エロゲーブランド最萌トーナメント 2回戦Round17!!

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82日本酒
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中島梓は『コミュニケーション不全症候群』において、おたく少年少女たちの陥るビョーキを
考察し、そこから抜け出るためには自らの逃避を認める勇気が必要であるとした。
だけどこれは、単純すぎるヒューマニズムであって、信仰の一種でしかない。
どこかで何かを信じなければ生きていけない、とはotherwiseのシナリオライター元長氏の
前々作『フロレアール』の主人公の独白の一部であるが、(引用は記憶で書いてます)
自分を信じる、或いは人間を信じるという行為にためらいを覚えないものは近代には
いない。

学問の進歩は人間を丸裸にする。「僕は人間だ」というとき、「僕は人間だと言う人間だ」と
続けることはむしろ自然である。人間は自分を規定できないのだ。『ONE』の主人公が
ヒロインに愛されて始めて「えいえん」から帰ってこられるのはこれを示唆している。
『君が望む永遠』は、この自己規定できない自分に対するひとつの回答である。
誰か他人を一人愛すること。それが人間を苦悩の楔から解放する。

しかし、『フロレアール』の主人公が端的に述べたように、或いは『sense off』の椎子シナリオ
で述べられた通り、人間はお互いに劣化した情報しか受け取れない。人間が分かり合える
なんてことは幻想なのだ。それを判りながら一人を愛するなんてできない。私たちエロゲ
プレイヤーは、中島梓の言う「コミュニケーション不全症候群」なのだから。オタクは
本質的に孤立している存在なのだ。

<<otherwise>>の第二作『未来にキスを』はこの問題への解決策を提示している。それは、
13cm時代の『フロレアール』においても語られていたものの明確な形ではなく、
otherwiseの第一作『sense off』ではとりあえず棚上げされた格好となっていた。
恋愛というコミュニケーション・モデルを作り、ヒロインはそれぞれのシナリオで謎を提示
する。それは人間への考察である。「人間とは何か?」というギリシア哲学の基本的命題
を、現代の行き詰まりを材料に語り直す。

また、それは美少女ゲームの位置という副次的産物を作り出した。これは予言であるにせよ、
ひとつの信頼すべきものとして受け取ってもいい。なぜなら、毎日のニュースがこれを
裏書きしている。大人の狡賢さを持った利己的な子供。時代に対して過剰ではあるにせよ
辛うじて適応しているオタクと、その適応すらできない子供。これらは同じものの表裏なのだ。
現代に、オタク的情動が蔓延するとき、世界は美少女ゲームとなって襲いかかってくる……。

以上、otherwiseらしく考察支援を……なんか長文は邪魔っぽいけど(w
当方ケーブルなり。