【短編】有名人官能小説 14冊目【長編】

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587名無しさん@ピンキー
「今年は、鼠が少ないな」
 床を支度していた曜子がぽつりとそう漏らし、すぐに黙る。確かに、盆を控えたこの暑い時期に、毎年うるさいくらいに天井裏を駆けていた鼠の気配が、今はない。
 だがその言葉を聞いていた女には、別の感慨が浮かんだ。あまり好きではない、幼い頃より何度も見た光景。

ほら、ひかるちゃん。また鼠を捕まえたで。私が作る罠は、出来が良うて鼠がたくさん捕まりよる……。