>>616 へー自演なのか(笑)
住人たちに成りすましてんだ〜(笑)
>>608 >いったい何と戦ってんだろうなw
おちょくられてるだけなのに本人は戦ってる気分なんだね(笑) わかるよ(笑)
母ちゃんはおまたせのせを抜かして一語一語区切って言った。
待ったかどうかを語尾を延ばして聞いて来た。
俺はそれを無視して母ちゃんから遊園地の半券をひったくると、
入口の方へ向かった。午前中、イヴの遊園地は混んでいたが、酷く混んでいる訳では
無かった。今は地方の遊園地はどこもこんな感じなのだろう。
母ちゃんは俺が怒っていると思ったのか、様子を伺って来る。
俺は何でも無い、という風に肩を竦めてから、遊園地のパンフレットを広げた。
とりあえずどこに行こうか、と俺は母ちゃんに相談した。
半ばヤケの気持ちが入っていたから、どうせなら思いっきり
楽しんでやろうという気持ちだった。
母ちゃんは俺の広げたパンフを覗き込みながら考え込むように唸った。
俺が被ったキャップの向こうに、ノンフレームの眼鏡をして
いつもより更に知的に見える母ちゃんの顔が見えている。
母ちゃんの髪の毛は真っ黒だった。それが肌の白さを引き立てているようだ。
母ちゃんはとりあえずどっか座ろうぜ、と言って来た。
母ちゃんはパンフレットで園内地図を確認してから、
ベンチのあるだろう場所へ向かった。
俺がぼーっとしていると、俺からパンフレットを受け取って折り畳み、
ゆっくりと歩いて行く。俺は素直に付いて行った。
途中人とぶつかりそうになった俺の肘を引く。
ベンチのあるところに到着すると、母ちゃんは俺を座らせて、
ホットの缶コーヒーを買って戻って来た。
俺にそれを手渡して、パンフレットを広げると、
さあ、どこに行くか、と話し掛けて来た。
缶コーヒーの熱で手が温まり、寒さから来る手の震えが納まって
地図が広げ易くなった。公衆電話が壁になって風も来ない。
俺は本当に、母ちゃんが居なければ一人では何も出来ないのかもしれない。
母ちゃんが俺の近くに座ると、微かにコロンの匂いがした。
女物を付けているのか、母ちゃんからは何故か甘ったるくて良い香りがする。
俺がこの匂いに気が付いたのは、バイトでミスった俺を励ます母ちゃんに
体が接近した時だった。
ミスった仕事に迅速に対応して、店長に頭を下げ、庇いもしてくれた。
店長に謝った後は、俺に色々な言葉を掛けてくれた。慰めもしてくれた。
どうして俺の為にそこまでするのだろうか。