「習作のために好きな作家の文章を模写することは、作家なら誰でもやってることでしょ」
「登場人物の名前を換えてみたのも、執筆中の自作の登場人物の名前に読み替えることで、作品のイメージを広げようとしただけです」
「まあ、言ってみればパロディとかお遊びの類でして、決して、それを自作として発表するつもりはありませんでした」
「偶々です、編集さんに渡す原稿データに不注意で紛れ込んでしまっただけです」
「ハッハッハ、徹夜明けでボォ〜ッとしてたみたいですな、ワッハッハッ」
「不幸な偶然です」
「いや、むしろ、私は被害者ですな」
「だいたいチェックは編集の仕事でしょ」
「自社の本に目を通していれば気づくはずです」
「いやぁ、全くロクに仕事をしない編集者に担当された、私の方こそいい迷惑です」
「え? 作家ですか? 勿論、続けます」
「だって、私には何の落ち度もないでしょ」
「習作の文章をノーチェックで出版した側に責任があるに決まってるじゃないですか」
「この程度のことで才能ある作家が葬られるなんて、そんなバカなことがあってたまるもんですか」
「闘います、私は断固、闘います」
「ペンは剣よりも強いんだぁ〜〜〜〜っ!!!」
最後は絶叫するクロダ先生でした。