「ふわ、寒ー」
「おっす、あかり」
あかりが、オレの部屋に入って来た。いま、季節は冬。
雪のちらつく表から走り込んで来たあかりのほっぺたは、真っ赤だ。
「わはは、りんごちゃんみたいだな、お前」
「えへへ。でも、誰なのそれ? 浩之ちゃん」
「いや、俺も知らん」
恋人の権利でふにふに、と気安く頬を両手で揉んでやる。
「熱ーい」
「頬ずりもしてやる」
「あは、わ、浩之ちゃん……」
あかりは、嬉しそうに困るという、あかりにしては複雑そうな顔をしている。
そのまま、あかりの身体全体に腕を回した。
俺に比べれば、背丈も胴回りも小さな身体を、抱きしめる。
「ん……」
表情は見えなくなったけど、幸せそうな声を出して、あかりは俺の胸に顔をうずめる。
触れるところ、セーターも、髪の毛も腕も、冷え冷えだ。あっためてやらないと。
……身体の中からも。
顎を上げるように言うと、オレはそのままあかりの唇をオレの唇で埋めた。
あかりが身を火照らせるまでたっぷり口を吸ってやり、離す。
「はあ……」
「……あかり、今日は遅くまで時間大丈夫なんだろ?」
あかりは、うつむいたまま、うなずいた。
「……いいよ、浩之ちゃん」
ベッドの上で、あかりは恥ずかしそうに
すっぱだかで四つん這いのポーズを取っている。
ひそかにオレが“わんこのポーズ”と呼んでいるかっこうだ。
あかりってなんか犬っぽいから、こういうカッコさせると興奮するんだよな。
部屋の中はガンガンに暖房をたいているから、寒くはないだろう。
でも、オレの方はまだ一枚も脱いでない。
自分だけすっ裸で、あかりの恥ずかしさはよりアップしてるみたいだ。
「よおし、じゃあ、あそこをオレの方に向けろ」
「は、恥ずかしいよう……」
「いいから。もう何百回も見られてるだろ?」
「それでも、恥ずかしいのは変わらないの……」
あかりは、覚悟してオレの方に隠しておきたい女の子のそれを、向ける。
オレは、きれいなその筋に指を這わせる。
そして、そのまま、置いておく。
一分が、経った。
「あ、あの……浩之ちゃん」
「なんだ?」
「な、なにも…しないの?」
「なにかして欲しいのか?」
「うん………じゃ、じゃあ、なくって、
……ぴったり付けっぱなしにされて、むずむずするから……」
無意識に、あかりは腰を微妙に揺すっている。
動かない指の感触に、耐えられないんだろう。
「それでいいんだ」
「え?」
「そのまま、自分で腰を動かして。自分で気持ち良くなるんだ」
「ええ?」
「恥ずかしいよう……」
あかりが決意するまでは少し時間がかかったが、
やがて、白いお尻がくんくんと上下し出した。
「はぁぁ……んん、きもちいいよ、浩之ちゃん……」
オレは、指を止めたまま。そのまま。
「ん…ん…ん……ん…」
お尻の動きが早くなる。大きくも、なる。
これって、実質あかりのオナニーだから、
あかりがすごく恥ずかしがるのも、当然だ。
でも、Hな液はとろとろといっぱい染み出して来て、
あっという間に俺の指をどろどろにする。
「まだ? 浩之ちゃん…んん……あ」
「まぁだまだ。オレがいいって言うまでずーっとだ」
「あんっ、いじわる……ああ……ア、あっ」
まだまだ続けさせられることを知って、覚悟が決まったのか
あかりの動きも次第に大胆になってきた。
お尻を、回す。俺の指を中心に円を描くように。
お尻を、突き出しては下げ、突き出しては下げを繰り返す。
オレの指にもっとあそこを押し付けて、感じたいのだ。
Hな声も、止まらない。
「うん、あ、うん、あ、あ、うゥンッ、あ、は、ハうッ」
「気持ち……いいだろ?」
「浩之ちゃん、もう許して…」
「駄目。いくまでだ」
「もう……」
あかりは泣きそうな顔をしつつも、それ以上は言わなかった。
寒さとは違う原因でさっきより頬を火照らせつつ、動きを変えた。
小刻みに、速く。
そして言う。
「浩之ちゃん、指の場所を、んっ、もうちょっと、はうっ、下に」
「クリトリスに当たるようにか?」
「そ、そんなのはっきり言ったら駄目」
「駄目なのはお前ー。お前もはっきり言わないと、終わりにしてやんない」
興奮しつつも、オレの顔はいたずら小僧みたいになってただろうな。
喘ぎつつしばらく困って、でも、あかりは言ってくれた。
「ゆ、び…を、く、クリトリスに当てて、浩之ちゃんっ」
あかりが可愛いから、Hの時あかりをこんな風に可愛くいじめるのが、オレは好きだ。
あかりのお望み通り、クリトリスまで指を下ろしてやる。
あかりがオレの指にしこしことクリトリスを擦り付ける。
「んッ……!」
「いくか?」
「うん……いきそう……。あ、あ、あ、あ、いきそうっ!」
オレのベッドの上で。
全裸で、四つん這いのポーズで。
ぶるぶるぶるぶるぶるっ、とあかりは身体を震わせた。
「……ん………はっ……っっっ」
真っ赤な顔をしかめて。手足から力が抜け、全体獣の重心を俺の指先に掛けて……。
「ほんとに浩之ちゃんてえっちなんだから」
大きく息をついて、どさっとベッドに裸身を横たえたあかり。
オレは少し、余韻にひたる時間を与えてやっている。
「Hなオレが嫌いか?」
「それは、……違うけど」
「あかりこそどうなんだ? H、嫌いか?」
「……」
あかりは恥ずかしそうにうつむいてしまう。可愛いぜ。
「お尻もこんなだもんなぁ」
達した直後のあかりのそこで、指に潤滑液を補充して、
あかりの尻の穴に予告もなく潜らせる。
「ひゃっ」
オレの指をスムーズに飲み込むあかりの後ろの穴。
すこすこすこ、と擦ってやる。
「あんあんあっ、だめえ」
一番感じてる時の顔をして、身体を仰け反らせるあかり。
あかりは、指を潜らせているオレの右手首を掴んで、止めようとした。
「いいだろ。今日だってもう、処理して来てあるんだろ?」
「はァっ……。だ、だって浩之ちゃん、今日もするんでしょ?」
処理、ってのは、ズバリ、アナルセックスのための準備だな。
腸の中をきれいにしておくってことだ。
オレのためを思って、自分ちでこっそりいちじく浣腸をするあかり。
スカトロ趣味はないから想像するのはそこまでだけど、
なんか、可愛いよな。
「勿論。今日も、するぞお?」
「うう……」
「っていうか、あかり、お前だって気に入ってるじゃん」
「う、うう……」
また、も一度、あかりを四つん這いのわんこのポーズにさせる。
洋風に言っても“ドギー・スタイル”とか言うらしいしな。
なんかこんなことばっか詳しくなっていくな、オレ。
「寝た方が入れやすいよ?」
「このままでいいんだ」
「どうして?」
理由は言わずに、あかりの後ろにびんびんに大きくなったものをあてがう。
あかりがHで可愛いから、いつもすぐにこんなんなっちまう。
当然、俺ももう脱いでいる。
「息を吐いて」
「はい。はぁぁぁぁ……」
なかなかアナルセックスに慣れて来たなあ、俺たちカップルも。
……あのトロそうだったあかりがいまこんな風になってるなんて、
むかしの同級生たち、誰も想像もできねえだろうな……。
志保あたりに教えたら、目をまん丸くして驚愕するだろう。
アイツのそんな顔、見てみたいな……。い、いや、教えないけど。
ぐい、くいっと腰を送って潜り込ませると、すんなり俺たちは繋がった。
「んー……」
「苦しかったらいつでも言えよ?」
「ちょっと苦しい、けど、いつもぐらいだから、気にしないでうごいていいよ……」
「じゃ、いくぞ」
俺たちは、本格的なセックスを、はじめた。
四つん這いの、犬みたいなカッコで、
しかも、犯してるのはアヌス。正常な“女の子の場所”じゃない所。
これで興奮しなけりゃどうかしている。かも。
もう、目に入れても痛くないほど好きな相手に
こんなことさせてるから、余計、そうだ。
そう。
好きだけど、好きだから、……こんなことさせてみたいんだよな。
照れくさいから、あかりを目の前にしてはあんまりベタベタと好き好き言わねーけど。
こんな卑猥なことを相手にお願いできるのも、
逆に、あかりが安心して相手にこんなことさせられるのも、
きっと、恋人が幼馴染みだからっていう気安さがあるからだ。
安心感、って言うかさ。
逆に、俺たち以外の誰かには絶対言えないけどな、こんなことしてるなんて。
「うぁん、アン、アン、浩之ちゃん」
痛がりもせず、お尻を犯されて子犬みたいに鳴くあかりが、とても可愛い。
「あかりって可愛い、な」
「え?」
お尻を犯されたままあかりが言う。
「こんなことしてる最中の相手にそんなこと思うって、
はうっ、ちょっと、ヘンタイっぽいよ…」
「じゃあ、こんなことされて気持ちいいあかりだってヘンタイだ」
「うん。私も、ヘンタイだよ……」
予想外の答えが返ってきてちょっと驚いた。
「あかり……やっぱり嫌か? ……こんなこと、するの……」
「嫌じゃないから、私もヘンタイなんだよ」
それはそうだ。
「そうか……。じゃ、じゃあさ、こういうこと嫌じゃないと思う、自分が嫌か?」
セックスの真っ最中に、思わず真面目にそんなことを聞いてしまう、俺。
腰も動かしっぱなしなのに。
同じくセックスの真っ最中だから、あかりは顔も上げられずに、しかし、
ちゃんとした返事を俺に返してくれた。
「うあっ…あ、あのね、でも、浩之ちゃんもこれが好きだってわかってるから。
ん…ん…。それで、ん…、こんなになった私の責任もきっとちゃんと
取ってくれるって、信じてるから。だから、こんな私も嫌じゃないの」
……そんな返事を聞いて、なんだか、俺は、
アナルセックスの真っ最中だって言うのに感動……たぶん、感動なんだろうな、
そんなものを感じてじ〜んと来てしまった。
「そんなこと言われると、ますます」
「あっ、あっ、んんっっ」
「ますます、好きになっちまうじゃねえか、あかり……」
「あっ、浩之ちゃん、あっ……」
「優しく、たっぷり長く、犯してやるよ……」
「ああん、あっ、あんまりすごくしないでっ……ああ……」
慣れているあかりのアヌスは、長い長いオレのストロークにも、
潤滑液を絡ませてねっとりと応える。
ただ犯されているだけじゃない。
オレの教えた技、ぎゅうう、ぎゅううとリズムを取る動きで、
俺の熱い棒を、咥え込む。
「ふぁうぅ……は……」
先っぽまで出した後、ゆっくりゆっくり入れ直す動き。
奥深くまで入れた後くい、くい、と回す動き。
膣の上の方と接したあたりを、雁で擦ってやる動き。
あかりがいままでに好きだと言ってくれた動きに、
それぞれひとつ十分以上をかけて、ゆっくりたっぷりと責めてやる。
俺ももう童貞じゃないから、がっつかないで相手を責めることに集中する
こんな芸当もできる。
あかりは時間を掛けてふにゃふにゃに柔らかくされた。
「ああー……ああー……も、やめ、てえ……
これいじょうきもちよくされたら、おかしく……なっちゃう……」
とろんとした目で、熱に浮かされたうわ言のような口調で言うあかり。
「らめになっちゃうよう……。おしっこ漏らしちゃう、よう……」
「いいぞ。駄目になっても。漏らしても。オレが責任とってやるから」
「浩之ちゃんんん──…………!!」
やめて、と頼んでも構わずにお尻を掘り続けられて、
あかりは本当に溶けてしまいそうな様子だった。
そろそろ、一回終わらせてやった方が良さそうだな。
「じゃ」
オレは腰の動きを速くした。
「あ!? あ! あ! あ! あ! あ! あ!」
じゅぼ、とか、しゅぽ、という音が、あかりの後門から連続的に聞こえはじめる。
「ん! あ! ひおゆきちゃんっっ」
「あかり、オレも気持ちいいぞっ。俺も、俺も……」
何遍しても、あかりのこの穴の感触はいい。
初体験の時に比べてずいぶん柔らかくなったのに、
それにもう全身が脱力してあかり自身が締めることができなくなってるのに、
与えてくれる快感はまったく変わらない。
「あぁ! あ、あ! あぁあぁあぁっっっ!!」
子犬の鳴き声が、鳴咽みたいな声に変わって来た。
あかりが最高に訳わかんなくなってる時の声だ。
両腕が身体を支えられなくなって、上半身はすでにベッドに直接着いている。
「あかり、気持ちいいか!?」
「い……いお……あんっ……あうあっっ!」
もう答えることもできないのか……。
しっかり白いお尻を掴んで固定していた両手のうち右手を離して、
ふたたびクリトリスを擦ってやる。
性交の最中のこれが嫌いな女の子は、たぶんあんまりいないと思う。
勿論あかりもすごく感じてくれる。
「んー!! んんー!! んーっ!!」
がくがくがくん、と、最初の時よりはるかに大きな痙攣──、
いや、揺れ、というべきものがあかりの裸身を襲った。
あかりのフィニッシュだ。
俺も、急いで腰の動きを速くした。
できる限りあかりの最後に近付くために。
「い、いくぞ!」
「あう、あ────────────っっっ!!!」
あかりの、すごく大きな“女の子の声”を聞きながら、
俺は、あかりの中に思いきり放った……。
余韻とまどろみの中で十回も二十回も優しいキスを繰り返しながら、
ようやく人間の言葉を取り戻したあかりが、言った。
「なんか、思い出した、最初の時」
俺はちょっと気まずい。
「浩之ちゃん、初めての時は間違えてこっち入れたんだよね」
「わは、わははは…………。……ゴメン」
俺たちは身体をくっつけ合いながら、そんな思い出話に興じた……。
了