27 :
:
――――――
ホテルのキングサイズのベッド。
その上に横たわる炬燵の裸体。
まだ彼女は演技を続けているのか。
ウブな少女を装いながら、彼女は言う。
「あなたのことが…好き…です」
何度も何度も聞かされた言葉。
しらじらしい!
俺なんかと唇を重ねて、そして今、裸までさらして、まだ言うか。
「嘘だ! 俺のことを好きなはずなんかない! いいかげんに本音を言え!」
恥ずかしさから涙をにじませていた彼女の瞳から、大粒の涙がこぼれだす。
悲しみの涙か。
いや、これも演技なのか?
「…本当です。本当に、本当に、好きなんです…。愛しています…」
俺の中で相反する、信じたい想いと、騙されるなという警鐘。
感情が激しく乱れている。
嬉しいのか、哀しいのか、怒りを感じているのか。
いつも鬱めいた気持ちの自分にとって、初めての感情だった。