「もう...、ほら起きて。」その声で私は我に返り、急いで立ち上がると
「ごめんなさい。」
とだけ言い残して本屋から走って逃げました。 家に帰ってから私は自己嫌悪に苛まれました。
「家とか学校に連絡されたらどうしよう、恥ずかしくてこの町にはいられない、もうあの本屋には行くまい...。」
そんなことを繰り返し考えていました。
しかし、十日程経っても私の周りには何の変化も起こらず、私は拍子抜けしました。 そうなると現金なもので、
今度はあの時のオバちゃんの胸の感触や香りを思い出してまた自慰に耽りました。 実際の経験が加わったおかげで
妄想は前よりも現実味が増し、オバちゃんはずっといやらしくなっていて、一日に三回自慰に耽ることもありました。
私はオバちゃんに会って謝ろうと思いました。 いえ、それは自分への言い訳でした。
本当は謝罪にかこつけて、オバちゃんに会いたかったのです。 会えば、またあんな機会が訪れるかもしれない、
それ以上のことだって...。 私は二十も上の女性に焦がれていました。
次の日、本屋へと向かった私は、他の客がいなくなるまで辛抱強く店から離れた所で待ち続けました。
やっと客がいなくなったのを確かめ、私は意を決して店へ向かいました。
「あら、いらっしゃい。」オバちゃんは、私を見て優しく言ってくれました。
私が、何も言えず立っていると
「まぁ座って。」とレジの前の椅子に座らせました。 そして、麦茶を出してくれました。
「この間は、ごめんなさい。」
私はオバちゃんの顔を見ずに謝りました。
「ううん、いいのよ。あなたの年頃なら興味を持って当然よ。でもあそこに置いてあるのは
少し刺激が強いかもしれないわね。」
オバちゃんが笑ったので、私もつられて笑いました。 でも、その後は何も言えなくなり沈黙が流れました。
暫く重苦しい時間が経った後、オバちゃんが言いました。
「ねぇ、絶対誰にも言わないって約束できる?」
「えっ...」
私は顔を上げてオバちゃんを見つめました。