「感じやすいんだね、佐知子さんは」
「いやぁ……」
優しげな達也の囁きが揶揄にしか聞こえず、佐知子は力なく頭をふった。
激しい羞恥と、ズキズキと響く鮮烈な感覚に、涙が滲んだ。
「おね…おねがい、だから、達也…くん」
達也の手を、止めるというよりは縋るように掴んで、涙声で哀訴する佐知子。
「どうしたの? 気持ちよくなってくれてたんじゃないの?」
「ち、ちが…ダメなの、こんな」
「いいじゃない。ここには、僕と佐知子さんしかいないんだから。
もっと気持ちよくなってよ」
そう言って、達也は、佐知子の胸を責めていた手を移動させて、
スッと脇腹を撫でさすった。
「ヒッ、アッ」
途端に、佐知子は高い声を上げて、ビクビクとくびれ腰をくねららせる。
まるで、薄皮を剥かれたように全身の神経が鋭敏になっていて、
達也のごく軽い接触に、過剰な感応をしてしまう。
「フフ、可愛いよ、佐知子さん」
なおも脇腹から腰のあたりを撫であげ撫でおろして、佐知子を悶えさせながら、
達也は笑って。汗を浮かべた佐知子の鼻にチュッと口づけた。
「だ、ダメ、ダメ、達也くん」
うつつに口走りながら、佐知子は、身体の側面を這う達也の手を払おうと、
甲斐のない抵抗を示す。
押し流されてしまいそうな自分を自覚しながら、どうすることも出来ずにいた。
どうして、達也の手は、こんなにも心地いいのだろう?
これくらいなら……こうして、服の上から触れられるだけなら……と、
優しい慰撫の手を受け入れて、この心地よさを甘受しようとするほうへ、意識が傾いていく。
しかし。腰をさすっていた達也の手が、さらに流れて。
乱れた白衣の裾から伸びる太腿にかかったことが、佐知子の理性を呼び覚ました。
「ダメッ!」
鋭い声を発して、強く達也の手を掴んだ。
「いけないわっ、達也くん」
これ以上は、と決死な表情で達也を見つめる。
貞操を意識する部分に近づいたことが、佐知子の危機感を蘇らせたのだった。
「わかったよ」
意外にも、あっさりと達也は折れて。
置き土産のように、ストッキングを汗で貼りつかせた内腿をひと撫でして、
小さな悲鳴を上げさせたあとに、佐知子の下肢からら手を離したが。
「いまは、佐知子さんの素敵なオッパイだけで我慢するよ」
「…えっ? あ、いやっ」
佐知子を翻弄する手は、隆い胸元に戻って。
あろうことか、白衣の合わせをくぐって内側に潜りこんでくる。
いつの間にか、佐知子の胸のボタンは、上からふたつが外されていた。
「た、達也くんっ、ダメ……アァッ」
フルカップのブラジャーごと豊満な肉の膨らみをつかまれ、
大きなカップを押し潰すようにギュッと握りしめられて、苦痛とも快感とも
つかぬ強烈な感覚に、佐知子は甲高い叫びを迸らせて、背を反らせる。
「スゴイや。本当に、大きいね。佐知子さんのオッパイ」
「アッ、イ、や…め、アアッ」
さらに何度も手の中の肉房を強く握って、佐知子に悲鳴をしぼり出させて。
達也は、不意に激しい勢いで、佐知子の唇を奪った。
「フウウ……ム…ウウ…」
抗議の声は封じこめられ。
佐知子の必死の抗いは、達也のキスの威力に、たちまち弱められていく……。
……佐知子の意識は混沌の中に投げこまれて。なにがなんだかわからないままに
達也の狼藉を許してしまっている。
白衣は、完全に前をはだけられ、肩をぬかれてしまった。
純白のブラジャーも、すでに乳房を隠す役目を果たしてはいなかった。
ホックを外され、肩紐は二の腕にズリ落ちている。
窮屈な戒めから解放された豊かな双乳は、ともに達也の手に掴みしめられて、
粘っこい愛撫を施されていた。
「気持ちいい? 佐知子さん」
執拗な口吸いを中断して、達也が問いかける。
「……あぁ……達也く…ん……」
解放された口から、掣肘の言葉を吐くことも、佐知子は、もう出来なくなっている。
薄く開けた双眸に涙を光らせて、か弱く達也の名を呼ぶだけ。
揉みしだかれる乳房から伝わる感覚は、快美すぎた。
(……熱い……)
直接、達也の手を感じる部分が、火のような熱を孕んで。
その熱に、肉が溶かされていく。ドロドロに。
「ほら、見て、佐知子さん」
達也が、重たげな肉房を下から持ち上げるようにして、促した。
「佐知子さんの、ここ。こんなになってる」
ノロノロと視線を動かして、佐知子は達也の示唆した部分を見た。
たわわな肉丘の頂上、硬く尖り立ったセピア色の乳頭。
色を濃くして、ぷっくりと盛り上がった乳輪の中心に、見たこともないほど
充血しきった姿を晒している。
「……ああ……こんな……恥かしい……」
愕然と見たあとに、居たたまれないような羞恥を感じて、佐知子は
泣くような声を洩らした。
(続)