鈴木宗男＠葱板

宗男「私にしか・・・」
純一郎「ん、何か言ったか？」
宗男「この自民党でたった一人、自分にしか出来ない役目があるとしたら、とても素敵な事だと思いませんか？」
純一郎「疑惑の総合商社、などとは絶対に呼ばせないような事がか？」
宗男「はい」
純一郎「そうだな・・・」
自分にしか出来ない役目、か。私にとってそれはなんだろう。
構造改革を成し遂げる事だろうか。だがそれは、私にしか出来ない事だと言い切れる物だろうか。
宗男「私にはあるんですよ」
純一郎「何？」
宗男「私にしか出来ない事があるんです」
そう言うと宗男は、マイクから顔を離し私の顔を笑顔で見つめていた。
私にしか出来ない事？私は宗男の言葉の意味を考えていた。
純一郎「何だ、それは？」
宗男「それはですね・・・内緒です」
純一郎「だったら言うな・・・」
宗男「でも、もうじきわかるかも知れませんよ」
純一郎「ま、期待せずに待っておこう・・・」
宗男「きっと、総理も驚きますよ」
宗男はしばらく答弁をしていたが、そのうちに台を降りて相手議員を野次り始めた。
私は黙って聴き入る。
宗男「自民党の皆がずっと与党であり続けるためです・・・」
野次りながら、だった。宗男は独り言のように、そうつぶやいた。
純一郎「何だと？」
私はすぐに聞き返したが、宗男は微笑んだだけで、それ以上何も言わなかった。
そして私は夜明けまで飽きもせず、宗男の野次に付き合った。

純一郎「そういえば、宗男は知っていたのか？」
宗男「何をです？」
純一郎「あの自民党だがな、離党者を出すらしいのだが」
宗男「ええ、もちろん。・・・永田町の議員なら誰でも知っていますよ」
・・・まあ、そうか。こんな永田町では一大事だろうからな。誰が離党者になるのかでも、一悶着あったことだろう。
純一郎「で、どこの誰なのだ？離党になるのは」
聞いてしまってから、あまり愉快な話題で無いのに気づく。
純一郎「あ、いや。別にかまわんか・・・」
答弁せずとも良い、と言おうと思った。だが、宗男から思わぬ答えが返ってきた。
宗男「どこの誰でもありませんよ」
純一郎「何？」
宗男「私です」
ブハッ！！私は、ちょうど口をつけた水を思い切り噴き出した。
宗男「総理、汚いです・・・」
拭き物でも取りに行こうと思ったのだろう。本会議場を出て行こうとした宗男を、私は呼び止めた。
純一郎「ちょ、ちょっと待て、宗男・・・ゲホッ・・・」
宗男「はい？」
純一郎「それは、本当の話か？」
宗男「あんまり冗談に出来る話じゃないですよね」
純一郎「本当に、本当の話か？」
宗男「総理は、私が嘘つきだとでもおっしゃるのですか？」
純一郎「いや、そういうことではなくてね・・・」
宗男「本当ですよ」
何でもないことのように言う宗男。
宗男「すみません。先に、拭き物を取ってきますね」
純一郎「あっ・・・」
宗男「え？」
純一郎「いや、その・・・」
言葉が出なかった。聞きたい疑惑は山のようにあった。だが、どれから解明したものか皆目見当もつかない。
宗男「すぐに戻ってきますね」
私が躊躇している間に、宗男は本会議場を出て行った。
（離党が何なのか、あいつは知ってるんだろうな？）
私はマイクを握り締めたまま、呆然としていた。答弁を続けて気を取り直そうとしたが、予算案などもうわからなくなっていた。

宗男「こんばんは。総理」
純一郎「ああ・・・」
私は、本会議場の席に腰を下ろす。
宗男「離党が、決まったそうです」
無所属になる日の事を言っているのだろう。
純一郎「ああ。野中さんから聞いた」
宗男「そうですか・・・」
純一郎「・・・宗男」
宗男「はい？」
純一郎「あなたは、前に言ってたね。『自分にしか出来ない、すごい役目がある』と」
宗男「ええ」
純一郎「それは離党のことか？」
宗男「そうです」
やはりそういう事だった。
純一郎「それで私に話したのか？離党になるのが、自分だと」
宗男「えへへ・・・元幹事長には、総理には黙っておこうって言われてたんですけどね」
宗男「総理に知っていただきたくて、つい喋ってしまいました」
純一郎「あなたは・・・」
私はため息をついた。野中さんも、苦労が絶えない事だ。
宗男「総理が落ち込まれる必要はありませんよ？」
純一郎「・・・本気で言っているのですか？」
宗男「はぁ」
純一郎「突然そんなことを聞かされた方の身にもなってみろ。私はいったい、どうすればよいのだ？」
宗男「札束下さい」
純一郎「はぁ？」
宗男「立派なことをしようという議員がいるのです。札束やって下さい」
悪びれずに言う宗男。
純一郎「そうか・・・」
宗男「はい？」
純一郎「私に喋ったのは、札束もらいたかったからか？」
札束もらう、というより、認めて欲しかったのだろう。自分がやろうとしている行為を。
宗男「ええと・・・実はそうなんです」
純一郎「そうなんです、ってあなた・・・」
宗男「札束くださいませんか？」
私に、札束をもらいたい。ただそれだけのために、自民党議員の資格を失ったというのか。

純一郎「悪いが、そんな気にはなれないな・・・」
宗男「そうですか・・・」
肩を落とす宗男。実際、献金するくらいしか私にしてやれる事は無いのかも知れない。
だが、どうしても素直に献金してやろうなどという気にはなれなかった。
宗男「・・・私の先生も、疑惑で命を落としたんです」
それは以前、喚問で疑惑の話を聞いた時に思ったことだった。
純一郎「十九年前の、だな？」
宗男「はい」
宗男は、開け放たれた会議場から廊下を見つめた。そこに敷かれた赤絨毯に、恩師の面影を求めているのだろうか。
純一郎「弔い合戦のつもりか？」
恩師の敵討ちのつもりかと思った。だが宗男は、首を横に振る。
宗男「いいえ、そんな気はありません。疑惑を恨んだところで、先生は帰って来ませんから」
純一郎「まあ、そうだな・・・」
宗男「はい。それよりも私は・・・」
宗男「もう二度とそんな疑惑が起きないように、もう二度と、私のような想いをする議員が出ないようにと」
宗男「それだけを考えておりました」
恩師を失ったことで、宗男は普通とは違う利権漁りをしなければならなかった。
党が資金調達に悩まされる限り、これからもそういう議員が出る可能性がある、ということだろう。
それを、自分が食い止めることが出来るのならば、と。それはわかる。だが。
純一郎「だがそれは・・・どうしてもあなたにしか出来ないこと、か？」
宗男に聞いても仕方の無い事だった。わかっていたが、聞いてみた。どうしてあなたなのだ、と。
宗男「私が、叩かれたのです。大勢の議員の中から、私が・・・」
宗男「だからきっと、私にしか出来ないのです」
宗男はまっすぐに私を見つめて言った。それが強がりなのか決意なのかは、私には窺い知れなかった。
やがて宗男は、また野次り出した。幾度となく繰り返した本会議。もうあと何度も繰り返すことが出来ない本会議。
私は宗男が止めるまで、ずっと野次に聞き入っていた。

時事ネタはすぐに風化するぞ。

>5
その頃にはdat落ちしてると思われ

葉鍵板のはまさに神スレだが・・・
ここでは無理だろう

読むのめんどくさかったけど、結構面白かったです。

「島が還らなくてもいいよ……それでもいい」（押し殺した声で）

ボ ク ハ カ ネ ガ ス キ ダ ・ ・ ・

>>7
鈴木宗男＠葉鍵
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1015808533/

大きな違いはネタ元ゲームの少なさだろうな

向こうでKanonネタやれば、半数以上の住人はネタ元が分かるが
葱板ではそうもいかんからな……
替え歌スレなんかもそれがネックになるんだよな（ネタ元を知ってるか否か）

>1-4の文章は面白いとは思うが銀色（ねこねこ）やってない人にはさっぱりだし

俺は離党した｡

>>11
うんうん、そうそう。
ソフトの数が少ない上、元ネタのセリフに印象的なものが多い。
だから記憶に残るし、ｷﾞｬｯﾌﾟに笑える。

昔のカイジスレあたりも葉鍵は最高だったな。

http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1015808533/558

muneoair.swf
http://pub.idisk-just.com/fview/d1F99_PpZc1y9eJc8ZdTk-quUhLHoaRagb7nJkEcU46cjIO4l2_LuTKVkfC1eF49.swf

（ネタで）葉鍵には勝てません（´д｀;）

ID:pass・・・地味に嬉しい

ttp://www.fk.urban.ne.jp/home/mochida1/mh/mht.htm

あそこは、葉鍵板にしては珍しい名スレだな

フラッシュ見て氏にそうになった。
最強無敵のネタスレだな、ありゃ。

最萌トーナメント同様、ここも中途半端になりそうな予感・・・

sage

駄目だ。