(その森に入った瞬間、ハッとして顔を上げた。
ただならぬ異形の気配。
宙に飛散している獣臭。
大気を振るわせる咆哮。地響き。
普段なら未だ特定できない距離から、今の少女にはその異形が
どんな姿形をしていてどんな能力を持っているか容易に想像できた。)
……鬼。
(その鬼の血を半分継ぐ少女
――津田菘には、普段では有り得ない程深刻な顔をしていた。
例外なく鬼は強い。
古来から、力という言葉の象徴と言ってもいい存在だろう。
迷い出ているからして、おそらく下級。
とはいえ楽観は出来ない。
――何より半身を作る種族を殺すことに若干の躊躇いがあった。)
ッ。
(迷いを感じつつも大地を蹴り戦いの場へ赴く。)
(――そして数分後人と鬼との戦いを目の当たりにしてしまう。)
(男は見たことがある。印象は悪くない。)
(異形は――下級だろう。そもそも言葉を発することもない。)
(暴れ周り、殺しまわり、いずれ退治される運命だ。)
(ならば役目を果たすまで)
……今晩は。
手助けをするね。
(依然とは違った印象を相手に与えるだろう、)
(普段出さないような感情を押し殺した声でそう告げた。)
【よろしくおねがいします。】
「―――…?コノニオイ………」
(ふと、そこで鬼の攻撃が止まる。衝撃に備えていたが、鬼の拳が止められ、怪訝そうに鬼をみやる)
(鬼はじっと虚空のある一点を眺めて、静止していた。数十秒後、そこには、ひとりの少女が現れる)
(津田――、確か彼女はそう名乗ったはずだ。だが、その表情からは以前の彼女のような気楽さはみられない。
どこかせつなさを感じさせるような悲しい表情を浮かべるように思えた)
助かる!……そいつはいいんだが、どうして、アンタがここにいるんだよ?
(偶然、という割には、彼女も何かしら目的があって、此処に訪れたように思える。
その証拠が、いつにない真剣な彼女の表情だ。眼差しは、鋭く鬼を捉えており、その視線からは
彼女の複雑な心情をあらわしていたように思える)
「――オマエ、オレタチノ仲間カ?」
「ナゼ人間二味方スル?」
(鬼は彼を無視して、津田に言葉を発した。不可解だとばかりに困惑と敵意の入り混じったような声でそう尋ねる)
「オマエモ鬼ノ一族、違ウノカ?」
(鬼の声に、だんだんと剣呑さが帯びてくる。彼女を捉える眼差しにも敵意が満ちてきて、それを津田にぶつけていた)
(その時、彼は鬼の言葉にふと疑問に思った)
……鬼の一族?
アンタ………、もしかして、異形なのか?
(見た目は人間の少女そのものだが、もし鬼が言うとおりその一族だとするのなら、
あの身軽さも納得がいくものだ。だが、一族というのであれば、仲間ではないのだろうか?)
違う、私はお前の仲間ではない。
私のニオイから、そんなことも分からないのか?
早く去れ。
(可能な限り冷ややかに鬼に告げる。
それは迷いを、心の不安定さ、動揺を隠すための厚化粧。
考えていたよりも高位の鬼であり、何故外にでてきたのか不思議なほどだ。)
鬼の気配を察してさ。
結構大変だろうと思ってネ。
ああ、うん……えーっと、半分だけ。
ま、ほらイロイロとあるのイロイロと。
(驚いた表情の彼を安心させようとした軽口は失敗し、
表情に苦しさが滲み出ていた。)
とりあえず今は構えようか。
本気の本気でくる。
(再び重い口調で男に告げる。)
「オレノ鼻ハゴマカセナイ。オマエハオレタチノ仲間ダ」
「仲間ヲ裏切ルノカ!許サン、許サンゾ!!」
(冷ややかな視線を向ける津田に鬼は完全に敵意を剥きだしにして、睨み付ける。
その圧倒的な体躯と眼光の鋭さは、魑魅魍魎を退けそうなほど圧力があり、普通の人間であれば、
恐怖で身体が竦みあがってしまうほどだろう)
「裏切リ者ハ殺ス!!オマエノ頭ヲ食イチギッテヤル!!!」
……まぁ、別にいいんだけどさ。
色々ね……。俺も、こういう“世界”を歩いているもんだから、その辺りは追及しておきたいところなんだけど?
背中からばっさり切られた…ってことになったら、笑えないしな。
(その辺りは信頼してもいいんだろうな?と訝しげに彼女の貌を覗き込む)
(無条件に彼女を味方だと信じるわけにはいかない。この世界、単純に人を信用すれば、次の瞬間に裏切られることもある)
(本来ならば、彼女から色々と話を聞き出して、共闘するのが一番なのだろう)
(――だが、この雰囲気であれば、彼女は鬼の仲間ではないということぐらいは分かる。
敵の敵は味方――その理屈に叶うかどうかはさておき、取り敢えずこの鬼と戦う分には、問題ないだろう)
仕方がないな……。
俺も命が惜しい。アンタを信じるか、一人で鬼と戦うか――、リスクはどちらも大きいが、
それでもまだアンタを信じた方が、ここを生き残って帰れる確率が高いってもんだ。
――あいつを倒したら聞かせて貰うぞ、“色々と”な。
(彼女が何かを誤魔化しているのは感じられる。だが、今それを追及する時ではない。
なぜなら―――、眼前に、鬼の拳が迫ってきているからだ)
―――っ!!
おい、気をつけろ!こいつ、さっきよりも凶暴になってるぞ!?
(ナイフを回避する際に、腕に突き立てるが、致命傷とはなっておらず、興奮した鬼にはその痛みも些事でしかないようだ)
(再び繰り出される重撃の狙いは、先ほどまで鬼が睨み付けていた津田へと放たれる)
形で分からないのか。
その眼は飾りか。
――ああ、もういい。
(今度は吐き捨てるように呟く。)
全ての感情を嫌悪と怒りが押し潰した。
コレが鬼か。見るべきものを見ず
聞くべきものを聞かず感じるべき物を感じず
ただ破壊の権化として君臨するのか。
郷愁にも似た感情は最早消えさった)
コレを処理したらネ。
(口調はいつもの通り。表情も明るく冗談めかしていたにも関わらず
その言葉だけは一瞬、場を圧して冷たく響く。)
ほら、敵の敵は味方っていうじゃん?
とりあえずは、この状況なんとかしよっか。
(彼の戦闘能力に関してはこれまで1対1をこなしていたことからも
十分窺えた。今の回避だけでも非凡な物がある。
そして彼ほど見切りが上手くない彼女にとって鬼の連撃は回避不可能であった。)
…・…ぐッ!うっ……。
(そして津田菘は鬼の拳を正面から受け止める。)
(破壊の一撃を受け止め、そのまま片手を封じる。)
(鬼同士の力比べは互角だった。)
(――ただし、鬼の片手に対して両腕を使って。)
(余裕の笑みを浮かべる鬼に対して渾身の力を込める菘。)
(それでも膝を着かされ、地面に押し付けられそうになる。)
(ミシッ嫌な音がして左腕の義手にヒビが入りだした。)
(もしも1対1だったらこれで決着だっただろう。)
(しかし――)
今だよ!早くッ!
(憎き裏切り者しか見えない鬼が、無視していた男に対して少女が叫ぶ。
下級の鬼だからこそ作ってしまった、致命的な隙。
それを逃がす男ではないだろう。)
「グォォォオオオオオオオオ!!!」
(狂気に満ちた鬼は、空気を震わせるような咆哮を挙げると同時に、鎚を振り下ろすように、
津田へとその拳を打ち下す。――彼が目を疑ったのは次の瞬間だった。
自分よりも華奢な少女がそれを素手で受け止めたのだ)
まったく―――、事情は聞かせて貰うぞ!
(しかし、今は文句を言っている暇はない。なぜ、あのような怪力を発しているのか、
それはきっと彼女の曖昧にしている部分が関わってくるのだろうが、それを詮索している暇もない)
(鬼の猛撃に耐えている津田も、それを防いでいるとはいえいつまで持つかは分からない。
彼女の声に従い、地面を蹴り出して、一直線に跳躍する。)
「グゥォォオオオオオオ!!」
(それに気づかず、鬼はさらに力を込めて、そのまま津田を押しつぶそうとする。
生身の人間であれば、骨まで砕いてしまいそうなその圧力を耐え忍んでいた)
(これ以上、津田に負担をかけるわけにはいかない。故に、失敗も許されない。
失敗してしまえば、津田に強烈なダメージが及ぶことは目に見えている。ならば、一撃必殺。)
(十二分に彼女は隙を作ってくれた。僅かな一瞬だったかもしれない。だが――、「一瞬」でもあれば十分。
息を止めて、集中力を研ぎ澄まされ、五感を鋭くさせる。そして、その「一瞬」で、跳躍し、さらに鬼の膝を蹴り飛ばすと、
胸の辺りまで飛び込み―――、その心臓があるであろう箇所に小太刀をしっかりと突き立てる。
あとは重力に任せて、そのまま、下へと力を入れて切り抜く!)
「ゴァアアアアアアアッ!?」
(断末魔を挙げながら、鬼はそのまま後ろへぐらりと崩れ落ちる。散乱していた瓦礫や木片は飛び散り、
巨大な土埃が舞い上がっていた―――)
はぁ、はぁ……・はぁ、…倒した、のか………?
(額に浮かび上がる汗の珠を手の甲で拭いながら、鬼と津田を交互にみやる。
どうやら急所を突くことが出来たようだ。しかし、彼女のあの怪力はいったいどこから来るのだろうか?
不思議そうに、津田を眺めて)
【そろそろ時間だな?どうする?締めにするか?それとも凍結にするか?】
!
(鬼の視線が男に向かい、もう一方の手が拳を作っていた。
(この鬼はつくづく”目端の利く小物”であるらしい。
(しょうがない、とひそかにため息をつい身体強化の異能を発動させた。
(確かに半妖である津田菘は、力で鬼には叶わない。
(だが固有の能力によって一時的に本家の鬼を凌駕し得る。
(それが彼女の力であり秘密だった。
グシャッ
(津田菘の頭ほどもある鬼の拳が、華奢な少女の、両手に潰される。
男に気が向きかけた鬼も、唖然として自らの拳を見つめた。
今度こそ決定的な隙だった。)
――ええ。
(そう答えて、無表情で倒れ伏した鬼の首を刎ねた。)
(返り血が僅かに瓦礫を濡らす。)
(生命力あふれる鬼の四肢が僅かに痙攣、弛緩しその死を教えた。)
これで倒したネ!
やるじゃん、鬼の急所を一撃なんて。
中々できることじゃないよ。
すっごいな。尊敬しちゃう。
( ――心臓が痛い。
誤魔化すように明るい口調を作り
口数を増やしていく。)
【あと1,2ほどで〆られそうですし、できればこのまま完結できると嬉しいです。】
(容赦なく、鬼の首を刎ね落とす津田の姿に、ぞっと血の気が引くのが分かった。
既に決着はついていたはずだ。容赦なくその首を刎ねる津田は、ヒドく冷酷的に見えて)
…………。
こいつ、お前のことを仲間だとか言っていたけど、何か知ってるのか?
(訝しげに、津田と鬼を交互に見つめる。そして、あの怪力を受け止めた力。
人にあらざる能力なのは間違いない。だが、それほど単純な話ではないことは、津田の表情と鬼に対する態度で分かった)
よく言うよ。
お前が、あの一撃を防いでくれなかったら、俺も一太刀与えられなかった。
(津田の空々しさは、すぐに分かった。軽口を叩くが、目は笑っていない。
少なくとも、彼女があの鬼に関して、何か思うところがあるのは、確信できた)
まぁ、別に話したくないなら、それでもいいさ。
だけど、気をつけろよ。この街は、「人ではない」と判断したら、容赦なくそいつを狩る人間が多いからな。
(今、お前が鬼にそうしたように。その皮肉は寸前で飲み込むことが出来た。
なぜ、彼女がここまで鬼に対して冷酷になれたのか。ならざるを得なかったのか、それを知る由はない。)
(だが、この街には「疑わしきは黒」という人間は山ほどいる。一番身近な――今は少し違うが――女性も、
最初は彼を観察対象、場合によっては標的とすることも辞していなかった。
もし、彼女が人非ざる存在ならば、その命を狙う人間はいるだろう)
…………津田。
お前が、この鬼に対して何を想っているのかは知らないけれど、
あまり一人で抱え込むのはやめろよ?精神的に追い詰められたら、人間は弱いもんだ。
(自分がそうであったように。“彼女”がそうであるように。――どんな力を持っていたとしても、
その心までが強靭だとは限らない。闇に生きる人間だからこそ、抱えている心の闇も大きいことがある)
やれやれ、すっかり遅くなっちまったな。
(腕時計を眺める。既に日時が変わってしまった。辺りはしんと静まりかえっており、それまでの戦いが嘘のようであった)
…俺はそろそろ帰るとするよ。おまえはどうする?
【それじゃ、俺は次のレスで締めにするよ】
ん?
(すっかり陽気な鉄の仮面を表情に被せて首を傾げる。)
ああ、鬼ってのはね、あの状態でも蘇生しちゃうんだ。
半分鬼の私でも、ほっとけば千切れた腕とか足とか生えてきちゃうぐらいだし。
……企業秘密。
なんてね。
これは教えてあげてもいいし、さっきも言ったけど私には半分鬼の血が流れてる。
だからある程度、対抗できるってワケ。
流石に本物には叶わないんだけどね。
……いやー、ホント助かったよ。
(ごまかし切れないことは分かっていた。
未だにヒトと鬼の間で彷徨っているのは体だけではなかった。
鬼と敵対するのを躊躇った様に、心は揺れ。
魂ですら、いつか鬼に食われるのではないかという思いもあった。
だが演劇は始めたら最後まで演じきらねばならない。
大根役者であろうと、舞台を降りるわけにはいかない。)
……アリガトね。
まあ、私は能天気で頭パーだから悩みなんてあんまないのよ。
バカって強いもんだから気にしない気にしない。
(だが所詮少女の仮面は脆く、大根役者はボロを出す。)
(泣き笑いそうになって仮面を被り直した。)
ん、そうだねえ。
おなかすいちゃったし、らーめんでも食べて帰ろうかな?
この辺でやってるといいんだけど。
ね、なんか美味しい店知らない?
やっぱさー、炒飯が美味しい店がいいとおもうんだ。
半チャーハンっていうの?あれお徳でいいんだけど、この辺そういう店ないかな?
あ、岩ノリがあればベストだな。
学校の近くのお勧めの店はね……
(食事を考える時、演技は不要になる。
ただ明るく、食事に思いを巡らせれば幕が降りるまで時間は過ぎていく。
男があきれ果ててもなお、しゃべり続けた……。)
【遅くなりました。こちらはこれで〆にしたいと思います】
【お相手ありがとうございました!】
………ま、詳しい話はまた聞くことにするさ。
(何が理由かは分からないが、少なくとも今津田は落ち込んでいるように思えた。
今、色々と詮索をするべきではないのだろう。そっと溜息をつきながら、笑って見せた)
額面通りその言葉を信じることが出来たら、良かったんだろうけどな。
(「気にしない気にしない」と口にする津田の言葉をそのまま信じることは出来なかった。
あの寂しそうな表情は、何もないわけがないのだ。
だが、それを無理やり聞き出すのは、躊躇われたし、敢えて彼女の調子に合わせることにした)
……ったく、分かった。分かったよ。
いいぜ、この時間でも空いてるラーメン屋なら幾つか知ってるし。
折角今日は手伝ってくれたんだ。その手間賃代わりに、おごってやるよ。
(つとめて明るい声を出す彼女の調子に合わせて、苦笑を浮かべてふたりでラーメンを求めて、
夜の街へと消えて行った。彼女の本心を包み隠さず聞ける日は来るのだろうか)
【ごめん!最後の最後で眠気が襲ってきてた……】
【何はともあれ、付き合ってくれてありがとうな!また、機会があればよろしく!】
【スレをお返しします】
【風間 凪 ◆uPX2wHlj/wさんとのロールに、スレをお借りしますね】
【それでは改めて、よろしくお願いします(一礼)】
【ええ、それではよろしくね。】
【初めてだから至らないところもあるかもしれないけど、遠慮なく指摘してくれるとありがたいわ…。】
【では、行くわよ】
(――夜。 人ならざるモノ、あるいは人ならざる力を持った人間が蔓延る魔の時間。
空にいただく煌々と輝く満月が、まるでそれを楽しんでいるかのようにこの街を睥睨している。
私もまた、条理の外に居るモノの一人だ。
誰の腹から生まれたのかも知らず、物心ついたときから人ならざる力を持ち、それを磨くことを架せられた。
だが今は、それを私自身が望むように使っている。
正義、信念。あるいは……。)
……。
(中規模のビルの棟々のひとつの屋上で、私は迷路のように入り組む市街地を一望する。
月を背負って。漆黒のコスチュームに身を包んで腕を組み、烏か、あるいは修羅のような意匠の仮面の奥から、
そこで何が起こるのか……誰が誰を追うのか、何を目的にしているのか。
それを見定めようとする。背負った長大な刀が、手段の物々しさを語るでしょうね。
でも、私は暴力(それ)を疑ってはいないし、辞さない。
さあ、見せて御覧なさい。私に誅されるモノたちよ。世を乱す悪漢よ。
――上から注ぐそう言いたげな視線が、ともすれば、夜の街を徘徊「誰か」に察知されるかも。)
(今夜の哨戒地域は、街の中心からそう遠くない、入り組んだ市街地。
時刻が時刻だけに、消灯しシャッターを閉めた建物も多い)
(しかし残業なのか、少しばかりは窓からの明かりも見受けられる。
夜遅くまでご苦労な事だ。もっとも、こちらも仕事中と言えばそうなのだが)
(このような、まだそれなりに人気のある所を異形狩りの自分が
訪れた理由は一つ。人間に紛れた異形、現在においては『キマイラ』を見つける為だ)
(あれから時間を経ておよそ3分の2ほどは処理できたが、
まだこちらで足取りを掴めていないものもいる。よって、普段は訪れないような市街地へと足を向けた)
――――。
(静かに、一定のリズムで歩いていた晶の歩みが止まる)
(この少年は特殊な知覚、いわゆる霊感の類こそ皆無に等しいが、
五感、及び気配を感じる力はそれなりに優れている)
(銃器を用いる彼にとって、接近戦は自殺行為だ。故に敵の迅速な
発見は、必要不可欠と言える。今回もまた何か、普通ではないものを捉えたらしい)
(そうして晶は、頭上を―――正確にはビルの一角を、見上げた)
…?
(その視線の先には、黒装束に身を包んだ一人の人間がいる。
それを見た少年の目が、怪訝そうに細められた)
(暫くそうしていると、私は視線を感じた。時を同じくして私もその視線の主を見下ろしていた。
仮面の下で思わず笑みが浮かぶ。下品な言い方だけれど「ビンゴ」ってとこかしらね。
この格好を見て驚きも逃げだしもしないその様子、カタギじゃない、ってことは確か。
私は地面を蹴り、その少年のほうへと飛び降りた。
中規模ビルとは言っても、地面に叩きつけられたら余裕で死ぬ高さだ。普通の人間なら…)
――異能者とお見受けする。
(私は精一杯低くした声で、更に仮面を通して曇った音声になった情報を少年に向けた。
足を揃えて、音もなく、マフラーを翼のように閃かせながら羽毛のように着地して――ね。
これはもちろん私の身体さばきによるものもあるけれど、一番大きいのは能力。
でも、足元に僅かな風のクッションを創りだしたことを、果たして少年の洞察力は見て取れるかしら?
私はすかさず剣を抜いた。背負う長刀は柄部だけではなく鞘頭のほうにも柄がある。
本当の刀と同等の質と長さを持つ仕込み刀、つまり小太刀ならぬ忍刀二刀流が、
私、風間凪…今は「鴉」の基本兵装。
忍刀二振りを手のひらの中で激しく回転させてからの構えで威嚇しながら。)
疾く、その身上を晒すべし。
さもなくば……。
(斬る、と言うまでもないでしょう。もちろん長く言うつもりもない。
言葉に詰まるほどの疚しいものを持ってるなら、即効切り捨てるのが世のためってものだからね)
(―――なんだ、こいつは)
(姿も異様だが、行動もまた異様。ビルの屋上から命綱もなしに
飛び降りたかと思えば、傷一つ負う事なく着地した。その間にこちらは下がっておく)
(身長は高くはない。だが女にしては、声は低い。しかし
あの酔狂な仮面の下では、参考にならない。性別は不明、体つきはやや女よりか)
(そしてあの異様な服装。外国人のイメージする忍者のようだ。
メイドの次は忍者とは―――この街のレパートリーも増えたものだ)
――――。
(その謎の黒装束の一言目は、異能者。どうやら完全に
夜側の人間だと知られているらしい。あるいはそのような異能でもあるのか?)
(推測では、あの着地の瞬間、落下速度が減衰したのが異能に関連していると考えているが)
(そいつは詰問と同時に、刀を抜いた。背負った長刀は、
刀を両側に仕込んだものらしい。それが奴の得物か)
(格好こそふざけたものだが、殺気は本物だ。それがなければ
ただの忍者マニアで済ませたものだが。加えて、二本の凶器にこの行動)
(見過ごす訳には行かない、か)
『ガチャッ』
(黒装束の問いに対し、晶は終始無言だった。眉一つ動かさず、
指一本動かさない。一切の予備動作なく、背中に背負った深紅のケースが開かれた)
(そこからクルクルと回転し現れた、銀と黒の二丁拳銃。
それは姿が見えると同時に発砲。空中でありながら、
誰に触れられることもなく鉛弾を吐き出す。それは黒装束の方へと)
(一連の動きは、全て『回転』によるもの。ケースの蝶番を、
拳銃そのものを、そして最後にトリガーを。銃器をしまった状態からの、ファスト・ドロウ)
(欠点として、狙いがあまり正確でないという事がある。牽制としては十分か)
(小学生……いや、中学生ってとこかしら。大人になりつつある、って感じの少年ね。
可愛らしい顔をしているけれど、そこに潜んでいる経験と荒みを私は見逃さない。
この年齢で、結構な場数を踏んでるみたいね。でも…踏んだ場数じゃ負けてないわ。)
……フ。
(鼻で笑った声と銃声が重なる。
そのファスト・ドロウを私は見切った。もちろん、銃口が自分に向く瞬間までを視認したわけじゃない。
ただ、予備動作がなくとも相手がこちらに銃を向ける、その筋の流れと殺気を読めば、
ある程度の先読みは容易いってもの。対銃器の経験もあるのよね。
もちろん、直撃すればこのスーツの耐久性を持ってもタダじゃあすまないでしょう。
だから私も地面を蹴り、細い路地を横に跳んだ。
「風迅」による歩法は羽よりも軽く風よりも疾い。銃口を素直に横に避けたあたしは、
跳躍の勢いのまま両足を路地の壁面に突き、三角跳び。上空へ舞い飛びながら、
私は4つの刃がそれぞれゆるく湾曲したシュリケンを二つ、眼下の少年向かって投擲する。)
『殺』に迷いが無いな。よかろう。
そのまま迷わせずに黄泉路へたたき落としてやる!
(それもまた牽制。狙われやすい上空へ狙いを定めさせず体勢を崩すための撹乱だ。
もちろん直撃すれば皮膚など軽く抉ってくれる代物だ。ソレが命中すればよし。
私は軽業のように、放物線を描きなら宙を舞う。
相手の次なる一手に対応するために、注意深く少年を見つめながらね。)
(軽い。鮮やかな流れで、二発の9mmパラベラムは回避された。
知っていたわけではない、こちらの視線を読み取ったか。迅速な対応だ)
(だがそれよりも驚くべきは、鮮やかな身のこなし。今までに見た
どんな戦士よりも、軽く。速く、や力強く、ではない。
捕らえ所のない羽のように、壁を蹴り空を駆ける)
(弾丸を放った反動で下がってきた、GLOCK 19とSIG SAUER P228を
両手でキャッチ。二つの銃口で、黒装束の姿を追う)
(高速機動タイプか。苦手だ。さて、どう当てるか)
そう急くな。
(上空から投擲されたものは、刃状のもの、チャクラム―――ではない。
媛名葵のものとは違う、あれは手裏剣だろうか?どうやらこの黒装束は、一応忍者のものらしい)
(それならば、毒が塗ってある可能性もある。無視して攻勢に出るのは得策ではない)
(そう判断した晶は、その場にしゃがみ込んだ。頭上に、月光を照り返す刃が飛来する)
『ペザンテ(重々しく)』。
(すると途端、晶の背負ったケースのキャスターが『回転』。
背中をかけ上り、正面から二枚の手裏剣に体当たり、それらを壁に叩きつけた)
(そして眼前を通り過ぎたケースの向こう、夜空を背景に跳ぶ忍者目掛け、
二発ずつ引き金を引く。狙いは移動先予測場所。―――から更に、
弾丸を『回転』させ、その軌道は現在位置へと遡るように)
(なるほど、ケースの重みを攻防に利用する、ってわけか……
殺傷力はあっても重量にいまいち欠けるシュリケンは手応えを与えつつも難なく回避されたことでしょうね。
でも、あの遠心力…強さ、本当に少年の膂力かしら。
見た目があてにならない世界ではあるけれど、異能者だとするならそこになにか……)
末期の詩でも詠むつもりか?
(私は少年の余裕を笑った。手の内は何となくだが見えた。
少年の洞察力を、私は甘く見ない。かわいい顔してなかなかやる。
彼の銃口が向く方向は着地点…この私に狙いを定めるなんて姿をわずかでも見せたのが運の尽き。
その発砲のタイムラグを狙って喉を裂く。これで終了――
私は『風迅』を発動し、空中での姿勢制御、軌道変更。これで相手の弾は空ぶる。
風が巻き起こるのがわかったでしょうけど、これから死ぬ相手にはむしろ冥途の土産ってとこ。
発砲音。無駄無駄。この剣が間にあ……)
……!
(曲がっ……!?)
ッ!
(私の顔の横で火花が散る。すんでのところで巡らせた刀で弾丸を防いだのだ。
そのせいで、私は棒立ちのまま一旦姿勢を立て直さざるを得なくなった。
刃の動きで絡めとった弾丸を、腕を振り抜いて地面に巻きながら、私は少年を前に構え直す。)
それが貴様の異能か。
(見事、なんて言ってやらない。侍じゃなくて忍者だものね。
仔細は読めないけど、なんとなくわかってきた…。
彼は何らかの力を加えているのだ。鞄にしろ、弾丸にしろ。
…非常に応用が効く能力!さることながら、
頭の回転の早さも対策の際には脅威として扱わないといけないようね。)
(狙い通りだ。これ程の手練れが、素直に着地点へ移動するとは
思えない。だからこそ、一度対処したつもりになれば気も緩む)
(巻き起こる風は、忍者の体を空中で制御する。奴の動きの秘訣はこれか。
だが、甘い。鉛の牙が、敵の頭部めがけて突き出され――――)
っ…?……。
(刹那、銀光。鉛は、煌めく銀色の刃にて全て切り捨てられる。
不意を撃ったにも関わらず、あの反応。どれほど戦闘経験が豊富なのだろうか)
(これからは弾丸もより警戒されるだろう。空中でのあの切り返しの速度も
考慮すると、極めて厄介だ。面倒な相手に当たったものだ)
ああ、その通りだ。お前の予想は当たっていたな。
…何故、異能者を狙う?
(会話をしつつ、後ろへとゆっくり下がる)
不利を悟ったか。懸命だな。
(これははったり。あくまで平静を装うことで後退した相手の精神へ揺さぶりをかけるってわけ。
そんなのが効果的とも思えないけど、保険かけとくに越したことはない、ってね。
…しかし何故って聞いてくるとは、自分が狙われるようなことをした自覚がないのかしら。)
異能はそこにあるだけで民への脅威になる。
貴様のように得体の知れない者がもっているとなればなおさらだ。
(これで十分でしょう?って気持ちを込めて、腰を落とす。勝負をかけにいかないとね。
銃と異能を操る少年。そういう存在は、さして珍しくもない。
可哀想だけれど、口にできないような事に加担した自分の愚かさを恨みなさい?
…そう考えながら、私は悪とみなした少年の一瞬の隙を探る。)
そうだな。口惜しいが、お前を倒すのは骨が折れそうだ。
降伏したら、命は助けてくれるのか?
(相手の挑発に、さらりと真顔で返す晶)
(本当にそう思っているならば、都合が良い。こちらを乱し、
近付く為の布石でも、特に応じる必要はない)
(が、続いてこの忍者が吐き出した、本気とも冗談とも
取れない言葉に、思わず口元を歪める。辻斬りの理由は、まさかのヒーロー気取りか?)
―――ハ。
異能を持ち、街中を歩く中学生にいきなり刃を向けるようなお前が、市民を守っているつもりだったのか。
おまけに素顔も晒せぬような人間に、得体が知れないと言われるとは。
(空間は既に把握している。後数歩下がれば、そこは十字路だ。
曲がり角を行けば、姿は見えなくなる。もちろん、この女が
黙って見逃せば、だが。あの構えを見るに、そんなつもりはあるまい)
(焦り攻め込んでくるなら好都合。その隙を狙い撃つ)
何なら警察にでも二人で出頭するか?
このまま両者で会話をしても、平行線だろう。
警察になにが出来る?
異能を裁く法は無いのだ。ならば私が裁く。私の正義に基づいて。
それが可笑しいか?
(少年の挑発をしかし、私は一笑に伏した。
ヒーロー気取り?いや、違う。……私はヒーローなんだから。私が。
だからむしろ少年の主張こそおかしく思えた。警察?
裏世界の事実、未だ世に公表されていない妖の道理、それを公的機関に持ち込むなどくだらない。
何より私の苦しみに警察や法的権力は無力だった。だから頼りはしない。)
異能をもっている時点で、市民とはみなされない。人間気取りも良いところだ。
それが正しく振るわれていない、あるいはその振るい方を弁えていないのなら、
殺生もやむなし。貴様が二人を危険に晒す前に、貴様一人を私が殺す。
何の矛盾もなかろう、なあ少年?
(成程、彼はまだ自分が人間でいるつもりらしい。
一体彼の何が夜歩き、異能の行使に駆り立てているのかはわからないけれど、
話の拉致ナシ、ごまかしもなしとくれば、私はひどく冷靜に断罪を決めた。
私は駆ける。逃がすまいと。少年とすれ違うように。
但し横ではなく、その頭上をだ。 私は跳躍し、ドリルのようにきりもみ回転をしながら空中を前進。
腕を折りたたみ、身体の横に刀の刃が出るように。都合、車輪かなにかのように、
擦過したものを切り刻む忍法・カザグルマ。風の鎧をまとったそれは一回使うと中々止まれないけど、
速度と風による防御力は折り紙付き。ただし、繰り返すけれど中々止まれないし方向転換難しいのが難点なのよね)
異能を、生まれ持ったものをを罪だと言うのなら、そんなものは正義ではない。
都合の良い言葉に当てはめて、自分の心を慰めているだけだろう?
(自分は、基本的に有害な異形は殺す。必要なしと判断すれば
見逃す時もあるが、それでも数多の異形を殺戮してきた)
(自分のことを、正義だとは思わない。それでも正しいとは思っている。
この忍者がその行動を、心の底から正義だと思っているのなら、
どうしようもない。可笑しい、ではなく憐れみを覚える)
(それにしても便利な言葉だ。命を奪うという行為から、罪の意識を消し去ってくれるのだから)
少なくとも、振るい方はお前よりは心得ているよ。
化け物や、お前のような危険人物から市民を守る為にな。
それを知る前に、いきなり刃を向けるとは。
…どうあっても僕を、あるいは異能者を悪人に仕立てたいらしいのか?
(何らかの組織にそういった洗脳を受けたか、あるいは
自分のように、価値観を一変させる悲惨な出来事があったか)
(それならば、説得の余地はまだあり。が、向こうはどうも待ってくれそうにはない)
(正面から突破するか。だがスピードが速い。相手が動き出すと同時に、
曲がり角の向こうへ。距離を開けていたのが幸いしたのか、ギリギリで回避に成功する)
『ジャキッ』
(あのまま周囲に殺気を振りまくようならば、止むを得ない。
だが思い直す余地があるならば、試みるべきだ。同じ人間であるからには)
(避けられれば十字路をまっすぐ貫く形になり、私は暫く進んだところでようやく止まった。
軌道を斜め下に変え、刀を持った手のひらを地面について跳ねてとまる。
目が回ったりはしないだろうけど、この奇襲を避けるなんて相当なもんね。
油断なく構えながら、私は身を翻して十字路を戻る、さてあいつはどっちに曲がったかしら。)
同じ正義を持てとは言わない。
私は私の正義に従う。であれば、立ちふさがる者は誰であっても切り捨てるのみ。
そこに如何なる正義があろうともだ。
(複雑な価値観は持たない。危険性は切り捨てる。守るべきものを守る。
それを受け入れられることのできない世の中や人の性を理解するからこそ、
正義はなければならないのだ、私の中には。
……私はそう信じている、だからこそ、鴉は剣を抜くのだ。
私は微塵も迷わない言葉を向けながら、更に歩を詰めている。
足音響かせるのも、もちろんわざと。相手が聞いてくれれば焦ってくれるかもしれないしね。)
自分が悪(そう)でないと言うのなら、
身の上を問うたときに素直に吐いておけばよかった。違うか?
…私は問うたぞ。異能者と見た上で、貴様は何者か、とな。
そのとき貴様は私を撃ったな。私はそれを返答と受け取った迄。
私から見ればよほど、貴様は自分が正しいと思っているように見えるがな。
(言葉の前に銃を放つ。そんな人間をどう信用しろというのか?
言葉持つ者同士の戦いに、まず暴力に頼った…
再三言うけどこの世界、子供だからじゃ済まされないのよね。私も年齢的にゃ子供だし。)
殺気を放って、恫喝する人間にどんな身の上を話せと言う。
異能者だとは感づいていたのだろう。他に、僕の何を知りたかったんだ?
自分は正義です、そんな言葉が欲しかったわけではあるまい。
僕は僕の信念に基づき、そんなお前を危険人物だと判断した。
(まさか、あれを対話だと言うのだろうか。武器を抜き、言葉を以て
相手を恐喝し、有利に立ってからの一方的な問いかけが)
(だがそれを言うなら、自分も咄嗟に反撃すべきではなかったかもしれない。
異能者であるなら殺す、この黒装束はそう言った。だが、今は
こちらの行動が間違っていたが故に、手にかけようとしているらしい)
(―――――それならば)
…分かった。では互いに、腹を割って話すとしよう。
武器を納めてくれ。
(再び、曲がり角から少年は姿を表した。両手を上げたまま、
背中のケースは横の道に残したまま。両手の拳銃も、見える位置に落としてある)
異能者すべてが悪、というわけではない。
それが人でなくとも、人に害するか利するかの区分は存在する。
(害獣と益獣みたいなものよね。虫に喩えないのは、私が虫嫌いだからだけど。)
敵である相手に両手を上げて聞きに行けとでも?
…ずいぶんと生温い考え方をしているな少年。
(私は笑った。結構譲歩しているつもりなんだけどね?
つまり最低限の自衛ってこと。それこそ完全に敵だったらいきなりズドン、ってなるし。
…格好があやしすぎるって?正義のヒーローは顔を隠すもんでしょ、普通は。
今回みたいに。…最初からお互い信用出来るなんて夢物語だものね。
…でも、いきなりぶっ放すってことは私みたいにまず話そう、って奴は意外と少ないのかしら?
それとも、丸腰で本当にあなたは私の味方ですか、なんて聞くやつがいるのかどうか。)
……その前に言うべき言葉があろう?
(鼻で笑ってやった。
あくまで対等で居ようとする自信は褒めてやりたいところだけど…。
ま、話そうっていうのなら遅ればせながら乗ってあげなくもない。
私は手のひらで刀を回転させながら器用に鞘に納める。
もちろんそれはハッタリ。余計な動作をなくせば相手の一撃に先んじる自信はあるわ。)
【ごめんなさい、4行目は『敵であるかもしれない相手』ね!
あと、こっちは一人称視点だから伝わりづらいかもしれないけど、PCとしては頭のおかしい人だから
思いっきり否定したりしていいからね!】
…最初からそれを言え。
ああも殺す気で来られては、大抵の人間は勘違いするだろう。
そうやって最初から敵かもしれないと警戒している人間に、危険を晒して歩み寄ろうとする人間がいるとでも?
僕の考えが生温いなら、お前の考えは都合が良いのではないか。
善か悪か見極めるつもりならば、そんな力に頼った手段は勧められない。
あの状況で自衛に走ろうとしない生温い人間など、この世界にはあまりいないと思うのだが。
…いや、僕の行動も過剰だったな。
(どうやら、その格好も行動にもまるで自分では違和感はないらしい。
当然の事を当然のようにしたら、こちらが勝手に先手を取ったようだ)
(いや、こういう時に大事なのは、相手の思考に歩み寄ることだ。
だから、臆面もなく謝罪の言葉も口にしよう)
すまなかった。
(そして頭を下げる。彼、もしくは彼女がお望みなら、土下座も付け加えるか)
…顔を見せて貰っても?
【脳内補完ばっちりです】
【そちらに関しても、お気遣いなく。こちらはこちらで
思い込みの強いタイプですので、ばんばん言わせてもらっちゃってます】
殊勝な事だ。いいだろう……だが、それはできない。
名に困るというのなら『鴉』と呼ぶがいい。
人は私をこうも呼ぶ『闇夜に煌く漆黒の閃光』……とな。
後ろには誰もいない。私の前には貴様だけだ、少年。
(仮面を取れ。その要求に対して、私はそれだけは譲れない、と手を前に出して拒否した。
そりゃもちろんよ、ヒーローというのは正体を晒さないものなのだから。
これは相手への意地悪でもなんでもなく、死ね、と言われているのと同義なのよ。)
一つ判っていて欲しいのは、私は無辜の民に仇なす者を裁くことを自らの正義としていることだ。
その民に異能者は勘定に入ってはいないが、害を成すかどうかはすべて私の目で見ている。
誤ったときは犠牲を生むだろう、だがそれを恐れて全てを裁くわけにもいかない。
だが異能者一人を相手取るに、穏やかな説得では『時間』が足りない。判るな。
(いきなりぶっ放す人は少年だけじゃないってことよ。
私も私なりに警戒が必要、ってわけ。
私は腕を組み含蓄たっぷりにそう言ってあげると、少年の返答を待った。
悪いことをした、とは思っていない。誰かを背にしていないまま、
異能者に殺されるにもわけにもいかないのよ、私はね)
それを踏まえて聞こう。貴様は何者か、とな。
……………。
(眉をひそめ、相手の真意を伺う。が、どうやらそこまで
深い意味はなく、遠回しに仮面を取りたくない、との事らしい)
(この黒装束、どうもどこかズレている気はする。
忍者が人に存在を知られていて、いいのだろうか?)
…分からないな。
少なくとも自分には、どっち付かずのように思える。
誤った犠牲を生まないよう、一人一人と向き合うか。
無辜の民を守る為なら、罪もないものも含めて、危険なもの全てを殺すか。
もっとも、僕は後者だ。偉そうな事は言えないな。
(これでこの黒装束は、まだ懸念すべき存在には変わりないが、
少なくとも無害な異能者や、一般人には危害を加えないということが分かった)
いや、あなたが危険人物ではないと分かっただけで十分だ。
素性も実名も明かさないのでは、流石にこちらも何も明かせないからな。
(そろそろ潮時か。この事は後に組織に報告するとしよう)
(足で拳銃に触れ、『回転』して跳ね上がるそれを掴み。
横に置いてあるケースに投げ入れ、しまい込む)
危険であるならそれだけで罪なのかもしれぬな。
それこそ異能を持つのなら。
我々は闇に葬られるべき存在だ。だが、それが表舞台に上がってしまっている。
すべてを在るべきところに……。 誰もがそう思えれば良いのだがそうは行かぬ。
(力があれば富や名声、私腹を肥やすための手段に使うってのは人の性ってもんよね。
そこを抑える理性や常識、知識、そして良識が備わっていない奴が多すぎる。
…私?私はいいのよ、ヒーローなんだから。お金とかのためには力を使っていないしね。)
かまわぬ。幸い貴様は覚えやすい姿をしているからな。
いずれ機会があればまた見えよう、アホ毛の少年よ。
(ぴょんと生えた草の葉みたいなとびいろの髪の毛。
背格好が変わっても見失いようもなさそうね。
…にしても、最近の男の子は忍者に目を輝かせたりはしないものね…ってまさか、同じ学校の生徒かしら?
夏休み明けに学校に行ったら、ちょっと中等部に顔出してみようかしら。)
【私はここか、次で締めさせてもらうわね。
遅くまでありがとう!】
先ほどから異能異能と言っているが、この街に蔓延る化け物を知らないわけではないのだろう?
マン・ハントも結構だが、市民を守るならばそちらの方が危険度が高いだろう。
(目的は同じはずなのに、こうもぶつかり合ってしまったのは、
互いに落ち度があるからだろう。この経験を活かし、次に繋げねば)
(そして本来なら組織に誘うべきなのだろうが、この黒装束、恐らく
チームプレーには向かないかもしれない。まとめるのは無理がある)
ああ、どうも。それでは。
(時代だけでなく色々錯誤している所はあるが、基本的に
悪人ではないのだろう。だがそうだとしても、あまり関わりたくはないタイプだ)
(それが誤解を生んで、命を落とすようなことにならなければ
いいのだが。誰か、道を諭すような友人に恵まれる事を願おう)
(そんな事を思いながら、晶は深紅のケースを背負い、また別の地区へと向かっていった)
【お待たせしました、風間先輩。それでは、僕はこれで〆にしますね】
【っと、ごめんなさい、ちょっとふらっと…最後なのに情けない。
私もここで締めさせてもらうわね。扱いづらいやつで、ごめんなさい…。
とにかくおつきあいありがとう!おつかれさまでした!おやすみなさい!】
【いえ、こんな時間までお付き合い頂き、ありがとうございました。
こちらこそ負けず劣らず扱いにくかったでしょう、お互い様です】
【また機会がありましたら、よろしくお願いしますね。
お疲れ様でした、風間先輩。お休みなさいませ】
【それではお邪魔しました、スレをお返しします】
【迫水 直 ◆mkbuDdznjc 氏とのロールでスレをお借りします】
【それでは今宵もよろしくお願いします、何かありましたら【】で遠慮せずに言って下さいな】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1311076380/377 からの続き
まあな…あそには俺しか住んでいないからな。だから覚えていたってワケ。
あの建物自体、元々はどこか倒産した会社の持ちモノだったのが暫く買い手が付かなかったらしんだが…。
運よく買い手が付いてね…ま、そこから間借りしてるんだけど今じゃすっかり好きに使わしてもらってる。
(とはいえ…普通地上3階地下1階の物件なんて個人じゃまず借りれないだろ?と悪戯っぽく笑ってみせる)
(夕暮れに差し掛かるこの時間帯の中華街はさすがに人も多く店も夕食時とあって混雑し始め)
(そんな人々が行き交う雑踏の中、歩きながら肉まんを食べ終わると、隣を歩いている青年に話しかける)
ちょっとした用事ねぇ…でもそれはキミにとってはとても重大な用事といっても差し支えないんじゃないか?
本当に大した用事でないなら、携帯かメールで済むだろうに…俺への連絡先も大方彼女から聞いてるんじゃないのか?
(あの時間帯に自分が知らない男の部屋に転がり込んだと知ったら誰も心配しないハズがないだろうからな、と付け加えて)
かといって…立ち話ですぐ済む話でもないんだろ?
……よし、それなら――キミさえよければだが、一緒に晩飯でもしながらってのはどうだい?
用事があって時間がないとか、デートの予定があるていうんなら無理にとは言わないが…。
(隣を歩く青年に声を掛けながら様子を伺いつつ自分なりの方針を決めると――とある店へと向かう)
(歩く事数十分、行き着いた店先は――立派な門構えの――とある中華飯店)
ここは知り合いの行きつけでね、俺もたまに呼ばれるんだけど…まあ、料理の味は折り紙つきだ。
さて…と、じゃあ――行こうか――
(そう話すとなんの躊躇もなしに店内へと入っていく――)
知り合い、ですか…
(知り合いとは言え個人にビルひとつ丸々好きなように使わせる)
(もしかしたら、この青年の為に買い取ったのかも知れない)
(となると、その買い手はチャイニーズマフィアなのだろうか)
(組織箆中で結構な地位にいるのだろうか、などと考えながら)
(夕暮れ時の混雑の中、ともすれば止まりそうな足で、はぐれないように歩く)
本来の用事自体はほんとに大したことじゃないんですよ
ただ、まぁ、おっしゃるとおりですね
その用事にかこつけて、と言ったところですね
連絡先も聞いています、それでも連絡しなかったのは……まぁ、ご愛敬ってことで
(壱耶の問いかけにあっさりと打ち明ける)
(確かに壱耶の言うとおり、コートを返しておしまい、とは思っていなかったのだし)
(その辺りのことを誤魔化したところで何のメリットもない)
(そもそもが、腹芸、交渉事には全く不向きな正確なのだ)
ええ、そうですね、できれば立ち話は避けたいところですが…
今日は、予定を空けておきました
(実際にはこのあとパートナーと会うことになるだろうが、それはそれ知らせる必要はないだろう)
(誘いに素直に応じ、先にたつ壱耶について歩くこと少々)
ここ…ですか?
(壱耶が言うからには店なのだろうが、自分から見れば、個人の---それもかなり裕福な---邸宅にしか見えない)
(門の前に立つだけでドレスコードを要求されそうな場所へ、何の躊躇もなく踏みいる壱耶の背を見ながら)
…毒を食うなら皿まで…まぁ、出てくるのが毒ってことはないだろうな…
(覚悟を決めるためにボソッっと呟いて)
(少し離された壱耶に追い付くため早足で門を踏み越える)
【お高いお店ですねぇ、期待してた通りです】
【ではでは、ゴチになります…違った、よろしくお願いします】
ああ、そうだ。…本当は予約とらないとマズいんだが…。
(店内に入ると壱耶の姿を見かけた一人の年配の店員が近づいてくる)
『いよお、飛龍(フェイロン)じゃないか!どうしたんだ?今日は「会合」はないハズだが…?』
(怪訝そうな表情を浮かべながら話し掛ける店員。その後も何やら世間話をする事十数分)
『んー…仕方ないな…他ならぬお前さんの頼みだ。いいぜ、奥の部屋使いな。』
悪いな……この埋め合わせは“黄”のヤツにさせるからさ。
『ははは、気にすんなよ、お前さんや黄の旦那には助けられてるんだからな』
(そう話ながら肩を2,3回ポンポンと軽く叩いた後、またホールへと戻っていく)
じゃあ、行こうか。
(慣れた雰囲気で店内の奥へと進み歩いていく)
(丁度夕食時でもあったのか店内は裕福そうな客で各テーブルは埋まっており)
(すれ違う店員は壱耶と会うとある者は軽く会釈してまたある者は軽く手を振る)
ここの店は一応宮廷創作料理がメインでね、色々と種類も豊富だし味も保障するぜ。
(一緒に歩いている青年に目配せを送りながら愉快そうな顔付で)
(やがて店内の奥の方へやってくる――)
(そこは――10人位は入れそうな立派な小部屋で)
とりあえず…ま、適当に座りなよ…で何か飲むかい?
(メニューを迫水氏に渡してから自分も適当に開いて見ながら尋ねる)
それと…何か好きなものがあれば好きなだけ頼んで構わないからな、それとも…コースの方がよかったか??
ま、何にしても今日は…俺の奢りだ、遠慮はしないでくれよ??
(そう言いながら青年の様子を伺い見る)
そういえば…お互い自己紹介がまだだったな――聞いてるとは思うが――OO学園大学部2年、龍岬 壱耶だ。
(その時の視線は青年の瞳を鋭く射抜く様な――死線を潜り抜けてきたようなソレで見ていた)
(これって靴で入っていいの?)
(そんな疑問を抱かせるほどの毛足の長い絨毯---恐らくスニーカーで踏むことなど想定されていない---の上を内心ドキドキしながら)
(外見は自然体を装って、高級ホテルのロビーのような---実際に入ったことはないが---だだっ広いホールまで案内される)
…………
(壱耶が知り合いらしい店員と話はじめてしまうと、手持ちぶさた担ってしまい)
(周囲の高級そうな調度品をながめるしかなくなる)
(時折こちらに向けられる視線は気になったが無視して)
(ようやく話が通ったらしい壱耶に再びつれられて店内へと)
(空間を贅沢に使用したテーブルの間を抜けて奥へと)
(絶対的なテーブル数は少ないが、ほとんどのテーブルの客が壱耶に向けて挨拶するとこを見ると)
(やはり壱耶がかなりの地位にあることを確信する)
(立派な作りの小部屋にたどり着く)
(先にテーブルにつく壱耶の正面の椅子へ腰かけて)
そうですね…じゃあ、ウーロン茶を
(尋ねる壱耶に答えながら、目の前のメニューを開いて眉をしかめる)
(値段ゼロ3個を基本とする料理の数々を前に、諦めてメニューを閉じて)
なにがどんな料理なんだかサッパリわかりません…適当に頼んでもらえますか?
好みのやつを、おかわりさせてもらいます
あぁ、そう言えば…
申し遅れました、迫水 直…高等部3年です、よろしくお願いいた………っ!
(自己紹介の言葉を途切れさせたのは、壱耶の鋭い視線)
(死線を越えた者だけが身につける熱く冷たい目線)
よろしくお願いします、龍岬先輩
(真正面から怯むことなく視線を受け止める)
(相手が裏の顔を見せるのなら、こちらもそれなりの表情で応じる)
ああ、こちらこそ宜しく頼むよ、「裏」には慣れていても…この街の「闇」にはまだ不慣れなもんでね。
(成程…ね。この青年もそれなりの修羅場を潜り抜けている、か。)
(先程とはうってかわって雰囲気を普通に戻してからメニューを確認して)
それじゃあ、先にオーダーを取ろうか…話はそれからでも構わないかな?
(迫水氏に確認を取ってから壁にある内線電話でオーダーを頼み――注文を終えると席に戻って)
とりあえず…烏龍茶と烏龍杯を頼んだから…間違えるなよ?と後飲み放題だから遠慮しないでな。
まぁ…いきなりこんな店に連れて来られたら緊張するなって方が無理だよな…俺もそうだったし。
それとも…別の話で緊張しているのかな?迫水クンは。
(迫水氏の様子を見ながら背もたれに背中を預けて)
……さて、冗談はさておき、だ。じゃあ本題に入ろうか……で、まずは…何を聞きたいのかな。
【すいません、レスを返しているとリミットを越えてしまいそうです】
【なので、今夜はこの辺りで凍結をお願いできますか】
【どうにもロール時間が短くて申し訳ない限りなのです…】
【で、次回なのですが…水曜は俺がNGでして、金曜でどうでしょう】
【置きレスくらいなら、明日にでも落とせると思います】
【うん、たぶんそうじゃないかなという予感はしていたよ…了解。】
【いやいや、お互いこうやってできるだけいいじゃないか、と思っていたりする俺がいたり】
【金曜日おっけーだよ、時間は21:00でいいのかな?置きレスも問題ないから大丈夫。】
【おぉぅ、お気遣い感謝です】
【はい、金曜の2100に避難所で待ち合わせ、と言うことで、よろしくお願いします】
【明日にでも本スレもしくは避難所に置きレスしますので、暇な時にご確認下さい】
【では、今夜はこの辺りで、お先に失礼させていただきます】
【お付き合いありがとうございました、お疲れさまです】
【おやすみなさい】
【こちらこそ楽しめたから無問題!遅くまでのお付き合いに感謝です】
【それではおやすみなさい…良き夢見を!再見!!】
【スレをお返しします…ありがとうございました】
602 :
名無しさん@ピンキー:2011/08/17(水) 14:44:54.84 ID:Qef1Vc1X
かっけー
【639 ◆hFG3rZIdMQ 様とのロールに、お借りいたしますね】
【といいますか、残り僅か……すぐに次のスレに移動でしょうね】
●商品明細
【名前】 チコ
【種族】 イヌミミ
【性別】 女
【年齢】 14才
【容姿】
141cm、75/52/77、Bカップ。小柄で可愛らしい体型です。
黒色のピンと立った犬耳と、丸まった尻尾が生えています。髪の毛は黒いセミショートです。
目は赤、肌は血色がよく、アンダーヘアは生えていません。
【服装】
薄手の、薄い青色のミニワンピース
【備考】
初めは乱暴に調教されていたようですが、途中から調教師が代わり、しばらくは甘々な調教を受けていたようです。
乱暴にされていた反動からか、今では調教師に依存しきってしまっているようです。
私が仕入れた頃は気が強くて反抗もしたのに、今では夜一人になると寂しくて泣いてしまうようですよ。
その調教師の手も、もうすぐ離れて売りに出されます。次はどなたに縋るのでしょうか。
こちらは非処女ですが、締りの良さは保証いたします。調教師いわく、久々の名器だそうですよ。
【この子でよろしかったでしょうか。他に希望などございますか?】
【書き出しなどはどうしましょうか……】
【ラズリさんと使わせてもらうよ】
【望みの子は確かにそれだね。ちゃんとワンピースも着つけてくれてるし、問題はないかな】
【始める前に、ラズリさんが想定している時代というか舞台というかをちょっと確認させてくれないかな?】
【ファンタジー世界の奴隷商なのか、現代に近い設定だけど獣耳の種族が一緒に暮らしている世界なのか……】
【書き出しはファンタジー風なら館に、現代風ならマンションの最上階の一室にチコを引渡しに来てくれるところから書き出してくれると嬉しいね】
【わかりました。この子をお引渡しということで……ありがとうございますね】
【こちらの舞台については、実はあまり拘りは持っていません】
【オーソドックスに行けばファンタジー風ですが、現代風も面白そうですね】
【私の格好は、殆ど変わりませんが……】
【現代風で書きだしてみます。少々お待ち下さいませ】
【それと、このスレが埋まり次第に次スレということで……どうぞ、よろしくお願いしますね】
【それでは現代風で了解したよ】
【こちらこそよろしくお願いする。次レスはもうこのスレには書き込めないかもしれないが……】