【短編】有名人官能小説 14冊目【長編】

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588名無しさん@ピンキー
 尻尾を掴み、手に三、四匹の鼠の骸を吊り下げ、こちらに向かって微笑む女。怖がらせるつもりなどなく、むしろ無垢で誇らしげだ。
ただ、それを見せられている幼い娘には、どうしようもなく気味が悪かった。子供の頃だけならいざ知らず、病に倒れ野良仕事が出来なくなったついこの間まで、女は鼠を捕らえ、それをひかるに見せ続けた。
 だがもう、その女はいない。今は哀れ、隣の暗い部屋で位牌という名の木切れと成り果てている。不気味な想い出を振り払い、改めてその事実に気づき、ひかるは微かに笑う。
この狭い家に、たった二人だけなのだ。邪魔者はもう、いないのだ。

 ひかるは、自分が支度した布団に潜り込もうとしている曜子を見つめる。そして、その曜子に向かってのそのそと忍び進む。自ら、胸元を広げながら。