「……ホントに、大きいなあ。僕の手じゃ、掴みきれないや」
「いやぁ……」
つくづくと感嘆して、佐知子を恥じ入らせておいて。
手にあまる巨大な肉房を、やわやわと揉みたてていく。
「……アッ……ア……」
「フフ、それにとっても感じやすいんだよね」
「…やぁ……あ、あっ…」
“胸だけ”という制限で、達也の行為を受け入れたことで、
佐知子は、与えられる刺激を、より明確に感じ取る状態になっているようだった。
思惑通りのそんな様を、達也は冷笑して眺めて。
無防備に捧げられた双乳を、嵩にかかって攻め立てていく。
ギュッと鷲掴みに力をこめれば、柔らかな脂肉はムニムニと形を歪めて
指の間から飛び出してくる。
十本の指に小刻みなバイブレーションを与えてやれば、プルプルとたぷたぷと
面白いほどに震え波打った。
そして、それらの攻めのひとつひとつに、佐知子は、身をよじり、くねらせ、のたうった。
「ヒッ、ア、いやっ、ア、アア……ああぁっ」
引っ切り無しの嬌声を洩らしながら、乱れた髪を左右に打ち振る。
はしたない声を封じようとするのか、快楽に溺れる表情を隠そうとしてか、
片手の甲を口元にあてて、もう一方の手は、ギュッとシーツを掴みしめていた。
「佐知子さん、気持ちいい?」
「……あぁ……達也…く…ぅん……」
訊くまでもないようなことを、ことさらに尋ねる達也。
佐知子は、けぶる眼を薄く開いて、舌足らずな声で、甘く恨むように達也を呼ぶだけ。
少なくとも、愉悦を否定しているのでないことは明白だったが。
「気持ちよくないの? こんなんじゃ、足りない?」
「や、ちが……アアアッ!」
意地の悪い解釈に、慌てて左右にふりかけた頭は、叫びとともに
後ろに反りかえって、ベッドに擦りつけられた。
「フフ、やっぱり、ここは感じる?」
「ア、アッ、ダメ、達也くん、そこは、そこ、は」
達也は、両手の親指を、これまで捨て置かれていた佐知子の乳首にあてて、
クリクリとこねまわしたのだった。
「ヒ、アッアッ、ダメ、そ、そこは」
ただでさえ痛いほどに勃起しきった肉豆をくじられて、
衝撃といっていいほどの強い感覚が突きぬける。
「やめっ、やめてっ」
佐知子は達也の両の手首を掴んで、必死に身をよじって、強すぎる刺激から
胸を逃がそうとした。
達也は、それを許さず、さらに指に力をこめて。
濃茶色の肉突起を、爪弾くように弄い、グリグリとこねくりまわし、
柔らかな肉房へ埋めこもうとするかのように、押し揉んだ。
「ヒイイッ!」
「どうなの? 佐知子さん。感じてるの?」
歯をくいしばり顎をそらして、いきんだ声を上げる佐知子の顔を覗きこんで。
しつこく問い質す達也の眼は、嗜虐の愉悦に鈍く輝いている。
仮面がズレて、一瞬垣間見せた本性……しかし、暴虐を受ける佐知子には、
それに気づく余裕など、あるはずもなかった。
「ヒ…イッ、た、達也くん、やめて、そこは、もう、やめ」
「どうして? 感じないの? ここ」
「ち、ちがうっ、感じ、感じすぎるから、だから、やめてぇっ」
(続)