78 :
sweet:
俺はゆっくりと、だが確実に前に進んだ。
誰かが急に出て来たとしたら悪い冗談だが、むしろそっちの方がありがたい。
何故なら、お化け屋敷というのは何も無いのが一番怖いからだ。
ふいに後ろからあーとうーの中間の様な呻きが聞こえて来た。
さっきの部屋で倒したはずのゾンビが蘇ったのだろうか。
俺は銃を持っていないから銃撃は無理だ。
というか武器を何も持っていないという状況に益々不安を煽られる。
俺は不安を打ち消そうとしたが無理だった。
あーとうーは数を増して聞こえて来る。
不気味な気配と何かが背後で蠢く音。
思い切って後ろを振り向く。
ゾンビが大勢居た。
大勢のゾンビが俺に襲い掛かろうとする。
俺は逃げようとして思わずけっつまずいてしまう。
通路のひやりとした床に両手を付いた。
どうする事も出来ない。
何かが俺の中から溢れ出て来そうだった。