてだろうか・・・
・・・
無性に彼女に会いたくなった。
きっと彼女は待っていてくれる。
あんまんをもって会いに行こう。
あのあんまんをもう一度食べるために・・・