小説書いてみたい奴と読みたい奴のスレ〜第15章〜

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80猿でも書けるエロ本教室 ◆fDszcniTtk
「で、シチュエーションて、どんな?メイドさんとか?」
久子が先を促す。
「先輩、すっとぼけすぎです。文芸部の元部長が言うに事欠いてメイド萌えですか」
まじめな顔で一郎が突っ込むと、久子がテレ笑いを浮かべる。
「いやまぁ、そうなんだけどさ。一応嫁入り前の娘だよ?ここでエロ本にあるべきシチュエーションについて
君と対等に論を戦わせよってのはひどくない?」
そう切りかえされた一郎が苦笑する番だった。
「すみません、この話はやめましょう」
「やめないでよ」
「やめないんですか?!」
「語りたくはないけど、聞きたいのよ。顔を覆って指の間からしっかり見てしまう乙女心を察してよ」
いい感じにワインが回ってきた久子に言いくるめられて、苦笑しながら一郎が続ける。
「わかりました。じゃ、続けましょう。えー、シチュエーションにはいろいろあるのですが、その前にエロ本では
視点が大事だということが最近わかってきました」
「視点、語り手の視点だね」
「そうです。主人公である男の視点か、あるいは神の視点か、こえれを決めるが大事です。」
「ヒロインの視点は?」
「僕には無理です」
「戦う前に負けを認めるのかよ!」
「いや、正直興味があるのですが、エロ本ってのは感覚の表現が大事じゃないですか。しかし、僕は胸をまさぐ
られても股間に手を入れられても、女性がどう受け止めるのかわからないんです。」
「なるほど。ちょっと照れる話だね。」
「そもそも、女性が『感じる』ということがよくわからりません」
「そうなの?」
「たぶん射精感とは違うでしょう」
「うーん。射精感か。私も知らんからな」
珍しく久子が赤くなっている。
「想像で書く手もあるんです。ようは『こんな風に感じてほしい』っていう願望です。しかし、女性読者からみ
たら噴飯物でしょうね」
「なるほど、それだったら想像で十分書ける内容に徹すると」

81猿でも書けるエロ本教室 ◆fDszcniTtk :2008/05/05(月) 17:39:19 ID:iOqQicna
「神の視点か、男視点かって話ですが、これはそれほど難しくないと思っています。私なら神の視点です」
「なぜ?」
「男視点は、読者と視点を共有できる強みがあります。つまり、素晴らしい女性を前にして高ぶる心などを理解
してもらいやすい。しかし、設定した主人公の性格が描写に枠をはめるのです」
「ああ、そうか」
「処女と童貞のラブストーリーで、主人公がヒロインの身体を事細かに描写するのは変でしょう」
「変だね」
「そう言うわけで、読者が入り込みにくいことを承知で神の視点で書きます」
「ちなみに、そういうデメリットを承知の上で男視点で書くとしたら、どんな場合だろう」
「そうですね。たとえばフェティッシュな嗜好を持った男が主人公だと、男視点がいいかもしれません。ですが、
やはり、モノローグだと内面描写に限界があります。極端に観察的な男のセックスって変じゃないですか?」
「楽しく無さそうだね」
「ええ、だから神視点のほうがいいと思うんです。」
「なるほど。で、視点が決まるとシチュエーションを決めるんだね」
「はい。ところが、このシチュエーションってのがバカみたいに多いんです」
「そうなの?」
「そうです。というのは、エロ本の中のジャンルが意外に多い。」
「ほう、エロ本というジャンルじゃ不足かい?」
「不足です。たとえば、さっと思いつくもので、学園物、伝奇物、パロディ、痴漢物、強姦物、サラリーマン
官能小説といったジャンルがあります」
「なるほど。言われてみると多いね。パロディってのは、エロパロだとして、サラリーマン官能小説ってのは
なんだい」
「この分野の作品が意外に多いんです。主人公は普通のサラリーマンなんですが、オフィスの美女と次々に身体を
重ねる。」
「こりゃまた痛快なご都合主義ですね」
「エロ本はご都合主義ですよ」
「そりゃそうだ」
「サラリーマン官能小説は、読者が多いのが特徴ですが、女性をイメージしやすいのも特徴でしょうね。着ている
ものや普段の立ち居振舞いが、多くの読者に想像しやすい」
「なるほど」
82猿でも書けるエロ本教室 ◆fDszcniTtk :2008/05/05(月) 17:55:20 ID:iOqQicna
「もうひとつ、サラリーマン官能小説は、ヒロインの種類を多くできるのも特徴です。」
「種類?」
「今風に言えば属性ですね。たとえば、年上、年下、同年代。上司、部下、得意先。セールスウーマン、
アシスタント、受付嬢、秘書、出張先で知り合った女性、通勤電車で密着した女子校生。独身、人妻、
未亡人」
「ほほう、こりゃバラエティに富んでるね。」
「そうです。他のジャンルでも幾分幅を持たすことはできますが、サラリーマン官能小説の場合、圧倒的に
女性の種類が多くなります。王妃様なんてのを除くと、ほぼ制限は有りません。これが社長官能小説だったり
すると、通勤電車で女子校生と密着ってのはつらいです」
「確かにね。社長なら車で通勤しろと。」
「そのとおり!貧乏な社長なんか引っ込め」
一郎にもかなりワインがまわってきた。
「でもさ、無理なヒロインもあるんじゃない?スチュワーデスとか」
「無理目なだけです。神田の古本屋で見つけたエロ本は、行きずりのスチュワーデスとのアバンチュールでしたよ」
「行きずりって便利だな」
「便利です。しかし、行きずりは行きずりで仕込みが大変なんです。」
「どんなふうに?」
「それは後で説明しますが、まずはヒロインの種類…属性について続けましょう」
「うん、うん」
久子もすっかり話しに引き込まれてニコニコしている。
「先ほど、ヒロインの年、職務、職種、婚姻状態などを挙げましたが、これらすべてが組み合わせ可能ではあり
ません。」
「たとえば?」
「サラリーマン官能小説に年上処女未亡人女子校生は出てきませんね。」
「んなめちゃめちゃなヒロイン、どんな話にも出てこないよ!」
久子が爆笑する。
「そうでもありません、ジャンルを変えると幾分可能性が出てきます。」
「またぁ」
久子は半信半疑だ。

83名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 17:57:18 ID:UbaLKg4r
連投支援カキコ
84猿でも書けるエロ本教室 ◆fDszcniTtk :2008/05/05(月) 18:08:26 ID:iOqQicna
「嘘じゃないです。『処女未亡人』という作品があります。『人妻女子高生』もあります。」
「幼な妻だね」
「違います。ヒロインは20代後半です。分け合って女子高に通っているんです」
「セーラー服で?」
「そう。で、教師に迫られて『やめてください。夫が居るんです』って」
「ひゃひゃひゃ」
久子がひっくり返って笑う。慌てて一郎がコップを取り上げた。
「こぼさないでくださいよ」
「ごめんごめん」
「いやぁ、改めて文学ってすごいって思ったよ。文学少女でよかった。人間の発想は自由だね。」
「限度がないですね。」
「ほかにどんなのが考えられるかな」
「『金髪上司』なんてのはありでしょうね」
「外資かな?」
「外資ですね。取引先の秘書でもいいんですが、いきなり金髪美人と仲良くなるのは難しい」
「そうか。上司ならゆっくり落とせると」
「そうです」
「じゃぁさ、女子高チャイナ服ってのはどう?」
「うーん、難しそうですね」
「なんで?金髪もチャイナ服も似たようなもんじゃん」
「確かに、絵にすると同じなんですが、文章にするとだめなんですよ。」
「ちょっとまった。あ、そうか。金髪は外国人だっていうことだが、チャイナ服じゃコスプレか」
「そうです。まぁ、そういうシチュエーションでかけないこともないと思いますが、文字で書くからチャイナ服
萌えってのは難しいですね」
「特に神の視点では難しいね」
「そうです。」