ホモエロ小説を書くスレ一ページ目

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73sweet
誘導員にここが最後の部屋だという主旨の説明を受ける。
メインルームだから、ここを抜ければ出口らしかった。
そしてゾンビが沢山居るから、隊員の合図と共に撃ちまくれという事だった。
銃の射程距離はそれ程長くないから、引き寄せてから撃つ為である。
俺たちは中に入る。中は薄暗い。
けたたましい警報音が鳴り、俺たちは銃を構える。照明がほぼ同時に赤に変わった。
仕切りだった筈のガラスが割れている。その向こうにスペースがあって、
始めは何も無いように見えたが、倒れていたゾンビ共が唸り声と共に身体を起こす。
俺は隊員の合図があると、こちらに向かってくるゾンビを只管撃った。
このゾンビ共は数が沸いてくる割に、容易に倒せる。
奴も撃つ。今度は両手でしっかりと構えている。
楽しめている様子が雰囲気で伝わる。
横移動しながら、俺達に撃たれたゾンビは次々倒れていく。
蘇る残党を掃除したら後は出口へ向かうだけだ。
俺はこの暗闇と緊張感から逃れられる安心で、胸を撫で下ろす。
ここを出たら次は奴と、何処へ行こうかと考える。
74sweet:2007/12/28(金) 04:35:14 ID:yTdFU33b
ゾンビが完全に倒れてから、ここからは通路があるだけで、
走るのに邪魔になるから、と説明する隊員に自分の銃を預ける。
俺達は次の通路へ通じているはずの扉を開く。
しかしそこに光は無かった。暗闇があるだけだ。
俺はガックリしながらも通路を進もうとした。
しかし俺はある事に気が付いた。
誘導員が居ない。
そして良く見ると、奴も居ない。
どういう事だ。
俺は暗闇の中に一人、取り残されてしまったのか。
妙な不安が俺の中を襲う。
生々しい、誰もが一度は経験した事のある厭な焦りだ。
75sweet:2007/12/28(金) 18:21:44 ID:yTdFU33b
俺は右を見る。
左を見る。
右も左も暗闇と壁があるばかりだ。
一番初めの通路よりは横幅が広い。
前にも後ろにも何も無い。暗闇が続いている。
俺は立ち往生するしか無かった。
下手に動いて道に迷ったりしたら戻れなくなるからだ。
それにこの施設は、外観からしてかなり大規模なものだ。
暗闇の中歩き回って出て来られなくなったりしたら―
俺はぞっとする考えを捨てて、その場で待つ事にした。
76sweet:2007/12/28(金) 18:35:43 ID:yTdFU33b
周りが全部暗闇なものだから、上下感覚が奪われていく感じがする。
宇宙空間に一人で取り残されたらこんな感じなんだろうか。
足場が揺れているような気もするし、揺れていない気もする。
俺は小学生の時に科学館で、似た様な体験をしたのを思い出す。
渡り廊下のような短い橋があって、そこを渡る。
四角い部屋に囲まれていて、周囲は全部白っぽい。
橋を渡ると、しっかりと固定されているはずなのに、揺れている様な感覚に襲われる。
とても奇妙な感覚だ。
揺れていないのに揺れているのである。
俺は気持ち悪くなって早々にその橋を渡った。
その橋は、目の錯覚で揺れている様に感じてしまう橋らしかった。
その時の経験に似ているような気もする。
77sweet:2007/12/28(金) 18:45:45 ID:yTdFU33b
じっとりと気持ちの悪い汗が俺の額から滲み出る。気分が悪い。
もう何十時間もここでこうしている気がする。
さっきこの通路に入ったばかりの筈なのに、だ。
俺は壁に手を付いた。
ふと、壁伝いに手を付いて進んで行けば外に出られるんじゃないだろうか。
と俺の脳内に解決方法が思い浮かんだ。
ゆっくりと尺取虫の様に、壁伝いに手を付きながら歩を前に進めて行く。
俺は小学生の頃よりもっと前の、幼少時の時分を思い出していた。
どこか見知らぬ遠い町で、時刻は夜だ。
車が通る大通りの横の歩道を俺は歩いている。
泣きながら歩いている。
何故そんな幼子がそんな所を一人で歩いているのか自分でも分からなかったが、
俺の記憶として残っている映像の断片が目の前に思い浮かぶ。
78sweet:2007/12/29(土) 00:29:20 ID:Ifm3VZsI
俺はゆっくりと、だが確実に前に進んだ。
誰かが急に出て来たとしたら悪い冗談だが、むしろそっちの方がありがたい。
何故なら、お化け屋敷というのは何も無いのが一番怖いからだ。
ふいに後ろからあーとうーの中間の様な呻きが聞こえて来た。
さっきの部屋で倒したはずのゾンビが蘇ったのだろうか。
俺は銃を持っていないから銃撃は無理だ。
というか武器を何も持っていないという状況に益々不安を煽られる。
俺は不安を打ち消そうとしたが無理だった。
あーとうーは数を増して聞こえて来る。
不気味な気配と何かが背後で蠢く音。
思い切って後ろを振り向く。
ゾンビが大勢居た。
大勢のゾンビが俺に襲い掛かろうとする。
俺は逃げようとして思わずけっつまずいてしまう。
通路のひやりとした床に両手を付いた。
どうする事も出来ない。
何かが俺の中から溢れ出て来そうだった。