(その日も生徒会の雑用をしていた。
書類をファイルに閉じたりホッチキスでまとめたり。
この作業もいい加減慣れたもので、これも全てはある女性の為だった)
なぁ、東条?
最近なんか元気ないな。風邪?
(その女性…生徒会の副会長でありクラスメイトの東条霞は、なんだか最近
心ここにあらずの顔をしていることが多い。伊達に惚れているわけではなく
毎日その秀麗な美貌を観察している斎は、その変化に気付いていた)
(作業が終了し、その日のノルマは全部消化した)
なあなあ。今からお茶しに行かない?よかったらだけど。
新しいオープンカフェ、結構評判いいぜ。
(いつもならひらりと避けられるだろうけれど、彼女の変化が気になったので
誘ってみる。嫌がるならここで色々探りを入れればいい)
【それでは、よろしくお願いします】
>>500 ……………。
(完成した書類をパラパラと捲り、目を通す)
(その顔は心ここにあらずと言った雰囲気で、時折ため息をついたりもしている)
──…えっ?
あっ、あぁ、何かしら?
別に…私は変わりない、けど…。
(声を掛けられると我に返ったとばかりに戸田の方を見る)
(ぎこちない様子を見せながら素っ気ない返事をする)
今から…?
あ…もうこんな時間だったのね。
(時計を見ると予想以上に時間が経っていて、残りの仕事をする気が失せてしまう)
──えぇ、いいわ。
今日も戸田くんに色々手伝って貰ったし、たまにはお礼くらいしないとね。
それに私もその店に行ってみたかったの。
(いつもならば乗り気じゃないところだが、今日は気晴らしくらいにはなるだろうと思って頷く)
(早速とばかりに机の上を片付けて席を立つと鞄を手にした)
【えぇ、こちらこそよろしくね】
【お互い楽しみましょう】
お、本当?よっしゃあ!
そうと決まれば、行こう行こう!
(予想外にも、誘いに乗った東条を意外そうに見つめる。
帰りの支度をして、戸締りをして生徒会室を出る)
(念願の放課後デートだが、予想外に事がうまく行った事に
不安がある。嬉しい事には変わりはないのだけれど)
(二人で学校を出て、繁華街をぷらぷら歩いて、オープンカフェに到着。
あちこちの席には当然のように学生服だらけ。幸い、知った顔はない様子だ)
初めてだよな、こうしてお茶するの。
少しは期待してていいのかな、俺。
知ってる?この通り裏にホテルが沢山…なんて冗談、冗談だってば。
(くだらない冗談を言っていると、ウェイトレスが注文を取りに来る。
シンプルだが、可愛いデザインの制服だ。年齢は自分たちよりは年上だろう。
自分はコーヒーのブラックを注文をする)
あのさ、あー、いきなり突っ込んだこと聞いて悪いんだけどさ。
なんか最近東条の様子が変な気がしてさ。
よかったら相談に乗ろうかなって。俺なんかじゃ頼りにならないのはわかってるけどさ。
でもだからって、好きな人が妙な顔してるの放っておけないだろ。
(初めて告白して、断られて、それでも諦めの悪い自分は図々しく東条の心に踏み込もうと
している。今度こそお終いかもしれないな…なんて思いながら、返事を待つ)
……………。
(カフェへむかう最中も、時折珍しそうにキョロキョロ
したりはするが、殆ど浮かない顔をしている)
ん…そうね。生徒会室でお茶するくらいならあったけど…
ていうか戸田くんと二人ででかけたのも初めてだものね。
はぁ…またそんなくだらないこと言って。
そんなことばかり言ってると他の子達から嫌われるわよ?
(席に来たウェイトレスにアイスカフェラテを注文すると、彼の冗談に呆れた顔をする)
(いつものことなので、特に苛立ったりすることもないが)
……変?私が?
(もちろん図星だった)
(というのも、悩みの原因は先日自分に起こったある出来事)
(あるクラスメイトとの情事が全ての始まりだった)
(その生徒はその後重症を負い病院に搬送されたと聞いたし、情事の件は誰にもバレていない)
(しかし、あの日初めて快楽を知り、溺れた自らの淫らな
姿を、そしてあの快感を忘れることは出来なかった)
(自分はなんて下劣な女になってしまったのだろうと、日々考えては落ち込んでいたのだった)
気遣ってくれてありがとう。
でも、本当に大したことじゃないから…。
戸田くんに相談したら嫌われてしまいそうな内容だし、なんてね。
(珍しく冗談混じりに微笑んでみせるが、あながち冗談でもない言葉だった)
そんな。
俺が東条のこと好きなの知ってる癖に。嫌うわけないだろ?
(誘った時から感じていた違和感が更に募って来る。
普段はこんな風に笑ったりしないのに。
ここに来る途中も、浮かない顔をしていたし)
俺に言えないって事は……
ま、まさか好きな男が出来たとか。
い、いや、それならそれでいいんだけどな、はは、はは…
(もしそんなことだったら自分はとんでもない道化だ。
できれば、そんな悩みではないことを祈るばかり。
力なく笑っていると、注文の品が早くも届いた。
コーヒーとアイスカフェラテ。ズルズルと苦い液体を啜る)
なぁ、東条。それマジで秘密?
拷問されても言えないような隠し事?
そうじゃないなら、言って欲しいな。
俺に手伝えることなら、なんでも手伝うし、内緒にするからさ。
(それでもしつこく食い下がるのは、やっぱり惚れた女のことだからだ)
>>504 あら、どうかしら?
ひょっとしたら、ってこともあり得るわよ。
(必死に相談に乗ろうとしてくれる彼)
(普段はただのクラスメイトだし、一度は告白されたこともあったけど、今では仕事を
手伝ったり何気ない話をするような友人だと思っていただけに、申し訳なくなってくる)
──っ、ち、違うわよっ。
そんなわけないでしょう…!
あ……ご、ごめんなさい。
(男?と聞かれて、少しむきになって否定する)
(と、目の前に注文の品が運ばれてくると、ハッとして謝る)
拷問…って──わ、分かったわよ…。
(話せる範囲で話そう、とゆっくり口を開く)
あの…この前、うちのクラスの子が1人、突然入院したでしょう?
入院する前の日に、その子とちょっと、その…えぇと、あの……──
ごめんなさい…場所、変えてもいい?人がいると話しにくいの。
(ここで話せる範囲はあまりに狭かった)
(申し訳無さそうに顔をあげると彼を見つめる)
一之瀬?
一之瀬と何か……
(この前クラスメイトの一人が入院したと、確かに聞いた。
原因は、なんでも目覚めたばかりの能力の暴走の後遺症だとか。
隔離されたとか、当分復帰できないとか、そんな噂があった)
オッケ。個室サロン行こうぜ。
ここの近く、一か所あるから。
(伝票を持って立ちあがり、会計を済ませる。
個室サロンとは、文字通り個室を借りてのんびりする場所のことだ。
カラオケやテレビゲームもできるし、食事の持ち込みも自由だ。
大勢で集まる時に使ったり、ホテルの代わりに使ったりもできる)
(個室サロンの受付で手続きを済ませ、部屋に赴く。パック料金などもあり
今回は三時間1500円コースでオプションはなし。
それなりのスペースが確保された部屋で、ソファに座って向かい合う)
それで、一之瀬と何かあったんだな。
それで悩んでると。
…何かをしたのか、何かをされたのか。どっちなんだ?
>>506 この辺に詳しいのね、ありがとう。
(あまり遊び歩くことをしない自分にはありがたい話だった)
(会計を済ますと、彼に案内されながらサロンへ向かった)
へぇ…個室サロンって初めて来たけど、こんな感じなのね。
一人で来てものんびりできそう。
(部屋に入るとくるりと辺りを見回して、率直な感想を述べる)
(荷物を置くとソファに座り、彼と向かい合う)
(すぅ、と一呼吸置くと、意を決して話し始める)
そう、一之瀬くんって、元々能力を持っていなかったじゃない?
後から聞いたら、あの少し前からテレパス能力に目覚めていたみたいで…。
その…それで、私ね、入院する前の日の放課後に、能力が暴走していた彼に会ったの。
そしたら私、急に気が狂ったみたいになって、一之瀬くんと…こう、あ…ぅ…
(頬を真っ赤にして、泣きそうな顔を俯け黙ってしまう)
(普段表情をあまり変えない自分が見せた稀な仕草だった)
>>507 ああ、あの噂マジだったんだな。
……え?おいおい、それって……
(能力の暴走については、噂が真実だったと裏付けが取れただけだ。
けれど、その暴走したテレパス能力者と二人で何をしていたのか。
赤面し顔を伏せ、黙り込んでしまう東条の態度からするに、恐らくは……)
つまり、その、東条は一之瀬と……
その…や、ヤッてしまったと?
(ズーンと頭が重くなった。他の言い方はなかったのかと思いつつ、こちらもショックだ。
しかし、もっとショックを受けているのは他ならぬ東条自身である。
気が狂ったように…と彼女は言ったのだから、多分本意ではなく、能力の暴走に
巻き込まれて影響を受けてしまっただけなのだろう)
でもさ、東条はその、別に本意だったわけじゃなくて、なんて言うか…
事故みたいなものだったんだろ?東条が無事でよかったよ。
その、女としちゃ辛い話だろうけど、犬に噛まれたと思ってさ、ね?
それより、ごめん、こんなこと聞いて。
でも、俺東条のことずっと好きだから。嫌いになったりしないから。
(能力の暴走自体は珍しくはない。五体満足で精神も健常なのだからまだマシだろうと
思う。東条の隣に座って、軽く肩を叩く。例えどんな事があっても、自分は東条霞が好きなのだ)
>>508 ………。
(彼の答えに俯いたまま、コクリと頷く)
本当に…ごめんなさい…。
こんなこと聞かされて…引いちゃうわよね。
(彼が明らかにショックを受けているのが分かり、やはり相談すべきではなかったかと後悔する)
え、あ…、そ…それは、たしかに…事故と言えば事故だけど…。
でも…あの……──、あ…ありがとう…。
戸田くんって、本当に優しいわね…。私はあなたに酷いことしかしてないのに。
(何か言いかけたが、肩を叩かれると顔をあげて話すのを止める)
(悩みの内容が内容だけに、優しく慰めてくれる彼の様子に少し安堵した)
もう過ぎたことだから仕方ないんだけど…ね。
あれが初めての経験だったから…、尚更頭から離れなくて…。
本意じゃなかったはずなのに、あの時の気持ちが忘れられない自分が嫌になるの。
(自分に呆れたような口調で、隣に座る彼に話を続ける)
それが──今の私の悩みかしらね。
…さて、聞いてくれてありがとう。
もう遅いし…今日は帰りましょう。
(これ以上話を続けても彼に悪いと思ったのか、ぎこちない態度で席を立とうとする)
>>509 そりゃ、好きな人のことだからな。
けど、平気平気。これくらいで俺がめげるわけないって。
(にっこりと笑って、平気じゃないけど平気だと言ってのける。
酷いことになったのは彼女の方だ。
だからせめて自分は笑っていなければならないと思う)
俺の東条への愛は、これくらいじゃ壊れないぜ。
(一度強がりが口を突くと、本当に強くなった気持ちになれる。
ぽつぽつとその時の気持ちを話す東条に、コクコクと頷いて)
それは仕方ないよ。
他の人が同じ立場でも、同じことしてたと思うし。
ま、無理に忘れようとしない方が、いいのか知れないな。
(無理にどうにかしようとすると、逆に負担になると言う。
この手の問題は、時間が経てば案外さっくりと解決するのだろう)
そうだな。けどその前に。
(立ち上がろうとする東条の肩を掴んで、不意打ち気味のその唇にキスをする。
一瞬だけ触れ合って、すぐに離れる。へへへと笑って、唇を撫でる)
俺、東条に好きになってもらえるように頑張るから。
そんでもって、どんな嫌な事も忘れるくらい俺が幸せにするから。
だから、待ってて。
(そう言って笑い、東条の手を引いて部屋を出た)
【意外にも綺麗な〆になってしまいました】
【正直予想外。賢者モードかな】
【えっと、えっちなしですが、これで〆でお願いします】
女心のわからんやっちゃなw
そこは引き止めるところだろw
>>510 無理に…──そ、そういうものかしら?
(不安げに彼を見る)
(しかし彼の強い励ましに圧されたのか、少しずつ気持ちは晴れつつあり──)
ん…、戸田くんがそう言うのなら、あまり考え過ぎないようにしてみるわ。
それに聞いて貰えたからか、気持ち的にも少し楽になったし。
きゃっ…、────っ!?
(肩を掴まれ何事かと思って彼を見た時にはもう遅く)
(気が付けば触れた互いの唇がすでに離れたところであった)
──…っ、ちょ、ちょっと…あのっ、戸田くん…!
す、するならするって言っ…………
(彼の笑顔に、「待ってて」の言葉に、再び顔を真っ赤にして黙ってしまう)
(だがその表情はさっきまでとは違う、どこか照れくさそうな顔だった)
【予想外の綺麗な〆をいただいて驚いたわ…(笑)】
【もしや…内容的にやりにくかったかしら…?もしそうだったらごめんなさいね?】
【こちらとしてはとても楽しかったわ。遅くまでありがとう】
【もしまた機会があったら、ぜひよろしくお願いするわね】