母親が他人に犯される作品 #2.2

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「うあっ、あああっ」
グルグルと旋回する指に掻きこすられる肉襞から、鮮烈すぎる刺激がつんざいて、
佐知子は苦悶にも似た声を洩らして、ガクガクと腰を突き上げた。
身体が浮き立つような感覚に、達也の肉根を強く握りしめる。
達也の手の動きは、烈しいスラストへと変わっていく。
白衣がめくれ上がるほどの勢いで、佐知子の股間に掌を叩きつけるようにして。
「こうして。何度も何度も、佐知子さんを、突いて、突いて突いて」
言葉に合わせて、ペニスに擬した二本の指で、佐知子の女肉を何度も突く。抉り続ける。
それはもう、愛撫ではなくて性交だった。指で佐知子を犯しているのだった。
「ア、いっ、た、たつや、くん、んあああっ」
佐知子もまた、“犯されている”という意識に支配されながら。
吹きこぼす声は、ただ歓喜だけをあらわしている。
……この時に。達也が、擬似的なファックを真正のものに移行しようとすれば。
すなわち、佐知子を犯すモノを、指から男根に換えようとしたならば。
佐知子は、もう躊躇なく、それを受け入れただろう。
すでに、佐知子は、ドップリと悦楽に浸りこんだ意識の内で、達也の淫らな囁きに誘導されるまま
その危うい置き換えを行っていたのだから。
すがるように握った達也の肉根と、いま自分を蹂躙する達也の指を天秤にかけて。
もし……いま自分の肉体を貫いて、激しく抉りたてるのが、
手中のこの凄まじい肉の凶器であったなら……という想像に、脳髄を灼かれて。
その巨大さえの恐怖さえ、未曾有の快楽への期待にすりかわって。
達也の指の突き立てにリズムを合わせて、握りしめた肉塊を扱き上げていたのだから。
この時の佐知子ならば、達也のさらなる求めを、拒むことはしなかったはずである。
しかし、達也は。この、母親ほども年上の女を意のままに躍らせ弄ぶ、
悪辣な男子中学生は、そのアクションに出ようとはしなかった。
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無論、達也は、自分が仕向け追いこんだ佐知子の窮状を見通していた。
この同級生の母親が、理知的な美貌と豊満な肉体をもった熟女看護婦が、
自分の与える快楽に溺れこんで“触れなば落ちん”という状態にまで
追いつめられていることを理解していた。
しかし、このゲームの終着は、あくまで佐知子の側から自発的な屈服を引き出すことだと。
自らの構想に固執する達也は、非情なまでの手管で、燃え狂う佐知子の官能を、
さらに追いこんでいく。
「あっ、あああっ、もう、もうっ」
今度こそ、という切実な思いを気張った声にして、佐知子が喚く。
汗に濡れた半裸の肢体を、瘧のようにブルブルと震わして。
ドロドロの女陰が、達也の指をギュッと絞りこんで。
「あ、もう、もうっ」
極限まで膨れ上がった愉悦が弾け飛ぶまで、もう、ひと突き、ひと擦り……
「……ヤバい」
らしくもない、焦った声。だが、そう洩らした達也の顔は冷静で。
見計らった、このタイミングで、女肉を攻める手の動きをピタリと止めた。
「アアッ!?」
佐知子が悲痛な叫びを上げて、カッと眼を見開く。
達也の、わざとらしい呟きを、佐知子は聞かなかった。聞き取る余裕などなかった。
佐知子にわかったのは、今度こそ快楽のトドメを刺してくれるはずだった指が、
突如動きを止めたことだけ。
「イヤッ、イヤ……あ、ダメェッ!」
悶絶せんばかりの焦燥を泣き声で訴えて、ズルリと引き抜かれていく指を追って、
あさましく腰を突き上げても無駄だった。乱れた白衣の裾から、
佐知子の淫汁にベットリと汚れた達也の手が抜き出される。
その動きで白衣のスカート部分は完全に捲くれ上がって、佐知子の白い太腿や、
股布が横にズラされたまま伸びてしまったようなパール・ホワイトのショーツ、
黒い濃厚な繁みまでが露になった。それらは、一面、粘っこい汗と蜜液にビッチョリと
濡れそぼっている。
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しかし、佐知子には、自分のそんなあられもない姿態を顧みる余裕などなかった。
「ど、どうしてっ? 達也くん」
泣きそうに顔を歪めて、達也に質した。ふいごのように腹を喘がせ、巨大な双つの乳房を
大きく揺らして。片手は達也の男根をキツく掴んだまま、もう一方の手には、
彼女自身の淫液にまみれた達也の手を引き戻そうという気ぶりさえ示しながら。
とにかく、一刻も早く行為を再開して、悦楽を極めさせてほしいという切実な思いが、
全身から滲んでいたが。
「……ごめん」
バツが悪そうに苦笑した達也は、自分の屹立を握る佐知子の手を外して、
「あんなこと、言ってたせいか……なんだか、我慢できなくなりそうで」
「……え…?」
「その、佐知子さんと本当にセックスするイメージを掻き立てちゃってさ、自分の言葉で。
 これ以上続けたら、我慢できずに、佐知子さんを襲ってしまいそうで」
「……襲っ、て…」
「それじゃ、約束を破ることになるもんね」
それを避けるために、行為を止めたということだった。
佐知子は呆然と、達也の説明を聞いて。
「……で、でも…」
思わずといったふうに、取りすがるような声を出した。
「うん?」
「そ、それで、いいの? 達也くんは…」
「佐知子さんが、本当に僕とひとつになる決心をつけてくれるまで、
 待つっていうのが約束だからね」
言葉に迷うようすの佐知子と、アッサリと言い放つ達也。
「勢いに流されて、佐知子さんの意思を無視することだけはしたくないんだ」
「………………」
決然たる態度に、佐知子はなにも言えなくなってしまう。
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確かに、それはあくまでも佐知子の意思を尊重しようとする達也の誠実さの表れと
言えるのだろう。
(……でも……)
それにしても、あまりにも酷なタイミングではなかったかと。生殺しの悶えを抱えて、
佐知子は恨めしさを感じずにはいられないのだった。
あと少し……ほんの少しだったのに……。
それほど、達也も追いつめられていたということだろうが。責めるのは、身勝手すぎるのだろうが。
でも……。
剥き出しの胸を隠そうともしないまま、ギュッと自分の腕を抱くようにして、
火照りの引かぬ肉体の疼きに耐える佐知子。
その悩乱のさまを尻目に、
「……よっと」
達也は、器用に腰を浮かせると、下着とパジャマを引き上げた。
「あっ……」
佐知子は、惜しむような小さな声を洩らして、咄嗟に手を伸ばしかけてしまう。
いまだ隆々と屹立したままの達也の男性が、無理やり隠される。
パジャマの股間を突上げる大きな膨らみを見下ろして、
「…ま、そのうちおさまるでしょ」
また苦笑して、達也は言った。
「ほ、本当に、いいの? 達也くん」
念を押すというよりは、翻意をはかるように佐知子は訊いた。
達也の解消されぬ欲求を気遣うようで、実のところは途絶した淫戯に未練を残して
いるのだということは、見えすいてしまっていた。佐知子に自覚する余裕はなかったが。
「うん。我慢する。正直、手でしてもらってるだけでも、
 自分を抑えきれなくなりそうなんだよね、いまは」
「……そう、なの…」
「病室で、それはマズいもんねえ?」
「そ、そう、ね」
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「僕だって、いやだからね」
つと、達也が佐知子の裸の肩に手を伸ばして。佐知子はドキリと反応したが。
「そんな、ドサクサみたいに佐知子さんと結ばれるのは」
しかし、達也の手は、佐知子の肘までズリ落ちた白衣を掴んで、そっと引き上げたのだった。
「……あ…」
いまさら、自分の放恣な姿に気づいたように、佐知子は達也が肩まで戻してくれた白衣の襟を
掴んで引っ張った。
「今日の反省もこめて、改めて誓うよ」
真剣な眼で、達也は佐知子を見据えて。
「佐知子さんが、すべてを許してくれる決心がつくまで、僕は我慢する。
 けっして、強引に佐知子さんを奪ったりしない」
「…………………」
佐知子は、なにも言うことが出来ずに。ただ、気弱く揺れる瞳で達也を見つめるだけ。
達也は、またバツの悪そうな笑みを浮かべて、
「でも……今日ので、僕の理性も、あんまり信用できないって分かっちゃったからなあ。
 明日からは、佐知子さんにキスしたり触れたりするのも、少し控えなきゃね」
「…………………」
佐知子の唇が、微かにわななく。だが、結局、言葉は紡がれずに。
「…………………」
首を傾げるように俯いて、捲くれ上がったスカートを直した。
膝にわだかまったストッキングを引き上げる。
しどけない横座りの姿勢での、その挙措には、物憂い色香も漂ったが。
どこか茫然とした表情や、覚束ない手の動きには、ひどく頼りない風情があった。
途方にくれるようにも見えた。

                       (続)