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――――――
「…んくっ、……はぁ」
互いにぎこちないキスの後、炬燵が小さく吐息を漏らす。
まだ数回目のキス。
当然、俺にとっては炬燵が初めてだったが、彼女もまた俺が初めてのようだった。
…いや、そう演技しているのか。
今日もまたオフとして、ふたりで会っている。
もうオフではなく完全なデートなのだが、気恥ずかしさのためか、
いまだにふたりともオフと呼んでいる。
俺は、自分の中のこの気恥ずかしさを、炬燵の正体をあばくための演技だと信じている。
きっと彼女もそうだろう。俺を笑い者にするための演技。
互いに恋人同士を演じている。相手を出し抜くために。