小説書いてみたい奴と読みたい奴のスレ〜第15章〜

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138NむらUいち ◆M9BaxOHZFs
鼠と蛇/二

「ねぇ、ねぇ」
 明らかに色を含んだ囁き。聞こえているはずだが、男はその途端、布団の中で小さく縮こまった。
「うふふ」
 小さい躯を、さよは布団の上に乗せた。あまり豊かではない、発育途中の乳房はすでに露わになっている。
 布団の中で男が震えていることに、さよは気づく。さよよりもずっとずっと年上の男が、さよの迫りに臆しているのだ。
誰にも邪魔されない、二人だけの家。自分と男を隔てる布団だって、すぐ。
「したい。ねえ、したいんよ」
 顔があるあたりに、耳があるあたりにさよは語る。何をしたいかなど、詳しく語る必要もない。
ただ、するりと布団に忍び込ませた指先は、偶然か必然か、男の胸元あたりに這い、扇情的にうねっている。
「だめだ、だめだぁさよ。それは、いけねえ」
 小さい声が、布団の中から聞こえる。
「なんで。もう何度も何度もしとるやん。わたしはぜんぜん構わんよぉ」
 だめだ、と言われるのは分かっていた。ただ、男が折れるのも分かっていた。弄る手には、ますます力がこもっていく。
「あ、あぁ。さよ、もうこれ以上は、いけねえ」
「ううん。いけねえと言われても、するよ」
 男は相変わらず震えている。野良仕事で鍛えたはずの屈強な体は、幼い指先に弄ばれ力が抜けていく。
男を自由にしている様が、さよには心地いい。
「あぁ、触って。なあこん手で、触ってっちゃ。わたしもうたまらんにぃ」
 男の手を、ぎゅっと握ってみる。しっかりと汗ばんだ、その手。戸惑いながらも、女の責めに高まりゆく男の手。それを感じてさよも震える。
恐ろしいのではない。嬉しいのだ。
「どうしても触ってくれんの」
 指と指を絡める。身を固くする男の力がますます弱くなる。小さなさよの手の中で、ますます小さくなっている。
 だから、あっさりそこに届く。