……いま、自分がいる状況が、危うすぎるものであるということを。
佐知子は自覚してはいた。
意識のすみで危険を叫ぶ声を確かに聞いていて。
だが、それに従うことが出来ない。ズルズルと流されてしまっている。
今日もまた、ふたりきりの病室で。
達也の腕に抱かれて、甘美なキスに心身を蕩けさせられて。
しかし、それだけで終わる密事ではなくなっている。佐知子が剥き身の胸を玩弄されて、
生まれてはじめてのアクメを味わった三日前から。
いまも、あの時と同様に白衣の前ははだけられ、ブラジャーはズラされて、
豊かな胸乳は露になっている。張りつめ、熱く体温をのぼらせて、横抱きの姿勢で
脇の下から片乳を掴んだ達也の指の間に、乳首を勃起させている。
だが、それすらも、もうたいした問題ではないのだ。
ふたりの行為が、加速度的に危険な領域に踏みこんでいることを示すのは、
達也のもう一方の手の行き先だった。
達也の片手は、佐知子の股間に伸びて、たくし上がった白衣のスカート部分に
潜りこんでいるのだ。
佐知子のストッキングは膝まで捲くり下ろされて、両の太腿が白い素肌を晒している。
そして、逞しいほどに張りつめた太腿は、白衣の下で達也の手が微妙な蠢きを見せるたびに、
ビクビクとわななき、キュッと内腿の筋肉を浮き立たせ、ブルルと柔らかそうな肉づきを
震わすのだった。
「……フフ。すごく熱くなってるよ。佐知子さんのここ」
口を離した達也が悪戯っぽく笑って。“ここ”と言いながら、潜った手にどんな動きを
させたのか、佐知子が高い嬌声を上げて、喉を反らした。
達也は、仰け反った白い喉に唇を這わせながら、お決まりの問いかけを。
「気持ちいい? 佐知子さん」
「……あぁ……達也くん…」
わかりきったことを聞く達也を、恨めしげに見やりながらも。
コクリ、と。小さく佐知子はうなずいた。
素直になれば……もっと、気持ちよくしてもらえる。
それが、この数日間の“レッスン”で、佐知子が学んだことだった。
(続)