母親が他人に犯される作品 #2.2

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「……フウ。スッキリしたあ。ありがとう、佐知子さん」
長く盛大な噴出がようやく終わって。
余韻にひたる顔で。暢気に感謝を口にする達也。
佐知子は無言で、達也の身体から手を離した。固く強張った表情で。
「………………」
ベットリと達也の体液に汚れた手を眺めて、かすかに眉を顰める。
タオルを取って、手を拭った。手をタオルになすりつけるように、何度か拭って。
コッテリとした白濁の液を付着させたタオルは、洗面器の湯の中に放りこんで、
その横に置かれていた替えのタオルを手にした。
横たわる達也へと向いて。股座にこぼれ、腿に飛び散った精液を拭きとりはじめる。
ムッと濃厚に立ち上る性臭に、一瞬息をつめるようすを見せた。
股間を清める時には、ギクリと手が止まりかけた。あれだけ大量の精を吐き出して
おきながら、さほど縮みもせずに図太い顔を見せている巨根を目にして。
しかし、佐知子は、すぐに動揺を押しこめて。手早く作業を進めた。
その手の動きは、荒っぽくはないが丁重でもなかった。
ざっと達也の体を清め終わると、拭き取った精に汚れたタオルを、やはり洗面器に放りこんで。
それから、汚れたシーツを達也の体の下から引き抜いて、まるめて床に置いた。
これで、達也の盛大な吐精の痕跡を、ひとまずは排除できたわけであり。
たちこめる臭気も、だいぶ薄れたようだった。
佐知子も、わずかに安堵するような色を見せて、しかし、表情を緩めはせずに、
なおも機敏に動きまわる。
新しい下着とパジャマを達也に着せる。手を貸しながら、目を合わせようとはしない。
「佐知子さん?」
訝しそうに達也が呼んでも、佐知子は答えない。
着替えが終わると、新しいシーツを敷いた。達也を寝かせたまま、慣れた手順で
難なく済ませてしまう。
これだけの作業を、佐知子は、短い時間で完了した。
達也が欲望を遂げるまでのまごつきぶりとは大違いな手際の良さだったが。
これこそが、佐知子の本来の姿だと言える。
539241:03/06/09 15:35
熟練の有能なナースらしさを発揮して、手早く後始末を終えた佐知子は、
洗面器と汚れたタオル・シーツを持って、洗面所へと消えた。
終始、無言。達也とはけっして目を合わせぬまま。
「……ふむ?」
ひとり残されて、思案顔になる達也。
「なにを、プリプリしてんのかなあ、佐知子ちゃんは?」
さっきまで、ひとのチンポ握って、ウットリしてたくせによ、と哂って。
とりあえず、対応のパターンなど確認しながら、待つ。
……充分な検討の時間を達也に与えるくらいの間をおいて、佐知子が戻ってきた。
化粧を落としていた。顎に飛んだ達也の精液を洗い落とすのと一緒に
流してしまったらしい。
病室に入って、すぐに佐知子は足を止めて、顔をしかめて周囲を見回した。
まだ、室内に残る臭いに気づいたようだった。
ツカツカと窓辺に寄って、大きく窓を開け放った。
入りこんでくる新鮮な外気を味わうように、顔を上げる。
そして、しばし、窓の外を向いたまま佇んだ。
「……佐知子さん?」
一向に振り向こうとしない佐知子の背に、達也が声をかける。
「どうしたの? なにか、怒ってる?」
「………………」
窓枠を掴んだ佐知子の手に、ギュッと力がこもって。
思い切ったふうに、佐知子は振り返った。
化粧を落として。先ほどまでの華やかさは失われていたけれど。
それでも、充分に佐知子は美しかった。もともと、普段は、ほんのかたちばかりの
薄化粧しかしていない佐知子だから、素っぴんでも、ほとんど印象は変わらない。
いまは、強い怒りの色が、その美貌を彩っていた。かたちの良い眉を吊り上げて。
「ど、どうしたのさ?」
驚きを装いながら。達也が内心に浮かべていたのは、
(この女の怒った顔は悪くないんだが。こんなツラを見れるのも、あと少しの間だな)
という、フザけた述懐であった。

                 (続)