レッスン−そう、それは肉体の快楽についての授業だった。
無論、達也が教師で、佐知子が生徒だ。
ふたりきりの病室が教室で、教材は佐知子の熟れた肉体。
日に何度となく繰り返される、秘密の授業。
達也は、教師として、この上なく優秀であった。その熱心な指導のもとに、
佐知子は急速に快楽への理解を深めている。
本当に……自分はなにも知らなかった、と佐知子は思うのだ。
結婚生活を経験し、子供を生んで。それで、人並みには性についても
知った気になっていたけれども。
それが全くの誤りであったことを、思い知らされている。この年になって。
親子ほど年の離れた若い男によって。
巧緻を極める達也の手管は、佐知子自身が知らなかった肉体の秘密を次々と暴き立てていく。
性的には鈍であると思いこんでいた自分の肉体が、達也の手にかかれば、たやすく
燃え上がり、過敏なほどに感覚が研ぎすまされる。
こんなにも豊かな官能が自分の身体に潜んでいた……という発見は、
震えるような喜びへとつながった。より強く鮮明に、達也の手を、
唇や舌を感じられることが嬉しいのだ。
だから、佐知子は、ここが病室であることも勤務中であることも意識の外に追いやって
従順に達也の行為に身を委ねる。
愛しい若者の手から快楽を授かることに、至極の歓悦と誇らしさを感じて、
少しづつエスカレートする達也の行為をゆるしてしまう。
いまも、スカートの中に潜りこんだ達也の手指に、下着越しに秘所を愛撫されて。
まさに、紙一重というべき危うい状況だと自覚しながら、そこから逃れようともせず、
緩めた両脚に恭順の意を示して、達也の問いかけにも素直にうなずいて。
あけすけに、この瞬間の愉悦を明かして、さらなる快感を求めてみせるのだった。
「すごく濡れてるよ。また、下着を取り替えなくちゃならないね」
「……いやっ…」
達也の言葉に、佐知子は頬に新たな血をのぼらせて、かぶりをふった。
悦楽の時間のあとに、トイレで、汚れたショーツを穿き替える時の情けなさ。
だが、それほどに身体を濡らすことも、達也によって教えこまれたのだと思えば、
この瞬間には、もっと濡らしてほしい、もっと溢れ出させてほしい、という
倒錯した衝動がわきあがってくる。
「アアアァッ」
グリリッと、達也の指が、布地の上から強く女芯を押し揉んで、佐知子の願望は叶えられた。
新たな蜜を吹きこぼしながら、淫猥に腰がくねる。
「アッ、イ、アッアッア…」
さらに連続するクリ責めに、佐知子の嬌声が高く小刻みになっていく。
そこを攻めたてられて絶頂を極めることも、すでに何度も経験させられていた。
呑みこみの良い佐知子の肉体は、すでにその感覚を覚えていて、
忘我の瞬間へと気を集中させていく。
「アッアッ……あ…?」
だが。急激に高まった快感は、不意に中断した攻めに、はぐらかされてしまった。
ボンヤリと開いた眼に怪訝な色を浮かべる佐知子をよそに、
達也は、肉芽から離した指を引っ掛けて、ショーツの股布をズラした。
「あ、いやっ…」
ベッタリと貼りついていた布地を剥がされ、熱く濡れそぼった秘肉を晒されたことを
感得して、佐知子が心細げな声を洩らしたが。
それが拒絶の意味でないことは、すでに了解済み。
女の部分を直接触れられることさえ、これがはじめてではないのだから。
充血した肉厚の花弁を擽るように弄ったあとに、達也の指は、ゆっくりと進入する。
「……あぁ…」
佐知子が熱く重たい息をついた。女の中心を穿った達也の二本の指をハッキリと感じとる。
それへと、自分の蕩けた肉が絡みついていくのも。
(続)