白いシューズが、揺れる。
宙に浮いた佐知子の片脚。白のストッキングに包まれた肉感美の脚線の先端、
汗に湿って、わずかに蒸れた臭いを放つ爪先に危うく引っかかった、踵の低い靴が。
佐知子の身悶えにつれて、ブラブラと頼りなく揺れている。
……やっと、達也が蹂躙していた佐知子の口腔から舌を抜いて、顔を離す。
佐知子は、涎まみれの唇を大きく開いて、酸欠状態の頭と身体に、空気を送りこんだ。
ゼイゼイと喘ぎながら、苦労して眼を見開く。
「……た…たつや、くん…もう、やめて…おねがい…」
荒い呼吸の中で、弱々しく懇願した。
キスは解かれても、達也の手は、いまだ佐知子の片胸に置かれていて、
やわやわと、繊細なタッチで刺激を与え続けているのだった。
「もうちょっとだけ」
佐知子の熱い頬にチュッチュと口づけながら、達也は囁く。
「佐知子さんの胸、とっても柔らかくて、キモチいいから」
実際には、まだ、制服と下着越しの接触なのだが。それでも、
そのたっぷりとしたボリュームと熟れきった肉の質感を、達也の掌は感じとっていた。
「ダメ、いけないのよ、こんなこと」
佐知子は、鼻からぬけそうになる声を、必死にはげまして。
わずかに力の戻った腕で、ようやく達也の手を胸から引き剥がすことに成功する。
しかし、弄う指が離れても、胸に巣食った熱い感覚は消えない。
帯電したように、ジンジンと疼き続けている。
(……どうして…? こんなに……)
着衣の上からの軽い愛撫に、これほどの感覚を喚起される自分の身体の異状に怯えた。
「僕に触られるのは、イヤ?」
「そ、そんなことじゃ、ないけど」
わざとらしく、拗ねた口調を作る達也に、律儀に答えてしまって。
ああ、こんな戯言を言っている場合ではない、早く起き上がって、この危うすぎる状態から
脱しなければ、と思っても。
身体が動いてくれない。手も足もグッタリと重たくて、腰に力が入らない。
「…ほ、本当に、もうやめて。おねがいよ、達也くん」
だから、佐知子は、せめて腕で胸元を庇うようにして、泣くような声で
達也に哀願するしかなかった。
達也は、佐知子の上気した顔を覗きこむようにして。クスリと笑った。
「感じすぎちゃうから?」
「なっ!? ち、ちがう、そんな」
「だって、ほら」
達也の手が、佐知子の防御をすりぬけて。
指先が、隆い肉丘の頂を、グッと押した。
「ヒァッ」
甲高い悲鳴を迸らせて、佐知子が感電したように仰け反る。
「ここ、硬くなってるみたいだけど?」
「ヒッ、ヤ、やめ、アッ」
グッグッと、さらに数度、強く押し揉まれて、佐知子は断続した叫びを上げて、
ビクビクと身体を震わせた。必死に達也の手を掴みしめる。
確かに、これほど強く圧迫されると、佐知子の肉体の変化は、
白衣とブラジャー越しにもハッキリとわかった。
硬く尖り立って、より鋭敏になった肉蕾を荒っぽく刺激されて、
電撃のような感覚が、佐知子の胸先から全身へと走った。
「やめ、やめてやめてっ、アッ、アア」
激しく首をふって、訴える佐知子の髪は、さらに乱れて、ナース・キャップは
完全に外れてしまう。ジタバタと暴れる足からは、シューズが床に落ちた。
(続)