もちろん。とても、似合い過ぎて……。
(もじもじと心細く足元を擦りながら、スカートの裾を押さえるゆりか)
(そのか細い声と言い、普段とのギャップがあまりに激しく、
ぐっと胸に刃を突き立てる。またはなぢが出たら、どうしよう)
(普段のふわふわとした少女趣味な服も愛らしいけれど、
こんな風に露出の増えた、爽やかさの中にちょっとした
えっちい雰囲気が混ざっているのにも、ドキッとしてしまう)
…………………可愛い。
「はい、毎度アリ。まー別に、適当にやってていーわよ。
元からアタシ、ここに突っ立ってるだけの人間だし」
(両手を赤く染まった頬に当てながら、改めてうっとりと呟く晶)
(そして後ろで店員とゆりかが話しているところで、ようやく
自分の番だということに気付いた。ハッとした顔で、彼女が店内を動く様に視線を送る)
(彼女の呟きに、それは厨二病のようなものだから
仕方ないんだよなぁ、とか。やっぱり似合うなぁ、とか。
というか、あまり見過ぎてえっちいと思われるのも、嫌だな。
そう考え、先程先輩への候補に上がったものと同じ
十字型ZIP&チェーンが刻まれたバッグを肩にかけ、明後日の方を見た)
(そこで丁度肩をトントンと叩かれ、またゆりかの方を見る。
差し出されたのはフード付きのダメージシャツと、珍しいゴスパン系ハーフパンツ)
(一目で気に入った―――――――凝りに凝ったデザイン)
(彼女は本当にこのお店は初めてなのだろうか?
そう疑ってしまうほど、完璧に自分の好みに合わせられたセレクト)
………っ……素晴らしいわ、お姉様。わたし、早速着てくるわね。
(長らく着ていない半ズボンに、ちょっとした高揚感を覚えながら。
ゆりかから差し出されたそれらを抱きしめ、小走りで試着室の方へ向かい、
チラリとパンキッシュな店員の方に、一声かける)
――――お姉さん、試着室、お借りしますね。
「あーはいは…………ええっ?!」
(凛とした声に、手元の雑誌をパラパラとめくっていた女の手が
止まり、驚きの表情で晶を見る。少年はイタズラ顔で、素早く試着室のカーテンを閉めた)
【遅くなりすみません。先輩、今夜も凍結で大丈夫でしょうか…?
木曜日、恐らく22時頃には大丈夫だと思うんですが…】