金持ちの御曹子が世間に内緒で
日夜、美少女に性の秘技を仕込んでくみたいな
刑部先生の構想なさった見事なまでのシチュ萌えで立ててみました。
御本人とは全く無関係なのでこの小説がつまらないと言う理由で
抗議メール等を送らないようにお願いします。
尚、私単なるシチュ萌え野郎で刑部先生のファンでも何でもないので
ファンの方は全く期待しないで下さい。
ファンでない方も期待しないで下さい。
三日間、彼女は泣きわめいて抗った。
四日目の朝に人形のように動かなくなり、表情のなくなったその耳に囁きかける。
思い出して貰う為に。彼女に戻って来て貰う為に。彼女はすっかり忘れてしまっていたから、
幼い躯の奥に潜む“女”の記憶を引き戻してあげる必要があった。
何の為に生まれて来たのか、思い出すがいい
生まれたその日からこうなるのは運命だった筈だ
おまえの棲む世界には俺しかいないんだ
永遠に俺だけを感じて、俺だけを受け入れてろ
彼女の瞳にまた苦悶と戸惑いが顕れる。
わからない わからない 怖い 怖い
しな…いで 痛く…しないで…酷いことしないで
か細い首を、息の止まらない程度に絞めてみる。
酷いことなんかしてないだろう
……気持ちよくするだけだから……怖がるな……
一度俺を受け入れたおまえの躯はもう痛みを感じない筈だ
俺を拒むな 怖がらなければ気持ちよくなれる
おまえを愛してるんだ これは愛の行為なんだ
…俺を…俺を好きだと言え……俺だけだと……
軽く力を入れた指先から彼女の感覚が伝わってくる。
切な気なその表情に俺の中の“雄”がざわざわと反応する。
首を締めながら両脚をグッと引き寄せ、
締めつけられた俺自身から迸る精を一滴も残さず彼女の中に放つと、
うっすらと笑みを浮かべて彼女は気を失った。
……いい子だ…それでいい
心を空っぽにして、本来のおまえを取り戻せ
あの日の俺との“約束”を果たす為に……
開き切らない蕾は柔らかくなった俺に纏わりつくように包み込み
深く銜え込んだまま放さなかった。
繋がったまま幼い躯の上で眠りについた俺が
再びその中で固さを取り戻し目覚める時、また揺さぶりをかける。
その躯が快楽の果実を貪り、完全の俺のものになる日が来るまで
…何度も……何度でも……
私は眠ってる時に、夢を見たことがない。
見てるのかも知れないが、何も覚えてはいなかった。
毎朝目覚める度、まるで暗い海の底から這い上がって来たような息苦しさを感じた。
それは小学校に通い始めた頃からの日課だった。
中学二年生になった今でも、あの人は毎朝私の髪を梳いては呟く。
「本当に……お前は美しい…」
その言葉を聞く度、何故かしら酷く憂鬱な気分になる。
孤児であった私を引き取って育ててくれたあの人。父親のような、兄のような存在。
そんなあの人に感謝の気持ちを寄せない日はなかったが、
あの人の誉めるその艶やかだが、長く重い髪をいつも切りたいと思ってた。
それが出来ないのはあの人が哀しむだろうからだが、
育てられたことへの恩義と言うよりも、同情心のようなものだった。
8年も一緒に暮らしていても、あの人について殆ど何も知らない。
聞いてはいけないようがした。
だからどうして可哀想だなんて思うのか自分でもよくは判らなかった。
子供の頃は、あの人がしてくれることの総てが好きだった。
一体いつから、あの人の言葉もプレゼントも素直に喜べなくなったのだろう。
そんなに昔のことでもないのに、
私には病気で療養をしてたらしい小学校四年生の夏休みから
中学に通い出すまでの記憶が全くない。
気がついた時には、彼女がいつも側にいて心の支えになってくれていた。
……彼女なら何か知ってるかも知れないけど。
“思い出せなくてもいいのよ!”
彼女の声が頭の中で響いた。
“あなたが大人になって、自分で受け止められるようになったら教えてあげる”
「……どうした、萌子?」
あの人の声にハッと我に還る
「ううん、なんでもないわ 毬也」
私には姉のような秘密の友人がいたが、あの人は彼女の存在に気づいていなかった。
まるでお人形さんのような!
子供の頃、初めて萌子に会った大人は異口同音にその愛らしさを讃えた。
実際、萌子はどんな高名な人形作家が創った精巧な人形よりも眩く美しい子供だった。
保護者である加納家の御曹子=加納毬也の趣味で
上等なシルクやベルベットのレース遣いをふんだんに費やした服を着てることが多かったが、
萌子のきめ細かい白い肌やストレートの黒髪は寧ろ日本人形を彷佛させ、
衣装とのミスマッチ、子供特有の壊れそうなうつろい易い雰囲気が
いっそうその危うい美しさを際立たせた。
その日、午後の公園で萌子は同じ私立の小学校に通う
クラスメートの少女たちに取り囲まれていた。
萌子の小さな腕に大事そうに抱きかかえられた人形を
少女達は溜息混じりに驚嘆と羨望の声をあげ、褒めそやした。
「いーなー それ あのお店で一番高いフランス人形でしょ?あたしもほしー」
「うん……昨日買ってもらったの」
「萌子ちゃんのお家お金持ちだもんねー」
それは萌子の愛らしさには及ばないが
子供の玩具としては些か高価過ぎると思われる美麗なフランス人形だった。
はにかみつつも少し得意顔の萌子は
少女らしい優越感に浸りながら誇らしげに自慢してみた。
「…毬也は…私の欲しいもの なんでも買ってくれるの……」
贅沢に育てられてる割には萌子は特に高慢ちきな子供ではなかった。
自分が孤児の身であり、毬也の恩情によって
何ひとつ不自由のない身でいられることも知っていた。
それだけに惜しみなく注がれる毬也の愛情表現が嬉しかったのだ。
高価なものを買ってくれるからではなく、
萌子の願いを最優先に叶えてくれる毬也の献身振りが嬉しかった。
陽が暮かかる頃、毬也が公園に萌子を迎えに来ると
少女たちは羨望の眼差しを青年に駆け寄る萌子の背に送った。
その眼差しを萌子はくすぐったくも誇らしく感じた。
風にそよぐサラサラの黒髪、
長い睫毛に縁取られた憂いを含んだ切れ長の瞳
すっと通った形の良い鼻。
加納毬也は誰が見ても美しい青年だったが、
時折その美貌を裏切るような皮肉そうな笑みで整った口許を歪ませた。
その表情がまた年端のいかぬ少女達やその母親達まで魅了した。
そんな美青年の愛情を一身に受けてる存在であることの喜びや自覚が
幼いながらも萌子にはあった。
「キレ−なお兄ちゃんよねー」
「でも…うちのママが言ってたけど
あの人…萌子ちゃんのお兄ちゃんじゃないらしいよ…?」
「えー!?」
「じゃあ……誰?」
そんな噂は…いつもいつも…ついてまわった
時にそれは、無闇に子供に高価なものを買い与える
令息の無責任な教育方針への批判や危惧だったり、
それを通り越した中流家庭の単なるやっかみだったこともあったが、
決して萌子ら少女たちの耳には届かない大人達の間だけで密かに囁かれる黒い噂もあった。
(施設にいた沢山の子供の中からあの子が選ばれたのは何故?)
(あの子の姓は高瀬のままだ。引き取って育ててるのに養子縁組はしてないようだ。)
(そもそも結婚もまだしてない二十歳そこそこの若者が子供を引き取るなんて不自然では?)
(家政婦は通いだけ、執事もいないそうだ。)
(別宅とは言え、あのでかい邸に夜はあの子と御曹子のふたりっきりだなんて)
(……如何にも不用心過ぎないか?)
噂話は単にやっかみや好奇心と言うだけでは片付けられない疑惑もいくつか含んでたが、
地位も名誉も財力もあり、かつ施設への寄付なども惜しまない
社会的には非の打ちどころがない加納家の
あの品行方正かつ眉目秀麗な嫡男がまさか!と言う想いや
他人のプライベートに立ち入るべきではないと言う“良識”が枷となって
噂を単なる噂の段階で踏み止まらせ、表立った話題にはならず終いだった。
それでも噂は竈の奥で燻った火種のように完全に立ち消えることもなかった。
……いつまでも……何年経っても………
中学二年生の夏休みが終わり新学期が始まったばかりの頃のある日の放課後、
少年は校庭を見下ろせるなだらかな丘陵の草の上にゴロっと横たわり、空を眺めてた。
彼の通ってるのは交通の便はそれ程悪くないが
比較的自然の豊かな東京郊外の名門私立中学校で、
生徒の中には上流家庭の子女も珍しくなく、
そういう子の大半は他県や都心の家から通うよりも
設備の行き届いた寄宿舎で暮らすことを選択していた。
彼自身は地元民でごく普通の家庭の子で通い組だった。
生真面目で正義感も強く、礼儀正しく成績優秀でスポーツも万能、
学校側や父兄の評判は勿論、生徒間での人気・信奉も厚い学級委員長を務め、
次期生徒会長の下馬評も高い彼=武蔵連太郎はそんな名門校の中でも肩身の狭い思いはしたことはない。
上流家庭の子女の中にも通い組はいた。
地元の名士などの子供たちで、少年が密かに想いを寄せていたその少女は
国内でも有数の大企業の、元を正せば由緒正しい旧財閥系に属する旧家に養われてる娘で
少年以外にも彼女に憧れを抱く男子生徒は少なからずいたが、
名家への気後れか、彼女自身の発するあまりにも清らかなオーラのせいなのか
遠巻に眺められるだけの壁の花のような存在だった。
だが、彼女には何処か謎めいた部分もあった。
そもそも“旧家の娘”ではなく“旧家に養われてる娘”だと言うのは
彼女がその家名=加納家の姓を名乗っていないからである。
遠縁の娘だとも次期当主である若き御曹子の婚約者とも噂されてたが、
年齢不相応なその美しさに魅入られた御曹子が財力にものを言わせて
孤児院から“買い取った”などと言う時代錯誤な話も根強くまことしやかに語られていた。
……勿論、少年はそんな怪し気な噂話を端から信じてはいなかった。
だが、時折見せる少女の大人びた哀し気な横顔は
そんな噂を信じそうになるくらいに美しく、透明な存在感、説得力があった。
中学校の入学式でその長い髪の少女=高瀬萌子を初めて見かけた時に一目で魅了されてしまった。
少し憂いを含んだようだ微笑が満開の桜に溶けてゆくようだった。
二年になってその少女と同じクラスになった時は天にも昇る気がした。
性格の良さを反映してるような優し気な可愛い顔立ちの連太郎は
女子の間でも人気者だったが、彼女のことしか見えてはいなかった。
クラスメイトになって生徒会の関係などで
何かとかこつけて親しく話せるような仲になると、
意外と子供っぽく頑だったり頓珍漢な事を言うことも判ったが、
そのギャップがまた少女を愛らしく際立たせた。
今、件のその少女が少し離れた同じ叢に座って物憂気な瞳で校庭を眺めていた。
寝転んでる彼には気づかないようだ。
少女が鞄の中からテントウ虫の形をしたテーブルタップを取り出し、
それを眺めると優し気に微笑んでギュッと抱き締めたので少年の心臓の鼓動が高鳴った。
何故なら、それは先刻少年が授業で作って少女にプレゼントしたものだったから。
少女は一頻りそうした後で、また大切そうにテーブルタップを鞄の中にしまうと
次の瞬間には何故かしらまた大人びた哀し気な顔つきになってスカートのポケットを探り、
煙草を取り出すと一本銜え、火をつけようとした。
少年はハッと息を呑んで立ち上がると叫んだ。
「萌子!お前、何をしてるんだ!」
少女はビクッとして口許から煙草を落すと、
惚けた顔で手にした煙草のパッケージとライターを不思議なものでも見るように訝し気に眺め、
それも取り落として泣きそうな表情で少年に一瞬眼を遣り、鞄を拾い上げると駆け出して行った。
少年は戸惑い乍ら少女の落した煙草を拾い上げ、
次の瞬間後ろめたい感情に襲われながらも、少女の銜えてた煙草を口にしてみた。
思い当たる節がない訳ではなかった。―あれは先週末のこと―
生徒会の雑事でやや帰宅が遅くなった連太郎は
PTAが問題視してる通学路にある繁華街の一角の如何わしいクラブの前で、
萌子によく似た若い女を見かけた。
連太郎は一瞬驚いたが、すぐ他人の空似だと思った。
よく似た顔立ちではあったが、背も萌子よりは高いようだし
なんと言うか雰囲気がまるで違ったからだ。
濃く塗ったファンデーションにくっきりとしたルージュ、
ブランドもののドレスに高級そうな香水の匂い、大粒の真珠のイヤリングにネックレス。
大人っぽい恰好をしてるから見違えたと言うレベルではなくて、
あの大人びた物憂気な眼差しを見せてる時にでさえ、
萌子から決して失われることのなかった凛とした少女らしい清潔感がまるでない。
その代わりに金持ちの有閑マダムのような妖しい大人の女性の色香が漂っていた。
年齢も20歳を越えてるのかも知れない。
女の笑い声を聞いて、連太郎はホッとした。
ハスキーでやけに色っぽいその声は、萌子の愛らしい声とは明らかに違った。
女はやや明るい栗色の髪の青年の首に悩ましく腕を廻していた。
如何にもプレイボーイそうな男の顔を、連太郎はテレビや雑誌で見て知っていた。
加納家のような名家ではないが、
新興勢力の製薬会社として躍進してる森津グループの御曹子、森津真だ。
森津は加納家の御曹子、加納毬也とは子供時代からの親友だと聞いている。
……よく考えたら、背が高かったのはハイヒールのせいか……
一瞬そんな疑惑が頭を過ったが、
テーブルタップを抱き締めてた萌子の微笑みが眼に浮かんで
連太郎はそんな自分を恥ずかしく思った。
……笑い声なんて意図的に変えられるもんじゃないだろう?
連太郎は心の中で自分に言い聞かせる。
……煙草くらい、どんな真面目な奴だって好奇心で一度くらい試すことはあるさ…
「わ― かわい―くれるの?」
「うん…今日授業で作ったから」
技術の授業で連太郎が制作した
テントウ虫の形をしたテーブルタップをプレゼントされた萌子は
嬉しそうに微笑んだ。
「ありがと…連太郎……大切にするね」
萌子の微笑みを連太郎は眩しそうに優しげに見つめた。
連太郎の帰宅後、萌子の手にしたテーブルタップを見た
洋子と由美が驚きの声をあげた。
「え―っ!! 連太郎に貰ったの!?」
「他の女子が頼んでもくれなかったのに」
洋子はちょっと苦笑するとやれやれと言った風に頭を振り、由美が相槌を打つ。
「まァ しょーがないか 連太郎は……」
「そーねー 他の子には可哀想だけど」
萌子がきょとんとした顔で「…なに?」と訊いた。
「なにって 気づいていないの!?」
「連太郎かわいそー 他の皆にはバレバレなのにね」
少女たちは半ば呆れ顔で、からかうように萌子に微笑んだ。
「だって……連太郎は……ねぇ?」
「萌子のこと…」
萌子の心臓がトクンと鳴った。
何となく気恥ずかしくてひとりになりたくて誰もいない丘陵に寄ってみた。
(萌子のこと…好きでしょ……)
洋子の言葉を思い出しながら、頬が染めた。
まさか…ね
鞄の中から連太郎に貰ったテーブルタップを取り出して見つめる。
思わず微笑みがこぼれ、ギュッと抱き締めた。
“よかったね、萌子!あなたも連太郎くんのこと好きなんでしょ?”
彼女の声が聞こえた。
……うん 連太郎、やさしいから大好き……
“ねぇ? 悪いけどちょっとの間眠ってくれる? 考えごとをしたいから”
…うん いいよ…
萌子の意識が一瞬フッと途絶えた。
「萌子!お前、何をしてるんだ!」
連太郎の声がして萌子は我に還った。
…うそっ 連太郎 どうしてここに……
何時の間にか煙草とライターを手にしている。
……やだっ!!お姉ちゃんのバカッ!!……
萌子は連太郎への言い訳が思いつかず、鞄を拾い上げると駆け出して行った。
……もうっ!!連太郎に煙草を吸ってたのは私だって思われたじゃないっ!!…
萌子はちょっと怒りながら、連太郎へのお返しのクッキーを焼いていた。
“ごめん、ごめん 明日、私から説明して謝っておくから”
その時、毬也が帰宅した気配を感じた。
「お帰りなさ……」
“萌子!!テーブルタップを早くしまってっ!!”
彼女の警戒した声が頭に鳴り響き、萌子は慌ててそれを背中の後ろに隠した。
「何してる 今後ろに隠したものを見せなさい」
萌子が諦めておずおずと差し出すと、毬也はそれを手にしてしげしげと眺めた。
「クッキー作ってたの かわいーでしょ?それをくれた子にお礼に…」
「…男子の授業で使うものだな…」
「え? うん…いいなって言ったらね…」
「…あからさまなことを……してくれる…」
毬也の眼が鋭くなって萌子に歩み寄る。
“イケナイ!萌子、眠るのよ!!”
彼女の声が頭の中で鳴り響き、毬也の手が萌子に触れると
萌子の意識はまたフッと遠くなった。
そしてまた記憶のないまま、重い朝を迎えた。
何だか胸が苦しくなりますね…とても引き込まれました。
続き楽しみにしてます
ありがとうございます、
感想を言って頂けると、とても励みになります。
では、続けます。
気持ちワルイ……ゆうべ……なにがあったんだっけ?…なんだかカラダがダルイ…
昼休み、連太郎は遅刻して来た萌子が下駄箱近くで具合悪そうに壁に凭れ掛かるのを見かけた。
「萌子?」
熱に浮かされたようなけだる気な瞳で萌子は顔をあげた。
……あ、そう言えば…昨日は…連太郎に可愛いテーブルタップ貰って……
…お礼のクッキーを焼こうとして その後 どうしたんだっけ……?
「萌子…どうした?」
「連太郎」
ちょっと安心したような頼りない笑みを浮かべた直後に
萌子は連太郎の腕の中に倒れ込むようにして気絶した。
「え!?萌子!?オイ…」
連太郎は慌てて萌子の躯を支えた。
……昨日の放課後の不可思議な萌子の様子を思い出しながら……
保健室のベッドに横たわる萌子の寝顔を連太郎は心配そうに覗き込んだ。
「も…萌子…?」
「ん…」
少女は苦し気に額に汗を浮かべてる。
「萌子…寝てる…よな…?」
呼吸の乱れを確かめるかのように、そっとサクランボのような唇に指先で触れてみた。
熱を計るのに額に触れようと屈み込んだところ、
セーラー服の胸元から覗く無数の赤い小さな痣に気づいてしまい、指が凍り付く。
震える指で胸当てをそっとずらしてみると……
発疹や虫刺されの類ではなく、明らかに人為的につけられた痕だと判り連太郎は慄然とした。
“キスマーク!?”
そうと決めつけた訳ではないが、酷く淫らな印象をどうしても拭えない。
………どのくらいの間、気を失ってたのだろう…
目覚めた萌子の瞳に真先に飛び込んで来たのは蒼ざめた連太郎の顔だった。
「…連太郎…」
連太郎はやりきれなさを抑えるように声を絞り出す。
「お前…一体誰に何されてんだ!!」
「…っ…」
胸当てが外されてるのに気づいた萌子の手が
反射的に曝け出された自らの胸の上部の淫らな痕に触れる。
…なに…これ?…「…し…知らない…」
萌子には本当に覚えがなかった。それが何の痕なのかも判らなかった。
夕べの記憶がまるでなかった。
「あ…わ…私…どうして…知らない、知らない、判らないっ!!」
どうしようもない混乱の波に襲われて頭の中が真っ白になった次の瞬間、
意識がフッと切れるのを感じた。
連太郎は怒りで躯が熱くなっていたが
その怒りは萌子にはいっさい向けられてなかった。
寧ろ萌子のことを痛々しいものを庇うような憐憫と慈しむような哀しみの瞳で見つめる。
「萌子」
「あ…わ…私…どうして…知らない、知らない、判らないっ!!」
子供のように動揺し、泣き出しそうな萌子を宥めようとすると
ふと、萌子の表情が別人のように落ちつきはらったものに変わった。
「…知らないのよ、萌子は。ホントになにも」
「萌子?」
「昨日のあれも、私であってあの子ではないわ…」
遠い眼の大人びた顔で見知らぬ少女のように言い放つ。
謎めいた言葉に連太郎は戸惑ったように萌子を見つめた。
「ホントのことを知ったら、あなた傷つくわよ。それでもいい?」
「かまわないっ!何があったんだ、教えてくれ」
「……やっぱり駄目。あなたにあんなこと知られたと知ったらあの子が可哀想」
遠い眼をした萌子が呟くように哀しそうに頭を振った。
「萌子?」
「もうすぐ迎えが来てしまう……お願い…何も聞かないで…」
「高瀬さん 保護者の方がお見えになったわよ」
萌子は元の萌子に戻ったかのようにきょとんとしている。
「!?」
初めて見る加納家の御曹子=加納毬也は保護者にしては若すぎる男だった。
端正な顔立ちはしてるが、冷酷そうな瞳と野卑な口許だと連太郎は感じた。
そんな連太郎の一瞬の表情を見逃さなかったのか、
男は見せつけるように萌子を抱き上げた。
「や…!? ま…毬也いい…自分で歩ける」男の腕の中で萌子が抗う
「萌子…」呼び止めようとする連太郎。男は憮然と言い放つ。
「世話になったな」
不安に駆られてふたりの跡を追った連太郎は
校門の脇に止められた黒のクーペフィアットの運転席で
萌子の頭を抱きかかえるようにしてその唇を吸う男を見た。
「…!?」
萌子は大人しく男にされるがままに動かなかった。
連太郎にはそんな萌子がピンで刺された死んだ蝶々のように見えた。
男の瞳は挑戦するように冷酷な輝きを連太郎に向けて放っていた。
「離してよっ!!クッキー、まだ焼いてる途中なんだからっ!!」
「俺に何貰っても嬉しそうな顔ひとつみせやしないのに、随分熱心だな」
暴れる少女の背中と腰に手を回した男はそのまま少女を抱き上げようとする。
「いやっ!!汚い手で触らないで!!」
「暴れるんじゃない ダイニングで躯を無理に弄られたいのか……」
耳たぶをきつく咬まれ、一瞬苦痛に身を捩らせた少女は気丈に男を睨み返したが、
そのまま男の寝室へ運ばれベッドに放り出された。
「いや…っ いや…あ…っ しない しないったらっ」
俯せに押さえつけられ、咬まれた耳の傷痕を犬のように舐められる一方、
横にずらされた下着の隙間から男がそのまま強引に押し入ってくる。
「うそっつ!? 嫌っ…!!せめてちゃんと…っ」
「萌子…?俺が流れ込んで込んで来る感触がわかるか?…」
男がぞっとするような笑みを浮かべ昂りがその表情に顕れると、
少女は身を捩って男の躯から逃れようともがいた。
初潮が始まって以来、男は少女の妊娠を警戒してコンドームを着用するようになったが、
嫉妬で理性をコントロール出来なくなったのか少女の中に放出する。
「他のやつに取られるくらいなら俺の手で壊してやった方がマシなんだよ」
乱暴で激しい動きに躯を弄ばれてると、“彼女”の気も遠のきかけ、
激しい怒りと不快感とは別に流れに身を任せて受け入れそうな心が目覚めそうになる。
いっそこのまま、怒りや哀しみを全て忘れて男の愛撫に身を委ね
悦んで男の子を妊ってしまえば、楽になれそうな気がした。
……こんな形でしか愛せないなんて…なんて可哀想な人なんだろう……
少女の幼い躯に依存し、乳飲み児のように乳房を求め続けた男を
躯と心を切り裂かれながらも少女は憎み切れずにいた。
歪んだ愛ではあったが、男が少女を愛してたのは事実だし
その行為を愛の証と受け入れられれば苦しみはなくなる筈だった。
“いやっ…消えたくないっ!!”
震える腕で男の頭を抱いて男が快楽の果実を摘み取ろうとした瞬間に
眠りについた“萌子”の心は消滅することを拒み、
その刹那、少女は冷めた眼差しで無慈悲に男を撥ね付けた。
「……あなたは 自分の欲望を押しつけてるだけ…
…“私”のことなんか ちっとも考えてくれてないし 愛してなどいない…
……何も感じやしないわ……幾らこの躯を痛めつけても……
……心まであなたの自由にはならない…」
その毅然とした姿に男は怒り、失望し、畏れ、戦く故にいっそう少女に執着した。
「…ガキの癖に きいたふうなこと言ってんじゃない」
「そのガキに無理矢理セックスの相手させてるのは何処の誰よっ!!」
男は顔を歪めひきつったような笑みを浮かべた。
「………もう…焼きかけのクッキーは焦げちまって 持っていけないなァ…?」
少女は哀れむような蔑むような眼差しで無感動に
再び動きだした男の腕の中で揺られていた。
「……車の中でキスされてたね?彼奴なんだろ 彼奴に何かされてんだろ…!?」
午後になって見舞いに来た連太郎は萌子とふたりきりになるや否や
矢継ぎ早に真剣な顔で言い放った。
「やめとけ 絶対ダメだ!! 相手は“保護者”だろ その権利カサにきて遊ばれてるだけだ!」
「放っといて!! あなたには関係ないわ!!」
「萌子」
苦悶した表情で涙を押し止めようとする少女の手をとる
連太郎の手の暖かさに少女はピクッと反応した。
「萌子…萌子…泣かせてごめん…でも俺…っ」
「…連…?」
「おまえのこと 好きなんだよ! だから絶対…おまえが傷つくのはイヤだ!」
少年の真剣な眼差しを少女はまっすぐ捕えた。
あの落ち着き払った大人びた不思議な瞳で連太郎を見る。
「本当のことを知っても、あの子を軽蔑しない?」
「あの子って誰のことなんだ…萌子」
「私は萌子じゃないわ。」少女がピシャリと言った。
「………見て……」
少女はネグリジェの胸をゆっくりとはだけて、連太郎に裸身を晒した。
連太郎は眼を背けようとしたが、出来なかった。
白い肌に散らばる無惨な咬み痕や鞭、火傷の痕に吸い寄せられるように凝視した。
「あの子は男を知るにはあまりにも早すぎる。ましてこんなに酷い仕打ちには耐えられない。
だから、私があの子の代わりにあの人につきあってあげてるの。
……あの子は、萌子は妹のようなものだから、守ってあげなくちゃいけないから」
大人達の間で密かに囁かれていた悪夢が現実になったのは萌子が10歳の夏のことだった。
「…知りたいか おまえを何故側に置くのか…」
不思議そうに見上げる萌子の小さな顎に手を掛けて、毬也は冷たい笑みを浮かべた。
「…毬…?」
「―少し早かったが………事実は変わらん……」
あれは萌子の知ってる優しい毬也ではなかった。
日頃鍵の掛けられた重い扉のその部屋に入ったのもその時が初めてだった。
壁一面の大きな鏡と所々に仕掛けられたカメラに
浴槽と囲いのないトイレとベッドのある殺風景で奇妙な部屋。
天井から釣り下げられた滑車や数々の無気味な道具の用途を幼い萌子が知る筈もなかったが、
本能的に危険を感じて逃げ出そうとした時には既に遅かった。
軽々と抱き上げられベッドに放り出された萌子の瞳は
これから自分の身に降り掛かるだろう得体の知れぬ恐怖に硬直していた。
「あ…ま…毬也?」
男の手が淡々とワンピースの胸の釦を外しにかかると、
ようやく膨らみ出したばかりの、殆ど平らと言ってよい幼い胸を隠そうと少女は抗った。
羞恥と恐怖で心臓が早鐘のように鼓動を打った。
「…っや…やあ…っ…なにするの!?なに…」
大きな掌が無遠慮に薄い胸の上を這い回り、未発達な固い乳腺は鋭い痛みを感じた。
「な…なんか 怖い……」
涙で懇願する少女の訴えを毬也は冷酷な口調で退けた。
「お前が良かろうが悪かろうが……どうせ他に道はない……」
「…っ毬也…?」
初めて見る大人の男の強大でグロテスクな正体に少女はパニックを起こした。
「…っやぁっ いやっ毬也!!」
あの美しい毬也が服の下にこんな恐ろしいものを隠していたとは信じられなかった。
萌子は懸命に暴れたが、大人の男の腕力にかなう術もなく易々と組み伏せられ、
ふいにその凶器は幼い躯の花心に押し充てられ、強引に花弁を引きちぎりながら侵入して来た。
躯の真ん中からまっぷたつに裂かれるような激しい痛みに萌子は悲鳴をあげた。
「いやあぁっ!!」
その悲鳴は毬也以外の誰の耳にも届かなかった。
使用人の帰った広大な邸の閉ざされた部屋の厚い防音壁に閉じ込められ、
虚空に呑み込まれていった。
萌子の凄まじい悲鳴と苦痛と恐怖に歪み、涙でぐちゃぐちゃになった顔は
毬也にサディスティックな悦びを与えるだけだった。
幼い躯と心には理解不能な未知の苦痛と羞恥に気絶することすら許されず
萌子は一晩中耐えねばならなかった。
萌子には自分の身に何が起きたのか全く理解出来なかった。
ただ性を受け入れるにはあまりにも幼過ぎた心と躯の虚ろになった残骸だけが
無慈悲に白いシーツの波間に打捨てられたようだった。
なにが おこったの…?
―なに…!?
―なに…が……
恐怖の一夜がフラッシュバックする。
「イタ…あ… 毬也怖い!! もう許して…っ!! 怖い!!」
幾ら許しを請うても毬也は残酷な肉の刃で幼い萌子の躯を苛み続けた。
無惨に切り裂かれた蕾の花弁から赤い血痕と白いドロドロした欲望の痕跡が滴り落ちる。
苦痛と恐怖と汚辱の入り乱れた喪失感に萌子は嗚咽した。
こんなこと……するために あの手は差し延べられたの…!?
孤児院でのあの日の情景が脳裏を過った。
「萌子ちゃん 今日から加納様のお家に行くのよ」
院長室に呼ばれ、初めて会った長身の優しそうな青年。
「私の名は毬也 萌子…私の元に来るか…?」
「マリ…ヤ…?」
その名前を聞いた時、萌子は懐かしさを覚えた。
両親が亡くなる前、よく一緒に遊んでくれた親戚の少年と同じ名前。
あの日、6歳になったばかりの萌子の小さな手に微笑みを持って差し延べられた青年の大きな手。
その時…そこに差し延べられた手を………
萌子はあの瞬間まで毬也の優しさと信じて疑わなかった……
重い扉は中からは開けられなかった。
服は毬也が持ち去ったので、萌子は素っ裸だった。
鍵をあけて男が訪れる度、ブランケットで身を隠そうとしたが無駄な抵抗だった。
勉強は毬也が見てくれたが
解答が正しければ褒美だと言っては躯中にキスされては抱かれ、
間違ってれば鞭でしこたま打たれた後、結局犯された。
食事は拒んでも抱かれながら口移しで無理矢理とらされた。
逆らうと食事の代わりにあの肉の刃を咽に押し込められ
ドロドロと白濁した精液や小便を直に呑まされた。
そして決まって最後にそれはもう一度幼い子宮の中にそのまま吐出され、
毬也の重い躯に組み布かれ、繋がったまま朝を迎えた。
萌子の開き切らない蕾はきつく、
毬也が精を放った後でも抜け落ちず萌子の中で固くなり、そしてまた絶望の一日が始まった。
秘密の部屋の扉同様に萌子の心の奥の扉も鍵の在り処を知らぬまま固く閉ざされ、
残酷な現実を受け止められない幼い心は、泣きながら眠りについてしまった。
最初は亡くなった母の助けを請うたが、
母をこんな目に合わせたくなかった萌子は、空想の友人を創りだした。
再び外へ出して貰えるようになるまで、萌子の心は目覚めなかった。
食事も排泄も風呂も勉強も遊びも
その部屋で許された行動の総てが、陵辱に結びついてたから。
……男が出掛けていない日には舌を噛み切らないよう
男自身から型をとったバイブで口を塞がれ
同様のものをヴァギナとアナルに挿入された状態で動けないように躯を固定された。
男の分身の器械は一日中少女を犯し続け、
帰宅して失禁の跡に気づいた男に酷く鞭を喰らわされ、
そんな残虐行為とは裏腹に愛の言葉が囁かれたが、壊れた萌子の耳には聞こえなかった。
一部始終は壁の大きな鏡に総て映し出され、
カメラに収められた破瓜の瞬間や繋がったままの局部から流れ出る精液の様子や
数々の陵辱の映像を見せつけられ、萌子の瞳はそんな自分の姿を認めようとしなかった。
やがて萌子は総てをただの悪夢と思い込むようになって忘れてしまった。
「翌日から小学校へは行かせて貰えなくなった。
あの部屋に閉じ込められたまま、毎晩抱かれたの……
何をされてるのか少しづつ理解出来るようになった萌子が妊娠に怯えて
泣きながら助けを呼ぶ声が聞こえて……私があの子の代わりを務めるようになったの
……初潮が始まるまで大丈夫だってあの人は言って…一切避妊して貰えなかった
ある人からこっそり施して貰ってた色々な薬のお蔭で何とか最悪の事態は免れてたけど
……今でも安全日だとあの人が思い込んでる日そのまま出されるわ。
……あの人の精液と薬漬けでこの躯はもうボロボロよ…」
多重人格障害―強烈なトラウマで過酷な現実を受け入れられない弱い心が産み出す別人格。
読書家の連太郎はその心の病の存在を知っていたが、現実にその症例に出会ったのは初めてだった。
にわかには信じられそうになかったが、口調やちょっとした仕草まで豹変した萌子の
躯中につけられた惨たらしい傷痕を見れば信じないわけにはいかなかった。
凶行に耐えられなかった幼い萌子が助けを請いながら心を閉ざしてしまった結果、
萌子自身を守ろうとする“姉のような人格”が生み出されたことも想像に難くない。
連太郎の中で怒りと吐き気が込み上げる。
連太郎は泣いていた。の涙を優しく拭い乍ら尋ねた。
「…あなた、萌子のこと好きだったんでしょ?
……こんなに汚れた躯でがっかりした?…あの子のこと嫌いになった?」
「汚れてなんかいないっ!!」
連太郎は彼女の瞳を真正面から見ながらハッキリと言った。
「……萌子は何も悪くないのに……そんな子供の頃から…こんなに酷いことされてたなんて…」
「本当に汚くない?萌子のこと抱きたい?」
連太郎が判らない、とでも言いたげに頭を振った。
「……抱きたいけど…抱けない…」
「そうね。同情は出来てもやっぱり嫌よね。…まだ14歳なのに何年にも渉って男の体液に塗れた躯なんて……」
「そんな意味じゃないっ!!」
連太郎が絞り出すように言った。
「萌子の知らないうちに、萌子が気づかないのをいいことに萌子の躯を抱くなんて俺には出来ないよっ!」
「優しい子ね、連太郎くんは」 少女は連太郎を抱き締めた。
「……どうして、警察や児童相談所に訴えないの?」
「それだけじゃ、根本的な解決にはならないから。
萌子は忘れてるけど、心の底で大好きなあの人に裏切られたと思ってる以上救われないから。」
「だって、裏切ったんだろっ!!あいつはっ!!」
「…可哀想な人なの…似たもの同士なのよ。あの人と萌子は。」
「あんな奴に同情の余地なんかあるものかっ!!」
連太郎は少女の躯をギュッと抱き締め返した。
「ダメだよ…煙草なんか吸っちゃ…萌子の躯でもあるんだから…」
「…そうね…でも…身替わりの私でもやりきれなくなるの。
…あの人、煙草を吸う女が嫌いだから…ささやかな反抗なのよ。」
「今朝はどうして倒れたの?…どんな酷いことされたの?」
「あなたからプレゼントされたテーブルタップを見て、嫉妬にかられたあの人に一晩中無茶されたの」
それを聞くと連太郎は辛そうに頭を振った。
「…ごめん、ごめんな」
「いいのよ、あなたのせいじゃないし、萌子は喜んでたわ。」
「ホントに…?」
「ええ…萌子はあなたのこと好きよ。
……あの人のことは父親か兄のように慕ってただけだから、連太郎くんが初恋の相手でしょうね」
「…ホントにそうなら嬉しいよ」
「ホントだってば。あなた、あの子がテーブルタップを
抱き締めてるの見たんでしょ?」
力づけなくちゃいけないのは自分の方なのに、何慰められているんだろうと思いつつ、連太郎は思いきって訊いてみた。
「……薬を差し入れてた人ってもしかして森津製薬の?……先週の夜、森津真と腕を組んでたのも貴女なの?」
「シーッッ!!」
少女は慌てたように指先で連太郎の口許を塞いだ。
「……彼女たちに気づかれちゃいけないわ。まだ私の存在に気づいてないの。」
「!?…他にもまだ、躯を共有してる人たちがいるの!?」
「……ごめんなさい…今日はもうこれ以上は…気づかれてしまう…あの人もそろそろ戻って来るから……」
少女はスーッと意識を失うようにベッドに倒れて眠りについてしまった。
連太郎は少女に優しくブランケットをかけて、額にキスすると呟いた。
「萌子…待ってろ。お前のこと…きっと助け出すから…」
誤字修正です、時間設定狂ってました。
>>32 午後になって見舞いに来た連太郎は ×
夕方になって見舞いに来た連太郎は ○
>>43 「今朝はどうして倒れたの?… ×
「今日はどうして倒れたの?… ○
>>42にも誤字脱字発見。ひ〜っ
の涙を優しく拭い乍ら尋ねた。 ×
少女は少年の涙を優しく拭き乍ら尋ねた。 ○
8月の終わり頃、森津は萌子を連れた毬也の車の後を密かにつけて
別荘に押し掛けると、車を止めた林の中で萌子の細い腕を捕まえた。
「シーッ!!……お嬢ちゃんじゃなくて、“お姉ちゃん”に用があって来たんだ。」
慌てて口を手で塞いだが間に合わず、萌子の悲鳴を聞き付けた毬也がやって来た。
(やれやれ…倖か不倖か、だいぶ戻ってきてるようだから扱いにくくなったな)
前の月の後半、夜中にボストンバックを抱え歩いてた萌子に気づいて
肩に手をかけたが、少女はパニックを起こし、
叫び声を聞いて駆けつけた毬也に、殴られてのびてしまった。
その頬の絆創膏を訝しがる毬也に森津は皮肉を返した。
「ああコレ!?誰かさんに頼まれてお祝いの赤飯買ってきてやったのに……ええ?
痴漢に間違われて思いっきし殴られちゃったりした傷よ」
「あの時のチカン!?」
「だから違うって……」
幼気な子供を慰んでるような奴には言われたくねーな、と思いつつ
萌子を見ると、あの大人びた冷めた眼で森津に向かってクスッと笑みを投げかけた。
……やっと気づいてくれたか “お姉ちゃん”…
森津が萌子に初めて見たのは、
実は萌子が小学校に通い出して間もなくのことだった。
毬也が孤児院から美少女を引き取ったことなどすぐに噂になったし
毬也は誰にも件の少女に会せたがらなかったが
小学校に通いはじめれば人目に晒させない訳にもいかなかった。
また萌子の美しさが人目につかない筈もなかった。
放課後、ランドセルを背負って友達と談笑しながら歩く姿を見かけて
直感的にこの子に違いない!と思った。
毬也の生い立ちや性癖を子供の頃から知ってる森津には、
ある種の予感めいた不安があったので陰ながら萌子の様子を見張り続けた。
それから数年後、二学期も始まったと言うのに萌子の姿を見かけなくなった。
療養の為、遠くの病院に入院してるらしいとの噂は聞いたが、
それが何の病気か何処の病院なのか判然とせず、
思いきって毬也の留守中に邸に侵入してみた。
セキュリティーのパスワードなどとっくに知っていた。
隠しカメラに注意を払いながらモニター室に入り、
真先に“あの部屋”の様子を見て愕然とした。
件の美少女は身動き出来ないような不自然な体制で拘束され床に転がされていた。
幼い局部と肛門と口には考えられないほど太く、抜けないほど深く嵌め込められたバイブがいやらしく畝っていた。
恐らく失禁したのだろう、肢体の下に水溜まりが拡がっている。
「……ついにやっちまったか、毬也の奴……」
その日の日中、その地区一帯で停電が起こった。
森津が手を回して送電事故を起こさせたことだった。
異常な監禁状態の下、少女の精神に異変が起こってることは一目瞭然だった。
森津はその後もちょくちょく訪れて毬也に気取られないように細心の注意を払いつつ、
密かに萌子を連れ出して、森津グループの息がかかった医者に見せたり
避妊薬や堕胎薬、向精神薬を投与したりして
肉体的にも精神的にも萌子がそれ以上悪くならないように気遣ったが
毬也がコンドームを使わないと言う前提のもとに
監禁中の萌子が妊娠しても早期発見で流せたのは殆ど奇跡と言ってもよかった。
森津もそうそう頻繁には萌子の様子を伺うのは無理だったからだ。
いっそ避妊手術でも受けさせようかとも考えたが、
毬也にもバレず、萌子の躯にも影響のない方法などなかった。
森津は少女を哀れには思っていた。
しかし毬也のことを愛してたし、毬也がこれほどにまで歪んでしまった
大本のその悲惨な過去を知ってたので
少女を監禁陵辱している秘密を知りながら、告発する気にはなれなった。
「まァそんなわけだから俺も暫くここで夏休みとらせてもらうわ」
「………森津 貴様……」
森津は毬也に構わず、初めて遭ったような顔で萌子に話しかける。
「やー お人形さんみたいだねー 近くで見るとますます…
萌子ちゃん…?きみって毬也の………?」
「親戚だ!!ヘタな詮索はするな」
「―へェ…」
忌々しげに言い放つ毬也に、森津はとっくに事情を承知してるのを恍けて
疑わしそうな眼差しを向けた。
「しょーがねぇ…森津に怪しまれちゃマズイ…」
夜、自分の部屋に下がろうとする少女の肩を抱いて無念そうに毬也は溜息をついた。
「そうね 加納家の跡取りがこんな子供をベッドで相手にしてるの人に知られたら大変よね」
少女はその手を振りほどきながら皮肉めいた笑みを浮かべる。
「私は歓迎よ 数年ぶりにぐっすり眠れそうだわ」
だが、部屋に下がって萌子の人格に戻して眠りについてもぐっすり眠れなかった。
躯の奥から込み上げて来るような熱に眠りを脅かさる。
「……お姉ちゃん、起きてる?私 おかしいの」
萌子は戸惑ってポロポロ涙を零した。
「小さい頃のように、毬也に添い寝して欲しい 毬也の部屋に行っていい?」
“ダメよ!!……子供じゃないのに、おかしいでしょ?”
「……うん…」
“私が添い寝してあげるから、いつものように深く眠りなさい”
「……でもね いつも朝、何故だか凄く疲れていてとても怖いの
今日は目覚めることが出来たけど、明日からは永久に
あの何もない真っ暗な眠りから還って来れなくなるような気がして」
“バカなことを言ってないでお休みなさい 明日もちゃんと起こしてあげるから”
萌子の意識が眠った後、少女は初めて自分を慰んだ。
(……バカな……この躯はあんな男を欲しがってると言うの?……)
毬也に躾けられた敏感な躯はすぐ絶頂に達したが、
幾ら慰んでも追いつかないくらい躯は火照り続け、情けなくなって少女は泣いてしまった。
翌日、海辺の大きな岩の上でスケッチしてた萌子に森津は声をかけた。
「お姉ちゃんと大事な話がある お嬢ちゃんはちょっと席を外して貰っていいかな?」
“大丈夫よ、萌子 この人の言う通りにして”
萌子のスイッチが切り替わった。
「……赤飯を頼まれたってことは、初潮が来たんだね ちゃんと避妊してもらえてるかい?」
「……ええ でも生理中はつけてもらえなかったわ
止まったわけじゃないから大丈夫だとは思うけど」
「やれやれ…きみが夜の御奉仕から解放される日はないのか
正直ちょっと邪魔しに来てやったんだが 正解だな」
少女が溜息をついた。
「……なんで赤飯なんか……避妊しなきゃならないからってめんどくさがってたのに」
幼いうちに強引に処女を奪われ、監禁されて犯され続けたショックのせいか
萌子の初潮は他人よりだいぶ遅かった。
子供の躯のうちは妊娠の心配はないと言う出鱈目を信じてるらしい毬也が
コンドームの着用を怠った為に萌子は強制早期流産を繰り返している。
だから初潮が始まった時、萌子は少しだけ救われた気分になっていた。
これからは少なくとも妊娠の恐怖だけは味わずに済むようになると。
本当の意味では愛されてないことを知ってた少女は
破瓜の時とは違う、シーツについた血の染みを見て舌打ちをする男の態度に
今更ショックを受けたわけではなかった。
だからと言って毬也が用意したコンドームを喜んだわけでもなかった。
改めて萌子をセックスの対象にしか見てない
毬也とはこれ以上一緒にいてはいけないと感じた少女は家出を決意した。
だが暗がりで森津に肩に触れられ、毬也に見つかったと勘違いして思わず叫んだせいで
本物の毬也に見つかり、結局連れ戻されてしまった。
「……あの時はごめんなさい 毬也と間違えたのよ」
森津は溜息をつくと静かに言った。
「快楽を削がれたくないと彼奴が思ってるのは確かだろうね
でも、そればかりじゃないと俺は思ってる
彼奴は彼奴なりに萌ちゃんが大人に近づいたのを喜んでるんだよ」
「大人になればあの子以外の誰にも気兼ねなく、あの子を抱けるものね」
少女が冷笑する。
「萌ちゃんを花嫁として迎え入れる日が近づいたってことだろうよ」
「よしてっ!!」
少女は悲痛な面持ちで頭を振った。
「彼奴を許して受け入れてあげることは無理かい?
きみは綺麗だし 何もか毬也好みだ
彼奴は容姿も家柄も財力もすべて持ち合わせてるし
なによりも歪んだ形であれ萌ちゃんひとりだけを愛してる
彼奴に憧れ、結婚したいと思ってる女の子は山程いる
どうしても彼奴を愛してやることは出来ないのかい?」
「あの人が愛してるのは萌子じゃないわっ!!萌子の躯だけなのよっ!!」
「そんなにあの子は彼奴が憎んでるのかい?」
少女の頬から涙が滴る。
「あの子は絵本を読んでくれたあの人が大好きだったわ
お人形をプレゼントしてくれたあの人が大好きだったわ
遊園地に連れていってくれたり、誕生日を祝ってくれたあの人が大好きだったわ
孤児になったあの子を引き取って育ててくれた人だもの、
あの子があの人を愛してないわけがないじゃないっ!!
その総てをぶち壊しにしたのはあの人なのよっ!!」
「……俺はね いっそあの子が一生眠ったままの方が倖せなんじゃないかと思ってる
彼奴のことを愛してるあの子に、彼奴に手酷く傷つけられた痛みや恐怖を
思い出させるのはかえって酷じゃないのか?」
「あんな卑劣な暴力に屈しろと言うのっ!!」
少女は岩から飛び下りるとスケッチブックと鉛筆を放り出して海へ入っていった。
54 :
名無しさん@ピンキー:03/10/24 10:58
板違い
>>42だけもう一度修正。元のコピペ仕損ないの一文が見つかったので。
の涙を優しく拭い乍ら尋ねた。 ×
“萌子の姉のような”その人格は、ネグリジェの前を糺すと
少年の涙を優しく拭き乍ら尋ねた。 ○
引っ越し済みなので、以後このスレは放置して下さい。
過去ログ化し次第、完全にエロパロ板へ移します。